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山中(吾)
委員 私は、土地所有権の対象の土地は国土の一部なので、国土の一部が仮にある国から占拠された場合には、
国民が時には命を捨てて奪回せねばならぬという性格を持ったものが国土である。その一部が土地である。その土地所有権は当然
国民全体の共有のもとにおける
一つの管理権、委任された管理権というような
思想に基づいて土地所有というものは本来公共性を帯ぶものだというふうな、土地所有権に対する
考え方を明確にして、そうして
国民の価値観の形成も図り、そのことが自由を抑えるなんという変な
イデオロギー、偏見ではなくて、事の本質に基づいて明確な
識見を持って土地制度にメスを入れ、地価の抑制を図るというくらいの
考え方、そこに私は自由を守るという場合の
意味は何かということをお聞きしたい動機の
一つもあるわけなのであります。ヨーロッパに行っても、物価が高くても案外
国民が
日本人よりは安定しているのは、地価が余り動かないということであるということも知っておるのであって、いずれにしても
一つの事例としてお聞きしたわけであります。
福田さんの
答弁の中に、いままでと違った
一つの理念と
政策の
方向を
考えておられるようでありますから、これからの動きの中に、また
国会の外からながめさせていただきたいと思うのであります。
終わりに、私の
感想を申し上げて
質問を終わりたいと思いますが、私は昭和三十三年に
国会に初めて出てきたわけで、そのとき安保改正のときになった。
国会周辺に十万、二十万の
国民のデモが毎日動き、
国会内には
最後は五百名の警官が入り、私も二階から一階までおろされた一人であります。そのときに、
国会の中でこれだけのいろいろなエネルギーの浪費をなぜしているかということを一人で
考えましたが、第二次世界大戦において敗戦国の代表ドイツと
日本、ドイツは、当時の世界が西と東に
イデオロギー的にも国家
体制的にも完全に二つに分かれたことが反映をして、東ドイツ、西ドイツに分裂をした。したがって、おのおの国家が分裂することによって二つに分かれた世界の
政治勢力が整理をされて、西ドイツ、東ドイツは別々な
イデオロギーのもとに安定した
政権がある。
日本は幸いにして分裂を免れて、統一国家として残った。したがって、分裂をされないための代償として
日本の国内の
政党、
自民党と
社会党が——その当時まだ公明その他が生まれていません。私は、世界が二つに分かれた東西の問題、東と西の
対立を、国家が分裂させられない代償として
政党が代理
対立をしているのだと思って、一応これが
政治家の
一つの歴史的課題であり任務であろうと慰めておったのである。幸いにわれわれが
政党と
政党の
対立の中でエネルギーを浪費し、いろいろと単純な人々から誤解を受けても、激しい
対立抗争をしていることによって
日本の統一を保ってきた歴史的
役割りを果たしているとすれば、慰めるものがあった。しかし、それはいつまでもそういうことを続けておるのではおかしいではないか。すでにアメリカの大統領が中国に行き、安保
体制のまま日中平和条約を結ぶというふうな段階に来て、平和共存の時代に入ったときには、そういう代理戦争などはもうやめて、保守、革新
政党はやはり
日本の
政治政党として自主独立の
立場において妥協すべきものは妥協し、総合的に一致点を見出していく段階に来ておるのではないかと思うのであります。
そういうことを
考えながら、これからの
政権がどういう
政権になり、いろいろの
政党と
政党の関係における離合集散もあるかと思うのでありますけれども、少なくとも外交とか教育において継続性を要求する部面については、何らか
日本的
立場の中に共通の広場を探すべきである、そういうことを
考えるときに、一方は自由、一方は平等というふうな
考え方でなくて、自由平等の
調和の中に新しい
日本の進む
方向を
考えるべきではないか、ということをつくづく思うものなのであります。
国会で
質問をしたり、
意見を述べたり、
答弁を受けたりする機会はもう今日くらいなものでありますから、時の人
福田さんの
本当の腹は、
日本の将来に対する責任はどういうふうに
考えておられるかということもお聞きしておきたいと思ったので、
質問いたしました。
日本の将来に対する戦略なき戦術
政治になっているのではないかと思うので、子孫のための
政治、子孫のための
経済という概念はなくなって、二、三年後の選挙の戦術
政党になっているのでは申しわけないのじゃないかということも思いながら、時間を拝借してお聞きいたしたので、具体的なことは、お聞きしたいことはたくさんございますけれども、それは省略をして、一応、
福田さんの
答弁の中でどういう
方向をお
考えになるか、私はみずから推察をしながら、
最後のごあいさつを兼ねて、
質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)