運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-08 第78回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月八日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 兒玉 末男君    理事 今井  勇君 理事 越智 伊平君    理事 島田 安夫君 理事 竹中 修一君    理事 野田  毅君 理事 金丸 徳重君    理事 柴田 健治君 理事 柴田 睦夫君       志賀  節君    中尾  宏君       宮崎 茂一君    武藤 嘉文君       村田敬次郎君    森下 元晴君       井上  泉君    川俣健二郎君       村山 喜一君    山本 幸一君       栗田  翠君    山原健二郎君       瀬野栄次郎君    高橋  繁君       広沢 直樹君    山田 太郎君       宮田 早苗君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         国土政務次官  江藤 隆美君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房同和対策室長 今泉 昭雄君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    久武 啓祐君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         国土庁土地局次         長       久保田誠三君         大蔵省主計局主         計官      佐藤徳太郎君         国税庁直税部審         理課長     掃部  實君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省医務局整         備課長     吉原 健二君         厚生省社会局庶         務課長     北村 和男君         農林省構造改善         局農政部長   渡邊 五郎君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         資源エネルギー         庁石油精製課長 山中 正美君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         消防庁防災課長 永井 浤輔君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君         参  考  人         (安八町区長会         長)      富田 初次君     ————————————— 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   坂本 恭一君     山本 幸一君   古川 喜一君     村山 喜一君   山本弥之助君     井上  泉君   津川 武一君     栗田  翠君   瀬野栄次郎君     山田 太郎君     ————————————— 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     山本弥之助君   村山 喜一君     古川 喜一君   山本 幸一君     坂本 恭一君   栗田  翠君     津川 武一君   山田 太郎君     瀬野栄次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 兒玉末男

    兒玉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智伊平君。
  3. 越智伊平

    越智(伊)委員 先日来、災害委員会で各委員がそれぞれの立場において質問をいたしておりますが、私はできる限り重複を省きまして、少し突っ込んだ議論をしてみたい、かように思います。  例といたしまして、私の選挙区であります愛媛県の例をとっていろいろ質問をしてみたいと思います。  愛媛県は、政府もすでに調査もしていただいておりますし、非常な被害をもたらしたのでございます。特に、御承知のように、風化花崗岩地帯ということで、大変な土砂の崩壊がございました。そして、死者、行方不明者を含めまして十一人、この十一人を分析してみますと、そのうちの九人が農地、特に樹園地崩壊でございます。一家四人また三人、こういった一家全滅というような状態でございます。こうしたことを考えまして、農業構造改善事業、ここに問題があるのでなかろうか、かように私は考えるのでございます。特にこの農地崩壊いたしましたほとんどが構造改善事業で、しかもブルドーザーによる造園をしたところ、ここがほとんど何百カ所というところが崩壊しているのでございます。そして、同じ開墾でも手でやった開墾はほとんど崩壊してない、こういう状態でございます。  そこで、第一番にお尋ねしたいのでございますが、選択的拡大、こういうことで奨励をいたしまして、これは奨励したのと農民が希望したのといろいろございますけれども、いずれにいたしましても、政府制度資金を貸し付けておるのがほとんどでございます。こうした場合に、政府がこの制度資金を貸し付けるその許可なり、あるいはでき上がったときの検査、こういうことをどういうふうにしておられるのか、第一点、その点をお尋ねいたしたいのでございます。
  4. 渡邊五郎

    渡邊説明員 お答えいたします。  御質問は二点あろうかと思いますが、現在、作目の選定につきましては、構造改善事業計画を樹立いたします際に、基幹作目をそれぞれの地元から御相談がありまして、県、地方農政局におきまして協議いたしまして、基幹作目を選定いたすわけでございます。その際、ミカンを選定する、そういうような形になるわけでございますが、最近ミカンにつきましては、生産調整上の問題等もございまして、制限をしているというのが実態でございます。  事業計画につきましては、先生御存じのように、最初初年度指定いたしまして計画を樹立いたしまして、四年間で事業を実施しまして工事を完了する。それにつきましては当然、一年間の計画を初年度立てます際に、十分審査いたしますのと、あわせて事業完了後におきましては、事業主体完了を待ちまして、県が直接の指導をいたしまして、所定の手続によって検査しているものと私ども承知いたしております。
  5. 越智伊平

    越智(伊)委員 この構造改善事業適地適作ということを考慮してやっておられる、こういうふうに思っているのでございますが、この適地であったかどうかという問題、この点に私は疑問があるのでございます。現実に何百カ所という樹園地崩壊しておる姿を見まして、第一点は、それが適地であったかどうかというところに疑問がある。第二点は、その計画が適当であったかどうか、防災ということを考えていたかどうか、この問題について私は疑問を持っているものでございますが、この点いかがでございましょうか。
  6. 渡邊五郎

    渡邊説明員 二点についてお答えいたします。  最初適地かどうかという点についてでございますが、これは先生承知のように、この二、三年前まで西日本、特に瀬戸内地帯におきましては、非常にミカン造園が増加いたしまして、全体に構造改善事業におきましても、これらの瀬戸内方面におきましては、ミカン基幹作目に選定する事業がきわめて多かったということは事実でございます。ただ、先ほど申しましたように、全体の需給関係並びに次第にそうした関係からも非常に自然条件にも恵まれないような点にまで、ミカンの開園、造園等が進むということにつきましては、非常に私ども心配しておりまして、こうした点は今後ミカン造園等については、最近におきましては、これを制限するという立場に立っていたしております。ただ、過去におきましてそうした経緯から造園が行われたことは、事実率直に認めざるを得ないかと存じます。また、そうした点で、私どもも先般地方農政局担当課長、特に被災地関係課長を集めまして状況報告をとりましたところ、愛媛県におきましては、構造改善事業のこれらの関係で五カ所、造園地区災害が起きているという事情承知いたしております。私どもも、これは構造改善事業ミカン造園地五カ所について報告をただいま受けておるわけでございますが、こうした点の事業のこれからのあり方についても私ども十分反省をいたさなければなりませんが、今回の雨量等が百ミリあるいは千九百ミリといったような予想を上回るような豪雨によったということもございますが、今後こうした点につきましても十分注意して、こうした災害が二度と起きないよう施行上の注意等をいたしたい、こう考えております。
  7. 越智伊平

    越智(伊)委員 いま構造改善事業個所で五カ所ということを言われましたが、五カ所や十カ所ではございません。構造改善事業でやった樹園地崩壊個所が何百カ所でございます。これはもう少し詳しく調べていただいたらわかると思いますが、とにかく構造改善事業ブルドーザーでやったところはほとんど全滅と言っていいぐらい崩壊をしておるのでございます。そして、先ほど私が申し上げました適地適作は、いままでは適作は確かに適作であったと思いますけれども適地であったかどうかということは、率直に認められましたので、私もこれ以上は申し上げませんが、さて今後の対策でございます。すでにいま金を借りてまだ支払ってない、こういう農家の方は、いまの土地をとってくれればもうやめたいという人がずいぶん出ているんです。それは一つにはミカンの暴落ということもございまして、何とかやめたいがやめられないというのが実態でございます。  そこで、二つお尋ねをいたしたいのでございますが、農地復旧に対して頭打ちがございます。その頭打ち以上の負担をやってまでやれるかどうか、これは非常に疑問があるのでございます。たしか概算で計算いたしますと十アール当たり百四、五十万という頭打ちがある。それ以上は補助の対象にもならない、起債の対象にもならない。個人が借りれば借りられるわけなんですけれども、それとても担保力の問題もあるし、支払うということでいま戸惑うておるというのが実態でございます。そこで、こういう場合にひとついまの頭打ちをもう少し何とか上げるという方向、もう一点は、御承知のように、温州ミカンが非常に過剰であるから転作をさせる、品種改良をさせるというような指導もしておるわけなんですが、この際そういうものを指導して雑柑にするとか、そういうものを助成してでも品種の更改をさせることがいいんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点、二点についてお答えいただきたいと思います。
  8. 渡邊五郎

    渡邊説明員 御質問の二点についてそれぞれ担当の方からまたお答えいたしますが、私ども今回の災害につきまして、先生の御指摘の中にもございました従来の借入金の条件緩和等につきましては関係金融機関にも指導いたすことにいたしておりますし、また天災融資法なり激甚法発動あるいは自作農維持資金につきましてもこれを優遇するというような措置もとりますが、ただいまの災害復旧関係につきましては建設部の方でいたしておりますので、そちらの方からお答えさせていただきたいと思います。
  9. 岡部三郎

    岡部説明員 愛媛県の農地につきましては、御指摘のように、今回の災害によりまして約五百九十ヘクタールという非常に多量の農地被災をいたしました。その中には樹園地が相当含まれているわけでありまして、これは構造改善事業でつくったものもございますし、そのほかの一般の県営あるいは団体営基盤整備事業で実施したものもあるわけでございます。  今回被災しました個所は、先生指摘のように、大部分が花崗岩の風化した真砂土地帯でございまして、この真砂土というのは、御承知のように、通常の雨ですと非常に排水がよくてミカンその他果樹の植生等に適しておるわけでございますが、今回のような非常に大量の雨が降りますと泥流化いたしまして流れ出したというふうなことでございまして、これの災害復旧につきましてはやはり通常の方法では再びまた災害を起こす可能性が考えられますので、現在、県におきまして調査団をつくりまして、これは県の職員はもちろん各大学の専門の先生、また農林省農業土木試験場等もこれに参加をいたしまして、この工法についていま緊急に研究をさしております。その結果を待ちまして早急に復旧をいたしたいと考えておりますし、もちろん再び災害を起こさないような工法を用いなければいかぬことはもとよりでございます。  なお、農地復旧限度額についてのお尋ねがございました。これは一昨日今井先生にも御答弁いたしましたが、いわゆる農地それ自体復旧と、こういう傾斜地みたいなところでは、相当程度いわゆる農地保全施設排水路であるとか承水路であるとかあるいは擁壁であるとか、こういうものがないと農地が安全に保たれないわけでございますが、この保全施設の方につきましては限度額というものは現在設けられてないわけであります。したがいまして、農地それ自体については御指摘のような限度額がございます。しかし、実際にこういうところで金がかかるのは施設でございますので、農地自体については限度額の範囲内で何とかできるように、現地事情等十分調査をいたしまして、工夫して復旧に努めたいというふうに考えております。
  10. 越智伊平

    越智(伊)委員 もう一点この問題でお尋ねをいたしたいのでございますが、いまの建設部長お話で、崩壊したところの施設なり農地復旧、これはわかったわけなんですが、さて、崩壊は少ないけれどもまだ崩壊のおそれがあるというところがずいぶんあるわけでございます。これに対する処置、私は第一点は、これは全部総点検をしてもらうべきだ、こう思います。何といいますか、災害アセスメントですか、とにかく全部を点検して再び同じような被害が起こらないようにやってもらいたいと思いますが、これもなかなか災害復旧としてはできない、さりとて先ほどから申しておりますように農民ももうそういうことをやる余裕はない、こういった状態でございます。これをどういうふうにすればいいか、またどういうふうに御指導をなさろうとしておられるか、この点についてお尋ねをいたしたい、こう思います。
  11. 岡部三郎

    岡部説明員 御指摘のように、今回の災害にかんがみまして真砂土地帯樹園地造成工法というものにつきましては、なお根本的に考え直してみる必要がある面も多々あろうかと思います。したがいまして、この災害を契機にしまして、こういう地域につきましてはできるだけそういう防災施設現状等をもう一度点検し直してみまして、農地保全事業を積極的にこれに適用して災害を未然に防ぐような処置を講じたいというふうに考えております。
  12. 越智伊平

    越智(伊)委員 政務次官、おいでいただきましてありがとうございました。また何か他の委員会があるようでございますので、一つだけお尋ねをいたします。  きょうの閣議激甚災指定をされたようでございますが、この地域指定、県とか市町村の地域指定がいつごろになるか、また天災融資法発動、これはこの間もお答えいただいておったようでございますが、いまの見通しでいつごろになるか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  13. 江藤隆美

    江藤政府委員 本日の閣議でもって激甚法指定をするということに実はいたしておるわけでありますが、公布が十二日の予定でございます。これに伴いまして、天災融資法の適用を十七号については二十日前後を目途にただいま準備を進めておる、こういう段階であります。  それから、特定地方公共団体地域指定はいつにするか、こういうお尋ねでありますが、災害復旧地元負担の額その他がわかりますのが年度末でありますから、年度末までに指定はする、こういうことになります。ただその場合に、御心配の向きは、早くやってくれぬと困るではないか、こういう御心配だろうと思うのですが、そのことについては、これはもう災害復旧費前払い制度を取り入れる、それから普通交付税も十月二日に繰り上げ交付いたしておる、それから特別交付税もことしは異例に十二月いっぱいにはやろう、そういうものをひっくるめてやりますから、当分災害復旧については御心配が要らないようにして、そういう全体が精算ができる段階になりまして、それぞれの地方公共団体財政事情等をながめながら指定をしていこう、こういうことで準備をいたしておるところでございます。
  14. 越智伊平

    越智(伊)委員 次に、ゴルフ場の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  実は先ほど申し上げましたように、十一名の愛媛県の死亡者のうち九名までが樹園地、一名がゴルフ場、一名が山林崩壊、この山林崩壊も、危険個所だと消防署が言っておった、そこが崩れての死亡でございます。そのほかの一名であるゴルフ場崩壊でございますが、死亡者は一名でございますけれどもゴルフ場崩壊してずいぶん農地がつぶれますし、また河川がはんらんして床上浸水あるいは家屋損傷等ずいぶんの被害をもたらしておるのでございます。  そこで第一番に、ゴルフ場の許認可、これは知事がやっているようでございますけれども、これの指導についてどこがおやりになっておるのか、この点からひとつお尋ねをいたしたい、かように思います。
  15. 久保田誠三

    久保田説明員 お答えいたします。  ゴルフ場事業的な面において所管しているのは特にないのじゃないかという感じが私、しておりますけれども開発許可ですね、都市計画法とか、その保全的な面、防災的な面、そういうものでは現行制度はございます。あるいは森林法開発行為規制とか、そういう個別法のそれぞれの法律によってゴルフ場設置防災とか都市保全の見地から規制する制度はございますが、一般的に、業法上、ゴルフ場設置の云々というものについてはちょっとないのではないかと存じております。
  16. 越智伊平

    越智(伊)委員 いまのお話でもわかりますように、ゴルフ場については無政府状態ということが言えるのではないか、こう思うのです。ゴルフ場許可をする場合、確かに都市局でもやられようし、あるいは林野庁でもやられると私は思うのですが、これを統一したところをはっきりして指導監督をしなければならない。といいますのは、今回崩壊したゴルフ場にいたしましても、地元にはいろいろ誓約書等を入れておるのでございます。ところが、それを実行してない。そのうちに今度の豪雨によって崩壊を来した、こういうことですから、言いかえますと監督する場所がない。考えようによっては県がやるということであろうと思いますけれども、その県を指導するところをはっきりすべきではないか、こういうふうに考えるのです。そうして、ゴルフ場についても先ほど樹園地と同じように再点検をすべきではないか、危険個所を再点検して、ゴルフ場ですから勧告するなりして安全なように直していくべきではないか、こういうふうに考えるのです。どの省になるのか私もわからないのですが、この点いかがでございましょうか。
  17. 久保田誠三

    久保田説明員 お答えになるかどうかわかりませんが、一般的にまず私の方から御回答申し上げたいと思います。  ゴルフ場造成につきましては、先生おっしゃいますように、特に統一的な窓口というものはないのが現状でございますが、いずれにしてもそのための土地利用規制は必要ですから、先ほども申しましたように、都市計画法とか農振法とか森林法、その他自然関係保全法、それぞれ個別法規制が行われておるわけです。  国土庁といたしましては、いわば国土利用計画法に基づきまして、これらのそれぞれの個別法上位計画として土地利用基本計画というものを各府県につくらして、そのもとに、各下位といいますか、都市計画とか森林計画、その他個別の計画あるいは法律による規制、そういうものが的確に行われるように上位計画としてこれらの計画を調整する役目を土地利用基本計画が担っているわけです。  そういうことでございますから、先ほど申しましたように、具体の行為規制に関してはそれぞれの地域または事項に関します個別法規制していただく。それに関する施策態度といたしまして、特に今度のような災害にかんがみ防災とかそういう点に非常に重点を置き、そういう方向運用していただきたい。そのために、今度、実は五十一年度土地利用基本計画見直し作業を進めております。それは国土利用計画全国計画ができましたし、今年度、都道府県府県計画をつくります。それとあわせまして土地利用基本計画見直しをやりますので、その見直し作業の中において、特に防災という観点でいろいろな内容を重点的に入れていく。さらに、そういうものを通して各下位個別法運用計画規制運用、そういう点について先生おっしゃいますような方向指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 越智伊平

    越智(伊)委員 それでは次に、時間がもう余りないようでございますが、下水道の問題についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  今度の豪雨によりまして各地にずいぶん浸水家屋が発生いたしました。これを見て回りますと、確かにポンプ施設があるところは助かっているのでございます。ポンプ施設のないところは浸水家屋が多い、こういう状況でございます。下水も、都市下水が非常におくれている。宅地化され、道路あるいは庭まで舗装をする。その中にあって依然として下水はそのままでございますから、逆流をしておるような状態でございます。  そこで第一点、建設省下水道部で、毎年つかっておるようなところは早急にポンプだけでも据えてやるべきではないか。また、農林省の方も湛水防除をやっておられますが、水路などは後回しにしても、ポンプ施設だけは思い切って早くやるべきではないか。今度の災害で、また毎年つかっておるような個所、これは何か災害復旧でそういう施設ができないものかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  19. 遠山啓

    遠山説明員 先生承知のように、日本都市というのは大体平たんな土地に発展いたしております。したがいまして、御指摘のように、ポンプの要るような土地が非常に多いわけでございまして、下水道部といたしましてもそういうところに重点的にポンプ設置するよう指導してまいっておる次第でございます。第三次の五カ年計画先年度で終わりまして、今年度から第四次の下水道整備五カ年計画に入るわけでございますが、いま御指摘ポンプ設置すべき都市下水路につきましては、第三次の規模の八百億円に対しまして二千七百億円を組んでおります。全体の規模が二・八四倍に対しまして、都市下水路を三・三八倍というふうに大きく伸ばしております。  そういうことで、いままでもポンプ場設置するにつきましては、水路を改修するよりも非常に金のかかる事業でございますので、われわれとしても努力してきたつもりでございますが、これをますます努力いたしまして、御希望にこたえたい、こういうふうに思っております。
  20. 岡部三郎

    岡部説明員 湛水防除事業についてのお尋ねでございますが、今回の災害に際しましても各地湛水防除で実施しましたポンプが相当威力を発揮いたしまして、そういうところは比較的被害が少なかったというふうな報告も受けております。私どももこれを機会に、農地防災事業の中でも特にこの湛水防除事業につきましては、なお一層の促進を図るというふうに考えております。  それからまた、御指摘の工程をどういうふうに組んだらいいか、ポンプを先にやって水路後回しにするというふうな点につきましても、現地の実情に十分応ずるように検討してまいりたいというふうに考えております。
  21. 越智伊平

    越智(伊)委員 時間が来たようでございますから、最後に査定の問題で、これはもう答弁要りませんから。  査定を、小さい査定まで現地に行かなくて、いまのように写真技術が非常に発達をしておる時期ですから、もう机上査定で、特定のものを、大きいものとか特定のものを現地査定というふうに改めていただきたい、こう思うのです。この間の報告によりましても、建設省で約九万件、農林省で十六万件というような災、害個所が出ているわけですから、これを一々回っておったら大変ですから、この問題についてはひとつ御研究をいただきたい、かように思います。  終わります。
  22. 兒玉末男

  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 台風十七号の激甚災指定については、先ほど越智委員に対する政務次官の答弁がございましたが、これは国土庁の方からだれかほかに見えておりますか。——じゃ、お尋ねいたしておきますが、六月の下旬の梅雨前線、それから七月の中旬の台風九号、この災害に対しては激甚災指定はすでになされたわけですか。いつどのようになされたのか、決まっておるならば、その内容をお知らせいただきたい。
  24. 山本重三

    山本説明員 ただいまお尋ねの七月の梅雨前線豪雨による災害につきましては、実は激甚法に基づきます全国の指定基準に該当しなかったということで、激甚災害の指定ができなかったという状況でございますが、ただし市町村によっては局地的にかなり甚大な被害を受けているところがございますので、これにつきましては、私どもは局地激甚災害の指定という形で、いずれ負担額が確定した段階において指定する予定でございます。  台風九号の関係についても同様でございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま七月の集中豪雨とおっしゃいましたが、六月の下旬から七月の十日、十一日にかけまして、六月の二十二日から二十六日は九州南部、七月の十日から十一日は伊豆の南部方面、これが梅雨前線による集中豪雨ですね。それから、七月中旬の台風というのは台風九号ですが、これは七月の十八日から二十日にかけてございましたが、いまの答弁は正確じゃありません。  それで、これらは合わせて災害の累積をしても激甚災対象にできなかった、こういうことでございますか。いまあなたの答弁では、七月の集中豪雨はできなかった、だけれども、市町村ごとの局地激甚災指定は後日やるんだというふうに答弁を聞いたのですが、従来から災害激甚災指定等については、その年度にありましたものをトータルして、それで激甚災指定というような形で処理をしたことも件数としてはあるわけです。今回はそれがなされなかった理由、そういうようなものがあるならばお答えをいただきたい。
  26. 山本重三

    山本説明員 補足いたしますが、先ほどの答弁で不十分な点がありましたので、正確に申し上げます。  先生指摘災害につきましては、私どもは、梅雨前線豪雨とその間にありました台風等による被害につきましては、一連の気象条件による災害ということで、実は五月二十一日から七月二十日までの間の豪雨及び暴風災害につきましては、先ほど申しましたのは、公共土木施設関係については全国激甚の基準に該当してなかったために指定ができなかったと申しましたが、農地、農業用施設、林道関係でございますが、これにつきましてはすでにことしの九月三日に激甚災害として指定いたしまして、農地、農業用施設、林道関係災害復旧に関する負担金のかさ上げ等の特例と、それからこれに伴います諸災害についての元利補給の措置、これについてはすでに政令で指定したところでございます。  なお、この間には公共土木施設等の災害がございましたが、これは全国激甚の基準に該当しなかったということで、その政令の指定の際には指定ができなかったということでございます。  なお、その際におきまして、市町村によっては公共土木施設等につきましてもかなり甚大な被害を受けたところがございますので、それらにつきましては、先ほど申しましたように、負担額が確定いたしました時点で、例年ですと大体来年の二月になりますが、二月に局地激甚の災害として指定するという予定にいたしております。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 大体わかりました。先ほど政務次官が、地域指定年度末までには処置をしたいと言う。年度末までに処置をしなければこれは何の意味もないわけですから、それは当然の答弁でありましょうが、その局地激甚災の七月の二十日までの分が来年の二月になる。十七号台風災害についての地域指定は、年度末ですから三月までになる。そういうふうになってまいりますると、財政区分の上で各市町村の場合には、とりあえずの措置は、交付税の前渡しであるとかあるいは起債であるとか、そういうような財源措置が講ぜられるといたしましても、これは特別交付税の交付の時期というのも二月の末ですね。それが三月の年度末の時点で激甚災地域指定が終わるということになるならば、財政的な措置の上からそういうような面においては非常におくれてくるのではなかろうかと私は思うのですが、その点について、三月までにやるというのはもう当然の話であって、なぜもっと早くできないのか、七月の二十日ころまでの災害についても、局地激甚災指定になるというのは、財政の基準財政収入額やらそういうようなもので計算をすればすぐ出てくるわけですよ。そのおくれている理由はどこにあるのですか。
  28. 山本重三

    山本説明員 局地激甚災指定につきましては、基準で書いてございますように、その地方公共団体の査定事業費の額が、たとえば公共土木施設について申しますと、その市町村の標準税収入を超える場合に指定する。したがいまして、査定事業費が確定いたさないとできないということで、例年、事業費査定の段階につきまして個々の個所においてかなり差異がございますので、私どもとしては、出そろった二月の時点で局地激甚災害については一括して指定しておるという状況でございます。  先生心配の財源措置等につきましては、私ども関係省庁と十分協議いたしまして、事業に入りました場合の負担金の概算払いであるとか、あるいは交付税、起債等の措置によって対応してまいりたいと考えております。実際に行っておりますが、なお公共団体側からの指定を受けられるかどうかという見通しは、事業の査定が進む段階で、基準がはっきりしておりますのでおよその推測はできると思いますが、私どもも市町村に対しましては、見込みがかなり明確になってきた場合には、それらを市町村側に知らせるという努力をいたしております。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 問題はその地域指定がおくれている理由ははっきりしているわけです。それは災害の査定が終わらないからです。その集積ができないからそういうような対比ができないので、事務的におくれるということになる。  そこで、お尋ねいたしますが、その災害査定のあり方の問題なんです。農林省建設省、これが主たるそういうような災害の大きな個所を持っておりますから、いままでの進捗状態、件数が幾らで査定がどの程度進んでいるか、この内容について発表願いたいと思います。  なお、今次十七号災害の問題については、ここに資料をいただいておりますが、その査定がいつごろまでに完了する見込みであるのか、その点についての説明をそれぞれの担当の省から説明願いたい。
  30. 岡部三郎

    岡部説明員 お答えいたします。  五十一年一月から発生しました農地、農業用施設並びに海岸災害被害額は一千九百十億七千一百万円でございまして、九月三十日現在までに査定を完了した被害額が二百七十九億一千四百七十万八千円でございまして、率は一五%でございます。  なお、十七号台風関係の査定につきましては、現在、緊急査定を実施しております。今月の中ごろから本査定に入りまして、年内には全部完了する予定で手配をいたしております。
  31. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省の分につきましては、今年度は台風十七号の出る前は五万件くらいであったわけでございますが、台風十七号が出まして一挙に十四万になっております。したがいまして、今後の査定にいま非常に困っておりますが、現在までの状況では、十月の六日現在で申し上げますと、直轄は全部完了いたしたのでございますが、補助につきましては、現在のところ四千七百億のうち約一千億を完了いたしまして、その進捗率につきましては二二%に及んでおります。この分につきましては、いままでの既定の予算を組んでおりました分を配賦済みでございます。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 建設省は、これはトータルで、件数としては十四万件ですね。
  33. 井沢健二

    ○井沢説明員 はい、そうでございます。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 これの現在までの達成率は二二%ですか。
  35. 井沢健二

    ○井沢説明員 そのとおりでございます。
  36. 村山喜一

    村山(喜)委員 農地等のいわゆる災害が、十七号災害で十五万八千件、その前の分が、激甚災の適用対象だけでも二万八千八百六十六カ所となっておるようでございます。いままでの進捗率を聞いてみると一五%、一体そういうような形で、年内に終わりますということはおっしゃるわけですが、これはよほど工夫をしてもらわないと年内には終わらない。現に私のところでも、六月の集中豪雨によりまして被害を受けたところでは、一つの町で、鹿児島県の曾於郡松山町でございますが、一千件を超えておる農地災害等が出ているわけです。今日、八次査定まで済みました。だけれども、まだ五五%から六〇%までしか査定が終わっていない。  そこで、江藤政務次官もお見えになりましたが、私はこの査定のあり方について、小さな、十万円以上、十五万円とか二十万円とかいうような対象もこれは物件になるわけですから、こういうようなものは、先ほどお話がありましたが、写真で判定をするとか、あるいは設計書を見て、もうそういうのは机上査定で片づける。原形復旧というようなもの等、あるいは金額の一定以下のものについては、そういうような簡便な査定によって措置をする。しかし、災害関連とか、あるいはそのほか一連のいわゆる改良復旧等を伴うもの、さらにまた金額が大きなもの、こういうようなもの等については、現地査定並びに大蔵省の財務局や財務部の立会官も立ち会う、こういうような仕組みをつくってもう少し合理的に災害査定をやりませんと、現場に行ってみますと、当該市町村の耕地の職員、建設の職員は災害発生以来日曜日は一日も休んでいません。そしてまた、当該地区の県の職員も応援に走り回る。手が足りませんから、コンサルタントの職員も動員をする。それでも手が足らない。そういうような被害が続出をしているところでは、全国的なベースで査定官は融通がつくでしょう、しかし他の都道府県から応援隊を振り向けるということは言うべくしてなかなか実行性に乏しい。そこで、これらの問題では総力を挙げて早く査定を終わるということが必要になってくると思うのですが、そういうようなものについて特別な工夫というものを少しやりませんと、件数がまことにおびただしいものですから、従来のような査定の仕方では間に合わない。そのうちに年を越してしまって、もう災害の痕跡もとどめない、あとは自力で復旧をしてしまったというようなところも出てくるわけですから、査定は速やかにやらなければならないということを私は痛切に感じますが、査定のあり方並びに大蔵省の立会官のあり方、この問題についてまとめて江藤政務次官の方からお答えをいただきたい。
  37. 江藤隆美

    江藤政府委員 今回のように予測をしがたい大災害が発生して、その件数が膨大になってきますと、先生の御意見のようなことが出てまいります。そのことが社会不安を生んでくるし、また間に合わないために必要上自力で復旧せざるを得ない、こういう問題も出てまいる。なかんずく問題になるのは、たとえば建設、農林双方でもって調整をしながら災害復旧をしなければならぬというものになりますと、なおさらおくれる可能性がある。こういうことで、今回、建設省においては二百万以下、それから農林省においては五十万以下は原則として机上査定を行う、実はこういうことで取り組んでおるわけでありますけれども、それ以上のものも机上査定となりますと、私ども技術的にわかりませんが、工法その他いろいろ問題もありまして、なかなか容易ならざるものがあるのだろうと思うのです。今回はそこまで引き上げて、それ以下は机上査定をやっていこう、こういうことでやってきたわけであります。  しかし、いずれにいたしましても、建設、農林省とも年末までには全部一通り終わるようにということで全力を挙げてまいっておるところでありますが、今後のこともございますので、ただいま大蔵の立会官等の問題も含めまして、今後の災害査定の問題について私どもも積極的に十二分に検討してみたい、このように思っております。
  38. 村山喜一

    村山(喜)委員 前向きの答弁をいただいて結構でございますが、私は単に金額の問題だけじゃないと思うのですよ。単純な工法であれば金額が多少それをオーバーしましても、別に設計図の上においてやかましいこともないわけですから、そういう点は金額を基準にするだけじゃございませんで、工法のやり方の問題も内容的に考えて措置を願いたい。  それから、十二月までに査定を終わらせる、その方針はよろしいわけですが、それを具体的にどういうふうにしたらいいか。いまで一五%、二二%という査定の状況でございますから、年末までに三カ月しかありません。その六月から発生した災害の査定が今日に至ってなお一五%、二二%という進捗の状態から見ると、もうこの三カ月の間に、年末までに終わらせますということはきわめて明確な方針でございますが、どうも心もとないわけです。それにはもう少し工夫をしてもらわなければならないのではなかろうかと思いますので、災害の元締めである国土庁江藤さんが災害対策本部の事務局長でもあるようですから、ぜひそういうような面においてもう少しピッチが上がるようにしてもらいたいということを要請をしておきます。  それから、この際、江藤政務次官に。  私は九月の二十一日、社会党を代表して天野長官と紀埜審議官に対しまして申し入れをいたしました。その申し入れに対する回答をまだ受けていないわけです。そこで、あなたの方から回答をいただくのが適切かどうかわかりません、できるならば、私が申し入れをいたしました長官であります天野光晴氏の方からいただくのが妥当だと思いますが、きょうは参議院の災害委員会並びに建設の委員会等も開かれておりますから、あなたが大臣の代理として、また災害本部の事務局長として、そういう立場からひとつそれに対する回答をこの際承っておきたい。
  39. 江藤隆美

    江藤政府委員 村山先生お話しのとおり、ちょうど衆参両院の建設委員会、災対がそれぞれございまして、大臣がそちらに出ておりますので、大変失礼でありますが、私からかわりまして、社会党の委員長名で非常災害対策本部長天野国土庁長官に対して御要望のありました件についてお答えをさせていただきたいと思います。  まず第一番目に、申し上げます前に、先ほど机上査定を原則としてと申し上げましたが、それはしゃくし定規でありませんで、原則と申し上げましたのは、単純工法その他必要なものについてはそれ以上のものについても机上査定を行っております。こういうことをひとつ御理解を賜りたいと思います。  もう一つは、非常におくれておるということを御心配いただいておるわけですが、災害個所の発見、それから査定を受けるための準備、そういうこと等でいままで準備段階がありました。これからは相当にピッチが上がっていくものと考えますので、十分これは年末までに完了するように配慮してまいりたいと思います。  お申し入れの件についてのお答えでありますが、まず第一番には、被災者を救済し、災害復旧及び防災対策の強化を求める、こういうことについては、社会党のお申し入れと私ども全く志を同じくするものでありますが、以下その各項についてお答えをさせていただきたいと思います。  第一番目に、被災状況調査を迅速にやれ、そして正確を旨とせよ、こういうところでありますが、ただいま公共土木あるいはまた農地関連施設等の災害復旧の体制につきましては、先ほどの御質問で申し上げましたように、年内にはいずれも査定が完了するように、そうして皆さんに御安心いただくように、所管官庁においてそれぞれ災害の査定について鋭意努力を進めておるところであります。  第二番目の激甚災の適用を早くせい、こういうことでございましたが、御案内のように、本日の閣議指定をすることに決定をいたしまして、十二日に告示いたすことにしております。したがいまして、今後二十日前後をめどとして天災融資法の適用ができるようにいまあわせて準備を進めておることもこの機会に申し上げて、御説明をさせていただきたいと思います。  第三番目は、個人災害調査しろ、この対策を講ずべきではないか、こういうお申し入れ、このことについては委員会においてもしばしば委員の諸先生から御意見のあったところであります。したがいまして、個人災害を全く調査をしないということでは、今後国民経済に及ぼす影響等も考えまして適切でない、このように考えますので、国土庁のいわゆる中央防災会議あるいは非常災害対策本部その他の各省の連絡機関において、これらの問題についての取り扱いをただいま検討をいたしておるところでございます。同時に、税の減免という問題が実は中小企業を初めその他にございます。したがって、これは税法上の特例等を十分に活用をいたしまして、この救済措置については遺憾なきを期してまいりたい、現行法の許される範囲内で最大限にこれを運用してまいる、こういうつもりでおります。  第四番目に、災害の弔慰金が、昨年国会の改正をいただきまして、個人災害について百万円今度は支給ができるということになったわけでありますが、その他のいわゆる保険制度あるいは弔慰金等と比べて、こうした天災による個人災害に対する弔慰金が少ないではないか、これは実は国会でも非常な議論を生んでまいりました。しかし、このことについてはかねてから国会でも十分御審議をいただき、かつまた総理府の中に、個人災害対策についてのいわゆる見舞金制度について三年間にわたって検討して、この要綱まで実はすでにでき上がっておるわけでありますが、今後の運用その他の面等につきまして、実際問題としてなかなかやりにくいということで今日に至っておるものであります。しかし、今回の経験にかんがみまして、そのことについては、また改めて大臣からの御下命もありますから、これは引き続いて検討さしていただきたいと思っております。  災害援護資金の貸し付けにつきましては、災害復旧住宅資金の貸し付けあるいは中小企業に対する特別融資、農家に対する天災融資、それから自創資金の貸し付け、自創資金はすでに十億くらい使っておりまして、六十五億くらいしか残ってないといっておりますが、いま各県を通じて調査しておりますけれども、恐らくこれでは今回の災害に対処することはできないのではないかと思っておりますので、これらの枠の拡大等についても、十分実態に沿い得るように努力をしてまいります。  農業災害についてのいわゆる共済金の早期支払いについては、農林大臣からも国会で御答弁がございましたように、十二月中には生産者の手元にこの共済金の支払いができるようにということで、ただいま農林省において鋭意取り組んでおるところでございます。  第六番目の治山治水対策については、その強化を図るために来年度から新しい治山治水五カ年計画を発足させる、こういうことにいたしておるわけでありますが、今回、中小河川のはんらんが大災害を生んだ、こういう経験にかんがみまして、一体この当初考えておった五カ年計画で果たして十分要望にこたえ得るものかどうかということについては、天野長官も非常な関心を寄せられておりますので、私どもは建設御当局ともよく御相談をしながら来年度のこうした五カ年計画の策定に当たってまいりたい、こういうふうに思っておるところであります。  なお、災害復旧が非常に複雑多岐にわたってまいりますと、どうしても原形復旧ということではなくて改良復旧というものが要求されることになるのは至極当然のことでありまして、このことについては、今後災害の再発生の防止を含めまして十分改良復旧が行われるように配慮してまいりたい、このように思います。  第七番目の、こうした財政事情の厳しい中でありますから、地方公共団体が非常に財政的に苦しんでおる中での復旧工事に取り組まなければならぬ、こういうことであります。したがいまして、すでに普通交付税についてはこの十月に繰り上げ交付をする、特別交付税については十二月いっぱいにこれも繰り上げて特交の配分をする、あるいはまた災害復旧費前払い制度の活用、地方債の充当、それらの諸問題を実は総合的に配慮しながら、地方公共団体のいわゆる災害復旧に対する意欲を十分伸ばしていかれるように財政的にも対策を講じてまいりたい、このように各省御相談を申し上げ、取り組んでおるところでございます。  簡単でございますが、まとめまして、以上御報告をさしていただきます。
  40. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいまの答弁を承りましたのですが、内容的にはこれから詰めて、そうしてそのいまの言葉の内容を十分に充足をしてもらわなければならない、こういうような内容になっておりますので、さらに御努力を要請申し上げたいと思います。  時間が来たようでございますが、あと一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  実は私も災害地を回ってみたわけでございますが、具体的な例を一、二申し上げます。  それは、鹿児島県の川内川流域にあります下手というところに参りましたら、六月の集中豪雨、それから台風九号、そのころはまだ稲の生育が若い時期でございますから、冠水をいたしましたものの、これは余り大きな災害は受けておりません。ところが、十七号のころが、ちょうど穂ばらみから花が咲くころでございまして、それが川内川の洪水調整地域のように処理をされておる地域でございますので、四十八時間水につかりましてほとんど立ち枯れの状態になっております。建設大臣も九日に現地調査に行くと言っておりますが、現地の住民が言うには、そういう状態の中で、いつもわれわれが胸までつかりながらそういう災害のときに出てくる浮遊物等を除去して稲を守っているけれども、そのために毎年毎年災害を受けなければならないということになれば、一体自分たちの生活はどうなるんだ。そこで、現地を見てみると、堤防の締め切りが三百メートルほどなされておりません。そこで、そういうような問題は一体どういうふうに解決をしたらいいのか。下流の方の住民が申すには、鶴田ダムの貯水量をふやすダム操作規程の改正をやった、だから洪水調節はそちらのダムでできるのではないか、自分たちのところだけがいつまでも災害を受忍しなければならないということになれば一体どうなるのだというのが農民の言い分であります。まさにそういうような状態だと私も思っておるわけでございますが、これに対する具体的な解決の方法、この点について説明をいただきたい。  もう一つの点は、甑島に参りました。これは台風九号から十七号、ダブルパンチを受けた島でございます。行ってみますと、長浜の海岸堤防がほとんど決壊をしている。これはルース台風でやられて災害復旧でつくった堤防でございますが、それが完全に壊れた。予想以上の波が押し寄せてきたということに原因がある。したがって、それはやはり消波工の施設というものをこの際やらなければならないのではないだろうか。  それから、鹿島村の吹切浜というところと小村というところに参りました。そこにおいてはテトラポットが置いてあるのですが、それが強い波の力によりまして道路まで打ち上げられておるという状態であります。そうして、一カ所にかたまっておる。こういうふうな強い波を受けておりますが、これはやはり重量の計算が、そういう波を予想をしていなかったところから生まれたものであります。それで、小村の場合には堤防が完成をしておったためにその村が全滅被害を免れました。しかしながら、波が押し寄せてくることは変わりがない、やはり波を消すための施設を前の方につくってもらわなければどうにもならないのではないかという住民の声であります。これは堤防が破壊をされたわけではございません。しかしながら、そういう波消しのための消波工の施設が必要であるということ書一見してわかるわけでございますが、そういうようなものについては、どういうような査定の仕方をされるのか、この点について承りたいのでございます。  時間の関係がございますので、税の減免措置の問題については、国税庁や主税局から見えておりますが、やはり具体的な災害実態に合わせて温かい思いやりのある措置をとられることを必要とすると思いますが、そういうようなお気持ちであるのかどうかという点だけをお答えいただいて、具体的な税の内容については他の機会に譲りたいと思いますので、その点だけお答えをいただいておきたいと思います。  以上です。
  41. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話の川内川上流部のお話でございますが、下手地区という地区に当たるかと思います。このあたりは通称菱刈の大ショートカットと申しまして、一連の大工事をかなり前から進めてまいったわけでございます。この大規模な工事もほぼ終了に近くなりまして、いまあいておりますのが、いま御指摘の一番下流端、羽月川との合流点のところと、それから一番上流端があいております。上流端が現在あいております理由といたしましては、かなりお金のかかる橋梁、通称築地橋と称しておるようでございますが、または湯之尾橋と称しておりますが、この橋梁がまだ未施工でございます。橋梁はたくさんございましたが、下流の方から順次やってまいりまして、ショートカットと橋梁とを整備してまいりまして、その仕事が現在残っておるという状態でございます。  下流端を締めますのには、先生お話のように、下流に対する影響もございますが、まず第一義的には、上流端から水が入ってまいります個所につきまして先に下流を締めるということは非常にぐあいが悪いということがございますので、現在あいておるというのが実情でございます。  その上流端につきましては、この橋のかけかえをやる必要があるということで、これもかけかえの予定がすでにございます。したがいまして、このかけかえと山つき堤の完成と、これを見きわめた上でと申しますか、あるいはその進捗状況を見た上で下の方を締めたいというような計画になってございます。そういった状況を見きわめながら早急に締めたい。ことし非常に災害が大きかったということもございますので、私どもとしてはなるべく早急に努力したいというふうに考えております。
  42. 掃部實

    ○掃部説明員 お答えいたします。  災害被害者に対しましては、災害関係法令をフルに適用いたしまして、また、その運用につきましてもきめの細かい配慮をしていきたいと考えております。被災地の各税務署に対しましては、すでに被害状況調査を指令しておりまして、その調査の結果を待ちまして、実情に即した措置をとるつもりでございます。
  43. 井沢健二

    ○井沢説明員 甑島の道路の決壊の件でございますが、あそこは長浜のところあたりは私も見せていただいたわけでございますが、道路をつくったときに海岸堤防をこういうふうにつくっておりまして、前に消波設備をつくっておらないわけでございます。通常の場合でございますと、やはりそういうふうな非常にひどいところでは消波設備をつくるということでございますが、いままで余り経験がなかったというふうなことからして、ああいう護岸にしたものと思うわけでございます。今回は毎秒六十五メートルという瞬間風速を得たわけでございまして、ちょうどあそこが護岸が吹っ飛んで壊れておりますが、そういうところについては、再度災害を防止するという見地から、そういうふうな消波設備も同時に画すというふうなことになろうかと思います。壊れてないところで、たとえば波だけが越えているというふうな場合には、採択にはならないわけでございます。
  44. 村山喜一

    村山(喜)委員 私の質問は、これで終わります。
  45. 兒玉末男

  46. 山原健二郎

    ○山原委員 最初建設省にお伺いしますが、台風十七号によりまして高知県で最も広範な被害を受けました高知市を流れています鏡川の改修の問題でありますが、この改修計画の範囲、あるいはできれば大体推計される金額、これを伺っておきたいのであります。  ここは御承知のように鏡川南岸−右岸でありますが、右岸は藩政時代から北岸より一メートル半ないし二メートル堤防を低くしておりまして、被害を常にこうむっている状態であります。それから、北岸の方におきましても、たとえば高知市の真ん中の新月橋の近く、玉水町というところがありますが、ここの堤防が前からないわけですね。したがって、こちらからも被害が起こりまして、相当数の人家が浸水を受けるという事態が毎年続いております。これらの問題を含めまして、簡単に概略をお聞かせいただきたいのであります。
  47. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答え申し上げます。  先般の大出水、これは昨年の八月の出水を大幅に上回っておりまして、いわば未曾有のものでございます。したがいまして、現在この改修計画につきましては全体的な見直しを必要といたしております。高知県におきましても、鏡川水系治水計画協議会というものを発足いたさせまして、改修計画の総合的な見直しを行うという予定になっております。したがいまして、その計画がまとまります時点で、私どもも調整をとりながら、県と適切な計画を決定したいというふうに考えております。ただ、ただいまの総体事業費等は、その時点までちょっと判明いたしかねると思います。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 この前の質問のとき、たとえば神田川、小石木川の付近の激特から除外されておった分がほぼやれるというお話がございました。また、玉水町のところが非常に大きな問題点で、十数年前からの要求ですけれども、一度は計画があったのですがそのままになっておるということで、またそこががっとやられるという状態ですから、当然これも計画の中に入っておると思いますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  49. 小坂忠

    ○小坂説明員 いまお話しの玉水町地先が、従来右岸に比較しまして、堤防が、低いのですが、ある状態だというような観点から、一応安全度があるというような理由で除外されておったように聞いておりますが、今回の災害にもかんがみまして、当然計画に入れて考えたいというふうに考えております。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、来年度の激特についての概算要求についてちょっと伺いたいんですが、いままでは助成三分の二で、あとは起債ということであったと思うのですが、今回これをもう少し率をふやして四分の三にせよという声があるわけですが、そういう要求になっておるのかどうか、伺っておきたいのです。
  51. 小坂忠

    ○小坂説明員 現在の五十一年度から発足いたしました激特の採択区間、これは四分の三ではございませんで、二級河川でございますので三分の二でございます。ただ、それ以外の個所につきましては、これから先ほど計画とも関連いたしまして、激特に採択する部分も決定いたしまして、その部分につきましては三分の二になると思います。五十一年度に発生いたしました激特といたしまして採択した分でございます。
  52. 山原健二郎

    ○山原委員 来年度の概算要求としてはどうですか。
  53. 小坂忠

    ○小坂説明員 激特になりますと、三分の二ということでございますから。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 通産省の方へ伺いたいのですが、去年の台風五号、六号で、たとえば高知市の場合は、中小業者に対する個々の激甚災の適用にならなくて非常に問題になったんですが、きょうこの激甚の決定がなされておりますが、今度の場合は、たとえば高知市の中小業者の被害総額は八十億ぐらいだと思うのですが、ちょっと不正確ですが、今回はこういうのも適用になるのでしょうか。
  55. 松尾成美

    ○松尾説明員 昨年の激甚災指定につきましては、局地激甚災害としてございましたので、高知市は地域として外れておりました。今回の場合は、本来の激甚災害というところで特に地域を限定せずに指定をしておりますので、高知市の場合も対象になります。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、厚生省の方に災害救助法の適用につきまして、例を挙げて申し上げたいと思うのですが、これは衆議院の災害調査団調査に参りましたときに現地を伺いました高知県土佐郡土佐山村です。それから、吾川郡吾北村、これは調査団が参りませんでしたが、こういうところが災害救助法の適用を受けていないという状態であります。  ところで、この土佐山の例を見てみますと、確かに人身事故あるいは住宅については少ないんですけれども、しかし全壊五、半壊六というふうな被害を受けているわけですね。この土佐山村というのは、実は人口が千五百五十七名のところでありまして、年間の財力は、わずかに今度の補正を入れまして五億、被害総額が大体三十億という状態になっています。しかも、電気は切れる、連絡はとだえる、約二週間以上連絡がつかないという隔絶された状態に置かれているところでございますが、こういう場合、御承知のように、災害救助法施行令の一条一項三号の後段の規定であります「災害が隔絶した地域に発生した場合」という点から考えますと、私はこれだけの全村やられた被害に対して災害救助法を適用するのは当然ではないかと思うのですが、そういう点で、そういう適用の仕方に少し問題があると思うのですが、これについて見解を伺っておきたいのです。
  57. 北村和男

    ○北村説明員 災害救助法の適用の基準でございますが、こういった社会的混乱の問題でもございますので、早急にかつ広範囲に適用することは当然でございます。しかしながら、全く基準がないというのもあれでございますから、現在、いま先生お話しのような基準を設けてやっております。ただし、実情はその基準に達しない場合でございましても、いろいろたとえば一部落が孤立してしまう、それから非常にたくさんの人が迷惑をするといったような場合には、その基準にはこだわりませんで、都道府県の方の御判断で、この基準に達していないけれども、こういう事情があるんだということを御連絡いただけば、直ちにこれを発動する、いわば弾力的に運用する、そういうことにいたしておるわけでございます。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 たとえば、災害救助法の適用については何か期間もあるので、いま村民の感情としましては、小さい村でこれだけやられて、しかも災害救助法すら適用できないということについての住民の不満というのは非常に強いんですね。何と県や国は冷たい仕打ちだという声があるんですよ。これは当然おわかりになると思いますが、こんなのは、期間がどうかは私ちょっとわかりませんが、少し遅れても県の方もやりたいという気持ちを持っておるわけですね、実態を見ました場合に。また、現地へ行きました衆議院の調査団の人たちも、全く唖然となるような状態を見て帰っておるわけでして、そういう点で、ぜひこういう問題についての個々の解決はしていきたいと思いますが、その点もう一回伺っておきたいのです。
  59. 北村和男

    ○北村説明員 ただいまお話しの高知の土佐山村の件でございますが、私どもも県の方にいろいろ照会をいたしております。ただいままでの県の回答では、弾力条項といいますか、基準に達しない場合であっても発動する、基準を適用する状態には至っていないというような考えを県自身がお持ちのようでございます。ですが、お話でもございますので、なお県とまた今後十分打ち合わせをしてまいりたいと思っております。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省の方へ、伺いますが、今回かなり被害を受けた学校がございます。徳島県でも穴吹高等学校の分校、ほとんど校舎が流失しておりますし、また高知県の鏡村の柿ノ又小学校、ここはいまだに学校へ通うことはできないという状態に置かれています。また、高知市の布師田小学校の場合、これは児童が避難をいたしまして、背後の山の崩壊のために危険な状態に置かれているわけで、そのそばにあります支所、農協、住宅、全部現在もなお避難をいたしているわけでございます。この布師田小学校の場合には、何とかプレハブの校舎をつくってもらいたいということで、大変教育に熱心なところで、その敷地もすでに住民の方が提供しておるような状態でありますが、しかもそういう中で現在子供たちは四カ所に分かれて、小さな公会堂などで授業を受けています。これは早く何とか改善してもらわなければならぬという声が起こっているわけですが、こういう学校の受けた被害に対して、文部省として各県あるいは市町村あるいは各省に対して適切な迅速な手を打つように、児童の通学路その他を確保するように、こういう努力をすべきだと思いますが、文部省の見解を伺っておきたいのです。
  61. 倉地克次

    ○倉地説明員 私ども災害に際しましては、何と申しましても学校におきます授業の円滑な実施を第一目標といたしまして、早急な応急対策の実施でございますとか、本工事が可能でありますればそうした本工事を早急に行いますよう、教育委員会を通じて指導しているところでございます。  こういうことでやっておるわけでございますが、何分にも地元事情もありまして、なかなか早急にはかどらない点もあるわけでございますが、今後ともこのような指導を徹底してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、いま御質問でお触れになりましたように、通学路の迂回路の問題でございますとか、それから学校の背後にあります傾斜地の防災工事というような問題もあるわけでございますが、こうした問題につきましては教育委員会だけではいかんともしがたい事業でございますので、私どもといたしましても県当局それから国の関係機関に対しまして、早急なこれらの事業の実施につきまして要望するなどいたしまして尽力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 特にこの布師田小学校の場合は、父母の意見と市の意見が少し違うようなんですね。     〔委員長退席、柴田(健)委員長代理着席〕 市の方は、学校の後ろだけはこれらの工事をすればいいんだという考えのようですが、地元の人にとってみますと、隣の支所も全部避難をしている。子供たちだけこの学校へ行かしている。子供を人身御供にするようなものではないか、そういう安全性についての危惧の念が非常に強いのです。だから、これは技術的にも早く調査をして、本当に安全なものかどうか、かなり権威のあることをしまして対処しないと、非常に感情を害するという面がありますので、これは早急に検討していただきたいと思います。  次に、早明浦ダムの問題について建設省へ伺いたいわけでありますが、私が持っております資料は、これは建設省を通じまして水資源公団からいただいた放流量、それからダムの水位、そして流入量が出ておるグラフであります。これは公式に建設省を通じていただいたものであります。それからもう一つ、早明浦ダムのあります本山町、土佐町で水資源公団から入手をいたしております出水記録というのがございます。もう一つ、公団が町当局に提出したものがありますが、それは現在私の手元にはありませんけれども、この三つの資料を調べてみますと、大変な誤差が出てくるわけであります。  この誤差について少し申し上げたいと思うのですが、最大の流入量が、私のいただいたものによりますと、四千七百六十二トン毎秒流入しておるというのでありますけれども、こちらの出水記録を見ますと、その同じ時間に三千六百六十九毎秒トンとなっておりまして、水資源公団として故意に流入量をふやして、そしてそれを異常放流した要因にしておるのではないかという疑問が出てまいりまして、両町を含め、県議会、町議会で大変な問題になっているのです。これはどうしても解明をしなければ、この住民の感情を解きほぐすことができないところまで来てしまいました。この両町とも、かつては早明浦ダムに対して協力もし、また水没もしてきた、大変な犠牲をこうむりながらダム建設に対しても協力をしてきた人たちが大半でありますけれども、今度の事件を契機にしまして、昨年の五号台風、また今回の十七号台風によりまして、今回は、この前も申しましたように三千五百トンという、二千トンの最高放流量をオーバーする三千五百トンを六時間半にわたって放流したという異常な事態、そういう中でこういう疑問が起こっているわけであります。これについて、ぜひ科学的にも解明をしていただきたいと思うのでありますが、建設省の見解を簡明に伺っておきたいと思います。
  63. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  洪水時の流入量をダムで計測いたすにつきましては、貯水池の水位の上がり方によりまして、たまった量がわかります。また、そのときにゲートから放流いたしておりました量は、ゲートの開きの方から技術的に計算できるわけでございます。それをある時間、時間で平均値をとりまして流入量を計算いたすわけでございます。その平均値のとり方によりまして、たとえば三十分間の平均値をとりますのと、一時間の平均値をとりますのと、十分の平均値をとるのによりまして、流入量の見積もりが違ってまいります。特に、洪水のピーク流入の付近は、管理所の方も非常に一生懸命流入量を把握しなければいけませんので、細かく測定をするわけでございます。  先生いま御案内の三千六百というような町へ渡りました数字は、恐らく平均値のとり方が、三十分間隔でとりましたものを基礎にいたしまして逆算いたしました数字と心得ます。それから、先般政府委員の方を通じて差し上げました数字は、ピーク直前の八分間の貯水池の水位の変動量を基準にいたしまして、細かく精査をいたしまして流入量を評価いたしたものでございます。  建設省の見解といたしましては、四千七百六十トン、こういう数字が当時の、瞬間と申しますか、八分間の平均最大流入量である、こういうふうに心得ております。
  64. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろ説明が、たとえば私のところへは五分間、地元の新聞に出ておりますのは瞬間の流入量だというふうな説明で、その違いはともかく重要なものではないと思いますが、少しずつ——八分間ということはいま初めて私はお伺いするわけです。  そこで、流入量というのは一体どうなのか。それは水位と放流量を基礎にして流入量が決まる、そういうふうに聞いておりますが、それでよろしいですか。
  65. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 そのとおりでございます。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 そういたしますと、私のいただきました資料も、それから公団が出しました出水記録も、その点では水位と放流量とは数字で一致しているのです。一致しておりますと、当然流入量も、そういう大きな一千トンを超すような誤差が出てくるということはどうしても不思議で仕方がないのです。  私ども素人でありますから、ちょっと科学者の方にきょう聞いてみたのですが、どうもそれはおかしい、瞬間流入量などということが果たして正しいかどうかということも私たちは検討しなければならぬという、そういう科学上の疑問も出てまいりまして、だから水資源公団に対するこの資料の提出に対する疑惑という言葉まで新聞には使われているような実態であります。  私はそういう点で、この水位の数字、それから放流量の数字がいずれの資料を見ても全部ほぼ一致しておるにもかかわらず、流入量がそこでがくっと一千トンも違って、しかも最大の流入量というのがぽかっと四千何百というふうに出てきますと、ちょっと異常だなという感じがするわけなんです。だから、それはぜひ解明する必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  67. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 三千六百七十トンは、十九時から十九時三十分にわたります三十分間のタイムインターバルにおきますデータを基礎にして逆算いたしたものでございます。また、四千七百六十トンは、繰り返しますが、十九時二十二分から十九時三十分までの八分間のデータを基礎に逆算いたしたものでございます。  われわれといたしましては、四千七百六十トンという数字が水資源開発公団から四国地方建設局を通じまして上がってまいりました数字でございまして、これを公式記録と心得ております。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 確かに四千七百六十二トンについては、いままで私は五分間の瞬間の量というふうに聞いておったのです、電話をかけましても。それから、三千六百六十九・七七トンは三十分間の平均値である。その点は、八分と五分の違いはありますけれども、説明はほぼ一致しておると思うのです。  そうしますと、そういう説明に対する疑惑がありまして、本当に町長さんが先頭に立って、この数字の解明もしていただきたいということで、昨日も県知事のところへ伺っておるようですが、その県知事の考え方の結果はまだ聞いておりませんが、この数字につきまして、水資源公団の管理事務所としましては、例のこの原版になりますところの、テレメーターが送ってきてそれをタイプした原版がありますね、それをいままでは見せておったのです。去年の台風五号のときにも、地元の人たちに公然と見せまして説明をしておったのですが、今度はそれを見せないというのですね。それはおかしいじゃないか、それだけ疑惑があれば地元の人にも見せるし、地元の人だって皆心配しているわけですから、みんな無知な人たちの集まりではありません。ダムの問題についてはかなりの研究もしています。     〔柴田(健)委員長代理退席、委員長着席〕 それからまた、科学者の方たちも、その点については、今後早明浦ダムの操作規程をどうするかというような問題も含めて、ぜひそれは入手をして、水資源公団あるいは建設省の指示によって提出をしてもらいたいという声があるわけですが、私はこれは科学的解明のためにも道理ある要求だと思っています。その点について、このテレメーターが送ってきましたタイプ原版を私も出していただきたいと思いますが、出していただけるでしょうか。
  69. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  そのようにいたします。
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 委員長、それが出てまいりましたら、これは先ほど村山先生からも出ておりましたので、また何といってもあちらこちらで被害が起こっていますから、その資料をもとにして、ダムの問題についてぜひこの委員会でもお取り上げいただきますようにお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょう。
  71. 兒玉末男

    兒玉委員長 政府委員と協議して対処したいと思っております。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 それからもう一つ、ダムの放流の現状を見てみますと、昨日も建設省の方に来ていただきましていろいろ説明を伺いました。だから、私は、ダム管理事務所の方たちが本当に苦労されておったということを知っております。それからまた、こちらで受け取る建設省の方も、あの台風期に徹夜でここに泊まり込んで、しょっちゅう電話で連絡しながら、どういうふうにダムをやるかというような大変な努力をされたことについて、とやかく言うつもりは全くありません。それは、あれだけ大きなダムですし、しかも相当の流量が入ってくる中で、これは大変な事態だったと思います。そのことはわかるのですけれども、しかし私の聞くところでは、現地の事務所の方からは、第三回目のピークを迎えるに当たってあらかじめ予備放流をしたい、二千トンの最高放流量だけは流したいという要請があったんじゃないかと思うのです。それをこちらの方で規制をしたんじゃないかというふうに考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
  73. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 こちらの方で規制したというような事実はございません。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 このダムの問題を考える上で非常に大きな問題は、これを見ますと、発電用の利水水位はほとんど完全に保たれているわけです。だから、あの当時気象庁の発表では、雨雲が次から次へと土佐湾に押し寄せてきているときでございまして、相当な雨が降る、しかも、その時点で洪水注意報あるいは大雨洪水警報、暴風雨波浪洪水警報など次から次へ出されているまさに騒然たる状態のときに、ここで放流量をぐっと下げていることが不思議でならぬわけであります。この際に、この放流量をもう少し予備的にやっておけば、第二回目、第三回目のピークに対して、あの巨大な早明浦ダムが完全に治水の役割りを果たし得たのではなかろうかという疑問があるわけですが、これについて伺っておきたいのです。
  75. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 ダムの操作をやりますにつきましては、非常に大きな洪水を対象にするということも考えなければいけませんし、また二年に一遍、三年に一遍と起こります中小規模の洪水にも、それなりに調節効果を上げるというようなことを考えておるわけでございます。そのために、いろいろ計画に基づきまして、入ってまいります洪水の流入量のたとえば五割を放流するとか六割を放流するとか、当該ダムに最も適当な調節率を決めまして、それで運用いたしておるわけでございます。おっしゃるように、初期に入ってきただけどんどん吐いてしまうというふうな操作をいたしますと、それがうんと大きい洪水になれば非常に有効になるわけでございますが、中小洪水で終わった場合にはダムの調節効果が全然なかったというようなことになるわけでございます。その辺がいろいろむずかしいところでございます。  今回につきましては、洪水を迎える水位といたしましては、九月八日現在では、洪水期の制限水位よりは相当下がった水位で余裕を持って迎えたわけでございます。ただ、御案内のように、千七百ミリというような非常に大きな流域平均量が降りまして、計画放流量を上回ったわけでございますが、先ほども申しましたように、下流に対しては洪水の調節効果は十分上げた——十分と申しましてはいろいろあろうかと思いますが、効果を上げたということは先生も御認識いただきまして、本当にありがとうございます。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、ダムの操作に当たりまして、水資源の方がこういう言葉を言っておられるのですね。第三回目のピークを予想できなかった。だから、ここでかなりの放流をやれば、それは過放、いわゆる過剰放流ということでより多くの問題が起こってくるという言葉があるわけです。これは新聞にも出ておりますが、ここに早明浦ダムの多目的ダムとしての限界があると私は思っています。  もう時間がありませんから、その点はおきますけれども先ほど言いましたコンピュータータイプ原版は本日中に出していただきまして、各委員にお配り願いますように委員長からお取り計らいいただきますようお願いをしまして、私の質問を終わります。
  77. 小坂忠

    ○小坂説明員 ちょっと申しわけございませんが、先ほど先生の御質問の中で、鏡川の激特の補助率三分の二と申し上げましたが、二級河川でございますので、二分の一の間違いでございます。  どうも失礼しました。
  78. 兒玉末男

    兒玉委員長 井上泉君。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 十七号災害について、私は前回も質問を申し上げたわけでありますが、初めて水害を受けたといえば、私は国の責任をどうこうは言わないわけですけれども、高知市の場合は連年災害であるということから判断をいたしましても、これは明らかに災害対策基本法に示された国の責任というものを果たしていないのじゃないか。果たしておると御判断をされておるかどうか、まず対策室長から御答弁願いたいと思います。
  80. 山本重三

    山本説明員 高知県につきましては、昨年の台風五、六号、それに今回の台風十七号ということで再び災害を受けましたことにつきましては、大変遺憾に存じております。最近、特に局地的な豪雨であるとか、あるいはそういう台風によりまして再度災害を受ける、こういった多発地帯というものが出てまいっております。こういったところにつきましては、災害対策としては、総合的な施策を打ち出して、再びそういった災害を受けることのないような抜本的な対策を進めていきたい、かように感じておる次第でございまして、私どもも来年度予算要求の中におきまして、こういった多発地域における対策調査のための予算も要求しておりますので、今後そういった総合的な災害対策の推進につきまして万全を期してまいりたいと考えております。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは、やはり今次の災害については国としても責任を感じておる、こう理解していいですか。
  82. 山本重三

    山本説明員 私どもといたしましても、できるだけ災害を受けないように万全の対策を進めていくという責任を持って従来から行政に当たっているものでございます。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 それはわかっておる。だから、今度の災害で責任を感じておるか、感じてないのか。
  84. 山本重三

    山本説明員 再度災害を受けましたことについては、大変遺憾であり、われわれも今後大いに努力しなければいかぬと考えております。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 昭和四十五年の十号台風で高知市の東半分が水浸しになったわけです。そのときと、今度の災害によって非常な降雨量があったということであるけれども、昭和四十五年に受けたその地域は、昨年の五号もことしも全然といっていいほど被害を受けてなかったわけです。これは明らかに災害対策というものがなされたから、防災工事がなされたからということになるわけです。それが五号の去年やられたところがことしもまた同じようになるということは、その五号の災害に対する対策工事というものが非常におくれておった。それで、そのことは災害対策基本法にあるところの国の責任というものを果たしてない、このことは私はもう遺憾とかという言葉でなしに率直にこれは国の責任として、連年そういうような災害を起こすようなことがあってはならない、こう考えるのは当然と思うわけですけれども、事務当局としてはそういうふうな答弁しか返ってこないと思うわけですが、政務次官、どうですか。
  86. 江藤隆美

    江藤政府委員 いかなる事態に陥ろうとも、民の生命、財産を守るということは国の当然の責務でありますから、今回のそうした御指摘のような災害について政府が責任を負うことは至極あたりまえのことであると思っております。
  87. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、連年そういうような災害の起こらないように、来年また来たときにまた来年もやられるとかいうことのないように私は早急な対策を立てるべきだと思うわけですが、政務次官、その点については積極的に取り組むように関係省庁と話し合いを進める用意があるかどうか、まずその点。
  88. 江藤隆美

    江藤政府委員 御意見のとおりでありまして、十分今回の災害の教訓をもとにして、私どもは今後このようなことが起こらないように全力を尽くして努力をしてまいりたいと思います。
  89. 井上泉

    井上(泉)委員 災害対策関係については国土庁が総合的な窓口になっておるということですけれども、実際災害が起こってその後のいろいろな処置についてはほとんど各省がそれぞれのサイドでやっておるわけですが、少なくとも私は災害の窓口である国土庁災害救助法を発動し、それに基づく緊急措置ぐらいはやるようなことをなされないのか。ということは、たとえば災害救助法が発動された市町村に対する毛布とか救援物資の配付にいたしましても、これが一週間も十日もたたねば届かないという状態を考えた場合に、私はせめて災害救助法に基づくいろいろな緊急措置ぐらいは国土庁の方でやるべきじゃないか、こういうように思うのですけれども政務次官、どうですか。
  90. 江藤隆美

    江藤政府委員 御意見は、私は現場の皆さん方から見られると至極当然のことであろうと思います。しかしながら、大変残念でありますが、国土庁は余り手足を持ってないのであります。各省ともに、実は建設省でも農林省でも厚生省でも、あるいはその他の災害に関連する各省におきましてはすでに多年の経験もこれあり、また今回一部反省する面がありましたにしても今後十二分に配慮して、先ほど申し上げましたように、今後これを十分戒めとして各省が連携をし、また積極的に対策を講じていくならば、私は決していまの体制でもって不十分であるとは思っていないわけでありまして、新たに国土庁がそういう手足を持って対処することがいいのかどうかということについては、いささか疑念を持っておる次第でございます。しかし、総合調整をしていくというその使命については変わらないわけでありまして、これは当然の措置でありますから、そのためにも非常災害対策本部は国土庁に設けられるわけでありますので、御意見の点も十分踏まえまして、今後さらにこの問題については取り組んでまいりたい、このように思います。
  91. 井上泉

    井上(泉)委員 災害対策室の室長は大変御苦労なさっておるわけですけれども、たとえばそういうふうな災害救助法を発動された市町村に対する救援物資等が、発動されて幾日ぐらいたって被災者の手元に届いておると思っておりますか、御理解しておれば御答弁願いたいと思います。
  92. 山本重三

    山本説明員 実態につきましては、個々の被災地によってかなり違う状況だと思います。  それから、実際に公共団体における具体的な災害対策指導につきましては、消防庁において一元的に掌握し、指導に当たっておるというところで、私ども個々のケースについては現地視察の段階で聞く以外には知り得ないわけでございますが、たまたま昨年の高知の災害のときに、現地対策本部から救援物資を至急調達して輸送してもらえないかという要請がありまして、私どもも直ちに防衛庁と協議いたしまして輸送した例がございます。その際に、やはり物資の貯蔵地域というものが限定されておりまして、その当時は奈良県の補給処からトラック十台を連ねて自衛隊が高知に向かったということで、その時点でも一昼夜にわたって寝ずの輸送をしたのですが、やはり二日ぐらいはかかった。また、現地に入るにつきましても、実際に道路とかその他の交通事情が非常に悪い。したがって、ヘリコプター等の輸送機も使わなければならない。  そういう意味で、かなり現地では苦労して、実際に避難民の方の手に届くというのについては、個々のケースにおいてはかなりの御不満があろうと思いますが、こういった問題につきましても、私どもも今後現地の声というものをよく聞きながら、公共団体と十分打ち合わせて万全の対策を講じていきたいと思います。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、私はこれを直接所管をしております厚生省の方にお尋ねするわけですが、この災害救助法を発動されて、この物資というものが大体被災者の家庭にどれだけ日数がかかって届いておるのか、そういうことを調査したことがあるんですか。調査したことがあるとするならば、調査に基づいた資料を後日提出をしていただきたいと思います。
  94. 北村和男

    ○北村説明員 厚生省といたしましては、個々の災害の都度、災害救助法の実施状況等につきましていろいろと調査をいたしております。ただ、今回の先生お話のことにつきましてはまだ報告を受けておりませんので、後刻御連絡を申し上げたいと思っております。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 それは今回でも災害救助物資がどうなったか。昨年の五号のときの救助物資で、これは非常に恥ずかしい話ですけれども、それがまだ役場の中に忍んでおった、それでまた今度の災害のときにこれは配るんだとかいうようなことで市町村で非常に問題を起こしたところもあるわけですが、やはり救援物資というものの行方がどうなっておるのか、これは私はやはり追及をしていかないといけないと思いますが、そのことの追及が不十分だということは私は非常に残念に思うておるわけです。  それで、この十七号の災害物資がどういうふうになされたか、それはいつまでに調査をされて報告をされるのか承っておきたいと思います。およそのめどでいいですから、簡単に答えてください。
  96. 北村和男

    ○北村説明員 いつまでとここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、できるだけ早く調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 できるだけ早くということがどれだけの日数がかかるのか、私は厚生省の事務能率の状態を判断する材料にしたいと思います。  大体厚生省というところは困った方、力のない人、そういう人たちに対する施策をする窓口であります。その窓口である厚生省が非常に官僚的であるということは、その災害救助物資が幾日に届いて、幾日目には個人の手に届いたのか、それくらいの調査がなされていなければ、これは血の通った行政をやる役所とは言えないでしょう。そうではないですか。
  98. 北村和男

    ○北村説明員 おっしゃるとおりでございます。
  99. 井上泉

    井上(泉)委員 それならば、たとえば今度の災害災害援護資金の貸し付けの金でありますが、これも百八十五万未満の世帯を対象ということになっておるけれども、連年災害を受けた地域のこうした被災者に対する対策というものを考えた場合に、その災害援護資金の貸し付けということについても、これは去年借りてことしも借りる、これは同じように払えぬでしょう。去年借りて、今年も受けてまた借りるということになると、借金の上乗せ、上乗せになってくるわけですが、これに対する救済措置を考えておるのかどうかということと、そして今日百八十五万の所得から下の者でなければ借りられないということになると、これは平均的な収入の者はもう借りられない、こういうことになるでしょう。だから、百八十五万という所得制限の枠というものは、今度の個人災害被害状態から見て、二戸当たり百万円以上の被害は受けておるのだから、戸当たり百万以上の被害を受けておったら、これは二百五十万、三百万の収入のある人でも、去年も被害を受けて、そしてたくさんの金が要った、ことしもまた被害を受けてたくさん要った、そういう場合の状態から考えて、先ほど江藤政務次官が言ったように、国がそういう災害対策について誠意を持って、責任を持って対処するとするならば、こういう連年災害を受けた地域に対するこの所得制限というものについては、いわゆる特例を設けるべきではないか。それを設けることができないとするならば、その隘路はどこにあるのか。そして、連年災一害を受けた者に対する被災者救済というものについてどういう処置をなされるのか、その点を承りたいと思います。
  100. 北村和男

    ○北村説明員 お尋ねの第一点の災害援護貸付金の所得制限の緩和の問題でございますが、私どもといたしましては、現在の制度で国民の三分の二の方々には対象として貸し付けが行えることになっております。厚生省の所管いたしております各種の貸し付け制度との均衡から見まして、この程度でよかろうではないかということを考えております。  お尋ねの第二点でございますが、引き続き災害を受けました場合に対しましては、通常の場合でございますと、据え置き期間三年というのが原則でございますが、そのような場合には据え置き期間を延長いたしまして、五年間据え置くというようなことをいたしております。
  101. 井上泉

    井上(泉)委員 その普通の据え置く場合というのは、こういう連年災害を受けたところの者、百八十五万という所得制限の中でこの融資が受けられないという者については、連年のところについてはこれをどうするのかということは、やはり私は厚生省のサイドにおいても血の通った行政を進める上について、その連年災害で個人の融資を受けた者が三年を五年にすることができるというのと同じように、何らかの措置を考えるのが私は当然じゃないかと思うのですが、そう考える気持ちはないですか。被災者の気持ちはわからないのですか。
  102. 江藤隆美

    江藤政府委員 厚生省からお答えするのが適当でしょうが、この機会に私の考え方をちょっと申し上げて参考にさせていただきたいと思います。  多分百八十五万というのは課税対象で、これは収入総額ではないのではないかと思います。したがいまして、実質的に収入からいいますと、課税対象が百八十五万になれば、三百万くらいにはなるのじゃないか。その点はちょっと厚生省の説明が舌足らずではないかと思いますが、しかし、いま御意見のように、連年災を受けるということは、これはもうきわめて異常なことでありまして、そのためにはやはり何らかの措置を考えていくということが、これは政治の姿勢であろうと私は思います。いま厚生省からは事務当局が見えておるわけでありますから、そういう政治的な判断についての答弁はなかなかしにくい。実質は当然その必要性も感じ、あるいはまたいろいろな考え方はあるにいたしましても、事務当局としての答弁の制約がありますから、いま課長からその程度のことしかお答えができなくて御不満であろうと思いますが、大事なことでありますから、厚生省と大臣にもこの点は御報告をいたしまして、厚生御当局とよくこの問題について相談をするようにいたしたい、このように思います。
  103. 井上泉

    井上(泉)委員 私は非常に政務次官の言に期待を寄せて、この問題についての質問はいたしません。もう終わります、いろいろありますけれども。厚生省は、要するにそういう被災者の立場に立って問題を考えるように、問題点があったならば、局長であろうが次官であろうが大臣であろうが、ここは大臣、こうしないと無理ですよ、こうしてやるのが当然のことになりますというような意見具申をされて、りっぱな行政が進められるような条件をつくっていくというのが国の官僚としての任務だと思うわけですが、決まった枠の中で閉じこもって、からから一歩も出ようとしない、そういう姿勢の中に、救援物資が一週間たって、十日たっておくれてきておるという状態すら把握してない、そういう点に厚生省の行政全体の姿勢があると私は思います。  そこでもう一点、厚生省はやめますが、鏡ダムの関係です。これは同和問題だから厚生省もおりなさい。話は聞いていきなさい。  同和地区が今度の連年災害でずっとやられたわけです。というのは、この鏡川の右岸の方の小石木とかあるいは河ノ瀬とか、この地域の約一千世帯が昨年も水没をした。ことしは昨年よりまだ多く水没をした、こういう地域状態をつくり上げておる根本の原因というものは、この鏡川の右岸堤防というものが、従来の差別から、歴史的な差別の中で、その堤防工事がなされていなかったがために繰り返されている。そのことが県会の中でも問題になり、その点は恐らく総理府の同和対策室でも掌握しておると私は思うわけですが、この地域被災状態について、総理府の同和対策室としてはどう考えておるのか、この際、見解を承っておきたいと思います。
  104. 今泉昭雄

    ○今泉説明員 高知県下におきます災害対策につきましては、昨年の八月の五号、六号による同和地区の被害につきまして、高知県並びに被害市町村から総理府に対する要望がなされました。総理府の付属機関でございます同和対策協議会においても取り上げられまして、同対協の委員なりあるいは関係各省と合同で現地調査ども行われて、さらに同対協の場におきましても、関係省庁と地方公共団体との間でいろいろ検討を加えられまして、その結果、高知市の鏡川につきましては、本年度から建設省所管の河川激甚災害特別緊急事業として実施されるということになった経緯がございます。このような経緯からいたしまして、総理府といたしましては、この鏡川災害対策事業が早急に具体化されることを強く希望している現状でございます。
  105. 井上泉

    井上(泉)委員 いま総理府の同和対策室の室長の説明にもありますとおり、この地域の浸水を防除する最大のかなめというのは鏡川の改修にある、こういうことになるわけで、そのことは建設省もこの話には立ち会われたのですか、もう一回室長に伺います。
  106. 今泉昭雄

    ○今泉説明員 立ち会っております。
  107. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、建設省にお伺いするわけですが、そういう状態の中で昨年被害を受けた、これは大変だ、同和対策の上からもこれはどうしても早くやらなければならぬ、こういうことになっておりながら、そのことがなされていないという状態というものを認識されておると思うのです。  そこで、その対策というものを来年までにはなされるかどうか、建設省の見解を承りたいと思います。−ぼくに与えられた時間が十二時半まででありますし、同僚の先生方にも御迷惑をかけますので、私は質問を前へ進めます。  いまも農林の委員会で、鏡川の改修の立ちおくれのために——立ちおくれだけが原因ではないのですけれども、鏡川の流域の高知市の美田が水浸しになって砂れきの土地と化してしまった。この点については、先般の野田団長の災害調査団の衆議院の報告書の中にも記載されておるわけですが、鏡川の改修と耕地復旧との関係というのは相関連をしておるわけだから、鏡川の改修がなされなければ耕地復旧ができない。そこで、そのことを並行してやらなければいかぬわけですが、その点について答弁をしていただく方がいないということは非常に残念に思うわけですが、これは委員長、どう処理をしますか。
  108. 江藤隆美

    江藤政府委員 連絡が不十分で手落ちがありましたことをおわび申し上げます。  建設省、ほかの担当官がおりますから、早速よく相談して、後でまた先生の方にお答えをさせていただきます。  ただいまの河川改修と耕地復旧との関連については、今回の災害ではこれは当然起こり得る問題でありまして、全国各地にございます。したがいまして、この復旧については農林、建設、場合によってはその他の各省と相関連することが多々ございますので、国土庁としては、この点については非常に関心を持ち、また注意を払っております。したがいまして、御心配がないように、河川復旧とそうした耕地災害復旧とが相伴って行われるように、十分関係各省と連絡をとりながら進めてまいりたいと思いますので、御了承賜りたいと思います。
  109. 井上泉

    井上(泉)委員 政務次官は非常に熱心な取り組みの仕方をされるので、私は、このことについては政務次官の言を信頼するわけです。  そこで、早明浦ダムの問題についてお尋ねしたいと思います。  私は、早明浦ダムの放水量がどうであった、こうであったということをいまここで論議はいたしません。要するに早明浦ダムの放流によって被害を受けたことだけは事実である。昭和四十五年も昨年もことしも被害を受けたことは事実であるが、その被害については早明浦ダム流域の住民は泣き寝入りをせぬといかぬのか、この被害を受けたことについてはそれなりの対策を当局は立てられるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  110. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 ダム直下の災害復旧につきましては、直轄の災害復旧あるいは水公団の事業その他でいたします。また、将来ダムから放水するであろう量につきましては操作規則を定めまして、その量に対応するような河道づくりについては早急に実施いたす所存でございます。
  111. 井上泉

    井上(泉)委員 それから、その被害を受けた方については、これは国のやったことだから、放流をしてそれによって被害を受けても泣き寝入りをせぬといかぬということですか。
  112. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 御案内のように、計画放流を上回った放流がありましたが、先生御案内のように、洪水の流入量よりは少ない放水をしております。したがいまして、今後放水のための操作規則等を改正いたしまして、それに伴うような河道の仕事、その他住家の移転等を実施いたす予定でございます。
  113. 井上泉

    井上(泉)委員 下流の直下のところの住宅の移転をするとかいうこと、あるいはこれによって被害を受けた者については国の責任において処置をなされるというのですか、どうですか。
  114. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 現に若干宅地の侵食その他がございましたものにつきましては、すでに緊急復旧で原形復旧をいたしております。
  115. 井上泉

    井上(泉)委員 原形復旧をしておることもいいのです。いいけれども、これによって家財道具が流失したりいろいろ被害を受けておるでしょう。その被害を受けておる個人被害、そういうものについては、これは早明浦ダムの放流は適法に規則に基づいてやったから補償ができないと言うのですか、すると言うのですか、どっちですか。
  116. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 一般の水害と同じ扱いでございまして、若干の物品の流失等があったようでございますが、それについては補償の対象にはなりません。
  117. 井上泉

    井上(泉)委員 それはなぜならないのですか。ダムを放流しなかったなら当然防ぎ得た被害をダムのために受けたのだから、それはやはり補償という道を考えるのが当然ではないですか。現在、補償の方法がない、補償するようになっていないとしても、補償の方法については最大限に考えるべきではないかということ。  さらに、時間がありませんから続いて質問しますが、早明浦ダムのダムサイトからずっと下流の本山町付近まで、今度の放流によって護岸が決壊したり田畑が侵食されたりしたわけです。一体ダムの関連地域としてはどこら辺の地点まで護岸をやろうとされておるのか、直下地点だけですか。
  118. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 災害復旧につきましては、すべて直轄災害として取り扱う予定にいたしております。でございますから、ダムのエプロンから副ダムがございますが、そこまでがダムの関連地域でございまして、その下流護岸復旧は全部直轄災で取り扱うことになっております。  なお、先生先ほど申し上げましたとおり、ダムがないと毎秒四千七百トンの洪水が起こったわけでございます。ダムがあるために三千五百の洪水に減ったわけでございますので、その辺もひとつ十分御認識いただきたいと思います。
  119. 井上泉

    井上(泉)委員 ダムがあったことによって助かった者がたくさんある、こう言うのでしょう。たくさんあったのは不特定多数の方だから、これはそれによって恩恵を受けておると言えば言えるでしょう。しかし、直接ダムの被害を受けた方はごく少数ですから、その少数の被害を受けた方は、課長の言われるように、ダムがあったがために多数が非常に助かったということで、被害者は泣き寝入りをしなければいかぬのですか。どうですか、泣き寝入りしてもらいますか。
  120. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 結局ダムの影響区間といいますものは、先ほど申したようなわれわれ考え方をいたしております。下流で、いま先生おっしゃるような物品の流失その他があったわけでございます。これは通常河川の洪水に伴う災害という認識にあるわけでございます。
  121. 井上泉

    井上(泉)委員 そうじゃないでしょう。今度の災害でも昨年の災害でもダムの水を放流したことによって、下流は助かったわけですよ。ところが、下流は助かったけれども、ダムの直下地点から本山町に至る約十キロの間においては非常な被害を受けたのでしょう。これを普通の災害とあなたは判断されるのですか。
  122. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 早明浦ダムの高さは約百メートル強でございます。通常のダムから放水をいたしますと、大体ダム直下からせいぜいダムの高さに若干加わったぐらいの延長の中で、ダムの流水の落下エネルギーが吸収されるわけでございます。その辺につきましては、模型をつくりまして水理実験等を従来も重ねておりますし、去年以来その勉強もしておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、ダムの影響区間というのは直下一キロ全体であるとは考えておりません。ダムの本当の直下部分の副ダム周辺まで、こういうふうに考えておるわけでございます。
  123. 井上泉

    井上(泉)委員 それは大変問題ですが、委員長、堰堤の高さが百メートルであったら、その百メートルの区間がこのダムのいわゆる直下区間というか、ダムによる被害区間と、こういう判断をするのは非常に私は間違いだと思うわけですが、その点ひとつ災特で特別に煮詰めてもらいたいと思います。これはいままでのこの委員会におけるダム災害防止対策に関する論議というようなものの中にも、こういう問題もよく指摘をされておるのですから、あなた、そんなかたい頭でがんばる必要ないですよ。国民の幸せを守るために、ダムの効用を私はここに全面的に否定をしないわけです。百害あって一利なしという意見も出ております。ダムの関係地域の人たちからは。しかし、私はそのことはそのまま一〇〇%賛成するわけじゃないんですが、この、ダムの問題については、こういうダムの落下地点における、そしてダムの放水によって、異常放流をすることによって被害を受けた地域というものを、いま課長の言われるような百メートルやそこらでこれを片づけるということは大変私は残念に思うわけです。遺憾に思うわけです。間違いだと思うわけです。その点はひとつ委員会で十分審議をし、やってもらいたいと、こう思うわけですが、どうですか、委員長
  124. 兒玉末男

    兒玉委員長 ただいまの件については、でもよく協議して対処したいと思っております。  それから、井上委員質問に対して建設省がさっき答弁できなかったので、午後の再開冒頭に完全な回答をするように準備してください。
  125. 井上泉

    井上(泉)委員 私は時間を守りますが、時間が切れたと思ってほっとされたらいかぬですよ、後がありますから。
  126. 兒玉末男

    兒玉委員長 この際、午後一時まで休憩をいたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議
  127. 兒玉末男

    兒玉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を続けます。  この際申し上げます。本日は、参考人として岐阜県安八町区長会長富田初次君に御出席を願っております。  参考人には、御多用中、本委員会に御出席をいただきましてありがとうございます。  参考人の御意見は、委員の質疑を通じてお述べ願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本幸一君。
  128. 山本幸一

    山本幸一委員 富田さん、忙しいところわざわざ上京していただいて恐縮でした。どうぞ座ったままで結構です。  先般来、十七号台風による災害で、あなたを初め皆さんが大変な御心配、御労苦を重ねられたわけですが、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  私が特にあなたを参考人としてお願いしたのは、あなたが地元の堤防の付近におられるということ、それから部落の区長をおやりになっていらっしゃる。さらに、そのほかに民生委員、それから保護司、特に災害に重要な関係のあります水害予防組合の代表者である、これをおやりになっていらっしゃるわけですね。
  129. 富田初次

    ○富田参考人 はい、間違いございません。
  130. 山本幸一

    山本幸一委員 したがって、あなたを参考人として御出席をいただいたわけです。  余り時間がありませんから、私の方からそれぞれのケースについて簡潔にお尋ね申し上げますので、どうかひとつあなたの思うまま率直にお答えいただきたい、こう思うわけです。  実は、私は、災害現場に二度ほど調査に参ったわけですが、そのとき、たまたまあなたにお会いした。そうして、あなたから貴重な御意見を伺い、かつまた町長初め町当局からも同じような意見を伺ったわけであります。その結果、私も具体的に調査をいたしてみますと、どうもあなたや町当局の御意見どおり、人災論に同意せざるを得ないような心境になってきておるわけです。  そこで、ひとつそれを立証するためにあなたの御証言をお願いしたいのですが、具体的に、まず第一点として伺いますことは、何でも三年前に町当局としては農地排水路の改良工事に手をつけておった。ところが、建設省から、どうもあの堤防は弱いので、近く堤防補強工事、増強工事をやりたいと思うので、したがって排水路改良工事がむだになるおそれがある、だからしばらく待ってくれという、待ったがかかったということでありますが、その点はあなたはどういうふうに事実を御存じか、お伺いしたいと思います。
  131. 富田初次

    ○富田参考人 実は、ただいま山本先生からお話があったとおりでございますが、私は、御承知のとおりこうした公職を現在七つばかりやっておるわけでございます。最も重要と認めるのが−私の方は御承知のとおり、西は揖斐川、東が長良、木曾と三大川にはさまっておる関係で、長良川はその真ん中に現在通っておるわけでございます。何が何でもあの長良川の堤防を増築してもらいたいということを再三再四、建設省の方へ嘆願したわけでございます。それについて、あそこの改良工事についてやろうと思って、三年ほど前に実は計画ができまして、県の方へも嘆願をし、あわせて建設省へも嘆願したのですが、県の方は許可をいただきましたけれども建設省の方はちょっと待った、これは近くやるから待ってくれということで、入札までしましたけれども中止をしたわけでございます。これは事実でございます。
  132. 山本幸一

    山本幸一委員 ありがとうございます。  それでは、第二点を伺いますが、決壊した堤防の河川の内側に、一抱えもあるような大きな桑の木が林のように一面に植わっておる。この桑の木を伐採しませんと増水を助けることになる、一層増水が多くなる、したがって至急にこれを伐採してもらいたい、こういう陳情をあなた方が何回となくなすっていらっしゃるということを承っております。いっごろ、どこへ、何回ぐらい陳情なすったか、その点をお伺いしたいと思います。
  133. 富田初次

    ○富田参考人 お答えします。  今年度の四月七日でございます。中部地建における陳情をしたわけでございます。  それから六月の三日は、名古屋の文化会館において、また岐阜における会議がありまして、そこへ出席させていただきまして、そういった河川の前において三メートル、四メートルという現在の桑の木が生えて、どうしてもあれを要するに切らんとするが、非常に大洪水のためにはごみがつかえて、早く流れていかぬから、一刻も早く整理してもらいたい、こういうことをその前から絶えずお願いしておるわけでございますが、そのときもくれぐれもこれをお願いをいたしたわけでございます。  それから、六月二十五日でございますが、岐阜の華陽会館において、このとき木曾川の期成同盟がありまして、このときもこの陳情をしたわけでございます。これは間違いは絶対ございません。
  134. 山本幸一

    山本幸一委員 そのときに、建設省はどういう返事をいたしましたか。
  135. 富田初次

    ○富田参考人 建設省は、どっちかというと、なまぬるい答えですわ。これは民地だから、できるかできぬかというようなお話があって、民地でも水害で害をするということなら、これは地元としては結構、皆さんの命令によって切りますということをはっきり申し上げたわけでございます。それをどんなことでも今日まで建設省が活用して運動してくれぬわけですわ。  以上でございます。
  136. 山本幸一

    山本幸一委員 私の聞いておるのは、民地であるということと、それからいま一つは、所有者の賛成を得なければならぬ、合意を得なければならぬ、それからこれを伐採するについては補償をしなければならぬ、金がかかる、したがっていま急にはやれない、こういう御返事だったということを承っておりますが、その点間違いございませんか。
  137. 富田初次

    ○富田参考人 間違いありません。
  138. 山本幸一

    山本幸一委員 それでは、次に移りますが、先般も当委員会で私から申し上げたのですが、堤防決壊について、あなた方は、過去三年間にわたって決壊場所が非常に漏水しておった、非常な危険があるから、建設省はこれに対してぜひ堤防の増強、補強手当てをしてもらいたい、こういうことを、町初め、あなた方も参加して陳情なすった。それは何回ほどなすったのか、あるいは陳情先はどこなのか、また建設省側はどういう返事をしたのか、それを承りたいと思います。
  139. 富田初次

    ○富田参考人 お答えします。  実は木曾川上流改修としましては、出先機関があるわけですわ。名古屋の中部地建と、その次には、木曾川上流改修に対しましては、忠節に事務所がある。その出先機関としまして、私の方は下の大須というところに事務所があるわけでございます。そこへ私はちょうど七、八年前から、私、区長を三十年もやっておる関係上、皆さんが危険だからぜひ陳情しようということで、再三再四陳情したわけでございますが、御承知のとおり、建設省の役人さんは三年とみえる人はありません。実行にかかると、かわっていってしまう。それで、申し送られた方は、私知りませんと言うわけです。このくらいお願いしておるのにどういうことじゃなんと言っても、前任の所長からお受けしておりませんというようなことで、一たんお受けしてみえるけれども、二、三年すればみんなおかわりになって、実施となるとそれが逃げて回られたわけです。これがちょうどはや十四、五年前からですわ、要求しておるのが。  それで、最近になりましては、私は三年前から、根本的にあの川はガマが吹くから、六メートル五十という本川に水が出るとすれば、ガマががらがら出ます。今回でも行っていただきましたが、こんなに大きなガマがどえらいことあるのです。それが、六メートル五十の本川がふえるとガマが吹くということです。あなた方あの現地を一遍見なさいと言って何遍かくれぐれもお願いしても、そういうことは調査します、やりますと雷って、逃げ道をいままでつくったわけでございます。  以上でございます。
  140. 山本幸一

    山本幸一委員 これと関連して、富田さん、何か当日の決壊の前に、建設省の係官が立ち会いで堤防の下部を調べてみた。調べるについては、一メートルほどある草を全部刈り取って、よく調査をしてみたら水漏れが確実にあった。それからいま一つは、本川の水が堤防の下をくぐってどんどん流れておった。そういう点が明らかになった。こういうことを町役場は証言しておりますが、この点、それに間違いございませんか。
  141. 富田初次

    ○富田参考人 あれはちょうど午前十時二十八分に切れたわけでございます。そのときに、建設省の職員の方が二人も現場に見えて、あの人たちから、こうやってくれ、ああやってくれという指導を受けたわけです。それで、地元としては指導を受けた関係上そこを刈らなくてはいかぬ。私の方は、オナゴダケというちょうど二メートルぐらいの竹がいっぱい生えておるわけです。それで、その下の危険なところを刈ったらどうだ、刈ってくれという命令が来たわけです。それで、十五、六分かかって家へ行って、機械で刈ったわけです。それがちょうど時間で言いますと午前六時三十分ぐらいです。それを刈ったら、もうちょうど一メトールぐらいずっと亀裂が三段階に入っておる。これだけばかりの穴があいておったわけです。そうしたら、中から砂のどろがどうどうと流れておるということです。これではいけないというので、建設省に、ああやってくれ、こうやってくれという指導を受けて、そこで若干のくいも打ち、トタンもはめてやっておったのです。それが、ちょうど午前十時二十八分でしたが、すぽんと一番下から抜けた。さあどうしようもないがために、とうとうあれは決壊したわけでございます。これは間違いありません。
  142. 山本幸一

    山本幸一委員 それでは、余り時間がありませんから、もう一つだけお伺いしたいと思います。  私も現場を見てみたのですが、決壊した個所に大きな池があります。どうもその池は、堤外、堤内にわたってかなり大きな池らしい。原形が残っておりますね。この池の真ん中を築堤しておるわけですね。百年さきだか八十年さきだか、築堤している。現場を見てみると、池の埋め立てが必ずしも完全でない。しかも、決壊した跡をつぶさに見ると、ほとんど砂である。築堤に最も必要な粘度性が余りない。これが漏水をしたり、あるいは堤防の底を水が流れたりした大きな原因じゃないか。こういういろいろな要素が重なって、いわばC堤防Ilあなたも御承知のようにA、B、Cの堤防があります。Aは一番危険、Bは次に危険、Cは絶対大丈夫だ、絶対完全な堤防だ、こう言っておったC堤防が切れたわけですね。その要因が、どうもそこらにある。水漏れ、それから桑の木、それからいま言った築堤当時の不始末、この辺にあると私は感じたのですが、あなたはどういうふうにごらんいただけるのか、お答えを願いたいと思います。
  143. 富田初次

    ○富田参考人 ただいま先生からお話がありましたそれ以上のことを申し上げますが、昔の方に承ると、あれは二百年前、薩摩義士がおやりになった直後らしいです。あそこの堤防が切れまして、あそこに二町くらいの大きな池があったわけです。それで堤防を真ん中にずっとつくったということです。そのときに堤内部分だけは、現在池が約三反ばかりあります。その下に排水池がある。そこの約百メートル以南に森部輪中の排水機が設置してあるわけです。堤外の方は、御承知でございますけれども、犀川を掘るときに、どろで仕方がなくて建設省が無料で埋めたわけです。東面の堤外の河川敷に対しましては、そういうふうな危険な砂で埋めてあるということです。堤防も、御承知のとおり決壊すればわかりますが、砂ばかりです。その辺に、要するにずさんな工事の原因があったろうと思っております。  それから、もう一つつけ加えて申しますが、建設省は責任感がない。私の方は長良川でも第二部でございます。墨俣から下の大須間が第二部の管区になっておりますが、一日に二回ずつ回っておるのです。雨が降ったというとハイヤーで二回回る。天気がいいとオートバイで回る。下の方には草もあるけれども、ちっとも刈らへんです。ちっとも見ずに、もったいない、月に二十万も出すような月給取りがあそこの半分だけをずるずる回っておる。下の方を回ることは一回もない。これは私が保証します。今度決壊したところは、草刈れと言って、建設省が刈るものを地元の者に刈らしたら、一メートル間隔に三段ずっとこんなに亀裂が切れている。これは危ないと言っておったら、その前から周囲が漏水をしておったということです。建設省の不始末なことは、本当に私はここで皆さんに申し上げますが、何とも責任のないことで、地元としては余り喜んでおりません。  以上でございます。
  144. 山本幸一

    山本幸一委員 私のお尋ねしようとするのは、いま申し上げた五点でございますが、参考人としてそれ以外に証言がしたい、意見、が述べたいという事項があれば、委員長のお取り計らいで後ほど適当に時間を与えていただければ幸いだと思います。  ここで私は建設省に要望しておきます。  先般は、大臣との間にそれぞれ質疑応答をやって、かなり明らかになってきましたが、今度もまた、この参考人の御意見によってかなり明確になったと思います。したがって、これは町長初め町民全体が、天災でなく人災である、いわば政治災である、こういう意見であるということで、私はその要素がかなり強いと思います。ですから、建設省側は、大臣でない人が来られても別に答弁をもらおうと思わぬが、よくひとつ耳にしていただきたい。  参考人の証言は大変貴重である。したがって、この参考人の貴重な意見を重視して、今後堤防建設は慎重に検討すべきである。これが第一点です。  それから第二点は、先般の六日の委員会で私が申し上げましたとおり、長良川本堤の建設をいまやっております。この建設に当たって当面特に必要なことは——それはしゅんせつだとかいろいろ問題がありますけれども、一番必要なことは、何といっても完全な護岸工事ですね。言うならば、鋼矢板を打ち込んでコンクリートブロックによる護岸工事をやる、これが一番緊急な課題だと思うのです。したがって、今度の復旧に際しては、これをぜひ手落ちなくやってもらいたい。  三点は、先ほど申し上げたように、長良川堤防にA、B、Cの区別がありますが、建設省が誇る最も強靭な堤防Cが今回決壊したわけであります。最も強靱を誇るCが決壊したのですから、A、Bはなお危険だということはもう論ずるまでもない。しかも、長良川と揖斐川の堤防は、省の発表によっても、危険個所が数十カ所以上ある、こういう発表を新聞でいたしております。数十カ所の危険個所があるということは、もう全部が危険である、こう見て差し支えないのでありますから、したがって、私が先般も要求したように、完全な護岸工事をコンクリブロックでやる、この決意をぜひ建設省は固めてもらわなければならない。私は先般、護岸工事一メーター幾らぐらいかかるか、こう質問したところが、四、五年前に五万円程度であったという答弁がありました。しかし、その後私もいろいろ調べてみたら、現在で二十万円ちょっとでできるそうです、一メーターが。そういたしますと、たとえば長良川の両面の護岸工事をやっても、岐阜市の上流から下流に至る間は二十五キロから、よほどあっても三十キロ足らずである。したがって、両津合わせて五十キロか六十キロである。でありますから、二十万円かかったとしても百億ちょっと頭を出す程度で完全護岸工事ができるはずです。今度の被害は安八、墨俣、あの辺一帯だけで一千億近いと言われております。その被害を考えるなら、十分の一で護岸工事ができるはずですね。したがって、それに建設省側は十分な決意をしていただきたい、こういうことが第三点であります。  それから第四点は、参考人の供述によってお聞きのとおり、どうも建設省地元住民の意見を無視しておる、この点が明らかになりました。したがって、今後は地元住民の意見、要望に耳を傾ける、必要なものはどんどんこれを取り上げて実行する、こういう姿勢をもって当たっていただきたい。  それから第五点は、私は専門家ではありませんけれども、公共事業費に占める治水の予算はわずか五%、これは問題になりませんよ。この間申し上げたように、道路や橋、いわゆる選挙運動に票になるもの、目立つものはどんどんやりますが、じみで選挙運動に余り効果のないような治水治山問題は常に放てきされ、後回しになっておる、これは許されぬことです。したがって、この際、少なくとも治水予算というものを増額する、これは建設省のみならず本委員会においても恐らくその点についてはバックアップをしてくれるだろうと私は確信を持っておりますから、建設省はその姿勢を貫いてもらいたい。  それから第六点は、先般時間がなかったから申し上げませんでしたが、今度の八十時間近い雨量によって何十カ所の中小河川がはんらんしております。これは大変な被害です。堤防が切れたという大騒ぎに隠れて、実は悲惨な被害がたくさん出ておる、こういう事実は見逃すことができぬわけですね。それを端的に申し上げますと、行政がばらばらだということです。ばらばら行政、言うならば土地改良や団地住宅の造成、それといわば排水あるいは改修、そういうものが全然なされていない。ばらばらでやられておる。どんどん土地改良をやる、あるいは住宅団地をつくる、しかし排水計画やあるいは改修計画が全然ついていってない、ここに私は小河川はんらんの最大なゆえんがあると思うから、したがって今後は計画的に一体化するような行政をやってもらわなければいけない、これをぜひ私は要望申し上げておきます。  特に委員長並びに当委員会におきましても、小委員会が持たれるそうでございますが、ぜひ私が要望したような点を十分御検討いただいて、建設省のしりをたたいて、今度こそは過ちのないような実行をぜひおやりいただきたい、このことを特に私は強調し、またお願いを申し上げるわけでございます。どうかひとつそういう意味において、当委員会もぜひ情熱を傾けて御努力いただきたいことを心からお願いを申し上げます。  このほかに、参考人としてこの際言っておきたいというようなことがございましたならば、遠慮なくおっしゃっていただいて結構だと思います。委員長の御配慮をいただきたいと思います。
  145. 兒玉末男

    兒玉委員長 どうぞ富田参考人。
  146. 富田初次

    ○富田参考人 それでは、皆さんにお願いいたします。  事故ができたということはどこに欠点があったかと言えば、建設省に欠点があったわけです。家財道具から何かの損害が一戸平均で五百万としたって、何百万という損害をこうむったわけですわ。恐らく十年たっても私は家財道具はもうだめと思っておりますが、もうあなた、機械器具は全部今度やっぱり全滅ですよ。ラジオでもテレビでも一切全滅ですわ。畳は何千畳、何万畳という畳が全部ほかってしまった。聞いていただけばわかりますが、ほかってしまった。どうぞこれにつきまして皆さんにお願いしたいことは、できたことは仕方ないから、これから今後一層皆さんに御協力賜りたいことを私、この席からお願いするわけでございます。どうかひとつよろしくお願いいたします。(拍手)
  147. 山本幸一

    山本幸一委員 ありがとうございました。
  148. 兒玉末男

    兒玉委員長 参考人には、本日は大変御苦労さまでした。退席していただいて結構でございます。
  149. 兒玉末男

    兒玉委員長 先ほど井上委員の質疑に関連して、井沢防災課長より発言を求められておりますので、これを許します。井沢防災課長
  150. 井沢健二

    ○井沢説明員 鏡川の下流の地域のことでございますが、この先ほどお話しの同和地域に関連いたします地区につきましては、ことしの水害の状況にかんがみまして、中小河川の激特事業の中に繰り入れることにいたしております。したがいまして、これは五、六年ぐらいの間にこの地区全体が完成するということになろうかと思います。  参考までに申し上げますと、こういうふうな大被害が起きますと、改良復旧のやり方といたしましては、まず一定災で物を考えてみるというふうなことにいたします。そういたしますと、一定災で考えますから、公共被害が大体八割程度あるというふうなことでございますので、もしもその八割程度に満たないというふうな場合でございますと、その次には助成事業あるいは関連事業というふうなことで考えてみるわけでございます。そういたしますと、それは半分ぐらいでございますから、半分ぐらいあればそういうもので大体できるというふうなことになろうかと思いますが、いわゆる公共施設被害がなくて一般被害が非常に大きいというふうな場合に、この激特事業というものをその次に考えてまいるというふうなことになるわけでございまして、この地区では、この下流部は昨年非常にあふれまして、公共施設災害が余りなかったというふうなことで激特事業が考えられております。ことしはまた、そのことしの結果にかんがみまして、それをまた延長するという形になっております。  この鏡川の激特事業の少し上の分につきましては、現在、助成事業でできるかどうか検討いたしております。
  151. 兒玉末男

    兒玉委員長 栗田翠君。
  152. 栗田翠

    栗田委員 私は、地震対策について質問させていただきます。  遠州灘沖地震が問題になりましてから、二年前から東海地方は地震の観測強化地域指定されておりますが、最近、この遠州灘沖地震よりももっと陸寄りに震源地があるのではないかというような学説も出始めました。場合によっては、すっぽり駿河湾内が震源地になって、静岡市、清水市など都市部を初め駿河湾周辺からその他、マグニチュード八ぐらいの地震がいまにでも起こるかもしれないという説が出ております。たしかきょうも午前中学会で、東大の石橋助手がこの学説の発表をしているはずでございます。  さて、この説の評価については、これからいろいろと研究もされ、固められてくるものと思いますけれども、とにかく、遠州灘沖にせよ駿河湾にせよ、マグニチュード八ぐらいの地震が起こった場合には、その被害の範囲は一体どの辺まで及ぶものかということと、それから、どんな災害が予想されるかということですが、まずその点を伺いたいと思います。
  153. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げたいと思います。  地震の被害想定をするのには、常識的に申しますと、マグニチュードの問題、夜、昼のいかんの問題、それから震源の深さの問題等々、いろいろ諸元を入れまして物を考えるようなことに相なっておるようでございます。ところが、われわれがいま持っておりますデータといたしましては、残念ながら、消防審議会が、南関東において起こった場合はどういう被害想定ができるかという諸元を建議されているものがあるわけですが、それしか持っていないわけでございまして、かつそれも、最近いろいろ相談いたしてみますと、もう大分古くなっておるというので、現代的ではないということでございます。  国、静岡県ともども心配いたしておるところでございますが、われわれといたしましては、対策といたしましては、通常、相当な災害が起こるであろうということを念頭に置きまして、南関東地域地方公共団体の中に特に静岡県もお入りいただきましていろいろ善後措置等を検討しておるのが、ただいま現在の実情でございます。
  154. 栗田翠

    栗田委員 対策もおくれてるばかりでなく、被害の予想についての研究も大変おくれているような御答弁でございます。  第一にそこが問題になると思いますが、何といいましても、この駿河湾周辺というのは、東海道メガロポリス、いわば工業地帯でもありますし、また静岡市、清水市などは人口四十四万、二十四万というようなところですから、かなり大きな都市です。東海道新幹線、東海道線、国道一号線も全部通っている地域ですし、地震学の権威である力武常次先生がこの問題などに触れておられますが、もしこの地域で巨大地震が起きたならば東海沿岸は壊滅的な被害を受けるだろう、こういうこともかねがね警告しておられるわけでして、しかも相当広い範囲にこの被害は及ぶだろう、多分静岡県一県ではないだろうと私は思うのです。  そういう点では、大変対策がおくれているということがまず問題だと思いますが、この予想される大地震に備えて国がいままでとってこられた対策はどんなものがあるでしょうか。
  155. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  地震につきましては、御存じいただいておりますとおりに、国の役所にいたしましても、行政各省にまたがっていろいろな対策を講じなければいかぬという問題がございます。  それで、まずわれわれがいま一生懸命にやっておりますのが、関係の十八省庁から成ります大都市震災対策連絡会議というのを国土庁に設けさせていただきまして、関係各省の御協力を得つつ、問題点のある六つの分科会に分かれまして、その中身は、何を検討しているかと申しますと、中央防災会議で大都市震災対策要綱というのを、あり方論を決めていただいております。その具体化について、ただいま十八省庁の御協力を得て逐一勉強をいたしてまいっておるというのが、ただいま現在の実情でございます。
  156. 栗田翠

    栗田委員 ずいぶん対策がこれからのようなお話で困るのですけれども、実はここ数日出されましたいろいろな新聞報道などを見ましても、また国会でも東大の浅田教授などが答弁しておられますけれども、この地震はあす起きても不思議ではないというぐらいに切迫しているわけです。しかも、それ以外のデータでも、最近、遠州灘岩盤に異常なひずみが出ているということがひずみ計などではかられてきていて、このひずみが本当に岩盤のひずみであれば、二十カ月か三十カ月以内が要注意ということもあり得るということを言っているわけですね。そのときに、いま御答弁のような状態では全く困るのですね。これではどうしようもないと私たち思います。  それで、特に私なども心配しておりますのは、地震の予知もさることながら一もちろん予知はしていただかなければなりませんが、その防災対策ですね。それも被害が起きてしまってからけが人をどうするとか火事をどうするとかという防災対策だけでなくて、被害をなるべく少なく、けが人もなるべく少なくしていく防災対策、こんなのはどんなふうにやっていらっしゃるでしょうか。
  157. 永井浤輔

    ○永井説明員 大震災対策といたしましては、御承知のとおり私ども大体二つに分けて考えているのでございますが、第一次災害というのが、いわゆる地震による倒壊等による被害でございます。二次災害というのが、火災によって非常に災害が増幅されます。これは関東大地震の例を見てもおわかりだろうと思いますが、こういった二つに分けまして、第一の都市の耐震性、これは長期的に都市構造の耐震性を高めるというようなことから推進していく必要があろうかと思いますが、第二次災害、要するに火災が起こらなければ災害そのものはある程度抑えられるのではないか、火災があることによって被害が何十倍も大きくなっていくということに私ども非常に注意をいたしまして、消防庁といたしましては、具体的に、出火防止、それから火が出てもすぐ消す初期消火、それでもとまらなかったらさらに延焼を阻止する、それで最後にどうしようもなくなってから身体を安全に避難させる、こういった段階を踏まえて対策をいろいろ講じているわけでございます。  こういったことを踏まえながら、地方団体に対しましても、地域防災計画を総合的に策定いたしまして、さらに出火防止等の知識の啓発あるいは震災を踏まえた防災訓練の実施、こういうものを積極的に行うように指導いたしている次第でございます。
  158. 栗田翠

    栗田委員 指導していらっしゃると言いますが、それじゃ伺いますけれども防災対策予算というのは、いま国はどのくらいとっていらっしゃいますか、地震での防災対策予算。
  159. 佐藤徳太郎

    ○佐藤説明員 先生指摘のとおり、地震対策関係は、生命、財産に大変関係する事柄でございますので、予算についてもそれぞれ充実を図ってきているところでございますが、問題が各省庁にかなり多岐にわたっております。  簡単に大項目だけで申し上げますと、まず地震予知対策ということで五十一年度予算におきまして、各省通じまして二十三億一千二百万円というものを計上しております。それから、震災に対する各種の調査研究ということで、これも各省通じまして十八億二千七百万円、それから防災施設の整備の面では、地震が発生した場合の直接の防護施設でありますとか、あるいは公園でございますとか市街地の再開発でございますとかいうような防災的な施設の整備それから国土保全費というようなことで、全体の事業費が三千五百三十九億円、五十一年度予算で計上してございます。そのほかに応急の災害救助費でございますとか地震の再保険の特別会計の再保険金等も含めまして百十億四千二百万円ということになっておりまして、合計いたしますと、五十一年度予算で地震対策関係予算額は三千六百九十一億一千八百万円ということになってございます。
  160. 栗田翠

    栗田委員 いま住民が一番心配しているのは、まず逃げ場所ですね。やはり地震が起きた場合に、安全に逃げられる広場が欲しいということ、それからまたそこへ行くまでの通路が問題になるわけです。幾ら逃げる場所、どこかに広場があっても、そこへ行くまでの道が危なかったらとても逃げられない。それから、地盤が不安定だったら逃げられない、こういうことが大変問題になっているわけです。  それで、先日も伊豆の地震が問題になりまして、伊豆のあたりでは地震の研究というのも住民の中でもかなり始まっておりますけれども、その対策を話し合う懇談会に六十人ぐらい集まられたそうですね。そこへ町長も出てこられ、町会の議長も出てこられたようなんですけれども、下田だけで六十カ所広場がつくってあると町長が言っているそうです。それでは、その六十カ所がどこにあるかといったならば、集まった住民の方はだれも知らないんだそうですね。だから、いろいろ防災対策といいますけれども、、本当にそれが使えて、そしてそこに行くまでが安全であるかとか、そういうことまでが徹底していなければいけないわけなんです。そういう対策から何から全部が必要になってくるわけです。  私いろいろ資料も取り寄せまして調べてみましたけれども、主に消防庁、国土庁はそういうことにつきまして通達という形での指導をやっていらっしゃるようですね。この問題で伺いますけれども、もし国土庁や消防庁が通達として出しておられるような防災対策、これを各自治体が指導どおりにやった場合に、一体どのくらい予算がかかるものかということです。漠然と伺っても無理だと思いますけれども、たとえば人口百万前後の政令都市というとかなり都会になりますが、そんなところでどのくらいかかるものでしょうか。
  161. 永井浤輔

    ○永井説明員 現在、地域防災計画で、あるいは市町村独自で各都市の避難場所を設定して指定している場合には、既存の緑地とか空地とかそういうものを指定しているわけでございまして、具体的にその指定について特に費用はかからないかと思います。ただ、計画的に大きな土地を取得してそれを形成しようといたしますれば、これは改めて都市計画施設等としてまた別途の事業費がかかろうかと思いますが、現在指定しているそのものについては、特に指定それ自体については経費はかからないかと思います。  先ほどお話がございましたそういった避難地あるいは避難路の安全を確保するため、私ども消防庁といたしましては、大都市圏におきましてそういう避難路、避難地を確保するために、耐震性貯水槽であるとか可搬式動力ポンプ設置するために補助金を交付しているような次第でございます。
  162. 栗田翠

    栗田委員 余りお金がかからないとおっしゃるのですけれども、これは机上プランだったらそうかもしれませんが、実際に自分たちが地震の真上に住むというつもりで、本当に命の安全を保っていくためにどうしていくかという立場で考えていきますと、既存の緑地帯を指定して、それで緑地帯のないところはどうするか。学校に広場がある、そこへ行けと言われても、行くまでの道をどうするか、こうなってきますから、大変大きな問題が出てくるわけです。それで、学校といったってかなり遠い場合もありますし、相当ひどい地震が起きたら学校まで逃げられないとか、こういうことがいろいろ出てくるのです。  私、調べまして、いま全国の地震対策で比較的努力しているところといいますと、直下型地震の問題になった川崎市がありますけれども、ここがいま市の財政で三十億の予算を組んでおります。これは川崎の市当局が言っている話でも、本当に緊急対策だけで組んでいるのだけれども、この緊急対策だけでも川崎市一市で実際に必要なものを計上していくと一兆円かかると言っております。あそこはコンビナートもありますし、そういう意味で特に危険地帯でもあるわけですけれども、それにしましても市が三十億の予算を組んでいるのはずいぶんたくさん組んでいると私は思いますが、それでも必要な対策費の〇・三%にしかすぎない。もうこれ以上市としては負担はできないしということが切実な声になっているわけですね。余りお金がかからないとおっしゃるのが、実際どういうことなのか。本当に被害を少なくして人命の安全を保っていくという立場から言ってみたら、その計算というのはずいぶん甘いものだと私は思うのです。  それで、こういう立場で考えていきますと、いま静岡県などが、符に遠州灘沖にせよ駿河湾地震にせよ大きな問題になりますけれども、五十一年度地震対策予算では十六万しか組んでないですね。そして、この九月補正予算を組みまして一挙に六千五百万つけました。しかし、この六千五百万も予備費五千万が入っておりますから、具体的なものは千五百万、そして貯水槽なんというのも壊れる可能性もある、むしろろ過器、ろ過装置をたくさんつくる、そういうことをやっておりますけれども、まだまだ川崎市に比べたらこれは非常に少ないわけです。皆さん方が指示していらっしゃるような計画を本気で実施していった場合にはとても膨大な予算がかかるというのが私たちの計算でございます。  それから、実際に地震の起きたところで言いますと、先日、伊豆の河津町に地震が起きました。あそこは小さな町、小さな範囲での地震だったんですが、ここでさえも被害が三億なんですね。この被害は直接的な被害で、旅館のキャンセル料だとかそういうものは全然入れずに三億、この町全体の一年間の予算が十二億ですから、その二五%に当たるような被害を受けるわけです。  こうして考えていきますと、防災ということは非常に大切になって、しかもそれにかかる予算は、本気でやっていったら膨大なものになるのではないかと思うのです。で、さっき伺いましても、火災対策の予算というのは組んでありますけれども、あと施設、公園というようなものの土地の買収費なんかも入っておりますが、それ以外、市町村に指示していらっしゃるようないろいろな防災対策で実際に国として余りお金が出ていないと思いますが、いかがですか。この点でもっと国は直接的な、県、市町村が具体的な防災体制をつくってきた場合に、必要なものについては補助金を出される制度などつくられる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  163. 永井浤輔

    ○永井説明員 地域防災計画で震災対策計画をいろいろつくっておりますが、その地域防災計画の中にはいわゆる予防対策であるとか防災施設設置であるとか、さらに大きな点は関係行政機関の防災活動の総合調整というような点を定めているわけでございますが、こういった防災施設事業として達成する場合に幾らかかるか、こういうことはそれぞれの地域の実情に応じて防災計画で定めていることでございまして、具体的にどの地方団体が幾らかかるということは即座にお答え申し上げるわけにいきませんが、やはりそれぞれ地方団体におきましては防災計画に基づいてあるいはその防災施設設置する場合、いろいろな他の事業で行うのが通常でございます。たとえば、都市計画であれば都市計画事業として行うし、河川の改修であれば河川改修、あるいは海岸であれば海岸改修事業、そういったいろいろな事業で行っておりまして、それぞれの国費がそれぞれの補助率に応じて支出されていることでございまして、それぞれの地方公共団体におきましては、そういった防災施設につきまして各地方団体の財源見通しに応じて計画的にそれを整備していく、こういうことになろうかと思います。
  164. 栗田翠

    栗田委員 地震というのは急に起こります。しかも、全国平均的に起こるのではなくて、起こりそうなところにがあっと起こるわけです。そうすると、地震の対策というのはやはり緊急に、重点的にやらなければならない、私、これが特徴だと思うのですよ。いまのお答えですと、各市町村がそれぞれその市町村の予算の範囲内でやっていくとおっしゃるけれども、それは一般的にはそうかもしれませんけれども、いまのようにあすにも起こるかもしれないと言われているときに、そんなことをおっしゃっていたら、あなたの真下じゃ地震が起こらないから安心かもしれないけれども、私たちなんというのはどうしようもない。いま静岡市民なんかは大変なんです。最近、乾パンが売れて、かん詰めが売れて、防空ずきんみたいな昔のものがどんどん売れ始めた、こういうふうになっているときに国がそんなことを言っていらしたのでは、これはもうみんな不信を持ちますね。  私が言っていますのは、緊急に、重点的に必要なこういう防災対策をするのに、いまの状態ではとても足りない以上、重点的にやはり予算を取らなければならないし、それは一つの県、一つの市町村ではとてもやり切れないのではないかと言っているんです。そうお思いになりませんか。
  165. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  いま御意見をお聞きさしていただいておったわけでございますが、まず私ら国の関係者が相集まって相談いたしておりますのは、体制からしてみずから地域団体で、災害対策基本法自身もそういう形に相なっておるわけでございますが、地方公共団体、いわゆる県、市町村、こういう団体が中心になっていただきまして、そういう体制を固めていく。ところが、なかなかわれわれのところではこういうことには手が回りにくい、そういうニードを私らは幾らかお聞きしょうというので、南関東につきましては、千葉、東京、埼玉、静岡県まで、この沿岸部でございますが、お集まりいただきまして、国に対してやっていくのにどういうニードがございますかというふうなことから最近取り組んでおるのが実情でございまして、これからいろいろ研究さしていただきたい、かように思っております。
  166. 栗田翠

    栗田委員 これから研究してくださるんだそうですけれども、あしたにも起こるかもしれないと言っていまして、これは急いで研究し、急いで決断していただかなければならないわけですね。いま、災害対策基本法も地方がやることになっておりましてとおっしゃるけれども、だから私、申し上げているわけですね。基本法がそうだからそれでいいということではなくて、それで間に合わなければ基本法を改正しなければならないわけです。実際に、川崎の例を挙げても、一つの市が三十億組んでも市として必要だと思われる防災体制の〇・三%しか組めないという例を私は申し上げたわけなんです。昔の関東大震災の起きたころに比べて、地方の都市でももっともっと過密化して、コンビナートもある状態なんですから、あの当時の被害より大変な被害が予想されるわけで、それを未然に防止する努力をするのは政府の責任だと思うのです。そういうことで申し上げているんです。ですから、重点的に緊急にやっていく必要性と、そのときにもし県や市町村がとても予算的にやり切れないときには、国としては補助をする必要があるのではないでしょうか、そのお考えを伺っているんです。  時間がありませんので、簡潔にお願いします。
  167. 紀埜孝典

    紀埜説明員 簡潔に申し上げます。  たとえば、いま川崎の例が出てまいったわけでございますが、去年でございますが、金丸国土庁長官が川崎の視察に行かれまして、どうしても石油コンビナートの関係では、あそこに大きい緩衝地帯をこしらえなければいかぬというので、ただいま現在、関係の方でいろいろどういうふうにすればいいかというふうなことの御相談をしていただいておるようでございます。ニード、ニードにより対処さしていただきたい、かように思っております。
  168. 栗田翠

    栗田委員 それでは、たとえば、県からこれこれのものが必要でこれしかできないけれども、何とかしてほしいと言ってきた場合には、それはお考えになる、前向きの姿勢でやってくださるわけですね。
  169. 紀埜孝典

    紀埜説明員 事の軽重、それから私たちも——私たちといいますのは事業庁であります官庁も含めまして、財務当局等ともまとめまとめして、仕事は進めていくことになっておりますので、言ったからすぐはね返るということはいろいろの相談を積まなければいけませんので、そういうタイミングでやらさせていただきたいと思います。
  170. 栗田翠

    栗田委員 きょうは私、大臣が出ていらっしゃらないのは大変残念なんですけれども、そういうお答えにしかならないわけですよね。実際には、やはり地震というような急に起こるものについて、前向きの積極的な姿勢でぜひともやっていただきたい、これを申し上げておきます。  それから、引き続きまして駿河湾地震、また遠州灘沖地震ですけれども、こういうものが起こる可能性というのがすでに言われていますけれども、観測強化地域にこの地域がなって以来、国はどんなことをしてこられましたか、その辺を伺いたいと思います。
  171. 久武啓祐

    久武説明員 東海地域は、昭和四十九年の二月に観測強化地域に……
  172. 栗田翠

    栗田委員 簡潔にお願いします。  やってくださったことだけで結構です。もう時間ありませんから。
  173. 久武啓祐

    久武説明員 それでは、具体的に申し上げます。  気象庁で渥美半島の伊良湖、静岡県三ケ日、御前崎、静岡市、石廊崎の五カ所において体積ひずみ計を設置し、地殻ひずみの連続観測を行っております。  そのほか、御前崎におきまして特別研究促進調整費によりまして設置された傾斜計、地震計により観測を行っております。  国土地理院におきましては、同じく昭和四十八年度の特別研究促進調整量を用いまして地殻水平変動測量のための観測塔を坂部村、高草山、横岡、御前崎の四地点に建設いたしまして、それを用いまして測量を行いました。その後再びこの観測塔を用いまして昭和五十年に測量を行っております。その二回の測量の差によりまして、その間の変動量を測定しております。  そのほか、御前崎を中心とする地盤の上下変動の測定のための水準測量を昭和五十一年六月に実施しております。前回、昭和四十八年に実施しておりますので、その差によりまして地盤の上下変動を測定しております。  国立大学におきましては、東京大学、名古屋大学等において、それぞれ富士川、三河において微小地震の観測、地殻変動観測等を行っております。  このほか、現在、気象庁では御前崎沖に海底地震計を設置し、地震の常時観測を行うことを計画しております。  以上が具体的な観測施設の内容でございます。
  174. 栗田翠

    栗田委員 御前崎沖の地震計も何か二年くらいかかるというお話ですけれども、こういうのはぜひとも速度を速めていただきたい。  で、もう一つ伺いますが、東大の浅田教授が地震の予知、防災体制の一元化ということをしきりに言っておられます。先日は静岡県知事とも話し合われて、県知事もそういうことをするならば土地なりなんなり幾らでも提供するということをおっしゃっておりまして、東海地区地震予防防災センターのような機能を果たすものをつくりたいということを浅田教授は力説しておられます。実際地震問題では各省庁ずいぶんたくさんのところが関係していて、いろいろ伺いますと、かなりあっちこっちでやっていらしゃいますけれども、本当に短期の予報をするというところがないのですね。そういうことですぐに中国のような状態にいまなるかどうかは別として、一刻も早く、そうして起こるから避難せよといったようなこととか、防災対策までできるような、そういう一元的なセンターというのはぜひとも必要だと思いますが、それについてのお考えをお伺いします。
  175. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、地震の予知関係につきましては多くの機関が関連いたしておりますので、御承知かと思いますが、現在そのデータの判断につきましては、国土地理院に地震予知連絡会というものが設けられまして、専門的な御判断がされております。その地震予知連絡会におきまして御判断が出まして、必要な観測等についてのお申し出がございますと、政府部内でつくっております地震予知研究推進連絡会議というところで関係各省庁相談いたしまして、その観測網を充実するということをいたしております。  特に緊急な必要があります場合には、私ども科学技術庁が持っております特別研究促進調整費というものを緊急に支出して観測を強化するということもいたしております。  ただ、御指摘のように、こういった予知研究、さらにこの防災体制等を含めました一元的機関というものにつきましては、先般、参議院の予算委員会等においても御議論がございまして、これは各省庁と十分御相談して進めていかなければいかぬものと考えております。
  176. 栗田翠

    栗田委員 最後にもう一つ伺いますが、清水市の東亜燃料の増設問題が以前から問題になっていまして、私も商工委員会などで幾度も質問をしております。ことしの五月にも質問主意書を出しまして、通産省からも慎重に検討する所存だというお答えをいただいておりますけれども、あの地域は石油タンクが林立している現状の中で、しかも都市に大変近くて駅から百五十メートル、しかも埋立地、こういう中で津波の危険もあるということも浅田教授は以前に参考人としておいでくださったときにおっしゃっております。こういうところで、いまのようなますます駿河湾での地震の危険性というのが強くなっているときにこういうものを増設するということは実に危険だと思いますが、慎重に、その安全のために増設などもやめていくという方向で考えていただきたいと思います。その点でいかがでしょうか、住民の安全を第一にお考えいただけますか。
  177. 山中正美

    ○山中説明員 先生も再々御質問いただきまして、私ども、長官からもお答えいたしておるとおりでございますけれども先生承知のとおり、現在、石油施設全体が非常に低稼働率になっておるものでございますから、新しく石油精製施設設置するということもケースとして余り考えられないわけでございます。東燃清水につきましても、現在、一応石油ショックの前に石油審議会から御答申いただいておるところでございますけれども、なお通産省といたしましては地元の意向を十分に尊重いたしまして今後の方針としていきたい、こういうように考えております。
  178. 栗田翠

    栗田委員 それでは、時間がありませんので、終わります。  建設省などいらしていただいて伺わなかったところがありますが、申しわけありませんでした。
  179. 兒玉末男

  180. 山田太郎

    山田(太)委員 本日の閣議で、このたびの雨前線豪雨と台風十七号などに対しまして、激甚災の決定がなされたようでありますが、すでに各関係省庁がその被害対策に着手していることは十分承知しております。しかし、私が三日間にわたり地元現地等を調査してその実情を目の当たりに見ましたときに、一分でも一秒でもu早く、しかも適確な完全改良復旧がなされなければならない現状であることは論をまちません。激甚災の決定を基礎に被災者の方々の立場に立った対策が、より早く、より適確に実施されるようまず強く要請いたしましてから質問に入りたいと思います。  なお、先月十七日でございましたか、建設大臣を初め各省あるいは庁、局に私自身も出向いて意見と要望をしてまいっておりますので、本日は具体的問題を少々取り上げて質問を行いたいと思います。  なお、きょうは関係大臣は参議院の方へ出向いていらっしゃるということで、その点、きょうおいでの答弁側の方々はやりにくい面があるかもしれませんが、しかし誠実に、しかも簡潔に具体的に答えていただきたいと思います。  まず、農林省関係にお伺いします。  地元の問題でございますが、岡山県内の農地、農業用施設災害個所数が非常に多いのは御存じのとおりでございます。農地で言いますと六万二千五百五十カ所、農業用施設が八万九千百五十五カ所でございます。この査定を年内に終えることができるかどうか、この点は非常にむずかしいのではないか、こう思っているわけでございますが、この点はまずいかがでございましょう。
  181. 岡部三郎

    岡部説明員 今回の十七号台風によりまして農地並びに農業用施設が多大の被害を受けたわけでございます。岡山県内の被害につきましては、ただいま先生おっしゃった個所数と私どもの持っております数字がちょっと違っておりますが、農地で一万一千十七カ所、農業用施設で二万六千七十六カ所、合計三万七千九十三カ所の被害を受けたというふうに報告されております。これらの査定に関しましては、現在すでに緊急査定を実施中でございますが、今月の半ばから本査定にかかりまして、年内には全部完了いたす予定にいたしております。
  182. 山田太郎

    山田(太)委員 年内というのが、もちろん早いほどいいわけでございますけれども、数字が違うようでございますが、やはり相当の日数なり手間がかかるということで、私の聞いた範囲内では少々むずかしいのじゃなかろうか、こういうようなことを承っております。したがって、もしむずかしいというふうな場合、今度だけじゃございません、これから将来に対してもでございますけれども、一定規模以下の災害については、後刻正確な実際の査定をするといたしましても、まず早くやってあげることが大切でございますから、机上査定などによる便法も講じて、早期に災害復旧の査定を終えるべきではないか、こういうふうな要望もあるし、また私自身もそのように思うわけでございますが、その点についてはいかがでございますか。
  183. 岡部三郎

    岡部説明員 今回の被害個所が非常に多いということにもかんがみまして、大蔵省等とも協議をいたしました結果、今回は一件五十万以下の農地、農業用施設災害につきましては机上査定を原則として実施するということにいたしております。  なお、従来は現地で決定できる限度額が五千万であったわけでございますが、これも今回は一億まで引き上げまして、極力査定業務の簡素化を図りまして、また査定に関しましては比較的災害の少なかった農政同等からも応援をさせまして、年内に完了する計画を立てて実施しておるわけでございます。
  184. 山田太郎

    山田(太)委員 次には、建設省にお伺いします。  まず、質問の通告はしてありますが、岡山県の備前市の場合を例にとりますと、建設省関係被害が五百十カ所、十七億円余に上る状況下でございます。そこで、この災害復旧工事のための測量設計費が八千万円を超える。これは職員が少ないもので五つの社に依頼をしているためのものも含まれてはおりますが、この測量設計費を建設省は、当然全額と言いたいところですが、相当部分負担するということが適当ではないか、できれば全額負担というふうなことにはならないものか、この点についてのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  185. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  ことしの災害につきましても、非常に大きな災害になりましたので、きょうの閣議でも激甚災指定というふうなことが行われるようでございますが、過去の経験からいたしますと、激甚災の場合には測量設計調査費というものを補助の対象にしようというふうなことをやっておりますので、ことしもまた従来同様そういうことを考えております。ところが、昨年も実は激甚災害がございましてやったわけでございますが、各町村の中には非常に山奥であるとかあるいは急ぐということで非常に高くなったというふうな点もございまして、やはり全額が補助の対象にならなかったという面もあるわけでございます。ことしはその辺、これから大蔵省とも話・をいたしまして、できる限り努力をいたしたいというふうに考えております。
  186. 山田太郎

    山田(太)委員 できるだけ努力したいと思うということでございますが、どのように−もうちょっと具体的に言うていただけませんか。
  187. 井沢健二

    ○井沢説明員 この問題については、昨年から当委員会におきまして各先生方から非常なおしかりと御激励を受けておったわけでございますが、私どもとしては最終的には、現在の町村の状態を考えますと、現在、たとえて申しますと、私ども災害復旧の件数では約四〇%が実は町村災害でございます。道路災害につきましては五五%が町村災害、橋梁災害では七〇%が町村災害でございます。そういうふうなことで、町村災害の比率が非常に上がってまいっております。そんなこともありまして、やはり町村の仕事が非常にふえてきておる。それから、県の方でも、いわゆる定員の削減等によりましてなかなか仕事ができなくなってきておるというふうな点もございまして、やはりこういう大きな災害のときにはどうしてもそういう測量及び試験費等をやらなければいけないという声が非常に強うございますので、最終的にはそういうものを制度化いたしたいと考えておりますが、四十七年のときに臨時特例的にいまのような制度を実は設けたわけでございまして、何とかそういうものをさらに前向きに考えてまいりたいということで、これからでございますが、大蔵省と折衝したいと考えております。
  188. 山田太郎

    山田(太)委員 といいますと、端的に言いますれば率を上げたいということだと思うのですが、どの辺をめどにその率を上げるように折衝なさるわけですか。
  189. 井沢健二

    ○井沢説明員 昨年の例は、実は四十九年の災害と条件を同じにやったわけでございますが、ことしはそういういろいろな条件をできるだけ緩和の方向に持っていきたいというふうなことを考えております。
  190. 山田太郎

    山田(太)委員 時期はいつですか。
  191. 井沢健二

    ○井沢説明員 これは実は査定が年内に終わるか終わらぬかという現状でございますし、とにかくいまは町村あるいは県がみな発注してやっているわけでございますので、そういう結果を集めまして検討した上で折衝いたしたいと考えております。
  192. 山田太郎

    山田(太)委員 私の聞いたことにそのままずばりというお答えではないのですが、もうちょっと時期の明示はできませんか、めどの。
  193. 井沢健二

    ○井沢説明員 では、できるだけ早くいたしたいと思いますが、やはり私ども実態をできるだけ踏まえてやりたいという感じを持っております。しかし、いま県、町村、発注したばかりでございますから、そういうデータがまだことしの分については集まっておらないわけでございます。昨年の分についてはいま集まっておりますが。できるだけことしの状態を踏まえてというっもりでございますので、とにかくいまのところ、各地方自治体の方で立てかえておいていただいてというつもりでございます。
  194. 山田太郎

    山田(太)委員 じゃ、災害復旧補助に合わせてせめて三分の二というようにする、そういうおつもりはありますか。
  195. 井沢健二

    ○井沢説明員 来年度の予算要求としましては、現在の災害負担率と同じにということで予算要求はいたしたわけでございますが、非常に問題があるということで、これからいろいろ各省ともども折衝をいたさなければいけないというふうに考えております。
  196. 山田太郎

    山田(太)委員 せめて三分の二は獲得できるようにがんばってもらいたいと思います。  そこで、次に移りますが、河川災害復旧については従来から原形復旧をたてまえとしておりますが、今後は改良復旧によりまして激甚災再発の防止措置をとるべきだと思う。そういう点については、予算委員会等々でも質問がございました。そのときには前向きの答弁がございましたが、それに対する基準ということは考えていらっしゃいますか。
  197. 井沢健二

    ○井沢説明員 私ども実は非常に大きな被害を受けた地域を考えますのに、まず一番先に考えていただきたいことは、一定災でやれるかどうかということでございます。そのときの基準、いろいろございますが、基本的な問題としましては大体八割程度以上被災を受けておるというふうなことでございます。その八割というのは八割ではないのでございまして、八割程度というふうな言い方を私どもいたしております。そういう状態のときに、やはりそういう地域の非常な激甚な状態を考えまして、その八割程度というものが上がったり下がったりするというふうな状態が現在の状態でございます。  その次に考えますことは、そこまでいかない、いわゆる一定災崩れというふうなことを言っておりますがとても七割もないというふうな状態のときには、大体五割程度、原則として五割ということを言っておりますが、五割ぐらいが被災を受けて五割が壊れていないというふうな場合には、関連事業あるいは災害助成事業といったようなことで進めることになるわけであります。それで、公共施設は壊れてないけれども、そういう一般災害と申しますか、家屋あるいはたんぼが非常にやられておるというふうな場合には、去年からできましたいわゆる激特事業というふうなことで進めることになるわけでございます。  ところが、この災害関連、助成事業までは、そういうふうなことで、これは皆さん方のおかげによりましてほとんど国が債務を負ったような形で進んでおりますが、激特事業は、これは河川改修事業でございますので、五年というのはやはり希望目標というふうなことになるわけであります。  私ども、そういうふうなことでございますが、現在までのところいろいろ考えてみますと、昨年の災害助成事業あるいは災害関連事業それから一定災、これに災害費を含めますと、五十年度で約千三百億になっております。この場合に、中小河川等のいわゆる補助の改修事業でございますが、これも千数百億というふうなことでございますから、災害復旧におきます改良復旧事業は現在の補助河川事業にやや匹敵するぐらいの額になっております。  そんなふうなことで、非常に積極的には進めておるわけでございますが、ことしの壊れ方を見てみますと、いわゆる先ほどの原則として五割という状態でございますが、やはり災害が少なくて、助成費が非常にたくさん要るというようなそういう川が多いわけです。したがいまして、それはどういう状態かと申しますと、いわゆる激特に近いようなものが多い。いままでのところ、たとえば助成事業を全国集計いたしてみますと、助成事業の候補の災害費と助成費を足してみますと、全体でやはり助成事業の方が多いというふうな現状のようでございます。したがいまして、いわゆる助成事業、関連事業、そういうふうないままでの原則から申しますと、非常に財政当局に言わせれば筋がよくないというふうなことになろうかと思います。そんなふうなことで、ことしはなかなかそういう非常にむずかしい改良復旧事業が多いのでございますが、われわれとしましては、やはり最近の非常に被害の程度のひどい状況にかんがみまして、こういうものについてはできるだけひとつ努力をしながらがんばってまいりたいというふうに考えております。
  198. 山田太郎

    山田(太)委員 災害復旧が非常に多いということでございますが、私が現地を視察したときには、四十九年災害のときには原形復旧にもなっていないところが原因で、それで今度の災害を起こしたところがございます。この点は余りにも具体的なことですから、ひとつ注意を喚起しておきます。  そこで、次には、第二次災害の防止についてお伺いしますが、たとえば岡山県の金剛川及びその支流、あるいは星田川、千町川など河川、ため池その他人家に影響ある崩壊等を現状で放置いたしますと、再度災害、いわゆる第二次災害の発生が予想されます。このような緊急を要するものについては写真記録を残すなどして、事業採択を待たず、事前施行を認められたいという要望が私のところに来ておりますが、この点についてはどういう……。
  199. 井沢健二

    ○井沢説明員 それは災害復旧事業でございますか。
  200. 山田太郎

    山田(太)委員 再度災害を防止するために…、
  201. 井沢健二

    ○井沢説明員 災害復旧事業に提案する場合につきましては、そういうふうに非常に危ないという場合にはもう早急にやっていただきたいというふうなことで指導しておりますし、それからその場合にやはりどうしていいかわからぬという場合、あるいはどうも査定のときに問題になりそうだというふうな場合には、県を通じ、あるいは県が私の方に協議をいたしていただく、そういうことにしておりますので、大体一千万以上のそういうふうに事前着工するものにつきましては、ひとつ事前に本省の方に、建設省防災課でございますが、御相談いただければ、それに対して、いいでしょう、あるいはここをちょっと直しなさいというふうなことで、そういう事前着工をさしております。
  202. 山田太郎

    山田(太)委員 私も専門でありませんが、しかしこの言ってきた問題は、写真記録を残すなどの方法で事業採択を待たず事前執行を認められたい、こういうことはどうなりますか。
  203. 井沢健二

    ○井沢説明員 たとえば、道路の崩土を除去するとか、そういうふうな道路をとにかく通さなければいかぬというふうな場合でございますから、まずそういうものをちゃんと事前に写真をとっておいて、そういうことをやっていただきたいというふうなことでございます。
  204. 山田太郎

    山田(太)委員 いいわけですね。
  205. 井沢健二

    ○井沢説明員 はい。その場合に、たとえば査定上非常に問題になるものもございまして、そういう事前に着工した場合に、やはり従来の査定のそういう方針というかやり方に非常に違反が多い場合には減らされることがございますので、そういう分はその自治体の単独負担になってしまう場合がございますので、その辺は町村であれば県の土木事務所ともよく相談をしてやっていただきたいというふうなことでございます。
  206. 山田太郎

    山田(太)委員 大枠はこういう方法をとることになってもいいというわけですね。
  207. 井沢健二

    ○井沢説明員 はい。
  208. 山田太郎

    山田(太)委員 次に、これは建設省農林省国土庁関係したことになると思うのですが、災害を未然に防止するための河川改修あるいは湛水排除、防除あるいは灌漑排水改良などの対策事業を一元的かつ総合的に実施するための災害防除特別対策事業を創設するという考えはあるかどうか。たとえば、岡山県南部の穀倉地帯である邑久町あるいは長船町などの冠水常襲地帯についていえば、土地が低いためにポンプをつけて湛水防除事業を行っております。その中で耕地については農林所管、堤防から川までは建設の所管で、一元的に行われていない。そのために、経費の面でも事業効果の面でも十分効果が上がっていないといういままでの結果が出ております。したがって、両者の目的を同時に達成して十分な効果を上げるために、一元化した災害防除特別対策事業にすべきだと思う、こういう要望あるいは意見についてお答えを願いたい。(「これはどこだ」と呼ぶ者あり)
  209. 井沢健二

    ○井沢説明員 これはどこということもございませんので、実はこういう問題の考え方を私の知っている範囲内でお答えをいたしたいと思います。  建設省におきましては、市街化しておる市街地の地区につきましてはいわゆる下水道でやれるというふうになるわけでございますが、河川の方で申しますと、河川としては堤防のかわりにポンプをつくるというふうなことでございますから、その地域の水を全部排除するということでございませんので、全体的な問題としましてはなかなかそのようにはまいらないかと思います。
  210. 山田太郎

    山田(太)委員 そういうふうにまいらないとは、どういうことなんだ。では、いままでどおり各省それぞれで時間的にもあるいは費用の面でもむだがかかったってしょうがない、簡単に言えばこういうことですか。ぼくが聞いたのはそこを聞いたんだ。何を聞いているんだね。
  211. 井沢健二

    ○井沢説明員 目的がいろいろございますので、そういうふうな事業を創設すればまた別でございますけれども、現行の考え方ではなかなかむずかしいのではないかと思っております。
  212. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの答弁は私の言うことを聞いておらぬ証拠です。だから、それはそれぞれ少々は目的の違う分もある。しかし、同時にやった方がより効果的であり、より時間的にもスムーズであり、経質的にも非常に有利である、そういうふうな場合はたくさんあるわけですが、そういうことに対しては何ら考えを持っていない、こういうことですか。  国土庁、どうですか。
  213. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  いまお聞きいたしましたとおり、建設省農林省にかかわる問題でございますので、国土庁立場として発言さしていただくならば、事情は先般来よくお聞きいたしておりますので、建設、農林相互に緊密な連絡をとっていただきまして、支障のないようにやっていただきたいというふうな言い方しかできないかと思うのでございます。
  214. 山田太郎

    山田(太)委員 きょうは大臣も出てないことだからそこまでの答弁はできないかもしれませんの・で、この点についてはまた機会を改めて、災害防除特別対策事業については大臣とともにお伺いすることにしたいと思います。  そこで、次は厚生省。  まず最初に、災害弔慰金のことについてお伺いいたします。  先般の報道では、災害弔慰金の金額を、死亡者に対して、世帯主の場合、現行百万円を二百万円に、あるいは家族については現行五十万円を百万円にというふうなことが報道されております。この点について報道を聞いているかどうか、あるいはその点についてどういう考えを持っておるか。何ら考えがない、ついせんだって上げたばかりだから何ら考えておりませんという答弁が出てくるかもしれぬが、やはり今度のような場合、こういうことを契機にしてその点は当然考えるべきではないか、こう思うわけです。
  215. 北村和男

    ○北村説明員 お尋ねのこの法律でございますが、これは成立の経過から申しまして議員立法でもございますし、昨年の限度額引き上げにつきましても国会の方で御決定いただいた経緯がございます。今回の災害によります限度額の引き上げにつきましては、先生おっしゃいましたように、国会でいろいろと御検討なさっていらっしゃるというお話もございますので、そういう結論が出るとすれば、政府といたしましては、財政当局と十分協議の上対処いたしたい、さように考えております。
  216. 山田太郎

    山田(太)委員 では、この問題は議員立法を進めていきたいと思いますので、次の質問に移ります。  そこで、具体的に申し上げますと、長島愛生園並びに邑久光明園のことでございます。御存じのことでございますので数字等は申し上げませんが、この災害復旧と整備とについて今後どういう基本方針で進めていくか、まずこの基本方針。  それから二つ目には、現在、現地では大蔵省財務局が調査をしており、今週末には終わるとのことですが、本格的な復旧工事はいつからかかれるか。現在は、住んでおったら、雨が降ったときにはいつ被害に遭うかわからぬというふうな方々が百名ばかり、行くに行くところなくそこに住んでいらっしゃるわけですよ。開園以来の最大の災害でございますが、ひどいのは娯楽会館とかあるいはミシンの工場、建物が二十メートル下に落ちて飛び込んでおります。  以上二つをまずお伺いしておきたいと思います。
  217. 吉原健二

    ○吉原説明員 先生おっしゃいましたように、今度の災害で長島愛生園等が大きな被害を受けたわけでございますけれども、その復旧の考え方につきましては、現在、お話のございましたように、関係の機関において被害復旧費の見積もり額について実地調査を行っておりますので、その調査の結果を待ちまして財政当局とも協議いたしまして、できるだけ早く財政措置を講じた上で本格的な復旧作業に入りたいというふうに考えております。  それから、復旧に際しましては原形復旧が基本でございますけれども、立地条件等を考えまして、原形復旧が困難な、あるいはそれが適当でない場合には別のところに整備をするという考え方で復旧工事をやりたいというふうに思っております。
  218. 山田太郎

    山田(太)委員 その答えはいいわけですが、できるだけ早くというふうなあやふやな言葉で、その点は何ら見通しを持っていないのかと疑いたくなるような気持ちでございますが、時間の関係で……。  四十九年のときもあったようでございますが、開園当初に建てた建物とか、そういうものは被害を受けてないのがほとんどです。ところが、その後建てた建物、あるいは三年前五千万円の災害復旧費をかけて再建された家屋が、今回最もひどい被害を受けておるというところを考えた場合、単なる言葉で終わらないように、再びこのようなことを起こさないように、場所を変えて建てます、改良復旧をしますとはいえども、結果としてまたいままでと同じようなことを繰り返しておったのではなりませんので、その点についての注意を喚起しておきたいと思います。  そこで、もう一つ具体例でございます。質問通告もしてありますが、同じく備前市の三石、野谷というところがございます。それは金剛川、これは一級河川です、この金剛川とそれに入る支流の川でございますが、直角に交差しております。直角に交差しているために、降雨量が多い場合には水がぐっとかさ上げされて、付近の数十軒が物すごい被害に遭っている。その近くに、実は山陽本線のれんがアーチの鉄道の橋がある。それが大きなじゃまになっていることが一つと、もう一つは、流れを変えなければならない。直角になっておるために水かさが増すわけですから、流れる方向を下流に湾曲さしてしまえば被害を非常に少なくすることができる、あるいは被害を受けなくて済ますことができる。そういう見通しがあるにもかかわらず、四十九年にも同じような災害に遭い、またこのたびも同じような災害に遭い、しかもその前に戦後二回、今度で四回目だ、これに対しての措置をやはり講ずべきではないかと思うわけでございます。  それから、同じくすぐそばに、これは地元では四ツ目と言っておりますが、やはりれんがアーチで山陽本線との一まあ古いれんがのアーチ橋なもんだから、それに材木がひっかかって水が下へ流れない。そのために、上の家が絶えずやはり数十軒被害に遭っている。これをこのままにしておくべきではない。  したがって、この点については国鉄と建設省と当然相談してやるべきことでございますが、まず治水課長からお返事を承って、それから国鉄から返事をしていただきたい。  以上で質問を終わります。答弁が納得できればです。
  219. 井沢健二

    ○井沢説明員 この岡山県の金剛川の下流は直轄でございますが、その上は中小河川でやっております。主として中小河川の上流でございますが、その区域が今回非常に大きな被害を受けたわけでございます。  この地区につきましては、こういう被害でございますので、現在、災害助成事業で何とかならないだろうかというふうなことで検討しております。この場合に、先ほど申しましたように、やはりその助成の比率というか、そういうものもかなりぐあいが悪いので、いま県の方で一生懸命検討しておる段階でございます。
  220. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答えいたします。  御指摘の橋梁は、山陽本線三石−吉永間にございます金剛川支流の宗友川拱渠(六メートル)並びに同じく三石−吉永間にございます三石金剛川拱渠(六メートル)等の四径間連続アーチであるというふうに思われますが、本橋渠の改築に関しましては国鉄の一存ではまいりませんので、河川管理者の側の皆さんと十分協議の上、処置をいたしたいと考えております。
  221. 山田太郎

    山田(太)委員 以上で質問は終わりますが、はっきりした答弁というものは、この問題について承ったとは思っておりません。できるだけ早くというふうな言葉で、その意味についてはわかりますが、この点もっと煮詰めていきたいと思いますので、そのできるだけ早くは早急にやってもらいたいということを要望いたしております。  そこで、あと一問、鳥取県の千代川についてお伺いしたかったわけですが、この点はまた建設委員会等で質問をしたいと思いますので、以上で質問を終わらせていただきます。
  222. 兒玉末男

    兒玉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十一分散会