○多田
委員 だれでもが憲法で保障された職業選択の自由がありますし、そしてまた能力を生かすということは当然のことだろうと思うのです。しかし、ここで問題になっておるのは、政治を汚すという、その根本との関係で私は述べでいるわけです。現実に今度のロッキードで問題になっている丸紅、全日空の天下りは特に目立っているのが特徴なんです。逮捕された全日空の若狭社長を初め全日空には、このほか最近十年だけでも十人の幹部が中央官庁から入社しているのです。それから丸紅には九人が天下りして、いま
会社の幹部にその名を連ねている、こういう
状況なんです。
特に公団、公社これは約八割ですよ。そしてまた業界団体これが規制になっていないですね。私は業界団体で大変遺憾なことは、この間、九月一日付で前の
石炭部長が
日本石炭協会の専務
理事に就任しているということですよ。これはいまの法の解釈からいけば違法ではないのでしょうが、年間一千億近い膨大な国家
予算を
石炭業界のために注ぎ込んでいるのです。その中枢にいた、いわば
日本の
石炭の
政策立案の実質的に最高の責任者の人です。年もまた、そうはいっていないはずです。しかも彼の経歴をずっと見ると
石炭マンオンリーと言っていいでしょう。そういう人が、業界の私的な任意法人でありますが、そこの専務になって行く。これは一
企業におりたよりも、もっとその
被害が大きいのです。
ところで
大臣は、いま余り問題が起きてないようにおっしゃっておりますが、実はことしの八月十二日、参議院の内閣
委員会で藤井人事院総裁がこういう答弁をしておられます。例の国家公務員法の百三条その他の法律の問題についてずっと論議してきて、こう言っているのです。「この問題は憲法の職業選択の自由なりその他と非常に密接に入り組む大変むずかしい問題でございますけれ
ども、現実にこれの運用をめぐって問題が生じておるといたしまするならば、これらの点については虚心に反省を加えてまいらなければなりませんし、また、第一に運営の問題、運用の問題については、やはりさらに厳しい態度をとっていかなければならないということがまず第一点」だと
指摘し、そして「第二点といたしましては、人事院だけの立場で申すことではございませんけれ
ども、やはり百三条の規定について、その運用だけでなくて、その規定自体において検討を加えるべき点があるのではないか、その点はどこにあるのだというようなことについても、検討は加えてまいらなければならぬ」こういうふうに言っているのです。
言うならば、場合によっては法改正あるいは法の解釈自身を検討しなくちゃならない、こういうことを国会で人事院総裁が述べているということは、これは多くの問題をはらんでいるというふうに私は
考えますし、まして一年近く
日本の政治、社会を、いわば震憾させてきたこのロッキード疑獄問題、そして、これを三木総理自身が体を張ってやるのだ、そしてまた、その閣僚の一人として三木総理を支えてこられた
河本通産
大臣は、当然こういうことに誠意と情熱を持って取り組んでいただけるものと私は期待したいところなんです。そこで時間がありませんので、私は、幾つかの点を具体的に通産
大臣にお願いしておきたいのです。
お願いということは、その所管の
大臣じゃございませんけれ
ども当然、閣僚の一人として、その問題に
努力していただきたい、そういうことで私はこれは要望するわけですが、この百三条あるいは人事院規則の規制の
対象を広げて、業界団体あるいは
政府関係の持殊法人にまで拡大する必要があるのではないか。そういう思い切った処置をとって、官界そして財界なり
企業との結合というものに根本的にメスを入れていかなければならないのじゃないか、これが第一点です。
第二点は、現行二年間の再
就職禁止期間があるわけですが、これを一定の官職別に規定していく、つまり一律にしない。これは一案ですけれ
ども、たとえば課長は三年であるとか、それ以上は五年であるとか、あるいはその他の一般職は現行どおり二年であるとか、そういうふうに役職に応じて、責任や
影響に応じて一定の期間をさらに検討する必要があるのではないか。
それから三点目は、
企業との「密接な関係」これはずいぶん論議を呼ぶところなんですが、この「密接な関係」についての具体的な規定がないのです。規則に若干触れているぐらいなんです。そして現在は人事院の解釈に主として任されている。そういう
意味では細かく具体的にこれを例示していくという問題ですね。
それから四番目としては、たとえば役員の範囲にしても現在はあいまいなんですよ。入るときは顧問だとか嘱託とかという名目で入って、一、二年すれば正規の役員になってしまう、こういう方法まで、さまざまとられているわけなんですね。ですから、こういうものを見過ごしておいて政治をきれいにするのだと言ってみても、
国民はしんから三木総理の言や、あるいは閣僚の言を信用しないのじゃないか、こういうふうに思います。
ですから私は、こういう問題について通産
大臣それから労働
大臣にもお願いしたいのですが、ぜひひとつ、そういう再発
防止の法律をつくって、その法律の中に、こういうものを入れるために閣僚として御
努力をお願いしたい。これをお願い申し上げたいのですが、その御所見をお二人に伺いたいと思います。