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1976-10-27 第78回国会 参議院 運輸委員会、農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)    午後二時二分開会     —————————————   委員氏名    運輸委員     委員長         上林繁次郎君     理 事         岡本  悟君     理 事         中村 太郎君     理 事         瀬谷 英行君     理 事         三木 忠雄君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    農林水産委員     委員長         小林 国司君     理 事         青井 政美君     理 事         鈴木 省吾君     理 事         辻  一彦君     理 事         鶴園 哲夫君     理 事         相沢 武彦君                 岩上 妙子君                 大島 友治君                久次米健太郎君                 佐多 宗二君                 佐藤  隆君                 園田 清充君                 初村滝一郎君                 平泉  渉君                 山内 一郎君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 志苫  裕君                 前川  旦君                 宮崎 正義君                 小巻 敏雄君                 塚田 大願君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 木村 睦男君                 佐藤 信二君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                目黒朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君    農林水産委員会     委員長         小林 国司君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 鶴園 哲夫君                 相沢 武彦君     委 員                久次米健太郎君                 佐多 宗二君                 園田 清充君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 志苫  裕君                 宮崎 正義君                 小巻 敏雄君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        農林省食品流通        局長       今村 宣夫君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付)     —————————————   〔運輸委員長上林繁次郎委員長席に着く〕
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) これより運輸委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。  これより質疑を行います。御質疑のある方は御発言願います。
  3. 園田清充

    園田清充君 本日の連合審査のトップだということで、かなり数多くの実は質問を用意いたしましたが、持ち時間が二十分だということでございますので、私も簡単に質問いたしますし、答えもまた明快率直にひとつお願いを申し上げたいと思います。  そこで、まず第一に、運輸大臣お尋ねをいたしますが、今回の国鉄値上げは即私はこれは再建へ向かっての第一歩だと、こう理解をいたしておるわけでございます。今日、労使双方国鉄再建をしようということで部外者の私どもにもひしとその再建についての意欲というものが感ぜられることは、これは国鉄にとって非常に私は喜ばしいことだと思うんです。ただし、陸運統計その他を見てみますと、今日までかなりの、特に私ども農林水産物関係国鉄離れをしておるということが統計上あらわれておると思います。  そこで、今回の値上げによって、より以上国鉄離れが出てくるのではないかということを実は懸念をするわけでございます。しかし、いま申し上げましたとおり、新総裁、国民の信にこたえるためには労使関係の改善だというようなことから積極的に体制を整えて努力をしていらっしゃる。この点については敬意を表するものでございますが、そこで、所管大臣である運輸大臣として、この値上げによって国鉄離れをさせず荷物をふやしていく、特に貨物関係をふやしていくということについてどういうお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、所管大臣としての考え方をひとつお聞かせを願いたいと、こう思います。
  4. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 特に貨物部門赤字が非常に多いのは事実でございますし、それはこの近年の経済成長近代化に伴います輸送構造産業構造変化、あるいは立地条件変化というようなものに適応できなかったことが一番大きな原因ように思います。まず、そういう変化に適応する体制を速やかにとる。しかし一方、エネルギー経済から申しますと、鉄道輸送は海、船に次いで有利な条件のもとにありますので、やりようによっては必ず未来が開けるという確信と意欲を燃やして取り組んでいきたいと思っております。
  5. 園田清充

    園田清充君 非常にただいま決意のほどを伺いましたので、そこで次に、いま申し上げましたとおり、陸運統計等から見ましても、自動車輸送かなり変わっているという事実、そこで、今回の値上げによってなお国鉄離れをしやしないかという点が心配されるわけでございますが、同時に私が一番心配をすることは、国鉄自体運賃から考えますと、今回の値上げは私は決して不適切ではないと思っているのです。これは石油ショック以来、ほかのものはすべて物価新体系という中で吸収されていったが、国鉄だけは取り残されたと考えてもよかろうかと思います。  そこで、今回の改定は、私としては賛成でございますが、ただ自動車部門等便乗値上げが出てきはしないかということが心配されますので、運輸大臣としてこの点どういうふうな指導方針を持っていらっしゃるのか、行政指導についての運輸大臣のお考え方をお聞かせ願いたいと、こう思うのです。
  6. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 自動車、それから海運、バス、飛行機と、それぞれみんな運輸省所管ではございますが、それぞれ競合関係にあって、したがって、国鉄は過去の独占的な形、立場というものは失ったわけでございます。  したがって、この国鉄運賃値上げが他の便乗値上げに刺激を加えるのではないかという御心配があると思いますが、許可、認可を与えますバス、あるいは私鉄、あるいは航空については厳格な原価主義をとって実施いたしたいと思っております。特に私鉄は、昨年の暮れに上げたばかりでありまして、二年間は上げさせないつもりでございます。トラック等についても同様の方針で臨みたいと考えております。
  7. 園田清充

    園田清充君 そこで、具体的な問題に入ってまいりますけれども、私ども農林水産委員会といたしましては、四十八年九月十三日実は全会一致決議をいたしておるわけでございます。  それは、国鉄貨物運賃に関する決議ということで、   政府は、さきに長年にわたって継続されてき  た農林水産関係物資に対する公共政策割引を廃  止するとともに、これに引き続いて貨物等級制  度の改正を含む国鉄貨物運賃の引上げを実施し  ようとしている。これらにより農林水産関係物  資の国鉄貨物運賃は、平均をはるかに上回る値  上げを来たすことになり、既往の運賃前提に  している農林水産業に与える影響はきわめて深  刻である。   よって政府は、この影響をできるだけ緩和す  るための対応策を検討し、速かに特段の措置を  講ずべきである。   右決議する。ということで決議をいたしましたし、担当国務大臣として大臣から、決議趣旨云々という、これは国会でどの決議に対しても同じようなことが言われておるわけでございますが、そこで、今回の改定に当たってこの点を、私ども全会一致決議をどのように参酌されて改定をお進めになっていらっしゃるのか、この点について、大臣もしくは国鉄総裁からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  8. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その決議承知いたしております。これは四十九年度の値上げに対しての決議承知しておるわけであります。で、今度の値上げ、あるいは今度の国鉄再建に当たりましては、私は基本的に、従来国鉄が健全な営業を続けておった時代に引き受けてきた公共負担あるいは政策負担、こういうものは赤字で苦しんでおる国鉄負担すべき性格のものではない、政策実施機関において負担をしてもらうべきものだと、こういう考えで今後この国鉄再建に臨みたいと思っております。まだ、十分関係省庁との間の意見の調整は済んでおりませんが、私はこの問題にこういう態度で臨むつもりでございます。ただ、国鉄営業政策配慮するというような問題は、あるいはまたその経過的な問題はこれは別でございます。
  9. 園田清充

    園田清充君 いま大臣の御答弁、全く私は党の考え方に沿っておろうかと思います。これは四十六年九月二十八日、現在の外務大臣小坂政調会長が現職のときに、いまおっしゃったよう措置をとるべきだということを、政調会長として関係省庁に対して御通知をなすっております。全くそのとおりだと思います。  そこで、大臣が特に秋田の御出身であり、農業県の御出身であるだけに、農業についての御理解が非常に深いこと、こう理解をいたしておりますので、今回の運賃改正政府九州北海道、東北、これは日本食糧基地だとかねがね言っていることは、もう大臣承知のとおりだと思います。そこで、いまのこの遠隔地農家というものの立場考えますと、大体生産資材というのはほとんど消費地でできているんです。それが長距離輸送をやって、いまの生産地に運ばれ、そしてできた物がまた消費地農林水産物として運ばれてくると。ところが、農家自体にとりますと、やはりこれは一種のダブルパンチであって、その農家自体所得というものに重大な影響を来しますので、非常に農村関係には御理解のある運輸大臣でございますので、運輸大臣としてよりもむしろ国務大臣として、この辺のことをどう配慮されているのか、ひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  10. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 運輸大臣として国鉄をお預りしておる立場は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、国務大臣といたしましてこの農家農産物輸送、あるいは農家必需品輸送、そういうものに及ぼす影響等について政策的な配慮をしなきゃならぬものだとは考えております。
  11. 園田清充

    園田清充君 なお、大臣に重ねてお尋ねをいたしますけれども、やはり今日わが党がとっておる経済政策、これが高度成長政策から安定成長、言いかえるならば減速経済体制に入ったと申し上げてもよろしかろうと思います。そうした経済体制の中で一番大事なことは、この安定成長政策が成功するかしないかということのかぎは、私は物価の安定にあろうかと思うんです。  そこで、今回の国鉄値上げによって安定成長下経済政策物価政策という観点から考えますと、いろいろ問題があるような気がいたします。なかんずく農林水産物関係物価指数の中に占める比重が非常に大きいだけに、物価政策上の問題としてこの辺もどうお考えになって今回のことを御提案になっているのか重ねてひとつ、似たよう質問でございますけれどもお聞かせを願えればと、こう思います。
  12. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどお答え申し上げましたように、物価政策の上から言っても、あるいは農家経済の維持から言っても、特別の配慮が必要だとは思います。しかしながら、そういうことはやはり政策実施官庁において負担をして、赤字で苦しんでおる国鉄に押しつけないで処理すべきものだと考えておる次第であります。
  13. 園田清充

    園田清充君 大臣の基本的な考え方というようなことは、これはわかりました。  そこで、国鉄総裁か、あるいはこれは事務的な問題になろうかと思いますので監査局長でもよろしゅうございますが、いま私が大臣お尋ねをしたように国の農林政策、その基本となるものは総合農政ということで今日の農業政策が進められている。これは言いかえるならば、米から他の作物に転換を進めていくということがわかりやすく言うと総合農政の姿だと思います。そういう中で問題を取り上げて考えてみますと、きょうは食品流通局長農林省からお見えのようでございますけども、今回の改定を見てみますと、等級でそれぞれ配慮はなされておると思いますが、ただ、出されてきておるものを見ると前回のとおりをそのまま踏襲していらっしゃるというのが、今回の等級として出てまいっておるのが現実でございます。そこで、何か私どもからすると、国の政策そのもの自体が安易な姿の中で国鉄運賃が無難に通りさえすればいいというよう考え方が若干でもあったとするならば、これは厳しく戒めなければならないという考え方を持っておるわけでございます。  そこで、農林当局と、この問題について関係当局の間でどう協議をされて例の等級問題を御決定になったのか、これは国鉄の方からか、監督局長の方からかどっちでもよろしゅうございますが、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  14. 住田正二

    政府委員住田正二君) 現在、御承知よう政策等級といたしまして、本来一等級あるいは二等級物資を三等級に下げるというよう措置をとっております品目は六十四品目ほどございます。今回の運賃値上げに当たりまして、従来からの方針で、できるだけ公共割引については修正したらどうかという意見もあったわけでございますけれど、しかし、運賃値上げをやりますと同時に等級の変更をやるとこれはダブルで響きますので、今回はそういうよう影響をできるだけ抑えるという意味等級制度には手をつけなかったわけでございます。  私どもといたしましては、先ほどお話がございましたように、できるだけ政策割引的なものは政策官庁の方で御負担いただきたいということでお願いいたしてきているわけでございますけど、政策官庁の方でもそれぞれの御事情がありましてなかなか実現がむずかしいということで、結果的には従来どおりの方式で値上げをしたということになったわけでございます。
  15. 園田清充

    園田清充君 いまおっしゃったこと、それから大臣のさっきの御答弁、これは大臣、特に現内閣の最も総理の身近な相談相手でございますのでお願いを申し上げておきたいのは、せっかくさっき御答弁になったようなこと、これが国鉄苦脳もわかります、運輸省自体いろいろ指導にかたい決意の中で取り組んでいらっしゃることもわかります。しかし、おっしゃったとおり、各省庁においてそれぞれ党の機関から、かくした予算編成をとるべきだということが指示されたにかかわらず今日まで具体化されていない。こういうことがいわゆる国鉄利用者層である農林水産業者負担となって返ってくる。そこで、おっしゃるとおり、やはりこうした農業政策を、特に食糧基地と言われる遠隔地農業に対して配慮をするならば、それが各省庁でやるべきだということであるならば、やはりこれは閣議その他でお決めいただかなければ、私は事務的な問題としてはなかなか片づかないんじゃないかと、こういう気がいたしますので、ひとつ重ねて大臣にその努力決意のほどをお伺いできるならばと、こう思います。
  16. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 従来の長い行きがかりがございますので、そう簡単にいく問題だとは思いません。しかしながら、その長い行きがかり国鉄の経営が健全であった時代のことでありまして、国鉄赤字のままほうっておけない、これを再建しなきゃならないと。独立採算制を強要される前提としては、やっぱり公共負担とか政策割引等は、政策実施部門負担をしてもらうというたてまえで臨まなきゃなりませんが、これは決して事務的な問題じゃございませんので、御説のとおり、予算編成期に入りましたら強く閣議等において要望をし、各省庁理解を得たいと考えております。
  17. 園田清充

    園田清充君 ただいま大臣からお話がございましたとおり、私どももそのことが速やかに具体化することを実は期待をいたすわけでございますので、運輸大臣の重ねてのひとつ御努力お願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、国鉄総裁お尋ねをいたしますけれども、いま大臣から答弁がありましたとおり、営業割引だとか、いろいろ総裁専決事項の中で処理できる問題は処理していく。同時に私は大事なことは、やはり総裁自体専決でできることが、見ていますとたくさんあるようでございます。そこで、国鉄離れをいかに取り返すかということが大事だと思うんです。私ども農林水産関係貨物について、できるならばひとつ総裁専決事項の中で御配慮願えればと。同時に、一方的なものは要求をいたしておるわけではございません。私ども団体に所属いたしておりますので、その所属する団体が、やはりいま冒頭申し上げたとおり、国鉄再建だという重要な使命を担って労使一体となって取り組んでいこうという姿勢が出たときでございますので、荷を多くしていくことへの協力ということもまた惜しんではならないという気でおるわけでございます。  特に北海道九州、四国を初め遠隔地農家への配慮として私が特にお願いを申し上げておきたいのは、いま特に西の方でございますけれどもハウス農業、これが日本農業に革命をもたらしておるわけでございます。さような点から塩化ビニール、同時に農機具等、もう一つ生産物でございますけれどもミカン、これが西南暖地のいま農家所得の柱と申し上げても過言ではなかろうかと思うんです。だから、こういう物について、私はここで確約をしてくださいということは総裁も非常に、そろばんもおはじきにならなきゃならないんでむずかしい面もあろうかと思いますので、おまえの言ったことはよくわかったから検討するぞという御答弁をいただければ私はそれで満足するつもりでございますので、ひとつ私の意のあるところを御参酌をいただいて、総裁の御答弁を承りたいと思います。
  18. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 近来貨物の取り扱いが大変減っておりますが、その減った原因一つには、どうも安定輸送が十分行えていないと、そういうことから農産物を初めといたしまして、傷みやすい品物について国鉄を利用していただけない状態がかなり急速に進んでおるわけでございます。そこで、私どもといたしましても、大事なお客さんであります農産物、特にまとまった数量の農産物をもう一度うちの方で運ばしていただきたい、あるいは現にうちの方を利用していただいておりますお客さんに対しては、ぜひ今後ともお願いをいたしたいという気持を強く持っておるわけでございまして、その意味で、季節的に大量に移出されますよう品物中心にいたしまして、現場におきまして各荷主さんと篤と相談をするように申しつけておるところでございまして、個別個別の地域、あるいは個別個別の商品ごとにいろいろ特殊事情がございましょうから、その特殊事情をよく伺って、それに応じて運賃営業割引制度についても弾力的に運用するようにという指図をいたしておるところでございます。  ただいまお尋ねのもろもろの商品につきましては、詳しくは私わかりませんけれども、基本的にはそういう気持ちでございますので、先生の方からも各荷主さんに御指導いただきまして、今後とも私の方を大いに利用していただくようお願いをいたしたい。それに関しては営業割引制度を相応に活用さしていきたいというふうに考えております。
  19. 園田清充

    園田清充君 終わります。
  20. 工藤良平

    工藤良平君 私は、農林水産立場から御質問をしてまいりたいと思います。ちょうど四十八年も私同じようにこの連合審査農産物中心といたしました貨物の問題について御質問をいたしたわけですが、いま園田委員からもお話がありましたのでできるだけ重複を避けたいと思いますが、肝心なところをもう少し詰めなきゃいかぬと思いますので、これから二、三基本的な問題について伺って、その問題を集中的に聞きたいと思います。  今度の法改正に当たりまして、この提案理由説明を読みましても、国鉄交通体系の中における果たさなければならない役割りというものが浮き彫りにされておりますけれども、まず基本的にその問題について大臣から御見解を伺いたいと思います。
  21. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄総合輸送体系の中で果たす役割りは、まず第一に都市の間の交通確保、それから大都市圏の圏内の交通確保、それから第三番目には中長距離貨物輸送ということが国鉄の果たすべき役割りだと考えております。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 いま三つのお話がございましたが、いずれも非常に重要な問題でございますが、特に私は、いまお話がありました中で中長距離大量貨物輸送の問題について国鉄の果たす役割りというものがきわめて大きいと思いますが、現在、この三番目の交通体系の中で果たしている数字的な傾向というもの、それをちょっと数字的にお示しいただきたいと思います。
  23. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄は、いま大臣から御答弁申し上げましたように、中長距離貨物輸送を主たる役割りといたしているわけでございます。ただ、この十年間、あるいは十五年ぐらいになるかもしれませんけれども経済情勢の変化に伴いまして国鉄の競争力が非常に落ちております。そのために、昭和三十五年ぐらいですと大体日本貨物輸送の三五%ぐらいを国鉄輸送をいたしておったわけでございますけれども、競争力が弱いためにトラック、あるいは船の方に貨物が流れまして、最近では三五%程度の低いシェアになっております。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話しのように、貨物の部門においてはかなり長距離の問題につきましてもシェアが低下をしているというようお話でございますが、これは後ほどまた議論を進めたいと思いますが、それでは人の輸送について、中長距離についての傾向は同様でございますか。
  25. 住田正二

    政府委員住田正二君) 旅客につきましても、国内輸送全体におけるシェアは減ってきておりますけれども、ただ中長距離につきましては比較的減り方が少ないというように見ております。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 それはもっと具体的に言いますと、新幹線によって中長距離輸送の率というものを辛うじて低下を抑えているということに解釈できますか。
  27. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄輸送いたしております旅客数の中で新幹線の旅客が非常にふえておりますので、そういうように解釈していただいて結構だと思います。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、今回のこの値上げの案を私見まして感ずるのでありますが、新幹線の利用は確かに今日まで私はふえてきておると思いますし、非常に莫大な金をかけての設備でありますから、当然そうなければならないとも思います。しかし、この政府の資料の四十三ページにもありますように、たとえば私は九州ですけれども、博多から東京に来る場合に、たとえばグリーン車を使って今回の改正案で東京に来る場合と、飛行機を使った場合にどちらが金がかからないのか。しかも、時間的な問題というものも非常に違いがあるのでありますけれども、そういう点を判断をいたしますと、今回のこの値上げというものは、果たして中長距離、特に長距離の場合の役割りというものについて、問題が私は残ってくるような気がするのでありますけれども、その点についてのお考え方を示していただきたいと思います。
  29. 住田正二

    政府委員住田正二君) 確かに御指摘のように今回の値上げをいたしますと、航空運賃との差が縮小いたしているわけでございますけれども、やはり新幹線と航空とを比較いたしました場合に、新幹線につきましては非常に確実に出るとか、あるいは飛行機と違いまして駅がたくさんあるわけでございますので、近くの駅に行った方が便利であるというふうなことがございますので、飛行機との運賃の格差が減りましても、そのためにもちろん影響はないとは申しませんけれども、新幹線のお客さんが航空の方に大幅に流れるというような結果にはならない、さように見ているわけでございます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 いま航空機運賃と縮小したと言いますけれども、私がいただいておる資料では、たとえば東京−博多間が、グリーン車に乗った場合には二万三千円に新幹線ではなるということですね。東京−仙台間が八千九百円。ところが、航空運賃の方はどうかと言いますと、博多から来た場合には二万百円なんであります。仙台から来た場合には八千百円ということで、いずれも航空運賃の方がかなり割り安になるわけであります。  そういたしますと、せっかく国鉄再建案をつくりましてこれが大きな役割りを果たすでありましょうけれども、逆にやはり航空運賃の方が安いということになりますと、かなりそちらの方にお客は流れてしまうのではないかということを私は懸念をするわけですが、この点については、逆に航空運賃を上げて調整をとるということに、またイタチごっこみたいな形になるんではないかと思うんですが、この点は大臣、どのようにお考えですか。
  31. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 航空運賃の認可は厳格な原価主義をとっておりますので、鉄道の運賃との関連において上がるというようなことはいたさない方針でございます。
  32. 工藤良平

    工藤良平君 それであれば、当分の間、航空運賃の引き上げはないと判断をしてよろしゅうございますね。
  33. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今回の国鉄運賃値上げに関連をしてそういうような動き、それに比較をして流れていくという値上げというものはないと、こう考えていただいて結構だと思います。
  34. 工藤良平

    工藤良平君 国鉄にもう一遍お伺いいたしますが、このように逆に新幹線のグリーンはいまかなり利用いたしますので、そうするとグリーンの利用者というのは飛行機の方が福岡から来る場合に三千円安いということになれば、時間的な問題についてもかなりな大きな違いがあるわけですから、値上げはしたわ、お客さんは少なくなるという懸念というのはないわけですか。その点をひとつ聞いておきたいと思います。
  35. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたのはグリーンでない、一般の旅客について申し上げたわけでございます。グリーンにつきましては、御指摘のように確かに航空よりも新幹線の運賃の方が高くなっております。ただ航空機が運ぶ旅客の数というものはそう多くはないわけでございまして、たとえば東京−大阪を例にとりましても、グリーンのお客さんと航空のお客さんのどちらが多いかといいますと、新幹線の方が多いわけでございます。で、長距離になりますと、たとえば北海道と東京ということになりますと、これはすでに運賃のいかんにかかわらず航空機を利用されるお客さんの方が圧倒的に多い数字を示しております。で、全般的に申し上げますと、グリーンの場合にはある程度お客さんが航空に流れることも予想できますけれども、しかし、それによって国鉄運賃収入が大幅に減るというような結果にはならないと見ております。
  36. 工藤良平

    工藤良平君 この問題もっと深くやりたいのですけれども、本題がありますから、私はこの程度にしておきたいと思いますけれども、たとえばこういう具体的な例が運賃値上げの矛盾として出てくるように私は思います。後ほどまた貨物のときにちょっと指摘をしますけれども。したがって、国鉄が今回の改正案によって再建を図ろうとする努力は私はわかりますけれども、ただその内容についてもっと抜本的な検討というものが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的に貨物の問題についてこれから質問を進めてまいりますけれども、四十八年の際も私も同じよう質問をしてきているわけですが、貨物部分が非常に成績がよくない。赤字の累積というものが国鉄の全体的な赤字というものを形づくっているのだという点が指摘をされたわけでありまして、その際に、先ほどお話がありましたように、割引制度等につきましても大幅な改定が行われたように私は理解をいたしております。そういう経緯を経ながら、それでは今日貨物部門中心にしてどのような改善が図られ、しかもそれは現在の損失、あるいは繰越欠損の中で具体的にその変化はどのような形を形成してきているのか、その傾向についてでもよろしゅうございますが、お聞かせいただきたいと思うのです。
  37. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御説明申し上げます。  貨物につきましては、ひとつ背景を申し上げますと、燃料革命以来、四千万トン送っておりましたこれは例でございますけれども石炭がほとんど壊滅いたしまして、そのかわり石油類につきましてはごくわずかしか送っておりませんのを努力して千六百万トン送るというような背景が一つございます。それから港湾関係の整備に伴います海外の資源の依存によりまして、臨海工業地帯が非常に発展してまいりまして、物の流れが陸から海へとさらに内航海運が非常に繁栄をしたという過去がございます。それから内部の内陸工業団地、こういうところにつきましては、大体国鉄の駅の近くは非常に土地が高うございまして、できるだけ駅から離れた安い土地を工業団地に充てるという傾向がございますために、鉄道指向型よりもむしろ道路指向型になった。そのために、小回りのきく少量物品については自動車をどんどん利用される形になりました。  こういうような形で、そういう背景の中で私ども一生懸命物資輸送、あるいはコンテナ輸送という形の努力をいたしてまいりましたけれども、まあここ四、五年の過去を振り返ってまいりますと、ストと、また災害と安定輸送に欠けた面、これは非常に反省をいたしております。これは今後貨物の立て直しのためには労使協調してやっていかなくてはならない、安定輸送の確立をしなくちゃならぬと思っております。そのほかに、やはり先ほど運輸大臣等からいろいろ説明がありましたように、経済情勢に対する対応というものが非常におくれた、たとえば設備投資をごらんになりましても、貨物に対する設備投資は、大体全体の設備投資の一割を切っているというような現状で近代化が非常におくれてまいりましたために現在の情勢になりましたですけれども、今後私ども考えておりますのは、やはり貨物の根本的体質、要するにトラックは小回りがききまして、特に区域トラックにつきましては、これはわかりいい言葉で言いますとオーダーメードであると、どこどこの品物を何時までにどこどこへ着けてくれと。国鉄の場合は鉄道のほかに両端に戸口から戸口へ参りますためには通運業というものをはさみますので、まあ大いなる部品であります。しかも、列車はすでに設定した列車を使って貨物輸送をするということでレディーメードでございます。  このレディーメードの性格を徹底的に改善いたしますためには、やはりコストを下げていく。そしてできるだけ、現在複雑な列車体系になっておりますのを簡単にいたしまして、そしてコストを下げて、しかも従業員のヤードの作業も非常に複雑になっておりますし、それを簡便化して徹底的なコストダウンを図っていくと、そして再建対策要綱にございますように、昭和五十五年度までに直接経費——われわれの言葉で固有経費という表現を使っておりますが、直接経費を賄うよう努力すると、こういう方向で現在鋭意改善策を練っておりますと同時に努力をいたしております。
  38. 工藤良平

    工藤良平君 そこで私は、この貨物輸送の中における特に農産物の問題、いま園田議員からも御質問ございましたけれども、この点については等級制によりまして若干の割引制度というのがあるわけですが、大臣はこれをもちろん今日の段階で改正する考え方もないようでありますけれども、それはそれぞれの各関係省庁で対策をしなさいという御意見でした。  今回のこの貨物値上げにつきましては、この一等、二等、三等、それぞれ何%の平均的な引き上げを図っているわけでありますか。
  39. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 車扱い貨物につきましては鉄道運賃は五八・六%引き上げます。で、しかも等級改正はいたしませんので一級、二級、三級、これはそれぞれ一割ずつの間差になっておりますが、それぞれ五八・六%引き上げることになります。
  40. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、もちろん従来から非常に級別の段階が多かったわけですけれども、これを整理して三階級にいたしたわけですね。  そこで問題は、私ども九州あたりでは、特にミカンの輸送につきましてはやはり貨物輸送というのが——もちろん日程的な問題については、トラックよりも一日半ないし二日おくれるわけで、市場の関係からいたしますと非常に問題はあるのですけれども、現在長距離輸送という立場から、ミカンの場合に特に貨車を利用するわけですけれども、したがって、これは重要な問題になります。と申しますのは、特にこういう生鮮食料品の場合には、運賃が直接非常に大きなウェートを持つわけでありまして、これが全体的に吸収されないという性格を持っているわけです。もろにそれが消費者にかかってくる、あるいは生産者にかかってくるということになるわけでありまして、これは一つの例示でありますけれども、たとえばこの五十年の九州ミカンの東京輸送の場合を例にとってみますと、生産費が五十二円四十八銭という計算が出ているわけですが、この中で市場価格を六十円として計算をいたした図表がございまして、それによりますと、市場手数料が四円二十銭、輸送費が八円七十五銭、選果、包装費が十五円四十七銭、農家手取りが三十一円五十八銭ということで、実際に大変な赤字が出るという計算が出てきております。  今回の改定の場合を計算をいたしますと、その輸送費の八円七十五銭というのが十二円六十五銭ということで、これがもろに生産者と消費者の関係になってまいりまして、現在のところ消費者のミカンの価格というのは余り大きく上昇いたしておりませんので、そういたしますと、農家赤字というのは昨年に比較をいたしましてさらに増大をするという結果が出ておるわけですね。したがってそういう意味から、さっき園田議員も要請がございましたように、貨物等級表において、できれば二等級となっている現在のミカンを三等級に、これはもうリンゴも含まれるわけですけれども、三等級にしてほしいという要請が非常に強いわけです。そのことを、私は特にこの考え方を聞きたいと思っているんですが、これは四十ページの中に、私は先ほど表を見ましたけれども、ちょっとこれを矛盾に感じますから、それに関連をしてお答えをいただきたいと思うんですが、たとえばリンゴ、ミカンの場合には、いまおっしゃるように二等級でございまして、今度の改定案の比較で見ますとリンゴが五九%、それからミカンが五八・八%という改定率になっております。  ところが、たとえば銅鉱の場合ですね。銅は特別のいま現在の状態ですからそのことも考えられますけれども、同じ二等級でありますけれどもこれが五七、それから肥料がこれはもちろん三等級でありますが五六・九、それから一番下の欄ですが扇風機、これは一等級ですけれども五七%というように、値上げ率から見ましてもリンゴ、ミカンというのはなぜ高いところに置かれているのか、ミカンやリンゴは現在の東京都の消費弾性値調査によりましても、毎日ミカンが食べたい、リンゴが食べたい、こういう調査が出ているわけです。そういたしますと、いま私たちの食生活の中においては、いまや果物というのは必需品になってしまっている。  そういう状況から考えてみて、少なくとも同じ等級の中で見ても、リンゴやミカンが非常に高いランクにある。私はそういうことを考えてみると、これは非常に問題がある。いまだにミカンやリンゴというのは何か高級的な物のような感覚にあるんじゃないかという気がするわけで、そういうものじゃなくて、これは調査をしてみても、ミカンやリンゴを毎日食べたいという希望が圧倒的に強い。いまや米と同じようなウエートを持ってきているということから考えてみまして、当然これは私は二等級を三等級にすべきではないか。それと同時に、また今度の値上げ率を見ましてもこういう矛盾が出ておりますから、これについてどのようにお考えになっているか、時間もありませんから、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  41. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いま御説明いただきました扇風機の例、その他それぞれ五七%もあるし五九%もあるという御指摘がございましたけれども、これはミカンであるから五八・幾らということではございませんで、貨物の遠距離逓減をいたしておりますが、その場合に、たとえば百キロ以内は五キロ刻み。運賃計算の場合。あるいは五百キロ以下は十キロ刻みというふうに、まず刻みの問題で多少のでこぼこが出てまいります。それからさらに何ですか、端数処理でございますね。運賃が何円何十銭になったというような場合に百円に切り上げる。あるいは一万円以上は五百円単位に切り上げてしまうというようなことがございまして、実際にはその約一%程度のでこぼこが出てまいると思いますが、制度の適用に当たりましては、先ほど私申し上げましたように五八・六%ということでございます。  それから、遠距離逓減のお話を少しさしていただきたいと思いますけれども農家の運送費が八円、恐らく正確には七円九十銭だろうと思いますが、そして今度が十二円になるということでございますけれども、大分からたとえば東京市場ということになりますと約千二百キロぐらいでございますが、その場合にはその十二円の五一%分、要するに六円幾らになると思いますけれども、そのトンキロ当たりの運賃が低い運賃で適用されることになりますので、先ほどの十二円が六円から七円ぐらいになるんじゃなかろうかというふうに私考えております。
  42. 工藤良平

    工藤良平君 いま遠距離逓減のお話がありましたから、これは私、先ほど聞こうと思ったんですけれども、これを避けたんですが、あえて御答弁がありましたから……。  そういたしますと、いま私が申し上げましたリンゴというのは、この表でいきますと七百四十四キロ、ミカンの場合には八幡浜ですから千七十二キロなんですよ。そうすると、銅鉱の場合の先ほど申し上げました例は二百五キロ、扇風機の場合にも七百九十三キロ、肥料が三十四キロなんです。遠距離逓減でいきますと、私が言ったリンゴ、ミカンというのは遠距離なんですから、私は遠距離が安くて近距離が高いと思っていたんですけれども、それは逆なんですか。この表から見ますと逆になるわけですよ。私は、遠距離の場合には逓減されるというように、これは普通、人員の輸送の場合には、旅客運賃の場合にはそうなるわけですが、いまおっしゃるようなことになりますと、これは逆になるわけですか。ですから私はそういうことを指摘をしているわけですね。そうすると、この一・八とか二%の差というのは、ちょっと私は開き過ぎるような気がするんです。逆に遠距離をミカンやリンゴはとっているわけですからね。私は逆にならなきゃいかぬというような気がするんですが、貨物の場合には遠距離の場合が高くて、近距離の場合には安いんですか。その点はっきりしてください。
  43. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 非常に私、実は説明が下手でございまして、遠距離逓減のお話をいたしましたために、少し話がこんがらがられたというふうに感じますが、もともと遠距離逓減をいたしておりますので、今度の値上げに関して特に遠距離逓減をきつくしたわけじゃございません。したがいまして、先生の疑問は、たとえば米は新発田から品川は三百五十三キロで五七・一じゃないかと、あるいはミカンは八幡浜−汐留は五八・八じゃないかと、ここに一%というけれども、一、二%の差があるのは大き過ぎるんじゃないかという御説明で、これは遠距離逓減とは関係ございませんで、先ほど申し上げましたように、貨物運賃計算をいたします場合に距離刻みがございます。一キロ幾らというふうに計算はいたしますけれども、それぞれたとえば百キロまでの計算ですと五キロを単位に計算いたします。そうすると、三キロ余分にとられる人もありますし、四キロ余分にとられる人もあります。そういう形の中でこのキロ程を計算してまいりますと五七というものも出てまいりますし、五八というものも出てまいります。  そのほかには運賃の端数処理でございますね、端数整理。たとえば一万円以上の場合は、この表を見ていただきますと全部二百円単位になっておりますね。七百円とか五百円とかということで端数切り上げをいたしておりますので、それで最終的には五七・一%、五七・九%というようなばらつきが出てまいりますが、大体平均をいたしますと五八・六ということでございまして、制度的なそういう細かいところからこういう差が出てまいりましたので、特にミカン、リンゴだからということで目のかたきにいたしておるわけではございませんし、また、大分のミカンにつきましては、これとは別に遠距離逓減ということで、今度は八円が十二円になるという御指摘がございましたけれども、それよりは遠距離逓減によりまして安くなっておりますという余分な説明を申し上げたものですから、どうも失礼申し上げました。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 私がこの表を一見しますと、そういう実は矛盾を感ずるわけでありますから、まあそれは私の勉強不足かもわかりませんけれども、これを見ますと、確かに問題が私は残るような気がいたします。したがって、特にこの生鮮食料品の中でミカンやリンゴが、三等級から二等級にこれだけ上げがあるということは、現在、必需品としての私たちの消費の段階に入ってきている、しかも大事な果物でありますから、ぜひそういう点について、先ほど余り芳しくない御答弁でありましたけれども、私は必ずこれは次の機会なりには取り扱いについて善処を図っていただくようお願いをしたい、こういうよう考えるわけであります。  それから第二点は、包括契約による定形貨物輸送についての割引措置と、いまお話がありました農畜産物の遠距離輸送に対する逓減措置をもっと講じていただきたいという要請が農業団体からも出ておると思いますけれども、この点について、これは大臣の方からも、時間が参りましたから総括的に、さっきの私は園田さんへの御答弁ではどうも余り納得しませんので、いまのように矛盾もあるようですから、ぜひひとつこれは前向きに御検討いただいて、できれば今国会、この改正案が通るまでの間に修正できたら一番いいと思いますけれども、これはそちらの方でできる事項ではないかと思いますから、等級の中にそういうものも含めて十分な検討をしていただくということを私は大臣の方から御回答いただきたいと思っているわけです。
  45. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 農水産物の割引の問題、これは先ほどから申し上げておるように、政策実施部門においてお考えをいただきたいというのが基本的な考え方でございますが、それには時間もかかります。その経過的な措置、それからあるいは鉄道の営業上の措置については前向きで検討させたいと思います。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 時間が参りましたからこれで終わりますが、先ほども申し上げましたように、矛盾点を指摘してまいりますとたくさんあると思う。しかも、その矛盾点というのが、あるいは国鉄の労使の間の紛争という形で国民のひんしゅくを買い、それが労働者に対する大変大きな被害となって出てくるという可能性があるわけであります。たとえばミカン農家が労働組合に対して損害賠償を要求するというようなことも実は起こってくるわけでございまして、そういうことを私は好ましいことではないと思っております。したがって、今後この労使の関係につきましては、特に新総裁におきましても前向きにりっぱな慣行をつくっていただくように、私は特に要請を申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  47. 相沢武彦

    相沢武彦君 持ち時間が二十分でございますので、答弁は簡潔、口調はスピーディーにお願いしたいと思います。  今回の国鉄運賃改正法案によりますと、貨物運賃値上げが五八・六%とされておりますが、これが農林水産物価格等に与える影響というのはきわめて複雑かつ深刻なものであろうと思います。まず野菜、果物、生鮮魚介類、これは価格の決定を市場にゆだねている関係上、生産者手取りというのは市場価格から運賃諸経費を差し引いた額となりますので、運賃値上げ分はすべて生産物を出荷する農家負担になってしまうということです。たとえば出荷たけなわの、いまもお話出ました愛媛県のミカン生産農家が東京中央卸売市場に出荷する場合を調査してみますと、一戸当たり農家の平均出荷量を十二トンと仮定しまして、八幡浜から汐留まで千七十二キロの距離を十五トンのパワムで輸送したとしますと、現行、ミカンは二等級ですから運賃は六万八千円、こういう計算になります。これが改定率五八・六%で値上げされますと十万八千円というふうになります。出荷農家にとっては四万円まるまる負担増になるということになります。  そこで、運賃値上げは低所得にあえぐ農家経済を一層圧迫することになってしまいますが、まず最初に、農林省は各種農産物に対するコストアップ、この割合をどれぐらい見ているのか、それからまた、こういった生産農家に対する援助策を考えてはいないのか、簡単で結構です。
  48. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御承知のとおり、農産物輸送は主としてトラックに依存をしておりますが、遠隔地からの輸送国鉄に依存しているものも少なくないわけでございまして、私たちが一応今回の国鉄運賃改定農家に及ぼす影響につきまして、農産物農家手取り価格に対する国鉄運賃値上げ額の割合を試算をいたしますと、たとえば宮城県から東京都へ国鉄輸送されます米の場合ですと〇・三七%、それから北海道から東京都へ輸送されます場合は五・五%というふうなかっこうになっておりまして、その割合は必ずしも大きいとは言えないわけでございますが、その影響を極力緩和いたすために、政策等級制度の存続でありますとか、あるいは営業割引制度の弾力的運用につきまして運輸省と折衝を重ねておるところでございます。
  49. 相沢武彦

    相沢武彦君 運輸省国鉄としましては、国民生活に欠かすことのできない農林水産物が、運賃値上げによって社会的、経済的に弱い立場の人たちに負担をさせないということを、まず第一に考えとして持ってもらいたいと思います。この際、農林水産物並びに農業生産資材等について、等級制度見直しや運賃割引率を改正して、せめて貨物運賃が実質的に現状維持にとどまるような手段を講ずるお考えはないのかどうか。
  50. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういう影響を軽減をしなければならぬとは思います。思いますが、国鉄は長い間ずっと健全経営を続けてきました。そのきたときにはそういう負担は可能でありました。しかし、今日はもう御承知の状態であります。で、しかも一方において独立採算制を要求され、再建に苦闘しているのでありますから、そういう施策は、政策実施の責任のある官庁において負担措置をとっていただきたいものと思っております。
  51. 相沢武彦

    相沢武彦君 大臣、それはいつごろをめどに踏み切ろうというお考えなんですか。
  52. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、先ほど園田さんの御発言にもありましたが、与党の政務調査会においてもそういう方針をすでに何回も打ち出しておるわけでありまして、次年度の予算編成にはそういう方向へ向けて努力をいたしたいと思っております。ただ、にわかにできない場合、経過的な措置としての検討は、これはやむを得ないものだと、こう考えております。
  53. 相沢武彦

    相沢武彦君 国鉄総裁、あなた大蔵省におられたわけですが、こういった種類の予算は、財政的に見て、新規予算として得られる可能性があるとお思いですか。
  54. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 時代とともに国鉄経済が悪くなってきておりますから、全体として大蔵省としても財政的負担を累増さしてきておるわけでございます。今回の再建法におきましても、過去債務のたな上げのための支出をいたすことを財政当局も決めておるわけでございますが、これは過去においては全く考えられなかったことでございまして、そこらの判断は時代とともに変わっていくというふうに思われます。
  55. 相沢武彦

    相沢武彦君 政策実施官庁農林省としては、この点についてはどの程度対策を講じて進んでおりますか。
  56. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 生鮮食料品の消費者に及ぼす影響等を緩和いたしますために、農林省としましては食品流通の近代化農産物流通の近代化ということを第一に努めておるわけでございます。それに要する経費といたしましては、五十一年度で見ましても三百二十二億ぐらいに相なっておるわけでございます。したがいまして、そういう農林省の政策を通じまして、影響をできるだけ緩和するよう努力をいたしたいと、かよう考えておるわけでございます。
  57. 相沢武彦

    相沢武彦君 大臣政策実施官庁が準備できないうちに、抜き打ち的にやるというふうになりますと大変混乱を呼ぶし、生産者に対して大きな負担をこうむらせるわけでありまして、たとえば政策実施官庁予算の獲得が微々たるものに終わってしまう、そういうような場合は一遍にやめないで、かなりな部分を負担をして年次別に、段階的にだんだんその移行をするというような弾力的運用は考えておるのでしょうか。
  58. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどもお答えをいたしましたように、それは段階的に処理しなきゃならぬものと思っておりますが、基本原則は昔——たとえは悪いんですが、昔、金持ちであって、いま貧乏になったと、その金持ちであったときの寄付金と同じものを貧乏になっても払えというのは、これはどだい無理な話でありますので、基本的には政策実施官庁負担すべきものだという方針で進みたい。しかし、一遍にできない場合において、こちらが一方的に処理をするというようなことはいたすつもりはありません。
  59. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、農林水産物価格について問題になりますのは、運賃値上げによりまして農家の出荷採算点が上昇するという点であります。現在タマネギは、北海道の岩見沢から東京市場まで一千三百七十三キロ、ワムの十五トンで輸送しますと七万六千円で済みますけれども、今回の改定率で値上げが行われますと十二万五百円になります。トン当たり輸送費は八千三十三円になりまして、従来の五千六十七円に比較しますと二千九百六十七円上昇をするわけであります。この分、出荷コストが上昇いたしますから、タマネギの市場価格というものがトン当たり少なくとも二千九百六十七円だけは従来の出荷採算点というものを上回らなければ農家としても損失になるわけだと、こういう結果になってしまうわけですね。  タマネギだけでなくて、貨物輸送に従来依存している多くの農林水産物に同じような現象が生じてきますと、農林水産物の市場価格水準というものを引き上げることになって、これが消費者や、それから生産者に与える影響はきわめて大きいわけなんですが、この点について農林省としてはどういう見解をお持ちですか。
  60. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 運賃の上昇が農産物価格の上昇につながる幅というものは、私たちの計算ではそれほど大きなものではございませんが、しかし、とにかくコストが上がることは確かでございます。したがいまして、それをできる限り流通段階で消化をするということが重要なことではないかと、こういうふうに考えておりますが、したがいまして、そういう観点から、先ほど申し上げましたよう農産物流通の近代化対策ということを推し進めると。一方国鉄には、あるいは運輸省には、従来の政策等級の存続、あるいは営業割引の弾力的な運用を折衝をいたしまして、両面から対応してまいりたいと、かよう考えておるわけでございます。
  61. 相沢武彦

    相沢武彦君 従来も、流通段階で吸収すると言いながら、結局値上げの後、消費者及び生産者に一番負担増がかぶってくる、こういうことになっているわけです。北海道の場合は、農林水産物生産資材国鉄によって貨物輸送で本州へ移出した数量というのは、五十年度で約百八十五万トンという数字になっていますが、北海道は、九州と同じく、食糧供給基地としての役割りを果たしているんですが、消費地への長距離輸送をどうしても余儀なくされる、そういう立地条件にあります。したがって、生産者の負担は過重になってくる。  一方、道外から生活必需品や特に野菜等を遠隔地から移入をするために、運賃値上げによって、いわゆる北海道価格というものを助長させていく。結局、消費者にとっては、生活負担というものの苦しみは増大する一方だと思うんですね。まことにその点私どもは憂慮に耐えないわけですが、そこで運輸省国鉄お尋ねいたしますが、北海道で生産される農林水産物資のうち、長距離輸送を必要とする物資並びに北海道内での生産活動に必要な生産資材等を国鉄を利用して、しかも、たとえばジャガイモとか、タマネギのようにまとまった量を計画的に輸送する、こういった場合の運賃割引等の優遇措置、これをとることは考えていませんでしょうか。
  62. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 現在、いま御指摘になりました種類の物資につきましては、北海道発本州着の物につきまして、たとえば空のコンテナを東京へ回すというような場合は、それを活用していただくための割引をいたしております。空で帰るよりも載せて帰るということで割引をいたしております。それから一般車扱いになっておりますこれら物資につきましても、ある一定以上の出荷を契約していただきまして実現していただきますと割引をいたしております。で、こういう割引制度については、運賃改定後も実施するつもりでございます。
  63. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、貨物安定輸送についてお伺いをいたしたいんですが、大消費地における生鮮食料品等を、災害であるとか、あるいはストの行われたような緊急的な需要に対して、国鉄を利用して輸送をし、供給する場合の料金制度のあり方についてはどのようにお考えになっていますか。
  64. 真島健

    政府委員(真島健君) 大消費地における生鮮食料品の輸送、これがストライキ、災害等によりまして鉄道が使えなくなったというような場合に、私ども極力、ストライキのように事前にある程度期間がわかっておる、あるいは時期がわかっておる場合には、その事前のトラックによる振りかえ輸送、あるいは繰り上げ輸送というようなことを関係省庁と御連絡をいたしながら荷主団体その他に対して御指導申し上げて、できるだけそういう不都合が起こらないよう努力はいたします。ただ、やはりストライキ等が長期にわたる、あるいは災害等によりまして鉄道が長期にとまるというような場合には、原則といたしましては、陸運局等を通じまして一般自動車運送業者に対して道路運送法に基づきます緊急輸送命令というようなものを出しまして、生鮮食料品の供給に遺憾のないよう措置をしてまいっておるわけでございますが、その場合の料金につきましては、鉄道による運賃よりトラックに振りかえた場合にトラックによります運賃が原則として相当高うございますのでその差額を補償すると、こういうような形で現在まで行っております。
  65. 相沢武彦

    相沢武彦君 その場合たとえば道路決壊、橋梁の流失、こういうことで通常のコースよりも迂回をしなきゃならぬ、したがって、平常よりも輸送コストが高くなる、こういう場合の差額はどうなりますか。
  66. 真島健

    政府委員(真島健君) いま御指摘のような場合には、そこの迂回の長距離を通らなければならないということがはっきりしております場合には、当然その迂回をしてまいりましたためにトラック運賃が一番近い経路よりも高くなるわけでございますけれども、その運賃国鉄によって運ばれる場合の運賃との差額を補償するということでございます。
  67. 相沢武彦

    相沢武彦君 近年貨物国鉄離れというものが非常に著しいものがあるように思われますが、総合輸送体系における貨物輸送に対する国鉄の位置づけ、これをもっと明確にする必要があるんではないかと思いますが、この点いかがですか。
  68. 住田正二

    政府委員住田正二君) 総合交通体系といいますのは、交通手段には海運、トラック、鉄道、飛行機と、いろいろな交通手段があるわけでございまして、まあその特性を生かして最も効率的な体系を組むということではないかと思います。で、国鉄貨物の特色というのは、やはり大量に貨物を運ぶということ、それから距離が非常に長い、トラックは百キロ、二百キロ圏内を守備範囲にいたしておりますので、やはり国鉄の場合には中長距離をその輸送範囲にするということになると思います。そういう特徴のあるところが他の交通機関に対して競争力が強いということになるわけでございますので、そういう競争力の強い面を今後生かしていきたいと、さよう考えておるわけでございます。
  69. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほど災害及びストの場合の代替輸送お話出ましたけれども、どうも実際にそういう事態に立ち至ったときの国鉄貨物輸送に対する責任体制といいますか、これが非常に不備ではないかという声が利用者から多いわけであります。もっともっと国鉄貨物輸送に対する代替の責任を持てば、貨物輸送は定着するし増大するんだ。この点について、この代替輸送で目的地へ責任を持って輸送する体制、この辺は自信がありますか。  それから、もう時間なくなりましたから、ちょっと一言つけ加えますが、たとえば現在北海道の場合で、関西向けの生乳ですが、これは全量小樽から舞鶴へフェリーを使って運んでおります。一日二百トン、八月から十月、三カ月間で五万トン運んでおるわけですが、どうもこの災害、ストのときの代替輸送国鉄さんでは危なくてだめだと。それでこういった利用業者、生産者団体に言わせますと、一回分たとえば途中で腐ってしまった。それに伴うリスク、損失を負う程度のことはがまんできる、問題は要するに商取引の相手方の信用を失って、そんなに不安定ならば別な生産地からとってしまうと、これが一番困るんだということなんですね。  高木総裁は、青函トンネルが完成した暁には輸送量の増大を図るんだと。貨物も当然図られると思うんですけれども、いまのような調子では青函トンネルができたって貨物量はそんなに簡単に増大しないんじゃないか、回復しないんじゃないか、こう思われますが、代替輸送の責任体制と、それから労使の円満な話し合いによって国鉄再建がされるまでの間、消費者や、それから特に農水産物の生産者、こういう人たちに迷惑かかるような結果にならないように、スト回避をするための努力、これに対する決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄を利用しておられたお客さんが国鉄から他の輸送手段に離れていく、逃げていくという現象があることは事実でございまして、国鉄におきます貨物輸送のシェアの減退の一つの大きな理由が、安定的な輸送ができていないということによるものであることはまことに申しわけなく存じておりますし、非常に大きな問題であるというふうに認識をいたしております。で、それに対応する手段として国鉄自体が何か自然的災害、あるいはストといいますか、そういう人為的災害によりまして、荷主さんの期待どおりに物を運べないということが起こったときに、国鉄自体が代替輸送考えるという方法が一つ重要な問題としてあり得る、いわゆる荷主さんの国鉄離れを避けるために、非常事態のときに国鉄自体が他の交通手段に委託をして、そして輸送するということを考えることが十分あり得るというふうに思うのでございますが、いままではそれをやってないわけでございまして、今後の問題として十分労使間の話し合い等を通じまして安定輸送確保するように進めてまいりますが、なおそれでも問題を解決し得ない非常事態が生じましたときの対策として、いま御示唆がありましたよう国鉄自体による代替輸送ということも考えてみなきゃならぬということは内部では内々考えております。しかし、なかなかいろいろ問題がございまして、これにはそう性急にいい結論を出すというわけにもまいらないので、現在のところはいろいろな問題点を洗っておるという段階でございます。  それから、生乳の内地輸送の問題につきましては、これはしばしば御指摘を受けておるのでございますが、過去におきまして少なくとも北海道から関西というよう長距離のものについては実際輸送した実績を持っていないようでございまして、このことにつきましては、もしそれをやるとなりますと、それなりに相当な設備投資が必要になるわけでございますが、設備投資に対応するだけのお客さんが得られるかどうかということはいささか疑問でございまして、研究はしてみておりますが、なかなか生乳を北海道から大阪まで運ぶことを私どもの仕事とすることがうまくいくかどうかについては、採算その他の面からいいましてもかなりの設備投資が要ります関係で、いまもって十分な結論が出ておりません。しかし、何しろ少しでもお客さんをお願いしたいということでございますので、今後ともなおいままで考えました以外の方法で、ないかどうか、検討は続けさしてみたいと思っております。
  71. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 今回の貨物運賃五八・六%という引き上げが農林漁業の生産者に対して負担増を強いるものであるという問題は、前質問者もこの問題を強く取り上げておるのですが、私も具体的な問題を通じて大臣並びに農林省関係当局に問題の性質をただしたいと思います。  まず、北海道バレイショの具体的な問題をながめてみますと、農林省の資料によって五十年度の生産費が百キロ当たり千五百十九円、これが今日の状況だ。ところが、現在の農家の手取りはそれを下回る千五百二円というような状態になっている。今日赤字であります。商売のことですから需給関係だと、こう言うわけですが、どうしても今日、日本の基幹産業である農業振興の立場からすれば消費拡大の方途を考えなければならぬ。そこに運賃値上げがかぶさってくれば、現実には成り行きはどうなるのか、これは目に見えた話ではないか。北海道の北見市相内、ここから東京の田端操車場に対して北海道の生命線であるバレイショというのは千百七十七トン、こういう輸送量がある。このトン当たりの今日段階で五百九十円の輸送費が九百二十円になるわけですね。これは生産費と比較をしてみれば、輸送費が生産費のまさに三分の二に当たろうとする状況にまで引き上げられてくるわけであります。これが消費拡大に対してどういう悪影響を及ぼすのか、これも目に見えた話であろうと思います。  また、同じバレイショでも、種バレイショというのをながめてみると、ここに対して与える値上げ影響というのは中身に食い込んで、非常に深刻な影響を与えることは明らかである。バレイショというものは、私の知識でもこれは毎年毎年同じ種を植えていたらどんどん病気で生産が減ってしまってゼロになる。できれば毎年種バレイショを取りかえてつくるべきものだが、そうはいかないので、最低二年に一回というようなものは無病種の、正規の種芋というのを使わなければならない。これは北海道が春のものについては全国の大部分を賄うという状況になっておりますが、非常にバレイショのことですから単価は安い、こういうところにかかってくるコストアップというものは、二年に一遍買いかねるというような状況になって、採算割れから、しまいには全国的な減収を招くというような憂慮が出てくるわけであります。  こういって非常に深刻な影響を見かけ以上にもたらしてくるのが今度の値上げである、こういうことは当然御存じの上でやっておられることだろうと思うわけですが、こういう深刻な状態が現に出てくるわけであります。その上に、こういう値上げが今回だけでなくて前回から引き続いて農産物製品に対して非常に過酷な値上げになっていることは、前回の値上げ前と比較すればひどいものですね。同じバレイショが昭和三十五年当時のトン当たり値段と今度上げようとするものを比較すれば実に三・六倍という状況になっております。  リンゴというようなものも調べてみたわけですが、私は大阪で長らくやってきたんですが、大阪の人もリンゴをこれはかなり食べるんです。大阪の市場に対して青森県の板柳というところから四十九年度で一万五百五十一トン、こういうものが輸送されてきておりますが、トン当たり三千七百五十六円であったものが、これは三十五年当時ですよ。今度値上げしたら八千八百六十一円になるわけです。二・四倍、こういう負担率になっておるわけであります。この五年や六年の間にこういう三倍半から二倍半というよう値上げを強行しようとするのです。  ところが、よく受益者負担というふうなことを言われるのですけれども、大企業製品である自動車でながめてみると、そういうような引き上げ計画を持っておるのかというと、それはそうはなっていない。新鶴見操車場から同じバレイショのコースで私は調べてみたんですが、北海道の札幌まで四十九年度で自動車が五百八十八トン輸送されておりますが、一体この引き上げ率というのは何倍になっておるのか、ひとつ答えていただきたいと思う。
  72. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) まず、前提お話し申し上げますが、新鶴見から北海道の五百八十八トンという数字は、恐らく国鉄統計の中の甲種の車両、その他の車両ということでございますので、自動車も含まれますが、その他もろもろの車両も含まれております、トン数の中には。したがいまして、値上げ率を申し上げますと、昭和三十五年を一〇〇といたしまして現在の運賃は一〇七%になっております。
  73. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 その数字を見たって、弱い立場にあって直接傷んでくる、こういう農民の負担率に比べれば一〇七%というのは、比較して引き上げ率は低い数字になっておるのです。私の方の調べではもっと低い倍率が出ておるのですけれども、これは数字に当たってもう少し調べてみなければならぬと思います。大体二倍になっていないというふうに概数を私どもは押さえておるわけです。こういう状況をながめますと、前回、前々回の引き上げ率を等級制度の廃止の方向を迎えての圧縮というのがありありと、運賃による国鉄のいわゆる経営改善を農民とか、漁民とか、こういう方面に求めて、引き続いて相対的に強い大企業には軽いものになって、そうしてそちらの方の経営を合理的にやることは保障していくという内容になっておると思うのです。こういう姿勢では私は農民は救われないと思うのです。  大臣、先ほどから筋道として、できることなら政策的な割引等もやりたいけれども、いまは貧乏だから持っていく先が違う、農森省だというよう答弁をされておるわけでありますけれども、この点については事態の認識と、それからこれをどの階層に負わせるかというような点で、この答弁では責任回避になっておって、日本の政治を担う閣僚としての責任が相済まぬと思うんですが、こういう状況の中で関係団体等級制度の再見直し、やっぱり政策的な負担能力に対する配慮というものを復活、強化する方向で見直せという切実な要望が上がっているんですが、これはまあ国鉄当局の責任の問題だ、こういうような点について再度私は大臣にただしたいと思うんです。その要求というのは正当な要求ではありませんか。どうなんですか。
  74. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 負担力の少ない者に多くの負担をかけるよう改正の方向、それから自動車の場合どうしてそういう低い倍率になっているのか、これは事務当局から説明をさせようと思うんでありますが、私は基本的に国鉄が経営が豊かであったときに負担をできたもの、これを御承知の状態になってまで国鉄負担を強制されるということは、結局は回り回って税金で後で補いをつけなきやならぬことになるわけであります。したがって、私は農産物に対する遠距離輸送に対して特別の措置をとること無論反対でありません。しかし、それは農業政策の問題。そこで、基本的には政策実施機関がそれを行うべきであって、ただし急速にできない場合は段階的な処置を考えるのはこれは仕方がないことだと、こう申し上げているのであって、これは国鉄をお預かりしております責任上、そして独立採算制を要求されて健全経営を目指していかなきゃならないという責任上、私はそういう意向を示したのであります。それからもう一つは、そういうよう負担力のないもの、またそれが消費者に転嫁される危険のあるもの、そういうものに対する政策はこれは農林省の問題だと思います。
  75. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 まあ貧乏だからできぬというふうに一言言えば、それはそれでしまいになるというものではないと思うんですね。貧乏な時代にもやってなかったことを今日だからやらなければならぬというような多くの問題があって、たとえばローカル線赤字について不十分ながらも最近になって予算を計上しようというような問題とか、あるいは身障者割引の問題はどんなに苦しくてもつけていかなければならぬ。こういうものに並ぶ基幹産業育成の政策が、国の機関である運輸省においてネグレクトされるというようなことは許されないことだと。そういう点では農林省へと問題を転嫁して済まし得る問題ではない。特に等級の撤廃等これから先もそのやり方がまだまだ進んでいくという問題については、いっそここで足をとめで見直しの方向へ行くという姿勢が、みずから国鉄の責任においても言われなければ、農林省に対して問題を言われる言葉も空疎なものになってしまって、その場逃れにすぎないということを私は強くここで指摘しておかざるを得ないわけであります。  特に、続いて進めるのでありますけれども、このサービス問題についても大きな問題があります。農林水産物貨物輸送においてのサービス問題について、青森県の青果物の価格安定基金協会の事務局長という肩書きの秋元勇作さんという、そういう方の私は本を読んで知っておるわけですけれども大臣、リンゴ輸送一つながめても昭和四十一年から昭和四十八年までの間に青森県のリンゴの輸送というのは、大部分を国鉄に依存しておったリンゴが半減しておるですね。これは一体どうしたことなのか。実は貨物が逃げるからあれこれやれないんだと言いますけれども、リンゴなんていうのはもともと国鉄輸送した方がいいものなんですね。トラックで持っていきゃ傷もつきますし包装に金もかかりますしね。これはだれでもわかる話なんです。これが全体の千九百万箱のうちで昭和四十一年には千五百万箱輸送しておったんですね。今日では大体横ばい、二千万箱見当のうちでもう千も割って八百六十五万箱というような数字に下がっておるわけですね。こういったふうな問題、これを解決していかなければこれは目的を遂げることはできないと思うんですけれども、その原因は一体どこにあると思っておられるわけですか。
  76. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 確かにリンゴにつきましては、東京向けリンゴもかつては国鉄のシェアでございましたし、大阪市場向けも国鉄の市場でございました。しかしながら、一般車扱いの輸送、たとえば秋田県から参ります場合に方々のヤードで連結をいたし、あるいは解決いたしまして列車の乗り継ぎという問題がございますために、スピードの点におきまして東京−秋田間はトラックに移ってしまったということでございまして、この点については今後列車そのものの体質を徹底的に洗い直すという考え方をいたしておりますが、何しろリンゴにつきましては非常に値動きの激しいものでございますので、大量にどっと東京市場に入りますと、やはり値下がりもするというような関係もございまして、リンゴ市場価格の勉強も国鉄は確かに不足であったこともございますけれども、値動きの非常に激しいものについて常にトラックに取られたというのが現実でございます。
  77. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それも一面的な話じゃないかと思うんです。この問題で一生生きてきている当事者の秋元さんの話によれば、国鉄輸送したいと言っているわけですね。ところが、土壇場になったら貨物も少なくて待たされて間に合わぬ。ある時期には本当に取り合いをして、ときには乱闘事件まで起こるほど貨物を取り合いしてきた。ところが、それに対して物資特別輸送とか何とか、かなり品目別にずいぶんと国鉄輸送の中で大企業向けのものには手配をしてきましたけれども、こっちに対しては根っからその手が及んでこない。こういう状況でなかなか——これよく聞いてくださいよ。本州再北端の青森、奥羽、北陸沿線地と、まあ豪雪だとかいうこともあります。秋冬繁忙期だなどということもありますけれども、こういう肝心のときに貨車制限というのがあって、計画輸送やろうと思っても国鉄の経営がこれにこたえてくれないというわけですね。そこで、県の出荷団体の方では計画輸送が非常に不円滑だということから国鉄貨車頼るに足らず、トラックに頼るよりすべなしというようなことでやったというわけです。  その間に設備投資をし、まあ石油に対して、セメントに対してと、いろいろな業種別の輸送計画をやってきたけれども、非常に生産者も消費者も多数が接しておるこの面に対しては、政策の貧困に尽きたということを言っておるんじゃないでしょうか。ところが、農林省の方では国鉄にそういうことを頼みに行くかわりにいまの答弁ような面、これを原因として挙げるにとどまっておる。こういうような状況では、これは今度の値上げが農民置き去り値上げと言われてもこれは仕方がないんじゃないでしょうか。  こういうサービスの問題ですね、これについてひとつ申し上げておきますけれども、これはいまリンゴのことを申しましたが、北海道のバレイショ産地でも、秋冬の時期には貨物量が非常に多くて、必要とする貨物車の全量確保は困難だと、やむを得ず船中継輸送、これもずいぶん傷むわけですね、製品が。ターミナルも多いですしね。そういう、より不利な方法を選んでも国鉄というものに頼れないというような状況について悲痛な声を上げておりますからね。貨車の確保という点では今後取り組みを強化される必要があると思うんです。国鉄合理化で貨物輸送時間短縮、そして取扱駅の集約化、こういうことを極端に進めてきたことも国鉄輸送を落ち目にしたことの大きな理由になると思うんですね。集約化した貨物駅の整備がおくれておる、荷役作業がうまくいかぬと、こういうような状況があります。  一方、先ほどから取り上げましたこの東相内の北海道農産品ターミナルというようなところでようやく農産物についても専用列車「みのり号」というのを毎日出すようにしておりますけれども、こういったふうなものが今後一層拡充される計画があるのかどうかというような点も含めて、この件に関する今後の姿勢をひとつお伺いをしておきたいと思うんです。
  78. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 定形的に大量に出てまいります貨物につきましては、先ほど総裁も申しましたように、私ども運賃の弾力的活用と、輸送力の増強を含めて努力をいたすつもりでございます。
  79. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 時間も来ておりますので、最終的には集約をしてひとつ大臣にお伺いをしておきたいと思うんですが、それに先立って、もう一つ肥料の問題をただしておきたいと思うんです。  農林省の農蚕園芸局というところの資料を見ますと、肥料の値段について、値上がりせぬ先からもう上がったことにして値段を決めておるんですな。硫安、尿素及び化成肥料の生産業者の販売価格、全農とメーカーで交渉して、農民の利益も反映させながらこの問題を決めたのかと思うと、値上げを既成の事実にしてしまって、もうすでに値段の中に一・七%というはね返りを織り込んで、そして値段を一方的に決めておる。それで、上がらない間は値下げをしてあげますというようなことがこう書かれてあるんですけれども、これは一体どういう姿勢で、どういうわけなんですか。
  80. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私、所管局長でございませんので、あるいは間違っているかもしれませんが、恐らく全農が値決めをしますのは、一定期間前もって行いますものですから、改定をするということも時期的にどうかというようなことで、恐らく運賃を織り込んでその値上がり前までは従来の運賃によって計算した価格で取引をするということにいたしておるんではないかと思いますが、なおよく調べまして後ほど御連絡いたしたいと思います。
  81. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 五十一年六月十五日付の農蚕園芸局の発行した文書の中にこういうふうに書いてあるんですよ。「昭和五十一肥料年度新価格は、硫安及び尿素を除き国鉄運賃値上りを織込んであるので、国鉄運賃値上げ実施以前は値上げ相当額を値引きすることとしており、それまでの間は肥料全体で一・七%の値下りとなる。」。いまあなたが答弁したのが常識で、やっておることはこういうことなんですからね。こういう姿勢の人たちの中で、先ほどからのように責任は農林省だ、国鉄だとやられたんでは農民の位置というのはこの中でどこにもないじゃないですか。こういう問題を抜きにして、いたずらに値上げを急ぐわけにはいかぬ。恐らく私は、文教との連合審査がありませんので児童、生徒、これらの定期の値引き問題等も述べることができませんけれども、こういったふうな問題、まことに農民不在だ。こういうやり方ではやっぱりとうてい国民の納得を得るものではない。一方では、かなりに至れり尽くせりに輸送の上での優遇というのは大企業向きに行われておる。  再度大臣にお伺いをしますけれども、これらの点について、特に等級別の前向きの見直しの問題、こういうふうな問題は深刻に、特に見直しということをもう一遍取り上げてながめてみるという決意をあなたの口からお伺いをしておきたいと思うんです。そうでなければ、あなた、農民のことを知っている大臣だということには私はならぬと思うのですね。  それからもう一つ農林省ともあろうところが、この肥料の価格について、生産者には痛くもかゆくもない、全部これを販売価格の方に持っていくというのはどうなるのですか。買わないわけにはいかぬのでしょう、農民は、どんな値段をつけられても。ここに全部持っていかれるのでは、農民は自分が売り手になったときには消費者との矛盾の中で問題をかぶり、肥料なんかのときには確実に自分が全部かぶっていくということになるわけじゃないでしょうか。これもあわせてお伺いして質問を終わりたいと思うんです。
  82. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほど申しましたように、公共負担とかあるいは政策負担の問題は、当該実施官庁で配慮してもらうべきものだと私は思います、国鉄の経営の基本的な方針としては。しかし、それを一遍に実現するわけにはいきませんから、そういう経過的な過程において農家の方々に御迷惑をかけないよう配慮は、これは一緒に相談をしてやっていくべきものだと思います。しかしながら、方向としては、これはやっぱり農林省の問題です。  私は農民のことを知らないのではなくて、私がいまここでお答えをしておるのが運輸大臣としての立場でございますから、その点はそう御理解を願いたいと思います。
  83. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 肥料の価格に対します運賃の増加分の割合は、私たちの計算では三・六七%ということに相なっておりますが、しかし、いずれにしましても、国鉄運賃の値上がりが資材の価格にはね返ってくることは確実でございますので、そういう点につきましては、私たちとしましても、流通段階の合理化を進めると同時に、国鉄当局に対しましては従来の政策等級の存続、あるいは運賃割引の弾力的な運用につきまして特段の配慮を願うように折衝を続けたいと思っております。
  84. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 終わります。
  85. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会