○中島政府
委員 多少お答えが長くなりまして恐縮でございますが、
説明させていただきます。
まず第一に、先生から
お話がありました三海里と十二海里の問題でございますが、まさに先生御
指摘のように領海十二海里を採用している国がわりあいに数として少ないわけではないということは事実でございます。ただ、現在までの確立された国際法規として問題のないのは三海里ということでございまして、さればこそ先ほど申し上げましたように今度の
会議によって領海を十二海里までという国際法をつくろうということがいまの一括解決の
一つとして論議せられているわけでございます。
それで、私具体的な数字を持っているわけではございませんけれ
ども、まだ三海里を守っている国々の数は十二海里の国々よりは少ないとはいえ、いわゆる船舶の保有量とか海洋の利用度という点からいけば、
アメリカとかイギリスとか、そういう主な先進国が依然として三海里を国際法の確立された限度ということで守っておりまして、国の数そのものは十二海里の国よりも少のうございますけれ
ども、しかしそういう
意味では、三海里というものは依然として国際法上の
制度としてまだ維持されておるということが
一つございます。
それからこれも細かい問題でございますが、先ほど先生から十二海里の宣言をなぜしないか、こういう
お話がございましたが、この点は前
国会でもいろいろ政府側から、法制
局長官などから御答弁がありましたように、十二海里にするには、いまの国際法が三海里ということでございますから、それを変えるということになると、それは
わが国としてその三海里の法規範を広げるということになりますので、単に政府が宣言するということでは
処理をなし得ない、そのためには
法律の制定が必要である、こういう結論が一応法制局において出ております。
それから実体の問題になりますが、国際海峡の問題、これは私が何か隠しておるというような御
指摘もございましたけれ
ども、まず具体的な例として、たとえばマラッカ海峡におけるわが巨大タンカーの通航という点をお
考えいただけばおわかりいただけるのではないかと思いますけれ
ども、沿岸国によっては、巨大タンカーの通航が非常に沿岸国にとって問題であるという
考え方を持っておる国はまだ相当あるわけでございまして、
わが国としては、その巨大タンカーが世界各地における国際海峡を通過します場合のその通過が、沿岸国の恣意的な判断によって妨げられることのないようにということを海運の自由という観点から
一つの至上命令ということで、何とかその国際海峡における自由な通航を確保したいということで臨んでおるわけでございます。
そこで問題は、そのような立場をとります場合に、わが方の船舶が通りますところの他国の海峡においては自由な通航
制度をつくらせる、そして
わが国の周辺における海峡においては別の
制度をつくらせるということは、国際的な主張といたしましてはなかなか容易ではない、一般的な一括した
制度ということでいきませんと、下手をやりますと、それじゃその巨大タンカーの方が危険だからそれもひとつ取り締まらしてもらおうというような主張を誘発するという問題も出てまいるわけでございます。
いずれにいたしましても、非核三原則の問題は、先生おっしゃられるように
わが国の非常に重要な政策でございます。従来、総理も
外務大臣からもお答えがありますように、
わが国としてはわが権限の及ぶ限りにおいて非核三原則は堅持するということを何度も申しておるわけでございます。したがいまして、この非核三原則の問題は、いま海洋法
会議で
議論されておりますところのいわゆる国際海峡における通航
制度がどういうふうに決まるかということを見まして、海洋法
会議を通じてでき上がるところの国際的な
制度の
成立を待って、非核三原則の問題をどうするかという点を御論議が行われる、そのときに対策をどう
考えるということになるのではないか。ただいまは、いま申しましたような
状況で海洋法
条約の
成立に全力を挙げている、こういうことでございます。