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河本国務大臣 消費者
物価、
卸売物価の
動向につきましては、
大勢としては心配ない、
政府の
計画どおり進んでおるということを申し上げましたが、しかしこれに対してきめの細かい配慮をしていく、
努力をしていくということはどうしても必要でございます。
ただいま灯油についての
お話がございましたが、先般も予算
委員会でこれについて御
質問がございました。御
質問の要旨は、最近円高
傾向になっておって石油会社の経営も相当余裕が出ておるじゃないか、
国民生活上非常に重大な
影響のある灯油は下げるように指導すべきである、こういう
お話であったわけでありますが、私はそれに対しまして、とにかく値上がりしないようにいたします、しかしできることならば値下げをするように指導していきたいと思います、こういうふうな二段構えの
答弁をしたわけでありますが、そういうふうに、とりあえず値上がりを抑えていく、できれば値下げするように指導していきたい、そういう二段構えの
答弁をいたしました理由は、円高
傾向というものはございましても、しかしやはり石油業界というのは流動的な要因が
幾つかあるわけですね。
たとえば
一つは、十二月に開かれますOPECの総会ですね、ここで若干の値上げをしようという強い動きがございます。最終
段階まで、値上げがあるかないかということを決定的に申し上げるのは私は少し軽率だと思いますので申し上げませんが、しかしそういう強い動きがあることは御承知のとおりでございます。
それからもう
一つは、なるほど石油の標準価格を昨年の十二月に決めましたときに、為替レートは三百二円というふうに基準を置きまして採算価格をはじいたわけでございます。石油業界の話によりますと、一円違いますと一月に十七億、一年で二百億の相違がある、円が上がればそれだけプラスになるし、下がればマイナスになる、そういう
お話であったわけであります。そのころから比べますと十五円の違いがありますから、現状においては年間にいたしまして三千億からの相違が出ておる。それだけ採算がよくなっておる、こういうことも言えるのですが、しかし
先ほども私が申し上げましたように、貿易の
動向は
上半期は非常に大幅な黒字であったわけですね。しかし、下半期は
輸出の
伸びが
鈍化をいたしまして、
輸入が逆にふえる、こういう
傾向になってまいりますので、国際収支は
上半期よりも相当悪くなるのではないか、こういう
感じもいたしますので、果たして現在の円高
傾向がずっとどこまで続くのか、こういう問題ももう少し
経過を見ないと最終的な
判断ができないと思います。
それからさらに、石油業界の言い分を聞きますと、なるほどいまは標準価格制度によりまして大幅に採算は改善された、現在は廃止しておりますけれどもね、さらにこの円高
傾向ということで経営は見違えるようになっておるけれども、しかしことしの三月期は千二百億円という大幅な赤字であったし、それから過去二、三年の間に
企業の蓄積を数千億円食いつぶしておる、それによって決算を整えて、しかもなお千二百億という赤字である、そういう
状態であるから、経営全体としてはまだよくならないのだ、苦しい、こういう言い分もあるわけです。
そういう
幾つかの要素がまだ残っておりますので、特に円高
傾向、OPECの値上げ等、こういうものをもう少し様子を見まして、最終的にこれならばなおさらに引き下げすることが可能である、こういう
判断ができれば、年末にでもOPEC等の決定があった
段階において第二
段階の値下げの行政指導をしてもいいのではないか、私はそういうふうに思いますので、二段構えのことを申し上げたわけであります。
やはり現在の灯油の
消費というものが、特に東北、北海道におきましては主食よりもむしろ負担が大きいというぐらいまで大きな負担になっております。そういう意味から
国民生活上非常に重大な
影響があるということを勘案しますと、とりあえずは値上げしないようにしなければいかぬ、それだけはぜひ実行しなければならぬ、こういうふうに考えまして、値上げしないようなさしあたりの行政指導をしておるわけでございます。くどいようでありますが、もうちょっと様子を見た上で第二
段階の値下げの指導をするかどうかということを決めたい、かように考えておるところでございます。