○佐上
政府委員 一−三、及び四−六の数字はすでに国民統計速報で出ておりますので、むしろ先生の御質問は最近七月から九月にかけてどうなっておるかという御質問だろうと思うのであります。
まず、最終需要で非常に大きなGNPの割合を占めておる国民所得、国民総支出で五十数%を占めております個人消費の問題でございますけれ
ども、個人消費は家計
調査で勤労世帯八千世帯を中心にして毎月統計を出しておりますのが七月まで入っておるわけでございます。これが名目で四月までは二けたでございましたけれ
ども、五月、六月、七月といずれも一けたでございます。七月は名目では八・八というような数字になっております。そういった
意味におきましては、四−六に比べまして個人消費の名目の伸びが一けたにとどまった、七、八%にとどまった。これを、よく実質と申しますが、消費者物価の指数でそのまま割りました数字が実質の支出でございますけれ
ども、五月からマイナスに転じておるというところから、個人消費の支出がある
意味において実質がマイナスではないかという御批判があるわけでございますが、名目では依然として七、八%伸びておるわけでございます。
そこで、ある
意味において個人消費の伸びが鈍化しているのではないかという議論が実はあるわけでございますが、これには私はいろいろの理由が複合して出ているのではないかと思うのであります。
一つは、先生御案内のとおり、今次の春闘と申しますか、春の賃上げが八・八%、大手でございますけれ
ども、一けた台にとどまったということ。それからもう一つは、企業の収益の
関係もございまして、夏のボーナスは、大手でございますけれ
ども、三%台にとどまっているということ。それから季節的な要因でございますけれ
ども、ことしの夏は冷害が起きるほど涼しかったということもございまして、レジャーの面もさることながら、たとえばクーラーとかあるいは夏物の衣料とかそういったものの売れ行きが伸び悩んでおるというようなこと、こういう複合的な原因が結びつきまして、この六、七、個人消費の一けた台、名目で七、八%の伸びになったというふうに私は
考えております。
しかしながら先行きの問題については、特に御質問がないわけでありますけれ
ども、ことしの冬のボーナスは、企業収益の好調を反映してかなり伸びるというふうにも言われておりますし、御案内のようにオーバータイムと申しますか、時間外手当も、まあいまのところ前年に比して三割、四割程度の伸びでございます。そういった時間外の増も
考えられる等々いろいろございまして、これから先行きもいろいろございますけれ
ども、私
ども全体として
考えますと、政府の見通しております実質五%程度の伸びというものは回復できるのではなかろうか。と申しますことは、逆に申しますと十−十二月から一−三にかけて次第に個人消費も伸びてまいるとか回復してまいるというようなことではないかと思うのであります。
それからもう一つの要素でございますが、輸出がわりあいといままで好調でございます。それが、
大臣先ほど答弁されましたけれ
ども、七月以降、たとえば通関輸出あるいは輸出信用状というものが、対前月比マイナスに転じております。これは在庫一巡というようなことも一つ起因しておると思いますが、いずれにしましても輸出はかなり高水準の横ばいのような形でございます。世界経済の全体の見通しとしても米国あるいはドイツを中心にしてやはり底がたい姿でございますから、これが高位水準でいくのではないか。ただ従来のようなテンポで伸びるということはないにしても、まずそういう方向で進んでいくのではないかというふうに
考えております。
その次に問題になりますのはやはり民間設備投資でございます。民間設備投資につきましては、先行指標である機械受注なりあるいは建設受注なりを見ますと最近のところ乱高下をいたしておりまして、ちょっとこの見きわめがなかなか
——月ごとに動いておりますが、どうも底固めが終わったのではないかというふうに私
どもは
判断いたします。御存じのように四−六のQE、つまり国民所得統計では実質一・七%のプラスに転じておりますし、それから各民間経済研究機関等が出しましたいろいろの指数を見ましても、本年は大体一六%から二七%、名目でございますけれ
ども、そのぐらいの伸びになる。なかんずく、特に電力、鉄鋼というふうに中期的な展望で設備投資をしている、これはなかなか底がたい動意があるというふうに言われておりますけれ
ども、これが果たして下期になって非常に大きく出ていくかどうかということは、それぞれの企業の先行き
判断に待ちますけれ
ども、少なくともいままで四つか五つ出ている数字は、かなり底がたいように私
どもは
判断いたしております。
大体需要項目につきまして主要なところを申し上げげますと、こういうふうな
判断でございます。