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1976-10-20 第78回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十日(水曜日)    午後二時十六分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 金子 岩三君 理事 篠田 弘作君    理事 菅波  茂君 理事 三池  信君    理事 多賀谷真稔君 理事 多田 光雄君       楢橋  進君    上坂  昇君       塚田 庄平君    渡辺 惣蔵君       鬼木 勝利君    稲富 稜人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石炭部炭業課         長       高瀬 郁弥君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       北川 幸昌君         建設省道路局有         料道路課長   宮崎 昭二君         建設省住宅局住         環境整備室長  片山 正夫君         自治省財政局交         付税課長    今井  実君     ————————————— 十月十八日  筑豊地域総合的復興等に関する請願大橋敏  雄君紹介)(第五八四号)  産炭地域振興対策に関する請願吉田法晴君紹  介)(第六八〇号)  福岡県田川地域産炭地振興対策に関する請願  (吉田法晴紹介)(第六八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田弘作君。
  3. 篠田弘作

    篠田委員 いよいよ北炭再建問題も大詰めに来ているようで、再建案もきのう出されたようであります。それにつきまして河本通産大臣にお聞きしたいのですが、実は、この日曜日に私、夕張まで行って見てきました。見てきたというのは、市内の空気が非常に悲観的で、労働組合も市民も商工業者従業員も、そういう人たちがほとんど非常な悲壮感危機感に燃えておるという姿を見て、私は、これは一企業再建問題ではない、五万の住民を抱えた石炭町夕張市の浮沈に関する問題だと感じました。  御承知のとおり夕張石炭の町でございまして、いま残っておるのは三菱の新鉱、あとは全部、九割まで北炭です。そういうことに対しまして、いまようやく再建案が出たわけでございますが、これから専門委員会にいき、そして、それが経営部に渡り、政府で検討する、そういうような順序でございますけれども、来月の四日には臨時国会は終わるわけでありまして、もうあと石炭特別委員会をやりましても、せいぜい二回しかできない。これに対して通産省は、これからしさいにそれを検討する。言いかえれば専門委員会経営部会の案ができてきて、ようやく通産省に参るわけでありますが、石炭部長お話によると今月中には何とか検討したいということですが、これは、いま申し上げたように一企業再建ということではなくて、資源の問題もありますけれども、いま夕張現地へ行ってみた私の感触では、これは夕張がつぶれるかつぶれないかという社会的な大きな問題になっている。こういうものに対して数字の計算だけで、つじつまが合うとは思えないのでございますけれども通産大臣の大局的な御答弁を得たいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨日、北炭再建案なるものを会長社長の連名で受け取りました。まだ内容はしさいに検討しておりませんし、いま、ここで申し上げる段階ではございませんが、ただ私が二、三日前に萩原会長から聞いておりました再建のための資金計画と非常に違っておりますので、その点について、とりあえず十分確認をしたいと考えております。
  5. 篠田弘作

    篠田委員 これは通産当局としましては、純然たるエネルギー問題として取り上げられておるわけでありますけれども政府としては、これはやはり社会問題として取り上げなければならぬ、こう思います。これは、もとはやはり通産大臣ですから、三木総理大臣が直接やるわけではありませんから、それに対する、あなたの見解をお聞きしたい。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 もちろん地域社会に非常に大きな影響がございますから、地域社会に及ぼす影響等も判断しなければならぬと思います。しかし、この経営責任というものは政府にはございませんで、やはり民間の企業でありまして、会長社長その他経営陣というものは経営に対して責任を持っておるわけでありますから、すべての条件を無視して地域社会の大問題であるからということだけで、中身を検討しないで結論を出すということはできません。先ほど申し上げておりますように、三、四日前に通産省会長が出てまいりまして私に対していたしました説明と昨日の再建案との間には資金計画に非常に大きな違いがありますので、その点について、なぜ、わずか二、三日前に説明したことが根本的に変わっておるのかということ等につきまして十分説明を聞きたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  7. 篠田弘作

    篠田委員 純然たる個人企業であるから社会問題として通産省で扱うわけにはいかない、これはよくわかります。だから経営者からよく聞いて回答したいということは、経営者に対する不信といいますか、それがあるわけだと思いますが、そういう場合には再建案をのまない場合もあるということですか。私は、河本大臣通産大臣ですから、そういう答弁でいいと思いますけれども、社会問題となれば政府責任がありますから、その政府の、もちろん、これは三木総理でありますけれども、それと一連の対策を講じておられるのが河本大臣ですから、もし、その再建案というものが納得いかなければ、のまないという考えですか、それをひとつ。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 繰り返し申し上げまして恐縮でございますが、たくさんの人たち地域社会で働いておるわけでありますし、その地域で直接働いていない方々も何らかの形で経済関係があるわけですから、非常に大きな社会問題であり、地域問題であるということは、よくわかりますけれども、しかし企業というものは石炭会社に限らず、みんな、それぞれ地域地域で大きな社会的な役割りというものを果たしておるわけですね。何千人、何万人という人が働いておるわけです。だから、その企業が行き詰まったら社会問題であるから、地域問題であるからといって政府が全部、直ちに救済をするというわけにはまいりません。  ただしかし、私が申し上げておりますのは、何とか再建協力したいということで政府の方も積極的に考えまして、一刻も早く再建案を出すようにということはたびたび言ってまいりました。しかし残念ながら、おくれおくれて昨日ようやく出てきた。毎日のように督促しておったものが大変おくれたということ、これは非常に遺憾に思っております。  もう一つ申し上げたいのは、再建案の出ます三、四日前に、やはりあらかじめ、どういう考え方のもとに再建をするのかということについて私も十分聞いておきたい、こう思ったものですから、萩原会長斎藤社長のお二人に出てもらいたいということだったんですが、萩原会長が一人で来られまして、私に対して、いろいろ説明がございました。エネルギー庁長官石炭部長が立ち会って約一時間半、再建案について、るるお聞きしたわけであります。  そのときのお話では、一つは、金融機関に対しても再建に対して、いま協力を求めつつあるところである。その協力内容は、六年間、元金をたな上げして、そして金利を払わない、こういうことにしたい、こういうことであったわけです。  それからもう一つは、幌内再建については、ひとつぜひ協力してもらいたい。幌内再建には今後、資金が百二十億ばかりかかる。これは大事故という偶発事件が起こったために、こういう事態になったわけであるから、幌内については、ひとつぜひ協力してもらいたい、百二十億の資金調達については協力してもらいたい。ただし残り資金については、百三十億ばかり金がかかるけれども、これは普通の経営によって生ずる資金ショートであるから、自分が、つまり会社が全責任を持って、これを調達しますということであったわけであります。  そういう内容であったのでありますが、昨日、持ってこられました内容が違いますので、そこで会長を呼んで、なぜ二、三日前の説明と根本的に違う内容再建案を持ってこられたのかということについて、よくお聞きしたい、こういうことを言っているわけです。資金計画が一番の根本ですからね。それが二、三日の間に非常に違ってしまったということですから、それをまずお聞きしたい、こういうことを言っておるわけでございます。
  9. 篠田弘作

    篠田委員 わかりました。それじゃ、どうもありがとうございました。
  10. 田代文久

  11. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 時間がございませんので結論を申し上げたいと思います。  いま篠田君から発言がありましたが、特に篠田君は視察した先が夕張であった関係から、夕張に焦点がいって話をしておりますが、北炭といたしましては夕張四山のほかに、問題になっております幌内炭鉱空知炭鉱一般炭があるわけです。夕張地帯原料炭であります。しかし、火が吹いた幌内炭鉱その他は一般炭のところであるということで、同じ石炭の問題でも非常に複雑な様相を持ってきておる。本来から言いますと幌内炭鉱の災害問題と、その再建の問題で問題が提起されていますのに、いつの間にか北炭夕張と全体の問題にすりかえられてきておるような状況です。言い方がちょっと悪いかもしれませんがね。たとえば今度きのうの朝三時に妥結したという協定書を見ましても、その中で指摘されておりますのは、ほとんど夕張の問題が中心でありまして、夕張をめぐるいろいろな問題、それにつけ足しで幌内の問題もちょっぴり入ってきております。ということと労働賃金に関する部分と、最後財政上の問題、この三点が昨日の協定書の主要な柱であると私は思うわけであります。  特に、いま篠田君に対する大臣答弁に出てまいりましたように、北炭問題に対して、われわれが警戒を要すべき点は、ネコの目のように意見が変わることであります。たとえば幌内炭鉱の問題にいたしましても、十一月の災害当時は六月までに再開できる、そういう意見が出てまいり、それから九月になり十一月になり、いよいよ、きのうの回答になってまいりますと、来年の六月でないと十三名の遺体が揚がらない。石炭生産体制が始まるのは十月だ、こういうようにネコの目のように次々と変わっていきます。  ことに昨日の参議院の商工委員会萩原君に対して質問が非常に集中いたしましたのは、八月十三日の重役会と九月九日の重役会で、月とスッポンほど違う結論をつくっていることです。たとえば八月十三日の重役会では、萩原会長もおられる席で常盤坑開発の問題を議決しておる。その二十数日後の九月九日には、自分が出席して同意をしている重役会をくるっとひっくり返して、萩原会長反対表明をして、その常盤坑開発の問題をぶち壊しているわけですね。常盤坑開発の問題の是否論は別といたしまして、これは当然、会社技術陣も、あるいは現地の通産局も、それぞれ相談を受けて適正指導してやることになったのだと思うのですが、重役会で議決した事項を会長自身発言で一月足らずでぶち壊してしまっている。  ただ、ここで問題になりますのは、私が心配いたしますのは、萩原会長がそういう心境の変化を来たして、ぶち壊しに回った、ちょうどその時期に、いわゆるユーザー三社の声明が出ているわけです。ユーザー三社といいますのは、御承知のように、新日鉄、鋼管、東京瓦斯の三社で、原料炭使用日本の巨頭でありまして、北炭に約七十億の金を貸し付けたりしておる会社ですが、この三社が声明をいたしまして、幌内炭鉱その他を中心とする一般炭の復活に対して金を使うことはおかしい、原料炭中心でやれ、そうでなければ協力しない、七十億の貸した金も引き揚げる、こういう強硬路線を張っているわけです。これが偶然にも九月九日前後であります。そうすると萩原会長が、そういうさま変わりをいたしました条件というものは、この大手ユーザー三社の重大発言に刺激されて取りやめにしたのかという疑問が非常に起こるわけです。  もう一つ出てきます問題は、北炭再建という名に隠れて一般炭を切り捨てるという政策が進行いたしますと、勢い幌内炭鉱は閉山の運命にいかざるを得ない。どんな決議をいたしましても、こういう心配が離れないのです。不信感をどうしてもぬぐい切れない。この点について、大臣幌内炭鉱をあくまで守り抜くのだという決意表明を願いたい。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 ユーザーとの関係であるとか北炭内部における、これまでのいろいろな具体的な経過等につきましては、実は私は詳細承知しておりません。先ほど申し上げましたように、去る十五日に会社代表として会長がお見えになりまして、私とエネルギー庁長官石炭部長説明されました資金計画では、幌内は大事故を起こしたので、幌内不足資金については全面的に協力してもらいたい。しかし他の資金については、これはもう一般資金であるから、どんなことがあっても企業が全責任を持って、政府めんどうをかけないで調達をいたします、そういう説明がありましたので、私どもも筋道の通った話であるなあ、こういうふうに一応は受け取っておったわけです。  ところが、きのうの書類では、幌内に対しては全面的に不足資金協力してくれ。残り一般資金についても政府保証云々ということになっておる。私はまだ書類を見ておりませんので詳細コメントできませんが、そういうことになっておるということを聞きましたので、それでは十五日の説明大分事情が違うな、一体どういうわけで、わずかな期間の間に、そんなに内容が変わってしまったのか。十五日に繰り返し幌内以外はめんどうをかけません、自分責任で全部やりますと言っておられたのが、なぜ変わったのか、そういうことについて一回よく事情を聞かないといけませんので、とりあえず、その事情を聞いてみたいと考えておるわけでございます。
  13. 田代文久

  14. 塚田庄平

    塚田委員 時間がございませんので大臣、端的にお答え願いたい。  この再建問題については幾つかの条件、たとえば労使の完全な合意といいますか、労使協力関係確立ユーザー協力銀行も含めて債権者協力あるいはまた自主体制確立、そういう諸条件の上に立って、国民合意する方向で政府は積極的な姿勢を示す、こういうことで今回の問題はいろいろと協議をされてきました。最も必要であったのは、あるいはまた時間がかかったのは、いま大臣は非難をしておりますが労使間の合意だと思うのです。今度の再建案、きょう示されました概要、これについては労使は完全に合意したということは大臣は十分お知りでしょうか。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 労使合意したということは承知しております。
  16. 塚田庄平

    塚田委員 その労使合意の中で、実は労働者の方は端的に申し上げまして、賃金についてはベアが五十二年度は一般大手に比べて七〇%、そして賞与については五十一年度の上、下あるいは五十二年は五五%ということでありまして、これはまさに労働者にとっては身を切るような条件だと思います。いまインフレがどんどん高まっておる中で、これだけ身を切って、とにかく再建しなければならぬ。つまり国の基本的な二千万トン体制に対して、いわば大きな気持ちでこれに協力を約束しておる。この事態をいま大臣は、幾つか出した条件の中で一体どう見るのか。これにこたえる気持ちがあるのかないのか、この点を端的に表明してもらいたいと思います。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 二、三日前であったと思いますが、労働組合代表の方が十何人か来られまして、また地域代表、地方の市長が数人お見えになっておりました。そのときに、これからいよいよ最終段階としての労使交渉に入るわけだけれども労使交渉でまとまったものは政府がそのまま直ちに全部認めてもらいたい、こういう要請がございました。しかし、それはそうはいきません。その内容について十分政府としても検討し、同時にあわせて、石炭鉱業審議会専門委員会がございますから、そこで十分審議をしていただいて、そしてやはり国民経済上納得できる、そういうものでないと、それは無理ですよ。労使合意したからといって直ちにそれを全部、何が何でも政府が全部めんどう見る、そういうわけにはまいりません。内容をよく検討する必要がありますということを申し上げたわけであります。  労使合意したということは高く評価をいたしますけれども、私が言っておりますのは、萩原さんを非難しておるわけじゃないのですよ。そうじゃなしに二、三日前のお話と、きのうの話が違っておるので、なぜ違ったのかということについて事情を聞かないとわかりませんから、まず、それを聞くことが先決であるということを言っておるわけです。
  18. 塚田庄平

    塚田委員 再建計画について労使合意した、この点については高く評価する、こういう言い方にすりかわっておりますが、この再建計画を推進する上において労働者自体が五五%あるいは七〇%とみずからの身を削っておる。あるいはまた妻子から離れて新鉱へ向かう、こういう事態についても一定の人数が出ておりますことは、もう御承知のとおりだと思うのです。この熱意、これはまさに国民の期待にこたえるというよりも、むしろ、それを超えたものだと思うのです。その評価をどう見ているかということを聞いているんであって、いろいろと数字の違ってきておること、きのう萩原会長が言ったことと、きょうとは違うということはさておいて、とにかく、こういう情勢の中で労使は切り詰めた交渉をやり、そして決定を見たという事態をどう評価しているか、こういうことだと思います。
  19. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど来、篠田先生の御質問にもお答えしましたが、要するに地域社会にとって非常に大きな課題である、できることならば何とかしなければならぬと思います。ただしかし、労使合意したことは全部、政府めんどう見るということになりますと、日本じゅう企業に対して、つぶれかかった企業は、あるいは困難に逢着した企業は、地域社会に、それぞれ何千人という人間が働いておる企業もたくさんあるわけですから、それを全部、政府めんどう見るということになりますと、これは大変ですから、やはり国民経済上、納得できる限度において、また理解を得られるような内容であれば、政府めんどう見ていく、こういうことでなければならぬと思います。
  20. 塚田庄平

    塚田委員 相変わらず通産大臣計画の問題にしぼっておりますが、残念ながらこれは平行線で、これ以上言いません。何も労働組合が五五%にしたからといって、あとの四五%を政府めんどう見なさいと言っているんじゃないんだ。あるいはまた期末手当七〇%にしたからといって、政府あと三〇%見ろ、こう言っているのじゃないのです。いわば労働者は、そういう身を削りながら会社再建案協力する、こう言っておるのですよ。それを取り違えぬように、まずお願いします。  第二は、ユーザーを初め銀行協力関係ですが、これは協力の仕方にもいろいろあると思います。新しい資金を貸し出すとか、あるいは既往の債権についてメーンバンクを初めとして利子とも、たな上げして北炭再建を待つ、こういう決意は、これはもし仮に本当だとするならば、これが事実、通産大臣確認をするという段階においては、あなたの言う条件の第二といいますか、これが満たされたと考えていいかどうか、これも端的にひとつ御答弁願いたいと思います。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 繰り返して恐縮ですけれども、私どもも、これが地域社会それから、たくさんの働いておる人たちの生活にとりまして非常に重大な課題であると考えればこそ一生懸命に取り組んでおるわけでございます。ただしかし、一番肝心なのはやはり資金計画ですね。その資金計画について二、三日前の説明と根本的に変わっておるから、そこで、この一番大事な問題について、どうした理由で、そういうふうに、このわずかな期間の間に変わってしまったのか、そういうことをまず聞かないと、次の具体的な行動はとれないということを申し上げておるわけでございます。
  22. 塚田庄平

    塚田委員 幌内の再開というのは、これはむしろ国民世論、人道的な問題にかかわってきておると思う。それは七片、八片に眠っておる人、まだ遺体の揚がらない人たちがおるわけです。国民の納得のいくところということを考えるならば、まず、それを考えること。そして常にそろばんで、これもまあ必要ですけれども、その辺の揚げ足取りの中で、じんぜん日を過ごすということは絶対にないように私はしてもらいたい、こう考えます。  そして第三は、国民の納得することろというのは、いま大臣のいろいろな言明の中にも見られるとおり、いわば地域社会という地方自治体全体が陥没する、日本沈没という言葉もありますが、そういう中で、しかも国内資源の再開発ということが非常に叫ばれておるさなか、そういう決意で、そういう諸情勢を踏んまえて、いま幾つかの条件が私は満たされつつあると思う。その辺の決意のほどと、もっと温かい気持ちを持ってこれを見詰めていいんじゃないか。あなたはどうも隆盛をきわめた株式会社社長のような気持ちで、よそごとのようにこれを見ていたのでは、そういう気持ちもせざるを得ません。だから、その点あなたの温かい気持ちをひとつ表明してもらいたい。  と同時に、これは最後ですが、一体、審議会に対して、確かに日は過ぎております。これから冬場に向かいます。早急にこれを徹夜をかけても検討して、いつごろ一体諮問する予定でおるか、その点もひとつ表明願いたいと思います。
  23. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは誤解のないようにお願いしたいと思いますのは、私どもも、これを重大に考えておればこそ毎日のように早く再建案を出すようにと、こういう督促をし、この間も何人かの関係者方々に何十回となしに会ってきたわけです。でありますから、この問題を軽く考えておる、そういうふうに理解をされておられるならば、その点はひとつ、どうか訂正をしていただきたいと思います。  それから、あわせて今後のスケジュールでありますが、やはり審議会専門委員会つまり経営部会ですね、ここに意見を聞かなければなりませんので、急いでやりたいと思っております。
  24. 塚田庄平

    塚田委員 最後結論。どうぞひとつ、この問題については、じんぜん日を過ごしてきたというのじゃなくて、労使間が血へどを吐きながら徹夜交渉して、そしてまとまった、その過程の中の日時の経過だというふうに理解されて、あとは行政府の方で、政府の方で急いで結論を出すということを、いま恐らく地元の人たち労働者は待っているんじゃないかと思いますので、その点ひとつ念を押して、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 田代文久

  26. 多田光雄

    多田委員 この幌内の問題、北炭の問題の処理というのは、これからの石炭政策エネルギー政策基本姿勢が、ある意味では問われる問題だと考えております。したがって、これをどういう日程政府は消化していかれるのか、ここをひとつ聞きたいと思います。私の希望は、今国会が一応、十一月四日になっておりますが、それまでに当委員会でなお一、二回、政府の態度をきちんとお伺いできるような日程で進めていただきたい、こう思いますが、どうでしょう。
  27. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一に、その内容が、きのう出たばかりでございますから、その内容について先ほど申し上げました資金計画等も含めまして一応、全計画をさらに詳しくチェックしてみたいと考えております。それができ次第、審議会を開いていただきまして、そこで検討をしていただく、こういうスケジュールを考えております。
  28. 多田光雄

    多田委員 先ほど部長の方から、きょう、あすにでも審議会専門委会にかけて、そしてすぐ経営部会にかけて政府が検討して云々という話があったし、いままでは大体、十月末めどというふうにも言われてきた。確かに計画はずれてきておりますが、十月末までに、この問題について、ともかく政府の一応の基本的な姿勢をはっきりするというふうに急いでもらうわけにいかぬでしょうか。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 急ぐつもりでございますけれども、先ほど申し上げましたように一番根本の問題について違っておりますので、その点について、なぜ違ったのかということについて会社側の説明をまず求めたい、こう思っております。
  30. 多田光雄

    多田委員 なお大臣、十月二十七日は当委員会の定例日なんですが、その定例日に一定の基本的な方向を出していただくように進めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはやはり非常に関係するところも多い問題でもありますので、日を限っていついつというわけにはまいりませんが、とにかく、できるだけ急いでやる、こういう考えでおります。
  32. 多田光雄

    多田委員 きょうの一部新聞に、通産省は「幌内鉱の復旧・生産再開という“拡大再建”路線をとることでほぼ固まっている。」というふうに述べ、かつ「次期国会で予定している石炭鉱業合理化臨時措置法の改正に当たって、新たに「重大災害」に対する特別融資制度を設け、石炭合理化事業団を通じて資金援助の道を開き、北炭幌内をその適用第一号にしたい意向である。」というように新聞報道では出ているのですが、少なくとも幌内鉱の全面復旧ということについて政府としては腹を固めているのでしょうか。
  33. 河本敏夫

    河本国務大臣 しかし、申し上げますが、問題が私企業のことでありますから、まず最初に会社側がやはり自分でやるという姿勢を示さなければならぬと私は思うのです。自分でこれだけの努力をする、こういう筋道を立てて今後やっていくんだ、そういう自助努力というものが、まず要請されると私は思います。その上に立って政府としては、国民経済理解できる範囲内において、できるだけのことをやっていく、こういうことだと思うのです。何もかも無視して何でもかんでもやるんだ、そういうわけにはまいらぬと思うのです。
  34. 多田光雄

    多田委員 その前段の、企業として自助努力は必要であるという点、私もそれは賛成です。しかし、政府エネルギー政策として、あの北炭の全面開発のために、資金の有無は別にして、ともかく、そういう方向で努力するんだ、あるいは、そういう方向で企業を指導するんだ、あるいは、そういう方向で世論を結集していくんだというように、きちんとした構えがなければ、企業は、もうけなければやめてしまうわけです。そして、あたら資源を投げていくわけですから。そういう点はどうなんでしょうか。
  35. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず企業の自助努力があるということを前提として、できるだけ政府協力をしていきたい、こういうたてまえに立っておればこそ、毎日のように早く出しなさい、早く出しなさいということで計画を督促をしたわけです。また、いま申し上げましたように、わざわざ会長を呼んでアウトラインについて考え方はどうかということを聞いたのも、これは計画を促進する意味において聞いたわけでございますが、そのときに社長は、幌内以外は一般資金だから、もう自分でやります、幌内は大災害だから、よろしく頼む、こういう話がありましたので、なるほど、もっともな話である、こういうふうに私も理解をし、一刻も早く、そういう趣旨に沿った再建案が出まして、それを審議会にかけて検討していただこう、こう思っておったのです。ところが出てきた内容が全然違うものですから、一体どういうわけで、そういうふうに違ったのかということを、まずお聞きしていかなければならぬということを言っておるわけです。
  36. 多田光雄

    多田委員 幌内の援助の仕方その他によっては、従来の過誤を続けることになって、逆に労働力を失ったり石炭産業が崩壊するということもあり得るし、その援助の仕方によっては、いままでのスクラップ傾向に歯どめをかけて一定の前進方向が出るかもわからない。そういう意味で、私は当国会で、ぜひひとつ政府のこの対策を検討したい、こう思っているのです。  それで、いま非常に必要なものは資料なのです。先ほど労使双方合意の概略の資料をいただきましたけれども、ひとつ委員会で要求する資料はぜひ提出していただきたい。さしあたり、こういう資料は出していただきたいと思うのです。幌内資金計画、それから幌内鉱復旧の見通しの問題、それから新鉱の五千トン・パーデーの体制が果たして可能なのかどうなのか、こういう資料を、労使合意の文書のほかに政府としての考えを出していただきたい。それからもう一つ、先ほど自助努力ということを言われましたが、北炭関連の企業は約四十社あると言われているのですが、これは三井観光を含めて、その社名はもとよりですが、事業内容、資産、それから北炭との資金、人的な関係、こういう資料を当委員会にひとつ出していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  37. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま、お述べになりました資料でございますが、どの程度出せますか、よく調べまして出せるものは出したいと思います。ただ、政府再建についての最終の見解というものは、審議会専門委員会、部会の意見を聞いた上で決定するわけですから、いまの段階では出せないと思いますが、いまお述べになりました資料、一つ一つ検討しまして、もちろん出せるものはできるだけ出す、こういう方針で取り扱っていきたいと思います。
  38. 多田光雄

    多田委員 あと二つ。一つは、通産大臣以外の重要な閣僚と萩原さんとが、この問題をめぐって会っているといううわさもあるのですが、そういうことを御承知でしょうか。それから第二点は、次回の委員会で、この北炭幌内の問題をめぐっての政府としての反省点あるいは、これからどういう石炭政策を基本的にとるのか、あるいは、もっとエネルギー政策をどうするのかという問題について、大臣の所見をひとつ伺いたいと思いますが、御準備いただけるでしょうか。
  39. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一点については私は承知しませんが、第二点につきましては準備をいたします。
  40. 多田光雄

    多田委員 終わります。
  41. 田代文久

  42. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もう大臣が退席されましたので、きわめて大きなエネルギーに対する政府の方針にもつながる問題でありますから、別の機会に意見を申したいと思いますが、石炭部長、基本的には石炭見直し論というのは、ただ私企業で自助努力がこの程度であります、あと政府にお願いをします、そういうことで、あくまでも私企業中心だという話ですけれども、もうエネルギーのわれわれの石炭政策は、それを超えておるのじゃないか、こういうように思うのです。一体、政府として、この資源を残すかどうかということで出発をすべきであって、私企業の恣意にゆだねるべきではない。そのことは、すなわち私企業について、採算のベースから私企業が逃げる、そういうことのないように私は考えるわけです。むしろ、やっぱり採算ベースから物を言うのでなくて、この段階は、一体この資源というものを確保するのかしないのか、確保するとしたら、それはどうしたらいいかという、そういう資源の価値判断から議論をしないと、この議論というのはまさに水かけ論になる可能性がある。じんぜん日を過ごして、そのうちに融資ができなくて倒産をするということのないように、やはり資源政策としてはどうするのだということを政府として、はっきり見解を持つべきである、こういうように思いますが、どうですか。
  43. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の点につきましては、もう御案内のように私どもとしましては石炭というのが貴重なエネルギー資源である。しかも国内に賦存するものが相当量あるというところから考えて、この石炭というものを非常に重視するという政策をとってまいったつもりでございます。どういう政策で進めてきたかという点は、御案内のように最近におきましては、昨年出ました新石炭答申の線に沿って、われわれとしては今後とも努力をしていきたいというように考えているわけです。いろいろ起きてくる問題につきまして、われわれとしましても、その都度、措置をとってまいったわけでございます。ただ、そういう措置はとっていくわけでございますが、この答申の中にも述べられていますように、この点につきましてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、われわれとしましては担い手は企業である、それをどういうかっこうで、うまく政策の担い手になし得るかという点について、政策の接点があるというふうに考えておるわけでございます。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これについては、きょうは議論を避けたいと思いますが、資源として何とか確保するという面から出た政策は、明治鉱業の場合、明治鉱業株式会社はいわば倒産をして清算に入るが、平山とか西杵とか明治佐賀という現鉱区は残して操業をする、こういうことをやった例はあります。これはまさに資源政策として、それを見たわけですね。ですから会社はつぶれるけれども山だけは残していこうという政策をとったこともある。ですから私は全然皆無ではないと思いますけれども、むしろ、その後に起こった奔別の問題であるとか、これはやはり企業の採算ぺースとして物を考えておるわけですね。ですから確保する必要のある資源であるかどうかという判断を、まずして、そうして、それにはどういう方法をすべきかということを考える視点と、私は異なるのじゃないかと思うのです、いまの大臣答弁を聞いておると。それならば石炭政策見直しということにならない、こういうように考えるわけであります。これは石炭部長だけに質問する問題じゃありませんから、きょうは質問を保留しておきますが、この出発点が非常に肝心ではないか、こういうように考えるわけです。でありますから、私はそういうように進めていくのが石炭政策の見直しではないか、かように思いますがこれは答弁は本日は結構です。また大臣からお聞かせ願いたいと思います。  そこで、いままで、いわば石炭政策でありましたが、今度は石炭の後始末の問題を質問したいと思います。どうも産炭地ことに筑豊地方では一体、石炭時代百年の歴史というのは、筑豊の住民にとって幸いであったのか不幸であったのか、こういう原点に帰っての疑問がいま投げかけられておる。ことに遠賀川水域は非常に豊沃な地域である。でありますから、もし石炭というものがなかったとすれば今日のような悲惨な状態は現出していないのじゃないかということが、むしろ今日問われておるわけです。  そこで、産炭地から一体どういう状態で石炭を掘り、そうして日本資本主義が発展をしたか、こういう経路をたどってみると、私は、ことに今日の財閥企業集団の発展あるいは日本資本主義の発展というものは、むしろ産炭地に負うところが非常に多かったのではないかと思うのです。たとえば明治の終わりの四十四年の統計を見ると、日本の出炭量は千七百万トンです。そのうち北海道が百七十万トン、そうして筑豊は九百七十万トン出しておるわけです。でありますから、まさに五五%ぐらいの地位を占めておる。あるいは昭和元年でも少なくとも筑豊は四八%の出炭をしておる。こういうことを考え、また日本石炭の一番最盛期でありました昭和十五年は五千六百万トン出ておる。また、これは三池を入れますが福岡県全体で二千五百五十六万トン出しておるわけです。結局それらの石炭が掘られたけれども、今日は全くボタ山と鉱害と失業者と生活保護で冷え切っておるという状態、そうして産炭地域振興法が出まして、すでに十五年余経過しておるわけでありますけれども、住民感情から見ると、確かに道路がよくなった以外は全部荒廃をし冷え切ったという感じですよ。  でありますから、これらを一体どうするか。私は責任は、いまの三井鉱山とか三菱鉱業セメントという個別企業よりも、むしろ財閥企業集団、ここから得た利益をもって、どんどん他に投資をして、いろいろ会社をつくっておるという企業集団が、もう少し責任を持つべきではないか。言うならば日本資本主義が責任を持つべきではないか、こういうふうに考えるわけです。  たとえば三井合名株式会社にしても持株整理委員会が戦後、調査をした。昭和六年から十一年までにオール三井の益金のうちの約三分の一が三井鉱山株式会社から出ておるわけです。そうして、ほとんど内部保留、償却に充てないで全部、社外投資か配当で取っておる。配当というのは三井合名株式会社というのは持株会社ですから。そうして配当で取って他に投資をしておるわけです。内部保留はむしろ抑えておる。それから三菱合資株式会社でも、やはり約三割が三菱鉱業株式会社から益金を取っておる、こういう状態です。それで今日は若干、三井セメントあたりは企業が来ておりますけれども、ほとんど筑豊から撤退をしておるという状態。これは古河にしても住友にしても同じであります。そうして鉱害はそのまま、まだ残存しておるという、これは日本企業集団がもう少し責任を持つべきではないか。少なくとも跡地に関係会社ぐらい誘致する義務が本来ならば、あるのじゃないか、こういうように思うのですが、新しい石炭部長はどういうようにお考えであるか、これが一点であります。
  45. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました、この歴史的な流れと申しますか、その点につきましては私もそういうふうに感ずるわけでございます。ただ具体的に、それでは現段階企業集団、たとえば、それぞれの財閥の企業集団を指導なり、あるいは強制をすることによって産炭地に進出をさせるというようなかっこうのものというのを、具体的な政策として直ちに考え得るかどうかという点につきましては、いろいろ問題があるかと思います。やはり産業は業種が異なるごとに、それぞれの立地条件、適地というものもございましょうし、いろいろな事情があると思いますので一概にはまいりませんが、先ほど御指摘ありましたように、私ども不十分という御指摘を受けるかもしれませんけれども産炭地振興対策の一環として企業を産炭地に持ってくるという点につきましては種々の施策を進めており、現在、御承知のようにもう一度、今後の産炭地振興計画というものをどうすべきかについて再度、検討を急いでおるところでございますので、どういったかっこうの計画が果たして今後の産炭地振興のために適当であるかというようなことを考えていきたいというふうに思っております。若干、答弁にならないかもしれませんが、とりあえず御答弁申し上げます。
  46. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 明治以来、炭鉱を中心とした財閥形成の企業集団というのは、離職者の吸収には、わりあいに協力しましたよ、率直に言いますと関係会社はみんな。ところが産炭地における企業導入という点については、ほとんど協力しなかったのです。もう脱筑豊だという考え方ですね。ですから、これはわれわれも、あの当時もう少し責任追及すればよかったと思うのですが、個別企業を見ておったから、しなかった。そうでなくて企業集団として三井企業集団や三菱企業集団や住友企業集団やなんかを見ると、相当いろいろ各種の産業を持っているのですからね。やはり何らか、それは法律的義務というわけにはいかぬでしょうけれども、相当強力な行政指導ができたのじゃないかと思う。現実それらの関係会社は各地において新しい工場をつくっておるわけでしょう。ですから、この点は私は、いささか遅きに失するという感じもありますけれども、しかし、まだ企業集団はおのおの膨大な土地を持っておるわけですから、これは私は強力な行政指導によって、もう少し責任を負わすべきじゃないか、こういうように思うのですよ。  全く持っていきどころのない怒りですね、その筑豊の住民から言えば。でありますから、その点はやはり役所としても企業集団について物を言う、そのことの必要性があるんじゃないか。そして、かつて過去のものでありますが、依然として現実に株の持ち合いは行っているのですから、そして企業集団における炭鉱の地位はずっと下がりましたけれども、しかし発言力もある。ですから、多種多様の企業、産業を持っておるわけですから、その程度ぐらいは協力をすべきじゃないか。しかも土地を持っているわけですよ。三井でも三菱でも、まだ土地を持っているわけです。ですから、その土地をただ産炭地振興で、いまの地域整備公団に一任をするというだけでは少し無責任じゃないか。  ですから現実に来ておる企業を見てごらんなさい。現実に来ておる企業というのは、これはほとんど中小企業それからまた産炭地政策の恩恵だけを受けようとする企業ですね。こういう露骨なものだって相当多いわけです。そこで、私どもが現実の世界を見ると、御存じのように失業者が非常に多いし、それから生活保護家庭が非常に多い。これはもう千人について百九人ぐらいが生活保護世帯です。しかも町村によれば二百を超えているんですね。千人のうち二百人が生活保護家庭というのは、これは相当、各町村多いわけですね。そういう状態。それから失業者が多い。それだけでなくて、将来を見渡すと実に暗たんたるものがあるというのは、男子雇用型の職場が非常に少ない。  そこで、私がちょっと調査をしてみたんですけれども、たとえば飯塚職安管内で四十九年、五十年、五十一年度と、高校生の男子の卒業生が、どのくらいその管内に就職をしたかというと、四十九年で九十九人、五十年が四十九人、五十一年が六十三人で大体一七%くらいです。男子就職者の一七%くらいしか管内に就職できない。直方管内で見ると四十九年が二十九人、五十年、少し多くてこれが百三十九人、五十一年が六十八人、これも一八%くらいです。女子の雇用は飯塚管内で大体、四十九年、五十年、五十一年と二百人以上なんですね。そういう点を見ると、まあ女子の雇用はほぼ順調にいっておりますけれども、男子雇用が非常に少ないということは、将来のこの地域における人口構成、産業構造を見ると暗たんたるものがあるのです。現在も失業者が大変だが、将来は見通しがあるかというと将来はなお見通しがないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。  そこで一体、政府としては男子雇用型の企業について、どういうようにお考えであるのか。単に地域整備公団で地域整備の条件だけをそろえておったんでは、その導入ができないんじゃないか、こういうように思うのですが、それについて、どういうようにお考えですか。
  47. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 いま御指摘の点でございます。確かに一般的に申しますと、産炭地域の進出企業の全般的な雇用形態としましては、数字で見ますと産炭地道県の男子従業員というのは女子従業員を上回っている傾向がございますけれども、福岡県のうち筑豊地区それから熊本県、この辺につきましては男子比率が低くて女子の雇用の方が上回っているという現状でございます。それは御指摘のとおりかと思います。これらにつきまして近年、産炭地の道県でも企業誘致をどういう考え方でやるかという点につきまして、一般的に食料品あるいは繊維衣服、電気機械器具というような製造業の女子雇用型と申しますか、そういうものを導入するよりは、むしろ、できるだけ男子雇用型の導入というものに指向するような考え方に立っておるようでございまして、今後の企業誘致につきましては、いま御指摘のような点もございますので、企業誘致について男子雇用型の企業誘致というものを、できるだけ努力をいたしていきたいというふうに考えております。  ただ私見ですけれども、現在のように成長率が次第に鈍化するにつきまして地方進出というのも非常にむずかしくなっておる現状でございますので、必ずしも楽観は許せないと思いますが、その中でも、そういった考え方で努力をしたいというふうに考えております。
  48. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで私は、ちょっと、こだわるわけではないけれども、さっきの財閥系の企業集団というもの、これに通産省としては物を言う必要があると思うのです。何を言っても中堅企業とか中核企業とか言うけれども、やはりどこに責任を持たすか、道義的責任、社会的責任を感じさせるかといいますと、かつて筑豊でもうけて、そして大きくなった企業集団以外にないんですよ、それは。ですから、それには、ぼくはある程度の責任を負ってもらいたい、こういうことは通産省としては物を言う必要があると思うんですよ。それは、どこからかおいでくださいという式では、どうにもならないのじゃないかと思う。ですから、そういう工場を、そういう系統のところが他につくるなら、やはりこの筑豊にということは当然言っていい、筑豊の住民としては権利があると思うんですね。その点どういうようにお考えですか。
  49. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 お答えいたします。  確かに御指摘のように考え方はあり得ると思いますが、御承知のような反面、企業として、やはり地方進出、要するに新しい工場を設けるという投資決定をするのは、企業としても非常に重要な問題でございます。したがいまして、行政指導を行うというふうに言いましても、現実問題として、なかなかむずかしい点があるわけでございます。  また、全体的な立地指導をやっております関係局等との考え方もよく間かなければいけないと思いますが、実際に企業が、たとえば産炭地で、どういうところかというのを、現実の行政の実態と申しますか事務の実態からいいますと、具体的にこういうところというような当たりをつける場合の考え方として、いま、おっしゃったようなところも織り込んだ考え方というのは、あるいはとり得るんじゃないか、日常の行政の中で、それがどの程度できるかということかと思います。
  50. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、これは社会的にも道義的にも義務を感じてもらいたいと思うのですよ、現実問題として。それはわれわれとして物を言うところがないのですもの、その地域住民は。ですから、かつて、そこの地域でもうけた人に文句を言う以外にないでしょう。ところが、いま残っておる三井鉱山とか三菱鉱業だけに物を言ったのでは、これはおっぱいの上がったおばあちゃんに物を言うようなもので、これは個別企業じゃだめなんですよ。そして、たとえば名前を言うと長くなりますけれども、ともかく財閥系統に属するのは皆、恩恵を受けておるわけですから、それが地方に進出、工場を設けるなら当然、筑豊には優先的に物を考えるべきである。そうしなければ一体だれが、この筑豊を救いますか。救えないのですよ、それは。ですから、私はやはり財閥形成の企業集団が責任を持つ以外にはない。それは全部とは言いませんよ、そういうかけらもないのですから、とにかく。もうふるふる筑豊から逃げていく。ひとつ何とか企業を探して、企業を見つけようという姿勢にないのですね、残念ながら。それは田川炭鉱がつぶれるときあたりは非常に大きな政治問題になりまして、三井セメントはやりましたよ。しかし、それよりもほかは、企業が本当に責任を持って何とか雇用をそこで吸収しようという点は余りあらわれなかったんじゃないか。ですから、いまからではかなり遅いけれども、いまからでも、今日、大きな傷跡を残しておるわけですから、その点は十分、企業集団に対して物を言ってもらいたい。これは石炭部長の荷が重いですから、次の機会に私は通産大臣にも質問したいと思いますけれども、ひとつ産炭地課としても考えていただきたい、こういうように要望しておきます。  次に、さらに具体的な問題でありますけれども、鉱害であります。  鉱害について、実は鉱害の残存鉱害量というのは膨大なものでして、しかも今後ますます、いままで予期しなかったような、いろいろな鉱害が起こってくる。その典型的な一つが湧水であり、赤水であります。筑豊炭田は御存じのように、もうすでに地下は満タンクになっておる。ですから、かつてのように陥没をしたり井戸がかれたりというのではなくて、むしろ湿地帯になっておる、あるいはまた地域によっては噴出をしておる。そして、その噴出をしておる水が赤水と俗に言われる水になって、それが流れていくたんぼは、また不毛田になっていく、こういう形になっておるわけです。そして私どもの調べたところによりましても、湧水問題はかなり大きい。なかんずく赤水の問題は日鉄の嘉穂炭鉱問題あるいは九州採炭の笹原。あるいは湧水その他の問題で言いますと三井山野あるいは三井田川問題あるいはまた桂川地区、各地に幾らもあるわけですね。この湧水問題というものをどうされるのか。それから赤水という水が流れて、この赤水を処理しなければならぬ場合に一体、赤水対策をどうするのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  51. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 いま御指摘のありました赤水、湧水の被害の問題につきましては、私も関係者からの陳情も受けたことがございますし、現地からの報告等によりまして、この問題が非常に重要な問題であるということは十分に承知いたしておるつもりでございます。四十九年度から石炭鉱害事業団の九州支部に古洞水調査委員会というのを設けまして、外部の専門家を集めて実態把握にいま努めているところでございます。  赤水、湧水対策というのは御案内のように非常にむずかしい点がございまして、いわば鉱害復旧と鉱害防止の接点に当たるというような点がある問題でございます。臨鉱法上の措置のみで解決するという点には限界があるというふうに思います。今後は古洞水の調査それから本年度、立地公害局において赤水実態調査というのをやる予定でございますが、そういったもの等の結果を基礎にいたしまして、関係の機関とも協議、連絡いたしまして、どういうようなかっこうで、この赤水について総合的な対応策というのをやるかということを検討する必要があるというふうに私どもは考えております。
  52. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず赤水の処理というのは一体、臨鉱法の対象になるのですか、ならないのですか。
  53. 北川幸昌

    ○北川説明員 赤水と一口に申しましても非常に複雑な実体がございまして、ケース・バイ・ケースでいろいろな被害の態様が出ているのが現状でございます。したがって、私どもといたしましても赤水問題を議論いたします際に、一口にかくかくの基本的な方針で対応するということがなかなか申しにくいわけでございます。したがって過去いろいろと赤水問題に対応してきましたケースにつきましても、それぞれ被害の実態あるいは歴史的な経過等に即応して、いろいろなやり方で解決を図ってきているわけでございます。  たとえば東北の仙台地区で三本木村あるいは大衡村といったような地域がございますが、この地域で発生いたしました赤水問題につきましては、無資力鉱害でもあるということで臨鉱法の復旧対象として処理してまいっております。それから、先ほどお話がございました日鉄の嘉穂の鉱害につきましては、これは会社の方が、まだ有資力であるということ等も勘案いたしまして、保安政策とうまくリンクいたしまして、一口に申しますと鉱害の方で半分、保安の方で半分、分担いたしまして会社協力を得ながら処理を図るというような対応をしてまいっております。それから、さらに先生もリファーされました三井山野あるいは田川の問題につきましては、これは会社サイドの方で現在、責任を持って処理していただいておるわけでございますが、そういう形で被害の実態に応じましてケース・バイ・ケース、慎重な検討を行った上で解決をしていかなければならないのではないかというふうに考えておりますが、現実に大きな問題を起こしたケースについては、このような形着実に解決の方向に向かいつつあるということを御報告いたしまして、答弁にかえさしていただきたいと思います。
  54. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ケース・バイ・ケースといいましても、無資力の場合は、いわゆる臨鉱法でやるというのでしょう。有資力といっても炭鉱は操業をしてないわけでしょう。その場合は今度は一部は保安で一部は臨鉱法でやる。それから水位をある程度、抑えなければならぬという三井山野や三井田川の場合は会社責任でやらしておる。どうも行き当たりばったりと言えば、はなはだ言葉が悪いけれども、一体、制度として乗せるべきではないですか。いろいろケースがありますというのは、赤水の処理の方法について、いろいろケースがありますというならば私はわかるわけです。ところが、赤水でも湧水でもいいのですけれども、ことに赤水の場合には処理をしなければならぬ。普通の湧水ならば地盤を上げるとか、あるいは、その水をどこかへ抜いていくということをしなければならぬでしょう。これはやはり臨鉱法として明確に規定をすべきじゃないですか。一体、無資力でやるというのは臨鉱法のどこで無資力でやるのですか、お聞かせ願いたい。
  55. 北川幸昌

    ○北川説明員 鉱物の採掘でございますか、という規定で読んでいきたいと思っております。  それから全般的な問題でございますけれども、湧水あるいは赤水の被害が出ております地域の近辺には、有資力権者の復旧義務がある被害田がかなり残っているわけでございます。したがって今後、復旧すべき被害物件と鉱業権者との関連等も勘案いたしますと、完全に無資力になってしまった地域の赤水あるいは湧水被害に対する対応策とは、おのずから対応姿勢が違ってくるのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから、さらに政府部内におきましても、農地でございますので農林省あるいは現地農政局等との議論もいろいろございまして、現地の実態、今後の復旧計画に即した農政サイドの意見も勘案しながら対応させていただいておる次第でございます。
  56. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、まず第一に、湧水にしても赤水にしても鉱業法上に言う鉱害ですね、これにはまず間違いがない、こう考えていいですか。
  57. 北川幸昌

    ○北川説明員 因果関係につきましては、おっしゃるとおりでございます。ただし、農政サイドと私どもの方でいろいろ議論がございますのは、鉱害復旧というのは被害が安定した後に着手するという根本的な原則があるわけでございますけれども、現在、赤水が湧出している地域については、まだ被害が進行中である。したがって、進行をストップさせる、鉱害を安定させるような措置がとられた後でなければ復旧案件として取り上げられないのではないかというような意見が農政サイドの方から出てまいっております。この辺についての調整が大きな問題になるのではないかと思います。
  58. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、鉱業法上に言う鉱害ではあると言う。復旧をするかどうかということは臨鉱法の問題でしょう。臨鉱法の問題は、安定をしなければどうかという問題があるけれども、しかし灌漑用水だってそうでしょう。灌漑用水だって臨鉱法でやってる。灌漑用水だって安定してないです、これは。ですから赤水処理というのは灌漑用水の問題と同じでしょう、全然違わないでしょう。たんぼはまだ安定してないのです、しかし灌漑用水をやらなければならぬでしょう。これと同じじゃないですか。ですから、そういう議論があるから赤水の処理というものは復旧の中にやはり明確に書いたらどうか。その場その場で扱いが違うというのも、きわめておかしい問題じゃないか。たとえば三井田川とか三井山野が水を揚げているというのは、一体何のために揚げているのか。じゃ、この会社が資力がなくなったら一体どうするのですか。一つの復旧の方法ですか、それとも暫定的な方法ですか。そういう問題を確立していかなければならぬのじゃないですか。
  59. 北川幸昌

    ○北川説明員 先ほどのお答えの繰り返しになりますが、たとえば三井田川の場合にも三井が復旧義務を負っております鉱害田が近隣地域に相当存在しているわけでございます。したがって、これを三井が責任を持って鉱害復旧をする、その復旧のための諸経費と水を抜くための経費等とのバランスの問題というような検討も当然、議論に上ってこようかと思います。したがって、有資力鉱害の場合につきましては無資力のような形で必ずしも一義的にすっきりとした解決、回答ができないのではないかというふうに考えております。
  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 無資力ならどうするのですか。無資力でやった場合にはどうしますか。
  61. 北川幸昌

    ○北川説明員 臨時石炭鉱害復旧法の第一条の法の目的にもございますように「民生の安定」ということも私ども十分考えて鉱害復旧をやっていかなければならないと考えております。ところが無資力の鉱害につきましては、臨鉱法の対象としないで放置いたしました場合には、民生の安定という観点から非常に大きな問題を醸し出すことになりますので、先ほど申し上げました東北地域で前例がありますような形で救済をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。ただし、この点につきましては農政サイドとの議論を、もう少し詰める必要があろうかと思っております。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも、ぼくは理解できないのですね。ですから一体、水を抜くというのは鉱害の復旧と言うのは必ずしも適当でないかもしれませんけれども、臨鉱法の対象にする行為であるのか行為でないのか。水を抜くなんということは許されない。自然に反するんだから、これは徹底的に耕地を上げなさい、こういう指導をするのかどうか。いま、たまたま有資力の場合は水を揚げておるから、それは安定しておると言う。じゃ水を揚げないで自然のままにするとなったらどうなのか。そういう暫定処置として水を抜くのを認めておるのか、それとも復旧の方法の一部であると認めておるのか。とにかく無資力の場合は方法がありませんから、それは政府がしますというのじゃ、どうも答弁にならぬと思うのですよ。  ですから、私がいま言っていることは、あなた方がいまおやりになっていることは、まだ制度が確立していないから暫定的におやりになっておると思うのだけれども確立した方法を講ずべきじゃないか。いま、おやりになっていることを、あなた方が理屈づけておるから、ちぐはぐが出ておるわけです。ですから、むしろそうではなくて、まだ確立していないから暫定的にそういう処置をとっておるのです、こう言うなら私は理解するのです。しかし、無資力の場合と有資力の場合と違う、そしてまた一部は保安で見ると言う。それは山が継続しておるならばいいですよ。もう操業していないのですから、そういう場合、一体どういうように見るのか。一部を保安で見て一部を鉱害で見るというけれども結論的には鉱害の問題ですよ。ですから、それはもうはっきりして廃水の処理について臨鉱法の中に、はっきり入れたらいいと私は思うのですよ。現実に無資力の場合やっておるなら、有資力の場合にも、はっきり補助率を決めたらいいでしょう。補助率も決まっていないのでしょう。どうですか、二点。
  63. 北川幸昌

    ○北川説明員 補助率の点につきましては農地一般と同率でございますので、適用される場合には一応決まっているというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  それから、もう一つの基本的な今後の取り扱いについてでございますけれども、臨鉱復旧の基本的な考え方は、被害前の状態、原状回復するということではなしに、効用の回復を図るということでございますので、先ほど先生からお話がございましたように、もとの高さにまで田面を上げるということでは私ども復旧をやってないわけでございます。たんぼとしての効用、被害物件の本来の効用が回復できるところまで引き上げて、最小限の復旧費で済むように配慮するというのが、臨鉱法の基本的な原則になっております。したがって、水を抜くことによって田面の復旧上げ高が少なくて済むということであれば、水を抜くということも一つの恒久的な対策として大いに位置づけられるのではないかというふうに考えております。現実には上げ高を少なくしてポンプで排水を図る、あるいは揚水を行うといったような復旧の形態も、かなり一般的に行われているわけでございますので、その一つとして位置づけたいと思っております。
  64. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、住民が果たして、水を抜くという方法で効用回復したということを納得するかどうかというのが非常に疑問があると思う。ところが、あなたの方は水を抜くことが恒久的な対策になり得るというのなら臨鉱法の適用をしなければならぬでしょう。ですから、それも一つの恒久的な方法であるというならば臨鉱法の適用をすべきだ。現実に有資力の場合には農地と同じようになっていないでしょう、補助率も。政治折衝といいますか、大体、決めておるわけでしょう。ちゃんとした比率でいっていないのでしょう、どうなんですか。
  65. 北川幸昌

    ○北川説明員 臨鉱対象になりました部分については規定どおりでやっております。
  66. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その臨鉱対象とか保安の対象とかいうのも、これも非常にあいまいでしょう。大体、私が聞いたのは半分くらいだというのです。五〇%くらいだ。それなら農地の方は有資力負担が一五%ですから、全く差があるわけです。ですから、そういう点どうも行政措置としては無理があるなら無理があるで法律改正を出せばいい。個別的にそれを処理をしようとするから非常に無理がある。ですから、そういう事態じゃないということですよ。率直に私が言わんとすることは、もう、そういう事態じゃありませんよ。情勢は個別的に、こういう問題はこういうふうに処理するという状態じゃない。もう筑豊はほとんど湧水問題が今後の新しい大きな問題になってくる。ですから、もう必ず制度化しなければならぬ問題ですよということを言おうとしているわけですよ。  ですから、いままで御苦労なさって現行法の方で何とか、あなた方が努力をされて、その都度、解決されていますが、今後の問題は、そんなことでは済みませんよ。ですから三井山野なら三井山野、三井田川が水を揚げておるなら、その水を揚げておることは、どういう位置づけがあるのかということをはっきりして、暫定的なものか、恒久的なものか、そういうこともはっきりして、効用回復の一部としてやっておるなら一部としてやっているで、それなら当然、臨鉱法の対象として補助金を出さなければならぬという、はっきりした位置づけをしなければならぬ、このように思うのです。それから赤水の処理についても、施設について、ある部分は保安分だ、ある部分は臨鉱法の分だというような、いわば政治的な折衝で、政治的というよりも行政的な折衝でおやりになる性格のもので、もうなくなってきておるのじゃないか、はっきり制度として乗せていくべきものではないか、こういうように考えるわけです。  これは私は質問を保留しますが、石炭部長、この問題はもう筑豊では、きわめて大きな問題になっておりますから、ひとつ統一した見解を近く示していただきたい、かように思います。
  67. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 実態はいま鉱害課長から御説明しましたようなことですが、問題点をさらに整理いたしまして検討いたしたいと思います。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 せっかく建設省、自治省、来ていただいておりますから、一、二点お聞かせ願いたいと思います。  実は建設省の場合、筑豊の場合だけではありませんが、産炭地跡は炭住が荒廃したまま放置されておる。また、そこの中に人が住んでおるという場合、これは住民のコンセンサスを得なければならぬわけですけれども、非常に大きな社会問題になりつつある。田川地区の場合や宮田町また嘉穂郡も鞍手郡にもあり得る問題である。それから近くは貝島炭砿の跡地の問題があるということで、これはひとつ建設省としては、この炭住跡の問題をどういうように考えておられるのか。  と申し上げるのは、いままでの不良住宅改良程度では、どうも資金的の枠もございまして、自治体の能力もございますので、なかなか困難ではないかと思います。いままで、わりあいによく建設ができましたのは北九州の都市周辺地域ですね。これは水巻町であるとか、そういうところは比較的スムーズにいったわけですけれども、この筑豊の、ことに南部に入ってまいりますと非常にむずかしいのじゃないかと思うのですが、こういう点をどう考えられておるか。  それから、いま炭鉱離職者で非常に賃金の安いところへ就職しておるのに、たとえば八幡地域における大辻炭鉱の諸君は一万六千円の家賃だというのですよ。一万六千円の家賃といいますと、もらっておる給与がわずかですのに一万六千円の家賃というのはとても負担が困難じゃないか、こういうように思い、まあ自治体の方では補助率の三分の二を四分の三というようなことを言っておりますが、一体、建設省としては、どういう考えであるか、これをお聞かせ願いたい、かように思います。
  69. 片山正夫

    ○片山説明員 まず第一点の住宅地区改良事業を適用いたしました場合に、その改良地区の跡地の問題でございますけれども、改良事業を実施いたします場合に、まず問題になりますのが、そこの地区内に居住されております居住者の住宅をどこに立地させるかということであります。この場合、事業適用の観点から申し上げますと、居住者の方々お話し合いをされまして、その改良地区内に引き続き居住することを希望します場合は、その改良地区内に立地させることといたしまして、また地区外に希望いたします場合は、地区外の適当な土地を探しまして、そこに改良住宅を建設いたしまして、そちらの方に居住していただくわけであります。地区外に居住されます場合は当然その改良地区を、どのような観点から今後、土地利用をするかということを、まず検討いたしまして、しかるべき土地利用の計画がございますれば、そのように事業主体でお立てになり、また土地の利用を積極的に考えられない場合は、その土地については不良住宅を除却いたしました跡を、それぞれに引き渡す、こういうことであります。(多賀谷委員「いや、そういう手続をお聞きしているのじゃないのです。膨大な炭住をどうするかということを聞いているのです」と呼ぶ)  それから、確かに御指導のように炭鉱住宅地区がかなりございまして、住環境の整備を緊急に実施する必要性のあるところがあるということは十分承知をしております。これにつきましては私どもも積極的に対応することといたしまして、地方公共団体から事業の申請がございますれば、これはもう優先的に採択することとして、積極的な促進方に努めております。  それから次に、家賃の問題でございますけれども、これにつきましては改良関連の事業につきましては、まず不良住宅等の除却費等につきましては国庫補助対象にいたしまして、これにつきましては家賃対象から外しております。それから改良住宅本体の家賃につきましては、三分の二の高率補助率を適用いたしますとともに、また産炭地振興臨時措置法によりまして補助率のかさ上げ、引き上げ措置を図っております。これらの措置によりまして極力、家賃の低廉化を図っているところでありまして、今後も、そのような方針で努めてまいりたいと考えております。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 手続の内容はよく知っておるわけですよ。しかし先ほど質問しておるのは、そんなことではできないのじゃないかと言っているのですよ、その程度ではできませんよと。それは地方自治体から要求すればやりますと言うが、もう枠があるでしょう。起債の枠もあるでしう、現実にできないですよ。ですから私が言うのは、たとえば水巻のように、もう北九州周縁になっているところは、まあまあいけるのですけれども、現実問題としては遅々として進まない。一体、貝島炭砿跡なんかは、あれだけのものをどうするかですよ。田川だってどうするかというのがあるのです。そんな状態ではできませんよ。そして、たとえば田川市なら田川市でコンセンサスが得られたとしても、一体、三分の一の補助金をどうするか、そういう問題だって簡単でないのですよ、あれだけの炭住があるから。ですから何か自治体の方では、これは特別立法をつくってくれというくらいに、いままでの制度では、とても解決できる問題ではないぞというのが自治体の意見であるし住民の意見なんですね。ですから、現行制度でやっておりますと言うが、現行制度でやっておるなら私は質問しない。私は現行制度のことを聞いておるのじゃないのですよ。一体、政府としてはどうされるのですかと聞いておるのです、この膨大なものを、そして荒廃していくものを。ですから、この炭住問題というのは、さっき赤水の問題を言いましたけれども、これがまた地域住民にとって大きな問題になってくる。それを建設省が腹を決めて考えていただきたい。大変な社会問題になってくるだろう。もう老朽化していますからね。それをひとつ十分腹におさめていただきたい。もう一度答弁を願いたいと思うのです。私は現行法の説明を聞いておるのじゃないのですよ。
  71. 片山正夫

    ○片山説明員 住宅地区改良事業の実施に当たりまして国の助成措置として考えておりますことは、現行の手続、十分御承知かと思いますけれども、いろいろのかかります費用、不良住宅の除却に要します買収費、除却工事費あるいは改良地区内を整備いたしますための生活道路とか小公園に要する費用、さらに新たに住宅が必要になります方々の改良住宅の建設の費用等につきまして幅広く補助の対象にいたします。さらに改良住宅の建設費用につきましては三分の二の高率の補助率を適用いたしますとともに、また産炭地振興法によりまして、市町村の財政能力等にもよりますけれども、さらに三分の二の補助率の引き上げを八割を限度にいたしまして図っておるところであります。そしてまた通産省におきまして、産炭地振興の臨時交付金といたしまして、改良住宅に一戸当たり二十万円の交付金を事業主体に出しているとのことでありますので、これらの制度をいろいろ活用いたしまして積極的に事業の推進に当たってまいりたいと考えます。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういう制度をとっても一万六千円くらいになるというのです。家賃が一万六千円で、七万円くらいの給料しかないのに一体、払えるだろうか。こういう労働者の生活実態から見ても、いまの制度では非常に足らないのじゃないか。  それから、あなた方は三分の二、三分の二と言うが、三分の二で現実に家が建ちますか、あなた方の言う単価で建ちますか、こう言うのです。これもやはり一つの問題点でしょう。ですから、まるまるの三分の三じゃないでしょう、現実の問題として。  そういう点で、私はこれについて、きょうは時間もありませんから十分な答弁を得られないのですけれども、現行制度ではとても解決する問題じゃないですよ。それは、わずかの改良住宅をやればいいという地域でないからですね。地域的に言いますと全人口の三分の一くらい占めているところだってあるのです。それが皆、老朽化している。ですから、そういう場合に一体いままでの補助率でいけますかというと、いけないのです。やれない。そして、ゆっくりゆっくり年次計画をやっておりますと、いまのテンポでいきますと二十年や三十年じゃとても済まない。ですから一体それができますかと、こう言っている。もう一度御答弁願いたい。  それから建設省は、あなた一人ですか。私はだれか、もう一人お願いをしておったのですが、じゃ、ひとつお願いします。
  73. 片山正夫

    ○片山説明員 問題の所在が、一つの事業主体にたくさんの事業量があるというところにあろうかと思います。そうしますと、そういうものに対処します場合に、一つの事業主体にたくさんあるがために、それぞれの個々の事業で、その財政対策を考慮するということはなかなか困難なことだろうと考えますので、極力、建設省としましては単価を適正にするとか、あるいは補助対象をできるだけ広げるとか、そういう観点で対処しているわけであります。  先ほどの、いまの単価でできるかという御質問でございますけれども、年々、単価の適正化に努めてまいりまして、五十一年度におきましても所要の単価アップをやっております。その結果、おおむね地方公共団体の超過負担は解消していると思われます。今後とも物価の動向等、十分把握いたしまして適切な執行に対処してまいりたいと考えます。
  74. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 現制度でも、要するに事業主体としては大量だから補助率を上げておるのだという話ですけれども、この程度の補助率では私は十分な建設ができないのじゃないかと思う。それはもう宮田地区とか田川市とかというのは、とてもできませんよ。あれだけ膨大な、人口の三分の一くらいが炭住に住んでいるのに、どうしてできますか、できないですよ。そういうものに対して、どう考えるかということを聞いているのですよ。いままでの制度ではとてもできない。  そこで自治省、改良住宅の補助単価は十分なんですか。自治省の方は三分の二というのは大体持ち出しはないと見ているのですか。
  75. 今井実

    ○今井説明員 ただいまの件、住宅関係のお尋ねですが、実は私どもの省で、ことしの一月末に田川郡下の町村を二つ選びまして実態調査を行ったことがございます。その際の調査を分析してみますと、ただいま建設省からも御答弁ありましたが、建設時点での超過負担は比較的少ないという結果になっております。ただ、地方団体の負担になっておりますのは、当然、補助の裏負担の部分を地方債、起債で賄っておるわけでございますが、これの元利償還がかさんでおるわけでございます。で、建設省の住宅関係の法令に基づきます算定された正規の家賃、これがなかなか取りづらいということで、家賃収入が現実には相当減免されたかっこうでしか入ってまいりませんので、元利償還の地方団体の自前での持ち出しが相当額に上って、これが財政を圧迫しているというふうな現実でございました。繰り返すようですが、建設時点での超過負担はほとんどないというふうな結果になっておりました。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大集団のある炭住地域については、この問題はぜひひとつ考えてもらいたい。いまも私が申しました地域は、やはり相当な改良住宅を必要とするものです。  そこで、いまお話がありましたから、ついでに自治省にお尋ねいたしますが、しからば、いまの元利負担はどうするのか。それからこの前、産炭地において、いわゆる緊就、開就事業の超過負担分を交付税の対象にする、あるいは従来の補助金と起債との関係の割合を変えるという処置をとられましたが、具体的に、それによってどういうようになるのか。それから期待をしておる特別交付税は二月の段階では、それによって削られるのではないかという心配をしておるが、その点についてはどうか、これをお聞かせ願いたい。
  77. 今井実

    ○今井説明員 第一点の住宅関係の元利償還に対しまする財源措置でございますが、これは御存じかと思いますが、地方財政法にも明文の規定がございまして、公営住宅等家賃収入を伴います事業についての元利償還、これは財政需要額に算入しないという原則になっておるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたが適正な法令上の算定によります家賃収入が得られれば、起債の元利償還も、これを財源としてスムーズに行い得るわけですけれども、実際には算定されたとおりの家賃がなかなか取りづらいという点に問題があるわけでして、この辺は建設省とも今後、御相談をしてまいらなければいかぬ大きな財政圧迫の問題ですので、そうした方針でまいりたいと思います。  それから三就労の関係の地方負担に対しまする元利償還の財源措置でございますが、五十一年度、今年度から普通交付税並びに特別交付税において相当、改善をいたしております。中身がやや細かくなりますので概要を申し上げますと、昭和五十年度におきましては、国庫補助の裏負担であります地方負担額のおおむね五七%程度が普通交付税あるいは特別交付税で措置がされておったわけでございます。これに比較いたしまして、五十一年度からは、ただいま申し上げました地方負担額のうち約九割を普通交付税ないしは特別交付税で措置をいたしていくということに大幅な改善をいたすことにいたしました。したがいまして従来、特別交付税で措置をしておりましたものが相当部分、普通交付税に振りかわってまいっておるわけでございます。普通交付税によります、より安定的な財源措置を行っていこうという趣旨で、こうした改善を行ったわけでございまして、その特別交付税から普通交付へのいわば発展的な振りかえ部分、これはやはり振りかえ部分として処理をしていかざるを得ないというふうに考えております。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると福岡県で、どのくらい特別交付税から普通交付税に振りかわったのですか。もう時期が、特別交付税は五十年度ですね、それから普通交付税は五十一年度ですから、問題は五十一年度の特別交付税の話をしているわけです。ですから、かなり数字は合わないでしょうけれども、特別交付税としては五十一年度で見ると大体どのぐらい普通交付税に切りかわっておるわけですか。
  79. 今井実

    ○今井説明員 いま詳しい資料を手元に持っておりませんが、先ほど御説明いたしましたように地方負担額のうち五七%程度を見ておったものを、本年度はこれを九二%程度、九割強の見方をしましたので、その三割ちょっとでございますか、その厚みを増した部分、これは純増になるわけでして、それから従来、特別交付税で見ておったものを、繰り返すようですが普通交付税の方に振りかえました。その辺の額ですが、いま、ちょっと確たる数字を持ち合わせておりませんが、五億円を下らず十億円に満たないという感じだと記憶しておりますが、また後ほど資料等を精査をいたしまして、お知らせいたしたいと思います。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 筑豊では超過負担の一部が大分軽減をされたというので、かなり評価をされておりますが、しかし一方、特別交付税が減らされるのではないかという心配もあるわけです。この点は、ひとつ十分配慮をしていただきたい。  そこで最後に、私が筑豊における企業誘致の問題に関連をして、一体、筑豊が通勤区として、すなわち福岡とか北九州の通勤区として、どのぐらいの役割をしておるかということを調査したことがあるのです。そういたしますと、たとえば飯塚市在住の人は福岡に通勤をしておりますし、北九州にもしておりますが、残念ながら五十年度の国勢調査で通勤調べが出ておりません。ですから、四十五年度しか出ておりませんが、それを見ると、飯塚市において福岡市に就業しておる者が千百十六名、北九州が八百四十八名、こういうようになりまして、たとえば桂川とか筑穂町というようなところは篠栗線の沿線になって福岡通勤区としての役割りを非常に果たしておる。それから直方にいきますと、北九州に職を求めておるのが、直方市で約三千名おる。ですから、これは一体の関係がだんだんできつつある。  こういう関係で、ずっと調べてみますると、先ほど私が申しましたように男子雇用型の企業がなかなか来ない。将来においても、ぜひひとつ努力をしていただきたいけれども一つは、その地域に産業を誘致するとともに、通勤区としての役割りをもう少し考えてみたらどうか。そうすると通勤区としての役割りを考えるならば、それは交通であるという問題であります。  それで運輸機関の問題とも関連をするのですが、筑豊から福岡地域で一番要望されておるのは、やはり八木山隧道というものである。でありますから、八木山トンネルを建設省としては、どういうように、いまお考えであるか。これはただ交通量がどうだとかいうような公団の採算ベースよりも、地域開発の面から、ぜひ見ていただきたいと思うのです。先ほど申しましたように、その地域で男子が就業する場所が非常に少ない。でありますから、この問題は一つは、やはり通勤区としての役割りを果たすような交通網にしなければならぬ。そうすると、やはり飯塚から福岡に抜ける大きな隧道を掘る、トンネルを掘るということは、もう四十分ぐらいの通勤時間しかかからない地域になる。そうすると通勤区としてのウエートが高い。私は、政策というのは一つじゃなかなかできないと思うんですよ。あらゆる政策を総合しなければ、こういう産炭地のような復興は非常に困難ではないかと思うのですが、これについて建設省はどういう計画になっておるか、お知らせ願いたい。
  81. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  先生御指摘の八木山トンネルでございますけれども、これは国道二百一号線の沿線にございまして、国道二百一号線は福岡から行橋まで九州の北部を横断いたします産業幹線でございまして、建設省としては、さきに飯塚バイパスとか、いろいろと力を入れているところでございますけれどもお話の通勤ということから考えますと、飯塚と福岡の間に篠栗までの八木山峠というものが一つと、それから篠栗から西の方に交通の非常に混雑している家並みがございまして、これをいま福岡東バイパスとして着工中でございます。この二つがございまして、福岡東バイパスの方は、その周辺の地域サービスが重点でございまして、直轄事業として、いま取り上げております。  それから篠栗から東の方の八木山トンネルにつきましては、四十九年度に道路公団の一般有料道路といたしまして新規採用をいたしまして、以来、調査を進めているところでございますが、御承知のようにあの地域は非常に蛇紋岩の多いところでございまして、トンネル工事がかなり難航しそうだというので、ルート選定を慎重に検討しているところでございます。それからもう一つは、四十九年度採択の個所でございまして、その当時といまの交通量の伸び自体が、かなり変わってきておりますものですから、その辺も少し検討してみたいということで現在、検討しているところでございます。なるべく早く着工いたしたいというふうに思っております。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が申しますのは、むしろ、この交通量の問題で検討をすべきでないのじゃないかと思うのですよ。交通量の問題でなくて地域開発の問題として、ひとつ選考してもらいたいと思うのです。そのことを言いたいわけです。ですから、それは地域開発の問題としてきわめて重要である。ただ道路公団として、ただ交通量がどうだから順位がどうだという観点ではなくて、これは地域開発の問題として、ぜひ考えていただきたい。そうしないと交通量の順位から言うと何番目だとかというようなことでは、この問題の解決にならないと私は思うのです。これはいわば通勤地域として非常に大きな意義を持つのじゃないか。ですから、そういう意味においては高度な政治判断を待ちたい、こういうように私は考えておるのですが、これについて、どういうようにお考えでしょうか。これはいつからできるのですか。
  83. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 まず、いつから、できるかということでございますけれども、四十九年度に採択をしておりますので、調査が終わりますと、いつでも、かかれる状態でございます。調査が終わりますと道路公団の方から事業としての申請を出してまいりますので、それを許可して着工するということになると思います。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 調査が終わるのはいつですか。
  85. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 いまのところ調査をやっているのですが、とにかく蛇紋岩の非常にむずかしいところでございましてルート選定に手間取っておりますが、まだ一年ぐらいはかかるのじゃないかというふうに思っておりますけれども。  それから、もう一つの通勤対策ということでございますけれども、あるいは地域開発ということでございますが、御承知のように、福岡県の東部というところは福岡県の中でも大変、開発のおくれているところでございまして、この福岡県東部と福岡県の中心部を結ぶ二百一号線というものは、われわれとしても大変、重要なところだと考えております。まして先生御指摘のように飯塚と福岡との間は通勤者も非常に多いということでございますので、われわれとしては通勤対策としての使命というものも、よく認識しております。これにつきましては運輸省とも、いろいろと相談をしておりますけれども、通勤用のバスその他については、あるいは高額の回数券の割引を考えるとか、そういったようなことも考えていきたいというふうに思っております。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大変、時間を超過いたしましたので、これで質問は一応、終わりますけれども、いま、おっしゃる二百一号線の八木山トンネルの問題は、地域経済並びに地域住民の生活に非常に影響する重大な問題だと思います。やはり、これは早く着工していただきたい、こういうように思います。  それから、きょうは残念ながら大臣がお帰りになりましたので、十分な基本的な質問ができませんでしたけれども、産炭地振興の問題についても、また幌内北炭再建についても、次の機会に質問をしたいと思います。  最後に、やっぱり大臣の考えは石炭政策について従来の考え方から出ていないのじゃないかと私は思いますね。私企業が逃げるということも警戒をしなければならぬけれども、一体、政府の視点はどこにあるのだという政府の立っている位置というのが私は問題だと思うのです。ただ私企業がとにかく主体だからというだけでは、この問題は解決しないし、いままでと同じですね。何ら変わりがない。石炭政策見直し論の起こる前と全然、変わらない考え方ではないか、こういうように思いますから、その点も十分エネルギー庁としては考慮に入れて、そして大臣の方針を決める場合の参考に皆さん方は協力してもらいたい。このことをお願いをして質問を終わりたいと思います。長時間どうもありがとうございました。
  87. 田代文久

  88. 多田光雄

    多田委員 きょうは石炭部長に少し伺っておきたいと思います。  十月十七日は、ちょうど、まる三年前にOPECやOAPECが第四次の中東戦争を契機にして石油の生産制限さらにまた価格の引き上げをし、これが引き金になって、いわゆる石油危機というものが起きて、そして非常に大きな経済的な影響を与えたわけです。とりわけエネルギー問題では当時、国会でも相当いろいろ論議になって、それぞれ政府としても幾つかの案を出し、いわば宿題を持ったような形になっているわけです。このエネルギー全体については、たとえば石油、原子力あるいは代替エネルギーその他については、次回に大臣に総合的に伺いたいと思いますが、ただ、石炭について言えば、見直しという言葉がいいかどうかは別にして、国内石炭を見直すということで国会の当委員会の決議にもなったくらいなんですが、部長の目から見て、当時の宿題は果たされたと思っていますかどうですか。
  89. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 石炭政策につきましては昨年、御案内のような答申が出ております。私どもとしましては基本的に、その線に沿って今後、施策を進めるということで鋭意努力中でございます。果たされたかどうかということは、ちょっと私も答弁をどういうふうに申し上げていいかわかりませんが、一応、私どものポジションはそういうことだと思います。
  90. 多田光雄

    多田委員 言い方がまずければ訂正しますけれどもつまり国石炭を見直す、そして二千万トン以上という施策が立てられたのだけれども、そういう観点から見て、国内石炭のいわゆる見直しという課題が果たされたのかどうなのかということを私は伺っているのです。
  91. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 その課題に沿って現在いろいろな施策を進め、あるいは検討中ということだと思います。
  92. 多田光雄

    多田委員 最小限度の二千万トンを下らずということで、昭和五十年度で千八百六十万トンになってしまうという点ですね。これは幌内事故その他が大きな誘因になっているわけですけれども、生産からいったって、これは決して課題を果たしているというふうに見れないのじゃないか、こう私は思うのです。これは後でまた伺います。  そこで、先ほど部長からも今度の幌内問題、北炭問題で労使双方の合意文書が出されて、これを石鉱審の部会にかけるということなんだけれども、その石鉱審の専門委員会の中間報告が先般、出ているわけですね。この中間報告には政府の意図が反映しているというふうに、われわれは見るわけなのです。石鉱審が政府の意図と全く無関係に、あれをつくったなどということは、だれも信用しないと思うのだけれども、どうでしょうか。どの程度、反映されていますか。
  93. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 審議会の答申でございますから、あくまで審議会としての御意見であると思います。われわれとしても、その考え方が私どものとるべき方針であるというふうに考えております。
  94. 多田光雄

    多田委員 審議会の方針というのは、少なくとも今回出された労使の見解とは、その構えにおいて大分違っているというふうに読み取れるのです。この間、北炭萩原会長を参考人に当委員会が呼んで、そのとき萩原参考人も、こういうことを言っているんですね。「六月末から北炭は、通産省また石炭鉱業審議会経営部会北炭問題専門委員会の指導のもとに再建案を作成してまいりまして、八月十三日の北炭役員会で、それを決定したのであります。」これはつまり幌内の縮小計画の方ですよ。「心中、反対でありましたが、私は特に意見を述べませんでした。」こうなっているのです。そうすると、あの縮小案というのは政府通産省の指導というかコミットというか、あるいは接触の中で生まれたということ、もちろん、そのほかにユーザーであるとか金融筋もあると思いますけれども、少なくとも萩原参考人の意見によれば、こういうことになっているのですが、そういう指導はされたのですか。
  95. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 この幌内の問題を専門委員会を設けて検討するに当たりまして、その検討のために各炭鉱の実情それから、それぞれについての問題点というものは、それぞれ勉強し分析をしたのは事実でございます。そういうエレメントにつきましては、いろいろ検討いたしたのは事実でございますが、それをくみ上げて、どういうかっこうで北炭再建するかという考え方をまとめられたのは、これはこの前、私、申し上げましたが、あくまで会社自分責任と判断において、なされたものであるというふうにわれわれとしては考えております。
  96. 多田光雄

    多田委員 八月十三日に出された第一次の案というのは、幌内を縮小して常盤坑で四百人足らずの労働者でやる、こういう計画だったのです。これが萩原さんによって、またひっくり返されたという経過なんだけれども、少なくとも幌内の縮小であることは明確なんですね。しかも今度の北炭幌内の問題の焦点というのは、まさに、ここにあったわけなんですよ。資金問題その他いろいろありますけれども、少なくとも、ここに最大の問題があった。その最大の問題で縮小された案が出てきたということは、いまはどうかわかりませんが、当時としては石鉱審の中間報告、それを政府としては支持しておられるわけだけれども、そういう構え、それが反映して、こういうふうな案になったというふうに考えたいのですが、どうですか。
  97. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 十三日の案というものにつきましては、いま申し上げましたとおり、そのときのいろいろな状況というのを勘案し検討した結果、会社が、こういうかっこうでいきたいという判断を、みずからされて出されたということでございます。あくまで、これは私ども繰り返して申し上げておりますように、まず、これは労使双方で合意した案といいますか、着実な再建案をつくる。それを経営部会専門委員会で検討していくという態度は終始一貫しているわけでございまして、その意味で十三日に出された案というのは、会社が、そのとき、そういう案がいいというふうにお考えになったものだというふうにわれわれ思っております。  それから経営部会の中間報告というのは、その後いろいろ会社の中で議論が行われておって、いつまでたっても案が出てこないという状況でございまして、私の方といたしましても、その状況を見まして一応、従来の経緯の報告を経営部会にいたしました際に、経営部会として、こういう考え方で今後さらに専門委員会で検討を進めるべきではないかということで、まとめたものでございます。
  98. 多田光雄

    多田委員 いま部長企業の方で、そういう案を出してきたというふうに、企業に主要な原因や主体性があるように言っておられる。それは一つは当然そうなんですけれども、私の伺っているのは、先ほども大臣にちょっと伺ったのですが、政府として、どういう構えであったのかという、これを聞いているのです。もちろん、それは企業政府の考えですから、違うことはしばしばあることは万々もう承知の上です。しかし、そのとき企業はどういう答案を持ってくるかは別にして、政府としてエネルギー政策石炭政策を全体を考えて、もちろん、そこには資金計画も入るでしょう。そういうもので、どういう考えを持って臨んだのか。先ほど部長石炭鉱業審議会専門委員会のあれに大体、賛同するような発言あるいはそれを支持するような発言でした。それは、いまのこの全面開発というものとやや違っていたのです。それは現実に萩原さんがそれを訂正したわけですよ。ところが先ほど大臣は私に対する答弁で、もともと幌内というのは全面開発の方向で取り組んできたのだ、こういうふうに述べておられるのですが、どうもこの辺、私はかなり大きなニュアンスの違いが、いまあるというように思うのですが、あなたは、それを全然お感じになりませんか。
  99. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 私がいまお答えしましたことと、先ほど大臣がおっしゃったことと、私ども、そごはないと思っております。私どもとしても、できれば幌内を再開したいという考え方、これは当初からあるわけでございます。しかし、それが可能になるためには、いろいろな条件というものが必要になるわけでございまして、そういう意味で、いろいろ検討は行われたということだと思います。
  100. 多田光雄

    多田委員 ちょっと、くどいようだけれども、そうすると、ここで萩原さんが述べておるような通産省の指導のもとに云々というのは否定をなさるのですか。
  101. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 先ほど申しましたように、いろいろな分析をしたのは事実でありますけれども、それをどう評価し、どう判断し会社として、これが一番望ましい案であるという判断をするのは経営責任であると私どもは当初から思っております。その意味で、そういう判断をするに当たって、私の方が、こういうふうにすべきであるというようなことをすべき立場にはないというふうに私は考えております。
  102. 多田光雄

    多田委員 どうも、はっきりしないのです。私は、そこにやはり一つ問題があると思うのですよ。これほど石炭産業に膨大な金を出して、さらにまた北炭がいま二百四億だ、そのうちの幾ら出すか別にして。これほど国家資金におんぶしていて、しかも国が、それに対して積極的な発言や指導がなかったなんということは私は考えられない。しかも一方では私企業だから案を立てるのは私企業だ、こう言っているのです。その私企業はまた二百億足りないのだ。そうかと思うと大臣はさっき来て二、三日前の意見と違うのだと言う。どうもはや私は、この辺に政府責任があると思うのです。つまり、まる三年前の石油ショックのときに国内石炭を見直すのだと言っておきながら結局、政府石炭のスクラップ政策、それに企業協力してきた。いま、まるで企業自分が犠牲者のような顔をしているけれども、その企業協力してきた。その企業が、これはつくりなさい、こういう点は全く企業任せというのか、あるいは政府が実際に指導しておりながら、それを避けておられるのか、これは非常に疑問なんです。これはまた後で私伺います。  そこで大臣が、この間から、いろいろ関係方面の協力その他を見て決めたい、こう言っているのですが、その中にユーザーであるとか、あるいは金融機関筋のあれも出てきたわけです。そこでユーザーと言えば鉄鋼、ガス、セメント、それから電力ということになりますね。そうすると、どの  ユーザーがどういうことを言っていたのですか。皆さんはユーザー意見も聞かなくちゃいかぬと言っているのでしょう。ユーザーはどういうことを言っているのでしょうか。それをあなた方は承知しておりませんか。
  103. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 主として北炭の場合、大口ユーザーは鉄鋼、ガスでございます。主として夕張の沢から原料炭を買っている、これが主なユーザーになるわけでございます。このユーザーといたしましても、もちろん北炭再建ということを願っておるのは事実だと思います。ただ具体的に、それをどういうようなかっこうでやるかということにつきましては、ユーザーとしても、いろいろ意見があろうかと思いますが、一応、従来までユーザー、この三社は、資金的にも相当な協力を過去、夕張新鉱の建設の際に協力した経緯がございます。
  104. 多田光雄

    多田委員 つまり、いま挙げたユーザー原料炭を使っているところですよ。つまり、ここは原料炭が欲しいわけです。一般炭をさほど欲しいところじゃないのです、むしろ一部、電力へいくわけだから。つまり、われわれが勘ぐるのは、原料炭を使っている最大のユーザーの鉄鋼だとかガスだとか、その他は、新鉱その他の原料炭が欲しい、それには金を出しましょう。一般炭を掘っている幌内のあれには、われわれは御免こうむりたいというところじゃないか、こう、われわれは勘ぐるのですけれども、そうじゃないですか。
  105. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 北炭全体の再建が実現しないことには、夕張の山もまた、うまくいかないわけでございますから、そういう意味で、やはり北炭再建というものにユーザーとしては全体としての関心を持っておると思います。
  106. 多田光雄

    多田委員 そこで、もう一つお伺いしたいことは、エネルギーの政策として昭和六十年までに石炭二千万トンという計画を立てていますね。そして、いま千八百六十万トンなりに五十年代は下がった。幌内は、いま自主的な案を持ってきたのでは、昭和五十四年の四月から全面的再開だ。少なくとも幌内は、ここに穴があいたわけだ、二千万トン体制の上に。そこで、政府国民に対して二千万トン以上と国会でも、まあいわば、それを確約された。そして大臣は、あるときは二千万トン落ちても、ある年は二千万トン以上いけば、昭和六十年までに二千万トンベースだという、こういう説を述べられた。そこで、私はお伺いしたいのです。昭和六十年までに毎年平均して二千万トン以上、間違いなくとれるという計画を述べてください。あるんでしょう、それは。新鉱開発やその他があるんでしょう。どういう手だてでやるのか。
  107. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 従来、私ども考えておりますのは、現存炭鉱のいわば維持のほかに新鉱開発それから、いわゆる鉱区調整と申しますか周辺鉱区の調整というようなかっこうで、二千万トン体制を維持する方向で施策を進めたいというのが私どもの考えでございます。
  108. 多田光雄

    多田委員 それじゃ昨年から開発可能性地区の調査をやっておりますが、少なくとも六十年までに間違いなく出炭可能だというところはどこですか。その見通しと量も言ってください
  109. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 国内炭の開発可能性調査につきましては、現在、調査地域のうちで天北、釧路西部、それから世知原、この三地域十地区につきましては大規模開発を前提とする広域の調査が必要でございます。調査項目も多岐にわたるというところがございますので、来年度も調査を継続する予定になっております。まだ最終結論は出ていないわけでございます。その他の筑豊等六地域九地区につきましては、結論的に非常に概括的に申しますと、特に地元の地域開発それから、あるいは産業との調整、環境保全というようなものに対する強い要請それから労働力確保、経済性というような、いろいろな問題がございまして、開発に移行するためには、いまのような諸問題を解決する必要があるという調査報告になっております。
  110. 多田光雄

    多田委員 いや、それは承知しているのです。私の聞いたのは、それが六十年までに、どういう計画で、少なくとも政府計画で、たとえば昭和五十五年には百万トン掘るとか、あるいは、そういう指導をするとかいう、その計画を出してほしいと言うのです。それも、これからの調査を待たなければわからぬのですか。
  111. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 いま申し上げましたような状況でございますので、さらに調査をして具体化していくという考え方でございます。
  112. 多田光雄

    多田委員 それから海外開発に、いま力を入れようとしていますね。特に原料炭だけではなく一般炭の千五百万トンというのも計画している、これも、しかし国内の二千万トン確保というのが大前提なはずです。これが崩れれば海外炭の輸入はもっとやらなければならないでしょう。というのは経済成長率に合わせて皆さんつくられたんだから、このよしあしは別にして。そうすると昭和六十年までに一般炭の海外開発、すなわち日本が投資をして株を持つ、あるいは現地合弁でも結構、そういうもので六十年までに、どれだけのものが入ってくるという見通しを持っておりますか。それを数字があったら言ってください
  113. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 現在、輸入されております海外炭はほとんどが原料炭でございます。五十年度の実績は約六千万トン、一般炭は約五十五万トンというのが現状でございます。  今後の見通しでございますけれども、昨年の石鉱害で、御案内だと思いますが六十年度総需要量約一億二千二百万トンというのを見込んでおります。国内炭につきましては二千万トンベースということでございますので、約一億二百万トンを輸入するというふうに一応、推定をしております。一応マクロはそういうことでございまして、それを具体化するために今後、海外開発の施策というのを進めていくということで、いま施策の具体化を急いでおるわけでございます。
  114. 多田光雄

    多田委員 はっきりしたことは、海外開発も、なかなかこれは困難です。石油開発も、大臣この間、石油開発はなかなかうまくいかないと数カ月前、述べられているけれども石炭だって、ほとんどいいところは、もうメジャーが海外で押えちゃってるでしょう。これも具体的な数字が出てこない。国内の開発可能性調査はやっているけれども、どこで、どれだけの炭をとるかという計画も、これもまだはっきりしない、こういう状況なんですね。だから私は二千万トン下らずというこの計画自体が非常にこれまたおぼつかない。それだけに、この幌内という大事な石炭については全面開発に、もっと力を入れる必要があるだろうということを、この間から私たちも主張しているのですよ。  そこで私はなお伺いたいのですが、幌内の復旧について、これも先ほど大臣が述べましたけれども、われわれは積極的な前向きの国の援助、これは賛成ですが、しかし、この援助が旧来の経営やその他を持続するような援助になってしまうと、それを全面的に私は否定しておるんじゃないのですけれども、どうなるのかという疑問がわくのです。  そこで私、聞きたいのですが、会社の案によれば北炭新鉱については来年の二月までに一日五千トンの体制をつくると言っておる、それに自信ありますか。
  115. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 会社の案では、いま御指摘のように五十二年二月までに、現状が五十年九月は二千二百トンでございますが、急速に増強するということになっておりまして、来年の二月までに五千トンに持っていく、こういうことを考えておるのですけれども、こういうかっこうに持っていくためには、保安の確保というのが大前提になります。そのためには、坑道の維持が大幅におくれておりますので、これの改善が必要であると考えております。会社では人員の増加等、各種の対策を立てて現在、実施をいたしておりますけれども、今後さらに坑道補修個所増加ということも考えられますので、計画時点までに持っていくというためには一段の努力が必要だ、その辺のところは、なお現在、検討いたしておるわけでございます。
  116. 多田光雄

    多田委員 いや、私は自信があるかと聞いているのです。いままで五千トン、五千トンで、ずっと延びているのですよ。開発以来、二次計画を出しているでしょう。そしていま二千、いまおっしゃったとおり半分もいってないのですよ。それをあと数カ月後の二月までに五千トン出せる自信をお持ちですかと私は聞いているのです、あなた方が指導する場合に。たとえば、これは労使合意でもって八月段階でなお三千四百メートルの坑道の拡大が必要だ。労働力はどうなんだ、御承知のとおりなんだ。保安の方はどうなんだ、依然として不安があるんです。こういう中で、政府として保安も大事だと言っている皆さんが、新鉱で二月に五千トン出せるという確信をお持ちですかと私は聞いている。
  117. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 いま計画が提出されたところでございます。いまのようないろいろな問題点というものは、私どもとしては私どもなりに検討いたしまして、これでいけるかどうかという点を十分詰めていきたいというふうに考えておるわけです。
  118. 多田光雄

    多田委員 いや、これはきのう、きょう始まったことじゃないのですよ。前回も私、質問している問題なんです。幌内から労働者が三百名出向している。しかも坑道も拡大しなくちゃならない。さらにロングは三本あるけれども一本は、いま、そこにいく労働者が坑道整備の方に回っているわけでしょう。五千トン掘るには少なくとも三つの現場が必要だ。二本しか稼動していないのです。そういう幾多の条件を考えてみて、これから検討じゃなくて、いま皆さんが検討している中で、一体二月に五千トン掘れるかどうなのか。私の言っているのは保安も注意しての話です。もし新鉱で事故が起きたら終わりですよ、幌内どころじゃないのです、今度は。これは真剣に考えてくださいよ。下手やると、資金を国から今度はもらう、その他でもって北炭が一層、出炭を急ぐというと、これはもう事故につながっていくんです。そういう意味で皆さんは正直に言ってください。確信あるのかどうなのか、それを一つ聞きたいのです。
  119. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 私どもも具体的に、どういうかっこうになっていくのか、そして、いま会社が言っております五千トンというかっこうに展開していくために坑道の仕繰り、盤ぶくれ対策なり、あるいは一番大事なのは御指摘のようにまず保安の問題でございますが、そういったような点について、どういうかっこうでやって五千トンというのは可能になるかという点を鋭意、これならできるのだという確信を得るように、いま詰めておるところであるということを申し上げているわけであります。
  120. 多田光雄

    多田委員 時間もありませんから、これはこれにとどめたいと思いますが、皆さんの発言の中に私は確信あるとは見てない。ところが、二月までにやるんだということで北炭はいま資金援助を求めてきているのです。こういうことを放置しておいたならば、結局いままでの企業の体質を延命させる、事故につながっていくことを私は恐れるのです、つまり表面だけ糊塗をして。このことを恐れるから私、聞くのです。  次に、幌内のことについてお伺いしたいのですが、これを見ますと、もちろん皆さんはまだ内容を検討してないそうですけれども、五十四年から全面再開でやっていくということなんですが、政府幌内全面再開の場合に、どういう姿であるべきなのかというようなことについて、お考えになったことありますか。あったとすれば、それを示していただきたいのです。
  121. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 どういう姿というのは。
  122. 多田光雄

    多田委員 どういう姿というのは、もう少し説明しましよう。  七片まで取り明けしますね。そうすると七片からとって八片、九片までいくのか。あるいは、いま問題になっている奔別の鉱区を広げて、そこの方に延ばしていくのか、あるいは浅いところもとっていくというのか。具体的に言えば、そういう問題について、どのようにお考えになるかということです。そういうことについてお考えになったかということです。
  123. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 いま出ております案は、御案内のように中央部の七片から九片までいくという案になっております。私どもの方としては、一応それをいま検討をしておるというのが現状でございます。
  124. 多田光雄

    多田委員 次、夕張新二鉱が施業案を出したとき、埋蔵量がどれだけあって、いつまで掘るというふうに出しておりましたか。
  125. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 夕張二鉱でございますが、五十一年の七月認可の施業案によります実収炭量は約二百五十万トンでございます。ただ、最近のボーリング、坑道掘進の結果等の資料から、薄層化等によって採掘できないと見られる範囲が発見されて、炭量が大分減少するんではないかというふうに思われます。
  126. 多田光雄

    多田委員 そうすると新二鉱は後どれくらい石炭が残っているのですか。
  127. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 お答えをいたします。  施業案では二百五十万トンということになっておりますが、大分、炭量が減ってくるということを会社側から聞いておりまして、それを目下、調査している段階でございます。いまの見通しでは百万トンを切るのではなかろうかというふうに推定をしておりますが、まだ詳細な資料で検討いたしておりませんので、具体的な数字は、いまの段階で御説明することができないわけでございます。
  128. 多田光雄

    多田委員 会社は四十九年の労働組合との団交でも、これからなお十一年掘れるということを言っていたのです。ところが、もう五十三年終掘だ。そして、この間の萩原会長のあれを見ると、新鉱に持っていく労働者は、この新二鉱の労働者を持っていくんだということも言っているのですね。これは労働者から見たら、まことにペテンにかけられたようなものです。現場の夕張新二鉱の労働者は、多くの人が新鉱には行きたくないと言っているのです。こういう問題が非常にあいまいにされてきているのですよ。  さて、時間が大分、迫ってまいりましたので、私は幌内の全面再開、これは繰り返し主張したいと思いますが、援助というのは、いままでの北炭の保安のやり方、賃金の問題あるいは労働条件、見通しの正確さ、こういうものをひとつ厳密にやっていただいて、国会でも、それを明らかにしてもらわなければならないと私は思います。  たとえば、この間、計算してみたら賃金が、ほかの大手の山に比べて平均月五万円安いのです。ボーナスも払われないでしょう。ベースアップ分も払われてないでしょう。しかも、いまは、その賃金自体が労働者の貯金、預金した労働金庫から回って払われているのでしょう。労働者は退職金が出ないから、やめたくともやめられないのです。こういう無残な状況、それを放置しておいて、北炭の復興その他について私は簡単に、ああそうですかとは言えないのです。この間も申し上げましたように、資源を大事にして掘るということは、労働者を大事にしていく、産炭地住民に迷惑をかけない、これが裏表にならなきゃだめなんです。私は決して幌内の全面再開に水をかけているのじゃないのです。まさに、いまそれが問われているのです。  そういう意味で先ほど来、大臣にも言っている資料は、ひとつ全面的に出してほしい。きょう出された資料は概要でしょう、あれを全面的に出されたものを資料として配っていただきたいと思うのです。概要じゃわからぬのです。これはいいですね。
  129. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 検討さしていただきます。
  130. 多田光雄

    多田委員 検討ではないでしょう。これは大臣に出されたもので、労働組合も知っている問題でしょう。何で国会にそれを出せないのですか。検討してみなければならないのですか。何百億という金を出してくれと言われて国会でいま審議しているときに、正確な資料も出さないでできますか。労働組合もこれは知っているのですよ、労使合意なんだから。経営の秘密じゃないでしょう、労働者は皆、知っているんだもの。それを何で国会に出したがらないのですか。そこに問題があるのですよ、皆さん。
  131. 島田春樹

    ○島田(春)政府委員 私ども、きのう受け取ったばかりでございますので、中をよく見まして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたします。
  132. 多田光雄

    多田委員 概要をまとめるぐらいだから中を読んでいるはずだ。読まなかったら、まとめなんかできないはずなんだから。だからこれは委員長、ぜひ出すように委員長の方からも進めていただきたい、こう思うのです。  時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、いずれにしても、この問題、非常に大事な問題ですから、資料提出については全面的に協力をしていただきたい、こう思います。
  133. 田代文久

    田代委員長 私から要望しますが、いま多田委員が言われた資料提出、これはぜひとも、その方向で処理していただきたいということを要望します。
  134. 多田光雄

    多田委員 終わります。
  135. 田代文久

    田代委員長 次回は、来る十月二十七日、開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会