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1976-10-28 第78回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十八日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 板川 正吾君    理事 越智 通雄君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       竹内 黎一君    林  義郎君       松本 十郎君   三ツ林弥太郎君       三塚  博君    中村  茂君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    藤井 直樹君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     五十嵐 康君         文部省社会教育         局青少年教育課         長       柴沼  晉君         食糧庁総務部長 二瓶  博君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      内田 禎夫君         通商産業省生活         産業局日用品課         長       小野 眞魚君         建設省住宅局住         宅計画課長   京須  実君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     北川 博正君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 十月二十五日  公共料金等値上げ中止等に関する請願(近江  巳記夫君紹介)(第八五八号)  同(鬼木勝利紹介)(第八五九号)  同(鈴切康雄紹介)(第八六〇号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第八六一号)  同(竹入義勝君紹介)(第八六二号)  同(伏木和雄紹介)(第八六三号)  同(矢野絢也君紹介)(第八六四号)  同(渡部一郎紹介)(第八六五号) 同月二十六日  公共料金等引き上げ中止等に関する請願(浅  井美幸紹介)(第八八九号)  公共料金等値上げ中止等に関する請願外二件  (岩垂寿喜男紹介)(第八九〇号)  同(平林剛紹介)(第八九一号)  同(大野潔紹介)(第九六二号)  同(鈴切康雄紹介)(第九六三号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第九六四号)  同外一件(中村茂紹介)(第一〇九三号)  公共料金等値上げ反対に関する請願有島重  武君紹介)(第九六〇号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第九六一号) 同月二十七日  公共料金等値上げ中止等に関する請願有島  重武君紹介)(第一一一一号)  同(鈴切康雄紹介)(第一一一二号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一一一三号)  同(大柴滋夫紹介)(第一一八一号)  同(和田貞夫紹介)(第一三五〇号)  同(小濱新次紹介)(第一四二七号)  同(玉置一徳紹介)(第一四二八号)  同(和田耕作紹介)(第一四二九号)  国民生活安定対策等に関する請願(林百郎君  紹介)(第一一七九号)  同(三谷秀治紹介)(第一一八〇号)  公共料金等値上げ反対に関する請願瀬野栄  次郎君紹介)(第一四二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 板川正吾

    板川委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の有島委員質疑の際、宅地開発公団から理事北川博正君に参考人として御出席願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 板川正吾

    板川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 板川正吾

    板川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は今回立候補いたしませんので、議員として最後質問に対して、いつも明快なる答弁をされる福田さんの率直な御答弁をいただきたいと思うのであります。  経済企画庁長官というよりも、副総理としての福田さんあるいは自民党政権が続く限りは次の総理総裁の第一候補として世間が見ておる福田さんとしてお聞きいたしたいと思うのでありますが、私の質問いたしたいという動機は、議員を去るに当たって、私はまだ日本の進む方向をしっかりと見定めておりません。各政党日本の進む方向を一体どう考えておるかということについても確固たるお考えを持っておる政治家がいないのではないかという感じもいたしますので、そういうことを考えながらお聞きしたいと思うのであります。したがって、私も政党次元を超えて若干意見を述べながらお聞きしますので、本音とたてまえを分けないで、日本政治家として福田さんの御答弁をいただきたいと思います。  私は、議員生活十八年でありますが、この間顧みますと、一口に言いまして、国会周辺建物議員会館その他各省の建物はすばらしくりっぱになった。しかし、それに反比例をして政治中身は腐敗の度が深くなって政治の質は低下したのではないか、率直にそういう感想を持っておるのであります。それがロッキード事件という事件に集中的に表現されたと私は思っております。福田総理はどうお考えになりますか。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 どうも山中さんには常日ごろ、大変国家的見地に立ちまして貴重な御所見を承らしていただきまして、本当に私、感銘いたしております。  ただいま、戦後の政治流れにつきましての感想を述べよ、こういうことでありますが、私はいまのお話と全く同感といいますか、同じような所感を持っておるわけです。今度のロッキード問題にいたしましても、私は、あれは偶発的に起こったんじゃないのだ、これは根があってあれが噴き出した、その一つの芽があのロッキード問題である、そういうとらえ方をしているのです。ですから、ロッキード問題は、これは事件として徹底解明を必要とする、これはもとよりでございますけれども、しかし、ただ単にその芽を摘んだというだけでは、つまりロッキード問題を事件として解決したというだけでは第二、第三、第四の不祥事件というものが起こらないという保証にはならない、そういうふうに考えているのです。  さあ、それではその根っことは一体何だ、こう言いますと、私は高度成長、こういう経済社会体制、これはそれなりにわが国の今日のために大きな貢献をなした。しかし、その裏側におきまして、やはり社会、人心を非常にゆがめてしまった。つまり金さえあれば、物さえあれば、それからまたエゴですね、自分さえよければという社会風潮を醸し出しておる。その社会風潮、やはり政治はその社会風潮と離れて存在するわけにいかぬ。その社会風潮とうらはらをなすがごとく政治の中にもまたやはり金、物、それから政治エゴ、こういうものが風潮として流れ出しておる。私は率直に言いまして、そういう反省というものが政界において足らなかった。特に、私は、ほかの政党については申し上げませんけれども、しかし、わが自由民主党におきまして、率直に言いましてそういう風潮が強く醸し出されておる。それに対する反省、改革というものがなされないままに今日に至っておる。そこにわが党中心といいますか、そういう形でロッキード問題が醸し出されておるんだ、こういうとらえ方をいたしておるのです。  つまり、これは、われわれは日本社会の中で埋没されておりますものですから、自分の国の姿がよくわかりませんけれども、外国人わが国の姿というものをずいぶんいろいろな角度から批評しておる。しかし、その多くのものは、いまお話がありましたが、それは国会周辺にはりっぱなビルが建ち並んでおる。銀座を歩けばネオンがこうこうとして天に輝いておる。しかし、日本人のこの社会を支える魂、スピリットというものは一体どうなったんだという疑問を投げかけておるのですね。物で栄えて心で滅びる日本人、というようなことさえ言われるわけなんで、日本政治、この大きな焦点というものはその辺にあるんじゃないか。物の方はもうここまで来たのですから、そこ・そこでいいじゃないか、もう少し社会風潮社会道義、こういう方向政治の大きな焦点を向けていかなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでありまして、全く山中先生の御所見と私の考えとこれは同じである、こう申し上げて差し支えないんじゃないかと思います。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 歯どめのない経済成長が生んだ政治の退廃というか、そういう考えをお述べになったわけでありますが、経済成長に走った自民党政策、これは何によっているかということになってくると、基本的な考え方がその奥にあると思うので、その点について一歩深めてお聞きしたいと思うのです。  福田さんが自民党挙党体制確立協議会から次期総裁候補に推戴されておる。これは新聞国民が全部承知しておるところであります。そして福田さん自身も、新聞を通じての所信表明の中には、総裁総理への執念は燃やされておられるようであります。しかし、政治理念あるいは政策基本について明確なる所信を披瀝しない限りは、ロッキード隠しとかその他を通じて単なる野心を持っておるだけだというふうに誤解する向きもなしとはしないと思うのです。  そこで、私は、福田さんはそういう抱負経綸を実現するために総理総裁に対する意欲を持っておられるので、単なる野望家ではないと私はかたく信じておるし、またそうでなければならぬと思いますので、この機会に若干具体的に福田さんの政治理念あるいは政策に対する基本的な考え方をお聞きして、それにお答えになることが単なる野望家でないことを示すことになると思いますので、そういうことも含んでお聞きしたいと思うのであります。  一つは、私は、自民党の中で三木内閣が実現をした、ある意味においては自民党がさらに右に走るよりは社会的公正を目標とした三木内閣の出現の方が前向きであると考えております。しかし、三木首相に対する批判福田さんの次の総裁推戴というものと表裏一体のようになっておるのでありますが、三木路線福田路線というのはどこか違うのでしょうか。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 三木路線福田路線はどこか違うかといいますと、大筋で私は別に変わるところはないと思います。さらばこそ私は三木内閣の閣僚として三木さんを誠心誠意お助けしておる、こういうことで、これは別に変わることはないのですよ。  ただ、私がいまの三木体制に不安を持っているというのは、いろいろの立場でそう考える人があるのですが、三木さんの政治に対しましてその信頼感が動揺しておる、そういう人がいかにも多いのですよ。ですから、政党政治ですから強力なる支援体制がなければいかぬ。つまり与党一体的援助というものがなければ三木さんが幾らいいことを考えたって実行できないのです、これは。その体制に非常に遺憾な点が出てきておるわけで、率直に言いますと、いろんな立場からいろんなことを言う人がおりますが、それを全部集合しますと、大体七割ぐらいの人が三木体制どうも不安だなという疑問を投げかけておる。これじゃ本当三木体制というもの、三木さんのお考えになることは実行もできませんよ。そこに私は不安を感じておるわけなんです。何か意見が違うような点があるかといいますれば、そういう三木体制自体不安定性というか、そういう点に大変私も憂慮を感じておる、こういうことですね。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 政治路線については変わりはない、与党の七割が反三木であるというところに問題がある、簡単に言うとそういうことですね。  この点についてはお聞きするだけでいいわけでありますが、しかし、政治家にとって本当与党というのは国民だと思うのです。それで、政党というものは国民の一部を代表しておるのであって、私は、政党が全国民を代表すると強調はしますけれども、全国民ではなくて国民の一部を与党としたものが政党なのである。政党政党対立というのは、国民の一部と国民の一部の対立であって、どうしても解決しない場合には全国民的立場において総合的に判断し、妥協するというところに本当政治の妙味があると私は思うのでありますが、三木さん自身国民支持ということを非常に重点に考えて、自信を持っておられるようである。自民党の内部の支持の比率だけで三木さんをおろす、おろさぬというようなことは絶対的な正しさであるとは言えない。むしろ国民支持のある内閣総理総裁ならば、政党自身がその国民の声を聞いて支持する方向に持っていくということもこれは民主主義一つのあり方ではないかという考えを持っておるものですから、単純にそうお考えになる中に、国民から離れた自民党という存在が、国民から相当の支持を受けておる三木内閣与党政党の中で七割反対だというところに、自民党政党そのもの国民から離れておることを実証しておるのではないかと私は考えるので、政治家として福田総理は、そういう自己矛盾をお考えにならないでおられるかどうか、これは次の質問のときついでにお答え願いたい。  そこで、私は、きょうお聞きしたいのは、実は日本国民全体が現在、方向感覚をなくしておる。日本の進む道はどこだということを明確に確信しておる国民は非常に少ないのではないかということを思うので、福田さんが挙党協総会で演説をされた要旨、ちょっときのう新聞を見たら載っておるのでありますが、自由社会を守り抜くということを強調されておる。  そこで、現在、自由と民主主義、この自由の主張はもう自民党の専売ではなくて、最近共産党も自由と民主主義の宣言をしておる。公明党も清潔、公正、自由の社会ということを表明しておる。われわれ社会党も自由を基調として社会主義を主張しておる。中に違ったものも若干ありますが、したがって、現在存在する日本の五つの政党は、自由を軸としてこれからわれわれの政治をやるということは全部言っておるのである。したがって、自由を守る、自由社会を守るということ自体一つ政治家としての識見を特に披瀝したことにはならない。日本のすべての政党が主張しておるのは自由と民主主義になってしまった。これは本当であれば——うそを言っていれば別だ。  そこで、私は、問題なのは自由の中身だと思うのです。自由社会は一体何を考えておるのか、自由の中身は何かということによって各政党考え方、そして日本の進む方向というものが変わってくるではないか。  そこで福田さんにお聞きいたしたいのは、自民党の言う自由社会、自由とは一体何なのか。これは各政党が言っているのですから、全部政党が同じことを言っているのでは、国民は同じことを聞いておるだけである。したがって、私は、自由の中身をしっかりと見きわめることが日本の進む方向を見きわめることになるのであって、自由という言葉そのものは何ら国民に対する方向を与えるものではないと考えておるわけでありますから、自民党、ことに福田さんがこれから政権をとった場合に、日本の進む方向というものを見定める一つ最大のモットーとしての自由、その中身はどういうことなのか、お聞きしたいと思うのです。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 第一点は、世論というかそういう問題のようでありますが、いま日本政治議会制民主主義、つまり国民が選んだ議員によって国の政治政策を運行する、こういう仕組みになっておるわけです。そういうたてまえのわが国におきましては、中央国家社会地方公共団体社会、いろいろありますけれども、選ばれた人の意思、これは非常に貴重な意思だと思うのです。つまり議員がどういうふうに考えるか。しかし、議員は選挙で選ばれるわけであります。そして一定の任期があります。その間、衆議院議員におきましては解散ということで、任期が制約される、こういうこともありますが、その任期中に世の中流れというものの変化もある、そういうことも考えなければなりません。ですから、この議会政治が円滑に、公正に行われるというためには、一方におきましては国会議員の中の意見がどういうふうになっているかということは、非常に貴重な意思だと思うのです。と同時に、世の中がそのときどきにどういうふうな考え方を示すかということもまた大事なことなのです。新聞の論調がどういうふうに動いているか、あるいは世論調査の結果がどういうふうに動いているか、こういう点も十分注意してながめていかなければならぬ。同時に、基調的には国会意思というものがどこにあるかということも十分考えなければならぬ。やはり健全な議会政治、健全な政党政治が行われるというためには国会動向地方議会におきましては地方議会動向、それからそのときどきにおける国民の意向、これはいろいろな形であらわれてきますが、その二つの動きの健全な均衡の上に立って政治が行われるということで初めていい政治ということになるのじゃないか。ただ単にそのときどきの国民の顔だけをながめておるのでもいかぬ。それから国会流れ、これだけでもいかぬ。その両者を両々相にらんで、そこに安定した、また国民のためにいい政治ができるのだ、こういう見解でございます。  それから第二は、自由とは一体何だ、こういう話ですが、最近は自由が通り言葉のようになって、皆さんが自由、自由とおっしゃるが、これは自由というものを使われるいろいろな方によっていろいろな内容がある。これは山中さんの御指摘のとおりだと思うのです。つまり、独裁主義を標榜する方が自由、自由と言う。これは私は恐らく独裁者のための自由というような感じがしてならないのです。しかし、私どもが自由と言っておりますのは、そうではない。人間は生まれながらにして自由である、これはジャン・ジャック・ルソーがそう言っておりますが、自由な姿で生まれた裸の人間をなるべく素直にこの世の中で成長させ、その人格をみがき、完成させるという姿ですね。これが私は自由社会、そういうものじゃないかと思う。つまり、この地球に生まれついた一人一人の人が、これはひとりだけじゃないのです、たくさんおるのですから。そのたくさんおる、その個人個人というものが調和を保ちながら、とにかく持って生まれた資質というものを生かし、伸ばし、そうしておのおの生まれ持った人格というものを伸ばしていく。そうしてできる限り全体のために奉仕するという人に育て上げる、そういう社会仕組み、つまりそれが自由社会における自由だ、私はこういうふうに思うのです。  ですから、一番基本になるのは人間考え方、これを判でついたように上の方から規制していくとかあるいは意見を発表する、それを抑えるとか、そういうのじゃなくて、みんなが意見思想を述べ合って、そうしてその間においてみんなの意見を総合した、統合的な意思が出てくる、そういうような形でありますとか、経済社会におきましても、その人その人の個性というものがそこに生きてくるというような仕組みだとか、そういうこと、これは尊重されなければならぬ。しかし、一人一人がみんなそういうことをその一人一人の立場において思うがままに実行できるかというと、そうじゃない。やはり一人一人の立場、個の立場と個の立場の相克、摩擦、衝突というものがあるのですから、それをいかに調整するかということが自由社会における政治の非常に貴重な役割りである、こういうふうに思うのです。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 哲学的な自由というのか、そういうことを中心に話されたような感じがしたのですが、自民党自由民主主義という言葉自民党という通称になっているわけでありますが、どうも自民党の自由という概念の中には、政策を見ても、平等観が欠けた自由なのではないか。そこで、単に自由社会を守ると福田さんは自分政治的識見として述べられても、そこに何ら方向を示す中身になっていないと思うので質問しているわけです。  私は、平等観の欠如している自由を主張し、そこから出てくる政策は強者のための自由、現実には小企業に対する大企業、強い者のための自由になるのではないか。そういうふうな平等観社会的公正と言い、あるいは不平等、不公平をなくすという言い方をしてもいいのですが、それを政治一つの大きい目標としない自由社会あるいは自由から流れてくる政策というのは、強い者のための自由になるのだ。その道をずっと同じように、ただ自由社会を守る、われわれは自由を守るのだ、ほかの政党は自由を否定するのだという言い方をして、自由の美名のもとに、不平等、不公正をどんどんと進めていく、そういう考え方、そういう政治哲学があるから、歯どめのない経済成長政策自民党がとってきたのだ、過ちを犯しておるのではないか。あるいは税制においても大企業のために有利な特別措置というものをなかなか直さない、あるいは福祉政策というものをなるたけ後回しにするとか、そういう具体的政策に出てきておる。そういうことに対する反省として、社会的公正を主張する三木内閣も生まれ、次の総理総裁になって抱負経綸を実現していこうとする福田さんの考え方が具体的に出てこないと——総会で演説された中身を見ますと、「自民党は、自由社会を守り抜く、ということに最大の使命をおいている。国民の圧倒的多数もこれを希望していると思う。それにもかかわらず、国民不満批判が増幅されつつあるのはなぜか。私は国民の中に、自由社会を拒否し、あの暗い、重苦しい社会主義社会生産主義社会を望む気持ちが起こっているとは思わない。わが党の体質姿勢に対する不満であり、批判であると思う。」とその体質姿勢に帰してしまって、自民党考える自由というものが平等観を欠如した自由であって、強い者のための自由という思想から出てきた誤りであるという認識を少しもお持ちになっていないのではないかと私は思う。  私は自由か平等かという問題の出し方ではなくて、一番人間の幸福をもたらし人間が育つ社会は自由と平等の調和社会だと思っておるのであり、平等の美名のもとに自由を見捨てるイデオロギーに賛成いたしません。しかし、自由の美名のもとに不平等をそのまま見過ごすようなイデオロギーも私は認めるわけにはいかない。いままで常に自民党の諸君が言っておる自由はその後者ではないか。これを明確に分析をして、単なる自由の美名のもとに所得格差を拡大し不平等を起こすような過ちは是正しなければならぬという意味において識見が出るなら、私はこれからの経済成長政策に対する反省として福田総理が新しい一つ政治方向を示した抱負として理解したいと思うのですが、それがない。田中さんが言ったこと、佐藤さんが言ったことと同じことをずっと言っておるだけではないか。それでは恐らくまた同じような政権が続いて最後には不公正、不平等がだんだん拡大して、国民の不平、不満が極限に達したときには大変なことが起こるのだと思うのであって、それが明確にされないと、総理総裁になることが私は日本国民、これからの日本政治に対して大した意味がないと思うのでありますが、これはいかがでしょう。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 山中さんのおっしゃる社会経済、そういうものに対する考え方、私はあなたと同じような考え方です。  ただ、伺っておって山中さんの福田赳夫研究ははなはだしく不足しておる、こういうふうに思います。つまり、私は自由社会と言う場合には、独裁社会と対比して言っているのですよ。いま独裁社会に対する対比としてほかに何かいい言葉がありますか。これは自由社会、こういうことで表現される。そういう政治的な用語として自由社会——独裁社会を排撃するという意味で言っているのです。  そこで、自由社会と言う場合に、これはアダム・スミスの自由社会だ——あの用語はいまその内容どおりに通用しておりませんよ。あの自由社会は、自由社会というけれども、自由放任社会です。あれをずっとあの考え方のとおりに言えば、お話のとおり弱肉強食、優勝劣敗なんだ。今日の自由社会はそういう社会ではありません。みんながとにかくこの世に生まれてそして自由にその才能を伸ばしていくという仕組みを、どういうふうにこの世の中で実現していくかというその考え方としての自由社会。ですから私どもの考え方はもう少し、独裁社会というような、その社会と対比するという意味でなく、素直に言うと社会連帯ということか実現される社会だ、こういうふうに思うのです。その考え方、これはやはり弱い者に社会お互いに手を差し伸べなければならぬ、その手を差し伸べるという考え方を国家的社会的機構の中で実現をする、こういうようなこと、つまりあなたのおっしゃる社会的公正、これは政治の中の非常に太い線、自由社会の中の太い線として推し進めなければならぬ、そういうふうに考えます。  ですから、自由放任社会なんというあの内容の世の中をいま考えているわけじゃないのです。社会連帯、社会的公正という太い線が通ったそういう、独裁主義に対比して、われわれ一人一人の個人ができる限りその個性が尊重される世の中、こういうことを展望しておる。私はそういう意味でもう少し福田赳夫研究を進めていただきたい、こういうふうに思います。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 福田赳夫研究、私もしてあるのですけれども、いま共産党も含んで——共産党も綱領の中から独裁という言葉をとりいろいろ苦心をされておる。だから、現在、独裁に対する自由を強調することがこれからの新しい政治路線のスローガンにはならないのであって、むしろその自由を軸としながら不平等、不公正をなくする。だから、平等という言葉政治の価値として現実問題として強調しないと、福田さんの表現からは福田研究をやってもそれは出てこないと思うのです。  そういう意味において、いままでの政治の誤りは自由だけを強調して、平等というものを、平等即統制であり、平等が抑圧になり独裁になるというような考え方のもとに余りにも軽視をし過ぎた。自由は個人の創造力を発揮する一番大事なことであるが、私はいまおっしゃった社会連帯という意識は平等観からしか生まれてこないと思うのですよ。自由からは連帯意識は生まれない。われわれ国民がお互いに平等であるという平等観の中に国民連帯意識が生まれるのである。したがって、自由ばかりを主張しておって、連帯意識をわれわれは形成すると言っても、それはできないのであって、私は、だから、現在ある意味において自由を強調するよりもむしろ平等観を強調いたしたい。そこから社会連帯が生まれる。高度の福祉社会をつくるということを絶えず福田さんも言われますが、福祉を支える価値観というものは連帯意識である。多くの収益を得た者が貧しい人々にそれを分配することを認める意識であって、みんなが幸福にならなければ自分が幸福になれぬという連帯意識に支えられて福祉というものが魂が入るのではないか。したがって、革新市長の代表である飛鳥田横浜市長が老人のバス料金を無料にした、しかし自分が国鉄に乗ってみると、おじいさん、おばあさんがつり革にぶら下がってふうふう言っておる、若い者が座席にあぐらをかいて騒いでおる、これでは幾ら福祉を進めても魂がないし、これは考え物だという考えを漏らしておるが、大体、連帯意識に支えられない福祉なんというのはエゴを助長するだけである。  私はそういうことを考えるものですから、もっと親切に福田さんの政治理念を、いままでと違うんだ、おれはこうだと言うなら、わかるように解説をされなければだれも知りませんよ。その言葉から引き出して、いまの答弁の中に若干解説が入ったけれども、一般の新聞の発表の中からは、不平等、不公正に目もくれず自由を主張するというだけの路線だけしか目に映らないと思うので、私は、これからの政権がどういう政権であろうが、やはり自由を軸として不平等をなくするという方向を、理念としても政策基本としても明確にする政権以外には、国民多数の支持を得また国民の福祉につながる政権にはならないと思うので、総選挙の結果どういう発展があるか知りませんけれども、そういうことを明確にする政治家言葉を聞かないものですから、議院を去るに当たって、次、日本政治の最高責任者になると予定される一人であるものですから、この機会に明確にお聞きをして、安心をして議員をやめたいと思ってお聞きしたわけであります。  時間がございませんので、その一例として、私は現在の物価の上昇、賃金の上昇、雇用、この三つの経済指標のバランスのとれた政策が行われなければここにも不平等が出るということも明らかだし、それから、物価問題で一番大きい原因は地価の暴騰である。これもほとんど常識になっておる。だから、自由を軸にしながら、もっと平等な社会をつくるという一つ政権が生まれたときに、これだけ領土が狭まく、人口が多くて都市集中の傾向が非常にはなはだしい日本政治は、土地制度にメスを入れられない政権はやはり依然として不平等政権として残るし、何をおいても土地制度にメスを入れて地価の安定を図る、これぐらいのことができない政権は口頭禅に終わるというふうに私は思っておるのであって、土地、地価、これを抑制するかどうかということが最大の次の政権の課題ではないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 地価ばかりじゃないので、このインフレですね、これは私は大変警戒しなければならぬ大きな問題だと思うのですよ。これくらい社会的不公正を拡大するものはない。その中でやはり非常に基本的な問題は、御指摘の土地の地価の問題だ、こういうふうに思うのです。  でありますので、私は総需要抑制政策を打ち出した。それ以来、諸物価の動き、これを見ておりますが、特に地価の動き、これについては非常に神経質に見ておるわけです。地価は一体その後どうなっておるかというと、とにかく高いところへ来ちゃった。でありまするけれども、高いところのその時点でこれ以上上がるという傾向は、いま見られない。そのばらつきはこれはありまするけれども、総体的に見るときにはこれは大体横ばいの趨勢である。それで、もしこの土地の値段がこれまた上がり出すというような傾向があれば、これは私はどうしたって手を打たなければならぬだろう、こういうふうに考えるわけですが、土地の問題、これは日本人みんながこの狭い国土でひしめき合っておる、最も関心を持っておる大きな問題でありますので、今後とも地価の動き、これは本当に注意しながら、もしこれに異変が起こるというときにおきましては、これは大胆な手を打たなければならぬだろう、そういうふうに考えています。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、土地所有権の対象の土地は国土の一部なので、国土の一部が仮にある国から占拠された場合には、国民が時には命を捨てて奪回せねばならぬという性格を持ったものが国土である。その一部が土地である。その土地所有権は当然国民全体の共有のもとにおける一つの管理権、委任された管理権というような思想に基づいて土地所有というものは本来公共性を帯ぶものだというふうな、土地所有権に対する考え方を明確にして、そうして国民の価値観の形成も図り、そのことが自由を抑えるなんという変なイデオロギー、偏見ではなくて、事の本質に基づいて明確な識見を持って土地制度にメスを入れ、地価の抑制を図るというくらいの考え方、そこに私は自由を守るという場合の意味は何かということをお聞きしたい動機の一つもあるわけなのであります。ヨーロッパに行っても、物価が高くても案外国民日本人よりは安定しているのは、地価が余り動かないということであるということも知っておるのであって、いずれにしても一つの事例としてお聞きしたわけであります。福田さんの答弁の中に、いままでと違った一つの理念と政策方向考えておられるようでありますから、これからの動きの中に、また国会の外からながめさせていただきたいと思うのであります。  終わりに、私の感想を申し上げて質問を終わりたいと思いますが、私は昭和三十三年に国会に初めて出てきたわけで、そのとき安保改正のときになった。国会周辺に十万、二十万の国民のデモが毎日動き、国会内には最後は五百名の警官が入り、私も二階から一階までおろされた一人であります。そのときに、国会の中でこれだけのいろいろなエネルギーの浪費をなぜしているかということを一人で考えましたが、第二次世界大戦において敗戦国の代表ドイツと日本、ドイツは、当時の世界が西と東にイデオロギー的にも国家体制的にも完全に二つに分かれたことが反映をして、東ドイツ、西ドイツに分裂をした。したがって、おのおの国家が分裂することによって二つに分かれた世界の政治勢力が整理をされて、西ドイツ、東ドイツは別々なイデオロギーのもとに安定した政権がある。  日本は幸いにして分裂を免れて、統一国家として残った。したがって、分裂をされないための代償として日本の国内の政党自民党社会党が——その当時まだ公明その他が生まれていません。私は、世界が二つに分かれた東西の問題、東と西の対立を、国家が分裂させられない代償として政党が代理対立をしているのだと思って、一応これが政治家一つの歴史的課題であり任務であろうと慰めておったのである。幸いにわれわれが政党政党対立の中でエネルギーを浪費し、いろいろと単純な人々から誤解を受けても、激しい対立抗争をしていることによって日本の統一を保ってきた歴史的役割りを果たしているとすれば、慰めるものがあった。しかし、それはいつまでもそういうことを続けておるのではおかしいではないか。すでにアメリカの大統領が中国に行き、安保体制のまま日中平和条約を結ぶというふうな段階に来て、平和共存の時代に入ったときには、そういう代理戦争などはもうやめて、保守、革新政党はやはり日本政治政党として自主独立の立場において妥協すべきものは妥協し、総合的に一致点を見出していく段階に来ておるのではないかと思うのであります。  そういうことを考えながら、これからの政権がどういう政権になり、いろいろの政党政党の関係における離合集散もあるかと思うのでありますけれども、少なくとも外交とか教育において継続性を要求する部面については、何らか日本立場の中に共通の広場を探すべきである、そういうことを考えるときに、一方は自由、一方は平等というふうな考え方でなくて、自由平等の調和の中に新しい日本の進む方向考えるべきではないか、ということをつくづく思うものなのであります。  国会質問をしたり、意見を述べたり、答弁を受けたりする機会はもう今日くらいなものでありますから、時の人福田さんの本当の腹は、日本の将来に対する責任はどういうふうに考えておられるかということもお聞きしておきたいと思ったので、質問いたしました。  日本の将来に対する戦略なき戦術政治になっているのではないかと思うので、子孫のための政治、子孫のための経済という概念はなくなって、二、三年後の選挙の戦術政党になっているのでは申しわけないのじゃないかということも思いながら、時間を拝借してお聞きいたしたので、具体的なことは、お聞きしたいことはたくさんございますけれども、それは省略をして、一応、福田さんの答弁の中でどういう方向をお考えになるか、私はみずから推察をしながら、最後のごあいさつを兼ねて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  16. 板川正吾

    板川委員長 松浦利尚君。
  17. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 山中先輩の最後質問がもう少し長いと思っておりましたが、残された時間を具体的な問題について質問さしていただきたいと思います。  まず第一点は、実はいま国民が非常に不安に思っておりますことは、三木内閣ロッキード事件にかかわって、ロッキード事件を取り上げて徹底的にロッキード事件は究明していくということを表明なさって、それで御承知のように、きのうロッキード特別委員会におきまして灰色高官の氏名もほとんど発表されないという状態に来ているわけです。  そこで、挙党協の代表として次期政権に一番近いところに立っておられる福田総理として、あなたが政権を担当なさったときに、一体ロッキード事件というものはどうなさるおつもりなのか、児玉ルートの問題、あるいは灰色高官についてはどう処置なさるのかという具体的な問題を、山中先輩の御質問に関連をさせて、いま一番国民が不安に思っている内容だと思いますので、福田総理のお考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 基本的には、私はロッキード問題は事件として徹底的に解明する。しかしそれだけでは足らない。この機会にロッキード事件を醸し出したその背景、根源をえぐり出す、その処置をする、こういう態度で対処すべきである、こういうふうに考えるのです。  これは政治全体の問題ですが、その中において、まずこの事件徹底解明、これは二つの側面があると見ているのです。一つは刑事責任の問題、一つ政治的道義的責任の問題、こういう二つの面がある。  その刑事責任の問題につきましては、政府が全責任を持ってこれを解明し、国民に報告をしなければならぬ。また、黒は黒、白は白としての処断をしなければならぬ、こういうふうに思います。これは政府の全責任であります。  それから、政治的道義的の問題になりますると、これは政府の主たる責任の問題というよりは、むしろ国会の責任の問題である、こういうふうに考えるわけです。つまり具体的には、国政調査権によってこれが解明を行うべきである。その国政調査権の実施につきましては、政府は最善の御協力を申し上げるべきである。こういうふうに考える次第でございます。
  19. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま副総理の言われたことは、三木総理が言っておることと全く同一でありまして、極端に言いますと、総裁である三木さんが、自民党に対して俗に言う政治的道義的責任にかかわる国政調査権に協力をさすことができない、国会に投げかけておられますが、過半数を占めておる与党の皆さん、自民党の皆さん方に対して、自民党総裁である三木総理総裁が国政調査権に協力する態勢を取り切らない。結局、政治的道義的責任を非常に狭義的にしぼってしまおうとするところに、一致点が出ない、国政調査権の発動できない最大の悩みがあるわけです。  そうすると、いまの副総理言葉を聞いておりますと、福田総理総理総裁になられても、結局ロッキード事件政治的道義的責任追及についての方向というのは三木総理総裁と変わらない、全く現状のまま、何らの期待もできないというふうに私たち受けとるのですが、そういうふうに受けとってよろしゅうございますか。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ロッキード問題の解明につきましては、三木さんは大変熱意を持って当たっておるわけで、大筋で三木さんの行き方というものを私はそう間違っていないのじゃないか、そういうふうに思います。  ただ、いま松浦さんが灰色高官の問題に触れられておりますが、これは国会の要求に対しまして政府がいかなる協力をするか、それは具体的にこういうケース、ああいうケース、それに対してどういう協力をするか、そういうことになると思うのです。その具体的な問題になりますと、私どもはまだ全然この事件の内容というものは知らされておりませんので、どういうふうな判断をするのが妥当であるか、いま三木さんが自民党総裁として判断しておるそれが、一体妥当のものであるのか、妥当でないものであるか、その辺よくわかりませんけれども、考え方といたしましては、私は最大限の御協力を国政調査権に対してはなすべきである、こういうふうに考えております。
  21. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国政調査権に対して協力をなさるということであれば、仮に自民党総裁になられたときには、国民の希望するところに向かって積極的に党をして国政調査権に協力させるというおつもりはある、そういうことですか。そういう意味に解してよろしいですか。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国民の知る権利は尊重されなければならぬ。しかし同時に、個人個人の人権というものも尊重されなければならぬ。そういう間のバランスを一体どういうふうに取っていくかということが問題なのだろうと思います。その辺のバランスをいかにとるべきかということはケース・バイ・ケースで違ってくるのじゃないか、そういうふうに思います。  そういうことで、ケース・バイ・ケースのケースの内容を全然関知しない私といたしましては、このケースについてはどういう線引きをするのが妥当であるかというようなことを申し上げる立場にないのです。非常に残念ですが、そういうお答えをするほかないのです。
  23. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民がやはり一番関心を持っておるのは、いま当面最大政治課題であるロッキード事件三木さんはどうするのか、三木さんにかわられる福田総理はどうなさるのか、そういうところに関心があると思うのですけれども、全然知らされておらぬ、こう言われれば、三木内閣の副総理というのは余りそういうようなものにはタッチせずに、極端に言うと、たな上げされておるという感じがするのですが、このことが焦点ではありませんからそれはそれで結構です。  それでは、具体的にもう一つ福田総理にお尋ねをしておきたいのは、減税と物価の問題ですね。この前も所得税減税、物価調整減税等についての質疑をいたしましたが、なおこれは時間がありませんから簡潔に数字を示して御質問いたすのですが、実は御承知のように課税最低限が百八十三万円でございますね。この百八十三万円の方が仮に昭和五十一年度、ことし一〇%所得が上がったというふうに仮定をいたしますと、その人は二百一万円になるわけですね。そうしますと、経済企画庁、所得税はもう計算しておられますか、二百一万円だったら、幾ら所得税がふえますか。
  24. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 ただいま計算は手元に持っておりません。
  25. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは私の方から大蔵当局と議論した内容を申し上げますが、百八十三万円の方が一〇%ベースアップしますと二百一万円になる。そうすると昭和五十年度で課税されなかった人が一万三千五百円所得税を払うことになるわけですね。住民税は別ですよ。所得税を払うことになる。これは社会保険料を四%控除して標準世帯であります。しかも三木内閣は昭和五十年度の物価上昇率を八・八%、こう見込んでおるわけですから、この人が昭和五十年度の百八十三万円を全部消費に回したと仮定をいたしますと、昭和五十年度の生活水準を高めも下げもしない。要するに、百八十三万円並みの生活をしようとするためには、実は、八・八%の物価上昇ですから百九十九万一千円の名目所得を得なければ、昭和五十年度の生活ができないということになるのですね。そういう計算をしてまいりますと、一〇%上がって約十八万円所得が上がるのですけれども、所得税と物価の八・八%を計算いたしますと、実質所得の伸びは五千円にしかならないわけですよ。十八万円上がって実際が五千五百円にしかならない。しかもそれに対して住民税あるいは社会保険料のアップ、こういうものを払うわけですから、逆に言うと、一〇%賃金が上がっても上がらなかったと結果的に同じ状態になるわけですね。さらに来年度も減税をしないということになりますと、仮に来年も一〇%上がるとすれば、二十万円所得が上がって名目所得は二百二十一万円になるわけですね。ところが昭和五十二年度は物価が八%仮に上がる。年間上昇率八%と限定をいたしますと、昭和五十年度の百八十三万円の生活を維持していくためには名目所得が幾ら必要かというと、二百十五万八百円必要になるわけです。そうしますと、名目所得が上がれば当然所得税が上がりますから、所得税の二万六千七百円あるいは物価の上昇した分というのを計算をしていくと、昭和五十二年度には一万四千百円しか実質上がったことにならないのですね。こういう計算をしていきますと、実際に物価が八・八%、八%上がっていくにかかわらず何らの所得税の減税をしないということは、極端に言うと、マイナスの生活を国民に押しつけることになるわけですね。現に勤労世帯における政府、総理府統計発表によりましても、四月、五月、六月、七月と実質賃金指数は対前年同月比でマイナスですね。一・六、〇・四、二・八、二・二と、対前年同月比で非常に下がってきている。この傾向はまだ続くと思うのです。  こういうことを考えていくと、昭和五十二年度、今度自民党の党大会があるかないか別にして、福田総理が仮に次期首班になられたときに、こうした国民の苦しみというものに対してどうお考えになるのか。私は当然所得税の減税あるいは物価調整減税、こういったものは明確にこの際政府としてはこたえるべきだ。次期総理に一番近いところにおられる福田総理の発言というのは私は相当大きな関心を持っておると思いますから、だからこういう計算からいくと、私は二年続きの所得税減税なしというのは大変問題があると思いますね。同時に、三木さんの最大のブレーンである河本通産大臣が、最近の鉱工業生産指数の足踏み状態、むしろ下がってきておる状態を見越して、景気の中だるみだ、だからそういう意味ではこの際所得税の減税はやるべきだ、こういうことを通産大臣が景気浮揚の一環としてアドバルーンとして揚げておりますね。そうなれば、当然経済のかなめである福田総理としても一言あるべきだと私は思うものですから、その点について副総理の御見解をはっきりお聞かせいただきたいと思うのです。
  26. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 五十二年度予算の編成期になりまして、所得税減税をどうするかということが大変にぎやかに議論をされるようになってきておりますが、私はこれからの社会情勢を考えていきますと、これは国の国民のためにする施策、これがだんだんだんだん大きくなってくる、大きくまたしなければならない。そういうことを考えますと、国民の負担、これはその率から言いましても若干ふえる傾向になるのです。  しかし、国民の暮らしは一体どうなるかというと、個人の家庭ばかりでやっておるわけじゃないのです。そうじゃなくて、それは国家あるいは地方公共団体、それらの行う施策によりましてこれが補われておるというか、また環境がつくられておるというか、そういう形で国と個人の家庭とが合体されまして一人一人の家庭の豊かさ、安定さというものが図られなければならぬと思うのですが、社会全体の体制としまして、国が国民の生活に責任を持たなければならない分野というものがだんだんだんだんふえてくる。そういうことを考えますと、どうも一般的な意味において所得税減税、これは私はむずかしいと思うのです。これを約束をする人があるなんといったら、これはよほど大胆な人じゃないか、私はこういうふうに思うし、また社会流れに対してそう深い理解を持たない人じゃないか。  しかし、さらばといって、所得税減税というもの、私は全部これを否定する考えはないのです。さあ、教育減税というような論議もある、あるいは社会福祉減税という立場の所得税減税をやるべきだという議論もある。それからいま松浦さんのお話しになる物価調整減税、こういうような話もある。私はそれぞれの立場において、そういう意味において所得税の手直しというか、そういうことについてはこれは真剣に考えるべきである、こういうふうに考えるのです。  ただ、その考えた結果、これを適用するかどうか、採用するかどうかというようなことになりますと、また他面において国の財政は火の車なんです。ことしとにかく七兆七千億円の公債を出さなければならない、そういう国家財政、そういう中で、さて、これを放置しておいたら一体どうなるか。私はいまの日本社会経済、その中で一番財政のことを心配しているのです。この状態をほっておいたら一体どうなるんだろう。これにけじめをつけない、あるいは展望を持たないという状態でおったら、これは本当日本社会はインフレ化してしまいます。これはインフレにしたら大変だ。そういう意味で財政の状態も考えなければなりませんけれども、財政の都合が局所的な手直しだという程度ならそう金もかかる問題じゃないじゃないか、そういうことで、ひとつ局所的な手直しを必要とするというその方が、何がしかの財源というようなことでこれがより重視されなければならぬというならば、これは踏み切っていい問題である、こういうふうに考えるんですよ。  当面の問題とすると、どうも来年度の経済はどうなっていくか、それから、それに伴いまして税収が一体どういうふうになるか、公債の発行額が、特に赤字公債の発行額が減らし得る状態であるかどうか、こういう点等もにらみ合わせまして決断をすべき問題である、こういうふうに考えておるわけです。  ただ、いま景気調整のために減税だというような説をなす者がいますが、景気調整ならば、減税よりは住宅を建てるとか、あるいは下水道をつくるとか、そういうふうな公共事業の方がむしろ景気対策上は、同じ財源を使うのですから有効である、そういう見解です。
  27. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 通産大臣と長官との御意見が全く違っております。しかし、それは、いま副総理のお言葉を、長官の話を聞きましたからそれ以上は申し上げませんが、ただちょっと、言葉じりをとって恐縮ですが、公債は七兆七千億じゃなくて七兆二千七百五十億でございますから、赤字公債が三兆七千五百億ですので、訂正をしておきます。  それから次に、これはもう最後質問になりますからお尋ねをしておくのですが、実はこの前この委員会で大変問題になりましたマルチ商法ですね。その関係については御承知のように、規制法案ができたのでありますが、訪問販売等に関する法律、これは成立してから六ヵ月以内に、施行日は公布の日から六ヵ月以内に政令で決める、こういうふうになっておるんですが、これは実質的に政令とかあるいは省令の設定作業というのはいつから始めて、いつ公布になるのか。これは私のところにきのう申告が来たのですが、それが出る前にものすごくたくさんの駆け込みの業者が出てきておるんですね、六ヵ月の間に。だだだっと、こんなにふえてきておるんだそうですよ。これが全部犠牲者が出てきておるのです。この委員会で議論してせっかく法律ができても、政府の手続がおくれたためにかえって犠牲者がふえてくるというのは、私は問題があると思いますね。その点はどうなっておるのかということと、政令、省令はいつ出されるのか、その点をひとつはっきりお答えいただきたいと思います。
  28. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 訪問販売の法律につきましては、五月に成立させていただいたわけですが、これは担当省庁が通産省でございます。通産省の方で現在六ヵ月以内に政省令をつくるということで作業をいたしておりまして、私どもの伺っているところでは、十一月中をめどにして作業を進めているということでございます。  それから、それまでの間の駆け込みの問題等につきましては、私どもとしましては、この法律の内容を早く徹底させる、それからマルチ商法が非常に危険であるということについてのPRを大いにやる必要があると思っておりまして、いままで国民生活センターや通産省のテレビとか出版物等でいろいろな広報をいたしております。これからもまだ施行までに時間がありますが、その間につきましても、新聞等で広報をいたしますし、また、政省令ができました段階では、さらに週刊誌、パンフレットその他によりまして、マルチ商法についての被害の防止について努力していきたいと思っております。
  29. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 副総理、いまお聞きになったとおり、せっかく経済企画庁を中心にしてこの委員会で議論をしまして、そして通産の所管ですけれども、商工委員会で法律が制定された。ところが、法律施行後六ヵ月以内の十一月といま言っておられますね。それを早めずに六ヵ月間の限度そのままいっぱい使うために、駆け込みや何か出てくる。その間PRは確かにありましたけれども、その後PRが余りないわけですね。だから、そういう点はひとつ、せっかく国民のためにできた法律ですから、それが省令やら政令が出ない間に駆け込みになるようなことは避けるべきだと思いますね。これはひとつ副総理、ぜひ督促をお願いしておきたいと思います。  最後に、実は私は経企庁の肩を持つつもりではありませんけれども、今度来年度の予算をめぐりまして、国民生活センターに商品テストセンターをつくろうということで概算要求をなさったら、通産の方がそれはだめだ、だめだというので、何かなわ張り争いがあるというお話をちょっと聞いたのです。  そこで、きょう通産の方から来ておられますから簡単にお尋ねをしますが、実は寒さに向かいまして石油温風ヒーターというのを三つのメーカーが出しておるんだそうですか、その石油温風ヒーターのガス化式、気化式方式というのですか、これが出ておるんだそうですか、私のところに苦情が来たのです、あるメーカーのを買われた人から。どういう苦情かというと、部屋の中ににおいがすると言うんですね。それで、きのう技術者を呼んでずっと調べてみたら、これはJISマークのある製品なんです。ところが、いろいろ調べてみたら、これは明らかに欠陥商品なんですね。風の強いところでは使ったらだめなんでしょう。五メートル以上の風が吹いたら逆流してきて、においが入り込む。だから、この温風ヒーターというのは四階以上にはつけられないわけですね。しかも、風の強くない南口に排気口をあけなければいかぬでしょう。それでいろいろ聞いてみたら、バーナーが金属製で、燃焼部分が焼けて変形するとか、あるいは、当然ファンを二つつければいいにかかわらず、取り口だけの空気を入れるファンだけで、排気するためのファンを使わないために、両方にファンをつけている部分は余りにおわないけれども、空気を取り入れる部分だけのファンのところは、出口がないためににおいが来る。そういう意味で、JISマークの製品でありながら欠陥商品的な苦情がある。これは一体どこに原因があるんですかね。そういう事実を把握しておられますでしょう。おたくにも何か再三この人は苦情で行ったが解決はしてくれなかった、こう言うのですが、それはどうですか。
  30. 小野眞魚

    ○小野説明員 ただいま御指摘のございました石一油温風暖房機でございますが、現在メーカーが十三社ございまして、そのうちどれが先生のところへ持ち込まれている案件か存じませんが、石油温風暖房機につきましてはJISが制定されておりまして、これで全品——全品と申しますか、全部の型式のものがそのJISのもとで検査されております。それで、検査の基準では、十五メートル以上の風が吹いた場合にはだめでございますが、十五メートル以内の風であれば、中へ排気が逆流しない、生ガスが逆流しないというような形で基準が定められておりますので、五メートルの風でもし中へ逆流してきたというようなことがございましたら、これは何か問題があるということではないかと思います。  それで、温風暖房機につきましていろいろな——やや複雑な機械でございますから、取りつけの段階とか、あるいは完全に室外、排気と室内とが遮断されておったか、そういったような問題も、使用状態によってはいろいろあろうかと思いますので、その辺、十分調査させていただきたいと思います。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 副総理、いまお聞きのように、通産省がJISマークで売った電気製品が——これは新しい製品ですよ。それが結果的に消費者からは苦情として持ち込まれる、調べてみたら欠陥なんですね。当然取り入れ口とそれから出す排気の方に扇風機がついておればそういうにおいはないのだけれども、取り口だけにつけておってこっちにつけておらない。両方つけておるのもある。実際に消費者のためのJIS規格ではなくて、何かメーカーのためのJIS規格というような感じになっておりますので、そういった意味で、経済企画庁が出しておる国民生活センターに商品テストセンターをつくるという構想は私は消費者サイドからとって正しいことだと思うのです。これはぜひ実現をしたいと思いますので、副総理のお考え方をひとつ。  それから、国民生活審議会の消費者保護部会で無過失賠償責任問題を含めて「消費者被害の救済について」という答申が出されました。これは法制上の問題がいろいろあるのだとは思うのですが、これについての御見解、この二つについて副総理の御見解を承って、終わります。
  32. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 第一の問題につきましては、これはよく相談をいたしておきます。  それから第二の、国民生活審議会の中間報告ですが、これは中間報告ではありますものの相当画期的な報告で、法律上も相当むずかしい改正を要するものも多々含んでおります。しかし、この中間報告でも言っているのですが、すぐできるものもある、それから検討を要するものもある、さらに専門的な検討を要するもの、三種類のものがこれに含まれておる。検討を要するべきもの、専門的な検討を要するべきもの、これは多少時間もかかりますが、直ちに実行し得るものもあるのだ、こういうことになっておりますので、これは傾向としては私は大変評価すべきものである、こういうふうに考えますので、そういう姿勢で取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 終わります。
  34. 板川正吾

    板川委員長 小林政子君。
  35. 小林政子

    ○小林(政)委員 副総理にお伺いをいたしますけれども、いまも松浦先生お取り上げになりましたが、国民生活審議会の消費者保護部会が中間報告を出され、またそれは大変画期的なことでもあり評価すべき内容のものであるということでございます。これはいろいろ複雑で大変な法改正の作業なども伴うものもございますでしょうし、それからすぐにでも実施できるものもあるということでございます。すぐ実施できるというようなものについて、この問題は非常に大きな波紋を呼んでおりますし、一刻も早くこの実施方というようなことの要望も私どもも聞いておりますが、大体いつごろをめどに具体化していくか、こういう点についての見通しも含めてお伺いをいたしたいと思います。
  36. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 この国民生活審議会の消費者保護部会の中間報告の内容につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、段取りがそれぞれの項目について示されております。早急に講ずべき事項として挙げられておりますものは、消費者の苦情処理についての企業の窓口等についての体制を整備するということ、それから地方公共団体や地方消費生活センター等の行政的苦情処理体制の整備拡充、そういうようなことが早急に講ずべき事項として掲げられておりまして、それについては私どもとしましても本格的にやってまいりたいと思っております。  それからそのほか、早急に検討する事項、司法的な検討を行う事項というようなことになっておりますが、早急に検討する事項ということになりますと、新しい行政紛争処理制度というようなものがございます。それから司法的な検討を行う事項としましては、クラスアクションとか少額裁判制度の改善、そういうようなものがあります。
  37. 小林政子

    ○小林(政)委員 苦情処理の窓口の設置という問題については、すでにいろいろと早急にこれも実施をしたいということですし、またそれはそれなりにやはり進めてもらう必要があると思いますけれども、他の法律といろいろな絡みのある問題もございます。しかし、これは漫然とむずかしいからといっていたずらに日時がかかるというようなことであってはならないわけですし、大体この問題については、他の省庁等とのいろいろと検討事項なども通じて、少なくともいつごろ実際に法改正も含めて消費者の期待にこたえる具体化を図っていくかという点についての副総理の見解をお伺いしておきたいと思います。
  38. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 中間報告を昨日いただいたばかりでございまして、私どもとしましては、この報告をよく検討いたしましてこれからの段取りを考えたいと思います。  いずれにいたしましてもこの報告の冒頭に指摘されておりますように、現行法の基本原則を大幅に修正するという必要のあるものもございますので、この報告を実現するためには相当な困難を伴うであろうが、実現を可及的速やかに図るようにということが言われておりますが、私どもといたしましても早急に内容を検討いたしまして、そして関係各省庁とも十分御連絡しながらこれからの段取りを考えたいと思います。現在の段階でいついつまでということについて申し上げることはできませんので御了承いただきたいと思います。
  39. 小林政子

    ○小林(政)委員 可及的速やかにということでございますけれども、副総理もそのように受けとめていらっしゃるのですか。
  40. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 欠陥商品問題は時の問題でありますので、中間報告でありますけれども、あの精神を尊重しましてできる限り努力したいと思います。
  41. 小林政子

    ○小林(政)委員 それできょうは、消費者問題として最近幾つかいろいろと苦情処理がふえてきているという実態の中で、悪質な訪問販売の問題でガス漏れ警報器の訪問販売についてですが、これは東京都の消費者センターの中でも取り上げられている問題でございます。  訪問販売法は公布は一応されておりますけれども、これは十二月近くにならなければ実際に適用されないということで、現状では非常に野放し状態であるというふうに言われております。このガス漏れ警報器の場合、東京都の消費者センターの調べでも五十一年上期四月から九月までで相当数の件数が持ち込まれています。しかもその販売の中での苦情というのは、いろいろな会社からの問題が出ておりますが、ガス漏れ検査に来ましたと言って、服装も東京瓦斯と全く同じような、素人が見たのでは一見わからないような服装で参りまして、ガス漏れ警報器を設置することが今回義務づけられているというようなことも言っておりますし、あるいはお隣近所でも皆さんにこれを取りつけていただいておりますだとか、あるいはアパートなどの場合には、管理人の方からもこれについてすでにもう話がついております。こういうことを言って家庭訪問をしてはガス漏れ警報器を設置していく。ところが、後で御近所の人に聞いてみると、そんなことなかった、管理人の人に聞いてみてもそういうことは私は初耳だということで、これは一杯引っかかったかなということでびっくりして、そして東京都の消費者センターなどに苦情がいろいろと持ち込まれ、しかも高いお金を払って購入したことについてだまされたというような、こういう詐欺行為にも近い問題が相当持ち込まれておりますけれども、こういった実態について通産省は把握しておりますか。
  42. 内田禎夫

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のございましたガス漏れ警報器につきましては、確かにしばしば苦情が出ていることは事実でございます。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 私どもの方の苦情処理の窓口でございます消費者相談室等にも時折そういう話がございますし、東京都その他地方の消費生活センターにもしばしばそういう問題が提起されているということを聞いております。  私ども御指摘のございましたように、訪問販売法の実は政省令をいま準備しておりまして、できるだけ十一月中には施行したいと考えておりまして、現在その最終的な準備を進めておるわけでございますけれども、訪問販売法の施行以前におきましても、訪問販売法の精神を体しまして業者の指導は積極的に行っておるわけでございます。  ただ、何分にもガス漏れ警報器等の販売につきましては非常に小さい業者が行っておるようでございまして、なかなかその指導と申しましても大きなところがやっているのと違いまして、実態をとらまえにくいという問題がございます。できるだけ実態を把握いたしましてその都度指導をしていくということでございますけれども、今後とも引き続きその線で努力をいたしたいと思っております。
  43. 小林政子

    ○小林(政)委員 これらの問題について消費者がそういった知識を持っていなかったからだまされたということで、いかにも法律でそういうものの取りつけが義務づけられてでもいるように思っているので、一々電話をかけて確認をしていろいろ調べてみればということなんかも話してみたことがありますけれども、そういうこともできず、ああそうですかというようなことで、ころっとだまされてしまう、後でもってそれに気がついた、こういう問題が相当苦情処理として来ておりますし、この規制などについて私は何らかの措置を——販売法で今回指定されるのかどうか、それらも含めて検討の対象になっているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  44. 内田禎夫

    ○内田説明員 ガス漏れ警報器につきましては、今回の訪問販売法の指定品目といたす線で検討しております。これは間違いなく指定されることになろうかと思っております。  ただ、先生がおっしゃいましたようないろいろ詐欺的な販売でございますけれども、これはいまの訪問販売法が施行されましても、消費者の方がよほど気をつけていただかないと、その辺を根絶するのはどうしてもむずかしいのではないかという感じがいたします。その辺につきましては、明らかに詐欺を構成するような問題が出てくるのであれば、どんどん私どもの方もその事実をつかみ次第、むしろ警察の方にお願いをしていろいろと取り締まっていただくという必要もあろうかと思います。  それから、それでもだめな場合にどうするかというのは、詐欺的な行為につきましては、訪問販売法のような販売規制というよりも、刑事的な面での手当てということになるかと思うのでございますけれども、何にも増して消費者の方にそういう詐欺的なものにかからないように十分PRをしていく必要があるのではないかと考えておりますので、消費者の方へのPR、普及啓発活動というのを一層一生懸命やってまいりたいと思っております。
  45. 小林政子

    ○小林(政)委員 こういった事態がいま頻発しておるというような状況の中で、これも訪問販売法の指定品目にされるということでございますので、次に入りたいと思います。  ここのところお米の値上がりの問題がこれまた相当目立ってあらわれてきております。政府は九月から、これまで続けてまいりました米の小売価格の指導を取り外したわけです。こういった中で、お米屋で売っております標準価格米あるいは上米、中米というのがございますけれども、そのほかに自主流通米がありますね。この自主流通米が最近非常に値上げの幅を大きくしている、あるいはまた、農林省あるいは食糧庁所管になっているお米についても標準価格米以上の上米とか中米などもやはり値上げの幅が相当高まっているというようなことが、これは食糧庁からいただいた数字を見ましてもはっきり出ているのです。その結果、九月からお米屋さんの店頭でお米の値段が相当上がっておりますけれども、食糧庁の調査課で調べた数字によりましても、上米で八月末に比べて三百円から高いところでは三百七十円くらい値上がりをしておりますし、あるいはまた北海道、東京、神奈川、大阪などでは十キロ当たり四千円を突破しているというところも出てきておりますけれども、また中米でも高いところでは三百八十円も値上がりをしている。あるいは東京とか神奈川あるいは愛知、大阪、兵庫などの大消費地などの場合には、これも十キロ当たり三百五十円を突破しているというような調査結果も出ておりますけれども、私は、この異常な値上がりについて具体的にいま農林省あるいは食糧庁はどのような行政指導といいますか、調査をされているのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  46. 二瓶博

    ○二瓶説明員 最初に先生から上中米について価格指導をやめたというようなお話でございますが、その面につきまして一言だけちょっと。  お米は主食でございますので、これは従来からも価格指導というのをやっておりますし、今後も価格指導は食糧庁としては十分やっていきたい。ただ、この九月一日政府の売り値を改定いたします際に、上中米につきまして、実は昨年の値上げのときなどは値上げ幅といいますか、許容し得る限度のような上限を上米であれば五百円とか、中米であれば四百五十円というように示したわけでございます。これをやめたということでございます。物価狂乱時に比較しまして大分物価の方も落ちつき基調にもなりましたし、どうもそういう上限を示しますと上値張りつきといいますか、というようなことで品質に応じた価格形成というものができにくいということもございますので、この九月一日の消費者米価改定の際にこのような上限を示すことをやめたということでございます。  その辺だけ一言まずお断りいたしまして、それから、確かに現在うちの調査課を通じまして全国約二千店舗につきまして小売販売価格の調査をいたしております。十月第一週の分につきましては、ただいま先生のお話がございましたように、自主流通米を原料といたします上米、これは七・九%くらい上がっております。県別にはただいま先生がおっしゃったような振れがございますが……。それから中米につきましては一〇・六%ほど上がっております。これは価格指導をやめたから上がっているというのではございませんで、政府の売り値の改定を九月一日平均一〇・二%やったわけでございます。  中米につきましては、大体政府の銘柄米を原料とした精米でございますので、政府の銘柄米は大体一二%ほど上げてございます。平均一〇・二でございます。そういうようなこともございまして、ある程度これは当然上がるであろう。この十月の第一週の段階ではまだ一〇・六%ということになっておりますが、大分天井に近づいてきているのではないかという感じはいたしております。  それから上米の方は、これは自主流通米を原料にいたします。現在自主流通米の方は五十年産の自主流通米、これは金倉などもかかりますから、コストが上がっております。  それから新米の方、五十一年産でございますね。これも原料にしているものと、両方が原料になって現在東京などでは精米にして販売されておると思います。全般的に見ますれば、九州とかあるいは北陸とか五十一年産の出回りの早いところの方が三百五十円とか相当大きくなっておる。東京などは、千葉とかあるいは北陸からも五十一年産も入ってまいります。それと、五十年産のものもございますので、その辺との兼ね合いで三百円ちょっとぐらいになっておるのではないかということで、まあそういう意味では上がってはおりますが、当然それは売り値も上げておりますし、コストもかかっておりますから、穏やかな上昇過程をたどっておるというふうに認識をいたしております。
  47. 小林政子

    ○小林(政)委員 その上限の張りつけをともかく取り除いたのだということですけれども、また今回の値上げは、それを取り除いたから上がったのではないということですが、私ども東京都の米穀小売商組合などでもいろいろな資料を出していただきまして、そして調べてみますと、四千二百円から四千三百円ぐらいに上がっておりますし、また、これは組合じゃなくて、ある小売店ですけれども、そういったところの話を聞いてみますと、やはり四千四百円ぐらいにしているというようなお店も出てきております。そうすると、一体米の価格というのは、それはもう自主的に幾らでも上げていいのだ、別にいままでのような上限を決めておりますというようなところはないのだから、それをもう取っ払ってしまったのだから、どこまで上がってもいいのだ、こういうことにもなりかねないわけです。お米は普通の商品と違って、これは主食であります。国民にとって、米価が上がれば、昔からすべての物価に影響すると言われるほど欠かせない重要なお米の問題については、これは野放しにしていくというようなことがあってはならないと私は思いますし、私どもがつかんだ実態の範囲内でも相当の凹凸がずっと出てきておりますので、これに対して具体的な行政指導を行うべきだというふうに思いますし、それからまた、どこまでをそれじゃ線を引いていままでの上限というものにかわる価格だと見ているのか、こういう点も明らかにしてもらいたいと思います。
  48. 二瓶博

    ○二瓶説明員 東京都の場合、十月第一週分は、平均的に言いまして、上米が四千百三円でございますが、ただいま先生のお話にございますように、これは調べました百店舗につきましての平均でございます。したがいまして、個々の店舗の個票を当たりますれば、四千四百円というのも確かに数件ございました。それで、私たちの方といたしましては、お米の方は幾ら上がってもいいのだという野放しの考え方はございません。やはりそれは適正な価格形成ということを期待いたしておるわけでございます。品質あるいは食味、そういうものに応じたそれなりの小売価格というものが形成されてしかるべきであるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、そういう調査の結果、極端に上がっておるというふうに見受けられる向きにつきましては、これは都なりあるいは食糧事務所等によりまして、なぜこう上げるのか、これは非常にいい銘柄のものをその原料に使っておるとかいろんな事情があろうかと思います、その辺の事情をよく聞きまして、なおかつ、どうもその辺の理屈が合わぬというようなところは個別に値下げを指導するということにしておるわけです。  ただ、その際に、それだったらどのくらいのめどなのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、東京都の場合なりあるいは青森県の場合なり、それぞれ県によって流通経費その他も違いますので、画一的にというのはいかがかと思っておりますし、その辺の腹づもりはそれぞれ都の方などで決めまして、その指導に行く者が胸に含んでそれで行く。これを、腹づもりはこうであるということを出しますと、そこまで役所は上げていいのだなというようなことになりますので、大体のそのめどをというお尋ねがございますが、これは勘弁させていただきたい、かように思います。
  49. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に副総理にお伺いをいたしたいと思いますけれども、お米の場合は、これは本当国民の主食でもありますし、このように店によって値上がりの幅もまちまちですし、ある店においては四千四百円あるいはさらにこれを超えるというような、こういう動きも出てきておりますけれども、ほかの物資と違ってお米の場合でもありますし、これについては政府が至急にやはり、いま調査もされているようですけれども、何らかの行政指導でこれを抑えていくというような措置をぜひひとつとるべきではないかというふうに思います。お答えをいただきたいと思います。
  50. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 自主流通米は、これは多少の値段のばらつきがあること、これは避けられないと思うのです。これが行き過ぎますと、これは主食のことでありますから重大問題だと思うのです。これは今後とも食糧庁に厳重にそういうことのないように督励してまいりたいと思います。
  51. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは、きょう文部省と総理府はお見えですか。  最近、ポルノ雑誌の週刊誌の自動販売機による販売が急速にふえてきております。新日本婦人の会がこの問題を調査いたしました。もちろん全国的な、くまなく調査ということではないようでございますけれども、その調査の結果を見ましても、ことしの六月現在で、東京都だけを例に挙げれば、六百二十六カ所設置されていたのだけれども、ところがこの十月に入りましてさらに再調査をいたしましたところ、その結果によってわかっただけでも千百七十七カ所、これは急速なふえ方でございます。東京での一つの婦人団体が、それも足で歩いて調査をしたというだけでもこれだけあるわけですから、日本全体ということになりますと、一体どのくらいあるのか、これについて調査をしたことがありますか。
  52. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 お答えいたします。  私ども調査したことは実はございませんが、自動販売機はこの五年ほどの間に全国的には三倍ぐらいの数になっているということを聞いておるのですけれども、私どもの得ております資料によりますと、いわゆる自動販売機というものが昭和五十年の十二月末の時点で全国で約二百八十万台、こういったものがあるようでございます。そのうちで新聞、雑誌関係の機械が、そのときには一万五千台弱、こういったものを了知しておるわけでございます。
  53. 小林政子

    ○小林(政)委員 先ほどの一婦人団体の調査資料によってもこの短期間に急速にふえているわけですけれども、しかも、この設置場所といいますか、そういうものが非常に学校の近くだとか、あるいはまた小中学生が簡単にこれにお金を入れて手に入るというような問題なども地域の中ではいろいろと問題になっております。中学生などもそれを学校の教室の中に持ち込んで回し読みというんですか、こういうこともしているというようなことも、学校当局からもこれは大変いろいろと教育上問題があるというようなことなども出てきておりますし、こういうことが青少年の非行化に与える影響という問題について、文部省、具体的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  54. 柴沼晉

    柴沼説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、自動販売機によって売られる週刊誌の中に、いかがわしいといいますか、不健全なものがあることは事実でございまして、私どもとしても、青少年の健全育成の上から大変憂慮しているわけでございますが、これにつきましては、先生御指摘のような設置場所の問題が内容の問題とともにあるわけでございまして、これにつきまして、総理府を初め関係の省庁、それからまた地方公共団体あるいはまたPTA等の民間団体、そういうところと協力して、相携えながら、こういうことが起きないようにしていきたい、そういうふうに考えております。  それからまた、私ども単にネガティブな意味だけではなくて、むしろ青少年がこういうポルノ雑誌等に魅力を感じるというようなことではなくて、そういうポルノ雑誌等に魅力を持たないような健全な青少年を育成していきたい。そういうような意味で、学校教育、社会教育がタイアップしまして、そして特に社会教育の面では、たとえば芸術劇場をやってみるとか、あるいはまた青少年団体活動を大いに促進していくとか、あるいはまた、とかく最近の青少年が連帯感に欠けるとか、孤独であるとか、そういうような御指摘もあるわけで、そういうような面で広く青少年がお互いに連帯感を持ったり、孤独に陥らないような施策というようなことを考えて、そういうような意味で、青少年の健全育成を図っていくことによって、こういうポルノ雑誌等の影響をできるだけなくしていきたい、そういうふうに考えております。ただ、具体的な設置場所やまた雑誌の内容等につきましては、これは私どもだけの問題でもございませんで、そういうような意味で関係省庁ともいろいろこれからも御相談申し上げたいと思っております。  それからまた、内容等につきましては、私ども単に規制するということではなくて、少し自粛をしてもらいたいという意味で出版界等ともいろいろだびたび協議をいたしまして、そういうことを要望している段階でございます。
  55. 小林政子

    ○小林(政)委員 文部省からいろいろと御答弁ございましたけれども、これがやはり新聞などを通じまして販売機を設置すれば大変大きな収入になるのですよという広告なども公に相当出されておりまして、聞いたところの話によりますと、一冊売れると百五十円の利益、大体月に十二万円くらいの収入になって、アルバイトとしては非常に有利なアルバイトだとか、あるいは軒先なんかに設置をする場合には、最初の三カ月は四千円で置かしてもらう、そうして三ヵ月過ぎるとそれをまた六千円にするとか、いろいろなことも話を聞いておりますし、むしろ設置の拡大ということを営利本位で相当宣伝もし、あるいは広告もされている、こういう話をいろいろと耳にいたしますけれども、このような実態について知っていらっしゃるのかどうか、総理府にお伺いをいたしたいと思います。
  56. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 御説明いたします。  いろいろ地域地域におきまして、この自動販売機の問題につきまして、それの設置する場所の確保の仕方、そこにおける管理の仕方というようなことについてのいろいろな地域における活動があることは承っております。
  57. 小林政子

    ○小林(政)委員 これに対して子供を持つ母親から、自主的に退廃文化から子供の生活環境を守っていきたい、こういうことで地域の中では相当自主的な活動が活発に盛り上がっておるわけでございますけれども、このような自主的な母親の運動や活動について文部省あるいは総理府はどのような見解を持っていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
  58. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 御説明いたします。  この領域につきましては私どもといたしましても、青少年対策の調整役といたしましてこれまで関係機関による取り締まりの徹底とそれからよいものを推奨する活動というものを並行して進めていただくとともに、地域住民の方々にその現状を国民的運動として把握、監視していただいて、そういったものを背景にして、環境を形成する出版など関係の業界に自粛を求め、その自主規制を促進するということが最も効果的というようなことを考えましてこれまで取り組んできたわけでございまして、さような地域における取り組みを期待しておるわけでございます。
  59. 柴沼晉

    柴沼説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生御指摘のとおり、本当にこういう問題というのは地域ぐるみでなければ解決しない問題だと思っております。そういうような意味で、現在も学校、警察あるいは社会教育関係者あるいは特にPTAの活動というのが非常に大きな意義を持つのじゃないか。そういうような意味で、地方公共団体、PTA、そういうものがタイアップしてやっていくように私どもとしてもいままでも指導してきておりますが、今後ともそういう指導といいますか、そういうPTAの方々の御協力をお願い申し上げたいと思っております。
  60. 小林政子

    ○小林(政)委員 この種の問題につきましては、私もこの弊害があるからといって、これを権力的に取り締まりの対象にするなどというような、こういうことについては私どもは反対でございますけれども、しかし、自主的な運動が起きていることもまた事、実でもございますので、これを本当に、先ほど文部省も言われましたけれども、青少年の健全な文化あるいはよいものに子供たちを触れさせていくというようなこういう不断の努力が非常に大切になってきている。また、国民全体としてもそういう世論を喚起していくということがきわめて大事であるということは、これは言うまでもないと思うのです。したがって、そのためにはより健全ないろいろな子供たちにふさわしいそういった、たとえば先ほど芸術劇場というようなお話もございましたし、子供劇場というようなお話も出ておりましたけれども、フィルムライブラリーなどもっとそういうものが子供たちに身近に触れることのできるような、そういう点で積極的に文部省なりあるいは関係省庁が援助し、助成もしていくというようなことが非常に重要ではないかというふうに思いますけれども、この点について御意見を伺いたいと思います。
  61. 五十嵐康

    ○五十嵐説明員 私ども青少年対策の調整の役目を持つ者といたしまして健全育成についてそれを伸長することが最も大事であるということで、関係省庁と連絡をとってその施策を強力に進めてまいりましたし、これからも進めてまいりたい、かように考えております。
  62. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に副総理にお伺いをいたしたいと思いますけれども、この問題は自主的な運動が相当地域でも活発に起きておりますし、ただいま各省庁からも具体的な答弁をいただいたわけですけれども、この運動をもっと自主的に大きく発展をさしていくということが非常に大事だろうというふうに思っております。それについては、いま文部省からもあるいは総理府からもお答えが先ほど来あったわけですけれども、もっと子供の生活環境を本当に保障していく、そして子供の成長過程にふさわしい、いろいろ公民館などに備えてあるフィルムライブラリーなんかももっと国が予算を出して援助をしていくというようなことが非常に大事だと思いますけれども、この点についての見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまポルノの問題等に関連しまして大変貴重な御意見を承りましたが、まことにごもっともだと思いますので、そのような方向で善処いたします。
  64. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員長代理 続いて有島重武君。
  66. 有島重武

    有島委員 次期自由民主党の総裁候補といいますか、と目されていらっしゃる福田総理政治姿勢については、国民が大変関心を持っております。また先ほど御自身からも福田赳夫研究を進めてもらいたいというようなお話がございましたけれども、大変素朴な疑問なんですけれども、幾つか伺っておきたい。  第一番に、ロッキード問題の解決、徹底究明というふうに言われておりますけれども、三木総理については、当初おっしゃっていたのからは大変後退しておるというふうに世間では見ております。福田総理はどういうふうに見ていらっしゃるか。それから、今後福田さんとしては、三木さんとはまた違う態度であるというようなことがおありになるのかどうか、その辺を、大変素朴な話なんだけれども、簡単に承りたい。
  67. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 先ほども申し上げたんですが、この問題には、事件としての解明の問題と、それからまた同時に、私はそれより一歩進んで、その事件を起こしました根源、背景というものをえぐり出す、こういう問題があると思うのです。それでないと本当のこの問題の解決にはならぬ、こういうふうに思っております。  事件処理についての考え方については、これは大体三木さんと私そう考え方は違わないと思うのです。しかし、私はさらに一歩進んで、もう第二、第三、第四のロッキード問題を起こしてはいかぬ。この事件を起こした根源、背景、根っこ、これのえぐり出しをしなければならぬ。それには自由民主党というものが非常に大事な立場にある。とにかく自由民主党がこれに関連して起こったような事件でありますので、自由民主党の反省、それから反省に基づく改革、こういうことが大変大事だ、こういうふうに思っておりまして、その辺につきましては私はだれよりも熱心にこれを進めていきたい、こういうふうに考えています。
  68. 有島重武

    有島委員 時間も制限がございますので、どんどん先に行きますけれども、不公正の是正ということについてまず第一番はインフレだというような御意見、これはごもっともでございますけれども、租税特別措置法によって大企業、大資本というものが非常に優遇されておる、こういったことが国民全般的にいま言われて、認識が深まったといいますか、言われておる。これは大蔵省の発表なんかですと、このための財政欠損というものは年間五千億以上になっておる。また、ある調査ですと、これは二兆五千億にもなっておるというふうに言われております。副総理、これはたびたび言われていることなんだけれども、租税特別措置法について大英断を加えていくようなお考えがおありになるかどうか、いかがでしょうか。
  69. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 租税特別措置につきましては、これを逐次是正する、こういう方向で施策を進めておるのでありますが、その中で非常に大きな減収額になりますのは貯蓄の関係なんです。これ、貯蓄ということはまた一方において非常に大事なことであり、特別措置がまたそれに対してとられておりまして、これがまた社会に定着をしている、こういうようなことで、なかなか一挙にということがむずかしいのですが、特別措置を整理して、そして一般原則だけでやっていくという仕組み、これはどうしても実現しなければならぬ目標でございまするから、逐次現実的にこれを処理していきたい、こういうふうな考えでございます。
  70. 有島重武

    有島委員 従来とも原則的にはそのように言われておったと思うんですけれども、それが非常に形式的に遅々として進んでいかない。なお不公正ということについて批判があるようですから、いままでと違って一つの大きな決断をもって臨んでいただけるかどうか、そういった点を聞いているわけなんですけれども、どうですか。
  71. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今後とも不公正是正、特例措置の廃止という方向で鋭意やっていくべきだ、こういうふうに考えております。
  72. 有島重武

    有島委員 それから、財政難ということに伴って福祉後回しというようなことが大蔵当局からは聞こえてくる。私どもは従来の福祉はどちらかというと、平たい言葉というか悪い言葉で言えば、多少貧民救済的なところがあったように思うんですけれども、そういうことでなしに、私たちは憲法第二十五条に基づいて国民に最低限の生活を確保していく、その内容が福祉につながるものであるというような認識を持っているわけです。従来の福祉の考え方を転換していただく御用意があるかどうか、やはり財政のためには福祉は少々後回し、受益者負担の原理でいかなければならないというふうに押し流されてしまわれるのか、これも非常に国民の関心の集まるところであろうと思うんですけれども、これは議論をうんとしないとわからないのだけれども、一言で簡単にお答えをいただいておきたいと思います。
  73. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政治は福祉社会の建設を目指すべきものだ、こういうふうに思いますが、その福祉はただ単に社会保障的な施策、こういう狭い意味であってはならないと思うんです。やはり生活環境を整える。いま衣食住と言いますけれども、住宅問題なんというのは非常に立ちおくれである。また住宅をめぐる生活環境も立ちおくれておる。そういうようなわれわれの生活が全体として安定するということをにらんで、そのための一つ一つの施策が均衡をとれて進められるというようなことが、私は重要視されなければならぬだろう、こういうふうに考えています。
  74. 有島重武

    有島委員 住宅を初め、生活全般の安定ということが福祉の基本的な精神といいますか、問題であるというふうに御認識である。私どもは従来憲法二十五条というものは政府の方ではこれは努力目標であると言われておった。しかし、もっと現実的に、最低限の生活とはどういったものが一体最低限なのか。たとえば住宅についてはどうなのか、あるいは公共扶助というようなものについてはどうなのか、あるいは労働条件についてはどうなのかというようなミニマム設定ということが、これが現実的になければ、これはただ空念仏に終わってしまうのではないかというふうに思いまして、一つの指標を提出して御批判を受けたい、そういうふうにしたわけでありますけれども、今後福田さんとしてはそうした福祉ミニマムといいますか、そういったものを具体的にお示しになっていくというようなお考え、御用意がおありになるかどうか、いかがですか。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今度、公明党で中期計画を策定されまして、私もそれを見せてもらい、またしさいに検討もさしておるのですが、大変御労作であるというので敬意を表しておるのです。その中で生活ミニマム問題も提起されておるわけでありますが、これは私は、ミニマムと言うけれども、固定しているものじゃないと思うのです。社会経済の情勢が動く、また経済が発展をする、それに伴いまして最低限というものは上がっていく、そういうことだろうと思うのです。これは一律に食事はどういうことでなければならぬ、それから着物はどういうふうなものでなければならぬ、住宅はどういうふうなものでなければならぬといって、これを実現するんだというようなことをしますと、これまたなかなかそういうことを設定すること自体がむずかしいし、それを実現するというようなことにつきましても、経済の伸び縮みがありまするからそうそのとおりにいくかどうかもわかりませんから、なかなかこれは、ミニマムを設定して、これをいつ幾日までに実現するのだというとなかなかむずかしい諸問題が起こると思いまするけれども、しかし、いろいろ具体的な問題につきましては、生活保護基準をだんだん上げていく問題でありますとか、あるいは課税最低限をだんだん上げていくんだとか、住宅をどういうふうにだんだん水準を上げていくんだとか、その一つ一つの重要な問題につきましてはそれは目標を持つべきだ、こういうふうに思いまするけれども、全体として着物の水準はどうだ、くつの水準はどうだまで、こうつくっていくということはなかなかむずかしいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  76. 有島重武

    有島委員 そうすると、余り細部にわたってのミニマム設定、これは私たちも別に、そんなに着物のスタイルまで決めているわけじゃございませんけれども、そういったことは配慮しつつ、だけれどもミニマム設定ということについては積極的に取り組んでいくというふうに伺ってもよろしゅうございますか。
  77. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 全体の考え方といたしましては、これは私は憲法の言うとおり、文化的な生活水準というものの達成に努力しなければならぬということでございまするけれども、その事細かな水準がどうであるかというところまでなかなかこれは設定もむずかしいし、設定いたしましてもそのように動くかどうか、これもむずかしいことでありますので、まあ、生活のかなめ、かなめの問題につきましては、たとえば住宅につきましてはだんだんと一つ目標を立てて推進をいたしますとか、あるいは所得水準は大体どこだ、これに達しない人に対しましては国家がこれに対して補助をするとか、そういういろんな角度についてはその考え方を具体化すべきじゃないか、そういうふうに考えております。
  78. 有島重武

    有島委員 次にいきます。  独占禁止法の改正については、これは今後日本の国が従来のような大資本大企業擁護というような姿の自由主義でいくのか、あるいはさまざまな規模の企業一つの競争条件を保っていくのか、そして、かつ外国に対しても強い体質を持ち得るかどうかというような問題が含まれている大切なことでございますけれども、この独占禁止法の改正、三木さんはこれを公約に掲げてなさったけれども、ついにわれわれとしては非常に不十分である。これを大幅にひとつもう一ぺん大きく検討をし直していくというような姿勢を示されるかどうか、いかがですか。
  79. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 この問題は、あれだけのいきさつを経た問題でありますので、私は過大公約はいたしかねます。まあ適正公約、その辺でとどめたいと思うのですが、つまり一昨年の通常国会で、あの経過を経て、あれが廃案になっちゃったんですからね。その廃案になった背景は何だというと、やはり政府が提案をしているもとの自由民主党、与党の中でこれに対して反対があった、こういうことでございます。したがって、その後、あのいわゆる五党修正案、与党も入っての修正案でありましたが、それが廃案になった、あれを基本とはしながらも、あの五党修正案に対しまして若干の修正を加えまして、これを御提案を申し上げたわけなんでありますが、あの線はぜひひとつ実現をいたしたい、こういうふうに考えております。
  80. 有島重武

    有島委員 大体国民全般からは、じゃあ福田さんは今度総理におなりになっても、この点については非常に消極的でいらっしゃるというような印象を受けざるを得ないと思いますね。  それから、所得減税のことはこの前もいたしまして、先ほどお話がございましたから、これは省略いたします。  それから、国民生活センターの問題、私はこれは時間があったらと思っておりましたけれども、特に苦情処理の問題については、私どもが消費者保護基本法をつくるときから非常に執念を持って推進してきたわけでございますが、この苦情処理が円滑に行われるためには、やはり全国各地でまたいろいろな窓口ができて、それの連携ができていかなければならない、その連絡、中心が必要である、それが国民生活センターというふうな図式でもって考えていたのですが、それがほぼ進められつつあるというふうに評価しているわけです。これをぜひとも後退させないでいただきたい、これは言いっ放しみたいになりますが……。  非常に細かい話なんですけれども、電話のやりとりも非常に多いわけです。それで、独自の研究といいますか検査もやらなければならない、これもやっていただきたいわけですけれども、それは減らさないでもらいたい。それから、電話のやりとりをやっている部屋なんか経済企画庁長官として御視察になったかどうか知りませんけれども、非常に狭い部屋で、かたい床の上で幾つもの電話が同時に鳴り響くというような現状になっております。あそこは大衆との一番の接点あるいは地方の窓口からの接点になる大切なところだと思いますので、そういったところの環境をよくするということがずいぶん響くと思うのですね。たとえばじゅうたんをちゃんと敷いてあげるとか、電話と電話の間にはちゃんと図書館の机のように枠をつけてあげるとか、そんなような非常に細かいことですけれども、それを進めていくんだという、そういった姿勢をひとつ示していただきたい。これはお願いです。  それから、いろいろあるのだけれども、この前ちょっと触れまして、これも時間がなくて、きょうも時間がない。ネズミ講の問題でございますけれども、これについてはこの前宿題のように申し上げておいたわけですけれども、何か措置をおとりになったか、おとりになる用意がおありになるか、ちょっと承りたいのであります。
  81. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国民生活センターにつきましては、御注意承りましたが、なお実情を調査いたしまして、これがお役に立つようにいたしたいと思います。  また、ネズミ講につきましては、これは渡部さんからずっと前御指摘があったわけです。そういう際に私から、これは行政上対処する道があれば速やかに対処するし、また法制的にも検討するということをお約束をしておるのです。行政的にはずいぶん努力をいたしまして、一時あれが鎮静化いたしたわけであります。ところが、最近またそういう問題が社会問題化しつつあるというので、つい先般省庁連絡会議をつくりまして、法制化できるかどうかという相談を始めておる。これはしばしば会同をいたしまして鋭意やっておりますので、そのうちに結論を出し、そして大衆に御迷惑をかけない、こういうふうにぜひいたしたい、かように考えます。
  82. 有島重武

    有島委員 それでは、住宅の問題を時間の許す限り質問させていただきます。  昨年宅地開発公団が発足して、当時は三大都市圏で庭つきマイホーム用の宅地を格安に大量に供給する、それで三・三平米が十万円である、そういったふれ込みでなさった。当時から、こんなことができるのかどうかと批判が多かったわけです。だけれども、その当時の宣伝のようにはいかないらしいということが最近明らかになってきておる。これは一体どうなさるのか、幾つか質問を用意してきたのですけれども、ちょっと時間がないので、これはだから、当初の看板をちゃんと塗りかえて、済みませんでしたと、そういうわけにはいかないから、今後こうこうこのようになりますというようなことを、出直しをなさるという御用意があるのかどうか、大ざっぱにそれだけ承っておきます。
  83. 北川博正

    北川参考人 お答えいたします。  たしか、宅地開発公団が発足する前から、宅地公団をつくるに当たっては、庶民に安い土地を提供するんだ、それが大きな目標であるということで設立され、坪十万円というお話が出たと思います。確かに坪十万円ということは、われわれとしても努力目標としてここに近づけたいと思っておりますし、そういう努力は常にいたしたいと思いますが、現在、実は龍ヶ崎地区というのをやっております。これで坪十万円でできるかということになりますと、あるいは十万円を超すかもしれないという危惧がございます。  そういう意味で、実は来年度予算要求でも、私たち考えますと、いろいろな補助制度を取り入れてもらいたい、区画整理事業についても補助していただきたい。それから、金利がわりあい高いものですから、八分五厘でわれわれは財投から借りていますが、八分五厘といいますと八年で倍になってしまうというような形でございますが、そういう金利負担を薄めてもらいたい。あるいは、できるだけ土地区画整理事業においては用地をどんどん買っていきたい。龍ヶ崎などでは三〇%しか買っておりません。そのために公共公益施設のためにどんどん土地がとられてしまう。これでは困るということで、できるだけさらに追加買収をするということで地価を薄めていく、あるいは設計をできるだけ合理化する、そしてそういう努力をする。たとえばため池を一〇%つくるなんということになりますと大変な量でございますが、こういうものを合理的に、あるいは多目的に利用するとか、いろいろな知恵を働かしながら、できるだけ十万円に近い価格で提供したい、こう考えておるわけでございます。
  84. 有島重武

    有島委員 副総理、これはもう少し議論をいろいろ詰めてから伺いたかったのだけれども、さっきも住宅の話が出ておりました。それで、住宅を確保する、これは国民の大部分の夢でございます。願いです。それが、そういった夢を持たせながら、実は公団はやっぱりお役人さんの天下りの場所を一つつくったにすぎないじゃないかというような、これはまた大変な不信感を買うという、大変まずいことだと思うのですね。今後のこともある。副総理として、これはどういうふうにしていってくださるか、ひとつこれを本当に生かすようにしていただきたいと思うのですけれども、いかがですか、一言で言っていただきたい。
  85. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 住宅問題は、われわれの生活で残された最後の問題になっておるわけでありまして、そこで住宅問題を進めるにはどうするかというと、やはり土地問題ですね、そこに問題があるわけなんです。  そこで、政府も介入いたしまして土地の造成を積極的にやりたい、こういうので宅地開発公団を新設したのですが、あれを新設する当時はいろいろなもくろみがあったのです。あったのですが、そのもくろみどおりになかなかいかぬ、御指摘のとおりでありますが、非常に重要な土地問題、宅地問題でありますので、いろいろ工夫をいたしまして、ひとつその所期の効果をおさめるというふうに努力したいと思います。
  86. 有島重武

    有島委員 もう一つ。今度は、自分の家を持ちたいというのが世帯の八一・五%、将来自分のうちを持ちたい、そう言っております。そこで、これに対してのいろいろな補助をしなければならぬということがあるわけですけれども、特に東京都内なんかで、耐火構造にしないと何か災害があったときには大変なことになる。で、耐火構造にするために、小さな低い木造家屋であったのが今度は立体的に空間を使っていくというような、再開発なんかと絡まっているわけですけれども、これについて、従来も地方公共団体などでいろいろな配慮をしておりましたけれども、とてもそんなことでは間に合わない。それで、これはやはり特別な処置を検討する必要があるのではないか。特に、人口が集中している、しかも災害に弱いと言われている墨田区のようなところでは非常に緊急の問題になっているわけですけれども、ひとっこうした配慮を検討なさる御用意がないかどうか、これを最後に一言承って終わります。
  87. 京須実

    京須説明員 先生お話しのとおり、大都市におきましては特に住宅は不燃構造であることがベターでございます。問題でございますのは、一戸の住宅を不燃構造にいたしますと、やはり日照の問題あるいは近隣との調整の問題、いろいろ問題がございますので、なるべく共同化いたしまして不燃構造にお願いしたい、これらのことを基本考えているわけでございます。  その観点から、ただいま住宅金融公庫はいろいろ持ち家の融資をやっておりますが、木造の場合でございますと、東京地区で最高四百五十万円の融資を十八年間、金利五分五厘でやっておりますが、耐火になりますと最高五百万円になりまして、これを、五分五厘ではございますが、三十五年間という長期にいたします。そうすると各年ごとの負担は非常に下がってまいるわけでございますが、さらに共同化した場合でございますと、現在金融公庫の融資は抽せん制になっておりますが、無抽せんでお貸しできる、そのようなことを考えまして、極力不燃構造、共同化いたしました持ち家をお持ち願うようにと、そういうことを推進いたしております。
  88. 有島重武

    有島委員 副総理、いろいろ工夫をしていてくださることはあるのですけれども、大体坪四十万ぐらいはかかるわけですね。すると、五百万円というような数字が出ておりましたけれども、本当にスズメの涙みたいなことになるわけですよ。これはもう一遍検討し直していただきたい、促進するようにですね。そういったことをお願いしたいわけです。一言お答えいただいて、終わります。
  89. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私も住宅推進論者でございまして、国民の住宅問題をどういうふうに解決するか、これは日夜私も腐心をいたしておるのです。御意見のほども十分承りましたので、なお努力を曲加いたしてまいりたい、かように存じます。
  90. 有島重武

    有島委員 終わります。
  91. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会