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1976-10-22 第78回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十二日(金曜日)    午前十時十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柏原 ヤス君     理 事                 源田  実君                 藤川 一秋君                 森下 昭司君                 中尾 辰義君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 岩上 妙子君                 亀井 久興君                 福井  勇君                 赤桐  操君                 松永 忠二君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       前田 正男君    政府委員        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    伊原 義徳君        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課長     佐藤 眞住君        気象研究所地震        火山研究部長   諏訪  彰君        建設省国土地理        院地殻調査部長  原田 健久君    参考人        東京大学地震研        究所所長     大沢  胖君        東京大学教授   浅田  敏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (地震予知に関する件)  (放射性廃棄物海洋処分に関する件等)     —————————————
  2. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、地震予知に関する件について、本日東京大学地震研究所所長大沢胖君及び東京大学教授浅田敏君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、地震予知に関する件を議題といたします。  この際、参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。  本日は、ただいま議題といたしました地震予知に関する件につきまして忌憚のない御意見を承りまして、本委員会における調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、浅田参考人から十五分程度の陳述をお願いし、その後委員からの質疑お答えいただきたいと存じます。  それでは浅田参考人にお願いいたします。浅田参考人
  5. 浅田敏

    参考人浅田敏君) それでは十五分程度お話し申し上げたいと思います。  現在非常に問題になっておりますのは、仮称東海地震という地震でございますが、内陸地震が起こらないという趣旨ではございません。ただ、東海地震という地震が非常に大きいので、いろいろなものが目立ちやすいのでございます。内陸地震はもちろん非常に可能性がございますが、これは国土地理院によって測量を繰り返す——いまは五年ということになっておりますが、そういう繰り返しを必ず行うということが絶対に基本として必要なことでございます。  で、内陸地震は数百年に一回とか千年に一回とか、同じところで起こりませんので、そういうふうに目立たないわけです。太平洋岸地震は非常に繰り返しがはっきりしておりまして、たとえば南海地震などはもう九回ぐらい歴史上記録されております。東南海地震も同じでございます。  問題の東海地震は、東南海地震とまざっておりますので、非常にはっきりしない面がございます、歴史の上では。たとえば、そういうふうに繰り返しのことを考えますと、関東地震東南海地震南海地震という順で起こってまいりました、最近は。しかし、このうち関東地震は、その発生の直後から測量が繰り返されておりまして、いまも繰り返されておりまして、測量の結果によりますと、地面のひずみがまだ次の地震を起こすには少し間があるだろうという程度のひずみしかないわけであります。でありますから、少しひん曲がっておりましても、これは地学的現象のことでありますから、五十年とか百五十年とか二百年とか、そういうふうな不確定性が入っております。でありますから、これはいまから心がけておけば、そのときには私は非常に確実に予知ができるものと考えております。  で、南海地震は非常な特徴がありまして、東南海地震と同時か、東南海地震の後でしか起こったことがございません。これはもう歴史上ほとんど九割九分そういうふうに繰り返しておるのであります。で、南海地震はそのリストから除かれるということになります。  問題は東南海地震東海地震でございますが、東海地震が最近目立ってきました理由としましては、実はこれは三、四年前から問題になっておったんでございますけれども、一番目立ってきた理由といたしましては、一八五四年の地震のときの地殻変動の様子などを非常にはっきり記録されました古文書が次々と発見されたことでございます。  で、ここでひとつ申し上げておきますが、ただ古文書が発見されて、ここが隆起しておるからここが震源であるというようなものではございません。この数年来、この十年以内の学問の発展によりまして、ことに断層模型の理論というものが発展いたしまして、仮想地震仮想断層ですね。仮想地震仮想震源を考えまして、それに基づいてその結果起こる地殻変動を計算することができるようになったのでございます。そうやって計算された地殻変動と、実際に起こったらしい地殻変動とを比べまして、そういうことに基づいて推論がなされておるのであります。でありますから、十年前、まあ五年前と申してもよろしゅうございますが、仮に古文書が見つかりましても、今日のような的確な発言はすることができなかったのであります。ここにやはり地震予知というものは基礎的研究がいかに大事であるかということの証拠を全くもう目の前に見せておるわけでございます。  それから東海地震が問題になるもう一つ理由は、測量の結果——これは国土地理院の役目でございますが、測量の結果、やはり御前崎から清水にかけてのあたりがひずみが残っているということでございます。たとえば、南海地震東南海地震のところは、結局地震でひずみを示している地層面の変形は全部消されてしまったわけでありますが、この部分は残っておる、こういうことでございます。  それからもう一つは一あと幾つかございまして、たとえばあの近辺で地震波速度が非常にのろい。しかしのろいから長期的前兆に入っているのかということは、現在まだ申し上げるほど学問的に煮詰められてはいないのです。ということは、こういう地震日本はもちろん外国でも全く初めてのことでありまして、でありますから、われわれはすべて初めてのことに立ち向かって地震予知を進めていかなければならないというのがもう非常な特徴でございます。この地震波が異常にのろいということを注目いたしましたのは、われわれには終戦後この二十五年間、爆破時震動ということで、日本のほかのところの地殻速度に関する経験が集積しておりますので、ここはおかしいのではないかというふうな着想が出るわけでございます。これもその基礎的研究がいかに重要であるかということの証拠だと思っております。このほか、たとえば気象庁容量変化計御前崎がどうも変な挙動を示すということがございます。これもぜひ解決しなければならない問題でございます。で、あれやこれやを考えまして、まだ学問状態から言いましていつ起こるとか、起こらないとか保証することは、これは両方ともできないことでございます。でありますので、目下の時期の幅としましては、一番近いのはもうすぐであろうと、あしたでも起こっても不思議ではないという言葉が有名になり過ぎましたけれども、これはその時期をすぱっとそこで切ったというふうに御理解ください。  もう一つは、坪川さんなどが言っておられるように、次の東南海地震一緒ではなかろうかと、そうすると歴史上の繰り返しから考えましてやっぱり五、六十年、七、八十年後ということになります。で、ここで忌憚なく申しますと、坪川さんの統計的根拠は全く私は買わないのでありますけれども、といいまして坪川さんの学問的根拠は買いませんが、次の東海地震一緒だろうという一種の目測は、これはもしかしたら本当かもしれない、打ち消すことはやはりできないのであります。というわけでございますので、といいましても何十年も緊張することはとても人間にはできませんので、そういう時期の幅を狭めなければなりません。狭めるのは、やはり学術的方法によって押し縮めていかなければならない。たとえば、これは一七〇七年とか一六〇五年の地震がどういうふうな地殻変動を示したかということがわかりますと、これは非常に参考になります。それから、長期的意味前兆があるというふうに学界では世界じゃうにほとんど定説となっておりますが、そういう長期的な意味前兆に入っているのかどうかという問題でございます。小さい地震についてはそういう研究はあるのですけれども、こういう大きい地震についてはもちろん何の経験もないわけでございますので、一々判断をしながら、いろいろな観測をして判断をしていかなければならない。もし運がよければ早く解決するでしょうし、運が悪ければいつまでもなかなかわからないまま事態が進展していくという可能性があると思います。予知というものは、そういうふうに全く初めてのものを相手にしていかなければならないのでありますから、非常に研究的なアプローチが必要なのであります。とともに、観測積み重ねが必要であります。たとえ何十年後に起こるといたしましても、今日から的確な積み重ねがないと何も言うことはできません。今日いろいろなことを申します上に問題、足かせになるものは、やはり昔からの測量観測地震観測積み重ねが少ない。今日もし何かちょっとでも言えるとしたら、それは明治時代から比較的正確な測量が行われていたと、そういう積み重ねに基づくものであります。  最後の方になりましてもう一つ申し上げたいことは、地震の起こる直前にいろいろな変動が起こるかもしれないという期待は、これは十分持てるのであります。非常に極端な場合は人間の目で見えるような前兆現象が起こり、それで三十分とか一時間後に地震が起こった例も少しはあるのでございますから、機械でちゃんとはかればこれは見込みがあるわけです。これの一番最初にやはりなすべきことは、もう遠慮せずに申しますれば、いまのところは容量変化計をもう少し密度をふやすということです。一般的に申し上げれば、この種の観測は数が多ければ多いほどわずかな前兆をとらえる能力が高くなります。たとえば数が一つでも、もう非常な前兆が起こればわかるわけです。極端な場合は人間の目でもわかるわけです。しかし、微弱なものをとらえるためには数が多くなければならない。それから、前兆かどうか判断するためにも数が多くなければなりません。そのほかの地殻変動連続観測とか、あるいは中国での話を総合しますと、井戸の水位も非常に変わるそうであります。日本には言い伝えだけが残っております。たとえばラドンの濃度その他、あるいは地殻中の電気伝導度その他あらゆることがございますので、私の個人的感想を申し述べますれば、もし少しずつ事態が逼迫しているということが科学的証拠に基づいてそういうふうに考え方が進んでさましたら、それに従ってあらゆるこういう観測を少しずつふやしていくということが必要ではないかと思います。  それから一般的に申しまして、地震予知というものはいま何回も申しましたように、非常に研究的な要素が強いものでありますので、非常にデリケートなものでございます。でありますから、はっきり言いますと、普通の行政のような考え方よりもっとデリケートに、死にやすいと言ってはいけませんけれども、大人になっていないものとして考えていただきたいという希望がございます。  それからもう一つ地震予知というものは非常に幅が広いものでありまして、たとえば中国などでは一般大衆まで巻き込んでおります。日本ではその必要はないかと思いますけれども、非常に小さなものが幾つかありまして、そういうものがまとまってやるわけであります。でありますから、すぐたとえば一元化というものが問題になりますが、一元化という乙とはもちろん結構でございますけれども、やはりデリケートに扱われた一元化でないとよろしくないかと存じております。  現在、地震予知をだんだん軌道に乗せることとして大事なことは、やはり根幹的になるものは気象庁地震関係の事業と国土地理院観測だと考えております。そのほかに、もしかしたらもっと大事なものはその研究による裏づけでございます。そうでなければ、常時的観測の結果、出てきたものを解釈することに間違うかもしれません。で、この研究大学が非常に人数が多いのでございますけれども、そのほか、いろんな官庁に実力のある研究機関がついてございます。こういうような状態でございます。  それから最後にもう一つ申し述べたいことがございます。これは中国海城地震というのが一九七五年にございまして、これは予知されたといわれております。結論から申しますと、非常に幸運であったと言わざるを得ないのです。で、結局、地震専門家には何がわかりますかというと、皮肉な言い方をいたしますと、こういうことはわからないんだということがよくわかるわけです。たとえば、海城地震で二月の何日かになりまして専門家にわかったことは、マグニチュードは六・幾つかもしれないし、七・幾つかもしれない。それから地震はもう一時間後かもしれないし、一週間、二週間後かもしれない。ただ、非常に逼迫しておりますね、地学的には。しかし、それを時間まで決めるということはできなかったわけでありますが、それは遼寧省の省庁でしょうか、が、それではマグニチュードは大きいと仮定し、時間はいますぐと仮定して行動を起こそうと、こういうふうに決断いたしまして、それが非常に幸運にも万事うまくいったというのが実情でございます。でありますから、最後責任地震学者がとったのではない。地震学者はこういうことはわからないということはよく知っておりますから、そういう意味本当責任はとれないということもよく知っておるわけでございます。で、これはやはり予知というものの一面を示す話かと存じます。  簡単でございますが、これで終わりたいと思います。
  6. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) ありがとうございました。  それではこれより質疑を行います。質疑のある方は御発言願います。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 質問を始めます前に浅田参考人大沢参考人、お忙しいところありがとうございました。先生お話等を中心にし、また各関係大臣を初め、皆さんに御質問したいと思うわけです。特に参考人先生、ひとつ比較的はっきりと明確にお答えをいただきたいと思います。  先生が十月十四日の朝日「論壇」にこういうことを書いているわけですが、「なぜ中国では地震予知が出来て、日本では出来ないかということである。この答えはきわめて簡単であって、中華人民共和国は一九六六年以来、地震発生予知しようとする強い意志を持ちつづけていたのに対し、我が国はそのようなことはさらさら考えていなかったからである。地震研究者にその意志がなかったといっているのではない。」と、こういうように言っておられますが、非常に簡明、わかりいい言葉でありますけれども、もう少しその内容を申し上げるとしたら、お聞かせいただきたい。
  8. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 国を意思のあるもののように書きましたのは、文章を短くするためにそうした方がわかりやすいだろうと思ったからでございます。その後の方に書いてございますですね。たとえば、いまから静岡県地方を適当な直前前兆をとらえられるかもしれない機械を置こうとしますと、五十二年の概算要求は済んでおりますので、五十三年の概算要求ということになります。そうすると、そういう観測は五十三年から始まるということになります。たとえば、中国では事はそういうふうに行われなかったということを言いたかったのでございます。地震予知というものは、そういうふうに学者とか専門家だけでできるものではございませんので、まあもちろん政治家行政官も、あるいはある土地に暮らしている人たち地震予知をしたいという強い意思を持たなければできないのだと思っております。もちろん学者だけに任しておいてもいずれはできると思いますが、しかし、恐らく巨大地震を何回か経験してその後でできるようになるんだと思います。これが普通の、科学だけに限った場合の科学の進み方でございます。それを非常に早く進めようと考えるのは、やはり学者だけではできないんだと、そういう趣旨のことを上手に書きたかったのでございます。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 先ほどのお話の中に、やはりその時期に中国決断をしてその処置をしたことが幸せであったというお話もあったわけで、その決断をするものは学者ではなくて行政並びに責任を持つものだということにも連関をするわけでありますが、この予知をどうしてもしなきゃいかぬ、予知をしようとする強い意思というものが予知体制をつくる基本の力であるというふうに私たちも考える。そういうことを私は言っているんだと思うんで、もっとやっぱり予知しようとする強い意思日本の国でもやはり持っていく必要があるということを言っておられるんだと私は判断するわけです。いまお話のとおりであります。  その次、測地学審議会が「第三次地震予知計画の一部見直しについて」という建議が行われたところにこういうことが書いてあります。「米国、ソ連中国等において、最近、地震予知実用化への試みがかなり大胆に行われている状況にある。」「最近における諸外国研究成果をもふまえた我が国土状況に適する問題を総合的に取上げつつ、創造的な予知研究をますます積極的に進める必要がある。」ということを明確に言っているわけですね。世界に実は先駆けて日本の国が地震予知に乗り出して十余年。予知研究体制が次第に整えられてはきたけれども、中国ソ連アメリカにおくれてきているということは各面で指摘をされていることでありますけれども、その理由はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
  10. 浅田敏

    参考人浅田敏君) これは大変むずかしい御質問だと思うのですが、一番簡単なお答えの仕方は、その研究者の熱意が足りなかったのかもしれないというようなお答えの仕方が一番簡単で無難なお答えの仕方だと思うのですが、要するに、中国では結局一九六六年にもう地震は非常に危ないものであると、自分たちはどろの家に住んでいるので、すぐつぶれてしまうということに気がついたのだと思います。それとともにもう一つ気がついたことは、耐震建築をつくるよりは地震予知する方がよっぽど安上がりだと、実現性可能性があるということに気がついたのだと思います。そのときに行われたことは、もう半分は想像でございますけれども、結局、中国の人の言うことを聞きますと、まあ周恩来首相がオーガナイズしたということらしいのであります。ということは、あのような国柄で、政治行政も押さえているような人が、しかも相当利口な人が一人で指図したのでありますから、非常に効率よく事が運んだのだと思います。  で、学者というものは、元来あくまで個人の独創に頼り、そういうふうにして研究を進めていくものでありますが、地震予知というものはそういう研究と少し違う面があるということをさっきから申し上げておりますので、ですから、非常に極端なことを言いますと、学者だけに頼ってたのではだめであると、こういう結論になるわけでございます。  どうも非常に明快にお答えすることができないのでありますけれども、質問自体が非常にむずかしい質問でありますので、この程度だと思います。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 比較的いろいろなものには明確に書いてあるわけですわね。それからまた、中国を何もあえて例にとらないでも、たとえばアメリカのカリフォルニア州の南部の断層巨大地震が起ころうとしていることだけは確実だと、それに対してアメリカがどういう対処の仕方をしているかということを考えてみれば、やはりなぜ一体一番早く先駆けて地震予知へ手をかけていたのにかかわらず、公の建議の中でもいわゆる他の国の進んでいることを指摘をせざるを得ないような状況になったかということがはっきりしてくると思う。まあ言いづらい問題ではありますけれども、私はやはり単に中国だけを例にとる必要はないと思います。アメリカでも現にそういう危険な地帯にどういう措置をしているかということと、日本がいま現に関東あるいは東海地域観測強化地域にしていて、それのやっている措置と比較してみればやはりそのおくれてくる理由もそこの中から判断ができると思うんでありますが、細かい話はもう少し詰めてからお聞きをしたいと思います。  そこで科学技術庁長官にお尋ねいたしますが、前田科学技術庁長官は八日の記者会見で、来週中にも地震予知計画を総合的に再編成した予知対策計画とその推進方法科学技術庁として取りまとめたいという意向を述べられた。これは文部省、建設省国土庁の各大臣前田長官に対して強く総合計画の立案を求めていることを受けたものであるというようなこともあわせて説明をされておる。これについてはいまどういう内容なのか、どういう進めぐあいなのか、比較的細かく長官からお答えをいただきたいと思います。
  12. 前田正男

    国務大臣前田正男君) それはお話のとおりでございまして、そのもとは、参議院の予算委員会におきまして御質問がありまして、それに対して三木総理大臣が明瞭にこれを推進するということを答弁されまして、まあそれに関係がある行政管理庁長官、私からも答弁をいたしました。それを受けまして、本当科学技術庁の権限を越える部分があるのでございますけれども、しかし、国務大臣でございますから、大臣という立場でほかの役所のものもあわせてひとつ原案をまとめてもらいたいという御意見がありましたので、一応私が案をまとめたわけでございます。で、一番関係の多い行政管理庁長官のところへその案を持って参りまして、一応御相談をし、また計画につきましては一応の考え方をまとめたのでございますけれども、やっぱりそれを実施しておられますところの国土地理院とか気象庁とか、あるいは大学関係、特に予知連絡会だとか、そういった方たちの御意見、まあ測地学審議会の会長は海外に行っておられましたので、まだ聞いておりませんけれども、そういう方たち意見もまたなるべく聞かしてもらってと思って、まあ大体の考え方はその後関係の者と話し合いました結果、私が立てましたような恒久的なものはいずれにいたしましても、国会の審議を経て法律によってつくらざるを得ませんけれども、それを待っておりますと、やはり地震のことですから、一日も早く対策を講じなければなりませんので、とりあえず閣議決定で従来の地震予知研究推進連絡会議というようなものをもっと強化したものに、強力に推進できるものをとりあえずつくったらどうだろうかという、私の構想をまとめました話に対しましては、おおむね各省庁とも大体皆賛成をしてくださっておりますし、行管の長官も、もしそれでやれるなら早速皆と交渉したらどうかということで、その構想に基づきまして交渉しておるわけでございます。しかるところ、どうも交渉を実際始めてみますと、なかなか推進します対象の問題においていろいろと議論が出てきまして、また一つの問題は、私たちがいま推進しようとしておりますことは、地震予知研究と、それを実際にやっております地震予知の実務を担当しておられます国土庁とか、気象庁とか、あるいは大学関係でありますとか、そういった方たちとまとめまして研究測量といいますか、そういうものを進めることはわりあいに話はすぐまとまるのでございますけれども、それに伴いましてデータをどういうふうに集めていくか、あるいはそれに伴って情報をどういうふうに伝達していくべきであるか、あるいはまたさらに予知に伴う地震研究のための技術、これは各官庁がおのおの権限を持っておるわけでございます。科学技術庁はそれを総合調整する権限を持っておりますけれども、そういうものもしかしやっぱりそれに伴いまして推進しなきゃならぬと思います。別に私たちは各官庁の権限をどうこうしようと思っておりませんし、各官庁の権限のままでやっていただいていいわけで、私たちはそれをただ調整して推進しようと思っているんですけれども、どうもやっぱり官庁の方から見ると、調整推進するということは何だか自分のところの権限に関係あるんじゃないかというような疑問が出たりしましてなかなかまとまりにくいという点が現状でございます。  それからもう一つの問題点は、そういうことをやりましても今度は一番問題なのは、静岡県でも議決されたことを新聞で私は見ましたけれども、予知がわかってまいりましても、それに伴う今度は一切の警報みたいなものをどういうふうにして出していくのか、あるいはまた今度はそれに伴いまして予知がわかるなら当然防災対策をしなきゃならぬと思いますけれども、そういう防災対策は一体どうするのかということになってまいりますと、これはすでに国会で議決しておられます災害対策基本法というものがございまして、それに伴いまして中央防災会議というものが総理大臣を議長にしてございます。やはりこれはどうしても国会ですでに議決して成立して政府として現に実体を持って動いておる組織でございますから、やはりこれを動かすほか仕方ありません。したがって、閣議決定でやります推進の体制というものはこの防災会議の権限のものをやるわけにいきませんから、実際の警報でありますとか、あるいはそれに伴う実際の予知に伴う防災の対策、こういつたことにつきましては中央防災会議の中に大都市の震災の対策の専門の部会などがあるようでございます。そこを中心にしてやっぱり常時推進をしていただかなきやならぬ、こういうことでございます。しかし、それはわれわれの推進する体制が整うとともに、地震のことですから一日を争うわけでありますので、現に大都市のための震災対策はあるんですけれども、そこもさらに常時ひとつ活動してもらわなきやならぬ。中央防災会議というものは、御承知のとおり、防災の問題が起こりましたときに開いていくのが主でありますけれども、その問のいま部会とか委員会はしょっちゅう開いて検討していただいておりますけれども、特に地震予知に伴う分についてはしょっちゅう動いておる部会とか、研究会と同じように動いてもらわないと困るわけでございます。そういうふうな大都市の地震対策の専門部会の中で取り上げるか、どこで取り上げるか防災会議で決めてもらわなきゃなりませんけれども、とにかく専門部会とか、技術部会と同じように常時動いてもらう、こういうことが防災会議の方でも必要ではないか、こう思いまして、そういうような話も進めておるわけでございまして、しかし、いつまでもこれを各官庁の意見に従って私たちが日を遷延しているわけにはいきません。これは一日を争うことでありますし、やはり政治決断すべきことでございますから、また総理が明瞭に国会で答弁しておられるわけでもございますので、私たちは一応事務当局の折衝にはいま現在任しておりますけれども、いつまでも任しておくという気持ちはございません。ある程度の期限が来ました場合に、たとえ時間切れになりましても、最後政治的に決断をして決めていく、こういう考え方で時間切れがあり得るということを各官庁に申し伝えてあります。それで余り各官庁でいつまでもぐずぐず言っておるのなら時間切れがある、政治決断をするぞということは申し入れてあるわけであります。それでわれわれといたしましては、最終的には政治責任においてそういう対策決断してつくり上げなきゃならぬ、こう思っておるわけでございますけれども、どうやら話を聞いておりますと、だんだんと皆さんもそういうものをつくろうということがわかってきたようでございますし、また内容についても大分各官庁とも話が煮詰まってきたようでございますから、わりあいとまとまってくるんじゃないかと思いまして、この調子なら相当早くできるんじゃないかと思いますが、いまお話がありましたとおり、最初に私たち計画を立てましたときから比べますと、大分おくれておることは事実でございます。その点は残念でございますけれども、しかし、やっぱり政府全体としてこれに携わらなければなりませんし、実際にまた実務に携わるところの学者の方初め、各官庁の方たち、皆さんがやっぱり協力してやろうということが必要でございますから、なるべくひとつスムーズにやりたいと思いまして、多少御期待に反しておりますけれども、時間をかけておる段階でございます。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 話はわかりました。一通りわかりましたが、いま言ったような努力を重ねて、いつをめどに一体取りまとめができるのか。取りまとめたものはさっきお話によると、推進の閣議決定とか、閣議了解とか、そういうものの形で取りまとめるのか。まとめる形と時期は一体いつなんですか。
  14. 前田正男

    国務大臣前田正男君) 私たちは一応国会の答弁の事項でございますので、この国会の末までにはひとつ決断をしなければならぬのじゃないか、こう思っておるわけでございます。  それからまた、先ほど申しました推進する体制のものはいずれば将来法律にいたしまして、また国会の御審議を願うことになると思いますけれども、これはいまの間に合いませんことでございますから、閣議決定によるところの機関をつくり上げていきたい。
  15. 松永忠二

    松永忠二君 閣議決定、何ですか……。
  16. 前田正男

    国務大臣前田正男君) 片一方の防災対策の方のものは、すでにもう現に法律に基づいて中央防災会議として動いておるわけでございますから、現在動いておる機関でやってもらう、こういうことでございます。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 本国会、臨時国会開会中に取りまとめたい。それから防災会議の関係は別として、とにかく地震予知について閣議の、この前のいわゆる予知連絡会ができたのは閣議了解をもとにしてつくっていっているわけですね。だから閣議了解というか、閣議決定とか、そういう形でとにかく取りまとめていくということですね。
  18. 前田正男

    国務大臣前田正男君) ちょっと違うところは、地震予知研究推進連絡会議のときは次官会議でやりまして、責任者は……。
  19. 松永忠二

    松永忠二君 いやいや、その前の連絡会……。
  20. 前田正男

    国務大臣前田正男君) 連絡会は、責任者は事務次官がやっておるわけであります。私の方の事務次官がやっておりますけれども、連絡会の学者の方の意見を受けて行政的に推進するのは……。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 学者の連絡会は閣議了解をもとにして発足したので、——いやいや、そんなことはどうでもいいから、どういう形でまとめるのですかと聞いている。
  22. 前田正男

    国務大臣前田正男君) いままでと違いますことは、要するに今度は閣議決定でございますから、それに対する責任者はできると思いますから、それは多分国務大臣責任者になってやると、こういうことでございます。一番違うところは、いまの予知連絡会を受けてやっておりますこの政府の連絡会議というものは、事務次官が長でやっておりますけれども、今度の閣議決定でやりますものは国務大臣責任者になってやると、こういうところが一番大きいな違いだと思います。
  23. 松永忠二

    松永忠二君 そのことも後から少し聞きますがね、今度の場合はいわゆる閣議というか、大臣というもののクラスの中で、その報告は一応ある程度考え方をまとめて、そして一つの案というか、どういうものにするのか知らぬが、それを関係閣議了解とか、あるいはそういう形でするんですか。それとも……。
  24. 前田正男

    国務大臣前田正男君) それはもちろん事前に関係の各大臣の御了解を得なければなりませんけれども、決定は閣議決定事項として、内閣に閣議決定事項として、厳密に申しますと、内閣にそういう推進の機関をつくると、こういうことでございます。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、内閣に今度のいわゆる予知推進の機構というものをつくるというんですか。そうですか。
  26. 前田正男

    国務大臣前田正男君) まあ機構といいますと、実体が何かあれみたいな感じしますけれども、内閣に閣議決定の推進の体制をつくるということでございます。こういうことはいままでもたくさん、実は内閣に放射線の方の対策の本部ができまして、本部長を大臣がやるというようないろいろなそういう従来の例がございまして、今度も閣議決定で内閣にそういう推進の体制をつくると、こういうことでございます。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 まあそれをひとつ、いまお話のように関係者の関係——予知についてはあれとしても、防災の問題は防災会議もあるというし、関係の各庁との間に事務的な折衝の中でいろんな意見も出てきていると。しかし、いつまでも意見を協議しているという段階じゃないので、ある段階では責任官庁として科学技術庁長官が取りまとめて、一つのわかるような案というものがあって、その案を推進をするというようないわゆる閣議の決定に基づく推進ということにするというふうに大体お話があったわけですが、よほどはっきりと、まあいろいろ協議の段階だろうと思うけれども、いわゆるよく言う長期前兆をどう発見するか、短期の前兆をどうするのか、現実にある駿河湾をどうするのか、それから恒久的ないわゆる長期の前兆のための予知をどうするのかということ、そういう案がある程度まとめられ、それがどういうものに、従来あるものよりも違った角度で、あるいは強大に推進されるということかわかるような、やはり閣議決定に基づく推進のものをつくってもらいたいと思いますね。それで、言うとおり今国会開会中に、臨時国会開会中にそれをまとめてもらいたいと思います。  そこで、もう少し、またいずれ問題返りますが、測地学審議会というのが実はいま話の出ている第三次地震予知計画建議というのは、要するに測地学審議会建議したものであって、この測地学審議会は設置法に基づくものでありますから、審議会でありますから建議の権限も持っている。そうして昭和三十九年に第一次をやった。続いて第二次を四十三年にやり、四十八年六月に、四十九年から五十三年、五年間を目途とする第三次地震予知計画建議というのをやったわけです。そして五十年の七月に、その測地学審議会が第三次地震予知計画の一部見直しについてという建議を出しているわけです。最初の第三次の建議は、総理大臣とそれから文部、通産、建設、運輸に出している。それから第三次の見直しについては総理大臣、文部、建設、運輸に出しているわけですね。ところが、四十三年の閣議了解の地震予知推進についてという閣議了解は科学技術庁、文部省、通産省、運輸省、建設省ということになっているわけだから、結果的にはこの第三次の地震予知計画あるいは一部見直しというものについては、これは科学技術庁自身も当然タッチをしている問題である。何か第三次地震予知計画というのはどっかほかのところへ出たと思ったら、そうでなくて、測地学審議会が出しているわけ。きょういらっしゃる先生方もそういう審議会に参加をされているようであります。これを見ると、これまでの実施状況と留意点というものを出している。それから本計画内容として、日本全域にわたる基本測量と特別地域における観測というのと分けている。そうしてその後人工地震調査、岩石破壊実験等とか、第四には地震予知体制の整備等という、観測体制の整備、人材の養成というのに触れている。見直しについては、現在までの地震予知計画の成果の概要を述べるというように、基礎研究については、今後推進すべき基礎研究という中で、現在予知計画に含まれているが、実施のおくれているもの。予知研究計画に含まれていなかったが、今後推進すべきものという、非常に具体的に書いて項目を挙げているし、同時に特定地域の観測等の強化についても書いてあるのですよね。したがって、この第三次計画と見直しについては、それぞれこれに基づいて関係のところが推進をしているというふうに私たちは考えざるを得ないわけです。  そこで、一体ここに来られている国土地理院、防災センター、気象研究所、それからまあ大学地震研究所の方々来られておりますけれども、一体四十九年から五十三年の五年で自分のところで何が達成できるのか。達成するにはどれだけの金が要るのか。そうして現在どの程度目標を達成しているのかということを検討したことがあるんですか。検討してあるんですか。これをひとつ関係のところからお聞かせをいただきたい。  第三次地震予知計画とその一部見直しについて、まず一体、これをやると予算総額幾らになるのかということをまずひとつ答えてもらいたい。これはいま話の出ている地震予知連絡会地震予知研究推進連絡会議というのは、この科学技術事務次官が主宰して、そうしてこれは科学技術庁と文部省学術国際局との共同処理だけれども、全体的には科学技術庁研究調整局が総括するということになっているわけなので、一体この第三次の計画の見直しをするには幾ら一体金が要るのか。それから出てきている各機関の中で一体幾ら金があればこれが実行できるのか。その中のどれを一体推進しようとしているのか。それをひとつ、余り時間十分ありませんけれども、それぞれからちょっと話聞かしてください。
  28. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生指摘のように、この測地学審議会建議に基づきまして地震予知研究の推進が行われているわけでございまして、私ども地震予知研究推進連絡会議のお世話をいたしております。この第三次建議全体について幾らの予算が必要であるかということにつきまして、私ども一括して計算をいたしたことはございません。しかしながら、毎年度におきまして、この地震予知研究推進連絡会議におきまして、関係省庁御相談をいたしまして、来年度どのような計画を実施するかということを御相談しまして、予算要求等をいたしておるわけでございます。ちなみに今年度、五十一年度の地震予知研究関係の予算が約二十三億円でございますが、来年度五十二年度に対しましては約三十五億円の要求が行われておるわけでございまして、大変財政事情厳しいところでございますが、本年度に対しまして一五一%と五〇%以上の増加の要求をいたしておるわけでございます。したがいまして、先生質問の全体について幾らかということにつきましていまお答えを申し上げるわけにはいきませんけれども、この測地学審議会建議も具体的に何をという具体的なものをお示しになっているわけではございませんので、それぞれの観測の推進につきましてそれぞれの機関からの御説明をお聞きいただければ全体の状況が把握していただけるかと思っております。
  29. 松永忠二

  30. 原田健久

    説明員(原田健久君) 第三次地震予知計画の促進に関する建議の中で、国土地理院で最も主要なものとされますのは、地震の危険性のあるなしにかかわらず日本全国を五ヵ年周期で、大地の水平の変動、大地の上下の変動、隆起、沈下、そういったものを調べる仕事が枢要であるとされております。その実施方につきましては、上下の変動を調べます水準測量は、昭和四十五年度に……。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 いや、ちょっとね、そうじゃなくて、この第三次の計画と見直しの中で、自分のところの国土地理院では総額これをやるとするなら幾ら金がかかるという計算をしたことがあるのかということをまず……。
  32. 原田健久

    説明員(原田健久君) わかりました。国土地理院ではどういう事業量をこなすという目標を立てましたもので、そのために総額が幾ら何カ年かかるかというお金ははじき出しませんでしたが、この建議の中で国土地理院に関しますところでは、特定地域の観測等の強化という項目が挙げられております。それで、この特定地域の観測強化の中では、まず首都圏が大事であるということと、観測強化地域、そこでの観測を強化しなければいけないということがうたわれまして、五十年度に地殻調査部という部が新設され、その中でこれらの仕事をやるのには何点の観測をこなしたらいいか、また何平方キロメートルの仕事をやったらばいいかと、そういう計画を立てました。そしてその計画量を達成するのに、初めからわれわれの仕事といいますのは、二年周期とか三年周期とかという仕事を繰り返していって、前回の結果と今回の結果を比較して変動を出すという仕事でございますので、繰り返しの量を一年間に行います繰り返しの目標とする量に早く到達するように努力しなければいけない。で、たとえば、初年度からそのことができませんので、計画を立てて逐年その計画量を急激に増加させていくように努力しております。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 時間もないので、こういう答弁をしてみてください。内容については私また細かくいずれあれですが、この建議や見直しをやるのには総額どのぐらいな金が自分の関係研究所としては必要だという計算をしたことがあるのか、その総額は幾らなのかということだけをひとつ関係のところから聞かしてください。国土地理院からは、そういう計算はしなかったが、重点としてこういうことをやったというお話があったが、ほかの気象研究所と、それから……。
  34. 諏訪彰

    説明員(諏訪彰君) 諏訪でございます。  いまの御質問気象庁地震対策の整備全体につきましては、実は所管は観測部の方にありますけれども、私、研究所の方におるのですが、一応まとめて御報告します。  気象庁の受け持っておりますのは、大中小地震観測という、これは主として陸上の観測、それから先ほどからもお話出ていますひずみ計の整備というようなこと、それから私の気象研究所自身がいま全力投球して開発をやらしていただいております常時海底地震観測システムの開発、こういうようなものですが、気象研究所自身が開発中のものは総額十七億円くらいを計上しております。これは大体現在すでにそういうことでお考えいただいているわけで、今後、年次的に現在三年度目ですが、四年度目、五年度目を満杯で手当てしていただけば所期のものが得られるんではないかというように考えています。  それから、そのほかの大中小地震のうち、陸上における観測……。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと待って。いいです。一つ一つお聞きしたいところですが、少しまた時間もありますので。ただ、いまの答弁で、取りまとめをしているあれが、調整局の方でこの総額幾らだというのは押さえちゃないと言うんですから、これはある意味から言えば、ほかのところで押さえているわけがないですね。押さえてあればその総額をすぐ言えるわけなんで、ただ予算要求をこういうふうにしているということは言えるだろうけれども——私はそうだと思うんです。だから、結局その年その年に各関係省庁が要求したものを取りまとめて、五十一年は三十五億です、五十二年は五十八億要求していますということだと思いますね。そうでしょう。各省庁で要求しているものをやっている。だから、本当なら一体この建議と見直しを総体やるにはどのくらいお金がかかるのか。これはたとえば浅田さんあたりのを読んでみると、予知白書というときに、十年の年月で百億円の金を使えばというようなものが出ておったんですがね。とにかく、この建議と見直しを完全にやっぱり実行していくというところに予知対策基本があるというふうに私たちは思う。したがって、これについて各省庁でただ要求するものをまとめるんではなくて、これに基づいて、これにはこう書いてあるけれども、これをこの程度に勘定すると大体総額幾ら要ると、そうすれば予知に関連したもの、見直しに関連した費用はこのくらいかかるという、そういう具体的なものを持って推進をしていかなければだめだというように思うわけですね。  そこで、それに関連してもう少し質問を進めますが、浅田さんは、目下日本地震予知にとって実質的に何が必要か簡明に述べれば次の二つだと。一つは、第三次計画に述べてあるように、日本じゅうの測量の再測を五年ごとに繰り返すことがまず第一だ。その次に問題の東海地方、ことに駿河湾西岸地区の計装であるというふうに非常に簡単に言っている、簡明に言っているわけです。簡単に言っているけれども、一というのは要するに第三次地震予知計画のあるいは見直し、長期的に前兆をとらえる体制をきちっとしていくことが大事だということを言っていると思うんですが、この中で最も力点を置いていかなければいけない、しかしまた最もおくれているというものは何だというふうに浅田さんは考えられるのか、それをちょっと聞かせてください。
  36. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 測量繰り返しはぜひ、まあ仮に五年と決まっておりますけれども、そうやって繰り返すように進めることが必要であります。それはいまはそれだけのスピードが出ているのかどうか私はまだ聞いたことがございません。  それからもう一つは、東海地方は発生の時期の幅を狭めるためにも、あるいはもしかしたら直前前兆をとらえるかもしれないのでありますから、そのために十分な機械を置く必要があります。いま置かれている機械は、そういうことに役に立つ機械は、気象庁の容積変化計と、その近辺にある大学地殻変動観測所であります。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 見直しの中にもいろいろおくれている点も出て、特に地下水に関する研究なんか非常におくれているというようなことを指摘をされているんですね。あるいはいま言った日本列島精密測量というのを五年ごとにやると言われて、千二百点までに早く到達をして、それから五年ごとにやろう。——千二百点に到達するのに、これは国土地理院の方から話を聞いてみると、五十六年から五十七年までに、四十九年の三百点から始めて千二百点に到達するのに五十七年ごろまでかかる。五十七年に到達すればそれから千二百点ずつやって、五年ごとにやるというんだから、実はその出発点に到達するのにまだ五十七年までかかるわけです。浅田さんの言う五年ごとの再測というのは五十七年にならなければできないようないわゆる予算措置しかできてない。ここにも重点を置いていかなきゃならない点がある。また、話を聞きますと、ラドンの観測というのは東京大学理学部の化学で脇田助手という者が一人しか観測というものを十分にやっておられないというような話も聞いたわけですけれども、とにかくやらなきゃできない第一の第三次計画等見直しについて一体総額どのぐらい金がかかるのか。それは十分できないとしてもこれだけくらい  もうはっきりしているんですからね。四十九年から五十三年の五カ年間をめど。要するに、道路五カ年計画だとか、河川の五カ年計画といえば国がその五カ年間にやるように計上しいくわけなんだから、もっとこの建議というものを大事に取り扱って、これを中心にやっていこうというなら、その五カ年計画でどれだけ金が要るのか、何年ごとにつけていけばいいのかという目標が決まるわけなんだ。その目標を中心にして、ことしは幾ら、ことしは幾ら、——そうじゃなくて、各省庁が自分の力ででき得るものを取りまとめてただ二十三億だ、五十何億だと言っている。ここにも全然計画というものがないし、建議というものの重さというものもないわけだ。それだからこういう結果になってくると私は思うんですね。  そこで、なお話を少し進めますが、浅田さんに同じくお聞きしたいんだが、さっきお話がありました、予算委員会であした起こっても不思議はないという言われ方をしておりますけれども、これはある意味で正しい。これは非常に大きな日本に対してショックを与えたことも事実であります。東京都の地震対策検討会で、あなたは、東海地震はあす起こるかもしれない、数十年矢になるかもしれない、いずれにしろ東海地震は他地域より先に起こることは確実と言っていいと、きょうもそういう考え方を述べられたので、その考え方に変わりはないと思うし、また、事実これはいまや多数の人の意見になりつつある。石橋助手もそうでありますけれども、地震予知連絡会の萩原氏も、日本巨大地震が起こるとすれば東海地方が第一候補であることは間違いない、東海地方を一番監視したいと言っているんで、ほとんど大体——その中でちょっとお話も出ましたが、文部省の緯度観測所の坪川所長は「地殻変動の継続期間と地震の続発性について」という題目で日本測地学会に発表して石橋説を真っ向から否定して、駿河湾に近く巨大地震が起きることを考えるのはおかしいというようなことを言われた。これについて、まあ短い時間ですけれども、さきにちょっと私が申し上げました萩原さんは何と言っているかというと、過去に起きた地震の大きさや回数を調べて統計的に出した結論であって大まかな見方だ。駿河湾付近の東海地区、統計的方法だけで地震可能性を考える段階ではなく、具体的にどのような方法で観測するかという段階に来ているというふうに言われているんですが、大体こういう意見と同じような御意見浅田さんはお持ちでしょうか、どうでしょうか。ちょっとお聞かせいただきたい。
  38. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 萩原先生の御意見と全く同じであります。坪川さんの考え方学問的に聞違っております。しかし、それはそうでありますけれども、可能性として次の東海地震一緒に起こるということは、これは今後の研究を待たなければ消すことはできません。そういう可能性も非常にあり得る候補の一つだと思っております。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 そこで駿河湾西岸地区の観測の装置、計装について、あなたもいろいろなものに書かれているわけでありますけれども、地殻変動連続観測、検潮、地磁気、深井によるラドン及び水位、地震等の観測網を設置して、そのデータを中央に集めて——気象庁がいいだろうと言われていますが一そういう意見を言われているわけです。また石橋さんは、本番の予知体制に入るべきである。東海地区地震予知防災センターというような新機関を設けて、一元的に地震予報業務を遂行すべきではないかというようなことを言われている。静岡県の議会では、十九日に全会一致で東海地区地震予知センターを設置してほしいということを採択をして、近く各関係省庁に陳情することになっているわけですが、あなたとしては石橋さんのこの考え方あるいは御自分としてはこれがという具体的にどうすればいいというふうにお考えになっているのか。短いあれですが、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  40. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 私の考えは少し違います。一番いま早く欲しいことは——あえて欲しいと申しますけれども、これは気象庁の容積変化計をもう少し——非常にけちな話だとお思いでしょうけれども、せめて四つか五つ密度をふやして、それを気象庁まで持ってきたいということが一番最初であります。それからたとえばお金などかからずに——いや、お金かかりますけれども、特別なことなくてもできることがいっぱいございます。たとえば十二月に地質調査所が大島で、これは関東地方のための爆破をやりますけれども、これを去年やったのと同じ場所でもう一度観測することが予定されておりますけれども、これはもうほとんどお金などかからないでできてしまいます。もちろん爆破のために百万か二百万か、もしかしたら三百万ぐらいかかっておるかもしれませんけれども。必ずしもお金のかかることが大事とは限っていないのでありますけれども、しかし、いまのような順序でございます。で、そういう順序で物事が進んでいきまして、たとえば傾斜計を幾つも入れたい、あるいは井戸を——井戸のことはわれわれは言い伝えしか持っておらないのでありますけれども、中国の話によりますと、非常に前兆を示すということがありますので、これは無視することができない。たとえば井戸もどこかに集めて見ているのがよろしいというふうな順序で進んでくるかと思います。私はそのために特にセンターというものをいまからつくってやる必要があるのかどうか、非常に疑問を持っております。といいますのは、そういう変化はすべてわれわれがほとんど初めて経験した変化があらわれるはずであります、前兆ですね、直前の。それでありますから、コンピューターに判断の基準を教え込むことができないので、人間判断が非常に大事になります。でありますから、そういうことをもとにおいて、たとえばそういう判断のできる人の体制をといいますか、たとえば判断のできる人が気象庁に何人いるかということも実際的に問題になると思いますけれども、実際的に対応する方法を考えるのがいまは一番最初にすべきことだと思っております。もちろんセンターをつくるというのは抽象的には結構なことでありますけれども、センターをつくってりっぱな建物に全部集めたから予知が成功するとは限らない。それよりはそういう判断体制をまずつくる。その上で、たとえばやはり全部一カ所に集めた方がいいのなら、そういうセンターをつくる、そういう時期もあるいは来るかと思っていますが、やはり順序から言えば、いま申し上げた順序だと思っております。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 そこで萩原会長が十一月の二十九日の定例会で、地震予知連絡会で、駿河湾大地震についての予知連としての正式見解を表明したいと、そして政府に対して駿河湾一帯での地震波速度変化測定、地殻容積変化計、いまお話のあった容積変化計、それから傾斜計の増設、地下水の調査、海底地震測定網の拡充、地磁気の観測など駿河湾を中心とした八項目の地震観測強化を申し入れると、そうして具体的にいまお話があったように、現在設置されているのが五カ所、地殻容積変化計、ひずみ計があるのをそれを十ヵ所に、一カ所の傾斜計を六カ所にふやしてほしいということを具体的に要望する。そこで大臣、ちょっと聞いていただきたいんですが、浅田さんがやはり同じ朝日の「論壇」に書いているのに、五十二年度予算要求はすでに出ている。そこで五十三年度からでは二年遅れて予知に致命的な影響がある、こういうことは私は予算のことだからわからないが、ということを言っているわけですよね。いま出てきているいわゆる五十八億の要求というのは必ずしもこういうものを入れているわけじゃないわけです。ところが、現状をもってすると、一番予知連絡会——研究ベースにおける一つのセンターである予知連絡会は具体的にそういうことを言っている。浅田さんは何かきょうはえらい遠慮されて言われているようだけれども、まあ相当はっきりしたことを、私はここにあるわけですが、書かれておられる。これは御自分での投稿のようでありますが、そうなってくると私はこんなことは問題じゃない。何も予算要求がいまされてたからといって、新しい要求があればそれを入れて、その予算要求をやることは何も差し支えないし、そういうことは現在の国会でもって十分できることだ。だから、浅田さんには御心配ないようにしていただかなきゃいけぬが、そういうことを言うためにはこの予知連絡会の態度が明確に表明され、こういう具体的要望があったらば、それに応じて十分考えていかなきゃできないし、考えるというような、いわゆる科学技術庁長官としてというか、それをこえて国務大臣としての努力の決意がなければ、私はやっぱりこの憂いをともにせざるを得ないということになるわけですが、私は少なくもこういう具体的要望に直ちに応じていくだけの努力を国として十分やるべきだと思うが、この点について大臣のひとつお考えを聞きたい。
  42. 前田正男

    国務大臣前田正男君) それは先生のおっしゃるとおりでございまして、さっきちょっと申し上げましたように、内閣にそういう推進体制をつくりましても、そんなものはつくっただけでは、それはないよりはましだろうと思いますけれども、それがやっぱり実効を上げなければ、これは国民の皆さんの御期待に沿うわけにいかないわけでございますから、したがいまして、私たちはなるべく測地学審議会とか予知連という学者の方たち計画を尊重してやりたいと思っておりますから、それを計画的にひとつなるべく促進しなきゃならぬと、こう思っておるわけでございます。したがいまして、その皆さん方にこの間から実はお会いして私がお願いしておるのは、これを本部といいますか、こういうような推進体制というものはそういつまでも延ばしておくわけにいきませんので、つくらざるを得ないと思いますので、つくるまでの間に、いまの十一月の終わりとかと言っとったようなことを繰り上げて数字的にお示し願えればありがたい。さっきから先生おっしゃっているように、第三次五カ年計画、これは数字が入っておりません、具体的な。したがって、計画全体としてわかっておりませんけれども、そういう問題の中でも数字的にわかるものがあれば、ひとつ示していただければその対策を考えなきゃならぬ。  それからまたおっしゃるとおり、五十二年度の概算要求というのはまだいわゆる文字どおりの概算要求でありまして、決定したものではございません。したがいまして、数字的に私たちはつかめれば、もちろん五十二年度の要望に対しましてさらに促進するように各官庁とも努力しなければならぬ、この推進態勢に入りましたところの各官庁も努力してもらわにゃやならぬと思いますけれども、もし数字がつかめないというようなことで間に合わないという可能性があるようでしたら、これはまとめてどこかにひとつある程度、五十二年度に各官庁が概算要求しましたものだけではこれは推進になりませんから、計画を繰り上げる分の対策費用というものをどこかでまとめてひとつ概算要求せざるを得ないんじゃないか。まあいわゆる概算要求ですから、まだ予算の決定ではありませんので、まだ時間的に余裕があると思います。いずれにいたしましても、しかしわれわれは内閣にそういうものができます段階においては、ある程度そういう具体的な対策というものを考えていきたいと思っておりまして、従来のいき方でいきますと、なかなか順番にいきませんで、まあ五十二年度に予算要求したものが全部認められるかどうか、あるいは五十三年度にそれが新しく追加していくとか、これはもちろん人員の増加というものが必要でございまするから、いま政府は全体的に例外なしに研究者に対しましても定員削減をしております。そういうことに対しまして一応政府の方針としては削減するけれども、必要なものは増員するということで増員するとか、そういうような対策を、やっぱりいままでのやり方ではちょっとむつかしいと思うのです。それがためにそういう推進体制を内閣につくろうということでございますから、まあ私たちとしては推進体制をつくる以上は、そういう従来のやり方をだんだんと受け継ぎますけれども、それを繰り上げて推進する、そういう方策をひとつ考えなくちゃならぬ、こういう考え方でいまやっておる最中でございます。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 だから、具体的にそういうものがあったら数字も出してもらえれば努力もするということを言われているわけだし、事実、数字は具体的に何台増設できるか、すぐできないにしてもそのために調整局というのもあるし、総理府に調整費もあるわけだから、こういうところから持ってくることはできるわけだから、また私は浅田さんの御心配は全然ない。これはそういうことはない。大臣もおっしゃっているように、まだ予算要求の段階であるし、またつける場所も調整費という場所もあるし、総理府にもあるし、ここにも調整費があるわけだから、当然ぜひひとつきょう大沢先生も連絡会に関係されているようでありますが、具体的にひとつ、これも台数五台というのは一台幾らぐらいかかるかわかっているんですから、設置するのに。だから、その五台をどうするかということにすれば、浅田先生はまずそれが一番大事だと、それが一台でも多いということが大事だというのに一台しかないので、それを十台と具体的に言っているわけですから、測地の傾斜計も一カ所を六カ所にあれしてくれと言っているわけですから、具体的にひとつこれを折衝して、予算を計上するようにしてもらいたい。  そこで、さっきから出ている三次地震予知計画の中に地震予知体制の整備ということでいろんなことが書いてある。たとえば地震予知連絡会の拡充改組、要員の確保等必要な措置を講ずるなんていうようなことも具体的に出ている。それから要するに大学——東大の研究所の先生おられますか。——今度はその中にも連絡会議が今度持たれるように予算要求をされているようでありますが、気象庁を中心にした地震活動観測センターとか、それから文部省に、大学について必要な地域に予知観測センター、これは今度東京大学にそういうものをつくるように予算要求もされているようですが、そういうふうに出ているわけですね、地震予知体制の整備というのが。先ほど浅田さんは東海の予知観測センターというものをいきなりつくることはどうか、将来はあるかもしれないがというお話があるが、まあ萩原さんあたりは常時集中監視体制を確立するために、気象台に見合うような国土地震台の組織が必要ではないかというようなことを言われているわけですね。これが盛んにいわゆる一元化問題になっているわけです。一元化については細心な注意が必要だということを先生はきょうも言われたが、そのほかのものにも一つ一つ研究の機関が非常に小さいというようなことと、大学の持っている、いわゆるそれぞれの大学で持っている研究のデータも非常に貴重だと、そういうものを考えて一元化に当たっては細かい——さっきはデリケートな感度で一元化を図ってほしいというお話を言われた。これはほかのものにも出ているわけですけれども、しかし具体的に萩原さんあたりが国土庁地震台、常時集中監視体制——テレメーターあたりで来るような、どこかやっぱり集中的に集まってきて、そこで気象台なら気象台に自動的に極地のものが、特に観測を強化しないといけないところのものが集まってくるというようなものをどうしてもいまつくらなければできないのじゃないのかということですが、地震予知体制の整備についてあなたはどういうふうに、一元化問題についてどういうものを頭に構想されているんでしょうか、あるいは国土庁地震台と称するようなこの考えについてどんなお考えをお持ちでしょうか、ちょっと浅田さんにお伺いします。
  44. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 正直に申しますと、たとえば国土省——省でしょうか、庁でしょうか、地震台というものができましたらどういうことが起こるであろうか、どういうふうに物事が変わってくるだろうかということをちょっと自分がいま想像することができないのです、私は。なぜいま私は気象庁と申しましたかというと、たとえば容積変化計プラス同じところに傾斜計を入れたものを気象庁にいますぐ持っていって、いまは五つありますけれども、それをせめて十にして、いますぐ見ていてもらいたいと、こう思っておるのであります。ですから、もちろんそういう機関ができるのは悪くないんだろうと思いますけれども、私自身の考えとしては、もういますぐ——あと十年かかろうと二十年かかろうと見続けても、実際にいますぐ入るということに重点を置いて考えておりますから、ですからいまから何をつくるとか、何をどういうふうにするとかということは、まだそういうことには工夫してない。つまり、私の言いたいことを非常に明快にあらわしにくいんですけれども、気象庁は見ることができるだろう、気象庁地震課の人たち判断する能力があるだろうと信用しているわけでございますね。で、そういうところでもういますぐ見る態勢に入ってもらいたいというところが私の言いたいことの要点であります。ですから、もちろん国土庁地震台ができて、そこで有能な人がそこに集まって、そこで体制がとぎれることなく続くんならそれには別に反対する理由はないと思います。ただ、いますぐから見続けてもらいたいという希望を言う方が、どういう何とか台をつくろうということより先だという、そういう趣旨でございますけれども。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 大沢先生にもお話、御意見をひとつ聞きたいと思うんです。  先生予知連絡会にも入っておられる——これまあ大臣にも後で話を聞きますが、地震予知連絡会というのは昭和四十三年の五月に地震予知の推進についてという閣議了解に基づいて、四十四年四月に地震予知連絡会運営要綱というものがつくられて設置をされた。それから、地震予知実用化を促進することを目的として関係機関等が提供する情報を交換し、これらの情報に基づいて地震予知に関する総合的判断を行うと、国土地理院長が委員を委嘱して総合的判断に関する報告、発表は国土地理院が行うということになっているわけですね。この見直しとかそういうものにあるとおり、地震予知連絡会というのは私はこのままでは、いままで非常に有用に活動して、非常な努力を払ってきたことは、全くこういうものがあったからこそあるところまで進んできたというその功績は十分認めるわけですが、ただ一体測地学審議会のように設置法に基づく審議会でも何でもないのだから建議は何もできない。だから、結局予知計画というのは測地学審議会建議したものをいわゆる三次案と言っているわけですね。それから関係機関が出す情報を総合判断するけれども、その情報を質的にもっと高めてもらいたいとか、どうもそれは問題があるとかということを指摘することはできない、そんな権限はこれにはない。それから費用はどこから出ているかというと、国土地理院地殻活動調査経費というのを用いている。これを全部それに使っても、五十一年度は二百十八万四千円しかない。それで大体国土地理院というのは建設省の設置法に基づいて——これは地震予知の機関じゃないのであって、これは土地の測量、地図の調整その他これに附帯する事業を実施するということになっている。この国土地理院の院長が委嘱をするということも、また総合判断を発表するということも少し筋違いということにもなってくるわけです。また、やや警戒を要するだとか、余り危険がないなんていうあいまいな程度の予報判断の報告のときはいいけれども、重大な判断をしなければできないときに、果たしてこの機関がそういう判断ができるかどうかというと、これは全く疑問で、恐らくそれはとてもできないのじゃないか。そうなってくると、要するに、現に改組、拡充の必要があると思うと言っているのは当然のことだと私は思う。  そこで大沢参考人にお聞きしたいのは、この地震予知連絡会の改組、拡充というのは非常に重要なことだと思うが、先生はどういうふうにお考えになっておられるか。
  46. 大沢胖

    参考人大沢胖君) お答えいたします。  いま、私が地震予知連絡会のメンバーであるからというお話ございましたけれども、実は私は地震予知連絡会の方はメンバーになっておりません。測地学審議会の方のメンバーでございます。したがいまして、私よりも、浅田教授は両方のメンバーでいらっしゃいますので、浅田教授にお聞きいただいた方が適切かと思いますので、さようお取り計らい願います。
  47. 浅田敏

    参考人浅田敏君) いままでは重大な判断を短時間で迫らるということが起こる心配はございませんでした。といいますのは、そのような装置がなかったからです。でありますから、三ヵ月に一回ゆっくりやっておりましても、元来地震予知というもののかなりの部分は非常にゆっくりした仕事でありますので、それはそれで一向構わなかったわけです。でも、たとえば、もし地殻変動関係あるいはその他井戸だろうと、ラドンだろうと、中央にテレメーターされて、それを判断しなければならないとしたら、これは非常に重大な判断を、非常に短い間で判断しなければなりません。万事済んでしまった後でこれが前兆であるということは非常にやさしいのでありますけれども、たとえば、時々刻々何か変わってきているものを判断するのには、判断するだけで三十分とか一時間とかかかるでありましょうし、たとえば、もし前兆というものが、後から見ればこの前兆は一時間半続いた後で地震になったんだというようなものでも、現場に臨んでは決断できないことがあるかと思います。でありますから、当然もう地震予知連絡会委員が末端に駆けつけて、それから相談をして決めるというのでは間に合わない事態も将来は可能性としてはあり得るので、それはその判断の能力のある人が適当なところにいて判断を下すというシステムを将来はつくらなければ実際的ではないと思うのです。
  48. 松永忠二

    松永忠二君 これはあなたも入っておる連絡会もすでに言っていることであって、改組拡充の必要があるというふうに建議している。だから、これは特に大臣、ひとつ国務大臣として、この国土地理院地震予知連絡会がついて、そしてこれが院長が委嘱をし、総合判断の報告、発表は国土地理院がやる。いま言うとおり予算的な面からいっていろんな面で改組をする。今度の検討の場合に、十分ひとつ乙のものを課題にしてもらわなけりゃいけないと思います。  それで時間もうちょっとですから続けて。いまはいわゆる研究ベースの中心として地震予知連絡会があれば、行政ベースの一つのセンター的な役割りとして地震予知研究推進連絡会議というのは、さっき大臣が言われたのは、これは四十九年の十一月の事務次官会議の申し合わせに基づいて地震予知実用化のための研究、つまり地震予知実用化のための研究を総合的、計画的、効率的に推進するために総理府に設置し、会議は科学技術事務次官が主宰し、庶務は科学技術庁研究調整局と文部省学術国際局が共同処理し、科学技術庁研究調整局が総括するというふうに出ているわけですよね。そういう関係地震予知関係予算概要というのを結局こういうふうに科学技術庁の調整局がつくっているわけです。しかし、これは構成のメンバーを見てもわかるとおり、ほんのわずかな役人の人たちが集まってできているものであって、ここで予算をどうこうすると言ってみたところが、このどうこうせよというような権限は別にあるわけじゃない。たとえば、われわれから言うと二十三億の予算が地震予知という問題に集中して効率的に使われているのかどうだろうか。それを効率的に使えないとすれば、それを効率的に使い得るいわゆる連絡会議が力になり得るのかというと、これは必ずしもそうは言えないというふうに、これはもう連絡会議の委員を調べてみれば各省ただずっと出てきているだけですよね。長官科学技術庁科学技術政策の総合調整官庁であるが、計画実施は他省庁が行うたてまえである。総合計画科学技術庁が立案して実施を他省庁に指示することは行政的に無理がある。そこで実施を指示できる新たな組織が必要になると見られる。それをたとえば防災会議の中にとか、原子力委員会のようなものにして諮問するとかというようなことを言われているが、いずれにしてもこのいわゆる実用化のための研究という、具体的に言って。しかも総合的、計画的、効率的に行政ベースで推進をしていくのに地震予知研究推進連絡会議で事足りるというものじゃもうないと私は思うんです。そこでこれについてやはり改革の必要がある。大臣はどういうふうにそれを考えられるのか。またさっき話の出た、大臣が言う地震予知計画の総合的再編した予知計画をつくるという話だが、これをどこの場でつくるのか。科学技術庁だけでつくるというのじゃできないと思うんですよね。さっき話の出たものを今国会の臨時国会でつくるというのはどこでそれを検討するのか。またいま言う連絡会議を一体どういうふうに改革していかにゃできないと考えるのか。この点をもう余り時間もありませんので、簡潔にお答えいただきたい。もう一つ私お聞きをいたしたいと思います。
  49. 前田正男

    国務大臣前田正男君) いまのおっしゃるとおりでありますから、先ほど申しましたとおり研究推進連絡会議では不十分ですから、また科学技術庁の権限を越えるところもございますので、内閣に閣議決定でもってそういう推進の体制をつくりまして、国務大臣責任者になって、各省に連絡調整ができるようにしようというのがこの新しい推進体制をつくるゆえんでございます。そしてその新しい推進体制の中におきまして、先ほどちょっとお話が出ました計画的な推進というものをやらなきゃいかぬ。これは計画測地学審議会からは計画か出ておりますけれども、数字的な内容は出ておりませんので、そういうものも今度はひとつもちろん学者の方も入っていただきまして、その計画に基づく今度は数字の入った計画的なものを立てまして、それを促進していかなけりゃならぬと思いますし、また先ほどお話がありましたデータの問題等も、これは各官庁に入っていくこともそのままでいいんで、私は別にそれをいじるつもりもないし、それはまたその所管のものでやられたらいいと思うのですけれども、しかし、それをまたどういうふうなところにこれを集中すべきなのかという問題もそこで相談していかなけりゃならぬ。また地震予知について、地震予知予知連の方がいろいろと骨を折っていただいておりますけれども、それはもちろん直さなけりゃならぬというお話がございますとおりで、これをデータの、地震予知に伴うところのデータの伝達、そういう問題についてこの推進本部では検討しなけりゃいかぬのではないか。もちろんそれは先ほどお話予知連の方も入っていただいておりますし、測地学審議会の方も入っていただく、各官庁も入っていただいているこの新しい推進の体制の中で、そういうことを検討しようというのが実は新しい推進体制をつくるもとなんです。いままでのものでできるなら何も新しいのをつくる必要はありませんけれども、おっしゃるとおりできませんので、そこで新しいそういう推進体制をつくって、そこでそういう問題を解決しよう、こういうことでございます。しかし、将来は恒久的に行きますならば、あるいは法律をつくりまして政府機関というものを新たにつくらなけりゃならぬかもわかりませんけれども、それはまたその新しい推進本部の中でいろいろと検討いたしまして、ある程度意見をまとめましたならば、また国会にお諮りして御審議願わなけりゃならぬ、こう思っておるわけでございます。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 最後にお聞きしますが、これは防災会議の方、それから大沢先生は建築耐震構造をやられているので、こっちの方には何かお考えがあるか、あわせてお聞きをしたい。  中央防災会議が大都市震災対策推進要綱というのをつくって、それに基づいて震災の対策推進状況などというものを出している。災害が生じた場合に、いずれもこれは災害が生じた場合ということを想定しているわけですよね。だから、予知ということについては触れてないわけです。その予知は防災にとってきわめて有効であるし、予知と防災というのは両方の輪のようなものであるわけです。したがって、私はその防災会議も予知の問題について、今度国土庁が来年から地震予知の社会経済に与える影響調査というのを来年からやるのだそうでありますが、だから、災害が起きたらどうするかということと、災害の予知という問題についてもやはり防災会議は触れておく必要があるというふうに思うのです。しかし、何といってもいままでずっと質問してきたのは予知の問題だけれども、私は予知と防災というのはもう全く不離一体というか、考えていかにゃできない問題だと思う。静岡県は予知観測への協力体制をつくるために、観測網のテレメーター化の推進に努力すると一緒に、静岡県を一キロ、市街地は五百メートルの升目に区分をして細かく被害想定調査をやって、そうして緊急避難対策も検討していく。だからしたがって、防災対策の総点検、避難場所、誘導道路の点検、通信網の整備、県内七十五市町村に地震対策計画を樹立をさせる。それから特に伊豆は観光地でありますので、観光客の対策を検討し、地震対策研究班を設置をして九月の補正で千三百九十六万円を計上した。予備費として五千万円を計上しているわけですよね。東京都あたりは防災会議の地震部会というものがあって、そこに専門委員会がある。さっき話をいたしました浅田先生がそこで話をされたようでありますけれども、五十二年度予算編成でも最重点に置くということを努力しているわけですね。そこで私は、とてもじゃないが静岡県の一力をもってして、完全ないわゆる細かい被害想定調査ができるというふうにばかりは言えないと思うんです。  それからどういういわゆる対策を樹立をすべきか。大都市震災対策については国自身が力をみずからやっていくわけなんですからね。だから、今度の場合駿河湾地震が駿河湾の中にまで入るという、遠州灘の沖でやる。関東地震が千葉の沖でやったときの被害とは違って、中へ入って被害ができたということになれば、今度そういう可能性が多いと言っているわけだ。そうなってきたら、もう大変なものが出てくるわけなので、この防災対策樹立については、中央防災会議が協力をすることをぜひやってもらわないといけない。ある程度大都市のいわゆる震災対策推進要綱と同じように、国自身がむしろもう全体の——駿河、静岡県だけじゃないわけですから、新幹線自身が二千名も乗せて、そして五分置きに走っているという、もうどうするのかという問題もあるわけだから、政府みずからが乗り出して今度の駿河湾地震を予想した防災対策を、やはりマグニチュード八が出たらどうこの地域が被害を受けるかということは、もう起きる起きないは別として、その震度がこれならどうなるということを、こっちの方はもうすでにやろうと思えば予測できるわけですからね。予知の方は確実とは言わぬけれども、被害が起きたときどうするかというのなら、マグニチュード八のときにはどうなるかということの推定ができるわけ、だから、こっちの方の方がより具体的に推進ができるので、これについていわゆる防災会議自身がひとつそういう防災対策を推進をするということの決意があるのかどうか、どういう構想を持っているのか。  それともう一つ、この地震対策には大震火災対策施設等の設備事業に補助があるわけですね。その補助の枠を、事業の枠を拡大して、補助率を増加をしてもらいたい、あるいは新しい地震対策の補助事業を新設してもらいたい。予知観測網テレメーターの推進についても助成を何とかしてほしいということを言っているわけだ。いままで遠州灘の沖に地震が起きてマグニチュード六くらいのことを予想したときには、まず静岡県で何とかということを考えたけれども、いまや駿河湾の中にもう新たに起きる可能性ができ、しかもそれは八度だということになれば、いまや静岡県のような一つの県をもってしては、こんなことはとてもお手上げです。したがっていま言うとおり地震のための震災を防ぐための、被害を防ぐための各種補助事業の新設とか、いまある補助事業の枠の拡大とか、補助率の増加を要望するというのは、私は当然だと思う。  この二つ問題について防災会議、国土庁の方から、防災会議は総理大臣が会長だけれども、事務局長は政務次官がやっているわけですからね。だから、これは国土庁の担当だからこの二つの問題については話を聞きたい。  それからなお、もしも大沢先生から、そういういわゆる建築耐震構造について、かつて参議院の予算委員会、この災害対策特別委員会に来ても参考人として陳述をされたけれども、いま言った被害そのものをどう防ぐかということについて何か先生から御意見があればお聞かせをいただきたい。  時間が十分にないために、せっかくほかの皆さんおいでいただいても、十分な質問ができなくてまことに申しわけありませんけれども、以上の点をお聞きをして私は質問を終わりたいと思います。
  51. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) お答え申し上げたいと思います。  静岡県のいま言いますようないろいろの事態にわれわれとしては対処してまいりたいという考えから、南関東の連絡会といいますか、検討会と申しますか、東京都の関係、特に静岡県も入っていただきましてこれを設けました趣旨は、一に地方団体側で——国土庁としてはいままで御存じのとおり、各省の意見、いろいろの対策を調整する、こういう役割りをやっておるという形だったんですが、やはり地方団体のニードも十分心得る方がいいんじゃないかというので、先年南関東地震対策検討会、そういう会議を持ちまして、静岡県も入っていただき、新しいいまそういう事態で予算を組まれ、どうしたという、そうして国はどうしなさいという意見はまだ積極的に承っていないんでありますが、国としては十分静岡県のニードもよく聞きまして、それに対処する場所を一応用意しておるというのがただいま現在の実情でございます。  だから、いま先生から御指摘いただきました新しい補助事業が必要じゃなかろうか、あるいは地方財政の現状からして補助率のさらにかさ上げ、あるいは補助率アップを行うなどの問題等々は、これからその場を通じてよくお話を聞いて検討してまいりたいという気持ちで国土庁としては対処したいと思います。
  52. 大沢胖

    参考人大沢胖君) 時間の関係で、簡単に二つのことを申し上げたいと思います。  一つは、先ほどお話しのございましたように、被害想定の問題は、従来地震の、何と言いますか、予知との関係が必ずしも十分でない間からある程度行われてきたと思います。東京都を例にとりますと、これは河角先生の六十九年説というようなことから端を発しまして、関東地震が再来したらと、大正十二年の関東震災が再びやってきたらどのぐらいの被害が起こるかというようなことで出発いたしました。しかし、その後地震学者がいろいろ御検討になって、関東地震に匹敵するようなものが全く同じ場所で起こる確率といいますか、可能性よりももう少し一ほかのもの、たとえば直下型の地震が起こるというようなことも考えなければいけないのではないかということで、直下型地震がきたらどういう種類の被害が起こるかというようなことにまた焦点をしぼり直したりしております。そういったぐあいに地震予知の方の進み方との関係で考えなければいけない。先ほど御指摘のありましたように、地震予知可能性の方がこれほど進んで、駿河湾を中心とする東海地方にこれだけのものが起こるんだというようなところが来ました段階で、さらにいままでの考えを集約した被害想定がある程度できる段階になってきていると思いますので、ぜひその辺を進めなければならないと思っておりまして、利自身も及ばずながらいろいろな学校建築でありますとか、あるいはほかの重要建築物の耐震の強化の問題につきましては、いろいろと政府機関等の委員会に参加してやらしていただいておりますが、そういう点がまず一つ。それからもう一つは、災害予測という、被害想定という問題は、必ずしも確立されたことではまだなくて、むしろ目的によってといいますか、たとえば東京で申しますと——東京でなくても大都市はすべてそうですが、建築物関係で一番恐ろしいのは、地震の後の火災、震後火災でございます。したがいまして、震後火災をどうやって防ぐかということが被害を最小にする建築物関係の最大の要点になっているわけでございまして、したがって、たとえば東京都では防災拠点というようなことで、建物の密集地域を思い切って防災の拠点になるような、ある区画を不燃にしてそこへ避難できるようにする。そういったかなり思い切った都市計画的な観点の対策をやっていく。そういった場合には、被害想定としては比較的にどこからまず手をつけるべきかというようなことが大事であって、その点についてはある程度答えは出せると思っております。かなり詳しくあるいは正確に、どういう地震でどのくらいの被害が起こるかということを予測するということは必ずしも十分にまだできないとは思いますけれども、いま私が申しましたようなことは現在の知識でかなりよくできるわけでございまして、そういうかなりよくできることと、まだある程度できないと申しますか、十分な学問的根拠が必ずしもないところとを分けて施策に使っていただきたいというふうに私は思います。  以上でございます。
  53. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) 他に御発言がなければ、参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人の方々には、御多用中長時間にわたる御出席をいただき、また貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。  午前の質疑はこの程度にいたしまして、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  54. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  55. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、放射性廃棄物の海洋投棄の問題について若干お伺いをしたいと思います。  その前に、放射性廃棄物の処理につきましては、従来高いレベルの廃棄物は政府が担当し、低いレベルのものは民間が処理すると、こういうような方針が打ち出されておったわけですが、今度民間の原子力関係では、原子力環境センターというのが設立をされることになって、昨日総会もあったわけですが、まずこの原子力環境センターの性格、業務、廃棄物の処理の方法、今後の計画、こういつた点について最初御報告を願いたいと思います。
  56. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 原子力理境整備センターにつきましては、昨日設立者総会におきましてその設立が決められたわけでございますが、目的といたしましては主として低レベルの放射性廃棄物の安全かつ合理的な処理、処分システムの研究開発及びその成果の普及などを通じまして、放射性廃棄物の処理処分体制を確立する。これによりまして原子力利用にかかわる環境整備を促進する、こういうことでございます。財団でございますので、その基金といたしましては十二億円というのが考えられております。役員の構成といたしましては、理事が三十名以内、監事三名以内。  せっかくの目的を達成いたしますための主たる事業の内容といたしましては、一、まず放射性廃棄物の処理処分、環境保全等に関係いたしましての調査研究でございます。それから二といたしまして、低レベル放射性廃棄物の海洋及び陸地における処分の業務の受託でございます。  それから三番目が文献、資料、情報等の収集及び研究成果等の普及。  四番目に、技術者の養成、訓練、こういうことになっております。  今後のスケジュールといたしましては、まず試験的海洋処分の受託ということがございます。これは政府といたしまして、昭和五十三年ごろから試験的海洋処分というものを予定いたしておりますが、これは本格的処分をいきなり実施するということではなくて、試験的な処分におきまして十分その安全性、環境に対して影響がないということを実証してから初めてその段階へいくと。したがいまして、その前段階の試験的海洋処分も十分慎重に行うということでございますので、これの受託がまず考えられております。  それから二番目に、試験的な陸地処分これにつきましても、受託業務といたしまして諸準備を行うことにいたしております。  さらに三番目に、放射性廃棄物処理処分に関する一般的な調査、資料、情報の収集、技術者の養成、こういったことを実施することにいたしております。
  57. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、原発はトイレのないマンションと、こういうふうにとやかく批判をされてきたわけでありまして、今回いよいよ原子力委員会が、試験的なものであるにいたしましても五十二、三年ごろから放射性廃棄物の海洋投棄に踏み切ったと、こういうことでありますけれども、ただいま局長がおっしゃったように、それに対処するには当然安全性を実証しなきゃならぬということですが、今度の試験的投棄につきましても、安全の確保、環境の保全、こういう点に絶対の確信があるのかどうか、この点非常に私は疑問に思うわけであります。現に、深海の要するに疑問の点が多く、安全の確保は十分とは言えないと、こういうような批判の記事も新聞等にも出ておるわけですが、科学技術庁の報告書を見ましても、「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」、これを読んでみましても、「安全評価をする上で不充分な面が無かったとは言えない。」と、こういうようなことも書いてあるようですが、たとえば深海の高圧、低温のもとで投棄をされました容器、あるいはその内容物が何万年もの長い間にわたって安全であり得るのかどうか、そういう点非常に心配な面もあるわけですが、科学技術庁はどういうふうに確信持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  58. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 放射性廃棄物海洋処分につきましては、環境に影響がないように安全性を確保しながらやるべきであると、まさに先生の御指摘のとおりでございまして、そういう観点からいたしまして、科学技術庁といたしましても十分に事前にその安全性を確認するということの態度でおります。したがいまして、先ほども御説明申し上げましたように、本格的処分の前にまず試験的な海洋処分を行いまして、事前に十分安全性を確認する、それを十分実証するということで考えております。先ほど御指摘のございました原子力委員会の十月八日付のこの問題に対する基本的な方針の御決定を受けまして、五十三年ごろから試験的処分を実施するわけでございますが、実はその前に昭和四十八年から四十九年にかけまして処分候補海域につきましての海洋調査関係省庁御協力のもとに実施をいたしております。それからさらに固化いたしました固化体の健全性でございますが、それの試験もいままでともいろいろ行っておるわけでございまして、そういう結果を踏まえまして、先ほど御指摘のございました環境安全評価に関する報告書、これがことしの八月に、これは原子力安全局といたしまして、専門家の御協力もいただきまして、解析をいたしたわけでございます。もちろんこの解析の中で、ただいま先生指摘のように、十分でない面もある程度指摘はされておりますが、全般的な評価といたしましては、十分安全性は確保されると、こういう結論であるわけでございます。ただ、私どもはこの結論をそのままということではございませんで、さらにこれを原子力委員会にお諮りいたします。原子力委員会放射性廃棄物対策技術専門部会というものが別途設けられておりますので、その部会におきまして、今後さらに再度慎重な検討を行いまして十分な安全性を確認する予定でございます。
  59. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまあなたのお話は、全般的評価としては安全性の確信があるというようなことですけれども、海外の海洋投棄のことにつきましてちょっとお伺いしますが、この放射性廃棄物海洋処分については、すでにアメリカにおきまして一九四六年ころから二十年間、またOECDの原子力機関が過去十年間にわたって実施してきておる。そして追跡的な海洋調査も行われておるわけでありますが、科学技術庁としてはその調査結果の詳しいデータ等も入手をして、データ等も分析をしていらっしゃるだろうと思いますが、このことについてどういうところで、どういうような方法で、どういう結果があったのか、その辺のところをひとつ御報告を願いたいと思います。
  60. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 御報告いたします。  OECDの中の原子力機関は一九四六年から共同で北大西洋、これはスペイン沖でございますが、ここに海洋処分の作業をしてきております。六七年以来イギリス、オランダ、ベルギー等の共同計画でございまして、現在まで昨年もやったわけでございますが、八回、約二十七万キュリー捨てております。ドラムかんの数で申し上げますと、大体十万本ぐらいでございます。この計画の遂行状況につきましては、私どももNEAに参加しているということで、数年原子力研究所の職員等をこの実際作業に立ち会わせております。現状では特に大きな事故等は起きていないわけでございますが、私どもこの投棄の作業の仕方であるとか、あるいは固化体の基準であるとか、その辺のところについて十分調査しているところでございます。  それからアメリカの現状でございますけれども、アメリカは四六年からやっておりまして、一九六九年に中止しております。アメリカの場合は、かつての固化体の基準等につきましてはかなり問題がございまして、四十六年といいますと、終戦後すぐでございますが、その辺で処分いたしましたドラムかんの一部がカリフォルニアの沖で最近チェックしたところ、若干漏れていたという報告がございます。これにつきましては、私ども目下原子力——アメリカともコンタクトいたしまして、さらに詳細を入手するように努めておるところでございます。
  61. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、OECDの分ですね。一九四六年スペイン沖で八回、二十七万キュリー、十万本、これはベルギーとイギリスで共同でやったということ。この方はいまどういう、別に問題ないんですか。これ追跡調査もされていると思うんですが。
  62. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) スペイン沖に捨てたものにつきましては、追跡調査もやっているようでございますが、特にいまのところ大きな問題は起きてないというふうに聞いております。ただ、最近投棄の実際作業のときに一部軽いものがございまして、これが海に浮いたという事件があったようでございますが、これにつきましては周辺のアイルランドその他の国からもいろいろ注意がありまして、NEAの職員がそれを回収し、今後固化体のそういう非常に軽い物について厳重に監視するというようなことをやっておるわけでございます。  なお、OECDの場合には厳密な意味での、私どもが考えておりますような海洋の追跡調査というものは規則的にはやっていないわけでございます。
  63. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 やってなきゃだめじゃないですか。とにかくドラムかん沈めて、その後どうなったのか。それがはっきりしなければ、これは安全性の確保もできないわけですからね。  そこで、今度はわが国の場合、日本の場合、すでに日本アイソトープ協会、これは一九五五年から六九年にかけて合計二千本前後のセメント詰めドラムかんの放射性廃棄物を海洋投棄したと、こういうふうに報道もあるわけですが、私は詳しいことはわからぬですが、これはどうなったのか。その後の調査は行われておるのかどうか。その辺ちょっとお伺いします。
  64. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 御報告いたします。  アイソトープ協会のこの海洋処分状況でございますが、千葉県の白浜沖の約四十キロの地点でございますが、水深二千六百メートルくらいのところでございます。ここに昭和三十年から四十四年まで処分しておりまして、ドラムかんの大きさにいたしまして約千六百六十本、総キュリー数は四百キュリーでございます。これはその後所期の目的を達しましたので、中止いたしておりますが、その後の海洋調査につきましては、私ども定期的にやっておりまして、水質あるいは付近の海洋微生物の分析等を毎年やっているわけでございます。  一例を申し上げますと、たとえばプランクトン等につきましてやっておるわけでございますが、他の、たとえば鹿児島の方の海であるとか、その辺のプランクトンの分析データとほとんど変わらないというデータを得ているわけでございます。  私どもこの経験がございますが、なお、先ほどの試験的海洋処分に臨む場合にはこの経験を生かしまして、固化体の基準であるとか、あるいは投棄地点の選定であるとかにつきましては厳重な安全評価のもとに実施したいというふうに考えております。
  65. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この追跡調査は、これはどこでやっているのですか。民間がやっているのか、政府がやっているのか。またその追跡調査はどういうふうにしてやっているのか。
  66. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) これは私どもからお願いいたしまして、水産庁の水産研究所、海上保安庁及び気象庁に放射能調査の一環としてやっているわけでございます。  中身としたしましては、海水あるいは海底土——海底の土でございますが、海洋生物等の全べータ放射能の調査をやっているわけでございまして、毎年定期的にやっておりまして、その結果は整理いたしまして毎年公表いたしております。
  67. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、アメリカのはあなたがさつき非常に放射能漏れがあったと、こういう報告があったのですが、これは一部新聞にも出ておりますが、新聞報道によりますと、これはちょっと読み上げてみますよ。これは、米環境保護局の海洋学者ロバート・S・ダイヤー氏が二十一日明らかにしたところによれば、米国東海岸(大西洋岸)沖と西海岸(太平洋側)沖の二か所で、大量のドラムかん入りの放射性廃棄物からプルトニウムとセシウムが漏れ、付近の海底を汚染しているという。しかし同氏は、これらの放射能汚染はまだ人体に害を及ぼすまでになっていない、」が、「汚染個所は、東海岸のメリーランドとデラウェアの中間付近から沖合約二百キロ地点と、西海岸のサンフランシスコ沖約六十キロ地点の海底で、四六年から七〇年までに海に捨てられた計六万七千個の低レベル放射性廃棄物入りドラムかんの一部から漏れた。」。  そこで、「西海岸沖の場合は、海軍の海底探査船で調べた結果、海底の泥や砂のなかから、核実験による放射性降下物に含まれる最大のプルトニウム濃度に比べて二ないし二十五倍のプルトニウム汚染を検出した。また東海岸沖の場合は、海底探査装置や水中カメラなどで調査した結果、核実験による放射性降下物の三ないし七十倍の強さのセシウムを検出した。」、こういうふうに出ておりますね。  ですから、アメリカのようにあれだけ高度な技術の発達しているところで、こういうように多数の放射性物質が漏れた。どうあなた方はお考えになっていらっしゃるんですか。
  68. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま御指摘のドラムかんから漏れたということでございますが、これは先生のただいま御指摘のような報道があったと承知しておりますか、実は私どもがこの安全評価をいたします場合には、ドラムかんが海底に着地いたしますと、そこですべて内容物は全部漏れてしまうという前提で評価をいたしておるわけでございます。これは固化体自身は相当長く持つように十分注意をして基準もつくり、調整するわけでございますから、実態上はそういうことはないわけでございますが、安全性を見込みまして、中の内容物がすべて海洋に漏れ出るという前提で評価をいたしておりまして、そういう安全性の評価をいたしまして、なおかつ人体の被爆はこの試験的海洋処分の場合に許容値の約一億分の一というふうな試算もされておるわけでございます。したがいまして、そういう観点からいたしますと、環境に影響を与えるということはないというふうに考えられるわけでございます。  ただ、米国の場合は非常に初期の段階でもございましたし、たとえばプルトニウムの投棄なども行われております。私どもはプルトニウムを投棄するというようなことはこの試験的海洋処分では考えておりませんので、そういうことからいたしましても、諸外国経験等を十分踏まえまして、前車の轍を踏まないように完全な処分を行ってまいりたいと考えております。
  69. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで今度わが国で行うのは、要するにドラムかんが海底深さ六千メートルか何ぼか知りませんが、沈んで、そこでドラムかんが破れて、そこから固形化されたものが出る。そういう想定のもとにやって、なおかつ安全であると、こういうことらしいですが、結局やはり漏れてくるのは、幾らか漏れてくるわけですからね。ですから、全然安全性が人体に及ぼす影響から言うと許容量を下回るかもしれませんけれども、これが世界各国どこどこやりだしたら、また日本におきましても再処理場がすでにもう足らぬのじゃないか、第二再処理場もつくらなきゃいかぬと、こういうような状態でありますから、やはりあなた方がおっしゃるようにそう簡単にはいかぬのじゃないかと思うのですがね。その辺いかがです。
  70. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) ただいま御指摘の処分を累積していった場合に問題ではないかということでございますが、これにつきましては国際的にもその議論がございます。このために国際原子力機関−IAEAが中心になりまして、現在海洋投棄の基準をつくっているわけでございます。先生御承知のように、通称ロンドン条約と称します国際的な海洋汚染防止条約がございまして、これでは高レベルの廃棄物の処分は認められていないわけでございますが、低レベルについては認めてございます。ただ、その場合に累積のそういう環境容量等も考えまして、国際原子力機関がつくりました基準がございまして、これは百キロメートル四方に限度といたしまして十万トンという指針を出しております。それで乙の根拠といたしましては、この廃棄量の成分でございますが、アルファ廃棄物、ベータ廃棄物等によって違いますが、たとえばベータ廃棄物の場合にはトン当たり千キュリーという基準で十万トン捨てた場合と、こういう想定をいたしまして、その場合にそれが全量十年ぐらいかかって漏れたという前提で計算するわけでございますが、それがプランクトンその他に移行いたしまして食物連鎖を通じてどうなるかというような分析を踏まえた上でのこういう基準の作成がなされているわけでございます。私どももこの考え方に沿った——先ほど局長からも御答弁申し上げましたようなことで、さらにその考え方よりもより厳しい考え方で現在やっているわけでございまして、その辺につきましては今後廃棄物対策専門技術部会等におきましても、その累積の効果等については十分検討していかなければいけないと思います。ただ、低レベル廃棄物でございますので、プルトニウムのように数万年というような半減期のものはございませんので、大体数十年で半減するというようなことでございますので、その辺の状況も見ながらやるわけでございます。
  71. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、それはまた後で議論をいたしますけれども、わが国の場合低レベルの放射性廃棄物ですね。これは現在ドラムかんに固化処理をされて各発電所の中に保管されているわけですが、私もあっちこち見てきたんですけれども、大体その数は一体どのぐらいあるのか。新聞報道等によりますと、その数は六万本もある。さらに十年すると百二十万も超えるだろうと、こういうことですが、正確にはどのくらいですか。
  72. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) お答え申し上げます。  現在、低レベルの廃棄物につきましては、五十年度末で八万四千本現在ございます。それで、これが昭和五十五年ぐらいになりますと、年度の発生量といたしまして九万本ぐらい、累積といたしましては四十七万本ぐらいになるという予測がなされています。なお、この中にはアイソトープの廃棄物等も含まれているわけでございますが、大部分は原子力発電所からのものでございます。  この原子力発電所での現在の低レベル放射性廃棄物の保管の状況でございますが、これは厳重な倉庫の中に管理しておりまして、表面の汚染量率であるとか、付近の汚染量であるとか、定期的にチェックして安全な措置を講じているわけでございます。なお、この保管能力につきましてはまだ相当にサイトが大きいということもあるわけでございますが、最終的にはしかし積んでおくことができないということもございまして、十分安全性を評価しつつ、この廃棄処分の方法について実際的な措置を確立したいということでございます。
  73. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この低レベルの廃棄物のドラムかんですな。あなたいまおっしゃったけれども、私が見たところあっちこっち野積みにされておるのもあるように見えるんですよ。家の中に格納庫といいますか、倉庫の中に入ったのもありますけれども、一部は外側に野積みされておるというのもあるし、そこら辺の管理がどうなっているのか。また各大学の原子力研究所あたりにおけるこういう低レベルの廃棄物の処理、これなんかも一部新聞報道によりますというと、たとえば横須賀の立教大学原子力研究所では素通りの洞窟の奥にためていたことが明るみに出て、そのずさんな管理が新聞にも報道されておるわけですね。あなたもごらんになったでしょうけれども。こういうふうに大々的に素通りの洞窟の中に放射能廃棄物を貯蔵してある。全然管理していないんですよ。野積みにほってあったんですなあ。その辺どうなっているのですか。
  74. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 先生指摘の野積みの問題でございますが、これにつきましては一部原子力研究所で野積みをしていたという事実がございます。これは保管施設ができるまでの間の経過措置としてやったわけでございまして、この野積みの途上におきましては、先ほど申し上げましたような趣旨の安全管理は十分徹底してやらしてございます。これにつきましては現在改善の措置を講じさせてございまして、保管施設を増設ということで、本年度中には全部片がつくという見込みでございます。  それから立教大学の件につきましては、私どもの定期的な検査によりまして、それが発見されたわけでございます。厳重な注意をいたしまして改善命令を出してございますが、これはあの施設が非常に古く建設されたということで、当時の基準ではその洞窟の中に収納することが許されていたわけでございますが、その後基準が変わりまして、そういう事態になったということについて、立教大学の方の不勉強があったわけでございますが、私ども今後このようなことのないように、保安管理面におきます監督を強化している実情でございます。
  75. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは管理の点については十分あなた方監督していかなければいかぬと思いますよ。  それで、海洋投棄についてもう一遍お伺いしますが、いよいよこれから五十二、三年度からあるいは五十三年から始まるわけですが、いまのところではその計画等についてはどうなっているのか。一体どの辺——日本近海の何か四カ所が一応候補地に挙がっているように聞いておりますが、どこに捨てるのか、どの程度の量をどのような方法で投棄するのか、それからいつから始まるのか、その辺のところお伺いしましよう。
  76. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) お答えいたします。  まず計画でございますが、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、この計画についての安全性評価は、原子力安全局として一つのレポートを最近つくったわけでございますが、これをさらに原子力委員会の廃棄物対策専門技術部会に上げまして、慎重な審議を経てオーソライズしていただくということでございます。この間相当——半年以上かかるかと思いますが、そういう安全性の評価をやった上で実際の計画に進みますが、いまの机上の計画では五十三年の六月ごろが第一回の試験ということになっておりまして、その後三年間に三回程度やるという計画になっているわけでございます。  それから処分いたします放射性物質の量でございますが、これは安全評価では五百キュリーということでやっているわけでございますが、この五百キュリーそのものを全部そこで実験するというようなことは考えておりません。これを半分なりかなり下回る量になろうかと思います。OECDが現在やっておりました二十七万キュリーに比べまして実験的な規模というふうに言えるのではないかと思います。  それから地点でございますが、現在四地点を過去三年間の海洋調査の結果に基づきまして候補として挙げてございます。この地点の選択の条件といたしましてはできるだけ、もちろん国際的な基準でもございます深さということがございますので、五千メーター以上という地点がまず第一でございます。それから第二はできるだけ平坦であるということでございます。これは着底したときに傾斜しておりますと、ロードがかかりまして破壊するおそれがありますので、できるだけ静かに着底できるような海底でなければいけない。それからもちろん水産上の条件がございますが、私どもの現在調査では、たとえばプランクトンの生存量を見ましても、大体存在する量の八四%ぐらいまでは五百メートルぐらいのところでございます。それから五千メートル以上になりますと、プランクトンの生存量というものは全層にいたしまして千分の一ぐらいということでございますが、これは魚の方の調査でも大体確認されておりまして、表層から三千メートルより深いところで住んでいる魚は一・五%、全量に対しまして、分布に対しまして一・五%というような数字が出てございますが、私どもそのような水産物の生存条件をチェックしております。  それからもう一つは、バックグラウンドがございまして、この辺の海底土等を調査いたしましたところ、原爆実験からまいりましたフォールアウト等からまいりますコバルト60ないしセシウム等がごく微量に検出されております。それから魚についても全域的にやはりごく微量でございますが、そういうものが入っておるということが確認されております。これらの数字はその後のモニター等で使用されるわけでございますので、そういうデータを集めたわけでございます。具体的な地点を申しますと、一番近いところでは東京の東南方八百キロぐらいのところが一点、それから同じく千五百キロメートルぐらいのところが一点、それから東の方に約二千百キロの地点、それに東北東千七百キロぐらいの地点、この四地点を対象として考えてございますが、これに最終的にどこにするかということにつきましては、廃棄物対策専門技術部会での慎重な審議を経て決定したいというふうに考えております。
  77. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この昭和四十七年度に策定された原子力開発利用長期計画、これを見ますと、海洋処分については「その安全性を保証し得る処分量に限定し、これを満たす規模と内容の海洋調査を事前に行う。」こういうふうに決めておるわけですが、それで安全性を保証し得る量、これはどういうふうになっておりますか。あなたがさっきおっしゃったですね。五百キュリーという数字を挙げられたんですが、これとどういう関係があるんですか。
  78. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 長期計画におきます考え方は、環境容量の総量というような観点で非常に幅広い海域での累積された最終的な効果も考えた上でそういう処分の仕方をすべきであるという考え方に立っているかと思います。その辺に関しましては、先ほど御説明申し上げましたように、国際原子力機関におきます検討等もあわせまして、十分その基準等にも合致するようにやっているわけでございますが、私どもの先ほどの第一次の安全評価につきましても、考え方といたしまして、太平洋の日本海岸からアリューシャン列島、それから南は赤道の近くまでのある非常に大きな海域を考えて、そこで拡散した場合の拡散計算をやります。そのやった上で、それが生物に対する影響等を経由いたしまして人体にどのように影響が出てくるかということでやっているわけでございます。その検討過程で五百キュリーではなくて、たとえばそれの十万キュリーのケースも試算してございますが、その場合でも許容量に対しまして非常に下回るという結果が出ております。したがいまして、具体的にはその時点で発生いたします廃棄物の性質、つまり放射能の程度を前提にいたしますので、その時点でこれまで申し上げましたような検討を経て決めていくことになろうかと思います。
  79. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それからもう一つ、非常に深海に投棄をされるわけですが、たとえば水深が六千メートルというような、そういうところに果たして投棄をされた処分体の追跡調査というのは、実際できるのかどうか。あなた方のいま考えていらっしゃるようなことは、どういうふうにしてこれやるんでしょうか。こういう深海のところ、この点、いかがです。
  80. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 追跡調査につきましては、これは先ほどの安全性の評価という観点から申しますと、着底いたしまして、内容物がその時点で全部外に出るという前提でやっておるわけでございます。それでなおかつ十分に安全性が確認されるということでございますので、その観点からは追跡調査という問題が必要かどうかという問題は出てまいるかと思いますが、私どもといたしましては、それはそれといたしまして、やはり追跡調査はやる必要があると考えておりまして、この調査につきましては国が委託をするということで、受託の機関といたしましては海洋科学技術センターを考えております。この海洋科学技術センターで現在いろいろな技術の開発を行っておるところでございます。
  81. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私の聞いているのは、そういう深いところで追跡調査等ができる技術があるのか。それとまあ深海のテレビカメラというようなものがどういうところまで進んでいるのか。その辺あなた、いかがです。ただ、海洋科学技術センターに委託すると。それだけじゃあなた、私の方では、聞いている方ではわからないですよ。
  82. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 海洋科学技術センターにおきまして、監視用のテレビの開発を開発中でございまして、現在までに五十一年の七月の実験では千メートル、大島沖千メートルでこの実験に成功してございます。私どもこれをさらに深いところでやるということで、現在非常に高圧の水槽での開発を続けておりますが、来年の半ばごろに六千メートルでの実際の実験が得られるのではないかと思っております。高圧水槽におきます実験等から見まして、この開発は十分可能性があるというふうに考えております。なお、このカメラは私どもの海洋処分のモニターだけではなくて、いろいろな面で、多目的的な目的を持っておりまして、その面の効果も十分に期待されるものではないかというふうに考えられます。
  83. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 深海用のテレビカメラもいま開発中で、そのころになったらできそうであるというまあ頼りない、あなた、そういう答弁でしょう。そういうようなことで試験はやろう、やろうといま言っているわけですからね。だからこちらとしては非常に不安もあるし、聞いておるわけなんですよ。実際そういうものが、そういう技術的なものが、たとえば深海用のテレビカメラ等も実際できるんですか。できる見通しなんですか。そしてまた六千メートルの深海まで一体どうやってテレビ——私は素人でよくわからないんだけど、六千メートルあたりまでずっともぐっていくんですか。その辺もうちょっと親切にあなた答えなさいよ。書いたものを棒読みやったってわかりゃしない。
  84. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 現在開発中のテレビは開発上の一番の問題は防水でございまして、非常に五千メートルの海底になりますと、五百気圧ぐらいかかるわけでございまして、この防水技術が何といっても一番でございます。それで、その他のテレビの機能そのものといたしましては、まあ海底が非常に暗いということがございまして、その感度を上げるということがございますが、これは十分現在のテレビの技術で実現可能であるというふうに考えております。で、もちろん市販のようなテレビではございませんで、そのために専用に開発されるものでございまして、現在テレビの専門メーカーにも委託しまして、その辺の検討を進めているわけでございます。  で、これを何といいますか、目的の地点におろしていく技術はこれは相当むずかしい点がございますが、これについてはやはり自動制御等を十分に採用いたしまして、なるべくまあその近地点に着下できるようなそういう制御装置の開発をやっておるところでございます。現在千メートルでの実験ではこの投下の制御につきまして十分に成果を得ておるわけでございます。  それから実際のモニターの途上におきましては完全に捨ててしまうということではなくて、一種のかごのようなものに乗せましてこれを静かにおろして、実際にそのテレビをそばにつけておくというふうなことでやりまして、五千メートルの水圧に対してどうかというような検討もするわけでございます。そういうような過程を経てやるわけでございますが、何分実際の実験が高圧水槽での実験ということではやはり問題がございますので、実際の最終的には確認が必要でございますが、これが来年行われるということでございます。
  85. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ陸上処分のことをちょっとお伺いしますが、まあ原子力環境センター、五十四年度から陸上処分も実施すると承っておるわけですが、陸上処分ということになりますと、そのための研究あるいは立地の調査、選定など事前の調査研究を相当程度積み重ねた上で実施されなければならないと、こういうふうに思うわけですが、この原子力開発利用長期計画も五十年代初めごろまでにはその見通しを明確にすることとしておりますが、陸上処分に関する方法、場所、さらに技術的な問題について現在どの程度進んでおるのか、お伺いします。
  86. 佐藤眞住

    説明員(佐藤眞住君) 先生指摘の長期計画の線に対しまして若干おくれがございまして、私ども現在の計画では昭和五十年代後半に本格的な処分が行われるということを目標にいたしまして、実証試験を開始しようとしておるわけでございます。で、これにつきましてはすでに米国等で相当長期の経験がございます。それによりますと、大体地下数十メートルのところに防水性の非常に緻密な防壁をつくりまして、その中に容器におさめた低レベル廃棄物をおさめていく、何段かに重ねておさめていく、こういうことでございます。したがいまして、研究の中身といたしましては、そういう緻密な防壁の実際の実証をしなければいけないということでございます。で、これはコンクリートと申しますのは、御承知のようにまあ一見その防水性であるように見えてやはりかなり繊細なピンホールがあるわけでございますが、それらの問題を十分に解決できるような、そういう施設の開発とその実証ということが問題になろうかと思います。で、ただ低レベルのものはこういうことで比較的浅いところでの処分で安全なわけでございますが、高レベルの廃棄物につきましてはこれでは済まないわけでございます。それで、この高レベルの廃棄物につきましては現在日本ではまだ動燃事業団の再処理工場が動いておりませんので、発生はしておりませんが、発生することを前提に研究開発の開始をやっておりますが、これは海外におきましては、ドイツ、アメリカ等におきましては非常に深い地下七、八百メートルの岩塩層にこれを処分するということで実証試験が現在行われております。岩塩層と申しますのは、非常に防水性が高いということでその岩塩層が形成されているわけでございますので、そういう安全な地点がありますと、この高レベルのものについても非常に比較的容易にその処分ができるわけでございますが、残念ながら日本にはこういう岩塩層というものがございませんので、それにかわる安全な地層がないかということで現在研究中でございます。現在までのところ国際的なデータ等から見ますと、花崗岩層であるとか、あるいは粘土層というようなものが有望であるということでございます。アメリカ等におきましても花崗岩層の研究に着手したと聞いておりますが、私どももその面の研究にかかりたいと思っております。
  87. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから高レベル廃棄物の最終処分の方針につきまして、原子力委員会は当面地下千メートルより深いところに封じ込める地層処分に重点を置いて六十年ごろまでに結論を出す、こういうことですが、これは諸外国ではどういうような方針を出しておりますか。
  88. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほども担当課長から多少御説明申し上げましたように、現在諸外国におきましては実証試験が行われておるところでございまして、米国、ドイツでは先ほどの岩塩層、それからイギリス、フランス等では、たとえばイギリスでは花崗岩といったものが考えられておるわけでございます。それからこれに関連いたしまして国際的な情報の交換、さらには国際的な共同の実証試験というものを行おうという話し合いが進んでおりまして、そのような方向での実証試験が行われることによりまして、私どもといたしましても具体的にその技術が安全であることが実証され、さらには日本としてもその知見を十分活用できるということを期待しておる次第でございます。
  89. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それではこれで終わりますけれどもね。大臣も退屈のようですから、最後結論めいたことをお伺いしますが、この放射性廃棄物は人類がつくり出したきわめて有害なものである。まあ平和的な利用の面もありますけれども。それを何万年もの長い間これを閉じ込めておく技術方法が果たして時間をかけさえすれば確立するのかどうか。この辺も非常に疑問に思うわけであります。アメリカの科学者グループもその可能性につきましてはきわめて悲観的な見解を発表しており、貯蔵または処理に関する技術的、経済的に可能な方法はいまだ存在しない、こういうふうにアメリカ学者たちは言っておる。ところが、一方におきましては原子力開発がどんどん進められている。地域住民の反対もありますが、とにかくエネルギー計画のもとに進められておるわけですね。この矛盾は非常に人類にとって危険なかけだと、こういうふうに思うわけであります。原子力発電所の寿命がせいぜい三十年から四十年。そうしますと、たとえば百万キロワットの原子力発電所が四十年間稼働するとすれば、一体この間にどの程度の量の放射性廃棄物発生するのか、また寿命が来たら原子力発電所は——原子力発電所そのものですよ。発電所はどのように処理されるのか、きわめて素朴な疑問でありますけれども、最後にお伺いしておきます。  なお、大臣の所感もひとつお述べになっていただきたいと思います。
  90. 前田正男

    国務大臣前田正男君) この問題は、国民の安全に対します理解を得るためにも、急がないで慎重にやらなければなりませんし、また、試験的なものをさらに実証的な措置を経まして段階的にやっていかなければならぬと考えておるわけでございます。しかしながら、すでにアメリカ等におきましても、これの問題は相当実験その他が進んでおりますし、先ほどから政府委員お話ししましたとおり、高レベルにつきましても、これの固化の、ガラス化の問題はすでにある程度実験ができておりまして、それの実証的な処分の問題等もすでにヨーロッパ等では行われておるわけでございまして、したがいまして、全体として諸外国におきましても、OECDその他においても、これは大体可能性があるというふうに考えておるわけでございますし、また、私たちもそういう見通しのもとに十分な対策を考えてやっていかなければならぬと思っておるわけでございます。  また、発電所の寿命の問題につきましては、これは解体等によって発生する廃棄物その他いろいろな汚染物等が同じような形で処理されていくわけでございますけれども、しかし、これにつきましてもいろいろと問題点が多いことでございますので、これは十分に解体の実施方法その他についても研究をしてからやらなければならぬと、こういうふうに考えておりまして、慎重を期す必要があると考えておりまして、足りないところはひとつ政府委員から補足して説明さしていただきます。
  91. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 原子力の解体についてちょっと補足さしていただきますが、まだわが国では非常に大型の原子炉、出力の高い原子炉が寿命が来て解体しなければいけないという時期には至っておりませんが、しかし、いずれそういう時期も参ると思います。それに備えまして、主としてその炉心の構造物が放射性物質によって汚染される度合いが高いわけでございますから、この辺を中心といたしまして、除染の技術その他の十分な技術開発をいたすとともに、また、運搬その他につきましても適切な配慮をいたす必要がございます。  それから、特にこの解体を行うといたしますと、解体の作業員の被曝の問題が出てまいります。この被曝をできる限り少なくするということが最も重要であるかと思われますので、その点についても今後さらに研究を重ねまして、慎重な配慮を行いたいと考えております。
  92. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 終わります。
  93. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 共産党の小巻敏雄です。  前田長官にまずお伺いをしたいと思います。私は、きょうは地震予知の第三次計画の問題についてお伺いします。  昭和四十九年から昭和五十三年まで第三次計画が進行中であって、いますでに半ばを過ぎて、あと二年余りが残っておるという状況、こういう状況であります。午前中からも、松永委員からこの問題について御質問もあったわけです。国民の関心も非常に高いわけであります。何といっても国民にとっては一たん見舞われたら命がけの問題であり、しかも、それが諸外国と違って、東京から名古屋までというようなところは日本の中の非常に大きな人口が密集をしておるところだ、こういうこともあります。政府の中枢機能もこの中にすっぽりと包まれておるということです。こういう状況について、最近の学問発達もありますし、第三次計画が完成できれば実用化についてもかなり明確な見通しを持つことができる、こういうふうに建議もされており、大体計画はそういうふうな見通しを持って進められておると思うんですが、特に大臣はこれを実行していく上で閣僚の中で一番重い責任を持つ立場にある、こういうふうに当たっておられますので、その点について、ひとまず所見をお伺いした上で質問に入りたいと思います。
  94. 前田正男

    国務大臣前田正男君) 現在のところは、実は、先ほどちょっと御質問にありましたとおり、私たち科学技術庁責任の範囲を越えているところもございまして、現在のところ、私たちは各省の了解を得ていま立案をしておる段階でございますけれども、しかし、先ほど申しましたような内閣に閣議決定を見まして推進本部ができまして、国務大臣責任者になるということで、だれがなるかわかりませんけれども、しかし、立案しました私のところにあるいはその責任が回ってくるかとも思いますけれども、そういうものができますと、役所の範囲を越えまして、内閣として設置しました推進体制に基づきまして各役所と十分に連絡調整しながらこの推進体制を進めていくことができると考えておるわけでございまして、そしていまお話しのような第三次五カ年計画をまずこれを促進する必要がございますし、また、いろいろと特別強化地域等に対しまして、先ほど来参考人からもお話がありましたとおり、その計画の中にも入っているわけですけれども、ひずみ計でございますとか、現在やっておりますのが五ヵ所でございますけれども、それをもっと十カ所ぐらいにふやせば非常に精度が上がるとか、傾斜計をつけた方がいいとかという、これはともにそう大した金額でございませんので、なるべくひとつ早く、そういう程度の金額のものならば——もっともこれは人と、器材の発注ですから多少時間は要ると思います。けれども、一般のものに比べますと、ひずみ計の設置とか傾斜計の設置というものはそう何年度も長い期間を要するわけでもないと思いますので、こういうような計画の繰り上げと、特にそういう重点的なものは早急に対策を講じたいと思っております。ただしかし、地震というものは、いまいろいろと言われているような強化地域だけが対象かというと、日本全体にやはり起こる可能性もあるわけですから、やはり全体の観測網、これは気象庁等がいろいろとやっておりますし、また国土地理院測量をしておりますけれども、そういう全体の問題の充実も期さなければなりませんし、また、東京都は場合によると直下型地震ではないかと言われておりまして、こういったものに対しましては現在、国立防災センターで深井戸を三つ掘ることになっておりまして、一つは完成しておりますけれども、あとの二つ目がいま予算を取ろうとしておるわけですが、こういったことも促進しなければならぬ。両面にわたりましてひとつ促進いたしたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、お話の第三次計画を中心にして、それに補足すべきものがあれば補足して進めていきたい。そういうことについては、実は私の方からも関係の学会とか、あるいは予知連とか、あるいは関係の官庁の責任者の方にもおいで願いまして、いずれもみんなで推進的な体制をつくろうということでは大体政府として意見がまとまっておりますので、それをつくるに伴いまして早急にそういう体制と同時に、推進する方向、方針といいますか、計画化、そういった実際の推進の処置を講じなきゃならぬと思いまして、そういうことについてもひとつ、これは専門家に任せなきゃなりませんから、専門家意見を早く取りまとめてもらうように、すでに依頼してございます。私たちとしては、なるべく推進体制発足と同時に、そういう推進のための特別措置というものを具体化していきたい、こう思ってやっているところでございます。
  95. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、いまの答弁は、新たに大臣の地位につかれたその最初の意見としては若干心細さを免れないところがあるんですね。すでに第一次、第二次、第三次と、研究者専門家からの意見は具体性を持ってずっと諸領域にわたって展開をされており、それなりに消化してきた点もあるわけですね。この問題は各省庁にまたがることですから、もちろん、これの連携が強く行われなければならぬ。まあ長官は、その点は、これらが具体的に問題を実効を上げて計画どおりに達成をしていく、その上に新しい計画を乗せていく、その達成と成果の上に新しい計画を乗せていくという上で、科技庁の所管部分責任を持つ上にこの計画全体の達成に対して責任を持たれる立場にあるわけです。どうも午前中の答弁も、現在も、いまのままではなかなか計画どおりの達成は、それは七掛けになるのか六掛けになるのか、とてもいまの体制では大蔵省に歯が立たぬから、新しい体制をこしらえたら何とかなるかもしれぬと。それはまあ新しい体制がいつできるのか、その問題はあなたの責任だけで解決できる問題ではない。私が聞きたいと思うのは、やっぱり長官に就任をされたら、これだけの計画が、自分たちの持ち分の範囲の中で、よくやっているのか、どこに困難があるのか、どこまで達成しておるのかというのを、まず自分の持ち分の範囲内でしっかりと見詰めて、そしてそこのところを充実をし、そして強化をしていくという体制の中で、一歩進めるためにはどうするのかというふうに話を出してもらわなければならぬと思うんです。この第三次の計画の推進に関しても、まあ第一次、第二次の達成を押さえて、第三次をやってのければ実用化の見通しについてははるかに発展をするというふうに、この四十八年の建議では、この目標を押さえて出しておるわけですね。しかしながら、その後それぞれの条件を点検をした上で、特に昨年の五十年の七月には第三次建議の一部見直しというようなところで、とりわけ重点を定め、それからまた、いままでの進行に関して不足な部分指摘をして、そして個々に対しての達成を要求をするというふうにもなっておるわけです。そこがどこまでどうなっているのかということをしっかり押さえるのがまず第一歩だと、私はそういう観点から、本日ひとつこの進行状況について質問をしたい。  まあ、参議院予算委員会での質問といい、大体一つ研究の推進ムードと、外国からあおられるという点もあるでしょうけれども、日本としては少なくともセカンドランナーやサードランナーで甘んじておるわけにいかぬという立場にありますから、そういう状況の中でいろいろ言われるわけですけれども、いまの問題が挙げてこの新しい機構づくりということで、現に足元のところをどこまでしっかりやって、そこに対して着実に忠実に政府は努力をし、固めていくかというところを見なければ、その点は私はうまくないと思うんです。この見直しの文章の中にこういう部分があるわけですね。一番基礎になる問題は、何と言っても計画推進の上で全国規模における測地測量の反復というような問題でしょうし、さらにこの第三次以来大きくクローズアップされておるもう一つは、人口が密集しておる首都圏等の特定地域の問題でありますが、こう書いてありますね。「全国的規模における測地測量の反復は着々と実施されつつあるが、その繰り返し周期を計画どうりに維持することが肝要である。」と。これらの問題はむずかしい問題じゃなくて、一つは整理の問題でもある。ここらは予算面の中に出てくる以外に、各省庁に対する定員配当の問題等とも大きくかかわってくると思いますけれども。ここのところで、午前中から聞いておると、若干大臣弱音を吹いておるわけですな、初めから。大臣になりたてからそう弱音を吹かれたんじゃ……
  96. 前田正男

    国務大臣前田正男君) そんなことありません。
  97. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 戦わずして敗れておるということになっては困ると思うんです。この点をきっちり見ていくということ。  それから首都圏、特定地域の問題は、何度も何度も繰り返し一つ計画の中で補強をし意見が出されておるわけです。実際にはこの首都という地域は全国レベルよりも調査ができない、「人口密集等の理由により測量は未だ十分とはいえず、」「観測業務を急ぐ必要がある。」と、こう言っておるわけですが、これは特にあなたの守備範囲の中で、ここでいわば首都圏、通常の調査方法では空白になっておる部分を、この三次計画の中で、たとえば深井戸を完全にやり抜いていくのかどうか、こういう問題なわけですね。その点については、自分の持ち分なんですからね、それだけはいままでの計画を繰り上げ促進してでも、私は、ひとつ在任中にこれだけはやろうとか、そういう話を聞かしてもらう必要があるだろうと思うんです。  そこで、具体的な質問に入ります。
  98. 前田正男

    国務大臣前田正男君) ちょっと私にひとつ答弁さしてください。  いまのようなお話をしていただいて、まあ御意見としては承りますけれども、私たちは実はそういうふうに考えておりません。現在までの計画は着実に実行されておりますし、私の守備範囲ももちろん深井戸も一つはでき、二本目はいまやっておるわけですから、そういうことはやっておりますけれども、一般の御要求は、それでは遅いじゃないか、あるいはまた強化地帯はもっと繰り上げろ、繰り上げて推進しろというお話ですから、実はその繰り上げて推進するために、予算も要りますし、人も要るわけでございます。だから、それは科学技術庁の守備範囲でやっておってはできないから、いままで政府でやっておりました研究の推進連絡会議というようなやり方では、こういう計画を年度的にやっていく程度のことで、その推進とか、そういうことはむずかしいから、先ほど申しましたように、内閣に体制をつくる、そして内閣につくりましたものは閣議決定でありますから、まあたとえば私がそこの本部長になれば、私が、よその官庁もその中に皆入っておるわけですから、各官庁と連絡調整して、全体の推進問題を進めることができる。そうしてそれのためには、午前中も御答弁しましたとおり、五十二年度の各省が概算要求をしておりますのは、従来の計画でできるというので概算要求しておるわけですけれども、それじゃ促進できないじゃないかというので、その概算要求にも足すことができますし、あるいは本年度も私たちの方の特認費も持っておりますし、そういうものも支出する、そういうふうなことで、余り私たちが弱音を吐いてやっておるんじゃないということ。私たちはそれを、現在のことはもちろんできておるわけなんです、できておるんですけれども、それを推進するという体制を整えようということで、いまこういう新しい対策を考えておるわけでございますから、その点はちょっとひとつよく御理解を賜りたいと思っておるわけです。
  99. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ計画中のものは万遺漏なく着々と達成をしておる、繰り上げてさらに強化する部分については現体制だけでは不十分だと言われるなら、それはまあなかなか心強い答弁になってくるわけですけれども、現実がそうであった場合の話なんです、それは。実際にそれじゃ現在まで計画されたものは計画どおりに着々と達成されておるかどうか、そこの点検が肝心な問題になる。私は、日本の伝統的な、世界にも誇る一番基礎になる全国的規模における測地測量の問題から御質問を進めたいと思う。これは国土地理院の問題になってきますね。  私は予算書を見せてもらったわけです。これを読み、そして計画と比べて見ておると、わかるようなところもあれば、わかりにくいところもあるんですね。そこで、予算書の具体的な内容に触れて一、二御質問するわけです。  まず、昔からある方からいきたいと思うんですが、水準測量の問題がまず第一にありますし、それから基準点の測量の問題があります。これは早くから事業量を決め、そして周期を決めて、それで取り組んできたものだと。これは大体今日の状況で、五十年度、五十一年度、五十二年度、どういったふうな具体的な進行状況になっておるか、それをまずお伺いしたいと思います。
  100. 原田健久

    説明員(原田健久君) 一等水準測量は、明治以来日本の主要な国道沿いに点間距離二キロメートル一万点、延べ全キロメーター数にしまして二万キロメートルを明治以来全国五回はかり直しております。そのデータの解析から、新潟地震などではそのデータにさらに地盤沈下観測における水準測量のデータを加えて有意な前兆現象を把握した事実もありまして、一等水準測量は全国規模におけるわが国の国土の隆起、沈降をつかまえる上で非常に基本的であるとの認識を得まして、第二次建議におきましても全国二万キロメートルの水準測量を五年周期で繰り返せということになりました。そして、これは昭和四十五年度に、五年で二万キロ、一年に直しますと四千キロメートルが予算上認められて、その時点で計画どおり達成されました。その後、また後でお話しのすることになるかもしれませんが、第一の水平変動の方も水準測量につり合いをとって繰り返し測量の周期を縮める必要があるというようなことで、予算獲得の大きな力を、おくれております第一の水平変化の追跡という、いわゆる精密測地網測量の方に多分に注ぎました関係もありまして、一等水準測量は四十五年度に目標の年間四千キロメートルを達成しましたが、その後、名目的には四千キロメートルの予算をいただいておるわけでございますが、実施はそれを下回る状況になっております。ただいま先生の言われました四十九年度は実行キロメーター数が二千二百六十一キロ、五十年度は二千四十七キロメートル、五十一年度はまだいま実行中でありますので、数字が出ておりません。  以上であります。
  101. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 日本の一番基礎になる、世界に比べても、ネットというのは大変細かくてりっぱなものだと思うんですけれども、基礎になるものは、計画の進行と国民の関心が高まるのに反比例して、この数年達成度、事業量がずっと下がってきているわけですね。昭和四十五年には四千キロであった。このとおりにやっていけば大体五年でいくんですけれども、半分しかやってないわけですね、ことし。来年だってこの予算のつけ方を見たら、できるはずがないわけです。そうすると、初めから半分ずつやっていたら十年かかってしまうんですけれども、初めの方で少しできていたから、八年かかるか、九年かかるか、大体これが今日の状況なんですね。外の方に手を広げていっても基礎のところがしっかり行われていない。それは一体不測の事態によるものか、どういう理由によるものか、それも明らかにしておく必要があると思うのです。なぜこういうふうにできなくなっておるわけですか。予算はちゃんと事業量は上げられておるのに実際の達成量が減っているわけでしょう、どういうわけでそうなるか。
  102. 原田健久

    説明員(原田健久君) 四十六年度には予定の四千キロメートルを超えまして四千三十九キロメートルできた実績もございます。四十七年度にはそれが二千八百二十八キロメートルに減少せざるを得なかったわけでありますが、この理由は、四十七年度内に国家公務員の旅費の大幅なベースアップがあったことに起因しております。ただ、国土地理院といたしましては、この一等水準測量予算によりますところの実施距離は少々ダウンいたしましたが、いわゆる観測強化地域、首都圏、そういうぐあいに地震予知にとって直ちに観測を濃密にしなければいけないというところには特定地域観測という別途費目を設けていただきまして、その方面で特に第三次計画が始まりました四十九年度を初年度として、そういう地域の土地の上下の運動を見きわめる水準測量は急速に予算的にも伸びておる状況でありまして、それやこれやを勘案して、まずまずバランスをとりながらという姿勢でやっていっております。また、一等水準測量も、四十五年、四十六年、五十年度まで六年間を合計しますと、一万七千四百六十五キロメートル達成しておりまして、五年という目標が七年ちょっとという達成になっております。しかし、これも完全には五年周期を満たしておりませんので、大蔵とも相談いたしまして、今後単価アップ、そういったものの交渉を積極的に行うよう努力している途中でございます。
  103. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 さりげなく書いてありますけれども、見直しの中で、やっぱり「繰り返し周期を計画どうりに維持することが肝要である。」というようなことが書かれておるということは、中身がそういうことだというのです。それは、予算について大蔵省は鬼よりこわいところですから、苦衷はわかるんです。  それから途中から強化された特定観測なんかの方に力を注いで、それらのものが出てくるに従って予算獲得の上でもこっちの方にあおりが来るということは、現状としてそういうことがあるだろうと思う。しかし、予算要求は事業量予定どおりの四千、四千と上げながら、その予算は消化して、実際には旅費が上がっても古い旅費規程のままで単価というものが実際にそぐわない単価がつけられていて事業量が下がっておる、こんな実態は、後で出発したところはちゃんとした単価をつけているんでしょうから、いわばフィクションなんですね、要求なり、目標設定自身が。そういう状況は速やかに脱皮をして、こういうところをきちんとやって、そうして新しい事業の方に進めてもらわなければならぬと思う。  それから、この問題はそれじゃ単価の問題だと、こういうふうに言われるわけですから、単価を上げたらそれじゃ消化する力量が大体あるのかという問題がもう一つ出てくるんじゃないでしょうか。内訳を見ると、四千キロを達成するために、直営と外注と両方に分けてやっておるんじゃないですか。それはどうなんですか。
  104. 原田健久

    説明員(原田健久君) 全国年間四千キロメートルと申します水準測量は、すべて直営でございます。
  105. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 直営であればなおさらのこと、これをやっておるのは自分のところの職員がやっておるわけでしょうから、ここのところに予算がどっと落ちてきたら倍でも消化する、そういうような人事構成になっておるんでしょうか。
  106. 原田健久

    説明員(原田健久君) やります。
  107. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうですか。それは職員にかわって答えられておりますので、それはそういうことにしておきましょう。  それでは、いまのようなお話のように、水準測量、これがそういう状況になって、いま希望的にながめても現状のままでは五年周期がどうしても七年以内に上げることはできない。それはやっぱりやってみたら八年かかるのかもしれないし、もっと長くならないとも、それはやってみなければわからぬ。そういう状況に対して現状の機構ではなかなか大蔵省の壁も厚いでしょうからね。やっぱり連絡、推進、予算獲得の動きでは、とりあえずみんなが五年周期で進んでおると信じておるんですからね、国民の大部分は。このことはきっちり行われるようにやってもらわなければならないとぼくは思うわけです。  次に、それでは精密測地網のそっちの方についてお伺いをするわけですけれども、これの事業量はどうなっておるわけですか。
  108. 原田健久

    説明員(原田健久君) 精密測地網測量は四十九年度から発足した事業でありますが、それ以前は、日本を覆います三百点の一等三角点を、明治以来、明治に一回、太平洋戦争後一・五回繰り返し測量をいたしました。これは点と点との間の距離が四十五キロメートル平均あります大きな三角の網でございますが、これも徹底的な解析の結果、日本列島の過去半世紀余にわたります水平の動きが浮き彫りにされまして、その変動が大地震と深い相関関係にあるということがわかりました。また同時に、三百点の点数では、二点間の距離が四十五キロメートルの網ではこれから精密な地震予知に貢献するためには余りにも粗過ぎるということも同時にわかりました。そこで、第三次建議に基づきまして、一等三角点と二等三角点を合計いたしました六千点、この六千点を五年周期で測量しようと、これを精密測地網測量と名づけまして、この仕事に着手したわけであります。でありますので、一年間に六千割る五、すなわち千二百点が行われればいいわけでございます。しかしながら、なかなか事業発足の初年度から千二百点をするということは無理でございます。と申しますのは、現在直営でやり得る限界は三百五十点と評価しております。でありますので、それ以外の仕事の消化は測量会社に外注しなければいけません。で、この技術的に高度な仕事を測量会社に十分技術をつけさせるためには、やはりエスカレート的に予算をアップしていって、その間に機械技術の整備をするということがどうしても肝要でございます。そこで、四十九年度は試みといたしまして三百点を行いました。そして五十年度は直営二百五十点、外注百六十五点、五十一年度は直営三百点、外注二百三十五点、来年度五十二年度は直営三百五十点、外注四百五十点を予定しております。
  109. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここにも書かれておるように、計画は大体に五年間で、一次について言いますと六千点上げたら三次計画の一翼としてのこの領域は達成をするわけですね。しかし、これもあと二年を残しておるわけですけれども、いまの状況では事業量は少なくて、これはやっぱり半ば達成できるかどうか。後から出発したということもありますけれども、かなり心細いものがあります。六千点を五年で分けたら、五年間でやろうとしてもどうしても千二百点やらなければならぬのに、やっと二年目のことしでこれが四百点ばかりしかついていない。いや、ことしで五百三十五点ですか、来年になって若干増える。千二百点と比べると、これは半分以下のスピードになっておるわけですね。こういう状況である。これも大きな原因は、この計画を達成しようとすれば直営の事業量をふやさなければ、これはうまく進まないんじゃないですか。この場合には、どさっと予算が落ちてきても消化する力量が国土地理院の方でいまのところ不足なんじゃないですか。
  110. 原田健久

    説明員(原田健久君) これは、五十年度は直営二百五十点、五十一年度は直営三百点、来年度は三百五十点と五十点刻みに直営の方がふえておるのに対しまして、外注の方は五十年度百六十五点、五十一年度二百三十五点、五十二年度四百五十点というぐあいに外注の方はかなり急なカーブでふえております。先ほども申しましたように、直営では三百五十点が限界と思われますので、どうしても測量会社の技術を向上させて、その測量会政にこの仕事をやってもらわなければならないわけでございます。ですから、測量会社の技術の向上に大いに国土地理院が指導性を発揮いたしまして、その面でこれは年間千二百点を目標達成の暁、十分な精度で仕事を進めていくことができると確信いたしております。
  111. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この仕事をやっておるのは国土地理院の測地部でやっているわけですね。測地部のどこでやっているわけですか。
  112. 原田健久

    説明員(原田健久君) この仕事は測地部の測地第二課というところでやっております。
  113. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そこにはいま職員がどのくらいの数おって、そしてその現地の作業に従事をする職員はどのくらいの人数がおるわけですか。
  114. 原田健久

    説明員(原田健久君) 測地第二課の人員は二十四名でありますが、このうち、この仕事、精密測地網に従事しておる人間は十五名であります。しかしながら、国土地理院には全国九カ所に地方測量部というものがありまして、そこで地方測量部の人員全体は二百五十五名でありますが、その中で測地系統の仕事をしてる人間が七十六名おります。この七十六名は、特に地方測量部の人間は重複した仕事をしておりますので、七六名中何名がこの仕事に従事しておるかというのはちょっと評価がむずかしいんでありますが、まあ半分の人間がこの仕事に従事しておるとしますと三十八名、そして三十八名と十五名を加えます。また、私ども地殻調査部の人員も幾分のお手伝いをしておりますので、それを五名と勘案いたしますと、合計五十八名の人員がこの仕事に当たっております。
  115. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ぼくも、これらの職員がまあ肝胆を砕いて毎日精励をしておるということは疑うものではないんです。ぼくはこれがどのくらいかと思って仕事の量を少し職員組合に当たって聞いてみたんですね。実に年間平均出張日数は百四十一日というくらい働いておるわけですね。そしてこれだけの消化をやっておるわけですから、ここの場合には定数がふえるということなしにこの計画達成のだけの仕事量というのは私は絶対に消化できないというふうに思うわけです。先ほどの水準測量の方も私は以たような実態にあるのではないかと思って、いまの達成率が半分で、ここのところへ金だけ倍落ちてきたら直営事業でどうするんだろうと、現有人員だけでやれば、三百六十日を超えることはありませんけれども、非常に無理な状態になる。こういうふうな、余りぱっと目に見えないところ、設備の近代化というような問題と違って、姿に映らないところに手厚く配当されないのが、これは私は日本計画推進の多くの領域に見られる欠陥になっておるのではないかと思うのです。昨年まで原子力委員会の問題なり、あるいは大学へ行けば研究講座の予算、講座費の方は研究一つでも戦前水準を達成しない、ここの方は横ばいにしておいて、大型プロジェクトの方にだけ、ずっと華々しいところに獲得した人の成果が喧伝されるようなところへ金が回っていって、こういうところの中に充実をして金が与えられていない。このことをあわせて進むのでなければ、基礎のすわった計画推進に私はなりにくいと思うんですね。これは、所轄は国土地理院の方で、大臣には直接関係ありませんけれども、一事が万事ということもあって、こういう問題というのは大臣が身を入れて、計画があったときは基礎のこの量のところまできちんと据えて閣議の中でも明らかにして問題を進めるというふうにしてもらわなければならぬのじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけです。どうですか。
  116. 前田正男

    国務大臣前田正男君) その点は、午前中にもお答えしたことでございますけれども、新しい推進体制ができますならば、その責任者の国務大臣が、予算と同時に人の問題についても当然これは予算をふやして——この三次計画を繰り上げて、また遂行がおくれておるところをおくれないようにしようということなら当然金と人が要るわけでございます。私が本部長になるとは決まっておりませんけれども、一応私が、立案している過程におきましては、行政管理庁の長官に、その点は予算だけじゃなしに人の点も考えなければ機械だけでできない仕事が相当多いですから、そういうことも話してあります。いずれ本部長ができましたならば、本部長というか、責任者ができましたならば、それは私がたとえばなれば、私は、科学技術庁の仕事だけじゃなしに、その本部に参加している各省の、たとえば建設省国土地理院なら国土地理院、それについても研究調整することになりますから、閣議決定で推進体制ができますと、その責任者が研究調整する立場になりますから、人員以外はこの計画——さっきから言っているように、私は新しい計画は考えていないんです。いま学会から出してこられました第三次計画、あるいはそれに多少修正があるかもわかりませんけれども、そういうものを促進していく、あるいはおくれているところをおくれないようにする、そういうことをやろうというときにはこの新しくできました体制で調整しまして、こういうふうに金が要る、あるいはこういう人をふやさなければならぬ、それはよその省のことでも今度のできた新しい推進体制でそれをまとめることはできるわけです。そして、各所管の官庁の方と、同時にそれを取りまとめています行政管理庁の了解を得て決めていくというわけでございまして、新しい推進体制が必要になるのは、そういうものができました場合にいま申しました予算とか人なんかも取りまとめて推進していくことができるというところが、この新しい推進体制の必要なところじゃないか、こう思っております。したがって、これはいまお話のように、そういうことについては私たちは、これは所管外だからといってほっておくわけじゃありません、もちろんこれは推進いたしていくわけでございます。
  117. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それだから、計画済みのものは着々と進行しておって、それで新しく繰り上げなりなにかするのは、いままでの立場もあるからその問題を機構上の整備という過程の中で飛躍をしようというふうな説明だったわけですけれども、その前に落とし穴があるという問題についてはいま御答弁をいただいたわけですね。しかし、もう一遍聞いてみると、午前中同様に、すでに計画は決めて、事業量も上がっておって、大蔵省も初年度段階で認定をして、それができるだけの予算があったものを、翌年以降何%アップというようなことで実際のこの単価増に追いつかない。そうすると、事業量だけ予算書には書かれておって、中身が虫食いになってしまう。こういう問題を質問してもこれは新機構をやる中でという答弁を午前中も午後もなさるから、その点については私はやっぱり弱音を吹いておると、こう言わざるを得ないと思うのですね。ここまでは今日の問題でこういうのは基礎的な体質の問題ですから、これは現体制の中でやっぱりきっちりと洗い直して、完遂をするたてまえの上にぼくは新たなものは積んでいくということでなければならないと思うんです。まあ先ほどの答弁でそういうふうに聞こえたが、やっぱりまた逆戻りをしているでしょう。繰り上げもしくはおくれのものはと、こういうことになってきますと、いままでの計画、現行の体制の中での大臣責任範囲内で具体的に果たされていないことになるんではないでしょうか。どうですか、くどいようですけれども。
  118. 前田正男

    国務大臣前田正男君) いまの、現行におきましてはもちろん私の権限外でございますから、それはもちろんおっしゃるとおりのところはございますけれども、これを推進する体制ができますならば、これに参加します各官庁は全部連絡調整を受ける中に入りますから、現行の三次計画がどの程度進行しているのか、その進行が計画どおり行っていないところはどういうところか、それに対して予算としてはどういうふうに足りないのかということはもちろん調べますし、またその計画を促進していく、あるいはその計画の修正が行われる、たとえば東海地方についてはもう少しこういうふうにやれというふうな修正が行われましたものに対しては、もちろんこれはよその官庁であってもその推進体制のところで調整いたしましてやっていくわけでございますから、先生のおっしゃるとおり、別にそう心配はございません。いままでのものをよく見詰めて、そうしていままでのところの計画どおりいっていないところはもちろんそれを繰り上げる、あるいはまたそれをさらに促進しなければならないところは促進する。この新しい推進体制ができましたならば、現在のやっています各官庁を全部掌握しまして総合調整をしていくわけでございますから、もちろん過去のことも全部調べ、またそれに伴ってこれからのことも考えていく。別に新しい計画を立てて、新機構ができたら新しいものをつくり上げていく、そういうことではありません。いまの第三次計画をなるべく早く繰り上げてやっていくということであるし、特定の地域はこういうふうにせいというふうな修正が行われましたならばその修正どおりやっていこう、こういうことでございます。
  119. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあひとつ、一段と強化をしてこういう問題はやってほしいと思うんです。  まあたまたま比較的丁寧に見たのがこの国土庁概算要求でしたので、次々に当たって申しわけないですけれども、そのかわり、一面では新しい予算項目を設けて、その計画に従って首都圏の精密測量の方では新規に予算もついておるという問題であるかと思うんですね。これらの問題については、私はその部分も見せていただいたわけですが、特定測量の方ですね、これはこの点数が上がっているのですけれども、二・五年周期でやれというふうに計画が上がっているのは、それは短周期で反復するというふうに、やや抽象的に是正をされておって、予算書を見ても、この点どれだけの全体量を何年でこなすかということがわからないんですね。これはどうなんですか。前年度は、この首都圏精密変歪測量と言うのですか、これは十点つけて、五十一年度も十点、それから基盤傾動測量という方は五十一年度から事業量九百平方キロメートルでもって四十四点つけるというようなのがありますが、これ自身には、全文を読んでも全体計画の量がわかりにくいわけですが、それを言ってくれますか。
  120. 原田健久

    説明員(原田健久君) これは始まったばかりの仕事でありますので、まだ国土地理院として完全にオーソライズされた形ではありませんが、私ども地殻調査部の中では計画を固めておりまして、いずれも二年周期で繰り返したい。ただし、首都圏精密変歪測量は五十点、ですから一年間に二十五点。精密基盤傾動測量は五千平方キロメートル、首都圏を取り巻く五千平方キロメートルでありますが、これを二年周期と。でありますので、それぞれまだ始まったばかりの仕事で、目標の数値に達しておりません。まず目標の数値に到達せしめるよう努力することが第一であるという認識に立っております。
  121. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これも計画としては五十点、年二十五点消化しようと思ったら、十点もらったと、こういう意味なわけですね。それから二年周期で五千平方キロメートルをやろうというのに対して、これはどういう意味なんですか。
  122. 原田健久

    説明員(原田健久君) 一遍に五千平方キロ割る二イコール二千五百平方キロメートル要求しましてもそれはできません相談なので、これは千平方キロメートルを大蔵に要求いたしまして、九百平方キロメートル認められたわけでございます。
  123. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 以上のような状況が、これが完全に達成されたときに、これは一つの側面でありますけれども、それが三次計画が消化をされて、ここで予知に向かって大きく具体的に飛躍をするという基礎がつくられる。しかし、その中身を遂げていくという問題は、丁寧にながめていくならさまざまな隘路がある。これは必ずしも技術の壁であったり不可能な挑戦ではないわけですね。もっと日常的なところの中にこういう問題が存在しておるんだということを私は強く指摘しておきたいと思います。国土地理院はすでに戦前からの業績の上に立ち、職員も奮闘してやっておられるわけであります。このことは、もし国民の要求どおり、むしろ見かけよりも中身をということで誠実に詰めていくなら、まさにやることができる問題だ。しかし、これに対して現状の中ではこういう問題が横たわっており、これは行政責任でやる問題ですから、その点が越えられなければならぬということを強く申し上げておきます。  最後になりまして、時間も残り少なくなっておりますけれども、問題の首都圏の調査です。こうして新たな調査が始められておりますけれども、いずれにしても首都圏は全国都市並みよりも非常に調査が困難な状況にあり、三つの深井戸という問題は、これを越えて先に進む問題だと思うんですね。これの二本目、三本目は具体的にどういう進行状況を示しておるのか。三本目の上がりというのは三次計画の中で達成をされるのか、それをひとつ具体的にお伺いします。
  124. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生指摘のように、科学技術庁の付属機関でございます国立防災科学技術センターにおきまして三本の深井戸を掘りまして、極微小地震観測を行う計画を持っております。最初の岩槻において掘りました井戸は、測地学審議会建議に沿いまして昭和四十四年から場所の選定等を行いまして、四十七年に具体的な井戸の掘削、地震計測装置の整備、それから地上の観測装置の整備を行いまして、四十八年度から観測を開始したところでございます。  この岩槻の最初の井戸というのは三千五百メートルという深さでございますけれども、こういった深い井戸での観測というのは世界的にも例のないものでございます。特に三千五百メートルの深さになりますと、圧力も三百五十気圧かかりますし、また温度も岩槻のものでは八十六度という高温になっております。したがいまして、こういう新しい観測におきましては、これが満足に行えるかどうか、並びにその有効性を確かめるということがこの岩槻の最初の井戸の大きな目的でございまして、測地学審議会建議におきましても、この井戸でいろいろな知見を得なさいということを言われておるわけでございます。  この岩槻の井戸におきまして大体実現されまして有効に働くということがわかってまいりまして、その点で、しからばやはり三点観測ということの計画が出てきたものでございまして、現在東部、西部ということで、東部につきましては船橋付近につきまして場所の選定が終わりまして、五十年度に地震計測装置の製作に着手いたしておりまして、本年度やがて実際の掘削を始めるところでございまして、五十二年度末に大体でき上がるということで整備を進めておるものでございます。  西部につきましては、実は四十九年、五十年、二年度でいろいろ地盤調査等を行ったわけでございますけれども、やはり井戸の深さは三千五百メートルぐらいは必要である。そうして、これは西の方に行きますと地底の温度が上がるそうでございまして、この西部調布付近ということでは穴の底の温度が百度を超えることも予想されるということでございますので、岩槻におきます八十六度というよりはさらに厳しい環境になりますので、こういった高温かつ高圧のもとで安定に、故障を生じない、信頼性のある計測装置のための研究がさらに必要であるということになっておりまして、現在この計測装置の電子機器の開発を行っておりまして、また並行して場所の選定を行っておるところでございます。場所といたしましては、やはり作業途中では六千平方メートル程度必要でございまして、でき上がりましても四千平方メートル程度必要であります。しかも、掘削途中には相当な騒音が発生いたしますし、また、でき上がりました後では周りにいろいろな振動等の公害がないことが必要でございますので、こういった土地の選定の問題、あわせていま検討いたしておるところでございます。現在、私どもといたしましては、五十三年度末ぐらいにはということを考えておりますけれども、いまの装置の技術開発の問題と、それから場所の選定の問題で、まだ実際にこの三本目の井戸ができ上がります時期について確定的なところが申し上げられない状況でございます。
  125. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私の聞くところでは、第一号井、観測井を掘った場合には、二号、三号の開発の前提になるさまざまな諸経験の集積とか技術開発の問題があって、それ自身の効用があるでしょうけれども、実際の観測効果を上げて首都圏の地震予知に貢献をするという資料を集積するためには、三点が確立することを待って効果を上げるというふうに承知をしておりますし、半径が二十キロぐらいですか、その二十キロの円周が三点が出てこないと一点が特定できない。そういう状況では、空白状況と言っちゃ言い過ぎにもなるでしょうけれども、首都圏問題で非常に期待をされておる、これが三次計画中に上がるかどうか、これは四次への計画にも影響を与える問題だと思いますし、やっぱりいまの御答弁では三年末を目指すと言いながら四年にかかるのか、五年までにいくのか、よくわからない。この点、全体完成をする見通しについていまお伺いしたわけですが、それのもたらす成果、これについてもひとつ再度御説明をいただいて質問を終わりたいと思います。
  126. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生指摘のように、確かに三本の井戸が完成いたしまして、これでいわゆる三点測量的に震源の位置の決定等が行われますことは非常に望ましいことでございまして、私どもも一刻も早くこの実現を図るべきものと思っております。ただ、三本ないと意味がないということではございませんで、すでに現在の岩槻の井戸につきましても、大学関係のデータ等とあわせまして非常にいろいろお役に立っておるということを聞いております。また、三本井戸を掘りましても、それぞれの地震計等に故障等がございますと、三本という意味がないわけでございますので、私どもといたしましては、三本そろいましたときには、これが途中での故障の修理等がなく、少なくとも一年、二年というものは連続して使えるということを目指しておりますので、この事前におきます開発研究にも十分力を注がなければいけないものと思っております。
  127. 柏原ヤス

    委員長柏原ヤス君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会