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多田委員 労使の問題を言われたのですけれ
ども、私も
労使の合意について、いちゃもんをつけているのじゃなくて、こういう案に対して
政府として、本当に
石炭を復興さしていく、そして数少ない労働力を保持していく上で、どういう積極的な姿勢で臨むのか、これが問われているのです。ですから、
北炭幌内の問題で問われているのは、資本家の
経営の姿勢と、それに対する
政府の積極的な姿勢がどうなのかということなんですが、残念ながら
政府の姿勢というのは、やはり、あれこれの
経営で
援助はする、しかし本当に国内
石炭を見直して、
政府の言う二千万トン以上を確保していくという、そういうものにまだ遠いのじゃないか、私はこう思うのです。この一番大事な問題は、
資金の問題もさることながら、事ここに及んでは労働力の保持の問題ですよ。これは全く
日本の
石炭産業の最大のネックなんですから、そういう
意味で私は、
大臣がさらに、この問題について
労使に対して、
賃金の満額をきちんと払って、その上に立って
検討しろという忠告があってしかるべきだと思うのです。だから
労働者がここから
士気なんかわいてきょうがないですよ。その点はどうでしょうか。
そしてもう一度、私は
大臣に、それじゃ、この
幌内から出向している
労働者の手紙をちょっと、これは一分かかりませんので読ましていただきたいと思うのです。その一部です。これは家族四人の奥さんから来ているのですが、こういうように書いているのですね。
幌内から新鉱に出ているのです。
家族の心配の中で夫が出向にいってより六ヵ月、出向時の
約束が守られれば今頃夫は家族の許より
幌内炭鉱に出勤してられるのにと思うと腹立しく本当にくやしい気持ちでいっぱいです。
云々と書いて、
夫が帰る土曜日は洗濯機に水を張って待ちかまえて一週間分の洗濯をすぐしなければ
なりません。
又出向先の食事は粗末だし
自分の好みの物はなかなか食べられないので帰ってくれば、おいしい栄養のあるものを食べさせようと、家族の者は食べたいものも我まんして一週間きりつめている
状態です。
お父さんが帰る土曜日は生協は買物する
炭鉱の主婦でいっぱいです。肉屋さんは行列をしなければ買物ができない程です。
私は体が弱くて長い間病院通いをしており、この夏にはぜん息の発作、風しんで夫に出向先より帰ってもらい家事、看病をしてもらい十日近くも休んでもらいました。
賃金面にしても、出向にいってからは
事故以前の
賃金を大幅に下廻っています。九月の
給料は手取八万円で四人家族で医療費が毎月三万五阡円程かかり、今月はどうして暮していこうかと途方にくれています。
云々という手紙なんです。
出向している
労働者、これは参議院でも多分
お話があったと思うのですが、並み大抵のことじゃないのですよ。こういう
労働者の
賃金を払わないでいて、そして国から金をもらって一応のかっこうはつけたとしても、私は
日本の
石炭産業は、この面から崩れていくと見ているのです。これはもう十年、十五年見ればはっきりするのですよ。
ですから私は、ぜひもう一度お伺いしたいのは、この
賃金の満額を強く
経営者の方に
政府として要求すべきだ。それから
北炭新鉱については、もし、ここで
事故があれば、えらいことになるのですから、来年二月の五千トンを目標とするのは結構かもしれませんけれ
ども、現状では
政府自身が
答弁できない。そうだとすれば着実に前進をしていくということを忠告あって、しかるべきだと私は思いますが、どうでしょうか。