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1976-10-22 第78回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十二日(金曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の異動  十月二十日     辞任         補欠選任      目黒朝次郎君    粕谷 照美君  十月二十二日     辞任        補欠選任      粕谷 照美君    目黒朝次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 江藤  智君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 佐藤 信二君                 橘  直二君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                目黒朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    国務大臣        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       宍倉 宗夫君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      篠原  治君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君        日本鉄道建設公        団理事      平岡 治郎君    —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付) ○派遣委員報告に関する件 ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  当委員会といたしましては、本案審査に資するため、一昨二十日、福島県に委員を派遣し、つぶさに実情を調査してまいりました。  つきましては、これより派遣委員報告を聴取いたします。瀬谷君。
  3. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 派遣報告をいたします。  派遣されました委員は、上林委員長岡本理事中村理事三木理事目黒委員内藤委員と私の七人で、十月二十日、国鉄バス白棚線運営状況東北新幹線新白河駅の建設工事現場等を視察してまいりました。  まず、国鉄バス白棚線運営状況についてでありますが、この路線は、東北本線白河駅と、水郡線磐城棚倉を結ぶ二十三・六キロメートルの鉄道昭和十九年撤去され、その後、線路敷専用自動車道として復元し、昭和三十二年四月、営業開始したものであり、現在では一日五十八便が運行されております。  昭和五十年度の経営成績につきましては、年間二百三十五万一千人を輸送し、一億九千百八十三万円の収入に対し、経費は二億七千八百九十一万円と八千七百九万円の赤字、営業係数では一四五・四となっておるとのことでございます。  視察に際しまして、地元の白河市長表郷村長棚倉助役等から意見を聴取いたしましたが、この国鉄バスに対する信頼は非常に大きく、バス運行回数が多く待たずに乗れること、あるいは途中駅の数が多くなって、より便利になったこと、さらには専用自動車道運行し、鉄道の代行という性格から、同地域の他のバスに比べ低運賃で乗れること等好評でございました。ただし、専用自動車道の幅員が三メートル六十と狭いので、今後の改修に力を入れてもらいたいということ、白河市における都市計画のため、都市計画道路として使用できるようにされたいといったような要望がございました。  なお、白河市の国鉄に対する要望として、現在、一日四本の特急列車が停車しているが、これをふやしてもらいたいこと、国鉄を利用する通学生が多いため、通学の便を改善されたいということ、都市開発のため駅周辺不用土地を再利用できるよう特段の配慮をされたいということ等の強い要望がございました。  次に、東北新幹線建設状況について申し上げます。  東北新幹線は東京−盛岡間四百九十六キロメートルにおいて建設工事が進められており、現在まで測量関係で九二%、用地買収で八五%、工事関係では五四%が達成されておるとのことでございます。しかし、これを工事費で見ると三三%と低くなっており、今年度におきましても、国鉄経営の悪化から、当初予算二千億円が千八百五十億円に減額され、工事は停滞しております。私どもが視察いたしました新白河駅の工事も、北半分の工事は進められておりますが、南半分は着手されておらず、今年度に入って新規工事は一件の契約もなく、前年度契約分工事を細々と継続しているとのことでございました。  このような工事の遅れに伴いまして、建設業者、あるいはその下請業者等影響が及び、業者によっては市の道路事業等で当座をしのいでいる例もあり、最近では労務者数も減少するという事態になっており、その対策が望まれております。  東北新幹線工事は、技術的には今後三年間で竣工できる見通しとのことでありますが、投資効率等の点から考えましても早期完成が望ましく、政府において建設資金等に対し十分の措置を講じ、その建設が一日も早く完成されるよう期待されておりました。  以上簡単でございますが、報告を終わります。     —————————————
  4. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日の委員会に、日本鉄道建設公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻及び出席者等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) これより本案質疑を行います。御質疑のある方は御発言願います。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣質問いたしたいと思いますが、十月十九日の運輸委員会の席上におきまして、国鉄経費節約による重大な影響について質疑を交わしました。  さきに国鉄当局東北新幹線工事ストップや、車両購入ストップ、それから、線路増設電化工事中止等を行う中で、さらに今日までけちけち運動として、現場休憩所を直してもらいたいということで建設する予定になっておりました現場休憩所や詰め所に至る工事もしない、あるいはまた、エレベーターやエスカレーターの運転中止する、車両清掃シートカバー清掃を延期する、ペーパータオルの廃止とか、電灯の消灯とか減灯とか、あるいはまた、トイレの洗浄水節約までするというような、いわゆる空前のけちけち運動であったと思うんでありますが、このたびの発表によれば、さらに電車列車が全国約三〇線区において運転休止する。十五線区減車が出て、大都市や中都市におきまして通勤ラッシュ時間帯で物すごい混乱が予想されることになるわけであります。気動車等が五十線区減車になったり、客車列車におきましては年末年始臨時列車団体列車等におきましても影響するし、貨物列車等におきましては十一月、十二月の繁忙期運転休止になるということさえ実は予想できるわけであります。政府当局はこれらの関係について重大であるという認識に欠けているのじゃないかというように私たちは言えるのであります。  運輸大臣は私の質問に対して、国鉄総裁とよく話し合って、こういう深刻な事態というものについては何とか避けたい、こういう努力をするように総裁とも話し合って要請するということを言われたわけでありますが、いよいよこの十一月一日が間近に迫っております。総裁との間において、運輸大臣はどういうようなお話をされたか、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 石田博英

    国務大臣石田博英君) サービス低下になるようなことを極力避けたいという希望のもとに、国鉄総裁も最大限の努力を続けてこられたのでありますし、これからも続けられるものと思いますし、私からもそれに対する努力要請をいたしてまいりました。また新たにもいたしました。ただ、現在御審議を願っております再建二法が成立を見ますれば、それを機会に極力復元を図って、通勤とか、あるいは年末年始帰郷等に支障を及ぼさないように努力を続けたいと思っている次第でございます。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 この措置は、国鉄始まって以来の重大な影響を持つ発表だと思うんであります。国民運賃値上げサービス低下というはさみ打ちの中で、実はまごまごしているというのが実態ではないでしょうか。したがって、このような措置について納得が絶対にできないというように考えるのであります。このことについて、三月いっぱいまで実施するつもりかどうか、この点については総裁からお聞きいたしたいと思います。
  11. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ほかの経費の節減と違いまして、車両修繕費節約をするということはきわめて遺憾に存じております。ただ、何ともほかに節する道がないということで苦慮した末、そこに手をつけざるを得なくなってきたという実情でございまして、その場合に、なるべく影響を少なくすると同時に、何とかほかに工面をしてでも切り抜けたいという気持ちでおりますんですけど、月々収入の減がふくらんでまいります。そして検査の時期が順番に回ってまいります。で、そうなってまいりますと、どうしても検査できない車両は走らせることができませんものですから、そういう未検査車両数の増加に伴いまして、非常に困ったことではあるのでございますけれども、だんだん車両運用の窮迫の度合いが高まってまいるわけでございます。  私といたしましては各方面に強くお願いをして、何とかこういう事態を避けて、早くもとに戻すようにしたいということで今後お願いするつもりでおりますので、いまの段階では、ほっておきますとどうしてもそれは三月末まで、あるいは、さらにはその影響はどうしても来年度の頭の方にまで及んでまいるわけでございますけれども、決してそのまま放置をしておくということではなしに、これから何とか抜け出すために所要の措置をとっていただくべく、各方面にこれからお願いをしたいと思っておりますから、今日の段階でどうしても三月まで執行するかどうかということについては、ほっておけばそうなります。しかし、そうならないように努力をいたしますと申し上げる以外にお答えのしようがないかと思います。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 大臣にお伺いいたしますけれども、私は大臣労働大臣のときに、かつて昭和三十六年以前の三池の大争議が起こって、特にこのことは日本産業構造そのものにかかわるエネルギー転換ということで、三池争議を収拾された石田大臣の功績というものはいまもなおさん然と光っていると私は思うのであります。内容等の問題もさることながら、それらの関係の中で、こういう問題を今日石田大臣が解決されることを国民はあなたに願っていると思う。そういうことから、よく指揮権発動ということを言われるけれども、こういうときに指揮権発動すれば、これはやっぱり石田運輸大臣だというようになるんでありまするけれども、その点、あなたは国鉄当局の言うことをそのままうのみにして、わかったわかった、こういう立場じゃないと思うんでありますけれども、先ほどはどうも答弁がまだ歯切れが悪いんでありますが、そういう点についてどう考えておりますか。
  13. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は国鉄当局報告うのみにして、そうだそうだというようなことをいたしておりません。むしろ不満を述べ、ある場合には叱咤をして、基本的姿勢からの転換を強く、そしてまた継続的に要望してまいったつもりでございます。今回の御指摘の問題についても、とにかく金額からいっても工夫のしようがあるじゃないかと、何か売る物がないかと、考えようはないかということを鋭意要請もし、努力も促しておるところでございますが、いまのところではそういうやりくりはどうにもつかないんだと、こういうお答えで、まあ私はやむを得ないものとして、本当に毒でも飲むつもりで了承をしたのでありまして、これはもうこのままではいけないことは当然でございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 よく政府からおしかりを受けた国鉄労働組合動力車労働組合が、財政実情はわからないじゃない、実情はよくわかっている、わかっているけれども、ここへしわ寄せせぬでもいいじゃないかということで、今日仲裁裁定のたな上げ問題や、相次ぐこの合理化でどんどんどんどん、カラスの鳴かない日はあっても人減らしが進まない日はないくらいですよ、毎日人減らしのための団体交渉がすべてだと言ってもいい、こういう毎日を続ける中で、ストもやらないでしんぼう強く今日この問題で当局交渉していると思うのであります。そういう話し合いを行っている、こういう努力を重ねているときに、問題解決のためにそれらのことが、いわゆるこの間からも論議されているように、下部末端まで認識されなきゃいかぬというようなことで、真理は一つしかないのですから、そういうことは反対だけれども、そのことについてやむを得ないというような意向が聞こえるまでは少なくとも、いま大臣は毒を飲むようなつもりと言われたけれども、毒まで飲まなくていいから、いずれにしても当局交渉中の組合に、賛成じゃなくてある程度の理解が、反対であっても理解が得られるというまで、具体的実施についてはこれは延ばすべきであるというように考えているわけでありますが、この点どうですか、総裁、答弁してください。
  15. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 列車削減するということは、ある意味で、私どもといたしまして自殺的行為とも言うべきものでございますから、私どもとしましても、そういう計画を立てることについては、一方で計画を立てながら非常にいやな思いでおったわけでございまして、こういうことにならざるを得ないということで作業が始まりましたのは九月の初めでございました。今日までかなりの期間経過いたしましたのも、一方において何とかこれを避けたいと考えていたからでございます。最近、まあこういう実情なのでやむを得ないかもしれないということで、組合諸君とも話し合いをいたしておるわけでございますが、組合諸君としては当然、ごく最近聞いた話だということでもありますし、やはり国鉄職員として非常に、いわばのみにくい話でございますので、まだなかなか組合としても、とてもこれにいいとか悪いとか言える立場にないということでございます。  そこらにつきましては、いま御指摘のように、組合もそうでございますけれども、もう少し各方面といろいろお話し合いをいたしまして御理解を、なかなかしかし御理解を願うということはむずかしいわけなんでございますけれども、それ相応に事態の急迫さを承知していただいて、その上で万やむを得ない場合に少しずつ実施に移っていくということでございまして、ただいまのお示しいただきましたお考え方は私どもも全くそういうつもりでおります。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 総裁がいま双方の理解を得た上でというようなことを言っておられましたので、その点を了といたします。  時間がありませんから端的に一つ申し述べていただきたいと思うんでありますが、二千六百五十億円の収入欠陥というものは俗称けちけち運動——建物建設するのを延期する、修繕費削減するというようなことで一体幾ら浮いたんですか。
  17. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 工事経費で二千九十億の抑制と、業務費修繕費動力費を合わせまして四百六十億円、その他合わせまして五百六十億ということでございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 私の言ったのはけちけち運動、それから建物建設の延期、修繕費の一部削減という当初の段階幾ら浮いたのかと、こう言っているのですよ。
  19. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 直接運転、あるいは旅客サービスに響かないというところで浮かせます金額は三百五十億円でございます。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、東北新幹線工事中止とか、車両購入を停止するとか、あるいはまた、線増電化中止ということで幾らになりますか。
  21. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ただいま御指摘東北新幹線につきましては、この部分では二百億円抑制ということでございます。それから電灯、水道、光熱料というようなものと、それから管理費と申しますか、コンテナなり券売機の取りかえのようなものの費用としてはその三百五十億の内訳で申し上げますが八十億円、それから建物機械類で直接列車運行関係ないものという意味では二百五十億円、それから動力費が二十億円というような金額でございます。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 あんまり私の質問をあなたはよく聞いておらないと思うのでありますがね。三百五十億円を減らしたということは聞きました。それから東北新幹線工事というのは、これは全部消しちゃうわけじゃないんでしょう。そのうちの千何百億は減らすということなんでしょう。それから車両購入費というのがあるわけでしょう。そういった点であなたは三百五十億へまた返ったりしているけれども、一体それはどういうことなんですか。私の質問が聞き取れませんか。
  23. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ちょっと工事経費と、それからその別勘定の方の費用とを取りまぜてお答え申しましたので、分けまして申し上げますれば、工事経費について抑制をいたしております金額が二千九十億でございます。その中に東北新幹線関係では二百億含まれております。そういうことでございます。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 問題はそうしますと、これからこのけちけち運動をするというものも合わせて二百十億ということで理解してよろしいんですか。これからの減らすのを。
  25. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) いま御説明申し上げたもの以外の、要するに列車に直接影響のない部分での削減という点を除きました金額、と申しますことは、逆に今回のような車両修繕費のようなもの、あるいは旅客影響のございますもの、そういうような点での金額とおっしゃれば二百十億でございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 総裁は、この間は人件費には手をつけたくないんだということをおっしゃいましたけれども、それでよろしゅうご、ざいますね。
  27. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのとおりでございます。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと二千九十億ですね、各工事費等関係を引きますとね。それと三百五十億を足して二千四百四十億、それを今度はこの四百四十億を減らしていくと二百十億円になるということですね。そうして二百十億円からこの間目黒委員の言った幾らになるかと言ったら六十億だと、そうすると、その六十億を引くと、あと残るのが百五十億だと、こういう計算になると思うんでありますが、その点でひとつ、この人件費にはしわ寄せしたくないという総裁の言明を私も了解いたします。  そこで、私はかつて機関士をやったことがあるし、それから車両検査もやったことがあるのです。ですから、そのことについては私はその方の専門家なんです。そこで、新車両購入費を削ったり、あるいはまた修繕回帰キロを延長するようなことになったら私は相当問題だと思うんですね。ですから、このことの重大な意義をよく私は知っておりますから、安全に障害になる危険性というものは非常に大きいというように考えております。線路増設等電化工事等は住民の要求に背を向けることに私はなると思います。ましてや修繕費削減をして列車電車を運休させるということは、これは非常にいけないことでありまするけれども、こういう点で将来矛盾が起きないようにこの際長期債務——短期債務に枠があって年度末に決算したらまた合わないということになってしまいますから、だから長期債務を若干考える必要性が出てきたと思うんでありますけれども大蔵省はどう考えますか。
  29. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 御質問意味がちょっとよくわからないのでございますが、恐れ入りますが……。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 じゃ、もう一回。聞いていてくれなきゃ困りますよ。  今度二千六百五十億円の収入欠陥となる。そのためにその内訳というものは、いま聞いたように二千九十億円と、それからけちけち運動の三百五十億円というもので二千四百四十億円になる。しかしながら、従来までこういうものは全部車両購入を停止したとか、あるいはまたそのほか修繕費削減したとかいうようなこと、あるいはまた途中まで工事をやって、おまえとはもう工事はキャンセルだというものも出てくるわけでしょう。そういうような問題について将来——私もその筋の専門家としていろいろ考えるのは、そこで車両をそのまま休ましちゃうということになったにしても、それは一時しのぎであって、車両購入しないということは、当然何万キロという車両運行というものを数えて、そしてこれを標準として規定に定めてある。それを超して運転するということについてはこれは規定違反にもなる。したがって、そういうものについても購入すべきときはあるだろう。そうすると、それがぽっかり穴があいただけにしておくという点についてはこれは問題があるじゃないか。したがって、その点については将来補正を組むということ、そのことと通ずるということを私は言っているのです。
  31. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) わかりました。恐れ入りました。  将来補正を組むという問題どうかというお尋ねでございますが、大変にこれはむずかしい問題かと思っております。御承知のように、ことしの財政事情は非常に窮迫いたしておりまして、いままでこういった場合に政府国鉄財政的な助成を追加したこともございますが、そういった余裕がございませんのでいたし方なく、六月一日に予定しておりました運賃改定がおくれる。おくれますと、ラフではございますが一月平均五百三十億円の減収になる。減収になりますと、片っ方減収になるわけでございますから、支出の方もそれに合わせまして減らしてまいりませんと支出とんとんにならない。とんとんになりませんと貸すお金が返ってこない。貸すお金と申しますのは、郵便貯金等国民からお預かりしてあるお金でございますので、それが返ってこなくてはぐあいが悪いということで、六月以降毎月、翌月の国鉄に対する短期貸しの枠を設定するわけでございますが、その際に五百三十億減っているときには五百三十億どうするのか。その翌月になりますと、千六十億に対して、千六十億どうやって支出を落としていくかということの積み重なりでただいま御指摘のように二千六百五十億円の収入減、これは五カ月おくれてまいっておりますので、それに対しまして二千九十億円の工事費と、物件費等で五百六十億円の削減、こういうことになってきているわけであります。  したがいまして、ただいまの時点で補正予算を組めと、組んだらどうかというようなお尋ねも実は先日、十月の七日に参議院の大蔵委員会で御質問があり、それから十月の十三日にも同様の御質問がございまして、それに対しまして大平大蔵大臣は、ただいまの段階ではその減収額が一体幾らになるのかということの計数がつかめません。したがいまして、法案が成立しました後の時点におきまして計数の整理をきちんといたしまして真剣に検討してまいりたい、このように御答弁なすっておるわけです。ただいまの段階ではそれ以上のことはちょっと申し上げかねる、このように大蔵大臣も御答弁なすっておられましたので申し上げておきたいと思います。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 ただいまの段階で答弁はできないと、こういうことはちょっと問題の性質上、私どもとしては承服しかねるわけであります。なぜかといったら、安全に影響がある、サービス低下している、この具体的なそういう問題を前にいたしまして、そうして将来ともこれが悪矛盾になるということが予見されるときに、ぽっくり穴があいて、そうして短期債務でもって私どもはこれは穴を埋めろ、こう言ったのでありますけれども、それもできない。それじゃ長期債務、それもできないということに実は通ずると思うのでありますけれども、その点、いかがですか。
  33. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 御質問のとおりかと思います。そこで私ども大変に困っておりまして、先ほど申し上げましたように、短期債務がだめで長期債務はどうか。長期債務の方も、これお金が返ればよろしゅうございますけれども、ないものですから、はなはだ困っておりまして国鉄、運輸省の方ともいろいろそのときそのときにおきまして、困りながら御相談申し上げて今日まできておるわけであります。また今月の末になりますと、来月の運賃を一体どうするのだということにもなりますので、はなはだそういうことにならないようになってほしいということでつくづく念願をしている次第でございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣、いまのようなお話で、短期債務もだめだ、実は四千億の短期債務のうち五百億まだ残っているのですよ。これだめなんだ、年度末に払うから。そうすればこれで借りておいて、年度末に一たん払って、昭和五十二年度予算の概算要求いまやっているでしょう、そういう段階で一たん払って、また来年の長期債務ということだって、これ長期債務に流れているのですから、そういうことだってこれ考えられるじゃないかということで、問題は、これもとめるぞ、とめるぞというおどしばかり国民の前に出てくるような気がするのですよ。ですから、こういう点で、その問題については財政措置ということで運輸大臣もひとつ努力して、大蔵当局とも話し合い国鉄当局とも話し合って問題解決のために努力する。時間がありませんから、端的で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) おっしゃるとおりであると思いますが、この再建二法が成立を見ますると、その時点においては減収額の総額というものもはっきりいたします。それから、それの波及効果というものもはっきりしてくるわけでありまして、また一般の景気動向というものも大体年末にかけて政府としての見通しを持たなきゃならぬ時期になると思いますし、それからなかなかそういうものは期待できないかもしれませんが、税収面の見通しというものも出てくる。したがって、再建二法の成立を前提といたしまして、いまおっしゃったような交渉努力というものは、これができましたときには、当然われわれが行い得る立場に立つと考えておりますので、そういう方向に向かって全力を挙げたいと、こう考えておる次第であります。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 それから、実は私のところへお客さんたちがいろいろ意見を持ってきたわけです。これは弁当なんですが、旅行者が、庶民がささやかな旅行をするときに、憩いのひとときとして弁当については非常に関心があるんです。このごろ窓から弁当を売ったりするという機会がないために、何か閉じ込められて、その中で給食されるという給食弁当のような状態にいまなってきていると思うんであります。この弁当の実は値段が余りにも違い過ぎるという点で抗議が、私ども運輸委員ですから来るわけですが、こういう点については、国鉄は弁当屋さん等の指定基準とか、監督というものについてはどうやっておられるのですか。担当の篠原常務に聞きます。
  37. 篠原治

    説明員篠原治君) お答え申し上げます。  ただいまのところ全国三百四十駅で弁当を売っております。いま仰せのように、車内でも販売いたしておりますが、弁当を大別いたしますと二種類ございます。一つは、広く一般の方々から要望されている弁当でございまして、弁当の代表格と申しますか、幕の内弁当でございます。これはお値段の方も四百円ないし五百円でございまして、一般の大衆と申しますか、一般の方々にお買い求めいただくという性格のものでございます。いま一つございますのは、特殊弁当と申しまして、最近の何と申しますか、嗜好の多様化と申しますか、経済的なゆとりと申しますか、いままでのようなお弁当では飽き足らなくて、もっと吟味された材料を使いますとか、あるいは地方色豊かな弁当、そういうものに対する御要望もだんだん高くなってまいりましたので、最近はそういうような御要請にこたえる意味で特殊弁当と申しまして、かなり何と申しますか、高級なと申しますか、お値段の方もかなり高くなりますが、そういう弁当二つがございまして、合計いたしますと千数百種類に上っているわけでございます。  いずれにいたしましても、いま先生がおっしゃいましたように、国鉄を御利用になりますお客様方に対するサービスの一環として不可欠なものでございまして、地方の鉄道管理局におきまして弁当を扱っておりますところの車内事業者から届け出を受けましたときに、よく品質とお値段とをチェックいたしておりますし、その後におきましても随時抜き取りの検査もいたしますし、その他指導、監督をいたしておるわけでございまして、まずまずおおむね良好な状態であろうと実は考えておったわけでございます。いまお話しございましたように、もし何と申しますか、価格と申しますか、品質と価格の間に、ある駅の弁当によって、場所により、ところによって大きな格差があるといたしますならば、若干問題もございますので、監督いたします立場にございますところの管理局を通じて一層指導いたしてまいりたい、かように考えております。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄本社で千何種類の弁当を一々調べている時間的余裕がないことはよくわかります。しかし、こういうものが、これが実は四百円で、これが七百円なんです。内容同じですよ、これが五百円。ちょっと見てください、これ。——したがって、こういう点については、いま私の取り寄せた弁当でひとつ感想を聞かしてください。
  39. 篠原治

    説明員篠原治君) ただいま拝見いたしました三つのお弁当、私もお値段の割りに品質の格差が余りないんじゃないかと感じたのが本当の実感でございます。ただ私ども、先ほど申し上げましたように千何百種類ございまして、本社で直接やっておりません。管理局で非常に慎重にやっているはずでございますけれども、なかなか目が届かない点もあるいはあるかもわかりません。せっかくいまの御注意でございますので、管理局を通じまして品質と価格の何と申しますか、関係と申しますか、価格に応じた品質を確保するように管理局を指導いたしてまいりたいと、かように考えます。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 これは相当不満がありまして、地方の新聞や、あるいはまた有識者から何とかしろという声が私どもに寄せられておりまして、これはどこの弁当屋がどうだということはここでは申しません。しかし、具体的に国鉄の本社に申し上げますので、それらの点については管理局単位にひとつ局間の問題等も調整するように具体的指導を願いたいと、こう思います。  それからついでですから、新幹線やその他乗りますと、このごろゴキブリが非常に多いんですよ。これは弁当を食べておって、そこをぞろぞろぞろぞろ通られたら余りいい気持ちはしないです。何か自分のかばんの中へ入りゃせぬかと気をつけながらやると。もちろんこれは私も現場の人に聞きました。確かに薫蒸をしても、煙をたいてもなかなか下の隅の方に卵を産んでおったら卵まで退治できないから、それがまたわいてくるということはわかるわけですけれども、やっぱりこれも国民の声ですから、十分ひとつ気をつけていただきたい。運転局長見えますか。
  41. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 私、お金を預かっておる方でございますので、あわせましてお答えをいたします。ただいまのようないろいろの事情ございますけれども、本当にそういうことが非常に不快の感じをお客様に抱かせるようなことはできるだけ排除してまいりたいという気持ちでこれからも努力したいと思います。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 きのう新幹線の車掌で私の友人が、国際観光団の皆さんが現地で非常に親切にしていただいてすばらしいということが外国の新聞に出たり、総裁のところにも便り出しましたというようなことを私は聞いたわけです。非常にすばらしいサービスをしてくれたというようなことを、堂々とここに国労のバッチをした人がそういうことで非常に感謝されているという側面も実はあるわけです。しかし、一つの問題を何かそごを来しますと、そういうことで、いまこういう特に国鉄運賃値上げの問題とか、サービス低下云々されているときだけに、やはりこういうささいな問題等についても十分なひとつ関心を払って、そうして厳重な態度で臨んでいただきたい、こう思います。  私は、まだ国鉄長期債務関係とか、あるいはまた、そのほか政府の投資の関係とか、そのほかまだ赤字ローカル線の問題等についてもいろいろ議論をいたしたいんでありますけれども、きょうはこの程度でもって質問を終わらせたいと思います。以上です。
  43. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、総合交通政策からまず最初に私は質問いたしたいと思います。  本会議でも何点かの角度から総理並びに運輸大臣質問したわけでありますけれども、具体的にこの再建二法が、果たしてこれで国鉄が再建できるだろうかどうかということを考えますと非常にむずかしい。私は困難ではないかという問題点が数多く出てまいっております。そういう問題について、きょうは具体的に大臣、あるいは国鉄総裁とこの委員会でお互いに議論し合って、そして、いかにして国鉄再建をするかということについて論議を交わしたいと思います。  まず最初に、総合交通政策の問題について伺うわけでありますけれども運輸大臣としてこの国鉄をどういうふうな位置づけをしたいのか、総合交通体系の中で国鉄はどうあるべきか、端的にどうお考えになっていらっしゃいますか。
  44. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 分担すべき距離分野——距離的な意味における分野、そういう点から申しますと、やはり都市間の交通あるいは都市圏内の旅客交通輸送、それから中長距離の貨物輸送ということになるだろうと思います。ただ、わが国の置かれておる特別な条件、特に熱エネルギーが非常に不足であるという条件、その上から考えると、国鉄というものの鉄道輸送というものは、他の輸送手段に比べて非常に有利な条件の中にあるわけでありますので、そういう点を踏まえて国鉄の将来性を切り開いていかなきゃならぬ。国鉄自体のためだけでなくて、わが国経済全体の将来のためにも、そういう方向に向かっての努力が必要であり、その未来性はある一こう考えておる次第であります。
  45. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、エネルギーの問題にしましても、それから今後の公共交通機関としましても、あるいは、いままでの高度経済成長から今後の中期成長あるいは低成長の中で、この国鉄の果たさなければならない役割りという、特に公共交通の果たさなきゃならない役割りというものは非常に大きな問題があると思うんです。したがって、そういう問題に政府が真剣になって取り組んでいかなければならない。特にある学者のごときの例を引きますと、この低成長時代で景気を刺激し、六%あるいは七%の経済成長を続けていくとすれば、自然と公共交通機関の方に力を入れ、そして、経済成長とのかみ合わせを考えていかなければならない問題を数多く指摘をしておるわけです。  こういう点から考えましても、やはり国鉄の果たさなければならない部分、あるいは他の交通機関が果たさなければならない問題それから、地方における各公共機関の交通機関が果たさなければならない分野、こういう問題を明確にしていかなければならないのではないか。特に四十六年にできた総合交通体系、これは高度経済成長のときにつくられた、あるいは金があるときに何でもかんでもふくらましたというような総合交通体系になっているわけです。したがって、今日、交通業で言えばとかく人件費あるいは物件費が非常にかさんでくるわけです。こういう問題を考えたときに、このおのおのの交通機関をどう調整し、どうかみ合わしていくかということが国民経済にとって非常に大きな問題ではなかろうかと思うわけです。こういう点について、この総合交通体系を具体的に運輸大臣として考えるお考えがあるのかどうか、この点についてまず……。
  46. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 高度成長時代につくられたいろいろな計画というものは、これは明確に見直すべき時期に来ておる、こう考えます。  それから、たとえば高度であろうと、減速経済であろうと、いずれにしろ合理性を追求する場合、並行線の問題あるいは他の輸送機関との共存の関係、あるいは競争の関係、それから鉄道建設要求した時代におけるその地方の諸条件と現状との関係、そういうようなものに大きな変化がございますから、その上に立って当然見直していかなければならない問題だと考えております。
  47. 三木忠雄

    三木忠雄君 言葉ではなしに、当然見直さなければならない総合交通体系が、今回の運賃審議に当たって、具体的に国鉄の占める分野、あるいは他の交通分野との調整というものは考えているかどうか。私は、後で具体的に今回の値上げ運賃とたとえば航空との関係、海運との関係のデータで分析してみたいと思っていますけれども、具体的にそういう点を勘案し、今回の国鉄運賃値上げ、あるいは再建計画になっているかどうかという点をお伺いしたい。
  48. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御承知のごとく、今回提案された国鉄再建二法は、私の在任していなかった時分に提案されたものであります。しかし、私が就任いたしまして、この問題を考えましたときに、これだけでなく、国鉄自体としていま御指摘の問題一切含めまして、何と申しましょうか、発想を変え、決意を変えて取り組まなければならぬことが多いことを痛感をいたしました。したがって、先般、今月の十六日に国鉄の幹部の諸君の御参集を求めまして、私の気がついたこと、考えたこと、やりたいと思うこと、それはたとえば鉄道敷設法なり日本国有鉄道法等の改正の問題の検討を含め、さらにまた国鉄資産の処分、運用の効率化を含めまして、それから基本的には運営姿勢、そういうものを含んだ私の意見を強く文書をもって指示した後、口頭をもって要請をし、いま検討をさせておるところでございます。
  49. 三木忠雄

    三木忠雄君 それは、国鉄だけの問題については国鉄総裁にいろいろ指示を与えると、その問題は後でまた一つ一つ詰めたいと思っていますけれども国鉄だけではなしに、やはりトラックであるとか、内航海運であるとか、そういうところの調整が果たして運輸省にできているかどうかという問題が私は非常に疑問なんですよ。  実は具体的な例として、昭和四十年以降、内航海運あるいはトラックの実態はどういうふうな姿になってきたかということをちょっと分析してみたいと思うのです。海運局長昭和三十九年が国鉄の赤字が始まったスタートなんです。今日、貨物が四千億の赤字を出すようになってきた。このときに、私たちは総合交通政策の欠如というものが非常に大きな問題であるということをたびたび指摘してきたわけです。いろいろな競争条件が私は必要であろうと思うのです。ただ独占的な企業でないという現在の状況下に置かれてしまった今日、国鉄だけ特別な待遇をするというような条件にはいかないと思うのは私は十分わかります。しかしながら、いままでの行政のあり方、あるいは総合交通政策のなさというものが、今日の国鉄の、端的に言って貨物の低下に大きな問題を提起したのではないかということもわかるんですね。具体的に海運局長並びに自動車局長が、数字で四十年と五十年と対比して、貨物がどういうふうに変わっていったか、あるいは輸送量がどういうふうに変わっていったかということを具体的に示していただきたいと思うんです。
  50. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  御要求のずばりの資料をいまここで持ち合わせて御説明することができませんことをおわび申し上げますが、昭和四十五年から今日までの間の海運と申しましても、最近非常に目立ってまいりましたいわゆる長距離カーフェリーについて申し上げます。  長距離カーフェリーの輸送の実績というものは、昭和四十五年以前にはほとんど見るべきものがございませんでしたけれども、四十五年、その時点におきまして、トラックの台数にいたしまして、とりあえず三百キロ以上の区間を走る長距離カーフェリーについて申し上げますと、年間十万台でございました。この十万台のカーフェリーによるトラックの輸送という数字は、三年後の四十七年に四十万台を超え、四十八年に九十三万台となり、この時点をピークにいたしまして四十九年、五十年に年間約八十万台。いま申し上げておりますのは、すべて三百キロ以上の区間を走るカーフェリーの輸送の実績でございます。大体四十五年を一〇〇といたしまして、四十八年には八六六、最近のデータの五十年では七九八、大体このような推移を示しております。
  51. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 国内貨物の輸送区間別のトンキロで申し上げますと、先生御指摘の四十年におきまして、自動車営業用と自家用を合わせまして全体の二六%のシェアでございまして、四十五年におきましては三八・八%、五十年度におきまして三六%というシェアの推移を経てきております。
  52. 三木忠雄

    三木忠雄君 これ具体的に数字でいくと、自動車は四十年から比べると約三倍ですね、このトンキロに直しますと。それから内航海運が八倍、特にカーフェリーですね。そのほかに、内航海運で具体的に各企業が持っておる専用船、これを考えてみますと相当な数だと思うんです。専用船は実態どうなっておりますか。
  53. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 専用船ずばりの資料をいまここに持っておりませんので申しわけございませんが、先ほどはカーフェリーについて申し上げました。内航海運の貨物船全体の最近における輸送量の動向を御説明申し上げます。昭和四十年度一兆七千九百万トン、これを一〇〇といたしまして、その数量は昭和四十八年に三二〇というところにまで増加いたしました。これをピークといたしまして、それから漸減という傾向になっております。
  54. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ具体的に船、あるいは自動車の実態が大臣、こういう実態になってきているわけです。それに比べて国鉄は、昭和四十年に貨物がシェアの三〇%を占めると、貨物の全体のシェアで比べても国鉄は十二%に落ちてしまったわけですね。もう輸送量からいったらほとんど横ばいどころか下がっているわけですね。海運とか自動車がぐっと伸びている。あるいはカーフェリーというようなものはもう特別な状況から生まれてきたような、ある意味では有利なところばかりカーフェリーを使わしているという実態なんですね、考えてみれば。そのほかに各大きな企業が持っておる——これは私は是非論についてはまた別な論議があろうと思いますけれども、大手の企業で専用船をどんどんつくらしてしまっている。前は無差別というか、野方図にこういう許認可を与えて、そうして小さな海運とってみても、内航海運の小さな業者はつぶれてしまうというような憂き目になって、実際に総合交通体系というか、貨物輸送の一つの例をとってみても、余りにも運輸省内でこういう問題がばらばらに行われてきたという、確かにこれは経済の成長という問題があって、私は全部が全部悪いとは言えない問題点があろうと思います。  しかしながら、こういう調整が余りにもできなかったという問題、それは今日の、これから必要とされる省エネルギー、まあこういう問題から考えたら、国鉄の果たさなきゃならない役割り、中距離の貨物とか、長距離の貨物とか、こういう問題を果たさなきゃならない。熱効率とか考えても大変な有利な国鉄の貨物輸送という問題を考えたときに、こういうふうに許可し、あるいはこう考えてしまった問題点というのは、やはり総合交通体系のなさ、運輸省の行政当局のばらばら行政というか、総合調整が行われなかったんじゃないかという、こういう問題点が私は大きな問題点ではないか、こう指摘をしたいんですけれども、そのためにも総合交通体系はつくる必要がある、あるいは法律的にきちっと縛ることはできないかもしれませんけれども、やはり各省、あるいは各局との連携という問題が非常に私は大事な問題ではないかと、こういうふうに考えるんですけれども運輸大臣の所見を伺いたいと思います。
  55. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘のとおり、確かに他の輸送手段はぐんぐん伸びているのに、国鉄は熱エネルギーという面から見て有利であるにかかわらずだんだんだんだん減少してきているということは、これはもう私は就任して第一番目におかしく感じ、不思議に思ったことであります。ただし、これは自由主義経済の現状においてそれをどの程度チェックできるかということと、それから全体としての計画調整というものに欠けておった事実、これも確かに御指摘のとおりであると思います。で、私が国鉄要求することは、そういう有利な条件を持ちながらなぜ負けたか、敗因の追求だろうと思うのです。そして、またこの敗因の大部分を占めるものは、やはり日本の高度成長の裏側にあった石油が安く大量に入手できるという条件だろうと思うのでありますが、その条件の中で、あるいはまた輸送構造、あるいは産業の立地条件というようなものが明らかに変化しておる中で、まあ簡単に言えば汽車もちゃんと間違いなく動かしていればいいんだというような限界ある発想、あるいは過去の歴史にとらわれた発想、そういうものが災いをしているようにも思います。  しかし御指摘のように、片一方の同じ運輸省の所管の中で、海運とか、飛行機に至れば、もっともっと伸びておるだろうと思うのですが、特に船の場合は別といたしまして、自動車の場合は恐らくトンキロ当たりにしますと熱エネルギーは鉄道の六、七倍になるんじゃないかと思うのです。そういう点の原因の追求と、それから新しく出てきた条件、つまり石油が高くなってきたという新しい条件の中での行き方、それから、構造の変化に応じ切れなかったいままでの態度への反省、そういうものを強く求めることによって国鉄の未来性が開けてくると思いますが、同時にこれは現行法体系の中でどの程度のものができるかは、現実に縛れるかは別問題で、これは研究を要する課題だとは思いますけれども、同じ運輸省所管の中にこういう跛行的な現象ができたということば、これは深く反省をしなければならぬ問題だと思っております。
  56. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄総裁ね、毎日新聞だったと思うのですけれども、私ちょっといまどこの記事か忘れましたけれども総裁が就任されたときに、貨物輸送についての談でいろいろ言及したことがあるのを記憶しているのですけれども、まあ国鉄の貨物輸送がこのように低下したのは、やはりカーフェリーであるとか、あるいは自動車、こういう問題との調整がつかなかった、ここに大きな欠陥があるということは総裁指摘している、私はまさしく同感だと思ったのです。この問題に対して、国鉄総裁になられてまだ期間が非常に短いわけで、何もかも全部というわけにはいきませんけれども率直な意見、どこに問題があり、貨物輸送を今後どう伸ばすか、貨物だけは後の問題で私しぼりますけれども、総合交通体系のなさというものが今日の私は国鉄の、たとえば貨物輸送の低落傾向を示さしたと、こういうふうに感じられているんじゃないかと思うのですけれども総裁の所見を伺いたいと思います。
  57. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いろいろな原因が重なっておると思うのでございますけど、先ほど来御指摘のように、国鉄と他の輸送機関との間において、率直に申し上げて十分な調整がついていなかった。それから、国鉄の方は新しい状態に対応していろいろ対策をとるべき点があったと思いますけど、まあいわば民業圧迫になるというようなことから、他のフィールドに国鉄が進出できないという仕組みになっておりますので、たとえばレールとトラックとをうまくつないで、全体として戸口から戸口まで運ぶというようなシステム、あるいはカーフェリーを使って海を渡っての輸送、そして両側は鉄道でやるというような方式、そういったことはいままで国鉄としては何といいますか、考える対象外であったように思いますが、そうした情勢も国鉄の貨物輸送のシェアダウンに非常につながっていると思います。  さらに内部の問題として考えなければなりませんのは、貨物輸送は先ほど来大臣もおっしゃり、また各委員も御指摘のように、エネルギー効率という面では非常によろしいわけでございますけれども、ヤードにおける各一台、一台の貨車をつないだり離したりすることのために大変大ぜいの人手を要するということから、必ずしも人手の面からいいまして有利とは限らない。したがって、中長距離であればよろしいわけでございますけれども、だんだんと国鉄が有利だという条件がなくなってきておりまして、それに対応していまの貨車による貨物輸送のあり方というようなことが研究はされてきております。たとえば、コンテナ輸送というようなことで比較的労力を節減し、かつ戸口から戸口へという目的にも沿うようにというような手法を十年ぐらい前から開発してきたという例にあらわれておりますように、全く無策ではなかったわけでございますけれども、しかし、まだまだ国鉄といたしましても、いろいろ輸送のやり方等について研究する余地があったのではなかったかなあ、おくればせながらそういうことをこれから追求していくべきだというふうに考えております。  なお、もう一つはトラックとの関係でございますけれども、トラックとの競争もさることながら、むしろトラックとの協業をいろいろ考える、工夫する余地があるのではないか。いたずらに両方でお客さんの取り合いをするということだけでなしに、トラックの特性と鉄道の特性を生かして、うまくそれをつなぐ工夫がもうちょっと要るのではないか。いずれにしましても、旅客につきましては、たとえば新幹線ができましたとか、あるいは電化が進みましたとかいうことで、かなりの変革が持ち込まれておりますけれども、そういったものに比べますと、貨物の場合には少し極論すれば旧態依然といいますか、いささか変革のテンポが遅かったということを内部としては反省すべきではないかと思っております。  先ほど来御指摘の総合交通体制というものを考えていただくと同時に、国鉄国鉄の中でやるべきものはこれからもたくさんそういうニードがあるというふうに考えております。
  58. 三木忠雄

    三木忠雄君 海運局長、カーフェリーの申請はまだふえているんですか、具体的にどうですか。
  59. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、四十八年をピークといたしまして、カーフェリーの対象となる荷物というものは若干頭打ちの状態を続けております。また、二、三のフェリー会社で経営上非常に困難な状態になっているというのが一般的な環境でございます。したがいまして、新しい免許申請というものすと、非常に数が少なくなってきております。現在具体的に扱っておりますものは、大体すべて現在走っておる航路というものが非常に状況が悪くなってきている、それを他に転移するとか、そういった性格の申請というものを若干ただいま案件として扱っておりまするけれども、新しい路線の免許申請、純粋に新しい免許申請というものはここのところほとんど影をひそめているというのが実情でございます。
  60. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、ひとつ将来の総合交通体系の調整の問題で、たとえば青函連絡船の問題が——この間私たち運輸委員会で視察に行ったときにもこれを強く感じた問題があるんです。何かというと、いま青函にトンネルをつくっているわけです、鉄建公団で。新幹線を将来通すわけです。そうしますと、函館を全然通過しなくなってしまう、こういう形になってくると、青函連絡船が必要なくなってしまうという。ある意味じゃその働いている人たち、あるいはその函館の人たちが危惧を感じているわけです。港町として育ったあの函館が駅の配置ぐあいによって全部変わってしまう。それどころか、青函連絡船で貨物を運んだらいいじゃないかという問題すら考えられないのは何かというと、東北からたとえば出る品物は、仙台新港からカーフェリーで全部室蘭に持っていってしまう、こういう問題が実はささやかれているわけです。この間仙台の話を聞きましても、カーフェリーの新しい動きが出てきて、やはり将来は北海道に持っていくのはカーフェリーだ、こういう形になってくる。国鉄側にしてみれば、私は、たとえば青函連絡船の航路がなくなれば、カーフェリーとかいろんな問題、国鉄でやればいいような問題になるような感じもするわけですね。  そういうふうな調整が今後どう行われていくかというふうな問題が、非常に私は重要な問題ではないかということを考えるわけですね。その点、カーフェリーは片一方どんどん認可していく、あるいは青函連絡船の方は全然目もくれない、こういう形になってきますと、どうもどんどんいままで使っておった青函連絡船という問題が衰微してしまうのじゃないか。あそこに働いている人、あるいはその周辺で家族を含めてくると四千、五千の人たちがいるわけですね。こういう点を考えますとどう転用し、どうこの荷物輸送との問題をからめていくかという問題は、やはり海運と国鉄との調整という問題が非常に大きな問題になってくるのではないかということを私は考えるわけですね。こういう点についての海運局長、あるいは国鉄総裁の意見を伺っておきたいと思います。
  61. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 先ほども御説明申し上げましたように、ちらりちらりと昔計画をされた新しいカーフェリー計画というものがいまだにそのままの形で残っているという例があることはございますけれども、現実に新たなる路線を新たに免許する、しないということで生々しい案件というものは現在のところほとんどないというのが実情でございまして、御指摘の青森県と北海道を結ぶ航路、あるいは仙台地方と北海道を結ぶ航路、あるいは関東地方と北海道を結ぶ航路というものについて、いま直ちに新たなる航路をどうこうというようなことについては、私どもの現実的な日程には上がっておりません。ただ現在、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年あたりをピークにして、中長距離フェリーというものが非常に盛んに行われるような時期におきまして、いろいろと御指摘がございましたような仙台−苫小牧、あるいは青森県の八戸その他の港から室蘭、函館といったような航路が免許をされておりまして、それは現在も同じように運航しております。  これは先ほど来大臣なり総裁なりから御答弁ございましたように、基本的に日本の国内におけるトラック輸送と鉄道輸送というものとの関連において議論されるべきものではないかと思っております。実際のところは、昔は北海道と本州の間は国鉄による貨車航送と、それからいわゆる従来の船という二つのみの手段によって貨物が移動しておったかと思いますが、国内全体のモータリゼーションの結果としてフェリーというものが登場して、北海道と本州の間もトラックが走るようになっている。そういう時代のニードにこたえた航路の免許というものが過去においていろいろと行われておる。その結果は、現在のところ規模においても先ほど申し上げましたように、急激な成長の時期を終わって、その航路によってのトラック輸送というものが本州−北海道間で行われているというのが現状でございまして、この現状というものを海運局の路線免許の点につきまして申し上げるならば、先ほど申し上げましたように、さしあたってこれ以上どうこうということはただいまのところ私どもの案件の上には上がっておりません。
  62. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあこういう、たとえば青函の問題にしても一つの例ですけどね、やはり国鉄と海運との、まあ私たちが考えれば調整しなけりゃならぬような問題については、何かそこは調整する機会は持っているんですか、具体的に。いままでもそういう持った経験はあるんですか。
  63. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 過去におきますその具体的な航路の免許案件の免許に際しましては、御承知のように運輸審議会に諮問をいたしましてその答申をいただくという手続をとるわけでございますが、その運輸審議会の審議の手続といたしまして、その免許事案についての一般的な利害関係人の意見を述べる機会を与える御承知のとおりの制度がございます。そういった門戸は開いておりまするけれども、私が承知しております限り、この航路の免許案件について、具体的に鉄道影響がどうと、そこでプラスマイナス云々といったようなことが論議の種になったということば記憶しておりません。
  64. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ国鉄総裁ね、やはりこういう点が国鉄にも私は姿勢が問題だと思うんですね。運輸省がやることだから、国鉄は鉄監局の一部局みたいなものだからという感じで、ちょっと私はそういう点に遠慮なさっている点があるんじゃないかと思うんですよ。やはりそういう競合する問題について調整しなければ、国鉄は自然とそういう問題は淘汰されていく、民間はいいところばっかり取っていくわけですね。私、何も民間が全部悪いとは言いませんけれどもね。せっかく交通機関が競合していく、これは別な機会に聞きたい問題がありますけれども、たとえばバスも同じです。青森や岩手へ行きますと、国鉄バスが走っているところと競合して、ある実力ある会社の民間バスがどんどんどんどん競合路線をつくっているわけですね。それを認可しているわけですよ。そうすれば、国鉄バスは自然として、これは金額は大した金額でないかもしれませんけれども、赤字になっていくのは当然なんですね。こういう問題の競合路線等の問題について私は調整をしなければ、これからのこの需要もそんなにふえるわけではない、こういう実態の中でやはり調整というか、話し合いというか、こういう問題がお互いに特に交通機関での総合調整が行われなければならないのではないかということを痛感するわけですよ。国鉄総裁どうですか。
  65. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさに御指摘のとおりでございまして、どうも新しい販路を開拓するというようなことについては、必ずしもいままでの基本姿勢が十分でなかったように思います。ただ、先ほど一例としてお挙げになりました青函の問題につきましては、これはかなり深刻な問題になっておりますし、過去におきましても、場合によりましたならば青函以外に新しい海路上の路線を国鉄が持つことにしたらどうかという検討が内部においては行われたことがあったようでございますが、全体としてそれが営業的にうまくいくかどうかという見通しも十分立ちませんでしたために、結局そういう主張をしないで内部に検討案件として積み込まれたままになって今日に至っているというふうに聞いております。御指摘の点は、特に青函にはいろいろ問題がありまして、現在旅客も飛行機との競争に押されてきておりますが、青函トンネルができました場合に、その青函トンネルをどういうふうに使ったらよろしいかということについてはまだ検討ができておりません。これはトンネル工事の進捗に応じまして、私どもの方もいろいろ私どもの方の立場で主張すべきことば主張しなければいけないと思っております。  バスについても確かにおっしゃるようなことがあるわけでございまして、そこらあたりについてはまず基本的に余り萎縮する一方でなしに、販路開拓といいますか、新分野の開拓といいますか、そういうことについても、もう少しいろいろ工夫をする体質をつくらなければいけないというふうに思っております。
  66. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は青函連絡船の、青函の管理局長は旅行客まで集めて一生懸命努力しているわけですよね。あの営業努力たるや大変なことだと思うんですよ。しなくてもいいけれどやはりどんどん旅客が落ちてくる、そのために何とか努力して営業成績上げなきゃいけない。あの船を一日、改装して湾内遊覧ですか、ああいうことまでやっているわけですよ、正直言ってね。ところが、いい分野は全部民間に取られていくというようなやり方をやってたら、まじめに働いている人はやりがいないですよ、これは、正直言って。片一方はいいところだけ認可していく、こういうふうな形をとっていったら調整機能なんかないですよ。あるいはこのままいったら青函連絡船に従事している人たちは間際になって首を切られるような、あるいは、どこか配置転換されるような実態になったらこれはどうにもならないし、いわんや函館市内のあの町自体の一つの私は盛衰にかかわってくる問題だと思うんですね。こういう問題これは端的な一つの例です。これで私時間を多くとるつもりはないです。こういう一つの問題の調整すらできない、お互いにやはり話し合いができないような状態になってくると、日本全体のこの総合交通体系というような問題が果たしてできるかどうか、これは非常に私もむずかしい問題だと思う。  何だか運輸省内では青い鳥だとかいろんな話が出ているそうでありますけれども、実際にこういう問題がきちっとしたもの、こんなものをつくれとか、ああつくれとかいう規格品をどうこう言うものじゃないんです。実際にこの内航運輸、あるいはトラック、鉄道、こういう問題が大まかにやはり分野調整とか、あるいは意見交換、あるいは調整し合いながら競合し合ってお互いに伸びていかれるような、生き長らえるような調整が運輸省としてやらなければならない問題ではないかということを強く考えるわけですね。いわんやこのエネルギーの大事な時代になってきている、石油がこれだけの高い時代になってきている、こういうときに本気になって、ただ片一方は認可をおろしてやる、片一方は萎縮しているというようなやり方で総合調整ができないような、こういう交通行政だったら私は非常にまずいんじゃないかということを強いて申し上げたいんです。  そのために、やはり一日も早く総合交通体系、私はこれから新幹線の問題でいろいろ申し上げたいと思いますけれども、こういう一つの端的な問題が欠如している、ここからやはり運輸行政というものがゆがめられてしまっている。確かにささいな、小さなところまで認可おろさなければならない運輸行政の許認可の多いことは私は十分わかります。運輸行政の多岐にわたった水陸空、あるいは気象庁まで、地震予知までやらなければならない運輸行政の全般にわたるこの業務ということについて私は十分理解するわけですよ。しかしながら、そういう分野調整が真剣になって行われなければ、国鉄は赤字だ、やれ何だと言ったって、最終的にはもう負担は、形が変わった国民に負担を強いるだけなんですね。そういう点がもう少しうまく効率的な状態でこの総合交通体系、あるいは料金の問題にしても総合交通料金特別会計か何か、こういう形で私はこの調整をして、特に公共交通機関がますます赤字になっているこの実態の穴埋め、あるいは地方の公共交通機関、六大都市はほとんど赤字ですね、こういう問題に対して政府はどうするか、東京都は政府の助成が少ないと、こう言っているわけです。こういう問題について実際にどうやって調整をしていくかということは、これからのわが国の交通企業にとって非常に重要な問題ではないかということを痛感するわけです。これに対する運輸大臣の考え方を伺いたいと思うんです。
  67. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどからお述べのとおり、また私もお答え申しましたとおり、同じ運輸行政部門内における非常な連絡調整の不十分、その結果非常に跛行的なシェアの変動、こういうものはどういう方法で調整すべきか、よくこう運輸政策審議会という名前が出ますけれども、そういう審議会で転がしてやるべき問題ではないような気がいたします。やはり運輸行政の中で、行政の責任において何か処理をしなければならぬような感じを強く持っておる次第であります。  それから競合路線、特にバスその他、この国鉄との競合路線、あるいは国鉄バスと民間バスとの競合、最近、これは私三十年ほど代議士をしておりますが、初めのうちは国鉄バス誘致運動というのは非常に盛んであった。この十七、八年聞いたことがない。ここにも非常に問題どこにそういう原因があるんだろうかということをいつも考えておったわけでございますが、これは同じ運輸省所管、同じ日本の交通輸送の中で、それぞれ別個に走るところは走る、よく走らないところはおくれていくというままではいけない。特に何度も申しますが、新しいエネルギー情勢の中で、御指摘の点の効果ある方法、これを見出していきたいと、こう考えております。
  68. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  69. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  70. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは続きまして、国鉄政府で決めた再建要綱について何点か伺いたいと思います。  この再建要綱の中で、特に「国鉄の役割」の項で「独立採算性を指向した自立経営を行う」と、こういうふうに言われているわけでありますけれども、具体的に閣議では国鉄に何を要求しているのか、この点について具体的にひとつ。
  71. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 日本の交通体系の中において国鉄の使命を果たすとともに、その公共性を達成しつつ独立採算性を目指すと、そういうことであると私は理解しておるわけであります。
  72. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、公共性を達成しつつと、こういう状態になりますと、この公共性の問題については、政府としては幾分なりともめんどうを見ていこうと。その過程において独立採算、特にこれは後から御意見申し上げたいと思うんですけれども、五十二年までには収支の均衡を図ると、こういう形と理解してよろしいですか。
  73. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私はそう理解しております。
  74. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、公共負担の問題は後で論ずることにしまして、この国鉄財政再建目標をこの閣議了解、再建要綱で見ますと、五十一年、五十二年のこの二年間で収支の均衡を図ると、こういうふうになっているわけですね。この二年間の再建計画というのはいまでも変わりませんか。
  75. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御承知のように、再建二法案の成立が非常におくれておりますので、その上からの歳入の欠陥は無論ございますが、これは現在までのところ節約その他によって賄ってきたわけでございますので、二年間で収支の均衡を図るという目標を現在のところ変える意思はございません。その方向へ向かって努力をしていくべきものと考えております。
  76. 三木忠雄

    三木忠雄君 明快な答弁で、運輸大臣運賃の、たとえばこの再建二法案は現在審議中でありますけれども、この歳入欠陥があっても五十二年までに収支均衡を図るという答弁、これは私は高く評価して、再建が出来るかどうかということをこの二年間見守りたいと思うんですよね。  そう申しますのは、具体的に一回、二回、これが三度目の正直じゃないけれども、再建案三回目ですよ。毎回明確に出てくる問題は何かというと、運賃の値上げだけは明確な数字で出てくるわけです。ところが、再建要綱はざるなんですよね。そして、最終的には運賃が上がらなかったから、人件費が高くなったから、その点で逃げて、隠れみのになって終わってしまう。一向に再建計画というものはどこを回ってんのかわからないような再建計画で終わっている。こういう再建計画を何回も議論をしていればね、これはもう働いている若い職員の人たちはやる気がなくなってくる。入ってくるなり赤字だ、だめだ、こういうふうな実態、士気も出てこないと思うんですね。  今回の再建計画で、私はこの閣議了解の再建要綱では必ず失敗するという見通しです。それをフォローするために、この二年間政府がどう努力するかという問題ですね。国民には運賃を強いてくる。しかし、それに対して政府として何と何をやるかという問題はこれから詰めたいと思いますけれども、五十二年までに再建を図るという、過去の二度の失敗は繰り返さないという御決意であるかどうか。
  77. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その決意で国鉄再建に努力をいたしてまいりたいと思っています。
  78. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄総裁ね、私はこの再建要綱を見て、私たちはしろうとながら、これじゃ再建にならないと思うんですよ。国鉄総裁、これで、この再建要綱で国鉄再建完成成ると、こう見ますか。どうですか。
  79. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現状はなかなか何といいますか、病気が重いといいますか、いろんな問題がございます。そこで私どもといたしましては、政府お願いをして、今回の場合のようにいろいろ援助をしていただくとか、また、国会にお願いをして運賃改定をやらしていただくということと同時に、国鉄自体の問題として、いろいろと新しい経営といいますか、新しい事態に対応した経営を、姿勢をとり、労使の間をいまより根本的に改善をいたしまして、それをしないことには経営の刷新ができないのではないかと思っておりますが、いまのところそれに向かってやっていけば何とかそこへたどり着けるんではないかというような気持ちでおります。
  80. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的な問題がこれから処理されるわけですからね。まだいま完全に国鉄総裁に、完璧に、一銭一厘狂わずに完成というわけに私は迫るわけにはいかないと思いますけれども、まあこれから詰めますけれども、余りにもこの再建計画はずさんというかね、あるいは再建要綱は、できないような問題が数多くひそんでいるんではないかということを強く考えるんです。第一回のときは、あるいは第二回も五年間、あるいは十年間の再建計画だったけれども、途中で全部壊して後に残ったのは運賃値上げだけだったという形、こういう問題の悲哀をもう三たび繰り返したくない。また繰り返さないようにこれはともに努力しなきゃならない私は問題ではないかというふうに考えるわけですね。したがって、この五十二年度の——五十一年度は確かに運賃値上げはこういう形で出てきました。果たして五十二年も、この閣議了解の中では書いてないけれども、この中にひそめられている問題は、五十一年も値上げをするという、こういうことには変わりはないわけでしょう、運輸大臣
  81. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これから詰めていかなきゃならないいろいろな問題がございますし、それから、本委員会においても、また三木先生のお話の中にも出てまいりましたように、再建要綱をつくったときに余り大きなウエートを占めていなかった問題で私ども取り組んでいかなきゃならぬことがたくさんあると思います。で、来年もある程度の運賃値上げは必要になるかとも思うんでありますが、運賃の値上げだけでこの問題が解決するとは私は少しも思っておりません。もうすでに独占性がありませんから、運賃の値上げがすぐに増収につながるというふうには私は考えておりません。独占性を失っておりますし、まあ上げたらよそへ行ってしまうという率が非常に多くなるわけであります。  根本的にはやはり、われわれが独立採算制を要求されているならば、われわれの方から今度は要求しなきゃならぬことがたくさんあるわけであります。で、そういう要求の詰め方が私は足りなかったように思います。公共負担にしましても、あるいはまた政策割引にいたしましても、あるいは地方のローカル線、これも一種の政策的な負担であります。そういうもののあり方、つまり、独立採算性を指向する企業としての条件、これをやっぱり整えていかなきゃならぬわけでありまして、そういう筋違いのものについてのそれぞれの政策実施部門、まあ表現によっては国費とでも申しましょうか、結局そういうことになると思いますが、そういうような諸条件を、これははなはだむずかしいと思いますが、広く御協力を得、広く呼びかけることによって、それからもう一つは、やっぱり国鉄の経営に当たっている人々の意識の転換、あるいはまた発想の転換、それから仕事に向かう姿勢の転換、こういうものを強く求めることを前提として再建に向かって努力をしていきたい。  先ほども申しましたように、かつて石油に追いまくられた鉄道でありますが、その石油事情が今日のごとく変われば、これがまた国鉄再建への踏み切り台となると私どもは期待もいたしております。それから利用なさる方々、多くの人々に、運賃値上げを含めて再建に御協力を願う以上は、そういう人々から見て、あれはむだではないか、あれはもっとほかの使い道があるんではないか、そういうような意見も広く集めて、そうしてそれをひとつ現実の上に当てはめつつやっていく必要がある。あそこにあんな大きな土地をむだで置いておいて、あんなりっぱな繁華街にあんな木造の建物を保有しておいて、そして運賃の方へばっかりかぶせるのかというのでは御協力は得られない、こう私は考えておる次第でございます。
  82. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、具体的には五十二年度の値上げの問題について何%上げるという——私はうわさでは五十二年度も五〇%上げて、本年度を基準にすれば二・二五倍になると、こういうふうに、まあこれはまだ正確なあれじゃないですからわかりませんけれども、閣議了解のときにこういう話が出ておおむね了解していると、こういうふうに聞いてるわけでありますけれども、これは踏襲して、いくつもりですか。
  83. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 非公式にそういう数字を聞いたことはございます。しかし、先ほどから申しておりますとおり、運賃の値上げ即増収になるとは私は考えない。それから、同時に今回の措置影響も見なきゃならない。したがって、できるだけ低い水準に抑える努力をしなきゃならぬし、またそうしなければ、結局逆の方向へ行く危険があると私は考えております。
  84. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ五〇%の値上げなんかを再び五十二年やれば、これはもう常識で考えて、国鉄の増収を図れないと考えても私はいいんじゃないかと思うんです。こういう点は、この間の答弁でも運輸大臣、この運賃法案がたとえば通ってからいろいろ検討すると、こういうような言葉をにおわされておりましたけれども、五十二年度に何をやるかというような問題は、まだ具体的には示されていないわけです、これは。私たちも、いま出せと言ったって、これは無理な話だと思いますけれども、せめて五十二年までに国鉄を収支均衡させようというのであれば、粗筋の五十二年計画というものは運輸大臣として描いているのじゃないかと思うのです。あるいはもう衆議院選挙が終わったら関係ないと思われて手がつけていられないか、そこらの点をもう一つ聞いておきたいと思います。
  85. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういう無責任なつもりでお答えをしておるわけではないのであります。たとえそれがどんな短い期間であろうと、国鉄再建の土台になるものだけはこしらえておきたいと思っております。その土台になるものの第一は、先ほど申しましたように、公共性を伴った企業である、企業としての独立採算を要求されているのだ、そういう事業に携わっているのだ、そういう基本的な認識、それに出発して、われわれとして当然要求すべきものは要求する。それは一遍にできなければ二年かかっても、三年かかっても要求していく。それと同時に、国鉄自身も企業努力をして、その資産の効率的な運用を図っていく。そういうことを基本といたしますと、当然考慮しなきゃならぬのは鉄道敷設法とか、日本国有鉄道法というようなものの改正であろうと思います。で、そういうことの検討もいま命じておるところでございます。そういうことを総合しながらいかないと国鉄再建はむずかしい。  私も三木先生と同じように、来年もう一遍五〇%——数字についてはこれから検討というか、今度上げた効果というものを見なきゃなりませんけれども、そんなことで競争相手がいる状態で運賃値上げ即増収になるとは、これは何度も申し上げているとおり私自身も考えておりません。これはできるだけ低く抑える努力をすることが、単に公共の利益ということだけでなく、鉄道の営業自体のためにもこの方が有利だと、私はそう考えております。
  86. 三木忠雄

    三木忠雄君 この再建案は、先ほど大臣が言われたように、まだまだ粗っぽい再建要綱である。五十二年度の概算要求はもう八月に大体終わっているわけですね。国鉄の分については十二月までだろうと思うのですよ。この間、たとえばきょうからこの十二月三十一日までの間に五十二年度の政策を詰めなければならないわけですね。そうして収支均衡合わさなければならない、過去債務の問題これからちょっとお聞きしたいと思っていますけれどもね。これは果たして、このわずか二カ月、三ヵ月の間に五十二年再建成るまでのいろいろな鉄道敷設法だか、公団法とかいろいろなこと、これから私詰めますけれども、そういう問題を詰めて、運輸省としては閣議了解なりなんかをして国鉄再建のための、いまのこの要綱じゃなしに、五十二年度国鉄を再建するためにこれとこれとこれをするという国のいろいろな要綱事項を閣議了解させますか、そこまでの自信持ちますか。
  87. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 他省とのいろいろの関連もございますので、私一人で決める性質のものではありませんが、私自身の考え方というようなもの、いまここで何度もお答えをしておるような考え方というようなもの、いまここで何度もお答えをしておるような考え方は、これは文書として国鉄当局に手交し、口頭説明も加えて、そしていま申しましたように準備を進めさせている次第でございます。
  88. 三木忠雄

    三木忠雄君 だから、運輸大臣国鉄総裁だけの問題ではなしに、公共負担の問題にしても、各省にまたがる問題ですな。それから建設省と国土庁との関係もある。新幹線の問題なんか出てくる。こういう問題で五十二年度再建要綱の中に盛られたもんじゃ足りないわけですね。そういう補足的なものは、この審議を通していろいろなものが出てくるわけです。そういう問題を他省と詰めるためにも閣議了解をもう一遍取りつけて、もう一つ進んだ五十二年再建のための閣議了解みたいなものをとる努力をされるかどうかということなんです。
  89. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘のように、昨年末の閣議決定というのは粗っぽい大筋です。したがって、あの線に沿ってやるにしても、いろいろな具体的な問題を先ほどから、何度も同じことを申しませんが、当然含まれてくるわけであります。そういう場合に他省との間の意見の相違というものは当然出てきます。もうすでに私が議会で皆さま方にお答えをしていることについてもいろいろな反発が現実にあるわけなんです。ですから、容易なことではないということは覚悟しております。しかし、そういう努力をし、そうして肉づけのついた具体策を伴った閣議了解線というものへ到達するような努力はこれはしなければ、あの粗っぽい数字のものだけで来年度までにやれと言われても、これはとてもできないものだと考えます。
  90. 三木忠雄

    三木忠雄君 私はしつこくこれを言うのは、もはや国鉄の再建という問題は運輸省の一部局の問題ではないということなんです。国鉄総裁は私は大臣ぐらいの力を持たせなきゃだめなんだ、本当は。一つの運輸省の部局の中において、これだけの大きな赤字、まあいわば国の資産で言えば大変な問題です。こういう問題を考えたときに、やはり一部門でちょこちょことやっているようなことで解決できる問題ではない、また国民に一番影響力のある問題ですね。日本の大動脈ですよ。こういう問題をその部分的な突き合わせ的な形だけで、そしてその部局だけで検討し、まあ大蔵省と詰めて予算要求するという程度のものでは、もう何回国鉄の再建案を検討しても私は無理だと思うんですよ。したがって、そういう大きな大綱は、やはり政治判断が非常に重要な問題になってくるわけですね。事務当局の突み合わせだけではどうにもならない、こういう問題をやはり大きな土俵に持ってこなければ国鉄の再建幾ら議論をしたって、議論を長くやっているだけであって、何ら取り上げられないというような問題では、私は国鉄の再建というものは不可能じゃないかと、こう考えるわけです。そのためにあえて私は実力大臣のときにぱあんとやった方がいいなと、こう思うんですよ。
  91. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 最後のお言葉は温かい私に対する御激励としてお礼を申し上げます。  おっしゃるとおりなんで、だからこの一仕事終わったら、私はやっぱり広く世論に訴える、特に与党の諸君に訴える行動に移りたい、こう考えております。私は自分が言っていることはこれは当然の話だと実は思うんですが、この当然の話がいままで表へ出てこなかったのがちょっと不思議に思うくらいで、そういう努力に移って、そういう努力を重ねないともう実現がむずかしい、これはもう容易なことではない、一遍にできないにしても、その目標に少しずつでも到達していくようにいたしたい、こう考えております。
  92. 三木忠雄

    三木忠雄君 再建の問題については各党とも対案を出しています。いろいろな差はあるでしょう。しかし、やっぱり合意できるものは合意して、国鉄の再建に一致団結してこの問題は政治の場で解決していかなければならない。あとサービス問題もお聞きしたいと思っておりますけれども、そんなカットするようなやり方では、これは政治の姿勢を問われると思うんですね。こういう問題は解決しなきゃならない問題だと思うんです。  ちなみに運賃の値上げでどんなに差が出てくるかということ、これは運輸省からもらったデータで、先般も貨物でいろいろ対比されておりましたけれども、航空運賃国鉄運賃差を調べると、これはまた総合交通体系ではありませんけれども、将来の調整をしなければ空港の二つ、三つまたつくらなければならないような状態になってくるのじゃないかと思うんです。たとえばこのデータで見ますと、東京と大阪の航空運賃と今回五〇%上げる運賃を計算しますと、グリーン車で行くと東京−新大阪まで一万四千三百円、航空機で行くと一万四百円です。飛行機の方がよっぽど便利なんですね。これではみんなグリーン車から航空の方へ移るのは自然の法則だと思うんですね。  あるいは東京−博多間、なおさらにひどいわけです。グリーンで行くと二万三千円です。航空運賃は二万百円です。三千円の開きがあるわけですね。こうなると、福岡の航空需要はまかない切れないのではないか、こういう問題をどう調整するかということですね。そうなると、また今度航空運賃の値上げと、こういうような形になる。こういう問題だけではなしに、航空需要がふえてくるとまた大型化だ、あるいは空港増設だ、地元の騒音問題といろいろな問題が出てくる。こういうことが非常に大きな私は交通問題として提起できるのではないかと思うんです。これを今回譲って五〇%、来年、再来年上げたら航空との差はますます格差が出てくる。こういう問題が私は大きな問題ではないかと思うんですね、この点について運輸大臣、どうお考えになりますか。
  93. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘のとおりだと私は思うんです。二年間でバランスをとるという方に重点を合わせて逆に数字をつくり上げてくるとさつきのような、いままでのような物の考え方や数字になると思いますが、実際はお客さんの方に選択の自由があって選んでいく、その結果を見て対処しなければならないわけです。結果に対して対応しなければならぬわけであります。ただ正直なことを申しますと、東京−大阪間なんかの場合は私個人の趣味、嗜好から言うと、私はパスがあるからでなくて、現金で払わなければならぬといたしましても新幹線を選びます。選びます理由は、第一すぐ乗れるということと、飛行機だと何分か早く行かなければならない、それから目的地と飛行場との距離等がありますから、直ちにそういうふうな全部が全部向こうへ行ってしまうという形にはならぬと思いますが、影響を与えることは私は確かだと、こう思います。  そこで、さっきも申し上げているとおり、これ以上運賃値上げだけで解決しようとしても、それは運賃値上げ即増収にはならない。こういうことをやっぱり考えていかなければならない、こう思っております。
  94. 三木忠雄

    三木忠雄君 参考のために、国鉄総裁でなくても結構ですが東京−博多間、こういうような形になると相当減収——減収でもないだろうけれども、こんなに予定したような増収には私はならないと、こう思うんですが、これをさらに値上げをされるというような形になってくるとますます格差がひどくなってくる。こうなると、国鉄の予定とはるか違った方向にいってしまうんじゃないかと、こう思うんですけれども、どうですか。
  95. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 名目大体五〇%の値上げではございますが、実際に増収としてはね返ってくるのは三七%ぐらいであろうということで、この法律の考え方もそうでございますし、五十一年度予算もそうなっているわけでございます。  そこで、五〇%値上げの場合に三七%増収を期待できるかどうかという点でございますけれども、これは過去の経験値等から推定をして出した数字でございますが、率直に申し上げましてなかなかこれも容易でない、相当活発な営業活動を行ってやっとそこまでいけるかというぐらいの感じでおるわけでございまして、繰り返し大臣からお話がございますように、私どもといたしましても、現状におきましては決して安易に考えてはいけない、いろいろ努力の積み重ねをしなければいけない、こういうふうに思っております。
  96. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこで私は、これは私の個人的な思いつきですけれども、先ほどから総合交通体系の問題を含めて、やはりこのままいったら航空運賃すぐに上がるわけですな。追随して上げないでしょうけれども、私信じていますけれども。バランスをとるためにはまた運賃値上げという理由をかこつけてくると思うのです。また便乗値上げを誘発されてくると思うのです。やはりこういう総合交通体系の中で調整できるような総合交通料金体系かなんか、そういうものが必要じゃないかというような感じもするんです。そのためにまた便乗値上げされては困りますけれども、どっかにやっぱり調整機関的な地方の公共交通の補助をするとか、会計でですね、いろんな形をとらなければ、新税構想私賛成じゃありませんけれども、何かそういうアンバランスを是正しなきゃならないところがいろんなところに出てくるんじゃないかという感じもするんですね。これは一つの意見として私は申し上げるわけでありますけれども、こんな差が出てきますと、どうにも収拾がつかないような問題になり、また空港をふやせ、増便だという問題が始まってくる、こういう点についての対策は十分運輸省として考えてもらわなければならないということを、大臣にその所見を伺っておきたいと思います。
  97. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私もそのとおり思うので、それぞれ別々で相互間の関連ある運賃体系というものを考慮する、それから配慮に欠けているということは確かだと思います。ただ、航空運賃なんかの場合に、たとえば公害対策費とか、あるいは騒音対策費とか、そういうような本来利用者と申しましょうか、営業者負担になるべきものはやっぱり営業者負担にすべき性格であろうと私は考えるのですが、それだからといって、汽車に合わせるために値上げを認めるという意味じゃなく、これはやっぱり原価計算主義でいかなければなりませんし、いくつもりでございますが、そういう点の負担というものも当然これからは航空の場合は考えてもらわなければいかぬ。それから私鉄の場合は、昨年値上げしましたから二年間はこれはさせません。そういう方向で、タクシーその他から値上げの申請がぼつぼつ出始めておりますが、これも需要と供給との関係、それから経済の成長の速度、そういうようなものとにらみ合わすときには当然限界があるんじゃないか。そういう点からも、やっぱり自省を促す必要もあろうかと思っております。ただ、関連交通機関相互間の、先ほども指摘のとおり相互間の連絡というようなものは、横を見ないで自分の道ばっかり見ているような感じをすることは私も同感でございますので、是正に努めたいと思います。
  98. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、国鉄財政問題について一、二伺いたいと思うのですけれども、過去債務の問題で伺いたいと思うのです。今回の過去債務の処理ですね、二千四百四十一億円、これで政府は十分と考えているのかどうか。
  99. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 今回の過去債務の処理の考え方でございますけれど、五十年度末までに国鉄の累積赤字が三兆一千億ございます。一方国鉄は資本といたしまして再評価積立金を一兆一千億ほど持っておりますので、その半分の五千六百億をもちまして三兆一千億の一部の解消に充てる、残りましたのが二兆五千四百億でございます。これを二十年間元利均等という形で肩がわりをしてもらうという措置をとったわけでございます。これによりまして本年度末三兆一千億の赤字は解消するということになるわけでございます。
  100. 三木忠雄

    三木忠雄君 その三兆一千億のうち二兆五千四百億円ですか、これは対象になって、あと再評価積立金でこれを見ているわけでしょう。これは現金入ってこないわけでしょう、現に。その再評価が一兆一千億にふえれば、その分固定資産税とか何か余分にふえるんじゃないですか、国鉄としては。出費がふえるでしょう、その点は。
  101. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 赤字の解消の方法といたしましては、通常普通の企業の場合には、まず積立金を充当する、あるいはその次に資本金を充当する、それでも足りないときには債務を切るというようなやり方をするわけでございまして、今回もそれと同じような方法で再評価積立金の半分を充当する。なお、国鉄には資本金、再評価積立金等で一兆円の金が資本勘定として残ることになるわけでございます。これは、別にいま御指摘のような固定資産がどうこうということではなくて、帳簿上の話でございまして、貸借対照表上累積赤字が消えるということでございます。
  102. 三木忠雄

    三木忠雄君 貸借対照表自体で数字は減るかもしれないけれども、実際上金は動かないんでしょう、金はないんでしょう。
  103. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 別に現金を充当するということではないわけでございます。一方再評価積み立てば昭和三十年に実施をいたしたと記憶いたしておりますが、再評価によりまして国鉄の持っておりました固定資産の簿価がふくれ上がってきたわけでございます。その後約二十年間にわたりまして償却をいたしておるわけでございますが、その償却不足による赤字も三兆一千億の一部を構成しているわけでございますので、再評価しなかったらそれだけの赤字が出なかったということも言えるわけでございます。
  104. 三木忠雄

    三木忠雄君 細かな私論議したくありませんけどね、ちょっとこれでは国鉄借金、帳簿上は減ったような形になっているけれども、実質には減らないんじゃないかというような感じを受けるわけですね。  それから、五十一年、五十二年で再建をするわけですね。そうしますと、五十一年度のこの予算の不徹底分、こういう問題はどうするかということですね。これは当然いまのままでいけば運賃値上げ等にかかわらず純損失があるわけですね。五十一年度のこの処理は、過去債務と別に五十一年度の分の赤字分についての処理はどう考えるのですか。
  105. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 五十一年度は運賃値上げが当初予定どおり六月一日から実施されたといたしましても約五千億の赤字が出ることになっております。その処理につきましてはまだ最終的に決定しておりませんが、再評価積立金を充当するというようなことも検討しなければいかぬと思います。ただ、現在は五千億だけじゃなくて、さらに運賃値上げのおくれであるとか、その他の減収も出ておりまして、五千億が七千億か八千億にふくらんでくる可能性がありますので、再評価積立金だけで充当できるかどうか、今後運賃法が成立いたしました後でいろいろ検討いたしたいと考えております。
  106. 三木忠雄

    三木忠雄君 十月末まで考えても二千五百六十億の収入減、予定される赤字が約四千九百四十億ですか、この運輸省の試算表からいきますと合計七千五百億が五十一年度の赤字を生ずる金額ですね。これの処理も考えないと、五十二年で収支均衡はならないわけですね。これはやはり明確に考える予定ですね。
  107. 住田正二

    政府委員(住田正二君) そのとおりでございまして、五十二年度末で収支均衡図るということは、累積赤字も全部なくなした上で収支均衡を図るということでございますので、いま御指摘のような赤字は全部解消する方向で検討をいたしているわけでございます。
  108. 三木忠雄

    三木忠雄君 それからもう一つの過去債務の方で、今回地方閑散線の補助金が百七十二億円。まあ運輸大臣、いままで出なかったのを出るようにしたんだと、こういうふうに前回も答弁で言われておりましたけれども、五十一年度で百七十二億円ですね。ところが、動かしておれば地方ローカル線は二千二百億赤字になっているわけですね。これの欠損分があるわけでしょう。これは今回の運賃との絡みが出てくるでしょうけれども。ところが、五十二年度までにこの五十二年度生ずるであろう二千二百億の赤字ですね。この問題、次に地方閑散線でちょっと詰めたいと思いますけれども、二千二百億のこの赤字をなくするという、こういう計画は運輸省としては考えているんですか。
  109. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄再建の基本的な考え方は、五十二年度末におきまして収支均衡をとる、その後健全経営を維持するというたてまえにいたしているわけでございます。その場合にいろいろな負担があるわけでございまして、公共負担もその一つでございますし、地方交通線の問題もございます。それから貨物の問題もあるわけでございますが、特にいま御指摘のありました地方交通線について、早急に来年度、五十二年度で予想されます二千億の赤字を一度に消してしまうということは、あるいは不可能かと思いますけれども、数年以内に二千億の赤字が解消できるような方向で何らかの対策を講じたい、さように考えているわけでございます。
  110. 三木忠雄

    三木忠雄君 数年という言葉出てきたんですけれども、数年じゃこれは五十二年収支均衡合わぬですよ、局長。この問題はやはり次にお聞きしたいのですけれども、今回の閣議了解の中でも「国の積極的な支援」という——私、本会議でも指摘したんですけれども、国の積極的な支援で国鉄に責任を持たした。これで果たしてこの二千二百億の赤字を解消できるような対策を国鉄ができるかどうかということを、私は非常にいままでの赤字線廃止の問題だ、何の問題だ騒いできた問題が一向にできないわけですよ、正直言って。地域住民の強い要望もあるし。公平に皆考えてみればいろんな問題点があろうと思うんです。それをわずかの限られた期間で、この五十二年度の二千二百億を詰めていくとなると、相当思い切った処置をとっていかなければ、国が思い切って補助をする、あるいは地方公共団体がどこまで負担できるか、こういう問題を相当思い切った努力をしなければ解消しないのではないかと、こう考えるのですけれども運輸大臣どうですか、これ。
  111. 石田博英

    国務大臣石田博英君) お説のとおり、これはもう簡単な問題ではむろんございません。百七十二億円という今回の国庫負担、二千億を超える想定赤字に対しては余りに少な過ぎるじゃないかという議論が当然出ると思いますし、私自身もこれは不満であります。しかし、この前もお答えしましたように、一番最初についた予算措置でありますので、これを広げていく努力をこれから続けなきゃならぬと思います。  それから、地方ローカル線の処理につきましては、幾つかの考え方がいまそれぞれ出てきております。しかし、どれにもこれにもみんな問題があるわけでありまして、その対策をつくり上げるということは、これも非常にコンセンサスを得ることがなかなかむずかしい問題だとは思いますが、ほってもおけない。それだからといって、地方公共団体に負担をしろと言ってみましても、地方公共団体の財政事情は御承知のとおりであります。なかなかこのコンセンサスを得られる案ができること自体にも問題がございますが、そういう点も、コンセンサスをできるだけ早く得るような努力をいたしますと同時にやはり国の援助、それからみずからの努力をあわせまして、あるいはまた地方の方々に財政的な負担は無理だとしても、たとえばそれを鉄道でなければならぬのか、あるいはバスと並行して走っている場合、それぞれの事情に応じて、何でもかんでもたくさんあった方がいい、中には税務署も多い方がいいなんというのも出てくるかもしれませんが、そういうことでなく、全体の地方発展という上から冷静に考えた場合に、また地方の方々の中から建設的な意見が出てくることも私は期待できるんじゃないだろうか、そういうことをあわせて赤字の解消というところへ、収支の均衡というところへ全体として持ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  112. 三木忠雄

    三木忠雄君 そういうおぼろげな考え方では国鉄のこの二千二百億は消えないわけでしょう、運輸大臣国鉄に二千二百億消さなくってもいいというローカル線対策としては、この二千二百億は、たとえば来年中はできないけれども、何年かかけても運輸省の責任の上で、あるいは政府の責任の上において住民との話し合いをし、この問題を解決していく、それまでは国がめんどうみる、こういう形をとるんですか。それともどういう形をとってこのローカル線の問題は対処していくのか、その確固たる方針がないんですよ、政府にこれを伺いたいんです。
  113. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ローカル線の赤字をどういうふうに解消していくかということにつきましては、先般来申し上げておりますように、現在運輸政策審議会の方の御意見を伺っているわけでございます。したがって、まあ御意見が出る前に私どもの考え方を申し上げるのはどうかと思いますけれども、やはりこの問題は短期的な問題と長期的な問題があるんではなかろうか。長期的な問題といいますのは、いま大臣からお話しいたしましたように、自動車専用線に変えていくとか、あるいは必要がないところは廃止するとか、あるいは地方公共団体あるいは第三セクターに経営を移譲するとか、そういう問題は今後時間をかけて地元の方といろいろお話をしていかなければ解決できない問題じゃないか。しかし、一方いま御指摘のような二千億の赤字が出ることはこれ事実でございますので、この二千億の赤字が国鉄の経営に負担にならないような対策を短期的に考えていかなければならない、そういう短期的な問題についてまたいろいろ対策をいま検討いたしているわけであります。
  114. 三木忠雄

    三木忠雄君 ここでまだ運輸政策審議会へいろいろかけている段階だから、具体的な問題は答弁できないかもしれませんけれども、運輸政策審議会でこの問題を検討して解決できる問題かどうかということなんですね。だから、だれが責任を持って、これを短期的にも長期的にも国鉄の責任の上ではできない。あとで札沼線を廃止した経路を一遍国鉄から伺いたいと思っていますが、職員が三百回も通っているというんですよ。で、やっとできた問題でしょう、これ一つの廃止路線も。こういう問題が果たして一国鉄の問題で、あるいは地方機関の一つでできるかどうかという問題なんです。やっぱり総合的に考えていかなければならない。運輸政策審議会は私は決してだめだとは言いませんけれども、隠れみの的に、いろいろ検討してそこでやっているからというような感じで、現実にはもう短期的に二千二百億の赤字を毎年出していくわけですよ。それを五十二年までに収支均衡というようなことはあいまいじゃないかと言うんですね。  ここらの問題はもう少しわれわれに納得のできるような方途を示してもらわなければ、これ五十二年収支均衡合うと言ったって、これ貨物と合わせて六千億、こういう問題でどうしても赤字だからやっぱり運賃の値上げだ、運賃の値上げだ、こっちの努力は全然しないという形にまたなるんじゃないかという私は危惧を感ずるんです。八十三線の赤字だって一向になくならぬじゃないですか。やるやると言ったってなかなかできない問題でしょう。できなくっても国鉄は現に動いているわけですよ。これだけ赤字を生じているわけですよ。ここをどうやるかということ、この問題もう少し明確に私たち聞かしてもらいたいんですね。
  115. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま申し上げましたように、短期的な問題と長期的な問題とあるわけでございますけれども、五十二年度の収支均衡を図るという前提のもとに来年度予算におきましては地方交通線の赤字をどう解決するか、短期的な政策を明示いたしたいと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、短期的な問題といいましても一年、二年で解決できない、あるいは数年かかることになると思いますが、五十二年度収支均衡を図るという方針はそれによって崩すつもりはないわけでございます。
  116. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは大臣にうかがっておきますが、五十二年まで収支均衡は約束した問題ですよ。二千二百億のこの赤字の問題はどういう計画にしろ、国鉄の五十二年収支均衡までにはきちっとするという見通しは運輸大臣立てられますね。
  117. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は実務家ではございませんからね。それから五十二年度までに収支均衡を図るというのは目標、われわれのいま何度も申し上げているとおり。その目標を達成するためにはいまの二千二百億というのを何とかしなければ、それは非常にむずかしいというか、困難なような状態にあることもこれもよく承知しております。そこで、運輸政策審議会に現在討議を願っているわけですが、先ほど私の方からも申し上げましたように、それが簡単にコンセンサスを得られるとも思えない、非常にむずかしい。それから問題をぽうっと投げかけておいて、そうして皆さんの御意見をお伺いをいたして、そしてどうするということだけで済む問題じゃないと、われわれの方としてもいろんな試案をたたき台として出していかなきゃならぬ問題だと思います。  で、主要目標は五十二年度で収支均衡を図ると、それに伴って生じてきた問題については、やはり最終的にはこの再建閣議了解案では国鉄が中心となって、国鉄の責任においてこれを処理すると、地方民の言うことを聞きながら処理すると、こうなっております。まあ文章としてはまことにりっぱでありますが、実際問題として私はこう理解しているんです。これは国鉄が幹事役になって取りまとめをするのであって、それから全国に張りめぐらしてありますいわゆる国鉄網の運営の総合的責任は国鉄が負うから、そういうたてまえからこれをそういう意味で取り扱うのであって、問題処理はやはり国全体の問題であると、こう私は考えております。
  118. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあこれ以上もうこの問題はあれですけれども、いずれにしても鉄監局長ね、事務的にことしじゅうにはこれ大体目鼻を大筋はつけるという計画でしょうね。
  119. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 来年度の予算に計上するわけでございますので、当然十二月までに方針を決める必要があるわけでございます。
  120. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで一つの方法として、これはまあ廃止路線、あるいは地方等のいろんな意見も聞かなきゃならないと思うんですね、運輸大臣。これはもうこの地方ローカル線問題というのは、地域のナショナルミニマムからいきましても、やはりどうしても最低的必要な問題が多いと思うんですね。地域に行きゃこれはもうどこへ行ったって全部賛成ですよ。廃止論者いませんよ。こういう問題が非常にむずかしいネックになってくるわけですね。しかしながら私たち、おとといですか、先ほども委員会報告がありましたけれども、白棚線行ってきました。ああいうところでバスで非常に喜ばれている、非常に便利になっているところもあるわけですね。こういう問題を勘案すると、やはり上からおざなり的な一部の人たちの審議機関みたいなのをつくって、それで大乗的にやるようなやり方では、これは私は地方の声が反映してこないと思うんですね。したがって、九千二百キロと出るのか、運輸省案で何ぼと出るのか知りませんけれども、この地方ローカル線、いま約九千二百キロが予想されているわけでありますけれども線区別にいろんな審議会、そこは地元の首長さんやあるいは住民の代表や、いろんな国鉄の出先の人たち、そういういろんな人たちを入れた線区別の私は審議会をつくって、住民の声が本当に反映できるような、やはり具体的な機関をつくるべきではないかというような感じをするわけです。わが党もそれを提案しているわけですよね。この点について、運輸大臣どう考えますか。
  121. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まあこれは運輸政策審議会だけに限りませんけれども、各省で設けられる審議会とかこういうものは、みんな偉い人の顔ばっかり並べたがって、そして中央一元化と、いい言葉で言えば中央一元化ですけれども実情とほど遠いものがある。で、現地の人もやはり国政全体についての責任を、じゃ全く感じないで、地域のエゴばっかり突き合わしているかというとそうでもない。現においでになったところで、バスの方がちょいちょいとまってくれるし、頻繁に通ってくれるしという声もあるわけであります。そういうところもあるだろうし、鉄道つくってくれと要求し出した時期といまと比べてみますと、道路の整備状況そのほかがひどく違っているところもある。昔そこには産業があり、いろんな仕事があったところがいまはなくなっているところとか、まあその逆もあるでしょう。そういうような事情等かみ合わしながら相談をするのには現地の人々の考え方というようなもの、現地の人々との了解を得、話し合う機関をこしらえるということが私はやっぱり必要であろうと思います。  それは線路だけに限らない。貨物駅の場合、あるいは急行停車の問題あるいは無人駅の問題いろいろとりましても、たとえば私などはよく言えばわかってもらえるのは、東京に住んでいる人が急行に——たとえば八王子まで行かなくても、立川とか荻窪あたりに住んでいる人が急行に乗ろうと思うと一時間ぐらいかかるんですね、急行の路線まで行く間に。それを十分か十五分ごとにとめろということの方が無理なんだぞという話をすればわかってもらえるんです。だから、そういうことを地域に行って話をしていくということも私は必要だろうと思う次第であります。
  122. 三木忠雄

    三木忠雄君 一つの例として国鉄に伺っておきたいんですけど、過去における国鉄の廃止線と、それから新線建設の実態というのはどういうふうになっていますか。
  123. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 昭和三十九年からの累計で申し上げます。ただいまの地方交通線に入るべき線区としての建設線でございますが、これが二十六線区、約五百キロでございます。これが建設をされまして、それから廃止、これは全部の線を通じまして線数としては三十八線でございますが、キロ数にしまして二百九十四・七キロ、まあ約二百九十五キロでございます。それだけの線区が廃止になっております。
  124. 三木忠雄

    三木忠雄君 新線建設のときには、これ別にまた投資のときに聞きますけれども、二百九十四新線をつくっているけど、これは全部いま俗に言う地方ローカル線、赤字路線という形になるわけでしょう、どうですか。
  125. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) ただいま建設公団でつくられております区分けによりましてAB線と言われております線区の、改良の成績でございます。
  126. 三木忠雄

    三木忠雄君 もうほとんどこれは全部赤字ですな。  それからもう一つ、地方閑散線廃止の一つの実例として私たちも聞いている札沼線ですね、これの廃止に至るまでの経過と、それからその後の住民の反応という問題についてどう国鉄当局理解しておりますか。
  127. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) 札沼線、廃止されました区間は北部の方の区間の新十津川から石狩沼田までの区間でございますが、もともと札沼線は昭和十年に開業いたしておりまして、その後昭和十九年に一度線路の撤去が行われまして、それから昭和三十一年に再び全線が開通されたものでございます。しかし、ただいま廃止をいたしました線区が特に沿線の人口が希薄化いたしましたと同時に、並行道路に国鉄バス運行されておりますなどの理由がございます。したがって、輸送需要がだんだん減少してまいりました。で、昭和四十六年におきましてこのただいま廃止いたしました区間の営業係数が二四二という非常に営業成績の悪い線区になっておったわけでございますが、そこで四十六年の八月、国鉄の方から、先ほど申しました廃止の区間について、関係の地元四町に対しましての国鉄バスによる代行輸送計画を提案をいたしました。これに対していまの関係四町に浦臼町を加えました五町の町長、あるいは町議会の議長の方からその地区を担当しております旭川の局に対しまして反対の意思の表明がございまして、また一部では議会で反対決議をなされたというような情勢でございました。  その後、先ほど先生からちょっとお話ございましたように、数多く私どもの方からも出向き、それからいろいろ地元からの御要望等の話について誠意を持っておこたえをしながら検討を進め、またお願いを進めて、また地元の御理解を得るべく努力もいたしました結果、四十七年の二月、関係各町議会の方で廃止に同意する旨の同意書をいただいた。それを受けまして四十七年五月廃止の申請をし、同六月その区間の廃止を見て、その結果は国鉄バスによりまして代行し、今日に及んでおります。  なお、ただいま、地元の方でどういう反響かということでございますが、地元の御要望にこたえまして国鉄バスの先ほどの運行回数をふやしたり、あるいは駅舎の改築を行いまして、というようなこともございまして、好意をもって迎えられたというふうに私どもは思っておりますが、なおその間の関係者の苦労と申しますか、本当に、ある意味では旭川の管理局挙げましてほとんどこの期間、この問題に取り組んだというぐらい精力的に努力をした結果でありますので、非常に結果を、私ども好意をもって迎えられるというふうに申しました、それくらいのことが反対の給付として地元に思っていただかなければ、本当にこれは苦労のしがいがないというようなことではないかというふうにも思っております。
  128. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは私、運輸大臣、参考にこのデータをもらって現地の住民のいろいろ実態を聞いたわけですけど、廃止交渉の折衝回数が日数三百二十一日ですよ。チームによる交渉回数が五百七十八回ですよ。駅長が実際に出向いているのは九十二回ですよ。粘り強い説得をしたわけです。ところが、こういうことを各線区国鉄当局がやらなきやならないような形になったら、これは業務が停滞するんじゃないかって私は心配するわけですな。やっぱりこれは日本の国全体の問題として、交通政策上各地域の主張も入れて問題の解決に当たらなければ、そして、住民の納得のいけるような代替交通なり、あるいは国から補助金を出すなり、いろんな形でこのローカル線問題の決着をつけなければこれは、先ほど閣議了解の中の国鉄の責任でというのは、私はこれは無責任だという感じをしているんですよ。これは結局はできないことを、前の八十三線と同じ再建計画の案だなというような感じを私はするんです。そのために私はこれを指摘をしているわけなんです。これは一つの例ですけれども。  こういう点をもっと地方の審議会なり、あるいは地方の機関が入って早くけりをつける。それは総合センターで中央にあるのは私は結構だと思うんです。やっぱり地元の声が反映できる。早急といったって、これはお互いのコミュニケーションを図らなければならない問題ですから、どういう方法がいいかというようなことはなかなかむずかしいけれども、そういう機関を、機構をどう整えるかということが、私は組織がどうやっていくかということが大事な問題だと思うんですよ。ただ、これは金がつきまとっている問題なんですね。ただ意見を聞いておればそれでいいんだという、ただの審議会みたいなのとは違うわけですよ。これははっきり決着をつけなければ困るわけでしょう、国鉄の経営に。それは運賃にはね返ってくるわけですよ。こういう問題は、やはり真剣な努力というか、運輸省、あるいは国が中心になってこの問題を自治省等とも詰めて、閣議了解の中に明確にしなければならない問題じゃないか。こっちは残す、こっちは……、いろんなトラブルが私は起こってくると思うんです。こういう問題は総合的に網をかぶせて、どうやるかということをやはりあなたの方の、いろんな線区別の意見というものも反映できるようにしながら調整していかなきゃならないんじゃないかと、こう考えるんですけど、運輸大臣の御見解をお聞きします。
  129. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどもお答えいたしましたように、私も全くそのとおりだと思っております。  なお、旭川の管理局の努力には敬意は表しますが、日本じゅうにそんなことを要求しておったら、それはもうお話のように、肝心の自分の日常の、平常の業務ができなくなりますから、一応の大きな企画と申しますか、線の引き方は必要だと思いますが、それと地方の実情とをあわせて処置するためには、少なくとも府県単位ぐらいにはそういう検討をする機関を設置する必要があると私は考えます。
  130. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは次に、貨物問題で伺いたいと思います。  この貨物の赤字の問題、これは先ほど総合交通体系の中でいろんな問題点を指摘をしたわけであります。これは経営努力も私はやってもらわなければならない。企業努力も。それから、この総合政策上の問題もいろいろやらなければならない。ところが、この再建要綱の中に、貨物輸送について「昭和五十五年度において固有経費で収支均衡する」と、こういうことを目指しているわけですね。これは、具体的にどういうふうな、この五十五年までの対策を講じて固有経費を収支均衡を図るのか、この点について。
  131. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 貨物につきましては、すでに御指摘のように、再建対策要綱で今後とも中長距離・大量貨物輸送について重点的にその役割りを果たしなさいと言われております。したがいまして、それを果たしながら五十五年度までに固有経費で収支を均衡させるということでございますので、私ども一番考えておりますのは、まず、いままでの反省をしなくちゃならぬと考えております。  そこで、その反省点は三つございまして、一つは、やはり列車体系が非常に複雑であったと。現在、ある程度私どもが過去の施策によって成功いたしてまいりました列車体系といたしましては、物資別専用貨物列車、あるいはフレートライナー貨物列車、こういう体系はサービス部門においてもそう落ちませんし、確実の面におきましても、事故等その他がございますれば別でございますが、かなりの競争力を待つサービス力を持っておったということでございまして、まあ四十八年度以降の経済変動では落ちておりますけれども、これはトラックも落ちておりますし、内航海運も落ちておりますので、それまでの傾向から見ますと、この二つの列車は今後も大事に育てていく。  問題は、コストダウンをやります場合の一般車扱い問題について、非常に現在まで設備投資も十分ではございませんでしたし、かつまた非常に複雑な列車体系をつくってきた。これは一つの試行錯誤でございまして、何とかしてトラックとサービス面においても競争しようという意欲のあらわれでありましたですけれども、体系自体が結果的には非常に複雑になりまして、御存じのとおり、構内作業につきましても入れかえ回数がふえる、あるいは従事員の入れかえ作業が非常に複雑になるというような形で、コストアップをむしろ招いてきたということでございますので、この一般車扱い貨物を何とかしてコストダウンをしたい。  それにはどうしたらいいかということでございますが、いま具体的ないろいろの問題を現地と打ち合わせをいたしまして具体的策定を現在いたしておりますが、大きな方向といたしましては、いままでやってまいりました貨物集約というものももう一度反省して、厳しくやっていかなくちゃならぬ。あるいは現在相当暇なヤードもございますので、これらの統合もきちっとやっていかなくちゃならぬ。それには労使一体となって、相互の協力を得てやっていきたい。こういう一番にコスト面を徹底的に見直したいということが一つでございます。  二番目は、もう国鉄の貨物運賃制度といいますのは非常に長い歴史を持っておりまして、非常に硬直化をいたしております。したがいまして、まあ送ってやるというような、昔の独占的なまだ制度も残っておりますので、これを積極的にいろいろと総裁の御指示を受けておりまして、弾力的に運用をして本当に商売上の制度にしたい、商売をやっているという前提の上での制度、運賃制度にしたいということを考えておりまして、かなりの弾力的な運用を今後思いきってやっていきたい。これによってかなりの需要は確保できる。現実にいろいろと今度値上げに際しまして私ども荷主調査もやっておりますし、いろいろと荷主さんの意見その他も私の耳にも入っておりますし、各管理局にも相当の資料がございますが、まあいろいろ苦労はございますけれども、弾力的運用をやることによってかなりのものが確保できるというふうな見通しもつけております。  三番目は、やはり総裁が申しましたように、トラックと単に競争するということではなしに、流通全体のコストを下げるために国鉄も力をかさなくちゃいかぬ。せっかくいろいろとターミナルも持っておりますのでトラックも利用できる、あるいは国鉄も利用するというような、総合物流の中で全体のコストを下げるために国鉄もひとつ一生懸命やっていけば、おのずと荷物もふえてくるだろう。現に、これはささいな例でございますけれども、現在フレートライナー列車でトラック業者が利用していただいておりますのが、通運とトラック全体の中の三六%利用していただいておりますので、こういう傾向を助長していくことによって収入の増加を図り、一方コストダウンをやることによって五十五年度、五十六年度の初めには直接経費はぜひ賄いたい。で、一人前の体制として大きな顔をして商売をしたい、こういうふうに考えております。
  132. 三木忠雄

    三木忠雄君 非常にいい答弁ですけれども、本当に私ども横から見ればバラ色じゃないかと思うんですけれどもね。だけど、確かに貨物の問題は、これは国鉄だけに背負わせなければいけないような問題だけで解決はできないと思うんです。したがって、この貨物運賃の今回の値上げによって他の交通機関との競争関係、いまでも大分だめなんでしょう、ざっくばらんに言って。これはさらに貨物運賃の今度の五〇%ですか、この値上げ、あるいは来年このままゆくとまた値上げという形を予想するわけでしょう、この旅客と一緒に。こうなった場合に競合関係、競争関係はどうなっていくかということについてはどう当局は考えてますか。
  133. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私、昭和四十年度を基準として調べてみたわけでございますが、これは確かに実態の問題とタリフの問題——運賃表の問題とは違うと思いますけれども、区域トラックは四十年を一〇〇とした場合にどれぐらいの運賃値上げがされておりますかといいますと、約一七〇程度になっておりますし、それから路線トラックはどれぐらいの運賃になっているかといいますと、昭和四十年を一〇〇としますと一八〇強ぐらいになっておりまして、国鉄の場合はどうかといいますと、もうすでに御存じのとおり、四十一年と四十九年わずかな値上げをいたしましたために、わずか四〇%弱の値上げしかやっておりません。しかしながら、両端を受け持つ通運の料金は約二二〇ぐらいの値上がりになっておりまして、通運料金と鉄道運賃が全体で占める割合というものを半々と見ました場合に、国鉄運賃を五八・六%上げまして、大体区域または路線とちょうど四十年度の姿になるんじゃないかという見通しをつけております。  ただ、先ほど言いましたように、確かに反省はいたしておりまして、一般車扱いについて相当激減をした。特にコンテナ、あるいは物資別につきましては、四十八年度まではある程度の、そう急増はございませんでしたけれども、順調な伸びを示してきましたが、その一般車扱いの面について確かに大きくダウンをしたということについては、先ほど申し上げましたように、私どもできる限りの範囲内で努力をしなくちゃなりませんし、そのためにはもちろん設備投資もある程度入れてもらわなくちゃならぬというふうに考えておりますし、さしあたって運賃値上げをいたしますと、当初一〇・八%の減少というふうに私ども計算しておりますが、大変冷や汗をかいて一生懸命力を入れてやらないと、それを確保するのはむずかしいという現実は十分承知いたしております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いろいろの総裁からの指示もありまして、荷主調査もやりまして、誠意をもって現在いろいろと折衝中でございますので、極力その計画どおりのダウン程度にとどめたいということで努力をいたしております。
  134. 三木忠雄

    三木忠雄君 総裁ね、経団連へ行って貨物輸送のことでいろいろ講演なり話し合いをされてきたわけですね。この貨物輸送の将来について総裁はどう考えてますか。
  135. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先般も申し上げましたように、貨物については民間有識者の見解が二つに分かれておるわけでございまして、現在もう国鉄は貨物輸送には向かないんだからということで、いわゆる安楽死論というのがあることは御承知のとおりでございます。また反面、エネルギーの面、あるいは公害対策の面から言いまして、トラック輸送には限界があるので、もう一度貨物が見直されてしかるべきものだという御意見があるわけでございます。  私は、基本的には中長期に考えますと、やはり鉄道の特性といいますか、メリットを十分認めていただいて貨物に乗せていただくということが重要でございまして、決してここであきらめるといいますか、投げ出すといいますか、そういう姿勢であるべきではないと思っております。ただ問題は、最盛期に比べまして大体荷物の量が七割ぐらいに減っておるわけでございますのと、また、輸送距離から言いましても同じく減っておるわけでございますが、それに対応するこちらの能率的な姿勢というものができておりませんので、長期的には大いに鉄道による貨物輸送に希望を持ちながら、短期的にはいろいろな組みかえをやりましてコストダウンを図るということをまずやっていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  136. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄自身としてこの貨物の近代化、合理化のために、あるいは設備投資としてどのぐらいの将来にわたって投資をしていく計画なんですか。
  137. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 非常にラフな数字でございますけれども、大体私どもが積み上げた姿では、五十六年度ぐらいまでには五年間ぐらいで四千億ぐらいの投資をしていきたいというふうに考えております。もちろんこれは継続も入ってございますけれども
  138. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうすると、これで四千億ぐらいの投資でこの五十五年の固有経費は賄えると、そういう想定の恐らく投資だと思うんですけれども、そう読んでいいですか。
  139. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) そういうふうに私どもも考えております。
  140. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうすると貨物輸送は、いまの総裁の考え方からいって安楽死論じゃなしに、いまの貨物輸送の微増傾向、微増程度の投資、あるいは輸送量という感じで考えているわけですか。あるいは微減ですか、あるいは減少ですか。学者、各方面からいろいろな論議を聞くと三段階に分かれているわけですね。廃止論と、あるいは中庸と、微減論といろいろ分かれているわけですけれども、この四千億の投資でいくと微増ですか、あるいは微減対策ですか、どっちですか。
  141. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 先ほど申し上げましたように、五十五年度まではある程度着物を一枚ずつ脱いでいく姿になろうかと思います。それで、できるだけ収入減をとどめて、もちろん運賃値上げも適当にさしていただきますが、ある程度のダウンは免がれないだろう。しかし、一応体制が整います五十五年度以降につきましては、かなりの貨物の栄養もつきまして基礎力もできますので、経済の成長が大体安定した経済成長であれば、その伸びに合わせた成長はしていくものであると、また、させなければならないというふうに考えております。
  142. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうすると、よく総裁が言われているように一万五千人の合理化とか、こういう問題と、あるいは貨物駅の集約化、こういう問題がサービス低下だと、こういういろいろな意見が分かれているわけでありますけれども、こういう点については具体的にどう進めていくんですか。
  143. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 貨物駅の集約といいますのは、やはり赤字線の廃止と同様に全くむずかしい問題であることはよく御了解いただいておると思いますが、しかしながら、しばしば大臣が言われますように、余裕があって経営をしているわけではございませんで、一日一車ないしは二車、あるいは三車というふうに非常にコストのかかる駅につきましては、できれば集約駅をきちっと積みおろし設備その他を整備いたしまして、そしてそこへ集まってきていただいて、そこから集約輸送をやりますれば鉄道のコストも下がりますし、荷主さんにとっては、あるいは通運料金が余分に高く要るかもわかりません。そういう場合、じゃあ、どういう知恵を——荷主だけにしわ寄せしていくのかどうかという問題がございますが、これも現在通運業の代表の方々とも話し合いまして、どういう形で集約を進めて、できるだけ荷主その他の負担の影響が少ないように知恵を出してやっていくかという形でいろいろと具体的詰めをやっておりまして、そういう一つの出てきました知恵に立ちまして、やはりその集約は、私どもとしては、現在千六百でございますが、千単位ぐらいを大体目標にしてやっていきたい。  しかし、これも現実的に詰めますのは現地管理局でございますので、道路事情とか、あるいは駅のアプローチとか、あるいは集約駅にどういう設備投資をしていったらいいかという具体的詰めをさせておりますので、最終的にはどれくらいの集約駅になりますか、これは現在申し上げられませんが、目標としては大体三割ぐらいは減らしていきたいと、こういう考え方を持っております。
  144. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ赤字線と同じぐらいに考えますと、やはり貨物の駅の廃止ということは、地域住民にとって非常に問題になるわけですね。この集約化の問題で国鉄はもう少しうまい方法はないのか。地域住民にどうも集約化されるということに対する反発が非常に強い、こういう声を聞くんですね。この点でもう少し合理化が近代的にできないものかと、こう私たちも思うんですけれどもね。この五十五年までに実際そういう形でこういう経費が賄われるためには、やっぱり千駅ぐらいに縮小しなければできないと、こういう見通しですか。
  145. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) そのとおりでございます。
  146. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、これの削減によってどのくらい人員が削減されるのですか。
  147. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) まだ具体的に——非常に細かく現在詰めさせておりまして、これはいずれこの前の委員会総裁が申しましたように、二カ月以内で組合に提案をいたすことになっておりますので、いま詰めておる最中でございますので、全体としましてとにかく私どもが決意いたしました五十五年度までに一万五千人程度の減員という形でやらなければ貨物は生き残れないという意識を持っておりますので、具体的ないま幾ら幾らと言われますと、ちょっと恐縮ですが答えられませんが、そういう方向でいま詰めております。
  148. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ一万五千人の合理化という問題は、これはまた労使の問題で非常に大きな私は問題じゃないかと思うのですね。貨物輸送の減少傾向を私どもいろいろ分析しますと、これは兵庫県なんかのある生活協同組合の意見を聞いてみますと、確実に着かないというような問題が非常に大きいわけですな。その中で何かというと、やっぱりストによる影響というものが非常に大きいのですよ。この問題は今度の合理化の問題とあわせてどうにもならぬと思うのですね。これ本当に労使関係が前進できるかどうかということは、私は非常に疑問な問題だし、果たしてそれにどう対応するかという対策は非常にむずかしい問題だと思う。具体的にこのストによって貨物がどれだけ運賃が上がらなかったのか、ちょっと数字示してくれますか。
  149. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 失礼いたしました。ストによる減収額の推定を申し上げますと——貨物だけでよろしゅうございますか。
  150. 三木忠雄

    三木忠雄君 はい。
  151. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 四十八年度百十億でございます。四十九年度六十六億でございます。五十年度百二十二億でございますが、私どもはこれはスト期間で上げられるべきであった収入だけをはじいておりますので、現実にストの影響によりましてトラックに逃げてしまったというものについてはこれには入れておりません。
  152. 三木忠雄

    三木忠雄君 こういう問題は私、今後の合理化問題とあわせて、また再びこういう問題を繰り返すようなことがあってはならないと思うのですね。したがって、組合との話し合いをもう少し慎重にやってもらいたい。これは後で運輸大臣にスト権の問題で私ちょっと質問したいと思っておりますけれども、ストをやる労働者側ばかりを責めるわけにいかない問題があるわけですね。だからといって、ストをやってしまった結果というものは、やはり荷主に大きな影響を与えて、もう荷主の国鉄信頼度というものはどんどん失ってきているわけです。ある新聞で読んだ、山口県の美祢線、宇部興産に運ぶあの貨物列車はスト期間中、あのスト権ストの間も動いておったというんですね。やはりああいう問題は現場の長と組合との話し合いが非常にうまくいき、国鉄というものを真剣に考えている一つの私はあらわれじゃないかと。このままいけばもう貨物線を廃止せざるを得ないと、こういう実態に追い込まれた実態がああいう結果を生み出しているんじゃないかと思うんですけれどもね。そういうストの問題を真剣になって考えなければ、国鉄の貨物輸送幾らがんばってみても、こういう問題もやはり一部の私は減少の要素ではないかということを考えるわけです。  それともう一つは、貨物の運賃制度の問題、私たちは今回いろいろ調査をし、国鉄を使う貨物輸送というのは基礎産業の材料が非常に多い。こういう点を考えると、法定でどんどん縛っていくだけでは荷物はどうにもならぬという感じを私たちは実は実態調査をして確認しました。そういう点では、やはり認可にもう踏み切るべきではないかというような感じを私たちは持っています。こういう点で貨物の将来の対策、こういうストの問題あるいは貨物の料金制度の問題あるいは貨物の輸送量のいろいろな減少傾向が、他の交通機関との競合の問題をどう料金で調整していくかという、やはり運輸審議会の料金改定の問題が私は大きな問題だと思うのですよ。こういう点について国鉄総裁としてどういう見解を持っているか、伺いたいと思います。
  153. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いろいろな問題がありまして、それによって貨物のお客さんが国鉄離れを起こしたわけでございますが、その中でただいま御指摘のように、安定輸送ができないということがありまして、事実トラックと鉄道と比べてどっちが安いかといって計算すれば、鉄道の方が安いんだけれども、しかし必ずしも確実でなかったと。これは必ずしもいわゆるストというようなことでなくて、小規模な労使紛争等もございまして、そのためにうまく荷物が着かなかったというようなことがありまして、だんだんお客さんからきらわれたというのは事実でございます。したがいまして、安定輸送を回復することができますればある程度、たとえば今回のようなかなり大幅な値上げがございましても、国鉄を利用する気持ちを持っているんだという荷主さんもたくさんおられるわけでございます。と同時に、ただいま御指摘がありましたように、地域によりまして、また商品によりまして非常に採算が違うわけでございまして、個別のA地点から個別のB地点まで仮に距離が同じでございましても、道路事情とか、トラックの事情とか、工場の立地の条件とかいうことによりまして、鉄道が有利な場合とトラックが有利な場合とあるわけでございますので、何らかの方法で現在のような均一的な運賃制度を考え直さしていただきたいという気持ちを持っております。  旅客の場合以上に本来経済的な理由だけでトラックを選ぶか、貨物を選ぶか、あるいはまた船を選ぶかという選択の自由が荷主さんの方に明確にあるということでございますので、お客さんのように飛行機が好きだとか、汽車が好きだとか、そういうことがありませんものですから、やはり地域と品物に応じて、ある種の弾力的な対応ができるような道をお聞きいただきたいものだと思いますけど、まだ私どもの勉強が十分でございませんので、大至急勉強いたしまして、そういうことも貨物問題の再建のためにお願いをする時期がくるのではないかと思っております。
  154. 三木忠雄

    三木忠雄君 私のこれは意見ですけれども、たとえば通運業者、いままで通運だけで十分やっていけた業者なんですね。ところが、日通一つ例にとってみても、今度はトラック輸送の方に主力を置いてきているわけでしょう、通運じゃどうにもならぬから。こういう問題で、片やどんどんトラック輸送の方を認可していく。通運業の本職を忘れてトラック業の方をどんどんどんどんやっていくという問題で、国鉄の貨物を通運業者の方がとってしまって相互調整ができていないような問題が非常に私たちは素人考えながら出てくるわけですね。こういう問題が、私が朝から言っているように、総合交通体系というのはいかに大事かというような問題が、私は調整機能がないということを絶えずこの貨物の問題でも指摘できる問題ではないかということの意見を述べておきたいと思うんです。  もう一つ、参考までにいろんな学者の意見、あるいは貨物輸送を分析したいろんな学者の意見を聞きますと、貨物駅のヤードですね。あれが余りにももったいないという意見が、これ素人考えながら、またいろんな学者の意見もそういう意見があるわけですね。たとえば東京の汐留駅、あのままほったらかしているのは空中権もったいないという——不動産屋の意見かもしれませんけれども、いろんな問題点が私は指摘されると思うんです。将来の五年間の近代化、合理化の中で、こういう貨物駅の離合集散というような問題が私は出てくるのではないかと思うんですね。これは用地の使用の問題で後でもお聞きしたいと思いますけれども、たとえば東京都内の貨物駅、汐留駅を含めて将来どういうふうにこの後の五カ年の固有経費を賄うようなためには東京駅周辺の、東京だけの貨物駅を一つの例にとって、どういう形に展開されてくるのか、具体的に教えてもらいたいと思うんです。
  155. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私どもこのように考えております。  まず、山手貨物で現在残っておりますのは巣鴨、これは青果市場でございます。池袋、新宿、渋谷、恵比寿、大崎、品川、それから汐留でございますが、すでに大塚、目白、秋葉原につきましてはそれぞれ集約地に転移をいたしております。で、いま考えておりますのは、東海道貨物別線ができました暁には巣鴨、池袋、大崎、品川の四駅につきましてはそれぞれ汐留、あるいは田端という形に移っていかざるを得ないであろう。で、そこでいい列車を仕立てて、山手のローカル貨物はできるだけ切らなくちゃならぬと、こういう考え方を持っております。しかしながら、あと残ります恵比寿は専用線がございますし、渋谷、新宿が残るわけでございますが、御存じのとおり山手貨物線は私ども将来推測いたしますと、現在の近郊からの通勤線に使わざるを得なくなるんじゃなかろうか。で、すでに武蔵野線が貨物としては代替ができておりますので、この三駅についても、先ほど申し上げました四駅と、遠からず廃止しなくちゃならぬ。これをどういう形で集約をするかという問題が一つございまして、その場合には当然線路はあくわけでございますが、むしろお尋ねの場合に貨物取扱駅の広大な用地をどうするかということでございますので、一部はあるいは通勤用のホームとして使われる場合もあろうと思いますが、そういう場合でなしに取扱駅そのものがまるまるあいたという場合につきましては、やはり国鉄の収益を上げるために、いま運輸大臣からも発想の転換ということを言われておりますし、総裁からもいろいろ指示を受けておりますが、収益の上がる形のものを早急に計画としてつくり上げていきたい。  さらに、山手線全体については上空使用という新しい考え方もわれわれいろいろと研究いたしておりまして、特に部外の人のいろいろの知恵を借りながら、どうしていったらいいかと、非常に高い土地の上空を遊ばせておくのはもったいないじゃないかということで、山手線の、特に貨物線の上空の使用問題それから、汐留はそういう形で一応使われますけれども、山手線の各駅の集約駅として汐留は一応考えておりますけれども、まだ東京ターミナルにも用地がございまして、現在の鮮魚市場あるいは青果市場が——東京市場でございますが、それがあるいは大井の方に移りますれば、現在の汐留の約三分の一ないし半分の使命は終わると思いますので、その場合にどういうふうに汐留を大きな将来の国鉄計画、貨物のみならず全体の計画としてどういう形にするかということについては、いろいろとまた担当の方で研究いたしてもらっておりますが、タイミングといたしましても、早急に汐留の上空をあのままで遊ばしておくというのはもったいないじゃないかということで、われわれとしましてもいろいろと勉強しておる段階でございます。
  156. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、具体的にこの問題は私は聞こうとは思っていませんけれども、やはりこういう問題が全国的に、私たちは全国動いておりましていろいろ目につくわけですよ。名古屋の笹島にしても、大阪にしてもいろいろな問題点があります。この点で、貨物輸送の収益を上げるという、あるいは合理化、投資を拡大していくという立場にしましても、よく検討をしてもらわなきやならない問題で、何か何年かかっても同じような状態であったと言われているのでは困る。私も毎朝電車通勤しておって、あの国分寺駅見ておりましてね、西国分寺駅に貨物駅できておりまして、あそこは何やっているんだろうという感じを私もいろいろ持つわけですね。こういう問題が前から運輸大臣が言っているように、いろいろ国民には目についているわけですね。  そういう点でもう少し国鉄の企業努力というものは、できるところはしなきゃならないと思うのです。やっぱり組合との話し合いもよくする、あるいは民間との企業の調整も、民間を圧迫するような問題の制約もいろいろあろうと私は思いますけれどもね。余りにもちょっと広大な土地を持ち過ぎて、またいいところばっかり持ち過ぎて、もてあましているのじゃないかというようなささやきすら聞かれるような状態では、私は後で指摘しますけれども、あの新宿の一等地も、四十三年に私らの運輸委員会でやった、あの問題、やっと開店したような状態でね、まああの対応考えてもずいぶん対応が遅過ぎるなあという感じを実はするわけですね。こういう点はもう少し努力をしてもらいたい。これはつけ加えておきたいと思うのです。  それから運輸大臣に伺いたいんですけれども、公共負担の問題この問題の中で、公共負担とは言えないかもしれませんけれども災害対策の問題ですね。私はいつも腑に落ちないのですけれどもね。災害が起こりますね。道路は国でやるのですよ。ところが国鉄はやらないんですね、国鉄は自己負担ですな。自己負担というのは語弊かもしれませんけれども。これらの災害負担をどうしてそういう差があるのかというような感じをいつも受けるわけですね。やっぱり緊急災害対策として国が全体的にそういうものを予期しなかった問題として、これは国が出すべき問題ではないかというような感じを受けるんですけれどもね。この点はいかがですか。
  157. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これを不思議に思うのはぼくも全く同感でありまして、港や漁港が破損すれば国費で直す、道路の場合も同様でございます。それから予備費なんかを災害のために使う場合も、農林省とか建設関係には使われる。で、軌道に故障が起こった場合はおまえの方でやれと。どうも私にはやっぱり腑に落ちない点でございますので、これはいままでの経過がどういう経過をたどってこういうふうになったのかを調査をいたしました上で、私も不当だと思います。そういう意味で善処をしたいと思っております。
  158. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはね、一つの例ですけれどもね。四国でこの前水害のときに山が崩れて列車が転覆した事故があるわけですね、死人を出した。ああいう問題の災害のときでも、結局は国鉄は受け身になった方ですな。あるいは道路、あるいはそこを開発したために水害が起こって列車が流されたと、こういう形ですね。こういう問題山とかそういう災害の対策費は建設省にうんと金出すけれどもね、受けた方の軌道の方には出さない。それで、ましてやこれは赤字、赤字、赤字で、そういう方向はどうしても応急にやらなきゃいけない。こうなってくれば、ますますほかの正常に運転し、あるいは正常な補修費をつぎ込んでいる費用までこっちへつぎ込まなきゃならぬ。まあ金額的には二百億か三百億。全体の予算から比べてみれば少ないと言えば少ないかもしれませんけれどもね。こういう問題が毎年ずっと積み重なっているわけですね。これはどうもわれわれ運輸委員をやっておる立場から考えてみても、どうもこれどうしてそこだけに災害問題がしわ寄せされているんだろうかという点を考えるわけです。これは過去の経緯についていままで折衝の結果というものは鉄監局長わかりますか。
  159. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 災害は公共土木施設だけじゃなくて、国鉄等にも起こるわけでございまして、従来のやり方は恐らく地方公共団体等の公共土木施設についてのみ国が災害復旧費の一部を負担するという考え方でやっておりまして、国鉄の場合は企業の中の問題であるということで別扱いになっていたのではないかと思います。この問題につきましては、いま大臣からお話し申し上げましたように、私どもとしても何か少しおかしいんじゃないかという感じは持っていたわけでございますが、この機会に十分検討させていただきたいと思います。
  160. 三木忠雄

    三木忠雄君 そのほかに運輸大臣、たびたびこの委員会でも出ておりますので、私くどく聞きませんけれども、公共負担の問題は今回決着をつけるという、決着といったら、結論を全部大臣にかぶせるつもりはないけれども、公共負担の問題について国鉄が不合理じゃないかという声は、これは国民全体の考え方ですね。これはいつまでもそういうふうな形で独立採算でやれというような形では、ちょっと納得できないような問題があるんじゃないかと思うんです。  この問題のけじめをどうつけるかということと、それからもう一つ、身体障害者に割引あるわけですね。私七十歳以上ぐらいの老人に、老人の日ぐらいはただで乗せる切符を出したらどうかと、こう思うんですね、故郷へ帰るぐらいの。そのぐらいの善政、国鉄運賃値上げサービスぐらい一つやってもいいと思うんですよ。そうすると、老人一人じゃ行かれないんで、必ず付き添いが要るんですよ。国鉄に乗るでしょう。収益上げることを計算しているわけじゃないけれども、老人にやっぱり老人の日ぐらい国鉄はただで乗せるぞと、こういう一つぐらいは善政があってもいいんじゃないかと。国鉄総裁、あるいは運輸大臣、伺いたいと思うんです。
  161. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 学生割引とか、あるいは身体不自由者等に対する割引、あるいは農産物、水産物に対する政策上の割引とか、地方ローカル線の問題もそうだと思うんですが、国鉄が長い間独占的地位を占めて、そして日本の代表的な優良企業であったわけであります。そういう時代に、その余力、余裕を持ってそういう公共負担を負担できたと思うわけです。それはそれだけの力があれば、金持ちの寄付みたいなものですからやっていいものだと思うんですが、今日のような状態になった場合は、独立採算制を要求されなければよろしいのですが、独立採算制を要求される以上は、やはり基本的にはそれぞれ政策実施部門において責任を持ってもらうべきものだと思います。これは、なぜいままで言われなかったのか、実はこれも私就任してみて非常に不思議に思うことでございます。恐らくそうでないかもしれません、公式の場において私のような立場にある者がそれを言い出したのは今回が初めてじゃなかろうかと思うんです。もうすでに猛烈な抵抗が、いや抗議が始まっておりましていずれ御協力、御声援を願わにゃならぬ。一遍にことしの年末までに全部片をつけろと、こう言われましても、いまのろしを上げたばっかりのところで、そののろしの世論化に努めていかなきゃなりませんし、そう一遍にやれとおっしゃられても、そういう自信はございませんが、のろしを上げることによって世論の支持を得ていきたいと、こう考えております。  それから、その筋でまいりますると、老人に対する保護ということは、一般的に言えば厚生省のやる仕事ということになるだろうと思います。そうしなきゃならぬものだと思います。厚生省の方はそういうものはお金でやるんだと、こういうことをよく言われておりますが、お金でやるならばそのお金の負担、国鉄に負担させる分はこっちへ払ってもらわにゃ困ることであります。ただ、いろいろなことをやります。たとえば即位五十周年記念のときに何か記念事業をやるというような意味と同じような意味で、老人の日に何十歳以上の人はだだにするとか、あるいはそのほかの記念日に何かそういう趣旨のものを考えるということは、これはいままで私が申していることとは必ずしも矛盾をしないと、こういうふうに考えますが、基本的にはそういう種類の負担はわれわれが、国鉄が健全な経営を続けておったときの負担、これについてはこういう議論もございます。それを国鉄だけに対して政策実行部門の負担にする場合、私鉄に対してどうするかというような議論。私はそれはプラスの勘定になっているか、マイナスの勘定になっているかで区別すればいい話。金持ちは寄付すべきであって、苦しい人たちにそれと同じようなことを強制することは間違いだと、私はそう考えておる次第であります。
  162. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、公共負担を国鉄に政策的にやるために、社会福祉の費用まで削ってこっちへ回せと言うわけではないんですから、その点は御理解をしていただきたいんですけれどもね。
  163. 石田博英

    国務大臣石田博英君) だけども、社会福祉の費用をその分だけ向こうがふやしてとって回してもらわなきゃ困る。
  164. 三木忠雄

    三木忠雄君 それは予算上の折衝の問題ですけれども、いまやっている分をそれからとってね、それをこっちに回すというわけにはいかない。
  165. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういうことを言ってるわけではないわけです。
  166. 三木忠雄

    三木忠雄君 それから次に、関連事業と不用資産の問題でお伺いしたいと思いますが、国鉄の業務範囲ですね、国有鉄道法の問題がありますけれども、この関連業務への投資というものはどういうぐあいになっているのか、この点についてまず伺いたいと思います。
  167. 篠原治

    説明員篠原治君) 関連事業の投資につきましては、国有鉄道法第六条並びに政令によりまして認められております事項につきまして投資をいたしております。現在のところ、投資いたしまして設立いたしました会社は合計四十六社でございます。
  168. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的にどういうふうなところまではできるんですか。いまのこの業務範囲というか、法規上。それから、どういう点が法律的に縛られてできなくなっているのか、何によってんのか、それも。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  169. 篠原治

    説明員篠原治君) ただいま許されている事項だけまず申し上げます。主なものだけ申し上げますと臨海鉄道バスターミナル、駅ビル、それと貨物関係の施設がございます。たくさん項目がありますけれども、主なのは以上のとおりでございます。政令で定められております。
  170. 三木忠雄

    三木忠雄君 これを拡大するということ、たとえば貨物駅の集約の問題もありますね。こういう点でたとえば倉庫業とか、そういう問題に拡大するということは、これは違反なんですか。どうなんですか。
  171. 篠原治

    説明員篠原治君) 失礼いたしました。倉庫事業につきましてはすでに実施が認められております。
  172. 三木忠雄

    三木忠雄君 この関連事業でこれから国鉄がやろうとしている関連事業、さらに拡大しようというような問題は、何か計画を再建期間中に運輸大臣なり国鉄総裁から指示を受けて具体的に何かやっていることがあるんですか。
  173. 高木文雄

    説明員高木文雄君) たとえば駅ビルというような場合に、いまは駅の構内に限られておるわけでございまして、すぐ駅の前にある、たとえば踏切がございましても真ん中に道路がありますと、直接駅とつながっていないということで、いまのところはそこまでは手が出せないということになっているわけでございます。二つの角度から言って、この点についてはただいま研究をしておりますのですが、一つば駅の前の地域等につきましては、かなり都市計画との関連で、国鉄がじっとして動かないために都市計画がスムーズにいかないということで、いわば御迷惑をかけている分野がございます。で、そういう分野については、たとえ駅にすぐ隣接しておりませんでも、えらい飛び地ではいけませんけれども、駅の周辺で駅の業務と関連のある場合にはやらしていただくような方向をいま研究しております。  それからもう一つは、その場合に都市計画に協力するということのほかに、先ほど来またほかの先生からも御指摘がありますように、資産の活用を通じて国鉄財政に貢献するようなことを考えなきゃいけないわけでありまして、こちら側の資産活用の角度から、いままではだめだと言われていたものにまで広げていくということをお認めいただきたい。いまはさらにその業種につきましていま認められていないものを認めていただくようにするかどうかという問題があるんですが、いろんな問題がありますので、あれもこれもと言って一挙にできませんものですから、いまのところは、まずお願いをしたいのは、倉庫であるとか、値上げに関連する施設であるとか、そういう意味での種別はいまあんまり拡大する必要はないのじゃないかと思っておりますけれども、むしろ地域的に限定がありますので、そういう点をもう少し考えていただいたらどうかということで、具体的にあります個別な案件を頭に置きながら至急検討しているところでございます。
  174. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、国鉄の未利用地というのですか、こういうものの実態はわかってますか。どのぐらい活用できるのかですね。
  175. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま国鉄全体が所有いたしております土地は六億七千万平方メートルございまして、そのうちのちょうど三%に当たります面積が一応ただいま現在事業の用に供されておらないというのは三%でございます。そのうち一%分はいろいろ代替地に使ったり、あるいは公共機関と駅前広場に使うかというようなもので協議をしたり、あるいは私どもの事業計画で使いたいというようなことで検討しておりますものが約一%ぐらい。さっき申し上げた三%のうちの一%はそういうことで、残りの二%につきましては一応すでに線路を廃線をしたとか、あるいはその廃線敷に伴います鉄道林である、そういったような土地で、これは全く私の方はいま要らないというふうに判断している土地が国鉄所有地の中の二%ほどございます。  で、いま申し上げたように、大部分は廃線敷、あるいはそれに付帯いたします鉄道林等でございまして、なかなかこれは売却できませんけれども内訳、それは九〇%ぐらいはそういうものでございますけれども、残りの一〇%の中には、先ほどから御議論になっております貨物駅の跡地だとかそういう問題も含めまして、これは大いに早く売却をしたいというふうに考えております。
  176. 三木忠雄

    三木忠雄君 売却だけじゃなしに、国鉄がこの問題を有効に資産活用して、関連事業として拡大していくという、民業を圧迫しないという一つの条件のもとに、これはむずかしいいろんな問題が各現場現場ではあろうかと思いますけれども、関連事業の拡大ということが国鉄の増収につながる一つの私は問題ではないかと思うんですね。  それからもう一つ、地方公共団体。この間も白河に行ったときに、運輸委員会の視察のときに、市長さんからもいろいろ払い下げの問題が提案されておりましたけれども、こういう地方公共団体から、地方の公共団体として使うためにいま使わなくなった国鉄用地、こういうものを払い下げてもらいたい。——払い下げというのは言葉が悪いかもしれぬけど、再利用というのか、そういうふうな提案が大分出されているんじゃないかと思うんですね。こういう問題についての処理はどう考えていくんですか。
  177. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 私の方でただいま申し上げました事業に用されてないその三%の土地につきまして、これは地方公共団体等からいろいろ駅前広場、あるいは駅前広場に対する区画整理事業の換地等に非常に要望の強い個所が全国たくさんございます。私の方は、まず地方公共団体になるべくまとまった土地をまとめて御利用いただくのがよかろうということで、まず地方公共団体にこの土地の使用方についていろいろ実は協議を詰めて、まず地方公共団体に売却をしたいという考え方で、それ以外地方公共団体の必要でないところについては、極力競争入札等によって売却をいたしているというのが実態でございます、事実最近三カ年間に、私の方で、国鉄で売却いたしました用地は、金額にいたしまして約三百三十億円ほど売却いたしておりますけれども、その売却いたしましたうちの約八割に相当する二百六十億円は、地方公共団体に売却をして御利用いただいているというのが実態でございます。
  178. 三木忠雄

    三木忠雄君 さらに、この五十一年度の申請三百件あるわけですね、こういう問題についての処理も本年度中にやるんですか。
  179. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま五十一年度として地方公共団体から申し込みを受けておりますのはいま先生のおっしゃいますとおり約三百件ほど、金額にいたしまして約六十億円ほどの売却の申し込みがございます。ただ地方公共団体は最近自体の財政が非常に苦しいということで、一昨年ほどまでは大体予定のとおり地方公共団体には売却できましたけれども、昨年及びことしはおそらくこの年度末近くになりませんと、これはなかなか必ずしも予定のとおりいかない点がございます。それで、そういう点については私どもは一応確保しておいて、ことしうまくいかなければ、じゃ来年どういうふうにいたしましょうかというお約束をして、その土地は確保しておくというふうに考えております。ただいまのところ三百件ほど地方公共団体からの申し込みが本年度まいっております。
  180. 三木忠雄

    三木忠雄君 これで運輸大臣に、あるいは国鉄総裁に伺っておきたいのは、これから資産活用のために駅ビルとかいろいろなものをつくる運輸大臣方針を示したわけでしょう。ところが、ビルをつくっても、もうかるのは一部の人だけなんですよね。何かここはもう少し検討しなきゃならない問題だと思うんですね。それと、いまの国鉄の職員構成を見ますと、四十五歳以上五十五歳までの人が約五割前後あるわけですね。これはやはり満鉄などから引き揚げてきた人たちを吸収したといういろいろな理由があるんでしょうけれども、関連事業との関係でやはり公企体の職員が公団とか、国家公務員の方に出向する場合には、年金は通算されるわけですね。ところが、国鉄の職員の出向規定というものは厳格にとめられてしまっているわけですね。  したがって若い層の、あるいは能力のある人たちの出向というようなことはできないような法律になっていると私聞いているわけですけれどもね。せめて優秀な能力の人たちが四十五歳から五十五歳までの間にずっといらっしゃるわけですね。これはいろいろ組合との話し合いもあるでしょうし、いろいろな仕事の力の問題もあるでしょうけれども、四十五歳から五十五歳までの人たちのやはりこの層の能力を生かすという方向で、私は関連事業等の関係、あるいは出向というような問題を考えていけば、国鉄財政上の問題もあるし、本人がやはり仕事の、若い人たちがまたいろいろな機構に上がってくるというような問題もあるでしょうし、あるいは出向してもとへ返ってきて、定年後にまたそこへいろいろ勤められるというような問題も考慮してあげれば、定年後のいろいろな救済策にもなってくるのではないかと思う。  ただもう上だけではなしに、やはり長年働いてきた国鉄の四十五歳から五十五歳までの層が約五割を占めているわけですね。こういう人たちをどういうふうに関連事業との関係で、あるいは出向という形の問題、法律上で縛られて何か行かれないような形になっているらしいんですね。したがって、国鉄再建期間、たとえば十年期間はそういう法律でもつくって、希望者をそういう方向でどんどん能力を生かしていくという方向で関連事業の方に出向し、帰ってきてもまたそれが通算して年金も受けられるというような形、身分は保障するという形に法律を改正してできないものだろうかと、私は素人ながら考えるんですけれどもね、この点について。
  181. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 前段の資産の活用の問題でございますが、これは別にいまの報告を私は疑うわけではありませんけれども、角度が違い、見ようが違うと数字の出方もまたいろいろ違ってくると思うのです。それから、実際利用はしておってもほかの利用の方法がある。もっと効果的な利用の方法があるじゃないかという考え方で見れば、そういう意味においてはその資産はある意味においては未利用資源に入るんだと思う。もっと有用な方法がある。だから、私の方といたしましては、日本じゅうのことを中央で一遍に調べるわけにいきませんので、広く国民に、あんなところにむだな物がある、あんなところもあんなむだな使い方していると、こういう利用の方法もあるじゃないかというようなものを集める準備を、そういう意見を集める準備をいまさせておるところでございます。もうすでに私どものところへ先ほどお話がありました都市計画との関連ですね、仙台なんかからも、東の方を開発しようと思って、海が東にありますから。と思ってもその前に、間に国鉄の倉庫とか、現在走ってない路線とかがいっぱいあってじゃまになるという話も出ておる。しかし、それは恐らく帳面の上から見れば利用している方に入っているんだろうと思うのですね。そういう考え方で資源の、資産の有効活用を図りたいと思っております。  それから、さあその経営を一体どういう形にしたらいいか、これは非常に大きな疑問、問題点であろうと思います。たとえば駅ビルとか、駅の中のいろいろなデパートとか、そういう施設の重役がほとんど国鉄の出身者で占められているところが多いような傾向のようにも見受けます。いままでこういう業務をやってき、しかも、その業務姿勢が独占の上にあぐらをかくような姿勢でやってきた人が、より以上激しい競争の中に立って一体勝ち抜いていけるかどうかという問題、それよりは経験のある人を行かした方がいいじゃないか、こういうような意見もありますから、そういう点はやはり検討を要すべきことじゃなかろうかとは思います。  それから第二点のうちの法律的な部門は鉄監局長から答えさせますが、考え方としては、やはり私は将来、よく天下りがどうだこうだという話がございます。甲級、上級の場合はどうも感覚的には違うようでありますけれども、一定年限で職を離れなきゃならない場合、特に日本のように急速に平均寿命が延びている状態のもとにおきまして、後のことを考えてやらなければならないということは申すまでもないことであります。それからもう一つ、いまお示しのように政令、あるいは法律によって出向、その他人事の交流が不可能であるというようなことがもし、これはどうだかいま答弁をいたさせますが、もしあるとするならば、これは世の中に言われる批判を受けているいわゆる国鉄一家というか、そういうものの温床にもなると思う。これは当然検討しなきゃならないことだと考えております。
  182. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ご質問の趣旨を関連会社に対する国鉄職員の出向ということに限定いたしますと、現在もうすでにやっておりますし、法令上の制限はないと考えております。今後国鉄の事業をふやしまして、関連しないような事業、国鉄の業務に直接関係のない事業まで国鉄がいろいろできるというような場合には、あるいは法律的な手当てが必要かと思いますけれども、現在国鉄が出資いたしておりますのは、国鉄の業務に関連のある会社への出資でございますので、そこへ国鉄職員が出向する場合には特に制限はございませんし、年金等の問題もございません。
  183. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 国鉄日本国有鉄道法で私ども考えておりますのは、三十二条に「職員は、全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない。」ということになっておりまして、いま鉄監局長から説明ございましたように、非常にその範囲が限定されておるということでございます。と申しますのは、それは専念義務を果たすためには出向してやる業務が、国鉄の中の業務とほとんど国鉄にとって変わらないということでなければ専念の業務ということにはずれますので、その意味におきましてかなり出向につきましては、この専念義務の法解釈の問題で私どもの方はシビアに考えております。
  184. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、三十二条の解釈でほとんど出向できないという話を聞いているんです。そのためにあえて提案したんですけれども、これは、たとえば名古屋ターミナルビルとか、新宿ターミナルビルには出向何人か出ているんですか。具体的にわかりますか。
  185. 篠原治

    説明員篠原治君) 各一名でございます。
  186. 三木忠雄

    三木忠雄君 一名じゃ監督に上だけちょっと行っているだけで、もう少し、ただ上だけ行くんじゃなしに、一般職員までも行って、定年後もそこで、そのポストでちゃんと将来やっていけるという形の、老後対策という言葉は悪いかもしれませんけれども、十年間なら十年間、五年間なら五年間、三年間なら三年間行っても、また定年後もそこで再就職できる一般職の人ですよ、幹部じゃないですよ。そういう点が、この専念義務と出向の問題が私はちょっと微妙に絡んでくるんじゃないかという感じを受けているわけです。これのやはり法解釈をもう少し拡大しなければ出向はできないんじゃないかというように、専念義務違反になるんじゃないかというこの点が私はちょっとわからないんです。この点について、鉄監局長もう一度。
  187. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、国鉄が出資いたしておる会社は国鉄の業務に関連のある会社でございますので、そこへ出向することについては、専念義務違反にならないという解釈をとっておりますけれども、いま田口理事からの答弁もありましたように、国鉄内部では相当厳格に運用されているということでありますので、法制局等とももう一度相談いたしまして、その解釈を明らかにいたしたいと思います。また、もし非常に厳しく読まなきゃいかぬということであれば、先般来大臣がここで御答弁申し上げておりますように、国有鉄道法の改正を含めまして検討させていただきたいと思います。
  188. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、私ちょっとこの問題保留しておきたいと思うんです。これは非常に重要な問題なんです。国鉄職員の出向の問題というのは、一般職の人たちが五十五歳定年というような問題を考えますと、出向したら年金がつかないというような形になってきますと、非常に老後が不安だと、こういう問題になってくると思うんです。やはり国鉄の四十五歳から五十五歳までの五〇%を占める人員を再配置するという立場から考えましても、能力を生かすという立場についても、そういう規定が明確になっていなければ、国鉄側はシビアに考えている。こういう問題がやはり関連事業をふやしていくあるいは増収計画と、こうなってきますと、一人や二人行ったんだけでは何にもならない。ただ形に行っているというだけの問題であって、実質的なそういう方向に管理までやれるという形の関連事業の拡大、首切りばかりやるという感じじゃなしに、そういう方向に人員を配置していくという考え方で、やはり合理化というんじゃなしに、組合との話し合いをよくして、老後の保障まで考えたいろんな点の拡大方針を、私はいまのこの法規上の厳しい制約から緩和すべきではないか。あるいはどうしてもできなければ再建期間中十年間、特に年齢層は四十五歳から多いわけですから、この期間中に出向規定をどうするかというような問題は運輸省、国鉄で詰めてもらいたいと、こう思うんですけれども、よろしいでしょうか。
  189. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、十分検討させていただきたいと思います。
  190. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、投資問題で伺いたいと思うんです。この政府の中期五カ年計画ですね、これに対して国鉄のこの五カ年の投資計画というものはどういうぐあいになっていますか。
  191. 馬渡一真

    説明員馬渡一真君) まだ確定した段階ではございませんけれども、前期五ヵ年計画の中でおおよそうちの分野として金額が見込まれておるということで申しますと、これは企画の時点が現行の時点でございまして、将来スライドしてございませんけれども、五兆九百億円という金額を一応予想いたしております。
  192. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣に新幹線の問題でちょっと伺いたいんですけれども国鉄の五兆九百億ですか、五カ年で。これの投資計画にはいろいろな形の投資があると思うのです。これは国鉄工事経費のプロジェクト別に見ると、大都市交通線から保安、あるいは公害対策、全部含まれてくるわけですね。そうしますと、新幹線の建設という問題について、高度経済成長時代につくった七千キロ、これは見直さなければならないというふうな、これ当然だと思うんですね。これで、運輸大臣として新幹線計画、この間も委員会でちょっと一部私も承っておりますけれども、改めてこの新幹線計画をどういうふうな構想で進めていくのか、まず伺いたい。
  193. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いまお話しのように、わが国が高度成長の時代、しかもその高度成長が、まあ永久とは考えないかもしれませんが、かなり長い間続くんだろうという、そういう想定のもとにつくられたものであります。ただ、他のAB線、その他の問題と同じように、鉄道建設審議会の議を経て一応決まっておるわけでございます。それをいま直ちに、この鉄道建設審議会を開いて修正するというわけにはいろいろむずかしいことがあることはお察しがいただけると思うが、しかし、減速経済の時代になって、しかも、新幹線が延長されていっている状態の、旅客の状況というのを見ますと、これはもう無計画な延長は第二の膨大な赤字原因をつくりかねない。したがって、実施の面において、実行に移す面において、ひとつ十分な配慮をしていきたいと考えておりますことが一点。  それから、まあ御質問からはずれるかもしれませんが、ほかの線につきましても、あっちにも手をつけ、こっちにも手をつけ、しかも、どれもこれもいつまでもできないということではなしに、やはり完成度の近い、営業開始の近いというところを先に手をつけると同時に、先ほどから何度も申しました状況変化によって、むしろそれを舗装して自動車道にした方が地方の利便になるものは、もうそういう判断を早くする必要があるんじゃなかろうか。いまは諸般の情勢上なかなかむずかしい段階にございますので、いま計画鉄道建設審議会を開いて急速に変更するということは困難でございますが、いま申しましたように、実施の面において情勢に合うように行いたいと、こう考えております。
  194. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、運輸大臣の構想としまして、まあこれはきょう、あすの問題じゃありませんけれども、いま東北新幹線、それから上越新幹線、これ工事しているわけですね。成田新幹線は、何かこの間の国土庁の発表では取りやめるということですね。私の聞き違いかもしれませんけれども、見違いかも。あるいは、青函トンネルはいま鉄建公団で掘っているわけですね。これはでき上がった時点には札幌と盛岡はできてなきやならないわけですね。同時にできなきゃ何のためにトンネルだけ先につくったかわからぬわけで、これを考える。それから九州の博多まで行っているけれども鹿児島まで、こういう問題がやっぱり要望が強いわけですね。政策の選択になっていくと私は思うのですね。これからは何でもかんでも、金があるわけじゃないわけですから、優先順位というものは当然出てくると思うのです。政策の選択が行われなければこれはできないと思うのですね。  したがって、運輸大臣として北をやっぱり先にやらなきやならないんでしょう。どうなんですか、南すか、こういうルートをどこまで洗い直してやるつもりなんですか。
  195. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほど申しましたように、これはうっかり具体的な名前を言おうものなら、ロッキードの灰色の名前と同じようなことで、そういうことがいまむずかしい状態にございますので、実施に当たって配慮をしたい。そして、その配慮の規定は、あの計画は高度成長時代につくったものであって、現在はもう客観情勢が違っておるんだ、その違っておる状態というものはこれから先ずっと続くんだ、そういう認識の上において、実施に当たって配慮を加えていきたいと、こういうことでございます。
  196. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的に伺いますが、東北新幹線、これは大体いつごろまでにできるのか、いま着工して盛岡までですよ。それから上越新幹線、これはいつごろまでにでき上がるのか。青函トンネル、これはいつごろまでにでき上がるのか、これを具体的に進捗状況と完成見込み。  それから、工事費を私は見直さなければならない問題じゃないかと思うのですよ。この間も白河に行ったときに、やはり工事費が四十八年ですか、算定したのは、東北新幹線が一兆六千億だった。いまはもう二兆円以上私はかかると思うのですね、物価指数から考えて。そういう点を考えて、やっぱり投資効率をよくしていかなきゃどうにもならぬと思うのですね、こうなってくると。いままでのような投資のやり方をやっておったら、物価上昇率の分だけ投資しておるという形になって、何ら全然進まなくて新幹線いつまでたってもでき上がらない、こういう形になってくるんじゃないかと思うのです。したがって、この具体的な工事費の見直しをやるのかどうか、それからいつまでにやれるいまの計画なのか、この点について。
  197. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず、盛岡までございますが、これは若干用地問題が今後どういうふうに進んでいくかということが残っております。大宮周辺、それから東京都に入りましてからの問題が残っておりますので、まだちょっと明確に、いつになりましたならば必ず開通をいたしますというところまで申し上げかねるわけでございますが、しかし、先ほどちょっとお触れになりました前期五カ年計画でも、五十五年までに何とかやるという前提になっておるわけでございますので、所要の資金を供給していただいて、五十五年までに何とかしなくちゃならぬというふうに思っております。  その場合の工事費の問題でございますが、御指摘のように、一兆五千億というベースは、少し前の物価を前提にしたものでございまして、物価の問題もありますけれど、その後実はば騒音とか、振動とかいうことについての環境庁の基準が新幹線について決まってまいりましたものですから、それに即応するように工事の内容を少し変えなければならぬ、つまり、いままでの設計よりももう少し公害に対する配慮から十分な初度投資をしておかなければならないということになってまいりましたので、一兆五千億とか六千億とかっていう数字では不可能になってまいりました。近々運輸省の方に工事費の改定をお願いしなくちゃならぬというふうになっております。  進捗率につきましては担当常務から説明をさせます。
  198. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 一昨日ですか、現地を御視察いただきまして、その際、先ほどちょっと御報告がございましたように、いわゆる用地測量をして現地にいろいろ作業を進めておりますのが、延長にして東京から盛岡まで四百九十六キロメートルのうち九二%が現在私どもが作業をしておる延長でございます。それから用地につきましては、所要の買収予定面積の八五%を買収済みになっております。それから工事を発注しておりますのは、これは延長にいたしまして、全延長の五四%の区間に、工事のただいま発注が済んだ区間が五四%ございますというのが進捗状況でございます。
  199. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと申しおくれましたが、実はこの東北新幹線ができませんと、私どもとして非常に困っている問題がございまして、と申しますのは、現在の在来線の列車の走ります頻度が非常に活発になっておりまして、大宮以北では、かつて東海道新幹線ができます前の東海道の在来線の頻度を超えるほどの頻度でいま車が走っておりまして、そのためにいろいろ十分な補修をとる時間が持てないというような問題がございまして、そういう点からいいまして、たとえば、ときどきお客さんの方から少し揺れがひどいじゃないかというふうな話も出ておるわけでございまして、そこらをどういうふうにしていくかという問題もありますので、少なくとも盛岡までの部分は早く完成することが望ましいということは、在来線との関係からいっても言えるわけでございますので、資金の供給さえ十分にお願いできましたならば、私どもの受け入れの立場では、先ほど投資したものが寝ておるのでもったいないではないかという御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございますが、それとは別に私ども列車運行、運営の関係から言いましても、なるべく早く完成をさせていただきませんと、在来線の方の運用もうまくいかないという問題があることをつけ加えさせていただきたいと思います。
  200. 篠原武司

    参考人篠原武司君) 鉄道公団で担当いたしております上越新幹線について申し上げますが、用地買収は七六%、それから工事は延長で五七%着手しております。総工事費が最近の値上がりで九千九百二十億ぐらいになります。それから五十一年度末までに投資するという金が大体四七%、四千六百十八億円になる予定でございます。それで、完成の時期は五十四年度と考えておりましたが、ちょっと延びて五十五年になると思います。  それからもう一つ、青函トンネルの問題でございますが、これは出水事故を起こして、非常に申しわけなかったんですが、最近復旧いたしまして、いま順調に進んでおります。それで、完成の目標といたしましては五十七年度を予定しております。
  201. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは運輸大臣、五十七年にトンネルできるんですよ、トンネルが。そうすると、トンネルだけあけておくという形になりますか、いまの状態でいきますと。この問題どうですか。
  202. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 青函トンネル、いま総裁から五十七年度と完成予定申し上げたわけでございますけれども、これは今後予算をどうつけていくかということによるわけでございます。先ほど来御指摘ありますように、トンネルを掘ることと、それから東北新幹線、北海道新幹線の延長とは一体に考えなければまずいわけでございまして、今後の予算の見通し等を考えながら、いわゆる新幹線についての方向を検討いたしたいと思っております。
  203. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうすると、青函トンネルをダウンさせるというわけですな、結論的に言えば。
  204. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ダウンするということを申し上げているわけではないわけでございまして、予算が今後どの程度とれるか、まだ見通しが立っていないわけでございます。総裁が答弁申し上げましたのは従来といいますか、相当予算がふえるという前提で判断をしておられるのではないかと思いますが、今後は予算をふやしましても、だんだん工事が中の方へ入ってまいりますので、進率も落ちてくるのではないかと思います。いずれにいたしましても、予算の見通しがつきませんと、最終的にいつできるかの判断ができないわけでございます。
  205. 三木忠雄

    三木忠雄君 私、この新幹線の問題一つ、あとAB線の問題、これから聞きますけれども運輸大臣、鉄建公団と国鉄関係を明確にしなければならないという声が非常に強いのですね。片一方の上越新幹線は、非常に金の方は政府の方が投資し、それからいろいろな財投でいけるわけでしょう、恵まれている方だね。朝日新聞の連載記事私もよく読ましていただきましたよ。確かにああいう声があちこちで聞こえるわけです。これは鉄建公団の総裁に悪いような言葉になるかもしれないけれども、私この際、ずけずけ言わしてもらいますけれども、本当に片一方はどんどんどんどん工事やれるわけですよ。国鉄の方は借入金でやっているわけでしょう。いま借り入れで二、三千億投資したって、全体の物価上昇率から考えたらほとんど工事が進まないような状況の投資しかできないわけです。それも借り入れでやっているわけです。  いわんや今回の十九日の発表じゃないけれども車両修繕費まで削るというような状態でしょう。それで新幹線はやらなければいけない。こういう実態の中で、この国鉄の借入金で新幹線をつくるということは、果たしてこれから国鉄の体質上できるかどうかという問題を、私は新幹線の建設に当たって、あるいは今後の新線建設、特に通勤線等の問題で後でちょっと聞きたいと思っておりますけれども、やはり基盤整備というような問題については、国で何らか考えなければならない問題じゃないかというような感じをするんですけれども、この点については運輸大臣、どう考えますか。
  206. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、その間の経緯を実は詳しく知りませんが、常日ごろからおかしなことだと思っておったことは事実でございます。その経緯については政府委員からめて重大な問題であると理解いたしております。東北新幹線、上越新幹線程度——程度というのはちょっと語弊があるかもしれませんけれども東北新幹線、上越新幹線の場合には、長期的に見れば収支相償うという見通しを持っております。しかし、今度つくります新幹線が果たして採算がとれるかどうかということになりますときわめて疑問でございますし、また今後つくります新幹線以外の鉄道新線が採算がとれるかどうかという点についてもかなり問題があろうかと思います。こういう今後の投資によりまして、国鉄の経営にさらに圧迫になってくるということであると、せっかく再建いたしましても、また健全経営が崩れてしまうということになりますので、今後の投資につきましては、いまの御意見も踏まえまして、十分慎重に検討いたしたいと考えておるわけでございます。
  207. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、私、具体的にちょっと計算してみたんですよ。単純に私の試案ですから、これいろいろ意見もあろうと思います、これは完璧なものじゃないわけですから。この鉄道の基盤整備、新幹線つくる問題について、これは鉄建公団が上越新幹線つくったいきさつ、よく私わかりますよ。新潟まで鉄建公団で間違いなくつくった、運輸大臣よく笑うけれども、よく知っている。おわかりの問題だと思いますよ。国鉄東北新幹線ですよ。東北が勝ったか、新潟が勝ったかという問題ですよ、これはね。そこまで私は、もういまさらこんな論議をしたくありませんけれどもね。片一方は政府が出資してつくっているわけです。片一方は借り入れでつくってこの赤字財政やっている。これは余りにも不都合な問題。いままではいままでとしまして、五十二年まで、たとえば再建までの間、投資はいままでたとえばやるとしても、それ以後の問題についての新幹線を建設する部分についての国鉄の投資分、いま約七千億ぐらいの投資しているんですか。この問題のあと残りの二兆円とすれば、一兆三千億かそこらの問題、これからかかってくると思うんですね。  こういう問題は、やはり何年かかかって政府が出資金で鉄建公団と同じような方法で国鉄に出資金として、二十年間なら二十年間、十五年間なら十五年間で政府出資する、鉄建公団と同じように。鉄建公団は五十年度で五百四十九億円政府出資があるわけです。こういう点を考えますと、国鉄にも一挙に私は一兆四千億政府は出資しろと、これはできる数字じゃないですよ。不可能な数字です。ところが、十年なり二十年実現可能な政府出資を考えて、その間国鉄は五十五年までにやらなきやならないというわけです。この五十五年まで借りる分は国鉄は借入金でたとえやるにしても、それは将来の政府出資で切りかえてしまう、こういう方法は、これは新幹線の建設についてできないものだろうか。  そうしませんと、私は国鉄の投資規模から言って、再建成ったとは言え、たとえば成ったとしても、これに投資をしていけば保安関係とか、その他の整備関係が私は手が抜けてくるんじゃないか。最初に聞いた五兆円ぐらいの投資で全般の投資規模はできないんじゃないか。いわんやサービス路線というか、通勤輸送対策なんかの線は完全にできないと私は見るのです。そのために、五十二年以降の新幹線ができ上がる分までの費用はやはり政府出資で将来賄う、当面は国鉄が借入金で工事を五十五年までに完成させる、その利子補給金等の問題は少なくとも国鉄努力をしてもらうならしてもらうとか、後の詰めば細かな問題でありますけれども、やはりそれだけの、あと一兆四千億、あるいは五千億かかるという問題については、将来この問題、基盤整備として、今後の方針転換としてやはり公団並みの出資金にしていくべきではないかという提案をしたいのですけど、運輸大臣、どうですか。
  208. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この二つの新幹線建設について差別のあるような実情、これの是正に努力することは当然だと思いますが、現状そういうふうになったことしの、本年度そういうふうにななった経緯について局長から答弁させます。
  209. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 鉄建公団のやっております上越新幹線と、国鉄でやっております東北新幹線に対する助成の問題でございますが、昨年度までは同じように建設費の一五%を出資いたしまして、残りの借入金につきましては三分五厘まで利子補給をする、でき上がりの金利が大体三分になるという助成をやっていたわけでございます。本年度から鉄建公団の方は従来どおりの助成を続けておりますが、国鉄の方は出資をやめたわけでございますが、その理由といたしましては、過去債務の肩がわりによりまして、全般的に国鉄の金利負担が下がっておりますので、借入金について三分五厘の助成をやれば従来どおりの金利負担で済むのではないかという考え方で今回出資を落としたという経緯でございます。
  210. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、そこはちょっといろいろないきさつはあると思いますけどね、これからの東北新幹線を完成するという、これから投資効率を考えるとなりますと、いまのような形で国鉄が投資をしておりますと新幹線いつでき上がるんだろうか、そして、それを借入金でやったものの利子がかさんでくるだけである、上昇分を利子払ってるだけじゃないかと、こういう感じになるんじゃないかと思うのですね。したがって、十年なり十五年、政府の出資金でこの新幹線基盤整備の一環としてやるべきじゃないか、出資をせっかくつけておったのを削る必要ないんじゃないかと、こう思うのですけどね。そして、早く五十五年までに、当面は国鉄が借り入れてやるにしても、将来はそれ、出資金で全部償ってしまうという形をとれないものだろうかという私の提案なんですけどね。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  211. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま三木委員から御指摘がありましたように、現在のような形で東北新幹線建設を続けていくと、将来国鉄の負担になるのではないかという点につきましては、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたように心配はいたしているわけでございます。  それから今回の再建対策を立てますときに、とにかく速やかに国鉄の収支均衡を図らなきゃいけない、そういう点から見ますと、出資という金は長期的には非常に効果があるわけでございますけれども、短期的には国鉄の赤字を減少させる効果が少ないわけでございます。そういう点もございまして、今回の再建対策に当たりましては、出資を避けて、できるだけ国鉄の収支均衡に役立つような助成方法を選んだわけでございます。
  212. 三木忠雄

    三木忠雄君 助成は私も先ほど聞いたからわかるんですよ。実際に東北新幹線に二千億しか五十一年の予算として投じられないんですね。五十二年に何億になるか、これはまだ予算は立ててないと思いますけど、恐らく三千億ぐらいだと思うんです。この間現場へ行きまして、あの白河現場で、金さえあれば大体どのぐらいでできるんだと、こう聞いてみた。三年あったらできると言うんですよね、金さえつけば。それはいろんな工事上の過程もあるでしょう。ところがいまのままでずうっと続けていけば、これは恐らく五十七、八年、あるいは六十年まではかかるんじゃないだろうかと私たちは素人考えながら思うわけです。その間増収は全然ないわけですよ。いわんや、いま国鉄総裁から言われたように、在来線の、大宮から東京までのあれがパンクしておるわけでしょう。こういう問題を考えたときに、やはり集中投資をして、新幹線つくりかけなんですから、どうだこうだといういろんな問題はあるかもしれませんよ。しかし、早く投資効果を上げるためにも、赤字財政国鉄をさらに、五十年収支均衡になったといったって、これまた投資していけば、このものがまたふくらんでくるわけですね。そこで、私はいままでの角度からやっておった政府政府出資をふやしたらどうかという意見なんですよ。もう一度、この点はだめですかな。
  213. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 東北新幹線をできるだけ早くつくる、そのために集中的に資金を投じたらどうかという点については全く同感でございますが、先ほど国鉄総裁から申し上げましたように、実は東北新幹線につきましては、大宮以南の問題が解決しないわけでございます。私どもが承知している限りにおきましては、仮に問題解決いたしましても工事に四、五年はかかるんじゃないかということでございますので、私、運輸省の立場といたしましては、そういう問題が解決する見通しが立ちましたら集中的に東北新幹線工事をやりたいと、工事に金をつけたいと、さように考えているわけでございます。
  214. 三木忠雄

    三木忠雄君 私、住民とのやはりいろんな問題よく納得し、環境、公害の問題は全面的に解決した上で対策をしっかりやってもらいたいということは、これは申し述べておきたいんですけどもね。実際ジレンマに陥ってお互いイタチごっこをやっているような感じを私受けるんですけどね。やっぱり工事にこれだけかかる、だから少しずつぐらいの進捗でいいわというような程度の問題が運輸省の中にもあるんじゃないかという考えがあるんです。あるいは国鉄の方も遅くなってもいいというような考え方は持っていないと思いますけれども、こういう資金繰りの状態から考えてみて、やはり投資額が限定されてくるんじゃないか。したがって、運輸省が思い切って金の問題を鉄建公団並みのいろんな扱いを考えれば、もっと具体的に私はこの問題が進むんじゃないかと、こう思うんです。この点はよく一遍検討していただきたいと思うんです。そして投資効果の上がるような、そしてこの輸送需要を賄えるような、また大宮からのあの通勤等で困っている人たちの緩和策ができるような、在来線の補強ができるような、やはり交通線の新設という問題は考えていかなければならない問題ではないかということを、運輸大臣、見解を伺っておきたい。
  215. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 資金の重点的使用、その使用効果、それは先ほどお答えを申しましたとおり、三木委員お答えと全く同じでございます。本年度の東北新幹線措置は、いま鉄監局長からお答えしたような事情でございますが、次年度、ほかの予算編成との兼ね合い、在来線その他を含んだ予算編成との兼ね合いもあろうと思いますけれども、とにかく金利がかからない金だと思っていつまでもぐずぐずしているということがそもそも間違いでございますから、そういうように投資効果が速やかに上がるような予算配分に努めたいと思っております。ただ、これはもうよくおわかりだと思いますけれども、運輸省、あるいは国鉄当局だけの問題というよりは、いろいろあることはよくおわかりだと思いますので、その点はひとつお察しをいただきたいと存じます。
  216. 三木忠雄

    三木忠雄君 お察しがなかなかわからぬのですけれどもね。  もう一つ、やはり大宮から東京までの乗り入れの線区の問題で、私一点だけ伺っておきたいんですけれども、大宮の方にも、あるいは北区の方にもいろんな住民等の反対意見もあります。ところが、上野から東京へ持ってくるというところも、神田方面では相当な反対の問題があるわけです。私は一つの問題としまして、美濃部知事は上野公園の下を通るのはまずいんですね。反対だという意見が東京都からは出ているわけです。それで、台東区は区長以下大体が上野駅設置賛成なんですよ。したがって、私は上野から東京の間の区間というのは非常にむずかしい問題だと思うんですね。したがって、駅の始発を当面は——将来はやるかどうかは別問題にして、上野駅に新幹線の駅を持ってくるように考えたらどうかと、こういうふうに考えるんですけど、特に台東区は区民挙げて賛成しているし、私は東京の実態を考えても、東京駅へ皆持ってきたら混んでしょうがないんじゃないかと、やはり東北の新幹線は上野駅、あるいは上越新幹線は新宿と、こうなっているわけです。上野の方にはいままでの京成だとか、いろんな私鉄も地下鉄もあるし、また住民が上野駅設置に対して非常に熱意を示しているわけですね。その問題はやはり運輸大臣として、あるいは国鉄当局として検討してもらいたいと、こう思うんですけれども、この点について。
  217. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 東北新幹線はやはりただいま運転をいたしております東海道新幹線、あるいは山陽新幹線等、全体の一連のものとして全国の新幹線網といいますか、北から南へ通ずる一つの流れの新幹線というその一部であるという考え方で、しかも、ただいま東北新幹線の起点は東京ということで、私の方は大臣の認可をいただいておりますし、いま鋭意工事を進めている。そういうことだけじゃなくて、東京における国鉄自体の通勤線等を含めた鉄道輸送網が非常に整備されている。あるいは、東京駅に至る道路網も非常に整備されているという意味で、東京駅が東北新幹線の起点ということは一番よろしいのじゃないかというのがこれまでの考え方でございます。  ただいま先生がおっしゃいますのは、非常に工事的にむずかしい点があるから上野を起点にしたらどうかという御趣旨かと思いますけれども、私の方がただいま考えております東京を出まして北の方に向かってくるルートは、実は上野公園の下を通ってくる、ただいまの上野駅とば相当の距離が離れた地点を線路が通る予定になっております。したがって、ただいまのルートでは駅をつくっても連絡が非常に悪いし、あるいは道路との関係もほとんどつかないというかっこうで、ただいまのルートでは駅をつくるということはまず技術的にもむずかしいし、また、交通の理念から考えても余り得策じゃないというふうに考えておるわけです。  駅をつくれという台東区の御要望が非常に強くあることは、私ども十分よくわかっております。もし駅をつくるということになると、ただいまのルートじゃなくて、ルート自体を変えて、いろいろ在来線との関係を考えた位置に移さなくちゃならないという非常にむずかしい問題がございます。駅をつくるためにどうしても在来線との関係を考えなくてはなりませんので、駅をつくるならばルートを変えなくちゃならぬという問題があって、従来ルートを変えて地元の方々の賛同がうまく得られたケースというのはまずないというのが実態でございます。ただ、先生のいまの話を伺いますと、台東区挙げてというようなお話がございました。私らも、挙げてかどうか知りませんが、相当強い要望のあるということは実は承知いたしておりますので、いろいろ技術的な問題がどうなるかというようなことは、ひとつ検討を進めていきたいと思いますけれども、上野に駅をつくれということを、いま私の方でどうもそこまで自信がないといいますか、そういうことでよく検討を進めさしていただきたいということをいま考えておるところでございます。
  218. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは東北から来る人も大半がほとんど上野駅でおりる。東京へ行く人はわずか五%ぐらいだという感じもあるわけですね。台東区で今後のいろんな、私たちも地域のいろんな意見を聞きますと、上野駅設置というのは非常に強い熱意が上がっている、台東区の盛衰にかかっているという、こういうふうな問題までよく聞いているわけです。したがって、この問題は今後の問題として、私は検討していただきたいと、こう思うのです。
  219. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私も東北人でございますので、東北と上野の関係はいやというほど承知しております。それから、実際の工事を進めていくということについての政治的背景ということになりますと、やっぱり長い距離の間、町の真ん中を通る問題が入りますから、いろいろな問題があることもわかっておるのであります。それから、私のところへも台東区の熱意は非常に強く伝わっております。ただ、われわれは技術者ではございませんので、問題は技術的な問題にかかってくるだろうと思っておりますが、そういう点で、いま常務理事が答弁をいたしましたように検討をしてもらいたいと思っております。
  220. 三木忠雄

    三木忠雄君 鉄建公団総裁にも伺いたいんですけれども、新線建設と鉄建公団の問題ですね。特に先ほどからいろいろ指摘をされているように、鉄建公団と国鉄関係というものは、私はもう明確にしなければならない時期だと思うのです。ところが、大正十一年に出来た国鉄の敷設法、運輸大臣、この新線計画、どう将来していくつもりですか。
  221. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほど新幹線のときお答え申しましたように、一応は鉄道敷設法に基づく鉄道建設審議会で決定をした問題でございます。いま、これをにわかに変更するということは、諸般の情勢上なかなかいろんな問題がございますが、しかし、路線によってはもうあと一息で開業できるところと、それからもう先の見通しも立たないところ。それから、これが要求され、地元の要望を受けたときと地元の客観的情勢たとえば雪が降って冬季間は自動車が全く通らなかったところが、その後道路が改修されて通るようになったとか、そのほかいろいろな条件変化等もございます。そこで、そこへ一番大きな前提は、何といっても高度成長期につくられたものでございますので、いまの安定成長時代、しかも、これは諸般の状態から考えてずっと日本の将来の経済政策の基底になるのではないかとも思いますので、実行、実施に当たって十分の配慮をしていきたい、効果ある配慮をしていきたい、こう思っております。
  222. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、この新線建設の問題について、運輸大臣のいまの答弁聞いておりますと、何か推進するような感じですね。成長に応じてやるという政治的なニュアンスの言葉を述べていらっしゃいますけれども、つくるいろんな判断は、これは地元との開発利益の問題いろいろあると私は思いますけれども、いままでのAB線を開業したが全部営業係数一一〇〇とか一五〇〇とかいう赤字ばっかりですね。せっかく、片や二千二百億の九千二百キロを整理しようというのに、片やつくっているわけでしょう。もしどうしても必要だということでつくらなければならない問題については、これの営業費用をどうするかという問題をけじめをつけた上の新線建設をやらなければイタチごっこじゃないですか。
  223. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私のお答えがそうとられたら私にとっては全く心外でございまして、私は前提にこの計画は高度成長期につくられた計画である、いまはそうでない。それから、そのときから比較をいたしますと、地元の諸条件にも大きな変化が起こっている、必ずしも鉄道でなくても、他のものでかわり得られるところ、また、他のものでかわった方がいいところ、そういう諸条件ができていると。しかも、余りに多くに手をつけ始めた結果、まあどれもこれもいつになったらできるか見通しも明確に立たない。したがって、見通しがもう九十何%か八十何%の線で切ったがいいか、それは別問題といたしまして、とにかく見通しのついたものはやるとして、他のものについては再検討を必要とすると。しかしながら、鉄道敷設法に基づいて、正規の手続で決まったものでありますから、これをもう一遍開き直して否定するというのにもいろいろ障害がございますので、実施の面において十分現実に合った効果があらわれるように配慮をいたしたいと言うんでありますから、おわかりをいただきたいと思います。
  224. 三木忠雄

    三木忠雄君 よくわかりますけどね、ことしの予算を見ますと、AB線の工事の進捗状況が全体で約二六%ですよね。ところが、たとえば例を挙げてみますと、岡多線は進捗率一%ですよ。ところが、五十年度の予算も五十一年度もやっぱり同じ予算がついているわけでしょう、ばらばらばらばら予算はついている。これはいつまでたってできるのか地元民も非常に不安。私は、これは三年ぐらい前に一つ経験したことがあるんです。この岡多線の沿線でね、工事をやるんだということで測量だけ一生懸命くい打っちゃったんですよ。中小企業を経営しておって、立ち退きはしなきゃならない、強制測量をやられたような感じになった。線が引かれるなら立ち退かなきゃいけないということで別の土地を買った。ところが、なかなか買収はしてくれないということで、非常にその企業は困った例があるんです、正直言ってね。こういう問題で、もう何年かかるかわからない、あるいは、いままで投資したのが枯れてしまうんじゃないかというような、こういうふうな実態があるわけですね。いわんや、こういう予算のない、片や国鉄の方は金が欲しいという、東北新幹線にもつぎ込みたい金、鉄建公団は三百四十億このAB線につぎ込んでいるわけですね。したがって、こういう問題の整理はね、そしてでき上がったものは大きな赤字を生んでいくというような問題になれば、やはりこの問題のけじめはつけなきゃならないんじゃないかという感じを私受けるんですね。その出資の仕方も今年度のばらばら予算ではだめじゃないかと思うんですよ、これは国費のむだですよ。
  225. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 全く御説のとおりでありまして、ただ、いますぐに結末をつけろと言われてもちょっとむずかしいので、実施の面で配慮をしたい。  それから、いまおっしゃったような弊害は私もよく聞いておりますし、見てもおります。それから何かこう言葉は悪いが、顔つけ料といったような配分の仕方が誤りであることもよくわかっております。減速経済になったらなった条件のもとの決着ということをできるだけ早くつけなきやならぬことは私も賛成でございます。
  226. 三木忠雄

    三木忠雄君 鉄建公団の総裁ね、総裁はつくる方だからね、やっぱり巻きたいだろうし、こここからの考えどうですか。
  227. 篠原武司

    参考人篠原武司君) 公団ができましたとき、国鉄から工事線、または調査線として引き継ぎましたのが現在でござ一まして、それから新しく追加したものはないんでございます。ただ、国鉄の輸送の関係で、北海道で一つ非常に短かいところを追加したのがございますけれども、あとは四十八年度で鉄道建設審議会で建議がございましたけれども、それもまだ実施段階に至っておりません。そういうようなことで、三百五十億の予算をここ三年ばかりいただいておりますけれども、私の方としましては運輸省の指導のもとにやはり重点的にやらなきゃいけない。たとえば三陸縦貫鉄道とか、そういうようなものには非常に力を入れてやるということを言われておりまして、私どもでは二十億以上のお金をつけたのが七線ございます。七線で二百一億五千万円というのが、二十億以上のお金をつけておりまして、あと残ったお金といいますと、三百二十八億の予算の配賦をいただいておりますが、そのうちの百二十六億、これがAB線のあと残った工費でございますが、これが大体三十線で分けているわけでございます。したがって、非常にわずかな金を配賦して仕事をやっておるわけでございますので、どうしても遅々として仕事が進まないというような形に一応はなっております。しかし、今後もまたなお一層重点的にやらなきゃいけないんじゃないかということで、部内ではいろいろ検討しております。  そのほかに、今度はCD線の問題は、これは借金してつくるというあれでございますが、これは大体国鉄が早くつくれという御要望のあった線が主体ですが、これはほとんどみなできております。あと残っているのは、路盤もできておりますが、小金線とか、京葉線の一部が残っているとか、いろんなものがございますが、丸森線も残っておるというような形になっておりますが、そういうような形で、公団としましては、運輸省の指導のもとに重点的にやっているつもりでございます。
  228. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ鉄監局長、運輸省の指導のもとですから、この点、私はいずれ結論を出さなきゃならないときだと思うんですね。こういうやはり——鉄道があったにはこしたことはないわけですよね。どこだってみんな欲しいわけですよ。しかし、何だかざるの中に水をまいているような形で、いつまでたったってこれはでき上がらない。この当時から考えると、投資したやつば物価上昇率か何かで全部消えてしまっているような感じで、これはいつまでたったって恐らく線できませんよ。大正時代の敷設法と同じですよ。線はあるけれどもなかなかでき上がらないという形、住民こもやはりそれに対する輸送機関としての期待を裏切る結果に私はなってくるんじゃないかと思うんですね。この問題は、国鉄の収支均衡合わせて五十二年、というかね、こういう問題で、やはり新しく敷く場合にも、赤字になった分はどうするかというこの対応も考えた上でのAB線の建設計画は運輸省で検討してもらいたいと思うんですけど、鉄監局長どうですか。
  229. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 御指摘のように、AB線をどんどんつくって国鉄の赤字を、ふやすということについては非常に問題があるわけでございまして、この問題につきましては、先ほど申し上げました地方交通線問題の一環といたしまして、今後AB線の建設国鉄の経営の負担にならないような方法で解決の努力をいたしたい、さように考えているわけでございます。
  230. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあそういうAB線と対比しまして、たとえば今回の運賃の値上げ、後でサービス問題ちょっと伺いたいと思っていますけれども通勤輸送の方は全然改善されないわけですね。たとえば中央線なんか、もう大変な問題ですね。あるいは総武線なんかの問題も大変な問題。こういう通勤輸送のところには全然基盤整備とかそういうことが手ぬかりになってしまって、あるいはつくるという計画は非常に弱いわけですね。こういう問題についての運輸省の考え方ですね、この点について。
  231. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 私の方は、工事経費全体の中で、いまおっしゃるのは、主に私の方で考えておりますのは大都市周辺の通勤線ということを考えております。東京で例を申し上げれば、この七、八年間にいわゆる五方面作戦と申しまして、その中に中央線、総武線、あるいは常磐、東北、東海と、そういうものについて東京を中心とした近距離区間については復線、または復々線化を実は進めてまいる。いま先生がおっしゃいます中央線というのは三鷹までが復々線になりまして、三鷹から先、立川に向かって一応復々線にする計画を持っておりますけれども、全体の工事の資金がないためになかなか進まないということは事実としてございますけれども、実は三鷹−立川間につきましては、その予算的な問題だけじゃなくて、地元の方々といろいろいまお話を進めておりますけれども、どうせ復々線にするならば一緒に、ただいま平面になっている線路を高架にいたしまして、そして高架の構造として四線分に同時に直すべきじゃないかというような地元との協議の問題が絡んでまいりましてちょっと難航いたしております。しかし、これはいま地元ともそういう設計上の点についてはよく協議を進め、後は私の方の予算事情と地元の方にも当然負担がございますので、地元の負担の方の目安がついた時点でこの問題の協議をまとめていきたいと思っております。現実に東京付近でやっておりますのは、横浜線の単線を複線にするのはこれは進めております。それから総武線では、津田沼から千葉の間はまだ複線でございますのをただいま複々線化の工事を鋭意進めておるというのが東京付近における通勤工事の実態でございます。
  232. 三木忠雄

    三木忠雄君 この鉄建公団のCD線とか、通勤輸送対策、こういう問題を積極的に、特にこの通勤輸送等の問題について国鉄の限られた予算の中では、いま中央線の問題一つ出ておりますけれども、これは非常に経費もかかる、費用もかかる、いろんな地元との問題もあるでしょうけれども、もう毎日毎日中央線の込みぐあいというものは大変な問題になってきているわけですね。したがって、こういう通勤対策にやはり、たとえば今回運賃値上げされるけれども、われわれはますます厳しくなってくるという、こういうふうな問題が、やはり東京の都民にとっては非常に過酷な問題になってくるんじゃないかと思うんですね。したがって、今後のこの通勤輸送等の問題についても、東北新幹線と同じような形で、上越新幹線と同じような形で、基盤整備として通勤輸送のいろんな問題は特に解決して、国でいろいろこの問題を考えていくという方向に検討をすべきではないか、こう思うんですけれども、いかがですか。
  233. 高木文雄

    説明員高木文雄君) もう十年以上前になるわけでございますけれども、東京通勤対策につきましては、五方面作戦ということでかなり積極的に取り組んできたわけでございまして、ごく最近に総武線が東京駅からさらに品川まで延びるようになりましたのも、そのとき以来の計画が少しずつ進展をしているということでございます。私どもは残っておりますいま御指摘の中央線、さらには総武線の津田沼から先の方の問題、それから湘南電車の問題というような問題は、いずれも気持ちとしては相当早く処理をいたしたいと思っておりますが、これは必ずしも予算の問題だけでなくて、いろいろと用地問題等であっちこっち難航しておるわけでございまして、これは何としましても東京の通勤というのは、国鉄の任務の中で非常に大きなウエートの問題だと考えておりますので、気持ちの上におきましては東北新幹線などと並びまして中心的課題として取り上げておるつもりでございますが、どうもいろいろな難問のために成果が上がっておりません点は申しわけなく思っております。今後ともこれは資金をどういう形で調達するかにつきましては、確かにおっしゃるような点もございますししますけれども、いずれにいたしましても、相当力点を入れて進めてまいりたい、今後もそういうつもりでおります。
  234. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣、もう一つ私、成田新幹線の問題で。公団は五十一年度六十四億円の投資を考えたわけですね。これはこの間の新聞等によますと、国土庁はもう成田新幹線はつくらぬという方向に案を考えているわけでしょう。ここらの問題はどういうふうに調整するのか。また、成田新幹線は非常にむずかしい問題だと思うんですよ、私は、つくることば。こういう問題に五十一年度は測量とか何かに六十四億円使っているわけですけれども、投資しているわけですけれども、こういう公団のあり方の問題については、私はもう少しメスを入れるべきじゃないか、何を公団に今後託していくのか、何をやらせていくのか、この点は先ほど来言っているように、私は国鉄との競合の問題を考えた場合に、やっぱり工事の主力は国鉄でやっているわけでしょう、公団が受けても人員は少ないわけですよね。そこらの問題を、公団を改組するならする。鉄建公団のあり方という問題について行政管理庁からいろいろ勧告がされているわけですね。こういう問題についてもやっぱりもう一遍検討しなければ、赤字路線の問題とあわせて、あるいは通勤対策、あるいは民鉄との関係工事の、P線はたとえば鉄建公団が受け持つとか、いろんな形の細分化、あるいは検討を加えなければならないのではないかということを考えるのです。非常にそういう点の調整がばらばらのような感じをするんです。いかがですか。
  235. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 成田新幹線につきまして、新聞に国土庁案というようなものが出ておりましたが、私どもが調べましたところでは、あれは別に国土庁の案ではないというふうに聞いております。  御指摘国鉄と鉄建公団との関係でございますけれども、鉄建公団が発足いたしましたときには、国鉄は改良工事に力を入れる、新線については鉄建公団がやるというたてまえになっていたわけでございます。確かに先ほど来大臣が申し上げておりますように、その当時と現在とは情勢は変わってきております。しかし、現在鉄建公団がやっておりますCD線——AB線については問題があろうと思いますけれどもCD線、あるいは新幹線等について鉄建公団の果たしている役割りというものは、まあ依然として昔とは変わっていないと思いますので、きょうの段階で鉄建公団を改組するとか、そういうような必要はまだ生じていないと考えているわけでございます。
  236. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこらがどうも運輸省のあいまいなところなんですよ。結局ぐずぐず言って赤字をどんどん生む、はっきりしないんですよね。そういう点は、だから中小企業の分野調整じゃないけれども、鉄建公団をどういう方向に持っていくかという位置づけをはっきりしなきゃならないと思うんですよ。国鉄には大勢の人がいるわけでしょう。ここらの問題をもう少し明確にしなければ、鉄建公団が何もかもやれるわけないですよね、限られた人間しかいないんだから。そこらはもう少し明確にこのあり方を検討しなければ、全部新線つくるんだ——ところが新線は今度つくらないんでしょう、正直言って。こうなったときに、鉄建公団に政府の出資あるいは国鉄の出資金も鉄建公団に約八百億いっているわけでしょう、七百五十八億ですか、出資金も出ているわけでしょう、国鉄から。
  237. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 現在は出ていません。
  238. 三木忠雄

    三木忠雄君 現在は取り上げたんですか。
  239. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 出ていません。
  240. 三木忠雄

    三木忠雄君 ゼロですか。
  241. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ゼロです。
  242. 三木忠雄

    三木忠雄君 以前は出ておったのですか。——いずれにしてもそういう問題が、新線建設の問題等含めてやっぱりメスを入れるときに、鉄建公団に対するこの考え方をもっと、私はいろんな情はあろうと思うんだよ、わかりますよ、そこに並んでおれば。だけれども日本の行政を行っていく立場から、そんな問題で片づける問題じゃないと思いますよ。しわ寄せは全部国民でしょう、国民の税金で賄っているんですよ。もっと明確な態度を示さなきゃだめだと思うんですね。運輸大臣、この問題やっぱりしっかりしなけりゃならぬと思うんですよ。
  243. 石田博英

    国務大臣石田博英君) さっきから何度も申し上げておりますとおり、鉄建公団ができ、あるいは新幹線七千キロという計画が認められ、またAB線が鉄道敷設法ですかに基づいて決められた情勢とは、全くいまは違うわけであります。全く違うと言ったら語弊があるかもしれませんが、非常に違ってまいりました。そこへ国鉄の赤字の現状でございます。そういう情勢を踏んまえて新幹線を新設する、それからAB線の建設、特にAB線について先ほど御指摘の、いつできるかわからぬような予算配分の現状、まあもうあとわずかでできるやつはこれは別だと思いますが、しかしそれにしても、でき上がって国鉄に渡されても経営の黒の見込みはまずないところが多いわけでありますから、したがって、そういう点で新幹線、あるいはAB線というものを見直すべき時期にきておるということは全く御意見のとおりでございます。しかし、現実にまだ鉄建公団はAB線の残り——残りと申しますか、そのうんと少ないところ、たとえはじいたといたしましてもまだ残っておるわけですし、それから上越、東北の両線もあるわけでございますので、いま直ちにこれを見直すべき時期であるとは思いませんが、大きな方向としては基礎的条件が違っておるわけなんですから、その違っておる条件を踏んまえた上で、できるだけ早い時期に結末をはっきりつける問題だと私は考えております。
  244. 三木忠雄

    三木忠雄君 そのことは私は鉄建公団に対しても不親切だと思うんですね。やるべきことはやる。どうするかということ、態度は明確にしなきゃならないと思うんですね。  次いで、サービス問題で一、二伺っておきたいんですけれども、今回のこの運賃の値上げによって国民に何がサービスとして与えられるんですか、国鉄総裁
  245. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 端的に申しまして、今回の値上げに伴いまして、この値上げによってここをこういうふうに改善いたしますということは言えないわけでございます。  十分御承知のとおり、現在は原価を賄えない運賃、料金で乗っていただいているわけでございますので、そういう意味での経営の改善のために、一方において過去債務のたな上げをお願いすると同時に、お客さんの方にも乗っていただくということでございますから、これによりましてどういうふうにサービスが向上するということがないわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、非常にじみなあれでございますけれども、従来から各方面で複線化を図りましたり、電化を図りましたり、あるいはまた車両の整備を図ったりいたしておるわけでございまして、まあことしにおきましても、たとえば七月から長崎電化が現実にできましたし、また新大阪−博多間の新幹線の走っております便数をふやしましたし、また先ほどちょっと触れました総武線の品川乗り入れもできましたし、ごく一部ではございますが、従来の計画に応じまして少しずつ便宜を高めていくつもりでございます。ただ直接、このどの仕事も大変息の長い仕事でございますので、必ずしも今回の運賃の値上げによって、その翌日からここがこうなるというわけにはいかないわけで、逆に申しますと、これをお認めいただきませんと、あっちもこっちもサービスダウンが起こってしまうというふうに、きわめて困窮した状態に落ち込んでおるということでございます。
  246. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこで、先ほど来から私の前の委員から、他の委員からもいろんな十九日の朝刊発表の問題が提起されておりますけれども、この削減——撤退作戦といいますかね、車両修繕費削減政策ですね、この問題は国鉄総裁運輸大臣と相談されて決めたんですか。
  247. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私の方で案を立てまして、社会的影響が非常に大きいもんでございますから、大臣にお許しを得たわけでございますが、大臣からは、これは困るということで、数回何とか考えようがないかというお話があったわけでございますけれども、これは実は最近の問題ではなくて、六、七、八と三カ月、千五百九十億の収入ダウンがまいりました後、九月にまた五百三十億捻出しなければならないというときに、すでに方法がないということで、この問題を決めざるを得ないということになったわけでございまして、ただ、こういうことは国鉄始まって以来一度もやったことがないわけでございますので、なかなか、しかも影響を小さくしながら経費を節減しなければならぬということで、段取りをつけますのに大変手間がかかりました。ちょうど運悪くこういう時期に、こういうふうにいたしますという具体案を示さざるを得ないことになりましたのは非常に申しわけないことだと思っておるわけでございますが、決してこれは何か政策としてやっているわけではないわけでございまして、やむにやまれず追い込まれてそういうことになっていることをひとつ御了解をいただきたいと思います。
  248. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣、この報告を、受けられてからどういうふうに対処されるんですか。
  249. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、通勤ラッシュはむろんのこと、ちょうどこれから年の暮れにかかって帰郷する人たちが非常に多くなります。それから寒くなりますから、どうしても着ぶくれがして混雑が増す。だから、何とかこれが避けられないか、もっとほかの方法を考えられないか、何か売る物はないか、いろいろなことを申して再考を求めたのでありますが、総裁御説明申し上げましたような事情でございますので、やむを得ず了承をいたしました。
  250. 三木忠雄

    三木忠雄君 その中で、たとえば一例を挙げますと、中央線ですね。私は中央沿線に住んでいるから特に言うんですけれども、毎朝一緒に乗って来ているんですよ、私、満員電車に。乗ってみると大変な通勤ラッシュですね。こういう問題の通勤輸送まで一〇%削減するんですか。その点はどうですか。
  251. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 通勤については特別に配慮するようにと申しましたので、ちょっと数字は私はわかりませんけれども、数字はそういうようにはなっていないと思いますが……。
  252. 高木文雄

    説明員高木文雄君) もちろん通勤影響がありますことはどうしても避けられないわけでございますけれども、現在の混雑状態等を考えまして、中央線に影響がまいります時期はすぐにではないようにいたしたいということでございまして、まだ細密には決めておりませんけれども、少なくとも中央、総武の線につきましては十一月、十二月は影響がないように考えております。
  253. 三木忠雄

    三木忠雄君 私の持っている資料で、車両修繕費削減に伴う線路別影響を考えますと、中央線は十二月から減車になっているんですよ。中央線だけではなしに、山手線が十一月から。こういう問題になってくると、一番時間帯のあいているときに休むのかしれませんけれども、運用の方法は。いずれにしても車両数が少なくなってくるし、これはやはり通勤、あるいは帰途の問題について影響を及ぼすことばもう必然的だと私は思うんですね。片や運賃は値上げした、片や通勤輸送は押し詰めにされる。特に十一月、十二月になってくると、オーバー等着てきますと非常にラッシュ時は混雑してきます。こういう問題で、踏んだりけったりはやはり通勤者の問題になってくると思うんですね。こういう点は国鉄は避けるべきではないか。あらゆる努力を払ってこういう点に影響を及ぼすことは食いとめるべきではないかと、こう思うんですけれども総裁どうですか。
  254. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず最初にちょっと欄を読み違いまして、訂正さしていただきます。中央快速は十二月から当たるというか、影響があるということになっております。  それで、まさに御指摘のように、非常にこれは問題でございまして、私どもは公共輸送の使命を持っておるわけでございますから、その場合の公共とは何かという場合に、大量に通勤のために列車を、電車を走らせるということは、私どもの公共的使命の中でも最も中心的課題のものであると思っております。その意味からいきまして、お金がない、経費が調達できないというふうにいたしましても、こういう影響を出しますことは、率直に申しまして非常に身を切られる思いでございまして、こういうことにならないように泳いでいこうとしてきたわけでございますが、いかにも二千億を超える金額になりますとやり繰りがつかなくなってくるわけでございます。そこで、今朝来お尋ねがあり、大臣からも御答弁いただきましたように、何とかここになりませんように、早い機会に所要の向き等にお願いをして、そして経費削減をしないで済ませられないかということで、今後とも私どもとしていろいろ各方面の御協力を求めたいと思っております。
  255. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは減車しますと、後の手当てして、おいそれと金つけたからつてすぐにそれが動くわけにはいかないわけでしょう、これは私の素人の考えで申しわけないんですけれども。そうなると、また一月、二月まで影響してくる。金さえつければいいというわけにいかないような問題になってくるわけでしょう、一たん休みますと。そういうふうに私は理解しているんですけれども、どうですか。
  256. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) おっしゃるとおりでございまして、工場の能力の限界がございますので、やはり一たんついてもとに戻ってから相当の歳月を必要といたします。
  257. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣ね、休ましたら大部返ってくるまで大変なんです、これ。この中央線を、たとえばこれ一例ですよ、中央線だけじゃありませんよ、実際に運輸大臣、中央線に乗ってみりゃわかりますよ。大変な問題です、これ。これを一〇%削減されたら冬は暴動が起こりますよ。運賃は上げられた、通勤輸送はいいかげんだ、こんなことで公共交通機関としての国鉄の使命は果たせないと私は思いますよ。やはり運輸大臣ね、六十億ぐらいのこの金で通勤輸送や、あるいは国鉄を頼りにして毎日働きに出ている人たちをこんな足どめをするようなやり方は、私は政治家としてやるべきじゃない。この点はどんな対策を講じてでもやらなきやならないという、この状態がなければいけないと思いますよ。運輸大臣、どうですか。
  258. 石田博英

    国務大臣石田博英君) おっしゃるとおりだと私は思いますので、最善の努力をいたしたいと思っております。  それから通勤の、実は私も横須賀線で四十年ほど通勤したものでありますが、これだけは何とかならぬかと、またすいているときにがらがらの電車があるじゃないかということを何度も申しましたところ、ラッシュに全部動員するのであって、すいているとき減らすことは実際上として何も影響はないんだと、こういう御返事でございましたので、現実の問題として影響が及ばないように最善の努力をいたしたいと存じます。
  259. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄総裁、これはひとつ、通勤の問題は特に十二月、一月にかけての大変なラッシュ期間は、何としても国鉄当局としても削減にならないように努力すると、こう断言できますか。
  260. 高木文雄

    説明員高木文雄君) やっぱりどうしても必要なお金はいただかないとうまくいかないわけでございまして、決して意図的にやっているわけでも何でもないわけでございまして、何しろお金がないということで先般も十月の初めにちょっと支払いに遅延を起こすような状態でございました。私もこれほどひどくなるとは思っていなかったんでございますけれども、月末になりますと、絶えず幾ら残高があるかということで金庫の中を見ながら支払いを決めているような状態でございまして、しかし、それにしましてもこれはとんでもない出来事でございますので、運輸大臣ともよく御相談して最大の回避策を工夫してまいりたいと存じます。
  261. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう一つ、新幹線のこの間から話題になっておる無人で走った問題ね、私はこれを何回も蒸し返して聞きたくありませんけれども、ちょっと余りにも国鉄当局の考え方がうそ発表であった。まあ後の結果を私は追い打ちをかけるようなことは言いたくありませんけれども、やっぱり労使の間の関係というのは国鉄一家だと言われても、こういう問題は仕方ないんじゃないかと思いますよ。こういうものは明確にしなければ、こんな状態でただ運賃だけ値上げしろ、こんな実態でというようなことになって国鉄に対する信頼感がなくなる。過ちは過ちとしてはっきりしなければならないと思うんですよ。それをかばい合うみたいな変な感じは国鉄当局としてとるべき態度じゃない、こう思います。この点について総裁の……。
  262. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この点はまことに大変な不始末でございまして、私どもも日ごろ言ったり指導したりしておりますことと全く相反するような出来事が起こったわけでございます。しかし、ある意味におきますと、これをいい機会に、このまま過ごしてはいけないわけでございまして、これを一つの教訓として、もう一遍基本的にいろいろな問題を洗い直していきたい、そのための材料とすることによって、将来の教育材料とすることによって皆様に対するおわびのあらわし方といたしたいと思っております。
  263. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ災いを転じて福となすというか、ここで基本姿勢を国鉄当局としてもしっかりしなければ信頼される国鉄という、これだけ優秀な国鉄であると世界から言われても、こういうことをお互いにかばい合っているような状態では、本当に万が一事故があった場合どうするかということですよ。幸い事故がなかったからいいんですよ。事故があったから首切った、やれ何したといって責任追及したといったって済まない問題ですね。そういう点についてのやはり当局の基本的な姿勢はしっかり持ってもらいたい。いやな慣行、あるいは労使のなれ合いというような感じは、私は国民の生命を預かるこの安全運行という問題については厳しい態度で臨んでもらいたいと思うんです。これは私の要望です。  それから最後に、スト権の問題と運賃法定主義の問題を一、二伺って終わりたいと思うんですけれども、このスト権問題の解決ですね、これはまあ運輸大臣ちょうど一番いい立場に立っているから、労働行政一番詳しい大臣運輸大臣になったわけだし、やはりスト権問題は避けて通れない問題だと私は思うんです。この点について、政府自身もいつまでもいつまでもあいまいな態度で避けて通っているというやり方では、これは労使の関係は正常化しないと思うんですね。どうしても私は権利はあると思うんです。この点について運輸大臣が明快な処理をしていくという努力は私はしていかなきゃならないと思うんですけれども、このスト権に対する運輸大臣の見解を伺いたい。
  264. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まあ私は労働行政をたびたびお預りをいたしましたから、この問題について私なりの考えはもちろん持っております。ただ、現在中山先生を座長とする委員会ができておりまして、そこでスト権問題を含めて公共企業体の当事者能力のあり方、その他あわせて御検討願っているところでございますので、政府としてそういう方々に御検討を願っておりますときに、私がそれについての私見を申し述べることは適当でないと、お許しをいただきたいと存じます。
  265. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは中山座長以下の意見はいつごろまでに出る予定なんですか、これまた一年、二年かかるんですか。
  266. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 大体二年を目途としているというふうに承知をいたしております。
  267. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ中山座長に預けているから、後詰めてみたってこれは運輸大臣が観測記事の域を出ないわけでありますけどもスト権問題私は条件をつけて早く付与すべきじゃないかと。ただし、まあ私の党の案としても、再建期間中は労使がよく話し合ってこのストだけは回避すべきじゃないかという、慎重にしてもらいたいという気持ちを持っているわけです。いずれにしても、だけど労働者に与えられたこのスト権というものは早く付与すべきではないかということを、これはよく運輸省、あるいは国鉄の事情をわかっている運輸大臣としては、この問題の早く決着をつけるように私は努力をしてもらいたいと、こう思うんです。
  268. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私も政治家の端くれでありますし、先ほども申しましたように、たびたび労働行政をお預りし、しかもそのいろんな転換期にお預りをいたしました。したがって、私は私なりに私の考えの方向に処理するように努力を無論するつもりでございますし、それからいまの三木委員のお考えは十分私、何と申しましょうか、言葉遣いは大変むずかしいんでありますが、そこはお察しいただきたいと思いますが、拝聴いたしました。
  269. 三木忠雄

    三木忠雄君 それから、深くお聞きしたくないんですけども、これ具体的に決まっておりませんので、五万人合理化の問題はこの間も目黒委員からもいろいろ言われておりましたけれども、わしづかみ的な五万人合理化計画、あるいは自民党の一部から押しつけられたこの五万人合理化計画というような話を私は実はいろいろなところから耳にしているわけです。果たして五万人合理化の問題ができるのかどうかという問題ですね。ただ単に五万人合理化、またこれで労使紛争が起こってくる大きな火種をつくったんじゃないかという感じを私は受けるんです。それよりも、やはりこの五万人を関連事業との考え方として、国鉄職員として合理化の問題をただ切る、切るというだけの問題ではなしに、もっといい方法は考えられないのかと、業務もふえてくるわけだし。この点について、国鉄総裁、あるいは運輸大臣の考え方を伺っておきたいと思う。
  270. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはたびたび申し上げておるのでありますが、自由民主党の一部の人たちの力によってそういう案ができたというふうには私は理解しておりません。私は党の役員の一員でございましたので、そういう重要なことの決定には参加をしておりましたが、私はそういう圧力を受けた覚えはありません。  それから第二の問題、これはそういうつかみでやるべきことではないのであって、現実に合理化を進めていって、その結果として生ずるならこれはやむを得ないことでありますが、その場合においてもその職員の人たちの生計の場というものは保障する義務があると、こう私は考えております。
  271. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄総裁ね、ざっくばらんに言って、いろいろ新聞でも言われていますけれども、五万人の合理化というのは不可能でしょう、はっきり言ってくださいよ。
  272. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 頭から数を決めて何か計画を立てるということは好ましいことではないと存じます。ただしかし、全体として総経費の中で占める人件費の割合が、いろいろな見方がございますが、六割を超えるというような形の経営形態でございますので、やはりどうやって裁定をするかということを考えます場合には、経営の方から見ますと、どのようにして人件費負担を軽減するかということを中心課題として考えざるを得ないわけでございます。そして、よってもって効率的、能率的に全体が運用されるような形に持っていかなければならないわけでございます。  しかし、私はいまおります四十三万人の職員数が、現在の仕事との関係において決して多過ぎるというふうには考えていないわけでございますので、たとえばいろいろ仕事の配置についてどう考えるかとか、先ほどお話がありました貨物の効率化というようなことについてどう考えるかというような、個々具体的な問題につきまして全体に能率化を図っていくと、その場合に、今後とも多少とも人件費というものは物価とともに上がっていくわけでございますから、できるだけ、たとえば機械をもって代入するとか、あるいはまたいろいろな職務配置の組み合わせをうまく考えるとかいうことを通じまして、一人でも二人でも能率が上がることによってもし人員を減らすことができれば、これは決して悪いことではないわけでございまして、その点に関して、数で一応何か枠を決めて物事を決めるということについては必ずしも同調いたさないわけでございますけれども、しかし努力目標としてはやはりそういう数字があるということを頭に置いて全員で取り組んでいかなければならない。  その際、もちろん当該職員諸君との間におきまして何か枠をかぶして抑え込むというような気分ではいけないのでございまして、職員団体との間におきましても、職員の方も経営の実態というものをよくのみ込んだ上で、どういうふうにしてやっていくかということを両方が一緒になって考えていくということでなければならぬと思います。一言でそんなに大ぜいの人を減らすことができるかという話でございますが、それは細かにやっていかないとわからないわけでございます。しかし、全くそういう数字が何といいますか、ただ何の目安もなしにぽかんと決めたものだというわけでもないわけでございまして、これからの私ども努力次第によりまして達成可能な範囲内のものというふうには考えておるわけでございます。
  273. 三木忠雄

    三木忠雄君 それから運輸大臣、再建要綱の中に運賃法定制度の弾力化について述べているわけですね。これはどういうふうに具体的に考えているのか。
  274. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはやはり、公共企業体の経営の当事者能力の問題と関連をするものと理解をいたしております。
  275. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、具体的に事務当局でこの問題は考えているわけですか。
  276. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま大臣からお話がございましたように、国鉄を再建する上におきまして、やはり適時適切に運賃値上げができないとまた赤字を生ずるということになるわけでございますので、そういう方向で現在の法制についていろいろ検討をいたしております。できれば来国会に結論を出して御審議をお願いいたしたいと考えております。
  277. 三木忠雄

    三木忠雄君 運賃の値上げだけ弾力化して運賃法定制度を廃止し……、その前提に、私たちはやはりこの赤字問題、私たちの要求しているいろんな問題が解決し、五十一年度にきちっと立ち直るようになれば、私たちはある段階までの運賃の法定化の問題は、法定主義は厳守するけれども、物価上昇率ぐらいの問題については認可制度にしてもいいじゃないかという併用制度をわが党では今回対案を出しているわけですよ。しかし、それは前提としてやはりこういう赤字問題が全部解消しなければ、結論的に毎回毎回上げるような結果になってくる。したがって、今回の再建要綱がざるにならないようにそういう問題をいろいろ検討されているとよく聞きます。  しかしながら、やはりこれの前提として赤字の解消分の問題等は明確に、国鉄が再建できた時点におけるこの法定化の弾力化という問題が必要ではないかということを考えるわけですね。したがって、この五一年、五二年の再建要綱、五十一年、五十二年に収支均衡をとるというこの閣議了解した再建要綱は、完全に収支均衡がとれるような姿になることを私は望むのであって、そう努力してもらわなきゃならない問題であって、この点については運輸大臣のこれからの真剣な戦いですね、これがなければ、私はこれまた運賃だけ残ってしまって、国民に負担だけ押しつけて、後はまた一次、二次と同じような形になってしまったという問題が残るのではないかと。  それともう一つは、運輸大臣に伺っておきたいのは、運輸審議会を改組すべきじゃなかと、もっと運輸審議会を広く意見を聞くような機関にすべきではないかという点を考えるんです。運賃の今後認可の問題を考えてみましても、あるいは各種公共料金の認可の問題ですね、通運にしても、港湾料金の問題にしても、やはり運輸審議会という問題が隠れみの的な存在になっているような感じを受けるわけです。もっと公聴会制度の導入であるとか、いろんな問題を検討しながら、抜本的にやはり運輸審議会のあり方というものにメスを入れ、そして運賃の法定化の問題に手を加えていくべきではないかということを強く考えるわけでありますが、その問題についての意見を伺って、一応私の質問を終わりたいと思います。
  278. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどもお答えいたしましたが、こういう審議会は名前をそろえ過ぎているという傾向、これはどうも私も感心いたしません。もっと実務的なものに組みかえなきゃならない、こういうふうに考えております。先ほど申しました資産の運用等につきましても、大学の先生に相談しても余りいい知恵が浮かばないと私は思うんで、それよりはもっと実際そういう仕事を、商売をしている人の方がいい知恵が浮かぶ、まあそういうようなふうなものにしなきゃならない。お説のように、公聴会のような制度も考えなきゃなりませんでしょうし、何よりも実務的なもの、現状をよく反映できるもの、そういうものに編成替えをする必要があると、こう考えております。
  279. 内藤功

    内藤功君 この国鉄二法案に対しては、わが党は十月七日に、「国鉄を民主的に再建する道」と題する三つの大きな柱からなる政策を発表いたしました。この対案に基づいて、このような二年連続一年間五〇%以上に及ぶ大幅な運賃の値上げ、これには強く反対し、また、このような運賃値上げを繰り返してきた国鉄財政に深くメスを入れて民主的な転換を進めること、そうして第二番目には、大企業本位でなくて国民本位の輸送力の増強政策に転換をすること、そうして三番目には、こういう転換を保証するための国鉄の管理、運営の民主化を行うということ、こういう三つの大きな柱による具体的な対案を発表しております。以下、私はこの二法案に関連する質問としては相当の長時間、数時間を要する質問でありますし、きょうはそのごく一部として質問を行い、残りは次の機会に譲りたいと思うんであります。  まず、国鉄総裁並びに運輸大臣にお伺いしたいんですが、国鉄というのは国民に対するサービス機関である、最近では単なるサービス機関じゃなくて前だれをかけた商人の意識に徹しなければならぬというようなことも、大臣総裁の口から出ているのです。そこで、国鉄が利用者である国民に対するサービスというものはいろいろあるが、最も最低で、これをやらなきゃ国鉄じゃないという最低のサービスは何ですか。
  280. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いろいろあると思いますが、まず旅客につきましては、やはりなるべく低い運賃で、そして、多くの方々に輸送サービスを提供する、つまり少数特定の方でなくて、多くの方に輸送サービスを提供するということであろうと思いますし、貨物につきましても、他の輸送手段と比較して最も国鉄にふさわしい、鉄道で運ぶのにふさわしい輸送形態を確保することであると思います。たとえば旅客についてでございますが、しばしば、国鉄の駅なら駅におります職員の数が私鉄の職員よりも数が多いというようなことをよく言われますけれども、それはやはり、朝一番早くから動いておる、そして夜一番遅くまで動いておる。朝早く夜遅くというのは必ずしも採算的に申しますといいわけではありませんし、むしろ朝の早い時間、遅い時間の列車編成で考えますと、いわば単に商売という角度から言えば全く引き合わないわけでございますけれども、それは他の交通機関に先駆けて朝早くから夜遅くまで動くということが私どもの仕事であると思いますし、それから、もうかる路線だけで走らしているということではなくて、赤字だということで大変非難を受けておりますけれども、地方において最低の輸送手段を確保するということも、これ私どもの非常に重要な仕事だと思っております。  そうして、長い歴史と伝統を持って非常に世界に誇る正確な輸送をやってきたわけでございますし、最近におきましても、新幹線のような技術をもって、単に輸送だけでなしに、日本の文化の水準の象徴として皆様から受け取られておりますわけでございますが、そういった文化的な意味での働きということについても、私どものこれまでの百年の伝統が生んだものとしてお受け取りいただきたいと思っております。
  281. 内藤功

    内藤功君 大臣、どうですか。
  282. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず、サービス業というか、そういう観点から言えば、安全に親切にやることだと思います。それから、公共輸送事業として考えれば迅速、大量、正確ということが国鉄の使命である。あとは総裁と同じ考えでございます。
  283. 内藤功

    内藤功君 要するに、お客と貨物を安全に、確実に、親切に目的の行き先まで届けてやることが何といったって最低のサービスですね。そういうことですね。
  284. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そのとおりです。
  285. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのとおりでございます。
  286. 内藤功

    内藤功君 ところが、去年の七月三十一日に起きた事故でありますが、東北本線の仙台の手前に名取という駅がある。乗客がその列車のデッキから落とされて亡くなっちゃったという事故が起きた。国鉄というのは目的地に人間を届けるのに、届けない。乗せない。乗せて落としちゃう、こういう事故が起きたんですね。こういう事故を知っていますか。
  287. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 存じております。
  288. 内藤功

    内藤功君 この間もある同僚委員から、国鉄というのはどうもお客を乗せてやるという官業時代の意識が強いという御指摘があった。私もそう思うんですね。しかし、乗せてやるんじゃない。乗せないんです、これは。乗せて運んでやらないという問題ですね。この事故の概要はどういう事故でありますか。
  289. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 名取駅の転落事故の概況でございますが、発生日時が五十年の七月三十一日十八時二十五分、場所は東北本線の名取駅の構内、列車は第二四二列車と申しまして仙台発十八時七分平行きの十両編成の列車でございますが、この第二四二列車が名取駅への到着直前に、後部から五両目、進行左側、つまり海側でございますが、このデッキに乗車しておられましたお客さんが転落をいたしました。で、降車客及び車掌の方から通報がございましたので、当務駅長が救急車を手配いたしますと同時に、職員を現場に急行さした、行かせたわけでございます。で、お客さまが右手を轢断されまして、ほとんど即死の状態でございましたので、駆けつけました警察官立ち合いの上で、救急車で十八時四十分、市内の大山外科というところに収容いたしましたわけですが、亡くなられたわけでございます。で、旅客の住所、氏名でございますが、名取市の手倉田字小字五五五の二、板橋博さんという方でございます。
  290. 内藤功

    内藤功君 当時の当該列車の混雑率というんですかね、これはどのぐらいでしたか。
  291. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 定員が八百七十二名で、乗車が約千七百人でございまして、一九五%というふうになっております。
  292. 内藤功

    内藤功君 約二倍近くの混雑率であったわけです。二倍積んでいる。十八時二十五分だから退勤時ですね。退社時。で、この線は得に朝夕のラッシュ時は乗客がデッキに集中するというような現象がほとんどすべての列車で見られる、ラッシュ時は。で、いまぼくはデッキと言ったけれども、これは電車型じゃなくていわゆる列車型ですな。SLでも引っ張ってくれるような、そういう列車型の車でありますから、デッキにみんな学生さんやサラリーマンの人が乗っている、どうですか、私どもはこういうふうに調査をしているんですが、その車の形態、車両の形態と、それから中の込みぐあいというか、乗りぐあいというか、どうです。
  293. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 御指摘のとおり、車は客車でございますので、ドアがあくような形になっております。で、乗客は大体二倍程度ということでございまして、デッキにもお客さんがいらっしゃったという状態でございます。
  294. 内藤功

    内藤功君 この名取市というのは仙台のベットタウン、特にこの十年くらいの間、非常に団地などができて人口がふえてきておるんですね。仙台への通勤通学者が非常にふえている。東京、大阪だけじゃなくて、こういう東京型、大阪型の都市化がいまこういう都会に進んでいるわけですね。このように急増した旅客に対する国鉄の対策です、問題は。どういうふうな対策をいままでこの通勤者の急増という現象に対してとってきなさったか、その点を御説明願いたい。
  295. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 仙台に限りませんで、札幌であるとか、あるいは北九州、あるいは広島とか、そういった地方の中核都市における乗客が、一ころモータリゼーションとともに少しずつ減っておったのが、ここ最近再び上昇ぎみであるという点は御指摘のとおりでございます。そこで国鉄といたしましては、通勤輸送は一つの使命でございますので、都市間輸送、それから大都市通勤輸送、こういったような地方中核都市がふえますれば、当然それに伴いまして手当てをいたしていくわけでございまして、普通毎年定期的に乗客の流動調査でございますとか、あるいは毎日車掌の通報してまいります報告、あるいはいろいろ陳情なり、そういったものもございますので、その辺ももちろん私どもの策定の中に織り込みまして、必要によりまして手当てをいたしておるわけです。  大都市でございますと、先ほどもちょっとお話がございましたが、たとえば東京、大阪付近の電車区間でございますと、大体二百四、五十円ぐらいの、つまり二倍半ぐらいの、定員に対して御利用がございまして、そういったものに対してどんどん輸送力の増強、あるいは車両の増備というものをやっていくわけですが、中核都市におきましても、さっきの一九五という数字は大分高いじゃないかというようなことも考えられますが、大体二〇〇%ぐらいを目標にいたしまして、それぐらいを大きく上回るようなときには手当てをする、こういうふうな考え方で中核都市に対応しておるという実態でございます。
  296. 内藤功

    内藤功君 この通勤時間帯の列車のダイヤも私の方は調べましたが、最近どうなんですか、列車通勤通学時の増発や増結、それからして通勤通学用の電車ですね、ECというんですかな、電車車両をかえるということはやっておりますか。
  297. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 全国的にはいろいろ手当てをしておるわけですが、ここについて言いますと、四十六年から五十年、ここ五年の間に本数はふやしておりません。
  298. 内藤功

    内藤功君 このように、やっていない。そうして、ただ一つやっていることがあるんですね。ただ、こういう混雑緩和のために一つだけやっていることがある。これは何ですか。
  299. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) お客様ふえましてラッシュ時に集中するということで、どうしてもラッシュが非常に込み合うものですから、それを幾らか緩和したいということで、全国的に時差通勤お願いをいたしております。
  300. 内藤功

    内藤功君 時差通勤といったって簡単にできるものじゃないです。ただ一つやっていることは、いま言わなかったが、名取の駅へ行くと大きな横断幕が出ていて、そして電車やホームではなるべく中に詰めるようにしてくださいと、これがただ一つの通勤対策。時差通勤のお勧めのほか——時差通勤のお勧めなんというのはどこでもやっているんです、これは。そういうものは別に対策に入らない。強いと言えば、中に詰めて乗ってくださいと、これだけが一つの対策になっている。情けないかな、こういう状況ですね。  どうですか。最近、私のいま質問で出たこの事故だけなんですか。名取の駅の構内、その近所、それから長町、南仙台あたりまで含めて、この三年ぐらいの間にこういう——本当は落とされちゃならない列車から落とされている人がいます。落ちている人がいます。転落事故ですね。転落して亡くなった事故、けがした事故あります。これはどのくらいありますか。
  301. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 名取、長町、あるいは仙台含めまして、四十九年に二件、五十年に三件、五十一年は一件でございます。
  302. 内藤功

    内藤功君 その概要ですね。どういう人が、大体何時ごろの時間帯の列車で、どこで落ちたか、そしてその結果ですね。亡くなったのか、けがされたのか、どのくらいのけがか、おわかりですか。
  303. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 四十九年の六月十七日に名取駅で十七時五十二分、五三八列車という列車でございますが、高校生の男の方が列車の振動によりましてデッキから転落されまして一週間の負傷を負っておられます。  それから十月二十五日、同じく名取の駅で七時五十四分、二三五列車でございまして、これ、二十五歳の会社員の方ですが、同じくデッキから転落されまして、一週間程度の負傷ということになっております。  それから、五十年の七月三十一日、これは先ほど申し上げましたとおりでございます。  それから八月二日に、やはり名取の駅で、二十一時六分でございますが、二二三列車、女の方で四十七歳の方がやはり転落されまして、額を打撲されております。  それから九月九日、長町駅でございますが、七時五十一分、二三三列車でございまして、男の学生の方がデッキに乗っておられて転落されて、頭部を打撲しておられます。  それから五十一年、ことしの五月二十五日、南仙台−長町間ですが、八時十四分、二五二一列車で、十九歳の学生の方がデッキに乗っておられまして、転落をされまして、左ひざと左額を挫創されております。
  304. 内藤功

    内藤功君 いまの事故をずっと見ていきますと、全部名取駅か長町駅、それから南仙台と長町駅間という、非常に狭い区域ですね。つまり、岩沼から、ずっと仙台の方へ東北本線が行くあの狭い区間の間で起きている。それから、いずれも時間帯が通勤時、それから退社時の方が圧倒的に多い。それから学生とか会社員の方が多い。それからもう一つは、全部共通しているのがデッキですね、デッキに乗っている。これはデッキで遊んでいるわけじゃないんだね。デッキに乗らないと、一九五というこの混雑度からいくと乗らざるを得ない。私は現場の写真をここへ撮ってきたんですが、このデッキに乗らないともう乗れない。この写真にはっきりしている。恐らくあなたは大体想像つくと思うが、見てください。こういう状況なんです。——いまどきこんな状況なんです。——委員長、どうも失礼しました。いま写真を見てもらいましたが、大変な、鈴なりという表現がぴったりのような状況ですよ。ところがこの五年間には、さっき答弁があったように増発、増結、本数をふやすことは一切していない。  乗客数はこの間、昭和四十五年と五十年を比べてどうですか、その乗客数はどのくらいふえておりますか。それから、そのうちいわゆる定期券を使って通学通勤する方の数は、割合はどのくらいですか。これをお調べになってわかっていますか。この同じ線ですね、仙台−名取間。
  305. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 四十六年から数字を持っておるわけなんですが、四十六年が輸送量が一万四千六百三二でございまして、五十年が一万七千四十二という調査結果でございますので、約二千四百人ぐらいふえております。で、定期と普通の乗車は、一般的には大体こういうところでは七対三ぐらいの割合でございますが、これは通勤時間帯でございますので、恐らくこの列車でしたら、九割程度は定期であるというふうに思っております。
  306. 内藤功

    内藤功君 あなたはいま輸送量で答えられたですか。
  307. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 輸送量でございます。
  308. 内藤功

    内藤功君 私の質問は、輸送量じゃなくて乗客の数ですね、この数で答えられないかと。これはまあ数でというのは、仙台駅と名取駅、昭和四十五年と五十年で答えられませんか、どのくらいふえているか。人間の数の方がわかりやすいと思うから。
  309. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) ここは、この区間の中のある断面をとった交通量を申し上げたわけなんですが、たとえば仙台の駅でしたらいろんな方面からお客様が来られまして、まあどこから来られたかというのはいまの時点では持っておりませんが、これは名取と仙台の間の流動のある断面でとらえておりますので、これが列車にお乗りになったお客様の数量というふうにお考えいただきたいと思います。
  310. 内藤功

    内藤功君 どうも手元にいますぐ出せないようだから、私が仙台鉄道管理局で調べた資料を言います。こういう数なんです。昭和四十五年仙台駅で五万五千八百五十四名、これが昭和五十年に六万六千九百九十名になっております。これはパーセンテージで言うと一二〇%ふえた、五年間に。列車本数は何もふえないですよ。そのうち定期券は、仙台駅で四十五年三万五千八百一だ。昭和五十年で定期は三万九千九百三十五名だ。一一二%ふえております。まあ仙台駅というところはいろんなところから来るからということになるでしょうが、では名取駅はどうか。名取駅は四十五年は三千九百三十六名だった。五十年に五千四百五十八名になった。パーセンテージで言うと一四〇%になっておる。それから定期券は、四十五年が三千三百二十、五十年が四千三十六、これは十二二%になっておる。こういう数字です。よく調べてほしいですね。こういう増加があるんですね。このように大変な四〇%の乗客増加、特に定期券を使う人の増加があるのに、車両の増加がない。輸送力についてはさっきあなたが言ったとおりだが、人間に換算してみるとこういうふうにはっきりしてくるわけですね。  そこで、実態はまあこういうところですが、これについてはもう当然名取の地方自治体の方からも、放置できなくて、名取市長から国鉄当局あてに具体的な陳情がしばしば行われておりますが、これは知ってますか。
  311. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 陳情が来ておるのは承知しております。
  312. 内藤功

    内藤功君 どういうような内容の陳情で、これに対してはどういうふうに対処しておりますか。
  313. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 先ほど御指摘のように、名取のあたりはベッドタウン化しておりまして、相当人口もふえておると、したがって、仙台に通勤される人も多いということで、列車の増発、あるいは客車を電車にしてくれというふうな要望でございます。
  314. 内藤功

    内藤功君 この具体的な陳情書を私ここに持っておりますが、名取駅の改築と電車の増発、それから、通勤電車の導入というのが、この切実なやはり陳情であります。この中には、特に昭和四十年にいわゆるニュータウンが名取に造成をされた。四十八年に手倉田区画整理組合施行の住宅団地の実現によって駅の西側からの利用客がますます激増すると。さらに県立の農業高校と普通高校が五十二年度の開校を目指しているという非常に深刻な環境条件にあるということが訴えられています。まあ、この内容を私一々ここで全部紹介いたしませんけれども、こういう具体的な要求がすでに市当局を動かして国鉄当局あてに出されているという現状であります。こういう現状のもとで、さっき言ったデッキから振り落とされるというような事故が起きているわけです。  で、いま具体的に出ている名取駅の改築、これはまあ西口の方をつけろという改築の要求、それから電車の増発、通勤電車の導入、この三つですが、ここにしぼってお聞きしますが、この対策についてはこれは実行すると、これは実行しなきゃならぬ、また実行できるという意思と見通しがおありですか。
  315. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 西口の方はまだ未定でございますが、表口の改築を検討しておる、内定をしておるということでございます。  それから電車の増発、電車化、あるいは列車の増発でございますけれども、これは仙台の局で検討しておりますが、なかなか要員事情その他のことがありまして、かなり時間がかかっておる次第でございます。  電車化は通勤型の電車でございますが、通勤型の電車は当面この地区には入れる計画はございません。
  316. 内藤功

    内藤功君 この電車化は、これはどうして計画がないんですか。まず、この車両の形を電車型の車両にするという準備、それからそういう計画は全然ないんですか。
  317. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) いまの電車化そのものですと、たとえば客車のとびらを自動的に閉めるとか、そういうようなものについては別の線で試行することを考えておりますが、この交流区間の通勤電車は、ただいま現在のところつくるという計画は持っておらないわけでございます。
  318. 内藤功

    内藤功君 そうすると、ほかの線では計画しておるが、いまこの七人だったかが、振り落とされた事故が起きて、これはもうデッキからみんな落とされている。この線区では電車化の計画も準備もないんですか。
  319. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 先ほど申し上げましたのは、電車といいますか、要するにとびらが自動的に閉まる客車でございますが、これをある線区でテストをしまして、それがよろしければ全国的に乗したらどうかという考え方が一つあるわけでございますが、そのことを申し上げたわけなんですが、この地区にも——したがいまして、そういう結果がよろしければそれから持っていくということにはなろうかと思いますが、別に通勤型の電車をここで直ちに導入するという計画はございません。
  320. 内藤功

    内藤功君 そうすると、これだけのデッキからの転落事故が起きて、さっきあなたも写真で見たような通学通勤状況。これについてはドアの自動的に閉まるそういう列車、客車をほかのところで研究して、ぐあいがよきゃ入れると、こういうわけですか。それは必ず入れるんですか。入れるとすればいつごろ入れるんですか。あいまいな話じゃ困るね、それは。
  321. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) これはそういう設計をいたしまして試行してみませんと入れられるかどうかわかりませんから、いつ、どこに、どれだけ入れるということは現在確定した計画はございません。
  322. 内藤功

    内藤功君 それだからしようがない。これはもう運輸大臣も、総裁もそうだけれども、五〇%ずつ二年間連続で上げようというわけでしょう。物価は上がってますよ、どんどんね。そうして、また国鉄の値上げで私鉄に響く、いろんな物価全体に響く、こういう状況でしょう。お願いしますという姿勢でこなきやならぬ。これだけサービスをよくするから、これだけあなた方便利にしますから何とかひとつお願いしますと、こういう姿勢でこなきゃなんないのに、あなた方の態度というのは、人間を確実に運ぶのが列車でございます、国鉄でございますと言うが、七人の人もが列車から落っこっちゃっている。一人は亡くなっておる。そして、じゃ、それを電車にかえますかと言うと、電車にかえる計画はない。列車のドアが自動的に閉まるやつがありますが、これはいつになるかわかりませんと、まあ答弁は正直なんでしょう。答弁は正直だ。正直なんだけども、それで値上げしてこようと、こういう姿勢だから、私どもは、そういう国民に対する安全、サービスの姿勢をまず抜本的に改めていかなければ、この値上げに賛成だってことは言えないですよ、これは。民主的に転換した後、値上げの問題は初めてそこで審議されるんだと、われわれが言っているのはそういうところなんです。情けない話だと私は思いますね。  増発、増結はどうなんです。この線区について、いまぼくの調べたところだと、名取駅から仙台駅まで朝六時から九時の通勤時間帯で朝五本、夕方三本だね。こういうような状況ですね。朝五本、夕方三本というこういう路線をさらに増発するという考え方はどうなんですか。増発あるいは増結の考え方。
  323. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 実は、ただいま御指摘のこの地域にはいろいろ問題があるわけでございます。大変私どもも困っている問題がいろいろあるわけでございます。  一つは、いまの一番いい方法は、電車化を図るということだろうと思うのでございますけれども、これは私も今回お尋ねがあるということで、初めて実は勉強した次第で申しわけないんですけれども、交流地域の通勤電車というものをいま持ってないそうでございまして、この周辺で走っているもの、また関西地区で走っているものはすべて直流型だそうでございまして、今後、いまの御指摘の例のように、交流で電車を走らしております地域につきまして通勤電車を開発する必要があるのではないかということなんですけれども、これはいささか時間がかかるのでうまくいかない。  そこで、さっき他の委員の御質問にもございましたが、私どもは実は全国で、いろいろな地域で線路容量が足りなくなっている地域があるわけでございますが、東北新幹線の問題について触れましたように、大宮−宇都宮間、あるいは大宮−高崎間というような地域のほかに、東北線が全般的に線路容量がいっぱいになっておる関係がございまして、なかなかいま御指摘のように増発を図ることが列車間合いの関係で非常にむずかしい事情にあるという報告を受けております。しかし、いずれにいたしましても、本社の中におきましても、これを地域的な問題として考えているわけではないわけでございまして、この仙台周辺の通勤対策についていろいろ問題があるということで私どもの課題になっておるわけでございます。この値上げ問題とは別といたしまして、通勤ということは非常に重要な私どもの役割りでございますから、値上げのあるなしとは関係なく、通勤対策については、そういう極端な幾つかの地域について対策をとってまいりたいというふうに思っておりますが、いまいろいろ答弁申し上げておりましたように大変おくれているわけでございまして、この点は、私ももう一遍よく見直してみたいと思っておるわけです。
  324. 内藤功

    内藤功君 こういう値上げをお願いするときにあなた方に言わなきゃ真剣に聞いてくれないですね、これは。これで値上げがあなた通ってごらんなさい、もう後はまた五、六年ほうっておくことになる。だから、私は厳しくこれを言うんです、いま。大体、そうなんです。そこでね、あなたいま値上げとこいつは関係ないと言われた、別だと。論理的には別でしょう。問題は別でしょう。しかし、あなたは、よく商売やるとか、商売人に徹するとか、サービスに徹すると言う。何ですか、商売とかサービスとか。料金をちゃんと上げてふんだくりやいいのが商売じゃないんですよ。商売というのは、相手のことを思って、相手に本当にサービスをしてあげて、相手が喜んで財布のひもを緩めて、四十円のところを七十円出す気持ちにさせるのが商いなんですよ。あなたは商売なんというけれども、わかっちゃいないです、それは。石田さんによく聞いてごらんなさい。石田さんもわかんないかもしれない。口で商売とかサービスとかというけれども、こういうことだからいけないんです。  私は総裁に聞きたいんですが、電車化ということはむずかしいと、列車の自動ドアでやるとか、それから増発、増結をするとかいう要求ですが、市長さんから出ているんですよ、仙鉄の局長さんにね。いつごろまでやります。あるいは見通しつかないですか。それを今度は総裁お願いします、答弁。
  325. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も先生のお尋ねがあるということで、まことに申しわけございませんけれども、いわばあわてて勉強いたしたわけでございまして、いま言ったような事情で、どうもあの手もこの手もすぐになかなかいい手がないと言っておりますが、それは決して値上げとは関係なくよく詰めて勉強いたします。それで、なるべく早い機会にお答えをいたしたいと思います。きょうこの段階では、ちょっと私材料不足で、無責任な答弁になりますので、御勘弁いただきたいと思います。
  326. 内藤功

    内藤功君 いつまでに答えてくれますか。
  327. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっとそれはお約束してお約束を守れないと困りますから、大至急勉強して、それをいつまでお答えするかをまず早く御返事申し上げます。
  328. 内藤功

    内藤功君 次の二十六日の委員会の私の質問が続きがありますから、続きが始まるまでに何とか努力して答弁を用意してください。私の質問、それからまた続行します。あとは次回に私は質問続行します、ちょうど時間もあれですから。
  329. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 次回までに、とにかくこうなりますという非常にいいお答えができるかどうかわかりませんが、いずれにしてももう少し勉強した結果を申し上げます。
  330. 内藤功

    内藤功君 じゃ、私はその答弁を聞いてから、以下の質問、関連がありますから、続けます。
  331. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止
  332. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 速記を起こして。
  333. 内藤功

    内藤功君 じゃ、いまの点は留保して、先へ一つだけやります。  私は、地方都市における交通問題というものが、歴代自民党政府国鉄当局の無政策によってきわめて重大な事態になっていると思うんですよ、これは。人間がとにかく亡くなっているんだからね。問題は、政府及び国鉄当局が放置しておけばこういう事態になるということを承知しながら具体策をとっていなかったということがいまのやりとりで明らかだと思うんです。四十八年の五月に運輸省は、地方中核都市の交通問題に関するアンケート調査なるものを全国八十八の人口十万人以上の地方都市を対象に行っていますが、その調査結果は国鉄当局、運輸省、知っておりますか。
  334. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま御指摘報告が出ていることは承知いたしております。
  335. 内藤功

    内藤功君 その調査結果で国鉄に関する点を見ますと、三つ問題点がある。第一は、便数が少ない。混雑がひどい。いまの場合もそうですね。二番目が、鉄道利用の衰退した原因として、運行回数などサービスレベルが他の交通機関に比べて非常に低く、利用者にとって魅力に乏しいということ。そこに書いてあるんです。三番目が、どのような措置がとられるべきかという問題については、輸送人員の減少と運行回数等、サービス水準の低下との間の悪循環が地方鉄道の衰退の大きな原因になっているということを挙げております。この際思い切ったサービスレベルのアップを図る必要がある。大体こういう調査結果であります。  ところが、いまの名取駅の事実は、こういう調査結果を運輸省は何にも生かしていない、ほとんど生かしてないということになると思うんですね。どうですか。この地方中核都市の云々という、こういうアンケート調査の結果をどのように尊重していままで生かしてきたのかという点について、運輸省いかがです。
  336. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方中核都市の問題につきまして、運政審の方から四十九年にただいま御指摘のあったような報告を受けているわけでございますが、残念ながら具体的にこれについて措置をとったというような段階にまで至っていないわけであります。
  337. 内藤功

    内藤功君 いままでのことはわかりましたが、これからどうします。
  338. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方中核都市の交通問題というのは、国鉄だけではなくて、私鉄の問題であるとか、あるいはバスの問題であるとか、総合的に検討しなきゃいかぬ問題ではないかと思います。運輸省といたしましては、各陸運局に地方陸上交通審議会というものを設けておりまして、最近では広島とか、仙台とか、各地方中核都市を取り上げて、そこの地域における総合交通体系のようなものを現在検討いたしているわけでございまして、その結果に基づいて施策を進めていくと、そういうことになろうかと思います。
  339. 内藤功

    内藤功君 結局、会議だけやっておると。地方の審議会を——審議会ですか、開いて、何やら議論しているというだけだ、これは具体策がない。  もう一つ関連して運政審——運輸政策審議会、先ほどからお話出ているが、これの都市交通部会が四十九年五月に、地方中核都市における公共輸送網の整備について、その審議経過報告をまとめておる、これは知っていますか、運輸省。
  340. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま私が申し上げましたのがその答申でございます。
  341. 内藤功

    内藤功君 その中の「国鉄、地方私鉄等の活用について」という中で第一、第二と、二つに分けて具体的な、こうすべきだという指摘を行っていますが、これはどういう指摘を行っていますか。
  342. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま御指摘がございました国鉄、地方私鉄の活用問題でございますが、最初に御質問になりましたのがいまの問題ではないかと思いますけれども国鉄については運行回数の増加、編成両数の増大等によってサービス改善の検討を行うべきであるということが言われております。
  343. 内藤功

    内藤功君 それがもう出ているのにやっていなかったわけです。運輸大臣、もう私は大体いままでずっと聞いてきたから、資料をお調べになりながら聞いておられたと思いますが、どうですか、恥ずかしいと思わないですか。あなたは大臣になられてから恥ずかしいことの連続でお苦しみだろうと思うんだが、情けないじゃありませんか。あなたはサービス精神、前だれ精神をよく言われるが、どうです、さっきのあの答えは。安全に人間を運ぶのが汽車なんですね。ところが、安全に運ばない、死んだ方もある。ところが、市長からも要求がある、だのに何もしてない。早い話がこういうことですよ、どうするんです。
  344. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私も、実は私事ですが、二十数年前に私と新聞社時代の同僚であった皆さんも御存じの嘉納治五郎さんの御子息がいまのお話と同じ状態において死んだんです。死んだ現場へ駆けつけておってよくわかる。  それで、まず考えられることは、いろいろな事情、特に財政事情もありましょうし、電力の事情もあって即刻できないとしても、何かの配慮ができなかったろうかと思うことが一点あります。それは、どうしても、これはどんなときも同じですが、旅客というのは入り口にかたまりがちでなかなか中へ入らない。そういうのが実情であるなら、ドアがついているんだから締めないのが悪いんだではなくて、そういう実情を防ぐために、たとえば鎖をつけるとか、何かの方法がなかったかということを私はいまも感じましたし、その二十数年前の事件のときも感じました。  それから、中都市における交通の問題に対する答申は、中都市だけでなく、全体の問題として考えるべき問題で、たとえば頻度の問題、ラッシュアワーの増車の問題も無論でありますが、頻度を多くするために、ラッシュアワーでない時期において、もう少し車両を少なくて回数を多くするというような方法を考えられないだろうか。そういう点をいま御質疑を通しまして私は感じた次第でございます。  で、前だれ精神、サービス精神というのは、答弁、応答、それからそのほかを聞いているうちに、やっぱり、そうじゃなくて、お役人として国鉄へ入ったなあという感じを持ったことも同感であります。しかし、こういう現状に直面をして、みんな現状の苦しい状態の中で立ち直る努力をしておりますので、また私も機会あるたびごとにそういう方向に向けて努力をしておりますので、次第に、御期待に沿うようにということはむずかしいかもしれませんが、事態の改善に進んでいくものと期待をいたしておる次第でございます。大変残念な、そして、もう少し小さな配慮と申しましょうか、事態に応ずる応急の配慮、そういうものが全体として必要でないかというような感じを持ったのであります。
  345. 内藤功

    内藤功君 感想は結構なんですが、どういう指示をなさいます、大臣として。
  346. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、先ほどから何度も申しておりますように、去る十六日に国鉄の幹部を集めまして、お話の内容、それ具体的な事実とは違いますが、お話の方向を目指した内容を含んだ指示を文書をもって通達し、口頭をもって厳重に発想の転換と再考を促したのであります。それに応ずる体制をこれから総裁以下早急にとってくれるものと期待をいたしておりますが、実効が上がらない場合はさらに繰り返す所存であります。
  347. 内藤功

    内藤功君 名取駅のこの問題の再発の予防、こういうような事故の再発の予防についてはどういう指示をなさるおつもりですか。
  348. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういうことは私がすることではなくて、安全確保という現実的責任を持って国鉄の経営に当たっている国鉄総裁のなすべき指示だと私は思いますが、名取駅だけの問題ではないと思いますので、全体としてこういう事故の再発があれば、すぐにその再発を防ぐ速やかな具体的な措置というものをやっぱり考える姿勢になってもらいたいと思います。
  349. 内藤功

    内藤功君 ところが、ことしの一番新しい五月の事故以後、再発防止について国鉄当局がどういう手を打ちました、五月二十五日以後。
  350. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) この転落事故でございますが、過去の例で見まして大体五月、それから六月、七月、八月、十月というようなことで、先ほどの客車のデッキにお客さんが大分おるじゃないかということでございますが、このお客さんが冬はわりに中に入っていただいておるわけでございますので、できるだけ中に入っていただきたいということで、そういうことを学校なりあるいは事業所、そういうところに呼びかけると同時に、駅の掲示にも出しまして、中に入っていただくというようなことで措置をしておるわけでございます。
  351. 内藤功

    内藤功君 私の、この点についての質問を一応これで終わりますけれどもね、いまの答弁でもわかるように、なるべく汽車の中へ入ってくれと、車の中へ入ってくれと、こういうことを指導したというだけなんです、五月二十五日の学生さん、十九歳の人が落っこってから。ですから、余りにもこういう事故に対する反省、再発防止策の無策ということがこれではっきり出てきておると思うんですね。私はこれだけの大幅な値上げを一方で国民お願いをする。お願いするというか、押しつけようとしてきていると。ところが、やるべきことはもうやってないと。しかも、数年前から運政審が勧告し、市長が要求し、また関係労働組合要求していると聞きますこういうことについて、手を施してないということは非常に遺憾だと思います。私は、いまの石田さんの答弁も含めて、まだ納得できないということを申し上げておきたいと思うんです。
  352. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 委員長
  353. 内藤功

    内藤功君 えっ、何ですか。私、別に質問してない。
  354. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 答弁要りませんか。
  355. 内藤功

    内藤功君 要りません。
  356. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 済みません。先ほど申し上げましたように、夏季がわりに多いということでそういう措置をとると同時に、仙台の局において十分地元の意向も聞きまして、どういう形で通勤の手当てができるかということは現在検討しておるわけでございます。
  357. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時四十一分散会