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1976-10-15 第78回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  地方税に関する小委員       愛野興一郎君    奧田 敬和君       亀山 孝一君    篠田 弘作君       渡海元三郎君    松野 頼三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       山本弥之助君    三谷 秀治君       小川新一郎君  地方税に関する小委員長    奧田 敬和君  消防に関する小委員       愛野興一郎君    大西 正男君       中山 利生君    古屋  亨君       山崎  拓君    渡辺 紘三君       岩垂寿喜男君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    多田 光雄君       小濱 新次君  消防に関する小委員長     山崎  拓君  地方公営企業等に関する小委員       愛野興一郎君    伊能繁次郎君       片岡 清一君    島田 安夫君       地崎宇三郎君    永山 忠則君       井岡 大治君    佐藤 敬治君       山田 芳治君    林  百郎君       小川新一郎地方公営企業等に関する小委員長 愛野興一郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十一年十月十五日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 愛野興一郎君 理事 奧田 敬和君    理事 片岡 清一君 理事 山崎  拓君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君    亀山 孝一君       渡海元三郎君    中山 利生君       古屋  亨君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       諫山  博君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     天野 公義君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         警察庁警備局長 三井  脩君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房同和対策室長 今泉 昭雄君         法務省人権擁護         局調査課長   宮本 喜光君         大蔵省主計局主         計官      矢崎 新二君         大蔵省主税局総         務課長     梅澤 節男君         大蔵省理財局地         方資金課長   鈴木 達郎君         文部省初等中等         教育局幼稚園教         育課長     鈴木 博司君         文部省体育局ス         ポーツ課長   望月 健一君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         林野庁林政部管         理課長     江上 幸夫君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 妹尾 弘人君         建設省都市局公         園緑地課長   三好 勝彦君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         自治省財政局地         方債課長    花岡 圭三君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     多田 光雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 小山委員長(小山省二)

    小山委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  3. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 新しい大臣が来られましたので、他の委員会委員の各位とあるいは重複するかもしれませんが、来年度地方財政対策についての質問をまず申し上げたいと思うのであります。  十三日、すなわち一昨日、地方制度調査会等も開かれ、起草委員会等で来年度問題等もいろいろ論議をされているということを承っておりますが、また一方では、二十三日で地方制度調査会委員任期切れになる、こういう段階でありますから、本来的に言うならば、三木総理も本会議あるいは予算委員会等においては、地方行財政全体を見直す見直すということを言いながらも、恐らく五十二年度地方財政対策は五十年、五十一年と同様、当面の措置にとどまるのではないだろうかというふうに思うのであります。  ところで、自治省が二月二十四日に、いわゆる地方財政の五十五年度までの中期試算というものをやっているわけでありますが、まず第一にお伺いをいたしたいのは、この中期地方財政見通しの五十二年度分というものを見ますと、地方債計画にしても、あるいは交付税等を含める一般財源の問題にいたしましても、今回の大蔵省に対する予算要求と比較をしてみますと、非常なギャップがあるように思います。たとえばケースIという方で仮に見てまいりますと、歳入、一般財源十六兆一千億、こうなっておるのであります。これは税と交付税を足したものだろうと思うのでありますが、交付税要求は御承知のように四兆幾らでありますから、本年度よりも減っております。それじゃ税は一体どのぐらい出るのかということになると、おおむね一三%程度ではないだろうか。だから十兆強か弱かわかりませんが、その程度だとすると、十六兆という数字はすでに一般財源の枠組みから言うと、下回るのではないかというふうに思うわけであります。  そういう点を含めて、次に掲げる点を質問をいたしますので、大臣からひとつ答弁をいただきたいと思うのでありますが、現時点において来年度地方財政収支見込み額は、中期財政計画と比較してどういうふうになっているのか。そうした場合に、中期財政計画によると一兆九千二百億、ケースIの場合、そうです。ケースIIの場合には一兆八千三百億ということになっておりますが、これとの関係はどうであるか。  それから第二番目の質問。五十二年度概算要求に当たって、必要と認められる場合は地方交付税引き上げを行うということが付記されているわけでありますが、この必要と認める場合というのはいかなる場合であるのか。その場合に一体交付税率については、さきの国会なり今国会においても三年間財政がきわめて厳しい情勢であるならば、交付税率引き上げというものについては一定の考え方を持っているということを前の大臣はしばしばお答えになったわけでありますが、天野大臣としては、この点については同様の考えであるかどうかという点が第二点。  第三点は、その財源不足に対する自治省補てん考え方、また、五十一年あるいは五十年と同じような考え方をするのかどうか。  そういう点について、きわめて基本的な問題であるわけで、現段階において必ずしも言えないという点もあろうと思いますけれども、一応方向について大臣の所信をひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  4. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 明年度におきますわが国の経済見通しにつきましては、国、地方を通じまして税制改正方向あるいは経済見通し、まだはっきりしない部面が非常に多うございます。しかし、大局的な流れといたしましては、若干昨年度よりも景気回復しているというような大きな流れがあるわけでございますが、細目についてはまだ、こうだというところまでは行かないことは御承知のとおりだろうと思います。したがいまして、地方財政収支見通しにつきましては、困難ではありましても、大局としてはその流れの上に立っているわけでございますから、幾らか改善方向には来ているのではないかというふうに推定はされるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、巨額の財源不足を生ずるということは避けられない事実でございます。したがいまして、地方団体がその行財政運営ができますように、明年度財源不足につきましては、もちろん状況に応じて地方交付税引き上げも含めまして万全の措置を講じていこうという腹づもりで進んでいる次第でございます。  なお、数字等の細かい問題につきましては政府委員から御答弁申し上げます。
  5. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、前にごらんをいただきました五十一年から五十五年までの中期計画においては一般財源の総計が十六兆一千億程度、こういうように見込んでおったのでございます。これは先生御案内のように、国民経済伸長率等前提もございますが、五十五年までの間に租税負担率が三%上がる、地方において一%、国において二%上がる、こういう前提をもって一応はじかれておった数字でございます。  今回御指摘をいただいた国に対する交付税等予算要求でございますが、八月末の要求でございますので、一応将来の負担率のアップといった前提を抜きにいたしましてごく単純に、現在の情勢で一三%の名目成長があればという前提に立ちました数字の三二%という現行税率、それだけ一応概算的に要求しておるという立場をとっております。したがいまして、御指摘のように四兆四千億余りの交付税要求になっておりますが、これは中期計画に見込んだものより額としては若干小そうございます。しかし、この中期計画の五十二年度の様相は、ただいま大臣から御説明ございましたように、ことしの経済状況だとか来年度における税制改正のある程度の見積もりだとか、そのほかいろいろ考えておりますが、そういうものを詰めてまいりまして、財源不足額一兆九千二百億というこの数字がどう動いてくるのか、これの詰めをいたさなければならないと思っております。いずれにいたしましても、この額は動いてまいりましょうが、相当金額の不足が生ずるであろうことは覚悟の上でございますので、これに対して適実措置をとっていく、行財政制度改正交付税率引き上げ、この両方を含めて補てん対策を国にお願いをしていく、こういう態度をとろうと思っておるわけであります。したがいまして交付税要求に対しても、必要と認める場合には交付税率引き上げ等を含めて修正を加える、こういう付記をして要求をしておるというかっこうでございます。
  6. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 現在いろいろな経済研究団体等が、来年度経済成長見通しなどを逐次発表するという段階であるわけでありますが、その問題は別として、単純に名目一三%というわけでこういう形になっておりますが、先ほども申し上げたように、とうてい五十二年度においては税財政の根本的な見直しなどというものには時間的な余裕がなかろう。中期計画を見ても国民総生産、GNPの三%程度のものを国税、地方税で将来負担増にするのだ、そのうちの二%を国で、地方が一%程度のシェアで租税総量をふやしていかなければならないということを前提としておるわけであります。そういう基本的な改善などはとうてい現段階においては想定されないとするならば、五十二年度地方財政対策は、本年度のように預金部資金から交付税会計が借り入れをしたり、あるいは一兆二千五百億の将来交付税で返すところの起債というものを含めて考えると、実質的にはことしは四五%程度になるわけですから、いずれにしても交付税率を上げるかあるいは交付税率を上げたと同等の手段をとらざるを得ない、それは起債に頼らざるを得ないという形になるわけですが、来年はもっと総量をふやすという考え方で行くのか。いま大臣が言われたように、景気がよくなってくればそういう措置は必要でないのだということにはとうていならないと思うので、その点の基本的な考え方をもう少し明らかにしていただきたい。財源不足額に対する自治省補てん考え方ですね。税総量をふやすと言っても、本当につめで灯をともすような、高速道路に課税してみても百二十億だとかいうお話を税務局長から承っていますが、これでは兆の単位で足りないわけですから、考え方としてはどうなのか。いま決まっていないというのはいつの段階でどう決めるのか。この点だけひとつお尋ねしたい。
  7. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 ただいま御指摘のとおりの状況でございまして、しょせん、国、地方を通じての行政需要のあり方と国、地方を通じての財政収入の総額とのバランスがとれていないというところに原因がございますので、こういった点を制度的にどう見直していくかということが中期計画における命題の一つでもあり、今後の課題だろうと思います。御指摘のようにこれがどう転んでいくのか、それから一挙に解決ができるのかどうか、こういう点については種々疑問があり、問題もあろうかと思います。しかし、しょせん、このような事態に対応いたしておりますので、地方交付税法六条の三に言いますような制度改正とか、交付税率の置き直しとか、こういう抜本的な策を打つことをもって対応しなければならぬ事態にかかっておる、こういう認識を強く持っておるわけでありまして、これが御指摘のように一挙動でいくかどうか、この点については非常に問題があるかもしれませんが、少なくとも五十五年度ごろまでかかっての計画的な制度改正、こういうものの一環として乗り得るような措置財源不足額補てんしていく、これを基礎に置いて考えていきたい、こう思っておるわけであります。対応策はいろいろ出てこよう、今後変化もあろうかと思いますので、いまのところ、どうでなければならぬということは申し上げかねる事態であります。
  8. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 いまの段階では無理であろう。ただ、総選挙が近くありますし、政治情勢も不安定でありますから、予算編成段階がいつになるかという問題もあろうと思いますので、いずれまたこの問題はそういう政治的な日程が終わった後で質問することにして、本日はこの程度にしておきます。  次の問題に入りたいのですが、本年度交付税算定に当たっていわゆる法人税関係の税を見ておりますと、企業間に非常にアンバランスがあるがごとく、都道府県段階においては法人税伸びの見方に非常にアンバランスがあるという点で、各府県によって収入伸び率が非常に高く見られている、いわゆる過大配分をされている。それは来年精算すればよろしいという議論になるわけでありますけれども、数十億にわたって、たとえば私の地元の京都においては三十数億過大算定をされている。ところが、本年度で三十数億という過大算定をされてしまうと再建団体に落ち込む可能性がある。これは来年補てんするのだからいいじゃないか、そう単純に言われると、本年度一体決算がどうなるのだという問題があるのです。ことしの場合の非常に特異な例として、自動車とか電機とかいうような法人が多いところは非常に伸びがいいようでありますが、そうでないところは非常に伸びが悪い。ところが、一三%程度伸び率算定をされておるようでありますから、非常に過大算定があるわけですが、下手をすれば再建団体に落ち込むという決算になるような場合、一体どういう措置を考えられるのかという点についてひとつお伺いをしたい。
  9. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、法人事業税を中心とする税収はほぼ回復の道に乗りかけておるわけでありますが、その伸び方は御指摘のように非常にばらつきがございます。自動車とかそういった業種を持っているところは大変な伸びを示しておりますし、そうでないところはほとんど伸びない、こういう状況がございます。そこで、ことしの交付税算定をいたします場合に、各県ごとに同じ率で事業税収入伸び率見込み算定することは、特に弱小府県に非常に大きな影響を及ぼして大変だ、こういうように考えたわけでありまして、府県ごとに、産業構造等基準にいたしまして、実は昭和四十六年から七年への景気回復期の一種のパターンがございますが、それに基礎を置きまして、経済構造比率に応じまして段差を設けたのであります。一番厳しいところは二四%程度伸びがあるだろう、伸びないところは三%程度しか伸びないだろう、こういうぐあいに六段階ほどに分けて措置をいたしました。大局的に申しますと、それでもって事業税収入見込みがかなりならされまして、弱小府県等にも十分な交付税が行ったということで喜ばれていると思っているわけであります。  しかし、御指摘のように、この中で高い伸び率適用団体になったところで、特殊の地元事態がありましてそこまでいかないという事態が生じ得ると思います。もちろん、原則的には、これに対しましては明年度精算をいたしますから、ことし見過ごしておれば、必ず来年基準収入算定しかえてお返しをする、こういう措置をとりたいと思っております。これが原則でございます。  ただいまもう一つ指摘がございましたように、精算はいたしますが、本年度財政運営そのもの再建団体に落ち込みそうだといったような大影響が出る、こういうケースもあるかもしれないとは思います。この点は、年度末までもっとよく様子を見たいと思いますが、よく様子を見まして、当該団体財政事情等伺いながら、財政運営がにっちもさっちも動かぬというようなことにはならぬようにいろいろ措置を考えたい、こう思っております。
  10. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 次に若干細かい問題に入ってまいりたいと思いますが、交付税算定は毎年七月か八月に大抵本算定が行われ、その以前、五月ないし六月にいわゆる試算というのをやるわけですが、最近、市町村の部分については府県限りで試算が行われておるものですから、市町村でいろいろな異論がある場合、府県に言うてもなかなか直らないというような問題があります。本年度は、これは私も石原財政課長にもいろいろ申し上げて改善をしてもらいまして、私自身としては非常に敬意を表しておるし、非常に弾力的に対応していただいたので私からも高く評価をしますが、たとえば徴税費世帯数のとり方とか、個人所得税一般分単位税額など、試算段階でいろいろ市町村意見がある。そういうものが、府県段階だけでやりますと、市町村意見を代弁する府県というものであろうと思うのですが、なかなかそれが上がってこないという点があります。いま問題になっておりますのは、きのうも政府委員室にも申し上げておったのですが、社会福祉費経常分密度補正IIIという問題について、この老齢人口比率というのが、昨年度までは四十五年国調人口に対する四十五年の七十歳以上の老齢人口比率をとっておったのですが、今年度は、五十年国調人口に対する四十五年国調七十歳以上老齢人口比率という算式に改められている。こういうことになると、人口急増団体は、老人医療費需要額が実態より非常に低く数値が出てくるということで、これをやるなら五十年対五十年をやってほしいということですが、五十年が出ていないということで、こういうやり方をやるのは非常におかしいじゃないかということであります。たとえば商工行政費などは、この密度補正における第二次、第三次産業比率は、分子分母とも四十五年国調数になっているということですから、この老人医療費というのは義務費で、国が六分の四、府県が六分の一、市町村六分の一という持ち合いでやっているわけですから、これの算定などはもっと合理的にやってほしいというふうに言うております。そういう点を見ても、試算をできるだけ市町村段階で知らしてやって、意見があったら吸収してやるという弾力的措置を従来のようにとってやってほしいと思うのであります。もしそれができないのなら、あらかじめ各階層別に、自治省あたり実務担当者が直接具体的に聞いてやるというような機会をぜひ持ってやってほしい。府県さえ知らしておけば市町村も当然できるというような時代ではなく、いまは市町村担当職員も非常によく勉強しておりますから、そういう点の意見というものも、自治省としては吸収をしてやるというだけの弾力的な考え方をとってやる必要があるのではないだろうかと思うのでありますが、この点いかがなものであろうかというのが一点。  第二点は、いまの老人医療費の問題については、来年度も、五十年度老齢人口算定できないような話でありますので、同じような考え方をとられるのでは困る、こういうふうに市町村の諸君は言っておりますが、この点については事務的でありますから、石原君でも結構でありますので、お答えをいただきたい。
  11. 石原説明員(石原信雄)

    石原説明員 ただいまのお尋ねのまず第一点でございますが、交付税試算に当たりましては、市町村分については、全体的な姿も見る必要がありますので、原則的には県の地方課交付税担当者試算をお願いしております。もちろん、その中で個々市町村に非常に影響の大きい改正等につきましては、各市町村意見もできるだけ承るようにしております。ただ、試算の全体について市町村段階までおろして作業をお願いするということになりますと、時間的な制約で非常に困難を伴いますので、原則的には地方課段階試算を行いまして、地方課で各市町村意見をくみ上げていただくように取り運んでいるのが実情でございます。もちろん、各市町村においていろいろ御意見のある向きについては、十分お伺いすることにいたしております。今後とも、そのような考え方で参りたいと思います。  ただ、ただいま具体的に御指摘のありました老人医療関係社会福祉費における密度補正のⅢに用いる老人人口密度でございますが、五十年国勢調査人口で公表された中に、老人関係の、七十歳以上の老齢人口は正式には公表されていないのであります。各市町村段階で事実上数字を把握しておることは私も承知をしておるのでありますが、まだ未公表であるという実情もありまして、今年度普通交付税算定におきましては、分母は五十年の国調人口分子は四十五年の老齢人口を全国的な傾向で伸ばして密度を求めるという方法をとったわけであります。全国的に申しますと、全体として伸び率を乗ずることによって大きな不合理はないという判断で、また各都道府県地方課意見も聞き、これで支障ないということでやったのでありますが、たまたま一、二の団体において、四十五年から五十年の間の老齢人口伸びが全体人口伸びよりも高いというような団体においては、全国一律の率でやったのでは不利になるという面があることは事実であります。その点の誤差というか食い違いというのは、全体としては余り大きなものでないというふうに私どもは考えておるのでありますが、関係団体にすれば、その差が財政運営上かなり響くのだという御意見もあることは承知しております。ただ、この交付税算定は、相当時間的な制約もあり、また複雑になっておりますので、すべての面について、個々団体実情に合うようにということはなかなかむずかしいのでありまして、ある程度のところで割り切っていかざるを得ない、画一的な計算を行わざるを得ない面がある点は御理解いただきたいと思うのであります。  ただ、この社会福祉費における密度補正Ⅲに用います。十歳以上の老齢人口につきましては、明年度普通交付税算定までには公表されるというふうに聞いておりますので、明年度はすっきりした形になるのではないかと考えております。
  12. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 そういう団体もあるということを認識をしていただいておれば、また個別的に話をいたしますので、結構でございます。  次に、本年度縁故債の枠が非常に大きくなっていることは、交付税会計預金部資金を貸し付けている関係で当然ですけれども、六割までの間は利子補給をして政府資金並みにする、こう言っておるわけでありますが、御承知のように、現在各地方団体がそれぞれの金融機関から縁故債で借りる場合の条件というものがばらばらであります。具体的に言いますと、現実の発行差額が百円に対して九十九円二十五銭というようなものもあるし、発行の手数料を含めますと大体九分三厘あるいは九分一厘五毛というようなものもあります。もっと安いところもございます。金融機関において、その利率がばらばらである。しかも自治省としては、利子補給の額に頭打ちをこしらえて補給をされるようでありますから、こうなると縁故債というもので地方団体が借りる場合に、発行条件なりあるいは発行のいろいろの手数料等についても統一をして、政府の地方財政対策の一環である限りにおいてはこれはぜひ同じように指導すべきではないのか。したがって、利子補給も同様の額になるべきが至当ではないのかというふうに思うわけです。特に田舎の市町村については、できるだけ政府資金を割り当てるんだとおっしゃいますけれども、現実にそうでない。そういう場合に、農協やその他で借りる形になりますと、金利が非常に高いという問題がある。しかも頭打ちがあって、利子補給が農協の示す高い金利までの利子補給を保証しているわけでもないというようなことが考えられるわけで、そういう点から言うと、まさに地方団体金融公庫を設置をして、現在の公営企業金融公庫から一般的な金融機関を置かなければならないということが、今日ほど要請されている時期はないというふうに思うわけでありますが、一点として、金融機関に対する政府の指導というものは統一してなさるべきではないのかということを、まず大蔵省鈴木方資金課長にお伺いをしたいと思いますし、これは自治省の地方債課長になるのか、あるいは財政課の方になるのか知りませんが、利子補給についてそういう形はおかしいのではないか。そういう意味では、先ほど言いましたように、地方団体金融公庫というものをぜひ置かなければいかぬという地方側の要求に対して、大蔵省並びに自治省側はどう考えるかということについて、お答えをいただきたい。
  13. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 御指摘をいただいておりますように、縁故債の利率が地方団体ごとに若干ばらつきがあるというのは事実でございます。これを全般的に見てみますと、府県の方はわりかしよろしゅうございますが、市町村に至りますとかなり高いものがございます。いままでの状況では、発行者利回りで考えてみまして、府県の場合は大体八分六、七厘から高くて九分見当までということでございますが、市町村の場合は、ときによっては一割程度のものが出てきておる、こういう状況でございます。こういった事態は、個々地方団体の預金量とか近郊銀行との縁故性といったものの強弱の状況等がいろいろありますので、地方債の金利が異常に高くなることはもちろん私どもの望むところでなく、問題があると思いますけれども、直接に幾らでなければならぬというように確定をいたしまして、こちらから強制指導するというようなことはなかなか問題があるわけでありまして、事実問題としてできないところでございます。そこで、全般的に関係金融機関などと連絡を密にしまして、地方債に対する理解を深めてもらって、異常な金利にならないようにできるだけお願いをする、こういう態度をとっておるわけであります。  ところで、これに対する対策でございますが、ただいま御指摘がございましたように、府県の方はともかくとして、弱小市町村では非常に問題がございますので、できるだけ政府資金をたくさん充てるということが第一だと思います。しかし、これも政府資金の総量に限度があればやはり縁故資金がいかざるを得ないという事態も生ずるわけであります。  そこで、第二の手段として、このように自分で民間資金を活用できない団体の代替機関というかっこうで公営企業金融公庫を改組をして、そこで一括公庫債を発行して融資に応じていただく。その場合には、金融公庫でございますから、例のギャンブル納付金を用いまして、金利を一定程度下げる。そのことによってまた財政上の安定化にも資し得る、こういう構想でぜひ金融公庫の改組をスタートさせていただきたい、このように私ども考えておるわけであります。  それから、利子補給の場合でございますが、原則的にはやはりばらつきがございますが、交付税上の措置でございまして、何らかの基準が要りますので、市場公募債の金利といったようなもの、実勢金利でありますが、そういうものを一応基準に置いて、それとの差額で利子補給をする。これは交付税措置でございますので、一応そういう措置をとらざるを得ないのではないか、こう考えておるわけであります。
  14. 鈴木(達)説明員(鈴木達郎)

    鈴木(達)説明員 縁故債のばらつきの問題につきましては、いま財政局長からお話しいただいたとおりの考え方をとっております。申し上げましたような金融機関として、金庫としてのメリットとかあるいは地元金融機関としての地元経済に対する責任の問題とか、いろいろございまして、そういった縁故性のゆえに、縁故債の金利というのは一般的な水準よりもやや低くなっておるというのが現状だろうと思います。したがいまして、こういう形である方が統一して発行する場合よりも、むしろ平均的に見ますれば割り安になるのじゃないかということも考えられるわけでございますけれども、まあ財政局長のお話のように、私どもの方から金利を統一するという考え方はちょっと困難であろうと考えております。  それから公庫の改組の問題につきましては、御要求いただいております。いま部内で検討しておりまして、目下の段階で結論めいたお話を申し上げることはできませんので、御理解いただきたいと思います。
  15. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 ちょっと、いまの金利の問題は、安いというようなお話ですが、田舎の市町村で農協その他から借りているのは決して安いと私は思わないので、これはちょっと異論があって、私も実際調べてきて数字もあるのですが、時間がないので、これはまた別途にいたしますから、この点はひとつ十分配慮して、今後地方団体金融機関をぜひ置いてほしいというふうに思います。  次に参ります。  次は、文部省にお伺いをしたいのでありますが、四十六年度から学校用地の補助制度が制度化されて、人口急増団体は非常な恩恵を受けておることは事実であります。ただ、問題は、交付率が手直しをされておるというふうに言われるわけですが、たとえば五十年度では六五%の三分の一が補助されたということになっているわけですけれども、その実態を見ると割り落としがある。これはいま具体的に申しませんが、結論的に言うと、四十八年度では交付率が五〇%で三分の一の補助の規定だが、実際には算出額の九四%が補助をされておる。四十九年度では六〇%に上がっているけれども八八%、五十年度は六五%になっているけれども実際は八一%となって、実際の補助金は、四十八年から言うと九四、四十九年八八、五十年八一と、逆に減ってきているというようなことで、割り落としというようなものをぶっかけているので、表は交付率が非常に高く上がっているから実態が上がっているように見えるけれども、割り落とし額が逆に高くなっていて、実態は逆に減っているということになっております。  それからもう一つは、幼稚園の低所得者に対する就園奨励費も、大体一〇〇%を昭和四十七年、四十八年は交付されたのだけれども、四十九年以降は九四%となり、八二%となり、五十一年度はまたもっと減るのじゃないかと言って心配をしております。もちろん内容的に言えば、予算の範囲内でと書いてある交付要綱があるから、それでいいんだといえばいいかもしれないけれども、年を追うごとに減ってくるというのはどう見てもおかしいと思うのですが、この二点について、文部省の助成課長さんあるいは幼稚園教育課長さんからお答えをいただきたい。
  16. 倉地説明員(倉地克次)

    ○倉地説明員 いま先生の御指摘にございましたようなそういう割り落としと申しますか、圧縮があることは事実でございます。それで、私ども毎年各市町村から申請をとりまして、予算のこともあるわけでございますので、翌年度に繰り延べのききますような事業については繰り延べをお願いし、なるべくそういう事態の解消に努めておるわけでございますが、なお、その事業の中にはどうしても当該年度に行わなければならない事業もあるわけでございまして、やむを得ずこのような措置を行っているわけでございます。何と申しましても、当該市町村から出てまいります要望に比べまして予算が少ないというところに問題があるわけでございますので、本年度概算要求におきましても大幅な要求を行っているわけでございますが、今後とも予算の増額に努力して、こういう事態の解消に努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  17. 小山委員長(小山省二)

    小山委員長 幼稚園教育課長、答弁ありますか。鈴木課長。
  18. 鈴木(博)説明員(鈴木博司)

    鈴木(博)説明員 幼稚園の就園奨励費の補助につきましては、御指摘のように、文部省としましては、予算の範囲内において三分の一以内を実施の市町村に補助する、こういうことで措置してまいっております。この制度が発足いたしましたのは四十七年度でございます。自今、毎年申請者の増、また、実施市町村の増加等を見込みまして、大幅な増額を図ってきてまいっております。  ところが、御指摘のように、当初はむしろ予算の消化が困難だったというような状況でございましたけれども、たまたま特に昨年度の場合におきましては、経済情勢の変化等も反映いたしまして、予想を上回る申請者の増加を招いた、さようなことから補助率の事実上の低下を見たわけでございますが、本年度も引き続き補助の大幅な増額をいたしておりますので、さような事態改善し得るものと考えております。  なお、今後とも予算の充実につきまして十分努力いたしてまいりたいと思っております。
  19. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 いま私の質問しているのは、確かに予算の範囲内だということだけれども、現実は率が減ってきているということです。前年度よりも減ってきているというところにいま市町村から非常に問題があるというふうに言われているので、三三%というのは現実には二七%程度しか幼稚園の就園費補助の場合はないということでありますから、来年度予算その他を含めて、ひとつ大いにがんばっていただきたいということを要求をしておきます。  時間がございませんので、文部省の方お帰りいただいて結構でございます。  次に、同和関係のことについて少しお伺いをいたしたいと思います。時間がございませんので、きわめて簡単に申し上げたいと思いますが、まず第一に全国市町村における五十年度末における同和対策事業債の現在高、地方債課長にお伺いをしたいのですが、そのうち十条分の額というのは一体――いわゆる特別措置法の十条ですね、八〇%の元利償還等するわけですが、その額は一体幾らあるか。また、五十年度の元利償還金の総額と、そのうち十条適用となった元利償還金は幾らか、わかっていたら教えていただきたいと思います。
  20. 花岡説明員(花岡圭三)

    ○花岡説明員 五十年度決算統計につきましては、現在まだ調査中でございますので、同和対策事業債の五十年度末の現在高あるいは元利償還額はまだ出ておりません。したがいまして、四十九年度で申し上げますと、四十九年度末の現在高は千四百六十一億千四百万円、うち十条指定分は三百億九千五百万円でございます。それから、元利償還金につきましては二十四億六千三百万円で、そのうち十条指定分は四億七千九百万円というふうになっております。
  21. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 非常に十条適用の額が少なくてそうでないものが多いということが、現在非常に地方団体としては同和対策事業をやる上において困っている。自治省から言えば、関係各省において予算を取ってくれば十条適用が向上するのじゃないか、こういうふうに言われるわけでありますが、なかなか各省もそう簡単には取れないということで、それなりに努力をされて、四十四年以降ずっと適用対象事業もふえてきているわけでありますが、問題はふえることに従って前のものに対する措置がないということ、先にやったものほど損をするという変なかっこうになっておるので、その点はどうなのだろうということをひとつ伺いたいのと、それから、住宅改修資金については、元金を返す期限と地方債の利子を返す年度が違う。たとえば改修資金なら十五年で返せばいいのですけれども、地方債の償還年限は十二年、住宅新築の場合は元金が十八年に対して地方債は十五年、いずれも地方債の償還年限の方が短くなっているという変なアンバランスがあるのですが、この点一体どういうふうに考えておられるのか、この二点について伺いたいと思います。
  22. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 同和対策債のうち、十条指定分が少なくて単独分が多いというのは御指摘のように事実でございます。これに対応いたしまして国の補助金、これをたくさん支出をしていただき、また適用範囲の拡大をしていただく、こういうことをもって国、地方あわせてこの対策事業に対して力を入れるということの実を挙げていく、そのことによって十条適用債の範囲も広がってくる、こういうことになるわけでございまして、そのように努力をしていただいておるところでございます。  それから、御指摘のように十条適用が拡大をされてまいりましたものについて、その指定以前の年度に実施された対策事業、これに係る起債の元利償還金の扱いでございますが、これは実務的、技術的に同種の事業に当たるものという分類の可能なものにつきましては、御指摘のこともございますので、そういう方向で十分今後前向きに検討していきたい、そういうことにいたしたいと思っております。
  23. 花岡説明員(花岡圭三)

    ○花岡説明員 改修資金の償還金のギャップの問題でございますけれども、この同和の起債につきましては、それぞれの事業の平均年数をとって出しておりますので、その辺で実際に十五年物の方がいまごろ大きくなってきております。御指摘のような事態もございますので、今度これは十分実態を検討いたしまして、改善すべきところを改善してまいりたい、かように考えております。
  24. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 時間がございませんので、次に公営交通の関係をお伺いしたいのですが、まず第一に大臣にお伺いしたいのです。  いま東京都の交通の問題というのは大変な問題になっているわけです。大臣の選挙区でありますから、これはチャンスだと私は思っておるので、半分はお願いと、半分はひとつ大臣の責任で処理をしてもらいたいということで、本日急遽質問をすることにいたしたわけでありますが、ここに数々の資料があるわけです。東京都の交通はすでに一千億の不良債務を抱えて、東京都が委員会等を開いていろいろと検討しているわけですけれども、内容的に言えば、自主再建と言ったけれども、もう自主再建では限度が来ているということは私は率直に言わざるを得ない。これは美濃部さんがどう言われようと言われまいとやはり自主再建というものは限界に来ている。政府によるたな上げ債をやって、利子補給をして、しかもいろいろの財政措置を講じない限り、東京都の交通局は崩壊してしまうというきわめて厳しい状況にあるというふうに思うわけでありますが、東京都選出の代議士である大臣として、東交の問題について、第一点としては、確かに再建団体になっていないけれども、しかしこの問題を東京都の問題であるといってほうっておくわけにはいかない。なぜならば、首都である東京都の主要な交通機関であるところの東交の問題というのはきわめて重要な問題だというふうに私どもも考えますし、大臣もその考え方は同様であろうというふうに思いますので、余り具体的なことはいま申しませんけれども、具体的なことはまた財政局長なり何なりと話を詰めていきたいと思いますけれども、地元の問題として、都営交通の再建なり、これの確保のために大臣としてはいかにお考えになっておられるかという考え方をお聞かせいただきたい。
  25. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 私も東京都民の一人でございまして、都営交通につきましては非常な関心をいままで持ってきていた次第でございますが、今回自治大臣になりましたので、また考えを新たにいたしているところでございます。承るところによりますと、東京都営交通は、五十年度末におきまして累積欠損金が九百六十六億円、不良債務が七百九十五億円という膨大な債務を抱えているわけでございまして、これにつきましては何らかの措置がなされなければならないということは言うまでもないところでございます。昭和四十八年に制定されました地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律の適用を受けることなく今日に至っているわけでございますが、このままこのような状態を放置することは非常にむずかしい状態に来ているのではないかというふうに見られております。最近、東京都の内部におきましても、財政再建についての検討が行われているようでありますし、自治省の方にも内々相談があるようでございます。自治省といたしましては、再建についての姿勢に対しましては評価をいたしているところでありまして、今後具体的な計画が示される場合には相談に応じまして、都営交通の健全化に向かって進んでいく所存でございます。
  26. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 財政局長さん、大臣方向をいまあれしたので、具体的な問題がある場合にいろいろ相談に乗っていただきたいし、再建団体になっていないという形でなしに、これから必要な措置があるならまた相談の中で措置をすることによって、都営交通の問題について前向きに処理をしていただきたい。局長さんから一言。
  27. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり指示を受けているわけでございまして、再建計画に取り組まれるという決意を示されておるその態度は大変評価をしておるわけであります。具体的なやり方として、その内容がこれから具体化してくると思いますが、そういう御相談があれば親身にこれに応じたいと思います。  いまの制度といたしましては、先生御承知のように、公営企業法の中にも再建準用といったような規定もあるわけでありますので、そういった措置に乗ってくれば、たな上げ債の発行そのほかも可能でございます。よく相談をいたしたいと思います。
  28. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 民鉄部長さんもいらっしゃいますかな。東京都の問題について、ひとつ前向きに親切にお取り扱いいただきたい。一言だけ答弁願います。
  29. 妹尾説明員(妹尾弘人)

    ○妹尾説明員 東京都の問題につきましては、自治省などとも御相談の上やりたいと思います。
  30. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 公営交通の問題でありますが、いわゆる本年度の給与改定の問題であります。私がこの四年間、都市交通とりわけ二十三の再建団体の都市の交通の関係の職員の給与改定について質問をしてきたわけでありますが、毎年一般市長部局の職員との間の均衡というものを考えて同様の措置をとる、どうしろこうしろという企業に対する介入はいたしませんということをここ数年間答弁をしていただいて、しかも一定の指導をお願いをするという形で指導をしてこられているわけでありますが、七六賃金の確定、いわゆる本年度の給与改定に当たっても、従来と同様の措置、指導方針で行かれるのかどうか、この点ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  31. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 御指摘のとおり、従前と同じような方針でこれに対処したいと考えております。もちろん料金そのほかの確実な財源によって給与改定の所要財源が生み出されることが望ましいわけであり、基本方針であるわけでありますけれども、両方の間に時期的なずれ等の問題も生じてこようかと思います。そういった場合には将来の見通し、こういったものを立てて、二、三年内にともかく赤字が解消できる、こういうような見通しがあれば当然再建計画の変更を認める、こういうようなかっこうで進んでいきたいと思っております。
  32. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 私どもとしては、第二次再建、来年あたりで半分の五年を迎えるわけですが、当初言っていたように、二次再建方式では縮小再生産以外に方法がない形になっている。私どもとしては、もう少し強力な第三次の再建計画案というものを近く要求をし、また政府に迫ってまいりたいと思っておりますけれども、第三次程度のたな上げをしなければ、決していまの公営交通が完全に行けるというような交通政策が立っているわけではないというふうに思います。これは考え方ですから深く触れませんが、われわれとしては、経営状況というものが決していい状況でないわけで、では料金を上げるといっても御承知のように昨年あたりはほとんど全部上げたわけですから、昨年の場合はそういう意味ではわりに再建計画変更というものがスムーズにいったわけですが、本年果たしてどうかということを心配しているわけで、そういう点を含めてひとつ、物価値上げというような問題から料金の値上げということには問題がありますから、従前と同じように一般市長部局の職員との均衡を十分とれるということでやっていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  次に、バスの購入費は来年八百八十万円で積算をして大蔵省要求をされているわけでありますが、これの根拠をお伺いしたいというのが一点と、それから、どうやら伺っておると来年度で打ち切りじゃないかという話もあります。これはやはり再建計画がある限りにおいてはその間は打ち切るというのはおかしいと思いますが、この二点についてひとつお伺いします。
  33. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 バスの購入補助金の単価八百八十万円ということで要求をいたしておるわけでありますが、これは車両の実際の購入価格が、各団体で若干差がございますけれども、標準仕様というようなことで考えてみますと八百八十万円で大体購入できるという基礎を持っております。たとえば五十一年の四月に契約をされました各市における状況を見てみましても、大体七百七十万から八百二、三十万、こういうところでいっているようでありますので、特別のものでなければ、車両それからワンマン器具入れまして大体八百八十万というところでいけるのではないか、こう考えて要求をいたしているわけであります。  それからこの補助金の期限でございますが、御承知のように一応五年ということになっておりまして、五十二年度までが一応の期限になっております。あとは内部で回していくということのあれでございますが、なおこの問題は今後再建交通のあり方等と絡めて明年度以降慎重に検討してみたいと思っております。
  34. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 地下鉄の補助の問題、これは今回は自治省要求を見ますと道路並みの七〇%にすべきであるという御意見で、まことに結構だと思うのです。ところが地下鉄に非常に関心を持っていただいておる民鉄部長さんの方が従来と同様でよいという考え方に立っての要求であるように伺うのですが、なぜ道路並みの七〇%――われわれはトンネル部分については道路並みの七〇%というのが根拠がある、地下鉄の補助については必要だ、このように思うのであります。自治省と運輸省とが若干意見が違うようでありますけれども、これは自治省にひとつ右へならえをして、運輸省の方で大蔵へ要求してほしいと思います。特に最近の公営交通というものは非常に厳しい情勢にあるわけですから、少しでも補助を高めてやるように自治省と協力をして大蔵省要求すべきであると思うのですが、この点は民鉄部長さんはいかがであるかというのが第一点。  それから同じく地下鉄の補助については、前からもわれわれ申し上げているように、たとえば大阪の梅田の大規模の改築等についても新築と同様に在来線の問題については補助を出すべきではないかということで、それは検討させていただきますということをここ数年間ずっと言い続けてきておられるわけですが、われわれとしては、在来線の改築についても新線の建設と同じように補助を出すべきであると考えるわけです。  地下鉄関係の助成の問題、二点についてひとつお伺いをしたいと思います。
  35. 妹尾説明員(妹尾弘人)

    ○妹尾説明員 第一点が助成の改善の問題でございますが、地下鉄の助成を強化してほしいという話は、自治体あるいは自治省の方からお話はかねがね伺っておるところでございまして、今回自治省の方で七〇%という御要求をなさったのでございます。私どもは実は在来方式は六六%方式、これは今年度の予算が三百八十億でありまして、この方式でやりまして来年の要求額が四百八十億になるわけでございます。一年間に百億ふやす、この百億の財源を運輸省の一般会計の要求枠の中から取ってくるということだけでこれは実は大変なことでございまして、やっとこさっとこ百億ふやして四百八十億の要求をしたということでございますので、現在地下鉄の建設が――建設テンポとの兼ね合わせもあると思いますけれども、こういう状態で、私どもはなかなか制度の改善というようなところまで踏み切って要求をするということは、財源的にきわめて困難である、こういうことを自治省にもお話し申し上げたわけでございます。それで、自治省としてはトンネル部分を含む事業費の七〇%、私どものは事業費の六六%でございますけれども、自治省の方式は、七〇%で将来の金利をも含むという考え方でございますが、私どもとの要求の差額を自治省の方で御要求なさる、こういうことでございます。予算の編成時期においていかなる結論になるのかということについては、今後自治省あるいは財政当局と相談をしていかねばならないことだと思っておりますけれども、自治省方式でまいりますと、来年はたしか五十億ぐらいの差額だったと思いますけれども、将来をずっと見てみますと、最後の方になりますと私どもの要求の三倍ぐらいになってくるだろうというふうな感じがしますので、財源措置等について抜本的なことを考えていないとなかなかむずかしいのではないかと考えるわけです。  それから、大規模改良工事のお話でございますが、これにつきましては前回もこの委員会で私答弁させていただいたと思うのでございますが、将来の問題として、大規模改良工事について補助の対象にするということは考えられないことではないと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、建設のテンポとの兼ね合わせでございますが、現在その新造で非常にお金が取られている、こういう状況でございますので、改良工事まで広げるということは非常にむずかしい。もちろん新線建設のテンポをもっと緩めてむしろ大規模改良工事の方にお金を注ぎたいという考え方ならば、それはまた御相談にも乗ってもよいというふうなことを申し上げた次第でございます。
  36. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 どうも不満であるわけですが、時間もありますので……。  大臣、運輸省はどうも消極的なんですよ。地方団体のやる公営交通について、地方団体の責任者である自治大臣としても、いまこういうお話を一緒にお伺いしているわけですが、地下鉄の問題については、非常に残念だけれども運輸省としては消極的だ、こういうことでは、ますます公営交通は赤字を積み重ねる可能性があるので、ひとつ国務大臣として、大臣も応援をしていただきたいということで、一言大臣からお答えをいただきたい。
  37. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 都市交通の中における地下鉄の重要性は言うまでもないところでございます。むしろ主要交通機関になっていると言っても過言ではないわけでございまして、この問題につきましては、自治省の立場に立ちまして今後も努力をさせていただく所存でございます。
  38. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 民鉄部長さんにお伺いするのですが、ことしは鹿児島だけついた、いわゆる不採算路線と申しますか、地方軌道鉄道の補助の問題ですね。なぜ鹿児島だけで、あと函館なり熊本なり拡大をされないのか、地方の諸君は非常に不満を持っておるわけで、鹿児島だけという理由はどういうところであるか、ほかにどうして拡大できないのであるかという点について、地方の諸君がよくわかるように、説得力のある説明をしてもらいたい。われわれとしては、鹿児島だけというのはおかしい、函館も熊本も入れるべきだというふうに思うのですが、その点、いかがですか。
  39. 妹尾説明員(妹尾弘人)

    ○妹尾説明員 ことし鹿児島だけつけましたのは、実は熊本と函館につきましては、公営交通・業健全化促進法でございましたか、あれによる再建債の恩典に浴している。それで鹿児島だけがたまたまあの法律の施行のタイミングの際に黒字と申しますか、必要なだけの不良債務を負っていなかったと申しますか、ということで再建債の発行の恩典に浴せなかった。したがって、ちょうどその分だけをそれでは地方鉄道軌道整備法の一項をかりてそれに見合うだけの補助をしよう、こういうことで鹿児島だけをことしつけた、こういうことでございます。
  40. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 それなら、王子から三ノ輪橋へ行っている東京都の三ノ輪線なんというのがありますね。あれは不採算路線なんですけれども、再建団体になってない。要請がなかったからしなかったというのかもしれませんけれども、そういうことを言うとほかにもあるということであります。  時間がございませんので、最後に大臣にひとつ。  私は公選法特別委員会理事をやっておりますので、昨年来、前の福田自治大臣にも何遍も要求をして取り上げてきていただいたのは、国会議員という最高の、民主制度の最も基本的な選挙制度のあり方、政治資金のあり方を検討する自治省の部局が選挙部であるというようなことはおかしいではないか、速やかに選挙局に昇格すべきであるということで松澤行政管理庁長官にも質問をし、自治省も御要求をされてきたわけでありますが、どうしても認めない理由というのは、財政がきわめて厳しい時期であったということで昨年は認められないというので、御勘弁を願いたいという答弁があったのでありますが、ことしは先ほど大臣やその他のお話にも景気も若干上向いてきましたというお話ですから、もう選挙部を選挙局に上げる要求も当然されているとは思いますけれども、今度はひとつ選挙局を実現してほしいし、行政管理庁としては前には他の省庁の中でイの一番は選挙局の問題でございますということだけははっきり言うておったわけでありますので、この点は前年から積み残しの問題であり、しかもこれははっきり言うと公選法特別委員会で決議までしている問題でありますから、そちらの委員会で言うべきでありますが、どうやらこれで国会委員会、終わりのようでありますから、この委員会をかりて地方行政委員であり公選法特別委員である私から、最後に大臣の決意だけ、これはここの所管でないかもしれぬけれども、自治省の官房長もおりますから、ひとつこの際意見を聞きたい。
  41. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 ただいま御意見のあったとおりでございまして、自治省といたしましても選挙部を選挙局にすることは最重点項目の一つでございます。局になるように大いに努力をさせていただきたいと思います。
  42. 山田(芳)委員(山田芳治)

    山田(芳)委員 公選法の特別委員会で決議をしているということをひとつよく頭に入れてがんばってください。  以上をもって、質問を終わります。
  43. 小山委員長(小山省二)

  44. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 最初に、自治大臣に就任されました天野さんに、心からお祝いを申し上げると同時に、これから地方財政危機克服のためにひとつ御健闘をお祈りしたいと思います。どうか、がんばってください。  ところで、時間がありませんから、早速質問に入らせていただくわけでありますけれども、十月十二日に天野自治大臣が「地方自治制度改革に着手へ」ということで、地方制度調査会の答申の具体の再検討を事務当局に指示した、こういうのが新聞に報道されております。その内容を見ますと、この地方制度調査会の答申の中にある地方議員、いわゆる地方自治体の議員の半数改選制、こういうものを除いた、その他の提言、こういうものについて根本的な自治制度のあり方を探る方針だ、こういうふうに書かれてある。  そこでお尋ねしたい点は、半数改選制はやる意思が全くない、こういうふうに理解していいのかどうか。  第二点は、その他といいましても九項目程度の具体的な提言があるわけでありますが、どういうところに重点を置いて、どういうような基本態度でこれに取り組もうとしておるのか、大臣のひとつお考えをお示しいただきたい。
  45. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 御指摘のように、今回の地方制度調査会の答申は、今後の地方自治のあり方を考えるときに、非常に重要なものでございまして、住民自治意識の問題が重要であるという認識のもとに、その向上のための諸方策が示されているわけであります。時宜を得たものであるとは思いますが、これらの方策の具体化につきましては、現在慎重に検討を進めておるわけでございます。  特に、議員の半数改選制につきましては、答申自体においてもそれが地方公共団体における選挙制度に大きな変革をもたらすものであることにかんがみ、その具体化に当たりましては、広く関係者の意見を聞く等、慎重な配慮が必要である旨、記されているところでありますので、これらの状況を踏まえながら具体的にどう処置するか、今後慎重に検討をしなければならない、かように考えておるわけでございます。
  46. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 この答申がなされた際に、前の福田自治大臣は、余りにも問題が多い。その後に各自治体、都道府県段階あるいは市町村段階の議会において続々と反対の決議がなされて、その意見書が出されております。前の自治大臣の言葉は、これは問題が多いから当面やるつもりはない、こういうきちんとした方針を示されましたけれども、新任の大臣として、この辺の決意なしには、これはよく検討して、周囲の意見も聞いた上でなどということではとてもじゃないと思いますが、どうですか。
  47. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 ただいま申し上げましたように、議員の半数改選ということは選挙制度の根本にかかわります重要な問題でございます。ですから、これは慎重に検討していかなければならないところでございますけれども、それだからといって、その方針を全部ひっくるめてうやむやにというか、検討検討と言って延ばすわけにはいきません。非常にりっぱな、いい提言もあるわけでございますから、その中で具体的にやれるものはやれるように検討を進めてもらいたい、こういう考え方でございます。
  48. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私の質問は二点にしばって言っているのですよ。幾つかの提言の中で、半数改選制というものを進める意思があるのかないのか。これが一つと、その他の提言のところでは、どういうところに重点を置いて、どういう基本態度で取り組むか、二つに分けて質問している。ごっちゃにしていないのですよ。ですから、第一点について、地方自治の住民意識を高揚するためにという意味で、議員の半数改選制と選挙期日の統一、こういう内容が答申されているわけですから、これは地方自治の出発点ですから。その他の問題については、どこに重点を置いてどういう態度でやるのかという質問をしているわけですから、正確にお答えいただきたいと思います。
  49. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 分けて正確にお答えをしたつもりでございます。
  50. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そうすると、正確にお答えしたというのは、半数改選制については大変重要な問題だから十分に検討しなければ何とも言えない、こういうのが大臣の考えだと理解してよろしいですか。
  51. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 十分検討していかなければならない問題だと思っております。
  52. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 十分検討していかなければならない問題であることはわかり切っているですが、地方議会で続々として反対決議がなされている。そういう客観情勢はわかっているわけでしょう。状況証拠ははっきりしているわけですよ。そういう中において大臣も、これには、半数改選制を除いた各提言を再検討するというのですから、大臣の記者会見のあれからいきますと、半数改選制はやらぬと、こういう大臣意見だと新聞を読む以外にないわけですよ。そのように理解してよろしいか、こういうことです。
  53. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 十分慎重に検討を重ねていかなければならない問題だと思っています。
  54. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 のれんに腕押しとはこのことです。  それでは第一点、十分検討するということは、大臣はきわめて消極的で、十分検討するというので結論は持ってないというように残念ながら理解して、時間がありませんから次に進みます。  大臣、この答申の中には、住民投票制度の拡張ということがあるわけです。天野さんもこの直接請求制度の改善あるいは住民投票制度の拡張ということについて事務当局に指示したようであります。大臣はそう言うけれども、憲法九十五条の規定を形骸化したのは自民党政府じゃないですか。どうなんですか。たとえば都道府県の合併の地方制度調査会の答申、そういう中においても、これは重要ですから住民投票をやるべきだという地方制度調査会委員の意向というのも、県議会の議決等が特別な条件の場合にのみ住民投票をやるというように制限してきたでしょう。あるいは北海道開発庁の設置の場合、住民投票をやらない、あるいは沖縄の問題についても住民投票をやらない、一つの自治体に対してのみに適用される法律を立法する際には住民投票をやらなければならないという憲法の規定があるでしょう。これを形骸化してきたのは自民党政府ですよ。そういう基本姿勢をとってきたのに、突如としてここで住民投票制度の拡張と言うのは一体何を意味するのか。住民投票制度を拡張するということは、自治意識の高揚にとっていいことでありますが、私は信用できないのですよ。大臣、どうなんですか。――だめだ局長、大臣に聞いているんだから。
  55. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 非常に重要な問題でございますので、これも慎重に検討していかなければならない課題であると考えております。  なお、いろいろな細かい点は政府委員より答弁をいたさせます。
  56. 山本政府委員(山本悟)

    山本政府委員 ただいまの点でございますが、合併問題等につきましても、住民投票にかけることの可否というようなことは、前から言われておるようにいろいろ議論があるわけでございます。その事情から、当初からそういう制度をとっていないわけでございます。  また、各種の立法につきまして、憲法九十五条に該当するか否か、これはいろいろ議論ございますけれども、ただいまおっしゃいましたようなことで推移いたしてきております。今回地方制度調査会におきまして、住民投票の問題が、拡張というような方向でいろいろ提案をされたわけでございます。この際にも先生御案内のとおり、非常にいろいろな議論があったわけでございまして、全般的に現在の議会制民主主義というものを破るようなかっこうでの住民投票というものが導入されていくということにつきましては大変に問題がある。こういうことは各委員の共通した認識であったんじゃないか。その中で特定の事項につきましては、やはり補完的な意味で、住民投票ということも可能じゃないかという意味での検討の方向の提案ということがされているわけでございます。ここに書かれましたことも、幾つかの事例を例示的に掲げてあるわけでございますけれども、やはりこれにつきましては、導入することを検討する必要があるということで非常に問題点を含めておる。しかもその後には、代表民主制に対する補完的な制度として考えなきゃいかぬというような、非常に枠を決めたかっこうでの答申にもなっているわけでございまして、そういった点、具体にどういうものに当てはめるべきか、当てはめが可能であるか、またそのことによって非常にプラスがあるかというような点につきましては、いま先生御質問の内容にもなるわけでございますが、まだこれから勉強し研究しなければならぬものが非常にたくさんある。そういう意味で大臣からも、よく勉強し研究しろ、こういう命令をわれわれいただいておると思っているわけでございます。
  57. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 局長は大臣の答弁を補完する必要はないんだよ。いろいろ聞きたいんですけれども、答申はそのとおりです。議会制民主主義、そういうものを形骸化しないようにという断りが入っていることは事実であります。大変むずかしい問題でありますけれども、基本的にはやはり国民主権、住民主権、こういう事柄でありますから、私は尋ねておるわけです。  大臣に要望しておきますが、御健闘を祈るわけですけれども、自治大臣はずぶの素人であることは間違いないわけです。しかし、白紙で現在の地方自治というものを見ていただくという、私はそれに強く期待しているわけです。  かつて亡くなられた河野一郎、われわれの大先輩でありますけれども、その人がこういうことを言っておるんですよ。たとえば建設大臣になった際に、建設行政についてはずぶの素人であったけれども、最初の三カ月間は自分の直感でやっていくんだ。直感ということは、その人の政治基本理念、そういうものに基づいてやっていくんだ。そうしてだんだん事務の内容がわかってくるに従って、それを踏まえて行政を進めていくんだ、それが大臣の務めだ、こう言っているわけです。  ところが残念なことには、天野自治大臣、検討します検討しますと、新聞には指示したとやっているけれども、全く事務当局任せではどうにもならぬのであって、これでは大臣の存在価値がないと思うんですよ。ひとつ大臣になったからには、地方自治体にこたえるように、おれはこう行くんだ、だれが何と言おうとこう行くんだという信念を持ってやっていただかなければならぬのじゃないか。これは官僚政治ですよ。それだけ申し上げておきます。  それから、別の日の新聞に出ておることでありますけれども、九月の二十四日、自治大臣は、台風十七号による災害対策に対して閣議に報告いたしまして了承を受けたという記事があります。その内容としては、十一月に交付する普通交付税の一部を繰り上げて十月早々に交付する。災害復旧事業については地方債で充当する。十二月の特別交付税の配分で被災団体に特別の配慮をする。地方税の減免、納期期限の延長、徴収猶予、こういう特典を閣議に報告して了承を得たというのであります。  第二の、災害復旧事業についての地方債の充当あるいは特別交付税の配分、こういうことについては、昨日安井委員からいろいろと質問がありましたので、お尋ねいたしたい点は、普通交付税は十月の早々に交付されたんですか。交付された内容をひとつはっきりと、どのくらいなのか、それから特別交付税の配分で被災団体に特別の配慮をする、その金額はどのくらいになるのか、これをひとつ示していただきたいと思います。
  58. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 交付税の概算交付は十月二日にいたしました。金額は、ちょっと端数覚えておりませんが、五百七十六億であったと思います。  それから、特別交付税でございますが、これは総額が幾らになるかは現在のところ被害総額の査定が終わっておりませんし、それから冷害関係の被害総額がまだわかっておりませんので、見込みを的確に立てることができずにおります。
  59. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 きのうやりとりがありましたけれども、おおよそ一千億の二%相当分十二月交付、もし万一、大変な被害でしたから足らなくなった場合どうするんですか。
  60. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 昨日も申し上げましたように、ことしの特別交付税の総額が三千百億余りでございます。これの三分の一ですから、一千億を少し上回る金額に相なります。昨年の災害等に充てました特別交付税の実額が五百億少しでございましたので、ただいまのところ一千億余りの枠を持っておりますれば、ことしの災害の状況に照らして、これで足りなくなるということはない、このように考えております。
  61. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 いろいろと聞きたいことありますけれども、この程度にいたします。  次にお尋ねいたしたい点は、ことしの五月二十六日に自治省は固定資産税の不均一課税について、税務局長名で都道府県の総務部長に通達を出しております。この時期にこういう通達を出したのは一体どういう考えがあったのか、どういうねらいがあったのか、まずお聞きいたします。
  62. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 地方財政が御案内のような状況でございます。各地方公共団体ともに、地方税源の拡充を自主的に図ってまいりたいという姿勢もかなり強まっておるわけであります。そういうことから超過課税を実施したい、あるいは法定外普通税を起こしたいという、自主的な努力による財源拡充が全般的に広がってきております。私どもは現在の財政状況から申しまして、そのこと自体やむを得ないことである、国民の負担、住民の負担がふえることではございますけれども、やむを得ないことではなかろうかということで考えておるわけでございますけれども、その場合に、何と申しましても納税者相互間の負担のバランスというものを地方税法の定めておる範囲内で、考えていただきたい、これは基本的な考え方でございます。  本年に入りましてから、固定資産税についても超過課税をやって財源を確保したいという団体があちこちで出てまいります。いろいろ検討の段階でございますけれども、その場合に地方税法六条の不均一課税を適用いたしまして、いろいろな形での税負担に差等を設けるということがどうであろうかという考え方を持って相談に来られた地方公共団体もございます。また、相談に来られませんけれども、県の地方課あたりからそういう話があるんだということを伺ったのもございます。それやこれや総合いたしまして地方税法の適正な運用というものを私どもといたしましては指導してまいる責任があるわけでございますので、いろいろ部内で検討いたしました結果、五月二十六日に御指摘のような指導通達を出させていただいたということでございます。
  63. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 こういう通達を出した点について税務局長からお聞きしたのですが、それではお尋ねいたしますが、この通達の中に「固定資産税は、いうまでもなく、固定資産の価値に着目し、それを所有することに担税力を見出し、その価値に応じて税負担を求める物税である。」こういうふうに言っております。そして「すべての固定資産を通じて単一の税率により課税をする仕組みをとっているのは、」云々、こう書いてございます。  そこでお尋ねいたしたいわけでありますけれども、地方税法三百五十条の第二項「市町村は、百分の一・七をこえる税率で当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣に届け出なければならない。ただし、その所有する固定資産に対して課すべき固定資産税の課税標準の額が当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の三分の二をこえる納税義務者がいない場合その他政令で定める場合は、この限りでない。」ある山奥の町に大きな発電所があった、その発電所の固定資産の課税標準がその町のあれの三分の二を超えた場合には自治大臣の許可を受けなければならぬけれども、その他はいいというわけですね。これは一体どういうことですか。先ほど申し上げたように「固定資産税は、いうまでもなく、固定資産の価値に着目し、それを所有することに担税力を見出し、」――担税力はあるわけでしょう。制限税率は二・一ですよ。「その価値に応じて税負担を求める物税である。」だとするならば、この第二項のただし書きにあるように「課税標準の総額の三分の二をこえる納税義務者がいない場合その他政令で定める場合」は二・一まで取っていいというわけですよ。そうしますと、あなたの通達のこれはおかしいじゃないですか。担税力を持っているわけでしょう。物税でそれに着目したのでしょう。そんなら二・一まで取っていいのを何で一・七、それ以上取る場合にはこういうふうにやるのだ。物税という性格が現実にゆがんでおるでしょう、この第二項の規定は。そうじゃないですか。物税だ物税だ――最初物税ということだったかもしれませんけれども、この第三百五十条の第二項というのは昭和三十九年か四十年につけ加えられた条項ですよ。最初からあったものじゃありませんよ。最初は三百五十条というのはいまの第一項しかなかったわけです。第二項、第三項は三十九年か四十年に加わった条項です。固定資産税の性格は変化しているでしょう。そう思いませんか。
  64. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 通達の第一項の前文に書いております固定資産税の性格、いまお読み上げになりましたような基本的な性格は、現在の地方税法が制定されましたとき以降変わっていないと私は思います。三百五十条の二項の特殊の場合の税率の届け出規定、これは細谷委員承知のように実質的にねらい撃ち課税が行われる。いまお話のありましたように山奥に大きな発電所があります。そこからできるだけたくさん取りたい、しかしそのほかの人たちからは、これは非常に私は不適切なことだと思うのであります黄たとえば評価額を恣意的に下げて、税率は高いけれども負担は低く抑える、しかし発電所のような資産については適正な評価をして高い税率で課税する。ことに固定資産税の制限税率は、これまた御承知のように一・四%から二・一%でありますから五割という非常に幅広い制限税率を定めておるわけであります。ほかの住民税とか事業税とかその他の税目は一割とか二割というように、その幅はそれほど大きくないわけでありますが、やはり固定資産税は市町村の基本的な税だということでこれだけの大きな幅を定めたわけでありますから、その範囲内で超過課税を自主的にやられることは私どもはそれをとやかく申すわけではありませんが、実質的にねらい撃ちになるような課税は、これはやはり避けていただきたい。そのような事態が生じます場合にはやはり責任を持ってそれについての適切な指導をやっていきたい。そのための法律上の道をここに書いたというだけのことでございますので、固定資産税の性格は変わっていないというふうに私は思います。
  65. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 税務局長、ねらい撃ちというのは何ですか。山間の村に大きな発電所があった、それが仮に課税標準がその自治体の三分の二を一つの納税義務者が占めておったからといって、制限税率二・一まで課税していく場合に、それは持っているのですから、それに着目して課税をしているわけですから、一・七で抑えるということはおかしいでしょう。こんなのは要らぬでしょう。ねらい撃ちでも何でもないですよ。その自治体が一・九で取りたい、あるいは二・一で取りたいということで条例で決めて課税をしていけば、これはその発電所をねらい撃ちしたという問題じゃありませんよ。三分の二ということを限定したのは、一つの町で余りにも一人の納税義務者の課税標準が大きい、そうするとその町では一・四から一・七までは条例で上げられるけれどもそれから先はいかぬというのは、ねらい撃ちでも何でもないですよ、これは。そういうふうに財政上の観点で制限税率いっぱいまで取ることができるわけであって、これはねらい撃ちでも何でもないですよ。そうじゃないですか。簡単にお答えいただきます。
  66. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 実質的にねらい撃ち課税になるような運用が行われる懸念がある、危険がある、またそういう事実も私どもは当時仄聞したわけであります。そういう意味合いで、特定の大規模の発電所等の施設についてだけ評価はきちんとやって高い税率で課税する、ほかは税率は一緒だけれども評価をぐっと下げて負担が実質的に上がらないようにする、そういうふうな運用が行われることは、これはやはりねらい撃ち課税であると言わざるを得ないと思います。そういう実質問題を基本的に踏まえてこの規定は入れられたもの、かように思っております。
  67. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そんなことを言うと――ある新聞の四月九日号に千葉県の流山の土地評価についてかなりのスペースをさいて出ております。宅地一平方メートル当たり一万七千九百二十円と評価された、そのすぐ周りの法人が持っておる土地は、山林だ、あるいは雑種地だということで八十二円五十銭だ。新聞によりますと、この宅地のすぐ近くに偉い人の所有地がある。それも八十二円五十銭だ。道一つ隔ててすぐそばですよ。こういう評価を指導している自治省に問題があるわけでしょう。ごく最近は、私も何遍か申し上げましたけれども、自治省が評価の基準を県に示します。県の方から市町村にまたポイントを示します。それから先、自分のはどうなったのか、あなたの自分のものだけは見せますけれども、隣がどういう評価になったのかは見せません、こういう秘密主義でやっていっているでしょう。でありますから、あなたは私の質問に対して、どうも評価でインチキも起こってくるからと言うけれども、評価に不満があるのはむしろ住民ですよ。これは一例です。いまこれは裁判になっているでしょう。そう思いませんか。
  68. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 千葉県の評価に関する訴訟案件が出ておることは承知いたしております。数多い市町村のことでございますので、評価の実態につきましては、なお、すべてが一〇〇%バランスがとれ、適正であるとはもちろん申せないわけでございます。ただ、いまお話しの山林の宅地の評価につきましては、私どもの評価基準におきましては、山林といっても山奥の山林もあれば市街地に近い山林もあるわけでございますから、市街地に近い山林については近傍宅地に準じた評価をする、こういう評価基準を定めておるわけでございます。千葉の実態がどういうことになっておりますか、私はもう少し検討しなければならぬと思いますけれども、それが市街地近傍の山林でありますれば当然周囲の宅地とのバランスをとった評価があってしかるべきだ、かように思いますが、その辺のところは、訴訟案件でもありますので、もう少し具体的に調べてみたいと思います。
  69. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 もう一つお尋ねします。  地方税の中に課税標準の特例という規定がございます。昭和五十一年度で、この課税標準の特例として、電気関係で百八十億円、船舶関係で二百一億円、鉄軌道で十六億円、その他で百四十八億円、計五百四十五億円、これは地方税法三百四十九条の三等で出てきておるものですね、課税標準の特例と。物税ならこれはおかしいでしょう。あなたの方の通達に書いてあるように、「固定資産の価値に着目し、それを所有することに担税力を見出し、その価値に応じて税負担を求める物税である。」ということであるのならば、そういう担税力を見出し、資産に着目してかけるのならば、こういう課税標準の特例というのは、これは主として償却資産ですよ。償却資産は別ですか。これはおかしいでしょう。物税的な性格を持っておることを私は認めますけれども、完全に物税であるというあなたの方の通達は、これはおかしいです。それならばこの課税標準の特例なんておかしい。その価値に着目して、担税力があるわけですから、こんな課税標準の特例はやめたらいいですよ。そうじゃないですか。大臣、どうですか。
  70. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 課税標準の特例という形で、償却資産が多うございますが、もちろん家屋などもあるわけでございますけれども、それらについて一定の評価額の何分の一という形で減額措置が行われておる、これは、私は固定資産税の基本的な性格から言いますと、御指摘のように問題があると思います。しかし、これは国全体の経済政策とか産業政策とか、あるいは公共料金問題とか、電気などについてもまさしくそうでございますが、そういうふうな観点から設けられてきたという経緯があるわけでございます。  私は、世の中が変わってまいったわけでございますし、一遍決めたものをいつまでも固執して残さなければならないという考え方は間違っておると思います。そういう意味合いで、これも御案内のように、ことしできるだけ整理をするということで、なお不十分だというおしかりを受けておりますけれども、一応の検討をやり、組みかえをやったわけでございます。  そういう観点に立って、償却資産を中心とした経済政策あるいは他の政策上の配慮から設けております課税標準の特例を、固定資産税の性格にかんがみましてこれは整理する方向でぜひ努力をしたい、かように考えております。
  71. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 整理をする……。  もう一つお尋ねします。  これは地方税法附則十六条に関係する問題でありますけれども、税額の軽減というのがあります。新築住宅は二百四億円、新築中高層耐火建築住宅は二百四億円、合わせて四百八億円の税額の軽減が行われております。これもお答えは政策的だと言う。政策的というのはどういうことかというと、もはや物税という性格が変わってきて、応能税的な、あるいは物税から人税的性格を持ってきておる、こういうふうに申さなければならぬのではないですか。それは通達を出した手前、あなたは頭を振らざるを得ないんだよ。もうこの軽減措置についても直す方向だと言うけれども、これはおかしいです。あなたの方の通達の大前提、おかしい。  私はあるところの研究報告を、これは弁護士でありますけれども、見ましたら、こう書いてある。「このように収益税的、応益税的物税と考えられてきた固定資産税であるが、近時の税制改正はこのような伝統的概念では把握しきれない重大な変革を固定資産税制度にもたらした。昭和三〇年代後半からの地価上昇は必然的に固定資産税の激増を招き、これに対応して様々な負担調整措置がとられたが必ずしも税額の沈静化に至らず、ついに昭和四八、四九年の税制改正により1住宅用地については評価額の二分の一を課税標準とすること、2二〇〇平方メートル以下の住宅用地については同じく四分の一を課税標準とすること等の改革が行われたのである。また農地については市街化区域内外により差異を設ける等の措置がとられてきている。このように課税対象の用途や規模によって固定資産税の課税額が異なるのは、収益税的、応益税的性格からは理解できず、いわゆる応能税的、人税的性格が打ち出されたものと言うことができよう。」こう書いてある。こういう見解ですよ。私はいま時間がありませんから十分指摘しませんけれども、明らかに固定資産税の性格は変わってきておるわけでありますから、あなたのこの通達は――これを読んでみますと、違憲だとか違法だということは一つも書いてない、とにかく自治省の権力で、やめなさいやめなさいというのがこの通達の一貫した思想ですよ。そうして前提は物税である。前提はもう変わってきているのですよ。大臣、これは問題です。  たまたま私がきょうこの問題を取り上げようとして、きのう政府委員の方に申し上げたところが、きのうの夕刊には「固定資産税の超過課税都、実施に踏み切る 大企業対象、不均一に」不均一課税をやると、こういう記事がきのうの夕刊に出ました。けさの朝刊を見ますと「自主財源獲得図る 「財政戦争」への突破口も」という見出しでこの問題が出ております。たまたま私がきょう質問をしようとしておったら、夕刊からけさの朝刊にこういうふうに出てきております。  私は、この通達は基本的に問題がある、どうも権力的に抑えつけてしまおう、いわゆる地方団体の課税の自主権、私はずばり言いますと税法定主義、それから地方団体の税は税条例主義だという基本的な認識に立っております。そういきますと、この通達は大変問題があります。私はこの通達は撤回するかあるいは書き直しませんと大変な問題があると思いますが、大臣いかがですか。
  72. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 ちょっと事前に申し上げたいと思います。  いまお話がございましたが、何か力をもって抑えつける、こういうことでこの通達を出したのではないかというお話でございますが、毛頭そんなことは考えておりません。先ほど申しましたように、地方税法を企画し、立案し、それに基づいてその適切な運用を間違いのないように指導していくことは自治省の責任でございますので、それはやはり間違ったことにならないように、ぜひ私どもとしては適切な指導をしてまいる、これはもう責めであります。そういう意味合いでこの通達を出したわけでございますので……。  それから、違法と書いてある、書いてないという御議論がございましたが、私は違法かどうかは、しゃくし定規な言い方をいたしますと、最終的にはやはり裁判所で決めてもらわなければならぬ問題だと思います。行政解釈なり行政指導というものはそこが限界があるわけでございます。しかし私どもはここに書いておりますように、資産の所有者でありますとかあるいは種類によりまして税率に差等を設けますことは地方税法の予定しないところであるので行うべきでない。私は、個人的に申しまして違法の疑いがきわめて強い、こういう気持ちを持っておるものでございますので、御了承願いたいと思います。
  73. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 税というのは公平であり、均一であり、しかもなるべく安い方がいいと私は考えております。
  74. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 大臣、税はなるべく安い方がいいというのは感情的なものなのだ。水平的な公平が保たれておるのか、垂直的な公平が保たれておるのか、これが税制の出発点ですよ。そういうことを加味しながら、私が指摘したような固定資産税の性格に及ぶような変遷が行われておることは間違いありません。三百五十条に二項、三項を加えたということ、あるいは住宅についてとか課税の特例ということからいって、法の予定しないところなどと言っておりますけれども、政策的に法律で住宅政策を進めるためにやったというものは、そうなるとすれば、当初の固定資産税の性格から予定してないことでありますから、そんなことについては自治省は断固として物税であるということで終始すべきですよ。その変更を許して、これから改めますとか――予定してないところでございますと最後にこの通達は結んでおりますけれども、これは問題があります。ですから、こういう地方団体を混乱させるような通達は撤回して、改めて、適正な指導をする責任が自治省にあるわけでありますから、そういう適正な指導をしていただくように大臣に要望いたします。いまのような小学校六年生ぐらいの答弁じゃちょっと困るのです。
  75. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 小学校の六年生でも、大学の卒業生でも、御老年の方でも、この税の原則は変わらないと思っております。
  76. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 時間がありませんから、次に移ります。  自治省大蔵省にお聞きしたいわけでありますけれども、ことしの七月二日に全国知事会は「新しい時代に対応する地方行財政に関する今後の措置についての報告」というものを出されました。昭和四十二年度以降、言ってみますと現行交付税率国税三税の三二%というのが四十一年にできたわけでありますけれども、それ以降、知事会の資料7を見ますと、私学助成、教職調整額、教員、人材確保、義務教職員の定数増、高校教員の定数増、児童手当、消防救急の常備化、公害対策、交通安全対策老人医療費公費負担、中小企業高度化資金、警察官の定数増、沖縄の本土復帰。三二%という交付税率を決めたときに設定しておった需要額算入の内容がこれだけ変わってきて、需要額としては一兆一千六百三十七億円になっておるという知事会の報告があります。これは誤っているでしょうか、正しいでしょうか。認めるか認めないか、お答えいただきたいと思います。
  77. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 この数字そのものにつきましては取り扱い等の面で若干変動があろうかと思いますが、このような財政需要の増加があったということは事実だと思います。  それから、本日持ってまいっておりませんが、地方制度調査会等には資料として提出してございますが、こういった財政需要に対して財政収入面でどのような制度改正等が図られたかということもあるわけでございまして、おおむね、この事態までにとられた財政需要の新たな増加に対しては所要の財源措置がされておるものと私どもは考えております。
  78. 矢崎説明員(矢崎新二)

    ○矢崎説明員 ただいま御指摘の問題につきましては、毎年度地方財政の全体としての財政需要につきましては、収入面、支出面を総合的に勘案いたしまして、その結果として適切な措置をとっておるわけでございまして、交付税率そのものは御指摘のように三二%になっておりますけれども、年度によりまして足らない場合には特例交付金を交付したということもございますし、全体としての財政事情を十分勘案いたしまして、地方財政運営に支障を生じないように従来措置をとってきたというふうに理解いたしておる次第でございます。
  79. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 それでは答弁にならないのですよ。  財政局長、あなたは税の方も増税したと言う。確かに新しい税として事業所税とか何か生まれました。しかし、減税した部分だって大したものですよ。一兆一千六百三十七億という新しい需要の増というのは、とてもじゃないが、税収等で裏づけされておりません。だとするならば、三二%の枠内で、コップの中で交付税制度を操作してきたのでしょう。交付税法の精神にのっとらぬでやってきた。とにかく一カ所新しい需要がふえたら、こっちの方を引っ込めてやってきた、こういうふうに理解せざるを得ません。  そこで、大臣、ことしの九月に全国市長会が出した資料、これをちょっと申し上げてみたい。  この資料の十八ページに「歳入決算の累年比較」というのがございます。昭和三十四年度には市税は構成比が四八・一%、五十年度は三五・五%、構成比がずいぶん下がっていますね。地方交付税は確かに六・六から一一・一と上がりましたが、歳入面で大変な構成比の変化があります。固定資産税を見ますと、三十四年度には二一・八あったものが、五十年度では一二・九%であります。電気ガス税は五・一であったものが一・四%です。たばこ消費税は四・二から一・九%という構成比に変わってきております。地方交付税は先ほど申し上げたように六・六から一一・一、国庫支出金は一五・四から一六・三と、わずかに上がっております。地方債は六・七から一三・二、こういうふうに上がってきております。この歳入構造を見ますと、これは全国市長会の都市の問題でありますが、地方財政全体としてはまさしく依存財源、財政の中央集権化を如実に物語っておると思うのであります。  そこで歳出の方を見てみますと、あなた方が目のかたきにしておる人件費は、三十四年度は二五・八であり、五十年度は二六・四であり、差し引き〇・六%しか構成比は上がっておりません。そしてどこが多いかといいますと、普通建設が二七から三一三になった、扶助費が八・三から一一八になった、こういうことなんですよ。それを裏づけるように国庫支出金、負担金がふえていっているわけです。  こういう財政構造を見て、大臣地方自治というものが、財政に裏づけられて育たなければいかぬ地方自治というものが健全な方向に行っておるとお思いですか、どうですか。事実は逆でしょう。
  80. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 歳入歳出のあり方等についてはいろいろ御意見もあろうかとは思いますが、先ほども申し上げましたように新たな財政需要ももちろん生じておりますが、それに対応する財源措置も、毎年度承知のようにいろいろ講じてきております。全体といたしましては、地方財政計画を策定することによって所要財源がどれだけ要るのか、どれだけ補てんすべき財源が要るのか、こういうものを見きわめながら、それに対して措置をしてまいっておりますので、ただいま御指摘のように三二%という交付税の率が動かなかったから、何もかもすべてそれに押し込んでしまったということにはなるまい。全体としての財政の、歳入歳出のバランスは計画を通じてとり、それをもって賄える措置を他の制度改正においてもとってきた、こういうことが推移であろうと思います。  それから、御指摘のように市町村におきまして税の比率が下がってきておる、これは事実でございます。残念ながら、市町村の主管になっております税目に、固定資産税等伸長度の低い税目が主体になっておりますので、これは租税の構成比が低くなってきておる、このことは私どもも問題の認識としては強く持っておるわけでありまして、毎回申し上げておりますように、市町村の税源を充実する、都市的な税源を充実をする、これをまず第一義として地方税源の充実に取り組んでいく、こういう立場をとり、それに応じた、まあ足りないと言っておしかりを受けるかもしれませんが、制度改正等にいままで努めてきたのは御指摘のとおりでございます。総じまして、地方財政全般の一般財源比率を高めることによって地方の自主性を高めていく、こういうことは当然のことでございまして、われわれもまたそのような認識のもとに財源措置を考慮しておるわけでございます。
  81. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 時間がありませんから、正確に時間を守りたいと思いますから、簡潔にお尋ねしたいのです。  そこで、大変恐縮でありますけれども、別に私は、あなたの方の事務官が書いたことについてとやかく言っているわけではない、大いに書いていただきたいと思っているのですよ。この「地方財政」十月号を見ますと、地方税財源を充実するために法人事業税の外形標準課税を何としても導入したい。法人事業税というのは性格からいえば物税である、こういう認識の上に立って法人事業税の外形標準課税導入をいたしたい。これは全国知事会と同じように主張をしております。これについて五十二年度どうするのか。  第二は、非課税の特別措置の整理。非課税規定、あるいは租税特別措置等の遮断、たとえば電気税の非課税規定です。おおよそ七百五十億円程度の減税が行われているわけでありますけれども、電気税もさっき指摘したようにだんだん構成比が下がっていっております。税率は三十四年の一〇%から現在は五%。で、電気料金が上がるたびにこれを下げている。どこから働きかけがあるか知りませんけれども、電気料金が上がるたびに税率を下げている。これは電気税が悪税だからと、こういうことかもしれません。もっとも零細な人の免税点を引き上げてやることはいいわけですけれども、なぜ五%を超える分についての抜本的な整理を図らないのか、こういう問題が一つございます。こういうものについてどうするのか、こういう点について自治省の態度をお聞かせいただきたい。
  82. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 先ほど来のお話のように、地方、税源の拡充を今後の基本的な課題として考えていかなければならぬわけでありますが、その場合に都道府県の税制を考えますと、御承知のように四五%までが法人事業税で占められております。そういう意味合いでは、一つの税目でこれだけ特定の団体財政収入に大きなウエートを占めておる税目というのは、これは国もなければ、市町村もないわけであります。そういう意味合いで、法人事業税が非常に変動するということは、都道府県の安定的な財政運営に大変大きな支障になって、阻害要因になっておるということは、これは否定できないと思います。そういう意味合いで、私どもは外形基準を導入したいということを基本的に従来も持ち続けてきました。ただ、これも御承知のように、外形基準を導入いたしますと当然欠損法人も負担をしていただかなければなりません。また、法人のそれぞれの各事業年度の利益と外形基準による課税というものとのバランスは非常に変わったものになってまいります。そこのところをあえて忍んでいただいて、安定性のある都道府県法人事業税収入を確保するということをのんでいただかなければいかぬわけであります。そういう意味合いでは、納税者サイドでいろんな御議論が出るのも、これは当然のことであります。しかし、都道府県知事会におきましてもこの問題はぜひ積極的に取り組んでいきたいという気持ちを強く表明されております。私どもは来年度何らかの形でその導入ができるような努力をいたしたい、かように考えております。  租税特別措置の整理は、今後租税負担率引き上げを全体にお願いしていかなければならぬということを前提として考えますと、何としても不公平の是正ということ、これは当然やらなければいかぬことでありますので、これは徹底的に勉強いたしたいと思います。  その中の一つとして電気税の問題がございました。産業用電気の非課税規定の整理問題、これはまたくどくど申し上げるまでもなく、大変両論分かれておりますが、この際非課税基準を見直して手直しをするということにぜひ取り組みたいと思っております。  税率の問題は、もう五%まで現在下がってまいりました。私は、電気税の税率をこれ以上下げるということば適当ではない、かように考えております。  それらを含めまして、租税特別措置の整理につきましては積極的に取り組んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
  83. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 最後に先ほど山田委員から話がありましたように、来年度予算要求といたしまして、自治省は、こういうふうに書いてあります。地下鉄です。「現行補助制度については、それが運営費補助となっていること、六年分割であること、補助の対象範囲が実情に即さないこと等の問題点があるといわれている。」こういうことで自治省は新しい方式、国と地方との負担割合、こういうものも変える要求をなさっておるそうであります。そこで、山田委員のさっきの質問にあったように、現在の健全化法では十分じゃないということはもうわかっておるわけです。そういうことであって、こういう要求を実現しなければなりませんけれども、同時に健全法をもっと現状に合うように改正をすべきであると思いますが、この点は要求と絡んでどうか。  もう一つ税務局長は落としましたが、いま縦貫道がどんどんできていっちゃっているわけです。私の知っている小さな町ですが、細長い町で、その町を縦貫道がぶった切っているわけだ。そこにインターチェンジがあるわけでも何でもないんですよ。もたらすものは何かというとほこりだけです。そうしてその縦貫道をつくるために町に一千万円の固性資産税が減収になっているんですよ。こういうものについて固定資産税を課税するということが、法定外独立税として問題になっておりますが、そういう問題、あるいは少なくとも納付金等の制度を確立をすべきではないか、こう思いますが、この点もあわせて御答弁いただきたい。たまには大臣、決意のほどをひとつ示していただきたい。
  84. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 地下鉄につきましては、御指摘のように現在の地下鉄建設の状況、経営の状況から、これの地下構造分の占めるウエートが非常に高うございます。こういうものに対してはやはり地上における街路と同じような考え方で、その地下構造分に対しては所要の租税負担による公的負担、これで賄わなければあとの経営ができないんではなかろうか、こういう考え方基礎にとりまして、先ほど御指摘のように、その分についての国及び地方公共団体の高率の負担を前提にした経営という趣旨で要求をいたしているわけであります。そのように交通全般におきましても、負担区分のあり方、つまり料金で採算を立てます分野と租税負担に任せてもしかるべきという分野を仕分けていくことは、今後も交通運営全般のあり方にとって必要なことだと考えますので、この点はなお検討を続けたいと思います。  それから再建法でございますが、これは先生御案内のように四十八年でしたか、最近でき上がったばかりのものでございますし、これによりますものは、御承知のように地上の電車とバスが主体で、この措置に乗って運用されております。したがいまして、ただいまの状況ではこれを直ちに改正をしてどうこうという考えは持っておりませんが、今回考えております地下鉄分につきましては、特に負担区分の強化を図りたいと考えた次第であります。
  85. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 高速道路につきましては、御承知のように固定資産税は公共用道路は非課税になっております。道路公団等の高速道路は、料金は原価を償う期間だけ取って、その後は国道、府県道として無料開放する。すなわち、公共用道路になる、こういうことでございましたので、いままで非課税として扱ってきたわけでありますけれども、しかし、四十七年からいわゆる料金プール制というふうなシステムが導入されまして、その道路の減価償却が終わりましても、有料道路全体の原価が償却されるまでは有料でいきますということでございますので、恐らく五十年近くの間有料制が続く、こんなふうに理解されるわけでございます。そういう仕組みの変化がございましたし、またいま御指摘のような地域に与える影響、それから税収の減という問題もございますので、固定資産税の課税、その他適切な負担を求める措置をぜひ前向きに検討いたしたいと思っております。ただ法定外普通税という形で処理する問題というよりは、たしか二百を超える市町村に関連する問題でございますので、法定税として処理をする方が妥当であろう、かように私は考えております。
  86. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 速やかにとか、相談してとか言うのだけれども、それは五十二年度からやりますか。
  87. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 各方面のいろいろな御意見もございますし、税制調査会等もございますが、私どもといたしましては、そういう気持ちで前向きに努力をいたしたいと思っております。
  88. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 税務局長はその気持ちでと言うのですが、最終的には大臣ですよ。五十二年度からはやるという決意がありますか。事務当局はその気持ちだと言うのですが、あなたは決意があるかどうかお答えいただきたい。
  89. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 税制調査会等といろいろ折衝しながら税を決めていくわけでございます。できるだけ努力をさせていただきます。
  90. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 終わります。
  91. 小山委員長(小山省二)

    小山委員長 諫山博君。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  92. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 自治大臣に、ごく常識的な点で質問いたします。  それば行政機関と国会議員との関係についてです。私たち国会議員は、議員としての活動のためにいろいろな調査活動を行います。たとえば国会図書館で資料を調べる、国民からいろいろ事情を聞く、あるいは各省、各自治体からそれぞれ説明を求める。さまざまなやり方で事実の調査を行うわけですが、こういう場合に、各省、自治体はできる限り私たち国会議員の調査活動に協力すべきだと思うのですが、自治大臣、いかがでしょう。
  93. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則として、おっしゃるとおりだろうと思います。
  94. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私たちの調査活動は、たとえば安保条約をどうするかとか、日本とアメリカの関係をどうするかというような、非常に大きな問題の場合もあります。あるいは特定の人が人権を侵害されたとか、あるいは特定の地域だけの問題とか、具体的な問題、具体的な事件について調査をするというような場合もあります。こういう場合にも行政機関としてはなるべく国会議員の調査活動に協力するというのも当然だと思いますが、どうでしょうか。
  95. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としてそのとおりだと思います。
  96. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これはすべての省、すべての自治体に共通したことであって、たとえば公安委員会警察庁あるいはそれぞれの地方警察、これも決して例外ではなかろうと思いますが、どうですか。
  97. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としては、そうだと思います。
  98. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 国会議員のさまざまな調査活動に原則として協力する、これは警察関係も例外ではないということが認められたわけですが、その場合、自民党の議員の調査であろうと、社会党の議員の調査であろうと、共産党の議員の調査であろうと、差があってはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則として、そうだと思います。
  100. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは常識とかエチケットというだけの問題ではなくして、大きな議論をすれば憲法から出てくる問題です。憲法第六十六条の第三項は、内閣は行政権の行使について国会に対して責任を負うということを規定しています。明治憲法時代でありますと、内閣は天皇に対して責任を負うわけでしょうが、現在の憲法では、行政権の行使について国会に対して責任を負う、これが憲法第六十六条の第三項、そしてこの第三項をどのように解釈すべきか。  たとえば、この間亡くなられた宮沢俊義教授の憲法のコンメンタールには次のような解説がされています。内閣は行政権の行使について、国会によって批判、その他のコントロールを受ける、国会または国会議員は、行政権の行使について有効に批判し、コントロールすることができる。つまり議院内閣制が六十六条の三項で規定されて、国会議員というのは行政権の行使について批判をする、コントロールをする、これは憲法に基づく国会議員の職責だ。こういうたてまえになっていると思いますが、大臣、違った意見がありますか。
  101. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 いまの関係は、原則としてそうだろうと思います。
  102. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 行政権の行使について、政府は国会から批判される、コントロールされる。反面、国会または国会議員は、行政権の行使について有効に批判し、コントロールする、こういうことになっているわけですが、これは、行政権の行使はすべて正しいとは限らない、行政権の行使には誤りがあり得る、この誤りを是正するのは国会の仕事だ、国会議員の職責だ、こういうふうに解されるわけです。つまり行政権の行使が絶対に誤りがないものであれば、こういう規定は必要ないわけです。そういうたてまえで、行政権の行使について内閣は国会に責任を負うということになっていると思うのですが、この点も異論ありませんか。
  103. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則的にそうだろうと思います。なお、詳しい諸般の問題につきましては、ぜひ法制局にお聞きを願いたいと思います。
  104. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは法制局の意見を聞くまでもなく余りにも明白なことですから、私このまま議論を進めます。  そうすると、国家公安委員としても、警察関係の機関としても、たとえば国会議員が調査に行く、そういう場合に、あなたは自民党議員ですから協力します。あなたは共産党議員ですから協力はしません、こういう態度はとってはならないというふうになるはずですが、大臣いかがですか。大臣からお答えいただきます。
  105. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としてそうだと思います。
  106. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私は国会議員について質問したのですが、これは原則として地方議員にも当てはまると考えますが、いかがですか。
  107. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則として、できるだけ可能な限り御協力を申し上げる筋合いだと思います。
  108. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 いままであなたが説明された幾つかの問題点、たとえば行政機関はなるべく国会議員の調査に協力するだとか、そういう場合にどこの党の議員だからと言って差別するようなことはしないというような考え方は、国会議員についてだけではなくして、そのまま地方議員について当てはまるというふうに確認していいですか。
  109. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則として御協力申し上げていただいた方がいいのではないかと思っております。
  110. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは協力した方がいいというような程度のものではなくて、憲法から出てくる要請だということも明らかにしたつもりですが、いかがですか。
  111. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としてそうだと思いますが、たとえば東京の方が大阪に行くとか、いろいろな場合もありまして、一概に言えない面もあるのではないかと思います。
  112. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 いまのは、東京の都会議員が大阪府の行政を調べるというような問題について例外として説明されたわけですか。――議事録いいですか。はいと言われた。
  113. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 何も東京と限定した問題ではございません。一般的な意味で申し上げた次第であります。
  114. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私たち国会議員が行政の実態を調査する場合、行政のやり方に問題があるというふうに感じる場合があります。問題がないと感じる場合もあるし、問題があると感じる場合もある。そういう場合私たちは、国会でこういう形で取り上げて論議して是正を求める、これをやるわけですが、それだけではなくして、気づいたらすぐその場で、こういうやり方は改めた方がいいのではないですか、こういう意見も述べます。こういうやり方は間違っているからけしからぬじゃないですかと言うようなこともあります。あるいはこれは非常にいいことだから大いに推進しなさい、こう言って激励することもあります。その場合、これはいいことだから大いにやりなさいというような場合には国会議員に会うけれども、これは問題があるから是正した方がいいのじゃないですか、場合によったら、こんなことはやめた方がいいのじゃないですかと言って抗議する、こういう場合、いろいろな私たちの行動が起こり得るわけです。そういう場合に、どうも文句をつけられそうだから会わないとか、注文を受けそうだから会わないとか、抗議を受けそうだから会わないというようなことは本来あるべきではない。やはり行政には誤りがあり得るという立場から憲法第六十六条第三項ができているわけで、そういう場合にはやはり率直に国会議員の調査に応じて国会議員の意見も聞く、これが憲法のたてまえからいっても当然だし、常識的にもあたりまえだと思うのですが、どうでしょう。――委員長、ちょっと待って。これはきわめてあたりまえのことですから大臣の御見解を聞きたいと思います。いずれ具体的な問題になれば官房長から説明を受けます。
  115. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則的にはそのとおりだと思います。
  116. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私、ここで林委員と交代して、午後質問させてもらいたいと思います。
  117. 片岡委員長代理(片岡清一)

    片岡委員長代理 林百郎君。
  118. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 私も原則的な問題をまず大臣にお聞きして、それから具体的な問題は、それぞれの警察庁の担当の人々に聞きたいと思うのですが、憲法の四十三条を見ますと、「両議院は、全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」要するに国会議員は全国民を代表して院を構成しておる、こういうことが書いてあること、これは言うまでもなく大臣承知だと思うのです。国会は国権の最高機関である。その国会議員が担当している当該委員会で、たとえばこういう地方行政なら地方行政委員会でその国政を論ずる場合に、各行政庁にあらかじめ意見を聞くなりあらかじめの調査をする場合に、これは各行政庁としてはその国会議員の要請にこたえるべきだと思いますが、どうですか。
  119. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としていろいろ御協力を申し上げるのが筋合いだと思います。
  120. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 そればもちろん警察行政についても一般の行政の一端ですから当然のことですね。それをちょっと……。
  121. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としてそのとおりだと思います。
  122. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それからそれは共産党の議員であろうと当然国民から選挙されて公党として国会へ出てきておるわけでありますから、他の政党の議員と別に差別される理由はないでしょうね。
  123. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、原則としてそうだと思います。
  124. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 もしそれに応じないような場合があった場合は、あなたが原則としてはそうすべきだと言う、その原則に応じないような事態があったとすれば、あなたとしては、これは仮定の問題として、国家公安委員長としてどういう措置をおとりになるつもりですか。もしあなたの言われておる原則に反するような措置が仮にあったとすれば、あなたはどういう措置をとられますか。
  125. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 やはりケース・バイ・ケースで判断をしなければならないと思います。
  126. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 ケース・バイ・ケースでなくて、私原則を聞いているのです。あなたが原則としてそうだと言う、その原則に違反するようなことがあったとすれば、原則的にはあなたはどうするのですか。原則のことを聞いているのですよ。
  127. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 やはりケース・バイ・ケースで判断する以外にないと思います。
  128. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 そうすると、あなたの場合は原則はそうだと言われましたね。先ほどのように、共産党の議員が国会で当該委員会で質疑をするためには、各行政庁の意見もたださなければならない場合がある。それには原則として協力すべきだ、こう言っていますね。ケース・バイ・ケースといういろいろのニュアンスは除いて、その原則にもし反するようなことがあったとすれば、あなたはどういう措置を考えられますか。原則的にどう考えられますかということなんです。ケース・バイ・ケースは私また後で聞きますから。原則をここで聞いているんです。
  129. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 そういう場合には、原則としてケース・バイ・ケースで判断しなければならないと思います。
  130. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それでは結構です。結構ですって、あなたの言うことを承知したわけじゃないのですよ、逃げているということで。  そこでお聞きしますが、たとえば警察行政について、私たちが地方行政委員としてここで論議をしたいという場合に、その警察行政について、一方ではその警察行政の行き方に対して納得ができないと言う人がいる。一方には警察側は、いや納得できないはずはない、警察のやったことは正しいんだという言い分があるとする。そこで、私がここで問題を取り上げる場合に、警察のやり方が不当だという人の意見は十分聞いてある。しかし、不当ではないんだ、正しいんだということを言っている警察側の意見を聞こうという場合に、それを警察が断って、この委員会で審議する私の審議が公正に行われることが保障されないというような事態があるとすれば、どうしますか。大分具体的になってきたわけですね。要するに、警察の方は、いや自分のやった警察行政の執行についてはこれは正しいと言っている。しかし、一方はあれは行き過ぎだ、警察から何も捜査されたりあるいは調書をとられるはずはないんだと言っている。そこで、意見が食い違っている。私は、ここでこの問題を取り上げたいと思う。一方の方で警察の方を非難する側の意見は私は聞いた。しかし、非難されている警察の方の言い分もあるだろう。そのことを聞くために警察のそれぞれの担当の方に面会をして、そしてその事情を聞きたいというときに、それに応じないという場合は国家公安委員長としてはどうお考えになりますか。
  131. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないと思います。
  132. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 ケース・バイ・ケースじゃないじゃないですか。私は非常に原則的な例を出しているんですよ。一方の事情はわかっている。しかし、警察側の事情がわからないから、警察側の事情を聞かしてくれという場合に、基本的にはどうすべきですか。後ケース・バイ・ケースで聞きますよ。基本的には警察側も応じて、警察行政についての国会での質疑を公正にするように協力する、原則的にはそうすべきじゃないですか。原則を聞いているんですよ、あなた。ケース・バイ・ケースって、私はケースなんか言っていないんですよ。基本的にはどうだ、両者の言い分が食い違った場合に、警察もまた警察の言い分を国会議員が行ったらよく伝えて、ここでの審議を公正にされたい、そういう態度をとるのはあたりまえじゃないですか。
  133. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 普通の場合だったら、警察の方もできるだけ御協力をしているのが原則だと思いますが。
  134. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 そこで、私、具体的なところへ入っていきます。  実はもうこれは警察当局ではわかっていると思いますが、本年の九月五日に徳島県で共産党の演説会のポスターを張っていた。これが四名徳島市の東署と西署でほとんど同時に十一時ごろに軽犯罪法違反の疑いがあるからと言って連行を求められた。連行を求められた側の諸君としては、これは軽犯罪法には「みだりに」 「はり札」をしてはならないとあるけれども、これは共産党の演説会のポスターの貼付であるから張り札ではない、裏にボール紙の裏打ちがあり、そうしてそれを針金でちゃんと縛るようにしてあったわけですね。それを張って歩いていた。ですから、ビラではない、みだりではない、これは共産党の演説会が済んだら当然外すつもりでやっているのです。そういう言い分があって、それから、ことに軽犯罪法には第四条に「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」という特別な適用上の注意もある。だから、これは軽犯罪法で半ば強制的に連行され、調書をとられ、軽犯罪法の捜査をされる筋合いではないではないか、そういう抗議を共産党の方としてはしていた。しかし、警察側としては、いや、絶対にこれは正しいのだということを言っていた。そこでわれわれの方はもう少し具体的に事情を確かめなければこれはいけないということで、私自身が徳島の県警本部へ行って本部長側に、ひとつこういうことを取り調べを受けた側では言っているけれども、県警本部側の考えはどういう考えですかということを聞くために徳島へ出かけまして、そうして県警本部長にそのことを要請した。電話を通じて求めた。ところが全然面会を拒否している。その前に本庁を通じて、これは十月の六日の日に私が行って本部長に会いたいということをあらかじめ本庁からも通知をしてもらいたいということを私の方からも言ってあるはずです。これが、本部長が全然会わない。それじゃ、仮に忙しいというならば、電話へ出てもらいたい、電話で私の意向を伝えたいと思うからと言ったところが、電話にも出ない。この地方の徳島新聞にはこういう記事まで――これを大臣見てください。こういう記事まで出ている。要するに、電話でもいいというのに電話にも本部長は出なかったといって、電話をかいて、電話のところに掛けるマークを書いてあって、それで私と本部長の写真まで出ている。こういう記事まで出ている。これはどういう事情だったのですか。そういう本部長の態度は、これは警察本庁として正しいとお考えになるのですか、どうですか。
  135. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 非常に具体的なケースにつきましてのお尋ねでございますので、私からお答えいたします。  いまおっしゃいました軽犯罪法、この法律につきましてはいま言われましたように、やはり日常の社会生活における最低限度の道徳義務といいましょうか、そういったものをひとつ担保する、こういう趣旨でつくられている法律だと私は理解するわけでございますが、ただその運用につきましては、おっしゃったとおり第四条等でその「目的」、「濫用」云々というふうなことで、そういう趣旨で警察としてはこの軽犯法を運用しているということをまず最初に言っておきたいわけでございます。  また、徳島県警のこのビラ張りの事件でございますけれども、いま先ほどおっしゃいましたように、これは九月五日に徳島の東警察署の管内、それから徳島の西警察署、この両署の管内におきまして日本共産党の大演説会という告知用のポスターでございますが、これを管理者の承諾なしに、電柱へ、いま言われたように針金でくくりつけたり、あるいはガムテープで張りつけているという現行を警察署員が現認いたしまして、合計四名をそれぞれ軽犯罪法の一条第三十三号で検挙したという事犯でございます。いま「みだりに」じゃない、あるいは「はり札」じゃないというふうな見解もございましたけれども、この三十三号で言う「はり札」あるいはこの法条の問題につきましては、過去の判例を見ましても、ビラの内容自体は本罪の成立に関係なく、またビラ配りの動機であるとか目的であるとか、あるいは手段、方法についても本罪の成立とは関係ないというふうな各種判決も出ているような次第でございます。したがって、警察といたしましては、この事犯を軽犯罪法、しかも名前、住所等を本人は言いましたので、これは任意同行の上、署において釈放しておるというふうな状況でございまして、その間、適正に法を執行しておるというふうな徳島県警の見解でございます。
  136. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 いや、あなたにその見解をここで聞いているわけじゃないので、そういう見解をこの委員会で、両者がこういう意見がある、それについて私たちの方もこう考える、警察当局もどうかということの事実を確かめるために本部長に私が面会を求めたのに、本部長が会わない。警察側の見解はいま初めて正式にはあなたからここで聞いたわけなんです。私が国会議員として行って、警察本部長に会ってあなた方の言い分はどういうことなんですかということをただしに行ったときに、どうして会わないのですか。そのことは正しい態度だというように本庁はお認めになるのですか。
  137. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 警察庁が、林議員の行かれた際に電話に出なかったかどうか、それが正しいとか正しくないとかいうことは別にしまして、当面、先ほど、警察庁にいろいろ連絡を入れて県へのあっせんも連絡方も依頼した、こうおっしゃったわけでございますが、御承知のとおり私どもも先生に対してはいろいろこのケースについては御説明しているつもりでございます。要すれば、徳島県としてこの事犯にどういうかっこうでどういう見解で対処しておるかという基本的な警察の態度、方針、そういったものについては御説明していると私は理解しているわけでございますけれども、また、御承知のとおり、九月五日のこの事件以降、九月八日からでございますけれども、二十余回にわたりまして警察署あるいは県本部等に、少ないときで七名くらい、多いときは約五十名くらいの方が何回となくいわゆる抗議に見えておるわけでございます。その抗議の内容も、まさにこのビラ張り事件というものは共産党に対する弾圧である、いわゆる憲法違反である、こういうふうな主張で、この事件を送致しないようにとかそういうことで、警察の正当なる職務行為に対して、いわゆるいわれなき抗議ということで、非常に組織的、継続的に抗議をされたというふうな、流れといいましょうか、そういう事態があるわけでございます。その間、警察署に抗議に見えたような際にも決して皆会ってないというわけではございませんで、かくかくこういう三十三号の違反ということははっきりしておるわけでございますから、そういう事実は相手の方も十分認識しておられるわけでございますし、また、本部長等も、県会を初めいろいろのケースでその態度をはっきり県民に説明しておるというふうな状況がございます。
  138. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 あなた、それでは、共産党の人たちが二十数回本部長なり警察当局に面会を求めていった、しかしそれは、警察当局もただ会わないだけではなくて、会って説明をしているとあなたは言われましたけれども、いつどういう形で説明しているのですか。それから、県議会には共産党の県会議員はいないのですよ。しかも、総務委員会質問して、総務委員会では速記録がとれないのですよ。そして、各新聞社に出ている本部長の答弁もいろいろ食い違いがある。どれが本部長の正確な見解かわからないという事態だったのですよ。だから私が行って正確に直接聞こうといって行ったのですよ。どうして会わない。とにかく、いろいろ事情はあるにしても、国会議員がわざわざ行って本部長に会いたいと、しかもそれは本庁を通じて私が行きますよということを言ってある。それが会わないという態度が一体警察行政の態度として正しいかどうか。先ほど諫山さんも憲法を引用して言われました。私もまた憲法を引用して国会議員の職責というものをあなた方に言って、大臣も原則的にはそれは協力すべきだという答弁を得ているわけなんですよ。そういう、原則的に協力すべきだという観点から言って、それが正しいと思うのですか。電話にも出れないと言うのですか。それで、何で出れないと言ったら、忙しいから出れないと言うんですよ。忙しいことは、国会議員だって忙しいことに変わりありませんよ。県警本部長が独断的に、警察のやることは絶対だ、それに一言でも口を差しはさむ者は断じて会わないなんということは、それはもう警察ファッショですよ。独善ですよ。憲法学者の立命館大学の名誉総長がそれを聞いて、全く独裁官僚政治のあらわれとしか言いようがないと言っているんですよ。国会議員がわざわざ行って、それで県庁まで私の方が足を運んで、電話でいいから出てくれというのに電話にも出ないという本部長の態度を本庁は認めるんですか。
  139. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 本部長が電話にも出ないということは、この日、林議員の行かれたときは、本部長はもう部屋におりませんし、県会に出ていたわけでございます。
  140. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 あなた、事実をよく調べてきなさいな。このときは、県会がもめてて休憩中なんですよ。休憩中で、本部長は本部長の部屋にいるんですよ。それで、平木広報官が出てきて、会えないと言っています。あなたはもう少し正確に調べなければだめでしょう。このときは、県議会があったんですが休憩しているんですよ。二時間ばかり休憩しちゃったんですよ、知事の答弁が不当だということで。それで、ちゃんといるのに忙しいと称して私に会えないと言うのです。いないんじゃないですよ。あなた、もう少し事実を正確に調べなさいな。そういう態度でいいと思うのですか。
  141. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この件につきまして、本部長の電話に出た、出ないという、そういう問題は別にしまして、先ほど来おっしゃっているように、このビラ張り事件というものが検挙されてからの一連の徳島県における具体的な流れ、抗議の状況、さらにまたその間における警察当局のいろいろの見解、そういったあれば十分説明しているわけでございまして、また、抗議に来られる方も、軽犯罪法一条の三十三号違反で検挙されたということ、これまた十分御承知のはずでございます。そういう意味で、事犯そのものについての問擬すべき疑問というのは、もう非常に簡明率直、疑問がないわけでございまして、「みだりに」あるいは「はり札」かどうかということにつきましても、これはもうはっきりしているあれでございます。もう問題がないということで説明しておるというふうに聞いておるわけでございます。そういう一つの土台の上に立ちまして、林議員が徳島に行かれるとき警察庁にもいろいろお申し出あったことは私どもも十分承知しております。また、そういうお申し出の上に立ちまして私たちも、こういう状況ですということを先生に御理解いただくということでの努力もしたつもりでございます。ただ、県の立場として具体的に本部長自身が会うかどうかということは、それぞれ本部長のそのときの状況及び本部長の見識ということでございまして、そういう意味で林議員にも、これはまさに本部長の判断でやることであって、こちらとしてそれにとやかく言うあれではないというふうに申していると思います。
  142. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 軽犯罪法違反になるかならないか、これは最終的には裁判が決定することなんですから、裁判が決定しない前にこれは正しいだなんて警察が独善的に思ったって、やられた方では、これは「みだり」ではない、「はり札」には該当しないと。それから軽犯罪法の四条の、いやしくもその目的を逸脱したような乱用にわたってはいけない――現によその党ならみんな張ってあるのですからね。あなたは一度徳島に行ってみればわかるけれども、よその党のはみんな張ってある。よその商店の札もみんな張ってある。そういう中で共産党のだけやったのですから、それに対して共産党の側としては意見があるのは当然です。それに対して警察本部長の言い方は、県議会の答弁等を聞いていますと、極右、極左、暴力団体、そういうものには面会しない、共産党をそういう団体として規定して、そして面会しないと言っているのですよ。それが一つ。  それから共産党が、そういう独善的な警察の態度ならば、これを県警本部詰めの記者の皆さんに話そうと言っている。新聞記者の皆さんの方は、どうぞ来てくださいと言っている。それを平木広報官が、この庁舎の管理権は県警本部にあるから、記者諸君に会うことはいけませんと言ってとめて突き出しているわけでしょう。あなたは一連の事実があったと言うけれども、こちらにも一連のそういう事実があるのですよ。ことに、天下の公党である共産党に暴力団体という、そういういわれなき非難を加えられているわけなんですから、実際そういうことを言ったのがどういう心理で言ったのかということを私がただしていくのは当然じゃないですか、共産党の国会議員として。あなたはビラ張りのことだけ言って、このことは先生に説明したつもりだと言ったって、あなたの説明だって当事者の説明じゃありませんから、こう聞いていますというだけですよ。そういう場合に、しかもさっき言ったような状態である。本部長が私に会わない、そういうのはさっき大臣の答えた協力ということに入るのですか。大臣、どうお考えですか。官房長はさっきから弁明ばかりしていますが、会った方が好ましいと思いますか。どうですか、大臣
  143. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 私は原則としてということを冒頭につけております。ですから、原則としてお目にかかるのはいいと思いますけれども、これはまた面会に応ぜられないと本部長が判断するような場合もあってしかるべきだと思います。それば例外の場面になるわけであります。ですから、この場合にも本部長はいろいろな事案の関係上面会に応じられないと判断をされたのか、もしくは所用があって電話にも出られないような状態であったのかというふうに思います。
  144. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それを昨日調べておいてくれと言ったのですよ、こういう質問をするから。理由にならないじゃないですか。いま官房長は、県会中でそこに県警本部長がいなかったから電話にも出られなかった、それはうそですよ。事実に反していますよ。それじゃ、そういう事態でなければ少なくとも私には会うべきだとお考えになりますか、どうですか、一体。なぜ国会議員に会わないのですか。
  145. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 当初来諫山議員の御質疑に対して、国家公安委員長お答えしたとおり、やはり警察としても無謬主義といいましょうか、絶対警察の執行をすべての面で完璧であるという考えを持っていないのはもとよりでありまして、虚心にいろいろな点で幅広くいろいろな人の意見を聞いて警察の執行行為が妥当に、また期待されるようにする、これは当然でございます。そういう基本的な態度で絶えず臨んでおるわけでございますが、先ほど来の極左と同じあれで云々というふうなこともございましたが、そういうことは本部長も一切言っておらないわけでございます。ただ、これは新聞記事にそういうニュアンスの記事が一部あったかもしれませんけれども、本部長の言わんとするところは、やはりいわれなき抗議というものについては、これはやはり会うべきものでない。いわれなきというのはいろいろのケースがあろうかと思いますが、警察の適法、妥当な職務の遂行に対して、これを牽制するために非常に抗議するとか、あるいは一方的な宣伝の意図でやるとか、いろいろのケースがあろうかと思います。しかし、この徳島のケースでも、一連の流れの中で本部長としては十分説明をしているし、それまでの経緯から本部長自身として面会を断ったという、本部長の見識でやっていることでございますし、また新聞記者クラブとの会談の問題につきましても、おっしゃいましたようにいろいろな経緯があったようでございます。あらかじめ記者クラブの了承を得て、それで庁舎に入ろうとしたというような事情もあるようでございまして、その際も記者クラブとは二度にわたりまして、本部長あるいは総務部長等がそれぞれ会談をして、この事案についての処理の説明等もしておるというふうに聞いておるわけでございます。  一部の新聞に云々ということについては、本部長としてはそういうふうには言っておらない。やはりいわれなき抗議、そういう目的をもって正当、妥当な職務についてこれを牽制するとか、意図的にそれを曲げるというふうなことをしては、これは水と油でございますから、そういう者についてはお会いする必要がないという判断であったということでございます。
  146. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 だから、私はさっきから言ったでしょう。当委員会で公正な審議をするために本部長に会いたい、そういうことを言ったわけでしょう。しかしさっき大臣は、あなたの言うように警察も無謬主義じゃないから、抗議であろうと、原則としてはそういう場合はお会いするのが原則でありますとまで言っていますよ。私は事態を調べに行ったのですから、抗議か何か私に会ってみなければわからないでしょう。だから、国会議員がそういう事態で、この委員会で公正な警察行政の論議をするために会ってもらいたいと言ったことに対して、会わないということば好ましい事態かどうか。  仮に会ったところで、そのことだけ論争してもしようがないから、じゃ今後は、そういう事態の場合に会うように、国会議員にできるだけ会って国会議員の職責を十分果たすような処置をするようにと、こういう方針を本部長としてはとられますかどうですか。
  147. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 大臣お答えしておりましたように、原則として、できるだけそういう面でいくことが好ましいと思います。われわれもそう努力しますが、あくまでもこれは原則でございます。やはり都道府県警察のそれぞれの執行行為に関連して、ケース・バイ・ケースに本部長のやるべき判断というものがいろいろあろうかと思いますので、抽象論として全部会うべきだというふうなことは言いかねる。原則としては、そういうあれでわれわれも努力する、しかしケースに応じてはそれにこたえられない場合もあり得るであろうということでございます。
  148. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 九月三十日に、共産党ばかりでなくて十八団体が、新聞の報道もあなたの言うようにいろいろの意味にとれる記事もあるので、本部長に会わしてもらいたいと言ったが、これも会わない。それで、県警本部付の記者諸君と会おうとした。ところが、それも会おうとしておらないわけです。記者クラブの方では、代表の方がクラブに来てもらって結構だ、クラブでお聞きしますということだった。それで入っていったら、平木広報官が来て、大声で、だめだ、ドアを締めろと言って代表の立ち入りを拒否した、こういう事実もあるのですよ。これでは、警察の実態を聞こうという誠意を持って行く人たちも警察の庁舎の管理権をもってこれを制限する、ことに新聞記者諸君にそういう態度をとるということは、結局県警本部に詰めている新聞記者諸君は警察の態度を支持するような者だけには会わせる、それを批判しあるいはそれに抗議をし、正しい姿勢になってもらいたい、こういうことを要望する者に対しては、この庁舎の管理権を理由にして会わせないということになる、こういう結果にもなるわけでしょう。それは全く警察の独断だし、そして報道に対する一方的な規制になるんじゃないですか。どう思いますか。
  149. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いま警察本部、地方、それぞれ記者クラブ、司法記者クラブ、そういうあれで警察本部の庁舎の中には全国にクラブがございます。これは日本新聞協会等の定義でも、取材のためのものである、あるいは親睦的なものである、いろいろな定義づけがあるようでございますけれども、いずれも記者クラブというものはございまして、そこで公共機関いわゆる警察の提供する材料の取材をする、さらにまた自主的に取材をするという場で設けられているわけでございます。  その管理の仕方は県警によってまちまちでございます。やはりその県警の歴史的なあれもございますし、記者クラブの管理の態様もまちまちでございます。ただ一般的に言えますのは、警察本部の建物の中にあるわけでございますので、やはり建物を管理する責任を有する警察としましては、それが適正に管理される、したがってだれでもかれでもその記者クラブに来れるということは好ましくないことはもとよりでございます。ただその辺のニュアンスは県警によっていろいろ違いまして、運用は違います。徳島の場合などは歴史的に非常に厳格なる庁舎管理が行われておりまして、共同ビルのようにいろいろの雑居ビルですとなかなかそういう点はできないわけでございますけれども、こういう世の中が流動的な時期におきましては、特に警察署、派出所、駐在所、また県本部はもとよりでございますが、庁舎管理というものを的確にやってくれということは官房のサイドからもお願いする機会があるわけでございますけれども、そういう意味で庁舎管理というものをそれぞれの県でやっておるわけでございます。そういう管理の原則の上に立ちまして、記者クラブに立ち入るというふうな場合もやはりそれとの関連でいろいろ問題が出てくるわけでございますけれども、一般的に記者クラブとの関係は、言うまでもございませんが、人間関係といいましょうか、信頼関係といいましょうか、そういうことで十分意思の疎通をし合ってやっていかなければならぬというふうに思っております。
  150. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 いろいろ弁解されても、警察が信頼関係に基づく記者クラブが会いたいと言ったら会わせてやったらいいじゃないですか。それを警察が、自分に対して批判的なことを言う人だからこの人は会わせない――記者クラブの方は会うと言っているんです。少なくともそこの権限は記者クラブの諸君に任せているわけでしょう。その記者クラブが会うというのに、わざわざ平木広報官が来てその人たちを押し出すということはどういうことなんですか。あなた、警察の態度が一方的だとお考えにならないですか。あなたの感覚、よほどどうかしていると思うのですよ。記者クラブから抗議を受けているのですよ、あなた。あなたは、ケース・バイ・ケースで各本部長の方針があるからそういう場合に一々本庁からあれこれ指図をしないと言っていますけれども、それは本部長の個人的な見解を尊重することもあるでしょう。しかし、事国会議員の委員会における質疑に関しての調査に基づいて行った場合だとか、あるいは事警察行政に対する批判的な問題があって国会議員が行った場合とか、そういう場合にはさっき大臣も言うように、基本的にはそれに協力すべきである、こういうことを警察庁の長官は都道府県本部長に、指揮監督する権限があるのですから、助言はできるわけですよ。きょうだって警察庁の長官を出席求めているのですよ。何だかんだ言って出てこないのです。国会に一番非協力な行政機関は警察ですよ。あなた方、予算だって出したことはないじゃないですか、警備の予算なんか一つだって。余りに思い上がっておりますよ。そういうファッショ的な独善的な警察がかつて戦前に特高警察として存在して、そういうあり方があってはならないということで警察法の二条もできたわけでしょう。私が言うまでもなく、これで、警察は本来「その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と言っているんですよ。ところが大波多徳島県警本部長の態度なんというものは全く独善的ですよ。いやしくも警察のやることに対して指一本触れるような者に対しては絶対容赦しない、そんな者に会う必要もないという、これは戦前の特高警察考え方ですよ。私は官房長にはいろいろ接触していますよ。共産党だって接触すべきときには接触しています。それから右翼の蠢動に対しても公安二課長なんかにはしょっちゅう、こういう情報があるし、うちの幹部の演説もあるからこういう点には十分注意をするようにということでわれわれの方は協力していますよ。あなたの方はきょうだって質問すると言えば政府委員が私の部屋にどんどん入ってきています。一度だって私は断ったことがないですよ。それが、警察側の態度は一体何ですか。全然非協力じゃないですか。私が、これからあなた方にこの委員会質問をする、政府委員が私の部屋に来たときに、警察は共産党を敵視しているからあなたに会いませんと言って絶対会わなくて、それでいいと思いますか。林さんもかたくなじゃないか、あした質問することぐらいは知らしてくれたっていいとあなたは思うでしょう。それは常識ですよ。警察がそういう立場に立ったらわれわれそう思うのもあたりまえじゃないですか。国会議員が行って実情を聞かしてくれ、委員会でどうしてもこの問題を取り上げなければならないからというとき、何で会わないのですか。それは好ましくない事態だ、こう思いませんか。少なくとも今後、こういうような納得のできないような事態は起こさないようにという十分な配慮はできませんか。大臣とうですか。――ちょっと待ってください。これは国会議員の職責に関する重要な問題だ。国会議員が地方紙にそういう記事を書かれておるのですよ。大臣見てください。あなたは偏見に基づかないで国家公安委員長として、少なくとも公正な立場でできるだけ協力するのが原則だと言われたでしょう、その原則はあなた貫くわけでしょう。
  151. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則は先ほど申し上げたとおりでございますが、原則は原則でありまして、そこに例外のあることは言うまでもないところであります。そこはケース・バイ・ケースで判断をしていかなければならないわけでありますが、ただいまのお話を聞いておりますと、県警本部長にも見識とそれから状況判断がある、かように思うわけでございます。
  152. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それは、仮にあなたの言うことを聞いて、見識と状況判断がある。それならなぜ私にそれを説明してくれないですか、こういう事情で会えませんからということを。電話にも出れないということまであなたは認められるのですか。一方あなたの方は、いいですか、あなたの方は何でも聞きに来るのですよ、私のところに。私の方はできるだけ協力しているのですよ、こういうことを質問する。そして今度私の方があなたの方に聞く場合は、電話にも出れません……。
  153. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 電話は相手がいるかいないかわからないものでございまして、電話をかけた本人はいると判断いたしましても当人がいない場合も私どもふだんずいぶん体験をいたしております。したがって、電話に出られないという一方的な御判断というのは正当でないと思います。
  154. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それなら、もしいたとすれば電話に出るのが常識だと思いますか。少なくとも電話へだけ出てくれ、しかも電話に出る条件があったとすれば。あなたが、いない場合があると言うから。いたとするならば、国会議員がわざわざ電話をかけた場合に出るのが常識ですか。エチケットと思いませんか。大臣どうですか。これは常識の問題ですよ。
  155. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 通常の場合ならば電話に出るのがいいと思います。ただしいろいろな状況の問題あるいは事案についての判断の問題、そういうような場合にはやはり、出ない方がいいと思えば出なくともしかたがないような場合もあるかもしれません。
  156. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 だから出ない場合がいい。それじゃ私の言った場合電話に出なくてもいいという状況をあなた聞いていますか。私はこの質問をするということを前から言ってありますよ。あなた聞いていますか。林さんが電話をかけたけれども、出ないのは無理もない、これこれこういう事情だということを国家公安委員長は聞いていますか。
  157. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 そういう細かいいろいろな問題まで私は聞いておりません。
  158. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それじゃ、もう時間の関係もありますからあれですけれども、先ほど諫山委員質問しました、共産党の議員であろうとあるいは他の政党の議員であろうと、警察に対して調査の申し入れをし、場合によっては、過ちがある場合はそれを正すために国会議員として面会を求める場合は、それは原則としてお互いに協力し合うべきだと、こう言われましたね。それは今後も一その方針を貫いていくつもりですか。当然でしょうね。ちょっとそれをはっきりさせてください。
  159. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としては、御協力を申し上げる筋合いかと思います。
  160. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それでは、県警本部長会議というのをやっているようですね、長官が訓示をやるとか。あなたは新しく国家公安委員長になったばかりですから、警察のいろいろの慣例なども十分知っているかどうかわかりませんけれども、その県警本部長の会議において、長官としてはやはり原則としてあなたがきょうここで言われたことを県警本部長に、もし訓示の中にそういうことを言う必要がある場合は、そういう意味のことを言うべきだと思いますか。そのあなたのここで答弁された原則というものは、警察庁長官もまたあなたの言う原則を守るべきだと思いますか。
  161. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 別にそう改まって言うこともないと思います。
  162. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 当然だということですか、それは。
  163. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 それは当然だと思います。
  164. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 あと諫山さんがまだ質問がありますが、それで官房長、お互いに協力すべき点は協力していますし、私の方の党でも警察官の政策を出して、少なくとも一線で苦労している警察官の身分は十分保障すべきだということも言っているわけなんですよ。だからあなたの方がそういう共産党に対して偏見を持つことはやめられて、そして公正に警察行政を行使するためには、われわれにもちゃんと会うべきときは会うような、そういう配慮を十分するようにされたい、協力すべき点は協力しているのだから。協力できない点は、それは協力しろと言ったって、スパイやいろいろされる場合にそれを承知するわけにはいきませんけれども、少なくとも警察法で命ぜられていることについて、正しい警察行政が行われるようにということをわれわれも考えて、この委員会で質疑もし、警察へもいろいろ言っているわけなんですから、だからきょうここで大臣の言われましたそういう原則を、国家公安委員長もそう言っているのですから、警察当局もそれをあくまで厳守するような態度をとられるのは当然でしょう。どうですか。
  165. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 まあ、ストレートの警察庁との関係と、都道府県公安委員会の管理のもとにある県警本部というものの、そういう細かい面会の問題とかなんとかいうことと同列にあれすると、いろいろと議論が何かするような感じもするわけでございますけれども、もう都道府県の方の会う会わぬというものは、それぞれの具体的な事情に応じてやはり本部長並びに幹部の見識あるいはそのときの状況判断、こういったもので決められるべきものだと思いますし、それを警察庁でとやかく言うべき範疇のものでもない。ただ、先ほど来言っているように、警察としては、もう国会議員の地位、そういったものは、るる諫山議員からもあったように、われわれも十分心得ておりますし、また、いろいろの面のあれについてはわれわれも誠意をもってそれにこたえるという姿勢でおることも御認識いただけると思うわけでございます。  ただ、先ほど来、特高警察云々というふうなことで、何かまだ体質がまさに特高警察なんというふうなかっこうで言われますと、われわれも開き直って、やはりいま言われたように第二条にのっとってわれわれは公平中正に職務を執行しているということでございまして、警察の現在の姿もひとつ十二分に御理解願いたいと思うわけでございます。
  166. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 開き直るとはどういうことなんですか。何で開き直るのですか。われわれの方は、相互に公正な警察行政を行使するために協力し合おう、そういう中で、少なくとも国会議員の基本的な権限を了解しないような県警本部長があったら注意されたい、こういうことを言っているわけですよ。それで、もしそういうことに応ぜられないというなら、それはかつての戦前の特高警察と同じことになるではないかということを私は言っておるので、あなたが開き直ると言うのは何ですか。国会議員に対して官房長が開き直るのですか。そういう態度がおかしいというのですよ。警察の全く独善なんですよ。その考えがなくならない限り、警察としては独善でそれでやれるかもしれない、しかし国民全体の支持は得ませんよ。当地方行政委員会警察行政審議の担当の委員会ですから、警察が国民に支持されるように、公正な警察行政が行われるように、そういうことでやっておるのに、ちょっとでも気に入らない言葉があれば、それなら私の方も開き直りますよ、それは一体どういうことなんですか。あなた自身の考えの中にもおかしいと思うのですよ。国会で国会議員を相手に、それじゃ私も開き直りますよ、開き直って何をやるというのですか。まあこれ以上私は言いませんけれども、何か言うことがありますか。そういう態度は慎んでもらいたいと思うのです。私の方はそんな挑発的なことをきょう一言も言っていないはずですよ。こういうことは好ましくない事態じゃないか、今後なるべくこういうことを起こさないようにされたいと言っているわけでしょう。もしそういうことに応ぜられないならば特高警察と同じようなことに見られるのだから、こう言っているのじゃないですか。あなただって、さっき無謬主義じゃないと言ったでしょう。開き直るとは何ですか。その言葉を取り消してください。
  167. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 開き直るということを私の言った過程でそういうふうにお受け取りになれば、取り消すことにやぶさかでございません。私として言いたかったことは、警察として警察法第二条の精神にのっとってあくまでも職務を遂行して国民の信頼をかち得たいということを言いたかったわけでございます。
  168. 林(百)委員(林百郎)

    ○林(百)委員 それでは、私、時間がありませんので……。
  169. 片岡委員長代理(片岡清一)

    片岡委員長代理 午後二時十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時十六分開議
  170. 片岡委員長代理(片岡清一)

    片岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により暫時私がその職務を行います。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。諫山博君。
  171. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 警察庁の刑事局長に質問します。  官房長から、警察は絶対に誤りないという立場をとっているものではないという説明がされながらも、徳島県警の事件では徳島県警のやったことには誤りはなかった、このことを前提に林代議士とついに会わなかったということのようですが、警察の内部で発生している幾つかの問題について質問したいと思います。  神奈川県の川奈ホテルゴルフ場で神奈川県警本部長外何名かの者が長期間にわたってゴルフ場からゴルフの招待を受けていた。ゴルフ代、食事代、飲み物代まで長期間にわたって無料サービスを受けていたという事件が広く報道されているわけですが、これはいつごろからいつごろまで続いていたのか、何名の、どういう地位の人が関係していたのか、これに対する処分はどうなっているのか、御説明ください。
  172. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いま言われたのは神奈川というふうに私は聞きましたが、静岡の誤りではないでしようか。
  173. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 川奈というのは静岡県なんですね。いまの、訂正します。
  174. 片岡委員長代理(片岡清一)

    片岡委員長代理 神奈川でなしに静岡と訂正します。
  175. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いま御質疑の件につきまして、ただゴルフを、料金を支払わないでいわゆるただのゴルフをしたケースという御質疑でございますが、結論的に言いますと、料金を払わないでいわゆるただゴルフをしたという事実はございません。この川奈ゴルフの件についてはございません。相当の料金を支払っています。  この経緯を申し上げますと、川奈ホテルというのは御承知のとおり内外の要人の来訪が非常に多くて、これらの要人がゴルフをする場合は事前に実地踏査というものをいたしまして、警護実施のときにはその背後をプレーヤーのかっこうをして警護に当たる、こういうふうなケースもあるわけでございます。したがって、そういった事情を知らない人から誤解を受けたのではないかというふうにも思われるのでございます。したがって、この件につきましては静岡県の本部長もはっきりこういう事実はないということを言明いたしております。
  176. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 それと関連して、川奈ホテルが新築した社宅を川奈ホテル巡査派出所兼住居として長期間にわたって使用していたということも新聞で報道されているし、これについて新聞紙では、警察庁警務局長の「おかしい行為改める」という談話が発表されていますが、いかがですか。
  177. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この件につきましても静岡県の議会で質疑がございまして、静岡県の本部長が県議会におきまして、いま御質疑の派出所の件についても答弁をしておるわけでございますが、その経緯を申しますと、川奈ホテルに女子従業員寮というのがございまして、その建物に川奈ホテル警察官派出所という看板を掲げておった、しかし実際は職員住宅であって正規の派出所ではなかった、こういうふうな実態があります。したがって、普通の町で見かける派出所の機能はしておらなかった。この建物というのは、昭和二十九年九月ごろ川奈ホテルがホテル内の別の場所にあった建物を解体いたしまして、移築しましたので、自来警察官が入居して二十年余にわたってずっと居住しておったということでございますが、ことしの六月八日にこの宿舎は明け渡しております。本部長もこの件をことしの四月に気づきまして、早く出ろというふうな指示をいたしまして、そういった処置をとったわけでございますが、そもそもこの建物に警察官が入居したころ、ちょうどそのころ付近の女子寮に盗難が続出いたしまして、痴漢も出没するというふうなことで、防犯上の問題から、ホテルの方から伊東警察署に対しまして、警察官がそういう犯罪予防面、防犯面でひとつぜひ入っていただきたい、こういう要請がありまして、当時は職員の住宅事情が悪かったので署員一名を入居させることにしたということでございます。使用料は無料で、光熱費と修繕補修費は入居者が負担したというふうな実態でございます。
  178. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 この川奈ホテルに関して警察官が処分を受けるということはなかったのですか。
  179. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この件につきましては処分、いわゆる懲戒処分、そういう事犯は私は聞いておりません。
  180. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 兵庫県警事件というのがこの前地方行政委員会でも取り上げられているのですが、姫路署長をしていた藤田という人が収賄罪で逮捕、起訴される、そしてこれでたくさんの関係者が懲戒処分を受けるというようなことがあったようですが、この関係では何名の人が懲戒処分、訓告も含めて処分を受けているのか御説明ください。
  181. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 御質疑の兵庫県のケースでございますけれども、この件につきましては、この事件の当事者であります前の姫路署長の藤田につきましてはことしの六月二十七日に懲戒免職ということになっているのは御承知のとおりでございます。本人の監督者でございます兵庫県の警察本部長につきましては、事件の行われた昭和四十九年四月以降の在任者三名を七月十五日、国家公安委員会の戒告処分、また本部長を補佐しまして規律を振粛する立場にある警務部長につきましては、二名を同じ七月十五日付で国家公安委員会の訓戒処分というふうにいたしております。
  182. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 処分者はもっと多かったのじゃないですか。
  183. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いまのは本部長段階までの、要すれば幹部でございます。いろいろ幹部はほかにもおるわけでございますが、兵庫県としてはその事態の実態を十分調査いたしまして、この前藤田署長と結婚の技露宴に出席したというふうな者を含めまして十四名をそれぞれの事案の内容に応じまして厳正に処分しておるというふうなことでございます。
  184. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 当時、警察官の不正というのがずいぶん新聞をにぎわしました。たとえば「腐りきった尼崎中央署 保険会社から接待」「大阪府警処分 本部長ら三十三人 交通部不祥事交通部ぐるみの“黒い交際”」これはいずれも新聞紙に報道された表題ですが、ことしになってこういう警察内部の不正事件を理由にした懲戒はどのぐらいあったのでしょうか。
  185. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 御質疑の件につきましては、暦年で五十一年、本年になりましてから、いわゆる地方警務官、警視正以上の国家公務員でございますいわゆる地方警務官以上の懲戒処分、これはただいま申しました藤田前署長の懲戒免職を初めといたしまして、監督責任いわゆる幹部としての部下の非行についての監督責任で四名、国家公安委員会のあれで処分を受けておるというふうなことでございまして、地方公務員の各府県の懲戒の数が幾らであるかということについては実は詳細な数字がございませんので御了承願いたいと思います。
  186. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは公安委員会としても警察庁としても、こういう統計は例年とっていないのですか。
  187. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 地方警務官、いわゆる警視正以上の階級にある者につきましては国家公安委員会がそれぞれ処分いたしますので、あるいは長官、そういうあれでしますので、これはわかりますけれども、第一線のいわゆる巡査の果てからそれぞれありますけれども、そういう数字を全体的にいま組織的に集めるということはいたしておりません。
  188. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 法務省の人権擁護局の宮本調査課長に質問します。  法務省では人権侵犯をいろいろ処理しているわけですが、この中で公務員の人権侵犯というのを特別な項目として統計をとられていると思います。最近の数年間、公務員全体の人権侵犯がどのくらいあったのか、その中で警察官の人権侵犯がどのくらいの比重を占めているのか御説明ください。
  189. 宮本説明員(宮本喜光)

    ○宮本説明員 最近の統計で御説明申し上げますが、まず四十八年、これは暦年でございますが、公務員による侵犯事件の全事件の総数が、四十八年に受理したものが四百四十一件、このうち警察官を相手方として事件になりましたものが百四十件、これは四十八年でございます。四十九年が公務員全般としては三百二十一件、警察官が百六件、五十年が全体として三百七十六件、このうち警察官を相手方としたものが百十九件、このような受理状況になっております。
  190. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 昭和五十年を例にとりまして、警察官による人権侵犯というのはどういう具体的な行為が取り上げられていますか。
  191. 宮本説明員(宮本喜光)

    ○宮本説明員 五十年の分については先ほど百十九件というふうに申し上げましたけれども、このうち本省に報告されている事件は特別事件ということで、特に内容が重大だというものだけが報告されております。しかしそれも含めまして全件数で申し上げますと、分類としては逮捕、留置に伴うもの、押収、捜索に伴うもの、自白強要、それから暴行、警職法執行に伴うもの、警備情報活動に伴うもの、民事介入、名誉棄損、職務怠慢その他というような区分けになっておりますけれども、毎年件数的に多いのは暴行を受けたという申告による事件がわりに多いという傾向がございます。
  192. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 以上は申告の件数だろうと思いますが、人権侵犯ありという結論が出て何らかの措置がされたのはどのくらいありますか。
  193. 宮本説明員(宮本喜光)

    ○宮本説明員 五十年で申し上げますと、事実関係が申告者の言うとおり認められるというふうに認定され、説示ということで警察の方に注意を喚起したというのが六件ございます。そのほかは、損害賠償を請求したいというような意向が多い場合には、民事で訴えるようにということで援助という処置をします。この場合には必ずしも事実関係をこちらの調査によって把握したというわけではございませんけれども、処理の区分としてはそういうことがございます。それが三十二件。それから申告者が申し立てた事実が全然認められない、あるいはどうもおかしいというものが非該当あるいは侵犯事実不明確ということになりますが、これが五十八件。  これが主な処理区分でございます。
  194. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 法務省はもう結構です。  そこで午前中の質疑の続きに入るわけですが、林委員から徳島県警の問題が論議されたんですが、同じような事件が愛媛県警で起こっております。ことしの五月二十五日、愛媛県警本部の公安の松浦という刑事が高等学校の先生にスパイ工作をした、現金十五万円を渡して情報提供を求めた、こういうことがあって、当委員会でもいろいろ論議されました。この問題を調査するために六月九日、共産党の衆議院議員である青柳盛雄さん、参議院議員である立木洋さんの二名が現地に赴いたわけです。そして事前に共産党の愛媛県委員会が県警に対して、二人の国会議員が訪ねてくるから会うようにという申し入れをしておきました。二人の国会議員が現地に行きまして、青柳議員から電話で県警本部長に面会を申し入れた。ところが、電話に出たのは県警本部の総務課ですが、お会いすることはできませんという回答がされています。そこで青柳議員は本部長に電話を取り次いでもらいたい、こうして依頼したわけですが、すぐに取り次げませんから、改めて向こうから電話してくれるようにというふうに申し入れた。それでもなかなか電話が来ないから、さらに青柳議員が電話での話を申し込んだ。ところが、県警本部長の方からは電話に出る必要はないという答えが返ってきた。結局、二人の国会議員が事件調査のために愛媛県まで赴いたのに県警本部長に会うこともできない、電話で話し合うこともできない、こういう状況になっています。しかもこの場合、青柳議員としては警察庁を通じて交渉すれば会えるのではなかろうかというので、林百郎議員から警察庁に電話していただく、参議院の地方行政委員をしている神谷議員が警察庁に赴く、そして青柳、立木両議員が県警本部長に会えるようにという折衝を警察庁に要求したけれども、ついに会えないうまま。こういうことがあったはずですが、いまの事実経過に誤りがありましょうか。
  195. 三井政府委員(三井脩)

    ○三井政府委員 細部は別といたしまして大筋はそういうことでございます。
  196. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 二人の国会議員が調査に行ったのは、いまも指摘しましたように、県警本部の公安の警察官が現職の学校の先生にスパイを強要したという事件です。これが地元では非常に大きな問題になりまして、たとえばローカル紙ですが四つの投書が発表されております。一つは「先生の勇気に感心 スパイ依頼事件 県警のやり方は汚い」、こういう表題で「国民に模範を示すべき警察が、国民の税金をそのようなスパイ料に使用することは果たして妥当なものであろうか。疑問に思う。」こういう内容です。もう一つは「まさに居直り 警察法にも違反した県警」、もう一つは「公費ムダ遣いや政治色 納得いく説明を」、次は「治安維持法が復活したよう」、これはローカル紙に発表された投書の見出しです。これが地元でどのくらい大きな問題になり、警察のあり方に対する不信感の源になったかということは、これでも明らかです。  こういう問題で二人の国会議員が実態を調査するために現地に赴く。そして県警本部長に会おうとしたところが、会わない、電話にも出ない、これはどう考えても警察のやり方が正しいものとは思われません。なぜ、この場合に会わなかったのか。私はここでスパイ論議をしようとは思いません。なぜ二人の国会議員に警察側が会わなかったのか、その理由を説明してください。
  197. 三井政府委員(三井脩)

    ○三井政府委員 本件につきましては、その前に御本人を含めて大ぜいの方が見えて、事情は説明してございますし、また県会でもいろいろ質問がございまして、本部長としては十分説明をいたしました。そのことは当時新聞にも報道されておるわけでございます。そういう意味で、そういう状況の中でさらに改めて、いまお挙げになりました両国会議員の先生にお会いすることは必ずしも適当な状況ではなかろう、こういう判断であったと聞いております。
  198. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 国家公安委員長質問します。  確かに警察はいろいろ事情を説明したと思います。しかし、実態を調べたいというので二人の国会議員が現地に赴いた。こういう場合に国会議員が、スパイを強要された側からもいろいろ事情を聞く、スパイを強要した側からも事情を聞く、そして客観的な事実を把握する、これは当然のことでしょう。午前中に私が言いましたように、行政のあり方に対してコントロールするという国会議員の職責から見ても、これに協力するのが行政側としては当然だと思うのです。本部長が何か議会開会中で出れないというような事情なら別ですが、幾ら話しても意見は一致しないだろうというような立場で会わなかったとすれば、これは失礼に当たるというだけではなくして、国会議員の職務行為に対する許しがたい妨害行為だと言わざるを得ません。  国家公安委員長も議員としてさまざまこういう経験をされたと思いますが、いま率直に考えて妥当な措置と思われますか。あるいはこういうやり方を公安委員長としては今後是認されますか。第一線の警察官がやったことが間違いだとはなかなか言いにくいかもしれませんが、これだけ極端な事実ですから、私は、率直にここで県警本部長の態度を批判するという見識があってしかるべきだと思います。いかがでしょう。
  199. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則は午前中に申し上げたとおりでございますが、本件に関しましては具体的な話を聞いておりませんが、県警本部長の見識、考え方並びにその間の事情等によりましてそういうことになったのだろうと思います。
  200. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 そういう場合、県警本部長の措置が正しいのか正しくないのか、これは警察庁なり国家公安委員会で検討して、正しくなければ改めるように指導するのが本来の職責じゃないですか。
  201. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いま仰せの、人に会う会わないというふうな問題、これはいろいろその前提としての状況があろうかと思います。したがって、林議員の御質疑にもお答えしたわけでございますけれども、警察庁としていろいろの抗議あるいは申し入れ、そういったものの面会をどうするか、会うのかどうかというふうなことについて、とやかく会えとか会うべきじゃないとか、そういうあれは、やはりそれぞれの都道府県警察本部長の良識、見識というものに任せるべきものであろう、こういう判断でございます。
  202. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 昭和五十一年六月二日、全国警察本部長会議における警察庁長官訓示というのがあります。これを見ると、まさに私が問題にしているようなことを県警本部長に対して話しているんですよ。たとえば、「警察運営地方実情に即応し、かつ、国民の要望にこたえて適正に行われるよう」にすべきである。さらに、「国民の要望に即した警察運営を期していくことが肝要であります。」こういう具体的な問題について、警察庁長官として県警本部長に訓示をたれているわけですね。こういう立場から見れば、明らかに正しくないというようなことが行われているとすれば、現地任せだというのではなくして、積極的に改めるように指導する、これが当然じゃないですか。こういうことまで現地任せで警察庁はくちばしを出せないんですか。
  203. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 先ほど申しましたように、人に会う会わぬ、こういう問題につきまして警察庁として、その個別的なあれで言うようなことは範囲ではない、こういうふうに判断いたしております。
  204. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 官房長に重ねて聞きますが、林議員に会わなかったこと、青柳、立木両議員に会わなかったこと、これは三人が共産党の国会議員だからですか。
  205. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 それは、午前中来大臣も御答弁されておるとおりでございます。共産党なるがゆえに会わぬということじゃなくて、そのケースに応じた本部長の見識によって行われておるというふうに判断いたします。
  206. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私の手元に毎日新聞と西日本新聞と地元のローカル紙、三つあります。公安委員長、ちょっと見てください。  毎日新聞を読んでみます。九月二十一日浜辺県警総務室長の談話、「極右、極左、暴力団、共産党など」が、「抗議のため警察庁舎内に入ることは一切認めない。警官の制止を振り切って入った場合は公務執行妨害罪か住居侵入で検挙する」こう書かれています。西日本新聞「一般市民の抗議ならいくらでも受ける。しかし極右、極左、暴力団、日本共産党は」「抗議のためでも庁舎内に入れることはできない」そしてこれが徳島県警の正式見解の発表だと説明されています。そういう記事があるのはお認めになりますか。大臣いかがですか。
  207. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 記事にはいろいろなことが書いてあることは、リコピーにちゃんとあります。
  208. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは徳島県警の公式見解だとされていますが、徳島県警はこういう見解を本当に持っているんですか。
  209. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この新聞で共産党員は入るなとか、あるいは共産党は庁舎立入禁止、こういう方針を徳島県警がとっているということは、わが方としても全然関知しません。聞いておりません。
  210. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは国家公安委員会なり警察庁の方針でもないと聞いていいですか。
  211. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 警察庁としてこういう一つの方針といいましょうか、こういうあれはとっておりません。
  212. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 国家公安委員長はいかがですか。
  213. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 警察庁の申したとおりでございます。
  214. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 そうすると、徳島県警はそういう談話を発表はしていないことになりますか。一つローカル紙を読み上げませんでしたが、同じことが書かれております。そういう見解を発表していないのに、そういう新聞記事が一斉に出たということになりますか。
  215. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この記事がどういう経緯か、取材態様その他私もあずかり知りませんけれども、少なくともこの記事と同じようなことを本部長なりあるいは県警の幹部が言っているということは、私たちは関知しておりませんし、またそういうあれはない、こう思います。
  216. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 大臣質問します。国家公安委員長として。この新聞報道で共通していることは、日本共産党を極右、極左、暴力団と同列視しているということです。そして一般市民の抗議なら受けつけるけれども、暴力団や共産党の抗議は受けつけない、庁舎内に入ったら公務執行妨害だ、住居侵入だ、こうまで言っているんですよ。共産党を公然と誹謗しているわけですね。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 もし県警本部がこういう見解をとっていない、こういう談話を発表していないとすれば、日本共産党の名誉回復のためにもしかるべき措置を県警本部としてとるべきだ、警察庁としてとらすべきだ、共産党としては当然名誉回復のためにそれだけのことを要求する権利がある、こう思うのですが、国家公安委員長いかがですか。言ってもいないことがこんなに一斉に報道されたとすれば、取り消す措置をとってください。
  217. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 事実関係はよくわかりませんが、警察当局の御答弁したとおりだと思います。
  218. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これはきわめて政治的な判断を要する問題ですから、国家公安委員長の公式な見解を聞きます。  あなたが指揮監督すべき県警本部でこういうことを行った、もし行ってもいないのにこういう報道が一斉にされたとすれば、やはり何らかの形で共産党に対する名誉回復措置をとるのが当然じゃないですか。あなたも長い間国会議員をしているから、公党に対する侮辱がどのくらい重要な問題だということはおわかりでしょう。
  219. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 国家公安委員長としては、たしか警察庁長官を指揮する権限があるだけでありまして、地方の本部長まで指揮する権限はないと思います。事実は、先ほど官房長の申したとおりだろうと思います。
  220. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 そんな形式論議、逃げ口上で世の中が通用しますか。警察庁を指揮することはできるけれども県警本部を指揮することはできません、それで通用しますか。そうしたら、警察庁としてはどういう措置をとりますか。
  221. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 この記事の出た三枚のあれでございますが。こういう表題で共産党なるがゆえにという限定的なあれは、先ほど来申しておりまするように、警察庁はもとより徳島県警としてもそういう見解はない。どういうあれですか、いろいろ人間のそれぞれの取材あるいは事実の報道というのは、大きな枠組みの中でいろいろなあれで取材ということはあり得るかと思いますけれども、少なくともこの記事にあるような方針はとっておらないということばひとつはっきり私は明言できます。さらにまた県警としての公式態度いかんということであれば、これは議会で本部長も答弁しております。この議会での答弁がやはり本部長としての、県警としての正規の見解ではないか、こう見てよろしかろうと思います。
  222. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 公然と名誉を傷つけられた共産党に対してどういう措置をとるつもりですか。暴力団と同列に扱われる、極右、極左団体と同じように取り扱われる、一般市民なら入れるけれども共産党は入れない、こんなことを全国に報道された共産党に対してどういう措置をとるのですか。  私は一つ提案します。県警の記者クラブに対して県警本部長が、この記事は間違いである、少なくとも日本共産党に対してこういう方針はとっていないし、こういうことは言った覚えがないから訂正してもらいたい、こういう申し入れをしてください、――答えてください。
  223. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いまおっしゃった具体的なあれは、先ほど来言っておりますように、このビラ張り事件をめぐる午前中来のいろいろの御質疑に対する答弁でも言っておりますように、軽犯罪法第一条三十三号違反容疑事件として四名の方を検挙し、それに関連していろいろの動きがあったことはいままでるる申し上げたわけでございますが、その抗議の形態、その過程におけるいろいろの説明、さらにまた県会における本部長の答弁、こういったものを通じて抗議される方もその内容は十分御承知のはずでございますし、さらにまた先ほど申しましたように県会ではっきり申し述べている。でございますので、やはり本部長の見識でこれは処理するというのがしかるべきだと思います。
  224. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 問題をそらさないでください。私は四名の問題のことを話しているのではありません。いまの論議は林百郎氏のことでもないのです。日本共産党のことなんです。日本共産党を暴力団と同列に扱うような記事が出た。これに対して善処方を要求するのは日本共産党の国会議員として当然でしょう。またその原因をつくった警察が是正措置をとるのも当然でしょう。私が、県警本部長が記者クラブに対して訂正の申し入れをしてくれと要求するのが無理でしょうか。これは国家公安委員長でも判断できると思います。ぜひ共産党に対していま私が指摘したような形で名誉回復措置をとっていただくように要求します。公安委員長、いかがですか。
  225. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 警察当局の御答弁したとおりだろうと思います。
  226. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 国家公安委員というのは警察庁をもっと指揮監督する立場にあるんじゃないですか。何でもかんでも同じだったら公安委員会なんか要りませんよ。私の要求は無理だと思いますか。私は日本共産党が公然と名誉を傷つけられた、これを回復してくれと言っているのです。あなたは県議会で云々と言うけれども、県議会の報道が全国民に知らされますか。私が要求しているのは最小限の、県警本部が訂正の申し入れをせよ、是正の措置を講ぜよということですが、どうですか。なぜこれができないのですか。
  227. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 先ほど来申しておりますように、県会の場におきましても県警の本部長は、共産党なるがゆえに入るなとか、そういうことは言っておらない、どんな団体であれどんな勢力であれ、いわゆるいわれなき抗議、こういったものに対して会えない場合はあるのだ、そういうことで言っているわけでございまして、それがそういう記事で共産党だけに限定したこういう記事になっておるいきさつ、そういったものについてはそれぞれあずかり知らぬわけでありますけれども、本部長としてあくまで正規にそういうことは言っておらないというふうに私は聞いております。
  228. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 言っていないことを言っているように書かれているから訂正を申し入れてくれと言っているわけです。要求が無理ですか。答えてください。――言っているか言っていないか私は知りませんが、言っていないことが書かれているんだったら訂正するように申し入れてくれという要求が無理でしょうか。そうしてください。あたりまえじゃないですか、これは。
  229. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 いずれにしましても、徳島県警としての正式見解ではない。正式見解でないものが出ているものについて、県会の場と違ったニュアンスで出ておる、それがわが徳島県警の方の責任であり、その責任においての訂正というのはいかがでございましょう。
  230. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 一斉に報道されたわけですよ。つい本音が出ているわけですよ。あなたが幾ら発表ではないと言っても私は信用しません。  これ以上押し問答はやめますが、国家公安委員長にもう一遍聞きます。  こういう面会申し入れの場合に日本共産党の議員だからといって差別することはいけない、これは認められました。ただ、原則としていけないのだという注釈がつきました。原則としてというような言葉はこの場合絶対に使ってはいけないはずです。たとえば私が自治省でいろいろ折衝する、あなたは共産党の議員だからお話ししませんというようなことは、原則として認められないのではなくして、絶対に認められないはずなんです。その点少なくともこの問題については、原則として差別してはいけないではなくて、絶対に差別してはいけないと言うべきだと思いますが、公安委員長どうですか。
  231. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 原則としていろいろ国会議員の方々の調査その他について御協力をすることは言うまでもないことでございますが、しかしながらそれだからといって絶対にということはあり得ないわけでございまして、それぞれいまの問題になっております本部長の見解、見識、考え方、その間の事情等によってお目にかかれない場合もありますし、また公務員の場合におきましてもそれぞれの事情にあってお目にかかれない場合もこれは当然出てくることがあろうかと思います。原則としては先ほどから申し上げているとおりでございます。
  232. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは国家公安委員長の憲法感覚がテストされる問題ですから冷静に聞いてください。私は具体的な問題を言っているのではありません。一般的な話です。  共産党の国会議員が行政機関にいろいろ調査のために赴く。その場合、共産党の国会議員だから他党の国会議員と差別するということは、原則として認められないのではなくして絶対に認められないのじゃないですか。共産党の国会議員だから行政機関が話すとか話さないとかいうことで差別扱いすることがあり得ますか。絶対にそういうことは許されないじゃないですか。
  233. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 共産党だから差別をという意味合いで申し上げたわけではございません。
  234. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 共産党だから差別するということは日本国憲法のもとでは絶対に許されないというふうに聞いていいですか。あたりまえでしょう、それは。
  235. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 共産党だから差別をするということはよくないことでございまして、国会議員としていろいろ調査活動をすることにつきましては、原則として各行政官庁御協力を申し上げるということは平等であるということを申し上げているわけでございます。
  236. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 原則としてという日本語には例外があるということを含むわけですよ。共産党だから行政機関が差別していいという例外が許されますか。許されないでしょう。許されない以上、絶対にそれはいけないことだ、こうなるのはあたりまえじゃないですか。日本語の常識です。
  237. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほどから同じことを申し上げているわけでございまして、ちっとも狂いはございません。
  238. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私の質問を肯定されたわけですか。絶対に許されないと答えられますか。――それは人と相談する問題じゃないでしょう。
  239. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 何も相談しません。先ほどから申し上げているとおりでございます。別に区別をすることはいけないということを申し上げているわけでございまして、それを何遍も諫山議員が同じことを御質問されるので、当方はかえって迷惑をしているような次第でございます。
  240. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 それは原則としていけないのですか、絶対にいけないのですか、どちらですか。
  241. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほどから申し上げるとおりでございます。
  242. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 どちらですか。原則としていけないのですか、絶対にいけないのですか。事共産党に関する問題ですから、私はあいまいのままでは済ましません。
  243. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 共産党だから区別をするということは、いけないということは、何遍も申し上げているとおりでございます。
  244. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 重ねて聞きますが、原則としていけないという言い方は訂正して、いけないというふうに変えますか。
  245. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございます。
  246. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 もうそれ以上押し問答はしません。  私ははしなくも国家公安委員長の憲法感覚に触れたわけですが、公安委員というのは、警察に対して本来は非常に強力な指導監督の権限を持っておるはずですから、この人たちが民主的な憲法感覚を備えているかどうかというのはきわめて重大なことです。国家公安委員長の憲法感覚は大体わかりました。  ところで、私の選挙区である福岡県公安委員の職業と経歴を調べてみたのですが、五名、阿部功一、九州電気工事会長、柴山武雄、黒崎窯業副社長、大野一臣、大栄興建社長、田中丸善輔、福岡玉屋デパート会長、執行種治、執行商事社長、みんな福岡県ではそうそうたる財界人です。五名ともそうなんです。千葉県公安委員を調べてみると、村岡信一、村岡ゴム工業代表取締役会長、鳥井利夫、津田沼倉庫取締役社長、伊藤定清、千葉相互銀行相談役、以上三名です。まさにこれはまるぐるみ財界代表です。都道府県の公安委員というのは大体こういう構成になっているのですか。国家公安委員長、御存じですか。
  247. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 いろいろ種々雑多だと思います。
  248. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 これは官房長の方が御存じでしょうが、初めのころは労働者代表、労働組合代表という人が国家公安委員会の中にも入った、都道府県公安委員の中にもいました。いまそういう人はおりますか、おったら教えていただきたいと思います。革新自治体は例外かもしれませんが、そうでないところで労働組合代表、労働者代表あるいは革新勢力代表というような人が都道府県の公安委員の中に入っておりますか。
  249. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 御質疑の革新代表かどうかということでございますが、いま福岡と一部県の委員さんの職業をお述べになりましたけれども、仰せのとおり全国五名から三名の委員さんがおりまして、職業もまことに雑多いろいろでございます。また委員の任命につきましては、もう言うまでもないことでございますけれども、都道府県知事が都道府県議会の同意を得て任命するわけでございまして、そういう民主的な手続を経て選出されるわけでございます。したがって、革新であるとか保守であるとか、別に私たちもそういうあれで見ておりませんで、県民の代表として警察の民主的管理をするものがそれぞれの都道府県公安委員会の性格である、こういうふうに理解いたしております。
  250. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 だれが労働者の代表であるかということは常識の問題です。かつて労働組合の役員が公安委員の中に入っておりました。そういう人はいまおりますか。
  251. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 諫山議員仰せのあれは、現行警察制度になってから、二十九年時代金正先生が国家公安委員におられた経緯がございます。そういう点を指しておられるのだろうと思いますが、とにかく私としては全国的に労組代表がどうだ、そういう区分けで公安委員さん方を見ておりませんので、ちょっと記憶にございません。いま申し上げることができかねます。
  252. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 私は午前中来幾つかの問題を取り上げながら、日本共産党の国会議員、日本共産党の地方議員に対して不当な差別扱いをすべきではないということを強調したわけですが、この点は国家公安委員長からは大体差別するのはよくないのだ、原則としてよくないのではなくて、よくないのだという答弁になったと思います。警察庁としてもこの点は同様ですか。
  253. 鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)

    鈴木(貞)政府委員 大臣の答弁したとおり私も理解いたします。
  254. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 大体警察庁全体の方針は示されましたが、警備局長はどうですか。同じような見解ですか。
  255. 三井政府委員(三井脩)

    ○三井政府委員 大臣並びに官房長がすでに答えております。そのとおりであります。
  256. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 刑事局長はどうですか。
  257. 土金政府委員(土金賢三)

    土金政府委員 同様でございます。
  258. 諫山委員(諫山博)

    諫山委員 原則は非常にきれいに出たわけですが、ただ実際はそう行われていないわけですよ。徳島県警の問題、愛媛県警の問題、さらにきょうは触れませんでしたが、長野県警でも同じような問題が起こっております。今後こういう問題は絶対に起こらないようにするということを要望しまして、私の質問を終わります。
  259. 小山委員長(小山省二)

  260. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 まず、新大臣おめでとうございます。敬意を表します。  高度経済成長政策から低経済成長政策へ移行しつつあるところの日本経済の激動期の中で、地方行財政が非常に行き詰まっているし、またいろいろな面で前大臣からお引き継ぎもあったと思うし、またいろいろな面でお勉強をもうなさっておられるし、大臣個人のお人柄や識見、地方自治のいろいろな面で非常にお詳しいことも、私どもも先輩として聞いております。しかし大臣という大きな立場に立って物を発言するときには、個人の知識とかそういうことをさらに踏まえた上で、大きな責任というものがかぶさってくるので非常に発言が御慎重であり、検討中とかまた非常に無難な答弁を再三重ねておられますことも、それは一つの見識であると言っておりますので、私はそれがいかぬとは言っておりません。いかぬとは言っておりませんが、質問も三番手、四番手になってまいりますと、同じ質問が重複してまた検討では、これでは、議事録を後で読んだときに、国民はいささかさびしい、残念な思いをいたします。でありますので、お答えでき得る範囲、わずかな短い期間の中で、すべて何でもかんでもマスターしてこれをやれというような無理難題なことを申しているのではございませんので、細かい問題は首藤さんとかその他のベテランがたくさん控えておられますから、年じゅう昔から聞いております御答弁で私どもとしては納得いたしますが、でき得る限りひとつ大臣のフレッシュな御答弁をお聞きしたい、こう思って質問いたします。よろしいでしょうか。  五十二年度明年度の重点施策について、前の福田大臣のときにもうこの重点施策というものは打ち出されております。大体、この五十二年度の重点施策を自治省が発表する段階というものは、七月あたりからそういった問題を検討し、予算の内示またはそういった大蔵省と交渉する段階において、明年度自治省としてはこういった重点施策と取り組んでいくのだ、その面について予算の裏づけはこうである、こういった政策面の一つのパターンが繰り返されると思います。  そこで、五十二年度の重点施策というものは、地方財政とかいろいろな面で、本だとかこういうものにも十月号に載っておりますから、私どももよく承知しておりますし、もう大臣もお読みになっておられると思いますし、官房長やその他からお聞きになっておられると思いますから、その一つ一つをお聞きするわけではございません。お聞きしたいことは、五十二年度の重点施策を大臣がお読みになって、あなたのお考えが全くこのとおりなのか、少なくとも福田大臣とはまた違った面で、一つとか二つとか三つとか、何かここに新しい大臣として明年度の重点施策というものを修正盛り込むのか、この点をまずお尋ねいたします。
  261. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 来年度の重点政策を拝見をいたしましたけれども、妥当な適切な政策でございます。私は、来年度地方財政の困難さを考えまして、この地方財源の充実に向かって進んでいくということが最重点項目ではないかというふうに考えております。
  262. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 大臣地方財政だけでなく、施策でございますから、いろいろなことが盛り込んでありますね、重点施策でございますので。そうすると、全く福田大臣のお考えと天野大臣のお考えは、何から何まで同じだとは私は考えられませんし、同じであれば、これは当然福田大臣がおやりになっていてもいいわけですが、福田大臣とはまた違ったニュアンスを、またお考えを天野大臣のときに示すのが、私は為政者としての一つの責任であり、またその考え方が全然大幅に違っていることを言えということを要求しているわけではございませんが、われわれ野党としては、この重点施策が一体どのように実行されるかということの懸念があるわけです。また、私たちの要求が盛り込まれていないものもあるわけです。そういったものと大臣のお考えが合致するかどうかということをこの際改めて確認しておきたい。  その中で一つでも二つでも、大臣の、この点においてはおれはこういう考えがあるのだ、この考えの中にさらにこういう上積みをしたいのだ、またこういう面についてはこういうふうに修正したいのだ、こういうお考えがないと、これは全くのオウムの繰り返し、失礼な言葉で恐縮でございますが、オウム返しという言葉のとおりになってしまうので、私たちとしましては非常にさびしい思いをしますので、ベテランであり、地方財政のお力を持っておられる新大臣としましての御抱負なり経綸なりをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  263. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 来年度の予算につきましては、概算要求をいたした段階でありますし、また目前に予算折衝というものを控えている段階でございます。当面そういう時期でございますので、当省の要求した予算に盛り込まれた政策を実行できるようにやっていくというのが私の一つの使命だろうと思っております。  あとの問題につきましては、この財源の充実を第一の問題といたしまして進んでいく、そういうつもりでございます。
  264. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 どうも私も余り納得できないのだけれども、期間が非常に短いので……。  首藤さん、あなたは大臣を補佐する立場として、また女房役としていろいろな御意見なりを大臣にしなければならぬ立場でございましょう。そういう面で、大臣からいろいろと内示などがあったと思いますが、この席で発表でき得ないものもあるでしょうけれども、いま大臣は、前大臣の定められたレールの上を正確に走って、滞りなくその決められた重点施策を彼岸に到達させるためにおれは橋渡しをするのだ、非常に謙虚な言葉です。これはまことにそのとおりだと思いますが、少なくとも地方行財政の当該専門委員会においては、新しい大臣が出られたのですから、あなた方としてはどういうことを大臣に御提言したいのか、また大臣がいまお答えでき得ない問題もあると思いますが、新しい大臣にどういうことをアドバイスしたいのか、逆に裏側からあなたのお考えをお聞きしたい。
  265. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 明年度の私どものいままで考えておりましたこと、ぜひやりたいこと、これは先生お読み取りいただきましたとおりの施策重点方針に盛り込んでおるのでございます。生活環境の整備だとかあるいは安全の確保だとか、いろいろ地方行政施策があると思います。こういう点を大臣にも申し上げましていろいろ御指示を賜っておるわけでありますが、大臣がおっしゃいますのには、もちろんそういったことが一番大事なことではあるけれども、この事態で考えてみると、何にも増して明年度地方財政全般が苦しいだろう、国全部も金が足りませんし地方も足りない、この足りない金を何としてでも埋めて、そうして地方団体が所期の目的を達し得るようにするのが一番大事ではないか、このように大臣から私どもに御下命があったわけでございます。その意味のことを大臣はおっしゃっていると思うわけでありまして、私どもも、何にも増して地方財源の確保ということに向かって邁進をせなければならぬ、こういう覚悟でおるわけでございます。
  266. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 大臣は東京都の御出身でございますね。大都市の問題、いろいろな問題の中で、最近、ちょっと名前は失念いたしましたけれども、ある地震の大学者が、駿河湾、関東に大きな直下地震が来るであろうというショッキングないろいろな問題を提起していることは御存じだと思います。  そこで、江東の防災街区または東京の市街地の再開発、都市計画、防災街区の整備、それからいま申し上げましたような救難、人命尊重、そういった大きな地震問題に、いままでとは違った面で学者が指摘している。これは、昭和五十二年の重点政策の中に、確かに東京消防庁のあれをいただきましたが、その中にも災害対策の問題が組み込まれておりますが、これは全く在来の積み上げの中の御意見でございまして、本当にここにマグニチュード八以上の大地震がもう目前に迫っているやに、人々の心にショッキングな影響を与えるような専門学者の意見が出てきた今日、やはり大臣としては、東京都出身の代議士として、また大臣として、否日本の地方行財政の全責任をつかさどる立場として、十七号台風、また東北、北海道の冷害対策、こういった問題にも及ぶときに、災害とか、天災、人災を問わず、大きな害が来たときの取り組む姿勢というものが当然五十二年度重点施策の中に盛り込まれ、それに予算化が伴った大臣の経綸抱負というものを述べられるのかと私は期待しておったのでございますが、いまのところそれをお聞きできませんけれども、この対地震対策の問題はどのようにお考えになっておられますか。
  267. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 地震対策は非常に重要な問題でございまして、これは私の個人的な考え方でございますが、従来東京都のとっておりました地震防災対策に対しましては非常な疑問を持っている一員でございます。と申しますのは、災害が起こった、火事が出た、火が燃える、裸一貫で防災拠点に逃げてきたら助かりますよ、こういう発想でございます。ところが、そういう発想の都市は世界でも珍しいだろうと思います。地震があっても火事の出ない町をつくっていくことが第一でありますし、また地震があってもつぶれないような家をつくっていくことが大切なことではないかと私は考えているわけであります。したがって、この防災問題につきましては、これから従来の官庁の方々の考え方を変えていくように今後努力するスタートを切りたい、かように私は思っております。  たとえば戦争中東京は空襲を受けて燃えましたけれども、ロンドンは空襲を受けても燃えませんでした。それからユーゴのスコピエでは、地震がありましてもいろいろな建物が崩壊をしたり何かしましたけれども火事は起こっておりません。ですから、不燃住宅のところで大地震が起きましても、建物は崩壊しても火事は起こらない。いま地震が起きて一番こわいのは何かというと火事が起こる場合だ、こういう想定でいろいろやられているわけでございます。したがいまして、時間はかかるかもしれないけれども、都市の不燃化、火災と崩壊に対処できるような町づくりということに進んでいく方が常道だろうと私は基本的に考えております。
  268. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 そこで大臣、そういった地震の問題も具体的にもっと詰めなくちゃいけませんが、きょうは災害対策特別委員会じゃありませんから、一つ一つの問題を積み上げてまいれません。大臣も経綸抱負を新聞、マスコミ等に語られておる中で、東北、北海道の冷害、十七号台風、こういった救援対策については、具体的には地方公共団体財政を救うためにも一千五百億の予備金は――結局予備費というものは何に使うかという目的がはっきりしていないわけですね。ところが、今回の場合の一千五百億は公共事業費に繰り込んで、少なくとも景気を刺激するためのお金である。しかし、これはもうさっき議論になりましたが、今回の台風や災害にその金を使うのだ、当然その目的が、方向が違ってきたわけですから補正予算を組むべきであるというわれわれの考え方とうらはらに、一千五百億の景気振興の目的のために予備金としてとっていた金を災害の方に振り向けていくことは、ある面においては不況対策の方に穴があく。こういった面で、補正予算を組む組まないは、私はいまここでは議論をしたくありませんが、各県や市町村地方税の減収、災害対策などの財政需要の増大によるところの財政難にどのように具体的に大臣としては指示をなされるのか。大きく予算委員会や本会議で取り上げられた財政一般的な問題以外に、天野大臣としての談話の中に具体的な問題はお述べになっておられませんでしたが、この問題については検討するという意味のことを申しておられたことを私は自治日報か何かで見ておりますので、ちょっと具体的にお願いいたします。
  269. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 災害、冷害対策につきましては政府全般として万全の措置をとり、そして災害を受けられた方々に対しても、個人災害についてもできるだけの措置をとるという方向で進んでいるわけでございます。当方といたしましては、交付税の繰り上げあるいは特交の繰り上げ、そういう方途を講じ、現行制度で許されている範囲内の措置をできるだけ速やかに、的確に実行するようにということを事務当局にお話をし、一部それが実行されているところもあるような次第でございますので、万全を期してまいります。
  270. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 そこで、自主財源の問題について、これは首藤さん、不均一課税についてはいつもここで東京都が問題になりますね。いつも東京が先走るのですが、天野先生は東京御出身でいらっしゃいますから、皮肉で申し上げているのではございませんよ。でありますが、東京都は革新美濃部都政としていつも斬新な自主財源の方向を打ち出してきている。今回、企業の固定資産税について、住宅とかそういうところは抜いて、お仕事をする事業所の土地並びに建物の固定資産税については一・七%ですか、最上限まで持っていけるという法の許される範囲まで不均一課税として取ろう。しかし、これは中小零細企業も同一にしたのではいろいろと問題があるという議論もあるのですが、東京都がいつも先走る――先走るという言葉はちょっと私としては言いたくないのですが、いまいみじくも大臣が申された防災だとか大都市問題だとか、東京都のいろいろ必要な財源の捻出方法として、これらの不均一課税という問題を好ましいものと思われているのかどうか。しかもこれは法的には許されている範囲のことをやるのですが、福田前大臣及び前の財政局長の松浦さんあたりはいつも厳しい御批判をされていたわけですが、新大臣としてどういう体制になったのか。これは先に首藤さんからお話を承って、大臣としてのお考えをお聞きしたい。大臣でよろしければ大臣で結構です。
  271. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほども申し上げたのですが、税というのは公平であり、均一であり、そして安い方がいいのです。高く取るのをいばるというのは少し感覚がおかしいのではないかと思います。
  272. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 そういたしますと、東京都のが具体的に出ると、首藤さん、これは却下するのですか。検討の余地がある……。
  273. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 昨日の夕刊に出たばかりでございますので、東京都の具体的な案については私どもそれほど詳細に承知いたしておりません。ただ、新聞紙上で伝えられておりますように、超過課税を行う場合に、事業用資産についてのみ超過課税を行い、非事業用資産については超過課税を行わない、あるいは実質的に超過課税にならないような措置を講ずるという形での不均一の課税を行う、あるいはまた、同じような事業用資産であっても、中小企業とそうでない企業とで差をつけるという税率の不均等というのは、私どもはさらに具体的に内容を吟味しなければなりませんけれども、一般的に申しまして地方税法は固定資産税の税率の設定について予定していないと考えております。比例税率で決めておる税でありますし、そういう形の不均一課税というのは、一般論として申しますと法律は予定していないことでございますので、私どもの指導といたしましては、これはやはり差し控えていただくことが筋ではなかろうか。単に税制の理論だけでございませんで、現実の問題といたしまして固定資産の所有形態というのは毎年毎年変わる可能性があるわけでございます。法人が持っておるか、中小企業が持っておるかということを固定資産課税台帳できちんと整えておるわけではありませんから、もしそれを完全にトレースしていくということになりますと大変な税務職員が必要になるわけであります。一体そんなことが税務行政の運営上可能であるかどうか、私は非常に疑問を持っております。  なお、具体的に、東京都がどんな案をお持ちなのか、もう少し様子を見まして適切な指導を実施してまいりたいと考えております。
  274. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 もう一つ、具体的な例で、福井県の原子力発電に伴う法定外普通税の問題で森岡さんにお伺いしますが、核エネルギーについては当然国策として広げていかなければなりませんね。いまのような石油エネルギーではもう底をつくことは明らかです。だけれども、安全という問題についてはまだまだ不明確です。そのために、原子力船「むつ」については廃船にしろという問題や、これが即軍事力に結びつくというようなイデオロギー的な発想もある。私はそうは見てないのですけれども、いろいろとそういった御意見もあります。そこで、そういったまだ不安定な要素の多い原子力の核燃料の問題で、たとえば福井県あたりに原子力発電というものが許されて、こういう原子力発電所なんかを設置しようとすると、大方地元住民の反対がある。そういう中において、とにもかくにもおやりになってくださっておりますから、核燃料税、こういうものを法定外普通税として認めて――これも税からいったら余り取ることは好ましくないけれども、一つの目的税として何らかの形で取り、さらにそれを地方公共団体の自主財源の柱にしたいという当該公共団体の願いも無視はできないと思いますが、御意見はいかがでございますか。
  275. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 これは御承知のとおりでございますが、法定外普通税につきましては、まず税源があり、かつ必要な財政需要があります場合には、三つの条件に該当しない限りは許可しなければならない。地方公共団体の自主的な税制運用を認めておるわけでございます。三つの条件の一つは、国税、地方税と課税標準を同じくして著しく負担の過重になるようなものはいけません。それから第二に、物の流通を阻害するものはいけません。それから第三に経済政策に背馳するものはいけません。こうなっておるわけでございますが、核燃料税はその排除条件に該当いたさないと私は考えております。ことに、いまお話のありましたように、いろいろな議論はあるにいたしましても、原子力発電というものが国の今後のエネルギー政策上重要な問題になりつつあることはこれは否定すべくもないわけでございます。それが立地いたしますれば当然安全問題、公害問題という形での地元地方公共団体のいろいろな経費が増大してきておる。同時にまたその地域の人たちのいろいろな関係施設を整えてあげませんと、その電気は全部大都会で消費されるわけですから、地元の人たちはとうてい理解をしていただけない、こんなような実態的な背景もございますので、先般福井県から事前協議がございましたときに、自治省といたしましては内定通知を出しております。その後県議会で正式に議決がなされまして正式申請が出てまいっておりますので、いま各省庁に正式に協議をいたしております。近いうちに許可をいたしたい、かように考えております。
  276. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 大変ありがとうございます。  税金の取り方については、いろいろと私がここで申し述べるまでもなく、取りやすいところから取るのでなくして、取らなければならないところから取らなければならない。そして不公平と不平等をなくすための税体系というものをつくらなければならない。こんなことはもう言うまでもないことですね。しかも、大衆課税とか一般庶民のボーダーライン層から税金は取らない、こういった政策でいかなければなりませんが、そういたしますと、国とか地方公共団体運営に差し支えてくる。その財源はどうするんだ、こういうことで、税金というものは取りたくなくても取らなければならないところから取る。また、取ってはならないところから取ってはならぬ。しかもその財源を有効に富の再配分を図る。これが七〇年代後半の一番大きな政治テーマであることは、これは与野党ともに政策展開として当然のことです。  そこで、こういった物価・インフレ調整減税という問題が二年間ストップされておりますが、昭和五十二年においては、国、地方公共団体において減税というものを行うのか行わないのか、これは大事な問題でございます。自民党の総選挙に臨む政策では、減税も打ち出すということになっておりますが、きょうは大蔵当局が来ておりませんから具体的な問題等々は聞きませんが、天野大臣も自由民主党のそうそうたる一員として、また閣僚として、お互いに代議士として、これはまあ議員心理からいけば当然私もあなたも、大衆にこびへつらうのではなくして、大衆の受けやすい政策を展開するのが政治家である。しかし、それは実務者としては今度またそこに大きな壁があって行き詰まる。こういった矛盾の中にいま大臣はハムレットのような心境でそこに座られているのではなかろうかと私は御推察申し上げたいのですが、きょうは余り御答弁がはきはきなさってないようでございますけれども、この問題だけは、政治家天野先生として、当然自民党の政策の中でも減税というものを打ち出してくるんだ、しかし、いま言ったような調整減税というのは国の財源という大きな問題の中で無理だ、であるならば、地方公共団体地方税、この問題だけでも減税という問題をやらなければならないのではないかと考えておりますが、これは大臣いかがでございますか。
  277. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 冒頭に申し上げましたように、来年度地方財政は非常に苦しい状況にあるわけでございます。したがいまして、いろいろ来年度の問題を考えてみましても、どこまでこの穴が埋まるかといいますと、なかなら埋まりにくいような情勢でございます。したがいまして、現段階におきましては、地方税の減税ということは非常に困難な事態であると理解をいたしております。
  278. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 国の方の減税は先生の方の政党で行うのですか。
  279. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 これは税調とも相談しながらこれからやっていく問題ではないかと思っております。
  280. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 仮定として申し上げて申しわけないのですけれども、もしも国の減税を自民党の政策として打ち出す――私はなぜ自民党という問題を出すかというと、われわれ公明党とは全く立場の違った、責任の大きな位置を与えられている。政権を担当なさっていますから、その政党が発言する問題については国民は野党が言うよりも信頼するように思っておる人さえもあるくらいなんですよ。だから私は、それだけウエートのある自民党の政策をさらにひっくり返さなければならない立場にいる私どもとしては、当然この席上をかりてきちっとしたものをはっきり打ち出さなければならぬ。そのお考えを本日はお聞きしておかないと――地方財政が足りないから、地方財源が緊迫だからという理由によって、そこに住んでいる国民、県民、市民という人たちの生活問題をどう考えるかということが、先ほどから何回も何回も繰り返しておるあなたの自治大臣としての経綸抱負の中にあらわれてくる本来の筋論として私はこの問題を聞いているわけなんです。これは何も、お互いに選挙を前にしてこんな話を聞いているわけじゃなくて、一つの感覚の中から私はお尋ねしているわけですが、その点は重ねてお答えしていただきたいと思います。
  281. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 先ほども申し上げましたように、来年度地方財政は非常に苦しい状況にあることはもう御承知のとおりでございますし、われわれもそのように理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、いまの地方税関係におきましては減税をする余地がほとんど全くない状態ではないかというふうに判断をいたしております。そしてまた将来に向けましても、地方自治団体におかれましても、住民の要望にこたえられるように、できるだけ緊縮財政に徹底していただき、将来の住民の希望にこたえられるような姿勢を堅持していってもらいたい、かように思っておる次第でございます。
  282. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 住民税の問題ではまことに悲観すべき答弁が出てしまいましたから、これ以上私は聞きませんけれども、何か大臣、いつもすりかえられちゃうので残念なんですけれども、国税の問題を聞いても、地方税の、地方財政が苦しいんだ、苦しいんだ。地方財政も苦しいけれども、国民も苦しいんですよ。みんな苦しいんですよね。だから、その苦しいところを、どこにウエートを置いて救うかということが政治の一番大きなポイントですから、これはいまここで議論はいたしませんが、地方制度調査会やまた当該委員会ではいつもこの問題が議論になるのです。どうかひとつ頭の中に十二分に入れて御検討くださることをお願いします。  そこで、天皇陛下の在位五十年を記念して、建設省では昭和公園、農林省林野庁では昭和の森というものをつくることを検討していると言われておりますが、こういった構想が出ますと、当該地方公共団体財政、またそれによって買い上げてくれる土地によっては非常に大きく財源が潤う。こういった問題を踏まえた上で、森をつくっていくという大きな国民的願望にこたえるためにも、天皇陛下在位五十年を記念することが果たしていいか悪いか、そういうことでなければできないという情けない日本の政策展開というものは貧弱であり過ぎる。天皇陛下が満五十年であろうが百年であろうが、なくても国民の健康と生命を維持していくためには緑と森が必要であることは、大臣も私も、ここにいらっしゃるすべての方々が必要事項として認めているのですが、何かそういうひっかけるものがないと森も公園もできないなんというような残念な状態を憂えるとともに、地方公共団体のどこに指定され、どこに財源はどうするのか、こういった具体的な問題が煮詰まっているんで、したらお答えをいただきたい。先ほどお聞きしたところによると、検討事項だと申しておりますが、検討ということはやることを前提として検討するようにしてもらわなければならない。こういったことをひとつ踏まえた上で、前向きかつ前進的な御答弁を農林省林野庁また建設省からお願いいたします。
  283. 三好説明員(三好勝彦)

    ○三好説明員 お答えいたします。  天皇陛下御在位五十年の記念行事につきましては、現在関係各省庁と協議の上、検討中でございます。
  284. 江上説明員(江上幸夫)

    ○江上説明員 林野庁といたしましては、民有林及び国有林におきまして昭和の森を設置すべく検討しております。  すなわち、民有林につきましては、従来から植樹祭というのをやっておりまして、植樹祭の跡地というのは大体各県におきましてそういうようなことで整備しているところも多いわけですが、こういうような形で全国で植樹祭をやったところを中心といたしまして整備していこうというような観点で、五十二年度では調査しょう、それから五十三年度以降整備にかかろうというようなことで予算要求している段階でございます。  国有林につきましては、従来から自然休養林というようなことで国民の休養の場をつくっているわけですが、現在五十年度末で七十六カ所、五十一年度末で八十六カ所になる予定でございますが、従来すでに自然休養林に指定したところ、あるいは今後指定しようとするところの中から適当なところを選びまして昭和の森として整備しようということで、目下予算要求中でございます。
  285. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 両方にお尋ねいたしますけれども、検討中、またはそういったいま明確になってきた点でございますが、正確に本当に納得できる点が、いつごろめどがつくんですか。当該公共団体の名前とか予算の規模とか、そういった、またそれに対処するところの手当てなどはどういうふうに、いつごろわかるのですか。
  286. 三好説明員(三好勝彦)

    ○三好説明員 建設省でございます。先ほど検討中というお答えを申し上げたわけでございますけれども、私ども記念事業としての公園ということで前向きに検討しているわけでございますが、その目標は実際にいつになるかにつきまして、私どもといたしましては十一月、しかるべき時期までにという目標は持っておりますけれども、いろいろ折衝のこともございますので、いまの段階でこれ以上お答えがしにくい状況にございます。
  287. 江上説明員(江上幸夫)

    ○江上説明員 林野庁関係昭和の森につきましては、予算が決定し、五十二年度予算の執行の段階で決まるかと思います。
  288. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 記念事業ですからあんまり遅くなっては記念になりませんので、よろしくお願いいたします。  次に、自治体病院についてでございますが、自治体病院の総数のうち、救急指定病院になっているものは幾つなのか、またすべてしなければならないものなのかどうか、またならなければならないような社会情勢下にあるのか、この点についてまずお尋ねいたします。
  289. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 ちょっと正確な数はいま覚えておりませんが、全般的に申し上げますと、自治体病院の約半分、大きな病院では約七割ぐらいが――全体で四百四十六病院だそうでございますが、いま申し上げましたように全体では約半分、大きな病院では約七割強、これが救急指定病院になっております。  病院でございますから地域的な問題もございますし、設備の問題もございますし、お医者そのほかの問題もございますので、なるたけ能力があれば指定病院になった方がよろしいともちろん希望いたしますけれども、どうしてもならなければならぬということではない、こう考えております。
  290. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 いま大臣も私たちもいつも心配していることは、われわれの健康と生命の維持がどのように保証されるかという問題ですね。特に病気というのは、休日とか祭日とか夜間とかという差別がないわけです。しかし百人のうち、そういった急病患者が出たり交通事故で災害が起きるトータルというものは出てくるので、そのうちに五%とか七%とか一〇%は、どうしてもこれだけの人間が集まれば不時の病気や災害にかかるであろう。こういった問題をやるための救急指定病院というものは当然指定され、また法的に位置づけられるわけですね。民間でやってもいいのですが、民間ではそれほどやっていけるだけのあれがございませんので、結局自治体とか国立とか、こういったお金の面でも設備の面でも医師の面でもすべて充当され得るようなところにどうしたってなるわけで、特に頭部の傷害については普通の民間のお医者様ではとうてい手に負えない。  こういった中で、私は自治体病院とか国立の病院がならなければならぬと思いますけれども、それができない理由として、医師の不足している理由が四五・六%、病院財政の立場から不当と見られるもの二二・四%。こういった医師の絶対的な不足を解消することや、地方公営企業としての自治体の病院の財政難という問題を踏まえた上でどのように検討していくかということは、これは当然の義務でございますので、私はこれは前向きにやってもらわなければならぬと思います。  そこで、現在の救急指定病院は、厚生省令に基づいて申し出のあった病院を都道府県知事が告示する制度になっております。したがって現行の救急告示制度によれば、申し出や希望のある病院に対して若干の補助をするという消極的な制度になっている。これでは医師をたらい回し――救急病院に行けないために救急医療体制を組んだ消防の方々がそれこそ十何カ所も病院をたらい回ししてついには死んでしまったという事例が多くなって、最近は病気になるにも命がけというような状態。  これを改善するためには、発想を転換して、厚生省が主体的に機能、地域的な配置などを系統的に整備し、申し出がなくても指定し、指定するからには救急医療に十分な人員や設備、財源を与えるようにすべきだと思います。  いま申し上げましたようなことをどのように厚生省としてはお考えになっているのか。申し出がなければやらないとか、人口急増地帯におけるところの埼玉県各地の市町村においては一時間何人という割りでふえていますから、五年も前に指定された病院と人間のバランスが崩れてまいります。そういった面を厚生省は、ただいま私が申し上げたような理論の中でどのようにお考えになっておりますか。
  291. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 救急病院の問題は、いま非常に大きな問題になっているわけでございます。  消防署で緊急のための自動車その他いろいろ整備をいたして、ほとんど完備に近いような状態でございますけれども、それによって今度は、病人の方が病院に行くとたらい回しということになって、そして社会問題になっていることは御指摘のとおりでございますが、先般閣議の席上でも厚生大臣から発言があり、政府関係のいろいろな病院があるわけでございますが、そういうような病院につきましてこの救急医療体制の整備について特に要望があり、それにこたえまして関係各省の、病院を持っている省庁あるいは公共企業体等、そういうようなところでもこの救急医療体制につきましては全面的に協力するというような方向で鋭意検討をいたしているような次第でございます。
  292. 岸本説明員(岸本正裕)

    ○岸本説明員 先生のいまのお尋ねの件につきましてお答えいたしますが、救急告示制度と申しますのは昭和三十九年に、当該救急患者というものが、モータリゼーションの始まりとともに交通事故の外傷患者というものが非常に多いという関係から、外科系の機能に着目いたしましてこの告示制度というものがつくられてまいりまして、以後十余年を経過いたしまして定着した制度になってきていると思っておりますが、最近救急患者の態様が、内科系とか小児科系というようなことで変わってきておりまして、必ずしも外科系を中心にした告示病院のみでは対応し切れないというような関係も出てきております。そのために国といたしましても、内科系、小児科系の機能を中心にいたしまして、休日夜間の急患センターでありますとか、あるいは地域の実態に応じまして、在宅当番医制の普及、定着化ということを指導してまいってきているわけでございます。この救急医療というものは、何分にも全医療機関の協力が必要でございます。そのようなことで、私どもは、この医療機関の自発的な協力を育てるという観点から、そのような組織づくりをしていきたいというふうに考えております。  また、もう一つ大事なことは、機能分担、それから医療機関相互の連携を大切にするということであろうかと思います。私どももそのようなことで、全体の中でいろいろな態様の救急患者に対応できるような組織づくりを目指していきたい、こういうように考えております。
  293. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 これはどなたがお答えするかちょっとわかりませんけれども、自治体病院の財政問題として二、三お尋ねしておきます。  現在、救急医療に対する特殊診療部門運営費補助金は、A級の病院には千三百八十万円、B級には六百万円補助されることになっておりますが、赤字病院のみが対象になっております。これについて、黒字病院でも、積極的に救急医療に取り組んでいる病院に対しては、救急医療費に見合う補助を行うべきであると思うが、どうか。これが第一点でございます。  第二点目は、私の住んでおります埼玉県川口市のように、新しく第二市民病院を建設する場合には、建設費の補助を大幅に引き上げて、二分の一を補助すべきであると思うがどうかという質問でございます。これは、国庫補助の創設、充実という面でお尋ねしているわけでございます。  第三点は、病床不足地区のがん、小児医療、リハビリテーションなどの高度医療に対する補助として、公的医療機関施設整備補助金が、新設、増設、改築に対しては三分の一の国庫補助制度になっておりますが、これらの大幅な引き上げができるかどうか。これが三点でございますが、お願いいたします。
  294. 岸本説明員(岸本正裕)

    ○岸本説明員 まず第一点の、特殊診療部門運営費につきましての助成でございますが、私どもは、この特殊診療部門運営費で、救急医療が医師、看護婦等を待機をさせたり、また空床を確保するというようなことから不採算性というものがあるということに着目をして、これを考えているわけでございます。したがいまして、現在赤字ということに着目をしてこの施策を進めてまいっているわけでございまして、今後ともその方向で充実を図っていきたいと思っているわけでございます。なお、この助成と別にいたしまして、診療報酬の適正化というものをあわせて、これは本論でございますけれども、これを考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。  それから、黒字と赤字ということには若干離れますけれども、地域の救急医療計画というものの中で、その位置づけをしっかりと踏まえて、機能分担とか相互連携というようなことを図った上での病院の体制というものに対しまして助成をするということも、いま検討しているところでございます。  第二点の、公立病院の施設整備助成でございますけれども、私ども一般的には都道府県市町村一般財源ないし起債によって賄われるべきものというふうに考えておるわけでございまして、この起債につきましても、年々優先的な配分がなされているわけでございます。私どもといたしましては、公的病院が担う公的使命、いわば地域の実情によって異なりますけれども、民間では十分にこの役割りが期待し得ないもの、たとえば僻地でございますとか、また医療水準の向上を図るために必要な高度医療でありますとか特殊医療、具体的に申し上げますと、小児医療でございますとか、がんとかリハビリとか、そういうものにつきましてこの建設費並びに設備整備費の補助を行ってきておるわけでございまして、今後ともその方向で充実を考えていきたいというふうに考えております。  それから、病床不足地区に対します助成の充実というお考えがございましたけれども、私どもも、現在も行っておりますけれども、今後ともそれを充実させるように努力していくつもりでございます。
  295. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 自分の住んでいる町のことばかり申し上げて、まことに申しわけないのですけれども、私の住んでおります川口というのは、御存じのとおり人口急増のところでございまして、既成市街地に指定されております。そういう中で、四十八年度に病院事業の不良債務に対して特例債を発行しましたが、川口市民病院のように、五十年度末の累績赤字が六億四千九百万、五十一年度末で十億を超えるようになっておりまして、四十八年度以降に生じた不良債務について改めて特例債を発行してもらえないだろうかという要求が来ております。これは何も川口ばかりでございませんで、いつもここで公営企業の赤字の中での病院経営の問題が議論になっておりますので、こういった一例を申し上げまして、特例債の発行をさらに許可していただけるかどうか、いかがでございましょうか。
  296. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 御指摘のように病院経営、いろいろ問題がございますので、昭和四十九年度で特例債、赤字たな上げ債を発行いたしましたのは、先生御指摘のとおりで、当時約五百七十億くらいの赤字をたな上げいたしたわけであります。それをやりますとともに、不採算地区病院の運営費補助金の創設とか、そのほか国庫補助金の充実を図ってまいりましたし、また交付税面におきましても、病院につきまして、いわゆる負担区分に基づいて公費でもって助成をすべき分野を明確にし、かつ強化をいたしまして、その実額を特別交付税によりまして毎年繰り入れをしておる。こういう状況で対処いたしておるわけでございます。  ただいま御指摘のように、その後もかなり赤字がふえておるので、もう一遍特例債を追加発行したらどうかという御主張がたくさんあるのも承知をいたしておるわけでありますが、現在の時点ではまだ、負担区分の適正化についてもう少し必要な面を考えていきますとともに、基本的には、先ほど厚生省からもお話がございましたが、社会保険診療報酬のあり方、これがある程度決まってまいりませんと、いつまでたっても入れても入れてもやはり基本的に単年度の収支が償わないというような事態も生ずると思いますので、その点についてなお各省とも、特に厚生省とも御相談を申し上げながら、社会保険診療報酬のあり方等の適正化をまず急いでいただく、それで足元が固まりました暁にはまた赤字解消のための措置をとる、こういう段取りになるのではなかろうかと考えております。  なお、最近特別交付税関係で、一般会計が負担をすべき負担区分を強化していっておるという点は、先生御承知のとおりでございます。
  297. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 先ほど、川口市の第二病院の建設の援助についてお答えいただけなかったのじゃないかと思いますが、いただきましたか。(岸本説明員「一般的なお話な……」と呼ぶ)  それでもう一つ、具体的な例でございますけれども、今度は浦和市において、これは浦和も御存じのとおり人口急増なんでございますが、十万人の署名をとっていま騒いでいることは、市民病院の総合化、救急指定が受けられるようにという陳情なんでございます。現行の救急病院の指定については、省令、通知によって、免許取得後相当期間外科診療に従事した経験を有するものなどという外科中心的な物の発想の中から、そういった経験者がない場合には、救急指定を受けられないという非常な苦しみがあるように聞いておりますが、現在の救急医療制度のギャップを埋めるべきであると思いますので、浦和市民病院がまだ救急指定も受けられない状態というのは、そういった省令等によって、充足しなければならない問題が充足されていないために指定されないのか。そういった面についての御配慮はできるのかどうか。これは三十三万市民の非常に大きな、切なる願いでございますので、救急病院にあえてしてもらいたいというところができない、しろと言ってもやらない。こういった救急病院体制の非常な不備の中で、浦和市の市民病院の場合は特殊な例と思いますが、こういう問題につきましてはいかがでございましょうか。
  298. 岸本説明員(岸本正裕)

    ○岸本説明員 私、この浦和の市民病院の具体的なことをいまここで資料を持ち合わせておりませんので存じ上げませんけれども、救急病院の指定と申しますのは、厚生省の救急病院等を定める省令で四つの要件がございます。一つは、外科についての知識、経験を有する医師が診療に従事していること。それから、手術室とか麻酔器、エックス線装置等々の外科的な手術等を行うために必要な設備を整えていること。それからもう一つは、救急隊により搬送しやすい場所に所在している、そして搬入に適したような構造設備を有しておること。第四点といたしまして、救急患者のために優先的なベットを有している、こういうことでございます。これは一応都道府県に各所在の保健所を経由いたしまして申請が上がりまして、都道府県がこれらを審査をして告示をするわけでございますけれども、先ほど申しましたように、外科的な相当の知識、経験を有する医師がいないという場合には救急告示には一応なり得ないのではなかろうかと思います。  ただ、私どもが考えますのは、先ほども申し上げましたけれども、最近の救急患者というものは、交通外傷等を中心とした外科的な処置を要する患者ばかりではございませんで、非常に内科的なもの、小児科的なものが多うございますので、そういう意味で市民病院が必ずしも告示病院、外科の機能を持たなくても救急に協力をする、そういう面で、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの病院が機能を分担し合うとか、また連携をし合う、こういうようなことで地域の計画を育てていくということは大切なことじゃないか、こういうように考えております。
  299. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 非常に配慮のある御答弁をいただきましてありがたく思っております。浦和の市民病院の場合は全くそのとおりでございまして、外科的要素の面だけを厳しく言われますと、いま言ったように指定を受けられないという非常なネックになっておることを聞いております。どうかひとつ総合的な見地から、市民の生命、健康を守る市民病院としての機能を――救急指定にして十万人もの人が要求をしているということでございますから、どうぞひとつ指導方よろしく御配慮をお願いしたいと思います。  そこで、時間もございませんが、今度は警察の方にお願いします。私は何も警察をとっちめるために質問をするわけではございませんから、ひとつ気楽にリラックスした気持ちでお聞き願いたいと思います。  私がここに取り出しますものはモデルガンでございますが、非常に精巧にできておる。西部劇などでよく使われております拳銃でございます。こういう音を立てて大人が喜んで遊ぶものでございます。これは参考のためにひとつ大臣ちょっと見てください。これが、いま評判になっておりますNATOの正式拳銃ハイパワーブローニング十三連発と称するやつでございまして、非常によくできております。これらのモデルガンはすべて輸出用につくられております。  そこで、そういった大人のマニアのために売り出されておったものが、暴力団等の手に渡ったり、一部不心得者が改造をして拳銃を殺傷のために使う、趣味高じて殺人兵器となる、こういったことではいかぬというので、業界が今度こういうように規制してきたわけですね。こういうふうに後退したわけです。何か詰め込んであります。そして色も黄色くなって、こういうふうに非常にだんだんおもちゃらしくなってきまして、そういった精巧なやつから変わってきたわけでございますが、まず一体どこを改造するとこれは本物になるのですか。
  300. 吉田(六)政府委員(吉田六郎)

    ○吉田(六)政府委員 このいまお示しになりましたものは、銃口の中が若干閉ざされておりますのでこれをあけまして、この撃針は完全に機能いたしますから、したがいまして、この回転式のところも若干手を加えればすぐ使えると思います。
  301. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 そうするとこの自動拳銃の場合はどこを直すのですか。
  302. 吉田(六)政府委員(吉田六郎)

    ○吉田(六)政府委員 このオートマチックの方は銃口が若干ふさがっていますが、これを穴をあけるということと、この遊底のところを若干改造し、それからここに撃針がございませんので撃針を入れるということによって改造はきわめて容易というように考えられます。
  303. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 最近大阪、千葉、群馬、一連の暴力団のピストル事件で殺傷に使われている拳銃は、これらの改造モデルガンなのか、それともうわさされておりますフィリピン系の東南アジアから密輸されてくる拳銃が暴力団に渡っているのか。大体最近になって白昼堂々と市民のいるところに西部劇まがいの「ゴットファーザー」の映画に出てくるように撃ち合いが展開されて市民に非常な不安を与えておる。こういった中で、一体モデルガンなのかそれともそういった専門の拳銃なのか。このように業界では自主規制をして、ほとんどもう改装できない程度まで指導を徹底されているやに聞いております。こう変わってきましたね。これは輸出用でございますからいまだにこういうものがつくられています。これに規制される前はこれが売り出されていた。これじゃ余りもう実物に近い、あなたがおっしゃったようにちょっと手を入れればすぐ本物になってしまうという危険性があるので、業界ではこのように改装してきた。だから、この時点で改装されたモデル改造ガンによって大阪のような事件が引き起こされているのか、それはこういった前のやつが改造されているのか、それとも全然こういうものでなくて専門の本物の拳銃が暴力団に普及してきたのか、その辺のところわれわれにわかりませんのでまずお尋ねします。
  304. 吉田(六)政府委員(吉田六郎)

    ○吉田(六)政府委員 御指摘の抗争事件で、大阪では改造拳銃が二丁、真正拳銃三丁、計五丁、それから千葉県では真正拳銃一丁、これをそれぞれ押収いたしております。その改造拳銃は、SWの二十二口径それと三十二口径、この二つでございます。これはいずれも昨年の十一月以前に製造されたモデル拳銃の改造というように思われます。それから真正拳銃の方でございますが、これは、スペイン製の二十二口径オートマチックの八連発とベルギー製のブローニング・オートマチック二十五口径六連発、それから米国製コルト・オートマチック八連発、イタリア製ベレッタ二十五口径八連発、いずれも異なった銃種でございまして、現在これの入手経路につきましてはなお鋭意追及中でございます。
  305. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 非常に御努力なさっている警察にいちゃもんつけるわけじゃございませんけれども、いまだにこのルートが明確にならない。それでは余りに市民が不安でございます。こういったものは捜査上の秘密やいろいろなこともございますでしょうけれども、警察官が勤務中に殺害される事件、また警察官の所持していた銃によっての事故、こういった問題は映画に出てきた「野良犬」などによって事実そういったフィクションが行われているわけですが、これは大体の輪郭というものはつかみ得るものなのですか。
  306. 吉田(六)政府委員(吉田六郎)

    ○吉田(六)政府委員 この事件についてはまだ捜査中で、はっきりしたことは申し上げられませんが、これまでに幾つかのルートを解明した例はございます。たとえばタイ国で購入して密輸を図る、あるいはハワイルートで入ってくる、現在のところその二つのルートが一番大きいようでございます。
  307. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 これらは飛行機でなくて船で来るんですか、航空機の乗っ取りということで非常にハイジャックに対しては各国とも神経過敏になって、羽田などに行きますと、私たちのところでも鉄製類があれば反応を起こす器械によって検査されるわけですが、そういったものを持ってくるというのは飛行機で持ってくるのですか、それとも船で持ってくるか非常に大きな問題になってきますが、いずれにいたしましても、こういった問題は速やかに明確にしていただかなければ困ります。それが一つ。  それから、この改造拳銃につきましては、いまも実物をごらんになって本物に全く似ているからこそモデルガンマニアがこれを趣味としてコレクションをするわけですが、だんだんガンマニアの要求を満たせ得ないようなものをつくれば、これは業種として成り立たなくなってしまいます。これらをつくっている会社というのを調べてみまする、大企業でなんかつくっていないのです。中小零細の、特に零細の方々が、ほんのわずかの方々によってつくっておられますので、こういったおもちゃ、玩具、モデルガンですね、こういったものを全部取り締まってやめてしまうのだ、これでは余りにもちょっとかわいそう過ぎます。でありますので、私どもはいまの規制は業者の自守規制によってこれを規制されておりますが、こういったまじめに取り組んでいる、こんなにまでして努力をして、モデル改造ガンができないくらいにまで一生懸命になってやっている業者もいるわけです。ところが不心得な一匹オオカミ的な連中が、もっと九万円も十万円もするような鉄製の、全く本物に近いものをつくり上げて暴力団に売り渡したり、またはそういった政治テロなどに使うおそれもあるような問題を私たちは考えたときに、警察当局としてはこういった現在ある規制に基づいて何らかの法的な措置を講じて、業者の自守規制でなくて、法律によってやれば一匹オオカミ的なアウトローを締め出すこともできますので、その辺何らかの銃砲刀剣類所持等取締法違反に準ずるような罰則というか、法律の展開はあるのでしょう。これは大臣、公安委員長としてお答えいただけますか。
  308. 天野(公)国務大臣(天野公義)

    天野(公)国務大臣 最近の暴力団の対立抗争によって、拳銃が白昼乱射されるようなことが起こりまして、まことに私どもも遺憾千万に思っている次第でございます。  実は、きょうの閣議にもこの問題について報告をいたしたわけでございますが、警察としてもこの取り締まりに総力を挙げているわけでございます。概括いたしますと、昭和五十年一月から九月までの間における拳銃の押収数量は一千二百六十二丁で、前年同期に比較いたしまして二百八丁、二〇・三%増加しております。このうち暴力団関係者から押収した数は一千七十三丁で、実に押収総数の八五%を占めているということになります。押収拳銃のうち、モデルガンを改造したものが八百十五丁で六四・六%であり、本物の拳銃は四百四十七丁、三五・四%となっております。  以上のような状況にかんがみまして、モデル拳銃の改造の防止や拳銃の密輸、密造等に関する罰則を整備する必要があるわけでありまして、また麻薬等の所持と比べますと、拳銃所持の取り締まり法規の罰則は非常に軽いわけであります。したがいまして、銃砲刀剣類所持等取締法を一部改正する必要があると考えております。当面密輸事犯につきましては、関係機関、特に税関等に協力を仰いで水際で検挙することに努めると同時に、暴力団に対する取り締りを一層強力に推進してまいりますし、通常国会には法規の改正をすべく準備するように検討中でございます。
  309. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 非常に前向きな御答弁をきょういただいたわけですけれども、法改正をやるということで、それによって非常に事故が妨げるのではないかと思いますが、これを全部やめてしまうというわけにもいかないのでございますから、中小企業のこういったものをつくって生活をなさっていらっしゃる方々のことも思えば、いま言ったように事故が未然に防げるような法規と規制の中で、業者のモラルと良心を期待するとともに、健全なガンマニアというものもいるのでございまして、そういう人たちが、今度余りなくなってしまって本物をどこかから輸入されてしまうのではまた困るので、大人のささやかな夢として、いいか悪いか私知りませんけれども、こういった複雑な、非常に神経を浪費する、刺激し疲労する近代社会にあっては、ささやかな憩いというものを取り上げることがマイナスになるという政治的配慮もまた必要である、われわれは、そういった多角的な大所高所に立っての物の判断ということを国会ではいたしませんと、一面断片的な理論展開だけでは、そのことによって今度逆の反動が起きるということもいつも私は承知しておりますので、どうか十二分な温かい配慮の中に、国民の安全というものを守らなければならないという国家公安委員長並びに警察当局の取り締まりの苦労ということも勘案しつつ、ひとつ御配慮をお願いしたいと思います。  そこでもう一点でございますが、大きな自動小銃、よく出てきますね、ちょっとここにはモデルがございませんが、長物と俗に言っております。これらは全く黒色の実物そっくりの、たとえばドイツのシュマイザー短機関銃とか、アメリカのトンプソン短機関銃のようなモデルをつくって、大人がささやかな趣味としている、コレクションしているようなこともあります。これらは、このような拳銃と同じような対象にはなっておりませんが、それはどうなのかが一つ。  それからもう一つ、最近は刀、居合い刀のような、全く本物に見えるような刀剣、これもまたモデルとして売り出されております。銃砲刀剣の刀の方はどうなのか、この点についてお尋ねします。
  310. 吉田(六)政府委員(吉田六郎)

    ○吉田(六)政府委員 現在までのところ、ライフル銃とかショットガン等のモデルガンを使って犯罪が行われたというような報告は受けておりません。ただショットガンを本物の銃に改造しようとしたという例はございます。したがいまして、これらのものもやはり将来改造して使用されるおそれもありますので、その規制につきましても、当然モデルガンと同じような段階で検討してまいるというようにいたしております。  それからいまの模造の刀でございますが、これも私ども早速調べまして、どういう悪影響があるかということを十分検討して善処してまいりたい、かように考えます。
  311. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 もうあと残された時間もわずかでございますが、学校体育施設の開放事業について一点お尋ねいたします。  昭和五十一年六月二十六日、文部事務次官木田宏氏の名前で各都道府県教育委員会あてに、「学校体育施設解放事業の推進について」の通知が行われておりますが、今回の通知で言うところの学校体育施設開放事業は、従来からの開放事業、すなわち学校の体育施設を、学校教育に支障のない範囲において学校長の許可、教育長の決定によって、地域住民のスポーツ活動に提供する事業と比べてどこがどのように違うのか、これをひとつお尋ねするとともに、全国の公立学校体育施設開放状況についてはお調べのとおりでございますが、管理指導員に対する助成一つをとってみても、五十一年度予算では全国でわずかに千校分しか補助されておりません。埼玉県にあっても、小学校六百六十一校のうち、運動場四百八十一校、体育館二百九十一校、中学校二百八十四校のうち、運動場二百十五校、体育館百八十四校が開放されているにもかかわらず、管理指導員の補助は埼玉県全体で五十一年度は三十一校分しか配分されておりません。学校施設開放事業に関する国からの助成は、こういった問題をそのままにしておって開放という問題はでき得ないのでどうなのか、お尋ねいたします。
  312. 望月説明員(望月健一)

    ○望月説明員 五十一年六月二十六日の文部次官通知は前とどこが違うかということでございますが、基本的には学校教育に支障のない範囲において地域の方々のスポーツ活動の場を提供する、この原則は同じでございまして、その運営の中で従来学校体育施設を地域の方々に開放するということを進めてはおりましたけれども、その管理主体が余り明確でございませんでした。学校長さんにお願いして学校長さんの責任で開放するという事例が相当多かったわけでございます。学校長さんはやはり地域の方々の社会体育にまで仕事をするのかという一部の御意見もございましたけれども、これは地域の住民を対象にした事業であるので教育委員会が事業主体となって行うものであるというふうにこの通達で申し上げたわけでございます。これは学校長の意見を十分聞いて学校教育に支障のないという範囲での話でございまして、そういう意味で市町村教育委員会が地域住民の社会体育を推進する、これは当面の責任者でございますから、それがじかにやってくださいという点を明示したわけでございます。あとは、教育委員会として、地域住民の方々が学校の施設を使う場合には使う場所と時間というものを明示して、そしてそこには管理体制をとってください、学校の先生や校長さんにお任せするのでなくて、教育委員会の責任においてやってもらうためにそこに管理の指導員なり何なりを派遣してやるというふうにしていただきたいということを明示したわけでございます。  それから、これは当然でございますが、学校体育施設を開放して従来問題を残すのは利用者のマナーが非常に悪いという点もあります。使って使いっ放し、たばこを吸ってそのままというようなことがありまして、この辺が管理者として学校長さんが従来心配されたことであり、これは同じでありますので、利用者の心得あるいは事故が発生、した場合の緊急的な、先ほどの病院ではございませんが、そういう体制及び利用者がガラスを割ったとか物を壊したというようなときの弁償の責任というものを利用者心得とともに明示する必要があるというふうにしたわけでございます。私たちはこれを次官通知で改めて、従来やっていたのをいまの点は強調しましたけれども、なお言っていることは、地域住民の方々がスポーツをされる場合にいつどこでやれるかということがはっきりしないと御自分のスケジュールが立たないわけでございます。健康のためにスポーツをやろうというのにいつやれるかわからぬというのでは困る。そのグループの方々がこの開放されたところを、できればフランチャイズとして計画的に継続的にやって健康の保持増進に努めてもらいたいというようなことについてこの点で触れております。  それから、管理指導員の謝金の問題でございますが、これは実は五十年度にはもっと違う形で、非常に少ない形で予算をやったわけでございますが、五十一年度は地域のスポーツがずっと盛んになってきております。ますます盛んになったというようなことで一千校まずとりあえずやる。これはスポーツの管理指導員をやっております。これは今後大いに伸ばして来年度はいまの要求では三千校、逐次伸ばしていきたい、そういうふうに考えております。
  313. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 これで終わらせていただきますけれども、高校問題についてぜひとも聞きたかったのであります。  時間がありませんので打ち切りますが、特に高校整備事業債、用地取得に対する地方債の元利償還金を交付税基準財政需要額に算入する考えがあるかないかが一点、それから高校用地取得費に対する二分の一国庫補助制度を五十二年度予算として要求すべきであると思うがどうか、そして高校建設に対する国庫補助を大幅に充当すべきであるために、建築費に対する補助率三分の一を二分の一に引き上げることをお願いして終わらせていただきます。  大至急答弁していただきます。
  314. 倉地説明員(倉地克次)

    ○倉地説明員 それでは文部省所管の関係についてまず御答弁させていただきたいと思う次第でございます。  学校用地についての補助のお話でございますが、学校用地は建物と異なりまして非償却資産であるということなどの理由がございまして、従来から取得費は一般的に起債によってお願いしてきたわけでございます。それで現在用地費について補助がなされておりますのは義務教育施設においてあるわけでございますが、これも児童生徒の急増市町村に限られておるわけでございまして、また年限を区切ってやっておりますきわめて特例的な措置でもございますので、現在のところは高校用地についての取得費に対する補助ということはまだ考えていない次第でございます。  それからもう一つの高校の建物の補助率アップの件でございますが、これは五十一年度から補助制度が設けられまして約四十二億のお金が計上されたわけでございますが、私どもといたしましてはできるだけ実態に即して事業量を拡大するということが急務と考えておるわけでございます。そういった点から、補助率をアップすることよりも、まず事業量の拡大に努力したいと考えておる次第でございますので、よろしく御理解のほどお願いしたいと思う次第でございます。
  315. 首藤政府委員(首藤堯)

    首藤政府委員 起債の元利償還金の需要算入でございますが、ことしは御承知のようなかっこうで高校建設費の起債を増加いたしましたので、この上物分、建物分につきましては将来基準財政需要額に算入する方法を検討していこうと考えております。用地の分につきましては目下検討中でありますが、これはなかなかむずかしかろうと思います。
  316. 小川(新)委員(小川新一郎)

    小川(新)委員 どうも大変ありがとうございました。
  317. 小山委員長(小山省二)

    小山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会