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1976-10-14 第78回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 佐藤 信二君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 官崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    国務大臣        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務省民事局参        事官       元木  伸君        水産庁漁政部長  森実 孝郎君        労働省労政局労        政課長      野崎 和昭君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (岩手県及び福島県等におけるタクシー業界の  労働問題に関する件)  (日本国有鉄道車両の汚物処理問題及び乗務  員の定年問題に関する件)  (日本航空の経営問題等に関する件)  (北方海域における漁船だ捕事件に関する件)  (菱洋丸海難事故に関する件)  (造船政策に関する件)     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 本来ならば、社会労働委員会でやるべき問題だと思うんですが、私も最近タクシー関係なり港湾関係労働問題でここ二年近くやっているんですが、なかなかどうも社会労働委員会の枠を超えた、運輸行政関係するところにもうきている、そういう感じもしますので、本来ならば労働省責任者と両方呼んでやればいいんですが、時間の関係も一ありましたのでひとつ。  第一は、岩手県の北上市における都タクシー紛争があるわけでありますが、都タクシー紛争について労働省が現在どういう現況をキャッチしているか、まず御答弁願いたい、こう思うんです。
  4. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) お尋ねの、岩手県の都タクシーの件につきましては、本年の春以来賃金カットの問題、あるいは労働条件変更等の問題に関連いたしまして紛争が発生しておりまして、現在まで紛争が係属しているという状況でございます。この間、県のあっせんによりまして団体交渉等も行われたのでございますけれども労使主張は大きく隔たっておりまして、現在のところまだ解決を見るに至っていないということでございます。  なお、この間に紛争点の多くは裁判所に係属しておりまして、仮処分申請事件が二件、本案訴訟事件が一件申請されておりまして、そのうち一件につきましては仮処分命令が出ているという状況でございます。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ストライキはいつからやられていますか。
  6. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) ストライキにつきましては、この間に断続的に行われておりまして、たとえて申し上げますと、五月一日から七十二時間ストとか、その後も一断続的にストライキが行われていると承知しております。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、ことしの七月の十日、北上を訪れまして、全自交の皆さんなり県の労働部、それから陸運事務所、県の商工部、県乗連の方々ハイタク協会並びに北上市長、助役、それからこの都タクシー社長などにずっと会って、社会党の調査団ということで、野口忠夫先生を団長にして議員団が四名、それから政審から一名行ってきたわけでありますが、われわれの調査では、五月一日から断続的というのは形式論であって、実際はもう無期限、あるいはロックアウトを含めて現状もとまっているんでしょう。だから五、六、七、八、九——いま何月ですか、十月でしょう、約六カ月近くとまっているんですよ、これ。そういう甘っちょろい労政の問題じゃないですよ、どうですか。
  8. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) ただいま私、労働組合ストライキかと思いまして、そう御答弁申し上げたのでございますけれども先生指摘のように、使用者側は新しい、使用者側提案する労働条件をのまなければ就労させないということを主張しておりまして、そういう意味では解雇と申しますか、就労を拒否すると申しますか、そういう状態が続いているわけでございます。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 こういうことは労政としてどう思うんですかね。これ私もらったのは、組合側に新交番表提案したと、これ、わかっていますね。新交番表提案して一回団体交渉やった、物別れになった、組合側継続団交を提起したと、ところがそれに一切応じない。そして催告書、これ、ありますが、「昭和五十年度の事業計画に基づいた新交番をあなたに提示し、五月一日より就労して下さるよう、再三にわたって、要請して参りましたが、あなたは未だに就労していません。即時、労仂契約に記名捺印して就労して下さい。労仂契約も結ばない、就労もしない時は当方はあなたには、就労意思がないものとして、契約解除の処理をいたします。  尚此の事項昭和五十一年五月末日付書面以つて六月十日を期限として予告いたして居りますので直ちに就業して下さい。  右催告いたします。昭和五十一年五月三十一日」都タクシー社長斎藤斉。  それから各組合員個人名配達証明を送った。この行為は、労働組合が存在し、労働協約が存在し、現に新交番をめぐる団体交渉中において、何ら組合側というものに無通告で、個人個人にこういう書面通告するという点は、労働基本権の上からどう考えますか。有効ですか、無効ですか。
  10. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) 先生指摘のように、労働条件変更に関して労働組合から団体交渉を申し込まれました場合には、当然正当な理由がない限りこれを拒否してはならないことは当然でございます。本件の場合にも、数回県のあっせん等によりまして団体交渉が行われたようでございますけれども使用者側態度は非常にかたくて、意見の一致を見るに至っていないという状況でございます。その間に、ただいまの文書にございますように、新しい労働条件を受諾しない限りは就労させないというような使用者側の措置がとられたということでございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 就労させないということは、身分従業員のまま就労させないのか、解雇しているのか、事業を閉鎖しているのか、その点はどんなふうに認識していますか。
  12. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) ただいまの点は、私どもの方も正確にどう認識すべきか、若干まだ正確な考え方は固まっていないんでございますけれども、いずれにいたしましても、その点につきまして結局裁判で現在争われているわけでございます。私ども労政当局といたしましては、労使双方に対して紛争が円満解決するよう説得の努力は続けているわけでございますけれども使用者側なり、あるいは労働組合側なりが非常に強く自分法律解釈を固執されました場合には、やはり最終的には裁判所で御判断いただくほかはないと、現在は残念ながらそういう状態になっているのではないかと思うわけでございます。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 労働組合側労働組合側とおっしゃいますが、どういう提案をしているか、提案内容はわかってますか。われわれが調べたところによりますと、参考までに、労働時間一カ月当たり現行よりも二十八時間プラスになるんですよ。そして賃金関係は、営収二十九万という試算をした場合には、マイナス一万八千三百三十九円、約二万円近くの現在でも減収。労働時間が約三十時間プラスになって、労働省ね、約三十時間ですよ。正確には二十八時間よけい働いて賃金が二万円大体ダウンすると、こういうことについて、まあ低成長時代もありますけれども、二万円もダウンして三十時間も一現状よりも働くと、そういうことを、労働者がこれは大変じゃないかと、よその県並みにやってくれと、よその会社並みにやってくれということは酷でしょうか。私は、これは運輸省自動車局長にも聞きたいと思うんですね。二十八時間多く働いて手取りが一万八千三百三十九円低くなるような新交番なんですよ。ダイヤは私は見てきました、相当ひどいですよ。  ですから、そういうやつをのめというのが無理なのか、せめて現状ぐらいにしてくれというのが常識なのか、あるいは岩手県内、ほかのタクシー走っているんですから、せめてそのタクシー並みに上げてくれというのが常識なのか、その点はどうなんですか。私は、自動車局長と、労働省と、両方に見解を聞きたいと思うんですね。
  14. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) ただいまお話しの都タクシーは、岩手県の北上市にある車両二十一両の会社でございますが、経営状態が思わしくないということを踏まえてのいま目黒先生おっしゃった提案だろうと思いますが、やはり、労使関係交渉において円満な線を求めて、双方話し合いを煮詰めていくという前提に立った場合に、余り法外なと申しますか、極端な、出発点からこういった問題に入っていくということは問題をこじらせて、きれいな解決と申しますか、円滑な解決への道が閉ざされる可能性が多いということで、私どもとしては、やはりもっと真剣に考えた上での双方提案をめぐっての交渉ということが望ましいと考えております。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 労働省、どうですか。
  16. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) 労働者にとりまして、労働条件が従来よりも低下するというのは現在の時代におきましては大変なことであるというふうに私どもも考えるわけでございます。ただ、労働条件につきましては、労使が自主的に話し合って決めるというのが基本原則でございますので、私どももそういう見地に立って、そういう原則を踏まえまして指導してまいりたいと思っているわけでございます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 自動車局長にお伺いしますが、たとえば現行どおり賃金を払っておると都タクシーは倒産するんですか。私は仙台陸運局にそれなりの経営内容がいっていると思うんですよ。その経営内容から判断すると、仮に最悪の場合、現状維持だといった場合には、まだ純益があるというネタをわれわれはつかんでいるんですがね。純益があるならば、私はやっぱり人間並みに運転手を扱うという行政指導陸運行政上必要じゃないですか。倒産するというんなら倒産のわしは内容を出せと言うんですよ。倒産しないと言うんですよ。純益があると言うんですよ。純益があれば、まあ低成長で景気が悪いからちょっとがまんしてくれよというぐらいが大体労使話し合い出発点じゃないですか。その点どうですか。
  18. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 基本的にはいま先生のおっしゃった線でこういった問題に臨んでいくのが妥当だろうというふうに思います。ただ、労使間で自主交渉という過程に入って折衝をやっておるということでございますので、われわれは側面から、そういった解決が促進されるような地盤づくりと申しますか、そういった雰囲気の醸成ということに努めていく必要があるというふうに考えております。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 先に戻りまして、これは自動車局長も、労働省も聞いてもらいたいんですが、いま言った通知書ね、個人契約の。この問題については七月の九日、岩手県の労働基準局長、それから県の商工労働部長、それから陸運事務所長とわれわれの四者の中で、個人契約のこの書面については労働組合が存在する以上は無効である、こんなものは認めるわけにはまいらぬ。それから身分上は、会社がそういう意思表示をしてきたけれども解雇通告があるわけじゃなし、予告があるわけじゃなし、何もないから、労働基準法上は都タクシー組合員であると、こういうことを確認し合ったんですが、この確認誤りですか。現地確認誤りですか。
  20. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) ただいまの点でございますけれども、私どもの方には明確にそういう確認をしたという報告は承っておりませんが、いずれにいたしましても私ども立場を申し上げますと、一応いまの場合には、労働組合側はもちろん解雇ではないと主張し、まだ身分はあると主張し、一方使用者側解雇したと主張しているようでございます。仮にそのように労使の法律的な解釈が非常にかたくそういうふうに固まっている場合に、私どもの方といたしましては、その解釈のどちらが正しいかを決める権限はないわけでございます。私どもといたしましては、紛争を全体としてとらえまして、円満に合理的に解決するよう説得するということが限度でございまして、ただいまの点の法律解釈につきまして御意見を求められました場合にも、労使主張がそういうふうに大きく隔たっており、かつ現在裁判にかかっておりますので、その見解が正しいとか、正しくないとかということは申し上げることは適当でないと考えるわけでございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたは無責任なことを言っているね。じゃあ七月九日、この都タクシー労組法第七条違反労基法第一条違反労基法第二条第二項、第十三条違反、同労基法第二条第二項、第二十四条違反労基法第十九条違反。この違反事項については労働基準局は認めますと、現地が実際に査察して確認しているんですよ。この確認もそれじゃ取り消すんですか。ただ身分関係だけはいま裁判で論争しているから、その点は裁判の判定に任せよう。その他の問題については、この現地基準局がわれわれに確認したことは認めるわけですね。身分関係だけですね。
  22. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) 私ども関係で申しますと、御指摘のとおり身分関係だけでございます。あと労働基準局の方の解釈見解につきましては私ども承知しておりません。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 承知していないということになると、労働省指導受けてやっていますということは、われわれに対するそれじゃその場限りの答弁かな。どうだろう。これは。その場限りの答弁をわれわれ国会議員にしているんですかな。本庁の指導を受けてやっていますとか、あるいは上部の指導を受けてやっていますということは、その場限りの答弁かな、それじゃ。どうですか、それは。
  24. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) 決してそういう意味ではございませんで、私どもの方は労政局でございます。いまの基準法違反の点は労働基準局で所管しておりまして、申しわけざいませんが、私、その点確認をせずにこちらへ参っておるわけでございます。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは所轄関係では了解します。ただ、自動車局長要請したいのは、こういう関係現地方々基準局も、県の労働部も、それから陸運事務所の三者、それから現地紛争の当事者ですね、組合側。この四者が同じテーブルに着いて、われわれも出席して確認した事項なんですよ。いま言った個人契約の問題とか、あるいは身分上の問題とか、それからいま言った労働基準法違反であるとか。それから、陸運事務所長はなかなか答弁しなかったんですが、最終的に陸運事務所長自動車運送事業等運輸規則の第二十一条、それから二十二条、三十二条、三十四条、運送車両法の四十七条、道路運送法の十八条の一項、それから運送法三十二条、四十一条、同施行規則の二十四条、それから自動車運送事業等運輸規則の第七条、このほかにも五件ほど六月二十八日の監査違反事項がありますと、こういうように認めているんですよ、現地陸運事務所が。  労働慣行から言っても、基準法から言っても、県の労政指導から言っても、現地陸運事務所行政指導から言っても、これだけ違反事項があるのであるから、ひとつ何とか正常に戻して話し合いに乗らんかと、こう言っているのですが、県の方に対しては一生懸命やりますと答弁して、組合側に来るとばあっとなっちゃう。われわれが会いたいと言うと、いや東京へ行った。私が東京へ来ると、いや向こうに行ったと、こうなって会えないんですよ。運輸大臣の冒頭のあいさつでは、運輸行政生命を預かっている、人間の生命を。生命を預かっている陸運業者にそういうことが果たして適格なんだろうか不適格なんだろうか。私はここまで来れば、やっぱり運輸行政として断を下すべきだと、こう思うんですよ。やはり仙台陸運局長に来いと、お前はどうなんだと、一体人の命を預かって、しかも従業員を預かっておって。お前さんはあっちこっち仕事があるから飯を食って歩けるが、そこに働いている労働者はどうして食っているか知っていますか。皆土方ですよ、共かせぎですよ。それでおって自分が問題を解決しようとしない。しかも、県も、陸運事務所も、基準局も、全部から言われてもがんとして応じないというのは、私はもはやこれは労働問題じゃない。陸運行政の姿勢だと、タクシー業者の。こう思うんです、私は。その点、大臣どうですか。あなたも労働大臣になって、労働行政もやっていることだし、命を預かるものに免許、許可という点からいくと、もう社会的正義に反する、ここまで来ると。この斎藤斉というおっさんは、私はやっぱり断固とした行政の処分すべきだと、こう思うんですが、いかがですか。
  26. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 目黒先生のおっしゃいました点につきまして、岩手陸運事務所で六月に、当該会社争議中でございまして、余りそういったときに監査ということをやらないんですが、事が輸送の安全にかかわる違反事項があった場合にはゆゆしきことであるという認識に立ちまして監査を実施いたしまして、これに対して七月に陸運局長から監査いたしました結果の、車両管理なり、あるいは運行管理等の点につきまして是正すべき点を指示しまして、その点についての是正を勧告いたしたわけでございます。それからその間、陸運局長といたしましても、斎藤社長を局に呼びまして、いまのような状態ストライキが長く継続するということにつきまして、やはり足を確保するということと、輸送の安全を確保するという意味合いから、早期に話し合いのもとに円満に解決するよう要請をしたところでありまして、今後も私どもとして、さらにそういった行動を継続したいというふうに考えております。
  27. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、いま運輸大臣であって労働省をお預かりしているわけではありませんが、目黒先生お話を伺っている限りにおいて、この問題を取り扱う経営者側態度というものに幾つか問題点があるように思います。労働組合法の問題その他あると思います。ただ、これがいま裁判になって、裁判係争中の段階でありますので、われわれの立場からこれについて法律的な見解というものを述べるのは、裁判になっている以上穏当でないと思うのです。運輸省としてこの問題を扱う場合の態度は、いま自動車局長が申しましたように、ハイヤータクシー業を営む安全、あるいは車両管理、そういう運輸行政上の問題点からこれを扱うべき問題なんであって、そういう点について運輸行政上問題があると見て、すでにいま自動車局長の申したような処置がとられているわけでありまして、やはり労働条件については、労使の間の自主的な交渉というものが基本的にはとられるべきで、それが前提だと思うのですが、いまのお話を伺っていると、途中まではあったようでありますが、その途中からは経営者側交渉に応じない、これは私の所管で言うのではないんで、労働問題を扱ってきました者の立場から言えば穏当ではないと私は考えております。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 われわれもこれだけ紛争解決しようと思って努力しているんですが、御本人には全然反省の色はないんですよ。これは岩手日報に、新聞に折り込んだ広告です。その広告関係だけを読みますと、「ドンブリ勘定時代は過ぎた 原価計算をしなさい どうせこの商売は儲けてはならん 損しては尚いかんと云う商売なのだから経理公開でやったらよい。タクシー業お客さんの命を預かる仕事だから法でしばられる。勝手な事は出来ない。陸運事務所では道交法運輸関係法基準局では基準法労政関係では労組法、その他税法、自賠法、社保法等々これらの法のきまりは絶対に守らねばお客さんを危険にさらすことになる。そこで社長のやることは自分で法をよく理解し従業員に教えそして従業員に守らせることである。法を守るのは労働者自身なのだ事業のきびしさはこ玉から生まれるのだ。」と、陸運局とか、陸運事務所とか、基準局とか、県の労政から否定されておることについては全然反省の色がないんですよ。これをぬけぬけと新聞によってやっているんですよ。  だから私は、時間がありませんから要請します。こういう人は所構わず言って歩くんですから。私はこの都タクシー斎藤斉というおっさんが、自分のやることが、それが岩手県内に波及し、東北全体に波及し、後で申し上げる福島県にも波及しているんですから、本人を呼んで、関係者を呼んで、参考人として喚問して、いわゆる斎藤斉と、それからタクシー組合委員長と両方呼んで、本委員会で具体的に事情聴取をするということをひとつ提案します。  委員長、諮ってください。参考人要請をします。これは後で理事会で……。斎藤斉と、タクシー委員長、この二人、これをひとつ要請します。陸運事務所も呼びますか。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただし、それは私どもでお答えすることではありませんから……。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは理事会提案します。  それから、同じことがこれは福島県のタクシーの問題にもあるんですが、福島県のタクシー争議は、これは労政の方へどういうふうにきてますかね。
  31. 野崎和昭

    説明員野崎和昭君) 福島県下ハイヤータクシー業関係事件でございますけれども賃金引き上げの問題をめぐりまして労使紛争が発生し、五月以降断続的にストライキが行われました後、七月一日以降は一部の地域を除きまして県下全域で無期限ストが行われておるという状況でございます。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは運輸大臣ね。都タクシーのやつが福島の全県下でやられている。これは率直に言って同じケースなんですよ。都の場合はタクシー会社一つですけれども福島県の場合は、これは台数と従業員はどういう割合になっているんですか、わかっていますか。
  33. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 福島県の全県で事業者百八十六社、三千百七十五両でございますが、現在遺憾ながらまだストが実施されているという会社が二十九社、七百四十両で二三・三%の割合に相なっております。その中で車両数の多い福島市と郡山市について申し上げますと、福島市の場合には二十三社中七社、百六十二両が実施いたしておりまして二八・四%。それから郡山市の場合には二十三社中八社、三百五十両がストライキを実施しておりまして五三・四%という状態でございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これも、私も七月の九日福島に行きまして大分あっちこっち調べたんですが、一口に言うと会社経営が悪いということで、大体基本給を一万五、六千円下げて、総体でいま都タクシーと同じような、労働時間は若干延びる、手取りは約一万五千から二万減ると、そういう新交番なんです。新しいダイヤなんです。ですから、ちょうど都タクシーを全県下に広げたと、そういう形で、斎藤斉方式福島版——斎藤斉というのは都タクシー社長で、さっき言ったおっさんで、斎藤斉方式福島版と、こう言われているんですよ。ですから、都タクシーの考えと福島紛争は、これは表裏一体なんですよ。考え方において、姿勢において。  でありますから、この問題についても二体今後どうするかという点が焦点になってくるんですが、これについては、私もこの前行った際に経営者の皆さんともお会いして、ずいぶん一問一答で詰めたんですがね。私が行ったときは、やっぱり私が団長で国会議員が四、五名行きまして、まず経営者の皆さんからは関係者以外出てくれという話がありましたから、結構でしょうと言って、福島の皆さんの直接当事者を全部出しまして、それで一々紹介して、これでいいですかと言って入ったんですが、何かその後経協の方から文句が出たという話なんですが、それは別にして、ずいぶん私は一問一答、皆さんの前で詰めたんですよ。たとえば労働三法を守るとか、それから労使関係を安定するとか、あるいは二・九通達についてはこれを守っていくとか、それから一方実施はしないと、十分話し合いを続けると、最悪の場合は中央労働委員会に任せましょうと、そういうところまでずっと詰めて、地元の新聞は、これで紛争解決かというところまで言ってますがね。そこまでいったんですが、またひっくり返っていると、こういう現状なんですよ。  そうして、労働基準局は私は最大の努力したと思うんですよ。ここには全部書類持っていますがね、二.九通達について。ところ炉労働基準局長調査団に対して、私は一生懸命やったけれども、もう基準局の段階を超えて陸運行政ですと言うんです。どんなに指導しても陸運行政でうんと言わない限りは限界ですと。ですから、もうそういう問題は陸運行政ですから運輸委員会へ戻ってくると、こうなっているんですが、この問題についてどういう打開策を考えようとしているのか聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは私の方から質問するのもおかしいんですが、陸運行政としての重要性というのは、タクシーの交通量の確保とか、安全とかという面から言えば、三〇%近いタクシー争議で動かないということは、陸運行政としては大きな問題だと思います。しかし、労働基準局長がどういう理由で陸運局の問題と言うのか。たとえば陸運行政の中にある規定なり規範なりというものがその経営態度というものの効果をもたらしているという指摘なんでしょうか。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 陸運局は、去年の紛争の問題をめぐっていろいろありましたんで——ことしですか、労働基準局からハイタク協会に対して運転手労働条件についての一定の要請書を出しているんです。その要請書には歩合制をなくすとか、基本給を上げるとか、いわゆる二・九通達に従って善処しなさいということを指導しているんですよ。ところが自動車協会の回答は二・九通達すれすれなんですよ。ですから、基本給下げる、上げるなんということは基準局は言えないと、これは経営者の判断ですから。二・九通達のすれすれをいっているというんですよ。これ以上われわれは入る余地はないと、裏を返せばもう陸運行政という仕事が、ハイタクという仕事が成り立たぬからどうにもならないということなのか、成り立つけれども別な意図があるのか、あるいはお客さんに——大体いま言ったとおり福島は約三割、郡山は五割ですね、全市内で。とまっているんですよ。こういうとまることを犠牲にしてまでも、どうしても自分タクシー業をするためにやらなければならないのかと、その辺のかかわり合いは基準局ではわかりませんと言うんですよ。そこは仙台陸運事務所と、ハイタク業界と、そこのところで社会一般常識で考えてもらう以外にないと、私の手が届きませんと言うんですよ、基準局はね。そういう意味なんです。基準局長はずいぶん正直に答えてくれました。  ですから、福島問題については、もはや労政とか、基準局の問題の前に陸運局として、陸運行政として一体どうなのか。たとえば私が言っているのは、都と同じですよ。どうしても現行どおりでやれば福島のハイタク業というのは成り立たないのかどうかと、成り立たなければ成り立たない資料を出してくれと。ところが陸運局に行くと、去年の料金改定の際には、宮城県も、山形県も、秋田県も、岩手県の都以外のタクシーも、青森県も、一定の労働条件の改善は見込んでありますと言うんですよ。これは当然ですわね。料金改定の際に一定の——一定は幾らか知らぬけれども、一定の待遇改善の金は見込んでありますと言うんですよ。それを否定しませんと言うんです、業者は。業者が否定しないのに、なぜ問題の解決にならぬかと、そこがどうもわれわれわからぬですね。だから、そこのところをおたくさんの方でどういうふうに料理なさるかということを聞いているわけです。そこを陸運局長は私の限界と離れていますということなんですよ。
  37. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはハイヤータクシー業界賃金のあり方について、いまから十八、九年前に私が労働省におりますときに、歩合を主にする賃金体系というものを、固定給の割合を多くするような基準局長を通じての指導をいたしまして、そうしてそのころから固定給の割合がかなり上げることができたというふうに私自身が記憶しております。  それでいまの御質問は、そういう条件を守って経営をしていくのに需給関係その他からいって陸運局行政が適当であるかどうか、たとえば、お客さんが少ないのに自動車の認可の方が多いとか、あるいはまた、その土地の条件と運賃の認可との間にギャップがあるか、そういうことなんですね。恐らく労働基準局がこれ以上は自分のやることじゃないと言っている意味は。そういう状態については、自動車行政全体、これはトラックの場合にも言えることなんですが、許認可事務をあずかる立場としては常に需給関係のバランスを考えながら許認可をやらなければならぬ。バランスを失しますと、たとえば料金を上げてみても増収にならないでかえってお客が逃げて減収になるということがあり得るわけなんで、全体としてはそういう方針で臨むように私は申しておるのでありますが、仙台陸運局管区の現状については、自動車局長からお答えさせます。
  38. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 手元の資料で宮城、あるいは秋田と比較して福島の需給関係を申し述べますと、ハイヤータクシーの場合の需給関係というのは、必須的な輸送需要と、そうでない輸送需要がありまして、なかなかその辺むずかしいのでございますが、一応実車率でこれをとらえてみますと、五十年度で宮城県の場合が全県で五二・二%、仙台市が五四・五%、それから秋田県の場合に全県で五〇%、それから秋田市が四九・六%、それから問題の福島県でございますが、福島県の場合に五一・二%、それから福島市が五二・五%、郡山市が五〇・三%というような状態でございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 岩手県ないですか。
  40. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) いま岩手県の資料ちょっと持っておりませんものですから。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、いま宮城県が五二・二、仙台市が五四・五ですか。私は仙台だから、福島県と仙台を見るととんとんぐらいですね、若干低いぐらいで。一%。それで、宮城県の場合は、ことしの賃金の支払いについては、これは幸か不幸か、大体全県の九〇%全自交に所属していますから、十六支部統一交渉で統一賃金なんですよ。それで基本給十万円ですよ。そして福島の場合は、現行基本給八万円を六万二千円にすると言うんでしょう。一万八千円のダウン。仙台は九万から十万に一万上がっているんですよ。それでも結構宮城県のタクシー経営者は、仙台市も郡部も経営うまくいっているんですよ。同じ供給需要の関係があってなぜ福島だけが八万円から六万二千円に基本給を下げてやらざるを得ないのかと、どうもそこに私は、陸運行政の問題を飛び越えて、労働組合つぶしという別な意図があるんじゃないかという気がしてならないんですよ。  都タクシーの問題も、しょせんはあそこを拠点にして岩手県内に波及させるために都タクシーをつぶせと、福島県の場合には、もう全県で連帯をしてつぶしてしまえと、全自交という組合を屈服させろと、陸運行政もへったくれもないと、組合を屈服させろと、そうして次は九〇%の組織率の宮城県に、いわゆる本丸は宮城県だと。東北全体の労働組合対策にこの問題が転嫁されていると、どうにもそんな気がしてならないんですよ。本当に陸運行政ならば私は、もうとっくに福島問題は解決してもいいはずだと、別な意図があると、こう思うんですがね。その点は労働大臣も経験された運輸大臣としては、私の勘がこれは正論でしょうが。本当に収支のバランス、供給と需要の関係、県民の足、宮城県、山形県、それから茨城、栃木と、隣県の関係ということを考えれば、この問題は労働問題、経済問題となればとっくに解決していい条件が熟していると、なぜ解決しないのかと、そこのところがどうも私わからないので見解を聞きたいと、こう思うんですよ。
  42. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 経営者がどういう意図を持っているかというところまでは私はどうも推察いたしかねます。実車率はいま御報告申し上げたとおり。ただ、そのほかに一車両当たりの収益率というものが多少違うんだそうでありますので、いま自動車局長から報告させます。
  43. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 実働日車当たりの収入を見てみますと、仙台市の場合に二万四千七百円、福島市の場合に一万六千六百円、郡山市の場合一万六千八百円というような状態でございまして、こういった実車率なり、あるいは実働日車当たりの収入そのほかの指標から、いまの点は詰めていく必要があろうかと思います。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間が来たようですから、私はこれ以上言いません。ただハイタクでもトラックでも同じですが、許可する際に地域の情勢をよく勘案するとか、それから広域的なものを考えるとか、いろいろありますわね。私は、少なくとも会社を認可する際、確かに命を預かる、社会の足を預かると同時に、その会社が、設立する以上は少なくともそこに働く従業員と家族の社会的水準の生活を保障できる、そういう絶対的義務があるんだと思うんですね、義務がある。ただそれが認可条件に一項もない。いわゆる人間はどうあってもいいと、車とガソリンさえあればいいんだ、道路は国がつくってくれる、人間は全然、ハイタク業界における人間の位置づけというのはないんですよ、遺憾ながら。これは人の命を預かる運転手が、自分の生活がきちっとしないでどうして働けますかという逆論も成り立つんですよ。だから、免許行政の中に、やっぱりその会社は少なくともそこに働く従業員と家族の社会的な、平均的な水準を保障する義務があるということを一項入れるべきだ、認可条項に。それをぜひ私は運輸大臣に検討してもらいたいと思う。また、労働省労働者を守るという立場から、当然認可条項に一項起こすべきだ。そうしないと、こういう紛争はいつでも出てくると、こう思うんですよ。その点はどうですか。
  45. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 前段の項目は、それはハイヤータクシー業だけに限らず、およそ事業経営する者の当然の共通の責任であると思いますが、認可、許可条件の中にこれを入れるべきか入れるべきでないか、あるいはまたどういうふうに扱うべきか、これはぜひ検討をいたしてみたい問題だと思っております。  原則的に労働条件に関する紛争は、労使双方の協議で決定せらるべき性質のものであり、それが不可能な場合は、それぞれの地方の労働委員会の判定に従ってもらうというのがたてまえでありますが、どうも福島県の場合は、その労働委員会の公益委員の裁定も両方ともけっしてしまったというように聞いております。しかし、何とか共通の場へ持ち込める現実的努力を労働基準局並びに陸運局が協力して、さらに県内抗争の問題でありますから、県内の知事なり県庁なりがそういう努力を共同してやるべきものだと思います。  それから、その許可、認可の場合、これは常に考えなきゃならぬのは、実車率及びその実車の収益状況、そういうようなものとにらんでやらないと、そういうものから破綻がくることもありますので、この許認可の基準と申しましょうか、そういうようなものを、全国的にいまできておりますけれども、見直してやるべきものだと、こう考えております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後の要請ですが、もう七月一日からとまっておる、福島は六月の二十一日からもう百日以上たっているものですから、この際、いま他県の状態もわかったでしょうから、もう地労委という段階を飛び越えていると思うんですよね。ですから、知事選も終わって、県知事も行政に一通りの見通しが出た段階であるから、もう一回振り出しに戻して、知事のあっせんで、労使の代表でひとつ局面打開を図る、労の方は労評ですよね、それから使の方は乗用車協会ですか、ハイタク協会の上の乗用車協会、そういう三者会談でこれは局面打開を図る、そういう方向性をぜひ大臣の方でも模索してもらって、われわれも県の関係者に対して、そういう方向で努力してほしいという点をもう一回要請したいと思いますから、そういう点で当面の打開について、知事を中心に知事あっせんといいますか、そういう形の段階で事態収拾を図るようにひとつ努力してもらいたいと、こう思うんですが、どうですか。
  47. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 地労委の公益委員のあっせんが両方でけ飛ばされたんですから、もうその段階を越えていることは確かであります。  それから、これは労働問題でありますから、陸運局が直接的に乗り出すべき性格のものでないことも明らかである、同時にほうっておけないことも明らかだ、そうなれば、当該府県知事のあっせんということが当然考えられるし、あっせんに乗り出してもらうべきものだと私は考えます。ただし、これも本質は労働問題でございますので、労働省の方で実際的な進行はやってもらわなけりゃならない、こう考えております。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 はい、わかりました。そういう努力を要請します。  国鉄関係、ちょっと二、三お伺いします。時間があと五、六分しかありませんから。  一つは、たれ流しの問題が全施労で皆さんからいろいろ出ておるんですが、従来のたれ流しの車両ですね、この整備計画、改善計画、それはどういう展望を持っているんでしょうか。
  49. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いわゆる列車の便所からの汚物処理でございますが、この問題は前々からいろいろ御指摘を受けておりまして、私の方は鋭意、新幹線にはすでにタンク式になっておりますけれども、在来線の方はいわゆるたれ流しということでございますので、いま先生の御指摘のように、まず車両の方にタンクを整備するとともに、今度は車両の基地において、タンクにたまった汚物を抜き取って浄化し放流する、あるいは下水道に放流するという基地の整備を、両方実は並行して進めてございます。ただいまのところ、とりあえず五十三年度を目標に、まあ全国の車両基地全部はできませんけれども、とりあえず二十二の基地において浄化ができるようにいま整備を進めております。ただいまのところ六カ所の基地の整備が済んでおりまして、逐次二十二の基地を完成させて、極力たれ流しを少なくしたいというふうにいま計画を進めておるところでございます。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、私もたまに仙台に帰るんだけれども、大宮に来ると、トイレの使用はやめてくださいと、われわれ国鉄に籍置いた者は身ぶるいするようなことを毎回聞かせるんですがね。まあこれは金もないないとは言いながら、やっぱりお客さんなり沿線住民の、場合によったら大変な伝染病のもとにもなるので、国鉄予算だけでなくて、厚生省の方も含めて、公衆衛生の面からも私は早急にやるべきだと思う。そういう点で、きょうは厚生省がどうしても次官が来れないというんですから、国鉄だけでなくて厚生の方も含めて、一日も早くなるようにひとつ努力してもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  51. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま予算というお話がございましたけれども、一応私の方、計画のとおり実は進めてまいりたいと、できるだけ早くやりたい。問題は、車両にタンクをつける方は、これはいわゆる予算とか、作業の手の問題でございますけれども、基地の整備が、下水道のできている都市ですと下水道にすぐ放流できるということで協議がすぐまとまりますけれども、下水道の整備されていない都市における浄化の放流というのがなかなか地元の方と了解がつかないということで実は非常に苦労をいたしておりますけれども、これも鋭意地元市町と協議を進めまして、できるだけ早く完成をさせたいというふうに考えております。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 われわれも関心を持って努力しますから、厚生省なり各都市、特に都市部ですね、特段の努力をお願いします。  それからもう一つは、これに直接携わっている保線の方々なり、あと客貨車の修繕する方々なり、あるいは外部に一部外注しますね、そういう際にはどういう配慮をしていらっしゃるんですか。
  53. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 基本的にはいま言いましたたれ流しをしないということを鋭意やるわけでございますけれども、現実にはこの百年来ずっとたれ流しという実態でございますので、私の方の作業員にその粉末が飛んでくるというような問題が具体的にございまして、私の方は、いまとりあえずとしてはそういう方々の衛生管理、あるいはできるだけ手を洗うとか、あるいは石けんを準備するとか、タオルを準備するとか、そういったような衛生関係を主に、いまそういうこと以外にちょっと方法が考えられないということでそういう処置をいたしております。  なお請負業、いわゆる線路に近接していろいろ請負業者の方々が大勢働いておられます。これらの方もいま環境の問題だけじゃなくて、線路のそばで作業をする方にはこの環境問題以外に非常に危険作業とかいろんな問題がございますので、そういうものを含めまして、請負の方々には契約をするときにそういうものを含めた値段で契約をして、できるだけ危険の問題と環境の問題をあわせて配慮するように指導しておるというのが実態でございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一層の努力をお願いします。  時間が来ましたからもう一点だけ、一分か二分。  雇用審議会の答申が五月にありましてね、そろそろ官庁なり会社なりの、まあ定年という言葉は余りよくないんですが、定年を六十歳に延ばせと、六十歳から六十五までは軽度の仕事、六十五歳以上からは年金と、こういう雇用審議会のあれがあって、どんどん延びていくんですが、これは橘高常務だと思うのですが、お伺いしたいんですが、国鉄の場合も四十九年から、五十五から一応肩たたきの年齢が五十七歳ということになったんですが、私、今回全国を歩いてみて、動力車乗務員の皆さんは五十五が五十七に延びても、とても五十七ではハンドルを握っておれないと、重労働で。特に百両も貨物を引っ張って一人乗務で歩く運転手など午前二時、三時になどとても勤まるわけじゃないと、年齢が延びても。結局調べてみると国労、動労含めて八六%程度の皆さんはこういう制度があっても五十五でやめていくんですよ、約八六%。全然年齢延びたという恩恵は肉体的条件が許さないのか、待遇が悪いのか、いろいろ両方の面があると思うのですが、やはり年齢延長の恩恵に浴する環境にないと、労働条件賃金その他。  でありますから、きょうは問題点だけ提起しますが、これの問題について何とかやはり考えてみる必要があるんじゃないかという気が国労、動労の組織を問わず、私はずいぶんあちこちで言われてまいりましたので、これは国鉄当局ではなかなか言えないものであるから、やはり全体の問題としてどうするかということをひとつ考えてほしいという要望がありましたんで、この面について考え方なり検討の意思があるかどうかお答え願いたいと、こう思うのです。
  55. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいまの先生のおっしゃいました乗務員は、せっかく定年を延ばしてもらっても責任も重いし仕事もきついということで、ほとんどが五十五歳でやめてしまうではないかと、それはそういう仕事が責任も重いしきついんで、待遇面で見るべきではないかという御指摘だろうと思いますけれども、この新しい制度になりましたのは一昨年からでございますが、五十七歳まで延ばしましたときの実績を申しますと、実は動力車乗務員だけ正確にとっておりませんので運転区でとりますと、全体の数字が五十年度実績で六一%やめておるのに対しまして、運転区も同じ数字で六一%と出てきております。これは恐らく動力車乗務員が最後のところで地上におりるというような面もありまして、その辺で実際に検修に行った人がたくさん残っているのか、あるいは動力車乗務員がどの程度残っているのか、その辺ははっきりいたしませんけれども、実績で見ますといま申し上げますように六一と同じ数字になっております。なお、これは精細にまた今後調べてみたいと思います。  待遇の問題につきましては、私どもまあ鉄道始まって以来、動力車乗務員の賃金問題というのは常に大きな問題でございまして、先生がおられましたころから動力車乗務員の格差問題つまり一般に対してこの動力車乗務員の賃金というものは、責任が重いんだから上積みすべきではないかという議論に対しまして、三十二年以降、当初は二百円積みまして、現在それは九百円になっておりますし、その他また職群のランクづけにおきましても、一般の職が一職群からスタートするのに対しまして、機関助士は三職群から六職群まで、あるいはまた機関士は七から十までという非常に高いランクに位置づけてございます。その辺は十分に考えながら措置してきておりますけれども、なお、御指摘の点につきましては、私どもも常に頭の中に入れておりますので、まあ現実には、これ団体交渉の問題でございますのでそこで議論いたしますけれども、御指摘の趣旨に沿って努力いたしたいと思っております。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後に一問。  列車の揺れの関係ですが、私も全国を歩きますと、どうしてもやっぱり東北本線、上越線の揺れがひどい。北陸線と東北線などを比べてみると、同じ百十キロ運転でも、あっと、これは別の国へ行ったのかなと思うくらい線路の状態が違うんですね。まあ計画では東北本線、上越線、信越線などについても取りかえる予定があるようでありますが、これは国鉄の予算の関係もありましょうけれども、あれ、列車が脱線してしまうと何億という弔慰金も持って上がって、国鉄総裁、運輸大臣まで引責辞職なんという、発展しかねないしろものですからね。やっぱり路盤の整備を早急にやってもらいたいし、どうしても路盤の整備が無理ならば、やはり減速運転しかねないじゃないかと、こう思うんです、私は。特にまあ「ゆうづる」、青森行き夜行列車。電車の夜行に乗ったら、私はお客さん三分の二ぐらい寝てないと思うのですわ。あの騒音と揺れとで。私自身も商売で大分乗ったんだけれども商売のわれわれさえもはっとするぐらい揺れるんですから。ですからやっぱり線路点検にもう一回関心を持って、予算の関係もあるだろうけれども、安全の問題ですから最優先にやってもらうように、新しい運輸大臣もその点は十分配慮して、やっぱり命が一番大事ですから十分な配慮をお願いしたいということを、大臣への要請と、それから国鉄側の見解を聞いて質問を終わります。
  57. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 高崎本線と東北本線については百二十キロ運転をいたしております。それで、ほかにも全国百キロ以上の線区はたくさんございますけれども、実際に車両の動揺を最近いろいろ測定いたしておりますけれども確かに多い。乗った感じも非常に乗り心地が悪いという御指摘を多分に受けております。私の方はいろいろそのレールと車輪の関係の、その力関係については、これは安全の問題に直接関係ございますので、これは厳しく検査もし、調べておりますけれども車両全体の動揺という問題については、残念ながらちょっと勉強不十分でございました。ということで、安全の問題についてはレールの交換、あるいはレールを重くして、従来五十キロ軌条であったものを六十キロにする等、いろいろいたしてまいります。車両の動揺についてはすぐには実は解決をいたしませんですけれども、技術的な測定をいま鋭意繰り返しておりまして、できるだけ乗り心地のよい線路にしたい。基本的には東北、高崎、ともに路盤の非常にやわらかいところが実はございまして、直接脱線ということには関係ございませんけれども、そういうところがございますので、まず路盤全体を強化しながら、なおかつレールを重くしていくという処置を逐次とって、乗り心地のいい線路にしたいというふうに考えております。
  58. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本航空の業務の問題に関連しまして、日本航空の国際線におけるお客さんに出す機内食、食事ですね、それから日本航空の乗務員の海外における宿舎の問題、それから日本航空と国際興業との間のホテルブロック契約、この三点の問題についてお聞きしたいと思うんです。     〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  私は、この質問は、ロッキード事件で大きな疑惑を受けている小佐野賢治との関係をきっぱり清算をするということが、いま政治姿勢としても非常に大事であり、また国民からも要求されておるし、日本航空に働く人たちからも要求されているということで非常に大きな問題だと思うんで、そういう観点から質問をしたいと思うんです。  航空局長に伺いますが、まず日本航空の国際線の機内食を調達し提供する会社の中に、ハワイのインターナショナル・インフライト・ケイタリング・コーポレーション、こういう会社がありますが御存じかどうか。御存じだとすればその資本構成、それから設立の年月日などについて御説明願いたい。
  59. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  日本航空がハワイで契約しております、いまお示しのインターナショナル・インフライト・ケイたリング・カンパニー、略称IICCと言っておりますが、これは資本金八十八万ドル、出資比率は日本航空が五一%、国際興業三九%、その他一〇%でございます。設立は四十六年の七月の二十日、営業開始は四十七年五月一日でございまして、日本航空は営業開始のときからこれを利用いたしております。
  60. 内藤功

    ○内藤功君 私は、いまここにハワイの方から取り寄せました、ことしの四月二十八日付の交付でありますが、何て言うんですか、アニュアル・コーポレーション・リポート、日本流に言うと有価証券報告書、いま言われたIICCの報告書をここに持っているわけなんですが、これによりますと、現地資本がお金出しているというのは、これはビクター・K・ボイドジュニアという現地資本ですか、この点はどうですか。
  61. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) そこまで深く、詳しいことは承知いたしておりません。
  62. 内藤功

    ○内藤功君 よく調べてもらいたい。これは有価証券報告書、日本流に言うと。年間報告書です。ここにはっきり書いてあります。  そこで次に、機内食というものがどのぐらい出るかということになると、業務内容を見ますと、日航便のホノルルから東京間、これが週に二十一便ぐらい出ているんじゃないですかね、いま。それからホノルルからアメリカの本土の間、それからアンカレジからニューヨークの間、これが週七便掛ける二で十四便、アンカレジからヨーロッパの間が週九便で、掛ける二で十八便、合計大体五十二便の日航の国際線の食事、まあ、ケイタリングというのは食事を提供するということだと思うんですが、これをやっているのがこのIICCという会社なんです。大変な仕事量であります。  このいまおっしゃったIICCという会社の取締役には「Kenji Osano」と書いてあります。ローマ字で「Kenji Osano Director」、取締役ですね。日本の東京の世田谷区の中町五の一の七と住所が書いてある。まさにあの小佐野賢治である。これが取締役に入っているということは、これはお認めになりますね。
  63. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 国際興業側から非常勤取締役として小佐野賢治氏が出ておることは承知いたしております。
  64. 内藤功

    ○内藤功君 このIICCがまさに洋食の部門を担当しているんですよ。  細かい話になって恐縮ですが、和食の部分はどこが経営しているかお調べになっていますか。     〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  65. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは国際興業が一〇〇%を出資いたしてつくりました京屋というお店でございます。
  66. 内藤功

    ○内藤功君 いま航空局長が言った京屋というのはハワイにある日本料理店で最近非常に有名になった。というのは、ロッキード事件のいろいろな調査の中でわかっているように、一九七二年九月の例のニクソン・田中会談のときに、田中前総理一行がここで日本側の内輪の昼食をやっている。ロッキード委員会で外務省から出された資料によると、九月一日の十二時から十三時まで約一時間、ここで日本側の内輪の会食が行われたというその京屋です。これが和食の方を提供しているわけです。  ここにおられる方も日航でアメリカへ行って帰りに食べられた人がずいぶんいると思う。これを全部小佐野賢治の系統が洋食も和食もやっているわけなんです。これは昔からこの小佐野がやっていたわけじゃなくて、小佐野の前は、アメリカで有名な国内線にユナイテッド・エアラインというのがあります。このユナイテッド・エアラインが機内食をやっていたんですが、小佐野が京屋だとかIICCという名前でケイタリング——食事の提供の方を自分の方にかえしたと、こういう関係なんですね。  そこで、事実関係だけ聞いておきますが、まだあるんです。日本航空の乗務員、つまり運航乗務員、それからスチュワーデス、パーサーなどの客室乗務員、こういう方々が勤務でアメリカなりハワイへ飛んだ場合の宿泊所はどういうところに宿泊しているか知っていますか。
  67. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えいたします。  ハワイではプリンセス・カイウラニ・タワーというホテルがございまして、四十五年から乗務用に使っております。それからロサンゼルスで乗員用ホテルとしてシェラトン・ウエスト、これを使っております。四十七年十月から使っていたのでありますが、これは当初から、五十一年秋には契約を解除するという予定があったようでございまして、ことし九月をもって契約を解除し、ほかのホテルにかえております。したがいまして、現在、その関係ではハワイのプリンセス・カイウラニ・タワーだけでございます。
  68. 内藤功

    ○内藤功君 プリンセス・カイウラニ・ホテルと、それからシェラトン・ウエスト・ホテル、これの所有者、資本系統はどうですか。
  69. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) プリンセス・カイウラニ・タワー及びシェラトン・ウエスト、いずれも先ほど申し上げました京屋の所有でございます。
  70. 内藤功

    ○内藤功君 京屋というのが両方とも所有している。つまり、全く小佐野系のホテルに乗務員は泊めているわけです。そこで、このプリンセス・カイウラニ・ホテルというのも、これもいまロッキード問題の調査の中で非常にはっきりしましたが、これはたしか、大蔵大臣が田中角榮時代に小佐野賢治氏が某日本の金融機関からの融資を受けて約三百万ドル、当時としては外貨の規制が非常に厳しい折でありますが、これを持ち出してつくったと、こう言われているホテルで、ロッキード委員会でも非常な論戦の対象になった問題のホテルですね。そういうところに従業員が泊まっている。  それからもう一つ注意を喚起しておきたいのは、四十七年の例のハワイの田中・ニクソン会談のとき、八月三十日の午後九時から十時まで、これは外務省の提出した田中角榮氏一行の日程表によると、二十一時から二十二時までここのホテルで日系人の会合があって、ここへ田中角榮が行って小佐野賢治とここでも会っている、こういうことなんですね。そういう問題のホテルなんです。そこにずっと従業員を泊めていた。プリンセス・カイウラニはいまでも泊まっている。ロスのシェラトン・ウエスト・ホテルについてはどういうわけか、九月の末に取り消したようですけれども、この点は後でまた聞きます。  そこで、宿泊する乗務員の数はロスの場合どのくらいか。サンフランシスコの場合どのくらいか。ハワイの場合どのくらいか。大体どのくらいですか、数は。
  71. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは部屋数しかわかっていないのでありますが、ハワイの場合には六十室ございます。それからロサンゼルスの場合には三百七室のうち日本航空の乗員用としては二十四室ないし五十室、一日当たりにいたしまして。それを利用するという取り決めになっておったようでございます。
  72. 内藤功

    ○内藤功君 これだけの数の運航乗務員、客室乗務員の人が全員選択の余地はないわけなんです。おれはこのホテルはいやだと言っても、とにかく小佐野の経営しているホテルに、小佐野系のホテルにみんな泊まらせられている。これは世間が見たらどう思うかということはやっぱり政治姿勢として非常に大事で、軽視できない問題だ。  それから毎日のことであるし、代金もどれ相当大変なものですね。どうですか、こういうホテルは一泊二十ドルするのか三十ドルするのかよくわかりませんが、どのくらいのものですか。
  73. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) プリンセス・カイウラニ・タワーが一日十八ドル余りというふうに言っておりますので、恐らく同じ乗員用ホテルでございますから、ロサンゼルスの場合も同じ程度だと思います。
  74. 内藤功

    ○内藤功君 その泊まりの代金のほかに食事がありますから、二十ドルを超すだろうと思うのですね。これだけのものが入ってくる。そうしてこの利益が、日本航空の取締役もしている、また最大の個人株主である小佐野賢治の系統に入ってくるということなんです。そして、特にさっき私は従業員の選択の余地の問題を言ったが、ロスのシェラトン・ウエスト・ホテル、このホテルは、余りこういうことで文句を言う方はいないはずなんだけれども、そういう従業員方々からも、乗務員の人たちからもこのホテルは余りよくないという異論が出た、反対が出たということを御存じありませんか。
  75. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私は直接には聞いておりません。
  76. 内藤功

    ○内藤功君 これはよく調べてもらいたい。  このホテルについては、十月一日から変わったと言うけれども、これは初めから九月末までの契約期限だったと言うけれども、私は、それは本当の理由じゃないと思うのです。よく調べてほしい。このホテルについては、特にスチュワーデスの人が反対したと言われているのですね。空港からも遠い、不便だ。市の中心街からも遠い、不便だ。それから食事ですよ。せっかく外国に行っているのですから、食事のうまいところというのを望むのは人情です。従業員にそれくらいのことをするのはあたりまえ。食事がよくない。こういう反対が出ているにかかわらず、乗務員のこういう意見を無視している。日本の一回ぐらいの食事ならがまんしろということも言えますが、外国の勤務です。そういう意見も無視して、ここにずっと宿泊させたと言われます。  こういうことと、それからやはり小佐野賢治系だということの批判というものから私は変えたのじゃないかと思うのです、これは本当のところ。そういう点をよく調べてもらいたいと思うんです。なお、このホテルだけじゃない。ほかのホテル全体についても小佐野と結びついている印象を与えるということは非常に問題だと思うのですね。  また、事実関係がもう一つあるのです。こればかりじゃない。まだある。これはいわゆるブロック契約、ホテルとの間にブロック契約を結んでいる。ホテルと、それから国際興業と日本航空、この三者間でのブロック契約——ブロック契約というのは、ホテルの部屋を一定数買い占める契約、こう理解をしておりますが、こういう契約をしていると思うんですが、運輸省の方では、日本航空と国際興業の結んだハワイ方面におけるホテルブロック契約の内容、ホテルの名前、そのブロック契約の室数というものについてお調べでしょうか。
  77. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 対象になっておりますホテルは四つございます。これは日本航空の乗客——ホテルに泊まりたいという方に便宜を図るためにあらかじめ決めてあるものですが、申し上げますと、ホテルの名前でございます。モアナ、四百六室、それからプリンセス・カイウラニ、五百十四室、その次がサーフ・ライダー、四百三十二室、プリンセス・カイウラニ・タワー、六百四十室、この四つのホテルと日本航空と優先利用契約というものを結びまして、日航の要求する部屋を優先的に確保するという契約を結びまして、日本航空の乗客の希望にこたえられるように日本航空としてはあらかじめホテルの部屋を確保したということであると承知いたしております。  優先利用契約の内容の詳細。につきましては、私はいま承知いたしておりません。
  78. 内藤功

    ○内藤功君 いまのホテルの所有系統ですが、モアナ・ホテルとプリンセス・カイウラニ・ホテル、それからサーフ・ライダー・ホテル、プリンセス・カイウラニ・タワー・ホテルの所有者はだれか。
  79. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 四つのホテルまとめて申し上げますが、初めの二つ、モアナとプリンセス・カイウラニは国際興業の所有でございます。それから、サーフ・ライダーとプリンセス・カイウラニ・タワー、この二つは京屋の所有でございます。
  80. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことで、たとえばいま日航でジャルパックというのがありますが、文字どおりパックであります。日航の飛行機で運んできて、日本の小佐野賢治の系統のホテルに泊めて、そして、その経営の料理屋で飲食をさせて、おみやげ物もその系統で買って、帰りは日本航空の飛行機で帰る。そして、機内食も小佐野賢治だと。全部この小佐野系統によって、文字どおり、言葉は悪いですが食い込まれている——食事だから言うわけじゃないが、食い込まれておる。こういう状況なんですね。  そうして、私は、これ以上細かいことは聞きませんけれども、いまのホテルの数のうち、この全部に日本航空がブロック契約しているわけじゃないでしょう。このうちの何室を特にブロック契約として対象にしているんですか。
  81. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) ただいま申し上げましたホテルの部屋の中で、月によりお客さんの数が変わりますので異なりますが、合計で百室ないし百五十室、これを優先的に利用するという契約を結んでいるわけでございます。
  82. 内藤功

    ○内藤功君 その数字は、私の方がいろいろ調べたところによると、もうちょっと多いように思うんです。もう一遍調べ直してほしいんですが、私の調査では、一九七四年一年間の数字です、いまはもっと多いと思うんですがね。モアナ・ホテルが七十室、サーフ・ライダーが五十室、プリンセス・カイウラニが二十室、プリンセス・カイウラニ・タワー・ホテルが三十五室、合わせて百七十五室、もうちょっと数は多いように思うんです。一人大体二十ドルとしまして三千五百ドル、円に直して、三百円で計算しますと百五万円、一日百五万円を落としていく。大変な金額になるわけであります。  そこでお伺いしたいのは、いままでの大体事実ではっきりしてきたと思うんですが、国が五〇%も出資している日本航空、いわゆる公益的性格を持つナショナル・フラッグ・キャリアと言われているこの日本航空が、小佐野賢治のような人物とこういう形で深く結びついているということは非常な問題だと思う。ロッキード事件の再発を防止すると言われている、そして二度と再びこういう事件を起こさないとしている、こういう運輸行政のもとで、これが放置されていてはならぬと、私はこう思うんです。  そこで、法務省来ておられますか。——法務省にお尋ねいたしますが、突然であれですがね、商法の二百六十五条「取締役が会社ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲受ケ会社ニ対シ自己ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲渡シ」、ちょっと略しますが、「其ノ他自己又ハ第三者ノ為ニ会社ト取引ヲ為スニハ取締役会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス」という条文ですね。要するに、会社の取締役である人物が、その会社と商取引をする場合——自分の製品を売ったりなど取引をする場合には、これは取締役会の承認を得なきやならぬという規定でありますね。法務省にお伺いしたいのはこの規定の簡単な趣旨と、それから、この規定に反して、取締役会の承認を受けないで、取締役が会社との間で商取引行為をした場合の法律効果と申しますかな、どういうふうになるのか、法律的に。その点だけをひとつわかりやすく御説明願いたい。
  83. 元木伸

    説明員(元木伸君) お答え申し上げます。  まず、この二百六十五条の立法趣旨でございますけれども、これは説が分かれておりまして、忠実義務の一権限というふうに解される考え方と、それからもう一つは、自己取引における業務執行の方法を定めたものであると、二つの説がございます。しかし、まあ通説は忠実義務ということで会社のためには法令、定款に定められたとおり、または会社の総会決議に従って業務を執行すると、そういうための一義務を定めたものである、このように解されております。それで、このような取締役が自己取引、会社との取引をするにつきまして取締役会の承認を受けなかったという場合の法律効果につきましては、これもまたかなり説が分かれておりまして無効説、有効説、あるいは相対的無効説、複合説というようないろいろな説がございます。ただ、現在のところ判例は相対的無効説ということに立っていると思われます。つまり、取締役と会社の間ではこれは無効であるということでございます。そして、善意の第三者に対しては、これは会社としては無効が主張し得ないということになっているのが判例でございます。  以上でございます。
  84. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、まず二つの点で、こういう商法二百六十五条の規定は通説、つまり多数説は忠実義務、これは説明が少し足りなかったように思うんだが、言うまでもないことだが、取締役のその会社に対する忠実、取締役というものは会社に一番最善と思うことをやる責任があるということですね。こうなってるんでしょう。
  85. 元木伸

    説明員(元木伸君) 忠実義務につきましても、これは実は説の対立がございまして、このゆえんが二百五十四条の二からまいっているわけでございますけれども、二百五十四条の二と申しますのが、二百五十四条に決めております取締役の善管注意義務、つまり契約責任からくるという考え方と、それから、特殊責任、つまりいわば会社に奉仕している、会社と上下の関係にある、そういうことからのいわば、忠実に会社のために業務を執行しなきゃいかぬ、こういうふうな二つの考え方がございますけれども、これも通説の方は上下の関係、つまり特殊責任であると、こういうふうに解されております。  以上でございます。
  86. 内藤功

    ○内藤功君 今度は逆に、細かく専門的になり過ぎましたけれども、要するに、取締役の会社に対する忠実責任だと、こういうことですね、いいですね。  そこでもう一つは、では、そういう違反した場合の効果はどうかと、これは会社とその取締役との関係では無効だということですね、相対的無効ということです、善意の第三者は別として。会社とその取締役の間では無効だと、こういうお答え。これは四十六年の最高裁の大法廷の判例だと、こういうことでいいですね。
  87. 元木伸

    説明員(元木伸君) 四十六年の最高裁判例は相対的無効説に立っておりまして、取締役と会社の間の行為は無効であると、ただ、善意の第三者に対してはこれは無効は主張できない、こういうこでございます。
  88. 内藤功

    ○内藤功君 法務省はもう結構です。  そこで、言うまでもなく小佐野賢治というのは日本航空の個人筆頭株主であって、昭和四十八年以来の取締役なんですね。小佐野はまさにこの取締役としての地位を利用して、航空機の売り込みはもとより、旅客や従業員の宿泊するホテル、食事、機内食、おみやげというすべての分野に食い込んできているということがもう明らかだと思うんだ。これはまさに取締役と会社との取引行為になると思うんですね。  そこで運輸省に聞きますが、こういう小佐野系の会社との宿泊とか、食事の提供とかの取引について、いま言った取締役会の承認というのは得てんですか、どうですか。
  89. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) そのお答えになるかどうかわかりませんが、先ほど国際興業が所有するホテルと日本航空が契約しているとお話ししたわけでございますが、そして小佐野賢治氏は日本航空の非常勤取締役、これも両方とも事実でありますが、また国際興業と小佐野賢治氏の関係が、通常考えられているところと違いまして、小佐野賢治氏は国際興業の役職を持っていないわけであります。株主ではありますけれども役職を持っておりません。国際興業の社長は小佐野栄という人でございまして、この方は小佐野賢治氏の弟さんでございますが、そういう形でございますので、形式論を申し上げればただいまの商法上の議論は出てこないと思いますが、ただ、私は形式論ですべてこれを押し切るというつもりはございません。  そもそも日本航空が、小佐野賢治氏の実質的に発言権を持っている国際興業系のホテルと契約を結んだこのいきさつというのは、恐らく当時日本人のハワイ観光客がたくさんふえたと、そして日本人の方は日本語の通じるホテルがどうしても使いやすいというふおなこともありまして、そういう希望が現にあったのを、たまたま、小佐野賢治氏がハワイにホテル進出をしましたのは相当古いことでありますので、ハワイにあったその国際興業系の、日本語の通じる比較的使いやすいホテルというものをお客さんの便宜を図るために契約をしたということが事の発端だと思います。そうやってだんだんお客がふえるに従ってふえてまいったと、また、小佐野賢治氏の支配するホテルもふえてまいったということで、先ほどお話し申し上げました結果になっているわけでございます。  そこで、いわゆる国策会社と、そういう民間会社との関係をどうするかという問題につきましては、私は基本的には日本航空株式会社の中の問題であり、日本航空株式会社がみずから判断すべき問題だと思いますけれども、仮に私ども見解を申し上げまするならば、このことが究極的に、一つは日本航空を利用する乗客の便宜というか、便利といいますか、それを阻害しているかしていないかという問題、たとえば日本航空を利用する乗客が、もっとほかのホテルへ泊まりたいと思っても泊まれないようになっているということであるならば問題であると思いますが、現在そういった形にはなってない、希望した人はこちらへお泊めするということになっておるそうでございますので、そういった利益はいまのところ一応図られていると思います。ただ、そのことが何といいますか、売り手市場になりまして、余りお客さんの言い分なり希望を問うことなく、もうパッケージでどんどん送り込むということになりますと、これは乗客の利便を阻害いたしますので問題になると思います。  それからまた、日本航空と小佐野賢治氏との関係一般でございますが、これも先ほど来申し上げておりますような関係の存することが日本航空の国際会社としての事業の遂行、これに悪い影響を与えている、つまり社会公共的立場から見て悪い影響を与えているということになっているかなっていないかという点の判断にかかると思うのでありますが、現在までのところ、そういった意味での公共的利益を阻害しているという判断は私どもいたしてないわけでございますので、私たちの立場から日本航空に対して改善勧告するということはしたことがございません。ただ、しかしながら、いろいろ先生指摘のようなことは社会的にも言われていることでございますので、そういったことを総合いたしまして日本航空が株式会社としてどう判断するか、このことは日本航空にも十分伝えて善処を待ちたいと、こう思っておるわけでございます。
  90. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問に直接のお答えではないのですね。つまり監督官庁としての運輸省航空局は、こういう取引行為についてあなたが形式論言う必要はないんですよ。形式論言う必要はないんで、日本航空の取締役会で事実としてそういう取引行為の承認を与えたかどうか、議事録に徴して調べておるかどうか、やっておるかないかという点を聞いたんですが、このお答えはどうです。
  91. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) そのことは先ほど一番初めに申し上げましたように、国際興業の役員で小佐野賢治氏はございませんので、したがって先ほどの商法上の規定によって取締役会の決議をする必要がないということからそういった決議は日本航空してないと思います。
  92. 内藤功

    ○内藤功君 局長ね、思いますじゃいけないんでね、これはやっぱり調べてくださいよ。  それから、形式論も私の聞くところ、あなたの形式論も問題あるのは、この商法二百六十五条では「自己又ハ第三者ノ為ニ」というのがあるですね。この「第三者ノ為ニ」をどう解釈するかですがね。この国際興業と小佐野との関係は、確かに代表取締役は別の人ですよ、身内ですが。しかし、もういまや国際興業というのは事実上この小佐野賢治の支配する会社だということは世の中みんな知っているんです、これね。社主と言われる、社主。しかし、内部の人と私話してみると、会長会長と言っているんですよ。実際会長と言っている。こういう関係ですからね。ですから、この二百六十五条の小佐野が自分のために、それから自分が形式上代表をしている会社のために、その他「第三者ノ為ニ」というのはもっと広い代理のようなものを含むわけですね。形式論を私はあなたとやるつもりはないけどね、形式論からいってもおかしいんです。それがまた運輸省が、航空局が、いや、こういう形式論で取締役会にかける必要がないと思いますとか、ないと思いますからやっておりませんと思いますとか言うことも先走り過ぎているね、これは。何かかばうような感じがする。そこはきちんと調べて、取締役会で承認をしたかどうか、いつしたか、どういう行為にしたか、これ商法の二百六十五条の関係は事実関係を明らかにしてもらいたい。その事実をはっきりさせないで先に理屈に行っちゃっているという感じが、先礼だがあなたの答弁でするわけなんです。どうです。
  93. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 少し先回りして大変失礼いたしました。事実関係調査いたします。
  94. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、最後に大臣に私はお聞きしたい。  まあよくおわかりと思うんです。この政治的にいまの三木内閣が当面している事態から見ても相当大事な問題なんです。あなたはまあ三木さんの方の大幹部の一人でいたわけです。この田中角榮に対する逮捕問題なんかについても、政治的な立場からいろいろお考えがあったんだろうと思うんです。考えておられたんだろうと思う。またこの三木内閣が、いま果たして本当に灰色政治家、灰色高官の名前を発表するかどうか、あしたそういう発表があるとかないとか言われています。こういう大事な時期、また再発を防がなきゃならぬ。あなたの担当しておられる運輸行政では、まさにこの日本航空を初めとする航空会社と、こういういわゆる政商と言われるような人との関係、これを続けていくか続けていかないかということは大きな私は問題だろうと思うんですね。それはまあ、私はあなたにこういうことをたくさん言う必要はないと思う。そこで、いまも局長の答弁にあるように、商法の違反の疑いもある。それから違反したか、しないかという形式論を超えて、こういう深い癒着関係があったということはもういまや明らかなんです。  そこで、大臣は就任早々のいろんなテレビの対談だとか、ラジオの対談だとか、新聞の談話、私もよく拝見をいたしました。あなたの言わんとすることはわかっているつもりなんです。運輸省の綱紀粛正をまず第一にというわけですね。そうしてあなたはこの委員会の場でも言われたが、李下に冠を正さずと常に言っておられる。この言葉としてはぼくはいいと思う、言葉としては。問題は、言葉でここで言っても、それを姿勢で正さなければ何にもならない、これもおわかりのとおり。そこで、まず姿勢を正すべきときが来ていると思うんです、その言葉を。どうですか、そういうお立場からして、局長もまあそれなりの決意を言われたと思うんです。ぼくは多少不満だが、精いっぱい述べられたと思う。で、局長のいまの答弁の中に、果たしてこれがどうかと、特に公共的な立場からどうしたらいいかということは、そこはあかして答弁した。ということは、あとは大臣の政治姿勢というぼくは含みだろうと思う。そういうことを考えて、ひとつ積極的にどうこれに対処されるかという姿勢を問いたいと思います。
  95. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 商法上の問題はいま局長が答弁いたしましたように、これは事実関係を明白に調査する必要があると思います。それからその問題を商法上処理する場合は形式論では片づけられない、こう思います。  それから一般的印象としては、ちょっと何でもかんでも利用し過ぎているような、関係が密着し過ぎるような、あるいは利用するホテル、あるいは機内食、その他もっと広範な立場で選択するとすれば選択すべき問題だと思います。まあしかし、特に私は意外に——私もハワイも昔からよく知っておって、何十年来よく知っているんですが、この京屋というところが小佐野君の所有であるということは実はいま初めて知ったような、あれは昔から、戦前からあったところで、初めて知ったような次第であります。したがって、一般的な印象としては、いま申しましたように非常に何か日本航空との間に密着関係というんですか、そういうものを感じます。しかし、日本人の旅行者が日本語のできるところを選ぶというのもこれきわめて自然であり、そういうところをサービスするというのも航空会社としてある意味で自然ではなかろうかとも思うので、そういう関係において日本航空が旅客サービスという面と、もう一つは、同様条件の施設が同じ地域にあるかというような関係、あるいは特殊な有利な契約を結んでいるかどうかというような関係、そういうようなものの調査もあわせまして実情をしっかりつかみ、経緯をつかんで、当初申し上げましたような運輸省、あるいは運輸行政の綱紀粛正という観点から処理をいたしたい、こう思っております。
  96. 内藤功

    ○内藤功君 どうも問題点が、ほかに同種の施設があるかどうかという点にお言葉の重点が多かったので、肝心のぼくが聞きたいと思っている李下に冠をという、そこのところがまだ出ていないなあ、と思うんですよ。
  97. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この小佐野君がこういう事件を起こすと初めから知って日本航空が契約を結んだのではこれは時間的にちょっとないようにも思うので、その当初の意図はやっぱり日本語ができるところというような観点もあり、あるいはまたそれと相関関係で小佐野君のホテルがふえていった、こう思うんです。しかし、そういう実情から出発し、それがまた現実である以上は、同様種類の日本語の通用する施設というようなものがほかにないか、あっても少ないか、そういうような条件も考えなければ、小佐野という名前を聞いただけで、しかも現在まだはっきり刑事被告人というわけではないので、そういう実情だけで全般的にどうこうするという処置を運輸省が強要できる立場にあるかどうか、これは現実的には日本航空の処理の範囲に属することかもしれません。しかし、先ほど申しましたように、そういうことを勘案しながら、やはり李下に冠を正さずという意図をもって処理をいたしたいと、こう考えております。
  98. 内藤功

    ○内藤功君 ここのところの認識が果たして鋭敏であるか、あるいは大したことはない問題だと思っているかが、いま政治姿勢問われている問題だと思うんですね。  私はそこで、小佐野が刑事被告人でないというけれども、小佐野についてはいろんな追及がロッキード委員会でもやられて、たとえば偽証の問題、二月十六日の衆議院予算委員会でも証言しましたが、児玉譽士夫という人物とはお茶飲み友達だというけれども、これは実際深いかかわり合いがあったということがいろいろ出ている。それから、この小佐野のトライスター売り込みにおいて児玉とともに果たした役割というのは、コーチャン氏などロッキード側から非常に明確な、具体的な話が出ている。それから外為法の問題、脱税の問題もう被告にはなっていないけれども、被告すれすれの立場にあるということは国民のこれは世論ですね。みんな一律にこれは認めているところなんです。そうしてこの運輸行政において綱紀粛正、李下に冠を正さずということは、まさにこういう人物との深い関係を正していく。李下に冠を正してもいいんだけれども、正すと誤解されるから正さないというんですから……
  99. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういう説明をしているつもりはない。
  100. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことなんですね。——いや、いや、ちょっと聞いてください。ですから、これはやっぱり私はこういういろんな深いかかわり合いについては、できるだけこれは関係を切っていく。それからやはり根本的には、この小佐野氏の取締役でこのままいていいかどうかという問題、これが根本なんですね。  それで私は、いまここに資料を持ってきましたけれども、ほかならぬ小佐野氏が取締役でやっている日本航空に働いている人でつくている労働組合、おとといも別の問題でしましたが、日本航空労働組合は中央委員会と大会という二つの正式機関で罷免を決議しておるんです。それからもう一つ労働組合があるんですよ、別の労働組合、日本航空の。この組合も最近この大会でやはり小佐野をやめさせるべきだという趣旨の決議をしている。働く人が組合の所属にかかわりなく罷免の決議をしているんですよ。その人たちは、やはり航空界の健全な発展と航空行政を正すために罷免すべきだと、こういう意見。ぼくはこれは見識だと思うんですね。私は、この日本航空労組なり、日本航空で働く人たちが、本当に航空界の健全な発展を願うために、小佐野の取締役罷免を要求しているという声には、やはり大臣、謙虚に耳を傾けるべきだと思いますよ。まあ社内の問題ですから、いまここですぐに罷免すべきかどうかということは触れられないのは、私もそのぐらいわかっています。しかし、こういうやはり大きな問題だということなんです。  そこで、くどいようだが、大臣の方で、いまぼくの話に立ってさらにどういうふうに思われるか、もしありましたら……。
  101. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 大変誤解があると思うんですが、一つは、李下に冠を正さずという姿勢を貫きたい。それからもう一つは、例をこうずっと聞いていると少し——少しじゃない、大いにくっつき過ぎているという印象、この二つの印象の上に立ってお答えしている。しかし、日本航空と小佐野君の企業との間のそういう契約関係が生じたのは、ロッキード事件や世間の疑惑が生ずる前、時間的にかなり前であったろうと思うし、それから、その日本航空の業務に属するところで、これが運輸省の監督権というものがそういう具体的なものまで及ぶかどうかという問題もあります。それから、日本航空と小佐野君の企業との関係、契約関係というものもあります。また、小佐野君が日本航空の非常勤取締役であるということは、法律論から言えば運輸大臣の認可対象ではないのですね、これは非常勤でありますから。代表取締役と常勤取締役については、これは運輸大臣の認可対象になりますけれども、非常勤でありますからならない。  それからもう一つは、それこそお客さんの立場に立って——いまちょっと申しましたように、京屋まで小佐野君のものになっているということになると、これは大変広範な範囲にハワイあたりは及んでいるんじゃないかというような感じがします。私の知っている京屋というところも昔から知っていますが、これは戦前からかなり有名なところであったので、そんなところまでなっているとなると、日本語のわかるところへ日本人の客が行きたがる。そういう場合に、いま一切合財とめた場合に日本人お客さんが喜ぶか喜ばないか。そういう業務上の関係も考えなきゃなりませんが、基本線は先ほど申しましたような形で処理した  い、こういうことを言っているわけです。
  102. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、大臣なり運輸省が、今後そのお言葉の上に立ってどういうふうにされるかを私は期待と言っていいと思うんですが、期待していいのかどうかわからぬが、見守りたいと、こういうふうに思います。  時間が少し残っているけれども、最後に私は、この重大な問題について文字どおりえりを正して、厳正に臨んでもらうことが今後の航空行政運輸行政にとって一つの試金石だということを申し上げまして、これは答弁は要りませんから、質問を終わります。
  103. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  104. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
  105. 和田春生

    ○和田春生君 一昨日の運輸委員会で質問通告をしながら残った重要課題が幾つかありますので、要点的にお伺いをいたしたいと思いますが、まず最初に、運輸省だけではなく水産庁来ていらっしゃいますね、水産庁にも関係ある問題からお伺いをしたいと思います。  北方海域で漁船の拿捕がずっと続いておりますし、いまなお相当数の漁船が返されていない。中には遺体になって返ってきたという大変悲しい例もあるわけですが、とりわけミグ25の事件が発生してからかなり漁船拿捕のペースが高まっているようでありまして、本件については先般の予算委員会におきましても、わが党の栗林委員が質問をいたしたわけでございます。その後、現在においてソ連側に拿捕されている船舶並びに未帰還の船員数、ミグ事件以前、年内で結構でございます。それとミグ事件以後、わかっている限りの数字をまず最初にお聞きしたいと思います。
  106. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 本年に入りましてから、ソ連による拿捕は十月十二日現在で三十四隻百九十三人でございます。このうち道東——北海道の東周辺の海域が二十九隻で百三十九人、これが一番多うございまして、それ以外では沿海州の海域で三隻、三十五人、それから樺太海域が二隻、十九人、合計で先ほど申し上げた数字でございます。このうち帰還した者が十六隻で百三十一人と一遺体がございます。未帰還は、したがって十八隻で六十一人でございます。それから、ミグの事件以後ふえたのではないかということについては、ちょっとまだ簡単にその判断はできないと思うんですが、数字を申し上げますと、九月以降の拿捕が道東周辺海域で六隻、二十九人、沿海州海域で一隻、七人、合計七隻、三十六人でございます。これは去年の同時期と比べてそう減ったとかふえたとか、いまちょっと言える数字ではございません。
  107. 和田春生

    ○和田春生君 ミグ25の事件以後本当にふえたかどうかということは、こういう問題は簡単に数字で比べられませんから断定しがたいと思うんですが、意図的ではないかと思われる節もあるわけですけれども、このミグ以後に拿捕された漁船並びに船員はもとより、それ以前についても、この返還について日本政府としてはどういう手を打っておりますか。
  108. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) わが国漁船の拿捕につきましては、一般的に外交ルートを通じて早期の返還を要請しておりますが、特にわが国固有の領土であると認識しております北方四島周辺水域の拿捕につきましては、その都度外務省を通しましてソ連側に抗議し、同時に賠償請求を保留する通告をしております。最近に至りましても、在外公館を通じて、また在日の大使館を通じて抗議し、また返還を要請しているところでございます。
  109. 和田春生

    ○和田春生君 返還を要請していると言いますけれども、ずいぶん長く抑留をされてなかなか帰って来ない。船体、乗組員等も相手につかまえられているわけですからなかなか手がないと思いますけれども、過般も私は北海道に参りまして現地の乗組員、あるいは船頭会、中小零細企業の船主、そういう人たちといろいろ話をしてきましたけれども、これは後からお伺いすることになりますけれども、拿捕に対する警戒も非常にずさんであると、それから返還交渉その他についても日本の政府は大変弱腰であると、いつも泣かされているのはわれわれ零細な漁民、力のない漁船の乗組員であると、もっと強力に警戒をすると同時に、返還交渉についてももっと強腰で、日本政府は積極果敢にやっているんだということを大いに見せてもらわないことにはおちおち安心しておられない、そういう声が至るところで出ておりました。そういう点について今後の対ソ折衝、アメリカもありますけれども、そういう点についてさらにこれを強化をするということで具体的に考えている方法等があったらこの機会に承っておきたいと、こういうふうに思います。
  110. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私の方からは、先生いまお話ございました警戒体制というようなことも御説明したいと思うんですが、実は私は先週根室へ行ってきました。それで、これは特に最近の情勢でということではございません。年に検閲の計画がございますので行ってきたわけで、そういう計画はもう年度当初から決めておったのですが、確かにこちらの警戒体制を強固にやって、その領土問題で割り切れない気持ちでおられる漁民の人たちに不安を与えないということは大事なことだと思いますので、多少我田引水になるのですけれども、やはり今後その問題だけを取り上げてみても、巡視船艇はちょっと増強していかなければいかぬということを痛感してまいりました。  現状では、根室海峡に羅臼に一隻と根室に一隻と、二十三メートルの巡視艇がそれに専従しているという意味では、わずかに巡視艇が二隻という現状ですので、やはり漁民の方々に何がわれわれに望まれることでしょうかということを端的にお伺いしたら、横におってくれという感じでございました。まあ横におるという意味が一なかなか領海と向こうが言っているところには立ち入ってというわけにはいきませんけれども、できるだけ横におるという体制を整えたいということを感じてまいりました。
  111. 和田春生

    ○和田春生君 水産庁には後でお伺いしますが、その警備の問題について、ざっくばらんに言って、運輸省や水産庁や役所の人たちが行きますと、ああいうローカルでやっている人たちは、やはり役所には弱いし、お上に余り盾突いてはぐあいが悪いという気持ちがありますから、なかなか率直なことは言えないわけです。われわれが行って、たとえば船の運航を現にやっている船頭会の諸君なんかとひざを交えて話をすると、いろんな実例がいっぱい出てくるわけです。そういう点を再々いろんな機会を通じて要請をしているんだがさっぱりこたえてくれない、もちろんやってくれている面もあるけれども、われわれの要望にほど遠いという不満がどんどん吹き出てくるわけであります。  その警備の点ですが、たとえばそのときに出てきた例の一つは、まあ領海問題に関係するんですが、運輸大臣も領海三海里は了解できぬと、こう一昨日おっしゃっておりましたけれども、ソ連は十二海里の領海を言っているわけです。だから、いま言ったように、海上保安庁の警備艇が守ると言っても、その中には事実上入れないわけですね。日本が三海里だと言っておったってどうにもならない。ところが、十二海里じゃなくて、実際これはやられた人の話なんですが、レーダーでもきちんと観測をし、船位も水深からも確認をして、十三・五マイル以上少なくとも離れていると、そこで操業しておった。ところがつかまえられた。これは領海外であると、こういうふうに言ったところ、これはこちらの方は低潮位線ですね、干満の差で一番干潮になって下がったときを基準に置いて十二海里というふうに言っておるんだから、おまえの船は十二海里以内の領海だと言われる。しかし、一体低潮位線がどこかということは、日本にそういうちゃんとした海図もないし、日本の海図だってそんなものは信用せぬと言うと。そこで抗議をすると、文句があるんなら行ってから裁判で言えと、結局つかまえられてしまうと言うんですね。  そういう場合に、そのそばにちゃんと海上保安庁の警備艇がついておって、いやそんなことはないと、これは領海外だろう明らかに、ソ連の言う十二海里外だと、低潮位線を基準にして領海内になると言うんならその証拠を示せというふうにやってもらうと、われわれとしては非常に助かるんだけれども、結局言いなりほうだいで、引っぱっていかれると認めないことにはいつまでたっても帰さないと言っておどかされるから、やっぱり自分の生活やなんかがあるから、絶対領海を侵しておらぬという確信があってもついつい向こうの言いなりに認めてしまう。そうすると有罪だと、こうくるというんですね。まことに困ると。そこで、そういうような点についてはソ連の領海内にまで踏み込んで警備をしてくれると言わぬが、少なくとも領海の警戒線のところに海上保安庁の警備艇がおって、まさか銃や大砲を撃てとは言わぬけれども、不当なことがあれば向こうの監視艇、ないしは捕獲にきたやつに体当たりしてでも防止をしてもらうというだけの気魄を見せてもらいたい、そうでないと税金払っておるかいがないというわけです。  その点では確かに、御承知のアイスランドとイギリスのタラ戦争のときなんかは、フリゲート艦が体当たり——大砲こそ撃ち出さないけれども、事実上戦争みたいな状態で体当たりするというような形で、どっちがいいとか悪いとかここでは言いませんけれども、果敢な国益を守るために戦いを展開をしている。ところが、日本の場合はそれやってくれぬ。その点どうですか。
  112. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 大変言いわけがましいことは余り申し上げたくありませんので、できるだけその先生のお気持ちに沿うように現場でやらしたい、できる限りやらしたいと思います。
  113. 和田春生

    ○和田春生君 私の気持ちに沿うんじゃなくて、現場で働いている諸君がそういう切実なことを言っているわけです。聞いてきた生々しい話の中の一つを御紹介申し上げたわけですが、やっぱりそれくらいの気概でやってもらいなといけないと思うのですね。海上自衛隊が出ろとまでは、そう物騒なことは言いませんけれども、やはり海上保安とか国の安全を守るとかというのは、独立国の政府としては国民の安全に責任を持っているんであると、そしてそれをあくまで遂行するという私は気概と決意と体制というものがなければ、幾ら巡視艇をたくさんそろえたって、精鋭の防衛の施設や物に金を使っても魂がないものはどうにもならない。しかし実態的な装備が微弱であっても、それだけの気魄というものがあれば大分違ってくるのではないか。そういう点で平和国家は望ましいけれども、国民の安全に対する政府の責任を果たすという意味の気概というか、気魄が私は非常に欠けているように思えます。同時にまた領海の問題もあるし、二百海里のエコノミックゾーンの問題もありますから、海上保安庁が第一義的に守るということであるならば、もっともっと増強しなくちゃいかぬ、こう考えるわけです。したがって、これは非常に政治的な判断でも一ありますので運輸大臣にお伺いをしたい、こういうように思います。
  114. 石田博英

    国務大臣石田博英君) お話しのように、鉄砲をぶっ放したり、大砲ぶっ放したりするというわけにはいかない。ただ第一義的には、四島の問題の早い時期の解決というのは現実の問題としてなかなかむずかしいとするなら、やはり安全操業の協定を特に新海洋秩序の時代に入ってくればくるだけに外交努力でやってもらいたいと思います。それからあの三海域に二隻ではやはり何としても少ない。これをぜひ増強をいたしたいと。それから通常の、私、日ソ関係特別いろいろ関係をしておる立場から、運輸大臣としてでなく申しますと、外交ルートの交渉ではらちが明かぬことが多いんで、やはり直接的な交渉をときどきやる。たとえば妙な例を申しますが、私が参りましたときは二度、人数は忘れましたけれども、かなりまとめて返してくれました。法律論をやって向こうで裁判をされるということでやっていると、それは必ず現実の問題としてなかなからちが明きませんので、そういうときどき政治的な手段を講じて抑留期間もできるだけ短くする努力というようなものがあわせて必要なように考えております。
  115. 和田春生

    ○和田春生君 ここで具体的なことをああする、こうするというのはむずかしいと思うのですが、ぜひ運輸省海上保安庁長官もお見えですが、第一線の警戒に当たる職員の諸君にも、そういう精神的な面もひとつ徹底をしてもらって、少なくとも関係の漁船乗組員と業者等から不信を買うことがないように特に希望しておきたいと思うのです。  これは、今度は水産庁と運輸省と両方にかかわることで、ソ連だけではございません。アメリカもあるんですが、北海道の漁船の関係者に言わせますと、全部ではありませんが一部の人に言わせると、このごろソ連よりもアメリカの方がどうもたちが悪い、そういう声が非常に強いんです。どういうふうにたちが悪いかというと、やっぱり領海侵犯しておらぬし、アメリカとの間のいろいろ取り決めに違反していないというふうに思っているにかかわらずつかまえにかかるというわけ、いろいろ文句を言うと、アメリカの場合にはソ連とはちょっと扱い方が違うけれども、文句があるなら裁判に持っていけと、裁判に持っていけばいいじゃないか、そうすると裁判に持っていくと一年かかるか二年かかるかわからぬ、金も大変かかる。それじゃめしの食い上げだというのでもう泣く泣くそれを認めると。そうすると釈放するときに罰金を払えという形で相当多額の金を巻き上げられる。向こうの諸君の言うとおりに言うと、何だか領海侵犯とか、漁業協定違反とかいうことを口実にして銭もうけをやっているんじゃないかという感じがしてならぬと、実はアメリカに対してそういう声もあるわけです。  これは一つあった例ですけれども、実は食糧として国内でマスを買っていって船に積んでおった。それをおまえはとったんだ。これは食糧として国内で購入してきたんだと、間違いがないと、レセプトも持っていると言うけれども、言葉が通じないのでさっぱりらちが明かない。ところが、たまたまそういうときに水産庁、あるいは海上保安庁がおり合わせてくれても、これは乗っている方が英語、ロシア語に非常に弱いものだから警備の方もとんちんかんで、しばしば一方的に向こうの言いなりにさせられる。結局向こうが力を持っているものですから力の行使でやられる。そればかりでなく、中にはこれは水産庁の方の関係なんですけれども、もうこう言っているとうるさいから向こうの言ったとおり認めて、金で解決をするなら解決を図れと、そういうことを言われた例もあると言うんです。そういうのは恐らく報告に入っておらぬでしょうと、現場でもうらちが明らぬから、めんどうくさいから向こうの言うとおり認めちゃえと、それは非常に困る。少なくとも監視艇とか、あるいは警備とか、指導とか、そういうふうに当たる官庁船には、北方海域におるときには、英語とロシア語ぐらいはまともに話せる人間を配置をしておいてもらわぬと困る。漁船の乗組員にそんなことを勉強しろったって無理だと、こういう声が非常に強かったわけ。これはひとつ水産庁と保安庁と両方からお答えいただきたい。
  116. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) おっしゃるとおりロシア語がちょっと不自由しております。私も釧路で実は研修でロシア語の教習をやりまして、それでそれぞれ根室、釧路、管区本部の小樽というところにおるんですが、病気になったらもう全く手薄だという。ところが、釧路の目の前にソ連の漁船群がおるというときに、どうしようかと思って実は困っているんだという話を保安部長から聞きまして、もちろん基本的には教習をやって人材を養成していかなきゃいかぬけれども、急場のときに根室からよこすのが早いか、小樽の管区本部からよこすのが早いか、交通の便利がありますし、千歳から空路で来るのが早いかというようなことも相談してきましたところです。おっしゃるとおりロシア語は非常に手薄です。ただ、私のちょっと聞いたところでは、英語は先生御承知のとおり海事関係者はかなりできますんで、向こうのロシア人が英語で話をしてくるとこっちは通じるということを聞いてまいりました。ロシア語は充実していきたいと思います。
  117. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) まずアメリカの問題でございますが、先生指摘のように、最近略式裁判で釈放される場合非常に罰金額が多額に上ってきていることは事実でございます。かなりの巨額の例もございます。アメリカの場合問題になりますのは、実は現在の経済水域十二海里の侵犯があったかどうかということが問題になるのでございます。領海とか、経済水域の侵犯があったかどうかというのは、なかなか水かけ論になる点があってむずかしい点がございますが、私どもが一貫した主張としては、アメリカの場合とソ連の場合とはかなり違うんではないだろうか。アメリカの場合はないと主張できる面もあるけれども、認めざるを得ないケースも多々あることは否定できません。現場で紛争が起きたときのいわゆるアシスタントなり、援助ということは非常に重要なことと思っております。  特に日米漁業協定が今後制定されて新しい時代に入りましたときは、紛争がさらに二百海里でございますので大きくなる可能性があります。明年以降、ことしの予算要求にかかわっている問題でございますが、漁業の駐在官をアラスカとか、アメリカのオレゴンとか、ワシントンの方でございますが、駐在いたしまして、そういった紛争あっせんなりアドバイザーとして利用できる制度を考えていきたいと思っております。
  118. 和田春生

    ○和田春生君 当局として全然努力をしていないというような決めつけ方を私はする気はありませんし、それなりに特に第一線の諸君は乏しい人員と困難な条件の中で一生懸命やっていることはある程度認めるわけですけれども、全体としてのそういう体制というものがやはり不十分なために、つかまえられなくていいのにつかまえられている。そういう例がある。もう一つは、協定の内容も表向きだけではなくて、いろんな細かいルールは向こうで一方的につくっている。たとえば領海の範囲にしても、低潮位線から基準だというようなことを一方的に言われる。そこで、少なくともそういうチャートとか、いろいろ向こうで決めているルールとか、こいつは危ないとか、そういう問題に対しては、ひとつ詳細な情報を第一線に出してほしい、非常に切実な要求としてありますから、これはお答え要りませんけれども水産庁、それから保安庁ともに、格段のそういう情報提供の面でもある程度自主的に判断しながら難を避けることができるようにという点での配慮を強くこの問題については要望をしておきたい、こういうふうに思います。  それでは、この問題についてはこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思いますが、菱洋丸の海難事故についてであります。  御承知のように、菱洋丸の海難事故は非常に特異なケースであるわけですけれども、ただ、あれが人員が全部助かって人命が失われなかった。もう一つは、当時の政治的な情勢その他から、事故が起きたときにはかなりマスコミにもクローズアップされましたが、その後はかつての「かりふおるにあ丸」とか「ぼりばあ丸」のように大きな世間の関心は呼んでおりません。けれども、私はその方の専門的な立場でこれは非常に重大な事故であると同時に、また大変貴重な経験だというふうに感じるわけです。重大だというのは、あれが日本の内海水域で起きたからよかったけれども、もし予定どおり台湾に就航している途中であの事故が起きて、しかももっと状況が悪いと、そのために沈没をしている、あるいは船員が一たんは逃れたけれども全然救助をされず死んでしまったという形になると、これは大変な惨事になる。同時に今度は外国と絡んでまいりますから、航海の途中で折れて沈んでしまうような船が幾らスクラップにするといえども、回航の途中でそういう事件が起こったということになると、国際的にも非常に悪い反響を呼ぶ可能性がある。不幸中の幸いとして人命に損傷はなかった。しかし非常に大きな問題じゃないか。  そこで、これは予断を交えずにお伺いしたいと思うんですが、事件が起きてから今日に至るまで運輸省調査をしている範囲内、いままでにわかっていることについて概略をひとつ船舶局長からお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
  119. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 菱洋丸の事故は豊後水道で起こりましたわけですが、その意味におきましては、私どもも非常に幸い人命に異常がなかったということで、事故の当時ほっとしたわけでございます。ただ、先生指摘のように、豊後水道で五万二千トンのタンカーが折れ曲がったという事故でございまして、現在は大分県の佐伯湾に錨泊をさせております。いままでの調査では、私どもは早速二十四日に菱洋丸の技術調査委員会を設けまして、第一回の調査委員会を先月の九月二十九日に行っております。  端的に申し上げまして、まあ関係があると考えられます要因といたしまして本船、これは船齢十一年目の船でございますが、それの従来の修理検査履歴、それから運航履歴、こういった本船の履歴が一つ。それからもう一つは当時の気象、海象の状況が一つ。それからもう一つは、三番目は、本船が航海を始めて事故に至るまでの期間の船の積み荷の状態がどうであったか。それから本船の荷重に対する強度と言いますか、荷重と強度の関係がどうであるか、こういった四点が中心になろうかと思います。  そこで、現状から申し上げますと、事故の当時本船は、全体のほぼ真ん中で、これは四つタンクを持って、四つと言いますか、船の艦から梶まで四つに分けられておりまして、合計十二のタンク区画を持っております。それで真ん中で折損といいますか、曲損をしておるわけでございまして、艦の方が十四・五度、それから梶の方が八・五度上に向きまして緩やかなV字型に曲がっておるわけです。それで、私どもの検査官が検査の直後参りまして、地元の保安部、それからその他の方々からの御報告を聞き、確認をしておりますのは、そういう状態でございまして、船自身はそういうことで折れ曲がったということで、折損事故は、逆に言いますと付随的に出てきたと、こういうふうにいま考えられております。そこで、船はV字型に曲がっているわけですから、船体の中央部で約十メートルほどデッキの方が縮まりまして、底の方はそのままということでございまして、甲板のところと船底のところはほとんど破れておらない。船側部が左舷、右舷とも折れ曲がりました関係で亀裂が走り破れておる。こういう状況でございます。  したがいまして、現在のところはそこまでが確認されておりまして、あと海上保安庁の事情聴取によりまして、気象状態についてはいろいろ波の高さについては意見が何といいますか、波の高さについては目視ですので差がありますが、うねりが百六十ないし二百メートルと言われております長い波長の波ということは一致しておるようでございます。そこで、これらの事象を踏まえまして、現実を踏まえまして、いま調査委員会といたしましては、さらに先ほど申しました四項目についての詳細なデータを集めているというところでございます。  そこで、この船につきましては、先ほど先生お話になりましたように、最後の検査が九月六日、事故の直前に行われておりますが、その前にことしの六月に検査をしております。これは定期的な検査の一つでございまして、その時期にタンクの一部——二番タンク、それから船首タンクにかなりの衰耗なりあるいは亀裂があって補強すべきであるという結論を出しておりますが、ただ、ずっと係船をしておるということでございましてそのまま係船していた。それが、たまたま台湾に売船のために堺に寄りまして台湾まで航行するための何といいますか、一回だけの航海のための検査を九月六日に受けております。  そういうことで、これは技術的な予断は調査委員会がやっておりますので避けたいと思いますが、要するに豊後水道でありますから、かつての「ぼりばあ」、「かりふおるにあ」と違いまして、気象なり海象につきましてはかなりの精度で事故地点での予測が、推測ができるだろう。それから積み荷の状態につきましても、これは破れてないタンクもあるわけでございますので、そこの確認をしながらかなりの精度で確認できると。それから本船の積み荷と強度の関係についても、これは私どもの委員の一人でありますが、船舶技術研究所でいま検査をやっているところでございます。  そこで、あともう一つは、幸い現場が残っておりますんで、今度この船をドックに入れて解撤するなり、あるいは洋上で、あるいは岸壁で横づけにして解撤するなりのいろいろな方法が検討されておりますが、その際にも折れ曲がった部分につきましては残すという方針でいま検討しております。したがいまして、そういったものが全部そろいましたら解析を始めるわけでございまして、私どもとしては本年度中にも結論を調査委員会に出してもらいたいということでやっておる最中でございます。
  120. 和田春生

    ○和田春生君 いま船舶局長も触れられましたけれども、この種の事件が起こるとすぐ船体構造だと、あるいは船舶の運航状態がどうだというふうに短絡する見方があるんですが、私もまだ十分な情報は持っておりませんけれども、今度の海難事故はそういう見方では済まないんで、一つは船体構造の問題がある。もう一つ重要な要素は、検査の体制ないしはそれに伴う措置という問題がある。もう一つは、運航状態と、この三つの要因が絡み合っているように思うんです。そこで、特定の予断を持ってどこに責任があるのかというような犯人捜しをやったのでは今回の場合はぐあいが悪いんではないか、こういうふうに思うんです。  そこで、私のところにNKが、いまおっしゃったように六月八日に中間検査をやっております。それから、台湾に回航するというので九月の六日に船主側の要求によって臨時検査をやっているわけですね。そのコピーが私のところにあるわけですけれども、どうもこのNKの検査の結果のレコメンデーション、この中にあるところを見ますと、今度起きた事故とはほとんど結びつかないんですね。六月八日の中間検査では以下のストラクチェアル・メンバーズについて要求される規定よりも、リミットよりも非常に薄くなったり、問題があるからという形を言っているんですが、それが一つはフォア・ピーク・タンクで指摘をされている。それから二番目に、ナンバー2のウィング・ウォーター・バラスト・タンクス、それから左舷及び右舷のデッキ・トランスバーシス、アッパー・スワッシュ・バルクヘッド、サイド・トランスバーシス・アバーブ・ナンバー1・クロス・タイ、それからバーテイカル・ウエッブス・オブ・ロンギチューディナル・バルクヘッド・アバーブ・ナンバー2・クロス・タイ、それからサイド・ロンギチューディナル・フレーム、これはナンバーズが1−9と、そしてまたナンバー1・クロス・タイ・アンド・ホリゾンタル・ガーダーズ・オブ・フレーム78のトランスバーシスだと、これがずっと具体的に指摘をされておって、こういう点について問題があるということは言っているわけですね。  ところが、折れたのはナンバー2じゃなくてナンバー3タンク。そのほとんど真ん中よりちょっと前の部分がいっていると。少なくともこういう縦方向について折れ曲がると、しかも船底に亀裂がなくて上部のデッキが亀裂をして、アコーディオン状に折れ込んでいるという形になると、当然そこに何らかの欠陥か問題があったんではなかろうかという感じがするわけです、現場を見ていませんからわかりませんけれども。しかもこの船ができたすぐではなくて、少なくともいままで九次、十次では粗製乱造時代の船だなんて言われても満足に運航してきているわけなんですね。  そうすると、相当外洋でしけの中も運航してきておるが無事にもってきたのがここにきているとなると、そのナンバー3のタンクの上部、デッキ、あるいはバルクヘッドが、取りつけ部分、あるいはフレームとか、そういうようなところに、これは縦も横もありますけれども、特に縦のフレームとかいうところに欠陥が、建造後において生じてきているんじゃなかろうか。というのは、従来船体の方の強度でいくと、船底の方を丈夫にしなくちゃいかぬというんで一般的にバルクヘッドや何かにおいても上部にいくほど比較的薄くなって底部の方に厚くなると、全部が全部そうではございませんが、常識的にそういうことが考えられている。ところがタンカーの場合には、上はすくもんですから、ガスが一番腐食をするために、とかくデッキの裏とか上部に激しい腐食が起こるということは経験的にわかっているわけですね。その辺に、だから問題があったんじゃないかというふうに、これから徹底的に調べなくちゃわからぬけれどもわれわれは推測するんです。ところが、検査の方ではそれが指摘されていないんですね、中間検査で。そして、出航を前にした九月六日の臨時検査でも検査の指摘は同じことが指摘をされているわけです。  そういう点で、一体この検査というものが的確に行われておったんだろうか、あるいは検査によるレコメンデーション、勧告が行われていると、それに応じて、言われたところだけではなく、他の部分についてもドックないしは修理の際に注意を払っておれば未然に発見することができたんではなかろうかという推測も成り立つんですが、その辺について、いままで調査ないしはいろいろと照会した結果わかっていることがあったらお聞きしたいと思うんです。
  121. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) いま和田先生指摘の検査報告書は、NKが六月と九月にやったものでざいます。そこで、私どもごく最近の検査結果ということで、事故の直後に発表をしたものでございますが、その際も、私どもも非常に注意をして申し上げたのは、これは最近の検査記録であって、事故の原因と直接結びつくものではありませんよという話を申し上げた記憶があります。  そこで、先生指摘の、ほかのタンクについてこういった二番タンク、あるいは船首タンクに見られるような腐食なり衰耗があったかどうかという点につきましては、いまの検査記録全部いまチェックをしておるところでございまして、調査委員会の方に出すことになろうかと思います。  そこで、これも一私は調査委員会の中での議論を聞いていきたいと思いますが、一般的に申し上げますと、先生おっしゃいましたように、ほかのタンクにつきましても二番タンクと同じようなことが推測はされるわけですが、ただ、タンクの使い方によりまして、バラストタンクと油タンク専用のものとはかなり程度が違うというようなこともございまして、私最初申し上げましたように、デッキの方も実は切れているかどうかということがはっきりしませんで、むしろ折れ曲がったといいますか、挫屈であろうというのが調査委員会先生の見方でございます。  そこで、挫屈ということになりますと、部材とそれから甲板鋼板との衰耗もその一つの原因でありましょうし、あるいは集中荷重というようなこも条件にありましょうし、これはこれから、先ほど申しました四つの項目、船の履歴と、それから気象、海象のより的確な推測値と、それから本船の積荷の状態、それから本船の載貨重量、荷重と強度の関係、これも調査委員会でなるべく早く資料を逐次出しながら、最終的な判断というのは、恐らく現場が解体されまして、残ったところを見たいと、こういうことを見て最終的なその確認をするようになるんだと思いますが、実は船が折れ曲がった状態で、かなりの部分が水中に入っておりますので、私ども外側はテレビの水中カメラで撮っておりますが、それでもちょっと見にくい点がございますし、中側は危険でございますので入れないという状態でございますから、先ほどの四項目の計算解析と現場の結果を総合して、調査委員会でなるべく早く結論を出してもらうようにお願いをしたいと思っております。
  122. 和田春生

    ○和田春生君 まだ途中ですからはっきりしない点も多いと思うのですね。しかし、どうもこのバラストの積載状態と、これ見て、もちろんこういうふうに曲がったんですから、デッキそのものも、デッキプレートが裂けてしまうというのはよっぽどひどく曲がって突きつけぬ限りならないわけですけれども、やっぱり縦に走っているフレームとか、そういうものは当然こうなれば亀裂をしているわけですね。そういう可能性があるわけですね、ただ曲がっているだけかもわからぬけれども。そういう点はこれからいろいろ中に入っている部分を調べられることになると思うのですけれども、バラストの積載状態というものを見て、それから折れ曲がったところを見ると、どうもこの検査で指摘されたことがそのとおりであると、指摘以外のところには一般的に問題がなくて、堪航性がある程度あるということを事実とすると、どうも三番タンクの後の方あたりで事が起こってしかるべきような感じもするわけです、これはわからぬけれども。  どうもそういう点で、検査というものについて私はNKを責めようという気じゃないんですけれども、船はつくって使っているうちに部材も衰耗してきますし、いろいろ問題が起きると。そのために定期監査、中間検査、必要があるときには臨時検査という手があるわけですから、それが役に立たなかったということになると、一体何のために検査をしているかという問題も起きるわけです。したがって、この事件はそういう検査の方法等についてもやはり一つの大きな問題を提起しているんではないか。したがって、その船体の構造だけに焦点を合わせるのではなくて、検査体制、そういうものとの関連もぜひ調査をしていただきたいという気がするわけであります。  それからもう一つ、NKの報告の中のレコメンデーションの中に入っているところで気になるのは、航海をする場合の、つまり全然荷物を積んでいない状態で航海する場合のバラストについて、六月八日の中間検査ではハーフ・バランデットというふうに言っていると。ところが九月六日の、航海前の検査のレコメンデーションによるとライト・バラステッドと言われていると。ハーフ・バラストかライト・バラストということは、言葉の定義はなかなかむずかしいのですが、これは使い分けしてあるわけですね。これはどういうふうに解釈しているんでしょうか。で、六月八日のやつがハーフ・バラストなら、もしそれが正しいといいますか、一つの適切な勧告であるとするならば、台湾まで航海するのには少なくとも大洋を航海するわけですから同じ用語でなければいけない。これ違っているのに何か特殊の意味があるのか、あるいは単に用語上はハーフ・バラストとライト・バラストというふうに分かれているのか。またこういう言葉を使う場合に、一体ハーフとはどの程度を目安にしているのか、ライトとはどの程度を目安にしているのか、わかっている点があったらお伺いしたいと思います。
  123. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 第一の点をお答えいたしますが、六月の検査、これは中間検査でございますが、この検査でNKが指摘をしておりますハーフ・バラスト状態というのは、大分で三カ月、大分もしくはそのほかの港で三カ月係船をするということでございますので、ハーフバラスト状態で係船をするということであれば差し支えないだろうと、こういうことでございます。それから九月のこれは臨時検査、臨時回航の検査でございますが、これは大分から堺を経て台湾に行くということでございますので、一航海でございますが航海をするということでライト・バラスト・コンディションという、ハーフよりも少ないバラスト状態を指定といいますか、船主の申し立てによって検査をしたと、こういうことで違っております。  それからハーフ・ハラスト状態とライト・バラスト状態につきましては、これはタンカーにつきましてはローディングの積み荷の状態、これは満載からライト・バラスト・コンディションまで各段階に分かれてローディングのマニュアルを出してあります。したがいまして、そこでその船については幾らということになると思います。
  124. 和田春生

    ○和田春生君 そういう御説明になったような前提がついていることは私も承知の上なんです。ただ、そういうふうに係船状態ならハーフ・バラストだと、それで大分から堺を経由してカオシュンまで運航すると、ライト・バラストで行くべきであると。ところが、大分を出港したときこの船はバラストは何トン積んだか、私の聞くところによると、七〇%ぐらいのバラストを積んでおったというふうに聞いているわけです。
  125. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。  何%かと言われますと、ちょっとパーセントの計算をしておりませんが、約七万八千トンぐらい積んでおりますので、本船のデッドウエートは九万六千トンでございます。
  126. 和田春生

    ○和田春生君 そこで、一体検査レコメンデーション、それから運航状況の関連で大きな疑問が出てくるわけですね。これが船主が経済性を考えて、短い航海で油を積んでいくんだから少し多い目に積んでいけと、それで最後に運賃かせげというなら話はわかりますけれども、びた一文にならないバラストを安全のために積んでいるわけですね。船の安定性を増すために積んでいくわけですけれども、こういう差があると。どうもその辺も、これは直接私は乗組員ないしは現場でまだ聞く時間と余裕がないんですけれども、非常に何か大きなちぐはぐな感じも受ける面があるわけですね。積めば積むほど安全だというわけではない。この船は相当ぼろだから気をつけろと言われておるわけです。  なぜかといいますと、この船の船体のひずみというものがどの程度かということはわかりませんが、巨大船のひずみとか、あるいは上下動というものについていろいろ調べているやつがあるんですが、私の持っている幾つかの資料の中でも、これはデッドウエート二十万トンのタンカー、そしてちょうどあなたがおっしゃったように波長が二百メートル、波高が二メートルぐらいのうねりのあるところで十二ノットで航走するという前提に立って経験則並びに力学的に計算をした事例があるわけです。で、これは九万六千トンですから、船はデッドウェートで二分の一ぐらいですけれども、まあある程度参考になる。そうすると、その中で言っていることは、向かい波の場合における船首の最大上下動よりも斜め向かい波、あるいは横揺れが同調したとき、長い船の船首と船尾の上下よりもビルジ部の、船底部のむしろ上下に揺れが激しくて大きいと、それは約この船の場合で一・四メートルを超えるという一つのあれが出ているわけですね。で、これもここに書いてあることを信用するという前提に立ちますとそうなる。  そうすると、あすこの航海のときに百二十ないし二百メートル、高さが三メートル程度のスエルだという形になりますと、何かそういう状況というものがあったんではないか。で、幸い船員は全部助かっておりますし、船は残っておるし、当時の気象状況はわかっている。そうすると、今後の船体の強度試験ないしは構造設計をする場合のデータのときに、そういうようなことも考えてみる必要があるのじゃないか。つまり船底部が何らかの調子で非常に強く、ぐっと下がるような状況が起きて、そこにぐあいの悪いところに船首と船尾にスエルの一番頂点のところがぐっと持ち上げるという形で一挙にいっちまったということもあり得るのではないか。そうすると、縦のことばかり考えずに、横揺れが同調したときに船底部の下がり方が大きいというあれもありますから、そういうようなことも、運輸省の試験所その他もあるわけですから、そういう点でぜひ研究をしていただきたいものだというふうに思うわけです。  そこで、それらを総括してこれは要望なんですけれども、大変貴重なデータですから、犯人捜しをやろうとすると、みんなこうなるのは無理もありませんから、ひとつ今後のやはりそういう造船または検査、運航と、すべての問題について貴重なデータにするために、ひとつ造船所側も協力してくれ、船主も協力をしなさい、NKも運輸省が中心になって全体で一つのプロジェクトチームか何かをつくってこれを研究すると、そのために若干費用がかかっても私はそれは安いものだと思います。そして、テストピースをとるか何かというんじゃなくて、船舶局長のおっしゃったように、折れ曲がった部分の前後相当の部分にわたってドックへ行って切り取って、ひとつそういうような点を徹底的に調べると、単なる形式的な調査ではないと思うんですけれども、そこまで徹底してやっていただいて、不幸な事故が起こらないような予防の措置に役立てていただきたい、こういうふうに考えているわけですが、いかがですか。
  127. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 一般的に巨大船といいまして、私ども三百メーターを超える船について特別な配慮を払っておりますが、その種の船につきまして、かなりの何といいますか、船体のたわみが波の上にたまたま最悪の状態で乗れば大きいということは承知しておりまして、その意味で、言うなれば一つの剛性体といいますか、決して真っすぐ曲がらないものではありませんので、いつも弾性を保つように設計をしているわけでございますが、先生指摘の「ぼりばあ」「かりふおるにあ」の以降ですね、私どもとしては精密構造計算法というものを両方から検討して完成さしておりますが、これは一つは先生指摘のように、真向かいの波、あるいは真後ろの波だけではなく、斜めから波長の違う不規則な波を当てまして、一番大きな荷重が船体のどこにかかるであろうかという研究をすると同時に、船体自身を従来の部分的な強度計算でなくて、二千とか三千とかという三角の要素に切りまして、それを電算機でつなぎ合わして有限要素法による設計をすることが、飛行機とか、造船とか、建築でやられておりますが、そのプログラムも完成をしております。そういった技術的な武器がありますので、先ほど申しました積み荷と、それから強度計算につきましては、私どもの船研もその中心の一つでございますので、十分先生指摘のような意味での精密な計算をすると同時に、幸い残されております現場の曲損部の状況もよく定量的にチェックをした上で、貴重な素材でございますので、先生指摘のような方向で調査委員会にお願いをしてまいりたいと、こう思っています。
  128. 和田春生

    ○和田春生君 これは船舶局だけではなかなかむずかしいわけですし、海難防止からいけば保安庁も絡んでいますが、運輸大臣、ひとつそういう点で、そういうプロジェクトをつくって、これをひとつ徹底的に解明するという点にぜひ取り組んでいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  129. 石田博英

    国務大臣石田博英君) はい。
  130. 和田春生

    ○和田春生君 じゃ、それをひとつ特に希望しておきます。  で、残された時間わずかでございますが、造船政策につきまして一昨日一点触れましたけれども、若干、これは主として運輸大臣にお伺いしたいと思いますのは、技術的な問題ではなくて、長期的視野に立った政策的な問題であるからであります。で、本件については、この夏以来民社党では造船産業対策というものをつくりまして、二十項目にわたっていろんな要望を出し、いままで前運輸大臣時代にも何度か直接大臣に、また担当者にもお目にかかって要望をしてまいったわけであります。で、そのうちで幾つかは今年度の運輸省の予算要求の中ですでに織り込まれて、五十二年度予算として折衝の舞台にのぼっていると、そういうものについてはこの機会にはお伺いするのは省略をしたいと思います。  特に私たちが考えているのは、従来のようにどんどんどんどん船をつくる、それを輸出する、輸出船の主力は大型タンカーであったわけです。しかし、その大型タンカーの場合には、船体の強度とかその他で、やはり設計また建造についてはいろいろ問題がありますけれども、まあ言ってみれば、大きな鉄製の箱をつくってエンジンつけて走らせるといったみたいなものですね。しかし、これからの国際競争と海運界の将来を見れば、そういう時代がもう一度来るとは考えられない。日本はもっぱらそういう大型、ないしは超大型タンカーの建造と輸出で世界一の造船王国ということになってきたわけです。今度はだんだん多角化していかなくてはいけない。そういう点で技術開発も必要であろうと思うんですけれども、国際的な問題については、時間もございませんからこの際触れるのは省略したいと思いますが、国内の環境保全という面から見ていろいろ考えてもらいたいものがある。  そういう中で私たちが主張したいことは、たとえば公害対策船の建造を促進する、これは日本国内だけではなく、世界の文明国がみんな悩んでいるわけです。たとえばごみ処理についても、陸上でごみを処理しようとするから、これは大変問題になるわけですね。しかし数万トンの船をこしらえて、船の中に焼却炉を積んで、そしてそれに集まったごみを積み込んで沖に出て行って船内で焼却するものは焼却する、スラッジならスラッジで無害なように処理をする、そして、それを無害な状況において投棄をするという形にすれば、処理と運搬と一挙両得で環境保全に役に立つわけ。海洋汚染についても、そういうきちんとした処理をすればいい。あるいは汚水処理、屎尿処理なんかも、いまは船に積んでいるやつは、全部沖へ持って行って沖でばあっと捨てているわけですから、うっかり風の向きや潮の流れが悪いと、外で捨てたやつが全部舞い戻ってきて、公害ならず黄色い方の黄害になっているなんという例もあるわけです。あれも、現在の客船等では小型ですが、船内で三次処理までして、そして無害なものは出すという状況になっています。そういう大きな処理船をつくれば、船自体に積んで出て行ってそれを処理してくる、ピストンで航海をする、こういうかっこうにすれば大変いいんではないか。しかし、こういうのを地方自治体とか、あるいは建造する造船所のリスクでつくれと言ったって、どれだけの需要があるのやら、技術開発をしたけれども、さっぱりそれが注文がないという形になれば、全く負担になってしまうわけ。地方自治体もそれだけの財政負担をして、開発からすべてまで一地方自治体で進めるということは大変無理ではないかか。  さらにまた、浮体構造物と言われておりますけれども、沖繩の海洋博ではアクアポリスがかなりの台風にも非常に強いということで成功しているわけです。発電所も発電所の本体自体はそれほど大きなスペースは要らないんですけれども環境対策、公害対策で陸上の場合には非常に大きなスペースが要る。火力発電所をつくるということがあちらこちらでやはり住民運動の一つの対象にされている。まして原子力発電にとっては非常な問題である。そういう場合に、浮体構造物の上に発電所本体を載せる。そうすれば、仮に油を持ってくるにいたしましても、タンカーが横づけをできるという点もありますし、いろんな面で非常にプラスになる。すでにある程度の技術開発のベースができているわけですから、そういう環境保全対策その他を、単に船というのは物を積んで走るだけではなくて、浮体構造、ある意味でいけば陸地の延長というような面の積極的な技術開発に取り組むべきではないか、そういうことを政府も業界も一体になってやっていく。そういうものが一つできれば、よろしい、それは使ってみようとなる。あるいは外国に対しても、そういう先進的な技術開発をすれば、日本が輸出をしていくと、こういうような形で、単に造船は船をつくると、こういうことではなくて、積極的に取り組んでもらう。あるいは空港なんかにしても、そういう技術が進んでいけば浮体空港、海の上に浮かんでいるエアポートという構想にまでいくんではないか。  それが屎尿処理、ごみ処理だけではなくて産業廃棄物、それから油濁処理、そういう点につきましても、造船と関連する技術開発というのは非常にたくさんあるんじゃないか。いま造船業界が不景気だから手を打つということではなくて、それは必要ですよ。雇用面について、これはもう運輸大臣お得意の労働関係で、労働省にもこれは頼んでおりますが、後ろ向きに、いま困っているからとりあえず助けるということは、必要にして不可欠な当面の緊急政策ですけれども、それだけにかまけるのではなくて、将来を見通した積極的な造船関連産業対策というものを進める必要があるとわれわれは考えているわけですね。  ところが、今度の予算関係見ますと、運輸省のを見ても、通産省の方をながめてみましても、通産大臣にもそのことは要請してきたんですが、さっぱりそういう将来的な問題に対して積極的に取り組むということが、五十二年度予算要求の中に頭すら出していないんじゃないか、まことに私は残念に思うわけです。これは一遍に多くの金が要るわけじゃない、まず研究費の頭を出す、そしてそういう機運をつくっていく。民間ではなかなかリスクが大きいから、政府がイニシアチブをとって、民間にも全面的に協力をさせる、そういうことを考えたらどうかというふうに思っているわけです。それを要求し続けているわけなんです。時間の関係がありますのでまとめて申し上げました。これについての所見を運輸大臣、また必要があれば船舶局長からも伺いたい、こういうように思います。
  131. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま和田さん御指摘のように、私は役人の飯というのは一回も食わずに、役所にたびたび行って常に感ずるのは、全部が後始末行政だということをいつでも痛感をいたします。事が起こってからその後始末をするのはまことに手際がいいけれども、起こる前の処置というものに、あるいは配慮というものに非常に欠けているように思います。海運業一つ考えてみましても、日本の経済の発展のために、わが国の海運業の技術的な進歩、開発という点の果たした役割りは大きいんですが、特にタンカーなんかに至っては、ややボウリング屋のおやじと似ているところがあって、隣を見てもうかったらおれもやってやろうかというのがずいぶんあるように思います。運輸省としてはその抑制に努めてきたつもりでおるそうでありますが、現実はこれは逆になっておる。  しかし、せっかくあれだけの能力を持つものがあるんで、ただ縮小していって、それによって企業の均衡を図っていくというよりは、何か利用する方法はないだろうか。まあいろいろ御指摘のような新しい分野でできる方法はないだろうか。たとえば、しかられるかもしらぬが、新大阪空港をつくるときに、埋めるのよりは鉄の船を浮かべた方が、それは高いかもしらぬけれども現在の状態、あるいは現在の機能、そういう上から見て浮かばした方がいまの持っておる造船所の能力や何かを使うのに便利じゃないかというようなことも、実は私としては考えておる次第でございます。だから運輸省としても、御説のような方向に向かっていろいろな具体的努力はしておりますので、それは担当局長に答えさせます。
  132. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船業の現在持っております技術なり施設をこれからどう展開していくかということにつきましては、中長期の対策として運輸審議会に今度の十八日に、これからどういう方向にリサーチを進めていくかということで御審議をしていただきますが、その際には先生指摘のような方向も御検討いただくことになろうかと思います。  それから公害対策の船、あるいは大型の海洋浮遊構造物、これにつきましてもその審議会で議論が出ますが、現状から申し上げますと、屎尿なりごみの処理船につきましては環境庁と、それから通産省と、厚生省と、私どもがいまプロジェクトをつくりまして設計をやっている段階でございます。それから問題の一つは、アクアポリスで大型の浮遊構造物をつくったわけですが、まあ百メーター、百メーターのところまででございまして、基本的にかなり船の構造よりむずかしいところがございました。まあそれは何とかこなしてつくり上げたわけですが、問題の一つとしていま考えられておりますのは、より大きな構造物をつくりますときに係留をどうするかということと、つなぎ目をどうするかということと、もう一つは、ああいう真四角な大型の構造物がどういうふうに波に対して運動するかというような問題点が考えられておるわけでございますが、私どもの方の船舶技術研究所ではようやく海洋構造物の水槽ができかかりつつありますんで、これの予算をことしも続けてお願いをして、そういった基本的な民間の企業でできないところを分担してやってまいりたい。それから造船研究協会と申します社団法人がございます。これは一種の研究組合的な共同研究をやっておりますが、そこ等でもどの問題についてはかなり研究をしておりますが、なかなか御指摘のようなスピードでは進んでおりませんが、これからも技術的な研究の努力を続けて具体的な事業に結びつくように努力してまいりたいと思います。
  133. 和田春生

    ○和田春生君 積極的にひとつ進めていただきたい。  質問を終わります。
  134. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十五分散会