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1976-10-06 第78回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月六日(水曜日)     午後一時六分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 金子 岩三君 理事 篠田 弘作君    理事 菅波  茂君 理事 三池  信君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 春夫君    理事 多賀谷真稔君 理事 多田 光雄君       林  義郎君    上坂  昇君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       鬼木 勝利君    松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         労 働 大 臣 浦野 幸男君  出席政府委員         通商産業政務次         官       山下 徳夫君         通商産業政務次         官       河本嘉久蔵君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    松村 克之君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       北川 幸昌君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君     ————————————— 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     林  義郎君   山下 徳夫君     加藤 紘一君 十月六日  理事山下徳夫君九月二十日委員辞任につき、そ  の補欠として篠田弘作君が理事に当選した。     ————————————— 九月三十日  筑豊地域総合的復興等に関する請願(田代文  久君紹介)(第一六一号)  同(三浦久紹介)(第一六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る九月二十日、理事山下徳夫君が委員辞任され、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田代文久

    田代委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長理事篠田弘作君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 田代文久

    田代委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、河本通商産業大臣及び浦野労働大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。河本通商産業大臣
  5. 河本敏夫

    河本国務大臣 第七十八回国会における石炭対策特別委員会の御審議に先立ち、私の所信の一端を申し述べます。  昨年の七月に、石炭鉱業審議会から当面の石炭政策につきまして答申を受け、政府といたしましては、その趣旨も踏まえまして、総合エネルギー政策の一環としての石炭政策を従来にも増して強力に推進することしております。  すなわち、政府は、石炭が貴重な国内資源であり、かつまた、石油への過度な依存の低減に役立つ重要なエネルギー源であるとの基本認識のもとに、保安確保及び鉱害防止前提に、石炭企業経営の安定を図りながら、国内生産を長期的に維持することとし、このため各般の施策を講じてきております。  さらに海外の石炭資源につきましては、その開発輸入を進め、石炭火力等への活用を図ることといたしております。  また、昭和五十一年度におきまして、厳しい経済情勢にもかかわらず、政府といたしましては、需要業界協力を得まして炭価の大幅な引き上げを行い、石炭企業経営改善のため最大限努力を払ったところであります。  しかしながら、こうした中にありまして、昨年後半に、幌内炭鉱におけるガス爆発を含め重大災害が相次いだことはまことに遺憾であります。  言うまでもなく、保安確保国内炭生産維持のための絶対不可欠の前提条件でありますので、政府といたしましては、本年五月に提出されました石炭鉱山保安懇談会の報告の趣旨に即しまして、今後とも保安確保最大限努力を傾注する所存でございます。また、同時に鉱害対策及び産炭地域振興対策につきましても引き続き強力に実施することといたしております。  なお、政府といたしましても目下強い関心を抱いております幌内炭鉱再建問題につきましては現在、計画の策定を急ぐよう北炭に指示しているところであり、政府といたしましては、その再建計画の提出を待って、石炭鉱業審議会経営部会の意見を徴しまして、とるべき具体的方策につきまして鋭意検討してまいる所存であります。  石炭対策特別委員会委員方々におかれましては、かかる方針を御理解賜りまして、今後とも石炭政策に御支援、御協力いただきますようお願い申し上げまして、私の所信表明といたします。
  6. 田代文久

  7. 浦野幸男

    浦野国務大臣 このたび労働行政を担当することになりました浦野でございます。本日、石炭対策特別委員会が開会される機会に、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  今後の石炭対策につきましては、昨年七月の石炭鉱業審議会答申に基づきまして新石炭政策が樹立されておりまするが、労働省といたしましても、この新政策が円滑に実行できるように、通産省とも十分連携をとりつつ諸施策の推進に努めていきたいと考えております。  特に、労働災害の問題につきましては、石炭鉱山における安全、衛生の確保を図り、炭鉱労働者の保護に万全を期してまいります。  また、いわゆる離職者対策につきましても、過去の対策の経験を十分に生かしまして、離職者の再就職の促進に万全を尽くしたいと考えております。  今後とも委員各位の一層の御支援と御協力を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  8. 田代文久

    田代委員長 次に、通商産業政務次官山下徳夫君及び河本嘉久蔵君が就任されましたので、この際、御紹介申し上げます。
  9. 山下徳夫

    山下(徳)政府委員 ただいま御紹介をいただきました今回、通産政務次官を拝命いたしました山下でございます。  私も産炭地の出身でございますので、この問題につきましては誠意を傾ける所存でございますれば、どうか先輩各位の変わらざる御叱正、御指導のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  10. 河本嘉久蔵

    河本政府委員 ただいま御紹介を受けました通商産業政務次官を拝命しました参議院の河本嘉久蔵でございます。  皆さんの御叱正によりまして、無事、大過なく任務を果たしたいと思いますので、格段の御指導、御協力をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。ありがとうございます。(拍手)     —————————————
  11. 田代文久

    田代委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田弘作君。
  12. 篠田弘作

    篠田委員 私は、エネルギー資源としての石炭の問題と、第二には、北海道の北炭再建及び幌内炭鉱復旧の問題につきまして少しく所見を述べ、また、お伺いをいたします。  まず、日本エネルギーとしましては、第一次エネルギーとして一九六〇年には石炭はまだ五〇%を供給しておりました。二年後の六二年には逆転いたしまして石油ウエートが高くなり、以来今日まで、それが継続しておるわけでございます。  石油は一〇〇%の輸入であり、石炭もまた七〇%までは外炭を使っております。ところが、一九六八年の世界動力会議資料によりますと、石油確認埋蔵量石炭に換算しまして千三百万トン、二十七年しかもたないと言われていたのに対して、石炭は六兆七千億トン、実に石油の後に来るエネルギー石炭であるという認識のもとに、現在アメリカでは石炭液化ガス化が行われております。日本石炭埋蔵量は約百九十億トンと言われておりまして、このままの水準で生産していく分には、まだ五百八十年ぐらいは大丈夫だということを言われております。こういう見地から見まして、いろいろサンシャイン計画等がありますけれども、これもまだ実用に達するまでには時がかかると思います。そこで私は、いま世界の目が石油にかわるエネルギーとして石炭に向けられ、そうして、いま申しましたような液化またはガス化が行われているということを日本も注目しなければならないと思うのであります。  そういう意味で、もし石炭の問題に失敗をするようなことがあれば、石油の問題で失敗したと同じような結果が来るのではないか。いま言いましたように、アメリカ日本石炭のほとんどを供給しているわけでございますけれどもアメリカ石油資源もほとんど底をついておる。そうすればアメリカが今度は代替資源としての石炭に集中するということになれば、従来のようなアメリカ石炭日本に多量に輸出するということも恐らく疑問でございましょう。そういう意味からいいまして、私は資源という問題を非常に重要視しなければならないという考えのもとに立っております。  北炭再建の問題は、そういう意味におきまして、これはいろいろの事情がございますけれども、しかし、かわるべき資源として石炭を見るということであれば、問題は経済か、あるいはまた資源かということになると思うのであります。言いかえれば金か資源かということでございます。北炭再建計画については、まだ正式には通産省に参っておらないようであります。しかし、いろいろの新聞報道等を見ますと、北炭再建そしてまた幌内炭鉱再建をするということは、今後の日本エネルギー確保する上において重大だということだけは皆、認識できるのではないかと思います。  北炭再建計画、これはまだ私も知りませんけれども新聞の伝えるところによりますと、政府にお願いするところは幌内炭鉱復旧だけのように思われます。その資金は二百四億円である。あとは何か北炭自身金融あるいはまたユーザーその他の力を中心として復興計画を立てているようでございます。八日の日には北炭関係の人々を、この委員会参考人として呼びまして、詳しいことを聞くわけでございますが、それまでは私も的確なことは申しません。しかし、いま申しましたように資源経済、どちらも無視はできないけれども、どちらかをとるとすれば資源を重視しなければならない。金は将来、私は値打ちがだんだん下がると思います。また、資源はだんだん枯渇する、そういう意味合いにおいて、北炭再建をするということは資源確保することであり、また、日本エネルギーの需給のために役立つと思うのであります。そういうことからいたしまして、私は石炭に対する私の考えが誤っておるかどうか、また北炭再建に対する私の考えが妥当であるかどうか、この点だけを答弁していただきまして、あとは、この次に譲りたいと思います。
  13. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま石炭重要性についていろいろお話がございました。埋蔵量が六兆七千億トンあるというお話もお伺いいたしましたが、最近の説によりますと十一兆トン、こういう説等もございまして、ある意味におきましては、石炭世界至るところに埋蔵されておりまして無尽蔵である、こう言ってもいいくらいに、きわめて重要なエネルギー資源でございまして、石油資源が枯渇いたしておる中におきまして、石炭エネルギーにおいて占める地位というものは非常に大きくウエートを増しつつある、かように私ども理解をいたしておりますし、また、世界全体がオイルショック以降そういう方向石炭政策というものを考えておるようでございます。石炭重要性ということに対しては全く同感であります。  第二点の北炭の問題でありますが、これはやはり、ただいま御指摘がございましたように、十月の中旬までに会社側再建計画をつくる、こういうふうに言っております。通産省といたしましては、一刻も早くつくるように、たびたび指示しておるわけでございますので、それよりおくれることはまずない、かように理解をしておるわけでございます。  また、私どもが期待をいたしております北炭再建計画内容といたしましては、まず会社側が、企業経営の責任は経営者にあるという自覚のもとに再建計画をつくってもらいたいということであります。第二点は、主力銀行大口債権者ユーザー、こういう関係方面の十分な理解が得られるということは当然のことでありますが、同時に労働組合との話し合いも完全につかなければならぬ、かように考えております。またさらに、国民経済上から見まして、やはり国民全体としても納得できるような内容のものでなければならぬ、そういう内容のものができました場合におきましては、政府といたしましては、できるだけの支援体制というものを継続していくつもりでございます。ただいま会社側から再建計画が出るのを待っておるというのが実情でございます。
  14. 篠田弘作

    篠田委員 石炭合理化の過程を経た今日、石炭を掘っても、もちろん、これはいろいろな制限がありまして、すぐ日本エネルギーとして使えるということはないと思うのです。世界は、ほとんど石炭生産国ガス化もしくは液化をやっているわけです。日本では、どの程度ガス化液化が進んでおるのか、あるいはまたやる意思があるのか、これが一つ。  いま一つは、炭鉱災害のたびに一番の被害をこうむる者は地域中小企業です。これは御承知のとおり売り上げが減る、あるいは支払いが手形になって一割か二割しか回収できない、激しいときには、もう借金は払わないで逃げてしまうと言っては悪いけれども、よそへ行ってしまう、そういうようなことがあるのですが、この問題についてはやはり通産省として、普通の中小企業に対するいろいろな施策とは別に、何らかの方法を考えてやる必要があるのじゃないが、こう思いますが、その二つについて、ひとつ御回答を願います。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭液化ガス化の問題につきましては、いわゆるサンシャイン計画として政府の方では取り上げまして、工業技術院におきまして研究を進めております。相当予算もついておりますが、もう少し具体的なことにつきましては政府委員から答弁をさせます。  それから、災害が起きました地帯における中小企業は非常に大きな影響を受けます。今回も幌内炭鉱があれだけの災害を起こしましたので、その周辺の中小企業が非常に大きな影響を受けておるわけであります。これに対しましては実情をもちろん調査もいたしておりますが、同時に政府系の三金融機関等に対しまして、金融を弾力的に行う、たとえば期限の来た者に対しましても、返せない、こういう者に対しては弾力的に三金融機関に対して相談をするように、こういう指導もいたしておりますし、あるいはまた場合によりましては担保の見直し、こういうこと等についても、それぞれの金融機関指導しておるところでございまして、実情に合ったように、できるだけのことは配慮していかなければならぬと考えておりますが、あらかじめ災害が起こることを予想いたしまして、新しい中小企業金融の制度というものをつくらなくても、臨機応変の措置によりまして十分対応できると考えております。
  16. 島田春樹

    島田(春)政府委員 簡単にお答えいたします。  いまの石炭ガス化液化技術のわが国における状況でございますが、発電用ガスの製造を目的にいたしました低カロリー石炭ガス化発電技術開発というのは、四十九年から石炭技術研究所というところに委託いたしまして現在、実施中でございまして、五十一年度なお実施をやっておる最中でございます。六十年ごろには二十万キロワットクラスの商業発電プラントの建設を目的にして行っておるわけでございます。  また液化技術につきましては、いま大臣からお話がありましたサンシャイン計画に基づきまして、国立の研究機関において直接液化あるいは溶剤抽出等に関する技術研究というのを四十九年から五十年にかけましてスタートして現在、実施中でございます。六十五年ごろまでに一万バレル・パーデー大型プラント開発というのを目的にして行っております。以上でございます。
  17. 篠田弘作

    篠田委員 私の質問は、これで終わります。
  18. 田代文久

  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 かつて筑豊御三家と言われました安川、麻生貝島、その麻生明治鉱業はすでに閉山をしました。そして最後に残りました貝島炭硬が会社更生法申請をするということになりまして、しかも、この会社更生法申請というのは、会社更生をするというよりもスムーズに清算をするという方向で、事実上は本年八月五日をもって閉山になったわけであります。そこで地元の混乱は大変なものでありまして、まず労働者はもちろん、鉱害被害者さらに中小企業方々あるいは自治体の財政問題、こういう幾多の問題を残したままで、各住民は非常に不安な気持ちを持っておるわけであります。  そこで、会社更生計画がどういうように作業が進捗しておるか、これをまず事務当局からお聞かせ願いたいと思います。
  20. 島田春樹

    島田(春)政府委員 貝島炭礦更生計画進捗状況でございますが、いまお話ありましたように、同社は会社更生法の適用をいたしたわけでございます。現在までの手続関係は三月の十九日に更生手続開始の申し立てを行い、同三月二十五日に財産保全処分決定を行い、さらに六月十八日、会社更生手続開始決定が行われたということでございまして、今後十月末に更生計画案を提出するというのが予定に一応なっております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そこで、具体的にお聞かせ願いたいと思いますが、まず炭鉱労働者離職者、この対策はどういうようになっておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  22. 遠藤政夫

    遠藤政府委員 いま御指摘のように、八月の五日に閉山ということになりまして、早速、現地相談体制を設けまして相談に当たっております。九月末現在で、貝島礦からの離職者それから関連企業対象者を含めまして約五百名の人たちが出ております。こういう人たち対象にいたしまして現地相談事務を行っておりますが、そのうちで現在、三百六十六名の人が求職申し込みをいたしております。これに対して三百三十二名の手帳発給を行って、就職相談、あっせんに応じておる状況でございます。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、まず手帳発給をしているのですけれども訓練所の収容であるとか、あるいは他に就職を求めて就職した者とか、そういう者はまだいないわけですか。
  24. 守屋孝一

    守屋説明員 現在、就職されました方は十六名ございます。それから、あと訓練関係入所を希望されておられます方々が百六十一名ございますから、この方々につきましては、ちょうど閉山になりました時期が八月でございましたので、まず当面、十月に訓練所入所していただいた方々が二十八名でございます。それから、このほかに委託訓練をやっておりまして、これは十月から出発いたしまして当初十名やっておりますが、これは後、時期を追うごとにふやしてまいろう、こういう考え方でございます。残りの方々につきましては、来年四月の入所時期に希望の職種について入所を進めていこう、こういう考え方対処をしております。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この男女別並び平均年齢は幾らぐらいですか。
  26. 守屋孝一

    守屋説明員 いま、ちょっと手元にございます資料平均年齢はございますが、男女別はないので恐縮なことでございますが、平均年齢は五十一歳というように承知いたしております。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に、鉱害被害者の問題でありますが、まず貝島炭礦というのは、私は率直に言いますと日本一いい炭鉱ではなかったかという感じがするわけです。筑豊という、わりあいに恵まれておった地域に、しかも累層で、しかも出る石炭原料炭、こういうことであります。でありますから、地上面積は恐らく坪当たり十五トンから二十トンぐらい出ておるんじゃないかと思うのですけれども、まあそれは正確ではありません。そういうふうにして非常にいいだけに、また、この企業は他に兼業を持たなかった。これは家訓だそうですけれども石炭以外に手を出しちゃならぬという貝島家家訓だったという、そういうところ。それから非常に良質炭であって立地条件が非常によく、そして累層であったということのゆえに、鉱害復旧をほとんどしていないのです。復旧しようといたしますと次にまた掘るわけですから、復旧がなかなかできない。要するに安定しないわけです。そこで、非常な大きな鉱害を残したままになる。いよいよ鉱害防止をしなければならぬ時期が来ますと今度は資力がない。資力がありませんから、さらに残存鉱害はふえる一方ということで、住民は大変な被害に悩まされたわけであります。  そこで、金銭賠償といいまして、そのうちの米麦補償であります。米麦補償の五十年度分の補償金がまだ払われていない、こういう状態であります。これについて役所の方はどう対処をされておるのか、これをまずお聞かせ願いたいと思います。
  28. 島田春樹

    島田(春)政府委員 お答え申し上げます。  いま、お話がありましたように貝島鉱害相当膨大なものでございます。現在、局の調査によりますと、残存鉱害は二百三十二億というふうな推計を一応いたしております。  この鉱害に対して、どういうふうに対処するかということでございますが、まず年々賠償につきまして、地元の方といたしましては、留保金の取り崩しによって年々賠償早期支払いができないかというような要望がございます。これにつきまして私の方といたしましては、貝島鉱害留保金につきましては、四十三年以降に閉山しました関連子会社四社にかわるものとして現在、十一億円程度合理化事業団に留保されておるわけでございますが、この留保金の取り崩しをどうしていくかということが一つの問題になろうかと考えております。  この留保金早期に取り崩しをしていくということが必要であることは申すまでもないわけでございますが、先ほど申しました関連会社鉱害処理、今回の貝島本社鉱害処理というのは、やはり一体的に処理することが最も適切であるというふうに考えておりますので、留保金取り崩しのためには、今回閉山分閉山交付金交付決定をできるだけ早く行って、やっていくという考え方になろうかと思います。交付金決定のためには予算の裏づけが必要であるところから、今年度内の交付決定には、かなりの困難が伴うかと思います。したがいまして、留保金の年内の取り崩しにつきましても困難な問題があるというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、先ほど御指摘がありましたような、こういった被害者の問題というのを、そのまま放置しておくことは、被害者の不安を非常に激化することになるというふうに考えられておりますので、この閉山交付金決定のおくれによる留保金取り崩しのおくれに対処することが必要であるということで、現在、政府といたしましては貝島側管財人と調整の上、年々賠償相当分金融確保それから金利の貝島側負担というものを、留保金取り崩しまで継続するように指導をする。それから、無資力認定可能性が確認できますれば、復旧工事につきましては無資力復旧前提としまして、緊急に復旧することが必要な特に家屋でございますが、家屋等につきまして復旧開始手続早期開始するというような点につきまして現在、検討いたしておるわけでございます。  ただ、いま申し上げましたような方策につきましては、前提といたしまして無資力化の見通しが確認される必要があるということは申すまでもないところでございます。  以上でございます。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この留保金の取り崩しは交付金決定という条件と相まって行う、こういうことですが、閉山交付金の問題は後から申し上げますけれども、しかし金額は、私は算定できるのではないか、こういうように考えるわけです。何も閉山交付金を交付しなければ留保金の取り崩しができないという問題ではないだろう。それは金額さえはっきりすると、大体その配分等がわかるはずではないか、これが一点。  それから、従来やっておりました鉱害の供託金、それから例の石炭鉱害賠償等臨時措置法による担保のための鉱害賠償積立金、これが一体どのぐらいあるものか。それから、トン当たり七百円の交付額は一体どのぐらい算定されるのか、これらをお聞かせ願いたい。
  30. 北川幸昌

    ○北川説明員 お答えいたします。  まず、交付金金額の問題でございますけれども、一応、計算は本年度内でも可能かと存じます。ただ、交付金留保金となりまして、留保金の取り崩しに至りますまでには、鉱害賠償権利者からの請求権申し立て等の手続が必要でございます。この申し立てを行った者に対して支払いを行う、弁済を行うということになりますので、この申し立ての手続あるいは、その前提としての公示等を行うための前提になる交付決定がどうしても必要なわけでございます。  ただし、貝島の件につきましては、すでに交付されております交付金が、十一億というかなり大きな金額が残っておりますので、今回追加して交付される金額に比べますと問題ではないじゃないかという御意見があろうかと思いますけれども、先ほど石炭部長からお答えいたしましたように貝島鉱害の特殊性から考えまして、前回閉山分と今回閉山分鉱害賠償の諸手続を一体的に行うということが、被害者にとっても最も望ましいというような諸情勢がございますので、私どもとしては、その一体的処理前提になる、最後の今回閉山分交付決定を待って手続処理をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから、あと積立金の金額でございますが、すでに閉山いたしました子会社四社分を含めました五社の合計でございますけれども、元本で三億四千四百万円強でございます。  それから、トン当たり七百円の交付金額が幾らになるかという点でございますが、これは過去三年間の出炭量の確定という作業が、まだ完結いたしておりませんので正確にはわかりませんが、おおよその感じといたしましては一億五千万から二億円くらいのところではないかというふうに考えて、諸作業を進めているところでございます。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず、交付金決定のトン数がいまだにはっきりしないというのも、これ、ちょっと疑問ですね。もう八月五日に閉山をしてから出炭は一つも出てないですからね。この算定がなぜ、そんなにおくれておるのか。しかも、かなり五千万円ほどの差があるというのは一体どういうことなのか。これ、ちょっと理解に苦しむのですが、しかし現実問題としては今度閉山になりました炭鉱分、それからすでに閉山をずっとしてきました四十三年以降の留保分、これは一体として使うのだけれども、取り崩しはできるのではないですか。四十三年に閉山をした場合、前の炭鉱の分だというので、若干でも取り崩しをして行うことができるのではないか、可能じゃないですか。というのは急ぐ意味で可能ではないか、こう言っているのですよ。  それは理想的に言うと、全部が交付決定して集金をされた分を総合的に使うということはいいのだけれども、しかし、そういうことをやっておれば被害者はやはり大変な損害ですよ。大臣米麦補償というのはまさに収入源なんですよ。というのは、たんぼがつくれぬわけですから。あるいはまた若干つくったけれども、十分な収穫がない。いわゆる不毛田として全然皆無の場合と、そうでなくて普通、田植えするけれども、かなり陥没しておりまして減収しておるものとありますが、これはまさに賃金と同じ性格のものなんです。それが五十年度の産米がまだ払われていないというのですよ。ですから、これは農民の被害というものは相当なものなんですよ。労働者に賃金を払わないと同じなんですよ。ですから、この問題についても、やはり何らかの形で早く払う必要があるのではないか、こういうように考えるのですが、これは普通の債権債務という関係ではないのですね。生活費なんですね。  ですから、どうも役所の方の考え方は私はわかりますけれども、そんなに悠長にしておれぬのじゃないか。理論的なのは、あなたの方が確かに理論的ですよ。私もそのことを否定するものではありませんけれども、しかし、そうかといって、じんぜん日を待っておれば、それだけ農民の方も大変だし、また利子も、たとえ会社が利子を見るといたしましても、これまた、だんだんその利子分が、やがて、いろいろな支払わなければならぬところに食い込んでいくわけですから、私は早くこの問題の取り崩しを行ったらどうか、こういうふうに考えるわけですが、これは大臣はお聞きで結構ですから、ひとつ部長からでも答弁を願いたい。
  32. 島田春樹

    島田(春)政府委員 先ほど鉱害課長からちょっとお答えしました中にあります点なんですが、貝島の場合の事情といたしまして、過去の関連会社閉山に伴っての被害者の中で、まだ請求権の申し立てをしていない被害者がございまして、その人たちに対する措置というものを、やはりこの際あわせて考えなければならないというところの兼ね合いから、いまのようなことを考えておるわけでございまして、御指摘のように鉱害被害者状況からすれば、一刻も早くという点は私どもも痛感しておるわけでございます。できるだけ、その実態に即して、先ほど、ちょっと申し上げましたように、そういったできるだけ被害者に御迷惑のかからないようにという観点から、いろいろ措置を講じておるところでございます。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず、ちょっと確認をしておきたいのですが、従来のすでに閉山をした関連の山の鉱害留保金、これは合理化事業団が持っているのが十一億三千万円、それから、いまからの今度の閉山に伴う交付金がトン当たり七百円ととして大体一億五千万円から二億円ぐらい、そのほかに積立金の三億四千四百万円があって大体計十六億四千万円くらいだ、こう考えてよろしいですか。これは総合的に使えるのですか、どうですか。
  34. 北川幸昌

    ○北川説明員 金額的には、おっしゃられるとおりでございます。したがって私どもとしましては、仰せのように総合的、一体的な使い方をいたしたいと考えております。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから権利関係があることはわかるわけですけれども、全部を使えと言っているのじゃないのです、一部を使えと言っているのですから、とにかく五十年度産米の分でも片づけたらどうでしょうか。と申しますのは、この再建計画の中に共益債権としての利子分、これは農協から借りている米麦の利子分は三カ月しか組んでいないのですよ。三カ月というと十一月までしか組んでいないのですよ。ですから、あなたのおっしゃるように交付金は年度内に出るかどうか、むずかしい。年度内ということになると来年の三月まででしょう。そうすると、いま管財人が予定をしております再建計画の共益債権の利子分というのは十一月までしか組んでいないというと、計画そのものが崩れるのじゃないですか。
  36. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま管財人と話をいたしておりますが、私どもとしては管財人の方に、先ほどちょっとお答えいたしましたように、留保金の取り崩しができるまでは、その金利については貝島側が負担するようなかっこうでやろうということで話をしておるところでございます。ほぼ原則的には管財人と了解をつけておるということでございます。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると十月末に提出される更生計画というものの中の共益費は、これは三月くらいまで利子負担を組むわけですか。
  38. 島田春樹

    島田(春)政府委員 そういうふうに考えております。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし、これは債権者はいろんな方がおられますから、果たして三月いっぱいまで認めるかどうかということも疑問ですし、もう少し、一部取り崩しですから便法がないものか、こう思っているのですけれども、これは三月まで管財人の方で共益債権に組むということになれば、一応、今後の推移を見たい、こういうふうに思います。  それから次に、五十一年度分の鉱害計画予定工事、これは先ほどは無資力認定をするが、とりあえず仮弁済計画を立てて家屋等復旧をやりたいということですが、農地も御存じのように収穫が終わりますと工事ができるわけです。大体、五十一年度に予定をされている家屋あるいは農地その他の復旧は予定どおり、やっていただけると考えてよろしいですか。
  40. 北川幸昌

    ○北川説明員 大別いたしますと、主といたしまして家屋と、それから農地、公共施設、三つに被害物件が分けられるわけでございますけれども、最も国民生活に直結いたしますと申しますか、民生直結の物件というのは家屋でございます。したがって私どもは、家屋については何をおいても優先的に復旧に着手できるような配慮をする必要があるのではないかということで、いま検討を進めておるところでございます。  ただし、その前提といたしましては、やはり今年度内に無資力認定ができるという確実な見通しがつきませんと手がつけられませんので、この点についての確認を急いでいるところでございます。そのスケジュールはと申しますと現在、管財人の方から貝島のバランスシート、おおよその確定いたしましたものが出てまいっておりますけれども、最終的に確定いたしますのは十月九日でございます。あと、もう数日後でございます。十月九日に最終的に確定したバランスシートの報告を受けまして、貝島の資産バランス関係から無資力認定の負債超過という要件が満たされているかどうかということを最終的に確認いたしたいと思っております。  そこまでいきますと、あと会社解散あるいは鉱業権消滅といったような諸条件が年度内に到来するかどうかという見通しの問題になるわけでございますけれども、この点については、最終的な確認を行えるのは恐らく更生計画案が裁判所に提出された時点ではないかというふうに考えております。しかし、これを待っておりますと復旧着手がおくれますので、十月九日以後の時点において何らかの形で、まあ政府の方はたてまえ上、動けないといういろいろな制約がございますので、その制約を貝島側の弾力性でカバーしてもらうというような二人三脚体制を考えて、実質的には被害者の希望に沿えるような方向で解決していく道を検討したいということで、いま鋭意、検討を進めておるところでございます。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと解散手続が必要である、鉱業権の放棄が必要であるという条件を備えなければならぬということは法律上はわかっておるのですけれども、それでは間に合わないから、十月九日の一応バランスシートを見て、これで大体、無資力認定が可能だと判断をしてから仮弁済計画で着工をする、こう考えてよろしいですか。  それから農地はしないのですか。農地をしなければ、今度は五十一年度産米あるいは次の産米が、逆に言いますと米麦補償その他の金額が膨大になるのですが、よろしいですか。
  42. 北川幸昌

    ○北川説明員 まず、農地をどうするかという問題でございますけれども家屋に比較いたしますと、やはり優先度という点では若干おくれるのではないかという気がいたしますので、まあウルトラCをどこまでやるかという兼ね合いの問題ではないかと考えております。いまのところ、最終的な結論は出しておりません。
  43. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると家屋が五十五戸ぐらい計画されておったのですか、何戸ぐらいやるつもりですか。
  44. 北川幸昌

    ○北川説明員 五十五戸、年度当初、計画いたしておりましたのは、有資力復旧するということでございます。したがって、当然のことながら貝島からの負担金を加えて、国の資金も合わせて復旧をするということでございますけれども、今回、無資力で走るということになりますと全面的に国または県が負担するというような形になりまして、資金量をより多く必要とするような形になりますので、かなりの目減りは出てこようかと思います。
  45. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 かなりの目減りというと結局、鉱業権者負担分を除いた分ということになりますか。それじゃ、ちょっと少な過ぎるのですね。もう少し弾力的に扱われますか。
  46. 北川幸昌

    ○北川説明員 その資金面から許される戸数とあわせまして現在、現地でも各物件についての緊急度の調査を行っておりますので、どうしても今年度、手をつけざるを得ない本当に緊急な案件がどの程度あるかという点も配慮して、戸数を決定させていただきたいと思います。
  47. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは、おいおい詰めていきたいと思います。  そこで、鉱害に関連して実は五十年度の臨鉱工事で、貝島会社更生法申請をしてから後に、鉱害事業団の支部の方で、業者が行ったのか、あるいは事業団の支部が呼んだのか知りませんが、鉱害の工事をそのまま続けてくれということで、貝島は相手にしても、とても金がないでしょうから直接、事業団の方で折衝してください、こういうお話になって、業者は安心をして残りの工事をやったというわけですよ。そうしましたら最終段階になって、約一〇%くらいでありますけれども、一〇%払えませんと言ってきた。なぜ払えないのですかと言いましたら、実は貝島には膨大な債権があります、ですから貝島に融資の債権がございますから相殺をしたいということで相殺を行った。そこで四千七百万円ほど業者は泣かざるを得なくなった。しかも、これは中小零細業者十五、六社あるといいますから、私は非常に零細な業者で小さい工事だと思うのですけれども、青天のへきれきのように、あと一〇%もらえなくなったわけですね。  これは法律論からいいますと、確かに債権があるから、もう払えそうにないから、それで相殺する、やらなければならぬ金もやらない、こういうことでしょうけれども、しかし相手は中小の土建業者ですね。しかも鉱害事業団は一応、貝島はもうとても資力がないから私の方で直接、話をしましょうということになっておった、そのやさきですね、打ち切ってきた。これは管財人の方も全く突然の話で驚いたということを言っているわけですよ。これは非常に冷たい行政じゃないかと私は思うのです。きわめて冷たい。ですから何らか弾力的に考えられなかったか。要するに五十年度の工事はもうそのまま続けてくれ、こう言っているわけですからね。しかも、家屋なんかの復旧で途中で九〇%でやめられたら、どうにもならなくなるわけですからね。これはちょっと方法がないんだろうか、こう思うのですけれども、どうでしょうか。
  48. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま御指摘の件でございますが、御指摘のように石炭鉱害事業団は貝島炭砿に対しまして膨大な債権を有しております。この貝島更生法の適用に当たりまして、この事業団の持っている債務と相殺したというのは、非常に冷たい全く法律一点張りの措置ではないかという御非難は受けるかと思いますけれども、法律上、債権の確保を図るという意味からは不可避のものであったというふうに私ども考えております。  ただ一方、いまお話がありましたように、鉱害復旧工事を請け負いました業者が、そのために工事費の支払いを受けられずに業務の運営に支障を来すということになりますと、今後の鉱害復旧を円滑に進めるためにも、やはり適当ではないというふうにも考えますので、この問題につきましては私ども種々検討いたしておるわけでございますが、業者の資金調達の可能性につきまして貝島管財人とも十分相談をいたしまして、工事費の債務の支払いができるだけ行われるように、私の方としても努力をしたいというふうに考えております。
  49. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これが実は一般債権ですからね。鉱害の費用でありますと貝島炭鉱の共益費になりましても、かなり優先権がありますけれども、純然たる一般債務になっちゃうんですよ。これはもうほとんど、もらうことは不可能ですね。一般債権になってくると、まだ抵当権者がいるわけですから。そうすると、運営に支障を来すことのないように会社側相談をしておると言いましても、具体的に、これは何も出ないのじゃないですか、言葉ではきれいなことを言われても。
  50. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま私の方がお答えをいたしましたのは、要するに抽象的に努力するという意味ではなくして、実際こんな方法が考えられるのではないかというようなことを、ある程度考えつつあるわけでございます。ただ、ちょっとまだ、いま詰まっておりませんので、この場で、こういうかっこうでいくというところまでは申し上げかねますが、決して通り一遍ただ努力したいという意味ではないということでございます。
  51. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 じゃ部長の言葉を一応信用して、その状態の推移を見てみたいと思います。これは私はもう少し事前に方法があったのじゃないかと思うのですよ。これは全く官僚的なやり方じゃないか。一方、中小企業の育成とかなんとかいっておるけれども、事業団は債権があるからというので、ぱたっと相殺をしていく。相殺のしようもあると思うのですよ。これは私は非常に残念に思います。  そこで大臣、これは問題は小さいようですけれども、物の考え方は非常に大きいのですよ。いまお聞き及びかと思いますけれども、要するに鉱害事業団は債権を持っておる。そこで鉱害復旧工事を請け負っておる人に、このあと一〇%については、ひとつどんどん工事をやってくれ、あと貝島はだめでも私の方で何とかしますからというので工事をやらせた。そうして事前に何の話もなくて、これは債権と相殺をしたから工事費は払えません、工事の補助費はやりません、こうきた。こういう行政が一体あるだろうか、こう思うのですが、大臣、どう思われますか。
  52. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま申し上げましたように、確かに姿勢はどうだという御非難を受けるかもしれませんが、一応、事業団といたしましては債権管理というたてまえからいたしますと、こういう措置をとらざるを得ない立場にあったという事情は御承知いただきたいと思います。ただ、そうはいいましても、先ほど申し上げましたように、実体的に政策として、そういうことで鉱害の工事というものに今後、支障を来す、中小企業は泣かされるということにならないように、別途いろいろ工夫をするというのが私どもの立場でございます。
  53. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に、貝島炭砿は最近は露天をやっておりまして、膨大な露天跡があるわけです。私はこのことを考えますと、どうも日本炭鉱資本家は、立つ鳥跡を濁さずというけれども、やりっ放しにやって、そして倒産しましたから方法はありません。こういうやり方が許されるかと思うくらいの傷跡を残して倒産をしたわけです。その一つの最も大きいものが露天ですよ。露天の埋め戻しをやらないと、すでに水がたまっておるのです。これにだんだん雨水等がたまりますと、坑内に続いておりますから、どこか水の圧力で脆弱な基盤のところに噴き出すかもわからぬ。ですから、これは宮田町から小竹町全体が不安ですよ。この露天の水がどこかへ行って、ばあんと噴き出したら、あの圧力から言えば家の一軒、二軒はすぐ飛ばしますよ。こういう不安があるわけです。それはもちろん、あそこに子供が落ちたり、そういう不安もありますよ。これはひとつ、さくか何かをして管理人か何かを置いてすることも必要でしょうけれども、二次鉱害の起こる危険性というものは非常に大ですね。しかも、これは大体、施業案を認可するときに埋め戻しが条件であったわけです。ところが従来、私もよく見てないのですけれども、恐らく決算をやるときでも埋め戻しの費用なんかは全然入れてなかったのじゃないかと思うのです。もうやりっ放し、将来の埋め戻しの費用をコストの中に留保するとかというようなことはなかったのじゃないかと思います。  しかし、これは放置できないわけですよ。ですから、この埋め戻しをどういうようにするか。それから、どのぐらいの規模の土量を入れなければならないか。その工事費はどのぐらいであるのか。こういう点がわかりましたら、お知らせ願いたいと同時に、その計画はどうするのだ、埋め戻し計画をどういうように考えておるのか、これをお知らせ願いたいと思います。  それから、余り時間がありませんから、もう一点、炭鉱住宅、これはかつての従業員が皆いるわけです。まず第一に、私もずいぶん閉山に出くわしましたが、こういう大きな閉山と、やりっ放しの閉山というのは初めてです。まず、ふろをどうするかという問題もある。水道をどうするかという問題も、電気をどうするかという問題もある。要するに炭鉱住宅は全部、抵当権に入っておりますから、全然、直してないのですよ。もう腐れかかっておるのも、そのままにしてあるのです。ずっとしてある。ですから実に荒廃をした姿である。そういう中で人間がいるわけです。こういうものを一体、今後どういうように役所としてはされようとしておるのか、この二点をお聞かせ願いたいと思います。
  54. 島田春樹

    島田(春)政府委員 まず、第一点の露天掘りの採掘跡地の問題でございます。採掘跡地の面積、土量でございますが、面積は、これは幾つかございますが、全部合わせまして四十三万平方メートル、土量にいたしまして五百六十六万立米かというふうに一応考えております。これを埋め戻すための費用は一応、推定でございますが、約二十億円程度というふうに考えられるわけでございます。この露天掘りの跡地の処理は、いま御指摘のように非常に重大な問題でございますので、私どもも非常に重視しておりまして、現在、管財人に対しまして、この埋め戻し計画をつくらせるようにしております。それから、埋め戻しまでの間の危険防止、二次鉱害防止対策というのも検討さしておるところでございます。ということで、いま管財人の方で検討さしておるというのが現状でございます。  それから、もう一点のお尋ねの住民の生活問題と申しますか、この点でございますが、いま、お話しのように炭住の問題それから炭鉱の水道の問題、電力の問題それから屎尿、じんかい処理あるいは浴場といったようないろいろな生活問題がございます。  そこで、こういう問題がございますので、これにつきましては御案内と思いますが、いま現地石炭対策の各省連絡会議というのがございますが、そこを通じまして、これをどうするかという住民の社会生活環境保全の問題につきまして検討を行っておるところでございます。当省といたしましては、この検討の結果、必要な対策につきましては、会社更生計画の中に、もし盛り込む必要のあるものがありましたら盛り込ませるような指導をしたいというふうに考えております。
  55. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 要望したいことは、まず交付金を何らかの形で年度内に支給してもらいたい。これがあらゆるものの基礎であります。実は三月は子供の入学や進学時ですし、やはり就職をする場合に、退職金だけは年度内にもらわないと移動もできない。たまたま職があっても行けないという問題がある。単身者だって行けないぐらい生活が逼迫しておるのです。ですから、これはぜひ年度内に支給をしてもらいたい。そうしなければ離職対策もうまくいかないし、あらゆるものに支障を来す、こういうふうに考えます。  それから、いまお話しの弁済計画をして早く復旧に着手をしてもらいたい。そうしますと、かなり民心が安定しますから、やはりそれは早くやってもらいたい、こういうように思うわけです。  それから稲作補償の問題、取り崩しの問題等につきましても、これは全体的なこともありましょうけれども、何らかの便法で早くやっていただきたい、こういうことを要望をしておきます。  それから、その他の問題は幾多ありますけれども、時間もありますから、また別の機会に質問をしたいと思います。  そこで、次に私は五十二年度の予算について、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのですけれども新聞の伝えるところによりますと、五十二年度石油石炭特別会計で石油勘定が約千四百七十九億、石炭勘定が千二百六十八億、計二千七百四十七億ですが、問題の一つ幌内炭鉱の問題をどう見るかというのが一つ。それから、もう一つの問題は、歳入の財源がまだ未決定金額が千二百十九億あるわけですね。一体、歳入欠陥  欠陥といっても、まだ予算決定してないので実行してないのですけれども、歳入の財源の見通しの見込みのない千二百十九億を一体どういうように確保するつもりであるか。これは一応、通産大臣の方から御答弁願いたいと思います。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 実情は、いまお話しのようなことでございますが、財源につきましては、いま関係方面と折衝中でございまして、予算編成期までには解決するつもりでございます。
  57. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どういう方法で折衝しておるのですか。それは秘密ですか、いろいろ物の考え方はあるわけでしょう。
  58. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の約千二百億に上る財源不足に対しまして、私たちとしましては、とりあえず財政投融資と申しますか、運用部資金から貸してくれということで八月末の予算は出してあるわけでございますが、これでは御承知のようにコスト的にも非常に高い金を使うことになりまして、なかなか石油及び石炭対策を進められないということで、もっと質のいい資金をということで考えておるわけでございます。これは観念的に分けますと、一般会計あるいは国内税あるいは原重油関税といったようなものに分かれるわけでございますが、その他また石油に対しましては、いろいろな税金がかかっております。そういったものをおしなべて、その中からどういうふうに千二百億の金を捻出してくるかということになるわけでございますが、それぞれに非常にむずかしい問題がございまして、なお、いまの段階において、どの部分から、その財源を調達してくるかということを、まだ申し上げられかねる段階でございますが、いずれにいたしましても、石炭石油対策を進めるために必要な資金でございますので、ただいま大臣が申し上げましたように、できるだけ早く煮詰めてまいりたい、かように考えております。  それから、幌内についてどうなっているかという御指摘でございましたが、現在出しております予算は従来ベースの形で当然増を含めて要求いたしておるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、幌内につきましては、まだ再建計画ができ上がっておらないということから、特に幌内の新しい再建対策との関連での要求は現在の要求の中には入っておらない、こういうことでございます。
  59. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、これは財源が十分確保されないから、石炭石油特別会計は御破算にしますということは、よもや絶対にないでしょうね。
  60. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま要求しております約二千八百億弱という金額は、これは絶対に必要な金額でございますから、これはもう、どんなことがあっても確保をいたします。
  61. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まあ有力大臣ですから大丈夫だろう。もっとも内閣は違う内閣かもしれませんからね、これは。けれども大臣の方で絶対確保いたしますということですから、それは一応、私どもはその推移を静観しておきたいと思います。  そこで、この石炭特別会計の中で鉱害とか産炭地振興とか労働省分の緊就であるとか開就であるというのが、よもや外されはしないと思いますけれども、その不安が実は地域住民にあるわけです。これは絶対大丈夫でしょうね。これはひとつ労働大臣と通産大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  62. 浦野幸男

    浦野国務大臣 お答え申し上げます。  いま御指摘の緊就事業及び開発事業は打ち切るようなことはないだろうなと、こういう御質問でありまするが、まあ今後の産炭地域における雇用の情勢や就労者の生活の実態等をよく勘案して、慎重に検討していかなければいけませんが、現在のところでは、これをいま直ちに打ち切るということはございません。
  63. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いや、どうもさっきのまくら言葉がちょっと気になりますね。慎重に検討しなければならぬと言いますけれども、雇用情勢は非常に悪いのですよ。それは、だんだん雇用情勢が好転をしておるというならば別として、雇用情勢はきわめて悪い、もう緊就や開就がなかったら一体どうするのだろうかというぐらい。これはいずれ私は詳しく別の機会に、過去、石炭閉山になりましてから今日までの間の、その産炭地実情並びに今後の政策についてお聞かせ願いたいと思いますが、雇用情勢は非常に悪いですね。そうして、いま離職をしておる層の雇用情勢も悪い。生活保護率も下がってない。それからまた新しき新規高校卒業生の、ことに男子の就職場がない。こういうきわめて雇用情勢としては遺憾な雇用情勢。一体われわれは、あれだけ法律をつくり予算をつけて努力をしたけれども、残念ながら道路は確かによくなった。しかし雇用情勢の改善の兆しがないんですよ、緊就、開就というような制度を除けば。これはやはり慎重に今後考えなければならぬがというようなことは、ぼくはどうもいただけぬです。後の言葉はいいですよ、しかし、もう慎重に検討するなんという必要はない。もう、ちゃんと専門家がおって検討しておるのですからね。だれかその文章を書いてやったのか、はなはだけしからぬと思うのですけれども、もう、いまの情勢から言えば絶対によくなっていないです。かつてよりも雇用情勢についていうと改善の兆しがないのだ。ですから、ひとつ前文は取り消して、とにかく大臣の政治生命にかけて、これを守り抜くという決意をひとつお聞かせ願いたい。
  64. 浦野幸男

    浦野国務大臣 いま御指摘のように、雇用状況の非常に悪くなっておることもわかります。また社会情勢も、一時は少し一般にはよくなったようなふうに見えましたけれども、また少し雇用状況が悪くなってきております。あるいは横ばいになってきております。特に産炭地における状況は非常にいま御指摘のあったような状況になっておりますが、慎重に検討するという言葉が少し、いまさら検討せぬでもいいじゃないかというおしかりでございますが、十分研究をしていきたい。それはよくするのも、これも一つ研究ですから検討させていただいて、いまの、その事業を直ちに打ち切るということは、これは絶対にしないということで、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  65. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 労働大臣は通産行政に非常に精通されておりますから、一緒に石炭をやった時期もありましたから十分御存じと思いますが、雇用情勢に関していいますと全然改善の兆しがないということがいえるわけであります。それを救っておるものが、やはり失対の四事業であるということが、少なくとも筑豊についてはいえるのじゃないか、こういうふうに考えております。  そこで時間もありません。後から岡田先生が質問をされますから、それに譲りたいと思いますが、政府としては一体、幌内再建にどのくらい金が要ると思っているのですか。どうも政府として一応どのくらい金が要るんだ、こういうように考えておるかですね。要するに全面復旧にはどのくらい金が要るのだと考えておるか、これをお聞かせ願いたい。
  66. 島田春樹

    島田(春)政府委員 先ほど大臣が申されましたように、まだ会社側が検討している段階でござ…まして、会社としての案というのが出てきておりません。したがいまして、特にその資金計画といいますか、全体のグランドデザイン、それに基づく資金計画というのが出ておりませんので、私どもも非常に判断に苦しんでおるところでございます。これは一応、会社は幌内については二百四億、復旧費がかかるということを言っておるようでございますが、全体でどうなるという点につきましては私ども、ちょっと、つかみかねておるというところでございます。
  67. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣が岡田委員予算委員会における質問に対して次のようにお答えになった。経営責任が会社にあるということをきわめて明確化する、労使の意見の一致が必要である、主力銀行を納得させ、ユーザーなど関係者の合意を得てもらう、それから内容が客観的に妥当で国民の納得が得られるもの。この国民の納得が得られるものというのはどういう意味ですか、これは。大臣、どういうことなんですか、国民の納得が得られるものという意味
  68. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは、わかりやすく言いますと客観的に見て合理的なものである、こういう意味でございます。
  69. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その意味なら、わかりました。何か政府が、この責任を国民に転嫁するような国民の納得を得られるものだとすると、その判断はだれがやるのかといえば、やはり結局政府でしょう。ですから、ちょっと気になったわけです。  時間がありませんから、私はまた次の機会に質問さしていただきますが、確かに経営の責任は会社にあるということは事実です。しかし、これだけの資源は、もし万々一、会社がそれを放棄をするということが起こっても、国民経済としては、その炭鉱資源が放棄できないのじゃないか、こういうように思うのですよ。まさに、この接点に立っておる問題でもあるような気がする。ですから私は、そういう意味において、まあ篠田さんがちょっとお話しになったのも、その意味じゃないかと思いますけれども、問題はやはり資源政策として、これだけの炭鉱資源をどうするかという面も十分考えていかなければならぬ、こういうように思います。  いろいろ言うけれども結局、最終的にはそこではないか。すでに買い上げた炭鉱の鉱量だけでも六十数億トンあるのですね。だから恐らく、いまの時期では七十億トンくらいになっておるでしょう。これは大臣、合理化法ができましてから政府が、炭層についてトン当たり幾らという評価をしたのが六十数億トンあるのですよ。これは政府がとにかく金を払った分が六十数億トンあるのです、もうつぶしたのが。ですから、いかにいままで資源をむだにしたか、そうして永久にその資源を喪失したかということがわかるわけです。六十数億トンというと、それはもちろん経済的には成り立たぬかもしれませんけれども、六十数億トンというのは、いまのようなぺースで二千万トンでいくと三百年くらいあるのですよ。それをいままで買い上げの評価の対象にしたのですよ。  ですから、もちろんそれが掘れるということを私は言っているのじゃないけれども、それほど企業の責任でつぶしていった。そして中央から、これは何とかやれるじゃないかというところが私企業ですからというので放置、全然、手を差し伸べなかったですね。それはいまの幌内の隣にある奔別だってそうですよ。いまごろになって、あれを再開発するなんというけれども、あのときは資源的には全然見なかった。会社の経理上見ただけですね。その点が石炭見直し論が出てきたときのポイントじゃないかと思うのですよ、問題は。私はかつて英国の石炭庁の顧問のシューマッハに会ったときに、まあいろいろあるけれども国有化をして一番いいのは、とにかく国民経済的に見て一番能率の悪い、資源として価値のないものからつぶしていった、その選択が、国有化である一元化であるからできたということを言っていましたね。ですから私は、いま国有化をせいと言っているのじゃないけれども、そういう物の考え方を入れる余地が必要なのではないか、それが石炭見直しじゃないか、こういうように思うのです。それは全部がしゃくし定規に一律の基準でいけと私は言っているのじゃないのですよ。言っているのじゃないけれども資源的に見ると、どうしてもこの資源は残していかなければならぬという場合には、何らかの方法を講ずるべきではないか、こういうように考えるのですが、大臣の所見を承って、きょうは資問を終わりたい。
  70. 河本敏夫

    河本国務大臣 大変、参考になる意見を聞かせていただきましたが、幌内のことにつきましては、いずれにいたしましても一日も早く会社側に案を出すように言っておりますので、もうしばらくすれば出てくると思いますので、その案をよく見まして検討した上で善処したいと思います。
  71. 田代文久

    田代委員長 岡田春夫君。
  72. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この間、予算委員会で時間が制限されておりましたので十分お伺いができなかったのですが、それを続けるという意味で主として、きょうは通産大臣、労働大臣に伺ってまいりたいと思います。  先ほど多賀谷委員の御質問に答えられまして、五十二年度の財源については完全に確保する決意である、こういう通産大臣の御答弁でした。そういうことで、その前提になることですが、そうすると現在の石炭石油特別会計は五十二年度においても続ける、そういう法律的な改正を当然行わなければならないわけですが、そういうように理解してもよろしいわけですか。特別会計制度を堅持するという御意見ですかどうですか、この点が一点。  第二点は、それに不可分の問題ですが、現在の臨時措置法も、これをどうするかという問題が一つ問題になるわけです。現在の臨時措置法は大臣も御存じのとおり、ビルド・アンド・スクラップのスクラップの面があるわけですね。こういう点は今度の法律の場合において、これを改廃しなければならない、こういう問題が当然出てくると思うのですが、この臨時措置法についてもどうされるのか、この点を伺いたいと思います。
  73. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭石油についての現在の制度は残したいと思っております。延長する方向で進めております。  それから、合理化法につきましては、これも一部改正をいたしまして延長する方向で検討しております。
  74. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それから、たしか、ことしの五月末ですか、保安問題懇談会で保安問題に対する一つの結論を得たわけですね。保安問題懇談会は大臣の諮問機関だったわけですが、この中で保安技術に関する開発研究機関をつくるという意味決定が行われておりますが、これはわれわれとしても、かねがね保安技術開発センターをつくれということを強く要求をしてきた問題なのであります。この保安問題懇談会での結論は、新年度に予算化されるおつもりですかどうですか。
  75. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題は、先般の予算委員会でも出ましたね。たしか総理に研究センターの問題について聞いておられましたが、そのことですね。  総理も前向きに検討する、こういうお話でございましたので、私どもも、そのように進めていくつもりでございます。
  76. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは長官または石炭部長に伺っておきたいのですが、私がいま質問したのは、政治的には総理大臣並びに通産大臣が、できるだけ具体的に考えたい、こういう御意見です。ところが、それに相応じて新年度の予算の中に具体的にこの要求がないと、研究したい、何とか前向きに処理したいと言っても、これは予算化できないわけですね。ですから、どういう要求になっているのかということを具体的にお答えいただきたい。
  77. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  保安技術研究開発のための鉱山保安技術開発研究機関の設置につきましては、明年度の予算といたしまして、工業技術院の公害資源研究所の強化拡充を図ってまいりたい。そのために、特に北海道支所に保安技術研究のセンター的な機能を持たせる。また、財団法人でございます石炭技術研究所についても拡充したい。こういったことにつきまして所要の予算要求をいたしております。この予算要求は工業技術院の方でいたしておりますので、ちょっと、その金額をここに持っておりませんけれども……。
  78. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そういう点やはり調べておかないとだめですね。これは、ですから後で調べて出してください。あなたの方の所管の問題ですからね。直接所管ではないとおっしゃっても、保安問題懇談会で、あれほどの結論が出ているのですから、ひとつ、その点ははっきりしていただきたい。  それから、この間、大臣の御答弁で、重大災害の特別な基金制度というか、何か、そういうことについては前向きで検討しているんだという意味予算委員会での御答弁があったわけです。これに対しては具体的にどういうことをお考えになっているのか。法律を新たにお出しになるのか、あるいはどういう方法をお考えになっているのか。恐らく、こういう点も通産省の当局としては考えているはずですが、具体的にお伺いをしておきたいと思います。
  79. 島田春樹

    島田(春)政府委員 予算委員会のときにも大臣の御答弁がありましたように、そういう何か重大災害が起きた場合に対する措置が必要ではないかという要望が非常に強いということは、私どもも十分承知いたしております。これにつきまして、どうするかということなんでございますが、たとえば現行のいろんな制度というのがございます。それとの関連をどう考えるか、あるいは、その他どういったようなかっこうで考えたらいいか、いろいろ問題がございまして、私どもも勉強はいたしておるわけでございますが、いまのところ、まだちょっとお答えできるほどの成案を得るに至っていないというのが状況でございます。
  80. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし、いま御研究だと、いつになるのですか。新年度から、それを実行できるのですか、どうなんですか。やはり、これは新年度から実行できるようにしていただかなければならないんだが、ということは予算上の裏づけも必要になると思うから、そこら辺については新年度のめどがあるんですか、どうなんですか。
  81. 島田春樹

    島田(春)政府委員 私どもといたしましても、問題の重要性にかんがみ極力、勉強を急ぎたいというふうに考えております。
  82. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 新年度に見込みあるのですか。
  83. 島田春樹

    島田(春)政府委員 私ども、まだ十分詰まっておりませんので、何ともお答えいたしかねるわけでございますけれども、できるだけ努力したいというふうに考えております。
  84. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どうも、ちょっとそれは納得できないのですがね。たとえば労働組合の要求なんかにも回答をあなたの方でお出しになっているときに、それはやりたいということまで言っておられるのですから、これは、そういう中途半端な御答弁では困るのです。これは新年度に間に合うようにしていただきたい。  そこで、時間がもう私、三十分しか割り当てがないものですから簡単にやりますけれども、幌内を初めとする北炭の問題、この間も予算委員会で大分質問させていただいたのですが、私は結論からいって、二千万トン体制を堅持するためにも、幌内を初めとする北炭をあくまでも守らなければ、石炭政策というのはとんでもないことになってしまう、こういうように思う限りにおいても、これはどうしても北炭をどうやって守るかということを考えてもらわなければならない。もちろん、それは経営責任の問題であることは言うまでもありません。しかし、政策の問題は通産省指導の責任の問題じゃありませんか。そういう点では、あなた方はどういう努力をされるのかということを伺うと、必ず、あなた方のおっしゃるのは、まだ会社から再建案が出ませんから、どうにも言いようがありませんというのが、もう、いつもそういう御答弁なんです。一体これはどうするんですか。たとえば今後どういう形で政府として再建のめどをつけていくということになるのですか。そういう手続なんかについても、この機会に伺っておきたいと思うのです。さっき通産大臣が、国民に対する責任の問題云々と言われたのは、これは九月十七日の石鉱審の経営部会の中における三条件の一項を言われたにすぎないのですよ。そのことをこう言われたのであって、それじゃ経営部会の中で、どういう条件をつけて、会社側がどういう再建案を出してきて、政府はどういう手続をして、どういうふうにするんだという、そういう点を含めて手続問題を中心に、ひとつ、ここで御答弁をいただきたいと思うのだが、長官どうですか。
  85. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 幾たびか先生が御指摘になっておりますように、北炭再建計画案がまだ提出されてきておりません。われわれといたしましては連日のように、できるだけ早く提出するようにということを言っておりまして、具体的には現在、会社側といたしましては組合と話し合いをつけた後、十月の半ばごろには石炭審議会の経営部会の方に、その案を出したいと言っておりますが、私たちとしては、それよりもさらに早く出す必要があるんじゃないかということで指導いたしております。  と申しますのは、一つには長期的な再建の問題であると同時に、また当面まず十月を、どういうふうに資金繰りをつけていくかという問題もあるわけでございまして、現に、この九月につきましては、政府側といたしましても五億六千万円の経営改善資金を出すことによって何とか、つけたわけでございますが、そういった長期的な問題とあわせて十月あるいは十一月の資金繰りも考えていかなければならない。会社側としても当然そういったことを意識しておろうと思うわけでございますが、われわれの立場からいたしますと、十月の中旬以降では遅きに失するのじゃなかろうかということで、先ほど申し上げたように、できるだけ早くということで、われわれも話し合いをいたしておるわけでございますし、かたがた、せんだっても会長がいろいろな発言をなさっておりますので、その真意をお伺いするためにも、できるだけ近いうちにお呼びして真意を承りたいというふうに準備をいたしておる、こういうことでございます。  われわれといたしましては結局、再建計画案が当然のことながら地元なり、あるいは労働組合との話をつけて、しかも経営の責任者として正式に出していただくわけでございますが、それをやはり関係の各省庁ともコンタクトをとりながら実効あらしめるものにいたさなくちゃいけないということで、大臣からも何度も申し上げておるように、全体が協力できるような、あるいは国民が納得できるような案に仕上げたいということで、われわれは指導いたしておるわけでございます。
  86. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いまの御答弁で、いろいろ質問したいことがありますね。手っ取り早い話から伺いますが、いま、あなた萩原会長にできるだけ早く会いたい、こういうことを答弁されたのですが、これはこの間、私が予算委員会で質問したときに大臣が、近いうちに会うように手続をやっているはずだ、こういうお話ですね。そこで、この石炭対策特別委員会でも、あさって萩原会長を呼ぶのですよ。あなた方の方は、その前に呼ぶのですか後なんですか。そこら辺はどうなっているのですか。
  87. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 できれば、その前にと思っておりますが、会長自身がまだ東京に戻ってみえてないということでございますので、連絡つき次第できるだけ早い機会に、そういう対策をとりたいと思っております。
  88. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、その前にというのは、あしたしかないわけですね。あさっては、われわれ呼ぶのですから十一時に。東京にいないといったって、札幌にいるなら電話でも話できます。便利になっていますから、いま。そんなのは、すぐやればわかりますよ。連絡すれば、すぐとれるのじゃないですか。少なくとも、その以前にとおっしゃるなら、これは緊急に会って、あなた方の指導責任の点からいっても、やはり会長に会って、どうなっているんだというのを聞くのがあたりまえじゃないですか。これはひとつ強く要望をしておきます。  それからもう一つ、いまのお話を伺っていると再建案が出ない。それから政府がどういう判断をするかというまでには、たとえば私の方で申し上げますけれども石炭鉱業審議会の中の専門部会がまず審査するのですか。そして、その審査が済んだら経営部会で審査するのですか。経営部会で審査をしてから石鉱審にかけて、それから政府が見るのですか。これじゃなるほど、あなたのおっしゃるように間に合いませんね。役所というのは、そういう手続を経なければできないものなんですか、どうなんですか。専門部会は専門部会でやる、政府政府でやるというような努力が並行してやられてもいいじゃありませんか。そこら辺の点は一体どういうことになるのですか。
  89. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 手順的には、いま先生おっしゃったような形になるわけでございますが、現実にわれわれも経営部会の方でも、案が出てきたときに、どのような形でセットすればいいかということは、あわせて並行的に検討はいたしております。そこにタイムラグを来さないようにやっているわけであります。
  90. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この間の十七日の経営部会の結論として部会長が一つの結論を出しましたね。結論と言ったら言い過ぎかもしれないけれども一つ方向を出しましたね。そういう方向性の問題として、具体的に言うならば政府企業が、それぞれ資金を必要なだけ出し合って再建してもらいたい、そういう意味のことを言っていますね。そういう方向でおやりになることですか、どうなんですか。
  91. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 おおむね、そのような方向になるわけでございますが、まず一つは、会社側がどういう再建案を持ってきて、そのための資金がどれだけ要るかということが必要になるわけでございます。それからもう一方では、大口債権者と申しますか、銀行を初めとする大口債権者あるいは大口のユーザーが、それに対してどう協力するか。より具体的に申し上げますと、すでに借金が非常に多くなっている。この借金を従前どおりの形で返済するということになると、非常にプラスアルファの資金が要ってくることになるわけでございますので、そういった点もあわせて検討しながら、実現可能性のある計画に持っていかなければいけないという立場でございます。
  92. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私たちから見ると、これは先ほど多賀谷君も質問している問題ですが、やはり再建のための予算というのは、政府だって腹案がなければならないと思うのです。そうでなければ、会社から出てきた再建案が妥当であるかどうかという基準は何でするのですか。その基準になるべき再建案の予算額というか資金源というか、そういうものは通産省は持っているのでしょう。
  93. 島田春樹

    島田(春)政府委員 基準という言い方が適当かどうかわかりませんが、この場合、企業再建のために政府として、どういうかっこうの措置をとるかということを考えました場合に、従来なかなかこういう先例はないわけですけれども、およそ一般的に、こういう助成措置あるいは支援措置というようなものを考える場合に、どういったようなかっこうをとるのが普通であろうかというのは、各種の従来、積み上がってきているいろいろな制度を見ますと、おのずから一つ考え方というのがあろうかと思います。そういったようなものも当然、頭に置かないと、やはり合理的な案にはならないと思いますので、いままでのいろいろの制度等から考えまして、われわれとしては、どういったことが考えられるかなということになるわけでございますが、しかし御承知のように、この北炭の場合には一山一企業ではなくて五山もありますし、その関係いろいろありますので、どういうかっこうの案になるかは、制度の組み合わせ等々によりまして、いろいろ変わってまいります。したがいまして私どもとしましては、はっきりといいますか、ある程度会社側としての再建計画のグランドデザインがこういうものだというかっこうで出てこないことには、具体的に、どういうかっこうでやるかというめどをつけるには非常に問題があろうかと思います。
  94. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 何か一つ考え方があるんだということでなければ指導責任の問題はありますよね。それは会社の出した再建案とどうするかというのは、これからの問題だというわけだ。あなた方のその考え方からいうと、ずばり言って幌内の全面再開を考えているのですか、どうなんです・か、そのアウトラインから見て。
  95. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私たちとしましても、できるものならば、それは全面復旧するにこしたことはないと思います。ただ、それを全面復旧するためのいろいろな条件が整わないと、政府だけの立場では、どうにもなりかねるという点もあるわけでございます。  かたがた、石炭鉱業審議会で二千万トン体制を答申いたしました段階におきましても、御承知のように坑内保安確保すること、あるいは鉱害及び自然環境の破壊を防止すること、さらにはまた限界生産コストを合理的な範囲内に抑えることを前提として二千万トン体制を維持したい、こういうふうになっているわけでありまして、幌内につきましても、この答申が例外であるはずがないわけでございますから、こういった観点からいたしまして技術的にも、あるいは、ここにいうところの限界生産費的にも、あるいは、その他の関係者にも協力を得られるものでないと、絵にかいたもちになるという点を、われわれは非常に心配いたしておりまして、そういった観点から、可能であるならば全面復旧もよかろうかと思いますが、少なくとも、いま申し上げたような点から、よくチェックした上で判断すべき問題だと思います。
  96. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いや、あなたが長官になられる前に、その点ずいぶん議論をしたのです。二千万トン体制の場合に現有炭鉱条件というのは何か。一つは、保安上問題がある場合これはそのとおりですね。災害が起こるようじゃ大変である、これは問題である。もう一つは、限界炭鉱云々というのは、もう炭がなくなった、炭量が枯渇してしまったような場合には、これはもう閉山せざるを得ないのだ。こういう二つの点が中心になって、資金の問題で金がなくなったから、金が足りないから、それで閉山しますというのは、二千万トン体制の中にないはずなんです。  私はさっきから言っているのも、何も政府が全部負えということを言っているんじゃないですよ。あなた方が政府指導として北炭にも出させなさい、北炭がないなら三井その他のグループ、関連企業からも出させることを指導しなさい、それでもないなら政府が出しなさいと言っているのですよ。資金がないために閉山になったというなら、私はこれは大問題だと思う。そんなことを言ったら、いまの炭鉱で黒字の山は一つでもありますか。三池の場合は大体黒字であっても、ほか全部赤字じゃないですか。資金だけの問題で言ったら、やっていける山なんかないですよ。  しかも炭量からいったら幌内は六千二百万トン、まだあるんですよ。これだけあるといわれているのに、資金がないから、つぶれるのもしようがないです、これも政府指導です、間違いではありません、これでは、われわれは納得できません。そういう点を乗り越えてでも、たとえば会社側の資金計画が出ても、これじゃ困るから、こうしなさい、こっちの方は政府としては全面復旧するのだから資金はこうしなさいという指導があったっていいじゃありませんか。そのかわり政府としてはこうするのだ、こういう努力があっていいはずだと思うのだが、そういう考え方努力をされるのですか、どうなんですか。
  97. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 政府の資金と申しますか、石炭特別会計の財源にも、おのずから限界があることは御理解いただけると思います。したがいまして私たちといたしましては、先ほど来、申し上げておりますように旧債と申しますか、現在の債権、借入金の問題も含めまして、銀行なり、あるいは大口需要サイドにおける協力も得られるような形で計画がまとまってくるならば、限られた財源の中からでも協力する方向考えるべきだという立場ではございます。
  98. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まだまだ私、納得しませんが、時間がなくなってしまったので大臣に伺っておきますが、いままで一時は日本石炭生産は五千五百万トンあったのです。ところが昨年の実績は千八百六十万トンになってしまった。ことしは恐らく千八百万トンを超えるかどうかわからないという状態ですよ。ところが、こういう経過になっていく中で、石炭政策という形で今度で六次ですか、それだけの政策答申があったわけですよ。その答申は御承知のように石炭鉱業審議会というもので作成をして答申をつくっていったわけですね。ところが、過去六回にわたるこの答申を見ても、計画どおりにいっているのは一度もないのですよ。しかも、ここで私が言いたいのは、その答申をつくった作成者がですよ、始めから今日に至るまで、そのまま残って責任も感じないでやっている者がたくさんいるのですよ。これは一体どうなんだ。  特に私、言いたいのは、専門委員という形で四人の人を選びましたね、今度の幌内問題で。この専門委員の中でも、専門という名前がつけられるかどうかわからないような人が二人もいるのですよ。何か評論家で適当に新聞に評論を書いて適当なことを言っているような人が専門委員だなんていって入っておって、そういう人があれこれ難癖をつけて、そして今度の問題についても私は問題が一つあると思うのだ。たとえば、ここにありますよ、毎日新聞で「瀬戸際の北炭再建」専門委員の一人が、名前ははっきり書いてありますよ。田中洋之助というのですか、これは専門委員でしょう。この人はこう言っているのですよ。「ともすると労使双方とも、政府はわれわれを見捨てまい、といった甘えの姿勢がみられがちだ。」とんでもないですよ。石炭労働者は命をかけてやっているんですよ。政府に甘えているなどというのはとんでもない話ですよ。これが専門委員かというのです。また、それ以外にも「かりそめにも北炭の労使がアベックで、何でも政府にオンブ・ダッコの姿勢を示すようなら、かえって世間の反発を買うばかりだろう。」専門委員の資格でない一般の評論家が言っているのなら、まだわかる。専門委員という資格で、一方において専門委員の仕事をやりながら、一方において自分の職業であるという評論家として、こういうことを言うというのは私は無責任だと思う。私は、こういう点では、いままでの石鉱審、このメンバーだって再検討しなければだめだと思う。経営部会だって、あるいは専門委員だって、こういう形でやっているのじゃ本当の再建なんかできないですよ。労働者は命かけてやっているのですよ。坑内で事故が起こったら終わりじゃありませんか。そういう人に、おんぶにだっことは何ですか。まさか政府も、こんなつもりじゃないだろうと思うが、こういう点については、やはり厳重に取り締まってもらわなければならないし、やはり、こういう姿勢では再建計画についての方針は出てこないと思う。こういう点を含めて最後に大臣の御見解を伺って、私は質問を終わりにします。
  99. 河本敏夫

    河本国務大臣 いずれにいたしましても、再建計画が出るのが延び延びになっておりますので、毎日のように早く出せということを強く言っておるわけでございまして、先ほど来お答えいたしておりますように、遅くとも中旬までに、もう一週間もすれば大体出てくる気配でございます。当然、十分な手続を踏んでつくられるものと思いますので、それが出ました段階におきまして十分検討いたしまして善処したいと考えております。
  100. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 終わります。
  101. 田代文久

    田代委員長 多田光雄君。
  102. 多田光雄

    ○多田委員 通産大臣と労働大臣に、この件は一緒に伺いたいと思うのです。  今度の国会は、御承知のとおり第一に大きな問題は、やはりロッキードの真相解明、そして、もう一つ災害、冷害あるいは物価その他の国民生活を守っていくということ、こういう課題を持っていると思うのです。したがって、きょうの石炭特別委員会審議される北炭幌内の問題というのは、これは労働者の立場から言えば、まさに命の問題であり、あるいは日本の大きな経済政策の上から言えば、経済の動脈ともいうエネルギーの根本にかかわる問題だと思います。ですから私は、これとのかかわり合いで、まず石炭に入る前に一言、政治をきれいにする点について伺いたいと思います。  今度の国会で金権賄賂政治の再発防止が問題になっております。この点については、すでに三木総理が、その所信演説でも、あるいはまた予算委員会でも、再発防止の法も検討するというふうに述べておられるわけです。閣僚の総帥である総理がこういう発言をしているわけですが、この点で河本通産大臣と労働大臣が、本当に政治をきれいにする、そしてまた、こういう金権政治の再発を防ぐという上で、総理のこの発言に沿って、どういうふうな御決意でおられるか、まず、お伺いしたいと思います。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 総理が、いま御質問のような趣旨のことを本会議並びに予算委員会で繰り返し申し述べたわけでありますが、私どもも今度の事件の処理を通じまして、単に事件の暴露ということだけではなく、将来にわたって、そういう実効のある形での政治の粛正というものができ上がりまして、国民の政治に対する信頼が回復できるということを強く期待するものでございます。
  104. 浦野幸男

    浦野国務大臣 過去におきまして政治というものに非常に金がかかる、かからない方もあるかもしれぬが、総体的に政治というものに金がかかる。こういう金のかかる政治をやっておったのでは、なかなか国民の信頼が得られない。今後は、そういう面について十分自粛して、金のかからない政治をやっていかなければならない。そういう意味からいきまして、いま金権政治という表現がありましたけれども、少なくとも金のかからない政治を目指して、われわれは努力をしていかなければならない、かように考えております。
  105. 多田光雄

    ○多田委員 政治を汚す要因として幾つか挙げられておりますが、その一つとして政治家と企業との癒着の問題があります。これは主として政治献金という形でもって、つながっていっているわけですね。もう一つは、官界つまり政府役職員、これと企業との癒着の問題。その典型としては、たとえば天下り人事であるとか天上がりであるとか、その他言われているのですが、こういうものが指摘されていると思います。  私は昨年、これは河本通産大臣に、石炭業界の問題として例の北炭を中心とする政治献金団体といわれていた北友会の問題をお伺いしまして、大臣も、下請といえども、そういうのに入ってはまずいという話で、これは是正されたというふうに私ども報告を業界からも受けております。きょう、ちょっとお伺いしたいのは、官界と業界との癒着つまり天下り人事の問題について、私はちょっとお伺いしたいのです。  そこで、天下り人事の現状については人事院から白書も出ておりますから、もう時間もありませんし、くどくど述べる必要がないだろう、こう思いますが、しかし一例を挙げますと、この十年間に承認された者だけで一千六百五十七人、昭和五十年で百七十六人、大体、年平均これくらいなんですね。そして昨年の例を挙げますと、農林省の次官が日本水産顧問、経企庁の次官が川崎製鉄の常務取締、中小企業庁の長官がキャノンの顧問、海上保安庁の長官が太平洋汽船の取締、特許庁の長官が凸版印刷の常務、こういうふうにメジロ押しなんです。さらに通産省の前の鉱山石炭局長が東北電力の取締役、通産省の通商局長が住友電工の取締、郵政省の貯金局長が国際電電の監査、こういうのがメジロ押しに出ているわけですよ。この十年間に通産省関係で二百三十一名、これは全体の一二・八%という数字なんですね。こういう人事を大臣はごくあたりまえだとお思いになっていますか。承認されたのです。また皆さんが申請されるわけですから、当然のことと思ってやっておられると思うのですが、どうなんでしょう。これはちょっと通産大臣にお伺いしたいのです。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 いわゆる天下り人事、つまり役人がやめましてから民間の企業あるいはその他の団体に就職するということを一概に私は悪いとは思いません。ただしかし、やめてすぐ行くというようなことになりますと、在職中から、いろいろな癒着等が考えられますししますから、そういうことをいささかでも防止するという意味におきまして、一定の条件、一定の基準というものをつくりまして、直ちには行けない、こういうふうにしておるのだと思います。それで完璧ではありませんけれども、やはり、ある程度の歯どめ、節度にはなっておるのではないかと思います。でありますから、ある程度の節度を持ってこれを行えば、昔と違いまして、いま役人も五十を過ぎればやめるわけでありまして、まだ働き盛りでございます。たくさんの有為の人材がおるわけでありますから、これを国民経済全体、国全体から見まして、活用しない方がおかしいのじゃないか、こう思いますので、ある程度の節度を持って人材を有意義に活用していく、そういうやり方に対しては一概に否定できない、こう思います。
  107. 多田光雄

    ○多田委員 だれでもが憲法で保障された職業選択の自由がありますし、そしてまた能力を生かすということは当然のことだろうと思うのです。しかし、ここで問題になっておるのは、政治を汚すという、その根本との関係で私は述べでいるわけです。現実に今度のロッキードで問題になっている丸紅、全日空の天下りは特に目立っているのが特徴なんです。逮捕された全日空の若狭社長を初め全日空には、このほか最近十年だけでも十人の幹部が中央官庁から入社しているのです。それから丸紅には九人が天下りして、いま会社の幹部にその名を連ねている、こういう状況なんです。  特に公団、公社これは約八割ですよ。そしてまた業界団体これが規制になっていないですね。私は業界団体で大変遺憾なことは、この間、九月一日付で前の石炭部長が日本石炭協会の専務理事に就任しているということですよ。これはいまの法の解釈からいけば違法ではないのでしょうが、年間一千億近い膨大な国家予算石炭業界のために注ぎ込んでいるのです。その中枢にいた、いわば日本石炭政策立案の実質的に最高の責任者の人です。年もまた、そうはいっていないはずです。しかも彼の経歴をずっと見ると石炭マンオンリーと言っていいでしょう。そういう人が、業界の私的な任意法人でありますが、そこの専務になって行く。これは一企業におりたよりも、もっとその被害が大きいのです。  ところで大臣は、いま余り問題が起きてないようにおっしゃっておりますが、実はことしの八月十二日、参議院の内閣委員会で藤井人事院総裁がこういう答弁をしておられます。例の国家公務員法の百三条その他の法律の問題についてずっと論議してきて、こう言っているのです。「この問題は憲法の職業選択の自由なりその他と非常に密接に入り組む大変むずかしい問題でございますけれども、現実にこれの運用をめぐって問題が生じておるといたしまするならば、これらの点については虚心に反省を加えてまいらなければなりませんし、また、第一に運営の問題、運用の問題については、やはりさらに厳しい態度をとっていかなければならないということがまず第一点」だと指摘し、そして「第二点といたしましては、人事院だけの立場で申すことではございませんけれども、やはり百三条の規定について、その運用だけでなくて、その規定自体において検討を加えるべき点があるのではないか、その点はどこにあるのだというようなことについても、検討は加えてまいらなければならぬ」こういうふうに言っているのです。  言うならば、場合によっては法改正あるいは法の解釈自身を検討しなくちゃならない、こういうことを国会で人事院総裁が述べているということは、これは多くの問題をはらんでいるというふうに私は考えますし、まして一年近く日本の政治、社会を、いわば震憾させてきたこのロッキード疑獄問題、そして、これを三木総理自身が体を張ってやるのだ、そしてまた、その閣僚の一人として三木総理を支えてこられた河本通産大臣は、当然こういうことに誠意と情熱を持って取り組んでいただけるものと私は期待したいところなんです。そこで時間がありませんので、私は、幾つかの点を具体的に通産大臣にお願いしておきたいのです。  お願いということは、その所管の大臣じゃございませんけれども当然、閣僚の一人として、その問題に努力していただきたい、そういうことで私はこれは要望するわけですが、この百三条あるいは人事院規則の規制の対象を広げて、業界団体あるいは政府関係の持殊法人にまで拡大する必要があるのではないか。そういう思い切った処置をとって、官界そして財界なり企業との結合というものに根本的にメスを入れていかなければならないのじゃないか、これが第一点です。  第二点は、現行二年間の再就職禁止期間があるわけですが、これを一定の官職別に規定していく、つまり一律にしない。これは一案ですけれども、たとえば課長は三年であるとか、それ以上は五年であるとか、あるいはその他の一般職は現行どおり二年であるとか、そういうふうに役職に応じて、責任や影響に応じて一定の期間をさらに検討する必要があるのではないか。  それから三点目は、企業との「密接な関係」これはずいぶん論議を呼ぶところなんですが、この「密接な関係」についての具体的な規定がないのです。規則に若干触れているぐらいなんです。そして現在は人事院の解釈に主として任されている。そういう意味では細かく具体的にこれを例示していくという問題ですね。  それから四番目としては、たとえば役員の範囲にしても現在はあいまいなんですよ。入るときは顧問だとか嘱託とかという名目で入って、一、二年すれば正規の役員になってしまう、こういう方法まで、さまざまとられているわけなんですね。ですから、こういうものを見過ごしておいて政治をきれいにするのだと言ってみても、国民はしんから三木総理の言や、あるいは閣僚の言を信用しないのじゃないか、こういうふうに思います。  ですから私は、こういう問題について通産大臣それから労働大臣にもお願いしたいのですが、ぜひひとつ、そういう再発防止の法律をつくって、その法律の中に、こういうものを入れるために閣僚として御努力をお願いしたい。これをお願い申し上げたいのですが、その御所見をお二人に伺いたいと思います。
  108. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、昔と違いまして役人が五十そこそこでやめていくという場合には、やはり、やめていく人は原則として全部、再就職できる、こういう形にするということが、いろんな意味で、むしろ好ましいんじゃないかと思います。なかなか再就職できない、よほどのことをしないと再就職できないんだ、こういうことになりますと、かえって、まずい結果になるのではないかと思います。でありますから、その点はそういうふうに考えておりますが、ただしかし、それじゃ節度なしにやっていいかというと、それはそうはいかぬと思います。やはり先ほど申し上げましたように、一定の節度というものが必要である、こういうふうに思いますので、いまは政治の粛正こういうことが非常にやかましく叫ばれておるときでございますから、政府部内におきましても、これを専門に検討する役所があると思いますので、当然私は、この機会に、こういう問題をやはり取り上げまして弊害の出ないように最も有効にこれをするのには、どうしたらいいかということについて検討すべき時期ではないかという、ただいまの御提案に対しては賛成であります。
  109. 浦野幸男

    浦野国務大臣 広く人材を登用していくということは私は必要なことだと思います。そういう意味からいきまして、いまの天下り人事というものが先ほど通産大臣も申されましたように、一つの困縁とか、あるいはいろいろな感情とかいうものをはさんで、そういうふうに人事が行われていることは好ましいことだとは思っておりません。ただ、それぞれの立場で本当に国のために、あるいは日本経済のために、社会のために、この人をと言われた場合には、なるほど、いままでお役人をやっておると、すぐその会社へ入るということは、これはいま二年の制限がありまするけれども、これをいま申されましたように、その職責に応じては三年にする、二年にする、あるいは五年にするという一つの目安をいま言われましたけれども、これはどれだけにすることが一番いいのか、われわれもよくわかりませんけれども、とにかく公正な立場で人材を登用していくということについては私は賛成ですけれども、その雇用の仕方あるいは登用の仕方の中にいろいろな問題があってはならない。これをチェックするためには、いろいろと検討して、そういうことのないような制度をつくっていくことも必要であろうと私は思っております。
  110. 多田光雄

    ○多田委員 大変、私の時間は短いので、これにかかり切るわけじゃありませんが、いま問題になっていますのは、人材の登用これはだれも否定しないと思いますが、主たる政治的な問題は、政治をきれいにしていくという国民的な課題を果たすために、どういう処置の方を優先させてやるのかという問題です。私どもは、一切そういう人の再就職の道を閉ざせという非常識なことを言っているんじゃないんです。積極的にやるためにも、何としても政治をきれいにする、そういう観点から、この問題を提起しているわけで、通産大臣が提案について御賛同いただいたような、いまの御発言でございましたので、ぜひひとつ、それを反映さしていただきたいと思います。  ところで、この北炭問題についてですが、先ほど来、論議されていて、北炭の動向あるいは幌内炭鉱再建あるいは再開といいますか、可能になるかどうか、これは私は当面する日本石炭産業に甚大な影響を与えていくだけじゃなくて、政府エネルギー政策の根本をいま問われる問題になるのではないかというふうに考えております。近く会社案も出るということです。当委員会としても近く会社の幹部を呼んで聞くという過程の中で、さらに論議をしていきたいと思いますが、私はひとつ、これエネルギー庁の部長にお伺いしたいのですが、二千万トンを下らずという計画を立てて、初年度から千八百六十万トン、こういう状況ですね。北炭が経理がよくなって幌内が再開されてくれば、恐らくこれも不可能ではないかもわかりません。ですから、ある意味では、北炭の合理化のこれからの見通しや幌内の再開になるのですが、その北炭が最大の目玉にしている北炭新鉱の五千トン・パーデーが一体、来年二月から実現するのかどうなのか、これをひとつお伺いしたい。  それから幌内の再開が転々として変わってくるのです。これは本来であれば今年の末にはもう水を揚げて、来年の三月から着炭という計画だったのです。それが会社の報告や発表によりますと来年の六月です。ところが一部の専門家や実際に当たっている人から見ると、来年の六月も危ないのじゃないか。実際の石炭に着炭して営業出炭していくのは再来年になるのじゃないかという声さえ出ているのです。そういう中で一体、二千万トン以上どのようにして皆さん確保していかれるのですか。その現実的な見通しをお話しください。いつか通産大臣は一年くらい二千万トンを割っても、通算して十年間で平均して二千万トンになっていればというお話でしたけれども、一体、通算して二千万トンを超える、いま条件があるのか。つまり、これから十年間で二億トンの石炭を掘る、一体そういった条件が、いま北炭の中にあるのか、日本の国内石炭の中にあるのか、それをひとつ説明していただきたいと思う。
  111. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま、お尋ねのありました夕張新鉱の件でございますけれども、夕張新鉱につきまして問題は、もちろん前提として、まず保安確保という問題がございます。保安確保しながら目標としておる出炭体制というものをどうやっていくかという点につきましては、われわれとしても、もちろん当然、重大な関心を持って生産状況というものを常にチェックしてきております。  御指摘のように最近の出炭状況、必ずしも芳しくない、計画を下回っておる状況でございます。このために私どもも実際に現地にも人を派遣したりいたしまして実情を把握さしておりますし、いま、いろいろの対策を私の方としても、どうしたらいいのかということについては検討をいたしておるわけでございます。ともかく、この五千トン体制というのを早期に、できるだけ早く確立するというように私の方は従来も指導しておりますし、今後も指導を続けるという考え方でございます。  それから、いま二千万トンのお話でございますけれども、先回、大臣も答弁されておりますように、私どもとしましては昨年出されました石炭答申の線に沿いまして今後も努力をするという考え方でございます。御指摘のように、ことしは幌内の問題等がありまして千八百六十万トンというふうな実施計画になっておるわけでございます。しかしながら、基本的にエネルギー政策の一環として、先ほど委員会の皆さんからも言われますように、石炭というものも非常に大事な資源でございますので、これを国内炭をできるだけ活用していく。もちろんエネルギー政策の一環として国民経済的に許容し得る範囲で、できるだけ国内炭を活用していくという、この石炭政策の理念というものを、われわれとしても今後とも堅持していくということで、具体的にどういう政策をとるべきかということを、これはもうすでに昨年の石炭答申の中にも述べられております。その具体化に私としては努力をしたいというふうに考えております。
  112. 多田光雄

    ○多田委員 島田部長、あなたのおっしゃっているのは前の高木部長の言っているのと同じ、その前の部長の言っているのと同じなんですよ。もう目に見えているのです。  それじゃ、あなたにお伺いしますがね、来年二月までに北炭は新鉱で日産五千トンにする、そうして二月から百五十万トン体制をとると言っているのでしょう。だれでもが言っているのは、あそこで最大のネックになるのは労働力と、それから非常に深部で保安の問題と、だれでも挙げているのです。その労働力を確保できるのですか。  幌内はおっしゃるとおり全面再開をしていく。会社の最近出した提案によるというと、あるいは清水沢にしても新二鉱にしても終掘すると言っているけれども、そういう中で労働組合は二千名の労働者を要求し、会社でも千八百名必要だと言っている。現在、幌内から三百近く行っていても、まだ二百、三百の労働者が足りないわけでしょう。どこから持ってくるのですか。しかも会社の案を見ても、前から私、言っているのですけれども、この貴重な石炭資源を掘る労働力を養成しろという養成の機関だってないわけでしょうが。しかも北炭は、賃金を他の大手四山が上げても私どもは上げられませんと言って、労金から金を借りて払っているような状況じゃありませんか、そこで、どうやって肝心な労働力が確保できるのですか。その労働力だけでも言ってくださいよ。必ず間違いなく五千トン・パーデーが実現できる労働力は、このようにして政府として準備します、準備させますというふうにおっしゃれますか、あなた。
  113. 島田春樹

    島田(春)政府委員 労働力の問題というのは、確かに生産にとって非常にキーポイントになる問題だと思います。五千トン体制に持っていくために、どういう労務配置が必要か。また、その人をどういうかっこうでやるかということにつきまして現在、会社の方に、どういうかっこうならば実際、具体的に現実的に人の配置というのは可能かという点を私ども、いろいろ聞いて検討いたしておるというのが現状でございます。
  114. 多田光雄

    ○多田委員 大臣北炭の生産は二千万トンの中で二百八十二万トンです。日本石炭の一七%のシェアを持っているのです。そこの最も大きな柱であるこの新鉱がそういう状況なんです。幌内がこんな状況でございましょう。一体どうなるのです。しかも、これは本当は、きょう聞こうと思ったが時間がないのですが、一私企業が困難になったからといって、石炭鉱業審議会の中で、その経営の問題まで論議されてしまうという、当事者能力を失ったに近い北炭ですよ。二転三転と、この二、三カ月の間に経営方針がぐらぐらしてしまう。そうして、ひたすら国から金を出せ、国から金を出せ、これでございましょうが。労賃さえ払えないのです。政府から借りている金はもう目いっぱいで、どこの石炭山よりも多いでしょうが。一体ここにどうやって労働力を確保するのか。恐らく言っている部長だって自信ないと私思う。自信あるとすれば、それは実はほかの山を合理化して、そこから労働者を持っていくんだという会社の腹の中なんです。ですから本当に掘るつもりなら私、二点提案したいのです。  一つは、大臣、いまこそ石炭が本当に大事なら一おっしゃるとおりですよ。もう化石エネルギーでも石油は先が見えてきているのです。新エネルギーといったって、その開発技術だって遅々たるものでございましょうが。原子力は重大な問題にぶつかってきておりましょうが。しかも、石油の大宗を占めている中近東の資源立国だとか民族の自決というのは、もっと前進していきますよ。わが国の外交政策じゃ本当に後でほぞをかむ思いをするのです。だから本当に、いま石炭を掘らなくちゃならないということを、これは文字どおり国家百年の大計の問題なんだというふうにして、この三年、四年、当委員会でやられてきているのです。ところが部長や大臣の御発言は、ただ時の流れに任せてきているのです。そして、これほど金を入れながら私企業任せだから、そこに問題の矛盾があるのです。私企業も全くおぶさって国から金を出してくれ。国も金を出さなければならぬ、しかし、もう目いっぱいだから、これは合理的な理由もない。最も深刻な矛盾にいま北炭はぶつかってきているのですよ。  ここから大臣がどういう御教訓を学ばれているのか。単に当面の北炭をどうするかではない。私は北炭を守ろうなんて思ってない。守りたいのは資源なんです。企業が悪ければつぶれるのはあたりまえの話だ。守らなければならないのは資源だ。そういう数少ない資源をどう守り日本エネルギーの自立を図っていくのか。自給じゃありませんよ、自立を図っていくか。まさに、それがいまエネルギー問題として問われている中心的な問題です。ですから私は、大臣がこの北炭幌内の問題からどういう教訓を学ばれたのか、具体的に何をなさろうとしているのか。それを、会社から出るまで、労使合意で出るまでと言って労使に責任をおっかぶせるのじゃなくて、政府として何をなさろうとしているのか、それをここで、はっきり言っていただきたいと思うのです。そうでなければ、やはり私企業任せ、金は注ぎましょう、これでございましょうが。
  115. 河本敏夫

    河本国務大臣 そこで、先ほどから繰り返して言っておりますように、いま責任は一応、北炭にあるわけですからね、北炭の方へ、企業として責任を持って組合ともよく話し合い、それから主力銀行である三井銀行ともよく話し合い、さらにまたユーザーとも十分話し合い、債権者とも十分話し合って、とにかく私どもも納得のいくような案を早くつくって出すようにということを繰り返して言っておるわけでございます。一週間以内には出すと言っておりますから、それが出ました段階で十分検討いたしまして善処したいと考えております。
  116. 多田光雄

    ○多田委員 私いろいろ対策案を出したいのですが、もう時間がありませんので二点だけ、ちょっと大臣に検討していただきたいのです。  それは概算要求もしている段階ですから検討に値する問題だと思うのですが、私は日本石炭を、これからもし二千万トンでも掘っていこうとする最大のネックは、資金もさることながら労働力だと思っている。ですから私は、本当に国が責任を持って企業を鞭撻して労働力を養成していくような機関を設けるように、ひとつ河本通産大臣のときに、そういう思い切った措置をとらないかどうか、これが一点です。  第二点目。保安の問題で一番深刻なものは深部採炭です。検討はされているようですけれども、本当に合理的なものはまだ出てないですよ。そこで日本で一番深い、この幌内の炭鉱を深部開発の試験鉱にする、試験鉱にしたからといって企業をかえてくれと言っているんじゃないのです。操業を全部やめろなんて言っているんじゃないのですよ。国の試験鉱にして一定の期間に専門家を入れる、医師を入れる、点検をする、労働者の健康、ガス状況、盤圧の状況、坑道の状況、そういうものを定期的に調べて、そしてそれを敷衍していくという試験鉱にしていく、こういう思い切った措置、これは大した金がかかるものじゃないんですよ、そういうようなことを本当におやりになる意思を示すならば、私は河本通産大臣や、いまの政府石炭を重視していくという、その姿勢がわかるのですが、さしあたり、その二つの問題を御検討いただけるかどうか、ひとつ大臣にお伺いしたいと思うのです。
  117. 河本敏夫

    河本国務大臣 労働力の確保の問題でありますが、これはもう、やはり石炭政策を進めていきます上におきまして最大の課題だと思います。また、労働力を確保するためには保安体制というものが確立しなければ確保はむずかしい、こういう因果関係にあることも当然だと思います。昨年の大事故のために、ややふえかけておりました若年労働者も、いまは少し減っておるような気配でございますから、今後、長期的観点に立って二千万トン体制を維持するための必要な労働力をいかにして確保するかということは、これは非常に大きな問題だと思います。十分根本的に検討しなければならぬと考えております。  それから、幌内をこの際、思い切って試験鉱にしろと、こういうお話でございますが、それは初めての御提案でもございますし、今後、会社がせっかく、ここ一週間ほどの間に会社自体としての再建計画を出すと言っておるのですから、その出す前に試験鉱だとか、そういうことを言いますと、かえっていかがかと思いますので、これは後日の課題にしたいと思います。
  118. 多田光雄

    ○多田委員 お説の点もございますから、私の言っている試験鉱は、もう少しこれは具体的に述べたいのですが時間がありません。そう私は、まだいまのところ重く考えていないのです、これは。重くというのは、学校みたいには考えておりませんので、ですから、ぜひひとつ会社その他の出方によって考えていただきたい。そうすれば国の援助というものも、その合理性が出てくるというように私は思うからです。ぜひひとつ検討の素材にしていただきたいと思います。  最後に、労働大臣一つお伺いしたいのですが、先ほど労働大臣は緊就、開就については続けていくという意思があるというふうにおっしゃったのですが、来年、間違いなく、それは続けていくという意思だというふうにお伺いしてよろしいだろうと思います。それを一つお伺いしたい。  もう一つは、これはきょうの炭鉱と無関係じゃないのですけれども、東北、北海道で冷害が非常に深刻になってきております。そして出かせぎの問題も含めて雇用問題が解決されなきゃ大変なことになるだろうと思うのですね。そういう意味で、実は雇用保険法が昨年から出発したのですが、私はやはり、この冷害あるいは災害地における季節労働者に対しては、昨年一年延長してもらったように五十日の給付ではなくして従来どおり九十日の給付を続けていく、そういう中で、もう一度、真剣にこの雇用問題を御検討願いたいというように思います。これにお答えいただきたいと思います。  それから通産大臣、私ちょっと聞き漏らしたのですが、石炭特別会計どんどんふえていくのですね。石油の量が多くなっていくのですが、石炭石油勘定の中に占める比率、ことし、ちょっとパーセントいま忘れたのですが、前の十二分の十から下がっていますね。十二分の十あるいは少なくとも現状よりも下げないというようにお考えになっているかどうか、この三点で私、終わりたいと思います。
  119. 浦野幸男

    浦野国務大臣 先ほど多賀谷さんにお答えしましたように、いまから急に来年は打ち切るというようなことは絶対にないようにいたしていきたいと思っております。また、そうしなければならないと思っております。  それから雇用問題につきましては、冷害等によりまして相当、労働力が余ってくる。特に農村あたりの不作のところも相当、労働力が余ってきまするが、この石炭関係に対しての問題につきましては局長から答弁させます。
  120. 遠藤政夫

    遠藤政府委員 東北、北海道の出かせぎ関係季節労働者の雇用状況につきましては、先生御承知のように景気の回復が、ことしに入りまして比較的順調にいっております。そういった関係で、一般の雇用情勢は必ずしも私ども当初予期したほどには求人が伸びてはおりませんけれども、幸い出かせぎ関係につきましては、求職者に対する求人の出が非常に好調でございます。大体、求職に対しまして三〇%ぐらい求人が上回っているというような状況でございます。ただ、こういう冷害によりまして、これから先こういった出かせぎの人たち、あるいは出かせぎでなくても農村関係の労働者人たちの職場の確保といったような問題が出てくるかと思いますが、こういった点につきましては、私どもは今後とも従来の出かせぎ求人の確保について最大の努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  また、それに関連して雇用保険の一時給付の延長の問題、御指摘でございます。これは昨年来、申し上げておりますように雇用保険法が昨年の七月一日から実施されまして、経過措置として選択の制度がとられたわけでございます。これは一年を経過いたしました後、そのような方法をとるわけにまいりませんし、また今後とることも考えておりません。そういった東北、北海道の出かせぎ関係の方々の就労確保につきましては、そういった点で最大の努力をしていきたい、さように考えております。
  121. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油石炭の特別会計の件でありますが、五十二年度予算として要求しておりますものは、いずれも非常に重大な内容のものばかりでございまして、エネルギー政策上ぜひ必要でございます。そういうことから先般来、各方面に理解を得べく、いろいろ工作を続けておりますし、また財源調達の方法といたしまして二、三の方法を考えておりまして、その方法等につきましても、いま各方面といろいろ話し合いをしております。どうしても必要な金額でございますから、各方面の理解を得ましてぜひとも確保したい。具体的な内容につきましては、まだ折衝中でございますから申し上げる段階ではございませんが、必ず、これはどうしても必要であるという観点に立ちまして、ぜひとも確保しなければならぬと考えております。
  122. 多田光雄

    ○多田委員 私が伺っているのは、石炭勘定の中に占める石炭の方の比率です。
  123. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ことしを、まず申し上げますと、歳出合計が大体千五百三十五億になっておりますか、それに対しまして石炭勘定が千百二十六億、約十二分の九になるかと思います。これに対しまして五十二年度要求ベースでございますが、歳出の規模が二千七百四十七億、ことしに対しまして千二百億ほどふえておるわけでございますが一その主たる原因は、石油勘定におきまして、御承知の五十四年度末までに九十日分の備蓄をやらなくちゃいけないという要するに石油備蓄対策と、それから自主開発原油と申しますか、主として日本の大陸だな周辺等も考えまして石油の探鉱開発を進めたいということで、石油勘定がことしの四百九億から千四百七十九億、かれこれ一千億程度ふえておるわけでございます。さようなことで、歳出規模を非常にふやした方向で、しかも先ほど大臣がお答えいたしましたように、石油石炭勘定の非常に重要な項目でございますので、一概に比率を幾らにするということではなく、むしろ事の重要性に即して予算対策考えていきたい、かように思っておるわけでございます。
  124. 多田光雄

    ○多田委員 比率は重要じゃないと言いますけれども、まさに石炭重視のための比率を現状維持をしていただきたいということを強く要望して、終わりたいと思います。
  125. 田代文久

    田代委員長 鬼木勝利君。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 労働大臣浦野先生は何かお急ぎの御用らしいんですが、いずれまた改めていろいろ御相談しますので、どうぞお引き取りください。  時間が非常に少のうございますので、河本通産大臣に一、二お尋ねしたいと思うのですが、石炭対策に対しては非常に御熱心な通産大臣を再びお迎えしたことを、まず私は喜んでおります。  石炭対策につきましては御案内のとおり、非常に問題が多くて、先ほどから問題があっておりますように、労働問題の確保だとか、あるいは保安確保鉱害問題と、問題が非常に多いのでありますが、私は、きょうは主として産炭地域振興の問題について河本通産大臣にお尋ねをしたい、かように考えておるわけでございます。  三月の通産大臣所信表明で「鉱害対策及び産炭地域振興対策につきましても引き続き強力に実施することといたしております。」かように仰せになっておりますが、これは産炭地域振興に対しての通産大臣の大綱を示されて、こういうふうにやるんだということをおっしゃったんだと思うのです。そこで、具体的に、どのようにおやりになるお考えを持っていらっしゃるか、どのように計画をしていただいておるのか。これは実態は御承知かと思いますけれども、地方においては産炭地域振興問題について非常にいま困っておる。私の県の福岡県におきましても、いま一番問題になっておりますのは産炭地域振興の問題でほとほと困っておる。先般から県知事なんかが大分突き上げられまして、執行部のお話を聞きますと、半ば以上は施策が進んでおる、ところが地域的には、なかなか実態はそうじゃない。そこで知事は苦しい答弁で産炭地域振興は、いままだ緒についたばかりでございます。こういう答弁をしておる。知事はかわいそうであります。  そこで私がお尋ねしたいのは、去る七月十六日でありましたか、産炭地域振興計画の改定について審議会で審議をしております。大臣御承知と思いますが、どのように改定するのか、いかなる理由のもとに改定をしなければならぬ立場に、いま立ち至っておるのか、また、どのように改定の方向が進んでおるのか。細かいことについては、いま審議会の専門委員会の方に移ってやっておると思いますが、細かいことは大臣は御承知ないとしても、いやしくも大臣所信表明産炭地域振興対策については引き続き強力にいたします、かようにおっしゃっている以上は、執行部としては十分、大臣の意を体してやっておるべきだと私は思うのです。ですから具体的に、どのようにいま進んでおるのか、どういうことを改定せんとしておるのか、また、なぜ改定しなければならぬ事態に立ち至っておるのか、そういうふうなところを、大臣がおわかりにならないと言うと、はなはだ御無礼千万だけれども、皆、執行部にやらせておる、こういうふうに仰せであれば、石炭部長あるいは産炭地域振興課長もそこに控えておられるようだから そういうそうそうたる連中からお話を承って結構です。まず、その点をひとつ。
  127. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、現在の計画は四十六年に決められまして五十七年に一応、完成するということで進んでおったわけでありますが、その後、大きな経済情勢の変動等もございまして、高度成長から安定成長へ世の中が変わっていく、こういうことにもなりましたので、従来の中身でいいのか、あるいは若干、中身を変えなければならないのか、こういうことにつきまして先般来、検討をしておるところでございますが、その検討の作業内容方向等につきましては政府委員の方から答弁をいたします。
  128. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま大臣からお話がございましたように、現在の産炭地域振興計画は五十七年を目標にしまして四十六年につくられたものでございます。自来この計画に基づいて産炭地域の振興対策実施してきたわけでございます。しかしながら、この計画ができまして現在すでに、ちょうど五年をたったところでございます。一方この間に、石油危機を契機にいたしまして日本経済が高度成長から安定成長へと移行するような、わが国の経済情勢全般が非常に変わってきた。また石炭自身につきましても、石炭政策について所要の見直しが行われる等の情勢の変化が大きくございまして、産炭地域をめぐる情勢も大きく変わってきておるわけでございます。そのような状況にありますために、こういう情勢変化を踏まえまして一度この計画を見直ししようではないかということで、先ほど先生からお話がございましたように、ことしの七月十六日に産炭地域振興審議会を開催したということでございます。  現在の状況は、この審議会を開きまして、計画の改定を行うことにつきまして審議会の了承を得まして、現在、審議会の中に改定の専門委員会を設けまして、この専門委員会で現在、審議が行われております。専門委員会は現在まで二回、調査を含めまして三回開き、あした第四回の専門委員会を開くというようなかっこうで現在、現地調査の結果につきまして検討を行うという予定にいたしておるわけでございます。  では、この計画で、どういうことを、どういう考え方でやるのかというお尋ねでございますが、この辺も当然、審議会の中でいろいろ議論が行われる点でございますけれども、一応、基本的な考え方としましては、産炭地域が経済社会活動の場として再生といいますか生き変わり、他の地域と同じように自立的に発展していくことが可能な水準を目指して努力する一また、どういう振興をするかという点につきましては、各地域内の立地条件等の実態を十分考えまして、いろんな産業にも十分配慮するということにしたい。それからまた、ほかのいろいろな計画とも十分調整のとれたものにしたいというふうな考え方で進めようと思っております。それで地域につきましては大体、産炭地域を九地域に分けて検討するというようなことで考えておるわけでございます。  とりあえず現状を申し上げました。
  129. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 お話は大体、概略わかりましたが、私が考えますのに、大臣産炭地域振興に対しては引き続き強力に、この対策を講じていく、こうおっしゃっておる。ところが審議会で審議を始めたのが七月の十六日ですか。いま、あなたのおっしゃることはわかりますよ。わかりますが、高度経済から安定成長に変わったのはことしじゃないでしょう。三木内閣が成立しまして、もうすでに二年、三木内閣は高度経済から安定成長ということを目玉として、看板として発足した内閣。そういう点から考えた場合に、審議会がやりましたからというので、ようやく、あなた方がいま立ち上がろうとしておる。それでは石炭対策に対して、あなた方は余りにものんき過ぎやせぬか。これは部長も近ごろかわられたんだから、おれは知らなかったということをおっしゃるかしれぬが、余り、そういうことはよろしくないと思う。  ですから、それは審議会は審議会として、いま専門委員会を設けてやっておるかもしれないが、あなた方はどのように考えておられたのか。地域振興というようなことは、なるほど四十六年から計画されて、臨時措置法ができてから、もうすでに御案内のとおり十五年になりますが、しかし計画をされてからようやく五年だ。四十六年から始まっています。じゃあ五年間のうちに社会の経済情勢とにらみ合わせて、どのように変わってきたか。これは審議会で打ち出すまでは手をこまねいて見ておるというわけじゃないでしょう。産炭地域振興というようなのは、なるほど五年間の間に実績は上げられたと私は認めております。しかし、地域社会においては満足していません。これははっきり申し上げておく。非常に困っておる。極端に言えば、ただ単に土地造成をして、そしてそれを譲渡して企業を連れてくればいいじゃないか、そういう簡単なことで産炭地域振興ができるというお考えは少し甘いのじゃないかと思う。極端に言えば、従来のような行き方であれば、産炭地域振興じゃなくして産炭地域の整備事業、整備したにすぎない。そうじゃなくして真に地域振興を図るというために、どういうお考えを持っておられるのか、そういう点をひとつお聞きしたい。決して、あなた方を責めているわけじゃないのだ。きょうは決して責めに来たのじゃないのだから、おおらかな気持ちで、ゆったりお答えなさい。
  130. 島田春樹

    島田(春)政府委員 いま御指摘がありました点でございますが、私どもといたしましては、審議会で何かやっているから、その結果を待っているというつもりは全然ございません。従来この法律ができましてから、不十分だというおしかりは受けるかもしれませんけれども、現行の計画に従いまして産炭地振興のための措置をずっと講じて、いろいろな政策をとってきたつもりでございます。ただ、先ほど申しましたような理由で、この辺で一度、計画を見直すべきではないかということになりまして、いま計画の見直しをやっておるわけでございます。  産炭地域の従来の状況を見まするに、確かに五年前に比べますと、私ども、それなりに一応の成果を上げてきたんではないかと思いますが、一方、多年にわたる産炭地域の疲弊、石炭産業が非常な変革期にあった、そのあおりを受けて産炭地域が非常に混乱し、疲弊を来したという傷跡は非常に深く、したがって従来いろいろな措置を講じてきたにもかかわらず、まだ現実に、いろいろな御意見、御要望があるということは、われわれ十分承知いたしております。したがいまして、今回の計画改定に当たりましては、そういった現地実情というものを十分踏まえまして、どうやったら、よりよい計画になり、それを実施するために、どういった措置を講ずるべきかという点につきまして十分英知を集めて検討をするという意味で、審議会、専門委員会にお願いをいたしておるわけでございまして、われわれといたしましても、いま申し上げましたような趣旨で今後とも産炭地振興施策の充実というものに努力をいたすつもりでございます。
  131. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは当然あなた方が何もしていない、審議会頼みで審議会を隠れみのにして手をこまねいておるというわけじゃありません。それは、あなた方の御努力は十分、先ほど申し上げたように四十六年から始まって五年間に実績を上げておられると思うが、やはり方向を変えてもらいたいと思うのですね、高度経済から安定成長となった以上は。従来の行き方をもっと広範囲に、産業基盤の整備たとえば道路だとか港湾だとか、あるいは生活環境の整備、医療施設を設けるとか、あるいは文教施設をよくするとか、つまり住宅環境をよくするとか、こういうように数え上げれば何ぼでもあると思うのです、観光施設を整備するとかですね。産炭地域を振興するのに企業を誘致して、それだけで能事足れりというのは少し考え方が妥当じゃないと私は思う。産炭地域を振興するのならば振興するような方法は幾多あると思う。そういう点に十分、私は留意していただきたい。それは、私は何も大臣をほめたたえておるわけじゃないのですけれども、引き続き強度の産炭地域振興対策をとるとはっきり仰せになっておる。何も強度の対策はとってない、旧態依然たるものです。これじゃ勇将のもとの弱卒と言わなければならぬ、まことに残念なことを申し上げるようですけれども。  だから、そういう点において私はきょうは強力に——実際、地方は非常に困っているのですよ。まだ時間があれば私はあらゆる例を挙げます。産炭地域における道路交通の問題あるいは商店街の問題あるいは教育の問題もう数え上げれば枚挙にいとまがない。何らそういう点に手をつけていない。ブルドーザーかトラックで、じゃかじゃかやって、これに応募を申し入れる者には何ぼで売る、そして企業を誘致する。そうして誘致した企業はいつの間にか消えてなくなる、こういうこと。これは大変毒舌をふるって申しわけありませんけれども、しかし真実だからやむを得ぬ。それでは、せっかく大臣がやるんだと号令かけていらっしゃるけれども、その号令がいささかも通じていない。親の心子知らず、まことに私は遺憾に思う。先ほどからもお話が出ておったように、石炭の位置づけでも二千万トンが怪しくなっておる、そういうようなときに産炭地をどんどん振興すれば、自然に、そういう周囲の条件、環境がよくなりますから労務者だって喜んで参ります。どうですかね、河本通産大臣、皆さんにばかりお尋ねしましたが、大臣のお考えは。私の言うことが無理であれば引き下がります。
  132. 河本敏夫

    河本国務大臣 御意見はそのとおりでございます。私もそのとおりだと思うのですが、そこで昭和四十六年以降、世の中の事情がずいぶん変わってまいりましたので、若干これまでの計画を修正しまして、そして今後も引き続いて積極的に進めていかなければならぬ、こういうことで、いませっかく案をつくっておるわけでございますから、急いで案が完成するように今後も努力をいたしまして、御趣旨のように産炭地の振興のために今後も引き続いて努力をいたします。エネルギー庁の長官、石炭部長以下、皆その方針で取り組むように指導をいたします。
  133. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、いまもう時間の催促が来ましたので、まだ申し上げたい点はいろいろたくさんありますけれども、先ほど多田先生からもお話があっておりましたが、これも大臣所信表明に  「昭和五十一年度石炭対策予算につきましては、保安確保に最大の力を入れた石炭及び石油対策特別会計予算及び海外炭開発等のための一般会計予算を上程いたしている次第であります。」このようにおっしゃっていただいております。先ほど多田先生からも御質問がありましたように、何をやるにしましてもやはり金の問題ですから、産炭地域をますます振興していただくということにつきましても、私は予算の問題だと思うのです。そこで、先ほど比率ではない、実質的に十分に予算確保には努力をする、こういうお話でございましたが、その点ひとつ大臣にもう一度、私からもお願いをいたしますが、これも全国から、いやしくも石炭に関係している地域は皆、望んでおりますが、来年、時限立法で切れるから、これはぜひ延長してもらいたい。そして率のことはどうだこうだとおっしゃっておったけれども、十二分の九だというお話でしたが、十二分の十以上に確保していただきたい。そのように私も、蛇足でございますけれども大臣にお願いを申し上げます。たびたびで御迷惑ですけれども、もう一回ちょっと。
  134. 河本敏夫

    河本国務大臣 来年度の石炭石油特別会計の予算要求は約二千八百億弱でございます。いずれも大事な内容ばかりでございますので、いま財源その他につきまして懸命に折衝をいたしております。ぜひとも各方面の御理解のもとに、この予算が実現するように、引き続いて努力をしてまいるつもりでございます。御理解を賜りたいと思います。
  135. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それじゃ、どうもありがとうございました。これで終わります。      ————◇—————
  136. 田代文久

    田代委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  来る八日、石炭対策に関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 田代文久

    田代委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 田代文久

    田代委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る八日午前十時三十分より理事会、午前十一時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会