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1976-10-20 第78回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 加藤常太郎君 理事 志賀  節君    理事 羽田  孜君 理事三ツ林弥太郎君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 平田 藤吉君       小渕 恵三君    加藤 六月君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       高橋 千寿君    長谷川四郎君       水野  清君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    久保  等君       土橋 一吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 廣瀬  弘君         郵政省貯金局長 神山 文男君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    山田 馨司君         防衛施設庁施設         部施設対策第一         課長      宇都 信義君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社理事     玉野 義雄君         日本電信電話公         社技術局長   前田 光治君         日本電信電話公         社業務管理局長 川崎鋼次郎君         日本電信電話公         社計画局長   輿 寛次郎君         日本電信電話公         社施設局長   長田 武彦君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      工藤信一郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     中村 梅吉君 同月十三日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     塚田 庄平君 同月十四日  辞任         補欠選任   中村 梅吉君     加藤 六月君 同月十九日  辞任         補欠選任   水野  清君     森山 欽司君 同日  辞任         補欠選任   森山 欽司君     水野  清君 同月二十日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 十月九日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号)郵便切手類売さばき所及び印紙売さば  き所に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号) 十月十八日  身体障害者電話料金割引等に関する請願(石  田博英紹介)(第五五一号)  同(小沢貞孝紹介)(第五九六号)  同(羽田孜紹介)(第五九七号)  同(佐野憲治紹介)(第六五一号)  同(古川喜一紹介)(第六五二号)  電報・電話料金値上げ反対に関する請願(村  上弘紹介)(第五五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号)  郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  三号)  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件について、本日、日本放送協会から参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお参考人人選手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次提案理由説明を聴取いたします。福田郵政大臣。      ————◇—————  郵便貯金法の一部を改正する法律案  郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案     (第五号末尾に掲載〕      ————◇—————
  6. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  郵便貯金会館は、郵便貯金周知宣伝を行う施設として、すでに全国十一カ所に設置されておりますが、この法律案は、これらの郵便貯金周知宣伝施設を、広く国民の利用に供し、効率的な運営を図り、もって郵便貯金の普及に資するため、郵便貯金法について所要改正を行おうとするものであります。  郵便貯金会館のあり方につきましては、第七十五国会におきまして、次期通常国会を目途に必要な法的措置を講ずる旨、政府としての見解を表明していたものであり、さきの第七十七国会郵便貯金法の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、審議未了となったものであります。  この改正内容は、郵政大臣が、会議、集会、その他多数の者の利便を図るための設備を備えた施設を設置することができることとし、その施設運営を、郵政大臣の認可を受けて設立される郵便貯金振興会に委託するものとすること、及び郵便貯金振興会設立等についての所要の規定の整備を行おうとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  郵便切手類及び印紙の売りさばき人に対して支払う現行の売りさばき手数料の率は、昭和四十九年一月に改正されて今日に至ったものでありますが、その後における人件費等売りさばきに要する経費の増加等を考慮いたしまして、適正なものに改めようとするものであります。  改正内容は、売りさばき人の買い受け月額のうち、一万円を超え五万円以下の金額に対する手数料の率を百分の七から百分の九に、五万円を超え十万円以下の金額に対する手数料の率を百分の六から百分の八に、十万円を超え二十万円以下の金額に対する手数料の率を百分の二・五から百分の四にそれぞれ引き上げるとともに、買い受け月額一万円に満たない場合または買い受けをしなかった場合においては、月額一万円の買い受けをしたものとみなして手数料率を適用しようとするものであります。  この改正によりまして、買い受け月額二十万円以下の売りさばき人はもちろん、二十万円を超える売りさばき人につきましても、買い受け月額のうち二十万円以下の金額に対する手数料増加することとなります。  なお、この法律案施行期日は、昭和五十二年一月一日といたしております。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手
  7. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、坂本日本放送協会会長より発言を求められておりますので、これを許します。坂本日本放送協会会長
  9. 坂本朝一

    坂本参考人 大変御貴重な時間をいただきまして、まことにありがとうございます。  私、このたび、経営委員会からNHK会長の指名を受けました。まことに浅学非才でございますけれども、一生懸命努力したいと努めておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。  なお、小野前会長辞任問題につきましては、先生方に大変御心配をおかけしたことと思いまして、当時補佐の任の一人でございました私といたしましても大変責任を感じておる次第でございまして、この席をおかりして深くおわび申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  10. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 本日は、NHK皆さんに御足労いただきまして大変恐縮に存じます。  大臣にしろ、また会長にしろすでに御存じと思いますけれども、先般私どもがこの委員会においてNHK受信料値上げの問題につきまして、ともかく国民合意を得る、受信者皆さん合意を得るために、値上げそのものについてはいろいろ意見もありましたけれども、最終的に全党が賛成する中で受信料値上げが決定をされたわけでございますけれども、その後不幸にして、いま会長からお話があったように、NHK内部にも人事の問題とかいろいろあったようでございます。したがいまして、その後のNHK運営内容が私は非常に気になっております。値上げはしたがうまくいっておるのだろうかということが非常に気になりますので、最近のNHK運営内容について、まずお伺いしたいのですけれども、もうすでに九月でいわゆる上半期が終わったわけでございます。この上半期の中でのNHK業務の進みぐあい、特に財政的に見まして、たとえば契約については年間七十万台の増加目標にして努力をされてきておるようでございますが、そういうことについての進捗の状況はどういうことになっておるのか、お伺いしたいのです。
  12. 坂本朝一

    坂本参考人 御指摘のように、大変厳しい状況の中で事業運営に当たっておるわけでございますけれども数字等担当の役員から申し上げたいと思いますが、われわれの前線の営業努力もさることながら、受信者皆様方の御理解もいただきまして、おかげさまで収納につきましてはかなり御理解をいただけているというふうに判断できるかと思います。ただ、御指摘増加の点につきましては、やや収納の方に力を入れました関係で多少目標についての問題点が残っておるかと思いますが、この点は年度後半に一層の努力をしたいというふうに考えております。  なお、数字等につきましては、担当専務から御報告いたさせます。
  13. 中塚昌胤

    中塚参考人 お答え申し上げます。  先ほど会長からも申し上げましたように、収納につきましては、これは九月末の見込みでございましてまだ確定的な数字は得ておりませんが、その見込みで見ました場合に、前年同期に比べまして〇・九%の落ち込みでございます。それから契約につきましては、これも会長申し上げましたように、収納の方に重点を置きまして、何とか新しい料金額を定着させるということに重点を置きましたので、契約伸びの方は前年同期に比べまして非常な落ち込みになっております。これも概数でございますが、九月末の増加はおよそ二万八千件でございます。したがいまして、前年同期に比べますとほぼ一割程度になっております。
  14. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 少し具体的になりますが、特に契約の方から少し詳しくお伺いしたいのですが、われわれがことしの予算審議した際のNHK年間増加目標は七十万台であったはずでございます。いまのお話では二万何千台しかいっていない。上半期は大体終わったところの数字と思いますから、常識的に言えば、三十五万台の新しい契約が、白黒差し引きしてふえていなければならない。それが大体NHK運営の当初の目標であったはずでございます。収納の方に重点を置いたということがわからないわけではございませんけれども、しかし契約台数をふやしていくということも非常に大きいNHKの仕事であるはずでございます。それが、三十五万台どころか、上半期が終わってもまだその一割にも満たない二万四千台であるということはゆゆしい問題であると思いますが、その辺についてどういうふうに理解されているわけですか。
  15. 中塚昌胤

    中塚参考人 純増は確かに二万八千でございます。しかし新しい契約を二万八千件しかとっていないということではございません。この純増と申し上げますのは、新しく契約をいたしましたその増加分と、それから転居等契約が廃止になる、そういう減少分、それとの差し引きの差額がこの純増でございます。それで見ますと、減少の方は五十年四月から九月まで、要するに前年同期の減少は百四十一万五千でございます。当期五十一年の上半期減少は百四十六万八千でございます。五万ほど減少はふえておりますが、ほぼ横ばいであるというふうに私ども見ております。増加の方は前年同期が百八十一万四千でございます。当期五十一年度上半期が百四十九万六千でございます。ここでほぼ一八%の減少増加の方で約一八%減っているということで、差し引き純増で前年同期が三十九万九千件増加しておったのに当期は二万八千件しかふえていない。減少の方はほぼ横ばいでございます。増加の方が前年同期に比べて一八%、およそ二割少ないということの結果がこういう結果になった。増加の方も決して新しく契約をとっていないわけではございません。したがいまして、新しく契約をとる、これにさらに力を入れれば下半期目標に向かってかなりの回復はできるというふうに考えております。  先般も、私地方本部を回ってまいりました。各地方放送局営業部長会議に出たわけでございますが、各営業部長とも下半期で十分回復できるということを申しておりますので、私ども下半期に最大の努力を傾ければ上半期のおくれを取り戻すことは可能であるというふうに考えております。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 内容をいろいろ承りましたけれども、私ども理解では、何ぼ減って何ぼふえたか、そういうことは余り問題ではないわけです。要するに当初NHK計画をされたのは、この昭和五十一年度で、普通契約では五十五万減るだろう、しかしカラー契約で百二十五万ふえるだろう、そういう見通しを立てられて、差し引き七十万新しい契約はできるのだというふうに、いわゆる純増になる。七十万という目標に対して、いま、二万八千、半期終わっておるのですよ。幾ら下半期に期待を持つとしてみても、これは常識的に考えて、六カ月間過ぎた今日、目標全体七十万台からいうならば、これはまだ五%ですか、一割にも満たない数字でしょう。五%ぐらいの数字しかできていなくて、あと九五%が下半期でできるのですか。それはここで答弁されるのは結構ですよ。しかしこれは言い逃れに終わったら、一体、最後にNHKが決算せんならぬ時期に、七十万台の契約ができないときには、歳入の大きい欠陥になるはずですよ。もしそれが歳入欠陥にならぬようなNHK予算ならば、われわれ審議した予算内容には大変な問題があることになりますよ。これは、会長、どうですか、いま中塚理事からお話がありましたけれども年度末には間違いなく七十万の増加になりますか、いまの状況で。
  17. 坂本朝一

    坂本参考人 御指摘のように確かに大変厳しい状況でございます。したがいまして、達成できるというふうに余り楽観的に申し上げることは問題があろうかと思いますけれども、しかし現状は何としても達成したい、そういう努力にわれわれ全員燃えておりまして、その具体的な施策をこれからさらに検討して、何とか目的を達成しなければ申しわけないというふうに考えておりますので、余り楽観的に達成できますというような申し上げ方をすると、やや誤解を招くおそれがあろうかと思いますが、その点はひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 常識的に考えて、上半期が過ぎて五%しかまだ目標がいっていないものが、下半期で九五%いけるとは私はどうしても思えないのですよ。そうすると、いまあなた方がおっしゃっているのは、国会答弁だから何とか言い逃れをしておけば済むだろうぐらいのお考えかもわかりませんけれども、われわれもっと真剣に、NHK経営については責任も持たなければならないし、そういう観点から質問をしておるわけです。したがって、一体なぜ上半期目標の五%もいけないような数字になったのかということについて検討してみて、その原因がどこにあったのか。その原因を取り除かなければ、下半期におけるその目標達成というのはなお困難になってくると私は思うのです。ですから、言いわけよりも、むしろ、この六ヵ月間にかくかくの理由があったからこういうふうになったのではなかろうかと思われる、よってこれこれの理由はこういうふうにのけていきたい、そのことによって下半期はこういうふうな数字で大体いけるだろう。もし下半期自信がおありになるのならば、たとえば十一月に何万台、十二月に何万台と、三月までの各月の台数をこのとおりにやってみせますという自信がおありならば、それはそれで結構です。しかし、それでなければ、やはり、何が上半期においてこのような新契約の不振を招いたかという点について、値上げができたからいいというものじゃないのじゃないですか、もっと真剣にNHK考えてもらわなければ、われわれも、値上げに賛成した立場から、非常に大きい責任を感じますよ。どうですか、この点は。
  19. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに言いわけめいて恐縮でございますけれども、確かに、われわれが何といっても値上げの実態を聴視者に御理解いただきたいということを第一優先にいたしましたその経過の中で、御指摘のような数字が出てきておりますので、毎々申し上げて恐縮でございますけれども、具体的な戦略等につきましてはまた中塚君からお答えさせるにいたしましても、気持ちとしては、いままで申し上げたところで努力したいということでございます。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 監督官庁として郵政当局、私、これはお伺いするつもりはなかったのですが、いまNHKはああいう御答弁をなさっていますが、郵政当局の方からごらんになって私どものような懸念はございませんか、どうですか。
  21. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  NHK受信料値上げにつきましては、先般の国会先生方の御努力をいただきまして、おかげさまで値上げができたわけでございますが、その後の問題につきましては、われわれといたしましても先ほど先生から御指摘がございましたような点につきまして、かねがね懸念を持っていたわけでございます。したがいまして、放送協会の方といろいろその点につきましても現在相談を行っているわけでございますが、やはりまず第一には、この値上げの問題の御審議の過程におきましてもいろいろな問題が指摘されております。その点につきまして、一刻も早くNHKの方でその解決策考えていただきたいということもお願いしておりますし、また、その実現の努力につきましては、ただいま協会の方からも話がございましたように、鋭意努力しているところでございます。  先ほど御指摘がございましたように、数の点においてはやはりわれわれが懸念いたしておりましたように、なかなか思ったような達成率になっておりませんが、この点につきましてわれわれといたしましても、今後十分NHKと相談いたしまして、またNHKを督励いたしまして、事業計画が円滑に行われるように大いにNHKの方に努力させたい、かように考えております。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はもう少し詳細にNHK考えをお伺いしたいのです。たとえば受信契約落ち込みというようなものはどの地域にあるのか、だからその原因はこういうことではないのか。伸びておる地域はどこか、その原因はこういうところにあるのではないか。そこまで検討をされて、そして下半期における対策はかくかくである。落ち込んでいる原因はこういうところにあったと思う。——いま一つお伺いしました。それは、料金値上げ周知重点を置きましたということで、一つは私は理解しましたけれども、ただ、それだけで上半期契約が五%であったという理屈にはならぬ。私はもっとほかに原因があるのではないかという気がするわけです。たとえば値上げが響いておりますとか——詞はどうかわかりませんよ、わかりませんが、地域的に契約伸び縮みを見ていくならば、ある地域においてはこれはひょっとすると受信料値上げが響いたのではないか。また端的に言いますが、たとえばNHKの前の会長がおやめになった経緯がある。これは後ほど経営委員長にお伺いしますが、こういうものが影響しているのではないか。そういうものを具体的に分析してみた中から初めて、今年度全体の計画に対する自信が出てくるのであって、その反省がないままに、何とかやります、何とかやりますと言うだけでは、私どもは何を聞いておるのかわからないことになります。聞く以上は私どももかなり内容について自分でも、この地域はちょっと落ち込んでおるな、この地域はマイナスが出ておるじゃないか、この地域はかなり伸びておるなというところまで検討した上でお伺いしておるのですから、一般論といいますか、抽象論だけではなかなか私は納得しかねますが、どなたかひとつもっとはっきり答えてもらえませんか。
  23. 中塚昌胤

    中塚参考人 先ほど、下半期で十分取り戻しいたしますということを申し上げましたが、必ずしも私も楽観しているわけではございません。非常にむずかしい数字であるという認識は十分持っております。しかし私どもといたしましては、事業計画に立てました目標達成するために最大限の努力を払ってやってまいりたいというふうに考えておりますことを、まず申し上げておきたいと思います。  それから、契約伸びの悪いところ、これはやはり収納の状態も悪いところでございます。と申しますのは、東京都あるいは大阪あるいは北海道というふうに、主として大都市圏でございますけれども、そういうところは収納の率においても悪うございます。そういうところにやはり収納の率を上げるために力を注がなくてはならない。やはり受信料値上げというものが一番影響しているのは、そういう大都市圏を中心にしたところであるというふうに私、考えております。そういうところではどういたしましても、現場で集金に回ります者の一聴視者に対する応対の時間というものが長くなるわけでございます。説明を必要とする、あるいはいろいろと苦情を申されるのに対して応対しなければならない、そういう一件当たりの時間が長くなる、そのためにどうしても能率が悪くなります。そのために集金の効率が下がってまいります。そういうことで収納の率も悪くなる。それにどうしても力を入れますために、契約の方の力というものが弱くなる。そのために契約伸びも悪くなる。そういう結果が出ていることは私ども十分認識しております。したがいまして、下半期におきましてはそういう大都市圏、要するに収納の悪いところは契約も悪いということで、そういうところに最重点を置いてやってまいりたい、このように考えております。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の理解では、世帯数に対する契約数では東京が一番悪かったように理解しておるのですが、この契約伸びでは、中塚理事、近畿が非常に悪いのです。近畿は実にこの期間中に累計で二万件以上落ち込んでおるはずです。マイナスが出ておる。ところが一番大きい東京は四千件ぐらいの落ち込みなんですよ。それから北海道は四千件ぐらいの落ち込みですね。北海道、東京が四千件ぐらいの純マイナスが出た。近畿はなぜ二万出るのか。何か私はいまの中塚理事お話だけでは納得のできない、ほかの原因がありそうに思えるわけです。もし台数の多いところ、従来の収納の悪いところが契約伸びも悪いんだとおっしゃるならば、その割合から考えて、東京は四千しか落ち込んでいないのに——これは落ち込むのはおかしいのですよ、プラスが出なければおかしいのですが、東京が四千しか落ち込んでいないのに、何で近畿が二万件も落ち込んでくるのか、その原因を一体どうお考えになっていますか。
  25. 中塚昌胤

    中塚参考人 確かに先生おっしゃるとおりでございます。この東京それから近畿という地域分けの数字でございますが、東京という中には甲信越も全部入っております。そういうところは非常によろしゅうございまして、東京都内だけで見るとこういう数字ではございませんで、落ち込みがもっとひどい。ちょっと正確な数字を私いま持っておりませんけれども、大体大阪と同じぐらいの落ち込みがある。それを甲信越あるいは関東の東京以外の地域、そういうところでカバーしている。だから全体でこの東京と近畿で見ますとこういう数字が出るわけでございます。したがいまして、京阪神と東京都というところがやはり一番問題が多い。で、近畿につきまして、特に大阪でございますが、伊丹の空港周辺とかあるいは新幹線による受信障害とか、そういう受信障害から来る問題はございますけれども、やはり一般的に東京都と大阪というこの大都市の現象としては、NHKに対して見てないから払わないというふうな方が非常に多い。そういう方々について私どもとしては、NHKの使命、責任というものを理解してもらう、そういうじみちな活動というものに重点を置いてやっていかなければならないというふうに考えております。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 中塚理事収納の方と契約の方とごっちゃにしていまお答えになっておるようですけれども、基地周辺で見てないから払わないというのは、これは何も契約純増の方とは余り関係がないわけですね。これは収納の方で挙がっている。私が言っておるのは契約の方です。なぜ契約伸びないか、伸びないだけならいいが、二万も落ち込んでいくのかということについて、見てないのは払わぬのであって、これは未収の方か何かに挙がってくるのであって、契約伸びとは直接は関係がないような気が私はするわけです。ですから、たとえばいまのをもっと詰めて言うならば、いままで単に納めなかった連中が契約を解除してしまった、そういう事態が起こっておるのではないかという懸念があるわけなんです。そうすれば、当然こういう数字が出てくるおそれがある。いままでは契約みたいなものはあったけれども、単に納めなかったから未収で挙がっておった。それが何か最近の料金値上げなりいろいろなごたごたを反映して契約解除に踏み切ってしまったのではないかという懸念があるから、この二万という数字に私は非常に疑問を持ってきたわけですよ。あなたはちょっと未収の方と契約増加の方とを混同してお話しになっておるようですが、私が心配しておるのは、いまお話ししておるのは契約増加の問題についてお話ししておるのですが、その点は混同されないように。そういう点、たとえば最近契約解除が多いなら多いとおっしゃっていただいていいのですよ。それなりの対策を立てればいいわけですから。それをおっしゃらずに、何とか言い逃れをしようとすると未収料金と一緒に混同したような御答弁になって、ますます私も混乱してくるような状況になりますので、いまお話ししておるのは契約の七十万件の目標に対して伸びが悪い。悪いだけではない、大阪では二万件も逆に減っておるではないか。その減った原因はどこにあるかということを私はお伺いしておるわけなんです。
  27. 中塚昌胤

    中塚参考人 東京都あるいは大阪、神戸等の大都市におきましては、人口、世帯の移動が非常に激しゅうございます。そういうところで、移動による廃止、これが非常に多くなっている。もちろん転入による新しい契約というものがとれるはずでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、収納の方に非常に力をとられた。そのために新しく入ってきた方に対する契約が十分とれてない。新しく入ってこられた、転入してこられた方の契約化というものがおくれてしまっているというのが最大の原因であるというふうに私考えております。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大都市の人口の移動というのは、ことしの上半期に限って行われるものではないのです。従来からずっと行われてきておるわけなんです。したがって、その御答弁ではなるほどと私は思えないのですよ。それは一つの理由ではありましょう。一つの理由ではありましょうけれども、それが絶対の理由であるとするならば、やはり何で五十一年の上半期だけにそんなに人間の移動が多くて、いままではなかったのかという問題が起こってくる。従来もあったのです。従来もあったけれども、こういう数字は出ておりませんよ。ことしの上半期に特段の数字が出てきたから、私は疑問を持ってお伺いしておるわけです。したがって、いまの理事の御答弁は、従来の傾向をそのままここでお答えになっておるのであって、ことしの上半期に起こった、少なくとも特異事情と思うその点についての解明がまだ十分部内でなされてないようですし、中塚理事も新任ですからこれ以上言いませんが、その内容について、私は先ほど来申し上げておりますように、何か新しい要因が加わっておるのではないか。そのことを非常に懸念をするがゆえに、特段に地域の名前まで挙げて検討の課題として提起をしましたので、この点についてはNKHの中で十分御検討をいただいて、そして先ほど来お話があったように、まず契約目標については年間七十万の純増達成できるように、これは視聴者全体のためにも努力を願わなければならぬ問題だ、それがまた値上げを断行したことに対する責任でもあると私は思いますので、その点をまず第一点としてお願いしておきますが、よろしくお願いいたします。  その次に、今度収納の方ですけれども、集金をする人たちにお伺いしてみますと、最近非常に集金がやりにくいとおっしゃる。一つは値上げがあったからだ、こうおっしゃっております。何で値上げがあったのかというようなことでおしかりを受ける。それからもう一つは、NHKの中の人事の問題ですね。特に会長の交代に伴ういろいろなマスコミの報道等がかなりの影響を与えておるように思われるのです。契約を拒否しておる件数が全国で六カ月間に大体どのくらいあったのか。それから滞納の件数、未収の件数の三つ、この六カ月間のものがわかればちょっと知らせてもらいたいのです。
  29. 中塚昌胤

    中塚参考人 それぞれの細かい数字、ちょっといま手元にございませんので、後ほどお届けいたしたいと思います。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは数字は結構です。大まかにつかんだところで、対前年比でふえておるか減っておるか、感じとしてはどうですか。
  31. 中塚昌胤

    中塚参考人 値上げ理由として不払いが確かに出ております。それの細かい数字はございませんけれども、集金取扱者からの報告を総合いたしました結果では、受信料の改定を理由とする不払いは大体二万四千というふうに私どもつかんでおります。このうち約三分の一の八千件は解決しておりまして、残る三分の二についても引き続いて解決に努力をいたしておるということでございます。  それから滞納につきましては、五十年度末でございますが、それに比べまして約四万程度の増加になっておるというふうにつかんでおります。  細かい数字はちょっと手元にございませんので……。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはパーセントで言うとわずかなんですけれども、ここにNHKからいただいた資料がございます。収納率、沖繩を除いておるのです。沖繩はまた大変だというふうに私は聞き及んでおりますが、沖繩の問題は改めてまた質問させてもらいますから、いま申し上げる数字は沖繩を除いた収納率ですが、五十年度第六期末、ことしの三月末の収納率は九六・八%、それから九月末の収納見込みになると思いますけれども九五・九%、これは先ほど中塚理事がお答えになった〇・九%の落ち込みということになると思うのですが、二千六百万世帯の契約の中で一%落ち込むということは二十六万件ということになるのです、数字で言って。これはなまやさしい数字ではありません。一%と簡単に言いますけれども、二十六万世帯の人たちが前に比べて収納が落ち込んだという理屈になるわけですから、大変なものだと私は思うのです。大まかな数字で結構ですから、その落ち込みが先ほど私が申し上げたところに大きい原因があるかどうか、もうちょっと解明してもらいたいと思います。
  33. 中塚昌胤

    中塚参考人 確かに先生おっしゃいますように、一%という数字は全体の数から言うと決して少ない数というふうには私ども考えておりません。で、このように低下いたしました理由と申しますのは、先ほど申し上げましたように、受信料の改定に伴いましていろいろ苦情なりあるいは支払いを拒否するというふうな現象が出ております。それに対して、現場で集金いたします者が説明のための時間がどうしてもふえる、あるいは収納率を維持しますために反復して訪問するというふうなことでやっておるわけでございますけれども、どうしても応接の時間が増加する。そのために集金の効率が低下しているというのが私ども最大の原因である。こんなことを申してどうかと思うのでございますけれども、いろいろな事前の準備、PR等をいたしてまいりました。私ども当初四、五%は落ち込むのではないかと正直申し上げまして考えておったわけでございまして、その点から申し上げますと、一%の落ち込みというのは決して少ない数字ではございませんが、しかし、私どもが当初予想しておりましたのよりは低い落ち込みで済んだというふうに思っております。しかし、決してこれが少ない数字であるとは思っておりません。先ほど先生おっしゃいましたように、全体の数から見ますと相当な数でございますので、今後この収納率をもとに戻していくように最大の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これ以上議論はしませんが、会長、少し安易な考えのようです。仮に七十万の新しい契約達成できたとしても、収納に一%の欠陥が生ずれば、二十六万契約はできなかったのと同じ結果になるわけでございます。もし中塚理事のおっしゃるように三%も五%も収納が落ち込むようなことがあれば、新しい契約がとれなかったどころではなくて、もっと大きい穴になってくる、歳入欠陥になってくるわけですよ。ですから、私は一%といえども、七十万の目標達成するのが非常に困難な中でさらに一%、二十六万の金を納めない連中が出てくるのはゆゆしい問題だというふうに受けとめていただいて対策を立ててもらいたいということを要望しておきます。  次に、私ども懸念しておるこの原因の一つだと思われるのですが、先般協会の小野前会長が突然おやめになるという事件があって、新聞などではいろいろ報道されておるわけでございます。まず監督官庁として、郵政大臣は小野前会長辞任といういきさつについてどういうふうに御報告を受けておられるのか、承りたいのです。
  35. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 NKK会長は放送法に基づいて経営委員会が任命することになっていることは御承知のとおりでございます。今回のNHKの任命につきましても、経営委員会が自主的に任命したものと考えておりますが、ただいまの報告につきましては、役員の任命について放送法施行令第四条によりまして報告を受けることに相なっておりまして、これによって報告を受けた次第でございます。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは決まっておるわけですから、報告を受けることはきわめてあたりまえのことなのです。その経緯についてどういうふうな報告がございましたかと聞いておるのです。
  37. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 小野前会長が自発的に辞職をされ、これが経営委員会で認められたということを報告を受けております。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経営委員長出席いただいたのですが、いま大臣お話しのとおり内容は相違はございませんか。
  39. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 小野前会長辞任につきましては、参議院で御説明を申し上げたことを繰り返すことになりますけれども、小野前会長が田中邸を訪問したということで、国会でまことに軽率であったということを表明されて、その後八月三十一日に私の手元へ辞表を持ってこられたのであります。私は、これは経営委員会が決すべきことであり、かつ辞表を受けるのも経営委員会が受けるべきものであって、経営委員長個人が、経営委員長がこれを一人でお受けするわけにはまいらぬという判断のもとに、辞表はお預かりするけれども、出すのはひとつ経営委員会において出していただきたいということで、経営委員会を招集する最短期間の九月の三日に経営委員会にこの辞表が提出されたということで、日付は三十一日でございますけれども、その日に十三名出席いたしました経営委員会で辞表を公表いたしまして、検討の結果、即日これを受理し、小野前会長は翌日の日付をもって辞任されたという経緯でございます。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 辞任の申し出の動機と申しましょうか、原因となった田中邸の訪問というお話がいまございましたけれども経営委員会としては、前会長辞任を申し出たのはきわめて至当であるという判断をなさったわけですか。
  41. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 経営委員会といたしましては即日これを受理したということで御賢察願いたいと思います。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に微妙な言い回しですが、私の理解では小野前会長のとった行為が辞任に値をするものという判断で即日これを受理した、そう理解をしていいわけですね。
  43. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 結構だと思います。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新聞の報道ですから、これは確実なよりどころがあるわけではございませんけれども、当初小野会長は、これは私個人の行為であって、NHK会長としてではないというふうなことをおっしゃっておったようでございます。個人の行為とおっしゃったことと、いまおっしゃった辞任に相当するというふうな判断との間ですね。この辺の経営委員会の中のお話し合いはどういう内容だったのでしょうか。
  45. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 小野前会長は、あくまで個人的なことで、NHKとは何らのかかわりのないことだという御説明でございました。これは、国会においてもそういう御説明だった。経営委員会におきましても、これが小野個人の行為であるか、それともNHKに非常にかかわりがあるかというふうなことは、無論論議の対象にはなりました。しかし、ここでその内容を申し上げるのは御勘弁願いたいと思いますが、先ほど申しましたように、即日これを受理したということで経営委員会としての判断は御賢察願えると思います。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はもうおやめになった方をむちを打つようなことは言いたくないと思いますけれども、この前にも同じようなことがありまして、スト権ストの座長をおやりになっておったときにも、スト権ストの座長の方は小野個人であって、アジアの会議に行った方はNHK会長の小野であったというふうなお話が御本人からあったので、それでは会長は向こうへおいでになって個人小野はスト権ストの会議の方に出ておられましたかと言ったら、体が二つないものですからそういうわけにはいかぬということになりまして、最後に、これからはそういう疑惑を持たれるようなことはしないという御答弁があった。さらに会長は、したがって、再任をされましたときのごあいさつも私は伺っておるのですけれども、これからはすべて個人小野はない、一切の私の行為はNHKを代表するものであるという趣旨のお話があったのを、私はNHKの何とか報というのでちょっと見たことがあるのでありますけれども、それほど腹を決めて新しい会長に就任をされておりながら、田中邸訪問の問題についてまた個人だ、こう言い出す。その辺は、個人と公人のけじめがこれからも起こってくると思うのですが、会長を任命される経営委員会としては、NHK会長なり副会長というものは、これはもはや個人というものはない、特に言論機関を預かる責任者ですから、けじめをつけてもらわなければならないと思うのですが、これから先もたとえば個人坂本とか、例は悪いのでございますけれども、個人坂本だなどというのが出てくると、非常に今度のような疑惑を持たれる結果にもなると思いますし、その点は経営委員会としてはどんなふうに御理解なさっておりますか。
  47. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 まことに微妙な問題でございますけれども、これは人間でございますからプライバシーもあり、いかにNHK会長といえども全くNHKから離れた一つの生活というものがないわけではないと思いますけれどもNHKという公共機関の会長としての重大な責任ということは常につきまとっておるというふうに理解しておりますし、今後もそうありたいと思います。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、何もあなたの責任をことさら追及するわけではありませんが、せっかく再任してわずか四十日でございますか、四十日前後でおやめになるという結果になったわけですけれども、再任されるときはどういう模様だったのでございますか。
  49. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 これは小野前会長が一期、三年間会長を勤めまして、その前に十七年間NHKの副会長として前田会長を助けてやられてきた。ことに会長としての三年間の業績というものはわれわれ相当に評価いたしました。まじめに一生懸命に会長としての職務を果たした。ことに値上げを伴いました今度の予算で、国会においても小野前会長としては全力を挙げてこれを、皆さんの御賛同を得るように努め、かつそのときにいろいろ附帯決議をいただきまして、これを実行していかなくちゃならない、そういう責任を小野前会長は持ったわけでございますから、三年間の実績と、それから国会その他で、彼がもう三年間実際上NHK運営してやっていかなければならない責任というものを考えますと、小野会長を再任するのが最適である、これは比較的すんなりと十三名の者が合意に達したのでございます。  それが四十日間たつかたたぬうちに不幸な出来事が起こったということは全く不測のことでございますが、われわれとしても責任を感ぜないわけではございません。まことに残念だったと思います。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いろいろな見方、いろいろな意見はあろうと思いますが、私ども国会NHK予算なりいろいろなものの審議をゆだねられておるということは、やはり視聴者の立場を代表するというふうに自負しておるわけでございます。経営委員会はこの国会における私どものいろんな議論についてある程度承知をしていただいておるのでしょうか。
  51. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 詳細に国会担当理事から報告も受けておりますし、また国会の議事録は全委員に配付されまして、これを熟読いたしております。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 前総理の田中角榮さんと小野会長との関係につきましては、私は三度にわたってこの委員会で質問をしておる経緯がございます。  たとえば「総理と語る」という番組が二ヵ月で一回であったものを一カ月一回に強引にやった。そのことについて私は小野会長にいろいろ御質問を申し上げましたところが、一国の総理がどういう行政の姿勢を示すか国民は知りたいところだとおっしゃる。それが、七月になったところが、田中角榮さんの顔がゆがんだ途端にこれがなくなってしまった。しかし、一国の行政を聞きたい国民の気持ちに変わりはないわけでございますから、それは田中角榮さんの顔のゆがんだこととは無関係ではないかと、こうも私は申し上げた経緯もありましたし、また稲毛の土地をわざわざNHKが買い取って、そうして渋谷の国の払い下げの土地と交換をさせられるとか、いろいろな問題について私はこの国会——私のみならず他の多くの方々が田中角榮さんと小野さんの関係、またスト権スト問題をめぐってのいろいろな議論、そういうものが国会でなされてきたわけでございますから、したがって、私は、今度のこの事態を経営委員会が全然予知し得なかったとするならば、それは少し経営委員会に不明の点があったのじゃないでしょうか。先ほどのお話では、もうほとんど問題なく十三人が一致して、こうおっしゃいましたけれども、仄聞するところでは、必ずしもそうでなかったために何回か経営委員会が繰り返されたというふうにも聞いておりますし、当然その内容については、いま私が申し上げましたような、国会におけるいろいろな議論というふうなものも踏まえての経営委員会の中の議論ではなかったのか、少なくとも国民NHKである限り、それはプライバシーの問題はありましょうけれども経営委員会内容といい、議論の内容というものは、私は国民に知らされてしかるべきだ。そういう点から考えて、まず第一点は、国会の私どもの議論について十分耳を傾けていただいておったとするならば、七月の再任それ自体に問題はなかったのか、この点はどうでしょうか。
  53. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 七月の時点において小野前会長を再任するという場合には、田中角榮前首相との関係というものは一切問題になりませんでした。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 なりませんでしたということは、国会のいろいろな会議録等について読んではおるが、国会の議論などというようなものはそれほど経営委員会が問題にするところではないというふうに私ども理解すべきでしょうか。
  55. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 いや、国会であった議論を全然無視するとかなんとかいうことじゃございませんが、われわれの理解するところでは、小野前会長が田中時代の次官であったというのは十七年も昔のことであり、その後特別の関係がなかったものというふうにわれわれは考えておりました。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHK報道の偏向の問題に触れれば、それぞれの政党の立場からそれぞれの言い分はあるだろうと思いますから、偏向の問題がとやかくというところまでは触れませんけれども、しかし、小野会長と田中さんの関係が単に十七年前に大臣と次官であったというだけではなくて、この国会で問題になったことについては経営委員会では一顧だに与えられなかったのでしょうかと私は申し上げておるのです。
  57. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 一顧だに与えられなかったということではございません。しかし、たとえばいまお話になりました「総理と語る」というふうなものが、小野会長の意思によっていろいろやめたり進められたりしたものではなくて、NHKのそういう当事者の人々との相談の上で決められたというふうにわれわれは理解しております。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たくさんの問題を提起をすれば切りがありませんが、いま委員長がお答えになった「総理と語る」という番組の問題にしましても、本当に会議録を読んでいただいておりますならば、小野会長が自分でおやりになったと答えておるのですよ。これは政府から申し入れがあってという前提があって、政府から申し入れがあって、私はそれがいいと思ったからやりましたというふうに、これは責任者ですからお答えになったのか、そう御自分でお考えになったのか知りませんが、やはりそれは何といっても最終的な責任を負う立場にあるわけでございます。ましてや、先ほど言ったように、十七年前は大臣、次官の関係にあったという、さなきだにそういう目で見られがちな立場にある会長であれば、当然国会におけるそういう議論について会長自身も耳を傾けてしかるべきだったと私は思うのですけれどもも、さっきから申し上げましたように、おやめになった方をとやかく言いませんが、そういう経緯があって、なおかつ七月に再任をされ、しかもそれから四十日を出ずして辞表を提出されることが至当であるという判断を下さなければならなかった経営委員会の決定それ自体には責任がないのですか。
  59. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 われわれは、七月の時点、十六日でございますが、再選したということに対してはそのときの最善を尽くしたものと思っておりますが、ああいう不測の事態が起こったことに対しては非常に遺憾に思い、かつ、ある責任はあるというふうに考えております。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 第一点は、七月の時点の再任の経過について経営委員会の認識は最適任であったというふうにお考えのようでございますが、私は国会の議論等について十分耳を傾けていただいておったならば、七月の再任の時点ですでにその問題は経営委員会の中で当然議論をさるる一つの柱になっておったはずだと思うのです。それをやらなかったことそれ自体が経営委員会の一つの手落ちじゃなかったのですか。さらにあわせて、それから四十日を出ずしてこういう事態が惹起されたというのが二つ目の大きな手落ちになる。これはもはや小野会長個人ではなくて七月時点で選んだときの経営委員会の選び方、それが四十日を出ずしてこういう事態を引き起こした、結果を招いた。この招いた結果について、二つの点から私は経営委員会はもっとはっきりした責任を負うべきだと思いますが、どうでしょうか。
  61. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 申しましたように、七月の時点においてはわれわれ本当に最善を尽くしてやり、かつ十二日に欠席者があったのをわざわざ十六日に延ばして全員一致という形をとったのでありまして、その間いろいろな議論はございました。これを一々ここで御披露申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、いろいろ議論はございましたけれども、最終的に全員一致のそういう意見に達したのでございまして、それについてはわれわれ最善を尽くし、手続上もまた実質的にもそう間違いをしたとは思っておりません。その後、四十日後に起こりました事態については、これはもう不測のことでございまして、残念だと申し上げるほかはないのでございますが、それについてはいま申しましたように責任が全然ないとは申されぬと思います。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の考え方と委員長考え方が違うのは、まず七月時点の人事は最善のものであった、したがって、その後に起こった事態は不測の事態であったという認識ですね、委員長は。私は七月時点ですでにそのことが議論さるべきであったというふうに考えるのです。それはなぜかというと、先ほどからるる申し上げておりますように、今日までのこの委員会における議論の経過を十分承知していただいておったならば、七月時点の再任の際にすでにそのことは一つの要素として検討されなければならない要素であったし、したがって、その後に起こったのは不測の事態ではなくして起こるべくして起こった事態だと言わなければならない。だから、私は経営委員会責任は重大ではないか、こう申し上げておる。その辺の食い違いはどうでしょうか。
  63. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 御指摘のように、若干の食い違いがあると思います。ただわれわれとしましては、再選のときは最善を尽くした、ただしそれが四十日を出ずしてああいうことが起こったということに対しては、ある意味では不明を反省しなければならぬと考えておるのございます。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はNHKを愛するがゆえに、経営委員長にいやなことを言いますが、私はそれで直ちに責任をとってどうこうということは申し上げませんけれども、少なくとも公式の場において、委員長がいまおっしゃった視聴者に対して一言おわびといいましょうか、不明をわびてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 視聴者に対して、いまここで申しましたように、七月に再選したことはわれわれ最善を尽くしたけれども、その後に起こった事態については不明をわびたいと思います。率直にわびたいと思います。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、委員長先ほどから経営委員会内容については差し控えたいというふうなお言葉がちょいちょい出ておるわけですし、私もそれが全然わからないわけではないのですけれども、やはり原則的には経営委員会は視聴者のためにも開かれたものであるべきではなかろうかという気がするわけです。よくマスコミなどでは密室の中の人事とかいろいろなことが言われておりますが、法律上明らかに会長の任命は経営委員会にゆだねられておる事項でございます。したがって、堂々と経営委員会が議論をして任命をされるべきであって、密室の中の人事というのは余り好ましくないような気がするのですけれども、その点はどうお考えですか。
  67. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 経営委員会の議事公開ということはしばしば問題になるのでございますけれども、私は一般の議題においても、この十三人の者が数は知れておるのですから縦横無尽に活発な論議を尽くすという意味では公開でない方がやはり言いやすいのではないか。一番なにするのは、公開というかあるいは公開に近いものにいたしますと、自分が一度言ったことを変えるということが非常にむずかしくなるのではなかろうかと思うのです。十三人が隔意なく意見を公開する場合は、あるいは最初自分が思っていたことと逆のことに最後には賛成してみたりいろいろなことになるわけで、またそういうふうな形の討議というものが経営委員会としては必要ではなかろうかという観点から、公開という点に関しては私疑問を持っております。  ことに人事の場合におきましては、会長人事でございますが、これは特にいろいろな人の名前が出たり、あるいはある方に交渉してそれが向こう様の御都合でどうなったとかこうなったとか言ったりということになりますと、その御当人に対しても御迷惑もかかるし、また最後にわれわれは坂本会長を最善の人として選んだのでございますが、それより前にこういうことがあったああいうことがあったというふうなことになるますと、これは新会長としてもやりづらいということもございますので、人事に関しては特に公開というのはむずかしいのではなかろうかと私は考えておるのでございます。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは本当に私も率直に言ってなかなかむずかしい問題だという気はするのです。しかしまた逆に巷間密室の人事とかということがよく言われておるのも委員長御承知だと思うのです。したがって経営委員会というものは原則的に公開だという立場をとっていただく、そして必要なときにいまおっしゃられたようなことがあり得ても、それは私は不思議ではないという気がするのですけれども、もう経営委員会はすべて外には漏らさないのだということになってきますと、何か特に密室の中でやられておるというふうな疑惑を招くおそれもありますので、これはむずかしい問題だと思いますから御検討いただいておきたいと思います。  ただ、それに関連して私はこういうことが言えるのではないかと思うのですが、私が知っておる限りでは八月三十一日ですか前会長は辞表を出されておった。ところがそれが公になったのは九月四日であった。その経緯は先ほど委員長からお話がありましたから承知をしました。十三人の意見をまとむるべきである、みんなに諮るべきであるというので会長個人では保留したというのはわかりましたけれども、しかし一般の方々から見ますと、何だ八月三十一日には辞表が出ておったんじゃないか、しかも辞表を出した小野会長がぬけぬけと、やめるということをまだ言っていないじゃないか、一方では何か知らぬけれども、百何十万の署名がどんどん集まるという状況になっておる。これだけだって国民の中には大変な混乱を起こしたと言っては言い過ぎで大げさになりますけれども、少なくとも百三十万人の人間が署名したことは間違いないのですよ。これは、前会長辞任が是か非かというような問題をめぐって会長をやめるべきだというような署名が集まったんだと思うのですが、百三十万の署名が集まってきた。この間四日間あったわけでしょう。こういうところが非常に密室だから、国民に知らされないから、ある意味では小野会長はすでに辞表を提出されておるのに、その間まだ国民世論はいろいろな角度から騒ぐ。特にマスコミあたりもおもしろおかしく騒ぎ立てる。そういうむだなことが起こってくる。不必要な疑惑が起こってくる。そういうことから考えますと、私は、あの四日間の経験からしても、やはり原則的には、後をどうするかは別にして、少なくとも経営委員長が、八月三十一日に小野会長から辞表が出たということを明確にしておくことによって大分違っておったのではないかというような気もしますので、この点はひとつ検討をしていただきたいと思う点でございます。  それからその次の問題なんですが、小野会長辞任でございますね。辞任というのは放送法なり定款なりのどういうところに該当するのでございましょうか。
  69. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この会長の任命の問題でございますが、放送法の二十七条には「会長は、経営委員会が任命する。」ということで、辞任の場合のことは規定してございません。それから辞任の場合につきましては、二十九条で「罷免することができる。」、これは辞任でなくて罷免でございますが、こういう任免については二十七条と二十九条でございます。したがいまして、今回のように、みずから健康上の理由あるいは別の理由辞任する場合については、特段の定めはございません。これは経営委員会で判断するということになっております。
  70. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経営委員会で判断するという条項はどこにあるんでございますか。
  71. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 特段の規定はございませんが、やはり任免というのは一つのつながりということでございまして、常識的に判断いたしますと、やはりそういう任命という問題の中に含まれるのではなかろうか、かように考えております。
  72. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、放送法なり定款に任命があって辞任がないのには理由があると思う、この法の精神に。それは、健康上の理由でその職にたえられなくなったときはその項に該当するわけです。それから、やったことが行為の上で適任性を欠く場合にはこの項に該当するのです。そういう項に該当しない場合は勝手に出たりやめたりしては困る、そういう意味から辞任というのはこの中にはないのです。私はそう理解する。だから、もし電波監理局長の方で、辞任はこの項に該当するという条項があるならば示してください。それはないはずです。それがないというのは、そんなに勝手に辞任できないものだ、かくかくのときにはやめさせる、またはやめるということになるのであって、それ以外のときにはやめないのだ、そういう理解をすべきで、それほどNHK会長の職責は重いのだというふうに理解すべきだと私は思うのです。どうでしょうか。
  73. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  先生のお考えのとおりだと思います。
  74. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、経営委員長、あなた方は大変なミスを犯したことになります。いまの法律辞任というのはございません。どこかにあるならおたくの方で調べて私に教えてください。それほどNHK会長の仕事は重いので、その任にたえられなくなって病気になったような場合はいいですよ。あるいは、間違ったことをした場合はいいですよ。適格性を欠いたときには経営委員会がやめなさいと言うのはいいですよ。それ以外にはやめられないんです。そんなに勝手にきょうなり、あしたやめるということでは困る、そういう趣旨から辞任というのはないんですよ。これは放送法上も定款上も私の調べた限りではないようでございますが、私が勝手なことを申し上げて間違っておるといけませんから、もしあるならば示していただきたい。
  75. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 いま電波監理局長からお話があったように、私も、辞任を受ける受けぬということが法規にあるかないかということは実はそこまで調べておらなかったので、いま御答弁できなかったのでございますが、ただ、われわれとして常識的に考えたのですが、その本人が辞任届を出したからこれを受理するかしないかということは、任命した者が、経営委員会が判断すればよいという考え方に立ったのでございます。
  76. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も本当は初めは常識的にそういうことがあるだろうと思ったんです。ところがよく調べてみると、それはないのです。これは任免で、しかも一つは任命し一つは罷免することだけが定められておって、もし不適任である、先ほど申し上げました辞任が適当であると認められたとするならば、法的な手続としては、これは罷免しかないのですよ。だから、それならば当然あの頃にある、その行為が適当でなかったものに該当するものとして罷免をせざるを得なかったのではないか。これは情としては忍びないことです。私も情としては忍び得ませんが、法の解釈からいくならばそうなるのではないかという気がするのでございますが、どうでしょうか。
  77. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この任命あるいは罷免の件については法律であるわけでございますが、ただこの場合は、経営委員会が任命権を持っているからといって勝手に会長をやめさせるというようなことはできないということでございます。したがいまして、今回のように本人から事情があって辞表が出された場合に、これを受け取るかどうかということにつきましては、これはやはり経営委員会の判断ということで、経営委員会はその任命についての権限を持っているわけでございますので、経営委員会で判断していただいて結構だと思います。したがいまして、そういう辞表も出ないという段階においての辞任と申しますか罷免と申しますか、これは法律に基づくよりほか仕方がないと思います。
  78. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それがよりどころがあればその解釈も一つの解釈だと私は思うのですけれども、それならばたとえばそういう途中でおやめになった場合の後の会長の期間はどうなるわけですか。新たに任命されたときから三年になるのですか。前の会長の残任期間を引き継ぐのですか。
  79. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  これは任命されてからの期間でございます。
  80. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから任命されてから三年ですか、そういうことになっておるわけですが、そうすると、いまのような場合には、辞任というものが認められる限りにおいては、そういう規定を当然設けてその残任期間をやるとかいうようなものがなければならない。会長の任期は三年とするという以上、途中でおやめになったような場合は当然それから残任期間を務める、これが一般の常識でしょう。一般論としてそうなっておるはずですよ。たとえば理事の場合でもそうなっておると思うのですが、理事が欠員を生じたときにはそれを補充する、その人の任期は残任期間ですよ、大概それは定款にある。商法上もあるはずですよ。そんなものはないでしょう。
  81. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 理事につきましては任命されてから三年間ということになっております。ただこの放送法の中でございますのは、経営委員については残任期間がございます。
  82. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経営委員の場合は残任期間が出ておるわけですが、大体常識的にはそうなるのじゃないですか。理事なんか数が多いからどうでも構わないようなものかもわかりませんが、とにかく特定の職にある人の場合は、普通は残任期間だというのが私は大体常識になっておると思うのです。ですからいまおっしゃったように、いみじくも経営委員の場合は残任期間ということになっておる。経営委員が残任期間であるのに会長は任命されたときから三年だというふうになってきますと、非常に矛盾があるような気がします。ですから、辞任という項がたとえば定款でもいい、設けられて、かくかくの場合には経営委員会がその辞任を認めて補充することができる、その上に立って残任期間とするか、新しく任命されたときから三年にするか、それは別ですよ。別ですけれども、そういう規定がないということは、率直に言って予想し得なかったのではないかという気が私はする。あるいはさっきの委員長のように常識論じゃないかということもあるのじゃないかという気もしますけれども、逆に言えば会長の任務というのはそれほど重くて、そう朝晩やめてもらっては困るという解釈も成り立つ。そういう意味から、これは放送法の不備か定款の不備かわかりませんが、どうもいまの法規の中ではそう軽々に辞任の申し出があれば経営委員会がやっていいという規定にはなっていないような気がするのですがね。
  83. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 全く例外的なことでございまして、いままで前例もなかったことです。御趣旨はよくわかりましたので研究もいたしますが、しかし、こんなことが再々起こっては困ることでございますから、ないように願いたいと思います。ただ病気の場合は……。(阿部(未)委員「あるんです。罷免すればいいんです」と呼ぶ)これは罷免するのでございますか。あなたに聞いてまことに何ですが、そうですか。相済みません。
  84. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは電波監理局長、少し研究をしてみておいてください。  それで、その次に経営委員長にまた少し聞きにくいことを聞くのですが、先ほど新しい会長を任命するに当たってはいろいろな方々に当たられるというお話があったのですけれども、マスコミによりますと、まるでNHK会長を任命するのは内閣総理大臣であるかのごとき観を呈しておるのですが、内閣総理大臣経営委員長というのはどういう関係になるのでございますか。
  85. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 これは非常にはっきりしておりまして答えやすいのでございますが、私ども経営委員は、御承知のように内閣総理大臣に任命されて国会の御承認を得たわけでありますが、一たび任命されて経営委員になりました以上、これは総理大臣も、恐らく国会も、不当行為がない限りこれを罷免できないわけです。その立場に立ちまして、経営委員会長を選定するときには全くだれの束縛も受けず、だれの圧迫も受けずにやっております。これだけははっきり申し上げることができます。
  86. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、私は経営委員長が直接かどうかは知りませんけれども、まずいままででもそうでしたし、今回の場合でもやはりそういうふうに内閣総理大臣なり政府の非常に重要な地位にある方々がいろいろな動きをされておるというふうにマスコミが報道しておりますし、現に、私は個人の名誉にかかわるプライバシーの問題ですから名前までは申しませんが——やった方は言いますよ、言われた方は言いませんが、たとえば防衛庁長官の坂田さんがある人のところへ行って、あなた今度NHK会長に就任してくれぬかと言うていった。これは事実ですよ。何で坂田防衛庁長官がNHK会長の任命に頼みに行かなければならないのか、その辺の事情がわからないのですが、これはどういうことでしょうか。
  87. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 私に関する限り何ら知りません。そういうことがあったということも知らなければ、そういう政府の方々がなにされたということも知りません。これははっきりお答えできると思います。
  88. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、マスコミや巷間うわさをさるるようなNHK会長人事というのが、私どもは法の上で明確に経営委員会にあると理解をしておるのですけれども、われわれのそういう理解とは別に、今度三木さんはだれを推したいと思っている、それであの人に当たってみたけれどもだめで、今度はこの人に当たってみてこれもだめだったので今度はあの人に当たったと、いろいろ書いてあります。しかし、私が一番よく承知しておるのは、いま申し上げた坂田さんがある学者のところへあなたNHK会長になってくれぬかと頼みに行った。坂田さんとNHKがどういう関係があるのだろうかと思って非常に奇々怪々なのでございますが、これはひとつ明確に、経営委員会責任において絶対に国民の公共放送の責任者を選ぶのに政治権力の介入は許さないということを明らかにしておいてもらいたいのです。
  89. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 明確にさよう断言していいと思います。ことに坂田さんですか、そのことについては私全く初耳でございまして、びっくりいたしておるのでございます。今度の会長選任のときの、その前の新聞記者会見でもいろいろな揣摩憶測が述べられたので、私は、それは皆記者諸君の頭悩の産物であるというお答えをしたのでございまして、われわれはあくまで良心と良識に従って公明正大に、自主的に決定したということは確言できます。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に胸のすくような御答弁をいただきまして気分がよくなったのですが、そこでもう一つついでに、いわゆる週刊誌等の報道するところによると、前の会長人事、今度の会長人事ともに、経営委員長会長になってもいいというような希望があるために経営委員会の議がなかなか進まなかったのだというふうな、まことに不都合な揣摩憶測記事が出されておるわけです。私は、経営委員長はやはり会長を任命する最高の責任者としてそういうことがうわさにもなるようなことがあってはならないと思うので、この際、私はそういうことは毛頭考えていないということを天下に明らかにしておいてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  91. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 機会を与えられたことを非常に幸せに思っておりますが、私は選ぶ人でありまして、選ばれる人ではございません。
  92. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは先ほど私が申し上げたとおり選ぶ立場にあるのであるから、だから選ばるることはあり得ないというふうに理解していいわけですか。(工藤参考人「はい」と呼ぶ)わかりました。  では、その次の質問をさせてもらいますが、放送法の二十九条、それから協会の定款の四十条の関連でたしか内規があると思うのですけれども、顧問という制度についてちょっと知らせてもらえませんか。
  93. 坂本朝一

    坂本参考人 放送法を受けまして定款の四十条で、会長がいろいろと諮問するというようなことのために顧問とか委員とかいう方々を委嘱することができるというふうに定めてあるわけでございます。
  94. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その程度のことなら、会長、実は私も知っておるのです。内規の中にもう少し詳しく、たとえば副会長専務理事は顧問にしてもいいとか、会長の場合には名誉顧問にしてもいいとか、そういう定めがあるわけで、その中にはたしか報酬については別に定めるとか、そういうものがあったように記憶するのですが、会長でなくていい、だれか知っておるでしょう。
  95. 藤島克己

    ○藤島参考人 ただいまのお話は、役員の職にあった者を全部顧問にするということでございまして、その中で特に会長の職にあった方は名誉顧問とするということでございます。
  96. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全部「する」ですか、「してもいい」じゃないですか。どっちだったですか。
  97. 藤島克己

    ○藤島参考人 会長の職を終わられた方は全部名誉顧問ということになってございます。
  98. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あれは内規にしかなかったように思うのです。定款ではなかったように思うのですが、その内規を後でちょっと見せてもらうようにあれしてみてくれませんか。  そこで、仄聞するところでは小野前会長も何か名誉顧問になったということなんですが、その場合、これはどこの責任で顧問にするわけでございますか。
  99. 坂本朝一

    坂本参考人 これは協会の方で、先輩としての一種の処遇ということでお願いしてあるわけでございます。
  100. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はさっきから言うように、死んだ人にむちを当つるようなことは非常に酷だと思いますし、言いたくありませんけれども国民からあれだけの指摘を受けたわけですからね。これは早く言えば、率直に言って前会長の身から出たさびだと言わざるを得ないと思います。そういう意味から考えれば、法的に言うならばいわば罷免に該当するのではないか。それをいろいろな解釈をつけて、先ほど来聞くところによると辞任、本人から申し出があったということで処置をつけてしまったようですからそこまで私は申し上げてないのですが、本当は、あれだけの問題を起こしたとなれば、これは罷免に値するのではなかったかとさえ私は思うのです。そのことは問いませんけれども、その人を何か規定にあるからといってまたすぐ名誉顧問に推戴するというようなことが一体今日の国民感情にマッチするでしょうか。NHK運営上当を得た措置なのでしょうか。どうでしょうか。
  101. 坂本朝一

    坂本参考人 協会の業務の最高責任者としてお勤めになった方についてのいわば後輩の、何と申しますか、常識的な意味の敬意ということでございますので、この際御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  102. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やはりけじめはけじめでつけるべきで、先ほど、辞任というのはある意味では常識的に判断される問題ではないか、そういう項目がなくてもということを経営委員長お話しになったのですが、同時に、これだけ国民から指摘を受けたような方を、さらに顧問に推戴するというようなことは、きわめて非常識ではないかということもこれまた常識的に判断のできるところだと思うのです。特にあの項の中には、私ははっきり記憶してないで悪いのですが、報酬を出すことができるようになっておって、その額も協会で決められるようになっておったと思うのですが、そういう点はどういうことになっておるのですか。
  103. 藤島克己

    ○藤島参考人 若干のお手当を差し上げることになっております。
  104. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その辺がちょっとおかしいのです。何も若干とおっしゃらなくても、何ぼ何ぼと決めましたと言えないのですか。私は、何か隠そう隠そうとしているような感じがしていやなんですよ。規定がある。若干の手当を出している。あるのですからそれは決まっておるのです。何ぼ上げることにしましたかと聞いておるのですから、何ぼ上げることにしましたと言えませんか。
  105. 藤島克己

    ○藤島参考人 これは顧問としていろいろやっていただくためのお礼でございまして、別に給料とか報酬というものではございませんので若干と申し上げたわけですが、大体おやめになったときの給料相当くらいのものを当分の間出すということでございます。
  106. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おやめになったとき相当額を差し上げるわけですか。
  107. 藤島克己

    ○藤島参考人 いま申し上げたとおりでございます。
  108. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 顧問の任期というものはないわけでございましょう。
  109. 藤島克己

    ○藤島参考人 任期は三カ年でございます。
  110. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 三カ年、あるわけですか。会長がやめると、NHK会長を三カ年間は養い続けなければならない。会長をおやめになっても、そういう規程がある以上、後三年間は名誉顧問で残るわけですから、会長と同じ給与を差し上げる、これで国民受信料を黙って払うと思いますか。  しかも、もう言いたくなかったのですが、そこまで出たから伺いますが、退職金の規程もありますね。退職金規程はどうなっておりますか。
  111. 藤島克己

    ○藤島参考人 退職金の方の規程の詳細は手元にございませんので、後ほどお届けします。
  112. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこにそれだけ理事さんがお見えになっておりまして、退職金の規程を大体知っておる理事さんが一人ぐらいおるはずでございます。副会長、知らぬでもいいですよ。だれか知っている人から答えてください。
  113. 坂本朝一

    坂本参考人 在任の月数を月の報酬額に掛けましたものの百分の五十五ということでございます。
  114. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の記憶が違うかもしれませんが、それだけですか。何か経営委員会で、功績に報いるような加算が行われることになっておりませんか。
  115. 坂本朝一

    坂本参考人 その方のあれによって多少のプラスアルファということがあり得るわけでございます。
  116. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、もっとはっきり答えてくださいと申し上げたのですが、そうなると、私はいやですが、では、小野会長に幾ら上げましたかと聞かなければならなくなるのです。そうでしょう。では、小野会長に幾ら差し上げたのですか、その根拠はどうなりますかということを聞かなければならぬ。私は、おやめになった方だからそこまで言いたくなかったから規程だけ聞こうと思ったけれども、そんなふうに若干だとか幾らか加算ができますとかいうような言い方になってくると、それは小野会長の場合に在職年数、それに百分の五十五ですか何か知らぬが、それに加算は幾らあったのかというふうに聞かざるを得ぬことになってくるじゃないですか。それで総額何ぼになりましたか、こうなります。
  117. 坂本朝一

    坂本参考人 小野前会長にはまだ差し上げておらないものですから、これから……。
  118. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ではその計算の根拠はどうなりますか。その加算金というのはどのくらいになることになるわけですか。差し上げておらぬというのと計算はせぬというのは別でございますから、計算をしたらどうなりますか。
  119. 坂本朝一

    坂本参考人 大体最高で五割ぐらいがリミットでございます。
  120. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、会長の報酬は幾らだったか私は知らないのですが、それに在職月数を掛けてそれに百分の五十五を掛けるわけですか。それにさらに五〇%の割り増しがつくとおおむねどのくらいの額になるのですか。  あれは、会長会長の任期だけで、理事理事の任期だけで、副会長は副会長の任期だけ、何かそんなふうになっているはずですね。
  121. 坂本朝一

    坂本参考人 おっしゃるとおりでございます。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから会長の任期だけについては大したことはないのですけれども、しかしNHKにお勤めになっておる間に、職員か、職員でなければ理事があって、副会長があって、会長がある。早く言えば四回も退職手当をもらうわけでしょう。四回も退職手当をおもらいになってそしておやめになって、会長当時と同じ報酬をまた顧問として三年もお受けになる。これは、ちょっと国民、視聴者の皆さんがそれをお聞きになったら、それでも受信料値上げですかということになりますよ。それも、非常に功績がおありになって、本当にあの人はよくやっていただいたという場合ならばそういう声は起こりにくいと思います。しかし今度のような場合は当然起こる声ですよ。私は、本当はそこまで聞きたくなかったから遠慮しい遠慮しいして聞いたのですけれども、あなたの方が若干であるとか少しプラスアルファだとか言うものだからいやなことを聞いてしまいましたが、これは経営委員長経営委員会という立場でどうお考えになりますか。
  123. 工藤信一郎

    ○工藤参考人 まだ委員会へ出ておりませんから、出ました上で、経営委員会で検討したいと思います。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これ以上私が申し上げるのは言い過ぎになるかもわかりませんが、少なくとも視聴者の感情からすれば、あれだけの問題が起こっておやめになった方を、規程にあるからといって名誉顧問にし、三カ年間も同じ報酬を差し上げる。それも、それを差し上げなければ生活にお困りになるとかいうようなことなら私はそういうことは言いませんよ。恐らくそういうことではないと私は思います。ないと思いますから、天下りがどうだこうだと言われ、今度の人事でもその問題が出てきて、天下りに反対だとか賛成だとかずいぶん新聞で騒がれておったのを私は見ておるわけですが、何と言っても郵政省の事務次官をおやりになったと言えば、役人としては位人臣をきわめたわけでございます。そしてさらに今度はNHKという公共放送の会長をおやりになった。その上に、私は不必要なとは言いませんが、どうしてもなければならぬというお金でないお金を、受信料が集まるからといってどんどん差し上げておったのでは、これは私は受信料値上げには賛成しましたけれども、そういう運営内容についてはとても私は賛成することができませんよ。もう少しNHK内部で姿勢を正す、経営委員会の方でもひとつみかじめをしてもらいたいと思いますが、姿勢を正してもらわなければ、先ほど来私が心配をした受信料の未収、契約伸び悩み、これはますます蔓延してくるだろうということを私は懸念をします。  特にその点について、監督官庁郵政大臣の所信も伺っておきたいと思います。
  125. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御承知のとおり、NHKが報道、言論の機関として事業を自主的にやることを保障されているたてまえから申しまして、その中立性は当然強く要求されておりますし、同時にまた経営の合理化につきましてもいろいろな御意見がございましたが、これを貴重な参考意見として十分検討し、また視聴者が納得のいくような方法をとってもらいたいと要望いたしておるわけでございます。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  127. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議
  128. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田藤吉君。
  129. 平田藤吉

    ○平田委員 初めに、NHKに対して質問したいと思います。  ロッキード疑獄事件の中心人物の一人として逮捕されていた前総理の田中角榮が去る八月に出獄すると、すぐにNHKの現職会長だった小野氏が早速見舞いに駆けつけているわけです。これは、先ほども問題になっておりましたけれども、このことに対して広範な国民から抗議と厳しい批判が寄せられていることは御承知のとおりです。その結果、結局は小野氏が会長をやめるということになったわけですけれども坂本会長NHKを代表して、この問題についてNHKとしてどう反省されているか、お聞かせいただきたい。しかも、小野会長というのは再任早々にこういう事態を引き起こしているわけですから、ひとつNHKを代表してどう反省されているか、お聞かせいただきたい。
  130. 坂本朝一

    坂本参考人 冒頭のごあいさつの中でも申し上げましたように、小野前会長の問題につきましては、はなはだ遺憾であるというふうに存じております。そして、当時補佐する一人である私としてもまことに申しわけないと思って、御迷惑をかけたあるいは御心配をかけた方々に陳謝している次第でございます。
  131. 平田藤吉

    ○平田委員 NHKの不偏不党、公正中立という原則から照らして、小野会長の行動をめぐる問題については非常に重大な問題であるというふうに思うのですよ。そういう意味でこの問題からどのように教訓を学んで、それをどのように生かしていこうとしておられるのか、お聞かせ願いたい。
  132. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKの放送につきましては、放送法の第一条でともかく放送の自由、表現の自由そしてそれが民主主義のお役に立つということが大前提にうたわれておりまして、それを受けてNHKは公共の福祉のために全国あまねく放送しなければならないという目的が示されておりますので、それを示すために当然不偏不党という立場において放送の自由を守るということ、これが第一前提であるということで、いささかも疑惑を招くようなことのないように会長以下十分戒慎してやろう、こういうことでございます。
  133. 平田藤吉

    ○平田委員 新聞報道によると、やめたというときに記者会見でさわやかだとかすずやかだとかいうふうに前会長は言っているのですよ。毫も反省の色なんかないわけですよ。普通の人だったらああいうことはないですわな。そこで、坂本会長NHKの職員全員にこの問題についてどのように説明されたのかお聞かせいただきたい。
  134. 坂本朝一

    坂本参考人 職員全員につきましては、いまこの席で申し上げましたように、大変残念なことである、そして私も当時補佐の任にあったわけだから、その点については深く責任を感じ、なお職員の皆さんにも御心配をかけたということで深く陳謝をし、今後のNHKの安定ということで会長以下一心になってやりたいということを訴えたわけでございます。
  135. 平田藤吉

    ○平田委員 さっきの阿部議員の質問に対する答弁の中でも、計画と比べて新契約伸びが非常に低いということが問題になったわけですけれども、これから先の問題としてやはり私ども憂慮にたえないわけですよ。そういう意味で視聴者との関係は非常にまずい関係をあの事件はつくり出したというように思っているわけですよ。それだけに視聴者との接点で仕事をしている人々の苦労は並々ならぬものがあったろう。とりわけ委託集金人の皆さんなどは行く先々でとにかく文句を言われる。謝ってくる以外にない。自分たちが謝ったからとてどうにもならぬのだというふうに訴えているわけですよ。この苦労されている委託集金人の皆さん方に対してはどのように説明し、どのような反省をなされたのか、お聞かせいただきたい。
  136. 坂本朝一

    坂本参考人 私は、NHKに職を奉じる職員の皆様方に、いま申し上げたようなことを全員に申し伝えたわけでございますけれども、その中身につきましては、いま先生指摘の方々に対しても同様の気持ちでございますし、それは営業担当専務を通じてお伝えしてあるわけでございます。
  137. 平田藤吉

    ○平田委員 これはNHK経営を支える上で、一つの重要な役割りを果たしている人々なのですね。それだけに委託集金人の皆さんの御苦労について私も大変心を痛めておりますし、前国会でも、この人々に対する待遇の改善や、それからこの人々の声がNHK経営委員会なりNHK会長を初めとする幹部の皆さんのところへ届くようなシステムをつくる必要があるということを主張したわけですよ。それは視聴者との関係においては大事な役割りを果たす人々であるだけに、私はここのところを重視しているわけですね。まあ遺憾であったと言えば遺憾であったということで済んでいるのかもしれませんけれども、改めて私はやはりこの人々に対して、会長として大変まずいことをしでかしてしまったという意味で陳謝をする必要があるんじゃないかというように思っていますが、どうですか。
  138. 坂本朝一

    坂本参考人 私もごあいさつの中で要するに深くおわびするというふうに申し上げてありますので、そういう趣旨に御理解いただけているというふうに思っております。
  139. 平田藤吉

    ○平田委員 NHKは不偏不党、公正中立の原則とそれから自律性を守らなければならない、また守りますというふうに言ってこられているわけですね。それは当然だと思うのです。ところがこの春の値上げ問題のときに、ロッキード疑獄事件が表面化し、特に政府与党である自民党ではこの問題の報道に神経を大変とがらせていたわけです。いまでもそうだと思います。この時期に日本共産党国会議員団が、疑惑の持たれている前総理であった田中角榮だとかあるいは元官房長官であった橋本登美三郎だとか、こういう人々の二十八名の名前を発表した。この名簿と理由を発表したことについて私があなたに質問したわけです。この発表というのは、上田耕一郎参議院議員がわが党の国会議員団を代表して記者会見の席上で発表したものなんですね。記者会見でのこの発表は、当然NHKだけでなく他の報道機関でも取り上げられたわけですよ。赤旗でも当然ですけれども、翌日付けの日刊紙に報道したわけです。この日刊赤旗新聞は大変な売れ行きで増刷をしなければならなかった。飛ぶように売れたわけですよ。このことにも見られるように、広範な国民の間に大きな反響を呼んだんだと思うのです。それだけに政府与党である自民党にとっては痛手だったようで、早速自民党総務会が取り上げて、ちょうどNHK予算審議が行われているという状況のもとでNHKが赤旗の報道をニュースで取り上げたのはけしからぬという趣旨の論議が盛んに行われて、報道によればNHKに対して圧力がかけられることになった。これに呼応するかのように、小野前会長委員会で自民党委員の質問に答えて、チェック体制を強化いたしましたというふうに答弁をしたわけですね。こうした状況下で、私はまず自民党側の言う、NHKが赤旗の報道をニュースで取り上げたという歪曲を指摘して、そうして事実経過を明らかにするために質問をしたわけです。  この質問の経緯を若干申し上げますと、自民党委員からこの委員会で「私は、自民党の一代議士としてこの機会に承らしていただきたいのは、私は直接聞いたわけではございませんが、ロッキード事件の疑惑の人というようなことで、社会新報、これに次いで赤旗に取り上げられた人名がNHK放送で放送されたやに聞くわけでございます。こういうことをやりますと、実は自民党からも自由民主という党機関紙がございます。あるいはまた民社党にも公明党にもそれぞれございます。こういう機関紙に報道されたこの種のことは報道しなければならないことに相なるわけでございます。」こういう指摘をしているのですね。この問題について、当時の状況からいって私は非常に事態を重視しまして、事実経過を明らかにする必要があると考えて質問で取り上げたわけですよ。私が取り上げたことに対して事実経過を明らかにしてもらいたいと言ったのに対して、坂本会長は、こういうふうに答えているのです。「御指摘のように、NHKのニュースで社会新報並びに赤旗に掲載されることになりました事実関係を、上田耕一郎氏の記者会見の記事として取り上げた次第でございます。」こういうふうに言っているわけですよ。ここであなた方が明確にしなければならなかったのは、記者会見で国会議員団が発表した、ニュース性があるからNHKの記者がそれを取り上げてニュースで報道した、こういう経過で、赤旗に出たから報道したというものじゃないのです。これはどの党に対しても、国会で記者会見がありまして発表があった場合、ニュース性があるものはすべて私ども自主的に判断をして自立的に報道しているのでございますと答えればいいことなんですよ。ところが、あなたの答えというのは、持って回って、そして自民党の側から出された問題に対して事実経過も述べなければ否定もしないという態度をとっておる。これは小野前会長もそうなんですよ。いろいろなことをいっぱい言っているけれども、ここに質問で述べられた事柄について、自民党の委員の方から指摘されたことについては、それは経過はそうじゃないのでございますという指摘はしていないのですよ。小野前会長は体制を強化いたしましたということを指摘しているのですよ。こういう扱い方というのは大変重大な問題であると私は考えておる。そこで、今日段階であのときの事実経過は明確なんですから、共産党の国会議員団が記者会見をやって発表したものを報道するたびにがたがた騒いでいたんじゃ話になりませんからね。報道の自由に対する重大な侵害にかかわり合いを持つわけですから、そういう意味であなた方はやはり毅然とした態度をとるべきだ、私はそう思う。したがって、改めてここであのときの事実経過を明らかにし、あなたのあのときの発言についてどう考えられるのか、お聞かせいただきたい。
  140. 坂本朝一

    坂本参考人 いささか時日を経過いたしましたので多少不正確な点があるかとも思いますけれども、たしかその後で再度平田先生からの御質問があって、共産党の上田耕一郎議員の記者会見を取材して放送したのでございますというのを、もう一度その後でお答えしたように記憶しておるわけでございますが、おっしゃるとおり赤旗を引用したというのではございませんで、上田耕一郎議員の記者会見を取材して頭にそういうクレジットをつけて放送したわけでございます。
  141. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたはその後でちゃんとしたようなことをおっしゃるけれども、私も非常に憤慨したわけですよ。NHKの重要な職にある人が自民党から言われたからといってふらふらしてわけのわからぬような物の言い方をするというのはまことにけしからぬ。事実経過なら事実経過できちんと——事実は事実で存在するのだから、ちゃんとする必要があるのだというように考えて、私は次のように言っているのですよ。「はっきりさせておきたいのは、共産党国会議員団の記者会見を報道として扱ったのでしょう。」これに対してあなたは「私が承知しております限りにおいては、共産党の上田耕一郎氏の記者会見というふうに聞いております。」こういう言い方をしているのですね。あとはこの問題には触れていないのですよ。この記者会見で発表されたものをニュース性があるのでNHKとして取り上げたのでございますと言わなきゃならないはずなんですよ。ところが、とにかくあのときの諸般の事情というのはあなたにそう言い切れないような、はっきりさせるとぐあいの悪いような状況があったのじゃないか。そういう事態に遭遇したときに明確な態度をとれないようではこれは大変だ、とにかく新会長が就任された早々でもあるから、私は改めてこの点を確認しておきたいということで質問しているわけなんです。その点について、あのときの状況から見てあなたはこの発言で十分だったと思っているのかどうか、ひとつお聞かせいただきたい。
  142. 坂本朝一

    坂本参考人 先生が御指摘になるような心境では当時ございませんでしたのですけれども、多少歯切れの悪いようなことでおしかりを受けているわけですが、その後段で申し上げるのが事実でございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  143. 平田藤吉

    ○平田委員 私がこの問題を改めてお聞きしたのは、不偏不党、公正中立の原則を踏まえて記者の自主的、自立的な判断で取材し報道するという当然過ぎるほど当然の行為に対して、何人も干渉してはならないし、許してはならないものだと考えておるわけです。そういう意味で私どもは当然、NHKなんですから、公共放送としての使命からいってもこの問題はとりわけきちっとしておかなければならないし、同時に、そのことは国民の知る権利を保障していく上からもとりわけ重大なんであり、民主主義という点から見てもいささかもゆるがせにできない問題であるというふうに考えているわけです。ところが、四月十三日自民党総務会でNHKニュースの問題がやり玉に上げられると、当時の現職の会長である小野氏が早速自民党に釈明に行ったというふうに報道されている。そういうことや、それから田中角榮が出獄すると、現職の会長で再任されたばっかり、しかも値上げ法案を何とかしてくれと言って国会を通過したばっかり、こういう状況のもとで田中角榮のところへ現職会長が見舞いに行くなんていうことは、これは多くの国民から見たら本当に異常な出来事としか思えないというように思うのですね。国民の間に大きな反響を呼んだのも当然だと思いますけれども、私どもは、日本共産党国会議員団の記者会見で発表し、それが他の報道機関と同様にNHKニュースで報道されたときに一番腹を立てた一人が実は当の現職会長であった小野氏ではないのかというふうにすら私は思っているわけですよ。それはこのいきさつを見ればわかりますよ。とにかく不偏不党どころの騒ぎじゃないでしょう。田中さんに大変お世話になったからといってNHKも顧みない、国会も顧みない、国民も顧みないで行動する人なんですから、そう判断せざるを得ないでしょう。こういうふうに事態の推移が物語っていると思うのです。こんな体質が公共放送機関であるNHKに残っていたら、これは大変だというように考えるわけです。そういう意味で、私が心配するような小野前会長がとった行為、田中さんとの関係だとかあるいは何とか言いながら自民党のところへ駆け込んだりやってきた行為との関係で考えると、私は大変心配するわけだけれども、そういう体質はNHKにいまだに残っているんじゃないのかという心配をしてお聞きするわけです。
  144. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、私も会長に就任して間もないことでもございますし、いまここでどうこうと抽象的に申し上げるよりか、やはり具体的な放送の内容ということであかしを立てていかなければいけないのじゃないかというふうに思っております。
  145. 平田藤吉

    ○平田委員 それは大事なことだと思いますよ。しかし、小野会長も同じことを言っていたんですよ。言っていることとやっていることと違ってくるのです。あなた方自身が、きょうの午前の阿部議員の質問でも明らかになったように、一体どうなっているんでしょうと思わざるを得ないことをいま現にやっているわけでしょう。たとえば、小野前会長を特別顧問のいすに据える、それには手当として会長当時の給与が与えられる。こんなことは小野会長のやった行為から見て国民が納得するはずはないですよ。それをあなた方は現にやってのけており、いまやろうとしておるわけでしょう。さっきのお話では、経営委員会でまだ計算はしておりませんが、退職金の問題もまだあるわけですね。実際の行動で示していきたいと思いますと言いながら、現実にはそういうことがやられているわけですよ。これじゃ国民は納得しませんよ。本当に新規契約を拡大すると言ったって、新たな困難を生じますよ。あなたが言いわけをしても仕方がない、実際の行動で示していきたいと思いますと言っているけれども、実際の行動はそうなっている。大事なポイントがそうなっている。このことについてどう考えられるのか、再検討するつもりがあるのか、お聞かせいただきたい。
  146. 坂本朝一

    坂本参考人 具体的にいまここでお答えはいたしかねます。実際の行動というか、私は放送の内容というふうに申し上げたつもりですけれども、そういうことで努力したいというふうに思う次第でございます。
  147. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、いまここで小野会長の顧問云々についてすぐ返事をしろとは言いませんよ。やはり耳を傾けて検討する余地のある問題だと思うから言うのですよ。このままでいったら、値上げはしましたけれどもやはりうまくいきませんということになりますよ。重大事態がやってきますよ。そういう意味で心配しているのですよ。だから、私は、ここで返事をしろとは言いませんけれども、少なくとも検討してみる必要があるんじゃないか、そのことについてどう考えるかを聞いているのですよ。
  148. 坂本朝一

    坂本参考人 先生のお説として承らせていただきます。
  149. 平田藤吉

    ○平田委員 お説として承っておきますというのは、国民から見たら本当に納得できない問題ですよ。それが、平気でお説として承っておきますと言っていられるようなあなたの考え方というのは、私はやはり重大問題だろうと思うのですよ。言うこととやることと違うのについては、私はやはり注目していますよ。そういう意味で検討してみたらどうだと言っているのですから、お説として拝聴しておきますという話はないでしょう。もう一度答えてください。
  150. 坂本朝一

    坂本参考人 私も、会長でございますので、やはり同僚等とも十分相談して、お答えできるようにしたいというふうに考えておるわけであります。
  151. 平田藤吉

    ○平田委員 相談をして検討いたしますということじゃなくて、相談をして検討いたしますということが言えるかどうかを同僚と相談する、こういうことですな。大変ややこしい、決断のつかない、つまり小野会長時代の体質と変わっているのか変わってないのかということを、私は一つの問題としてそこを見ているわけですからね。そういう態度は、きょうあいさつがあったあなたから出てこようとは思わなかったですな。いささか考えさせられますわ。  これ以上あなたに聞いても、あなたは答えられないのでしょうから、これ以上は聞きませんけれども、私がとりわけ心配しているのは、やはり特定の権力機関の人々との結びつきによって影響を受けていくような事態がNHKにあっては困るということを心配しているから言うのですよ。だから、きっぱり切るべきところは切って前に出る。こういう大事件があった。さっきも出ていましたように、いままでNHKが経験したことはないわけでしょう。再任されて早々に辞任しなきゃならぬという事態なんて経験したことない、そういう重大な事件。ロッキード疑獄事件というのも初めての事件だけれどもNHKが当面している問題も、ロッキードとかかわり合いを持って起こってきた問題なんですよ。それだけに、歴史上経験したことのない重大な事態を迎えていて、これを明確に、不偏不党、公正中立、そして自主自立の立場をしっかり堅持していくという上から見れば、国民が見て納得できないものについては、やはり検討するというのが素直な姿だと思いますよ。そうされることを望みますよ。  郵政大臣、いまお聞きのような状態ですわ。世間では一般に小野会長というのは田中角榮の直系、これはもう報道機関の間でもいろいろ言われてきているわけですけれども、多くの人々はそう見てきていた人なんですね。そういう意味で、二度とそういう事態を繰り返してはならないと思うから私言っているわけだが、NHK会長さんはなかなか慎重で、検討するということすら言えないわけですよ。そういう状況にある。大臣ひとつ、やはりNHKを指導していく立場から、あなたの見解をお聞かせいただきたい。
  152. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 NHKが言論報道機関として自主的に運営を保証されているようなたてまえから言いましても、その中立性、公正な方針は絶対守らなければならない企業体でございます。したがって、この中立性を堅持する方針にいささかでも疑いを持たれるような行為は、特にNHKの代表であり業務の最高責任者としての会長は厳に慎むべきであろうと私は考えております。
  153. 平田藤吉

    ○平田委員 それでは、NHKに対する今後の明確な努力を期待して、NHKに対する質問はここで終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。  次に、防衛施設庁の問題で——ちょっとNHKの基地関係でかかわり合いのある人は、わかる人は、残っておってくれませんかな。会長さんの方は結構ですから。  基地周辺の受信料の減免をめぐる問題についてお聞きしたいと思うのです。基地周辺の住民は、騒音公害や電波障害はもとより、生活環境をめぐる問題を初め精神的にもさまざまな被害を受けていることは重大だというふうに考えます。それだけに、基地撤去をしてほしいという願いは多くの住民にとって切実になっているわけです。そうした要求を持ちながらも現に基地がある。差し当たって取り除き得る障害はとにかく何とかして取り除いてほしいという強い願いを持っているわけです。私はこうした住民の願いを踏まえて、きょうはとりあえず騒音障害や電波障害の問題にしぼって、特に入間基地の例を挙げてお聞きしたいというように考えるわけです。  まず、航空基地ではその周辺のテレビ受信者に対する受信料半額免除が行われているわけですけれども、その免除の範囲は飛行機の発着陸方向五キロメートル、当該飛行場の外周一キロメートル以内の長方形の内部というふうにされているようですけれども、これは事実ですか。
  154. 中塚昌胤

    中塚参考人 そのとおりでございます。
  155. 平田藤吉

    ○平田委員 入間基地周辺のテレビ共同受信施設設置事業、この事業計画年度金額そして現在どこまで進んでいるか、この三点についてお聞かせいただきたい。
  156. 宇都信義

    ○宇都説明員 共同受信アンテナの設置につきましては、昭和四十九年度から入間飛行場の周辺で行っておりまして、狭山市の方から要望が出ております。全体計画では一万六百七十台ということになっておりまして、五十年度までに千二百四十台、五十一年度に四百九十台を予定しております。
  157. 平田藤吉

    ○平田委員 これはどういうことですかね。一万六百七十が全体の計画で、五十年度が千二百四十で五十一年度が四百九十というのはどういうのですか。ものすごく下がっているじゃないですか。
  158. 宇都信義

    ○宇都説明員 五十年度まで、四十九年度と五十年度合わせまして千二百四十台でございます。あとは、五十一年度が四百九十台でございます。
  159. 平田藤吉

    ○平田委員 それにしてもずいぶん下がっている。なぜなんですか。
  160. 宇都信義

    ○宇都説明員 四十九年度から始めたわけでございますが、五十年度年度末に予算の余裕が出ましたところ御希望が多かったので、そちらの方へ予算を配賦したという経緯がございます。一応予定よりも五十年度にたくさんやったという形になっております。
  161. 平田藤吉

    ○平田委員 狭山の場合は、十年計画でいま言われたように一万六百七十台とされているようですけれども、四十九年、五十年、五十一年度千七百三十台という計画なんですね。ところがどうもわかりませんのは、これは十年計画でしょう。十年計画で見ますと、三年間ですから本当は三〇%いかなければならないのですね。それが三年間で一五%しかいっていないでしょう。これはどうなっているのだろうと、幾ら説明されても考えざるを得ないのですよ。ちょっと聞かせてください。
  162. 宇都信義

    ○宇都説明員 私の方では、十年という計画をはっきり固めたわけでございませんので、年々予算の範囲内で実施しておるわけでございますが、狭山市の場合、四十九年から地元の要望でやってきておりますけれども、今後とも事業を極力促進しまして被害の軽減には努力したいというふうに考えております。
  163. 平田藤吉

    ○平田委員 NHKにちょっとお聞きしたいのですが、視聴者の立場から見てこれをどう考えられます。十年計画だと思ったら、いや十年というわけじゃないのだということなんですね。これはいつになるかわからない。あなた、これから十年間がまんしてなさいと言われてもがまんできないですよ。それが十年じゃないのだというのだからちょっと理解しかねるのですが、NHKは視聴者の立場から見てどう考えられますか。とにかく飛行機が飛んでくるとテレビが見えないのですよ。それが年じゅう飛行機が発着している。今度来た飛行機なんかすごいですよ。いま航空ショーをやっていますが、それは雷が落ちたような音を年じゅう出しているわけですよ。F15、F14ですか、今度買おうかと言っているロッキードとかかわりあるような飛行機ですけれども、あれはすごい音を出してやって来ているわけですよ。それを計画年度もないみたいなことを言っていたのではしようがないと思うのだな。NHKとしては、視聴者の立場に立ってこういう事態をどう考えられるか、お聞かせをいただきたい。
  164. 中塚昌胤

    中塚参考人 この基地の周辺、あるいは国際空港の周辺でも同様の問題があるわけでございますけれども、私どもの方へ航空機による受信の障害、要するに私どもはフラッター現象というふうに言っておりますけれども、画面が崩れるというふうなことについて、地域の住民の方々から私どもの方へは直接の苦情のなにはございません。私ども、伊丹の周辺でも同様の現象が出ましたときに、そういう共同受信による措置の協力をしたことがございますけれども、どちらかと言えば騒音による障害に対する苦情の方がはるかに多いというふうに、私どもではつかんでおります。
  165. 平田藤吉

    ○平田委員 ではNHKは、入間基地周辺なんか調査してないのですか。これは驚きですな。どうなんです。
  166. 中塚昌胤

    中塚参考人 入間基地の周辺では調査はいたしておりません。
  167. 平田藤吉

    ○平田委員 では、基地周辺の半額免除はどこがやっているのですか。
  168. 中塚昌胤

    中塚参考人 基地周辺の半額免除はNHKでいたしております。それは、先ほど申し上げましたように横一キロ、縦五キロ、それに地形あるいは集落の、民家のある状況等によって若干の微調整をいたしまして、それは防衛施設庁の方と御相談して若干の微調整はいたしておりますが、その範囲でNHKが半額免除しているということでございます。
  169. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた、全然不自由してないのだったら半額免除することはないでしょう。半額免除しているというのはそれなりに画面が揺れて見えなくなる、音は聞こえなくなる、大変な被害を受けているから半額免除しているんでしょう。それは半額免除したってあなた方のふところは痛まないようになっていますよ。国会で毎度毎度論議されて、当然これは防衛庁で持つべきだというので、その免除した分を防衛庁が納めているから、NHKのふところは直接痛まぬかもしれぬ。しかし、被害を受けているのは見ている人々ですよ。視聴者が被害を受けているんですよ。これを全然調査もしておりませんなんということは話になりませんよ。この問題はNHKが視聴者の立場から物事を考えてないということを示している以外の何ものでもないと私は思う、本当に調査してないとすれば。あなたが、調査しているのを知らないんだ。むしろその可能性の方が大きいと私は見ている。  いま言ったように画像が見えなくなる、それから音は聞こえなくなる、何とかしてくれ、こう言っているわけですよ、住民は。だから防衛施設庁の方で共同アンテナを立てる計画を立てて、そして進めているわけですよ。この共同アンテナを立てる計画で進めているわけだけれども、この視聴者の悩み自体をあなた方はどう考えるかと聞かれて、余り意見は聞いてないし苦情は来ておりませんと答えているんじゃ話にならないですな。あなた、そんな答弁していたら後大変なことになりますよ。つまりいまずっと聞いてきたように、防衛施設庁が一万六百数台のテレビに対して共同アンテナはつけなければならないということでいま努力を開始している。しかし、これは遅々としてわずかずつしか進まないで、これじゃ大変だというふうに思うのですよ。郵政省、これは電波監理の関係からどういうふうに考えられるのか、お聞かせいただきたいと思う。
  170. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  基地周辺の受信妨害の問題でございますが、これはただいまたてまえといたしましては、防衛施設庁の方から説明がございましたように、防衛施設庁の方でいろいろ計画を立ててその解消に努力しているというところでございます。  それにつきまして、やはりそういう障害を受けるためにNHKの方といたしましても、被害を受けている方の受信料の減免という措置をとりながらやっているわけでございますが、われわれといたしましては、やはりこのような事業は一義的には防衛施設庁の方で、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのに基づいてやっているわけでございますが、こういうものの解消はなるべく早くやっていただきたいということでございますし、また防衛施設庁の方も極力促進したいというお答えがございましたので、われわれといたしましては、その趣旨に沿ってさらに促進方を努力していただきたい、かように考えております。
  171. 平田藤吉

    ○平田委員 なるべく早く、そして防衛施設庁は努力しているというふうにあなたはおっしゃるのだけれども、いまお聞きのとおりですよ。これは一万台以上あって千二百四十つけて、そして五十一年度は四百九十ということなんですね。これではとても速やかにとか早くとかいうものじゃないですよ。だからこれ自体をどう考えておられるのかということを聞いているのですよ。
  172. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この問題は先ほど防衛施設庁の方から御説明がございましたように、四十八年からやっているということでございますが、その間計画を進めるに当たりましていろいろな地元の調査あるいは技術的な問題、先ほどフラッターの問題とかそういう問題も出ましたが、そういうような問題なども解決しながら進めてまいりましたので、当初はなかなか進みにくかったのではなかろうかというふうに存じておるわけでございます。しかしそういう問題が片づきましたら、極力その技術をもとにして解決を図っていただきたいというふうに考えております。
  173. 平田藤吉

    ○平田委員 どうも話が行き違うんですけれども、四十九年、五十年より五十一年の方が計画はがたんと落ちているんですよ。ところがあなたの話を聞くと、調査するのに時間がかかったので、これから早まると思うというけれども、ことしが前年、前々年よりも落ちているでしょう。こんなことじゃしようがないじゃないかという心配を私はしているわけですよ。そういう意味でお聞きしているんですよ。だからあなたは、この事実を数字上で見てみたってこれから進むだろうというふうには言えないと思うんだ。だから早く進める必要があるのではないかということを聞いているわけですよ。
  174. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 私たちの考えといたしましては、極力早くこの問題を解決していただきたいということでございますが、やはり防衛施設庁の方としましても、予算事情等ありましてあるいは五十年度落ちたのかもわかりませんが、今後ともそういうことのないように、ひとつ大いに努力していただきたい。そうして予算を取ってなるべく早く解決をしてほしいというのが私たちの希望でございます。
  175. 平田藤吉

    ○平田委員 郵政省としては当然これは責任があるわけですからね。テンポを早めるためにどうするかというので防衛施設庁と話し合うことをやるぐらいでなければだめなんですよ。進みはしないですよ。防衛施設庁だってほかの施設をつくる金の方が忙しくて、住民にかけている迷惑は自分は痛くないのですから、住民が痛いんであって防衛庁は痛くないんながら、まあまあこっちの方は削れというようなことにどうしたってなるわけですよ。だからそこのところはそうならないように、やはり住民の視野から物を言わなければならない。電波を監理している責任のある郵政省できちっと防衛庁の方と話し合って予算を取ってもらうように手当てをしなければならぬはずです。その点大臣、ひとつ答えてください。この問題を促進するためにどうするかということ。
  176. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 かつて基地周辺整備法で骨折った一人といたしまして、基地周辺の住民のこういう問題は至急改善すべきだと考えております。聞きますと、共同施設七億くらいかかるのを予算わずか三千万をつける、これではとうてい住民の要望にこたえられない。御説のとおり結局は予算の問題ですから、防衛庁とも話し合い、大蔵省に対しても側面から支援いたしまして少しでも早く、一年でも早く施設を急がせようと思います。
  177. 平田藤吉

    ○平田委員 それから、これは防衛施設庁の方のかかわり合いだと思うのですけれども、新入居者がありますね、新しく移ってきた人、この人についても減免措置はとっているんですよ。ところが共同アンテナの施設については当面は対象に含めないという話になっているらしいんだね。これはちゃんと対象に入れて同じように処理していく必要があるのじゃないかというように考えているのですけれども、この点についての見解を聞かしていただきたい。
  178. 宇都信義

    ○宇都説明員 共同受信施設は大体五十戸くらいの単位に一つのグループをつくりまして施設をつくっておりますので、すでに施設をセットした地域に新たに居住してこられたような方については、多少数がまとまるまで待っていただくというようなケースがあるのではないかと思います。御指摘のような点につきましては、今後も狭山市とよく協議しましてできるだけ早く措置がとれるように、実施していけるようにしたいと思っております。
  179. 平田藤吉

    ○平田委員 共同アンテナをつけますと、大変ぶれが少なくなって見やすくなるようですね。これは、つけられたところは皆さん喜んでますよ。しかし、ひっきりなしに発着する軍用機の騒音、これはどうにもならないですね。この被害に対する対策はあるのだろうかどうなんだろうか、そこのところを聞かせていただきたい。
  180. 宇都信義

    ○宇都説明員 共同アンテナの設置で解消しない、いわゆる音の問題でございますけれども、これにつきましては、最近自動音声同調装置という機械が開発されておりまして、施設庁でも四十九年と五十年に、二カ年にわたりまして装置の有効性とかそれから各家庭での御希望の状況等を調査しております。したがいまして、この調査をいま取りまとめ中でございますが、その結果によりまして、装置の設置範囲とかあるいは補助の方法等検討しておるところでございます。
  181. 平田藤吉

    ○平田委員 これはひとつぜひ促進してもらうと同時に、それをつけるために負担が余り重くならないようにやってもらいたい。どれぐらいのものか知りませんけれども、負担が多くならないように配慮してやっていただきたいというふうに思いますね。電電公社の関係もやはりあるのですが、電電公社もこの騒音による被害を幾らかでも軽くしようではないかということで、騒音除去のための電話機を奨励されたようです。この配慮は大変よかったのですが、どうも今度は、電話をした相手側が聞き取りにくくて、騒音が入らないようにできているから声をなかなか吸収しにくいらしくて評判が大変悪いんですね。だから、これは何か改良する必要があるのではないか。また、防衛庁の方でもこの分野の負担も軽減する対策を検討すべきだというように思うのです。一つは、電電公社の方から何か騒音防止電話が相手に聞き取りにくい状態を何か改善できないかということと、それから、それを設置するについては、防衛施設庁の方で負担の軽減について配慮できないかという二点、それぞれでお答えいただきたい。
  182. 前田光治

    ○前田説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘の電話機は、われわれの方で騒音用電話機と言っております電話機のことでございますけれども、実は相手方の方に雑音が入って聞き取りにくくなりませんように差動型のマイクロホン、差動型の送話口というものを使っておるわけでございます。  これはちょっと理屈になって申しわけございませんが、人間の声、それから周りの雑音、こう言いましても同じ音波でございますので、これを区別して人の声だけ送るということは技術的に非常にむずかしゅうございますけれども、これは一つの工夫がございまして、差動型のマイクロホンといいますのは、音源がそのマイクロホンの近くにある場合は非常に感度が上がって、それから遠くの方から来た音は、かなり強い音でも音源が遠ければその音が電気にかわって向こうへいかないというような原理を使ってございます。したがいまして、お話しになるときに口と送話口の間の距離が長くなりましたり、あごの下へ持っていくとか外れた状態でお話しになりますと、騒音も人間の声の方の距離も遠くなりますので、両方が一緒に送られてしまうというふうなことがございます。これを口の近くで正規の位置でお使いになれば、かなり騒音の大きい状態でも普通の状態と同じように話ができるというように一応設計をされておりまして、いろいろテストいたしました結果でも、正しい位置で正しい使い方をしていただければよろしいわけなんですが、中には、普通の電話機でうるさいところでお話しになりますときに、よく雑音が入らないようにここを覆って話される方がありますが、この電話機の場合は逆でして、ここを覆っていただくと逆に雑音を打ち消す効果がなくなるという面がございます。そういったことで、おつけしております加入者の方にはパンフレットをお配りしておりますし、それから一応PRをさせていただいて、なるべく口の近くで真っすぐ向いて使っていただきたい。それから周りを手で覆わないでいただきたいということをお願いをしてございます。多分御指摘の場合はちょっと使い方が正常のものからずれておったのではないかと思いますので、今後ともPR等にはさらに配慮をしてまいりたいと思っております。
  183. 宇都信義

    ○宇都説明員 騒音用電話につきましては、私の方は電電公社に一台当たり五千円の補助をしておりますけれども、電電公社があとの残りを負担しておりまして、実際に取りつける各戸の住民の方々からは負担をいただいておりません。したがいまして、ただという形で実施されておりますので、先ほど御質問ございましたような個人負担というのはいただいておらないと承知しております。
  184. 平田藤吉

    ○平田委員 もう一つ、これは防衛施設庁の方で認定するのかもしれないけれども、ちょうど長い飛行場の真ん中ごろの一キロで、すぐ道路一つ隔てたところに狭山台団地があるのです。これは三千戸ですが、そのほか約一千戸周辺にくっついてあるわけですけれども、ここが対象外になっているのですね。これを何とか考えてもらえないか。建物の関係や何かでやはりかなり騒音はひどいので配慮してもらいたいという要望があるので、これは調査してみてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  185. 宇都信義

    ○宇都説明員 テレビの減免区域の拡大の問題につきましては、私どもも長い間いろいろ検討を加えてまいりましたけれども、最近地元の関係の方々の御要望は大変強うございます。したがいまして、現地の実情に合ったような範囲を決められるようにということで、現在、全国の飛行場等につきまして騒音調査を実施しておりまして、いまの入間基地の関係につきましては、一応騒音調査が終わった段階でございますので、その結果に基づきまして、今後NHKと関係機関と協議して範囲等の検討をいたしたいと思っております。
  186. 平田藤吉

    ○平田委員 それでは次に、電電公社からいろいろお聞きしたいのですが、最初の質問で郵政大臣にひとつお答えいただきたいと思っているのです。  公社は一人暮らしの老人や障害者などに対する電話は優先的に設置するということで努力をされているようです。それらの電話が自治体や社会福祉施設の名義の場合には債券を免除するということになっているわけですが、それ以外に何か電電公社でもって現在老人や——失礼しました、これは電電公社の方に先にお伺いしたいのですが、何か減免処置などがとられているかどうかお聞かせいただきたい。
  187. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  先生指摘ございました老人とか身体障害者の電話でございますが、福祉事業として市町村名義でつけておりますものは、先ほど先生おっしゃいましたように、債券免除、優先設置等をいたしておりますが、それ以外でも、財団法人で福祉事業ということで認可されておる福祉法人がございますが、そこの名前でつけていただいておるものにつきましても同じように債券免除をいたしております。  それから、こういうものにつきましては、設置につきましては最優先でつけるというふうにいたしております。
  188. 平田藤吉

    ○平田委員 これは大臣の方にお聞きしたいのですけれども、老人や障害者は電話を利用する度合いが非常に高いのですね。特に電話が普及する度合いに応じてこれらの人々の社会生活で電話に依存していく度合いも当然高くなるわけです。この国会にも障害者の皆さんから、何とか負担の軽減をという請願が出されております。すでに社会的には老人や障害者に対する福祉政策の充実は当然だとされています。いまいろいろ問題になっておりますけれども、たとえば国鉄でも障害者割引をやっておりますし、郵政省の場合でも、たとえば郵便料金をめぐる問題、三種、四種などでは割引を行っているわけですし、NHKでもやはり同じような施策を講じているわけなんですね。私は、これらの政策割引については当然政府の施策として進められるべきであるというように思うわけです。電電公社の場合も、これらの人々に対する設備料負担は厚生省と自治体が負担をしているという状況にあるのですね。したがって、いま出されている請願などについて考えてみますと、やはり度数料だとか基本料についても検討してもらいたいという趣旨の要望が非常に強いわけですよ。したがって、政策割引ということで、政策問題として政府でこの基本料や度数料についての配慮をすることができないか、検討してみたらどうだろうかと思うのですけれども大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  189. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 設備料については、御承知のとおりすでに予算を組んで厚生省と話し合ってやっておりますが、度数料、基本料についても福祉政策という枠の中でやはり特殊の考慮を払っていい時期じゃないか、前向きにこのことについては関係省とよく相談して研究いたしたいと思います。
  190. 平田藤吉

    ○平田委員 次に、二共同電話についてお伺いしたいのですけれども、二共同電話はここのところへ来まして、電話の普及が広がるにつれてやはり普通電話にしてもらいたいという要望が次第に強まっているわけです。五十年度末の電話は三千三十四万台に達しているわけですし、その普及密度も高まっているわけで、二共同電話でも、通話量がやはり大きくなってお互いが不自由だという状態が広がっているわけです。  そういう状況にあるわけだが、この二共同電話というのは全国でどれぐらいの数に上るのか、まずお聞かせいただきたい。
  191. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 お答えします。  五十年度末で二百十四万二千ございます。
  192. 平田藤吉

    ○平田委員 つけている人々やつける経過から見ますと、二共同の方が安いからこの方がいいんだというのでこれを選んだ人々も少なくないようですけれども、それはそれでいいというならばいいとして、問題なのは、普通電話を希望したけれども、公社の体制上、希望に反して二共同電話にせざるを得なかった、こういう加入者も相当数あるわけです。たとえば埼玉の場合を見ましても、松原団地とか朝霞台団地、新座団地、小山台団地、上尾第一団地、第二団地、神奈川県の場合でも相模原団地を初めとして、全国的に見て団地の場合に二共同電話が相当数あるわけです。いまの台数の中でこういう二共同電話だけが入っている団地の数と加入数はどれぐらいになりますか。
  193. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 お答えします。  いま先生お話しのは、旧団地電話というものでございますが、これは二百十四万の中で二十九万ございます。  それから団地の施設数というのは、後でよく調べますが、二百五十ぐらいだったと思います。
  194. 平田藤吉

    ○平田委員 これは普通電話が引きたいと言っても公社の事情で引けなかったという点から考えて、単独電話にしてほしいという要望は相当数に上るのではないだろうかと思いますけれども、いまこの要望はどれぐらい出ていますか。
  195. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 いまのところ二万二千と聞いております。
  196. 平田藤吉

    ○平田委員 そこで、全体から見ると一割弱になりますか、ですけれども、これを普通電話に切りかえる計画というのはどんなふうになっていますか。
  197. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  いまの団地の数でございますけれども、私もちょっと数ははっきりいたさないのでございますが、つけているいわゆる旧団地電話の個所数は全国で約五百カ所だと思います。  それから、そこにつけております交換機、これは箱に入った交換機を使っておりますが、これが現在約八百台動いていると思います。ですから、同じ個所に二台置いてあるというようなところもあるわけでございます。  もう先生御案内のように、かつて団地自動電話という制度でこれを始めました。これを使っております交換機は、実は私どもの中ではC13型というクロスバー型の交換機を使っておりまして、この交換機は団地電話専用ということでございまして、これは全部二共同である、全部二共同を入れるという交換機で、専用の交換機をつくってやっておったわけです。したがいまして、団地電話というのは、大体団地内に土地をお借りいたすなりあるいは買いましてそこに設置をする。そういたしますと、局との間はいわゆる加入者線というかっこうではございませんで、中継線というかっこうになります。電話局と電話局の間のような回線になるわけでございます。大体所要数ぎりぎり、そこを引いて団地内に配線をしてということでいままで需要を満たしてきたわけでございますが、これを今回単独にしてほしいということになりますと、今度結局団地から局まで全部線路を引かなければこれに対する救済ができないということになってきたわけでございます。  最近、非常に単独にしてほしいという御要望がございますので、実は、現在団地電話ができますれば、個所ぐるみでいろいろ計画考えたい。またこれは、単独になりたいという方の需要もはっきり把握した上でないと投資の方も非常に不経済になりますので、個所ぐるみ、場合によっては皆様御希望すれば全部単独電話にかえてしまうというようなことで進めたいということで、現在具体的にいろいろ検討を進めている状況でございます。
  198. 平田藤吉

    ○平田委員 実際に希望している人々との関係で、やはり少しトラブルが出るのですね。といいますのは、電電公社ももうちょっと物の言いようがあると思うのだけれども、二軒共同になっていますから、もう一軒が使っていると使えないから何とかしてくれという声が出て、切りかえてもらいたいというふうに行きますと、二軒が切りかえる場合には何とか考えようがあると言われるのですけれども、一軒だけ切りかえるので、片方は共同電話の方が安くていいというふうに言いますと、そうすると普通電話にしてくれと言う人に対して、じゃあなたがいま使っている電話を使う人を見つけてきなさいというような話をするのですね。これらはやはり電電公社の側からもうちょっと懇切に話し合って道を開いていかないと無用なトラブルを起こしていく、感情的にも大変まずい状態をつくり出すという結果になりますので、窓口での扱いというのは十分その点を配慮してやってもらう必要があったろうというように思うのですね。同時に、希望の方に実際つけられるのだということになればかなり希望が出ると思うのですよ。いまだめだと言っておるから、申し込んだってしょうがないと思うからその程度になっているんで、そういう意味では言われたように改めて調査をして手だてを講じていくならば、打開の道はおのずから出るのではないかというように思うのですが、その点検討してみる余地ありますか。
  199. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 よく検討いたしたいと思います。
  200. 平田藤吉

    ○平田委員 次は加入区域の問題ですけれども、これもかなり深刻なんです。加入区域外とされているところでは電話を引こうとしますと、その負担は特別に大きくなるわけですね。ところが、この区域外とされているところはいわゆる過疎地で高年齢層が多く住んでいるわけで、家計の柱となっている人々は出かせぎに出ているわけで、電話の必要さもまた何かと増して切実になっているというのが実情だと思うのです。たとえば病人が出たといっても、電話をかけるのにかなりの距離を行いなければ間に合わないというような状態まであるわけですから、非常に切実になっているわけです。  公社は、四十年から第五次五カ年計画で、加入区域の拡大を毎年九百十カ所ずつ進めて、五カ年で四千五百五十カ所実施するというふうに言ってこられたわけですけれども、現在実施はどれくらい進んでいますか。
  201. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいまの数字は全国で四千六百ほどございまして、九百十と申しますのは大体五分の一でございます。したがいまして、正確な数は把握しておりませんが、現在、大体いままで予定どおり毎年その九百ぐらいのものは進んでおります。したがいまして、いま五十一年でございますから今年末にはあと数百というところが残ろうかと思います。しかし、手動局の場合は、手動局を自動局に直すという工事と伴いましてやりますので、その分だけは一年おくれるかと思いますが、あとは予定どおりということでございます。
  202. 平田藤吉

    ○平田委員 これが完成しますと、局から半径五キロ以内は普通加入区域にすることになっているようですけれども、これで全国の世帯数の大体どれくらいがカバーできると考えておられるのですか。
  203. 輿寛次郎

    ○輿説明員 われわれの推定によりますと、半径五キロまで全局を拡大いたしますと、その加入区域外にあります世帯はおおむね三十万世帯と推定されております。全国の世帯はおよそ三千二百万くらいと思いますが、そういたしますと九九%は加入区域内、したがって一%足らずが外に出ようか、こういうことでございます。
  204. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、これが完成する段階で九九%の世帯のところでは現在の特別加入区域や、それから区域外のいわゆる負担金や付加使用料などは取らないことになるのだと思うのですが、その点いいですか。
  205. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答えいたします。  そのとおりでございまして、加入区域が広がりますと、その中のお客様は、申し込まれれば設備料だけでつくということでございます。また区域外の方につきましても、五キロまで広がりますと、そのお客様に負担していただく負担料は五キロの加入区域から外の分だけでございますから、その分もかなり安くなるわけでございまして、たとえば七キロ外におった方は、いままでの距離が二キロだとすると、五キロ分持ったものが、五キロ広がることによりまして、今度は新しく負担する分は二キロで済む、こういうことでございます。
  206. 平田藤吉

    ○平田委員 いまのお話を聞いて、これはやはり速めた方がいいというふうに思うのです。一年に九百カ所、これを三百億ないし四百億という計画になっておると思うのですけれども、五カ年計画全体で見ても千五百億ないし千六百億で済むのですから、速度を速める必要があると思うのですが、その点どうですか。
  207. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答えいたします。  確かにおっしゃるとおり、速めた方がいいことは事実でございますが、ただ工事は、いままで申しましたように四千何カ所にございます。しかも実際の話を申しますと、広げると申しましても、実際にはある電話局のある方面のお客様が多いというようなためにケーブル工事をいたしますが、そういった線路増設工事にあわせて広げていくという仕事をしなければならないわけでございます。したがって、一律に全部合わせることはできませんので、どうしてもある程度段階的といいますか、平均的にやっていくということになったわけでございまして、これもしかし先ほど申したように、あと大体一年半くらいでほぼ完了するということでございますので、そうすれば大体皆さんに御満足いただけるのではないかと思っております。
  208. 平田藤吉

    ○平田委員 次に単一料金の問題、これが最後になると思いますが、単一料金の問題についてお聞きしたいと思うのです。  加入区域をめぐって料金問題も矛盾が出てきているわけなんですね。たとえば埼玉県の秩父郡小鹿野町というところの例を見ますと、小鹿野町の中の倉尾地区と、それから富田地区、この二つの地区は小鹿野町の局ではなくて、隣町の吉田局に収容されているのです。ですからこの二つの地区から小鹿野町の中の他の地区にかけようとすると、市外料金を取られるのですよ。同じような状態が、大里郡の大里村でもありまして、大里村の北吉見地区というのが東松山局になっていて、それ以外の地域は全部熊谷局になっているのです。だからこの北吉見地区との間で電話をやろうとすると市外電話になる。市外料金になるのです。この仕組みというのは、町村合併などの経緯によって生まれた矛盾で、歴史的な経過があるのですから、単純化して言うわけにはいかないと思いますけれども、このままで当然だと言うこともできないと思うのです。何とか改善する必要があるのではないか。たとえばいま申し上げました吉田と小鹿野は小さい町なんですね。ですから電話局も小さいのですよ。これを一つの広域区域といいますか、というようなことでもって同じ町の中へかけても料金は市内料金で済むというような仕組みをつくり得るのではなかろうかというように思うのです。だからそういう意味でこれは研究してみる必要があるのではないかと思いますが、総裁、これをどう考えられるか、全国にはずいぶんあると思うのです。
  209. 玉野義雄

    ○玉野説明員 恐れ入れますが、ちょっと細かい点がございますので、私、先に答えさせていただきます。  先生おっしゃいました秩父の小鹿野局につきましては、実はこの前の広域時分制のときに——従来は加入区域ごとに、加入区域は最低料金になっておりましたので市外通話になっておったのですが、広域時分制のときに加入区域でなくて、もちろん三分ごとで切ることにはいたしましたが、単位料金区域というふうに大体直径三十キロぐらいの区域に直しました。したがいまして、前は加入区域が東京みたいに三十キロがあったり、小さいところは一キロ、二キロがあったり、非常に狭いところで市内、それを越えると市外、こういう矛盾があったのでございますが、広域時分制のときに、それを公平にするためにほぼ直径三十キロの単位料金区域に直しまして、その中は同一料金で三分七円、こういうふうにしたわけでございます。そのときに、小鹿野の局につきましては加入区域は違いますが、料金は小鹿野から吉田にかけられましても三分七円でございまして、広域時分制のときにこれは直っております。したがいまして、市外通話にはなりません。  ただ、大里村につきましては、先生御承知のように、町村合併によりまして前の市田村でございますか、それから吉見村、これが合併されたわけでございます。それでここは自動改式を四十八年の九月にしたわけでございますが、そのときにお願いしまして、元市田村の方は江南でございますか、熊谷管内になりますが、そちらの方へ、それから吉見村は青山でございましたか、それを東松山の方へと、こういうふうにお願いしたわけでございます。  先生おっしゃるように、行政区域は一部またがる点はございますが、これは行政区域だけでちょっとけりはつきませんで、じゃ周辺も一緒とかいろいろ問題になりますので、私たちとしては単位料金区域をいじるのではなくて、将来、イギリスでやっておるグループ料金制とか、そうすると隣接まで同じになりますが、そういう距離段階をなるべく統合していくとか、そういうことで解決していきませんと、これを加えるとまたほかもということでずっと連鎖反応を起こしますので、結局解決にはならないということで、できましたらいま距離段階が十四段階になっておりますが、これをある程度大都市近郊とか、こういうようなところを縮めていきまして、それで順次こういうアンバランスを修正していきたいということで将来問題として実はいま検討しておるところでございます。
  210. 平田藤吉

    ○平田委員 それで、距離をめぐる問題でも都市部の距離と山間部へ行った場合の距離とでは違いがあるのですね。そこら辺も勘案しなければなりませんし、たとえば北海道になりますと、これまた同じ基準であてがわれたのではとてもたまったものではないのです。そこら辺を含めて総合的にいま起こっておる矛盾を打開する策はやはり検討していただく必要があるだろうというように考えるので、総裁ひとつ……。
  211. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいまの問題、将来の課題として検討させていただきます。
  212. 平田藤吉

    ○平田委員 以上で終わります。
  213. 伊藤宗一郎

  214. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 前回の質問のときに取り残した問題を含めて、最初に有線放送電話と電電公社の関係についてお尋ねしたいと思います。この有線放送電話は、電話の機能と放送の機能と両方をやっているわけであります。そして農山村にとってはまだ大変必要なものであります。有線放送電話が起こったその歴史的ないろいろの要素というものは、まだ農山村においては非常に重要な役割りを果たしているわけであります。ところが、これが大変経営が苦しいわけであります。それで各県等においては、多いところは百万ぐらい、少ないところでも三十万とか五十万とか援助までしているわけであります。そういう実態の上に立って、この有線放送電話のことについて電電公社及び技術的なことについて郵政省にお尋ねしまして、最後には大臣からまたひとつお答えいただきたい、こう思います。  最初に電電公社にお尋ねしたいのは、有線放送電話の接続をする場合には、今度は基本料金を住宅用で取るべきが至当ではないか、こう私は思うのですが、有線放送電話の接続は事務用、住宅用いずれで取っておるか。公社の電話が普及しましたから、事務用の電話は、事務をやっているところは全部事務用電話が入っているわけであります。したがって、いま有線放送電話で市外接続等をやるのはほとんど農家とかそういうところで、これはみんな住宅用の基本料金でしかるべきものだ、こう考えます。その基本料金が今度は、今回と来年の四月で倍に上がるわけですが、これは住宅用で取るべきではないかと思いますが、現状はいかがでしょうか。
  215. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  有線放送電話の基本料を事務用でいたしておりますが、これは現在も一部ございますが、過疎地帯で組合名義で申し込んでいただいておる電話がございます。これは事務用でいただいておりますので、それとの関連で基本料を事務用にいたしておるわけでございます。
  216. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ただ、接続をしてもらうのは、事務をやっているところはもうみんな電電公社が入っていますから、事務をやっているところのものが有線放送電話を通じて市外接続をしてもらうというところは皆無だと思うのです。これは当然住宅用の基本料金でしかるべきではないか、こう思います。
  217. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  これは先生十分過去の経緯は御存じだと思いますが、現在の住宅用、事務用と申しますのは、もっぱら住宅用に供するものが住宅用で、それ以外のものが事務用、こういう法律上の分け方になっておりまして、何といいますか社会学的に住宅だ、事務だ、こういう分け方にはなっておりません。それで有放の接続をいたしますときに、これはもっぱら住宅の用に供するものでないということで、事務用の基本料を決めたわけでありまして、一般の農家に単独電話を引きます場合にも、そういうケースはたくさんございます。ですから、これはもしいま変えるということになりますと、ある意味では公社の持っておる電話のいまの状態で住宅用か事務用か全部見直さないといけない、こういうことになろうかと思うのでありまして、大変大きな問題になると思います。
  218. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いや、問題は大きかろうと小さかろうと、接続する公社はもう一般電話があれだけ加入しているから、ましてや事務用をやっているものはみんな入っている。だから、本当の農家しか接続通話は使っていないわけです。だから、本当の農家だけですから、これは当然住宅用の基本料でしかるべきだ。こういう情勢も変わってきたから、いままで事務用でやっておったというならば住宅用に変えるべきだ、こう思うのです。これは筋として当然なことではないか、こう思います。
  219. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生御承知のように、有線放送につきましては電話局から有線放送までの局線当たりでこの基本料を決めておるわけでございます。その局線に、普通有線放送が二百ぐらい平均いたしますとつながっておるわけでございますが、それでたとえば時分制のところの基本料七百円というようなものを、これを二百で割りますと大体三円五十銭というふうになってくるわけでございますが、ただ私の方のいわゆる公社に直接加入しております五共同以上の電話がございますが、これは五共同以上であってもたとえば定額のところで申し上げますと、百六十円というふうにいただいておりますので、多数共同で考えました場合に、単に、私の方の五共同以上の住宅の一番安いもので見まして百六十円と考えました場合でも、それに対しまして定額でまいりますと、たとえば一番安いところで四千五百円になっておりますので、これを二百で割りますと二十二円五十銭になりますが、そうしますと、私の方の百六十円に対して二十二円五十銭ということで、非常に計算上は割り安になっておるわけでございます。
  220. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、またこの問題は後ほど研究するとして、有線放送電話で接続する場合には、接続対地の制限があるわけです。有線放送協会からは全国どこへでもつながるんだからつなげろと、こう言うにもかかわらず、県内一中継という制限があるわけです。これは、そういう制約つきの接続回線であります。しかるにかかわらず、普通電話と同じように基本料を取るということは、これはおかしいのではないか。基本料を同じに取るならば、一般加入電話と同じようにこれはやはりどこにでもつながる、こういうことにならなければならないにもかかわらず、くどいようですが有放は接続対地の制限がある。制限があるならば、基本料も当然制限があってしかるべきだと思います。だから、基本料は一般加入電話と同じに取っているということは不合理ではないか。
  221. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほど申し上げましたように、私の方でも有放の多数共同というかっこうになりますが、私の方の多数共同の場合で一番安いのでも住宅で百六十円でございますので、それの約八分の一でございますので、その辺は結果的にはぼくは非常に安くなっておるのじゃないかと思っております。
  222. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっとそれは局長答弁が間違っておる。その共同電話は遠い距離でもどこにでも、田舎からかけられるのです。百六十円になっているのは、その基本料を払えば東京であろうと県外であろうと通話ができるわけです。ところが、有線放送には田舎から東京なりなんなりにかけさせないように、一県内一中継だけという制約を持っているわけです。だから、ほかの電話と同じように基本料を同じにするということは不合理ではないか、こう言っているわけです。当然のことじゃないですか。
  223. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  最後に郵政大臣の御答弁があるようですから、私も安心して申し上げますが、先生もよく御存じでその話をしておられると思うのです。と申しますのは、有線放送の接続電話というのものを当初から公社の電話と対比をしてこれを比較をすれば、いろいろ矛盾があることは先生御存じのとおりであります。まだほかにもたくさんございます。しかし、これはそういう経緯ではなくて歴史的にこういう形で積み上げられて、両者の妥協と申しますか、出てきた一種の料金体系でございますね。したがって、これをこの時点で公社の現在の一般の加入電話と対比をされれば、矛盾のあることは私はもうよくわかりますが、先生そういう経緯を御存じでおっしゃっておられるので、またこれも困るのですが、そういう経緯を積んでこういう接続をしたということもお忘れないようにお願いをいたしたい、こう思います。そういう約束のもとで、私は後の質問もございますが、接続と、こういうことになってきたのでございますから、公社が別に最初からつくったものではございません。
  224. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そのときの約束をだれとどこでどういうようにやったか、私はよくわからぬ。それは遠藤理事が勝手にそう自分で思い詰めている約束かもしれない。  ただ、ここで基本料が、たとえば私たちのところにたくさん有放があるわけです。この前、例にとった豊科の局なんかは三級局かな。三級局は来年になれば千円のが二千円になるわけでしょう。三十回線つないであるのに千円ずつ上がって二千円になるわけです。そういうように一般の電話と同じように基本料を取るなら、一般電話と同じように東京へでも県内どこへでもかけられるようにしてしかるべきじゃないか。これは有放の者はずいぶん運動をしております。だから私は有放の特徴から、東京まで県外通話を自由にできるようにしろとは必ずしも言っていない。それは無理なことじゃないか、それは電話でやりなさい、こう言っているのだが、そういう接続対地に制約があるならば、基本料というものは一般電話と同じように取るのはおかしいではないか。特に今回上げるのはおかしいではないか、こう思うわけです。  その上、後で質問しますけれども、まだ加算額がついているわけです。加算金がついているわけです。また千円ずつ加算金をつけているわけであります。私は当然住宅用の基本料でしかるべきだ、こう思う。だから接続対地に制約があるのだから、これは、当然基本料は一般加入電話の半額なら半額でしかるべきだ、そう思う。そのほかにまだ有放にだけは特別加算金といって一回線ごと千円つけている。これを私はただにしなさい、ただにしなさい、こんなものはとうに済んでいるものをずっとつけている。こういうわけですから、ただ基本料を上げないでおく、もし住宅用でいけないならば、事務用とするならば、これは基本料を上げないでおいてしかるべきだ。上げるのだったらば、全国どこでも一般の電話と同じように中継できるようにしなさい。どっちかです。これはどっちかだと思う。それか、加算額というものをこの際全廃するか、これは筋の通ったことを私は言っているつもりなんです。全国通話をやるとここで言明していただけば、これは基本料は一般加入電話と同じようにお支払いしましょう。そいつを相変わらず県内一中継という、近くしかつなげないというなら、有放にだけは基本料というものをもっと下げなさい。上げないでおきなさい。
  225. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 先生と議論をしてもしようがないのですが、確かにいまの断面で申し上げれば、矛盾のあることは私は認めます。それは認めるのです、ほかの公社の電話と比較して。しかし、それだからといって基本料を上げないというようなわけには私はまいらないと思うのです、歴史的経緯からいって。同じでんで、それじゃ七円の通話料も上げるな、こうおっしゃるだろうと思うのですね。(小沢(貞)委員「そんなことは言わない」と呼ぶ)いやいや、それは論理の発展としては同じだと思うのです、全国通話をできないのだから。ですから、私はいまの断面でいけば矛盾のあることは認めた上で、歴史的経緯からそういうわけにはまいらない、こういうことをお願いしているわけでございまして、公社の立場としては私はそれは正しい、歴史的経緯を知っている者としては正しい、こういうふうに思います。
  226. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 後で総裁にお尋ねしたいが、まだ矛盾があるんです。矛盾があることを認めてもらったから、この矛盾を解決してもらいたいと思います。たとえば加算額というのは、総裁はそんなに細かいところまで御存じじゃないと思うのですが、私の方の一局の例をこの前とったわけです。豊科町というところの有線放送電話は三十回線接続しているわけであります。そのときに、公社の検査は平均五日前後来ただけであります。それで、どう高く見積もっても百万円ぐらいしか当時かかっちゃいないじゃないか。電電公社の方では、一回に百万円取ったんでは有放として経済的にたえられないだろうから、それを分割してお取りいたします。遠藤さんの言う歴史的なことを言えば、最初たしか一加入当たり十五円か、その次は一回線当たり千五百円、それを二、三年前に私がいろいろ交渉していま千円、こういうふうにだんだん下がってきたわけです。その豊科町が、百万円前後しかかからない検査の費用というものをいままで幾らお支払いをしてきたかというと、一回線千五百円で三十回線で三十六カ月。今度は千円に下げてもらったから、三十回線で八十八カ月、これを計算すると四百二十六万円払っている。しかし最初に検査したときの費用はどう高く見積もっても百万円しかかかっていないものを、平均して取りましょう、こういうのがこの加算額の性格なんです。ですから、百万円しかかからないのに四百二十六万円も取ったのだから、もう三百二十何万円も公社はもうけているから、この加算額というのをこの機会に廃止しなさい、千円を廃止しなさい、こう言っているのです。どうしても廃止しないというのならば、市外通話に制約があるんだから、この豊科町から東京へはかかりませんから、半身不随の市外通話ですから、それじゃ基本料を据え置きなさい。いまや住宅用の電話まで普及しちゃって、業務用にはみんな一般電話が入っていて、農家の本当のささいなところだけが有放を通じて市外通話をやっているんだから、だから住宅用にしなさい。私の言うのはどれもみんな筋が通っている。情勢がこれだけ変わってきた時点においては、検討し直さなければならない。だから、まず第一には、加算額というものを一回線千円ずつ取っているのを、償却しちゃったからこれをやめなさい、こう言っているわけです。どうでしょう総裁——。遠藤さんじゃだめです。
  227. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いやいや、私、ちょっと先にさせていただきますが、歴史的経緯は先生御存じだろうと思うのですが、最初にこれを接続しますときに十円のPBXと同じように端末当たり十五円にいたしまして、その後千五百円から千円までの経緯は先生おっしゃるとおりであります。ただ、これは検査だけじゃなくて、接続に要するうちの職員の訓練とか、そういうものが非常なロードがかかりますので、その訓練費等も含めて一回線当たり千円という接続料をいただいているわけです。  それで、情勢が変わったとおっしゃいますが、情勢が変わったことは私はよく認識しております。それは有放の経営が非常に苦しくなったということが一つの問題だと思うのです。苦しくなればやはり自分たちのところの負担をまず上げるべきじゃないですか、と私は思うのですね。それを上げないで全部公社に持ってこられるというのは、歴史経緯を無視してやられることじゃないか。しかしそうは言いましても、公社は全然協力しないというのもあれでございますから、最終的には何か考えなくちゃいかぬと思いますが、もう一つございますんでしょう、おっしゃることが。だから、一つ一つやられると困るんですよ。(小沢(貞)委員「一つ一つ解決していきたい」と呼ぶ)それならこれはだめですね。
  228. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは遠藤理事に聞くが、何で昔千五百円の加算額を千円にまけたんですか。もう償却ができちゃったから千円ぐらいに下げろということだったのですから、もう償却ができたどころの騒ぎではない。百万円ぐらいしかかからないのを四百三十万ももう収入を得たんだから、今度はそれじゃただにしてもいいじゃないですか。
  229. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 うちの総裁が出られるのを抑えているわけでは全然ないのですが、千円にいたしましたのは、御存じのようにその後有放設備の規格が非常に向上しまして、検査の手続が昔より楽になったということで、当時先生にも大変御尽力いただきまして千円にいたしました。たしかこの間これを七百円にしろ、こういうようなお話が、きょうはゼロということになっておるのですね。これはそういうようなものなんですね。つい一週間ほど前七百円だったのが、きょうはゼロになる。ですから、これも全部出た段階で有放の利用者の方にも若干負担していただくということをはっきりすれば、公社もこれはやはり何かサービスはしなくちゃいかぬと思います。一つ一つの解決じゃなく全体的に三項目。いま二項目おっしゃって、多分あと一項目あると思いますので、三項目一緒に……。
  230. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この前のときは言葉の走りで七百円か六百円と言ったかもしれません。ただ、いままで実は私も気がつかないでおった。住宅用でしかるべきだと思ったのが、実は事務用でとらえている、こういう話です。それから基本料もそうかなあと思っておったが、接続対地の制約があるならば、要するにかたわの接続なんだからかたわの基本料でいいじゃないか、こういうものがいまの加算額と三つ重なって、政治的妥協として加算額だけはゼロにしなさいと、こっちの方が政治的に言っているわけで、基本料は据え置く、それもよろしい、あるいは加算額は七百円に下げてくれる、それもやるならよろしい。だから私は政治的に言っている。業務用で残しておくなら、あるいは基本料をそのままにするならば、もう加算額は要らないからゼロにしろ、私の方で三つ重ねていま言っているわけです。こんなものは電電公社の六千億、七千億の値上げに比べたら全然論議する価値のないほどの少額のことなんだ。しかも有線放送というのは電電公社のごやっかいに一つもならないで自分たちのお金で建設をして、そうして接続の金だってみんな払っておるわけですから、これは何も取る必要のないことなんだ。みんな自分たちのお金で設備をしておいて、一戸の農家で何万円と借金をして、そうして自分たちで設備をして、かたわのつなぎ方で基本料は同じでございます。その上に、検査なんかとうの昔に済んで、百万円しかかからないのに四百二十六万も払っている。だからそういうことをひっくるめて私は言っておるわけで、こんなところで電電公社が暴利をむさぼる話はないんだ。まるでケシ粒ほどのことなんです。だから総裁から政治的に三つ重ねて、住宅用にできない、あるいは基本料を割り引くことはできない、それだったならば、加算額はもう償却済みなんだからこの際廃止をする、これは今度総裁の番だ。郵政大臣が命令を下せるなら郵政大臣から……。
  231. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま遠藤総務理事が答えておりましたが、私も過去の経緯の詳しいことはよく知りませんので、この問題は総括的に検討させていただきたいと思います。
  232. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総裁から総括的にと言われたことを私の方でもう一回念を押しますが、いまの時代になれば事務用がないから、ほとんど住宅用だから、私の主張は、住宅用でなければならないというその住宅用の基本料の問題です。それから全国通話ができませんから、かたわな電話だから基本料は一般電話並みに上げるのはおかしいではないか、この問題。もう一つ、三つ目は、検査の百万円かかるのをすでに四百二十六万円も徴収しているんだから償却済み、まあ償却という言葉はおかしいが、みたいなことだから、これも廃止してしかるべきだ、私はこういう主張をしているわけです。だから、三つが重なっているわけですよ。片方はどうで片方はこうでこう接近するという——三つ重なっているからどれかは一つ、基本料を上げないでおく、それでもよろしいあるいは加算額はこの際廃止をする、それでもよろしい、三つ総合してどれかの回答を出すか、こういうことですから、それに対して前向きに、総括的にやりましょう、そういう意味ならば、まあ額をどうだとかこうだとかそういうことまで、きょうはせっかく総裁の御答弁ですから。どうでしょう、三つ重なっている。
  233. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私は、有線放送というのは農山漁村地域では非常に重要な役割りをしているということを考えております。ただいまの御意見考えに入れまして、総括的、総合的に考えさせていただきたいと思います。
  234. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 郵政大臣にお尋ねしますが、私が三つ言っていたことは三つとも大変な事態で、有線放送は大変経営が苦しいわけです。それだからさっき冒頭に言ったように県でも補助する、何でも補助する、こういうように言って、これは放送の機能と通話の機能があるから農村のために必要だ、こういうわけなんだ。ところが実際の話は、ざっくばらんに申し上げると、電話が大分入ってきたからいわゆる電話の機能みたいなものがだんだん薄れていくわけです。だから最後に残された放送の機能にプラスアルファとして電話の機能みたいなものが残っているのがいまの有線放送、そういう歴史があるわけであります。そういう経過があるわけです。だから情勢がたくさん変わってきたから、私が申し上げるようなぐあいにしてこの大切な有放というものの経営を健全化させていかなければならない、こういうように考えるわけです。どうです、大臣
  235. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 従来からのいきさつもあり、現行の制度や料金につきましても、もちろんそれなりの理由はあるのでありますが、公社側も矛盾を認める点もあるようでありますし、せっかくの先生の御指摘でもありますので、公社とも十分連絡をとりながら前向きに将来の研究課題として取り組んでまいります。
  236. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きょうのところはそのくらいでがまんをして前向きの動きを注視いたしたいと思います。  そこで、また遠藤総務理事になるんだが、時分制と定額制は検討いたします、こういうことになったわけです。それは、いままで公社では時分制でやれやれと言ったにもかかわらず有放側が定額制を残してくれと言ったから残したのを、いまさら定額制をやめて時分制に変えるようなことはまかりならぬ、こういうみたいなことをこの前答弁があったんだが、しかし検討してみましょう、こういう御答弁がございました。これは損も得もない話であります。二年に一遍か三年に一遍、定額制にするか時分制にするかは加入者側の希望にこたえて転換できる、こういうようにしていただきたいと思います。これは問答はやめてずばりそういうようにお答えをいただきたい。
  237. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 三項目というのは、私はこれを入れて三項目というつもりだったのです。ところが先生にうまくすりかえられてしまったような感じがございますが、これを入れて四項目になるわけです。  それで、これは経緯をやはり皆さんにわかっていただく必要もあると思うのですが、私は何か非常にがんばっているように思われると思うのですが、これは広域時分制で、時分制を敷きましたときに、本来ならば市内は一度数七円、こういうことですからこういう電話は全部度数制があたりまえなんです。ところが、その度数制だと非常に手間がかかるとおっしゃる。確かに手間はかかると思うのですね。手間がかかるというのは、皆さんに割り振ったりするため非常に後の手間がかかって、人手も要るし、作業も大変だ、お金もかかる、こういう御要望がありまして、それならば手間のかからないように交換台に時分計を公社で備えつけましょうと、ここまで申し上げたのです。ところが、それでもいやだということで、結局それじゃ時分制と定額制の二本立てで、自分のところは時分制、自分のところは定額制、こういうぐあいにしてくださいということで、時分制とそれから定額制では有利不利が確かにございますから、当時恐らく有利なところは定額制、有利なところは時分制ということでそれぞれ選ばれた。そこで、私どもだけじゃなくてこれは郵政の監理官も御一緒ですが、もう何回もその折衝をいたしまして、都合のいいときには、たとえば非常に回数がふえてきたら定額制、回数が減ってきたら時分制、こういうぐあいに変えられるのは非常に困ります、そうするとうちの方のいろいろな料金徴収の事務なんかもその都度変わりますから困りますよ、こういうことを申し上げた。これは私は筋が通っていると思うのです。ところが、それに対して向こうは、いやそういうことは絶対に言いません、一遍当初決めたものについてはもう絶対変えませんから、時分制、定額制の二本立てにしてくれと言われたのがわずか五年前のことであります。そして今度こういう形でやってこられますと、いま先生、一年か二年で変えろとおっしゃるが、それはそのユーザーの御都合で、回数がふえた年あるいは減った年で定額制、時分制でやられますと、これは金額はわずかかもしれませんが、公社にとっては大変なことなんです。というのは、料金徴収事務が非常に違ってきて、その都度変えなくちゃいけないので、これは私は、そういう意味では検討するとしても、そういう形の検討は困るんで、やはり昔のように、もう五年やられたことだから、交換台に時分計をわが社の設備で設置しても構いませんから全部本来の度数制にしていただく、これが一番筋が通った方法だと思っております。そういう意味で私は検討をするということを申し上げておるわけで、こうあちこち都合のいいところを渡り歩くようなのは私は非常に困ると思うのです。
  238. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 遠藤総務理事が約束したことは法律でもなければ何でもないわけです。情勢の変化に応じて時分制を定額制、定額制を時分制にするといっても何も約束した当事者が意地になってそんなことを考えなければならない問題じゃない。最初から時分制でやったらどうだと提案までしているのだから、定額制の人が時分制に直したい、こう言うならば最初の公社の提案じゃないですか。やったってちっとも悪いことはない。一回そう言ったものは自由にはできませんぞ、やりますと言ったから絶対直さない。そんなことになんでこだわらなくてはいけないのです。何も法律でもなければ何でもない。公社がそのつもりになって郵政省に言いさえすれば幾らでもできることを、何でそんなにこだわらなければならないのか。
  239. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 こだわる理由を御説明いたしますと、全部定額制を時分制に変えられるならば私は結構でございますよ。しかし、時分制からまた定額制というものもございますのでしょう、いま先生の御提案は。それで、先ほど公社も矛盾を認めたと申されますが、その基本料は事業用じゃなくて住宅用だ、仮にそういう矛盾があるといたします、理論的なおかしい点があるといたします。このおかしい点は当時からあったんですね。そのときはおっしゃらなかったんです。ところが、何年かたった今日おっしゃる。この問題はやはり私は解決策としては、公社も協力いたしますから有放サイドでも少し利用料金を上げるとかなんとか協力していただかなくては、全部わが社に持ってこられるというのもあれだから、非常にこだわるようですが、しかし先ほどのお話もございますし、四項目全部そろえたところで、何かやはり公社の前向きの姿勢は出さなくちゃいかぬ、こういう大臣並びに総裁の御指示でございますので、私もそうあれはいたしませんが、実に本当に泣きたい気持ちです。それは法律じゃございませんから、法律じゃございませんだけに、私はやはり約束は守るべきだと思うのですよ。法律ならだれだって守るのですが、法律でないところの約束なればこそ、男の約束で守る必要があるんじゃございませんか。
  240. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 遠藤さんがこだわり過ぎていて——こんなことはちっとも問題になることじゃない。もう収入にもろくに関係もなければ何でもないことを、そういう選択を有放がやるのを最初の約束だからだめだという公社のかたくなな態度をこの機会に改めなければいけない、こういうことです。だから、一年置きとは言わない、二年に一遍とか三年に一遍とか、これは希望に応じて変更できる。こんな貴重な時間を費やして問答するほどの大事な問題じゃないわけです。ところが遠藤さんがこだわっているから、こうむずかしくなっちゃう。こんなものはやりますと言えばいいんです。さっきの三つを一つにして前向きのものとこれはまた全然別なんですよ。仕分けをして、これはこれだけで二年に一遍か三年に一遍ずつやります、そういう御答弁をいただけばいいので、公社のマイナスでもなければ何でもない。国民の要望にこたえてやるのが公社じゃないですか。
  241. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 一般の加入者の方と不均衡のないように、一般の加入者の方は一遍決められたことはそれこそ法律で守らざるを得ないわけでございますから、そういう意味で不均衡のないようにということも大切かと思いますが、余りなにしてますと私一人が頑迷固陋のような立場になりますが、有放の問題は、小沢先生お一人とは申しませんが、それほど大きな問題じゃないことは確かに私もわかっております。ですから、前進的方向で先生とゆっくり御相談をしたい、こう思います。いまここでどうということは申し上げかねますけれども、前向きの姿勢で、じっくりと……。
  242. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いつまでもこだわっていてもしようがないから、このくらいで、また一緒に検討をさせていただくようにさせていただきたいと思います。  先ほどもちょっと冒頭に触れたけれども、有放の施設に、これは各県別に県が必要と認めて補助金を出しているわけだ。だから国でも何かこういうことで援助を考えなければならないのではないか、こう考えるわけです。それが一つ。
  243. 松井清武

    ○松井政府委員 過去におきましては補助金を出したときもあるわけでございますけれども、現段階におきましては非常に厳しい全般的な財政の中で打ち切りをやむを得なくなっております。
  244. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 市町村経営の有放の設備には税金がかかっておらぬ。ところが法人あるいは農協経営、こういうものには税金がかかっている。同じ有線放送電話でそういう矛盾したことになっているわけです。細かいことは大臣はわからないから事務当局でいいのですが、税金は平等にみんな免除する、こういうことはできませんか。
  245. 松井清武

    ○松井政府委員 税金の関係につきましては、国税、地方税等あろうかと思いますが、郵政省としましては、この問題につきましてお答えできる立場にございませんので、それぞれ関係の当局からお聞き願いたいと思います。
  246. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま一つ、細かい問題があるので……。  これは前に私の質問に対して、検討しておきましょう、こういうことになっておりますので、きょう電電公社から御答弁いただきたいが、有放の接続をダイヤル接続でできないか、こういう問題をたしか去年の二月ごろ提起してあると思います。それについて、有放の者と電電と、また郵政省ですか、三者で十分検討しましょう、こういうことに答弁がなっているのではないか、こう思いますが、これは一般会社の電話でダイヤル発信ができるように、ゼロ発信ができるように、有放でもそういうことが技術的にはできるはずだ。現にそういう設備を持っているわけです。そういうことはできませんか。
  247. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生がおっしゃいます点につきましては、塩尻につきまして、松本へ有放のオペレーターからダイヤルで持っていくというやり方をやったわけでございますが、これにつきましては、交換機の制限がございまして、クロスバーのC400ないしはC460、それで市外交換機の持ってない——機械のあるところはやれますので、塩尻はちょうどそれに該当しておりましたので、やれましたのですが、いまクロスバーもかなりございますので、こういう機械設備でできるところは、お申し出がございますれば、私たちも郵政と打ち合わせしましてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  248. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと私、技術的なことがわからないが、塩尻方式でやったのは、交換台が相手をダイヤルで呼ぶのでしょう。私の言うのは、今度は有放が、加入者個々の人が、会社の中にたくさん電話があるときにゼロ発信で、この国会の中と同じようにゼロ発信で相手を呼び出すことができるようにと、こういうことを言うわけです。これを技術的に検討しておこうじゃないか、こういうことになっていたはずです。
  249. 玉野義雄

    ○玉野説明員 有放にうきましては、先生御承知だと思いますが、私の方は、局線に二百平均、端末機がついておりますが、そういう非常な多数共同になっておりますので、なかなか、個別にダイヤルアウト、有放の加入者の方から直接やるということは、これは技術的に非常にむずかしいと思うのです。それで、私たちの方も、有放のオペレーターからダイヤルアウトということで持っていったわけでございます。非常に多数共同になりますと、私の方の電話でも個別でダイヤルアウトするということはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、先般も申し上げたわけでございますが、オペレーターからのダイヤルアウトということでお願いいしておるわけでございます。
  250. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではまたそのことは技術的に検討していただいて、有放のオペレーターからやるのは、塩尻で実験をしていただいたのは、何か交換機にクロスバーかなにかがあるところだと実現できるから、これは希望があれば全国的にできる、こういうことでいいわけですね。
  251. 玉野義雄

    ○玉野説明員 さようでございます。
  252. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは有放に対する質問は、あと大臣に総括にお尋ねをしたいわけですが、最初の問題は、大臣が前向きにひとつやりましょう、こういう御答弁で結構です。私は、総括的に、有放に対してもっと積極的に——これは農林省もそういうことを考えているようであります。最初は農林省の関係からスタートしたわけですから。郵政省の方でも、もっと積極的に検討をしていただいて、これを援助する方法を講じていただいてしかるべきだ、こういうように考えるわけです。どうでしょう。
  253. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 積極的に取り組む覚悟でございます。
  254. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総理府見えていますか。——それじゃ総理府にお尋ねしますが「政府の窓」、要するに政府の宣伝のために去年は約九十何億、それからことしの予算要求は何か百十億という要求をしてあるようであります。その中身は、たとえばラジオとかテレビに政府のことを宣伝させるためにやっているわけであります。ところが有線放送電話の放送にもそれをやらせているわけです。それを無料奉仕、ただでやらせているわけであります。これは前の大臣のときにこれに私は気がついて、幾ら何でもこれだけ経営が困難を来しているところを、ラジオやテレビには「政府の窓」で百億近い補助金を出しているにもかかわらず、有放には送ってやってはただで放送させているわけであります。だから、これについては昨年はある程度の、一千万かそこらのものを別の名義でもって出してもらうようなことを総理府からも特別めんどうを見ていただいた。これは感謝にたえませんが、やはり有放が「政府の窓」を放送をするからには、ラジオやテレビにやると同様にちゃんと補助金を出してしかるべきだというように考えています。最初総理府から御答弁いただいて、後に大臣からもお尋ねしたいと思う。
  255. 山田馨司

    ○山田説明員 ただいまのお話ありましたのは、総理府の広報室が昭和三十八年からずっと政府の施策や暮らしに役立つ話題などを録音フィルムとかアナウンスの原稿とかにして全国の有線放送施設に無料でお送りして、有線放送施設の方ではこれらの資料の中からそれぞれの施設が自主的に取捨選択いたしまして放送に利用するというふうな形で、当初から放送料を支払わないということで進んできておるわけでございますけれども、昨年以来この点につきまして、放送料を支払ってほしいというふうな御要望がございまして、いろいろ検討したわけでございますけれども、その結果放送料それ自体を支払うということは非常に困難でありますけれども、今後施設との連絡を密接にし、政府の提供する番組についてその内容の充実、向上を図るとかいうことによって広報効果を高めるというふうな点がまだ若干改善の余地があるのではないかというふうなことになりまして、そういうふうな点について来年度からいろいろ措置したいと検討しておるところでございます。
  256. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、聞いてもらいたいのだが、テレビ放送のためには四十三億、それからラジオのためには二十二億あるわけです。その他というところに二十八億ばかり要求しているわけです。その他のところへ持っていって、有線放送の充実等という注釈が入っているわけです。だから、二十八億からあるものをその他を含めて有線放送のために七割とか八割とかあるいは半額とかいうようなことをするならいいのだが、ここに有線放送の充実等とは書いても、いま御答弁があったように放送料は出しません、何かほかのことで別にというみたいなことをやっているわけです。これは大臣、突然な質問でよく御理解は得られていないのではないかと思いますが、これはひとつ郵政省の方から、あるいは総理府、大蔵省に——あれだけ民放はもうかって、利益を上げて記念配当二割だとか幾らでも配当をしている、そこにはその上四十三億、ラジオにも二十何億出しているわけだ。ところがいま赤字経営で、県が補助をしてまでその運営をしていこうというのにほとんど無料でやらせているわけだ。放送料というものは出さないといまでも言っている。それ自体はむずかしいというようなことを言って出していないわけだ。県や何かで援助してまでやっていこうという、その有線放送に放送させるのに出さないなんて、そんなばかなことはどう考えたって矛盾なんです。民放なんか一割五分、二割の記念配当をみんなやっている。そういうところにはちゃんと補助金出している。ラジオだってそうです。ところが県や何かでもって援助してやらなければならない、放送と通話の機能を備えた、農民みずからが自然発生的につくったものが大変経営困難だ、そのところにただでやらしている。これはやはり堂々と放送委託費としてきちっと何億か出すのが当然だと思うのですが、どうでしょう大臣
  257. 松井清武

    ○松井政府委員 いま先生お話にもございましたが、この問題はいわば民間におけるテレビ、ラジオ、新聞の広告料のような問題であろうかと思います。そういった問題につきましてはこれは当事者間の問題、本件に限って申し上げるならば総理府と有放協会あるいは有放施設関係者との問題であろうかというふうに思うわけでございまして、郵政省といたしまして、この問題については何ら申し上げられない立場にあるというふうに考えられる次第でございます。しかし、いろいろの御事情につきましては、総理府の方にも話してまいりたいというふうに考えております。
  258. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は事務当局からそんな答弁をもらいたくて質問をしたわけじゃない。先ほど来言っている大臣として、方針として総理府なり大蔵省に、民放にやっていると同じように出すべきではないかと言っているのです。当事者が幾ら総理府に言ったって総理府は出そうとしないからそう言っているわけです。大臣、どうでしょう。
  259. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御主張は私はもっともと存じますので、私みずから総理府、大蔵省といろいろ折衝してみたいと思います。
  260. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、質問の大部分は終わりましたが、NHKの方に待っていていただいたので、若干NHKに質問をいたしたいと思います。ほんのわずかであります。  難視聴の解消に当たって、ミニサテで民放とNKHとがこれからのものには共同建設を進めていこう、こういう前向きの姿勢になっておるやに聞いておりますが、これはよろしゅうございますか。
  261. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  難視聴の解消につきましては、かねてから民間放送と私どもと協力をいたしまして、できるだけ効率的に難視聴の解消を進めるという意味で共同建設をやってまいりました。特に最近ミニサテという新しい方式が生み出されまして、山間僻地の微小な地域に対しまして、非常に経済的な効率のいい置局ができるような技術基準も新たに設けていただいたわけでございます。今後、難視聴解消が民放、NHKあわせまして一層進んでいくものと考えております。
  262. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今後そういうようにやっていこうということで、これは難視聴解消に大変役に立つのではないかと思います。ぜひひとつ進めていただきたいと思います。  それに関連して郵政省にお尋ねをしたいわけですが、いろいろの手数料をとっているわけです。私が聞いたところによると申請手数料、新設検査手数料、再免許手数料、定期検査手数料、こういう手数料がいろいろあるわけです。それがさらに、一キロワットを超えるもの、一キロワットから百ワットのもの、百ワットから十ワットのもの、十ワット以下のもの、こういうようにありますが、十ワット以下というところにこのミニサテの手数料を一括含めてしまっているわけであります。これを十ワットから一ワットとか、一ワットから〇・一ワットというようにもう一ランクか二ランクつくって、ミニサテの手数料には格安の手数料、〇・一ワットですからこういうようにしてしかるべきではないかと思います。簡単に言えば、申請手数料なんかは十ワット以下は八千五百円とあるのを三千円か四千円に、それから新設検査手数料は型式検定機器の場合に半額だから、もう決まったものなんだから、これは一ランク下げておいてそしてまた半額にする、こういうようにしてしかるべきだと思いますが、この検査手数料はどうなっているか、そういう方向性というものを出せるかどうか。
  263. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のような件につきまして、実はことしの三月に民放連の会長からも郵政省に対しましてそういう要望があったわけでございます。これはいわゆるミニサテ局の置局を促進するために検査手数料を減額してくれないかとかあるいは検査の簡略化をしてくれないかとか、こういうふうなことがその要望書の中身でございます。政府といたしまして、現在の放送局の検査手数料でございますが、これは電波法関係手数料令、政令でございますがこの中に決められております。現行の手数料体系の上から見ますと、このミニサテの検査手数料だけを減額するということは現状では困難でございますが、今後手数料令もある時期には改正があるわけでございますが、その改正のときにはやはりただいま御指摘ございましたようなミニサテクラスの空中線電力に応じた手数料区分というのを設けることにつきましても検討したいというふうに考えております。しかし、当面そういうことで手数料令は改正できませんので、ミニサテ建設に対して何とか経費の負担を軽減する方法がないかということも考えているわけでございますが、型式検定制度というものを導入しますと、あるいは相当検査手数料等が安くなりますので、そういう方法で検査手数料の軽減を図っていきたい、このようにも考えております。それから型式検定化いたしますと検査が非常に簡略化されてくるわけでございます。こういうことにしまして、また、電波監理上支障のない範囲で極力検査を簡略化して進めていきたい、こういうことによってミニサテ局の置局を促進させたい、かように考えております。
  264. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 手数料の改定というのはいつあるわけですか。物価が上がったから手数料を改定するという値上げみたいなことをいつかだれかが思いついて、郵政省が思いついて上げるというその時期以外にはありませんか。
  265. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この検査手数料の改定につきましてはいつの時期に行われるかということは、これははっきりはいたしておりませんが、やはり手数料というものが世の中の実情に合わなくなったというような時点ではいろいろこの問題が検討されるわけでございます。おおむね最近物価の高騰によって手数料は上がる傾向にあるわけでございますけれども、こういう区分をいたしますと、あるいは実質的には手数料がミニサテ局については安くなるということも考えられると思います。
  266. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その値上げをするか何かの時期を待たないで、ランクを一つ二つ新たにつくって、いまの段階においてもできるようなぐあいに前向きにはできませんか。全体の料金改定をするときでなければならないと言わないで、このミニサテをせっかく普及しようというわけですから、いまの段階において、とにかくいま十ワット以下というランクしかないわけです。だから十ワットから一ワットまで、一ワット以下、こういうぐあいに一ランクふやして積極的にミニサテの普及に対応できるように、こういうことをいまやるわけにはいかないわけですか、それだけつけ加えることは。
  267. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 これは全般的に政令で決められておりますので、いまこの件だけを引き出すということは困難かと存じます。
  268. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは押し問答しても仕方がないから、できるだけ、ミニサテが入るようになった、それは〇・一ワット。ところがいまの手数料をつくるときにはそういうことを想定していなかった。だから十ワットというようなことで最低が終わっている。だからこれはぜひ積極的に、ミニサテを普及させるという意味も含めて、十ワットから一ワット、一ワット以下、こういうものだけつけ加える改定をして、そしてミニサテの普及、共同建設の普及をしてもらうように、これは要望だけしておきたいと思います。  それからNHKにお尋ねをしたいが、これから百世帯か五十世帯のところは民放とNHKが共同でやれば、これはなかなか、NHKが見えるようになったのだけれども民放は見えません、こういう問題が起こらないで大変ありがたいわけで、ぜひ積極的に推進をしていただきたい。郵政省もそういうように指導していただきたい、こう思いますが、いま困るのは、NHKだけは見えますが、民放は見えませんという既存のサテ、こういうのがあるわけであります。これに持っていって、いまのミニサテ方式なり何なり何らかの方法でNHKは協力すべきではないか、こういうふうに考えるわけです。どうでしょう。
  269. 沢村吉克

    ○沢村参考人 先生指摘のとおり、NHKだけ見えて民放の置局がおくれているという地域がかなりございます。できるだけ早く民放にも置局をお願いしたいわけでございますが、先生指摘のミニサテでこれをやるということは、技術的に申しまして無理かと思います。と申しますのは、先生御承知のように、ミニサテというものが非常に限られた電波的な閉鎖地域と申しますか、よそに電波が漏れないということを条件に技術基準の緩和をしていただいたわけでございまして、かなり広い地域に対しましてミニサテの技術基準を適用するわけにはまいらぬかと思います。そういう意味でそのままミニサテは適用できません。ただわれわれといたしましては、民放さんができるだけ御一緒にやれるようにということで従来とも共同建設を進めてまいりました。それから、その共同建設をやります受益者が受益者なりの負担をもって共同でやれば、個別にやるよりかなり安くなるという原則を貫きながらいままでやってまいっております。そういう意味で、ミニサテ方式と言われますと非常に一般の局には適用しにくい物理的条件がございますけれども、その他の局につきましても、基本姿勢としましてはできるだけ共同でやることによってお互いの負担を軽減しようという考えでございまして、今後とも民放さんと御相談をしながら協力体制を続けて、民放さんの電波の早く延びていくようにということを期待しているわけでございます。
  270. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それは公式的なことで私よくわかるのですが、いまNHKだけしか見えない。NHKはサテ局を建てました、鉄塔をつくりました、局舎をつくりました、それから道路もやりました、電源の導入も不便なところまでやりました、こういう既存の投資があるわけです。だけれども、そこも五年か十年たてばまた機器の改修なり何なりしなければいけないという時期が来るのではないか、私はこう思います。そのときに、私は何もミニサテ局方式でいいか悪いかということは技術的にわかりませんから、閉ざされたような場所ならばそれもできるだろうが、いままでのところではできないところもあるらしいが、その場合に、その改修する時期に民放も便乗さしてくれ、こういうことになっていけば、鉄塔は既存のものがあるし、NHKがだんだん償却もしているんだし、道路もつくってあるんだし、局舎もつくってあるんだしするから、その応分の負担までさかのぼってやれと言わないで、それはそれなりでNHKは償却もしているんだから、そこへ便乗さしてもらうときには民放のは民放の機器だけを取りつけて、機器だけでもって、電力量がふえて線を太くしなければいけないとかそういう問題はまた別として、既存のタワーとか局舎みたいなものについては応分の負担をせよというようなことをしないで、ひとつ改修のときには民放も一緒にやれ、こういうことはできないか、こういうことを私は言いたいわけなんです。
  271. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  先生の御指摘はよくわかります。私どもとしまして不当にと言いましょうか、余分に民放さんからお金をちょうだいしてもうけようという気持ちは毛頭ございません。私どもとしましても、できるだけ効率的、経済的に経営をしていけ、難視解消に効率化の実を上げろということは絶えずこの委員会の場でも御指摘を受けておりますし、置局といわず、どういう形にしろ本来の収入以外に副次的な収入も上げられないかというようなことまで御指摘を受けているわけでございますが、いまの置局で副次的収入を上げる気持ちは毛頭ございません。ですけれども、いまおっしゃったような、局舎の中に必ずしも、NHKの建てました局舎に民放の機械が入るというほどの余裕のある局舎は一般には建てておりません。ですから、個々の場合によりまして条件が違ってこようかと思います。先生の御趣旨はよくわかりますので、今後具体的な実際の民放の置局に際しまして、私どもも御趣旨を体しまして前向きな検討をしていく、個々にお打ち合わせをしていくというつもりでおります。
  272. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 NHK答弁としてはそういうことだと思いますが、私は郵政省にお尋ねをしたいわけですが、これからのミニサテ局を共同でやろうということは、それは結構なことでございますし、大いに進めていただきたい。それは五十軒か三十軒の小さいところで民放もNHKも今度は見えるようになりますということですから、これはいいです。ところが、その途中で、すでにNHKは置局をしてあるが民放がまだそれに乗っていないという中間地帯がたくさん残っているわけです。そういうわけでしょう。これからやるミニサテみたいなうんと小さいところのやつは共同でやる。途中でやらなきゃならないところの、民放がまだ見えない、NHKだけが見えるというのがたくさんあるわけです。そういう局は一体どのくらいあるか。そこへ民放が積極的にいまNHKに協力を求めるなりなんなりしていく希望があるかどうか、あったならば、民放がNHKに便乗さしてもらうには一体どれだけの費用がかかるが、どうであろうか、こういうことを個々のNHKの置局についてケース・バイ・ケースでひとつ全部調べ上げて、それで民放を誘ってそれに乗っける、民放が乗っかるようになったらNHKに具体的な協力を求める、こういうようにひとつ親切に全部指導なり調査なりできませんか。これは当然わかっていることだと思うのですが、どうでしょうか。
  273. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  NKHの難視聴地域と申しますか、これについてはNHKの方で十分資料は持っているわけでございますが、民放につきましても、現在二百十万世帯近くの難視聴地域があるというふうに言われております。われわれといたしましても、この難視聴地域の解消につきまして努力しようということで、現在今年度と来年度でその調査を開始いたしております。それができますと相当はっきりした数が出てくると思いますが、それに対する民間放送の施設状況でございます。これにつきましても、それぞれの会社からそのときそのときいろいろ情報をもらってその解決には当たっているわけでございますが、民放としましては、やはり会社の経営という問題もあって、なかなか気持ちと実際とがつながらない。どうしても経営上の問題があって置局がおくれていくのが現状でございます。しかし、ただいま先生から御指摘がございましたので、御指摘の点などを調査いたしまして、NHK、民放ともよく相談いたしまして、なるべく早くそのようなところが減るように努力したいと存じております。
  274. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは質問を終わります。  最後に、恐らくいま民放二百何十万世帯、NHKは九十万だったでしょうか、だから二百何十万マイナス九十万ということになると、百数十万の世帯というものがNHKは見えても民放は見えない、こういうところではないかと思います。これはいま御答弁ありましたように、ぜひ実態調査をして、再免許のときなりなんなり計画を具体的に立てさせる。そして、具体的にできたらNHKに道路の負担をしろとか、鉄塔の負担までしろとか、局舎の負担までしろとか言わないで、そういうものはNHKの方は償却が済んでいるのだからそれに便乗させろ、こういうようなことになると、機器ぐらいな負担で比較的に簡単にできやしないかともわれわれ素人考え考えるわけですから、ぜひ積極的に指導していただきたい、こう思います。  大臣、私は三代の郵政大臣にそう言ってきたから、この新しい大臣にも一言言っておかなければならないのだが、国民の財産である電波というものをただで使っておるわけですから、電波使用料というものを取って、難視聴解消の方にその財源として向けろ、こういうことを私は常に主張しているわけですが、いい考えです、こうは言うものの、なかなかどの大臣も積極的にこれを取り上げようとしない重大な政治的なネックがあるかもしれません。  私はこう思うのです。平衡交付金、富裕団体から取って田舎の貧しい赤字県に金を交付してやるような式のものとしての電波使用料というものを取って、それを難視聴解消——いま民放は、ここへ新たに民放が見えるようにしたって広告料が余分に入るわけじゃないから、だれもやりたがらないわけです。だから、やりたがらないところまでやるためには、電波使用料という財源を持って、それを全国プールして、その財源で民放の難視聴解消、こういうものを進めていけばまことに合理的にうまくできるのではないか、こういうことを言っているわけです。ぜひ大臣から前向きに検討してもらうようにお願いをしたい。これは答弁をしろと言っても質問事項にありませんから、お願いだけしておいて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。      ————◇—————
  275. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案の両案について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。三ツ林弥太郎君。
  276. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 議題になっております郵便貯金法の一部を改正する法律案並びに郵便切手類売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案について若干の質問をいたしたいと思います。  まず郵便郵金会館でありますが、全国の主要都市に相当数設置されておりまして、利用状況も非常によろしいというふうに伺っておりますが、これらの会館には大ホールや会議室のような公共的な設備を備えており、地域社会の文化の向上に貢献するという観点からもかっこうの施設ではないかと考えるものであります。  ところで、郵便貯金会館を設置する目的は郵便貯金の普及のための周知宣伝ということでありまして、すでによく利用されて十分な効果を上げていると聞いているのでありますが、今回改めて郵便貯金法改正して郵便貯金の普及のための周知宣伝施設として規定するのはどういう理由によるものか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  277. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  郵便貯金は、国民の経済的福祉を増進するというため一層の普及を図ることが必要であると考えております。このため、郵政省といたしましても制度の改善等を図り、国民の要望にこたえる一方、サービス内容等を積極的にPRしていかなければいけないと考えております。このような普及施設の一環として、全国の主要都市に郵便貯金会館を設けまして広く国民の利用に供し、地域社会の文化の向上に貢献しながら郵便貯金に対する国民理解を深めるということにいたしております。  今回の法的措置でございますが、これらの郵便貯金会館を広く国民の利用に供するために、郵政大臣の認可を受けて設立される法人にその運営を委託するというようなこと、そういう明確な法的な基盤をつくるという必要があるため、郵便貯金法について所要改正を行うというものであります。  なお、この改正につきましては、第七十五国会におきまして次期通常国会を目途に必要な法的措置を講ずるという旨の政府としての見解を表明しているというものでございまして、それに基づきまして御提案申し上げた次第でございます。
  278. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、郵便貯金会館はいまのお答えによりますと広く国民の利用に供するための施設ということになっておるのでありますが、事実、現在までに全国で相当数の郵便貯金会館が設置されているところから、かなり多くの国民に利用されているのではないかと思われます。  そこで、実際の利用状況として一体どのくらいの人員が利用しているのか、できれば会館の利用者数を各年度別にお示しをいただきたい。これによって郵便貯金会館がいかに公共の利用に供されているかはっきりすると思いまして、お伺いをいたす次第であります。  さらに、会館の建設状況はどのような状態であるかをあわせて御答弁をお願いいたします。
  279. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  郵便貯金会館の利用者についてお答え申し上げます。  昭和四十五年度以降五十年度までの間に全国で約千四百万人の利用をいただいております。年度別に申し上げますと、四十五年度が九万人、四十六年度九十五万人、四十七年度百七十八万人、四十八年度が二百八十四万人、四十九年度三百九十六万人、五十年度四百四十二万人となっておりまして、計千四百万人ということでございます。  それから次に、会館の建設状況につきまして申し上げます。  昭和四十五年度に大阪市に設けましたのを最初といたしまして、現在までに十一会館を設置してございます。今後の計画としましては、横浜、福岡、新潟及び岡山の各市に設置するということにいたしております。
  280. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、現在郵便貯金会館運営郵便貯金に関する調査、研究及び出版物の刊行等は、財団法人である郵便貯金振興会が行っているやに聞いております。ところで、この法律案によりますと、この法律に基づき郵政大臣の認可を受けて法人を新たに設立し、この法人にこれらの事業を行わせることになっておりますが、この法人が設立された場合、現在の財団法人の郵便貯金振興会はどうなるのか、お伺いいたしたいと思います。特に、今後とも周知宣伝施設として郵便貯金会館がその役割を十分に果たされることを期待するところでありますが、監督指導の立場にある郵政大臣としての所信をこの際承りたいと思います。
  281. 神山文男

    ○神山政府委員 まず最初に、この財団法人郵便貯金振興会がどうなるのかという御質問にお答えいたします。  財団法人郵便貯金振興会は、この法律に基づく郵便貯金振興会が設立されたときにおきましては、改正法案の附則第二条の規定によって財団法人の一切の権利義務は新法人に継承される、そのときにおいて財団法人の方は解散するということになります。
  282. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今後とも十分監督指導してまいるつもりでございます。
  283. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、郵便切手類の売りさばき所でありますが、これは町の中でもよく見かけるところであります。この売りさばき所は、一般国民が切手を買ったりするのに非常に便利なところであると考えておりますが、また郵便事業の立場においても、窓口業務の一部を委託することになるので、双方にとって非常に重要な役割りを果たしておるものと考えられます。最近の手数料率の改定は昭和四十九年と聞いておりますが、売りさばき人は少額の切手類を売りさばくためにかなりの手数がかかっておるものと思うのでありますが、四十九年以降、一般の労賃、人件費の高騰は相当なものでありまして、また、郵便事業の職員の給与等も毎年ベースアップをいたしておりますし、またその他の物価上昇もありますし、このような最近の状況を考慮した場合、売りさばき人に支払う手数料もやはり適正なものに改めてやる必要があるのではないかと考えられるわけであります。今回提案した趣旨について、まずその考え方を伺いたいと思います。
  284. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 年間の切手類、印紙の総売りさばき額のうち、半ば以上は売りさばき人の方々によって売りさばかれておる実情から考えましても、御説のとおり、売りさばき所は公共の利益のために、じみではありますが、全体として大きな貢献をしておるわけでございます。  ところで、売りさばき人に支払う手数料の率は、昭和四十九年一月一日に改定されて現在に至っておることは御承知のとおりでございますが、最近の一般労賃を見ますと相当の割合で増加しており、郵便切手類の売りさばきに要する経費も、全体経費の大部分を占める人件費の高騰によりまして相当増加しておりますので、売りさばき所の機能を十分に果たしていくためには、売りさばき手数料率改正する必要が認められたために、今般、改正法案の御審議をお願いいたした次第でございます。
  285. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、改正法案の内容考え方、実施した場合の影響等についてお伺いいたします。  まず、改正法案の内容を見ますと、それぞれの率の改正ということで平均何%のアップかわからないが、平均すると何%のアップになるのか。また、それはどのような考え方によっているのか。  第二点は、二十万以下の手数料率の引き上げということでありますが、これはどのような考え方によるものか。  第三番目に、買い受け月額が皆無の売りさばき所についても手数料を支払うように今回改正することといたしておりますが、これはどのような考え方によるものか。  第四番目は、現行の料率による場合と改正案による場合とを比較して、売りさばき人一人当たりの平均手数料はどうなるのか、また一月一日施行として、今回の改正による五十一年度予算増加額は幾らになるのか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  286. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 郵便切手類の売りさばき手数料につきましては、ただいま大臣が申し上げましたとおり、四十九年一月に改定されまして現在に至っておるわけでございます。その後、印紙税額の改定がございましたし、また、郵便料金の改定等がございまして、それに伴います売りさばき人の手数料収入も増加している実情でございます。しかしながら、売りさばきに要する諸経費も、その後における人件費等の上昇等がございまして相当増加しておりまして、手数料収入の増加にもかかわらず、利益が薄くなってきていると認められるところでございます。このような考え方からいたしまして、売りさばき所の実績を勘案いたし、今回約二〇%の手数料の改定が必要であるというふうに考えておるところでございます。  それから質問の第二でございますが、買い受け月額二十万円以下のような売りさばき所の実態をながめてみますと、切手、印紙等の小額のものを回数多く取り扱わなければならないというようなことでございますので、その手数が二十万円を超えるものに比べまして相当かかるにもかかわらず、手数料の面では必ずしも妥当とは言えない実情になっておるわけでございます。したがいまして、この際、この二十万円以下のものにつきまして料率を改定する必要があろうと考えるものでございます。なお、この改定によりまして、買い受け月額二十万円以下のものを中心といたしまして、結局は全売りさばき所の手数料が改善されるという結果になるわけでございます。  それから第三点でございますが、買い受け月額が皆無の売りさばき所につきましては、たまたまある月に買い受けの請求がなかったという理由のために、当該月の最低の手数料も受けられないということではお気の毒なことであり、従来からできるだけ買い受け実績をつくっていただくように勧奨してまいったところでございます。しかしながら、こういった勧奨によりまして一カ月の買い受け実績のない売りさばき所を皆無にするということにつきましては、根本的な解決にはならないというふうに考えまして、この際、これら買い受け実績のない売りさばき所がすべて最低補償を受けられますように措置いたしたところでございます。  それから質問の第四点でございますけれども、売りさばき人一人当たりの平均手数料は、昭和五十一年度予算によりますと、現行手数料率では年額九万三千三百九十円ということになっておりますが、この改正案では年額十一万二千二百七十三円ということになりまして、約二〇%増加いたします。また、本案の改正を行った場合に、昭和五十一年度予算では総額約百十三億余になりまして、現行料率の場合に比較いたしまして約五億四千五百万円の増加に相なります。
  287. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 最後に申し上げておきたいのでありますが、ただいまの答弁によると平均約二〇%の改定ということでありますが、最近の物価上昇等から考えれば、もう少し上げてもよい感じがいたしますが、郵便事業財政の置かれている立場等も考慮すれば、まあ相当のところではないかと考えられます。  最初に申し上げたように、私は、売りさばき所の機能は非常に大きなものがあるとも考えられますので、今後とも適正な配慮が売りさばき人に払われるよう郵政当局にお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。(拍手
  288. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会