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1976-10-12 第78回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十二日(火曜日)    午前十一時三十六分開会     —————————————    委員異動  十月十二日     辞任         補欠選任      内藤  功君     加藤  進君      三治 重信君     柄谷 道一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 大島 友治君                 林田悠紀夫君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 橋本  敦君     委 員                 岡田  広君                 亀井 久興君                久次米健太郎君                 戸塚 進也君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 栗原 俊夫君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 桑名 義治君                 峯山 昭範君                 加藤  進君                 柄谷 道一君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        国税庁次長    山橋敬一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        防衛庁長官官房        総務課長     上野 隆史君        外務省アメリカ        局外務参事官   浅尾新一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、内藤功君及び三治重信君が委員を辞任され、その補欠として加藤進君及び柄谷道一君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 矢田部理

    矢田部理君 私は本日の質問の柱をアメリカ資料公表公開の問題に置いておったわけでありますが、したがって、またそのために官房長官出席を求めているわけですが、まだ出席がはっきりしておりません。したがって、その質問を後回しにいたしまして、もう一つの柱であります中間報告問題について法務大臣お尋ねをしたいと思っています。  すでにこの十五日に法務大臣中間報告を行うということを言っておられますが、その考え方内容大綱についてかいつまんでまずお話しをいただきたいと思っています。
  5. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 十五日にロッキード調査特別委員会衆参両院において一日のうちに二つ両院を済ませたいと、こう思っております。それは、全部捜査が終わってない段階中間報告なんかいままでしたことないわけですが、異例のことでございますけれども、まあ児玉ルート解明がおくれるという、二つルート解明がほぼ終わったという段階で、国民の知る権利に可能な限りの答え、知る権利に対する答えということも、議長裁定等もこれあり、やっぱり法務省の義務であるかなという考えでやることにいたしました。きわめて異例なことだと私は思います。したがいまして、その内容等につきましては目下検察等とも打ち合わせつつ詰めてまいりたいという段階でありますので、内容は決まっておりませんから、いま発表申し上げるわけにはまいりません、内容につきましては。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 内容発表は十五日に待つわけでありますが、したがって、私は内容の詳細についてここで求めるつもりはありませんが、その柱といいますか、大綱といいますか、といったようなものについては、すでに公式非公式に明らかにされている部分もあるようですので、大綱をちょっとお示しをいただければと思っています。
  7. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 柱についてはすでに発表してある部分もあるとあなたおっしゃるんですが、一切ございません。そういうものは一切ございません、発表したものは、公式にも非公式にも。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 それは私も予算委員会に出ておりまして、丸紅全日空ルート捜査経過とか、あるいはこの国会灰色高官、いわゆる灰色高官範囲を煮詰めるに当たって参考となるような資料だとかいう物の言い方をされていることを直接聞いておるわけでありますので、そういうことも含めてお話しできるのじゃないかと思いますけれども
  9. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたの前の御質問に対する私の答弁を繰り返します。  中間報告は、第一に従来の国内捜査経過及び結果の一般的概要、第二に真相究明のための日米政府間の協力活動、とりわけ米国資料の入手及び嘱託尋問経過、第三に、いわゆる児玉ルートを中心とした今後の捜査見通し等について行うことになりましょうと——これはそのとおりなんですね。そうしてなお国会におけるいわゆる灰色高官の定義、基準等の審議、御決定の参考にも資するため全日空丸紅ルート関係捜査結果についての報告をどのように行うかについては目下検討中でございますと、その検討をいま進めておって、十五日に検討の結果を中間報告すると、こういうわけでございます。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 すでに法務省原案はできて、三木総理のもとにそれを示しているという話もあるわけでありますが、もう原案はほぼ固まったのではありませんか。
  11. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 原案は固まっておりません。私、知らない間に刑事局長でも固めていたかどうかは刑事局長答弁させます。
  12. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 衆議院のロッキード委員会理事会でも御説明を申し上げたわけでもありまするが、これを要するに、先週の後半まで検察当局とその中身についての打ち合わせをいたしまして、この連休の間に刑事課長と私でいわゆる事務当局としての一つの案をこしらえました。これからさらに事務次官、関係省庁、それから検察庁との重ねての協議、それから大臣の決裁というような順序で、ぜひ十五日には間に合わせたいと思って一生懸命にいま整理をしておる最中でございます。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、内容に余り立ち至っていま聞く段階ではないかとも思いますが、私ども社会党としては、少なくとも全日空ルート丸紅ルートについては捜査が完了したというふうに言われておるわけでありますから、その限りにおいてはすでにわかったものは全容を明らかにすべきだと、とりわけその二つルート関係では金の流れロッキード社をスタートした金がどういう経路でどこに行き着いたのか、その趣旨は何であったのか、これは重要な柱だというふうに私たちは思っています。さらには国対委員長会談でも、いわゆる灰色高官、これも明らかにすべしということがそのレベルでは合意をされたわけでありますから、検察庁法務省自身が黒か白か灰色かという区分けはできないにしても、国会なり国民なりが判断できるような両ルートについての資料内容を全面的に明らかにすべきだと、当然のことながらそのためには検察庁のすべての処分とその内容をまず明らかにしなきゃならぬし、同時に犯罪捜査としては立件をしなかったけれども、金額が比較的小さいとか、あるいは別の趣旨だったとかいうことで立件をしなかったにしても、金に手をつけたということで参考人その他で調べた人たち中身名前等もすでに明らかにしていい段階ではないかというふうに私たち考えているわけです。その点について、内容ではなくて考え方についてひとつ答弁をいただきたい。  それから、もう一つ重要なのは、特に参議院ロッキード特別委員会は今日まで主としてPXLについて論議を重ねてきました。検察庁自身もこの問題を捜査の対象にしてきたわけでありますが、このPXL問題について今日まで行ってきた捜査概要到達点、これからの見通し等々について、これまた発表すべきだという立場に立っているわけでありますが、その点はどうなっているのか。まず以上の点についてお尋ねをしたいと思います。
  14. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 五党国対委員長間で話し合われて決定されたことで、ロッキード事件に関する点、御指摘のような点についてはよく承知しております。よく承知しておりますから、議長裁定の線に沿って協力しなけりゃならぬなと、こういう考えであります。それ以下のいろいろな御質問事項はすべてこれは中間報告内容にわたることですから、まだ固めてない段階でいま私の口から申し上げるわけにはまいりませんな。どうも法律専門的なことでございますし、間違ったりしたら大変だからね。あなたは法律家ですから、こっちも法律家にその辺のところは答弁させます。
  15. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 捜査の結果すべての資料国会に提出すべきであるという御議論につきましては、まず御案内のとおり、検察というものは国会議員政治的道義的責任判断する機関でないことは十分に御理解でございまするから、灰色とは何であるか、国会議員政治的道義的責任とは何であるかということは、もとより国会がお決めになることで、検察の決めるべきことではないということは御理解いただきますが、それにつきましては大臣も申されておりますように、中間報告ではその道義的責任構成要件を決めるための資料ということで、できる限り議長裁定に沿った報告の仕方をしたいということは考えておりまするが、その内容につきましてはいままだ固まっていないわけでございます。方向としてはそういう考え方一つ持っております。  それから、もう一つ方向としてはっきり申し上げたいのは、検察が調べた結果につきまして刑事責任を追及する者につきましては、公訴提起という形で公にしておりまするが、それ以外の者の氏名公開委員会で申し上げるわけにはいかないということは一つ考え方骨子でございます。それはいずれ詳しくは御説明申し上げたいと思いまするが、検察官処分というものは裁判所とは違います。私は、この道義的責任の問題につきましては、国会がいわば道義的責任裁判所の機能を営もうとしておるものであるという理解に立っておるわけでございまして、その場合に検察官はその公訴提起官告発官ではないわけでございますので、公訴を提起するだけの資料を添えて国会に言うというような立場にはないわけでございます。あくまでも刑事責任を追及するという立場検察立場でございまするから、おのずからその捜査調査には限界があるわけでございまして、刑事責任を追及する場合におきましては、有罪の確認を得るまでの捜査を尽くして公訴を提起するわけでありまするが、それに至らないものにつきましては、検察はあくまでもその考え方判断というものは確定力を持たない、最終的には刑事責任については裁判所が、道義的責任については国会が最終的な御判断をなさる機関であって、検察官考え方は一応の考え方であって確定力を持たないものであるということを御理解いただきますならば、そのような名前公開委員会で申し上げるということが相当でないことは明らかであろうというふうに考えておる次第でございます。そういうことで、氏名公表ということにつきましては、公開委員会を避けて、仮に、総理も申しておられますように、必ずつくられるであろう国会政治的道義的責任構成要件が決まりました場合におきまして、われわれは総理の申しておられます秘密会をお願いいたしまして、その席でその構成要件に見合うと思われる、それこそ検察が思われる判断する関係における資料を提供いたしたいと、かように考えておりまするが、公開委員会においては、検察判断の不確定性からいって委員会で申し上げるべきではないというふうに考えておるというのが一つ考え方一つの柱でございます。  それからPXL関係につきましては、先ほど申されましたように、構想といたしましては、将来における捜査見通しというものに触れるということがありますので、恐らくはその場合に触れることとなろうと、かように考えております。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 刑事局長答弁に納得できるものではありませんが、もう一点だけ伺っておきたいのは、不起訴処分内容とか人数等については触れられるという考え方が一部報道などでは伝えられておりますが、それはその通りでしょうか。  それから、たとえば全日空ルートで百万円のお金を受け取ったというような事実関係があった場合に、それを贈収賄の被疑者として立件をし、かつ捜査を進めるという場合と、被疑者としては立てないで、いわゆる参考人、通俗的に言えば重要参考人ということで調べをして、したがってまた起訴、不起訴等処分はないというケースが本件では考えられるかと思うわけでありますが、そういう意味での参考人の数等についてももしあるとするならば発表の予定かどうか、考え方を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 確定的な内容になっておりませんドラマフディングの段階でございまするから、はっきりしたことを申し上げる機会ではないと思いますが、いずれにいたしましても、矢田部委員指摘のように、今回ロッキードからわが国に流入いたしましたいわゆる活動資金流れ究明するという意味において、公開委員会報告できる限度いっぱいに究明の結果を御報告申し上げたいと、かように考えておりまして、氏名公表は避けたいと思っておりまするが、それ、究明ということの結果を最大限に御報告申し上げるというつもりでおるわけであります。と同時に、したがいまして、それは被疑者であったか参考人であったかというようなことは、いわば検察的な事務処理の内訳の問題でございますが、究明をするという以上は被疑者参考人の区別なく、できる限り究明の結果を御報告申し上げる。被疑者参考人には特に関係はなく、許される限度において報告を申し上げるというつもりでおります。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、やや繰り返しになりますが、被疑者参考人か、あるいは起訴、不起訴を含めた処分内容にかかわりなく金の流れについてもできるだけ報告をしたい、こういう趣旨でございましょうか。
  19. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 御指摘のとおりでございまして、したがって先ほど氏名公表できないというのは、何も不起訴処分にした者の氏名公表できないのみならず、およそ取り調べた者についてどういうことが行われたかということも、氏名、特定の個人に結びつけるような仕方では公開委員会では報告をしないということも方針として持っておる次第でございます。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 それから、いわゆる灰色高官公表問題なんでありますが、しきりに最近法務省筋から秘密会で明らかにするとかということで一つ前提を置いているように思えるわけです。これは秘密会そのものに私どもは全面的に反対でありまして、もともとこのロッキード事件の、あるいは疑獄全貌を明らかにする、そのために徹底的な究明をやるということでロッキード委員会としてはスタートしたわけだし、三木内閣としてもそのことを折に触れて強調をしてきたわけであります。しかも刑事訴訟法の四十七条ただし書き、公益性相当性判断についてはありますけれども、とりわけこの秘密会でなきゃというような条件がついているわけでもないし、また検察庁自身に色づけをして出してほしいという趣旨でもありませんから、いまこの名前公表についてちゅうちょをされる理由は私は全く納得できないわけです。したがって、基本的な立場として氏名も含めて、しかも秘密会というような方向ではなしに、国民に全体がわかるような、再びこういう事件を繰り返さないためにも、国民全体の知り得る場で公開公表をやっぱりすべきであるというのが基本的な考え方であります。その点ではいまの刑事局長答弁については非常に不満でありますが、いずれこれは十五日段階での中間報告があるようでありますから、その時点で改めて基本的な問題も含めて、論議を交わしていきたいと考えています。  それからもう一点、今回は中間報告である。しかし、いずれ捜査が終われば全容報告をするということを三木総理は先般の予算委員会なりで述べておられるわけでありますが、この全容報告中間報告との関係といいますか、全容報告というのはまたどんなことを予定しておられるのか、位置づけその他が非常に不明確でありますので、この点について法務大臣から伺っておきたいと思う。
  21. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 中間報告捜査が全部終了しない途中の報告でございますから、だから前の二つルート全日空ルート丸紅ルートにつきましても、全容はなかなかできないわけです、全容は。というのは、その丸紅ルート全日空ルート捜査の結果であって、それが児玉ルート捜査に非常に関連を持つというような事柄は、中間報告の中の内容にできないわけですからね。したがって、全部終わったら全容を明らかにするという意味総理がああいう答弁をしておられるというふうに御理解願いたいと思います。済みませんが、刑事局長からなお詳しく……。
  22. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 骨子大臣の言われたとおりでございますが、要するに私どもとして、総理発言は、全容、全部の捜査が終わった場合におきます場合と中間報告の場合におきましては、いま大臣の申されますように、公にし得る範囲捜査継続中か捜査が終わったかによっておのずから異なるという意味で、公開できる部分がやや広くなるんじゃないかということを総理は強調して全容全容とおっしゃっているものと私ども理解しておるわけでございます。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 その辺が少しく実はあいまいに受け取れるわけなんです。つまりいまは捜査中だから一定の限界がある、しかし、いずれは捜査が終わればいまの範囲よりも広げて発表できるということの意味が、捜査児玉ルートが残っているので、そのルートについては少なくともできない、しかし、この捜査が終わればそこを含めて量的にいわば拡大をして全容報告が出来るという受け取り方と、もう一つはそういう量的な問題だけでなくて、質的にも、たとえば調べた高官名とか、金の流れのもう少しやっぱり突っ込んだ内容とかという、質的にも高い報告ができるというふうな受け取り方になるんでしょうか。
  24. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 的確に御理解いたしましてごもっともな御質問と思いまするが、私は人の名前を公にすることが、検察官公訴を提起しなかった者の名前公表することが、いま矢田部委員のおっしゃる質的な拡大であるということになれば、そういう意味での質的な拡大全貌が終わろうと終わるまいと関係はない、そのように言う筋ではないというふうに私ども考えております。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、中間報告よりも拡大して報告ができるという意味は、量的に拡大をする、つまり残っている児玉ルートを含めて報告をできるという程度のものなのか、それ以上のものも考えているのかどうか。
  26. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それ以上のものを考えておりますね。というのは全日空丸紅ルートについても、捜査の途中の中間報告では、児玉ルート捜査の途中での中間報告では加えられないものも、児玉ルートが終わって全部が終わった後には丸紅全日空ルート中間報告ではなし得なかったものも加わる、そこへ児玉ルートが加わる、こういうことですから、そういうように御理解願います。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 ということになりますれば、それは言うならば量的な拡大であって、質的に、捜査の途中だからチェックされておる者も捜査が終われば公表できるという範囲拡大ではないのではないでしょうか。
  28. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) いま捜査の途中でございまして、その進展ぐあいを見ないとよくわかりませんが、要はいまの丸紅ルート、それから全日空ルートというものについての捜査の結果を御報告するにつきましても、児玉ルートを含めていまじゃないか、それは児玉ルート捜査が終わった場合においては言える場合もあろうという意味におきましては、単に児玉ルート捜査結果を言うよりは、現在では中間報告であって、しかし児玉ルートを除くものについては、最終的な報告である場合に言えないことも、児玉ルートが残っているがゆえに言えないこと、児玉ルートが終われば言えるということもあるという意味においては、これをまあ質的転換と言えば質的転換でもあろうし、量的であると言えば量的でもあろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、これ具体的なことになりませんと、ちょっと観念論で、とても私の言うことを御理解いただけないと思いまするが、観念的にはさよう考えております。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 私ども全面公表公開論立場に立っているわけでありますが、どうもやっぱりその趣旨には必ずしも沿った中間報告は期待できない。加えて全容報告というもので、いまは中間なんだからという待たせ方を国民にするとするならば、いま全容報告考え方について聞いても、単なる児玉ルート残しのための量的拡大としか考えられない。ということになると、ロッキード疑獄の全面的な解明ということから見ると、かなりの後退あるいは全容報告に逃げていくというような感じもしないではありませんし、いわゆる灰色高官問題についても、国会における各党間の合意ということを前提にし、さらには非公開委員会というような注文をつけるなど、大幅にロッキード問題の解明について政府姿勢——検察庁にはいろいろ考え方あるかもしらぬが、政府姿勢としてやっぱり後退をしているんではないかというふうにいま言われても仕方がないと思うわけであります。  同時に、これ稻葉法務大臣発言に関連してお聞きしたいと思うわけでありますが、先般の参議院予算委員会で、国会証人喚問について刑事被告人については疑問を持っているということで、言うならば、田中や檜山などの証人喚問に非常に障害になるような発言をされておるわけであります。もちろん刑事被告人だからといって、国会証人喚問してはならぬなどという根拠は法制上は少なくともないわけでありますし、とりわけ田中について言うならば、なるほど丸紅ルートから来た五億円の問題については相当程度検察捜査の結果明らかになりました。あの五億円を受け取った趣旨については、いまなお単にトライスターの報酬というだけではなしに、PXLにもかかわっているのではないかという疑惑がある。加えてPXL白紙還元イニシアをとったのも田中であるということはきわめて明白になってきているわけであります。そのイニシアをとった背景が何であったのか、どういう経過と状況のもとにそれが仕切られたのかというようなことではさまざまな疑惑を呼んでいるわけであります。そういう角度から、参議院では田中証人喚問を今回も求めているわけでありますけれども、何かこの刑事被告人になったということでその辺などもやっぱりふさがれてしまう、そういう役割りを少なくとも法務大臣発言は担っているわけであります。これまた大きく後退をしたのではないか。従前ですと、捜査が山場だから控えてくれと言う。今度は裁判だからやめてくれと言う。証人喚問に疑問があるなどということになりますれば、国会としては証人として喚問することが非常にむずかしくなってしまう。あの発言はきわめて行き過ぎだというふうに私は思うわけでありますが、その点について法務大臣自身から答弁をいただきたいと思います。
  30. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 参議院予算委員会における橋本敦委員の御質疑だったと思いますがね、それに対する私の答えは速記録にも載っているとおりでありまして、証人喚問刑事被告人について全面的に拒否したなどという発言ではございません。理論的には証人として喚問することも十分可能だと私は思っておりますね。ただ私の申し上げましたのは、もう一度繰り返すようになりますけれども刑事被告人に対する国会証人喚問の当、不当は、証人喚問の目的、刑事事件との関連等に関し具体的に決定さるべき事柄であると思います、やり方によります、内容によります、証人喚問の目的いかんによりますと、こういうことを申し上げたわけですね。したがって、理論的には証人として喚問されることは可能である。そんなことはこっちがかれこれ言うべき問題ではない。国会がお決めになる問題だ。ただ、ある証人の喚問において、証言を求める事項が、当該証人起訴されている公訴事実、あるいはこれに関連する事実に及ぶ場合には、証言の内容を裁判官が知ることによって裁判官に予断ないし偏見を与える、あるいは検察官公訴の維持に悪影響を及ぼし、裁判の公正や検察権の適当な行使を害するおそれが強い場合が往々考えられるのでお考え願いたい、よく御考慮を願いたいものだという意味で申し上げたわけです。さらに国政調査の目的が起訴されている公訴事実の存否を目的とするような場合は、これは個々の裁判についての事実の認定、刑の量定等の当否を批判することにもなり、司法権の独立を侵すおそれがあるとして、私はこういうことは許されないものと思いますと、こういうことを申し上げたにすぎません。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 私は、国会における証人喚問は、もともと刑事被告人としてその責任を追及するのが本意ではありません。いうところの道義的政治的責任の追及が主なんでありますから、その点でも、刑事被告人になったから当然にあるいは全面的に証人喚問はいかぬのだということにはならないはずだし、その向きでいまのお答えはあったろうと思うわけでありますが、ただ、時の法務大臣がそういう発言をしますと、いろんな点で利用されるわけですね。現にきょう自民党は、私ども野党の、田中を含む何人かの証人喚問の要請に対して、すでにもう刑事事件になって裁判になったんだからということを、断わる重要な理由に実はしてきているわけなんであります。  繰り返すようになりますが、田中について言うならば、丸紅から五億円もらった、それがやっぱりトライスターにかかわるものであるということで起訴をされた、その存否や是非については裁判との関係で一定の配慮はしなきゃならぬ場合もあるかもしれません。場合によってはこの国会における追及が公訴の維持に有用な場合もあり得るわけでありまして、その辺はやっぱり事件に即して考えればいいことなんでありまして、田中疑惑というのはそれに限定されるものじゃないわけです。言うならば、五億円の趣旨についてだって大変な疑惑がある。ロッキード社コーチャンともあろう人が、これはPXL関係がありませんよ、トライスターだけのお金ですよなどと言って、事後にそれだけのお金を渡すということもきわめて不自然でありますし、加えて、この白紙還元をめぐる、あるいは田中・ニクソン会談をめぐる疑惑というのは依然として解明をされていない、そういう意味では田中証人喚問というのは非常に大きな意味があるし、ぜひ必要だと私たち考えているわけなんです。その点で法務大臣発言というのはやっぱりかなり慎重にやってもらわないとすぐに利用される、その点は特に申し上げておきたいと思いますが、もう一度考え方を。
  32. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 繰り返しますけれども刑事被告人に対する国会証人喚問の当、不当は、証人喚問の目的、それから刑事事件との関連等に関し具体的に決定さるべき事柄であると思量すると、こう申し上げているんですから、この私の発言が私妨げになるというつもりでないんです。妨げになっていないと思うんです。それはどうぞそちらでお決めくださいと、こういうことで、自民党のロッキード調査特別委員会委員がどう言っている、こう言っているということは私に関係ないことだ。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ確認的に伺っておきますが、法務大臣もこの委員会にたびたび出席をしておわかりのように、われわれはPXLをめぐる疑惑についていろんな論議を交わしてきました。その焦点になっていたのが田中総理であったことは御承知のとおりであります。そういう面で田中自身を証人として喚問することは、いまの刑事事件の公判維持等々には直接的な影響はございませんね。
  34. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 基本的な考え方大臣の申されたとおりでありまするが、先ほど、少し私たち心配なのは、検察官公訴を提起した五億円の趣旨が、トライスターの売り込みもあるかもしれぬがPXLもあるんじゃないかというようなことを論議して、ここで批判されることは、まさに私どもがおそれておる、裁判官に予断を与えるというおそれなきにしもあらずでございますので、その辺はひとつ私のお願いでございまするけれども、そういうやり方については十分にひとつ慎重を期していただきたいと、かように思うわけでございまするが、それ以外の事柄につきましては、法務大臣のおっしゃるとおりでございまして、いわば、どういう目的でそういう証人として呼ばれるかということに関連するとともに、どういう仕方をなさるかということについての御配慮ということをお願いしたいと、かように思います。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 だから、確認をしておきたいのは、いまの発言で、詰めればそういうことになると思うんでありますが、PXLをめぐる疑惑について、白紙還元などを中心にして田中証人喚問することは別に公判維持や捜査——捜査は終わっておるかもしれませんが——等に直接的な関係はないということになるわけでしょ。結論だけでいいです。
  36. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) その事柄は、いつもお願いいたしますように、PXLについて検察当局がどの程度捜査しているかと、このリラティブ、相関関係にございますので申し上げるわけにはまいりません。要するに目的とやり方について御判断をいただければいいというふうに私ども考えております。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 まあずばりは言いにくいのかもしれませんが、その論理的帰結としては、捜査を行っているのは当然としても、あるいはいまも継続中かもしらぬけれども、いま直ちに田中PXLをめぐる疑惑証人として喚問することは差し支えないという考え方だと思いますので、そう受け取って次の質問に入りたいと思います。  官房長官の時間はその後決まりましたでしょうか。
  38. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) まだ午前中はちょっと無理じゃないでしょうか。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ、ここでアメリカ資料公開公表の問題について、先ほどの中間報告とも関係がありますので官房長官も含めてお尋ねをしたいと思ったわけでありますが、午前中の出席は無理だということでありますので、別の質問を先にいたします。  国税庁にお聞きをいたします。捜査状況等については、いま論議がありましたように、きわめて不十分ではありそうですけれども中間報告をやるということになっています。このロッキード疑獄については国税当局も、その立場でいろんな調査あるいは査察等も含めてやってこられたと思うんでありますが、その概要をお示しをいただきたいというように思います。
  40. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えを申し上げます。  このロッキード事件関係をいたします課税上のもろもろの問題につきましては、大きく分けまして児玉を中心とする問題、それから全日空丸紅を中心とする問題というふうに分かれると思います。児玉の関係につきましては、先生御承知のとおり、去る三月の十三日に、昭和四十七年分の所得税法違反につきまして東京地検に告発をいたしまして、以後引き続きいわゆるフィクサー収入等を含めまして、同人の資金の流れと資産形成の全貌を明らかにすべく調査を行ってきたわけでございますけれども、九月の三十日に、四十八年分及び四十九年分の所得税法違反につきまして東京地検に告発をいたしまして、同日起訴されたわけでございます。今回、九月の末に起訴されました四十八年分、四十九年分の逋脱額につきましては、公訴事動によりますと、逋脱税額ということでございますと四十八年分が二億八千七百万、四十九年分が四億五千百万、合計いたしまして七億三千八百万の通脱税額でございますが、これに、前に三月の十三日に告発、起訴されました八億五千三百万を加えますと、現在のところ十五億九千二百万ということになるわけでございます。  なお、去る三月十三日に、四十七年分の告発、起訴と同時に四十五、六、七年分につきまして所要の課税処理を行いましたが、四十八年分、四十九年分につきましても、九月三十日に所要の課税処理を行っておるわけでございます。ただ、五十年分につきましては現在まだ残っておりまして、今後とも東京地検と緊密な連絡をとりながら調査を進めまして、できるだけ速やかに適正な処理を図る所存でございます。  なお、この児玉関係につきましては、徴収面の問題が実はございまして、債権保全の措置といたしましては、四十五年分から四十七年分までの更正に係るものにつきましては去る三月の十三日に繰り上げ徴収を行いましたが、繰り上げ期限でございますところの三月の十五日までに完納しなかったので、同日以降におきまして不動産、預金等の差し押さえ処分を行っております。また四十八年分及び四十九年分の更正分につきましては九月三十日に繰り上げ請求を行いまして、繰り上げ期限の十月一日正午までに完納がございませんものでしたので、同日以降におきまして新たに預金、債券の差し押さえ処分、すでに差し押さえておりますところの不動産につきまして参加差し押さえを行っておるという状況でございます。  以上が大体児玉関係の現在におきますところの調査、処理の状況でございますけれども、五十年分につきましては、先ほど申し上げましたように、現在まだ残っておりますので、鋭意調査を続行いたしまして適正な処理を行いたいというふうに思っておるわけでございます。  以上が児玉関係でございますが、丸紅全日空関係につきましては、これは当委員会でもお答えしたかと思いますけれども、大法人でございますので、毎年実地調査を実は行っておるわけでございまして、今回、丸紅につきましてはことしの一月、全日空につきましては昨年の十一月から調査に実は着手しておるわけでございますけれども、その後、別途このロッキード事件によりまして検察当局捜査が実は行われたわけでございます。現在関係帳簿が検察当局にまだ押収中でございます。こういうふうな事情もございまして、またこの全日空丸紅というふうな大商社、大会社の関係の取引は非常に複雑でございまして、両社につきましては現在なお検討中でございます。検討中でございまして、調査をまだ終了するに至っておりません。事実関係を今後とも解明を急ぎまして、適切な課税処理を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。  また、この全日空丸紅に関連いたしまして田中総理の実は収賄という問題があるわけでございますが、この点につきましては検察当局ですでに起訴をされておられるところでございます。これの課税上の問題につきましては、これも当委員会におきましてお答え申し上げたかと思いますけれども、税法上のいろいろな取り扱いの問題、それからこれが将来有罪が確定いたしますと没収、追徴になるというふうな問題、そういうふうな問題、あるいはもし課税ということになりますれば、今後所得区分というものが何所得になるかというふうな問題、そういう税法をめぐるいろいろな実は問題がございます。こういう問題を鋭意現在詰めておる段階でございまして、これとあわせましてその実態、その授受の趣旨等を解明をいたしまして、今後適正な課税処理を行って適正な処理を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  以上、非常に大ざっぱでございますけれども、現在、国税当局がロッキード事件に関連をいたしまして行っておる状況でございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 それでは私は、その全日空に対する税務調査の状況についてもう少し突っ込んでお尋ねをしたいと思うわけでありますが、昨年十一月からの調査に加えてロッキード問題にかかわる調査をやっておるようでありますが、これはロッキード関係で入ったお金を単なる申告漏れとしていわば追徴の対象にするための調査なのか、あるいは国税犯則取締法違反事件として査察といいますか捜査といいますか、そういう角度でやっているのか、全日空に対する調べの質についてまずお聞きしたいと思います。
  42. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  全日空関係につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、現在検察当局におきまして関係帳簿が押収されておりまして、実は私たち、最も重要な課税上の調査の中心でございます帳簿書類につきまして、これをまだ十分に調査をする実は態勢になっておらないわけでございますが、まあいまお話しのように、これを査察調査の対象にするか、一般課税処理の問題として扱うかという問題は、実はこれは実態と先常につながりがある問題でございまして、この実態解明をする段階におきましてこの問題を判断をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、この査察調査に関連いたしまして告発をするかどうかというふうな問題につきましては、従来も検察当局と十分協議をしながらこの問題を進めているわけでございますけれども、もしそういうふうな問題が起きますれば、検察庁当局ともまた協議をするということは当然でございますが、いずれにいたしましても現在のところはその実態が十分まだわれわれは把握しておらない段階でございまして、その実態解明を待ってその判断をするということになろうかと思います。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 どうもやっぱり国税当局の姿勢が弱いように見受けられるわけですね。もうすでにほぼ明らかになっていると思われるお金の入りについても、相当な金額に実は上るわけですよ。それはいざ告発ということになればもう少しある意味では綿密な検討を必要とするかもしれませんけれども、言うならば億単位のお金がいろんな名目で全日空に入っている。それをいまだに告発の対象にするのか、それを前提とする査察なのか、一般調査なのかということについてははっきりしないまま、ただやっていると言われてもなかなか国民は納得しにくいんだろうと思います。その点で一つ問題があるのと、それならばいままでやってきた全日空関係調査でその到達点はどこまで行っているのか、どの点が不明なのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  44. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  一般に査察関係調査ということになりますと、いろいろな証拠書類の収集その他、非常にこの刑事措置を前提とした調査でございます。しかしながら、いま申し上げましたように、現在その私たち調査の重要な手がかりになるところのこの資料というものが現在押収中でございまして、われわれとしてはその金の入りあるいは出というものにつきまして、主要資料でございますところの帳簿に基づいてこれを念査をし、その流れの実態を解明するというふうなところまでは現在至ってないわけでございます。したがいまして、同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、現在その実態を十分解明をした上で、それが果たして逋脱というふうな関係から問擬できるものかどうかということを判断せざるを得ないということでございまして、現在のところ査察調査というふうな構えで、あるいは一般調査というふうな構えでということを決めているわけではございません。実態解明の暁にその問題についての判断をわれわれとしてはいたしたいというふうに考えているわけでございます。  なお、全日空についてどういう点がわからないかというふうな点でございますけれども、これは個々の実は調査内容ということでございますので答弁は差し控えさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 何かこの検察当局に帳簿類が押収されていることを一つの口実にしているようにも思われるし、事態の究明がおくれている理由にもしているように思われるわけでありますが、検察当局の押収した帳簿等々は、国税当局には簡単に見れないんですか。あるいは、そこら辺についての協力関係は十分にできていないんでしょうか。さらには、脱税等の告発のための打ち合わせとか、共同の調査とか捜査というのはやっていないんでしょうか。その辺、法務省と国税庁の両方からお答えをいただきたいと思います。
  46. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  一般に、刑事訴追のためのいろいろな調査によりますところの資料という、この捜査当局の押収いたしました資料というものを課税資料としてこちらに開示するということは、これは私たちが、まあ私の答えるというふうなことではございませんけれども検察当局といたしましてはなかなかむずかしい、いろいろな議論があるようでございます。しかしながら児玉のように、当初から共同捜査という形で一応国税と検察調査を開始しておるというふうな問題につきましては、この両方が同じ目的に従いまして捜査をしておるわけでございますので、この点については他とまた違った問題があろうかと思います。ただ、従来私たちも児玉捜査等につきまして、検察当局とは十分な連絡協議を行っておりますので、まあ今後とも十分な連絡協議を行いながら、実態の解明というものになるべく努めてまいりたいというふうに、いま考えているわけでございます。
  47. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) まあ今回の事件につきましては、国税当局とは緊密な連絡をとっているわけでございますし、また査察事件資料ということならば、実務取り決めによりましてもアメリカの資料をお見せできるという立場にもあるわけでございますので、緊密な連絡をとっておるものと確信はいたしております。ただ、国税庁次長が御指摘のとおり、刑事責任の追及のための調査資料を査察以外の目的に使用させるということについては、おのずから限度があるものと思っております。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 だから、やっぱり国税庁の姿勢が問題にされるんじゃないかと思うんですね。実態を見なければわからぬということ、あるいはその検察庁資料が押収されているからなかなか進まないということを口実というか理由にしてですね、査察に踏み切っていない。査察に踏み切れば当然刑事捜査になるわけですから、十分に資料の交換もできるし、共同の作業もできるはずだと思うのでありますが、それをあいまいにしてきたことに国税当局のやっぱり一つの責任がありはしないかと私は思うわけです。もうすでにマスコミも含めて、お金の入りについてはもう周知の事実と言ってもいいぐらいですね、明らかになっているわけですよ。それをいまごろまだ調査中だということでほとんど報告もできないというのは、少しく怠慢じゃないでしょうか。  細かく伺いますけれども、四十九年の六月中旬にオーストリアでトライスターの宣伝飛行をやると、その賃貸料名目で二千七十二万円全日空にお金が入っていると言われておりますが、これは申告はありますか。
  49. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  そういう問題につきましても今後調査の対象あるいは解明の対象になると思いますけれども、現在のところ、それに見合うような収入があったというふうな報告は受けておりません。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 四十九年の七月下旬にはさらに宣伝費名目で追加発注八機分のリベートといいましょうか、そういう趣旨で三千三十四万五千円が丸紅に入ったとされておりますが、この点はいかがでしょうか。
  51. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  これにつきましても今後の調査の対象になる問題であろうかと思いますけれども現在のところ、そのような収入をまだ確認はいたしておりません。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 さらに四十九年八月には一億一千二百万、先ほどは宣伝費でありましたが、今度はリベートとして一機当たり千五百万相当ぐらいになるんでしょうか、これまたロッキードから丸紅に入っていると言われておりますが、この点はいかかでしょうか。
  53. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  この問題も今後解明の対象になる大きな問題だと思いますけれども、現在の段階においてはまだ確認はいたしておりません。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 四十七年の十月と十一月、例の九千万と三千万、ユニット領収証と言われるものでありますが、これが丸紅を経由して全日空に入ったと言われておりますが、この点の解明はどうですか。
  55. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  この問題も調査の対象になる問題でございますけれども、現在のところ、調査段階ではまだ確認しておりません。いずれにいたしましても、個々の問題につきまして、今後、帳簿書類につきましてそういうふうな御指摘のような問題が、どのようなルートでどういうふうな経緯をたどって入ってきたか、あるいはそこからどういうふうな形で出ていったかということは、今後の実態解明という段階で明らかに究明をいたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 私はいま幾つかの事例、金額を挙げて示したわけですが、いずれも確認をしていないと。それじゃこの数カ月間何をやってきたんですか。検察庁は、もう全日空ルートも終わったと言っておる。しかし、これは恐らく全く申告されておらなかった。脱税事件としても十分に問題になり得るケースのはずであります。国税当局はいまだ調査中で、内容、金額とも確認をしていない、確認できていない。検察庁も終わったと言う。一体この金の取り扱いは、今後、法務と国税両当局はどういうふうに取り扱うつもりなのか、その点、両当局から話をいただきたいと思います。
  57. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、いろいろな取引内容につきましては、税務の調査におきましては、その帳簿書類に基づいて、その帳簿に記載をされておるかあるいは記載をされておらないのかというふうな点を十分念査をいたしまして、課税処理という問題を考えておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、現在のところ帳簿書類が捜査当局に現在まだ押収中でございまして、これがまだ全日空丸紅に返還をされるというふうな状況になっておりませんし、われわれとしては、その帳簿書類につきまして、詳しくその御指摘のような事実を中心にいたしまして調査をするというふうなまだ機会を得ておらないわけでございます。今後、そういう機会をなるべく早くわれわれとしては持ちまして、その実態解明に努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  58. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 税法犯につきましては、検察は国税査察というものを中心にそれと協力していくという体制にありますので、いまは御指摘のような事柄につきまして十分、国税当局にでき得る限りの援助をいたしまして、適切な処理に貢献したいと、かように考えております。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 国税当局に伺っておきますが、いま私が述べた数字、金額については、まず全日空の方で所得の申告、法人所得の申告としてはあるんですかないんですか。
  60. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、申告内容検討という段階におきますところのそれの当否を判断をいたします資料は現在まだ十分手元にございません。したがいまして、現在のところそれが申告内容に入っておるかどうかということを確認はできておりません。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 こんな単純なことがまだ確認できていないんですか。確認すらもしてないんですか。そうすると何を調査しているんですか。
  62. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  われわれが申告内容の当否を確認をするということになりますれば、その申告のもとになりましたいろいろなデータというものが正しいものであるかどうかということを見るわけでございます。その申告内容のもとになる帳簿書類というもの、それがまあ帳簿書類でございますけれども、その帳簿書類に基づいて正確な申告が出てきているのかどうかということを確認するわけでございますけれども、現在のところ、その申告内容の当否を判断する資料というものが私たちの手元にないわけでございまして、現在のところまだ確認はしておりませんけれども、その資料というものが十分利用できる状況になりますれば、私たちといたしましてはその内容について確認をすることは当然でございます。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 資料がないということを先ほどから強調されておりますけれども、そう複雑な内容じゃないんですよ。しかもそれぞれのお金について、たとえばエリオットから植木らに渡されたとか、銀座のどこかの料亭のわきの路地で段ボールで受け取ったとかいう話も公になっているわけでありますから、帳簿を見るということも当然のことながら、本人に聞いて関係者に事情を聞いただけだってその程度のことは単純にわかるはずじゃありませんか。そういう作業もまだやってないんですか。
  64. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  税務調査の方法にはいろいろな方法がございますけれども、まず私たちの税務調査の一番のポイントは、その申告の基礎になった事実ということを調べることが前提でございます。まず重要なことでございます。それはやはりまず第一に、私たちは帳簿書類につきまして、そのような収入が実際に帳簿書類に受け入れられているかどうか。あるいはそのような支出というものは帳簿書類を通じてあったかないかということをまず確認することが第一義でございます。それに関連いたしまして、それに関与いたしましたいろいろな関係者につきまして、その状況を、なければない、あるならあるというふうな点を踏まえまして、この質問、検査を行っていくというのが通常のやり方でございます。  確かに御指摘のように、この問題は新聞報道等でいろいろと取りざたされておるので、関係者に聞いたらどうかというふうな点は、確かに御指摘の点のような問題はございましょう。あると思いますけれども、われわれといたしましては、これを総合的にどういう調査方法で行くかということは、そのときどきの最も適切な方法というものを考えながらやっていきたいと思っておりまして、われわれとしてはまず第一に、帳簿書類についてその確認を行った上でその補完的な調査とかいうものを関係人について行っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 一般的な調査、査察はあるいはそうかもしれませんがね、これだけ公になり金額も内容もかなり具体的にもう指摘をされているわけでしょう。関係者に当たって聞けば当然のことながらわかることじゃありませんか。どうもやっぱり迅速な処理ということが行われていない。後で帳簿で確認すればいいことなんであって、その内容いかんによっては当然のことながらもう告発をしていい。とりわけユニット関係の領収証は四十七年段階のものですよ。時期的にも一定の限界がある、三年を経過しようとしているわけですから、あるわけですね。いまだに金額も確認をしていない。関係当事者にも当たっていない。それならば一体何をやってきたのかお聞きしたい。  それからもう一つ、九十ユニット、三十ユニットと二つ入っているわけですね。これは個人で受け取ったのか、全日空で受け取ったのかという問題はあるいはあるかもしれませんが、いずれにしても全日空側で受け取ったということになれば、これは当然のことながら所得になるわけですね、それはいいですね。  それから、それが賄賂としてあるいは政治工作資金として流された。その他の金額も同じ問題が含まれていると思うんでありますけれども、それは経費になるんですか。その辺の考え方はどうでしょう。二つ質問をします。
  66. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  ユニット関係の収入があって、それがいろいろな方面に流れる、支出されておるという場合に、それが経費になるかどうかという御質問だと思いますけれども、この法人税法上の経費という問題につきましてはいろいろな規定がございますけれども、法人税法のたてまえが、益金から損金を引いたものが法人所得であるというふうなたてまえになっております。その損金の中身といたしまして、税法は原価に見合うもの、それから一般管理費、販売費、その他の費用というふうに規定があるわけでございます。問題は、その他のこのような金の流れがどのような実は名目で、あるいはどのような趣旨で実は支出をされたかどうかということの実態を究明をいたしませんと、明らかにいたしませんと、それがいわゆる損金であるかそうでないかということの判断はなかなかむずかしい問題だと思います。したがいまして、一般論としてそれが経費になるかどうかというふうな問題につきましては非常にむずかしいかと思います。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 賄賂。
  68. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) 賄賂ということでございますと、その賄賂が経費になるかというふうな問題でございますが、この問題につきましては、税法上のいわゆる損金の中にその賄賂が入るかどうかということは、解釈上非常にいろいろな実は議論がございます。現在その賄賂につきまして法人税法上の損金になり得るや否やという点につきまして、鋭意税法上もいろいろな解釈問題を実は検討している段階でございまして、一概に損金になる、あるいはならないというふうな結論を現在のところまだ下しておりません。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 そこら辺もやっぱりおかしいと思うんですね。大体賄賂を損金として見るなどという考え方はとってはならないんでありまして、そのことも含めてやっぱり緊急にこの税務問題を詰めていく。刑事事件として立件すべきものは告発その他の手続をとって処置をするということが大切で、私も一度国税当局に全体を伺ってみたいと思っていたんでありますが、こんなに全体がおくれている、調査が進んでいない、しかもその支出もまだ査察の段階に至っていないということはきわめて遺憾だと思っています。緊急に検察当局との協力の上にこの問題を詰めることを強く希望しておきたいと思いますが、同時に私は、もう一つ強い要求として出しておきたいと思いますのは、捜査機関捜査状況等については、きわめて不十分ながらも十五日段階中間報告をする、こういう言い方になっておりますが、税務当局がやってきた児玉らも含むところの全体の調査状況、これについてもロッキード疑獄というきわめて重大な事件内容にかんがみて、とりわけ金の流れを明らかにする意味では、税務当局の調査なり査察の結果というのは非常に大きな意味を持つと思いますので、しかるべき時期に、とりわけ今国会中に私は報告をすべきだということを考えているわけでありますが、これはむしろ大臣の方が実は質問としては適切かと思いますが、きょう要求しましたが出席しておりませんので、その辺の考え方をひとつ聞かせてほしいと思います。  税務上の秘密だということは一般論としてはありますけれども、こういう事件の特殊性なり国民的な関心の度合いから見て、とりわけ三木内閣ロッキードを徹底的に究明するんだ、内容を明らかにするんだという立場から見て、本当にその気ならば、税務問題の調査経過内容等についても明らかにするのが筋だと思いますが、この点についての考え方を、いずれは大臣に改めて伺いますが、もし答えられれば事務当局からもお願いをしたいと思っております。
  70. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  現段階におきますところの調査状況は、先ほどお話し申し上げましたとおりでございます。したがいまして現段階においては、本委員会におきましていろいろな御質問に応じましてお答えをしておるわけでございまして、それに先ほども矢田部先生からの御質問にもおおむね現段階における調査の状況につきましてお話を申し上げたわけで、特につけ加えるべき問題は現在のところないわけでございますが、今後、税務調査、処理というものはいろいろなデータを集積をいたしながら進んでまいると思います。将来の問題としてそういう報告ということを考えろということでございますれば、よく検討をいたしたいと思っております。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 時間がきましたから一点だけで終わりますが、その税務調査のめどはいつごろを時期的に置いてやるつもりですか。もう内容はそうむずかしいことじゃない、ほぼ公にされている。あと帳簿に当たりさえすれば簡単に結論の出る内容でありますから、ぜひ今国会中にやってその全貌を明らかにしてほしいと思うわけでありますが、時期的なめどはいつごろになりますか。
  72. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) お答えいたします。  実態解明にどの程度の実は期間を要するかという問題がございますけれども、われわれといたしましては、なるべく早くこの問題の処理を行ってまいりたいというふうに考えております。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 もうちょっと見当をつけて。
  74. 山橋敬一郎

    政府委員山橋敬一郎君) 実態解明に要する時間いかんでございますけれども、われわれといたしましてはいわゆる課税の除斥期間、時効という問題を念頭に置きながら十分その処理を速やかにやっていきたい。所得税で申しますれば、四十八年分につきましては、三年でございますので五十二年三月が時効でございます。四十九年分につきましては五十三年三月が時効である。あるいは法人税につきましても三年あるいは五年というふうな時効がございますので、そういうことを念頭に置きながらわれわれとしてはできるだけ処理を急いでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 午後一時四十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  76. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 官房長官出席を求めておったのですが、出られないということできわめて遺憾だと思います。したがって、官房長官にはいずれ近い時期に出席をいただいて改めて答弁をいただくことにして、きょうは法務省あるいは外務省にお尋ねをしたいと思うわけでありますが、それは例のアメリカ資料公表公開の問題であります。  まず法務大臣お尋ねをしたいのは、日米両政府間で締結をしたいわゆる司法共助協定といいますか、実務取り決めといいますか——の際に、アメリカ資料公表禁止の条項がございます。それについて西ドイツなどでは御承知のように再協議規定といいますか、いずれ改めて協議をして公表できる余地を残している。そういう向きの規定も置いているようでありますが、日本がアメリカと交渉するに当たってそういうことは全然話題にならなかったのかどうか。日本として要求、要請はしなかったのかどうかという点をまず伺いたい。
  78. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 日米司法取り決め締結の際の詳しいやりとりにつきましては承知いたしておりませんので、刑事局長から答弁させますが、またドイツの方でどういう取り決めの仕方をしたかにつきましても刑事局長答弁させます。
  79. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) そういう規定は問題にはなりませんでした。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 いや、あっさりした答弁で、もう少し内容を欲しいわけですが、西ドイツの協定では、第五項に、別に合意が得られない限り第三者への公表を禁止する、こういう規定になっているわけですね。これについて西ドイツの在米大使館筋では、この規定は、捜査終了後、米側の同意を得て新しい取り決めを結び議会に公表する可能性を残す意味で設けた規定なんだということを言っておるわけであります。ところが、日本がアメリカと交渉するに当たって、あるいは協定化するに当たっては、そのことが話題にもならなかったのでしょうか。当時日本政府からそういう要求も出さなかったんでしょうか。その点伺いたいと思います。
  81. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) そもそも実務取り決めを結ぶ前提としてのフォード書簡とかインガソル書簡の思想は、要するに、またアメリカ政府考え方が、こういう資料捜査、裁判のために法執行機関が使用するものだということで資料の交換をいたしましょうということで始まったものでございまするから、それ以外のことを西独の協定が意味しているとすれば、そういうことは本来アメリカ側の申し入れがそういうことの余地を残さない申し入れであったものですから、そういうことが話題にならなかったものと理解しております。
  82. 矢田部理

    矢田部理君 それは大変おかしいですね。日本の国民あるいは国会も含めてロッキード疑獄全貌を明らかにしたい、徹底的に真相究明をするという立場でアメリカからの資料の提供もずっと要請をしてきた経緯があるわけです。アメリカの方からその問題を出さなかったからこちらは要求しなかったんだと、問題にしなかったんだと言うんでは、もうその時点から三木内閣の政治姿勢が改めて問われなきゃならないと思うわけでありますが、向こうから言わなかったからこちらから言いませんでしたということなんでしょうか。
  83. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) そうではなくて、御案内のとおり、国会の御意思もあり、三木総理としては公開前提として資料の提供をしてもらいたいということで申し入れたところ、フォード書簡、インガソル書簡の返事があって、捜査、裁判のためにだけ資料を提供しようということがあったということでございます。
  84. 矢田部理

    矢田部理君 各国のアメリカとの関係における協定の中身、実情についてまず御報告をいただきたいと思います。
  85. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) この取り決めはわが国が最初に結んだものでございまするから、大体その内容の実質は、わが国とアメリカとの取り決めがいわば先例となって、それに従っておりまするが、いま御指摘のアレンス・アザワイズ・アグリード——他に別段の合意なき限りという規定が入ったのは、西独とベルギーだけというふうに聞いております。
  86. 矢田部理

    矢田部理君 日本の場合にはその条項が入れられなくて、ベルギーと西ドイツだけが入った事情はどういうことだったんでしょうか。
  87. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 実は、なぜ西独にそういうような先例となってそういう規定が入ったのかは、いま西独政府に問い合わせ中でありますのでよくわかりませんが、先ほど参ったアメリカからの連絡等によりますると、アメリカの司法省の刑事局次長が言っておるところによりますと、そういう規定があるとかないとかいうことは実質的に何ら差別の理由はない、同じだということを言っております。私ども理解するのに、いわば刑法で、正当の事由なくして他人の住居に侵入しては、と書いてあろうとなかろうと、不法なものは不法だというのと同じで、アンレス・アザワイズ・アグリードということは、他に別段の協議がない限りという以上は、やはり原則はいけないということで、他に別段の合意をしませんということを言ってない以上は、何と申しますか、可能性としては書いてあろうとなかろうと同じじゃないかと私どもは思います。
  88. 矢田部理

    矢田部理君 そこら辺にですね、対米交渉の弱さ、姿勢がうかがわれるわけでありますが、やはり別に合意が得られない限りということの意味内容をどう見るか。それは書いてあったってなくたって同じなんだと、別に合意と書いてあるんだからそれはなくたって協議できるんだということも——形式論理的にはそうなるかもしれませんが、少なくとも政治的に言うならば、西ドイツ大使館筋も言っているように、やっぱり再協議の余地を残したんだという意味では、形式論理ではなくて、政治的意味内容は大きいだろうというふうに見るのが常識だと思うわけです。  そこで、それはひとつ置いておくことにいたしまして、この種条項のないオランダでは、その後再協議をしてオランダ議会に対するアメリカ資料公表を獲得した、アメリカに了解させたという報道があるわけでありますが、この実情はどうなっていますか。
  89. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 御指摘のように、これは取り決めの枠外で、別に協議をして合意をしたというふうに聞いております。
  90. 矢田部理

    矢田部理君 つまり、公表するという了解をアメリカ側から得たわけですね。
  91. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 聞くところによると、例の三人委員会というものの目的は、アメリカから得た資料を利用して、政府にその結果を報告するということが取り決めの内容だったそうでありまするから、政府国会に出すということについては別段の定めが必要だったというので、オランダはアメリカ政府と協議して、公表することについて——国会に出すこと、すなわち公表することについて同意を得たということであります。したがって、あれは規定がないのに、オランダのにはそういう規定がございませんから、西独のような規定がなかったのにやったという、私が先ほど申した、あろうとなかろうと同じだという例でございます。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 今日的状況からすれば、それはそれで了解をしますが、ところで日本政府あるいは法務省も含めて、私ども社会党はあの協定が締結されたときからけしからぬと、再交渉、再協議をして公表をかち取るべしという強い主張をかねてから持っておったわけでありますが、西ドイツでは先ほど言ったように、あろうとなかろうと同じだという意味には私は解しませんけれども、少なくとも政治的には重要な意味を持つ規定を置いた。オランダは日本と同じように再協議条項的なものを置かなかったけれども、現実には協議をして公表をかち取った、了解させたというところまで事態が進んできているわけです。そこで、日本政府として国民の要求にこたえ、国会の強い意思に基づいて改めてアメリカ政府と協議をし、アメリカから提供された資料公表公開の道を追及する気持ちはないのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  93. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 向こうから例の共同通信のニュースが伝えられて、それが問題になったという経緯にかんがみまして、向こうのスポークスマンの真意を確かめたことを事務的にだけ申し上げますと、一般論としては申したのであって、現実に日本とアメリカとの間においては、なお日本は捜査中でございます。御案内のとおり、児玉ルート捜査中でありまして、アメリカも日本関係ロッキード問題について調査中であるので、いまの段階でそのようなことは余り問題にならないというふうにアメリカ司法省当局が言っておるということだけは——向こうか言っておるということ等事実として御説明を申し上げますとともに、今後の再交渉の問題は、法務当局の立場を越えた政治的な問題でございますから、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  94. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査が全部終わった段階においては全容を明らかにすると、総理の言うのはその辺のことをも含めて申しているんだろうと思っております。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 その辺のことを含めてという意味は、再協議が必要かどうかというのは後でもう一つ議論しますが、いずれにしてもアメリカと詰めて、アメリカ資料公表公開のために努力をするといいますか、再協議をするということですか。
  96. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 日本の方の捜査児玉ルートを残してまだ捜査中と、アメリカにおいても捜査中と、こういうわけですから、いまの段階ではおっしゃったようなことは交渉する時期ではないわけですね。ないわけです。ただ総理も言っているように、児玉ルートも終わった、全部終わった段階においては全容を明らかにするように、総理大玉みずからやると言うんですからね。それは全容が明らかになるようなやり方をするでしょうと、こういう意味です。いまは問題にならないんです、捜査中ですから。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 まずその原則確認をしておきたいわけですよ。いまとか捜査が終わったらとかということじゃなしに、基本的に政府姿勢としてアメリカ資料の第三者禁止条項を排除して公表する、明らかにするという立場に立つのかどうか。その原則に立った上でアメリカと実務的か政府レベルか知りませんけれども、積極的に交渉し、打開の道を講ずるという決意があるのかどうかを聞いておるわけです。
  98. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査が全部終了した暁にね、全容が明らかになるように、知らせるようにするためには、そういうことも必要であることは当然じゃありませんか。アメリカがうんと言うと言わぬとは別として当然じゃないですか。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 きょう、実はこの点、井出官房長官にただしたかったわけですが、井出官房長官の新聞談話などを見てみますと、アメリカと再交渉、再協議の意思はないかのように伝えられているわけですが、その点、政府部内では意思統一はできているんですか。
  100. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いま捜査の途中で、そういう意思はありません。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 その時期の問題じゃないんですよ。基本の姿勢が、どうもやっぱり実務取り決めの、あるいは協定の段階でもあんまり問題を詰め切れていなかった。しかし後、その後の事情を考えてみれば、社会党がかねてから主張している主張が正しいことが、あるいは可能なことが相当程度国際的になったわけでしょう。捜査中だからとか捜査が終わってからという議論は一つ置いておいてですよ、基本の姿勢として捜査が終わったらやりますということなのか、基本的にやるということなのか、そこをやっぱり明確にしておいてもらわないと困りますよ。
  102. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 総理大臣のフォード大統領に対する書簡はそうなっていますわな。公開前提とし、資料をくれと、こう言ったら、いや、それは捜査に妨げがあったりいろいろするからそうはいかないんだというフォードの返事が来ていますわね。その原則を受け入れても、第三者公開をしないというアメリカ側の意向があっても、捜査に必要だから、あるいは便宜だからもらおうじゃないかという閣議決定をわれわれはしたわけですな。それに基づいてやってきた。ところが、捜査が終わった西独だとか、そういうところでは再交渉してそういうことをやっているじゃないか。それがどの程度になっているかということも、まだ調査をかちっとやった後でないとわかりませんわな。そして、いま日本では捜査の継続中、アメリカでも捜査の継続中というこの段階で基本的な姿勢を明らかにせいと言ったって、その点は当然じゃないでしょうかね。公開前提としてもらってだめだと言った、ほかの国には許した、こっちには許さぬということはないでしょうから、捜査が終わってしまえばそういう全貌を明らかにする努力をすることは当然です。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 その辺が、井出官房長官の談話と稻葉法務大臣のニュアンスが少しく違うように思われるわけですよ。基本姿勢として従前、三木総理も含めて一たん結んだものを再交渉なんかできますかという言い方をずっと続けてきたわけでしょう。その延長線上で井出官房長官談話があったというふうに位置づけられるわけです。それに対して稻葉法務大臣は少し時期的な限定はつけておりますが、相当程度のニュアンスを出しておりますね。そんなことは捜査が終わればあたりまえじゃないですかみたいな物の言い方が、従前、交渉なんていうのはとんでもない話だ、一たん結んだやつを、国際的に結んだやつを再交渉、再協議なんかできますかという言い方とは違うのかどうかということ……。
  104. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 二国間の約束、契約というか、条約でも何でも、あらゆる条約について一たん結んだら変更できないなんていうものはないと思いますな、あらゆる条約について。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 いま、そんな一般論を聞いているんじゃないですよ。条約は変更可能でしょう、一般論から言えば。ただ、従来政府がとってきた態度は、繰り返しになりますけれども、一たん結んだものをそんな再協議、再交渉なんかできますかと言って社会党や野党の要求を強く排斥をしてきたわけでしょう。ところが、国際状況を見てみれば、西ドイツはそういう意味での少なくとも政治的意味を持った留保条項を置いた。あるいはオランダは日本と同じようなたてまえで結んだけれども、再交渉して公表をかち取った。ベルギーも西ドイツと同じように再協議条項的なものを本文の中に入れたという状況にかんがみてみれば、それは捜査が終わったとか終わらないとかとかかわりなしに各国はそういう情勢に来ているわけですよ。だから、それは捜査が終わってからの話だとか、いずれ全容報告するんだから、そのときはやるでしょうなあという程度の話ではなくて、やっぱり基本の姿勢として、アメリカ資料も含めて国民の前にまず明らかにしたいと、それがロッキード疑獄の徹底解明の基本的立場であると、民主主義にとってきわめて重要だと考えているという基本の姿勢を明らかにしてもらうことが第一。二番目には、それに基づいて、いま捜査中だからとか捜査が終わってからという話ではなくて、基本姿勢としてアメリカと再協議、再交渉するという姿勢は明らかにできませんか。
  106. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 矢田部委員に先ほど申しましたように、このフォード書簡によりますると、「証券取引委員会の法的及び行政的慣行上、調査に関連するいかなる資料もその調査が完了するまで公開しないこととなっている。そのような情報が」——ここが大事だと思いますが、「時期尚早に明らかにされることは、その調査を害し、また、米国において究極的にとられ得る法執行措置を害することとなる可能性が十分あろう。そのことは、また、関係する個人が究極的に刑事訴訟の被告人となるか否かにかかわらず、その個人の権利を害することとなり得よう。米国の法制及び慣行上の前記の基本的要件は尊重されなければならない。」というふうに言っておりますように、少なくともフォード書簡では、調査が終わろうと終わるまいと別段の合意があれば出せるんだというような立場にフォード書簡はなっていないわけでございまして、この書簡の基本的な要件、時期尚早な発表というのを、私は、時期的に早いという意味と、プリマチュア・ディスクロージャーという言葉がありますが、未熟な公表、事実を確かめないで公表することも避けるべきだというのが基本的な要件であるという、基本的要件をのんでこの実務取り決めを決めたということでございますので、それを、そのことの基本的要件を変えるような再交渉は政府としてはできないということでございまするから、この基本的な要件、調査の公正を害せず、人権を害しないような形になっているような時期における公表ということはおのずから別の問題だというふうに思われるわけでありまして、オランダがそういうことが公表できるようになった背景事情あるいは西独がそういうことを特に必要とした背景事情というのは、調べてみないと、すぐ日本でも同じように、もういまでもやれるじゃないか、すぐ再交渉の、協議の余地があるじゃないかということには、私はこのフォード書簡の基本的要件を読みますと、そう簡単にはいかないことじゃないかというふうに私はフォード書簡を見ながら思いますので、ちょっと念のためにひとつ申し上げさしていただきました。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 その条項は念のために聞かなくてもわかるんですが、私が申し上げているのは、捜査の状況とか完了したかどうかという問題点とかということは一つ置いておて、基本姿勢を問うているわけです。つまり従来は、一たん結んだものを再交渉なんかできますかと、社会党等の要求は無理筋だと、こういう受け取り方があったわけですが、各国の情勢を踏まえて今日的段階で少なくとも考えてみるならば、あれこれの条件は仮にあったにせよ、基本姿勢として公表を求めてアメリカ政府と交渉する気持ちになり得るのかどうか、その前提としてそういう姿勢をとるのかどうかということを聞いているんですから、刑事局長答弁とは全然違うんです。法務大臣に聞きますよ。それは法務省の事務方の問題じゃないんだから。
  108. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いま刑事局長の言ったことは非常に重要な点なんです。したがって、私も時期が大事だと、こう言っているんですね。アメリカにおける捜査の妨げになったり、それから人権のじゅうりんになるおそれがあったり——アメリカにおける、また日本においてもそうだろう、そういうことで第三者に見せてくれるなと、こう言っているんですから、そういう時期が過ぎればおのずから事情は変わってくるであろうということを私は申し上げている。  それからあなた方が再交渉せい再交渉せいと言われた時分は、結んだばっかりで、いかに、条約を後でもう一度やり直しするとか幾らやったって、きのう結んできょうまた再交渉せいと、そういう時期でしたから再交渉はいたしかねますと、こう申し上げたわけです。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ、いまの時期はいいということですか。
  110. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いまの時期はまだ早い。
  111. 矢田部理

    矢田部理君 そうするといつ交渉するんですか。
  112. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) アメリカにおいても日本においてもこの事件捜査が終了した時期です、やるとすれば。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 その後がよけいなんですよ。やるとすればの話をこんな長い時間かけてやってもしようがないんで、基本姿勢を私は聞いているんですよ。そう時期の問題だとか、捜査とのかかわりとかということに問題をすりかえないでほしい。日本政府として国民の前にロッキード全貌を明らかにしたいと言っているわけでしょう。その前提として、徹底究明をしたいと言っている立場がうそかまことかがいま問われているわけですよ。その重要な指標の一つに、私どもがかねてから主張してきた実務協定についての再交渉をして、西ドイツがかち取ったような、あるいはより確実にオランダがしたような方向で取り組む姿勢があるのかどうかと。
  114. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたは私の言うことがわからぬでしょうかな。フォード大統領の返書はそういうふうに理由を挙げて第三者非公開ということを言っているんでしょ、理由を挙げて。だから、その理由が消えれば交渉するとかしないとかいうこととは関係なく、こっちからこういうふうにしますよという意思表示だけでもやれるんじゃなかろうかとは思いますがね。そうではないでしょうか。  それから、全貌を明らかにする、徹底追及するという姿勢がこのことによって疑われるなんということはとんでもない話ですな。われわれは全貌を明らかにするためにいままでも努力をし、これからも大いに努力をするつもりです。相当やったじゃないですか。
  115. 矢田部理

    矢田部理君 そう言われると、私も一言二言、言わなきゃならぬと思うんですよ。相当やったと言われますけれども、全体の状況から見ればPXLは全く捜査として進んでいるのかどうか疑わしい。あるいはまた全体の金の流れから見ても、二割か三割しか解明は進んでいない。アメリカ資料公表問題についても、どうもやっぱり政府姿勢がいまひとつ——この実務協定に書かれたことが消えればそんなことはできるのがあたりまえじゃないですかと、そんなことを聞いているんじゃないのですよ。基本の姿勢として公表問題に取り組むのか取り組まないのか、その基本問題について全く答えていないで、別の問題で答えをすりかえようとしている、全くけしからぬと思っている。  それからもう一つは、もともと米司法省は日本政府から再協議の問い合わせがあったと、それに答えて、両国政府が法執行上有用と合意すれば協定については再協議をしなくても、検察官同士の話し合いでも公表は可能だという対応を日本政府に伝えてきたという話もあるわけです。ところが、先ほど刑事局長答弁によれば、捜査中だとか人権だとかと、あれこれの議論が出てきて、アメリカ司法省の態度を逆に後退させたような印象が残るわけであります。稻葉法務大臣はよくロッキード隠しのために日米双方で動いているという話がありますが、どうもこの公表問題については、アメリカ司法省の態度を後退させたのは、日本政府に何らかの働きかけがあったのではないかという疑惑、疑問すら持たれているわけです。かつて司法省に協定再交渉についてあるいは再協議について問い合わせがあったのでしょうか、それについてアメリカ司法省から日本政府あての何らかの回答に接したことがあるのかどうか、そこら辺もちょっと聞いておきたいと思います。
  116. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) まず、アメリカ司法省に働きかけて後退させたなどということは全くございません。むしろ、フォード書簡から来た取り決めの思想がどうしてあの新聞報道に変変わるのかに驚きを感じた程度でございまして、後日、先ほど申し上げましたように、そういう趣旨ではないという、再交渉——調査も終わらぬ段階で再交渉に応ずるつもりはないといったアメリカの態度が、フォード書簡から一貫性のある態度であると思ったことでございまして、こちらから変えろなどということを言う立場にもないし、そんなことがあろうはずがないというふうに私どもは思っておりました。  それから、いま申しましたように、フォード書簡を受けて実務取り決めを結んだ法務・検察当局といたしましては、まだ捜査も終わらない段階、まして公判の継続しておる段階においてすべて一切資料公開しようなどという交渉はやるつもりはございません。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 法務大臣は、先ほど、将来の問題として、捜査が終わった段階では、全容公開論の立場政府は立っているのでその段階では少なくとも公表のための努力、対米折衝等をやろうという含みの発言をされましたから、それ自身は一歩前進だとは思いますけれども、同時にやっぱり基本の姿勢については非常にあいまいで、きわめて遺憾だと思います。その点で私は井出官房長官も含めて改めてこの論議をしたいと思いますので、きょうのところは保留をしておきたいと思いますけれども、もう一つ、時間の関係がありますので、一、二点だけ質問をして、次の質問者に席を譲りたいと思っています。  それは、まず防衛庁に伺いたいと思いますが、御承知のようにアメリカでまた早期警戒機の売り込み、日本に対する導入をめぐってさまざまな疑惑指摘されております。そこで私は、E2Cを含む契約についてグラマン社と日商岩井との間に代理店契約があろうかと思うのでありますが、その契約の存否、内容について防衛庁に伺いたいと思います。
  118. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 日商岩井とグラマンとの間におきましては一九七〇ごろから一応E2型航空機に関する代理店契約というものは存在しておるようでございます。ただまあこの点につきましては実はまだ現実の問題としてなっておりませんので、私どもの方としてはこの内容についてはまだしさいを了知しておりません。
  119. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁としては各商社等に対して、航空機売り込みに関する外国の企業と日本の商社との間に結ばれたいわゆる代理店契約等については、そのコピーないし資料の提出を求めているようでありますが、日商岩井に対してはそれを求めているでしょうか。それに対する日商岩井の対応についてはどうなっているかを伺いたいと思います。
  120. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) いわゆる日本の商社と外国メーカーとの間におきまするソールエージェント契約と申しますか、代理店契約というものにつきましては、この委員会でもたびたび御質疑をいただいておりますが、私どもとしては、従来お答え申し上げておりますように、極力その契約書の中身につきまして——存否あるいはその中身について当庁に知らせてくれということを依頼しております。これは、依頼という言葉を使っておりますのは、たびたび申しておりますようにこれは第三者契約でございますので、その限度をわれわれとしては出れないということでございます。その意味におきまして日商岩井の方にもたびたび私どもから要求をいたしておりますけれども、まだいわゆる全体的な代理店契約というものの提示はございません。全体的と申しますのは、日商岩井につきましてはこのAEW以外のものも扱っておりますので、全般的なそういった契約の内容についての提示というものはないという状況でございます。
  121. 矢田部理

    矢田部理君 どうして日商岩井は出せないのでしょうか。出さないのでしょうか。その理由はわかりますか。
  122. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) いまもちょっと申し上げましたように、これは非常に、品目数等もかなり多岐にわたっております。扱い品目は恐らく多岐にわたっております。原則といたしましてこれは企業秘に属するものでございます。企業秘に属するということの意味は、要するに相手方におきましても、たとえばいま御指摘のグラマン等につきましても、先方においても企業秘でございます。それから中身によりますと、その契約のつくりぐあいによりましては、単に防衛庁それからこの日商あるいは外国の特定メーカーという関係のみならず、そのほかの、防衛庁以外の需要家というようなものも当然その中に入っておりまして、そういったところにも影響があるということでございます。そういう意味で企業サイドとしてはきわめてこれは出し渋っておりまして、なかなか私の方から取れないというのが実情でございます。
  123. 矢田部理

    矢田部理君 やはり防衛庁の姿勢がひとつ問われる問題だと思うわけです。逆に言えば、出している商社もあるようですが、非常に疑惑を持たれているこのグラマン社との問題について、契約書すら出せないというのはこれはきわめて重要な問題だと思いますので、防衛庁当局に緊急にやっぱり日商岩井に対して再度要請することを求めると同時に、委員会としても、これは民間会社ではありますけれども、この資料提出を求めるためのしかるべき措置をとっていただければと、委員長にこれは強く要求をしておきたいと思います。その点いかがでしょうか。
  124. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまの点につきましては、後刻また理事会において検討することにいたしたいと思います。
  125. 矢田部理

    矢田部理君 それから、グラマン社のE2Cについて、電子機器とか誘導装置、レーダー等はこれはどこの会社の製品を使っているんでしょうか。
  126. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 結論から申しますと、これは一概に電子機器と申しましても非常に多種にわたっておりますので、いま手元にちょっと資料を持っておりません。御必要であればお出しさせていただきたいと思います。ただ、いわゆるこれはロートドーム方式という特別の方式のものでございます。そういう意味で、特別のものでございますが全般的な一つのシステムになっておりますので、そういうことで現在ちょっと手元に資料を持ち合わせておりません。
  127. 矢田部理

    矢田部理君 この問題については、じゃ留保して後で伺いますが、もう一点だけ質問して、私終わります。  四十七年の八月末に例の田中・ニクソン会談があったわけですが、その際マーシャル・グリーンというアメリカの国務次官補と日本の外務次官との間で実務者協議が行われたと伝えられています。日本の外務次官として出席したのはだれでしょうか。外務省。
  128. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) ただいまの御質問の点につきまして、アメリカの多国籍企業小委員会その他で証言がございまして、直ちに私の方で調査いたしました……
  129. 矢田部理

    矢田部理君 日本で出席したのはだれかというんです。
  130. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) その会議に外務事務次官は出席しておりません。
  131. 矢田部理

    矢田部理君 外務次官でないとしても、実務者レベルで、とにかくアメリカ側のマーシャル・グリーン国務次官補を相手に協議が行われたという事実関係はどうでしょうか。
  132. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) ハワイの田中・ニクソン首脳会談の際、事務協議が並行して行われたという記録は、私たち調査の結果、ございませんでした。
  133. 矢田部理

    矢田部理君 これはグラマン・インターナショナルのチータム前社長、非常に重要な証言をしているわけですね。田中・ニクソン会談と並行して行われた実務者協議でグラマン社のE2Cについてアメリカ側から売り込みの話をした、日本側もこれには基本的に同意をしたという事実が指摘をされているわけです。したがって、トップレベルの会談だけでなしにいろんな接触が、仮に実務者協議と銘打ったかどうかは別として、行われた可能性はあり得ると思うわけでありますが、その辺の全体を、外務省、田中・ニクソン会談と同時または並行して行われたあれこれの接触の全貌については報告できませんか。
  134. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) 当時、首脳会談以外に事務レベル協議が同じときに並行して行われたかどうかということは、外務省の調査ではそういう記録は全然ございません。それ以外の場で事務協議が行われたかどうかということは、これは先方のアメリカの議会の証言が非常に不正確でございまして、グラマンの副社長はそういう協議が行われたということでございますけれども、ホワイトハウスの当事者はそういうことはなかったということでございまして、われわれとしてはその前後を調査した結果、かかる事務協議が行われたという事実は全然、全く把握しておりません。
  135. 矢田部理

    矢田部理君 なかったということなのか、把握していないということなのか、その辺どうですか。——いま把握していないというふうに……。
  136. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) 八ワイ、ニクソン会談と同時に並行して行われたという事実はございません。ただ、その前に先立って行われたかどうか、これは時期のとり方にもよるかと思いますが、何月何日にどういう協議が行われたか、全体について外務省としては把握してないということを申し上げたわけでございます。
  137. 矢田部理

    矢田部理君 同時、または並行してという言い方が狭過ぎるとすれば、田中・ニクソン会談に関連して行われた実務者協議はあり得るわけだから、それを緊急に把握して外務省から改めて報告を求めたいと思っています。  それから、防衛庁にもう一点だけ。日商岩井がグラマン社のE2Cの売り込み等で防衛庁とすでに接触をしていると思うんでありますが、その接触状況、時期、内容等についてあれば報告をしていただきたいと思います。
  138. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 現在はございません。ただ、過去におきましては、このE2Cの問題がありましたころにはむしろグラマンの中身ということで、グラマンのいわゆるE2Cというものについての説明が若干あったという事実はございます。しかしこれはかなり前のことでございまして、いま現在は全くございません。
  139. 矢田部理

    矢田部理君 グラマン社をめぐる問題等については改めてまた質問をしたいと思いますので、きょうのところは時間の関係もありますので一応問題指摘だけにとどめておきたいと思います。  以上で終わります。
  140. 野田哲

    ○野田哲君 警察庁に伺いますが、ロッキード事件関係者については、かつて児玉譽士夫宅にセスナ機が飛び込むと、こういう事件もあったわけでありますが、ロッキード事件関係者については、被疑者であるとないとにかかわらずその所在について警視庁は重要な関心を持っておられると思うんですが、小佐野賢治氏についても、その所在については常時警察庁は把握ができる体制にありますかどうか、この点いかがですか。
  141. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) ロッキード事件捜査につきましては、警視庁において東京地検と協力して引き続き継続して捜査をやっているところでございますが、現在の段階において御質問の小佐野氏邸については所轄警察署の重点パトロールをやっておりますが、常時の所在把握と申しますか、そういう問題につきましては、その必要が認められれば行うことになろうかと思いますが、現在そういった常時把握と、こういうふうな措置はとっておりません。
  142. 野田哲

    ○野田哲君 重点パトロールを所轄署でやっていると、こういうお答えがあったわけでありますが、小佐野賢治氏については国会でも、衆議院でかつての証言が偽証であるということで告発の手続の協議も行われている、こういう重要な関係者であります。したがって、この所在あるいはかつての児玉邸に対する危害が加えられた、こういう懸念もないではないと思うんです。  そこで具体的に伺いますけれども、最近小佐野氏が入院をした、深夜に突如入院をしたということが報道されておりますが、この事実については警察庁は確認をされておりますか。
  143. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 小佐野氏は、九月三十日から順天堂大学の医学部の附属病院に入院加療中であるということは承知いたしております。
  144. 野田哲

    ○野田哲君 順天堂病院の何病棟の何号室、こういう点は確認をされておりますか。
  145. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 附属病院の六階の一六〇八号室だと報告を受けております。
  146. 野田哲

    ○野田哲君 被疑者という段階にはなってないんですが、病状等についても確かめられましたか。
  147. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 詳しいことは報告を受けておりません。病状等については報告を受けておりません。
  148. 野田哲

    ○野田哲君 法務省は、小佐野の現状、病気の状態等について、被疑者ではないということでありますけれども、重要な関係者としてその病状等について確認をされておりますか。
  149. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 小佐野氏が狭心症等で順天堂大学の附属病院に入院したということは、新聞報道で承知しております。
  150. 野田哲

    ○野田哲君 いや、病状、病気の状態等については、法務省としては報告を受けておりますか。あるいは参考事項として照会をされた等の経過がありますか。
  151. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) いつも申し上げることで恐縮でございますが、特定の人間の病状について、その他いわば捜査がなされておるのが前提となるような事柄についてその有無等を申し上げることは、いまの段階では差し控えさしていただきたいと思います。
  152. 野田哲

    ○野田哲君 稻葉法務大臣にまず伺いたいと思うんです。  先ほどの矢田部委員質問に対しても、あるいは先般の予算委員会等でも、全日空丸紅ルートについては捜査が完了したと、こういうふうに述べておられる。この点は、重ねて伺いますけれども、そういうふうに理解していいわけですか。
  153. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) さように御理解願います。
  154. 野田哲

    ○野田哲君 ロッキード事件について、金の流れあるいは金のルート別に見るとらえ方、こういうとらえ方があると思うんですけれども、もう一つは、ロッキード事件については飛行機の機種別にとらえるという見方ができると思うんです。言うまでもなくロッキード社から日本への航空機の売り込みについては、民間航空機のトライスター、もう一つは海上自衛隊が予定をしていた対潜哨戒機P3Cオライオン、この二つの機種がある。このことはいままでの捜査あるいは国会での調査の中で、児玉譽士夫、丸紅との契約によって明らかになっております。そうしてさらにいままでの調査で明らかになったことは、P3Cオライオンについて、アメリカ政府の日本に置いている機関であるMDAOを通じあるいは防衛庁にコンタクトがあった、このことも明らかにされているわけです。  そこで、いままでの捜査で、全日空丸紅ルートが今日の段階捜査が完了した、こういうふうにいま報告があった。そういたしますと、この全日空丸紅ルート捜査が完了した、これを別の観点から見ると、全日空が購入をしたトライスター、この捜査が完了したと、こういうふうに理解をしていいわけですか、その点いかがですか。
  155. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういう御理解でいいんだろうと思いますが、間違っているといけませんから刑事局長答弁させます。
  156. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 少なくとも捜査当局の把握しているところでは、トライスターの売り込みに関する捜査は終わったということでございまして、捜査当局も全知全能ではございませんので、一応そういう判断をしていると思います。
  157. 野田哲

    ○野田哲君 トライスターは終わった、こういうふうに考えられると。そうだとすれば、結局児玉ルートの十七億円余り、この残された部分、これはロッキード社が日本へ二つの、トライスターとP3Cと二つの飛行機を売り込んでいたことは明らかでありますし、日本においてこの売り込みのためにコンサルタント契約、代理店契約をしておった児玉、丸紅、こういう代理者が存在していることも明らかでありますから、トライスターが終わったということは、つまり児玉の十七億円余りというのはこれはP3Cオライオンの部分が残されていると、私はこう考えざるを得ないと思うんですが、その点いかがですか。
  158. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 現在、要するにこの捜査の構成は、二十数億に上る金がロッキードから工作資金として来たと、それがどういう目的のために行われ、そしてその間に何か不正がないかというために金の行方を究明していって、そうしてその間に売り込みに関して不正の存否を明らかにするというのが捜査の構成でございましたから、先ほど申しましたように、一応捜査当局ではトライスターは終わったと思っている、判断をしているかもしれぬけれどもと申し上げたのはそのことでございまして、児玉ルートトライスターが全然関係がないという判断をしているとも私は思いませんので、そういう意味においては、終わったというのは全日空それから丸紅ルート捜査が終わったということに事柄を限って御理解いただくのが最も正確であろう。将来のことはわかりませんので、最も安全を期する意味においては、トライスターは終わったと断言してはならないと、かように思います。
  159. 野田哲

    ○野田哲君 児玉ルートの十七億円余りの中にトライスター部分があるかもわからない、あるいはそうかもわかりません。と同時に、P3Cオライオンの金のルートはまだ明らかにされていないわけでありますから、P3Cオライオンの工作資金というものはこの児玉の十七億円、この中に存在すると、こう考えざるを得ないと思うんですが、そういう理解でいいですか。
  160. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) これまでの捜査当局の判断で、公訴提起にも明らかなように、全日空丸紅ルートというもので公訴提起した限りにおいてはトライスターの関連であったということを検察当局は公にしておるわけでありまするが、その十七億、いわゆる児玉ルートについてはまだ究明中でございますので、しかもそれがトライスターロッキード社の売り込みに関する不正の存否を究明中でございますので、これからの捜査の過程において、可能性としてPXLに関連してくるということもあり得るということを一般論としては考えていいんじゃないかと思います。
  161. 野田哲

    ○野田哲君 稻葉法務大臣に見解を伺いたいと思うんですが、P3Cの疑惑、この点が今日まで明らかにされていない。それから児玉ルート、この点がまだ解明をされていない。そこで、いま日米間で、この児玉ルートそしてP3Cの疑惑が明らかになれば、いま日本とアメリカと同時期に行われる現体制の存在にかかわる選挙、つまりアメリカの大統領選挙、日本の総選挙、これらはともに並行、同時期に行われるわけでありますが、現体制が維持できるかどうか、これをかけたそれぞれの国の最大の国政選挙であるわけですが、このP3Cの疑惑が明らかになれば、この二つの、両国の選挙に決定的なダメージを受けることになる。そこで、児玉の病気を口実にして日米共同でP3Cの疑惑については不問に付されている。そのことに関連をして多くの指摘があるわけでありますけれども、私も先般のロッキード委員会、この席で朝日新聞の村上特派員とコーチャンとの会見記、回想録、この問題の疑惑に触れたわけでありますけれども、このコーチャンとの会見記についても、情報によりますと、アメリカ側でP3Cについては触れないということを条件付でオーケーがあり会見が行われた、こういう情報があります。  こういうふうに、P3Cについては日米双方で、現体制に傷がつくからあるいは安保体制に傷がつくから合意で隠すんだ、こういう論評あるいは報道があることについて稻葉法務大臣は御存じですか、こういう報道、評論があることを。
  162. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ただそれだけの話ですか、知っているか知っていないかの……。
  163. 野田哲

    ○野田哲君 そうそう。
  164. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 詳しくは知らぬけれども、ぼやっと知ってます。
  165. 野田哲

    ○野田哲君 ぼやっと知っておられる稻葉法務大臣として、そういう報道、評論、これに対してどういう見解をお持ちですか。
  166. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) こういう国際的な大きな事件でございますから、いろいろな情報が流れ飛ぶでしょう。いかなる情報が流れ飛んでも、私自身としては真相を究明しなきゃいかぬ。それが日米双国の、両国のためであると、ね。たとえそのために三木内閣が滅ぶようなことがあってもしようがない、自民党がだめになることがあってもしようがないと。正義をして支配せしめよ、権力をして支配せしむるなかれと。こういう私が表現をして申し上げているのはそういうところなんです。またちっときざな言い方で、大げさな、ぎょうさんなことを言っているなんて言われるかもしれませんが、命がけでやっているというのはそういうことであります。そういうことです。
  167. 野田哲

    ○野田哲君 硬骨をもって鳴る稻葉さんですから——コウコツというのは、断っておきますが、有吉佐和子さんの恍惚ではなくて骨の硬い方の硬骨——稻葉法務大臣ですから、これはいまの御発言ひとつぜひ貫いてもらいたいと思います。  次に、法務省に伺いますが、田中総理大臣丸紅ルートを通じて受託収賄ということで現に起訴されている、この受領した五億円、この五億円について田中総理の手元へ入ったことは明らかにされておりますけれども、出の方については、これは取り調ベ、捜査をやられたんですかどうなんですか。この点が明らかになっておりませんが、これはいかがですか。
  168. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 捜査内容の問題でございますので余り具体的に申し上げることは控えさしていただきたいと思いますが、これを要するに、受託収賄で公訴提起をしたという以上は、いま野田委員指摘のように、金を受け取ったということが立証できる確信がなければなりません。と同時に、その金が賄賂であるということの立証ができなければなりません。そのことについても、有罪を得る確信を持つような捜査を遂げておらなければ公訴提起をすべきではございません。そういう意味におきまして、この金五億円の趣旨というものは何であるかということに必要な限りにおいては少なくとも取り調べをしたと言うべきでございます。と同時に、金の授受についても取り調べをしたと言うべきでございますが、それ以上にその金がどう流れてどういうことになったかというようなことは、いま申し上げました金の趣旨究明する過程において必要だということでございまするから、取り調べたに違いございませんが、それ以上のことにつきましては、何と申しますか、これからこれが賄賂であるということを公判廷で立証いたさなければならない関係にございますので、余り詳しいことに触れることは公訴維持上ちょっと差し控えさしていただきたいと思いまするが、報告によりますると、金の出所について、つまりその五億円のそれから先の流れ関係につきまして、犯罪の容疑は発見できなかったという報告は受けております。
  169. 野田哲

    ○野田哲君 金の出について犯罪の容疑は発見できなかったと、こういうお答えでありますけれども、常識的に考えて、田中総理ロッキード社トライスター全日空に買わせるために便宜を図った、まあ簡単に言えばそういうことだろうと思うんです。この便宜を図った目的をなし遂げるために田中角榮一人がこれをすべてやったとは常識的に見て考えられないと思うんです。航空関係国会議員あるいは運輸省の関係者等に対してそれぞれ指示をしあるいは共謀しなければこのことがやれたとは思わないわけです。こういうふうに考えるのが常識的ではないかと思うんですが、この点いかがですか。
  170. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 野田委員の御推察は御推察といたしまして、将来、この請託収賄の公判に至りました場合においては、この背景事情としてこの動機が何であったか、それから請託とは何であったかというようなことを含めてこれは公判で明らかにしなければならない事柄でございますので、その段階に至るまで少しお持ちをいただきたいと、かように思います。
  171. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、その点はさておきまして、法務大臣にまた別の問題について伺いますけれども、十月十日、一昨日法務大臣は山口県の下松に行かれて演説をされたと、こういう報道があります。この報道によりますと、「野党は政府・自民党が灰色高官隠しをしているというが、法務当局は刑事責任を追及するところ。時効で起訴できないが政治的、道義的責任が残るものを灰色というのなら、国会が国政調査権を行使して調べればよい。捜査当局も協力する。しかし、」この「しかし、」が問題なんですね。「しかし、刑事責任を追及する役所が不起訴処分者名を発表したら、検察ファッショといわれる。」と、こういうくだりが報道されているんですが、この報道は事実と間違いありませんか。よく報道だけであれすると新聞は間違っていると言われるんで、まずそこから伺いたいと思うんです。
  172. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはきわめて簡単に書いてありますけれどもね。まあそれは今度はわりに正確に書いてあります。
  173. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、この最後のくだりがちょっと私はひっかかるんですね。「刑事責任を追及する役所が不起訴処分者名を発表したら、検察ファッショといわれる。」つまり、これは国会でどういう方針が決まり、どういう合意が行われようとも、個人名を発表することは、不起訴になった者について個人名を発表することは検察ファッショになるんだから発表しないと、こういう趣旨だと思われるんですが、この点、いままであなたがこの席で、国会合意すれば合意された方法によって協力をいたしますと、こう言われておったのとかなり趣旨が異なっているように思うんですが、この点いかがですか。
  174. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) だからきわめて簡単に書いてあって誤解を生ずるでしょうと、こう思うんですが、正確なんです、しかしそれはね。というのはどういう意味で正確だというと、それから正しいかというと、私の真意は、だって検察の、法務の職権というものは、刑事責任追及の職権があるんであって、道義的、政治的責任などを追及する役所じゃないですからね。もし道義的政治的責任者はこれこれだなんて言って法務省発表したら、それは道義的政治的責任の追及者になったようになって、権限を逸脱し、ファッショになると、こういうことなんです。で、国会が御発表になるのは、国会が決定権者ですから、国会が御発表になるのはこっちの知ったことじゃないと、こういう意味です。
  175. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、国会合意ができ、具体的に言えばこのロッキード委員会とかあるいは議運の理事会とかで協議が行われて国会合意ができて、そこへ、まあどのような方法かはともかくとして、資料の提供を求められて、求められたものを国会発表する、これは法務省の範疇ではない、だからそういう措置がとられればそこへは法務省資料を出すと、こういうことでいいわけですね。
  176. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 道義的政治的責任の決定権者である国会発表権者であると、こういうふうに心得ております。それらの点について、議長裁定もこれあり、そういう段階の作業についてあらゆる最善の便宜供与をいたします、こういうことを言っているわけですな。
  177. 野田哲

    ○野田哲君 わかりました。  終わります。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 法務大臣、先ほど刑事局長は、連休で局長、課長が中間報告の案文をまとめた、こんなことをおっしゃいましたけれど、法務大臣はこの案文はまだごらんになっていないわけですか。
  179. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 案文ができてないんですから見てないわけですね。ただその骨子などについては刑事局長から、こんなことで、こんな骨子でどうでしょうと言うから、まあできてからにしようかと、こういうことを言うております。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、骨子については一応事前に承っていると、具体的案文については、まあきのうでき上がってまだいま現在見てないと。
  181. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いや、案文ができたという報告も聞いてないですな。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 さっき、きのうおとといで練ったということを。
  183. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはまだ私見ておりませんな。それから骨子についても、承知したとは言ってないんです、私。それでよろしいとか承知したとか、そういうことは言ってないですね。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 局長、先ほど御答弁ありましたけれども、案文ができた、それともまだ練ってこれから案文つくる、その点どうでしょう。
  185. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) まあ私の手元はいま離れつつありますが、まだ事務次官もおられますので、大臣まではまだちょっと距離があるということでございますし、それからやはり長い間検察当局捜査した結果を報告するわけでありまするから、検察当局判断もでき上がったものについて聞かなきゃなりませんし、それから先ほど来出ておられます国税当局の関係部分はやっぱり向こうの話、それから資料の取り決めについては外務省にも聞かなきゃならぬという手続もありますので、大臣にはちょっと、一日二日置いてお見せしようと、こういうふうに思っております。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、また案文、当然成案じゃないわけですが、いま刑事局長のもとを離れようとするものは——この内容じゃありません、内容じゃなくてボリューム。ボリュームとしてはどのくらいなものか。国会報告すると一時間ぐらいだろう、三十分だろう、いや十五分ぐらいだろうと、いろいろこうまちまちなんですけれども、ボリュームとしてはどの程度になっていますか、離れようとしているものについては。
  187. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 報告をする当人は私なんですね。したがって、読み方もゆっくりやればかかるし、早口でばちばちっとやれば、機関銃のようにやれば時間は短くなりますしね、その辺のところはいま何とも、こっちの方で答えよと言っても無理じゃないでしょうか。報告する私がまだ案文も見ていないんだし、それからどの程度の口の速度でやるかもまだ決めておりませんから。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 非常に正確な御答弁で結構なんで、だから刑事局長のもとを離れようとしているもの——そうするとべらべらやるか遅くやるか。では常識的に一分間三百五十八字で、これでどうですか。四百字弱。
  189. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 大臣がおっしゃいましたように、私が発表するわけでもございませんので、これから大臣の手元であるいはどのように削られるかもわかりませんので、実は正確に勘定はしておりませんけれども、何か厚みで見て、私の口でいけば四十分ぐらいかかるんじゃないかと思いますが、これから大臣のところで削られるかもしれませんし、ふえるかもしれませんし、ちょっとわかりかねます。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ骨子につきましても当然事前に報告があって、まあ新聞ではいろいろ出ているわけですね。それを根拠にして私お尋ねしようということもしません。まだ大臣骨子だけでも了解していないんだと。まして案文もこれから各省庁、事務次官のところへ行くまでまだ時間がかかる。大臣一両日。十五日ということは、これはもう絶対間違いないんでしょうね。きょうが十二日ですか、一両日と言うと十三、十四——十五日はその翌日ですけれども、十五日報告ということは、これは一〇〇%間違いないと認識してよろしゅうございますか。
  191. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は多少学問に興味がある人間でございますんで、学問に絶対ということは言えぬね。いかなる場合でも、私、絶対ということを使いたくないんですね、絶対ということは。よく知能指数の低いやつに限って絶対、絶対と言いますがね、あれは私、慎しみたいのでございます。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みませんね、私も絶対という言葉を使わないようにこれからあれします。知能指数疑われますからね。大体、まずおよそ十五日、間違いなかろうと。
  193. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 普通の常識として間違いないものと私は期待しております。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、骨子をお聞きになったと。当然それについては納得しない面もあるだろうし、これからまた各省へ行くわけですからね。まだこの骨子骨子であるかどうかもわからないんですが、一応本会議、予算委員会できちっと出ている面もありますね。高官名——名前ですよ、これは発表しないと、これはそのとおりでしょうか。それから総理大臣が、秘密会ならば中間報告名前発表してもよい、あるいは発表すると。この二つはもう間違いないんでしょうか。
  195. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 総理大臣及び私がいままである程度予算委員会等で申し上げたことは、そのとおりの方針で臨んでおるつもりです。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、これはちょっと総理あるいは法務大臣発言したこと、あるいは示唆したこと——完全じゃないんですけれどもね、むしろ新聞情報の方が正確かと思うんですけれどもね。その灰色高官名前発表しない、人数だろうと、人数ですね。これを今度は法務大臣国会の御参考になるようにと、これは絶えず口にしていますね。そうすると、参考になるための何か法務大臣なりの構想、これがおありになってそういう発言をしているんではなかろうかと、こう思うんですが、そこらあたりはいかがでしょう、参考になるということは。ということは、理事会できょうも詰めましたし、先週も詰めましたしね。全く私たちは十五日に発表になるであろうということしか何にもわからないわけですよ。そうすると、理事会での詰めというものが非常に甘い詰めにならざるを得ない、こういうようなことなんで、法務大臣なりに何か構想をお持ちになって、国会の御参考になるようにとこういう発言もしているのではなかろうかと、こう思うんですけれども、この点いかがでしょう。
  197. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は議長裁定を踏まえて最善の協力をする義務を負っていると思うものですからね、それで与野党の理事会などで灰色とは何か、基準はどうとか、こういうことが非常にかけ離れていることも目の当たりに私いたしましたしね、一度、傍聴をいたしましてね。それですから、そうすると困ったなと思って。まあそれに参考になるかどうか、私は参考になると主観的に思うんだけれども、そちら様ではそんなものはへみたいなものだ、参考にならないとおっしゃるかもしれませんけれども、主観的には少なくとも参考になるようなものを中間報告では出したいというつもりでおります。まあそれじゃそれはどんなものだと、こう言われると、いまちょっと、中間報告する前に、何だか中間報告なんかそれじゃ聞かなくてもいいわ、十五日まで待たなくてもわかったとこうなっちゃ話になりませんからね。そこらあたりのところで、その辺でございます。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 十五日の中間報告を楽しみにしていますけれどもね。しかしながらいろいろ新聞情報が先行しておりますし、極端なものは人数まで、灰色高官は何名だなんて。これはやっぱりだれかがどこかでそれらしきものをしゃべっているからそういう情報が出るのであって、全くそういう情報、触れもしないようなことがあるならば、全くそんな数字なんか出よう気遣いがないわけですよ、法務大臣。この点も、それはマスコミの取材がすぐれているからと、こういうだけのものじゃやっぱり済まされない。国会の場において私たち一生懸命それに取り組んでいるわけですから、やっぱりここを通して国民の皆さん方が知る権利もあるわけですし、そういう範囲というものを全く無視するわけにも当然いかないわけであります。  そこで、どうなんでしょうかね、いままで法務大臣捜査経過あるいはこれからのPXL方向等若干おっしゃっていますですね、国会において。それとその参考というのはその灰色、まあ十六とか十八とか出た新聞もありますね、法務大臣御存じのように。そこらあたりのパターンの区別なんかも出るんですか、国会参考となるとね。当然私たちそこら辺参考にしないと、これから灰色高官の枠を練るということができなくなるんですけれども、その点お聞かせいただけませんでしょうか。
  199. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 灰色なんという言葉は全然使っていません、私。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 いわゆるです。
  201. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いわゆる灰色高官という言葉も使わないで、議長裁定の文言でいきたいと思っております。  で、パターンのことを言われましたが、パターンを言わないと参考にならぬじゃないでしょうかとも考えてはおりますか。——ちょっと失礼しました、私、間違えました。まあこれからよく決めますけれども、いまの段階刑事局長の言うには、政治的道義的責任という言葉も使っていないそうでございます。間違えました。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると議長裁定にある言葉じゃないと、政治的道義的ということも使ってないと。まあこれこそ十五日にどういう言葉になるか、これはいいんですけれども処分のパターンぐらい、まあ人数十何名にするか、何名にするかわかりませんな、そのくらいは出してもらわないと。私たちあくまでも名前公表しろと言ったわけですよ。そんなことは名前出さないで人数だけでいいとは言ってません。だけれども、その上に立ってもなおさらやっぱり半歩でも一歩でも前進しつつ、残された期間においてやっぱり解明していこうという意思があるものですから。そうするとパターンぐらいは当然発表しなければといま法務大臣のお言葉ですが、これもう一つくどいようですけれども、盆暮れのつけ届けという新聞情報、これも新聞情報で申しわけありませんですな、そこまでと、全日空ですね、全日空のそこまでをやっぱり出す用意があるんではなかろうか。これも一つのパターンという中に入る可能性があるんでしょうか、まあ可能性ですけれどもね。
  203. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) まあ先ほども申しましたように、金の使途というものをできるだけ究明して、可能な限りで報告したいということでございまして、まあそういう意味で、それから大臣のおっしゃった、国会がお決めになるいわゆる灰色高官、いわゆる道義的責任、政治的責任のあるという構成要件をお決めになるのに資料となるような形の報告、たとえば不起訴処分のパターンというようなことは、やっぱり大臣の仰せにもありますように、入れなきゃならぬなとは思っておりまするけれども、余り詳細なことは少しお待ちをいただきたいと思います。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 ぜひ、これは私たちにとっては最悪の中間報告という形にせよ、より細かいより参考になるもの、その中には当然、まあある新聞が、マスコミ情報でしょうけれども全日空からの盆暮れのつけ届けの組はこれも入るんじゃなかろうかと、まあこういうことも出ておりました。さらに私たちはまあ政治献金組も当然入れてもらいたいとまあこんなふうにも、最悪の中間報告にせよ、その中においてより細かく参考になる——おまえたちこれならないと言ったっておれはなると思うんだと、これじゃなくして——というのは、国会参考にと言うからには、本当は私は事前に何らかの国会の意見も聞いていただいたらなおさらいいんじゃないかというような感じもするんです。意見を聞いていただいて、それで取り入れられるものがあったら取り入れていただくと、あるいはその点についてざっくばらんにいろんな話もしてもらうと、そして中間報告なら中間報告捜査が終わったとき、全貌公表なら公表、これはなおさらいいと思うんですけれども、まあここまで私たち国会が要求するのは酷なのかどうなのか。私たちはそんなことはないと思うけれども国会参考と言いながら、やっぱり政府が一方的に中間報告の形と、こういうことになるわけでありまして、あと数日後のことですけれども、ひとつ処分のパターンとか、できるならば政治献金組のパターンも厳しく入れてもらって、しょせんは人数ですから、全く私たちに言わせればこんなものはどうしようもないのです。道義的政治的責任とか、議長裁定のあの趣旨にも触れない、まして国民が期待しているものでも何でもない、もう私たちは一〇〇%そう思っております。だけれどもこれは与野党合意の、やっぱり政府の善意の、解明についての一歩前進、半歩前進というものを全くネグる必要もなかろうといういまのところ気持ちは持っているわけですよ。ですから、その中には盆暮れのつけ届け組とか、政治献金組とか、こういう不起訴処分の、いま刑事局長おっしゃったそういうパターンもしっかり入れていただいて、せめて数、いまのところここですけれども、ひとつもう一回。
  205. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 具体的にこういうパターンについてどうするかということはいまちょっとあれですがね。そうして刑事局長の手を離れたものの中に書いてあるのかどうかも知りませんけれども、最悪の中間報告にならないようには気をつけなければならぬですね。私どもは、最善の協力の中には、そういうことをお決めになる参考にもなるようにということをしばしば申し上げているんですから、最悪のものにはしたくないものだと。しかし、これ主観ですから、受けられる方では最悪だと思われるかもしらぬけれども、私どもとしては最悪にはしたくないと。したがって、あれを、報告の事前に注文取りをするということはちょっと考えておりませんが、報告をした後、これはどういう意味で、これはどういう意味だということについて、これをさらに敷衍してお答え申し上げるというような御協力はせにゃいかぬじゃないかと、こう思っております。
  206. 黒柳明

    ○黒柳明君 念のためですけれども、数は当然最低出すという構想は持っているんですか、法務大臣は。そこも全く未定ですか。
  207. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私個人の見解を申し上げます、まだ見ておりませんからね。しかし、あれでしょう、刑事責任を追及したのはもう完全に、それからこうこういうパターンが何人とか、その程度は出さなければ参考にならないんじゃないでしょうか、どうでしょう。私個人の考え方です。
  208. 黒柳明

    ○黒柳明君 それがそれでは事務次官に行って、大臣に行って、それから総理と、こういうことになるわけですな。そうすると、総理大臣はこれどういうことになるんですか。刑事訴訟法趣旨に基づいて——要するに総理大臣が最終的決定するわけですな。決定というか、出たものそっくりになるか、あるいはノーになるのか、いろんな最終的決定を総理大臣がするわけですね。こういうことになるんでしょうか。そうすると、これはあくまでも刑事訴訟法趣旨にのっとっての総理の決定ということじゃなくなるわけですか。
  209. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 中間報告の最終の決定権者は私でございます。
  210. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、総理大臣のところへ行くというのは、これはどういうことになりますかね、一応御意見——御意見と言っても、これ、ノーという意見、あるいはいろんな意見が出ますな。そうすると、この最終的、総理のところに行くということは、これどういうことになるんですかね。
  211. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) まあ法務大臣を一般的に指揮監督する最高の一これは重大な事件でございますから、そうして何となく世間が注目しているような中間報告のようでございますし、まあ私が中間報告者であり、その内容については私が最終の責任者だと私は思っているのですよ。けれども事前にこういうことでいきますがどうぞよろしくという手続を踏んでみたいと思っております。
  212. 黒柳明

    ○黒柳明君 あくまでも、少なくとも刑事訴訟法範囲での総理との打ち合わせではないと、そういうことでしょうか。
  213. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) いま大臣から平易な言葉で御答弁ございましたように、総理大臣法務大臣を指揮監督する権限をお持ちでございますので、責任は法務大臣の責任において発表いたすにしましても、指揮監督権をお持ちになる総理大臣の御意見を伺ってやるということでございまして、あくまでも総理大臣はそういう意味において法務、検察を指揮する立場にあられる以上は、四十七条に拘束をされた立場でわれわれに指揮監督をなさるべきものと私ども考えております。
  214. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、手続上四十七条に拘束されるということは、いま総理大臣のところに行く相談は、これは手続上刑事訴訟法に基づいたやっぱり手続の一環と——拘束されるということは。
  215. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) それはむしろ国家行政組織法上の問題でありまして、総理が指示をされ、指揮をされる場合におきましても、四十七条に拘束された指揮監督がなされなければならないということを考えておるわけでございます。
  216. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、やっぱり政治的な最終決定を総理がされると、こういうふうな理解で。
  217. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 制約された法律の制約のもとで総理が政治的な決定をされるということでございます。
  218. 黒柳明

    ○黒柳明君 法律的に制約されたと、こういうことですけれども、局長、この点具体的にもうちょっと話してくれますか。いま法務大臣、法律的に制約された範囲でと。
  219. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど申しましたように、総理大臣法務大臣を通じて検察に対する指揮監督権をお持ちですから、検察だけ四十七条を守れ、おれは守らないということであってはならないはずでございますので、四十七条の趣旨を踏んまえて指揮監督がなさるべきものだというふうに法律家として思うことを申し上げたわけでございます。
  220. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで法務大臣総理大臣予算委員会でたびたび、秘密会なら名前公表していいと、中間報告の以降ですね。このことについての法務大臣との打ち合わせといいますか、合意といいますか、法務当局との話し合いというものはできているんですか。
  221. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) できておるわけですね。できておる。
  222. 黒柳明

    ○黒柳明君 できている。
  223. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ええ。むしろ、私ども刑事訴訟法の立法を踏まえて、議会の国政調査権に御協力申し上げる立場としては、いわゆる具体的刑事責任はないけれども起訴にしたという人の名前公表するというのは、ちょっと検察権の範囲から逸脱しておりますから、それは公開ではちょっと困りますんですよと、それはそうだなという話し合いができておると、こういうふうに。
  224. 黒柳明

    ○黒柳明君 秘密会と言っても、秘密理事会もあるし、秘密委員会もあるし、形はまだこれからの問題だと思いますけれども秘密会ならば第三者への公表とならないと、こういうことになるでしょうか。これは若干自民党の秦野先生から質疑がありましたですな。どうなんですか、それ。
  225. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 私ども秘密会でも訴訟関係人以外の者に内容を開示することは刑事訴訟法上の公にするに入ると思っておりまするが、その場合に刑事訴訟法はただし書きで公益上の理由があって「相当と認められる場合」という意味において、秘密会というところで検察資料が外に漏れないという保証があるならば、それをせっかく国会委員各位にその開示することは、公にすることではあっても相当性範囲にとどまることとして許されるんだと。しかし、公開委員会のように無制限にだれにでもわかるようなところでは相当性を欠くというのが私どもの四十七条の解釈でございます。
  226. 黒柳明

    ○黒柳明君 秘密会名前公表するということにも、断わっておきますが、私たちは賛成はしないんです。ですけれども、また話を詰めるためにお聞きをするわけなんですけれども、秘密は漏れないと、こういうふうにいま刑事局長おっしゃいましたけれども、その漏れないという保証、これはどこがつくれるんでしょうか。
  227. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 秘密会にするかどうかは国会がお決めになることでございますので、国会の権威にかけて、秘密は漏れないものという前提のもとに秘密会が保たれるものと思います。
  228. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、先般法務当局の方にお聞きして、たとえば秘密会にしてですね、そこから漏れた場合には懲罰にかけると、こういうこともその一つの便法としてあるんだと、こんなことも言われましたけれどもね。これは確かにここで論議するまでもないことであって、さっきも法務大臣国会裁判、そちらが告訴側、告発側、こんなことはもう必要ないんでありまして、考えられないんでありまして、しかしながら、国会のいろんな運営も皆さん方御存じのとおりですね、秘密会にしてそれが漏れない、その一つの歯どめに、漏れたら懲罰という制度、確かに制度はありますね。だけど、制度はあったって、実質的にこれが歯どめになるのかなんてなったら、これはもう私たちや皆さん方もいま言ったように当然御存じのとおり、歯どめになるわけないですね、こんな懲罰の制度があったとしたって。制度はありますよ。その制度、網をかぶせたから即その秘密は漏れないという保証は全くありませんな、これも御存じのとおりですね。そこらあたり、そしたら具体的にいま秘密会ならば秘密が漏れないと、国会の皆さん方がお決めいただければと。これは法務大臣がたびたび言われるような灰色高官範囲の与野党の詰めじゃないと思うんです、これは。あくまでも中間報告のことですから、灰色高官の詰めというのはこれむずかしいわけですよ。非常にむずかしい。絶望的ぐらいに私はある意味で思っているんですけれども。そうじゃなくて中間報告の場合にはあくまでも半歩一歩前進したいと、私はこういう気持ちでいるんです。そうすると中間報告、その後の、ここは相当の不起訴処分のパターンが示される、人数も出るんじゃなかろうか、その後の秘密会ならばと。それから総理大臣と法務当局と合意できている、それが何らかの秘密は漏れないという前提。この国会の先生方がお決めいただくというのと——くどいようですが、灰色高官範囲をお決めいただくんですというのとぼくは違うと思うんです。これはね、このお決めいただくのは与野党の当事者ですから、絶望的と私は思っているだけであって、いろんな話の中で現に証人がどんどん呼べたわけですから、そうでしょう。これはですからバトンこちらに投げられたとしても、ボール投げられたとしても、あくまでもこちら努力すると、そういう範疇にあるいはあるのかと思います。ところが、国会のことをよく御存じの皆さん方がね、秘密が守られれば、あるいは先般秘密理事懇をやったとき、法務関係の方がいらっしゃいましてね、たとえばと、たとえば懲罰ということであると。そのたとえばということが適切な例であるかわかりませんけれども、まあ私たち考えると、秘密が守られるという制度がどこにあるかと。たとえばとおっしゃったのは、やっぱり法務当局と総理大臣合意できている。その法務当局が考えた秘密を守る制度の一つでなかろうか、すべてでなかろうか。これは懲罰なんかかけるかけないと言ったって、秘密会発表されたら即第三者、公的、公になることは間違いないんであって、その点どういうお考えでしょうか。
  229. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど申しましたように、最終的には委員各位の良心の問題でございまして、秘密が当然漏れるということであれば、それは公開と何にも変わりはないわけでありまするから、法務当局としては、そういう当然漏れる秘密会などと考えるのはまことに失礼なわけでございますから、そういうことは考えたことはございません。もし当然に漏れるようであれば、それは秘密会ではございません。であれば、そういうところには、それは公開委員会と同じでございますから、氏名は申し上げるわけにはいかぬという立場に戻るわけでございます。
  230. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると法務大臣ね、ここらあたりはやっぱり国会における政治家のあうんの呼吸でやっていくと、こういうことを希望していると。良識に待つよりほかにないということは、これは良識というのは縛るものがないわけですよね、全く。そうすると、これはあくまでも国会の良識というのは、そのあうんの呼吸、われわれはですよ。法務当局はともかく秘密会発表すると、こういう意思があるんだと、これを秘密会と言っていただけば発表できるんだ、したいんだと、こういうことなんでしょうね。積極的なように私受けますけれどもね、ここは秘密会だと、こういうふうに定義づけていただけば積極的に発言します、当然秘密会だから漏れるなんてことは考えられませんと、国会議員の良識としてそんなことあるべきわけないんですと、良識を信じますと。この良識というだけを——失礼な言葉ですけれども、法務当局としては尊重するよりほかないと。となると、今度は法務大臣と私で、国会議員同士ですから、これはもう良識という期待のもとに法務省は積極的に名前も言うんだよと、この積極姿勢をこの場にひとつ見出して、後これが漏れた——私は秘密会ですから漏れることはないという一つの期待も持っていますよ。だけど常識的に、漏れることがこれはもうだれが考えたってあたりまえなんであって、そのことも法務大臣としては総理合意したと言うんだから、もう当然想定問答の中にある、考えの中にある、含まれた一つでなければ、事務当局の方はそんなことは良識を信じますと、それ以上のことは私は言えないと思いますね。だけど、法務大臣としては、私がいま言っているようなこと、これも当然総理との話の中に一つの了解事項なり、あるいは法務大臣考えとしては一つの到着する点としてやむを得ないと、こういう判断を持って秘密会発表と、こういう総理との合意を見たんでしょうか。
  231. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) なかなか微妙なことをお聞きになりますが、私と総理大臣の間で、漏れたら漏れたでしょうがないやなんていう話し合いをしたことはございません。
  232. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうしますと、今度は法務大臣考えとして、国会の良識、国会議員の良識——と、良識以外のところでいろいろ動く可能性があるわけでしょう。その可能性については当然一国会議員として国会のことをよく知っている人と考えざるを得ないでしょうね、この範囲というものは。この場合も私は考えられないとおっしゃるのか、それとも当然この常識の範囲考えざるを得ない。だけど事務当局として、あるいは法務大臣総理としてはそんなことは話に出てこないと、こういうことなんでしょうか。あるいはここも私は考えてないと言うんですか。こんなことはないと言うんですか。どうでしょう、その点。
  233. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私ども名前を言う場合には、厳重に秘密を守ってもらうことを条件としなけりゃ行き過ぎだと思いますね。ですから守ってください。現に守られた例もあるんですから。日本国憲法制定の過程における小委員会の議事録などは、アメリカではすでに公開されておりますけれども、いまだにわが日本国では厳として秘密を保たれておるという例もあるんですから、その辺はひとつ国会の方で厳重に秘密を守っていただきます。
  234. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ先例、私、寡聞にしてそれはどういうものであって内容がどんなものかわかりませんけれども、その守られたものを私もすぐ見なきゃならないと思うんですけれども。まあ情勢は違うと思いますし、今回は非常に単純だと思うんですよ、だれだだれだと、こう、名前ですから。ですから守られたものがどういうものであるか、やっぱり長いもの、文章的なもの、こんなものは頭に入るものでもありませんしね。文章を見せたって関心がない人もいっぱいいたかもわかりませんね。今回の場合には、もう世論調査を見るまでもなく、ほとんどの人がこれは関心を持っているわけでありまして、ましてマスコミの方はわれわれを何歩も先んじて取材活動をしてきたわけですから、最大の氏名公表というところに来てこれが守られるようにと、それともう一つ守られない可能性があると、この面は認識しないということじゃないと思うんですけれどもね、私はちょっとくどいようで申しわけない。そうすると、別の角度を入れて、ここが与野党含んで秘密会とすれば、これで法務大臣としては、法務当局としてはいいということですな。ここは秘密会なんだよとこう断定すればいいと。漏る漏らないは別にしましょう。
  235. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 国会を信用しますから、きちんと秘密会だと言わればそれで結構です。
  236. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、こういうことも失礼な言葉かと思いますけれども、まあ確かに究明、これは国を挙げて最大要件でしょうね。国会だけじゃありません、警察当局だけじゃないでしょう。そうすると、そういう法務当局で、やはり不起訴の者を名前出すなんてこれは反対に告訴されちゃいますからね。そうすると、極端に言うと、国会の場を通して秘密会なんだと、うちの方は秘密会でこう出したんだから、これは何も——刑事訴訟法を踏まえてということはありますよ、確かに、妥当であるとこう思いますよ。だけど、それが国会から出るのは国会の責任なんだと、おれたちはもうここにおいてたとえ名前が出た人に対して、告訴される理由はないんだと、こういう一つの場に国会がなると、こういう可能性もありますな。
  237. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたのおっしゃるとおり、まさしくそのとおりです。国会の責任だ。
  238. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなりますと、どういう場において発表されるかわからないけれども、私が想定するところは、与野党合意すれば、なかんずく野党が賛成すればということが大きな要素だと思うんですけれども、当然このロッキードの二十五名の委員、これを秘密会にする、こういう可能性が一番強いんではなかろうかと、私わかりませんけれどもね。そうすると、二十五人。これ衆参ですね、これが全部やっぱり漏れることに責任を負うことは負いますよ。負いますよ。良識あるですよ。良識ない人一人もいませんよ。だけど、名前の漏れることも、これはくどいようだけれども、これはもうすべての人がやっぱりこれはもうあたりまえと思っている。そのときどこに——国会全体が告発されるじゃないですか、そうしたら。
  239. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) もう少しはっきり言いますと、私ども公開の席上でそういうことをやれば越権になると、しかし「政治的道義的責任」と議長裁定に書いてある、そういう範囲の人名を国会調査権に基づいて知り得た結果公表されることはあっても、それはやむを得ぬかもしれぬ。それは国会のことだから、国会がそういうふうにお決めになって、決定権者——決定権者は発表権者でもあるわけですから、われわれの方からは秘密会でなければ困ると。
  240. 黒柳明

    ○黒柳明君 秘密会発表になった、国会が今度は与野党合意して公表しよう、これは国会の問題。私そのまん中のことを言っているわけですよ。それが漏れる、私は一〇〇%もうすぐ漏れちゃう、こうあると、もうこれは常識である。私じゃなくて、そういう意見が強いということを言っておきましょう、それじゃ私は良識を持って秘密にすると。だけど常識としては漏れる可能性が非常に強いという意見が強いと、こうしておきましょう。そうなった場合に、やっぱりさっき、また話戻りますけれども、法務当局の人が言ったように、一つは懲罰というのがありますと。これはやっぱり常識として国会議員として長く席を占められた法務大臣として、稻葉代議士として、そんなもの衆参含めて八十名もいるものを、だれが漏らしたなんて調べようもありませんし、懲罰の対象になる可能性はまずこれもなかろうと。そうすると、私言ったように、今度は国会として衆参、ロッキード委員会責任があるわけですから、そうすると、だれがというよりも国会が告発される、この可能性がその次の時点において出てくるのじゃないですか。国会合意して公表するという決める前の時点——あるでしょう。そうすると国会がもろに告発されると、こういうケースがこれは非常に常識的にあり得るのじゃないですか。
  241. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) その秘密会で人名を聞いた、構成する委員が個々に漏らせば、告発を受けるような危険もあるかもしれないですな。しかし、今度、その秘密会で聞いた名前委員会合意に基づいて発表なさるのか、発表なさらないのか、こっちには権限はない。公表する権限はないけれども、そちらには公表する場合もあるし、しない場合もあるし、それは国会の決定に基づくものではなかろうかと。しかし個々の議員が秘密会のものを漏らすということは告発される可能性も、あなたのおっしゃるとおりあるかもしれませんですね。
  242. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、だから法務当局が考えているのは、秘密会名前を言うから、ひとつ、漏れるんだから、国会として早く公表に踏み切ってくれと、こういうことをその後の構想として考えているというふうに私は受け取れるんですけれどもね。——これも国会のことでしょうけれども
  243. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は、権限外のことはやっちゃいかぬと、こう思っている、よけいなことは。しかし、議長裁定もこれあり、それからいわゆる灰色高官の定義など決まらぬで困っている、だから、両々相まってやるんだろうから協力せいやと、こういう意味だろうから、その点については協力を拒んではいけない。議長裁定をのんだ自由民主党の国会議員の一人としても、また政府としても、政府は協力するということになっておりますから、法務省も協力を拒んではいかぬだろうと、最善の協力、最大限の協力をいたしますから、どうかひとつ万事よしなにお取り計らい願いたい。
  244. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほどの下松の法務大臣のお言葉、社会党の委員がお聞きになりましたけれども、不起訴氏名公表することは検察ファッショ……そうすると、検察ファッショと言われないでそういう不起訴氏名公表するやり方はこれっきゃないと、こういう判断に基づいてこういう合意をしたと、こう考えていいわけですか。
  245. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたの言い回し、まことに巧妙で……。そうでしょうな。ちょっと私自信ありませんから、刑事局長に。そうだろうと私は思いますけれども
  246. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 冒頭に、先ほどから、法務当局はその公表の告訴されるのを避けるために当然漏れるであろう秘密会を利用したと言われますが、それは全く遺憾ながら黒柳議員の誤解でございまして、私どもとしては、検察権の限界というものから、筋を通すならばどうしても秘密会でもって言うのが四十七条の限度であるということを申し上げておるわけでございます。  それから検察ファッショなどということを、法務、検察事務当局の私から申し上げるわけにはまいりません。あくまでも公訴を提起しない人の事柄で、名誉にかかわるような事柄を、検察当局確定力を持つかのごとく公開するというようなことは検察権の限界を超すということは、これは明らかでございますので、その限界を超すことであることがいわゆる権限踰越としてのファッショということであれば、大臣のおっしゃるとおりファッショにつながるということになると思います。ただ、大臣のおっしゃるように、私どもは、もう一つは、しかしながらそれは不起訴処分公訴を提起しない処分内容氏名公表でございまして、さらにそれを上回って、この人は道義的責任がある人ですよということになれば、ますます検察権の限界を超すことに相なると思います。
  247. 黒柳明

    ○黒柳明君 中間報告をまた聞くと、もう時間がありませんで、もうちょっと立ち入って聞きたいと思うんですけれどもね。まあ十五日になってしまえば、これはこちらが何か言ったってもうしようがないんで、だから最悪にならない——ベストにならなくても、せめてベターの中間報告をもらって、さらにその後の解明に対して与野党足並みそろえて、政府検察当局の激励あるいはスクラム組んでと、こういう気持ちがあるんで、詳しくお聞きしたんですけれども。  先ほどの米国の資料、これも相当話が煮詰まりました。ただ一点、オランダは捜査が終わって、だからああいう形になったんだと。これは終わってないじゃないですか。アメリカ側の捜査は終わりました。オランダ国内においては、三人委員会ですね、あれがまだ捜査している。そしてその捜査というのは終了という宣言をしたかしないか。日本だって検察当局は終了宣言しますね。それをしていない第三者がまだ調査している最中じゃないですか、これは。完璧に捜査終了という段階でアメリカ側と接触して公表という段階になったんじゃないんじゃないですか。
  248. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) オランダの場合は、三人委員会というのがわれわれのこの法務当局に当たるようなサイドにおられまして、そしてアメリカ司法省というワンサイドとそれで協定を結ばれたという、まことに奇妙な、捜査の協力というよりも、あれは調査の協力に関する資料の交換ということで、そういう意味におきましては、三人委員会調査を終わって政府報告をしたと。そしてその報告内容国会に提出するということで別の合意をこの間したということでございますから、調査は終わっておるわけでございます。
  249. 黒柳明

    ○黒柳明君 三人委員会調査も含んで終わったということでなくて、政府調査は終わっているけれども、三人委員会調査報告は終了はまだしていないんじゃないですか、あの時点において。——三人委員会ですよ。
  250. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど申しますように、協定の当事者は三人委員会なんです。その三人委員会調査を終わって政府報告をするというのが三人委員会の使命なんです。それは終わったんです。終わったから、その調査内容報告内容国会に提出したい、それは公表になるから——というのは、あれはコーチャンとか、ホートンとか、いろんな人の証言を引用しておりますので——なるから、別に合意をして、それでアメリカ政府の了解を得たと、そういう意味では調査を終わっておるわけでございます。
  251. 黒柳明

    ○黒柳明君 これもまた法務大臣総理が何回も本会議、予算委員会でおっしゃったことで、要するに、いまも法務大臣が引用した、捜査が終わった段解——これいつになるかわからないですけれどもね、全貌をはっきりすると。そのときにやるならばこれについての再協議もすると。この総理大臣が言われた捜査解明、これは三木改造内閣じゃなくしても、あるいは失礼な言葉だけど、稻葉法務大臣じゃなくしても、当然受け継げられるものでしょうね。
  252. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) やっぱり内閣の国家機関の継続性からいって、私はあなたのおっしゃるとおりだと考えますね。
  253. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは常識だと思うんです。ただ、この常識も、私の短い国会生活では、何か総理や外務大臣、たとえば、例を出すまでもなく、いまの宮澤外務大臣と小坂外務大臣、全くあの日中平和友好条約について宮澤外務大臣の覇権四条件を否定したわけじゃないですけれども、だけど、小坂外務大臣なりの、こだわらないと、そんなことこだわらないんだと、こういう見解でまあ日中交渉を進めようという意気があることは間違いないんですね。ですから、必ずしもこれは受け継がれる可能性があるかどうか、全くそのときになってみないと、まあ疑問要素があることも間違いないんです、疑問要素が。それで、その受け継がれることは間違いないと、また、そうなきゃならないと私信じますよ。で、三木改造内閣も、まあ三木さんが自分で総選挙をやれば、これでもう本懐をなし遂げたと、もうこれでいいんだと、こういうふうなことで、もうさっぱりされると思うんですね。その後まで未練がましくじめじめ、じゅくじゅくということは、これは一〇〇%ない。そうなりますと、やっぱり何か私たちが信頼してもいいという、たとえば法務当局と検察当局ともう合意できているとか、そういう条件が必然性としてなきゃならない。そこらあたりどうでしょうかね。これは大臣としては、私たちとしては、国民としては、そんなことは常識だよと、常識でなきゃならないよと、こう思うんですけれども。やっぱり続くのは検察当局であり、法務当局、事務当局ですから。そこらあたりがやっぱり、捜査当局と法務当局が、検察と法務が相当合意するなり、何かやっぱり形を残さないと、いま言った再交渉にしても、すべて、失礼だけど、逃げの手は全貌解明のときと、まあまあ全貌解明のときと。全貌解明というのがいまの一つの大きなネック——ネックというか、一つの巧妙になっているんですから、その巧妙というのがただ単にまやかしであったり、蜃気楼であったらこれはうまくないわけですから。だから、当然私たちが要求する以上に、法務大臣としてやっぱりそういうものを何かつくって、こういう保証があるよと、保証しときましょうと、こういうものはこれは良識として、常識以上に良識としてやっぱり必要なんじゃないでしょうか。
  254. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) まあ、法務、検察関係なく、総理大臣がそう言って、一党の総裁として国会のこういう権威あるところで言うたことが、総裁がかわったからひっくり返るのでは、自由民主党の継続性というか、公党の継続性というか、公党の信頼性というか、そういうものを破壊しますね。そういうことになっては困ると思いますな、私。
  255. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ、困ると思いますし、それから法務、検察当局がいるわけです。ただ、その上に大臣がいるわけですしね、法務大臣が。さらにまた総理大臣ができるわけですから、田中総理が出ただけでも世の中騒然といろんなうわさが出るわけですし、これがうわさにとどまっていないかわかりません。現にうわさ以上のものが釈放後あったのかもわかりませんし、これはやっぱり次期政権内閣までにひとつバトンタッチすべく、常識であるけれども、それをさらにもう一歩約束するものを法務大臣としても残していかなければ、これで選挙に入って、何か心残りだし、あるいは後ろ髪を引かれるような感じがするんじゃないですか。おれがいなくなって、おれのうちはやったけれども後はどうなのかなと心配しながら選挙をやっていたんじゃ胃に悪いんじゃないですか。そこらあたり、やっぱり事務当局に、法務、検察——もうそろそろ中間報告で、終了とは言わなくても、もう大きな山は越えた、あるいはもう幕おろしも一歩手前だとも言われております。私たちもそう考えざるを得ないんですよ。解明解明というのはその次ですから。全貌、全部がその次ですから。後その中間何にもないわけですから。その中間にあるのはやっぱり次期の政権がこれに対して本当に責任持つか持たないかと。ここがその中間にあることは間違いないですよね。その前に全貌解明なんかないことはもうはっきりしていますな、時間的に。だから、そこの中間にやっぱり法務、検察両当局、次期政権に対して厳重にこれを申し継ぐということを指揮をとる法務大臣が何らか保証すると、こういうことは必要じゃないでしょうか。
  256. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは大いに必要だと思いますね。ですから、法務大臣事務引き継ぎということはあるわけですから、次の法務大臣に厳重に、とにかく中間報告姿勢を示しておいて、それがひっくり返られちゃ困るねと、あれだけのことを言うてあるんだからそれがおかしくならぬようにしてくれよと言うことは当然です、これは。仮に万々一民主連合政府になって黒柳さんが法務大臣になったら、あなたに厳重に言い渡すな。(笑声)
  257. 黒柳明

    ○黒柳明君 小佐野氏の病状、これ、先ほども話出ましたけれども検察当局は病状なんかは把握はしているんですか。
  258. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど申しましたように、新聞で入院されたことは承知しておりますが、病状を知っているかどうか。要するに、特定の人間について調べているかどうかということは申し上げるべきではないという前提に立ちますと、病状を把握しておるかどうかということも申し上げるべきではないということになると思います。
  259. 黒柳明

    ○黒柳明君 法務大臣、もう御存じのように、順天堂大の職員組合が、小佐野入院に対して、普通食を食べているとか、あるいは夜間巡回はするけれどもそれを越えた特別のことはやらないとか、質問状出したりとか、こういうことを——これは特別にいま起訴されている容疑者でもないわけですから、衆議院で偽証罪で告発するかどうかと、こういうことなんで当然関心を持ち、いることは間違いないんですが、こういうことがやっぱり国民の中から、当該者の病院に勤めている職員の中から出てくるというのはやっぱり非常にうまくないんじゃないか。ということは、国会の告発を待って待ってと、こう盛んに繰り返していますけれども、それと同時に、やっぱり何か法務当局も検察当局もこれに対して事件解明全貌解明の動きをしなきゃいけないという一つのあらわれがこういうところにも出ているんじゃないかと思うんですけれども、これは法務大臣として、こういう順天堂大の入院に伴うあの職員組合の方の質問状と、あるいは反発と言っていいのかですね、まあ反発ですね、一つの抗議ですか、そういう姿をどういうふうに認識しますか。
  260. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) これも法務大臣としてどういうふうに認識するなんていうことを言うていいんだろうか、果たして。
  261. 黒柳明

    ○黒柳明君 いいですよ、言ってくださいよ。いいですよ、もう言ってくださいよ。
  262. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) さあ、どういうもんでしょうか。
  263. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、言っていいんじゃないですか。
  264. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっと、いますぐでなく、ちょっと考えてみますわ。(笑声)
  265. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうそんなに時間もありませんから、考えるといったって。  最後に、児玉のことをちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、最近暴力事件が目立っていますけれども、まず特に西日本ですな。この暴力事件、これについてどういう把握、ないしはどういう認識をしていますか。
  266. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お答え申し上げます。  暴力団の抗争事件につきましては、昨年第三回目の山がありまして、これに対しまして警察庁としては第三次頂上作戦を展開いたしまして、これをただ単に現象面で阻止するということだけでなく、やはりその根源としての組織を壊滅する、そこまでいかなければだめである、こういうかたい決意のもとに全国の警察を挙げて、その下だけでなく、頂上、そのトップについてまで検挙し、その組織の壊滅に持ち込もうということで努力をいたしてきておるわけでございますが、特に最近は拳銃の問題などもありまして、さらに、この際一層そういうふうな面にも力を入れて強力な攻めの捜査をやってまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  267. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは私言うまでもなく、児玉が、暴力団とのつながりですね、あるいは相当なコントロールする力を持っている。十七億の金が解決していないと。それが政界、財界と児玉との癒着、これも一つの大きなパイプになっていることは間違いないと、こう思うのですけれども、いわゆるこれだけ暴力団の取り締まり、あるいは国民の反発を買いながら、あるいは頂上作戦と打ち出して精力的にやりながら、なおかつ銃器等の発砲事件、これが相次いでいる、昨今非常に多いと。やはりここらも児玉とすぐ結びつける必要もないとは思うんですけれども、いままでの過程において当然その児玉譽士夫の暴力的な側面、こういうものがあったと思うんですけれども、この児玉と暴力団、児玉の暴力的側面の位置づけといいますかね、むずかしい言葉で済みませんが、これはどういうふうに把握していますか。
  268. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お答えします。  最近の暴力団は、資金源の問題で経済不況等の関係から金になるものには何でも進出、手を出していくと、こういう傾向がある中で、いわゆる総会屋の方面に手を出しておる、勢力を伸ばしておるということは事実でございまして、したがって、警察といたしましても、いわゆる総会屋が株主総会等で違法行為をするというふうなことに対しまして取り締まりを重点の一つとして施行していることは事実でございますが、いままで検挙した中で児玉と深い関係にあるものということで報告を受けたものは、遺憾ながらいまのところ、ないわけでございます。
  269. 黒柳明

    ○黒柳明君 児玉が病気で倒れ、また起訴されているということで、率直に、いままでの過程の中からと、児玉との結びつきの暴力の側面ですけれども、いわゆる児玉一派の暴力的な面、これは何か影響を与えていますか。八カ月も長い間病気で倒れたり、国民の注視の中で、ある程度かん詰めになった状態で、しかも起訴されていると、こういう中で、児玉関係のこの暴力的な一派、こういうものについては何か影響を与えているという見方ですかね。どうでしょう、その点。
  270. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 児玉がいろいろと企業に絡んで活動しておるという話はよく聞く話でございますが、現在、こういった病状、ああいう病状で寝ておるということで、現在そういった強い影響があるというふうなことは警察としても把握しておりません。余りわからないというのが実情でございます。
  271. 黒柳明

    ○黒柳明君 今回相当捜査をしたんでしょうから——特別に暴力の側面を捜査したわけじゃないでしょう、金の流れですけれどもね。その中においても当然何かしらのものが出なきゃおかしい。また、児玉と強い結びつきがある事件、そういうものは検挙した者は出てこなかったと、こういうことですけれども、先日私やった、閉会中にやった神戸製鋼との問題、これは警察でも相当資料を持っている。これはなぜ児玉起訴に至らなかったんですか。相当調べられたんじゃないですか、これは。
  272. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お答え申し上げます。  昭和四十四、五年ごろ、東亜相互企業株式会社が福島県の西郷村の土地を開発して、これを神戸製鋼に売りつけたという風評は私ども承知いたしておるわけでございますか、現在までこれについて捜査対象として捜査を進めたという話は、まだ私どもの方には報告は来ておらないわけでございます。
  273. 黒柳明

    ○黒柳明君 報告は来てないで、捜査はしたんだけれども起訴には至らないと、こういうことで、たとえば、これ、つい最近の「右翼も勢力誇示 児玉系葬儀に勢ぞろい」なんて物々しく出ていますけれども、「児玉系葬儀」なんて出ているわけですよね。こういうのをごらんになってどう思いますかね。
  274. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) もちろん、児玉の関係でそういった暴力事犯等があれば、具体的な事実を把握すれば、これについて捜査をすることは当然でございますが、なかなかそういった具体的な事案というものについて警察が証拠を把握するという段階まで至らないと。これにはいろいろの点があると思いますけれども、その被害届けなどがなかなか警察に協力願えないという点もあるんじゃないかと思いますけれども、現在のところ、そういったことについて警察か把握して——先般太刀川を恐喝事件で逮捕した事件はございますが、いまのところ、それぐらいでございます。
  275. 黒柳明

    ○黒柳明君 被害届けがやっぱり出てこない。後難を恐れると、こういうことが最大の原因じゃなかろうかと、こう思います。  時間がありません。法務大臣、最後に、児玉の財産が全部差し押さえられたと、もうほとんどないと言いながら、毎月三百万の出費があると。これも非常におかしなことだと、こう思うんですね。先ほど国税庁のこの全日空に対する捜査しているのかいないのか、おくれているのか、本当に。その点全く不可解なんで、これほど全日空丸紅は終わったといっても、全くその初歩的なことが出てこない。出てこないんじゃない、出す必要がない、出しちゃいけないと、どこかから言われているのか、あるいはもう出さない方針でやっているのか。いまの児玉も同じように受け取られるんですけれども。要するに、全財産差し押さえられたと言いながら、どこから金が入ってくるのがあるのか。全くこれもおかしな話でありまして、要するに、先ほど言ったように、全ルート解明児玉ルート解明全貌を明らかにすると。これはあくまでもやっぱり遠いところ、中期的な将来にあるみたいだけれども一つ一つ積み重ねませんと、一つ一つ疑問をやっぱり解明していかなければ、全くそのゴールに至るまで本当にやるのかどうなのかなと、不安ばっかりつのるわけだ。この辺どう思いますか。全財産なんか差し押さえていないんじゃないですか。どこかにまた隠して持っているんじゃないですかね。そこらあたり捜査の手がぬるいんじゃないですかね。非常に庶民感情としておかしいと、こういうふうに思うんですが、ここらあたり、これは感触としてしか大臣のお考えを聞きようがないわけでありまして、いかがですか。結論としては、児玉ルート解明を急いでもらいたいという意思をそういう面で吐露するよりほかないんでありまして、庶民感情として全くこれはおかしなことだと、こう思いますけれども
  276. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 児玉に対する捜査が手ぬるいということはないと思います、私。ただ、病気のために進まないという、残念ながら、まことに申しわけないことだけれども、そういう点はあると思いますが、手ぬるいということはないんで、現に外為だとか何だかで起訴している部分もあるじゃないの。そういう点については刑事局長から手ぬるくはないんですという説明をさせます。
  277. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 黒柳委員の御批判は、要するに、十七億以上にわたる金の入りは証明されても、出についての究明がまだ不十分だというところに、もどかしさを感ずるという率直な御批判であろうと思いますが、その点は、それは検察当局の意欲とはかかわりのない客観的な障害が今日まで時期をおくらせておるということであって、意欲に欠けるところは毫もないということはひとつ御信頼をいただきたいと思います。  なお、全財産を差し押さえることは、少なくとも捜査上は必要はないわけでございまして、捜査に必要な限りにおいて財産を差し押さえることもあるかもしれません。したがって、その事柄は徴税のための国税庁の問題であろうと思いますので、私どもの所管の範囲を越えることでございます。
  278. 黒柳明

    ○黒柳明君 刑事局長、衆議院の予算委員会で、臨床尋問五十回ぐらいにわたってやったと。その中で秘密が漏れることないかと、少なくとも行った検事は漏らすようなことはしてないと、ただあとどうアクションしようと向こうの勝手だと、こういうお話をされた。当然あれですか、あの臨床尋問して捜査は漏らさないという中には、盗聴器の有無とか、あるいはあそこには青思会のボデーガードか何かわかりませんけれども、そういう大将もいますし、そういう方と遮断するとか、そういう面まで含めて秘密が漏れないということをきちっと気を使ってやって、そういう報告も受けているのですか。
  279. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) たしか、あのときも申し上げたと思いますが、取り調べに当たりましては、喜多村医師が事前に診断されて、そしてその場を退かれて、検事とそれから児玉二人で調べておるわけであります。そして、もちろん取り調べ室が外から聞かれるなどということは十分に警戒はしておるはずでございます。ただ盗聴器云々ということになりますと、そういうものがあるかどうかということになると、盗聴器を置かせる以上は児玉が承諾しているわけでありまするから、承諾して盗聴器を置かせるぐらいなら児玉から漏らすでありましょうから、盗聴器の有無を確かめてみたところで、あれば別でございますが、盗聴器がないから漏れないということもないと思います。まあ要するに、任意捜査というものは、そういう意味におきましては遺憾ながら外部との遮断をしてない捜査でございまするから、漏れる可能性が絶無などと言ったら全くうそになります。したがいまして、検事として責任の範囲と権限の範囲において、通謀等のないようには努力しておりまするが、任意捜査の性質上、それが伝搬するという可能性を否定できるものではないと思います。
  280. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません、最後で。  選挙までもう間もなくですし、法務大臣もここで当選されて再び法務大臣という可能性はちょっと少ないような私自体感じがするんですけれども、もう児玉ルート解明、もうこれしかあと残された私たちの、何といいますか——たち調査しなきゃならない。精力的にやっぱり努力しなきゃならない。だけれども、私たちの努力というのはやっぱり当然のことながら検察当局に全面的に頼らざるを得ないという客観情勢にもある。これについて法務大臣、ひとつこのロッキード、以下これでおしまいじゃないですけれども、十五日の中間報告やれば、もう衆議院は選挙区ですよ、そんなものは。ロッキードも大切だけれども、当落の方がという雰囲気にもうならざるを得ない。ですから、これはここの委員会がいつが最後であり、いつがこれでおしまいであるか別にしまして、衆議院選挙前には、これは解明できない。これはもう間違いないと思います。十一月四日ないし十日ぐらいでしょうから。選挙に入って一カ月、そうすると終わるのが十二月。そうすると通常国会。もうこれに対して法務大臣が厳に……。さっき骨っぽいと、こう言われたけど、法務大臣が本当に命をかけて指揮をとったかどうかは、やっぱり後がしっかりしたという結果が出なければ——これは師弟の関係ですよ。変な弟子を置いた師匠なんというのはろくな師匠じゃないんですから。口ばっかしうまいこと言ったったって、弟子が変なの出たんじゃ。同じ原理でしょう。ひとつ、くれぐれも後のことを、児玉ルート解明については全く疑惑がないように、全力を挙げてなおかつこうだというのは、これはいたしかたない面がありますよ。だけど、まだまだ疑惑に満ち、まだまだやらなきゃならないことがあると、われわれこう判断していますので、ひとつ選挙後も、次期内閣法務大臣も絶対これについては全力をもってやるように、ひとつ法務大臣からまず決意を固め、バトンタッチをお願いしますね。
  281. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 選挙につきましても、その前に党大会というものがありますし、それはまあ別として、最大限法務大臣をやるのは選挙までであるというあなたの見方は私の意思にも合致して正しいと思います。ただ、決意いかんということになれば、先ほど申し上げましたとおり、検察の威信にかけてこの問題は徹底的に究明し、児玉ルートについても手ぬるいなどという批判が行われたからますますしっかりやれと、こういうふうに申します。次の法務大臣には事務引き継ぎのときにはしっかり言うて引き渡しをしたい、こう思っております。
  282. 橋本敦

    ○橋本敦君 中間報告稻葉法務大臣が十五日にはおやりになるということを前にして、若干その問題について私も、いま当面重要な問題だと考えられる幾つかの点について質問をしたいと思っております。  まず第一点ですが、私は先ほど法務大臣がおっしゃった言葉が非常に気になっている。それはどういう意味かといいますと、この中間報告は最悪のものになってはならぬというつもりでやりますとおっしゃった。最悪のものになるなんということになれば、これはもう国民の期待を裏切る大変なことになるわけですね。いま国民ロッキードの真相解明国会にも求めているし、そして同時に政府にも、また検察当局にも本当に真剣に求めている。こういう国民の期待を担って、一つは十五日に中間報告がなされるわけですから、最悪なものにならないようにではなくて、最大限国政調査に協力をするという、最大限の努力をするというのが法務大臣姿勢でなくちゃならぬのじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  283. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 大変私の言い方が誤解を生じまして申しわけありません。私どもといたしましては、最善の協力であるという最大限のところまで、いままでやったことのないことをやるわけですね。その最大限のことをやる。しかし、それが質問者の黒柳明さんから言われても最低なものになんかはしたくないもんだと、こういう意味でございますね。
  284. 橋本敦

    ○橋本敦君 問題は、やっぱりその中間報告の具体的中身国民の期待に沿い得るものであるかどうかにかかわるわけですね。そこで私どもは、共産党としても官房長官にさきに申し入れまして、この中間報告には具体的にロッキード関係の金品を受け取った政治家を含め、政府高官をすべて明らかにすべきだということを初め、全面的な解明を要求しているわけですが、法務大臣のきょうの答弁を聞いていますと、なかなかそうはいかないというように思うわけですね。具体的な細部にまでわたってということ。で、まあとにかく最低限、法務大臣がおっしゃったことは、ある程度のパターンとその人数は入れなければいまの時点の報告にならぬだろうと、こうおっしゃったんですが、そのパターンというのは、一つには、捜査の対象となったけれども時効などで不起訴になったもの、あるいは金品の授受があったけれども職務権限が明解でないから不起訴になったもの、あるいは金品の授受があり職務権限もあるけれども、しかし、いわゆる微罪処分ですね、金品の額が少ないから不起訴処分にしたというようなもの、こういったことがやっぱり法的にはパターンだというように、これはもう法的常識で考えられるんですが、法務大臣がおっしゃったパターンというのは、いま私が申し上げたようなことをおっしゃっているわけでしょうか。
  285. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そのとおりですね。前に衆議院の何かの委員会でも、私、捜査はしたけれども起訴になった、どういう場合に不起訴になるかということについて、たしか五つばかり挙げたと思いますね。そんなことでございます。
  286. 橋本敦

    ○橋本敦君 ですから、少なくとも、いま言ったパターンに関連をして、人数、これは報告する予定があると、まあこういうことはわかるんですね。ところで問題は、当参議院ロッキード委員会でP3C関係を主に中心に進めてまいりました。このP3Cですね、問題の。これがいままでの安原刑事局長答弁を伺いましても、捜査はやったけれども犯罪容疑を発見できなかったという答弁です。そこで、この中間報告には、P3C関係捜査経過と結果、その問題点、こういうものが当然含まれねばならぬ。これは参議院ロ特として当然要求することになると私は思っておりますが、P3C関係についての捜査経過と結果、問題点、現時点でのですね、中間ですから、これは含んでいただけますか。
  287. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いかに中間といえども、P3C関係を触れないで通るというわけにはまいりませんね。それは当然そういうことです。
  288. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、今後の捜査に支障を来さない限度において、こういう言葉が恐らく法務大臣つくと思うんですがね。ともかくP3Cの今日までの捜査経過は明らかにすると、これはわかりました。ところで、そうなりますと児玉の捜査経過というのも入ってくると私は思うんですが、ここで一つ法務大臣にお伺いしたいのは、児玉に対しては病状がネックになっておる、私もわかります。そこで、法務大臣は先ほど国会において、検察庁としても児玉を放置しているわけではないと、そのあかしとしても児玉の病状を検察庁独自の医師を派遣をして近々のうちにでも病状調査を行いたい、こういうことを国会で言明されてしばらくになりますが、これはもうおやりになったでしょうか。
  289. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 結論から申しますと、別の医師の派遣はまだやっておりません。その理由につきましては、法務大臣も申されましたが、われわれ捜査当局としては喜多村医師の診断というものは信頼性のおけるものだという考えをかなり持っておるわけです。それの理由はいろいろ申しましたが、非常に勉強家で非常にオーソリティーでというようなことで、しかしながら、それはあくまでも検察当局判断であるけれども、世の中には公正らしさというものを求めるということもあるわけでございますので、その喜多村医師の意向なんかもくみながら、やはり適当な時期において第三者の医師に診断を受けることも、客観的にその公正らしさというものを世間に信用してもらうために必要ではないかということも検察当局では考えておるようでございます。したがいまして、これはいつ診断させるかということは、いわば具体的な捜査の一環でございますので、そういう考え方を持っておる検察当局の良識に期待して、しかるべきときにしかるべき方法がとられることを期待しておるということでございます。
  290. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務大臣、お聞きのように、あなたが国会で言明されたこともまだ行われていない。あなたがおっしゃった時点でも、喜多村医師の診断に対する信頼性はあるというお話をなさっている。私は疑いませんよ。疑わないが、それでも法務大臣はやっぱりやるべきだというお考えを述べられた。刑事局長もいまおっしゃったんですが、公正らしさということが問題じゃなくて、本当に多くの医師の診断によって児玉の病状はやっぱり客観的にますますはっきりさしていくということが大事じゃないか。公正らしさという検察立場以上に具体的にやっぱりそれは探求すべきだ、私はこう思いますね。で、問題は、やっぱり先ほどから出ておりますように、任意捜査限界があることは安原刑事局長もおっしゃったとおり、私もそう思います。しかりとするならば、証拠隠滅の疑いがないとは言えないんですから、強制捜査、病監へ収容するということも、病状によっては可能になる可能性がある。やっぱりこれの追及というのは今後検察立場としてやってもらいたい、私はそのことを強く希望しておきたいですね。  そこでもう一つの問題ですが、いままでのPXL関係について、疑惑との関係でいえば多くの事実がこれまでの委員会の審議でも明らかになりました。たとえば防衛庁が川重との提携のもとでPXLの国産化を進めてきておったという事実、この事実が明らかになった。これは国防会議の方針で国産化が決まったというんじゃないですよ。防衛庁の庁内の方針、そして川重との提携ということで、国産化方針が進んできておったという事実がある。これはPXL疑惑解明する前提事実として、検察庁としても当然重要な事実として関心を持って調べねばならぬと思いますが、こういう関係についても調べた結果は報告されますか。
  291. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) PXLの問題につきましては、ロッキード社の活動並びに国内の動きというものは、当然捜査当局は関心を持ってもう知っておることと思います。
  292. 橋本敦

    ○橋本敦君 いま私が指摘したのは、ロッキード社の動きそのものとの関係はありますが、要するに国内のやっぱり動きですね。だからこういうことも含めて検察当局はつかんでおる。それからさらにもう一つは、十月九日をめぐる最大の白紙還元の問題ですね。さらには十一月一日の丸紅とロ社との契約の関係、そしてそれを越えていよいよ国防会議が動いていくわけですけれども、十月九日の白紙還元以後、防衛庁は国産化方針をとっていたけれども、十月九日以後は情勢が変わって、海幕を中心にP3C輸入論が強まってくる。その結果として五十年の三月の国防会議参事官会議では、輸入するとすればP3Cだということが決まる、これは公式の資料で明らかです。そしてさらに防衛庁は米海軍に正式にP3Cのリリースその他の照会を行う、これも客観的に明らかです。こういう客観的に明らかになっている、当委員会が審議した結果、これは当然検察庁は把握をしているし、P3Cの捜査経過の中でもこういった問題を具体的に検察庁捜査したかどうか、これは明らかにすべき問題だと思いますが、いかがですか。
  293. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) PXLの導入の前後の客観的な経過というものは、当委員会で詳密に御調査いただきまして、その結果は十分に検察当局は知っておるはずでございます。知っておるものと信じていただいて結構だと思いますが、それを、その間における不正行為の存在ということにつきまして捜査をしているかどうかということを具体的に述べることだけは、ひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  294. 橋本敦

    ○橋本敦君 防衛庁お越しいただいておりますでしょうか。——装備局長 御多忙のところ恐縮ですが、たとえば一つ装備局長にお伺いしたいんですが、この事件が起こりましてから、丸紅は四十七年十一月一日のP3Cに関するロ社との契約を含め契約関係を破棄した、こういうことが報道せられております。これは防衛庁に直接かかわる問題ですが、このP3Cに関する契約が丸紅・ロ社間で破棄された後、日商岩井がこれを引き継いだと報じられています。この間の経緯はつかんでいらっしゃいますか。
  295. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 御指摘のように、丸紅ロッキードとの間は本年四月をもって代理店契約は失効いたしております。で、その後の経緯につきましては、私どもの方は現在までその日商岩井がそういう関係にあるというふうには了解いたしておりません。で、ちなみに日商岩井の方にも確認をいたしておりますけれども、そういうことはないということを言明いたしております。
  296. 橋本敦

    ○橋本敦君 それではP3Cについてはないということですが、丸紅が防衛庁納入品関係でロ社と契約を結んでいたのはP3Cに限らず、その他いろいろございますね。そういう契約関係はいまどこに引き継いでおりますか。
  297. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) その中で御指摘のように各種類にまたがっております。したがいまして、たとえば具体的な例を申し上げますと、当庁ではございませんが、川崎重工がロッキードから調達をいたす場合がございます。で、このときは伊藤忠アビエーションというものが中に入っております。これはしかしながら、いわゆるソールエージェントというものではございませんので、輸入代行業務ということをいたしております。そういう形の引き継ぎ方がいたされております。  それから防衛庁関係は、五十一年度分の発注をこれからいたさなければなりません。で、これにつきましては、いまどういう形で踏襲されるかということを夏以来検討いたしておりまして、その中におきましては、私どもが直接発注をする方法でありますとか、あるいはしかるべき第三者の商社というようなものに手伝ってもらうか、いろいろ検討いたしておりますが、現在最終の詰めに入っておりますけれども、まだ結論を出しておりません。ということでお答えになりませんけれども、いまのところ当庁に関する限りはそういうものはないという状況でございます。
  298. 橋本敦

    ○橋本敦君 装備局長に重ねて伺いますが、契約書関係を多くの商社から提出を依頼して出さしたというお話がずっと前からございましたが、日商岩井関係から防衛庁サイドにかかわる契約あるいはロッキードに関する契約、こういったものが出された事実はありますか。
  299. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 日商岩井に関しましては、一般的に申しますと、私の方から、先ほども答えいたしましたように調査——提出依頼をいたしたわけでございますが、遺憾ながらその契約書等の提出はございませんでした。ただ、現在御存じのように、進行中のFX計画がございます。これにつきましては、もちろん計画のそのプロジェクトの性質等にかんがみまして、私どもから厳に提出を要求いたしております。これにつきましては、先般その概要についての申告がございました。ございましたが、まだ必ずしも契約書の正本等は入手いたしておりません。しかしながら、恐らくこれは近々FXに関する限りは入手できると考えております。
  300. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで装備局長、日商岩井がP3C契約を引き継いだ事実はないといういまの御答弁を一応信頼した上で申し上げますが、このPXL、特にP3Cに絡まるわけですが、これの導入については、このロッキード事件疑惑解明ということとも関連をし、また防衛庁内部のいろんな検討とも関連をして十二月末までに決めたいという防衛庁長官の話が前からあったわけですが、しかし、疑惑解明国民の納得いく方法ということもおっしゃっておられる。日が迫ってまいりまして、本年じゅう、十二月には間に合わないこともあり得るということを長官は一度はおっしゃったかに私は聞いておりますけれども、現在のところPXL問題の見込みはどうなっておりますか、決定の見込み。
  301. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) この点につきましては、先般来たびたび長官からもお話がございますように、大まかに申しまして、国内開発案、それから導入案、いろいろ案がございます。それで現在の段階におきましては、十二月末までには何らかの結論、という言葉が妥当するかどうかわかりませんが、解決の方向方向を見出せるような案をつくりたいと、少なくともそういうところまでは持っていきたいというふうに考えております。
  302. 橋本敦

    ○橋本敦君 その点は装備局長、このPXLに関する疑惑捜査が結了もしくは疑惑の問題が解明されるということを十二月末までにやれるということの含みでおっしゃったのか、疑惑解明とは関係なしに防衛サイドの作業としておっしゃったのか、どちらですか。
  303. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) これは長官のお言葉をかりますと、いささかも疑惑のそしりを受けないように、国民の御納得を得るような方法で解決をしたいと、こうおっしゃっております。それが果たしていまおっしゃったような本問題についてすべての終止符が打たれることを意味するのか、あるいはそれに至らずともその前に何らかの国民の皆さまの御納得を得るような方法の発見ができればあるいはその方法によるのか、これは実はむしろ長官から直接お答えをいただくべき事柄かと考えております。私どもの方といたしましては、いま申し上げたような点まで含めてこの問題についての何らかのけじめと申しますか、方向と申しますか、そういうものを見出すべくいま努力をしておると、こういうことでございます。
  304. 橋本敦

    ○橋本敦君 このPXL疑惑解明するという上では、防衛庁自身も検察庁捜査なり国会調査に全面的に協力するという姿勢にお立ちになる必要が私はあると思いますね。そういう意味では、国会サイドでは資料提出の要求を全面的にやっぱり誠意を持って受けられるという必要があるでしょうし、検察庁調査やあるいは資料提出にも誠意をもって受けられるという必要があるだろう。国防上の機密、こういうようなことで検察庁からの資料要求を拒否するというようなことがあってはならぬと思いますが、その点についてはいかがですか。
  305. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 防衛庁といたしましては、この委員会の発足以来、鋭意御趣旨に沿うように御協力を申し上げてきたつもりでございますし、検察庁に対してもそういうことで極力御協力申し上げました。ただ、いまも御指摘のありますように、これはいわゆるマル秘関係のもの、あるいは対外関係でマル秘になっているものがございます。こういうことにつきましてはその都度御了解を得ました上で処理してまいりたいと思っておりますけれども、極力前向きの姿勢で御協力申し上げていきたいと考えております。
  306. 橋本敦

    ○橋本敦君 いままでそういう検察庁から要求されて、マル秘関係だということで出さなかった、協議をしたという事例はあるんですか。いまこれからの方針でおっしゃったけれども
  307. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) マル秘関係の書類で検察庁から御要求があったかどうかという点につきましては詳しく私存じておりませんが、一部そういうマル秘関係のものがあったように聞いております。それは御持参して詳しく御説明申し上げたというふうに聞いております。
  308. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまの話ですと、持参をして説明をした。で、検察庁がやっぱり調査をやる場合、捜査をやる場合、たとえマル秘関係であっても全面的に解明するという姿勢政府部内の検察庁と防衛庁内部でさえなかなかスムーズにいかないようなことでは、疑惑解明はこれはなかなかやっぱりわれわれから見て十分にできるかどうか不安があるわけですね。今後、そういう点については徹底的にやっぱり検察庁捜査を望むし、捜査協力を望みたいとこう思いますね。いままですでに白川前統幕議長、石田海上幕僚長、石川元航空幕僚長、こういった方たちは積極的に事情聴取によって、事情を、やっぱり積極的に事実を説明されたというような事実があるのか、これは新聞報道で出ているんですが、これは総務課長でも局長でも結構ですが、御存じですか。
  309. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 今回の事件に関しまして検察当局が防衛庁の人に来てもらって事情聴取したということは報告を受けております。と同時に、調査に非協力であったというような報告は受けておりません。
  310. 橋本敦

    ○橋本敦君 協力された。
  311. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) はい。
  312. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういう関係でさらにPXL関係疑惑を追及するとするならば、あの契約を結んだ檜山、あるいは十月九日関係では、田中、相澤、後藤田、そしてまたさらにはうわさをされているという範囲に含めるならば中曽根氏、こういった関係者の取り調べが私は必要であり、これをやらないで、疑惑が、いままでのところ犯罪容疑がなかったということにはならない。こういう点について、中間報告PXL関係捜査経過と問題点、報告があるということですから、それらはさらに今後報告を聞いて伺わさしていただきたいと思うんです。  そこで、観点を変えますが、きょう私が法務省からいただいた資料に基づいて質問をしたいんですが、戦後の自民党の政治の中で相次いで重要な疑獄事件が起こってまいりました。私は、法務省に要求をいたしまして、戦後における疑獄事件被疑者等の員数、これを調査をお願いしてきょういただいたんですが、これによりますと、いままで昭電、炭管、造船、陸運、売春、武鉄、田中彰治事件、大阪タクシー、日通、共和製糖、こういった事件起訴された国会議員が三十五名、これの数字はここに明らかになっておりますが、このいままで挙げた事件被疑者として取り調べられた者の総数が三百八十名という資料をいただきました。起訴された国会議員は三十五名ですが、以上の事件被疑者として取り調べられた三百八十名の多数の中に、不起訴にはなったけれども国会議員も含まれている。これはまあ当然そう思うんですが、何名ぐらい含まれているんでしょうか。
  313. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) けさほど橋本委員の御要求に基づきまして提出した資料では、御指摘のように被疑者の総数はございますが、被疑者の職業別と申しますか、内訳がないということは事実でございます。これにつきまして、どうしてこうなったのかということを先ほど事務の者に聞きますと、被疑者の総計は統計報告でわかるんだそうであります。ただ、被疑者の内訳になりますと、そういう報告を受けていないので、一々この記録を見なきゃならぬというので、目下調査中でございますので、もう少し御猶予をいただきたいと思います。ただ、被告人の場合は、事件報告を見ればすぐわかるものですから、書き入れをしたということでございます。ただ御指摘のように、被告人以上に国会議員被疑者があったということは、私の経験上存じております。
  314. 橋本敦

    ○橋本敦君 それはさらに確実な調査をお願いするといたしまして、いま挙げた事件以外に、疑獄事件として国会あるいは世上で問題になったけれども、しかし事件にならなかったというような関係で葬られた事件が、戦後数えてみますと、たとえば吉田元総理関係された五井産業事件、あるいはそれ以外にも東独からのカリ輸入問題の事件、電源開発問題、あるいは全購連の汚職事件、数々あって、ざっと数えて四十件ぐらいある。こういう関係で取り調べを受けた政府高官、国会議員、およそ五百名に上るのではないかとマスコミも言っているぐらいですね。だからしたがって、ここからわかることは、戦後の疑獄が相次いで起こってくるということの中で、多数の国会議員が、いまの言葉で言えば灰色のまま公表されないで終わっている。これが私は一つは相次いで疑獄事件を発生させていく温床になっている、重大な警告もしくは反省材料とならないというように私は考えるわけですね。だから、こういう点から見ましても、汚職を根絶をし、清潔な日本の政治をこれをはっきりさせるという意味から、灰色高官公表という今日の課題は、これは過去の反省と将来の日本の政治の上からいっても、きわめて大事な緊急な課題になっていると、私はこう思うんですが、法務大臣はどうお考えでしょうか。
  315. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) さあ、それは過去の事件について国会がいわゆる道義的政治的責任追及にいまほど追及熱がなかったせいじゃないでしょうか。法務省の問題じゃないでしょう。法務、検察は……
  316. 橋本敦

    ○橋本敦君 政治姿勢の問題として。
  317. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法務、検察は、そんなもの関係したら、権限の逸脱だ。まあ政治姿勢ですか、政治姿勢としては、わしがあなた方の立場にあって、法務大臣でなけりゃ、やっぱり政界を浄化するにはもう少し熱心に道義、政治責任の追及ということもやった方がいいように思いますな。
  318. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  防衛庁関係、お忙しければもう結構であります。  御多忙の中、内閣法制局長官来ていただいておりますので、長官に私お伺いしたいんですが、いわゆる刑訴法四十七条ただし書きの問題につきまして、長官は法制局の立場予算委員会でも、さきに見解を明らかにされました。この刑訴法の四十七条、これで公判前であっても公にするという公益上の必要性の判断、そしてまた、その方法等が問題になるわけですが、この前長官がおっしゃいましたように、この公益上の必要があるという判断をする権限を持つのは、検察当局から報告を受ければ、受けた法務大臣、あるいは総理自身もその権限をお持ちになる、これはおっしゃったとおり間違いないと思いますが、念のために一度確認さしてください。
  319. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) この前の答弁の際、私はあらかじめ用意したメモを読んだわけでもございませんし、またその後速記録もまだ来ておりませんので、正確に言葉どおりのことは、ちょっと記憶にございませんが、申し上げました趣旨は、刑訴法四十七条は、そこに書いてあるとおり、訴訟に関する書類が適用対象になるわけでございまして、その訴訟に関する書類それ自体の公表の問題なんですが、しかし、いわゆる灰色高官氏名公表するということは、それは氏名をただ羅列するだけでは意味がないんで、やはりその当該人物の行った行為と結びつけて公表ということになるんだろうと思いますので、それでなるほど規定の上は訴訟に関する書類そのものではございませんけれども、やはり四十七条が担っている法益は、やはり尊重しなければいかぬので、四十七条の規定の趣旨に従ってやらなければならない。そこで、あのとき申しましたのは、四十七条は本来的には、御存じだと思いますけれども、訴訟関係人に適用がある条文なんですが、しかし、それを、やはり四十七条の趣旨というものを尊重いたしますれば、訴訟関係人以外の人でも書類の中身を知るという場合には、それを公表するかしないかという場合の基準としては、やはり四十七条の本文及びただし書きを含めて、その精神に従ってやらなければいけない。そこで、法務大臣なり総理大臣がその報告を受けて事件中身をお知りになれば、やはりその法務大臣なり総理大臣がその公表するかしないかということのやはり第一次的な判断をお願いしなきゃいかぬということを述べたつもりでございます。
  320. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。私もその見解は、それで法解釈としてよくわかるんです。  そこで、長官にもう一つ聞きたいのは、法務大臣なり総理が公益の必要があると、こう考えられて、いわゆる灰色高官氏名を含め、資料公表なさるという場合に、それがたとえば国会に対して行う場合に、秘密会でなければ四十七条の精神に反する、つまり四十七条は公表の要件として秘密会を要求しているとは四十七条から私は絶対に読めない。四十七条でもこれは明らかに公にするという言葉を使っておりまして、秘密会を要件とは書いておりません。だからしたがって、総理法務大臣がこの公益上の判断に基づいて明らかに、公にされる場合、国会に対する関係での場合でも、秘密会というのは、本来四十七条そのものとは直接法的要件なり必要性、これは関係ないと私は思いますが、法制局のお考えはいかがでしょう。
  321. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 四十七条のただし書きがどういう場合に適用があるかということにつきましては、かねがね申しておりますように、公表しないことによって得られる公益、つまり関係人の人権の保護とか裁判あるいは警察捜査に対する悪影響を防ぐというのが四十七条の本文が考えている法益でございますね。それから、ただし書きの方は、公益上の必要その他の事由があって相当と認めるときと、つまり公表することによって得られる公益、この二つを比較考量して、ケース・バイ・ケースによって判断するというのが大筋でございまして、そのケース・バイ・ケースの判断をする際に、その提出先が秘密会であるかあるいはオープンの公開委員会であるかということも、これを抜きにしてはやはり判断が不十分になりますので、その点も含めて比較考量をするということになろうかと思います。したがいまして、秘密会ならば相当のところまで言えるとか、あるいはオープンの場合にはそれが制限されるというようなことはあろうかと思いますけれども秘密会でなければ公表はできないというものでもございませんし、また逆に秘密会であればもうすべて出せるのだということにもならないという関係だろうと思います。
  322. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。多少の見解の差もありますが、四十七条は直接に秘密会でなければならぬというストレートに解釈するということにはならぬと、これはよくわかりました。  そこで、そういう関係ですから、この秘密会問題というのは、もっぱら法的に要請されているんではなくて、この判断に基づいて総理あるいは稻葉法務大臣公表するということでの裁量的判断として秘密会を要求されると、こうなっているわけですね。法律的に必ず秘密会でなきゃならぬという規制は何もない。  そこで、この秘密会問題について私は若干法務大臣と議論をしたいんですが、私どもはこれは国民の期待にこたえ、国会決議の立場に立って全部公表すべきだと、こう考えていますから、きょうはその議論はおきます。  秘密会ということであなたは、大臣、おっしゃったんですが、秘密会にするかしないかは、これは法務当局の要請いかんがどうあろうとも、国会が自主的に判断をする権限に属する問題だ、これは明らかではありませんか。
  323. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは明瞭至極であります。
  324. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうですね。明瞭至極なことを伺って申しわけないわけですが、そこで法務大臣、私が聞きたいのは、したがって国会報告を受けた後、この委員会なら委員会が審議をして自主的に、これは国会決議あるいは国民の期待にこたえて、公表してよろしいということを委員会が自主的に決めることもあり得る、それについてはどうお考えですか。
  325. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 政治的道義的責任追及権者が公表なさることについて、文句を言う筋合いはありません。
  326. 橋本敦

    ○橋本敦君 だからしたがって、たとえ秘密会であっても、それを聞いた結果委員会が自主的に判断をすれば、それは法務省としてももうとやかく言えないということはわかりましたよ。はい、わかりました。  そこで、その次にもう一つ細かい問題を伺って恐縮ですが、秘密会ということで灰色高官名を聞いて、そしてそれが漏れた場合に、先ほど告発という話がございましたが、国会議員の場合は国家公務員のように、秘密を開示したということで刑法上の制裁を受ける規定はないと私は思うんですが、局長、いかがでしょうか。
  327. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 制裁ということが刑罰的制裁ということであれば、そういうものはございません。
  328. 橋本敦

    ○橋本敦君 ありませんね、はい。そこで、仮にあり得るとしたならば、それを漏らされたいわゆる灰色高官の方が名誉棄損だということで、名誉棄損で告発なさるということがあり得るにすぎない、国会の懲罰問題は別ですよ、刑法上の問題として、そうではありませんか、局長、あり得るとすれば。
  329. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) おっしゃるとおりです。
  330. 橋本敦

    ○橋本敦君 いま私が言ったとおりですが、ところが、そのような告発が名誉棄損で仮になされた場合に、名誉棄損罪は成立するだろうか。たとえば、戦後、言論表現の自由を保障するという立場でつくられた名誉棄損罪の二百三十条の二では、「公然事実ヲ摘示シ人の名誉ヲ毀損」するというこの場合であっても「公務員又ハ公選に依ル公務員ノ候補者ニ関スル事実ニ係ルトキハ事実ノ真否ヲ判断」して、真実の証明があればこれは罰せずですから、名誉棄損罪は成立をしない。だからしたがって、ここに言う名誉棄損罪を阻却する、不成立になる、こういう場合に「公務員ノ候補者ニ関スル事実」ということになれば、国会議員はここに言う公務員の候補者ということに該当すると思われますが、いかがですか。
  331. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 候補者でなくて公務員そのものではないでしょうか。
  332. 橋本敦

    ○橋本敦君 失礼しました。選挙の段階になれば候補者ですが、公務員そのものです。  そこで法務大臣、お聞きのように秘密会議をする、仮にそれが漏れたと、しかし漏らされた灰色高官は、国会議員に対してこれは秘密を開示した罪はありませんから告訴はできない。名誉棄損罪で告訴することができるかもしれない。しかし、それをしても今日の法は国民の知る権利を保障して、それが事実であれば名誉棄損罪は成立しない、こういう法体系になっている。ということは今日の民主主義社会において、このような問題について、まさに政治家のモラルとして、そういう問題は広く国民に知らせるべきだ、知らしてよろしいのだ、これがまさに刑法の法体系上はっきりしている。こういう段階で、なおかつ秘密会を要求されるということについて、これは私は理論的にも再考される必要があると、こう思いますが、いま私が指摘をした政治家のモラル、そして国民が主権者として政治家に対していろんな批判を、意見を持ち得る権利があるという立場から言って、秘密会を要求するということは合理性を欠くと私は思いますが、いかがですか。
  333. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 合理性は欠かないと思うのですね。というのは秘密会を要求するゆえんは、法務、検察当局は道義責任追及者ではないから、その責任者に——無権限な者の口から一般国民に知らせる必要はない、いかに政治モラルが大事だといっても。それは政治モラルを追及する国会がおやりになることで、こっちの口から言うべきことじゃないから秘密会にせいという理論が成り立つ。
  334. 橋本敦

    ○橋本敦君 検察庁としてはそういうことをおっしゃるのです。いま私が指摘したそういう関係から言うならば、総理は、いいですか、検察庁そのものじゃありませんから、法務大臣もある意味で言えば検察庁そのものじゃないのですね。そういう政治的な立場判断をするという場合の話を私しているのですよ。検事正が公表するということを私は問題にしていない。そういう意味で、私は、こういう今日の法体系から見て、刑訴法の精神を踏まえるとおっしゃるが、刑法、刑訴法、今日の民主主義の基本原理に立つならば、公表は当然だという考えを持っている。  きょうは時間がありませんから議論はこの程度にして、さらにまた別の機会にしますけれども、私が提起した問題を私はさらに検討をしてもらう、そういう姿勢に立ってもらいたいということを要求しておきたいんです。
  335. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私はあなたと見解を異にすることをいま申し上げましたが、せっかくの御指摘ですから研究はしましょう。絶対という言葉は言わないのだから私は。あなたも所説を絶対、絶対と言わずに。こっちも研究しましょう、お互いに。
  336. 橋本敦

    ○橋本敦君 絶対と言うと知能指数が低いというさっきの話もありましたから、お互いに研究をする。  そこで次の問題に移りますけれども、この中間公表発表するにつきまして、人数を、名前は出しませんよ。しかしいわゆる灰色高官といわれる、検察庁からいえば不起訴になったパターンに該当する人数を何人にするか、こういう問題で自民党ロッキード特別調査委員会、あるいは国対筋と法務省幹部首脳がいろいろ話し合ったという新聞報道を見て、私はこれは大変ゆゆしい問題だと、こう思っておるのですね。たとえばこんな報道がある。自民党筋から、自民党だけしか出ないのは問題だ、野党も出してくれたらどうだ、基準を緩めて、野党にもあるんじゃないか、こういうようなことを言うと、そうすると、そんなことをしたら自民党はもっと傷が大きくなりますよと、法務省幹部に言われてしゅんとしたとか、こういう報道が出るわけですよ。いいですか法務大臣。私は野党、与党、政党、そんなことじゃなくて、まさに国民のために真相を解明するという立場に立たなくっちゃならない、そういう法務省が自民党筋とこういう協議、根回しをした上で中間公表をするということは、これは私は——あなたは先ほど、最後は総理が政治的に決断なさると、こう言ったけれども、その政治的決断にこういうことが含まれるならば、これは全く間違ったゆゆしい政治的決断だと言わざるを得ない。厳しく批判せざるを得ないと思うのですよ。こういうことは絶対ありませんか。
  337. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そんな間違ったことは、絶対私に関する限りはありませんね。まあ絶対というのは……(笑声)いや、私は記憶にありませんわ。頭悪いわな、そんなのは。私はそんなことあるべきことじゃない、あってはならないことだ、あったら言語道断なことであると、こういう気持ちです。
  338. 橋本敦

    ○橋本敦君 大谷委員長も、この間ロッキード理事会でお聞きになりまして、私はこの問題を重視して、法務省の官房長にもお話ししたんですね。そうすると、中身について協議は絶対ないと、これはもう絶対ないとおっしゃいました、絶対という言葉を使ってね。それはまあいいでしょう。だけど中間公表をいつやったらいいかという時期の感触を得るために、自民党国対筋に感触を得るということで接触したことはあるという趣旨のことをおっしゃった。そこで私は、それはまさに値上げを通してから中間発表するという自民党ぺースに検察庁乗ることになる危険性があるじゃないか、ロッキード理事会で私は言ったんですよ。ですから絶対と言えないとおっしゃったけれども、確かに絶対と言えないけれども、時期については感触を得るために自民党国対筋と接触したということはあるのですよ。あるのですよ。ね、法務大臣、あなたは知らないかしらぬけれども。私はこういう疑惑を持たれる中で中間公表というのは、よっぽどやっぱり中身をしっかりしてもらわないと疑惑を持たれる、私はこう思いますよ。だからいま局長がおっしゃったドラフトが四十分ぐらいあるというやつを、新聞報道では十五分ぐらいに縮まるんじゃないかという報道も出ている。いろんな情報が飛び込んでいますね。こういうことに絶対に左右されないで、独立不羈、検察姿勢を貫いて、最大限協力するという姿勢を貫く、可能な限りの中間報告を行う、もう一遍大臣の口から確認さしてほしいんです。
  339. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) たびたび申し上げているとおりね、私の政治姿勢を疑われるようなことはしませんが、それは行動をもって示すよりしようがないね。ここで幾ら口で、知能指数低く絶対なんて言ってみたところで、行動が伴わなければ話にならないですから。
  340. 橋本敦

    ○橋本敦君 外務省からお越しいただいておりますでしょうか。——恐れ入ります。  外務省にお伺いしたいんですが、先ほどから議論がありますように、日米司法取り決めですね、これをめぐってアメリカの米司法省のケンプ・スポークスマンが、資料公表について日本政府あるいは日本の検察官当局と話し合いをするという弔意があるという向きの言明があった。ところが官房長官は、その報道がなされたとき言下に、そういうものは全然関知しない、やる意思がないというようにおっしゃった。私は、これは三木内閣がいままでおっしゃっていた言明、たとえば稻葉法務大臣ね、もともとアメリカからの資料公表前提だ、それができなかったのはアメリカが、これはシークレットにしてほしいという、コンフィデンスにしてほしいという条件をアメリカ側がつけたからやむを得なかったんだと、三木総理は何度もおっしゃいましたね。何度もおっしゃった。覚えていらっしゃいますか。——いやいや、そうですよ。だとすれば、向こうが公表について協議してもいいと言ったならば、これは本当に三木内閣姿勢後退させるんじゃなくて、当初の公表という姿勢を貫くならば、すぐに話し合いに入る、喜んで入ると、こうあるべきだと思うのです私は、きょう官房長官たまたま議運の理事会にお越しになって、この問題について社会党からも私からも聞きました。そうしたら官房長官は、いままでいろいろあったけれども、この米司法当局の態度と言明が、これが本当にそうかどうか、やっぱりこれ確かめて、その上で政府姿勢を決めるべきだから、いま外務省を通じてこの点を照会中だというお話をいただいたんですが、こういうように、いま外務省を通じて米司法省の態度の確認を取りつつあることは、外務省として間違いないでしょうか。
  341. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) 土躍日でございますか、アメリカの司法当局のスポークスマンが本件について言明したという報道を得まして、外務省としては直ちに関係省とも協議いたしまして、その報道の正確な内容について、目下照会中でございます。
  342. 橋本敦

    ○橋本敦君 済みません、報道の内容の正確な照会を米国のどこに照会をされておられるのかと聞きたいのです。
  343. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) 外務省から在米大使館に訓令を出しまして、在米大使館が照会している状況でございますが、私の配慮では当然司法省のスポークスマンが言明したということで、司法省に照会しているということでございます。
  344. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  そこで法務大臣、先ほどからオランダは別としてそんな再協議というようなことでやるつもりは毛頭ないとおっしゃってきたんですが、政府姿勢としては、官房長官は、まず米司法省の態度、意向を確認をして、その上で政府姿勢を改めて検討するという含みできょうおっしゃったんですよ。だから、いまの結果、米司法省が国会報告ということの関連で協議に応じてよいという意向が公式に表明されたならば、法務大臣としては早速その協議に入るべきだと私は思いますが、ただ、公表の時期は全捜査が結了したとかなんとか、これは別ですよ。基本的にはアメリカの司法省の意思確認の上で協議に入るべきだと思いますが、いかがですか。
  345. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 取り決めの主体はわが法務省と先方は司法省でございまして、その取り決めの主体になぜ法務省と向こうの司法省がなったかということは、要するに、フォード書簡からくる捜査、裁判のための資料の交換ということであったからでございます。したがいまして、捜査、裁判の資料としての有用性がなくなった後の段階におきますところの再交渉ということの主体は、法務当局ではないはずでございます。ということで、法務当局が判断するかという、交渉の主体になるかということについては、主体になるべき性質のものではなくなるんじゃないかと、むしろもう少し違う政府レベルの問題ではないかということを事務当局としては考えておりますことと、もう一つ、例のために申しますと、オランダの、先ほど黒柳委員が御質問になられている、つまり三人委員会政府報告するのが三人委員会の執務、それを受けた政府公開をすることについては、それは三人委員会が協定の取り決めの当事者だったんですが、その公表することについては政府そのものがアメリカとネゴシエートしたということもございますので、本件に関する限り捜査、裁判からの問題を離れます場合におきましては、法務当局が交渉の主体になるべきものではないということを念のために申し上げさせていただきます。
  346. 橋本敦

    ○橋本敦君 私もそれでおかしくないと思います。法務大臣にお伺いするのは、政府姿勢としてということを先ほどから申しますね、そういう意味なんです。政府の政治姿勢としてアメリカ側の意味が確認されれば当然再協議に入ると、これは法務大臣も反対しないと、これはそれでいいんじゃないですか。
  347. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 貴見のとおりでございます。
  348. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、もう時間がなくなりまして、いろいろお尋ねをしたいことがたくさんあるんですが、最近、自民党は、三百十九名に上る公認候補を発表された。私はこれに関連をしてお伺いをしたいんですが、この三百十九名の公認というのが中間報告に先立って行われた。これはある意味で言えば、自民党筋は、秘密会なら野党が反対するだろう、野党が反対するとすれば、法務省秘密会でなければ灰色高官資料提供、公表しないと、こう言ってるんだから、野党が反対する限りは灰色高官はもう出ることないだろう、こういうことを見越してまさに自民党の党利党略で公認を決めたのではないかというような疑いさえ私どもは持つ、こういう状況があるんですが、私が心配をするのは、この三百十九名の公認発表中、法務大臣が十五日に発表されるであろう——人数だけですが、名前は出ませんが、人数だけ発表されるいわゆる不起訴処分となった人、われわれの言葉で言えば灰色政治家、これは三百十九名の中に入って公認されている、これはもう間違いないと思うのですが、法務大臣いかがですか。
  349. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 党利党略のことは党執行部にお聞きください。私は党利党略はないのですね。ない立場であるが、すべての政党あるいはすべての衆議院議員、今度選挙やるのは衆議院議員ですから、衆議院議員が与野党を問わず全部灰色でやるということはかなわぬね、わしらも。多くは灰色でも黒でもないんだということで選挙やってもらわなければ困るでないかという気持ちは、いずれの政党でもそうだろうと思うし、自民党においてはことに党利党略をやるわけじゃないけれども、仮に党利党略から言うてもその方が得ではないかとこういうように思いますのですな。そういう意味で、法務当局はそんな道義責任なんていうんで発表するわけにいかぬけれども国会が、やっぱりこういう自民党の議員さんたちがそういうふうにお考えになるのが当然じゃなかろうかと思いますな。
  350. 橋本敦

    ○橋本敦君 この事件法務大臣、いろいろな苦労の中で国民のために鋭意捜査を独立不覇でやっていくということで、たびたび決意を表明され、また捜査の責任を負ってやってこられたあなたとして、自民党公認の中に灰色高官と、検察庁が十五日に人数だけだけれども発表する人が入っている、これはおわかりでしょう、この事実はどうなんですか。まず、それを聞いているわけですよ。だれとは言いませんよ。
  351. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなた意地の悪いことを聞くから困るな、実際。私はね、いま法務大臣としてここで答弁するわけですね。それにそれが含まれるか、それからそれだのにそれを公認の中へ含まれているだろうが、そいつはしゃくにさわらぬかとかね、そんなことを聞かれても答えようがない、それは。
  352. 橋本敦

    ○橋本敦君 それじゃ、最後にしますが、私がお聞きしたのは法務大臣を困らせるためではなくして、この機会に灰色高官と目されるそういう人を公認するというような選挙をやりたくない、自民党に政治姿勢を正してもらわねばならぬ、これがやっぱり国民の要求だという立場で明確にしたかったのですが、時間が参りましたので、一応私の質問はこれで終わります。長官、どうもありがとうございました。
  353. 柄谷道一

    柄谷道一君 きょうは議運理事会とかけ持ちでございますので、あるいは質問が重複するかもしれませんが、御容赦を願いたいと思います。  いままで、ただいまの質問にもあったわけでございますが、法務大臣であり国務大臣である稻葉さんに御質問をいたしたいと思うのですが、十月五日付ワシントン某社の特派員報道によりますと、米司法省が日本政府の問い合わせに対し、米側資料提供の国会への公表問題に対し、再交渉が可能であるとの公式回答を伝えたと報道されているわけでございます。しかもこれに付言して、その公式回答なる内容は、資料の公示を禁止した日米司法共助の取り決めは、資料の取り扱いを拘束するものではなく、状況の変化などにより、取り決めの枠外として公表問題を再交渉することは可能である。第二に、当事国の憲法上の規定に従って適切な手続がとられれば、米側は公表に必ずしも反対するものではない、こういう意向を伝えたと言われるわけでございます。  そこでまずお伺いいたしますのは、日本政府として、このような問い合わせを行った事実があるのかどうか、いかがでございますか。
  354. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) そういう問い合わせをしたことはございませんし、いま柄谷委員の御指摘の報道は、ついせんだっての報道によりまして、米政府当局者の見解として否定をされておるわけでございまして、米政府当局としても、なお日本に関連あるロッキード事件については、米当局も捜査中であり、日本も捜査中であるから、本来この取り決めは捜査、裁判のための取り決めであるということにかんがみて、いまそういう交渉が日本からあっても同意するつもりはないと言っておるということによって否定されておるわけでございます。
  355. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいま外務省の答弁によりまして、十月五日外務省としてはこの正確な内容につき問い合わせ中である、こういう答弁があったわけでございます。  そこで、この外務省が内容を米国に正確に問い合わせるというその意思は一外務省のみで決められたのか、政府当局としてこの実態を正確に把握しようという一つの話し合いが行われて、手続は外務省で行ったけれども政府としてのこれは意思であると理解してよろしゅうございますか。
  356. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ああいう司法取り決めを、私の方、法務省と米司法省と実務取り決めしましたからね。そこへああいう報道がありましたから、これはどういうのかちょっと調べてみた方がいいんでないかということを刑事局長に言いました。それで、刑事局長が、これは外交ルートを通じるべきものでしょうということで、そうしたんじゃないかと想像されます。確かでありません。聞いてみてください、もし必要ならば。
  357. 柄谷道一

    柄谷道一君 じゃ、すると手続は外交上の問題であるから外務省を通じて問い合わせばしておるけれども、この実態を明らかにしたいということは法務省の意思であると、こう理解していいわけですね。
  358. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私、そういう気持になって刑事局長に、各国間で別々なんでは、これわが方も立場が悪くなるんでないかと思いましたから、調査してみてくれ、こう言ったんです。
  359. 柄谷道一

    柄谷道一君 すると、法務省は日米司法共助取り決めには、日本の場合西ドイツとのような再協議条項のない。しかし、日本と同じく再協議条項のないオランダが再協議を行いまして、オランダ議会への資料公表に同意させたということが一般に言われているわけでございますが、このオランダの公表に同意させたということは事実でございますか。
  360. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほどお答えいたしましたように、その協定の当事者であった三人委員会政府報告したということによって任務は完了いたしました。それで協定を受けた政府がアメリカ政府と交渉して、協定の取り決めの枠外で公表について同意を得たということでございます。
  361. 柄谷道一

    柄谷道一君 といたしますと、このオランダのケースから見ましても、わが国も共助取り決めはなくても再協議によって議会への公表は十分その可能性があると、こう理解すべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  362. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 規定に書いてあるかどうかは別といたしまして、本来の取り決めに西独政府の場合におきましては、他に合意がない限りは、別段の合意のない限りは公表は禁止だと、こうなっているわけでございます。日本のそれには、そういう別段の合意ということはなくて、捜査、裁判のために使用できるんだということが書いてあるわけでありまして、それが書いてあるかないかは、私先ほども申しましたように、別にそういうことを書いたからできる、書かないからできないということではないということでありまして、規定の解釈上からしますれば、そういうことはオランダのようなことをする、つまり協定の枠外で公表することについて交渉することは可能であるというふうに思います。ただ現段階においてはお互いに捜査中でございますし、調査も終わっておりませんから、先ほど新聞報道を見ますと、アメリカ政府当局としてはいま協議に応ずる用意はないということを言っておると報道されておりまするが、そのことにつきましてはただいま外務省は公式にコンファームをするという過程であるということでございます。
  363. 柄谷道一

    柄谷道一君 法務大臣、いま外務省はコンファームしている。しかし、いま局長の答弁されたとおりであります。で、本問題を徹底的に解明し、国民に可能な限りその全貌を知らせようということは、政府の一貫して述べてきたところであります。したがいまして、その時期ということにつきましてはいろいろ問題はあるでしょうけれども法務大臣としてやはりこの資料公開問題について、時期を得てアメリカと再協議を行い、そして国会にこれを公表するという姿勢を基本的にお持ちであると、こう理解してよろしゅうございますか。
  364. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 資料公開のための再交渉をすべきかどうか、これは時期——あなたのおっしゃるとおり時期の問題が重要ですけれども、それから範囲なんかも協議の中へ入るんでしょうが、再交渉をするべきかどうかは高度の政治的判断をすべき問題であって、法務省独自で決めるべき問題ではないというふうに思いますね。
  365. 柄谷道一

    柄谷道一君 国務大臣の一人としてのお考えはいかがでございますか。
  366. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) この事件を契機として政治倫理を確立したいという国務大臣稻葉修としては、そういうことは高度の政治判断として結構なことではないかなというふうにまあ思っておりますね。
  367. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ、その国務大臣としてのお考えを、政府全体のいわゆる意思として確認されるように一層の御努力を期待いたしたいと思うわけであります。  次に、小佐野氏が九月三十日、突然順天堂大学附属病院に入院された。答弁を聞いておりますと、新聞報道では承知しておるけれども法務省として積極的にその内容を把握はしていない、こういう答弁であったと記憶するのであります。しかし、小佐野氏は衆議院予算委員会における証言問題で偽証の疑いが持たれております。また本参議院委員会におきましても証人喚問がすでに決定いたしておるわけでございます。したがって、院の決議というものをより的確に実行に移すという立場からすれば、当然法務省はこの入院というものについて深い関心を持つべきが私は当然であろうと、こう思います。そこで、クラッター氏のアメリカにおける嘱託訊問で、一部には児玉ルートの資金の流れのうち、小佐野氏に絡む物証を得たと。九月三十日の入院は検察当局の物証入手に対応した小佐野側の措置ではないか、こういう疑惑が率直に国民の中に深いことは否めない事実であろうと思います。院の権威を保つためにも、この小佐野入院の経緯とその内容というものについては、当然当局としても積極的に正確な情報を把握すべきではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  368. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど申し上げましたのを御理解いただきたいとお願いするわけでありまするが、小佐野賢治氏なるものについていろいろの批判、指弾がなされておることにつきましては、検察当局も関心を持っておりまするけれども、特定の人間につきまして取り調べをしておるかどうかということを申し上げるわけにはいかない、そういう意味におきまして取り調べの内容にもかかわります病状について把握しておるかどうかについても申し上げるわけにはいかないということを申し上げたわけでございます。
  369. 柄谷道一

    柄谷道一君 国会医師団の診断では、重症の高血圧と心不全ですぐに酸素テントに入れる必要があるほど重病人である、よって直ちにの証人喚問はできない、こういう報告が要旨としてなされたと思うわけでございます。ところが、新聞報道によりますと、順天堂大学職員組合から、そのような重病人が入院以来三食普通食を病室に運んでいる、普通であればそのような重病人には塩気を抜いた減塩食にするのが常識である、こういうことで同病院の医師の中からも小佐野氏の病状を疑う声が上がっている、院長に対して質問を出した、こういうことが大きく新聞に報道されているわけでございます。こうした事実を検察当局はどのように理解をいたしておりますか。
  370. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) たびたび申し上げておりますように、検察当局としては関心を持っておるとは思いまする。したがいまして、新聞報道についても知っておると思いますし、国会における証人喚問の成り行きにつきましても承知をしておると思いまするが、いまの病状についてどう思っているかということは、先ほど申しましたように、捜査内容にもかかわる事柄でございますので、私どもの方から御報告を申し上げることは御遠慮さしていただきたいとお願いしておる次第でございます。
  371. 柄谷道一

    柄谷道一君 捜査内容について触れるので答弁は遠慮したいということでございますが、深い関心を持っていることだけは確認してよろしゅうございますね。
  372. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 捜査につきましては、風聞とか新聞、ラジオの報道とかいうものは重大な捜査の端緒でございます。ロッキード事件究明するということについては検察当局のかたい不動の方針でございますので、そういう風評、報道というものには当然関心を持っているはずでございます。
  373. 柄谷道一

    柄谷道一君 法務大臣はP3Cにもいわゆる児玉ルートは関連をするので、山高くして険しいと、こういう意見を述べられたと聞いております。ということは、この児玉ルートの問題はP3Cと関連があるということを前提としての発言であると理解するわけですが、そうでございますか。
  374. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういうこともあり得るということで、そう申し上げたわけです。
  375. 柄谷道一

    柄谷道一君 といたしますと、この児玉ルートに対する捜査終了のめどはいつごろに置いておられますか。具体的に十一月十日の天皇在位五十年記念式典前に終わるということはございませんか。
  376. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 検察当局としては一日も早く究明したいと思っておりまするが、即位の式典に合わすとか、選挙に合わせるというようなこともまた別に考えておるわけでもございません。鋭意迅速に究明したいと思っておりますが、したがって、十月中に終わるかもしれませんし、さらに延びるかもしれませんが、まさにこれは相手のある捜査の問題でございまして、これ以上、時期を言明するわけにはいきませんが、選挙というようなことを意識して終わるとか終わらぬというようなことはございません。
  377. 柄谷道一

    柄谷道一君 法務大臣、私は、国民としてはこれだけ大きなこのロッキード事件、それは当然次期選挙における重要な私は選択の一つの基準になる、こればかりではございませんが、一つの大きな基準になると、こう思うわけです。もちろんこれは捜査でございますから、何月何日までにということを四角四面に決定することができないという事情は私はわかりますけれども、でき得べくんば国民に正確な選択を与えるためにも、私はそこで十一月十日の天皇即位五十年式典というのは一つの事例として申し上げたわけでございますが、速やかにこの究明を急ぎ、基本的には全貌国会報告して、そして国民の選択を待つというのが政治としてのあるべき姿ではないか、こう思うのでありますが、精神論でございますが、法務大臣いかがですか。
  378. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 選挙をやる身として、一個のまた政治家として、国民判断の一番いいチャンスですから、事件発生後ずいぶんになりますし、一日も早くそういう判断資料にできるような捜査の進め方があってほしいと、これは希望として当然でしょう。余り私の身で強く希望を出しますと、間接的指揮みたいになるおそれがありますので、余り強い希望を申し上げかねると、こういうことでございます。
  379. 柄谷道一

    柄谷道一君 コーチャン、クラッター氏らの米側の証人嘱託尋問が終了したわけでございますが、それなりの成果があったのか、特に児玉ルート解明に役立つ成果というものがあったと理解してよろしゅうございますか。内容捜査中ですから聞きません。
  380. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 詳細は刑事局長答弁すればいいんでしょうが、私、それ報告も受けていませんし、もし報告を受けておりましても、公の席で、非常に役立つようであるとか、さっぱりもう役立たないようであるとか、そういうことをここで言うことは適当でないんじゃないでしょうか。それはひとつせっかくの御質問ですけれども、私からは答えられないですね。
  381. 柄谷道一

    柄谷道一君 じゃあ観点を変えましょう。児玉ファミリーの看板会社と言われていた等々力産業がロッキード事件によって解散をしましたけれども、最近別会社を新たにつくり活動を開始していると言われております。これについて調査されておりますか。
  382. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) お尋ねの点につきましては、読売新聞の十月五日付の夕刊に、いま柄谷委員指摘のような趣旨の記事があることは承知いたしておりまするが、私ども検察当局からは等々力産業は現在も存在しているとの報告を受けております。
  383. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間がございませんので次へ進みます。  安原刑事局長は五日の予算委員会で、わが党の栗林委員質問答えまして、捜査当局は田中氏が収賄した五億円について、その使途についても調べたはずである、しかしその使途についての犯罪の嫌疑は見出せなかったと、こういう答弁をされております。ということは、政府中間報告の中には、この五億円の使途——まあこの氏名秘密会という政府のお考えでございますが、それらも中間報告の中に含まれるということでございますか。
  384. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほど当委員会における御質問に対してお答えいたしましたように、その中間報告のドラフティングは私を通りましてただいま事務次官の方に回っておりますが、いずれにいたしましても最終的には総理の意見を聞きながら法務大臣がその責任においてお決めになることでございますので、中間報告内容を私の口から申し上げるのは適当ではないと思いまするが、いずれにいたしましても捜査経過、結果というものについてできる限りの詳細な報告をするという基本的な態度は法務大臣から御指示を得ているところでございます。
  385. 柄谷道一

    柄谷道一君 刑事局長予算委員会答弁は、使途についても調べたはずであると、こう答えられているわけでございますから、私は当然中間報告の中にこれらの使途の内容というものも含まれるものであると期待いたしたいと思います。  そこで、三十ユニット、九十ユニットの受領者につきましては、その人数のすべてを報告されるのか。新聞によりますと、これらの中にはある新聞では野党四名が含まれているとか、いろいろ書かれているわけでございます。私は単に国会議員総数何名ということではなくて、私は調べた事実があるとするならば各党の人数ぐらいには区分をして、その内容を明確にするのが中間報告のあるべき姿であると思いますが、いかがでございますか。
  386. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 十五日までよく考えておきます。
  387. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひそのように考えを実らしていただきたいと、こう思います。  そこで、私はこれに関連するわけでありますけれども、野党の中で一応灰色呼ばれをされている議員があるとすれば、これは与党も同じでありますが、選挙前であり、政治家としての名誉回復の上からも、嫌疑なき者は白であることを明確にすることがまた必要であろうと、こう思うわけでございます。ある新聞がわが党の議員のM・Kという表現を使いまして、ロッキード事件に関連して全日空から金を受け取っているのではないかというような記事が報道されました。ある政党はこのM・Kという氏名を実名化いたしまして、そして当該者の選挙区に大量にばらまくというような問題も起きております。私はこれらの問題に対して本人及び所属政党として厳重な抗議を申し込んでおりますが、報道の自由と守秘義務という壁にはさまれて白の証明ができないまま現状に至っているというのもまた率直な実態ではないかと思うわけであります。当該の新聞社は、紙務大臣がその該当議員に対する疑惑を否定したけれども、社の協議の結果、法務大臣の証言は信ずるに値しないという結論になったと、東京地検次席検事がその新聞記者に漏らしたということでありますが、その該当者は全くその事実はないと、こう言っております。私はこの問題の徹底解明を図るということは、黒は黒、灰は灰ではっきり出すということであると同時に、全然の嫌疑なき者がいわゆる灰色の嫌疑にかかるということに対して、これを解明することもまたロッキード解明一つの私は問題であろうと、こう思うわけでございますが、法務大臣いかがでございますか。
  388. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたがおっしゃるM・K氏、M・K氏ですな、それは毎日新聞からとりに来たから、においも気もないようだなと言ってやったんです。それだけなんです。
  389. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、灰色の人数を中間報告公表すると、氏名が明らかにされないと、これは一層無責任なデマが飛び交いまして、白である政治家に対して多大の迷惑というものを及ぼすことになる。それはまさに政治家生命というものに対して重大な問題として影響していくわけでございます。私はこのような問題について、いま法務大臣簡単に述べられたわけでございますが、民主政治を守るためにも、全く事実と相反する報道に対しては当局がこれを明確に明らかにするということもまた必要ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  390. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査が終わって全貌を明らかにする場合には当然にそういうことにならなきゃいかぬのですな。ただ、法務大臣が特定人についていまの段階で白黒というものを明らかにすることは差し控えなければならぬでしょうね。しかし、お互い政治仲間として全く無関係な者を魔女裁判みたいなことをやる風潮はよろしくない、マスコミは責任がある、しっかりした報道せい、こういうことを非常にすごく感じますな。
  391. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、これは場合によりましては悪質な選挙妨害ともとれると思うのであります。この問題だけで議論する時間がございませんが、当局としても、また大臣としても、この面の慎重な配慮というものを要望しておきたい。  時間が参りましたので最後に一点だけ申し上げます。五日の参議院予算委員会におきまして、真田内閣法制局長官は、四十七条ただし書きの解釈につきまして、訴訟書類の公表でなくても、内容関係氏名などの公表も同じように適用される。公益上の判断公表が許されるときもあるが、この判断は書類の保管者が行う。しかし内容氏名などを知った者は判断の主体者となり得る。法務大臣総理大臣報告を聞いてそれを知れば書類保管者と同じ権限を持つことになると、こういう趣旨答弁をされまして、捜査終了前でも報告を受けさえすれば公益上の判断政府ができる立場にあるということを明らかにされております。これは政府が一貫して国会任せという見解をとるその姿勢と、法制局長官の解釈というものは非常に違っているということに事実なるわけでございます。私は法務大臣がこの法制局長官の考えと、どういう理由で違った見解を持っておられるのか、これを明確に御解明願いたい。  時間が参りましたので、その一問をもって質問を終わります。
  392. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私のはきわめて簡単明瞭、単純なんです。法務、検察という役所は刑事責任を追及する役所なんで、政治、道義上の責任を追及するなんていうことをやればそれは越権だと、そんなことは厳に慎まなければいかぬことだと、身のほどを思えと、こういう自戒の念からそう申しているのです。ですから、政治、道義上の責任の追及者である国会が、こういう者が政治、道義責任ありと判断して御公表になるか、御公表にならないか、それは国会の決定事項であって、法務、検察当局はそんなものを具体的に名前などを発表してはいかぬのだと、越権であると、身のほどを知らないやり方であると、こういうふうに思っておる、こういうことだけなんです。
  393. 柄谷道一

    柄谷道一君 もう一つ。それじゃその答弁の前に、法務、検察当局はそうである、しかし報告を受けた総理大臣がこの内閣法制局長官の法解釈に基づいて公益上の判断というものを主体的に行い、これを国会報告することはいわゆる適法である、こう思うわけでありますが、いかがですか。
  394. 安原美穂

    政府委員安原美穂君) 先ほどまさにその点につきまして御質問がございまして、法制局長官もここに臨んでお答えをしたわけでございますが、重ねて法制局長官にかわってといいますか、聞いたところを申し上げますと、先ほど、まず第一に、書類そのものを公にするのみならず、書類の報告を受けたことというのは、結局書類の内容報告を受けるわけですから、書類の内容を公にすることも四十七条の適用を受けるということを言われだ。これは何も新しいことではないので、書類のほかに、書類そのものを公にする以外に書類に書いてある事柄を公にすることも四十七条の制限を受けるということは当然のことであります。  次に四十七条というものの適用を受ける者は、書類の保管者である検察官であったり、裁判官であったり、それから弁護人であったりするということであるが、しかし報告を受ける立場におる法務大臣とか総理大臣もその法務、検察を指揮する立場にあられるとともに、国の法律というものを無視してはならないわけであるから、法務大臣といえどもまた総理大臣といえども四十七条の適用の対象者でないにしても、四十七条の趣旨には縛られるのだと、したがって報告を受けた内容を公にするときには、四十七条の趣旨に準じて公益上必要があって相当と認めるかどうかということについて判断をしなければ、総理大臣といえども公にしてはならないのだということを申されるとともに、判断の主体が違う以上は判断の結果も違うことがあり得るということを申されたわけでございまして、そういう意味において抽象論といたしましては公益上の必要があるということで氏名発表するということも総理大臣判断としてあり得るということも申されたわけでありまするけれども、それは主体が違うということでありますとともに、やはり物差しは一緒なんでございます。四十七条としての物差しは一緒でございまするから、物差しに縛られる結果、そう総理大臣法務大臣検察当局判断が違うということは法律が期待しておるわけでもないということでございまして、あくまでも抽象論でございまして、氏名公表について、総理ならやれるが検察当局はできないということを明確に申されたものではないと私ども理解をいたしております。
  395. 柄谷道一

    柄谷道一君 じゃ、時間がまいりましたので、ただ一言、四月五日、わが党との間の合意ができましたときに、四十七条ただし書きの発動を予期させるような一つ経過があったという事実だけを申し上げまして、私の質問を終わります。
  396. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会      —————・—————