○嶋崎
委員 時間がきょうはありませんから、問題だけ
指摘しておきます。
県立の水産
学校は県の水産試験場並びに臨海研究所等々と密接につながっております。ところが、これは本当に
予算委員会で問題にしなければならない大問題なんですけれ
ども、日本の漁業法という法律は古い法律です。ですから、いまの新しい魚の養増殖というような問題が起きてまいりますと、魚区をめぐって法律改正をやらなければ対応ができないというのが
現状です。手前の方の八丁網と、それから先の方の定置網の
関係やら、沖合い漁業と沿岸漁業の
関係をめぐる領域の問題などが起きてきているのです。
それで、それはここの文教とは
関係がないのですけれ
ども、ところがどういうふうに
教育と
関係するかというと、水産
学校というのは主として魚、漁業を中心にした
学校であります。ですから、いままでは、日本のとる漁業を
前提にした
学校の性質を持って、それに合わせた
学校の性格を持っているのです。
ところが、これから先は育てる漁業という時代に入って、二百海里経済水域で、それで私は日本海生けす論を言っているわけです。共同で管理しているように管理しなければならない。特に日本海は昔は湖だったのです。これがことんと沈みまして、そして海になっていますから、たとえば海峡をとりますと、百三十メーターの深さでありまして、敷居の高い湖なんです。ですから、たとえば深海千二百メーターぐらいに行きますと、日本海には魚がいないのです。しかし、太平洋の千二百メーターには魚がいるわけであります。ですから、将来は太平洋の深海にいる魚を日本海に持ってくれば、これは育つ可能性を持っているのです。それは酸素の含有率から見ても、プランクトンの発生
状況から見ても私はできると判断をしています。それはソ連の科学者や何かとやってみて、全く生けす論は一致してきたのです。
それでそういうふうに、日本海生けす論を
前提にするかどうかは別としても、たとえば石川県の能登半島にある宇出津にある水産
学校というのはいままでの水産
学校なのです。ここでは若いころ遠洋漁業をやるに必要ないろいろなことをやったりしていますが、年とってからの養増殖なんかの問題についてはいままで全然
学校教育の中にないのであります。ところが、これからはもし日本海が生けすだとして、汚染をとめながらこれを、魚を育てるつまり畑というふうに
考えますと、今度は海の物理的性質というものをとらえていなければ養増殖はできないのであります。同時に海の持っている海底の性質というもの、地質を調べてみなければ、その養増殖の問題に、これはプランクトンの問題に
関係してきますから、出てくるわけです。そういうふうになってまいりますと、水産
学校で、仮に魚というものを
考える場合にも、いままでのとる漁業から育てる漁業に変わったときには、当然海洋という問題の研究や
教育とその漁業が密接なつながりを持たなければならない時代になってきているわけであります。
特に魚というものは、今度二百海里経済水域になれば日本の領海が大変有利になりまして、世界で十一番ぐらいの大きさになると言われていますけれ
ども、沿岸の漁業資源の問題だとか海底資源の問題だとか、そういう問題について今後大変な研究が行われなければならないわけであります。片一方で開発が進みますと、今度は魚が問題になってくるわけです。ですから、そこに開発と資源保護という問題について、次の世代を担う水産業者になる人や海を生涯の仕事にしようとしている人たちは、そういうものを学んでいかなければこれからの水産業や海に立ち向かっていくことができないのであります。
そうしますと、いままでの全国の重要な地点にある県立の水産
学校というものはいまのままでいいのかどうか、これが、特にこの審議会の答申があって以降、国がこの海洋という問題を大きく、世界におくれまじ、そして新しい、日本は海洋国ですから、それに対応した
体制をつくっていくということになりますと、まずその水産
学校というもののあり方そのもの、それから商船大学、水産大学、こういういままでの伝統的な
学校教育のあり方、その
専門の領域のあり方について再
検討しなければならない時期に来ている。そういう意味で、きょうは私は一般
質問ですけれ
ども、立法府の立場で、今後行政の中で
検討して、財政措置その他の問題もいろいろ
考えなければなりませんし、講座をふやしたりいろいろむずかしい問題がたくさんあります。県立と国立の問題があったり、いろいろいたしますが、そういう意味で、県立の水産
高校というもののあり方について今後研究をして一定の方針を早急に出すということについて
文部省側が
努力していただきたい。まだそれについて方針がないとすれば、これをひとつ
課題として提起しておきたいのであります。
その際に、全国の
幾つかある県立の水産
学校で重要なところ、まあ九州は天草とか、いろいろな列島があるからでしょうが、大学なんかにも水産学部が多いのです。太平洋沿岸にもあります、それから北海道にもありますが、日本海沿岸に水産
学校という県立のものがありますが、まだ大学がないわけです。そういう意味で、日本海側に今後海という問題を
考える研究所とか、研究センターとか、そういうものを
考えていくことが将来必要であろうと判断をしているわけです。そうしたときに、いままである県立の水産
学校というものを国立にたとえば昇格するようなところが全国に
幾つかないかどうか。そして、国立に引き上げてみて、そこに、直ちに大学にしなくとも、海洋研究のセンターみたいなものをつくっていくというようなことを
検討することが必要ではないか、これは私が勝手に
考えていることであります。
いずれにせよ、県立水産
高校のあり方の
検討と、そしてそれに関連して海洋研究というものを
高校レベルで問題にしていく場合の
学校のあり方というものについてひとつ
検討していただきたいという点が第一点でございます。
第二番目は、全国の大学を見ますと、御
承知のように全部水産学部であって、そして海洋は理学部の中の講座であります。したがいまして、これを共同的にやれるのは、東大のいまの海洋研がただ
一つであります。しかし、アメリカに行きましても、フランスに行きましても、国立の海洋研究開発センターみたいなものがありまして、そして大学の付置で海洋研究所というものが、ハワイに行ったってありますし、それからペンシルバニアに行っても、そこらじゅうに大学に持っているわけです。フランスでもそうです。ですから、そういう意味で、海洋研究所というものがいま東大だけにあって、そして総合的に研究できるそういうものがないという今日の
現状の中で、今後海洋の共同利用の研究所ないしはそういうものをつくる必要があると
考えるわけです。
そこで、きょう学術
会議が開かれていますが、今度の学術
会議に生態学研究共同利用研究所というのが提案されております。そのうちに総理
大臣に答申があると思いますけれ
ども、つまり、学術
会議が提起している問題の意味というのは、いまの問題と非常に深い
関係があるわけです。それは何かといいますと、いままでの大学はそれぞれの大学ごとにそれぞれの学部の中の講座に研究者がいる。ところがそれが、これは国立だけじゃないのです、ぼくが言っているのは。公立、私立含めて、その
専門家たちが横につながる、職能的な共通の場で
一つのテーマに即して研究ができる、つまりそういう共同利用研究所というものが構想されなければならぬと思うのです。せっかく大学院に関する法律の改正をやってきているわけですから、海洋に関連してもそういう意味の共同利用研究所というようなものをつくることが、日本の学術
体制を
考えていくときに——海洋法はぼくは
一つの例として言っているので、海洋法でなければならぬと言っていません。学術
会議で言っているたとえば生態学研究の共同利用研究所、学術
会議で今度方針を出しているこういうあり方ですね、これがつまり日本の学術研究のあり方を大学の側から自主的に進めつつ国がそれに対応していく、そういう
一つのあり方ではないかと
考えるわけですが、そういう意味で、生態学研究所の
内容は私まだ
専門家には聞いておりませんけれ
ども、海洋というものをとらえてみた場合に海洋学研究所、後で科技庁にも聞きますけれ
ども、大体科技庁から聞いているのは、海洋科学技術センターというのは、
学校の基礎研究と、それから実際の、たとえば通産がやったり水産庁がやったりする応用部門ですね、これの中間が海洋科学技術センターの任務ですね。ですから、ここには巨大
施設に関連して共同利用できるものもつくるしということが行われていますが、これは半官半民です。まあ、だんだん国の金の出し方が多くなってきておりますが、こちらを
充実するのも
一つの方法でありますが、各大学にある学部、講座というものを横断につないで、そして共同利用研究所というものを構想していく、そういう中で、基礎研究を一方でやりながら、全体の海洋研究の日本の水準を高めていくような、そういう成果を実現していくような道を開くということが必要なのではないかという、この点も
検討をしていただきたい
課題として申し上げるわけでございます。
それで、今日の海洋に関する科学技術研究の
現状を見ますと、要するに、国際的な基礎研究それから実際の研究、こういうものを二本で消化して、基礎研究と実際の研究というものを二本柱にしていくという
体制が大変うまくいっていないと思うのです。これは何も海洋だけではありません。原子力もそうだし、宇宙開発もそうです。大体、ビッグサイエンスに関連するものは全部企業と官庁の方が先行していって、そして大学の方がおくれている。そして、大学はせいぜい講座ごとに
専門家がそれぞれの役所に結びついている。これが産学協同だとかなんとか言われる
一つの背景にもなっていると私は思うのですが、そういう意味で、海洋研究を
一つの材料にして申し上げると、いまの大学にあるいわば講座ごとの研究、講座を一方で強化していくということと同時に、これにはだから二つ問題があるわけで、各大学の中にあるたとえば水産学部、これは県立の水産
高校と同じように、水産学部というものがそのままでいいのか、もしくは理学部に関連して横断につないだ海洋学部的なものをつくった方がいいのか、そういう大学内部における研究
体制の問題についての
検討と、それからそれを横断につなぐ共同利用研究所等々の問題、こういう問題について少し研究を進めていただきたいということでございます。私も私なりに学者や何かの
意見を聞いて
考え方を固めていきたいと思いますが、その点を申し上げたかったわけでございます。
それで、海洋に関して
一つの例として申し上げた日本の学術
体制の問題点についての
考え方ですけれ
ども、こういう場合も、大学の研究費が非常に底が浅いものですから、官庁から委託された研究並びにその業者、またそれと結びついている企業の研究に、学者が大変動員されやすい仕組みになっているのが今日の
現状だと思いますが、そういう意味で、ひとつ海洋という問題を
学校教育の中で積極的に取り上げていただきたいと思うのです。時間がありませんから、これはまたいずれ体系的に問題を出していろいろ
質問させていただきますが、きょうはこの辺にこれはとめておきます。
問題だけ二つ提起しておきますから、
検討していただきたいと思うのです。