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岸田政府委員 需要構造の
変化等によりまして積極的に
事業転換を図り、それによって
中小企業が次の新しい発展へつないでいく、こういったことは
中小企業基本法でもうたわれている精神でございますが、こういった精神を頭に置きながら、従来特定の局面におきまして
転換の円滑を図るためにいろいろの対策を講じてまいりました。
それらの実績についてのお尋ねでございますが、主なものを申し上げますと、まず一つは
中小企業特恵対策臨時措置法というものがございました。これは
日本が特恵を供与するということになりましたのを機会に、
中小企業の
方々がどうこれに対応するかということを頭に置いてできました
法律でございますが、これは後に述べるような事情によりまして認定実績はゼロでございます。と申しますのは、すぐ引き続きまして国際
経済上の
調整措置の実施に伴う
中小企業に対する臨時措置法というものが追っかけて出ましたために、適用する時間が非常に限られていたことから、次の
法律の
対象に乗り移っていったという経緯があるわけでございます。
この国際
経済上の
調整措置の実施に伴う
中小企業に対する臨時措置法でございますが、ドルショックによる影響を受けたものとしての認定を受けましたのが、
業種の数で百二十一、それから産地の数で八十三ございまして、その中で私はそういう要件に該当しますということで手を挙げられた
方々が、これは途中で改正しておりますから、改正前の認定を受けた方が一万三千四百二、それから改正後の適用を受けた方が一万八百七十五、合計で二万四千二百七十七、これは重複している方もございますから、純粋にネットの数で申しますと約二万
企業の
方々が、この影響を受けたということで認定をいたしております。
それから、その中で、国際
経済上の
調整措置の実施に伴う
中小企業に対する臨時措置法では
転換計画の認定という制度が用意されておりまして、この
転換計画の認定をいたしました
ケースが六十五件ございます。これは影響を受けたという人数が多いのに比べて
転換計画の数が少ないではないかという御疑念もあろうかと思いますが、やはり当時といたしましてはドルショックを受けたということに伴っていかにして
企業を守っていくかということが一番
最大の
課題でございまして、ドルショックの認定を受けて、それによって金融を、特別の措置をつけてもらいたい、それによって一応
経営危機を免れるというようなことによってしのいできた方が非常に多かった。その中で、
転換までというのが当時は景気も多少よかったし踏み切りができにくかった、こういうことが背景にあったのではないかと思います。
それからさらに、第三の
法律といたしましては
中小企業近代化促進法という
法律がございまして、構造改善計画の中で
事業転換を行うという場合がございます。これの適用になりました
ケースが八百七十五件ございます。それから、御承知のとおり、この近代化促進法では先般の
法律の改正によりまして新
分野進出計画という制度が発足しまして、その中で新しい
分野への
事業転換を行うという道が開かれたわけでございますが、これはまだ発足早々でございまして、各方面にPRをしておる
段階で、いままでのところは認定実績はまだゼロという形になっております。
それからさらに、第四の
法律といたしまして
中小企業近代化資金等助成法がございまして、この中で構造改善準備金制度というものがありますことはお耳に入っておるかと思いますが、これを活用しまして
事業の
転換の促進を図った
ケースが三件ございます。
以上のようなことが大体従来とってまいりました
転換に関連をする法制の適用実績でございますが、これらの例でもおわかりになりますとおり、従来の
転換に関する法制というのは、いわば特別に突発的な事件が起こったということに対する緊急避難としての
立法でありましたり、あるいは近代化に関連をした、いわば目的をしぼった、あるいは
業種を特定した場合における対応策ということでございまして、今回の
法律のように一般的に機動的に動けるというような
法律になっておりません点がその相違ではないかと思います。
さらに、いまお尋ねの中でいろいろの従来の実績をもう少し細かく
事例を挙げてということでございますが、私
どもも今回の
法律を出すに際しまして従来の
事例をいろいろ勉強しまして、成功した例、失敗した例等を内容を
調査してそれを今後この
転換法を動かしていく上の参考にしてみようと思いまして、
事例調査等もいろいろ行っております。
一般的に申しますと、成功した
事例といたしましては、新しく転出する
分野が
生活環境の改善に資するものであるとか、あるいは健康、福祉の充実に資するもの、あるいは省
資源の要請にこたえるもの、こういった例に見られるように、いわば国民の新しいニーズにうまくミートした
転換計画をつくった場合はかなりうまくいっているということが言えるかと思います。
それから第二番目には、やはり事前の
調査というものが非常に大切である。
自分の置かれておる状況、それからこれから転出していこうとしている行き先の
実情、こういったものについて入念に調べ、また
相談に乗ってもらう、こういうことを積み重ねた
ケースでかなりうまくいっているということが言えるかと思っておるわけでございます。