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1976-10-15 第78回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十五日(金曜日)     —————————————  議事日程 第六号   昭和五十一年十月十五日     午後二時開議  第一 在外公館名称及び位置並びに在外公館     に勤務する外務公務員給与に関する法     律の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員紺野与次郎君を懲罰委員会に付するの動議   (渡部一郎君外一名提出)  日程第一 在外公館名称及び位置並びに在外   公館に勤務する外務公務員給与に関する法   律の一部を改正する法律案内閣提出)  災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに   関する法律の一部を改正する法律案参議院   提出)  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法   律案(第七十七回国会内閣提出)(参議院   送付)     午後四時三十五分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員紺野与次郎君を懲罰委員会に付するの動   議
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 渡部一郎君外一名から、成規の賛成を得て、議員紺野与次郎君を懲罰委員会に付するの動議提出されております。右動議議題といたします。  提出者趣旨弁明を許します。渡部一郎君。     〔渡部一郎君登壇〕
  4. 渡部一郎

    渡部一郎君 私は、ただいま議題となりました議員紺野与次郎君を懲罰委員会に付するの動議に関し、動議提出者代表して、その趣旨説明いたしたいと思います。  同君に対し、かかる懲罰の議が提示されるに至ったということは、きわめて不幸なことであり、かつ、私としてきわめて不本意でもありますが、同君の深い反省と今後の立ち直りを期待しておるものであります。  紺野与次郎君は、去る九月二十八日、本院本会議場において、公明党代表した矢野絢也議員発言中、「反共イヌイヌがほえている」と再三にわたって公然と怒号を浴びせかけたのであります。  本院本会議において、しかも公党を代表して、議員が虚偽や中傷を一切交えず、事実に基づいて冷静な質問を行っている最中に、言語道断の「イヌ」という最大級暴言を繰り返し発言された紺野君の行為は、まさに国会法第百十九条に示された「無礼の言」であり、矢野議員並びに公明党を著しく侮辱するばかりか、国権最高機関である国会品位を著しく傷つけ、同僚国会議員に嫌悪の念を抱かしめたのであります。  このような議会史上前代未聞ともいうべき紺野君の暴言は、国会法並び衆議院規則に抵触するところであり、議会の尊厳と議員品位を傷つけるものであることは、だれしもがひとしく認めるところであります。  紺野君は、その直後、みずからの愚行を恥じてか釈明もせず黙りこくったままでありました。ところが、逆に紺野君の属する日本共産党革新共同は、主として次のように反論いたしました。  矢野質問憲法違反質問である。そして、そのゆえにあたかも犬呼ばわりされても当然だと言わんばかりの論評を繰り返し、犬という表現文学的表現であって、それを無礼発言と受け取る方が文学的教養のない誤った受け取り方である。この点については、後ほどいかに非論理的な主張であるかは明確にいたしますが、そしてさらに、暴言抗議いたしましたわが党正木良明議員を指して、紺野君を暴行したというすりかえの論理を展開し、正木君の暴行写真と称するものを全国的に宣伝するに至ったのであります。まず、正木君の暴行云々につきましては、全くその事実はないことを明確に言っておきます。  しかも、何を血迷ってか日本共産党革新共同諸君は、紺野君の暴言よりも正木良明議員行為懲罰対象にすべきであると主張しているのであります。  私は、紺野君の暴言を明確にこの耳で聞き、また、その後の同僚正木議員抗議を目の前で詳細に見守っておりました一人として、当時の状況をここで明確にしておきたいと存じます。  紺野君の暴言について、右斜め前に座っておりました正木議員は、当初聞き流していたのでありますが、余り執拗に矢野議員を「イヌイヌ」と「イヌ」呼ばわりするために、たまりかねて後ろに振き向き、紺野君に対し、「イヌ」とは何事かとその場で抗議し、暴言の取り消しと謝罪を要求したのであります。それを日本共産党革新共同諸君は、強引に暴力行為に結びつけようと、正木議員つばを吐きかけたとか三度にわたってこづいたとか等、もっともらしく主張しているのであります。これは意図的にみずから犯した暴言問題をすりかえようとする行為と言わざるを得ないのであります。  九月三十日付一般紙のコラムを見ましても、国会記者席から見ていても、正木氏がつばを吐きかけたり、三度にわたる暴力をふるったりした事実はなかったと述べているほどであります。  しかるに日本共産党は、その機関紙等であくまで暴力行為をでっち上げようとして、分解写真なるものを針小棒大に宣伝いたしているのであります。これは正木君が紺野君に対し、指を突きつけて抗議しているのにすぎないものであります。関係者写真ないし十六ミリフィルム等を点検いたしましても、指さしている映像はありますが、直接的に暴力をふるったというシーンなどは絶対にありませんでした。写真は、カメラ撮影の角度や距離、さらには説明の仕方によっては全く真相と異なるものとなることは周知のとおりでありますが、瞬間的な映像をもって、かかるトリックで国民を瞞着しようとするに至っては、初めの暴言に対して全く反省がなかったものと認めざるを得ないのであります。  よって、私ども提案者は、ここに国会法第百二十一条第三項の手続に従って、紺野与次郎懲罰動議提出した次第であります。  議院運営委員会理事会においては、社会党理事より、再三にわたって釈明による話し合い解決、すなわち、紺野君の釈明謝罪動議取り下げ提案があわせてなされたのであります。これに対して私どもは、紺野君がもし反省し、釈明するのであれば、紳士的に動議を再検討するという柔軟な姿勢を示し、各党の御了解を得て今日まで日本共産党革新共同より遺憾の意が表明されるのを待っておりました。ところが、日本共産党革新共同理事は、紺野君の暴言について釈明するどころか、かえって、不規則発言であり、会議録にも残っていないのだから動議を撤回すべきであるという意味の居直りの態度を示されたのであります。  このような態度は、無視できないところであります。すなわち、会議録に残らない不規則発言であれば、どのような暴言を吐いても一向に構わないという驚くべき主張と言わざるを得ないからであります。本会議中における不規則発言は、すでに過去において問題になった事例があり、当該議員謝罪した先例はすでに存在しているのであり、これを覆す主張というべきであります。  矢野議員質問中には、問題の暴言のほかにも、紺野君の同僚議員席から、「反共のちょうちん持ち」「自民党から幾ら金をもらった」「暗黒裁判擁護者」「特高」「軍国主義者」など下品な口をきわめた暴言が発せられ、同議員質問が著しく妨害されましたが、これら一連のやじも、会議録に残らないものであれば、どのような暴言無礼の言を吐いても一向に恥じないとする態度のあらわれであったかと、いまさらながらその異常さを再認識したものであります。(拍手)  批判者に対する「イヌ畜生呼ばわりは、紺野君の所属する党の出版物には多く認められるところであり、同党や同関係者諸君には口癖、かつ、なれた表現かもしれませんけれども良識ある世人にとっては重大なショックをもたらす発言であります。「イヌ呼ばわり発言について、日本共産党革新共同代表は、「犬は吠えてもキャラバンは進む」という言葉からとった文学的な香りのある表現であると、へ理屈を展開しているようであります。このような議論は世間一般では決して通用しないことは明らかであります。仮に、一般論として犬がほえることが文学的表現の比喩であったとしても、今度の場合、矢野議員対象として犬扱いをしたという意味において、文学的表現云々の弁解は一切通用しないものであります。  いわゆる世間一般常識人の判断によれば、他人を「イヌ」と罵倒する場合、この言葉には回し者、スパイ、劣る者というような侮べつの意味が込められているのであります。日本共産党がよく引用なさる広辞苑でも同様のことが書かれております。話し合い解決をあっせんされた社会党においても、この発言の非常識にまゆをひそめる人々が多いことを、私どもも了承いたしておるのであります。  矢野議員は、代表質問の中で、「みずからに対する批判者犬扱いする体質、これは戦前権力者共産党をアカ呼ばわりしたと同じ発想で、批判拒否独善そのものではないかと、疑いを持つ」と述べましたが、この疑問がはからずも現実のものとなって、国民の前で証明されたわけでございます。  特に、紺野与次郎君といえば、日本共産党の中でも、かつては最高幹部の一人であり、宮本委員長の先輩として一目置かれている人物と評価されておりました。この紺野君がこのような暴言をほしいままにし、何ら反省態度を示さないことは、同君のためにもまことに残念でならないと感じておりますのは私一人ではありません。  同君の日常の温厚さから見て、同君発言同君の本意ではなかったのではないか、また、同君自身発言にあるいは率直に釈明したかったのではないかとさえ考えられまするが、しかし、それが周囲の状況により不可能になったと思えて仕方がないのであります。  「罪を憎んで人を憎まず」との格言がありますが、私ども提案者紺野個人に対して何ら個人的感情を持つものでないことは、この際、はっきりと言明しておきます。  しかし、その行為を無視するわけにはいかないのであります。もし、これほどの暴言を放置するならば、国民の信託を受けて国政を討議する権威ある良識の府である国会を、ばり雑言、誹謗、中傷の修羅場に転落させることになるからであります。  衆議院は、国権最高機関であり、言論の府であります。憲法第五十一条によって、「議員は、議院行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」と規定されています。この機能を守るためには、そして議会制民主主義がその内部から崩されないためには、国会みずからが良識規律を持たなければならないことは当然のことであります。憲法第五十八条の「両議院は、各々その會議その他の手續及び内部規律に關する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員懲罰することができる。」との規定は、それを端的に示したものであります。すなわち、国会は他からの介入を徹底して排除しているがゆえに、みずからを厳しく律する規定をも明確にしているわけであります。  仮にも、国会自体がその規定を踏みにじった者を放置したならば、国会機能は遠からず麻痺し、国民の信頼を失うことは火を見るよりも明らかであります。(発言する者あり)まあ少しゆっくり聞きたまえ、君らの知らないことを、いま教えているのですから。  特に、国会自体がみずからを律する規定として国会法があり、衆議院がみずからを律する規定として衆議院規則があることは、いまさら指摘するまでもありませんが、日本共産党諸君には初めてかも一しれません。  国会法では、第百十九条で「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」と規定し、第百二十条では「議院会議又は委員会において、侮辱を被った議員は、これを議院に訴えて処分を求めることができる。」と規定しております。また、衆議院規則第二百十一条では「議員は、議院品位を重んじなければならない。」と規定し、第二百十二条では「議員は、互いに敬称を用いなければならない。」と規定しております。  これら一つ一つ規定は、どれ一つをとってみても、紺野君の発言趣旨とはほど遠いものであります。規定を踏みにじった行為は、その行為に対する厳しい反省がない限り、規定にのっとって処分を受けるのはやむを得ないことであります。その行為をそのまま放置していることは、結果的に、わが国議会制民主主義形骸化に手をかし、究極的には議会政治を崩壊させる行為に加担したことになるのであります。  私どもが今回、紺野与次郎君の暴言に対して懲罰動議提案した最大理由も、わが国議会政治をみすみす崩壊させる行為を放置しておけないという、やむにやまれぬ立場から発したものであります。  さてここで、今回の暴言と関連して、矢野議員共産党リンチ事件を取り上げた点に関して、共産党諸君憲法違反であるかのごとく主張しておりますので、この際、いわれなき批判を正すものであります。  矢野質問は、確定された判決当否批判を加えたものでもなければ、また、判決によって認定された事実認定当否を論じたものでもありません。このことは、矢野質問の流れを読めば明白であります。明確に裁判によって共産党リンチ事件の事実が認定されているのに対し、共産党はあくまでも、でっち上げのキャンペーンを繰り広げているのであります。  そこで、矢野質問は、どういう事実行為に対して裁判所がいかなる認定をしたかを質問しているのにすぎません。事実、矢野質問がこの趣旨に立っていることは、法務大臣が裁判所確定判決によって認定された事実について答弁していることでも証明されるものであります。憲法違反などになるものではないことは明らかです。  共産党のように意図的に特定の一部分を取り上げ、それを振り回して憲法違反かのように主張することは、ためにする批判という以外の何物でもなく、憲法違反に名をかりて言論を封殺する暴挙と言わなければならないのであります。(拍手)  また、本日の議院運営委員会理事会の席上、衆議院法制局長としての法的見解が述べられましたが、それによりますと、「矢野議員発言は、慎重に検討いたしましたところ、憲法違反ではない」、「この点につきまして、つぶさに議事録によって矢野発言を点検いたしましたところ、知りたいという要望は、過去の事実の有無そのものでありまして、その事実に関する裁判の事実認定当否を問題としているとは認められません。したがって、それが直ちに裁判批判につながり、司法権の独立に対する侵害をもたらすことにはならない、と考えます。」とのことでありました。この見解は、まさに私ども提案者立場と合致し、これを証明するものであります。(拍手発言する者あり)  何とぞ議員諸氏におかれましては、わが国議会政治の健全なる発展のためにも、今回私ども提出した動議に対して、ふるって御賛同あらんことを切に要望し、かつ、この動議が、国政審議の品格を取り戻し、議会制民主主義発展の道標となることを期待いたしまして、提案理由趣旨説明といたします。よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) この際、紺野与次郎君から、弁明をいたしたいとの申し出があります。これを許します。紺野与次郎君。     〔紺野与次郎君登一壇〕
  6. 紺野与次郎

    紺野与次郎君 私は、ただいま提出された私を懲罰委員会に付する動議に断固として反対し、心からの憤りをもって一身上の弁明を行うものであります。(拍手)  本動議対象となった私の発言は、会議録にも記載されない議席からの発言、いわゆる不規則発言であり、これはいまだかつて懲罰されたことのないものであり、これを懲罰に付することはまことに不当なものであります。  第一に、私の発言は、公明党矢野君の質問演説に対する、私の体験に基づく、やむにやまれぬ抗議の声だったのであります。  私は、戦前の暗い時代を二度と繰り返してはならないという歴史の生き証人の一人として、特高警察のあの拷問によって虐殺された人々、また獄中で虐待によって生命を奪われた人々、そして耐えがたい苦痛を受けた治安維持法特高警察による犠牲者にかわって、抗議の声を上げずにはいられなかったのであります。(拍手)  私は、四十八年前の昭和三年、十八歳のときに労働運動に身を投じたものであります。あの戦前から、暗黒政治侵略戦争に反対し、平和と民主主義人権の確立のために闘ってきた者の一人であります。  私は、昭和四年四月十六日、いわゆる四・一六事件のとき、ストライキ中の工場から特高警察によって検束されました。警察署では、私は後ろ手に手錠をかけられ、引きずり倒されて、十数人の特高警察に四方八方から棒と竹刀で全身を殴られ、腰から大腿部の急所をくつの先やかかとでけられ、足腰が立たなくされ、動けなくなると、大ぜいが馬乗りになって体を押さえつけて、顔をあおむけに押さえて、大きなやかんで水を口、鼻、目に注ぎ込み、私は窒息させられようとしたのであります。私は必死に息を求め、渾身の力でわずかに顔を左右に動かしながら、人間をけだもの扱いする権力の重圧、殺人鬼のような暴力全身に感じながら、生と死の境で必死の抵抗をし、辛くも命を守ったのでございます。  私の同僚岩田義道は、六本のくぎのついた鉄のマスクをたたき込まれ、拷問衣を着せられて殴り殺されたのであります。婦人の活動家は全裸にされて辱めを受け、「落ちろ、落ちろ、地獄に落ちろ」ということを言いながら、この特高によって、その操を棒でじゅうりんされたのであります。  矢野君、あなたは果たしてこのような特高警察実態を知っているのでしょうか。治安維持法によって私は十年間投獄されたのでありますが、その裁判はまさに暗黒裁判であり、法廷に通ずる人けのない地下道の真ん中で、法廷での侵略戦争反対の陳述がけしからぬと言って、手錠をかけられたまま、看守にさんざんに殴りつけられたのであります。また、反動権力は、監獄では、夜になるとたくさんの南京虫が天井から落ちて畳をはって襲来する魔の監房に私を移して、冬は、零下十度の火のない独房で苦しめたのであります。  わが党の指導者市川正一氏は、十六年間にわたる獄中生活のため、次第に衰弱し、やせ細り、まだ五十三歳だったにもかかわらず、歯は皆抜けて、飯粒を指でつぶして、ようやく口に入れるという状態に追い込まれ、終戦の年の三月十五日、ついに肉体的破壊で殺されたのであります。  哲学者三木清氏も、治安維持法で捕らえられ、終戦後の九月二十六日、同様にして獄死をし、創価教育学会初代会長牧口常三郎氏も獄死をさせられたのであります。  数十万人の人が検挙され、七万五千六百八十一人が送検、投獄され、千六百人以上の人がこうして獄中で命を奪われたのであります。私は、体験者として、二度と再び、このような人権弾圧の制度を許してはならないとかたく決意をしております。(拍手)  このような検挙、弾圧は、時の政府の気に入らない結社活動、果ては、その思想そのものを重罪とし、死刑を含む極刑をもって臨む治安維持法によったものであります。この治安維持法特高警察による恐怖政治こそ、日本国民をあの侵略戦争に駆り出し、三百十万人の生命を奪い、国土を焦土と化したのであります。  この治安維持法特高警察による迫害が、私たち日本共産党に対して最も残虐に加えられたのは、まさに日本共産党が、国民根本的利益を守る立場を堅持し、侵略戦争反対主権在民民主主義労働者、農民を初めとする国民大衆生活権利擁護の旗を高く掲げて、治安維持法によって非合法下に置かれつつも結社の自由をあくまでも貫き、特高警察の野蛮な圧迫にも屈せずに一貫して闘ってきたからであります。(拍手)  現日本国憲法は、その前文に示すように、治安維持法特高警察暗黒裁判を、国民主権不可侵基本的人権という人類普遍の原理に反するものとして明文で排除しております。しかるに矢野君は、「治安維持法のもとでの思想政治活動が不当に弾圧された誤り、これは再び絶対に許してはなりません。」などと言いながら、この暗黒弾圧政治を厳しく究明しようとはしない。逆に、それと命をかけて闘った側を、さまざまな口実で非難、攻撃する質問を行ったのであります。(拍手)これでは、口と実際が全く違うではありませんか。矢野君のこのような質問に対し「反共イヌがほえるようなことはやめろ」という私の抗議は、私自身体験からほとばしり出た憤りの声であり、現憲法民主主義的原則に立った正義の声であることを、矢野君は改めて知るべきであります。(拍手)  私の抗議の声を呼び起こした第二の理由は、矢野君が、わが党の宮本委員長に対する治安維持法下暗黒裁判判決を全く無批判に扱ったことに対する憤りにあります。  矢野君は、「リンチ的な行為が果たしてあったのでしょうか、なかったのでしょうか。」などと問い、宮本氏があたかも治安維持法とは無関係に、刑法上の罪名のゆえに重刑を科せられたかのように印象づけようとしたのであります。  当時、宮本氏らは、日本共産党指導者として、侵略戦争反対、自由と民主主義国民生活擁護のために闘い、わが党を破壊しようとする特高警察スパイ挑発政策実態を見抜いて、特高警察が当時の党中央に潜入させた二人のスパイ挑発者を、調査の上摘発したのであります。当時の特高警察日本共産党破壊のためにスパイを送り込み、挑発政策を繰り返したことは、私の経験によっても明白な歴史的事実であります。  昭和七年十月三十日に私や岩田義道が検挙されたのも、スパイMこと飯塚盈延によって特高警察に売り渡されたためであります。またこのスパイ飯塚は、警視庁毛利基特高課長らの指示のもとに、東京大森の川崎第百銀行銀行強盗をやらせ、これを共産党がやったとして宣伝するという卑劣きわまる権力犯罪をも仕組んだのであります。  宮本委員長らによるこのスパイ挑発者調査は、今日では日本国憲法第二十一条によって不可侵権利と認められている結社の自由、政治活動の自由を守るための当然の正当な政治活動でありますが、戦前においてさえ、共産党スパイを送り込み、これを使って共産党を破壊することは、これを正当化することができなかったのであります。だからこそ、当時の法廷スパイが、自分はスパイであったと何度も繰り返していても、当局は絶対にこれを認めようとしなかった、判決においても認めなかったのであります。なぜならば、これを認めることは、特高権力犯罪をみずから認めることになり、裁かれるべきは彼ら自身であることにならざるを得なかったからであります。  宮本氏らが党に送り込まれた二名のスパイを発見し、その調査を行ったことは、まさに当然の防衛措置であったのであります。ところが、たまたまこの調査中、スパイの一人が急変状態で発見され、宮本氏らはその回復のため努力をしたが死亡するに至ったという、予期しない不幸な状態が生じたのであります。特高警察はこれを利用して、宮本氏らを殺人者に仕立てようとしました。これに対し宮本氏は、被告人権利が全く奪われていた困難な条件のもとで、全面的科学的な反論を公判廷で堂々と展開して、スパイ挑発者に対する最高処分が党からの除名であり、摘発された二人が特高警察の正真正銘のスパイだったこと、この調査が全体として平穏に行われたこと等々を、事実に基づいて解明し、指導権争いだとか、殺人の共謀だとか、リンチ殺人だとかということが、特高警察のつくった虚構にすぎないことを明白にしたのであります。また、不幸にも急死した人物の死因についても、宮本氏は、鑑定書について学問的にも批判を加え、特異体質によるショック死あるいは急性心臓死、すなわち内因性急死と見るべきであることを主張しました。これは最近の専門家の研究によっても、当時の宮本氏の主張が基本的に正しかったことが裏書きされているのであります。これらの宮本氏の当時の主張は、宮本氏の公判記録でも明らかであります。  であればこそ、当時の暗黒裁判でさえ、さすがに殺人殺人未遂という特高警察のつくり上げた筋書きをそのまま通すことができなかったのであります。(拍手)  しかし、当時の暗黒裁判は、弁護人選任の自由を奪い、証人喚問の要求を拒否し、控訴権さえ剥奪し、今日の憲法と刑事訴訟法のもとでは、それだけて原審が破棄されるようなやり方で、一方的に有罪と認定してしまったのであります。それは結局、その大前提に治安維持法があり、この天下の悪法によって、宮本氏が日本共産党指導者として活動すること自体を、頭から重罪と決めてかかる態度があったからであります。問題の核心は、思想を処罰の対象にしたということであり、したがって、転向、非転向の別によって量刑を決めたということであります。  実際に、宮本氏は中央委員で非転向であるがため、無期懲役を求刑するという検事の求刑論告そのままの判決を受けたのであります。  他方、調査において同等の立場にあった四人のうち、検挙後間もなく転向した一人は、宮本氏よりも党歴も年齢も古く、調査の公的な責任者であったにもかかわらず、党指導者に対する治安維持法の刑としては最低の懲役五年、五年ですよ。未決通算九百日となり、これに対して宮本氏は無期懲役でありました。スパイの一人も名目的に中央委員であったため、治安維持法違反とされて懲役五年、未決通算七百日を科されたのであります。  こうした事実は、宮本氏らの裁判が、まさに思想を裁くものであって、刑法上の罪名などはつけ足しにすぎなかったことの有力な証明であります。(拍手)  また、宮本氏らに対する判決は、スパイ挑発者調査に関する行為を含め、その行為日本共産党指導者として党の目的遂行のために行った政治活動として認定しております。つまり、すべてが政治犯という認定なのであります。判決はこういう認定に立って、治安維持法違反と刑法上の罪名との関係を、一個の行為にして数個の罪名に触れる場合、すなわち観念的競合の関係にあるとしております。  このように、宮本氏につけられた刑法上の罪名は、日本共産党指導者としての活動と一体不可分に伴ったものとされ、治安維持法と切り離して語ることのできないものであったことは明らかであります。(拍手)  実際に裁判では、この事件が政治犯であるという本質と実態に基づいて、最も重い治安維持法によって処断、弾圧されたものであります。  ところが、矢野君の質問は、宮本氏につけられた刑法上の罪名が何か政治活動とは別個の行為に対してつけられたものであるかのように扱って、治安維持法下暗黒裁判に無批判態度を示したのであります。常々護憲を口にしながら、現憲法が排除した治安維持法、これを前提とした暗黒裁判をあたかも公正な裁判であったかのようにみなす矢野君の発言に対して、私が抗議の声を上げたのは当然ではありませんか。(拍手)  第三に、私の抗議発言は、宮本委員長の復権に関する矢野君の発言が、事実を正しくつかまず、戦後の民主化措置を正しく理解しないでなされたことに対するものであったという点であります。  宮本顕治氏は、すでに明らかにしたように、また、判決自体も示すように政治犯とされたのであり、したがって、ポツダム宣言受諾後、一九四五年十月四日の政治犯釈放などに関する連合軍指令によって、当然にも政治犯として釈放されました。当時の日本政府も、宮本氏を十月四日指令によって釈放した政治犯の一人として連合軍に報告しております。この事実は、前国会でも今国会でも、安原刑事局長が確認しているところであります。一連の連合軍文書が明示するように、宮本氏らの刑法上の罪名は付随的なものとされており、政治犯なるがゆえに釈放されたのであります。  宮本氏らが十月四日、指令によって政治犯として釈放され、したがって、勅令七百三十号第一条本文に基づいて資格を回復したことは、きわめて当然のことであります。なぜなら、勅令七百三十号は、十月四日指令による釈放政治犯のすべてを復権させよという一九四五年十二月十九日の連合軍指令を実施するためのポツダム勅令であったからであります。  ところが、当時の日本政府は、勅令七百三十号第一条のただし書き、すなわち、刑法上の罪名がある人は復権させぬという文言を口実に、宮本氏らの復権措置をとろうとしませんでした。しかし、このただし書きの文言は、政治犯の復権を妨げようとする当時の日本政府の抵抗の産物でありますが、ポツダム勅令という性格からいっても、宮本氏らに対してこのただし書きを適用できないことは明白であります。だからこそ、当時の連合軍も、ポツダム宣言に基づく民主化措置として、当時の政府が最後に意図したような、特赦というものによってではなく、勅令七百三十号による復権を指示したのであります。  ところが、矢野君は、勅令七百三十号第一条ただし書きを口実として、宮本氏らの復権を妨げた当時の日本政府と同様の立場から質問を行ったのであります。しかも、矢野君は、刑事犯などの併合罪がある者については適用除外が明記されているなどと、あたかもただし書きの文言が併合罪だけを復権から除外しているかのように誤って述べた上、宮本氏につけられた刑法上の罪名が、治安維持法と観念的競合の関係ではなく、併合罪の関係にあるかのようにみなし、宮本氏が党活動とは別個に刑法上の罪となる行為認定されたかのように扱ったのであります。  この違いは、宮本氏につけられた刑法上の罪名を治安維持法と一体の党活動に付随したものと見たかどうかということにかかわり、したがって、宮本氏が政治犯として復権すべきものだったかどうかにかかわる重大な違いであります。その重大な問題について、いま私が指摘したように、いいかげんな認識で代表質問において公党の委員長の名誉と人権に関する発言をしていることに対し、私は心から憤りを感ぜざるを得なかったのであります。(拍手)  第四に、私が議席から抗議の声を上げなければならなかったのは、矢野君が自己の質問を正当化するために掲げたさまざまな口実が、わが党に対する全く不当な言いがかりであったからであります。  矢野君は、スパイ調査問題について、「過去のことは過去をして葬らしめるべきであるという意味で、前国会、私は余り関心を持っておりませんでした。」が、「共産党諸君の異常なまでの反応ぶり」に「大変興味があります」などと言って、今国会スパイ調査問題の真相なるものを行政府に質問する理由一つとしました。  しかし、公明党がさきの国会、民社党春日議員質問の後、そうしてこの国会の前にも竹入委員長を先頭として、各地の演説会で大々的にこの問題を取り上げて、戦前暗黒裁判でさえ認めなかったのに、事実上殺人とか人殺しなどと口汚くののしってきたことは、周知の事実であります。(拍手矢野君が関心を持たなかったなどという言明が事実に反することは明らかであり、私がこのような態度抗議したのは当然であります。(拍手)  また、矢野君が「共産党諸君の異常なまでの反応ぶり」などと言うのも、根拠ある質問理由とはなりません。治安維持法下暗黒裁判判決を絶対化して、それをわが党が認めないからといって非難する議論に対して、わが党が国会外の言論によって厳しく反撃するのは当然であり、正当な権利に属することであります。(拍手)それがいけないなどと言うのは、国会外での国民裁判批判権利言論、出版の自由を否定することにつながるものであります。  同時に、国会外で過去の裁判をめぐる論争があるからといって、それを国会に持ち出して裁判当否について政府の判断を求めることが憲法上許されないことも、三権分立の立場から言って明白であります。(拍手)  矢野君が「犬は吠えても歴史は進む」という文化雑誌の論文のタイトルに的外れの言いがかりをつけて、「自由と民主主義にかかわる」などと言うことは、要するに四十年以上も過去の裁判判決当否を、本来その権限のない政府にただすことの口実をつくり出す術策にすぎません。このことは何よりも矢野君の質問自体が雄弁に物語っているではありませんか。  矢野君の第一問は、「リンチ的な行為が果たしてあったのでしょうか、なかったのでしょうか。」また、「異常体質によるショック死なのでしょうか。あるいは外から加えられた傷、外傷性ショックによる死なのでしょうか。」「これらの事情について詳細に御説明願いたい」というものであります。こういうことを国会の壇上において法務当局に聞いているのであります。これは、前国会における民社党春日君の質問の繰り返しそのものであります。  しかし、行政府の一員である法務大臣には、裁判関係の事実認定をする権限もなければ資格もありません。法務大臣が、裁判対象となった事実の存否について答弁することが司法権に対する侵害であり、三権分立の原則のじゅうりんであることは明白であります。(拍手)  すでに国会において、法務省刑事局長も、内閣法制局長官も、さらに最高裁事務総長も、「国会において確定判決当否を論ずることは、国政調査権の行使の範囲を逸脱し、憲法趣旨に反し、許されない。」と明言しているのであります。にもかかわらず、それを承知の上でなされた矢野君の質問こそ、まさに徹底的に批判されて当然であります。(拍手)  このような矢野君の質問に対して私が抗議したことは、まさに三権分立に基づく民主主義を守る者としての義務でさえあります。  矢野君はまた、その質問演説の中で、「犬は吠えても歴史は進む」という論文の題名に言いがかりをつけて、「戦前権力者共産党諸君をアカ呼ばわりしたと同じ発想で、批判拒否独善そのもの」などと攻撃しております。これは戦前史を知らないか、または故意に直視しようとしない発言であります。大体、アカ呼ばわりというのは、単に共産党に対してだけではなく、共産党以外の者でも、時の政府に批判的な者に対しては際限もなくこれを拡大しました。そういう重大な特徴があったのであります。つまり、反共主義という点にこそアカ呼ばわりの特徴があるのであります。このことは、戦前侵略戦争の拡大が、日独伊防共協定を武器として際限なく進められ、聖戦として美化されていった経過でも明らかであります。  さらに、戦前の支配勢力のアカ呼ばわりは、治安維持法特高警察による思想言論への弾圧、迫害と一体のものであり、戦後の反動勢力のアカ呼ばわりも、レッドパージや職場における思想差別と固く結びついております。  日本共産党は、反共主義に対する思想的、理論的な批判は厳しく行いますが、それ自体はあくまで言論戦であって、権力的に言論を抑圧することとは全く無縁であります。言論戦での厳正さと、権力による思想言論の抑圧とを混同する矢野君の態度こそ、私の発言への公明党態度が示すように、言論の抑圧を招きかねない重大な危険性をはらむものと言わなければなりません。(拍手)  こういう自分の態度は省みず、日本共産党に対しては逆に独善呼ばわりする矢野君の発言に対して、私が抗議するのは全く当然であります。(拍手)  第五に、私が公明党矢野書記長を犬扱いしたという非難についてであります。  矢野君は、雑誌論文の題名を挙げて、日本共産党に対して、「みずからに対する批判者犬扱いする体質」などと非難しました。これに対して、私は自席で「反共宣伝をやめろ」というのに続けて、「反共の犬が吠えるみたいなことはやめろ」と言って抗議したのであります。懲罰動議提出者は、この私の発言矢野君を犬扱いにしたものだというのであります。しかし、それは全く誤っております。  矢野君が言及した「犬は吠えても歴史は進む」という雑誌論文の題名の表現は、中央アジア、いわゆるシルクロードの地域に伝わる「犬は吠えてもキャラバンは進む」という言葉からとったものであります。それは、中傷や雑音を犬にたとえて、どんな雑音や中傷があっても真理と真実は貫き、歴史も進むべき方向に進んでいくという意味であります。(拍手)私の発言も単にこの比喩を用いたものであります。  もともと、犬など人類と古くから関係の深い動物にたとえて、あるいは動物を象徴として人間関係などを表現することは、古今東西を問わず、言語表現として広く行われているところであります。  特に、犬にたとえた表現方法はきわめて豊富であります。「犬馬の労をとる」「犬猿の仲」あるいは何々の「走狗」とか、その例は枚挙にいとまがありません。たとえば「反動の走狗」という場合、それが、言われた相手が動物になったのではなく、反動勢力の手先としての個人ないし集団を意味することは言うまでもありません。「犬馬の労をとる」という言葉が本当の犬のことを言っているのだなどと理解する人はありますまい。「狡兎死して走狗烹らる」「一犬虚にほゆれば百犬実を伝う」など、中国の古典に出所を持ち、日本語の慣用句となっているものも少なくありません。  私の発言は、当然、比喩、象徴として行われたものであり、何ら議院品位を汚すものではなく、何ら懲罰に値するものでないことは、きわめて明白であります。(拍手)私が矢野君を動物そのものの犬として扱ったなどという非難が成り立たないことは、全く明瞭であります。私の発言をあえて懲罰対象だと主張する諸君は、日本語の豊富な表現を事実上タブー視する道を開くものと言われても仕方はないでしょう。  最後に、私はこの際、私に対する懲罰動議が全く不当であることを指摘するとともに、真に非難され、懲罰されるべき者はだれであるかを述べなければなりません。  まず、不規則発言について言うならば、たとえば公明党の大野潔君は、矢野君の質問中にも、わが党に向かって「人殺し」などと怒号しております。また、自民党の浜田幸一君のごときは、去る八日の本院運輸委員会で、わが党議員に対して、「宮本顕治は人殺し」などと繰り返しています。もし、不規則発言を問題とするならば、こうした発言をこそ厳しく指弾されるべきものであります。(拍手発言する者あり)  さらに、私は、本会議場で私に対して暴力をふるった公明党正木良明君こそ罰せられるべきであることを強調するものであります。(拍手正木君は、矢野君の質問演説についての私の抗議発言を耳にすると、突然立ち上がって、演壇を背にして私の方に向き直り、自席に着席して質問演説を聞いている私の胸、肩を猛烈な勢いで数回にわたって強く突き、そのために私の上体が後方のいすの背でようやく支えられるほどの理不尽な暴行、暴力に及んだのであります。(拍手発言する者あり)この事実はテレビを通じて全国に放映されました。正木君の行為は、ここに私の持っているテレビ画面の写真が明白に示しているところであります。  公明党は、この天下に隠れもない厳然たる事実を否認して、覆い隠すだけではなく、公明新聞によれば、伏木国対委員長は記者会見で、「テレビを見ていた人に聞いてもそのような事実はなかったと言っている。共産党一流のでっち上げであり、かかわり合う必要はない」と発言しております。  言論批判した者に対し暴力でこたえ、その事実を指摘されると、事実無根と言い張る、この事実こそ、公明党の一貫する言論抑圧、批判拒否、独善の体質を重ねて示すものではありませんか。(拍手発言する者あり)  議長並びに議員諸君懲罰に付されるべきは、暴力の被害者である私ではなく、議場において理不尽に暴力をふるい、あまつさえ多くの国民がテレビを通じて確認しているみずからの暴力行為を否認し、恥じるところのない公明党正木良明君ではないでしょうか。正木君のこの態度こそ、議場の秩序を乱し、院の品位を著しく汚したものと言うべきであります。  すでにわが党は、正木君を議長職権によって懲罰委員会に付するよう要求しております。私は正木君の暴力行為を強く弾劾しつつ、議長がその職権において事実を厳正に調査し、正木君を懲罰委員会に付することを、この壇上において重ねて要求するものであります。(拍手発言する者あり)  私に対する懲罰動議を提起し、真に懲罰されるべき行為擁護するという、かかる理不尽な行動がなされていることは、この臨時国会において一連の党が国会の場を時代錯誤の反共宣伝の場にするだけでなく、事もあろうにわが党の宮本委員長を、戦前暗黒裁判さえ認めなかった殺人者呼ばわりさえしていることとあわせて、わが国の自由と民主主義にとってきわめて重大な危険であります。  議長並びに議員諸君、党派によって世界観や政策などは異にするとはいえ、われわれはすべて日本国憲法を尊重し、擁護する義務を負い、国民代表として責務を負っております。  ロッキード疑獄の徹底究明と国民生活防衛の緊急対策確立を最大の課題としているこの国会において、現憲法が排除している治安維持法のような悪法に基づく裁判判決を、三権分立の原則を侵して蒸し返すようなことが果たして許されるものかどうか。それは、議会制民主主義をみずから破壊する道に通ずるものではないかどうか、冷静に考えられるよう希望するものであります。  あの暗黒時代を再び繰り返すまいという立場に立つのか、反共のためには、暗黒弾圧政治と闘った者に加えられた治安維持法下判決を絶対視する立場に立つのか。まさに、この重大な問題が問われているのであります。  私は、私に対する懲罰動議が全く不法、不当なものであることを、憲法議会制民主主義の名誉にかけて強調し、本院がこの動議を否決されることを求めて、私の弁明とするものであります。(拍手)     —————————————
  7. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 懲罰動議は討論を用いないで採決することとなっております。よって、直ちに採決いたします。  渡部一郎君外一名提出動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、議員紺野与次郎君を懲罰委員会に付するに決しました。      ————◇—————  日程第一 在外公館名称及び位置並びに在   外公館に勤務する外務公務員給与に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。内閣委員長渡辺美智雄君。     ————————————— 在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を  改正する法律案及び同報告書    〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔渡辺美智雄君登壇〕
  10. 渡辺美智雄

    ○渡辺美智雄君 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、先般のベトナム社会主義共和国の成立に伴い、同国に在ベトナム日本国大使館を設置するとともに、同大使館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めること等、所要の措置を講じようとするものであります。  本案は、十月八日本委員会に付託され、十月十二日政府より提案理由説明を聴取し、慎重に審査を行い、十月十四日質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  13. 三塚博

    ○三塚博君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、参議院提出災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付け   に関する法律の一部を改正する法律案(参   議院提出
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長兒玉末男君。     ————————————— 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに  関する法律の一部を改正する法律案及び同報  告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔兒玉末男君登壇〕
  17. 兒玉末男

    ○兒玉末男君 ただいま議題となりました災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、災害対策特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。本案は、最近における社会的、経済的諸事情にかんがみ、災害弔慰金の増額を行おうとするもので、その内容は次のとおりであります。  災害により死亡した住民の遺族に対して支給する現行の災害弔慰金の額は、「死亡者一人当たり百万円を超えない範囲内で死亡者のその世帯における生計維持の状況を勘案して政令で定める額以内」となっておりますが、この「百万円」を「百五十万円」に改めることとしております。  なお、本法律は、公布の日から施行することとしておりますが、昭和五十一年九月七日以後に生じた災害から遡及して適用できるということにいたしております。  本案は、本日参議院より送付、本委員会に付託され、提出者参議院災害対策特別委員長から提案理由説明を聴取し、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  20. 三塚博

    ○三塚博君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、参議院送付に係る第七十七回国会内閣提出昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する   法律案(第七十七回国会内閣提出)(参議   院送付)
  23. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案議題といたします。  委員長の報告を求めます。大蔵委員長田中六助君。     —————————————  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法   律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔田中六助君登壇〕
  24. 田中六助

    ○田中六助君 ただいま議題となりました昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、昭和五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活国民経済の安定に資するため、昭和五十一年度の特例措置として、財政法第四条第一項ただし書きの規定により公債を発行する場合のほか、一般会計において特例公債を発行することができることとしようとするもので、その内容を申し上げますと、  まず第一に、昭和五十一年度の一般会計歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることといたしております。  第二に、この法律に基づく公債の発行は、昭和五十一年度の出納整理期限である昭和五十二年五月三十一日までの間、行うことができることとし、同年四月一日以後に発行される特例公債に係る収入は、昭和五十一年度所属の歳入とすることといたしております。  第三に、この法律に基づく公債の発行限度額について国会の議決を経ようとするときは、その償還の計画を国会提出しなければならないことといたしております。  第四に、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は行わないものといたしております。  なお、本案は、第七十七回国会におきまして、施行期日を修正の上本院を通過し、参議院に送付されましたが、同院において継続審査となり、今回、同院で可決の後、本院に送付され、当委員会に付託されたものであります。  本案につきましては、審査の結果、本日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党代表して山田耻目君、日本共産党革新共同代表して小林政子君、公明党代表して広沢直樹君、民社党を代表して竹本孫一君から、それぞれ本案に反対である旨の意見が述べられました。次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対しましては、附帯決議が付せられましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十七分散会      ————◇—————  出席国務大臣        外務大臣 小坂善太郎君        大蔵大臣 大平 正芳君        厚生大臣 早川  崇君      ————◇—————