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1976-10-20 第78回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 菅波  茂君    理事 浜田 幸一君 理事 角屋堅次郎君    理事 中川利三郎君       足立 篤郎君    金子 岩三君       森下 元晴君    竹内  猛君       芳賀  貢君    美濃 政市君      米内山義一郎君    荒木  宏君       諫山  博君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君       西岡 武夫君  出席国務大臣         農 林 大 臣 大石 武一君  出席政府委員         農林大臣官房長 森  整治君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         厚生省医務局総         務課長     此村 友一君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   宮野 美宏君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   諫山  博君     多田 光雄君   西岡 武夫君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     諫山  博君   河野 洋平君     西岡 武夫君 同月十八日  辞任         補欠選任   諫山  博君     村上  弘君 同月十九日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     愛野興一郎君 同月二十日  辞任         補欠選任   津川 武一君     諫山  博君   村上  弘君     荒木  宏君   西岡 武夫君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     村上  弘君   諫山  博君     津川 武一君   小林 正巳君     西岡 武夫君     ――――――――――――― 十月十八日  外麦輸入削減に関する請願外十六件(園田直  君紹介)(第五四〇号)  同(石田博英紹介)(第五四一号)  同(笹山茂太郎紹介)(第五四二号)  同(佐々木義武紹介)(第五四三号)  同外二十二件(吉永治市君紹介)(第五四四  号)  同(小山省二紹介)(第五七七号)  同(佐藤敬治紹介)(第五七八号)  同外二十四件(坂田道太紹介)(第五七九  号)  同外十九件(野田毅紹介)(第五九三号)  同外二十四件(村岡兼造君紹介)(第五九四  号)  同外十九件(根本龍太郎紹介)(第六〇二  号)  同外十七件(福永一臣紹介)(第六〇三号)  同外十九件(松野頼三君紹介)(第六〇四号)  同(木村武雄紹介)(第六〇六号)  同外六件(黒金泰美紹介)(第六一六号)  同(松野幸泰紹介)(第六一七号)  同(小沢一郎紹介)(第六三四号)  同(川俣健二郎紹介)(第六三五号)  同(椎名悦三郎紹介)(第六三六号)  同(中曽根康弘紹介)(第六三七号)  同外二件(中村弘海紹介)(第六三八号)  同(野原正勝紹介)(第六三九号)  同(平林剛紹介)(第六四〇号)  同(井原岸高紹介)(第六六六号)  同(坂村吉正紹介)(第六六七号)  同(鈴木善幸紹介)(第六六八号)  同外一件(中澤茂一紹介)(第六六九号)  同(長谷川四郎紹介)(第六七〇号)  同(長谷川峻紹介)(第六七一号)  同外三十件(日野吉夫紹介)(第六七二号)  同外十七件(松澤雄藏紹介)(第六七三号)  同(三池信紹介)(第六七四号)  同(山口鶴男紹介)(第六七五号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第六七六号)  米の政府買い入れ制限撤廃及び外麦輸入削減  に関する請願外十一件(米田東吾紹介)(第  五四五号)  同外十三件(小林進紹介)(第五八〇号)  同(三宅正一紹介)(第五八一号)  同外四件(阿部助哉君紹介)(第六四三号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(加藤  清政君紹介)(第五四六号)  農林業者経営及び生活安定に関する請願(寺  前巖君紹介)(第五四八号)  同(寺前巖紹介)(第五八二号)  同(寺前巖紹介)(第五九五号)  米の政府買い入れ制限撤廃に関する請願佐藤  敬治紹介)(第五七六号)  同(川俣健二郎紹介)(第六四四号)  同外三十件(日野吉夫紹介)(第六四五号)  同(山口鶴男紹介)(第六六五号)  北海道昭和五十一年産米の事前売り渡し申し  込み限度数量増枠に関する請願小平忠君紹  介)(第五九一号)  農畜産物価格決定に対する農民の団体交渉権立  法化に関する請願小平忠紹介)(第五九二  号)  佐世保海軍施設水域の漁船の操業制限緩和に関  する請願金子岩三紹介)(第六〇〇号)  同(白浜仁吉紹介)(第六〇一号)  養蚕農家経営安定に関する請願小坂善太郎  君紹介)(第六一四号)  同(小川平二紹介)(第六四一号)  南方産広葉樹材防虫対策に関する請願小坂  善太郎紹介)(第六一五号)  同(小川平二紹介)(第六四二号)  ミカン対策強化に関する請願關谷勝利君紹  介)(第六三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  農業経営安定施策確立に関する陳情書外十件  (第七六  号)  米穀政策確立に関する陳情書外十七件  (  第七七号)  農業構造改善事業の推進に関する陳情書外一件  (第七八号)  農山村営農集落圏整備育成対策事業等の創設  に関する陳情書  (第七九号)  農用地の集団化等に関する陳情書  (第八〇号)  野菜価格安定対策拡充に関する陳情書  (第八一号)  温州ミカン対策強化に関する陳情書  (  第八二号)  リンゴ腐乱病防除対策確立に関する陳情書外二  件  (第八三号)  昭和五十一年度畜産物政策価格に関する陳情書  (第八四号)  マツクイムシ防除対策に関する陳情書  (第八五号)  大規模林業圏開発事業の促進に関する陳情書外  一件  (第八六号)  北海道近海における漁業操業安全確保等に関  する陳情書(第八  七号)  カツオ、マグロ漁業振興等に関する陳情書  (第八八号)  漁業共済制度改善に関する陳情書  (第  八九号)  サトウキビの最低生産者価格に関する陳情書外  十四件  (第九〇号)  山村振興事業拡充強化に関する陳情書外二件  (第九一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(大豆てん菜及  びいも価格問題)  農林水産業振興に関する件
  2. 湊徹郎

    湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十一年産大豆基準価格昭和五十一年産てん菜最低生産者価格及び昭和五十一年産いも原料基準価格決定等について、政府から説明を聴取いたします。澤邊農蚕園芸局長
  3. 澤邊守

    澤邊政府委員 それでは、昭和五十一年産大豆基準価格について御報告を申し上げます。  五十一年産大豆基準価格につきましては、お手元にお配りしてございます資料にございますように、十月九日付をもちまして内定をいたしまして、本日二十日付をもちまして告示をする予定にいたしております。  基準価格はそこにございますように、一万四百三十三円と決定をいたしたいと思っております。算定方式は、そこに掲げてございますように、五十年産基準価格九千六百七十二円に昨年の作付期間パリティ指数に対する今年の作付期間パリティ指数平均の比を乗じまして算定をいたしております。この算定方式は、昨年度決定をいたしましたと同様の算式でございます。六十キログラム当たり一万四百三十三円は、前年に比べまして七百六十一円の引き上げ、七・八七%の引き上げになっております。  関連いたしまして、大豆生産振興奨励補助金につきましても、昨年産の三千円に対しまして五百円を引き上げまして、三千五百円とすることを決定をいたしております。なお、この三千五百円の生産振興奨励補助金は、生産者団体調整販売計画に基づきまして販売をいたした実績に応じて交付をすることにいたしておりますので、予算措置といたしましては、五十二年度の予算措置になるわけでございます。  以上、今年産大豆基準価格補助金を合わせた農家平均手取り額は六十キログラム当たり、「3」に書いてございますように、一万三千九百三十三円、前年に比べまして千二百六十一円、九・九五%の引き上げになっております。  以上で報告を終わります。
  4. 湊徹郎

  5. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 五十一年産てん菜最低生産者価格決定につきましては、お手元にお配りをいたしてございますように、てん菜最低生産者価格は前年比七・九%アップトン当たり一万三千百円といたした次第でございます。算式は昨年と同様の算式を用いております。  てん菜糖事業団買い入れ価格は、前年度より九・七%アップしました二十万六千九百円と決定をいたした次第でございます。  なお、てん菜取引価格でございますが、最低生産者価格奨励金三千九百円を加えまして、トン当たり一万七千円といたした次第でございます。前年は奨励金三千八百六十円でございましたが、今年は三千九百円といたしております。なお、この奨励金支払いにつきましては、五十年産と同様、国と企業が責任を持つということにいたしておる次第でございます。  なおまた、てん菜作付生産状況及びバレイショからてん菜へというそういう趣旨を踏まえまして、てん菜作付面積段階的に増加をさせるということで、市町村ごと目標面積を定めまして、この目標を達成した市町村生産者に対しましては、その市町村てん菜生産者全部に対しまして作付面積に応じて十アール当たり二千三百円の奨励金を支払うことにいたしたわけでございます。段階的にたとえば三千ヘクタールあるいはまた次の年三千ヘクタールというふうなかっこうで大体五万ヘクタール程度目標といたしますと、数年間のうちに大体操業率が九〇%を超えるという形に相なるわけであります。この助成額は三年程度を毎年約十億円という目標で考えておるわけでございますが、仮に反収四・六トンといたしますと大体トン当たり五百円に相当をいたすわけでございます。  次に、昭和五十一年産いも原料基準価格でございますが、カンショ及びバレイショ原料基準価格は、前年比七・九%とアップをいたしまして、そこにございますように、カンショは一俵三七・五キログラム当たり八百六円、それからバレイショは六十キログラム当たり八百四十八円ということに決定をいたしたわけでございます。  でん粉政府買い入れ基準価格は、そこにございますようにカンショトン当たり十一万二千九百二十円、カンショ平切り干しはトン当たり八万二千七百十円、バレイショでん粉トン当たり十一万五千三百三十円と、それぞれ決定をいたした次第でございます。  なお、カンショ取引指導価格につきましては、俵当たり千百円といたしまして、国は一俵当たり八十五円の助成措置を講ずることといたしたわけでございます。これによりまして、トウモロコシの関税割り当て制度の適正な運営を図ることによりまして、国の八十五円の助成措置とあわせてカンショ取引価格千百円を確保したい、かように考えておるわけでございます。  バレイショでん粉につきましては、その需給状況にかんがみまして、七万五千トンを目途政府が買い入れることにいたしたいと思います。こういう情勢でございますので、したがって、前年のような三十五円の助成措置は講じないということにいたしておるわけでございます。  なお、でん粉原料バレイショ農家手取りにつきましては、需給上過剰と見込まれるバレイショでん粉七万五千トンを目途として政府が買い入れることによりまして、販売環境改善を図り、関係者による最善の販売努力によって、おおむね前年並みの農家手取り確保を図ることを目途にいたしておる次第でございます。  これによりまして二十日に告示をいたしたいと考えておる次第でございます。  以上であります。
  6. 湊徹郎

    湊委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 湊徹郎

    湊委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま説明のありましたいもでん粉並びにてん菜糖価格決定経過等についての質問は、同僚の美濃委員が行うにことになっておりますので、私は、もっぱら今次の大冷害に対する対策の実施について質問をいたします。  すでに今月七日の当委員会において、委員会が行いました北海道並び東北地域に対する調査結果を基礎にして農林大臣に対して質問をいたしたわけでございますが、その後、政府として的確な被害状況の掌握の上に立って、迅速な具体的な措置が講ぜられておると思うわけでございますが、それについて、この際まず農林省側から詳細な説明をしてもらいたいと思います。できれば資料を配付して、それに基づいて説明がなされるのがいいのではないかと思うわけですが、その点についてもお尋ねします。
  9. 杉山克巳

    杉山政府委員 ただいまお手元に配られました資料につきまして御説明申し上げます。  この紙は農林省災害対策の概要を取りまとめたものでございます。右肩にありますように十月十五日現在ということになっております。  前書きにありますように、農林省といたしましては八月以来、北日本の冷害それから西日本の水害に対して各般の対策を検討してまいったところでございます。現在までにとった措置それから今後措置したいと考えている事項を整理してみますとこの表のようなことになるということでございます。もちろんこれらの措置の中に、今後関係省等調整を必要とする点が多々ございますが、農林省といたしましては、これをぜひ実現したいというふうに考えておるわけでございます。  項目ごとに申し上げます。  冷害被害に関する対策検討事項、一から十五までございます。  まず、一の天災融資法発動でございます。説明のところをごらんいただきますと、十一月中発動ということになっております。形式的には被害額あるいは融資所要額が確認されなければ発動できないわけでございますが、今回の冷害被害はきわめて大きく、現在の段階で当然天災融資法激甚災害法基準に該当する被害額だというふうに考えておりますので、私どもは現在時点において発動することを表明しておるわけでございます。  手続的に申し上げますと、十月十五日現在の作況が十一月の二日に発表になります。その際、被害調査結果も取りまとめることといたしておりますので、その結果に基づきして手続を進めるということにいたしおるわけでございます。十一月中ということで発動を予定しております。これと同時に二番目の激甚災害法発動もいたすということにいたしております。  それから三番目に、自作農維持資金融資枠確保でございます。天災融資法によりまして経営資金は融通されますが、それだけでは不十分である、農地等も手放さなければならないような事態の生ずる農家もあり得るということで、自作農維持資金についての融資も考える。その際、当然既存の枠では足りなくなりますので、全体としての融資枠確保するということと同時に、連年災等をこうむっております借り入れ農家、これにつきましてはすでに限度額いっぱいあるいはそれに近く借り入れているという向きもございますので、そういうものに対しては、原則として一般限度額百万円ということになっておりますが、これを引き上げることを検討するということにいたしております。  それから四番目に、既存借入金条件緩和及び応急つなぎ融資関係でございます。これは公庫資金近代化資金等々、改良資金もございますが、これらについて、償還期限等について条件緩和を図る。それから、各種制度上の融資手当ては、どうしても若干の時日を要するということになりますので、それまでの間待てないという緊急を要する向きに対しては、応急つなぎ融資が必要になってまいります。そのために措置をとる。すでにこのことにつきましては、右側にありますように農林経済局長あるいは農蚕園芸局長名をもって、十月五日、十月七日、それぞれ関係機関に通達いたしてございます。関係機関としては融資機関それから道、県農業団体等でございます。なお、つなぎ融資の件に関しましては、道、県に対し十分指導を行うとともに、できる限り援助をするようにということを要請いたしております。  それから五番目に、共済金早期支払いでございます。これは農家に必ず年内に共済金が届くように本払いをするということにいたしております。それだけでなく、必要に応じ単位組合から個々の農家に対する共済金仮渡し、それから国から共済連に対する再保険金概算払いを行うということにいたしております。すでに一部の県においては、共済金仮渡しが行われておる状況でございます。  六番目に、損害評価特例措置でございます。これは減収の見方についてできるだけ実情を反映させるという考え方に基づきまして、ふるいの上に残ったものでも被害粒として実質収量に相当しないものについてはこれを控除するというような損害評価特例措置を講ずることにいたしております。  七番目に、損害評価事務費でございます。被害が大きく、対象の件数も多いものですから、評価事務量がきわめて増加いたします。その事務費についてめんどうを見てもらいたいという要望がいろいろあるわけでございます。そこで私どもといたしましては、その事務費増加部分については、まず国の保留分、これはそれほど大きくございませんが、その残額を事務量のふえた状況に応じまして各県に追加配分する。それから二番目に、各共済団体等特別積立金を積み立てております。それの使用について、通常使用規制をかけているわけでございますが、これを緩和し、事務費に充ててよろしいということにいたしております。近年、事故が少なかった関係で、各共済団体等積立金はかなり多額に上っております。総額では共済連、共済組合合計いたしますと約百八十億円以上になる状況でございます。  八番目に、被災地帯雇用確保、いわゆる救農土木事業でございます。これは、地元における農家現金収入の機会を確保するためこの事業をやるということにいたしております。もちろん、県なり市町村なり、すでに単独事業で計画しているところもございますが、ここで掲げておりますのは、補助事業として国がその事業を実施するということでございます。事業の内容としては、労務費比率の高い土地改良、治山、林道、造林、これら小規模事業を実施するということにいたしております。  それから九番目に、規格外玄米買い入れ措置でございます。これは二つに分けまして、まず食糧として配給可能な米穀につきましては、まず第一に、それが有利な価格で売れるものはできるだけそうしていただくということで、自主流通米として売れるものは自主流通米として販売していただく。そして売れないもの、残ったものは政府が買い入れる。これはどんなちょっぴりした災害のところもというわけではなくて、災害による被害のある基準に達した著しい県ということを対象に考えているわけでございます。  それから、主食に適しないものが円滑に販売されるよう関係団体指導。まあ主食に適しないものも相当量出回るということになれば、取引関係におきまして生産者側が不利となるような事態も考えられます。そういうようなことにならないよう、取引団体実需者生産者団体の間を指導するということを政府としては考えているわけでございます。  なお、ちょっとここでお断りしておきたいのですが、上の方、九のところで「食糧として配給可能な米穀につき」とありますが、これは食糧一般という意味ではなくて、むしろ主食として配給に適するというのが正しい表現でございます。そこを補足させていただきます。  それから、これにつきましては三枚目に別紙がございますので、これをごらんいただきます。北海道東北、特に北海道において、時期的に非常に急がれました関係がありましたものですから、事務的な詰めをやったのでございます。これを読みますと、「冷害による規格外玄米政府買入れについて」「北海道東北地方についての政府買入れのための特例規格及び買入価格は十月中に決定する。」これは、正式には十月中に決めるということで、これでもかなり急いでいるわけでございますが、それでも、現実に米が出てくるのに間に合わない、規格が決まらないというと持っていけないから、自分の家あるいは庭先に積むということになる、それでは困るというお話がございます。そこで、そういう実際の出荷に支障を来さないよう、それが円滑に行われるようにするため、「規格については情況に応じ内定段階において関係方面に事前に連絡する。」ということで、農家なり団体なり、あるいは国側検査事務支障のないように、規格内定した段階においてそれぞれ実務上の連絡をするということにいたしております。  それから次に、もとの表へ返りまして、十番目、予約概算金利子減免等でございます。被害のはなはだしい地域激甚被害者についてはその利子減免する。これは現在制度上そういう仕組みが設けられておりますので、それに基づきまして利子減免を図る。それから概算金そのものの返納の時期の延期、いわゆる延納についても要望があるわけでございますが、これは率直に申し上げまして、資金繰り全体の中で、共済金を支払うとか各種融資措置を図るとかいうことの中で措置する。これはやはり法律的な性格からして、できるだけ時期までにお返しいただくということを考えているわけでございますが、ただ、よくよくの場合、どうしてもそれができないというようなこともあり得るかと思います。そういう場合は、生産者にかわって集荷業者、農協とか商人系集荷業者代位弁済するということになっております。その代位弁済制度を活用するということを考えておるわけでございます。  それから次に、十一番目に自家飲米確保収穫皆無等で、自分の家で食べる米もなくなるという農家もございます。そういう向きに対しては、まず第一に政府米配給、これは通常主食配給でございますが、これを行う。それから災害を受けた程度の著しい農家に対しましては、知事から市町村長を通じて直売する制度もございます。それにつきましては代金の延納が図られる。この利子については無利子ということになっております。これも行うということにいたしております。  それから十二番目に、次季作用種子の確保。水稲の種子の確保について指導する。今回の災害は非常に規模が大きい。したがって、種もみの確保も県内だけではいかにやりくりしても調達が困難という場合も出てまいります。出てまいるというより、かなり多いかとも思われます。そこで、特にそういう県間の調整につきましては、国が積極的に乗り出す必要があるということで、現在、すでに事務的に調査指導に入っておるところでございます。それから、その際の水稲の種子の購入費、これについても助成を考える。これは実は前例もあります。まだ対象数量は確定しておりませんが、それが確定次第、前例を参考にして実現したいというふうに考えております。  それから十三番目に、飼料の確保でございます。一としまして、粗飼料の地域需給調整。粗飼料二番草、三番草がとれない、越冬飼料の手当てができないというような向きもありますし、地域によっては若干出す余力あるところもある。そういう地域間の調整を図るということを第一に考え、さらに、どうしても手当てが必要であるという向きに対しては、政府手持ちの飼料用の大麦を払い下げるということも考えておるわけでございます。  それから十四番目に防除に対する措置。本年は早い時期から防除が各地ともかなり手厚く行われております。そのため各種の経費がかかっておりますが、道県等でその防除について指導経費がよけいにかかったという分につきましては、既定予算を重点配分するということで対応したいと考えております。  それから十五番目に、試験研究の充実、技術指導の徹底。これは、ことしの対策ももちろんありますが、それよりはむしろ今後の恒久策としての性格を持つ面が大きゅうございます。事例的に四つほど項目を並べておりますが、冷害に関する緊急調査の実施、異常気象対応技術の確立に関する総合研究の実施、耐冷性品種の育成等、技術指導の徹底、このように考えております。  なお、二枚目に台風十七号災害に関する対策検討事項、これがお示ししてございます。施設災害の方については上の三段まで掲げてございます。三段目の真ん中から下は冷害の場合とほとんど同じ、農産物被害に対する対策でございます。説明は省略いたしますが、お目通しいただければ幸いと存じます。  以上で、資料説明を終わります。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま杉山議官から説明がありました。この中で、もう明確になった問題もありますし、まだ内容が不明確な点もありますので、その点について重点的に質問をいたします。  まず、この説明された表によりますが、一、二の天災融資法並びに激甚災害法発動の時期の問題です。十一月中と言っても、上旬、中旬、下旬と分かれるわけでありますから、十一月の上、中、下旬のうち、おおよそどの時期を目標にして発動の手続をするのか。その点はどうですか。
  11. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先生御承知のとおり、統計の被害が出ました後、あるいはそれと並行しながら、市町村からの資金需要を積み上げまして県からの報告を求める、そしてそれを融資額として政令の中に書き込むというような必要がございまして、その準備を鋭意急いではおりますが、十一月下旬にずれ込まざるを得ないといまのところ考えております。極力急ぎたいと思っております。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 次に金融措置の問題ですが、天災資金については、激甚災並びに天災法の指定が発動になれば、激甚指定地域については当然最高限度の融資が行われるわけでございますが、この表の三番目の自作農資金の融資枠確保の問題については、いま杉山議官から説明がありましたとおり、個人に対する貸付限度額というのが現在では百万円ということになっておるので、これを弾力的に運用するということになれば、やはり現在の百万円をあるいは百五十万円にするとか、あるいは二百万円にするとか、そういう一定の目標というものを設定して、その中において総枠を決定するという必要になると思うわけですが、その点はどうなっていますか。
  13. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生十分御承知だと思いますけれども、自作農資金につきましては、天災資金との関連で融資の額を決めたいというふうに思っております。したがって、天災資金がどのぐらいの枠で融資されるかということに自作農資金の方もまず関連があるということが一つでございます。  それから今度は、災害被災地帯につきましてどれだけ被災農家の負債があるかという実態に応じまして、私どもはこの限度額につきましては検討する。従来も、これも先生十分御承知と思いますけれども被災地帯の実情によりまして都道府県等を指定しまして限度額を上げたり、また過去の借入金の実情に応じましてこの限度額をかさ上げするという措置を講じておりますので、今回も全体の被害程度被害地域融資を要する額、そのうち天災資金で幾ら融通されるかということを踏まえまして、私どもは弾力的に対応するというつもりでございます。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は今月七日の委員会において、私どもの主張としては、連年災害等によって自創資金の貸し出しが行われておるわけだから、また今度の冷害並びに十七号被害によって自創資金の活用ということになれば、むしろことし発生した災害対象にして一定の自創資金の枠というものを設定して、その個人の貸付範囲というものを新規に設け、それで従来の分は個人百万円の限度というのは生きておるわけですから、それとの相関性の上に立って積極的融資を行った方がいいではないかということを指摘したわけです。ところが、この点については従来の方針にのっとって個人百万円の限度額というものを弾力的に拡大して、そうして効果的な措置を講ずるという岡安局長からの答弁だったのですが、しかしもうこの時期になれば、天災資金の関係ともこれは関連がありますが、やはり自創資金については今回は個人の限度額というものを、枠をどのぐらいに引き上げるという程度のことが判明していないと、やります、やりますと言ったって、何にも中身は肝心なところは進んではいないんじゃないかということになるんで、これはやはりはっきりこれだけにしてしまうというんじゃなくて、この線をめどにしてやるというようなところまで説明してもらいたい。
  15. 岡安誠

    ○岡安政府委員 確かに先般もこの自創資金の融資限度額につきましては、災害に応じて限度額の特例をそれぞれ決めたらどうかという御意見もございました。ただ、やはり農家が負債をどれくらいしょっているかということは地帯によって非常に違います。したがって、むしろそういう実態に応じた弾力的運営の方が、むしろ農家の資金需要に応じ得るんではあるまいかという考え方を持っておりますので、今回も災害によりまして被害に応じた農家の資金需要につきましては極力応ずるつもりでございますので、御迷惑はかけないように措置はできるというふうに思っております。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ局長、この個人の貸付限度の百万円というのを、上限は取っ払うという意味ですね。そうなればそれでもいいですよ。被害農家の人に実態に応じて弾力的に貸し付ける。ただ、いままでは頭を押さえているでしょう、百万円とか。これを上げなければならぬということになるわけですから、この点に全然触れないで、実態に応じて十分やりますと言ったって、信用できないじゃないですか。だから頭を、限度を外すというならいいですよ。大臣、わかりますか、いまの私の質問……。
  17. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まあ限度を取っ払って青天というのはいかがかという気がするわけです。これも先生十分御承知と思いますけれども、従来も百万円の限度を百二十万円とか百五十万円というようなことにした例もございますし、また、ある時期につきましては連年災との、既借入金との差し引きが残りの残枠になりますけれども、既借入金に上乗せをして何万円というような措置をしたこともございますので、私どもは青天というわけにはまいりませんけれども、限度につきましては十分実情に応じて配慮したいということを申し上げたわけでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 次の四番目の既存の借入金の条件緩和等、これはもう延納措置を講ずるということはわかっておるが、結局ことしの償還すべき分の延納措置は、返済の最終年度に回すということに間違いないですね。つまり、各資金について後年度回しですね。
  19. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 制度資金としましては農業近代化資金、金融公庫資金とあるわけでございますが、農業近代化資金の場合には法令で期間が決められておりますが、実際の借り入れの行われております資金の償還期限というものは、その範囲内で、平均的に見ますとかなりゆとりがあるようでございまして、そのゆとりのあります範囲内でそれぞれの農家の事情に適した償還期間の延長あるいは据え置き期間の延長というものを行うように関係機関指導いたしております。  それから農林漁業金融公庫資金でございますが、これは被災者の実情、被害程度といったようなものに応じまして中間据え置き期間の設定その他の貸付条件の変更を弾力的にやるように指導いたすということでございまして、そのやり方の一つといたしまして、先生御指摘のように、来年度返すべきものを後年度に回して返済をさせるというふうな場合が入り得るわけでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 次に五、六、七の関係共済金の問題ですが、年内払いの実行については先般来大臣からも直接確約されておるわけですから、そのとおりやってもらいたいと思います。  それから特に損害評価特例措置については、従来はこれは経済局長通達によって行っておったというふうにも考えられますが、その点はことしはどういう手法でやるのですか。
  21. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 従来どおりの方式で、経済局長通達によって行いたいと考えております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 じゃその通達の中身が問題ですが、冷害における特徴性というものがあるわけですから、その点は十分な配慮をしてやってもらいたいと思います。  それから、七番目の損害評価事務についての事務費の助成の問題ですが、先ほど説明のあった保留分というのは、額にして大体どの程度の金額になるか、また、これに追加すべき予定額というのをどの程度に計算をしておるか、その点についていま少し詳しく説明しておいてもらいたいと思います。
  23. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 経済局に留保しております金額は約一千万円でございます。それから、先ほど審議官から御説明申し上げましたように、特別積立金事務費についての使用を、地方から要請がありました際には積極的にその使用について認めてまいりたいと思っておるわけでございますが、現在のところまだ県、連合会等からどの程度必要であるということは詰まっておりません。今後、相談をしながら詰めていきたいと考えております。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、八番目の被災地帯救農土木事業ですが、これについては各担当局長、長官から具体的に説明を加えてもらいたいと思います。特に林野庁関係において、今時の冷害に対してどういうような、地元被災者がその仕事に参加をして一定の現金収入確保できるか、そういう点についても具体的に長官からあわせて説明を願います。
  25. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  まず国有林でございますけれども東北、一部北海道もございますけれども、治山、林道等の要望と同時に、除間伐に対する要望等がございまして、国有林といたしましては、来年度に備えて買うべき、あるいは来年度買ってもいいじゃないかというような金額等もございますので、一応それらを来年に回すというようなことを操作いたしまして、除間伐等につきましては、すでに必要な局に対しまして配付して実行に移っているわけでございます。約五億近いものでございますけれども、一応そういうことを考えておるわけでございます。  なお、国有林についても治山、林道等の地元の要望等は考えておるわけでございます。  なお、民有林でございますけれども、治山、林道等の公共事業はもちろんでございますけれども、やはり除間伐で人手を要するというものに対しての要望が強く出ておりまして、先生十分御承知と思いますけれども、先般国会でお認めいただきました林業改善資金、これらで対応していくと同時に、公有林等の、県有林あるいは市町村有林でございますけれども、除間伐につきまして公庫融資の枠を現在相談をいたしておるというようなところでございます。
  26. 岡安誠

    ○岡安政府委員 救農土木事業としての土地改良事業でございますけれども、当然被災農家の生活安定のため就労の機会を創出するという観点で事業が行われるわけでございますので、労務費比率の高い小規模な圃場整備、灌漑排水、そういうような事業を現在予定しておりまして、現在関係の都道府県、市町村等から実情を聞きまして、枠が決まれば具体的な事業の個所づけを急ぎたいと思っております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、冷害地帯における規格外米の買い入れ措置関係ですが、これはことしは例年より迅速に作業が進んでいるようです。特に北海道あるいは東北等については今月の十五日に、これはまだ内示段階と思いますけれども、一応未熟粒混入の規格外の甲、乙、それから青米混入の三種類の規格外の検査規格を一応設定して、そうして地元においてライスセンターの作業等も進んでおるわけですから、地元に出荷の混乱が生じないような措置を進めておることは現地から連絡を受けておるわけですが、問題は、当然近日中にこれが告示されると思いますが、その際は、政府買い入れ価格、各規格についての買い入れ価格というものが告示になるわけでございますが、この点について、食糧庁長官として、政府の買い入れですから、やはり妥当な価格を設定してもらわないと、せっかく規格外の検査等級だけができても、幾らで買うのだということになって、農民の期待を裏切るようなことになってはいけないと思うので、その点を大まかな方針について述べてもらいたい。
  28. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話のとおりでございまして、三特例規格を設定いたしまして、現地の事情を踏まえまして、北海道等についてはすでに内示をいたしまして、正式告示も急いでおりますが、買い入れ価格については、規格等の公示と同時に買い入れ価格も公示いたしたいということで連日作業を進めております。  お話の買い入れ価格についての考え方でございますが、これは従来からもそのようでございますけれども、前年産規格外玄米を基本米価のアップ率に修正するというのを基本原則といたしまして、品質差等も非常にあれば、それも考慮していくというような考え方で本年産規格外玄米、本年は三つの規格規格を設定するわけでございますが、それについての価格を早急に定めたいということで急いでおるわけでございます。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、それじゃ説明にならぬですよ。たとえば今回内示した未熟粒混入の甲、乙、これは正常であれば検査等級は四等級のものが規格外の甲に該当するのに対して、未熟粒が一定割合混入しても許容範囲ということで決めておるわけだ。だから基礎は四等米ということになるのですよ。それから未熟粒の乙は五等米に対応できるべきものですから、それに未熟粒の混入率というものを規格で認めておるわけですから、ただ、規格外だから幾らに決めてもいいというわけじゃないのですよ。だから、搗精した場合、未熟粒の場合には四等級よりも搗精度が落ちますが、精白すればこれはもう変わりがないのですよ。そうでしょう。食べてみて何も変わりがないのだから、主食に適合するものを規格外に設定して、それは特に被害の激甚な北海道地域東北の特に被害のはなはだしい諸県については、これは政府買い入れを先行して行う、そういうことが先ほども明確に説明されておるわけだから、そうなると、結局この価格ですよ。規格外の甲は四等に対してどのくらい格差をつけなければならぬとか、未熟粒の混入乙は五等に対してどうであるとか、それから青米混入については、これは等外に匹敵するというように考えておるかもしれませんが、一応基準があるわけですから、それに未熟粒等の、青米等の混入しておる分が精白した場合にどの程度搗精度が下がるか。それが買い入れた政府から見れば価格計算上の一つの要素になるわけだから、その点はこれはやはり、大臣が買うということはみんなわかっているのですよ。そこまではいいわけだ。ところが値段ということになれば、これは食糧庁長官が決めるということになるわけですから、ここをはっきりしておいてもらいたいと思うのです。後になってけしからぬじゃないかということにならぬように。
  30. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、最近におきましても毎年未熟粒混入の規格外玄米は買っておりますが、その買い方、その価格決定の仕方は、前年の買い入れ価格に対して基本米価のアップ率で修正をするというのが基本的でございます。さらに具体的に申せというお話でございますが、その決め方は大体未熟粒混入規格外乙でございます。乙の価格基準にいたしまして、これを基本米価で修正する。ただし甲はこれよりも品質がいいということで、本来の一−五等でも等級間格差はあるわけでございますが、それと同じようにその格差をつける。問題は本年は特に青未熟混入規格外を設定しておりますが、これは先生お示しのように精白歩合も問題でございます。それからもう一つは非整粒の割合とか死に米の割合とかいう品質の規格、こういうものを見ましてその品質の格差を適正に決定いたしたいということでございまして、そういう点で本年は特に冷害の年でございますので、できるだけその辺の事情を反映するように価格を適切に決めたいということで、現在たとえばお示しの搗精歩合でございますが、サンプルもいろいろとりまして、そしてそのサンプルによって、はっきり申し上げますと搗精歩合が八二とか八三とか、サンプルにそういう多少の振れもございます。そういうものの平均的なモード等をとりまして適切なあれを決めるというようなことをしておりまして、できるだけ早急に決めたいというふうに考えております。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで長官に言っておきますが、結局買い入れるわけですからね。それは北海道にしても東北被害県の分にしても規格外で政府の買い入れをするわけだから、政府が買い入れればそれは米穀取り扱い業者に売り渡しするわけでしょう。問題はここですよ。だから主としてこれは規格外ですから、恐らくこれは徳用上米とか徳用米ということになるわけでしょう。その配給価格、標準価格というものはもう決まっているわけですから、だから私の言うのは、冷害によって規格外等級を設定して買い入れをするということは政府の善意な措置ですが、これを不当に安く値段を決めて買い入れをする、安く買ったのだから米穀業者に対してはまた特別に安く払い下げをする、売り渡しをする。ところが米屋は、もうすでに政府が七月の下旬に決定した標準米とか徳用上米とか徳用米の価格でこれを一般消費者に売り渡すわけですから、終着は決まっているのですから、徳用上米とか徳用米の値段を下げるという意思はないでしょう。そうなれば、場合によっては、この扱いいかんによって米穀取り扱い業者等にむしろ不当な利益を冷害に名をかりて与える。そういうような不当な米の買い入れ、売り渡しをするということの生じないように事前に慎重にやるべきでないか、こういう点を配慮して質問をしておるわけですから、大河原さんのことだから間違いないと思いますけれども、過去の経過を見ると必ずしも的確にいったとばかり限らぬですから、大臣も特に買う、買うと言っているわけだけれども、一体どういうものを幾らに買うというところまでは残念ながら大臣としてはそこまでの配慮が届かないのですよ。ここをはっきりしてもらいたいと思うのです。
  32. 大石武一

    ○大石国務大臣 できるだけ農民の生活が守れるように、そのような基本的な方針で買いたいと思っております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、予約概算金利子の免除の問題ですが、これは一つは、激甚被害者に対しては概算金の延納はもちろんであるが、その利子も取り扱い上これは免除をする。しかし、元金の延納については、契約者の被害農家に対しては請求はしないが、集荷業者である農協とかあるいは指定された集荷業者に対しては、食糧庁と集荷業者の間において約定が結ばれておって、その中に代位弁済規定というのがちゃんとあるわけだから、この分については約定どおり実行してもらう、つまり、させる。この区分をはっきりしてもらわぬと、中には集荷業者、農協が主体ですけれども、こうなっておるにもかかわらず、大事な組合員である被害農家に対して概算金の返納を差し引いてしまうというようなことではせっかくの配慮が死んでしまいますから、この点を、これは事務取り扱いの問題ですから、政治的な議論の余地はないが、厳格にやってもらいたいと思うのです。
  34. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話しのとおりでございまして、本来の制度代位弁済制度の趣旨を適切に運用するようにいたしたいと考えております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、明年の再生産のための種子の確保の点については、説明で了解しました。  肝心な十三番目の、越冬用飼料を中心にした冷害による被害地域の今後の酪農経営の維持をどうするかという問題は非常に深刻な内容を持っておるわけですから、これに対しては特段の措置を講じてもらいたいと思います。ただ問題は、純酪農地帯に対する激甚災あるいは天災法の指定というものは、単純に考えると取り扱いがむずかしい面もあるのです。この点は畜産局長においても、たとえば北海道において天北地帯とかあるいは網走、北見管内の北部であるとか、この辺が酪農地帯においては被害が最も激甚なところですから、当然これに対して十分な対策を講ずるということになれば、激甚災、天災法の指定というものが水稲地帯と同じように同時的に行われるということにならなければ、十分な対策が進まないということになるのです。この点はだめ押しの形で聞くわけですけれども、ここは外すということにはならぬと思うが、そういう点について畜産局長として前提条件としてちゃんと念頭に置いて、そうして先ほど杉山議官から説明があったような諸点を実行するのか、その点はどうですか。
  36. 大場敏彦

    ○大場政府委員 北海道では冷害のために牧草の被害がかなり出ておる。場所によりましては、いま先生御指摘になりましたように、たとえば天北地方等におきましては一割から二割の減収があるということで、これに対する越冬用飼料というものの確保ということが緊急の問題になっておるわけであります。その前に激甚災としてそれを指定するという問題がありますが、これは直接には経済局が所管しておる事柄でございますが、われわれ酪農行政を担当する局といたしましても、ぜひそういうかっこうで指定を願いたいと強く期待しておる次第であります。  それから越冬用飼料の確保につきましては道庁とよく打ち合わせておりまして、個々別々に具体的な数量等を打ち合わせておりますが、不足分のかなりの部分は農場の副産物、たとえばビートトップ、そういったもので対応できるものもかなりあるわけです。しかし足りないものがありますから、そういったものは幸いに道東方面におきまして増産が期待されておる、そういったところから干草あるいはビートパルプ等の輸送を行いまして、そうして不足した地帯に供給する、そういった措置を道庁でも講ずるというふうに聞いておりますので、そういった対応はできると思っております。  それからなお、政府の操作飼料の問題でございますが、具体的に申し上げますれば、大麦でございますが、これは地元の具体的な要望に応じまして、これは災害枠もありますから、数量が御希望がございますれば、重点的に被害のあった地域にお配りしたいと思っておるわけでございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に説明資料の十四、十五ですが、特に今度の冷害の特徴的な現象として、至るところ葉鞘褐変病が非常に蔓延拡大しておるわけです。これは低温障害の年の付随した現象ということになっていますが、今年ほど全面的に褐変病が拡大しておるという年は初めてなんですよ。  そこで、これは技術的な問題ですが、所管が農蚕園芸局かあるいは技術会議かは、それは農林省の中身でわかっておると思いますが、この葉鞘褐変病というのは、今後これを農作物に対する病害として取り上げて十分な研究をして、たとえば不可抗力な低温の襲来した年であっても、これを科学的、技術的に防げるというような体制がどうしても必要だと思うのです。そういう点に対して農林省当局として、この恐ろしい葉鞘褐変病をどういうふうにとらえて今後対応するか、その点を明らかにしてもらいたい。
  38. 杉山克巳

    杉山政府委員 ちょっと農蚕園芸局長がおりませんので、私からお答え申し上げます。  今回の冷害の原因につきましては、いろいろ私どもとしても調査した結果を持ち寄って、いま分析をしているところでございます。  それから、特に先生御指摘のような病害虫の問題も含めまして、私どもの技術審議官あるいは技術会議が中心になっていろいろ検討しているところでございますが、現在まで葉鞘褐変病につきましては、私が聞いているところでは、北海道では従来多く見られたけれども東北地方ではそれほど蔓延しているというような状況にはなかった。今回はかなり広く、まだ葉鞘褐変病とは断定できないまでも、それに類似した症状の被害が出ている。これについては十分専門的な分析、検討を行って今後の対策を樹立していきたいということを考えておりますが、具体的にどういうような形でやるかということについては、葉鞘褐変病だけでなく、全体の要因分析、その結果を待って総合的な試験研究体制の整備というようなことも含めて対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 以上で私の質問を終わりますが、今回のこの冷災害については、農林省当局としても従来に比較すると相当熱意を持って積極的に対策に取り組んでいるということは認めるにやぶさかでありません。しかし、大事な点についてまだ明確にできないとか、説明を逡巡しているような点があることは非常に遺憾な点です。この点は特に農林大臣として適切な指導いかんにかかっていると思うのです。だから本当にもうしんから冷害や十七号台風に取り組むという大臣の熱意を今後具体的に示すようにがんばってもらいたいと思うのです。
  40. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの御趣旨は十分に体しまして、せっかくこれまで役所がりっぱなものをつくったものでございますから、これを実際に強力に遂行できますようにあらゆる努力をいたす決意でございます。
  41. 湊徹郎

    湊委員長 次に、美濃政市君。
  42. 美濃政市

    美濃委員 私は白ろう病の問題と、時間があればてん菜関係につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  まず最初に、白ろう病の問題がしばしば本委員会においてもあるいは社会労働委員会においても、林業労働の確保とあわせて今日大きな問題になっておりますが、ここで改めてその白ろう病の推移と現状、それから現在とられておる対策措置について説明を承りたいと思います。
  43. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘ございましたように、国有林で約三千名それから民有林関係で治療中の方々が約九百名、大変な事態でございまして、私どもも深刻に受けとめまして、これが対策をとってまいろうと思っておるわけでございます。  なお、経過とその対策でございますが、もう先生御承知いただいているところでございますが、チェーンソーが日本に入ってまいりましたのは昭和二十八、九年ごろからでございます。そして、大方これが全国的に定着してまいりましたのが昭和三十二年ごろからでございまして、民有林関係はそれから四、五年おくれておるわけでございますが、大体世界各国、そういうころにチェーンソーの導入が行われたということでございまして、したがいまして、私どもいろいろ予防対策あるいは治療対策等につきまして、それぞれ労働省なりあるいは厚生省ともお互いに相談しながら進めておるわけでございます。  まず国有林でございますが、予防対策といたしましては、御承知いただいておりますように、使用時間の規制の徹底、あるいは、五十年度からでございますが、一部造林地等につきましては、手工具ののこでございますが、手でやるのこ、手工具の使用あるいは直接手を触れない玉切り装置等の導入、ロータリーチェーンソーというような本の等、新しい機械を開発いたしながらこれを導入している、そして予防に努力しているところでございます。当然健康診断等は随時やっておるわけでございます。  なお、治療等でございますが、国有林でとっておりますのは、認定されました後はチェーンソーから隔離しておりまして、温泉療養なりあるいは休業手当、特別給付等を支給いたしておりまして、一〇〇%補償しているというようなこと等をやっております。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 今後も、必要なことにつきまして関係省庁と連絡をとりながら必要な処置をとってまいりたいと思っておるわけでございます。  次に民有林でございますが、先ほど申し上げましたように、約九百名の治療者を出しておるという遺憾な事態でございまして、その中で労働省、厚生省、農材省がお互いに連絡とりながら施策を実施いたしておりますけれども農林省といたしましては主として予防ということに中心を置いておるわけでございまして、国有林でも申し上げましたように、ロータリーチェーンソー、低振動のチェーンソーとかあるいは使用時間規制の徹底、あるいは相当数多くの種類のチェーンソー等が販売されておりますけれども、私たち、振動の少ない、ある数値を決めまして、それに合格したものを公表するというようなこと等をいたしておりまして、そういうものしか補助金対象にしないというような措置等をとっておるわけでございます。なお、そのほか、特に時間規制等が徹底するようにパトロール隊を現在予算をもって編成いたしておりまして、そういう方々が現地で指導する、あるいは、今年度からでございますが、林業のそのような労働安全衛生のための改善推進員等を配置いたしまして、これら対策を講じているところでございます。なお、先般の国会でお認めいただきました林業改善資金制度、つまり無利子でございますが、古い、あるいは振動の強いチェーンソーを買いかえるための資金等を準備いたしまして、一日も早くこのような認定者が出ないような予防措置を中心といたしておりまして、治療等につきましては、労働省なり労災病院等の御協力を得て対処しているというのが実態でございます。
  44. 美濃政市

    美濃委員 いま御説明をいただいた中で、民間の山で働いておる労働者九百名というのは、これは後から私も申し上げたいと思いますが、九百名なんというのは白ろう病にかかっておる患者の実態が把握されていない、こう思うのです。把握されていないのですから、はっきり何名とは言えないだろうと思いますけれども、私どもは、通例二万名ないし三万名、こう言っておりますけれども、これも推定でありますが、しかし、九百名などというものではないということははっきり言えるわけですが、その関係はおおよそどういうふうに考えておりますか。
  45. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように約九百名ということで、先生の御指摘は使用者に比べて少ないんじゃないかという御指摘だと思うのでございますが、いままで民有林に導入されましたチェーンソーの数は約十八万台と私ども想定いたしております。これは販売とかいろいろなことの累積でございまして、現実にはこれが使われているかどうかということがなかなか調査がしにくい点がございまして、現在伐木造材にある程度の期間、年間のうちある期間従事しているであろうと思っております数は、約四、五万人の方々が伐木造材に従事しているだろう、したがって、それに必要なチェーンソーというものは稼働しているであろう、こう思っているわけでございまして、大方そういう数字ではなかろうかと思っております。ただ、御承知のように現在労働省の御協力をいただきまして、この三年間、六千人検診といいまして、これを続けておるわけでございますけれども、その重点的なところをやっておるわけでございますが、二次検診を受ける必要がある、言うならばやや要注意というような方々の比率が非常に高いという実態が出ておりまして、したがって、民有林の関係につきましても私ども大変憂慮すべき事態である、緊急な事態であるということを認識いたしまして、先ほど申し上げましたような諸対策をさらに充実をし、また、来年度も充実してまいるというようなことを考えているわけでございます。
  46. 美濃政市

    美濃委員 大体民有林の山で専業的に働いておる労働者の数というのはいまお話しのような数でないかと私も思います。だが、私もことしの五月八日ですか、通常国会が終わりまして、この調査を私ども所在の上士幌町というところで正式に行ったわけです。一応正式にやりました。そのときに、民有林関係の人に集まってもらって、特に山で働いておる労働者の人に集まってもらって意見を聞いたわけですが、第一点として、認定を受けると働く場所を失ってしまう、子供も教育しておるし、だから生活のために、結局離職をするということが経済的に耐えられないので振動病を隠して働いておる。初期のころは働けぬという体にはすぐにはなってしまわぬわけですから。「そういうことが国有林関係は少ないと思いますけれども民有林関係には非常に多い。私どもの見ておるところでは、それが非常に劣悪な条件となってこれからやはり振動病の重症状態となって多くの患者が出てくるというふうに見ておるわけです。ですからこの対策に対して、いま働いておる者のこの職業病に対する安全対策が一つと、もう一つは、将来林業労働を確保する上において、このままこれを放置しておくと林業労働に従事する若者がいなくなるということですね。私の調べたその上士幌町においても、特に民有林においては、もうここ数年、いわゆる学校卒の若者が山へ全然入っていない。林業労働に若年労働が補充されていない。ですから平均年齢が五十歳を超えて、その間農業の構造改善とかその他で急激に農業専業体系に政府指導しておりますから、農業をやめた者がやはり林業労働者となって、ずっと兼業でやっておったのです。ですから山で働く作業も覚えておりますから、そういうのがいま山で働いておりますけれども、これがなくなればあとは枯渇してしまう。ですから、国有林等でよく請負、請負と言いますけれども、私どもから言うなら、国有林が山の仕事を請負にかけるなんて言ったって、その働く者がここ数年でなくなってしまうということですね。これは日本の林業に対して、あるいは林木の生産に対して大変なことだと思うのです。現在働いておる人の条件も特に大切だし、将来の林業労働の確保がより大切だと、こう私は思うのですが、それに対してどういうふうにこれから対策を講じていこうとするのか伺いたい。
  47. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおりの現実でございまして、私どもも林業の担い手としての労力をいかに確保するかということが今後の林政上の最大の課題ではなかろうかと、先生御指摘のような、同じような認識を持っておるわけでございます。特に林業労働と申しますと、大方が専業でなくて農業との兼業的な存在であるということ、これはつまり林業が季節的作業が中心であること等がございますが、少なくとも魅力ある林業をそこに確立するという努力が必要であろうと思うわけでございます。  それにいたしましても、やはりある一定の所得を確保するということが一つと、また二番目といたしましては、環境をいかに整備するかということによる労務の定着ということが行われなくてはならないと思うわけでございまして、所得向上のためには私どもの行っております公共事業の重点的な投資あるいは林業構造改善事業等を推進することを私ども考えておるわけでございまして、特に環境整備が林野庁だけでできるわけではございませんけれども、実は来年度の構想といたしまして、必要な農業ではやっておるわけでございまして、その林業版としての環境整備事業を新しくスタートしまして、そして農林一体とした労務の確保あるいは労力の定着あるいは通年的な民有林の民間労務の雇用の延長というようなこと等を考えまして、安定した生活と、ある程度快適な生活ができる場をつくっていこうというようなことを真剣に考えていくつもりでおるわけでございます。
  48. 美濃政市

    美濃委員 そこで、長官のいまのお話は、対策として私もそのとおりだと思うのですが、そうすると、これはやはりお話にあったように、人間が働くということは生計を営むための所得が必要でありますから、労働者に安定的に所得の約束をして、若年労働者が意欲を持って林業労働に入ってくるというふうにするためには、いまもお話があったように通年雇用というものがどうしてもそこになければその条件にはならないと私も思うわけです。そうすると、これは特に民有林の方はこれからそういう対策を立てていろいろ指導なり、国が直接行うものでないから、ここで時間の関係もありまして、どうするこうすると確たる答弁はできないと思うのですね。しかし国有林については言えると思うのです。国有林についてはどうですか。私はやはり国有林は常勤制、国有林に必要な労働は請負ということをやめて、国自体が、国有林自体がいま言った通年雇用、常勤制を確立して労働の確保を図らなければならぬのではないか、一番大切な林業の政策になってきた、こう思うのですが、いかがですか。
  49. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございましたように、従来から雇用の安定ということを私ども心がけてまいっておりまして、したがって、常用化というようなことで通年的な雇用関係が成立いたしますように定期の中から常用化へずっと進めてまいっておりまして、この十年間に一万数千名というものが常用化ということになってまいったわけでございます。そしてまた、先生御承知いただいておりますように、昨年の三月三十一日でございますが、常勤制の問題が各省の一つの方向として出てまいりまして、現在この中身につきまして関係する省と詰め、あるいは労働組合ともその中身につきまして現在交渉しているわけでございまして、常勤化等の方向に私どもは進めてまいっておるわけでございます。  ただ、一つここに国有林の抱えております問題がございます。と申しますのが、国有林は現在投資過程にございます。天然林を切りまして、ある程度残すところは残しながら、造林できるところは造林する、しかも造林したものがまだ若いということで手間がかかる時代でございまして、投資過程にあるということで、しかも一方では自然保護その他公益的な機能に対する要請というものが強い、そういうこと等を考えてまいりますと、約十年くらい前でございますが、昭和四十年ごろは国有林の伐採量は二千三百万立方程度切っておりました。ところが現在、これは千四百万立方から千五百万立方程度に落ちているわけでございます。そのような諸要請がございまして、すでに三割程度事業規模の縮小をせざるを得ないというような事態がございまして、現在雇用されている人たちの通年的な常用化ということは進めておるわけでございますが、新しくこれを若返らすという期待はあっても、そのような事業の推移から見ますと、国有林はなかなか困難であるというようなことを言わざるを得ないということでございます。なお、六十歳以上の高齢職員の人たちも抱えておるわけでございまして、その人たちとの入れかえのための新しい血液を入れていくというようなこと等は当然私どもは考えてまいっているところでございまして、現在それらも常勤制の問題の検討の中身といたしまして検討いたしているような次第でございます。
  50. 美濃政市

    美濃委員 いまの国有林対策の常勤制、常用化の問題は、申し上げたように、またお話がありましたように、国有林自体の労働確保の根幹でありますが、時間の関係でそればかりやっておるとあとの質問ができませんので、きょうはこの程度にして、またいずれ機会を見てやりますが、これはぜひ大臣も、御答弁は要りませんからこの機会に聞いておいていただきたいと思うのです。やはり常用化、常勤制の方向で、国有林の山で働く労働者は国有林で確保する、これはひとつ基本方針としてこれから進めてもらいたいと思います。  それから、次に移ります。  まず、先ほど申し上げた調査の中で、幸い上士幌町というところには阿部医院という非常に熱心なお医者さんがおりまして、外科医院ですが、白ろう病に本当に真剣に取り組んでおる医者がいるわけです。このお医者さんの話を聞きますと、国有林で規制しております条件、あの条件でチェーンソーを持って働いた場合、大体八年ないし十年で発病してくる、こう言っております。それから国有林で規制しておる倍の時間、一日四時間チェーンソーを持って働いたとするならば、大体四年ないし五年で発病してくる、こういうふうに言っております。これは病院でなくて医院ですから、病床が規制されておるわけですけれども、現在二十二名が入院しております。一番若い人が二十八歳、一番高齢者の人が六十四歳、入院しておる二十二名の平均年齢は四十歳、白ろう病だけで通院しておる者が八十四名、こういうふうになっております。  私は第一番に、チェーンソー——チェーンソー以外にほかの機械でも振動病は出ております。しかし、この場合林業に関する問題ですから、チェーンソーだけに限っての質問にしたいと思いますけれども、チェーンソーというものはこの条件から言うと人体が受ける振動に対する限界を超えておると私は思うのです。八時間機械を持って働いて振動に弱い体質の人がたまたま振動病、すなわち白ろう病にかかるというのであればまた考え方もあると思うけれども、労働時間を二時間で制限して、それで八年ないし十三年たてば大体の人が発病するんだ、四時間働けば四、五年しか体がもたないんだということになれば、もうチェーンソーというものは人体の振動に対する限界を超えたものである。こういうものを使うことは、とにかく人道上の見地から言うとこういう結果が出ておる以上はもう即座にやめるべきであると私は思うのです。全然これは命取りだ、こう思うのですが、その考えに対してどうですか。
  51. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  確かにチェーンソーを使ったことが原因で振動障害になることは、これはほかを使ってないわけでございますから、チェーンソーが原因であるということは当然でございます。チェーンソーの使用は、御承知のように、作業能率を上げたということはもちろんでございますけれども、山での重労働でございました労働を大幅に軽減したということはあるわけでございます。また私ども振動がいかに少ない機械を開発するかということをこの二、三年ずっとやってまいっておりまして、その測定、私先ほど申し上げましたように、三G以下というものを民有林でも補助金対象にいたしておりますし、また国有林でも大体そういうものを見当として使用機種にいたしておるわけでございまして、このような軽量でそしてまた振動の少ない機械というのは恐らく日本が一番技術が最高ではないかと思っておりますが、さらに私どもロータリーエンジンつきの非常に振動の少ないロータリーチェーンソーを開発いたしまして、昨年から各営林署に配付いたしまして、現在さらにこれを改良すべく実験中でございまして、早急にこういう機械を導入してまいりたいと思っておるわけでございます。  このように、機械の開発あるいは最終的には、先生おっしゃいましたとおりに、このような振動の少ない機械開発と同時に、振動機械に手で触れないで、リモコンチェーンソーというのを現在開発しつつございますが、これを木に固定いたしまして、自動的にこれを切っていく、こういう機械も現在もうすでに試作いたしまして実験いたしておるわけでございまして、将来展望といたしましては私はチェーンソーを人体から離したい、こういう気持ちでおるわけで、その目的に向かって施策なり検討を進めておるわけでございますが、それまでの間はやはり諸種の予防対策等を適切に、かつきめ細かい処置をとりながら、配意しながらチェーンソーは使っていかざるを得ないであろう、こういうふうに思っているわけでございます。
  52. 美濃政市

    美濃委員 機械もリモコン式のものが大方でき上がりつつあるということも私も承知しておりますけれども、現時点で、いま申し上げたように、国有林で伐採に従事している人たちが約五千六百名いるというふうに聞いておりますが、これらの方々の中にも手のしびれや何かをすでに訴えておる人がかなりおるわけですね。そこで、私も欧州諸国やあるいはソビエト等のこういう問題を向こうへ行ったときに調べたんですけれども、私の受ける感じは、これはもちろん林野庁もさることながら、きょう労働省、厚生省から来ていただいておるのですが、日本の労働衛生学といいますか労働衛生医学といいますか、これが欧州先進諸国から見ると非常におくれておると私は思うわけです。たとえば振動障害、白ろう病になった、どうもおかしいと本人が思って、手のしびれておる段階で医者へ行ってもなかなか認定しないんですね。もう血液の循環が全く悪くなっちゃって、いわゆる白ろう病ですから手を見たら真っ白になって、症状がはっきりしてきたらこれは白ろう病だろうなんということになるのですけれども、早期検診、早期認定というのは全くなされていない。早期に認定して早く治療すれば治るものを。その点は、私はさっき言っておるように、日本の医学も他の医学は進んでおると思います。だけれども、この労働衛生学については全くおくれておると思うのです。話にならぬと思うのですが、これはどうですか。
  53. 宮野美宏

    ○宮野説明員 先生おっしゃるような日本の労働衛生につきましては、産業衛生学会という学会がございまして、そこであらゆる分野の職業性疾病についての学問的分野の検討がなされておりまして、白ろうの関係につきましても、そこでのいろいろな論議が毎年交わされておるわけでございまして、必ずしもおくれておるというふうには考えておりません。
  54. 美濃政市

    美濃委員 いや、あなた方が所管している中央ではその程度のものがあって論議が交わされておるが、しかし現場においてのおくれというものはひどいのじゃないですか。あなた方は東京にそういう研究機関的なものを置いて検討しておるからおくれていない。しかし現実に私どもの現地において、どうも体が変調しておかしいと思って行っても、とにかく認定がおくれてしまう。それから、これも山の労働者と話したことですが、五回も六回もまた来てくれまた来てくれと言われる。仕事を休んで、それでしかも疑いのある検診ですから、日にちを中断することはできないのです。あさって来てくれ、またあさって来てくれ、とても経済的に行けないと言うのです。率直に申し上げますけれども、いま山で働いておる現地において手が非常にしびれてきた、これはもう白ろう病にかかる前提だ。もうその次に白くなってくるわけですから、白くなれば二期症状ですからなかなか治らない。いまのうちに薬を飲んで治療したいと思っても、認定が行われない。これは事実です。私さっき申し上げた他の国でこの問題を聞いたときには、もうしびれの段階で適確に認定して治療が行われております。現実にその差があるのです。それを中央で、いささか検討の機関があるからおくれていないんだということは、私は了解できないのです。おくれておることはおくれておる。おくれておるから、あなた方が処罰されるというものじゃないわけです、ロッキード事件でもないわけですから。だから、おくれておるというものは率直に認めて、おくれを早く取り戻してやらなければならぬという行政に誠意がなければ、おくれておるものをおくれていないんだということは、私はいただけぬと思います。
  55. 宮野美宏

    ○宮野説明員 私の先ほど申し上げましたのは、学会としての労働衛生の活動ということについて申し上げましたので、私ども労働省の機関としてのことではございません。行政としての予防につきましては先生御存じのように、昭和四十五年以来その予防対策を定めましてこれの普及、徹底に努めておるところでございます。  それからまた昭和五十年十月、適正な作業方法等につきまして「チェーンソー取扱い作業指針」などを示しまして、徹底のための指導を進めておるところでございます。健康診断の項目とか、あるいはまた実施の仕法並びにこれの結果に基づく適正な健康管理指針を定めております。そのほかまた林業の実情に即しまして、委託巡回健康診断を実施する等の予防の措置を講じてきておるところでございます。  一方、チェーンソーの振動を少なくするということがやはり予防の原則であるということでありますので、輸入代理店に対する指導を進めてきておりまして、さらにこれについて構造規格を定めることとしております。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 それによって、これに反するようなチェーンソーの排除をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  また一方、やはり自主的な体制というものが整いませんと、振動障害の防止というのは困難なことでもありますので、林業労働災害防止協会におきます予防対策の徹底でありますとか、あるいは教育の推進、そのような自主的な活動の強化に努めているところでございます。  それからまた、当然のことでありますけれども、林野庁を初めとする関係行政官庁との連携を一層強化をしてまいりまして、今後ともその対策の推進に努めたいというふうに思っておりますが、これらの対策の総合的なものがありませんと、あるいは関係者への徹底というものを図るというようなことがありませんとなかなか進みませんので、機械開発の指導でありますとか、あるいは作業方法、検診、治療等を含む一貫した職業性疾病防止の対策を進めることによりまして、振動障害の減少を期してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  56. 美濃政市

    美濃委員 前段に申し上げたように、現地で真剣に取り組んでおる医者の意見によりますと、さっき私が申し上げたように、かなりの時間制限をして働いても短い年数で大体発病するというのですから、そうするといまお話しのような指導するとかなんとか言ってみたって、振動障害というのは交通事故や何かの発生とは違うわけですから、さっきも林野庁長官が言ったように、職業として所得を得る手段として働けば必ず発生してくるのでありますから、恐らくこれは八時間の労働拘束時間でいまのチェーンソーを八時間持って働いたとしたら、二年か三年でしょう。ですから、あなたの言うように指導するとかなんとかというものじゃないんですよ。かからぬような指導といったって方法ないんでしょうが。職業としてチェーンソーというものを持って働いた以上は、人体の限界を越えておるものを人間が手に持って使うわけですから、必ず起きるということがはっきりしておるんだ。これは起きた場合に、全く検診体制が不備である。これはあるいは厚生省の所管かもしれませんが、厚生省も来ていただいておると思いますので、厚生省の見解はどうですか。現地における実際の初期検診というものが全く行われていない、初期認定というものが。医者が逡巡するということですね。もう一つ突き進んで言うなら、現地における開業医さんが振動病というものに対する——他の病気も全部だめだとは言いませんが、事振動病に関する医者としての能力が非常に低い。初期診断が全く行われないんだ。しびれを訴える段階でこれは振動病だ、白ろう病の前提だから早く治療しなさいということにならないんだね。これは私ははっきりしておると思うんです。厚生省としてはどうお考えになるか伺いたい。
  57. 此村友一

    ○此村説明員 白ろう病の問題につきましては、職業病の中の一種類でございまして、これまでの行政体系といたしましてはすでに先生御案内のとおり、労働省あるいは事業所としての林野庁において研究をしていただいておる。予防についても、そういうふうにしていただいておりますし、治療指針につきましても、先ほど来労働衛生課長からお話のありましたように、総合的にそのサイドにおいて御検討、実施をしていただいておるわけでございます。そういう意味で、実は体系上厚生省としては、全面的にそちらの方にお任せをしている、こういう状態でございます。  ただ、たとえば労働省の労働基準関係の施策の中で、かなり具体的に地域において各医療機関への協力を求めるとか、そういうかなり具体化した御計画がございます。そういう場合に、イニシアチブをとられるのは当然労働関係官署でございますが、県におきましてはやはり衛生部局が看板にあると思います。そういうような点で関係団体との関係等において、現実にはいろいろと厚生行政担当部局が協力をしていると思いますし、そういう点については今後も配慮をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  58. 美濃政市

    美濃委員 これ以上論議を重ねることは、持ち時間が足らぬわけです。いずれの場合でも行政庁はやはり逃げるんですね、こういう対策になると。なかなか不十分ですという表現はしない。しかし、現実はいま私が申し上げたとおりでありますから、これは労働省においてもあるいは厚生省においてもこの関係のいま申し上げた点については、十分これからも体制を高めるようにしていただきたいと思います。  次に、死亡原因についてお尋ねしたいと思う。  まず、最近白ろう病で死亡した、こういう事件が起きました。さっき申し上げた調査した中で、私も白ろう病というものの概念は知っておるつもりでありましたけれども、専門病院に行ってみると、もう若い三十代の人で歩行が困難である。その振動欠陥というものは内臓が冒されてきておる。はっきり私どもは白ろう病は死亡原因につながる病気である、職業病であると思うわけですね。もう指が伸び縮みしないようになってきますから、三期症状超えますと指が自由にならない、曲がったきりになります。歩行が困難になる。この状態を私が見たときに、この病気で死ぬとこう私は見ております。  まず、林野庁としては、この病気で死亡が起きるんだということをお考えになっておりますか。
  59. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま死亡の問題でございますが、実は大変遺憾なことでございますけれども、九州の下屋久営林署、高知営林局の奈半利営林署におきまして二人の方が——一人は死因といたしましては、診断によりますと急性心不全でございますけれども、原因は振動病であるということ、それから高知の方は死因は振動病というふうに診断されておりまして、現在この問題につきまして先生御指摘のように大変医学的にもむずかしい問題がございまして、慎重に検討いたしておるわけでございますが、何分にも新しいケースでございまして、ただいま申し上げましたような医学的な分野にもわたることでございますので、いろいろ専門医の意見を聞いていろいろな資料を集めておる段階でございます。死亡診断書に書いてあるいろんな理由があるわけでございますが、公務上の認定をするとかしないとかというようなことを現在検討いたしておりまして、主治医の意見というものは十分尊重してまいりたいと思っておるわけでございます。何分にも医学的な分野ということでいろんなことを検討しなければならぬ関係から、現在そのような認定事務がおくれておる、なるべく早く結論を出したいと思っているわけでございます。
  60. 美濃政市

    美濃委員 厚生省にお尋ねしたいと思うのですが、私は先ほど申し上げた阿部医院の院長からお聞きしたのですが、いままでこういう振動病というものは激烈でなかった、死亡診断書を書くときに死亡原因を振動病と記載することが法律上できないのだ、振動病というものは死亡しないのだ、死亡原因の病名に入っていない、この言うのですが、そうですか。それは間違いないですか。だから仕方ないから心臓病と書くのだ。心臓がとまったから死ぬのだから。そういうことであれば、たとえばがんで死んだって呼吸して心臓が丈夫であれば死亡にならないわけです。私はでたらめでないかと思うのです、それが事実とすれば。死亡するときは呼吸がとまって心臓がとまったときが死亡でしょう。大臣、どうですか、あなたお医者さんですから。何でも心臓病になるのじゃないですか。死亡ということの最終直接原因は心臓がとまるということでしょう。全くでたらめだと思うのですね。あるのであればいいですよ。どうですか、まず厚生省から答弁を願います。
  61. 此村友一

    ○此村説明員 医師法上は、医師は診断書の交付の求めがあった場合にはこれを交付する義務があるわけでございます。その医師法の法令に基きまして診断書には死亡の原因を書くことになっています。この死亡の原因をどういうふうに判断するかは当然医師に任されておるわけでございますが、医師法上はいわば適正な医療を普及するという意味で、たとえば医師でない者は医業をなしてはならないとかその他の規制を衛生取り締まりとして規定しておりますので、その内容の評価についてはこれは法令上全く別のらち外と申しますか、タッチしていない、こういうことでございます。
  62. 美濃政市

    美濃委員 単純にお答えを願いたいと思うのですが、そうするとその医師の方では死亡原因のIとIIと記載できる。Iは直接死因でIIは間接死因ということになる。IIの方には振動病と記載することはできるけれども死亡の原因のIには振動病という診断書は書けないというのだがどうですか。死亡原因の病名に振動病が入ってない、間接原因には書けるけれども直接原因の記載はできない、こう言うのです。間違いないですか。どうなんです。
  63. 此村友一

    ○此村説明員 医師法の省令の第二十条の第六号によりますと、死亡の原因ということが記載されているだけでございます。
  64. 美濃政市

    美濃委員 死亡原因に振動病と記載してよろしいのですか。
  65. 此村友一

    ○此村説明員 ですから、死亡の原因としてどういうものを書くかということは医師の判断に任されています。
  66. 美濃政市

    美濃委員 だけれども、振動病というものが死亡原因の病名に入っていないということはどうですか。その医師の言うのには、死亡原因に振動病というものは入ってないのだ、入ってないから記載することができないのだというのです。その阿部という医師は非常に熱心に振動病障害を扱っておる。その医師に言わすと、直接原因は振動病である、心臓がだめになってしまう、たとえば心筋梗塞が起きてもその原因は振動による欠陥が内臓に及んで、直接原因が振動病による死亡であると私は認定するのだけれども、法律上——法律かどうか、そこまでは私は念を押してなかったけれども、振動病というものが死亡原因の病名に入ってないから記載できないのだ、こう言うのです。
  67. 此村友一

    ○此村説明員 死亡原因はこれに限るべきだという制約はございません。それで死亡原因についてどういうふうに判断するかということは医師に任せてございます。そういうことでございます。
  68. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、もう一回聞きますが、死亡原因に振動病と記載して大丈夫ですか。間違いないですか、それは。いいんですか。医師が確実に振動病で死亡したと認定した場合死亡原因は振動病と死亡診断書を書いてよろしい、こういうことですか。
  69. 此村友一

    ○此村説明員 先ほど来申し上げておりますように、死亡診断書の原因ということについて、こういうものを書けとかこういうものを書いてはならないとか、そういうような規制は医師法上はございません。
  70. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、ないのだから書いてよろしいということですね。見解を明らかにしてください。
  71. 此村友一

    ○此村説明員 医師法上の禁止はございません。
  72. 美濃政市

    美濃委員 ちょうど時間が来ましたので以上できょうは終わりますが、最後に、大臣のところへもこの間行きましたが、私が申し上げたようなことは、現実の問題ですから、ひとつ農林省においても、まず第一番にかからない対策、かかった者に対する問題、いま申し上げたように、厚生省の見解が明らかであれば死亡原因をあいまいにしないで、振動病と明記すればこれは職業病で死亡したという措置を行えますね。診断書があいまいだから林野庁長官が言うようにあいまいになるんですよ。死亡原因が振動病ということになれば、これは職業病で死亡したという措置をしなければならぬでしょう。そこらの点をひとつあわせて最後に大臣としての見解を承っておきたいと思います。
  73. 大石武一

    ○大石国務大臣 今度二人亡くなられましたが、その方の死亡原因が職業病である振動病であるかどうかということは、これは重大な問題だと思うのです。もし振動病であるということがはっきりすれば、これはりっぱな補償の対象になるのでしょうし、いろいろ変わってきまして一つの大きな制度になりますから、これはやはり明確にすることが必要だと思います。それはまず大多数の専門家がなるほどそれは正しいんだというような判断をするような土台がないと、これは一つの大きな制度をつくることですから、なかなか決定しにくいわけです。そういう意味でやはりこれは林野庁が、そういう振動病であるという死亡診断書があるけれどもそれだけですぐ専門家の納得を得るかどうかということにいささかの自信がありませんので、もう少し制度として確立するかどうかという前提のもとに、死亡原因というものを明確にしたいということでいま努力しているわけでございます。そういうことでございます。  それからよけいなことですけれども、何病で死んだということは、これはいま厚生省の課長の言うとおり医者の判断でありますが、死亡の原因は心臓病という診断でも私は構わないと思うのです。つまり胃がんで主に死んでも、最後はだれでも心臓がとまれば死ぬ、心臓がとまらなければ死なないのですから、結局すべての場合、老衰病でも何でも心臓がとまった場合に死ぬことになるわけです。ですから胃がんが大部分の原因で死んだとなれば、それは心臓に多少故障があるかもしれませんが、やはり胃がんであるという診断になります。心臓の働きが悪くなって故障があって、弁膜症があるとか心筋梗塞があるとか、いろいろなことでそれがために死んだとなれば、心不全とかいろいろな言葉を使いますけれども、それは私は心臓病でも構わないのだ、こう思います。
  74. 美濃政市

    美濃委員 じゃ終わります。
  75. 湊徹郎

    湊委員長 この際午後一時十五分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議
  76. 湊徹郎

    湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件、すなわち、海洋法会議の動向等と漁業問題について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 湊徹郎

    湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 湊徹郎

    湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  79. 湊徹郎

    湊委員長 農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。米内山義一郎君。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山委員 大臣にまずお尋ねします。  冷害地の状況というものは一日ごとに深刻になっている状態です。というのは、近ごろになりまして、平年よりも二週間ないし二十日おくれの稲刈りが始まる。これを調製してみますと意外に品質が悪いし、収量も落ちているわけです。仮にその町村の作況指数が七〇と出た場合には、品質の低下その他くず米が多いというようなことから見まして、農家の手取りが大体半分まで下がるのじゃないかという不安なんです。去年あたり十四、五万俵も政府に売り渡した町村でも、五等米が辛うじて五万俵売れるだろうかというような地帯もかなり広くあるわけです。  冷害というものは、非常に広い地域に及ぶわけです。同じ天災においても、水害などとは違うわけです。北海道ではすでにかなり早くの推定で、米の減収だけでも八百億近いじゃないかというし、青森県とか岩手県、宮城県というような地域におきましても、それなりの地域の差があるとしても、相当な農家の収入減といいますか、経費を差し引くと実際に所得というものは生まれてこないわけです。自分の手間賃になる分はないというような状態です。さらにことし一年の農作業は、自分の銭を吐き出して労働したという結果になるのです。こういう状態は、企業であればこれは倒産なんですよ。前年度よりも売り上げが半分に落ちたとか、生活分も取れないというような企業があれば、これは手形も不渡りになるし倒産する。これが一つの大きな町村あるいは府県を規模に行われるわけですよ。こうしてみると、冷害の問題は単に農業、農家の問題ではない。その地域経済に及ぼす影響がきわめて大きい。しかも昭和の初期とか戦争直後の昭和二十年代の冷害不作と違う環境にある。農家は非常な近代化のために資本装備をしている。つまり借金が多い。自家用車を持つ。生活も以前の村の暮らしとは全く別世界のような生活をしているわけです。すなわち、十年近くもこういうことを忘れていたときになったショックというものは、実際的に言うと奈落に落ちるような心境なんです。これは不景気もかなり長く続いたときに起きていることですから、冷害に対する政府対策は単にここに書き出された程度のものでは不十分であるし、問題の解決にならないと思うのです。たとえば各県も各町村もきわめて財政が苦しいときなんです。要すれば銭を持たない卑屈さといいますか、憶病といいますか、すべては国の対策待ちの傾向があるのです。そういうことですから、国としてはこういう前途の不安というか、どうすればいいのかというとまどいに対して正しく処置するためには、そういうことを踏まえながら明確に問題の解決になるような施策をする必要があると思うのです。これは政治だと思うのです。ところが、大臣も何人もの陳情団にお会いになっているかもしれないが、大臣と会って青森県に帰った農協の代表者が何と私に言うかというと、農林大臣に会っていろいろ陳情した、ちょっと薄気味が悪い、こう言うのです。どういう意味かというと、何でもよろしい、何でももっともと言うだけで、少しも拒絶反応がない、本気なのか冗談なのか、選挙までの駆き引きなのか、それに不安を感ずる、だから国会においてきちんとした政府の方針を確かめてもらいたい、こういうことなんです。  そこで大臣、この問題は稲作の不作による所得減、収入減を第一に補うものは共済金なわけです。しかし、その共済金だって、実際に言うと契約のいかんによりまして実害から見ると非常に低いものなんですね。その他の所得の減を——所得の減というのは、つまり購買力の減退を何で補うかということを考えると、対策というものは借金の延納はもちろんですが、少しぐらいの問題で片づかない問題があると思うのです。だから、所得の減を確実に、十分に補償して、それでも豊作年次のようにも平年作のようにもならない、その分は農家は節約とか何とかでがまんするとして、少なくともこの後遺症が心理的にも残らないように、今後の営農の問題にも悪い影響を後遺症として残さないようにするという考え方を持つ必要があると思うのです。これは当然のことですが、この中で賃金を取らせるという部分が一番重要だと思うのです。このために被害額に対して——被害額が今後明確になると思うが、どの程度の割合で救済対策の賃金を取らせるための保障を考えているか、割合でお答え願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  81. 大石武一

    ○大石国務大臣 いわゆる救農土木という点でございますが、これはでき得る限り多くの予算を獲得しまして、そうしてそのお金のほとんど大部分が被災農民の手元に渡るような方向に進めてまいりたいと思います。  いままでの委員会の御答弁でも数々申し上げておりますように、実態がまだ完全につかまっておりません。そういうことでそのやるべき、各町村で施行する仕事にしましてもいろいろございますし、要求の予算の規模もございます。こういうものを早く実態をつかまえまして、できる限りそれに対応できるような予算を獲得して、そうして役立たせたいと考えておる次第でございます。  なお、青森県の農協の代表の方が大分久しい前に陳情にいらっしゃいまして、私も御意見を承りました。その御要望のとおり全部要求いたしたので、御要望の内容よりも多いような内容になっておりますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山委員 不安を感ずるのは、結局いまの政治というものは農民から見るときわめて不信だというところにあるわけですよ。政治に信頼さえあれば、大臣のように一二〇%のサービスをしていただく大臣は神様に見えて少しの疑いも持たないわけなんです。ただ、そういうことだから、大臣がせっかく御好意ある答弁をしても、家へ帰ると薄気味悪いと、こういうことになるわけなんです。  そこで、被害の実態が明らかでないが、そうすると、いつごろにそれが明らかになり、どの程度にやるかということです。これを早くしませんと、実際の罹災地、被害を受けた地域対策の立てようがなくなる。ないわけじゃない、なくなるのですよ。収穫作業が済むと、人がいなくなる可能性があるし、遅くなると、人がいても降雪のためにせっかくのこの土地改良事業を中心とする救済工事もできなくなるわけですから、およそのそのめどというものをここで一応はっきりさせておく必要があると思うのです。そのころ合いはいつごろかをひとつ明白にしておいていただきたい。
  83. 大石武一

    ○大石国務大臣 私は、一応事務当局には十月のうちにこれを発動しなさいということを申しておりますが、いろいろな詳しいことにつきましては杉山議官からお答えをさせていただきます。
  84. 杉山克巳

    杉山政府委員 正確な被害程度というものは確かにまだ確定していないわけでございます。これはまた別途、十月十五日現在の作況について十一月二日に発表するその際にあわせて被害額についても取りまとめるということにいたしておりますが、救農土木の問題につきましては、現在の段階でも状況それ自身は全体としてはわかるわけでございますから、そういう額の確定を待たないで、ベースには九月十五日現在の作況があるわけでございますから、すでに作業を進めておるわけでございます。各県からの就労の希望数、それから事業としてどういうものをやるかということが考えられるかということについての意見をとったわけでございます。大体必要なデータはそろったものですから、部内の調整もほぼ終えまして、現在並行して大蔵当局とも財政上の手当てについて折衝をいたしておるところでございます。  それから、事業につきましては、主として構造改善局、林野庁の事業になりますが、それぞれ事業の性格なり内容を若干異にしますが、共通するところはいずれも労務費比率の高い小規模事業、そしてことさら新しく設計するとか調査するとかいうことの必要のないような事業を中心に考えておるわけでございます。基盤整備、土地改良でいいますれば、圃場整備でありますとか、農道あるいは水路、用排水路といったようなことが考えられますし、それから林野関係では治山、林道、それから一部造林といったようなことを考えているわけでございます。先生お話しのように、これについてはできるだけ急ぐ、そして私どもできればめどは今週中につけて、大臣から御指示のありましたとおり、今月中には関係道府県にもその割り振りをつけまして、それこそ雪の降る前に、できるだけ早い時期に事業の実施に取りかかるようにいたしたいということで努力しているところでございます。
  85. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そのやり方にも、各県の財政のいかんによるが、県知事の見方、考え方によるかもしれないが、岩手県の知事さんはかなりな金額を九月議会で、県単で、やはり土地改良事業を、特に激甚地、山間部の標高の高い、狭いたんぼだけは根本的に直したい、これは金のあるなしにかかわらず、岩手県としてはやらなければいけないからやる、こういうお話を聞いた。秋田県の知事さんは、ことし一年で条件の悪いたんぼは畦畔の積み直しも、用排水の整備も、必要な温水ため池まで含めてことし一年で処理したい、あとの財政措置は国会議員が国から援助を後でやってもらいたい、こういう姿勢なんです。それがいまの実情なんです、雪の降る地帯では。ところが、金のない青森県では、この間の九月に種もみの対策費と、各町村の冷害対策本部設立事務費というのを五千万足らず組んだだけだ。そして冷害対策土木工事というものは予算に計上してあるが、まだ契約していない一般公共事業、この契約に当たって業者と特別な契約を結んで、激甚災害の農民を職安に登録してそれを使う、こういうふうなことしかできないような場合もあるのです。ですから、いずれにしろ国営開墾でもなかろうし、県営パイロットでもないのです。いずれ小規模な地域に、簡略といいますか、農家自分の労力で自分のたんぼを改善して賃金を取ることなんですから、これは何とかして、こういうやり方でこうやればあとの金の始末は国が見る、こういうふうにでも方針を決めてやってもらうことが一番銭にも時間にもむだがなく効果的にいくことだと思うのです。  そこで、財源を明らかにして、予備費でやって間に合うのか、予備費で足りなかったならば予算をふやしてやるというのか、この辺が具体的でないから薄気味悪いというのです。その辺を、もう少し冷害地の知事も市町村長も農民も安心して仕事につけるような御答弁をもらえないものですか、ひとつお願いしたいと思うのです。
  86. 大石武一

    ○大石国務大臣 私の意見としましては、余り役所が各地方自治体に対してあれをやれこれをやれと押しつけることは賛成でございません。やはり各自治体の自主性というものを尊重し、お考えを尊重して、それに御協力申し上げるというのが大体の本筋であろうかと私はいま考えておるわけでございます。そういうわけで、青森県の御当局に対しましても、あるいは各町村に対しましても、こういう仕事をやりなさい、ああいう仕事をやりなさいとは農林省は言わない方がいいと私は思います。いろいろな御事情もございます。われわれ地方に向かって、実態もわからないくせにあれをやれこれをやれなどということはおこがましいと思いますが、いろいろ御相談には応じます、お役に立つことは何でも御相談に応じますけれども、やはり各自治体が自主性を持ってこういうことをしたい、ああいうことをしたい、それにはこれくらいの予算があるということを前提としてその事業を進めることが望ましいのではないかと思います。  それから、予備費を使って足りなければどうかとかいろいろなお話がございましたが、それは全体の面において、これから台風の問題や冷害の問題もございますから、もし予備費がどうしても足りなければ当然それは追加予算を組まなければならぬことにもなると思いますが、それはどのような事業が必要なのかという各地の要望なり、そういうものを土台として、その上に立って初めてそういう予算の枠が決まっていくのじゃなかろうかと考えている次第でございます。
  87. 杉山克巳

    杉山政府委員 先生御指摘のように、いま各自治体によって、それぞれ苦しい財源の中から単独ででもすでに救農土木事業を起こしているところがございます。それとは別に、国として補助事業として今回小規模の各種救農土木事業を起こすということを考えているわけでございます。これにつきましては、まだ確かに総額の予算規模は明らかにできるような状況にございませんが、私どもも既定予算の中で都合をつけられるものは都合をつける、できるだけやりくりもします。しかしこれは限られておりますので、相当額を財政当局に追加支出をお願いしなければなりません。これにつきましては、現在までのところ、財政当局の感触としては、予備費をもって措置するということで承っております。
  88. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまのこの問題に対する大臣の考え方は、これに関する限り最高にりっぱだと思うのです。歴代大臣の中で一番だと思う。そこで、考え方はいいが、あとはやり方をどうするかということなんです。要すれば、ある町村が前年度は十五億の米を売った、ことしは十億しか売れない、その五億の農家収入の欠陥は借金、制度資金の延納とか、あるいは農協から借りている生活資材、あるいは諸貸し付けのことし限りのものなどの償還には自作農維持資金で充てるとか、その残りが出るわけですよ。だからこういう基準に対して何億円はこの対策土木事業でやる、やり方はまず第一は農業基盤の整備と言いますか土地改良をやる、農道をやりなさい、それでもまだ消化できなかったら林業の仕事を選ぶべきである、とにかくやり方は町村に任せる、金は四億やる、そのうち国が補助するものは何割で特別交付税で見るものは何割だ、あとは本当の自分の自腹でやったらどうか、ここまではっきりすれば政策は具体化してみんなもあすからでも着手するわけです。それが一番いいことだと思うのですが、こんな程度のこともできないようじゃちょっと不安だと思うのですがどういうものですか。
  89. 大石武一

    ○大石国務大臣 私もただいまのような状態のもとにおいて仕事をするのはまことに結構だと思います。そのような計画をお立てになるのは私は県当局ではないかと思うのです。そういう県当局の御計画によってわれわれがその計画を受け入れましてそれに対してどのように予算その他においてこれに御協力するかということが問題でございまして、農林省が各県、各町村に金をこれだけやるからああせいこうせいということでは私の考えでは行政は逆だと思うのです。やはりそういうものは青森県が中心ですから、県でそういう具体的な方針をおつくりになって、当然いまそういう状態であると思うのですが、そういうことで対策が進んでいくのじゃなかろうかと考えます。
  90. 米内山義一郎

    ○米内山委員 先ほど申し上げたとおり地方は金を持たないからみんな国の出方待ちなんですよ。国の方で具体的な指針を早く示せばそれなりに県なり市町村対策が進むわけです。私は昭和二十年ごろ村の村長をやった経験がありますが、いままでのやり方だと年度末にこういう仕事にこれだけの金をつけるということが来ますと、やっている最中に田の作業が始まるし、実際言うと工事をやれば作業がおくれるというような混乱が生ずるから、これは早くなければ一割や二割、一〇%の助成はあってもなくてもいいくらいの効率の違いが出るものだから、これについてはできるだけ早い方がいいということを申し上げておきたいし、金の面もこれは金のことですから言葉のことじゃないですよ。およそ幾らという金額がつかない限り話に終わるわけだが、その辺のめどもこの際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  91. 杉山克巳

    杉山政府委員 先ほども申し上げましたとおり、各県からの計数に基づいての調整をほぼ終えて財政当局といま幾らの規模でもってこの事業を実施するかという最終の詰めを行っているところでございます。私どもの感じといたしましては今週中にはそれは詰められるのではないか、そのベースに基づきまして各県にそれを割り当てる、事業の内訳を区分して決めるということになってまいります。できるだけ早い時期にその作業を終えましてそれこそ大臣の御指示のように今月中にはすべて完了して十一月には工事にかかれるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  金額につきましてはそれぞれ生の数字がございますが、調整前の話でもございますのでかえって未整理で出してもいけませんので、もう若干お待ちいただければそう遠くない時期に発表できるようになると思っております。
  92. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで制度資金等の条件緩和の問題なんです。これはこうなるのです。農民は出荷する米をいわゆる動産担保のような形でいろいろな借金を農協なりからしでいるわけです。ところが政府へ米を売るとこれは天引きされるかっこうになる。十二月二十日になればそうなるわけです。そこでこれを条件緩和をするとすれば、制度資金の場合はいままで一人一人の借入金に当たって、条件を緩和するときの書類というものはきわめて複雑なんです。その農業経営の環境とかの書類、一組合で千名分の条件緩和の書類をつくるということは、しかも一人で近代化資金とかそういうものは何種類もあるでしょう、とても大変なんです。そこで今度のようにほとんど全員が災害を受けているのですからそういう証書の書き直しとか何かは省略して、この件に関するものは償還年次の次の年に回すということだけで事務を簡素化しませんと、そういう制度ができても書類上の手続は不可能なんです、この点についてどういうような簡素化というか簡略化の措置をとっていただけるか、これをひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  93. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先生御承知のように制度資金関係の要するに貸借契約というものが個々の農家と農協あるいは公庫との間にあるわけでございまして、それをやはり一人一人の被害状況あるいは負担能力というようなものを勘案しまして、実態に即した条件の緩和が金融機関と被災農民との間で行われるということでございますので、これを一律に一つの型にはめてしまうわけにはいかないわけでございますが、ただ先生がおっしゃいましたようないろいろ書類作成上のややこしいむずかしい問題は、こういう際でもございますのでできるだけ簡素化しあるいは合理化された形で行われますように私どもとしても金融機関関係者等は指導してまいりたいというふうに考えます。
  94. 米内山義一郎

    ○米内山委員 たとえば七年という決まりのある資金を借りているが、家際にはこういうことを予測してか五年で借りている場合はこれはそのままでいいのですか。二年長く借りられる権利があるといえばおかしいが、制度的にはいいわけなんですが、こういうときにはただ最終年次に繰り延べというだけでやってもらえるはずだと思うのですが、いかがですか。
  95. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先生のおっしゃいました最高限度というものはいわば法令その他等で決まっておるものでございまして、個別の農家との契約はあくまでも契約された償還期間というものがその人にとっての償還期間でございます。したがいまして、この償還期間を延ばす場合には個別の契約の償還期間を延ばすという手続が必要になるということでございます。
  96. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは実際個別の書類を最初の契約のようなあんな書類の規定どおりにやると事務的に大変だということなんですよ。局長は、どんな種類の書類を一世帯当たり書かなければならないか書式などは詳しく御存じないかもしれませんが、これは実際に農協の事務の五人か十人分なら簡単ですよ、千戸の組合員があれば千戸分、しかも借入金別にやったらとてもじゃないが大変な事務分量になる、これをできるだけ簡略ということを具体的に明示してもらうと、みんながじゃその方法でやろうじゃないか、ありがたいことだと思うかもしれない。ただ個別の契約だから個別に直すといえばまた書類は個別になるわけです。
  97. 大石武一

    ○大石国務大臣 事務的に御答弁申し上げれば一番いいのですが、私は余り事務的な内容の詳しいことはわかりませんのでどうかと思いますが、たとえばことしは一人一人の契約ですから一人一人がやはり契約を守ることが大事だと思います。ただし、このような災害でありますから、たとえばことし納める分を延ばすということになりますと、それは余りむずかしくない条件で延ばすようにしたらいい。それをさらにあとの残りの年限で均等償還にするのが普通でしょうけれども、さらにそれを一年なら一年、二年なら二年延ばすということの条件に変えるとすれば、やはりそれは来年なりその後の期間において書類を書きかえるということに契約を書き直すということになるのでしょうし、できるだけおっしゃるとおり事務の簡素化は図ってまいらなければならないと思います。
  98. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次に種子の問題なんですが、水稲種子購入費に対する助成というか、確保の問題ですが、確保のためにはどういう措置をやられるのか。助成については、一キロ幾らして、それに対して何十%を助成するのか。たとえば県費と国費との負担割合等も、もしあるとするならばその点などもひとつはっきりさせてもらいたい。
  99. 杉山克巳

    杉山政府委員 ちょっと種もみについて直接所管している農蚕園芸局長がおりませんので、私、官房として承知しております範囲においてお答えいたします。  種もみの確保につきましては、これは普通ならばその地域、主として県内でもって需給調整を図るというのが原則でございますが、ことしのような場合は県内では必要な数量が確保できない。そこで県間の需給調整、彼此融通ということが必要になってまいります。そこで、これは早いうちに手当てをしませんと、実態もよく調べてその間の指導をいたしませんと間に合わなくなるということで、現在すでにそういう調査、それから各県に対する指導を行っているところでございます。要するに県間の需給調整に国が乗り出すということが一つ。それから助成の問題でございますが、これは対象数量がはっきりしませんと実ははっきりした助成のやり方等についても決められないのでございますが、従来助成をした経験がある。その際はたしか種もみ代の三分の一を国庫補助したというように承知いたしております。
  100. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次に、これはいますぐ片づく問題じゃないのですが、冷害に対する試験研究の充実ということなんです。どういうお考えに立ってこれをやっていくのか。いままでの考え方の延長なのか。この異常災害に対して、これだけ長年金をかけ、非常に科学も技術も発展した中でこういう被害を受けた、こういうことですから、何かここに考え方の変化がなければ、いままでの延長だけではこれは片づかない問題があることは当然でしょう。この基本的な、今後の冷害に対応する技術をどういう考え方で発展させていくかという考え方をまず伺いたいと思うのです。
  101. 杉山克巳

    杉山政府委員 今回の冷害については、まず、どうしてこのような災害になったのかということについての精密な要因分析が必要だと思います。それは、地域別にも被害にかなりはっきりした差が出ておりますが、同じ地域においても圃場ごとあるいは個人ごとに被害程度に著しい差がある。ごく大ざっぱに言いますと、基本技術に忠実にやったところはそれなりに被害が軽減されているという実態もございます。そこで、技術指導、それのまたもとになる試験研究の開発ということはきわめて重要だと考えております。そこで、その詳細を一々申し上げておりますと切りがありませんが、午前中御説明申し上げました対策一覧表の一番下のところにも書き込んでございますが「試験研究の充実、技術指導の徹底」ということで今後「冷害に関する緊急調査の実施」それから「異常気象対応技術の確立に関する総合研究の実施」、これは実はことしから着手しておりまして、何も今回の冷害にかんがみて新しくつくるという話ではございまんが、これの内容を一層充実させるような形でこれを実施してまいる。それから三番目に「耐冷性品種の育成等」、それからさらに、こういった基礎的な試験研究、耐冷品種の開発等もありますが、それを現地に、個々の農民に十分徹底させる、そのための「技術指導の徹底」ということを一段と充実させて考えていく必要があるというように考えております。
  102. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その問題はきょうは聞いておくにとどめましょう。  次に、さっきの美濃委員質問に関連して林野庁の長官及び大臣からもお聞きしたい。  新聞紙上で拝見したことだが、白ろう病の問題で林野庁長官が告発、告訴を受けておる。これに対して、心外だとおっしゃる。われわれから見るとまことに心外なんです。大体、林野庁が作業員にチェーンソーという道具を持たせて作業させて、そこから白ろう病というものが起きたとすれば、因果関係が明白なんです。刑事責任の有無は別にしても、原因者と被害者という関係はもう疑う余地がないんです。これに責任を感じないということ、これはぼくは、司法上の問題じゃないですよ、行政上の問題あるいは人間と人間との問題において、心外だということは責任がないということと同意義だと思うのだが、まるきりあなたはこれに対して責任を感じないのですか。
  103. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  午前中も美濃委員の御質問にお答えしたわけでございますが、国有林で約三千名、民有林で約九百名という認定者が出ておるという大変深刻な問題でございまして、私ども深刻に受け取りましていろいろ対策をとってまいったわけでありますが、いまなお出ているという実態に対して大変遺憾であると思っておるわけでございまして、実は、いま御質問の心外ということについてでございますが、そのような状態のもとで、林野庁といたしましては、昭和四十四年に労働組合との間に、使用いたします機種あるいは使用時間等、種々の対策について一定の取り決めを行いまして、その後もそれを強化しながらまいっておるわけでございまして、現在さらに新しい事態に対応いたしまして労働組合からもいろいろな要求が出ておりまして、私どもそれを受けて誠意を持って真剣な検討をいたしておるという段階でございます。その段階で告訴、告発というような事態に至ったということはまことに残念なことでございまして、大変思いがけないというようなことで「心外」という単語を使ったわけでございますが、今後私どももさらに対策拡充いたしながら、あるいは機械開発等を含めまして十分それに対応してまいりたいというような姿勢でおるわけでございます。
  104. 米内山義一郎

    ○米内山委員 先ほどの長官の答弁を聞いていて、まだ心外だと思うことがあるんですよ。ロータリーエンジンつきのチェーンソーを開発している。なるほどロータリーエンジンはピストンエンジンよりも振動が少ない。そういう考えなら、金さえかければ、いままでだってあの作業所に発電機を持っていって、電動機によるチェーンソーをつくれば、技術的にももっと簡単に片づいたし、あるいはこういうものは起きなかったかもしれないんです。要すれば、金をかけないで、労働者に障害が出てもいいという考え方ですね。これはあなた方から見れば合理化という思想かもしれないが、働く者から見るときわめて不合理な思想の上に立っていると私は思うのです。  それから、これは機械の問題ですよ。結果としてできるのは人体に及ぼす問題なんです。じゃ機械の開発には一生懸命やったとおっしゃるなら、この病気を予防し、あるいは治療対策を立てるためにどれだけの研究をしたかということです。つまり、この病気の病理というものについて、国として、たとえば林野庁には病理研究もないわけだから、厚生省なり労働省としてどういうことをやったかということをまず聞いてからにしたいと思います。
  105. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  林野庁といたしましては、このチェーンソーを使っている事業体といたしまして、このような認定が出てこないようにということで予防措置を中心としてまいっておりまして、ただいま先生例示されましたようなロータリーエンジンつきのチェーンソーの開発、現在さらにまた開発試験中でございますが、全然手を触れないでリモコンでやれるチェーンソーの開発を現在実験中でございますが、すでにそういうこと等をやっておるわけでございます。  また、いま医療関係でどのようなことを研究してきたかということでございますが、昭和四十年でございますが、林野庁にレイノー現象対策研究会というものを設けまして、それをずっと検討する中で、ただいま申し上げました時間規制あるいは機械の開発あるいは医療、補償の問題、そういうこと等をとってまいったのであります。また四十九年には、専門のお医者さんグループでございますが六名、林野庁に林業労働障害対策研究委員会というのを設けまして、専門医による研究を続けておるわけでございまして、その結果、現在も続けておりますけれども、五十年に「振動障害治療の手引き」というものを作成いたしまして、さらに近く策定できると思っておりますが、新しい特殊の健康診断要領の作成を考えておるわけでございます。  なお、申し上げましたほかに、昭和三十八年以降、関係の大学の医療研究機関等に調査研究の委託を出しておりまして、それぞれ医学的な研究も私どもの方でも進めておるわけでございます。
  106. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実は私、その障害にかかった森林労働者の手を握って感じたことは、これは明らかに人間の人体の末梢、末端の血管障害だと思うのですよ。その血管の中でも一番弱い部分、毎日発生したり毎日退化していく部分があるでしょう。たとえば動脈と静脈の吻合部といいますか、あの末梢の末梢の血球が一粒やっと通るような部分の破壊じゃないかと思うのです。それで、なぜそこに起きるか、しかも、かかる人とかからない人とあるというのは、これは生理の関係もあるでしょう、人体の状態もあるのです。でき上がったものだけを、病気になった者だけをあっためるとかぬくためるという研究じゃ問題にならぬと思うのだ。いまの医学でこれが解明されないということは不思議だと思うのです。問題はそこに考えが及んでいないから、つけ薬や塗り薬かあっため薬でやっているのじゃないかと私は疑うのですよ、素人だけれども。  そこで、これについてどこでどういう研究をしているか、その研究の担当の方から聞きたいのです。その研究がどこまでいっているか、どこに着眼して何をねらいながら、現在、この問題の生理学的な、病理学的なところから出発しているかということを聞きたいのです。
  107. 宮野美宏

    ○宮野説明員 振動障害は、先生御指摘のとおり末端の循環障害を伴うものでありますので、これに対する研究というのは大変重要なものというふうに思っております。現在、振動障害の病理学的研究につきましては、一部の労災病院などで行われておりまして、その成果は日本産業衛生学会でありますとか産業医学会にも発表されまして、進歩を見つつあるというふうに考えております。それで、昨年の五十年九月に策定されました白ろう病に対する認定基準あるいはまた本年六月に出されました治療指針におきましても、これらの現時点での病理その他の医学の知見に基づきました認定基準であり、あるいはまたその治療指針であるというふうに、私どもそういう線で進めてきたわけでございます。  やはり振動障害に関しましては、今後も先生おっしゃるような研究が必要であると思いますので、それとまた、その成果をもとにいたしまして、予防対策に反映をさせてよりよいものにしていきたいというふうに考えております。
  108. 米内山義一郎

    ○米内山委員 たとえば同じ振動をする機械、道具を手に持っても、山林労働者と鉱山労働者あるいは道路の労働者の間における発生率の差というものから見ても、あれにはいろいろな研究すべき問題があるし、解決もむずかしい問題じゃないと私は思うのです。そこで、その辺のことについてのいままでの研究経過等は、今後改めて御説明を別個に聞きたいと思います。  いずれにしろ、この問題はチェーンソーのロータリーエンジン化を研究しているからということだけで責任は許されるものでもないし、免れるものじゃない。だから、この問題の根本的な正しい処理のために政府としてもいままでと違った厳しい態度で臨んでもらいたいことを強く要望して、私の質問を終わります。
  109. 湊徹郎

    湊委員長 次に、諫山博君。
  110. 諫山博

    諫山委員 大石農林大臣に初質問をいたします。内容は、鹿児島県、沖繩県のサトウキビです。  閣議決定で「農産物の需要と生産の長期見通し」というのが決められ、発表されております。砂糖を例にとりますと、昭和四十七年度は自給率が約二〇%、昭和六十年度はこれを二八%に引き上げる、こういう計画です。私たちテンポが遅過ぎるなあと思うのですが、それでも自給率を高めようという方向ですから、それ自体には賛成です。ところが昭和四十九年度の自給率の実績を調べてみると一六・七七%、つまり、向上するどころか、急速に低下してきたという数字が出ております。私この問題を過去何回か質問してきたのですが、そのときの歴代農林大臣説明は、これは長期間の計画でございますから一年一年計画どおりいくとは限りません、長期で見てくださいというような説明でした。私も大分長期でがまんして見てきたつもりですが、一向自給率は向上せずに低下しつつある。これではこの長期見通しというのはもう放棄したのかと疑わざるを得ないわけです。砂糖についてはもうこの長期見通しは農林省として断念されたのか、それとも断念はしていないということなのか。断念していないとすればどういう段取りでこの長期見通しを達成しようとしているのかお聞きしたいと思います。
  111. 大石武一

    ○大石国務大臣 前の農林大臣のお答えしたように、やはり長期的なものですから長い目で見てくださいという考え方は正しいと思うのです。昭和四十八年から減り始めたんですね。四十七年までは大分伸びてまいりましたが、四十九年には大分減りました。しかし、五十年にはまた少し今度は回復の方向に向かっております。こういうことで、どちらかと言うと最盛期よりは減っておりますから、おっしゃるとおり多少心細いとお考えだろうと思いますけれども、やはり長い目で見ていただく。それにはやはりいろいろな手段を講じなければなりません。たとえば生産性の向上の問題とかいろいろございますので、そういうことで努力をいたしまして、できるだけ所期の目的を達成するように努力してまいるというのがいまの農林省の考えでございます。
  112. 諫山博

    諫山委員 長い目で見てくれというのはいままでの農林大臣の答弁と変わらないのですが、ただ長期の計画を実現するためにはやはり年度年度で徐々に目標に近づくということでないと、将来を見てくれと言っても、とても待っているわけにはいかないですね。  そこで私が当面問題にしたいのは、鹿児島県、沖繩県のサトウキビです。サトウキビについても同じような長期目標が設定されているわけですが、これは作付面積をふやす、四十七年度に比べて六十年度は一一一・八%にする、反収を大幅にふやす、十アール当たりの収量を四十七年度に比べて六十年度は一六〇%にする、こういう計画のようです。これもどうも長期の計画だから将来を期待してくれと言われてみても、いままでの実績を見ているととても計画どおりに実現しようとは思えないわけです。この点実績はどうなってきたか、どういう方法で達成しようとしているのか御説明ください。
  113. 大石武一

    ○大石国務大臣 御承知のように、現在の作付面積は三万二千七百ヘクタールくらいございます。これを六十年度三万八千ヘクタールでございますから、その面積においてはそうむずかしくない問題かと思います。ただ問題は、いまの十アール当たりのサトウキビの生産量が非常に低いわけでございます。これを高めるということで将来十アール当たり大分上がることになりますが、これに対しましてはやはり一番大事なことは、そのような生産性が向上しますようにその基盤整備なりそのような方向において大きな力を入れることが一番大事な問題だと思います。また、こういう生産性の向上に対する努力がなくてはこの目的は達成しないと思います。そういう意味で、来年度の方向としましては特に生産性、基盤整備に力を入れまして反当収量の増加を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  114. 諫山博

    諫山委員 今度は大臣でなくて結構ですが、サトウキビの作付面積をふやす、これはそれほど急速にふやす計画ではないようですが、反当の収量をふやすというのは、相当急速にふやす計画になっています。現在実績はどういうふうに進んできたのか、そしてこれを保障する基盤整備あるいは機械化というのがどの程度進んできたのか、お聞きしたいと思います。
  115. 澤邊守

    澤邊政府委員 実績で申し上げますと、反収は災害等によりましてぶれはもちろんございますけれども、鹿児島の場合でいま申し上げておりますが、四十五年が五・五トン、四十六年が約六トン、四十七年が六・二トン、それから四十八年が六・七トン、四十九年が六・五トン、こういうような推移をたどっております。沖縄県につきましては、四十五年は非常に反収は高くて七・一トン、四十六年は五・四、四十七年は六・〇、四十八年は六・九五、まあ七トン、四十九年は悪くて五・九トン、こういうように推移をしております。これを長期目標に即した反収を引き上げますためには、ただいま大臣からお答えいたしましたように、基盤整備をやることが基礎になると思いますが、その他の対策といたしましては、災害によるぶれは別といたしまして、基盤整備と並んで土壌の地力が非常に低い。御承知のようなサンゴ礁等が非常に多いわけでございますので、そういう土壌改良にかなり力を入れる必要があるというように考えております。  また、種苗の更新がなかなか行われなくて、何年も株出しを行っておるということが栽培の慣行としてかなり広く行われておりますが、これもなるべく二年ないし三年で株出しはやめて植えかえるというようなことが必要であるというように考えております。  また非常に労力がかかるわけでございますので、機械化を促進するということで、現在収穫機等につきましては、小型の機械は、一応できております。中型機械につきましても試作機ができて、まだ改良すべき点はございますけれども、研究を進めて今後普及に入る段階にございますが、基盤整備を行いまして、それらの機械を早急に普及をするということが必要だろうと思います。これは労働時間の節減を図るということは、労働生産性を上げるばかりではなくして、それによりまして適期作業ができるというメリットがあるわけでございます。それによりまして反収も向上できるというふうに考えられますので、これらの各種の施策を総合的に講ずることによりまして目標にできるだけ近づく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  116. 諫山博

    諫山委員 長期計画をいまから始めるというのであれば、いまの説明で私は納得します。あれもやります、これもやります、さらにこれもやりますということは計画の出発点でなら結構ですが、もう長期目標を立てて相当たっているわけですね。ところが実際はほとんど反収はふえていない。こういう中で、あれもやりますこれもやりますと言ってみたところで、とても農民は納得しないと思います。  沖縄の農業では、サトウキビは中心的なものだ。これに対して、もっと大胆に国の予算をつぎ込んで、基盤整備もどんどん進めていく、機械化も進める。全体としておくれているわけですから、早くおくれを取り戻して本土に負けないような農業をつくり上げていく、そのためにはもっと国が大胆に予算をつぎ込むしかないと思います。私たちはことし沖縄に関する特別な政策を発表したわけですが、その中でもいま私が言った点を強調しております。  農林大臣にお聞きしたいのは、反収を昭和六十年度までに一六〇%にするという計画がつくられながらほとんどこれが進んでいない。これを解決するためには基盤整備、機械化のためにもっと金をつぎ込めということを要求しているのですが、どうでしょう。
  117. 大石武一

    ○大石国務大臣 その御意見のとおり進めてまいる方針でございます。
  118. 諫山博

    諫山委員 どういう段取りで進めますか。
  119. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほど農蚕園芸局長からいろいろ具体的なことを申し上げましたが、ああいうことを土台といたしまして、やはり反当生産量を上げる——生産量を上げるということはそうむずかしいことではないと思います。これがいままで最高度の生産を上げておる耕地ならば、これはそれからまた何%、何十%上げることは非常に困難だと思いますけれども、ほとんど土地改良も行われておらない、肥料も余りたくさん入れられない、余り手を加えられなかった耕地が大部分だと思います。これは内地の米のようなものですから、そういう意味では、これはできるだけそのような手を加えていけば、七年か八年後にはこの五〇%や六〇%の生産性の向上はそうむずかしくないのではなかろうかと私は思います。
  120. 諫山博

    諫山委員 局長質問します。  農林大臣は、もともと余り機械化が進んでいない、基盤整備が進んでいないところだから、金を大胆につぎ込めば反収はうんとふえるんじゃないかという御意見のようですが、局長はそういう立場でこれを進められますか。そして今度の来年度の予算の中にはそういう観点を盛り込んでいきましょうか。
  121. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私基盤整備関係について御説明いたしますが、いま大臣からお話のありましたとおり、確かに現状では沖縄の基盤整備の実施率といいますか実施状況は本土と非常な格差がございます。ちなみに、いま私ども土地改良の長期計画というのを四十八年から五十七年という十カ年計画で持っております。全般的におくれておりますが、全国対比いたしましても沖縄は非常におくれております。しかし、私どもはこのおくれをぜひ早期に取り戻したいということで、四十八、四十九年度は全般的な公共事業の抑制の年でございましたので目に見えて沖縄県に対する土地改良事業の投資はふえておりませんが、五十年、五十一年を見ますと、五十年は前年対比一六八という比率でございますし、五十一年は一四一という、いわば内地の一般的な伸びに対しましては格段の伸びを示すように私どもは重点的に沖縄県における土地改良事業を進めているわけでございます。もちろん今後におきましても、おくれを取り戻すという趣旨から沖縄県においては内地と比べましては特段の手厚い助成を実施したい。現状におきましても採択基準、補助率につきましては非常な優遇を示しているわけでございますので、その体制はぜひ強めてまいりたいというふうに思っております。
  122. 諫山博

    諫山委員 いまのは沖縄県についての説明になりましたが、鹿児島県も同様ですか。
  123. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ほぼ同様でございます。
  124. 諫山博

    諫山委員 大臣に質問します。  この長期目標というのは政府の到達目標であると同時に国民に対する約束だと思います。たとえば選挙のときに自民党はこういう計画で日本の農業を発展させます、こう言うわけですから、自民党の到達目標であるだけではなくして国民に対する公約だ、そういう立場から、これを予算の面でも裏づけしながら達成する努力をするつもりかどうか、お聞きしたいと思います。
  125. 大石武一

    ○大石国務大臣 これは公約といえば公約でございますが、一応の努力目標でございます。できるならばそのような目標を達成することは一番いいことでありますから、そのような方向に向かって熱心に努力するということでございます。
  126. 諫山博

    諫山委員 私はこれは公約だと思うのですが、どうも公約意識が非常に薄いように見受けるのです。その場合、農民がいま一番望んでいるのはサトウキビの価格を引き合うようにしてもらいたいということです。サトウキビをつくったら十分一人前の生活ができるように保障してもらいたいということです。ところが実際そうなっておりません。農民の置かれている実情がどのくらいみじめなものであるかということを象徴的に示しているのがサトウキビをつくっている農民の一日当たりの家族労働報酬だと思います。鹿児島県の場合は奨励金を含めまして四千二百六十七円、沖縄の場合は奨励金を含めて三千七百四十一円という数字が出ているのですが、これは他の作物に比べて極端に低いわけですね。もうお話にならないぐらい低い。たとえばてん菜に比べても問題になりません。こういう状況が出てきている一番大きな理由は、基盤整備が進まない、機械化も進まない、労働力に依存する程度が非常に高いということのあらわれだとも思います。私たちはこの状態は、いま私が指摘しましたように、一日も早く解消してもっと労働力を省くことができるようにする必要があると思うのです。しかしこれが直ちに実現できるかというと、どうもそうではない。とすれば、私たちは機械化をもっと推進するという目標に向かって努力しながら、それでも現に労働力を多く要する中で現在農民は働いているわけですから、いまの状況の中でもせめて一人並みの労働報酬が保障されるようにする、そのためにはキビの価格引き上げざるを得ないというふうになるわけです。  もう一つの問題点は、沖縄県は失業が非常に多いのです。全国平均に比べて三倍だと言われております。そうすると、サトウキビで一人前の生活ができないからといって、これをやめてほかの仕事につく、あるいはほかの農業を選ぶということもほとんどできない。どんなにみじめであってもサトウキビをつくらざるを得ないというのが沖縄の実情です。そういう点で、一日当たりの家族労働報酬がサトウキビ農民の場合には余りにも低過ぎる、これを何とかしなければ、幾らサトウキビを増産するといってみたところで空念仏に終わるのでなかろうかと思うのですが、農林大臣、いかがでしょうか。
  127. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 ただいま先生から一日当たり労働報酬の問題につきましてお話がございましたので私から御説明させていただきます。  確かに御指摘のようにサトウキビの一日当たりの家族労働報酬をとりますれば五十年で奨励金を入れまして一万六千円の水準でいきまして大体四千円の水準でございますから、たとえば米でいきますと一日当たりが六千九百円ぐらいに相なりますから、非常に一日当たりの家族労働報酬は少のうございます。しかしそれは反当粗収入でたとえば一万六千円の水準を見てみますと大体十アール当たり八万円の水準でございますから、米の九万円と比べれば低うございますけれども、粗収入そのものから言いますればそうかけ離れた水準ではないわけでございます。  粗収入はそうであるのに一日当たり労働報酬がそのように低いのは、まさに御指摘のように労働時間が非常にたくさんかかっておるということにあるかと思います。御存じのとおり、生産費に占めます労働費の割合が大体七〇%を超えておるというかっこうでございますし、同時に、特に収穫労働が全体の六〇%を超えるというふうな状況でございますので、その点におきまして、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、生産性を向上する特段の努力と相まちまして価格問題を検討していく必要があるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  128. 諫山博

    諫山委員 沖縄県のサトウキビ農民、鹿児島県のサトウキビ農民、共通して価格算定方式に問題があると言っています。パリティ方式で計算することには反対だ、せめて米と同じような計算方法が採用できないのかというのが、農協その他すべての農民団体の共通の要求です。  この点で、私たちの党は農業パリティ方式をやめ、都市勤労者並みの労賃に基づく生産費を補償すること、こういう政策を発表して、ことしの十月七日付の農林大臣に対する申し入れでは、最低生産者価格はせめて米並みの労働報酬が得られるようにとしています。パリティ方式で計算することがいかに実情に合わないかということは、たとえば沖縄における労賃の急上昇、物価の大変な上昇からもわかりますし、さらに、昨年度やはり奨励金をつけなければ解決にならなかったという点でも、パリティ方式だけで計算することの不合理性というのは裏づけられているのじゃないかと思います。計算方法をどうするのかということはしばしば問題にされ、その不合理というのは、もう農林省も認めざるを得なくなったのじゃないかと思うのですが、この点について、基本的な問題ですから農林大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  129. 大石武一

    ○大石国務大臣 現在の米の生産手段と申しますか、生産のあり方と、いまの沖縄県あるいは鹿児島県のサトウキビの生産のあり方と、やはり大分内容が違うと思います。ですから、必ずしも同一方法においてこれを評価することは妥当かどうか、やはりもう少し考えてみなければならないと思います。そういう意味で、まず第一番にやることは、できるだけ価格を上げることも大事でございますが、それとともに、あるいはその前提として、土地改良を行い、あるいはその他のいろいろな機械化もできるようにして、生産性を向上していくことが一番急務ではないか、こう考えるわけでございます。
  130. 諫山博

    諫山委員 生産性向上の問題に戻りますが、沖縄の農民の所得が非常に低い、いまのところサトウキビに対しても明るい展望を持てずにおる、こういう中での機械化、基盤整備というのは、本当に魅力のあるものにしないと農民がついてきません。だから、たとえば国の負担率を本土に比べて大幅にふやすとか、特別なことをすべきではなかろうかと思うのですが、そういう点は検討してありましょうか。
  131. 岡安誠

    ○岡安政府委員 土地改良事業について申し上げますと、先生おっしゃるとおり採択基準それから補助率につきまして、内地に比べて格段の手厚い保護をいたしております。  例を挙げて申し上げますれば、たとえば採択基準について県営の灌漑排水では、内地におきましては田の場合二百ヘクタール以上、沖縄の場合には百ヘクタール以上というふうに半分にいたしておりますし、畑も、内地が百ヘクタールを五十ヘクタール以上というふうに落としております。補助率につきましても、内地が五〇%に対しまして沖縄は八〇%というように手厚い保護をいたしておるわけでございます。
  132. 諫山博

    諫山委員 農林大臣質問しますが、すでに手厚い保護をしているというのが説明ですね。ところが、手厚い保護をしながらもほとんど実績は上がっていないわけです。反当の収量が上がっているかというと、ふえてないでしょう。いまのようなやり方を続けていくのであれば、長期計画は達成できません。私がいま希望しているのは、いま十分なことをやっていますよと言って説明していただくことではなくして、いまのやり方では実績は上がっていないから、いまのやり方をもっともっと改善していただきたいということです。大臣、いかがですか。
  133. 大石武一

    ○大石国務大臣 こういう事業は、一年や二年ですぐ大きな変化はなかなか見出しにくいと思います。ですから、もう少しこの努力を重ねていけば必ず、三年、四年、五年とたっていけば私は相当大きな効果があらわれてくると思います。おっしゃるとおりいままでの方向を変えようと思いませんが、これについてもっと多くの予算を割けるようにとか、もっと仕事ができるようにという方向では、大いにがんばってまいりたいと思います。
  134. 諫山博

    諫山委員 私たちの法案の中では、甘味資源審議会の構成を民主化する、さらに、その権限を強化するということを強調しております。たとえば甘味資源審議会の構成としては、生産者代表、消費者代表を、二十五人の委員の中のそれぞれ十人ずつを占めさせる、こうして農民の声、消費者の声が審議会に反映できるようにしたい。さらに甘味資源審議会の権限についても、たとえば商社、メーカー等の価格操作等に対して資料を公開させる、調査をさせる、そして悪徳商法に対しては規制できるような権限を与える、こういうふうにすることがサトウキビをつくる農民に対してもあるいは消費者に対しても非常に有効だというふうに考えています。この点は農林省として検討されているのかどうか、それとも検討に値しないというふうに考えているのか、どうでしょう。
  135. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 先生の御指摘になりましたような案につきましては、私たちもよく承知をいたしているところでございます。現在の甘味資源審議会は、法律上価格を決めるという形にはなっておりませんので、もしそういうことにするとすれば、法律上の改正を要するわけでございますが、私たちといたしましては、そういう審議会というものをつくります場合にありましても、その構成は非常にむずかしい構成でありましょうし、また、価格をそこでやることが適当であるかどうかにつきましても、なお十分検討を要するというふうに考えておる次第でございます。
  136. 諫山博

    諫山委員 当然法律の改正を要するわけですが、たとえば価格決定に当たって甘味資源審議会の意見を聴くというような制度をつくることは、何か不合理なことでしょうか、やろうと思えばできることでしょうか。
  137. 大石武一

    ○大石国務大臣 私はその御意見にはいま賛成ではございません。やはり価格というものは行政の責任において任していただけばいいのであって、どうせ審議会の委員の方を決める場合には、本当の専門家だけが集まるものでもありますまいし、農民なりいろいろな人の意見を反映する組織というものはあって結構でございますが、やはり責任を持つ者は、その行政官庁に責任を持たしたらいいと考えるわけでございます。
  138. 諫山博

    諫山委員 いまの答弁が審議会一般について述べているとすれば、事はきわめて重大だと思うのです。こういう場合にお役所に任せておけ、審議会の意見などは聞く必要はないというのが大石農林大臣の基本的な立場だとすれば、きわめて重大だ、民主主義の立場ではないというふうに言わざるを得ません。この点は局長も検討したことはないのですか。こういうことは行政に任せておけというのがあなたの御意見ですか。
  139. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 大臣の申された御趣旨は広く意見を聞くということをとやかく申し上げておるのではございませんで、価格を決めます場合には、それは広くいろいろな形で、審議会という形がいいかどうかはまた別問題でございましょうが、いろいろな形で皆の意見を聞くということは必要なことでございます。しかし、それを審議会という形でやるのがいいかどうかということは、米価審議会で米麦価を決めておるわけでございますが、そういう形をとるのかどうか、それが適当であるかどうかはなお検討を必要とするというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  140. 諫山博

    諫山委員 とにかく、いま大石大臣が述べられたことは、価格決定政府に任してくださいということのようですが、だとすれば、野党の議員が何でこんなところでこんな問題を議論するのか、政府に任しておけということになれば、ある意味では国会の審議無用論にもなってくるわけですよ。そういう立場で言われているのですか。
  141. 大石武一

    ○大石国務大臣 そういう立場ではございません。この甘味資源審議会ではいままでどおりのあり方がいいだろう、この問題に限りまして私はそう思ったのであります。皆様の御意見を聞くということが、当然われわれのこの価格を決める場合の大きな参考になります。そういう意味では、御意見を聞くということは、国会の審議というものは決してむだだと思いません。大事なことでございます。そういう御意見をいろいろ拝聴して、お互いに議論し合って、そうして、それを土台としてわれわれが正しいと思う判断をするということになるわけでございます。その点は十分御了承願いたいと思います。
  142. 諫山博

    諫山委員 最後に、今後の十七号台風によるサトウキビ被害についてです。  県の調査では、鹿児島県、沖縄県、合計五十億円ぐらいの被害が見通されるということのようですが、農林省はどのくらいの被害と見ているのか。また、この被害を最小限に食いとめるためには、共済制度の実現を求める声が強いということを聞いております。そして、この点は農林省でもいろいろ検討を始めているはずですが、共済制度の検討はどこまでいっているのか。また、鹿児島県と沖縄県だけしかつくっていないサトウキビですから、この共済の方法というのが非常に問題になると思うのです。やはり農民に魅力のある共済にしなければ、せっかくこれを適用しても利用する人が少ないということで失敗するのじゃないかと思います。こういう点で農林省はどうしているのか。  さらに、共済制度がいますぐ実現できる状態ではないのじゃないかと思うのですが、今度の被害に対しては何らかのことを考えているのかどうか、そういう点について御説明ください。
  143. 杉山克巳

    杉山政府委員 これは、沖縄県における台風による農林省関係被害状況というのがございますが、沖縄の分だけ申し上げますと、台風十七号関係で、これは県報告の数字になりますが、施設関係が五億八千百万、それから農作物等につきましては、これは農作物だけでございますが、合計で八億、施設災害等と合計いたしまして十三億八千百万という計数になっております。
  144. 諫山博

    諫山委員 共済の問題とか農民の被害をどうするのかという点については……。
  145. 杉山克巳

    杉山政府委員 施設被害の方から申し上げますが、施設被害につきましては、これは災害復旧資金を融資できるというような仕組みになっております。  それから、農作物被害につきましては、これは冷害の場合と同様に、天災融資法それから激甚災法の対象にして、融資その他の手当てをするということになるわけでございますが、天災融資法それから激甚災法、いずれも昨日、十九日をもって十七号は適用対象といたしております。したがいまして、それに基づきまして、今後経営資金なりあるいはさらに自作農維持資金なりの融資が行われるということになるわけでございます。  それから、水稲被害部分につきましては、これは当然共済の対象として取り上げられるということになるわけでございます。
  146. 諫山博

    諫山委員 もう一つ、サトウキビの共済はどうなっているのですか。
  147. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 サトウキビの共済につきましては、現在試験実施中で、ごく一部の市町村で実施をしておるところでございまして、これをできるだけ早く本格実施に移すようにという要望は私の方もよく地元から聞いておるところでございますが、なお試験実施を翌年から本格実施にするというふうな状況ではないように承知をいたしております。  サトウキビの災害につきまして、資金需要を把握した上で天災資金または自作農維持資金の円滑な融通に努めるということは、ただいま杉山議官から御答弁申し上げたところでございますが、もう一つの問題としまして、今回の災害によります被害キビの扱いをどうするかという問題がございますので、それにお答えをいたしたいと思いますが、今度の災害につきましては、特に奄美大島の方が相当な被害を受けております。これの被害キビを工場が買い入れます場合には、どうしても操業率が落ちるという問題、あるいは歩どまりが低下するという問題がございますが、そういう問題につきましては、私たちは糖価安定事業団の買い入れ価格算定の際に適正にこれらを織り込むようなことにより処置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  148. 諫山博

    諫山委員 十七号台風によるサトウキビ被害は、私の認識とさっきの説明は非常に隔たりがあるのですが、サトウキビ自体はどのぐらいの被害が出るという見通しはついているのですか。
  149. 澤邊守

    澤邊政府委員 県の報告では、十七号だけではなしに、七、九、十三号、それから十七号、合計で四十七億円、二十九万トンという数字を聞いております。ただ、中身につきましては、現在なお私の方でヒヤリングをして検討中でございます。  なお、お尋ねの十七号だけですと、約四十億というふうに聞いております。
  150. 諫山博

    諫山委員 終わります。
  151. 湊徹郎

    湊委員長 次に、荒木宏君。
  152. 荒木宏

    荒木委員 昭和四十九年の七月三十日でありますが、運輸省の会議室で関西国際空港部会というのが開かれました。これは航空審議会の部会であります。ここに水産庁の委員が出席をされました。正式の委員は当時の水産庁長官でありますが、調査が大体終わろうかという段階で水産庁委員の御意見は、調査が不十分だ、潮流の変化あるいは魚のモ場、こういったことについても調べられていないし、こんなことで意見が言えるかということで、態度を保留されたわけであります。私はそのときの水産庁委員の御意見に大体同感であります。  そこで、水産庁の長官にお尋ねをしたいのですが、こうした海上に新空港をつくろうという話が出ておるのですけれども、まず水産資源に対する影響調査、それから漁協や漁民の経営、生活などに対する被害の予測調査、これは浅海養殖業も含めてであります。それから資源利用の可能性の評価、少なくともこういったことが必要なのではないか、これが一つであります。  それからもう一つは、調査、立案にはいま運輸省が当たっておるわけですが、そうした調査機関が漁協、漁連あるいは漁民の意見を十分聞く、これを尊重するということが非常に大切だというふうに考えておるのですが、この二つについて長官の御意見を伺いたいと思うのです。
  153. 内村良英

    ○内村政府委員 私どもといたしましても、ただいま先生から御指摘のございましたような調査が必要であるというふうに考えております。それから、調査をするときにいろいろ関係漁民の意見を十分聞いてもらうということも必要だと思っております。
  154. 荒木宏

    荒木委員 運輸省の飛行場部長にお尋ねしますが、いま水産庁の長官からも御意見がありましたが、そういったたとえば先ほど申しましたような三項目の調査、もちろんこれに限るわけじゃありませんが、そうしたことを含めて必要かつ適切な調査を十分にやられる方針かどうか、これが一点であります。  それからもう一点は、調査を始めるに当たって、漁連、漁民、漁協など関係団体関係者と現地で十分協議を尽くされるか、その意見を尊重される方針かどうか、これを運輸省から伺いたいと思います。
  155. 梶原清

    ○梶原説明員 関西国際空港に関連いたしまして、本年度も水産業に関する調査をいたしておりますし、今後とも十分な調査をいたさなければならないわけでございますが、その際、水産庁とか水産研究所の貴重な御助言を十分ちょうだいをいたしまして、適切にして十分な調査を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。また、その調査等に当たりまして、先生御指摘のような漁連なり漁協等と十分お話をいたしまして調査に遺憾のないように努力をいたしたい、かように考えております。
  156. 荒木宏

    荒木委員 漁協の関係者に聞きますと、まだ一遍もお話がない、こう言うのですよ。答申が出たのはたしか四十九年の夏だったと思うのです。もう二年を超えるのですが、肝心な仕事をしておるわしらの職場へ来て、いまにも観測塔をつくろうという話があるでしょう、一遍も声がかからぬのはどうしたことであろうか、多くの人がこう言っておりますが、いままで協議をされたかどうか、またさしずめ漁協や漁民の人たちとまずいつごろ御相談なさるか、めどをちょっと聞かしてください。
  157. 梶原清

    ○梶原説明員 水産業に関する調査につきましては、大阪府当局の指導をいただきまして関係漁協との接触もいたしながら調査をいたしておるというのが実態でございまして、十分組合の皆さん方に徹底をしていないうらみがあろうかと思いますけれども、今後そのような面に当たりまして努力を続けてまいりたい、かように考えるわけでございます。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
  158. 荒木宏

    荒木委員 十分努力をしていただきたいと思うのです、千数百人の漁業関係者の今後に大きくかかわる問題でありますから。  そこで、この水産業調査の計画を含めて自然環境調査、それから経済、社会、文化の調査、これは地域整備計画調査も含みますが、こういったもろもろの項目を含む調査の全体計画、これは十月中には提示するというふうな話を聞いておりましたですが、いまだに具体的なお話がないようでありますけれども、全体計画をいつごろ提示されるか、そしてそれを、関係府県はもとよりでありますが、いま申しました漁民団体がありますね、こういう関係の団体、それから地元の市町村、これは漁民のいろいろ指導助言に当たっておるわけですが、こうした関係市町村、こういったところに十分この全体計画を示して意見をくみ上げられたいと思うのですが、大体の時期と提示する先をひとつ伺いたいと思います。
  159. 梶原清

    ○梶原説明員 関西国際空港にかかわります調査につきましては、環境影響調査地域整備計画に関する調査と二本立てになろうかと思うわけでございますが、地域整備計画の問題につきましては国土庁を中心に関係各省の関係調整していただいておるわけでございまして、私どもさしずめ実施をいたしたい環境影響調査につきましては、先生御指摘のような、騒音、大気汚染、それから水産業への影響等いろいろ含んでおる環境影響調査につきましては、現在その全体計画を鋭意検討しておるところでございまして、従来十月中を目途に公表いたしたい、このような考え方で作業を続けてまいっておるわけでございますが、これが若干おくれまして、恐らく十一月の半ばごろに公表の運びになるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  また、この調査計画につきまして関係府県の意見をお聞きすることはもちろんでございますが、関係市町村の御意向も反映をしてまいらなければいけませんので、私ども関係市町村の御意見につきましては府県を通して、そこで集約した形で調整、反映できるような方向で努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  160. 荒木宏

    荒木委員 水産庁の長官はもうよろしゅうございますので、もし何でしたら御退席いただきたいと思います。  いま関係市町村のお話がありましたが、漁業団体を初めとする関係団体、これにもひとつ全体計画を直接提示をして意見を聞くようにしていただきたいと思うがどうか、これが一つ。  それから、本年の九月二十二日付で大阪府知事から観測塔設置についての回答書があって、五項目の希望意見がついておりますが、これを十分尊重しておやりになるかどうか。  なお、申すまでもないことですが、調査に当たっては科学的、民主的、総合的な調査をしっかり尽くす、こういう原則をお約束をいただきたいと思うのですが、御答弁いただきたいと思います。
  161. 梶原清

    ○梶原説明員 九月二十二日に観測塔の設置につきまして了承する旨の大阪府知事からの御回答をいただいたわけでございますが、その回答に際しまして、先生御指摘のとおり、五項目にわたる要望がつけられておるわけでございまして、私ども今後調査をいたしてまいります段階におきまして、この御要望につきまして十分尊重して調査を進めてまいりたい、かように考えております。  また、水産業に関する調査につきまして、漁協なり関係の皆さん方の御意見を十分にお聞きをして、くみ上げて十分な調査をしてまいることは、先ほどの御答弁で申し上げたとおりでございます。
  162. 荒木宏

    荒木委員 大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど来お尋ねしておりますこのプロジェクトは、水産業に対する影響はもとよりでありますが、同時に一説では五億立米とも言われる土砂の採取ということがありまして、林業あるいは農業に対する影響も決して少なくない。そこで、所管省の責任者としてそうした農林漁業関係者経営、それから生活、将来がしっかり守られるように、いま直接調査に当たっております運輸省のいろいろな行政に対する監視、これをしっかりと続けていただくようにお願いしたいと思うのです。  四十九年七月のときの水産庁の委員さんの態度では、これではまだまだ不十分で意見は申せませんということだったのですが、そうじゃなくて、だめなものはだめだとはっきり言っていただきたい、こういうふうに思います。これについて大臣の決意をひとつ伺いたいというのが一点であります。  もう一点は、これは時間の関係がありますので、全然別の項目ですが、あわせてお尋ねしておきたいのですが、食管の麦の勘定が、御承知のように為替差益がいろいろ取りざたをされておりまして、三百八円で計算しておったのが、いま大体日によって違いますが、二百九十円くらいということで円高ということになっておりますし、それから運賃が御承知のように、当初のもくろみより大分下がってきている。それから、本年は国際的に史上最高の豊作とも言われておりまして、麦の値段が当初見たところよりも下がってきているということで、そういう点から言いますと、従来の経過からすれば、食管勘定は赤字になっているということは皆さんしばしばおっしゃっているとおりですが、本年当初のもくろみから見ますと少し楽になってきているので、私が伺いたいのは、それをいわゆる計算上の赤字補てんということに入れるのもあるいは一つの行政のあり方かもしれぬと思うのです。しかし同時に、申すまでもなく国民生活はいま長く続く不況と物価高で大変な困難であります。ですから、国民生活の利益にも還元をしていくという政治姿勢というものをやはりひとつはっきり出していただきたいと思うのです。  きょうは時間があれですから、具体的な措置についてお伺いすることはできないかと思いますが、方針としてもう何でもそろばんばかりが先に立つ、こういうのじゃなくて、総合的にそうした当初のもくろみから出てくる差益なり財政上の余裕なり、これをやはり国民生活の利益に還元していくということも重要なポイントであるというふうに思うのですが、その二つの点について所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  163. 大石武一

    ○大石国務大臣 この大阪空港の建設をめぐりましていろいろな御意見があることは、私も昭和四十六年、七年に環境庁長官をしておりまして、いろいろと陳情を受けたり、いろいろな相談に預かりました。私はそのとき、特にそのとき以来でありますが、大阪の上空を飛行機で通りますと、下の方に住んでいる人がやかましいだろうなということで、本当に済まないような気がしていつでも飛行場に発着しておったわけでございます。でありますから、これは所管が違いますけれども、それほど大阪空港がいま実際庶民の頭痛の種になっているならば、やはり何かこれに対する対策をつくってほしいということが私の願いでございました。その中でいろいろ案がありましたが、御承知のように泉南沖といいますか、あそこの沖の方の大阪湾の中に島をつくって飛行場をつくるという案がいま一番有力になっておるのでございますが、これにつきましても私どもはいろいろ考えたのであります。確かにあそこではいま漁業が行われておりますから、漁民の生命というか、漁民の生活を尊重しなければならないと思うのです。なお、われわれとしましては、あの方針が決まらない現在におきましては、漁民のためにできるだけいい生産ができるようにということでいろいろと考えまして、たとえば昭和五十二年度からあそこに二億四千万の金を投じまして、そして大型魚礁をつくるとか、生産の増強のためにいろいろいま考えておるのでございます。そういう意味で、できるだけ漁民の生命、生活は尊重してまいりたい、こういう方針であるわけでございます。しかしどうしても、いろいろな皆様の御判断によってあの付近に飛行場をつくらなければならぬということになれば、当然そのような漁民のための正しい補償なり、理解、協力というものを十分にかち得てなさなければならぬ、こんなふうに考えておるわけでございます。  それから、次の外国から小麦を買った場合の差益のお話のようでございますけれども、よくわかりませんが、確かに小麦は外国で豊作でありますから、安く買えるのかもしれません。これは食糧庁に聞いてみないとわかりませんが、買えるかもしれません。ことに日本の円が強くなっておりますから、それだけ差益が多くなると思います。しかしその差益は、なるほど国民のために使ったらよろしいということでございますから、大体そのとおりいたしております。いまは御承知のように食管会計の赤字が大きくなっております。これは二重米価のためでございます。その二重米価をできるだけ赤字を少なくするためにも差益の一部が使われていると思いますので、そのことがとりもなおさず言ってみれば日本国民の多数の配給を受けている米の消費者に対してわずかですが補助の一部にもなっているかもしれません。そういうことで御趣旨のとおり使われていると考えるわけでございます。
  164. 荒木宏

    荒木委員 いまの最後の答弁は私どもの考えとずいぶん違うのですが、きょうはそのことの論議を予定しておったわけではありませんので、重ねての質問はおきますけれども、いまは空港建設に伴う調査段階です。科学的、総合的、民主的な調査をしっかりやろう、こういう段階でありますので、いまもしそこにできることになればという仮定での答弁がありましたが、そういう段階ではありませんので、いまの段階では納得のいく調査を、こういうことを強く関係者要望しておりますから、そこにひとつ腹を据えていただいて、今後も十分関係省庁として監視、協力を続けていただくことを要望して質問を終わります。
  165. 今井勇

    ○今井委員長代理 瀬野栄次郎君。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 漁業、畜産、大規模圃場整備事業等について、農林大臣及び関係当局に質問いたします。  去る十月十三日、当委員会で種々質問をいたしたところでございますが、その節保留したもの等を伺ってまいりたいと思います。  それに先立って、冒頭に農林大臣にお伺いいたしますけれども、領海十二海里について、大臣は昨日次の特別国会に法案を出す、こういうことで積極姿勢を示されておられます。これは、国連海洋法会議の結論を待たずして出すということでございますが、当委員会としても確認をしておきたいので、まず冒頭その点を農林大臣にお伺いしたいと思います。
  167. 大石武一

    ○大石国務大臣 この領海十二海里の問題は、わが日本にとりましては非常に重大な問題だと思います。いまの段階で早急に決意しなければならないと考えます。そういう意味で、すでに御承知のように、閣議におきましてもこの領海宣言をすることの方向は決まっているわけでございますから、これを早くやりたいと考えておるわけでございます。そういうわけで、どうしたらいいかといろいろ考えまして、総理大臣は、二百海里の経済水域問題も海洋法会議でことしじゅうにはまとまるだろうというお考えのもとに、ことしじゅうにはこれを決めるという発言をなすったようでございますが、残念ながら海洋法会議は延びてしまいました。そこで来年もまた五月からあるわけでございますけれども、これは果たしてまとまるかどうか、まだまだ確信は持てませんし、決まるにしてもずいぶんおくれると思います。そういうことを考えますと、これは何とかして十二海里の領海を宣言するためには、やはり国内法においてこれを宣言する以外にないと考えまして、そのような方向に向けて準備を進めてまいりたい、こう願っておるわけでございます。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣のいまいろいろ答弁ございましたが、政府はことしの一月に領海を十二海里に広げるということを確かに閣議決定しておられます。昨日の農林大臣の発言によりますと、領海十二海里は国内法で処理できることがわかったので、来年の国連海洋法会議の結論を待たず、次の特別国会に法案を提出して成立させてもらえるよう努めたい、こういうような趣旨の発言をしておられますけれども、私は前からこういったことはもうわかっておったことでありまして、何もいまさらという気がするのですが、どういうことがわかったのか、大臣自身その点ひとつこの席で明らかにしていただきたい、かように思います。
  169. 大石武一

    ○大石国務大臣 これはまことに幼稚なことでございますが、国内法でも処理できるということを知らなかっただけのことでございます。海洋法会議で決めなければだめなものだ、そう思ったものですから、そういう認識を新たにしたわけでございます。
  170. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣があっさりおっしゃったので、こっちも了とします。  そこで、いずれにしても三木首相が国会の答弁の中で、今年度中には実施する方針であるということを言明しておるし、いまも農林大臣がおっしゃいましたが、この領海十二海里の問題については外務省等の見解等が大変問題になる、こう思うのです。それで、領海十二海里になりますと、津軽海峡などが、幅が二十四海里以下の海峡であります関係から、外国軍艦等の航行が認められなくなるというようなことがしばしば従来から論議されて問題になってきております。ただ、国際海峡として無害航行する軍艦の航行を認めるという方法もあるというふうにいろいろ検討されておりますが、津軽海峡などの核積載艦通航については、わが国の非核三原則に抵触するとして国内の政治問題に発展するということで、従来からこの辺が大変なネックになっているということは周知の事実でございます。したがって、外務省、運輸省とか防衛庁とのいろいろな調整が必要である、そういったことも十分踏まえての大臣の決意であろう、こういうふうに思うのです。  私は、一つここで懸念しておるのは、いま申しましたように、外務省は海洋法会議の結論が出る前にわが国独自で設定することはできないという姿勢をやはり崩していない。きのう大臣の発言によって私もいろいろただしてみたのですけれども、やはりそういう姿勢は崩れていない。そうしますと、領海十二海里が決まると同時に津軽海峡なども、国際的な航行に用いられる海峡を領海と違った扱いの国際海峡とすることが国際法等で一括してまとまるというのを待っているのが外務省等の見解ではないか、こういうふうに私は思うわけです。こういったことを含めて、大臣が改めてきのうそういうことをおっしゃったので、われわれもそういう調整が十分できて、相当な確信と自信を持った上で発言なさったものだ、こういうふうに見て、かなりの前進である、こういうふうに評価したわけですけれども、その点はどうですか。その点ひとつ大臣の率直な見解をこの席で明らかにしていただきたい。
  171. 大石武一

    ○大石国務大臣 私もこの問題がまとまらない限りはいろいろなむずかしい問題がたくさんあるということはよく聞いております。しかし、一体、行政、政治をやるために何が一番大事かという目的を考えることが私一番大切だと思います。それで、その一番大切な目的に向かって事を進めていく、そしてその他のいろいろなむずかしい問題はそれに歩調を合わせてやっていくということが政治の正しい道ではないかと私は思うのです。そういう考え方から、やはりこの領海十二海里を国内法ででも宣言をするということは、いま日本にとりまして一番重大な問題だと思います。そのほかのそれに付随するいろいろな、たとえば非核三原則の問題だとか、公海何とかの自由の問題だとか、いろいろあるようですけれども、そういうものをひっくるめましても、やはりその中において領海十二海里を決めるということが一番私は重大な問題だと思います。そういう意味で、まだ密に話し合いがついたとかなんとかということは一切ございませんから、そのような目的に向かって話をまとめるあらゆる努力をする、努力をしながら何とかしてまとめていきたいというのがいまの私の気持ちであります。
  172. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 御存じのように、来年五月再びニューヨークでこの海洋法会議が開かれるということになるわけですけれども、大臣は次の国会で出すということでございますので、来年の特別国会が始まりましたら、少なくとも三月か四月、または五月になるかもしれませんが、それまでには必ずこの法案を通して、必ず十二海里宣言をするのだ、こういうふうに理解していいですか。
  173. 大石武一

    ○大石国務大臣 まあ出したいという熱意でございます。それはいつまでに出せるということはできません。やはりこれは、法案についての詳しいことは水産庁長官からお聞き取り願いたいと思いますが、仮に法案を出す場合にも、政府が提案します場合には、すべて各省の、他の全部の役所の了解を得なければできないことでございます。それで、瀬野委員も御存じのことと思いますが、かつて環境庁長官をしておりましたときに、自然環境保全法案を通すためにずいぶんいろいろ苦労しました。四カ月ほどぎりぎりほかの省から引っ張られまして、そうして、大分苦しんだこともございます。そのようなことで、この問題が簡単にすらすらといくとは思いませんから、四月に出すとか五月に出すというお約束はできませんけれども、そのようなねらいをつけて一生懸命にがんばってまいりたいというのがいまの気持ちでございます。
  174. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十月二十六日に当委員会でまた海洋法会議等の問題は特別に審議をすることになっておりますので、時間の制約もあるし、一応十二海里の問題についてはこの程度でとどめまして、本題に入っていきたいと思います。  次は、米国の二百海里漁業専管水域の設定問題につきまして若干お尋ねをいたします。  現在海洋法会議で世界の新しい海の秩序が決定されるようとしておりますが、第三次国連海洋法会議の第五会期が、ニューヨークの国連本部において、五十カ国の代表が集まり、七週間にわたって激論を続けたものの、九月十七日、何らの具体的な成果もないまま閉幕したことは御承知のとおりであります。次の会期は来年五月、再びただいま申しましたようにニューヨークで開かれることになっておりますけれども、いずれにしても、この結論を待つまでもなく、すでに米国は、この海洋法会議で審議中となっている単一草案より厳しい排他的な二百海里漁業保存水域を設定し、来年三月から一方的な漁業管理権を行使しようとしております。いまや国際的にも大勢をなしつつある経済水域のこの大幅拡大は、わが国遠洋漁業者及び加工業者並びに国民の食生活に重大な影響を与えるものであることは言うまでもございません。したがって、いまこそ、わが国の沿岸、沖合い漁業に対する徹底的な見直しを図り、その健全な発展が図られなければならないが、これと同時に、こうした国際的規制から遠洋漁業を守るためには、まず米国による二百海里の早期設定は大国の横暴と非難されるべきものであり、また、国連のアメラシンゲ議長が、海洋法会議での結論が出るまでは一方的な行動を差し控えるよう訴えたアピールに反する措置であり、しかも、国際世論や日本の関係漁業者にきわめて重大な影響を及ぼすものであることは、これまた言うまでもございません。また、日米漁業交渉が来月、十一月四日から再開されますが、政府は以上のような立場に立って、米国に対してその不当性を抗議するとともに、互恵平等の立場でその撤回についてより強力な外交交渉を行うべきだと私は考えております。これまた農林大臣、これに対しては強い姿勢で臨んでもらわなければなりませんが、その決意はどうであるかお伺いしたいのであります。
  175. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、次回の日米漁業交渉は、十一月四日から十三日まで、東京で開催される予定になっております。わが国としては、米国が国連海洋法会議の結果を待たずして一方的に二百海里の漁業専管水域を設定することはできないという立場を、八月の交渉にもとってきたわけでございまして、今後もとるわけでございます。そこで、今後米側と十分話し合いを行って、わが国が関係水域で伝統的に行ってきました漁業実績を最大限確保するとともに、双方にとって受け入れ可能な形で問題が解決されるよう、十一月の交渉では最大限の努力を払いたいと思っているところでございます。
  176. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私は、今度の十一月四日からの交渉に当たって、農林大臣水産庁長官も十分認識しておられると思うけれども、もうあたりまえのことであるが、この問題については海洋法会議において秩序をつくり上げることが当然であり、コンセンサスを得ることが大事であるというような立場から強力にやってもらいたいと思うが、その決意には変わりないですか。
  177. 大石武一

    ○大石国務大臣 原則的には私はそう思います。しかし、現実にアメリカが来年の三月一日から、国内法で決まったことですから、これを実施するとなりますと、わが国の漁民に対して一体どのような対策を立てたらいいか。あるいは、アメリカばかりではありません。カナダもその他もすでにそういうことを一月から宣言するとか、いろいろな情勢に取り囲まれまして、われわれだけがひとりあくまでも海洋法会議の結論が出るまではこれを認めないという態度をとったとしましても、気持ちはそうありたいのでありますが、果たしてそのような漁民の生活あるいは日本の水産資源をどのようにして守ったらいいかということになりますと、非常にむずかしい問題がございます。これをどうしたらいいか、いまいろいろ苦慮している最中でございます。
  178. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、そこで、いま米国が国内法で決めた、また認めないわけにもいかないというような趣旨の発言がありましたが、私はこれは当委員会でも問題にしなければならぬと思いますけれども、一方的な宣言でこういうふうにアメリカがやるということは、大国である米国が指導性を失ったと批判されてもいたし方ないことだ、私はこのように思うわけです。そういう点について政府はどういうような見解を持っておられるか、その辺もこの際皆さん方の腹を決めさせるためにあえてお聞きしておきたいと思うのです。
  179. 内村良英

    ○内村政府委員 先生御指摘のとおり、アメリカが国連海洋法会議の結論が出る前に、一方的な漁業保存水域二百海里をとったということは遺憾なことであり、わが国政府としてもこの問題については強硬に抗議をしてきたことは御承知のとおりでございます。そこで、十一月の交渉におきましても基本的な立場はもちろん変えないで交渉するわけでございますけれども、ただいま大臣から御答弁がございましたように、わが国の一千万トンの漁獲のうち、百五十万トンがアメリカの経済水域になるだろうと思われる海域で漁獲されているわけでございます。すなわち、わが国の漁獲高の一五%がここでとられているわけでございますから、われわれといたしましては、日本の立場、アメリカの立場でそれぞれ相互に受け入れられる形で問題の現実的な解決を図らなければならないというふうに考えておるわけでございまして、それに向かって八月の交渉以来努力をしてきたわけでございますから、十一月の交渉におきましても同様の態度で臨みたい、こう思っているわけでございます。
  180. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣にお伺いしますけれども、いま水産庁長官から答弁がございましたが、水産庁長官もかねがね、アメリカのこの二百海里も打撃であるけれども——いま百五十万トンとおっしゃったが、われわれは、約百六十万トンの被害を受ける、北洋漁業で百六十万トン、こういうふうに思っています。また、さらに水産庁長官は、過去においても、アメリカもさることながら、ソ連の二百海里専管水域の宣言があると、これは大変なことになる、この被害が大きいと言われている。まさしく四百五十万トン以上の漁獲高が減るということになります。そんなことになったら大変なことになりますから、今回の日米交渉に当たっては強力に進めなければならぬということがさらに言われるわけで、今回腰砕けになりますと、ソ連に対する交渉に対してもまた相当な影響を及ぼすということで、われわれは、国民のたん白源供給に当たって重大な関心を持たざるを得ない、かように思っておるわけであります。  そこで大臣にお伺いしますけれども、既得権を守る姿勢で行くべきだということについて、私は、いまから若干お話をして見解を承りたいわけです。  いままでは公海で漁獲は自由にできたわけです。ところが、こういうふうに二百海里の専管水域等の経済水域が設定されますと、今度は相当厳しくなってくるということはもう当然であります。日本の漁業労働者が漁場開拓をしてきたことは、もう歴史が明らかに示すところでございます。七つの海を初め、あらゆるところで新しい漁場を開拓してまいりました。先輩が命を賭して開拓した漁場であります。たとえば一、二の例をとりますと、良質のたん白源でありましたあのイカの漁にしても、ニューヨーク沖でとれるというのを発見し、そして日本の漁業労働者が開拓してきたことも御承知のとおりでありまして、またアフリカ沖でのタコ、これも日本の漁業労働者が発見し、開拓してきたわけでございます。こういったことを挙げれば枚挙にいとまがございませんが、現地では何ら知らないうちに日本の漁業労働者が開拓してきた、いわばとうとい命と血を流して闘ってきた漁場であります。  こういったことを思いましたときに、私は、米国の漁場における既得権というものに対しては、日本のいわゆる権益を守るという立場で、これは強力に主張すべきである、かように思うわけです。政府の考えはどうであるか、この際また改めてお伺いしておきたい。
  181. 大石武一

    ○大石国務大臣 全く同感でございます。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 同感であるならば、今度の漁業交渉に当たっては、大臣、ひとつ一歩も引かずにがんばるという決意でございますか。
  183. 大石武一

    ○大石国務大臣 その方向で一生懸命に努力いたします。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あえて大臣にも申し上げておきますが、聞くところによると、米国は一方的な二百海里漁業保存水域を設定して、日本の動物性たん白の半分をも依存している水産物の漁獲を困難なものにし、大きな打撃を与えることは知っていながら強行する裏には、日本の魚資源を日本から締め出し、そのかわりに米国から、たん白質の供給源のかわりとしていわゆる畜産及び飼料等を大量に輸出したい意向があると、こういうようにもいろいろ巷間伝えられております。われわれもそのように思うわけです。なぜこういったことを言うかというと、交渉のときあえて当委員会でこういうことが問題になったといって、私ははっきり言ってもらいたいわけです。それで、こうした自国の利益のために食糧戦略も辞さないというやり方には大きな憤りを感ずるし、長期穀物協定なども日米間でやっているけれども、全然信用できなくなる、こういうように私は理解せざるを得ないと思うのです。この点農林大臣はどう理解しておられるか、またどう対処されるか。だから、日本は強硬な姿勢で対米交渉に臨め、こういうように言いたいわけです。その点大臣からの所見を承りたい。
  185. 大石武一

    ○大石国務大臣 アメリカが二百海里経済水域を主張しますのは、やはり自国民の利益を考える、これは当然だと思います。しかし、そのことによってのみ、日本の国に対していろいろなたん白資源その他で困らせてやろうというようなことは考えてはおらないだろうと思うのです。たとえばお話しのように、日本にアメリカの畜産物をたくさん輸入させるのだと言いますがいアメリカの牛の生産は日本にそれほどのたくさんの牛を輸入させる余裕はございません。いまでも濠州やニュージーランドから輸入している現状であります。彼らは安い物を輸入して、安い物を食べ、そして向こうのいい牛に手を加えまして、高い値段にして日本に一部輸出しているというのが現状でございまして、とうてい魚を締め出して牛にかえるなんというようなことはできないと思います。しかし、いずれにしても、向こうの自国民の利益が中心であることは当然でありますし、やむを得ないと思いますので、これに対しましても、われわれはできるだけいままでの既得権益を守りますようにがんばってまいる所存でございます。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それを論議しますとまた時間がかかりますけれども、アメリカはだんだん、いままでの肉から魚に国民の食生活が変わってきているのです。逆に日本は魚から肉に変わっていくという逆なことが出ております。そういったこともございますし、またえさとして飼料を日本に売り込むということもございます。もちろん日本は必要な最小限の飼料は安定供給のために最終的に輸入しなければならないことはわかっておりますけれども、いろいろ問題がありますので、時間の関係で全部論議することできませんが、そういったことが巷間いろいろ言われているので、そういうこともよく頭に入れた上で、十分わかっておられるだろうけれども、今度の交渉に当たっては強力な一つの材料にもしてもらいたいという意味で申し上げたのです。  それで、もう一点お伺いしておきます。八月に続いて十一月に東京において先ほど申しましたように日米漁業交渉が行われるわけでございますが、国連の海洋法会議が継続中にもかかわらず先ほど申しましたように一方的に二百海里専管水域の宣言をアメリカでやるということで、いわゆる専管水域についてアメリカの議会で決定したわけでありますが、日本にこの承認を迫っておる。これが決定するということになりますと、北洋漁場の漁獲の激減となってまいります。先ほど水産庁の長官も言われましたように、総漁獲量の一五%、約百五十万トンないし百六十万トンが激減するということになります。こうなると大変なことになります。そこで漁業ができなくなる関係者が約三万数千人、千二百隻に乗っているところの漁業労働者が海を捨てざるを得なくなるということが問題になるわけです。そればかりか、関連する加工、流通部門の労働者を入れますと数万人、一説には百五十万人にも及ぶ、こういうふうに言われておりますが、こういった人たちの生活基盤というものが失われて失業のちまたに追いやられるということがたちまち起きてくるということになります。  そこで、これに対して政府はどういうふうに考えておられるのか。まだ決定したわけではないけれども、事実そういったことが進められておるということで、先ほどから大臣も認めざるを得ない、こういうふうにおっしゃっておりますから、そうなりますと、漁業労働者並びに関連労働者の生活基盤を確保したり、雇用と生活を保障することが問題になるわけでございまして、十分こういう腹構えを持って臨んでいかないとこれまた大変なことになるんじゃないかと思うけれども、その辺についてはどういうふうな対処方針で臨んでおられるのか、明らかにしていただきたい。
  187. 内村良英

    ○内村政府委員 仮に百五十万トンないし百六十万トンの漁獲が全部失われるということになりますと、ただいま先生の御指摘のありましたような数の船及び漁業労働者が影響を受けるわけでございます。しかし、アメリカの国内法を見ましても全部シャットアウトするということにはなっておりませんで、一定の外国の漁業は認めるということになっておるわけでございますから、われわれといたしましてはこれまでの実績を踏まえて強力な交渉を行って、極力これまでの実績は確保するように努力したい、こう思っておるわけでございます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、漁業従事者が失業しないようにまず多面的な対米交渉をやるということが第一でございます。  そこまでやりまして、やむなく離職をしなければならないというような者が発生した場合におきましては、さきの通常国会で成立を見ました漁業再建整備特別措置法に基づきまして、政府として関係の省庁、労働省及び運輸省等ともよく連絡をとりながら、それらの者に対しまして就職のあっせんあるいは就業のための職業訓練、さらに職業転換が必要になります場合には職業転換給付金等の支給を行いまして、大きな問題が起こらないようにしたいと思っておりますが、まず第一にそのような事態にならないように、わが国の実績確保に十一月の交渉においては最善の努力をするつもりでございます。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以下、二百海里が設定された場合の日本漁船の拿捕の問題とかまたは裁判の問題、あるいは食生活の問題、近海漁業の漁場の確保の問題とか、さらにはアメリカのいわゆる専管水域の設定によって日本の将来に対して魚の備蓄というような問題等、いろいろあるのですが、時間の関係でこういった問題については来る十月二十六日の委員会に譲ることとして、水産庁関係は終わって次の問題に入りたい、かように思います。御了承いただきたいと思います。  畜産局大場局長質問いたしますが、去る十月十三日、当農林水産委員会質問いたしました丸紅株式会社の直系会社でつくられた豚の飼料にかかわるもので、栃木県鹿沼市で起きたいわゆる飼料もみがら混入事件についてでございますけれども、時間の関係がありますから、通告いたしました三点についてお伺いしますので、明快にお答えいただきたい。答弁の内容によっては、会議録を見てまたさらに追加して質問するということを留保します。  先般、もみがらの異物混入の件について、配合飼料の中に一体何%以上のもみがらが混入したら違法となるか、またその根拠は何かという私の質問に対し、大場畜産局長は、「何%入れるかということは、私ども意図的に入れる場合には許容しておりません。ただやむを得ず不可抗力的に若干、ごく微量のものが入るという場合には事情は了解すべき点はあるにしても、何%であるということを問わず、これを意図的に入れることにつきましては、認むべきではない」という農林省の見解を述べられました。この見解は、当然、飼料の品質改善に関する法律が制定された昭和二十八年当時から、本年七月、新法が施行されるまで、一貫してとられてきた見解であると考えてよいと思うが、その点どうですか。
  189. 大場敏彦

    ○大場政府委員 仰せのとおりであります。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 従来、政府は飼料の中にもみがらが一%でも混入しておれば、これを旧法第十五条の異物混入禁止の規定に基づき行政指導対象として措置してきている。いわんや、いま宇都宮地方裁判所で係争中のこの事件にかかわる飼料につきましては、裁判官立ち会いのもと、千葉県の農林省の畜産試験場で鑑定してもらった結果、本来飼料の中に入れてならないもみがらが何と約八%含まれていることが明らかになっています。もみがら以外の原料につきましては、トウモロコシやマイロの穀類が約四七%、ぬか類約一〇%、その中にはふすま約九%、その他大麦仕上げぬかなど約一%、油かす類約一五%、その他の植物性原料が約一〇%、この中身は糖蜜吸着飼料約五%、しょうゆかす約三%、アルファルファミール約一・五%その他となっております。動物性飼料約四%、無機塩類約六%、これらを合計すると一〇〇%となるので、飼料の中にはこれ以外の原料が入っていることは考えられません。  そこでお伺いしたいのですが、このような原料及びその配合割合の中で、なぜもみがらが八%も入らねばならないのか。すなわち、もみがら以外の原料の品目を見てみましても、米ぬかのようにもみがらを含まざるを得ないような原料はほとんど使用されていないのです。こういうことは、この飼料の場合のもみがらは意図的に混入させようとしない限り入る余地のないことが明らかです。なお、この事件にかかわる飼料は一袋二十キログラムのものでありますが、以上述べてきたことからも、この一袋の中にあの軽いもみがらが八%、重量に直すと何と一・六キログラムものもみがらが大量に混入しているということは、もう増量剤として使用されたということは明らかで、これは悪質な違反行為であると断定できると考えるがどうか、お答えいただきたい。
  191. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘の問題でございますけれども農林省畜産試験場が四十二年に、これは別途民事裁判がございまして、そのための飼料の鑑定の依頼を受けまして検査したわけであります。その結果、もみがら八%がそのサンプルから検出されたというようなことになっております。  これについて違反かどうかというお尋ねでございますけれども、もしその当時におきまして、国または県の飼料検査機関がみずから収去したというようなことでありますれば、もみがらが八%も入っておるということでありますれば当然厳しい処分がとられたというふうに私は思っております。しかし四年以上も経過しているということと、それから訴訟が起きた後であって事実関係を確認することについてやや問題、疑問点があるというようなことでありますから、そういう意味で直ちに違反事犯という形で断定して処分することはしなかったわけであります。そういうような経緯があったわけでありますけれども、しかし八%ももみがらが大量に混入されているということは、これは明らかに増量ということでありますから、その飼料そのものだけをとってみれば、これは違反事犯であるというふうに考えるわけでございます。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は明確になりました。  三番目の問題として、この明らかな違反行為に対して、いま答弁がございましたが、政府は当然厳しい行政指導をとるべきである、かように私思うわけです。にもかかわらず、先般の私の質問に対しても、政府はただこの飼料を販売した日産丸紅商事から事情を聞いただけでという程度措置しかとっていない旨の答弁がございました。私は、実にけしからぬ、こういうふうに思ったわけです。そういうことだから、日産丸紅側は二〇ないし三〇%も混入させたわけではないから大したことはない、こういった暴言を吐いております。裁判も十年を超えながらなお判決を下せないという事態になっておるわけでございまして、私はまことに遺憾であります。この事件によって被害をこうむった畜産農家の中には夜逃げをしたところも出ておるということで、いろいろと社会問題になっております。政府は、こうした悪質な業者に対して、厳正な態度で臨むべきではないか、かように思います。  また、こうした事件を政府が本当に反省するのであれば、飼料の品質検査についても、少なくとも各県に常に機動的に働ける十名程度のGメンを政府の責任で配置するぐらいの措置を早急にとるべきではないか、かように思うわけです。先般も質問して、いろいろお答えいただいたのですけれども、再度またこの点について、畜産農家のために、政府の見解を承っておきたい。
  193. 大場敏彦

    ○大場政府委員 悪質な違反事犯に対しましては、これは飼料価値の点からも、それから前回もお答えいたしましたが、飼料の安全性という見地からも、厳重に取り締まる、そういうことは当然でございます。そういう方向で懸命に努力はしていきたいと思います。  それから、いろいろ県の検査職員の増強につきまして御指摘がありましたが、これにつきましても、本年度から新たに地方交付税の算定基準に入れたという形で充実を図っているわけであります。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次の問題に入ります。  熊本県、大分県にまたがる阿蘇、久住飯田地域にかかる農用地開発公団事業について伺いたいと思います。  御承知のように、阿蘇、久住飯田高原開発は、熊本県の阿蘇地方及び大分、久住飯田にわたるものでありますが、わが国の畜産物の安定的な供給体制を確立するために、広大な未開発原野を有する阿蘇山ろく地帯に肉用牛を中心とした総合的な農業開発を推進し、大規模な畜産基地の建設を図る必要から、農用地開発公団による広域農業開発事業が進められておりまして、本事業については、昭和四十九年以来本員も当委員会でしばしば政府の姿勢をただし、また強力な推進を図ってきたところでございますが、五十二年度予算編成に当たり、若干のことをお伺いしておきたいと思います。  まず、五十年から五十四年計画になっております先発の阿蘇南部、久住飯田西部、それからさらに二年生と言われる五十一年から五十五年にわたっての計画である阿蘇中央、後発の阿蘇北部、久住飯田南部、こういった事業について、現在の推進状況を簡潔にお答えいただきたいと思います。
  195. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お答えいたします。  まず阿蘇南部、それから久住飯田西部、それから阿蘇中央の三地区の工事の進捗状況につきましては、昭和五十年度に着工いたしました阿蘇南部、それから久住飯田西部につきましては、それぞれ総事業費の二〇%を超える進捗率でございます。五十一年度、すなわち今年度着工いたしました阿蘇中央につきましてはおおむね六%の進捗率となっております。それから阿蘇北部、それから久住飯田南部、これは五十一年度、本年度全体実施設計地区でございますので、現在農用地開発公団におきまして全体実施設計を実施中ということでございます。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それぞれのいわゆる先発と二年生はすでに実施に入っておりますけれども、阿蘇北部の熊本県一の宮町、阿蘇町、南小国町、小国町、それと久住飯田南部の大分県久住町、直入町、庄内町、それから湯布院町、別府市、こういったところについてはことし全計をして来年度から実施される、こういうふうに言われておりますけれども、来年度予算についてはどういうふうな姿勢で臨んでおられるか、その点を明らかにしてください。
  197. 岡安誠

    ○岡安政府委員 御承知のように農用地開発公団事業につきましてはやはり重点的に事業を進めるということにいたしておりまして、御指摘のような地域につきましてはおおむね大体工事期間五年ということで完成をいたしたいというふうに私どもは考えておりますので、そのような目途事業が進捗するような必要な事業量を五十二年度におきまして要求をいたしたいというふうに思っております。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この阿蘇、久住飯田高原の開発は、いま答弁がございましたが、おおむね予定どおりに工期を完了する、こういうふうな理解でよろしいですか。その点、もう一度御答弁いただきたい。
  199. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもの予定としましては、阿蘇南部、それから久住飯田西部につきましては、これは五十年度に着工いたしましたので、五十四年度には完了いたしたいと思っておりますし、阿蘇中央につきましては、これは五十一年度着工でございますので五十五年度には完了いたしたい。それから阿蘇北部、久住飯田南部につきましては、来年度できれば着工いたしまして、おおむね五年の工期でもって完了いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらにお伺いしますけれども、この阿蘇、久住飯田地域の農用地開発にまた関係が深い熊本県の阿蘇郡、阿蘇北部広域農道、別名ミルクロードといっていますけれども、この農道整備事業は高生産性の農業を促進する先駆的事業として主要な位置を占めているものでありますが、地元から早期完成の要望が強いものでありますけれども、次の点についてこの機会に明らかにしていただきたいと思います。  まず第一点は、阿蘇北部ですけれども、五十一年度残工事は確実に完了できるか。一部路面コートが残っているように聞いておりますが、そういう点の見通しをまず最初にお答えいただきたい。
  201. 岡安誠

    ○岡安政府委員 阿蘇北部の広域農道は、阿蘇北部地区というのと阿蘇北部第二地区というのがございますが、阿蘇北部地区につきましては四十七年度に着工いたしておりますが、予定としましては今年度完了をいたしたいというつもりで事業を進めております。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまのミルクロードで阿蘇北部第二というのが御承知のように三八%の進捗率で、いわゆる阿蘇北部第二が残っているわけです。これが大変おくれております。それでせっかくのこの広域農道の用をなさないということで地元が相当これを急いで完成してもらいたいということでございますが、一部聞くところによると、路面に酸性土壌があるために一メートルくらいの盛りをせねばならぬということ等があっていろいろ問題があるように聞いておりますが、工事がおくれている理由はどういう理由でございますか。
  203. 岡安誠

    ○岡安政府委員 阿蘇北部第二地区は四十七年に採択した地区でございます。おっしゃるとおり五十一年度までの進捗率は約三八%でございます。  これがおくれておりますのは、多少技術的な問題はあるかもしれませんけれども、全般的には土地改良事業全般がやはりここ二年ばかり公共事業抑制の影響を受けまして事業費が十分つかなかったというこによるものと考えておりますので、私どもはできる限り予算を獲得いたしまして事業を進捗させたいというふう考えております。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは当然この計画変更の必要が生じてくると私、思うのですけれども、この点はどういうふうに検討しておられますか。
  205. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生御承知のとおり、計画変更と申しますのは物価上昇その他によりまして、事業費が全般的にふくらむというような場合と、それから工法が変更になりまして、そのことによって事業量が変更するという場合等がございますが、この地区につきましては前者の物価等の変動によりまして事業費が若干ふくらむということは考えられますけれども、近い将来直ちに計画変更という予定はないようでざいます。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、時間の制約があるのではしょってお伺いしますが、これまた阿蘇郡阿蘇町、一の宮町の県営阿蘇谷大規模圃場整備事業、これも大変おくれているわけですけれども、これに問題がありますので若干指摘しがらお伺いしておきますけれども、本事業昭和四十五年度採択されまして、昭和五十年度末面積千二百六十四ヘクタールが工事完了しております。地元は大変喜んでおるわけでございますけれども、当初計画において全体を見ますと、昭和五十一年度、ことしの完了ということを目途に工事が着手なされたわけですが、現在の進捗率がもう大幅におくれて三〇・八%ということで三分の一弱ということでございます。一日も早く完成を願っておるわけですが、これまたなぜこのように大幅におくれたか。また、来年度はどういうふうな考えでこれに臨む考えであるか、その点まずお答えいただきたい。
  207. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これもはなはだ申しわけないわけでございますけれども土地改良事業一般のおくれと同じように公共事業の抑制、物価の高騰等によります事業費の増大によりまして、工期が大幅におくれている事例でございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで、県営は大規模から比べると相当おくれることは従来の例からわかりますけれども、大規模の場合は県営に比べて相当これは促進を図るということから力を入れてもらいたいと思うのですが、これもいろいろ諸物価の安定その他見通しを立てなければならぬと思いますけれども、三〇・八%でこの県営阿蘇谷大規模圃場整備事業がおくれておりますが、これは計画変更について政府の方でもいろいろ考えておられると思いますが、早い機会にやる必要があると私は思うわけです。五十二年度中には計画変更ができる、こういうふうに考えていいのか、また、そういう可能性があるか、その点を明らかにしていただきたい。
  209. 岡安誠

    ○岡安政府委員 この地区の圃場整備につきましては、聞くところによりますと土性によりまして暗渠排水の実施の事業量等につきまして多少変更があるやに聞いております。したがって、それに伴う計画変更というものも考えられるわけでございますけれども、御承知のとおり、計画変更は事業主体の申請に基づき対処するということにいたしております。そこで、この事業主体は県でございますので、よく県とも相談をいたしまして、いつ計画変更するかということは相談の上やりたいということで目下検討中でございます。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設省にお伺いしますけれども、県営阿蘇谷大規模圃場整備事業に大きな一つの問題となっております一級河川黒川の支流黒戸川、今町川がはんらんをして大変な被害をもたらしております。過日、建設省ともいろいろ協議をしてまいりましたが、今後この県営阿蘇谷大規模圃場整備事業を推進するに当たって、地元の不安を除くためにもぜひとも次のことを進めてもらいたい、かように思うがゆえにお伺いするわけでございますが、実はこの県営阿蘇谷大規模圃場整備の周辺を流れております黒戸川、今町川がことしの六月二十六日、集中豪雨によって家屋浸水が二百七十二戸、水田流失、埋没、冠水等が二百九ヘクタールに及ぶ災害が起きました。そういったことで現地の住民は大変おののいておったわけでありますが、台風十七号の被害が大きかったために、どうしてもこういったのが薄れてきた感じがしております。そういったことでぜひともこの河川改修の抜本的な計画を樹立して、早急にこの両河川を改修してもらいたいと思うのです。現在現地を見ますと、この黒戸川も今町川も断面が十分の一で河床が相当上がっております。川幅がほとんど十メートル以内で、八、九メートル平均でございます。しかも長さが二キロ半ぐらいありまして、いわゆる堤防決壊はないけれども、溢水による被害でございます。そういった意味でぜひとも改修してもらいたい。建設省の見解を承りたい。
  211. 小坂忠

    小坂説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のございました熊本県内一級河川の黒戸川、今町川でございますが、お話しのように今年六月被害があったようでございます。しかしながら、いま現在直ちには県でも改修の計画は持っておりません。しかしながら県営阿蘇谷大規模圃場整備事業、これに関連いたしましていずれ改修が必要になるという認識は持っておりまして、現在熊本県において改修方法等につきまして検討中でございます。いずれ県の河川サイドから提案がございましたら、それを受けてわれわれも検討いたしたいというふうに考えております。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省、いまの建設省の答弁によって、これは今後県営阿蘇谷大規模圃場整備事業を推進する意味において、どうしても避けて通れない、また大変な災害をもたらす問題でありますから、建設省の方では、いま県の方でいろいろ調査をして検討中であるということでありますけれども、県の方も急がせますので、今後の大規模圃場整備事業が三〇・八%しかできておりませんが、今後推進する上にもいろいろな支障になりますので、農林省も建設省とよく協議の上推進を図ってもらいたいと思うのです。よろしくお願いします。どうですか。
  213. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま具体的な問題でございますので担当課長に聞きましたところ、特に建設省の事業の進捗と私どもの圃場整備とは大幅な関係があるということではないようで、多少の関係はあるようでございますけれども、私どもは私どもといたしましてこの圃場整備の進捗につきましては特段の留意をいたしたいというふうに思っております。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後にもう一つ伺っておきますけれども、熊本県三名市の県営圃場整備事業、菊池川左岸地区ですけれども、これも大変工事がおくれて、これはもう孫の代にならないと完成しないということで地元はあきれ返っておるわけですけれども、菊池川左岸地区は総事業費が十七億二千三百万、五十一年四月の予算割当当時のこれは総事業費ですけれども、受益面積が三百九十七ヘクタールですが、一工区から三工区までありまして、工事着工が昭和四十九年ですけれども、現在五十一年の進捗率が七十五ヘクタールで一九%、これは特に低いのですが、地元からぜひともこれは急いでもらいたい、また来年度予算についても努力してもらいたい、さらに計画変更等はどういうふうに考えておるかというふうなことが望されておりますけれども、その点について当局の見解を承りたい。
  215. 岡安誠

    ○岡安政府委員 御指摘の菊池川左岸地区につきましては、四十九年度に着工いたしまして、五十一年度までの進捗率は一九%でございます。これはまだ着工したばかりでございますので、計画変更というようなことは考えておりません。したがってこれはできるだけ早急におくれを取り戻したいということで、私どもも予算を獲得いたしまして早急に進捗をさせたいというふうに思っております。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、農林大臣、いま申しましたように圃場整備その他相当おくれている点がありますけれども、こういった点について、特に大規模圃場整備にしても県営圃場整備にしても、地域によっては大変重大な問題で、特におくれが目立っておりますので、来年度予算については政府は一二五%ぐらいの要求をしておられるようでありますが、大規模については二ないし三%はさらに予算を取る、こういうような決意で、われわれも努力しますけれども、せっかくひとつ大臣も最大の努力をしていただくように、最後に大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  217. 大石武一

    ○大石国務大臣 いままで構造改善局長からいろいろと申し述べましたとおり、一生懸命努力いたしております。来年度予算につきましても、できるだけ大幅の予算を獲得いたしまして、御期待に沿うように努力いたしてまいりたいと思います。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、時間が参りましたので、以上で終わります。
  219. 湊徹郎

    湊委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時散会