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1976-10-21 第78回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十一日(木曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 渡辺美智雄君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 竹中 修一君 理事 藤尾 正行君    理事 松本 十郎君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       大石 千八君    旗野 進一君       三塚  博君    森  喜朗君       木下 元二君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      西村 尚治君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         内閣総理大臣官         房総務審議官  島村 史郎君         総理府人事局長 秋富 公正君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛政務次官  中村 弘海君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      角田 達郎君         法務省刑事局参         事官      山口 悠介君         外務大臣官房外         務参事官    大木  浩君         大蔵省主計局給         与課長     足立 和基君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 田中 哲男君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   林  大幹君     八田 貞義君   三塚  博君     越智 通雄君   吉永 治市君     林  義郎君   受田 新吉君     神田 大作君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     三塚  博君   八田 貞義君     林  大幹君   林  義郎君     吉永 治市君   神田 大作君     受田 新吉君 同月二十日  辞任         補欠選任   三塚  博君     福永 一臣君   吉永 治市君     原 健三郎君   受田 新吉君     神田 大作君 同日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     吉永 治市君   福永 一臣君     三塚  博君   神田 大作君     受田 新吉君     ————————————— 十月二十日  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五号)  特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際  海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第六号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七号)  同月十八号  防衛費漸減等に関する請願金子満広君紹  介)(第五二五号)  傷病恩給等改善に関する請願三ツ林弥太郎  君紹介)(第五二六号)  同(越智伊平紹介)(第五五五号)  同(荒舩清十郎紹介)(第五八六号)  同外三件(左藤恵紹介)(第六二三号)  旧軍人恩給等改善に関する請願稲村利幸君  紹介)(第五五四号)  金鵄勲章叙賜者の処遇に関する請願(坂本三十  次君紹介)(第五八五号)  同(左藤恵紹介)(第六二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五号)  特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際  海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第六号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七号)      ————◇—————
  2. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次、趣旨説明を求めます。西村総理府総務長官。     —————————————
  3. 西村尚治

    西村国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、及び特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、一括してその提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  まず一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年八月十日、一般職職員給与について、俸給表及び諸手当改定等内容とする人事院勧告が行われたのでありますが、政府としましては、その内容を検討した結果、人事院勧告どおり、本年四月一日からこれを実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、全俸給表の全俸給月額引き上げることとしたことであります。  第二は、初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員に対する支給月額限度額を十四万円から十五万円に引き上げるとともに、医療職俸給表(一)以外の俸給表適用を受ける職員のうち、医学または歯学に関する専門的知識を必要とする官職を占める職員に対し、支給月額限度額を三万円から三万二千五百円に引き上げることとしたことであります。  第三は、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を六千円らか七千円に引き上げるとともに、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を二人までについてはそれぞれ二千円から二千二百円に引き上げ、この場合において、職員配偶者がない場合にあっては、そのうち一人については四千五百円とすることとし、また、上に述べた扶養親族以外の扶養親族につきましては一人につき四百円から千円に引き上げることとしたことであります。  第四は、住居手当について、月額一万二千円以下の家賃を支払っている職員の場合、家賃月額から五千円を控除した額を支給月額とするとともに、月額一万二千円を超える家賃を支払っている職員の場合、家賃月額から一万二千円を控除した額の二分の一を七千円に加算した額を支給月額とし、この場合において、その加算した額が一万五百円を超えるときは、一万五百円とすることとしたことであります。  第五は、通勤手当について、交通機関等を利用して通勤する職員の場合、全額支給限度額月額一万円から一万二千五百円に引き上げ最高支給限度額を一万千五百円から一万四千円にすることとしたことであります。このほか、自転車等を使用して通勤する職員または交通機関等自転車等を併用して通勤する職員についてもそれぞれ通勤手当支給月額引き上げることとしております。  第六は、宿日直手当について、勤務一回についての宿日直手当支給限度額を、通常の宿日直勤務にあっては千三百円から千六百円に、管理監督等業務を主として行う宿日直勤務にあっては二千六百円から三千二百円に引き上げるとともに、土曜日等の退庁時から引き続いて行われる宿直勤務についても支給限度額引き上げることとし、また、常直的な宿日直勤務についての支給月額を九千円から一万千円に引き上げることとしたことであります。  第七は、期末勤勉手当について、十二月に支給する期末手当支給割合を百分の二百十から百分の二百とし、六月に支給する勤勉手当支給割合を百分の六十から百分の五十に引き下げることとしたことであります。  第八は、非常勤委員、顧問、参与等に支給する手当について、その支給限度額日額一万六千五百円から日額一万八千円に引き上げることとしたことであります。  以上のほか、附則におきまして、この法律施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置勤勉手当の額の特例措置等について規定しております。  次に、特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定に伴い、特別職職員について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、特別職職員俸給月額引き上げることとしたことであります。その内容を御説明いたしますと、内閣総理大臣俸給月額は百四十五万円、国務大臣等俸給月額は百五万円、内閣法制局長官等俸給月額は八十八万円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、七十四万円から六十三万七千円の範囲内で改定することといたしております。  また、大使及び公使については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使俸給月額は百五万円、大使号俸は八十八万円とし、大使号俸及び公使号俸以下については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、七十三万円から五十七万千円の範囲内で改定することとしております。  なお、秘書官については、一般職職員給与改定に準じてその俸給月額引き上げることといたしました。  第二は、委員手当について、委員会の常勤の委員日額手当を支給する場合の支給限度額を三万千円に、非常勤委員に支給する手当支給限度額日額一万八千円にそれぞれ引き上げることとしたことであります。  第三は、沖繩国際海洋博覧会政府代表俸給月額を七十三万円に引き上げることとしたことであります。  以上のほか、附則においては、この法律施行期日適用日等について規定いたしております。  以上が両法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 渡辺美智雄

  5. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員給与改定を行うものであります。  すなわち、参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても従前の例にならい改定することとしております。  なお、事務官等俸給のほか、扶養手当住居手当通勤手当宿日直手当期末勤勉手当及び医師等に対する初任給調整手当につきましては、一般職職員給与に関する法律規定を準用しておりますので、同法の改正によって同様の改正が行われることとなります。  この法律案規定は、公布の日から施行し、昭和五十一年四月一日から適用することとしております。このほか附則において、俸給の切りかえ等に関する事項について、一般職におけるところに準じて定めております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  8. 大出俊

    大出委員 理事会でいろいろ議論をいたしました結果話がまとまったわけでありますので、実はきょうは二、三時間じっくり聞かせていただこうと思ったわけでありますけれども、要点をしぼりまして質問をいたしたいのであります。     〔委員長退席加藤(陽)委員長代理着席〕  本来なら経済企画庁等にもお出かけいただいて、人事院官民比較をするその前の民間給与というのが消費者物価に大きく依存をいたしておりますから、その一番出発である消費者物価指数というものの、つまり根源にさかのぼって実はきょうは承りたいと思っていたわけであります。というのは、人事院に少しこの辺でいまの官民比較という方式を再検討する必要がありはせぬかという根本的な問題を私は抱えているからなんであります。尾崎さんが給与局長時代にも一遍取り上げたことがありますけれども、消費者物価指数にリンクする民間給与であるとすれば、それとの官民比較をやってきた人事院というのは、法律制度の面からいきまして、公務員の生活の実態というところから離れているわけでありますから、そういう意味で、実はきょうはそこを詰めたいと思ったのでありますが、せっかく話がついたところで余り長い質問をするのも恐縮でございますから、経済企画庁、労働省をお呼びすることを遠慮いたしました。したがって、ずばり中心点だけしぼって質問をしたいのであります。  そこで、これは委員各位もお聞き取りをいただきたいのでありますが、附帯決議をこの一般職給与法には付していただきたいのであります。けさほどの理事会では、採決がきょうでないということでありましたので理事会提案は差し控えましたが、いまここで附帯決議案を、私の案を読み上げまして、なぜこういう附帯決議をつけてくれと言うかという理由という意味質問をいたします。これは委員長代理、ひとつお聞きいただきまして  けさ採決はきようでないということでありましたから理事会に諮りませんでしたから。  「附帯決議(案) 公務員給与決定制度人事院勧告制度をもととする法定主義によるものとされている。これは民間給与決定方法と異なる公務員給与制度特殊性である。このような公務員制度特殊性を配慮し、今回の特別給改正については可及的速やかに従前の月数に回復する措置を講ずるよう努力すべきである。」こういうことなんです。つまり、特別給が〇・二落ちておりますから。これは旧来人事院総裁の長い年月にわたる答弁からすると、このくらいどうも不合理な、また不穏当な、筋の通らぬ措置はない、こういうふうに考えておりますので、そういう意味でこの種附帯決議を、ひとつ次の機会に御論議をいただきまして付していただこう、こういう実は考えでございますから、委員長さんとも、代理加藤さんに一遍御相談おきをお願いしておく次第でございます。  そこで、なぜこの種の附帯決議提案するかという理由、これを明らかにする意味質問をいたしたいのであります。  私の質問が主でございますけれども、大変何回も佐藤総裁が私の質問答弁をされています。六十三国会、六十六国会、もう一つ六十六国会、六十七国会、七十一国会、七十三国会、もう一つございますが、全部で七つですね。ちょっと私の方で調べただけで七つ国会佐藤総裁が、特別給についての端数切り捨てという問題の議論答弁を続けているわけであります。これは人事院の基本的な公務員制度に対する、特に特別給に対する御見解だと思うのでありますが、この席で改めて、旧来繰り返し述べている人事院総裁答弁というものを、新総裁藤井さんからひとつ人事院の基本的な態度としてお述べをいただきたいのであります。佐藤総裁がこんなにたくさん答弁しているのを変えたんだというなら変えた答弁で結構でございますが、よもや変えてはいまいと私思いますから、その意味で、一貫性のある答弁でございますので、新総裁の口からひとつ人事院の基本的な態度としてお答えをいただきたい、こう考えております。いかがでございますか。
  9. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別給のあり方につきましては、いまお話しになりましたように、従来人事院態度というものは一貫してきておるわけでございます。それはやはり年間におきまする、特に前年におきまする民間特別給支給状況というものを調査いたしまして、これとの対比において公務員特別給を上げるべき答えが出てくれば上げるという方針は、一貫していままでやってきておるわけでございます。  ただその間におきまして、端数切り捨ての問題につきましては、民間状況というものが、これはやはりそれ自体業務経営努力といいますか、そういうことに直接関係をしてくることでもございますので、公務員の場合にはそれとは違った面があるというわけではございませんけれども、しかし、民間状況に右へならえをいたしまして、これにならって引き上げをやります場合におきましても、民間と違って公務員の場合はいわゆる法定主義によっておりますので、本当にわずかの差でも出たというような場合に、そうこれを厳格に反映をしていくということもいかがであろうかというようなことから、端数切り捨てについてはごしんぼうをいただきたいということで参っておるのが従来の態度でございます。その点については私も従来からよく内容承知をいたしておりますし、前総裁答弁内容というものについても勉強をいたしておりまして、その大体の方向自体については異論がございません。今後ともそういう方針踏襲をしてまいるという基本的な気持ちは現在のところは変えておらないのであります。  ただ、従来は御承知のように景気動向等がございまして、民間実態というものが下がる要素が出てこなかった、毎年ずっと上がってきたというようなことで参っておりました。ところが昨年の状況というものは、こういう民間の景況が大変悪いというような結果も反映をいたしまして、その調査をいたしました結論が下がってまいりました。これはいままでもるる申し上げておりますように、従来の五・二を算出いたしましたときと違いまして、四・九五というような数字が出てまいったのでございます。そこで、やはり特別給についてもいままで民間との対比ということで処理をいたしてきておりますので、これとの平仄というような面からいたしましても、やはりこの〇・二というものを無視するわけにはまいらない。民間で現実にそういうふうに下がってきておるという経過が出てまいりました上からは、やはりこれについてほおかぶりをしてまいるわけにはいかない。私自身といたしましては、いままでやったことのないことですから、先般の委員会でも大出委員から、そういうことで長く給与制度史上に悪例をとどめるようなことは差し控えなさいというような御発言もございましたが、私自身もそういう意味ではやはり大変忍びざるものがあったことは事実でございます。ただ、調査の結果というものがそういうふうに出てまいりました場合におきましては、これを無視するということにはまいらない。そういうことをやってまいりますと、今後やはり給与の本俸的な問題の取り扱い等についてもいろいろ世間的な論議も出てくるというようなこともございまして、総合的に勘案をいたしました結果、まことに私としては情において忍びざるものがございましたけれども、こういう措置をあえてとらせていただくということにいたしたのでございます。  ただ、将来の問題といたしましては、やはりいまの制度踏襲してまいるということに相なりますれば来年の調査等でその結果が出てまいりますれば、むろんその結果に合わせまして措置をいたす、引き上げ要素が出てまいりますれば当然それに右へならえの措置を講じていくということはあたりまえの事柄でございます。そういう点で人事院態度というものは従来から一貫しておると思っておりまするし、私自身もそれを踏襲し、今後とも引き続いてそういう方針でまいりたいというつもりをいたしておる次第でございます。
  10. 大出俊

    大出委員 いま藤井総裁から長い答弁をいただきましたが、要点をしぼれば、旧来佐藤総裁答弁をしてきたその考え方というのはよく知っているし、踏襲をしてきている。これは藤井さんが事務総長をやっておられた時代があるのですから、当時の総裁佐藤達夫さんなんだから、それが変わちゃ困るわけです。ところが、人事院ができたのが昭和二十三年ですから、私はそのときの官公労中央事務局長ですから、以来今日まで二十八年間、今日の総務長官西村さんも当時は郵政省においでになって、私はどうも西村さんとは人事院ができたころからのこれまた長いおつき合いなんですから、いずれもよく知っている仲でありますから、この二十八年に及ぶおつき合いの中で、一貫して端数切り捨ててまいりまして、この端数切り捨てというのは上げる方の端数切り捨てたわけですからね、これは。四捨五入じゃないのですから。初めて今回藤井総裁、記念すべきことをおやりになりまして、五・二カ月分というのを五カ月に〇・二削ったのですから、人事院の歴史二十八年間で削った総裁、これは藤井さんをもって噛矢とするわけでございまして、藤井さんの顔を見るたびに私は死ぬまで思い出すんじゃないかと思うのです、あの人が総裁になったから〇・二削ったのだなということで。私はいつか質問で、総裁が入ってくるたびに恐らく皆さんが、おれの給料〇・二カ月削ったのはあの藤井さんだということになるよと言ったのですけれども……。そういう歴史的な総裁だけに、いま最後に言いわけがついているのですね。つまり、従来民間は下がる要素が出てこなかったというのですね。だが今回は下がったというのですね。ここだけが違うのですよね、いまの答弁。  そこで申し上げますが、佐藤総裁答弁幾つもありますが一つだけ読み上げます。これは私の質問に対する佐藤総裁答弁、七十一国会、四十八年八月二十八日です。「これは毎年御指摘を受けていること」なのですが、「基本的な考え方は、たびたび申し上げておりますように、この民間特別給というのは非常に浮動的で、その年その年の景気に左右されるものだ。片やわがほうは、とにかく法律の条文の中にこれが入りますことから申しましても、相当固定的な形になる。」法定主義だというわけです。「だから下がった場合に、それじゃすぐそれに応じた下げ方が気楽にできるかどうかというと、これもなかなかそうもいかないだろうというような、いろいろ差し引き勘定してみますと、うまみもあるということで、ことしのような場合は、これはもう十分御容赦願えることと思っておるわけでございます。」今年削ったけれども、民間が下がったからといってそれじゃやすやすと削るなんということはできないのだ、法定主義だから。だから、ことしは削ったけれども、「広い意味で見るとこの差し引き勘定というのは損はないんだという、こういう実は答弁なんですね、法定主義だから。  ところが、いままで下がったことは一度もないのですよ、いま総裁がいみじくもおっしゃるように。官民比較をやると、全部民間が〇・〇幾つか高い。それをみんな削り続けて、よくも飽きずに削ったものだと私は思うのですがね、上がるべきものが削りっぱなし。上がるべきものを削りっぱなしにして、今回初めて下がったからというので今度下げちゃったという。これは旧来総裁答弁が御都合主義で言ったのならいざ知らず、そうでないんだとすると、これは筋が通る筋合いのものじゃない、こういうふうに私は思う。  そこで念のために申し上げておきますが、昭和二十七年からずっと集計をしまして、二十八年が〇・〇四民間が高い。これは切ったわけですね。三十年が〇・〇一民間が高い。これも切った。ここで一遍だけ三公社五現業との関係から三月に特別手当〇・一五分の勧告をしたことがあります。このときだけは、これは下げたんじゃないからいいのですが、プラス〇・一一といって公務員が高くなったときがある、一遍だけ。これは三公五現に横に並んだのですからしようがない。その後三十二年にまた〇・〇二切っている。三十三年が〇・〇七また切った。三十四年が〇・一、三十五年が〇・一九あって切っている。ずいぶん不合理だ。〇・一九もあるものを切っちゃった。今回〇・二切ったなんていったって、ここで三十五年だけで〇・一九切っているのですからね。上がるべきものを切っちゃっている。差し引き勘定損はないはずだと前の総裁は言っているのですけれども、大変な損ですよ。大損だ。三十六年は〇・〇八民間が高い。これも切った。三十七年が〇・〇二高い。これも切った。三十八年が〇・〇四、三十九年は〇・〇六、四十年が〇・〇三、四十二年が〇・〇一、四十三年が〇・〇四、四十四年が〇・〇八、四十五年が〇・〇九、四十六年が〇・〇七、四十七年が〇・〇二、四十八年が〇・〇六、四十九年が〇・〇八、去年の五十年が〇・〇八、これは高くなるべきものを切りっ放しに切った。切りっ放しに切っておいて、今度は民間が下がったからといって〇・二切ると言う。これを集計すると一・一カ月分になるのですよ。そうすると、佐藤総裁答弁からすれば、差し引き勘定して損はないじゃないか、だから勘弁しなさいよ、おわかりください、法定主義なんだから、民間が下がったからといってその容易に気楽に下げるわけにいかないのだから、広い差し引き勘定をしてごらんなさい、下がった場合だって下げないのだから、だから損はないじゃないですか、と答えているでしょう。これは前の佐藤総裁なら、あなたこう言ったじゃないかと言えるのだけれども、いやそれは前総裁が言ったことだと言いそうだから、前の総裁答弁踏襲なさるかと聞いたら、これは私も人事院におったことがあるから踏襲するとおっしゃる。踏襲するのなら、いまの答弁は撤回を願いたい。今回初めて下がったのを、いきなり切った。いまの答弁で、従来民間は下がる要素が全く出てこなかった、だが今回は下がりましたのでと言う。長い間切りっ放しで切って、今回下がったからといっていきなり切ってしまっては、前総裁が黄泉の国かなんかで泣いているんじゃないかと私は思うのですがいかがでございますか。筋が通らぬでしょう。
  11. 茨木廣

    ○茨木政府委員 前の総裁の意図をいろいろ院議でも御協議いただいたわけでございますけれども、それで、また別の機会に、同じ年でございますけれども、十一月十六日の当内閣委員会においての説明のところで答えておるところが、また下げることがあるということをやはり予想していらっしゃったんじゃないかという点がございます。ちょっと読んでみます。「民間給与というものは、その年その年の営業成績によって、多い年もあり、少ない年もあるというのが普通なんで、それを〇・〇幾つまできわめて克明に追跡していくというと、今度下げるときも、小数点以下二位のところでまたこちらは操作しなければならぬ。わがほうは、とにかく法律にはっきり書くのですから、一応固定的な形になるわけです。民間の場合のその年その年というのとは、ちょっとまた違った形になりますから、小数点二位以下は、まあ両面から考えてみて切り捨ててもよかろう。」云々というふうに言っておりまして、ここで「今度下げるときも」あるいは「一応固定的」という「一応」という文言を入れながら御答弁なさっている点もございます。  それで、過去の例でも、そういうふうな関係で、四十一年でございますと〇・〇三、四十七年でございますと〇・〇五民間が下がっておりますけれども、二位のところでございますので、そのままに経過しました年も、生かされた形の年もあったわけでございます。今度の措置も、そういうことで本来ならば、従来の方式で切り捨てていきますと四・九というようになるわけでございますけれども、今度は逆に、そこのところは切り上げという、結論的に言いますと、切り上げみたいな形にしまして五カ月ということにさしていただきまして、この形が仮に民間との関係が四・九五と五カ月という形で推移いたしますれば、その点は逐次回収、と申しましては語弊があるかと思いますけれども、そこの見合いをとらせていただいたということで、その点は総裁の意図もございましてそういう結果になった点は、ひとつおくみ取りをいただきたいと思っております。
  12. 大出俊

    大出委員 前回の私の質問で、皆さんの方に用意がなくて言われっ放しになったものですから、茨木さんあなたは一生懸命調べて、何とか少しこれは助け舟を出さなければいかぬということで一生懸命洗ってきたのだと思うのですが、それも百も承知なんですよ。合計〇・〇五しか泣いていない。つまり四十一年がゼロで、それから二十七年がゼロで、ゼロの年は決まっている。それで合計して〇・〇五しか持ち出していない。それじゃ差し引き勘定で損はないと言うのなら、一・一カ月と〇・〇五では、差し引き大変な損になる。〇・〇五に今度は〇・一泣いたというのだから、これは切り上げたのだ。そうすると、これは両方合わせたって、まるい数字で〇・一にしたって、〇・一五でしかない。それは一・一カ月分切っ払っておいて〇・一五ばかり何とかくっつけたからといって、前の総裁のように差し引きして損得勘定するなら、天下の公務員というものは人事院のおかげで大損ですよ。  だから、私がここではっきり申し上げておきたいのは、やはりこれは速やかにもとに戻す、そういう姿勢が必要である。なぜならば、藤井総裁は最後までこれは何とか落としたくなかったということで、その寸前まで、私が電話を非公式におかけしたら、いや、私はこれは切りたくないのだということが、いきなり言葉に出てまいりました。実は私はその総裁の気持ちがわかっておりますからね、そういう意味で切りたくなかったのだが、周囲の情勢が、ということだったのだと私は思う。もっとずばり言ってしまえば、総裁は切りたくないのを、茨木給与局長あたりが、対大蔵省だなんだということで、不況下の勧告を出すのだからぐあいが悪いということで、総裁を一生懸命くどいたのですね。閉会中審査のときに二回目に総裁答弁が変わってまいりまして、その裏をとってみたら、茨木局長なんというのは一生懸命に総裁に、それじゃ給与局は困るのだと言って、大分泣いたのですね。だから、私は余り総裁を責めたくはない。責めるのなら、いまうまいことを言い始めた茨木局長を責めなければいかぬのです。つまり、私に言わせれば、いろいろなことを口の先で言ってみても、事は公務員の皆さんの生活にかかわるわけですから、その意味で、この辺は一体どう考えているかということをその次に聞きたいのですが、ここのところ、労働省統計をごらんになっておられると思うのですけれども、実質賃金はどういう推移をしていますか。
  13. 茨木廣

    ○茨木政府委員 毎月勤労統計の方で見ますと、四月を一〇〇といたしますと、五月が一〇〇・五、六月が一〇三・九、七月が一〇四・四、八月が一〇四・二と、逐次新ベースに切りかえられましたものもございましようし、それから春闘の影響が浸透してきているということもございましようが、この程度の上がり方になっております。  それからもう一つ、いま論議の関係で申し上げますと、この夏の特別給状況は三%程度の対前年の伸びというような数字になっております。
  14. 大出俊

    大出委員 実はきょうは労働省を呼んで細かい数字を挙げて少しやりとりをしたいと思ったのですが、経済企画庁、労働省を呼ぶのを、ついた話のところで長い質問もと思ってやめたのですけれども、どうも実質賃金の低下はいささか目に余っておりまして、四カ月マイナスというようなこともございましたし、そこへもってきて、健康保険だの厚生年金だの、逆なんですが、八月、十月の値上げという問題がございましたね。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つ非常に大きな問題は、税法上の大きな問題がありまして、最近私も細かく調べておりますが、昨年千九百五十億所得減税をやったわけですけれども、この中身は課税最低限の引き上げなんですね。これは、人事院官民比較していればいいのだという筋合いのものではない。公務員の生計の実態、点が入って法律上ははっきりしているのですから、生活の実態を離れて給与管理はできない。そういう意味で承りたいのですが、この課税最低限を据え置きにするというのは、生活の実態という意味でどういう影響を持ちますか。
  15. 茨木廣

    ○茨木政府委員 消費者物価等が上がってきておるわけでございますから、課税限度のところがそのまま据え置きになるということは、そこの点で見ますれば、それだけ課税される点がきつくなってくるという作用を営んできておるものだというように考えております。
  16. 大出俊

    大出委員 だから、私が根本的な問題にさかのぼってきょうは少し議論したいというふうに思ったというのは、最近また品目追加の消費者物価指数の基本になる資料を、統計法十四条がありますから、経済企画庁はなかなかお出しになりませんが、これはILO第一回総会で決めたことですから、賃金にリンクするのですから、そういう意味消費者物価指数というものは一遍じっくりこの席で突いてみなければならぬと思っておるのと、もう一つは、税法上の関連で、単なる官民比較だけで果たして公務員の生活の実態管理ができるかという問題がある。  そこで、いまおっしゃるように課税最低限を据え置きにした。昨年は、四人世帯で年収百五十方、これを三十三万引き上げて百八十三万にしたわけですね。これが財源で千九百五十億です。つまり、四人世帯の場合に百八十三万、ここまでは税金がかからない。ところが、これを本年五十一年は据え置きにした。きのうきょうの新聞を見ると、与党の政調会あたりも来年もどうもほおかぶりだというわけだ。そうすると、五十一年、五十二年課税最低限度据え置きなんですね、物価が上がっているのに。いま茨木さんのお言葉の中にも、物価調整をしないとすれば生活にそれだけ響く、こういうお話ですね。つまり、百五十万というのを百八十三万に三十三万上げたというのは、当時の説明どおり明確に物価調整なんですね。二年間上げなければしからば一体どうなるかといえば、所得税というのは累進課税ですから、所得がふえれば税率が高くなるのはあたりまえ。だから、年収二百万という人の場合、これは十六カ月計算。十七カ月計算、ボーナスその他の特別給の額によって計算の仕方が違いますが、年収二百万ということになると、 つまり公務員なら今度は五・二が五になったのだから十二カ月プラス五だから十七カ月計算ですね。月給は幾らになりますか。——いいです、時間がないから。十六カ月の計算なら、十二カ月プラス四カ月で計算すると、二百万の年収で十二万五千円ですよ。公務員のように五カ月という計算をすれば、十七カ月ですから十一万七千円ですよ、端数がちょっとございますが。これで年収二百万、この方の所得税を計算しますと、現行なら税法上は何と一万一千円ですよ。これが、課税最低限を引き上げないでほったらかしておくと、一年間で一つ上のランクに行く。なぜかというと、いま全産業平均でいきますと八・八%の賃上げですから、その他の手当その他を入れるとおおむね一〇%という計算をすれば、年収二百万の方は二百二十万になるわけですから、二百二十万になると、累進課税ですから税法上一つ上のランクに行って、一万一千円の所得税はいきなり二万四千円にはね上がるわけです。来年も課税最低限を引き上げないとすると、さらに一〇%のベースアップがあるともう一つ上のランクに行きますから、何と所得税は四万三千円になる。現在一万一千円の特別税が四万三千円になる。年収二百円というのは、課税最低限百八十三万ですからすれすれの人ですよ。こういう現実がある中で〇・二切られるということになると、家計簿の上では奥さん大変だ。だから〇・二だからいいやという筋合いにはならない。人事院の側がどうも官民の給与比較だけで物を考えて今日まで来ているわけだけれども、消費者物価の指数の動向だとか、これはずいぶんインチキだらけでどうしようもないなという気が調べてみてする。税法との関連から言ったってこれは大変だという気がする。そういう意味を含めて、やっぱりもう少し真剣に、事〇・二であっても、これはお考えいただかなければならぬと思っているわけですよ。  そういう意味総裁にさっき私は附帯決議趣旨を申し上げましたが、現在の公務員の生活の実態というのは大変に苦しいところにあるという認識を深めていただきたい。そこで、附帯決議趣旨に従って、総裁はいまの世の中の動向を考えて、いまの官民比較のやり方だけで果たしていいかという問題もあるので、そこらを一体どう考えているか。民間の賃金というのは、国際的にそうであるように、物価上昇の動向とリンクしているわけですから、そこに無関心でいられては困る。そこらのところを含めて総裁の物の考え方——今度は切り下げたわけですけれども、しまいまで総裁は切り下げたくないと私に言っておられましたが、御心境を承っておきたいと思います。
  17. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お話でございますが、人事院といたしましてはやっぱり組織がございます。したがって、種々の論議があることも事実でございますけれども、正式に人事院態度として外に表明をされた事柄は、これは人事院総裁たる私の責任でございます。そういう点で申し上げておることの内容については十分検討もし責任も持ってやっておるというつもりでございます。  ただし、この特別給の問題につきましては、るるお話もございましたのですが、私自身としてはまことに忍びないという気持ちが強かったということは事実でございます。何かちゃんとした理屈が通りさえすればこういうことはしたくないという気持ちは重々ございました。ただ、この点は御論議のあるところでございましょうけれども、従来は切り捨てをしておりましたのはコンマ二位のところでございまして、二位だからそれは無視していいじゃないかとかあるいは一位はだめだとかいうその点の評価というものは、いろいろ御議論・があるところとは思います。思いますが、従来は、いろいろ特別給の性格から言いまして、民間の関係もございますので、しかし国家公務員の場合は法定主義であるというような点も考慮いたしまして、そう二位以下というようなところに変動が生じても直ちにこれを減額をするというようなことも適当ではないではないかというようなことも含めて従来の人事院態度があったのではないかというふうに考えます。私もその点については同感であるわけですが、しかし、一位ということになりますと二位以下とはおのずから評価というものが違うことはやむを得ないというようなところで、まことに私といたしましては意に染まないところではございましたけれども、厳然として数字が出てきたということの結果はやはり無視ができないのではないかということからこういう措置をお願いをいたした次第でございます。ただその間に、そんなことは十分じゃないじゃないかという御批判があるかと思いますが、人事院人事院なりにできる限りの配慮は加えたということのつもりでございます。公務員の生活実態その他についてはもちろん人事院といたしまして重大な関心を持っております。また、しょっちゅう組合の方々等もお見えになりまして、そのお話は十分私としてもひざを交えて承っておるような次第でございます。今後もそれらの点についての配慮は無論十分に加えていきたいという所存であることは申すまでもございません。  ただ、現在やっております官民比較のやり方の問題というのは、過去の経験から申し上げまして、いろいろ消費者物価その他の点もそこに溶け込んでおるというようなことから参っておりまして、かなり長い年月が経過をいたしておりますので、それなりの評価は受けておるのではないかとも思いますけれども、しかし、これは万古不易であって、絶対にそれは正しくて改める余地のないものだというわけではございません。そういう思い上がった態度をとっておるわけではございません。ただし、経験上いままでこの方式というものがまずまず御納得を得られるような線として継続をしてきておりますので、それなりの評価、というものはされてしかるべきではないかと考えておるのでございます。しかし、お話のような点につきましても無関心であっていいわけではございませんので、それらの点も問題点といたしまして積極的に取り組む努力は続けてまいる所存でございます。
  18. 大出俊

    大出委員 なるべく能率的にと思って、余り長い質問はいたしませんが、問題の焦点はいま申し上げている問題でございまして、この点について西村長官、私は郵政省の労使関係で長い間おつき合いした先輩でございますから、給与その他についてもずいぶん詳しい西村さんでございますからよけいなことは言いませんけれども、公務員というのは、大学をお出になって同窓会をやったりしてもそうなのですが、民間に行った方、公務員になった方の間に、景気のいいときにはどうも公務員というのはじっとしていなければならぬ、あいつはあの会社に行ってべらぼうに金もらっていやがって、金回りがよ過ぎる、おれの方は十年一日でということになるわけです。私も西村さんも同じ郵政省のかまの飯を食ったわけだから、そういう話を何遍かしたことはございます。ところが、少し今度は世の中の経済情勢が変わると、いいときにはうらやしく考えている公務員が、悪いときには現状維持でいってくれれば、やれやれ悪いときばかりはないからということになるのだけれども、民間動向が少し変わった途端に、積算をすれば損得勘定で切らぬでもいいのにずばり切ってしまう。人事院総裁の心中は、さっき十分な御答弁いただきましたからわかっているわけですけれども、それでもどうもちらっと切られておるということで、これではやはり顔を見たくなるという心境なのですね。私はやはり附帯決議というのは、そういう趣旨法定主義をとってきたのだから、景気動向いろいろあるけれども、いいときにいきなり上げてくるのじゃないのだから、せっかく出てきた格差だって切られるのだから、せめて悪くなったときに人事院が防波堤になってくれて、ちょっとはよけい給料をもらってない公務員の立場というものを考えるということだっていいだろうという気が世の中にある。そういう意味総務長官に、この種の附帯決議を付したいその趣旨についてひとつ御意見を承っておきたいのです。
  19. 西村尚治

    西村国務大臣 大出先生さすがにこの道のべテラン、専門家であるわけでございまして、先ほど来累積が一・二カ月とかいろいろ傾聴に値するお話を承りました。確かに、そういった点考えさせられるのですけれども、他方人事院の方でも、聞いてみますと、いろいろ苦心し配慮されておる跡がうかがわれるわけです。  ところで、政府としましては、たてまえは公務員給与は広く国民の理解、納得の得られるものであるべきだという立場をとっておるわけです。どうしたら国民の理解、納得が得られるかというと、やはり官民の給与の均衡を保つということが主点になるかと思うわけです。その官民給与の均衡を保つためには、政府が自分でどうこうというわけにまいりませんので、これは申し上げるまでもないことですけれども、今日まで専門の第三者、中立的な立場にある人事院の勧告を尊重し、これの完全実施ということを目指してきておったわけでございます。今度この特別給の減額、確かに先生おっしゃるお気持ちもよくわかります。理解できるのですが、ただその附帯決議について政府がどう思うかという問題につきましては、私ども政府としましては、あくまで係数とか金額とかそういうようなことにつきましては、専門的な立場にある人事院の方で責任を持って公正に結論を出していただく、それを完全実施するという立場にあるものですから、いま政府が、そのおっしゃいました附帯決議についてどう考えるかということについて意見を差しはさむことは、どうもちょっと差し控えさせていただきたい、もっぱら人事院の方で御善処を願いたい、かように考える次第であります。
  20. 大出俊

    大出委員 せっかく西村さんが総裁の隣に座っていて手持ちぶさたで困っているようだから、少し口をきいてもらおうと思って聞いたのですが、そこで重ねて人事院藤井総裁に承りたいのです。  もう一つ特別給について大きな問題があるのは、比較ベースの問題です。これも前からさんざん申し上げてきましたからよけい申しませんが、この比較給与、つまり民間特別給を比較する基礎ですね。これは公務員の方と民間との取り方が、片方は三者ベースなんて言っておりますけれども、片方はみんな入っているわけです。ここのところは今回はどういうふうに考えておられるのですか。
  21. 茨木廣

    ○茨木政府委員 この特別給、一般の方は四月時点の給与を比較するということでつかまえてまいりますけれども、特別給の方の関係は、どうしても年間で合わせませんと、それぞれ民間の支給時期もいろいろまちまちでございます。そういうことで年間でつかまえる、こういうことをやっておるわけでございます。そこで、年間でつかまえてまいります際に、事業所ごとに特別給として払いましたものを一括つかまえてきて、そして決まって支給される年間の給与で、それを二期に、六カ月ごとに区切りますけれども、割り返しまして係数を出すという方式をとるわけでございます。これを個別の職員ごとにというふうに年間のものをやるということはなかなか大変なことでございますので、どうしてもそういうような大まかな比較でやらざるを得ないというところでございます。  こちらの方は、御案内のように三者給を基礎にして算定しているということでございまして、当初はそう乖離はなかったかと思いますが、その後いろいろな手当ができてまいりましたので、その辺をおっしゃりたいのだろうと思いますが、今回もその点をいろいろ吟味いたしました。しかし前にもお答え申し上げましたように、そこまで入りますと、係員のところとかそれ以上のところとか、対応関係でいろいろきめ細かな検討を今度は加えてまいらなければいかぬので、今回はそこまでメスを入れかねたわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 これは私はけしからぬと思っているのです。これは念のために申し上げておきますが、時間がありませんから、それでやめますけれども、公務員の方はいわゆる三者ベースというようなことです。民間特別給と比較する場合に、本俸、扶養手当、調整手当の三つが基準ですね、その他の賃金は別ですけれども。ところが公務員の方は本俸、扶養手当、調整手当で計算をしていて、民間の方は所定内給与ですから全部入っている。だから本来比較すべからざるものを、比較し得ないものを比較している。だからいつかも申し上げましたが、ちょっとここに数字がありますが、住居手当などというものが九百九十二円も民間は入っておったり、寒冷地手当が千四百七円も入っておったり、特殊勤務手当が入っておったり、あるいは通勤手当が入っておったりする。これは前のものですが、通勤手当が三千七百八十円ですか、住居手当が九百九十二円ですね。そういうものを入れたものが向こうは何カ月分になっているわけです。ところが公務員の方は、さっき申し上げたように基本給で算定しているわけですから、本俸、扶養手当、調整手当しか入っていない。通勤手当だ、住居手当だ、寒冷地手当を入れているわけじゃない、特別給の比較には。こんな不合理な比較はないですよ。だれが見たって不合理千万です。だから早く直せと言ったっていつになっても直さない。だから、こっちは三つしか計算しないのだから比較の仕方が違うのです。したがって、これは五・二カ月分というけれども、四十六年度でいけば四・六カ月分しか民間に比べて公務員はもらっていないことになる。四十七年は四・六、四十八年で四・五九、四十九年で四・九九、五十年で四・九七、つまり三者ベース比較でなくて、所定内賃金で比較すると五・二カ月ない。四・六、四・六、四・五、四・九九、四・九七にしかならない。こんな基本的に不合理なことをほおかぶりしている手はないじゃないかということになる。  そこで、理屈を言うならば、つまり課長だとかなんとかはよけいもらっているんだから、係長だってよけいもらっているんだから、そういう職務によって調べなければならぬと言うから、あなた方に資料を出してくれと言った。正当性がないじゃないか。そうしたら出してきたけれども、何のことはない。これは、民間における特別給の職務の段階別年齢階層別の状況というので、いつの調査かと思ったら昭和四十五年と書いてある。人が笑うよ、茨木さん。これはいいところへ出せぬね。人が笑う。昭和四十五年職種別民間給与実態調査による。片方のやつは、もう一枚よこしたから何だと思ったら、民間における特別給の職務の段階別年齢階層別の状況、いつかと思ったらこれは昭和四十六年。いまは五十一年なんですからね。そうすると四十五年、四十六年の資料しか中身はなくて、それであなた方理屈を言う資格ないですよ、五年も前のものを。そうでしょう。だからいまのような理屈をおっしゃるなら、いまの私の——特別給の比較が根本的に間違っているんだから、五・二カ月民間並みに払っていますなんて言ったって、四・六じゃないか、一番高いところで四・九九じゃないか。公務員の方は本俸、扶養手当、調整手当しか入れない、片っ方は通勤手当から住居手当から寒冷地手当からみんな入っているんだから、それで比較して民間並みに出しました——冗談言っちゃいけない。その上に、今度は端数を切っちゃった。そんなばかなことはないと言うんだ。中身をごとごとおっしゃるから、それじゃそれも出してくれと言ったら、四十五年、六年の資料しかない。これは人事院の義務ですよ。この間あれだけ言っているのに、今度また出てこない。これはあなた方幾ら答弁したって、資料がないのに答弁のしょうがないんだから、しない方がいい。こういうことで公務員を虐げちゃいけません。うまいことを言って、低いところで抑えて、五・二カ月分出しましたなんて体裁のいいことを言う。わずか〇・九かそこらを切り上げましたと言っていばったって、本来五・二もらってないんだから、四・六しか。そういういいかげんなことを人事院やっちゃいけません。いままで初任給の決定の方法だって、あるいは逆較差を生ずる教員の問題だって、看護婦さんの問題だって、さんざん指摘してきた。とうとう初任給の決定方式なんというものは私の言ったとおりになっちゃった。人事院の尾崎理論破れたり。逆較差抜きなさいと言ったら、それも抜いたんだから。これまた人事院の論理破れたり。破れっ放し。つまりこの特別給の比較方式だって明確に間違いなんだから、こんな酷なことを公務員に強いるのは間違いなんだから、これはやめなさい。何で三者ベースで比較するなら三者で比較しないんだ。基本給なら基本給で、所定内で比較するなら公務員の方も所定内でなぜ比較しないのか。それから行口と作業員の関係だってそうだ。これはひどいものですよ。こんなことをするなんというのは、人事院はわかっててやっている。なるべく低く抑えようと思って、後ろの方に大蔵省がいるから。そういうことは感心しない。  私はここで一言申し上げておきますが、つまり中身が係長だの、職種別に、階層段階別にというんだから、今回の、つまり民間が落ちたから落とすんだと言うんだが、差が出たと言うんだけれども、しからば、その段階別の資料を四十九年、五十年、五十一年出してください。それだけ申し上げて終わります。  附帯決議は後でひとつ相談いたします。
  23. 茨木廣

    ○茨木政府委員 四十五、六年の当時は、例の特別調整額を一部特別給支給の基礎に入れる、その準備といたしましてあの当時そういう意味調査をやったわけでございます。したがって、いま御指摘のような資料ということでございますと、これからまた先の方でそういう調査をやりまして検討をしなければいかぬわけでございまして、そういう意味で最近のものはいま手元にはございません。
  24. 大出俊

    大出委員 最近のがなくて最近の話をするというのは、どういうわけですか。給与というのは、いま西村総務長官は、人事院が科学的に、方式があって算定して出してきたと言った。ちっとも科学的じゃないじゃないですか。非科学的きわまるじゃないか、こんな科学的な世の中に。人事院給与局なんというものはらちもないものだと思って——角野さんが横で何か言っているけれども、まことにらちのないものでね、特別給に関する比較方式というのは理屈がないのです。理屈がなくて公務員特別給を抑えている。そういうことをしてはいけません。だから、資料がないとおっしゃるならば出せないのでしょうから、資料が出せなければ四の五の言いなさるな、言うことを聞きなさいと言うのです。そうでしょう。そうしなさいよ。
  25. 茨木廣

    ○茨木政府委員 民間のものずばりというやつはいま申し上げましたようなわけでございますが、そのほか、最近の労働時報等に出ましたもので見ますと、やはり民間の上下の配分と申しますか、あるいは勤続年数等の考え方というのは、前とそう変わっていないようでございます。したがって、私どもといたしましては、今後よく検討はしてまいりたいというように考えていますが、何分その後できてまいりました通勤手当でございますとか住居手当でございますとか、そういうものをそのまま配分の基礎に使うということもきわめて非合理でございますので、その辺大変悩んでいるわけでございます。
  26. 大出俊

    大出委員 悩んでいるんだと言うのだから、矛盾を感ずるから悩んでいるのだから、世の中に矛盾がないものを悩む必要がないんだ、そうでしょう。あなたは矛盾があるから悩んでいるのだから、やがてまたこれは変わるのだから、どうせ私の言ったとおりいままで変わってきているのだから。だから、やはり資料はお出しいただかぬと困る。そういう意味でひとつ附帯決議をつけますから、あなたの方は御努力を願いたい、これだけ申し上げて終わります。
  27. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 次に、木下元二君。
  28. 木下元二

    ○木下委員 一般職職員給与法改正案について質問したいと思います。  今回の改定は、昨年と同様消費者物価上昇率を下回るきわめて不満な内容となっています。ところが、指定職など一部特権官僚には、昨年管理手当のカットとの見合いで改善を手控えた分を上乗せをし、一般の職員を上回る引き上げを行っています。これは特権官僚優遇の上厚下薄の給与体系を一層強化しようとするもので、問題があると思います。一般の職員の低い改善率や国民の生活実態から見まして納得できるものではありません。一般の職員よりも上回るような大幅な改善をしなければならないという必然性や緊急性もないと思うのです。この点について総務長官総裁の見解を承りたいと思います。
  29. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 指定職の引き上げ率が、本年の場合、一般の平均引き上げ率よりも上回っておるということは事実でございます。この点につきましては、実は御承知のように、昨年非常に民間の景況等が悪化しておったような状況もございまして、これに伴って賃金カットなり何なりが行われたというような事実がかなり出てまいっておりました。したがいまして、公務員についてもこの点はやはりほおかぶりをすることは適当でないということから、指定職その他のいわゆる上級の公務員についても、それに右へならえの措置を講ずることが適当であるというふうに考えたのでございます。  そのやり方といたしましては、課長級以上については管理手当、いわゆる特別調整額というものがございますので、その分についてのカットをする。役付のカットに見合うものはそういう方法がございますので、この措置を講じたわけでございます。その期間は一年ということにいたしまして、その後は民間状況等もだんだん変わってまいったこともございまして、課長級の特別調整額のカットにつきましては、この四月から取りやめにいたした次第でございます。  ところが、御指摘の指定職でございますが、これは特別調整額等も全部俸給表に組み込んだ形で俸給表自体ができ上がっておるということもございます。したがいまして、特別調整額見合いのカットということをやるわけにはまいりませんので、俸給表自体についてそういう配慮をいたしたということで、全体として見ますと、指定職の俸給表の去年の引き上げ率は非常に低いところで抑えざるを得なかったということがあるわけでございます。一方、指定職につきましては、民間の重役級とかそういったものへのリンクをある程度配慮はいたしております。その調査を毎年ということではございませんがときどきやっておりまして、それも参考にしながら決定をするという作業もやっておるわけでございますが、ことしはこの調査もやりました結果が出てまいっておりまして、民間の場合かなり大幅なアップが結果として出てまいっております。そういう事実を踏まえ、かたがた先刻申し上げました特別調整額のカット分の復元ということとも照応するために、要するに去年の抑えた分を加味をいたしますというような方法で指定職の俸給表改定措置を講ずることにいたしたいということでございまして、高級官僚についての優遇措置を特段に考えておるというたてまえではございません。
  30. 西村尚治

    西村国務大臣 ただいま人事院総裁答弁なさったとおりの事情によるものでございますので、御了解賜りたいと思います。
  31. 木下元二

    ○木下委員 お話を聞きましても、一般職員よりも上回るような大幅改善をしなければならないという必然性あるいは緊急性といったことの説明にはどうも承服しがたい点があると私は思います。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  そこで、期末勤勉手当の減額の問題について聞きたいのですが、特別給官民比較におきまして、人事院はこれまで小数点第二位以下を切り捨て公務員に低い水準を押しつけてきました。その累計は一カ月分以上に達しております。人事院はその切り捨て理由として、民間が下がっても公務員については下げないためだということを繰り返し答弁してきましたが、ことしの勧告では切り下げ勧告を行っておるのです。物価上昇にも及ばない低額改定に加えて、一時金を〇・二カ月分もカットをされたのでは、公務員労働者は踏んだりけったりであります。切り下げという異例の勧告となったために、六月支給の勤勉手当のカット分〇・一カ月分については返納しなくてもよいという措置をとっておりますが、十二月支給のものについても異例の減額勧告になったことを考慮して、民間の年末支給の動向を見ながら改善措置を講じてもらうように強く要望したいのであります。この点については私どもの方も附帯決議を用意しておるのでありますが、総裁の決意を伺っておきたいと思います。
  32. 茨木廣

    ○茨木政府委員 先ほどの委員質問に対して総裁からお答えがありましたように、今回のところといたしましては、端数の処理の問題、それからいま御指摘なさいました六月分の処理の問題、こういう点についていろいろ配慮を加えたつもりでございます。さらに十二月についてもというお話がございましたわけですが、技術的問題といたしましては、十二月は期末が本来二・一カ月入っております。それが二カ月分になるわけでございますが、そういたしますと今回の基礎になります三給与のアップを考えていきますと、新旧の差額のところで〇・一分のところがおさまってしまうものでございますから、六月のところで勤勉手当について方法を講じましたような技術的な方法が入る余地がございません。  それからもう一つ実質的な問題といたしまして、十二月の民間の動向につきましては十分私どもといたしましても注視をしてまいりますが、それは夏期の民間特別給の出方と相まって、そのほかの時期に出しましたものがございますればそれらを合わせまして、本年度一年度分の特別給状況がどうなっているかということで、来年の民調のところでよく把握をいたしまして処理をいたしたいというように考えております。
  33. 木下元二

    ○木下委員 公務員給与改定は一年前の民間水準との比較で行われます。その実施は半年から一年近く後になるというのが実情であります。この点について関係職員団体から毎年給与改定の早期実施、早期支払いという要求が出ております。一昨年は物価の異常な高騰という中で暫定払いの勧告が出ました。政府もこれに応じました。政府人事院はこうした暫定払いの制度化を含めて早期支給の方策について引き続き検討をし、速やかに実効ある措置を講ずべきだと思うのでありますが、いかがでしょう。
  34. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 勧告の早期実施につきましては、当委員会等におきましてもるる御意見を賜り、またいろいろ御協力をいただいておることを感謝をいたしておるのでございます。  過去の実例等を見ますると、勧告の実施という段階において、これは法定主義をとっておりまする関係で、どうしても国会が開かれないと事柄の処理ができないという一つの大きな限定がございます。そういうことから、従来はわれわれといたしましては早期実施ということを強く要望をいたしておりますし、それは当然でございますけれども、それを受ける政治の状況その他が、国会が開かれないということでおくれてしまっておることがあることは事実であります。しかし、それに対してどういう措置を講じてまいるのがいいかということにつきましては、これは総理府当局の方からお答えいただいた方がよいかと思いますけれども、いろいろ真摯な御検討がなされておるのでございます。ただ、それらにつきましてもいろいろ一長一短問題点がございまして、要は勧告が出ましたら、これを実現するために国会をできる限り早期に開いていただくことが一番本筋であることは申すまでもないのであります。ただしその時期がどうしてもずれるというようなことになりまして、それが一つの年中行事のようなことに相なってまいりますならば、これに対する対策を全く考えないわけにはまいらない。いまもお話しになりましたように、これは事務的、技術的な限界がございまして、調査をいたす、それに対して集計をやる、その集計をもとにして勧告案をつくっていくという階梯で、どうしても八月に勧告がずれ込むというようなことに相なりまするし、これを受けて法律化し、また法律として制定をし、施行になるということのためにはかなりの期間が必要であるというようなことから、四月勧告四月実施ということは、それがかなりの期間おくれることは事実でございます。したがいまして、そのおくれ方がひどいのが常例になるとかいうようなことに相なりますれば、それをも含めて対策というものは何らか研究をしていかなければならぬ。事実研究はいたしておるわけでございますが、本年の場合、幸いにして例年になくわりと速やかに御審議をいただいて、現在いろいろ御議論をいただいておるということははなはだ結構で、皆様方の御協力に対して感謝の気持ちを持っておるということを申し上げておきたいと存じます。
  35. 木下元二

    ○木下委員 いまの点について総理府は何かございますか。
  36. 秋富公正

    秋富政府委員 一昨年暮れの委員会におきまして、早期支給の附帯決議をいただきました。また、参議院の内閣委員会におきましても、同じ年に早期支給の附帯決議をいただきまして、総理府といたしましては、鋭意この問題を研究いたしました。事務的な検討をいたしますとともに総務長官の私的諮問機関でございます公務員問題懇談会におきましてもこの問題についてお諮りしたわけでございます。  総理府といたしまして、検討した案は四つございます。一つの案は、先ほど先生御指摘のように、四十九年にございましたのですが、人事院から一律概算ベースアップというのがございまして、さらに本勧告という二段構えの人事院勧告をいただいてこれをするというのが一つの案でございます。  それから第二は、来年度の予算編成前に人事院から勧告をいただいて、それを予算に盛り込むという案でございます。  それから第三は、俸給表改定につきまして、これを政令に委任するという考え方の問題でございます。したがいまして、国会の御審議は要らないようにするというのが第三案でございます。  それから第四は、国会の早期召集案ということでございます。  この四つの案につきまして、いろいろと検討したわけでございます。また、公務員問題懇談会におきましてもいろいろと学識経験者の御意見も伺ったわけでございますが、まず第一の二段構えで勧告をいただくということは、一昨年のような非常に物価が狂騰した場合においては、それは必要やむを得なかった措置であると考えておるのでございますが、毎回こういったものを制度化するということは、人事院ともさらに協議していかなければいけない問題でございます。  それから、第二の予算編成前の勧告案、いわばこれは来年の春闘の前に前年において人事院から勧告をいただくということで、それでなくともいろいろとその前にやるということには問題がございますわけでございまして、やはり民間の実際の春闘の結果を見て行うべきではないかという意見が強かったわけでございます。  それから、第三の俸給表改定についての政令委任案でございますが、これはやはり国家公務員給与と申しますものは、国民の税金でいただいておるわけでございますので、これを国会の御審議なしにやっていいかどうか。さらに一般職以外の特別職の問題、あるいは防衛庁職員の問題、判事、検事といろいろございますので、これもまた問題があるわけでございます。  それから、国会の早期召集の問題でございますが、このいわゆる給与法のためだけに国会が召集できるというようなことでもできますと、またこれは一つの方策かと思うのでございますが、事実問題といたしまして、給与法の御審議だけのために国会を召集いただくということは、なかなかむずかしい。  こういったように、いま申しました四つの案につきまして、いろいろと問題がございますので、私たちといたしましてもできるだけ早い機会に国会において御審議いただいて、一刻も早く公務員給与を支給できるようにいたしたいと思っておるわけでございますが、今後とも早期支給のために最善の努力をいたしていきたい、かように考えております。
  37. 木下元二

    ○木下委員 時間の関係でその程度、いろいろ聞きたい点はありますが、いま言われたこと以上に私は聞きません。  中堅職員給与の中だるみの是正の問題でずが、世帯形成層のいわゆる前だるみの是正の問題あるいは行(二)職員の格づけの改善の問題、こういうことについては一定の努力の跡は見られるわけでありますが、問題の抜本的な改善という点ではほど遠いと思うのです。今後こうした問題について、引き続き格段の努力を払っていただきたいと思いますが、同時に、府県機関職員、女子職員の格づけについても速やかに改善措置を講ずべきだと思うのです。この点はいかがでしょうか。
  38. 茨木廣

    ○茨木政府委員 中だるみ、前だるみというような層についてのことについては評価をいただきまましたが、私どもといたしましても、絶えずその点について民間動向等もにらみ合わせながら改善を加えていくというつもりをいたしております。  ただこの俸給表の技術的な点から申し上げますと、各等級間のカーブが大変接近をいたしてきておるところに、公務員の層が漸次高年齢化しますとともに上がってまいっております。そこはときどき特権ということで大変攻撃されますけれども、やはり上の方は上の方であるべき姿に上げていただくことを了承していただいて、そこに逐次俸給表のカーブを是正していくということを同時にやりませんと、大変技術的にむずかしいところに来ておるということも御了承いただきたいと思っております。  それから級別定数の関係でも本省と管区機関、府県機関の従来のあり方よりもそこの関係を接近させることによって、多数の地方のポストの評価を相対的に上げていくというようなことをせざるを得ないということで、各省の人事当局の方々とも所管の課で相談をさせております。その辺はやはり公務員社会におきます意識と申しますか、そういうことについてもそれぞれの方の納得を得ませんと、おれのときは遅かったのに、後の人を見たらこんなに速く上がってきたというような感じがありましてもなかなかむずかしいところもございます。その辺も見ながら逐次そういう点もやはり相対的には本省の評価とそういう出先の評価とをある程度縮めていかないというと、処遇はどうもむずかしいのではなかろうかというような気持ちで改善の方向で努力をいたしておるところでございます。  それからもう一つ男女関係の問題等についても触れられたと思いますが、そういう点について、私の方の基準からいきますれば、別に取扱いを異にしておるというっもりはございませんけれども、よく組合等からもそういうところが残っておるではないかというような意味のお話がございます。その辺になりますと、任用問題も絡む問題でございますし、総体的な級別定数との関係でどれを優先的にいたしていくかという、今度は個々具体の人事行政が入ってまいりますので、その辺のところとの関係もあろうかと思います。全般的な態度といたしましてはそういうような点には十分留意をして指導させてもらうつもりでございます。
  39. 木下元二

    ○木下委員 特別職職員給与法改正案についてでありますが、秘書官の俸給委員日額手当改善は物価上昇を下回っておりまして、きわめて不十分です。これに反して、内閣総理大臣は二十万円引き上げて百四十五万円に、率で一六%のアップ、国務大臣等は十五万円引き上げて百五万円に、率で一六・七%アップ、内閣法制局長官、宮内庁長官、上位の大使等は十万円引き上げて八十八万円に、率で一二・八%のアップとなっています。一般職の平均引き上げ率六・九五%の二倍以上、額では十倍から二十倍というべらぼうな引き上げを行っておるのです。その結果、俸給月額一般職平均の三・六倍から九倍にも達しております。これら一部特権的高級官僚の俸給を大幅に引き上げなければならないという緊急性や必然性は私はないと思うのです。民間労働者の賃金水準や国民の住活実態から見まして、国民の納得を得ることはできないのではないか、お手盛りのそしりを免れないと思います。この点はいかがでしょう。
  40. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘の特別職給与でございますが、秘書官あるいは委員手当につきましては、これは一般職職員のベースアップというものに準じてこれを改定いたしておるものでございます。  次に、御指摘の総理、国務大臣あるいは法制局長官の給与改定の問題でございますが、御承知のように、昨年は一般職につきましても管理手当を一割削減いたしまして、これに応じまして、一般職でございましても指定職の職員のアップ率と申しますものは減じたのでございますが、総理、国務大臣につきましてはこれを昨年は据え置いたのでございます。それで、昭和三十年以降過去二十年間の実数でございますが、総理の給与と申しますものは一般職公務員の最高号俸、現在で申しますと指定職十二号俸の東大、京大学長の二倍というのが過去二十年間の実数でございます。また国務大臣はこれに応じて行ってきたのでございますが、これが昨年は据え置いたという関係が一つございます。  それからもう一つは、民間におきます役員の給与実態でございますが、これのいわば会社の社長あるいは会長クラスのところと総理との比較という点も検討いたしたのでございます。  御指摘のように、今回一般職号俸は六・九四にかかわらず指定職は八・八%、これに対しまして総理は一六%、法制局長官におきましても一二・八%ということでございますが、これは昨年据え置きました関係でございまして、やはり私たちとしましては過去二十年間の実績、また総理の職責とその職務ということからいたしまして、昨年据え置きました関係上、今回はこのように引き上がったわけでございまして、過去におきましてもこれを据え置きましたために、たとえて申し上げますと、四十二年には、過去三年据え置きましたために一般職改善率は七・五%でございましたが、総理は三七・五%でございました。また四十七年には、一カ年据え置きましたために、四十七年のアップ率は一般職俸給表改善率が一〇・五%でございましたが、総理の改定率は三五%であった、かような比率になっておる次第でございまして、やはり俸給表全体の形という点からやむを得ない処置であるというように考えております。
  41. 木下元二

    ○木下委員 昨年据え置いたから今度は特別大幅アップするというのはどうも納得しがたいのです。それでは据え置いた意味がなくなってくると思うのです。やはりことしはことしとして考えるべきだと思いますね。その点はそれ以上私も聞きませんが、問題があるということだけ指摘をしておきます。  防衛庁職員給与法改正案でありますが、昨年は食事代を俸給に繰り入れるという特別優遇措置をとりましたが、ことしの改定にはそのような優遇措置は含まれていないのでしょうか。一般職と対応関係が崩れるような改定は行っていないかどうか、そしてこの諸手当改定を含む平均引き上げ率と平均引き上げ額はどれくらいになるのでしょうか、俸給表改善について等級別または階級別の引き上げ率は対応する一般職改善率に準じておるでしょうか、こういう点について聞きます。
  42. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 昨年度、糧食の繰り入れをしていただきましたが、今回の改定にはそういう特別措置は全くございません。一般職のベースのアップに準じまして、それに見合って上げたということでございます。全体で自衛官のベースアップの率は七・〇七%、その他の事務官等は六・八九%のアップ率でございます。これに要します所要経費は約四百九十七億——これは防衛施設庁も入れまして四百九十七億円になると思いますが、五%を当初予算に組み込んでおりますので、実質支出経費は約百十九億円になるであろう、このように、これは糧食費も含んでおりますが、安定しておるということでございます。  それから、自衛官の各階級のアップ率、それぞれいわゆる中だるみの改善ということで、一尉とかあるいは曹の階級、こういう階級が大体七%を少し超えたアップ率になるということが言えようと思います。  以上でございます。
  43. 木下元二

    ○木下委員 給与関係はそのくらいにしまして、次に高級官僚の天下り問題について質問します。  ロッキード事件で逮捕、記訴されました全日空の社長ら役員は、元運輸省の高級官僚でありました。こうした高級官僚の天下りがロッキード汚職あるいは全日空汚職を生み出す大きな要因ではなかったかと思います。また、この事件を通じて企業と官界あるいは政界との癒着ぶりが改めて浮き彫りにされました。その癒着が具体的につくり出されたのも天下りによってであると思います。企業と政界、官界の根深い癒着、これこそが汚職、腐敗を生み出す根源であります。今国会では金権賄賂政治の再発防止が問題化しまして、三木総理自身もこれを検討すると述べております。  そこで問題は、この汚職、腐敗を生み出す根源にどのようなメスを入れるかということです。具体的には、たとえば国公法百三条の問題があります。総裁はこれに検討を加えるべき点があるとも言われております。いまどのように検討を進めていられるのでしょうか。
  44. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ロッキード問題はいまなお検察当局の手で取り調べが進んでおる面もあるようであります。また、他面いろいろこれをめぐる実態というものが浮かび上がってきておるという見方もそれなりに正しいのではないかという感じを持っております。ただ、この問題につきましては、その全貌が明らかになりました時点において各方面でやはりこの対策というものを慎重に、しかも真剣に考慮をしてまいるべき筋合いのものではないかというふうに考えております。政府部内においてもそういうような角度から検討の開始を始められるというようなことを承っておりますが、事は非常に広範な影響を持っておりまして、これはわが国政治のあり方の問題とか、企業と行政との関係であるとか、また行政の仕組みの問題であるとか、あるいはそれぞれのやはり公務員の道義の問題であるとか許認可の問題であるとか、いろいろ大変広範な影響を持ってくる問題ではないかというふうに考えておりまして、その点は各それぞれの分野において謙虚な気持ちで反省を加えて問題点を洗い出し、これに対する対策というものを検討を加えて実施に移していくという態度が漸次とられていくのではないかというふうに思っております。  人事院の直接の所管といたしましては、いまお挙げになりました国家公務員法百三条の問題があるわけでございます。この点につきましては従来からやはり国会でも各方面から御論議をいただき、また御意見を出していただいておるのでありまして、われわれといたしましては法の精神というものを踏まえて、また国会論議を通じての御意見等を十分に配慮しながら、これの厳正な適用ということについては従来からも努力をしてまいっておるつもりでございます。ただ、この問題だけが問題解決の唯一の事柄であるというふうにも考えませんし、いま先刻申し上げましたようにさらに広範な検討を必要とすることでございますが、しかし、所管をいたしておりまするたてまえからいって百三条関係というものはやはり真剣な検討を加えなければならぬことは御承知のとおりでございます。われわれもその点は十分理解をいたしておるわけであります。  ただ、問題につきまして、離職前五年間また離職後二年間というような規定がございますが、それの運用について厳しく規制はいたしておるつもりでございますけれども、問題は、機会あるごとにるる申し上げておりますように、職業選択の自由とかいうようなこととも関連をいたす重要な事柄でございます。また、民間からいろいろそういう要望があります際に、公務員であった人のその経験なり知識、技能なりというものを反映させる立場をつくっていくということは、あながち頭から否定し去るわけにはまいりません。それと、公務員の生涯のあり方、また処遇の問題というようなことにも関連をしてまいる事柄でございますので、これ自体といたしましても、各方面にわたっての真剣な検討を進めていかなければならぬことではないかと思っております。  事柄が重要でございますので、職員局を中心といたしまして検討はいたしておりますけれども、まだこういう点について問題があって、こういう方向でやったらどうかというような意見がまとまるまでには至っておりません。したがいまして、この段階において、その内容、進捗状況等について申し上げるわけにはまいらないのが現在の偽らざる段階でございます。
  45. 木下元二

    ○木下委員 検討をされていくということですが、問題項目としてはどういう点、たとえば年限のことが問題にされましたけれども、百三条の離職後二年間を延ばすといった問題であるとか、あるいは天下り先の規制を広げるというふうな問題であるとか、こういうふうなことについては問題項目として考えられているのでしょうか。
  46. 中村博

    中村(博)政府委員 検討の問題項目としては、いま先生お触れになりましたような点が一応挙げられると思います。しかし、問題はその退職公務員のあり方の中でわれわれの担当する分がどうあるべきか、こういう問題であろう。先ほど総裁も申し上げましたように、やはり職業選択の自由とのかかわりがあり、その他諸制度が非常に密接不可分に関係してくるものでございますので、いま御指摘になったような点は中心でございますけれども、そのほかの点もいろいろ考えなければならぬ、総体の中でどのような位置づけをするかという意味合いから始まって検討すべきである、かように考えております。
  47. 木下元二

    ○木下委員 そこで、私の方から少し問題点を指摘をして尋ねたいと思うのですが、天下り先の規制を営利企業以外に広げるという点ですね。たとえば、これは実際にあったことですが、資源エネルギー庁の石炭部長が退官して、九月一日付で石炭協会の専務理事に就任したということがありました。この石炭協会というのは石炭業界に対する国の行政指導の窓口であります。どうしてこういうふうな天下りが許されるのか、私はこれは非常に問題だと思うのです。人事院としてはどのようにお考えでしょう。
  48. 中村博

    中村(博)政府委員 現行法体系のもとにおきましては、これは先生十分御承知のように営利企業でございます。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 したがいまして、そのような対象をどのようにつかんでいくかということは確かに一つの問題であろうと思いますけれども、これは国家公務員法の現在の制度の問題点という観点からディレクトに取り上げられるものかどうかは問題であろうと思いますが、一つの例を申し上げますと、昨年は百七十六人を承認いたしたわけでございますが、このとき、この法のカバーのもとにある職員で離職した職員は三万五、六千人になっておるわけでございます。したがいまして、総体からいえば千分の五ぐらいのところでございますので、そのような位置づけをどう考えるかという問題があるということは私ども感じておるところでございます。
  49. 木下元二

    ○木下委員 そういうことを聞いているのじゃないのですがね。いま私は具体的な例を出して、その点についてどう思われるか、現行法の解釈を聞いているのじゃなくて、そういうふうなことが人事院の介入もなく許されるということについて一体妥当と思われるのでしょうか、そのことを聞いているのです。
  50. 中村博

    中村(博)政府委員 それは確かにいま先生御指摘のように、法の解釈を聞いておるのじゃないとおっしゃいますけれども、現行法は営利企業の枠内であるということは御承知のとおりでございます。したがって、そのような現行法の制度がつくられたゆえんのものがいかがなものかというふうな視点から物を見ます場合には、そのようなお考えも必ずしもこれを全く関係のないものだというふうに考えるべきではなかろう、こういう御趣旨を申し上げたのであります。
  51. 木下元二

    ○木下委員 これはたとえば、こういう業界団体とか経営者団体といったものが規制の対象になっていないという問題なんですね。これは、こういう団体というのは個々の企業の利益ではなくて業界全体の利益あるいは発展、石炭で言えば石炭産業の発展といったことを目的としておるから、そういう団体だから構わぬのじゃないかという考えがあるいはあるのかもわかりません。しかし、これは確かに個々の企業レベルでの営利追求ではありませんけれども、業界団体というのは業界ぐるみの利益を当然図っていくということになるわけですね。業界ぐるみの利益を追求する余り、国の行政と結びついて社会的不公正あるいは不正をやるということに走ることもあり得ることなんですね。そういたしますと、天下りによって起こり得る問題というのは営利企業の場合よりももっと大きいと思うのですよ。だから私は聞いているのです。  これはもう少し具体的に申しますと、たとえば自工会というのがあります。自動車メーカーの団体です。この中に公害対策委員会というのがありまして、排ガス対策に取り組んでおります。それぞれのメーカーもこの対策に取り組んでおりますね。業界としても取り組んでおるわけです。五十一年規制実施のときもこの自工会の公害対策委員会を中心に自工会が対策を講じてきたのですね。たとえば、運輸省の自動車局公害防止課あるいは環境庁の大気保全局自動車公害課というのがありますが、そういうところから自動車メーカーに天下るとすれば、これは問題ですね。当然ひっかかって人事院の承認という問題になってくるわけですね。こういうのを簡単に承認されては困るわけです。当然この百三条による規制の対象になる。ところが自工会ならば規制されないというのは、だれが考えても不合理きわまるものですね。こういう問題を私言っているのですよ。この点いかがですか。これはひとつ総裁にもお尋ねしたいと思うのですが、基本的な考え方を聞いているのです、どうするこうするということでなくて。
  52. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 十分御承知でありますので詳しいことは省略をいたしますが、法百三条というのは、行政と民間企業との癒着の防止ということがやはり公務の公正な執行、またそれがひいては公務員の利益保護にもつながるというようなことから、どういう規制が必要であろうかということがいろいろな角度から検討された結果、職業選択の自由その他の問題もあるけれども、この程度のことは規制をすることが適当ではないかということが恐らく立法の趣旨、また制定当時のいきさつであったろうと思うのであります。この点、私は言いわけがましいことを申すわけではございませんが、諸外国にも実はこういう立法例というものが私の聞いておるところではほとんどございません。そういうこともあり、また法百三条関係が審議をせられました国会審議の過程におきましても、むしろ、当時はこういうことを余りきつくやると公務員のせっかくの自由の侵害になるのじゃないのか、だからそれらの点については十分配慮して、運用には十分考慮しなさいよというような論議もあったということは聞いておるわけでございます。また事実、速記録にもそういうような論議があったことがあらわれております。もとより、それ以後いろいろ時世が変転をいたしまして、問題点が生じてきたことは事実であります。そういうような角度から、国会においてもこの百三条関係というものはもっと厳密に規制をしていくべきではないかという御論議が、むしろ有力になってきておるわけでございます。  そういうようなことでございますけれども、公正な公務の執行の確保と腐敗防止というような観点から見て、やはりさしあたっては個々の企業と、それと密接した行政の衝に当たっておった者、そういう者は、これは規制を厳重にやっていくことが適当であるという結論からこういう法の規定ができ上がってきたものであるというふうに解釈をわれわれとしてはいたしております。したがって、いまお話が出ておりますような団体等は、これは営利企業ずばりそのものではございませんので、そういうようなことからはいまの現行法の規定からいたしますれば、これは対象の中には入ってこないということは局長も申し上げたとおりでございます。  ただ、今度の機会を契機といたしまして、これは先刻、私が前段、前提的にるる申し上げたことでございますけれども、謙虚にやはりいろいろな問題点については掘り下げて検討を加える必要があると思います。その周辺にこれを取り巻く各種の障害、これを乗り越えなければならない問題点というものは多々あることは事実でございますけれども、われわれとしては、やはりそういう問題をも含めてそういうものは初めから問題にならぬのだというような態度ではなくて、関連のある事項といたしましては検討の対象として今後慎重にひとつ研究をしていきたいという気持ちは持っておるということは申し上げておきたいと思います。
  53. 木下元二

    ○木下委員 この百三条の立法趣旨は、言われるまでもなく、私にはわかっているわけなんです。それから、その外国例がないように言われますけれども、これはフランスにおいても規制があるし、あるいは英国においても規制があるわけですね、離職後の就職制限という問題は。解釈論をいろいろ言われますが、私は何も百三条の解釈論から業界団体等を含ましめるというふうな、そういうことが無理であるということは承知の上で聞いているのですよ。そういうものをいまの百三条でもって、その解釈で含めよというようなことは一言も言っていないのです。非常に問題がある、こういう現実、こういう実態があるということは非常に問題ではないかという問題の指摘をしておるのです。だからこれに対して、今後の問題としてどう対処をしていくか、そういう問題提起をしておるわけであります。  たとえば現実に、さっき幾つか例を、自工会の例を申しましたけれども、通産省の通商局次長の中村俊夫氏、この人は四十六年に退職をして、四十七年自工会に就職をいたしております。これはもう自工会ですから、そういう人事院の介入なしに行っているわけですね。現に自工会の専務理事をしておるわけですね。そして、この自工会の果たす役割り、機能というものはさっきも指摘をしましたように、たとえば公害対策の面で言いますと、個々のメーカー、個々の企業がやっておることと全く同じこと、あるいはそれ以上のことを業界全体の立場でやっておることなんですから、そういうものがその行政庁と一定の関係が起こってくるということになると、その弊害ははかり知れないと思うのです。だから私は問題にしているわけです。ですから、私は今後の問題として、業界団体などにも天下り先の規制を広げる、そういう方向で検討を進めることが必要ではないか、こう思うわけであります。そういう方向でぜひこれは検討をいただきたいと思います。いかがですか。
  54. 中村博

    中村(博)政府委員 先ほども総裁から申し上げましたように、確かに御指摘の点はいろいろな問題を含む余地があるわけでございますので、私どもの視野からは全く外れておるというものではございません。  ただ、現在の規制の方法は、先ほどもちょっと数字をもって申し上げましたように、全職員に対して一応かかっておるわけであります。その中には御承知のように自営業をなさる方もあるし、あるいはまた資格を持って弁護士をなさり、あるいは弁理士をなさり税理士をなさる、いろいろな関係があるわけでございます。結局、そういうようないろいろな関係が現職公務員に悪影響を及ぼして、そしてそのために行政が歪曲される、そのことを避けるということが百三条の基本趣旨であります。したがって、そのような観点から言いますと、先生御指摘のように、あらゆる場合においていろいろな影響力というものがあり得るということは私も否定しません。しかし、この問題の基本はあくまで、現職の公務員がみずからの公務を公正に執行する——営利企業等々と悪因縁をつけて、そして公務員を辞した後にそこへ下っていこう、そのために公務が不適正に執行されるのを避けようというのが基本趣旨である、かように私ども理解しておりますので、そのような観点からもいろいろ広く検討するということについてはやぶさかではございませんけれども、また国会法の範囲内でどれくらいのしぼりといいますか、制限というものをつけるべきかという点も、職業選択の自由とのかかわりにおいて十分に考えなければならぬところでございます。したがって、その辺を考えながら、いま真剣な検討をいたしておる、かような段階でございます。
  55. 木下元二

    ○木下委員 私、同じことを繰り返しませんが、職業選択の自由ということを再々言われますが、それは結構です。わかりますよ。しかし私がいま指摘している問題というのは、個々の営利企業に行く場合とそれからそうした企業が一つの団体をつくっておる、そういうところに行く場合、百三条では後者については対象になっていないわけですね。そのことが非常に不合理ではないかという指摘をしておるのですよ。その点だけにしぼって言えば、なるほどそのとおりだという答えが当然返ってきていいと思うのですよ。これを区別する理由がどこにあるのでしょうか。百三条の法上は営利企業というふうになっているからと、これはわかりますよ、法律はそうなっているんだから。しかし、実質的に考えて、なぜ営利企業の場合だけにしぼる必然性があるのか。私は、いま指摘をしたような具体的な例から見ましても、当然営利企業に対する規制というものはそうした団体にもはめていいんじゃないか、こういうことを言っているのですよ。
  56. 中村博

    中村(博)政府委員 確かに御指摘の点はございます。しかし問題は、先ほども申し上げましたように、みずから資格を持って離職後いろいろな活動をなさるという場合であって、自分の出身した役所との間にいろいろな関係があり得るわけでございます。そのように考えますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、たとえばそういう資格を持って一定の活動をなさるというような場合には、その資格付与の法律の方からの制限もあり得るわけでございます。あるいはまたそのような、先生から例に挙げられました自工会というもの、これが仮に法人であるとしますと、認可条件の方から制限する、いろいろな制約をする、いろいろなことがあり得るわけでございます。そういうような点も含めて私どもは考えなければならぬ、こう申し上げて、すべて国家公務員法の枠内で解決すべきものかどうかという点を問題意識として持っておる、こういうことを申し上げているわけでございます。
  57. 木下元二

    ○木下委員 その点はひとつよく検討をいただきたいと思います。  年限の点ですが、離職後二年間天下りを禁止するという仕組みでありますが、二年間は短過ぎて、高級官僚に対して実効を伴わないではないかという批判があるわけです。現在すべての省庁におきまして学閥、ことに東大閥といったものが形成をされまして、卒業年次順に局長等のポストをたらい回しをする。先輩は後輩に席を譲るという形で退官をしていく。退官後はOB会に所属をし、出身省庁の政策決定に対しても相当な期間影響を与える、こういうのが実態ではなかろうかと思うのです。離職後、特殊法人や認可法人または関係企業の非役員として天下って、二年経過後、関係営利企業の主要な役員におさまる、こういうケースは相当数に上っているのではないかと思うのです。たとえばロッキード事件でクローズアップされました若狭得治の場合、四十二年事務次官を退官後、日本船舶振興会の二号資金運用専門委員長に就任をしまして、二年後全日空副社長に就任をいたしております。したがって、これは人事院の介入はないわけですね。そこで、こういう、退官をして二年経過した後、関係営利企業の役員などに就任をしたケースというのは一体どのくらいあるのか。この点は掌握をしておられるでしょうか。
  58. 中村博

    中村(博)政府委員 現行法の執行者といたしましては、その辺は私ども関心は持ってございますけれども、特殊に調べておるということはございません。
  59. 木下元二

    ○木下委員 たとえば若狭と同じように四十二年に退官した高級官僚は二年経過後、これは四十四年ないし四十五年に二年経過をしておるということになるのですが、二年経過後、関係営利企業にどれだけ就職をしておるかという問題、あるいは四十三年に退官した高級官僚は一体二年経過後関係営利企業にどのくらい就職をしておるか、四十四年組はどうか、こういうような実態はお調べになっていない。直接行政の執行には関係ないということですので、これはわかります。が、この点はぜひ私は調べてもらいたいと思うのです。退官をして二年経過後天下って現に汚職が起こったわけです、問題が起こっておるわけです。若狭得治、沢雄次もそうであります。そういうことで、二年間は短い、短過ぎるということが問題になっておるわけであります。したがって、私がいま言いましたような実態、実情はどうなのか。若狭得治や沢雄次のように、二年経過後天下ったケースというのはどのくらいあるのか。これはぜひ私は掌握することが必要だと思うのです。百三条をどのように改正をするかといった問題もそうした実態を調べた上に立ってやはり議論になってくると思います。そういう点からも私は必要ではないかと思います。この実態を調べて、その結果をぜひ私も知りたいのであります。報告をしていただきたいと思います。いかがですか。
  60. 中村博

    中村(博)政府委員 先ほど総裁も申し上げましたように、との問題についてのいろんな検討の中ではあるいはそういう資料を検討するという必要性が出てくるかもわかりません。確かに先生の御指摘は一つの貴重な御指摘だと思いますので、いま、これは御承知のように私どもの手を離れておりますけれども、一部のそういう形での調査といいますかそういうものを行うことはやぶさかではございません。
  61. 木下元二

    ○木下委員 それを期待しております。  天下りが規制される離職後の期間は一体どの程度が妥当なのかという問題ですが、一律に二年間という現行の規定は私は当を得ていないと思うのです。官職、地位等によって二年、三年、あるいは五年というふうに改めてはどうかというのが私の方の考えであります。ちなみに申しますと、フランスの官吏の場合は五年間規制をされております。たとえば、五年間規制される者は本省の部長以上の官職にある一般職職員とこれに準ずる一般職職員、また将補以上の階級の自衛官とこれに準ずる参事官などとする、三年間規制される者は本省の課長の官職の一般職職員とこれに準ずる一般職職員、一、二佐の階級の自衛官とこれに準ずる参事官など、そしてその他の職員は現行どおり二年間、離職後の期間をこういうように改めることはどうでございましょうか。私はこれは非常に考えた上で言っておるわけでありますが、大いに参考にしてもらいたいと思うのであります。総裁いかがですか。
  62. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御意見としては承っておきます。また私たちも、問題点としては関心を持っておる事項であることは申すまでもないのであります。ただ、この百三条関係の改正というものをどういうふうに考えたらいいのかということと、その改正案というものが仮にまとまった場合に、それが今度問題になっております事件というようなものを根絶するための諸対策の中でどういう位置づけがなされるのかというような点もやはり総合的に検討した上での結論をやりませんと、最初に申し上げましたように、関連する事項が非常に各方面にわたる問題でございますので、その中で一つだけを取り出して突っ走るというようなこともかえって対策としては総合性を欠くというような点もございますので、その点は慎重に検討をいたしたいと思いますが、いまの御提言は一つの御意見として十分腹に入れておきたいと思います。
  63. 木下元二

    ○木下委員 問題が多方面にわたる、総合的に対策を進めることが必要だということはそのとおりだと思います。私はその前提で、人事院として所管に係る事項についてお尋ねしておるわけであります。この国公法百三条の改正というのは、この法律改正提案権は人事院にないとしましても、離職後の問題とはいえ職員に関することでありますので、これは当然実質的に人事院の所管に係ることだと思います。  国公法の二十三条というのがありますが、「この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。」ということでありますが、これに基づいて人事院としての意見をまとめていくということになると思います。慎重に検討をされるとしましても、これはおおよそのめどは立てられませんか。
  64. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 まだいまのところではめどを申し上げる段階ではございません。聞くところによりますと、政府におかれても、これも先刻申し上げましたように、いろんな問題点を調査して、それに対する対策を各方面からひとつ検討していこうという段階にいまなってきておるものであります。今後それがどういう形で進められていくのかという点もございます。手続論で。そういう段階であるいはこの百三条関係というものが、その全体の対策協議会というかそういったものでこの問題も取り上げられてくるというようなことがあり得るかもしれません6またその段階以前に、われわれの方でこの問題はやはり問題点だから取り上げていただく方がよろしいですよということを言わなければならぬというような時期が来るかもしれません。その上で総合的な対策の一環としてその問題が取り上げられて、それが政府の立法手続の中に入っていけば、それはそれなりに、われわれとして実質上の連絡調整がついておりますれば、それ以上のことを申す必要がない場合もありましょう。また人事院といたしまして所管の法律ということでございますから、提案権はありませんけれども、しかし人事行政の改善なり、またいま御指摘になりましたような関係規定を援用いたしまして措置を講ずるということもあり得ることでありまして、それらを含めての検討をやるということにひとつ御了解を賜りたいと思います。
  65. 木下元二

    ○木下委員 この高級官僚の天下りが、少なくとも汚職、腐敗の条件をつくり出していることは否定できないと思うのです。もとより綱紀の粛正であるとか服務規律の遵守といったことは必要であります。しかし、それも一面的にまた強調するだけでも汚職はなくならないと思うんです。天下りを厳しく規制することが、容易に汚職を行う素地を断ち切ることにも通ずると思うんです。そういう点でひとつ、拙速では困るわけでありますが、可及的速やかに人事院としての意見をまとめていただきたい。そのために最大の努力をしてもらいたいということを要望いたしておきます。よろしいでしょうか。
  66. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは総合的対策の一環として進んでまいることだと思いますが、われわれといたしましては、事務局にはすでに検討も開始をいたしておるのでございまして、それを理由もなく延々と延ばしていくということは不本意であることは申すまでもございません。したがって、やる限りには慎重な検討を加えますけれども、速やかな結論ということで努力をいたすことは当然のことでございます。
  67. 木下元二

    ○木下委員 そこで、法改正の作業とは別に、百三条二項の運用の改善も必要ではないかと思うのです。これは法改正を待たずとも、その気になればいますぐでもできることであります。この運用面で改めるべき問題点があるのかないのかですね。人事院としていまどうお考えでしょうか。
  68. 中村博

    中村(博)政府委員 この点につきましては、三十八年から国会、内閣に対する報告制度が創設をせられまして、それ以後その後報告に基づきましていろいろな御批判も賜っておるわけでございます。したがいまして、そのような御批判は十分胸に体して、私ども現在も事務処理を行っておるのでございますので、現行の体制の中でどこを改めるかという点は、いままですでに改めるべきことは改めてございますので、現段階においてはございません。
  69. 木下元二

    ○木下委員 問題点を私の方から少し指摘をしていきたいと思いますが、国公法及び自衛隊法のたてまえと実際の運用はどうかということであります。現行の国公法及び自衛隊法は、人事院または防衛庁長官の承認を得た場合のほかは離職前五年間在職した国の機関、自衛隊法では、職務ということになりますが、この国の機関または職務と密接な関係にある営利企業の地位に、離職後二年間就職することを禁止しています。国の機関について人事院規則は「会計検査院、内閣、人事院、総理府、各省及びその外局」としておりますが、実際の運用では、その者が在職した官職と当該営利企業の地位との関係が密接であったかどうかを基準にしております。そのために、国の機関と密接な関係がある営利企業でありましても、その者が在職した官職と、つこうとする営利企業の地位とが密接な関係がなければ、これは天下りが承認をされるという運用がなされておるんですね。  そういう点から、規制措置がほとんど私は有名無実になっておるんではないかとさえ思っておるんです。規定上は、行政各省庁それ自体と営利企業との関係を見る。ところが運用上は、各省庁ではなくて、その在職したポストと営利企業との関係を見ていく、こういうことになるわけですね。その省としては当該営利企業と密接な関係があるのに、在職したポストとしては直接関係がない、そういうのはすべて承認をされてしまうというのは、私は非常に問題ではないかと思うんですよ。いかがですか。
  70. 中村博

    中村(博)政府委員 私どもが離職前五年間に在職した職を基本として考えてございますのは、たとえばある省がある企業と密接な関係があった場合に、たとえば退職をなすっておられなかった方も、これはそこへ行けない、こういうことになります。したがって、そのような構造を排除するという意味合いにおいて百三条三項での承認制度というものが設けられる、基本的人権とのかかわりにおいて調和を図っておる、かように私ども解釈してございます。  それと同時にこの制度の基本は、先ほど来るる申し上げてございますように、やはり職務の公正執行を担保する一つの重要な方策であるという観点からまいりますと、そのような方々まで営利企業への就職を禁止するということは、これは国会でお認めいただきました人事院の承認制度というもののあり方の基本に触れる問題であるし、またその承認制度というものはそういう点を考えて創設されたのもである、かように考えます。  したがいまして、その意味合いにおきましては、離職前五年間に在職したその職務をめどとしてこれを考えるということになるという現在のたてまえ、これはまことに適切なものであろうと思います。もしそれを許さなければ、これは人事院の承認の余地が全くないことでございまして、百三条三項そのものの存立理由というものの解釈に苦しむ、かようなことになってくると思うんです。
  71. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと私、具体的な例を出してお話しします。  小出栄一氏、この人は通産省公益事業局長、同じく重工業局長、経企庁事務次官という主な経歴の人であります。三十七年七月に離職をしました。そして天下り企業は九州電力株式会社取締役です。この人は承認されておりますが、承認の理由は、公益事業局長在職中、同社は社債募集等の認可を受けているが、当該認可は参事官の専決事項と言っているんですね。それから経企庁事務次官在職中は、電力料金変更認可の関係がなかったとして、これも承認の理由にしているんです。  この公益事業局長のときに、直接そのポストで九電と関係がなかったとしましても、九電と通産省との間にこれは密接な関係が当然あるわけなんですね。そして、たとえばここにも書かれておるように、参事官などはいろいろと許認可の仕事をやっているわけですね。そういう関係があるのに、参率官の専決事項であったから関係ないんだというふうなそういう承認の理由。あるいは経企庁事務次官のときは電力料金認可の関係が特になかったというようなこと、そういうことで承認をしておるのですが、これは私はやはり非常に問題ではないか。通産省のポストとは直接関係なくても、通産省の他の部署とは密接な関係があるわけですから、やはり官庁の組織というものは有機的な統一体ですから、これは社会通念的に見ましても当然密接な関係というものは私は肯定されると思うんですね。  あるいは、もう一つ例を申しますと朝田静夫氏、三十八年四月に離職をいたしました。運輸大臣官房長、海運局長、事務次官を歴任いたしております。日本航空株式会社に行っております。その中で、事務次官在職中、同社の許認可に関して関与したが、運輸審議会の決定を尊重して行ったもので問題なし、こう言っておるんですよ。これは密接な関係があり、そして現にそのポストにおいても関与して仕事をやっている、そういうことをこれは否定できませんので認めながら、ただその仕事というのは運輸審議会の決定を尊重してやったからいいんだ、こういうふうな口実を設けて問題にしていない、承認しているんですね。何でもかんでも承認をするということじゃないですか、これでは。しかもこの運輸審議会の決定というのは、これは事務次官としてこの運輸審議会のメンバーでもあるわけで、運輸審議会のメンバーとして入って、それでその決定をしているのですよ。そして、その決定を尊重して許認可に携わった、こういうことで承認をしておるということは、私は人事院としてはこれはいかがなものかと思うのです。こういう点、いかがですか。
  72. 中村博

    中村(博)政府委員 いまお挙げになりました二つの例につきまして、前の場合には確かにその解釈についていろいろ御指摘があり得ると思います。しかし、その前の方の場合は報告制度の前でございまして、報告制度ができてからしばらくたった後にまた後者の方の事例も生じた、これはいま先生おっしゃったとおりでございます。その後いろいろ御批判がございましたので、現段階におきましては、たとえば前者のような場合にはこれを承認しないということで、先ほどお答え申し上げましたとおりいろいろ御批判を胸に体して逐次改めてきておるわけでございますので、この点につきましては現在ではさような取り扱いはいたさない、こういうことになっております。
  73. 木下元二

    ○木下委員 余り時間がないので、問題を具体的に指摘してお話をすれば非常にいいのですが、それができません。  ただ、在職するポストではなくて所属をする省庁と営利企業との密接な関係があるやなしや、この点で見ていくのが筋だと私は思うのです。密接な関係があれば、これはその点で見ていけば人事院が介入して承認をする余地がないではないかというふうに言われましたけれども、そうではなくて、やはり密接な関係があれば一切何もかも承認しないということではなくて、私が言っているのは、そういう省庁と企業との間に密接な関係があれば原則的に承認しない、これが筋だと思うのです。特段の事情があればそれは考慮をする、こういうふうでなければいけないのに、これは原則と例外が逆になって運用されているのです。何でもかんでも承認をする、それはそうですよ、これを見たらわかります。だから問題にしているのです。だから運用は、こういう原則と例外を逆にするのではなくてやるべきだ。あなた方の方は密接な関係があっても承認をするというのを原則にしているわけですね。在職ポストと関係があっても口実を設けて承認をする、こういう運用が問題を起こす背景をつくるもとになっていると思うのです。私はこれにも一つメスを入れてもらいたいと思うのです。
  74. 中村博

    中村(博)政府委員 どういうようなことを頭に描かれての御発言か私はよくわからないのですけれども、確かにいま行政がこれだけ広範多岐になってまいりますと、あらゆる省庁があらゆる分野に相当な密接な関係といいますか、そういうものがあり得る状況でございます。しかし、先ほど申し上げました例でもおわかりいただけますとおり、そのような方までも就職制限をするということは、やはりこの百三条の人事院の承認という制度が設けられた趣旨から考えてそれは憲法上の問題もあり得るということで、人事院にその点を任されている。その場合に人事院としましては、そういった諸般の情勢を考慮しながら、また御批判を十分胸に体しつつこれを行っておるわけでございますので、余り密接度を深く——深くといいますか広範に考えますと承認の幅というものはもうほとんどなくなる。そのことが果たして憲法次元の問題でどのようになるかという問題も、この制度創設当初には、先ほど総裁も申し上げましたように非常に御議論もあったわけでございます。その点は私ども慎重に配慮していくということが必要だというような考えの上に立ちまして現行制度を運用している、こういうことでございます。
  75. 木下元二

    ○木下委員 私は憲法論をここで申しませんけれども、少なくとも百三条の二項、三項、これは憲法違反でないという立場に立っておられることは間違いないと思うのです。私は百三条二項、三項を見た場合、これは行政庁のポスト、官職ではなくて、行政庁そのものと当該企業との間に密接な関係があるかないか、これを見ているわけです。これを見て密接な関係があればつくことはできない、こういう原則を置いているわけです。そしてその上で三項で、人事院は申し出があった場合に、そういう密接な関係があっても特段の事情があれば承認をしてもよろしいということになっているのでしょう。だからこの規定自体からして、私が言うように、原則的には、そういう密接な関係というものを行政庁そのものと企業との間で見てそれがあってはいけない、特段の事情があれば例外的によろしいという承認を人事院がするんだ、こういうのがこの規定のたてまえじゃないのですか。だから私は、そういうふうにこの規定にのっとって運用をしてもらいたいということを言っているのです。ところが現実にはこれは逆で、行政庁と企業との間の関係、そこに密接な関係があるかないかは一応あなた方は見ておるけれども、現実の運用の中では、行政庁ではなくて、行政庁の中でその公務員が占める官職、ポストというものと当該企業の地位というものとの関連を見て、そこに関連があるかないか、なければ行政庁そのものとして関係があっても承認をいたしますという態度を一貫してとっておるのですね。そういう態度をとっておるがために、実際の運用を見ておると原則と例外が逆になって働いている、こういうことになっているのですよ。だからこれは、ひとつよく検討をいただきたいと私は思うのです。その点は問題の指摘だけしておきます。  それから、承認の理由としまして、天下り先企業の地位が顧問、相談役、参与などで役員ではないということを挙げております。そういうのが非常に多いのです。しかし、これらは非役員であっても、非役員であるがゆえに承認されるということには私は問題があるのではないかと思うのです。顧問などでも実質的には役員と同等あるいは役員に近い力あるいは影響力を持つ場合が多いのではないか。どうもこれは私は実際の運用を見ておると脱法的な感じさえするのです。これは一々例を申しませんけれども、私はあなた方が認定した結果を全部持ってきているのです。例を出してもよろしいが時間の関係でいま申しませんけれども、退官して企業に行く、初めから役員になるとひっかかるからこれはぐあいが悪いというので、形だけ顧問とか相談役とか参与とかいうことにしておいて、そして二年たったらすぐぱっと役員になってしまう、こういうケースが非常に多いのです。これは一体何を物語っておるのか。私がいま言ったように、これはもう実質は役員なんだけれども、二年間という一応の規制があるからその間は一応形は役員でないということにしておいて、そして二年たったら運用ですぐ役員にする、こういうことでしょう。だから私はこういう問題についてもひとつ運用を改めてもらいたいと思います。どうですか。
  76. 中村博

    中村(博)政府委員 まず最初に申し上げておきたいと思いますことは、一つは、非役員だから、たとえば顧問とか参与という名前だからすべていいんだという方針はとってございません。総体を通じて、あくまでつかれる先のポストというものを承認の際に特定いたすわけでございます。したがって、その活動の範囲も限られる。そういう前提の上に立って、いままでその方の在職した官職と今度の仕事の間には、先ほど来申し上げましたような国公法百三条の本旨を誤ることがないということを見きわめてこれを承認いたしているのでございます。したがってましてその点はひとつ御理解をいただきたい。  それからまた、そういうふうに一応顧問、参与でもぐって二年後に重役になるではないかということでございますけれども、現行法体系というものは二年後については、これは職業選択の自由を十全に認めておるのでございますので、少なくとも現行法を前提といたします限り、その点の制約は何ら国として措置することはできない、むしろ道義的な問題となっておる、かようなことでございます。
  77. 木下元二

    ○木下委員 これは顧問、相談役、参与等の名称にとらわれず、当該企業で実際にどういう仕事を担当し、どういう責任を分担するのか、そういうもろもろの事情を十分に総合判断をして、ひとつ実質的に見ていくという必要があると思います。そういう立場でやっていかれますか。
  78. 中村博

    中村(博)政府委員 おっしゃるとおり、実質的に見ておるつもりでございます。
  79. 木下元二

    ○木下委員 問題点は指摘しませんが、ひとつぜひそういうことでやってもらいたいと思います。  さらに、承認の理由としまして、離職後相当期間経過というのがあるのですね。これは退官して大体一年ぐらい経過して、もう相当期間経過をしたという理由でもって役人等の就任を承認をしておるのですね。そういうケースがあります。どうもこれは私、非常に問題であると思います。ほかに承認の口実がなくなれば、二年と決められた期間まで短縮をして承認をしておる、こういう感じがするのですよ。これは問題じゃございませんか。
  80. 中村博

    中村(博)政府委員 確かに御指摘のように、そのような理由をあげつらって承認の理由一つにしておるということは過去にございました。現在はそのようなことはやっておりません。しかし、その場合でも、単に二年近く経過したからすべていいんだなんということは決して申し上げていないのでございます。やはりほかの諸般の情勢、また担当なされるお仕事、そういったものも十分総合的に勘案の上に、そのような理由もあわせ考えてそのような承認をした、こういうことでございますので、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思います。  なお、確かに御指摘の点は問題でございます。したがいまして、最近はそのようなことは一切ございません。
  81. 木下元二

    ○木下委員 いつからやっておりませんか。
  82. 中村博

    中村(博)政府委員 四十七年以降はそのようなことは一切認めてございません。
  83. 木下元二

    ○木下委員 四十七年のいつごろからですか。
  84. 中村博

    中村(博)政府委員 四十七年分からでございますから、四十七年の一月以降でございます。
  85. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと具体的に指摘しますが、後藤正記氏という人がおります。通産省大臣官房総務課長等々の歴任をいたしておりますが、四十六年六月に退官をし、四十六年八月に大同製鋼株式会社嘱託ということで就職をしました。そして四一十七年七月に取締役になっているのですね、役員に。この最初の嘱託のときは、これは手続的事項に関与したのみということで、また非役員ということで承認されている。ところが四十七年七月は、手続的事項に関与したのみという理由で取締役が承認をされているのです。これは一体どういうことですか。これは確かに言われるように、そういう一定の期間経過したということは理由の中には書いておりませんよ。しかしこれは、結局一年以上経過したからということで取締役承認をしているんじゃないですか。初めの段階では嘱託ということしか承認をしていないのですね。それが四十七年七月の二回目のときは、役員に承認をする理由というものは書かれていないわけですね。これは相当期間経過したということでこういう判断が働いたとしか考えられぬのですよ。そうじゃないのですか。
  86. 中村博

    中村(博)政府委員 いま手元に詳細な資料を持っておりませんので、細かいことはお答えいたしかねますが、私が記憶いたしております限りでは、最初はたしか顧問に御就任になったと思います。確かに御指摘のように、その後一年有半たって取締役になっておりますけれども、そのときの承認理由は、顧問になって一年有半たったから認めておるという理由ではなくして、当時は会社のステータスな顧問という立場であったのが今度は重役になられるということでありますから、当然のことながら相手企業のポジションの相違でございますので承認をされる、そのされた段階におきまして私ども慎重審査の上これを承認した、かように覚えてございます。
  87. 木下元二

    ○木下委員 その点ももう時間がありませんので、それ以上聞くのは一応やめます。  もう一つ承認の理由としまして、契約内容が軽微あるいは関係が軽微というのがあるのです。これは幾つもあります。これは一体どういうことなのか。たとえば、運輸省の港湾建設局長であった者が退官をして、そして運輸省から港湾建設を請け負ってやっておる会社で東亜港湾工業株式会社というのがありますが、そういうところに就職をしておる。ところが承認の理由が契約内容が軽微というのがあるんですね、ほかにも幾つもありますが。これは私は金額はわかりませんけれども、運輸省の仕事を請け負ってやる会社へ行っているのだから、その会社そのものがそういった請け負いを中心にやっている会社ではないかと思われるのですね。金額が軽微というのは一体どういうことなのか。この金額が軽微というのは契約内容が軽微ですね。金額が軽微だということだと思うのですが、これは一定の基準でもあるのでしょうか。どういう基準でしょう。
  88. 中村博

    中村(博)政府委員 営利企業と国との密接な関係を判断いたします場合に、たとえば金が伴う場合には、五〇%以上というような仕事が当該離職者の在職した官職との関係で出ておるという場合には、これはもう密接な関係は疑うべくもございませんから、当然そういう者は承認するわけにはいかない。したがいまして、私どもとしては、そのような金額が当該営利企業の中でごくネグリジブルなほど少額である場合には軽微な金銭上の関係、かように認めてございます。また同じくその軽微という言葉の中には、たとえばいわば通関事務のように、持っていけば係官が印鑑を押す、承認をするというように、いわば一種の届け出に類するようなルーチンワークが多々あるわけでございます。そのような仕事につきましては、そこで裁量を行ってその職務を不公正に実施することが可能の余地がゼロでございますので、したがいまして、そのような点もあわせ、金額面あるいは仕事の面の実態をよく精査いたしました上で、密接な関係としてとらえる必要がないという場合に軽微という言葉を使っておる、こういうことでございます。
  89. 木下元二

    ○木下委員 余り時間がないので、その点についてもこれ以上もう聞かないことにしますが、総裁、私は運用上の問題点を幾つか指摘をして質問したのですが、百三条二項の規制措置というのは相当に形骸化しておるのではないかと思うのです。人事院が介入をしましてもこの承認手続というのは非常に甘い。国民の目から見まして甘いの一語に尽きると思うのですよ。人事院のこういう姿勢が汚職、腐敗の温床づくりに手をかす結果を招いておる、少なくとも私は結果論としては否定できないと思うのです。これは運用の面だけでなぐて、いまの法律のあり方も含めて私はそうではないかと思います。ひとつこの法改正に向かっての作業とともに、現実の運用の改善を前向きで検討を願いたいと思います。
  90. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先刻申し上げましたように、いろいろな措置を講ずべき点があればそれらの点は講ずるという方向で現在検討を進めておるような段階でございますが、またこれと並行いたしまして百三条自身の運用のやり方というようなことについての御指摘もございましたが、この点は局長からも御答弁申し上げましたように、従来から厳正な運用をするという態度でこれはやってきておりますし、また個々の具体的な事例等を通じて国会の各委員会等でも御指摘のあったもので、われわれといたしましても反省を加うべき点については、いわゆる改善措置は進めてきておるつもりでございます。しかし、いろいろの世論もありますし、また問題点が出てきておることも事実でございますので、改正措置と並行をいたしまして、規定の運用につきましてはさらに慎重に、また厳正な態度というものは今後とも十分に配慮してやってまいりたいという所存でございます。
  91. 木下元二

    ○木下委員 最後に一つだけ、これで終わりたいと思いますが、政府関係特殊法人への天下り規制の問題ですね。これは私、詳しくお尋ねするつもりでいたんですが、時間がなくなったので一言だけ聞いておきますが、実は、私この問題を去年十二月に質問しているのです。いろいろな問題がありますね。いわゆるなわ張り人事であるとか、ひもつき人事、押しつけ人事、こういったものを是正するために政府は一体どういう方策をとってきたのか、あるいはこれからとるつもりなのか。この点は、私は去年も質問をしたわけであります。去年いろいろ質問をし、要望もしまして、当時の植木総務長官は、趣旨は十分に理解をした、よく研究をしてまいりたいというふうに答弁をされておったんです。もうあれから一年経過したのでありますが、まだこの研究の中間報告というものも聞いていないのであります。それどころか、事態は少しも改善をしていないと思うのです。その後のいろいろな情報を見ましても改善しておりません。このままではいつになったら改善をされるのかわかりませんので、今後の改善の方向として少なくとも次のような措置をとっていただきたいということを思うわけであります。  一つは、天下り官僚による法人の私物化を排除するために、役員定数の三分の一以上を天下り官僚が占めることになるような役員人事をやめるとともに、課長以上の中間管理職についても、その定数の五分の二以上を天下り官僚が占めるようなことになるような人事をやめてもらいたい。  なわ張り人事を禁止するために、当該特殊法人を所管する省庁の出身者が、天下り組の半数以上を占めることになるような役員人事をやめてもらいたい。中間管理職についても同様の措置をとってもらいたい。  それからいわゆる渡り鳥、たらい回し人事を禁止するために、公務員出身者で特殊法人役員の地位についた者は、原則として他の特殊法人の役員についてはならないことにする。  それから長期留任を禁止するため、天下り官僚の役員在職期間については通算しておおむね八年間を限度として、最高を十年間としてもらいたい。  高額給与、高額退職金を是正するために、法人役員の給与と退職金については、一般職国家公務員の例によることを義務づけてもらいたい。  最後に、こういう措置を閣議決定というようなことでなくて、これは閣議決定が得られましてもなかなか実行されませんので、これも法律で定めるという方向で検討してもらいたいと思います。  こういう問題について検討いただけますか。
  92. 西村尚治

    西村国務大臣 いろいろ述べられましたが、政府としましても先般四十年ですか、こういったことにつきましての閣議口頭了解というものを申し合わせまして、その線に沿って検討を続けてきた、対処してきたようでございます。ございますけれども、先生の目から見るとまだ実績が上がっていないということでございます。私もまだ着任しまして間がないのでございますけれども、おっしゃいますようなこと、きょうは専門家も聞いておりまするけれども、時間もないようですから、今後よく検討いたしまして相談を進めてまいりたい、かように考えております。
  93. 木下元二

    ○木下委員 これは私の目から見て実績が上がっていないという問題ではなくて、これはだれの目から見ても実績が上がっていないことは明らかなんです、これは数字の上に皆あらわれておるのですから。これはさっきも言いましたように私が質問をし、これは問題があるということでひとつ検討をする、改善の方向で進めるという答弁ももらっております。これは私の質問した会議録もよく検討いただきたいと思います。ところが、そういうことでありながら何ら改善をされていないどころか、かえって最近の状況を見ておると悪くなっておるのです。そういうことも含めてひとつよく検討を願っておきます。結構です。
  94. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  95. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上の各案を議題として質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 人事院の方からお見えになっておるから、まずちょっと簡単に一、二お尋ねしたいのです。  八月十日の勧告によりまして、本年は六・九四%の引き上げということになっております。     〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕 一万一千十四円ですか、これは四十一年のベースアップ以来の非常に低い率になっておる、こう思うのですよ。一昨年が二九・何%、昨年は一〇・八四%ですね。これは財界あるいは企業の近年にない不況だということだろうと思いますが、国会においても、だんだん景気は回復しておる、落ちついておるというふうなことを福田副総理なんかたびたび話しておるのですね。そうしますと、四十一年のとき以来、四十一年も六・九%ぐらいだったと思うのですよね、どういうところの算定基準でとういうふうにいまだかってない低率の引き上げになされたのか、その点をひとつお伺いしたい。
  97. 茨木廣

    ○茨木政府委員 福田副総理が景気が回復しておるというふうにおっしゃられておりますが、それはいわゆる水面下におきます景気回復と言われておりますが、四十八年当時に比べますれば、七〇%台に一度操業度のようなものは落ちたわけでございます。それからずっと景気が回復いたしまして九〇%台に上がってきたということで、まだ一〇〇%を超えているわけでございません。したがって、そういうことを反映いたしまして、民間のことしの春闘の状況というものは、御案内のように大変きついものに相なったわけでございます。しかも企業ごとに見ますというと、その中にはさらにもっときつい状況もあるというようなところが基礎になりまして、昨年の民調以後の状況からことしの四月時点までのところの官民の較差を例年方式で悉皆調査もいたしたわけでございますが、その結果が御案内のような六・九%なりの数字と相なったということでございまして、そういうような景気の回復期にはありますけれども、給与のところに配分としてあらわれました状況はそういうきつい状況であったということであろうと思います。
  98. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、いまあなたの御説明なさったようなことは、私が前もって申し上げたように、そういうことで今回こういう低い引き上げ幅になったんだろうという想像は大体つくのですけれども、その算定基準が、本年の四月から民間企業の給与形態がどういうふうになっておるのか、経済界の民間の形態を数理的にもう少し具体的に示してもらいたい。だからこういう六・九%しか上げられないのだというのが何かございますか。ただ漠然と民間企業はダウンしているということのみならば、先ほど言ったとおり私はわかっているんだから。無理を言っているんじゃないですよ。何かそういうデータがあって、そうしてとうなったんだということならば私は納得しますから、それを申し上げておるので、あるかないか、なければ仕方がない。あるなら見せていただきたいと思う。
  99. 茨木廣

    ○茨木政府委員 まだ春闘時期に、労働省が、例年のとおり大手のところで二百四十社ばかりございましたが、平均しまして発表いたしておりますものも八・八というような率になっておるわけであります。これは定昇含みの率でございます。  私の方の民調で調べました民間状況にいたしましても、積み残しの事業所の報告の二ぺ−ジ目に出てくるわけでありますが「平均九・二%」という数字が出てまいります。これもやはり定昇分を含んだものでございますが、その内訳等を見てみますと、特に製造業のところが生産調整をやっております関係上、事業所の割合にいたしますと約半分が製造業でございますが、これはやはり労働省のいまの発表と似たような八・八というものが出ておるということでございます。それよりもさらに悪いのが電気とかガス、水道等の供給業、これが八・一〇程度のアップ率というふうに出てまいります。その他のものは若干いいものがございまして、九%台の数字が出てきたのが漁業、水産業、養殖業それから建設業それから卸、小売、運輸、通信、水運、こういうものは九%台の数字でよろしゅうございます。その中間的なところに鉱業、これもアップで八・三一、こういうようなことで、業種別にことしは非常に好、不況と申しますか、そういうものが反映した数字が春闘のアップ率の姿に出てきておるようでございます。そこでそれらを反映したものがことしのこちらの方の官民比較のところに出てまいったものだというように考えております。この報告の別表第一の五・六四という本較差のところですが、要するに調査に行きました際に支払いも終わっておるという企業との関係で較差を調べてみますと五・六四というように出てまいるし、それにいまの、まだ支払いが終わっていないけれども、内容は一応決まっているということで、四月に遡及して支払われる予定のものという会社が二一%程度あったわけでございますが、それが先ほど申し上げましたような平均九・二%のアップということで、そこからやはり定昇分等を差し引きましてその分を加味して、今度の六・九四というような数字に相なったわけでございます。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはその企業の業種別によってむろん高低はあると思うのですね。そういうことを勘案されておおむね九%台だ。公務員の方は八・八%ですか、ということは、これは定期昇給分を含んでの計算であろうと思うのです。ですからその定期昇給分を差し引けば、結局積算が六・九%になるんだ、しかし民間の方は九%台だと。そうするとわが方は八%台ということになるんですがね。この点の違いはどういうところですか。いまあなたの御説明を聞いて私申し上げているんですね。
  101. 茨木廣

    ○茨木政府委員 こちらの方も人事院の関係で言いますというと、四月の定昇分はもう含んだもので比較いたしておりますから、あと残っておるのが三回分の定昇分ということになって、それを調整してみますと、ちょうど労働省の方の数字と似たようなことに相なってしまうわけでございます。あとは労働省の方の三公五現の方の基礎になったであろうと思われます八・八〇、この関係とのあれで見ますというと、それは業種の、先ほど触れましたように、私どもの方の民調で調べましても、製造業でございますと八・八〇、こういうふうに出るわけでございますので、大体製造業中心の統計の場合と、それから私の方の民調の積み残しのところに出てまいります結果というのは、結局日本の産業の縮図でございまして、百人以上の企業規模の事業所の縮図になるように調査客体を選んでおるわけでございますから、そういうことで、そういう差がことしの結果は出てまいっておるんだ、そんなふうに分析としてはいろいろ吟味をしておるわけでございます。しかし、私の方の調査結果は、御案内のように三公五現を決められます場合と違って、春闘相場をそのまま持ってくるんじゃなくて、四月時点におきます。昨年以来こちらもいろいろ定期昇給も入っておりますし、それから新陳代謝も入っておりますし、昇格も入っております。それから民間の方も昨年の五月以降異動した者もその中にいろいろあろうとは思います。そういうようなものの差し引き計算で較差が出てくるというのは先生御案内のとおりでございますが、そんな結果が今度の御報告申し上げました較差になってまいったんだ、こんなふうに理解しております。
  102. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私もこれに対してはもう少し意見があります。いずれにしても今回は四月にさかのぼって完全実施をするということになっておりますので、深く追及はしたくないと思いますが、もう一点、私、非常に遺憾に思いますのは、この期末手当勤勉手当、これがダウンしておる。〇・一%ダウンしておる。しかもすでに六月払っておるその分まで今度〇・一%ダウンする。これはどうしても——それは必要な何とか適当な処置をとられるというようなことの説明も聞いたんですが、必要な適当な処置というのはどういうことをするのか。結局、すでに与えたものを、既得権の侵害だ、これは。与えたものを〇・一%それを取り上げる、こういうことになりますと、適当な必要な処置という、必要な処置というのはどういうことをやるのか。結局どこかでそれを〇・一%ダウンするんでしょう。そういうことになれば、結論としてやはり〇・一%は削られた、削減されたということになる。名目はどんな名目であろうが、必要な処置ということ、六月にすでに支払っておるところの勤勉手当は、これにはさわりませんということなら理屈はわかるけれども、期末手当と六月の勤勉手当というものは〇・一%ダウンする、しかし適当な必要な処置をいたします、だから事実は六月はいささかも削減されぬということであるならば、どういうわけでこんな六月と十二月をダウンするなんて要らぬことを、紛らわしいことを言うのか。またそれはちょっと答弁によって話が出てくることですけれども、その点をちょっと聞いておきたい。
  103. 茨木廣

    ○茨木政府委員 勧告の「期末手当及び勤勉手当について」というところで、そこになお書きが書いてございまして「なお、本年六月の勤勉手当については、既に支給された同手当の額を下回らないよう措置するものとすること。」こういうふうに勧告してございます。そこで具体的には、本体は先生御指摘のように六月の勤勉手当から〇・一、十二月の期末手当から〇・一分を従来よりも差し引くということに相なっておるわけでございますが、なお書きでそういう措置が講じてございますので、そこで、ことしの六月分につきましては、いまおっしゃられましたように、すでに渡してありますものについてはそのままということが結論でございます。したがって、〇・一カ月分差し引くたてまえではございますけれども、実質的には、平均いたしますというと——人によってこれは違います、額がいろいろ違うものでございますから、〇・〇六カ月分が勘弁されると申しますか、〇・〇四カ月分がちょうど差っ引かれる。それはちょうど差額分のところでそれが該当していくという程度のことに相なろうかと思います。ただ、これは制度として法律でございますので、まるまる〇・一カ月分落とされたかっこうで決まっていくのは、もう一年先の来年の六月期に支給されますものが、そのままになっていけばこの本則が生きていく、こういうことに相なるわけでございます。
  104. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから私は申し上げておるんです。そういう紛らわしいようなことを——六月と十二月は〇・一%削減するんだ、ところが六月分については必要な何か処置をするというようなことを説明してあるようですね。そんな紛らわしいことを、何か役所の仕事というのは必ずわからぬようなことを言うて、みんなが迷うようなことを無理やりにあなた方はつけようとするんだね。もう少し民主的に、はっきりわかるような—六月分と十二月分は、勤勉手当期末手当は〇・一%削減する、そうして六月は必要な処置をとる考えだ、ところが実際は、六月のすでに支給した分に対してはさわらない。何のことやらさっぱりわからぬでしょう。なぜわざわざそういう紛らわしいようなことをするのか。最初から年末の期末手当は〇・一%削減するなら削減する、ただし、これは四月からさかのぼって追給を払わなければならぬ。それを皆考えているんだから。追給は幾らもらえるというようなことは、もう皆さん計算しているんだよ。皆楽しみにしているんだ。だから六月のすでに支給した分に対しては一切さわらない、削減はしないということをはっきり書いたらいいんです、わかりやすく。それを私いま言っているんだ、紛らわしいことをなぜやるんだと。
  105. 茨木廣

    ○茨木政府委員 それは、政府から提案されました法律案の中で、本則の方に「第十九条の四第二項中」というところの改正部分がございますが、ここではずばり本則を書いて、それからいまおっしゃられました紛らわしくないようにしろという意味のことは、附則の六項に「勤勉手当の額の特例」ということで入れてありまして、すでに支給しましたものにつきましてはもう返さなくてもよろしいようにという条文がこの附則の六項でございます。そこにずばっと書いてございます。
  106. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、それは私にもわかっている。六月に支給した分については必要な処置をとるとあなたたちは説明しているから、だからこれはさわらぬのだろうなということは私らわかりますよ。だけど、もっと一般に民主的にわかるようにおっしゃっていただきたいということを私は言っているんです。そうしないとみんな迷う。どうですか総務長官、私はそういう意味で申し上げているんです。
  107. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 率直な御疑問の点、趣旨はよくわかりました。ただ、鬼木先生御専門ですからおわかりいただけることだと思いますが、私は率直にいままでも申し上げておりますように、この特別給のカットというものは大変遺憾なことであったという感じはいまでも持っております。ただ官民比較ということで答えが出てきたものですから、この点はやはり最小限度ごしんぼういただくことが、やはり今後の人事院の勧告に対する評価というような問題から考えてもまずやむを得ない措置であり、御納得いただくよりいたし方がないという立場から申し上げたわけでございます。  ところで、この特別給を、現在五・二でありますものを〇・二差し引くということは、これは制度として出てまいります。そしてこの制度として出てくるものは、ことしのみならず来年以降も現状のままが続けばそのままずっと続いていくわけでございます。そのたてまえというものを法律規定をいたしたのが本則でございます。それに対しましてこの〇・二をどういう割り振りをするかということが実はいろいろ問題でございましたが、結局平等に期末から〇・一と勤勉から〇・一を引くということにいたしました。ところが六月はすでに支給をいたしております。先生もいま御発言になりましたように、公務員の方々も皆さん計算をいたしまして、大体腹づもりでやっておられることが多かろうと思うので、その点ではまことに申しわけないのですけれども、すでに支給いたしましたものを今度はさかのぼって、個人別で大分違いますけれども、若干でももう一遍返していただくということは、これはいかにも穏当を欠くことではないか。いま御発言にもありましたような一種の既得権の侵害といいますか、大げさに言えばそういうことにもなりかねないということで、これはやはりとても忍び得ない。また、論議をすれば憲法上の論議にもつながるような事柄ではないかというふうに思いましたので、そこで六月と十二月とではその取り扱い方を異にいたしまして、六月はすでに支給しているものだから、その分はひとつ保障いたしますというごとにいたした次第でございます。  それで今後の本体の制度としては、これは来年はまた勧告でどうなるかわかりませんけれども、いまの五カ月というものは勧告が来年変わらない限りはずっと続いていくものですから、その場合は、来年の六月にはやはり勤勉手当は〇・一引いたものが行くということにならざるを得ないということでございますので、その点大変不親切というような御疑問があるいはあるかと思いますけれども、世間はわかりにくくても、要するに渡したものは返さなくていいんだということで御理解がいただけるのではないかというふうに考えた次第でございます。
  108. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私もそれをあなた方に申し上げておるので、差し上げたものはそれを再び取り戻すというようなことはやりませんということを確約していただけば皆さんも安心すると思うのですよ。私はその点を申し上げておるのです。おっしゃるとおり、これは勧告がどうなるか、来年のことはそれはわからない。しかし、いずれにしてもこの原則の方は来年もまたこのとおり続いていきますからね。この勤勉手当とか期末手当とかいうものは、皆さんはこれが唯一の楽しみなんですからね。本当に楽しみなんだ。給料取りにはいわゆる通称ボーナスは唯一の楽しみなんだ。本人は無論のこと、家族も全部待ってるんだから。私も長いこと月給取りしたんだが、これによってほっと一息つくんだから。それを減らされるということになれば、これはやはり大きな問題なんですよね。だから、これは来年勧告の場合にまた問題になると思いますけれども、すでに与えたものには一切さわらないということでひとつぜひお願いをしたい、こう思うのです。  後でもなおまた人事院の方にはちょっとお尋ねしたいのですが、今度は行管の方にお尋ねいたします。  十月十九日ですか、ロッキード問題の連絡協議会の席上で三木総理が、土木事業などに対する入札制度、それから各省庁の許認可問題等についていろいろ風説があるから一だから総理がそういうことを言ったんだと思いますがね、不正防止策の一環として行政管理の面からも十分工夫をするように、こういうふうに行管長官に指示があった。それで、私はきょうは荒舩行管庁長官もおいでてもらうことにしておったけれども、のっぴきならぬ御用でどうしてもおいでができぬというので、行管の局長でいいですから、いいですからと言っては御無礼だけれども、もう局長でますます結構でございますから、荒舩長官からどういう指示がありましたか、その点をひとつお尋ねしたい。
  109. 川島鉄男

    ○川島政府委員 大臣からいかにも御指示がございました。十九日、ロッキード問題関係閣僚協議会で総理から行管庁長官に対しまして一その協議会におきましては、各省大臣は所管行政につきましてそれぞれいろいろの御見解を発表されたそうですか、それに際しまして総理から行管庁長官に、入札制度とかあるいは許認可制度等について政治、行政の腐敗防止の見地から検討してほしいという御指示があったと承っております。そこで行管長官から事務当局に対しまして、早速その検討を始めるようにという指示がございました。内容はその二つでございますが、そういうことで一応その検討が事務の方で始まっておるということでございます。
  110. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、荒舩長官から、入札問題とか許認可問題というようなことについて工夫せよということを聞きました、それはもう言わぬでも私はわかっておるのですよ。荒舩長官から仮に万一聞かぬでもあなた方はわかっておるはずだ、総理からそういう話があったんだから。その荒舩長官の指示はどういう指示か、また仮に具体的に荒舩長官から指示がなくても、そういう話を聞いたらあなた方は具体的に、じゃどうしましようという腹案は、どういうふうなことをやろうという——工夫しろと言っているんだから、工夫しましょうじゃ困るんだよ。このように工夫しておりますという具体的にその点をひとつ、まだできておらぬならできておらぬでいい、いま考えておりますなら考えておるでいい。うそを言ったらだめだよ。
  111. 川島鉄男

    ○川島政府委員 御案内のとおり十九日の朝の関係閣僚協でのお話でございまして、それで早速指示はございましたけれども、事務当局といたしましては検討せよという御指示に対しまして検討するよう始めたという段階でございますので、どのようにやっていこうかというのは今後慎重に検討を要することかと思います。  たとえば、いまの入札制度などで申し上げますと、これは会計法上の関係もございましょうと思います。ということは、すなわち大蔵当局とも慎重なすき間のないお打ち合わせなどをする必要もあろうかと存じます。検討の方向というのは、そういうことでいろいろとやった結果で出てまいりますことで、本日ただいま具体的にお答え申し上げるところまでまだ進んでおりませんということでございます。
  112. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 十九日だから、まだきょうは日にちはほんの一日か二日しかたっておらぬから具体的にはまだない、結構でしょう。それは結構ということはないけれども、やむを得ぬ。これから十分検討します、こういうことですね。ところが、これはもう御承知と思いますけれども、運輸省あるいは建設省、農林省、通産省、厚生省、どこでもみなこれに該当すると思いますが、なかんずく運輸省なんかは許認可なんか二千件以上ある。毎たびこの内閣委員会でこの許認可の問題について私はやっておるわけなんです。  実はあなたのところに私資料を要求したのですよ。そして、こうして資料をおたくからもらったのです。もらったところが、四十七年かのがようやくきょう出てきた。あとは四十四年までしか調べていない。四十四年までのあなた方の調査の資料が出てきた。きょうようやく四十七年かの資料が一部出てきた。大体この許認可とかこういう問題に対して、一番やかましく言われておる問題に対して、実際の話が行管は何かやったことあるのですか。勧告をして、それを報告させて、そして後の始未をやって、そしてこれがこうなったというように、当然これは勧告のしっ放しじゃないはずだ。勧告したらそれに対して、指示を受けたことに対して向こうは報告してくる、そうして実際そのとおりになっているかということをやるはずなんです。それが、件数も四十四年までしかわからぬ。その後一部四十七年までの分はけさ出てきた。大体総理がこの許認可問題に対しては厳しく、工夫せよ、三木総理は日ごろに似合わぬ気のきいたことを言ったと思うが、ところが行管は、そんなこと言われたって何もわかっていないんだ。これは一体どうなっているのですかね。これから具体的にどうしようこうしようと言ったって、全然もとからわかっていないんだもの。行管なんていうのはこれは一体何をするのかね。審議官、あなたからでも管理局長でもだれでも結構。
  113. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  鬼木先生の方からただいま非常に手厳しくおしかりいただいたわけでございますが、確かにこの許認可事項につきましては、御指摘の面を私どもといたしましても反省いたしておるわけでございます。許認可の数はお手元にお届けいたしましたように一万八千程度のものの調べはついておるわけでございますが、その後の法律、法令の改正によりまして非常に動いておる面もございます。したがいまして、行政改革が取り上げられます時点において調査をするというようなことでいままでやってきたわけでございますが、四十七年度御指摘の数につきましては、機関委艦事務の関係を落とした数で計算いたしました。したがいまして、必ずしもこれが全貌を尽くしておるわけではございません。したがいまして、御指摘の趣旨及び過去においていろいろ御意見、御指摘をいただいております点をもあわせまして、今後監察局といたしましてもわりあい全般的な実態調査を行いたい、このように存じております。
  114. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 すこぶるあいまいな答弁なんだな、あなたたちのは。この許認可の問題に対してずいぶん古い話ばかりしか持ってこなくて、しかも新しい許認可の問題について総合的にこれをひとつ一度全部洗い直して、そしてやり直す、許認可の事務については、制度その他についてはこれを見直す。いやしくも総理が工夫せよ、長官も皆さんにやれ、こう言ったのだから。  なお、この土木事業その他建設業等の入札制度などについても行政監察をやったことがあるのですか、ないのですか。いままでやったことが全然ないのかあるのか。その点もひとつ許認可問題と一緒に関連してお尋ねをしたい。
  115. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 まず許認可の関係につきましてはいままで、鬼木先生すでに御案内のとおり昨年の秋にもおかげさまで整理法を成立させていただいたわけでございますが、臨調、臨時行政調査会で指示された表現でございますが、五年に一回ぐらいずつ見直せという線で、作業としてはそこに照準を合わしてやってきておるわけでございますが、現在までのところ約三千四百八十三という事項につきまして整理統合を行ってきたわけでございます。そのうち法律でもって廃止、簡素化を実現いたしたものが四百七十七ということでございます。過去のやり方はそういうことでございましたが、今日のいわゆる許認可行政に対する世間の御批判等も考え合わせました場合には、私どもの役所に与えられております権限、能力というものをフルに活用いたしまして、なるべく御趣旨の線に沿うように今後も作業を急ぐようにしたいという気持ちでございます。  次に、入札制度の問題につきましては、これは実は非常に率直に申し上げまして監察といたしましてはなじみにくい面がございます。一つは申請者側の事務手続が非常に複雑で負担がかかり過ぎる、これを簡素、合理化しなさいという問題が監理委員会等で過去に指摘されております。これにつきましては、監察もいたしますし、それぞれ所見の表示もいたしてまいっておるわけでございます。たとえば四十五年におきましては公共工事入札参加資格審査事務の実態調査というものもいたしましたし、また五十年度、昨年度におきましては、公共事業だけでなしに、物品購入等の広いいわゆる入札の面において事務簡素化ができるかどうかという実態調査もいたしております。その結果につきましては、現在関係各省にその実現方について交渉いたしておる段階でございます。  しかし、鬼木先生御指摘になりました部分、すなわち入札で不正が行われている、汚職に通ずるであろうというような問題につきましては、実はこの予定価格が業者の方にキャッチされているのではないか、あるいはその指名を受けるために汚職という、収賄そのものが行われているのではないかというようなことは今日の問題であろうと思うわけでございますが、これは私どもは強制捜査権というものを持っておりませんのでなかなか監察になじみにくいという問題がございます。しかし、それぞれの関係各省とも力を合わせて汚職が防止できるような方向で今後も監察面で協力できる面があれば協力いたしたい、このような覚悟でございます。
  116. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 許認可の方でも、入札の問題にしましても、ことに入札ということは非常にめんどうな問題なんだから、中へ入り込んでの調査権はないとあなたはおっしゃっているけれども、そういう困難な、しかも許認可問題のように三千数百件もあるような、そういう困難な仕事であるがゆえにそこに不正が行われておるのだから総理は工夫しろと言っておるのです。だから、あなたが入札問題にしても許認可問題にしても非常に困難だとおっしゃることはよくわかるのです。それは大変だろうと思うのです、別に警察権があるわけでもないのだから。それはそうだろうと思うけれども、いやしくも行政監察という面からは私は工夫はあると思うのですよ。その工夫をしていただいて、いまおっしゃっておるように、土木、建設の方でも四十五年ですか、それから五十年もやったとおっしゃっておるんだから、やれば全然できないことはないんだから、これからひとつ強力にもう少しこれを具体的にこうやるんだ、あるいは厳しく勧告をして、勧告を厳しくやって、その結果を処理していくというような厳しい手段をとってもらいたい。許認可でも五年に一回なんてそんなまどろこしいことを言わないで随時やってもらいたい、こういうふうに私は希望する。それがやはり総理の工夫しろということだと私は考えるのです。無理なことを申し上げるようですが、その点局長どうですか。
  117. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 ただいま御指摘いただきました御意見、まことに世間一般のお気持ちもそうだろうと存じますし、また御鞭撻の御趣旨はよく今後われわれの心にとどめまして、ただその方法をどうするかというような技術的な問題もあわせて今後研究しなければなりませんので、御趣旨を十分に理解した上でその作業に当たってまいりたい、このように存じます。
  118. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私は前国会でもお尋ねをしたのですが、いつでしたかな、この前ここでやったのですが、総定員法です。ところがそのときは、そのときの議事録を持ってきているんですが、まだ概算要求の前でありますので、具体的な五十二年度及びそれ以降の定員管理のあり方、方針は伺うことが実はできなかった。ところが、八月には五十二年度以降の定員管理計画を決定する閣議決定があるというような話を聞いておりましたので、その定員法についてお尋ねしたいと思います。  まず最初に、五十二年度以降の定員管理計画はどうなっておるか。これは八月二十何日でしたか閣議決定したと思うのですが、その点をまずちょっと管理局長から……。
  119. 辻敬一

    ○辻政府委員 五十二年度以降の定員管理につきましては、ただいまお話がございましたが、八月十日及び八月二十四日に閣議決定を行ったわけでございまして、五十二年度から四カ年、五十五年度までの間の定員管理計画でございますが、削減率といたしましては四年間で三・二%、各年に割りますと〇・八%でございますが、その定員削減を行うこととしたわけでございます。
  120. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、実は第三次計画は五十年、五十一年、五十二年となっておったわけなんですよね。それが三次計画であったと私は承知しておる。だから、この前私がお尋ねしたように、このままいったら毎年毎年七千名近い新規増員を認めておる。ところが、第三次の五十年、五十一年、五十二年の最後の〇・六%だけ引き上げる、そうするとその次はどこもここもいっぱいだ、手を上げなければならぬ、だから総定員法というものを新たにつくるのか、それしか方法ないじゃないかということをお尋ねした。そこで、五十二年はもうやめて、五十一年で打ち切って、今度新たにまた〇・八%、結局五十一年度で全部行き詰まってしまった、手を上げた、だから今度新たにまた総定員法をつくった、私はそういうことを心配してこの前あなたに申し上げたんだが、結局結果としてそういうことになったということなんでしょう。
  121. 辻敬一

    ○辻政府委員 確かに、いわゆる第三次の定員管理計画は五十年度から五十二年度までの計画であったわけでございます。したがいまして、途中で第四次計画に切りかえることになったのはそのとおりであるわけでございます。  なぜそういうことにいたしたかと申しますと、当初第三次定員管理計画によりますと、五十年度一・二%、五十一年度及び五十二年度各〇・九%の削減という計画であったわけでございますが、五十一年度におきまして定員削減を繰り上げまして、五十一年度も一・二%の削減を行うということにいたしたわけでございます。そういたしますと、全体が三%でございますので、五十二年度の残りが〇・六%ということに相なっていたわけでございます。したがいまして、五十一年度一・二%に対しまして五十二年度は、このままでいきますと定員削減が半分の〇・六%になってしまうという事態になったわけでございます。このままでは相当大幅な定員の増加が避けられない情勢になりましたので、この点について検討を行ったわけでございます。  それから、申すまでもございませんけれども、定員の管理と申しますのは、本来長期的な観点から実施いたすことが適当であるわけでございますので、この際五十二年度を初年度といたします新しい定員管理計画、第四次の管理計画に切りかえた次第でございます。
  122. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは先ほど私が申し上げたように、あなたのおっしゃるとおり、最後の五十二年度は〇・六%ということになる。そこで、この第三次削減計画では総定員法を事実上守り切れない。だから、新定員法をつくって、四年間に三・二%、四年間に三・二%ということになると、毎年〇・八%ということになっていくんじゃないかと私は思うのだが、あなたは玄人で私は素人ですが、私が計算してきたのは、総定員が五十万六千五百七十一人、これが最高限度ですね。五十一年度末の定員が五十万四千五百三人。最高限度は五十万六千五百七十一人、新規増員は二千六十八名、削減は四千三十六名。そうすると、これですでに六千百四名、私の計算ではこういう計算になります。そうしますと、単なるこの計算でいきますと、五十二年度は最高に増員しても六千百四名の枠しかない。どう考えてもその枠しかない。そうすると、増員の関係はどうなりますか。ちょっと、いまの私の計算に間違いがあるかどうか、はっきりしてください。
  123. 辻敬一

    ○辻政府委員 総定員法のいわゆるすき間、余裕が二千六十八でございますことは御指摘のとおりでございます。  それから、先ほど申し上げましたように今後四年間で三・二%削減をいたしますので、その削減目標数が一万六千七百六十八でございます。これを四年間におおむね均等に割るわけでございますが、この中には一部地方事務官等に振り向けられる分もございますし、各省の実情によりまして若干の特殊性を認める場合もございますので、まだ具体的に最終的な詰めをいたしておりませんけれども、多分五十二年度の削減数は四千名を若干下回る程度になろうかと思います。したがいまして、そういう意味で総定員法の余裕と申しますものは六千名を若干下回る程度であるということになるわけでございます。
  124. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、これから四年間で三・二%削減する。四千三十六名ということは、これはもう間違いないですね。
  125. 辻敬一

    ○辻政府委員 四千三十六名という数字につきまして、ちょっと私どもわからないわけでございますが、三・二%でございますと、非現業の全体といたしまして、先ほど申し上げました一方六千七百六十八名でございます。したがいまして、これを四で割りますと四千名より若干上回りますが、先ほど申し上げましたように、一部地方事務官等に回す分もございますし、若干各省の特殊性を認める分もございますから、五十二年度の削減予定数としては恐らく四千名を若干下回ることになるであろう、かように考えております。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 一万六千数百名、それを四年だから四千三十六名になる、こういう私の数字が出てくるわけなんです。そうしますと、私はさっき言ったように、新規採用の二千六十八名とそれから四千三十六名とで六千百四名、こういうことになる。だからこれはもうつついっぱいじゃないか。五十二年度は最高に増員しても、もう六千百四名ぐらいな枠しかないのだから、それでもう終わるのじゃないか、後はどうするのだ、これをお尋ねしているのです。
  127. 辻敬一

    ○辻政府委員 私どもの見通しでございますと、鬼木議員の御指摘になりましたよりも若干さらに厳しいわけでございまして、恐らくは六千名を欠ける余裕しかないであろうと思うわけでございます。  そこで、七月の委員会の際にもお答え申し上げたところでございますが、新規増員についての見通しを立てることが必要なわけでございますが、その新規増員につきましては、ただいま各省から要求が出てまいりまして、私ども検討作業に入ったばかりのところでございます。したがいまして、まだ増員についての的確な見通しを申し上げる段階に立ち至っていないわけでございます。総定員法の関係におきまして定員管理が大変厳しくなっておりますことは御指摘のとおりでございますが、具体的にどのように取り扱いますかにつきましては、ただいま申し上げました新規増員の検討の結果を待ちまして、五十二年度予算編成の過程において最終的に方針を固めることといたしたい、かように考えておる次第でございます。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは三・二%を四年間に、だから毎年〇・八%ずつ削減していく、こういうことでしょう。そうすると、その計算からいきますと——あなた方のおっしゃっておることは、各省一律に削減するのではなく、今後の各省庁の定員事情等を勘案して各省別に削減目標を定めるということですが、各省庁の定員事情等を勘案して、これはすこぶる抽象的で、何でも通ずるような非常にいい言葉なんだな。非常に便利のいい言葉が使ってあるが、各省庁の定員の事情等を勘案する、これは具体的にどういうことなんですか。何か基準があるのですか。私はどこの省庁だって事情はあると思う。その各省庁の事情を勘案して、これは減らすとか減らさぬとか、増員を認めるとか認めないとか、何かそういう的確な基準があるのかないのか。なぜそんなことを私は聞くかというと、何か基準がはっきりないと各省庁の圧力によってでたらめになってしまう。そうすると、これは事情がありましたと、こういうことになる。これは局長を責めているのじゃありませんよ、あなた方のお仕事がしょいように申し上げるのだから。各省庁の有力大臣とか実力大臣とかがどんなことでも言って、仕方ありません。そうすると、ある事情がありましたからと、こう言う。だから、各省庁の事情を勘案する、その事情というものは一体何だ、何か基準はあるか、こういうことを申し上げているのです。
  129. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のございましたように、削減率三・二%と申しましても各省一律に三・二%を掛けているわけではございません。お話がございましたように、各省庁の定員事情を考えまして、各省庁と折衝いたしまして決めていくわけでございまして、各省別の削減目標は閣議決定に示されておりますが、率に直してみますとばらばらでございまして、一律に三・二%になっているわけではございません。  それではどういうふうにやっているかということでございますが、主として職種別の特殊性に基づいて算定をいたしておるわけでございます。一、二例を申し上げますと、病院関係の医師、看護婦等につきましては削減を課していないわけでございます。大学の教官等につきましても同様でございます。その他につきましても職種別に工夫を加えておるわけでございます。また、省庁の規模によりましても多少の工夫をいたしておるわけでございまして、小規模の官庁につきましては通常の削減より軽減するというような措置をとっているわけでございます。そういうふうにして各省と詰めました結果が閣議決定でごらんになります各省別の削減目標数ということになっているわけでございます。
  130. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、これは私の計算だから、あなた方玄人の計算とは違うかもしれぬが、五十二年度を定員で仮に抑えても、その後は各年度の削減数だけしかもう枠が残っていない、こういうことになると思うのですよ。そうすると、ここ四年間増員要求があったら総定員の枠内に抑えることは私はできないと思うのです。こういう現状を踏まえて、このままで総定員法は大丈夫だという御自信があなた方はおありですか。それとも何らかの対応策をお考えになっておるのか。これはそろばんをはじいていけば、もうはっきり枠はありませんよ。局長、どうですか。
  131. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、先般閣議決定をされました第四次管理計画に基づきまして、私どもといたしましては、公務員の定員配置の合理化などを一層推進することによりまして総定員の増加を極力抑制いたしてまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、ただいまお話がございましたように、将来総定員法につきまして何らかの措置が必要になるという場合も当然考えられるわけでございます。どのような形でこれに対処するかということにつきましては、まだ具体的にお答え申し上げる段階ではございませんけれども、そういう問題につきましても今後慎重に検討してみたい、かように考えております。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、総定員法はもう事実上行き詰まるということは計算すればわかっておるのだから、これに対しては見直しをやらなければならぬ、何とか具体的に対策を講じなければならぬということでいま苦慮している、考えている、まだはっきりした、これはこうすべきで、こうやっていきたいというようなことはわかっていないけれども、その点は十分検討をいたしております。こういうことですね。そのように理解してようございますか。
  133. 辻敬一

    ○辻政府委員 総定員法の関係におきまして定員管理が厳しくなっておりますことは全く御指摘のとおりでございます。  五十二年度の問題につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、新規増員についての検討作業に入ったばかりでございますので、ただいまの段階で直ちに総定員法につきまして具体的に申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、今後の問題あるいはまた将来の課題といたしまして、御指摘のような点につきましても十分検討してまいりたいと思っております。
  134. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 了解します。いまここで具体的にどうじゃどうじゃと言うてもあれだと思いますので、十分御検討願いたいと思います。  次に、私の持ち時間がだんだん切迫しましたので、特殊法人について……。  仮に特殊法人を新設するというような場合、あるいはその後定員の管理について、これは総定員法とは関係ないと思うが、どのような方針で監察していらっしゃるか。これは前回も、各省の職員は各省庁が皆管理しているのだと。それは当然のことだ。しかし、行政監察して管理状態はどうなっておるかということは当然やるべきだ、閣議決定でもおやりになったのだから。五年間も全然やったことがないとおっしゃったから、この前、局長に大変御無礼なことを申し上げましたけれども、そういうことを私は言ったのです。     〔松本(十)委員長代理退席、加藤(陽)委員長代理着席〕  そこで、国家公務員の定員の削減ということも、これは大きな問題になってやっているのだから、特殊法人等におけるところの職員の削減、縮小というようなことについても、これは閣議で了解事項になっている。その内容はどういうふうになっておるのか、そういう点についておわかりですが、おわかりになるならちょっと……。
  135. 辻敬一

    ○辻政府委員 特殊法人の職員の定員管理の問題でございますが、先般の八月十日の閣議決定「昭和五十二年度以降の定員管理について」におきましても、今後とも三公社、公庫、公団等の職員について経営の実態に応じ国家公務員の定員削減に準じて措置するものとするということに相なっております。具体的には、従来からそうでございますけれども、財政当局と主務官庁の間で折衝いたしまして取り決められる、かように承知いたしております。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 役員を縮減する、その対象特殊法人が百十三ある、それで今回は対象人員が三百五十人おる、そのうち三十四名削減をするというような回答が、ここに資料が出ておるわけですが、これは役員の場合ですね。ところが、特殊法人の全職員の削減ということについては、これは人事院の方になりますか、管理局でしょう。閣議決定で役員の削減ということでは了解事項になっております。国家公務員の方は総定員法でやる。そうすると、いま局長がおっしゃったように、そういうのも準じてやる。そうしますと、特殊法人の一般職員の定員の云々ということに対してはどういうふうにお考えになっておられますか。
  137. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、閣議決定におきまして、方針として、特殊法人の職員につきましても国家公務員の定員削減に準じて措置することになっておりますが、具体的には、財政当局とそれぞれの主務官庁が予算折衝の際におきまして折衝をいたしまして削減数を取り決める、従来からこのようなことに相なっておるわけでございます。
  138. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、法人関係の職員管理は無論法人自体で責任者がやると思いますが、行管の方としては一般職員に対しては何も触れないということですか、局長
  139. 辻敬一

    ○辻政府委員 行政管理庁といたしましては直接の所管ではないわけでございますけれども、国家公務員に準ずるものとして措置を閣議では決めておるわけでございますが、具体的にどこがやっているかと申しますと、先ほどお答え申し上げましたように予算で決めるということになっておるわけでございます。
  140. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、一応予算関係で削減をするとかしないとかいうような財政事情によってこれを云々する、管理は法人自体職員管理をやっている、ということになるとちょっとあいまいになるのじゃないかと思うのです。閣議の決定事項でやはり特殊法人の人員についても十分監察せよということになっておるのですから、それは役員のみ今度三十四名の削減状態だ、一般職員に対しては関係ない、そうすると、いまあなたのおっしゃった国家公務員の定員法に準じてやるというのがまだちょっと私は理解できないが、それは局長、どういうふうに解釈するのですか。
  141. 辻敬一

    ○辻政府委員 公社等の特殊法人につきましてはいろんな形態がございますけれども、いずれにいたしましても、企業体であるものもございまして、経営の実態に応じて措置をすることが必要なわけでございます。したがいまして、国家公務員の場合のような一律的と申しますか、統一的と申しますか、そういう定員管理に必ずしもなじまない面もあるわけでございますので、閣議決定におきましても、経営の実態に応じ、国家公務員定員削減に準じて措置をするということになっているわけでございます。具体的に申しますと、予算で決めまして、従来からも定員管理計画をつくりまして措置はいたしております。
  142. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 結局、国の財政事情によってその方面の処理をする、こういうことですね。直接定員法によってこちらはやるが、定員法に準ずるけれどもその方の話は別だ、それは予算の都合によって増減もある、こういうふうに解釈していいわけですね。
  143. 辻敬一

    ○辻政府委員 まあ予算の都合とか財政事情だけというお言葉は必ずしも適切でないかと思いますけれども、それぞれ経営の実態反映いたしました削減でなければならないわけでございますので、再三申し上げて恐縮でございますが、具体的には、予算折衝の際に取り決めを行いまして、その限りでは定員管理計画をつくりまして削減をいたしているわけでございます。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それであなたのお気持ちも大体わかるのですが、それはこれ以上追究する考えはありません。  次に人事院の方にお尋ねしたいのですが、特殊法人で今度役員を三十四名削減する。百十三の特殊法人、そこに三百五十人も役員がおるのですよ。この幹部の人たちのいわゆる天下り状況人事院は把握していらっしゃるのかどうか。天下りの実態を……。
  145. 角田達郎

    ○角田説明員 私、内閣参事官でございますが、特殊法人の役員につきましては四十年の五月の閣議口頭了解がございまして、特殊法人の役員の選考について各省で大体お決めになるわけでございますけれども、事前に官房長官に協議する、そういう閣議口頭了解がございます。したがいまして、その事務を私がやっておるわけでございますが、そういう関係上、特殊法人の役員につきましての国家公務員の経歴を有する者あるいは民間経歴だけの者等の数字を把握してございます。  概数を御説明申し上げますと、百十三の法人でございますが、常勤役員だけでございますけれども・常勤役員の総数は八百二十五人、そのうち何らかの形で国家公務員の経歴を有している者が五百四人、したがいまして、パーセンテージにいたしますと約六一%、この程度の方が特殊法人の役員になっておられる、こういう状況でございます。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 この天下りについては、人事院の方は十分審査し、これに対して意見を申し述べられたことはあるのですか、ないのですか、タッチしていないのですか。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 鬼木先生御承知のように、人事院が所管いたしております国家公務員法の百三条は、民間の営利企業関係ということでございまして、人事院といたしましては特殊法人関係は一切タッチいたしておりません。
  148. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 民間への天下りは人事院の方で十分やっている、ところが特殊法人なんかへの横すべり——まあ横すべりというわけじゃないけれども、これは内閣の方でやっている、こういうわけですね。そうすると、内閣の方では、こういう人たちのはっきりした経歴その他一切わかっているわけですか。
  149. 角田達郎

    ○角田説明員 私どもが各省から協議を受けます際には、それぞれの候補者の履歴等を徴しましてチェックしておる、こういうことでございます。
  150. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ちょっとお尋ねしますが、そうすると、民間の方への天下りということに対しては、これはいろいろな規定がありますし、規制があるのですが、そういう特殊法人なんかに行くのに何も規制はないのですか。あなた方が十分審査されるのに規制はないのですか。
  151. 角田達郎

    ○角田説明員 特殊法人の役員につきましては、たとえば国鉄ですと国有鉄道法、それから専売公社ですと専売公社法等、それぞれの特殊法人を規制しております個別法がございます。それで、その個別法に基づいて、所管の大臣があるいは任命権を持っている場合もありますし、総裁が任命した者を認可するという権限を所管の大臣が持っている場合もございます。したがいまして、どういう方が特殊法人の役員として適当かどうかの第一次的な、根源的なチェックの機能は所管の大臣が法律上持っておる、こういうことでございます。  ただ、所管の大臣がお持ちになって、それで特殊法人の役員が選考される場合の審査がなされるわけでございますけれども、特殊法人の役員を選考するに際しまして、ただ所管の大臣だけの御方針ですと、ある省の方からの役員が多くなり過ぎるとかあるいは役員としての任期が長くなり過ぎるとか、そういうような弊害がいろいろ出てまいりましたので、四十年の五月に閣議口頭了解で、一応、それぞれの特殊法人の役員を選考する場合にも、それは本来的には各省大臣の権限に属しますけれども、事前に官房長官に協議せよ、こういうような閣議了解をしております。それに基づいて現在官房長官に事前協議しておる、こういうことでございます。
  152. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体わかりました。  そうしますと、あなたにお願いしておきたいのは、審査会でだれが審査するのか、その審査会の機構、組織を後で届けてください。
  153. 角田達郎

    ○角田説明員 審査会というような組織で審査しているわけではございません。私を通じまして、私のところへ各省が事前にこれこれこういう人を候補者にしたい、こういう案ができましたときにまず私のところに届けてまいりまして、私から官房副長官に上げまして、官房副長官が官房長官と御相談されて適否を決める、こういう手順でやっております。
  154. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、最後は閣議で決定するわけですか。
  155. 角田達郎

    ○角田説明員 特殊法人の長、たとえば総裁とか理事長、これは閣議口頭了解に一々かけております。
  156. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。  これは局長にお願いしておきますが、特殊法人の役員の削減ということに対しては今回は行われるが、一般職の問題について国家公務員の定員法に準じてやるということをおっしゃったのだが、国家財政、予算上の問題だけでなくして、定員法に準じてやるというようなことは全然考えられないものか、できるものか。できぬならできぬ、できるならできるでようございますから、そういう点を研究していただいて、その結論を後で教えていただきたいということをお願いいたしておきまして、これで私は終わりにしたいと思います。局長、ようございますか。
  157. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、財政事情だけでやっているわけでは決してないわけでございまして、閣議決定にうたっておりますとおり、公務員の定員削減に準じて措置いたしておるわけでございます。ただし、三公社等特殊法人の実態がございますから、その経営形態の実態に応じて国家公務員に準じて措置するということになっておるわけでございます。現に、従来から定員管理の計画をつくりまして措置をいたしておるわけでございます。したがって、その意味では国家公務員に準じて措置をされておるというように御了解賜って結構だと思います。
  158. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それじゃはっきりしました。先ほど、ちょっとどうだろうかという疑問がありましたので……。そういうことならそれで結構です。  それじゃ、委員長、これで終わります。どうもありがとうございました。どうも失礼しました。
  159. 渡辺美智雄

  160. 受田新吉

    受田委員 一般職の関係の方には、質疑の通告がおくれた関係がありますので、給与法につきましては防衛庁職員給与法案から話を進めてみたいと思います。  防衛庁の職員の処遇については一般職に準じた扱いが恒例としてされておるわけで、別に新しいものが生まれておるわけではありません。ただ、ここで基本的な問題として、防衛庁というお役所は国家の最も強力なる権力団体です。そこで、その部内の統制力という面におきましては、他の省庁に見ることのできないほど厳しいものがなければならぬお役所なんです。この統制、規律が崩れたときに日本の防衛に大変不安が起こるわけでございまして、この点は前の委員会でも、私からその指揮命令系統の規制を厳重にやってほしいという提案をしたわけです。きょうは大臣がお越しにならぬわけでございますので、政務次官にかわってお答えをいただきたいと思いますが、政務次官というポストは防衛庁の指揮命令系統でいかなる地位におられるのか、政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  161. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 国家行政組織法第十七条第二項の規定に基づまして、あらかじめ大臣の命を受けて大臣不在の場合に大臣の職務を代行することとされております。
  162. 受田新吉

    受田委員 政務次官の職務はどうでございますか。
  163. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 「その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」ということでございます。
  164. 受田新吉

    受田委員 職務代行ということでありますが、これは防衛庁長官たる国務大臣の職務を代行される。しかし、非常に大事な問題は、国務大臣としてなさねばならぬ問題がもう一つ代理制度というのがあるわけです。これはどう理解されておられるか。
  165. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 申しわけございませんが、何でございますか。
  166. 受田新吉

    受田委員 防衛庁長官たる国務大臣の職務を代理するという——代理と代行とは違うわけです。政務次官には代理権はない、代行権しかない、こう判断するわけでございますけれども、政務次官は初めて御就任でございますので、その点官房長からお答え願います。
  167. 亘理彰

    ○亘理政府委員 いま政務次官からお答えしましたように、国家行政組織法第十七条の規定によりまして、大臣が御不在のとき、これは休暇でありますとか国内出張の場合に、あらかじめ大臣の命を受けまして政務次官はその職務を代行することとされておるわけでありますが、政務次官以外の者が大臣の職務を代行することを定めた法令上の規定はないわけでございます。ただ、日常の事務につきましては内部の訓令がございまして、大臣が不在のときには事務次官が代行するということになっております。
  168. 受田新吉

    受田委員 国務大臣が事故があったとき、そのときには当然代理権の発動があるわけですか。
  169. 亘理彰

    ○亘理政府委員 一般に国務大臣が事故がありました場合の規定は内閣法の十条にございまして、事故と申しますと、長い病気でありますとか、外国出張等であろうと思いますが、そういう場合、あるいは死亡あるいは免職等によりまして国務大臣が欠けた場合には、「内閣総理大臣又はその指定する国務大臣が、臨時に、その主任の国務大臣の職務を行う。」いわゆる臨時代理と称しております。
  170. 受田新吉

    受田委員 臨時代理制度というものが内閣法の十条に規定してある。そうしますと、その代理たる国務大臣のなす権限と、それから政務次官がなす代行権との関係はどうなりますか。
  171. 亘理彰

    ○亘理政府委員 いわゆる臨時代理を置かれました場合の臨時代理国務大臣の行う権限と、それからあらかじめ命を受けまして政務次官が大臣の職務を代行する場合の権限と申しますか、その間に、法令上の意味での規定に基づく権限の範囲の差はないように思います。ただ、こういう臨時代理あるいは代行の場合に、大臣の権限のあらゆることを代行できるかというと、これはおのずから限度があろうかと思いますけれども、いまの臨時代理あるいは政務次官の代行の場合に執行できます権限の範囲ということは、特に差はないと思います。
  172. 受田新吉

    受田委員 そうすると、国務大臣たる防衛庁長官の職務を代理する場合と、つまり他の国務大臣代理する場合と、それから大臣の命を受けて職務を代行する場合とは、その職務の内容は大体同じと判断してよろしいか。これは非常に大聖な問題でありまするので、まずこれをお尋ねしておきたいのです。
  173. 亘理彰

    ○亘理政府委員 同じであると思います。それが大臣の本来持っておる権限のすべてに及ぶかということについたはおのずから一定の限度はあろうかと思いますが、いまの臨時代理政務次官の代行との権限執行の範囲については差はないように思います。ただ、どういう場合にそういう臨時代理が置かれるか、代行が置かれるかということでございますが、通例では国務大臣に事故ある場合でも、長い病気にかかられた、あるいは外国出張等で長期御不在になるという場合には臨時代理が置かれる。これが比較的短い国内出張でありますとか、休暇でありますとかいう場合には政務次官が代行されるということであります。
  174. 受田新吉

    受田委員 これにちょっと関連することでありまするから、総理府に飛び火をいたします。  総理府総務副長官の任務はどういうことにあるのですか。西村先生、あなたの総理府の総務副長官は、あなたの職務代行権があるかどうかです。
  175. 西村尚治

    西村国務大臣 突然の御質問で、ちょっと準備もないようでありますが、恐らく総務長官事故あるときはこれを代行することになっておるはずだと思います。(受田委員「違います」と呼ぶ)それはどうも不勉強で申しわけありません。
  176. 受田新吉

    受田委員 総理府からどなたか説明をしてください。——総理府設置法には、その二十条に、総理府総務副長官の任務が書いてある。「総務副長官は、総務長官の職務を助ける。」のです。不在の場合に代行するという規定がない、この理由はどこにあるかです。
  177. 西村尚治

    西村国務大臣 まことにどうも、これもいま読む暇もございませんので即答できませんが、恐らく、それがないということは、よほどこれは大事な意味を含んでおるものと思いまするので、よく検討いたしまして、後刻ひとつ答弁させていただくことにいたしたいと思います。
  178. 受田新吉

    受田委員 政務次官の職務と総務副長官の職務は違うのです。総務長官自身が「内閣総理大臣を助け、府務を整理し、並びに総理府所管の事項について、政策及び企画に参画し、」と政務次官に準じたような内容を持っている。だから総務長官の地位そのものが内閣総理大臣の補佐役としての立場があるのです。それでいまの総務副長官の任務は政務次官とは違っている。ちゃんとここに掲げてある。助けるだけで代行権がない。何か代行権がほかにあるとしたらひとつ御答弁を願います。
  179. 西村尚治

    西村国務大臣 受田先生御指摘いただきましたように、総理府設置法第二十条を見ますと、総務副長官は総務長官の職務を助ける、まさにそれだけでございました。代行権はないようでございます。
  180. 受田新吉

    受田委員 非常に大事な問題が総理府にはあるわけです。だから総理府の長官以下は常に、自分の職責が何であるか、そして自分のかわりはだれができるか、そういうものを大体基本的に御承知なければ、その任にあられるのには大変欠陥があるわけなんでございまして、次官会議などでは官房副長官がやるのかあるいは総理府副長官がその幹事役をやるのか、あれはどっちになっておりますか。
  181. 西村尚治

    西村国務大臣 総務副長官でなくて内閣の副長官がやっておるはずでございます。
  182. 受田新吉

    受田委員 そうした代行権という言葉は非常に大事な言葉であって、総理府にもあれば内閣にも官房の副長官がおる。その職務はそれぞれの法律の根拠がある。政務次官には政務次官として、大臣の命を受けて職務を代行する権限がある。総理府副長官にはそれがない、助けるだけだ。この相違がどこに原因があるかをおわかりなければいかぬと思うのです。総理府の総務長官というものは、これは内閣総理大臣を助けるところが主任の大臣とちょっと性格が違っているのです。  それで、国家行政組織法とその前の内閣法の両方をながめていかれると、この大臣の権限は非常に強大なものであるけれども、総理府総務長官と副長官との関係はいま申し上げたようなものであって、それならそのときは、総務長官代理はだれが職務を順次代行していくかという規定が書いてないのです。そして総理府の長官と副長官以外の者は国家公務員法の定めるところによって人事管理等がされるという規定があるので、これは総理府設置法のもとに総理府の運営がされている責任の方々が十分この問題を研究しておかれないと、長官の代行をだれがするかが規定してない。長官が事故があった、そのときには他の国務大臣をもって充てるという筋のものかどうか。この総理府総務長官の仕事は総理大臣自身がやるお役所、つまり総理大臣の直系の国務大臣総務長官でありまするから、総務長官が何か海外に行かれるというときに、今度はその総務長官の代行の国務大臣をだれがやるかという規定が内閣法でどう考えられるか、他の国務大臣の場合と全く同様かどうか。——法制局、来ましたか。
  183. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 いま呼んでます。
  184. 受田新吉

    受田委員 はい。その問題が一つと、それからいまの代理と代行ですが、特に防衛庁という役所は、さっき申し上げた国の基本になる権力団体である。指揮命令系統がぴしっとしていかなければならない。いまのような国務大臣をもって、臨時代理としての国務大臣の職務というものは、これは一方において国務大臣です。国務全般を担当して臨時で代行するのでございますから、その大臣は完全に防衛庁長官の職務が、長官としての任務が代行できる。国務大臣が一方についておる、国務の中の防衛。それから政務次官国務大臣じゃないのだから、単なる代行にすぎないということで、代行と代理とが分離してある理由というものへもっと精密な検討をしてもらわなければならない。  それからもう一つ防衛庁長官が病気で寝ておる、あるいは旅行中である、それに連絡がとれない、そこへ外部の武力攻撃だ、さあ、これに対して長官の指揮をどう仰ぐか。この間、ミグのときちょっと申し上げたが、きょうはそこを正確にしておきたい。そのときに政務次官がかわりに指揮をとる。指揮をとるときには部内の指揮監督権があるかどうかです。大臣の権限である各幕の長それから内局に対しての指揮権、監督権——職務代行は指揮権、監督権がみな入るかどうかです。
  185. 亘理彰

    ○亘理政府委員 大臣が、先ほど申し上げましたように出張等で御不在の場合に政務次官がこの職務を代行することとなっておるわけでございまして、先生のお話のように、防衛庁の場合にはいかなる事態がいつ起こるかわからないわけでございますから、当然自衛隊に対する指揮監督権を含めて代行し得ると考えております。
  186. 受田新吉

    受田委員 そうして、そのときに事務次官以下を全部指揮監督しますね。事務次官は政務次官の命令一本で行動しなければならないということになりますね。政務次官、そういう大事なあなたのポストです。事務次官以下はあなたが指揮命令を下すことができる。大変大事な副大臣に当たられる方であるということですが、そこで、その後の序列をこの間防衛局長から承りました。政務次官もどっかで、選挙の応援演説で山の方へ行って動けなくなっておる。いまじき選挙ですから、長官も。そういうときに、大臣も政務次官も行方不明——ということは、どっかに普通はおるのですよ。おるが、密行でもしておるとちょっとわからぬというときに、そのときに事務次官が職務を代行する。事務次官は部内の職員の平素から監督権がある。当然ある。これは政務次官と違う権限がある。
  187. 亘理彰

    ○亘理政府委員 これは国家行政組織法の十七条の二という規定がございまして、これは防衛庁に限りませんが「事務次官は、その機関の長たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」という規定がございまして、おっしゃるとおりでございます。
  188. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、大臣がおるときには政務次官は指揮監督をしないわけですね。
  189. 亘理彰

    ○亘理政府委員 おっしゃるとおりだと思います。政務次官が指揮監督をするかということですね、それはないと思います。
  190. 受田新吉

    受田委員 政務次官、大変大事なことです。大臣がおれば、部内に対してあなたの指揮監督権はない。そのときは事務次官の方が指揮監督権というものがある。大臣はおらなくて、しかも大臣が特別に政務次官に指示をしないといけぬわけですが、かつて山中防衛庁長官が何やら不信任案が出て、本人はおる、おるのにかかわらず、ここで給与法の法案の説明を大臣にかわって政務次官がなさったことがあります。これはこの国、家行政組織法第十七条の規定に基づいた代行か。本人はおる、不在ではないのです。国会におる。不在ではないのです。おるにかかわらず、そういう解釈はどうしたらいいか。
  191. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 先生おっしゃいましたように、ただいま事務次官以下——、以下という言葉はおかしいのでありますが、以下は、日常的、定期的な事務については、一つの系統立ってまいるわけでありますが、たとえば、防衛出動なり治安出動なりというふうな緊急事態になりますと、政務次官以下はないわけでございます。そこで私どもは、いつも長官と政務次官の両者が執務不能とならないように努力しなければならない、そうしておかなければならないというふうに考えております。
  192. 受田新吉

    受田委員 緊急事態にこそ政務次官の存在意義が、つまり大臣がおられぬようなときに、大臣に連絡がつかぬときに、政務次官がかわりをしなければいかぬということです。緊急事態で大臣がおらぬ場合に。  私は事務当局に聞きますが、きょうは大臣がおられないので、政務次官御就任間がないのでやむを得ませんが、官房長、この職務代行をやられたときはどの権限でやられたのか、これは非常に大事なことでありまして、そしていままで大臣の命を受けて政務次官が職務代行をやった例が過去においてどんなのがあるか、一緒に御答弁を願いたいと思う。
  193. 亘理彰

    ○亘理政府委員 後の方でございますが、いままで政務次官の職務の代行については、あらかじめ命を受けてと、こうあるわけでございますが、ただいま調べてきた範囲では、実はそういう特に命を受けて職務を代行されたという事例は見当たりません。
  194. 受田新吉

    受田委員 ところが、大臣の命を受けなければならぬのですね。防衛庁長官が演説でどこかへ行かれた。大臣がおらぬのだから命令を出すことができぬ。おらぬのだから、行方不明なんだから。そのときに政務次官がかわってやるというのは、命を受けてやるわけじゃないんじゃないですか。それならこの規定に反するじゃないですか。大臣の命を受けるというのが、大臣が選挙の応援に行ってわからぬようになっておるとき……。
  195. 亘理彰

    ○亘理政府委員 結果的にはそのとおりであると思います。あらかじめ命を受けてというのは、個別的にか、あるいは包括的にか、いずれにしろあらかじめ命を受けてなければ代行はできないわけでございます。
  196. 受田新吉

    受田委員 だから、あらかじめこういうように、この間防衛局長が言われたように、おれがおらぬときにはかわってやれよと日ごろから言ってある、防衛庁長官は言ってある。それで、ちょっと私、大変理解に苦しむ点があるのですが、山中防衛庁長官のときに、ここで提案理由説明をされたんです。われわれは大臣でなければいけないと言ったんだが、大臣がおるのに大臣がやらぬのはおかしいじゃないかと言ったのです。ところが、これはあらかじめ命を受けて大臣不在の場合その職務を代行するというのでございますから、大臣がおるのにその職務を代行してはいけない、大臣が国会におったんです。おったときには、たとえ不信任案が出されておっても、そのときは大臣不在の場合その職務を代行するということに該当するような扱いではなかったはずです。
  197. 亘理彰

    ○亘理政府委員 ただいま先生のおっしゃた場合は、国家行政組織法の規定に基づく代行行為ではなくして、政府委員としての仕事をなさっておるということであろうと思います。
  198. 受田新吉

    受田委員 国務大臣国会へ出て、これは政務ですよ。大臣の政務ですよ。政務を完全に代行しておる。この法案の説明というのは大臣の重要なる職務ですよ。その職務は一般の防衛庁長官の職務とは別のものだ。これは大変大事な発言をされたと思うのです。国会国務大臣として法案の提出をするのは国務大臣の責任、その提出法案の説明をするのは当然国務大臣の責任であって、防衛庁長官の責任ですよ、これは。そういうものは別だという御答弁はちょっとおかしいですよ。法案を提出する責任があるんですから、防衛庁長官には。その法案の提案理由説明をするというのは当然防衛庁長官の責任である。それをかわって朗読するのは、政務次官が代行したということであって、国会防衛庁長官の法案提出権、内閣の提出の担当者が国会でやるのは軽いものだというのだったら、国会軽視もはなはだしいですよ。
  199. 亘理彰

    ○亘理政府委員 国家行政組織法の十七条をお読みいただきますと「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、」その次に「政務を処理し、」とあるわけでございます。したがって、まさにその次に書いてありますのがあらかじめ命を受けた場合の代行行為でございますが、その前段の「政務を処理し、」というお仕事を持っておられるわけでありまして、ただいまのような法案の委員会に対する御説明というのは、まさに政務次官のお仕事として適当なものだ、それからどこの省でも従来からおやりになっていることだと思います。
  200. 受田新吉

    受田委員 それは大臣がそこにいないというときであって、大臣がいないときにこれを代行するのが政務次官です。これはもう政務の処理だから、国会の法案の提案理由という一番大事な仕事、これはもう政務次官でいいじゃないかという、そんな軽い考えで国会軽視をすると、それは大変ですよ。これは完全に職務代行ですよ。法制局長官の代理でもいい、だれかちょっと、職務代行の中で、法案の提出者である大臣が国会においてその一番大事な職務、提案するときに、当然その大臣がこの説明をしていくべき筋のもので、きょうはかぜを引いたからおまえやっておけというような問題じゃない。そんな国会軽視をやるとするならばわれわれも居直らなければならぬと思いますがね。  それじゃひとつ本論に入ります。これは基本的な問題でありましてお尋ねしたのですが……。  今度の防衛庁の法案で、私、自衛官に対する処遇に非常に心を使っておられることがよくわかります。私自身も、国土国民を守る自衛官は、その昼夜分かたざる勤務に精励して、ときに命を捨ててやらなければならぬという大事なお仕事です。そういう職員に対して特別の配慮をするというのは当然である。したがって、この給与法を拝見して、私から予告した問題点について資料をいただきました。これを拝見して、自衛官という職種は日本じゅうへ散らばっている職種であるから、つまり調整手当などという都市中心主義で出すのも全部、どこへ行ってもいいようにこれを本俸に一定の比率で加えておる、超過勤務手当も加えておる、これは当然だと私は思うのですが、一般の公務員よりも特に配慮している処遇というのはどこでございますか。
  201. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 まず、自衛官一般職の中でも、一応その俸給のベースにしておりますのは公安職をベースにしております。公安職をベースにしておるということについて、若干一般職よりも基準を高めて見てあります。それ以外に自衛官独特の各種の手当が認められております。たとえば特殊勤務手当でも、自衛官だけの特殊勤務手当が約六種ございます。落下さん降下作業手当あるいは潜航手当、掃海作業手当、あるいはそれ以外に配置手当としまして航空手当とか乗組手当、落下さん隊員手当、こういつた手当の面で厚く見てあるということが言えようと思います。特に今年の予算で非常に温かい御配慮をいただきました糧食費そのものを本俸に繰り入れていただいたということで、自衛官の曹以下の俸給が非常に上がったということも大きな成果であったのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。  なお、自衛官に対します賞じゅつ金なり、あるいは特別弔慰金、こういった制度もとられておりますし、あるいは非常に危険な場合の殉職いたしました場合には、警察官と同じく特別公務傷害五割増しの手当が出せるというような配慮もなされております。
  202. 受田新吉

    受田委員 警察官と変った上積みの待遇というものはどういうものでございますか。
  203. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 基準俸給で警察官の場合は俸給以外に個々の超過勤務手当を出しておりますけれども、大体月二十一・五時間分の超過勤務というものに見合わせましてこれを全部調整率という形で本俸に繰り入れておるということも警察官とは異なった処遇ではなかろうか、このように考えております。
  204. 受田新吉

    受田委員 つまり実質的な金額の上で上積みされている分を御指摘していただきたいのです。
  205. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 現在のところでは、先ほど言いましたように営舎内居住者なんかに対します食糧の無料支給がございますけれども、それ以外の場合は警察官よりも特に厚い待遇というものはございません。ただ法的に、将来治安出動なんかで出動した場合の出動手当なりそういった公務災害補償というものは、法的にさらに考えなければならぬ余地は残っておりますけれども、現在の平時におきましては警察官よりさらに厚い待遇というものはございません。
  206. 受田新吉

    受田委員 営内居住者の食費などを今度一万五百円にした。この二月から九千七百円がスタートした。私これは非常にいいことだと思う。営内居住者の若い自衛官にそういう配慮をしてくれて喜んでいただいておるということは非常にいいことだと思います。警察官と全く同じ水準だ。ただ調整手当などというようなものが、自衛官の場合は全国どこへ行くかもしれぬ、どんな田舎の山奥の勤務になるかもわからぬというようなところで超過勤務手当を別の感覚で配慮されている。つまり配置がどこになるかもわからぬ、そういうところへ配慮して、そのかわり東京におってもどこにおっても自衛官は同じだ。しかし警察官は都市におる者がいいですね。その差異があるわけですよ。
  207. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 いま先生御指摘のとおりでございます。自衛官というものは転属なりあるいは転校の機会も多いということと、警察官と異なりまして自衛官の場合には僻地の勤務が非常に多い、サイトその他の勤務が多いということでお互いに共通の連帯感を高めるというようなことで勤務手当を甲地、乙地あるいはゼロ地というような区分をしないで全部それを平均しまして各人に平均して割り当てておるということにつきましては、むしろ無級地の下級隊員に厚くしておるというような点をよく配慮しておる、このように考えております。
  208. 受田新吉

    受田委員 自衛官の処遇は、いまの食糧その他身につけるものを実物支給その他何かのかっこうで、安心して防衛に専念できるという立場をとらせるように、賄賂を取るとか悪いことをするとかいうような立場では本当に自衛官の品格に関する問題でございますから、自衛官が安んじてその職務に精励する待遇というものは何よりも大事だと思うのです。そして自衛官を希望する人がどんどん各界から出てきて、量よりも質、りっぱな質の自衛官が国土国民を守るという基本的体制に入らなければならぬ。ちょっと町に出て悪いことして、盗人したり、こそどろだけではなくして殺人をやったりするのが出ておる。これでは自衛官の威信が一遍に地に落ちる、絶滅を期さなければならぬ。ある意味で大事な使命を持っておる職種であるから、処遇の点で考慮してあげるということは一般公務員でも納得しますよ。マイカーで通える立場にはない。全部統制がある。自由がある意味で束縛されている。青春を国土国民を守るためにささげたのです。それに対しての処遇というものを別途考慮してしかるべきだと思います。
  209. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 先生の非常な御熱意に心から感謝したいと思います。  先ほど申し上げましたとおり本年度の糧食費の繰り上げ、あるいは四十九年に特別退職手当の増額等々の配慮が行われまして、あるいは社会状況もあるかもしれませんけれども、たとえば本年、昨年、三士、二士あたりの若い隊員で中途退職する者の数がうんと減りました。防衛大学校あるいは航空学生あるいは曹候補生、こういったものの応募者の数もいままでよりも約六割ぐらいふえてきております。こういった点でわれわれは非常にありがたく思っておりますが、さらに今後の処遇改善で私が一番気の毒だと思っておりますのは住宅問題だろうと思います。この公務員宿舎あるいは隊舎といった面にさらに力を入れたい。一方、同じ自衛官ではございますが予備自衛官に対します手当も不当に低いのじゃなかろうかということを私たちは考えておりまして、来年度予算にこれの増額の要求も考えておるわけでございますけれども、今後特殊勤務手当の増額あるいは宿舎の増設、こういったものを中心にいたしましてできるだけの処遇改善に努めてまいりたいと思います。おかげさまで職員の事故もことしの夏は昨年の夏に比べまして非常に減っております。そういった空気にございますので、今後一層の御支援をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  210. 受田新吉

    受田委員 われわれは量よりも質、自衛隊の増強を図ることをやめて現実を尊重してむしろ精鋭を自衛官に迎える、だから陸上十八万というような架空の数字ではなくして、十三万か十四万にしてむしろりっぱな隊員をつくるということをわれわれ念願してきたわけですが、まずそういう意味で今回の改善措置に余り大した上積み措置がしてないことに私はむしろ不満を感じておるというところで、いま申し上げた趣旨に沿うて今後善処されるように要望いたします。  もう一つ自衛官の問題で今度は高級自衛官一般職の指定職は十二等級に分かれて、十二号俸までいっておる。ところが自衛官の将官の場合これは(一)と(二)をつけておるのです。指定職の最高の十二は東大と京大の総長ということだし、またその次の十一が将の一番上だということになっておるのですが、これはどうですか。この等級別にしていいじゃないですか。各幕の長とか幹部学校長とか長のポストにおる者を(一)にして、それのついておらぬ者を口にするというような配慮があるのじゃないですか。
  211. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 おっしゃるとおり自衛官俸給表の中に将について(一)、口に分けております。この(一)は一般公務員と同じように地位の高いあるいは職責の高い者、指定職並みの者を一般職の指定職と同じ俸給表を使いまして、これに師団長、幕僚長、統幕議長、こういった最高幹部を指定職に当てております。現在定員は五十ございます。社会的に見まして指定職にまではちょっと至らない各部隊の長の者を将(二)ということで行(一)の一等級の格づけに当てております。これが現在定員が三十四名ということになっております。たとえば、指定職でございますと統幕議長、幕僚長、陸の方面総監、自衛艦隊司令官、海上の地方総監、航空総隊司令官、幹部学校長等々。それから将(二)の将、これは教育航空集団司令官、学校長、補給処長、航空方面隊司令官等、こういうことで分けております。  将(一)、これは指定職の俸給をそのまま使って指定職と同じように扱っております。最高は統幕議長、これは事務次官と同じ指定職の十一号に入っております。
  212. 受田新吉

    受田委員 それが私は不賛成なんです。いいですか、いまや一般職はもう各省の部長クラスまで指定職にしておるのですよ。御存じないですか。将補を経て将になるのですよ。将補というのは各省の部長クラスですよ。将となりますとこれは当然指定職ですよ。一般の指定職の十一等級に分けていいじゃないですか。十一の将、統幕議長を頂点として、将になっている期間というのは五年か六年しかないですよ。その五年か六年を(一)と(二)に分けてまで処遇せぬでも、一般職の指定職と同じような比率で十一等級ぐらいに分けてしかるべきです。これは遠慮する必要はないです。むしろ各省を見てごらんなさい。もう部長で行(一)から上へ上がっておる者がおる。局長は例外なしに指定職になっている。部長でなっておるのもいる。給与局長、部長が指定職になっているのはおおよそどれくらいございますか。
  213. 茨木廣

    ○茨木政府委員 いま人数ははっきりしませんが、大部分の方がなっているはずでございます。
  214. 受田新吉

    受田委員 どうですか、各省の部長クラスが行っているのです。将というのは将補がその下に一つあるのです。将補を経て最後の幕引きをするところですよ。将になって五年か六年しかない。それを二階級に分ける。一般職の指定職ともう一つはそれに及ばぬものとある。各省は部長クラスまで行っているということになれば、将は局長以上ですよ。遠慮する必要はないですよ。小刻みのことは必要なし、士気にも影響する。是正を要望します。
  215. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 先ほど申しましたように、指定職ポストである将(一)の定員が五十ということでございますから、一般各行政官庁と違うことは違いますけれども、指定職の占める数五十というのはそう少ない数字ではないと思いますけれども、今後少しずつでも指定職の方に格上げしていく。指定職は御承知のとおり将(一)は一等級から十一等級までございます。その定数をさらにふやすことには努力したいと思います。
  216. 受田新吉

    受田委員 防衛庁でなくて一般職へ入ります。  一般職職員給与の中で、私、毎回この法案の審査をしながら思うのです。長い間第一線で苦労している職員が奮励努力して、五十近くになって、一般職の場合であるならば、大体五等級、枠外昇給の間差の低いところへまだ滞っている。四等級、三等級と行くポストがない。ポストがなければ級別定数をふやして、ポストにあらざる職員の四等、三等というようなポストをふやしていけばいい。その配慮をすることによって公務員の士気がわきますよ。また税務職とかあるいは警察、公安職とかいう方々には特三という階層がある、そういうところを一般の三等まで持っていく。特に税務職のような、今度田中氏や小佐野氏やら、児玉君のような脱税の親玉——田中氏は脱税しておるかどうかわからぬから田中氏は別にしましょう、いまの脱税ではないかとされておる皆さん、特に児玉君などの場合はもっと念を入れて職務に精励すれば実態がつかめた。黙っておれば国民からにらまれぬでも済む、一生懸命働こうとすれば大変な苦労をしているというような職種、そういう職種には、課長とかその他のポストがなくても、専門相当官としてこれと同じものにしていくという道を当然開くべきです。いわんやちょうど終戦直後にたくさんの職員を採用した、他の官庁よりも大変多く採用した官庁がある。そういうところ、いま防衛庁の中だって、防衛施設庁におるかつての調達庁の方から来た人は——施設庁どなたかおられるかね。その人々は、戦後就職したけれども、三十数年でちょうどいま五十歳から五十五、六歳のところがたまっているわけだ。そういう人に与えるポストがないということになれば、これは相当者として等級だけを上へ上げていく。待遇をよくしてあげる。職名はなくても官の方で上げてあげるという配慮をすべきです。予算の問題もあろうが、終戦直後大量に就職して道を開いた、戦後の民主化に努力をした公務員、ちょうどいま頭でっかちになっている人々に、ポストのないところは官を上げてあげるという配慮を思い切ってやるべきだと思うのです。毎回ここで指摘しているのですが、改善をしておりますかどうですか、人事院
  217. 茨木廣

    ○茨木政府委員 一般職範囲に入っております施設庁関係の職員については、各省庁の関係と均衡をとりながら級別定数の取り扱いをいたしております。
  218. 受田新吉

    受田委員 均衡の中に、終戦直後大量に採用した人がそのままずっと上がった役所がある、そういう役所の分を特別の配慮をせよという要請でございます。
  219. 茨木廣

    ○茨木政府委員 それは各省庁の人員の年齢別分布というようなものを絶えず吟味をいたしまして、そういうようなことについて配慮を払わせております。
  220. 受田新吉

    受田委員 人員別の中にそうした偏った役所がある。そのときには、ちょうど固まったところの数によって配慮しておるかどうかです。
  221. 茨木廣

    ○茨木政府委員 原則的には級別定数の問題は職務を評価するというやり方でございますけれども、それぞれの等級に在級している人の状況によりまして、評価がどの程度運用上緩和と申しますか、そういうような要請にこたえることができるかどうかというようなところを吟味しながらそれを絶えず配慮をしておるつもりでございます。その際にある一定のこぶがありまして、そのこぶをいつ通過するというようなこと等も配慮しながらある程度の配慮はしていかなければいかぬだろうということで、そういうことになりますとやはり暫定的な形で定数を出す必要がある。そこで二課には私は各省と文章で約束をしろという話をしておるわけであります。何年経過したら取り上げるということをやりませんと、各省の立場では、あの人事課長のときには何ぼもらった、この人事課長のときには何ぼ取り上げられたということになると、なかなかそれに応じない。応じないならば私の方も出すわけにまいらない。特にことしあたりからそういう態度をとれということを実は強く申しておるわけであります。
  222. 受田新吉

    受田委員 非常に大事なところを答弁された。いま非常に頭でっかち、ふくれている。五十歳前後がたくさんおる。そういう役所を、そのときは臨時的に暫定的な措置で三等級なり四等級なりの級別定数をふやす、また税務職とか公安職の場合は特三というのも含めて一般の三等を大事に考える、こういう配慮をして、ある期間でそのでっかちが終わったらそれをまたもとへ返す。そういう救済措置は融通無碍でいいと私は思うのです。ところが、各省は一遍実績を取ったら絶対数に放さぬぞということが問題になる、私そう思います。そう思いますが、現に窮状を救うにはそうすべきであって、そういうときにはまた、もう頭でっかちが直ったから余りにも大きな数になったのを漸次縮小せよ、それは世論もまた当該組織人も納得すると思うのですよ。いまの時点を救うというのを、将来減らさなければいかぬときにがんばって減らさぬと言うからといってやらぬでおってはいかぬ。総裁一言。
  223. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 等級別定数は、局長申し上げましたように本来的にはむろん職務の重要性なり複雑性なり困難性というものを評価して決めるべきものでございます。ただ御指摘になっておりますような、こぶという言葉がいいかどうか存じませんが、要するにそういう実態があることは事実であります。それに対応いたしますためには、余り厳密な本来的なことを、人事院としてそういうことを言うのはいかがかと思いますけれども、それでは対処できないという限界があります。したがってそういう配慮はいままでも事実やってまいっております。ただ、見方によってはまだそれでは十分じゃないのじゃないかということがございますけれども、しかし大きな波がずっと押し寄せてくる、それを従来のような等級別定数というようなことでおさめていくことはとうていできない。したがってそれに対する対応策は私も賛成であります。そういう方針で参ります。むろん乱に流れては困るし、したがってそのこぶが軽快いたしました後はまた返していただくというようなことをやりながらこういう事態には対応するということは、ひとつ積極的にやりたいと思います。
  224. 受田新吉

    受田委員 その処置をお願いしたい。  もう一つ総裁、私、大変厄介な問題が一つ総裁の御担当の中にあると思うのです。それは検事の俸給、これはなかなか人事院総裁の言うことが聞かれていない。  それからもう一つ、今度は外交官。検事の場合は充て検ということで、検事の職務の方が給料が高いから、法務省の役人になっても前の給料をもらっておる、充て検。これが今度公使に、名称公使というのがおる。名前だけを使って公使になっておる。特命全権公使は日本で四人しかおらぬ。あとは名称公使。その国々に行くと、やはり向こうは、公使という形でないと対外交渉するのに悪いというので、参事官を名称公使にしておるのです。この人々は参事官の月給しかもらっておらぬ。参事官までは一般職です。それから検事は、これは一般職です。どちらも総裁の御所管。ところが、検事の場合は前にもらった俸給が生きておる。これは多い方を取るという意味で、われわれも問題があると思ったが、一応優遇の意味で見逃しておるわけですが、今度外交官で、公使の職務を行っているのが参事官の給料しかいただけない。在外勤務手当で特号を設けたというようなそんな問題じゃないのです、これは。つまり公使の職務を行っていれば、国家公務員法六十二条の、給与というものは「職務と責任に応じてこれをなす。」と書いてある。だから、その職務を行っている人には、参事官でなければいけないとすれば、参事官公使との差額を名称公使手当として別に出していくとか、私は、公使の職務を行っている者はそれを、特命全権公使であろうと名称公使であろうと、今度の特別職俸給表は、あの公使の等級のどれかよりはいいと思うのです、公使の職務を行っておるのだから。これは給与体系からいっても、公使の職務を行っておりながら参事官の月給を払っておるというこのやり方は間違いだ。外務省ひとつ御答弁を願いたい。
  225. 大木浩

    ○大木説明員 いまの名称公使の取り扱いでございますけれども、実は公使というものの概念が戦前と最近では非常に変わってまいりまして、従来公使というのは公使館の長、つまり国によりまして在外公館が大使館であったり公使館であったりするわけでございますけれども、従来は、国によりましては大使館ではなく公使館というものがあって、その長が公使ということになっておったわけでありますけれども、最近では大分その使い方が変わってまいりまして、在外公館はほとんど全部大使館、したがって公館長は大体大使、それから公使というものは在外公館の首席ではなくてむしろ首席以下、次席ないしは三席、そういうような方々が公使ということで、日本ばかりでございませんで、国際的に公使という名称が使われております。その中で、特命全権公使になるか、あるいはただの名称公使になるか、これは国によっていろいろ使い方が差がございます。  それで、現在日本で外へ出しております公使の中で、先ほど先生がおっしゃいましたように、特命全権公使という名称を持っているのは四名、それから一般の普通の公使、いわゆる名称公使の者は三十一名でございます。それで、日本の役人の年次、経験その他から考えますと、現在名称公使と言っておりますのは、日本の俸給表の大体一等級ないし指定職ということで、言うなれば一般職の中の範疇に入るかと存じます。したがいまして、国内の方の俸給につきましては、これは一般職のスケールの中で考えていきたい。ただし、いま先生もおっしゃいましたように、公使というものの職務は非常に重要でございますので、在勤俸につきましては大体名称公使を対象とする特号というものを設けてございます。これは、普通の参事官と特命全権公使とのちょうど中間ということで一般職の一番上のところに当たるわけでございますけれども、在勤俸についてはそういう特例をしておりますので、具体的な数字の多寡といたしまして、一応制度的には名称公使に対しての措置をとっておる、こういうことでございます。
  226. 受田新吉

    受田委員 いまの四名の特命全権公使、ここに、特別職給与表の公使というランクの中に一、二、三、四と四号あるのです。わざわざ大使が五号俸公使が四号俸となっている。その四号という公使のところへたった四人しかおらぬ。このたった四人のために公使という枠をつくっておるような感じですよ、これは。三十何名を一緒にされて、三十数名の名称公使大使は百名もおる。公使はたった四人のためにこの俸給表をつくっておる。これはおかしいじゃないですか。公使公使で、これはきちっと、これを中に入れると何かぐあいの悪いことがあるのですか。予算の都合ですか、何でございましょう。
  227. 大木浩

    ○大木説明員 従来、先ほど申し上げましたように、公使というものの概念といいますか、一般的な使われ方が国際的にも最近変わっておりますので、現在の俸給表というものが昔の公使がかなりおったときからだんだん修正されてきておりますので、現在のところは、公使が二種類併存しておるわけなので、現実には公使事官というような形で各国でも使っておりますので、一応参事官ということで、ただし名称は公使をいただいて、それに基づく、実際にはいまの公使にふさわしい俸給をできるだけつけていただくというようなことで努力しております。
  228. 受田新吉

    受田委員 どうも私は言いわけをなさるような気がする。ちゃんと公使という俸給表を総理府から出しているのです。総理府はこの問題を人事院とも相談をされて——公使の職務を行っているのですよ、現に。職務と責任において俸給をつけると書いてあるのだ、人事院の担当している国家公務員法には。その趣旨に反して、公使というのは名前だけであるからという、そんな名前だけで——仕事は参事官の仕事をしておるのじゃないのですよ。事実公使として対外交渉に当たっておるのですからね、これは名称であろうと何であろうとりっぱな公使です。その公使の職務をやっている、その職務と責任に公使俸給表、もし公使の四号俸が昔のものであって、この四階級が狭いというのであれば、それを六にも七にも広げたらいいですよ。参事官から上がる名称公使のために、しっぽへも、一、二、三、四の上へ五号、六号ぐらいつけて、二号俸ぐらい足して公使のランクで守ってあげればいいですよ。私はそこがおかしいと思うのだ。だから、公使の職務を行う者については公使の給料を上げるべきです。  私は、人事院総裁がまじめなお方だから余り申し上げないのだけれども、参事官人事院だが、公使になったら特別職だから人事院の所管外になる。外になるが、その給与実態というものは、職務と責任において給与が出るということは総裁はたびたびここで言っておられる。その趣旨に合致するように外務省に御努力を要望しておきます。もう時間も参っておりますので、これはあえて何回も申し上げるのだが、職務と責任に応じた給料という体系を崩していただきたくない。外務公務員の待遇改善にもなるじゃないですか。対外的に公使として実際に働いているのですよ。あれはかわいそうですよ。私はそのことをあえて提唱いたします。  最後に公務員宿舎。公務員宿舎というものは一体どの程度に進行しておるのか。いま自衛官の宿舎が足らないとおっしゃった。公務員は安んじて職務に従事するためには、転任の多い職種があるが、自衛官もそうですけれども、そういうときに、転任していったらもう住まいがあるのだというのと、家を探さなければいけないのとでは士気にも関係しますからね。やはり小なりといえども公務員宿舎というものが一応整備されて、かつてイタリアが、昭和三十五年、あそこでオリンピックをやったときの選手村を公務員宿舎に開放して、外国では公務員の宿舎は完備しておる。大体の先進国はそうなっておる。日本はそれを、小なりといえども宿舎を提供していく、転任しても安心してそこへ行ける、こういうことが公務の遂行、士気にも関係しますので、これがどの程度に進んでおるのか、今度これはちょうど住宅手当一般職の法案の中に出ておるのでございますから、この差額支給ということにもなっておることでございますから、あえて政府の現在における公務員宿舎の状態、特に転任の多い職種に対する配慮、今後の見通し、簡単に御答弁願いたい。
  229. 茨木廣

    ○茨木政府委員 パーセンテージで申し上げますけれども、公務員宿舎、専用宿舎と申しますか、寮等を含めてでございますが、四十二年当時が大体全体の二八%程度の人が入っておったわけでございますが、五十一年の調査でございますと三六%程度の方が公務員宿舎等に入っております。
  230. 田中哲男

    ○田中説明員 宿舎事情の現状でございますが、五十年六月一日現在でございますけれども、住居安定率、これは、自分で家を持っている者など、それに宿舎戸数を加えますと住居安定率というものが出るわけでございますが、全部で九七・二%という数字になっております。
  231. 受田新吉

    受田委員 そうすると、後には二、三%しか住居の必要な者がないということですか。
  232. 田中哲男

    ○田中説明員 これは職員数と安定数の比率でございまして、職員数だけ宿舎がそろっているというわけではございませんが、自分で住居を持っておる者、あるいは借りておっても非常に安定している者などがございますのでこういう高い数字になるわけでございます。
  233. 受田新吉

    受田委員 これは大変勝手な数字をお挙げになったと思うのですが、住居が安定しておると言うけれども、事実住居が安定しておるのですか。借家で安定と言うけれども、借家というのは、安定していないから家を借りておるのです。だから、転任したところで必ず住居が安定しておるという対策がとれておるかどうかを聞いたのです。後二・八%しか残っておらぬという話ですが、われわれが聞いているのは、転任していった先に住居がないというので四苦八苦している実情を多く訴えられておるからです。こんな数字で住居安定——はっきりひとつお聞きするが、いまの、五十一年の三六%という人事院のお話、これは公務員宿舎ですね。
  234. 田中哲男

    ○田中説明員 お答えいたします。  公務員宿舎の保有率といたしましては、先ほど申し上げました五十年六月一日現在で三〇・三%、これは全国の平均でございます。そのほか、申し上げましたように自分で家を持っている者、あるいは借家で安定している者などを入れますと九七・二%という数字を出しております。
  235. 受田新吉

    受田委員 それがいかぬと言うのです。住居安定ということではなくて、やむなくそういうかっこうになっているということを、十分実態を調べなければいかぬ。人事院として、実態調査していただきたいのです。転任をしていこうと思っても、特に転任の激しい職種などは行ったところに家がないために一家挙げて苦労しておるのです。こういう配慮をあえてきょう要望しておきます。いまの大蔵省の話は、公務員の住宅事情は緩和した、ほとんど完成したというような大変な答弁をしておられるわけです。人事院としては住宅事情を調査する責任があるわけです。住宅手当を創設されて以来相当年数がたったわけです。人事院から見た住宅事情……。
  236. 茨木廣

    ○茨木政府委員 国家公務員給与実態調査の際に、あわせてどういう種類のものに住んでいるかという調査をやるという角度から私どもやっておるわけでございますが、安定調査という意味ではございません。そういう意味で言いますと、先ほど申し上げましたものが公務員宿舎系統でございますし、自宅が四八・八、それから借家借間が一四%ございます。これが主として今度の住宅手当改善の対象になるわけでございます。その他一・二というものがございますが、これは細目はわかりません。大体そんなような内容になっております。
  237. 受田新吉

    受田委員 大蔵省としては、今後公務員住宅政策をどうおとりになろうとしておるのですか。
  238. 田中哲男

    ○田中説明員 宿舎の今後の計画でございますけれども、官署の新設あるいは移転などに伴いまして新規に発生する需要がございます。こういうものに対してはもちろん対処していく計画でございますし、あるいは首都圏、近畿圏などの大都市部における宿舎不足という事情がございますので、そういうものにも対処いたしまして宿舎の新設を行う計画を持っておりますほか、現在すでに相当年数がたっております老朽のもの、あるいは木造で老朽しているもの、こういうものがございますので、そういうものを用地の効率的使用の見積から、立体化を要するものを建てかえるという計画もございます。  こういうものをしまして、先ほど申し上げましたように、現在高い充足率というふうに私どもは見ておりますが、今後さらに一層これを上げていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  239. 受田新吉

    受田委員 その点はひとつ人事院実態調査をもとにして、また現実を尊重して強力な推進を要請しておきます。  いま一つ公務員が安心して職務に精励するためにはこうした給与改善が必要であると同時に、公務員の犯罪が一体どうなっておるか、法務省が調べておられる公務員犯罪というのをちょっとお示し願いたい。
  240. 山口悠介

    ○山口説明員 法務省の法務総合研究所というところで毎年作成しております犯罪白書によりますと、昭和五十年の公務員犯罪の検察庁で受理した人員数は一万九千二百六十二人となっておりまして、昨年と比べますと三百七十三人の増加ということになっております。この三百七十三人の中で特にふえたものは何かといいますと収賄罪、これが二百十七人ふえているという点が特徴として挙げられると思います。
  241. 受田新吉

    受田委員 国家公務員だけで一万九千二百六十二人という犯罪。防衛庁の犯罪はどうなっておりますか。自衛官の犯罪。
  242. 山口悠介

    ○山口説明員 いまのは公務員全部です。
  243. 受田新吉

    受田委員 これは入っておる。収賄が二百十七ふえたということでございますが、公務執行の上で、賄賂事件というようなものを一切なくしていきたいとわれわれ願っております。  公務員の職務執行上の注意等をやる役所はどこでございますか。
  244. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 防衛庁の隊員によります五十年の刑事事件は千四十三件でございます。四十六年あたりは千三百二十一件あったわけですが、年々減ってきております。もちろんこの中には収賄とかそういったものは全くございません。交通事故、業務上過失致死傷とか道交法違反が六百数件、それから若干窃盗とか傷害罪、そういうものがありますが、収賄罪とかそういう経済犯罪的なものはございません。
  245. 受田新吉

    受田委員 これらの問題については、人事院が懲戒処分にした概況をきょういただいたこの中に拝見したわけです。人事院がいまの事件の処理、行政処分をした数字をここへ出していただいておりまして、いずれにしても、公務に安心して精励してもらう、国家公務員あるいは地方公務員たる権威を保って、国家国民に安心してもらえる公務執行をしていただく態勢、これは常に行政府の責任者が温かい愛情を持って公務員を叱咤激励、ともに国民全体の奉仕者としての使命を果たすような配慮をしてほしい、これを要望しておきます。  質問を終わるわけですが、いまちょっと法律解釈論で残っている問題があります。  さっきの論議代理と代行との関係についてですが、法制局どなたか来ておられますか。——これは内閣法による国務大臣の事故あるときの代理、臨時代理、その職務執行上の法律的な関係と、それから政務次官に大臣不在の場合に職務を代行せしめる場合と、代行と代理との権限関係で相違がありますかないですかということです。
  246. 味村治

    ○味村政府委員 内閣法によりますと、先生のおっしゃいますように、大臣不在のとき、大臣が事故あるときは臨時代理を指名いたします。それから政務次官につきましては、大臣の命を受けて代行するという規定になっております。代行と代理というのは法律上の言葉といたしましては、代理と言えばいわゆる法律行為、契約とか命令をするとか法律効果を伴う法律行為でございますね、法律行為について代理をするというのが代理でございますし、代行というとそれよりもう少し広く、そういう法律効果を伴わないような事実上の行為、これをかわって行うのが代行だ、このように言われております。しかしながら、この内閣法で言っております代理、これは大臣の臨時代理を命ぜられました大臣が、その命ぜられた大臣の職務につきまして、法律行為以外の事実行為も行うことができるというのは言ってみれば当然のことでございまして、そういう意味代理も代行も、内閣法に使われております代理とそれから国家行政組織法に使われております代行と意味はほとんど変わりがないと存じます。  では、具体的にどういうふうに違うかということでございますが、これは結局政務次官の場合には大臣の命を受けて、こういうことになってございますので、大臣の御命令があり、その御命令の範囲内で職務を代行するという点が違うだけではないかと存じます。
  247. 受田新吉

    受田委員 もう一つ政務次官が大臣の代行をなさるとき、大臣の職務を代行するわけですね。国会で法案を提出した大臣が、国会提案理由説明をする責任があるかないかという問題です。それは別に大臣でなくても、大臣がおっても政務次官にやらしてもいいというような問題かどうか。
  248. 味村治

    ○味村政府委員 これは、国会の慣例等もあると存ずるのでございますが、法律案政府が提出したわけでございますので、政府といたしまして、その提案理由趣旨説明するというのに一番適した方がおやりになるというのが当然だと思います。そういう意味で、大臣が普通は趣旨説明をなさるわけでございましょうが、しかし政務次官政府の言責としまして、その提案理由趣旨説明をなさるということは、別に法律的な違法とかそういう問題は生じないかと存じます。
  249. 受田新吉

    受田委員 法律的な違法という——職務代行ということを言うので、普通の場合はということですから、いまのは大臣であっても政務次官であってもというような認識になれば、これは大臣がおるのに政務次官がやるというような慣例が起こってきたら大変なんです。そういうことで私いま質疑をしたわけですが、大臣がそこにおるのに大臣が出ないで政務次官説明をするというような国会無視の傾向が起こるのを平然と法律上はどっちがやってもいいというような解釈であるというと問題が起こるわけです。職務代行というのは、大臣には法案を提出する責任がある、提出したその法案の説明をするのは当然大臣の責任と思うのです。だから、それは政務次官がやる場合は、代行するという場合に当たると思うのです。これはまだ法制局としてはこういう国会に対する気がねがあり、またいろいろあるから思うようにいかぬだろうと思いますが、十分検討することにしておきます。きょうはその意味でいま幾つかここで懸案の解決を要望した問題がありまするので、後ほど十分御検討をいただきたい。  質問を終わります。
  250. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 上原康助君。
  251. 上原康助

    ○上原委員 給与関係について少しばかりお尋ねしたいのですが、できれば少し時間をとっていろいろこの法案と関連する問題などもお尋ねをしたかったのですが、けさほどの理事会の模様なり、あるいは国会全般の日程からして今臨時国会余りゆとりもなさそうな気がいたしますので、どうしてもきょう二、三点お尋ねをしておかなければいかない点について質問をしておきたいと思います。  そこで、まず最初に人事院勧告のあり方についてでございますが、これは勧告がなされるたびに、あるいはまた給与法案を審議する過程でも絶えず指摘をされてきたことなんですが、現在の仕組みなり制度のあり方からして、大体七月ないし八月の勧告というのはあるいはやむを得ないという気もしないでもありません。しかし、公務員の皆さんにしてみれば、勧告をされても給与法案が実際に国会に提出をされて、その新しい給与を手に取るまでは半年ないしそれ以上の期間がかかるときもある。そういうことで、本委員会でも附帯決議なども付されて、勧告時期の問題と早期支払いの件について議論がされてきました。そういう現在の人勧のあり方なりあるいは勧告をもっと早めて支払い時期も早期にやる、そういう方法は一体ないのかどうか、この件について人事院としてはどう御判断なり御検討をしておられるのか、承りたいと思います。
  252. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人事院勧告の時期の問題でございますが、これは従来われわれもわれわれなりにいろいろ検討してまいっておりますし、また国会でもいろいろ御論議があるところでございます。  ただ、この点につきましては、現在の給与勧告の基礎というものが官民給与の比較ということをやっておる、それをたてまえにしておる。といたしますと、民間の企業の給与実態というものをやはり一番変動を多くするそういう時期、実態がなるべく網羅的に把握ができるという時期を選ぶことが、これは必要であろうと思います。そういう意味から、これはもう長い間になっておりますが、民間においてはいわゆる春闘ということが一つのたてまえになって、長い間これが続いてきておるわけであります。その時期に給与改定の問題が集中をする、全部が全部であるというわけではございませんが、集中をする、やはりそういう現実の姿というものは、これは無視するわけにはいかないということがございます。  これは将来民間のそういう実態がいろいろ変わってまいりますれば、おのずからまたそれに対する対応策というものも別個のものが出てくる可能性というものが、これは絶無ではございませんけれども、しかしいまのたてまえというものがある限り、やはりこの春闘とその時期というものを故意に外していくということはできないということがございます。といたしますと、この時点を中心として調査をし、また集計をする、その結果を待つということに相なりますると、毎年これは統計局にも大変なお世話をかけておりますし、またわれわれの方の事務当局といたしましても非常に集中的に、大変な苦労をして精力的に事務に取り組んでおりますけれども、そこにはおのずから事務的、技術的な限界というものがございますので、どうしてもやはり時期的には八月ごろということにこれはならざるを得ないという現実の姿というものが、これはいまのところちょっとほかに考えようがないのではないかと思います。  ただ、この場合に、場合によりましては勧告が出た後で実際上の措置というものがおくれるというような姿が従来ございました。その点はわれわれといたしましても大変残念なことでございますので、できるだけ早期に実施をしていただくということで、政府また国会にもその点の要望を申し上げて御努力をお願いを申し上げてきておるわけでございます。しかし給与法定主義というこの一つの枠というものは、これは現在のやはり法律制度公務員制度のたてまえから申しまして、これを取り外し去るわけにはまいらない。また事実、公務員給与をどうするかということは国会で御審議をいただくというのがこれは私はたてまえとしては筋であろうというふうに考えております。そういう一つの限界がございますために、国会の御都合その他もございまして、これが時としてはかなりおくれて実施に移されていくというようなことがあったことは事実でございます。  これに対して何らか便法がないか、改善策がないかというようなことで、午前中にも議論がございましたが、総理府を中心にいろいろ問題点を検討をいたしまして対策を考え、またその利害得失について種々比較検討をするというようなこともやっていただいておるわけでございますが、それなりにおのおのやはり問題点はあって、いまの制度を根本的に改めてという名案がなかなかございません。そこで、やはり最も正規の方法といたしましては、勧告が出ればこれをできるだけ速やかにひとつ法案として御審議をいただき、成立をさしていただくということが一番の筋ではないかというふうに考えて、いままでもやってきておる次第でございます。しかし、いまの制度のたてまえというものは、これが唯一絶対であって、これ以上のことは全く考えられないというような不遜な考え方もわれわれは持っておりませんので、なお問題点を十分ににらみ合わせながら、これらの改善策についてはさらに引き続き検討を加えていくという態度はひとつ続けてまいりたいと思っております。
  253. 上原康助

    ○上原委員 確かにお答えのようになかなかむずかしい問題であるとは思うのです。さらに公務員給与法案というのはあくまで私も国会審議をいろいろやっていくべきだと思います。その法定主義的なことをどうということじゃありませんが、やはり気になるのは、支払い時期が国会の都合によってかなりおくれるわけですね。仮に勧告が早期にできたにしましても、国会の都合でおくれるという場合もあるわけで、そこらのことについては、もう少し総理府なり人事院でいろいろ御検討いただいて、国会にもそれなりのまた勧告なりあるいはもっと促進をしていく方途というものを講ずるべきじゃないのか、こういう感じがいたします。この点についてぜひ御検討をさらに進めていただきたいと思います。  それともう一点は、私も不勉強で余りわかりませんが、現行給与表が制定、実施されたのがたしか一九五八年ごろですか、その当時の職員の分布状況なり等級格づけの問題、今日の時点と比較してみますと大きな変化が出てきているわけですね、御案内のように。したがって、ここいらのことについても果たして等級別の職員の分布状況と現在の給与表なりいろんな面で適合しているのかどうか、そこいらの点についてもいま少し検討をしててみる必要はないのかどうか。この勧告のあり方問題を含めて全般的に私申し上げているわけですが、その点はいかがお考えですか。
  254. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在の俸給表制度ができましてからかなりの期間が経過いたしてまいっておりますことは御指摘のとおりでございます。特にその中で、戦後大量に公務の場に入ってまいった方々がございます。その方々が一つのピークをなしまして漸次年限が経過をして今日に至っておるということがございますので、平均年齢というものが上がりますと同時に、そのピークに当たる人員構成の部分というものが着実に毎年移動してくる、高年齢の方に移動してきておるということも、これは現実の姿として事実でございます。  そこでわれわれといたしましては、等級別定数というのはこれはそれぞれの役所の職務の内容というようなものについての評価をいたして、それの責務と責任と重要度というようなことをしさいに検討いたしました上でこれを決定していくべき筋合いのものであるとは思っておりますけれども、しかし現実にいまのピークの点がだんだんと高年齢の方に移ってまいるというような事実がございます。そういうようなことから、問題点としては十分承知をいたしておりまして、そういう点が通過をいたしまする等級等につきましては、本来のたてまえから申せば若干問題点がなきにしもあらずと思いますけれども、現実のそういう事態に対応するためには処置をいたさなければ何ともならないというような点もございますので、それなりの対応策は講じてまいりておるつもりでございます。  なおこれは、しかし全面的に十分であるというふうに各省においても御納得をいただくまでには至っておらないと思いますし、また組合の方々にもいろいろの御要望が毎年出されておるということも事実でございます。したがいまして、われわれはたてまえを全面的に崩すということではなくて、この事態に対応するため毎年努力をし、改善措置を講じてきておるのでございまして、これからもまたこの問題に積極的に取り組まなければならぬ時期を迎えておりまして、作業を開始しておるというような段階でございます。  この点につきましては先刻もちょっと問題が出ておりましたが、場合によりましてはそのピークが移動するに従ってできる限りのそれに対する措置を講じますとともに、それが経過をしてしまいます暁におきましては、それでもなおそのままにしておくというのでなくて、その場合はその場合で現実の姿に合わせてまた是正措置を講ずるというようなことをやっても、その点私はやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、それらの問題を含め、さらには根本的に俸給制度自体の問題等も含めまして今後精力的にひとつ検討を加えていきたいというのがわれわれの立場でございます。
  255. 上原康助

    ○上原委員 細かい数字のことについては触れませんが、私は何も公務員の方々が上の等級なり号俸に行くことをどうしようということじゃないわけです。当初のこの給与法ができた段階と現在、もちろんそれは行政の機構なり業務量がこれだけ拡大されてきているわけですから、それもやむを得ないでしょうし、勤務年数なり職務分限によって、そういう従来七等級なり八等級に集中しておったのが現在は六等級あるいは五等級の方に集中して、いくというのもやむを得ないと思うのですが、それだけで給与全体を従前どおりに見るというのも余り科学的でないのじゃなかろうか、私も十分調べたことじゃありませんが、そこいらをいま少し検討してみるのも、もっと公務員の現場の方々の要求に沿えるような点が出てくるのじゃなかろうかということで申し上げている点を指摘しておきたいと思います。  いま一点は、この点と関連するのですが、指定職がどんどんふえてきているということです。数字的に申し上げますと、一九六五年の指定職制度が設けられた段階では、たしか三百六十五人がその指定職としておったわけですが、七六年段階では千二百七十九人、約千三百人にふくれてきている。およそ三倍ですね。こういうふうに年々ふくれ上がっていくということはやはり問題があるのじゃなかろうか。また、この調子でどんどん拡大をしていっていいものかどうか、幾分疑問が持たれるところなんです。この件についてはどうお考えなのか、これも御見解だけ承っておきたいと思うのです。
  256. 茨木廣

    ○茨木政府委員 指定職の問題も一般行政職(一)俸給表の方の級別定数の推移とやはり似たような傾向をたどってきているわけでございます。当初、指定職俸給表をつくりましたときは、ほかの一般俸給表についてもやはり等級新設の場合にはそういう考え方をとっていますが、逐次人員をそこに出していく、こういうような考え方をとっております。ですから、当時は事務次官とか非常に上の方のしぼった人数だけを出してまいったわけでございますが、それが本来、当初予定しておりましたように局長、局次長、部長というふうに、大体本来の予想されるところまで最近は行政職系統で言いますと下げてまいったというのが実態でございます。それでも大体三倍程度のものになってきておる。同時に、これは行政職だけでなくて、お医者さん、それから研究職、教育職、特によけい倍以上になっておりますのは、倍以上というかもつとよけいになっておりますのは教育職俸給表系統でございます。四十五年からでも倍以上にふえております。  そういうような関係で、それぞれの系統ごとにバランスをとりながら、この指定職俸給表に人員を出してきている。大体行政職で言いますれば、民間の役職付と比較するところで言いますと、やはりいまの審議官、部長、次長、こういう層が指定職に大体上がりつつあります。その下があと課長クラスになりますので、大体そこで一線を画すべき時期にもう来ているのではないか。この前もちょっと触れたことがございますけれども、そういう要望もございますが、それはやはり行政職(一)俸給表上で対応していくべき問題だというところで、そこに一つの限界が来ているのではないか。  ただ、教育職等につきましては高等学校以下が大変給与が上がってまいっておりますので、大学、高専等についてはやはりこれに入ってまいります人数というようなものは、まだ今後ともふやさざるを得ない傾向にあるのじゃなかろうかという気持ちを持っております。
  257. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、一般行政職の場合、大体上限の数に来ているというような受けとめでいいですか。
  258. 茨木廣

    ○茨木政府委員 これは二つの面がございまして、各表の行政組織に変更が加えられて、予算時期に行政管理庁なり大蔵省でそういうものを認められますと、それに対応しますものは自動的にこちらの方でもつけざるを得ないというような面も出てまいりますから全くないとは申し上げかねますけれども、大体いまそういう例外の場合は別として、課長クラスとあれとの関係でいけばそういうことではなかろうか。これは民間との関係で言いますと約三%程度のものが民間には大体、こちらの給与比較の際使っておりますあたりで見ますと、千人当たり三・六人くらいの人数が役員というふうになっています。こちらの方は千人当たりで言いますと二・六人というような程度でございますから、そういう比率で言いますれば民間並みに緩めていいといえばもう少しまた緩める余地がないわけでもないというような感じなんです。その程度のことをいろいろにらみ合わせながら、一等級以下の詰まりぐあいというようなものも見ながら運営をしておるというのが現状でございます。  これはなぜあとの方を申し上げましたかと言いますと、課長が一等級と二等級にいま半々ぐらいに上がってきて、そこに課長補佐が上がり、以下係長が上がりというふうに、従来係長のポストであった五等級のところに主任クラスが上がってきているということで、逐次ずっと上がってきておるわけでございます。そういう点もございまして、上から下までずっと連動的に運営が行われているものでございますから、そういう点の苦労も一つあるわけでございます。
  259. 上原康助

    ○上原委員 何も人様の給与が上がることにけちをつけようという気持ちはないわけですが、余り際限なくやって拡大されていく、しかも人事院の権限でどんどん拡大をされていくということになると問題がありますので、後ほどまた民間とのことについては資料などもそろえて少し議論をしていきたいと思います。  そこで、次は具体的な点について一、二点お尋ねしておきたいのですが、特地勤務手当の件です。せんだって人事院給与局からいろいろ資料なども少しばかりいただいたのですが、私は、沖繩は特に僻地が多いので若干僻地回りもしているのですが、特地に勤務をしている公務員給与なり労働条件、先ほど宿舎の話もありましたが、いわゆる生活環境については、いま少し親身にお考えになってもいいんじゃないかという感じをひとしお持っているわけなんです。  そこで、この特地勤務手当について、現在の分布状況なり適用人員がどのくらいいるのかということなど少し明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  260. 茨木廣

    ○茨木政府委員 現在の特地勤務手当は六級地から一級地まで及び準特地という七段階ございますが、それに適用されておりますのは官署数で五百六十五、職員数で四千四百九十九というのが人事院で直接所管しておりますものでございます。
  261. 上原康助

    ○上原委員 約四千五百名の方々が特地勤務手当の支給対象人員になっているということですが、その中に準特地勤務手当受給者というのがありますね。これはどういうふうな取り扱いで準特地手当というふうに取り扱っているのか、この点についても少し説明をしておいていただきたいと思います。
  262. 茨木廣

    ○茨木政府委員 これは、特地手当制度改正しました四十九年に準特地というのができたわけでございますが、先ほどの四千四百九十九人と申し上げました中に、準特地関係の者が千九百六十六人でございます。約四割方が準特地でございます。これは六級地が一番特地性の強いころでございまして、これが二五%給与がアップになるわけでございますが、以下、二〇、一六、一二、八、四ということで、一級地が四%になっておるわけでございます。それに近い地域について準特地ということで、これはそういう地域でございますので、そこ自体ではございませんが、そのほかの地域からそこに移っていきましたときに原則三年間を限って、場合によっては若干期間を延ばすことがございますけれども、そういうようなものについて準特地ということで取り扱っておるわけでございます。十三条の三という条文がその関係の条文になっております。
  263. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、先ほどの特地手当の対象になっている官署の数ですね、五百六十五でしたか、その中にはいまの準の方も入っているわけですか。
  264. 茨木廣

    ○茨木政府委員 五百六十五というふうに申し上げました官署の中に、準特地官署というのが百五ございます。
  265. 上原康助

    ○上原委員 百五は準特地手当として取り扱っているということですね。  そこで、この指定基準の決め方の問題なんです。六級地が、御答弁ありましたように百分の二十五の手当がついているわけですが、これも資料は若干いただいたんですが、どうも現状に果たして即応しているかとなるといろいろ疑問があるわけですね。これの決め方が問題じゃないかということと、いろいろ指定基準のとり方、皆さんの資料によりますと「官署の指定級地区分は、官署の所在地の交通状況(本土からの距離、月間定期航行回数等)、公共施設等までの距離、生活環境等についての生活不便度を点数表により評価した点数を基本とし、職員の生活条件等を勘案して決定されている。」六級地が二百点以上、五級地が百六十点以上、四級地が百二十点以上百六十点までですね、三級地が八十点以上百二十点未満、二級地が四十点以上八十点未満、一級地が三十五点以上四十点未満ですか、こういうふうに一定の基準を決めておるわけですが、これについてはどういうふうな、いまここで言う交通の不便度の問題、生活の不便度の問題というようなことでなくして、この点数を決める実際の数値をとるいろいろなことがあると思うのですね、物価の問題とかその他あると思うのですが、これはもう少し具体的に説明をしていただきたいし、同時に、やはりもっと改定といいますか改善をする必要が私はあるんじゃないかという感じがするわけです。この点についてどうお考えなのか。また、僻地に勤めている公務員の方々の生活実態調査なり、物価の問題とか不便度の問題ですね、実際に人事院調査をした経緯があるのかどうか、その三点についてお答えをいただきたいと思います。
  266. 茨木廣

    ○茨木政府委員 これの、いまおっしゃられましたいろいろ点数の基礎になっておりますのは、前はとの制度は僻地手当と言っておりましたし、その次は隔遠地手当と、いわゆる僻地というよりも要するに隔遠地ということだったのでしょうが、その後だんだん交通その他も整備されてまいったというようなことから、隔遠地という考え方だけでもいくまいということで今度は特地というような名称に変えた段階で、多少文化度と申しますかそういうようなものに遠いというような感じの要素が相当強く見られてきたんだと思っております。したがって、先ほどの点数の基礎も、たとえば駅とかあるいはバスの停留所までの距離でございますとか、小中学校までの距離、郵便局までの距離、役場までの距離、診療所までの距離、総合的な病院までの距離、それから高等学校までの距離、この辺は子弟の教育のことを考えておるわけでございます。それ(らか)その近辺にあります市の中心地までの距離、その辺のことは買い物とかいろいろのことを考えておるわけでございましょう、そういうようなものの距離数によっていろいろ点数を与えるというような感じに陸の場合にはなっております。島の場合には、さらに今度は本土からの距離、本土からの月間の定期航行の回数、それから島の中の船着き場までの距離関係、交通機関のある部分、ない部分、それからあと、先ほど挙げましたような、陸と同じような小中学校とか郵便局、役場とか診療所とか、そういうものの基準、そのほか積雪関係の調整でございますとかあるいは電灯があるかないかというようなものの関係、それから、ぽつんと官署が孤立しておるのかということで集落からの距離がどの程度のところにあるかということ、あるいは単独勤務か二人勤務かというような勤務状況、飲料水が水道の水を飲んでいるのかあるいは天水を利用したり川の水をとっておるというような場合とか、それから、島の場合でございますと、はしけを使用する場合が間に入っておるかどうかとか、電話のようなものが利用できるかできないかとかいうようなこととか、あるいは不健康地であるかどうかというようなことでいろいろ加算点とか、いろいろな調整をする要素もその中に配慮してございます。そういうようなことで現在の級地のそれぞれの指定区分ができておるわけでございまして、それがいろいろ交通事情その他も違ってまいりますので、先ほど申し上げましたような特地というような名称に変えましたときに、そういう点数の見方等も相当緩和をして見方をしたのだと思いますが、そういうことで、時に触れましていろいろ検討しておる。  で、昨年からこの特地につきましては悉皆調査的に、現在指定になっておりますところについてその後どういうような情勢変化があるかということを三課の方で調査をいたしております。まだまとまったものは私の手元には参っておりませんけれども、いま集計、分析をしておる段階のはずでございます。それから物価の関係でございますが、この中には直接物価の要素は入れてございませんけれども、いまの距離の関係というのは、主としてそういうようなことで、奥地になりますについてやはりそういう意味の割り高になってくるだろうというようなところが考慮されましてそういう要素をいろいろとってきているということであるというように承知いたしております。
  267. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、いま全国的な調査をなさって、その結果について集約をしつつある。これは後でちょっとお尋ねしますが、せんだって私が酷暑手当問題を取り上げたときにもその趣旨の御答弁が、何か、会議録を見てみますとあるわけですね、局長の。調査の結果いかんによってこの特地勤務手当内容改善をするためにやっていると、あるいは、もちろん実態を掌握するためだと思うのですが、そういう改善をしたいというお気持ちは一応あるわけですか。それとも、だんだん文化、といいますか、そういう交通不便の距離感が近くなるからこの種の手当というものはだんだんなくしていくというような立場での後ろ向きの調査なのか、私は、まさかそうではないと思うのですが、そこいら、もう少し明確にしてください。
  268. 茨木廣

    ○茨木政府委員 それは、調査をいたします以上は、やはり合理的な検討を加えていくというような考え方でやっておるわけでございます。都会地の方もそれなりに改善をされ、文化度その他もいろいろ変わってきておるし、中小都市は中小都市でまた変わってきておる。奥地は奥地でやはり変わってきておるということはございますと思いますが、この関係は相対関係だろうと思います。都会地なり中小都市なりに勤務しておる人と奥地に勤務している人、あるいは島に勤務している人、それから内海に勤務している人と外海の島に勤務している人という相対関係が違ってまいりますれば、違ってまいったように考え直してみなければいかぬ。私も一昨年あたりから外洋上の島なり瀬戸内海の島等もいろいろ見ていますけれども、たとえば瀬戸内海の島で言えば、橋がかかったところはまあそういう孤島性が少なくなってくるわけです。それから高速艇でもって相当船便等ふえております。外洋の島になりますと、前より便利になったといいましても、天候が荒れますとなかなか大変だという話も島の人々に聞かされました。そういうような意味で、相対感覚が違ってくるわけでございます。便利になったから必ずしも落ちてくるというものではないと私は思います。そういう点をいろいろ考えながら、どういうふうにしたら合理化されるんだろうということを検討するように指示をしているところでございます。
  269. 上原康助

    ○上原委員 いま相対感覚あるいは相対関係と言われましたが、私もそう思うわけです。都市が交通にしてもいろいろな生活環境が整備をされればされるほどその波及効果は地方にも及ぶわけで、以前は新幹線がなかったがいまはある、高速道路もどんどんふえる。それだけ都市の公務員の皆さんだって利便は改善されていく。しかし、離島にいるのは、その何分の一、何十分の一しか実際には受けていないわけですね。そういう面で私はこの内容は早急に検討を加えて改善すべきだと思うのです。  そこで、奄美群島地域にしたって沖繩地域にしたって、あるいは陸地の山間地にしたって、私はさほど変わりはないと思うのですが、せんだって、私、南大東島に足を運んでみたわけです。本当に絶海の孤島ですね。聞きしにまさる不便があるわけです。しけになりますと、一月くらい船は着かない。現在でもはしけを利用する。もちろん飛行機はあるわけですが、以前はYS11が飛んでおったのが、復帰後はそれが飛べなくなって、小さい十九人乗りの飛行機にかえられた。それだけでも不便。水道はもちろんない、天水だけしか利用していない。こういう状況で気象台があって、そこにかなりの公務員が働いていらっしゃるのですが、切実な問題として出されているのは、特地勤務手当をぜひ上げてもらいたい。具体的な要求として、百分の五十まで引き上げるべきだということを言っているわけですね。それは職員団体の皆さんの切実な声ですから、それなりにお聞き取りいただきたいのですが、こういう離島で勤務をしている——沖繩本島から約四百二十キロ離れている。本土から、東京からすると二千キロ前後でしょう。そういう僻地に勤めている公務員実態については、宿舎の問題とかいろいろな面で政府としてはもう少しやるべきだと思うのですね。当面できることはこの手当の面で改善をしていく以外にないのじゃないかと私は思うのです。これは総務長官もよくお聞きになっていただきたいと思うのですが……。  実際に交通面だけでなく、島の生活環境だけでなくして物価の問題にしても、昭和五十年十一月段階で職員団体の皆さんで物価調査をしたのがあるわけですね。たとえば、しょうゆのキッコーマン一升びんは那覇では三百二十五円しているのが南大東島では四百二十八円、何と百三円の差があるんですね。特殊なものだけ挙げてみますと、味の素五百グラムのものが那覇では五百円しているのが六百五十円、百五十円高い。たばこはもちろん専売ですから、これはどこだって同じ値段ですが、一月くらい暴風やしけがあるとたばこが全部なくなるというくらい空からも行けない、海からも行けないというような状況があるわけですね。せんだっての台風七号、十三号あたりで相当被害を受けている、そういう状態ですね。食用油にしましても、那覇で五百三十五円のが六百三十五円、百円の差がある。こういうような状況で、一日に一回くらいはとらなければいけない卵にしても、那覇で一キロ三百四十円のものが南大東島では何と六百円もする、二百六十円の差がある。こういう数字を具体的に突きつけられてみますと、もちろんこれは専門家が見てどうか、そんなに差があるかという御疑問もあるかもしれませんが、私は当たらずとも遠からずと思うのですね。そんなに科学性のない資料だとは思っていないわけです。  こういう実態というのは、何も南大東島だけじゃなくして、与那国島にしましてもあるいは西表島にしても奄美群島にしても、大体同じような状況じゃないのか。このことをよく考慮に入れた場合には、いまの特地勤務手当のあり方というものを人事院としてはもう少しお考えになっていただいて、早期にこれらの僻地で勤務をしている国家公務員の皆さんに対しての手当をやるべきじゃないのかということを私は痛切に思うわけです。ぜひ改善をしていただきたいし、またそういう段階に私は来ていると思う。この点については総裁なり総務長官の方からも御答弁を賜っておきたいと思います。
  270. 茨木廣

    ○茨木政府委員 いまの大東島等の問題につきましては、いまそこにも見えていますが、私の方の迎参事官がごく最近まで沖繩の地方事務所長をしていましたので、その時代にずっと回りましたものをこの間局内でも各島々についての状況報告を実は課長クラス全員で聞いて、報告にまとめたものを配ってもらっていろいろ説明を受けたりして検討いたしております。今回の特地でも、外洋上の島と本土の中の特地との関係というようなものをよく吟味すべきものだろうという感じを実は抱いております。同時に、小笠原関係の島も似たような状態にございますので、その辺も両方あわせまして検討をさせておるところでございます。
  271. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特地手当というものの制度的な現実というものがどうなっておるか、問題点がどこにあるだろうかというような点を最近の実態に徴して明らかにしたいということで、先刻から給与局長が申しておりますような調査をやっておるわけでございます。その結果はまだ私も無論聞いておりませんが、結果が明らかになりますれば、おのずから問題点とそれに対策というようなものの必要性も浮かび上がってくるものだと思っております。私たちといたしましては、初めからこの制度はもう要らないんじゃないかというようなつもりで、その裏づけになるような事実、資料を徴するというような、そういう魂胆でもって調査をやるはずがございませんで、そういう点は冷静な立場から実態を把握いたしまして、その結果に基づいて、検討すべき点があればどこにあるのか、また改善すべき点があるのであればこうすべきではないかというような点は謙虚にひとつ取り組んで検討してみたいと思います。
  272. 上原康助

    ○上原委員 何か時間がえらいないようでちょっと困るのですが、できるだけ早目にまとめますので、委員長あとしばらく。  その点はぜひ早急に検討していただきたいと思います。これとの関連で、何度も取り上げるようで恐縮なんですが、しかし取り上げないとお役所の方も仕事をしていただけないという面もあるわけです。例の酷暑手当の問題については、私は今度の人勧に間に合わせて、できるだけ結論を出すようにという御要望を申し上げておったのですが、七月の私のお尋ねのときにはきわめてむずかしい状況にあるというお答えだったのです。しかし、うやむやにはしない、誠意をもって継続検討して早期に結論を出すということは人事院総裁は何回か明言をしておられるわけです。恐らくこれをうやむやにはしないと思うのですが、この特地勤務手当の問題と酷暑手当の問題というのは、ある意味では関連性が私はあると思います。しかし、沖繩全体の公務員という面からは性格的には異なる面もある。この点についても改めてここで早期に結論を出して、何らかの形での手当を支給できる方途を講じていただけるのかどうか、もう一度明快にひとつお答えをしておいていたただきたいと思います。
  273. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 たびたび承っておる問題でございます。私たちといたしましては、ときどき忘れないように言わないとやらぬということではございませんので、その点あくまで誠意をもってこれに対処しておるつもりでございますし、今後もそのつもりでやっていきたいと思っております。  先般の御要望の際に、今度の人事院勧告のときにというお話がございましたが、しかし私は率直なところ、いまは検討段階で問題点も多いので、ちょっと時期的にいってことしの人事院勧告にそれを盛り込むということは無理でございますということを、これははっきり申し上げました。しかし、問題を忘れているわけではございませんし、またうやむやにこれをじんぜん日を過ごしていくというつもりも持っておりません。繰り返して申し上げておりますように問題点がいろいろございまして、なかなかむずかしいことでございますけれども、これは誠意をもって問題に取り組んで、早期に何らかの結論を出すように努めたいということはさらにはっきり申し上げておきたいと思います。
  274. 上原康助

    ○上原委員 もう少し時間が欲しいのですが、もう少し申し入れておけばよかったですね。  最後に、総務長官は沖繩開発庁の長官でもあるわけですね。きょう私も公式に初めてお目にかかるのですが、かなり気むずかしい方ではないかと思ったのですが、なかなかユーモアがあって少しほっとしたのです。  そこで、先ほどの酷暑手当の問題なり特地勤務手当のことについても少し御所見を賜っておきたいのですが、近々沖繩にも行かれるということですが、最近の沖繩の経済状況というのが非常に深刻な問題を抱えているわけです。たとえば琉海という大手の海運会社が倒産の憂き目に遭うとか、もちろん会社更生法でやっているわけですが、これは沖繩の本土復帰と関係がないわけじゃないわけです。密接に関係しているし、県経済の混乱状況理由について地元銀行の専門家の方々が指摘をしている点は、一つは本土復帰による経済的な摩擦があったということ。二点目には海洋博に向け各企業、地場産業などに過剰投資と見通しの甘さ、誤りがあった。そして三点目には、これは全体的な問題として国際的な長期の不況ということ。あるいは四点目には、高度経済成長から減速経済への移行に伴ったひずみなどが指摘できよう。  いずれにしましても、復帰後五年目になっているとはいえ、基地問題だけは非常に前面に出てくるけれども、復帰特別措置の延長問題を含めて、県民生活とのかかわりのある問題等について、特に経済基盤の確立、脆弱な経済基盤というものをもっと力をつけていくというような政策についてはなかなかうまくいっていないというのが現状なんですね。この問題については私たちもやはり責任の一端は負わねばいかぬと思うのですが、政府みずから担当大臣として、私はこの深刻な沖繩の経済事態については、いま少し政策的にも金融的にも、政治姿勢の面で取り組んでいただかなければいかない問題だと思うのです。  そこで、きょうは具体的なことはお尋ねできませんが、大臣の所見と今後の沖繩に対する政治姿勢なり、現在どうお考えになっているのか、その点だけを賜っておきたいと思うのです。
  275. 西村尚治

    西村国務大臣 最初の酷暑手当の問題でございますけれども、人事院総裁も誠意をもって検討するということでございますが、沖繩開発庁の立場としましても、御承知のようにああいう特殊な気象条件、かてて加えて台風の常襲地帯といったようなこと、いろいろお気の毒な面があります。これについて何らかの手当をひとつ支給するようにしていただきたい、これはかねてから開発庁として人事院の方にも希望申し上げておるところでございます。  それから沖繩の経済開発、振興、この問題についてでございますけれども、復帰後五年弱、復帰時には沖繩の経済、民生を向こう十年間に本土並みに引き上げるという基本目標で振興開発計画が立てられたわけで、先生よく御承知のとおりであります。私は、県民の皆さんの御努力である程度この成果は上がっておるように実は認識しておるわけです。県民所得も、本土の方は、国民所得全体としては伸び悩んでおりますけれども、沖繩の県民は、県民所得は相対的に伸びておる。その他いろいろ、道路とか港湾だとか学校だとかの建設も、公共事業投資も進んでおるようでありますし、成果はかなり上がってきておる、そういうふうに考えていいと思いますけれども、本当の振興はこれからだというふうに考えておるのです。  細かく言いますと、いま御指摘のありました琉球海運が非常な経営難に陥る、それからホテルなども操業率三〇%以下がほとんど、失業率も本土よりも三倍ぐらい多い、いろんな点を見ますと、もっと振興開発に本気で取り組まなければいかぬ、私もそういった気持ちを持っておるわけでございまして、そのためには第一次産業の基盤整備もやらなければいかぬ、二次産業の誘致振興これも図らなければいかぬ、それがまた失業者の救済にもなりますし、それから上下水道だとか病院だとか、そういったような厚生福祉施設の整備も図っていかなければならぬ、いろいろな面がございます。さらに来年の五月に切れます暫定措置法、これも御承知のように現地からも相当来ております。これにつきまして、やはり一遍にここで切ってしまうということでなくて、本当に、県民の立場をいかにすれば産業の振興、民生の安定に役立つか、そういう観点からこれもよく見直して善処していきたい、かように考えておる次第でございます。
  276. 上原康助

    ○上原委員 これで終わります。
  277. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 各案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  278. 渡辺美智雄

    渡辺委員長 次回は来る二十六日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会      ————◇—————