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小巻敏雄君 今回の
貨物運賃五八・六%という引き上げが農林漁業の生産者に対して
負担増を強いるものであるという問題は、前
質問者もこの問題を強く取り上げておるのですが、私も具体的な問題を通じて
大臣並びに
農林省関係当局に問題の性質をただしたいと思います。
まず、
北海道バレイショの具体的な問題をながめてみますと、
農林省の資料によって五十年度の生産費が百キロ当たり千五百十九円、これが今日の状況だ。ところが、現在の
農家の手取りはそれを下回る千五百二円という
ような状態になっている。今日
赤字であります。商売のことですから需給関係だと、こう言うわけですが、どうしても今日、
日本の基幹産業である
農業振興の
立場からすれば消費拡大の方途を
考えなければならぬ。そこに
運賃値上げがかぶさってくれば、現実には成り行きはどうなるのか、これは目に見えた話ではないか。
北海道の北見市相内、ここから東京の田端操車場に対して
北海道の生命線であるバレイショというのは千百七十七トン、こういう
輸送量がある。このトン当たりの今日段階で五百九十円の
輸送費が九百二十円になるわけですね。これは生産費と比較をしてみれば、
輸送費が生産費のまさに三分の二に当たろうとする状況にまで引き上げられてくるわけであります。これが消費拡大に対してどういう悪
影響を及ぼすのか、これも目に見えた話であろうと思います。
また、同じバレイショでも、種バレイショというのをながめてみると、ここに対して与える
値上げの
影響というのは中身に食い込んで、非常に深刻な
影響を与えることは明らかである。バレイショというものは、私の知識でもこれは毎年毎年同じ種を植えていたらどんどん病気で生産が減ってしまってゼロになる。できれば毎年種バレイショを取りかえてつくるべきものだが、そうはいかないので、最低二年に一回という
ようなものは無病種の、正規の種芋というのを使わなければならない。これは
北海道が春のものについては全国の大部分を賄うという状況になっておりますが、非常にバレイショのことですから単価は安い、こういうところにかかってくるコストアップというものは、二年に一遍買いかねるという
ような状況になって、採算割れから、しまいには全国的な減収を招くという
ような憂慮が出てくるわけであります。
こういって非常に深刻な
影響を見かけ以上にもたらしてくるのが今度の
値上げである、こういうことは当然御存じの上でやっておられることだろうと思うわけですが、こういう深刻な状態が現に出てくるわけであります。その上に、こういう
値上げが今回だけでなくて前回から引き続いて
農産物製品に対して非常に過酷な
値上げになっていることは、前回の
値上げ前と比較すればひどいものですね。同じバレイショが昭和三十五年当時のトン当たり値段と今度上げ
ようとするものを比較すれば実に三・六倍という状況になっております。
リンゴという
ようなものも調べてみたわけですが、私は大阪で長らくやってきたんですが、大阪の人もリンゴをこれは
かなり食べるんです。大阪の市場に対して青森県の板柳というところから四十九年度で一万五百五十一トン、こういうものが
輸送されてきておりますが、トン当たり三千七百五十六円であったものが、これは三十五年当時ですよ。今度
値上げしたら八千八百六十一円になるわけです。二・四倍、こういう
負担率になっておるわけであります。この五年や六年の間にこういう三倍半から二倍半という
ような
値上げを強行し
ようとするのです。
ところが、よく受益者
負担というふうなことを言われるのですけれ
ども、大企業製品である
自動車でながめてみると、そういう
ような引き上げ計画を持っておるのかというと、それはそうはなっていない。新鶴見操車場から同じバレイショのコースで私は調べてみたんですが、
北海道の札幌まで四十九年度で
自動車が五百八十八トン
輸送されておりますが、一体この引き上げ率というのは何倍になっておるのか、ひとつ答えていただきたいと思う。