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1976-10-26 第78回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          上林繁次郎君    理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君    委 員                 木村 睦男君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒今朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君   国務大臣       運 輸 大 臣   石田 博英君   政府委員       内閣審議官     伊豫田敏雄君       運輸省海運局長   後藤 茂也君       運輸省鉄道監督       局長        住田 正二君       運輸省鉄道監督       局国有鉄道部長   杉浦 喬也君       運輸省自動車局       長         中村 四郎君   事務局側       常任委員会専門       員         池部 幸雄君   説明員       厚生省社会局厚       生課長       金瀬 忠夫君       労働省労政局労       働法規課長     松井 達郎君       自治省行政局選       挙部選挙課長    秋山陽一郎君       日本国有鉄道総       裁         高木 文雄君       日本国有鉄道常       務理事       田口 通夫君       日本国有鉄道常       務理事       高橋 浩二君       日本国有鉄道常       務理事       尾関 雅則君       日本国有鉄道常       務理事       馬渡 一真君       日本国有鉄道常       務理事       吉武 秀夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  去る二十二日の内藤君の質疑に対し、高木日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますのでこれを許します。高木総裁
  3. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先般の委員会におきまして、名取駅におきます転落事故に関連して、岩沼仙台間の通勤輸送力増強について、具体的対策はどうなっておるかという御質問があり、これに対して、検討結果を追ってお答えすると申し上げておりましたが、その点についてお答え申し上げます。  当該地域輸送の現状、それから地元から、御質問の間にもありましたような、いろいろの要望が出ておりますので、それらに基づきましてこれまで種々検討してまいっておりますが、今日の段階で考えておりますことは次のとおりでございます。  将来にわたる抜本対策と申しますか、長期対策といたしましては、ドア自動化、いま列車タイプドアは、それぞれ手であけ閉めするという方式になっておりますが、そのドア自動化についていろいろと検討を行いたいということで、これは当該地区以外にも問題はございますので、かねてからドア自動化を技術的に検討してまいりましたが、なおまだ結論に至っておりません。しかし、この地域及び他の地域におきましても、どうも不幸にして転落事故を根絶することができませんので、その対策としてはドア自動化を進めたいと考えております。  ただしかし、それでは大変時間がかかることになりますので、当面の対策につきまして、岩沼仙台間に関して考えておりますのは、やはり列車増発を図る以外に方法がないんじゃないか。で、列車増発につきましては、先般も申しましたように、特に東北線につきましてはかなりダイヤがいっぱいになっております、線路容量がいっぱいになっておりますので、困難を伴うわけではありますが、御指摘のようにいろいろ事故が連発しておりますので、いわば臨時増発という形で何らかの対策を、具体策を立てたいと思います。つまり、基本的にダイヤを全般的に動かすことになりますと、これまた時間がかかっていけませんので、臨時列車を編成して走らすことができないかということで、できるだけ早く結論を出したいと思っております。それがいつまでに結論を出せるかということでございますけど、一つは、ダイヤをどこへどうはさむかという問題と、車両手当て、これは手当てと申しましても、新しくつくるわけではなくて、現行走っております車の車両をどういうふうにして回すかという手当ての問題、それから、運転を中心とする所要の要員の問題、運転士さん、車掌さんを増員しなければならないという問題、この三つの問題を検討いたしまして、やはりいずれも大体年度の初めに調整する問題でございますので、本年度中はきわめて見通しを立てることがむずかしいわけでございますが、来年度の初め、つまり四月、五月には見通しを立てて、そういう形で対応してまいりたいというふうに考えております。
  4. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) これより本案の質疑を行います。  御質疑のある方は御発言願います。
  5. 内藤功

    内藤功君 まず私は、石田運輸大臣が先日民間放送記者会見国鉄の問題に答えられた中で、昭和五十二年度値上げの問題について触れて発言をされたように伺っております。昨年末に決定された政府閣議了解との関連で、一体これは真剣に石田運輸大臣発言されたことなのか、あるいは、いわゆる選挙戦を前にしての発言ではないかという見方も一部に行われているようなんで、まずこの大臣が二年目で値上げの問題については消極的な趣旨の御発言をされたこの真意について伺っておきたいと思います。
  6. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 閣議了解、いわゆる本年度予算編成に当たっての閣議了解について、継続して五〇%の値上げをするというようなことを新聞記事その他では読んだことがありますが、正式に引き継ぎを受けた覚えはありませんので、これに拘束されるつもりはありません。  それからもう一つは、もうたびたび申し上げておるとおり、国鉄はすでに独占企業ではないのでありますから、値上げは即増収につながるとは思わない。そうでない部分も当然予想されるわけでありますし、それから、元来赤字で苦しんでおる国鉄が、黒字経営を続けておったと同じ種類公共負担なり割引なりというようなものをする筋合いでもないと思いますし、それから、国鉄の持っておりまする資産の効率的運用、そういうようなことをあわせ考えまして、お聞きのような発言をいたした次第でありまして、むろん真剣に取り組むつもりでございます。
  7. 内藤功

    内藤功君 この二年連続値上げが仮にやられるとした場合どうかということは、この間の七十七国会衆議院運輸委員会で、わが党の三浦委員質問に対して、東京小倉間の例をとって問答があるんです。東京から小倉まで現在新幹線で八千八百十円だと。一回目の値上げ幾らになるか。一万三千七百円。二回目で幾らになるかというと二万円になる。こういう問答。一万円札が一枚でおつりがくるのが、二万円出さなくちゃならない、こういう値上げなんですね。  この東京の近辺でもそうです。たとえば東京船橋の間、これちょっと国鉄当局に聞いてみたいんですが、東京船橋間国鉄でいま幾らで、五〇%値上げすると幾らになり、二回目では幾らになりますか。
  8. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 東京船橋間でなくて上野 船橋間で申し上げますと、現行で国鉄が百二十円、改定になりますと百九十円で、京成が二百円でございます。
  9. 内藤功

    内藤功君 それがさらに二年目で五〇%上がるとどれだけになりますか。
  10. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 現在まだ算定しておりません。
  11. 内藤功

    内藤功君 約二・二五倍ぐらいになる。これは大変なやはり値上げなんですね。こういう状況のもとで、国民の多くから、きのうの公聴会でも出ましたように、まさに国民生活破壊の計画だと、こういうことが叫ばれておるわけであります。そういう中で大臣発言があったわけなんですが、この石田運輸大臣は二年目の値上げについてはできるだけやめたいということを言われています。このやめたいということは、やめる方向でやめることを検討すると、こういう意味ですか。
  12. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 基本的には願望であります。で、検討するのは、上げなきゃならないとしてもできるだけ低い線で抑えて、そして他の方法によってそれを補いをつけたいんだと、そういう意味であります。やめられるものならやめたいと思うんでありますが、それが非常にむずかしいといたしますならば、値上げ率というものをできるだけ低く抑えたい。これはテレビで言い始めたのではないのでありまして、私はあらゆる場合の御質問に対して同一趣旨のことをお答えしてきたつもりでおります。
  13. 内藤功

    内藤功君 しかし、昭和五十年十二月三十一日の閣議了解の当然の前提として、大蔵省運輸省の間に二年間連続値上げということが暗黙の前提としてあったと、こう一般に言われておりますが、大臣はこの点について、大蔵省との間でどういうふうに折衝してこの考え方を実現されるおつもりか、その点を伺いたい。
  14. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は先ほども申しましたように、そういう種類了解があったという引き継ぎも受けておりませんし、したがって、拘束されるつもりはありません。大蔵省との折衝はこれからの問題でございます。
  15. 内藤功

    内藤功君 委員会での御発言でありますから、この運賃値上げに大きな関心を持つ国民に対しての責任のある御発言でありますので、いま大臣のお答えをここで伺っておいて、後の論戦の中でまた広げたいと思います。  そこで、先ほど国鉄総裁から十月二十二日の私の質問に対する御見解をお聞きしたわけでありますが、二点ほどお聞きしておきたい。  まず、ドア自動化の問題です。具体的な問題です。これは大体いつごろまでにこれが可能なんですか。
  16. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これはいずれもきわめて技術的な問題でございます。二つ考え方があって、電車を持っていくかどうかという問題。しかし、これにもいろいろ交流区間電車につきましては必ずしもまだ、一般的にいろんなタイプのものがありませんので、この地域にふさわしいものがすぐ設計がうまくできるかどうか、そして、その経費がどのぐらいかかるかといった問題がございます。それから列車タイプのままにしておきますが、ああいう長距離の列車に使いますような場合には、出入り口の幅が狭くてもよろしいわけでございますけれども、むしろ狭い方が効率的でございますけれども通勤用に使います場合は、非常に短距離走って停車して乗降人員を収容していくということになりますから、出入り口の幅を広げるというようなことも考えながら、同時に自動ドアにするということでございますので、このタイプのものはいままでないわけでございます。  しかし、他の地域におきましても、いわゆる地方の大都市といいますか、中核都市といいますか、そういう地域における通勤に対する御要請通勤対策を十分にとる御要請は非常に強いので、この地区に限らず他の地区においても何か考えなきゃいけないということから、列車タイプドア自動化して、そして出入り口をいささか広げてということについていま設計をやっておるところでございますので、設計がうまくいきますかどうかという点にかかっておりますものでございますから、現在時点では明確にいつまでということを申し上げられないわけでありますけれども、そう三年も五年もかかるというような、そういう意味での時間のかかる問題ではございません。ただ、たとえば来年の春までにそういう設計ができるかとか、秋までにはできるかとかというところまでは、技術的な問題でございますのであれこれ検討しておりますので、いま明確な時期を申し上げるわけにはまいらぬということでございます。
  17. 内藤功

    内藤功君 通勤、通学に伴う事故というのはもう来年の秋とか春とかいうことを待たずに起きるんですよね。ですから、やはり本当のどろなわ式のやり方だと思うんですよね。私は、とにかく具体的な案を出されましたから、これを迅速に、積極的に遂行しろということを申し上げる以外にないんですけれども、そういう悠長なことではいかぬと思うんですね。  それから、次のもう一点ですが、臨時列車増発の件、これはいろんなファクターがあるわけですけれども、これはいつごろまでに現実実施するというお考えなんですか。
  18. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これまた現在、先ほど来申しておりますように、仙台周辺線路容量はきわめて窮迫をいたしておりますので、したがいまして、早急に十分に検討いたしまして来年度の初めにはできるかできないか、何とかできる方向で解決できないかということを検討いたします。したがいまして、できるかできないかは来年の初めに申し上げられますし、当然それから一年も二年もかかるということではなくて、できるということになれば来年の前半期といいますか、そういうころまでには実施に移すことになると思います。で、できるかできないかが来年の初めに明らかになるということでございます。
  19. 内藤功

    内藤功君 来年ですか、来年度ですか。
  20. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 来年度です。
  21. 内藤功

    内藤功君 現実の問題どうなんですか、来年度の初めまで。できるかできないかの返事が来年度の初めだというんですよ。まだ五十一年の十月ですな。それまでの間はどうなんです。現実に起きてくる事故に対しては、現場でどういうふうに対処するように国鉄当局は指示なさるおつもりなんですか。
  22. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お言葉ではございますが、あえて指示するまでもなく、現場においては大変弱っておるわけでございまして、次々こういう事故が起きますことにつきましては現場の方でも非常に重要視いたし、責任を感じておるわけでございますので、この間は、そういう措置では手ぬるいという御指摘がございましたが、お客さんにもお願いをして、なるべく詰め合わせを十分やっていただいて、そして入り口に大勢の方が立たれるということがないように相当気を使っておりますが、列車をふやすとか、あるいは列車設備を変えるとかいう——設備を変える方法では対処のしようがございませんので、お客様には御迷惑ではありましょうが、お互いに安全の問題でございますから、強くお願いをして協力をしていただいて、事故の起こらないように私どもの職員もそういうふうに誘導するということでやってまいる以外に残念ながらいま方法がないということでございます。
  23. 内藤功

    内藤功君 問題はこれだけじゃないんですね。幾つも同じようないわゆるサービス精神の欠如という問題があるんです。こういう点についてお答え願いたい。  それは国鉄当局のいわゆる駅の無人化実施やり方の問題なんですがね。具体的に聞きますが、今度名取からずっと常磐線南に下ってきて常磐線日立木駅の問題。十月の十日から駅の無人化実施したというふうに聞いておりますが、これは事実ですか。
  24. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 十月十日からは同駅における乗車券発売は取りやめておりますが、現在なお三人ほど要員がおります。
  25. 内藤功

    内藤功君 三人ですか。
  26. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 現在ナシとか桃とか、そういうものが季節的に出るものですから、大体、保安要員一名を含めまして先ほどのようなことに相なっております。
  27. 内藤功

    内藤功君 十月十日からこの駅で切符の販売やめていますね。で、どういうふうに出札の仕事をやっておるんですか。
  28. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 駅前商店簡易委託をするとか、あるいは車内でもって車掌発売をするという方法でございます。
  29. 内藤功

    内藤功君 事実関係でもう一つだけ。現在駅にはどういう人が配置されていますか。何人配置されていますか。
  30. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 管理者が一名と、それから営業係が二名でございます。
  31. 内藤功

    内藤功君 このような措置実施する場合に、事前地元住民了解を得る、地方自治体了解を得るということは当然のぼくは前提だと思うんですね。これは、果たして目立木駅のこういう措置をとる場合にやっておるのかどうか。
  32. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 先生御指摘のとおり、こちらで一方的にやっておるというわけではございませんで、当然その辺の話し合いはしながらこういう措置をとったわけでございます。
  33. 内藤功

    内藤功君 これは地元では非常に大きな問題になっていましてね、最近では十月の二十二日に相馬市議会でこのことが問題になっている。相馬市長濱名氏が、今回の国鉄のとった日立木駅の無人化措置に対して、一切これは了解をしていないと議会で答弁しているんです。これは、あなた方はいま無人ではないと言うけれども、結局最終的には無人化への暫定措置である、こういうことを地元ではもう理解をしているわけですね。  事実関係を私どもの方で調べてみると、十月の四日に水戸鉄道管理局牛島営業部長が、相馬地方市長村会に来て、一方的に十月の十日から駅での切符販売を中止したいという申し入れを行っているんですね。この申し入れに対しては地元としては了承していなかった。ところが、十月の十九日に、相馬市長水戸鉄道管理局から電話で、十月二十日から切符販売駅前商店で、新聞屋さんですね、そこで行うということを連絡してきた。そうして、翌日の二十日からこの措置を一方的に実施をした、こういう経過なんです。以上の経過はどうですか。
  34. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 十月の四日に相馬郡の市長会営業部長が出席して話し合いをしたことは確かでございます。ただ、それは了解をしなかったとか、したとかいうことよりは、話し合いをした結果、まだ引き続きまして保安要員を一人残して、その暫定的に残した保安要員について今後引き続いて話し合いをするということで、その他の乗車券発売の問題これは列車車掌を増し乗務をするということも申し上げて、われわれの方はそれによって地元の納得を得たというふうに見ております。
  35. 内藤功

    内藤功君 われわれの方は理解をしたと言うけれども、この相馬市長は、二十二日の市議会答弁で、一切これは了解してないと、こういう答弁をしているんですね。ですから、あなた方の方が勝手に了解をしたと言ったって、これは勝手にそう思われただけの話です。そういうところに地元民というもの、地方自治体市長意思というものを、さらに市議会というような意思決定機関意思などを無視してやるというやり方が非常によくあらわれていると思うんですね。これはよくこの点を調べてもらいたい。相馬市議会ではこういう問題があって、私どもの方に陳情もあるわけであります。  この経過でもわかるように、市長さえ了解していないにかかわらず、一方的通告だけでこういう業務委託実施をする、無人化への道を歩んでいるということなんです。私は、この措置を一回白紙に戻して、住民と、それからここにあります濱名相馬市長を会長とする無人反対対策協議会という団体ができていますが、こういう人たちの意見を、いまからでもいい、十分聞く必要が私はあると思うんです、事前にやってないんですから。相馬市長を代表とする無人反対対策協議会というものがあるんですから、これとゆっくり話し合って、そうして、どうしたらいいのか、国鉄の立場も訴えていいと思う。そして同時に、この住民意思というものを十分に聞くということの試みをする必要が私はまずあると思うんです。どうですか。
  36. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) この日立木の駅を含めまして、常盤線営業近代化につきましては四十九年以来ずっと話し合いを進めてきておるわけでございまして、いま了解をしていないとおっしゃったわけなんでございますが、われわれの方はその中から、話し合いをずっと続けてきた結果、了解を得ているというふうに解釈しておるわけでございます。  なおここは、先ほど申し上げましたように、いま保安要員として一人ということで当面暫定的に置いておりますので、その点につきまして引き続いて話し合いをしていきたい、かように考えております。
  37. 内藤功

    内藤功君 出札業務新聞屋さんに委託をして、そして保安要員を一名置いていると。このいまの暫定措置この保安要員の一名というのはいつまで置いておくんですか。
  38. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 大体年末年始の輸送が終わりまして、来年の一月末ぐらいまでには何とか、話し合いの結果保安要員の引き揚げをしたいと、こういうことでございます。
  39. 内藤功

    内藤功君 いまの話のように、結局来年の一月末までという期限を切っての保安要員ですね。あくまでこれは暫定的なものだと。それ以後は、恐らく話がつかなければこの保安要員も一方的に引き揚げてしまう。いままでの国鉄やり方から見て私はあり得ることだと思います。相馬人たちはやっぱりそれを非常に心配し、また怒っておるわけですよ。ですから私は、そういう問題も含めて、来年の一月末になってから話をするというんじゃないです、やはりいままでのこの経過も含めた話し合いをいまからやっておくべきだ、一月末になれば引き揚げると、そうすれば、話し合いをすればいやもおうもないというふうに相手を追い詰めていって、認めざるを得ないところへ持っていくと、こういうやり方はいけないんですね。いまからやりなさい、これは。いまからやるという姿勢が大事である。これは予算も何も要らない。  こういうことをしないから、幾ら値上げの申請をやって国会にかけても納得得られないでしょう、基本的に。一月末になればこの保安要員がなくなると、その後続けるかどうかそのときに話したいと、これがいけない。いまやらなくちゃいけない。しかも、その市議会では、市長責任を持って自分は了解してないと言っているんですから。そういう事は小さいようですけれども、この話し合いをいつやるのか。相手話し合いに応じていない、了解していないというのにこっちは了解していると思うと。細かいようですが、大臣がときどき国鉄の幹部を集めて言うサービス精神とか、商売人の精神とかいうものは、やっぱり私は、いい意味で言えばこういうことだと思う。その点どうですか。
  40. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 先ほど申し上げましたように、この件については突然十月の四日に話し合ったということではありませんで、四十九年以来話し合っております。で、当然保安要員についても、今後先生おっしゃるように精力的に話しをしていきたいと考えております。
  41. 内藤功

    内藤功君 だから、五十二年の一月末になってから話し合うというのじゃなくて、いまからそういう話し合いを、相手協議会があるんですから、そこと速やかに持ちなさいと、そうしないんですかと、こう聞いているんです。
  42. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) おっしゃるように、話し合いを継続して精力的にやってまいります。
  43. 内藤功

    内藤功君 精力的にやっていますじゃない。速やかに話し合いをやるべきですよ。どうなんですか。
  44. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) そのようにいたします。
  45. 内藤功

    内藤功君 次に、地方線の実態について、幾つか私どもの調べたところをお尋ねしたいと思うんですがね。  まず、青森県に花輪線というローカル線があります……
  46. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いや、岩手県だ。青森県と秋田県を通るのは五能線。
  47. 内藤功

    内藤功君 それは失礼しました。大臣選挙区だから。秋田から盛岡ですね。秋田から盛岡へ行く花輪線、これについて伺いたい。  大臣も御存じだったら直接御答弁願いたいと思うんですが、この乗客からこういう話がある。無人駅について利用者の利便等を十分考えてほしいと。事故や不通などによっておくれを知ることができないで長時間待たされたことがしばしばあると、特に放送設備がないので放送設備を設置してほしいという問題。  具体的に聞きますが、盛岡の管理局と仙台の管理局の管内における無人駅の数、それから、そのうち放送設備がない駅の数はどのくらいありますか。その数について盛岡仙台の管内についてお答え願いたいと思います。
  48. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 無人駅の数は仙台局で七十六駅で、そのうちで放送設備のない駅は六十一駅、盛岡の管理局では無人駅は百七駅で、放送設備のない駅が四十六駅でございます。
  49. 内藤功

    内藤功君 まあいつ来るかわからない列車を、しかも、冬は恐らく暖房もないという無人駅で長時間待たされる利用者の切々たる気持ちが書いてある手紙が来ておるわけなんですが、運輸大臣、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  50. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういうサービスの低下というようなことはなるべく避けたいということは無論ですけれども、しかしローカル線の現状はたびたび議論されたとおりでございますし、乗客の数、その他等勘案をいたしましてやむを得ない、無人駅にせざるを得ないところが次第に出てくることは仕方がないことだと思います。しかし、その中にあって、いまのような列車が非常におくれたりなんかすることを知らせる何かの方法検討すべきではなかろうかと、かように思っております。
  51. 内藤功

    内藤功君 総裁に伺いますが、無人駅に放送設備——列車がおくれて、一体来るのかどうか、来るとしたらいつごろ来るのか、おくれたのはなぜなんだというようなことを放送して知らせる設備を設けるということは、国鉄サービスの恐らく最小限の一つだと思うんですね。赤字を理由にこのような最小限の対策さえとられていないということは、はなはだこれ納得がいかない。いつもぼくが言うように、取るべきものは取っちゃう。やるべきことはやらない。これがもうもともといけない。直ちにいまお話しのあった盛岡管内四十六、仙台六十一、これだけの駅に放送設備を設置するように努力をなさる、その検討をされるべきだと思いますが、総裁どうですか。
  52. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 基本的にはおっしゃるとおりでございまして、駅にだれもいないということは非常に地元の方々にとってはいろんな意味での不安になりますから、やはり赤字でございますので、何とか経費の切り詰めの道を進めてまいりたいとは思いますが、反面、それによるサービスの低下を最小限に防止するという趣旨で、いまの放送設備等も逐次整備をいたしてきておるわけでございまして、過去におきまして整備した物について一部といいますか、そこまで配慮が足りなかったという駅がございますので、それらについて順次整備をしてまいりたいという方向でおります。  ただ、元来が、御存じのように物すごく収入と支出のアンバランスを起こしておるところでございますので、なるべく少ない経費で、なるべく喜んでいただけるような道を探しておるわけでございまして、いわば機械的に一律にというわけにはまいらないわけでございますが、事態の心要性を考えながら、現在の状況は、少しいまの放送設備に関する限り不十分であると思いますので、整備を進めてまいりたいという気持ちはかねがね持っております。そういうことで、ただ全部整備するということはなかなかできないということで御了解をいただきたいと思います。
  53. 内藤功

    内藤功君 これは軽く考えてもらっちゃ困るんですね。ちょうど、医者に行ったと、ところが、お医者さんが来るんだか来ないんだかわからないと、来るんですか、来ないんですかと聞いても何にも答えがない。看護婦が来るのか来ないのか聞いても答えがない。待っていていいんだか帰っていいんだかわからないということと同じなんですね。これは商売では一番いけないことなんです。相手が来るのか来ないのか、売ってくれるのかくれないのか、きょう返事があるのかないのか、何にも返事がない。もしこれが、国鉄が商売だと言うんなら、これほど買い手というものをばかにしたものはないんですね。つまり、相手を人間と見ないわけだ、対等に見ないわけです、人間と見ないと言うとちょっと極端かもしれないけれども、そういうことですよ。そこに来ている動物には放送する必要ないでしょう。しかし人間には、来るのか来ないのか、これは最低の設備なんですね。ですから物を運ぶだけじゃなくて、その列車が来るか来ないかの情報を提供してやることは最低のことなんです。こういうわかり切ったことを言わなくてもわかると思うけれども、この委員会質問でこんなことまで言わなきゃならないのは、ぼくは本当に残念な気持ちがするんですよ。  そこで、順次整備をしたいと言うけれども、これは一体それだけなんですか。どういうようなかっこうでもってどんな設備を、どういうところから重点を置いてやっていくのか、この具体的なお考えはどうです。
  54. 高木文雄

    説明員高木文雄君) おっしゃることは非常によくわかるんでございますけれども、やはり放送設備を備えますには、それだけ設備所要資金が要るわけでございまして、それと、無人駅にもいろんな駅がございますけれども、百人利用されているところ、二百人利用されているところ、三百人利用されているところ、いろいろあるわけでございまして、やはりサービスの低下は防ぎたいのはやまやまでございますが、一方においてはやはり経費効率を考えなければならないという面は否定できないわけでございますので、利用者の数が相当程度多いのに、そして、それよりも少ない駅にも、もうすでに放送設備が整備されているというようなアンバランスが生じております。これはどうしても管理局に仕事を任してやらしておりますので、地域ごとにいろいろ差が出たり、それからその後事情が変更になって、無人駅といえどもまた利用者の数がふえてくるというような状態がございます。やはり利用者の数というものを頭に置きながら、利用者の数が多いところから整備を進めていくということになろうかと、またその地理的条件によって経費のかかりぐあい等も考えなければならないわけでございまして、いま私自身は具体的にどういう順番で何ヶ所ということを申し上げられるだけの資料を持ち合わしておりませんので、気持ちとしては利用者の数、それから経費ということが基準になるというふうに考えます。
  55. 内藤功

    内藤功君 これは総裁でなくてもいいんですが、経費幾らぐらいかかるんです。
  56. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) これは具体的に幾らということは、駅ごとによって違うと思います。
  57. 内藤功

    内藤功君 だから、高いものはどのぐらいで、低いものはどのぐらいですか。
  58. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 五、六十万から、高いところで百万とか、それくらいだと思います。
  59. 内藤功

    内藤功君 百万として百カ所ですから一億ですね、百七カ所だから一億七百万。五十万とすると百七カ所だから五千三百五十万か、そういう計算になりますよ。五千万から一億の間。幾らでもないじゃないですか。大臣どうですか。あなたの御郷里にも関係するところなんです。総裁でもいい、どうですこれは、このくらいのもの。
  60. 高木文雄

    説明員高木文雄君) それは非常によくわかるわけでございます。しかし、各地域で、全国的にいろいろと、ある地域ではただいまの御指摘のような放送設備を整備してほしいという話もございますし、また、ある地域では簡易なものでいいけれども跨線橋を整備してほしいという御要請もありますし、過去においてすでに無人駅になりました地区について、いまから見るともう少し何か考えてほしいという御要請がいろいろあるわけでございますので、いま御指摘のように、そういう全国の多数あります無人駅の整備の問題は、いまおっしゃる一億で済むというわけではないわけでございますので、やはり現在の赤字の状況からいいまして、特にいずれも具体的に赤字線でございますので、一方においてそういう配慮を加えなければなりませんけれども、同時に全国的に一斉にやるというわけにはなかなかできないわけでございます。
  61. 内藤功

    内藤功君 全国的に一斉とぼくは必ずしも言っているんじゃないんです。盛岡仙台で、さっき当局から答弁があった盛岡局内四十六駅、仙台六十一駅、とりあえずこれだけをまずまとめて、百七カ所だ、百七カ所。一カ所が大体、五、六十万から百万というんです。合わせて五千万から一億という予算ですよ、裏づけは、いま聞いてみると。そういうものを、とりあえずここを、寒いところなんだからまず実行すると、そういうふうな方向検討するということぐらいなぜ言えないですか、前向きにやるということを。よく調べて、全国ならしてみて、それで値段が幾らかかるか考えてみて、効率を考えてみてと言う。しかし、もうかっているところは先に放送設備もつけるけれども、もうかってないところはつけないと。住民関係ありますか。そこから乗る人のせいじゃないです、それは。そこへ乗る人に迷惑かけることにはならないです、これはね、理屈は。どうですか大臣、いかがです、いまの点は。
  62. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまのおっしゃることよくわかるんです。放送設備を整備するということは、雪がよけい降り、そして車両の運行がきわめて不安定になるようなところについては放送施設を整備したらどうだというのはおっしゃるとおりでございます。その場合に、たとえば放送設備までつけませんが、問い合わせ電話を設置するというふうな方法もあるわけでございます。いろいろそういうことを考えてまいりたいと思います。ただ、他の雪の降らない地域におきましても、もう少し安全のためのいろいろ施設を整備してほしいとか何とかいうことがございますので、私が申し上げたいのは、私どものつらいのも、一億だからできるじゃないかと言われましても、決してその一億というオーダーの問題ではないわけでございまして、いろいろとかなりの額に上ります。そして片っ方は赤字であり、きわめて現在でも収支の差が話にならない状態でございますので、おっしゃるサービスは考えなさいということは、もうよくわかりますけれども、それをこの際全部盛岡及び仙台の管内だけは他に優先して放送設備を整備しなさいと、それを約束しなさいと言われても、いまの段階ではちょっとそこまでお約束はいたしかねるということでございます。
  63. 内藤功

    内藤功君 これは全国を見直すというけれども、やはり雪の深いところで、寒いところの停車場で待つのと、そうでないところは違うんですよ。これはやっぱり、そういうことは全国にならしてというけれども、まず緊急な声が上がっているところからやるべきだと私は思うんですね。一体、じゃ、いつごろまでこの対策はきちんとした具体策を私どもに示してくれますか。
  64. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのあたりに実は率直に言いまして管理局の仕事としてやってもらっているわけでございまして、それを全国的に本社の方で統制的、統一的にはなかなか手が回りかねます。そこはそれぞれの事情に応じて、かなりの範囲内において予算を一括して各局に渡して、そこでそれぞれの優先順位に応じて処理さしております。  ただ、いまおっしゃるように、雪の中で汽車が来るか来ないか待たなければならないような状態というのは、かなり緊張した状態といいますか、切実性のある問題でございますので、そういう御趣旨の御指摘があり、私どももそう思うからということで関係管理局には指図をいたしますが、本社としていついつまでにということはちょっとお約束いたしかねるということでございます。
  65. 内藤功

    内藤功君 まるで人ごとみたいに言いますけど、管理局を指揮監督しているのは国鉄本社ですからね。国鉄本社が、こういう話が共産党の議員からあったから伝えておくよというような姿勢では困るんですよ。人ごとみたいに言う。取次所じゃないんですから、総裁というのは。一体これをどう思うのか。  私はさっきから大臣に見解聞いているんですが、国鉄当局が手を挙げて、なかなか大臣発言聞けないんで、委員長大臣直接答弁を求めたいと思うんです。
  66. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、私は実際業務に携っているわけでもないし、細かいことを知るわけではありませんが、篤と御質問を承っていて考るのは、無人駅で切符をみんな委託して売らしておりますが、そういうところへ、列車がおくれたり事故があったりした場合は電話をして何か掲示の方法を考えるとか、急にお金を使わなくてもそういう方法があるんじゃないかと思っていま問い合わせましたら、そういうことをやらしているところもあるそうであります。  私は雪国の生まれでございますから、特に戦前戦後非常に苦しい時代に、バスなんかでも、来ないバス待った経験も何度もありますので、それは暖かいところと同一には論じられないことばよくわかりますが、いま国鉄総裁がお話しのような経済事情でもありますので、何かお金のかからないでやれる方法はないだろうか。たとえば問い合わせ電話を設置するというようなことなんかも一つ方法ですけれども切符をかわりに売らしておるなら、売らしておるところへ電話して、その旨を掲示させるというようなことくらいはできるだろうと思いますし、またやっておるそうでもあります。
  67. 内藤功

    内藤功君 大臣の方がいろいろ知恵をしぼって、満足はできないけれども答えらしきものを出しておるわけなんですね。総裁、どうなんですか。雪の降るところという問題これはやっぱり優先的に考えなくちゃいけないと思う。単に委員会でこういう話があったということを関係局に伝えるだけじゃなくて、もう一つ、こういう努力をしてみたいと思うというのはないんですか。総裁がこれ以上答えられなければ常務理事でもいいですよ。当局者でもいい。どうなんですか。
  68. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) この無人駅のサービスをどうするかということにつきましては、無人駅になったときのいきさつもございますが、放送設備だけということが解決じゃなくて、さっき総裁が申しましたように、いろんな要望、あるいはサービスがあります。たとえばこの無人駅という中にも、仙台の局あたりでは運転要員が現にいるところもありますので、そういう場合には放送設備がなくてもそこで聞けるとか、そういうようなこともございますし、その場合には何か別にほかの簡易跨線橋とか、そういう優先順位がございまして、やはりこれは管理局長が、自分の管内につきましてどういうサービスを提供するかということを自分の予算の範囲内で考えていくということの中に含まれた方が地方の実態に合わせていける。ただ、先生御指摘のように、雪国の場合は列車が乱れやすいというような要素もありますものですから、そういうことについては、なおきめ細かく検討していくということはわれわれも打診したいと思います。
  69. 内藤功

    内藤功君 そうすると、この問題を管理局だけに任して、国鉄当局としてはきょうの話を二つの管理局長に伝えるというだけなんですか。それだけなんですか。
  70. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いや、そういう意味ではございませんので、非常におっしゃることよくわかるわけでございますから、管理局に指図をいたしまして、そして具体的にどういう対策をとるか、管理局としても毎年の仕事の中でいろいろと他にもいたさなければならぬこともございますので、いろいろ案を立てさせまして、私が目を通して促進をしてまいりたいと思います。
  71. 内藤功

    内藤功君 総裁ね、それでしたら、その検討の結果をなるべく早く私の方に報告してください。すぐにやってほしいと思います。いいですか。
  72. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのようにいたしましょう。
  73. 内藤功

    内藤功君 もう一つローカル線の問題で、今度はずっと南に下がって福島県の話です。東北にやっぱり非常に問題が多いもんですから集中しますが、ローカル線を走る普通列車で、寒い冬の時期においても暖房を通さないで運転しているという、こういう文字どおり冷酷な線区があるように私は聞いていますが、この事実を国鉄当局は知ってますか。
  74. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) いまのような事実については聞いておりません。
  75. 内藤功

    内藤功君 それだからだめなんだ。お客を夏ならともかく、冬、暖房なしに乗っけておいて、寒い思いをさせておいて、そうして学割りの値上げだ、運賃の値上げだということを言っているんじゃこれはだめですよ。これは福島県の喜多方−熱塩、これは何線というんですか。
  76. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 日中線でございます。
  77. 内藤功

    内藤功君 日中線と言うんですね。これは何キロで、所要時間片道何分です。日中線と言っても飛行機じゃないんだ、これは。
  78. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) キロ程は十一・六キロで片道約三十分ほどでございます。
  79. 内藤功

    内藤功君 この喜多方−熱塩間ですね、この間は冬季でも暖房なしで走っておる。こういう事実は御存じないですか。
  80. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 聞いておりません。
  81. 内藤功

    内藤功君 これは非常に雪の多い地域ですよ。こういうんですね。喜多方から熱塩へ行くときは暖房をたいているんですが、この熱塩から今度は喜多方へ折り返しで帰ってくる便は暖房を通してない。聞いてみると、余熱でやっているというんです。行きの暖房の余熱でやっている。しかし、余熱というものはすぐ冷めちゃうわけです、これは寒いところですから。結局やってないんだ。帰りは落としちゃう。で、連結は前の方に貨車をつけるんだそうです。貨車を前の方へつけるから後ろに暖房が行かないんですね。まあ、お調べになってください、これは。こういう個所がある。利用客は大体高校生、若い人たちですよ。うんと体大事にしてやらなくちゃいけない。若いから、元気だから少し寒くたっていいだろうというわけにはいかない。若い人の体は気をつけてやらなくちゃいけない、女の子だっているんですからね。どういうことなんです、これ。これだけ言ってもまだ心当たりありませんか、これだけおって。
  82. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 先生御指摘の事実を、ただいま直接は報告受けておりませんので想像でお答えしますと、廃熱利用の気動車の場合には、上り勾配のときにはたくさん廃熱が出ますし、下り勾配のときにはほとんどエンジンが要らないですから、その関係ではなかろうかと想像いたします。
  83. 内藤功

    内藤功君 まあ想像で精いっぱい答えられたわけだけれども、こういうところがあるということです。これはごくごく日本の中の、山の中の鉄道で、一つだけだからいいじゃないかでは済まされない。国民は皆同じなんです。五〇%以上の値上げの被害をこうむる点はみんな国民は同じなんです。だから、こういうものについて総裁、速やかに調査をして、いやしくも暖房を落とすというようなことがないように、調査をし、それに対する検討、善処をお願いしたいと思うんですが、どうです。
  84. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 各地域にいろいろと問題がございます。いま御指摘の点も問題の一つであろうと思います。調査をしてみる、そして、それをどうするか対策を考えるということは、当然のこととしていたしたいと思います。
  85. 内藤功

    内藤功君 これはさっき言ったように、横の方から、目黒先生から混合列車だという不規則発言もありましたけれども、貨車を連結しているので後ろの方の客車には暖房が通ってこないんだというような説明では、これはなかなかわれわれとしては納得できないですよ。一体人間と貨物を比較した場合どっちが大事なんだと、生き物ですからね、こういう点もよく考えてもらいたい。それから、これで通っている若い人たちの健康というものは、日本の国にとって一番若い人の健康は宝なんですから、軽く見るようなことがあっちゃならぬということを強くここで言っておきたいと思うんです。  細かい問題ばかり先に出して恐縮ですが、こういうときに聞いておかないと、上げちゃった後なんというのは、もうこういうものはまたずっと後になっちまう。私は、はっきり言いますがね、それなるがゆえに厳しく言っているんですよ。大体そういう意味で、いま細かいことであるがお聞きしたわけです。  あと、ローカル線を利用している人たちからどういうような注文が来ているかというのを、私どものところに来たのを整理して言うと、無人駅の照明をもう少し明るくしてほしいというのがある。今度はまた、十月十八日からのいわゆる超けちけち運動で照明をもっと暗くするなんてある。気味が悪いもんですよ、薄暗いなんていうのは。無人駅の照明を明るくしてもらいたい。それから待合室の暖房が非常に寒い。もう少し暖かくならないか、二番目。三番目が、車両が老朽化して、特にいすの汚れがひどい。四番目、列車内にネズミがいる。ネズミの駆除をしてほしい。この間はゴキブリの話が出たが、ネズミがいる。車内のトイレの水が出ないことがしばしばある。改善してほしい。いっぱいありますけれども、私の手元に来ているものを整理するとこれだけあるんです。  サービスはこのまんま、なお切り詰める、それで値上げを二年連続やるというようなことは、これはもうもってのほかです。現在のローカル線が、このような利用客の必要最小限の人権さえ守られていないのですね。人間扱いじゃない。こういう要素すら満たされていない。しかも、政府国鉄当局が赤字を理由に、改善の必要性を感じながら荒れほうだいにして放置してきている。これはもう許されないことだと思うんであります。運輸大臣、これでは値上げと相まって利用客が国鉄から遠のくか、あるいは国鉄に対して非常に不信を持つか、あるいは、こういうサービスをしないで値上げをする責任のないいまの政府に対して、あるいは政府・与党に対して非常な不信感を抱いていくだろうと思うんです。値上げをすれば、多数で通せばそれで片づくと思っているかもしれないけれども、その国民の反感はこわいですよ、これは。国民の反感はこわいです。よくこれは考えなくちゃいけない。運輸大臣、こういう最低の人間扱いをしないローカル線の現状についてどうお考えになり、さらにどのように抜本的に変えていくお考えを持っておるか、大臣にお聞きしたいと思う。
  86. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 必ずしもお金をたくさん使わないでも心遣いで処理できることがたくさんあると思います。で、そういう心構えもみんなが持ってもらうように、私もたびたび国鉄当局にもお願いをしておるわけでありますので、そういうサービスの改善というものを必ずしも金と結びつけ——全然ただというわけにはいきますまいけれども、心遣いさえあれば処理できると思う面も、実際私どもしょっちゅうローカル線に乗りますから感じないわけではありませんから、そういう心構えで対処してもらいたいと、こう考えております。しかし、それをやりますのにも、何と申しましても土台である国鉄の経営の健全化がほっておかれると困りますので、本両法案は無論でありますが、健全化のための努力はやっぱり基礎にないと、具体的に金のかかることを実施するということもそれだけおくれるわけでございますから、健全化に努めつつ同時に細かい心遣い、親切な態度、そういうもので補うように努めてもらいたいと考えております。
  87. 内藤功

    内藤功君 そこで、このサービスの問題に関係してどうしても私は重大な問題を指摘せざるを得ないんですよ。  これは十月の二十三日、つい最近です。きょうが二十六日だから、三日前の十七時四十分ころ、国電の秋葉原の構内で視力障害者——目の御不自由な方です。視力障害者の転落事故があったんです。それで亡くなったんです、この方は。死亡された。相次ぐ事故があるんですが、一番最近の視力障害者の方の事故はこれです。この事故の概況について、まず国鉄当局から御説明願いたい。
  88. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 五十一年の十月二十三日の事故でございますが、場所は、秋葉原駅山手線の内回りホームの二番線の第三階段付近のところでございます。死亡者は、いまお話がございましたように、めがねをかければ視力〇・二ぐらいの方でございまして、吉田さんという方でございますが、概況は、山手線の内回り電車がホームの中間地点まで進入しました際に、ホームで運転主任が客扱いをしておったわけですが、電車の進路の前方を確認いたしまして、それで笛を吹きながら再び電車が走ってくる方向に向き直ったわけです。そのときに白線の外のところにふらふらと出られたというふうな感じの旅客を発見いたしまして、これは危ないということで直ちに非常停止手配をとったわけでございます。一方電車運転士も、大体十五メートルぐらい手前で発見をいたしておりまして、警笛を吹鳴して非常ブレーキをかけたわけでございますが、旅客は電車と接触いたしまして、ホームと電車との間にはさまれて約三十メーターもまれまして負傷をされました。そこで、駅長室に収容いたしましたんですが、十八時十五分に亡くなったということでございます。
  89. 内藤功

    内藤功君 非常に痛ましい事故が起きたわけなんであります。なおこの日は、巨人、阪急戦が終わった時間で、この秋葉原駅、これは総武線と中央線と山手、京浜東北線の交差するところで大変混む駅ですが、いまお話しのホーム上は特に混雑しておったという状況でしたか。
  90. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 秋葉原の駅のわれわれの聞いております報告によりますと、土曜日の十七時四十一分でございまして、ホーム上の混雑は、普通の日の十七時ごろと余り違ってなくて、白線の外の見通しはよかったというふうに報告を受けております。
  91. 内藤功

    内藤功君 私どもの方の調査では、この時間非常にいまの野球の帰りのお客さんがおって混んでおった状況だと聞いております。  そこで、私はその点にいまこだわるつもりはないんだが、この秋葉原駅のホームですね。京浜東北線が神田駅の方から来る。それからこっちから山手線が来る。こういうホームであります。この事故のあった十七時四十分前後の間隔は山手線が三分間隔、京浜東北線が三分から四分間隔、大体こういうふうに調べていますが、それで間違いないですか。
  92. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) この時間帯は大体それぐらいだと思います。
  93. 内藤功

    内藤功君 大変な過密ダイヤで、こういう三分後、あるいは三、四分後に次の電車が入ってくるという過密ダイヤの場合では、一たん落ちたら目が御不自由な人でなくても、普通の方でもなかなかこれは助かりにくい状況だろうと思うんです。駅員が操作する緊急列車停止装置というものを使用しても、ホームに電車がかかってきた場合には、これはまず緊急列車停止装置を使っても、急ブレーキかけても間に合わないだろうと思うんですが、どうですか。
  94. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 山手線の秋葉原駅を初め、緊急防御装置が設置されてございますけれども、これは電車がスタートするときに、たとえばドアにはさまれるとか、そういうことで緊急にとめたい場合に使うものと、それからホームヘかかる手前から進入してくるそのときに、どなたかホーム上から転落したような場合に使う装置と二つ設置してございまして、本件の場合のような、すでに電車がホームに差しかかってから発生した事故につきましては、両方ともこの装置は役に立たないわけでございます。この時点で電車の速度約四十五キロから五十キロぐらいと報告されておりますが、その時点で非常ブレーキかけますと約九十メーターぐらい走ってとまるということでございます。
  95. 内藤功

    内藤功君 秋葉原の場合には、これはほかの駅でも同じと思いますが、緊急列車停止装置としては何というか、秋葉原駅に進行してくる電車に向かって信号を赤にする、わかりやすく言えば信号を赤に変える、こういう装置と、それからもう一つは、ホームに入ってきたときに運転者に知らせるために点灯する、明かりがっく、それからブザーが鳴ると、こういう装置と大きく分けて二つあると思うんですが、両方ともあったんですか。
  96. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 秋葉原の場合には両方とも設置してあるように聞いております。
  97. 内藤功

    内藤功君 そういう装置があったがこの事故が避けられなかったという問題なんです。それで、秋葉原の駅というのは私もよく利用しますが、非常に乗降客の多い駅てあります。特にこの山手京浜線のホームは、わりと狭くって非常に混雑するところだと思いますが、問題はこの視力障害者、あるいは視覚障害者、目の御不自由な方の安全対策について、国鉄は一体どういうような対策をとっているか。特に、この駅には誘導ブロックというか、点字ブロックというか、黄色く塗ってあってここに突起部分があるこの誘導ブロックが設置されておったのかどうか、この点はどうですか。
  98. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 目の不自由な方がホームをお歩きになるときに、どの位置を歩いているかということをわかっていただくために、いま先生のおっしゃるような誘導ブロックというような装置が設備してある駅がございます。四十八年に高田馬場の駅で私の方で初めてそれをつけました。それ以後、駅の改良をするとか、あるいは特にそういう方々の御乗車の多い駅等について試行的に、ただいま全国で七十駅ほどその誘導ブロックをホームの上につけることにいろいろ試験をいたしておりますけれども、これが非常にまだ未開発の技術といいますか、施工でございますので、いろいろ検討を加えながらそういうものの設置について研究をいたしておるというのが現状でございます。
  99. 内藤功

    内藤功君 そういうことだから困るんですね。試行的にと言う。驚き入った話です。試みにやっていると、未開発であると、研究中であると。研究も何もないじゃないですか。そういう誘導ブロックというものがあるならば、それをこういう身体障害者の方、視力、視覚障害者の方が利用する可能性がおよそあると考えられる駅には、これは思い切ってまず設置をするということが私は先決だと思うんです。  伺いますが、四十八年に高田馬場の駅で初めてつけたと言いますが、四十八年何月でしたかな、つけたのは。
  100. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 四十八年の二月だと思います。
  101. 内藤功

    内藤功君 四十八年の二月には、高田馬場でこの目の御不自由な方の事故があったんでしょう。
  102. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) そのとおりでございます。
  103. 内藤功

    内藤功君 事故があったから初めてつけたわけなんです、これは。事故があったからつけた。そうでしょう。つけたから事故があったんですか。
  104. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 事故がございましたので初めてつけましたということでございます。
  105. 内藤功

    内藤功君 すべて後手後手なんです。四十八年二月からいままで三年八カ月かかっている。まだ研究中だと言う、まだ試行的だと言う。多くは私は言いませんが、この事実は恐ろしいことだと思いますよ。  そこで、これだけじゃない。秋葉原の駅長、助役に会いましたです。駅長、助役に会って私どもの方で調べてみた。そうしたら、この事故の後、盲人という表現は適当じゃないですが、その駅長さんの言われたとおり言います。そういう方を見たら、駅員はできるだけ誘導しなさいと言っておりますと。現場の駅長さんとしての対策はこれだけなんです。そういう目の御不自由な方を見たらできるだけ駅員は誘導しなさいと。しかし、込んでいる駅だし、駅員さんも数が多くない駅ですから、見つかった視覚障害者の方はいいけれども、目につかなかった視覚障害者の方は、案内も保護も何にもされないで放置されているというのが現状なんです。びっくりしたですね。見つけたらできるだけ親切にしなさいよと。現場の駅長、助役はそれで一生懸命、精いっぱいなんでしょうけれども、これだけではだめなんですね。  そこで、もう一つ私はお聞きしたいのは、十月に入ってもう一件あるんです。これは十月の九日、高崎線の鴻巣駅の構内で起きた視覚障害者の方二名の転落事故。一人お亡くなりになった。一人は奇跡的に足をきしられましたが、六カ月の重傷ということで命だけは取りとめられたが、この事故の概況を国鉄当局に説明してもらいたいと思うんです。
  106. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 十月九日の十八時三十九分ごろでございます。概況は、「とき」という特急でございますが、吹上駅を二十四分おくれで通過いたしまして鴻巣駅に接近いたしましたので、列車を監視するために営業係が上りホームに——上りホームが駅長室側にありますものですから、駅長室の前に出まして進路を確認して異常ないことを確かめたわけでございます。ちょうどその際に、下り本線に篭原行きの電車が一分延着いたしまして、もう一本、中線に前橋発の上野行きが三十分延着して同時到着になっておる。その二本が駅長室の前のホームで一もう一つホームがございまして、そのホームの両方にとまったわけでございます。  それで、その際に大体三百人ぐらいのお客様が階段から改札の方におりてこられました。その際に、この降車のお客様が階段から改札口の方に来られるのに対して、乗ろうとするお客様十名ほど改札口から向こうの方へ行かれて、それがたまたま白線の外の方を歩かれておったということで、監視をしていた営業係は危ないということで制止をいたしまして内側に入れたわけでございます。それで、振り返ってみましたら二名のお客様が転落をされて、まあ、とっさのことですから、すぐそちらの方に近寄りましたけれども、二、三メートル近寄ったところで「とき」が通過をいたしまして助けることができなかったと、こういうような概況でございます。で、「とき」は現場に十九分停車して、十八時五十六分に発車したわけでございます。  で、負傷されたお客様二名については、直ちに救急車で運びまして、熊谷外科病院というところに運んだわけでございますが、輸送途中で一人のお客様は死亡されたという御連絡を受けております。
  107. 内藤功

    内藤功君 この鴻巣駅には誘導ブロックは設置されていますか、いませんか。
  108. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 設置されておりません。
  109. 内藤功

    内藤功君 この二人の人は、さっきの秋葉原の方と違って、この障害の程度はどの程度だった
  110. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 死亡された方は茂木さんという方ですが、二年前に失明されております。それから負傷された方は小川さんという方ですが、三年前に失明されております。
  111. 内藤功

    内藤功君 私どもの調査で、写真も撮ってきておりますが、当日、特急の「とき」九号がおくれて、この二人の方は、通常は上り一番線に着くべき列車が二番線に到着したんであります。ここに大体図面も持ってきましたが、点字ブロック、誘導ブロックがいかに大事かという意味で、これを簡単に私どもの調べたのを説明しますと、本来一番線にこう着く、上り「とき」はここへ着くわけですね。この一番ホームに着くわけです。ところがこの日は、九分おくれでこの二番線にこっちから着いた。そうすると、どう違いますか。視力障害者の方、視覚障害者の方の立場に立ちますと。ここにおうちがあるわけですよ、鴻巣に。で、学校から帰ってきたわけです。学校といっても、もう四十代の方ですけれども、目の御不自由な方の学校から帰ってきた。そしてここへ着いて、いままでは階段を渡らなくていいわけ、跨線橋を渡らなくて。で、一番ホームから斜めにこう左に行きますと改札口でここへ出て、そして自宅に電話をすると、うちの人が車で迎えにきてうちまで帰れると、こういうことだった。  この日はここへ着かないで、こっちへ着いちゃった、二番線の方に。そうすると、二番線に着くと、この跨線橋を渡らなくちゃいけないわけです。二人は手をつないで、腕を組んで、そして、この駅員にこっちの改札口へ出るにはどう行ったらいいんですかと聞いた。聞いたのを目撃している人がいるんです。それで階段を二人で上がりました。このころからもうすでに誘導ブロックがあれば問題ないんですよ。誘導ブロックがあれば、そのとおり歩いていけばいいんだから。ところが、誘導ブロックがないもんですから、階段上がって、上がっただけならいいけれども、今度はこっちへ曲がると右になりますね、右に曲がると。それでずっと歩いていって、されに今度はここから右に曲がって右におりるというところで、恐らく失明の方ですから完全に勘が狂ったと見るしかないんですよ。それでおりてから、ここですよ。  いまいろいろごちゃごちゃ言われましたけれども、こういうふうに明快に言えばいいんだ、あなたも。何だかわかんない。要するにここをおりたときに、こっちへ行けば改札口なのに、こっちへ来ちゃったわけです。すっかり、だからここのところで狂ったわけです。完全な失明者の方でありますから、この改札口の斜め左に歩いていけばいいのに、斜め右の方に勘が狂って行っちゃったもんだからここに落ちて、それで折から入ってきた列車にひかれちゃったというのが現状なんです。要するにここでもって、これを渡った、いつもはここで改札口に行くのに、この日だけはこっちへおりて、それで階段を上がったもんですから、勘が狂って左へ行くべき人が右に行って落っこっちゃった。  ここに誘導ブロックが、いま飯田橋の駅とか、高田馬場の駅にありますね。ぼくもその二つだけは実際見ておりますけれども、こういう誘導ブロックがここまで続いていれば何のことはないです。この二人の方は事故に遭わない、亡くならないでいまも元気でいらっしゃるはずなんです。こういうことでとうとい命を奪われたわけなんですね。こういうことが非常に痛ましい事故の最大の、唯一のと言っていい原因になっている。ほかには何にも原因がないわけなんですね。これが事故のわかりやすく言うと実態ですよ。この基本関係は警察でも、それから駅当局でも否定なさっていませんが、どうですか、こういうことなんですね。
  112. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 大体概況はそのとおりだと思います。
  113. 内藤功

    内藤功君 写真も撮ってきておりますが、この私の持っているのはおりてきたところ、つまり二番線ちょうどその方々が落ちたところの写真でありますから、ちょっと委員長の許可を得て総裁に見てもらいます。よろしゅうございますか。——ここのところです。こっちに着いたと、それで跨線橋を渡ってこうおりてきた、こっちへ行くべきものを間違えて、ちょうど黒く塗ってあるところから落っこちた。ですから、ここに誘導ブロックが真ん中に入っておればこういう事故は起きなかったというのが私どもの調査です。  それで、いまの問題でありますが、この誘導ブロックの設置の問題これはさっき四十八年の二月から始めた、四十八年二月の高田馬場の事故の後でやった、こういうお話でしたが、現在全国の旅客駅は全部で幾つあって、そのうち幾つの駅に誘導ブロックが設置されておるか、まず全国ではどうかということの数字を述べてもらいたい。
  114. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 全国の旅客駅の数は約五千二百でございます。その中で誘導ブロックの設置駅としては七十六駅でございます。
  115. 内藤功

    内藤功君 その数字は昭和五十一年十月現在と伺っていいんですか、そうですね。
  116. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 五十年度末で押さえた数字でございます。
  117. 内藤功

    内藤功君 五十一年度に入ってからは設置されていますか、いませんか。
  118. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) どれだけ設置されているかはまだ押さえていませんが、予定として五十一年度に大体二十六駅ぐらいを考えております、計画として。
  119. 内藤功

    内藤功君 予定はいいんだが、現実に五十一年度に入ってから設置されていますか、いませんか。
  120. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 五十一年度になりまして十四駅ほど設置をいたしました。
  121. 内藤功

    内藤功君 そうすると、合わせて七十六プラス十四で九十駅ということになる。全国で五千二百の駅があって、そのうち九十駅しか誘導ブロックがない。安心して視覚障害者、視力障害者の方が歩ける駅は九十しかないということですね。  それでは、全国の数字は聞いたが、特に首都圏ですな、首都圏というのは都道府県で言うと東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、この首都圏の一都三県に限ってみた場合、これは国鉄としては鉄道管理局で限った方が答えやすいかもしれないが、一応住民の立場から見て一都三県に限って見た場合に旅客駅は幾つあり、そのうち誘導ブロックのある駅は幾つありますか。
  122. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま旅客駅数、ちょっと手持ちございませんけれども、誘導ブロックを設置してあります駅は、誘導ブロックの中にもいわゆる点字ブロックのほかに、テープのような、いわゆるキクラインテープと言っておりますけれども、それを設置した駅三つほど含めまして合計で十七駅設置されております。  なお、一都三県の駅数は七百四十駅でございます。
  123. 内藤功

    内藤功君 通勤、通学でわれわれが毎日混雑ぶりを味わっておるこの首都圏七百四十駅のうちで見ると十七駅、一〇%にも満たないですね。〇・〇二ちょっと、全体の約二%、百のうち二しかないという状況であります。まずこういうところから、一番国鉄で、命、体の危険にさらされている人のことを考えてやっていくというのがこれは当然だと思うんです。公共機関として当然だし、また国鉄は商売だ、企業だと言ってみたところであたりまえなんです。相手の命を脅やかしておいて、それで値上げをするというようなことは、これは最も許せないことだと私は思うんですね。そこで、こういうことでは起きますよ、こういう事故が。十月に入って首都圏で鴻巣で起きて、秋葉原で起きているんですから。これは起きますよ、こういう事故が。私は非常に寒心にたえないと思う。  同じ高崎線の大宮駅では、去年の五月にやっぱり視覚障害者の事故があったと記憶していますが、この大宮の去年の五月の事故の後、どういうような対策をとりましたか。
  124. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 大宮駅には誘導ブロックをその後設置いたしまして、目の不自由な方の対策を誘導ブロックで実施いたしております。
  125. 内藤功

    内藤功君 これも事故の後なんです。これは非常に不完全なものだと私は思うんですが、とにかくつけた、それも事故の後だということなんです。事故が起きて、視覚障害者の方が犠牲にならなければやらないということがよくあらわれておりますね。自動販売機にこの点字をつけるというのはやりましたか、大宮で。
  126. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 大宮駅では自動販売機に点字テープはまだ設置いたしておりません。
  127. 内藤功

    内藤功君 視覚障害者の方の中でも外見的に一般の方と余り変わらないように見受けられる方がいて、そういう方に対して現場の職員の方が改札口で切符を売らないで自動販売機でコインを入れて買ってくださいと言われて非常に困ることがあるというのです。自動販売機のところに行っても幾ら自分の行く駅までお金がかかるのかということがわからないし、不可能を強いられるようなものだ。そうかといってその窓口で、いや私の状況はこうだということを細々しく話すことも実際問題不可能だ。だから、自動販売機には必ず点字を入れてくれというのが、私どものところにお見えになるこういう方々の切なるやっぱり要求ですよ、もう一つの要求。誘導ブロックと同時に。一体点字をつけることにはどのくらいの経費がかかるのであり、また実施状況は、この東京三局でもいいが、その管内で大体どんな状況になっていますか、これもしわかったら関連して答えてもらいたい。
  128. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 点字テープでございますが、ただいまのところは六十三駅についておりまして……
  129. 内藤功

    内藤功君 それはどこで、全国で。
  130. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) いや、首都圏でございます。
  131. 内藤功

    内藤功君 結局国鉄当局は、これはもうそれを管理する運輸省政府当局も同じですが、人が事故で亡くなり、あるいはけがをされるまで対策を打てないというふうに見、ざるを得ないわけですよ。いま話に出たついでですから、東京への通勤に大きな関係のある高崎線、これについて聞きますが、今後この高崎線の沿線でどれくらいの誘導ブロックを設置する計画がありますか。その他、視覚障害者の方に対する安全対策の計画は具体的にどのように持っていますか。
  132. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 高崎の管内では五十一年度に、高崎線と言いますと大宮から高崎まで、その範囲で言いますと上尾の駅を計画しております。
  133. 内藤功

    内藤功君 要するに、大宮−高崎間では上尾に誘導ブロックをつくることを計画している、それだけですか。
  134. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) これは本年度高崎の局で——ほかの線も幾つかあるんでございますが、いま高崎線というお話でございましたので、高崎線の線内で当初の考えておりました計画を申し上げたわけですが、やはりこういった事故にもかんがみまして鴻巣にも考えなくちゃいかぬと思うわけですが、ただいま申し上げましたのは当初計画で申し上げたわけです。
  135. 内藤功

    内藤功君 まことにこの面では無策とは言わないまでも、無策に近いと評せざるを得ないわけですね。高崎にもないんですよね。あれだけの人が乗り降りする高崎にもないんですね。それから大宮は事故があったとき以後につくった。それから県庁所在地の前橋にもない。高崎にもないでしょう。
  136. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 大宮は確かに事故の後でございまして、現在誘導ブロックは高崎、前橋にはございます。
  137. 内藤功

    内藤功君 ないんでしょう。
  138. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) ございます。
  139. 内藤功

    内藤功君 いつからつくったのですか。あるとしたら、いつから。
  140. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 四十九年度でございます。
  141. 内藤功

    内藤功君 それで、この誘導ブロックを一遍に全国の旅客駅全部につくればもちろんいいが、仮にそれがすぐにできない場合でも私は最小限基準があると思うんです、中で。こういう駅には誘導ブロックをつくるという基準、これは一体どういう基準がありますか。文書なり通達なりそういうもので出ておるんですか、どうなんです。
  142. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) どういう駅を優先的にやるかということでございますが、まず盲学校などが所在するようなところはお客様が多いですからまず第一番に考えております。それから地元の市町村が町ぐるみで盲人対策を講じておるような場合には、国鉄もそういうことの一貫として援助をするという考え方を持っております。それから新幹線ができますと、新幹線の駅が新しくなりますものですから、その機会に新幹線の停車駅はつくる。それからそのほかでございますが、これたくさん駅があるわけなんでございますので、大体視力障害者の利用数が多いということをつかんで、それの多い順番というような感じでやっておりまして、これは通達ではございませんで、指導のような形でやっておるわけであります。
  143. 内藤功

    内藤功君 当然まず盲学校、そういう学校教育施設のあるところではやらなくちゃいけない。それからその他、こういう方々の職業教育などをやる施設が存在する駅ではやらなくちゃいけない。  それからもう一つ、大きくはずれていると思うのは、鴻巣駅のように二人の方が住所を持っておられて、いつもそこで電車に乗り降りされる、こういう自宅への行き帰りに必ず使う駅ですね、通勤、通学駅というか、そういうものはやっぱりずっと調べて、たとえば、どこそこの学校にいる二十人の学生さんはどこから乗る人だ、大宮から乗る人が何人、鴻巣から乗る人が何人、そういう一人でも乗る人のいるところは優先的にキャッチするということがあたりまえでしょう。だれも乗りおりしないところにつくれというのじゃない。ただ、一人でもそういう方が乗りおりするところは調べなきゃいけない。そういう調べはちゃんとついておるのか、恐らくついてないと思う。どうなんですか。また、そういう努力をする気持ちがあるのかどうか。
  144. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 努力する気持ちは十分ございまして、高崎の駅の管内では一応調べてあって、その結果さっきの順位によって今年度予算の範囲内でこれぐらいというふうに決めておるわけでございまして、確かに鴻巣の場合は、私どもの聞いております範囲ではお嬢さんが、盲導犬を連れた人がずっと乗っておられるということは聞いております。で、管理局で、御指摘のようにきめ細かく統計をとりましてその結果措置するということは、当然そのとおりだと思います。
  145. 内藤功

    内藤功君 鴻巣駅で盲導犬を連れた御婦人の方——いまお嬢さんと言われたが御婦人の方が、いまでも乗りおりされているわけですよ。それは知っておるんだが、この四十歳の視覚障害者の方二人が乗りおりしていることはわかっていなかったわけなんだ。そういう点も片手落ちなんですね。本当に調べてない。本気でやはりこれは調査をしてないと思うんです。このお二人の方が通っておられた熊谷の盲学校——この二人の人は、熊谷の盲学校からの帰りに鴻巣駅で事故に遭った。熊谷の盲学校ではどうかということです。これは、何人くらい熊谷の駅を視覚障害者、視力障害者の方が利用されているか、調べておられますか。
  146. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 私立熊谷盲学校というところがございますが、約三十人生徒がおりまして、国鉄で通っておられる方は七、八人ぐらいと聞いておりますが。
  147. 内藤功

    内藤功君 この私立熊谷盲学校、これは三十人じゃないです。生徒が二十二人なんです。生徒が二十二人、教職員が六人、合わせて二十八人、教職員の方も入れて。二十二人おられたうち二人ここで事故に遭われた。一人亡くなって一人六カ月の重傷ですから、いま二十二人が二人欠けて二十人、非常にさびしい気持ちにいま包まれておる。私どもの調べでは、視覚障害者の先生が教職員六人のうち三人おられるということです。それで、熊谷駅を利用しておる学生の方は、いま七人と言われたが、大体これは当たっているが学生さんは六人であります、私どもの調べでは。とにかく、熊谷には誘導ブロックはあるんですか。
  148. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) ただいまございません。
  149. 内藤功

    内藤功君 この六人、あなたの調べでは七人、まあどちらでもいい。六、七人の方が利用されているところにそういう計画もないし、誘導ブロックもないという点ですね。これは一日も早く設置すべきだと思います。特に鴻巣駅では、いまちゃんと言われたように、盲導犬を連れた方が乗りおりしているということを確認している。それから熊谷駅でも六、七人の人が利用しているということを確認しているんですから、確認している以上は手を打たなくちゃいけない。こういうことはすぐできることなんです、すぐできることだ。  それで誘導ブロック、あるいは点字ブロックと言われているが、この誘導ブロックの費用ですな、経費は大体どのぐらいかかるのです。
  150. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ホームの長さによって若干違いますけれども一つのホームに約二百万ほどかかりますので、駅によりましては四百万円かかる駅もございますし、また大きな駅では一千万程度かかるかと思います。
  151. 内藤功

    内藤功君 二百万、四百万と言われますけれどもね、人の命はとうといものであってお金に換算できないのであって、いまはもう交通事故でも死亡事故は何千万というお金を払わなきゃならない。あなた方は、こういう事故が起きると、いや、それは本人の不注意でございますと言って逃げることが多いんでしょうけれども、それでも裁判にかかれば、これはもう何千万という賠償請求が認められる。そうしてこれはとうとい国の予算国鉄予算から出して賠償しなければならなくなる。それに比べたら、一駅二百万というものはこれはぜひまず出すべきものであります。人間の命というものに比べたら、これはもうこういう経費こそまずやるべきものだ。これを怠っている。赤字を理由にこういうものを怠ることは私は許されないと思うんですよ。  ついでに聞きますが、誘導ブロックでいま国鉄がやっておるのはどんな材質でありますか。それから、視覚障害者、視力障害者に比較的評判がいいのはどういう材質、どういう形状のものですか。
  152. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 最近使用いたしておりますのはコンクリート製のものでございますが、当初はプラスチック製の凹凸のついたものというものも使っておりました。いま二種類のものを研究をいたしております。  どういうのが評判がいいかという御指摘でございますが、私の方は部外の委員の先生方にいろいろお尋ねをし、なおかつ横浜地区で実際に目の不自由な方に使用していただいたと。そういう実績からどういうものがいいかということをいま検討いたしておりますけれども、いままでのところでは、実際に障害の御本人の程度、あるいは御本人のどういう訓練を受け、あるいはどういう経験を持っているかということによって非常に差異があるようでございます。で、いま現実に使っておりますのは小さな凹凸のついた丸い形のものでございますけれども、どうもそれだけでなくて、もう少し形状についても検討しなくちゃならぬ。あるいは、ただでこぼこだけじゃなくて、ホームの近くではこういうものにする、あるいは直角に曲がる場合にはこういう形のものということもあわせてただいま検討をしておりますところでございます。
  153. 内藤功

    内藤功君 飯田橋の駅と高田馬場駅は、あれは営団地下鉄ですな、東西線というのは。東西線と連絡するわけなんですよね、それで、まず飯田橋の駅でこの点字ブロックの上をぼくは歩いてみたんです。そうすると、大体四、四、十六というか、縦に四つ、横に四つこういう突起物が出ている。黄色っぽい色であります。それが二つ並んでいる。そういう形なんです。で、私はちょうど雨の日だから長ぐつをはいていたんです、ゴム長を。で、ゴム長で踏んでみたんですが、あんまり感触がよくないですよ。あるんだかないんだかわかんないです。その上を歩いてみた、ずうっとホームを全部歩いてみた。それで下へおりて改札口のところまで歩いてみたんですが、感覚があんまりない。ところが、今度は階段をおりまして地下鉄へ行ったんです、営団地下鉄の東西線。それでホームヘずっと入っていったんです。そうしたらね、これは五、五、二十五というか、まあ変な言い方だけれども、横に五つ、縦に五つ。それからその大きさが違うんです、出っ張っているところの大きさが。直径が、国鉄の方は、ぼくの目分量ですが——間違っているかもしれません、二センチぐらいです。ところが、営団地下鉄の方は三センチぐらい。大きいんです。そうして一つのブロックの幅も大きいし、今度はゴム長ぐつでもって営団地下鉄の方を歩いてみたら、これは実に感じが強いんです。これは本当に、われわれ幸い目は別に不自由はありませんが、こういう者が歩いても安心して歩ける、滑らない。滑らないし、何か安心感があるんですね、その上を歩いてみて。国鉄のは安心感ないです。これが一つ。  もう一つは、国鉄の点字ブロックは、飯田橋でも、高田馬場でも、白線の後ろにお下がりくださいというあの白線のちょっと後ろに引っ張ってあるんですよ、ずうっと引っ張ってある。ですから、どこに点字ブロックがあるか、視覚障害者の方はその近くまで、つまり線路の近くまで行かないと自分の足で確かめられない、つえで、足で確かめられないですね。ところが、今度は営団地下鉄の東西線に入ってみると、これはホームのおおむね真ん中にずうっと太く入っている。ですから安心であります。そんなに電車に近づかなくても歩けるんです。こういうこと感じたんです。  総裁、あなたはこれを知っていますか。
  154. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 存じません。
  155. 内藤功

    内藤功君 きょう帰りに車に乗らないで行って見てくださいよ、これ。点字ブロックのないところよりはいいです、それは。ある方がいいです。たとえ不十分でもつくってもらったがいいです。しかし、営団地下鉄と比べてこうだ。それから、ぼくはさらに高田馬場で、営団地下鉄のところからまた上がってきて、今度は都ハスの停車場のところに行ってみたんですよ。そうしたら、国鉄の駅から都ハスの停車場のところまで、行き先表示があるところまで、やつぱり太いさっき言った営団地下鉄と同じようなブロックがずうっと引っ張ってあるんですね。それでバスまで乗れる。東京都はそこまでやっているわけですよ。都バスと比べて国鉄の点字ブロックの方がいいと、都バスと比べて国鉄の方がりっぱだというんなら話はわかりますよ。そう言うと、またあなたは赤字だとか、六兆八千億とか言うかもしれないけれども、そういう問題じゃないんだ。人間の命は同じだ。東京都の方がよくて国鉄悪いというんじゃ困ります、これは。営団の方がりっぱで国鉄がお粗末というじゃいけないですよ。これは、私は質の問題も考えてもらいたいと思うんです。  もうこれは国鉄総裁、全部足を棒にして、山手線の間どこにあるのか、それから営団地下鉄とどこが違うのか、自分で体で確かめてもらうべきですよ。で、私ども目が幸いにして自由にきく人間でもそういう感覚を持つんですね。で、やっぱり線路の近くの白線のところに並行して走るというのは危ないですね。あれはやめた方がいいです。やっぱりもう少し後退させて、少なくとも営団の地下鉄式にすべきなんです。ただ、ぼくは専門的な、技術的なことを言っているわけじゃなくて、ごくごく常識的に利用者として言っているものだから、もし間違っているなら訂正しますよ。だけど、ぼくはそうだと思うんですね。これは革ぐつで行くよりも、ゴム長の薄いので行った方がわかりますよ、感覚が。私はこれはまずこういう点字ブロックに種類があるのかとさっき聞いたのはそういう意味なんです。どうなんですか、この二つはどう違うんですか。
  156. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま先生の御指摘の飯田橋、高田馬場は、四十八年、一番最初に私の方が、実際の目の不自由な方でその地域に住んでおられる方々の国鉄利用の方の御意見を伺って実は最初につけました。したがって、いま先生のおっしゃるように幅も狭うございますし、それから、つける位置も線路のホームの端からどのぐらいの位置がいいかということについても十分検討をしないままに、そういう御意見を伺って設置をいたしました。その後いろいろの意見をいまいろんな方から伺っております。それで、先ほど申し上げましたように形状、あるいはつける位置等について、私の方も一番よいものをひとつ基準として考えたい。ただ、いままでの段階では、人によりまして非常に実は目の不自由な方々の意見が違うようでございます。その辺も調整いたしまして、一番よろしいというものを検討したいというふうに考えております。
  157. 内藤功

    内藤功君 もう一点だけお聞きして休憩さしていただきたいと思います。  これは総裁、いまのとりあえず熊谷と鴻巣に問題しぼって。現実にこの視覚障害者、視力障害者の方が、熊谷では、国鉄当局の調べでは七人、鴻巣では一人、御婦人の盲導犬連れた方が乗降しておられるんですよ。しかも鴻巣は事故が起きたんです。国鉄流にいけば、事故が起きたらすぐにやっているんです、いままでは。事故が起きたらと言うと悪いけれども事故が起きたらやっている。この二つの駅については、とりあえずすぐにこの誘導ブロックを最低限設置するということをまず進めるべきだと思いますが、どうです。
  158. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 鴻巣はすぐつける計画でおるようでございます。熊谷につきましては、新幹線が通ります機会に現在の駅のホームを全面的に壊するということになっておるものですから、いまつけましてもすぐまた壊すという関係で、いまのところはその計画をしていないようでございますが、おっしゃるように、学校があって大ぜいの方が現に通っておるという関係でどう考えたらよろしいか、どうもそれまで待っておるというのもぐあい悪いし、いまちょっと研究さしていただきます。
  159. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  内藤委員の質問に関連して私の方からちょっとお伺いしたいことがあるんですが、鴻巣駅の問題は、いまお聞きしたところでは、誘導ブロックの問題もありますけれども、特急を待避するために、いりも着いているホームに着かなかった、いつもは一番線にとまるんだけれども、特急がおくれたために特急を先に通すために二番線に入れて、そして待避をして、そして特急を通すということをやったわけですね。だから、その事故の原因は、特急のおくれがまず大きな原因になっているわけです。特急がおくれさえしなければ、いつものとおりのホームへ着けば、何の苦もなくおりられたわけです。ところが、今度は特急がおくれたために二番線へ着いた。そして、いつもならば左側のとびらがあくのが右側のとびらがあく、そして右側におりて、階段を上がっておりなければ出られない、こういうかっこうになっちゃったわけですね。  そこで私が申し上げたいのは、高崎線で私もちょくちょく経験するんですけれども、特急がおくれるというと、そのために必ず普通急行から各駅停車まで全部巻き添えを食うわけです。だから、特急がおくれた場合には、そのおくれは特急だけにとどめておいて、ほかの電車につき合いをさせない、こういうようにすればこの事故は防げたんじゃないか、こういう気がする。目の不自由な方にとっては、いつもは階段上がりおりしないでおりられるところを、反対側の二番線ホームに着けば、一たん跨線橋を上がっておりなければならぬ。目の不自由な人だけじゃないです、足の不自由な人だって大変迷惑です、こうなると。体の不自由でない人だってこんちくしょうと思いますよ、反対側へとまるわけですからね。だから、常々私は思っているんですけれども、特急がおくれるたんびに、何本もの普通列車が、おくれてない普通列車が特急を通すために特急のおくれ分だけつき合いをしなければいかぬ、これは私は不合理だと思うのですよ。だから、もしおくれたならば、それは特急の責任なんだから、その特急のお客さんにだけおくれの分はかぶってもらって、ほかの電車車には、通勤車には迷惑かけないということを運行上私はやるべきではないか、こういう気がする。これは別に予算がなくったってできることなんです。  それともう一つ。これはホームの高さが高崎線の場合は違うんです。都内の場合は電車とホームと同じだからいいんですけれども、あれが高崎線へ参りますとホームが低くなっている。われわれだって、どっこいしょって声かけなければ乗りおりできない。だからああいう場合なんかも、やはり目の不自由な人にとっては非常にぐあいが悪いと思うんですね。だから、もしホームの改造という計画があるならそのホームの高さ、電車の高さ、これはできれば日本国じゅう統一をすべきではないかと思うんですよ。場所によっちゃ、やっこらしょと声かけなきゃ乗れないような状態。場所によっては同じ高さだ、これじゃ、目の見える人にとっては大したことないかもしれないけれども、目の不自由な人にとっては非常にまごつくんじゃないかと思うんですね。だから、そういう点を統一するということ。これは足の不自由な人にとっても同じことだと思うんです。これらの点を国鉄として考慮するということが必要であろうと思うんでありますが、検討の余地はないかどうか、関連してお伺いしたい。
  160. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 高崎線は、先生御承知のとおり非常に列車が込んでおります。それで特急のおくれが数多くの列車に影響を与えておるのは御指摘のとおりでございますが、列車を整備する場合にやはり全体のことを考え、また上野まで着いてから先にその列車が、車が何に使われるかということを考えて整備をしておりますので、御趣旨は非常によくわかるわけでございますが、しばしば御指摘のような場面が出現するわけでございます。しかし、御指摘の問題は非常に重要でございますので考慮をいたしたい、検討いたしたいというふうに存じております。  それから、ホームの高さは電車の場合には千百ミリの基準になっておりますが、高崎線はまだそこまで昂上してございません。新しくつくり直すような場合には検討をしていくように考えたいと思っております。  それから、立ったついでで大変恐縮でございますが、先ほどの日中線でございますけれども、調べました結果、混合列車でございます。機関車と客車の間に貨車が入ったときには暖房が通らないということで、暖房が通らない列車が走っておるのでございます。
  161. 内藤功

    内藤功君 私は、一応十二時半になりましたので、あと午後からやりますが、実は厚生省来ておるので、厚生省の方に午後冒頭に私、質問したいと思いますので、そのことだけ申し上げておきます。
  162. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  163. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  164. 内藤功

    内藤功君 午前中お伺いした熊谷盲学校の問題、私ども調査をしてきわめて深刻な問題であると考えたところであります。  そこで、厚生省にお伺いしたいんですが、現に視力障害者、視覚障害者の方の中で駅のホームに落ちたという、こういう恐ろしい経験を持っている人、これはけがに幸い遭わなかった人も含めて全国的に見るなら非常に多いんですね。私どもの調査班が熊谷盲学校に参りましたときも、ここにおる人たちは、本当にわれわれが死ななければ誘導ブロックなんかをつけないんだということをみんな口々に訴えておる状況でありました。  そこで厚生省に聞きますが、全国的にいいまして視覚障害者の方は何人くらいおられて、等級別にいうとどういうふうになっておるのか。それから、医学的に見まして物が見えない、物が全く見えないという等級は何等級なのであるか、またその人数はどのくらいおられるのかという点をちょっとお示し願いたいと思います。
  165. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 私ども調査いたしました昭和四十五年十月の実態調査によりますと、視覚障害者というのは全国で約二十五万人という推計をいたしております。それは、身体障害等級表によりますと一級から六級までの障害の程度によりましていろいろ開きがございますけれども、まあ先ほど先生がおっしゃいましたそのうちで、目の見えない方ということになりますと、要するに、いわゆる障害の程度の重度の方ということになりまして、大体一級ないし二級ということになろうかと思います。一級と申しますのは、まず全然見えない、いわゆる全盲の方でございます。二級と申しますのは、大体眼前五十センチ程度で指の弁別がほぼできない程度、この方が二級でございますけれども、この人たちが、いわゆる目の見えない方と言ってよろしいじゃなかろうかというふうに判断いたします。そういたしますと、この二十五万人の中にそういう方が約十一万三千人ほどいらっしゃるというふうに私ども考えております。
  166. 内藤功

    内藤功君 やはり相当な数の方がいらっしゃるわけです。全国で二十五万人、そのうち目の見えないと言われる方が十一万人を超しておるという状況ですね。いわゆる身体障害者の方々全体の中でも、この視覚障害者の方の数は相当これは大きいと思うんですが、全体の中での視覚障害者の方の割合はどのくらいになりますか。
  167. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) いまほど申しました四十五年の調査によりますと、いわゆる身体障害者というのは百三十一万人というふうに推計いたしております。そのうちいま申しました視覚障害者というのは二十五万人でございます。割合から申しますと一九%ということになります。
  168. 内藤功

    内藤功君 ぜひこの安全対策を立てなくちゃならぬ。しかるにこの安全対策が、午前中の質問で見られたように、本当に人の命というものが奪われて初めて後追い的にブロックなどが設置される。また、そのブロックの設置も必ずしも十分なものではないということは非常に問題であります。国鉄の責務というのは、安全に人と貨物を目的地に運んで行くのが最低の責務なのに、その責務が果たせないでいる。この間聞いた名取転落事故しかり。またきょう午前中に詳しくお聞きしたこの視覚障害者の方の痛ましい事故もしかりであります。こういう、みずからなすべきことをなさずして、安易な値上げの要求をしてきておるというふうに、私どもは利用者の立場に立ち、その気持ちに立った場合に考えざるを得ない。一つの利用契約でありますから、利用をしてもらう側はそれなりのサービスをして、そして料金の改定をお願いしていくというのが、当然これは対等な立場での責務だろうと思うのに、尽くすべきことを尽くさないという点からしても、私どもは今回の値上げについては、これは同意しがたいものだということを申し上げておかざるを得ないと思うのです。  それから、けさ私が聞いた中で、この誘導ブロックの実物を総裁見ておられないというので、ここに写真を持ってきましたから、委員長のお許しを得て総裁と大臣にちょっと見ていただきたいと思います。−どうも失礼しました。  それでは次に、これに関連をして、この身体障害者の方に対する施設の問題だけではなくて、最近私どものところにも陳情が来ております。紹介議員として手続をとる予定でおりますが、いわゆる内部疾患の方の国鉄の割引を適用してほしいという請願が非常に多いわけなんです。具体的に言いますと、やはり腎臓病の方であります。現在、国鉄のこの身障者割引については、こういう腎臓病などの内部疾患の方については行っておりませんが、これはどういうわけですか。
  169. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 国鉄では、従来から法律で定められた実施事項によるもののほか、第一種障害者及び第二種障害者の者で単独に乗車する場合、普通乗車券と、それから介添え人とともに乗車する場合、普通急行券と自動車急行券等についてやっておるわけでございます。
  170. 内藤功

    内藤功君 まあ、この規定上に規定されておらない、定められておらないからということをいま答弁で言ったんだろうと思うのですが、私はぜひこの適用の問題を考えなくちゃいかぬだろうと思うのです。適用してないのはおかしいと私は思うのですね。  まず、この腎臓病の患者の方々から強い訴えがあって、私どもいろいろ調べておりますが、厚生省にお伺いしますが、この腎臓病の方が透析というものをやめたらば一体どうなるか、おわかりですか。
  171. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 私、医者でございませんので正確には申し上げかねると思いますけれども、私ども承知いたしております範囲では、一たん腎臓の障害者が人工透析を受けました場合には、それをやめた場合は死亡するということになっておるようでございます。
  172. 内藤功

    内藤功君 そういうことなんですね。したがって、相当遠いところからでもその透析のために列車を使い、高い運賃、料金を払って通う人もいるということがわれわれの調査で出ている。  厚生省にもう一つ、ついでに関連でお伺いいたしますが、厚生省はこれに対しては、こういう腎臓病患者の透析などについての対策ですね、特にいま私が言ったような汽車へ乗って相当な距離通って治療に行くというような問題については、どういうふうな対策をいままでとっておりますか。
  173. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 人工透析を受けておられます方につきましては、私どもの方でとっております措置は、いわゆる身体障害者として更生医療を受けるということで、その医療費について経済的に負担できない方については公費でめんどうを見ると、こういう施策を現在とっております。それ以外については特にございません。
  174. 内藤功

    内藤功君 もう一つ厚生省に伺いますが、私の持っております心身障害者対策基本法、この二十三条の二項によると、「日本国有鉄道は、心身障害者及びこれを扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は心身障害者の自立の促進を図るため、特に必要があると認めるときは、心身障害者及びその介護者の運賃等の軽減について配慮するよう努めなければならない」。その前の第一項の、国と地方公共団体が心身障害者の経済的負担の軽減を図り、または心身障害者の自立の促進を図るために必要な施策を講じなければならないという規定を受けて二十三条の二項が規定されておりますね。これに基づく対策というのはどういうものがありますか。
  175. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) おっしゃいました二十三条の二項を受けてありますものについては、先ほど先生がおっしゃいました身体障害者に対する国鉄の運賃割引がございます。それから、まあこれは国鉄でございませんが、各自治体等におきましては、バスその他についての割引をしているというようなところもございます。
  176. 内藤功

    内藤功君 運輸省にお尋ねしますが、国鉄運賃法の五条の二によれば「政令の定める」という規定になっておるわけですね。この政令は現在あるんですか。まだつくられていないんですか。つくられていないなら、どうして現在までつくられていないか。
  177. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 政令はまだつくられておりません。内部疾患について国鉄の運賃の割引をやってもらいたいという話は私どもも聞いておるわけでございますけれども、この問題については大臣からたびたび御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましては、政策実施官庁で予算を取って割引を実施してもらいたい、そういう措置が講じられた上で必要な法令改正の措置をとりたいということでお願いいたしている次第でございます。
  178. 内藤功

    内藤功君 いままでつくってこなかった理由はどういうところにあるのか。その政策割引について運輸省国鉄だけが負担するんじゃなくて、他の省庁にも応分に持ってもらい、政府全体で持たなくちゃいかぬということは、これは石田大臣が就任以来いろいろ言っておられる、それを私もよく聞いております、何回も。ところが、私の聞きたいのは五条の二というこの条文が運賃法に、五条の二ですから挿入されたわけです。挿入されたのはいつですか。ずいぶん長くたっているのだけれども、いままでやらなかった理由はどういうところにあるのですか。
  179. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この条文が改正になりましたのは昭和二十四年でございます。で、現在外部疾患等については国鉄が規則をつくって実施をしているわけでございますけれども、内部疾患につきましては、先ほど申し上げましたように、新たな公共割引は政策実施官庁で予算措置を講じていただきたいということで措置をとっていないわけでございます。
  180. 内藤功

    内藤功君 どうもそこのところがよくわからないんですね。二十四年の法律二百八十三号です。いまここを読むと。「前三条の運賃は、政令の定める身体障害者で介護者を同行しなければ乗車又は乗船することの困難な者が介護者を同行する場合には、当該身体障害者及び介護者につきそれぞれ半額とする。」、この条文ですね。昭和二十四年これが追加された。今日までできていないこの理由がもう一つわからない。
  181. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、実際上国鉄の中で規則をつくりまして実施をいたしてまいりました部分があるわけでございます。
  182. 内藤功

    内藤功君 それは何ですか。
  183. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄の中で身体障害者旅客運賃割引規則というものを設けているわけであります。これはもちろん全部を対象にしているわけではございませんけれども、これ以外の部分については、やはり予算措置が必要であるということで、その後政令、あるいは規則の制定をいたしていないわけでございます。
  184. 内藤功

    内藤功君 そうすると、この規則でつくってきたと。規則でつくってきたが、政令でつくらないということは、これは政府責任として実行しなとは内閣の責任でこれをやると、所要の予算措置をつくるということです。ところが、国鉄の規則でやっているということは、これは国鉄に任せておいて、国鉄の規則があるからいいじゃないですか、政府の方はこれはつくりませんよと。私は、この問題は国鉄に聞くんじゃなくて政府に聞きますが、これは非常に無責任なことを二十七年間やってきたということになりませんか。
  185. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、国鉄の方で事実上やってまいっておるということと、それから、政令をつくる場合には全部を対象にいろいろ措置を規定しなきゃいかぬわけでございますけれども、それには予算の問題が伴いますので、そういう問題を解決しないと政令はできない、そういうことでいままで政令はつくられてないという経過でございます。
  186. 内藤功

    内藤功君 事実上やっているということと、それから政令で政府責任を負うというのは別問題なんですね。やっぱり法律の五条の二項、だてでつくったわけじゃなくて、「政令の定める」ということをはっきり書いている以上は、これを受けて、運輸省としては関係各省庁に連絡をとって、そうしてこの政令をつくるように努力すべき責任をここでしょったわけですね。なぜやらないかという重大な問題ですよ。事実上やっているからと言うんだったら、この政令は要らないですか。政令というものは事実上やっているものについては要らないですか。どうなんですか。
  187. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 政令をつくるということになりますと、それに対します保証措置予算で講ずる必要があるわけでございます。現在国鉄が事実上やっておりますのは、国鉄の負担でやっておって、国として予算措置を講じてないわけでございますが、政令をつくるとなりますと、各省と話し合いをして、予算措置を講じてもらう必要があるわけでございまして、その点については、これまでたびたび厚生省等にそういう話を申し上げているわけでございますけれども、なかなか実現に至らないということで、政令の制定に至っていないわけでございます。
  188. 内藤功

    内藤功君 結局、これはいろいろ言われますが、国鉄が事実上やっているから、規則をつくっているからということでは答えにならない。「政令の定める身体障害者」と書いてある。大体これはさかのぼって言いますと国民の健康、社会保障について国はもう積極的な措置を講ずるべきだという憲法ですね、私は結局憲法にいくと思うんですよ。二十五条二項ですか、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、この憲法の規定が基礎になって、身体障害者に対するいろんな保護規定、この政令も出てくるべきものだ。だから、これは二十七年間あなたの方では厚生省に話したことあったかもしれないけれども、この政令をつくるという努力、義務というものを怠ってきたと、こう言われてもしょうがないんじゃないんですか、二十七年間。
  189. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これは、この身体障害者割引だけではなくて、公共負担一般について言えることでございますけれど、私どもといたしましては各政策実施官庁に対してこういう公共負担についての予算措置を講じていただきたいということはたびたび申し上げてきたわけでございますけれど、やはり各官庁といたしましては、予算について優劣の順位があるというようなことで、なかなか実行していただけないということで、政令をつくる段階に至ってないのがこれまでの経緯でございます。
  190. 内藤功

    内藤功君 こういう二十七年間も放置されている条項というのも余りないと思うんですね。死文と言うんです、こういうのを。法律はできた。政令に委任するというのがあると。しかし、実際つくられない。それば、いろいろ話はしたかもしれないけれども、真剣に努力をすればやっぱり政令でできるはずなんです。国鉄の規則でやっているものなんですから。それを政令でやることができるはずなんです。やはり私は、重ねて言いますが、この二十七年間、こういう一番大事なものを死文のようにしてきたというこの責任は大きいと思う。どうですか。
  191. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 何遍も同じことを申し上げて恐縮でございますけれど、やはり従来からやっておりました公共負担については、まあ既得権といいますか、実績がございますので、国鉄の負担においてやってきたわけでございますけれど、その問題についきましても、大臣が申し上げておりますように、現在のような赤字の財政状況で国鉄が負担するのはおかしいということで、各省庁にいろいろお願いいたしたいと思っているわけでございます。また、新しい公共負担について現在の赤字財政の国鉄にそれを強制するというわけにはまいらないわけでございますので、やはりそういう政策問題については、各政策実施官庁で責任を負って処理をしてもらわないとなかなか実現ができないわけでございまして、まあ私どもの怠慢だけでこういう事態になったわけではないわけでございまして、やはり各政策実施官庁の政策判断の問題ではないかと思います。
  192. 内藤功

    内藤功君 この条文の問題だけではないと思います。政府の全体の姿勢の問題だともちろん思うんですが、たまたまいまこの運賃法の問題ですからね。この運賃法の五条の二の「政令」というものが決められないで二十七年放置されていた。私はこれはもう真剣にいままでやっていないと思うんですよ。真剣にこの問題取り上げていないと思う。どうですか、局長。これはつまるところ、憲法の条文を私引いたんだけれども、二十五条の二項、国の社会保障、社会福祉の面における責務というところからこういうものが要請されているということはお認めになるでしょう。
  193. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま御指摘の政策問題というのは、運輸省の問題よりもむしろ各政策実施官庁の問題ではないだろうかと思います。
  194. 内藤功

    内藤功君 いまの政令を定めるかどうか、身体障害者に対するこのいろんな保護割引も含めて。そういうものは結局つまるところ憲法の二十五条からきている問題だと。私はあなたに問題の重要性を知ってもらうために問題をここまで広げて質問しているんです。そのことはどうです。それは認めるんでしょう。
  195. 住田正二

    政府委員(住田正二君) こういう公共割引をする場合に、国鉄に対して何らかの予算措置を講ずる必要があるわけでございまして、こういう政策問題について各省がいろんな政策を実施いたしているわけでございますので、各省の割り当てられている予算の範囲内でどれに金を使うかというのは各省の判断の問題ではないかと思います。憲法の規定から言えばいろいろな政策が出てまいるわけでございまして、各省がそういう政策についてどういうような優劣の判断をするか、そういう問題ではないかと考えております。
  196. 内藤功

    内藤功君 私は、いままでいろいろ厚生省と折衝したと言うけども、本当のところは真剣な交渉がなされていたとは思われないですよ。  私は大臣に、これはいままでいろいろあなたがお話しになっていることも私は承知しておりますけれども、こういう二十七年間にわたって法律によって委任された政令が放置されておった。私は努力のこれは不足だと思う。今後この政令の問題も含めてどういうふうに積極的に真剣に取り組んでいくか。国鉄が事実上やっているから、あるいは国鉄の規則にあるからじゃ済まない問題だと思うのです。この点どうお考えになるか。
  197. 石田博英

    国務大臣石田博英君) たびたび申し上げておりますので御承知いただけると思うんでありますが、この国鉄運賃法という法律ができたのは昭和二十三年ですから、国鉄黒字経営をやっておった時代のものであろうと思います。政令に定める規則で身体不自由者の割引を実施し、政令をこさえなかったということは、いま鉄監局長からお答えをいたしましたような事情に基づいて全然これを放置したのでなく、実質的にやれるものはやっておる。しかし、本来この国鉄が赤字になって、しかも、独立採算制を要求されるという現状においては、こういう社会政策的なことを国鉄の負担において実施させるということは私は誤りだと思うんです。これはやっぱり政策実施機関である厚生省が、どの程度の病状の人に対してはどの程度の割引をすることが妥当であるか、そういう判断をして、そういう判断に基づいて予算措置をとっていくのが妥当な方法だと思うのであります。いままでこちらがやっておった、国鉄がやっておったものをにわかに一遍にくらがえできないという事情がもしあるとするならば、そういう場合は政策実施責任を持っている官庁の方からわれわれの方へ折衝すべきものだと考えております。
  198. 内藤功

    内藤功君 いま大臣も言ったように、国鉄が事実上やっているから国鉄だけに負わせるというのはいかぬ。やっぱり政府全体の責任の問題が一つあると思うのですね。しかし、これは厚生省から言ってくるまでほっとくという問題じゃない。国有鉄道運賃法というのはこれはれつきとした国鉄の法律ですよ。運輸六法の中にちゃんと中心的な法律として出てるんですからね。こう、いうものを、ただ関係官庁から言ってくるのが筋だと言っているだけじゃなくて、やはり運輸大臣、この機会に五条の二というものがすでにこの委員会の討議の議題に上されて、空文であっちゃならぬということが論議されている状況ですから、速やかな政令の制定も含めてこの問題に前向きに取り組むべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  199. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどから申し上げているとおりのたてまえでございますので、この問題の取り扱いはそういう基本的なわれわれの意見と、それから政策実施機関、財政当局の意見の調整を並行して行わなければ、それが伴わなければならない。こういう現在の段階においてこういう一種の政策割引、公共負担というようなものを運輸省の主導で、運輸省責任で行うと、こういうたてまえのものでは現在は私はないと思うのです。だから社会政策として、その社会政策の政策実施機関が主導で行うべきものだと、こう私は考えております。で、まあ法律に規定してある政令を制定しないで規則で実施してきたから、実際上やってきたからいいじゃないかという議論と、やっぱり政令にしておくべき議論とこれはあると思いますけれども、これからの将来の問題は、これは政策実施機関の問題私どもの方で主導してやるべき筋のものでないと、私はそう考えております。
  200. 内藤功

    内藤功君 私は、いまのお答えは若干納得できないものがある。運輸省がやはり厚生省とともに、同じような責任観念を持ってこれはやるべき問題だと思うんですよ。  次の問題に移ります。私は、いままでこの身体障害者に対するいろんな施設の問題 施策の問題、それからして地方都市の通勤、通学対策地方線無人駅と、こういった問題について具体的な例でいろいろ聞いてきましたが、時に触れ折に触れ、答弁の中で見られる政府当局の非常に乗客に対するサービスを軽視、あるいは無視するに近い態度については、非常に利用者の立場からして遺憾の意を表明せざるを得ないと思うんです。  その上、国鉄当局が十月十八日にやりました車両修繕費、業務委託費の節減の問題、これはもうほかの委員からいろいろお聞きになりましたので、私はあえて繰り返すことは避けますけれども、大都市や地方線通勤列車車両削減、間引き運転、さらに車内清掃の削減から、こういう白い座席についているきれを取りはずすなんというこういうサービスの低下、輸送力の削減については、これは断じて許されない。値上げを押しつけながら、いまでさえ不十分なサービスをさらに低下させるということについては強く反対をするものであります。わが党も十月の二十日に、運輸大臣国鉄総裁に対して申し入れを行ったところであります。  私は、ここで一つだけ質問しておきたいんですが、この修繕費等の削減で約六十億円の節減が可能だという御説明があったんでありますが、この六十億円の内訳ですね、六十億円というのは一体何なのかという点をひとつ国鉄当局から御説明願いたいと思います。
  201. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 今回節減をいたします車両修繕費の内容は材料費の節減でございます。車両の修繕に当たりましてはその他の費用も当然かかるわけでございますが、実際に人件費に当たります部分というような部分ではなくて、今回はその材料費に当たる部分を節減して六十億円を浮かせようというつもりの節減でございます。
  202. 内藤功

    内藤功君 この六十億の中には人件費は含まれておりませんか。
  203. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 含まれておりません。
  204. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、この材料費六十億円というものは、一体車両に直すと何両分とかいういろんな計算の算出基準があるわけですね、これはどうなってますか。
  205. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ただいま予定をいたしております両数は機関車で百三十両、これは電気機関車、ディーゼル機関車合わせて百三十両、電車二百三十、気動車七十、客車百三十両、それから貨車約三千両という予定でございます。
  206. 内藤功

    内藤功君 そのそれぞれの車両種類別に材料代というのは違ってきていると思うんですね。その内訳はどういうふうになっていますか。
  207. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ただいまちょっと細かくは持っておりませんけれども、本社の段階で計画いたしました際には、全体の費用の概算を出しまして、それを各実際に修繕いたします工場ごとにただいま現実に具体的な作業の内容を詰めておる段階でございます。おおむね六十億円という金額を、目標というのは申しわけございませんが、いまめどをつけておりますのがその金額であるという意味でございます。
  208. 内藤功

    内藤功君 その詳細は各車両別に、いまでなくてもいいですが、文書で、計算したものを出してもらえますか。
  209. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 後ほど具体的なものが決まりました際に、資料を提出いたします。
  210. 内藤功

    内藤功君 後ほど決まった際じゃなくて、いまの段階で六十億というものをここで言われているんですから、その六十億というのは各車両別にこういう計算で出したものだというのが出せませんか、文書で。
  211. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ちょっと申しわけございませんが、ただいま手元には、それぞれの部門と申しますか、車種別の費用を幾らというのを持っておりません。一応両数というものとトータルの金額を持っておりますので、これから具体的にそれぞれ入ってまいります電気機関車によりましても車種が違いますので、そういう点の具体的な作業をただいまやっておるわけでございますので、おおよその目安という程度でございますれば、一日ぐらいの時間をいただきますれば資料として提出できると思います。
  212. 内藤功

    内藤功君 それでは、その資料の提出をお願いいたします。その上で、ちょっとそれに絡む私の疑念点を聞きたいと思っておりますから。この点じゃ、資料が出ましてから機会を得て質問したいと思います。  それから、いまの乗客に対するいろんなサービスの低下の問題に対しては、国鉄で働く労働組合の方々の中でも、この上運賃値上げを乗客の方々に押しつけた上、サービスの低下をさせるようなことをもし業務命令でやってきた場合には、これは自分らとしては納得できぬと、そういう業務命令については、これは拒否せざるを得ないということを、たとえば最近国鉄労働組合の仙台地方本部ではそういうような方針を決めておるようであります。私はやはり国鉄の労働者の中に、こういう乗客のサービスというものに、国鉄に働く労働者として本当に真剣に考え、国鉄利用者を人質として、まあいわば言葉は悪いですけれども値上げ法案の一つの圧力です、これは。国民に対する脅迫ですよ。上げなきゃこうなるんだぞと。電気を暗くする、そしてカバーを取り除く、そしてさらにすし詰め電車をつくる、こういう脅迫とも言うべきやり方に反対の人たちがすでにいる。私がここに持っているのは、二十日の   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  河北新報という新聞に出ている仙台地本の考え方ですが、私どもこれ組合の方にも確かめましたが、この方針で行くと言っている。こういうやり方ですから、これは単に利用者の人に対する圧迫であり、脅かしであるだけでなくて、国鉄の労働組合の間でもこういう反発をかっているということを一つ申し上げておきたいと思うんです。この問題はほかの委員からも御質問がありましたから、私は先に進みたいと思うんです。  次の問題はレールの問題であります。国鉄というものは、何度も私が言いますように、安全に人を、物を目的地に運んでくれなければ、これはもう最低の任務を果たしたことにならない。レールというものがどうなっているか、線路の保線状態がどうなっているか、補修状況がどうなっているかということは、これはもう国民が一番心配な問題なんです。最も関心のある問題なんですね。  ところで、ことしの七月八日の毎日新聞の報道によりますと、国鉄の監察局が東海道、山陽、鹿児島、東北、高崎、函館、総武、それから大阪環状線など全国の二十七線区を対象に、線路の状態を調査した監査結果というものがまとめられております。これは事実ですか。
  213. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) まとめたものがあるかということでございますが、四十九年度の線路状況がどうなっているのか、またそういう実態について、各現地ではどういうふうに把握しているかということを、監察局の事務局が実態を調べたということは事実でございます。
  214. 内藤功

    内藤功君 こういうような、いまお話の実態を調べた結果を、国鉄総裁は報告を受けておりますか。
  215. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 保線の作業がいろんな意味で順調にはかどっていないことは事実でございます。そこで、その原因といたしましては、一つにはやはり線路容量が不足しておりますために保線の作業をする時間がない。山手線でありますとか、新幹線でありますとかいうように、夜間には全く列車が走らないという場合には、その夜間を利用して保線作業を進めることもできるわけでございますが、全国の主要幹線はほとんど夜も昼も間合いなく車が走っております関係上、なかなか保線間合いがとれないという実態に追い込まれておるところがいろいろあるわけでございまして、そのために、たとえば車両の揺れがひどくなってきたというようなお客様からの御批判もいただいておりますし、保線の担当者の方の目で見ましても、もう少し保線を、あるいは電車の架線の修理を進めなければいけないということが心配をされておるわけでございます。  そのような事情になりましたのは、七、八年前から電車列車の速度を上げましたり、あるいは列車回数をふやしたりいたしましたんですけれども、必ずしもそれに対応するだけの設備といいますか、既存のレール状態なり、架線状態にはないということがそういう矛盾となってあらわれてきているわけでございまして、安全にかかわるようなことはないといたしましても、たとえば列車の振動が多いというようなことは非常に問題でございますので、先般来、場合によりますと一部列車をとめてでも保線の方に力を入れようということで、昨年の秋から新幹線で申しましても年に七回、半日ずつお休みをいただきまして、当面乗客には御迷惑をかけますが、全面的なレール交換であるとか、まくら木交換であるとかいうことに力を入れ始めておるわけでございまて、監察局の報告を待つまでもなく、いろいろ心配しておったわけでございますが、とかくお客様への当面の迷惑ということにどうしても気を取られて踏み切ってなかったわけでございますが、昨年以来列車をとめましても保線の方を直すと、あるいは架線を直すという方にだんだん方向を転換してきているところでございます。  今回運賃改定のおくれに伴いまして工事費等の圧縮もなされてはおりますけれども、安全に関する部分は絶対に圧縮をしないということでやっておりますのもそういう趣旨でございまして、一挙によくなるということにはなりませんけれども、時間はかかりますけれども路線、あるいは架線の状況は少しずつではありますが、全国的に見まして改善をされるものと思います。その点には非常に重点を置いて、全体の列車を走らす方の仕事と、それから設備をよくする方の仕事のバランスにつきまして、いままでよりは後者の方により重点を置いて全体の運営に当たっていくという方針でおります。
  216. 内藤功

    内藤功君 問題はその具体的な実態なんですがね。いま言っていることは、仮に十年前の国鉄総裁がしゃべったって通用するような言葉であっていつでも言える、いわば総論に近いものです。  この監察報告の中身によりますと、東京南鉄道管理局、それから名古屋管理局管内の東海道本線の線区を除いて二十七線全部が保守目標基準より悪い数値を示している。同時にずれが大きく、発見すれば十五日以内に補修しなければならない著大狂いというんですか、これが東北、鹿児島、総武各本線、それから外房、内房、川越、能登、指宿枕崎線に多く、急激にしかも増加している。こういうふうになっておるんですが、これは事実ですか。
  217. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 直接安全にかかわるということではございませんが、私の方が一応軌道の整備状態を、この線とこの線とはどういうふうに相対的になっているかというようなことの目安を調べるために、一応軌道の十メーターの長さの中の中間点で、たとえば線路の高低で申し上げますと、十メーターの長さのその中間点で三ミリ以上狂っているのを、いわゆるその狂いの個所数が全体の延長の中の何%あるかという、そういう実は一つの目安を置きまして、そういう数値のパーセンテージが一応、たとえば一級線で言えば三〇%以内にしようと、あるいは四級線で言えば六〇%以内にという一つの目安を持って線区間の相互の比較をするための目安に持っております。そういうそのパーセンテージが若干以前よりもふえているということは、これは前からわかっております。一応そういう徐々に率がふえるということをほうっておけばどんどん悪くなるということでございますので、私の方はその数値を見ながら、ある年度には特別修繕費というお金を加えて、それをある限度で抑えて補修をしていくという、そういう措置をとっておるのが実情でございます。
  218. 内藤功

    内藤功君 そうすると、いま御説明がありましたが、私がさっき言ったような二十七線区全部において保守目標基準より悪い数値を示している。さらに十五日以内に補修しなければならないところがこうこうこういう線区にあるという事実は客観的には存在するわけですね、これは。
  219. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまの安全に直接関係いたしますのは著大狂いといいますか、非常に大きく狂ったという、そういう著大狂いが出ると、これはもう直ちに実は修繕をいたします。したがって、監査をして著大狂いが急激にふえているかどうかということはその時点ではわからないんですけれども、以前に比べてそういう補修をする率が著大狂いじゃなくて、著大狂いを直した個所というか、件数といいますか、それは比較的多かったという、そういう結果でございます。
  220. 内藤功

    内藤功君 同時にこの監査報告によると、腐って犬くぎを打ち込めなくなったような不良まくら木、これが許容率を超えている線も目立っていると、許容率というのは幹線、準幹線は百本中十二本以下ですか、これを超えている線も目立っている。鹿児島、東北、総武各本線、内房、外房線のほか江差線、これは北海道ですな。江差線など地方線の大部分がオーバーしていると、こう言われていますが、これも事実ですか。
  221. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 一応私の方のまくら木交換の目標として、幹線においては、いま先生がおっしゃるように百本中十二本以上のまくら木が悪くなってくるといけないという目標を持って逐次木のまくら木は交換しておるわけでございます。いま幹線につきましては逐次コンクリートまくら木にどんどん交換をいたしております。コンクリートまくら木にいたしますと、犬くぎが打てない、そういうことがなくなるわけでございます。したがって、幹線にはもう木のまくら木が昔に比べまして——昔は全葉だったのですけれども、ただいまは約四割ぐらいに木のまくら木は減っております。したがってまくら木の本数は、全体の幹線の中の木のまくら木は四割以下で、そういう中で一部いわゆる十二本を超えると直ちに修繕いたしておりますので、実際には十二本以上狂っているということはないわけであります。そういうのがこの二、三年前に十二本以上になっていたと、したがって、それは直ちに交換して、そういう交換の実績が多くなるということは事実でありますが、私の方は逐次コンクリートまくら木にこれは交換をいまいたしております。
  222. 内藤功

    内藤功君 またこの監査報告の結果によると、レールの不良は直ちに事故につながる可能性が高いとして、古いレールの更新状況、これを調査したところが、高崎、総武、それから阪和など多くの線で、更新量が昭和四十六年をピークにこれは減少していると、こうあるんですが、これは事実ですか。
  223. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 更新量が減少してくる方が実はよろしいんで、いいレールが入ってきますと更新量は減少するわけでございます。ちょうどこの四、五年前には逐次古いレールといいますか、昔はいわゆる一メーターの長さの重さが三十キログラム、あるいは四十キログラム、四十何キロと、まあいろいろございました。そういう軽いレールは重いレールに実は交換を逐次やっておるわけでございます。したがって、いま幹線について特にそのレールが悪くて危険であるというレールはございません。これはもう逐次実際にどれだけ摩耗したか、それからいまどういうふうな状態になっているか、あるいは過去にどれだけの通過トン数があってどれだけ疲労しているかということを、幹線と支線によって違いますけれども、これを年に数回検査をいたしまして、それでレールを重量化しながら交換をいたしております。
  224. 内藤功

    内藤功君 私はいま三つの点を、これ事実かどうかと聞いてみたんですが、三番目の点は更新量が減少しているのはいい方向だというお話があったが、一点目と二点目は、やはりあなたの御答弁を聞いていても直接安全にかかわるということではないと言いながらも補修の率、補修の頻度というものが非常に多くなってきているという形のお話であったんですね。このあなた方が言う直接安全にかかわるというのはどういうことなんですか。よく文書で、この監査報告なんかを見ますと、直接安全にかかわるほどではないがとか、直接安全にかかわるものではないがという表現があります。まあその言葉のとおり受け取っていいんなら私はもういいんですが、これはどういうことを内部では言うんです。
  225. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 私の方の軌道を補修する一つの目標というには二つございまして、先生がおっしゃるように、安全に直接かかわるというのは列車が脱線したり、ときには、レールが折れて脱線してしまう、あるいはまくら木が沈んでしまって割れて脱線する、そういうものを直接安全にかかわると申し上げておるんですけれども、私らの補修目標というのは、それ以外にできるだけお客様が乗っていただいた場合に、ある一定の速度に対して乗り心地がいい線路に保守をしていくというのが私らのまた一つの務めかと思います。そういう意味においてなるべく動揺を——狂ってくる量、数が多くなれば動揺も多くなるということで、なるべくその狂いの量を減らしていく、またその狂っている個所数も減らしていくというのがまた一つの補修上の努力目標だという意味で安全というものと、それ以外のものというふうに実は分けて目標を考えているということでございます。
  226. 内藤功

    内藤功君 ですから、この線路の問題考える場合には、直接安全にかかわる、つまりもうそこで電車が脱線すると、ひっくり返るというような事故に至らないときに、この危険な状況を発見して直すのがこの保線の私は仕事の任務だと思うんです。そういう観点から見て、監察局からこういうやはり指摘がされたということは私は重大じゃないかと思うんです。  この監査結果は、保守作業の問題点として次のように指摘していると思うんですね。一つは、基本となる路盤の突き固め作業が幹線、準幹線で必要量の平均五〇%、地方線では平均三〇%しか実施されていない。修繕もレール折損など、突発的な発生の対応に追われて、定期の修繕がおろそかになっている、これが一つです。  それから二番目は要員減、労働時間の短縮の実施に加えて、それらをカバーする大型保線機械の稼働率がきわめて低いと、職員でも中堅クラスが検査部門へ回ったために、保線班は高齢者と若年層だけになって、技術力もダウンしている。この言葉どおり言いますと技術力がダウンしている。四十九年度の作業能率は、四十七年度に比べて二五%も低下している。同時に昭和五十年度監査報告書ではやはり同じようなこと言っていますが、こういうような点をこの監査結果の中で指摘しています。  それからまた私がここに、手元に持っている五十年度の監査報告書を見ましても、ここに保守作業を充実することがきわめて重要である。軌道強化のおくれている線区については緊急に強化を図るべきだということを具体的な事実を指摘しながら出しておりますね。私は、最後にこの点について、監査報告でも指摘をされ、非常に安全の点で重大な事態に立ち至っていると思うんです。一方では旅客の運賃の二年にわたる値上げを執拗に要求しながら、旅客を走らす大もとになっているレール、特に二十七線区というレールがこういう憂うべき状態というのでは、これは私は値上げを言う資格もないと言わなきゃならぬ。  それで、具体的にこれは総裁からでも、あるいは常務理事担当の常務からでも結構ですが、さっきの国鉄総裁の言ったのは一般的な保守総論のようなお話であって、私はこれじゃ納得できない。どういうふうにされるおつもりか聞きたい。
  227. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 最近列車回数が、最近というか、逐次と申し上げた方がいいと思うんですが、逐次線路の使用効率が高くなっている。列車の本数が多くなってまいりますと保守の作業をする、逆に言えば保守の作業をする時間の方が減ってくるという傾向にあることは事実でございます。  それからもう一つ問題は、最近だんだん保守のための機械化というものを進めてまいっております。で、ようやくこの数年前から大型の機械等による保守作業というものが導入されてまいりました。実はまだそこまでいわゆる作業員全体が十分訓練を受けてないということもございますので、この訓練を多くやりまして、機械による保守作業がスムーズに、しかも、能率よくいくようにしていきたい。  基本は先ほど総裁が申し上げましたように、列車の間合いがありませんと、また機械も大型の機械は使いにくいということは事実でございますので、一昨年あたりから東京から西の方については、夜間に百二十分以上の間合いがとれるようなダイヤ構成をして機械が使えるようにした。東京から北といいますか、東側といいますか、東北の方についてはまだ実はそこまでの列車間合いがとれておりません。いままでの考え方は、早く東北新幹線等ができますれば、列車を移してそういう間合いをとりたいというふうに考えておりましたが、これもおくれております。したがって、次のダイヤ改正のときに、そういう保守作業をする間合い等をとりまして、なおかつ保線作業員の訓練を十分やり、なおかつ軌道強化という面では、これはお金がかかることでありますが、レールの重量化、あるいはまくら木をコンクリート化していくということもあわせて軌道全体の狂い量ができるだけ少なくなるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  228. 内藤功

    内藤功君 高橋常務理事に、ついでにあなたに聞いておきたいんですが、ことしの十月の八日、違う問題ですが、東京都千代田区神田に住む方々で組織されている東京神田東北新幹線対策委員会、その他名前略しますが、北区赤羽台団地の方、それから埼玉県の南三市連合会の方、それから埼玉県の大宮市の桜木団地自治会の方、埼玉県伊奈町の新幹線対策委員会の方、これらの方々の代表が十月八日に国鉄本社に交渉、抗議に行かれたときお会いになりましたか。
  229. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 十月の八日でございますか。——私が最近お会いしましたのは、この法案がちょうど衆議院の運輸委員会を通過する日でございましたので、八日でございます。お会いしました。
  230. 内藤功

    内藤功君 これは高橋常務理事でも、あるいは担当者でも結構ですが、例の新幹線の通過予定地の一つである東京のあの神田の駅、神田の駅から北は秋葉原の手前の川の通っている手前まで、それから南の方はというと公園がありますね。中央区の。日本銀行の近くに公園がある。あの公園のあたりまで、本石町のあたりまで、神田鍛冶町一丁目、二丁目ですね、この付近の住民の方が、いまここ数年来団体をつくって交渉しておられるのは御承知のとおりであります。  そこで、どうなんですか、いまのところ東京駅に向かって山手線、それから京浜東北線、それから中央線も走っている。その線路の東京駅に向かって左側を四メートルないし八メートル広げていくと、そのために商店でいま一生懸命商売やって繁盛している人を立ち退きをさせようと、こういういろんな交渉していますがね、いままでに応じた人はどのぐらいいるんですか。
  231. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) どれだけと言われてもいま手元にちょっと資料はございませんが、東京から出まして神田に至る区間は、一部は私の方の高架下にいろいろ利用されている方がおるわけです。で、高架下を利用されている方については、逐次高架下の利用をやめていただいて、他の場所へ移っていただいている方が相当数ございます。それ以外に高架の前にというか、道路側に一部道路の上空を使用して新幹線をつくるという計画になっておりますので、これはいま人が住んでおりませんので、道路の上空使用等については、道路管理者と協議を進めて、その上に新幹線をつくるというふうに進めております。いずれにしてもほとんどその道路の上空と、及び神田駅付近では一般の一部民地買収、それから高架下については、私の方の高架を全部つくり直さなくちゃなりませんので、高架下の方々に一部使用を停止して他へ移転していただくという交渉を進めているのが実情でございます。
  232. 内藤功

    内藤功君 これは、実際はこの人たちの結束は相当やっぱりかたいと見なくちゃいけません。それはやはりこういうふうにかたくしたのは事前に、さっきの日立木の例も挙げましたがね、日立木ならぬこのお江戸の東京の真ん中において、戦後三十年間、あそこでもう焼け跡の中から町をつくってきたわけなんですよね。本当に屋台からたたき上げていまのお店をつくり、国鉄の高架の下にも入ってきた。一つの町が三十年の歴史の中でできているわけです。戦前、江戸時代からの古い下町の町並みであり、それに戦後の復興の心意気が加わった町になっているんですよ。そこを新幹線を通すということによってどうなるか。公害の問題もありますよ。公害の問題も大きいですが、この地元人たちの話を聞くと、公害の問題じゃないというんです、むしろ。公害の問題というより、もっと大きな問題がある。それはやっぱり町の一つのつくりというものを巨大なこの新幹線で打ち壊してしまう、そういう町を破壊する、生活を破壊する、もちろん営業を破壊する。そういう問題と、それからいかにもこれを軽く見て、十分な話し合いをしようという姿勢が国鉄当局に見られない、問答無用だという態度に一番の問題があると、なかなかこれはかたい態度ですよ。  それで私は、いま何人ぐらい応じたかと、こういうとっぴな質問をしたのは、いまのところ国鉄の退職者の人が、いろんな人間関係どもあってとは思うんですが、何人か応ぜられたという以上にこの進展を見てないように私は受け取れるんですが、これは間違いですか。
  233. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 高架下については先生のおっしゃるとおりだと思います。高架下でなくて、一部民地買収については、幾つかの件数については用地買収を済ましているというふうに聞いておりますので、件数はよくわかりませんけれども、一部用地買収をいたしております。しかし、大部分の方は、先生のおっしゃるように、まだ用地買収にはとても応ぜられないということで、まだ買収はほんの一部であるというふうに理解をいたしております。
  234. 内藤功

    内藤功君 これは、まず一番の出発点は、新幹線そのものが要らないよということを言っているわけじゃないんです。東京都の神田の住人ですから、そういうことは言ってないんですよ。問題は通し方なんですね。相談の仕方なんです。まずあそこがどうしても——これ何回も私はあなたに聞いているし、住民代表からも聞いていると思うんだけれども、地下を通って神田区域を通るということは技術的にどうしてもできないんですか。
  235. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) まるっきりいまの計画を、たとえば東京駅のいま新幹線が着いているホームからでなくて別の位置から新幹線を始点にするということなら、一つの案は考えられるかと思いますけれども、いまの東京駅のホームから出て行くという一つ前提に立ちますと、地下にはどうしても神田地区では技術的に入れないというのが事実でございます。
  236. 内藤功

    内藤功君 技術的な点は、私はあなたとやり合うだけの知識が率直に言ってありませんから、その話を聞くしかありませんが、絶対東京駅だけでなけりゃならないかどうかというような問題も含めて検討する必要があると思うんですよ。たとえばこの終点を東京駅でなくて、もう少し南の方に持っていく可能性はないのか。またそこで問題が起こるかもしれないけれども。たとえば勾配の問題だというんですね。この地下道を掘る場合の勾配の関係東京駅へ持っていくにはあの神田は地下は通れないという。それならばもう少し遠いところですね、東京駅より南のところに終着点を置いて、そういう勾配であれば緩い勾配になるけれども、それなら不可能ではないのかというふうな点も含めてやっぱり検討しなきゃいかぬと思う。何が何でも神田のいまのこの通りですね、あそこの上を新幹線を通させなきゃならぬという既定の、絶対の方針を前提に置いて交渉しておる限り、進展はぼくははっきり言って望めないんじゃないかと思うんですよ。  私は国費を費やし、また、国民の運賃というものを使ってこういう新幹線をつくっていくという場合に、住民の納得を得ないで幾つかの失敗した例が出ていますが、東京の真ん中の神田地区の問題は、これは軽視できないやっぱり問題があると私は思うんです。それから、やはり住民人たちのそういう心というものはちゃんとつかんでいかなきゃならぬ。さっきから、先日からずっと私の言っているのはその問題なんです。国鉄というものが一体、お金をいただいておる乗客、利用者、近所の人たちにどういう態度で臨むかということがいまここで私は問われておると思うんです。  それから、一つだけ聞きますが、計画の不一貫性があるんですね。たとえば神田駅の南口から少し南へ行って千代田ビルというビルがあります。私は具体的にいま名前を出して言います。ここは最初四メートルバックしてくれと言うので、この人は反対同盟に入らないで、ようござんすと言って国鉄のために御協力するつもりで四メートル後退した。ところが、後退して新しいビルをつくったんだね。つくったら、今度は国鉄は、さらにそこのビルの所有者の方のところに来てもう四メートル下がってくれ、せっかく六階建てぐらいですがりっぱなビルをつくった。それをもう四メートル下がってくれ。こういうふうに一貫性のない身勝手な要求をしているところも現場にあると聞くんです。私は、具体的な例ですから、いまここですぐあなたに答えられるかどうかわからない。こういうことがますますこの問題を困難にしている。この人は反対の委員会の中へ最近入ってきた、こういうことじゃもうみんなと一緒にやるしかないと。味方にできないでみんな相手に回すことになっているんですね。この実情もあなたに申し上げておきたい。これは御存知ないでしょうな。どうです。
  237. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ちょっと私聞いておりませんので、多分、恐らく道路との関係か何かで、あるいはそういうそごが出たのかもしれませんが、ちょっといま聞いておりませんので、お承りするにとどめさせていただきたいと思います。
  238. 内藤功

    内藤功君 そういう問題も細かい問題と思わずに、真剣にやはり一つ一つやってほしいと思うんですね。  そこで私は、主として乗客サービスに関する問題を冒頭に時間をいただいて御質問したわけであります。まだまだたくさんありますが、これのみやっているということもできませんので、先に進ませていただきたいと思うんです。  大臣、これからの質問大臣関係がありますから、真剣にひとつ答えていただきたいと思うんです。  まず、これも先刻来他の委員各位から御質問があった問題でありますが、本年度の公企体、国鉄職員のベースアップ問題について、これを議決案件として提出をされてきた。四十九年からは承認案件でやってきたと思うんですが、これが議決案件としてやられたのはどういうわけだという問題と、それから公労法の十六条、三十五条の規定の趣旨精神からいって、いやしくも国鉄運賃の値上げというものに絡ませて仲裁裁定の実施を決めると、議決せしめるという態度をとることは、これは私はよろしくないと思うんであります。これについては、本会議等の皆さん方の答弁を聞くと、いや、政府昭和三十二年、いわゆる石田労政と言われるあれ以来、もうずっと仲裁裁定は完全実施で守っておるからと。それは私も知っていますよ。そういう一般論をもって答えるものだからして、質問と答えがなかなかかみ合わない。質問する方が悪いんじゃない。答える方がそうはぐらかしちゃっているという印象が私はあるんですよ。それで、いま言った二点、議決案件を出したその意義と、それから仲裁裁定を最大に尊重するというこの法律、規則との関係という点について、いままでの答弁は私わかっていますから、余り繰り返しは聞きたくないんで、できるだけひとつ納得できるように、これは大臣からお答え願いたい。
  239. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 経過はよくおわかりだと思うんですが、政府は三十五条の規定を遵守する方針を本日まで一貫してまいりました。ただし、現在国会で議決された範囲の中ではどうしても財源的に捻出が不可能でございますので、議決案件として出したわけでございます。しかし、この国鉄再建の二法案、あるいは電電公社の料金に関する法律などが審議をされ、その審議の状況等が次第に明らかになってまいりましたので、政府としてはやがて財源的にも可能であると考えておりますので、完全実施をするという方針にはこれは変わりはない。したがって、従来どおり仲裁裁定の完全実施に最大限の努力を払い、これを持続するという方針には変わりはありません。ただ、現在の状態においては、財源的に何ともかんともやりくりがつかないので議決案件として提出したのでありますので、財源的な見通しがつけばこの案件を引っ込めまして、そして完全実施を行うことに相なるものと考えております。もっともこれは私の所管ではなくて、この法律は労働大臣の所管でありますが、私の所管の中に国鉄という公社が入っておりますので、私の理解をしている範囲でお答えをした次第であります。公労法の精神は、これは言うまでもなく公共の利益のために争議を禁じておる代償措置として仲裁裁定の完全実施をするということにあるわけで、十六条は例外であります。例外規定はあくまで例外であって、その基本的精神は貫いていかなければならぬものと、こう考えております。
  240. 内藤功

    内藤功君 よく考えてみて、私がわからないことがあるので聞きたいんですが、承認案件で出すということと、議決、案件で出すというのは、出す方の気持ちにどういう違いがあるんですか。
  241. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、私が実は三十二年のときにタッチをして、私が踏み切った問題であるんです、そのときも議決案件として出したんです。私は実は正直なこと言って、どうして承認案件として四十九年に出したのか、私の方がちょっと……。結局同じことじゃないかと思うんです。ただ、承認案件として出す場合には財源的な自信があって出す。しかし、三十二年から四十八年までも議決案件として出して、財源上の措置をいろいろやりくりをつけて、見通しがついたときに引っ込めた、こういうので四十九年、五十年は財源的な措置がとれるという状態であったので、承認案件として出されたものじゃないかと思うんですよ。(「スト権の経過をもっと勉強しなさいよ」と呼ぶ者あり)
  242. 内藤功

    内藤功君 スト権の経過ももちろん問題だし、それから、そうするとあれですか。四十九年、五十年は財源的にゆとりがあるというか、見通しが立ったと言うんですが、おかしくないですかね。これ三十九年から国鉄は赤字でしょう。そして、長期債務はどんどんふえて、赤字はふえて——後でこの本格的な質問はしますが、赤字がふえ債務がふえてきている間はずっと議決案件できている。それが決定的にやっぱり四十九年、五十年と、何兆という債務、何兆という赤字になったときは見通しが立ったんで承認案件にしたというのは、ぼくはちょっと説明としては苦しいと思うんだね。国鉄の財政からいうと、わりと楽なときは議決案件、困難なときは承認案件というのでは逆なんで、私はその点からいまのは本当の御説明じゃない、うまい説明じゃない、納得できる説明じゃない。あなたが何回言われてもぼくは納得しません、それは。そうじゃなくて、これはやはり非常に政略的、言葉は悪いが国会対策的なものも含めたことだと思うんです。それから、将来の運賃法定主義の廃止なんというところにも絡まったような感じも私は受けるのですね。  もともとどうなんですか、これは。公労委というところも国鉄当局の御意見は十分聞いてやるわけですね。それから、公労委の公益委員という方々は、労働省その他の政府当局のデータや意向も十分聞いてやるわけですね。そして出されるわけです、仲裁裁定が。これを最大限に守るというのが公労法の三十五条に決めてある。ですからこれは、国鉄の財政がどうだからという問題の前に、仲裁裁定というものを本当に大臣が言われたような団体行動権の代償として考えているのかどうか。団体交渉権の代償だというのはたしか昭和二十五年に裁判所の判例でもうそうはっきり書いてある。最高裁判所もそういう判例を出しているのです、代償だと。これはあなたのおっしゃるとおり。私は代償というのは認めませんがね。スト権に代償なんというものはあっちゃならぬですよ、スト権というのは労働者の生きる権利ですから。労働者の自由ですから。そういう自由はお金で代償なんかできない、私はそういう考えです。  しかし、仮に代償だとしたら、この代償というのはもう無条件で実行するというところに代償の意味があると思うのですね。ところが、ずっと四十九年、五十年、承認案件にしてきた、ことしは議決案件だ、運賃値上げに絡ます、どう見ても筋が通らないです。これは国鉄の運賃問題と切り離して、まず仲裁裁定はこれは無条件で完全実施と、その上に立って値上げ法案と。——ぼくは国会対策でそういういやみを言っているわけじゃないんです。筋として言うのです。これからの国鉄に働く人の給料、生活をちゃんと守ってやって、安心して働いていかれるような前提の上に国鉄対策があるわけなんだから、だからそういうたてまえを、ことしは六兆八千億になったからといって驚いて、ことしだけこの筋を崩しちゃって、値上げ問題と事実上絡ますということは悪例を残すと思うのですよ。どうですか。
  243. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公労法の精神は、団体行動権に対する代償措置ということを認めるか認めないかは別として、私は団体行動権に対する仲裁裁定の完全実施というのは代償措置だと考えております。したがって、三十五条の規定を遵守するのが筋で、いままでのも赤字であったのにどうして承認案件として出したのか、赤字であるとか赤字でないとか、あるいは集積債務がどう走るとかということの前に、そのときに与えられた予算措置の範囲内で節約して捻出する余地があったと。ところが、今回はその余地がもうすでになくなって、先ほどからおしかりを受けているようなことまでしなければならないような状態までになっておりますので、そういう現状を踏まえて議決案件としてお出ししたわけであります。  いままでも赤字であったのじゃないかという、いままで国鉄予算として国会で認められた範囲の中で、今回工事費や物件費やその他を節約、あるいは切り離して今日まできたような措置をする余地があった。今回は、国会で認められた予算の範囲内では、もうおしかりを受けたようなことにまでしてもなお四苦八苦と、こういう状態でありますのでお願いをしたのであって、二法案とは別に仲裁裁定というものを、いわゆる三十五条の努力義務というものは当然ありますが、しかし、捻出する余力がない現状というものにかんがみまして、その捻出する余力が出てくる見通しがどうしても立たないものでありますから議決案件として出したものと、こう御理解願いたいと思います。
  244. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、これはどうなんですかね。四十九年と五十年は承認案件でしょう。ことしの五十一年は今度は議決案件。あなたはまた、承認案件と議決案件はどう違うのですかと、こう聞くと同じようなものだと言うんです、同じようなものなんだと言っておくと。で、一方では四十九年、五十年は承認案件だが、今度は議決案件で出すと。同じようなものなんなら変えなくて、同じ承認案件でもよさそうなものなんだが、そこがどうもわからない。
  245. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 事務的な問題について私の方から答弁申し上げます。  四十九年、五十年度に承認案件としてお出しいたしましたときには、お出しする前に大体財源措置をこのように講ずれば完全実施できるという前提で承認案件でお出ししたわけでございます。しかし、本年度におきましては、国の財政自体も非常に逼迫いたしておりますし、また国鉄運賃法が通らない状況では予算実施することがむずかしいということで、案件を国会に提出する前で政府としてこれを実施する財源措置が全く立たないということで議決案件としてお出ししたわけでございます。
  246. 内藤功

    内藤功君 くどいようですけれどもね、去年はそれじゃどうだったか、去年、昭和五十年はやっぱり公共料金の値上げでは酒、たばこがあったでしょう。酒たばこの値上げが通らないと、国の財政はもう沈没しちゃうというようなことを盛んに言っておったでしょう。それから財特法も出してきたでしょう。ことしよりも額は少ないけれども赤字公債を出してきた。このやつが通らないと国の財政が大変ですというのと同じじゃないですかね。去年が承認案件でできて、ことしが議決案件でないとできないというそこの違いがどうもわからないから、くどいようだが聞くのです。あるいは私の不勉強かもしれないが、しかし、ことしは値上げと絡ませているだけに、じゃ、要するに議決案件というのは値上げと絡ますということが議決案件なのか、それならまたそれでわかりますよ。そういうことなんですか。
  247. 石田博英

    国務大臣石田博英君) こういう案件が議会に提出されていないときでもずっと議決案件として出してまいりました。で、財源的措置が発見されたときにそれを引っ込めたわけであります。それから、いまお話しの、去年の補正で財特法を出した時期は仲裁裁定を、承認案件を出す時期よりは後であります。去年は財源的なやりくりがつくという見通しのもとで承認案件として出したのですが、今回はまだ財特法も成立をせず、そのほか両公社の歳入措置についての法律案も未成立の状態、そういう状態のもとではどうにもやりくりがつかない。そこで議決案件として出しているわけでありますが、基本的姿勢はやはり三十五条の実施でありますので、この再建法、あるいは電電に関する歳入関係法律案がだんだん成立の見込みもございますので、政府としてはそれを期待して完全実施のために最大限の努力を今後もやるつもりでございます。
  248. 内藤功

    内藤功君 最初から議決案件でずっとやってきたわけでしょう、三十二年からね。そして、三十二年からやってきて、その間四十八年までは値上げが通らないから仲裁裁定実施しないというようなことも言わずにちゃんと実施してきたわけでしょう。やってきたんだよ。ちゃんとやれたんだ。一方国鉄はその間、三十九年からは、新幹線のころから赤字出ちゃって、どんどん赤字になってきて何兆円になってきている。その間もやってきた。承認案件に四十九年になったのはなぜかと聞くと、今度はそれは国鉄財政が見通しがよくなったからだと……
  249. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そうは言ってない。
  250. 内藤功

    内藤功君 余裕があるからと、そういうことでしょう。
  251. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いや……
  252. 内藤功

    内藤功君 じゃ、何て言うんですか。
  253. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 議会の御承認を得た予算の範囲内でやりくりができると、工事費の節減やその他、具体的な内容は私はその当時タッチしておりませんからわかりませんが、そういう意味で承認案件として出したものと思います。私は、いずれにしろこれは完全実施をすべきものだという考え方は変わりありません。
  254. 内藤功

    内藤功君 その太いところはいいですが、私の言うのは、承認案件と議決案件というのがどこでどう違うのか、初めずっと議決案件でやってきたのを承認案件に変えた理由もはっきりしないし、承認案件から今度ことし議決案件になった理由もはっきりしない。ただ、はっきりしているのは、ことしは運賃の値上げと労働者の賃金引き上げとをいかにも絡ませてきている、ここに本質がある、問題があるんだなということなんですよ。私は細かい理屈はここでこれ以上大臣相手にやりませんけれども、ずっと議決案件できたのが、四十九年度承認案件にしたというのは、一つはやっぱり国際的にはILOの労働争議権に対して日本が余りおくれているということでいろんな勧告もあるし、それから労働者の自覚も高まってスト権回復の要求も高まるという中で、公労法の仲裁裁定はスト権の代償だという考え方を尊重ぜざるを得なくなった、これが国会手続の中でも議決案件が承認案件に変わった一番大きな背景だと思うんですよ。素直にやっぱり見なくちゃいけないんで、承認案件になったのは国鉄予算にゆとりが出てきた、ぼくはそういうふうに訂正して結構です。ゆとりが出てきたからというのはいかにも……
  255. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そうは言ってない。
  256. 内藤功

    内藤功君 そう言ったじゃないですか。
  257. 石田博英

    国務大臣石田博英君) やりくりがついたと。
  258. 内藤功

    内藤功君 そうですか、失礼。やりくりがついた、同じことですよ。やりくりがつくからゆとりができる。ゆとりがあるというのは、やりくりがつくということです。いいです、あなたの言うとおりで結構ですよ。だからね、これは私は、あなたはそういう細かい理屈を大臣言うものじゃないんでね、これは労働者の争議権の自覚が高まり、国際的にもそういう自覚が高まったので、国会対策上も承認案件にしたのだと存じますと、こう言うべきなんですよ。そう言ったらどうですか。
  259. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まあ私は運輸大臣でございますので、元の、前職のことについての、しかもそのときは、その時期において私は労働行政にタッチしていなかったので、私のお答えすべき筋ではないと思いますが、私がお答えできることは、三十二年に自分がタッチしたことと、その精神と、それをあくまで貫いていくという気持ちははっきりお答えしておきたいと思います。
  260. 内藤功

    内藤功君 それなら、もう今後はこういうものは一切承認案件で手続上は出し、また仲裁裁定の完全実施というのは、もう値上げ法などに拘泥することなく無条件で実施するということを、あなたが今後その衝にあった場合には貫くべきだと私は思うんですね。それで、承認案件ということはスト権の代償を尊重するということの手続的なあらわれなんだと私は思うんですね。ですから、スト権の代償がまた値切られているわけです、いま。完全実施とか最大限尊重ということは、それを否定しちゃいけないという意味と、それに何だかんだ条件つけていっちゃいけないということがあるんでしょう。完全実施とか、それから最大限尊重するというのは、その要求についていろんな条件をつけないということが私は最大限の尊重だと思う。いいですよ、その要求は認めますが、値上げ法案ができなければこれはだめですよというのは、最大限の尊重とは私は言わない。最小限の尊重か無視だと、軽視だと、こう見るしかない。代償ですからね、代償を守れないならスト権を認めてやらなきゃいけません、労働者にも。代償をやるからと言ってスト権を奪ったんですから、代償が実行されない場合は、その代償が実行されないスト権は返さなきゃいけないんです、そういう理屈なんです。  ところが代償は実行しない、スト権は中山先生ですか、結構ですよ。中山伊知郎先生の御結論を待っている。何でも中山先生の後ろへ隠れればいいと思っている。そうはいかない。スト権は認めない、そのかわりに代償ならば、代償を完全に尊重しましょうと、尊重してくださいというのが公労法の三十五条ができた趣旨、十六条の趣旨なんです、そういうことなんです。ですから、どうですか、今度のやり方石田前労働大臣、私は労働問題については自民党内でもあなたはやっぱり最右翼におられる人だと思うから聞くんです。ほかの人だったら聞かないですよ。どうなんですか。こういうやり方はいいと思うですか、このまま続けていって。来年も再来年も赤字は消えないでしょう。毎年これでいくんですか。
  261. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 赤字黒字という問題よりは、今回の場合は決められた予算の範囲内の処理ができない。赤字で、黒字の問題でこれが実施されるとか、実施されないとかいう問題ではないと思う。私は、私自身がこれは財政当局の承認を得ないで踏み切った問題でありますから、基本的にはむろんこの精神を貫くことが正しい行為だと思っております。ただそれ以上のことは、私はいまは労働大臣じゃないんですから、これは労働大臣の所管でございますので、労働大臣から……。(「国鉄の労使関係の最高責任者」だと呼ぶ者あり)国鉄の労使関係というところに限って言えば、仲裁裁定は完全実施すべきもの、引き続いてやるべきものと私は考えます。運輸大臣としてはこう考えます。ただし、三公社五現業全体にわたる問題は労働大臣の所管でございますので、将来にわたってのことについて私から政府の立場として申し上げる立場ではないと思います。しかし、私のこの問題に対する政治的な信念、信条はやはり三十五条の完全実施と、そういうことにあると思います。
  262. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、政治家石田博英と、運輸大臣石田博英と、もう一丁前労働大臣石田博英と、いろんなお立場でいろんな考えがあり、複雑な御心境だと思うんだ。ですけれども、政治信念を持った一個の石田博英としては、政治家石田博英としては、これは郵便も、アルコールも、専売も、造幣も、林野もみんな仲裁裁定を実施して、みんな給料を上げてもらっているのに、国鉄と電電だけ残っている。これについては承認案件、議決案件といろいろ理屈言ってみたけれども、どうもこれもうまくない。結局これは政治家石田博英の信念としては、まず仲裁裁定を年来やっているとおり完全実施をさせるということが本当だったんで、ことしは残念でたまらぬという、そういう心境ですか。
  263. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 全く心境はそのとおりです。ただし、私は運輸大臣として国鉄を預かっている立場として先ほど申し上げたので、それから前労働大臣という立場は、こういう委員会で答える立場ではないと思います。政治家石田博英としての心境はいまおっしゃったとおりの心境です。
  264. 内藤功

    内藤功君 これ以上は言いませんが、こういうことを前例にしたらえらいことです。やっぱり法のたてまえの中で変えていっても曲げていってもいい法と、絶対曲げるべからざる基本法——憲法とか基本法の理念というものとありますからね、そこはよく区別しなくちゃいけない。このたてまえ狂うと大変なことになりますから。  そこで次の問題ですが、労働省も来ておられますのでお伺いしたいんですが、いま公務員、特に公企体労働者の基本権についての懇談会、これはどんなふうな作業を進め、またいつごろを目途に作業を進めておられるかという点からまず伺いたい。
  265. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 労働基本権問題の作業状況についてお答え申し上げます。  御承知のとおり、本問題につきましては、昭和四十年以降の公務員制度審議会、さらには昭和四十九年以降の公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会、広い見地からの論議が積み重ねられました結果、昨年十一月、専門懇談会の意見書が出ておりますことは御承知のとおりでございます。この意見書を踏まえまして、本年初頭以来公共企業体等関係閣僚協議会を設けまして、さらに本年九月、公共企業体等基本問題会議というものを組織いたしまして、学識経験者のお集まりを願いまして、ただいま専門懇意見書を踏まえまして、今後の労働基本権問題のあり方につきまして検討を続けている次第でございます。
  266. 内藤功

    内藤功君 私は、これは大臣でも、労働省でもいいですが、専門懇意見書を前提としたら間違いを犯すのですよ。国の基本である労働者の基本権の自由の保護、自由と民主主義のいま論争が盛んですが、自由と民主主義の国かどうかの分かれ目は、一つは言論、表現、集会の自由がどれだけ守られているか。もう一つは労働者の団結、スト権の自由がどれぐらい認められているか、もちろん乱用は許されませんが、認められているかということが文明国の一つのバロメーターだと私は思うんです。これを言うと怒られるかもしれませんが私はそう思う。そういう点からこの最低限の基準がILOの諸条約であって、私らから見るとまだおくれていると思うけれども、まあこれが最低限である。これに背反するようなものであれば、専門懇意見書であろうが何々先生が御関係なさっておろうが、私はもうこればとるべからざるものだというふうに信念として思うんですよ。  そこで、あくまで専門懇意見書の一字一句すべてに拘束され、あるいはこれをそれこそ尊重してやるんですか。この専門懇意見書の間違っているところがあれば、これはとらないという態度をとるのが当然だと思うんですが、どうなんです。これを専門懇意見書の線に基づいてという、基づいてというのはどういうことなんです。書いてあることはみんなこれ拳拳服膺全部これにのっとっていくということなんですか。一字一句と言うと語弊があるけれども書いてある中身、提言は全部これを採用していくという方向でいま作業が進んでいるんですか。そういう作業なら私はこれは強く反対しますよ。
  267. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 専門懇意見書の取扱いにつきましては、専門懇意見書の趣旨を尊重すると、大筋においてその方向を示唆したものと考え、これについてなお検討を続けていく、こういうたてまえをとっております。
  268. 内藤功

    内藤功君 そうすると、大筋においてこれに沿ってやっていると、大体そういう御趣旨答弁ですね。そこで、この去年の十一月の二十七日に出たのが、二十七日でしたか、専門懇意見書ですね。
  269. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 二十六日でございます。
  270. 内藤功

    内藤功君 専門懇の意見書の中の部分についてちょっとお聞きしたいのですが、IIの具体的提言の中の六の「争議行為に対する抑制措置の強化について」、この部分、これは自由に対する抑制という面では非常に問題だと思うんです。私の見ているのは二十七日の読売新聞ですから、大体全文だと思うんですがね。「民事上の損害賠償制度の強化」、それから「刑事的訴追の実行」、「労働組合の団体交渉権の一時的停止および法人格の否認」、「賃金カットの実行と財源の凍結」、「実損回復措置の再検討」、これだけでも五つつあって相当な問題を含んでおるのですがね。要するに、争議行為が禁止されているのに違法行為、つまりストライキが行われる、その抑制措置を強化するという意見書なんです。基本において、私は、これは世界のスト権、それから団結の自由を解放してきた歴史的な経過からは非常に逆行したものだと思うんですよ。私は、全部言うのは時間がありませんし別の委員会でやりますから、いまここでそのうちの一つだけ、国鉄の運賃法に関係して、人間関係をちゃんとやれと、職場の規律をちゃんとやれと、労使関係を正常化しろというのは、これは各党から言われるわけです。特に自民党から言われる。しかし、人間関係、労使関係の尊重ということを言っても、それは労働組合が現実にあるんですから、組合との関係を円滑にやると。  これは大臣に伺いますが、職場の労使関係というのは労使組合をなくすことじゃなくて、いまある労働組合の自由を尊重しながら、これとよく話し合って、ストライキが起きるのはしようがないとしても、なるべくストライキ起こらないように話し合って、そうして円滑に人間関係やっていくと、これが基本でしょう。これはもうわかり切ったことですけれども、どうです。
  271. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労使関係の正常化のために労働組合と十分な話し合いもし、相互の理解を深めていくということば必須の条件であると考えます。
  272. 内藤功

    内藤功君 そうなんですよね。だから、労働組合があった方が正常な労使関係にかえっていいわけなんです。四十万、三十万の労働者一人一人ばらばらに労務管理やっておったのじゃこれは大変なことなんです。労働組合の役割りというのは、そういう意味では非常に建設的な役割りを——世の中はみんな年に三日か四日やるストライキで迷惑を受ける、これは確かに迷惑を受けるでしょう。また、ストのやり方、戦術の細部についてわが党は意見を持っています。しかし、これはここで言いません。しかし、そうだからといって、労働組合の存在を否定したり、役割りを経済阻害の面だけだという見方は、これは絶対容認できない問題です。  私は、そういう意味で専門懇意見書のIIの六の(三)の中にこう書いてあるんですよ。大臣ね。「労働組合の団体交渉権の一時間停止および法人格の否認繰り返し違法行為をあえてする労働組合については、団体交渉権等、労働組合としての諸権利を一時的に停止させるような措置および労働組合の法人格を否認する措置について検討すべきである。」と、こういうことで繰り返し違法行為をする組合は団交権を停止させると、諸権利を停止させると、それから法人格を否認するというのが出ているのですね。この「繰り返し違法行為をあえてする労働組合」、私は、この中には、書いた人の解釈としては、ストライキは違法行為だという前提だと思うのです、ストライキは。だから、繰り返し違法行為をする組合というのは、繰り返しストライキをする組合というふうな意味に、これはぼくは一人の読者として、議員として読んで、そう理解している。ただ、いやこの違法行為の中にはストライキは入っておりませんと、ストライキは違法行為じゃありませんよと言うんなら、ぼくの解釈読み違いなんで、これからやる質問は一切要らなくなっちゃって、この時間だけ早くなるわけだ。どうなんですか、この違法行為の中にはストライキは入るんですか、入ると読むべきなんですか。
  273. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) この専門懇意見書の性格が、あくまで学識経験者の提言でございますので、私がこれを正確に解釈できるかどうかわかりませんが、「繰り返し違法行為をあえてする労働組合については」というのは、常識的に違法なストライキを繰り返す労働組合だと考えられると考えております。
  274. 内藤功

    内藤功君 そうすると、やっぱり少し時間をかけてやらなきゃならない。これにストライキが入らないと言うんなら、もうずんと時間が減るんだが、そういうことじゃどうしようもない。  それで、常識的にストライキが入ると、あなたあっさり言うが、あなたはどこの人ですか、内閣ですか。
  275. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 内閣の公共企業体等関係閣僚協議会事務局の次長をしております。
  276. 内藤功

    内藤功君 驚きましたね。内閣のそういう方が、常識的にと言うのは、まあここに書いてあることを解釈すればという意味で私は聞きましたが、同時にあなたがもし一般常識的に違法行為の中にはストライキが入るのはあたりまえだということで言われたとしたら大問題ですね。常識的にはストライキは違法行為じゃないんです。憲法で決められているんですからね。だから、常識的というのは一つ言葉が多いんじゃないですか。  私は、それはそれだけにしておきますが、こういう前提から見ますと、団交権など権利の一時的停止と、これは一体どうなんですかね。いまの憲法まで私は持ち出しませんが、八十七号条約の四条、あるいは七条というもの、これは有名な条項なんですよね。そういうものから見てどうなんですか、このILOの八十七号条約の四条というのは。そちらで読んでもらいましょう。
  277. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その前に、いまの内閣審議官答弁の中に、いま内藤委員の御指摘のとおり、ストライキというものは一般的にこれは違法行為ではありません。これは当然労働組合法等にも規定されておる。ただ、公共企業体の場合は公労法によってストライキが禁止されておるわけですから、公共企業体等のストライキはこれは違法行為と、こう理解をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、ILOの八十七号条約でありますが、実はこれもまた私のときに批准をいたしたものでありますので、どうもめぐりめぐって妙な立場になるんですが、いま御指摘の条項は、団結の自由を行政権が抑圧し、制限し、奪っているものを禁止している条約、こう承知しておりまして、法律の違反行為を犯した者に対する処置についてまで、その団結の自由を保障している条約であるとは思っておりません。
  278. 内藤功

    内藤功君 残念ながら、そういう解釈はないんであります。これは条文を読んでいただくとよくわかるわけですよ。ILO八十七号条約の四条というのを、ちょっと労働省のどなたでも結構ですが、読んでください。
  279. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 八十七号条約の四条でございますが、これは「労働者団体及び使用者団体は、行政的権限によって解散させられ又はその活動を停止させられてはならない。」ということになっております。
  280. 内藤功

    内藤功君 行政的権限によってですから大臣の言われた違法行為をやった場合であろうとなかろうと、両方の場合を含んで行政的権限によってという、そういう解釈だと思うんですよ、これは。
  281. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 八十七号条約の四条でございますけれども、これは労働組合の解散とか活動の停止が行政庁によって行われるべきではなく、これについては司法手続の保障が必要である、こういう趣旨だと理解されております。
  282. 内藤功

    内藤功君 この専門懇の意見書ではそういうきめ細かい点何にも触れてないで書いてあるんですね。それで専門懇の意見書には、「繰り返し違法行為をあえてする労働組合については、団体交渉権等、労働組合としての諸権利を一時的に停止させるような措置」云々「について検討すべきである」。だから、労働省の方が言ったように、その解散の理由が、違法行為をやったからという場合でも、やらないという場合でも、どういう場合でも行政的権限によって解散させたり、活動を停止させちゃいけないと、こういうことがこのILOの八十七号条約四条。そうすると、ここに書いてある「諸権利を一時的に停止させるような措置」というのは、私はもうこれにひっかかってくると思うんですよ、これを実行したら。  こういう質問にしましょう。もしこの専門懇意見書にあるような団交権の一時的停止の措置を立法化した場合は、ILO八十七号条約四条に抵触することがあると、これは認めますね。
  283. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 専門懇の意見書を私解釈する立場にないわけでございますが、いま先生御指摘のように、この専門懇の意見書には措置をとる者がだれであるかということは触れられていないわけでございます。
  284. 内藤功

    内藤功君 だから、行政庁も入るんだよ。
  285. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) それで、まあそれはいろんなケースが想定されるわけでございますが、それは今後の立法措置にゆだねられているわけでございまして、この専門懇の意見書のこのくだりだけでは、一体行政的権限のみによる措置なのか、司法的手続を経た上の措置なのか、これは明確になっておりませんので、その点に関しては、私としてはこの場では何とも申し上げることはできないと、むしろそれによってでき上がった具体的措置を、制度を見て判定すべきものであると、こういうふうに考えます。
  286. 内藤功

    内藤功君 そうするとあなた、もしこの専門懇の意見書に基づいて、行政的措置と、しからざるものを分けましたから、私も分けましょう。行政的措置によって、行政的権限によって団交権を停止させることができるという立法をしたら、これはILO条約違反ですね。
  287. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) ここで言っております活動の停止について、ILOとしてはどんなことが活動の停止なのかというようなことについて解釈を下しましたものは、直接触れたものは、私の承知しております限りではないと思います。それで、したがって、論理的にだけ考えまして、この活動の停止がILO条約に違反する場合、あるいはしからざる場合と二つあるわけでございますが、その場合の活動の停止であったとしても、その次にもう一つかかっております条件はと申しますか、次の問題は、司法的手続の保障があるかどうかということで、ILOとしましては、司法的手続の保障があるかどうかというのが四条に関しての問題のポイントであると理解しておるというふうに私は存じております。
  288. 内藤功

    内藤功君 とにかくその前段のところで、ぼくの質問は、行政的権限によって労働組合の活動を停止するという立法をしたら、これはILO条約違反になるということはあなたも否定しなかった。そこであなたは、まあ一つは解釈論の立場で言うんだから、政策決定の立場じゃなく解釈論の立場で言うんだけれども、それもおかしいと思うのは、どういうのが労働組合の活動停止かわからないと言うけれども、こんなことは先例に出るのがおかしいんでね、ILOに提訴されるわけがないんですよ。労働組合の活動で一番大事なのは団体交渉。団体交渉がもう一番の労働組合の本務なんだ。ストライキなんというのは年に何日間しかしないものなんだ。しょっちゅうやっているのは団体交渉。それから組合の集会やったり、デモやったりする活動ですね、特に団交ですわな。この「団体交渉権等」とここに書いてあるんです。一番基本的な団体交渉。団体交渉が労働組合の活動から除かれるわけがないんでね。ですから、私はそういう意味でこれは言えると思う。私はいまの点は余りこだわらない。つまり、こだわらないというのは、もう明白だから。そういう立法したらILO条約違反になる。そういうような余地のある勧告になってるということが一つ。  それから、さっきからあなたは裁判所の関与の問題を言っておられますがね、ではあれですか、行政機関が労働組合の活動停止をやるのはこれはILO違反だが、裁判所が——裁判所にもいろんな人がいますからね、いま。いろんな人がいるから。その裁判所がこの活動停止をするのはこれは条約違反にならぬと、こう言うんですか。そう言うんですか、あなた。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  289. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 私は、ILOの条約を直接解釈する立場にないことはもちろんでございますが、御存じのとおりILOには条約勧告適用専門家委員会というのがございまして、これは世界じゅうの労働法の権威を集めた委員会でございますが、その委員会がこの四条について解釈しておりますが、これはまず、「行政的権限による職業的団体の停止又は解散は、事実、通常の司法手続のみが確保しうるすべての保障を与えるものではない。」、したがって、「このような措置が行政的権限によってとられる場合、その措置が暫定的なものに過ぎないときでも、専断的と思われる危険があろう。」と。それで、この四条の「原則が適正に適用されるためには、法律はこのような決定に対して提訴する権利を認めるだけでは十分ではなく、当該決定は、法定の出訴期間が満了し、又は司法機関が当該決定を確認するまでは効力を生ずべきではない。」、こういうようなことを言っております。
  290. 内藤功

    内藤功君 それは一体いつの、どういう決議で出てるんですか。
  291. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) これは、一九七三年の五十八回ILO総会に出されました条約勧告適用専門家委員会の調査報告書であります。
  292. 内藤功

    内藤功君 その前に私は、ILOの基本的な考え方としていろいろお伺いしたんでありますが、一九五一年にインターナショナル・レーバー・コード、こういう書物の中にいまのILO条約八十七号四条の解釈が、条文とその経過やなんかが載ってるんですが、これはあなた見たことがありますか。
  293. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) ちょっと正確に私覚えておりません。
  294. 内藤功

    内藤功君 もし正確に覚えてないんなら、ぜひこれ見てもらいたい。これによると、裁判所の関与でもって活動の規制を行うということについて、これはILO条約四条は禁止していないんだという提案が、これはたしかベルギー政府などから提案をされたんだ、ILOにね。ところが百一対五で否決されたという事実がありますね。これはあなたのお話でどういう関係がありますか、そこのところ説明してください。裁判所が関与すれば活動停止ができるというのをね、否決した歴史的事実があるでしょう。
  295. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 私の承知しております限りでは、これはたしか、百一対五の圧倒的多数で否決されたというのは、こういう提案が出たわけでございます。「一団体が非合法活動を行った時には、裁判所へ直接、提訴する権利を与えることを条件にして、行政措置により、その活動の停止または解散を命じる権限を政府に与える」という解釈が出されたわけでございます。これが百一対五で否決されたわけでございます。これは四八年の総会のことを言っておるわけでございますが、それで、ここにありますように、提訴する権利を与えることを条件にしたわけでございますが、これは否決されておりますんで、このような経過をも踏まえまして、先ほど私が読み上げました七三年の条約勧告適用専門家委員会の見解におきましても「提訴する権利を認めるだけでは十分ではなく、当該決定は、法定の出訴期間が満了し、又は司法機関が当該決定を確認するまでは効力を生ずべきではない。」と、こういうことになったわけでございます。
  296. 内藤功

    内藤功君 ILOのとにかく条文に抵触しないためには、まあ私はちょっとあなたの見解と少し違う解釈を持ってるけれども、労働省の法規課長さんのおっしゃるにしても、これじゃあだめだってことがはっきりしたと思うんです。もう少し詳しく条件を、出訴期間だとか、裁判所が確認するまでは、と書かなけりゃ、このままでは違反する部分があるってことはもうはっきりしてきた。  こういう問題があるんですよ。大臣、知ってますか。
  297. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 知ってますよ。
  298. 内藤功

    内藤功君 それは恐れ入りました。  そうすると、こういうものを平気で専門懇意見書で非常に権威があるもののように言われますと非常に問題がある。私は別にけちをつけるわけじゃないが、正しくこれは指摘しておきたいと思うんです。  もう一つは、私はいまILOという外国から多少バタ臭い議論をしたんでありますが、日本のこの国内法の経緯からもう一つ検討する必要があると思うんです。それは旧労組法の十五条でしたかね、これはどういう条文であり、何年までありましたか。
  299. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。旧労組法、いわゆるかたかなの労働組合法でございますが、二十四年に改正されたわけでございます。それで、改正される前の形の労働組合法の弟十五条、これは「労働組合屡法令ニ違反シ安寧秩序ヲ素リタルトキハ労働委員会ノ申立ニ依リ裁判所ハ労働組合ノ解散ヲ為スコトヲ得」と、こういう規定がございました。
  300. 内藤功

    内藤功君 いまのこの専門懇意見書と似ているんです。労組法十五条は、しばしば違法行為を繰り返し、安寧秩序を乱したるとき——安寧秩序という前時代的なものはさすがにここの専門懇にはないが、違法行為の反復という点は同じなんです。そうして、それに対して、裁判所が命令できる。これは非訟事件ですね。訴訟事件じゃなくて、一種の裁判所の準行政手続である非訟手続で解散できる。ILO条約にはどうかわからぬけれども、そういう裁判所が解散できるというのは十五条としてあったんです。ところが、この裁判所か解散できるという十五条も、これは何年何月になくなったんですか。
  301. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) なくなりましたのは、昭和二十四年の労働組合法をもってこの旧労組法を廃したわけでございますが、その月の点につきましては、現在の労働組合法は昭和二十四年六月十日をもって施行されておりますので、この日に新しい労働組合法、つまり現在の労働組合法が施行されておるわけでございます。
  302. 内藤功

    内藤功君 ですから、いまのこの労働法規では、こういう違法行為を繰り返した組合であっても、裁判所であっても解散しちゃいけないというのがいまの労組法の二十四年から続いている原則なんですよ。どうして、この二十四年の六月十日まで続いてきたこういう労働組合法、十五条を含めた旧労働組合法ですね、特にこの十五条が廃止されたのか。旧労組法の中では残っている条文もあるのに、十五条は昭和二十四年になくなったのか。どうしてこれを適当でないとしてなくなしたのか。その当時の政府の提案理由などの要点はどういうことですか。
  303. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) この十五条の廃止の理由につきましては、一口に申し上げますと、自由にして建設的な労働組合の一層自由な発展を期するためというような理由が書いてあるわけでございまして、これは当時の衆議院の本会議におきます提案理由説明とか、それから労働委員会におきます提案理由説明を見ますと、こういうような表現が入ってくるわけでございます。たとえば、二十四年の四月に鈴木労働大臣から衆議院で提案理由を説明いたしておりますが、この中には、「第二章労働組合の章につきましては、現行法の規定中届出、契約変更命令、組合解散命令等行政露ないし裁判所の関與に関する規定を一切廃止して、労働組合の一層自由な発展を期する」と、こういうふうなことが書いてございます。
  304. 内藤功

    内藤功君 いや、それはいま課長の言ったのは一般的なことであって、自由にして建設的な労働組合、それはもう一般論です。十五条については、二十四年の五月四日に、この当時の衆議院労働委員会でちゃんと説明があるでしょう。
  305. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) ございます。
  306. 内藤功

    内藤功君 十五条についてどういうふうに言ってますか。
  307. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) この二十四年五月四日の衆議院労働委員会における賀來労政局長の逐条説明におきましては、関係部分を読んでみますと、「現行法におきましては、第五條において組合設立等の届出、第六條において労働組合の資格審査の規定があります。さらに第八條におきましては、組合規約の変更命令、第十五條におきましては組合に対する解散命令等について規定しておりますが、本法案においては、かくのごとき行政職または裁判所が労働組合の存立そのものを決定し、またはその内部に干渉するような規定をすべて削除いたしまして、軍に法律に規定するところの自由にして民主的な労働組合として、必要な最小限度の要件を満たさない労働組合に対しては、この法律による特別のせわをいたさないということを規定した次第であります。」というふうなことになっております。
  308. 内藤功

    内藤功君 いま読まれたとおりですね。解散命令についてどうして削除したかというと、これは「本法案においては、かくのごとき行政職または裁判所が労働組合の存立そのものを決定し、またはその内部に干渉するような規定をすべて削除いたしまして、軍に法律に規定するところの自由にして民主的な労働組合として」云々と。要するに、この「自由にして民主的な労働組合」、労働組合の自由という面から行政官庁や裁判所によるこういう処置というのは好ましくないと。いわば私は当時の憲法の精神からこういう廃止がされたものだと思うんですね。  それで、今度の専門懇意見書は、私はこういう面から言っても、労組法十五条が昭和二十四年になくなった当時の政府の逐条説明や提案趣旨、あるいはこの経過から見てもこれは逆行、またもう一回もとと同じ方向に、二十四年の前の方向に、それからILO条約などで禁止されている事態に、もう一遍暗やみの方向に戻っていくという危険をこの文章だけでは——私はこの文章を書いた人に一つ一つ質問してみたいと思うんですけれども、この文章では両方にとれるわけです。そういうような問題点をはらんだものだ。これは学界からも批判があるけれども、余り委員会で詰めた議論は一遍もやってないと思います。私はきょう、これからもやりますが、これは一番もう危険な方向なんです。  石田大臣が言ったように、労働組合があって、それと交渉して、そうして円満な労使関係、安全問題その他を協議していく、そうして国鉄を再建さしていかなきゃならない。わが党も、国鉄を民主的に再建しなきゃ、ならない、労使関係を大事にしなくちゃいけないと言っているわけです。そのやさきに、その専門懇の方では、ストライキを抑えようという余りでしょう、ストライキを抑えようという余り、その力が余っちゃって、労働組合まで団交停止や、あるいは事実上の解散ですね、法人格の否認というのは。法人格が否認されれば労働組合はその名において財産の取引や土地の取得や労働組合自身のお金の貸し借りなんかができなくなっちゃうわけです。労働組合の登記もできなくなっちゃう。こういうようなことを検討すべきだなんて言っているのが私は非常に問題だと思う。  それで大臣これは大臣に聞いてもしようがない。で、あなたに聞かないが、公企体の閣僚協の事務局並びに労働省、こういうものについて、いやしくもILO条約に違反するもの、あるいはILO条約に違反する疑いのあるもの、すれすれの線、灰色だなつまり、そういうようなものについては、これはこういうものをつくったら権威にかかわるからね。書いた人も書いた人なんです、これは。専門家か何か知らないけど、専門家でこんなものを書くのは非常にこれは抜けていますよ。あえて言います。また、それが仮に間違ったとしても、この公企体関係閣僚協の事務局はよくILO条約関係に留意をして、ILO条約に違反する、あるいは違反するおそれのあるような、そういう中身の文書を書いて報告することはこれは私どもは許せないと思うんです。この点どういうふうな今後態度、姿勢で臨まれるか。これはきょう来ておるお二人に聞くのは無理なのかもしれぬが、一応これどなたからでもいいから答弁を求めたい。
  309. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私がお答えします。  先ほど説明があったように、ILOの条約の、特にこの八十七号条約の解釈については、裁判所の最終の措置がとられるまでは行政権が労働組合の活動に対していろいろ制限を加えてならない。つまり、裁判所の判決があればそのときその裁判所の判決に従うべきだというような解釈をしているわけですよね。私は文明国、あるいは自由かつ民主的な国家のもう一つの条件は法秩序の維持にある。そういう意味で、法秩序の維持という点に重点を置いてこういうものが出されたと思うんですが、この意見書というものは政府が委嘱した懇談会の意見書でございますから、尊重して具体案を作成することは言うまでもないんですが、もう一つ、八十七号条約は政府が批准をいたしております。したがって、八十七号条約に違反するような具体的措置というものは、八十七号条約を批准している政府としてはこれはしないものと、こう私は考えております。
  310. 内藤功

    内藤功君 自由にして民主的な国家というものは、法秩序の維持がもう一つの要件だと。一般論としては何人も異論をあなたの言うことにはさむ人はいますまい。ただ私は、もしあなたの立論が、人間の自由、勤労者の自由というものと、それを抑える概念としての法秩序というものを対置させて、これも大事だがあれも大事だぞと言っているとすればこれは問題だと思う。私はもう、いまの日本の憲法のもとの秩序という中には、労働者の基本権も、言論の自由も、団結の自由も、そういうものを尊重するという法秩序があるんであって、私はそういうふうに二つを分けて考える考え方には賛成できない考え方を持っておるということを申し上げておきたいと思います。これはお互いの見解の違いですから、ぶつけ合っていても質問になりませんから、一言このことは申し上げておきたいと思います。  そこで私は、いまの自由な労使関係、正常な労使関係というものをつくっていく前提は、この専門懇意見書に書いてあるような、何らの限定なしに権利停止をとる、法人格を否認する措置検討すべきであると、こういうことを書いている意見書というものを大もとにしながら作業を進めていくということには、いま指摘したような非常に重大な問題点がある。−いかにも、この点だけきょうやりましたので、内藤はこういうごくごく一部のところだけ取り上げて重箱のすみを掘っついておるような質問だとお考えになっている向きがあるかもしんないが、いや、私は全部についてやります、これは。時間が許せばいつまででもこの全部について解明をやりますが、ただ、運輸委員会であり、案件の趣旨もあるし、理事会における良識の範囲で自由にやってくれという申し合わせを守らなくちゃならないので、残念だけれどもここだけにとどめておくけれども、決してここだけが悪いと言っているんじゃない。ここだけ直せばほかはいいと言うんじゃないんです。そのことを申し上げて次の質問に入りたいと思います。  次の問題は、これまた重大な問題なんです。自治省は来ておられますか。——今回の、戦後最大の疑獄と言われるところのロッキード疑獄事件、これまでの自民党政治の実態というものの一部が非常に国民の前にロッキード特別委員会などなどで明らかにされてきておる。特に、金権政治の実態というものが、一部であるけれども明らかにされつつあります。私は、こういうときにおいて、過般も運輸大臣に、日本航空と小佐野賢治の関係について、運輸行政がやはり姿勢を正す意味において、ああいうハワイだアメリカだと言っているジャルパックというものが小佐野系のホテル、食堂などなどにほとんど依拠していたという実態について、これは李下に冠を正さずという精神から見て重大な反省をすべきものであるということを質問申し上げたところであります。  運輸省というのは一番今回のロッキードに関係の深いところでありますから、くれぐれも国民からこの金権政治の疑惑、それに関与している疑惑というものを受けないように気をつけなくちゃいけないと思っておるんですが、最近のある新聞に、衆議院の議員でかつロッキード事件で灰色の政治家であるかどうかということが遺憾ながら論議され、名前の挙がった議員の方について報道がされている。私は、報道を全部真実だということを簡単に即断するわけじゃないが、いやしくも大新聞の一つである朝日新聞の十月十九日に出てしまった。名前も出てしまった以上は、これはどういうことなのか質問する自由は議員にはあると思う。こういうことを私が質問するのははなはだ遺憾であります。けれども質問しないでうやむやにしておくことが、この名前の出た方のためにもかえってよくないんではなかろうか。国政をただす観点から言って、あえて、気は進まないけれどもこれは聞かざるを得ないと思う。ほかの方がおやりになるかと思ったがおやりにならないのでやむなく私がやらざるを得ない。  十月十九日の朝日新聞に出ておるのは加藤六月議員であります。そういうことで出ておるんです。「ゆるがぬ後ろ盾「赤字国鉄」」という見出しなんです。私は、ここで加藤六月議員のことを追及するわけじゃないんです。加藤六月議員に絡んで国鉄当局のとっておる政治姿勢というか、政治活動に対する姿勢をお伺いしたいんであります。  この報道によりますと、「国鉄関係者の証言」として次のような重大な証言がされている。「先生の票のうち多分一万五千票前後が国鉄の集めた票でしょう」、「選挙運動の中心は助役以上の管理職。先生の後援会加入申し込み用紙を渡し、確実に投票してくれる親類、友人、知人の名を書かせる」、それから「かなり前に本社から、先生を、と指示があった。管理局でも、管内の管理職が集まる会議などで、指示している」、「助役は多忙でなかなか年次休暇が取れないが、駅長指示で二、三日の休みを取り」一区在住の管理職は「二区へ出かけて集票に励む」、「駅長らが心配した時期は、あった。しかし、灰色と決まったわけじゃなし、なにより先生は国鉄のために働いてくださっているんだ、と」みんなを「納得させた」と。新聞に書いてあるとおり私は申し上げたわけだ。こういう記事になっているんですよ。こういうことを要約しますと、この先生のために国鉄という組織を使ってその票集めを行っているというものです、厳しく言いますと。——私の言うことは厳しく響くだろうけれども、正確に言うとそうだ。まさに、かつて問題となった官庁ぐるみ選挙、これが国鉄においても、これが事実とすれば行われているということになるんですね。  まず、自治省にお伺いしますが、公選法の理解私の理解が誤りないかどうかだけ聞きたい。これ事実としたらば、公選法の百三十六条の二に「公務員等の地位利用による選挙運動の禁止」というのがあります、後で追加された規定ですがね。この条項に該当して、これは罰則が二年以下の禁錮、十万円以下の罰金という相当なこれは刑であります。禁錮二年ですから軽いわけじゃない。こういう相当な刑罰の対象になる行為だと私はこれ法律解釈としては解釈せざるを得ないが、これはどうです。
  311. 秋山陽一郎

    説明員秋山陽一郎君) お尋ねの件につきましては、その行為の中身、内容でございますが、そういうもについて詳細を承知しておりませんので断定的にお答えをするという点については差し控えさしていただきたいと思うのでございますが、先生御存じのとおり、公職選挙法には、ただいま御指摘のございましたように、国鉄の役職員等を含めまして公務員等が地位を利用してする選挙運動等についての規制があることは御承知のとおりでございます。ただ、この行為が地位利用による選挙運動に当たるかどうかという点につきましては、その地位を利用して特定の候補者の当選を目的とし、投票を得さぜるための行為が行われたかどうかと、こういうような事実関係によりまして判断されるべきものと考えてみる次第でございます。
  312. 内藤功

    内藤功君 なかなか慎重な御答弁でありますが、その中からもはっきりあなたが言ったように、公務員の地位利用というのは国鉄職員も含めてなんだと。だから、国鉄職員がその地位を利用してある特定の候補者、ある特定の先生のために投票を得せしめる目的でやれば、これは選挙運動だということがはっきりしている。これはもうこのとおりだと。  そこで、これはどうしても国鉄総裁に御答弁願わなければならないが、あなたもこの新聞記事は恐らくごらんになったろうと思う。これについてどういう調査をされ、あるいは部内で適当な措置なり、指示なり、注意なりをいままで与えましたか。
  313. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄の職員が、いま自治省から御説明ございましたように、一般公務員と同様に地位を利用して選挙に関連した行動をとってはならないことは、事実よく承知しておることでございますし、私が参りましてから今回が初めて近く選挙が行われるわけでございますので、従来具体的にどういう方法をもって職員全般の引き締めを行ってまいったかは、実は申しわけございませんが詳しく承知しておりませんが、そこは国鉄のことでございますから、それぞれしかるべき配意をして、遺憾なきを期するように趣旨の徹底を図っているものと思っております。
  314. 内藤功

    内藤功君 いや、これはいいことですか、悪いことですか、こういうことをやるのは、これが事実とすれば。事実とすればよくないことですね。よくないことだとすれば、こういうことがあったかなかったか、これはやはり総裁としてお調べになる必要があります。こういう事実を、それから事実があったとした場合、あるいはそれに近い事実があった場合には公選法違反の疑いがあるんだから、これはやらないように、こういうことは。これはやっぱりきちんとさせなくちゃいかぬ問題ですよね。一人一人はみんな政治活動の自由があります。これは国鉄現場労働者だけじゃなくて、助役さんだって管理職だって、みんながみんな、あるその先生だけを支持する人ばかりじゃないんです。各党それぞれ支持者がある。それを地位を利用してやっちゃいけないというのが公選法で、あたりまえの規定なんだ。これを守っていないで値上げをどんどんやってくる。すぐぼくは値上げに引っかけていくように感ずるかもしれないけれども、そうなんです。だれも値上げを心の底から応じる人はいなくなっちゃいますよ。それは乗るときは値上げ運賃払わなきゃならないから黙っているけれども、その怒りというものはやっぱり爆発しますよ。どんな形か知らないけれども。それは自民党の方にいくかもしれないし、当局にいくかもしれないし、三木内閣にいくかもしれない、いきますよ、それは。国民をなめちゃいけませんよね、やっぱりね。多数決で運賃がどんどん値上げされる。国鉄の中なら中でもって一生懸命そのためにやってくれる先生のために選挙運動をどんどんやる。摘発されたら、よくわかりませんと言って逃げるというようなことは、これは絶対おさまらない。ですから、どうするんです、これから、この点について。
  315. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 実はこの問題につきまして二、三カ月前に総裁から、岡山ではかなり違反といいますか、そういう事実が、うわさがあるけれども、一度、私、総務担当いたしておりますので調べてくれぬかということで、私に御注文がございまして、たまたま私の友達で、部外者で岡山県に住んでおりまし、現実に勤めておる者がおりますので、その者といろいろ情報を交換いたしましたところ、そういう事実はないということを確認いたしまして総裁に報告をいたしております。
  316. 内藤功

    内藤功君 しかしね、天下の大新聞の一つである朝日新聞がはっきりと「証言」という形で書いていますね。証言1234567と。普通のただ取材をしてきたという以上に「証言」というのは重みを持っていますよ。まあ知らない人から全部聞けば知らない証言になるんです、これは。そういうことを聞いてない人だけ集めて、どうだ、ここに集まっている人はこういう事実を知っているか——知りません。君は——知りません。君は——知りません。きょう集めた人の中はみんな知りませんでしたと。まあ大変失礼な言い方かもしれませんよ。そういう調査をやれば、知らないということになる。しかし、新聞にこれだけ出ていることについて、これは徹底的にやはり調べて、そして、こういう疑いがかけられないようにやらなくちゃいかぬと思いますね。まず総裁が三カ月前に、岡山では大分何かやっているらしいが調べてみてくれと隣の常務さんに言ったという。いつごろです。どうしてそういうことわかったんです。
  317. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 数ヵ月前でございます。いろいろ私のところにも個人的に投書が参ったり、あるいは好意的な投書やら、やや何かねらいを持った投書やらいろいろ参りますけれども、そういう投書が参りますのでその都度、余り信頼の置けないかなと思われるものは別としまして、気を配って、それぞれの場合に注意をしているわけでございまして、ただいまの田口常務に私が申しましたのも、一部実はそういう手紙をもらったからでございます。で、何分全国にまたがっておりまして、しかも数多くの職員が散在をいたしておるわけでございますので、どうしても、ただいま値上げのことにお触れになりましたけれども、全く値上げとは別の問題として、国鉄国民に対する信頼といいますか、職員のおのずから行動すべき限界というものを心得てもらわなければいけないというたてまえから、選挙の法律に限りませず、こういう時期でございますので。特に選挙の法律に関することに触れるような御注意がありました場合には、たとえそれが投書でありましても、その都度注意をしておるわけでございまして、いまのもその例の一つでございます。
  318. 内藤功

    内藤功君 いま総裁も言ったように数カ月前に投書が来たわけです。だから、その投書の発信人のところを探していけば調査はできるわけです。その投書の発信人、つまり疑いがあると言ってきた人をまず調べるのが常道なんです、これは。そういうことでどんどん調査はできる。私はやっぱりこの問題はきちんと調査をしてけじめをつけられること、それから、こういう疑いのかけられるような行為を一切これはしない、一人一人の政治活動の自由、選挙の自由というのをこれは保障してやるということが非常に大事なことだと思う。  なお、この問題は値上げ関係ないことだと、こう言うんです。それがいけないんですね。これは民間会社だったら、考えてごらんなさい。たとえばA社とB社が同じ品物を売っている。A社の人はどうも社長が部長、課長、職員をみんな使って〇〇先生、〇〇党の応援をやっている。会社ぐるみでやっている。会社の半分以上でやっているとなったら、これは民間会社だったら、そういうことが公にされたら、その〇〇先生、〇〇党を支持している人はいいですけれども、それと別の考え方を政活的に持っている人は買いませんよ。そういうところの物は。それだけ厳しいものですよ、商売というのは。商売をするときには、自分の政治というものを表に出せない場合があるんですよ。それぐらいやっぱり気をつけなくちゃいけないんです。だから、商売とこれは関係ないという、そこにやっぱり甘さが一つあるんですね。非常にこの問題を軽く見ていると思う。私は失礼ですけれども、その点一つ申し上げておきたい。  大臣、これいかがですか。国鉄の部内で、まあお答えにくい問題かもしれませんが、一般論として結構です。
  319. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 一般論としては、公職選挙法を遵守すべきものと考えます。
  320. 内藤功

    内藤功君 これはもう法律守るのはあたりまえです。公選法の特に改正案は私ども余り賛成しなかった、あなたらが強引に決め、自民党がつくったものですから、それを守らなくちゃいけない、あたりまえです。だから、この国鉄部内の問題についてはどうかというのです、こういう起きてくる問題について。
  321. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 具体的な問題についてはお答えにくいだろうから、一般論として答弁をしろというお話でございましたから、一般論としてお答えをしたものでございます。新聞記事が事実であるかどうか私は承知をいたしませんけれども、職務に関して地位を利用して選挙運動をするというのは、これは公務員として禁じられておることは言うまでもないことでございます。
  322. 内藤功

    内藤功君 次に、国鉄の貨物運賃の問題について、これは特に自動車局もきょう来ておられると思うのですが、お伺いしておきます。  大体いまの国鉄の赤字の八割、これが貨物による赤字、こういうふうに世間で言われているわけですね。この貨物の運営をどういうふうにするかということは大問題です。国鉄でこれまで旅客については料金の値上げ国会にかけないで何回も何回も行ってきております。また特急、急行料金というようなものがどんどん上がっております。全体の国鉄の、広い意味での運賃の中で占める料金の比率は戦前、昔に比べてとっても高くなっていると思うのですね。ところが、貨物の方は特急料金もない、急行料金もない、あるいは物資別の特別料金も取っていない。フレートライナー料というのはあるようですが、特急、急行、物資別というような特別料金制度というようなものをいままでとってきておりませんが、こういうような料金をやはり貨物においても徴収することを検討することは必要でないのかと思うのです。この点についてどういうお考えか、まずそれから聞いておきたい。
  323. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 貨物につきましては料金制度、現在フレートライナー、御指摘のとおり料金取っておりますが、伝統的な考え方は運賃の割り増しという制度でやってまいっております。たとえば危険品割り増し、あるいは貴重品割り増しという形で、割り増しを取ってまいっておりますが、御指摘の問題は列車ごとに旅客のような料金を取ったらどうかということであります。  そこで、まず御指摘の物資別輸送列車に、これは確かに優等列車だから列車料金を取ったらどうかという御質問だと思いますけれども、物資別輸送列車といいます一番典型的な列車は石炭列車ですね、北海道の。あれが戦前からございまして、とにかく一地点から大量に、しかも定量的に、しかも定型的にある一地点に大量に輸送される、それを鉄道の特性といたしまして北海道の場合は二千トンも牽引いたしまして室蘭に到着さして、そこから船に積み込むというような形の姿が物資別輸送列車の本質でございまして、要は雑貨のようにちょこちょこ集まると、それを集約した形で列車にするという形ではなしに、物資そのものの特性、あるいは物流の実態というものでこの物資別列車が現在走っておるわけでございまして、これにつきまして特に料金を取るという気持ちはございませんし、今後も料金は取るつもりはございません。  ただ、誤解があるといけませんので、それでは一体フレートライナーというものについては料金を取っているじゃないかということでございますけれども、これを御説明申し上げますと、フレートライナー列車を設定いたしまして料金を取りましたのが四十九年十月以降でございます。これはスピードが早いがらということではなしに、旅客は確かに経済速度というものがございますけれども、貨物につきましては確実に着くということが輸送の基本でございますので、このフレートライナー列車に料金を取ったということはどういうことかと申し上げますと、従来コンテナは、形を申し上げますと、Cの10型というものを使っておりまして、これが十四立方メーターの要するに容積を持っております。たまたま四十九年十月に設定いたしましたときに、新しく同じ五トンでございますけれどもCの20型というコンテナを開発をいたしまして、約二〇%容積増の十七立方メーターのCの20をこのフレートライナー列車で専用運用する。しかも、一個の車両にCの10も五個積めますしCの20も五個積めますと、そういうことになりますと、当然荷主にとっては非常に容積が大きゅうございますので、有利でございますので、これに対する料金として運賃の五%アップ、これを収受することにいたしまして今日に至っておるわけでございます。  なぜ五%に抑えたかと申しますと、これも大体料金という名前でございますけれども、基本的には運賃の割り増しという考え方を持っておりまして、現在のコンテナ運賃といいますのは貨物等級表における一級運賃と二級運賃の中間でございます。したがいまして、五%の運賃割り増しをすることによって一級品並みの運賃をちょうだいいたしますと、こういうことでございます。
  324. 内藤功

    内藤功君 後でお聞きしたい点も大分先回りしてお答えになりましたが、私はやはり旅客において認められているような特急、急行などの料金制度は当然検討すべき問題だと思っておるのです。  私は幾つかの事実関係からお聞きしていきたいと思うのですが、まず多少数字的な問題を先に聞いておきますが、自動車との比較の問題から聞いていきたいと思います。物資としては石油類を一応選んでみます。石油類ですね。こういった石油類が自動車で運搬されるという場合の距離帯別の輸送量の比率はどうなっているのか、大体何キロから何キロまでが一番自動車で運送されるのが多いのか、距離帯別のいろんな資料があると思いますので、四十九年度で結構ですから、自動車による輸送は石油類の場合どの距離帯が一番多いかという点を、まず数字でお示し願いたいと思います。
  325. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 営業用トラックで、石油製品を含めまして石油類の輸送キロ帯別の分布につきましては、百キロまでが大体九〇%を占めておりまして、十一キロから五十キロまでの間が約五〇%近くを占めております。
  326. 内藤功

    内藤功君 いま十一キロから五十キロと言われましたが、もう少し正確に言いまして、一キロから五十キロまで、これは全体の何%を占めていますか。
  327. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 一キロから五十キロまでで七〇%でございます。
  328. 内藤功

    内藤功君 四十九年度でもっとあるんじゃないの。七〇%ですか。
  329. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) はい。
  330. 内藤功

    内藤功君 トン数で言うとどのくらいですか。
  331. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) トン数で申し上げますと、四十九年の十月の一日平均を出しますと十三万八千トン程度でございます。
  332. 内藤功

    内藤功君 私が陸運統計要覧で計算したところを言いますよ。一キロから五十キロの間八一・九%、四十九年度で、このくらいになりませんか。この距離が一番多いんじゃないですか。
  333. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) いま先生おっしゃいましたのは、私営業用トラックの分布を申し上げましたんで、いま先生申された数字は自家用、営業用合わせました貨物自動車全体の数字でそのようになっております。
  334. 内藤功

    内藤功君 わかりました。そうすると、自家用、営業用合わせて一キロから五十キロの間が八一・九%という、そういう数字になっているわけです。いわば近距離帯が一番多いということですね。これは自動車輸送の性格そのものが近距離輸送に適しているということを数字で証明していると思うんですが、それでは今度は同じ石油製品を国鉄で運んだ場合に、同じく距離帯別輸送量ではどの距離帯が一番多く利用されているか。これも数字でお示し願いたいと思います。
  335. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 現在詳しく石油についてのみ調べてはおりませんが、恐らく質問趣旨は関東一円の石油専用列車だと考えております。したがいまして、おおむねのところを申し上げますと、百二十五キロから二百二十キロ程度がかなり多く利用されておるというふうに考えております。
  336. 内藤功

    内藤功君 もう少しパーセンテージで言えませんか。
  337. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 国鉄の中のパーセンテージにいたしますと、現在、いま申し上げました大体二百キロ前後では、国鉄の中の石油類としては八〇%ないし八五%程度を占めるというふうに考えております。
  338. 内藤功

    内藤功君 そうすると、いま八〇%あるいは八十数%という数字が出ましたが、一番距離帯別で多いのは中長距離の輸送、特に中距離の輸送が圧倒的な比重を占めておると、こういうことが数字でも言えると思うんです。  そこで、さらにお聞きしますが、国鉄は石油類、それからセメント、肥料などのこういう物資別の専用列車というものを運行しておるわけですが、そのうち石油の例をとりましてね、国鉄の石油輸送量のうち、いわゆるOT方式というかな、オイルターミナル方式、すなわち生産地から物資別の列車で着地に向けて直通輸送しているそういう形での輸送量、これは全体のどのくらいの割合を占めているか、数字的にお示しできますか。
  339. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) OT方式といいますと、具体的に申し上げましょう。札幌、郡山、宇都宮、倉賀野、八王子、西上田、南松本というのがOT方式オンリーではありませんが、他社も入っておりますけれども、それの扱い量が、五十年度で申し上げます。三百六十一万七千トンでございます。そのうちOT方式といいますか、専用列車で行っているものはどれくらいかということになりますと、もうほとんど九〇%程度は他社のものも含めて専用列車方式で行っているというふうに考えてもいいんではないかと思います。
  340. 内藤功

    内藤功君 非常に大きな割合を占めているということがいまお答えの数字からわかります。  ここで一つ、私の方からも例を挙げてあなたにお答え願いたいのですが、東京の近くの例を引いてみようと思うのですが、浜川崎から倉賀野の石油基地まで、年度は四十九年度で結構ですが、どれぐらいこの石油類を運んでいるか、石油類の中でも揮発油と鉱油というものを合わせて大体トン数でどのくらいを運んでいるか。それから、これは一日平均に直すというとどのくらいになるか。それから、前後しましたが、この区間の距離は大体何キロメートルぐらいになるか、この点を数字的にお示し願いたいと思います。
  341. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 浜川崎駅発倉賀野駅着の四十九年度石油輸送量は十五万六千二百三十二トンでございます。それを一日平均いたしますと、一日四百二十八トンでございます。それで、距離を申し上げますと、距離は百二十五・五キロメーターでございます。
  342. 内藤功

    内藤功君 ついでに聞いておきますが、現行制度で、現行の運賃で結構ですが、これはどのくらいになりますか。
  343. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 一トン当たりでよろしゅうございますか。
  344. 内藤功

    内藤功君 ちょっとお待ちください。一日当たりの運賃で、一応三十五トン車というものを基準に言ってください。
  345. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 一日平均輸送トン数分の運賃といたしまして、しかもそれを全部三十五トン車を使った場合の運賃を申し上げます。三十二万三千九百九十六円、一トン当たりの運賃七百五十七円でございます。
  346. 内藤功

    内藤功君 今度は自動車局に聞きますが、いま国鉄の方から答弁された距離ですね、浜川崎−倉賀野間百二十五・五キロですか、この距離で一日平均の輸送量で、これを今度タンクローリーで運んだ場合に、この輸送費はどれくらいかかりますか。タンクローリーにはいろんな大きさがあると思いますが、標準型のもので運んだ場合でどうですか。
  347. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 川崎から高崎まで道路距離で一応百三十キロを少し超えるというふうに見まして、ただいまの輸送量をキロリットルに換算しまして、運賃率から運賃を計算しますと約百七十五万円程度に相なりまして、これに地区割り増しを加算いたしますので、合計して百七十七万円に相なります。
  348. 内藤功

    内藤功君 いまの例でも、国鉄とそれから自動車という間ではこれだけの大きな価格の違いが現在あります。もう一つ例をとって私確かめておきたいんですが、いまのだけですと一つだけの例になりますので。——あ、その前に、いま三十二万三千九百九十六円の運賃だというお答えです、国鉄ではね。これが今度もし改定が実現された場合、いまの改定が現実のものになった場合には、三十二万三千九百九十六円は幾らに改定される計算になりますか。
  349. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 五十一万三千六百円になります。
  350. 内藤功

    内藤功君 上げた場合に五十一万、現行で三十二万。自動車の場合タンクローリーで百七十五万、この差です。  もう一つ例をとりますが、扇町から西上田まで昭和四十九年度の揮発油、鉱油、これをどのくらい運んだ実績があるか。それから一日平均ではどれくらいか。距離はどれくらいか。
  351. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 一日平均で申し上げさしていただきます。扇町から西上田、一日平均輸送トン数二百八十六トンでございます。それに対する運賃二十九万八千二百九十八円、距離は二百十六・九キロでございます。これは三十五トンを使いました場合でございます。
  352. 内藤功

    内藤功君 自動車局に伺いますが、この同じ条件でタンクローリーの場合、運賃は幾らかかりますか。
  353. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 川崎−上田といたしまして、ほぼ同様の道路距離といたしますと約百七十万円に相なります。
  354. 内藤功

    内藤功君 もう一つだけ。これは貨物の運賃ですが、田口さんですか、伺いますが、現行二十九万何がし、これが今度の改定になりますと計算上は幾らになりますか。
  355. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 四十六万九千八百九十八円でございます。
  356. 内藤功

    内藤功君 細かい数字を言っていただきましたのは、つまり、数字的に見て同じ距離たとえば川崎から高崎、それからあるいは上田というところまで運びますのに約百万以上の差がついているという事実であります。この評価は別として、事実としてはこうなっている。トラックの四分の一から五分の一の安さである。これでは国鉄貨物がすべてトラックに逃げるということは、これは逆輪をするようですが、考えられないんじゃないか。この石油製品について、しかも基地から基地へ専用列車で運んでいくのが九割だというんですね。そういう、まあ私どもは、これは大企業が主に利益を受けるシステムだと一貫して指摘しているんですが、こういうものは、国鉄の貨物がトラックに逃げるということは、こういう現象からは果たして考えられるんだろうか。この石油基地に入っている貨物は、物の性質からいって、輸送費の面から見てもトラックに逃げようのないものではないのかと思われるんです。輸送形態からもそうだ。  たとえば倉賀野基地に入る揮発油、鉱油の一日平均量というのは、さっきも質問しましたが約二千トン、これキロリッターに換算しますと二千五百キロリッターになるだろう。この量だとタンクローリーで二百五十台以上になる。しかも、一年のうちに休みの日などを入れますと稼働日数は約三百日、これで約二割増加です。そうすると三百台以上になる。とてもこんな量は、国鉄の物資別専用列車であるからできるのだけれども、トラックではこれは三百日で三百台以上なんてことはトラック、タンクローリーではこれは不可能です。しかもこれは入荷だけですから、入出荷合わせると倍の六百台ということになる。私はいまお答えになった数字を聞き、また数字をもとに、大ざっぱな考えですけれども、こういうふうに思うんです。こういう見方は一面的ですか。
  357. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) まず数字の実体をちょっと御説明申し上げますと、オンレールとトラック運賃を直接比べられますとちょっとおかしいんじゃないかと思うのです。と申しますのは、メーカー、精製会社から専用線を通りまして、通運事業者の手を経て、そうして倉賀野なら倉賀野のタンクに参ります。これはあくまで国鉄の駅でございます。そこからそれぞれタンクローリーで最終的なガソリンスタンドその他のところへ参りますので、トラックの場合は精製されたところから直接ガソリンスタンドという形になりますので、その点について直接は比較できないんじゃないか。専用線の建設費あるいは入れかえ費、あるいは国鉄の倉賀野から、何といいますか、ガソリンスタンドまでの料金、そういうものを合算しませんと、オンレールだけではいけないんじゃないかというふうに考えます。  もう一つは、大体石油タンク車といいますのは私有貨車でございます、御存じのとおり。これはそれぞれのメーカーが私有をいたしております。これは必ず専用線を持っておる者が私有貨車を持ち得るという制度になっておりますので、その一般のタンクローリーを利用しますと、これはまるまるトラックの運賃に入ってまいりますけれども、私有貨車の場合でございますので、その点もあわせて考慮していただきませんと、全体としての比較が少し私には異論があるというふうに考えます。
  358. 内藤功

    内藤功君 少しね。同じ点、自動車局の方はどうですか。
  359. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) いま田口常務がおっしゃったような点を含めて比較することが妥当だと思いますし、それから、先ほど質問に応じて申し上げましたように、五十キロ帯までが八一%というような状況になっておりまして、先ほどの川崎−上田二百キロを若干超えておるような距離帯では実際にトラックで、タンク車で石油類を運んでおるということがありませんので、そういった比較が妥当かどうか、若干疑問を持つわけでございます。
  360. 内藤功

    内藤功君 私のは、いまお聞きになっていて異論があってなかなか同意をもらえないんだけれども、しかし一方は軌道の上、オンレール、一方はトラックだけれども、大体同じような距離を同じような量の石油類を運んでいくという場合に、国鉄から絶対に逃げるわけのない重要物資というものがあるし、それから重要物資の運び方があるし、料金体系があるという点は、これは大まかな点では事実でしょう。これは細かい点についてはいろいろ問題がありますが、私はこの大筋の点において異論があるとおっしゃるのかどうか、もう一遍お伺いしたい。
  361. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 物資別専用列車という一つの——石油につきましてはいささか過去の順序を立ててお話し申し上げますと、ドラムかんで送っておった時代、それから、それぞれのメーカーが独自のタンクを別々に各駅ごとに持っておった時代、それが一つの集約された駅にタンクができて、ある程度の共通使用ができるということになってまいりましたのは、これは荷主の努力と国鉄の努力でやってまいりまして、これが直ちに一個列車まるまる逃げるということはないと思いますけれども、現在、石油の全体の国鉄輸送量は千六百万トンです。それに対しまして、OT方式といいますのが先ほど申し上げましたように、三百六十一万七千トン——約五分の一というか、四分の一ぐらいでございますね。したがいまして、運賃がどうのこうのでまるまる逃げるというようなことはありませんけれども、千六百万トンというものを頭に入れました場合には、これはかなり大きな問題としてわれわれは受けとめておるわけでございます。
  362. 内藤功

    内藤功君 私は、もう一つそれにつけ加えて一つの例を挙げるというと、倉賀野基地というものがどのくらいの扱い量があるかということは、これは私、「交通技術」という雑誌のことしの一番新しい六月号の論文をちょっと見たんですが、「進展みせる倉賀野輸送基地」という論文があって、私これをずっと見てみたんです。そうすると、この倉賀野というところは本年三月末の扱い量は年間で約六十万キロリットル、この量は群馬県下の油消費量の約半分だ。家庭で使う灯油に換算すると、一日二リッターとして八十万年分になるという計算になるそうです。大体運輸省の計算もこんなものですか。これだけの取扱量が倉賀野基地にはあるんですか。
  363. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私の方の数字は少し違っておりまして、もう少し多くなっております。倉賀野の五十年度の到着トン数で申し上げますが、七十二万八千トンでございます。
  364. 内藤功

    内藤功君 多いのはかえって結構なんですがね。私がこれ言っているのは、いままでいろいろ国鉄の安全面のことについて御批判申し上げてきたけれども、これは、国鉄がもっと自信を持ってこういう仕事で、こういうところから料金を取れば、国民の生活に苦しんでいる人に負担をかけなくてもやれる道があるのじゃないかという、ここでヒントを見出したいための提言としてお聞き願いたいのですよ。そのために私は聞いている。これだけの基地は、これは国鉄の、やはり絶対に石油製品などは自動車に持っていかれないという保証は、もう一つ、大きく取られることはないという保証は、私はこういうところにもあるのじゃないかと思う。  それで私は、いまここに幾つかのオイルターミナル、それから物資別輸送をやっております大きな企業の社内報や、会社案内や、雑誌などをずっと少し集めてきたんですよ。私はこのうちで一つ、二つ御紹介しますと、物資別輸送というのはトラックとの競争だと言うけれども、まだまだそれにかえられないものがあるということが幾つかの文献に出ています。たとえばOT——日本オイルターミナル株式会社の案内を見ると、「輸送系統も別図のように複雑多岐にわたっておりますが、当社ではこれらの発基地から専用列車または指定輸送により各営業所と輸送面で直結し、保有車両の効率的な運用を図っております。」として、具体的に配置図なんかを出しておりますね。  それから、これは雑誌「貨物」の論文ですが、貨物営業局の堀山さんの書いたものです。これによると、「専用列車輸送によりスピードアップが図られ、運用効率の向上による貨車経費の大巾な軽減が可能となり、従来の流通経費に比較し、おおむね十五%程度の節減が図られる。」という指摘もあります。  それから、これは同じく「貨物」という雑誌の中に出ておる高田さんの論文ですね。少し前の論文です。「基地新設の効果」について書いています。「集約専用列車運転、基地における合理化された機械荷役により、貨車回転率の向上がはかられる。また、各所に散在していたものが一カ所に集約され、経営的に一本化するので、当然取扱経費は軽減される。」と、基地の効用について書いております。  それから、さらに四つ目は、やはり「貨物」という雑誌に載ったこれは大森国雄さんの論文です。全部これは国鉄の当局者の方々の書いたものです。「基地が共同化され、国鉄との一体的輸送が確保されることから、基地利用荷主にとっては、従来のように基地建設に多額の投資を必要とせず、かつ安定した輸送が確保されることとなります。」。  さらに、これはオイルタミナルのもう一つの案内です。これには、「臨海製油所等から発地サイドで組成された四十三トン石油タンク車による専用列車により直送される体制をとっております。この結果、当社七営業所所在地域への石油製品の鉄道輸送は、従来に比べ車両の運行回転において飛躍的に向上し、運行のスピードアップ、到着時間の明確化、さらには輸送コストの軽減、需給の安定等に大きく寄与いたしております。」。  さらにその次には、去年の一月の「貨物」という雑誌に、大規模な輸送をやっている人たちのいろんな話が載っています。たくさんありますが、一つだけ挙げてみると、セメント協会の方の話では、「物流革新に即応しフレートライナー網の拡充、物資別適合輸送あるいは拠点駅の整備、ヤードの無人化等々輸送の近代化に鋭意努力」されているが、「セメントの輸送の大手は、上記のような国鉄の意図に添いバラ専用の私有貨車により効率のよい定形輸送をはかっている」ということで、国鉄のいわゆる近代化、合理化というのがセメントなどの資本、大企業の輸送に非常に便宜になっているということを言っております。  もう一つだけ時間の関係で言いますと、これはごく最近の、ことしの二月号の「貨物」という雑誌に、運輸省大臣官房の副政策計画官岩村さんがお書きになっている。これによると、「石油製品等危険物輸送による事故発生のおそれ、そして所要労働力の面における鉄道の優位性等を考慮すると、これまでのように需要に応じてトラック輸送が増加し続けて行くことは容認されなくなるであろう。このような将来展望にたてば石油製品やセメントの工場〜デポ間の輸送や主要都市間のフレートライナーのように、大量、定型輸送であり、ターミナルでの荷役の合理化された輸送の分野を中心とせざるを得ないと思われるものの、国鉄は、相応の貨物量について輸送を分担すべきこととなる。そして、そのためには、ターミナルの整備、定時運行の確保等サービス水準の向上に努めるとともに、路線別傾斜運賃の導入等運賃制度の改善を図る等により運賃水準を適正に保つことが要求されよう。」と、最後に運賃制度の一部の手  私は、とりあえずいま手元にある、目に触れたものだけ読みましたが、これは局部的な引用だとおっしゃるかもしれない。しかし、大体大勢はこれでおおむね出ていると思うんですね。いま私の引用したものなどをお聞きになって、国鉄というのは、こういう大企業の石油製品等の輸送についてまだまだ新設料金の設定等、この大きな荷主から負担を願っても、さらにこれはトラックに逃げる、どこに逃げるということはないんじゃなかろうかという感じも私は持つわけであります。この点、率直にどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思うのです。
  365. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 先ほど申し上げましたように、非常に制度が硬直化してるじゃないかと、物資別専門列車については、うんと取れるだけ取ったらいいじゃないかということでありますけれども、私どもも取れるものなら取りたいわけでございまして、収入を上げるためにはできるだけのことを現在までやって十四万の貨物陣営を食わしていっているわけですから、できるだけのことはしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、石油全体の輸送量は千六百万トンで、このOT方式をとっておりますのが四分の一ないし五分の一、こういう中で、どういうふうな制度を設けていくかということになりますと、やはり他の輸送とのバランスも考えて制度を確立していかなくちゃなりませんので、取るだけ取るという趣旨は、私も取れるものなら取るということについては反対ではございませんが、制度面の決定に際しては、やはり全体そのものを考えながら決めませんと大きな穴につまずくということもしばしばでございますので、十分慎重に検討したいと思っております。
  366. 内藤功

    内藤功君 私は、一般勤労者を中心とする旅客の負担という問題と、それからこういう企業、特に大企業で石油製品等で輸送の便益を受けているところと、はっきり区別をして臨む姿勢が大事だと思うのです。  もう一つ、数字的な点を私は聞いておきたいと思うのですが、フレートライナー、福岡から東京まで、貨物で五トンの場合と十トンの場合、それぞれにこれはいまの料金で幾らぐらいかかっているか。国鉄がいま自慢しておる戸口から戸口まで、ドアからドアまでの金額で結構です。これは五トン、十トンの場合どれくらいですか。
  367. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 東京から福岡でよろしゅうございますか。
  368. 内藤功

    内藤功君 はい。
  369. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 東京から福岡のまずレール運賃を申し上げますと、現在のレール運賃五トンで申し上げます。二万七千五百円、それからフレートライナー料千三百円、合計いたしますと二万八千八百円でございます。それから集配料、発の戸口から着の戸口、両端の集配料が一万七千七百円でございまして、全体の総トータルは四万六千五百円でございます。これに対しまして、十トンコンテナの場合はどうなるかと申し上げますと、現行五万二千円がオンレール運賃でございます。それからフレートライナーが二千百円でございます。合計いたしますと五万四千百円でございます。それに対しまして、全体の集配料、発の戸口から着の戸口までの両端の集配料十トン分は三万三千七百円でございまして、十トンの総合計は八万七千八百円でございます。
  370. 内藤功

    内藤功君 今度はそれをトラックでやった場合、これは自動車局長に伺いますが、どういうふうになりますか。
  371. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 東京から福岡まで区域トラックで運んだとしてその運賃を見ますと、五トン車一両で運びますと約八万円、十トン車一両で運んだ場合に約十二万円でございます。ただ現実の場合には、このほか高速道路利用料、あるいは関門の利用料、地区、深夜の割り増し料が加算されます。
  372. 内藤功

    内藤功君 時間的には、このトラックの場合は所要時間はどのくらいですか。
  373. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 東京−福岡で東名、名神高速道路を利用した場合に、運行の所要時間だけで約三十三時間半程度だと思います。
  374. 内藤功

    内藤功君 いま私は、念のためこの比較も数字で出してもらったんですが、料金の点、それから時間の点、こういう点で国鉄の方が有利な数字がいま出てきているわけです。  さらに、このように考えても国鉄の方が一層有利な部面があるのに、この面から特急料金、急行料金、あるいは物資別の専用料金というものを取ることを全然考えていないという点については、私はこの国鉄の内部の技術的なことはよくわかりませんけども、こういう数字から見て、また大企業の負担度合い、依存度合いから見て納得できないという気がするんですね。  もう一つ、私は規程の点からこういう点を見てみたい。一般に列車が優等列車かどうかを決めるのはスピードとかサービスとかいう面だと思いますけども、これらについて、この優等列車にはこういう優遇措置をとるべきだということを規定している内部規程は何と何ですか。
  375. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 恐らくスピードの関係でおっしゃっておられることと思いますけれども、スピードだけの点で見まして列車設定基準というのがございます。これはスピードで規制をいたしております。
  376. 内藤功

    内藤功君 列車設定基準の二条二項、それから速度定数査定基準規程の四十八条、私の見るところ、おたくの方の部内規程ではこの二つだと思うんですが、その条文をちょっと読んでいただけませんか。
  377. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 輸送管理規程の七条を読ましていただきます。「貨物列車の種別は、特別急行貨物列車、急行貨物列車地域問急行貨物列車、快速貨物列車、専用貨物列車、普通貨物列車及び解結貨物列車とする。」。  列車設定基準規程二条を読ましていただきます。「列車種別の分類は、次の各号に掲げるとおりとする。」。
  378. 内藤功

    内藤功君 二条の二項で結構ですよ。
  379. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 二条の二項ですか。
  380. 内藤功

    内藤功君 ええ。
  381. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 貨物の方は読まなくていいわけですね、四号が貨物列車ですけども
  382. 内藤功

    内藤功君 じゃ四号と、それから二条二項ですね。
  383. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 「貨物列車 ア 特別急行貨物列車A イ 特別急行貨物列車B ウ 急行貨物列車 エ 地域間急行貨物列車 オ 快速貨物列車 カ 専用貨物列車A キ 専用貨物列車B ク 普通貨物列車A ケ 普通貨物列車Bコ 解結貨物列車A サ 解結貨物列車B」。  二項は、「前項第四号」——第四号といいますのは貨物列車が該当いたしますが、「第四号貨物列車の組成方は、次の各号に定めるとおりとする。  (1)特別急行貨物列車Aは、最高速度一〇〇キロメートル/hで運転できる貨車で組成する。  (2)特別急行貨物列車Bは、最高速度九五キロメートル/hで運転できる貨車で組成する。  (3)急行貨物列車は、最高速度八五キロメートル/h以上で運転できる貨車で組成する。  (4)地域間急行貨物列車、快速貨物列車、専用貨物列車A、普通貨物列車A及び解結貨物列車Aは、最高速度七五キロメートル/h以上で運転できる貨車で組成する。ただし、地域間急行貨物列車及び快速貨物列車で、北海道地区の特に指定された線区については、最高速度六五キロメートル/h以下で運転する貨車を組成することができる。  (5) 専用貨物列車B、普通貨物列車B及び解結貨物列車Bは、最高速度七五キロメートル/h以上で運転できる貨車及び最高速度六五キロメートル/h以下で運転する貨車で組成する。」、以上です。
  384. 内藤功

    内藤功君 あとは私の方で要点を言いますと、速度定数査定基準規程というものがあって、この四十八条では、それぞれについてその最高速度を何キロと指定されている車両で組成されるものであるという、この最高速度が何キロで、どういう指定車両で組成されているかということがそれぞれ詳しく規定をされている。さらに貨物輸送基準規程というものがあって、その四十八条では、それに使用する車種についての規定もされていると思いますね。これに反して旅客列車の場合には、こういう内部規程の中で、旅客の特急列車はこういうものである、急行列車はこういうものである、そうして快速列車はこういうものである、そうしてそれのスピードはこれだけであると、それから組成される列車はこういうものである、車種はこういうものであるというのが明文の規定上ありますか。これはありませんね、旅客の場合は。
  385. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) ございません。
  386. 内藤功

    内藤功君 このように貨物列車は、いま時間をとって朗読を煩わしましたが、貨物は使用する車種まで、それから速度から組成の方法まで、特急、急行別に限定されているんですよ。私はまあ非常に法律屋的な論理の仕方であると皆さん思われるかもしれないが、こういう規定の立て方から見て、一方では特急か急行かの区別も書いてない。これは別の委員会国鉄当局に、運輸省にも聞きましたが、そのときには結局、特急より早い急行があることもあり得るんだということを平然と答弁されているような状況なんですね、はっきりしないと。貨物の方はこういうふうに使用する車種まで限定されて、規程、総裁達とか、運達とか、貨達とか、旅達という形で達が出ているんですね。私はこういう点から見ても特急、急行料金の設定というものが技術的にもしやすいんだろうというふうに思うんです。もっとも貨物の料金の値上がりは回り回って諸物価の高騰にもはね返る面もありますから、私は何でもかんでもこの貨物の料金を無制限に値上げしろとまで言いません。しかし、いま値上げをしなきゃならないというんであれば、負担力のあるところからやるべきだということが私ども考え方であります。私はいまの点を、特に料金問題貨物料金問題として指摘しておきたい。  貨物について特急、急行、物種別などの料金の検討を、まあいまはできないというふうにお答えになるけれども、さらに研究し、あるいは料金制度がどうしてもおかしいというんならば、それにかわるようなこういう国鉄の専用線、専用列車を利用して大きな収益を得ているところから料金をもっと取れるような仕組みを検討しなきゃならぬと思うんです。それが国鉄の赤字の根源の一つをなくす道につながっていくと思うんです。私の問題提起としていま申し上げたんですが、最後に大臣、総裁から、一言ずつ御意見を承りたいと思うんです。
  387. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 技術的な問題は私にはわかりませんが、やっぱりいま御指摘の問題発想の転換の一つの課題であるように思います。
  388. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 貨物の運賃につきましては、総じてもう少し弾力的にしていきたいというような感じを持っております。全体として、最近の数年の間にとにかくはっきり取扱数量が減ったわけでございますので、どこでどうして減ったかというのはいろいろ原因はございますけど、そうかといって逆に安過ぎる分野もあるかと思います。いろいろ個別にまだ研究しなければならぬ点があるわけでございまして、総体としてはもう少し全体的運用を弾力的にいたしてまいりたい。その弾力的という意味は、それによってなるべくふさわしい運賃、料金をいただけるような仕組みにしたいというのが基本的な考え方でございます。
  389. 内藤功

    内藤功君 この点に関係しましてね、私は国鉄当局の方に、貨物用コンピューターの端末機を幾つかの大企業に無料で貸している問題についての資料を要求したんであります。  私の方ではこの、まず貨物の予約をとるためのコンピューターの端末機が全国に何台あるのか。で、それはどういう会社にそういう特別優遇の措置であるコンピューターの端末機が置いてあるのか。一方では国民は、今度の超けちけち運動と言われるものの中で「みどりの窓口」の時間が制限されて、夕方会社が終わってから「みどりの窓口」へ、くにへ帰る切符を買いに行くとかそれから定期券を買いに行くっていうことが非常にやりにくくなっていく。会社を休んだり休暇をもらったり、上司に断って気まずい思いしないと「みどりの窓口」へ切符を買いに行けないというふうな不便になっておるのに、一方ではこういう、この大企業の何社かには貨物用コンピューターがただ貸しされているという実態は、これははなはだ私は御説明を要する問題だろうと。企業の便利というものを余りに図り過ぎている。しかも国鉄は、石田運輸大臣がしばしば言われる、土地をただで使ってるところが多いというが、貨物用コンピューター、これ有料で取れるはずなのにただで貸している。収益が少しでも必要なときに、これははなはだ私はよろしくないことじゃないかと思うんですね。  そこで、まず国鉄当局に聞きたいんですが、全国でこういう貨物列車の予約申し込み用のコンピューターの端末機は何台あるんですか。それから、それはどういうような会社にこれが設置されてるんですか、お答え願いたい。
  390. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) コンピューターの質問はこの委員会ではたしか初めてだと思いますので、コンピューターでつくっておりますシステムの中身、何をやってるかということを簡潔に御説明して、御理解を得ましてから御質問にお答えしたいと思います。  ヤードのような自動化のコンピューターを除きまして、貨物の関係ではコンピューターシステムを二つ持っております。  一つは、四十三年の四月から使っております地域間急行貨物のシステムというのでございまして、先ほどの田口常務の説明の中にしばしば出てまいります地域間急行貨物という種類の貨物列車を設定いたしました四十三年の十月から本格的に使い出したわけでございますが、これはある数駅まとまった地域からまとまった貨物が出まして、相当離れたあるブロックにまとまって行くというようなときに、その地域間に専用の直行貨物列車を設定すると。たとえて申しますと、沼津から静岡の間に五、六駅、全部足しますとちょうど千トンぐらいになる。その着地が全部小郡から大体博多の間ぐらいになっているというような場合に、やはりトン数の制限がございますので、個々にこの貨物列車に対して予約をしなければならないということが発生してまいりますので、こういうシステムをつくったわけであります。そういうことによりまして予約を受け付けて、そのとおり連結すれば何時に着くということが着駅でもわかる仕掛けになるわけでございます。  同様にコンテナについてそのようなことをもう少しきめ細かくやっておりますのがコンテナ情報システム。これはことしの二月から試行的に使い出したばかりでございます。  それで、御質問の点でございますが、地域間急行システムの専用の端末機は全国で二百二十二台ございます。このほかに国鉄の中で使っておりますテレックスと同じような端末が四百三台このシステムにつながるようになっております。そして、このうちで部外に設置されておりますのは十三社、十四台でございます。そしてこのうち四台を除きまして、ほとんど連絡運輸の鉄道あるいは通運業者でございます。荷主と申しましても本当の荷主は四社でございます。連絡運輸の会社につきましては、貨車が直通しておる、あるいは輸送の協業関係にあります相手でございますので、やはりこちらで中継をして端末を操作するということなく、お互いに相手に端末を操作していただくという必要上から、これを相手の会社に設置してお願いをしておるということになっております。新荷主の四社につきましては、非常に専用線をお持ちの、毎日相当な量の貨車を出していただける荷主さんでございますので、これはもし端末がないならばわれわれの貨物係が電話で受け付けをしてたたく、あるいは向こうへ駐在してたたくということになるわけでございますので、これは向こうに置いて向こうの荷主さんの方に操作をいただくということをお願いしておるわけでございます。
  391. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、この前のお話では地域間急行用の端未機台数というものが部外で何台あるかという点をお答えしましょうというんで、私の方に文書に書いてのお答えがあったんです、確かに。いただきましたが、これは十四社で各一台、十四台と、こういうふうなお答えになっていますが、そうすると十三社で十四台、こういうふうになっておりますが、これはきょうの御答弁の方が正しいですか。
  392. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いまの答弁の方が正しゅうございます。それで少し補足を申し上げますと、十台は要するに輸送、運送人ですね。私鉄、臨海鉄道あるいは運送取扱人、商法上の。運送取扱人が全国地域でやっておりますので、名古屋地区東京地区に一台ずつ持っております。残り荷主は、先ほど説明ありましたように四社で各一台ということでございます。
  393. 内藤功

    内藤功君 この十三の会社はどういう会社なんです。いま御説明だと、別にそういう会社はたくさん荷主さんの仕事を扱っているのでコンピューターの端末機を提供しているだけだと、別にその会社が悪いことをしているわけでも何でもないんだから、名前を出したって別にいまのお話なら何も差し支えないことなんですね。しかも、輸送関係の会社が十三社のうち十社だというんでしょう。ところが、これは国鉄当局も一生懸命資料をきょうの質問のために用意してもらったこの御労苦はぼくは多としますよ。多としますが、一番肝心なところを出さない。これがいろいろ言われるんですよ。私はもう夜遅くまで資料を集めてくれる政府職員や国鉄職員の労苦は多とするんです。けれども、この十三社の名前ぐらい言ったっていいじゃないですか。どういう名前なんです、これは。どういう会社なんですか。そんな別に悪いことしているわけじゃないし、どうこうするわけじゃない。ちゃんと名前を言ったらどうですか。
  394. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 臨海鉄道が五社でございます。これは要するに国鉄沿線の荷主も臨海鉄道の沿線の荷主も同様の扱いで地域間急行が利用できるという取り次ぎになります、それから私鉄、それから先ほど申しました輸送会社、これが四社でございます。四社で五機を持っております。それから荷主、これは四社でございまして、先ほど説明がありましたように、一日三十車あるいは二十五車ということで、たくさんの量数を地域間急行列車に乗せますので、本来ならば連絡を受けて国鉄の職員が端末機を打つやつを、直接荷主に打ってもらうということでございます。
  395. 内藤功

    内藤功君 その会社の名前は言えないですか。その中にたとえば、私の方ではもう大体わかっているんですよ。わかっているんだけれども、あなたの方の答弁がないから、これははっきり言っていいもんかどうか迷っているんですが、たとえば帝人とか、それから日産化学とか、日本石油輸送とか、まあとりあえずこの三つだけ出しましょう。これは入っているでしょう。
  396. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 先の二つは入っております。後の一つは入っておりません。
  397. 内藤功

    内藤功君 石油輸送、入っていない。——三つのうち二つ当たったわけなんです。(笑声)あと大体……、これどうして当たるかというと、私ら行くと言うんだもん、向こうは、会社の方は。会社の方は、いや、端末機ありますよといって、言うんだからこっちはわかっちゃう。ところが政府の方は言わない、国鉄は言わない。こんなことはないと思うんです。私は。これはどういうのか、悪いところがあるんですか。無償で取っているというんで何かそういうことがまずいんですか。どうして言わないんです。
  398. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私ども、大体公的な場所では、もうすでに御存じでもありますし、できるだけ企業のプライバシーはわれわれとしては干渉しないという姿勢を持っております。
  399. 内藤功

    内藤功君 だけれども、十三社のうちの二つはもう破れちゃって、帝人さんと日産化学は出てきちゃったんでしょう。ですから、あと全部言ってもいいですよ、ぼくは。全部言ってもいいけれども、まあそこは武士の情けで、私は全部言うのはやめますが、言えというんなら全部ここにありますから、全部言いますよ。(「言いなよ」と呼ぶ者あり)じゃ、私、言います、これ。これは私、言いたくないけれども、私の方は別に構わないから、まず当たっているのと当たっていないのとよく区分けして聞いてください。(笑声)苫小牧港開発、それから秩父鉄道、秩父セメント、福島臨海鉄道、京葉臨海鉄道一東武、日本石油輸送、岳南・鉄道、日産化学、名古屋臨海鉄道、日本石油輸送。日本石油輸送が一社で二つある。私どもの調査ではそうです。帝人、水島臨海鉄道宇部興産と、十三社十四機。皆これをわれわれの方から調べれば言ってくれるんですか。
  400. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) そのとおりであります。(笑声)
  401. 内藤功

    内藤功君 それを初めから言えばいいじゃないですか。みごとにこれで決まったわけでしょう。時間のむだですよ。これだけで論争を私はする必要ない、こうはっきり紙に書いてきてくれればいいんですよ。こういうふうに十四機十三社あるわけですよ私はこの秘密主義というのはいかぬと思いますね。いかぬですよ、これは。これは恐らく無償にしているのが突っ込まれるとまずいというんで隠しているんじゃないのかな。でなきゃ、こんなこと隠すわけないもの。  私は、最後にこの点で聞きたいんです。なぜ無償にしているんです、こういうものを。料金取らないのはなぜですか。
  402. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) これは先ほどからるる説明いたしておりますことでもうすでに御了解いただいたと思っておりますが、臨海鉄道は臨海鉄道沿線の荷主に国鉄の設定いたします地域間急行列車を利用させる、これは国鉄の駅でも同じでございます。私鉄の場合も同様でございます。これは単なる取り次ぎということになります。荷主の場合は、先ほど申し上げましたように一日三十車、二十七車、二十五車というふうに大量の貨車が国鉄地域間急行列車に連結をされますので、これが本来ですと電話の取り次ぎで国鉄の駅にあります端末機を国鉄職員が押すことになりますが、日々大量に出荷される荷主に対しては端末機を置いておきまして、向こうで入力作業をしてもらうということで、むしろこちらが頼んでやってもらったことであります。
  403. 内藤功

    内藤功君 もしこれを料金を取ると幾らぐらい取れるものなんです。
  404. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 料金を取ることを考えたことございませんので、正確に計算したことはございません。
  405. 内藤功

    内藤功君 それだったら今度は逆に、きのうも公聴会で札幌に行って、いろんな青果物の団体の顧問をしておられる方、ジャガイモだとか、タマネギだとか、北海道から内地に送ってきてくれる業者の団体の顧問の人にもいろいろ話を聞きましたよ。非常に参考になった話聞いたんだけれども、こういう農産物を出荷して国民の食糧を確保してくれている農協だとか、農業団体だとか、それから中小企業の団体だとか、そういうところにもこれはもっともっとあまねくこういう便宜を与えるというふうな考慮も必要でしょう。何もこの十三社ばっかりが国鉄を支えているわけじゃないですよ。日本を支えているわけじゃないんだ。扱い件数の多い少ないで区別するわけにいかないんです、これは。一番大事なところ、一番忙しいところにどうしたらいいか。それから会社の中でもって、「みどりの窓口」がふさがっているサラリーマンもいっぱいいるんだから、社員の多い会社には「みどりの窓口」につながる端末機を置いてやったらどうなんです。そうすれば、そこでぽんぽん打てば済むじゃないか。そういうことはもう二の次だ。それでこういう十三社。しかも名前隠してやっている。とんでもない話だ、これは。私はそういう意味で無料というものは、これは正しくないと思うんですね。この端末機というのは大体値段は幾らぐらいするんです。
  406. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 設置個所によりまして値段が違う場合もございます。それは通信回線の値段が入りますのでばらつきがございますが、平均しますと三百万から四百万ぐらいのものだと御了解いただきたいと思います。
  407. 内藤功

    内藤功君 それだけのものなんですから、貸してちゃんと損料を取って、そうして国鉄の収益にするということが、私はやっぱり企業の経営上必要であろうと思うんですね。  それから鉄道の専用電話、あれをやっぱり無料で貸しているところもあるんでしょう。どうです、これは。
  408. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 鉄道の専用電話を無料で貸すということではございませんで、これは有線電気通信法という法律で、郵政大臣の御許可がいただけなければそういう共同設置ということはできなくなっておりますので、これは有料、有償といいますより、保守費に相当する分をいただいているのもございますし、たとえば連絡運輸の会社とか、あるいは交通交社のような、われわれの仕事を委託しておるような場合には無償といたしておりますし、そうでない場合もございます。いろんなケースがございまして一概には申し上げられません。
  409. 内藤功

    内藤功君 どういうような、全国で何社ぐらいのところにこういう鉄道電話の無償使用を認めているんですか。
  410. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 手元に電話関係の資料を持ってまいりませんので、記憶で申し上げますと、全国で、たとえば私鉄で連絡運輸をしておる会社とか、それから通運業者とか、あるいは切符の代売をしておる日本交通公社、そういうようなところで、詳しい数字は間違うといけませんのでちょっと申し上げかねますが、相当な数が設置されております。
  411. 内藤功

    内藤功君 この問題もやはり今日赤字で苦しんでいる、困った困ったと言っている国鉄が、取るべきところから取ってないという問題じゃないかと思うんです。そこで常務理事、いまこれは事前にあなたに言わなかった質問であるから数が言えないのはもっともだと思うんですが、文書で結構だからこの数字を報告してもらいたいと思います。どうです
  412. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) さよう報告いたします。
  413. 内藤功

    内藤功君 大臣に伺いたいんですが、こういう財産の運用なんですよ。これについてはどういうふうにお考えになります。
  414. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いろいろな事情もあろうかとは思いますけれども、前の御質問と同じように、やっぱり取れるところから取らないといけないものだとは思います。それから、それこそ発想の転換で、五千億円近い赤字があるんですから、できるだけ従来の行きがかりにとらわれないで、相手方と話し合いをして相当な措置をこれはとるべきものだと私は考えます。
  415. 内藤功

    内藤功君 これではもう発想の転換を何十回やったって追いつかないですね。こういう問題がいっぱいあるんです。私は、国鉄当局質問の矢面に立っていろいろ苦しい答弁をしていますが、やっぱりここまできちゃうと、大臣、あなたが政府レベルでもってきっちりした指導の方針を、多少細かいところにも入って言わなきゃならぬと思う。そういう点で、よくこいつは覚えておいてもらいたいと思います。  続いて——私の質問はまだこれ一時間や二時間じゃ終わらない分量が実はこの次あるわけです。これは財政危機の原因についての問題ですが、あと十分か二十分ぐらい、一応常識的な時間がありますので、その一部に入りたいと思うんです。時間をなるべく使ってやりたいと思います。  さて、国鉄の財政危機の原因が一体どこにあるかと、こういう問題であります。私どもはこの間発表した政策でも一貫して言っているように、これは国鉄当局も確かにだらしないことあるけれども国鉄当局をしてこういうふうに至らしめたものは、これは特に昭和四十九年以来の政府、特に与党の責任は私は重大だと、こう思うんです。ある意味国鉄は犠牲者の側面も持っていると思うんです。それで、私はこういう観点で若干質問し、なお、きょうできない点はまた別の機会にしたいと思うんですが、まず、運賃が安いというんですよ、戦前と比べて、これは果たしてそうかということを私は疑問をまず持つ。  それは、ここに私が持ってきたのは政府の発行したパンフレット——私のところは送ってきてなかったな、これは。それでほかの人にいま見してもらった。こういうものを私のところに送ってこないからいけない。日本国有鉄道の「みなさまへのお願い。「運賃改定はなぜ必要か。」」というパンフレット。これを見ると、戦前と比べて三百倍ですと、こう言う。読んでみますと、「戦前の比較的物価が安定していた頃と比較して消費者物価は約一、〇〇〇倍になっていますが、国鉄運賃は約三〇〇倍の水準です。」。つまり、ほかの消費者物価は千倍だが国鉄運賃は三百倍だと、だから上がり方が少ないんだからまあいいじゃないのと、こういう論旨であります。グラフもついている。  もう見る人はみんなそうかなと思っちゃいますよ、これ。家庭の主婦なんかは、じゃ、少し上げなくちゃならないのかなと思う。きのうの公聴会でもそういう意見ありましたね。こういうものをやっぱり吟味していかなくちゃいけない。確かにこれだけ書かれるとそう見える。ところがこれは何年のことですか。ここで言う「戦前の比較的物価が安定していた頃」というのは。この表や後の論旨から見ると昭和十一年ごろと比べてというように私は判読したんだけれども、戦前と比べて三百倍というこの戦前の安定していたころというのはいつなんですか。
  416. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お手持ちの資料の右の下の図面のところに書いてございますように、昭和九年−十一年を一とした数値でございます。
  417. 内藤功

    内藤功君 もう一回。
  418. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ここに書いてございますように、昭和九年−十一年を一とした数値でございます。
  419. 内藤功

    内藤功君 昭和九年から十一年を一としたというのは、これは総裁、あれですか、この三年間の平均という意味ですか。どういう意味なんです。
  420. 高木文雄

    説明員高木文雄君) よく御存じのとおり、戦後いろいろ物価問題が議論されました当時に、たしか昭和二十五年来ぐらい、九−十一年基準という数字が政府の一般的な物価比較のときに使われておりますので、まあ何年を基準にするかといろいろ議論があるものですから、そのまま九年−十一年とよく言われます九年−十一年数字を使っております。
  421. 内藤功

    内藤功君 ああ、そういう使い方ですね。  この当時は、現在と違って国鉄のシェア、独占性はいまよりも強くって、運賃も確かに全体の物価の中で国鉄の運賃の占める高さというか、それはわりと高かったと思うんですよ。それと比較しているんですね。つまり、私どもはまだ子供でしたけれども国鉄というのは非常に、省線電車と言うんです——省線電車というのはわりと高い電車だという感じを大人たちから聞いていたんです。市電というのは安かった。それから京成電車だとか、私鉄というのはわりと安く乗れる電車国鉄というのは、省線というのはなかなか乗れない電車だ、われわれはそういう感じを子供のときに持っておったんです、このころ。それで、比較的国鉄の物価というものがほかの物価に比べて相対的に高かった時代というのがこのごろの時代の特徴だったと思うのですが、どうですか。
  422. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も当時国鉄の水準は必ずしも安かったとは思えないと思います。それでいろいろこういう議論をするについては、何年基準にすべきかというのは問題があるんでございますけれども、米価を議論いたしますときにも、またその他のいろいろな物の値段を議論いたしますときにも、一つの基準として戦前比較で議論するときは、やはり九年−十一年をとっている例が非常に多いように思います。  まず一つは、戦前基準で議論することがいいかどうかという問題がありますが、戦前基準をベースとするならば九−十一年というのがいままでいろいろなところで使っている数字としてはそうおかしくないものではないかというふうに考えまして、それを最終的にこの印刷物をつくるときに私自身中身を見ましたんですけれども、それ以外にちょっとほかに適当なときがないということでこの年を基準にした表にしたわけでございます。
  423. 内藤功

    内藤功君 その比較がいい悪いと、基点をそこに置くのがいい悪いという議論をいましているんじゃないんです。置いてもいい、置いてもいいけれども、それと比べて三百倍だからという論旨にぼくは問題があると思うんです。  一つ例を挙げますと、これは少し古い新聞なんですが、「交通新聞」の昭和四十年の十月二十八日の新聞に、貧困の悪循環かよいサービスの拡大再生産かというのがありましてね、ここにこう書いてある。戦前、つまり昭和十一年ごろの国鉄運賃は、いまの貨幣価値からすると、人キロ当たり四円二十二銭、トンキロ当たり六円四十四銭で、現在に比べ約二倍の高い水準だったということを言っているんですね。やっぱり当時の国鉄の価格というのは高い値段だったということを言っております。  それから石田——これは石田さんでも禮助、国鉄総裁の方で、石田総裁は四十一年の二月十五日に、当時の衆議院運輸委員会議事録調べてみますとこう言っているんです。「それは確かに戦前における国鉄の運賃というものは安くなかったと思う。安くなかったがゆえに、実に七十億もの日本経済の発展の先行をなしていくだけの余裕があった。ところが不幸にして戦争のためにぶちこわされた。」こういう論旨である。戦前の国鉄運賃というのは安いもんじゃなかったということを石田禮助さんも当時国会答弁で認めておるんですね。安くなかった。当の国鉄当局者自身がみずから戦前の国鉄運賃は高かったと言っている。こんな時期を比較対象にしていま低い、低いと、上げ方がえらく低いんだと言うのは、これは私は適切な、正確な比較ではないということをこれは言っておきたいんです。  もう一つ、このパンフレットでは「国鉄運賃は約三〇〇倍の水準です」と言っておりますが、この「運賃」というのは何ですか、料金法的に言うと。
  424. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 旅客の場合は第一地帯の賃率をあらわしております。
  425. 内藤功

    内藤功君 そうすると、旅客の場合にいましぼって聞くと、ここで言う「国鉄運賃」というのは基本賃率を言っているんですね。
  426. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 旅客の場合、さようでございます。
  427. 内藤功

    内藤功君 そうすると、この中には料金は入っていないわけなんです、基本賃率を言っているわけです。問題は、旅客収入の中に占める料金の比率が戦前と戦後でどういうふうに変化しているかという問題を考えないといかぬと思うんですよ。  国鉄に伺いますが、この昭和十一年でも結構ですわ。昭和十一年、つまり日本が破局的な日中侵略戦争に入る前年ですよ。戦前の国民生活はわりと平和な生活をしていた最後が昭和十一年だと思うんですね、歴史的に見て。そのころの国鉄旅客収入に占める料金の比率と、いまの比率は大体どんなふうに違いますか。一番なるべく最近の資料で比べてみてください。
  428. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ちょっと昭和のその時代のやつを正確に持っておりませんけれども、ただいまの料金の割合は旅客収入の中で四〇%を占めております。当時の、戦前の場合には料金をいただく列車というようなものが非常にウエートが低かったということは事実でございます。
  429. 内藤功

    内藤功君 後でまた問題にしますけれども、おたくの方で調べてもらったところによると、昭和十一年、東京−大阪、三等特急で行くと運賃が五円九十七銭、料金が二円、これは特急ですが、こんなふうな数字も出ていますね。私はこういう東京−大阪間の特急「つばめ」なんというのは料金はかなり取ったかもしれないけれども、全体の旅客収入の中の料金が、それ何の料金だ、かんの料金だ、貨物からは取らないが旅客からはどんどん料金を取って政府認可でやっていくという点は、この十年来、昭和四十年代に入ってから非常にやっぱり大きいと思うんです。いまお話しのように、いま四〇%ぐらいが料金だと。そういう料金のアップ率というものを考えないで、いまあなたが言ったように基本賃率だけで比べている。しかも、昭和十一年という、戦前では日中戦争直前のわりと安定したというか、物価の中では国鉄の運賃が高かった時代と比較しているという問題があると思うんです。  そこで、いま私は答えを言ってしまったようなんだが、昭和十一年当時の東京−大阪間で、一般庶民が利用した一番速い乗り物は三等特急だろうと思うんです。その三等特急の運賃、料金を改めてそちらから答えてもらいたいことと、それからいまの東京−大阪間の一番速い乗り物は鉄道では新幹線である。新幹線の運賃、料金は合計で幾ら——これは普通車で行った場合ね——であるかということをちょっと出してもらいたい。
  430. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 昭和十一年の東京−大阪間の特急三等でございますが、運賃五円九十七銭、料金二円、合わせまして七円九十七銭でございます。それから、ただいまの新幹線新大阪までの運賃が二千八百十円、新幹線の料金二千七百円、合わせて五千五百十円でございます。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  431. 内藤功

    内藤功君 そうすると、庶民の乗る鉄道で一等速い乗り物、東京−大阪間の三等特急は七円九十七銭、昭和五十一年、四十年後のいまの東京−新大阪間の一番速い乗り物、これは在来線、乗りたくてもないですから、ほとんどないですから、もう新幹線しかない。五千五百十円。そうすると七円九十七銭から五千五百十円、この東京−大阪間で例にとってみると何倍になります。
  432. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 六百九十倍ぐらいでございます。
  433. 内藤功

    内藤功君 六百九十一・三倍が正解であります。三百倍どころの騒ぎじゃない。このパンフレットでは三百倍、基本賃率ですからと。いま一番具体的な庶民の生活に即して考えなくちゃいけない、生活に即したらあなた七百倍ですよ。六百九十倍だ。このことが非常に大事なところであります。これが実感だとはまだ言わないが、実感に近いんだと思うんです。このように料金を加えるとこれだけ変わるわけです。私はこういうパンフレット一つつくる場合でも、値上げを認めてもらいたい一心で書いたんでしょうけれども、もっと正確な比較というものをやっていただくことを、これはまあ私は宣伝文書として割り引いて読むからここで、これ以上怒らないけれども、いけないと思います。私はまあこの問題についてひとつ指摘をしておきたいと思う。  なお、次の問題がありますが、後大体やっぱりどんな要約しても一時間以上かかると思うんで、一応私の質問はここで打ち切って、後で委員長の御許可を得て、あしたの冒頭、約一時間以内で済ましたいというふうに思っています。これはまた理事会でお許しを得なきゃならぬけれども
  434. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 速記ちょっととめてください。   〔速記中止〕
  435. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 速記を起こしてください。     —————————————
  436. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 本日の本案に対する質疑はこの程度とし、この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本案について、物価等対策特別委員会並びに農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがございます。  つきましては、両委員会とそれぞれ別個に連合審査会を開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  437. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、各連合審査会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  438. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  439. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会