○和田春生君 じゃ、それをひとつ特に希望しておきます。
で、残された時間わずかでございますが、
造船政策につきまして一昨日一点触れましたけれ
ども、若干、これは主として
運輸大臣にお伺いしたいと思いますのは、技術的な問題ではなくて、長期的視野に立った政策的な問題であるからであります。で、本件については、この夏以来民社党では造船産業対策というものをつくりまして、二十項目にわたっていろんな要望を出し、いままで前
運輸大臣の
時代にも何度か直接
大臣に、また担当者にもお目にかかって要望をしてまいったわけであります。で、そのうちで幾つかは今年度の
運輸省の予算要求の中ですでに織り込まれて、五十二年度予算として折衝の舞台にのぼっていると、そういうものについてはこの機会にはお伺いするのは省略をしたいと思います。
特に私たちが考えているのは、従来のようにどんどんどんどん船をつくる、それを輸出する、輸出船の主力は大型タンカーであったわけです。しかし、その大型タンカーの場合には、船体の強度とかその他で、やはり設計また建造についてはいろいろ問題がありますけれ
ども、まあ言ってみれば、大きな鉄製の箱をつくってエンジンつけて走らせるといったみたいなものですね。しかし、これからの国際競争と海運界の将来を見れば、そういう
時代がもう一度来るとは考えられない。日本はもっぱらそういう大型、ないしは超大型タンカーの建造と輸出で世界一の造船王国ということになってきたわけです。今度はだんだん多角化していかなくてはいけない。そういう点で技術開発も必要であろうと思うんですけれ
ども、国際的な問題については、時間もございませんからこの際触れるのは省略したいと思いますが、国内の環境保全という面から見ていろいろ考えてもらいたいものがある。
そういう中で私たちが
主張したいことは、たとえば公害対策船の建造を促進する、これは日本国内だけではなく、世界の文明国がみんな悩んでいるわけです。たとえばごみ処理についても、陸上でごみを処理しようとするから、これは大変問題になるわけですね。しかし数万トンの船をこしらえて、船の中に焼却炉を積んで、そしてそれに集まったごみを積み込んで沖に出て行って船内で焼却するものは焼却する、スラッジならスラッジで無害なように処理をする、そして、それを無害な
状況において投棄をするという形にすれば、処理と運搬と一挙両得で環境保全に役に立つわけ。海洋汚染についても、そういうきちんとした処理をすればいい。あるいは汚水処理、屎尿処理なんかも、いまは船に積んでいるやつは、全部沖へ持って行って沖でばあっと捨てているわけですから、うっかり風の向きや潮の流れが悪いと、外で捨てたやつが全部舞い戻ってきて、公害ならず黄色い方の黄害になっているなんという例もあるわけです。あれも、現在の客船等では小型ですが、船内で三次処理までして、そして無害なものは出すという
状況になっています。そういう大きな処理船をつくれば、船自体に積んで出て行ってそれを処理してくる、ピ
ストンで航海をする、こういうかっこうにすれば大変いいんではないか。しかし、こういうのを地方自治体とか、あるいは建造する造船所のリスクでつくれと言ったって、どれだけの需要があるのやら、技術開発をしたけれ
ども、さっぱりそれが注文がないという形になれば、全く負担になってしまうわけ。地方自治体もそれだけの財政負担をして、開発からすべてまで一地方自治体で進めるということは大変無理ではないかか。
さらにまた、浮体構造物と言われておりますけれ
ども、沖繩の海洋博ではアクアポリスがかなりの台風にも非常に強いということで成功しているわけです。発電所も発電所の本体自体はそれほど大きなスペースは要らないんですけれ
ども環境対策、公害対策で陸上の場合には非常に大きなスペースが要る。火力発電所をつくるということがあちらこちらでやはり住民運動の一つの対象にされている。まして原子力発電にとっては非常な問題である。そういう場合に、浮体構造物の上に発電所本体を載せる。そうすれば、仮に油を持ってくるにいたしましても、タンカーが横づけをできるという点もありますし、いろんな面で非常に
プラスになる。すでにある程度の技術開発のベースができているわけですから、そういう環境保全対策その他を、単に船というのは物を積んで走るだけではなくて、浮体構造、ある
意味でいけば陸地の延長というような面の積極的な技術開発に取り組むべきではないか、そういうことを政府も業界も一体になってやっていく。そういうものが一つできれば、よろしい、それは使ってみようとなる。あるいは外国に対しても、そういう先進的な技術開発をすれば、日本が輸出をしていくと、こういうような形で、単に造船は船をつくると、こういうことではなくて、積極的に取り組んでもらう。あるいは空港なんかにしても、そういう技術が進んでいけば浮体空港、海の上に浮かんでいるエアポートという構想にまでいくんではないか。
それが屎尿処理、ごみ処理だけではなくて産業廃棄物、それから油濁処理、そういう点につきましても、造船と関連する技術開発というのは非常にたくさんあるんじゃないか。いま造船業界が不景気だから手を打つということではなくて、それは必要ですよ。雇用面について、これはもう
運輸大臣お得意の
労働関係で、
労働省にもこれは頼んでおりますが、後ろ向きに、いま困っているからとりあえず助けるということは、必要にして不可欠な当面の緊急政策ですけれ
ども、それだけにかまけるのではなくて、将来を見通した積極的な造船関連産業対策というものを進める必要があるとわれわれは考えているわけですね。
ところが、今度の予算
関係見ますと、
運輸省のを見ても、通産省の方をながめてみましても、通産
大臣にもそのことは
要請してきたんですが、さっぱりそういう将来的な問題に対して積極的に取り組むということが、五十二年度予算要求の中に頭すら出していないんじゃないか、まことに私は残念に思うわけです。これは一遍に多くの金が要るわけじゃない、まず研究費の頭を出す、そしてそういう機運をつくっていく。民間ではなかなかリスクが大きいから、政府がイニシアチブをとって、民間にも全面的に協力をさせる、そういうことを考えたらどうかというふうに思っているわけです。それを要求し続けているわけなんです。時間の
関係がありますのでまとめて申し上げました。これについての所見を
運輸大臣、また必要があれば船舶局長からも伺いたい、こういうように思います。