○平田
委員 NHKは不偏不党、公正中立の原則とそれから自律性を守らなければならない、また守りますというふうに言ってこられているわけですね。それは当然だと思うのです。ところがこの春の
値上げ問題のときに、ロッキード疑獄事件が表面化し、特に
政府与党である自民党ではこの問題の報道に神経を大変とがらせていたわけです。いまでもそうだと思います。この時期に日本共産党
国会議員団が、疑惑の持たれている前総理であった田中角榮だとかあるいは元官房長官であった橋本登美三郎だとか、こういう人々の二十八名の名前を発表した。この名簿と
理由を発表したことについて私があなたに質問したわけです。この発表というのは、上田耕一郎参議院議員がわが党の
国会議員団を代表して記者会見の席上で発表したものなんですね。記者会見でのこの発表は、当然
NHKだけでなく他の報道機関でも取り上げられたわけですよ。赤旗でも当然ですけれ
ども、翌日付けの日刊紙に報道したわけです。この日刊赤旗新聞は大変な売れ行きで増刷をしなければならなかった。飛ぶように売れたわけですよ。このことにも見られるように、広範な
国民の間に大きな反響を呼んだんだと思うのです。それだけに
政府与党である自民党にとっては痛手だったようで、早速自民党総務会が取り上げて、ちょうど
NHKの
予算審議が行われているという
状況のもとで
NHKが赤旗の報道をニュースで取り上げたのはけしからぬという趣旨の論議が盛んに行われて、報道によれば
NHKに対して圧力がかけられることになった。これに呼応するかのように、小野前
会長は
委員会で自民党
委員の質問に答えて、チェック体制を強化いたしましたというふうに
答弁をしたわけですね。こうした
状況下で、私はまず自民党側の言う、
NHKが赤旗の報道をニュースで取り上げたという歪曲を
指摘して、そうして事実経過を明らかにするために質問をしたわけです。
この質問の経緯を若干申し上げますと、自民党
委員からこの
委員会で「私は、自民党の一代議士としてこの機会に承らしていただきたいのは、私は直接聞いたわけではございませんが、ロッキード事件の疑惑の人というようなことで、社会新報、これに次いで赤旗に取り上げられた人名が
NHK放送で放送されたやに聞くわけでございます。こういうことをやりますと、実は自民党からも自由民主という党機関紙がございます。あるいはまた民社党にも公明党にもそれぞれございます。こういう機関紙に報道されたこの種のことは報道しなければならないことに相なるわけでございます。」こういう
指摘をしているのですね。この問題について、当時の
状況からいって私は非常に事態を重視しまして、事実経過を明らかにする必要があると
考えて質問で取り上げたわけですよ。私が取り上げたことに対して事実経過を明らかにしてもらいたいと言ったのに対して、
坂本会長は、こういうふうに答えているのです。「御
指摘のように、
NHKのニュースで社会新報並びに赤旗に掲載されることになりました事実関係を、上田耕一郎氏の記者会見の記事として取り上げた次第でございます。」こういうふうに言っているわけですよ。ここであなた方が明確にしなければならなかったのは、記者会見で
国会議員団が発表した、ニュース性があるから
NHKの記者がそれを取り上げてニュースで報道した、こういう経過で、赤旗に出たから報道したというものじゃないのです。これはどの党に対しても、
国会で記者会見がありまして発表があった場合、ニュース性があるものはすべて私
ども自主的に判断をして自立的に報道しているのでございますと答えればいいことなんですよ。ところが、あなたの答えというのは、持って回って、そして自民党の側から出された問題に対して事実経過も述べなければ否定もしないという態度をとっておる。これは小野前
会長もそうなんですよ。いろいろなことをいっぱい言っているけれ
ども、ここに質問で述べられた事柄について、自民党の
委員の方から
指摘されたことについては、それは経過はそうじゃないのでございますという
指摘はしていないのですよ。小野前
会長は体制を強化いたしましたということを
指摘しているのですよ。こういう扱い方というのは大変重大な問題であると私は
考えておる。そこで、今日段階であのときの事実経過は明確なんですから、共産党の
国会議員団が記者会見をやって発表したものを報道するたびにがたがた騒いでいたんじゃ話になりませんからね。報道の自由に対する重大な侵害にかかわり合いを持つわけですから、そういう意味であなた方はやはり毅然とした態度をとるべきだ、私はそう思う。したがって、改めてここであのときの事実経過を明らかにし、あなたのあのときの発言についてどう
考えられるのか、お聞かせいただきたい。