○平田
委員 いまの話を聞いていますと、どこもかしこも皆どんどんうちが建ってどんどん
電話を引かなければならなくなって、そうしてどこの管もいっぱいで、それでケーブルを細くしなければならぬみたいな話に聞こえるのですよ。そういう情勢なのかどうか。しかも管の中を通していったって実際の管の中はいまはいっぱいで、どうにもならぬのがどこもかしこもそうなのか、特別の部分だけですよ、それが必要なのは。全体から見たらそんな必要ないですよ。ましてや宅内から局までの間、これは下をもぐらしていっていると言うけれ
ども、いまのところまだやはり電柱でやっているのが圧倒的に多いのでしょう。ですから、あなたがおっしゃるように全部を変えていかなければならないのだというようにはとても
理解することはできないのですよ。だから耐用年数を短くせざるを得ないのでございますとあなた言ったら、これはケーブルや何かは十六年のをさらに十年にして、さらに八年にしなければならぬという
事態になるのですよ。そんなことをやられたらたまったものじゃないですよ。またそうなるはずはない。また後でこの問題にも触れますけれ
ども、私の方で
考えているのは、償却テンポを速めなければならなかった問題はそれだけじゃなかろう、ほかに問題があるのじゃないかということをお聞きしたいわけですよ、ほかにも理由があるんだろうと。
大体、営利を目的とする企業の場合には、当然のことですけれ
ども、法則として最大限利潤の追求をやっていくわけですよ。そのためには減価償却の速度を速めなければならない。減価償却の速度を速めるのにはやはり大まかに言って二つの側面を持っていると思うのですよ。
一つは、やはり総体的な剰余価値を生み出していくということ、これがねらいですね。そして、人よりも先に技術の進んだ機械を入れていく。剰余価値を生み出していくというやり方をとるわけですよ。同時に、さっき電力会社の話が出ましたけれ
ども、償却のテンポを速めていくというのは全部、経費が非常にかかるのでございますという理由にしていくのですね。つまり利益を隠していくために償却のテンポを速めるのですよ。だから、今日までの高度成長、急速な成長が行われた時期にはこれがどんどん採用されていったのです。これでとにかくもうけるだけもうけるという仕事がやられたのですよ。しかし、これも
考えなければならない矛盾に突き当たってきているというのが現状なんです。何も
電電公社だけじゃないんですよ。減価償却制度全体を見直さなければならないという
事態にいま遭遇しているんですよ。やはりそこのところを頭に入れておいて物を言ってもらわなければ困ると思うのですね。
この減価償却制度を定率制にして償却のテンポを速めて、これが物価をどんどん押し上げていく役割りを果たしてきたわけですよ。また管理価格、物価を
値上げしていく理由として、原価が高くつくんでございますと言うためには、償却のテンポを速める必要があったんですよ。これを高度成長政策の強行された中でどこでも全部やった。だからごらんなさい。
電電公社がこの定率制を採用して償却のテンポを速めていった時期というのは、高度成長政策がどんどん推し進められた時期に合致しているんですよ。
電電公社の場合は公営企業なんですから、当然のことながら利潤を追求する必要はないわけなんですね。株主に配当する必要もないのですよ。これはまた許されることではないわけです。同時に、独占企業なんですから競争の相手がいないわけですよ。
電電公社で全部やっているわけですから。したがって、
技術革新が行われるからということで定率制を採用して償却のテンポを速めていかなければならないという理由はないんですよ。
電話機でも、九年もつといったって、十三年前、十五年前、二十年前の
電話機を使えたら使えばよろしい、
あたりまえなんですよ。いま何と言っているのです。
政府自身ですら、使い捨て時代は終わったぐらいのことを言っているのでしょう。そういう
立場から
考えたらいまのやり方はやはり
考えなければならぬと思うのですよ。たとえばA型交換機も使えるだけ使えばよろしいし、新たに電子交換機が出現したにしても現在のクロスバー交換機を使えるだけ使えばよいと思うのです。ケーブルにしてもそうだと思うのです。そうなれば、定率法を採用して償却のテンポを速めなければならないという理屈はないはずなんですよ。ですから今日の情勢全体から見ても、さっきも
技術革新に迫られる、こう言っていたけれ
ども、住宅がどんどんできていって、そしてどんどん普及しなければならないという
状況にあるときは別なんですわ。いろいろな方法がとられるでしょう。今日の段階では、これは一般的に見直さなければならないと言われている時期なんですからね。私は、いまとられている定率法を定額法に変えたところで公共企業体である以上は一向に差し支えないというふうに思うのですが、その点どう
考えられるのか、これは
米澤総裁から
お答え願いたいと思います。