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1976-11-04 第78回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月四日(木曜日)    午後零時九分開会     —————————————    委員異動  十一月四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     三治 重信君   出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         大谷藤之助君     理 事                 大島 友治君                 林田悠紀夫君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 橋本  敦君     委 員                 石破 二朗君                 岡田  広君                 亀井 久興君                久次米健太郎君                 佐多 宗二君                 戸塚 進也君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 栗原 俊夫君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 桑名 義治君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 三治 重信君     国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君     政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        法務省刑事局長  安原 美穂君        文化庁次長    柳川 覺治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ロッキード問題に関する調査議題といたします。  去る十月二十九日の本委員会におきまして、ロッキード問題に関する件について証人として出頭を求めることに決定いたしました鬼頭史郎君の出頭日時及び手続につきましてお諮りいたします。  鬼頭証人出頭日時及び手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) いわゆる灰色高官の公表問題につきましては、本院においても当委員会で、去る十月十五日政府より丸紅全日空ルートに係る中間報告を聴取し、また当委員会における灰色高官公表基準検討に資するため、秘密理事会において法務大臣出席を求め三十ユニット及び九十ユニットに関する資料提供を願い、これに基づいて鋭意与野党間の折衝を続けてまいったのでありますが、遺憾ながら基準の設定について合意するに至りませんでした。ところが一昨日、衆議院ロッキード特別委員会においては、田中委員長の御提案もあり、秘密委員会で三十ユニット分に係る五名について政府側から氏名発表並びに説明が行われたと聞いております。委員長としましては、右五名につき政治的道義的責任があるものと認めますので、本院の立場からも当委員会において政府から右氏名発表並びに説明を求めることといたしたいので、政府側から答弁を願います。  なお、委員長としては、九十ユニット分に係る資料提供についてもさらに政府側が積極的に協力することを求めたいと思いますが、この点についてもお答えを願います。
  6. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 政府は、いわゆる灰色高官名発表につきましては、道義的政治的責任追及者であられる国会基準が示されれば、議長裁定の線に沿い最大限協力を申し上げることを一貫して述べてまいりました。ただいま大谷委員長から三十ユニット分については政治的道義的責任あるものと認めるという御発言がございました。これはとりもなおさず、時効で不起訴になった者及び職務権限はないがトライスター売り込みに関して金銭を受け取った者というものを道義的政治的責任があると御判定されたと存じまして、与野党基準の全体について一致は見ないけれども、そういう点については明確なる基準を示されたものと私どもは厳粛にこれを受け取りまして、これについて、従来の約束どおり最大限の御協力を申し上げるという所存でございますが、人名、金額、その事実関係等につきましては、従来も申し上げておりますとおり、これが資料提供につきましては秘密会でいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げる次第であります。  なお、九十ユニットにつきましては、従来しばしばお答え申し上げましたとおり、これも国会の方から政治的道義的責任のある者の基準をお示しいただきますならば、議長裁定の線に沿い、政府はこれにでき得る限りの御協力を申し上げるにやぶさかではありません。同じく秘密会において申し上げたいと思います。
  7. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 重ねて大臣に御要望しておきます。  お答えは承りました。九十ユニットに関する御協力についても、さらに御検討を、ひとつ積極的な御協力を重ねてお願いいたしておきたいと思います。     —————————————
  8. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) お諮りいたします。  この際、国会法第五十二条の規定により、本委員会秘密会とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、ロッキード問題に関する調査特別委員、議事に関係のある議員国務大臣政府委員及び政府当局者並びに事務をとる職員以外の方の退場を願います。   〔午後零時十七分秘密会に移る〕
  10. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから秘密会に入ります。  法務大臣答弁を求めます。
  11. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 先ほど公開委員会に、委員長から委員会を代表しての御提案がございました。したがいまして、私どもの御要望申し上げました秘密会にしていただきましたことは厚く御礼を申し上げます。  申し上げましたとおり、秘密会であるならば、三十ユニット関係する五人の氏名、それから受け取った金額及び事実関係、そして理由——時効で不起訴にしたとか、金銭受け取りはあるけれどもトライスター売り込みに関して金銭受け取りはあるけれども職務権限がないとか、そういった点について、口頭で資料提供いたしますが、事実関係の正確を期するために、刑事局長説明をいたさせたいと存じますが、お許しいただきたいと思います。
  12. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) ただいま当委員会の御意思として、先般中間報告申し上げました時効で不起訴になった者、それから職務権限はないがトライスター売り込みに関して金銭授受があったと認められる者というものが当面政治的道義的責任がある者という基準をお示しになったものと御理解申し上げまして、一応私ども報告を受けております範囲内でこの基準に該当すると思われる方の氏名とその事実関係を御説明申し上げまして、御調査に御協力申し上げることといたしたいと存じます。  まず、いわゆるロッキード社から流入いたしました金員そのもの授受は認められるけれども請託の事実が認められないため三年の公訴時効が完成していると認められるものに該当する者が三名おられるわけでありまして、順次その氏名等申し上げますと、一人は前内閣総理大臣田中角榮氏でございまして、検察当局判断によりますると、田中角榮氏は昭和四十七年七月七日から四十九年十二月九日までの間、内閣の首長である内閣総理大臣としての職務に従事していた者でありますところ、昭和四十七年十一月六日ごろ、東京都内におきまして、全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の一部である現金一千万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて内閣総理大臣として尽力した謝礼趣旨のもとに榎本敏夫を介して収受し、もって職務に関して収賄したと認められるが、請託の事実が認められないため、三年の公訴時効が完成していると認められるということでございまして、これを認定する証拠といたしましては、ロッキード事件捜査過程において得られました資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者供述及び米国における嘱託証人尋問の結果等によりまして、先ほどの認定をしたということでございます。  同じ類型の二番目の方は元運輸大臣佐々木秀世氏でございまして、佐々木秀世氏は昭和四十七年七月七日から同年十二月二十二日までの間、運輸大臣としての職務に従事していた者でありますところ、同年十月三十一日ころ、東京都内において、全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の一部である現金三百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入するに際し、事業計画変更等について種々便宜を取り計らわれたい趣旨のもとに収受し、もって右職務に関して収賄したと認められるが、請託の事実が認められないため、単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるものでございまして、その認定の根拠といたしましては、同じくロッキード事件捜査過程において得られました資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者供述米国における嘱託証人尋問の結果等によりましてこれを認定したということでございます。  それから、同じ類型の三番目の方として、元運輸政務次官加藤六月氏でございまして、加藤六月氏は昭和四十七年七月十二日から同年十二月二十六日までの間、運輸政務次官としての職務に従事していた者でありますところ、同年十一月一日ころ、東京都内において、全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の一部である現金二百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入するに際し、事業計画変更等について種々便宜を取り計らわれたい趣旨のもとに収受し、もって右職務に関して収賄したと認められるが、請託の事実が認められないため、単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるものでありまして、これを認定する証拠といたしましては、同じく全日空関係者及び丸紅関係者らの供述米国における嘱託証人尋問の結果等によって認定したものでございます。  以上三名がいわゆる時効起訴として道義的責任ありとする基準に該当するものと認められる方方三名でございまして、次がもう一つ類型でございますロッキード社から流入した金員そのもの授受はあると認められるが、証拠職務に関する対価であることが認定できないため、収賄罪成立は認められないが、この金員授受趣旨ロッキード社航空機売り込みと関連あると認められるものという、これに該当するものとしては二名の方がおられるわけでありまして、その一人は元内閣官房長官二階堂進氏でございまして、同氏昭和四十七年七月七日から同四十九年十一月十一日までの間、内閣官房長官でありましたところ、昭和四十七年十一月初旬ころ、東京都内において、全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の一部である現金五百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼趣旨のもとに受領したと認められまするが、この金が内閣官房長官としての職務に関する対価であることが認定できませんため収賄罪成立は認められないものでございまして、かような事実関係認定証拠といたしましては、同じくロッキード事件捜査過程において得られた資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者供述米国における嘱託証人尋問の結果等によりまして認定されたものでございます。  もう一人同じ類型の方、該当すると認められる方は、衆議院議員福永一臣氏でございまして、同氏衆議院議員であり、かつ自由民主党航空対策特別委員会委員長でありましたところ、昭和四十七年十月三十一日ごろ、東京都内におきまして、全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の一部である現金三百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼趣旨のもとに受領したと認められますが、この金が衆議院議員としての職務に関する対価であることが認定できませんため収賄罪成立が認められなかったものでございます。これを認定いたしました証拠といたしましては、同じくロッキード事件捜査過程において得られました資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者供述米国における嘱託証人尋問の結果等に徴して認められたものでございます。  以上、お示しいたしました基準に該当するものと認められるこの人、五名の氏名とその理由を申し上げた次第でございます。
  13. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもって秘密会を終わります。   〔午後零時二十八分秘密会を終わる〕
  14. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ——————————    午後三時十一分開会
  15. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。   ロッキード問題に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 総理にお尋ねをいたしますが、ロッキード疑獄が日本に伝えられてからちょうど九ヵ月たちます。いよいよきょうはまた臨時国会最終日にも当たっており、近々総選挙が控えているという情勢のもとで、総理ロッキード問題についての姿勢を中心に、最後のと言っても差し支えないと思いますが、お考えを伺っていきたいと考えています。(「総論総論」と呼ぶ者あり)総論だけやってもかみ合いませんので、私は各論からその議論を通して総理姿勢を知りたいと思うわけでありますが、まず第一に、政治報告についてであります。  先般、当委員会でわが党の上田委員の質問に答えて、十月十五日に出した中間報告では不十分であることを認めました。しかも総選挙前にはロッキード問題をできるだけ国民に知らせて、争点を明らかにして審判を問うとも言われて、その結論として、総選挙前に改めて報告を出したい、こう  いう趣旨発言が当委員会でなされておりますし、その点については上田委員も再度にわたって確認をしているわけでありますが、まずその出すめどを伺いたいと思うわけであります。私どもといたしましては、今会期中にぜひ出してほしい、出すべきだという対応をしてきたのでありますが、残念ながらそれができませんでした。あなたの怠慢によって実現できない見通しとなった以上、できるだけ早目にこれを出して、少なくとも総選挙前には、当ロッキード委員会は閉会中審査も行う予定でありますから、当委員会でその問題をめぐって野党と論戦が可能なような時期を、あるいは時間的余裕を置いた上で出すべきだと私ども考えていますが、総理の所信を伺いたいと思します。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 矢田部君もおいでになったと思いますが、私が申したことは、まあいま一番残っておるのは児玉の線ですね。児玉の線の捜査進捗を見ました場合には、この間の中間報告では児玉の線というものは触れていないわけでございますので、したがって、児玉ルート捜査進捗いたしましたときには、この間のような中間報告では不十分なので、これはやはりどういう形でするかは別として御報告を申し上げる必要があると思うのです。政治報告ということにつきましては、これはこれだけの事件でございましたから、このロッキード事件全容が明らかになれば私自身もその全容に対して捜査当局から報告を受けますから、それをもとにして私自身ロッキード事件はこういう性格事件であったという御報告はしなければならぬと、これは最初から考えておったわけでございますが、まだ児玉ルートの方の解明はまあ余り進んで——特に顕著な進捗状態は見ていない、まああるいは刑事局長の方がそれに対してお答えができるのに適当だと思いますが、私のところへはそういう報告は受けていないわけでございますから、そういうので、この間の中間報告につけ加えてもう一遍中間報告というものはなかなかこう、材料に乏しいわけです。全部が終われば私はやはりこれは御報告を申し上げなければならないと思っております。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 いまの総理発言はきわめて重大だと思いますよ。上田議員は、最初、総選挙前に出すという総理の答えを再三にわたって実は確認をしておるわけです。しかも、時期的にも特定をいたしまして、総理発言に対し、選挙前ですねと、こういう詰めをしたところ、ここで読んでみますと、これ見てくださいよ、「総選挙前にいたすことが国民判断を求める上において適当だと私は考えている」と、こう言っているじゃありませんか。いまの発言と重大な食い違いがありますよ。もう一回答弁願います。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 食い違いは私はないと雇します これはやはりそういうふうな報告をやることは、総選挙前に児玉の線がある程度進捗すればですね。ロッキードの問題はやはりこう、三つの線があるでしょう。全日空丸紅というものは中間報告で御報告をしたわけですからね。今度残っておるのはやはり児玉の線でございますから、これに対して法務大臣が参りましたらどの程度進んでおるかというような報告をいたしてよろしいわけでございますが、しかし、全日空丸紅というものは一応中間報告の中に網羅したわけでございますから、したがって、児玉の線が捜査進捗しないとなかなか御報告する材料もないわけです。しかし、いまの段階はこういう段階だということは申し上げてよろしいと思いますが、ただ、全日空丸紅につきましては、これはまあ国民判断を求めるために必要だということで、政府としても衆議院の方では、この委員会でもやはりおやりになったろうと思いますが、国民判断というものに資するために国会としての議決に基づいて政府資料提供したわけですね、これは。そういうことですから、やるべきことは、判断を求められるために政府ができるだけの協力はいたしてきたわけでございますが、今度残っておることは児玉の線ですから、児玉の線はいまの進捗状態報告を申し上げますけれども、それがないとこれなかなか全容と言っても、全容というものの報告は、これはなかなか全容はわかってないわけですから御報告はいたしかねますが、いたしかねるということを私から申し上げておるのですが、法務大臣からもその後の、中間報告を出してからその後の捜査状態について御報告は後刻いたすことにいたします。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 これは大変な食言だと思うのですよ。この間の答弁と全く違いますよ。前提として伺っておきますけれども、この間わが党の上田議員はまず内容詰めをやりました。十五日に出した中間報告は、言うならば検事総長捜査報告みいなもので、政府報告になっていない、内容的にも政治報告が必要なのではないかという鋭い詰めを行った結果、不十分でございました、内容が不十分だと。不十分のままでは総選挙前に争点が明らかにならないじゃないかと。そこで、あなたは不十分を認めた上で、児玉ルートが終わらなければなどという条件は何一つついてませんよ。またつけるべきものでもありません。少なくとも総選挙前にそういう上田議員の指摘をされるような政治報告的なものも含めて、政府としての、法務省検事総長報告ではなくて、政府としての報告を総選挙前にやることが適当だと考えている、こう言っておるわけでありますから、法務省報告ではなくて政府報告にする、時期的には総選挙前にすると重大な約束をされたにもかかわらず、あなたは二つの点で食言をしておる。全くそのいまの総理答弁には納得できません。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 平たくよく読んでいただいたら、私はこれは、上田君は政治報告ということを言われましたけれども、これは最後にはそういう必要があるということを私も認めるわけでございますが、それにはロッキードのこの事件というものの全容がわからなければ、これをやはり政治報告と申しまして政府がこの事件を顧みてこのやっぱり真相、こういう性格真相とか性格はこういうものだというロッキード事件全体の御報告というものは私はできないと思いますね、これは。それはやっぱり全体がわからぬですから。だから私が言うのは、児玉ルートというものが進めばこの間のでは不十分ですから、これに対して御報告は申し上げるし、むしろもし児玉ルートが今日の段階捜査丸紅全日空のようにほとんど終了しておれば、私はやはり総選挙前にこれを申し上げることが適当だと思いますが、それ考えはあるんですよ。あるんだけれども、まだ児玉ルートというものはそう進捗してないから政治報告はこの段階ではできませんけれども最後においてはそれはそうすべき……
  22. 矢田部理

    矢田部理君 総選挙前。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総選挙前には……(発言する者あり)
  24. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 静粛に願います。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 児玉ルート進捗状態がございますならば、それは中間報告に加えてもう一つ報告をすべきものだと思いますが、私は矢田部君、長い答弁で私の真意はそういうことを申したわけでございますが、それは児玉ルート進捗もないのに、そうしてこれに対して全容政治報告というものは、これは最後にはしたいけれども、その段階ではできないということでございます。
  26. 上田哲

    上田哲君 関連。  総理、話が全然食い違っております。三点ばかりきちっと再整理してお答えをいただきたいんです。  第一は、児玉ルート丸紅全日空ルートかという問題をお伺いしたのではないし、総理もそのことを御確認になっているわけです。児玉ルートは残っておりますと、これは政府の言われるところです。しかし全日空丸紅ルートは終わりましたと、こういうことになった。それはトライスターが大体終わったということであるという整理の当委員会の長い経過確認なんです。そこで残っている児玉ルートのことはしばらく置いておくと、全日空丸紅ルートについて十分な報告がなされているかどうかということについて、総理自身の言葉として、これは捜査経過報告でありますからと、こう言われて不十分さを認められた。だから捜査経過報告としての全日空丸紅ルート報告だけでは総選挙国民審判を仰ぐのに十分ではないとお認めになったんだから、これを補う点が一つだということなんです。いいですか。だから児玉ルートはこの際関係ないんです、あのときの議論から言っても。  それから第二点は、それならば政府のなさらなければならない捜査経過報告でないものは何かというと、私たちはだれとだれがどこで幾らもらったかということだけではなくて、これは刑訴法上立件できるものに限られていろいろ報告もなされているでありましょうけれども、ここで問題にするのは犯人探しではないのであって、政治報告と言っていることは、たとえば政策決定過程の中にそういう犯罪がどのように入り組んでいたかということを、刑訴法の問題じゃなくて政府の政治責任、政策形成責任の中で明らかにされなければならぬじゃないかと。そうでなければ刑事報告だけを見るのであって、政治審判としての総選挙のデータにはならぬと。たとえば運輸省はどう動いたのか、その職務権限の命ずるところによって一体行政はどういうふうに動き、政策はどう変わったのか、そこが明らかになってなければ職務権限に戻らないわけでしょう。そこの問題を明らかにされなければならぬのだということが中身ですよ。  第三に、いいですか。第三に、それを総選挙の前になされなければならぬとお認めになるのならば、それまでにきちんともう一遍議論できる余裕を持って御報告なさるのだが、だれの責任でやるかと言ったら、政府の責任だと。政府の責任は総理の責任かと言ったら、いろんな形式があるだろうということであったけれども政府の責任というのが総理の責任でないということがあるかと言ったら、最後総理は、大きい声で、ありませんと。つまり総理の責任でこれを出される。この三点を総選挙前に出されることを約束をされたんです。これでなければ総選挙に政治審判を、ロッキード問題について仰ぐということはできないということを、はっきりまさにこれ六回そのとき確認しているんです。これはいまのお話と全然違う。この点をしっかり思い起こしていただいて、何なら議事録を見ていただいて、いま矢田部委員の御質問でありますけれども、正確にそのような内容のものを総選挙前にきちんと報告をするということを約束を果たしてください。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これね、上田君。ここで見せられた赤線を引いてあるのを読み上げますと、「ただ、その全容が、まだこの捜査が完了していませんから、私もやはりこれが捜査が全部終わった後には、上田政治報告というのは、恐らく総理大臣として、どういう性格のものであったかと、どういうふうに金は流れていったものであるかと、こういうふうな報告政治報告と言われるかもしれません。それは、何らかのやはり報告はすべきだと最初から考えておりました。ただしかし、それは捜査が完了したという場合においてでございますが……」と、こういうことになっておりますので……
  28. 矢田部理

    矢田部理君 それを否定してまた質問しているんですよ。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 「無論選挙前にそういうことができれば一番いいと私は思ったわけでございますから、しかし捜査が私の予定しておったよりもおくれたことは事実ですから、捜査が完了してない場合においても、捜査が進んでおる段階までは、稻葉氏の捜査報告だけでも、やっぱり捜査過程においても不十分でございましたから、どういう形の報告にするかは別として、そういう報告が」なされなければならぬと考えておるということで、私が言っておるのは……
  30. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとその肝心なところを落としちゃった。「総選挙前にいたすことが国民判断を求める上において適当だと、私がいま考えておる」ところでございますと、こういうのです。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはそうでしょう。それはやはり総選挙前にそういうものを出すならば国民判断を求める上において適当だと考える。それはしかし稻葉君の捜査報告捜査過程において、捜査が進んでおる段階までは、稻葉氏の捜査報告だけで捜査過程において不十分でございましたから、これどういう形でするかは、捜査が進んでおる場合には、これいままでの中間報告では不十分でしたので、これはどういう形でいたしますか、それは報告をするというようなことを申しておるわけでございまして、それはできれば総選挙前にやることが一番適当だと考えておるということは、やはり私が言っておるのは政治報告というのは児玉の線もあるいは丸紅ロッキードの線もこれ全然関係がないと私は思わないのです。相関関係がございますから、私がこの全容について政治報告というようなものは、これは捜査が全部終わった段階においてすることが適当であって、児玉の線も終わっていない。それ全然関係ないとは言えませんよ、これは。ロッキード事件に関連しておるわけですから、それが適当なんだけれども捜査進捗によってはやはり稻葉法務大臣からそういう報告をすることが総選挙前に適当であるということを申しておるので、これは何も無条件で、私は捜査が何も進んでないのにそれを中間報告をいたしますというようなことではないので、捜査が進めばということで、また上田君に対しても、このロッキード事件全容が明らかになった場合には何らかの形で報告をすべきだと最初から考えておりましたということで、矢田部君、余り私の言っておることは食言というふうには考えない。皆やっぱり条件が上についているわけですからね。そういうことですから、この問題は全部終わった段階において政治報告といいますか、上田君の内容はかなり刑事上の責任以外に政治上の問題も含めての広範な内容のようなものでございますから、それについては児玉の線というものは重要なやっぱり問題を含んでいますからね、政治、政策決定の過程というような問題については。そういうことで、私の考えておる政治報告は、全容が明らかになってという場合を最初から考えておったわけでございます。今度の場合は、児玉ルート進捗がございましたならば総選挙前にやることはむろん適当で、総選挙が終わってということではなくして適当だと考えておることは、それはもうそのときもいつも変わりはないわけでございます。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 どうも重大な食言ですよ。そうすると、前回の捜査報告だけでは不十分だという内容を認めた。政策決定過程に賄賂や政治工作資金がどのように流され、あるいは流された政治家を通してどう動いたか、そこが解明をされなければロッキード問題の行政上の責任が明確にならないじゃないか、それを越えて不正防止などと言っても前提を欠く議論じゃないかということを上田議員はしつこいぐらい詰めたわけですよ、ずっと全体の流れを見てみますと。その上で総理は不十分さを認めた。しかも、総選挙前にはその点を明らかにして国民審判を仰ぎたいと言った。その前提の上に立って、総選挙前に発表することが適当だと考えている、こういう結論を出されたわけですよ。これは再三にわたって念を押しているわけです。その発言ときょうの発言はまるっきり違います。前回の発言を取り消すなら取り消すと言ってください。きょうの発言を聞いていれば、もう児玉ルートがあるからこの捜査が終わらなければやらないという発言じゃありませんか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは上田君の質問に対しても捜査が完了した段階ということで、政治的なといいますか、何らかのそういう報告が必要であるということを言っておるわけですね。この中間報告につけ加えて、児玉ルー、の捜査進捗があれば、これに対して御報告を申し上げて総選挙の前にいろいろ国民判断を仰ぐことが適当であるというふうなことが、回りくどい言い方をしておりますけれども、そういうことが全体の真意でございますから、またこのいわゆる政治的な責任というものは、この問題は国会の特別委員会においても、政治的な責任の追及というものは国会においても十分なさるべき性質のものですから、いろんな御審議を願ったわけですね。政治的責任の問題についても追及され、また国会が決められた基準に対しては、政府もやっぱりこれを資料提供したんですからね、もう政府としては国会の要求に対しては最大限度こたえたわけでございまして、国会基準が決められれば——基準が決められぬ場合にはこれは容易でございませんが、決められた場合は、これは全面的に協力をいたしたつもりでございます。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 私はもう全く納得できません。重大な食言だと思いますよ。きょうの三木総理の対応は、もう総選挙前は政府報告政治報告はやらないという発言でありますから、これはもう徹底的に私たちは追及しなければならぬと思いますし、食言として取り消しを求めたいと思いますけれども、その責任追及については他の質問をまずやった上で、発言を留保しておきたいと思います。  そこで、次の質問に入りたいと思いますが、一昨日の夜、衆議院ロ特で、御承知のように五名の灰色高官の公表を秘密委員会で行いました。きょうはまた参議院のロッキード委員会委員長が、五名については政治的道義的責任があると、したがってこれについては明らかにしなさいということを法務省に求めて、最終的にその内容を私どもは聞きました。それと前後いたしまして衆議院ロッキード委員会では、五名の人たちに弁明の機会を与えたわけでありますが、二階堂前官房長官は、これは三木内閣の謀略だと、加藤氏もそういうことを言っているそうでありますが、まずそういう言い方をしているようでありますが、この点について総理の所信を求めたいと思います。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は最初から言っておるように、このロッキード問題を政治的にこれを利用したりする考え方は毛頭ないんですよ、こんな問題は。この問題を政治的に利用するというようなこと、態度で総理大臣が究明というものはできるはずがない。そういう考え方は全然ないわけでございまして、昨日の資料提供衆議院委員長提案でございましたけれども、道義的責任、政治的責任ありという一つ基準と申しますか、そういうものをお示しになって、三十ユニットの中で時効あるいはまた職務権限のない五名の氏名に対して資料提供してもらいたいという衆議院の意思に従ってやったもので、私がそういう謀略などあり得るはずはないし、そういうことを考えてもいないということでございます。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、加藤、二階堂氏らは全面的抵抗の姿勢を示しているんでありますが、その抵抗の姿勢一つとして二階堂氏は、私にまつわる全資料を出してほしいと、私ば基本的人権を全面的に放棄をして、内容を明らかにしてほしいと彼自身、がその弁明の中で求めているんでありますから、これらの資料の公開も含めて事柄の真相をより明らかにする気持ちがあるかどうか、その点を伺いたいと思います。まず総理の政治姿勢
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 捜査当局資料としてできるだけのことを御報告をしたわけでございまして、これ以上の一つ資料提供は私はできないんじゃないかと思いますが、刑事局長からお答えをいたします。
  38. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 三十ユニットに関連することでございまして、御案内のとおり、橋本、佐藤両氏につきましては、公訴を提起しておりますことと密接に関連する事柄であり、大久保等の偽証にも関連することでございますので、公判の維持というような面から全面的にその資料提供するというわけにはまいらないと思います。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 ただ、少なくとも政治家の基本的人権論を理由にして資料公開に反対する議論、これはこういう議論になってくるとこわれる、前提を欠くというふうに思われますが、その点どうですか、総理
  40. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) いまも申しましたように、四十七条の趣旨は、人権の問題もございますけれども捜査あるいは公訴の維持という利益もございますわけでございまして、いま申しましたように、最もこの点について問題になるのは、公訴の維持に悪影響があるということでございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 人権の方はなくなったということになるわけでありますか。私は何も三十ユニット、九十ユニットという限定をする必要はないわけですよ。ちゃんと弁明の機会も与え、それぞれの議員がきょう弁明をしているわけでしょう。そこで、やったならやった、もらってないならもらってない、全資料を明らかにして私の是非を問うてほしいと、ここまで名のり出る議員がある以上、これは三十だけでなしに九十ユニットも含めて全面的な公開をするべきであるというふうに考えておりますし、少なくとも、先般秘密理事会で公表をされた新資料は、いいですか、国会政治的道義的責任を追及するための基準づくりに役立つ資料、こういう位置づけをしているわけでありますが、混迷をますます深めて基準づくりにはさっぱり役立たない、きわめて不十分だというのが委員会全体の認識なんです。そこで、参議院の先ほどのロッキード特別委員会では、特に委員長から法務当局に対して、政府に対して、不十分だからという前提、認識の上に立ってさらに一層の資料提供のための協力を求める、こういう対応を迫ったわけでありますが、その点について三木総理としてどう考えられますか。
  42. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先般の一つのこの中間報告は、政府国会でいわゆる灰色高官としてのそういう色分けをして発表したのではないんですね。これはもう三十ユニットの資金の流れというものを追及いたしたときにこういうふうに資金は流れておりましたということで、その資金の流れが即灰色高官という、いわゆる灰色高官ということで申したわけではないわけで、しかも、それは人によったら百万円が一番最低で、その下は皆断ち切ってあるではないかという、そういうことではないんで、こう全体の流れを、もう全部どこで線を引いたという、そういうふうな配慮はしてないわけです。全部の資金の流れというものはこういうふうでしたということでございましたから、いわゆる国会政治的道義的責任がありとして追及しようとする灰色高官というものについては、国会において、これが一つ灰色高官基準に相当するということで国会一つの御認定になれば、これはもうどんな協力でもいたすということでございます。それがないのに政府からいろんな捜査資料を全部公表をいたすということは、これはもう、そういうことをいたしますならば、政府がいろいろ灰色というものの区分けをして政府自体がこれを公表するということは、非常に政治的な弊害というものはこれはもう非常にはかりしれないものもございますので、政府灰色高官の区分けをする立場にはないと、国会の方で基準をお決めになればこれに対して十分協力をいたしますと申しておるわけでございます。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとお待ち下さい。私が伺っているのは、三十ユニット、九十ユニットを問わず、中間報告で出た人数については少なくとも政府の責任で公表すべきだという立場が基本でありますけれども、そういう情勢の中で委員長からの要請もあって三十ユニットについては明らかにした。残る九十ユニットについても国会で論議をするに当たっても、先般出した政府基準づくりのための資料だけでは不十分だと、あの内容は十分でないと、こういう認識の上に立って、先ほど委員長から政府に対してそのためにもさらに資料を出し、協力をすべきだと再検討を求める要請があったんですが、それについて答える気持ちがあるのかないのか、もう再検討はしない、あれで精いっぱいだという対応なのか、委員会の要求に応じるのか応じないのか、結論だけ出してください。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 委員会に対しては御協力をいたしますけれども、その前にはやっぱり国会の方で、これはいわゆる政治的道義的責任を追及するいわゆる灰色高官に当たる、こういうことで資料を出してもらいたいという国会の意思としての要請がございませんと、ただ政府が何でもかんでも公表するというようなことは私は適当ではない、こう考えるわけでございます。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、国会の先ほどの委員長の要請にも再検討の余地はないということですか。この前出した資料では不十分だ、少なくともそういう認識の上に立って——いいですか、これは政府姿勢の問題ですよ。その認識の上に立って九十ユニット分についてもさらに資料を出してほしいと、国会基準づくりをするかどうかということを論議するに当たって、不十分さの認識の上に再度要請を、協力を求めているわけですから、それにこたえようとしないということですか。
  46. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、安原刑事局長がその内容についてできるだけの御協力をいたしたつもりでございまして、これ以上協力できるかという具体的な御質問でございますから刑事局長からお答えいたします。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 いや、基本姿勢の問題なんですよ、基本姿勢が問題なんですよ。
  48. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 矢田部委員の御指摘のやつは、この資料の問題は、九十ユニットに関する人々について、政治的道義的責任があるかどうかということを判断するための資料として先般秘密会提供いたしました私ども資料が不十分であるから、さらに委員長の要請もあり、さらに詳細の資料が出せるかどうかを検討せよということでございますので、この点につきましては、先ほど理事会でも申し上げましたように、よくさらに検討はさせていただきますが、あくまでも基準づくりということの要請はよくわかりまするが、まだいわば政治的道義的責任の定まらない現段階において氏名が特定するような資料提供はいたしかねるということでございます。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 どうも三木内閣、この点でもきわめてあいまいなんですよ。具体的な実務の問題よりも基本的な総理のやっぱり政治姿勢にかかっている問題。こちらにボールをよこして、国会が決めなきゃ発表できないと。そのための基準づくりの資料として一部資料提供したけれども、あれで何番目かに出ている、あるいは新聞などでも報道されている「元国務大臣」などといわれて、何が資料提供ですか。だれがどうあそこで参考になるんですか、ああいう中身が。これはとんでもない話なんです。  そこでもう一つ関連して伺っておきますが、五名の灰色高官発表されたこの人たちは、全員調べ、かつ参考人調書をとっているのでしょうか。二階堂前官房長官はそれを出せと言っているわけですから。参考人調書をとっているかどうか。
  50. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 五人を含めまして、先般中間報告で申しましたように、十七人の国会議員の中にその五人も入るわけでございますから、取り調べをいたしておることは事実でございます。取り調べた結果、調書もあるものと存じます。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 これは参考人として、被疑者としなかった。最近、検察審査会に申し立てがあって被疑事件になっていない。被疑者としなかった。したがってまた不起訴処分という処分でもない。処分がないから検察審査会の対象にならないなどという議論があるようでありますけれども、検察審査会の審査を回避するために、少なくともその一つ理由として、被疑者ではなくて参考人として調べたのではないかという疑いがありますが、この点いかがですか。
  52. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 結論から申しまして、そういう意図は全然ございませんで、立件するかどうかということはあくまでも検察庁内部の手続でございますから、検察審査会法の適用をする上において公訴を提起しない処分があったかどうかということは実質に照らして判断さるべきもので、立件して不起訴処分の裁定書ができたものに限るということはないと考えております。
  53. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、検察審査会の審査の対象にもなるというふうに伺っておきたいと思います。  そこで総理大臣にお伺いをいたしますが、少なくとも三十ユニット局官については当委員会は灰色だという認定委員長がして、その上で資料を出させてあるわけです。問題はこの政治的道義的責任をどう国会としてこれから追及するかという国会の課題もあるわけでありますが、自民党の総裁として、この灰色高官はすでに公認されて今度の選挙を戦おうとしているわけでありますが、政党として責任をとる以上これらの公認は取り消すべきだと私は考えるが、この点どう思うか。先般田中や橋本登美三郎について、県連は推薦をしているわけです。田中については推薦の動きをしているわけです。三木総理発言にもかかわらず今後それを維持しようと努力をされている。この問題も含めて本当に自民党が、あるいは総裁として三木総理が責任をとるとするならば、結末をつけてやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 党籍のない人に対しての推薦とか選挙運動を県連がいたすはずはございません。これは後援会はそういうことはあり得るかもしれませんが、県連という政党の組織でそういうことはございません。またいわゆる政治的責任あり道義的責任ありという国会の国政調査権のもとでどういう御判断ができるかはまだ私聞いておりませんが、しかしそういう結果を踏まえて自民党でこれは処理をいたす問題でございます、党として。
  55. 矢田部理

    矢田部理君 最後——終わります、これで……。
  56. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 簡単に願います。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 一連の総裁の発言真相解明に全く熱意を失っている、大幅に後退をしたというふうに指摘せざるを得ません。ロッキード隠し派と妥協し、政権維持に大きな価値を置いて、氏名の全面的な公表も、アメリカ資料も含む資料の公開も、そして証人喚問、さらには先ほど議論をしました政治報告についても重大な後退をしてしまった……
  58. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 簡明に願います。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 もうロッキード隠しの正体をあらわにしたといわれてもいたし方ないような政治姿勢になりかわってしまった。その責任はきわめて重大であると思いますが、今後私たちはあらゆる機会にこの問題を徹底的に追及をしていくことをここで申し上げて私の質問を終わります。
  60. 黒柳明

    ○黒柳明君 総理ですね、最近の各紙の世論調査、もうごらんになっていると思いますけれども、きのうあたり、おとといあたりの国会でのいわゆる三十ユニットの結果あるいは秘密委員会での名前の発表、これは含まれてない時点ですが、いずれにせよ十月十五日の中間報告、これが含まれての世論調査で、七割近くの国民の声はこれは解明に対して不満だと、こういう国民の声があることはこれはもう総理も御存じだと思います。総理はいまもこの席で決して後退してないと、私たちはそんなもう逃げも隠れもしないんだと、これはもう何回聞いたかわかりません。しかしながら私はこの場で総理が何と言えども、やっぱり国民に守られた三木内閣であり、国民の信をやっぱり問う三木内閣あるいは国民の支持によってやっぱり政権を維持している三木内閣、この国民の声に対してはやっぱりいま言ったようにいや私はと、こうは言えないんではなかろうかとこう思います。あと数時間にして本国会も終わる見込みでしょう、延期がなければ——まあそういう可能性は強い。その最後三木総理の、あるいは総理大臣としても失礼ですけれども最後になるかもわからないこの当委員会の審議、ましてロッキード解明に重大な決意をかけた、私もある時期では三木総理の決意も全面的に信頼できるような感触を持った場面もときにはあったのですよ。三木さんいいですか。ところが国民の声というものは、これは三木さんも無視できないのじゃないですか。ひとつ総理として命をかけたこのロッキード究明について、閉会中審議もあります、また選挙後ということもあるでしょうけれども、それはまずさておこうじゃないですか。まず本国会のこの最後であるこの委員会総理の決意、国民の七割を超える不満の声に対してどういう反省をしているのか。ぼくはこうやったということはいい。どういう点をどう反省しているのか。それじゃないとこの七割を超える不満の、国民の声にこたえる答弁にはならない。いい事ずくめ、おれはやったんだ、これは聞きました。結構です。私も一部分は評価しないわけにいかない責めもあるのですから。この面は反省する、この面が足らなかった、こうもしたかった、こういうことをやっぱり言ってもらわないと、この不満に対してこたえる答弁にならないと思うのですが、ひとつおっしゃっていただけますか。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 矢田部君も先ほど締めくくりで言われて、黒柳君もそういう御発言でございましたが、私はこのロッキード事件というものの真相はあくまでも徹底的に究明されないと、この問題というものは日本の民主政治の将来に影響を持っておると思いますから、事の、ロッキード事件がアメリカで発覚して以来、その誠意に後退はないんですよ、いささかも。ただまあ皆何もかも全部公表してしまえという御要求でございますが、それにはおのずからいま申したように、いわゆる灰色高官といわれる人たちの具体的な氏名を直接政府が公表するということは行政府として行き過ぎであると、したがって国会の方で、国権の最高機関である国会で、これが責任あると国会国会の意思として判断するからそういう資料を出してほしいというものに対しては、これは黒柳君考えてごらんなさい、最大限度のやっぱり協力を私はしてきておるわけでございまして、いままでこういうことは例はないことですからね。そういうことですから、私はいささかもこの究明に対しては、これは後退をする意思はないと、今後もまだ残っておる児玉の線というものは一番大きい線ですから、徹底的に究明をして真相は明らかにされなければならぬと考えておる次第でございます。
  62. 黒柳明

    ○黒柳明君 それじゃ現時点を踏まえて、九カ月、ロッキード解明について反省する点があったら述べなさい。反省する点があったら。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はやるだけのことはやってきたという考えです。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 反省点一つもない、まあこういうことですな。ごりっぱですな。そうすると七割からの国民の不満の声は踏みにじっても、三木さんはおれはやったんだと、こう言うと、これはごりっぱ、敬意を表しますよ。  そこで三木総理大臣、あの衆参の秘密委員会でいわゆる公表じゃありませんな、発表されましたいわゆる三十ユニットの方にこれは政治的道義的な責任があると、総理も思っているのでしょうね、その点いかがでしょう。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ私ども国会でそういうふうにお決めになって資料提供したいということでございましたから、政治的道義的責任を私自身が個々の名前について断定をすることは、私は一面において行政の長でもございますから適当でないと思っておっておるわけで、したがって国会が断定をされて、これから国会の方でこれに対して判断を下さる資料提供したわけです。判断は……
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 国会は下したのですよ、道義的責任があると、だから発表しろと言ったのだ。
  67. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だから今度は最後にその資料と本人のいろいろなやっぱり弁明を聞いて国会というものの判断を下されるもの——もう下したかどうか知りませんけれども、下されるものであって、そういう国会一つの決定に対しては、私どもも尊重をしなければならぬと思っておりますが、しかしここで個々の具体的な人々についてそう政治的道義的責任ありと私自身が行政府の長として断定をすることは行き過ぎになるということで、個人の見解は私は述べません。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、刑事的には九十ユニットも三十ユニットも問題がない、シロであったと、これは間違いありませんですな、刑事的には。  そうすると政治的道義的にも三十ユニットの田中前総理含めての五人は真っ白ですか。政治的道義的責任は真っ白ですか。三十ユニット真っ白ですか。
  69. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、私自身の個人的見解を述べることは適当でないと、行政府の長として、それを申しておるわけでございます。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 中間報告には、あのとき総理、これはあくまでも検察当局報告だろうと言ったら、そうじゃない、政治的判断が入っていると言いましたね。私が見たのだからと、こう言いました。当然判断がここに入っているのじゃないですか、総理が見たんですから。全く検察当局、警察当局の報告じゃないと官房長官も先日出てきたときに繰り返した。そうすると、ここに政治的判断が入っている。そこに政治的道義的な判断を、総理、含めて中間報告に対してオーケーをしたのでしょう。間違いないじゃないですか。それをここまで来て総理は、政治的道義的責任があるかどうか私は言えない——出てきたのは検察当局報告だけじゃないはずですよ。総理も見て、ある程度手直しもした。語句的に、字句的にはむずかしいところがあると。どこだかわかりません。となると、これは政治的な判断も含まれているわけじゃないですか。三十ユニットのこの五人に対しては真っ白とは言えないのじゃないですか。  さらに九十ユニットの八人も政治的道義的な責任は真っ白かというと、真っ白とは言えないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。あると私、言っているのじゃないですよ。
  71. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政治的な判断は加えてないわけです。あの中間報告も政治的判断を加えて報告したものではないんですよ。いままで捜査をいたしましたら、資金の流れはこうなっておりましたということで、そこに判断を加えた報告ではないということでございます。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 さっき官房長官出てきました。それから一昨日も官房長官秘密理事会へ出てきました、一昨日ですか、その前でしたかな。政治的判断を加えたと、ちゃんと言っていますよ。それは議事録、ここにありませんが、これはもう既定の事実ですよ、そんなことは。既成の事実ですよ、そんなことを言ったのは。総理、これに対して中間報告総理が見たからには、やっぱりそういう判断を加えたのじゃないんですか、少なくとも真っ白じゃないと。だから、中間報告の中に出したのじゃないですか。どうですか、総理中間報告出すからには真っ白じゃないという見解に少なくとも立ったのじゃないですか。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は官房長官の答弁は聞いていないのですが、法制局長官の——政治的責任の有無について判断を加えたものではないという答弁でなかったでしょうか。政治的判断を加えてああいう中間報告をしたという答弁は、どうも黒柳君の御発言でございますけれども、官房長官がするはずはないと思うのですが、有無について判断を加えたのじゃないと言ったんでないでしょうか、私、速記録も知りませんけれども
  74. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 刑事局長、その席におられたら補足して答弁されますか——いいですか。
  75. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあまあいいです。  総理大臣、この九十ユニットそれから三十ユニット、これは何らかの関係ロッキード——請託はなかったでしょう、あるいは刑事的には真っ白だったでしょう、捜査当局の言い分は。だけど、中間報告にあれだけ出したことは何かしらのやっぱり国会に出すべき根拠があったのじゃないですか。ただ単にこれを与野党の合意の捜査資料として出しただけじゃないんじゃないですか。総理判断はどうなんですか、その点は。
  76. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私、しばしば言っておるように、あの金の流れというものを追及すればこういうふうな金の流れになっておりましたということで、それに対して政治的道義的判断の有無というものがあるとかないとかいう判断を加えたんではないんですよ。あの金というものを追及すればこういう流れになっておりましたということをありのままに御報告したのが中間報告だと私は解釈しております。
  77. 黒柳明

    ○黒柳明君 刑事局長、いまも話ありました国会での四人の弁明、これは全く私たち素人が考えてもどんなものかなとこう思う。現に共通点があるんですな。二階堂氏はその伊藤と一面識もない、こう言っている。さらに加藤氏も、副島とは全く会ってない。それから佐々木氏も同じことですね。これは完全に参考人としての調書がある。それに対してこういう伊藤からあるいは副島からもらっているんだと。当人手渡しているんだと言うからには、完全にこの四人がこれはもう偽りを言っていると、こういうことになるんでしょうな。これは起訴されたものは公判で、また明らかにされるでしょうけれども、完全に彼らは一方的だと、こう言っている。しかも、一番具体的に金をやった、もらったという人には一回も会ってないとみんな言っているんですよ。これは彼らの言っていることが誤りでしょうな。
  78. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 誤りかどうかはわれわれの説明と弁明の機会を与えられました方の弁明と比較考量して国会御当局で御判断をいただくのが正しいあり方かと思います。が、少なくとも検察当局報告を御報告申し上げました限りにおきましては、金を渡した人の供述あるいはその他の関係者の供述から検察当局といたしましては金銭授受があったという認定を下したわけでございます。
  79. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはもう常識だと思うんですよ。だけど、こういうやりとりがブラウン管や新聞の紙面で活字になりますと、どっちの言い分が本当なのか、こういう声も出ていることは間違いありません。いいですか、これに対して。  さらにみんな共通している点は、一方的に丸紅全日空資料でわれわれは黒だと、灰色だと、心外だと。当然彼らは参考人として調べられたその間においては弁明も聞いているんでしょうし、あるいは一方的に全日空資料を突きつけられておまえたちはこうだと断定されたわけじゃないんでしょうな。これはもう当然でしょうけれども、全部が全部一方的に資料を突きつけられてわれわれは灰色にされた、とんでもない、こういうことを言っている。これについても共通ですから、ひとつ言っておいてくださいよ、共通点だけ。個々に触れるともう……。一方的だと言うんです。
  80. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 刑事責任の追及をする場合におきましても、当面被告人という立場にある人が全面に否認し、それを否定する証拠提供して裁判所が有罪、無罪を判断するというのが通例の手続でございますが、そのことを私どもは、当面道義的責任の追及者ではございませんが、一応の資料秘密会提供いたしまして国会御当局の御判断を仰いでおるわけでありますが、提供する以上はそれなりに合理的な判断をもとにした資料提供したつもりでございます。
  81. 黒柳明

    ○黒柳明君 さらに加藤六月氏は、金をもらったと言われる四十七年十一月一日には都内にはいない、岡山にいたと、これを都内で金を授受されたとは心外だと、より具体的なことまで言っているんですな、これ。こんなことも、これはここまでアリバイが、いわゆるアリバイがはっきり当人の口から出れば、これはさかのぼって四年前のことですけれども、当人も調べたんでしょう。都内でもらったなんてとんでもない、おれはそのとき岡山だったと。岡山が都内に入るんならというようなことまで言っているんですよ。刑事局長、こんなこと一つ一つ聞くまでもないことですけれども、それじゃないと、どっちがいいんだか悪いんだかわからない。公判でのクロシロが出ないんだから。これも、こんなばかなことはないと、これでよろしゅうございますか。
  82. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) こんなばかなことがないかどうかは、ひとつ黒柳委員初め委員会で御判断をいただきたいことで、検察当局といたしましては金銭授受があったという認定を、関係者の供述からしておるわけでございます。
  83. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、三木総理、いま私がちょっと言ったように、これはもう何回も繰り返されていますよ。そうであったんだ、そうじゃないんだ、そうであったんだ、そうじゃないと、またそうじゃないんだと。これをいたずらに、失礼な言葉かもわかりませんけれども、報道に流すということは間違いないとは思いつつ、灰色だとは思いつつ、もしかするとと、だからそういう者が立候補しても、その人の言葉、そうじゃないというと何となくそうじゃないと、それじゃうちの先生だけ犠牲じゃなかろうかと、こんなことにもなるんです。ここらあたりやっぱり反省してもらわなきゃ困りますね、客観的事実として。それはどうすればいいのかと、どうすれば。それにはより判断材料を、国民の皆さん方に物を提起するよりほかないじゃないですか。公判上でのシロクロがつかない問題ですから、これは。こういうところを私は三木総理がこの九カ月かかって反省する一つの点ではなかろうかと、こうさっき言った、それが一点。もう時間がありません。  それから、さらにここではもう具体的に言われております。これは法治国家である日本の国会で法務当局がいやがる氏名発表を行うことは三木政権の謀略としてしか理解できない、三木政権謀略、それから今回の政府の措置は法治国家として考えられない蛮行である、法治国家として悪例を残すことになる、これは三木流の瀬戸際作戦、逆指揮権の発動とも言える、もう徹底的ですな、徹底的、三木総理。それに対して、おれはよくやったんだ、よくやったんだなんて言うわけにもいかないじゃないですか。だから一番初めに言ったように、国民が、われわれを含めてわからないんだから、もっと正確に判断できる資料を出しなさい、こういうことです。  それと第二点は、児玉解明、解明たって十五日からもう二十日たっていますよ。ね、そうでしょう。十五日の中間報告から二十日たっていますよ。解明たっていつできるんですか。もうこの辺で児玉、小佐野ルート中間報告もやるべきだったじゃないですか、今国会中には。中間報告児玉、小佐野、十五日はいざ知らず、あそこでも指摘されたんですから、今国会でやるべき、今国会もう終了となるならば衆議院選挙前に児玉、小佐野の中間報告はやるべきじゃないですか、これは。その一点と二点。
  84. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 簡明に願います。
  85. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これで事実関係などは国会資料を提出したわけでございまして、これ以上いろいろどういう点を真相——もっと全資料をということを黒柳君は言われるわけですが、現在の時点で最大限度出せる資料は提出をいたしたつもりでおりますが、これ以上ということになってまいりますと、いろいろな捜査当局として今後の公判廷の維持とかあるいは捜査活動にも支障を来しますので、出せる資料は出したと思います。  それから、また児玉ルート進捗状態については安原刑事局長が御報告を申し上げることにいたします。
  86. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 児玉ルートにつきましては、五十数回にわたりまして児玉本人を調べるほか、小佐野賢治氏についても取り調べを進めるというようなことで鋭意努力はいたしておりますが、ただいま顕著に御報告を申し上げるような段階にはございません。  なお、先ほど黒柳委員の御指摘の、検察の判断資料として御提供申し上げたものに対する弁明の機会が与えられた方々が弁明をされてこれを否定されておるというふうに、検察当局は刑事責任の追及をいたすのを職務といたしまするが、公訴を提起しなかった者についての道義的責任の追及は職務ではございませんので、しかるがゆえに私どもは公訴を提起しなかった者の氏名等を公の委員会では申し上げかねると、資料として提供して国会の御判断を仰ぎたいと、従来しばしば主張してまいりましたのはそこに理由が存するわけでございます。
  87. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 総理、端的に聞きますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。  まずロッキード問題、さらに鬼頭問題、重要問題たくさんあります。そこで、会期を延長せずにどうして処理しようとしているのか、このことを総理に聞きたいのです。いまも指摘ありましたように、五名弁明いたしましたが、しかしまさに開き直っております。真相究明はまさにいまから始まるわけであります。ですから、わが党ではこれを徹底して追及するために三週間程度の会期延長を提案いたしました。各紙も今度社説で一斉に会期延長を要求しております。徹底究明のための会期延長というのはまさにいまや大きな国民世論になっているのじゃないか、総理は会期延長がいまの段階で本当に必要でないか、そう思わないのか、このことについて端的に伺いたいと思います。
  88. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ会期の問題についてはこれは国会とも関連をいたしますので、この際私から進んで会期の問題に触れて言うことは適当でないと思いますが、国会は本日もまだ重要法案も残っておりますから、そういう推移等を含めて国会判断をすべきものだと考えております。
  89. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 重要案件を処理する内閣として、いまのままで済むのかどうか、この判断は当然あると思うのです。そういう立場から必要でないかどうかです、それに対して端的にお答えいただきたい。
  90. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあこの会期の問題というものはきょうの大詰め国会の法案審議の推移などを見て、最終的に国会で決めなければならぬ問題でございますが、ロッキード問題というのも確かにまだ究明しなければならぬ問題たくさん残っておりますが、これはどうしても児玉ルートの問題もいますぐに結論が出るところまでいっていないようでございますから、もう少しこの問題には、いますぐ会期を延長すれば児玉ルートの問題が解明されるというわけじゃなくして、選挙後にこの問題というものはやっぱり残っていかざるを得ない問題だと思っています。
  91. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 どうも答弁はっきりいたしませんが、結局値上げ法案さえ通してしまえば後は用がない。ですからいままで総理ロッキード究明に政治生命をかける、こう言っておったわけでありますけれども、いまや、いまの態度はもうロッキード隠し、さらに鬼頭隠し、そういったことになるという以外に考えようがないのです。これやっぱり重大な公約違反だと思いますが、見解を賜りたい。
  92. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私がなぜ隠す必要があるでしょうか、隠す必要はありません。これはやはり真相は解明されなければならぬというわけですが、これは短期間のうちになかなか、真相解明というものはある程度の時間が要るということであって、真相の解明を中途半端に終わるという考え方では私は全然ないのです。隠す必要はないのです。日本の民主政治のためにはやはりこれを隠すようなことがあってはいけないと考えておるので、そういう意図は全然ないということを明らかにしておきます。
  93. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 会期延長が必要ないという、こういう態度については何らこれは説得力ないと、こう考えざるを得ません。  そこで、次に灰色高官の問題でありますが、三十ユニットの五名の発表などは、これは公知の事実なんです。ですから、こんなものは公表などというものじゃないと思います。そこで、九十ユニットの、これは簿外資金から政治家に金が渡ったという、このことがきわめてこれは重大な問題だと思います。なぜ正規の政治献金とは別に、ロッキード資金をプールした簿外資金の中から特定の政治家に金を配ったのか、そのこと自体が、私はこれは違法状況、これこそまさに今回の汚職のこれは本流というべきものだと思います。しかも、全日空ルートについて政治家はこれは刑事責任問われておりません。灰色としても公表されない。こういうことになってしまいますと、この前代未聞の悪質な航空行政への介入が本当に無傷ということで終わってしまう、これは国民はとても納得できないんです。  そこで、いままで総理は、これは一昨日からそうですが、国会基準を決めろと、こう言って逃げ回っているんですが、私はそういうことじゃなくて、総理自身考えを聞きたいんです。  そこで、端的に伺いますが、この九十ユニット、それについてこれは全日空の利益拡大のための政治活動を依頼したものだと、ここまではわかっていますね。それに対して総理は、これは旅行の場合のせんべつやあいさつなどで、一つの社会的慣習にもなっているので一概に悪いとは言えないという、こういう答弁だったんです。端的に伺います。百万、二百万、あるいは三百万、五百万、こういうのは果たしてせんべつなんでしょうか。これは稻葉さんも五百万というのは途方もない額だと、こう言っています。総理もこういう百万、二百万、三百万、五百万という額がせんべつや中元だと言ってこれは済むのかどうか、本気でそう思っているのか。これは国会判断じゃなくて、政治家としての三木さんの判断としてこれは御答弁いただきたい。
  94. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ政治献金というものは、必ずしも額というものは、相当な金額の場合もあるでしょうけれども、まあ国民の疑惑を招くようなことのないようにすべきだということは政治家自身が心がけなければならぬと思いますが、そのことは政治献金が全部悪いということにはなってないわけですから、したがって、そのことだけで一つの、非常に、いわゆる灰色であるという断定をすることには私は無理があると。しかし、政治家が政治献金を受け取る場合においては、やはり国民から疑惑を受けないような、そういう受け取り方をすることが必要であると考えております。
  95. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういうことを聞いているんじゃないんです。政治献金につきましては、このほかにさらに三百万、五百万、一千万と、こういう途方もない額がある、これは明らかです。私が聞いたのは、それとは別に、せんべつや中元としてこれはいいんだという、こういったことになっておりますから、そこで、こんな多額がせんべつや中元として通用するのかどうかということです。その判断なんですよ。それに対して端的にこれはお答えいただきたいと思うんです。
  96. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) せんべつの場合でも、旅行というものがどういう方面に行くのかということによって金額も違ってくるでしょうから、そこで金額に対してはいろいろな御批評はあると思いますよ、金額はね、一般の人の常識からすれば。しかしやはりここでこの政治献金というものに対して、政治家自身がやっぱり個々に疑惑を招かないようにするよりほかにはないですね。これ一概に、ここまでの金額ならよくてこれぐらいの金額は多過ぎるということに断定はしにくいけれども、政治献金というものに対してもっと厳しくやっぱり政治家が考えなければならぬ教訓をこの事件は含んでいるということは私も考えております。
  97. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、全然質問に答えてないんです。  せんべつや中元を聞いているんですよ。総理ですね、こんな金を平気で受け取る、そういったことがいいのかどうか。総理もこんなことおかしいと思わぬかどうか、これはどうですか。
  98. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあせんべつとか……
  99. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 簡単に、イエスかノーか。
  100. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中元とかいうものは、これはそのもののいろんなケースによって違うでしょうから、そのことだけですぐにこれは悪いことだという私は断定はしにくいけれども金額というものは、あんまり大きな金額をもらうということはいろんな誤解を受けると思います。
  101. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まさにそこが問題なんですね。  時間ありませんから先にいきますが、そこで、鬼頭問題です。これ職権乱用によって宮本関係文書が反共謀略宣伝のために、民社党、文薬春秋、さらに松本明重、こういった関係者に渡した疑いが大変強い。そして原稿をコピーしたのが、これは神田の中央大学の生協コピー部の竹石さんというところなんです。これはぜひ調査してもらいたいと思います。そこで、この松本明重という人は、この同一内容資料を掲載した本の編集者でありますし、戦時中中支特務機関で活躍をして、右翼関係団体日本民主同志会中央執行委員長であります。さらに、今回のこの鬼頭の謀略背後関係、まあたくさんありますが、特務機関に関係のある京都産業大学関係のグループ、さらには法曹界、警察OBの中に秘密のグループがあって、元警察最高首脳部で田中角榮側近、金権問題で名の出た人物が大変深いかかわりを持っている、こういったことも次第に明らかになっております。こういう背景を徹底的に調査しなければならないわけです。いまこの事件を鬼頭の精神的障害、あるいは個人的奇行に矮小化してしまおう、こういう動きが出ておりますが、総理は、いま私が指摘したようなこういう深い背景です、これについて徹底的に調査を進める意思があるかどうか、あわせて御答弁いただきたい。
  102. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が最高裁、あるいはまた検察に対しても強く希望しますことは、これは鬼頭個人の問題ばかりでなしに、もしその背後関係があるとするならば、そのものを徹底的に究明をすることが日本の民主主義の、民主政治のために必要だということで、個人だけの問題でなしに、もしそういうものがあればその背景などについても調査すべきものだと私は強く考えておるわけでございます。
  103. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ところで、総理はこういう右翼や秘密グループとかかわりを持っているようなことはございませんか。
  104. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は何らの関係はございません。
  105. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 事実は答弁と相違いたします。五十年九月二十日、松本明重の著書である「志道花心録」、その出版記念会が行われました。総理はそこの発起人に名を連ねております。当日、竹内潔元首席秘書官、総理のですね。これが三木総理のメッセージを代読している。総理がこういう謀略の疑いを持たれている右翼関係者とかかわりを持っておる、きわめてゆゆしき事態です。御答弁をいただきたい。(資料を示す)
  106. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、どういうことでこういうことになったかは知りませんけれども、そういう関係の人たちとはつき合いもございませんし、そんな関係も私は全然ないことは、これはもう世間がお考えになってもおわかり願えると、私はそういう人たちとの関係は全然ないわけでございます。しかし、この松本という人がどういうことでこういうことになったのかのいきさつは、私自身も初めて承ることで、これは調べてはみますけれども、従来から深いかかわり合いがあったことがないことは事実でございます。
  107. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ちゃんと証拠があります。ないとかで済まされぬ問題です。そこで鬼頭問題は、共産党に打撃を与えてその進出を食いとめようという、こういう意図、それからさらに、三木総理から指揮権発動のこれは言質をとってロッキード隠しをしようという、こういう謀略の当事者とその背後にある者が全く同じだということです。このことを示しました。ところが、これは自民党は鬼頭証人喚問は反対するという方針のもとに進んできまして、とうとう会期内証人喚問、これは全く不可能にしたわけであります。これは断じて許せないわけです。  そこで三木さん、これは自民党総裁として、また——これは先ほど法務委員会で問題になったわけです——事件の当事者として、この鬼頭証人喚問の実現を初め、みずから証人に出て、そしてこの真相究明を徹底的に行う、そういった意思があるかどうか、答弁を賜りたいと思います。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はいろいろな、私自身が、これは捜査をしておるわけでございますからいろいろ聞かれれば、これは私の知っておることは申し上げて捜査協力をするつもりでございます。ロッキード喚問について自民党が反対したということはございません。ただ、呼ぶ時期についていろいろ御意見が一致しなかったようですが、鬼頭裁判官の証人喚問について、これに反対という態度は自民党はとってないわけでございますから、念のために申し上げておきます。
  109. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  110. 三治重信

    三治重信君 本日、最後に当たって、各党強く三木総理にお尋ねしたわけですが、わが民社党もこの予算委員会で、非常に荒れている中で、ロッキード問題解明は別個にやるべきだ——それには、総理が言われた後をたどってみますと、フォード大統領に対する氏名公表を含むという、はっきり氏名ということが出ている。それからさらに、この予算委員会やなんかでもめて、その後両院議長の裁定の中にも氏名を含めという言葉がはっきり明記されている。そういう経過をたどってきたのに、この最後に至って、中間報告丸紅全日空ロッキードから来た資金を受け取った人が、人数がわかったのにかかわらず氏名が出ない、ここに非常に不信感が持たれたことだと思うんです。総理が言う徹底解明の中に、この最後氏名の公表、わかった人の氏名の公表がないところにわれわれは非常な不満を持っている。これに対して、そういう氏名ということについてわれわれがいかにもこだわっているようにお考えになると、そこは少しみずからも反省してほしいと思うんですが、それについてお考えを伺いたい。
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 三治君、しばしば私が申しておるように、この間の中間報告は、政府がいわゆる灰色高官として発表したのでないんですね。金の流れを調べていけばこういうふうに流れておりましたということで、したがって、九十ユニットの人たちはロッキードの金だということはむろん知らなかったり、そういうことで、やはりこれを政府の方から、こういう灰色高官というものの公表というものが世間的に要求されておるときに、灰色高官という一つの断定を下すような形で政府が公表をすることは、私は政府の行為としては行き過ぎであると。だから、そういう事情を踏まえて国会の方でそういう基準をおつくりになれば、これは国会協力する、国政調査権に協力してまいりますと、こう言っておるわけですが、そういうふうな基準づくりもできない前に、ロッキードの金だとこう知らずに受け取っておるわけですね、普通の——金額の多い少ないという御批判はあるでしょう。その全部、灰色高官という形で、これを政府が公表するということは非常に行き過ぎになると思うんですね。だから、われわれとしても、国民の側からすれば全部これは明らかにしてくれという希望があることは承知していますよ。しかし、政府はおのずからやっぱりやれる限度がありますからね。政府が何もかも知っていることを全部公表してしまうというようなことが行政府の行為として適当だと思わないわけでして、特にこの灰色を隠そうという意思はないんですよ、これはね。ないんですけれども、やはりそういうふうな社会的な雰囲気の中で、政府がそれを公表するということは私は行き過ぎになるということで慎重なお答えをしておるわけでございますから、以上を御了承を願います。
  112. 三治重信

    三治重信君 それでしたがって、政府の責任で灰色高官の公表ができないと言うならば、国会における基準をつくったらばということの基準を抜けて、その秘密会なら秘密会で、そういうロッキードの金を受け取った人ならばという、その事実についてだけ秘密会報告するというような、もう少しひとつ——一方、基準というものをはめるもんですから、これは与野党話がつかぬとどうにもならぬ。しかしこの秘密会で、こういう理事会で要求されるということになれば、その資料として報告をする、発表じゃなくて、秘密会報告する。もう一歩そのやり方を考えてほしいと思います。これは要望しておきます。  それから三十ユニットがひとつ秘密理事会で公表されて、きっと恐らく本日、いわゆる国会の、またロッキード委員会の名において公表されることでしょうが、そういうことについて、先ほど来の発表された人の方から非常に反発がある。こういうものを最終的にどう処理するかというのは、またこれ本人の反発から非常に大きな問題があって、検察当局も非常に悩まれることと思うんですが、こういうことを考えると、やはりロッキードのこの賄賂の受領というものがやはり政治家にしっかり認識されてないんじゃないか。なぜ、外国からこういうふうなものが——向こうから日本の政治家に渡したということが発表された、それから入ってきているわけですから、日本の政治姿勢をただすということについて、政府からきちんとした声明なり、先ほど来こういうロッキードの解明についての政治的な報告ということもあったんですけれども、やはり政府が何らか、こういうロッキード中間報告についての一つ捜査報告があったわけなんですけれども、さらに政治的な報告として、こういうものに対する政治的な、やはり国民に対する——政治家はもっとこういうふうに反省しなければいかぬ、本当に外国からの政治資金が回り回っても、そういうものをもっと反省して政治家は行動してほしいという、きちんとした政治に対する態度というものを総理が出されることが私は必要だと思いますが、いかがでございますか。これで質問を終わります。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 三治君ね、これやっぱり児玉ルートはもう全然別だと言いましても相関関係がありますね、この事件は。相関関係ありますよ。全体が、捜査が完了した後には必要だと思いますね、これは。いまの丸紅全日空だけでは全体を踏まえてということになりませんからね。ことに児玉の線というものは、いろいろ解明をされなければならぬ、政治の黒幕と言われているんですから、政治とのかかわり合いというものは深いというふうに世間は見ておるわけですから。そういうことが、捜査が完了いたしましたならば——三治君の言われるようなことはよくわかります。これに対して何らかの、政府としてこの事件を顧みて、そしてどういう一つ性格のものであり、どういうふうに受けとめるかということの報告はあってしかるべきだと思うわけでございます。
  114. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会