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1976-10-15 第78回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十三日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。   税制及び税の執行に関する小委員       宇野 宗佑君    越智 伊平君       唐沢俊二郎君    瓦   力君       齋藤 邦吉君    野田  毅君       坊  秀男君    森  美秀君       武藤 山治君    山中 吾郎君       横路 孝弘君    増本 一彦君       広沢 直樹君    竹本 孫一君   税制及び税の執行に関する小委員長                 森  美秀君   金融及び証券に関する小委員       越智 伊平君    金子 一平君       瓦   力君    木野 晴夫君       林  大幹君    宮崎 茂一君       毛利 松平君    山本 幸雄君       広瀬 秀吉君    村山 喜一君       山田 耻目君    荒木  宏君       広沢 直樹君    竹本 孫一君   金融及び証券に関する小委員長                 山本 幸雄君   財政制度に関する小委員       鴨田 宗一君    木野 晴夫君       小泉純一郎君    塩川正十郎君       林  大幹君    原田  憲君       村岡 兼造君    山中 貞則君       高沢 寅男君    松浦 利尚君       横山 利秋君    小林 政子君       坂口  力君    内海  清君   財政制度に関する小委員長  村岡 兼造君   金融機関週休二日制に関する小委員       金子 一平君    唐沢俊二郎君       小泉純一郎君    塩川正十郎君       野田  毅君    宮崎 茂一君       毛利 松平君    山下 元利君       佐藤 観樹君    武藤 山治君       山田 耻目君    増本 一彦君       広沢 直樹君    内海  清君   金融機関週休二日制に関する小委員長                 山下 元利君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十一年十月十五日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 田中 六助君    理事 塩川正十郎君 理事 森  美秀君    理事 山下 元利君 理事 山本 幸雄君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 増本 一彦君       愛野興一郎君    宇野 宗佑君       越智 伊平君    金子 一平君       唐沢俊二郎君    瓦   力君       木野 晴夫君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    中山 利生君       野田  毅君    長谷川 峻君       林  大幹君    原田  憲君       坊  秀男君    宮崎 茂一君       毛利 松平君    山中 貞則君       高沢 寅男君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    荒木  宏君       小林 政子君    坂口  力君       広沢 直樹君    竹本 孫一君       西岡 武夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       道正 信彦君         大蔵大臣官房審         議官      山内  宏君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   鴨田 宗一君     長谷川 峻君   瓦   力君     愛野興一郎君   野田  毅君     中山 利生君   河野 洋平君     西岡 武夫君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     瓦   力君   中山 利生君     野田  毅君   長谷川 峻君     鴨田 宗一君   西岡 武夫君     河野 洋平君     ――――――――――――― 十月十五日  昭和五十一年度公債発行特例に関する法  律案(第七十七回国会閣法第一号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  拘束預金禁止法制定促進に関する陳情書  (第二五号)  銀行業務適正化に関する陳情書  (第二六  号)  日本輸出入銀行大阪事務所支店昇格に関する  陳情書  (第二七号)  昭和五十一年度公債発行特例に関する法  律案早期成立等に関する陳情書外二件  (第二八号)  付加価値税創設反対に関する陳情書外五件  (第二九号)  公共用地取得促進のための財政措置確立に関  する陳情書外一件  (  第三〇号)  多目的ダム等公共費のための財政投融資資金借  入制度新設等に関する陳情書  (第三一号)  米軍基地返還跡地処分方針に関する陳情書外  一件  (第三二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度公債発行特例に関する法  律案(第七十七回国会閣法第一号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 田中六助

    田中委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、さきの第七十七回国会におきまして本院において議決され、参議院において継続審査となり、本日、参議院より送付されたものでありますので、この際、提案理由説明は省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中六助

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 田中六助

    田中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま委員長からもお話がございましたように、本法律案参議院からの送付法律でありますので、前回質疑したことにダブらない点のみ、きょうは限られた時間の中で質問をしていきたいと思います。  まず前国会におきましても、個人消化を進めるという意味におきまして、私たちは赤字国債発行そのものには反対でありますけれども、せめてインフレを招かない国債発行という意味におきまして中期債を考えるべきであるということはかねがね主張をしていたわけであります。あくまでこれは緊急避難的なものでありますけれども、やはりインフレを招かないという非常に重要な柱だと思っておるわけであります。その意味におきまして、いろいろ新聞等シンジケート団中期債、特に五年の割引債について交渉がなされているやに聞いておるわけでありますけれども、いまの交渉状況は一体どういうふうになっているのか、また一面では銀行協会等からいろいろな問題が、たとえば税の不公平の問題、あるいは郵便貯金銀行預金の不均衡の問題等々、六つの問題がこの中期債発行に関して話し合われているとも出ているわけでありますけれども、その辺も含めて、現在シンジケート団との話し合いはどのような方向になっているのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 十月二日に政府として中期割引国債発行に関する政府の案の骨子シンジケート団にいま御指摘のように示しまして、検討を願っておるわけでございます。まだお願いしたばかりでございまして、その結果は御報告申し上げる段階に至っておりません。  ただ、この骨子を示す段階までに銀行協会等代表者の方々に、私からそろそろこの問題についての一応の終息をいたしたいということを申し上げたときに、いま佐藤さんが御指摘のように、郵便貯金制度の問題でございますとかあるいはいまの税制上の不公正の問題でございますとか、若干の重要な問題について政府考え方を聞かれたことは事実でございます。それで税制上の問題につきましては税制調査会を中心にいま御審議を願っておるわけでございますので、そういった場で公正な議論を尽くしていきたいということでございますし、郵便貯金その他金融行政の問題につきましては一朝一夕で解決ができるような問題ではございませんが、こういう問題につきましては大蔵当局として終始前向きで検討してまいり、金融界等の意向も十分拝聴しながら、適正な行政を考えていく態度に終始したいという意味のことを申し上げたわけでございまして、これはいわば、今日われわれがとっておる姿勢をそのまま申し上げたわけでございます。条件でございますとかいう性質のものではございません。
  7. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、中期債発行に関して銀行協会から言われた、一応六つと言われておりますけれども、これらの点については、あくまで条件ではなくて、いろいろとそういう点について大臣が聞かれたので、これはしかるべき審議会調査会、そういったところで審議をお願いすることであって、このことが全部解決をしないと、銀行協会側の言うとおりにならないと、シンジケート団として中期国債発行にオーケーというわけにはいかぬ、こういうことではないというふうに考えてよろしゅうございますね。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおり心得ております。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それと、その話し合いの結果でありますけれども、一応大臣としましてはどのくらいの目安で、めどで、この中期国債について、発行時期の問題ですが、発行したいと考えていらっしゃるのか。大臣の口からは、この財特法の成立以降ということにはもちろんなると思いますけれども、一体その交渉というのはいつごろ終結をされるという腹づもりでされているのか、その時期についてはいかがでございますか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 政府としては、明年度予算編成時期を控えておるわけでございまするので、今年度内に新しい商品が市場に出るというようにいたしたいと思いまするし、またそれをベースにいたしまして、明年度予算も組んでまいるということを考えなければなりませんので、明年度予算編成というものは、この発行を頭に置いて考えていきたいと思っておるわけでございまして、なるべく早く結論を得たいと思っております。ただ、シンジケート団をせっついて、いつまでに答えを出していただきたいというような意味のせっつき方はまだいたしておりませんが、おのずから常識的な期間内にまとまりをつけていただけるものと私は期待いたしております。
  11. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 若干事務的なことを岩瀬局長にお伺いしておきたいと思います。  条件ですね。十年ものと五年ものということを考えますと、これはそれとの条件、それから五年ものの、いま長銀なりあるいは興銀なりが出しております利付債との関係等々が、前も後ろも横もいろいろ考えなければならない条件になってくると思いますが、その辺の発行条件については、一応概略どのようなことを頭の中で考えていらっしゃるわけですか。
  12. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 先生の御指摘のように、債券金利でございますから、期間の態様、それから各種のいろいろな似たような債券あるいは金利、そういうものとの並びぐあいというようなものを考えながら、一つのイールドカーブを引いてみまして、これはかなり技術的な感覚でございますけれどもシ団とよく技術的に話し合って決めていきたいと考えております。大体いまの国債が十年もので、表面で八分、利回りで八・二二七でございますが、そういうことから考えますと、応募者利回りでも八%は切るということは当然であろうかと思いますが、その辺は、まだ具体的な問題としては、決まるその時点における金融の情勢でもって判断していきたいと考えております。
  13. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それと、これはシンジケート団とのネゴシエーションがいつごろまとまるかによってくると思いますけれども、今度の財政特例法によって三兆七千五百億発行する、そのうち、もちろんこれはいま申しましたようにネゴシエーションの時期あるいは銀行協会等との話し合いの時期によるわけでありますけれども、この三兆七千五百億のうちのどのぐらいは中期債、五年割引債を考えていらっしゃるのですか。
  14. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 シ団の方に大蔵省中期割引国債考え方骨子を示しました中に、実は平年度約三千億円ということを一応前提にいたしております。本年度は、最初の初年度はどうであるかということでございますけれども、私どもは、期間がかなり進んできておりますし、まだ交渉の途中でございますから、おおよそのめどとしては額面で千億円をちょっと出る程度というぐらいのところが妥当ではないかという腹づもりは持っております。しかし、これは最終的な決まった数字ということではなくて、当分の間三千億ということから、逆にいま申し上げた程度のことを頭の中に入れておるということでございます。
  15. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 特にいままでのお話をお伺いをして、私が若干疑問に思う点は、いままで二年間にわたって財政特例法審議をし、償還表については十年償還ということでわれわれは頭で考えてきた。しかし十年は、いま国民感覚からいっても、個人消費を伸ばすという面からいっても長いのではないかということを考えて、中期割引債という発想が出てきているわけですね。いまの法律事項といたしまして、財政法の第四条第二項あるいは財政特例法の第四条償還計画表国会に提出をしなければならないというふうになっていますね。もし五年の割引債を出すとなった場合に、一体どういう手続国会に対してしなければいけないのか。私が思うに、これはあくまで予算書添付書類でありますので、添付書類変更償還表の十年というのを五年に変更する手続が必要であろうと考えるわけでありますけれども、その法的な面についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  16. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 過去に一回例がございまして、昭和四十六年度だったと思いますが、従来七年債が出ていたものを十年債にしたことがございます。その際には、限度額予算国会議決をいただくわけでございますが、限度額を動かしましたので、補正機会限度額を動かしたわけでございます。したがって、当初予算で提出いたしておりました償還計画補正表というのを添付して出したことがございます。今回の場合は、現在シ団の方といろいろ話が進んでおりますが、いつになるか定かではないわけでございます。仮に五十一年度中に出るとなった場合、そのときに補正があるのかないのか、補正がない場合一体どういうことになるのかという御質問だろうと思います。その際には、昨日も参議院大蔵委員会で御議論がございまして、政府といたしましては償還計画表その他について御説明をいたすような手続をとるというつもりでございます。
  17. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その説明というのはどういう意味ですか。つまり償還表を四十六年度のときのように、恐らく皆さん方感覚では四十六年度のときには七年債を十年債に直したから補正表を出された、今回は十年償還計画としていたのを五年にするのだから、罪は軽いではないかというのは変な言い方かもしれませんが、そこまでしなくてもいいんだという感覚がおありなんではないかと思いますが、その説明というのは償還表を出し直す、変更するという意味ではないんですか、説明するということは。
  18. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 端的に申しまして、当初予算に出しました添付書類である償還計画表を直して、国会があればお出しするということでございます。
  19. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで私は大臣にお伺いをしたのは、一体いつごろまでにこの話のめどをおつけになるつもりなのかということを、私はこのことがあるから若干お伺いをしたわけなんですね。つまり、今度の国会は御存じのように十一月四日までだ。われわれの任期も十二月の九日だ。しかも十月の三十一日は、余分なことですが皆さん方の自民党の党大会があるというと、恐らくあの一週間またごたごたするだろう。ということになりますと、事実上もう十月の二十三日ぐらいまでには大きなことは片づけていかないと今国会というのは無理だ。そうなってきますと、とても選挙後の特別国会というのはそんなことをやっていられるときではない。来年の通常国会ということになりますと、予算があり、あるいは当大蔵委員会が実際に開けるということになりましても、まあ二月の半ばごろというのが通例になっているわけですね。こういうことをずっと考えてきますと、この中期割引債、五年債を考えられるということになると、償還表変更を早急にやらないことには、実際には先の政治日程等を考えるとできないんではないかと思うのですね。  ですから、私は先ほど大臣に、じゃいつごろまでに話をつけられるかというふうにお伺いをしたのは、一体どのくらいまで実際に五年中期債を考えられているかということと関連して、具体的に償還表変更をしなければならぬということになれば、今国会しか実際にはなかなかできないんではないか、こういうことを考えるわけでございますので、その点については一体どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  20. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 二つございまして、一つは実態的に一体いつごろどうなるのかという点がございませんとどうにもならぬわけでございます。それからもう一つ手続でございますが、その両面につきましてもうしばらくお時間をいただきたいということなんでございますが……。
  21. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 いまシ団日程のことでございますけれども大蔵省から正式に提示いたしましたのは十月の二日でございます、土曜日でございますが。その後シ団、これはもちろん大変関係深いところが多いものでございますから、シ団の取りまとめの方に時間がかかっておりますのと、有力なメンバーである都銀がIMFの総会に出席しておったとかいうようなことがございまして、大体の足並みが先週あたりからその会合の本格的なものにぽつぽつ入り始めたということでございまして、これは今週、第一回の全体的な集まりをきょうあたりから始めておるというような段取りでございますが、そういうことになりますと進みぐあいは私はわりに早く進んでいくのではないかという感じがいたします。  ただ、大蔵省の側から特に何日までにせよというようなことを申しますと、これは御相談というよりもむしろ非常に指導しているという形になりますものですから、よく納得のいく審議をしてもらうということをたてまえに大臣からもお話がございましたので、そういう点では特に時間を指定いたしておりません。しかし、私はこれからの進みぐあいは早くなると思いますけれども、いつ幾日までに大体大丈夫だというような確定はいまのところまだ私どもに把握するだけの材料はございません。
  22. 武藤山治

    武藤(山)委員 関連。大臣、いまの質疑応答を聞いておりますと、どうも臨時国会にその補正付属書類を出さないと、実際問題としては来年の三月か四月以降でないと発行できないですね、個人消化中期債を。というのは、国会承認できませんよ、時期的にも物理的に。  そこで、私ちょっと手続的に法の体制を聞きたいのでありますが、これは加藤さん、いまの十年償還というのを、たとえばいままで出ているものを十年以内とくっつければ五年ものもできる、七年ものもできる、三年ものもできるという解釈になるのか。一々五年ものが何千億円、三年ものだったら三年もの何千億円と金額まで入れなければ償還計画表体裁は整わないものなのか。一体もし補正でぱっと出す場合、どういうことになるのですか。十年以内となった場合はどうなんですか。もうあとそれで一切包括できるのですか。
  23. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 償還計画表法的性格なんでございますが、四条の二項の場合も、今回のお願いしております特例法四条の場合も同じ性格だというふうに理解しておりますが、添付書類である、したがって国会議決対象ではない。さはさりながら、予算限度額をちょうだいするときの御審議をいただく重要な基礎資料である。法的には、いま申しましたように議決対象でないので、期限意味云々という前に、償還計画表性格から見ますと添付する書類であるということに——われわれ法的にはそうだと思いますが、そうなりますと、発行権限法律でいただく、限度額予算でいただく、それから発行条件は、御承知のように国債に関する法律大蔵大臣にお任せをいただいておるわけです。発行条件がなぜ大蔵大臣にお任せいただいているかといえば、マーケットのいろんな状況に応じて金利が上がり下がりしますし、償還期限だって動くわけです。したがってそういうようなものは大蔵大臣にお任せいただいている。そうすると、いまの十年ものを五年ものにするあるいは七年ものを十年ものにするということは大蔵大臣にお任せいただいた範囲の問題である。二つの問題があるわけですね。償還計画表の行政府国会関係の問題と、それから償還期限発行条件の一要素ですから大蔵大臣にお任せいただいておるわけです。われわれは両面から考えて、本質的には国会——機会があればという意味は、限度額を動かす場合に条件——四十六年度の例はそうだったわけですね。そこでたまたまその問題がクローズアップされないで済んだわけなんですが、お出ししたので、今回の場合は限度額を動かさないわけです。したがって、そこで一体どういう取り扱いをするかということで考えたのでございますが、四十六年度と同じように国会にはやはりお諮りをする、そう考えたわけです。ただ、諮るといっても、補正を出さないですから、国会があるかないかわからぬわけでございますね。そこで先ほど申し上げましたように、手続についてしばらくお時間をいただきたい。法的性格の問題は、前段に申し上げたように私どもは考えておるわけでございます。
  24. 武藤山治

    武藤(山)委員 だから、私の質問に答えてないんだよ。付属書類で仮にこれは議決事項でないにしても、議決事項とセットになって資料として一応出すものでしょう。それに変更が、十年償還と書いてあるものが、たとえ大蔵大臣権限で五年にしようが三年にしようがいいけれども、十年ものと限定された付属書類になっているわけでしょうから、そこで五年ものが出る場合には、これからもしそういう付属書類に出す場合に十年以内と直せばいいのか、それとも全く別に五年ものを新たに発行いたしますという付属文書を出すのか。それは技術的にいままでの法の体制上どういう体裁を整えればいいことになるのか。あなたは口頭で委員会説明すればいいとでも考えているのか、そこのところがはっきりしないのだ、まだ。
  25. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 法的性格議論と実態的な問題とあるのですが、実態的な問題の方から申しますと、今回の場合仮に五十一年度内に出るということであれば、四十六年度のときと同じようなスタイルで、五十一年に三兆七千億余ですか、それで六十一年に幾らと、その下に五年の期間のものが何々千億です、こっちが何々千億というようなかっこうになると思います。それは、二番目の法律的な性格の方ですけれども、その法律的な性格の方はことしも去年もそういう議論があったのですが、ともかくわからないわけです。言うならばマーケット条件なんです。割国を出すとか、五年を出すとかというのは六カ月も前にわからぬわけなのです。理財局の方からざっくばらんに申し上げて、主計局に対してどっちでもいけるような方式というのはないのかという御議論もあったのですが、私どもどう考えてもそううまい手はないわけです。法的には、ぼくらはさっき申しましたように、議決対象でないので、あと国会と行政府との関係については、実質的な内容がおわかりいただけるようなものにして御説明をすると最初から決めておるわけです。ただ、そこで手続とか、一体いつになるのかとか、その辺はどうにもわからないわけです。
  26. 武藤山治

    武藤(山)委員 それは後回しでも発行できるのか。
  27. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ですから、いまはもっぱら実態的な面で申し上げておるわけですが、これからどういうようなフォームにするかということになりますが、大体四十六年度のときのようなものを頭に描いて、わかりやすいものをつくるべく努力いたします。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この償還表の問題は、国債発行する場合に、先の財政の見通しが一体どうなるかに非常に関連をしてくるし、特に次の十年先の財政に関連をしてくることなので、前国会のときにさんざん議論をして、五年間に税負担をこれだけ上げなければ収入が合わなくなるということをやり合ったわけです。その意味では、いま武藤委員から御質問があったように、確かに償還表をいまのような書き方ではなくて、五十一年度三兆なら三兆、六十一年度三兆返しますというようなやり方でなく、十年以内とすれば、確かに国債に関する法律に書いてあるように、大臣にはフリーで、七年債であろうと、ときには三年債であろうと発行できる、そういうフリーなあれはできやすくはなると思うのです。ただ、その場合にわれわれが困るのは、それでは十年以内だといいますと、一体五十一年から見た場合に五十八年のときは一体幾ら借金を返さなければいかぬのか。五十六年は幾らなのか、五十九年は幾らなのかというのはわからないわけです。あくまで行政サイドのフリーだということになりますと、私もこの前の国会で言ったように、次は大平さんが総理大臣になるかどうなるか知りませんが、五年後くらいにはわれわれがとっておるつもりでおるわけですから、そうなってきますと一借金ばかりこちらに全部しわ寄せされて予算組むのにもほとんど金がない、自由な政策ができないというようなことになってきますと、非常にこれまた問題だと思うのです。そういった意味では、このことだけやっているわけにいきませんので、ひとつさらに詰めて、その法的な面については検討願いたいと思うのです。いま私が言ったような観点からも検討願いたいと思うのです。確かに金融市場いろいろ動きますから、条件金利だけではありませんので、なるべく、ある程度フリーにしていかなければいかぬということはわからぬわけじゃございませんが、国家財政の今後ということを考えますと、その観点だけではいかぬのではないかという気がいたしますので、その点は今後なお検討していただきたいと思うのです。  それでもっと現実の問題になりますと、先ほど武藤委員からお話があったように、今後の政治情勢を考えますと、実際にどうも岩瀬局長お話では、今国会中に償還表変更案を出せる状況ではないように私は受け取れる。そうなると、来年の二月から三月、早くて三月くらいには、最も現実的な——社会党はこのごろ非常に現実路線ですから現実的な日程をいいますと、三月くらいにしか——実際には国会の報告ということになるのか、これもまた非常にむずかしい点でありますけれども、出されるというからには、やはり当委員会のある程度の、いろいろな意味での了承ということになると思うのでありますが、実際には三月くらいにしかできないのではないか、いろいろ政治日程を考えるとこう考えざるを得ないわけですね。この辺について大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  29. 大平正芳

    大平国務大臣 国債に関する法律で、発行条件等は大蔵大臣にゆだねられておるわけでございますが、大蔵大臣権限というのは、大変節度を持って実行せねばならぬものであることは当然のことでございます。  そこで、武藤さんの御質問の中に、改定された償還計画表が出ないと発行でき得ないのかということでございますけれども、私はそう考えないのでございまして、いま与えられた、明治三十九年以来大蔵大臣に委任されておる法律によって私は発行はできると思います。ただ改定いたしました償還計画表国会に提出すべきであると私ば思います。しかしそれは議決の対象とは考えません。しかしこれはシ団との間で話がつき次第速やかに本委員会に提出すべきものと私は考えております。  その場合形式でございますけれども、これは佐藤さんがいまいみじくも言われたように、十年以内というようなことでございますと、年次的なものがはっきりいたしませんので、十年債とか五年債とか、やはり種類別にきちんといたすべきものと思います。それがいま私の頭にある考え方でございます。できるだけ早くそういうことを処理いたしたいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、シ団の方に高圧的にタイムリミットを設定して臨むわけにもまいりません事情は御了解いただきまして、できるだけ早くいたしたいと思いますけれども、タイムリミットをいまここで設定するということはできないことは御了承いただきたいと思います。しかし、これが決まりましたら早速そういう手順を整えてわかりやすい償還計画表というものを国会に提出するように努力いたします。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間がありませんので次の問題に移らしていただきたいと思います。  いま来年度予算の編成に入っているわけでありますが、三木内閣がどうなってくるのか、次が大平内閣になっているのかどうなのか非常にわからないことが多々ありますので、いろいろ事は複雑でありますが、いまとにかく五十二年度予算編成の準備というのは大平大蔵大臣のもとで行われていることは間違いがないわけですね。その前提に立ちまして、一体来年度の所得税減税はどうするつもりなのか。これは参議院においても、あるいは物価対策特別委員会におきましてもずいぶん論議がされております。特に、せめて物価調整減税くらいはすべきではないかというふうに議論もかなり大きくなっておりますし、自民党の選挙政策の中でも、これはまだはっきり固まってないようでありますけれども、何かそういうような夢を持たすような雰囲気をいま醸し出しつつあるわけですね。  このことについてでありますが、特に細かいことはもう時間がありませんから聞きませんが、いまやはり景気が中だるみ状態にある、個人消費がある程度伸びない原因というのは、皆さん方がつくられた主要経済指標の中で、五十一年度見通し百六十八兆の中の個人消費は九十六兆を見込んでいるわけです。つまり構成比で五七・二%見込んでいるわけです。ところがこの個人消費が伸びない理由というのは、ベースアップがかなり抑えられたこともあれば、所得税減税が行われなかった。したがって実質手取りはほとんど上がってない。あるいは国保税その他の税金等が上がっている。こういうようなことを考えますと、私たちはいま社会党、公明党、民社党で三万円の戻し減税の法律を出しておりますし、やはりことしのこの景気の中だるみ、特に個人消費が伸びないという中には、この所得税減税を行わなかったという政策的な失敗がかなり大きなウエートを占めているのではないかという認識に私は立っているわけです。この点について大臣はどういうふうにお考えになっているのかということ、それとあわせて、来年度の所得税減税、物価調整減税、これについてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  31. 大平正芳

    大平国務大臣 景気対策の観点から、あるいは実質所得を保障する意味での調整減税というような主張は、野党ばかりでなく与党の中にもあるわけでございます。それでいま具体的には、総選挙に対して掲げる政策との関連もございまして、自由民主党の政調会と私どもの方でお話し合い中でございまして、まだ正直に申して結論は出ていないのが今日の段階でございます。  それから政府の方の段取りでございますけれども、税調には中期的な展望に立ちまして、税制全般につきましての御検討をいただいておるわけでございまして、五十二年度税制をどうすべきかというような御諮問はいたしてないわけでございまして、中期的視野に立ちましての所得課税から消費課税、資産課税、流通課税全体にわたっての御検討をいただいておるわけで、それが私どもの期待といたしましては、来年度予算を編成するまでには、さしあたり五十二年度にはどういうことがその中で取り上げることができるかということは糸口としてつかみたいものと考えておるのがいまの状況でございます。したがって、佐藤さんの御質問に対しまして的確にいまお答えすることができないのが正直に私がいま置かれた立場でございます。  ただ、おまえはどう考えるのかということを聞かれたならば、五十二年度という特定年度の減税ということになりますと、これは御承知のような財政事情でございまして、五十二年度の所得税減税、これは調整減税であれ一般の減税であれ、いずれにいたしましても五十二年度の減税を考えるということは財政上大変困難である、不可能と申し上げていいような状況であると申さざるを得ないと思います。
  32. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 稲田経済企画庁長官、副総理はきわめて興味のある発言、発言じゃなくて提案である、五十二年度の所得税減税についてはきわめて考えなければいけない点があるという、われわれに言わせれば前向きの答弁をなさっているわけでありますが、それに加えて大平大蔵大臣は、新聞等で見ますと、若干財政事情は苦しいけれども何か考えなければいかぬなというニュアンスのことが新聞等では報じられているわけですね。いまの御発言ですと、財政事情から言ってこれは無理です、五十二年度は無理ですと、完全に御発言になったというふうにとれるわけでありますが、そうとってよろしゅうございますか。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 福田さんばかりじゃなく、私も佐藤さんも同様であろうと思うのでございますが、政治をやっておる者にとりまして、減税というのは大変魅力あるテーマであることはもとよりでございまして、事情が許せば減税をやりたいということは変わらない願望であると思うのでございます。そういうことを実現するためには、いろいろな条件を丹念につくり上げていかなければならぬこともまた当然のわれわれの任務であろうと思うのでございますが、五十二年度という年度の問題として提起された場合におきましては、大変これはむずかしい課題であるということは、福田さんも私も共通した認識であると福田さんからも伺っております。
  34. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 われわれが五十一三年、五十四年、五十五年等のそう先の一般論としての減税は論じても余り意味がないと思うのです。景気が中だるみ状態になる、その中の大きな要因の一つ個人消費の伸び悩みがある。これはやはりベースアップが抑えられたことやら、減税がなされなかったことやらあるいは国保税その他の税がふえてきて、実質可処分所得が減っていることにかなり大きな要因がある。したがって、現実には五十二年度というふうに限って物を考えているわけであります。  いまいずれにしろ、この論議をもっとしたいのでありますが、時間等もありませんので、それに関連をしてお伺いしておきたいのであります。  税調の第二部会の方では、酒やたばこやあるいはその他の間接税の増徴をもっと考えるべきである、こういう意見が非常に強いとわれわれは聞いております。特にたばこの専売納付金をたばこ消費税に変えたらどうかというような意見もかなり強く税調の第二部会では出ているやに聞いているわけでありますけれども、こういった間接税あるいはたばこの値上げあるいはたばこ消費税の導入について、現在の大平大蔵大臣としてはどのように考えていらっしゃるわけですか。
  35. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 御質問にございました第二部会での御審議でございますが、大臣も申し上げましたように、いまはいわゆる中期的な問題を御論議願っております。そのときに嗜好品課税というグルーピングをいたしまして、酒税それからたばこの納付金、砂糖消費税というようなものを一括して問題提起をいたしました。問題提起の仕方としましては、こういう嗜好品課税についてはいまよりももう少し負担を求めてもいいのではないかという考え方と、これに対して、いやこれは嗜好品とは言え大衆課税になる面があるのだから、この引き上げはよろしくないという意見と対比してお出ししてございます。  もう一つの柱としては、いまの水準をさらに引き上げるという問題を別にして、ほっておくと負担率が下がるという問題をどう考えましょうかという問題提起もいたしてございます。主として第二の問題に関連しまして、酒についてはもう少し一般的に重課税にしてみたらどうかという御意見があったことは事実でございます。たばこにつきましても、いまの専売納付金制度というのは国民にわかりにくいから、むしろ消費税というものを考えたらどうかという御意見があったことも事実でございます。酒については、前々から私ども考え方を申し上げておりますが、五十二年度にいますぐ取り上げるかどうかというのは別の問題でございまして、中期的に御議論を願っておる。納付金制度につきましては、専売監理官の方からなお御説明いたしたいと思います。
  36. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いまの主税局長のお話を聞いていますと、税調の第二部会でそういう意見があったということであって、政府全体の考え方としては必ずしもそういった方向にまとまっているものではない、こう理解しておいてよろしゅうございますか。
  37. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 仰せのとおりでございます。
  38. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それにちょっと関連をしまして、昨年たばこの値上げのときにいろいろな角度から議論をしたわけでありますけれども、その中で一点、その後どうなっているのかなということを泉専売公社総裁にお伺いしておきたいのは、百円たばこの検討の問題であります。私も調べてみましたが、私の質問が五十年の四月二十三日に行われていまして、それ以後それを追って衆議院におきましても参議院におきましても五回、私も含めて、私を筆頭に百円たばこの問題が提起をされているわけです。その中で泉総裁は、一年以内ではちょっと長過ぎるのではないかという答弁を、これは参議院において、私の質問を受けた鳩山威一郎議員の質問に答えて、これは日付はちょっと時間がありませんから申し上げませんが、一年以内ではちょっと遅過ぎると考えているという答弁をされている。あるいはわが党の辻議員の質問に対しても、ほぼ六カ月以内ぐらいに、いろいろ手間はかかるけれどもそれなりに検討したいという答弁がなされているわけですね。その後、この百円たばこ、もう一年余たっているわけですから、どの辺まで検討が進められて、どういう方向なのか、できそうなのか、やはり百円たばこにしたら皆さん方の方の収入が減ってしまうのでやめるのか、その点は一体どういうふうになっているのか、いかがでございますか。
  39. 泉美之松

    ○泉説明員 御質問のとおり、昨年の四月段階佐藤委員から御質問がございまして、百円たばこにつきましては定価改定後の市場の動向を見ながら検討してまいりたいというお答えを申し上げたのでございます。その後、昨年の十二月十八日に製造たばこの定価改定を行ったわけでございますが、その後の市場の動向からいたしますと、数量は減少いたしておりますが、平均価格水準は私どもが予想しておったほど下がってはおりません。それは結局消費者の動向はどちらかというと高級化の方向にあるように見受けられるのであります。そういう点からいたしまして、私どもとしては、現在のハイライトとわかばとの間に、適当な利益率を保ちつつ、新しい百円銘柄を出すということは、葉組みの比率の面からいたしましても、また、市場の動向からいたしましても適当でないというふうに考えまして、目下のところ百円たばこを出す意向はございません。そのことは、昨年十二月十三日の参議院会議におきまして、大蔵大臣から御答弁になっておられるところでございます。
  40. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 総裁が述べられているのは、消費の動向も加味されているわけですね。いま消費の動向は思ったほど落ちていないという御答弁があって、なおかつ百円たばこが出せないというのはどういうことなのか。それから、実際に皆さん方の方では、いま十二月と言われているけれども、私の質問したのは四月二十三日で、そして、通常の場合一年かかるけれどもお話のようなことでございますと、そのようにゆっくりしておれませんので、できるだけ早い機会にということで、四月の時点で、私の質問に対して、その時期から一年ということを言われ、それを受けて、参議院におきまして鳩山威一郎議員が一年もかかるのではとうてい意味がないと言われているのは六月二十三日なんですね。そういった意味におきますと、いま言われた、消費動向が落ちていないのに百円たばこを考えないというのは一体どういうことなのか。それから、では皆さん方は、葉組みとか原料のコストとか香料とかデザインとかいろいろなことを加味しなければいかぬわけでありますけれども、百円たばこというものに関して一体どの辺まで具体的に検討されたのか。恐らく皆さん方は、平均価格が値上げして百二十七円ぐらいになっていますから、百円たばこを売り出したらそちらに消費が動くということでされないということだと思うのでありますけれども、具体的にはどこまで技術的に実際に詰められたのか、もう少し御説明願いたいと思います。
  41. 泉美之松

    ○泉説明員 まず最初にお断りいたしておきたいのは、私が一年と申しましたのは、通常、新製品を出しますときには、それを出すということを決意いたしましてから現実に市場に出るまで約一年かかるのが通常でございます。しかし、もし百円たばこを出すというのであれば、定価改定に関連して出すのだから、そんなに通常の手続を踏んで一年かかっては大変だから、もう少し短い期間で出さなければならないでしょう、こういう意味で申し上げたのでありまして、出すか出さないかの決意をしてから幾らの期間というふうに考えておったわけでありまして、御質問になった時点から一年とか半年のうちに出すということを申し上げたのではなかったわけでございます。  定価改定後の状況につきましては先ほど申し上げたとおりでありますが、お話のとおり百円たばこというのは現在の定価改定後のたばこの価格水準からいたしますと平均以下のたばこになります。しかも、葉組みの面におきましても現在のわかばとハイライトの間をねらった、しかも利益率のある程度あるというたばこを設計することは大変むずかしゅうございます。もちろん私どもとしましては、技術的にはそういう葉組みにつきましていろいろ検討いたしまして、現実にデザインなどもつくってみてまいりました。しかし、そういう検討をいたしましたけれども、基本的に専売納付金が減少するようなことを行いますことは現在の財政状況から見ましてもとうていむずかしいということで、現在は断念いたしておる段階でございます。
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま総裁が言われた理由というのは、ある意味では何度かの審議の中で述べられている理由ですよ。そしてその理由は、いま言われたようにたばこの平均の価格は百二十七円だと思いますけれども、これ以下の百円たばこになるわけでありますから消費がそこに動く、このことはある意味では値上げ法案が成立しようとしまいと変わりない理由ですね。それから、葉組みの面で、わかばとハイライトの間のものができるかできないかという技術的な問題というのは、これもある意味ではあらかじめ予想できることですね。ですから、いま言われた理由というのは、法案が通る前は皆さん方は、われわれは五回にわたって——私も五回も行ったとは思わなかったのだけれども、私の質問を契機にして武藤山治議員以下わが党の辻議員その他、いま申しましたように五人の委員が百円たばこについて質問し、総裁の方も検討すると言われた。しかし、その結論というのをいま聞いてみれば、何だ初めからあらかじめわかっていることじゃないか。百二十七円の平均価格のところに百円のものをつくれば、嗜好品でありますから消費が前後動くわけではないけれども、そこが動く、専売納付金がそれによって幾らか下がる、このことは予想できること。それから、わかばとハイライトの間のものでありますけれども、葉組みが一体可能かどうかは、これは皆さん方のところはいつも三種類か四種類の新しい葉組みのものを絶えずいろいろな意味で技術的に考えていらっしゃるわけだから、これだって十分予想できることですよね。ですから、いまの総裁の御意見を聞いていますと、いままで国会の答弁というのは、法案を通すために検討しますと言ってきたけれども、いや通っちゃったらまあこれでいいや、そういうふうな答弁にしか私は聞けない。これは納得できないですよ。新しい事態が起こって消費ががたっと落ちた、専売納付金が半分になった、だから先生、とても百円たばこなんかは考えられませんというなら、私も現実路線を行く社会党の大蔵委員会理事といたしましては、それならばそれでわかります。しかし、あらかじめ予想できる理由で、いまの段階であるいはいま総裁が言われたようにもっと早い段階でできませんと言われるなら、われわれとしては総裁の検討するというのは単なる国会向けの方便であったとしか言いようがないと思うのです。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  43. 泉美之松

    ○泉説明員 いや、私が申し上げましたのは、そういう葉組みの問題あるいは平均価格水準より以下のたばこであるから利益率が下がる、これはお話のとおりあらかじめわかりておることであります。しかし、にもかかわらず商品体系の上からいたしますと、八十円と百二十円の間にもう一銘柄あるのが望ましいということもまた事実であります。そこで、いろいろ検討をいたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、定価改定後消費の伸びが、四十三年の定価改定のときには三、四カ月で従前の数字に戻ったわけでありますが、今日では九月になりましてもまだ五十一年の四月から九月までの売り上げは、昨年の四月から九月までの売り上げの九六%にしか達していません。従来は、大体年々五、六%数量がふえておったのが四%減になっておる状況からいたしますと、そういう新しい安いたばこを出しますことになりますと、専売納付金の納付見込みが達成できない心配が出てきておるわけであります。そういう点からいたしましても、私どもとしてはなかなか百円たばこを出すということにはなり得ないのでございます。
  44. 武藤山治

    武藤(山)委員 総裁それは詭弁ですよ。総裁はあのときには法案を早く通してもらいたいということで、いろいろな案をわれわれにも示したのですよ。百円なら、機械に入れればおつりがなくてぱっと出るし、便利だし、そういう嗜好の方向も考えられるから、ぜひひとつできるだけ協力してくださいと、私もあなたからじかに聞いた覚えがあるんだよ。それをいまここで、いや、それは売り上げ動向がどうだこうだという弁解はわかるけれども、もしいまあなたがおっしゃるのが当時予想されたらば、なぜ質問した議員ぐらいには、議事録を通じて、約束をしちゃったけれども、こういう状況でこうだからあの構想は取りやめにしてくれ、私も答弁が実行できないでちょっと内心苦しいものがあるから了解してくれと、総裁、電話でもいいから了解をさすべきですよ。それが誠意というものである。私はそう思うが、どう思いますか。
  45. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のとおり、御質問されました議員の方に私からお断りするのが筋だと思います。私どもとしましては、ただ、昨年十二月十三日の大蔵大臣参議院会議における御答弁で問題は処理されたものと考えておりまして、大変心得違いをいたしておりました。まことに申しわけなく思っております。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 総裁、時間がありませんから、もう言いませんけれども、五十年度決算を見ますと、確かに販売数量では二%しか伸びていないけれども、売上額としては二二%伸びているわけですよ。ですから、四%下がったから、これは値上げすればある程度下がることもわかるわけで、その意味ではまだ——時間がありませんので、これ以上は改めて来週でも検討する時間をいただきたいと思いますが、いずれにしろ、総裁の言われるような理由で百円たばこが、五回にもわたって検討すると国会で言われたことがほごになったということは、当委員会としてはとてもこれは納得できませんので、さらにもう一度総裁に来ていただいて、もう少し詳細にこのことについては論議、質疑をさしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  47. 田中六助

  48. 増本一彦

    増本委員 きょう閣議で人事院勧告の実施をお決めになったようですが、先にこの点について二、三大臣の御意見を伺っておきたいと思います。  この人事院勧告は、この後どういう具体的な実施の道筋でいつごろ給与法の改正案を含めて処理される見通しになっているのか、ひとつ財政当局のお考えを明らかにしてください。
  49. 大平正芳

    大平国務大臣 今朝閣議後、給与関係閣僚会議を開きまして決めましたことは、いま御審議をいただいておりまする財政特例法案の成立があれば人事院勧告を完全に実施するという方針を決めたわけでございます。そして、手順といたしましては、特例法成立直後閣議を開きまして、正式に決定いたします。  大蔵当局といたしましては、特例公債法が成立いたしますと、この公債年度内の消化、これは大分おくれておりますけれども、完全消化にあらゆる努力を傾注いたしまして財源の確保に努めることがまず私どもの任務であろうと考えております。  それから、財政措置といたしましては、補正を必要とすることなく、すでに御承認をいただきました予算の予備費をもって所要財源は確保できるものと考えておるわけでございますけれども、この機会政府部内におきまして一般行政費の可能な限りの節約は同時に実行いたしたいと考えております。
  50. 増本一彦

    増本委員 人事院勧告の完全実施を進められるというお話ですが、その中で、特に勤勉手当については引き下げが勧告で出ていますね。私たちはこの引き下げはきわめて不当だとも思いますけれども、それをさらに原状に戻すことを含めて、これは一定の将来の問題になると思いますけれども、財政の見通しを含めて、こういう労働条件を引き下げた部分をさらに引き上げていくというような方向では、大臣としてはどういうようにお考えなんでしょうか。
  51. 大平正芳

    大平国務大臣 ボーナスのカットの問題ですか。——あれは民間の調査に基づいたものでございますので、政府といたしましては勧告どおり減額すべきものと考えております。
  52. 増本一彦

    増本委員 そこで、赤字国債が去年とことしと立て続けに発行されるわけですが、来年も赤字国債は、政府の中期財政見通しその他を見ましても、免れないという前提でいろいろ議論もされているようです。そこで、来年度予算編成のいろいろな作業も行われてきているわけですけれども一つには、発行限度額を検討する場合でも、来年の景気の問題と、それから税制改革でどれだけ具体的な財源の手当てをするかという両様の問題が十分検討の材料に上らなければならないというように思いますが、来年度を見通して、予算編成を踏まえて、一体経済状況がどうなるか、そしてまた、それに対応もして、関連させて、税制改革をどういうように方向づけをして進めていこうとなさるのか、その点についてひとつ大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  53. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり、来年度の経済がどのように推移してまいりますかがわかりませんので、来年度予算はどういう規模にしたらいいものかという見当がつかないわけでございます。それから歳入面におきましては、先ほども佐藤さんにお答え申し上げましたように、税調に対しまして、中期的な展望に立っての税制の検討をお願いいたしておるわけでございまして、予算編成までには、そのうち五十二年度においてどこから着手すべきかというような見当をつけてみたいものと念願しておりますけれども、まだ検討に入ったばかりでございますので、そういう見当はまだついていないわけでございます。したがって、いまかいもく、具体的に来年度予算がどういう規模になり、そして赤字公債発行はどの程度になるであろうかというような見当をつけることは大変むずかしいことでございます。これは政府に一応の数字があって答えないというのでなくて、そういうことはできないのがいまの段階でございます。ただ、政府の決意といたしまして、いまの過剰に国債に依存しておる状態、とりわけ赤字公債を今年度のように三兆七千億以上も出しておるというような状態は是正されなければなりませんので、五十二年度は少なくともこの特例公債を幾らでもまず減らす第一年度にしたいというかたい決意を持って来年の予算編成に臨みたい、そういう決意を持っておることだけは申し上げさせていただきたいと思います。
  54. 増本一彦

    増本委員 特例債の発行限度額三兆七千五百億、来年度はもっと減らしたい、限度額の上でも減らしたいということなんですか。それとも総予算の中に占める割合、そういう意味で割合、比率で減らすという意味なんですか。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 絶対額を減らしたいという決意を持って当たりたいと思っております。
  56. 増本一彦

    増本委員 いま税制調査会でいろいろ作業が始められているようですけれども、具体的に来年度税制改革でどの点が具体的にテーマとして選定され、あるいはどういう作業が具体的に進められているのか、いまどういうところに来ているのか、その点をひとつ明らかにしてください。
  57. 山内宏

    ○山内政府委員 現税制調査会は主として中期税制の検討ということで御議論を精力的に進めてもらっております。と申しますのは、従来から再三御議論いただいておりますように、中期経済計画あるいは財政収支試算の示すところによりまして、ある時期に何らかの形での増税をお願いしなければならぬ状態が予測されるわけでございますけれども、そういった情勢に対処して、中期税制としていかような形でそれに対応できるかという点が主たるテーマでございまして、現在までのところまず現行税制の洗い直しから始めておりまして、まだ目下それがほぼ途中あるいは途中よりももう少し先に進んだ段階ということでございます。  私どもといたしましては、来年の税制改正もいずれにいたしましても大きな意味での中期の方向から逸脱をするというのは適当でございませんので、そういう意味合いで現在の中期の検討が、できれば来年度予算編成に差しかかる前にある程度の見通しをつけていただけるということが、来年度税制改正をもそういう意味で整合的にやれるということに相なります次第でございますので、私どもの希望としましては秋口までに税制調査会のそういった中期税制の方向が、結論とまではまいりませんでも、中間的な形ででも方向を示していただければありがたいということでお願い申し上げておりますし、大体税調としてもそういう方向に沿って現在審議を進めていただいておるという状態でございます。
  58. 増本一彦

    増本委員 五十二年度税制改正の具体的な作業はいつごろから始まるのですか。
  59. 山内宏

    ○山内政府委員 その点につきましては、これは例年のことでございますけれども、先ほども大臣が申し上げましたようにまず本年度の税収の見通しがある程度はっきりする時期、それから同時に来年度の経済情勢がある程度見当がついてまいります時期、そういう時期に差しかかりませんと租税収入全体の枠の見通しが相立ちませんので、その時期といたしましてはやはり例年冬に差しかかった時期から始めるということになろうかと思います。本年も大体それと同様と考えております。
  60. 増本一彦

    増本委員 そこで、これから後、ほぼ今年度半年の間の経済の動きいかんでは——せんだっての大臣お話ですと、景気が底がたくうまく上向きつつあるというようなお話もされましたけれども、そういうものが今後の税収にやはり敏感に影響してきますね。限度額は三兆七千五百億ですけれども、その中で当然これは最小限度の発行にとどめるという再三の答弁も大臣から前回の国会でもありますけれども、大体この後半年後の税収の見通しと、それから限度額三兆七千五百億の中でこの赤字国債特例国債は大体どのぐらいの現実の発行になるというような見通しを持っているのか、その辺、財政の収支全体の見通しを見てどういうお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。
  61. 山内宏

    ○山内政府委員 大臣のお答えに先立ちまして、現在の税収の進捗状況を申し上げますが、八月末の一般会計税収が五兆八千八百九十三億円でございます。予算額全体に対しまして三七…九%が収納されたということに相なります。前年同期の進捗割合を〇・二ポイント上回っているという状態でございます。現在の段階でございますので、まだいろいろ不確定の要素がございますけれども、いろいろの要素を彼此勘案いたしまして、ただいまのところ本年度の税収といたしましては大体何とか予算額は確保できるのではあるまいかということを考えておりますが、一方、予算額を上回って自然増収がかなりの規模で出るということは全く期待できないのではあるまいかというふうに考えております。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 ちょうどこの年度の後半に入ったばかりでございまして、年度間を占うなんということはとてもできる相談ではございません。けれども、いまの税収の報告がございましたように、まず見積もり額は収納できるのではないかという見当をいまつけておるけれども、自然増収は余り期待できないのではないかという見当をつけておるということが一つでございます。  それから一方、歳出でございますけれども、ことし思わざる災害、冷害がございましたし、ただいま人事院の勧告等の実施の問題がございます。そういう追加財政需要というようなものを私どものところでいろいろ見当をつけてまいりますと、まず御承認をいただきました五十一年度予算の枠内におきまして大体いま予想されておる追加財政需要は何とか切り盛りができるのではないかという、つまり補正を待たないでできるのではないかということでございます。だといたしますならば、この公債発行額というようなものも御承認をいただきました限度の中でおさまるようにこのままいきますとできるのではないかと思っております。
  63. 増本一彦

    増本委員 それでは、一つは、年度内の所得税の減税その他の問題もございますけれどもそれは別として、たとえば年度内に一定の税目について増税を図るというようなことの検討は主税局あるいは財政当局で行ったことがございますか。
  64. 山内宏

    ○山内政府委員 ございません。
  65. 増本一彦

    増本委員 可能な税目は幾つかありますよ。それでは、もう一つは、特に税制改革の点で問題になるのは租税特別措置ですけれども、来年度期限の切れる租税特別措置というのは幾つ、どういう項目がありますか。
  66. 山内宏

    ○山内政府委員 細々たくさんございますが、項目で申しますと全体で四十二項目ございます。主なものを申し上げますと、たとえば住宅取得控除といったような個人関係のものから始まりまして、企業関係の、たとえばいわゆる減耗控除といったものまで含めまして各種ございます。
  67. 増本一彦

    増本委員 従来、大臣、租税特別措置は見直しと改廃をするということで進めてこられましたし、廃止されたも一のも今年度税制改正の中でいろいろありましたけれども、しかし反面、時限立法で期限がくるとそれからまたさらに三年とか五年延ばすというようなことで、その間の、特に産業税制あるいは企業税制、そういったものについてはその具体的な政策効果があらわれているかどうかというようなメリットまで十分に突き詰めた上で検討がされているというぐあいにはなかなか言えないし、また、そういう測定が税のサイドだけでできるという性質のものでもないところから、どうも安易に延長延長で来ているというきらいが従前からずっとあったように私は思わざるを得ないのです。この際、特にこういう産業税制についてはここで期限の来たものはもうやめる、そして二年、三年効果を見て、なかったときとあったときと、どういうぐあいにどう違うのかということをやはりかなり一定の期間をかけて検討した上で、さらにもし必要であるならばそれに適応した税制を新規に検討するというような方向で租税特別措置のあり方については検討していく、従前のような繰り返しのやり方でなしに、そこいら辺で一本明確に線を引くというようなことが、特に今日のようなこういう財政状況ですから政府の姿勢としても非常に必要になっているというように私は思うのですけれども、そういう意味で、この期限の来ている、特に産業税制についてはこれを一切やめて、ともかく二、三年ぐらいは様子を見た上で再度検討するというような方向ぐらいは政府としても線は引けるのではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  68. 山内宏

    ○山内政府委員 基本的に租税特別措置につきまして思い切った整理改廃をやりたいという点は、御指摘のとおりでございます。そういう基本方針に基づきまして昨年度におきましてもかなり大規模な整理改廃を行った次第でございまして、たとえば件数で申しますと三七%、約四割近くの件数について整理改廃をいたしておりますし、金額で申しましても、当時の減収額約三千億の中のほぼ三分の一に近い数字を整理改廃で減額しておるということでございます。  そういうことで、私どもといたしましても基本的な心組みとしてはいま御指摘のとおりだと思いますが、ただ、租税特別措置すべてがいずれにいたしましても直ちに廃止をしなければならぬというふうには私どもは考えておりません。やはりそれはそれなりにそれとしての経済的な、あるいは産業的なメリットのあるものもございますので、そういう趣旨に十分着目をいたしながら、私どもといたしましては来年度期限の来ます特別措置を中心にいたしまして引き続き思い切った改廃を行いたいというふうに考えております。
  69. 増本一彦

    増本委員 大体こういう、特に産業税制なんというのは、予算の概算要求や何かで通産省からどんどん要求で出てきますね。それで、それを大体受け入れるような形で加工されたものが法案になって出てくる。ところが、じゃ、その後そういう税制が具体的にそれぞれ要求のあった産業界あるいは通産省で、どういう政策効果が生まれているのかというようなことについてはその後の税制の実施状況そのものとして何一つ具体的に明らかにされておりませんね。通産省あたりに特に聞いても、税制は一たんつくったけれども、その後どういう効果が具体的にあらわれているのかというようなことについては何一つつかんでいないようですね。それだと、こういう租税特別措置というのはいわゆる政策的な税制だと言いながら、その政策的な効果の検討というものが、これはどういう立場に立とうと、その後が全然やられていない、いまこういう状況でしょう。だからそういう意味では、この租税特別措置については、そういう問題を含めて全部を、少なくとも当委員会を含めて、やはりその辺のところをきちんと追跡調査をした結果を含めて公表をしてもらうというようなことが、いまこの租税特別措置をどうするという問題の第一歩として実は必要なことではないかというように思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  70. 山内宏

    ○山内政府委員 いまお話しのような特別措置もあるかと存じますけれども、基本的には、たとえば特別償却のごときものを考えますと、これはやはり機械を取得しなければ償却によって税制上の恩典を与えないということは明瞭になっておるわけでございますし、それに基づく減収額というのも明らかになっておりますので、そういう意味では、現実の効果まで含めてすでに検討をそれぞれの段階で行っておるということは申し上げられると思います。ただ、物によってはいま御指摘のように必ずしも十分に二次、三次の効果まで含めて追跡しづらいという点もございますが、今後は、先ほど申しておりますように一層公平化の要請も強くなっておることでもございますので、引き続き改廃をいたします際には、われわれといたしましてもひとつそういう点について手ぐすねを引いて合理化を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
  71. 増本一彦

    増本委員 じゃ、いまのその特別償却でいきましても、特別償却に加えて、たとえば公害防止施設についてはさらに新たに準備金ができるでしょう。そうなるとそれがもう利益留保になっているということは大蔵省、財政当局の辺でも認められる御意見がどんどん出てくるわけですね。だから、われわれとそれから財政当局との議論の中でそういうものは明らかになるけれども、しかしそういうものを全体含めてもっと、こういう政策税制についてその政策効果が具体的にどうなのか、メリット、デメリット含めてどういうものなのかということを、少なくとも税制については法律主義ですから、この国会の場にそういう具体的な資料が出されて、そこでその税制のあり方を含めて議論されるというようなことにならないとこれはいかぬと思うのですね。たとえばそういう税制をつくる税制調査会には、その政策効果が具体的にどうあらわれましたというような資料は提出されているものなのですか。税制調査会委員の人たちはそういうものを全部資料として検討された上で税制をいろいろおつくりになっていらっしゃるんですか。そこはどうなんですか。
  72. 山内宏

    ○山内政府委員 御指摘の点は、たとえば公害防止準備金の点にあろうかと思いますが、その点につきましては、これはもうかねがね当委員会においても承っておりますし、私どもとしても何らかの中身の改善をしなければならぬということで、すでに委員御承知のとおり、今年度の改正の際には半減をするということにいたしたわけでございます。私どもといたしましても、あれが半減をしてそれだけでもうよろしいというふうに考えているわけでもございませんので、今後お認めいただきました期限内にさらに合理化、あるいは適当な合理化ができなければ廃止をするという方向で引き続きあの準備金についてはマークをしてまいるという心づもりでおります。それ以外の点につきましても、先ほど私が例示をいたしました特別償却のようなものは非常にわかりやすうございます。つまり政策効果と税金のまけ方が非常にわかりやすうございますが、しかし、中にはそれほどはっきりわからない、あるいは直接効果だけでは判定しづらいというものもございまして、率直に申しまして、十分に従来その辺の追跡が行われておったかという点になりますと、なおわれわれもいろいろ勉強しなければならぬという点があることは御指摘のとおりであろうと思うわけでございます。
  73. 増本一彦

    増本委員 ですから山内さん、税制調査会にはそういう資料は出ているんですか。こういう税制つくりました、その結果たとえばこれだけ設備投資が進みましたとか、こういう効果があらわれましたとか、あるいはその反面、実はつくったけれども設備投資や何かには向かないで、それで利益留保になっているとかいうようなものが資料として出ているんですか。一定の期間にこういうようなメリット、デメリット含めてこういう影響や結果が出ているというようなのが資料として税調には出ているのですか。
  74. 山内宏

    ○山内政府委員 特別措置は委員も御承知のとおり非常に万般にわたっております。産業の各般にわたっておりまして、大は鉄鋼から小はたとえばハマチの養殖に至るようなものまでいろいろございますので、そのすべての点にわたって税制調査会委員の方々に最初から最後まで御論議、御判断をいただくというのは必ずしも適当ではないわけでございますので、従来のやり方といたしましては、主として調査会の方では基本的なそういう特別措置に対する物の考え方、それからそれに対する整理の際のいわば尺度といいますか、そういった事柄の御指示をいただいて、具体的に個別の項目について産業官庁とその効果なりデメリットなりについて議論を闘わせますのは、事務当局が先ほどの全体のルールを頭に置きながら実施してまいったわけでございまして、その結果、こういう形になって大体ルールに従ったような形でこういう形の整理案ができましたということを税調にお示しをして、それでいいとかあるいはなお足らぬとかという御判断をいただいておるのが従来の例でございます。昨年度の場合には、そういう形をとりました結果、税調の御判断としては現在の状況においてはまずかなりやった方だという御評価をいただいておる次第でございます。
  75. 増本一彦

    増本委員 それじゃあと税制でもう一点伺います。  いろいろ租税特別措置があるために、法人税の負担割合を見てみると、大蔵省の試算によっても資本金階級別に見ると逆累進の状況が出ているということでしたが、これは一つはそういう租税特別措置の改廃を進めることによって逆累進は直すということが大前提ですけれども、それとあわせて、いま中期税制のいろいろの検討がされていく中で、直間比率の是正とかいうような問題で間接税にウエートを非常にかけてくる。一番端的な例は、一般消費税を導入するかどうかというような議論までずっと出てくるわけですがね。そうするといわゆる勤労者の税負担の面から見ても、間接税のウエートがかかれば当然逆累進の傾向が一層強まりますね。そうするとそれは税制そのものからいけば、公正な税負担ということでありませんから、当然逆累進は手直しをしなければいかぬ、是正しなければいかぬ、あるいはそういうことにならないような次善の手を打たなければいかぬということが、これは税制改革の上では当然だと思いますが、そういう面まで含めて皆さんの方ではどういうようにお考えになっているのか、その点はっきりさしてください。
  76. 山内宏

    ○山内政府委員 最初の点につきましては、これは釈迦に説法のようで恐縮でありますけれども、おっしゃるように大法人の方が表面の平均税率は低くなりますが、これは一番大きな原因は配当割合が高いというところにある。したがいまして、その配当と留保に対して二段税率を設けているという点がいいか悪いかという問題であろうかと思いますが、この点につきましては、いずれにいたしましても法人税の基本的な仕組みとの関連でございますので、これは特別措置とはわれわれは考えるわけにはいかないと思います。特別措置の点につきましては先ほどから再三御指摘のありましたように、私どもといたしましても基本的に改廃を進めていくという点については変わりはございません。  それから直間比率の問題でございますが、これは私どもは直間比率の答えの方から租税体系を考え出していくというのは適当ではなかろうと思っております。直間比率だけのことで議論をいたしましても、余り実りのある答えは出てこないだろうと思いますので、むしろやはり各税日ごとに担税力と申しますか、国民の負担能力と申しますか、そういったものとのつながり合いで各税目を個別に見ていって、その結果直間比率が一体どんなふうになっているのか、それが国民経済全体にどういう影響を及ぼすものであるのかという、後から直間比率でもっていわば税制のサイドチェックを行うという性格のものかと思いますが、ただ私どもといたしましては直税の比率が高ければ高いほどいいというふうに単純に思っているわけでもございません。やはり複税制度と申しますか、いろいろな税制が複数に重畳いたしまして、実質的、結果的に全体としてのバランスがよろしい税制ができ上がるのが最適でございますので、そういう意味で頭から直税がいいとか間税が悪いとかということでなしに、個々の税目ごとにいま検討を進めつつあるということでございます。
  77. 増本一彦

    増本委員 次に、財政についても中期財政計画みたいなものを検討されているとか、あるいは財政についての中期的な計画みたいなものを考えるとかいろいろなことが報道でも出ているわけですね。財政制度審議会にその趣旨の諮問もされているようですけれども、具体的に財政当局としてあるいは大蔵大臣としてどういうようなことをお考えになっているのか、ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  78. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 財政制度の中で、財政法ということで申し上げるということになると思うのですが、それから財政制度審議会は御承知のように財政法の附則に書いてありまして、諮問機関というのではなくて調査審議というようなことになっておりまして、大蔵大臣が諮問されることが間間ございますが、大体諮問はされません。それでいろんな財政制度の問題について大臣の顧問的なファンクションをするというような性格のものでもございます。  それからいまの御質問の件でございますが、われわれいままで財政法の改正の歴史を見ますと、十回改正をしております。二十年代に八回、三十年代が一回、四十年に一回、ここのところいろいろ問題がたくさんあったわけでございますが、手を触れておりません。それで最近時ドルショックからオイルショックからいろいろずっときたわけですが、本年一月に閣議了解になりました企画庁の五十年代前期概案でも言っておりますが、経済がかなり変わってきた、それで経済の不安定性が増した、したがりて今後は、財政運営に不安定性が非常に大きく出てくるのではないかという問題意識があるわけでございます。それからもう一点は、ただいまのような大きな赤字公債を抱えてなおかつ建設国債の方も限度いっぱい出しているというような状況にあるわけです。  この二つの問題を背景にいたしまして、われわれとしては三つの視点を考えたわけでございます。一つは、長期的計画的な方途というものはどういうものがあるのか、第二点は、弾力的機動的に考えるにはどういう方途があるのか、第三点は、合理的効率的にやるにはどういう方途があるのかというような問題意識を持ちまして財政制度審議会——これは資料とかなんとかいうことじゃなくて、そういう観点で、われわれとしては、財政制度をいかなるものをつくり、いかなるものをどう直すか、そういうようなことをひとつ御議論いただきたいという問題提起をいたしたわけでございます。  で、二、三年かけて——急いでやらなければいかぬようなものも出てくるかもしれませんが、かなり腰を据えて、さっき申しました二つの客観条件の変化に対して三つの問題意識で——個々の事項というものはこれから御議論の中で煮詰めていっていただくというようなことを九月の上旬に申し上げてみて、審議会の方でまあそうだ、やろうじゃないかということで、どういうことをやるかということはまだ全然議論しておりませんが、一応問題意識それから視点、こういうようなことはいま申し上げたようなことで大体いいじゃないかということになっております。
  79. 増本一彦

    増本委員 そうすると、たとえば現在の財政法の財政の単年度主義、これを改めるとか、そういうことまで含んでいるのですか。
  80. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 単年度主義の概念でございますが、憲法八十六条の毎会計年度国会議決を経なければならないという条文、それから財政法十二条の毎年歳出はその年度の歳入でという条文、われわれ憲法八十六条の方を予算の単年度主義の原則というふうに通称しておりまして、財政法の十二条の方は会計年度独立の原則というふうに言っておるわけでございますが、通常、単年度主義の原則を破るのかという御質問の場合には、財政法の方の会計年度独立の原則の方を意味されているのか、憲法の方を意味されておるのかが定かではございませんが、憲法の条文は、これは原理原則、たまさかのものではないので、そうなりますと会計年度独立の原則を破るのかという方の議論になろうかと思います。  その辺がはっきりしませんが、仮に、会計年度独立の原則についてどういうふうに考えるかという問題になりますと、これはいろいろな議論があるわけですが、現在でも継続費だとか債務負担行為だとか、そういう制度はあるわけでございます。これは賛否両論があるわけでございますが、よりそういうようなものを考えていった方がいいんじゃないかという御議論と、いやそれはおかしいのじゃないかという御議論があるわけです。(増本委員「解説はいいです、それで」と呼ぶ)そういうような両方の議論を踏まえて、ただ各国いろいろなことをやっておりますが、そういうようなことで、現実的に必要な制度はどういうものがあるだろうか、あるいはやはり現行のままでいいのかどうかというような議論をやろうとするわけで、われわれの言っておるいわゆる予算年度主義の原則というものは、決して変更するというようなことは考えていないわけでございます。
  81. 増本一彦

    増本委員 そうすると、継続費とか債務負担行為以外に、もっと継続的に多年度にわたって支出ができるような項目を幾つかふやそう、そうお考えになってそういう方向での検討、こういうことになるのですか、この十二条の関係からいって。
  82. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 基本的にはこれからそういうことを勉強するわけですが、たとえば長期財政計画をつくったらどうだ、あれは政府としてやるのか、手がかりというようなことでやるのか、いろいろな議論がございますが、法律的な意味で申しますとそっちの方の問題というのは、実体的な法制というものをどうするかということが決まりませんと、法制にいく必要があるのか、あるいは資料的なものとしてやっていくのか、その辺定かでないわけですが、これからそういうことを含めて勉強しようということでございます。
  83. 増本一彦

    増本委員 憲法あるいは財政法の財政民主主義、国会の優位性という点から見て、これは私たちも重視をして今後非常に注目をしていきたい、基本的にはこういう動きということには私たちは十分警戒をしなければならない、こういうように考えます。  最後に一点、大臣にちょっとお伺いしておきますが、先ほど、中期割引債関係で、償還計画表議決対象ではないから、これを出さなければ発行ができないという性質のものじゃない、そういう御趣旨でお話しになりましたね。しかし、去年からことしの財特法案についての審議の過程では、十年償還ということでずっと大臣も答弁をされてきましたね。で、借りかえもしない。今度は五年ものだということになりますと、われわれが審議をしてきた前提から見ますと、また全く別のものが、仮に三千億という、国債発行の一割近い中身として出てくるわけですね。法律上の解釈はいろいろあるとしましても。  そういう償還計画表というのは、確かに付属資料と言いますか、添付資料として、予算そのものの審議にとっていわば不可分の資料ですから、それを含めて予算審議というものが行われるし、あるいはそれを踏まえて財特法のわれわれの審議も進めてきたという経過から見ますと、そういう中期国債を出されるという前提に立つならば、それに基づいた償還計画表が出されて、そういうものが具体的に国会審議のまないたにのって、その審議が尽くされるということの上に立ってそういう中期国債発行の是非まで含めた議論があって後でなければ、実は政治的なと言いますか、そういう意味では、これまでの経過から言っても大臣の答弁は納得できないと思うのです。  ですから、この問題については、その当否については私たち別に意見を持っていますけれども、少なくとも政府の方でそれをおやりになる以上は、そういう償還計画表をお出しになって、国会審議を経た上でおやりになるというようにすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 できるだけそのように国会の御審議を経てやることが政治的に妥当な方法であることは仰せのとおりだと思います。ただ法律論といたしまして、それをしなければ発行ができないという解釈を政府はとっていないということだけを申し上げたわけでございます。
  85. 増本一彦

    増本委員 そうすると、一応お出しになった上で実行には踏み切る、こういうように承ってよろしいですか。
  86. 大平正芳

    大平国務大臣 そのときに国会が開かれておりまして、そういう提出をいたしまして皆様の御審議をいただく余裕がございますならばそういたしたいと思います。できるだけそういう機会をつかみたいと思っておりますけれども、必ずしもそういう機会が与えられるとは保証できないわけでございますから、そういう場合におきましては、発行後できるだけ早い機会に御報告して詳細をお聞き取りいただくという手順をとらしていただく場合もあろうかと思います。
  87. 増本一彦

    増本委員 終わります。
  88. 田中六助

    田中委員長 坂口力君。
  89. 坂口力

    坂口委員 二十分だそうでありますので急いでやります。  大蔵省の中期財政展望によりましても、昭和五十五年度末の国債残高が五十兆円にも及ぶ。その中で赤字国債の累積額が十一兆円、少なくとも十一兆円にはなるという試算がされておるわけであります。この多額の国債に対する償還計画が具体性を欠いているということにつきましては、もういままで何度か指摘をしてきたとおりであります。この解決は、景気の回復もしくは税制の改革、こういったこと以外にないわけでありまして、景気の回復につきましては一昨日でありましたか、質問いたしまして、大臣からどちらかといえば強気の、このままでも十月から十二月にかけての景気はまずまず回復過程を進んでいくであろう、こういう答弁があったように記憶をいたしております。  また減税につきましても、一昨日の御答弁は、条件づき検討というにおいと申しますか、何となく条件づきで検討するというような形ではなかったか。きょう、先ほどのお答えを聞いておりますと、少しまたニュアンスが違うように、日ごと変化をするような感じを受けるわけでありますが、一昨日の御答弁は、確かに条件がついておりまして、私の記憶に間違いがなければ、選択すべき政策というものが所得税減税であるということで意見が一致すること、もう一つ所得税減税をすることで赤字国債が拡大をしない、こういうふうな条件づきで、こういう条件が満たされるならば検討に入ってもいいというような御意見ではなかったか、こう実は記憶をしているわけであります。先ほどの御意見でありますと、五十二年度は非常にむずかしいという、年度ということに非常に力を入れて主張になったわけでありますけれども年度のこともさることながら、一昨日おっしゃったこの条件づきでの御発言というのは、私いま申し上げたようなことで大体よかったかどうか、もう一遍ちょっとお願いしたいと思います。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 考え方を申し上げたわけでございますが、このように特例債を出しているような公債過剰依存の財政のもとにおきまして減税をやるというようなことは本来財政としてとるべき政策でないわけでございます。にもかかわりませず、所得税減税はやるべきであるということがファーストプライオリティーを持った政策としてコンセンサスを仮に得られたというものであれば、それはやはりほかのものを犠牲にしてでもそれをやるだけの値打ちがあるという評価が先行しておるのだろうと思うのでございますが、そうだとすれば、ほかの歳出を節約するなり、ほかの税目の増税をやるなり何かしてでもやるというようなことでないと、なかなかこれは御相談に乗れないような、考え方としてそういうものじゃございませんかという、まあ財政処理の場合のいわば常識を申し上げたまででございまして、条件とかなんとかいうほど、そんな厳密な意味でなくて、物事の考え方はそういうものではなかろうかということを申し上げたつもりでございます。
  91. 坂口力

    坂口委員 まあいろいろ言い方はあろうかと思いますが、赤字国債が拡大をしていかないという一つの歯どめ、条件と申しますか、歯どめみたいなもの、それからもう一つはこの所得税減税ということで何よりもここに意見の一致を見るというようなことを先日は確かに大臣としては一つのゲダンケンガングとして申されたと私は記憶をいたしております。この言葉をかえて申しますならば、所得税減税というものが景気に対する刺激要素となり得るかどうかということを言われたのではないかという気がしたわけであります。これは私が少し読み過ぎているかもしれませんが、景気に対する刺激要素になり得るならば、そこに意見の一致を見るならばという、あるいはまたそれによって赤字というものを減らしていくことができるならば、すなわちこれが刺激になればという、そういう意味でおっしゃったというふうに先日私は理解をしたわけであります。このなり得るという判断が、これは私の勝手気ままな決め方で申しわけございませんが、できるともしもするならば、これは歳出カットあるいはまた新税というようなことを考えなくても減税に踏み切れるのではないか、こういうふうに思うわけです。この所得税減税が景気に対する刺激要素となり得るという判断があるならばやる、こういう考え方ではなかったかどうか。いかがでございます。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 直ちにそういうわけにいかぬと思うのです。景気刺激の必要がある、したがってそのためにほかの手段をいろいろ講ずるけれどもやはり決定的に財政手段による刺激が必要である、財政手段の中でも所得税減税というような措置が必要であるということがある場合、これはやるべきでないかと言われるわけでございますが、私はそれは直ちにそうならぬと思うのは、そういった場合、景気対策というものを手放しでやっていいという前提でないといけないのでございますが、私どもはいまの景気政策というのはインフレの再燃を防ぎながら景気の回復、経済の拡大、雇用の安定を図っていこうというわけでございますから、そこでかんぬきがあるわけでございます。したがってインフレも招かない、そういうことが保障されないと困ると思うのでございます。端的に申しまして、非常に具体的なことになりますけれども特例債がふえるというようなことを、一方このじゃ口があいたままで景気対策だからどんどん減税をやっていいんだというだけのことにはなかなかならぬのじゃないか、そう私は思います。
  93. 坂口力

    坂口委員 一面私も同感する面もございますが、時間に追われておりますので少し次に進みたいと思います。  税制改革というものについて、これはいまの問題と絡みでございますけれども、われわれは税制改革と言いましたときに不公平税制の改革ということをまず最初考えるわけでありますけれども、どうも大臣のお考えの中には、こういう言い方をいたしますとやぶへびのところがございますが、何となくまず新税ありきという考え方があるような感じを受けるわけであります。これは二者選択の問題ではございません、いろいろの組み合わせがございましょう。しかしどちらかと申しますと、まず税制改革というのはわれわれは不公平税制の改革である、こう叫んでまいりましたし、また現在もそう叫びたいわけであります。この点、先ほどから税制改革の現在の経緯等もお話がありましたけれども、今後この償還計画等をより具体的に示していただきますためには、この税制改革というものをさらに進めてもらわなければならないと思うわけです。この税制改革というのはまず不公平税制の改革というふうにお考えになっているかどうかお伺いします。
  94. 大平正芳

    大平国務大臣 不公平税制の是正という、つまり世の中の経済が流動的に変化していくわけでございますから、税制は固定をしているわけでございますから、毎年毎年税制を見直していく、そして経済の実態に合ったようにやっていかなければいかぬわけでございますし、不公平なところをためていかなければならぬのは当然のことでございまして、不断にそういうことをやっていかなければなりませんし、とりわけ税制改革をやろうというような場合におきまして、その前提といたしまして、現行税制に不公正なところが大きく残っておるというようなことが国民意識の中に残っておるようなことではいけないわけでございまするから、政府といたしましては、五十一年度税制改正で相当大胆に不公正の是正についてやっていただいたことは御案内のとおりでございます。かつてないことをやったわけでございますから、坂口さん笑っておられますけれども、こんなことはかつてなかったことなのですよ。これは相当政府の努力も評価していただきたいと思うわけでございますけれども、こういうことはやっておかないと、本当の意味税制改正に移れないのじゃないかということでございます。  しかし、私どもがいま持っております税制というのは、われわれの先輩が汗水たらして今日まで仕上げてきた税制でございまして、これをあだやおろそかにできるものではございませんで、この中には血もあり涙もあり汗もあるわけでございます。したがって、毎年毎年かんなをかけてみがいてきた税制でございまして、不公正があればこれを直してきた税制なのでございます。私どもはこれをできるだけ尊重し、その中でもし不公正があるとすれば、それを直していくように丹念にやっていく、これが健全な保守主義というものだと私は思うのです。これはもう十把一からげに不公正であるなんという、アプリオリに不公正であるという見方にどうしても私は同調し得ないわけでございます。もっとも、税制改正というのは、不公正の是正かと頭から決めつけられますと、そういうものではない。ただ、税制改正をやる場合に、不公正の意識が残っておるようではいけないから、できるだけをそれをならしておいて税制改正にとりかかるという手順は手がたく踏んでいかなければならぬ、政府はそう考えています。
  95. 坂口力

    坂口委員 そうすると、大臣が現在考えておみえになりますこの不公正税制の改正というのは、これはことしの税制改正である程度もう終わったという意味でございますか。不公正税制の改正というのは、ことしの税制改正であらあらのことは終わった、あるいは言葉をかえて言いますならば、大臣がお考えになっております不公正税制の改正というのは、大体ことし行われた改正ぐらいのところをもって不公正税制の改革、こういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  96. 大平正芳

    大平国務大臣 ことしなすべきことは終わった。しかし、来年やるべきことはまたあるのです。つまり、経済は変わっていくわけでございますから、それに対して私ども年々歳々見直していくことも言っておるわけでございまして、既得権化しないように、マンネリ化しないようにやろうといつも言っておるではございませんか。そのとおりこれをやってまいることは依然として変わらないわけでございます。そういう方針でことしやるべきことはやりおおせた、そういう自負心を持っております。
  97. 坂口力

    坂口委員 どうも大臣のうまい言い回しにごまかされるわけでございますけれども、そうすると税制改革というものは、特に国債償還計画を示す、それとにらみ合わせての問題として、大体ことしそれから来年ぐらいであらあらの改革をされるというふうに解してよろしゅうございますか。先ほどおっしゃったように、ことしはことしで終わり、また来年は来年としての改革、それはあるでしょう。しかし、現在におきます赤字国債償還していくという意味において、現在の税制というものを——それは大臣おっしゃるように、いままでにこれをつくってこられた中にはいろいろの経過があったでしょう。しかし、細かな改革は別にしまして、一つの大きな軌道修正というのは、大体ことしと来年ぐらい、その辺のところをある程度はっきりと決めていかないと、償還計画というのもまた立ってこないのじゃないか、こう思うのです。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 不公正の是正について相当大胆にこれを見直していくということをまずやらなければならぬ、ことしそれをやったわけでございますが、それを踏まえた上で、いま税調にお願いいたしておりますのは、中期的な税制の御審議をお願いしておるわけでございます。中期的な展望に立って、日本の税制はどうあるべきかというような点をやっているわけでございまして、早晩、できるだけ早く特例債依存の財政から脱却いたしまして、財政を正常化せねばならぬという任務をわれわれは持っておるわけでございますが、それを達成するためには、税に期待するところが大きいわけでございますので、これから税制と取り組んでいかなければならぬが、これは中期的な展望に立ってひとつ御審議をいただかなければならぬということで審議を始めたばかりでございまして、ここであらかた終わったのではなくて、これからだと私は考えております。それで、その御審議を通じまして、五十二年度はさしあたりどこから手をつけていくかということを予算編成までには見当をつけてみたいと思っておるわけです。
  99. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、さらに詳しい償還計画をお示しになるというのは、これは一応税制改革というものが粗筋終わった時点というふうな意味合いでございますか、その点ひとつお聞きしたい。  時間がございませんのでもう一つ重ねてお聞きしておきたいと思いますが、この償還計画というのは、ただ国会における責任とかそういった面だけではなしに、この辺がはっきりしないということが国民に対して非常に不安を与えることになるわけでありますし、インフレの再燃にもこれが結びつく結果になると思いますし、またこの見通しを誤って失業等をより引き起こすという原因にもなるのではないか。やはり国の大もとの償還計画というものは一日も早くこれをはっきりとすべきである。これは当然赤字国債発行と同時に示すべきが本来であることは言うまでもないわけであります。これはいままで言ってきたとおりであります。それがいますぐにできないというのであれば、いつかという御議論が先ほどからいろいろあったわけで、それを先ほど私は税制からお聞きをしたわけでありますけれども、その税制というものがあらあら示されたならば、そこで大体示すというような意味に理解してよろしゅうございますか。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもは、五十年代の前半でまず特例債からの脱却をいたしたいという一つの道標を見詰めて財政運営に真剣に取り組んでいきたいということは、前の国会から申し上げておるとおりでございます。また、そうしないと、いま坂口さんがおっしゃる償還財源をどのように積み立ててまいるかも、特例債を一方において出しながら、こちらで積み立てますと言っても、それは聞こえませんということですから、まずこの方はじゃ口を締めてしまわなければいかぬわけでございますから、まずそれを五十年代の前半にひとつ始末してしまおうということを当面の中期的な目標にして、いま財政運営の基本を立てておるのでございます。そういう意味では、あなたがおっしゃるように、償還財源の問題はそれからのことになるのじゃないか、それまではまず特例債を征伐するということから始めなければならぬということはたびたび申し上げておるとおりでございます。
  101. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、大臣のお考えでは、償還計画を示されるのはかなり後になってから、大体五十年代後半というような感じでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 そうならざるを得ないのです。それまでは特例債が大なり小なり出るわけでございますから、出ている間は、この償還財源を一方において積み立てるということは意味をなさぬわけでございますから、それを積み立てるのでありましたならば特例債を初めから出さぬ方がいいわけでございますから、まずこのじゃ口を締めてしまう。それから今度は財政の正常化の道程においてあなたのおっしゃる償還財源といいますか、財政の充実を図りながら償還財源の積み立てをやっていかなければいかぬということになってまいります。
  103. 坂口力

    坂口委員 はなはだ不満でございますけれども、時間の方が大臣に味方をいたしておりますので、これで終わります。
  104. 田中六助

  105. 竹本孫一

    竹本委員 赤字公債発行はわれわれ反対であることは申すまでもないのですが、これをどうしても認めなければならないような財政経済事情にあるということで、私どもは、特に民社党としては、八月いっぱいに特例法も通り、何とか準備ができなければ話がスムーズにいかないのではないかと、いささか心配をしておったわけでございますが、十月のきょうということに大体なりそうです。  そこで、まず事務当局に、これがおくれたためにいかなる困難というか、無理をしたかという点について、御苦労のほどをひとつ簡単にお聞きしたい。
  106. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 国債の消化の面からまず申し上げますと、実際には私どもは九月から特例債を出させていただく。約三兆七千億余でございますが、考え方といたしましては九、十、十一月の三カ月が資金の余剰期でございますので、できるだけそこに大量に発行いたしたい。それから経済の回復テンポからいきましても、資金の需給関係からいけば、後半になってやはり民間資金がタイトになるであろう。そうなれば、できるだけ前倒しに早く大量に発行したい、こういう計画でございましたのが、現実に九月の発行が、私どもは八千億予定いたしておりましたものができなくなりました。十月につきましてもすでに半月を経過いたしておりますので、これからの十月の発行は、通常のベースでは本当は大変苦しい状況でございます。それに九月のおくれを乗せていこうとすることでございますので、いま非常にシ団との交渉に難航をいたしております。しかしながら、年度末までに発行しなければならないことは、これは至上命令でございますから、この点ではできるだけ早く体制を整えておくれを取り戻したいと考えております。  経済への影響につきましては、九月の国債が出ませんでしたことに対しましては、日本銀行がそれなりの金融調整をやっておりますけれども、どういう影響が出てきているかということにつきましては、詳細には、経済の細かい面についてはまだはっきりいたしておりませんが、私どもは全く影響がないとは言えないと考えております。
  107. 竹本孫一

    竹本委員 やはりものにはシーズン、時期がありますが、九月とか十月とかというのは公債発行金融が緩んでいるので、むしろその時期にというのが事務的な当然な措置だと思うのですね。ところが、そのタイミングをおくらしてしまった。そのために日銀は、手形の売りオペレーションをやるとかあるいは貸し出しを回収するとか、あるいは預金準備率を上げたりして積み増しをさせるとか、いろいろな手を打ってきたわけでしょう。そういうめんどうなことをしなくてもいいことをやった。その結果、あるいは金利利回りからいっても受け取りが少なくなって迷惑をした人もおるかもしれぬし、いろいろ問題があると思うんですね。そういう点でやはり事務的には非常な矛盾があったのではないかという点が一つ。  それからもう一つついでに伺いますが、これでいま通ったとして、十、十一、十二、年内に月々どのぐらいの消化ができるという見通しであるか。余りくだらぬことを言わぬでいいから、ポイントだけ簡単に言ってください。
  108. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 十月は私どもは七千億程度と考えておりましたが、いまこのおくれを取り戻すために何とか一兆円を達成したいというふうに考えております。十一月につきましてはまだシ団と細かく話しておりません。しかし、大体十月と同程度を考えないと後の消化が困難ではないか。十二月は資金が非常にタイトになる月でございますので、これはいまからなかなか決めにくうございます。しかし、恐らく十、十一月の半分以下ということは当然であろうかと思います。  御承知のように、いまのようなその月暮らしをやってまいりましたために、こういう小刻みの見当で、まだ先を見た見通しができてないのかと言われるわけでございますけれども、これは金融情勢を見ながら、シ団あるいは日本銀行と意見調整をして進めてまいりたいと思いますが、大ざっぱに申しまして十月、十一月で約二兆円程度にいければと思っておりますけれども、これはまだシ団側と十分話し合った数字ではございません。
  109. 竹本孫一

    竹本委員 大蔵大臣にお伺いするのですけれども政府はこれがおくれたということのために特に行政の渋滞を来したこともないというようなことを三木首相は言っておられるようだけれども、本当であるか。いまお聞きのようにやはり行政は渋滞したか、あるいは渋滞させられたためにいろいろと無理というものがあって苦心もあっただろう、こう思うのですね。したがって、これがおくれたということは、野党が特に邪魔したわけでも何でもなく、主として原因は政府や自民党の中にあるんだから、こういう問題についてはやはり政治の姿勢としてはいろいろ渋滞をさして遺憾であったという遺憾の意を政府の方があっさり表明されてしかるべきではないか。行政は渋滞しなかったとか万事うまくいっているような説明はいささか納得ができないが、大臣はどうでございますか。
  110. 大平正芳

    大平国務大臣 こういう重要な歳入法案でございますので、予算とともに成立すべきものでございます。また、そのために万全の措置を、国会対策を初めといたしまして講じてまいるのは政府の当然の責任でございまして、これが今日にまでおくれたということにつきましては全的に政府の責任でございますし、とりわけ財政主管大臣としての私の大きな責任であることは申すまでもございませんで、その点につきましては深くおわびをしなければならぬと存じます。
  111. 竹本孫一

    竹本委員 大臣があっさりそういうふうに認められれば、この上議論をする必要はありません。  ついでに一つ質問ですが、今度の中期割引国債に関連して先ほど来いろいろ議論もありましたが、これは先日も私質問いたしましたので、重複を避けまして、別の角度から、一つは、市場性を持たない貯蓄性の国債を出すということについて、これは法律の改正が要るかもしれませんけれども、ぼくはこれも一つのいい案だと思うんだけれども、そういうことを検討されたか。検討される意思があるかないか。  それからもう一つ関連して、永久国債といったようなものについて政府はどういう考えを持っておられるか、その二つの点について簡単に結論だけ伺いたい。
  112. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 貯蓄国債につきましては、現実に検討をいたしました。現在のところは、割引国債の方が個人消化に適しているということで一応決めたわけでございますが、なお個人消化の対象品目といたしましては、今後も引き続き貯蓄国債的なものも含めまして勉強を続けていきたいというのが本当のところでございます。  それから永久国債につきましては、具体的な議論はまだいたしておりません。
  113. 竹本孫一

    竹本委員 最後にもう一つ。  先ほども議論がありましたけれども、調整減税の関連ですが、大臣条件が整えばというような御答弁もあるようでございますけれども、その条件とは何かということが一つ。  それからもう一つは、この間まではやや一貫して大蔵大臣は減税はできない、赤字公債を出しておるときにできるはずがない、こういうようなお考えのようであったのだけれども、先日も申しましたように、あるいは自民党の方からやれというような声が出てきて少し御答弁のニュアンスが変わったというふうにも受け取れるのです。私は、減税をやるにしても増税をやるにしても、これは大きな負担をかけたりあるいは軽くしたりする重大な問題でございますから、選挙を意識して、選挙対策としてとかあるいは党の圧力があったからとかいうような問題ではなくて、もっと客観的な科学的なデータに基づいて減税すべきものは減税する、増税すべきものは増税する、こういうような筋の通ったものでないと、声の大きかったやつが勝ちだというような無原則なあり方になると将来のためによくない、こう思うのですが、そういう点について、この二点だけ伺って終わりにいたします。
  114. 大平正芳

    大平国務大臣 竹本委員が仰せになられるとおり、増税をお願いするにいたしましても減税を企てるにいたしましても、それは客観的なものであって、主観的恣意におもねてやるべきものではないというお説はごもっともに存じます。せんだって来私が申し上げたのは、要するに特例債に過剰に依存しているような財政状況のもとで減税政策を実行するということはもともと非常に無理な相談でございます、しかもなお、これをどうしても実行しなければならぬということがファーストプライオリティーを持った政策であるというコンセンサスが仮にでき上がるということでありといたしましても、それは歳入、歳出を通じまして、それだけこれを埋め合わせるだけの措置が講じられないとなかなか無理な御相談ではございますまいかという考え方を申し述べたわけでございまして、めんどうくさい条件めいた議論を展開したわけではございませんで、物事の考え方というものを申し上げたわけでございますので、御了承願います。
  115. 竹本孫一

    竹本委員 終わります。
  116. 田中六助

    田中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  117. 田中六助

    田中委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  118. 山田耻目

    山田(耻)委員 本法案は前七十七回国会でわれわれは強力に反対をしてまいりました。しかし、自民党並びに政府は強引な意思で強行通過をされていったのでありますけれども、本日参議院から改めて本院に送付されて戻りました。私たちは、送付されてまいりました本法案を見まするに、その質においても内容においても何ら変化はございません。  私たち社会党は、参議院におきましても衆議院におきましても改めて反対の意向を強く表明してまいりましたが、本委員会の最終に当たりまして、重ねて反対の意思を強く表明いたします。  政府が本法案を提出なさいました時期、その判断において、現状はきわめて深刻な経済不況下にありまして、歳入減も際立って巨額の金額を見せておりました。この時期に、国民生活を安定させるためあるいは不況から脱出するためという立場を貫いて提案された趣旨については若干了とするところもございます。しかし、私たち日本社会党は、この大量国債発行という方法によらなければ、今日の事態、歳入減を補うという道はほかになかったのか、このことを委員会審議を通じて幾たびか具体的な事例を述べながら追及してまいりましたけれども、何ら考慮される余地はございませんでした。後ほど提案をいたしますけれども、附帯決議の中にもそのことを強く盛り込んでおります。  われわれは今日の歳入欠陥の一方の主因として、歳入を図っていく上で税の不公正を改めてくれなくてはいけない、税制を抜本的に改正をしていかなくてはならない、こういう立場を鋭く主張してきたのであります。そうして、歳出の面におきましても、不急不要な歳出助成等については抜本的な検討を加えることも指摘してまいりました。しかし、われわれの意見というのは、今日ただいま本法案が審議終了に当たって何ら採択をされておりません。きわめて遺憾です。この大量発行は将来にわたって国民に大きな負担を負わせることになるのです。しかも、それはインフレ要因を多くその根底に持っていることも指摘できます。こういう内容を持ちました本法案に対しては、あらゆる角度から検討して反対をせざるを得ません。  日本社会党は、本法案を終了するに当たりまして、重ねて強い意思で本法案に対する反対の意思を表明して、終わりたいと思います。(拍手)
  119. 田中六助

  120. 小林政子

    小林(政)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案反対の討論を行います。  まず、本法案の審議は、参議院大蔵委員会において、わが党の再三にわたる要求にもかかわらず、公聴会も開かないなど、十分な審議も行わず、自民党が一方的に採決を強行し、本日、衆議院においてもわずか数時間の質疑で採決しようとしたものであります。  本法案は、大企業が強く要望している財界本位の景気回復の財源の調達を図ろうとするものであって、他方、不況とインフレで苦しむ国民に対して、重税と福祉切り捨てを強要する悪法であります。このような反国民的法案に対して、十分審議を尽くさず、採決に持ち込んだ自民党の態度は断じて許すことができないのであります。  反対理由の第一は、赤字公債の大量発行が国民に重税を強いる結果となることが明らかだからであります。  すでに政府は、来年度所得税について物価調整減税すら行いがたいことを言明していますが、このことは今後の消費者物価の上昇、政府、財界の賃上げ抑制の方向を考えれば、国民には実質的増税を強いるということであります。それのみならず、政府は莫大な国債費を賄うために、物品税、自動車関係税など間接税の強化を図り、史上最悪の悪税と言われている付加価値税さえ導入しようと画策しているのであります。これが不況下の国民生活を著しく圧迫することになることはいまさら申し上げるまでもないことと思うのであります。  第二に、本法案がインフレを激化させることであります。  政府は、市中消化をやるのだからインフレの心配はないと再三言っていますが、これまでの実績から見ても、市中消化された大量の国債は、一年たつとそのほとんどを日銀が買い戻しており、事実上の日銀引き受けと大して変わらないということであります。しかも、民間資金の需要が増加してくると、民間の資金需給は逼迫し、日銀は一層市中銀行保有の国債買い入れをふやしていくことになることは必至であります。すでにマネーサプライは昨年末以来大幅にふえ続けており、最近の卸売物価や公共料金の引き続く値上げに加えて、大量の国債発行インフレを一層促進することは、火を見るよりも明らかとなっております。  第三に、本法案は財政の破綻に一層の拍車をかけるものであることであります。  政府は、財政法の基本を踏みにじったにとどまらず、財政の単年度主義をやめる意図を示し、赤字公債発行の恒常化、大企業本位の財政経済政策を進めようとしているのであります。これは、赤字公債発行を公然と続けるとともに、国民への支出の縮減を強要するものであるのみならず、財政破綻の元凶に触れない、きわめて反国民的で危険なものと言わざるを得ません。  わが党は、かねてから大企業本位の財政、税制金融政策をやめて、国民本位の政策を進めることを要求し、今年度予算に対して日本共産党の主張を公表し、これが国の財政を危機から救う道であることを指摘し続けてきました。大型プロジェクトなど大企業のための投資を、住宅や学校などの国民生活向けに回すこと、大企業への特権的減免税をやめて、国税、地方税の四兆数千億の増収を図ることなどがそれであります。国の財政経済政策を国民本位に根本的に改めない限り、財政危機からの脱出、日本経済の再建はできません。  このことを強く指摘し、一日も早い国政の革新をかち取る決意を披瀝して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  121. 田中六助

  122. 広沢直樹

    広沢委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案反対の討論を行うものでございます。  本法案につきましては、去る前国会五月十二日、当委員会における反対討論で基本的な反対理由は申し述べてございます。したがいまして、情勢の変化を踏まえながら、数点にわたって理由を述べさせていただきます。  その第一は、三兆七千五百億円もの巨額な赤字国債発行を予定する本法案が、本年一月、当時景気の先行きについて暗い見通しに立たざるを得なかった時点での経済見通しを前提とする予算編成方針のもとで草案され、現在の経済見通しとは異なってきているということでございます。  現在の経済動向、税収は、ともに政府の見通しを上回ることが予想されております。これは予算編成の基本的な骨格が異なってきているということを明確に示すものでございます。赤字国債発行につきましても、できるだけ正確な経済見通しや財政予測を立て、そのもとに減額修正を行うなど努力をして国会審議を求めるのが政府の責任であります。政府は、さきの第七十七国会の閉会以来、三カ月という期間がありながら、赤字国債発行を避けるための努力を全く行っていないということであります。  すなわち、政府は本法案が前国会で継続案件となった重要性を認識せず、この三カ月間、赤字国債発行を回避するための努力、不公平税制の是正や歳出の根本的な洗い直しに手をつけないばかりか、やむを得ず発行する場合に、その大前提となる償還計画とその財源の明確化、個人消化推進など、歯どめとなる条件づくりにも努力を払おうとしていないのであります。政府が安易に赤字国債発行をしようとする姿勢は、財政努力の怠慢を示すものであります。  第二は、本法案が歳入欠陥を補うためとしながら、実は逆に国民生活に極度の耐乏生活を強要していることであります。  政府が巨額な歳入欠陥を理由に、今年度所得税減税を見送った結果は、政府の見通しを上回る消費者物価の高騰、所得税の実質増税、国民年金、健康保険の掛金の引き上げから、勤労者を中心とする国民生活はせっかくのベースアップが帳消しになるばかりか、その負担増は昨年度の収入にまで食い込んでおります。この傾向は、課税最低限ぎりぎりの年収二、三百万円という所得の低い階層ほど生活が苦しくなるという、大衆に犠牲と負担を強要するものであります。しかも政府は、一方では、相変わらず大企業や資産所得者を優遇する不公平税制を温存しております。国民生活を圧迫し、財政穴埋めという背景を持つこのような法案には、断じて賛成できないのであります。  第三は、赤字国債の大量発行インフレを再燃させ、加速度的に進行させることになるからであります。  しかも国鉄運賃、電報電話料金の値上げ、続騰した卸売物価の消費者物価へのはね返り、マネーサプライM2の水準のじり高など、インフレ要因がメジロ押しであることからも、大量の赤字国債発行インフレを加速度的に進行させ、そして国民生活を破綻に追い込むおそれを増大させることになるからであります。  第四は、財政法の基本精神である財政民主主義を形骸化しようとすることであります。  本法案の第一条は、「五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、」云々となっております。この規定は明らかに枠があってないに等しく、今後補正予算が必要な場合、幾らでも赤字国債発行が可能であるという結果になり、補正予算の歳入について国会審議を必要としなくなるばかりか、放漫な財政運営を容認することになるものであります。かかる理由から、断じて反対をいたします。  以上をもって、私の反対討論を終了いたします。(拍手)
  123. 田中六助

  124. 竹本孫一

    竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております特例法反対の討論を行います。  第一点は、最近の財政経済政策の失敗がこの赤字国債発行をやむなくしておると思いますけれども、そうした政策面の失敗に対する厳しい反省とまじめな取り組みが不徹底であるということであります。  第二は、償還計画を初めとして、あるいはインフレ対策、ただいまお話もありました福祉の問題、こういう問題に対する計画的な取り組みがなくて、償還計画を初めとして政府の御説明にどこまでの確かさがあるかということについて非常な疑問を持っているのであります。下手をすれば、やはりインフレになるという心配の方が大きいのではないかということであります。  第三点は、償還計画一つ立てるにいたしましても、中期財政計画というものがなければ本当の償還計画は成り立ち得ない。しかしながら、財政だけを計画化しようと思いましても、その根底をなしておる経済というものが、いまのような、あるいはいままでのような原理あるいは構造のままではどうにもならない。政府の経済計画というものが常に間違ってうまくいかないという誤算が多いのは、これは計画ではなくて、単なる計算であるからであります。  私ども民社党としては、いまこそ発想を転換して日本の経済が計画的な市場経済体制に入らなければならぬ、かように考えておる立場から申しますと、その計画を計画として貫くためには、それに必要な法的な措置並びに構造の改革というものが必要であります。理念も変えない、法律も用意しない、ただ言葉の上だけ計画的なことを申しましても、そういう体制には絶対にならない。  そういう意味で、私どもは、いまこそいままでの経済体制を、文字どおり発想を転換して、もう少し計画性のあるものに、もう少し社会性のあるものに初りかえなければならない時期にきておる、このことを厳しく警告をいたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)
  125. 田中六助

    田中委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  126. 田中六助

    田中委員長 これより採決に入ります。  昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  127. 田中六助

    田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  128. 田中六助

    田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び新自由クラブを代表して山下元利君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君
  129. 山田耻目

    山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。  本附帯決議案は、国債の大量発行に伴う今後の財政運営のあり方等について留意すべき諸点を取りまとめ、政府に十分配慮するよう要請するものでありまして、案文の朗読によって内容の説明にかえさせていただきます。     昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り次の事項について十分配慮すべきである。  一、大量の国債依存財政、なかんずく特例公債依存の赤字財政から脱却し、健全財政を確立するため、財政収支の改善に全力をつくすとともに、極力国債発行額を圧縮すること。  二、国債は将来の国民の負担となるので、償還財源の確保につとめ、償還に支障のないようにすること。また財政支出にあたつては不要不急経費を削減するとともに、補助金行政を洗い直すなど抜本的行財政改革に着手すること。  三、財源対策としては、負担の公平化に一層努力し、大胆な税制改革を行い中長期にわたる基本的見直しを行うこと。  四、国債発行が地方債の発行ならびに民間の資金需要を圧迫することのないよう十分留意すること。  五、国債の市中消化、とくに個人消化を強化するよう公社債市場の整備につとめること。  右決議する。 以上でございますが、何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。  終わります。
  130. 田中六助

    田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 田中六助

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣
  132. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。     —————————————
  133. 田中六助

    田中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 田中六助

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  135. 田中六助

    田中委員長 次回は、来る二十日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後四時十四分散会