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杉山政府委員 ただいまお
手元に配られました
資料につきまして御
説明申し上げます。
この紙は
農林省の
災害対策の概要を取りまとめたものでございます。右肩にありますように十月十五日現在ということになっております。
前書きにありますように、
農林省といたしましては八月以来、北日本の
冷害それから西日本の水害に対して各般の
対策を検討してまいったところでございます。現在までにとった
措置それから今後
措置したいと考えている
事項を整理してみますとこの表のようなことになるということでございます。もちろんこれらの
措置の中に、今後
関係省等と
調整を必要とする点が多々ございますが、
農林省といたしましては、これをぜひ実現したいというふうに考えておるわけでございます。
項目ごとに申し上げます。
冷害被害に関する
対策検討事項、一から十五までございます。
まず、一の
天災融資法の
発動でございます。
説明のところをごらんいただきますと、十一月中
発動ということになっております。形式的には
被害額あるいは
融資所要額が確認されなければ
発動できないわけでございますが、今回の
冷害被害はきわめて大きく、現在の
段階で当然
天災融資法、
激甚災害法の
基準に該当する
被害額だというふうに考えておりますので、私
どもは現在時点において
発動することを表明しておるわけでございます。
手続的に申し上げますと、十月十五日現在の作況が十一月の二日に発表になります。その際、
被害の
調査結果も取りまとめることといたしておりますので、その結果に基づきして手続を進めるということにいたしおるわけでございます。十一月中ということで
発動を予定しております。これと同時に二番目の
激甚災害法の
発動もいたすということにいたしております。
それから三番目に、
自作農維持資金の
融資枠の
確保でございます。
天災融資法によりまして
経営資金は融通されますが、それだけでは不十分である、
農地等も手放さなければならないような
事態の生ずる
農家もあり得るということで、
自作農維持資金についての
融資も考える。その際、当然
既存の枠では足りなくなりますので、全体としての
融資枠を
確保するということと同時に、
連年災等をこうむっております
借り入れ農家、これにつきましてはすでに
限度額いっぱいあるいはそれに近く借り入れているという
向きもございますので、そういうものに対しては、原則として
一般に
限度額百万円ということになっておりますが、これを
引き上げることを検討するということにいたしております。
それから四番目に、
既存借入金の
条件緩和及び
応急つなぎ融資の
関係でございます。これは
公庫資金、
近代化資金等々、
改良資金もございますが、これらについて、
償還期限等について
条件緩和を図る。それから、
各種の
制度上の
融資手当ては、どうしても若干の時日を要するということになりますので、それまでの間待てないという緊急を要する
向きに対しては、
応急つなぎ融資が必要になってまいります。そのために
措置をとる。すでにこのことにつきましては、右側にありますように
農林経済局長あるいは
農蚕園芸局長名をもって、十月五日、十月七日、それぞれ
関係機関に通達いたしてございます。
関係機関としては
融資機関それから道、
県農業団体等でございます。なお、
つなぎ融資の件に関しましては、道、県に対し
十分指導を行うとともに、できる限り援助をするようにということを要請いたしております。
それから五番目に、
共済金の
早期支払いでございます。これは
農家に必ず年内に
共済金が届くように本
払いをするということにいたしております。それだけでなく、必要に応じ
単位組合から個々の
農家に対する
共済金の
仮渡し、それから国から
共済連に対する再
保険金の
概算払いを行うということにいたしております。すでに一部の県においては、
共済金の
仮渡しが行われておる
状況でございます。
六番目に、
損害評価の
特例措置でございます。これは減収の見方についてできるだけ実情を反映させるという考え方に基づきまして、ふるいの上に残ったものでも
被害粒として
実質収量に相当しな
いものについてはこれを控除するというような
損害評価の
特例措置を講ずることにいたしております。
七番目に、
損害評価の
事務費でございます。
被害が大きく、
対象の件数も多
いものですから、
評価の
事務量がきわめて
増加いたします。その
事務費についてめんどうを見てもらいたいという
要望がいろいろあるわけでございます。そこで私
どもといたしましては、その
事務費の
増加部分については、まず国の
保留分、これはそれほど大きくございませんが、その残額を
事務量のふえた
状況に応じまして各県に追加配分する。それから二番目に、各
共済団体等が
特別積立金を積み立てております。それの
使用について、
通常は
使用規制をかけているわけでございますが、これを緩和し、
事務費に充ててよろしいということにいたしております。近年、事故が少なかった
関係で、各
共済団体等の
積立金はかなり多額に上っております。総額では
共済連、共済組合合計いたしますと約百八十億円以上になる
状況でございます。
八番目に、
被災地帯の
雇用確保、いわゆる
救農土木事業でございます。これは、地元における
農家の
現金収入の機会を
確保するためこの
事業をやるということにいたしております。もちろん、県なり
市町村なり、すでに
単独事業で計画しているところもございますが、ここで掲げておりますのは、
補助事業として国がその
事業を実施するということでございます。
事業の内容としては、
労務費比率の高い
土地改良、治山、林道、造林、これら
小規模事業を実施するということにいたしております。
それから九番目に、
規格外玄米の
買い入れ措置でございます。これは二つに分けまして、まず
食糧として
配給可能な
米穀につきましては、まず第一に、それが有利な
価格で売れるものはできるだけそうしていただくということで、
自主流通米として売れるものは
自主流通米として
販売していただく。そして売れな
いもの、残ったものは
政府が買い入れる。これはどんなちょっぴりした
災害のところもというわけではなくて、
災害による
被害のある
基準に達した著しい県ということを
対象に考えているわけでございます。
それから、
主食に適しな
いものが円滑に
販売されるよう
関係団体を
指導。まあ
主食に適しな
いものも相当量出回るということになれば、
取引関係におきまして
生産者側が不利となるような
事態も考えられます。そういうようなことにならないよう、
取引団体、
実需者と
生産者団体の間を
指導するということを
政府としては考えているわけでございます。
なお、ちょっとここでお断りしておきたいのですが、上の方、九のところで「
食糧として
配給可能な
米穀につき」とありますが、これは
食糧一般という意味ではなくて、むしろ
主食として
配給に適するというのが正しい表現でございます。そこを補足させていただきます。
それから、これにつきましては三枚目に別紙がございますので、これをごらんいただきます。
北海道、
東北、特に
北海道において、時期的に非常に急がれました
関係がありましたものですから、事務的な詰めをやったのでございます。これを読みますと、「
冷害による
規格外玄米の
政府買入れについて」「
北海道、
東北地方についての
政府買入れのための
特例規格及び買入
価格は十月中に
決定する。」これは、正式には十月中に決めるということで、これでもかなり急いでいるわけでございますが、それでも、現実に米が出てくるのに間に合わない、
規格が決まらないというと持っていけないから、
自分の家あるいは庭先に積むということになる、それでは困るというお話がございます。そこで、そういう実際の出荷に
支障を来さないよう、それが円滑に行われるようにするため、「
規格については情況に応じ
内定の
段階において
関係方面に事前に連絡する。」ということで、
農家なり団体なり、あるいは
国側の
検査事務に
支障のないように、
規格の
内定した
段階においてそれぞれ実務上の連絡をするということにいたしております。
それから次に、もとの表へ返りまして、十番目、
予約概算金の
利子の
減免等でございます。
被害のはなはだしい
地域の
激甚被害者についてはその
利子を
減免する。これは現在
制度上そういう仕組みが設けられておりますので、それに基づきまして
利子の
減免を図る。それから
概算金そのものの返納の時期の延期、いわゆる
延納についても
要望があるわけでございますが、これは率直に申し上げまして、資金繰り全体の中で、
共済金を支払うとか
各種の
融資措置を図るとかいうことの中で
措置する。これはやはり法律的な性格からして、できるだけ時期までにお返しいただくということを考えているわけでございますが、ただ、よくよくの場合、どうしてもそれができないというようなこともあり得るかと思います。そういう場合は、
生産者にかわって
集荷業者、農協とか
商人系の
集荷業者が
代位弁済するということになっております。その
代位弁済の
制度を活用するということを考えておるわけでございます。
それから次に、十一番目に
自家飲米の
確保。
収穫皆無等で、
自分の家で食べる米もなくなるという
農家もございます。そういう
向きに対しては、まず第一に
政府米の
配給、これは
通常の
主食配給でございますが、これを行う。それから
災害を受けた
程度の著しい
農家に対しましては、知事から
市町村長を通じて直売する
制度もございます。それにつきましては代金の
延納が図られる。この
利子については無
利子ということになっております。これも行うということにいたしております。
それから十二番目に、次季作用種子の
確保。水稲の種子の
確保について
指導する。今回の
災害は非常に規模が大きい。したがって、種もみの
確保も県内だけではいかにやりくりしても調達が困難という場合も出てまいります。出てまいるというより、かなり多いかとも思われます。そこで、特にそういう県間の
調整につきましては、国が積極的に乗り出す必要があるということで、現在、すでに事務的に
調査、
指導に入っておるところでございます。それから、その際の水稲の種子の購入費、これについても助成を考える。これは実は前例もあります。まだ
対象数量は確定しておりませんが、それが確定次第、前例を参考にして実現したいというふうに考えております。
それから十三番目に、飼料の
確保でございます。一としまして、粗飼料の
地域間
需給調整。粗飼料二番草、三番草がとれない、越冬飼料の手当てができないというような
向きもありますし、
地域によっては若干出す余力あるところもある。そういう
地域間の
調整を図るということを第一に考え、さらに、どうしても手当てが必要であるという
向きに対しては、
政府手持ちの飼料用の大麦を
払い下げるということも考えておるわけでございます。
それから十四番目に防除に対する
措置。本年は早い時期から防除が各地ともかなり手厚く行われております。そのため
各種の経費がかかっておりますが、道県等でその防除について
指導経費がよけいにかかったという分につきましては、既定予算を重点配分するということで対応したいと考えております。
それから十五番目に、試験研究の充実、技術
指導の徹底。これは、ことしの
対策ももちろんありますが、それよりはむしろ今後の恒久策としての性格を持つ面が大きゅうございます。事例的に四つほど項目を並べておりますが、
冷害に関する緊急
調査の実施、異常気象対応技術の確立に関する総合研究の実施、耐冷性品種の育成等、技術
指導の徹底、このように考えております。
なお、二枚目に台風十七号
災害に関する
対策検討事項、これがお示ししてございます。施設
災害の方については上の三段まで掲げてございます。三段目の真ん中から下は
冷害の場合とほとんど同じ、農産物
被害に対する
対策でございます。
説明は省略いたしますが、お目通しいただければ幸いと存じます。
以上で、
資料の
説明を終わります。