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1976-10-19 第78回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 江藤  智君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 佐藤 信二君                 橘  直二君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    衆議院議員        修正案提出者   加藤 六月君    国務大臣        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        内閣審議官    伊豫田敏雄君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省自動車局        整備部長     犬丸 令門君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        経済企画庁長官        官房参事官    佐々木孝男君        経済企画庁物価        局物価調整課長  海野 恒男君        大蔵省主計局主        計官       宍倉 宗夫君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        大蔵省主税局税        制第二課長    水野  勝君        資源エネルギー        庁石油部計画課        長        田口健次郎君        労働省労働基準        局監督課長    倉橋 義定君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君        日本鉄道建設公        団理事      平岡 治郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○公聴会開会承認要求に関する件     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、本案趣旨説明並び衆議院における修正部分説明を順次聴取いたします。石田運輸大臣
  3. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりました。今日全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてきてはおりますが、鉄道としての特性を発揮できる輸送分野もなお多く存在するものと思われます。すなわち、国鉄は、わが国の交通体系の中で今後とも都市間旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送について重点的にその役割りを果たすとともに、国鉄の本来の使命から見て、これらの分野以外の分野を含めた全体につきまして、独立採算性を指向した自立経営を行っていくことが強く期待されるものであります。  一方、国鉄財政は、昭和三十九年度赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどってまいりました。このため、政府におきましては、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二度にわたって国鉄財政再建に関する基本方針を決定し、各種の対策を鋭意推進してまいったところであります。  しかしながら、その後、輸送構造の変化、運賃改定のおくれ等による収入の不足と人件費及び物件費の大幅な上昇等による経費増高のため、国鉄財政改善の兆しを見せず、昭和五十年度には約九千百億円の減価償却損失を生じ、繰越欠損金は三兆一千億円を超えるに至り、昭和四十八年度を初年度とする現行財政再建計画の目標を達成することはきわめて困難な状況に立ち至っております。  このような現況にかんがみ、政府といたしましては、この際現行財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省を加え、抜本的な再建対策を策定して、これを強力に実施していく必要があると考え、昨年末に、日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解いたしました。  今回の国鉄再建に当たりましては、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう厳しい姿勢のもとに国民に対して責任ある経営体制を確立することが再建を達成するための基本であり、このためには、労使関係を速やかに正常化することを初め、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立するとともに、組織・人事制度抜本的改革を行うことが必要であると考えております。  次に、国鉄財政問題につきましては、その収支均衡を速やかに回復し、以後これを維持していくことをもって基本方針といたしております。このため国鉄業務運営合理化その他の経営改善を図る一方、いわゆる過去債務の処理を初めとする国の助成措置の強化とあわせて、平均約五〇%の運賃改定を実施しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正内容について申し上げます。  第一に、鉄道普通旅客運賃につきましては、その賃率をおおむね五五%引き上げ、現行賃率では営業キローキロメートルごとに、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルを超える部分については二円五十銭となっておりますのを、六百キロメートルまでの部分については七円九十銭、六百キロメートルを超える部分については三円九十銭に改定することといたしております。  第二に、航路普通旅客運賃につきましては、鉄道普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行うことといたしております。  第三に、貨物につきましては、車扱い貨物運賃賃率をおおむね五九%引き上げることといたしております。  なお、これらの改定によりまして、おおむね三七%の増収が得られる見込みとなっております。  次に、日本国有鉄道法改正内容について申し上げます。  第一に、国鉄は、その事業収支均衡の速やかな回復及び維持を図るとともに、その業務の適正な運営を図ることにより、その経営健全性を確立するよう努めなければならないことを明らかにいたしております。  第二に、国鉄に対して、経営改善に関する計画の作成及び実施を義務づけるとともに、運輸大臣経営改善計画の変更その他経営改善に関し必要な事項について指示することができることといたしております。  第三に、政府は、昭和五十年度末の国鉄長期債務のうち、累積赤字相当額の一部について、その償還が完了するまでの毎年度、その償還額を無利子で貸し付けるとともに、その利子を補給することができることといたしております。  第四に、前述の貸付金償還が完了するまでの間、国鉄は、特定債務整理特別勘定を設けて他の勘定と区分計理を行うとともに、収入支出予算についても他の勘定と区分することといたしております。  第五に、国鉄は、前事業年度から繰り越された損失があるときは、運輸大臣承認を受けて、資本積立金を減額して整理することができることといたしております。  第六に、政府は、国鉄経営健全性の確立のため必要があると認めるときは、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をすることといたしております。  なお、以上の措置に伴い、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法は廃止することといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願いを申し上げます。
  4. 上林繁次郎

  5. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院修正部分につき御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法の一部改正についてでありますが、施行期日の本年六月一日はすでに経過しておりますので、これを公布の日の翌日に改めることとし、また航路普通旅客運賃表中の大畠−小松港間の航路が本年七月四日限り営業を廃止しておりますので、その改正部分を削ることといたしました。  次に、日本国有鉄道法の一部改正及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の廃止についてでありますが、施行期日の本年四月一日を公布の日に改めるとともに、改正後の日本国有鉄道法長期資金の無利子貸し付け及び利子補給の規定の適用等について、所要の経過措置を設けることといたしました。  簡単でありますが、これにて説明を終わります。     —————————————
  6. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、明二十日、福島県において実情を調査するため、また、来たる二十五日、北海道札幌市において現地の意見を聴取するため、それぞれ委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員決定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日の委員会に、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び同理事平岡治郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) これより本案質疑を行います。  御質疑のある方は御発言願います。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣から提案の中で、国鉄再建に当たっては、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう、厳しい姿勢のもとに国民に対し責任ある経営体制をとると、こういうことを力強く述べられたわけでありますが、私は、不幸なことでありますが、この法案審議に入る前に、次の二点について総裁並びに大臣見解を聞いておきたいと、こう思っております。  私は、もともと機関士の経験がありまして、安全を守るためにはどうしても二人乗務が必要だという、その信念はいまでも変わっておりません。前々総裁磯崎総裁は、何千万回に一回発生する事故のために機関士を、運転士を二人乗せるのはもったいないと言って、私と激しく見解を争った経緯がありますが、その何千万回に一回かもしれませんが、今回新幹線において、三島無人運転と、こういう事態発生をしたわけでございます。その経過につきましては国鉄側からも説明がありましたし、あるいはきょうの新聞、ここ二、三日の新聞、テレビでいろいろ出ておるわけでございます。ここに、国鉄側発表した五十一年七月九日の発表内容と、十月十八日発表した内容と、この二つがありまして、私から申すまでもなく、きわめて遺憾な事態だと、こう私は思うのであります。したがって、この法案審議に入る前に、こういう問題点について、一体国鉄総裁はどういうふうな考えを持ち、どういうふうにこの問題について国民に釈明し、今後の問題について考えておるのか、まず総裁見解をお聞きしたいと、こう思います。
  14. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄の仕事の中でいろいろ重要なことがございますが、何と申しましても完全確実に運行するということが第一に考えられるべきことだと考えております。不幸にして、戦後何回かの大きな事故もございましたしいたしますが、その後、それに対する対応をしてきているわけでございまして、漸次、安全かつ確実な運転という方向が見出されつつあるものと思っておりますが、なお残念ながら間々事件の発生をみておるわけでございまして、まことに申しわけなく存じております。  ただいま御指摘三島−熱海間で起こりましたいわゆる無人運転もその一つでございますが、いかに安全についていろいろな整備新幹線については行われていると言えましても、無人運転ということになりますと、これはゆゆしき問題でございまして、開業以来十年余りにして初めて起こった事故でございます。非常に残念に、申しわけなく思います。これの原因は、やはり基本動作と申しますか、担当運転士がみだりに運転席を離れるということは大変問題なことでございますし、またその際、ブレーキ操作等において遺憾な点があったわけでございまして、まことに基本に触れる問題と申しますか、逆に申せばいろはのいに当たる問題だというふうに考えます。  さらに、それに増しまして、実は事故原因等につきまして事実を歪曲をするような御説明をいたしましたことは遺憾きわまりないものでございます。事故原因追及は必ずしも責任追及ということで行っておるわけではないわけでございまして、もちろん責任追及もありますが、原因究明が、その後二度と同じような事故を起こさないということにするためのいわば教育材料といいますか、今後の指針を求めるためのものでございますから、その真相をまず明らかにするということがきわめて重要であるわけでございまして、無人運転というような、ちょっと考えられない事実でございましたために、いささかあわてたということもありましょうが、それにつきましても真相究明について真剣な態度を欠いたということはまことに遺憾であり、しかも、それがかなり上級幹部の手によって行われた事実がございまして、非常に残念に思っておるわけでございます。これに対しましては昨日、運輸大臣からも特に厳重な御注意を私が賜りましたが、それを広く職員諸君に徹底いたしますとともに、内部において厳正なる処分をして対処いたす、また、今後のあり方について、私からも全職員に近く呼びかけをいたして、事故の再発を防ぐということに努力をいたしたいと思っております。  いずれにいたしましても、きわめて申しわけないと申しますか、手続上の面をとりますと初歩的、基礎的な事故でございますし、また、発表のことに関連した問題については、きわめて基本的な問題でございますので、現在の国鉄の中にそういう体質があるとすれば、これは一刻も早く直さなきゃならぬということで、今後も指揮、監督に当たってまいりたいと思います。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 問題点二つあるんですがね。基本動作関係と、いわゆる高級官僚皆さんがこれをうそ発表したと、この二つがあると思うんです。私は、前の磯崎総裁との論争の際にもいろいろ議論したことがあるんですが、やはり乗務員、しかも動力を扱っておる者、その問題に対する基本的な取り扱いなり、あるいは乗務員側意見ということも十分聞いて、基本動作の徹底ということを特に図ってほしい、上から押しつけるだけではなくて、なぜそういう環境になってしまうのかということも、やっぱりハンドルを握っている乗務員の意向を十分聞いて対策に努めてもらいたい。今回は精密な機械であったために事故が未然に防げた。不幸中の幸いだと思うんですが、これを他山の石にして十分がんばってもらいたい。  それから、経営者うそ隠しといいますか、これはやっぱり運転事故をめぐってわれわれが再三現場段階でいろんな隠し事が行われているということを、この場を通じて労使関係でもずいぶん追及するんですが、ありません、ありませんと、いままでずっと来ているわけなんです。それがいみじくもこういう問題でむしろ露呈したという点は、やはり体質の中にあるんではないか、こう思いますから、この点に対する見解はどうですか。
  16. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私はまだよくわかりませんけれども、やはり長い間の伝統の中におきましても、それからまた、最近の労使関係関係から申しましても、遺憾ながらただいまご指摘のようなことが皆無ではないと言わざるを得ないのではないかと心配をいたしておるわけでございます。どうしてそのような体質になるかにつきましてはなおいろいろ考え、また、いろいろな方の御意見を承って至急正さなければいけない。特に安全に関する限りは、そうしたことがかえって事故の根絶に遠回りになる、回り道になると思われますので、ぜひともその真相を明らかにするということ、逆に申しますと安易なるかばい合いということが行われないようにすることについて努力をいたしたいと思います。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 早急な対策努力要求いたします。  これについて、運輸大臣が何か国鉄側に注意したという点も新聞で報道されていますが、その内容、それから大臣の決意についてお答え願いたいと存じます。
  18. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 問題点はいま目黒先生指摘のとおり確かに二つあります。第一は、こういう事業に携わる者の一番大切な安全確保についてのいろはのいの字の措置がとられなかったということでございます。第二は、それをうそをついたということが、当局がうそ発表をしたということが問題であろうと思います。  そこで、幸いに事故が起こらずに済みましたけれども、やはり安全措置というものについてもっと厳格な、基礎的な訓練措置というようなものを第一に要求をいたしました。それから第二は、うそをついたという事実、これは国鉄に対する信用を著しく失墜をさせます。事故はその原因を正確につかむことによって繰り返さないということが期待できるのでありまして、それをごまかしたのでは繰り返さないという次の措置が逃げられてしまうわけであります。私は、第二の問題点に対する措置がいわゆる高級職員によって行われたことを最も遺憾に考えて、それに対する厳重な処置国鉄総裁に要望をいたした次第でございます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣の話を聞きましたから、総裁と両方、いま言ったことを単に現場従業員をいじめるということだけではなくて、やはり総体的な立場で運輸産業の重責を担っているという点から、その防止について努力してもらいたいということを要望しておきます。  それからもう一つは、きょうの新聞国鉄赤字ついに列車削減と、こういうような見出しで各紙が一斉に報道しているわけでありますが、いまから国鉄再建問題の審議が始まる際に、タイミングがいいのか悪いのか知りませんが、こういう発表なり、こういうことをせざるを得ないという現状認識といいますか、そういうものについて非常に私は遺憾に思うわけであります。片や五〇%も運賃値上げになる、片や列車削減でぎゅうぎゅうすし詰めされると、こういうことでは国民は踏んだり蹴ったりだと、こう思うのですが、この新聞発表の骨格と、その内容についてここで御説明願いたい。要点だけで結構です、時間がありませんから。
  20. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 十一月から今年度年度末にかけまして、修繕費の節減のために機関車約百三十両、電車、気動車、客車四百三十両、貨車約三千両の修繕ができなくなることになります。このために当面、十一月呉線、山陽線を初めといたしまして一日約四十五本の列車におきまして減車せざるを得ない状況になります。このまま年度末まで推移をいたしますと一日約百五十本の列車運休、あるいは四百五十本の列車減車発生せざるを得ないことになるわけでございます。このほか、貨物列車も相当な本数の運休が生ずる見込みでございます。なお、これによる修繕費削減額は約六十億円でございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 列車運休が百五十本、減車が四百五十本、金が六十億、こういうことですが、このままいけば年末年始を通じて三月まで続くと、そういう理解なんですか。
  22. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この列車削減と申しますか、休車と申しますか、こういう事態というのはきわめて異常な事態でございます。したがいまして、今回収入の減少に伴いましていろいろと経費削減を図ってまいりましたけれども、最後まで何とか列車削減につながらないような方法処置ができないものだろうかということで六月、七月、八月と経過をしてまいりましたが、九月の段階にまいりましたときに、もはやほかに方法がない、ほかに節すべき経費がないということになってまいりまして、一部修繕費削減のやむなきに至りました。修繕費削減いたしますと、当然車両に余裕がございませんので、列車運行影響がくるということでございます。非常に困っておりますのは、現実にはせっかく運賃改定を含む再建法について御承認をいただきましても、十一月から十二月、さらに一月というふうに影響が大きくなってまいるわけでございますので、これはその理由のいかんを問わず国民皆さんに非常に御迷惑をおかけいたしますし、また、国鉄というものの国民からの理解という点において非常に悪い影響が出てくることは間違いないわけでございますので、何とかこれを、現在の段階ではいま尾関常務から説明いたしましたような影響がどうしても出るわけでございますけれども、これを回避すべく今後いろいろ努力をしてまいりたい。  ただしかし、いままでそう簡単にここまで及んだわけではないわけでございますので、これを回避するなかなか名案がない。今後またいろいろなことを政府、あるいは皆様にお願いをしなくちゃならぬ、そういうことを通じてこの事態を何とか軽減をいたしたいというふうには考えておりますが、現時点においては、いま申しましたような影響が出ざるを得ない状態に追い込まれているわけでございます。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 金の面からいろいろ言われましたけれども、しかし、国鉄の特にラッシュ時の輸送とか、年末年始輸送というのは年間の大変な行事なわけですね。その年間の大変な行事を目の前に控えて列車を切るということになると、これは下手すりゃ暴動も起きかねないじゃないですか。私は、経営責任者として、職員の給料を払わないということと、こういう大事な列車を切るということは、何といっても経営責任だと、政治の責任だと、こう思うんです。ですから、どういうふうなやりくりをしてでも、列車を切るということについては最大限の努力をすべきだと思うんですが、どうにもならないんですか。総裁もう一回。
  24. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 六月、七月、八月と三カ月間約千六百五十億の削減につきましては、主として工事費の抑制と、余り列車運行影響のないような程度の物件費の節減をもって対処してまいったわけでございますけれども、九月になりましてもまだ毎月五百三十億ずつ捻出しなければならない。十月もまたそういう状態であるということで、もう本当に現在光熱水料とか、あるいは掃除代とか、そういうものは全部相当思い切った圧縮をやっておるわけでございますので、大変物件費の中ではウェートの高い修繕費に手がどうしてもついてくるということでございまして、これについては本社の中におきましても相当真剣な議論をいたしましたし、私自身もこれに踏み切るについては、何とか、せずに済ましたいということで苦慮いたしましたけれども、本当に金がないという状態でございまして、御存じのように十月の初め、九月末には支払うべき債務も払えないという状態になったわけでございまして、これ以上支払えないことがわかっているにかかわらずどんどん部品の注文をするというわけにもまいりませんので、お客様には大変な御迷惑になりますが、これを最小限度にとめるということを考えながらここに手をつけるという決意をいたしたわけでございます。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣ね、いま金を聞くと修繕費は六十億だと、十一、十二、一、二、三と六十億と、そういうことですが、私はこの国鉄再建要綱を見ても、今回はどういうわけか採算とか、独算とか、経営の自立という点はありますけれども、公共性という言葉が全然再建要綱のどこにもないんですよ。これは公共企業体を返上したのかなと思うくらい私も変な気持ちでこの再建要綱を読ませてもらったんですが、いまこそ、六十億ですね、六十億という金を政治の責任国鉄にめんどうを見るというくらいのことが私は公共性のぎりぎりじゃないかと、こう思うんですが、どうしても国鉄が、まあけちけち運動やっても出てこない、あるいは支払いもできないというならば、やはり公共性に帰って政府責任で、大臣責任で、六十億を融資するから国鉄心配するなと、したがって、列車年末年始列車を動かせと、こういうふうにやるのが私は公共性のぎりぎりだと思うんですが、大臣見解を聞きたいと、こう思うんです。
  26. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私も、これから冬に入って列車の混雑がいよいよきつくなるときに、こういう事態を招かないように最大限の努力国鉄当局にもお願いをいたしました。また、その他の方法がないものか、検討をしたわけでございますが、現制度下においてはもうどうにもやむを得ない状態であるということと、それから列車縮減について、特にラッシュアワー時における通勤時について影響を与えないようにできないかということも申しましたが、その時期は車両が全部動いている時期であるために、その時期についても、大きな数字ではございませんが圧縮せざるを得ないという御説明で、やむを得ず了承をいたした次第でございますが、これからこの法律が成立いたしましたならば、さらに財政当局との折衝を強めまして、特に年末年始にかけて、まれにたまたま郷里へ帰る人々に迷惑をかけないように最善の努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、意地悪い質問ですが、この法案がきょうから参議院で審議に入るんで、この審議について、マージャンならリーチをかけると、リーチの材料にこれを使うと、そういう意地悪い政治的意図はないんでしょうね。国鉄運賃値上げをめぐって非常に財政のやりくりに苦労しているという点はわれわれもはだで感じます。しかし、政治が本当に政治の力を発揮する場は、私は、国鉄側も当事者能力ないんですから、やはり政府が実際にめんどう見る、そういう措置をしないと、こういうぎりぎりの線は出てこない。いま大臣から聞きますと、答弁の中で、この運賃値上げ法案が成立した段階では資金のやりくりで最大の努力をして解消に努めると、そういう意味のような遠回しの意味にもとれたんですが、そういう点は確認していいんでしょうか、それを含めて御答弁願います。
  28. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それが直接的に結びつくということになる状態にあるかどうかは、これは国鉄当局からお答えした方が適当だろうと思いますが、それを背景にして、私はどうも素人だからよくわかりませんが、たとえば短期融資枠の拡大とか、あるいは債券の枠の拡大というようなことを交渉し得られる立場に立つものと考えておる次第でございます。それからリーチをかけるというお話でございますが、そういう了見は毛頭ございません。私はむしろ、発表の時期が適当でないんじゃないかとも考えたのでありますが、やはりある一定の期限をもって発表した方が適当だろうという国鉄当局の御意見でございましたので、きょうこの審議が始まるというときの御相談ではなく、かなり前の御相談でありましたので、そういう了見は毛頭ございません。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ずうっと委員会が続きますからね、きょうの段階では大臣としては、法案が成立した段階でもう一回関係方面と折衝する際に最優先に考えて、そういう事態のないように努力をするという表明をされましたので、きょうの段階ではそれでとどめておきますが、この委員会の継続中に、やはり総理大臣なり大蔵大臣なり、公共性を本当に発動する立場の人から、もう一回私はこの問題についてまとめた見解を聞くという点を留保して次の質問に入りたいと思いますが、いいでしょうか。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  いまの問題でありますけれども、国民に対する脅迫と受けとりますよ。いまの時期にこういうことを出すことは。はなはだ卑劣な方法だとしか感じられません。それから第二には、再建計画が不健全だと、不完全だということの裏書きじゃありませんか。再建計画がこれから出発しようとするときに、再建計画が出発しても国鉄はこのとおりですよ。これではあなた方の経営能力というのはどこにあるんですか。いままでの経営責任というのはどう果たすんですか。こんなことをしなければならないくらいならやめなさい。そして、こんなことしなくて済むような経営人にかえてもらった方が、国民としてはそれを希望する。非常に憤慨にたえないので、私の質問の番ではありませんが、関連をして質問をします。
  31. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにおっしゃるとおりでございまして、私ども経営に当たりますにつきましては、本来ならば、私どもの商品である輸送を幾らで販売をするかということ、それから予算全体の事業計画をどう立てるかということについて、ある種の権限をお与えいただきたいわけでございます。しかし、現状は運賃は私ども決めることはできませんし、事業計画も私ども決めることはできないわけでございますので、そういう実態において、政府を通じてお願いをしております年間事業計画年間二千五百億も狂いますと、率直に申し上げて私もやりようがないということでございます。九月以来そういう事態になっておりまして、非常に苦慮いたしておったわけでございますし、こんなことは百年の歴史で一回もないことでございますので、内部におきましても非常にこれを深刻な議論をいたしたわけでございますが、いかにいたしましても、いわば金がないといいますか、購入する道がないということでここに陥ったわけでございまして、この苦しい事情を御理解いただきたいと思います。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一問。金がないからサービスを低下していいということじゃ公営企業にはならないですよ。公共企業にはならないですよ。国鉄の出発の本来から考えたって運賃は値上げをする、サービスは低下する、こんなばかなことは一回も例がない。公営企業でありますから、まして国民に運賃負担をかけていくわけですから、それならばサービス低下をしないように、公営企業なら当然これは責任として国鉄は果たすべきです。あるいは政府要求すべきです。国鉄財政からすれば、六十億というのは大金とのみは言えないでしょう。そのやりくりもっかないということは、余りに私は無責任だと思う。希望だけ、意見だけ申し述べて質問をやめます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この点ひとつ大臣、協力願ってください。  私は、国鉄財政再建並びにこの法案に入る前に、一つ二つ政府に確認をしておく必要があると思うのです。一つは、昭和三十九年から国鉄赤字になった。昭和四十六年の十二月ですか、総合交通体系というのが一応出た、こういう動きもありますが、しかし、昭和三十九年から赤字になったという時点で、総合交通政策、こういう面でむしろ国鉄をおきざりにして他の交通機関、たとえば自動車、航空、港湾、そういうものに優先といいますか、片ちんばといいますか、現に国鉄赤字になっているということがわかっていながら、国鉄そのものを追いやる方向に政府全体の交通政策、経済政策がいったのではなかろうか、そういう点を私は非常に、入る前に前提条件として、政府がそうだったらそうだ、そうであったということをぜひ大臣の方からお聞きしたい、こう思うのですが、どういうお考えでしょうか。総合交通政策の面から国鉄問題をどうこの間取り扱ってきたか、見解を聞きたいと、こう思うのです。
  34. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 昭和三十九年という年は、わが国の経済が高度成長に向けてかなり早い速度で進んでおった時期であります。これはわが国だけではないとは思いますがそういう時期である。そうして、その背景に石油が、その時代においては安く、しかも量の制限なく手に入った時期でございます。したがって、それらを背景といたしまして、わが国の産業構造なり、あるいは産業立地条件なりというようなものが非常な変化を示しまして、同時にそれを背景として交通輸送体系にも大きな変化を生じたわけでございます。したがって、そういう情勢の変化を見つめながら、国鉄の果たすべき使命、役割りというものと、他の交通機関との関係を私は調整しておくべきであった。私も全くそう感じます。妙なことを言うようでありますが、妙な後始末を押し付けられたものだなという感じを、私自身が痛切に感じておる次第でございます。ただそのときと、四十八年以後の、石油ショック以後の情勢、これはまた変わってまいりました。熱エネルギーの面から見ますると、鉄道は船に次ぐ有利な輸送機関でございますので、それを基盤として国鉄の自立再建を目指していくべきだと考えておる次第でございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄からもらった資料を見ますと、旅客、貨物とも全輸送量に占める割合という点を見ますと、昭和三十五年は、旅客の場合は五一、四十年には四五%、四十五年には三二%、四十五年から大体三〇%前後をずっと今日まで続けると、こういう傾向でやはり四十年、四十五年あたりががたんと下がっちゃった。貨物部門を見ますと、やはり三十五年が三九%、四十年が三〇%、そうして四十五年が一八%、四十五年の一八%からずっと一、二%の前後はありますが、一〇%台でずっときていると。ですから、四十年から四十五年、この辺あたりが、いま大臣が率直に認められましたけれども、国鉄をいびり出して他の交通機関にどんどん国の投資をしたと、こういうことになると思うんです。  私はこの交通機関別の表をもらいました。これを見ますと、四十年あたりは鉄道も、道路も、航空も、港湾も、全部ここの一点に集まっている、公共投資のあり方が。ところが、四十年から四十五年の段階になりますと、ものすごい投資額です、これは。しかも国鉄は、こういう横ばいで全部借金。ほかの交通機関は全部財投その他で国の出資、あるいはその組織体が金を負担してやると、こういう形態になっておりますから、この点を十分私は、今日の国鉄を追い込んだ政治の責任ということをきちっとしないと、今後の問題に私はいろんな支障を来す。でありますから、いま大臣の言ったことは、こういうことを現実問題として当時調整すべきであったという御意見と承っていいかどうかという点をさらにお伺いいたします。
  36. 石田博英

    国務大臣石田博英君) モータリゼーションの裏づけになりました道路網の整備、これは石油税が一種の目的税として使われておりますので、それを利用者負担と考えれば非常に高い利用者負担率になると思います。それと比べますと、国鉄の利用者負担率はかなり現状においては低い数字のように記憶をいたしております。ただ、港湾などは、これはほとんど利用者負担率というのは二〇%に満たない程度のものじゃないかと思うのであります。そういう点の不均衡は確かにあったと存じます。そういうものを是正するために、金額やその他については議論がございましょうけれども、今回は赤字分についてはこれを政府が肩がわりするという考えに踏み切ったものだと、こう私は理解をいたしておる次第であります。  御指摘の事実、つまりとるべきときにとらなかったということ、私は実はざっくばらんに申しますと、その石油の進出の時期に石炭産業のビルド・アンド・スクラップ、それに伴う労働問題というものを押しつけられた本人でございますので、石油に対する恨みはかなりある立場でございます。それも兼ねていま申しましたような見解を持ち、その当時も私はいまとは事情が違いますけれども、外貨で買わなきゃならぬものと、それから国の中でできるものと、それからせめて十年くらい先の事情くらいを見て、余り早急なビルド・アンド・スクラップということについては、私は私なりに抵抗をしたのでございますが、当時においては多勢に無勢でございました。そういう考えを含めて、そういう立場に立った国鉄再建要求というものをしていきたいと、こう考えております。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣が、そういう交通政策の調整に落ち度があったという点を認めておるんですから、今後それを伸ばすようにひとつ御努力願いたいと思うんです。  次は、第二の点は、大臣がいま石炭の問題を言いましたが、私も機関助士廃止問題で、石炭の点から石油の被害者で大分苦労したものですが、その点で国鉄は四十四年から第一次、四十八年から第二次の再建計画があったわけですね。この再建計画についても、当時の社会党からも相当いま言ったような交通政策からくる調整なども含めて具体的な提案をしたり、あるいは国労、動労などの労働組合からも、このままの押しつけではどうにもならぬぞという点で、ずいぶん再建に対する反対闘争などが行われておったわけでありますが、この二次にわたる再建計画が失敗をしたという原因は何なのかということについて、この閣議了解事項でどういう議論がされ、どういう反省があったのか、ひとつ大臣にお答え願いたい、こう思うのです。
  38. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 原因は先ほどから申しましたように、やはり産業構造、輸送構造の変化、あるいは産業立地条件の変化というようなものに迅速に、適当に対応できなかったことが一つだと思います。それから第二には、やはりわが国の運賃水準というようなものが比較的低位に置かれた、これが二番目の背後になる条件であろうと思います。それから三番目には、やはり運賃の適正な改定がおくれた、約一年半おくれた。それが負債になり、利子を生んでふくらんだ。それから第四番目には、物件費人件費が高騰して、その高騰の比率が予想を上回ったというようなことが挙げられると思うのであります。  そこで、前二回の再建計画では再建の目標が達成できませんので、今回はまず再建の期間をできるだけ短くすること、それからお願いをいたしております運賃の改定、それから過去の債務について約二兆五千億肩がわりする。それからそのもう一つ前提は、ここに国鉄の幹部の諸君がいて耳が痛いかもしれませんけれども、長い間非常に恵まれた条件のもとに非常に上等な企業として育ってきた。ざっくばらんに言えば、金利というものについての観念というものはどうも少し希薄のような——最近は大分直ってきたようであります、が希薄なような感じがいたします。企業人としての意識、それから自分がそこを生活の場としているのだと、これは民間の企業の場合はもうそれは非常に強いわけでありますから、したがって、その企業を自立させなければ自分の生活の座が揺らぐんだと、一緒にやらなきやならないんだという精神が上から下までどうも欠けておるような気持ちがいたします。  そこで、十六日に、幹部の諸君の御参集を求めまして、実は運輸省の関係者にも図らずに、私の発意で、新聞等に掲載されておりますような頭の切りかえ、発想の転換というものを求めた次第でございます。それから、この精神を上から下まで徹底するように求めたときにあの新幹線事故新聞記事にぶつかったわけでありまして、実は偶然としたというのが実情でございます。そういう趣旨に基づきましてこの運賃改定法を、再建法案お願いをしておるというのが実情でございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま金利の話出たんですがね。私は日本列島改造論の際、田中前総理が鉄道建設とか、貨物の問題について、あの本の中にそんなのはけちけちするな、どんどんやれと、赤字が出れば政府がめんどう見ると、総理大臣ともあろう人がそういう発想でじゃんじゃんハッパかけてやったのがいままでの過程じゃなかろうかと、そうしますと、国鉄にも一半の責任がありますけれども、その国鉄のかぎを握っている政府の中に、むしろ赤字線の建設とか、貨物の問題とか、この二度にわたる再建問題の最も土台になる部分について、まあ後は始末するからやれと、こういう投げっ放しの発想があったんではなかろうか。それを裏づけしているのが日本列島改造論の当時の田中総理の私は発言じゃないかと、こう思うんですが、この田中総理の発言と、いまの大臣の発言とちょっと食い違っているんですが、その点はどういうふうに調整されますか。
  40. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、元来全く反対の見解を常に公にしてきたものであります。というのは、ハーマン・カーンなる人物があらわれてからものすごい楽観論が日本の中に横溢をいたしました。しかし、核戦争とか、あるいは環境汚染などといままで言われておったいろいろなことは別といたしましても、人口の激増、それから、これはもう無限なものではないんでありますから、資源の有限性、食糧問題等を考えますときには、私はいわゆるハーマン・カーン的な発想というものは間違いであると、私はそういう考えのもとにこの七、八年間は、まあ私に与えられた機会があればこれを述べてまいった次第でございます。田中前首相の「日本列島改造論」は、実はそういう私の基礎見解がありますので読んでおりません。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ読んでない人に言ってもしょうがないですから、その運輸大臣のいまの考えで、ひとつ再建のためにがんばってもらいたいということを要請します。  第三の問題は、私は労働政策の失敗があったんではなかろうか、こんな気がいたします。マル生の問題なり、あるいは昨年のスト権の問題なり、あるいは今回の仲裁裁定の取り扱いなり、私から言わせると、いままで赤字であっても承認案件として——私も昨年社労をやりましたけれども、社労の段階でもそう余り変わらないです、去年とことしは。そういうことについて意識的に労働者に挑発をかけるという、いわゆる労働政策の失敗が今日の国鉄を招いたんじゃないかという見解がいたしますが、大臣はどういう御見解ですか。
  42. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公労法は、言うまでもなく公共企業であるゆえんをもって争議を禁止しておるわけでありますが、その代償措置として仲裁裁定の完全実施があるものだと私は考えております。十六条の規定は政府の予算編成権、それから国会の予算審議権というものとの兼ね合いで設けられた例外規定である、こう私は理解しておるのであります。例外はめったに使うものではありません。ところが、昭和三十二年までの間はこの例外を使う機会が非常に多かったのであります。これが労使関係の悪化の原因ともなり、いわゆる法律に禁じております違法ストを国鉄の労働組合が行う口実となった。そこで、御承知でもございましょうが、ちょうどその三十二年、私がやっぱり労働大臣をいたしておりました。本来大蔵省と協議すべき事項でございますが、大蔵大臣の同意を得ないまま仲裁裁定の完全実施をお約束をいたしまして、そのかわり国鉄関係の労働組合にも公労法の遵守をお約束してもらったわけであります。政府はそれ以後約二十年間、昨年度まで仲裁裁定を完全に実施してまいりました。  承認案件としてずっと出してきたではないかというお話でございますが、承認案件として出し始めたのはたしか四十九年からでありまして、それ以前は全部やっぱり議決案件として提出をいたしまして、そうして財源的措置が講ぜられる見込みが立ったとき政府がこれを撤回しておるわけであります。したがって、議決案件として出したこと自体が公労法の精神をじゅうりんするものだとは考えておりませんけれども、やはり私は争議禁止の代償措置としてとられた公労法の精神は守るべきだと、こういう考えには変わりはございませんし、今回も御審議を得たもの等を勘案をいたしまして完全実施を貫いてまいりたいと思っております。ただ、大変残念なことには、そのとき私と労働組合の諸君と約束をいたしました分について、政府は昨年まで約束を守ったんでありますが、三十六年ごろからであったと思いますが、国鉄の争議がまた再発したこと、これは私としては非常に残念に思っておる次第であります。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあいま時間がありませんから議論する気持ちはないんですが、しかし何といっても、本会議で他の党の方が労使関係をすると自民党の方まで拍手をしておる問題がこのごろちょいちょい出るんですが、私は、国鉄職員であった一人として、また直接当時の責任者として、やはり今日の労使関係を根本的に誤らしたのはマル生運動だと。マル生運動の出発は合理化だと。合理化の出発は大臣が言ったとおり交通条件が、非常に総合交通体系の中で国鉄に融資その他がないものですから、しょせん人件費削減するということで首切り、首切り、首切りという点でずっと三十五年あたりから、動力近代化が始まったときからずっとやられた。その合理化のしわ寄せがずっとマル生を経て現在の労使関係の失敗ということに私はつながってきたと。こういう流れですね、この歴史の流れからやはり国鉄はどうあるべきかという点を考えないと、単に承認案件を議決案件だというその論争だけでは私は終わらない。あるいは労働問題の中にも確かに大臣が言うとおりベースアップの問題ありますね。ところが、ベースアップでは公労委がある程度の力を発揮しても、合理化問題では公労委は全然その機能を発揮しなかった。発揮しないからしょせん労使関係に生にぶつかった。こういう私は歴史の流れについてどういう受けとめ方をしますかという点を求めているんですが、大臣なり、あるいは国鉄側からもう一回この流れについて見解を聞きたい。失敗であったのか成功であったのか、こういうことを含めて見解を聞きたいと、こう思うんです。
  44. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄の現状、再建のために、私はやはり合理化というものは必要であると考えておる次第でございます。ただし、それを実行するに当たっての手段、これは労働者諸君の生活、あるいはその後における労働条件というようなものを配慮して行うべきであったろうと思うんです。マル生運動は私、直接関係いたしませんので、これは私からお答えすることは避けたいと思いますが、国鉄再建いたします第一の前提は、一つはやっぱり労使関係改善にある。これが一体とならなければ目的を達成できない、こう考えます。それから、合理化をする場合は人の問題だけではないわけでありまして、たとえば国鉄の、私も在任間がないんでありますが、人から聞いたり耳にしたりしますと、なるほどと思うことがたくさんございます。  一例をちょっと私の経験から申しますと、一昨日、私は郷里へ日帰りで参りました。私の郷里の町の駅の前は再開発の計画中であります。その中で管理局の建物だけは一番いい場所にあるわけであります。木造二階建て。で、その計画を知事と市長が私に説明をいたしておりますときに、管理局の部分に触れないんです。なぜこれに触れないんですかと質問をいたしましたところが、触れたってこれは国鉄のものですからなあと、こう言うのです。一般市民から声を聞きますと、あんな一等地に——坪百三、四十万円するそうです、一等地に二階建ての古びた、限界のある建物を置かなくても、管理局なら駅の上へ乗せたっていいじゃないか、あるいはもっと安いところでもいいじゃないかと、ああいうものをあのまま残しておいて運賃の値上げというのではどうも説得力が乏しいですよということを言われました。  また、仙台の人がやってまいりまして、仙台は港が御承知のように東側にあるわけです。したがって、港と一体となって開発をしようと思うと駅の東を開発しなきゃならぬ、そこに何が邪魔になるかというと、鉄道の倉庫と、それからまだ現在あるにはあるけれどもほとんど使っていない鉄道、路線があって、それが邪魔になる、こういう話です。そういうところもあわせてやはり合理化というものを進めなければ国鉄再建はむずかしい。人だけの問題ではないと、そう考えております。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、労使関係すれ違いなんですけれども、私は、大臣提案の中にも労使関係を速やかに正常化する、こういうことをうたっておる以上は、過去の労使関係はどうであったのか、どこにどういう問題があったのかという点を点検、摘出して、それに対応する施策をやらないと、文章の表現だけに終わってしまうということを憂えるから私はしつこく聞いているんです。でありますから、マル生の当事者でないということですから、当事者でない者にこれ以上追及しませんが、その点の問題点を十分浮き彫りにした、最終的には、いろいろ御意見があるでしょうけれども、やっぱり労使対等ですよ。労使対等の立場をしない限り、労使関係をどんなに正常化せいと言ったって私はまとまらない。少し紛争が起きればすぐ鉄道公安官を投入する、鉄道公安官でなければ警察官を導入する。そういう険悪な労使関係、権力関係のアンバランスでは私は労使関係はできない。したがって、労使関係の正常化は労使対等で経営権とスト権は同等だと、こういうふうに変えるのが最初の問題じゃなかろうか、こう思うんですが、この点はどうですか、まだ公労法にこだわりますか。
  46. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、いわゆる公共企業体のスト権の問題については無論私なりの意見、考えは持っております。しかし、現在政府は、中山伊知郎先生を座長に当事者能力、あるいは公社のあり方その他を含めた審議お願いをしておる段階でございますので、現在その段階でスト権の問題について私から申し上げることは差し控えたいと存じます。しかし、労使の関係改善ということが国鉄再建の大きな前提である。私が国鉄に示しました注意書きの中にも、人材の登用の問題、それから、でき得る限り経営の現状その他について職員にも知らせる、それと同時に、職員の人たちもここが自分の生活の場所であるという認識を強く持ってもらうということを列記して国鉄当局に反省と協力を求めておる次第でございます。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では、その問題については、今後引き続きまた議論をしていきたいと思っております。  次に、四番目として、政府が当然政策として遂行しなきゃならぬことを、端的に言えば国鉄に全部しわ寄せさせておったんではなかろうか。たとえば、大臣が今回初めて言った各種公共負担等の問題についても、学割りから何から全部国鉄に返ってくる、われわれ国会議員のパスの問題も全部国鉄にかぶってくる。こういう公共負担的なものが大体二十四年から四十九年まで一兆円を超えておると。これをやっぱり国鉄に負担さしたという点が今日の国鉄を招いてるという点ではなかろうか。あるいは各種赤字線ですね。田中総理大臣は、上越線の新幹線の問題で、当時の十河総裁とばつが悪くて鉄道公団を建設したと。自分が鉄道公団を建設したもんですから、東北新幹線国鉄の借金でやれと言って現在東北新幹線はぴいぴいしている。上越新幹線の方は鉄道公団の方にそっくり持っていってがっぽり予算をつけて、東北新幹線を向こうに見ながらどんどんどんどんわれ関せずに仕事をやっている。こういう政策のセクトといいますか、あるいは、赤字になることがわかっておってどんどん赤字線を建設させる。あるいは、赤字線を建設して国鉄に無償で貸しても、結局運営費は採算が合わない。わかっておってつくって、わかっておって押しつける。そういう地方交通線のいろんな赤字も一兆四、五千を超えておるわけであります。そういう政府の政策のしわ寄せということを国鉄にかぶらせたことが今日の国鉄を招いていると、こう思うんですが、この点は政府見解はいかがでしょうか。
  48. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これも政府部内、特に財政当局と十分打ち合わせした上で答弁すべき性質のものかもしれませんが、私の所見を申し述べたいと思います。  先ほども申し上げましたように、国鉄は長い間非常に優良企業でありました。この優良企業でありた時代にいろいろな公共負担を引き受けたわけであります。しかし今日、御承知のような状態になった現在においても、なお同じように公共負担を国鉄が引き受けて、しかも一方において独立採算制を要求するということは、私どもとしては承服できない。独立採算制を要求する以上は、公共負担はそれぞれ政策実施部門において担当していただく。たとえば学割りを、私は決して反対するわけじゃありませんが、しなきゃならぬなら文部省予算でやってもらいたい、そう思います。それから地方のローカル線、これは奥地の開発、特に交通機関の乏しい地域においてはこれは非常に大切なものでもあります。したがってそういうものの建設、運営そのものについて反対するわけじゃありませんが、それは奥地開発という、あるいは国土の建設というそういう大きな政策的目標が別にあるわけでありますから、独立採算制を要求されておる国鉄にそれを押しつけるのは誤りである、今回百七十二億円という予算的措置がなされました。二千億を超える赤字に対して二階から目薬程度だという御批判もございますが、何事もスタートというものはその程度のものでありまして、このスタート、つまり土台ができたんでありますから、これを拡大していく方向に向かいたいと思っております。  ただいま申しましたことも、いろいろな抵抗もございましょうし、従来の行きがかりもありましょうから、にわかに一遍にやるということはむずかしいといたしましても、いま目黒先生お話しのような原則、これは私からもたびたび申し上げているわけでありますが、そういう原則を貫きたい。独立採算制を要求される以上は、運賃コストに合わない部門はその政策実施部門が担当してもらうのがたてまえだという点をひとつ貫いてまいりたいと思っておる次第でございます。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いままで四つか五つ話しましたが、これらの問題は本会議において三木総理がいままでの国鉄再建等の問題について幾つかの反省点があるということを国会で率直に述べておるんですが、そういう反省の上に立って今回の再建案を提案していると、そういうふうに総括的に受けとめていいかどうか、大臣見解を聞きたいと思います。
  50. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そうお考えをいただいて結構だと思っております。なお、そのものの背景、たとえばローカル線とか赤字線とかの背景をなします鉄道敷設法、これは大正何年かにできた非常に古い法律であります。これの見直しも必要である。あるいは鉄道営業法、これの見直しも必要である。そういうことを国鉄当局に指示をいたしております。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その点を一応確認しながら若干具体的な問題に入ってみたいと、こう思います。  一つは、運輸省にお伺いしますが、輸送機関別の資源効率ということについてどういう具体的な数字をお持ちか御発表願いたいと、こう思います。
  52. 真島健

    政府委員(真島健君) 輸送機関別の資源効率につきましては、先生にも資料差し上げたかと思いますけれども、四十九年度の数字につきまして鉄道、トラック、海運、これをさらに貨物、旅客別に計算をいたした資料がございます。これによりますと、資源効率は、エネルギーの消費原単位という観点からとらえますると、貨物につきましては鉄道、海運、トラックの順になっております。旅客につきましては鉄道、バス、乗用車、航空機と、こういう順に、最初に申し上げたのが効率がいいという数字になっております。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま説明のとおり、貨物のトンキロ当たり鉄道の場合には百九十六カロリー、営業トラックの場合は五百四十六カロリーと、大体三分の一ですね、カロリーから見ると。それを確認します。これは国鉄側にちょっとわかればすぐ教えてもらいたいんですが、「国鉄の実情を訴える」というパンフレットの中に石油一リットルで一キロ輸送できる量という数字が出ておりますが、電車の場合は三百三十人、バスの場合は百六十人、乗用車の場合は五十人、航空機の場合は三十人、貨物列車の場合は二百トン、トラックの場合は三十トン、こういう数字が出ておりますが、この数字はやっぱり国鉄側としては責任を持った計算の数字だと、こういうふうに確認していいですか。
  54. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そのとおりでございます。
  55. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま審議官から説明させました数字について、私が衆議院その他で答弁をしておりますものと違いますので訂正をさせます。
  56. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 衆議院大臣からエネルギー効率の問題につきましては海運が一番有利であるという答弁を申し上げてるわけでございますが、先ほど真島審議官から御説明申し上げましたところでは鉄道の方がいいという数字になっております。なぜそういう数字になっておるかといいますと、これは統計に若干問題がございまして、海運の方にはカーフェリーの燃料が入っておって、しかもカーフェリーで運んだ荷物はトラックの方に入っているという誤りがあるわけでございまして、いわゆる純粋の内航海運の、たとえばタンカーであるとか、薬品を輸送している、セメントを輸送している、こういう輸送につきましては海運の方がエネルギー効率が有利であるというふうにお考えいただいた方が正確だろうと思います。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。概括的に運輸省なり国鉄の資料から見ると、カロリー、熱量から見ると国鉄は自動車運輸に比べて格段のいわゆる省力化になっておると、燃料を使わないという点が言える、こう思うんですね。  そうしますと、きょうは通産省呼ぶわけだったんですが、それは連絡とれないんで、今後の石油事情というのは自動車局長、どんなふうに考えておりますか。非常に余裕があると思うか  来ていますか。やはり十分資源がないから大事にすべきだと、こういう見解が出るか、聞きたいと思います。
  58. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 御説明申し上げます。  近年におきます世界全体の石油の需要動向でございますけれども、石油ショックの起きました一九七三年——四十八年の九月を一〇〇といたします。七四年が九七、七五年が九二ということで、オイルショックの後需給はどんどん落ちてきたわけです。これはOPECだけをとってみますと七四年が九四、七五年が八三ということで二割近く需給が落ちてまいりました。しかし、昨年からアメリカの経済の回復を初め、わが国等で需要が回復を始めまして、昨年を底に徐々に向上しております。ことしの七六年の一−六月の世界の生産を見ますと、去年の九二に対して九六にふえ、OPECだけ見ますと、去年の八三に対してことしの四−六で八七にふえるということでございます。  今後この先をどう見るかということでございますけれども、昨年の八月十五日、通産省の諮問機関の総合エネルギー調査会から報告をいただきまして、昭和五十年代のエネルギーをどう見るかという見通しをいただいているわけです。これも世界の成長率等従来よりは若干低目に見まして、過去十二年世界のエネルギー需要が年率で五・三%というのを、今後は七三年から八五年まで四・三%ということで従来より一%程度低く見ておるということでございましても、全体のエネルギー需要というのは七三年の石油換算五十・八億キロリッター、それから八四年には八十三・三億キロリッター、その中で石油以外のエネルギーの利用を図っていくわけでございますけれども、それにいたしましても石油が七三年の二十七・四億キロリッター、八五年には三十八億ないし四十三億キロリッターということで、全体の量からいたしますと相当の増加を期待しなければいけない、努力すれば何とかなるのではないか。  それにしても、特に石油依存度の最も高いわが国におきまして、省エネルギー政策を強力に推し進めていかなければならないのではないか。こういうふうに考えておったわけでございますが、昨年からことしにかけて特にアメリカの景気回復が著しい。アメリカも御存じのとおりプロジェクトインデペンデンスということで、エネルギーの輸入依存をしないと、脱却するという方向の政策を打ち出したわけです。昨年からことしにかけての出来事は、むしろアメリカの国内のガス、石油の生産が減っておるということで、特に中東原油の輸入増加が著しいという状況でございますので、これから先は確定的にはわかりませんけれども、国際的石油需給が総体的に逼迫することも予想される、このように考えております。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま説明のように、国際的にも国内的にも石油事情が相当逼迫すると、大事に使う必要があると、こういう説明ですが、そういうエネルギー面から考えると、鉄道というものについてはやっぱり輸送の見直しという形で十分に活用する必要があるのじゃないか。こういう結論がエネルギーの面から出てくるのですが、経済企画庁の方がおりましたら、それをどういうふうにおたくの方で考えているか、お答え願いたいと思います。
  60. 佐々木孝男

    説明員佐々木孝男君) いま御指摘にございましたように、エネルギー問題が非常に重要になったということが今回の経済計画におきましても従来の二けた成長から六%強の成長に成長率の目標を下げたということでございまして、今後の五年くらいを考えますと、量的に石油が非常に窮迫するという想定はしておりませんが、十年、十五年という先を考えますと、御指摘のようにエネルギー問題が重要になることはまず間違いないことだと考えておるわけでございます。このようにエネルギーの制約がございますし、また、その他いろいろな資源的な制約も高まってきておりますので、一般的に申しまして交通密度が高く、かつ代替可能な分野におきましては大量公共交通機関の機能を十分に活用していくということが望ましいと考えておるわけでございます。この中にありまして、国鉄につきましては先ほど御説明がありましたように、都市間の旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離の大量交通輸送において重点的にその役割りを果たすべきであると考えておる次第でございます。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣ね、いまお二方の話を聞くと、やはり五年ぐらいはまあまあだろうけれども、十年、十五年になると大変な時代になる。と、そういうエネルギーという点から考えると、もう一回鉄道の見直し論じゃありませんが、鉄道の経済社会における重要性という点が再認識されなければならないと、こう思うんですが、担当大臣としての見解を聞きたいと思うんです。
  62. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは先ほどもお答え申し上げたのですが、まあ国鉄が持っております旅客、あるいは貨物輸送のシェアというものがだんだん少なくなってきたのはやっぱり石油が原因でありますが、これからの将来を考えると、石油事情が国鉄の存在価値を高めていくものだと、こう考えております。言うまでもなく、資源は有限でございますし、日本はないんでありますから、そういう点から国鉄再建に全力を上げるべきだと思います。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。そういう方向でひとつ今後とも検討を願います。  時間がありませんから、労働省の方ちょっと、おられますか。——トラック運転手の労働条件などについては具体的な指導を行っておりまして、おたくからも資料をもらいまして、相当膨大なものになっておりますから、これは時間がないから省きますが、一つILO六十七号条約という自動車運転手の国際条約がありますが、この条約を日本が批准できない理由、あるいは批准に対する見通しなどについてどういうお考えなっているか、ひとつお答え願いたいと思います。
  64. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) ILO六十七号条約でございますが、この条約につきましては現在批准した国が四カ国程度でございまして、わが国が未批准でございます。批准できない問題点といたしまして、御承知のように労働基準法で労働者の労働時間は原則として八時間ということになっておりまして、その点につきましてはほぼ条約と国内制度とは一致しておりますが、労働時間のとり方、内容につきまして若干の違いがあるということと、もう一つ運転手の方々のいわゆる実ハンドル時間と申しますか、連続ハンドル時間をこの条約につきましては一定の規制をしております。しかしながら、わが国の法制ではいわゆる連続ハンドル時間というものにつきましての法制度を持っていないわけでございまして、この点がなかなか条約を批准することができない理由の主なものでございます。  なお、行政指導といたしましては、六十七号条約の内容に従いまして、また、これの精神を受けまして、必要な行政指導を行っているところでございます。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その八時間継続ハンドル時間というのは、運転手の労働条件では大変なことなのでして、このILO条約に合致するように基準法を改正する意思はないんですか。
  66. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 労働基準法につきましては、すでに制定以来三十年近くになっておりまして、したがいまして、その後の社会経済の進展、国民意識等の変化もございますので、労働省におきましては労働基準法研究会というのを設けまして、ここで鋭意労働基準法の見返しをしております。その中でも、労働時間につきましてはいろいろな問題がございますので、現在労働時間制度につきまして同研究会において鋭意検討を行っているところでございます。  なお、労使、公益で構成されております中央労働基準審議会の労働時間部会におきましても、それぞれの委員から労働時間の問題につきまして意見を持ち寄って現在討議しているところでございまして、労働省といたしましては、基準法研究会の検討の結果等が出ますれば、それをもとに法制度につきまして検討をしてまいりたいと思っております。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱり自動車産業がどんどん発展しているんですからね、国際的な条件の労働条件は確保してやるという姿勢がないと、常に公平な競争が行われない。逆に労働紛争が常に起きていると、こう思いますから、格段の努力お願いしたいと思うのですが、しかし、その現行の基準法でも一体陸運関係、自動車関係を基準法違反で調査なさっておるかどうか。なさっておれば年次別にどの程度の基準法違反があるのか、お教え願いたいと、こう思うのです。
  68. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 自動車運送関係監督実施状況でございますが、適用事業所というのが四十八年につきましては四万三千、四十九年度は四万六千、五十年も四万六千程度ございますが、これにつきまして四十六年に一万一千の事業所につきまして監督を実施いたしましたところ、これらの事業所が労働基準法、または安全衛生法の条項に何らかの違反をしていたというものが七六%を占めているわけでございます。その中の主なるものは、いわゆる労働時間についての違反でございまして四五%程度ございます。また、これに関連する割り増し賃金が支払われていないというような違反が二七%を占めているわけでございます。で、翌年の四十九年度につきましては、やはり違反率が七四%程度ございまして、その中には労働時間、割り増し賃金等が主なるものでございます。また、五十年度につきまして六千の事業所を監督いたしましたところ、七八%程度の違反がございます。なお、ちなみに一般の全産業でございますと、違反率が六六%程度でございまして、これから見ますと、運輸関係の労働基準法等違反が比較的高いということが言えるかと思います。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 このもらった数字を見ますと、国鉄がかたんと貨物関係が落ちたと。落ちた時期と、労働基準法違反がぼこんとこう上がると、こういう段差があるのですね。いわゆる無理無理運転というか、無理運転というか、非常に基準法違反を犯しながらトラック輸送、自動車輸送を行っているという点が数字の面で歴然としてきておるわけでありますが、自動車局長にお伺いしますが、基準局から指摘されて、それを完全に点検して直したと、そういう統計的な数字があったならばお示し願いたい。基準局から指摘されて陸運行政でどのくらい直しておるか、ありましたらお知らせ願いたいと思うんです。
  70. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 労働基準法関係の遵守につきましては、労働省と提携いたしまして、双方で通報制度をやっておりまして、労働基準局から通報を受けました陸運局におきまして四十八、四十九、五十年度にわたって実績を申し上げますと、大体七割を上回る程度の通報を受けまして、これに対する措置をとっておる状況でございます。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 七割をやって、あと三割を放任しておきますから、その放任しておるのがたまたま私は事故にぶつかると思うんですよ。九月三日の名神高速におけるこの事故をどういうふうに見ておりますか。これは、私はやっぱり基準法をきちっと守っておれば、あるいはILO条約をきちっと批准して適正に点検しておれば発生しからざる事故であったと。裏を返せば、法の盲点をめぐった私は事故だと、こう思うんですが、この九月三日の名神のトラックの事故をどういうふうに受け取め、どういうふうに今後指導されようとしているのですか。自動車局と、労働省にお伺いします。
  72. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 九月三日の区域トラックの長距離運行によりまして、乗用車の乗客四名が焼死したわけでございますが、これについては私ども重大な問題であるという認識を持っております。現在原因は捜査当局で捜査中でございますが、運転者の過労による居眠り運転というふうに推定いたしております。  そこで、この当該事業者に対しましては、陸運局で直ちに特別監査をいたしまして、運行管理体制の是正を命じまして、また輸送施設の使用停止をいたしました。さらに、運行管理者については解任を命じた次第でございます。こういった事態が他に発生いたします場合には重大な事態になりますので、私どもの方としてはかねてから長距離トラックの事故防止につきまして、運行管理者制度の適正な運用ということでその徹底を図ってまいってきておりますが、さらにこの点についての強力な指導を行うという意味合いから陸運局、あるいはトラック事業者団体に運行管理体制の充実強化と、重大事故発生した場合の措置につきまして強い指示を行ったわけであります。また、先般各都道府県単位の事業者団体の長を集めまして、特にこの問題だけを取り上げて、こういった事態によって労務管理なり運行管理体制の不備、欠陥で事故発生した場合には厳正な処分をすると同時に、従来トラック事業が非常に飛躍的に伸びてきたと言われた陰でこういう実態が発生していることはまことに遺憾だということで、厳重にその是正方を促した次第でございます。
  73. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 丸一運輸の事故につきましては、現在所轄の監督署におきまして、労働基準法違反の容疑をもちまして捜査中でございます。  労働省といたしては、長距離運転手の方々の労働条件の確保等のために、四十二年にいわゆる改善基準というのを策定いたしまして、自来これの遵守方を業界に強く指示をしてきたところでございまして、一般的には成果は上がってきているわけでございますが、丸一運輸につきましては、それが徹底していなかった点につきましてはまことに残念なことでございます。今後ともこの種の事故のないように、十分業界なり会社を指導してまいりたいと思っております。  また、昨年長距離運転手の連続運転時間につきまして一定の基準をつくりまして、長距離運転をする場合につきましては少なくとも五時間を超えないようにすること。五時間を超えるような場合につきましては三十分の断続を置くようにという強い指導通牒を発しまして、現在これにつきまして関係業界、関係会社につきましてその徹底を図ってまいっているところでございます。今後この種の事故のないよう監督機関が全力を挙げて努力してまいりたいと思っております。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、このトラックの皆さんなり、自動車の皆さんが、貨物、旅客ともその占める割合が逐次多くなった。それは現象として認めるんですが、その陰に非常に労働者を酷使したり、非常に危険な状態であったり、特に全日通とか、運輸労連のように組織されておるトラック運転手の方々はまだそれなりにいいと思うんです、全自交の場合もですね。ところが未組織の方々になると、いま言ったような状態がより一層深刻になっていると、こう思うんです。でありますから、公正な交通手段の競合、競争という点から考えますと、そういうことがあってはならないと、こう思うんですが、自動車局長の見解をひとつ聞かしてもらいたい、やはり公正なものについては、労働条件その他についても社会的な公正の上に、競争条件を整えるということが前提でなければならぬと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 自動車運送事業、特にいまお話しのトラックについて申し上げますと、総じて全般として同じことでございますが、労働条件なり労働環境の問題は、交通安全に非常に重大な影響を与えるわけでありますので、私どもの方といたしましてはこの点の改善を図りまして、いまお話しの点については、法令遵守というような基礎的な問題から出発いたしまして、良好な労働条件のもとで自動車運送事業が行われるという方向へ指導してまいりたいと思っております。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それ、十分御指導お願いします。  もう一つ自動車局長にお伺いしますが、輸送機関別の従業員一人当たりの輸送量、これをわかっておったらお示し願いたいと、こう思うんです。
  77. 真島健

    政府委員(真島健君) 輸送機関従業員一人当たりの輸送量でございますが、国鉄につきましては、実は客貨別に算出がどうもむずかしゅうございます。客貨合計で見ますと、昭和四十九年度の実績では一人当たり六十三万一千人トンキロ、人と貨物と一緒になった輸送量になっております。  民鉄の旅客輸送につきましては、大手、中小民鉄、地下鉄、これを合計いたしまして、同じく四十九年度の実績で百一万八千人キロ、乗り合いバスは二十七万四千人キロになっております。また、営業用のトラックにつきましては、同じく四十九年度実績で十一万二千トンキロでございます。なお、内航海運につきましては、従業員数に関して正確なデータがございませんので、私どもでもちょっと計算をしかねるということでございます。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 比較条件がいろいろむずかしくて大変だと思うんですが、大ざっぱに言って輸送機関別の一人当たりの輸送量を見ますと、やはり鉄道という業務は圧倒的に自動車に比べて効率がよいという点はこれは言えると思うんです。この点はどうですか、大ざっぱに言って。
  79. 真島健

    政府委員(真島健君) 非常に大ざっぱに申しますと、先生のおっしゃるとおりかと思います。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、お伺いしますがね。先ほど言った熱効率、それからいま言った自動車産業の公平な競争条件、それから従業員一人当たりの輸送効率、これから見ると、やはり鉄道はすぐれている。あるいは、鉄道はもう一回見直すべきだと、こういういままでのいろいろなやりとり、議論について具体的に、私は短い時間でありましたけれども裏づけされた、こう思うんです。そうしますと、今後の交通手段のあり方という点から考えまして、鉄道というものをどういうふうに育成すべきかということについて大臣見解をお聞かせ願いたい、こう思うんです。
  81. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどからお答えを申し上げておるとおり、輸送効率から言えば問題なくトラックより鉄道の方がまさっている。しかもわが国の資源事情、それから特に将来にわたって資源の有限性というものを考えますときに、国鉄の果たすべき使命、役割りというものは見直される時期に入っている。石油に追いまくられた鉄道が、石油によって再建すべき時期に私は入ってきているように思います。しかし、そのためには、やはりそういう変化を認識した上に立って、従来の行きがかりにとらわれない発想の転換が必要であろう、こう私は考えて、特に企業意識と申しましょうか、そういうようなものが要求されると考えておる次第で、何かと言うと従来の慣例にとらわれておったのでは、これはせっかくの好条件も生かすわけにはいかない。条件が変わったんでありますから、変わった条件の上に立った発想の転換、そのためには先ほども申しましたように、鉄道営業法とかの改正等を行って、鉄道の持っておる資産の効率的な利用等もあわせてやらなきゃならぬものと思っております。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 順序が不同になるんですが、大蔵省が社会労働委員会関係で十二時半に出ると言われますからちょっとお伺いしますが、自動車の税制について見直しをする意思はありませんかどうか、お伺いいたします。大蔵省。
  83. 水野勝

    説明員(水野勝君) 自動車の関係の税につきましては国税、地方税合わせまして、現在燃料や車体等につきまして九つの税目があるわけでございます。この負担水準につきましては、今年度若干の負担の引き上げをお願いいたしましたりしたところでございまして、現状におきましては、現行の税制なり負担につきましては、これを特に変更する必要と申しますか、そういう考え方は現在はないように考えられます。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この道路特別会計の収支の状態だけ簡単にお答え願います。
  85. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) 申し上げます。  道路特別会計の財源といたしましては、先ほど先生おっしゃいました揮発油税、石油ガス税といったいわゆる特定財源と、それから一般会計から一般財源として組み入れられるものと二種類ございます。特定財源の比率は大体九割でございます。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この交通機関の競合ということで、ヨーロッパあたりのいろんな本を見てみますと、トラックの社会的費用の負担という言葉がいろいろ議論になりまして、日本の交通学界でも最近上がってきているんですがね。たとえば道路をこわす費用であるとか、あるいは公害に対する社会的負担であるとか、あるいは事故発生しますね、事故の収拾に対するいろんな社会的な経費であるとか、あるいは事故が出ると交通規制でおまわりさんのいろんなお世話になりますね、いわゆる警察のいろんな交通整理にかかわる社会的費用とか、そういうのは鉄道にはないんですがね。こういうの鉄道にあっても鉄道自体で負担している。トラックの場合はこれらの問題についてはほとんどといっていいくらい社会的負担が行われていない、日本の場合は。こういう御指摘がいろんな文献であるんですが、これについてはどういう見解をお持ちですか。
  87. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) 先生の御質問の御趣旨、二つあるんではないかと思います。一つは、社会的費用をどう負担させるのかということで、これはいろいろむずかしい問題があると思います。われわれとしては慎重に検討しなくちゃならない問題だろうと思います。もう一つの問題は、そういった社会的費用の原因となっているということから、現在道路特定財源になっている揮発油税、石油ガス税等を道路だけに使っていいのかと、こういう問題があるのかと思います。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、こういつたいわゆる法定特定財源の比率がまだ九割程度でございまして、一般財源を投入しなければならないような状況であるということ、それから道路整備の水準もまだまだ十分ではない、たとえば今年度に入りましてから策定されました五十年代前期経済計画で想定しております道路投資をいたしますためにも、現在の特定財源だけではまだ十分でない、こういったような状況でございますので、この問題につきましてもわれわれとしては慎重に臨まなくちゃならない、こういうように考えております。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 なかなか慎重で、発言出てこないんですがね。  じゃ、運輸大臣ね。交通機関の公平な競争という点から考えますと、ここに私はある数字をもらったんですが、たとえば東海道新幹線東京−大阪間、これと東名、名神高速、これは延長キロも大体同じくらいだ、それから投資額も新幹線は三千七百九十億、それから東名高速その道路関係は四千五百七十億だと、大体輸送量も同じくらいだ、それで新幹線は開通以来幸いにして死傷事故ゼロだ、新幹線は。無人運転ありましたけれどもそれは別にして、死傷事故ゼロ。ところが、名神高速の方は一九六三年から一九七一年まで死傷者は一万四百九十九人、それから東名高速道路は一九六八年から一九七一年まで死傷者六千六百六十名、合計すると東名、名神高速道路で一九七一年まで一万七千人と、このくらい事故があるんですよ。  そうすると、公正な競争手段となりますと、自動車関係はこれだけのいわゆる社会的な事故を起こしている、社会的な負担を国民全体に強いている。これを全然加味しないで公正な交通手段の競合ということは成り立たない、何らかの形でやっぱり社会的負担については税金でとるかどうかいろいろありましょうけれども、公平な競争手段をすることが鉄道とのバランスをとるために必要ではなかろうか、こんなふうに私は考えるんですが、検討したことがあるかどうか、あるいは御見解があれば聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  89. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 正直に申しまして、いまお話しのような議論というか、比較検討というようなことは、実は私いま初めて伺ったようなわけでございます。ただ、片一方の方にははっきりした目的税がありますから、目的税を負担を支払うということが自己負担だというふうに解釈すれば、道路についての利用者の自己負担率というものは鉄道よりかなり高いものになるわけですが、逆に社会に迷惑をかけている分ということになると、具体的にどういう方法があるだろうかということになって、にわかに思い当たらないわけでございます。  それから、自動車も鉄道も両方とも私の所管でございまして、こっち側を抑えてこっちこうやるというわけにもなかなかまいりかねるのでありますが、ただ、営業用の自動車などで比べますと、燃料効率はもう六倍か七倍ぐらいになるように聞いております。そういうものに負けていくということが、私はまず第一問題がここにある。熱効率も、二倍とか三倍ぐらいならまだいいんですが、六倍も七倍も高いものに圧迫をされて、貨物もお客さんも減るということにもやっぱり大きな問題があるように考えます。  それから、ついででございますので、私先ほどから鉄道営業法と申しておりましたのは、日本国有鉄道法の誤りでございますので、訂正をいたしたいと存じます。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは問題提起にしますから、トラックを抑えるとか何とかいうことではなくて、やっぱり公正な社会的条件を整えて、トラックはトラックなりに、タクシーはタクシーなりに、鉄道鉄道なりに競合条件を整えるということが全体的な交通政策に私はかかわるものだと。ヨーロッパの鉄道が成功していることなどをいろいろ聞いてみますと、そういう一つの政策といいますか、それが十分議論されて、鉄道営業者もトラック営業者も合意の上で行われているということも文献で見ますので、ぜひ今後検討してもらいたい、こう思うんです。  それから、運輸省の鉄監局長にお伺いいたしますが、十月四日の日にあなたは経団連か何かに行って講演なさっておりませんか。
  91. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いたしております。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その講演のメモを資料要求として提出を求めたんですが、提出されない理由はどういうことですか。
  93. 住田正二

    政府委員(住田正二君) メモといいますのは、まあ聞いていただく方にわかりやすいということで、簡単に書いただけのものでございます。私の申し上げました内容につきましては、要約でございますけれども、近く経団連の雑誌に掲載されるのではないかと思いますので、その方をお読みいただいた方が正確だろうと思います。
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 おたくは、社会党が再建要綱を提案して衆議院で議論されているというようなことについては、おわかりの上でなさっておるんですか。
  95. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 社会党の再建対策案に  つきましては承知いたしております。
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ここに資料もありますし、新聞も読ましてもらいました。おたくのメモもあるところからもらいまして、おたくが出さないというものですから、講演へ行った場所を訪ねて、ここにもらってきました、メモを。で、このメモの中で、社会党が提案していることをわかっておってという前提で見ますと、このおたくのメモの資料の、鉄道の弱点というところに触れて、通路の建設、維持費の負担を他の者がかばってくれない、こういう講演をしていますね。この点については、わが党は少なくとも通路部分については国庫がめんどうを見るべきだと言って国会でいま議論をされている。その国会で議論をされておるという真っ最中に、経団連に行ってこういう、だれもめんどう見てくれないということを、主管局長がそういう講演をするということは、一体どういうことなんですか。
  97. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 鉄道と他の交通機関とを比較した場合の問題でございますけれども、海運の方は海を利用しているわけでございますので海の通路費はただである。それから、飛行機は空を飛んでおりますので、もちろんその航行援助施設であるとか、あるいは管制官というような施設、あるいは人間の経費が要りまずけれど、これは非常にわずかなものでございまして、空自体を使うことはただである。そういう面からいって通路費、あるいは通路の維持費について非常に不利な関係にあるということが言えるのではないかと。また自動車の場合には、先ほど来話がございますが、特定財源だけでも九割、自動車の税金九つを全部合わせますとおそらく自動車の建設、維持費以上の、まあ先ほど来御指摘のありましたような社会的費用も若干含めまして負担しているんじゃないかと。したがって、まあ大体利用者負担の原則が貫かれている。ただ問題がありますのは、オーナードライバーがその大半を負担していると、営業者が負担する部分というのは全体の一〇%以下である。まあそういう点からいうと、鉄道の場合は何から何まで全部自分で持たなきゃならぬ、もちろん国からの助成はございますけれど。そういう輸送機関の現状からいうと国鉄は非常に不利な状態にあるということを申し上げているわけであります。
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたはね、まあ社会党を初め各野党の−若干の違いはあったとしても、この通路関係、路盤関係、建設関係政府が行うべきだ、あるいは過去債についても負担すべきだと、そういう議論を国会の真っ最中でやろうという十月四日の日に、鉄監局長ともあろう者が国会の議論の真っ最中にとんでもない、国会の議論からそれるような発言をするというのは国会侮辱じゃないですか。ばかにするのもほどがあると思うんですが、これはどういう考え……。私は、経団連というのはあくまでも私的な機関だと、国会というのはここで政策論争をやって、そしていま大臣が言ったとおり、いままでのいろいろないきさつを自己批判しながら真摯にやろうという国会の真っ最中に、経団連という団体に行って、だれもめんどう見てくれないなんていう暴言を勝手に吐いてくると。そして業界紙のこれなどには、どうですか、これ見てください、業界紙。「国鉄貨物輸送のあり方 育成は“不可能” 経団連懇談会で住田運輸省鉄監局長語る」と、こういうことをおたくが、あなた自身がこんな無責任なことを業界に行って言ってるということはどういうことなんですか、しかも国会の論争中に。どういうふうに釈明しますか。国会侮辱だよ。
  99. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 通路費の負担の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、道路については大体一〇〇%近い利用者負担である。それから航空についても一〇〇%に近い利用者負担である。鉄道の場合も利用者負担、まあ一〇〇%とは言いませんが、国の助成を除いた分は利用者負担ということで、競争関係は大体平等になっているのではないかと思うわけでございます。もし鉄道関係で、仮に一〇〇%建設費を全部国が見るということになりますと、むしろ道路、航空との関係からいって競争条件が不平等になるということではないかと思います。で、まあ業界紙の方でどういうふうに報道されてるかわかりませんけれども、業界紙がおったのは私は承知いたしておりませんけれど、問題は国鉄貨物をどういうふうに再建していくかというのが問題であるわけでございまして、御承知のように国鉄貨物については昭和四十九年度では四千億の赤字を出しておりますし、五十年度では五千五百億以上の赤字を出すという、そういう問題点についていろいろお話をいたしておるわけでございます。
  100. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) ちょっとね、目黒議員の質問の要旨は、大臣が見直し論をやっているときに、監督局長は不可能ということを言っているではないか、そういう食い違いをしたようなことを言っているのは事実かどうかと。野党側は決してめんどう見ないということを言っていないと、不足分についてはめんどう見るべきであるということを言っているではないかと。だからその野党側の言い分というものを曲げているんではないかという点を聞いているわけなんですから、その点について答えてほしいという意味ではないかと思うんで、余り焦点を外さないで答えていただきたい。
  101. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう一つね、この講演の第三項、この新聞から見ますとここに出ていますが、「鉄道は破局へ」と、これはどなたがつけた見出しか知りませんが、あなたのメモの中にあることでしょうね。鉄道は破局へ敗れ去る、こういう事実認識は、閣議了解事項でやっているこの再建要綱にも矛盾するんじゃありませんか。単に貨物——それは論点は貨物だろうけれども、貨物だってどうするかということをいま国会で議論する真っ最中でしょう。そういう真っ最中に、私はこういう業界に行って——業界ですよ、業界に行ってやるっていうのは、何と考えても国会侮辱だと。閣議了解とは違う。私は、どうしてもこの責任追及しますよ。この点についてどういう考えを持っていますか。
  102. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄が現在三兆一千億の赤字を出しておりまして、これはまさに破局の状態であろうかと思います。また、アメリカの非常に大きな鉄道会社でございましたペンセントラルという会社はすでに破産をしたままで現在運営されておりますし、また西独あたりでも現在三万キロあります鉄道を半分に減らしたいという案を近く検討するということになっておりますのは、まさしく破局の状態にあると考えていいのではないかと思います。したがいまして、われわれといたしましても国鉄再建をやっているわけでございまして、まさしく破局の状態にあるという認識のもとに再建対策を進めているわけでございます。
  103. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はね、ここで私がこのネタ持って抽象的に質問してもあれですから、委員長ね、経団連に行って講演したメモをやはりこの委員会に正式に、本人が言ったんですから本人にメモを提出してもらうと、そのメモを提出した上で閣議了解事項とどうかということについて具体的に質問するということで、私は資料が出た後に質問することでこの委員会で取り扱いをきめてもらいたいと、こういうことをお願いします。
  104. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) いまの目黒君の御提案については、理事会で協議をさせていただくことにいたします。
  105. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、そういう資料が出たら改めて——私は持っていますが、出てからやります。  それから、じゃ、いま貨物の問題が出ましたから国鉄総裁にお伺いしますが、六月の二十四日、総裁は経団連に出席していろいろ要請なさったと聞いておりますが、どういう意味の要請をなされたか、簡単で結構ですから要点をお聞かせ願いたいと思います。
  106. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 貨物は非常にむずかしいことになっておりますので、いろいろな面で立て直しを図らなければならぬと思いますが、そのいろいろな面の一つとして、やっぱり営業活動といいますか、それを活発にして、お客さんにお願いをしてたくさん乗せてもらうということが必要だろうと思います。  経団連には各界の代表の方がおられますので、各界を通じてひとつ、少しでも荷物を下さいということを中心に話をしておるわけでございまして、これはしかし、私が申し上げただけで、また各界の代表の方が、気持ちはわかると言っただけでは事が解決をいたしませんので、各界の専門家の方と私の方の専門家とで少し話し合いをして、私の方で運んでしかるべきものはもう少しこっちへ荷物をいただくということで、どっちかと申しますと、余り理論闘争とかいうことではなしに、商売に行ったという感じでございます。
  107. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、やっぱり参考までに聞かしてもらいますが、いま鉄道貨物安楽死論というのがちょいちょい新聞に出ているんですが、植物人間の安楽死じゃありませんが、貨物の安楽死論という問題について、総裁としてどういう見解をお持ちか、この際公にしてもらいたいと、こう思うんです。
  108. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 民間の評論家の方の御意見が真っ二つに分かれておる現状でございまして、一方の考え方は、いま御指摘のような安楽死論というような考えでございますし、一方は資源の問題あるいは公害対策の問題その他から言いまして、やはり鉄道の位置づけをすべきであるという御議論でございます。  私は一言で申しますと、安楽死論にはとうてい賛成ができないわけでございまして、国鉄によります貨物輸送について、総合体系のもとにおいてしかるべき地位が与えられてよろしいのではないかと思っております。しかし、そこへまいりますにはなかなか道のりが長いわけでございまして、一面におきまして、まず輸送の安定ということが守られなければならないということが一つと、もう一つは、営業活動をもう少し活発にする、またその営業活動については必ずしもトラックと競争関係だけで考えませんで、トラックと一種の協業関係といいますか、そういう必要があるのではないか、トラックが戸口から戸口までというのが可能であるのに対して、鉄道はどうしても両端をトラックにお願いしなきゃならぬということになる弱点がございますので、これをむしろ競争面よりは若干一緒に仕事するということでいかなきゃいけないのではないいかということが一点。  それからもう一つは、ヤードにおきますいろいろな作業がなかなか、いわば旧態依然たるものがあるわけでございますので、その辺について、これは急にはいきませんけれども、いろいろ工夫をするというようなこと、そういったことを重ねてまいりまして、鉄道が運ぶべきものは鉄道を使おうという気持ちにお客さまになってもらえるような雰囲気を大至急つくらにゃいかぬというふうに思っております。
  109. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、昨年の閣議決定の了解事項の中で、貨物関係で、「五十五年度において国有経費収入均衝することを目標として、所要の近代化・合理化等の施策を講ずる」と、こういう了解事項がありますが、この了解事項は巷間で言われている縮小論とか、安楽死論というのでなくて、いま総裁が言った積極的に市場を開拓していくと、こういうふうな方策だと、精神だと、こういうふうに受け取っていいかどうか、総裁見解をお聞きしたいと思います。
  110. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一番多いときに二億一千万トン運びましたものがいま七割に減っておるわけでございますので、設備その他は過去の実績からいうとそこまで運び得る能力を持っておるわけでございますから、収入をふやすということができればこれは一番早く収支改善になるわけでございます。ただそう簡単に収入をふやすことができませんのは、石炭とか、材木のようなものがもうすでに世の中から姿を消したといいますか、運送対象から外れてしまいましたので、なかなかもとのところまでの量を運ぶまでにはまいりません。そういたしますと、やはりどうやって経費を切り詰めるかということを考えなけりゃいけないわけでございまして、その両面からいたすわけで、やはり能率といいますか、合理化といいますか、なるべくコストをかけないで同じ一トンの荷物を運ぶような努力も非常に重要なことでございまして、その収入経費と両方から攻めていって、何とか閣議了解の線まで五年間に持っていきたいというふうに思っております。
  111. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この問題は、現在貨物関係国鉄職員が七万とか八万とかと言われることで、非常に労使関係でも重大な問題になると思うんですが、聞くところによると、十月のダイヤ改正で、今後の貨物輸送については二カ月以内に大体骨格を組合側に提案する、そういうような話があると聞いておりますが、これは事実ですか。
  112. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま御説明いたしました分の、経費を切り詰めるという問題に関連いたしまして、やはり要員の縮減を図らなければならない、何か目標を決めて、何万人というようなことではないにしても、とにかく少ない人員でなるべく多くの荷物を運ぶというところへ、徐々にではありますが切りかえていかなければならないと思っております。で、そのことが私ども職員の間で大変不安感を招いておりまして、そこでただいま御指摘のように十月一日のダイヤ改正に関連いたしましても、職員団体の方からそういうことについて、先々非常に不安であるから見通しを聞かしなさいという話がありまして、それは当然であるということで、もう少し私どもの方の案ができてまいりましたならば組合の方とも話し合いをしたい。そうして、これは当局側が何か一方的に物事を決めて進めるということではなしに、十分理解のもとにおいてだんだん変えていくということについて進めてまいりたい。そのためには、まず案ができましたならば、ある程度組合との間でも交渉とか何とかということか、あるいはいろいろな場でやるかいろいろありますが、両方を通じまして話し合いを進めつつ案を具体化してまいりたいということで、そういういわば約束をいたしております。
  113. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、二ヵ月以内に案がまとまった際には十分、大事な問題であるから組合側とよく相談をして実現に努めたい、そういう意向があるかどうか、改めて確認いたします。いかがですか。
  114. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そういう事項もございます。
  115. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それと、職員関係合理化の問題出たんですが、この第一次要綱では五万人の合理化を五十五年までにやると、実減一万五千と、こう言われているんですが、こういうことについて、私から見るともう合理化も相当国鉄やったと思っているんですが、四十四年からどの程度合理化で実員を減らしているか、数字があったら教えてもらいたい、こう思うんです。
  116. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 四十四年からの合理化実績でございますが八万九千人、約九万の合理化をいたしまして、この合理化の相当部分新幹線の岡山開業、あるいは博多開業、それから主要幹線におきまして線増などを行っておりますし、また大都会では通勤輸送の増強なども行っておりますし、さらにはまた、職員に還元されまするところの時間短縮も相当大幅に行っておりますので、そういう方に使いまして、なおかつ実人員で四万四千人の削減をいたしております。
  117. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは大臣、どうですかな、四万人というと大体専売公社ぐらいですね。これだけの合理化、私は他の政府機関でもなかなか見当たらないと思うんですが、いろいろ世間から言わますけれども、国鉄の労使ではもうぎりぎりぐらい合理化をやっておると私は受けとめるんですが、さらに五万人ということについてはどういうお考えであったのか、大臣なり、あるいは関係局長でわかっておったら、その辺の議論があったら、わしづかみで五万人だと、こう言われたのか、これとこれとこれとこれとこれをして総計五万人、こういうことをされたのか、五万人合理化を策定した根拠、背景などがありましたら端的に聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  118. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 合理化につきましては、これまでずいぶんと努力してやってまいりまして、もう種も尽きたんではないかという御指摘かと思いますけれども、いままでやりましたことの深度化なり、それから新しい機械をいろいろ入れたりなど、まだまだ種はございますので、そういうもの、それから先ほど総裁から申しましたように、貨物につきましてはいろいろと大幅な改善計画もございますので、そういうものをいろいろ積算いたしまして五万人の合理化は可能であるということに考えております。
  119. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、社会党のスト権の特別対策委員会の小委員長をやった経験でいろいろ聞きますと、スト権に対する腹いせで自民党のあるグループから、わしづかみで十万だ、いや五万か、三万か、二万かと、バナナのたたき売りみたくやられて五万人が政治的に決着したと、こう聞いておるんですが、私は労使関係の一番ガンはやっぱり合理化の問題だと思うんですが、そういう問題をどんぶり勘定で五万人と、こういうことでは私は再建要綱を真剣に考えたと思えないんですが、大臣はどう思いますか。
  120. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 率直に申しまして、私は閣議了解なり何なりができた経過のときには国鉄関係をいたしておりませんでしたので、そこのあたりがどうかということで、着任をいたしましてから事務の方に聞いたわけでございますが、経過については詳細に私はわかりませんが、まだいろいろ努力の余地はあるわけでございまして、その合理化というものが、本来この目標を決めて、人数で何人という目標を決めてやるとかどうとかということはいささか問題がありますので、私はその現実に五万、そして一万五千、三万五千という数字について、どの程度の見通しを持っているのかというようなことを中心に当時聞いたわけでございますが、いろいろとまだたとえば投資をして、そしてこの人間の力でいままでやってきたものを機械に置きかえるとか、そういう努力をいろいろしなければいけないので、そう簡単にはできないわけでございますが、実現可能な範囲内の数字であるというふうに、いまは私は考えておるわけでございます。
  121. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、前藤井総裁の退任のいきさつ、まあいま理事をやっている瀬谷委員長が本会議で言ったとおり、われわれとしてはきわめて不純なものがある、こう思っております。いまだに私は信じません。したがって、私はいま総裁がいろいろ言いましたが、では政府国鉄に、五万人合理化案について具体的な科学的な資料があると言うならば、その科学的な資料について本委員会に御提示願いたいと、こう思うんです。これと、これと、これで五万人だということですから、資料を、特に閣議了解事項をやったんですから、これはやっぱり国鉄よりも閣議ですわね、運輸省が五万人の合理化についてこれと、これと、これだというネタがあったら——あったらというんでなくて、あると言うんですから、ぜひ本委員会提案をしてもらいたい、こう思います。  その問題を見てから、五万人の合理化内容と、それから今後の労使関係がどう展望されるのか、その展望について改めて質問を続行します。ですから、資料を提示を願いたいと思います。五万人の合理化のネタを出してもらってから、それを中心に今後の労使関係はどうあるべきかということを私は議論しますから。ネタがありませんから、議論になりませんから、ネタが出てから議論します。  総裁にもう一つ別なことをお聞きします。
  122. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ちょっと事情を誤解されていらっしゃるんじゃないかと思うんです。五十三年までに十一万人というような計画があったのを、すでに先ほど答弁がありましたように四万何千人か減ったわけですね。それを五十三年までにやると言ったやつを六十年までに延ばした結果、五万人という数字が出たように思います。それから、その十一万人という根拠は私どもにありませんが、実は私、その五万人という案を見たとき、あるいはまた運輸省に参りまして聞きましたときに、総裁にもたしか申し上げたと思うのでありますが、人間の方から数を何万人と決めて合理化を図るというのは私は間違いではないかと、仕事の面から見ていってどれくらいが適当かというものからこれは割り出していくべきではないか、第二は、やはり定年とか、あるいはまたそのほかの事情でやめていかれる人の補充の過程を通じて行うべきものでないかというように私は考えてもおりますし、そういうふうにも申しました。で、資料というものは別にないんでしょう。
  123. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま申しましたように五万人という数字、あるいは三万五千人という数字、差し引き一万五千人という数字につきましていろいろ私は聞きましたけれども、その聞きました結果、ここでこういうふうにして何人という、いわゆる積み上げ計算にはなっていないと、これは今後いろいろ努力を重ねた場合にどうにか達成し得る可能な範囲内の数字であろうということはわかっておりますけれども、別にたとえばこういうふうで何万人とか、何千人とかいう積み上げにはなっていないわけでございますので、ただいま資料の提出を求められましたけれども、それはそういう形では資料を作成ができないわけでございますのでお断りをいたしておきたいと思います。
  124. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連質問でありますが、私も午後にこの問題については問いただしたいと思っておったわけであります。先ほど目黒議員が言いましたように、昨年暮れのスト権問題のときに、減らしてしまえというようなハッパがかかったことは事実であります。したがって、先ほど橘高常務の話によりますと、九万人の合理化、実人員は四万四千人という減少があったわけでありますが、このいま目黒議員の指摘されておりますのは、昭和五十五年までに五万人、さらに六十年までに一万五千人、合計六万五千人を合理化するという問題が相当現場機関を刺激いたしまして、労使の問題の俎上に上ったことは事実でありまして、あなたも着任されてその後この問題については考え直すということを言明いたしまして事なきを得た、こういうことが実はあるわけでありまして、この問題についてはどんぶり勘定のように何万に減らすというような問題で解決する問題ではない。したがって、科学的な資料をこの際出してもらいたいということなのでありますから、そういう方向でお出しを願いたい。こういうことであります。
  125. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私は、やはりこの再建問題の基本は労使問題と申しますか、労使が一緒になってどうやって、さっきからお話がありますように、国鉄の使命を果たせるような地位を見つけ出すかということにあると思います。その場合に、何万人というようなことをまず数を頭に置いていろいろ議論をするというようなことは、これは労使関係を非常に悪くするものでございますので、好ましくないと考えているわけでございます。そこで、そういう姿勢でいま内部でいろいろ議論している際でございますので、この際どこで何人というふうな数字はないと申しましたが、事実ございませんし、それをいまでっち上げてここで何万人、あるいは何千人というようなことにいたしますと、これから労使の間でとっくり話し合っていこうという雰囲気を壊すことになりますので、何とか御勘弁を願えませんでしょうか。そういうやり方でやってまいることをここにお約束いたしたいというふうに考えます。
  126. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、運輸大臣にお伺いしますが、この閣議了解事項をとったときに、自民党の運輸部会長だかだれだか知らないが、あるいは政府か知りませんが、裏メモ的なものをもって国鉄を縛ったということがあると聞いているんですが、その裏メモというのがすなわち五万人とか、三万人とかいう要員関係について何年までこれやれということを国鉄に押しつけたと、それが条件になって融資をするとかいう話があったということをうわさとして聞いているんですが、そういう要員合理化に関する政府なり、自民党側の裏メモはないというふうに確認していいですか。
  127. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 当時は大臣総裁もおられなかったわけでございますので、当時の経緯につきまして私から御説明申し上げたいと思います。  先ほど大臣がちょっとお触れになったわけですが、前回の再建計画で五十三年度までに十一万人の人間を削減するという方針が決まっておったわけでございますけれども、最近の情勢からいって非常にむずかしいだろうということで、昭和六十年度までに十一万人を減らすということで七年ほど実施期間を延長いたしたわけでございます。  一方、今後十年間国鉄職員は約二十万人ぐらい定員削減計画によりまして減ると。したがいまして、六万五千人の要員縮減は可能であろうという判断をして今回の再建対策要綱ができたわけでございまして、別に裏でどうこうあるという問題ではございません。
  128. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、あんたは要員合理化の数があると言うし、片方はないと言うし、どっちが本当なんですか。
  129. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 少し不正確でございましたから補足をいたしますが、御指摘のようなことでやるべしという意味での、何といいますか、一種の了解があることはあったと私は聞いております。私はそういう了解があったということでありましたから、それがその手の届く範囲内の問題か、全然問題にならぬようなことなのかということが心配になりましたのでその点を確認をいたしましたのですけれども、それは内訳はこうだからという説明ではありませんけれども、全然問題にならぬ数字ではなくて、手の届く範囲内の問題だというふうに理解をいたしましたので、それで、そういうことで今日まで政府・与党の間で進んでおる話は、私に与えられた一つ努力目標だとは思っておりますけれども、そうだからといって、それを直ちにうちの中で組合との間でどうこうするということでなくて、それが今後の私どもの努力すべき一つの目標であると。ただし、十年後のことがございます。また、五年後のこともございますから、経済事情も変わってまいりますし、新しい通勤輸送なり、新幹線なりで必要な要員の数もまだわかっていないわけでございますので、それができるかできないかは今後の問題であるというふうに私は理解をいたしております。
  130. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 質問は裏メモがあったのか、ないのか。だから、裏メモだから表に出せないとか、あるいは出せるとか、あったとか、なかったとか、そういうことでお答えいただきたい。
  131. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私はその当時自由民主党の役員をしておりました。主要な問題は三役と私が加わって協議をして決める慣例でございます。したがって、その私が知る範囲ではそういうものはございません。
  132. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) では、午後二時まで休憩いたします。    午後一時八分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  133. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。御質疑のある方は御発言願います。
  134. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは運輸大臣総裁、この合理化の五万人とか三万五千とかという問題については、閣議了解事項が決まる過程ではそういう話があったけれども、国鉄側としては、あるいは運輸大臣としても、先ほど午前中答弁したように、頭から何万人ということではなくて、仕事の実態を中心に組合側の意見を聞きながらいわゆる積み上げていくと、そういう方式で労使関係改善も含めて対処したい、そういう心構えであるし、そういう方針だというふうに理解していいんですか。
  135. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そのとおりであります。
  136. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ国鉄
  137. 高木文雄

    説明員高木文雄君) おっしゃるとおりでございます。
  138. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういうことをぜひ実行してもらって、労使関係改善国鉄再建ということで努力してもらいたいということを改めて要望しておきます。  それで、この合理化の問題でいろいろ言われていますが、やはり仕事の実態からやる場合ですね、安全問題保安問題というのは何よりも最優先をすると、いわゆる合理化に最優先じゃなくて、合理化からはずす方面ではやはり命を守るとう立場から保安とか、安全ということについては十分にその過程で慎重な配慮をしていくと、あるいは絶対やらないということを含めてどういう、合理化と安全ということに対する総裁見解をひとつ聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  139. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 全般的に収入をふやすことと経費を節することをやらずしては再建はできないわけでございますが、その点については労使双方で十分理解を高めた上でのことでございますけれども、いま御指摘のように、私どもの輸送業務におきましては安全に、かつ確実に輸送するということが何といいましても最大の役目でございますので、余りにも何といいますか、経費の節減に気をとられるの余り、安全なり、また確実輸送というところについて支障を生ずるということがあってはいけないわけでございまして、その点は目黒委員がお考えになっておりますことと、私どもが考えておりますことと、決して大きな開きはないというふうに思っております。そういう気持ちは十分持っております。
  140. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 十分そういうことについてひとつ極力努力お願いします。  それから、この合理化事故というのがよく問題になるんですが、合理化事故という問題について、いままでの国鉄状況からどういう受けとめ方をしているか、国鉄関係者にひとつお願いしたいと、こう思うんです。
  141. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 四十年以降国鉄合理化を実施してまいりましたが、その際に、たとえて申しますと設備の強化とか検修——検査、修繕の自動化、省力化、あるいは科学的な設備管理の手法というようなことを導入をいたしまして、結果として少ない要員で保守ができる、安全が確保できるということで合理化を進めてまいったわけでございます。その結果、一番安全のバロメーターとも言うべき列車事故は、四十年、年間百件が、四十六年六十件、五十年は五十九件と、また踏切事故は四十年二千百四十五件、四十六年が千八百二十九件、五十年が千二百八十八件と漸次減ってまいっております。しかしながら、いわゆる運転阻害と申しております、設備の故障に起因する列車のおくれ等を発生する阻害の故障の件数は、四十年、車両故障が千六百六十六、四十六年は千百七十と下がりましたが、その後五十年は千四百四十三と、また線路故障は四十年が二百十五件、四十六年が百十一件、五十年が二百十五件、送電故障が四十年が百四十八件、四十六年が六十四件、五十年が九十二件と、保安装置故障が四十年が千二十一件、四十六年が五百三十九件、五十年は五百九十七件と、最近阻害の方はやや上向きでございます。  しかしながら、五十一年に至りまして、われわれが要員合理化をやります際の前提といたしました機械を導入して線路を保守するというようなことにぜひ必要な線路間合いと列車間合いというようなものを確保して強化をしてまいりました結果、五十一年に至りましてようやく減少の傾向が見えてまいっております。このように安全ということを無視して合理化を進めるということは従来も考えておりませんでしたし、今後も絶対に考えるつもりはございません。
  142. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、そういう心構えはそれなりにわかるんですが、そうは言っても、たとえばいまだに貨物列車の競合脱線などもあるわけですが、ああいう競合脱線対策などについては、合理化と切り離しながら特段の取り組みをしないと依然として脱線の危険性があると、こういう問題についてはどういうお考えですか。
  143. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 競合脱線につきましては、最近もしばしば発生をして御心配をかけておるわけでございますが、世界の鉄道で貨車が多数の原因が競合して脱線するということがしばしば発生をしております。これは鉄道関係一つの大きな課題でございまして、国鉄といたしましても過去十年前からこれの原因究明すべく、研究所を中心とし狩勝峠で大がかりな実験を行いながら原因がだんだんはっきりしてまいっております。今後もさらに原因究明し、対策を講じて、そのような事故のないように努めてまいりたいと考えております。
  144. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 運輸大臣、いまのような合理化と安全の問題について国鉄側はそういう答弁をしてるんですが、大臣監督官庁として、いわゆる合理化と安全という問題に対してどういう基本的な姿勢をもって対処するか、考えを聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  145. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 合理化もむろん必要でございますが、何よりも安全第一ということで臨みたいと思っております。
  146. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この国鉄からもらった資料によりますと、旅客車で二十年経過をしている車齢が、まあ減価償却を終わった車両が大体二六%、四分の一の車両がもう年数を終わって走っている。それから橋げたに至っては四十年以上が五九%、約六割が橋げたについてはある年限を超えている。それからトンネルも四十年以上のやつが四〇%。橋げた、トンネル、車両とも、まあ減価償却の問題相当改善をしてもこれだけのものがあるわけですが、こういう問題について今後どういう対策を持っておるか、国鉄側と運輸省側の見解を聞きたいと、こう思うんです。
  147. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 毎年かなりの投資をいたしておるわけでございますけれども、その投資の中で既存設備の取りかえとも言うべきもの、これは実際には何といいますか、輸送力増強には直接にはつながらないものについていままでいささかおくれているように思います。いま御指摘の車両の問題、あるいは在来線の既存設備の中の橋梁とかトンネルなどに、まさにいろいろ問題があると申しますか、まだ安全という意味では、まあ決してお客様に御迷惑をかけるとか、心配をかけるとかいうところまではいっておりませんけれども、しかし、とにかく老朽化しておると申しますか、設備が疲れてきておるというものがかなりあるわけでございまして、最近、ここほんの一、二年はだんだんそっちの方にも投資を回しておりますけれども、何分全国的には量が多いわけでありますのでなかなか手が回らないということでございます。心組みとしましては、ここ数年の経過といいますか、実績といいますか、そういうものに比べましてより重点を置いてまいりたいというふうに考えております。最近に至りまして半日とか、あるいは一日とか期間を限りまして列車をとめまして、軌道の取りかえであるとか、あるいはまくら木の大量交換とかということをやっておりますが、そういう点で私どもが御説明いたしました点はお認めいただけるのではないかと思います。今後もそういう方向で進めてまいりたいと思っております。
  148. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も仙台なもんでよく東北線に乗るんですが、東北本線の特急「ひばり」に乗ると依然として揺れが激しい。北陸本線などに乗りますと、全然、これが国鉄かなというくらい車の揺れが違う。ですから、線路状態も私は相当改良する必要があると思っておるわけですが、ここ五年間ぐらいで保安面に投資した投資額がわかれば参考までに教えてもらいたい、こう思うんです。
  149. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 最近の五カ年間に保安のために投資をしましたのは自動信号、ATC、トンネル事故対策等、合計いたしまして五カ年間で千五百六十四億でございます。
  150. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この投資の関係でえろう金もかかるわけですが、午前中の質問から、国鉄の投資が他の交通機関に比べて手おくれておったという点もあったわけですが、他の交通機関と比べて国鉄側としてはどういう投資をしてもらいたいという要望があるのか。他の交通機関との競合関係で希望があったらこの際聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  151. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 投資の規模が全体として適切かどうかということについては、大きければ大きいほどありがたいわけでございますけれども、現実問題といたしましては、先ほど来のお話にもございますように、今日の段階ではすべて借入金で賄うという前提で仕組まれておりますので、ただ大きい方がいいというわけにもまいらないわけでございまして、しかし、一部では投資について無利子の金を投入したらどうだという御意見が非常に強いわけではございますが、何分巨大な赤字を抱えておりますので、そっちの方の赤字対策の方に相当な予算をいただかなければならない。そして、また一方において投資をやっていかなければならないということになりますと、希望どおりなかなか無利子の金でやるというわけにもまいりませんので、ある種の矛盾を感じながら、現在のところやはり投資規模を少しでも大きくしていただきたいという心持ちから借入金に依存してやってきているのだろうと思いますが、ここ数年のところではなお経営問題のためにいろいろ助成をしていただかなければならないという現実にございますので、いまのところは主として借入金によって賄っていかなければならないのではないか。その場合には、しかし、かなりの規模で仕事をさしていただきたいわけでございまして、最近決まりました五十年前半期の計画におきましても、まだ五十一年度の規模よりは大きい規模で投資を行うことを前提とした計画になっておりますから、ぜひこれを実現をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  なおその際に、投資の中身の問題でございますけれども、投資の中身の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように、既存の設備で大変くたびれておるものが多いものでございますから、これをまず第一に考えると同時に、まだ日本の複線化率というのは非常に低いわけでございますので、複線にすることによっていろいろ輸送効率を上げるというようなことにつながりますような投資をお願いをいたしたい。どうしても新幹線等のいわば利用者といいますか、国民の方々といいますか、そういう方々の要望の強いものにとかく投資が偏りがちでございまして、私どもの内部の事情からいいますと、そうお客さんに要らざる不安を与えてもいけませんから、余りくたびれてるくたびれてるということは申し上げないものですから、どうも率直に申しましてそっちの方の投資についてはなかなか応援がいただけないような空気になっておりますけれども、しかしやはり基本は、かなりいろんな点で傷みがまいっておりますので、それを中心にし、複線化等を第二に考えて、全くの新規計画については、たとえ多少おくれが出ましても、いま言ったような順序で考えていただきたいというような感じでおるわけでございます。
  152. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると大臣ね、いま総裁の答弁がありましたように、やっぱり本会議でわが党の代表の瀬谷先生も言ったとおり、新幹線の投資も必要ではないとは言いませんけれども、やっぱり在来線、現有線の整備拡充ということについて十分見直してもらいたいと思うのです、先ほど言った車、トンネル、橋げた、相当傷んでおりますから。  それからもう一つは、貨物部門が非常に問題になる原因として、やっぱり複線率が非常に少ないという、二六%、七%ですか。外国はもう四〇%から七〇%。われわれも数字の専門屋ですけどもね、やっぱり電化の前に複線化ですよ。そこのところどうも順序を取りかえているという点もありますから、国鉄側の意向も十分尊重した投資のあり方ということについて大臣見解をこの際聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  153. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 鉄道建設審議会で新幹線について約七千キロ、それから各地方のローカル線について相当な御決定を見ておるのでありますが、その時期はまだ石油ショックが起こらない、しかも日本が依然として高度成長に酔っておったと申しましょうか、そういうような時期でありまして、その上に、将来にわたっての資源とか、あるいは経済事情等についての長期的な見通しも余り考えなかった時代にできたものでございます。しかし、それを現在の段階で、審議会を開いて縮小するということには、なかなかいろいろ問題があることはおわかりいただけるだろうと思いますので、実施の面におきまして、まず在来線の複線化、電化、そうして安全の確立、そういうところが先行すべきだという考えのもとに、実施の面において配慮を加えていきたいと、こう考えております。
  154. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひ、いま大臣の答弁が実を結ぶように御配慮をお願いしたいと思います。  それから関連事業の問題ですね。大臣はいつでしたかな、九月十八日の交通新聞のインタビューに応じていろいろお話しされておる。それから総裁は八月二十六日、毎日新聞のインタビューに応じて述べておられる。こういう関連事業の拡大という問題について、基本的にどういう考えであるのか。これはいままで第一次、第二次の国鉄再建問題をめぐって、ずいぶん当時社会党なり、あるいは国労、動労の組合などからも出た問題でありますが、両二つのインタビューを通じて、われわれは本心がわかりませんから、この際、関連事業についてどういう考えを持っておられるのか。たとえば私鉄並みに駅、ターミナルにはいろいろなことをつくると、あるいは沿線には土建会社もつくって云々やるとかと、そういう私鉄並みまで考えていらっしゃるのか、限定された問題なのか、それ以外なのか、その辺の関連産業に対する基本的な方針をお聞かせ願いたい、大臣総裁の両方からお願いします。
  155. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 基本的には、国鉄の持っております資産の効率的利用ということでございます。それをじゃましているのが日本国有鉄道法でございますので、その国有鉄道法を見直した上で所要の措置をとってやりたい。私、一番それを痛感をいたしましたのは、私は逗子に住んでおりまして、もう四十年近く東京へ通ってきます。その途中で横浜を通って自動車で来ることもあります。昔は杉田の埋立地というのは潮干狩りのところでもあったわけでありますが、ちょうど昭和三十二年、石橋内閣から岸内閣の官房長官をしておりますときに十三線新しく着工することになりました。その十三線の中に根岸線が入っております。その根岸線の建設が決まったことを軸にいたしまして、あの杉田の海岸の埋め立てが始まった。今日もう全く昔日の面影がないように発展をしておりますし、付近にもマンションやデパートは林立しております。ところが、その真ん中の軸になる根岸線は赤字でございます。これはまことにばかげたことでありまして、こういうばかげたことの累積がやっぱり国鉄赤字につながると、こう考えておるわけであります。  先ほどもちょっと例を挙げましたが、そういう例は日本中探せばずいぶんあると思います。運輸省といたしましてはどういう方法か、方法は検討中でありますが、地方ではあんなところに国鉄の財産があって、ずいぶんむだにしているじゃないかというように思う方が多いだろうと思います。それをむだにしていながら運賃の値上げに頼ろうというのはちょっとわからないという人もあるだろうと思うんです。そういう国鉄の現在の遊休資産、また現在使っておるとしましても、もっと経済的に使う方法が他に見出せるような資産、そういうようなものの効率的な運用を図りたいと、こういうことでございます。
  156. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄再建についての閣議了解にもございますように、資産の活用を図るということは非常にこの経営再建のためにも重要なことだと思います。いままではいずれかというと、まあ民業圧迫というような理由国鉄がいろいろなところに手を出すことについては御賛成を得られなかったわけでございますけれども、今日私どもの経営がこういう状態になってきた、なっておる現状からいたしますと、むしろそれを許していただけないのは一種の国鉄圧迫のような感じになるわけでございますので、余り民業圧迫ということの声にたじろがずに、資産の有効活用につながるものについてはこれまでよりも手を広げさせていただきたいと思います。  ただ、私鉄と同じにやるかというお尋ねもございますけれども、その点につきましては、国鉄自体の体質が必ずしも営業活動、商業活動というようなものになじんでおりませんから、そう一挙に広げましてもいい成績を上げられるとも思いませんので、基本的には活動範囲を拡大さしていただきたいと思いますが、そのテンポについては、やはりそれなりに徐々にやってまいりませんと、投資はしたけれどもその投資が生きてこないということになってもいけませんので、一面においては拡大を基本としながら、実行に当たっては相当慎重に考えて資産なり投資なりが生きるような形で広げていきたいというふうに考えております。
  157. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この関連事業の問題についても、いろんな関連する競合の関係あるわけですね。でありますから、先ほどのトラックと鉄道という関係じゃありませんが、その辺のところには十分配慮しながら、慎重な対処をお願いしたいと、こういうことを要望いたします。  私は、まだまだ鉄道公団の問題、ローカル線の問題、貨物運賃の問題などいろいろあるわけでありますが、理事会の申し合わせで時間が来ておるようでありますから、一応質問を留保して、特に鉄監局長から出てくるメモは私にとってはきわめて関心の深いものでありますし、そのメモを中心に議論すると、これだけでも四時間や五時間かかると、こういうしろものでありますから、そのメモも出ておりませんから、ここで質問を留保して、とりあえず私の質問を終わります。
  158. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 理事会の申し合わせで時間の制限はしていないことはわれわれとして申し上げたいと思うのです。
  159. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうですか。じゃ、それは取り消します。  社当党側の理事の指示がありますから、ここで一応留保して、次回に資料が出た段階でもう一回続行します。
  160. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 国鉄財政につきましては、昭和三十九年以来赤字になりまして、これが昭和五十年度においては九千百四十七億、累積にしまして三兆一千六百十億円、こういうことになっておるわけでございますが、この原因につきましてはすでに大臣、本会議あるいは委員会答弁においていろいろと御答弁がございました。要約しますと、第一は、運賃がきわめて低位にあってその改定がおくれたこと。第二番目には、地方交通線が構造的に赤字であること。第三は、公共負担等が課せられていること。第四には、輸送基盤あるいは輸送体系の整備の問題と、次には、借入金で経営しておるわけでございますからその利子の負担が膨大であること。第六には人件費物件費等が高騰したと、こういうように要約できるかと思うわけでございますけれども、申すまでもなく国鉄国民国鉄でございます。  したがいまして、輸送体系の中心である。あるいは公共交通機関としてナショナルミニマムの確保をしなければならない。さらには、運賃体系を見ましても各交通機関というのは相互に関連がございまして、正しい全体的な運賃体系を設定をしなければならないということもございます。さらには、最近におきまして国鉄の需要に対する関連企業、これが大変苦しんでおる。関連の事業、広くいえば産業経済に重要な問題といいますか、影響があるわけでございまして、それらの問題を意識いたしましてその原因対策ということを考えなければならないと思うわけでございますけれども、大臣のお考えを承りたいと思います。
  161. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄の今日の窮状に至りました理由、ただいま御指摘のとおりでございます。国鉄の経済の現状というのは最終段階と申しましょうか、もうこれ以上どうにもならぬところへ来ておりまして、関連企業の従業員だけでも、私は正確にはわかりませんが、五十万人近いんじゃないかと思います。それも、関連企業の従業員の中で国鉄に関連をする仕事をしている人の数だけでもそれくらいになるんじゃないかと思います。したがって、この法律の国鉄再建二法の成立がもう現下最も緊急を要する要務であると考えまして、皆様方の慎重御審議の上の速やかな御賛成をお願いをしているという次第でございます。
  162. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 国鉄財政再建問題につきましては、過去においても四十四年度、あるいは四十八年度といろいろ計画が立てられました。なかなかこれが計画どおりにいかないと、事態はさらに深刻になってきたと、こういうことであると思うわけでございますけれども、この際、これらの経験を踏まえまして、根本的にひとつやっていただかなければならない。たとえば、最近において運賃改定一つがおくれているというふうなことでございまして、過去の計画のそご、今後新しい計画につきましてそういうことがないように推進をしていかなければならないと思うわけでございますけれども、お考えを承りたいと思います。
  163. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどのお話にもございましたし、私もたびたび申し上げてまいったんでありますが、やはり輸送構造、産業構造というものについての見通しを誤ったと申しましょうか、見通しが甘かった。それから、やはり運賃の値上げが第一に適当な時期に適切に行われなかった。それから、総体として低位にございました。したがって、これを借入金で賄いますから膨大な利子が絡む、そういうことが主な原因でございますので、これからはそういうような見通しのそご、運営上の間違いがないような方針で臨みますと同時に、国鉄当局上から下まで、やはり自分の与えられている条件と任務を強く認識をしていただきまして、そうしてそれこそ労使一体となって自分の生活の場、国民の経済の動脈を預かるんだという誇りと自覚を持ってこの経営に当たってもらうことを強く期待をいたしておりまして、少し異例ではございますけれども、十六日、国鉄の幹部の諸君に対しましてそういう内容を含んだ強い希望と指示をいたした次第でございます。
  164. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 従来から総合交通体系ということが言われております。で、これは運輸省におかれましてもいろいろと検討をされてきたところでございますが、総合交通体系におきましては、私は陸海空各種の交通機関がございます。これらがおのおのの特性を生かすことと、さらに交通機関の連係、協同体制というものを考える。この協同体制を考えるということが総合交通体系におきましては大きな課題であると思うわけでございますが、その場合におきまして、やはり国鉄というものはわが国の交通の中心にあるわけでございますから、その総合交通体系における鉄道輸送の特性をどう発揮さすかという点につきましてはいろいろと御研究も進んでいるはずでございますが、この問題につきまして運輸省で従来から検討しております結果をひとつ鉄監局長から承りたいと思います。
  165. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 詳細は事務当局からお答えをいたしますが、基本的にはそれぞれの交通機関が持っております特性を生かし、それから与えられた条件を生かしていくということであろうと思います。で、それを今度の国鉄再建法二法にあてはめて考えますならば、やはり過去の独占の夢というものを早く捨てることだと思うんです。すでに競争者がいっぱいいるんだという自覚の上に立って、これは電電の場合とは違うんでありまして、料金を上げれば上げただけ増収になるという性質のものではございませんから、それぞれの特性を生かしつつ、しかも連係を深めていくということが肝要であろうと考えております。
  166. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 担当の審議官がおりませんので私から答弁いたしますけれど、総合交通体系を議論いたしましてからかなり時間がたっておりまして、その間オイルショック等の情勢の変化もございますので、現在運輸省の中でいろいろ検討いたしておる段階でございますけれども、まだ最終的な結論は得られておりません。ただ、基本的な考え方は、いま大臣から申し上げましたように、やはり総合交通体系というのは各交通機関の特性を生かすということでございまして、特に鉄道の場合には大量、高速という点に特性があろうかと思います。ただ、いま大臣からお話がございましたように、現在鉄道は非常に厳しい競争関係に立っているわけでございますので、そういう点を配慮しながら、総合交通体系の中におけるその役割りを今後確定いたしていきたいと考えております。
  167. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 旅客におきまして三〇%、あるいは貨物におきまして一三%のシェアでございますが、このいわゆるシェアが減じてきたという厳然たる事実につきましては先ほどからお話がございました。しかし、私は、だからといってわが国の輸送体系におきまして国鉄の使命が減少するものではない。したがいまして、いまお話がありましたように、国鉄としてやるべきこと、そしてまた、各種交通機関の協同体制というものを推進していくということは、もうこれは基本でなければならない、かように考えておりますが、大臣どうですか。
  168. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 競争があるんですから、何よりも商売なんだということを自覚してもらう必要がある。乗せてやるんだ、運んでやるんだという意識、それから百年の長い間の大部分独占的地位に甘んじておったという意識、そういうものを捨てて、人を運ぶ、物を運ぶサービス業をやってるんだという、これは基本的な認識の上に立ってもらうことと、それから普通これは民間企業がこういう状態に立ち至ったならば、重役はそれこそ夜も眠れない思いをするに違いないわけであります。そういう気構えに立ってこの難局に当たってもらいたいということであろうかと思います。
  169. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 この中でも問題になりますのは貨物輸送の問題でございまして、国鉄財政再建の場合において、今後の貨物輸送をどうするかということは非常に大きな課題であると思います。それで、国鉄でなければ輸送できない貨物、そして中距離・大量輸送ということが言われておるわけでございますけれども、国鉄なかりせば輸送できないというそ分野、いま申し上げました中距離・大量輸送、これらをいかにして今後開拓していくか、それの輸送をやっていくかということであると思うんですが、午前中もその状況につきましては抽象的にはお話がございましたが、国鉄当局はどう取り組んでおられるか、国鉄当局からお伺いいたします。
  170. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 国鉄貨物輸送を今後具体的にどういうふうに持っていくかということについてでございますけれども、大きく申し上げまして三点あると思います。  一つは、やはり現在の輸送構造自体が新しい産業界にマッチしているかどうか、このために物資別輸送、あるいはコンテナ、フレートライナー輸送というようなことでいろいろやってまいりましたが、国鉄の大部分貨物を占めます一般車扱いの問題につきましては実はサービスアップに重点が置かれて、コストダウンに余り重点を置いてなかったということで、非常に赤字を生んでしまったわけでございますが、今後はまず基本をいかにしてコストを下げて効率のいい輸送を行うか、例を申し上げますと、現在列車種別が種々ございまして、たとえばヤードの作業をごらんいただきますと、かつての作業の仕方と非常に違いまして、複雑な作業をやっております。そのために、要員もそれだけ余分に要りますし、かつ作業能率も悪いということで、非常に問題を持っておりますので、これを効率化いたしまして、徹底的に近代的な輸送をやっていきたい、こういう考え方が一つでございます。まずコストダウンをやっていきたい。  二番目は、運賃制度問題でございますが、これもすでに御存じのとおり非常に硬直化された運賃制度になっておりますので、これをできるだけ弾力的活用を図りまして、午前中総裁が申しましたように、できるだけお得意さんを獲得する、輸送需要を確保するという方策が二番目でございます。  三番目は、やはりこれも午前中総裁が申しましたように、トラックと競争ということもさることながら、すでに御存じのとおり、コンテナにおきましては路線トラックが約三六%、区域トラックが、わずかでございますが約一%弱ぐらい国鉄を利用しておりますように、動く貨物道路というような形でトラックと協同一貫輸送を今後ますます広げていく、こういう具体的な方向で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  171. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 荷主の方から見ますと、安全確実に荷物が着くかどうかということ、距離的に、あるいは列車のスピードから見ましたらば早く着くかっこうにはなっておりますけれども、実際としては、発送した場合に期待された時間に着くかどうかという、いわゆる確実に荷物を受け取れるかどうかということ、これがトラックとの関係等におきましても、たとえば近畿地区から秋田方面に参りますタオルなんかでも、ほとんどトラックで行っているということは、時間的に確実に着くかどうかということ、またときどきストがありますので、どうなるかわからぬというようなことが、荷主はいわゆる確実に運んでもらえるかどうかという、それならば中長距離の輸送国鉄お願いすると、こういうことになるんだと思うんですけれども、それらの点はどうですか。ヤードの問題も重要だと思います。
  172. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 確かにおっしゃいますようにトラックと国鉄鉄道貨物輸送をごらんいただきますと、トラックは非常に小回りがききます。鉄道貨物の場合は一般貨物の場合ですと通運−鉄道−通運という形で、ターミナルにも問題がございますし、御指摘のようにヤードについても問題がございますが、今後、午前中も話が出ましたとおり、労使関係を十分円滑に持っていくことによりまして、できるだけその国鉄内部の輸送を正確にやっていき、また通運との連絡をターミナルにおいて円滑に行うということによりまして、まだまだ現在以上の相当正確な輸送ができるものと確信をいたしております。
  173. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 ヤードレスの輸送ということと、しかしバラといいますか、個々の貨物輸送ですね、それとの調整というものをどういうふうに具体的に考えておりますか。
  174. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 個々の貨物につきましては、一般車扱い輸送方式をできるだけコストダウンして、かつ効率化するという形で、もちろん貨物駅の集約等によりまして、集約輸送の方向に持っていく努力をいたします。それからバルキー輸送等、大量の物資につきましてはやはり物資別輸送、基地から基地ということで、特に専用線扱いの貨物が多うございますので、そういうものにつきましては列車単位、あるいは集結、二集結、三集結というような、相当大量の輸送方式でもって作業を簡素化するという形で輸送していきたいということでございます。
  175. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまの物資別輸送、コンテナ輸送等、相当前から推進されておったわけですが、振り返ってみると、これが完全にいっておればそれほど問題ないわけですけれども、それらに対してどういうふうに反省しておりますか、それから新しい今後の方策にいくと、こういうことになると思うのですけれども。
  176. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 資料はお届けいたしておると思いますけれども、コンテナ輸送、あるいは物資別輸送は、四十八年までは比較的微量ではございますが、順調な伸びをいたしておりまして、四十八年度の経済変革以来、これはまあ自動車も、内航海運もそうでございますけれども、もちろん生産量も落ちておりますが、ダウンをいたしております。したがいまして、私どもは現在のフレートライナー輸送が間違っておったとは反省はいたしておりません。しかしながら、やはりトラック等、あるいは通運等、より一層協同一貫輸送の実を上げるためには、なお打つ手があったではないか、あるいは設備投資が十分ではなかったのじゃないかという考え方はいたしておりますので、今後この方向は進めていきたいと思っておりますし、物資別輸送につきましても四十八年度以来落ちておりますが、それまではほぼ順調に伸びてきておりますので、やはり専用線の培養その他につきましても、あるいは臨海鉄道方式その他につきましては十分配慮をしてやっていきたいと思っております。  ただ、一般貨物につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろと試行錯誤をやってまいりました関係で、非常にコストが高くかかっておりますので、これについては時間の正確さというものを確保しながら需要を確保していきたいというふうに考えております。
  177. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 運賃の問題でございますが、運賃は輸送に対する対価でございます。適正原価に対してコストがかかり、それを対価として受け取るということでございますが、その運賃も対価であります以上、いろいろ経済現象といいますか、物価その他と非常に関連が深い。ところで、国鉄の旅客運賃をとってみますと、昭和九年から十一年に対しまして、ことし二月では三百二十七倍、消費者物価は一千倍を超えております。はがき、新聞、あるいは散髪代、その他と比べても非常に低位にあるわけですが、それらの点につきまして、企画庁の方からちょっと数字的な関係を御答弁いただきたいと思います。
  178. 海野恒男

    説明員(海野恒男君) 先生御指摘のように、国鉄運賃は、昭和四十五年をたとえば一〇〇といたしますと大体一二二ぐらいになっておりますけれども、一般消費者物価は一九〇ぐらいになっておりますので、その面から見まして相対的に低位に抑えられているということが言えると思います。
  179. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 ほかのものとの比較を聞いておるわけですが。
  180. 海野恒男

    説明員(海野恒男君) 大体、他の公共料金と比較いたしますと、いま申し上げましたように国鉄運賃は一二〇ちょっとでございますけれども、たとえば電気料金のようなものと比べますと電気料金の方がはるかに、今回値上がりいたしましたので上がっておりますけれども、電電料金のようなものと比較しますと若干、電電料金がこの間上がっておりませんので、それに比べますとやや高くなっておるわけでございますけれども、概して言えば公共料金の中でも比較的抑えられてきた部門だというふうに言えるかと思います。
  181. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 運賃、料金というものは、いま他の公共料金との関係もございますが、消費者物価指数その他の公共料金、あるいはわれわれの生活上、新聞とか理髪とかいうようなものとも、そういうふうに物価というもの、経済現象というものは相互に非常に関係が深いわけです。その中で国鉄運賃は低位に過ぎたという認識を持っておられるかどうか。
  182. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 海野課長、もう少し大きな声で。
  183. 海野恒男

    説明員(海野恒男君) はい。  御説明いたします。  公共料金は昭和四十五年を一〇〇といたしますと全体で一四二程度上がっております。そして、総合でいきますと一七二でございまして、五十年の平均におきましては昭和四十五年に比べましてその程度になっております。それから、他の公共料金一々申し上げますと、たとえば水道料が一三二、郵便料金一七四、それから診察料一三〇、それから国鉄運賃は一二二という数字でございますので、平均の公共料金の指数に比べまして、公共料金が一四二でございますので、相対的に抑えられておるというふうな判断をいたしております。
  184. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 ちょっと聞こえにくいんですが、後の方が。後のところどうですか。語尾が、肝心なところが聞こえないもんだから。
  185. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 課長、思い切って言ってください。(笑声)
  186. 海野恒男

    説明員(海野恒男君) 失礼しました。  公共料金全体が一四二でございますので、そして国鉄運賃が一二二となっております。他のものを見ますと、たとえば水道料金一三二、それから私鉄に比べますと私鉄が一七〇ということになっておりますから、公共料金の中でも比較的低位に推移しておるものであるというふうに判断しております。
  187. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 戦前との比較というのは、昭和九年、十年、十一年——十年を中心といたしまして現在とよく比較するわけでございますが、そのときの比較において国鉄の旅客運賃は三二七である、それに対して消費者物価というのは一〇四七である、これ間違いないですか。
  188. 海野恒男

    説明員(海野恒男君) 間違いございません。
  189. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 そういうふうな姿でございますが、運賃、料金というものは、原則は受益者負担——交通事業の運賃というものは受益者負担を原則とすると、こう考えるべきであると思うわけでございますが、ただ、それだけではいけないというので、いろいろの政策を加えていかなきゃならぬわけでございますが、そういう観点で出発すべきだと思います。  それで、今回の運賃改定に伴う収入でございますが、名目、旅客五〇・四%、貨物が五三・九に対しまして増収が旅客の場合は三六・九%、約三七%、貨物の場合におきましても約三七%と、こういうことになっておるわけでございますが、この増収と実収の関係は従来の実績等から算定されたものだと思うわけでございますが、この点と先ほどのシェアの問題、どういうふうに従来の経験からはじかれたか、今後のシェアにおいてどういう影響あるのか、運輸省当局からお答えを願いたいと思います。
  190. 田口通夫

    説明員田口通夫君) 今回の減収率といいますか、実収率といいますのは、四十九年度の実績——四十九年度の実績と申しますのは、名目改定率分の減収率という形ではじきました一つの傾向値を運賃弾性値といたしまして、それを使いまして今回の実収率をはじき出したわけでございます。  そこで、私の方から御説明申し上げますのは、他の運輸機関との関係を御説明申し上げますと、たとえば旅客におきまして新幹線と航空機、これはどういうことになるかと申し上げますと、グリーン車は別にいたしまして、やはり東京−大阪で見ました場合に、新幹線の普通車対航空機の運賃は約七五%——二割五分ほどまだ新幹線の方が安い。その場合におきまして二割五分じゃ非常に接近しているじゃないかということでございますけれども、サービス面を考えていただきますと、東京−大阪間のサービスが、現在航空機で二十六便、新幹線の場合、「こだま」を除きまして「ひかり」だけで見まして六十二本、片道それぞれ。そういう形でございまして、非常にサービス面におきましても圧倒的にまだ国鉄の方が上である。  一方、私鉄との関係もかなり格差があるということでございますが、私鉄と並行いたしております区間は主として関西に多うございまして、関西の場合は大体十五キロまでが私鉄運賃と今回改正をいたしました暁の国鉄の運賃とがとんとんである。たとえば芦屋−大阪に例をとっていただきますと、私鉄、国鉄ともども百五十円という形になりますし、東京の場合ですとかなり格差があるじゃないかということでございますが、関東の場合、電車区間の平均、定期を除きまして平均輸送距離を調べてみますと、大体十キロをちょっと上回る程度でございまして、まあ平均輸送キロでこういうことを申し上げるのは全部をおっかぶせるわけにはまいりませんが、一例として御説明申し上げますが、その場合の運賃格差は約二十円ないし三十円ということでございますので、東京までの直通、乗りかえなしというようなことを考えますと、運賃だけで直ちに私鉄から国鉄に移るという感じは持っておりませんで、むしろ十分旅客九%の問題については、その見込みどおり実収できるのじゃないだろうかというふうに考えております。  一方貨物でございますけれども、貨物こそ大丈夫かということになりますと、私どももかなり問題意識は持っておりまして、一〇・八%ぐらいで済むだろうかという問題もございます。しかし、まあこれは一例でございますが、自動車の場合、結局タリフ運賃と国鉄の公示運賃を比べてみますと、今回の値上げ後トラックとの関係は、区域トラックの場合には約二百キロまでがトラックが有利、二百キロ以上は国鉄が運賃的に有利ということになりますし、路線運賃の場合は、コンテナ運賃と比べまして、初めから全部国鉄が有利と、安いということになっておりますが、ただ、これは実際どういう運賃をトラック業者がとっておるかわかりませんので、私どもとしましては、やはりかなり先ほど申し上げました運賃制度の弾力的活用を行いまして、一〇・八の減収率はそれ以上に落とさないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  191. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 運賃の問題、いま答弁もございましたように大変きわどいといいますか、関連事業との間に非常にデリケートな問題になってきておる。そこにまた国鉄が独占性を失いまして、いろいろと苦労の多いところだと思うわけでございます。運賃か適時適切に——運賃値上げを奨励しておるわけじゃございませんが、事業といたしまして継続的に仕事をやるためには適時適切な運賃改定ということが必要であるわけでございますが、先ほども申し述べましたように、消費者物価との比較におきまして大変な開きがある。物価の変動を吸収し得ないというようなことで、これが一つ国鉄財政悪化の原因にもなっておるわけでございます。  それで、今回の要綱にありますように、「運賃法定制度の弾力化」という、その運賃法定制度の決定方式を弾力化するということにつきまして早急に検討し結論を出す、こういうことになっておるわけでございますが、法律的にもいろいろ問題があるかと思いますけれども、私もこれは運賃というものは事業のコストであり、これを適時適切に実施をしていくと、また国営の事業でございますが、これは予算上国会においても審議されるわけでございますから、この法定制度の弾力化についてはひとつ検討をされておるわけでございますから、速やかにその検討をされまして結論を出していただきたい。これは立法問題ではございますけれどもお願いを申し上げまして、大臣の御見解を承りたいと思います。
  192. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄が今日の窮状に達しました原因一つは、運賃の改定の時期が適切を欠いた、一年半ばかりおくれたということが大きな原因一つになっております。また、中山伊知郎先生を座長にしております公共企業体等のあり方についての審議会、国鉄当局の当事者能力の問題にも絡んでくる問題でございます。そういうような見地と、それからの国会の予算審議権、あるいは政府の予算編成権というようなものと絡みますので、軽々に結論を出すべき性質のものではございませんが、国鉄の現状等にかんがみまして検討を進めているところでございます。
  193. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 国鉄財政、もとより国鉄再建のためには、国民国鉄でございますから、国民各位の理解と協力を求めなきゃならぬと思うわけです。それには大いに国鉄経営、やり方につきまして国民皆さんの批判、そして意見を率直に聞くと、そしてまた国民国鉄でございますから国鉄のあり方、仕事につきまして正しい認識をしていただく、こういうことが私は必要じゃないかと思うわけでございますけれども、そのためには地方、地域ごとにひとつそういうふうな制度をつくりまして、国鉄運営についてわれわれはこうがんばっておるんだ、こうやるんだということを、新聞なんかを見ましても国鉄姿勢といいますか、経営姿勢、労使の関係等につきまして、非常に熱心な意見が各方面から出るはずでございます。そういうのは自分たちの国鉄であるということから出ておるわけでございますから、そういうふうな声を直接各地で地方において吸収をして、大いに国鉄経営の、国民のための経営に生かしていくというふうなことについて私は必要じゃないかと思うのでございますけれども、どうですか。
  194. 石田博英

    国務大臣石田博英君) たとえば新聞意見広告とか、あるいは電車内の広告なんかでは、この成立がおくれれば一日何ぼ赤字になるのだということはいっぱい出てきておりますけれども、国鉄がいままで国民に対してどういうことをしてきたかというような宣伝に、確かにおっしゃるように欠けておると思うのです。私ども書生のころは、東京−京都間が八時間から九時間かかったのが、いまは三時間で行けるようになったという国民に与えたこの時間の利益、それから、そのほかの方面における国鉄努力の成果、それが国民生活並びに経済に与えた利益、その点の宣伝、それからエネルギー資源の乏しいわが国において、一番エネルギーの上から言って安上がりなのは、海は別といたしまして、陸では国鉄なんだという意味の宣伝、そういう点が非常におくれているように思います。  それから、先ほども目黒さんの御質問の際にもお答えをいたしたことでございますが、国民から見てあんなところに国鉄の財産が遊んでいるではないか、これはもう一番マイナスの効果をあらわすわけであります。そういう点についての努力、そういうものとあわせて国鉄役割り、将来性、そしていままでの成果、そういうものを国民にもっとわかっていただくような努力をしなければならぬ、そうしてまた国鉄に対する御意見がもっとたくさん集まってくるように配慮しなきゃならぬ、この配慮は、いま運輸省においてこれを実施するように検討中でございます。
  195. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 まあ国鉄がどうなるかということにつきましては、もう国民としましては大変重大であるわけでございまして、国民の皆様の協力を得ていくということが私は今後ますます大切である、こう思います。その場合に五〇%以上の運賃を改定をすると提案をしておきながら、企業の中では労使関係がごたごたしていると、こういうんではどうも国民理解は得られないと思うわけでございまして、これこそ国鉄財政再建のためにも最も私は大切なことだと思うわけですが、総裁どうですか。
  196. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在経営状態がこういう状態でございまして、国鉄再建ということは国鉄の経理、経営再建ということがきわめて大事であるということで御審議お願いしているわけでございますけれども、いま御指摘になりましたように、何と申しましても四十万人を超える人によって鉄道が安全確実に動くわけでございますので、経理、経営再建もさることながら、国鉄の中におきます労使一体と申しますか、職員全体が一体となりまして自分のところの経営に真剣に取り組んでいくという姿勢がもう一歩進むことがどうしても必要であろうかと思います。春以来そういうことで労使の間で、交渉というようなことではなくて、また別のお座敷で、いささか非公式な形ででも相互に意見を交換し合って経営の問題を話し合おうではないかということを始めておるわけでございまして、組合の方の幹部の諸君もそのことについてはきわめて積極的でございまして、お互いに相反する意見を出し合って議論、論議し合うということでなしに、お互いに一致点を見出し合いながらやっていくことにしようという雰囲気がいささかながらいま生まれておるところでございます。  ただ、この問題は非常に長い問題であり、いきさつがありますし、また、それがいやな思い出というようなものとつながっておりますので、残念ながらにわかにきのうときょうと全く変わったようなところまでは持っていけませんでして、いささか時間をかけてさらに協調の空気を積み上げていきたいと思います。昨年のいわゆるスト権ストでありますとか、この春の春闘でありますとかいうときに列車、電車がかなり長時間にわたりましてとまるというようなことになりましたけれども、だんだんとそういうことにつきましても労使の間が調整されてまいりますれば改善をしていくのではないかと、その全体の雰囲気が変わることと経理、経済の再建ということが相つながりまして初めて所期の目標に近づき得るのではないかというふうに考えております。  いま御指摘の点は、私が日ごろ心がけておるつもりでございますが、なおお言葉をかみしめてそのような方向で臨んでまいりたいと思います。
  197. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 先ほど来の運賃のときにちょっと言い忘れたんでございますが、そもそも運賃というものが公共料金というようなことで、経済原則を無視して処理してきたきらいがあるわけでございますが、運賃というものは能率的な経営のもとにおきまして適正原価、適正運賃でなければならないというのが原則だと思うわけでございます。一般の交通運賃、たとえば私鉄等の場合におきましても、赤字が出なければ運賃改定は認めないと、過去の赤字は考えない、こういうことでございますと、新しい投資といいますか、輸送力増強してサービスをやろうということに対しましては逆になる。国鉄の場合におきましても過去を見ますというと、適時適切な改定が行われなかったために、必要な投資が行われないために、先ほどもお話がありました貨物なんかのことにつきまして後手を踏んでおる、こういうふうなことになっていることは事実だと思うんでございますけれども、そのような赤字と運賃の関係、将来に向かっての運賃改定の場合に過去の赤字というものをどう考えるか、運賃政策として、御意見を承りたいと思います。
  198. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄が独立採算を要求されている限りにおいては、その運賃は十分コストを償えるものでなければならないわけでありまして、しかも、それが適時適切に行われなければならないものと思います。それが適時適切に行われなかったために生じました赤字部分については、御承知のように今度の法改正によって政府が負担をすることに相なっております。ただ、資産として見合う分についてはこれを残されておるのでありますが、これも国有鉄道を預っている側から見れば、自分の採算の上から喜んで引き受けたものは別といたしまして、つくってやるのは国費でつくるがあとは赤字は何とかそっちでやりくりせいというような種類のものも含まれているわけであります。地方のローカル線の問題なんかは代表的なもんだろうと思うんでありますが、そういうものも奥地の開発という政策的目標のために行われるのでありますから、できるだけ多く国費で負担するように努めるべきものだと思います。今回はわずかでございますが、これを突破口といたしましてその拡大に努力をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  199. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまの運賃改定遅延による影響につきましては、まず第一に国鉄が受ける影響ということで、午前中もお話がございました。これが第一点。それから関連企業の影響ということが第二点。それからほかの交通機関の運賃が非常に関係が深いわけでございますから、それらにどのような影響があるかということが第三点だと思います。  すでに数字的なあれも出ておるようでございますけれども、午前中いろいろと議論がございました。しかしながら、現実の姿として国鉄経営上受ける影響というものは大変なものであると思うわけでございますし、そして、その関連企業の受ける影響というのも非常に大きいということでございますが、数字等は出ておりますけれども、これを要約してひとつ御説明、これは国鉄から承りましょうか。
  200. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 今回の運賃改正のおくれによります減収分を経費を抑制いたしましてしのごうというかっこうでございましたために、非常に関連企業に大きな影響を与えておると思っておりますが、その中で工事費を二千億余り抑制をいたしますことによりまして建設関係、あるいは電設、車両、あるいは機械というような関係のところ、それから資材等の納入をいたしております業界にとりましては、物件費を節減いたしますことによってその発注が減るというようなかっこうでの影響が出ております。  大体数字で申し上げますと、資材の関係が、ちょっと、国鉄のシェアがはっきりいたしませんので、一応納入業者全数で五千社、従業員数三十三万人余りというふうに全数ではなっております。そのほか建設関係等を含めまして、いまの三十三万人を入れまして三万一千社、五十四万人余りのところに影響があるというふうに考えております。
  201. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 先般来大阪等でいろいろ支払い問題等につきまして問題があったわけでございますが、その点どうですか。
  202. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 実は先月、九月の末におきまして国鉄が支払うべきお金が約四百億円、この関係で外部に支払うべきお金がございましたんですが、政府当局といろいろ折衝いたしましたけれども、今回の法案のおくれの結果によりまして、実は過去債務のたな上げ分に相当いたします金額千二百億円、これは利払い、元利払い合わせまして千二百億円でございますが、その分がお認めいただけない状態のままでございましたために、とうとう九月末に先ほど申しました金額をお支払いすることができずに十月に繰り延べざるを得なかったというかっこうが出ました。まことに申しわけないとは思っておりますが、資金繰り上どうしようもなかったわけでございます。なお、十月につきましても、いまのような点を含めて全部解消できる見込みはございませんで、なお十月から十一月へさらに繰り延べてまいらざるを得ないのではないかというふうに思っております。
  203. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 国鉄としてどういうような工夫を——やむを得ずということですか。工夫かあってしかるべきじゃないかと思うんですがどうですか、その点は。
  204. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいま結果だけを申し上げましたので、その全体の金額、九月分で約五千億円の支出を見るような形でございました中で三千五百億円が過去の債務、先ほど申しました分も含めまして過去の債務に対する元利払いという金額が中でございまして、そのほかの支払い等に充てますもの、それから人件費等を含めて五千億余りの金額が必要であったわけでございますが、その間で九月の末までは何とかやりくりをいたしまして支払ってまいりましたけれども、先ほど申しました四百億の金額の中で、なお支払遅延防止法にかかります分は何とか手持ちの中で支払いをいたしまして、この金額は約八十億円でございました、それは支払いをいたしまして、残りの三百二十億円だけやむを得ず二、三日結果として延びたと思いますが、十月の初旬にその分については支払った次第でございます。
  205. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 私は、現在の財政悪化の原因、それを突き詰めまして新しく対策を確立していかなければならないということでいろいろ御見解を賜ったわけでございますけれども、従来のあれから見まして、今回は非常に重大な段階にあると思います。それで、計画を実施いたしますためには、政府はもちろんでございますが、国鉄労使一体となりましてこのわが国の国民国鉄を守っていくんだというその決意のもとに遇進をしていただきたいことを申し述べまして、質問を終わります。
  206. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 ただいまの黒住委員の質問に関連して若干補足質問したいと思います。  どうも、大臣もまた総裁も、私は与党でありますが、あるときは野党的質問になりますことをお許し願いたいと思います。  いま出ておりますこの二法案、これは私が言うまでもなく、いままた黒住委員が指摘しましたように、四十四年、四十八年という二回にわたる再建計画というものがいろんな理由によって失敗に帰して、そして昨年の十二月三十一日の閣議了解事項、日本国有鉄道再建対策要綱ということで出発しているわけであります。そしてこの中のいわゆる骨子というのは、財政面では四十八年、四十四年の場合では十年間でやろうとしたのを五十一年、五十二年という二カ年でもってこの赤字財政というものを一挙に回復しようじゃないかということで、過去の累積赤字の一部のたな上げだとか、利子補給の問題もあるが、大きい柱は何といっても五十一年、五十二年度における運賃値上げという問題だろうと思います。  しかし、もうすでに、初めの予定では六月一日実施ということが、十月中でもどうなるか、成立するかどうかわからないというような問題になってすでに五ヵ月おくれているわけであります。そうして、国鉄当局では、二千六百五十億の落ち込みがあったと、こういうふうに推定なさっているわけでありますが、いままでの四十八年の場合でも、四十九年の十月にいわゆる運賃の改正がおくれたために約二千八百億ですか、赤字になったんだというような御説明があります。また、このような社会政治情勢からまいりますと、来年五十二年でもって値上げという法案が出ても、同じように審議がおくれるという可能性もないとは言えないわけでありますが、そうした場合に、この昨年の閣議決定の再建対策要綱というものに変化をもうすでに来しているんではないだろうかと、かように思いますが、その点はいかがですか。
  207. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御指摘のように、もうすでに成立が五カ月以上おくれておりまして、そのための歳入減というものが二千億円を超えておるわけでございますが、現在までは、先ほどから国鉄当局の説明をお聞きのとおり苦心惨たん、やりくり算段して節約でもってきたわけでございます。したがって、本臨時国会においてこの両法案の成立を見まするならば二年間収支均衡を図るという当初の計画を変更する必要はないと、こう考えておる次第でございます。しかし、来年大幅な値上げということ、続けてもう一遍大幅な値上げということになりますと、今年これから法律が通って行う値上げの効果、その影響等も見なければなりませんし、何度も申し上げておりますように、独占企業ではございませんから、上げたら上げた分だけ収入になるという性質のものでもなく、むしろ逆に減収になる危険もございます。それらの点を勘案をしながら来年度の予算案に対処しなければならぬ問題だと。それから御指摘の政治情勢も無論考えて対処しなければならぬ問題、こう思っておりますが、当初の目標、これをいま変えなければならぬとは考えておりません。
  208. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大変大臣の御答弁は、官僚ではないので私たちにも非常にわかりやすい答弁でありがたいと思うんですが、いま国鉄では二千六百五十億もうすでに十月、十一月までで出るという話、これはもうすでに前から、一カ月運賃の改正がおくれれば五百三十億ほどおくれる、こういうふうなことはたびたび聞いているわけでございます。もうすでに六月、七月、八月、九月と過ぎているわけですが、この実績というものはもうすでにつかまれていると思いますが、どうなっておりますか、国鉄当局にお聞きしたい。
  209. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 今度の値上げによりまして、御存じのように十カ月で五千四百十億の収入増加を予定したわけでございますけれども、つまりそれは月額にしまして約五百三十億になるわけでございますが、それがいまおくれておりますので、その分による落ち込みは二千六百億になるということは言えるわけでございますけれども、そのほかに若干予定いたしましたほどの旅客の伸びが期待できないとか、先般の大きな災害によりまして列車、電車が運行できなくなりまして収入が減りましたということがございまして、予定に比べて、運賃収入のおくれによる二千六百億をどうも少し上回るような減収が出そうな心配をいたしておるわけでございます。  この減収につきましては、少なくとも損益の面は別といたしまして、資金の面につきましては工事費を削減するとか、あるいは物件費削減するということでどうにか泳いでまいったわけでございますけれども、率直に申しましてもう完全に限界に達しておるという現状でございます。来年度以降の問題につきましては、一番私ども頭を悩ましておりますのは、今回の値上げによりました後どのぐらいの実収が確保できるか。五〇%を超える運賃の値上げに対応しまして、実収では三七%の見込みを立てておりますけれども、それがどういう結果になりますかは、いろいろ努力はいたしますが、何しろお客さんの選好の問題があるわけでございますので、もうちょっとやってみませんとよくわからないということでございまして、御指摘のように、今後の財政再建の立て方については、私どもとしては率直のところ非常に苦慮をいたしておる現状でございます。  基本的には昨年の十二月の方針に従ってやってまいるということで私どもも覚悟を決めておりますけれども、何しろ、先ほど来繰り返し運輸大臣から御答弁賜っておりますように、最近ではもう完全な競争企業でございますから、旅客につきましても、あるいは貨物につきましても、お客さんが国鉄離れを起こすということは十分考えられることであり、それについても私どもも覚悟をいたしておるわけでございまして、率直のところ、来年度にまたがる問題につきましては、まだ今日の段階では十分なお答えができるような状態にないわけでございます。
  210. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 総裁ね、私お聞きしたかったのは、いわゆるこの値上げができなければ十ヵ月でもって五千三百億というのは、初めの予定というか、予想数字だろうと思うんですよ。ですから、それを単純に十で割って一カ月のおくれが五百三十億というようなことじゃなくてですね、実際的にもう六月、七月、八月、九月というふうに経過しているわけですから、その間の売り上げというのは当然国鉄当局としてつかまれているだろうと、これは普通の民間会社で赤字だったら、もう毎日、毎日どうなっているかということを注目しているわけですが、そのいわゆる実態はどうなんですかということをお聞きしたわけなんです。
  211. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 月額平均五百三十億よりも大きな落ち込みになっております。
  212. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 そういうことと、それから、すでにそのようにおくれているということなんですが、ことしのそれだけの落ち込んだ約二千六百億以上のものと思いますが、それのいわゆるしわ寄せというのを、工事に多く使おうというお考えのようですが、このことは、ことしの五十一年度予算のときに、まあ落ち込んだ景気の浮揚策として一応工事予算というふうに組んだんじゃないだろうかと思うわけなんです。  そこで、いまのお話だと、法案の成立がおくれることによった落ち込みというのは工事費でもって削減するんだというところでもってつじつまを合わすということなんですが、そうすると、国鉄に関連している下請企業、これが非常な莫大なる数になるということなんですが、それに対する影響はどうなんですか。困っている業者というものはあらわれていませんか。
  213. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いや、まあそれは非常に大きな影響でございまして、春以来しばしば関係の方から何とかならないかというお話を承っておるわけでございますけれども、そこはいまの国鉄の制度の非常に悲しいところでございまして、予算、それから資金、事業計画、すべて国会の方でお決めになることになっておりまして、それがそのとおりにならなければ、どっかでその予算で決められましたもののうちから抑制によってひねり出さなければならないわけでございますが、何はともあれ列車、電車は何とか予定どおり動かすということをまず第一に考えるといたしますと、二千億を超えるような大きな金額をどこで抑制するかといいましてもほかに道はないわけでございますので、やむを得ず工事費を抑えてきたということでございます。  で、工事費の状況は、上期におきまして昨年度発注いたしましたものと比べますと、大体六割前後に落ち込んでおりますので、土木建築業界におきましても、あるいはまた車両メーカーにつきましても、信号メーカーにつきましても、大変大きなショックでございまして、なかんずく車両、信号のように業界として国鉄依存率の高い業界の場合には、きわめて甚大な影響になっておるわけでありまして、その辺ばしばしば業界の方から現状の御説明を賜っておりますけれども、お話はありましても何とも対処のしょうがないということで、一日も早く法案の成立をお願いしますからということで、いわばがまんをしていただいて、もうがまんの限界まできているというのが今日の現状であろうかと思います。
  214. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 まあ大体いまのことで私いいですが。  次に、先ほど黒住委員の質問にもありましたが、今回の運賃値上げというのは名目でもって五〇%上げる、しかし、実収では三七%というふうにお組みになっているわけでありますが、これは四十九年の値上げの際には名目が二三%、それで実収が一五%ということで、目減りが八%というふうな数字が出ているわけです。そういうところからこの数字が出たのかと思いますが、先ほど田口さんの方から、ほかの実は交通機関に比べて国鉄が安いんだというふうなお話があったわけですが、もちろんこのまま比較というのは一概にはできないむずかしい問題があると思うんです。私がほかでやはり調べたんだと、国鉄の方が今度値上げでもって高くなるという地域もあるわけなんです。  例を挙げますと、私鉄と国鉄が競合しているところ、すなわち小田原まで、これはもちろん片一方は新宿から行く、片一方は東京駅から行くということで発車駅が違いますが、小田急の場合は四百円だと、国鉄の場合は六百八十円と、こういうふうな差がある。それからまた、新宿から八王子というところには京王電車が走っておりますが、これで行くと百九十円で行ける。国鉄で行くと三百十円。それからまた、東京から新宿というわずかな区間ですが、国鉄で行くと百十円かかるんですが、営団の地下鉄で行くと八十円と。また大阪方面に行きまして、大阪から三ノ宮という区間がございますが、国鉄が三百七十円で、阪急と阪神が百八十円というふうに、私鉄利用の方が安いというのがあるわけです。  また、航空運賃の、先ほど例をおっしゃったが東京から博多というのは、なるほど新幹線利用して普通車で行けば一万四千円ということですが、グリーン車を利用いたしますと二万三千円かかってくるわけです。それに対して飛行機で参りますと、ジェット料金を入れて二万百円ということで三千円ほど安くなる。飛行機を利用する人はグリーン車でしょうし、またグリーン車を利用する人は飛行機を利用する人じゃなかったろうかと思うんですがこれだけ差が出てくる。また東京−大阪に関しても、グリーン車では一万四千三百円、飛行機で行けば一万四百円ということで三千九百円飛行機の方が安くなると、こういうような例があるわけです。  また貨物輸送については、これ、もちろん先ほど御答弁がありましたように、国鉄の場合は駅から駅ということですが、私が言います例は、新潟県の新発田というところから品川までお米を十五トン車で送った場合には、末端のトラック料金を入れて七万六千円だと、こういうことなんですが、トラックで輸送すると四万五千五百円しかかからない。また、いまミカンの実はシーズンになりましたが、愛媛県の八幡浜から汐留まで貨物で送ると十四万円、トラックで送ると九万五千五百円というふうに安いという数字が出ているわけです。そうしてまた、国鉄の場合にはいろいろ労使対等になられているんでしょうが、ストライキをやるということで非常に利用者から見たら不安な面もあるということで、貨物輸送なんかの場合にはトラックに頼るということが非常に多くなるわけです。  そういうわけですから、先ほどの名目で五〇%上げられたやつが実収で三七になるというのはどうも私は甘いんじゃないだろうか。また、先ほど大臣が盛んにおっしゃっているように、いままでとは国鉄が違って乗っけてやるんだとか、運んでやるんだということじゃないんだとおっしゃった、私もそうだと思うんですが、後から指摘しますが、どうもいままでの国鉄は乗っけてやるんだ、運んでやるんだという例が、今回の車両も制限して冬にはラッシュが来るとか、また新幹線のカバーをやめるとか、寝台車のハンガーとか、スリッパをやめるとかというのでサービス低下ということになると、ますます国鉄離れという現象が国民に来すんじゃないだろうか、かように思いますので、実収三七%というのはいいんでしょうかね、これで。この点をお聞きしたいんです。
  215. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさに非常に問題の点でございます。五〇%強の名目の改定をいたしまして三七%の実収率というものを算定いたしますにつきましては、先ほど田口常務から御説明を申し上げましたように、昭和四十九年の経験を基礎にしているわけでございますが、当時とは経済状態が変わっておりますし、それから値上げ幅も違いますから、その当時の経験率が今回の場合にそのままうまく当てはまるかどうかということについては、率直に申し上げて一〇〇%の自信があるわけではないわけでございます。  ただ、ただいま御指摘ありました小田原−東京間とか、あるいは新宿−八王子間とかについての私鉄の競争関係、あるいは関西の私鉄の非常に発達しております地域での旅客運賃の競争関係につきましては、まさに御指摘のように、いわばこちらの方が高いという現象が起きるというわけでございますが、過去の経験から見ましても、そういう地域はやはり平均的な地域よりは影響を受ける度合いが大きいわけでございますけれども、さりとて、必ずしもなだれ現象が起きるということでもないということでございまして、また三七%というのは、全体の全国の落ち込みを見てのことでございますので、余り極端な競争関係にない地域もあるわけでございますから、そこらを総合していわば客観的な見方をしておるわけでございます。しかし、いずれにしましても旅客につきましても三七%確保できるかどうかは率直のところ絶対に自信がございますというわけにはいかない状態にありまして、これは相当営業活動等を活発にしまして努力をいたしました上でそこまで何とかいきたいということでございます。  貨物につきましては、もっと旅客の場合よりも敏感にそろばんで、お客さんがトラックで運んだり貨物で運んだりということをされるわけでありますから、旅客以上に心配をいたしておるわけでございますが、しかし、その面につきましては、最近もかなりきめ細かくそれぞれの荷主さんの意向なり、物資別の状態なりを調べておるわけでございまして、いろいろ両側の、つまり受けのところと、それから送りのところの両側の自動車輸送に伴うところの通運料金等も考慮いたしまして、と申しますのは、通運料金の方は動かないわけでございますから、したがって、戸口から戸口で見ますと、五〇%以上上がるわけではないわけでございますので、どうにかこうにかその程度の落ち込みを見れば、残りの相当量のものは従来どおり鉄道を便っていただけるのではないかということを最近の情報交換では得ておるわけでございますけれども、それにいたしましても、すでに現在の運賃体系あるいは今度お願いいたしておりますものが実現しました後の運賃体系を考えてみますと、旅客、貨物両方通じましてかなり厳しい状態にあるということは、競争の面から申しまして運賃さえ上げればそれで経営改善されるということではなくて、運賃の面においてかなり競争関係がシビアな状態に入っていくというふうに覚悟をいたしておるわけでございます。
  216. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 国鉄の方が私が調べたように安い地域がありますと、必ず次には航空運賃だとか、私鉄運賃だとかいうものがやはり便乗値上げというか、いわゆる原価から来ているものではなく、値上げ申請をしていくだろうということが予想されるわけです。  福田副総理は先日の本会議でもって物価に対する影響は〇・五%しかないのだ、そういうものを含んで実は消費者物価の値上げを八%以内に抑えるのが自分たちの使命だという非常に心強いことをおっしゃったわけでありますが、いま申したように、他交通機関の値上げに対しては運輸省当局はどういうふうにお考えでございますか。  また、実際的にタクシーが料金の値上げというものを十一月から申請しているわけでありますが、これに対する取り扱いに関する方針がありましたらお聞かせ願いたいんです。
  217. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私鉄につきましては昨年の十二月に値上げをいたさせております。最小限度二カ年間は値上げを認めないという方針を貫いておるわけでございますから、直ちに影響するととはないと思います。それから私鉄を含めまして航空機も厳格な原価計算をいたした上で認可をするたてまえでございますから、いわゆる便乗値上げのような種類のものは起こらないと考えております。  それからタクシーの値上げにつきましても東京地方、六大都市を含む七十二ブロックから出たり、またこれから出るだろうということであります。ただし、現在のタクシーに対する需要関係その他から考えまして、これもやはり値上げをしたからといってそれだけ経営が楽になるかどうか、まだ問題点がたくさんあるように思いますし、認可の基準は依然同じように原価主義でございますから、便乗値上げは許さない方針でございます。
  218. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大変明快に、また心強い答弁をいただきまして結構でございますが、先ほど私ちょっと指摘いたしました、先ほど大臣からいままでの国鉄のように乗っけてやる、運んでやるという姿勢じゃいけないのだというお話がございましたが、ちょっと関連してお聞きしたいのですが、ことしの初めに国鉄では「運賃改定はなぜ必要か。」というこうしたパンフレットまた「このままでは……。国鉄の窮状にご理解を」という二つの小冊子をおつくりになり、また新聞広告だとか、それから中づりとか、いろいろなPR作戦というものが出されるわけでありますが、私はこの二つの文面を読んでみて、やはり乗っけてやるんだという姿勢が強いなという気が実は大臣したんですよ。  この中ぱっと開くと、「このままでは、新しい工事もすすみません。」と、何か脅迫じみた言動を書いてある。そして次のページには「このままでは、みなさまのお役に立つのがむずかしくなります。」と、こういうことなんですね。この辺に私はちょっと国鉄当局の姿勢も問題あると思うんですが、お聞きしたいのは、こうしたPRの資料というものはどれぐらいおつくりになったんですか、何部くらい。そしてまた、それはどういう人を相手にして配布なさったのかということと、それに費やした金額ですね。またもう一つは、これに対する反響、効果というものがどういうふうに評価なさっているかを率直にお聞きしたいんです。
  219. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 部数はちょっといま正確に覚えておりませんが……。
  220. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大体でいいです。
  221. 高木文雄

    説明員高木文雄君) それぞれ五万部と十万部の間ぐらいであったと思います。最初考えておりましたよりは、自分の方へも送れという話でありまして、後から刷り増しをしましてそのぐらい、五万と十万の間ぐらいであったと思います。それからお届けいたしましたのは、まあ本社では何といいますか、オピニオンリーダーといいますか、各界で御活躍いただいている方々のリストを適宜つくりましてお届けいたしましたほか、むしろ地方の私どもの出先であります管理局に一括渡しまして、管理局の判断でそれぞれ各地域における、まあいわばオピニオンリーダーとも言われるべき方々にお送りをしたということでございます。それから、金額は、これまた余り正確に覚えておりませんが、全部で五千万ぐらいかかったんではないかというふうに思います。
  222. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 これ、そうすると、主にまず外部の人に……
  223. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと失礼いたしました。一千万ぐらいの金額だそうでございます。特にお金を使わないことに注意をさせまして、郵送等はなるべく避けまして、いろんな機会に手渡すというようなことを主体にいたしまして、印刷代はかかりましたけれども、郵送代はなるべくかけないようにして配布をいたしました。
  224. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 これ実際的に、御指摘のように外部の者というか、国鉄の関連企業、下請けの方に多く配られたようで、これを持ってわれわれ議員のところに、国鉄を上げてくれというふうな陳情にお見えになったわけですが、それはいいとして、私はこういうPRというか、いまの国鉄の実情というのは、やはり内部に徹底していただきたいという気がするわけであります。先ほどから大臣も再三労使一体というお言葉をお使いになる。労使一体でもって建設しなきゃいかぬことは言うまでもないし、また、こうした国鉄というものを再建するには、国家と国鉄国民というものが三者一体とならなけりゃ私は成果がないと思うんです。その中において一番重要なのは当事者である国鉄の労使の一体というか、本当に真剣にこれを何とか再建しなければいけないという意欲じゃないだろうかと思うんです。先ほど石田大臣もその点を非常に強くおっしゃり、また十六日にそうしたハッパをかけられたということでございますが、私はどうも、国鉄の幹部の方はそうした認識をお持ちでも、末端職員と言ったら恐縮ですが、本当に一人一人まで、そこまでやはり危機感というものをお持ちなんだろうかという実は気持ちがするわけです。  私のように民間会社に長くおりましたら、会社の生産が上がらないと言えば、まあ賃上げもことしはひとつ遠慮しようとか言って、やはり一年間でも二年間、でも一生懸命働くと。そのかわりもうかったらボーナスは倍もらおうと、こういうようになるわけでありますが、やはりもちろん労働者、勤労者として、働いている以上月給がなけりゃ生活ができないこともわかっておりますが、いままで一回も、苦しいんだからことしのベースアップはたな上げにしようなんという声が全然内部から盛り上がってこないわけですがね。こういう点やはり当局側として組合側に対するPRというか、実情説明というのに欠けているんじゃないだろうか。  これはもちろん国鉄当局が口では独立採算性を強いられているが、実際的には国鉄だけでは何もできないという、こういうところにももちろん起因していると思うんです。そういう点、もともと労使一体の話し合いの場を団体交渉で持とうということはわかりますが、片一方に支払い能力がない、また支払うべき能力を持っていないだろうというのが、幾らうまいことを言ったって組合側は信用しないだろうと思うんです。私はここにやはり労使の中における不信感というものが醸し出されるだろうと、かように思うんですが、これに対して総裁の方では国鉄職員に対する現状の説明、また組合員の現状認識というのをどういうふうに把握なさっていますか。
  225. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘の点はきわめて重要な問題であろうかと思います。いままで余り労使の間で経営の問題についていろいろ話をするというよな機会はそう多くはなかったようでございまして、具体的な、もっとぎりぎりの労使間の問題が主として取り上げられておったわけでございまして、全体として国鉄経営全体を労使で話し合うという機会は余り多くなかったように思われます。もちろん中央の幹部との間ではいろいろ話す機会がございましたでしょうけれども、地方でもそういうことが行われるべきであったと思いますが、そういう点では欠けておったというふうに私は判断をいたしております。  そこで、本年六月に中央でいろいろ話をいたしまして、その後いわゆる交渉事項とかいうような、法律上の、労働法上の話し合いということではなくて、経営について非公式な場で話し合う場所をつくろうではないかという呼びかけをいたしまして、大変遅まきではございますが、この六月からそういう場をつくっておりまして、幸いにいたしまして徐々にそのような話し合いの機会が地方におきましても始まっておるところでございます。しかし、長い間の体質がございますので、そういった空気というものが各現場にまで及んでいるかということになりますと、それはまだまだという現状でございます。で、やはり御指摘のように、この民間の企業体の場合とは違いまして、経営に関する今日的テーマということについて労使の間で話すとか、あるいは情報を提供するとかいうことはきわめて不十分であったのではないかというふうに思っておるわけでございます。  ただ半面、国鉄創設以来今日まで給与がどういうふうに決まってきたかといいますと、まあ残念なことではございますが、自主的に労使の間でうまく決まったという経験を持たないわけでございまして、ほとんど調停、あるいは仲裁ということによって決まってきたと、しかも、その中身というものにつきましては、これは国鉄経営がいいからたとえばボーナスを少しよけい払いましょうというようなことがあったかと申しますと、そういう経験を全く持たないわけでございまして、まあ大勢といたしましては民間の給与水準に準じて上がってきたということで、国鉄職員の一番基本であります給与問題につきましても、国鉄経営と結びついた形で給与が決まるというような形の経験を一度も持ちませんものですから、そういうこともあって、経営問題を労使の間で話し合うというような雰囲気が生まれてこなかったのではないかというふうに思っております。  しかし給与問題につきましては、現行体制のもとにおきましては、残念ながらいままでのような形を続けざるを得ないと思いますが、しかしそれにつけましても、経営が非常に急迫状態になってきたということは、自然自然の間に伝わりつつあるところでございまして、今後ともいまおっしゃったようなことを一つの重要なてこにして労使関係の調整に努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、この印刷物そのものは職員には直接は配布はしてございませんけれども、別に職員に配布されるもう少し経費のかかりません形式での印刷物が定例的に職員に配られておりますので、そういうものを通じてこの経営の現状は伝わるような方向は努力をいたしておりまして、その種の何といいますか、社内報的なものにもこれと同種の内容のものを掲載をすることを通じて浸透を図っているということでございます。
  226. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 先ほど目黒委員からも指摘がありましたが、きょうの新聞を読むと、列車のダイヤの改正というか、列車削減すると、それからまた一方では寝台車、新幹線のうちのサービスを一部停止するということで、先ほど六十億ほど浮くというお話でございましたが、きょうの新聞には百十億ということが出ておりますが、先ほどおっしゃった六十億というのは、列車削減によるいわゆる収入のあれが六十億で、ほかのサービスの方があと五十億ほどあるわけなんですか。
  227. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは列車削減によるというのじゃなしに、逆に修繕費を今後一割程度抑制するということにいたしますと、その修繕のために要します備品の調達代金が大体いまおっしゃった六十億程度節約することができるということでございまして、幾ら節約の必要がありましても、ひどい影響列車の方にかけることはできませんので、またしてはなりませんので、そのほぼ一割以内ということで見当をつけていたしておるわけでございますが、そういうふうに考えますと六十億ぐらいになるかということでございます。それ以外のもろもろのサービスカットということを含めまして、百億を超える額を何とか捻出しなくてはならぬ。捻出しなくてはならぬというよりも、現実にもう金がないということでございまして、それをほかのサービス機関を合わせましたものが百億を超えるということでございます。
  228. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 よっぽどせっぱ詰まったあげくの果てにこういうふうな処置をとられたのだろうと思って大変御苦労は多とするわけでありますが、どうも私たち一般的から見ると、やはりこうして列車削減した、そしてまた、寝台車の列車ボーイもなくしたとか、それから寝台車のハンガーだとかそうした細かいものもなくする、石けんもなくするということは需要者、いわゆる一般国民に対するしわ寄せばっかりのような気がするわけです。もちろん国鉄当局としても、国鉄の中でもってできることは最大限になさったんだろうと思いますが、どういうことを国鉄としてはこの分に見合う分だけなさったかを教えていただきたいんです。
  229. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 六月一日から実施することができませんでした結果、きわめて単純計算で申しまして、一ヵ月に五百三十億ずつ捻出をしなければならないということになりまして、当初は損益面へは波及いたしませんけれども、とりあえず資金面への寄与ということを考えまして、工事費を毎月節していったわけでございますが、工事費だけにしわ寄せするわけにもまいりませんので、次第に物件費の方も抑制をいたしていったわけでございまして、最終には駅舎の電灯を少し減らしますとか、あるいは水の節約をいたしますとか、それからもちろんいろいろ、もろもろの庶務経費と申しますか、紙とかそういう事務用品の調達を抑えますとか、それからさらには、シートにかかっておりますリネンの洗たくを減らしますとか、車両内の清掃を減らしますとかいうことをやってきたわけでございますが、それ以外には……、それでもう限度までまいりまして、とうとう列車削減にまで影響をするような修繕費の節約ということに及んでいったわけでございます。  その間において、人件費を節約したらどうだと、たとえばボーナスを一部抑制したらどうだというようなお話もございましたけれども、これは現に仕事をいたしておりまして、そのいわば対価を払わぬということは経営者の立場として一番最後といいますか、むしろやってはならないことだというふうに考えておるわけでございまして、しばしば新聞の投書欄等では、利用者に対してサービスを落として、中の職員については従来どおり人件費を払うのはけしからぬという投書も新聞に掲載されたりしておりますけれども、これはやっぱり仕事をしてもらっておるわけでございますから、仕事が減らないで給料を払わぬというわけにもまいらぬということで、私はいままで人件費については一切手をつけないという前提で進めてまいりました。その結果、まことに残念でございますが、サービスを落とすということになったわけでございます。  なお、ただいまお触れになりました列車ボーイの問題は、これは運賃改定のおくれとは全く無関係の問題でございまして、新しい去年から注文しておりました車両が入ってまいりまして、そうしていままでの走行中にベッドメーキングをしなければならない仕事がなくなりました。従来あります三段式の寝台は、上げおろしをしなくても発地点から着地点までの間で三段のままでいたしまして、後は必要があれば発駅、着駅で外部に発注して調整をするということでできるような編成のものにだけこの三段式のベッドを使うことにいたしました。その結果、そういうベッドメーキングの仕事がなくなりましたのでやめることにしたわけでございまして、今度の値上げといいますか、値上げのおくれといいますか、そういうものとは関係ないものでございます。
  230. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 いま総裁列車ボーイの話なさったのでちょっとお聞きしたいのですが、いままでのなるほど三段式が二段式になったということは私はわかっておりますが、そうすると一つの疑問は、三段式の方が輸送人数が多かったんじゃないだろうかと、二段式にしたんだから数が減ってきたんだろうということが一つあります。  それから実際問題として、下段に乗っている人はいいんですが、上段の人は朝起きても一体行き場がないんだというのが実態ですね。上でもってごろごろしていなきゃいかぬということです。そして、私のように都会の者は朝遅くまで寝ているからいいんですが、地方から来る人は早く目が覚めるんですね。そうすると、私の郷里の方の山口県から来る場合には「あさかぜ」とか、一番遅い「富士」なんというのは——「富士」か十時十分に東京駅に着くわけです。そうすると、朝六時ごろに目が覚めて十時十分まで中でもって、上段でもってごろごろしてなければいかぬと、だから、そういう人は下段の方に行けばいいじゃないかとおっしゃるでしょうが、下段に知り人がいればいいですが、赤の他人が座っていると、特に御婦人が座っているところに座れるかという問題があるだろうと、こう思うのですよ。私は、やはりこういう問題、非常に細かい話ですが、どうもやはり国民のための国鉄というが、利用者の便宜というものをどこまで考えているだろうかと、非常に疑問に思うので指摘しておきます。  私はそこで、先ほどの実は問題ですが、いま御答弁にありましたように、組合と経営者の方の不信感を解消して、一緒になって国鉄再建を果たされるということは大変いいとは思うのですが、もう一つ私が指摘したかったのは、国民がやはり国鉄に対する不信感をいま持っているということ、この一つの例が、朝目黒委員が指摘した三島駅の例の問題につながるわけです。また、先日も遺失物の中における本をお売りになった。その中に図書館のものというはっきりしているものを売ったとかというようなことも新聞に出ている。こういうふうなずさんなことをなさるんで非常に不信感を国鉄に対して国民が持っている。これはやはりいま私たち政治家も、政治不信ということが実は言われておりますが、同じように国鉄に対する不信感というものも一日も早く払拭していかなければ私は再建できない。先ほど申したように、再建には何といっても国というものと国鉄というものと国民の協力、これは三つが一緒にならなきゃできないわけですから、こういう点を指摘しておきます。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  そこで最後になりますが、運輸大臣にお聞きしたいんですが、やはり国鉄で非常に気の毒だと思うことは独立採算制だと言われておりますが、いわゆる権限というものが全然ないというか、いまある日本国有鉄道法というものでいろんなしばられている問題があるわけです。私鉄の場合には、鉄道事業のほかにこれに関連した事業との兼営によって経営の安定、収益の向上を図ってそれが受益者の便宜にも、また運賃の安定にもつながっているわけですが、先ほどから御指摘がありましたように、国鉄はこうした運輸事業のほかには何にもできないということにある。そして片一方じゃ、独立採算制を強いそしてまた経営者はどうしているんだと、しっかりしろと、かように言われてもなかなか実は気の毒な面があると思うわけですが、そうした中において、こうした事業収益というものを積極的に増加させるために現行の法律というものを改正して、国鉄にある程度の権限を任せるというようなお考え方はございますか、ございませんか、その点をお聞きしたいんです。
  231. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いままでもたびたびお答えを申し上げてきたことでございますが、さっき御指摘があったこういうパンフレットとか、宣伝とかというものの中にもあらわれておりますように、私は一言で言えば上から下まで親方日の丸だと思っております。十六日に幹部に手交いたしました注意書きにも親方日の丸という文字はそのまま使っております。  それから労使の関係におきましても、やはり経営の実態を勤労者の人たちにも示して協力を願うという姿勢が必要だと思うんでありますが、それより前に、何度も申しますように、独立採算制を玉露いて強制——強制という言葉はよくないかもしれませんが、要請しながら、他面において利益を上げておって負担ができた時代の公共負担を負担させたり、それから日本国有鉄道法によっていま御指摘のような各種の制限を設けたり、それから鉄道敷設法その他によってこれは明白に、たとえただでつくってくれたものであっても、後は経営していけば明白に赤字が出るものの経営をこれもまた強制したり、こういう状態で独立採算を要求すること、どだいにそれは無理があると私も思います。  したがって、十六日に手交いたしました書類の中には、この鉄道敷設法並びに日本国有鉄道法二法についての再検討、これもやはり指示してございますし、ぜひ独立採算をとれというならとれるようにしてもらわなければならない。しかし、原点は先ほど国家の援助その他御指摘がございましたが、それはもちろん必要でございますが、そっちの方へ先にすぐ頭がいってしまって、自分たちが企業の経営に当たるものだと、これは民間企業の経営担当者であれば、これはもう夜も眠れないぐらい苦慮するものに違いない。そういう気持ちにみんながなってもらわなければ、それが最大の前提で、その次にくるのが援助の要請、あるいは制度の改正。心構えの前提はやっぱりそこにあるように私は思います。
  232. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大変心強い話ですが、特に総裁は先日の週刊誌で、貨物の汐留駅の跡地に場外馬券売り場をつくったらどうかなんという非常にユニークなことを書かれておりましたが、そうしたやはり汐留の跡みたいに国鉄の遊休施設、財産というものがずいぶん全国であるだろうと思うんです。どれぐらいこれがおありかということを、後で結構ですから資料で私に示していただきたい。そしてまた、そういうものを非常に今後公共的立場から御利用願って再建策の一端にしていただきたい、かように思いますし、またいま大臣もおっしゃったが、赤字ローカル線の問題ですけれども、これは確かにそれが大変ないまの財政圧迫の一因となっているのはわかるし、また過疎路線というのは、政治路線と言って非常に問題にされておりますが、一方では、そうした過疎で採算が悪いものは、国鉄以外がどうして実は輸送ができるだろうか。いわゆる公共性の問題につながるわけであります。  ですから、そういうところで地域住民はどうしても鉄道引っ張ってもらいたいという要望が強い。私鉄にと言ったって、これは採算が合わなければ敷かないわけでありますから、そういうところをやはり国鉄が進出するということによってその赤字国鉄にしょわすといういままでのやり方が問題だったと、かように思います。そういうことでやはりもう一つは、こうした赤字ローカル線は地域地域の特徴に合わせて一律の料金ではなく、地域差というものがあっていいんじゃないだろうか。地方自治体との関係においてあるところは高く、あるところは安くしていいんじゃないだろうかと、かように思いますが、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  233. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いわゆるその赤字ローカル線の問題は、これは、私はそのこと自体に決して反対しているものでも何でもない。これは一種の奥地を開発し、ちょうど離島振興のような使命を帯びたものだと思うんです。したがって、そういう政策的使命を持って国鉄経営を委託される以上は、その国鉄輸送原価を超える部分については、他の経費をもって負担をしてもらうのがたてまえだと思います。いまお話しの料金の差をつけてみたらどうかというのも、一つの案として運輸政策審議会にいまお諮りをしたいと思っておりますけれども、僻地に行きますと、それだけ所得も都市部に比べれば低いわけで、低いところを高くするというのも、これもどうもすっきりしない面がある。しかし、ただ漫然とお諮りをするということではものが進みませんから、幾つかの考え方を例示をいたしまして、その幾つかの考え方について皆の御意見を伺ってみたいと、こう考えております。  それから、国鉄の資産の問題でございますが、私は非常に残念に思いますことは、そのやりくり算段の中で資産を売ろうかという話は一度も出たことがないという点を私自身、就任して報告を受けて非常に奇異に感じ、残念にも思います。もっとも資産を売る場合すぐ右から左へ売れるものではありませんから、わからないわけではございませんけれども、汐留の駅の話そのほか、私自身のところへ耳に入れてくれるものだけだって二、三十ございます。あれをこうしたらいいじゃないかというお話、運賃を上げる際に運賃を上げておいてあそこに、あんな高い土地にあんなものをいつまでも持っているのはおかしいじゃないかという考えを持っている人がたくさんございますので、先ほどもお答えいたしましたように、運輸省といたしまして、そういう多くの人々が日常ごらんになったり、気がついたりしたことを、あるいはお考えになったことを遠慮なくひとつ言ってもらう、投書してもらう、言ってきてもらう、そういうことをこれは運輸省としてしたい、こう考えていま立案をさせておるところでございます。
  234. 佐藤信二

    ○佐藤信二君 大変懇切丁寧な御答弁、大変ありがとうございました。  石田大臣はいままでの大臣とは違って、民間人で非常に私などにも共鳴の受ける御答弁をいただきましてありがたいと思いますので、非常にその精神のもとに運輸行政というものに御活躍願いたいと思いまして、私の質問をこれで終わります。
  235. 青木薪次

    ○青木薪次君 けさほどの目黒委員の質問に答えまして、いろいろとけさの新聞報道による国鉄当局の十月末までの運賃が上がらなかったということに対する二千六百五十億泊の収入欠陥に対する節減の対策が出ておったわけでありますが、これは工事費が二千九十億、損益の関係で五百六十億を節減するということに理解してよろしゅうございますか。
  236. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおりでございます。
  237. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、影響運転休止とか、あるいはまた牽引車両減を初めとして、さらに   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 安全とかサービスの面において重大な影響があると考えますけれども、このように理解してよろしゅうございますか。
  238. 高木文雄

    説明員高木文雄君) サービス面については、たとえば電灯を暗くするとか、半減するとか、冷暖房の経費を節約するとかという面、あるいはシートにかけておりますリネンの洗たくの頻度を落とすとか、車両の車内清掃を間引きするとかというようなことを通じまして、申しわけございませんが、現在すでにもう六月段階から実行に入っておるわけでございまして、そのようなことがありましても車両の運行には絶対に影響しないようにと言って歯を食いしばってがんばってきたわけでありますが、ちょっと節約の可能性がございませんので、九月の段階で決心をいたしまして、作業修繕費の約一割弱のものを節約するということを考えておる次第でございまして、しかし、そういうことはいままでやったことがございませんでしたので、なかなかそれを現実的に計画を組むことができませんでおりました。非常に時期が悪くなって恐縮でございますが、たまたまようやく案ができまして、けさの新聞に出るようなことを十一月から実施をいたしたい。万やむを得ざるものとして踏み切った次第でございます。  なお、安全に関する事項はこれは絶対に触れてはならぬことでございますので、この辺につきましてはいかなる意味におきましても経費を節するとか、安全に関する工事をやめるとかということはいたさない覚悟を固めておりますから、その点だけはひとつ御了解をいただきたいと思うんです。
  239. 青木薪次

    ○青木薪次君 一説によれば、運賃法が通っても二千六百五十億円を取り返すんだというようなふうにこの間私は新聞で見ました。これは節約運動というものよりも、私は無責任な態度じゃないかというように考えるわけであります。通勤列車の間引きによる混雑とか、年末年始輸送の混乱等は、まさにパニック的状態が私は現出するというように予見されます。したがって、輸送機関として列車の正常運行を確保する責任がある、経費節減に藉口したこういうようなことについては、私は絶対にいけないことだというように考えておりますが、運輸大臣は、指導監督という立場において、これを差しとめる意思はあるかないか、お聞きいたしたいと思います。
  240. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 何とか他の工面によってこういう事態を避けられないかということは、再三再四国鉄当局に要請をいたしました。その削減の度合いについても報告を受けたわけでございます。現在国会で承認を受けている予算の範囲では、やりくり算段不可能という状態だそうでございます。しかし、これから冬になってみんな厚着になりますし、ましてや年末から年始にかけて、みんな一年に一遍の帰郷をする人もふえるわけでございます。この法律案の成立を見まするならば、新たな発言の立場というものもできるものと考えますので、そういう点について、実際問題として起こらないように努力をいたしたいと思っております。  なお、昨年の度合い、実情、それから準備をしておかなければならない部品の量等については国鉄当局からお聞きをいただきたいと思います。
  241. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 機関車で約百三十両、それから電車、気動車、客車で合計四百三十両、貨車で約三千両の修繕費年度末にかけて削減いたしますと、先ほど申しました車両が休車に至るわけでございます。その影響としまして、当面十一月は二、三の線区で四十本ばかりの列車減車発生するということになりますが、このまま三月までこういう状態が続きますと、全国で約百五十本の運休と、四百五十本程度の列車減車しなければならない。なおそのほかに、貨物列車にも相当な運休発生するということに相なる次第でございます。
  242. 青木薪次

    ○青木薪次君 貨物輸送も十一月とか十二月は私は最盛期だと思います。旅客輸送も十一月はまさに観光シーズン、しかも、十二月になりますと帰省列車その他の関係で、物すごい混乱ぶりが予想されるわけであります。しかも、試験その他の関係年度末はこれはもう申すに及ばないときでありまして、こういう時期を選んで、いま尾関常務のおっしゃったように貨車で三千両とか、電気機関車で何十両とか、電車でもって二百三十両といったような、いわゆる車両影響が出るというようなことについて、私どもとしては当然容認できないところでありまして、これらの点については、先ほど六十億円というような経費を節減するということを聞きましたので、これは短期債務関係でこの消化はでき得るというように考えておるわけでありますが、運輸大臣はいかがですか。
  243. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 金額は事務当局からお聞きをいただきたいと思いますが、若干残っておるそうですが、残っている分を借りるためにはそれに見合うだけの抑制も義務づけられるわけでございます。私は、実は何か売るものがありそうなものじゃないかということをしょっちゅう言っているわけでありますが、不動産というようなものは右から左へなかなか売れないものでございますし、むずかしい点があるわけでございますが、私は始終何か売る物はないかということを実は言い、考えてもらっておるところでございます。
  244. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄財政状態の危機というものは、これは私ども率直に認めておるのです。しかしながら、このような財政状態の危機があるから、したがってこういうような節減運動を行うということについては容認できない、こういう立場でありまして、今後においていろいろ投資の面や、あるいはまたそのほか人件費物件費の面までいろいろ影響させると言っているんでありまするけれども、当然これは補正予算を組まなきゃならぬじゃないか。一般会計の関係等については大蔵省も、この間大平大臣に聞きましたら補正は組まないと言っているそうでありますけれども、個々の事業部門においてはこれは別だというような見解を持っておるようでありますけれども、その点について、大臣はいかがお考えですか。
  245. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは私からお答えする立場ではないと思いますが、運輸省としては与えられた予算の枠内で最大限の節約をして操作をするという以外にはないんでございますが、節減、抑制したものが、それだけ現実は工事量が減るわけでございます。したがって、そのままにされるということは、それだけ事業量やいろいろ関係会社に、関係事業影響を与えていくわけでございます。そういう点は与えないでもらいたい、既定の計画を実施できるようにしてもらいたいというのが私の立場でございまして、補正でおやりになるか何でおやりになるか、またどうするかということは、これは財政当局のお考えになることでございますから私のお答えする範囲ではないと思いますが、運輸大臣としては、何と申しましょうか、値上げをお願いした上にサービスを低下させるというようなことをしないで済むように、それから関連事業の労働者の人たちが困るようなことをしないような措置をとってもらいたいというのが私の願望でございます。
  246. 青木薪次

    ○青木薪次君 このことによって受ける関連業界、いま大臣もちょっと触れられたんでありますけれども、電電公社の場合等においては八、九十万ですか、国鉄の場合は三十万ですか、この辺の見解はどうなんですか。
  247. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の理解、間違っておったら隣から直してもらいたいと思いますが、私の理解しておるのは五十三、四万だと思います。ただそれは、たとえば建設会社なんかの場合、ビルもやり、鉄道もやりしている場合、鉄道の方に従事している人だけを入れた数字のように聞いております。
  248. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、建設関係、工事費の関係で申し上げました数は、従業員数に対しまして国鉄の工事量のシェアで割り振った人数をもって申し上げた次第でございます。その場合に建設関係が七万人、一万五千社でございます。数は多うございますが、先ほどのような関係の割り振りをいたしました結果で七万人というのが影響を受けるであろうとい.うことでございます。それから電気の設備の関係で二千五百社、二万人。車両のメーカー、元請従事者、下請企業千三百四十社、合わせまして人数は六万四千人でございます。それから機械のメーカーの関係では三千六百社ぐらいで六千五百人というものが工事費の関係でございます。  それから、なお資材の納入関係の業者につきましては、国鉄が資材を発注しておりますシェアがわかりかねますので、一応全部の社数と、それに従事しております全従業員を挙げましたところ、五千社で三十三万二千人でございます。なお、そのほかに外注修繕の会社が三千四百社、三万一千人、それから業務の委託をいたしております会社が七十一社で二万人。これを総計いたしますと三万一千社、五十四万三千人ということで関連企業の従業員の方々の数を考えております。
  249. 青木薪次

    ○青木薪次君 それでは、この問題については、絶対に経費節減という立場でもって国民大衆に迷惑をかけないというような立場に立って、ひとつ知恵を働かしていただきたいというようにお願いいたします。  それから、先ほど佐藤委員が国鉄の職場の中で上から下まで親方日の丸だと……
  250. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私が言った。
  251. 青木薪次

    ○青木薪次君 あなたが言ったですか。(笑声)  その中で、中でも月給を、ベースアップを返上するような空気は出ないものかと、こう言われたんでありますけれども、四十二、三歳で十四、五万しか取ってない労働者が何で月給を、その日暮らしで奥さんも働きに出して、子供は保育園へ預けて働いているのに、そういう奇特な状態まではなるような余裕がない。しかも今日掛金はどんどん上がってくる。仲裁裁定は運賃値上げとセットだなんということになって、大変なこの問題の中で、いま四苦八苦の状態にいるという状態でありますので、その点はひとつ総裁も、先ほど佐藤委員の発言についてごもっともな意見のように感心しておられましたけれども、これは間違いなんで、実情をやはり佐藤委員も、これはもう毛並みがよ過ぎるので、その辺まではお気づきにならないと思うんでありますから、その点は、ひとつぜひ認識を佐藤委員も含めて改めていただきたいというようにお願いいたしたいと思います。  いま五十年度末における長期負債が六兆七千七百九十三億円、しかも累積赤字は三兆一千六百十億円、損益が九千百四十七億円といったような問題は、もうこれは先ほどから言われているように、民間産業だったら倒産だということでありますけれども、この問題については、国政の段階でもはや解決する以外に国鉄再建というものはあり得ないじゃないかというように私どもは一致いたしているわけでありますが、この点、大臣はいかがお考えですか。
  252. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 非常に額が巨額に上っております。で、その巨額に上っておるものを運賃だけに重点を置いて処理しようとするのは限界があることは、先ほどから何度も申し上げておるところでございます。したがって、私は一番根底をなすものは、やはり企業をやっているんだ、サービス業をやっているんだという気持ちにまず上から下まで徹してもらうことがまず第一でありまして、黙って定年までいればどこかの駅の上のビルの社長になれるというような気持ちでおられたのではこれはどうにもならない、そこからまず考え直してもらわにゃならぬ。  その次は、やはり国鉄を縛っておりますいろいろな条件を取りほどいてもらわなきゃならぬと思います。先ほど佐藤委員の御発言にもございましたように、あれもしちゃいかぬ、これもしちゃいかぬと言うておいて、そうして国鉄は独立採算というんじゃ困ります。民業圧迫を避けるためというのがその当時の立法の趣旨であったようでありますが、特定の民業だけをもうけさせるのもこれもやっぱり誤りでありますし、そんな必要はないと思います。  それから、元来国鉄が黒字経営を続け、独占的立場にあったときに負担をいたしました公共負担、それから、たとえば地方ローカル線のごとく政策的意義をもって建設されたもの、あるいは農産物とか水産物というようなものの遠距離輸送を農業政策の上から、あるいは水産政策の上から割引をする場合、これはやっぱり行政主務官庁がそれぞれ御自分の政策の責任において負担していただくのが筋だと、こう考えておるわけでございます。これは一貫してお答えをしておるところでございますが、なかなか従来の行きがかり等もございますし、財政当局と別にまだ打ち合わせをしたわけじゃありませんから、にわかに急に実現をするとは思いませんが、基本的にはそうである。  それから過去債務につきましても、赤字についてはすでに御承知のように大部分措置をされておりますが、いわゆる資産に見合う分については、資産に見合うという理由をもって残されておるわけであります。これは資産にもよりけりでございまして、持っておって運営すれば少なくとも採算に合うものは資産と言って差し支えないと思いますが、持っていて運営すれば赤字になるものはこれは資産とは言えないのじゃないかと私は思っておる次第でございます。そういう独立採算性要求されるならば、そういう点をやっぱり広い国の政治の面で解決し、考えてもらわなければならない。しかし、国鉄自身が、まずこの主体がその気になってもらわなければ、さっきも何度も申しましたが、節約とか削除とかという話は出ますけれども、膨大な資産を売るという話は実は一回も聞いたことはないことを私は大変残念に思っております。そういうものの効率的運用を、まず事業経営しているんだという頭から出発して、その上で要求すべき問題であろうと、私はこう考えております。
  253. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄は、いま大臣のおっしゃったようにサービス業に徹するということは、これは必要なことだと思います。従来独占的な輸送機関であったときとはこれは違うんでありますから、一応その点の考え方というものについてよく理解できます。しかし、依然として国民生活なり、わが国の産業経済に与える影響というものは甚大なものでありまして、この点から考えてまいりますと、単なる小手先の技術論とか、あるいはまた運営論ということでは今日国鉄再建はできないというように実は私は言いたいわけであります。しかも、投資の関係については莫大な投資が要るにもかかわらず、これを全部借金でやってきたということでありまして、今日までの借金の累計は、私の手元の資料でも約八兆何千億というような、今日借金で運営をしてきたということだと思うんであります。したがって、地方交通線の先ほど出ておりました赤字問題、貨物輸送等々について抜本的にメスを加えるという点は、ひとつ大臣としてはさらにどういうお考えであるかお聞きいたしたいと思います。
  254. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは漠然とした私の知識でありますから、間違っておったら訂正をしてもらいたいと思いますが、日本航空は年々政府の出資が行われて——私が実は官房長官をやっておりましたときにそういう事件があったのをいま思い出したんでございますが。それから、地方ローカル線その他についても鉄道建設公団が国費で、出資でやるわけです。ただし、それは今度は国鉄として好むと好まざるとにかかわらず移されるわけであります。で、そういう状態で国鉄の独立採算制のみを求められることは私はやっぱり酷であると思います。それから、日本航空がある程度自立できるまで政府の出資が行われてきたわけでございますが、それとの兼ね合いというものも十分考慮に値することだと考えております。
  255. 青木薪次

    ○青木薪次君 この国鉄再建に対する意見書とか、提案とか、あるいはまた報告書とか、対策要綱といったようなものが、よく私は言うんですが、ナツゼミがミンミン鳴いてるような状態に常に国民に入ってきた。しかし、この内容を見ると、いままで言ったことと何にも変わりがない。しかも、国民は何とか早くしてもらいたいという気持ちを持っている。しかし、この作文はそのときの場当たり的な官僚的作文で、全く名文句だけ羅列してあるというようなことでありまして、もうこういう作文については飽き飽きしているということだと思うんでありますけれども、いま私は考えてまいりまして、ちょっと私が拾ってみたものを大臣に申し上げて、あなたの決意を喚起したいと、こう思っていますけれども、たとえばつい最近のものでも、昨年の八月二十一日にあなたの党の自民党が再建案というものを発表した。これは運賃の法定主義の廃止、これの前提に立って、さらに当時は六兆六千億の累積債務だったから、これは全部頭から資産分も含めて天引きする、そして地方交通線の欠損は全額国で補償するという内容でありました。  しかも、国鉄諮問委員会がやはり同じく昨年の十月十七日に、採算割れの路線の輸送国鉄をして行わしめる必要があるならば、国家は国鉄にその損失を補償すべきである——これは大臣のいままでの持論ですね。しかも、国鉄赤字なのだから、一切の公共負担から解放されるべきである。六兆円の借入金の利子負担は莫大なので、今後国鉄が、その過去長年にわたり非合理なる条件下に置かれてきた結果として生じた債務を引き続き負担していくことについては、これは合理性は認められない、したがってこの点についても、全部というわけじゃないけれど、一部の幹線系を残して、これは国家に肩がわりしてもらうべきである。それから、国鉄再建問題懇談会というのがありまして、これは去年の十二月五日、運輸省から提起した問題です。これはここにお見えになる前運輸大臣の木村委員が常に言う心ということを先にこううたってますね。その中で、赤字ローカル線については地方公共団体の負担を義務づけるべきだという意見で、国の一般財源に依存することは実現が困難であるという前提に立ちながら、資本経費、すなわち建設改良費は国の責任といたしまして、営業費は国鉄責任とするという意見、そして、こういうものについても若干の慎重な意見はあったけれども、結果としてはこの意見が大勢を占めた。公共負担や政策遂行による経費については、これは国の負担であるべきだという意見であります。  今回の自本国有鉄道再建対策要綱は、閣議了解として昨年の十二月三十一日に出されておりますけれども、今日の国鉄役割りというものについて、いわゆる「独立採算性を指向した自立経営を行う」。公共企業体なり、公共性なんということは、薬にしたくとも入っていないという前提に立ちまして、国鉄再建を達成してその役割りを果たしていくための基本は、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう、厳しい姿勢のもとに、国民に対して責任ある経営体制を確立することであって、このことは労使関係の安定に通ずることだというようになっているわけですけれども、しかしながら、これらのことをひもといてまいりますと、とうてい負担できないものを押しつけておいて、しかもこの独立採算制でやれ、公共性というものについては、これはこの際言いたくないのでそこからたな上げしておく、こういう姿勢では、政府の方にも相当なこの国鉄に対する問題点があるのではないかというように考えますので、これらの従来までの方針を、私はその一部を申し上げたわけでありますけれども、これらのいままでの対策、要綱、意見書、報告書等について大臣の所感をお聞かせいただきたい、こう思います。
  256. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄の公共性、これは改めて言うまでもなく公共企業体でございますから最大の前提であろうと思います。しかし、公共性があるからといって、経営責任を負わなくてもいいというものではございませんので、やはり独立採算性を指向するということについては、私もやむを得ないものと思います。思いますが、先ほどから何度も申しますとおり、独立採算性を要請されるならされるだけの条件をわれわれに付与してもらいたい。で、いまお読み上げいただきましたもののうちで私も承知しているものもありますし、机の上にもらった記憶はあるけれども、中身はとても時間がなくて開けないというものもたくさんございますが、まあ私どもの立場から言えばおおむね首肯できるものと思います。  要は、これが広く世論となって、そうして国が国の政策として負担すべきものは独立採算性を指向し、要請される国鉄とは別に、それぞれの行政、実施部門においてそれを考えて配慮してもらう。このたてまえはローカル線の問題を含めて、政策割引その他のことも含めまして、私はそういう方針で、あるいはそういう処置を国としてやってもらわなければならない。それをやらないで独立採算制を要請されてもそれは無理だと、それを言うならばそれに見合う分だけ何か別の方法、つまり学割りを文部省に負担させたくないなら、その部分は別の方法で負担してもらう、あるいは民間の私鉄その他との関係をよく言われます。そういうことを言っても、私鉄その他に影響を及ぼすじゃないかと言う。これはもうかっているところともうかってないところと、配当しているところと配当してないところで区別はつく問題じゃないかと私は考えている次第であります。
  257. 青木薪次

    ○青木薪次君 民間出身の石田大臣は、三木内閣とともにやめてしまわないように。いまあなたの言われたことを実行できるようにひとつがんばってもらいたいと、こう思います。  朝日新聞に「国鉄は生き残れるか」という記事がありますね。これをごらんになったと思うんでありますが、十月十七日の記事によりますと、国鉄財政がここまで悪化するのを、運輸省はなぜ黙っていたんだと、こういうことなんであります。しかも運輸省は、公共負担にかかわる国会や自治省などのいわゆる手かせ足かせ、しかも、経済企画庁やその他の関係の政治的圧力というものを自分で引き受けてやらなかった。国鉄には本来の業務に専念する義務がある、いま大臣見解にもあるわけですけれども、運輸省は何にもしなかったということを書いてあるわけです。私が言っているのじゃない、朝日新聞が言っている。  しかも「運輸省は最近、国鉄再建問題懇談会を、開いて、地方赤字線の検討を始めた。メンバーをみると、著名な人たちばかりである。さだめし名論卓説が出て、それを運輸省の役人がうまく作文するのだろう。」と、こう皮肉っているのですね。しかも運輸省はこれまで十数年にわたって、先ほど私が言ったように、いろいろな意見書や報告書を書いてきたけれども、結果として繰り返しただけで、何にもしなかったということが書いてあります。これは私も同じ意見です。大臣はどうお考えになりますか。
  258. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 何にもしなかったとは私は思いませんが、できるだけの努力を歴代なさってくださったと思うんです。ただ、いま申しました公共負担とか、それから政策負担、そういうものはもっと早く、もっと強くわれわれも運輸省としても要求すべきであったと思います。それから赤字が始まったのは三十九年、ごくわずかな金額であります。しかし、その背景をなす経済的変動というものは、もうもっと早くからやってきておる。石油が廉価、大量に入荷して石炭を追い払う。これは熱エネルギーそれ自身に影響を与えることはむろんでございますが、それを運んでおった国鉄の運賃収入にも当然影響を与える。いままで山元にあった内陸材を主に相手にしておった製材所が、六割まで外材に依頼するようになれば製材所が海の方に移る。そういうような変化が当然予想されることに対する対策、こういうものがやっぱり私は欠けておったように率直に思います。このいまの政策負担、それからこの公共負担というものを、運賃コストに見合うようにして、この負担分は他のそれぞれ政策実施機関が負担すべきだというのは、まあ実は私、就任以来声を大にし始めた——まだ始まったばかりでございますので、どうか皆さん、御声援をいただきまして、これが世論となりますように御協力をお願いをいたす次第でございます。
  259. 青木薪次

    ○青木薪次君 いまの大臣見解は賛成でありますから、大いにひとつそのことを委員会だけの発言に終わらないように、われわれもやりますから、これはこういうことは共同闘争でいきましょう。  昨年の暮れに自民党と三木内閣が決めました国鉄再建対策要綱は、けさからいろいろ意見が出ておりますけれども、運賃は五十一年度と、大臣若干打ち消していますけれども、やっぱり来年も上げるんだよと、二回でこの再建対策をやる。それから高木総裁は打ち消されたけれども、五十五年まで五万人合理化する、六十年までに一万五千人さらに追加して六万五千というのは生きておったのです。それはもう皆さんがいろいろ打ち消しているけれども、そういう思想はあったんです。しかもこの赤字ローカル線は、その経費を地方自治体に負担させるか廃止する、貨物輸送合理化する、運賃法定主義は廃止する、これを見ていきますと、どうもやっぱり国民負担だけと、それから内部の労働者だけにその犠牲を、つけを回してよこす、こういう思想の上に立っているように見えておりますけれども、この方針について大臣、率直にひとつお答えください。
  260. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 誤解があるといけませんが、私、先ほど黒住さんや佐藤さんにお答えをいたしましたのは、来年も運賃を値上げをするといってもその値上げ率の問題、これは現在この法案が通って実施した後の影響その他を勘案をしなければならぬことが一つ。それからこれは独占企業でございませんから、上げたからといって収入がふえるとは限らない、そういう点も勘案しなきゃならない、そういう上に立って再建を図りたいが、大きな目標としては二ヵ年間収支均衡を図りたい、こういうことを申し上げたので、値上げそのものを全く否定した発言をしたのではございませんので、そういう意味で御了解を願いたいと存じます。
  261. 青木薪次

    ○青木薪次君 まあ国民には大きな運賃値上げと。しかも、国鉄職員については合理化で人減らし。賃金は抑制する。しかも新規の投資についてはすべてが借金である。それからローカル線についてはこれは切り捨てる。じゃ一体、いま大臣のおっしゃったようなことになるかどうかという点については、私は非常に疑問なもんですから、こういうことはないというように理解してよろしゅうございますね。
  262. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 他の御指摘の案件それぞれにつきましては、私いままで御答弁申し上げたと思うんですが、ローカル線の問題については運輸政策審議会で、いままでのようなやり方でなく、幾つかの具体案を示し、その具体案について御検討を願いたいと、こういう考えでおります。しかし、財政当局その他と別に話し合ったわけではありませんが、私の考えとしては、これはやはり奥地開発という政策目標があって行われるものでございますので、そういう見地から処置をしていただくべき性質のものだと考えておる次第でございます。
  263. 青木薪次

    ○青木薪次君 赤字ローカル線は、いま大臣のおっしゃったように奥地の開発を含む地方の経済発展ということと、しかも高度成長の中における落とし子としての過疎対策、過疎交通を支えてきた。したがって、このことが住民の足となり、生活の大きな柱の一本となっているわけであります。教育、医療、文化、その他社会福祉の諸事業基本としての輸送役割りを果たしてきたということでありまして、まさにこの赤字ローカル線こそ、今日的社会福祉ということに成長の柱を立てるとするならば、これは国家的見地から建設されて今日まで運営されてきたというように理解しなければならないし、運輸行政もそこが大きな一つの柱であると言わなきゃならぬと思うんでありますが、そういうような私の解釈でよろしゅうございますか。
  264. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま御指摘のほかに、やはり日本の将来をにらんだ先行投資とも考えられると思います。しかし、同じことを何度も繰り返しても同じことになりますが、そういう、これは国鉄が負担すべき仕事ではないんですね、いまの先行投資とか、地方経済の発展とか、奥地の開発ということは。これを国鉄の犠牲においてやらされるということに問題がある。そういう仕事自体は、国鉄が独占的企業であって優良企業であったときに負担できることであったのでありますから、それが現状のような状態になったときには、やっぱり国の政策として配慮をしていただかなければならぬと、こう考える次第であります。
  265. 青木薪次

    ○青木薪次君 いままで私どもはこのことについては、こじきのおかゆじゃありませんけれども、言うばっかりというようなことで来たもんですからくどいように実は言っているわけであります。ですから、赤字ローカル線は切り捨てる以外にないという意見が大勢を占めて今日まできた時期があった。したがって、そのことについては今日はそうではなくて、これは先行投資の、いま大臣のおっしゃった意味も含めて国家としてこのことを守り育てていくんだということで、くどいようでありますがもう一回御答弁を願います。
  266. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それは国家の政策として考えてもらうべき問題だということであります。
  267. 青木薪次

    ○青木薪次君 次に、五十年度の監査報告書が出されましたね。この監査報告書は、地方交通線九千二百キロの赤字は二千二百五十五億円ということになっている。幹線系の中にも、私の調査によりますと二千数百キロの地方交通線の分が今日まで含まれておったと思うんでありますが、この点については、実際は一万二千キロだけれどもなぜ九千二百キロというように言っているのか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  268. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 最初の段階で、四十五年のときでございますが、当時の道路と鉄道との費用の原価の計算をいたしまして、その上で鉄道が有利であるもの、あるいは道路が有利であるものというようなものの区分けをいたしました上で決めましたのが最初のときの決め方でございまして、ただいま九千二百キロになりましたときには、その計算の基礎を四十八年度に置き直しまして計算をいたしました結果、九千二百キロがただいまの国鉄の区分としては適当であるというふうになっておるわけでございまして、その場合に、諮問委員会にお諮りをいたしまして、国鉄の考え方としてはそれでよかろうという御了承を得たものでございます。
  269. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 九千二百キロ問題につきましていま必ずしも一般に正確に御理解願っておりませんので若干補足いたしますが、地方線といいますか、ローカル線をどこから地方線と見るべきかという境目の引き方の問題でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、道路によって、つまり自動車によって交通を確保した方が安いといいますか、能率的であろうという地域と、やはり鉄道がなければどうしてもだめだという地域に分けるという前提で発想したわけでございますが、これはいずれにいたしましても、一万二千キロの場合にも九千二百キロの場合にも、それは国鉄自身の判断の問題でございまして、まだ公式に、たとえば運輸省がそういうところで線引きしようというふうなことを言われたわけではないわけでございまして、いささか私どもの方の、国鉄の内部関係で詰めていった数字であるということだけを補足させていただきます。
  270. 青木薪次

    ○青木薪次君 赤字ローカル線は地元の住民の生活優先が主要なテーマであるので、損益を度外視しても運行さるべきものであるというように、基本的に私はこの問題について再度大臣にその点についてお願いいたしたいと思います。
  271. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただ、前提がございます。国鉄としては損をさせられちゃ困るんです。したがって、これは他の政策費によって負担をしていただいて、いまの奥地開発、先行投資というような役割りを果たしてもらいたい、こういうことであります。
  272. 青木薪次

    ○青木薪次君 その点については全く異議がないわけでありますが、ただ、国鉄昭和二十四年に実は公共企業体になったわけです。そうすると、それ以前にはこれは文字どおり国営企業たる日本国有鉄道でありましたけれども、その後はこれはもう名の指し示すとおり公共企業体ですから、赤字分も全部国鉄が負担させられてきた、こういうことなんでありますけれども、私は公共企業体の制度を支持するし、大臣もそのとおりだと思うと思うんでありますけれども、いたずらに、そういうことになったためにかえって赤字額がずっと増大した、手かせ足かせがかえって進行したというように理解いたしておりますけれども、その点についてはいかがですか。
  273. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先生にいまさら申し上げるまでもなく、従来はいわば官業でやっておったわけでございます。そして、かつ公共企業体に移りましても、全体として黒字でございましたから区分計理をして物を考えるといったような必要は余り感じなかったわけでございますが、三十年の終わりから四十年にかけまして赤字になりまして、さてこの国鉄赤字をどうするかという考えをいろいろ議論いたしました際に、国鉄といたしまして、たとえば諮問委員会等に諮問をしてどういうふうに考えるべきかというようなことを聞いたと。それに対してだんだん区分計理をやるべきだと、そしてその一つとして、地方のローカル線については区分をして計理すべきだというところから赤字ローカル線というような概念が出てきたわけでございまして、必ずしも官業から公企体に移りましたときにそういうふうに何か変化があったということではございませんので、公企体に移りました後も、従来は従来どおりの考え方でやっておったわけでございますが、だんだん先ほど来いろいろ時代の変革についていけなかったというようなことがありましたり、当時から運賃改定が少しずつおくれましたり、そういう事情がありまして経営全体が赤字になったと。そこで、その赤字というのはどこから出てくるかということを区分計理するというところからこの概念が生まれてきたというのがこの経緯であると思っておるわけでございます。  今後これをどうするかは別問題といたしまして、いままでの経緯といたしましては、必ずしも公企体になったから赤字になったとかなんとかいう関係ではなくて、むしろ、公企体になりました後のいろいろな経済情勢についていかれないというようなことから起こったものだというふうに私は理解をいたしておるわけでございます。
  274. 青木薪次

    ○青木薪次君 五十一年度予算によりますと、地方交通線に対する特別交付金として百七十二億円が計上されておりますね。これは今日の赤字額の一分にも達しないきわめて少ない額だというように考えていますけれども、このことについていかなる根拠で算出をしたのか、この点をひとつ大臣と、大蔵省と両方から答弁願いたいと思います。
  275. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  地方交通線百七十二億円の積算基礎でございますが、地方交通線の経費を計算いたしまして、人件費の二分の一と物件費を取り上げまして、それから収入を差っ引き、一キロ当たりの赤字額を九百万円と算定いたしまして、それに先ほどお話しございました地方交通線というのは一体どの範囲なのかということでありますが、これが必ずしも明確でございません。総裁から先ほど御答弁がございましたように九千二百キロという数字はございますが、これは国鉄国鉄の立場から計算をした数字でございます。一体政府としてどれだけのものを対象として交付金を交付したらいいのかということが必ずしも明らかでございませんで、九千二百キロのおおむね二分の一を目安といたしまして二分の一掛けまして、それから補助率については二分の一を掛けまして、そうして一年間の、十二ヵ月でございますが、六月一日からこの今回の再建関係する法案が成立するものという前提で十二分の十を掛けた数字が百七十二億ということになるわけでございます。
  276. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 百七十二億円の積算は、いま御説明申し上げましたとおりでございます。  運輸省といたしましては、地方交通線をどうするかということについて現在運輸政策審議会にいろいろお諮りをいたしているわけでございます。で、近く何らかの御意見がいただけると期待いたしているわけでございますが、そういう御意見をいただいた上で来年度の助成の方向を決めたいと考えているわけでございます。私どもといたしましては、やはり地方交通線が国鉄の負担になっているという現状を前提といたしまして、その負担を除くような方向で解決いたしたい、さように考えているわけでございます。
  277. 青木薪次

    ○青木薪次君 これは損益と工事勘定を合わせて四兆円に達するようなところなんですね。しかも、年間九千何百億というような赤字を出している。累積赤字が三兆一千何百億というようなところです。しかも、赤字ローカル線と国鉄が遠慮したかどうしたか知りませんけれども、九千二百キロに減らした中における二千三百億余の赤字なんです。この中で百七十二億円というものは、これは子供の小遣いにもならぬというように考えているわけでありますが、ないよりましという議論も日本古来からありますけれども、これでは子供だましにもならぬ。やはりこの赤字ローカル線対策ということについて、少なくともいま鉄監局長も、大蔵省の主計官も説明されたんでありますけれども、この点については、来年度予算について私どもは大蔵省、あるいはまた運輸省の態度について、どのくらい予算が計上されているかについて、その本日の議論の成果を見詰めたい、こう思っております。  では一体、最も赤字の多い美幸線についての営業係数はどれくらいですか。
  278. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 美幸線の収入が五十年度で二百七十八万九千円、経費が約九千万、損益が八千七百三十万余りのマイナスでございまして、収支係数で申しますと三二三三という係数になります。
  279. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連。  前の質問にちょっと返るようなことになりますが、大蔵省が補助金百七十二億円と算定したというその計算の基礎はわかります。計算の方法もわかります。しかし、いまの御説明にもあったように、国鉄なり運輸省なりが考えて百七十二億が妥当、適当なものであるということに私はならないと思います。先ほどの御説明を聞いておりますと、これから委員会審議会にかけて、その答申を待って云々ということですけれども、これおかしいじゃないですか。大臣がたびたび答えているが、これが大きないまの国鉄赤字のがんと言うのだ。それなら九千二百キロなら九千二百キロと抑えましょう。九千二百キロと抑えたときに一体運輸省としては、国鉄としては幾らあるのだ、これに対する赤字負担というのは幾らだ、それをもって大蔵省に交渉をして百七十二億というのが妥協の線として出たというのならわかるけれども、百七十二億というのは大蔵省の計算ですね。それに対して運輸省はどういう注文を大蔵省につけて、その交渉の経緯はどうなったか、その点を伺いませんと、ごもっともでございますと言うわけにはまいりません。それを聞かしてください。
  280. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど御説明申し上げましたように、昨年の閣議了解の段階では、地方交通線を今後どのような方向に持っていったらいいかという基本方針が決まってなかったわけでございます。したがいまして、その段階で地方交通線に対して幾ら助成金を出したらいいかということが決められないわけでございまして、百七十二億円出しましたのは、五十二年度、私どもといたしましては先ほど中し上げましたような経緯で、基本的な対策を講じたいと考えているわけでございますが、そういう対策を必ず講ずるという証拠といいますか、あかしの意味で百七十二億円を計上しておりますということでございます。
  281. 加瀬完

    ○加瀬完君 赤字原因が地方赤字ローカル線にあるということは、前からたびたび運輸省も国鉄指摘していたところだ。それなら、その内容がどれだけの赤字になっているかという積算があなたの方であるはずだ。これを政府に持たせるようにするか、どうしてこの赤字を解決するかという基本方針が決まってないにしても、事実関係は把握されていなければならない。地方赤字ローカル線の赤字分は幾らだ、百七十二億でも幾らでも補助が出るという傾向だけは、方向だけはついたわけですから、それならば百七十二億でいいのか、これは大臣の言う呼び水で、来年から年度別にこういうふうにふえていくという試算がはっきりついたのかどうか。しかしながら、国鉄として要求しなければならない赤字というのはこれだけだというのは主張されなければおかしいじゃないですか。そんなもの外からもらうかもらわないか決めてから運輸省で決めるという筋合いのものじゃないでしょう。
  282. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方交通線の赤字をどうするかという点につきましてはいろんな問題があるわけでございます。先ほど佐藤委員からお話がございましたように、もっと地域的に運賃について差をつける必要があるのじゃないか……
  283. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなことは聞いていないよ。
  284. 住田正二

    政府委員(住田正二君) たとえば、現在私どもの方で中小私鉄の運行に伴います損失の補助をいたしております。これは大体キロ当たり二十円ないし二十二、三円ぐらいの運賃にいたしまして、その上で生じました赤字について国と地方公共団体が半分ずつ負担するというやり方をやっているわけでございます。それに対しまして、現在国鉄の運賃は五円十銭でございますので、やはり運賃を是正した上で助成をすべきではないかという意見一つあるわけでございますし、また地方公共団体についても国と同じような負担をしていただくという問題も出てまいりますし、また、場合によりましては地方公共団体に経営を移譲するという問題もあろうかと思います。そういうような基本的な方向を決めた上で最終的に助成額を算出していきたい。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、地方交通線の赤字国鉄経営の負担にならないように来年度の予算で方針を打ち出していきたい、さように考えているわけでございます。
  285. 加瀬完

    ○加瀬完君 最後にもう一問やらしてください。  国鉄財政再建計画というのは、このほかに出ているのでしょう。出ているその内容に、いま言った一番大きな問題がきちんと枠づけされておらないというのはおかしいじゃないですか。これからどうするかということを聞いているのじゃないんです。大蔵省が百七十二億と計算したけれども、それは違っていますよという交渉が当然運輸省なり国鉄当局からなければならない、その交渉をどうしたかということですよ。
  286. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いまの両方の細かい計算は、ぼくは何ぼ聞いてもどうせわからないから、それにはお答えはいたしませんが、地方交通線の赤字に対して、とにかく天井から目薬か、スズメの涙かは別といたしまして、ついたのは今度初めてでございます。そういう意味で、私は地方ローカル線の赤字について国が何とかしなきゃならぬという気になった、まあ余り大きな証拠にもなりませんけれども、一つの一歩前進、ごく半歩ぐらい前進だと思っている。この前進を土台としてこれを推し広めていきたいと考えております。
  287. 加瀬完

    ○加瀬完君 推し広めてないんだよ。
  288. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それぐらいでどうぞ御勘弁を……。
  289. 青木薪次

    ○青木薪次君 営業係数三二三三というのは大臣、百円もうけるために三千二百三十三円使うことですからね。まあ、あなたよくおわかりになっていると思いますけれども。  そこで、ローカル線の特別運賃論と言ったのは、いま鉄監局長の言ったようなことなんですか。それに尽きるんですか。その点どうですか。
  290. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 特別運賃をとるということを決めているわけではないわけでございまして、先ほど佐藤委員からそういう御意見もありましたので、そういうようなことを勘案しながら来年度以降の対策を決めたいと、さように考えておるわけでございます。
  291. 青木薪次

    ○青木薪次君 歯切れの悪い答弁で、特別運賃論はしないならしない、するならすると、もう今日この国鉄二法を審議しているときに、まだ奥歯に物がはさまったようなこと——もっともあなたは、国会なんかどうでもいいと、財界に行っての演説会で、まずわれわれ野党をばかにし、しかも国会の審議を超越したようなことをしゃべったそうですから、それは目黒委員のさっきの指摘のとおりですからそれはそれとして、どうも歯切れが悪いですね。運輸省は一体、さっきの朝日新聞じゃないけれども、何にもしてこなかったということがこれは当たるんですよ。だから、そういう点について運輸省としての責任を明確にすべきじゃないか。特に十二月三十一日付の閣議了解による再建対策要綱によれば「赤字ローカル線の運営は、地域住民の利便と自立経営上の負担の程度とを勘案しつつ、国の積極的な支援のもとに、国鉄責任においてその取扱を検討する」ということに実はなっておりますね。しかもこれは「自立経営上の負担の程度」というのはどういう意味をなすものですか、答弁してください。
  292. 住田正二

    政府委員(住田正二君) そこで言っております「自立経営上の負担」ということは、ローカル線の赤字がどの程度国鉄経営にとって負担になるかという意味でございます。
  293. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうすると、国の積極的支援とは、国家政策として位置づけている以上、国の役割りについてどう考えているかということが次に問題になってくると思うんですけれども、この点いかがですか。
  294. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄といたしましては、赤字ローカル線の赤字を解消する努力をこれからするわけでございますけれども、これは国鉄だけの力ではできないことでございますので、国といたしましても財政的、あるいは行政的な支援をするという意味でございます。
  295. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄責任経営というものは、この場合どういう意味を指すのですか。
  296. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄は現在二万二千キロの路線について経営責任を負っているわけでございます。確かに赤字線が国鉄経営にとって負担になっていることは事実でございますけれども、やはり経営責任国鉄にある、そういう認識をいたしているわけでございます。たとえば、私鉄につきましても採算のとれない路線があるわけでございまして、私鉄の経営者といたしましては、そういう不採算路線について廃止をするなり、あるいは合理化をするなりの努力をいたしているわけでございますが、それと同じような意味におきまして、国鉄が現在経営をいたしております二万二千キロについては国鉄責任で処理してもらう、しかしそれには限界があるので、国としても必要な支援をいたしますということをそこにうたっているわけでございます。
  297. 青木薪次

    ○青木薪次君 どうも、この財政の負担区分というものが明確でないんですね。私どもは、ただ単に運賃値上げ五〇%と言うけれども、地方交通線のこれは赤字対策にもならないでしょう。私ここに一つの数字を持っておりますけれども、結果として地方交通線が昭和四十七年に値上げ案が決まった。それから前総理の田中角榮氏がこれを一年半選挙対策もあって延ばした。延ばしたけれども何にもならなくて、結果としては今日のままの状態で推移してきた。たとえば四十七年に上がったとしても何の効果もない。合理化して人を減らそうが、賃金をもし下げたといたしましても、これは何にもならないという結果でありまして、五〇%地方ローカル線にほうり込んでもないよりましだ。さっきの百七十二億と同じですよ。そういうような点について赤字ローカル線というものは、これは国家政策として、先ほど大臣の言われたように、先行投資の意味も含めて、福祉型経済の基本でもあるし、そのために完全に補てんするということがどうして言えないんですか。その点について聞かしてください。
  298. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方交通線というのは、九千二百キロであるか、一万キロであるかは別といたしまして、全国至るところにあるわけでございまして、その中にはやはりシビルミニマムとして考えなければならない路線もございますし、また現在ではすでに並行道路等があってバス等で代替できる路線もあるかと思います。また、先ほど申し上げましたように、必ずしも国鉄経営しなくて、地方公共団体等に経営を移譲してやってもらってもいいものもあろうかと思います。そういうような問題を現在運輸政策審議会にいろいろ意見を伺っている段階でございまして、そういう意見に基づきまして来年度以降の対策を決めたい、さように考えているわけでございます。
  299. 青木薪次

    ○青木薪次君 地方ローカル線を地方に移譲するといっても、国鉄でもこのこれだけの膨大な機構の中で、しかも全力をそっちの方へ割いてもこういう状態であるために、そう言っちゃなんですけれども、素人の人が、農協の職員が切符切るような状態で、本当の意味でこの地方ローカル線を維持、運営できますか。その点は、ただ演説はいいけれども、私どもは無責任のそしりを免れない。したがって、ローカル線対策というものについては、言えることは地方公共団体と地元住民も、その運営について積極的に関与する方策というものをこの際樹立すべきじゃないのかというように私は考える。港湾には地方港湾審議会というのがあるんです。地元民がこれに参加し、あるいはまた関係者が参加して民主的にそのことを決めていく、いわゆる参加意識があるというような状態なんでありまして、地元の産業発展と、そうして住民生活環境との調和を図るということが私は必要だと思うのでありまして、ローカル線は特にそういう意味で、地元住民の経営参加意識なくして円滑な運営はできないんだ。それが可能となるような、私ども社会党は地方交通委員会というものをつくったらどうかというように言っているんでありまするけれども、他の交通機関と同じように、こういうような仕組みを考える必要があると思いますけれども、その必要性について大臣お答えを願いたいと思います。
  300. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま地方公共線の問題について鉄監局長からいろいろな考え方があるというようなご説明がございました。その中の一つとして地方公共団体が関係して経営するというような問題、あるいは競争の路線と申しますか、並行路線というようなものがあるという問題、あるいはこれは鉄道にしておくよりは、その路線を舗装して自動車を走らした方が便利な問題、いろいろその地方地方の事情によってあると思います。いずれにいたしましても、この問題を処理する場合には、その地域に住んでいる人が一番これは密接な関係があるわけでございますので、国鉄の事情も理解をしてもらい、そして、そこに住んでおられる方々にも知恵を出してもらうために、いまの御説明のような制度そのままのものがいいかどうかは別といたしまして、やはり地方と話し合う機関というものをこしらえることの方が適当であろうと私は考えております。
  301. 青木薪次

    ○青木薪次君 この点は非常にいいお答えです。私は、本委員会委員長ね、大臣総裁と相談いたしまして、そういう方向の制度を、仕組みをつくるということについては、本委員会として確認をしていただきたいと思います。
  302. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いまそういうもの一切合財含めまして、運輸政策審議会というのをやっていただいておるわけです。さっき朝日新聞の記事をお読みになりましたが、私は基本的に余り偉い人ばっかり並べてもどうも名前負けしてしまって、もっと現実的な実際がわかる人で構成されることが望ましいと思っておりますけれども、せっかくあるわけで、そこで御相談を願いますので、いまの御提案もそこでひとつ検討していただきたい。私の気持ちとしては、いま申しましたように余り偉い人ばっかりでなく、その地方地方で別々の問題がたくさんあるわけでありますから、やはりその地方地方の人々の意見を聞く方向に物を進めていくことが正しいと、こう考えております。
  303. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私ども長年地方交通線の対策をどうしたらいいかということで、主として地方の管理局中心にいろいろ苦労をしてきたわけでございまするので、それなりに若干の経験を持っておりますから、せっかくいま運輸政策審議会で地方交通線をどう処理するかということを御審議でございますので、国鉄といたしましても一つの試案をお示ししてそのたたき台にしていただきたいと考えておりますが、その際、私どもの経験からいたしましても、ただいま青木委員から御指摘がありましたように、地方の方の意見を十分聞きながら、それぞれの地域に応じた立て方があるんではないかと、どうもとても全国数多くの地域の事情を東京で把握することも困難でございますし、また管理局長がいろいろいたしましても、これはやはりしょっちゅう人がかわるというようなことが起こるわけでございますから、どうしても地域の関係者に参画をしていただいて、そして個別個別にどうしたらいいかということを真剣に議論していただくようなからくりができることが望ましいんではないかというようなことをあれこれ私も考えておるところでございますので、ただいまの御意見のように何らかの方式で地方の方が意思決定といいますか、そういう形で参画されるような形でのローカル線建設という御提案は私にとっても非常に共感を覚えるわけでございますので、運輸大臣とも御相談いたしまして、運輸政策審議会で議論をしていただくときにそういうことを大いに私どもも主張というか、お願いをしていきたいというふうに考えております。
  304. 青木薪次

    ○青木薪次君 前向きな答弁で非常に結構だと思いますが、この間、港湾問題で私は質問しまして、大臣も御出席になったし、港湾局長も出席になって、地方港湾審議会には道路関係者もいるし、倉庫業者もいるし、港湾関係者もいるし、地方公共団体もいる、いないのは国鉄だけなんです。その辺が、たとえば生活拠点港としての港湾と、内陸の輸送関係が短絡しちゃっているんですね。その点について国鉄の代表も入れなさいと言ったら、結構でございます、入れますという話になったんですよ。いまの話ね、私どもが提案すると、何だかまた運政審の中に逃げ込んでみたくなってみたり、少し矮小化してみたくなったりするというんじゃなくて、さっき大臣の答弁でいいんですよ。裏も何にもないんですから。そういう意味で、地方住民が参加意識なくして赤字ローカル線の運営はあり得ないということを、これ私は言っているわけですから、その点をひとつ具体的に。これ以降はひとつ鉄監局長にも申し上げますけれども、その点はひとつ確認をし、その方針の中に生かしてもらいたい。しかも、運政審でローカル線の対策の問題が懇談会とか何とかということでもって議論をされていくということを聞いたんでありますけれども、その議論はいまの経過の問題とは別にどういうような経過になっているか、ひとつお答え願いたいと思います。
  305. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 運政審、実はまだ一回開いただけでございまして、これから小委員会を開いて精力的に意見を出していただくことになると思いますので、まだ小委員会が開かれておりませんので、具体的な意見は伺っていないわけでございます。  それから、先ほど地方の委員会の問題出ておりますが、先ほど来何回も申し上げておりますが、私どもといたしましてはいろいろ具体策について御意見をいただきたいと思っているわけでございますが、そういう意見については、やはり地元の選択を求めなければうまくいかない問題でございますので、私どもといたしましても、当然どういう形で地元の御意見を聞いたらいいか、そういう点について今後十分検討をいたしたいと思っております。
  306. 青木薪次

    ○青木薪次君 鉄建公団の総裁、御苦労さんでした。  そこで、新線建設に移りたいと思うんでありますが、国鉄監査報告書が本年八月に出されたわけですけれども、大臣、監査報告書については、政府はこの報告書の趣旨というものについて了解し、これを推進すると、こういう立場に立っておられますか。
  307. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 監査報告書は運輸大臣あてに提出されるものでございますので、運輸省といたしましては十分それを尊重いたして処理いたしたいと思います。
  308. 青木薪次

    ○青木薪次君 尊重するという立場だろうと思っておりましたけれども、この監査報告書によれば「社会・経済情勢、国鉄経営状態等にかんがみ、鉄道新線建設など基本的に拡大投資となるものについては、当面、これを見送るべきであると考える。」というように書いてありますけれども、この点はどう理解したらいいですか。
  309. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま御指摘いただきましたのは、いわゆるAB線の問題であろうかと思いますけれども、AB線の問題につきましては、先ほど申し上げました運輸政策審議会の御意見をいただいた上で最終的な処理方針を決めたいと考えております。
  310. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はAB線だけじゃないと思いますよ、CD線もあるし、いろいろあると思いますよ。しかもG線というのですか、新幹線、これだって大臣が七千キロは控えるということを発言されておられるし、そういう一切新幹線というものについては、そういう広義の解釈だというように解釈しているわけでありますが、特にいま言われたAB線の建設については、ことし予算を見ると三百五十億円の政府出資がなされておりまして、引き続き建設が行われているということになっておりますけれども、この点については鉄建公団総裁、事実ですね。
  311. 篠原武司

    参考人篠原武司君) AB線の予算につきましては三百五十億ついております。
  312. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうすると、いま鉄監局長が語尾を強めて言われました監査報告書の趣旨に相反すると思うんですけれども、いかがですか。
  313. 住田正二

    政府委員(住田正二君) AB線の予算は、昨年度も本年度も三百五十億ついているわけでございます。先ほど申し上げましたように、AB線について今後どのような扱いにするかについては、運輸政策審議会の御意見をいただいた上で方針を決めたいと思っているわけでございまするので、本年度は昨年度と同額ということで配賦をいたしております。
  314. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうすると、昨年度を踏襲したというような答弁があったわけでありますが、国鉄赤字をふやさないというようなことと、この昨年の踏襲といっても、これらの点について矛盾をしゃしないだろうか、こう思うんですけれども、その点いかがですか。
  315. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 運輸政策審議会でどういう御意見が出るかまだわからないわけでございますけれども、いずれにいたしましても地方交通線、あるいは今後建設するAB線が国鉄経営の負担にならないような方向での答申がいただけると考えておりますので、そういう答申をいただいた上でしかるべき措置をいたしたいと考えております。
  316. 青木薪次

    ○青木薪次君 せっかく鉄建公団の総裁が来ていますから、質問ちょっといたしますが、佐久間線の工事はどの程度進捗し、しかも五十一年度の予算は幾らですか。
  317. 篠原武司

    参考人篠原武司君) その前に、先ほどの質問にちょっと関連したことをお答えしたいと思いますが、これは政府でもってAB線の建設につきましては、非常な厚い保護を受けております。それは、たとえばAB線の建設はすべて利子のつかない一般会計の金を使わせていただいている。それからAB線の鉄道施設の減価償却費相当額は補助金として公団にくれているわけです。したがいまして、国鉄に対しては道路と同じようにただで貸せるというような形になっておりますんで、それから事業用資産に対しましては市町村交付金が免除されております。そういうような形になっておりますので比較的赤字影響は少ないような形に政府がお考えいただいておるわけでございます。  それから、さっきの佐久間線の話でございますが、佐久間線は二俣−横山間約十三キロメートルのうち二俣−相津間の約六・五キロ、これについては路盤工事が進行しております。現在、谷山トンネルの延長約九百五十メートルでございますが、その一部を施行中でございます。そのほか横山付近の用地買収を進めておりまして横山−佐久間間は測量設計中でございます。今後の工事の見通しにつきましては、予算事情等にもよりますが、なお相当時間がかかるのじゃないかと思います。  それから、五十一年度の予算としましては、三億円を計上いたしております。
  318. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はもう時間も来ましたからこれで質問終わりますけれども、いまの鉄建公団の総裁は非常に感激をもって運輸省の措置について感謝していると思うんでありますけれども、赤字にはならないように無償でやっても、その運営費は、さっきの美幸線じゃありませんけれども、百円もうけるために三千二百三十三円使うような線路になっていくんですよ。必要性があるんだったらこれは大臣すぐつくらなきゃいかぬと思うんです。私、廃止せよと言っているんじゃないんだから。早くやりなさい。去年と同じ、ことしも三億、来年も三億、百年河清を待つようなことを言っているということについて問題がある。  この問題については次の機会に保留いたしまして、きょうは遅くなりましたから、これで私の質問を終わりたいと思います。
  319. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、この際、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十月二十九日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公聴会の問題開会時刻並びに公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会