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1976-09-30 第78回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十一年九月三十日(木曜日) 午前十時三十四分
開議
出席委員
委員長
兒玉
末男
君
理事
今井
勇君
理事
島田
安夫
君
理事
野田 毅君
理事
金丸 徳重君
理事
柴田
健治
君
理事
柴田
睦夫
君 越智 伊平君
戸井田三郎
君
中尾
宏君 羽田 孜君 松本 十郎君
水野
清君 宮崎 茂一君 武藤 嘉文君
森下
元晴
君
井上
泉君
井上
普方君
川俣健二郎
君
久保
等君 坂本 恭一君 芳賀 貢君
湯山
勇君 津川
武一
君
山原健二郎
君
新井
彬之君
瀬野栄次郎
君
高橋
繁君
広沢
直樹
君
宮田
早苗
君
出席政府委員
国土政務次官
江藤 隆美君
国土庁地方振興
局長
土屋 佳照君
大蔵政務次官
高鳥
修君
農林政務次官
山崎平八郎
君
中小企業庁長官
岸田 文武君
建設政務次官
梶山 静六君
建設省河川局長
栂野 康行君
自治政務次官
木村武千代
君
委員外
の
出席者
国土庁長官官房
審議官
紀埜
孝典君
国土庁長官官房
災害対策室長
山本
重三君
国土庁地方振興
局過疎対策室長
近岡 武男君
大蔵省主計局主
計官
古橋源六郎
君
大蔵省主計局主
計官 西垣 昭君
大蔵省銀行局保
険部保険
第二課 長 萱場 英造君 国税庁直
税部所
得税課長
田口 和巳君
文化庁文化財保
護部記念物課長
横瀬 庄次君
厚生省環境衛生
局水道環境部環
境整備課長
森下
忠幸君
厚生省医務局整
備
課長
吉原
健二
君
厚生省社会局保
護課長
入江 慧君
厚生省社会局施
設
課長
水田 努君
農林大臣官房審
議官
杉山 克己君
農林大臣官房審
議官
関根 秋男君
農林省農林経済
局保険業務課長
大塚
米次
君
農林省構造改善
局農政部長
渡邊 五郎君
農林省構造改善
局建設部長
岡部
三郎
君
農林省農蚕園芸
局果樹花き課長
北野 茂夫君
食糧庁業務部長
戸塚
金郎
君
林野庁指導部長
藍原 義邦君
中小企業庁計画
部金融課長
松尾 成美君
気象庁予報部長
期予報課長
青田 孝義君
建設省都市局街
路課長
渡部與四郎
君
建設省河川局河
川計画課長
稲田 裕君
建設省河川局治
水課長
小坂 忠君
建設省河川局開
発課長
佐々木才朗
君
建設省河川局防
災課長
井沢
健二
君
建設省河川局砂
防部砂防課長
中村 二郎君
建設省河川局砂
防部傾斜地保全
課長
大工原
潮君
建設省道路局地
方道課長
三野栄三郎
君
自治大臣官房参
事官
平岩 金一君
日本国有鉄道施
設
局長
鈴木 秀昭君
—————————————
委員
の異動 九月二十五日
辞任
補欠選任
奧田 敬和君
戸井田三郎
君 同月三十日
辞任
補欠選任
中尾
栄一
君
水野
清君
斉藤
正男
君
湯山
勇君
田中
武夫
君
久保
等君
古川
喜一
君
井上
泉君
山本弥之助
君
井上
普方君
広沢
直樹
君
新井
彬之君 同日
辞任
補欠選任
水野
清君
中尾
栄一
君
井上
泉君
古川
喜一
君
井上
普方君
山本弥之助
君
久保
等君
田中
武夫
君
湯山
勇君
斉藤
正男
君
新井
彬之君
広沢
直樹
君 同日
理事高鳥修
君同月二十日
委員辞任
につき、その
補欠
として
竹中修一
君が
理事
に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
災害対策
に関する件(
台風
第十七号及び異常低 温による
災害対策
)
派遣委員
からの
報告聴取
————◇—————
兒玉末男
1
○
兒玉委員長
これより
会議
を開きます。 まず、
理事
の
補欠選任
の件についてお諮りいたします。
理事高鳥修
君が去る二十日
委員
を
辞任
しましたので、ただいま
理事
が一名欠員となっております。この際、その
補欠選任
を行いたいと存じますが、先例により、
委員長
において指名するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
兒玉末男
2
○
兒玉委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 それでは、
理事
に
竹中修一
君を指名いたします。 ————◇—————
兒玉末男
3
○
兒玉委員長
次に、
災害対策
に関する件について
調査
を進めます。
台風
十七号による
被害状況調査
のため、本
委員会
から、九月二十七日から二十八日まで第一班
岐阜
県、九月二十七日から二十九日まで第二班
兵庫
県、
岡山
県、第三班高知県、徳島県にそれぞれ
委員派遣
を行いましたので、
現地
に派遣されました
委員
から
報告
を聴取いたしたいと存じます。 第一班、
今井勇
君。
今井勇
4
○
今井委員
第一班について御
報告
を申し上げます。 第一班は、九月二十七日から二日間、
岐阜
県における
台風
十七号による
被害状況調査
のため派遣されました。
委員
を代表して、私から
調査
の
概要
を御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、
柴田健治
君、
柴田睦夫
君、
高橋繁
君及び私、
今井勇
で、ほかに
地元選出議員
の御
参加
を得て
調査
いたしてまいりました。 まず、
被害
をもたらした
気象条件
について述べますと、
台風
十七号は、
日本列島
に上陸する以前、
九州
の南海上に数日間停滞したまま、厚い雨雲を
本州
に送り込み、
本州
上には縦に前線が横たわり、その影響で暖湿な空気が伊勢湾から北上し、
美濃平野部
を
中心
に雷を伴うすさまじい
豪雨
を降らせました。その
豪雨
は、九月八日から十二日までの五日間は、ほとんどやむことなく全
県下
に降り続いたのであります。 その
雨量
は
想像
を絶するものがあり、
県内各地
で
最大
時間
雨量
が七十ミリから八十ミリに達し、五日間で総
雨量
は
年間
の総
雨量
に匹敵するほどで、
岐阜
市で八百三十二ミリ、
高富
町で千百九十七ミリ、
大垣
市で七百五十六ミリ、
洞戸
村で千二百五十三ミリ等を記録いたしました。このため、
県内
の
河川
の
はんらん
や
山崩れ
などが次々に発生し、まれに見る悲惨な大
被害
をこうむりました。
県当局
の
説明
によりますと、八日からの継続的に降る
豪雨
のため、県においては、九日夜半いち早く
災害対策本部
を設置し、
警戒
に当たっておりましたが、九日夜半から
警戒水位
を突破していた
長良川
の
水位
は、忠節では七時に、
墨俣
では八時四十分に、それぞれ
木洪水
中の
最高水位
五・五メートル、七・三一メートルを記録し、それ以後継続的に
危険水位
を突破していましたが、ついに九月十二日午前十時二十八分、
安八
町の
大森地
内の
右岸堤防
が延長八十メートルにわたって破堤しました。 その破堤した
濁流
は、
森部輪中
内、北側は
犀川
の
右岸堤
まで、南側は
安八
町と輪之内町の境界まで、東側は
長良川
の
堤防
まで、西側は
牧輪中堤
まで湛水し、その堤内に流れ出した水量は約四千二百万立方メートルに達し、
安八
町
全域
、
墨俣
町のほぼ
全域
に
浸水
し、
最大水深
四メートル余という
湛水状態
を生ぜしめるところとなりました。
台風
十七号によるこのような
異常事態
が発生し、
県当局
、
地元消防団
、
水防団
、
県警機動隊
、
自衛隊
及び地元民が一丸となり、夜を徹して
被災住民
の救出、保護と
救援物資
の
輸送等
、
応急対策
に万全を期したにもかかわらず、県の受けた
被害
は
想像
を絶するものでありました。
岐阜
県
下全般
の
被害
でありますが、
人的被害
は、
死者
五名、行方不明二名、
重軽傷
二十一名に達しました。
災害
の大きさを考えますと、
人的被害
が少なかったことは不幸中の幸いであります。
家屋
につきましては、全
半壊
が六十世掛、
床上浸水
二万三千五百六十二
世帯
、
床下浸水
五万一千七百二十四
世帯
、
農業関係
では、
田畑
の
流失
、
冠水
一万六千百九十ヘクタール、
家畜等
十九万六千四百六十九頭羽、
林業関係
では、
山地
及び
治山施設
千百八十二カ所、
土木関係
では、
河川
の破堤、
決壊
が二千三百七十七カ所、
道路
、
橋梁
の
破損
が二千四百カ所、
社会福祉
、
医療施設
が百七十カ所、その他もろもろの
施設
が
被害
を受け、
総額
一千億の
被害
をこうむりました。 県からの、
要望事項
は、
被害
を受けました
関係市町村
と
要望事項
が共通しておりますので、後述してまいりたいと思います。 次に、
派遣日程
に従いまして、順次
報告
してまいります。 まず、
派遣団
は穂積町に参りました。当町は、東は
長良川
、西は
揖斐川
に囲まれた低地に位置し、本巣郡
全域
の雨水が天王川・香川・
中川新堀川
、
犀川等
に集まって当町に流れ込み、
町内全域
に
溢水
、
はんらん
し、その
被害
は甚大なるものでありました。
人的被害
は、
床上浸水
二千五百九十六
世帯
、
床下浸水
千三百二十二
世帯
と、町民の七〇%が
被害
をこうむり、さらに
農作物
においては、
水稲
は収穫皆無に等しく、また
公共土木等
の
施設
においては、
橋梁
の
流失
二カ所、
排水機
の水没二カ所等の
被害
をこうむりました。
町当局
の、
要望事項
は、
激甚災
の
指定
はもとより、
犀川水系河川
の
早期改修
及び
築堤補強
、また
排水機
の増設並びに
排水機
の
整備技術者
の雇用の
促進
でありました。 次に、
大垣
市でありますが、当市は七百六十八ミリという
雨量
があり、
市内
を流れる
揖斐川
、
杭瀬川
、大谷川その他の
河川
が
はんらん
し、市の三分の二が
浸水
し、
農地
の九四%が
冠水
しました。幸いにして
人的被害
はありませんでしたが、
床上浸水
四千五百四十一
世帯
、
床下浸水
九千七百二十五
世帯
、
農地
の
冠水
が二千八百五十八ヘクタール、その他
公共
、
教育施設等
に多大な
被害
を受け、市全体の
被害総額
は約八十九億円に及ぶとのことであります。 市の
要望
としましては、
激甚災
の
指定
、
揖斐川
、
杭瀬川
の
早期改修
、
湛水防除事業
及び
排水機
の
増強等
の
要望
がありました。
派遣団
は、
市内
を流れる大谷川、
揖斐川
の
崩壊現場
を視察した後、
安八
町に参りました。
安八
町は、十二日に一級
河川
である
長良川
が思いもよらず破堤し、
濁流
が町に流れ込み、瞬時にして全面泥海化してしまいました。
決壊
の模様を見ていた当町の古老の話によりますと、当日は
危険水位
を断続的に超えていたため、破
堤防止
の
作業
を徹底的に行いました。
作業員
が
水位
をはかろうとしたとき、
堤防
に
亀裂
が生じた瞬間、
堤防
が
決壊
し、
作業員
数人がその
濁流
に巻き込まれ、
人的被害
をこうむりました。 町に
浸水
した
濁流
は、深いところで軒下まで
浸水
し、
家屋
、
農地
、
公共施設等
に激甚な
被害
を与えたものであります。 われわれ
派遣団
が当町を視察したときは、すでに水は完全に引いておりましたが、
長良川
の
河川
敷を利用して捨てられた
ごみ
が小山のように積まれ、また町にも至るところに
ごみ
が散乱しておりました。
水稲
、
家畜
については
壊滅的打撃
を受け、また
個人被害
、
農耕地
、
公共施設等
にも機能不能の
被害
をこうむりました。その
被害総額
は、余りにも多額のため、現在つかみきれないとのことでありました。
安八
町からの
要望
は、まず早急な
激甚災
の
指定
、
長良川
、
揖斐川
両
河川
の
早期完全補強
、
農地
及び
農業用施設
の
復旧
のための
全額国庫負担
、
農作物等
に対する
政府
の
援助
、
ごみ
、
屎尿処理
及び
上水道復旧
に関する
援助
、
中小零細企業
に対する
無利息融資
、
町税
の
減免等
について
町当局
から強く
要請
がありました。 次に
墨俣
町でありますが、五日間に総
雨量
一千ミリ近くを記録し、
床上浸水
千二百四
世帯
、
床下浸水
百五十三
世帯
、
農業関係
、特に
水稲
が
安八
町同様の
被害
を受けました。また、
同町
は八〇%がサラリーマンであり、大
部分
は家財道具が水に浸り使用できない
状況
がいまも続いているとのことでありました。
同町
の
被害総額
は、
電話局等
の
不明部分
を除き約五十五億とのことであります。
同町
の、
要望事項
は
安八
町と同様で、
個人
の力ではどうしようもなく、国に対して強力な
援助
が
要請
されました。 翌日は
岐阜市内
の
城台寺団地
を視察しましたが、同
団地
は
鳥羽川
その他二
河川
の
合流点
に位置しており、連日の
豪雨
のため
はんらん
し、
団地
全体が五日間
浸水
しておったとのことであります。
団地住民
から早急に
鳥羽川
、
伊自良川等
の
改修
を
要請
されました。 次に
派遣団
は、
山県福祉事務所
に向かうバスの中で
関係市町村
の
被害説明
を聴取しながら
山県
県
事務所
に向かい、同
事務所
で
高富
町、
英山
町、
伊自良
村の
町村当局者
から
被害状況
の
説明
を聴取いたしました。 まず
高富
町でありますが、当町では千六十七ミリという
集中豪雨
に遭い、山林が至るところで崩壊し、その
土石流
が
鳥羽川
に流れ込み、その結果、同
河川
が至るところで
決壊
し、町全体に流れ込み、
家屋
の
浸水
、
田畑
の
冠水
、
流失等
、
住民生活
に甚大なる
被害
を与えました。
家屋
の全
半壊
十二
世帯
、
床上浸水
七百四十二
世帯
、
床下浸水
九百三十四
世帯
、
田畑
の
冠水
、
流失等
六百七十ヘクタール、その他
公共施設
、
土木施設等
にも
被害
を受け、その
被害総額
は
商工関係
を含まないで約十九億円とのことでありました。 次に美山町でありますが、やはり五日間に千百ミリの
降雨量
を記録したため、
中小河川
が随所で
決壊
し、
家屋
の
床上
、
床下浸水
、
道路
の損壊、
橋梁
の
流失
、耕地の
冠水
など、
住民
の
生活
を脅かす
被害
をこうむりました。
同町
は、
災害
の発生と
同町
に
災害対策本部
を設置し、精力的に
防災活動
をしたにもかかわらず、
土木災害
を
中心
に約二十二億円の
被害
をこうむりました。また、
同町
は
山間地
に位置するため、
道路
の寸断は
住民生活
の死活につながるため、早急な
復旧事業
が望まれます。 次に
伊自良
村でございますが、同村を流れる
伊自良川
は、
堤防
が
河底
の
しゅんせつ作業
によってできたものが多く、非常に軟弱なところに五日間に千百四十九ミリを記録し、このため
堤防
の破堤一カ所、その他五十七カ所が
決壊
いたしたのであります。 また、
伊自良川
に合流する平井川、三吉川に同様の
被害
を受け、村全体に
土石流
が流れ込み、
床上
、
床下浸水
が二百五十
世帯
、
農耕地
、
農作物
、
公共土木等
に
被害
をこうむり、その
被害総額
は約十七億円とのことであります。 前記三
町村
の
要望
は、
激甚災
の
指定
、
公共施設
及び
公共土木等
の
災害
の
早期復旧
に関する
財政援助措置
、
伊自良川
の一級
河川
への昇格及び
中小河川
の
抜本的改修
が
要望
されました。 次に中濃
総合庁舎
に参りまして、
武儀地方
の
被害状況
の
説明
を聴取いたしました。 同
地方
を流れる
長良川
、
板取川
、
武儀
川、その他
中小河川
が五日間の記録的な
豪雨
のため至るところで
決壊
し、
人的被害
、
公共施設
、
農業施設等
あらゆる分野で
被害
を受け、同
地方
の
被害総額
は八十四億円とのことでありました。 次に、順次
武儀地方
の各
市町村
の
被害
を御
報告
いたします。 まず
美濃
市でありますが、七百七十七ミリという記録的な
豪雨
のため、
同市
を流れる
長良川
、
板取川
は幸い破堤は免れ、護岸の
決壊
、内水の
浸水
にとどまりました。しかし、同支派川は
堤防
の
決壊
、
はんらん
が相次ぎ、加えるに
山地崩壊
により
土石流
が発生し、
各地
に多大の
被害
をこうむり、
被害総額
約二十五億円とのことであります。 次に関市でありますが、千ミリに達する
降雨量
のため、
美濃
市同様、
中小河川
が
はんらん
し、
人的被害
はもちろん、
公共土木施設
、
農耕地等
に
被害
をこうむり、約十三億円の
被害
を受けました。 次に
武儀
郡の
関係市町村
、すなわち
洞戸
村、板取村、武芸川町、
武儀
町、上之保村から
被害状況
の
説明
を聴取いたしましたが、
美濃
市同様、本流、支流の
はんらん
のため
関係住民
に激甚なる
被害
をこうむり、その
状況
は言語に絶するものとのことでありました。
武儀地方
の
被害
を受けた
市町村
の
要望
は、
災害地
の
激甚指定
、
災害
の
原形復旧
ばかりでなく、抜本的な
改良復旧
、
砂防事業
の
促進
、
長良川
を含む
大小河川
の
早期改修
、特別な
財政援助等
の強い、
要請
がありました。 最後に、今回の
被害
に対する所感を述べますと、
災害現場
を視察してその生々しさに心を打たれ、また
被害復旧
に立ち上がっている
地元関係者
の生の声を聞き、政治の上でこれを実現していくことが急務であるとともに、今回の
災害
の
中心
である
長良川
の破堤の
原因究明
、また
長良川水系等
の
抜本的改修
、
個人
の
被災
に対する何らかの
援助措置等
が、国及び
関係市町村
に与えられた責務であると痛感いたしました。 終わりに、今回の
調査
に御協力を賜りました
県当局
初め
地元関係者
の方々に深く謝意を表しまして、
派遣報告
を終わります。 なお、
岐阜
県及び
被災
各
市町村
からの詳細な
要望事項等
につきましては、これを本日の
会議録
の末尾に
参照
として掲載いたしたいと存じますので、
委員長
においてよろしくお取り計らい願いたいと存じます。 以上。(拍手)
兒玉末男
5
○
兒玉委員長
どうも御苦労さまでございました。 次に、第二班の
派遣委員
を代表して、便宜私がこの席から御
報告
いたします。
派遣委員
は、
島田安夫理事
、
油川武一委員
、
広沢直樹委員
、
宮田早苗委員
、それに
委員長
の私、
兒玉末男
で、ほかに
地元選出議員
の御
参加
も得て、去る九月二十七日から昨二十九日まで三日間にわたり、
兵庫
県及び
岡山
県における
台風
第十七号による
被害状況等
について
調査
をいたしてまいりました。 第二班は、昨夜飛行機で帰京いたしたばかりでありますので、以下その
概要等
につきまして簡単に御
報告
申し上げることをお許しいただき、詳細は、
被害
両県及び
市町村
からちょうだいした
要望事項等
を本日の
会議録
に
参照
として掲載するよう取り計らいたいと存じます。
調査団
は、まず
兵庫
県
姫路
市において、
県当局
から今次
台風
第十七号による全般的な
被害状況
及びその
対策
、
要望
などを承り、次いで
姫路
市を初め
周辺
の
高砂
市、社町、城崎町、日高町、香寺町、夢前町、
家島
町など二市六町の
市長
、
町長
から
説明
を聴取するとともに、
災害復旧
に対する
要望
を承りました。 それによりますと、
兵庫
県の今次
台風
による
被害
の特徴は
大雨
でありまして、この
大雨
は、
台風
が
九州
の南約九百キロの海上にある九月八日昼ごろから始まり、九月十三日まで約六日間に及んだのであります。この間の総
雨量
は、最も多い
家島
で
年間雨量
の八〇%となり、一時間
雨量
の
最大
は八十五ミリもの
集中豪雨
となりました。
大雨
の
地域
はほぼ全県を覆い、このため、
県下全域
にわたって
災害
が発生しました。県の
報告
によります九月二十二日現在の
被害状況
は、
山崩れ
、がけ崩れによる
死者
十六名、行方不明三名、
重軽傷者
三十九名であります。また、
家屋
の
被害
は、全壊百十八戸、
半壊
二百四十戸、一部
破損
六十八戸、
床上浸水
一万四千七百五十戸、
床下浸水
五万七千四百五十九戸、このほか
公共土木施設
、
農林
水産業等広範にわたる
被害
があり、その
総額
は実に一千五十三億七千万円となっております。
県当局
は、九月十四日正午に
災害対策本部
を設置し、
本部員
を招集し、
被害県民
の救済のため
関係市町等
とも協力し、
応急対策
に全力を挙げて取り組むとともに、
高砂
市、
家島
町、
姫路
市を初め六市十五町に次々と
災害救助法
を発動し、
罹災者
の
救援
に当たったのであります。また、
自衛隊
の
災害派遣
を
要請
し、延べ八千四百名の応援を得て、多くの
人々
が救出されたとのことであります。
県当局
及び
関係市町
の
要望事項
を集約いたしますと、 一、
激甚災害
の
指定
二、
特別交付税
の
交付
など
災害対策
の
財源措置
三、
中小河川
の
早期改修
四、
緊急砂防事業
など
対策事業
の
早期採択
など十五項目となっております。 次いで、われわれ
調査団
は宍粟郡
一宮
町にお赴き、すさまじい
山腹崩壊
による
災害現地
を視察してまいりました。
台風
のもたらした
集中豪雨
により、九月十三日旧
下三方
村
中心部
を襲った
山崩れ
は、一瞬にしてとうとい人命を奪い、四十数戸の
家屋
を倒壊、埋没させ、
道路
、
橋梁
を破壊し、
災害
の比較的少なかった同
地方
の
人々
の夢想だにしなかった大
災害
となったのであります。
災害現地
は、いまもなお十五メートルから二十メートルの高さの
土砂
で埋まり、
鉄筋づくり
三階建てのりっぱな
校舎
が二百メートルも流されて
土砂
に埋まり、
屋上部分
のみが波状にゆがんでわれわれの目前にあるという異常な
状態
であります。
災害現地
において、
一宮町長
は、「再びこの地で
生活
ができるようにしたい。そのために、二度と山津波が起きないよう徹底的な
地質調査
を実施し、国の手で
土地利用計画
を立ててもらいたい。また、
山腹
が崩壊した山の左側に縦に七十メートルの
亀裂
が走っており、二次
災害
が心配であるので、
復旧工事
を急ぎ完全な
治山工事
をしてほしい。一日も早く学校の
校舎
が再建できるよう特別の配慮をしてもらいたい」と切々と訴えられました。この大
災害
の
復旧
にはどうしても国の力が必要であると考える次第であります。 なお、この
災害現地
において、
周辺
の安富町及び
山崎
町の両
町長
からも
説明
を聞き、
要望
を承りました。 翌二十八日、
調査団
は
相生
市に至り、
同市
を初め竜野市、御津町、新宮町、太子町、揖保川町の二市四町の市・
町長
からそれぞれ
説明
を聴取した後、
相生
市
坪根地区
の
災害現地
を視察いたしました。 ここも
昭和
四十九年の
集中豪雨
をはるかに上回る未曾有の
降雨量
によりまして、
河川
の
はんらん
、
堤防
、
道路
の
決壊等
により
土木
、
農業施設等
にはかり知れない
被害
を受けたのであります。特に
相生湾突端
の
坪根地区
では、
山崩れ
により全集落の半数が全
半壊
したとのことで、
住民
はようやく生気を取り戻しているものの、一刻も早い
復旧
が望まれるところであります。 次に赤穂市に参り、
同市
長から
被官状況
の
説明
を聴取いたしました。それによると、九月八日から降り始めた雨は、九月十日未明から
集中豪雨
となり、
同市
を流れる
千種川
は一気に増水し、
高野地区
の
堤防
が
決壊
し、付近の住宅、工場は
濁流
の荒れ狂うに任せる惨状となりました。また、
市内
のすべての
河川
も
溢水
、
決壊個所
が続出して、
市域一帯
は
浸水
し、一面どろ海となり、
中心市街地
で
水深
は約七十センチメートルに達したとのことであります。 これにより
死者
二名、
土木
、
農林
の
公共施設
に甚大な
被害
を受け、
住家
、
農地
、
農作物
の損害もまた甚大となりました。ただ、
千種川右岸
の
堤防
が危険となったため、
地元消防団
を初め
住民等
、さらに
自衛隊
の
救援出動
により、辛くも
右岸
の
決壊
を防ぎ得たということで、これは
地域住民
の結束のたまものと感銘いたしました。
同市
は
変電所
が
浸水
したため、停電で暗やみの
生活
と
電話
の不通を余儀なくされ、これが
住民
の不安を一層つのらせたとのことであります。 次いで
調査団
は、
千種川
破
堤現地
を視察しながら
上郡
町にと移動いたしました。ここでは
上郡
町のほか
周辺
の佐用町、上月町の各
町長
からそれぞれ
説明
並びに
要望
を承りました。 この
地域
も、町始まって以来の大
豪雨
を記録し、消防団員を
中心
に全町民総出で連日連夜水防活動を実施したが及ばず、ついに各町
全域
に甚大な
被害
が続出したのであります。目下
応急対策
、
復旧
計画に全力を挙げているが、町財政は極度の財政危機に直面しており、何とか国の
援助
をと、
激甚災害
の
地域
指定
を初め、数項目の
要望
がなされたのであります。 ここで
兵庫
県の視察を終了、われわれ
調査団
は
岡山
県に入りました。
岡山
県におきましては、まず備前市三石支所におきまして、
県当局
並びに備前
市長
及び
周辺
の日生町、吉永町、和気町、熊山町の各
町長
から
説明
並びに
要望
を承り、その後、日生町寒河の
被災
地を初めとして、吉永町、和気町日笠の
被災
地を視察いたしました。 各市町の
被害状況
を申し上げますと、まず備前市でありますが、
中小河川
の
はんらん
と
道路
の
決壊等
が各所に発生し、全
地域
にわたって甚大なる
被害
を受けております。
住家
の全
半壊
、
破損
四百五十二戸、
浸水
家屋
は千六百五十四戸に達し、
住民
は避難命令により付近の小学校、お寺等へ避難しておりますが、それでも間に合わず三石及び伊里地区において
死者
三名が生じたことは痛ましい限りであります。 日生町においては、小
河川
の
はんらん
と鉄砲水で
濁流
が町の
中心
街に流入した結果、
道路
は
河川
のごとくになり、一方洪水で田が埋まり、たんぼは河原のような
状態
でありました。川そのものがずたずたになっており、すでに
河川
の形態をなしておらず、その惨状は目を覆うばかりであります。
同町
においても
死者
が三名発生しております。 和気町、吉永町においても金剛川の
はんらん
により
家屋
が
浸水
し、
住民
は付近の高台あるいは小中学校に避難しております。いずれにしろこの地区は、
昭和
四十九年七月に
災害
をこうむり、
激甚災
の
指定
を受け、度重なる
災害
に
住民
はおののいておるとのことで、この不安を取り除き、二度と
災害
の起きることのないよう、
中小河川
、ため池、がけ崩れ等の
災害復旧
について格段の努力が必要であると痛感いたします。 昨二十九日は、まず
岡山
県自治会館において
県当局
から全般的な
被害
の
状況
を聴取いたしました。 県の
報告
によります九月二十七日現在の
被害状況
は、
死者
十八名、負傷者九十二者という多数の
人的被害
を初め、住居の損壊千百戸余り、
浸水
三万五千七百余戸の
家屋
被害
のほか、
農林
、
土木
等の
公共施設
の損壊はもとより、
農林
業、商工業等全般にわたって甚大な
被害
をこうむり、また備前市を初め三市十一町について
災害救助法
を適用するなど、
被災
の範囲、
人的被害
等は、
岡山
県
災害
史上初めての大
災害
となっているとのことであります。なお、
被害総額
は四百九十億七千二百万円であります。 今次
災害
の特徴を挙げてみますと、
兵庫
県と同様、
大雨
による
被害
でありまして、一、
中小河川
が急激に増水し、
はんらん
したこと、そのため
堤防
の
決壊
、
道路
の損壊、
橋梁
の
流失等
の
被害
が続出しております。二、
県下
各地
で記録的な
集中豪雨
があったため、
各地
でがけ崩れ、
山地崩壊
などが相次いで発生したこと。三、
県下
に数多くあるため池が
被害
を大きくしたこと。四、
県下
各地
の低地一帯が
湛水状態
となり、その排水がきわめて緩慢なため、住居、水田等が長期間
冠水
し、
被害
が増大したことなどであります。
県当局
は、九月十日
災害対策本部
を設置するとともに、各
地方
振興局にもそれぞれ同本部を設け、直ちに
本部員
会議
を開催し、防災
対策
に万全を期するとともに、
自衛隊
の派遣を
要請
するなど
救援
体制を整えたのであります。 そして、
被災
地の
現地
調査
を行い、
救援物資
の確保、輸送、防疫
対策
、飲料水の確保など民生の安定に努め、
商工関係
では金融
対策
等に万全を期し、
農林
、
土木
、文教その他県民の救済に全力を挙げているが、国の大きい力をかりなければどうにもならないとのことで、概略次のような
要望事項
が示されました。 一、
激甚災害
の
指定
。 二、
災害救助法
に係る特例措置。 三、積極的な
改良復旧
の実施。 四、
災害復旧
事業費に対する財政措置。 五、
中小河川
の
改修
、急傾斜地崩壊防止等の事 業の飛躍的な
促進
を図るための予算措置。 六、
被災
者に対する金融措置。などであります。 次いで、
岡山
市、邑久町、長船町、牛窓町、美作町及び作東町の各市・
町長
より
説明
並びに
要望
を承りました。 そして、
委員
各位との協議懇談に入り、ここでは国立ハンセン氏病療養所の
被害状況
、また土葬墓地の
被害
対策
などが取り上げられ、
県当局
から
説明
がありました。 次いで、各市町の
災害現地
の視察に出発いたし、真備町小田川左岸
堤防
の視察を行ったのであります。ここは九月十二日早朝から小田川の
水位
が上がり、危険
状態
になったのでありますが、消防団を
中心
とした地元民が、専門業者の応援で辛くも
決壊
を免れたとのことで、視察団が訪れたときも
住民
が
堤防
の土盛り等補強に汗を流しておられました。 次いで、矢掛町役場に赴き、真備町、矢掛町、笠岡市の当局からこもごも
説明
を承ってまいったのでありますが、
住民
の納得が得られるような真に抜本的な治山治水
対策
が早急に必要であることについて、強い
要望
がなされたのであります。 次いで、矢掛町高妻林道の
崩壊現場
を視察した後、笠岡市大島地区のがけ地、急傾斜地の
崩壊現場
に参りました。 われわれは急な山道を徒歩で登り、
説明
を受けたのでありますが、それによると、九月十二日午後三時過ぎ、予想を絶する
集中豪雨
のため、標高二百四十八メートルの山が中腹より幅十五メートル、長さ百メートルにわたり崩壊し、鉄砲水となって下の民家を襲い、九戸が全
半壊
して
土砂
に埋もれてしまったのであります。まさに電撃的
災害
であります。これにより一名行方不明となり、
災害
発生後五日目になり、ようやく百名余りの
自衛隊
の手で遺体となって発見されたとのことであります。 われわれに対し、
住民
の方々から安心して住めるようにしてもらいたいとの訴えがあり、防災上の見地からいま一歩何とか手だてはないものかと感じてまいったのであります。 最後に、今次
災害
の
調査
を終えて、その
被害
の激甚なる
状況
に身をもって接してまいりました立場から、一、二申し上げてみますと、まずいずれの県、市町に参りましても、関係者はもとより、報道陣も含めて、異口同音に激甚法の早期発動について熱烈なる
要望
がなされたのでありまして、
政府
におかれましては、一日も早くこれが
指定
を行い、
被災
現地
の方々の
復旧
の意欲を高揚せしめるよう特段の御努力をお願いしておきたいと存じます。 次は、
自衛隊
を初め、
地元消防団
等の目ざましい活躍についてであります。これらの方々は、いち早く
救援
活動に、応急
復旧
にと昼夜を分かたぬ活動を展開し、
被災
地を守り、
罹災者
の感謝を受けたのでありました。 終わりに、今次
災害
で亡くなられました方々の御冥福と、負傷されました方々の一日も早い御全快をお祈りいたしますとともに、本
調査
に御協力を賜りました
兵庫
県、
岡山
県の関係各位に心から感謝し、お礼を申し述べ、
報告
を終わることといたします。(拍手) 次は、第三班の野田毅君。
野田毅
6
○野田(毅)
委員
高知県及び徳島県を視察いたしました第三班について、
派遣団
を代表いたしまして、若干の所見を交えて、
被害
の実情等その
概要
を御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、
斉藤
委員
、瀬野
委員
及び私、野田の三名と、それに
地元選出議員
多数の
参加
を得て、
現地
の実情をつぶさに
調査
してまいりました。 まず、高知県でございますが、同県の
被害状況
は、
死者
、行方不明者九名、
被害
住宅五万二千戸、
被害総額
は、
土木
、
農林
、水産、商工等の各般にわたって六百七十八億円に達しているとのことであります。 以下、視察の日程に従いまして、順次御
報告
申し上げます。 南国市奈路では、
山崩れ
が発生し、直下に居住する多数の
住民
がいまもなお公民館や親戚等に避難を続けておるとのことであります。また、による増水は、
市内
各地
の
家屋
に
浸水
による
被害
を与えたのであります。 市当局から、稲生
地域
については、特に高潮
対策
が急務である旨の強い
要望
がありました。 高知
市内
は、一日に五百二十五ミリにも達する気象台開設以来の
集中豪雨
に見舞われ、そのため鏡川その他の
河川
が
はんらん
し、市の半分にも及ぶ四万五千
世帯
が
浸水
したのであります。
市内
介良に設けられております三十三ヘクタールの面積を擁する廃棄物棄却地は、
市内
各地
から運び込まれた十万枚の骨を初め、三万トンに及ぶいわゆる
災害
廃棄物が山積みされており、この膨大な量は、
同市
の約半年分の
ごみ
にも相当するとのことであります。 これら
ごみ
処理及び
屎尿処理
に要した費用は二億円を超え、市当局としても、財政難の折から補てんに苦慮している
状態
にあり、国庫補助率の引き上げ等について強い
要請
がありました。 人口の都市集中化は、高知市においても他の
地域
同様でありまして、この十
年間
に七万人が増加したとのことであります。愛宕山
周辺
の造成
地域
の崩壊を初めとして、無秩序な宅地開発が本来の遊水地帯を失わせしめており、今後は
災害対策
の面から、宅地造成の規制についてもさらに検討を加えるべきであります。
市内
鏡川にかかる沈下橋を視察いたしましたが、その際、沿岸
住民
から
河川
の
堤防
整備等、抜本
改修
について
要望
がありました。 また、筆山頂上に至る公園
道路
及び
山腹
は、一見地震の跡を思わせる
亀裂
や地すべりが随所に生じており、水害の事後処理のみでは解決がむずかしく、この際長期展望に立った改良工事が必要と思われます。 久万川上流
地域
の円行寺地区の
山崩れ
は、谷合いから流出した三万平米の
土砂
によって住宅八戸が埋没し、農業を専業とするこの地の
住民
が
生活
の糧とする三ヘクタールの
田畑
等の耕地が、一夜にして跡形もなく
流失
したのであります。 鏡川上流
地域
の
山地崩壊
により流出した土石によって、鏡村の
中心部
は大
被害
をこうむったのでありますが、村当局からは、
河川
の本支川に堆積した
土砂
の除去について大幅な国庫補助と、鏡ダムについても、今回の
雨量
を考えるとき、ダムそのものの規模について再検討願いたいとの強い
要望
がありました。 また、同じく鏡川上流の山合いに
住家
が点在する土佐山村は、八日から十二日までの五日間に千九百四十ミリの
降雨量
を記録し、このため
道路
、通信等が途絶し、四日間にわたって全村が孤立したのでありますが、現在もなお全面開通はされていないとのことであります。 伊野町と日高村は、仁淀川をはさんで位する
町村
でありますが、支川の宇治川は毎年
豪雨
のために
はんらん
し、今回も
水位
は二メートルを超え、同
河川
流域の伊野、枝川
周辺
の
住家
の大半が軒並み二階まで
浸水
したとのことであり、また日高村は、伊野町同様に
浸水
は各戸に及び、一時は平野部全村が水没する事態に至ったとのことであります。 次に、国道三十二号線経由で入りました徳島県について御
報告
申し上げます。 徳島県の
被害状況
についてでありますが、は昨年の
台風
第五号及び第六号により甚大な
被害
を受けたのであり、その
災害復旧
の完了を見ないうちに、再び
死者
、行方不明者十名、
重軽傷者
十四名、
家屋
の
被害
三百二十戸、その他
田畑
の
冠水
、主要
道路
の各所での寸断等、その
被害総額
は三百二十四億円に及んでいるとのことであります。 とりわけ穴吹町、一宇村、木屋平村の三
町村
は、昨年に引き続き大きな
被害
を受け、全壊
家屋
合計百四十戸は、県全体の八八%をも占めるとのことであります。 一宇村の
中心部
である役場
周辺
には、いまだに
復旧
作業
にいそしむ消防団員の姿が見られ、また急傾斜地危険
地域
として県から
指定
されていた庁舎横の地すべり現場は、当時の
状況
も生々しく赤土が露出しておりまして、ブルドーザーを使っての
復旧
を急いでおりました。 ここで、実際に
家屋
の全壊により家財家具一切を失った
罹災者
から、
個人
の能力では回復は不可能であり、公的機関の
援助
を仰ぐほかないとの切々たる訴えがありました。 鳴門
市内
大谷川の破堤個所
周辺
は、
山腹崩壊
による流木や
土石流
によって、河床が上がり、そのため
道路
が
河川
よりも下にあるという、通常では考えられない
状況
でありました。また、同
河川
流域にある樋門近くの
決壊個所
についても、仮
復旧
はしているものの、見るも無残な
状態
でありました。 神山町川又地区では、
住民
代表多数の方々から、鮎喰川上流
河川
の
改修
と周囲に多発する地すべりについて、何とか早急に防止策を講じてほしいとの強い
要望
がありました。 川井峠から展望する木屋平村は、山奥の秘境を思わせるのどかな集落でありますが、今回の
豪雨
によって、村始まって以来の大きな
被害
をこうむったのであります。 滝の宮地区
周辺
は各所に大きな地すべりが点在しており、また滝の宮橋付近の河床は六メートル近くも上がっておりまして、すでに廃家となった川沿いに立つ民家は、軒下まで埋没しておりました。 さらに上流の川上地区は、周囲至るところに
山地崩壊
がみられ、また、かつてこの場所に建って いたといわれる公民館や消防団詰め所が、流出した土石や巨木によって、跡形もなく完全に
流失
し ておりました。 穴吹町は
山地崩壊
、地すべりによる
被害
が
中心
でありまして、そのため山の中腹に建つ住宅が
災害
を受けたのでありますが、小谷川流域の古宮地区では、
山崩れ
によって谷が埋まり、鉄砲水が同地区を襲って、民家二十八戸と高校の分校が
流失
したのであります。古宮中学校
周辺
の
河川
は、上流からの巨石や流木によって荒廃し、原始
河川
と化しておりました。 鴨島町は一年分の
降雨量
に匹敵する千三百十二ミリの
豪雨
により、通称、新開地と言われる江川地区の住宅が
床上
及び
床下浸水
したのであります。同
河川
の下流は、近年進んでいる宅地造成によって川幅が急激に狭まり、その結果、今回の大
被害
をこうむったとのことであり、
町当局
並びに地元
住民
から、飯尾川を含めて、河道
改修
されるよう
要望
がありました。 高知、徳島両県は、昨年の
台風
第五号及び第六号によって壊滅的な大
被害
を受けており、その
復旧
を待たずに再び大
災害
をこうむったのであります。こうしたことから、
公共施設
復旧
に要する各自治体の財政負担はもとより、
個人
罹災者
についても昨年の
災害
による借り入れ資金の返済等、いまだ解決されておらない面が多々あります。
各地
における昨年から連続しての
被害
の実情にかんがみ、早期に
激甚災害
の
指定
を行う等の緊急
対策
を初めとして、集団移転についても条件を緩和するなどして、防災
対策
全般に万全を期するとともに、
個人
災害
に対する救済制度の拡充強化については抜本的な大改革を断行して、
地域住民
の
生活
安定寄与に大英断をもって具体的施策を進めるべきであります。 終わりに、今回の
調査
に御協力を賜りました高知県及び徳島県並びに
関係市町村
の関係各位に対しまして、心から感謝申し上げるとともに、両県及び
市町村
から提出されました
要望事項等
につきましては、本日の
委員会
議録に
参照
として掲載されるよう
委員長
にお願いし、
派遣報告
を終わることといたします。(拍手)
兒玉末男
7
○
兒玉委員長
これにて
派遣委員
からの
報告
を終わりました。
派遣委員
各位にはまことに御苦労さまでございました。
—————————————
兒玉末男
8
○
兒玉委員長
なお、ただいま各班より
報告
がありました各県等の詳細な
要望事項
につきましては、これを
会議録
の末尾に
参照
として掲載いたしたいと存じますが、これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
兒玉末男
9
○
兒玉委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
—————————————
〔
要望
書は本号末尾に掲載〕
—————————————
兒玉末男
10
○
兒玉委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
松本十郎
11
○松本(十)
委員
このたびの
台風
第十七号に基づく
集中豪雨
によりまして、悲惨なる大
災害
がありましたことは、先刻当
委員会
の各視察団の団長からの
報告
のとおりでございまして、ただいま見ました国土庁の集計によりましても、全国で八千億になんなんとする
被害
額に達しておりますし、私の
兵庫
県におきましても、最近の数字で千百億円を超えております。しかもこれは、県の西部の数市数町に集中的に
被害
が出たわけでございまして、中には千ミリを超す大驟雨、一
年間
の
降雨量
の三分の二を超すような雨があったわけでございまして、皆様御承知の
一宮
町のあの
山崩れ
を初め、市の大半の戸数が
浸水
を受けたような赤穂市、その他各市町にわたって
想像
を絶する惨状を呈したわけでございます。 そこで、各市
町当局
あるいは
被災
者の方々から、私も
調査団
の
現地
参加
の一員として、あるいはまた各班の視察団の中に加わりまして、両三度にわたりまして
現地
をつぶさに見てまいりましたが、そういう方々からの
要望
として、いろいろありましたが、一口に申せば、一刻も早くこの
災害
の
復旧
をしていただきたい。そしてまた、再びこのような惨事が起きないように平素から万全の措置を講ぜられるような治山治水の事業を行ってほしい、これに尽きるわけでございます。 そういう観点から、
政府
当局に対しまして、
要望
を込めまして質問をしていきたいと存じますが、時間の制約もあるようでありますので、簡潔に、しかしながら
被災
者の気持ちを十分くみ取っていただきまして前向きの答弁をお願いする次第でございます。 まず、国土庁に質問申し上げますが、このたびの
災害
、当然、
激甚災害
の
指定
が行われるものと期待しておりますが、そのように確信していいものかどうか。しかもまた、この
指定
が一日も早く、一刻も早く行われることが
関係市町
、
被災
者の気持ちでありますので、大体いつごろをめどにこの
指定
を行えるか、これについてお伺いしたいと思います。
江藤隆美
12
○江藤
政府
委員
御答弁に先立ちまして、ごあいさつを一言この機会にさせていただきたいと思います。 国土庁の政務次官を拝命いたしまして、中央防災
会議
の事務
局長
をも来任することになりました江藤でございます。 よろしくお願いいたします。 ただいま松本
委員
から御質問がありました
激甚災
の
指定
につきましては、先ほど
現地
視察の
報告
にありましたように、
被災
地の強い熱望でもございます。ただいま各省において鋭意この集計といわゆる調整を進めておるところでありますが、一刻も早くいたしたい、こう考えております。ただ、中小企業関係の集計がまとまりますのが十月の四日と聞いております。通産省でも非常に急いでおるわけですけれども、この関係が少しおくれますので、できるならば来週中、ぎりぎり十月の四日に通産省関係の中小企業をまとめまして、十月の八日の閣議でもってこれを決定するようにいたしたい、こういうことでただいま各省間、努力をいたしておるところでございます。
松本十郎
13
○松本(十)
委員
ありがとうございます。一日も早く
指定
をお願いいたします。 次に、査定が一刻も早く期待されるわけでございますが、この査定事務の迅速化について関係各省の御努力をお願いしたいと思いますし、同時にこの
災害
が広範囲にわたりまして、件数が多いということもございましょうから、査定事務の簡素化と申しましょうか、総合単価を採用いたしまして、そういうことによる簡素化によって査定事務が一刻も早く終わりますようにお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか、建設省あるいは国土庁。
梶山静六
14
○梶山
政府
委員
このたび
建設政務次官
を命ぜられました梶山でございます。
委員
各位の格別の御指導をお願いしたいと思います。 松本
委員
の質問の第一の
激甚災害
の
指定
、この問題はすでに
国土政務次官
からお答えになりましたけれども、建設省の
報告
ではすでに
被害
額が
指定
基準に達しておりますので、主務官庁である国土庁と協議をいたしております。 それから、査定事務の簡素化、迅速化、この件については確かに数万件に上る査定書を作成するわけでありますから、総合単価制度の枠を三百万から五百万に拡大を図り、小規模工事等においては、
災害
が明瞭でかつ適正工法と思われるものについては机上査定を実施いたしまして、査定事務の迅速化と簡素化を図るように各省と協議をいたしております。 以上です。
松本十郎
15
○松本(十)
委員
なお、査定を受けます場合に、何としましても
災害
の現況、その改良の目途等を立てる目的で技術者がいろいろ
調査
しなければならぬわけでございますが、これほど
災害
が多くなってまいりますと、県とか市町の担当者をもってしてはなかなかこの
作業
が進まない、どうしてもコンサルタントあるいは設計者に将来の改良あるいは
復旧
計画の事務を委託しなければならない。
激甚災害
の
指定
を受けますと、事実上ある程度の委託料についての予算措置は講ぜられておるように聞いておりますが、いまだ制度としてこれが動いておりませんので、実際問題としてなかなか円滑に進まない。こういうことがありますので、こういったコンサルタント料等を制度として
災害
予算で見てやる、こういうことをお願いしたいと思うのでありますが、これについての建設省あるいは国土庁の御意見はいかがでしょう。
梶山静六
16
○梶山
政府
委員
お答えをいたします。
災害
査定の設計については、四十七年、四十九年の
災害
並びに五十年の
災害
が激甚であったことにかんがみまして、
早期復旧
をするために
地方
自治体の負担の軽減を図らなければならないということから、臨時特例措置として一定の条件のもとに約二分の一の補助を行ってきたわけであります。今後とも、大規模な
災害
が発生をしている現況にかんがみまして、
地方
公共
団体の実情を勘案いたしまして、設計委託の実態を
調査
し、財務当局と協議をして、この問題については前向きに検 討をしてまいりたいと思います。
松本十郎
17
○松本(十)
委員
これまでもある程度は見ていたようでございますが、なかなかその条件がむずかしく、実情は
市町村
が相当
部分
を負担しなければならぬという現状でございますので、この点につきましては大蔵省その他とも十分連絡をとっていただいて、まるまる見ていただく方向で御努力を願いたいと
要望
しておきます。 次に、各事業の
災害復旧
対策
としての採択基準でありますが、当然これは基準としての目安は必要なことはよくわかります。しかしながら、
現地
をつぶさに見ますと、この基準にこだわっておってはなかなか実情に合った
復旧
計画ができない、こういうことでありますので、この採択基準の運用に当たりましては、実情を十分見た上で弾力的な運用を図られたい、こう存じますが、この点について建設省あるいは
農林
省の御意見を伺いたいと思います。
梶山静六
18
○梶山
政府
委員
採択基準については逐次改善をいたしておりますが、例を申せば、
緊急砂防事業
等においては、五十一年度に、人家五十戸以上というものを二十戸以上に、実情に合わせるという改定をいたしております。 今後とも
災害対策
の万全を期してまいりたいと思います。
山崎平八郎
19
○
山崎
(平)
政府
委員
先ほど来国土、建設両政務次官からもごあいさつがございましたが、私も同様新任でございますので、
委員
各位のお引き回しをお願いいたします。 ただいまの松本
委員
の採択基準の問題でございますが、建設省同様
農林
省も、
現地
の実情に即しまして、今回の特殊
災害
にかんがみ、特に入念なそごのない方法をとってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
松本十郎
20
○松本(十)
委員
災害対策
は原則として原状回復ということがあるのでありましょうが、しかしながら、たとえば
兵庫
県の西部の場合には、本年の
災害
の二年前に
災害
を受けておりますし、さらにその三年前、
昭和
四十六年にも受けておるわけでございまして、五
年間
に三度というふうに大
災害
を連続して受けておるわけでありますが、
現地
を見ますと、
災害
で手当てしたところは、このたびのような大驟雨にもかかわらずほとんど
被害
を免れておる、こういう現状でもありますので、何としましても
災害復旧
と同時に
改良復旧
と申しましょうか、二度とこういうことが起きないようなスタンスで、立場で、この
災害対策
を講じていただきたいと思いますが、そういう
改良復旧
について思い切った措置を特に建設省、
農林
省で考えていただきたい、こう思うわけであります。いかがでしょう。
梶山静六
21
○梶山
政府
委員
確かに
災害復旧
は原形で
復旧
することを原則といたしております。そしてその中では、さらに再度
災害
が発生をしておるところもあるわけであります。ですから、特に
被害
の激甚なものについては、一定の計画によりまして
改良復旧
をするほか、特に
災害復旧
費に改良費を加えて、いわゆる
災害
関連事業等として抜本的な改良事業を実施してまいったわけであります。今後ともその積極的な活用を図ってまいりたいと思います。
山崎平八郎
22
○
山崎
(平)
政府
委員
ただいまの御
説明
の建設省とほぼ同様でありますけれども、元来、
災害復旧
事業は原形で
復旧
することを原則といたしておりますが、それだけでは不適当な場合には実態に応じた
復旧
を実施することとしておりまして、特に
被害
の激甚なものについては、一定の計画により
改良復旧
するほか、
災害復旧
費にさらに改良費を加え、
災害
関連事業等として抜本的な改良事業を実施してまいったところでございまして、今後ともその積極的な活用を図ってまいりたいと存じます。
松本十郎
23
○松本(十)
委員
再びこのような
災害
が起きないようにという意味において、思い切った
改良復旧
ということを特にお願いしたいと思いますが、なかんずく
農林
省関係のため池とかあるいは井ぜき、林地崩壊、こういったものについては、このたびの
災害
においても前に直したところは助かっておるが、その隣がごっそりやられておるという情勢でございまして、
改良復旧
という立場で思い切った施策をとっていただくように重ねて
要望
しておきたいと思います。 次に、
農林
省にお伺いいたしますが、このたびの
災害
で、すでに実を結んだ早い米はある程度
被害
が助かっておるのでありますが、おくてなりモチ米というものはまだ刈りかけでありましたので完全に
被災
しておるわけでありまして、こういったものについて共済等で十分の配慮をお願いしますと同時に、早い米につきましても、等外品ではありましょうが、何らかの形で品質の低い米の買い上げについて格段の御配慮をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
山崎平八郎
24
○
山崎
(平)
政府
委員
お答えいたします。 まず、共済の問題でございますが、冷害につきましては、その
被害状況
を
農林
省の統計情報部でただいま
調査
をいたしておりまして、その結果を待っておりますが、なるべく速やかに措置することといたしたいと存じます。私のめどといたしましては、十一月矛中には天災融資法の発動ができるべく、したがって、十二月、年内にはできるだけ共済金の支払いというところに結びつけたいと存じておる次第でございます。 なお、林地崩壊につきまして御質問がございましたが、これは
昭和
四十一年から実施要綱をもって、これに基づいて行っておるところでありますけれども、その事業の採択基準、これは二戸以上の人家または
公共施設
に直接の
被害
を与えるおそれがあると認められる崩壊林地を対象としております。ただし、この場合、人家と申しますと、人の住居の用に供しておる
家屋
でございますが、これは
作業
場その他
家屋
と一体となっている物、工場等を含んでおります。さらにまた、
家屋
にございましては一
世帯
を一戸と算定いたしておりますから、二
世帯
は二戸という感覚、それらのいろいろの考え方をもって弾力的に活用してまいる所存でございますので、念のためお伝えいたします。
松本十郎
25
○松本(十)
委員
特に林地等につきましては、たとえば瀬戸内海に
家島
群島というのがありますが、小学校がちょうど急傾斜地の前にありまして、前回の
災害
で三分の一ほど直してもらったところは大丈夫なのですが、その隣の山が崩れたり、学校に
土砂
が入って、幸いにして休校でありましたので人災がありませんでしたが、これまた目を覆うような惨状でありました。そういった採択基準なりあるいは
改良復旧
なりについては、格段の御配慮を重ねてお願いしておきたいと思います。 それから、建設省に戻りますが、このたびの
災害
でまたまた強く感ぜられましたことは、人口密集地帯を流れております
中小河川
あるいは準用
河川
等が思いのほかの水量のために
堤防
決壊
したりあるいは温水をして、住宅が
浸水
したという実情もありますし、それから海岸地帯の方の諸般の
公共施設
なり民間の工場その他の建設によりまして内水の排除が思うに任せませんで、そのためにこれがあふれて一帯の人家を水に浸したというような
状況
でございますので、
中小河川
の
改修
につきましては、
災害
と関連するものは思い切ってやっていただく。さらにまた、幸いにして激特制度というものが発足しまして、年とともにこれが拡充されておるわけでございますので、この激特制度というものを思い切って実施をいたしまして、この
中小河川
等についての
改修
、二度と
災害
を起こさないような予防策というものについて万全の措置を講じていただきたいと思うのでございますが、建設省の御見解はどうですか。
梶山静六
26
○梶山
政府
委員
確かに
中小河川
の水害が恒常化をいたしておりまして、梅雨期の
集中豪雨
、
台風
十七号等により
各地
で
中小河川
の
はんらん
による激甚な
災害
が発生したわけであります。
中小河川
の
改修
を治水事業の重点施策として位置づけながら、今後ともその改善を図ってまいりたいと思います。 五十一年度予算においても、
河川
事業費全体の伸び率一八%のうち、
中小河川
においては一九・四%、約一千九百三十億円を計上いたしております。今後ともその重点的な推進を図ってまいりたいと思います。 激甚
災害対策
特別緊急
河川
事業、これは一般
災害
が発生した
河川
に対し、一定の計画に基づいておおむね五カ年程度で事業概成をさせようとするものでありまして、五十一年度においては四十九年度災、五十年度災の
災害
河川
、特に
中小河川
においては十七
河川
を対象として実施いたしております。 五十一年度の梅雨前線及び十七号の
豪雨
による
被害
も、激甚であった
河川
についてはこの激特事業の対象
河川
として採択するように極力努力をして、抜本的な
河川
改良を中小、準用
河川
等に向かって進めてまいりたいと存じます。 以上です。
松本十郎
27
○松本(十)
委員
次に、自治省に質問したいと存じますが、
災害復旧
事業債の充当率の引き上げ、あるいは
災害
関連事業費に係る起債の充当率を
災害復旧
事業債並みに引き上げる、こういった起債について格段の配慮を願いたいと思うわけでございます。もちろん、
交付
税の繰り上げ実施、これは決めていただいたようでありますし、将来
特別交付税
でいろいろとまた
要望
したいとは存じますが、それとあわせまして
地方
債につきまして格段の配慮をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
木村武千代
28
○木村
政府
委員
お答えをいたす前に、ごあいさつを申し上げます。 私、このたび
自治政務次官
を拝命いたしました
木村武千代
でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。 それと同時に、このたびの
災害
につきまして、当
委員会
の
委員長
様を初めといたしまして各
委員
の方々におかれましては、早速関係県、
市町村
を御
調査
いただきまして非常にありがたく、また、その
災害
の実情を深く御認識なされましたことを、自治省といたしましても、また関係県、
市町村
からよろしく皆さんに申し上げてくれということでございましたから、この席をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。 次に、松本
委員
からの御質問でございますが、
災害復旧
事業につきましては、国庫補助、また負担金、
特別交付税
というようなものを勘案いたしまして
災害復旧
事業債の充当率を考えておるわけでございます。現在のところまでではそれで大体いけるのじゃないかというような気持ちを持っておる次第でございます。 さらに、
災害
関連の事業債につきましては、今年度におきましては特に国庫負担事業に関係のあるものは九五%充当させていただきたいというっもりでやっております。 以上、御
報告
申し上げます。
松本十郎
29
○松本(十)
委員
格段の配慮をお願いしておきます。 あわせまして、
災害
が起きました場合に当然
自衛隊
の応援がいただける、あるいはまた関係各省から応急措置についての
援助
があるわけでございますが、何といたしましてもこれほど広範囲にわたって大きな
災害
がありますと、さしあたり孤立したような市とか町において、あるいは孤立はしておりませんでも十分の応援の求められない市とか町においては、市当局、
町当局
が自己の負担において当面の応急措置を講じなければならない、こういう現状でございます。
地方
財政がある程度ゆとりのある時期でありますと、そういう場合にも思い切った手が打たれるわけでございますが、現在のような
地方
財政窮乏の時期には、先立つ金についての心配まで
市長
なり
町長
がしなければならぬ。こういうことを考えます場合に、このたびの場合には間に合わぬでありましょうが、将来に備える意味におきまして、何かそういう応急処理のために必要な金を暫時貸し出すと申しましょうか、当座使っておっていいというような形で出せるような資金制度、こういったものを創設しておく必要があろうかと思うのでありますが、これに対して自治省はどういうふうなお考えでしょうか。
木村武千代
30
○木村
政府
委員
お答え申し上げます。 それにつきまして、私、九月の十三日から
各地
の方へ、特に香川県でございましたが参りまして、その実情を見ましたところ、まことに松本
委員
が申されたとおりでございます。 そこで、私、早速自治省の方へ帰りまして、この応急の費用についてどういうぐあいにするかということを相談をいたしたわけでございます。そうしますと、自治省の方におきましては、現行制度といたしましては、
地方
公共
団体において積立金があるところがあるだろう、また歳計現金のやりくりをしたらどうかというようなこともございますし、それが二つともできていないところにおきましては、一時借入金で、しかも借入金も、町議会なり市議会を開くことができない場合には、
市長
なり
町長
の専決事項としてやってよろしいということの話になりまして、そのことを直ちに
市町村
に連絡したような次第でございます。 しかし、それは一時の応急措置でございまして、それのやりくりの金をやはり最後には精算をしなければならないわけでございますから、そういうことにおきまして
交付
税のいわゆる繰り上げ
交付
をいたすわけでございます。それはこの十月二日に、自治省といたしまして一般
交付
税の中で五百七十五億円
交付
をするという腹づもりでいたしております。これは大蔵省とも話し済みでございますので、御
報告
申し上げます。 さらに、私も実情を見まして、いま松本
委員
が申されたようなそういう
応急対策
の基金というものが必要でないかと存じますので、このことにつきましては十分将来検討させていただきまして、これから応急の処置に万遺憾なきような処置をとらしていただきたいと思うわけでございます。 以上、お答えいたします。
松本十郎
31
○松本(十)
委員
前向きでの検討を特に切望いたしておきます。 次に、文部省にお伺いしたいと存じますが、文化財が
災害
を受けました場合には、これは
災害復旧
制度の中で
復旧
が図られるのかどうか、たとえば播州赤穂のあの城壁がこのたびの
災害
で崩れたわけでございますが、いろいろ聞いてみますと、なかなか文化財については
復旧
制度に乗せることがむずかしいというふうな感触を受けたわけでございますが、これに対してどういう実情になっておるか。しかし、何としましてもこの
復旧
は急ぐわけでございますので、文部省としては、文化財所管省としてどのように対応していただけるか、この辺についてお答えいただきたいと思います。
横瀬庄次
32
○横瀬
説明
員 お答え申し上げます。 赤穂城の城跡の
被害
につきましては、本丸の南すみやぐらの石垣が幅十数メートルにわたって崩壊したという
報告
を赤穂市から受けております。文化庁といたしましては、早速この
被害状況
を把握いたしまして
対策
を立てるために、十月の上旬でございますが、五日から
被害
の大きいところを回っていきたいということで、文化庁の専門の技官を派遣することにしております。赤穂城跡につきましても十月の九日を予定しておりますが、参るつもりでございます。 その際に、具体的な措置について十分検討したいというふうに思っておりますが、文化財の
災害復旧
につきましては、法律的な制度は、対象が非常に区々であるためにそういう制度がございませんけれども、従来から文化財保存事業費の中に補助金を計上しておりまして、その補助金の適用によって対処してきております。したがいまして、赤穂城跡につきましても、当然その適用が検討対象になると思います。赤穂市、
兵庫
県と早急に具体的な検討ができるように対処したいというふうに考えております。
松本十郎
33
○松本(十)
委員
補助金で早急な
復旧
を図るようにしていただくのは結構なんですが、市としてはいろいろ
災害
に基づく負担が多いわけでありますので、できるだけ当該市の負担が最小限で済むように、これは
災害復旧
制度に乗らないかと思いますが、格別の配慮を特に文部省に
要望
しておくわけであります。 それから、先ほど林地崩壊の関係で
農林
省に伺いましたが、
家島
等のあの学校裏の急傾斜地に
山崩れ
があったような場合、所管はもちろん
農林
省でありましょうが、学校の
公共
文教
施設
の所管省である文部省としても、十分林野庁あるいは建設省にお願いをして、これが円滑に
復旧工事
が実施されるように、これまた強く
要望
しておきたいと思うわけであります。 時間もございませんので、あとは一般論としまして、
災害復旧
をやります場合に、
河川
改修
と井ぜき、あるいはため池と中小都市
河川
、あるいは農業用水路と
中小河川
、あるいは林地と急傾斜地あるいは砂防、こういった関係で、
農林
省と特に建設省との間で権限の積極的、消極的な論議があることが実情としては多いと聞いておりますが、どちらが担当していただくにしろ、
災害
の後始末をし、将来二度と
災害
が起きないようにやってもらえばいいわけでございますので、そういった点については十分に連絡をし、協調していただきながら、地元の市とか町あるいは
地域
の
住民
が困ることのないように、これまた十分の配慮をもって
復旧
計画なり関連事業を行っていただきたい、これが
要望
でございますが、この際、
農林
省あるいは建設省の御意見も伺っておきたいと思います。
江藤隆美
34
○江藤
政府
委員
ただいまの御意見につきましては、これほどの大
災害
でありますから、当然
各地
において御意見のような問題が出てくることを予測しておりますので、各省連絡
会議
、防災
会議
等におきまして、事前にこれらの問題については十分お互いの意見の交換をいたしております。御心配がないように、国土庁におきましても十分にその間の調整をしてまいりたい、このように考えておるところであります。
松本十郎
35
○松本(十)
委員
いま一つ、これまた各省にわたるわけでございますが、
災害復旧
の場合には、原則的に初年度三割、次年度五割、第三年度二割と、三、五、二の割合で三年計画で
復旧工事
を行うというのが原則のように聞いておりますが、おととしあってまたあったような
地域
から見ますならば、運よく工事が早期に進捗したところは
災害
を受けないで、免れてよかったわけでありますが、もう一息やっておいてもらえば事なきを得たのに、それが残っておったためにがしゃっと崩れてしまって大
被害
を受けた、こういう例も多いわけでありますので、実情に即して、そのような原則は原則でありましょうが、早期に繰り上げて一刻も早く
災害復旧
工事が終わりますように、関連事業もあわせて行いますように、これまた格段の
要望
をしたいわけでありますが、国土庁かあるいは建設省からお答えを願いたいと思います。
梶山静六
36
○梶山
政府
委員
確かに、
公共土木施設
にかかわる
災害復旧
事業については、直轄事業においてはニカ年、補助事業については三、五、二の割合で三カ年、これで
復旧
を完了する方針のもとに現在まで行われてきております。しかしながら、
災害復旧
事業は民生の安定を図る上にも一日も早く完成をさせる必要がありますので、国庫債務負担行為を活用して、さらにこの
促進
を図ってまいりたいと思っております。 特に、激甚な
災害
を受けた府県等については、
災害
の実情と工事実施面における施行能力等を勘案して重点的に
復旧
を図ってまいりたいと思います。総枠で三、五、二の割合でございますから、特定の
地域
を選んで早く
復旧
ができますように格段の努力を払ってまいりたいと思います。 特にこの際、われわれ行政官庁といたしましては、建設省を初め各省庁協議をいたしながら努力をしているわけでありますが、いずれにしても最終的には予算の問題が関連をするわけであります。ですから、各種補助率、それから基準のアップその他の努力をいたしますとともに、また一般的な、建設省で言えば建設行政に支障のない別個な意味での一般的な予算を確保しなければならないわけであります。
災害
はいつ、どこに発生をするかわかりませんので、特に
委員
各位の大蔵当局に対する根回し等御協力を心からお願いをいたしまして、お答えにいたします。
松本十郎
37
○松本(十)
委員
これまで建設省を初め関係各省に質問申し上げ、
要望
してまいりましたが、同時に、こういった各省の諸
対策
が完全、円滑に行われますためには、何としましても財政当局である大蔵省が温かい気持ちで対処してもらわなければなかなか画竜点睛が望めないということでありますし、したがいまして
地方
財政の問題、あるいは基金創設の問題、あるいは査定事務の迅速化、簡素化等の問題、あるいは
原形復旧
プラス関連事業の大幅な実施等、あるいは
災害
の場合には三、五、二の比率ではありますが、できるだけ実情に合った早期の実施等々を考えれば、これはすべて、一面では大蔵省の考え方にも弾力性なりあるいは温かい気持ちがなければならぬと思うわけでございまして、特にこの際
大蔵政務次官
から、このたびの
災害
についてどのようなお立場か、ひとつ伺っておきたい。
高鳥修
38
○
高鳥
政府
委員
大蔵政務次官
を拝命いたしました
高鳥
修であります。 つい先日までは、当
委員会
の
理事
といたしまして、もっぱら
災害
問題に一緒に取り組ませていただいてまいった次第でございまして、今回の
災害
に際しまして、
委員
各位に大変熱心にお取り組みをいただいておりますことを心から感謝を申し上げ、敬意を表します次第であります。 ただいま松本
委員
から、最終的に総括して大蔵省の見解を求められたわけでございますが、一応順次簡潔に申し上げますと、最初の
災害復旧
に対応する資金の問題につきましては、自治省から御答弁がございましたように、
市町村
あるいは都道府県の対応策についてはそれぞれ所管において御配慮いただいておるところでありますが、大蔵省といたしましては、
災害復旧
に要する資金につきましては、とりあえずは
災害復旧
費現年度分計上が二百億ほどございます。 〔
委員長
退席、金丸(徳)
委員長
代理着席〕 これに不足いたしますものにつきましては、予備費等を使用いたしまして遺憾なきを期してまいりたい、このように思っておる次第であります。 二百億につきましては、実は過去に起こりました
災害
実績の最低の額に対しまして、それの進度実績を勘案をいたしまして算定をいたしてございます。したがいまして、過去五
年間
の平均で申しますと、八百八十億ほど計上しなければならないような形になるわけでありますが、
災害
は決して多きを望まない、できるだけ少ない方がいいわけでありますから、最低を計上いたしておきまして、必要な場合には予備費をもって措置をするということはいたし方ないことではなかろうか、このように思っておる次第であります。 それから第二に、
災害
の査定事務の簡素化と総合単価主義につきましては、関係各省において御答弁がございましたが、大蔵省でも適用範囲の拡大等につきまして前向きに、積極的に打ち合わせをいたしておりますので、御質問の御趣旨を実現してまいりたい、このように思っておる次第であります。
原形復旧
、
改良復旧
等の問題につきましては、当然のことでございますので、そのように措置いたしてまいる決意でございます。 それから三、五、二の
災害復旧
費に関連をいたしましては、すでに松本
委員
も御指摘がございましたが、特に非常に危険な場所につきましては、応急工事を直ちに着工していただいて速やかに進めたい、このように考えておりますし、その他危険個所につきましては、三、五、二の比率にかかわらず
復旧
を急いでまいりたい、このように考えておりまして、各省の要求に応じまして大蔵省といたしましては十分対処をする決意でございます。 大体、以上が大蔵省側に対する御質問の要旨で、あったかと思いますが、いずれにいたしましても、今次
災害
は非常に激甚でございますので、私どもといたしましては全力を挙げてその
復旧
に対処をいたし、民生の安定を図ってまいりたい、このように思っております。 以上であります。
松本十郎
39
○松本(十)
委員
時間が参りましたので、あと質問したいこともございましたが、これで終わりたいと思いますけれども、以上のような
土木
、
農林
等の
公共施設
のほかに、やはり
個人
が
災害
を受けまして、
個人
の力で
復旧
をしたりあるいは営業上の損失をカバーしなければならないような実情でもありますので、これに対する
援助
なり融資なりについても、これまた格段の配慮を
政府
側に
要望
しておきます。 何と申しましても、政治の要諦は、まず水を治めることであり、山を治めることであって、治水治山こそ政治の第一の課題でございまして、このような
災害
が二度と起きませんように、格段の施策を各省、
政府
一体となって実施していただきますことを特に
要望
するわけであります。 一言申し上げますならば、ある
町長
が、自分の町ではこのたび十億円を超す
災害
がありましたが、仮にこの両三
年間
で五億程度の予算を執行していただいておれば、こういう
災害
は起きないで済みました、こういうことをしみじみと告白しておりましたが、まさに日本の治水治山の現状はそのようなものであろうと思います。
災害
が起きてからこれの
復旧
に努力するのはもちろんでありますが、起きない前にこれを予防することこそ政治の第一の要諦でありますので、
政府
側の万全の措置につきまして重ねて強く
要望
いたしまして、私の質問を終わります。
金丸徳重
40
○金丸(徳)
委員長
代理 次に、
井上
泉君。
井上泉
41
○
井上
(泉)
委員
今次の
災害
に対して
災害対策
室からの
報告
によりますと、七千五百十七億の
被害
額が計上されておるわけでありますが、この七千五百十七億という
被害
は、これは
河川
の
決壊
だとかあるいは
農地
の
被害
だとかいうような公的な性格のものばかりでありますが、この
被害
によって受けた
住民
の
個人被害
というものをどれだけに推測をしておるのか、把握をしておるのか、その点をまず承りたいと思います。
紀埜孝典
42
○
紀埜
説明
員 お答えさしていただきます。 ただいま私たちが
地方
団体から
報告
を受けておりますものに、人的、物的
被害
についてはその
被害
額をとっていないのであります。とっていないのは、
災害
が起こった時期に、たとえば
家屋
を例にとりましてどういうふうな形で
被害
額を確定していくのかというふうな問題等々いろいろ問題があります。そうして、加えまして、国としてはただいま現在、直接それに対する救済制度も持ち合わせておりませんので、一応とらないことにしておる、こういうふうな形になっておるわけでございます。
井上泉
43
○
井上
(泉)
委員
こういう
公共
事業というものはだれのためにあるのか、こういうことをまず第一番にお考えになったら、これはもうおわかりでしょう。
公共
事業がおくれたがために、去年も水害で浸って、そうして家財道具一切どろ水につけてしまった。今朝、
岐阜
の今度の
長良川
の
決壊
で
災害
を受けた
被災
者の方の陳情も聞いたのでありますが、いわゆる
公共
事業というものは国民の幸せを守るためにある。その
公共
事業がおくれたために
個人
が莫大な
被害
を受けた。その莫大な
被害
を受けたことを、ここで総理府なりあるいは国土庁なり、それが掌握をして、これだけの
被害
を国民に与えたのだから、だからこれだけの金は早く計上して、
堤防
の強化やあるいは防災工事とかそういうようなものをしなければならぬという考えになるのが、私は政治としては当然の姿ではないかと思う。
個人
が
被害
を受けたことに、今日余りにも目をつぶり過ぎてきておる。いつも
個人
の
被害
者というものは泣き寝入りである。本当にそういうふうなことについて
災害対策
室なんかも冷淡じゃないかと私は思うわけですが、それはどうですか。
個人
の
被害
についてそれを詳細に
調査
をし、一体どれだけ国民が
被害
を受けたのか。たとえば高知市におきましても、二万戸の
世帯
が
床上浸水
で、畳の枚数だけでも十二万を超えておるという。十二万を超えておるとすれば、
個人
の受けた
被害
だけでも、昼だけでも一万円として十二億になる。そういう莫大な
個人
の
被害
を考えますならば、今次の
災害
によって七千億というこの
被害
報告
は、私は、
個人
の
被害
を計上すれば、これは一兆五千億以上のものになるのじゃないか、こういうように思うわけです。およその推測としてもそのことは成り立つと思うし、やはり
個人
の
被害
をなくする、国民の
被害
をなくするために
災害復旧
がなされ、防災工事がなされ、治山治水の工事がなされるのが本来の姿ではないでしょうか。 その点からも、
個人
の
被害
に対する把握を
災害対策
室の中でせずして、抜本的な、そして早急な
復旧
対策
というものが立ち得ようはずがないわけであります。
個人
がたくさんの
被害
を受けておることに対して、行政が手落ちである。
長良川
でも、行政の手落ちのためにそれこそ何千億という財産が消滅をしたと私は思います。わが高知県の高知市におきましても、昨年も一万五千戸のものが
床上浸水
でどろ田になった。ことしも二万戸以上のものが
浸水
した。それも鏡川の工事やあるいは神田川の
改修
工事、そういうようなものが早急に行われておったならば、決してこういうことにならないわけであります。そういうことをしないからいつも
個人
が犠牲にされておるわけです。 そういう
個人
災害
に対する政治としての
対策
というものを考えるべきであると私は思うわけですが、これは政務次官、ひとつどうですか。
江藤隆美
44
○江藤
政府
委員
私どもも、さきの
災害
におきまして
現地
の
調査
もし、またいままでの慣例から申しましても、しばしば国会でも議論をされましたように、
個人
災害
についての救済をどうするかということは、政治が抱えておる大きな課題である、こう思っております。 今回の十七号
台風
についての
個人
災害
について詳細な
調査
がなされてないということについては、御意見のとおりであります。 そこで、これらの問題を考えてみますと、総理府において、御案内のように、
個人
災害
共済制度をやってはどうかということが実は三
年間
にわたって検討をされまして、この要綱に基づいて各
市町村
の意見を聞いたこともあるわけであります。ところが、この制度についてはまことに結構なことであるという答えが約八八%であります。それならば、あなたは加入をいたしますか、こういうことについては、加入をするであろうと言ったのは 一〇%か多くて二〇%だ。
災害
というものはそういうふうに不特定でありますし、その形容も著しく異なりますので、必要性は十分お互いに感じながらも、なかなかそういうふうには、
災害
補償制度というものに強制加入させるというわけにもまいりませんものですから、なかなかうまくいかない。さらば一体、国の予算でもって全部それをめんどう見ていくかということになりますと、これは財政上の問題との関連もございまして、膨大な予算を要するであろう。 こういうふうなことも実はありまして、いま各党間におきまして、さきに昨年度改正を見ましたいわゆる弔慰金制度についてもいろいろと御検討をいただきまして、いろいろ御相談が進められておるというふうにも承っております。したがいまして、こうした弔慰金制度等の改正についても、私どもは十二分に国会の御意見を拝聴しながら対処してまいりたい。 それからもう一つは、私が先ほど申し上げましたように、全くやってないわけではありませんで、一番急ぐのは、一つにはやはり中小企業
対策
であると思っております。したがいまして、中小企業の関係のまとまるのが四日と聞いておりますから、もうぎりぎりの十月八日に、中小企業のまとまるのを待って
激甚災
の
指定
をしたい。というのは、一にかかってこれらに対する手当てをしていきたい。 もう一つは、
政府
のいわゆる制度資金というものがかなり各業界に対して貸し付けが行われておるわけでありますから、当然これらの償還等についても、必要なるものについては償還延期の措置を講ずる、あるいはまた、新たなる貸付金制度あるいは見舞い金、弔慰金制度もございますから、あわせてそういうふうなことでもって当面しのいでまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。 しかし、御意見の全体的な
個人
災害
の把握については、当然今後政治が取り組むべき課題である、このように受けとめて十分検討してまいりたいと思います。
井上泉
45
○
井上
(泉)
委員
こうした
災害
で
個人
が受けた
被害
がどれだけのものであるかということは、やはり政治が取り組むためにも必要なことであるわけなので、国土庁がその所管ならば、国土庁の方でその
個人
の受けた
被害
の
調査
をやるのかどうかということと、さらには、この
個人
の受けた
被害
については、いま政務次官は中小企業者やいろいろなことについて
最大
限の努力を払うということを言われたわけでありますが、中小企業者には中小企業者としてのそれぞれその企業者に対する救済措置がある。ところが、月給取りにはその救済措置がない。新しい
団地
で
浸水
した方は零細な給与所得者が多いわけであります。これらに対する救済措置というものが何らないわけですから、
個人
のこうした方に対する救済措置を、単なる融資の形でやるとかあるいは二分の金利で金を貸すとかいうようなことではなしに、こうした
個人
の受けたものに対しては、一定の期間はやはりその
被害
の
状態
に応じていわゆる動労所得税を減免するとかいうような措置も当然なされてしかるべきだと思うわけでありますが、その点についての見解を承りたいと思います。
江藤隆美
46
○江藤
政府
委員
今回も実を言いますと、
個人
災害
の
調査
について各省関係で十分と議論をいたしたわけであります。ところが、
公共
災害
が非常に発生をいたしまして、各都道府県あるいは各
市町村
におかれましても、限られた人員でもって緊急
災害復旧
の把握について全力を挙げておる。あるいはまた、けがをした人あるいは亡くなった人、そういう方々が発生したところにおいては、ますますもって行政事務が繁雑になっておるわけでありまして、その直後に一軒、一軒の家財道具に至るまで
調査
をするということはなかなか容易ならざることである。これは十二分に各都道府県を初め関係団体と相談をしなければ、必要はあることでありますけれども、どうしても今日
災害
の直後にそれだけのことをやることはなかなか困難だ、こういうふうな議論を実はいままでいたしてきたところであります。 したがいまして、今後十分に、これらのことがやれるとするならばやらなければならないことであると私どもも受けとめておりますから、一体どうしたならばやれるのか、問題点はどういうことなのか、あるいはそれをやるがためにはどういう体制を整えたらいいのか、全体的にわたっていま少しく検討させていただきたいと思います。 それから、勤労者の所得税の
減免等
につきましては、国土庁の所管ではございませんが、これは一つの御提案だと思いますので、大蔵当局とも御相談をしてみたいと思います。
井上泉
47
○
井上
(泉)
委員
大蔵省からも来られておるでありましょうから、大蔵省の見解も承りたいと思います。 そこで、
個人
災害
の
被害
の額というものも課題としてこれを
調査
する方向で取り組むということは、私はまことに適切なことだと思うし、そのことがなされないから
災害復旧
に対する真剣さが忘れられて、今度こそまたと再びこのような
災害
が起こらないようにということを、きれいごとで事を済ましておるわけである。けさも
岐阜
の
町長
があの陳情の中でも、
ごみ
じゃないわけですから、大事な家財道具である。たとえば高知市におきましても、約五万トンというものは
ごみ
でないわけですから、これが畳であり、あるいは電気冷蔵庫であり、あるいは洗たく機であり、家具であり、布団であり、それはもう大変な財産ですから、その
被害
を取り返すというようなことは、いまのサラリーマンの給与の
状態
の中で、これが一年や二年で取り返せる
状態
ではないわけです。だから、この
ごみ
の現状を見た場合には、
災害
で発生したところの
個人
財産の消滅の
状態
を見た場合においても、これだけのものをこの
災害
が与えたか、これに対しては何らかのことをしなければならぬ、これだけの気持ちというものが行政当局にあってしかるべきだと私は思うわけであります。 そこで、
個人
災害
のことについては、共済制度とかいろいろなことも検討されてきておるが、まだ具体的な成案も出ていないということでありますけれども、やはり衆議院のこの
委員会
におきましても、
昭和
四十六年までは
個人
災害
救済制度に関するいろいろな論議がなされて、その論議の中でも、いま大蔵省と折衝しておるというようなことが言われておったけれども、大蔵省との折衝の中で
災害
による弔慰金のことが解決をしたから、その問題について国土庁にしても予算要求をやめた、こういう話を聞くわけでありますので、
個人
の
災害
に対する補償制度については大蔵当局にも予算要求をし、この制度の確立に向かって努力をしていただきたいと思います。 そこで、いま質問をした中での大蔵省の勤労者に対しての所得税の減免に対する見解と、あわせて担当の課は違いますけれども、天災の場合における保険制度というものがないわけでありますが、損害保険の関係において、これだけ
災害
の多い日本の国土の現状からして、やはり
災害
に対する保険制度というものはあってしかるべきだと私は思うわけですが、その点についての大蔵省の見解を承りたいと思います。
田口和巳
48
○田口
説明
員 御
説明
申し上げます。 勤労者など
個人
の納税者が大きな
被害
を受けられた場合には、国税当局といたしましても、
被害
者の方々の立場に立って可能な限りの救済措置を講じなければいけないと痛切に考えている次第でございます。 納税者が
災害
により大きな
被害
を受けられました場合の救済措置といたしましては、いろいろございます。たとえば、
生活
用の資産について受けた
災害
の損失でございますれば、所得税法に雑損控除という制度がございまして、所得の一割を超える損害
部分
というものを所得控除として限度なしに所得から控除できる。それだけ税金が安くなる制度がございます。また次に、所得が余り多くない、四百万円以下の方の場合には、
災害
減免法という法律がございまして、税の免除なり軽減がなされるような制度になっております。この所得基準四百万というものは、一昨年の改正で二百万から倍に、大幅に引き上げたところでございます。 しかし、こういう制度がございますこと、またこの適用を受けるための手続の仕方、こういうことを
被災
をされた方々に十分お知らせする、また親身になって
被災
者の立場に立って適用していくということが一番肝心だと思います。そういう点で、
被災
地を管轄しております国税局なり税務署ではきめ細かくお相手をするようにいたしておりますが、なお一層きめ細かく注意をいたしてまいりたいと存じます。
萱場英造
49
○萱場
説明
員 お答え申し上げます。 風水害危険に対します損害保険といたしましては、現在の制度としても各種の商品としてはあるわけでございますが、その中で、一般的なものといたしましては、住宅総合保険とか店舗総合保険、さらには長期総合保険、いわゆる火災保険に加えましてその住宅を取り巻くもろもろの危険に対処するような保険がございます。 ただ、それにつきましては、先生御指摘のように一定の条件、それから金額の制限その他があるわけでございますが、そういったものにつきまして今後保険制度として、御指摘ありましたような包括的な危険に対してどういうようなサービスを提供できるかにつきまして、御趣旨を体しまして今後十分検討を続けてまいりたいと考えております。
井上泉
50
○
井上
(泉)
委員
大蔵省の両関係者の答弁、私も非常に満足であります。これが行われるように、ぜひひとつ努力をしていただきたいと思います。 そこで、時間がありませんので、問題点について各省ごとにお尋ねをするわけですが、昨年も高知市で水害を受けた
地域
の中小企業者は、
激甚災害
法の適用を受けなかった。隣の伊野町あるいは土佐市は受けられたけれども、受けられなかった。同じような水害で同じような条件の中でも、
町村
が違うために受けられなかった悩み、苦しみを味わっておるわけです。たとえば高知市における今次の中小企業者の
災害
にの現状から見て、当然、
激甚災害
の適用を受けるべき
被害
だ、こう思うわけですが、中小企業庁としてはどういうふうに把握をしておるのか、この際、承っておきたいと思います。
松尾成美
51
○松尾
説明
員 お答えいたします。 先ほど国土庁の方から御答弁がございましたように、
激甚災害
指定
につきましては現在検討中でございますが、実は昨年の
災害
の際には、いわゆる局地激甚でございましたので、先生御指摘のように、たしか
周辺
の
市町村
は対象になりましたが、高知市につきましては全体としての所得が非常に大きいものですから、基準に達しないということで対象にならないという問題がございました。 今回の
災害
につきましては、現在時点での
調査
でございますが、全体で六百十四億という非常に大きな全国的な
被害
になっておりますので、これは全体として
激甚災害
になるのではないかということで検討が進められておりますので、今回に関しましては御指摘のような問題は恐らく起こるまいというふうに考えております。
井上泉
52
○
井上
(泉)
委員
そこで、私はこれは厚生省にお尋ねするわけですけれども——厚生省来てないね、呼んでください。 それじゃ、自治省にお尋ねします。 いま前の質問者も
地方
財政の問題を言われておったわけですが、こうした
被害
を受けた
地域
の
町村
というものは非常な財政負担がかかるわけであります。その財政負担がかかる上にもっていって、税金がよけい入らないわけですから、それを金融機関に言うて借り入れとかいうようなことをしてでも——やはり借り入れは借り入れとして残るわけです。この際、自治省としては、たとえば
特別交付税
が年度末に計算をされて支給されることになっておりますけれども、今度の
被害
町村
に対しては、この十一月ぐらいには
特別交付税
の一部前払いというか概算払いというか、そういうふうな手だてがとれないものだろうか、そういうことを考えるわけですが、自治省、どうですか。
平岩金一
53
○平岩
説明
員 お答えいたします。 ただいま御質問のように、
災害
が発生いたしました場合に、
地方
自治体におきまして、各種の
応急対策
その他でまず当座の各種の資金等が必要となってまいります。したがいまして、今回の
台風
十七号によりまして
災害
を受けました
地方
公共
団体に対しましては、まず当座の資金繰りを円滑にいたしますために、普通
交付
税の一部を繰り上げて
交付
することといたしまして、
総額
で約五百七十五億円が十月二日に関係自治体に
交付
される予定でございます。まず当面の資金繰りについてはそのようなことでございます。 次に、御質問の
特別交付税
の件でございますが、
特別交付税
につきましては、
被害状況
とか当該団体の財政事情等を勘案いたしながら、本年度の
特別交付税
の配分において十分配慮いたしたいと存じておりますが、
地方
交付
税法の改正によりまして、従来は
特別交付税
は二月に配分いたしておりましたが、十二月に
特別交付税
総額
のうちの三分の一以内、それから三月に三分の二というふうな改正が行われたのは御案内のとおりでございます。
災害
関係につきましては、できるだけ早期に御質問の趣旨のように配分し、
被災
団体の財政運営に寄与するべきであるということはおっしゃるとおりでございますので、可能な限り十二月
交付
分において配慮できるようにいろいろと検討いたしてまいりたい、かように存じております。
井上泉
54
○
井上
(泉)
委員
そこで、もう一点自治省にお尋ねするわけですが、今度の
災害
では、
町村
関係あるいは市、県にしてもそうですか、かなりな資金というものが必要でありますが、そういう点については
町村
が負担能力にたえられるだけの配慮というものは当然なさるべきだと私は思うわけです。そこはひとつ事務当局において、そういう点について突き詰めた見解を申し述べることができないとするならば、やはり政務次官がおいでなら政務次官からそれについての見解を承りたいと思います。
平岩金一
55
○平岩
説明
員 御質問の趣旨のように、
被災
団体のたとえば
地方
債の調達でありますとか、そういった面について、たとえば
政府
資金を充当するというふうな措置により、当該団体の財政運営に支障を来すことのないよう努力してまいりたい、かように存じております。
井上泉
56
○
井上
(泉)
委員
個人
災害
の救済についても、自治体としては相当な持ち出しをせねば、これはとてもできないと思います。それは
住民
に対して、自治体としてはどうしてもなさねばならない義務があるわけですから、国のように直接
住民
と接触してないと、そんなことを自治体が出してもおれは知るかというような形で冷淡にあしらうとかいうことのないように、
公共
事業の立ちおくれのために受けた
個人
の
被害
を救済する自治体のやった単独措置についても、自治省がしゃくし定規にこれを律することのないようにぜひともしていただきたいと私は思うわけですが、その点についての御見解を承りたいと思います。
平岩金一
57
○平岩
説明
員 お答え申し上げます。
被害
の実態とか当該団体の財政事情等を十分勘案いたしまして対処してまいりたい、かように存じております。
井上泉
58
○
井上
(泉)
委員
次に、私は
河川
関係で建設省にお尋ねするわけですが、高知県の早明浦ダムが昨年の
災害
のときにも一時放水をして、下流の
住民
に大きな
被害
を与えた。そして、それと同じように鏡川のダムも、
集中豪雨
で
雨量
が多くて鏡川の
水位
が高まっておるときに、危険だからといって放水をした。そのことによって
堤防
のなされてない鏡川が溢流をして、昨年を上向る大きな
被害
をもたらしたわけでありますが、この早明浦ダムにしても鏡川ダムにしても、操作の方法なりあるいは安全の方法なりに問題がありはしないか。昨年の当
委員会
におきましても、早明浦ダムの問題については操作規則を改定するなり何なりして安全
対策
を十分にやる、こう言っておきながら、ことしもああいう
災害
が出ておる。鏡川ダムにしても同じことが行われておるわけです。 今次の
災害
の
状況
というものは
報告
があったと思うわけですので、私はその
災害
の
現地
の実情についてはここでは時間がありませんので申し述べません。ただ、鏡川ダム、早明浦ダム、これに対する
対策
というものをいつまでにやるつもりなのか、いつまでもあの危険な
状態
の中に下流の
住民
を置いておくのかどうか、そのことについて建設省の御見解を承っておきたいと思います。
佐々木才朗
59
○佐々木
説明
員 お答えいたします。 いま御指摘のありました二つのダムの洪水の操作
状況
でございますが、御案内のように非常に異常な大きな雨が降りまして、計画放流量をそれぞれのダムについて上回りました。ただし、流入量も非常に多うございまして、それぞれのダムにつきまして洪水の調節が行われました。 早明浦ダムについて申しますと、四千七百トンの洪水が入ってまいり、三千五百トンの放流をいたしました。そういった連年にわたりましていろいろ
異常事態
が出ておりますので、われわれの方といたしましても、早明浦ダムにつきましては今年度中に操作規則の見直しをいたしまして、もう少し広く申しますと、吉野川全体の工事実施基本計画の見直しをいたしまして、ダムの放流量を定めまして、そのダムの放流量に対応いたすように下流の
地域
の整備をいたすつもりでございます。 鏡川につきましては、県の方で、学識経験者あるいはわれわれの方も参画いたしまして、川全体といたしましての抜本的な見直しを知事さんの方でやるというお話を受けておりますので、その中で検討いたしまして対処するようにいたします。
井上泉
60
○
井上
(泉)
委員
そこで、
河川
関係で、高知県の
災害
の
調査団
の団長の
報告
の中にもあったように、宇治川の水も仁淀川へ流すようにする、あるいは日高
地域
の水も隧道を抜いて仁淀川へ流す、こういうことになると、さなきだに水量が多く、そして
堤防
が弱い、そういう中で仁淀川に多量の水が入ってくる、その多量の水が今度は逆流して波介川という川から土佐
市内
全体に
浸水
をするわけなので、そこで土佐市の市民の人たちは、そういう水を受ける。そういうところの排水
施設
をすることは、これはしようがないことだけれども、それをやることによって仁淀川の水量がふえて、そこで逆に波介川に逆流が来て
浸水
をされるということになると、これはたまったものでないから、多年の懸案である小野の樋門というものを早急に
改修
をしてもらいたいという陳情がこの間の
災害
視察団にも申されたわけでありますが、それについての見解と、さらにはまた、鏡川の方が激特
地域
として
指定
をされておるところが、ある線で区切られておるわけであります。その下流はどうしてもやらなければならぬわけでありますので、今次の
災害
の現状に照らしましても、鏡川における激特事業区域というものは延長すべきだと思うわけですが、それについての見解を承っておきたいと思います。
小坂忠
61
○小坂
説明
員 お答え申し上げます。 第一点の仁淀川支川の波介川の小野水門のことでございますが、この水門は五十一年度の水害によりまして波介川の激特事業にすでに採択になっておりまして、ただ設置個所等でまだ決定を見ていないというような
状況
と聞いております。今後、地元等の協力も得まして五十二年度には本体に着手いたしたいというふうに考えております。 それから、鏡川でございますが、鏡川につきましても現在、激特の採択が五十一年度から行われております。その区域について申し上げますと、鏡川本川の
右岸
、これが約千七百メートル、それから神田川というのがございますが、これの
合流点
から上流へ二千百メートル、それからそのまた支川の吉野川が千メートルというふうに現在採択になっておりますが、今回の
災害
はこの
地域
に限りませず、さらにまた激甚な
災害
が生じておりますので、それを踏まえまして、この十七号
台風
による
浸水
被害
をこうむったという県の
報告
に基づきまして、激特事業の採択を十分検討いたしたいというふうに考えております。
井上泉
62
○
井上
(泉)
委員
厚生省来られたですか。——質問の時間がありませんので、厚生省にはいろいろと申し上げたいことがたくさんあるわけですけれども、次の機会にして、多くは申し上げません。 今度の
災害
による異常な
ごみ
というか——
ごみ
と言うことは、
被災
者に対しては、非常に残酷な言葉であるわけです。これは国民の貴重な財産がいわゆる
ごみ
として捨てなければしようのないような
状態
になってきておるわけであります。そういう
災害
における
ごみ
処理についての厚生省の
対策
というものは非常に冷淡である。そういう点から考えましても、私は、この
災害
における
ごみ
の処理については、従前のような通り一遍な自治体の
ごみ
処理についての補助規定ではない特例を設けるべきであると思うが、その点についてどうか。 来ていなければ、時間がないので、これは
災害
の総元締めの国土庁の政務次官にその見解を尋ねて、国土庁の政務次官から厚生省にきつく申し入れてもらいたいと思うのは、いま
災害
によって生じた
ごみ
というものは、これは
ごみ
ではないわけですから、これは
個人
の非常に貴重な財産というものが
ごみ
化しておる、その
ごみ
化したものを自治体は処理をしなければいかぬわけです。自治体はそれを処理しなければいかぬわけですから、普通の
ごみ
処理の経費とは違ったたくさんの経費というものが要るわけなのだから、これを通り一遍の厚生省の
ごみ
処理の経費のやり方、補助の中でやるのではなしに、こういう
災害
によって生じた
ごみ
処理については特別な補助制度というものをつくるべきである、こういうように思うわけでありますが、これについて政務次官の見解をお聞きして、
災害
に泣く国民の願いをかなえてやっていただきたいと思います。
江藤隆美
63
○江藤
政府
委員
これはひとり厚生省だけではなくて、大蔵省、自治省その他とも関連が深いと思いますので、御質問の意を体しまして、十分検討させていただきたいと思います。 なお、厚生省には、御質問のありました旨、十分その意を伝えることにいたします。
井上泉
64
○
井上
(泉)
委員
そこで、私はもう時間がないので終わりますが、私がいま申し上げたこの
ごみ
問題等についても、政務次官は、検討される、こう言われたわけですけれども、その検討は通り一遍の検討であってはならないと思いますし、また通り一遍の検討で政務次官も答弁をしたものではないと思うわけですが、私の言ったことが不都合な、無理な言い方であるかどうか、そういうことを言うことに対する見解も織りまぜて、前向きな
対策
というものと、さらにはまた今次
災害
で、私が前段申し上げましたように、
個人
の
被害
というものを救済するのが
公共
事業のあり方であります。たとえば、高知市におきます愛宕山等の
山崩れ
の中で、どうしても
山崩れ
するからそこらの人たちは集団移転をしなければならぬ。そこで、集団移転をするためにも金がたくさん要るわけですが、そういう集団移転等に対する国の制度というものを、防災の見地からも
災害
に対する制度というものが不十分であるので、この点につきましてももっと整備をし、そうした
被災
者が
山崩れ
による危険から脱却できて新しい住居地で
生活
のできるような、そういう行政の姿勢を進めていただきたいということを
要望
し、最後に政務次官の見解を承って、終わります。
江藤隆美
65
○江藤
政府
委員
先ほど自治省からも一部答弁がございましたが、普通
交付
税のほかに、これらの問題については
災害
の形態、形容等を十分勘案して、そして
特別交付税
等についても処置いたしたい、これらの旨の御発言も実はございました。 そういうこともございますから、今後、
災害
全体の問題として、私どもは、今回の教訓を生かして、民生の安定に十分寄与することができるように、その責めを果たすべく努力してまいります。
井上泉
66
○
井上
(泉)
委員
終わります。
金丸徳重
67
○金丸(徳)
委員長
代理 次に、
山原健二郎
君。
山原健二郎
68
○山原
委員
今度の
調査
で、高知県、徳島県を回りまして、昨夜帰ってきたわけですが、この二つの県の特徴、これは昨年に引き続いての連続の
被害
であるということ、この点を特に強調しておきたいのです。いわゆる
台風
常襲地帯における
被害
に対する特別な見解をもって私は質問をいたしたいと思います。 高知市の場合、十二日の午後八時に非常事態の宣言が
市長
よりなされました。そして、テレビ、ラジオを通じまして、生命、財産は自分で守ってもらいたいという悲痛な放送がなされたわけであります。そして、県知事は、直ちに一番近いところにある鉄筋コンクリートの家に逃げろという放送をされたわけであります。夜の八時でございます。全く恐怖の極限に達したというのが、高知市民全体の置かれた立場であります。そして、ある家族は全員が綱で体を縛って逃げる。また、泳ぎのできない奥さんを夜の
濁流
にほうり出す、そして向こうの木にかきつけというような
状態
で、逃げ惑ったわけです。気象台長が後で発表しておりますけれども、まさに逃げの勝利であったということが言われています。したがって、人命の損傷は比較的少なかったのですけれども、しかし、まさに市民が命をかけて逃げた、そして財産も失ってしまったというのが、今回の高知市における
被害
の実態であります。 全
地域
が水没しました。小石木、大原、朝倉、旭、神田、吉野、石立、潮江、福井などという
地域
全部、
床上浸水
どころではありません、ひどいところでは二階にまで水が来まして、二階六十センチ、八十センチと水が来るわけです。全く財産の防ぎようがない、こういう
状態
であります。 さらに、
山崩れ
は、愛宕山、比島山、長尾山、筆山、五台山、徳島県におきましては神山町、一宇、木屋平、穴吹、先ほど
報告
がありましたように、全くつめでかきむしられたような
状態
の中で
住民
は逃げ惑ったというのが今度の実態であります。 これを踏まえまして、いま
井上
議員からも言われました
個人被害
に対する補償の問題はどうしても考えなければならぬ。去年も財産を失った、ことしもまた失った、こういう認識を江藤政務次官、ぜひ持っていただきたいと思うのです。そして、
個人
災害
についての少なくとも生計費ぐらいは出す必要があるのではないか。私は、高知市だけをとらえましても、少なく見積もって約三千億円の
個人
の財産が消滅しておると思うのです。これは
床上浸水
で二月当たり大体五十万、六十万失うのはあたりまえなんです。そういう安い単価で押さえても三千億円の
被害
が出たのではなかろうか、こういうふうに思っているわけです。したがって、今度の
台風
十七号についてぜひとも一これは完全なものはもちろんできません。しかし、およその推計は、高知市においてはこれだけ、あるいは徳島県の穴吹においてはこれだけの
個人
の財産が消滅したというぐらいの推計は新聞その他に発表していいのではないか、その基礎のもとに制度化の問題が前進をしていくのではないかと思いますので、この十七号
台風
につきましても、おくれるかもしれませんが、ぜひこの推計は出していただきたいと思いますが、国土庁の見解を伺いたいのであります。
江藤隆美
69
○江藤
政府
委員
このことにつきましては、専門家である各省の担当官が数年にわたりまして検討を加え、かつまた国会でもしばしば議論を賜りながら、なかなか成案を得なかったことであります。ということは、
台風
の発生の直後の異常な混乱の中でこれが詳細な
調査
をするということは、人的にも物的にも非常に困難である、こういうふうなことが一つありますのと、もう一つは、それらの
被害
に対して一体国が何かなし得ることがあるか、いまの制度ではないではないか、ないものに対して
調査
をしてもどうだろうか。これらのこともありまして、今日まで実は各
個人
の
被害
の
調査
がなされてない、こういうことでありますが、ただいま先生御指摘のとおり、私ども政治に携わる者は、これは事務当局と違いまして、政治的な判断を要すると思います。 したがいまして、事の正確であるかどうかは別にして、今後の資料、今後の教訓としてできるだけのことをして、私はやはりそういう推計
調査
でもいいからするのがやはり行政のたてまえであろう、このように考えます。したがいまして、今後各省間においてこのことにつきまして具体的に相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
山原健二郎
70
○山原
委員
私は、これは基礎の数字になると思うのですね。推計でありましても、これはこの際、ぜひ実現をしていただきたいと思うのです。 二つ目の問題は、たとえば中小業者の場合、昨年も
被害
を受けて、機械あるいは商品が消滅をして、融資を受けています。またことしも同じ
被害
を受けるという事態が重なっている中小業者がたくさんおるわけでありますが、これにつきまして一番大きな声は、担保を要さないで融資をしてもらいたい。一度受けて、担保ももう出ているわけです。またことし受ける、こういう
状態
で、この融資の、面についての改善の要求が非常に強いわけでありますが、これについて通産省の見解を伺っておきたいのであります。
松尾成美
71
○松尾
説明
員 ただいま御質問の、連年
災害
を受けられた場合に融資がダブるという問題でございますけれども、現在、
政府
関係の中小企業金融三機関におきましては、ダブった場合、その前の融資について、既往債務の償還猶予につきましてかなり弾力的な措置を講ずるということで運用しております。それから、国民金融公庫の貸し付けにつきましては、大体三百万までは原則無担保ということをやっておりまして、あと中小企業金融公庫なども、保証協会の保証などをもってこれを担保にかえるということも考えたり、極力、
災害
融資につきましては弾力的に担保条件も勘案するということで対応してまいっております。
山原健二郎
72
○山原
委員
三番目の問題ですが、高知市を流れております鏡川水系の
はんらん
の問題であります。先ほども御答弁をなされておりましたが、具体的に申しますと、たとえば今回
最大
の
被害
の一つであります小石木、大原地区、ここはもう惨たんたる情勢に置かれております。昨年も同じでございましたが、ここの
地域
の場合、鏡川に流入する小石木川、神田川の河口の間が激特から除外されているのです。これはぜひやってもらいたい。これは
調査団
に対しましても、先ほど野田団長から
報告
がありましたが、切なる要求として出ておりまして、県、市の意見を聞きましても、それは全く当然のことである、ここが除外されることは許されないことだと言っておりますが、ここに対して激特を適用するお考えがあるかどうか、伺っておきたいのであります。
小坂忠
73
○小坂
説明
員 お答えいたします。 鏡川水系につきましては、先ほど申し上げましたように、神田川付近は昨年度の
災害
にかんがみまして激特に現在採択されておりますが、今回の十七号
台風
による
浸水
被害
は、その昨年の
被害
をさらに上回るというような現状でございますので、もちろん私どもといたしましても見直しまして、県の
報告
等も勘案しながら、この激特の区域拡大について検討いたしたいと考えております。
山原健二郎
74
○山原
委員
これはぜひ実現をしていただけるものと思っておりますが、もう一回お聞きしますけれども、大体確信を持っておられますか。これは一番の
被害
地はなんです。
小坂忠
75
○小坂
説明
員 現在まで私どもの県からの
報告
によりまして得ている資料では、激特の採択の条件は十分にあろうかと思います。ただ、先ほども開
発課長
から申し上げましたように、上流のダムとの絡みもございます。鏡川水系全体の計画を見直すということもいたしますので、それとも絡めて検討いたしたい。したがいまして、激特には、要件は十分現在ございますので、私どもとしては、採択は十分希望は持てると思いますが、そのようなことで処置したいと思っております。
山原健二郎
76
○山原
委員
この件に関してもう一つ、現在存在しております沈下橋でございますが、かつては効用があったのですけれども、これが流木その他をせきとめるダムの役割りを果たしまして、これが
最大
の元凶になっておると
住民
は言っております。これを通常橋に早くやってもらいたいという要求が出ておりますが、このことも検討されておると思いますが、そういうお考えかどうか、伺っておきたいのであります。
小坂忠
77
○小坂
説明
員 細部につきましては、県と相談いたしまして、善処いたしたいと考えております。
山原健二郎
78
○山原
委員
恐らく県の方は、県の、
要請
によりまして、
調査団
に対してこれはやる計画も持っておりますので、早急に、実現をするように
要請
をいたしたいと思います。 ただいまダムの問題がありましたが、今回の
被害
の中で最も県民の憤激を買いましたのが、鏡ダムの操作と早明浦ダムの操作についてであります。鏡ダムの場合は、小さなダムでありますから、治水効果というのはそれほど期待することはできません。しかし、
最大
限の努力はすべきであると私は思うのですけれども、今回、計画洪水
水位
が七十七メートルでありますが、それを洪水期に
水位
を六十三メートルまで下げているのです。しかし、ダムには下のオリフィスゲートがあります。これをあらかじめ予備放流するならば、この
水位
は五十七メートルまで下げることができたと思うのです。そこまでの努力がされておるならば、全面的に
被害
を消すことはできないといたしましても、ダム操作についての操作の努力というものについてはある程度理解ができるわけです。ところが、この
水位
を下げないで六十三メートル、今回は六十一メートルぐらいまで下げてはおりますけれども、しかし、なぜこの下のゲートをあけて予備放流をしなかったのかという疑問が第一であります。 第二の問題は、これは早明浦ダムの問題でございますけれども、早明浦ダムについて先ほど
井上
議員に対する答弁の中でお話をしておりましたが、何しろ流量が多いのだと言うのですけれども、昨年の最高の流入量は七千二百トンであります。今回はそれを下回る四千七百トンであります。これは私の入手しておる資料でありまして、この資料は建設省を通じていただいたものでありますし、また、ダムの管理
事務所
においても間違いのない資料でありますが、ことしは四千七百トンの流量です。にもかかわらず、去年は最高の放流量二千トンを上回って二千五百トン、五時間にわたって異常放流したのです。ことしはどうかというと、流入量は少ないにもかかわらず、三千五百トンを六時間にわたって放流したわけであります。そのために直下の大又
地域
の人たちは、怒濤のごとき波に襲われて逃げ惑うという
状態
があらわれてまいりました。しかも、ダムの上流、土佐町、大川村におきましては、至るところ崩壊が生じているわけであります。 これは鏡ダムの場合も同じでありまして、二十二カ所に崩壊が起こっているわけです。ダムの管理
事務所
に言わすと、水を急激に流したならば、ダムの堰堤の上流が崩壊する、だから流すことができないのだなどということを言われますと、この鏡ダム、早明浦ダムという多目的ダムは、治水に対しては全く欠陥ダムであるというのが県民の怒りの声なのであります。 この点につきまして、私は前の
台風
五号のときにもこのダム問題については申し上げたのでありますが、まず第一番に大又地区の
人々
に対する移転補償、さらにはこの
周辺
におけるこのダム放流によって
被害
を受けた補償の問題、さらには防災の完備ということが絶対に必要になってまいりました。 同時に、ダム操作につきまして、
河川
の形態も変わっています。鏡ダムはすでに十年たっています。早明浦ダムは三年ですけれども、三年のうちに、八十年に一遍の洪水を調節すると言いながら、二年にわたって異常放流が行われて
被害
が起こっているわけでありますから、これについてのダム操作規定の改正、あるいはこのダム操作について
住民
の
参加
あるいは公開ということが絶対に必要になってまいりました。
住民
はダムを破壊せよとまで要求しておるのが現状でございますが、この場所では私はそこまでは申しませんけれども、このダムの操作について欠陥がなかったのか。特に早明浦ダムの場合は、この放流量から見まして、第二回目のピークのときにもつと予備放流をしておったならば、第三回目のピークのときに完全に調節ができた資料になっているわけであります。なぜしなかったのか、こう言いますと、第三回目のピークがもし来なかったならば、過剰放流だという責任を負わなければならぬ、こういうことで放流を控えておるんだ。そのために
被害
が起こっているわけであります。こんなことは断じて許されないわけでございまして、この操作の問題についても操作規定の改変、これを行う必要があると思いますが、これについては十分検討されておると思いますので、お答えをいただきたいのであります。
佐々木才朗
79
○佐々木
説明
員 お答え申し上げます。 もっとうまい操作ができなかったのかという御指摘が一つあるわけでございますが、鏡ダムにつきましては、御案内のように、規定の制限
水位
より二メートル七十低い
水位
で洪水を迎えたわけでございまして、もう少しできなかったかという御指摘についてはなお検討いたしますが、それなりに努力はして洪水を迎えたのだということを一つ申し上げたいと思います。 早明浦ダムにつきましては、確かに去年の洪水は七千二百トンの流入であり、本年の洪水は四千七百トンの流入でございます。ただ、流域に降りました
雨量
を調べてみますと、昨年の
台風
六号のときは七百ミリ程度でございます。今度は千七百ミリの雨が降っております。そういう意味で、洪水の流出総量、倍以上の量が池へ入ってきたわけでございます。その調節を、現在定められております操作規則に基づきまして操作を一生懸命やったわけでございます。その結果、四千七百トンの流入に対して三千五百トンの放水をしたということでございまして、確かに下流
地域
に御案内のように
災害
があったわけでございますが、もしダムがなければもっと大きい
災害
があったというふうに思っておるわけでございます。 ただ、御指摘のように、いずれのダムも二年続けていろいろ計画を上回るような実態が出てまいり、われわれもこれを機会に早明浦ダムの操作規則、あるいは宵野川全体の
改修
計画の憲法でありますところの工事実施基本計画、こういったものを来年度の出水期までには見直しをいたしまして、ダムの放流量、これは将来にわたってこれならやれるという放流量を定めまして、その放流量に対応するように直下の
地域
の整備や
家屋
の移転あるいは護岸の
復旧
、かさ上げ、そういったことを精力的に緊急にやっていくつもりでございます。 また鏡ダムにつきましては、知事さんの諮問機関としまして鏡川の計画協議会というようなものも学識経験者を
中心
につくられるという話を聞いておりますので、その中で十分検討いたしまして対処していきたい、こういうふうに思っております。
山原健二郎
80
○山原
委員
私の質問はこれで終わりますが、ダムの問題についてはまだまだ検討すべき問題がありますので、今後これを取り上げていきたいと思います。 津川議員の方から関連質問がありますので、私の質問を終わります。
金丸徳重
81
○金丸(徳)
委員長
代理 関連して、津川
武一
君。
津川武一
82
○津川
委員
私も、今度
災害
特別
委員会
の
現地
調査
に
参加
して、
兵庫
、
岡山
を
調査
してまいりました。東日本の冷害については独自の
調査
をしてまいりましたので、その二つについて、一つは長島のハンセン氏病
施設
の
復旧
について厚生省に、十七号と東日本の冷害について
農林
省に、今度の十七号
被害
の特質について国土庁に質問してみたいと思います。第一の、
岡山
県の長島愛生園でございますが、
被害
は皆さん存じ上げておりますから繰り返しませんが、余りにもひどいらい予防法で差別扱いをして、邪魔君扱いをして、四百人のベッドのところに千人からを詰め込んで、無理やりにその人たちの
生活
や人権を無視して詰め込んだ結果が、今度の恐ろしい
災害
となっておるのであります。 そこで、
復旧
でございます。応急
復旧
だと、昔の、人権を無視して詰め込んだそのまま、ぜひ、この際なので
改良復旧
しなければならぬ。差別して邪魔者扱いをして詰め込んだので、土地の条件の悪いところに
家屋
などが建っております。したがって、今度は整地をして、新しい土地の上に彼らの
生活
の住宅などをつくらなければならないと思います。この必要について、ぜひそうしなければならないと思いますが、いかがでございます。これが一点。 第二は、らい予防法で一人四万一千円、御夫婦で八万二千円、これが今度大きな
被害
を受けて、畳がだめ、家財道具は
流失
、入ってくるお金はほかにない。ほかに仕事に出ていくわけにいかない。収入の道がとだえている。とすれば、失われた財産分だけ彼らは
生活
を詰めなければならなくなる。したがって、この四万一千円、常の日であるならばやる、そこいらまで
援助
を、収入を補ってやらなければ、彼らの
生活
はもとに戻らない。この必要があると思います。 この二点、厚生省から答えていただきます。
状況
はわかっているから、二つ、
対策
だけずばり。
吉原健二
83
○吉原
説明
員 簡単にお答え申し上げたいと思います。 長島愛生園につきまして、先生お話のございましたように、大変大きな
被害
が起きたわけでございますけれども、この
復旧
につきましては、
原形復旧
という考え方にとどまらず、
復旧
困難な場所あるいはそこに
復旧
することが危険な
地域
につきましては、別なところに整備をするという考え方もあわせまして
復旧工事
をやってまいりたいということでございます。 それから、
被災
者の財産の補償につきましては、現在のところ特別な救済措置というものはないわけでございます。これにつきましては、一般的な
災害
被災
者の救済制度といたしまして、
世帯
更正資金によります
災害
援護資金の貸し付け等の道があるわけでございますけれども、こういったものの適用ができるかどうかにつきまして、関係当局とも協議をして検討してまいりたいというふうに現在考えております。
津川武一
84
○津川
委員
第一段階はよろしいです。 そこで第二段階、
生活
の
援助
資金、いろいろな資金を出す道を検討すると言っているが、ないのです。そこで、やはり特別に考えてあげなければならない。お金を借りても一定の期間で利子をつけて返さなければならぬ。この返す分だけ
生活
を詰めなければならぬ。こういう
状況
にありますので、江藤次官に特別の配慮をお願いして、この答弁は後で一番展後にまとめていただきます。 次は、
農林
被害
に対してです。
台風
十七号で農産物にかなり
被害
が及んでおります。
農林
省の発表だと一千八十億円、十七号
被害
でも千百億円からすでに想定されております。とすれば、天災融資法、
激甚災害
法を発動する
被害
の基準には達しております。
台風
十七号でこの二つをいつ発動するのか、それだけ具体的に答えていただきます。
杉山克己
85
○杉山
説明
員
台風
十七号の
被害
はまことに大きく、先生おっしゃるような
被害
額に達しております。それは当然、天災融資法、
激甚災害
法の対象基準を満たすものと考えております。
激甚災
法の問題につきましては、これは国土庁と歩調を合わせまして、
施設
のできるだけ早期な
復旧
を図るために一緒に発動するということを考えております。 それから、天災融資法の農産物
被害
の問題につきましては、これはできるだけ早くということで考えておりますが、
被害
額のみならず、資金需要額の算定を必要といたしますので、十七号
台風
については若干おくれますが、十月中には発動するということで考えております。
津川武一
86
○津川
委員
そこで、北海道、東北の農産物の冷害、これはまだ流動的であるけれども、きょうも
農林
省が発表しているように、かなり大きな額になっているし、天災融資法、
激甚災害
法を発動する分の額、基準には達しておる、こういうことであります。そこで、まだ流動的だから、きょう
農林
省は十一月中には発動したい、こう言っている。それでいいのか、そのとおりなのか。十一月発動になると、岩手県、青森県ではすでにもう冷害が決まって刈り取っております。間に合いません。したがって、ここでいま直ちに発動する必要があると思います。しかし、
被害
金額を確かめる必要があるとすれば、それもわかります。とすれば、
地方
自治体や農業団体がこれに対応できるように、きょうは十一月に発動すると言った、それを通達なり告示なりで日本国じゅうに宣言する。そこで初めて自治体や農業団体はこれに対応する準備ができるわけです。単に発動するということで大臣があちこちに行ってしゃべったんじゃ、ならないのです。この席で公式に発動を言明していただく。十一月中旬でもよろしい。そうすると、
地方
自治体や農業団体はこれに対応できます。いかがでございます。
杉山克己
87
○杉山
説明
員 先生おっしゃられるように、
被害
額が確定できないと、天災融資法にいたしましても
激甚災
法にいたしましても正式な発動、
指定
はできないわけでございます。しかし、私ども、現在の段階ですでに東北、北海道の冷害は当然その基準を満たすものになるというふうに判断いたしております。したがいまして、そのつもりで現在まで各関係機関にも接触してまいって、その旨を表明しておるわけでございますが、改めてこの席でそのことを繰り返して申し上げます。
津川武一
88
○津川
委員
次に、
岡山
でも
兵庫
でも東北でも北海道でも、冷害、水害のために
政府
買い入れの規格に合わないお米ができる、現にできてしまっている。この全量買い上げを必要とするのでございますが、
農林
省も
農林
大臣も食糧庁もこれは買い入れると言っている。手続上としては、まず集荷業者に自主流通米として買い取ってもらってこれに補助金を出す、それでも余ったのは規格外米として
政府
で買う、こういう方針を出している。私も何回か食糧庁や
農林
省と話して、こう言っています。これをこの席ではっきり言明できましょうか。
杉山克己
89
○杉山
説明
員 東北、北海道の冷害に伴いまして、品質の悪い米がかなり出回るのではないかというふうに予想いたしております。先生御指摘のように、こういう米についてはできるだけ農家に有利なように処分するということを考えますと、まだ
政府
が買うと決めているわけではございませんが、買う場合の価格はある程度低くならざるを得ない。そこで、できるだけ有利に、自主流通米で売れるものは売るようにということでいろいろ指導、あるいは場合によってはあっせん等も行っているわけでございます。しかし、それでも売れ残った場合はどうするかということについて、私どもは、
政府
としては買い入れについて検討することになるというふうに考えております。 ただ、およそ出てくる米全部ということではなくて、やはり食糧庁は食糧を預かっているわけでございますから、主食に適しない米については、これは直ちに買い入れるというわけにはまいらないと思います。そういったものについても農家が買いたたかれないよういろいろ指導なりあるいはあっせん等の
政府
の努力も必要かと思いますが、いまの段階ではそのように考えておるわけでございます。
津川武一
90
○津川
委員
そこで、規格外米を自主流通米でやってもらって、それで余った分は
政府
が買い上げることを検討しておる。そのときの価格は、先般の周知、北海道の場合は五等米の七割で
政府
が買い上げていますが、こういう価格で買い上げるというふうな方針なのか、重ねて、一点。 第二番目。規格外の米は買うと言っているが、等外米は買うのか。きょう
農林
大臣は等外米の米を買うと言うので私も安心しているわけです。杉山
審議官
は規格外米を買うと言っているが、等外米も買う必要があると思います。この二点。
杉山克己
91
○杉山
説明
員 正確には規格外米、これも一極の規格でございます。その主食に適するものとして決められたものを買うという考え方でおるわけでございます。
農林
大臣がどの席で言われた発言をおっしゃっているのかわかりませんが、私どもとしては等外米、およそ規格外米もあるいはくず米も含め、正規に流通あるいは
政府
に買い入れられる以外の米について何らかの形で
政府
としてはめんどう見るといいますか、措置するということは必要だと考えております。しかし、先ほど申し上げましたように、主食として買えるものは規格外米という、まさに主食に適する程度のものまでということになるわけでございます。
津川武一
92
○津川
委員
食糧庁のこれまで繰り返した、等外米は買わないということを、きょうの
農林
大臣の言明といまの
審議官
の言明で、検討するというように私は受け取って、次に進めます。 農業共済、稲作共済の金を年内に支払う、こう言っているが、年内に支払えるかどうか、これが一つ。 二つ目には、
台風
十七号で一千億円を超した、東北、北海道で一千億円も超す、払う原資が足りないのじゃないかと心配されてきた。この原資は確保してあるのか、心配なく年内に払わせられるのか。 三つ目は、この評価体制。たとえば岩手県では、いままで例年であれば十三万筆検査している。今度は百万筆。これで年内に間に合う分を評価して、年内支払いができるのか。この点、ずばりと、こうだということだけ答えていただきます。
杉山克己
93
○杉山
説明
員 共済金は年内に農家のお手元に届くように必ず支払います。 それから、予算措置につきましては、確かに既定の計上額あるいは積立金をもっては不足するのではないかと思われます。予備費等をもって措置するよう、これはまだ額が決まっておりませんが、確定次第大蔵省と接触するということにいたしております。 それから、評価
調査
の事務、これが非常に西の方の
被害
と合わせ、分量的にもふえる。事務の方もはなはだ大変だと思います。そこで、私ども早い時期から、共済の関係者に対しまして、評価を急ぐよう協力をお願いいたしております。
政府
としても万全の体制をとっておりますので、何とか、いま申し上げましたように、年内の支払いに間に合わせるように評価を済ませたいと思っております。
津川武一
94
○津川
委員
次に、中国に行ってみて、東北に行ってみて、飯米が足りない。いままで食糧庁は、飯米を知事などに売り渡して、知事がそれを飯米に事を欠いた農家に年賦払いで食べさしたことがあります。これをおやりになるのかどうか。これをあいまいな形でおやりになるんじゃなくして、通達でずばりといくと、この道が開かれます。これがどうであるか、一点。 第二点は、種もみの支度、非常にこれも問題が出てきている。幸い、国には種苗確保事業というのがあります。これを全面的に発動して、種もみの確保に当たらせる。心配ないのかどうか。現に、山形県からは青森県にいもちに強い耐冷性、多収穫の種もみの注文が殺到している。県は応じられない、農業団体は勝手にしたがいい、こんな態度になっているので、これもまた、われわれも農業団体を説得しますが、こういう点で、飯米、種もみの確保についてお答えいただきます。
杉山克己
95
○杉山
説明
員 飯米につきましては、自家飯米がなくなって、配給によらざるを得ないという農家に対しては、一般配給のルートでもって、これは配給いたします。ただ、それについて延納を認めるかどうかということについては、実は全体的に資金的な手当て、融資上の措置、そのほか
政府
としては講じているところでございまして、それらをもってしてもなお払えないような場合に該当するかどうかということについては、実態をなおよく見る必要があろうかと思っております。 それから、種もみにつきましては、これは翌年度の再生産のために絶対必要な、きわめて重要な物資であります。農家の種もみの確保には、単に県だけの間でなく、国としても県間のあっせんも必要であろうかと考えております。やはり一番情報をたくさん持っておりますのは国でございますので、すでに千葉県の冷害の際に、これは早場米でございますから、千葉県で必要な種もみを福井県から調達するようにあっせんしたということがございます。そのようなことを今後とも努力してまいる所存でございます。
津川武一
96
○津川
委員
最後に、今度の十七号
被害
に対してでありますが、未曾有の
降雨量
、長い期間にわたって降った量、一日量、こういう
状況
であったので、あらゆる種類の
被害
が起きておる。いままでの国の
河川
の基準などというのでは間に合わなくなった。そこで、私は国土保全の開発の根本義を見直さなければならないと思いますが、この点、
政府
はどう考えているか。 この点では、
岡山
県、
兵庫
県では
堤防
の破壊が余りにも多過ぎた。
山崩れ
、がけ崩れが相次いでいる。たとえば、
岡山
県の笠岡市などというものはがけ崩れ、
山崩れ
、ため池の崩れで三千百からの
復旧工事
の設計をしなければならなくなっている。 その次は、内水湛水の多かったこと。この湛水を起こしたものに新産都市、工業開発、山陽線、国道二号、中国縦貫
道路
がそこでみんな湛水、水をとめておって、これが出て今度のあのひどい湛水になった。 その次には、たとえば
兵庫
県の
千種川
、ほかの
河川
よりも大きいのに、これが二級
河川
で手当てしていないために
はんらん
してしまった。そこで、地元の
町長
は何と言っているか。等しからざるを憂えると言っている。こういう形でひどく出た。 その次は、内地に孤島ができた、瀬戸内海の離島ができた。この離島に対する
対策
はいまのあれでは間に合わない。天災融資法の救助物資もみんな考え直さなければならない、こんな
状況
が幾つか今度の
災害
に出ております。 もう一つは、ダムをやる、大規模の土地基盤整備をやるという、高度経済成長で農業を粗末にしたために、ため池が今度は恐ろしく
被害
を起こしている。 こういう幾つかの特徴がありますが、これについて根本的な検討をし直して、関係諸法律を手直ししなければならぬと思いますが、江藤さんの御答弁をいただきます。
江藤隆美
97
○江藤
政府
委員
今回の
台風
十七号の
災害
については、多くの教訓を私どもに与えたと思っております。私も実は
台風
常襲地帯の出身でございますが、今回を振り返って考えてみますと、われわれが常識で考えられないような
災害
というものが今日は発生する余地が非常に多い。それは土地開発が進んだということ、あるいはまた
生活
の形態が変わりまして、いろいろと住宅が立て込んできたということ、それから大
河川
の
改修
は進んできましたが、
中小河川
の
はんらん
というものが非常に多くなってきたということ、
山崩れ
が多いということ、それらのことをひっくるめてみますというと、われわれがいままで
災害
が起こるであろうと考えておったところが意外と
災害
がなくて、
災害
が起こり得ないであろうと油断をしておったところに
災害
が多く発生をしておるということも、一つ私は大きな特徴ではないか、こういうふうに実は思っております。 したがいまして、今後私どもは国土利用計画法の趣旨にのっとりまして国土利用計画を進めていくわけでありますが、これらの教訓を十分踏まえて今後の国土保全、国土開発というものに取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。 それから、当初御質問のございましたいわゆる
個人
災害
、あるいは低所得者に対する貸付金の償還をゼロにすべきではないか、こういう御意見をいただいたわけでありますが、本日の
委員会
でもしばしば議論をいただきましたことでもあります。いまの現状ではなかなか御期待に沿い得るところまでまいっておりませんが、しかし大きな問題でありますので、今後ともに私どもは十分その意を体してこの問題は研究、検討を重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。
津川武一
98
○津川
委員
終わります。
金丸徳重
99
○金丸(徳)
委員長
代理 午後一時三十分より
委員会
を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分
開議
柴田健治
100
○
柴田
(健)
委員長
代理 休憩前に引き続き
会議
を開きます。
委員長
が所用のため出席できませんので、指名により私が
委員長
の職務を行います。
災害対策
に関する件について質疑を続行いたします。
新井
彬之君。
新井彬之
101
○
新井
委員
質問に先立ちまして、今回の
台風
災害
により多くのとうとい生命と財産が失われましたが、
被災
者及びその御家族の皆様に対しまして心より御冥福をお祈りいたしますとともに、また
災害
に対し、その救済に当たられた関係省庁の職員並びに県、
市町村
の職員、消防、警察、
自衛隊
関係者、そして多くの市民の皆様方の日夜にわたる活動に対し、心より感謝の意を表する次第でございます。 今回の
災害
につきましては、いろいろ
報告
がございまして、非常に多大な
被害
を与えたということでございます。御承知のとおりでございますが、特に
政府
の各省も、査定等の事業、
現地
視察等に
参加
をいたしまして、あるいはまた
災害対策
特別
委員会
の
委員長
を初めといたしまして
各地
を見ていただいたわけでございますが、いろいろな
要望
につきましては各
市町村
あるいは県から
要望
が上がっておるわけでございまして、そういうような一つ一つの
要望
について今後それを実現化していかなければ、今回のこの
災害
においても一体何しに視察に来たんだというようなことになるわけでございます。 そこで、私は具体的な問題にしぼりまして一つ一つの事例についてお伺いをいたしたい、このように思うわけでございます。 国土庁が来ておりませんから、初めに建設省からお伺いいたしたいと思いますが、今回の
千種川
の
決壊
におきまして、赤穂市におきましては多大な
被害
を受けたわけでございます。この
千種川
の
決壊
については、ちょうど明治二十五年に
決壊
をいたしまして、その当時に
復旧
をしたまま非常に老朽化いたしておりまして大変であるということで、赤穂市を初めとして
上郡
町あるいは上月町、佐用町、その関係の
町村
がこの
河川
の
改修
については期成同盟会をつくって何とかしなければならない、こういうときの非常な
災害
であったわけでございますが、この
千種川
の
決壊
について今後どのような
復旧工事
をされようとしておるのか、お伺いしておきたいと思います。
井沢健二
102
○井沢
説明
員 お答えいたします。 今回の
災害
で、特に
兵庫
県の西の方を占めております
千種川
が非常な
被害
を受けたわけでございますが、赤穂市に面しております
堤防
につきましては、漏水等で
決壊
寸前の
状態
まで至ったわけでございますが、何とか持ちこたえることができたというふうな
状態
で、かなりひどい
被害
になっております。 私どもといたしましては、現在この
地域
の
災害
を
調査
いたしておりますが、そういう
災害
の査定と同時に、やはりこれは
改良復旧
をしなくちゃならないんじゃないかというふうなことで、そういうふうな計画のもとに現在検討を進めております。
新井彬之
103
○
新井
委員
千種川
は何カ所にもわたって
決壊
をいたしておるわけです。
決壊
を
右岸
におきましてようやく食いとめたということもございますけれども、左岸におきましてもあるいは
右岸
におきましても
決壊個所
がございまして、御存じのように、ユニチカの工場のあるところにおいては、女子の宿舎の寮が二階の
床上
まで
浸水
をしたというような
状態
になっておるわけです。そういうことで、この
千種川
の改良につきましては、まだ今後検討ということでございますが、私の聞き及んでおるところでは、これは全面
改修
しましょうというようになっておるようでございますけれども、これを直さずして今後の
災害対策
はないわけでございまして、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。 それから、私も赤穂市にちょうど
災害
のときに胸までつかりながら行ったわけでございますが、加里屋川の
改修
事業あるいは準田
河川
の塩屋川、こういう川が非常に
はんらん
をいたしておるわけでございます。これについても、いままで多少の予算がついておるわけでございますが、現在の
状態
におきましては、これは早急にやってもらわなければならぬということでございますが、この件についてはどのような検討をされておりますか。
小坂忠
104
○小坂
説明
員 お答えいたします。 ただいま御指摘の仮屋川でございますが、この二級
河川
仮屋川は、
昭和
四十九年にも出水をいたしておりまして、それを契機といたしまして
昭和
五十年度から
中小河川
として
改修
事業を進めていたわけでございます。しかしながら、この加里屋川の赤穂
市内
の市街地は非常に密集地でございますので、単純な拡幅が非常にむずかしいということもございまして、上流で
千種川
ヘショートカットしようというような計画になってございます。 それから、いまお話のございました二級
河川
大津川の支川でございます準用
河川
塩屋川、これは今度の十七号
台風
で非常な
はんらん
をいたしまして、赤穂
市内
の
激甚災害
発生の一つの原因になっておるということでございますが、これにつきましては、従来、準用
河川
として補助事業が行われておったわけでございますが、その程度じゃとても間に合わないと私どもも認識いたしております。この十七号
台風
にかんがみまして、ただいま県におきまして緊急的あるいは抜本的な
改修
計画を策定中でございます。その
改修
計画あるいはその実施をどういうふうにいたしていくかというような順序、それにつきまして結論が出次第、私どもと協議いたしまして、早期に実現できるように努力いたしたいというふうに考えております。
新井彬之
105
○
新井
委員
もう一つは、
災害
助成関連事業として、普通
河川
でございますが馬路川、それから砂防
河川
の折方川、これが県からも市からも
要望
が出ておると思いますが、この件についてはどのように検討されておりますか。
井沢健二
106
○井沢
説明
員 お答えいたします。 先生御指摘の
河川
につきましては、地元の方から希望が出ておるようでございます。普通
河川
と申しますのは、
市町村
長が管理しておる
河川
でございまして、これにつきましては
災害
助成というのは適用いたしませんで、適用するとすれば
市町村
長の実施する
市町村
関連事業というふうなことになろうかと思います。 それから、砂防
河川
の折方川でございますが、これは砂防でございますから、
兵庫
県知事の行います砂防関連事業というふうなことになろうかと思います。現在、関連事業として
改良復旧
計画が適用できるかどうか、これにつきましても検討中でございます。
新井彬之
107
○
新井
委員
現在は非常に自治体の財政は逼迫いたしております。したがいまして、結果的にはそういうところをきちっとやってもらわないと次の
災害
、いつ来るかわかりませんけれども、また同じようなことになるということが明らかであるわけでございまして、そういうところを先ほどからの
委員会
で、何とかしていただきたい、何とかしなければならぬ、
改修
をしなければならぬというようなことが言われておるわけでありまして、ひとつよく検討していただきたいと思うわけでございます。 それからまた、大きく
被害
をこうむりました
上郡
町というのがございますけれども、これも赤穂市と同じように四十九年災とかあるいは五十年災で再三にわたってやられまして、それで一部の
復旧工事
等ができているわけでございますけれども、そのやってないところがまたずたずたにやられた。そういうことで、多くの方が避難をされておるわけでございますが、安室川が今回も非常に
決壊
をしたわけでございます。この安室川について今後どのような手当てをしていくのか、お伺いしたいと思います。
井沢健二
108
○井沢
説明
員 お答えいたします。 安室川は
千種川
の上流に位置する支川でございますが、これにつきましても非常に大きな
被害
が出ておりますので、地元の方としては
改良復旧
を検討していただきたいというふうな申し出があるようでございます。これを
改良復旧
をやるとしますと、やはりこれにつきましては助成工事というふうなことになろうかと思います。現在、
災害
の
調査
をやっておりますし、これから査定を始めるわけでございますが、御承知のように、こういう改良計画につきましては、
災害
費の確定とそれからこういう改良計画の確定が要るわけでございますので、その辺あわせて現在これも検討中でございます。
新井彬之
109
○
新井
委員
それから、鞍居川の河口付近でございますが、ここには建武橋という橋がかかっているわけですが、洪水のときに非常に排水の障害になるということで、これは
調査
費等がついているわけでございます。今回のこの
災害
におきましても、ここから温水するというようなことがございまして、これが非常に問題になっているわけでございますが、これについては、なるたけ早く工事をしなければならないということと、それともう一つは、建武橋の架橋工事とあわせて
堤防
のかさ上げ工事をしなければならぬということがあるわけでございますが、こういう問題についてはどのようになっておりますか。
小坂忠
110
○小坂
説明
員 お答えいたします。 ただいまの鞍居川の
千種川
合流点
付近の問題でございますが、そこの国道三百七十三号線の建武橋というのは、これはすでに
道路
単独事業といたしまして着工いたしております。現在、橋げたの間隔が非常に狭くて障害になっておるわけでございますが、この
橋梁
ができますと、ただいま十径間ありますものが四径間になりまして、水の流れは非常によくなるということでございますが、それとともに、先ほども申し上げましたが、
千種川
全体につきましても、やはり県で、現在、今回の出水を対象にいたしまして抜本的な
改修
計画の見直しをいたしております。その一環といたしまして、本川あるいはその
合流点
付近を含めまして、
堤防
のかさ上げ等必要な処置につきましては、計画ができ次第、私どもと協議いたしまして処置いたしたいというふうに考えております。
新井彬之
111
○
新井
委員
今回の
災害
で山陽本線が三日間ほどとまったわけでございますが、非常な出水のためということと、それからやはり鉄橋が非常にやられたというようなことがございますが、前回の四十九年災のときにおきましても、高田川の河口に山陽本線の釜島鉄橋というのがかかっておりますけれども、この鉄橋を改良しなければならないということで、前回の
災害
のときからいろいろ計画が練られまして、本年度から三年計画でこの鉄橋を改良しよう、これは国鉄が、不通になるという問題と、それから地元の
溢水
とかいろいろな問題を抱えているわけでございますが、これの進捗
状況
はいかになっておりますか、国鉄にお伺いしたいと思います。
鈴木秀昭
112
○鈴木
説明
員 お答え申します。 先生御案内のとおり、四十九年七月の
災害
以来、この
河川
を管理しております
兵庫
県と国鉄の間におきましていろいろ技術的な詰めを行ってまいりました。と申しますのは、川を横切る鉄橋の角度が非常に斜めになっておりますので、そうしたもので技術的の検討を県側と国鉄側とでいろいろ協議を進めてまいりました。 現在、ボーリングをやっている最中でございまして、この十月の上旬にはボーリングの結果が出ます。そういたしますと、すっかり設計条件が整いますので、即刻、本年中には
兵庫
県との協定をできるだけ詰めまして、早速着工したいと思っております。そのような予定になっております。
新井彬之
113
○
新井
委員
農林
省にお伺いしておきたいのでございますが、今回
上郡
町地区におきまして千
世帯
ぐらいの方が避難をしたわけです。その理由というのが、上にやはり大きなため池がございまして、これは山ノ里大池と言うのでございますが、それが
決壊
した場合は千
世帯
全部が
流失
してしまうということで、前もって避難をしたわけでございます。このため池の水が非常にたまった場合に、余水吐けという除水口がついているわけでございますが、それが非常に小さいために、今後同じような
大雨
が降った場合においては、また
決壊
なり温水なりする危険性がある。そのために除水口を大きくする工事をしなければ危ないわけでございますが、それを改良することに対する補助等がないわけでございます。そういうことで、こういう問題も全国至るところにあろうかと思いますが、そういう問題について今後どうするのかという問題。 それから、やはり同じ町内の赤松、岩木地区の
山地
におきまして相当な
亀裂
を生じておるわけでございます。これは林地崩壊のおそれがあるわけでございますが、こういう
地域
の防災
対策
、これは安富町という町がございまして、この
地域
におきましても七百メートルにわたって林地が非常に崩壊をする。まだ下までは落ちてきませんけれども、そのために五十戸がほっといたらやられる、こういうような問題があるわけでございます。これはもうテレビ等で御存じの
一宮
町にも劣らないぐらいの
災害
になるだろうというようなところがあるわけでございますが、こういうところについてどのようにやられるのか、お伺いしておきたいと思います。
岡部三郎
114
○岡部
説明
員 最初のため池の問題につきまして、私からお答えいたします。 農業用のため池または農用地の防災用のため池で、ただいまお話がありましたように、非常に老朽化しているために
決壊
するおそれがあるというようなものに対しましては、堤体の補強であるとかあるいは御指摘の余水吐きの改良等を目的といたしまして、老朽ため池等整備事業という制度が
昭和
二十八年からできておるわけでございます。これは土地改良法によります申請事業でございますから、地元からの申請をいただきませんとできないわけでございますが、そういう事業もございますので、ただいま御指摘の地区につきましても、県と十分協議をいたしまして、これらの事業により対処をしてまいりたいというふうに考えております。
藍原義邦
115
○藍原
説明
員 先生いまお話しございました
上郡
町の赤松、岩木地区につきましては、
山腹
の崩壊や
亀裂
が発生しました個所につきましては、早急に緊急治山事業等によりまして
復旧工事
をしてまいろうというふうに考えておりますし、また安富町につきましては、直ちに警報機等を早急に取りつけまして、今後の動きを十分
警戒
しながら人身の
被害
を防止するような指示をいたしております。 また、試験場からも担当の係官を派遣いたしまして
現地
調査
を行い、
復旧
対策
につきましては万全を期していこうというふうに考えております。
新井彬之
116
○
新井
委員
先ほども出ましたけれども、
災害
査定に伴う設計業務委託費に対する国庫補助制度の創設ということがございまして、これはさっき梶山政務次官が、そういうことについてもある程度見ておるというような答弁でございましたが、一つの例を挙げまして言うと、
上郡
町においてはこういう設計委託業務がどのようになっているか、こういうことについては余り御存じないと思うわけですね。これは設計業務の職員が六者程度しかおりませんし、大体千カ所にわたっていろいろなそういう
作業
をしなければならないことになっているわけでございます。したがいまして、なかなかそれで手が回るわけございませんし、予算的にも十二億ほどかかる。確かにいままでの
災害
においても一部負担ということはあったわけでございますが、それはもう少額でございまして、これがやはり
災害復旧
の中で大きな費用を占めるというようなことがあるわけでございますから、この点については、そういう実態をまたよく掌握をしていただきまして、そういう予算についても緊急な予算としてやっていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
井沢健二
117
○井沢
説明
員 お答えいたします。
災害
の査定のための設計書をつくるためのこういう測量及び試験費的なものが最近非常に大事な費用になってまいったわけでございまして、特にこのような大
災害
のあったような年、たとえば四十七年、四十九年、昨年の五十年、こういうときには二分の一を補助いたしたわけでございます。その後これを恒久的な補助制度にしてくれというお話があるわけでございますが、ことしは全国的な大
災害
が発生している
状況
でございますので、
地方
公共
団体の
災害
の実情であるとか、あるいは設計委託の実態等よく
調査
いたしまして、関係各省及び財政当局と協議をいたしまして、前向きに検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。
新井彬之
118
○
新井
委員
それに関連をいたしまして、
一宮
町の場合は百万立米に及ぶ
土砂
の流出があったわけでございまして、
町長
としても、あるいはまた町の職員といたしましても、鋭意その
復旧
についてはいろいろ検討しておるところでございますが、何しろ余りの
災害
の大きさのために
河川
も全く別のところに押し流されておるような
状態
でありますし、
道路
を
原形復旧
するといっても、もう十メートルないし二十メートル埋没しておるというようなことでございますから、なかなか計画が立てられないわけでございます。したがいまして、これは町から県にも言っておりますし、皆さん方にもいろいろと
要望
があったと思いますが、全体の
復旧
計画を何とか立てていただきたい。 こういうようなことになっておりますが、この全体
復旧
計画、いまいろいろ検討しておるところと思いますけれども、そのときの
河川
とかあるいは
道路
ですね、それから抜け山の抜けた
地域
の
土砂
等について林野庁ではどのような考え方をしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
藍原義邦
119
○藍原
説明
員
一宮
町の
災害
につきましては、
災害
発生当初直ちに係官を派遣いたしましたし、また試験場からも専門家を派遣いたしまして二次
災害
の防止のために緊急治山によりまして早急に
復旧工事
を講ずるということにしておりまして、ただいますでに埋没土どめ工事を行いましてこれを施行いたしております。 いま先生お話しございました全体の
復旧
計画につきましては、いろいろな関係省庁がございますし、また
山地
の崩壊というものを防ぐためにも林野庁の立場からも十分検討いたしますが、その方面と今後十分調整をとりまして万全の
対策
を講じてまいりたいというふうに考えております。
新井彬之
120
○
新井
委員
余りたくさん問題があり過ぎますので、簡単に言ってきましたが、全体的な問題としてはやはり
個人
災害
、先ほどから議論がありまして、これも時間がかかるのでやりませんけれども、この
個人
災害
の問題であるとか、またもう一つ大きな問題としては、当時雨が非常に降りまして、県とか
市町村
までの連絡はわりかた密に行っているようでございますが、それから消防団員が
各地
域に対して避難命令を出すというようなことで連絡が行くわけですけれども、実際は水につかったり、
河川
の
決壊等
によってなかなか行けないような
状態
になる。このときには一体どのように周知徹底するかということについては非常に抜けている問題があると思うわけでございます。したがいまして、消防庁としてもいろいろ検討されておるようでございますが、こういう問題については当然やはりラジオ等を通じて言わなければ、町とか、ある程度の拠点までは連絡が行っても、
住民
の皆さん方に対してそういうことを周知徹底することは不可能である。ひどいところでは消防団員がたくさん出たので、
決壊
ではないかというのでみんなが避難して行ってしまったというような
地域
もありまして、みんなが大変な
状態
になるわけでございます。 いろいろ今回
要望
がありましたこと、いろいろな問題についてはひとつ政務次官、鋭意それをまとめていただいて解決をまた図っていただきたい、このように思うわけです。 関連質問がございますので、私はこれで交代いたします。
柴田健治
121
○
柴田
(健)
委員長
代理
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
122
○瀬野
委員
災害対策
特別
委員会
の
委員派遣
第三班として高知県、徳島県について去る九月二十七日から三日間の予定で、詳細
台風
第十七号による
被害状況
を
調査
してまいりました。膨大な
調査
でございますので、個々にわたっての問題はその都度
現地
に随行しました
政府
委員
にもいろいろと意見を申し上げ、
対策
を迫ってまいりましたので、時間の制約もあることでありますし、全部をここで申し上げることはできませんけれども、一口にして言えば、私たちもいまだかつて経験しないまさに大
災害
であった、かように印象をもって帰ったわけでございます。地元民の、緊急な
対策
、そして一日も早い
生活
の安定というものを願っている姿を見ましたときに、ただここで論議をして、いろいろと施策を講ずるというような通り一遍の答弁ではなく、地元の
被災
の
状況
をよく把握して早急な、弾力的な
対策
を講じていただきたいというのが私の冒頭申し上げたい所感の一端であります。 そこで、時間の関係もございますので、はしょって申しますが、何と申しましても
激甚災害
に早く
指定
をしてくれというのがどこでも言っていることでございます。聞くところによると、十月八日には閣議決定をするやに聞いておりますけれども、この
激甚災害
の
指定
は間違いなく十月八日にできるのか。その点もう一回念を押しておきたいと思います。
江藤隆美
123
○江藤
政府
委員
間違いなくできるように、ただいま準備を整えておるところでございます。
瀬野栄次郎
124
○瀬野
委員
次に、高知県、徳島県は、五号、六号
台風
、引き続きことしの
台風
第十七号とダブルパンチを受けて、連続
災害
によって大変な痛手を受けて、五十年災の
復旧
が途中のまま今回の
災害
をまた受けたという
災害地
がたくさんございます。一々申し上げる時間がございませんけれども、地元の皆さん方、特に今回の両県にわたる
災害
の
調査
の中でも徳島県の穴吹町及び一宇村の
災害
はその最たるものであります。特に一番ひどいのが穴吹町でございましたし、二審目に
災害
のひどいのが一宇村であることはだれが見ても当然うなずけるところでございました。 そこで、特に穴吹町においては
町長
初め議員または地元代表と全員そろった上で異口同音に言っておられたことは、もちろん
道路
の
災害復旧
または何とか交通が早く通れるように、さらには林地崩壊の
復旧
をということもさることながら、何としても、住むに家がないということで、穴吹町においては八部落が全部集団移転をしなければならぬ、また一宇村においては九部落が集団移転をしなければならぬことになっておりますけれども、その中には、一名か数名の方がやはり先祖伝来の土地から離れがたい、何としてもその土地で農耕を営まなければ、将来町へ出てもさしずめ仕事がないということで、どうしても移転をしない、したくないという方もおるわけです。そういったことでいろいろ地元も苦慮しておりますけれども、御承知のように、議員立法ででき上がりました防災のための集団移転
促進
事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律施行令、いわゆる集団移転の議員立法ができたわけでありますけれども、この中身を見ましても、ご存じのように「移転しようとする住居の数に応じ十戸を下らない範囲内で総理府令で定める戸数の住宅を集団的に建設することができる規模とする。」こういうふうに書いてございまして、実際これを実情に合わせてみましたときに、集団移転をしようと思っても、若干の移転を拒否する人がおればなかなかこれが該当しない、しかし地元は現実に困っているという
状況
を見ましたときに、私は、この戸数十戸以上という問題については弾力的に考えなければならぬ時期が来ている。たとえば五戸以上にするとかあるいは極端に二戸以上でもやるとか弾力的に考えることを検討する、と同時にこの集団移転の財政的
援助
、これも少ないわけですから増額をしなければならぬ時が来ている。年々
災害
が厳しくなっている現状を見ましたときに、こういったことをしみじみ感ずるわけですが、その点について国土庁はどういうふうに考えておられるか、
住民
のためにひとつ明るい今後の検討を約束してもらいたい、かように思うのですが、御答弁いただきたい。
近岡武男
125
○近岡
説明
員 お答え申し上げます。 防災集団移転
促進
事業の制度は、
被災
地の
住民
が防災上安全な住宅
団地
へ集団で移転をするという場合に設けられた制度でございまして、そのめどを十戸というふうに置いたわけでございます。当時この制度が発足します際に、建設省所管のがけ地近接危険住宅移転事業というものがございまして、それと調整を図りながらこの事業の運用のめどを定めたわけでございますが、十戸未満、一けたの移転につきましては当該がけ地近接危険住宅移転事業に沿うものはその事業の適用を図りまして、支障のないように進めてまいりたいというふうに考えております。
瀬野栄次郎
126
○瀬野
委員
時間の関係で余り詰めることはできませんけれども、この点については十分ひとつ当局も検討していただきたい。われわれ議員の方でもこの検討を進めるということでいま相談を持ちかけておりますが、今後
住民
の不安をなくするために十分検討していただきたいと思います。 それでは次は、徳島県の美馬郡の穴吹町及び一宇村等で特に今回の
災害
で
要望
が強かったのは、とりあえず年末を控えて
生活
をどうするか、とにかく
生活
保護に何とかなるように、三カ月ないし五カ月ぐらいの期間でもいいから
生活
保護
世帯
として扱ってもらいたい、そうしなければとても
生活
ができないということで、
市町村
の財源も少ないし、こういったことを国に訴えて、財源の
援助
をしてもらいたいという声が強かったのですが、これについて厚生省の見解を承っておきます。
柴田健治
127
○
柴田
(健)
委員長
代理
瀬野栄次郎
君に申し上げます。厚生省入江保
護課長
はまだ見えておりませんが……。
瀬野栄次郎
128
○瀬野
委員
それでは、次の問題で、
個人
災害
の問題でございますけれども、御承知のように、
個人
災害
にはただいま弔慰金と貸付金の二つがありますけれども、今回の
災害
では高知県だけでも畳が十万枚と言われますように、一枚六千円としても相当な額になります。家財道具を入れまして約三千億近いものがあるであろう。ところが、この家財道具が流れておるけれどもこれらに対する手当てが全然ないということで、これは高知県のみならず徳島県も、全国的にそうでありますが、この
個人
災害
を見直すときにきている、かように思うわけです。去る九月十七日、天野長官にも私申し入れをいたしまして、小
委員会
をつくって今後検討するので、国土庁としても十分検討していただきたいということで申し上げておきましたが、
個人
災害
に対する今後の検討の用意があるか、お答えいただきたい。
江藤隆美
129
○江藤
政府
委員
個人
災害
については、本日もしばしば各党から御意見がありましたことでもありますし、現実としましては実態の把握あるいは今後の運用についてなかなか問題点もありますが、政治が抱えておる当面した重要な問題と心得ますので、十分に今後検討してまいりたいと思っております。
瀬野栄次郎
130
○瀬野
委員
建設省に一点伺っておきますけれども、
公共土木施設
災害復旧
についてでありますけれども、これまた四国の各県初め全国的に
要請
があることでありますが、地質の軟弱な地すべり
地域
については再度の
災害
発生を防止するために、
災害復旧
助成事業の補助率の引き上げ及び
災害復旧
事業の期間を従来よりも縮めて二カ年で
復旧
を完了できるよう予算の大幅増額をやってもらいたい、そうしないと例年
災害
に遭って大変である、これは各自治体の深刻な要求でございますが、これに対して建設省はどういうふうに対処されるのか、見解を承りたい。
井沢健二
131
○井沢
説明
員 お答えいたします。
災害復旧
事業の中で、
改良復旧
する一つの方法としまして、
災害復旧
の助成事業というのがあるわけでございますが、現在助成事業につきましては二分の一の補助になっております。私どもとしましては、来年度予算で一級
河川
については三分の二の補助率にし、
中小河川
と同じようにしていただきたいというふうなことで予算要求には出しております。それから、その残りの地元負担分につきましては起債で処理することにいたしておりますが、初年度は、現在では財政力の関係で九五%の起債になっておりますが、これが通常の年でございますと初年度は八割であるけれども二年目から二割に落ちるということになるわけでございまして、これにつきましても、これを改定するよう自治省に申し入れております。 それから、
災害復旧
事業の年度の関係でございますが、
災害復旧
事業につきましては初年度を三割、翌年度五割、最終年度二割というふうないわゆる三、五、二ということでやっておりますが、これにつきましては、そのほかに、国庫債務負担行為というふうなことで、それをさらに詰めるというふうなことも実際にやっております。したがいまして、初年度——これは年度で計算しますと三年でございますけれども、いわゆる継続的に考えてみますと、満で計算いたしますとまる二年ちょっとぐらいで大体完成するという
状態
になるわけでございます。非常に大
災害
のときでございますと、やはりそういう
復旧工事
に対します地元の施行能力といったような問題もございますので、私どもとしましては、そういうふうな問題であるとか、あるいは
改良復旧
する場合には用地の問題もございます。したがいまして、そういうふうな問題を考えながら、現在以上にできるだけ進めるようにいたしております。これは全体の予算額でございますから、その中で非常に急ぐものがあるわけでございます。そういう急ぐものにつきましては、それぞれ個々の問題につきまして、そういうものを非常に早くやるように努力いたしております。
瀬野栄次郎
132
○瀬野
委員
林野庁に一、二点伺っておきますけれども、今回の
台風
十七号で、
農林
災害
の中でも林野
災害
が、荒廃林地を初め
治山施設
、林道等、全
被害
の約三割近い
被害
額が出ております。九月二十七日の
被害
を見ましても、
農林
省の三千百九十三億二千二百万のうちで林野関係が六百五十八億千三百万に達しております。四国初め全国
各地
、今回の
災害
の特徴でもありますが、この
治山施設
及び林野
災害
について、林地崩壊等について、去る九月二十二日、林野庁長官にも申し入れておきましたが、十分対処していただきたい、かように思うのですが、どういうふうに対処されるのか、
概要
、簡潔で結構ですから、意見を述べていただきたいと思います。
藍原義邦
133
○藍原
説明
員 先生ただいま御指摘のように、林野
被害
は、九月二十五日現在で、林地荒廃が六百二十億、林道が九十二億、その他合わせまして民有林だけで七百三十四億、これに国有林を加えますと八百二十九億の多きに上っております。この
被害
額は近年にない
被害
額でございますので、林野庁といたしましても、緊急な個所につきましては、早期に対応し得るよう、万全の努力を払ってまいるつもりでおります。
瀬野栄次郎
134
○瀬野
委員
時間がございませんので、それでは、はしょって二、三点簡潔にお聞きしますので、お答えをいただきたい。 林野庁にもかねがね申し入れをして申し上げておきました桜島の問題でございますけれども、今回の十七号
台風
で、御承知のように、桜島も大変な打撃を受けております。桜島町及び鹿児島市の一部でありますが、特に桜島町においては、九本の
河川
のうち六本、すなわち長谷川、古河良川、初崎川、深谷川、半分園川、アミダ川と、大変な
災害
を受けておりますが、上部は林野庁の直轄
河川
になって、
治山工事
、砂防堰堤等行われておりますけれども、
土木関係
の下流のほうの拡幅をしなければ、上部だけではどうしてもうまく流量がはけないということになります。詳しくはもう申しませんが、そういった意味で今後十分な
対策
をしていただきたい。これに対する考えを簡単に承っておきたい。それが一点。 それから、桜島町の問題で、先日、九月二十二日、
農林
省にも申し入れておきましたが、ミカンの
災害
または桜島大根等の
被害
が、十七号
台風
で大変起きております。そこで、桜島町の場合に、果樹共済の基準収穫量の算定と料率算定は、降灰
被害
の年を除いた平年の収穫量で策定していただきたいという
要望
がありますが、これに対しての見解。 さらに、農業経営を維持する観点から、自作農創設資金の貸付限度額をぜひ上げていただきたいという
要望
に対する見解。 もう一つは、活動火山法の防災営農
施設
整備計画に基づいて実施するところの防災営農
施設
整備事業について、特に
被害
の甚大な
地域
についてはさらに補助金の引き上げをしていただきたいというのがあったのですが、時間もございませんから、この問題についてはかねがね申し入れをしていろいろ検討を願っておったわけでありますので、この点簡潔にお答えをいただきたいと思います。 なお、厚生省はさっきおいでにならなかったけれども、さっきの問題について一言最後に答弁を願いたい。 以上です。
藍原義邦
135
○藍原
説明
員 お答えいたします。 桜島の問題につきましては、四十九年に
調査
いたしまして必要な工法をやってまいったわけでございますが、今回の
被害
もまた発生しておりますので、再度
調査
いたしまして万遺漏のない工法をやってまいりたいというふうに考えております。
大塚米次
136
○大塚
説明
員 要点についてお答えいたします。 果樹共済の桜島のミカンの基準収穫量でございますが、実は制度開始以来連年、火山等によります
被害
を受けておりまして、基準収穫量が減少しつつありますが、平年的に見た場合の収穫量を基礎にするというのが制度のたてまえでございますので、
被害
の程度に応じまして基準収穫量が減少傾向をとることはある程度やむを得ないことでございます。ただ、組合で平均いたしました基準収穫量に対しては一〇%の許容が与えられている。それから、引き受けた樹齢の構成割合が組合の樹齢構成と著しく違うという場合は若干の補正を行う余地が残されておりますので、この点については具体的な指導を行ってまいりたいと思います。 それから、料率でございますが、これは算定のルールがございますので、それに従って改善を図っていきたい、このように考えております。
渡邊五郎
137
○渡邊
説明
員 自作農資金についてお答えいたします。 連年
災害
等によりまして負債過多となっております
被害
農家に対します貸付限度の引き上げにつきましては、大規模な風水害については従来引き上げた例もございますので、今回もそうしたことが予想されますので、
被災
農家の負債なり
被害
の程度等を踏まえた上で本件に対処することにつきまして検討いたしたいと考えております。
杉山克己
138
○杉山
説明
員 活動火山
周辺
地域
防災営農
対策事業
、これに対する補助率は、
昭和
四十九年度までは国庫補助率三分の一または二分の一の個別の既存事業で実施しておったわけでございます。これを総合的に実施するため
昭和
五十年度から新たにこの防災営農
対策事業
を実施させ、その際、国庫補助率を一律に二分の一に引き上げたものでございます。さらに、桜島の場合、県の補助率がこの上に二五%上積みになっております。それから、
市町村
ごとに何がしかの補助を実施している。大体平均して七%程度というように承知いたしております。 そういうことからいたしますと、すでに現在、同種のほかの事業に比べまして桜島
地域
に対してはかなり高率の補助になっている実態にあるわけでございます。私ども、いまの体系で本事業は円滑に実施されているというふうに考えておりますが、先生のいまの御質問でもって、今後支障を来すかどうかというようなこと、さらに実態をよく
調査
した上で検討してまいりたい、県の意向なども伺っていきたいというふうに考えております。
入江慧
139
○入江
説明
員 御質問の中身につきましてまだ
報告
を受けておりませんので、具体的にお答えできませんけれども、御承知のように、
生活
保護は一定の基準に基づきまして、
生活
に困っておる方がおられれば、当然適用されるわけでございますので、遺憾のないよう万全に福祉
事務所
を指導してまいりたいと思います。
瀬野栄次郎
140
○瀬野
委員
以上で終わります。
柴田健治
141
○
柴田
(健)
委員長
代理
宮田
早苗
君。
宮田早苗
142
○
宮田
委員
今回の
台風
十七号がもたらした
被害
は、かつての伊勢湾
台風
に匹敵する規模に達しております。私ども民社党は、全国的に
被害
がひどかったことから、早速
災害対策本部
を設置し、
救援
活動を展開しているのでございますが、この機会に
復旧
活動に取り組んでおられます全国の
被災
者の皆さんにお見舞いを申し上げますとともに、その
復旧事業
をより円滑に推進するための
政府
の施策について、若干の質問をしたいと思います。 そこで、まず第一は、今回の
各地
におきます
被害
の特色の一つは、四、五日間に半年から一年分の
降雨量
が集中して
被害
が大きくなったことだと思います。西日本
地方
でのこの異常な
集中豪雨
、東北、北海道
地方
の農村を襲撃しておりました冷害等、
日本列島
を取り巻く異常気象の原因や、秋から冬にかけての長期予報を、気象庁の担当官の方にお伺いいたします。
青田孝義
143
○青田
説明
員 お答えします。 気象庁では、四十九年に近年における世界の異常気象の実態把握と、その長期見通しについて
調査
結果を発表しましたが、その主な点は三つあります。 第一点は、北半球の気温は年々変動しておりますけれども、特に極を
中心
にして寒冷化が進んでおるという点であります。 第二点は、この傾向はまだ十数年は続くだろう、これが第二点であります。 第三点は、このような気候変化に伴って、
地域
的には大、雨とか干ばつとか、あるいは異常高温とか低温とかいうような、コントラストの強い天気分布が発生しておる、この傾向はまだしばらく続くだろうというふうに考えております。 したがって、世界的にもそういう異常現象が発生しておるので、日本でもその影響を受けるだろう、ただし
地域
的にいつ、どこで、どのような形の現象がどの程度の強さであらわれるかということについての長期見通しは非常にむずかしい、そういう統一した見解を持っておりません。ただ、いま先生の御質問のように、ことしの秋から冬にかけての予報は、いま一生懸命検討しておるのですが、十二月までの予報を申し上げますと、ことしの冬は早く来るだろう、したがって霜とか初氷とか初雪といったような季節現象は、例年より早くあらわれるだろう、そういうふうに考えております。
台風
については、十月に恐らく一つぐらい日本に接近するおそれがある、そういうふうに予想しております。 以上です。
宮田早苗
144
○
宮田
委員
引き続いて気象庁の方にお伺いいたしますが、四十九年の
災害
、また今回の
災害
、これは素人でよくわかりませんが、
降雨量
のあり方といいますか、山間部と平野部では相当に変化をしてきたように見受けられるわけですけれども、今後の
降雨量
がさらに平野部に集中をするというような傾向というものは考えられないものかどうか、その点お聞きします。
青田孝義
145
○青田
説明
員 最近の傾向としましては、低温と干ばつが
大雨
と異常高温よりも頻度は多く起こっております。ただ、いま先生のおっしゃったような、
地域
的に山に多いか、平野部に多いかという問題になりますと、これはまだいろいろ調べないと何ともお答えできませんので、いまそのようなことも一生懸命やっております。
宮田早苗
146
○
宮田
委員
気象庁の方につきましてはこれで質問を終わりますが、せっかくおいでになるものですから、ちょっと
要望
を……。 私、このたび
兵庫
、
岡山
を見て回って特に感じましたことは、この
災害
には直接関係はございませんけれども、もし地震が起きた場合に、いまは都市方面が
中心
に
対策
が立てられておるようですけれども、やはり山間部ですか、そういう面について十分に
対策
を立てておかないと、地震の場合は今度の
災害
より以上に大きな
災害
になるんじゃないかということを率直に
調査
の過程の中で感じたわけでございましたので、こういう点は直接の関係ではないかと思いますけれども、地震予知連なりあるいはまた建設省の方々なり、十分に今後研究をしていただきたいということを
要望
しておきます。 そこで、昨日までの
被害
地の
現地
調査
で再三再四陳情を受けたわけであります。また、
各地
からの陳情書を拝見いたしまして特に強調されておりますのは、
激甚災
法の適用を早急にというのが
被災
者の集約した声だと思うわけでありまして、これまでの質疑でも出ておりますので重複を避けるため、
政府
の速やかな対応を
要望
して、これでとどめておきます。 さて、激甚法の適用を受けなければならないような
災害
がどうして起きたのかを考え、今後の
対策
を検討しなければなりません。ただ単に異常気象、不可抗力ということでは問題の解決にはならぬと思います。全国六万カ所に及ぶがけ崩れ危険個所、
調査
では約五千カ所の急傾斜地危険区域が
指定
されてきたわけでございますが、今日まで危険個所が放置されてきたために、今回の
集中豪雨
で物的、
人的被害
が生じたケース、
調査
の過程の中で危険個所という
指定
のしてないところが大半だ、こう見受けたわけでございました。 ついては、この五千カ所に対する
災害
防止工事の進捗
状況
、それと今回の大
災害
を契機に危険区域の
指定
の
促進
を図るべきだ、こう思うわけでございますけれども、この点についてどのようなお考えを持っておられますか、お聞きします。
大工原潮
147
○
大工原
説明
員 今回の
集中豪雨
によりまして、各所で非常にがけ崩れ
災害
が多発して人家、人命に非常な
被害
があったわけでございます。 いま先生御指摘のように、全国で約六万カ所の危険個所ということで建設省といたしましては把握いたしておりますが、
指定
地の業務といいますのは、都道府県の知事が地元事情に詳しい
市町村
長の意見を聞いて行うということでございまして、ただ、そこで問題がございますのは私権の制限が伴う。といいますのは、急傾斜地の崩壊危険区域の
指定
につきましては、有害行為の規制をするということによりまして崩壊を防ぐ。消極的ではございますけれども、防止工事のみならず、そういった効果があるわけでございます。そういった意味から私権の制限があるということで、ややもすれば一部に
指定
がおくれておるという実態がございます。いまお話ございましたように、約五千カ所程度しか
指定
が進んでいないのが実態でございます。 四十二年から予算補助制度で出発いたしまして、四十四年にこの法律ができまして法律の補助制度によります現在までの施行実績でございますが、五十年度末におきまして約千八百カ所の竣工を見ております。 そういった
状況
でございますが、今回の
災害
等近年の
災害
の実情にかんがみまして、
指定
につきましては各都道府県を強力に指導いたしまして、現在、五十二年度を初年度といたします計画的な
指定
促進
を図りたいということで強力に指導しておるところでございます。 なお、
対策事業
等につきましても前向きで検討して積極的な姿勢で取り組んでまいりたいと思いますし、今回
災害
がございました個所につきましても、緊急急傾斜地崩壊
対策事業
ということで積極的に取り組みたいというふうに考えております。
宮田早苗
148
○
宮田
委員
この危険個所の
指定
の問題について、いま答弁の中で計画を立ててということでございますけれども、一体これを全部消化するためにはどのくらいの日数、どのくらいの費用がかかるものですか、その点をちょっとお知らせ願いたいと思います。
大工原潮
149
○
大工原
説明
員 まず、
指定
をいたします場合には、先ほど申し上げましたように私権の制限があるために、
地域
の範囲を決めるということでいろいろの
調査
をいたしております。特に、法律によりまして
指定
の範囲は必要最小限ということで、規制をかける範囲はできるだけ小さくするというふうな考え方でございます。したがって、それらの
調査
あるいはその
指定
地域
に対しましては、法律事項でございますが、表示をするということで、看板の表示をするとかというふうなことがございます。そういった測量あるいは区域の
調査
あるいはそれらの表示の
施設
等を合わせますと、全国的に平均いたしますと、やはり一カ所三十万程度の費用がかかっておるわけでございます。そういった実態でございますので、各県におきましてもそういった財政事情を勘案いたしまして、現在のところ緊急を要するものから順次計画的にやっていこうという姿勢を持っておるわけでございます。 先生御承知のように、昨年行政監察局の監察がございまして、
指定
の
促進
という指摘も受けておりますので、それを踏まえまして、今回の
災害
の実態からできるだけ
促進
していきたいということで都道府県を指導してまいりたいと思っております。
宮田早苗
150
○
宮田
委員
災害
の抜本的な防止を図るため、治山治水事業五カ年計画を再検討する必要があるのではないかと思います。また、治山治水事業の徹底並びに自然環境の保全など思い切った
災害対策
予算をつけるべきだと思いますが、建設省は皆に前段の五カ年計画の見直し、この点についてどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
稲田裕
151
○稲田
説明
員 お答えいたします。 先生御指摘のように、ただいま第五次五カ年計画を五十二年度からということで要求いたしております。 今次の
災害
にかんがみまして、特に今度の
災害
で
被害
の大きかった中小の
河川
並びに都市部
周辺
の
河川
、これを最重点的に
対策
を実施していきたいということが一点でございます。 それから第二点は、
土石流
の
対策
でございますが、これは特にまた人命に影響するところが多うございますので、
土石流
の
対策
について五カ年計画で重点的に事業を
促進
していくということ。 それから、国土保全上、国民経済上重要な主要な
河川
の特に主要な区間につきましての
堤防
の補強等の事業を実施していくというふうなことを重点に五カ年計画を現在策定しまして、
総額
八兆ということで現在要求いたしております。 なお、今次の
災害
にかんがみましてさらに検討する必要があるのではなかろうかということで、現在その再検討を行っているというふうな
状況
でございます。
宮田早苗
152
○
宮田
委員
公共土木施設
の
災害復旧
に当たっては、
原形復旧
にとどまらず
改良復旧
を積極的に行う措置が必要と思います。この点をお伺いをするわけであります。特に注釈を加えますと、
調査
をした段階の中でとても
原形復旧
はできかねるのではないかというところも見受けられるわけであります。ところが、地元の皆さんはもとのままにしてほしいという期待が非常に強い。その調整をまずどうされるかということが一つ。 それから、
河川
の関係についても、やはり相当に荒れておりますので、幅を広げるとかあるいはまた直線にするとかということになりますと、
個人
の財産といいますか、これに非常に大きな関係を持つわけでございまして、そういう関係も十分に考えてやらないと、何といいましても
災害
防止の完全な
復旧
ということにはならぬと思うわけであります。
原形復旧
ができかねて、いま申し上げましたようなことをやらなければならぬという事態、今度の
災害
で非常に多いと思いますが、そういう面についてどうお考えになっておりますか、お聞きいたします。
井沢健二
153
○井沢
説明
員 お答えいたします。
災害復旧
事業の査定の段階でございますが、
災害復旧
事業というのは本来、
原形復旧
主義をとっております。その
原形復旧
と申します中に、いわゆるみなし
復旧
あるいは効用
復旧
という考え方がございます。もとどおりにどうしてもできないというふうな場合には、そういうものの効用を果たすまでやるものも
原形復旧
とみなすんだというふうなことで、かなり幅広い考え方をとっております。 それは一つ一つの工事でございますが、そのほかにある区間を限って申しますと、一キロとか二キロとか、あるいは場合によっては十キロ、二十キロというふうな場合もございますが、そういう場合に、約半分ぐらいが壊れた場合は、さらに改良費を足しまして、その
災害
に対応するような規模で
改修
工事を進めるというふうなことをやっております。あるいはまた八割以上も壊れた、非常に激甚であるというふうな場合には、
災害復旧
費でもって全部、壊れてないところも一緒にその
災害
に対応するように直すというふうなこともやっております。これは一定災と言っておりますが、前者の場合には
災害
助成工事あるいは関連工事というふうに言っております。 こういう場合に、先生いま御指摘のように、
最大
の問題は、そこに住んでおる、あるいはその
施設
、
河川
等でございますけれども、そういうものにかかわり合いを持っておる人たちの意思が一番大きなことでございます。私どもとしましても、その辺に住んでおられる方々の大多数の人がそういうことを望んでおるんだというふうなことを、その
地域
をおさめておるたとえば
町村
長さんであるとか、あるいは有力者であるとか、そういうふうな人といろいろ話をしながら、そういう意見を聞きながら、そういうものを考えていくというふうなことがまず第一の段階でございます。 そういうわけでございますが、この事業というのはやはり
災害
関連事業であれば三年、それから助成事業であれば四年ないし五年ぐらいでやってしまうというふうなことでございますから、そういう場合に、非常に問題が出る場合には、たとえば用地買収などに応じないというふうな例も中にはあるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、やはり
災害
助成事業、何々
河川
助成事業の協力会といったような会をその地元でつくっていただきまして、そういうものを通じていわゆる現場
説明
をするとか、あるいは用地の問題を話をするとか、あるいは計画の
説明
をする、そういうふうなことで、大方の理解を得ながら進んでまいるというふうなことにいたしております。 それから先ほど、
原形復旧
ができない場合の調整をどうするかというふうなことでございますが、こういう場合にも、やはり地元の意見というふうなものをまとめるというふうなことが
最大
の問題でございますから、やはりその地元の意見が調整できるのを待ってというふうなことになるわけでございます。しかしながら、そういうふうにいまそのままにしておいてはどうなるかわかりませんので、やはり現在の
状態
から大きく増破をしないように、応急工事と申しますか、仮工事はちゃんとやります。あるいは
道路
の一応の仮道はとにかくつけて、何とかできるようにしておいて、極力早く、地元のそういう意見をまとめていただくというふうなことを進めております。
宮田早苗
154
○
宮田
委員
今回の
調査
の結果、特に
岡山
県でよく見られたわけでございますが、例のため池の問題についてでございます。 今度の
災害
の特徴の一つとして、ため池が老朽化しておるために、これが
決壊
をして
災害
をさらに大きくしたというような傾向もあるわけでございます。この点についての
復旧
、
改修
、これは当然ですけれども、いまございます老朽のため池の補修ということも当然考えなければならぬわけでございまして、これもさきの質問に出ていたわけでございますけれども、聞いてみますと、歴史的な背景ということもあるようでございますが、あのままで今後放置しておくことの方がよろしいか、あるいは抜本的にあれにかわる何らかの方法というものを考え、恒久化をするか、こういうこともやはり考えてしかるべきじゃないか、こう思っておるわけでございますが、そういう点についてはどういうお考えを持っておられますか、お聞きします。——それでは、もう一度申します。老朽ため池が
各地
にたくさんあるわけでございますけれども、非常に老朽化しているから、補修をしましてもこれを永久にそのままにしておくことの方が是か、あるいはまたこれにかわる抜本的な、ダムならダムというようなものは考えられぬものかどうかということ、率直に私感じましたので、建設省の方のお考えがもしありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
岡部三郎
155
○岡部
説明
員 農業用のため池は、四十七年に全国の総点検をやったわけでございますが、その際に全国で大体二十七万七千カ所と非常にたくさんあるわけでございまして、この中には徳川時代あるいはもっと前にできたというふうなものも相当ありまして、したがいまして百年以上も経過しておるというようなことで、相当老朽化しているものもあるわけであります。ただいまお話がございましたように、そういうものがほかの大きなダムの築造によりまして必要がなくなるような場合には、これは土地の有効利用といった面から申しましても、当然そういうものに統合した方が効率がいいわけでございますが、ただいま申しましたように全国に二十七万もあるというふうなことで、大
部分
のものは農業生産を継続するためにもこれを残しておかなければならぬということでございます。 したがいまして、その中で非常に危険なものにつきましては早急に
改修
工事をしなければならぬわけでございまして、四十七年の
調査
では大体五ヘクタール以上の受益面積を持っておるものだけでも、
改修
しなければならぬものが約一万カ所あるというようなことでございまして、私どもとしましても
農地
防災の事業の中では最もため池の
改修
整備に力を注いで、予算等も一番伸ばして整備を進めておるわけでございますが、何せ非常にたくさんのため池でございますので、早急な実施はなかなかむずかしい点もございますが、鋭意努力をいたしておる現況でございます。
宮田早苗
156
○
宮田
委員
ただいまの質問は感じたままということでいたしたわけでございますが、特にもう一遍言わせていただきますと、土質の違いというのを聞いておるわけでございますので、そういう面も十分含めて今後ひとつ検討していただきたいということを
要望
しておきます。 それから、今度の
災害
の
被災
者は、早急に
復旧
をしてほしいというのは当然なことでございます。ところが、
災害
査定のための人員あるいは費用、こういう問題について大変お困りのようでございますので、こういう点も質問があったかと思いますが、ございましたら簡単でもよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
井沢健二
157
○井沢
説明
員
災害
の査定には、確かに設計をつくる者もあるいは査定をする人も要るわけでございます。それから、設計書をつくる費用も要るわけでございますが、ことしは非常な
激甚災
でございますから、やはり例年どおり設計委託費といったようなものにつきましてはできるものというふうに思っております。それから、設計をつくる場合でございますが、今回の
災害
につきましては非常に大きな県が多かったというふうなことで、たとえば
兵庫
県であるとか
岡山
県であるとか、そういうものの全部じゃなくてその一部の
土木
事務所
が非常なひどい目に遭っておるというふうなことございますから、
県内
からその
土木
事務所
の方に職員を派遣いたしまして、現在進めておるようでございます。いまのところ各県では大体何とか
県内
で処理をいたしたいというふうなことでございますので、私どもの方としては全国的な応援はまだ考えておりません。これが
町村
になりますと非常に困っておりますが、
町村
につきましてはそれぞれの県が職員を派遣して応援をいたしておるようでございます。 何分にもことしは約十二万件に及ぶ
災害
の査定になりますので、いずれにしましても非常に大きな問題になるわけでございますので、現在その推移を見まして、さらに応援すべきであるということになるならば、全国的な規模でよその県からでもどんどん技術者を投入いたしまして、そういうものの円満な進行を図りたいというふうに思っております。
宮田早苗
158
○
宮田
委員
建設省関係はこれで終わりますが、次に、今度の
災害
で
対策
を急がなければならないと痛感いたしましたのが中小企業
対策
でございます。国土庁の資料によりますと、中小企業関係の
被害
額は約六百億となっております。ただでさえ経営の苦しい時期での
災害
で、設備や製品の損壊、
冠水
等で多くの企業が経営のピンチに立たされておるわけです。また、このような直接
被害
のほか、鉄道、
道路
被害
によって原料や製品の輸送手段を断たれているといった間接的な
被害
も相当あるわけでございます。 通産省としても
被害
の実態把握に全力を挙げておいでになると思いますが、この際
対策
を急がなければならないのは中小企業に対する緊急融貧でございます。いま申し上げましたように
被害
が六百億円にとどまらないわけですが、三公庫の融資態勢、これは一体どうなっておりますか、お聞きします。
松尾成美
159
○松尾
説明
員 中小企業の
災害
関係緊急融資態勢でございますが、今回の
台風
十七号の
被害
がありまして、水が引きました後、直ちにとりあえず中小企業関係の
政府
系三機関の窓口におきまして、融資条件あるいはその融資の限度等々に特例を設けました緊急融資をすでに早速発動しております。それから、既往債の返済猶予等についても、窓口で弾力的に対応するということで、すでに開始をしております。 それで、今後
激甚災害
の
指定
になりますと、これに加えまして、金利の特例でございますとか信用保険の特例等々が発動できることになりますので、これらの措置を動員いたしまして、中小企業の金融
対策
に遺漏のないように期してまいりたいというふうに考えております。
宮田早苗
160
○
宮田
委員
これに関連をいたしましてお聞きするわけでありますが、問題はこれから年末にかけての資金需要との兼ね合いが当然起きてくると思うのです。
災害
融資が大きくなったために年末資金へのしわ寄せが懸念されるわけでございまして、この点はどういうお考えを持っておられますか、お聞きします。
松尾成美
161
○松尾
説明
員 中小企業関係の三機関の第三・四半期の融資枠というのがこのほど決まっておりますが、全体で九千三百七十四億ということになっております。年度プラン、当初計画が二兆九千五百五十二億でございますので、三一・七%、大体三分の一をこの年末金融を控えたところへ割り振っております。さしあたりはこの中で
災害
関係の融資というのは優先的に充当するということをやっておりますのでまず支障はなかろうと思っておりますが、今後の全体の資金の動向を見まして、もし全体として不十分ということになりましたら、その際、年末不足のないように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
宮田早苗
162
○
宮田
委員
これで終わりますが、最後に
要望
を申し上げておきます。 やはり今度の
災害
のみにかかわらず経済情勢も中小企業、大変困っておるわけでございますので、今後中小企業
対策
については万全のひとつ措置をしていただきますように
要望
いたしまして、終わります。
柴田健治
163
○
柴田
(健)
委員長
代理 武藤嘉文君。
武藤嘉文
164
○武藤(嘉)
委員
まず、国土庁から承りますが、きょう政務次官から
激甚指定
は早急にやるという御発言がありましたけれども、正直、たとえば私の出身県であります
岐阜
県だとか、あるいは
岐阜
市、
大垣
市というところは、どうもいまの基準のままでございますと、せっかく全国一律の
激甚災害
の
指定
を受けましても、かさ上げの対象になる
部分
が少ない場合があるわけであります。確かに財政がある程度裕福だから、その
地方
公共
団体でやればいいじゃないかということかもしれませんけれども、経済の成長が非常に停滞をしてまいりますと、税収の伸びも期待できません。そうすると、これは全く予期しない
災害
でその
地方
自治体に多くの財政負担がかかってまいりますと、結果的に
地方
自治体の財政
状態
が非常に不健全になる、こういうことでもありますから、いろいろ事情はございましょうけれども、ぜひこの際、
指定
基準の緩和をお願いをしたい、こう思っておるわけでございますけれども、国土庁から前向きの御答弁がいただけることを期待をするわけでございます。
江藤隆美
165
○江藤
政府
委員
たとえば
岐阜
県の場合には標準税収が非常に高いということで、激甚の
指定
を受けても補助率のかさ上げにならないではないか、こういうことの御心配からの実は御発言であります。 そこで、いまの自治省の考え方では、仄聞いたしますと、大体かなり財政的に裕福なところであるから、この程度でやれるのではないかという考えが一部にあるやとも聞いておりますが、私はやはり政治家の一員でありますから、こうした天災においては、たとえ富裕な県であろうがあるまいが、何らかの平等な措置をしていくというのが、やはり
災害
に対する一つの物の考え方でなくてはならない、こういうふうに思っております。しかしながら、いま制度あるいはその他各省の考え方があるわけでありますので、そこいらを十分踏まえまして今後鋭意相談をしてみたい、こういうふうに思っております。
武藤嘉文
166
○武藤(嘉)
委員
この問題は、大臣をしのぐ実力者である政務次官ですから、ぜひ、いまの言葉を十分ひとつ体していただきまして、その実現に努力をしていただきたいと思います。 次は、建設省へ参ります。先ほど
宮田
さんの御質問も聞いておりました。私、午前中の質問は、ほかの会合に出ておりまして聞かなかったので重複するかと思いますけれども、正直、従来ややもすれば
災害復旧
は
原形復旧
でなく
改良復旧
もやりますと言われておりましても、案外、
原形復旧
が現実にあるわけでございます。また、
改良復旧
と申しましても、どうも金の関係もあるかと思いますが、根本的なというか、抜本的な、いわゆる改良事業にまで進んでいない現況が現在までの実態だと私は思っております。 特に今度の
長良川
の
決壊
を見ましても、たまたまあそこが
決壊
をいたしました。しかし、あそこよりももっと悪い危険な場所があると言われておった。あの
決壊
をした場所は、建設省御承知のとおり、あれはC地区でございますか、ABCのCになっておるはずでございます。AなりBなり、たくさんまだ危険個所があったのが、たまたまあそこが切れた、こういうことで、けさも
理事
会に対して地元から陳情がありましたのも、自分たちのところよりももっと切れるところがあったのに、わざと計画的に切ったんじゃないかというような表現まで地元からは出てきておるわけでございますね。 ですから、そういう点からいけば、本当に
長良川
という一つの川だけ考えてみても、この
災害
を機に思い切ってそういう
災害復旧
という、その
決壊
場所あるいはその
周辺
にとどまらずに、やはり全部を点検して、この際、思い切った改良をしていかないと、また同じような
災害
が二度三度と繰り返されないとも限らない。たまたま百年に初めてというような雨が降ったから今度起きたということですけれども、こういう千何ミリという雨がこれから二年先、三年先、また百年は降らないという確証はないわけですから、そうすると、いまのような場合でございますと、結局また雨が降ればどこか切れる、こういうことにもなりかねないわけであります。そういう面において、たとえばああいう盛り土だけの
堤防
だけじゃなくて、コンクリート壁その他によるしっかりした護岸工事をやるとか、あるいは川床のしゅんせつをやるとか、あるいはそれに伴って
中小河川
の
改修
もやるとか、あるいは洪水調節ダムをつくるとか、いろいろ総合的に計画を立てて、この
災害
の
復旧
を機に
長良川
の
堤防
そのもの、あるいは
長良川
の川の流れそのものを調節しなければいけないのじゃないか。こうしていかないと、本当にまた同じようなことを繰り返すのじゃないかと私は大変心配をするわけであります。そういう意味においての思い切った改良事業をやっていただけるのかどうか。 また、それをやろうとすれば、先ほどはっきりお答えがなかったようでございますが、五十二年度からの予定の新治水五カ年計画は約八兆円と言われておりますが、とても八兆円では、それらの仕事は幾らここでおやりになるとおっしゃっていただいても、たとえば
長良川
に重点を置いてやっていただければいいわけですけれども、そうはいかないわけであります。やはり今度だって、全国にそういうことで思い切って根本的に川の
改修
をしなければならぬところがたくさんあるわけでございます。もちろん下水道計画、これも大変大切であります。しかし、下水道計画が約八兆円、それで治水計画が約八兆円。私から考えると、全国流れが整ってから下水の計画で処理するものが流されるのならいいですけれども、どうも下水の計画で思い切って処理したものを流した、その川の方が十分でなければ、この間の
長良川
のように、たとえば屎尿とどろ水とがごっちゃになってしまうということになるわけであります。そういう面からこの治水五カ年計画の八兆円というものは、少なくとも十何兆にするような気持ちで再検討するということにしないといけないのじゃないか。もちろん、これは財政当局と相談をしていただかなければなりませんけれども、建設省としては、少なくともいまの八兆円というものは前向きに思い切って大幅にふやさなければいけないという考え方であります、このくらいの答弁をされないと、私はなかなかこの
災害
に遭った人たちは納得しないのじゃないか、こう思うのでございます。たまたま私は先ほど
宮田
さんの質問に対するお答えを聞いておって、どうもその辺、私としてはいささか不満な答弁でありましたので、重ねて御質問して大変恐縮でございますけれども、財政当局の方のことは、またわれわれも思い切ってお手伝いをしてふやせばいいのでございますから、建設省としては、ぜひ前向きに思い切った計画のつくり直しをやりたいという御答弁を願いたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
稲田裕
167
○稲田
説明
員 ただいまの御質問でございますけれども、おっしゃるとおり、
長良川
の直轄の
部分
並びにそれに関連いたします
中小河川
の
部分
とも今度の大
災害
を受けておりまして、一貫した計画をやらなければいかぬというふうなことでございまして、これにつきまして現在検討を重ねております。 なお、五カ年計画につきましても当然長期の目標を立てまして、その目標を達成すべく五カ年の要求をいたしておるわけでございます。一応私どもの目標といたしましては、今後十
年間
を目途といたしまして、大
河川
にございましては戦後
最大
の洪水に対して安全にする、中小の
河川
並びに渓流に対しましては、一応時間
雨量
五十ミリというものに対しまして安全にするということを目途といたしまして五カ年計画を組んでおります。その中で特に緊急を要するものにつきまして計上いたしましたというのが、現在財政当局に要求いたしております八兆円でございます。 先ほど私が答弁いたしましたように、今期
災害
にかんがみまして、当然いままでの五カ年でも十分、配慮いたしておったわけでございますけれども、中小の
河川
の
災害
並びに都市
周辺
部の
河川
の
災害
、それから国土保全上、国民経済上重要な主要
河川
の主要区間の築堤等の補強、それから
土石流
に対する
対策
というのをまたさらに重点的にやらなければならぬということで、現在再検討を行っておる最中でございまして、まだその結論を得ておりませんが、可及的速やかに結論を得まして必要な措置を講じたい、かように思っておるわけでございます。
武藤嘉文
168
○武藤(嘉)
委員
こういう
委員会
ですから、大変慎重に御発言になることは私どももよく理解できますけれども、これはやはり
災害地
の
被災
者から見ますと、またああいうことが二度と起きたらどうだろうという気持ちを持つのは本当に当然だろうと思うのですね。だから、いまの時間当たり五十ミリというのも、正直、五十ミリじゃ、この間ぐらいの雨ではだめなわけでございますから、もちろんいますぐここで八兆円を十何兆円にするとは言えないのですけれども、ただ八兆円でいま出していただいているわけですね、大蔵省へ。いま折衝していただいておるわけでしょう。そうすると、八兆円に一応なりますと、まさか八兆円のうち四兆円を一年でやってしまうというわけにもいかないと思うのです。やはり大蔵省は、決まったから八兆を五分の一ずつでいいじゃないか、また逆に初年度は少なくてもいいじゃないかというように言うに決まっているのです。だから、私はこういう
災害
を機会に、建設省で、役所の中で、まずひとつそれは御検討いただかなければならぬと思います。ああいう
災害
があった、しかも直轄
河川
がここ二、三年連続して切れている、こういう観点からいけば、いまの治水五カ年計画、まず六十年までの第一期と申しますか、その五カ年だと思うのですけれども、いずれにしても、これではどうもまずいのじゃなかろうか、こういう積極的な局議なり省議をもう一度やっていただいて、そしてこれを見直すべきかという検討をやるという姿勢だけは建設省は約束していただいてもいいのじゃないかと私は思うのです。その辺はどうでしょうか。
稲田裕
169
○稲田
説明
員 御趣旨のとおり、現在、抜本的な
対策
をやるにつきましてはいかにあるべきかということを局議等でも十分検討しておるところでございます。さらに今後ともその方針に沿えるように検討を続けてまいりたい、かように思うわけでございます。
武藤嘉文
170
○武藤(嘉)
委員
時間がないから余りきょうは詰められませんけれども、ひとつよろしくお願いします。 それから、建設省の関係では、今度、激特事業ですか、ああいう制度ができ上がりましたが、また私の選挙区の話になりますけれども、たまたま
岐阜
市とか
大垣
市とか、あの辺の湛水をしました
地域
は、湛水はしていたけれども
中小河川
の方は、これは
公共
事業で見ていただけますが、それ以外に、ああいう莫大な
雨量
があったものですから、それによる湛水が非常に多かったわけでございます。激特制度をせっかくつくっていただきまして、たしか
大垣
市で幸い一つ
地域
指定
をして取り上げていただいておりますけれども、これを機に、これは大変なところだということがおわかりいただいたと思いますので、そういうこれは大変だという
地域
、たとえば
農林
省の湛水事業に匹敵するような
地域
だと思うのですけれども、そういうものの都市化したところ、これはひとつ思い切ってこの際、これも大蔵省との間の問題はありますが、せっかくつくっていただいた事業をぜひ来年、五十二年度においては思い切ったひとつ予算をとって、今度
災害
でそういう問題の起きたようなところで、しかも
災害
の
公共
で拾えないようなもの、これはその事業でひとつ思い切って拾っていただきまして、でき得るならば補助率のかさ上げもしていただきたいと思うのでございますけれども、この点について建設省の方からお答え願いたいと思います。
小坂忠
171
○小坂
説明
員 お答えいたします。 ただいまお話しの激甚
災害対策
特別緊急事業、これは五十一年度から新しく発足いたしました制度でございまして、その制度が発足いたしました初年度に、
台風
十七号による大変な
災害
が出たというようなことでございます。私どもといたしましては、この制度をフルに活用してやりたいと思っております。 ただ、いまお話にございましたように、湛水防除のための、あるいは都市
浸水
のためのポンプ、こういったものも大いに
促進
する必要はございますが、ただその受け入れ側であります本川、これがこの間は破堤したというような現状でもございます。したがいまして、その全体の調和をとりつつ施行の順序等もよく考えまして、それで積極的に採択をいたしたいというふうに考えております。私どもといたしましては、当然この制度をフルに使ってやりたいというふうに考えております。
武藤嘉文
172
○武藤(嘉)
委員
もう一つ建設省でお聞きしておきたいのは、街
路課長
お見えになっておりますので、これは街
路課長
さんの方になるかどうかわかりませんが、都市局の関係で、せっかく整備していただいた都市公園とか、それから下水道
施設
とか、こういうものが今度非常にやられているわけであります。これについては思い切った高率補助をしていただきたいと思っております。従来、こういうものがわりあい新しい
施設
である、だけに、たしか思い切った高率補助がなかったように私記憶いたしておるのでございますが、今度のような
激甚災害
になりました場合、そして、その
市町村
が対象になった場合、どのくらいの補助率にかさ上げをしていただけるのか、お答えが願えればお答えいただきたいと思うのであります。
渡部與四郎
173
○渡部
説明
員 お答えいたします。 都市
災害
の
復旧事業
につきましては、実は
公共土木施設
災害復旧
事業費国庫負担法の対象事業になっておりませんので、従来、下水道を除きまして三分の一でやっております。下水道につきましては、下水道法の改正のときに三分の二の補助率が適用されまして、
公共
下水道、流域下水道、都市下水道について適用がされたわけであります。 いま先生おっしゃったように、都市発展といいますか、市街化の拡大に対応して、都市
施設
の整備をやらなければならないということでやっておりますので、そういう関係で、公園とか街路とか他の都市
施設
とか、そういう問題についても
災害
が今回も非常に多かったわけだし、今後も多くなるではないかというふうに懸念しておりまして、これについては、さらにこの
復旧事業
の
促進
を図るよういろいろ努力してまいりたい、こう思っておるわけであります。
武藤嘉文
174
○武藤(嘉)
委員
その率はまだ言えませんか、大体どこ並みという率を。
渡部與四郎
175
○渡部
説明
員 これについて財政当局といま協議検討しておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
武藤嘉文
176
○武藤(嘉)
委員
きょうは予算
委員会
が行われて、こっちが言いたいことを言おうと思っていた人たちがお見えにならぬものだからあれなんでございますが、ひとつよろしくそれぞれお願いします。 厚生省の関係で二、三承らしていただきたいと思うのであります。きょう
井上
さんからですか話があったと思うのですけれども、けさの
調査団
のあれでもそういうことを言っておりましたが、結局、自分たちの家財道具がみんな水浸しになってしまって、
ごみ
が物すごくふえた。
ごみ
というか家財道具というか、そういう使い物にならなくなったものがあって、それはどこへも持って行き場がないものだから、たまたまためた。しかし、ためたといっても、こういう環境衛生の非常に厳しいときでございますから、これは困るということで、それをどこかに持っていかなければいけない。持っていかなければいけないけれども、その金さえ一体どこから来るかわからないものですから、そのまま放置してありまして、この間、私の選挙区でもいろいろ問題になったのでございますが、こういう
ごみ
を処理するための思い切った費用、従来は
ごみ
処理
施設
がやられた場合は、たとえば新潟地震の場合なんか十分の八になっておった。だから、今度もこれは十分の八にどうもしていただけるようでございますけれども、そういう
ごみ
を処理する、どこか運んでいかなければならない。いわゆる処理場が
破損
したのじゃなくて、
ごみ
そのものの処理の事業、これはいろいろ大変むずかしいようでございますが、これも余りここで期待するような率をどうも御発言いただけないかもしれませんが、これもひとつ厚生省としては、やはり特に環境衛生をよくしなければならぬというお立場なんですから、いまの建設省と同じように、財政当局がにらんでいるものだから、ここで余りいい返事ができないのだろうとは思うのですけれども、やはり厚生省のお立場としては、前向きに、当然そういうものも同じような考え方でやらなければならぬと思いますというような御答弁が願えるものと期待をしておるのでございますけれども、ひとつ厚生省の方からこの問題について御答弁が願いたいことと、あわせて、私先ほど申し上げましたが、新潟地震のときのように
施設
がやられた場合は十分の八やっていただけると思いますが、それも確認をさせていただきたいと思いますので、それについてもお答えを願いたいと思います。
森下忠幸
177
○
森下
説明
員 お答えいたします。 順序が逆になるかと思いますけれども、
施設
の方からお答えをいたします。 今回の十七号
台風
で全国で二十四カ所の
施設
、すなわち、
ごみ
処理
施設
あるいは
屎尿処理
施設
が
被害
を受けました。その後、順調に仮
復旧
ないしは
復旧
が進んでおりまして、本日現在、六カ所が運転をとめておりますが、明日以降は運転をとめますのは三カ所ということになると思います。これにつきまして、これは予算補助で二分の一ということでやっておりますが、
現地
調査
に当たりまして、基準の許します限り対象経費を取り上げていくということ、それから一カ所当たりの
被害
額あるいは
被害
の
状況
、たとえば私どもの場合は
施設
が
冠水
いたしましてモーターがぬれてしまった、これを乾かして線を巻きかえるとか、あるいは取りつけ
道路
が一部崩壊したとかいうふうな
被害
の
状況
でございまして、そういったことを見ますと、従来の例と大体同じ程度であるというようなこともありまして、
施設
に対します補助は従前の例によって対処をいたしたいということでございます。したがいまして、二分の一ということになろうかと思いますが、新潟地震の場合に十分の八というふうなお話がありましたけれども、それは
施設
自体がコンクリート
部分
が非常に
破損
したというふうなこともございまして、特別の例がありましたけれども、今回、機械の一部が
冠水
した、これを乾燥すれば、あるいは巻きかえれば使えるというふうなことで、ここ数
年間
の
被害
の
状況
と似たような形でございますので、二分の一の補助ということで脅えております。 それから、集めました
ごみ
を処理する話でございます。 全国で百六十ほどの
市町村
がまだ
災害
の清掃事業を継続しておりまして、最終的な事業費が固まっておりません。十九県のうち三県が清掃事業を終わったという段階でございますので、まだこれから事業が続きますし、先ほど先生おっしゃいましたように、一度出しました廃棄物が仮置きされまして、さらにこれが最終の処分地へ動くというふうなことで、かなりな経費がかかろうと思いますが、できるだけ
状況
を把握の上、可能な限り
市町村
の負担が軽減できるよう考えますけれども、これもやはり従前の二分の一という補助、これは法律補助でございますが、この範囲内でやらしていただきたい、こんなふうに考えております。
武藤嘉文
178
○武藤(嘉)
委員
いまの
ごみ
処理の事業そのものは、いろいろ従来の前例も高率のものはないのですけれども、いまの新潟地震の場合、コンクリートの基礎がやられた、私考えるのに、基礎がやられようが機械がやられようが、やられたことは同じことであるので、これは時間の関係がありますから、
森下
課長
にぜひその辺もう一度、機械がやられようが基礎がやられようが同じであるという考え方で財政当局とぜひ折衝していただいて、十分の八になるように、ひとつ御努力いただきたいことを重ねて
要請
をしておきまして、次に移らしていただきます。 中小企業庁の関係でございますが、中小企業庁では二つばかりちょっと提起をしたいと思います。 一つは、農業の場合ですと農業共済制度というものがありまして、稲が取れなくなっても約五割ぐらいは大体いただけるようでございますが、中小企業の場合は全くそういう共済制度というものがないわけです。そのために、実際、たとえば四百万円、やれ六分二厘あるいは三分で貸してやるよといいましても、借りた金は返さなければいかぬですね。しかも、私はちょっと申し上げたいのですけれども、いま
現地
では借りに行きますと、おまえのところはもう
災害
でやられちゃって非常に信用上危険な
状態
だ、だから金も思うように貸してやれない。四百万と申し込んだら、おまえのところは三百万だ、おまえのところは二百万だと言われているらしいのですね。そういうばかげたことはないと思うのですよ。自分の経営が間違っておって悪くなったのなら、これはわかるのですけれども、全く自分はまじめに経営していた。ただ天災によって、そういう
災害
で自分はやられた。予期しないことでやられたわけなんで、おまえのところは将来返せる能力がないとか、そんなばかげたことでやったら、私は本当にこれはけしからぬことだと思うのですが、そういう声がたまたま私どもの耳にも入ってまいります。これはぜひそういう姿勢は、貸し付けの現在の態度は、きちんと本当に担保がなくても、この際、気の毒だということで貸してやって、そして、その企業努力に期待をしなければいけないのじゃないか。余り厳しいことをやれば、逆に企業努力がなくなっちゃって、よけいだめになっちゃうだろうと思う。だから、ぜひ温かい目で、企業努力を
促進
するような形で貸し付けをしなければいけない。 しかし、それはそれとしても、もっと本当に大変なのは、そういうことが言われるくらい信用度がなくなるわけなんです。そういう場合の何か保険制度というものを、この際、毎年
災害
がどこかで起きているわけなんですから、ひとつ中小企業庁としても、そういう貸し付け態度を改めるとともに、何か信用保険制度みたいなものを、現在の信用保険公庫でやっているような保証協会の枠をふやすとか、そんなものじゃなくて、いわゆる共済的な保険制度をひとつ考えられないか。これをやはり研究してもらいたいと思いますが、それが第一点。 時間がございませんので、お答えは一緒にしていただきたいのでございますが、もう一点は、三%と六・二%があるわけですけれども、この四百万も、これは去年改正したばかりですから、こちらも責任がありますけれども、これも六百万なり八百万なりに本当は上げるべきだと思うのですが、いずれにしてもその四百万の三%というのは非常に認定基準が厳しくて、結果的にそう大ぜいが活用されていない。私ども、そういう面で詳しいことは申し上げませんけれども、何かひとつ認定基準を緩和していただいて、せっかく三%という——しかも、いろいろあちらこちらへ出ているビラを見ると、六・二または三%と書いてあるので、やはり
被災
者から見ると、おれは三%もらえるんじゃないかと思う人が、ああいうのを見ていると多いと思うのです。ところが、実際には何かややこしいことを言って六・二だということでは何か欺瞞的にもとられますから、私は思い切って、ほとんどの方が三%になるように、やはり仕組みを考えていただくべきじゃないか、こう思いますが、その二点についてお答えを願いたいと思います。
岸田文武
179
○岸田
政府
委員
今回の
災害
は、不況で中小企業が大変弱っておるところに追い打ちをかけるような形で来ましたために、非常に多くの中小企業の方が困っておられる、私どもとしても非常に心配もし、できるだけの手を打たなければならないと思っておるところでございます。 いま御指摘になりました第一点の共済制度ないし保険制度について何かいい提案はできないだろうかという点、私もこの話を聞きまして、実は部内でいろいろ勉強をいたしてみました。農業の場合でございますと、風水害あるいは冷害それから病虫害、さまざまな事故が全国的に起こり得る。そういったことを背景にして広いすそ野で共済制度ができ、また保険制度ができておるわけでございますが、これを仮に中小企業に同じような考え方でやるといたしましても、やはり中小企業の場合には、もっぱら
災害
が対象になる。しかも、その
災害
の起こる
地域
がわりあいに限られる傾向がある。こういう点が一番問題なのではないかと思っておるところでございます。したがって、仮に制度を起こしましても、非常に事故の起こりやすい人たちだけが共済をし、保険をする。一遍事故が起こると、その制度がつぶれてしまうということにもなりかねない。もっと広い全国的なすそ野でできれば、その問題は解決できるわけですが、そういったような機運にまで本当に中小企業全体が進んでいけるかどうか、ここがポイントになるのではないかと思っておるところでございます。私どもも、せっかくの御提案でございますから、いまの火災共済制度の応用問題という意味で、一度研究させていただきたいと思っておるところでございます。 それから、
現地
において保証の態度が厳しくて、中小企業の方々の本当の困った声にこたえられないというケースがもしあるとすれば、私どもとしてもやはり気にしなければならないことだと思います。かねがね、こういう
災害
というのは一般の場合とは違う特殊の事情があるのだから、特別な配慮をするようにということを指導してまいりまして、私ども、いまのような点を頭に置いて、やはりこういう点については機動的に、かつ弾力的に対応できるように、もう一度私どもも実情を調べてみたいと思います。 それから、
激甚災害
法の融資について二種類ある、六・二%と三%。この三%の適用をもっと広くする工夫はないかという点でございますが、実はあの
指定
要件につきましては、一般の方々は、とかく現在の資産の七割が
被害
を受けたという点を頭に置いて、どうも厳し過ぎるのじゃないかというようなことを言われておる傾きがあるような感じがいたしますが、実は、あるいは御承知かと思いますが、要件は二つございまして、いまのように資産に対する七〇%以上の
被害
が起こった場合という要件のほかに、前年度の所得の一割以上の
被害
が起こった場合と、この二つの要件をあわせて考えてみますと、非常に問題の多い中小企業については安い金利を適用する道もある程度あるのではないか。この辺は、今度の大きな
災害
を実際に経験をいたしまして、なお私どもとしても実情を
調査
いたしたいと思いますので、この辺、よろしくお願い申し上げたいと思います。
武藤嘉文
180
○武藤(嘉)
委員
農林
省へ移ります。
農林
省では食糧庁の関係でございますが、杉山さんかどなたかから御答弁願いたいと思うのでございますが、米の事前売り渡し申し込み、これで金をもうもらってしまっている者が相当いるわけであります。しかし、
災害
を受けたものでございますから、これは正直、金を払えないわけです。特に
長良川
が
決壊
したところなどは、もう全滅でございますから、幾ら共済でもらったって、とてもそれを払うだけの金はないわけでございますから、これは恐れ入りますが、ぜひひとつ来年の米の収穫によってそれはお返しをする。そうして、それまではひとつ金利も取らないということを御確約を願いたいのでございますが、それが一つ。 それからもう一つは、畜産の関係で、わりあい、稲作農家と比べるとでございますけれども、畜産の関係は多少やはりつらいところが、現実にこういう
災害
が起きた場合あるのじゃないかと私は思うのです。いろいろな制度を見ておりますと、そういう感じを受けるわけです。そこで、そういう畜産農家にいま温かい手を差し伸べてやれる一つの方法は、私は、
政府
の持っていただいておるえさですね、
政府
の手持ちのえさを思い切ってひとつ安く払い下げてやっていただくと、やはりこれが一つの非常に彼らが元気になる要素にもなるのじゃないかと思いますので、これはぜひお願いしたいと思うのでございますが、
農林
省、この二点だけひとつお聞きしたいと思うのです。
杉山克己
181
○杉山
説明
員 概算金の返納時期の延長、それから利子の減免という問題でございますが、概算金は、これは実は確定した国の債権ということになっておりまして、法律上、延納はなかなかむずかしゅうございます。そこで、そういった支払いができるだけ損なわれないようにということで、私どもとしましては共済金の支払い、あるいはその所要資金のために天災融資法、
激甚災
法の発動をして経営資金を融通するというようなことを考えているわけでございます。そういうことをして、なおかつ支払いができないかどうかということは、これは個別になお検討する必要があろうかと思います。 利子の減免の問題につきましては、これは制度がございまして、
被害
の程度、態様に応じて、ゼロからその程度に応じた減免ができることになっております。
安八
町の場合なども含めまして、全般的にどう該当するかということを調べました上で、その制度にのっとって減免を図ってまいりたいというように考えております。 それから、飼料の問題でございます。確かに米が一番大きゅうはございますが、そのほかの野菜だとか果実だとか飼料作物も
被害
を受けております。特に自家飼料を期待しておった向きは、これから別途その飼料を購入しなければいけないという問題が生じてまいっていると思います。そういう農家に対しましては、やはり資金的な手当てをするということが第一でございますが、
政府
といたしましても確かに手持ちの飼料はございます。
政府
の場合は大麦でございます。代替飼料、大麦がどうしても必要だ、適当なものがないから
政府
のものを売ってほしいという向きには、その売却も十分検討いたします。 価格等につきましては、これはもう農家経営の成り立つようにということで、そういったことは十分配慮される価格になっておりますので、できるだけそういう方向で処理したいと考えております。
武藤嘉文
182
○武藤(嘉)
委員
もうちょっとやりたいのですけれども、時間がないようでございますが、最後に一つ。最後というか、もう一つありますが、これはいろいろ大変言いにくいことを率直に申し上げて恐縮ですが、私ども、いろいろ地元——きょうも陳情に来ておりましたが、これは建設省に耳が痛いと思うのですけれども、あの
長良川
の
堤防
の
決壊
は、決して偶然な天災ではない、これは人災である、しかも計画的なものであるというような表現まで地元ではとっておるわけであります。その理由としては、
堤防
の管理が非常に不十分であった。結局あの
決壊
場所などは全部雑草が生い茂ってしまって、そういう漏水しておるところはなかなか発見ができなかったという問題が一つ。それから、先ほど申し上げましたが、
長良川
、
揖斐川
で危険個所が非常に多いわけであります。そして、あそこも正直、危険個所の一つになっておりました。それを早くその
堤防
の補強をしてもらいたいと言っておったにもかかわらず、
現地
の上流
事務所
では、これはどうしても五十三年の計画に入っておるので、どうにもできないということである。言ってみれば、金さえあればできたものが、やっていなかった、こういう理由になると思います。 それからもう一つは、これは建設省の責任ではございませんが、御承知のとおり、上から参りますと、
墨俣
町、その南が
安八
町、その南が輪之内町、その南が海津郡、こういつておりまして、あそこは長良の輪中というのがありまして、ちょうど切れたところの
安八
町とその南の輪之内との間に輪中という一つの
堤防
がある。低い
堤防
ですけれども、
堤防
があります。その
堤防
の間、ところどころに通路がありまして、そこを
自衛隊
が出動して締め切ったわけです。だから、当然下流へ流れるべき水が流れないで逆流をして、
安八
の北部なり
墨俣
が水につかった。だから、御承知のとおり十時半ごろ
決壊
したにもかかわらず、
墨俣
町は、その朝の十時半から八時間後の六時過ぎに水につかった、こういうことなんですね。言ってみれば、おれたちは本当は水につからないんだけれども、結局はあそこでせきどめをされたために水が逆流して、おれたちはつかったのだ、こういうことなんです。 だから、そんな人災なのに、おれたちのところはみんな連絡も遅かったということもあるし、仏壇からテレビから何もかも全部やられちゃった。一体、
個人
的な家財道具をなくしたことに対して何をしてくれるのかというのが一番大きな
要望
だと私は思うのです。 だから、確かに
公共
事業関係は、いまいろいろお話ししておって、これから補助率を幾らにしていくかということと、自治省からの特交その他でどうするかということで、これは相当できるのじゃないかと私は思っておるのですけれども、そういう
個人
の財産を喪失した者に対しての補償というものが何らいまのところ決められていない。大蔵省も来ていただいたと思うのでありますけれども、これは何か考えないといけないのじゃないか。
委員会
でも何かそういう小
委員会
をおつくりいただけるようでございますから、この
委員会
でもぜひ皆さんで研究していただきたいと思いますが、そういう点を本当に何か考えなければいかぬと思うのでございます。きょう、どなたか大臣がお越しをいただいて御答弁いただきたいと思いましたが、果たして御答弁いただけるかどうか存じませんので、先ほど申し上げました実力者政務次官がいらっしゃいますから、ひとつ政務次官
会議
あたりでも関係政務次官で御協議をいただくなり、あるいは国土庁が
災害
の窓口でございますから各役所をひとつお集めいただいて、こういう問題に対してどう対処するのか、やはり御協議をいただくのが至当ではなかろうか。そして、何らかの措置を考えないと、
災害
に遭った人たちの気持ちは、
公共
事業で直してやるくらいでは正直、とてもおさまらない。非常に険悪な空気になっておるわけでありますから、社会的な不安を醸し出さないためにも、それからまた将来に備えて、そういう
災害
に遭ったら、やはり国がある程度めんどうを見てやる。それは何も金額の多寡じゃないと私は思うのです。国が温かい気持ちをそういう者に差し伸べるかどうかというのが私は問題だと思いますので、これはぜひ政治的な問題としてお取り上げをいただきたいと思うのでありますが、実力者政務次官、江藤さんからひとつ御答弁を願いたいと思います。
江藤隆美
183
○江藤
政府
委員
けさほどから御意見があったわけでありますけれども、現在、
個人
の家財その他についての補償制度が実はございませんで、今回の
災害
については、
各地
において、これに対して何とか措置をすべきだという御
要望
が非常に強いということは、諸先生方の
調査団
の御
報告
でも、それぞれけさほど来拝聴さしていただいたわけでありますし、また御意見も賜ってまいりました。 したがいまして、まず今回の
災害
につきましては、
個人
のそうした
災害
に対する
調査
が完全に行われておるとは言えませんので、これは物理的にはなかなか困難だということもありまして、できなかったわけでありますが、しかし、いまからでも遅くはありませんから、推計でもひとつやってみたらどうだろうか、どの程度の
個人
の
被害
があったのか。それから、
個人
災害
共済制度をつくったらということで、三年ほど総理府で検討した時代もあったわけでありますけれども、とうとう物にならずに今日に実は至っております。 しかしながら、これは
公共
災害
についての
対策
は適切に行われても、一人一人の
生活
が脅かされるという今日でありますから、何らかの方途を講ずるのが政治家の責任ではないか、このようにも考えておりますので、各省とも連絡の上、この問題は今回の教訓を十二分に生かして検討してみたい、このように思っております。
武藤嘉文
184
○武藤(嘉)
委員
ぜひお願いをいたします。 これで終わります。
柴田健治
185
○
柴田
(健)
委員長
代理
森下
元晴
君。
森下元晴
186
○
森下
委員
台風
十七号につきましては、早速、当
委員会
より
被害
地でございます南四国の高知、徳島へ
委員
団を派遣していただき、非常に精力的に詳細に
調査
をしていただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。 私も
現地
参加
をいたしまして、つぶさに
調査
をいたしました。 そこで、まず国土庁の江藤政務次官に御質問をしたいと思います。 国土庁は、いわゆる国土の保全、防衛、国の安全保障問題を担当する非常に大事なお役所でございまして、
災害
大国と言われておりますわが国におきまして非常に重要な役目を持っておる、民生安定上非常に大事なところでございます。 〔
柴田
(健)
委員長
代理退席、金丸(徳)
委員長
代理着席〕 今回は、御承知のように、オホーツク海商気圧の冷温によって東北、北海道では非常な冷害のために
被害
を受けております。また、
台風
十七号によって、ただいま質問がございました武藤さんの
地域
の中京
地域
、また
兵庫
県、それから南四国が実は大きな
災害
を受けております。 そこで、まずお伺いしたいのは、国土の防衛、保全、同時に国の均衡ある発展を図っていくためにも、
災害
の常襲地帯、特に
台風
の銀座と言われております
九州
の宮崎県とか鹿児島県、四国の愛媛県、周知県、徳島県、こういう
地域
はもう
台風
災害
の
復旧
のために
地方
の財政も非常な圧迫を受けておる。それだけ他の
地域
に比べて格差がますます増大をしておるわけです。それにつきまして、ただ
災害
だけの問題じゃなしに、やはり国土の均衡ある発展という点から考えましても、国土庁としては、この
災害復旧
に全力を挙げていただくと同時に、そういうハンディを背負った
地域
のために、かなり他の省とも連絡をしてやってもらわなくてはいけないというふうに私は思うわけです。 そこで、江藤次官に、国土庁としてのそういう意味の使命感と申しますか抱負について、一言御所見を伺いたいと思います。
江藤隆美
187
○江藤
政府
委員
ただいま
森下
先生から御意見がございましたが、たしか
昭和
三十三年ごろでしたか、
台風
常襲地帯の
災害
防除に関する法律とかなんとかいう長ったらしいむずかしいものができまして、その当時は、御意見のように、鹿児島県とか、私の宮崎県とか、あるいは四国とかいうようなところが
台風
常襲地帯だということで、ああいう特別立法措置がなされたわけでありますが、大変幸いなことに、私どもの南
九州
なかんずく宮崎県というのは、この十年近く実は
台風
がやってきませんで、あの特別措置法が魔よけの役を果たしたのではないか、こういうふうに、その効用というものを違った意味で大変評価をしておるわけであります。しかしながら、最近こういう
台風
の常襲地帯の形が変わってきたということと、思いがけない地帯に
台風
があるという中で、高知、徳島、こういう県は二年にわたって大
被害
をこうむるという実に痛ましい
状況
になりました。私ども同じこうした関係の
地域
に生をうけた者として胸の痛む思いがするわけであります。 こうした建設事業あるいは
災害復旧
事業等につきましては、天野長官はことのほか堪能な方でもございます。先ほど武藤先生から、治水五カ年計画の八兆円というのも少ないではないかという御意見があったのでありますが、天野長官は、社会投資の百兆円というものの中で八兆円という治水事業が、こうした
台風
の教訓等を生かして、一体これから十分治水の役割りを果たし得るかどうかという全体的な検討を一回してみる必要があるということを今回特に申されておりまして、国土庁としても、今後国土を守っていくという立場から、そういうことは積極的に一回建設省とも御相談をしながら研究を重ねてまいりたい、こう思っておるわけであります。 なかんずく、お尋ねの例年
災害
を受ける、それがきわめて激甚であるという地帯の国土の保全、そして
災害
の
復旧
、恒久的な安全のいわゆる保障というものについては、今後、治山治水あるいはその他の総合政策を通じて、私どもは各省とともに緊密な連絡をとって取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えておるところでございまして、今回いろいろと直接に地元でこういう
災害
にお遭いになられたわけでありますから、今後ともに私どもに対しても貴重な御意見を率直にお聞かせをいただき、また御叱正等も賜って、われわれ行
政府
も国会も一体となって今後の
台風
災害
に備え得るような体制固めをするために、ひとつお力添えを賜りたいと思う次第でございます。
森下元晴
188
○
森下
委員
災害
は忘れたころに来るとか、のど元過ぎれば熱さ忘れるとかいう言葉がございますけれども、今回のこの四国を襲った
台風
、特に徳島県の場合は、昨年の五号、六号
台風
で大きな痛手を受けた
地域
でございます。昨年に引き続いて本年も甚大な
災害
を受けたものですから、
地域住民
の方々は、もうこの土地には住めないと、非常な不安感が
地域
に満ち満ちております。 そういうことで、私も今回
調査
いたしまして特に感じましたのは、去年の
災害
はいわゆる水
災害
、非常に
降雨量
も多かったし、
河川
が
はんらん
して川の流域にある
家屋
がかなり
被害
を受けた。しかし、今回のこの十七号
台風
による
被害
は、どろ
台風
と申しますか、土
台風
、いわゆる山の崩壊というよりも、むしろ山が溶けるような
状況
で、やはり急傾斜
地域
に住む山村の方々が、この土地には住めない、何百
年間
も先祖伝来住んでまいりました土地というものに非常な不安感を覚えるような結果を実は及ぼしております。 そこで、この治水計画とかまた治山計画、いわゆる治水治山という問題がございますけれども、治水五カ年計画で努力はされておりますけれども、治水もさることながら、やはり治山の効果を上げることによって治水の効果も上がるのだ。どうも治水に比べて治山の方がおろそかになっているような感じを今回の
災害
で受けたわけです。山が溶けて流れるわけですから、幾らりっぱな
堤防
をつくったり、また護岸工事をいたしましても、埋まってしまえばそれまででございます。また、山が崩れて川をせいてダムのような障害物になっている。それが一挙に
決壊
した場合には甚大な影響を下流に及ぼしておる。それで今回の
災害
が土
災害
であるというふうに私は感じます。 そこで、建設省それから
農林
省の方にお伺いしたいのは、やはり地すべり
地域
とか治山をやっておる
地域
の
状況
を見ました場合に、
農林
省と建設省がばらばらに、その
地域
で多少なわ張り争いをやっているのじゃないかと思うような
地域
がございます。建設省の方が川の上流で一生懸命事業をやっておる、林野庁関係の方が下の方でやっておるとかいうことがありますが、やはり国土庁あたりがその仲介役になって、この
地域
は林野庁のなわ張りである、この
地域
は建設省のなわ張りである、そういうふうにする。同じ砂防堰堤をやるにしても、林野の砂防堰堤と建設省の堰堤は多少技術的な感覚が違うと私は学んだことがございまして、そういう点もひとつ国土庁の方でも御調整を願いたいと思うわけなんです。恐らく私の心配するようなことはないと思いますけれども、建設省の方の係、また林野庁の方の関係者の方から、建設、
農林
の方で協調してやっているのだということの御発言をひとつお願いしたいと思います。
中村二郎
189
○中村
説明
員 お答えいたします。
砂防事業
と治山事業の所管につきましては、先生御指摘のふうに、施行個所がきわめて近接しておるということと、もう一つは工法が、これもきわめて類似しておるわけでございます。こういう関係で、従来からややもするとその所管区分について不明瞭な点もあったわけでございますが、
昭和
三年に、そういうことに関しまして、砂防工事と荒廃
復旧
等に関する事務の権限整備に関する閣議決定がなされておりまして、それによって現在までやってきたわけでございますが、
昭和
三十八年に、さらに両事業の調整を密にいたしますために、両省におきまして中央及び都道府県に砂防治山連絡調整
会議
を設けまして、十分、事業の計画、実行、管理面につきまして調整を図っておるつもりでございます。また、
災害
が起こりました場合には、
現地
におきましても調整を行いますし、また中央におきましても十分そういう重複につきましても調整を図ってまいりたいということでやっておりますが、今後もこういう方針で十分慎重にやってまいりたいと考えております。
藍原義邦
190
○藍原
説明
員 ただいま建設省の方からお答えございましたけれども、林野庁におきましても全く同じような考え方で、今後とも円滑に推進し、流域単位の保全が効果を十分発揮するように対応してまいりたいというふうに考えております。
森下元晴
191
○
森下
委員
河野一郎先生が建設大臣をやっておったときに、ちょうど建設省と林野庁で砂防
課長
を交換して、意見の調整を図ったことがあったように思います。それをちょっと思い出しました。実は私もその方の技術を多少学んだことがございますので、建設省と
農林
省では砂防堰堤にしても多少ニュアンスが違うようなことを聞いておりましたので、その点十分建設と
農林
の方で
治山工事
等についても連絡調整をしていただきたいと
要望
をいたします。 実は、今回
調査
に参りました徳島県の山村でございますけれども、木屋平村とか穴吹町、一宇村、それから神山町、いずれも過疎
地域
でございまして、
町村
財政も非常に貧弱なんです。木屋平村なんかは、村の財政が九億月で、そのうちで税収がわずか千五百万しかない。問題にならぬぐらいの貧弱な財政の中で大変な
被害
を受けております。そういう
地域
に参って、冗談も出ましたが、ちょうどあの地区は全国的に有名になりました剣山のオロチの出たところでございます。オロチ退治隊を編成してどうこうという話が新聞紙上をにぎわしましたけれども、とにかく本当の山間僻地でございます。特に今回の
災害
で山が動き出した。家はりっぱに建っておりますけれども、大きなクレバスができまして、いつ山そのものが崩壊するかもわからない。そういう場合の集団移転の問題を真剣に関係の村長さんや
町長
さんは考えておりました。ただ問題は、そういうような
地域
でございますから、適当な土地を造成する場所がございません。したがって、やはり三十キロも四十キロも下流に下がったところに土地を求めなくてはいけない。そうなりますと、中には少々危険でも、どうしても先祖の墓のあるところに残りたいんだという方もあるし、またいろいろ急傾斜
地域
でたばこをつくったり、また養蚕、お蚕さんをつくったり、またコンニャクをやっておる。そういう自分の仕事と住居がかわるものですから
生活
に困る、急に都市
周辺
に出て、他の産業に従事するわけにいかないというようないろいろな悩みがあるようでございます。だから、そういう意味で、集落の集団移転で結局一〇〇%同意しなければできない、対象にならぬとか、いろいろわれわれも聞きましたけれども、その点につきまして国土庁の係の方に、
災害
等による部落集団移転についての具体的なお考え、またほんの一握りの方が反対するためにできない場合にはどういう方法でやればいいかということをひとつお教え願いたいと思います。
土屋佳照
192
○土屋
政府
委員
お答え申し上げます。 ただいまお話がございましたように、
災害
があったところは、そこで完全に
復旧
が可能であれば、それはまたそれにこしたことはないかもしれませんが、いろいろお話がございましたように、再びまた
災害
が起これば生命、身体、財産について保障ができないといったようなところもございます。そういったものについては、できるだけ集団的に移転をしていただくということで、そういった問題に関する財政特例法もあることは御承知のとおりでございまして、事柄が生命、身体、財産、そういったものにかかわるわけでございますから、集団移転の場合は全部引っ越していただくということが一番いい方法だと思うのでございます。 ただ、いまお話しのように、長い間住んでおったところで、なかなか離れがたいというようなこともございましょうし、また近いところに適地が見つからない。全部で移転するということでございますから、かなり広いところであり、また再び
災害
が起こらないような、そういった適地が必要になるわけでございますから、近いところになかなかないということになりますと、かなり遠隔なところにそういった集団移転のための土地を整備していくということになるわけでございます。そうなると、今度は就職の問題等も心配であるというようなこともございまして、なかなか一遍に移転ができないといったような問題がある事例も承知いたしておるわけでございます。 しかしながら、ただいま申し上げましたように、事柄が生命にかかわることでもございますので、私どもとしてはできるだけ集団で移転をしていただくということでございまして、就職等で難があるというような方々につきましては、そのいろいろな計画の中でそういった
対策
を十分織り込み、また計画にはそういうことを織り込むようになっておるわけでございますが、それと同時に、具体的に都道府県、特に地元の
市町村
と相談をいたしまして、その方の就職のあっせん、あるいはまた就職のための職業訓練、いろいろな問題がございましょうが、そういうものを含めて、できるだけ御本人の同意を得るように努力をいたしまして、再び
災害
が起こって問題が起こるような
地域
は、集団的に移転していただきたいというように指導してまいりたいと考えている次第でございます。
森下元晴
193
○
森下
委員
次に、林業問題について、ちょっと林野庁の指導部長さんにお伺いしたいと思います。 急傾斜
地域
の林道、これは農道なども同じでございますけれども、一定の幅員がなければ非常に補助率が違います。しかし、急傾斜
地域
では一メーター幅員を広げるということは大変な経費がかかるし、またそれによって山の崩壊の原因になる。だから、実情に合ったような、たとえば三メーターの
道路
でもよろしい、しかし地形によってはところどころに待避所をできるだけ多くとる。そういう方法でできるだけ補助率の高いものに、林道とか農道の基準というものを地形に合ったように直していただきたい。無理をしてずいぶん広い道を全面的につくりましても、かなり崩壊の原因になるし、かなり単価も高うございますので、われわれが
現地
を見ましても非常に不合理な点があると思います。 それから、もう一つの問題は、林業の
被害
調査
が非常におくれております。
公共
的な
被害
についてはかなり早く結論が出るんですが、また住宅なんかも早く出ますけれども、林地の
被害
とか、特に立木の
被害
は三年もたった後で山へ行って初めて大きな損害があったことがわかる、こういう例がございます。特に今回
災害
を受けました木頭村とか、また神山町とか木屋平村、また穴吹町とか一宇村、こういうところの林業家は、そういう不時の
災害
に備えて林業をやっておる、また森林を持っておるという方が非常に多いわけです。それがかなり
災害
を受けたわけでございまして、残った山を売って家を直したり、またいろいろ後の仕事のためにそれを使わなくてはいけない。だから、早く
災害
調査
ができて、できるならば
町村
で
被害
証明というものを早く出していただけば、所得があった場合でも税務署でいわゆる減免措置がある。そういう手続が非常におくれるし、また
地方
の行政指導が非常におくれておるようなきらいがございますので、この点特に林野庁の方からも森林組合等を通じまして御指導いただけるようにお願いしたい。 それから、五年以下の植林の場合には、これは保険にかかっておりますが、実は昨年の
災害
に対してもまだ
調査
ができておらない
地域
があったようでございますので、こういう点もあわせて、山村においては収入の根源でございますこの林業問題についても、やはり林野庁が積極的に取り組んでもらいたいと思います。 この林道の問題と両方あわせて簡明にお答えを願いたいと思います。
藍原義邦
194
○藍原
説明
員 お答えいたします。 林道の問題につきましては、先生御指摘のように、地形によりましては、国土保全上の問題あるいは地形の急峻なために、幅員が一定の規格以上にならないものもあろうかと思います。これらの問題につきましては、今後、林道の種類もいろいろございますので、そういう中で対応できるようなことを十分検討してまいりたいというふうに考えております。 それから、森林の
被害
でございますけれども、森林の
被害
につきましては、保険に入っておられる方は保険が出るわけでございますが、先生御指摘のように、徳島県におきましては、昨年、一町の例でございますけれども、百件に対しまして四十件が未
調査
であって、それがまた
被害
を受けるというような事例もあったようでございます。私どもといたしましても、県からそういうものの
調査
が出てまいりましたら早急に対応いたしますし、県の方でもそういう
調査
を早急に行い得ますよう今後指導してまいりたいというふうに考えております。
森下元晴
195
○
森下
委員
次に、内水の
災害
、いわゆる一級
河川
の
堤防
内の
冠水
、湛水と申しますか、それの内水排除の問題について申し上げたいと思います。 これもやはり徳島県の例でございますけれども、鴨島町という町と石井町という町、ここに江川という小さい川がございます。その川と飯尾川という川がございまして、これはかなり有名な川で、いつも大水のために
冠水
をしておる。内水排除が非常にむずかしいという問題なんです。古野川、四国
三郎
という大きな川がございまして、りっぱな
堤防
ができておりますけれども、一面やはりりっぱな
堤防
のために内水が排除しにくい、いわゆるポンプアップをしてくださいというような陳情も実は受けまして、建設省の方でもこの問題には非常に頭を悩ましておるようでございますけれども、将来ともやはり一級
河川
はりっぱな
堤防
ができると同時に、支流等の
はんらん
による内水排除の問題が出てくると思うのです。やはり川をいかにして治めるべきか、昔のように家が流れるとか
家畜
が流れるような大きな
災害
はなくなりましたけれども、やはり副次的にそういう悪い意味の副作用も出てくるわけでございますし、こういう点、どういう
対策
があるかどうか、これも簡明に建設省からお答えを願いたいと思います。——それでは、政務次官にお答え願いたいと思います。内水排除の問題もいろいろ共通の悩みでございますので。
中村二郎
196
○中村
説明
員 砂防
課長
でございますが、治
水課長
が席を外しておりますので、かわりに答弁いたしたいと思います。 内水排除につきましては、
河川
局におきましても重点的に実施しておるところでございまして、ただいま先生から御指摘のありました
中小河川
、一級
河川
を含め重点的に実施しておるところでございますが、この点につきましては、担当課、
局長
にもただいまの御質問の趣旨を伝えたいと考え ております。
森下元晴
197
○
森下
委員
それでは最後に、また政務次官にお尋ねしたいと思うのです。 その前に、これは質問でございません。今回の
災害
について、数日間も山村僻地は孤立いたしました。そのときに、やはり一番民生安定のために役立っていただいたのは、実は
自衛隊
でございました。全国
各地
に
災害
がございまして、
自衛隊
の方も非常に引っ張りだこだったと思うのですが、徳島県の方は大阪の信太山の部隊が参りまして、 ヘリコプターを使ったり、率先してレンジャー部隊が道のないところにワイヤーを張って人命救助、また物資の補給、食糧の補給、そういう意味で、われわれが回っていきましても、
自衛隊
の
防災活動
、救助活動には非常な感謝を実はしております。そういう意味で、恐らく国土庁の方も将来こういう
災害
に対して
自衛隊
の方との連絡を非常に密接にされると思うわけでございますけれども、やはり一番
地域住民
が安心したのは、
自衛隊
に来ていただいて、それで初めてほっと安心したんだという生の声をわれわれは聞いたわけでございます。これは感想を申し上げるわけでございます。そこで、先ほども江藤政務次官も言われましたけれども、今回の内閣の改造で、いろいろこの内容はあると思いますけれども、国土庁の人事というものは、私はまことにすっぱりしたと思います。やはり国土庁の仕事というものは、文句じゃなしに、決断と実行ここにありという面で、天野長官にしても江藤政務次官にしても、決断と実行の権化のような人でございます。天災融資法の発動の問題、激甚地の
指定
の問題も早急にひとつ
調査
をしていただいて、早急に
指定
をしていただきたい。 実は昨年の
家屋
の
流失
、崩壊等に対しましても、激甚地の
指定
等が非常におくれまして、家を建てたくてもなかなか金が借りられない、また同じ五分五厘ですか、それと三分五厘ではかなり金利の差もあるということで、関係
地域
はやきもきした例もございます。そういうことでございますから、この前よりも
災害
が
家屋
等についてもかなり多いようでございますので、この点ひとつ天災融資法の発動、また激甚地の
指定
について早急に
指定
をしていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 最後に政務次官から、ただいまの問題について御決意をお聞かせ願いたいと思います。
江藤隆美
198
○江藤
政府
委員
午前中の
兒玉委員長
からの視察の
報告
にも、
自衛隊
とそれから消防団が非常に活躍されて
住民
の感謝の念を集めておるという旨の御
報告
が実はありました。私どもも、この非常防災
対策
本部に実は防衛庁の出席もレギュラーとして求めまして、今
災害
に対するいわゆる取り組み方、なお今後に対する反省、これは消防庁、警察庁、各関係機関ともどもに、今後の予算措置等のこともございますから、いろいろと話を承って、今後国土庁でもってこうした非常
対策
に備える措置というものはもう万全を期していかなければいかぬ、それはまた一省だけでできることではございませんから、各省の連絡調整を密にして、これはもう
政府
全体が火の玉となって取り組んでいく、こういう姿勢をひとつ示していこう、実はこういうふうに話し合ってまいったところでございます。 つきましては、この
激甚災
の
指定
については、こういうさなかでありますから、各関係者の御安心を願うためにも、本来ならば、これは九月中にでもやるのが本当でありまして、これは建設、
農林
、関係省、非常に急いで、体制が整ったわけでありますけれども、中小企業関係のが形態が少し違いますのと、取りまとめに若干時間を要しまして、十月四日ごろでないと実はこれがまとまらない。せっかくやるならば一緒にやった方がいい、こういうこともございまして、ぎりぎりの十月八日の閣議でもって正式決定をしよう、実はこういうふうに取り運んでまいっておるところでございます。 今後ともに、国土庁の設置された目的からいたしまして、懸命に大臣を補佐して取り組んでまいりたいと思いますので、一層のまた御叱正を賜りますようにお願いを申し上げて、御答弁といたします。
森下元晴
199
○
森下
委員
終わります。
金丸徳重
200
○金丸(徳)
委員長
代理 次に、
久保
等君。
久保等
201
○
久保
(等)
委員
今回の
台風
十七号
災害
、たった——たったといいますか、ただ一つの十七号
台風
自体によって、全国的にきわめて大変な
激甚災害
をもたらしたわけなんですが、その中で、先ほどお話がございましたように、従来から
台風
常襲地帯と言われておったそのパターンから最近きわめて特異的な現象が出ておりますことは、私の郷里になりますが、四国の香川、従来から最も
災害
の少ない県だと言われておったのですが、すでに国土庁の方からの御
報告
によって見ましても、特に
死者
等が、全国一多い五十名といったようなものが出る、まことに惨たんたる
災害
に見舞われたわけです。しかも、その
中心
的な、非常に
災害
を受けました例の小豆島ですが、これはつい一昨年の例の
台風
によって
死者
が実に内海町で二十九名という多数に及んだのですが、また今回の
台風
によって、この
地域
におきましても、これまた大変な
死者
を出し、小豆島全体で見ましても、実に三十九名に上る
死者
が出るといった惨害をもたらしたわけなんですが、それだけ
台風
災害
に対する
対策
が従来余り行われておらなかった。そもそも
台風
のパターンも最近少し様子が変わってきたのじゃないかと思うのです。
台風
に直接襲われたわけではないのですが、御承知のように、一昨年のあの
台風
八号でしたかにいたしましても、
九州
の西の方を通って日本海の方へ入って右ヘカーブする、そういう
台風
によって小豆島が集中的な
豪雨
に襲われる。本年のこの
台風
十七号も大体同じようなコースをたどった
台風
で、いま申し上げましたように、香川で五十名の
死者
を出す。もちろんその他の
災害
もかつてない大変な
被害
を受けたわけなんですが、こういうことについては、私は、
台風
そのものに対して根本的にもう少し日本そのものが科学的な研究、たとえば気象観測等の問題についても十分に考えていかなければならぬ問題が最近出ているんじゃないかと思うのでして、
台風
といえば大体風と雨が同時に来るのが一般常識であったと思うのですが、今回の場合は、御承知のように、風はほとんど吹かないが集中的な
豪雨
が降った。こういったようなことによって、いま申し上げたようないわば大変な死亡者を出すというような結果になったと思うのですが、そういう点を考えると——きょうは私はそのことについてはお尋ねしようと思ってないのですが、気象観測等の問題について、国としても国土保全の立場からもう少し根本的な
対策
、予防、こういったことを考えるべきじゃないかと思うのです。いつも
台風
その他の
災害
も忘れたころにやって来ると言われておりましたが、最近では忘れない、実はまだそのつめ跡が残っている
状態
の中でまた同じような形の
災害
に見舞われる。そういうようなことについては、まずそういった
台風
を未然にできるだけ的確に察知をして、その
被害
についても予想するというようなことを考えてまいりますならば、死亡あるいはまたその他の
被害
をある程度事前に、予防によって食いとめることができるんじゃないかというふうに考えますので、その点については国土庁の政務次官もおいでになっておりますから、ぜひひとつ
政府
としてそういったことについてもう少し、何と言いますか、科学的な立場から、
災害
防止について力を入れるということに意を注いでいただきたい、そんなふうに考えるのですが、その点一言お答えを願いたいと思うのです。特にいま申し上げたように、
災害
予防の以前の気象観測等を
中心
にした科学的な研究、
調査
、こういったことをひとつ
政府
として、内閣全体として、これは各省庁に関係いたしますので、一省二省といったことではなくて、非常に広範な関係があると思うのです。運輸省ももちろん非常に大きな関係があると思うのですが、国土庁は直接国土保全の立場で関係はもちろんあるわけですから、一言お答え願いたいと思うのです。
江藤隆美
202
○江藤
政府
委員
的確な気象観測なくして
災害対策
というのはあり得ないと私どもも思っております。したがいまして、気象衛星の打ち上げによってこれらに果たしてきた役割りはきわめて大きいと思いますし、いま気象庁でも今後の気象観測、この
災害
の
対策
等についてどうしたらいいかということを、予算要求を含めて鋭意検討しておると承っております。 そういうふうないわゆる予防体制を整えるということと、もう一つは、やはり日本の国土そのものが七割が山でありますから、いつでも
災害
が起こり得る可能性がある。ひとり
台風
常襲地帯であるという考え方ではなくて、日本全体が
台風
にいわゆるさらされる地帯であって、こういう
災害
を生む可能性がある。こういうこと等も念頭に置きまして、今後の
災害対策
等に取り組んでまいりたいと思います。
久保等
203
○
久保
(等)
委員
連日連夜関係当局の皆さん方が、今回の
台風
災害
に対する
復旧
あるいは
援助
、そういったことで大変御努力になっている点は心からその御労苦を多としたいと思うのです。 ところで、早速
災害
関連事業に関係したことで一、二お尋ねしたいと思うのです。主として建設省あるいは
農林
省に関係があると思うのですが、
土石流
だとか
浸水
等によって
災害
を受けた、当然これは緊急に
復旧
しなければならぬわけでして、
緊急砂防事業
の実施だとか、あるいは激甚
災害対策
特別緊急事業、こういったようなことを
指定
いたしまして実施をしてまいると思うのですが、その場合に、やはり従来の経験にかんがみて、基準を緩和するというか、あるいは
指定
地域
を従来より広げるとか、そういったようなことが——年々歳々
災害
を経験いたしておるわけで、そういう立場から、今回大変な
激甚災害
を受けたことによってそういったことについての検討をしておられると思うのですが、そういったことについてのお考えをひとつお示し願いたいと思います。 それから、同時に、激甚
災害対策
特別緊急事業につきましては、前々から各
地方
自治体あたりからぜひひとつ補助率を四分の三くらいに引き上げてもらいたい、あるいは緊急
対策事業
という性格からいっても三年以内くらいにそれが完成するようにしてもらいたい、こういった
要望
等が予算編成時のあたりに出ておったと思うのですが、そういったことに対して、私は、こういう機会をとらえて、今後の再発防止という観点からいっても、基準の引き上げだとかあるいは範囲の拡大というようなことについてお考えをいただかなければならぬのじゃないかと思うのですが、こういったことについてどういうことをお考えになっておるのか、ひとつできるだけ具体的にお答えを願いたいと思うのです。
中村二郎
204
○中村
説明
員 お答えいたします。 緊急砂防についてお答えいたしたいと思います。
緊急砂防事業
の採択につきましては、けさほども政務次官がこの席で御答弁申し上げたわけでございますが、大蔵省とも十分協議の上、逐次採択基準を現実に即した形に改めながら実施運用しておりまして、現在の採択基準も相当大幅にとれるようになっておりまして、採択の点については、われわれといたしましては特に支障がないと考えております。 なお、補助率の引き上げでございますが、緊急砂防につきましては、現時点におきましては他の事業との関係もございまして非常にむずかしいわけでございますが、たとえば本年起こりました香川県の小豆島の
災害
等につきましては非常に激甚な
土石流
による
災害
でございまして、われわれといたしましては激特事業によって対処いたしたいということで現在
調査
をいたしておるわけでございます。激特事業になりますと、現在は補助率が三分の二でございますが、五十二年度より補助率を上げるよう現在財政当局と折衝中でございます。 なお、
復旧
の期間でございますが、緊急激特事業になりますと、
災害
が起こりました当該年度を含みまして三年の間に
復旧
するということでやっておるわけでございますが、残念ながら小豆島につきましては四十九年災の激特事業につきましては、工事施行能力という点におきまして、また県財政の都合もございまして、実は一カ年延期をしておったというのが現状でございます。しかしながら、本年の
災害
におきましては非常に激甚な
災害
でございまして、県も全力を挙げてやるという体制にございますので、できるだけ早く事業を実施いたしたいと考えております。 以上でございます。
久保等
205
○
久保
(等)
委員
それから、御承知のように、特に香川の場合ですと、大きな山があるわけではないのですが、しかし小さいながら傾斜が比較的急で、しかも土質、地質が非常に大きな問題だと思うのです。あそこは大体花崗岩地帯なんですが、その花崗岩が風化して小さな砂のようになっている、いわば砂地といったようなところが非常に多いわけです。そういった関係があって、急傾斜地の崩壊
対策事業
の面から見て、従来おやりになっている実績は、けさほどからもちょっとお話があったように、四十七年にお調べになった六万カ所というのも長さが五メートルですか、角度三十度といったようなところを対象にしてお調べになったようですし、現在やっておるのは距離の面では十メートル以上といったようなことで手をつけて実施に移されておるようですが、その五メートルに至らない、あるいは十メートルに至らないといったような長さのところではあるけれども、今回、現実に海岸線あたりのところで、随所で崩壊を起こし、同時にもちろん人家もあるわけですから
死者
が出るということが現実に
被害
として出ておるわけですが、こういったことにかんがみて、この急傾斜地の、いま言う緊急
対策事業
について現行の基準を再検討しなければならぬという問題に直面しておると私は思うのですが、このことについてどんなふうにお考えになるか。特にこの地帯における問題については、早急に解決してまいりませんと、それこそ一昨年とにかく大惨害があって、また本年もすぐ隣の町で、小さな島でありまするが、すぐ隣の町、池田町あたりで大変な人命を失っておるわけですが、こういったことを考えると、この点についてはぜひ私は現状を十分に把握していただいて、
現地
の
状況
にマッチした形で緊急
対策事業
を施行していただきたい、こんなふうに考えるのですが、どんなふうに判断しておられますか、お考えをお伺いしたいと思うのです。
大工原潮
206
○
大工原
説明
員 お答え申し上げます。 現在の採択基準は、先生御承知のように、十メートル以上三十度以上ということでやっております。現実に六万カ所の
調査
の時点では五メートル以上ということでございましたが、一応補助
対策
といたしました十メートルの決定根拠といたしましては、過去の
災害
の事例をいろいろ分析いたしまして、そして
被災
の度合い、激甚さというものから判断いたしまして、一応十メートル以上というのは、
対策
等におきましても非常に大規模になる、それから
死者
等が発生する、あるいは人家等が全壊に至るというふうに、
被害
の程度の判断かち一応十メートル以上に対しまして国が補助しようということでいまやっておるわけでございます。 十メートル以下のものにつきましては、全然
被害
がないということではございませんけれども、激甚な
被害
に及ばないということと、それから非常に規模が小さいということで、現在のところ各都道府県等で単独費でもって処置していただいておるというのが実態でございます。 私どもといたしましても、それらの基準につきましては、従来から財政的な面、あるいは人家戸数の面で、実は本年度から五戸まで緊急の場合は採択するというふうに拡大してきたところでございまして、一応
対策事業
の規模の面から現在のところ十メートル以上を補助対象として考えております。 将来にわたりましては、先生御指摘のように、現在六万カ所というふうに個所数を非常に多く抱えておりますので、経済効果等の面から、そういった
地域
に対しまして重点的に、積極的に
対策事業
を実施してまいりたいというふうに考えております。
久保等
207
○
久保
(等)
委員
その御答弁は大体一般論の御答弁なんですが、私、具体的にお尋ねをしておりますように、小豆島の場合について、
現地
ももちろん関係の方がおいでになって
状況
を把握しておられると思うのですね。これは先ほど来申し上げておりますように、人命をなくしたといったような非常な
被害
が出ておるところですから、六万カ所のすでに
調査
をされたところ、この中にも小豆島の場合も相当含まれておるのではないかと私は思うのです。したがって、そういったところについては、これは現実に
災害
が起きたのですから、そいう立場から重点的に取り上げて、
対策
を具体化して実施していくような方向でお考え願いたいと思うのです。 これはもちろん中央官庁で直接やることではなく県がやるわけですけれども、しかし県、
地方
公共
団体と連絡なり、あるいは一体になって、これは財政的な問題もあるわけですから、そういった点については先ほどもちょっと申し上げておりますように、できるだけ財政
援助
の面でも中央は中央なりの御協力を一層いただいて解決していただかなければならぬじゃないかと思うのです。 そういう点で、いま具体的な例でお尋ねしているのですが、小豆島の場合について、特に今度の惨害にかんがみて、計画にのっけなければならぬとか、あるいは具体的に検討しなければならぬとかお考えになっておるのかどうか、そこらをもう少し突っ込んだ御答弁を願いたいと思うのです。
大工原潮
208
○
大工原
説明
員 小豆島の
災害
につきましては、四十九年にもかなり大
災害
を受けておる。特に例の橘地区等につきましては、従来から急傾斜地
対策事業
をやっておったわけですけれども、その範囲を超えます非常に高いところから崩壊が始まったというようなことで、ああいった実態を踏まえまして、私どもといたしましては急傾斜地崩壊
対策事業
以外の事業でもとれるものはできるだけ積極的にとっていこうということで、橘地区につきましても緊急砂防等で対応して、流路等の整備を図ったわけでございます。 今回の場合も、小豆島
災害
につきましては、急傾斜地そのものよりもむしろ
土石流
災害
的な
被害
が多うございます。急傾斜地の対象の個所につきましては、もちろん積極的に
対策事業
を実施する予定でございますけれども、そういった
土砂
災害
の実態を踏まえまして、
土石流
対策
としての
緊急砂防事業
等と、あるいは治山事業等と調整を図りながら万全の策をとっていきたいと考えております。
久保等
209
○
久保
(等)
委員
いま橘地区というお話が出たのですが、確かに一昨年はあそこでもって約二十九名の
死者
が出て、内海町では大変な
被害
が出たところなんですが、今度の池田町というのはまたすぐ隣の町でして、例の谷尻といわれる地区でやはり約三十名近い
死者
等が出ておるわけです。 〔金丸(徳)
委員長
代理退席、
柴田
(健)
委員長
代理着席〕 だから、もちろん急傾斜地で救えるというか、それでやれるところはやる、あるいは
土砂
流の関係で救えるところは救う。そういった形で、要するに結論としては、何らかの形で
災害
がそれこそ二度と起こらないような緊急
対策事業
を実施していく必要があるのではないかと考えます。 特に、いま
土砂
流の問題でお話が出ましたが、それに関連して、これはあるいは厚生省にも関係するかと思うのですけれども、一般
個人
の住宅の中に
土砂
流が流れ込む、そして家の方はとにかく現状のままで別に流れたわけでもないし、壊れたわけでもないのですが、屋内に
土砂
が一メートル、二メートル、ひどいところは三メートル、もちろん流れてきたどろは上の方の
公共
用地、逆に言えば
道路
あたりの
土砂
が流れ込んできて、家の中がほとんど詰まってしまうほど入ってくる。これを排除する、除去するということもなかなか容易なことではないわけでして、例の法律の中には、一般の
道路
その他の公園等には、先ほどもお話があったですが、
土砂
流の場合には国あるいは
地方
団体が共同して排除することにもなっておりますが、
個人
の家に入ってきた
土砂
流の排除については、これまた全然何らの財政的な
援助
も行われないわけです。このことについても、いまの話にも若干関係するのですが、とにかく
土砂
流が大変な量で入ってきて、いっぱい詰まってしまった。何日間にもわたって大変な人手を煩わし、あるいはまた特に香川の場合にもひとり小豆島あるいは本土側東部のみならず西部の方でも詫間町あたりではやはりそういった問題があったわけですが、遠く東京の方から何か聞きつけて帰ってきて、これは家族ではないのですが、知人が
災害
救助というような意味で非常な善意でもってかけつけてこの仕事に
参加
しておるという現場を私も見たのですが、とにかくそういったものについて一銭の金も
政府
は知らないんだ、あるいは
地方
自治体もこれに対しては一銭もめんどうを見ないんだということでは、私は非常に手落ちではないかと思うのです。入っておる
土砂
はむしろ
公共
用地から流れ込んできた
土砂
、それが
道路
の上に堆積しておれば国なり
地方
自治体が排除するけれども、
個人
の家に入ったものについては
個人
が勝手に排除しなさい、除去しなさいというたてまえになっておるのですが、これも現実から考えると、現状を見ますと、非常に何か不公正なような感じがすると同時に、大変な
被害
だと思うのです。もちろん
土砂
を排除したからといっても後の家は大変汚れているわけですから、仮に全然家が傾かなかったにしても後の
復旧
をするためには大変な労力も要するし、金もかかるわけですから、せめて
土砂
だけでも排除することについては少し枠を広げて、考え方によっては
公共
用の
土砂
が流れ込んできたということで、例の
激甚災害
の特別
援助
法の三条第一項第十二号ですか、これを若干拡大したというような理解のもとに現行法の上からいっても考える必要があるのじゃないかと思うのですが、もしこれでどうしても無理だというのなら、法改正を行ってでもこういった点についてある程度の
援助
をすべきではないかというふうに私は考えるのです。もちろん程度にもよりますけれども、わずかばかりどろが入ってもこれを排除するのにという意味ではなくて、私が申し上げておるのは、とにかく家の中がほとんど
土砂
で埋まってしまっておる
状態
、そういう
土砂
排除について小し財政的な
援助
を行うべきじゃないかというふうに、
現地
を私も見て痛感したのですが、このことについてひとつ何かお考えをお聞かせ願いたいと思うし、今後の問題としてはぜひひとつ御検討願いたいと思うのです。
渡部與四郎
210
○渡部
説明
員 お答えいたします。 先生おっしゃられましたように、住宅内に堆積した
土砂
については、
市町村
長がこれを放置することが公益上近大な支障があると認めて直接排除する事業については、従来堆積
土砂
排除事業というのがございまして、その中で都市
災害復旧
事業として補助率二分の一をもって採択しております。今回の
災害
が
激甚災
になった場合には、この堆積
土砂
排除事業につきましては、さらに特別の財政
援助
を受ける対象事業となりますので、国庫補助額はかさ上げされることになります。この事業につきましては、
市町村
の区域内の
被害
地において堆積した
土砂
の総量が三万立米以上であるもの、あるいは一団の堆積
土砂
が二千立米以上であるものを
市町村
長が排除する事業を採択するものでございまして、従来も、都市
災害
の実績で見てみますと、この基準で大体やっていけるということであります。 今回の十七号
台風
による
災害
として
報告
されました堆積
土砂
排除事業の
報告
を見ますと、大体この基準でも十分対応できるということでありますので、この方法でいまの先生がおっしゃる事業について対応したい、こう考えておるわけであります。
久保等
211
○
久保
(等)
委員
ちょっと確認したいと思うのですが、いま言った住宅内に流入した
土砂
の排除について、財政的な若干の
援助
が行えるというわけですか。
渡部與四郎
212
○渡部
説明
員 はい。一般の場合は二分の一の補助でありまして、
激甚災
の
指定
があればさらにかさ上げがあるということになるわけです。それで、いま二千立米とか一三万立米とか、そういういわゆる量としての枠はございます。そういう枠に合格した
土石流
については、いま言った二分の一の補助が従来あります。
水田努
213
○水田
説明
員
被災
地におきまして
個人
の住宅の中に入りました
土砂
につきましては、
災害救助法
は御承知のとおり
応急対策
ということになっておりますので、障害物の除去は救助法の救助活動の中に対象として取り扱ってあります。
久保等
214
○
久保
(等)
委員
それは救助の対象には当然なるのでしょうが、家の中にいっぱい
土砂
が入っている、それをだれか来て——だれか来てというのは、たとえば
地方
の自治体から人が来て排除をするというよりも、実際問題としては、そんなところまで手が回らない、したがって
個人
の住宅内の
土砂
の排除はやっぱりその家庭の人たちがやるわけですね。じゃ、その場合に、そういった仕事に従事をしたその家族の方々に何らかの形で補助金といったようなものが手当といったような形で現実に出ることになるのですか。
水田努
215
○水田
説明
員 自己救済した分は費用の対象といたしませんが、他の労働力をかりなければならないほどの障害物を除去した場合には、その雇い上げ労務賃は補助の対象といたしております。
久保等
216
○
久保
(等)
委員
わかりました。 それから、あるいはお尋ねになったかと思うのですが、厚生省の方へちょっとお尋ねしたいと思うのです。
災害
弔慰金とそれから
災害
援護資金の問題ですが、今回のこの
災害
にかんがみてこの金額の引き上げだとか、あるいは貸付幅の拡大といったようなことについて検討をされておるのかどうか。金額は逐次引き上げてはきているものの、死亡の場合における弔慰金ですが、
世帯
主で百万円ですか、家族で五十万円、これもでき得べくんばもう少しやはり金額を引き上げる。あるいは
災害
援護資金の限度枠につきましてもそうですか、この点についての厚生省のお考えをお聞きしたいと思うのです。
水田努
217
○水田
説明
員
災害
弔慰金についてまずお答えを申し上げます。 この
災害
弔慰金は、超党派の議員立法で制定された、こういう経緯を持った制度でございまして、全額公的資金をもっていわゆる社会的な見舞い金として支給する、こういうたてまえになっているわけでございます。いわゆる公的資金によって全額賄われるという点と、それからいわゆる社会的な見舞い金である、二重の性格を持っているわけでございまして、この社会的見舞い金の額がどの程度が妥当であるかはきわめてむずかしい問題があるわけでございまして、この額の改善は過去においてもいわゆる超党派の議員立法で修正が行われてきた、こういう経緯を持っている制度でございます。今回も香川県を
中心
に相当の
死者
が出たわけでございまして、弔慰金の引き上げにつきましては、超党派で何らかの検討を行おうではないかという動きがあるやに仄聞をいたしておりますが、この問題が具体化してまいりました段階におきましては、財政当局とも十分調整をとりながら私どもは対処してまいりたい、このように考えているわけでございます。 次に、
災害
援護の貸付金でございますが、これは、
被災
者の救済につきましては、いろいろな角度からの救済の融資制度が特別にいろいろ設定される中で、いわゆる福祉資金としての位置づけを持っております。そこが厚生省の社会局が所管しているゆえんではないか、このように思っているわけでございます。と同時に、やはり福祉資金としての限界というのもおのずとあろうかと思っているわけでございます。この
災害
援護貸付金につきましては、同じく福祉資金として別途
世帯
更生資金というものがございまして、この
世帯
更生資金は最高限度百万円まで借りられるようになっておりますので、これを福祉資金両方活用しますと二百万円まで、いわゆる
被災
者の方の、特に低所得者を
中心
とされた方の
生活
の立て直し資金ということで活用が相図られるわけでございまして、私ども今回の
被災
を通じまして非常に愕然としましたことは、
被災
県の民生部長さんがこの両方の貸し付けができるということすら御承知がないというような、私ども大変行政側として責任を感じているわけでございます。 そういうことがございますので、私ども、一応県の
救援
活動が一段落しましたので、来週の八日に主要な
被災
県の担当
課長
を招集いたすことといたしておりますので、両資金の効率的な貸し付け、迅速な貸し付け等を指導してまいりたい、このように考えております。
久保等
218
○
久保
(等)
委員
時間がありませんから、では最後にお尋ねをしたい問題は、やはり特に香川県特有の灌漑用のため池の問題、この点についてお尋ねしたいと思うのです。 香川県は、昔の弘法大師の当時からため池というのは有名になっておるのですが、非常に老朽ため池が多いわけなんです。したがって、今回の
台風
でもって大変数多くの
被害
を受けまして、
決壊
したもの百四十カ所を含めまして約千五百カ所程度のため池の
堤防
が崩れたり、あるいはいま申し上げたように、百四十カ所ばかりの
決壊
老朽ため池があったわけなんです。これまた余りほかには見られない灌漑用水用のため池がほとんどなんですが、年々この老朽ため池の整備事業はもちろん進めておるわけなんですけれども、きわめて小規模に遅々として進めつつあったところ、今回の大
災害
を受けたわけなんです。これまた
農林
省あるいは建設省にも関係あると思いますが、特別にお考えを願わなければならぬと思うのですけれども、このことについて
災害復旧
という立場からこ・の問題をどう、従来の整備事業だけではもちろん問題にならないわけですし、しかもこれまた長期にわたって
災害復旧
の工事をやっておったのでは、直ちにまた
災害
をもたらす可能性もありますし、また明年の植えつけその他を考えますと、水を早くためなければならぬわけですから、そういう意味からも緊急性を要する問題なんでして、このことについて
農林
省当局あたりでどういうようにお考えになっておりますか。
岡部三郎
219
○岡部
説明
員 先生御指摘のように、香川県は非常に農業用のため池の多いところでございまして、今回の十七号
台風
によりましても約千五百四十六カ所という
被害
を受けました。うち
決壊
したものが百五十九カ所に上るというふうなことでございます。 これらのため池等の
農業用施設
の
災害復旧
につきましては、全体としましては初年度三〇%、あるいは次年度は八〇%まで、そして第三年度に完了するという進度で進むことになっておりますが、来年度の作付等に支障を来すということで、どうしても早急に
復旧
を要するような工事につきましては、初年度あるいは次年度に完了するというふうな処置も講じていきたいと考えております。 また、最近におきますため池の流域の開発が進んでおるとかあるいは土地利用の変化、異常な
集中豪雨
によりまして流出量が非常にふえておりまして、また一方、管理者である農民側におきましては、兼業化等による管理体制の弱体化というふうな問題もございまして、危険にさらされているため池が増加しているのは事実でございます。防災上の観点からも、こういった老朽ため池の
改修
補強は大いに推進しなければならないと考えております。従来も
農地
防災事業の中ではこの老朽ため池の整備事業というのは最も力を注いで、予算の伸び率等も高く進めてきた事業でございますけれども、今後なお一層その事業の推進に努力をしてまいりたいと考えております。
久保等
220
○
久保
(等)
委員
ちょっともう一つ。 それで、特に今回
土砂
がこれまたため池にもずいぶん流入をして、さらにまた問題が大きくなったと私は思うのですが、従来からため池に流れ込んだ
土砂
のしゅんせつ工事について、これをぜひひとつ整備事業の中でやはり見られるようにしてもらいたいという
要望
がかねがね出ておったと思うのですが、今回またああいった大
集中豪雨
ですと、恐らく大変な
土砂
が流れ込んで、ほとんど底上げになっちゃって、水が余り十分に、効果的にためられないというような事態になっていると思うのですが、これをぜひ従来からの懸案になっておりました整備事業の中にしゅんせつ工事の部面も入れるようにお考えを願いたいと思うのですが、どうでしょう。
岡部三郎
221
○岡部
説明
員 今回の
災害
によりましてため池に
土砂
が流入して、そのためにため池の機能が著しく低下しておる、こういうものにつきましては、当然
災害復旧
事業としてその
土砂
の搬出等を考えてまいりたいと思いますし、それからまた、一般の圃場整備事業等のいわゆる客土の土取り場として、ため池内に堆積している
土砂
というのは非常に肥料成分も高いというふうなものもございますので、そういうもので利用できるものにつきましては圃場整備等の用土の土取り場として利用していきたいと考えております。
柴田健治
222
○
柴田
(健)
委員長
代理
水野
清君。
水野清
223
○
水野
委員
当
委員会
で冷害の質問をさせていただきたいのでございますが、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。 私の質問の対象は、本年の夏の全国的な日照不足とか雨天の日が多かったとか低温とか、こういうような問題から、主として東北大県、青森、岩手、宮城、山形、秋田、福島、それから関東で私の出身の千葉県、それからその他富
山県
とか石川県の一部
地方
で、
水稲
を
中心
とした冷害が広範に発生している。これは新聞紙上で御承知のとおりだと思います。それらについて伺いたいのでございますが、最初に、これは
農林
省でしょうか、天災融資法の発動が可能かどうか。すでに
農林
大臣が可能だというようなことを言っておられるということが新聞紙上で伝えられていますが、承りたいわけです。
江藤隆美
224
○江藤
政府
委員
天災融資法の適用については、ただいま
農林
省の方とよく連絡をとりながら鋭意詰めておる段階でございます。御案内のように、
激甚災
の
指定
を早目にしたい、できるならば天災融資法の
指定
も早くということでありますが、稲の現在のいわゆる冷害による影響その他、これは途中でやらなければならないいろいろな手はずがございますから、ほぼ
指定
は間違いない、また
指定
をする方向に持っていこう、こういうことでやっておるわけでありますけれども、
激甚災
の
指定
とすると若干おくれる、こういうことであります。けさからの
農林
省側の答弁としましては、十一月には何とか
指定
ができるようにしたい、こういう方向で現在取り進めておるところです。
水野清
225
○
水野
委員
いま政務次官に伺ったのは天災融資法の発動のことなんですが、
激甚災
の問題までお話が及んで、それは結構なことなんですが、まず天災融資法の発動は十一月中にはできるであろう、こういうふうに理解をいたします。 実は余り時間がないものですから、各省の方々も大変お忙しいと思いますから、簡単に一つずつ、十何問ありますから、答えていただきたいと思うのです。 そこで、
激甚災害
の問題もいま政務次官からお話がありましたが、新聞紙上に伝えられるところによると、
農林
大臣がやりたい、これは岩手県の場合でございますが、そう言っておられます。なるべく早くやっていただきたい。どうせやることならば、全国的な
被害
額から見て可能性があると、こうわれわれも見ておりますし、当然だと思っておりますが、同じ
指定
をされるならば手続を急いで至急にやっていただきたい、それがこれから申し上げるいろいろな諸施策に全部影響をしてまいることは先刻御承知のとおりです。ひとつその点をお願いを申し上げておきます。十一月中には天災融資法の発動並びに
激甚災害
の
指定
が可能である。これは県によって若干の違いがあるでしょうが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。
杉山克己
226
○杉山
説明
員
農林
省といたしましてもその
被害
の
調査
、それから資金需要額の確認を急ぎまして、十一月中には天災融資法並びに
激甚災
法の適用を発動するという考えでおります。 それから、いま御指摘のように、正規の手続を待って最終的な形式的な発動はその時期になるにいたしましても、事実上いろいろ
対策
はその間にも用意をいたさねばなりません。その関係からいたしましても、その考え方を都道府県等各関係機関に明らかにして、十分事前の準備をさせるように指導してまいりたいと考えております。
水野清
227
○
水野
委員
その場合伺いたいのですが、たとえば私が
現地
を見てまいりました岩手県の
災害
などは、どう見ても
激甚災害
の
指定
が間違いないというふうに私も思ってまいりました、たとえば、私の出身県の千葉県の場合などは
水稲
災害
が百五十億、こうなっておりますが、千葉県の場合はどうでしょうか。それからさらに、これは私は
現地
を見たわけではありませんが、富
山県
の山奥のようなところに小さいけれども
町村
単位ではかなり大きな
水稲
の冷害が出ておる、あるいは石川県の能登半島にも出ておる、こういうことを聞いておりますが、こういうところも
激甚災害
の網をかぶせられますか。
杉山克己
228
○杉山
説明
員 天災融資法は一つの
災害
を対象として
指定
することになりますが、その場合、は全国的に北海道、東北、さらには関東
地方
、北陸
地方
に広がっておるという話でございます。ですから、天災融資法の対象としては当然その関係の冷害が一本の
災害
として
指定
されることになりますが、その中で特別
被害
地域
が
指定
できる都道府県というのは、これはその特別
被害
農業者がどのくらいおるかというような
状況
によって、個別にその
状況
によって
指定
されることになります。
水野清
229
○
水野
委員
具体的にはどうなんですか。千葉県の場合、富
山県
の場合、石川県の場合はどうなんですか。
杉山克己
230
○杉山
説明
員 先ほど申し上げましたように、まだ
被害
額が確定しておりません。したがいまして、その特別
被害
農業者の
状況
というものもまだわからないわけでございますが、千葉県の場合はかなり時期も早うございましたし、
被害
のある程度の推定もできております。私のこの席での判断でございますが、千葉県は対象になるというふうに考えております。
水野清
231
○
水野
委員
それでは次に伺いたいのですが、これは岩手県からと宮城県からも
要望
書が出ておりますが、岩手県の
要望
書を
中心
に伺います。 自作農維持資金の
災害
枠の拡大を期待している。それから限度額の引き上げ措置も願いたい、こういう陳情が来ておりますが、これについてはいかがですか。
杉山克己
232
○杉山
説明
員 経営資金につきましては、天災融資法の発動、さらには
激甚災
の発動によって百万円まで融資できます。さらに、経営上安定を害するおそれのあるような場合は、自作農維持資金を融資できることになっておるわけでございます。この額につきましては一件百万円ということになっておるわけでございますが、連年災を受けて、百万円では、既存借入金等を考えるとどうも十分でないというような場合もあり得ますので、そういったものについては額の増額も検討しているところでございます。一般的ないまの基準額そのもののベースを引き上げるということはなかなか困難かと考えております。
水野清
233
○
水野
委員
次に伺いたいのですが、これまで土地改良その他で近代化資金とかいろいろな系統資金を借り入れている農家が非常に多いわけです。こういう借入金がことしは支払いができない、こういう
状態
になっている農家が岩手県の場合などでは非常に多いように私は聞いてまいりました。 こういうことに対して、これまでの借入金、すでに借り入れた金の支払いの猶予期間を繰り延べるとか利子の減免措置をやってほしい、こういう
要請
を受けておりますが、こういうことはできますか。
杉山克己
234
○杉山
説明
員
被害
を受けた農家が借入金を多額にしている。これらにつきましてはそれぞれ融資機関の問題ではありますが、単協あるいはそのほかの融資機関におきましても、
災害
の
状況
に応じてそれなりに対応しているところがございます。現に岩手県等を回ってまいりましても、単協等がみずからの負担においてかなりのそういう償還条件の緩和を図っておるところがございます。ただ個別にそういうことにゆだねているということだけではいけませんので、私どもといたしましては制度資金、これは
農林
漁業金融公庫資金とか近代化資金が
中心
になりますが、これらについては業務方法書その他によって
災害
等の場合は支払い条件の緩和ができることになっておりますので、そのような措置をとるよう指導してまいりたいと考えております。
水野清
235
○
水野
委員
その場合はどのくらいですか。ことしの
災害
の期間だけ延ばすのですか、たとえば一年とか二年とか。
杉山克己
236
○杉山
説明
員 各
被害
農家の営農計価を徴しまして、それによっていつごろまでに償還できるかという見込みを立ててやるわけでございますから、一義的に何年というふうには決められないのでございます。
水野清
237
○
水野
委員
次に、実は私もこの冷害全体を調べてみますと、非常に広範囲の問題です。自作農維持資金、自創資金、自制資金と言っているこの資金のことしの
農林
省の
災害
枠というものがあるはずですね。その
災害
枠はどのくらいあって、てみるとこれは各県奪い合いになりますよ。そうでしょう。自創資金をわが県にもわが県にもということになって大変なことになると思うのですけれども、どのくらいの
災害
枠を持っておられますか。その配分計画というものは出しにくいかな。
渡邊五郎
238
○渡邊
説明
員 お答えいたします。 天災融資法の発動に伴いまして、自作農資金の
災害
関係の融資枠を特別に設定するというふうに今回の場合も恐らくなろうと思います。これらにつきましては、先ほど杉山
審議官
からもお話がありましたように、
被害
の
状況
等を見まして、現在の手持ちの保留額で足りない場合には公庫内での調整を図るように、私ども関係機関の方に話をつけて資金需要を確保するように努力したいと思っております。具体的な数値等はそれらの
被害
額の確定等を見まして、それから資金枠の設定をいたすようにいたしたい、こう考えております。
水野清
239
○
水野
委員
重ねて伺いますが、そうすると、
被害
額を全国的に取りまとめた上で
災害
の自創資金の枠を決めるわけで、これは予算上この範囲でというような境目はないわけですね。
渡邊五郎
240
○渡邊
説明
員 予算上の公庫全体の資金枠の中で、私ども
被害
の実態と天災融資法によります融資規模、これら等を調整して充足を図るように枠を設定したい、そういうふうに考えております。
水野清
241
○
水野
委員
これからやるわけですか。
渡邊五郎
242
○渡邊
説明
員 これからでございます。
水野清
243
○
水野
委員
ありがとうございました。そうすれば、各県とも非常に期待ができるわけですね。 次に、今度は農業共済金の支払いについて伺いたいのですが、御承知のように
水稲
は農業共済の対象になっております。そこで、農業
災害
補償法に基づいて共済金を払う、これはあたりまえのことですが、それをことしは米がとれない、米代金が入ってこないから早急にもらいたい。それも、これはわれわれからいえば簡単なようなんだけれども、年内で結構ですから農家の手取りにしてもらいたい。県の共済連に年内に来てもしようがない。何とか年内に農家に手渡したい。これは各県の共済の幹部が、私の場合、岩手県の共済連の会長からも頼まれましたし、私の出身の千葉県の共済連の会長からもそう言われているわけです。それがなかなかうまくいかないのだそうです。 いかない理由を簡単に申し上げますと、
農林
省の
農林
統計がきわめて遅いので、その
被害
額が確定しませんから、なかなか共済金は支払いできない、こうあなた方は答弁をされるわけです。それを大体年内には必ず共済金は農家に、これは仮払いで結構なんです。仮払いですから七掛けとか八掛けでもいいから、ともかく現金を差し上げられますということがおっしゃれますか。 それから、もう一つ重ねて申し上げますが、岩手県の場合はこういうことを言っているのです。
被害
の実態を
調査
するのに、各
市町村
に
災害
の評価員というのがいる、評価員の出動を求めなければならないけれども、余りにも広範囲なので評価員の人件費がございません、そこで評価員の人件費について
農林
省から格別の御配慮を賜りたい、こういう依頼を受けております。この二つの問題についてあわせて御答弁をください。
杉山克己
244
○杉山
説明
員 共済金は年内に必ず農家のお手元に届くように措置いたします。 なかなかむずかしいと申し上げましたのは、統計情報部の
調査
ということより評価員の損害評価、この仕事が非常に時間がかかる。ことしは
災害
の件数も多く、また
被害
の態様も、北の
被害
もあれば四の
被害
もある、さまざまでございますので、恐らくその評価に時間を食う。特にふだんの年に比べまして生育がおくれている、収穫時期もおくれるというようなことから、相当おくれるのではないかという懸念があるわけでございます。その意味では、単に国だとか都道府県だけではなく、直接関係する各共済団体の努力、早期評価ということをやっていただく必要があると思っております。それに関連いたしまして、いま先生御指摘のような、人間がたりない、金がたりないという話が出てまいることかと思います。そういう損害評価の経費は、
総額
三百数十億かの経費の中で賄うことになっております。いままで比較的
災害
の少なかった年は余裕があったわけでございますが、ことしなどはかなり窮屈であるということは承知しております。そこで、国としても、若干配分額について手持ちに留保がございますので、それらも重点的に
被害
県に対して配分してまいりたいというふうに考えております。
水野清
245
○
水野
委員
次に、食糧庁おられましたらお願いします。 御承知のように、こういうふうにこれなど全然米が実っていませんが、若干実っているんですよね。そこで、等外米あるいは規格外米——規格外米及び等外米と言った方がいいでしょう、これを買い上げてくれという
要望
があります。これについてはいかがですか。
戸塚金郎
246
○戸塚
説明
員 冷害等によりまして
被害
を受けた規格外米等につきましては、自主流通でなるべく売っていただく方が、
被害
農家にとりましても手取りの面から有利になるケースが多いものでございますので、そのように指導はしておりますが、
被害
激甚
地域
でたくさんそういうお米が出て、なかなか販売が困難だという向きにつきましては、
被害
農家の立場に立ちまして買い入れ措置等について検討していきたいというふうに考えております。
水野清
247
○
水野
委員
ちょっとお話があいまいなところがある。要するに、規格外米は買える、こういうことですか。ことしは買うつもりだ、こういうことですか。
戸塚金郎
248
○戸塚
説明
員 まだ
被害
の実態が十分把握できておりませんので、どのように出回ってまいりますか、量にもよると考えるのでございますが、昨年などは一部の
被害
県で
被害
米が出ましてもほとんど自主流通で消化できたというケースもございますし、そういうことでございますのであれでございますが、
被害
米のそういうものが相当量ございまして、いま申し上げましたようなことで販売残が出ますれば買い入れ措置を考えるという心構えでございます。
水野清
249
○
水野
委員
非常に前向きな考え方でやりたい、こういうふうに理解してよろしいのですな。その際に、数量の制限をするようなことはありませんな。全国的に非常に規格外米が多い。
戸塚金郎
250
○戸塚
説明
員 いずれにいたしましても、いま申し上げましたことは限度数量の範囲内の米についてでございますが、限度数量の範囲内の米でございますれば、一応、特に数量を制限してということは考えておりません。 ただ、いま先生がおっしゃられました規格外米と等外米との関係で、最近は規格外米の方は買っておりますけれども、等外米の方は
被害
県についても買っておりませんので、なおもう少し
被害
の実態で検討させていただきたいと考えておるわけでございます。
水野清
251
○
水野
委員
これは漏れ承るところによりますと、ことしは円高で、それから外国の小麦の価格もわりあいに安くて、食糧庁は思ったよりもふところぐあいがよろしい、こういうふうに聞いておりますから、こういう
災害
の時期ですから、ひとつぜひとも規格外米を
中心
にして数量制限などはせずに、特に東北六県などはこの冬に向かって非常に困っておられるようですから、これは前向きにしっかりと買うようにお願いをいたします。 次に今度は、これも食糧庁ですね。米の限度数量の予約概算金を生産者に渡しております。それが、たとえばこれは収穫皆無のやつです。あなた方の方にもどうせ各県から来ているでしょうが、参考までに岩手県の金ケ崎でもらってきたんですが、これは収穫皆無ですから、予約金を返せと言われたって返せないわけです。そうでしょう。そういう場合は一体どうするのですか。これは何とか繰り延べてくれということを言われているのです。
杉山克己
252
○杉山
説明
員 概算金の返納の問題は、農家の経営全体の資金繰りの問題の一環かと思います。 私ども、農家の資金繰りを全体として考えるということで、まず先ほど申し上げましたように共済金の年内支払いを実現する、それから天災融資資金を御融通する、さらには自作農維持資金もお貸しする、既貸付金についても条件緩和についてできるだけ考えるといういろいろの措置をとることにいたしております。それらの措置をとれば、もちろん苦しいには違いありませんが、農家としても資金繰りは何とかやっていけるのではないか。そういう中で、概算金は契約上の債権にもなっていることで、お返しいただく。どうしてもそういう措置をとっても返せないものがあるかどうかという実態につきましては、さらによく
調査
する必要があろうかと思います。 ただ、制度的に申しますと、予約概算金の返納につきましては、
災害
の場合、その
災害
の程度が著しいときはその程度に応じまして金利を減免できるという制度がございます。その制度にのっとってそれらの措置はとってまいりたい、かように考えております。
水野清
253
○
水野
委員
次に、これは二つ一緒に伺いますが、
被害
農作物
に病虫害が発生している。君手県の場合はいもち病が発生しておりました。この病虫害駆除の費用は、もともととれなくなっているものの病虫害ですから泣き面にハチみたいなものなんだけれども、ともかくこの防除の費用、それから来年の稲作の種もみがないわけです。こういうものに対する助成措置あるいは確保、これについては遺漏はないですか。
杉山克己
254
○杉山
説明
員 病虫害の防除につきましては、都道府県が行う病害虫の発生予察事業、それから病虫害防除所の指導経費、こういったものに対して助成を行っております。 今回の異常低温に関連しまして、病虫害防除につきまして従来より一層濃密な指導を行う必要が生じておりますので、これに要する経費については重点的に配分することを検討いたしております。 なお、個々の農家が使用した農薬についてその薬代を助成しろというお話もございますが、これは率直に申し上げまして、補助額が零細になるとか、それから実際に使ったかどうかの確認が、国の補助金でありますのできわめてやかましくなり、むずかしいというようなことにかんがみまして、従来からそれについては補助対象としておらないわけでございます。 ただ、いま先生のおっしゃいました種もみ、これは農薬だとか肥料と同じように消耗的な経費ではございますが、何分にもその翌年の再生産を確保するための基礎的な資材でございます。これにつきましては、私どもその各県閥の需給の調整、あっせんに努力する、さらには全体としてあります種子確保のための予算の中で、できるだけ措置をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
水野清
255
○
水野
委員
次に、御承知のように、ことしは不況下で、主として東北六県、私の県もそうですか、稲を刈ったら出かせぎに行くという形が農村ではかなり定着しているわけです。東北六県の人たちは、岩手県の場合特にそうでしたが、出かせぎに行きたいということですが、意外に都市が不況ですから臨時の労務者であるとかあるいは
土木
事業とか、そういったものも少ないし、非常に出かせぎの先の雇用能力も狭まっている、こういう
状態
なわけです。そこで、地元に救農
土木
を起こしてもらいたいという声が、これは岩手県だけではありません、私の県もそうですし、ほかの県も、聞くところによると、恐らくこれは十七号
台風
の問題でも質問が出たと思いますが、全国的に出ていると思います。それについて、
農林
省はどういうふうに考えておられますか。ほかの質問もあるので、簡単でいいですよ。
杉山克己
256
○杉山
説明
員 お話のような事情があることは、私どもも県そのほか関係方面から聞いて承知いたしております。
現地
におきます農家の現金収入の機会を確保するため、これはなるべく労働力の消化に貢献するような小規模の
公共
事業、これを起こしたいというふうに考えております。
水野清
257
○
水野
委員
いまあなたのお話があったように、余り大きなパワーショベルでやるような
土木
を幾ら持っていっても余り救農
土木
にはならないのです。ですから、それも新しく起こすというとなかなかめんどうですから、たとえば
農林
土木
みたいなもので継続事業というのが各県たくさんあるはずですね。これをひとつ積極的に追加予算ですか、追加で予算の割り当てをして、地元で、しかもたとえば業者にやらせる場合も、大手業者が不況で
地方
へ来て細かいのまでさらっていこうというような傾向がありますから、地元の業者にやらせる、こういう指導をとってもらいたいのです。 それから、これは冷害だけではありませんが、たとえば
岐阜
県の場合なんかでは湛水
被害
の問題、それから有明海では塩害の問題とか、いろいろな問題が出ているそうですか、これについて、これは大蔵省から主計官が来ていらっしゃいますから、ひとつ伺いたいのですが、救農
土木
の財源確保については心配はいらないでしょうな、ひとつしかと承りたいわけです。
古橋源六郎
258
○古橋
説明
員 お答えいたします。 御指摘の救農
土木
事業につきましては、現在、いま杉山
審議官
、御答弁がありましたように、
農林
省において必要性あるいは規模、いかなる事業内容かというようなことについて御検討中というふうに聞いております。
農林
省からその内容等につきまして御協議がありますれば、私どもも検討いたしますし、実施するというような場合におきましては、現在の既定予算をどういうふうに重点的に配分するかということがまず第一、それから必要に応じて予備費を使用するということも検討しなくてはならないのではないか、こういうふうに考えております。 いずれにいたしましても、
農林
省から協議があり次第検討いたしたいというふうに考えております。
水野清
259
○
水野
委員
その財源確保については少し議論したいんですが、余りここで数字を詰めちゃうと後の交渉に差し支えますから余り詰めないことにします。 そこで、ひとつこれは
農林
省及び大蔵省によく御理解をいただきたいんですが、これまでの救農
土木
というのは三〇%以上減収した
市町村
の中に
土木
を起こさねばならない、何かこういう内規があるんだそうですね。だから、隣の町へ働きには行けない、こういうことですよ。たとえばある私の見てきたところなら、金ケ崎なら金ケ崎という町で継続事業がありましたが、隣の町にはたまたまいま農業
土木
をやっていない。そこにも冷害の、稲作の収穫皆無みたいなところがあるわけですな。そういうところの人がよそへ働きに行きたいんだけれども、それは何かままならぬような規定になっている、そういうふうに聞いていますが、そういうことはあるのですか。
杉山克己
260
○杉山
説明
員 まあどの程度に実施するかという一つの大局的な判断の問題かと思います。特別に法律等でもって制限しているわけではございません。今回実施するに当たりましては、いま古橋主計官の方からお話がありましたように、各県の
状況
をいろいろ聞いておりまして、どういう形でやったらよいかということをいま詰めている段階でございます。いま申されましたような、そういう必ずしも過去の基準だけでなく、新しい観点から全体を検討して、やり方を決めてまいりたいと考えております。
水野清
261
○
水野
委員
自治省来ておりますか。——自治省に聞きたいんですが、こういう救農
土木
の事業をやるに際して、国の金は、大蔵省が心配するな、こう言ってくれましたから心配しませんが、
地方
自治体、県並びに
市町村
のいろんな負担金があります。義務負担もあるし、その他いろんな事務負担とかいろんなものがありますが、こういうものについては、自治体が、御承知のように財源難で困っています。結局起債に頼るしかないわけですね。この起債の枠の準備については遺漏はありませんか。
平岩金一
262
○平岩
説明
員 お答えいたします。 国庫補助負担事業の裏負担に係る
地方
債につきましては十全の措置をとってまいりたいと、かように考えております。
水野清
263
○
水野
委員
私に関しては、大蔵省と自治省はもうお帰りになっても結構ですよ。 次に、これは畜産局の方来ていますか。——これはかなりむずかしい問題なんですが、岩手県の場合、越冬用の飼料確保のため特段の措置を講ぜられたい、こう言っています。現に牧草をつくっているところも見てきましたが、牧草をつくっているんですが、雨が多いんで乾燥できないでしまっている、こういう事情もあります。越冬用の
家畜
のえさがない、こういう問題が起こっています。少し湿っぽい話ですが、岩手県の場合を見ますと、これは
昭和
九年来の、あるいは大正十二年来の冷害だ、こういうことでした。昔は娘を売ったけれども、ことしの冬は牛を売らなければならない、こういう訴えを
各地
で聞いてきました。 一つは、その飼料の問題です。それからもう一つは、
家畜
保留のため必要な何か資金
援助
をしてもらいたい。できれば無利子の金でも貸し出しをしてもらいたい、こういうことなんですが、この二つについてどういうふうに検討しておられますか。
関根秋男
264
○関根
説明
員 東北
地域
で飼料作物にかなりの
被害
がございまして、越冬飼料が重要な問題になっておるということは承知をいたしておるわけでございますが、この越冬飼料の確保につきましては、私ども現在のところは、先ほど来お話がございましたけれども、天災融資法等の発動によります経営資金の枠の中で一応対応していただきたいというふうに思っておるわけです。ただ、そういうようなことを通じましても具体的に飼料がない、こういうような問題につきましては、地元の方から御
要望
がありますれば、
政府
操作飼料というものもございますので、こういうものの売り払いというようなことも考えておるところでございます。 それから、
家畜
を手放さざるを得ない、こういうお話がございましたが、
家畜
を手放すというのは、経営資金なり
生活
資金なり、そういうものにお困りになって手放すということ、だろうと思います。先ほど来お話がございましたけれども、今度の
災害
につきましては、農業共済の共済金の支払いあるいは天災融資法によりますところの経営資金の貸し付け、さらには自作農維持資金による資金の供給というようなことが行われるわけでございますから、そういう面では、農家の経営資金なり
生活
資金なりについての一応の対応は可能なのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう意味では、そういうことが円滑に行われますれば、
家畜
を手放すというような事態は回避できるのではないかというふうに思うわけです。ただ、そういう制度資金なりが直ちに出るというわけにもまいらないわけでございますから、そういうものが出るまでの間、いわゆるつなぎ資金というようなものが円滑に供給されるように、関係部局とも相談をしながら指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
水野清
265
○
水野
委員
余り時間がありませんからまとめて最後に伺いますが、いまお話があったように、天災資金なり自創資金なり、あるいは共済の仮払いなり、こういうものが来るところにはかためてくるわけです。ところが、さっきのお話のように、予約金をそこから差っ引いていく、
家畜
の保留資金もそこからやれ、こういうことなのですが、結局こうなってくると、問題はその融資のやり方、窓口の問題なんですね。これはいつの
災害
でもそうなんですが、どっちかというと、たとえば私なら私が農協に三十万円なりなんなり貯金を持っていて、それで自創資金を借りに行きますと、おまえ三十万円持っておるのだから、百万円貸すところなんだがその三十万円を差っ引いて七十万円にしてくれ、必ずそういうふうに農協ではおっしゃるのです。農協はかなり金があるのです。あるのですが、要するに貸し渋るというか、そういう傾向があります。それから、天災資金と自創資金をあわせて借り入れようとすると、これも需要が多いからというようなことで、どっちか少し削ってくれとか、半分にしてくれとか、こういうようなことが末端に行くと非常に多いわけです。そういう形でやっていくと、ここでは、いろいろな面から金が出ます、御心配なく、救農
土木
もやります、こういうことですから、大変よくなった話なんですけれども、末端に行くと心ずしもそれがうまくいってないのです。この点はくれぐれも各機関がよく留意をして、たとえば共済の金と自制資金や天災資金の貸し出しのところとは担当が違いますから、その辺で実はかなり縦割り行政の欠陥がそういうところに出てくるわけです。 話がついでで縦割り行政の話ですが、たとえばこの稲をとってきた町なんかでは、岩手県は何か畜産公社をつくったりいろいろ一生懸命やっておられる、畜産基地をやって上の方に牛がたくさんいるんですよ。で、下の方で稲をつくっておる人たちは、もういまから一月見ておったってとても米は実りはしませんが、これを青刈りして上の牛に食わせたらどうだと言うと、なかなかそれの流通がうまくいっておらないのです。片っ方ではもう早刈りをして牛に食わせるなりしたらどうなんだと言うけれども、まあ農業をやっている人の気持ちというのは、これでも少しは残るのじゃないだろうかということでもう二週間でもたんぼに置いておきたいという気持ちなんでしょうけれども、私はその辺は行政指導で、これならこれを青刈りしてえさとして少しでも金にかえる手はないだろうかとか、そういうような方法を少し検討してごらんになったらどうですか。 これはひとつ
国土政務次官
、あなた大政務次官だから、前に
農林政務次官
をやっておられたから、あなたから総合的にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
江藤隆美
266
○江藤
政府
委員
最後に畜産の飼料の問題についての御意見で締めくくられたわけでありますが、私どもも実際政治家をやっておりますと、国会で議論をして決めたことと、それから末端の実際の生産者の段階に至った場合との違いというものに実はしばしば直面をして、ずいぶんとびっくりする場合があるわけであります。やはりこの辺は、こうした近年まれに見る大
災害
でありますから、ひとり
公共
事業の
災害復旧
ということだけではなくて、こうしたじんわりと将来に深刻に影響を及ぼしてくる冷害というものに対してのいわゆる今後の営農
対策
、あるいはまた当面しておるそうした資金の問題、あるいはまた種もみの問題、あるいは将来のそうした畜産の問題等について、これは真剣に取り組んでいく必要がある。私もあれをどんどん青刈りをしているのをテレビで見まして、全くもったいないな、これを全部畜産基地に運んで、乾かすなりあるいはまたサイロに詰めるなりすれば相当りっぱな飼料になるんだがな、まあこういうふうなことを感じたわけであります。 私も国土庁にはおりますが、もともと農政をやってきた立場にもございますし、国土庁は
災害
全体についての調整を図る役所でもありますから、
農林
省ともよく相談をいたしまして、それらの問題についても今後十分取り組んでみ、また研究もさせていただきたい、こういうふうに考えます。
水野清
267
○
水野
委員
終わります。 どうもありがとうございました。
柴田健治
268
○
柴田
(健)
委員長
代理
井上
普方君。
井上普方
269
○
井上
(普)
委員
先ほど高知県、徳島県に派遣せられました第三
調査団
でございますか、その団長さんの御
報告
に、川井峠から見た木屋平あるいは穴吹町のことについて、まことにのどかな山村である、こう申されました。まことにこの地帯は非常に峻険なところであります。山が非常に峻険である。しかし、そういうところでございますから、仏教渡来によって蘇我氏に敗れた忌部族が引きこもっておるというような家もございます。あるいはまた屋島の壇の浦で敗れた平家の公達が入ったところ、そしてそこは、女の足ではもうこれ以上入れないためにそこで恋しい女房と別れたということで恋人峠というまことに風雅な名前のあるところでもあります。しかし、このところに、御承知のように通計しますと、何ですか千八百ミリとか千九百ミリという雨が降りましたがために、非常な
災害
が起こっておる。 これは川べりに住んでおられる方は
土砂
によって押し流されるし、
山腹
に住んでおられる方々は地すべりでやられるというような非常に甚大なる
被害
を受けておるので、先般も参りました際に、四国地建の連中は、ここは人命の損失が非常に少なかったので、小豆島のように人命が非常にたくさん失われたところと違って宣伝ができてないような感じがする、むしろ
災害
自体は小豆島よりも大きいんじゃないかとすら申されておったのであります。 そこで、
災害地
の穴吹町の
町長
さんとかいう方々にいろいろお聞きいたしますと、
道路
は全部寸断されておる。この
町長
さんなんかは、朝の八時に役場の吏員二人を使って、大体千メーターの山を越えて、車で行けばわずか十分で行くところを十二時間かかって
災害地
へ行った。この穴吹町というところは穴吹、古宮、口山と三
町村
が合併しておるところですけれども、行ってみたけれども、古宮地区でございますと、二十二の部落があるうちで全然連絡のつかないのが十七カ所、十七の部落が連絡がつかなかったという
状況
なのであります。それが
災害
が起こって二日目です。先ほどの車で行けば十分というのは、距離にしますと大体十五、六キロのところです。朝出て、夕方の五時か六時ぐらいに着いて、そして帰ろうとしても帰ることができない。そこで通信連絡がとだえてしまって、村一長さんが行方不明になった、
災害
に遭ったんじゃなかろうかといって大騒ぎをした一幕もあったぐらいであります。 そこで、昨年からたしかあると思うのですが、
災害
無線をつくったらどうだ。国土庁が関係しておるのですが、県にその点につきましての話をしますと、
県当局
では、十五億円負担金が要る、設備費が要るんだと。しかし、こういうような
町村
は税金にいたしましても非常に——木屋平村でございますと、
年間
予算が大体七億で、そこで税金が一体幾ら取れるんだと言いましたら、千五百万ぐらいしか取れない。税金が一割に満たないような貧弱な
町村
に、こういう無線の
町村
負担金を持つことができるだろうかという問題があるのであります。これについては、各部落と部落との間に連絡がつくような
災害
無線というものの負担金を、やはり国がもう少し多く持つべきではなかろうか、このように考えるのですが、どうでございますか。国土庁の方、どなたでも結構です。
江藤隆美
270
○江藤
政府
委員
私の存じております限りにおいては、建設省は各都道府県とは水防無線で結び、それから各都道府県は
市町村
と
災害
無線で結ぶ。ところが、先生おっしゃったように二十二部落のうちの十七部落までが孤立して連絡がとだえるというような
状態
になりますと、各部落まではそういう体制にないというのが今日の情勢であろうと思います。 そこで、実はこの前も第三回の非常
対策
本部の各省関係の連絡
会議
をやりまして、各省庁から、今度の
災害
について
救援
活動をやりあるいは
災害復旧
をやる場合にどういう点が問題であったか、今後いろいろな体制を完全に整えていくためには一体どういう予算措置が必要であり、どのような
施設
、どのような装備、どのような体制を整える必要があるか、そういうことをお互いに持ち寄りまして、いま検討を進めておるところであります。
山本重三
271
○
山本
説明
員 これは消防庁の所管でございまして、私は聞きましたところで御
説明
いたしますが、現在までは各都道府県の中の
市町村
役場等を結ぶ消防防災無線につきまして補助金を出して事業を実施しておりますが、五十年度に
市町村
役場と集落を結ぶ防災無線を整備するための
調査
費を計上しておるようでございます。この
調査
費によりまして、現在、標準システムを検討中だと聞いております。
井上普方
272
○
井上
(普)
委員
私が言うのは、
災害
無線というのはやはり各
町村
役場と各部落との間の無線ができることなので、ちょっと次官は就任間もないのだから御存じないことはわかっておりますけれども、片方は、水防無線というのは建設省が所管してやっております。しかし、
災害
無線というのは、やはり予算か
調査
費は出ておるけれども、その負掛金補助率が非常に低いがために、
町村
の負担が耐えられるかということなのです。先ほども申しましたように山村で、過疎村でありますから、木屋平村でございますと
年間
予算規模七億、そこで自分のところで持っておる税額は千五百万円しか入らないというような過疎村です。貧弱な村です。そういうところに
災害
が起こっておる、たくさん起こるのですから、それらに対しての
災害
無線に対する補助制度について、補助金をもう少し上げるべきではないだろうか、こう思うのですが、どうです。
江藤隆美
273
○江藤
政府
委員
今回の経験にかんがみまして、これは前向きに、積極的に検討してみたい、こう思っております。ただ、何せ全国に、これは部落の集落というと無数にあるわけでございますから、一挙に行きますのにはいろいろと問題点もあろうかと思いますけれども、とにもかくにも、今回のようないろいろな教訓を受けたことでありますから、十分勉強させてください。
井上普方
274
○
井上
(普)
委員
特にこの
災害
が起こるところ、私どもの
山地崩壊
が起こるところはひどい過疎地で、財政も非常に貧弱だというところが非常に多いので、特に
町村
の負担率、これをひとつ下げるように御努力をお願いいたしたい、こう思うのであります。 それから、先ほども申しましたが、これも恐らく、だれか御質問になっておられるとは思いますが、古宮村といったところは、背はりっぱな村長さんがおられまして、勤倹節約を村民に教えること三十年、ために植林も十分にできておる。わりに
個人
資産も豊かなところだと、こう言われたところなのです。しかし、やはり過疎の波には逆らえずに、現在、旧古宮村というのは四百戸から四百五十戸ぐらいになっております。その中でこの
災害
で四十月が
流失
してしまった、それも十七部落というのはほとんど地すべりに遭っておる。ですから、あるところでは、地すべりが起こっておりますところは朽ち果てて崩壊しておるところがほとんどなのですから、村長さん、このうちの大体どれくらい移転するのだ、部落で
家屋
を移転しなければならないところがあるかと言うと、約三百戸を超すと言うのです。そうなりますというと、三百戸移転するというと、これはその敷地がございません。これは先ほどだれかも聞いただろうと思うのですけれども、敷地が非常に少ない。いままで山林経営をやっておる方々でございますから、都市
生活
をやっておる者とはちょっと違いまして、敷地三十坪だの五十坪だのというような家ではちょっと
生活
がしにくい、これがまず第一です。やはり七、八十坪の敷地がなければならぬというのがまず第一です。これが田舎の人の通常の考え方なのです。それから、三百戸を移転さすということになりますと、その地点から十四、五キロ離れなければともかく移転ができない、でございますので、そこらあたりは村長さんも非常に悩んでおりました。 もう一つは、これらに対する財政措置ですね。特に防災移転について防災何とか法という法律で、集落ごと移転する法律がございましたが、しかしこの中で、集落ごと移転するといいましても、すべっておらぬところの連中がおるのです。やはり二十五戸なら二十五戸のうちの二十戸はどうも危険だけれども、あとの五戸は大丈夫なのだという方々は、全戸移転することを拒むのは人情の常と思います。そこで私らが聞いておりますというと、そこには少なくとも千年近く住んでおる方々がほとんどなんでございますから、望郷の念捨てがたく、やはり安全な、動いていないところの人たちは、私は行くのいやだというようなことが数多くて、せっかくつくった法律も実らないというようなことがあるのでございますが、ここらあたりの処置を、そういうような例外処置をひとつ認めることはできませんでしょうか、どうでございます。運用の上で。
江藤隆美
275
○江藤
政府
委員
災害
の集団移転事業につきましては、御案内のように十戸以上ということになっておりまして、国土庁で実はやっております。それから、もう一つやっておりますのが、いわゆる過疎移転というのでありまして、いわゆる山の中におるのを一カ所に集めるというのですね。ですから、今回のようなそうした特殊の場合には、おのおの単独でやった方がいいのか、それとも両方をかみ合わしてやった方がいいのか、これはまた県を通じて町役場とも十分相談をしてみたいと思っております。 それから、当初に補助率のことをお尋ねになりましたが、補助率を上げろというお話がありました。いま、御存じのように三分の二であったと思います。補助率は三分の二、残りが実は過疎債で、そういう過疎地帯であれば過疎債で、あとは
交付
税で見ていく、こういう制度になっておることも御存じのとおりであろうと思います。
井上普方
276
○
井上
(普)
委員
先ほどの過疎地帯の移転と、
災害
十戸以上のと両方かみ合わしてやっていくのだと、まことに臨機応変にやっていただきたいと思うのです。これは実際
町長
さんからも、全部でなければ
災害
移転ができないんだ、県の指導もそうなっておるので、実は困っておるのですというお話もございました。したがいまして、そこらあたりはひとつ臨機応変に、しかも何と申しますか、法律で人間を縛ってしまってもしようがないのですから、ここらの運用をひとつ十分図っていただきたいということをお願いいたしたいと思います。 それから、特に敷地の買収につきまして、
町長
さんは非常に悩まれておりました。これは木屋平あるいは穴吹あるいは木頭、いずれの村においても、敷地難に悩んでおられました。したがって、国の基準の標準価格といいますか、標準価格よりもはるかに土地が高くなる。これはどうするか、うっかりしておったら、これは補助金適正化法にひっかかるし、困るんだというようなことも申されておりましたが、四百五十戸のうちで大体三百戸ぐらいは移転しなければならぬだろうというような現状、これをひとつお考えいただきまして手厚い処置を講じていただきたい。これは国土庁よりもむしろ自治省の——自治省おられますか。国土庁の方におきましても十分ひとつ処置していただきたいと思います。 それから、先ほど申しましたように、この村は
個人
資産は、山林に植林をするということで非常に豊かに見える村であります。しかし、何といいましても小山林地主が多いのでございまして、たとえ移転しても十五キロ、十六キロ離れますというと、その森林の管理がなかなかむずかしいというような問題も出てまいります。あるいはまた、そう出ていくこと自体についても抵抗があるでしょう。しかし、いずれにいたしましても、この移転をしなければいかぬ際に、これは林野庁関係にありますが、ここらの、どう言ったらいいですかな、非常に
生活
に苦しんでくる、単に職業紹介なんかではもう済まないんじゃないかという感じが私はしてならないのであります。したがいまして、抜本的な林野行政のあり方、すなわち小さいやつはひとつまとめるんだというような——小山林地主で、恐らく五町か三町くらいの山持ちが非常に多いところなんです。ですから、ここらあたりは
災害
で手放すというときの適切なる処置をひとつ講じていただきたいと思うのですが、林野庁、いかがですか。
藍原義邦
277
○藍原
説明
員 ただいま先生御指摘の、小山林所有者が山林を手放すときというお話でございましたけれども、私どもといたしましては、森林資源も非常に大事なものでございますし、できるだけ共同いたしまして施業ができるような方途、さらには森林組合等がそれの維持管理を受諾してやっていくとか、いろいろな方法がございます。できましたら、そういう方法等を十分県とも打ち合わせをいたしまして対応していきたいというふうに考えております。
井上普方
278
○
井上
(普)
委員
林野庁、この山村の人たちは林野庁を信用してないんだ。森林組合を信用してない。こういう話がございました。植林する際には保険金を取られて、ともかくおととし出したんだけれども、去年の
災害
の際に一度も
調査
に来てないんだというような話も聞いております。したがいまして、あなた方は森林組合とかあるいはまた県の指導を強化いたしましてなんて言ったって、信用する人は一人もいないのです。むしろそれよりも隣の人にひとつ見てくれぬかというような部落共同体的な互助精神に頼ろうとする傾向が非常に強いのであります。ここらは林野庁の行政それ自体につきまして十分反省していただきたいと思います。と同時に、部落全体が、昔からあった部落共同体の中で処置ができるような方法は考えられませんか。その方がずっとスムーズにいくと思うのですが、どうでございます。
藍原義邦
279
○藍原
説明
員 ただいま私申し上げましたのは一例を申し上げたわけでございまして、部落によりましては部落が共同で施業するという方法等もとっておるところもございます。したがいまして、先生いま御指摘のございましたような地区につきましては、今後十分県とその辺の実情を
調査
いたしまして対応してまいりたいと思います。
井上普方
280
○
井上
(普)
委員
ともかく県と相談するというのは、もういつも逃げ口上になって責任がどこにあるのかわからなくなる例が非常に多いので、この点は注意していただきたいと思います。 それから、もう一つは、そのように
半壊
あるいはまた家がねじれて、もう家に住めないという一この表には出てきていませんよ。全壊、
半壊
の中には入ってないけれども、実際上危なくて家に住めないという方々が非常にたくさん出てきているのです。したがって、これらを解体してよそへ持っていこうとする。そうすると、昔からの部落共同体でございますから、二十戸なら二十戸の方々は、これは出かせぎに行っている人たちがほとんどであったのでございますけれども、今後この年末までは恐らく部落の仕事にかかって収入が途絶してしまう、収入が皆無というような家庭が非常に多くなるのであります。したがって、
生活
保護をここらあたりでひとつ適用していただけないかという問題も出てきておるのですが、厚生省、こういうような点については考えられますか、どうですか。
入江慧
281
○入江
説明
員 お答えします。 いまお話しのように、出かせぎ者が帰ってこられたような場合でございますけれども、現にその
世帯
に収入がなくて、要するに
生活
困窮というふうに認められるということでありますれば、
生活
保護の適用ということは考えられます。
井上普方
282
○
井上
(普)
委員
これは役人の通り一遍のお話ならまことに結構なんです。しかしながら、何を言いましても、独立心の強い人間は
生活
保護を受けるというようなことにつきましては抵抗を感じています。しかし、これについてもせざるを得ないような立場に追い込まれながら、出かせぎに行くといっても、近所の草刈りだのあるいは土工に行っているだの、ほとんどそういう人たちなんです。したがって、たとえ本人が拒否しても、村長さんは、あれは
生活
保護を受けさせなければならないというような場合も非常に多く出てくるのです、こういう地帯では、プライドの高いところでは。そういうようなところがございますので、特にこの点はひとつ考えていただきたい。収入はほとんどございません。この年末まではないということが予想される。それは
生活
保護の申請をすればいいじゃないかというようなことがございますけれども、しかしたちまちの問題としては非常に困っておるようであります。恐らく年末までは部落の共同
作業
のために収入がないというような事態ができてくる。もう目に見えているのですから。では、どうやって
生活
するのかというので非常に苦しんでおるようであります。それに対する
対策
に村長さんは苦慮いたされております。特にこの点につきましては
生活
保護の適用を考えざるを得ないのじゃないか、こう思いますので、この点お願いいたしておく次第です。 それから、
土石流
で木屋平地区で河床から大体六メートル、古宮地区では大体十五メートルから十六メートル
土砂
が堆積しています。ですから、橋をかけましても前にあった橋に満杯になっているのです。後、大きい雨が来ればこれは一体どうなることかなといってみんな心配しておるのですが、この
土石流
に対する
対策
はあなたの方で考えておりますか、まだありませんか。それが一つ。 それから、もう一つは、
山地崩壊
でありますが、砂防堰堤あるいは
砂防事業
をしておるところは比較的助かっておるように見られます。全面的に助かっておるとは私は申しません。でございますので、特に急傾斜地、地すべり常襲地帯に対する
対策
をもっともっとやる必要があるのじゃなかろうか、このように思いますが、この二つのことについてお伺いいたしたい。
大工原潮
283
○
大工原
説明
員 徳島県の特に穴吹川水系等につきましては、非常に激甚であるということは、県の
報告
をいろいろと資料等で見せていただいておりまして、承知しておるところでございます。 いまお話がございました河床堆積
土砂
が非常に高くなり、
公共施設等
の
復旧
についても非常に問題があるというふうな御指摘でございます。私どもといたしましては、いわゆる
土砂
害
対策
というふうな面であの流域をとらえまして、本年度から発足いたしておりますいわゆる激特制度等を勘案いたしまして、そういったものに乗せて積極的に事業を実施していこうというふうに考えております。いずれにいたしましても、下流に対しますあれだけの堆積
土砂
の移動というふうなことにつきましても十分配慮した計画ということで、
公共
事業の
復旧
とあわせて
対策
を検討しようということで、現在県と打ち合わせ中でございます。 それから、二番目の地すべり常襲地帯といいますか、あの
地域
全体につきまして、いわゆる結晶片岩の地すべり地帯といいますか、そういった
地域
に、さらにいわゆる日本の構造線が通っておるというふうなことで、非常に破砕されておるという地帯でございます。したがって、従来から地すべりの危険個所というものを全国的に把握いたしてみますと、個所数からいきますと、建設省所管分だけでも全国の第三位の県でございますし、それから面積的にも第二位というふうに、地すべり常襲地帯はあの
地域
に非常に集中しておるというふうなことは承知しておるところでございます。いろいろと
復旧
の面で、地すべり
対策事業
も激特対応の地すべり
対策
というふうなことで、積極的に緊急計画を立てまして実施していこうということの計画を、いま県と調整中でございます。 さらに、地すべりの
対策
につきましては、先生御承知のように、三省庁共管でございまして、林野庁所管のもの、建設省所管のもの、それから
農地
局所管のものというふうな三本立てでございますが、それらにつきましても、
地域
の調整を十分図りまして、
対策事業
の
促進
を図っていきたいというふうに考えております。
井上普方
284
○
井上
(普)
委員
あなた調べておるようなことを言いながら、何も調べておちぬじゃありませんか。
土石流
の
対策
については、あなたいま何をおっしゃったのか私たちはさっぱりわからない。あるいはまた、急傾斜地の地すべりについての
対策
を三省がやっておるのだというふうなことは知っていますけれども、国有林は一体どれだけあるのですか。国有林があるところを林野庁がやっておるのでしょう。それ以外は、耕地があるところは
農林
省がやる。ほとんど建設省主管の土地と言っても差しつかえないところばかりなんです。徳島県はほとんどと言っていいくらい、全面積の三%くらいしか実は国有林のないところなんですから。もう少し的確なる御
説明
をお願いしたい。 ともあれ、ああいう常襲地帯でございますので、地すべり
対策
というのは、やっておるところは、一〇〇%とは申されませんが、かなり効果があったように見受けられるので、特に常襲地帯についての御配慮をお願いいたしたい。 それから、堆積した
土砂
、これはどういうふうな
対策
を講ずるか検討中だとおっしゃいますけれども、あれが下流に及ぼす影響なんというものはものすごいものだろうと思う。あれはどうされますか。何万立米ぐらいあるのですか、大体計算つきますか。まだつかないでしょう。いやいやつかないのはあたりまえなんだ、まだ
調査
官が入れぬところがあるのだから。それはもうわかり切っておるのだ。だから、この点は聞いても意味がないからやめますけれども、ともかくあそこの
災害対策
で、工事を起こしたことによって
災害
がまた起こる、二次
災害
が起こるということのないように御注意を願いながら、慎重にかつ緊急にやっていただきたい。 それから最後に、
町村
道の
道路
幅を、四メートル以上なかったらいかぬということなんですが、どうも山の上につくる場合、四メートルの
道路
をつくると、それが地すべりの大きな原因になるんじゃないだろうかという疑問も素朴に村民の間から出ています。これはせめて軽自動車がいっぱいに通れるような
道路
幅、二メートルでもいいのですとまで申す村民もおりました。ところが、建設省は
道路
幅が大きくなければ、四メートル以上なければ、あるいは四メートル五十なければ補助金を出さぬというようなことが
町村
道についてはあるようです。しかし、急傾斜地については、地すべり常襲地帯については特に勘案してほしいと思うのですが、どうでございますか。
三野栄三郎
285
○三野
説明
員
市町村
道の補助につきましては、私どもの、改良いたします場合に
道路
構造令という、政令でございますけれどもございまして、それの最小幅員が車道幅三メートルでございます。これを補助をいたします場合の最小幅員として実施をいたしておるわけでございます。三メートルと申しますのは、御承知のように一車線でございまして、私どもといたしましては、その三メートルという考え方は、非常に交通量が少なく、しかも急峻な地形の場合にそういうふうな最小の幅員でやっていこうというような考え方になっているわけでございます。 いま二メートルという幅員について補助をしたらどうかというお話でございますけれども、私どもの
道路
の整備の考え方といたしましてはやはり交通の安全、それから余り幅が狭うございますと消防車も通らないというような問題も出てまいりますので、そういうことから三メートルという幅員をいま最小幅員としてやっているわけでございます。 私どもそういう幅員でやりましても、やはりああいった急峻な地形につくります場合には、のりをカットいたしますので、そういう場合には、ああいった
集中豪雨
があります場合に
災害
が起こらないように、その改良工事の中で極力
災害
防除の観点に立って工事を進めていくというふうな基本的な姿勢に立っています。
井上普方
286
○
井上
(普)
委員
せっかく国が補助金を出してつくった
道路
が、あれが原因でなかっただろうかなんというような気持ちを
住民
に持たせたら大変であります。しかも、この地帯は急峻な地帯であって、しかも中国の有名な方がこの地に見えられて、耕して天に至る、ああ勤勉なるかなと言ったそうです。そういう土地なんです。したがいまして、そこの耕地の面積、まあおたくにすれば
道路
構造令なんというくだらぬ政令をたくさんつくって、それに縛られて身動きができぬでしょう。しかし、実際問題としてはこんな政令だの法令だのというのは
住民
、国民のためにあるのですから、そこらあたりを十分考えられて応用問題は解決していただきたい。 先ほども政務次官の方から申されておりましたが、どうも国会での答弁と末端へ行ったときとが違うことが多いというのは、再々私らはそれを体験いたしております。したがいまして、どうかそういう国民の立場に立った、
住民
の立場に立った
道路
行政あるいは林野行政等々をひとつやっていただくことを強くお願いいたしまして、私の一質問を終わります。
柴田健治
287
○
柴田
(健)
委員長
代理
湯山
勇君。
湯山勇
288
○
湯山
委員
おそくなって恐縮でございますが、しばらく一質問をお許しいただきたいと思います。 すでにもうたくさん質問があったことと思いますから、できるだけ重複を避けるつもりでお尋ねいたしますから、御答弁の方もそのようにお願いいたしたいと思います。 大蔵省の主計官お見えでしょうか。まず第一点、今次
台風
あるいは本年以前に起こった
災害
等を含めて、予備費から大体千六百億ばかりを支出するということが先ほど予算
委員会
でも主計
局長
から御答弁がありました。私が考えますのは、今度の場合は、時期が彼岸近くであったためにまだまだ農
作業
等秋のをやれば間に合うという条件にあります。そういうことを考えますと、従来二〇%というのですか二二%というのか、当年災の予備費の支出、それをもっとふやして間に合うように考えてしかるべきではないかということを考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
西垣昭
289
○西垣
説明
員 お答え申し上げます。 先ほど大蔵大臣から予算
委員会
でもお答えいたしましたように、
災害復旧
のための追加の必要額といたしまして私ども大体千六百億円程度、こういうふうに考えております。その前提として考えておりますのは、従来までに判明いたしました
被害
額と、この後追加で
報告
になるであろう額と、それから十月から十二月までの間、今後発生するであろう額を大体過去の傾向から推計をいたしまして、一応ことしの発生
被害
額を見込んだ上で、大体過去において初年度、つまり今年度必要な国費額としての割合がございますので、それを掛け合わせまして一応千六百億、こういうふうにしておるわけでございまして、これは多少動く可能性はもちろんございます。 その際に、大体二二%ぐらいということで計算をいたしておりますが、これは
被害
が
報告
になりました後、いざ工事ということになりますと、実際には目減りするということもございますし、それから
道路
等につきましては今年度中に
復旧
を終えてしまいますが、
河川
につきましてはやはり施行能力等ございまして、直轄の場合には二年
復旧
が普通であるとか、それから補助の場合には三年
復旧
が普通であるというふうなことでございまして、これは無理にそういうことで抑えているということじゃございませんで、実際の過去の経験の中から施行能力等からそういう姿が出てきているということで、一応推計しているものが千六百億ということでございます。
湯山勇
290
○
湯山
委員
過去の
状況
等から判断してということ、それはそういう二二%という数字が出た根拠になるということはよくわかりました。ただ、いま申し上げましたように、今度の場合は、
農地
等の
災害
についてはいま大急ぎでやればことしの作付に間に合うというような場合はかなり無理してやる場合ができてきまして、それらに要する費用というものは通常の場合よりも多くなるということが多々あると思います。そこで、そういうものに対する配慮というものがあるかどうか、なされるかどうかという点だけもう一度御答弁願います。
西垣昭
291
○西垣
説明
員 結論といたしましては、弾力的にいままでも対処しておりますし、今年もそのように対処するつもりでございます。
湯山勇
292
○
湯山
委員
これはたびたび御質問に出たと思いますが、
中小河川
の
改修
が大変おくれていて、そのことが今度の
災害
を拡大したというところもたくさんございます。私どもの見た範囲におきましても、今度はどこの川とどこの川が切れるだろう、それからどの川ではあそこの
部分
が切れたからあの下は大丈夫だけれども、あそこは今度
改修
すればその次はどこが切れるだろうというようなことがもうちゃんと予想されるという
状態
にあります。したがって、特に今度の場合の
改修
というのは、ただいま御指摘のありましたような
土砂
崩壊等による水路の大きな変化等もありまして、
橋梁
のつけかえ等も必要になってくるというような点もありますので、単に
災害復旧
というのは
原形復旧
がたてまえではありましょうけれども、特にそういう
中小河川
に関しては
改良復旧
あるいは関連工事、そういうものを相当大幅に見ていかなければ再度
災害
の出てくるおそれがある。中には、ある小さな
河川
ですけれども、いま
決壊
した場所を
改修
するのには一千万なら一千万でいい、しかしそうやって弱いところを全部直していけば二百億ばかりかかるのではないかというようなのもありますが、そういうのは別といたしましても、大体いまのように、ここを
復旧
すれば次にはあそこがいくだろうというような予想のつくような場合、それらについては当然
原形復旧
ではなくて
改良復旧
を認める。むしろ
改良復旧
を
促進
するということでなければならないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
栂野康行
293
○栂野
政府
委員
お答えいたします。
災害復旧
は
原形復旧
が原則でございますが、先生がおっしゃいますように、いろいろまた問題があろうかと思います。
原形復旧
が不適当な場合に、実態に応じた
改良復旧
をやっていく。それからまた、
災害
が非常に激甚な場合に、
改良復旧
をやっていく。また、あるいは
災害復旧
に
改良復旧
をあわせまして関連事業ということで現在でも積極的に
改良復旧
を推進しております。今後とも前向きに、積極的に
改良復旧
に持っていきたいと考えております。 以上でございます。
湯山勇
294
○
湯山
委員
その点よくわかりましたが、まだ末端までそういうことが届いていないと思うのです。ある県道ですけれども、地元の人は早く通れるようにしたいというので直せる方から直していたら、これは
災害
調査
にも困るし、こんなことをしておって、もし事故でもあったらだれが責任を持つかというのでしかられて、地元の人が大変困っていたような例もあります。 そこで、この点については、いまおっしゃったような趣旨を早く自治体、県、
市町村
に通知してやるということが大事だと思うのですが、そういう御配慮がありますか。
栂野康行
295
○栂野
政府
委員
その点につきましては、現在でもよく
地方
自治体と本省と打ち合わせてやってございます。今後ともそういうことをまた積極的に進めていきたいと思います。
湯山勇
296
○
湯山
委員
特に今度の
災害
について、いまのような措置を、あるいは通知をなさいましたか。
栂野康行
297
○栂野
政府
委員
文書での通知はしておりませんけれども、
電話
連絡その他で対処してございます。
湯山勇
298
○
湯山
委員
それでは、やはり役所ですから、後でもいいですから文書でぜひやっていただきたいと思います。いいですね。——御了承いただいたものと見まして……。 次に、今度の場合、
農地
の
被害
の中で、特に私どもの愛媛県などは柑橘園を開発した、そのことが原因になって
土砂
崩壊、埋没、そういう
被害
が大変たくさん起こっております。
水稲
等の場合は共済その他の方法もあるのですけれども、ミカンの場合は、共済制度はありますけれども、加入率が非常に低い。これは
農林
省の方、どれくらいになっておりますか。
大塚米次
299
○大塚
説明
員 果樹共済には収穫共済と樹体共済と二種類がございますが、収穫共済の方が一八・五%、樹体共済の方が八%の全国平均の加入率でございます。
湯山勇
300
○
湯山
委員
共済というのは、こういう
災害
のときに役に立つのが本来、共済の役目であって、いまお話しのように、収穫共済で一八・五%、つまり五分の一にも足りない。それから、樹体共済の方が八%で、これも一割にも足りない。こういうことだと、この共済制度というものはほとんど役に立っていないということになるわけですね。
大塚米次
301
○大塚
説明
員 果樹共済は発足いたしましてまだ日が浅うございます。それから、果樹は、
農作物
共済等に比べますと種類がたくさんございます。それから、
地域
によって、農家によって栽培方式あるいは技術水準がきわめてまちまちでございまして、画一的な指導に実は困難を感じております。それで、従来どおりのいわゆる普及徹底を図りますと同時に、来年度からは一部の事故を除外して加入しやすくする、保険需要に応じた果樹共済に選択的に加入できる、こういう道を開きましたので、今後は加入が非常に推進しやすくなる、加入しやすくなる、このように考えております。
湯山勇
302
○
湯山
委員
私もその点指摘したいと思っていたわけですが、一つは制度の欠陥ですね。発足の早い、遅いはありますけれども、共済制度自体に大きな欠陥があるということは否めないと思うのです。 そこで、私どもの調べたところでは一一・七%という数字が出ておりましたが、これらにつきましても、ある組合が特に奨励してこういう数字になっているのだということでした。 そこで、今度の場合、ミカンの場合はちょうど収穫直前です。そしてそれが、いまのように共済はまだ制度的に熟していないというようなこともあって、加入していない。そうすると、そのミカン農家は全く収入の道が閉ざされるということになって、
生活
にも困るわけです。この問題が一つ。 それから、いま一つは、
土砂
崩壊というのはいまのミカン園のような傾斜地で起こっていますから、そこで流出した
土砂
をもとのところへ張りつけるということもできない。実際は
復旧
困難ということになります。斜面を流れて
土砂
と一緒になって埋没した谷へ、新たに平地ヘミカン園ができておるような景観、そういうふうにもなっておりまして、これはとても
復旧
できないという
状態
、そういう場合、ほうっておくわけにもいかない、なお農業を続けていこうという人には、その場で
復旧
ができなければ今度は替え地というようなことも指導してやらなければならないということが考えられますが、今度の
災害対策
としてそういうことをお考えになっていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
岡部三郎
303
○岡部
説明
員 今回の十七号
台風
によりまして、愛媛
県内
でも五百九十ヘクタールほどの
農地
の
被害
がございました。 この中には、いま御指摘のありましたように、樹園地が相当含まれておるわけでございます。これは今回八百ミリあるいは場所によっては千九百ミリを超すような非常な記録的な
豪雨
がありまして、これによって既成の樹園地が
被災
したというものでございますが、これらの
復旧
に当たりましては、叫び
災害
が起きないように、いろいろそのメカニズム等も研究いたしまして
災害復旧
工事をいたしたいと考えております。 ただ、御指摘のように、非常に急傾斜地に造成されている
農地
でございますので、再び崩壊のおそれがある、そういう危険
地域
も相当ございます。また、急傾斜地に土を上げて
復旧工事
をすることが技術的にも非常に困難だというようなところもございます。そういうふうな、前の位置に
復旧
することが著しく不適当な場合には、ただいまお話がございましたような代替開墾といったようなことも制度的にはできることになっておりますので、あわせてそういう方法も検討するように指導してまいりたいというふうに考えております。
湯山勇
304
○
湯山
委員
それから、そういうかなり大きい急傾斜地の崩壊した場所の
復旧
については、緊急急傾斜地崩壊
対策
ですが、これは
農地
じゃなくて宅地の場合ですか、大体適用は。そういったような方法はとれないものですか。
大工原潮
305
○
大工原
説明
員 急傾斜地の法律によります
対策事業
につきましては、下に人家があるという条件、それから裏がけが三十度以上という法律条件がございまして、現在補助対象として考えておりますのは、十メーター以上のがけを対象にいたしております。一応自然がけということで枠を決めておりますが、ただいまお話しのような、ミカン園、その他県からの
報告
によりますと、一部沢状の地形をなしておるというふうなことを聞いた
地域
がございます。そういった個所につきましては、別途
緊急砂防事業
等によります沢の処理というふうなことを含めまして検討していきたいと考えております。
湯山勇
306
○
湯山
委員
続いて、同じく果樹についてですが、いま温州ミカンの非常な値崩れその他で、温州ミカン農家は困っております。正常な
状態
においても困っておって、相当摘果をやらなければならないというような指導をしておられますし、同時にそういう
状況
を解消するために、品種更新ということについて
農林
省は補助を出してやっておられるわけです。ところが、今年の三、四月に品種更新、根接ぎをしたものは今度で大変傷みまして、恐らく
被害
面積は一千ヘクタール以上になるんじゃないかと思うくらいあります。これは技術的に、いまそれはだめになったから来年その横へまた根接ぎをするということは不可能であって、非常に困っているという
状態
ですが、これはただその点で困るだけじゃなくて、実がとれるようになって、
生活
がそれで維持できるという年数がまた一、二年延びるということにつながってまいります。この人たちもまたさっきの共済に入っていないミカン農家と同じように、一体
生活
をどうしていくかというような問題が出てくるわけで、そういう農家の
生活
をどうやって一体支えていくか、これについてどういう
対策
を持っておられるか、お伺いいたしたいと思うわけです。
北野茂夫
307
○北野
説明
員 現在、
農林
省ではミカンの生産調整をやるために改植あるいは高接ぎ等をやっているわけでございますけれども、改植、高接ぎをやりまして
災害
に遭ってしまったという農家につきましては、改植、高接ぎをやった当年から高接ぎにおいては三年、改植については五
年間
、経営資金といたしまして十アール当たり八万六千円、あるいはそれの利子等によりまして、三分の二でございますけれども、その低利融資をやっておりますが、
災害
に遭って
流失
あるいは全くだめになった場合には新たに高接ぎ、改植をした時点におきまして、さらにそれから五
年間
新規採択をしてやったということで、経営資金が引き続き借りられるようにただいま検討中でございます。
湯山勇
308
○
湯山
委員
検討中というのはちょっと困るので、そうするならする、やってもらいたいというのは、いまそういう
災害
に遭った農家はすでにそれで一回やってもらっているわけです。補助も別にもらっているわけです。そこで、そういうところがもう一遍接ぎ直すかあるいは改稿するという場合には重ねて補助が出るかどうか。それから、いまの
生活
資金、それはいままでそういう資金を受けておったことは条件としないで、それについては二重になってもまた貸すんだ、あるいは出すんだということになるのかどうか、これは非常に大事な問題で、これらの農家はたちまち
生活
に困るわけですから、ひとつできるだけはっきり言ってください。
北野茂夫
309
○北野
説明
員 再度、改植あるいは高接ぎをしたものに、また同じ圃場について助成が可能であるかどうか、非常に補助事業の本質にかかわる問題でございますと同時に、予算的な措置を伴うものでございますので、現時点ではっきり結論は申し上げられない、そういうことでございますが、前向きに検討したいということでございます。 それから、いままでに借り入れております資金のいろいろの返済上の問題につきましては、先般からいろいろ御質問、御答弁がございましたけれども、ケース・バイ・ケースで処理する道が開かれておりますので、その線で指導していきたいというふうに考えております。
湯山勇
310
○
湯山
委員
これはちょっとくどいようですけれども、いまのように高接ぎなんかした分ですね、これはもうどうにもならなくなっている分もあるわけです。それは生き残ったのを育てて、また枝をふやして、それでもつのもありますけれども、それができないという場合には、こういうのが
災害
ですから、以前に補助が出ておっても、また新たに補助を出すということでなければ、これは
災害対策
にならないと私は思いますし、そうしなければ、これはもうやめるしかないわけです。廃園にするしかないわけで、それでは立っていかないということですから、ひとつその実現方については大きい立場から、なおまた別な機会にも申し上げますけれども、
災害対策
を総括して引き受けておられる国土庁の政務次官、そういうことのないように、ぜひひとつ実現に御尽力願いたいと思います。いかがでしょう。
江藤隆美
311
○江藤
政府
委員
私は果樹議員連盟の事務
局長
もやってまいりまして、ミカンのことについては、いささかいままで関係をしてまいりましたので、非常な関心を実は持っていま拝聴してまいりましたわけであります。
農林
省の申し上げますのも、これは補助事業の本質にかかわる問題でございますから、それはそれなりに当然のことであろうと思います。しかしながら、今後さらにミカンを本当に生涯の仕事としてやる人たちが、十分に生計が成り立って、生産に励んでいくことができるように、今後ともにこの問題については取り組んでまいりたい、
農林
省とも十分相談してまいりたい、こう思っております。
湯山勇
312
○
湯山
委員
それから、これもお尋ねがあったかと思いますけれども、いま申し上げましたように、ミカンが取れなくなった農家あるいは予定どおりに品種更新ができなかった農家等は、いまおっしゃったような金が、八万幾らがあったにしても、
生活
自体にもかなり困る者が出てくると思います。それらの自創資金ですか、それらについては特別な配慮がなされるかどうか、それはいかがでしょうか。
江藤隆美
313
○江藤
政府
委員
さきにお答えを申し上げたわけでありますが、今回はこのような
災害
でございますから、十月八日の閣議で激甚法の
指定
をすべく、ただいま準備を整えておるところでございます。したがいまして、そういたしますと、今度は天災融資法の適用をする。天災資金の貸し付け、自制資金の貸し付け、それからまた各種の
政府
資金の、必要に応じては償還の延期あるいは場合によっては新たなる貸し付けということもあり得るかと思います。そういうことを総合的に検討して、遺憾のないように配慮してまいる所存でございます。
湯山勇
314
○
湯山
委員
いま政務次官お答えになった制度資金、系統資金、これらの措置、それは当然そうあってしかるべきだというように考えます。ただ、返還期日の来たようなもの、返済期日の来たようなものについては、借りかえか何かでつないであげないと、そのまま延長というのはなかなかむずかしい問題もあるかと思うのですが、それはどうなりますか。
杉山克己
315
○杉山
説明
員
農林
省の関係の制度資金のことにつきまして、江藤
国土政務次官
からお答えいただきましたが、そのとおりでございます。 それから、旧分貸付金の償還条件の猶予の問題につきましては、私ども、今回の冷害それから
台風
十七号の
被害
者に対しましては当然そういう措置をとる必要があると考えて、近くそういう具体的な指導を通達をもって出すことを予定いたしております。
湯山勇
316
○
湯山
委員
終わります。
柴田健治
317
○
柴田
(健)
委員長
代理 次回は、来る十月二日午前十時より
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十一分散会