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1976-10-29 第78回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十九日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 久野 忠治君    理事 奥野 誠亮君 理事 山田 芳治君    理事 林  百郎君       小島 徹三君    笹山茂太郎君       福永 健司君    松永  光君       三原 朝雄君    大柴 滋夫君       角屋堅次郎君    青柳 盛雄君       林  孝矩君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 天野 公義君  出席政府委員         警察庁刑事局長 土金 賢三君         法務大臣官房司         法法制調査部長 賀集  唱君         国税庁直税部長 谷口  昇君         自治省行政局選         挙部長     佐藤 順一君 委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  加地 夏雄君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  秋山陽一郎君         自治省行政局選         挙部管理課長  大林 勝臣君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       前田 正恒君     ————————————— 九月三十日  両議院議員選挙区の定数是正に関する請願(  増本一彦紹介)(第四四号) 十月七日  両議院議員選挙区の定数是正に関する請願(  平林剛紹介)(第四七四号) 同月十八日  障害者選挙権行使に関する請願津金佑近君  紹介)(第六〇九号)  船員不在者投票制度に関する請願吉田法晴  君紹介)(第六七九号) 同月二十七日  両議院議員選挙区の定数是正に関する請願(  増本一彦紹介)(第一一七七号) 同月二十八日  両議院議員選挙区の定数是正に関する請願(  小濱新次紹介)(第一五五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件  請 願  一 両議院議員選挙区の定数是正に関する請   願(増本一彦紹介)(第四四号)  二 同(平林剛紹介)(第四七四号)  三 障害者選挙権行使に関する請願津金佑   近君紹介)(第六〇九号)  四 船員不在者投票制度に関する請願吉田   法晴紹介)(第六七九号)  五 両議院議員選挙区の定数是正に関する請   願(増本一彦紹介)(第一一七七号)  六 同(小濱新次紹介)(第一五五五号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長代理 これより会議を開きます。  粟山委員長が病気のため出席できませんので、委員長指定により、当分の間私が委員長の職務を行います。  この際、天野自治大臣より発言を求められておりますので、これを許します。天野自治大臣
  3. 天野公義

    天野(公)国務大臣 このたび自治大臣を命ぜられました天野公義でございます。  選挙関係につきましては、かねてから当委員会皆様方に格別の御高配を賜っておりまして、この機会に厚く御礼申し上げます。  申すまでもなく、選挙民主政治の基盤をなすものでありまして、民主政治の健全な発展のためには、広く国民の参加のもとに公正な選挙執行を確保するとともに、常に国民政治意識の高揚に努めるなど、不断の努力を続けてまいらなければならないと存じます。  私といたしましても、責任の重大さを痛感し、最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。何とぞ特段の御指導、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
  4. 久野忠治

    久野委員長代理 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大柴滋夫君。
  5. 大柴滋夫

    大柴委員 今度われわれ国会議員選挙に、個人ビラの作成、配布ということが正式に認められたわけでありますが、私は、この個人ビラ新聞折り込みについて、二、三必要な点を自治省の方にお尋ねしたいのであります。  いままで新聞販売店協会とか代表とか、そういうものといろいろ話し合ってきたようにお伺いしておりますが、その結果、何らかの形式で地方選管に、新聞折り込みについては、大体こういうようなつもりでやりなさいというような指令を出したかどうか。指令と言ってはおかしいのでありますが、何か指図書ですか、もしそういうものがあればお示しを願いたいし、同時に、新聞販売店主や何かと話し合った点で、なかなか食い違う点もあるのではないか。そうしたならば、この際、各党で大方の合意を総選挙前に得ておきたいと思うのでありますが、その二つのことについてひとつお答えを願いたいと思います。これは大臣でなくて実務者の方で結構であります。何か地方選管への指図書があったら、こちらにも見せてくれませんか。
  6. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、この制度が新しく設けられましたことと、それからまた同時に、それが候補者選択の非常に重要な判断材料一つであるということにかんがみまして、各販売店に御協力をいただくということ、それからまた同時に、公正を期していただくということを日本新聞協会、特にその販売委員会という機構を通じまして各販売店お願いをいたしております。  それからまた同時に、その趣旨、それからその仕組みについて、一方では候補者方々、一方では有権者方々に御理解をいただくように特段周知、その他努力をいたすように都道府県選挙管理委員会にも必要な通知をいたし、指導をいたしておるところでございます。
  7. 大柴滋夫

    大柴委員 都道府県選挙管理委員会通知をした。これは参考書とかこういうものを各政党とかなににも送って、こういうようになっていますということは言ったわけですか。われわれ、各自民党に対しても社会党に対しても、全然そういうことはいままで説明してないのですか。どっちなんですか。
  8. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 政党に対しては特に申し上げておりませんけれども、しかし今度の衆議院議員の総選挙は、立候補の届け出から始まりまして、すべての管理執行が各選挙段階、すなわち都道府県段階で行われますので、立候補に先立ちまして、各都道府県段階立候補予定者との間の打合会が行われます。そういう席上を通じて十分御説明をする、こういう考え方でおるわけでございます。
  9. 大柴滋夫

    大柴委員 こういうものは、各党とも選挙の準備をするわけですから、選挙管理委員会通知をすると同時に、やっぱり各党にもやってもらう、こういうようにしてほしいですよ。われわれが聞かれたときに説明のしょうがないと言ってはおかしいのですが、そういう御親切さを持ってほしいと思います。  それで、各新聞店協力を要請し、公正を期待するということでありますが、大体各選管指導したことは、どういうような内容でありますか。
  10. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 都道府県選挙管理委員会指導いたしましたのは、先ほども申し上げましたとおり、自治省では、新聞折り込みによる頒布新聞という媒体を通じて行われるものであるため、新聞社それから新聞販売店におきまして極力これに協力されるよう、また候補者に対する取り扱いについて不公平になることのないよう日本新聞協会を通じて依頼をしているところでありますが、同時に、この新聞折り込みによる頒布が円滑に行われるためには、さらに一般有権者それから候補者方々理解協力が必要と考えられる、ついては各都道府県選挙管理委員会においても、新聞折り込みによる頒布の仕組み、性質、それから取り扱いの仕方というようなことについて、一方では一般有権者に対して、他方では候補者方々に対して十分周知徹底するように図られたい、こういうことを要望しております。  特に、いままで販売店はこれをチラシということで折り込みをやっておったわけでございますけれども、それにはいろいろな商慣習がある。その商慣習に従いながら、販売店候補者方々との間のいわゆる契約関係によってこれが行われている。この辺が非常にポイントであるわけでございます。その辺を中心として一方では有権者、一方では候補者方々周知をするように、こういう趣旨指導いたしております。
  11. 大柴滋夫

    大柴委員 実はどういう関係か、私が社会党選挙責任者だったためかもしれませんが、新聞販売店代表方々が来られまして、この個人ビラが他党の候補者攻撃しているような場合には、あるいは他党を攻撃しているような場合にはこれを拒否します、何とならば、新聞そのものは必ずしも個々政党代弁者ではありませんから、その政党のちょうちん持ちと思われても部数が減るであろう、われわれの商売を守るためにもそれは拒否します、こういうような向こう側申し込みであります。そこで私は、その他党の攻撃を著しい攻撃だと判断する人はだれであるかと、こう聞いたら、いやそれは個々販売店でいたしますと、こういう御返事でありますね。こういうことを聞いたことありますか。
  12. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 いまお話しのとおりではございませんが、そういう趣旨に当たることを聞いたことがございます。と申しますのは、従前から新聞折り込みにつきましては、政治問題等につきまして非常に極端な主義主張を述べたものについてはこれを扱わないという基準が、新聞協会加盟新聞社の間で取り決めがあったようでございます。  それに対しまして、今度改正法によりまして、新たな制度として、この選挙運動用ビラ新聞折り込みというものが始まったわけでございますので、これに対する協力と公正な取り扱いを私どもお願いいたしたわけでございます。そこで、これにつきましては、いまお話しのとおりではございませんで、極端な攻撃とか極端な中傷、誹謗、こういうものに当たる場合についてそのようなことがあるのかと思われるわけでございます。
  13. 大柴滋夫

    大柴委員 極端であるか極端でないかというものを判断するところはどこなんですか。
  14. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 冒頭申し上げましたように、今度の新聞折り込み候補者とそれから新聞販売店との間の契約関係において行われます関係上、販売店の側がそういう判断をする場合に、いま仰せのような問題が起こるかと思いますが、しかし、それにつきましては、協会全体としての考え方と申しますか基準があるはずでございまして、そのもとで行われると思います。決して一人の非常に独断的な考え方で行われるということはないだろうと考えております。
  15. 大柴滋夫

    大柴委員 例を挙げて大変失礼ですが、たとえば新潟県第三区、この田中金脈なりロッキード疑獄についてそれぞれの候補者批判をする。あるいは批判の中には明らかに攻撃的と思われる文章が含まれるかもしれません。そういう場合に、三区においてはこれが拒否される、二区、一区においては受領される、こういうようなことが起きてきませんか。
  16. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 具体のお話がございましたが、そのような場合にどのような判断がされるかということを私どもの方からは申しかねるわけでございますが、基本的には、今度の改正法で初めてこの制度が設けられたということから、従来の判断基準ではなく、極力これに協力をするように、そして公正を期するようにということを新聞協会を通じて依頼をいたしておるのが私どもの立場でございます。
  17. 大柴滋夫

    大柴委員 そこで、あなたのおっしゃるとおりだろうと思うのですけれども、実際的に個々販売店というのは、たとえば新潟県の田中さんのところでは拒否するようなところがたくさん出てくるだろうと私は思うのですよ。だから、どこかで何とかこれはチェックをすると言ってはおかしいけれども個人ビラなら個人ビラを、どうせ証紙を張るわけですから、県の選管へ持っていって、断られたらいやそれは断らなんでもいいんだというような、選挙管理委員会なり町でも県でもいい、そういうものがなければ事件が起こるのではないか。新聞店のおやじさんというか責任者というのは、自分なら自分判断においてそれをやるんだ。あなたの方は公正を期待するとは言っても、それぞれ向き向きのファンを持っているわけでしょう。だから、そういうことについてあなたの方は通り一遍のあいさつをされても困るんで、どうですか委員長、もう少し各党理事間か何かで、何か合理的な結末というか、結論というものを得られませんものですか、理事会を開いて。委員長と同時にあなたにお尋ねしておきます。
  18. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいまお話のありましたことにつきましては、新聞販売店側が一番気にしておりますのは、公職選挙法新聞折り込みによって頒布することのできる選挙運動用ビラ枚数というものには法律上の制限があるわけでございます。したがいまして、各候補者が多くの販売店、全体の地域の中からその限りある数を効果的に使うために新聞販売店、それから販売区域を選べるわけでございます。選ばれた特定販売店特定政党所属特定候補者という方の選挙運動用ビラ折り込みをいたしました場合に、それが即当該販売店あるいは新聞がその候補者を支持していることになるか、この問題点あたりが一番各新聞販売店心配するところでございます。それによる影響を非常に心配するわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、そのような心配を極力排除するためにいろいろな広報手段を使いまして、ある候補者がどの新聞販売店を選び、またどの区域に対して新聞折り込みを行うかということは候補者が選択するものである、しこうして、候補者販売店との間の契約において行うものである、この趣旨をできるだけ周知をいたしまして、したがいまして、新聞に折り込むということと特定候補者を支持しているのかどうかということとは、言うなれば関係がないことであるということを極力周知することによりまして、新聞販売店側心配を取り除きまして、それによって、一段と協力してもらう、こういう考え方に立っております。
  19. 大柴滋夫

    大柴委員 ぜひそういうようにやってほしいですよ。  ただ、朝日新聞販売店はこれを受け入れて頒布した、読売新聞はこれは誹謗攻撃だと判断して、しかもそれは同じ地区においてそういうことが起きるのではないかと思うのですが、あなたの方はそういう指導をやることによって、日本全国新潟県三区も含んで起きないというような大体見通しですか。
  20. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 全国を見ました場合に、決してそのようなことが絶対に起きないということは言えないと思いますが、先ほど申し落としたのでございますが、そのようなことにつきましていわゆるトラブルというようなものが起こりました場合には、都道府県選挙管理委員会というようなところで極力その間に入るように今後指導してまいりたいというふうに考えております。
  21. 大柴滋夫

    大柴委員 選挙でありますから、批判であるか誹謗であるかということは、なかなかむずかしい問題だろうと思うのです。たとえば社会党なら社会党の言っていることは、与党である自民党の言っていることと違うわけですね。そうすると、田中さんの支持の強い選挙区ではそれを拒否するというようなことが起きる可能性が多分にあるのじゃないか。そうした場合に、新潟選挙管理委員会が、まあまあそれはできるだけまいてやれというようなことにしてもらわぬと、いろいろな問題が起きるだろうと思う。だからあなたの方は、ぜひ極力散布する方法で御指導を願いたいと思います。それはよろしゅうございますか。
  22. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 先ほど申しましたように、従来そのような基準がありましたところに、今度新たに改正法によってこの制度が入ったわけでございます。そして選挙運動あるいは政策宣伝というものにはそれぞれ主張があるわけでございますから、そういったものが内容としてある性質を持ったビラ折り込みという制度が設けられた、こういう趣旨からいたしまして、業界におきましては従来とは変わった観点でこれに御協力いただく、しこうして公正を期していただくということをお願いしてまいりたいと思います。
  23. 大柴滋夫

    大柴委員 これもやはり販売店の人との話で出てきた問題でありますが、大体新聞販売店というのは、そういうものを受け付けるときに、五百枚、千枚が単位だというのですよ。だから、たとえば千八百軒の配布部数を持っておる新聞販売店でも二千枚のわれわれの個人ビラを受け付けるわけになりそうなんですよ。そうすると、二百枚というものは宙に迷ってしまう、これをどうするか。私のところはたなの上に上げておきます。あるいは私のところはそれを捨ててしまいます、そういう自由を認めてほしいというような主張があるのですね。あなたの方は、これは販売店主と何か話し合いをやったわけでありますか。
  24. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 そのことについても話し合いをいたしております。従来の新聞折り込み商慣習といたしましては、いまお話しのように、五百枚単位で受け付けるのが通例のようでございます。そして配布した残余販売店側に属する。したがって廃棄をしてもいたし方ない、こういう考え方に立っておるのが従来の商慣習であるそうでございます。しかしながら、選挙運動用ビラというものは、全体の枚数制限もあり、しかも候補者にとっては非常に貴重なものであるということからいたしまして、今度の新聞折り込みが始まるに当たりまして、私どもとしては販売店側に、このようなものが余りましたならば、それぞれの候補者側に御連絡をするように、それによって返却が可能になるようにとにかく御連絡をするように、こういうことをすでにお願いしております。
  25. 大柴滋夫

    大柴委員 われわれ候補者側の分に過ぎたお願いかもしれませんが、われわれの代理がそれを持っていったときに新聞販売店が、当販売店は二千三百枚新聞を配っていますから二千三百枚で結構でございますと、二百枚だか七百枚はその場で返すように、そういうことにはなりませんか。
  26. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 今回の制度を円滑に実施するためには、やはり新聞販売店側にも御協力をいただかなくてはならないという面もありましたので、話し合いの過程において、従来の商慣習と違う姿での受け付けまでは、私どもとしてはとうていお願いをいたすことができなかったわけでございます。それに対しまして、残余については候補者側に御連絡をするように、こういうことで依頼をいたしております。
  27. 大柴滋夫

    大柴委員 そこなんですがね。二千三百枚なら二千三百枚配っている新聞が、二千五百枚とか三千枚取って、残余はたなの上に上げておきます。速やかに取りに来てくださいと候補者連絡する、それも私は一つ方法だろうと思いますが、とにかく、契約に行ったときに、二千三百部の販売店だということがわかるわけでしょう。あなたのところは幾ら販売店ですか、二千三百枚、それじゃこの二千三百枚だけ置いていきます。こういうことになった方が、われわれの方から言うならば都合がいいのですよ。だから、一押しか二押しか知りませんが、そういうことはできませんかね、そういう御指導というか御要請は。
  28. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 いま仰せのありました一押し、二押しは、すでにいままでの間で実はやっておるわけでございますが、申し込みを受け付ける段階におきまして一定部数をいただいておくということは、これは新聞折り込みは、人の手による折り込み、あるいは機械による折り込みというものがあるようでございまして、そういったことも関係して、一定の余剰のある部数を受け取っておくというのが商慣習であったようでございます。
  29. 大柴滋夫

    大柴委員 なかなか商慣習の尊重は結構でありますけれども、そちらの方へ向かって、無理のない程度でひとつ御努力を願いたいと思うのです。  それから、私はビラ配布ということについて経験が比較的ないものですからよく知りませんが、東京と北海道とか鹿児島、いろいろ違うのでありますけれども、各社とも、このビラの一枚幾らとかなんとかというのは協定があるのでありますか。あの値段はどういうようになっているのですか。本当のことを言って、どうもその辺のところがわからぬから、非常に困惑をしているのですがね。
  30. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 その点につきましては、私どもも実は承知をいたしておりません。  ただ、それぞれの新聞販売点において、できるだけ従来と同じ考え方で扱うようにということを依頼をいたしております。  それに対しまして、新聞販売店側では、選挙運動用ビラにはある部分に証紙が張ってあるということから、たとえば機械による折り込みが困難だ、その店では他のチラシは全部機械で折り込んでいるけれども選挙運動用ビラに関しては手折りで折り込むことになるというような場合に、特別の料金をいただいてもよろしいかということでありまして、私どもといたしましては、そのような特別の手数がかかる場合の特別料金はこれはやむを得なかろう、こういう見解を示しているところでございます。
  31. 大柴滋夫

    大柴委員 これはわれわれも不勉強で教えていただきたいのですが、たとえばここ東京で、千代田区なら千代田区で、朝日新聞なり読売新聞なり毎日新聞なりに折り込むとすると、この値段は全く向こうに任せている、それも結構でありますが、現実の問題として、いま原価は大体幾らぐらいかわかりませんか。
  32. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 詳しくは承知しておりませんが、おおむね一枚二円前後というふうに聞いております。
  33. 大柴滋夫

    大柴委員 それは東京ですね。これは田舎へ行くようになりますとどうなりますか、たとえば鹿児島県なら鹿児島県。
  34. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 恐縮でございますが、その点については承知をいたしておりません。
  35. 大柴滋夫

    大柴委員 この新聞店へ出す配布費用というのは、公職選挙法選挙費用の中に入るのですか。
  36. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 これは選挙運動用費用に算入されます。
  37. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、ほぼ全国一定のものですか、それとも地域地域によって相当違うものですか、この費用というのは。先ほど古いましたように、鹿児島県のは知らぬにしても、これは地方へ行けば高いのですか、安いのですか。
  38. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 まことに恐縮ですが、承知いたしておりませんので、不正確なことを申し上げるとまた間違いのもとになるといけませんので、恐縮でございますが……。
  39. 大柴滋夫

    大柴委員 政党も不勉強で恐縮ですが、お役所の方も、こういうことでありますから、その辺の方はよく聞いておいてください。  それからもう一つお尋ねをしておきますが、われわれが新聞社に持っていって、あしたの朝これを入れてください一あしたの朝といっても時間がなければ困りますけれども、あしたの夕刊に入れてください、朝刊に入れてくださいという指定はきくのでありますか。
  40. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 指定はききます。しかし、きょう持っていってあしたの朝ということになりますか、それともう一日前に持っていくかは、それぞれ現地でその新聞販売店と御協議をいただきたいと思うわけでござ・います。
  41. 大柴滋夫

    大柴委員 十二月五日が選挙だとすると、十二月五日の朝入れてくれということはききますか。
  42. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 これはそういうことがきくかどうかではございませんで、公職選挙法上の制限があるわけでございます。すなわち、公職選挙法の百二十九条におきましては、選挙運動選挙期日の前日まででなければ行うことができないことになっておりますので、したがいまして、投票当日各戸に配られるような新聞折り込み依頼の仕方はできないわけでございます。
  43. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、三日か四日に持っていって、四日の夕刊に入らなかった。とにかく、そうなりますと五日の日は、事務上その他のことがあっても絶対に入れない、こういうことは言えるわけですね。
  44. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 仰せのとおりでございます。
  45. 大柴滋夫

    大柴委員 大体わかったのでありますが、初めから申しましたように、著しく他党を攻撃するその判断——恐らくそういう事件が出てくるだろうと思いますが、どこかで何かの調整機関がないと、あなたば選挙管理委員会指導する、指導と言ってはおかしいが、何か仲立ちの役をしてもらうと言いましたが、ぜひそれを地方のそれぞれの選挙管理委員会に通達をお願いいたします。  終わります。
  46. 久野忠治

    久野委員長代理 次に、関連質問の申し出があります。これを許します。山田芳治君。
  47. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いまのビラに関連をいたしまして、北海道五区では新聞が各戸に配布をされているのではなくて郵送をされている。その場合にビラ新聞折り込み依頼をすると、それは第三種郵便にならないということで拒否をされるということになっているようでありますが、これについてはどういうふうな指導をされるのか、そういう方針が決まっておったらひとつこの際、この席で明確にしていただきたいと思います。
  48. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 お尋ねのように、新聞が郵送配達される場合には、一般的に第三種郵便物として郵送されているようでございます。  そこで、第三種郵便物として郵送されている新聞選挙運動用ビラを折り込んで頒布することができるかどうかという問題でございますが、郵便法及び郵便規則におきましては、第三種郵便物に添付することのできるものは制限をされているわけでございます。選挙運動用ビラに限らず、ビラの類を入れるということはできないことになっております。したがいまして、郵送による新聞配達をしている地区におきましては、今回の選挙運動用ビラ折り込みはできないかと存じます。
  49. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 しかし配布の方途は、法律で「新聞折込みその他」ということで、あとは政令に任せてあるわけですね。基本的に新聞折り込みということを公選法は決めてある。もちろんこれは私が出した修正案の中にあるわけですから、折衝の過程の中でわれわれがもっと自由にという主張をしたわけであります。やはり新聞折り込みでということの合意の中でそうなっているわけですから、北海道五区といえども新聞折り込みということが基本の考え方で、それ以外はむしろ政令にゆだねているという形で自由の方式なんだというふうに考えるなら、できるだけ郵政省の規定なり規則なりの中に選挙用の個人用ビラについてはこの限りでないというような特例を設けてもらう、その他一般ビラとは性質を異にしているんだというふうに思うのですが、そういう折衝をして、それはできるという道を開く意思はありませんか。
  50. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 先ほど申し上げました郵便法の第二十八条の第二項でございますが、そこに根拠規定がございまして、省令、郵便規則三十一条にその規定を譲っているわけでありますが、この規定を見てみますと、第三種郵便物である定期刊行物に折り込むことのできますものは、たとえば懸賞を募集します場合の返信用のはがきといったような非常に限られたものでございまして、どうもこれこれこういう場合のビラはよろしいという規定は設けることが非常に困難ではないかというふうに考えております。
  51. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 困難であるというのはあなたの判断ですか。郵政省と交渉された上で困難であるというのか。それならひとつ郵政省の方を呼んでもらって一遍聞きたいと思いますが、そこらあたりの経緯をひとつ……。
  52. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 この点については、まだ郵政省の方の見解を聞いておりませんので、私の方から一度見解を当たってみることにいたしたいと思います。
  53. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それならこの点は明確にしてもらうために早急に聞いてもらって、また後で四日に行われる理事会なり何なりに報告をしてもらって、できるだけ前向きで善処してもらうということを条件にして、この際若干の留保をしながら委員長お願いをいたしておきます。  それから次に、行政管理庁の加地審議官が来ておられますが、実は前国会で公選法が改正されて成立をしたときに、わが当委員会においては、中央地方を通ずる選挙管理機構の整備強化というものについては政府において積極的に行うべきであるということの決議をいたしたわけであります。その趣旨内容は、自治省選挙部というものは、いま言いましたように、非常に細かい問題やその他具体的な事務を多数抱えておるにもかかわらず機構そのものとしては非常に弱い、局のもとにおける部、しかも人数その他が非常に少ない、政治資金規正法の改正に伴って数名の定数がふえたという程度であるということで、われわれとしてはこれでは、いま言ったいろいろな総選挙に当たって詰めなければならない問題もまだ十分詰められておらぬという状況であります。しかも今後金のかからぬ選挙というものをやるに当たっては、選挙を管理する機構なり政治資金規制の問題等については、今後ますます重要な役割りを果たしていかなければならないにもかかわらず、部であるということはいかにも不十分ではないかという趣旨であったわけで、それとともに、昨年は、自治省選挙部を選挙局に昇格をするということで行政管理庁と協議をしたわけでありますが、成立をしなかったわけであります。  当時、私は松澤行政管理庁長官に、民主主義の最も基本的な手続を行う選挙執行に当たる機構が選挙部であるということははなはだおかしい、早急に局に昇格をする意思はないのかという質問をいたしましたところ、その必要性は認めるけれども財政が非常に厳しいので、この際はひとつお許しをいただきたい、こういう回答であったわけです。財政がきわめて厳しいという実情は今日もそればまだ続いているといえばそうであろうかと思いますけれども、昨年の状況に比べれば、来年は少なくとも政府は七%の経済成長の見通しを立てて恐らく予算編成その他に取り組まれるのではないかというふうに聞いておるわけであります。したがって、いわゆる安定成長路線というのは七%ぐらいなんだということであれば、来年度は財政がきわめて厳しいという理由はなくなるのであって、すでに選挙局に昇格の問題は自治省の方針として大蔵当局にも要求し、行管当局にも要求しているというふうに聞いているわけであります。  せんだっての地方行政委員会の席で天野自治大臣に伺ったところ、これは断固としてやりますというお答えでありましたが、まず行政管理庁の方でいまヒヤリングをしているのだそうであります。財政的な理由で昨年は見送られたけれども本年はぜひひとつ、恐らく来年度の経済成長は七%ぐらいにはじかれるであろうということを想定するならば、そういう前提条件はなくなるのではないかというふうに思うので、この点についての行政管理庁の意見と、それから地行委においては大臣の意見を聞きましたけれども、これはやはり公選法特別委員会において決議をしたのであるから、これについての天野自治大臣の現在の考え方を明確にひとつお示しいただきたい。
  54. 加地夏雄

    ○加地説明員 先生いまお話しのように、五十一年度に引き続きまして、五十二年度の要求につきましても、選挙部の選挙局昇格の要求が出てまいっております。お話のように、現在私ども行政管理庁では慎重に検討を続けておるところでございまして、いまの段階で結論を申し上げるわけにはもちろんまいらぬと思いますけれども、ただ、いま先生御指摘のお話の中で、昨年の状況と比べてことしは、今日の経済あるいは財政状況の厳しさというものが少し変わっているんではないか、こういうお話もございます。いろいろ見方もあろうかと思いますけれども、財政状況あたりは、見方によりましては、昨年以上に厳しい、こういう考え方もあるわけでございますが、行政管理庁は、実は各省からの要求をいただきまして、例年のことでございますけれども、来年度の一般的な審査方針というものを決めまして、これは大臣から閣議で御報告申し上げ、関係大臣の御協力を要請しているところであります。その考え方といたしましては、昨年度と全く同じような考え方を実はとっておるわけでありまして、と申しますのは、やはりいま申し上げましたように、今日の経済なりあるいは財政状況、特に財政状況は非常に厳しいものがございまして、いわゆる行政の効率化とか合理化というものをさらに進めていって、行政コストの節減を図る必要がある、こういう一つの原則のもとで、機構の膨張でございますとか、あるいは公務員総数の増員でございますとか、こういう点につきましては極力抑制をしていきたい、こういう考え方をとりまして、そのもとでいま検討いたしておるような次第でございます。  それからなお、昨年当委員会で御決議をいただきました選挙二法の改正に伴う附帯決議の趣旨でございますが、昨年、五十一年の査定に当たりましても、私ども十分そういった御趣旨を考えまして、当時の審査の段階でも御承知のように、選挙部は一部二課でございましたけれども、特に政治資金課の新設ということ、それに合わせてそれの定員措置を講じてまいったというふうなことでございまして、お考え方はいろいろあろうと思いますけれども、私どもとしては、そう大きな情勢の変化はあろうとは思っていないというふうに考えている次第でございます。
  55. 天野公義

    天野(公)国務大臣 選挙民主政治の基盤であることを考えますときに、中央と地方を通じまして、選挙管理機構の役割りはきわめて重要であるわけであります。時代の趨勢に応じて、さらにその機能を充実強化していく必要があるわけでありまして、ただいまもお話がありましたように、この七月から自治省選挙部に政治資金課を新設したところでございます。したがいまして、これから選挙の重要性というものは、ますます増してくるわけでございますので、私といたしましては、今後なお一層、選挙部を選挙局にして、その重要性に対応できるような体制をとらしていただきたい、かように思っている次第であります。
  56. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ちょっと頼りないので。前の福田自治大臣は、昨年の予算編成の大綱を閣議で決めるときに、局部を増減しないということについては一度拒否をして、選挙局に上げなければならぬということについて強い態度を示されたわけであって、最終的には、財政上の問題等もこれあり、必ずしも目的が実現されたわけではないのでありますが、そのくらいの措置をとられているのでありますから、新しい大臣もひとつそのくらいの意気込みでぜひやってもらわないと、これから政治資金規制の問題についてもいろいろと他の委員からの質問があるというふうに思いますけれども、きわめて重要な民主政治の基本の手続として、しかも金のかからない選挙制度あるいは政治活動をどうして実現するかというのは、これは総選挙を前に控えて恐らく各党ともこれについての考え方というのが明確に出てくると思うのです。私どもは、西ドイツ等において各党の得票数に応じて政府から交付金なり補助金と申しますか、出しながら政治資金を一方で制限をしていくという物の考え方というものをこの際取り入れていくべきだというようなことも内部で討議をしつつあるわけであって、いかにして金のかからない政治、選挙制度というものを実現するかというのは現下日本における喫緊の要なんでありますから、こういう点にひとつ思いをいたして、ぜひひとつ大臣においても、また行政管理庁もそういう事務的なことばかりでなしに、高い次元で物を判断してもらいたいというふうに思います。  いずれ総選挙の後で特別国会が開かれるであろうと思いますから、その席にはまた行政管理庁長官にも出席を願って、この点について明確な回答をいただくようにいたしたいというふうに思いますが、われわれとしては、そういうふうな考えでいるということを十分ひとつ承知をしておいていただきたい。われわれが決議をした趣旨はそこにあるのだということをぜひひとつ含んでおいていただくということで、一応結構です。  次は、法務省の司法法制調査部長にお伺いをいたしますが、最高裁判所の裁判官の国民審査の問題であります。  憲法の第七十九条第一項ないし第四項に最高裁判所の裁判官の国民審査の規定があるわけでありますが、この規定についての解釈というものがいま一応定着をしているというふうに、私どもは法制的に見るならば、昭和二十四年あるいは二十七年の最高裁の大法廷における判決という中に示されているものであろうかと思うのでありますが、むずかしい法律用語は別として、要するに、現在はバツをつけたものが何もしないものよりも多数の場合には罷免されるのだという罷免の手続なんであって、任命の完成行為ではないのだという考え方に立っているというふうに思います。それはそれとして、最高裁の判決でありますから、これを批判することは遠慮しなければならぬだろうと思いますけれども、その当時のこういう考え方の立法政策はどういうところにあったのであろうかという点について、まずお答えをいただきたいと思います。
  57. 賀集唱

    ○賀集政府委員 その当時の立法政策につきまして私ども調査いたしましたのでございますが、やはり御指摘のように、これは憲法十五条で国民による公務員の罷免権というのが規定されておりまして、その国民による公務員の罷免権に基づく解職、いわゆるリコールでございまして、その制度であります関係上、任命行為に対する審査、または任命行為の効力を確定させる手続の性質を有するものではないという、たてまえでございますか、そういうところから出発したと考えております。
  58. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 要するに、もっとわかりやすく言うと、何もしないのは意思要示がないのだから、罷免を可ともしなければ、棄権というか意思表示をしないものという二つに分けられると思うのですね。バツをつけているものは、これは明らかに罷免を可とするということは意思表示としてわかるけれども、何も書いてないものは積極的に信任をする、あるいは任命を可とするのだというわけではないという形になるわけですから、その何も書いてない中には二つの要素があると思うのですね。積極的に支持をする、任命を可とするという票と、何もわからないから何もしないという二つがある。その場合の後者も、これは判例によると、内閣の行政行為というものを信頼をして意思表示をしなかったように言われておるわけでありますが、そういうふうな理解というものは、果たして新たな立法政策としてはどういうものであろうかという点についてはいかがお感じになりますか。
  59. 賀集唱

    ○賀集政府委員 御質問は、先ほどの御発言の中にもございましたように、憲法に基づく制度をどのように持っていくかという問題でございまして、憲法解釈に関連いたしますので、あるいは内閣法制局においてお答えするのが適切かとも存ぜられます。  ところで、内閣法制局の意見としましては、ちょうど前回の国会から引き続き当衆議院の法務委員会におきまして審議されております。野党議員御提案の最高裁判所裁判官国民審査法一部改正案の審議におきまして、現在の真田法制局長官が次長時代にその点の説明をいたしておりますので、それをちょっと御紹介させていただきます。  最高裁判所裁判官の国民審査の制度は、一体性格は何だということが第一の出発点でございまして、先ほど提案者の方も、これは解職の性格を持っているのだということをおっしゃっておりました。私たちもそのとおりだと思います。つまり解職でございまして、裁判官の任命についての適否を審査するというものでは実はないわけでございます。そういうことでございますので、適法に、有効に在職していらっしゃる最高裁判所の裁判官をやめさせたいという人が多ければ罷免になるということでございまして、つまり投票者を二つに分けまして、積極的にやめさせたいぞという票とそれ以外の票とを分けるというのが制度の根本に沿うものだろうと思います。第二番目のグループのそうでない票というものの中には、実はしさいに見ますと幾つかありまして、積極的に信任するという票もありましょう。それから信任していいのかどうかわからぬからといういわゆる白票もあろうと思いますが、いまの解職制度というような国民審査の制度の本質に照らしました場合には、実は第二のグループの中の色分けはさほど意味がないんだろうというふうに考えるわけでございます。 また、別のところにも、  最高裁判所の裁判官国民審査の場合には、だれだれ、何裁判官をやめさせたいという案件が先行ずるわけではございませんので、制度的に一括して、国民に解職の機会を与えろというだけでございますので、先ほど来申しましたような、そういう解職制度の本質から見て、いわゆる先ほど申しました白票も過半数の場合の分母に入れるということは合理的であるというふうに考えるわけでございます。 法務省といたしましても、この考え方に立脚いたしております。
  60. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、積極的に可とするものと否とするものとの比較考量においてどうするかという考え方は、いまの政府としてはとろうとする意思はないということですね。
  61. 賀集唱

    ○賀集政府委員 仰せのとおりでございます。
  62. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 われわれとしては、わからない人というのはこれは意思表示が白紙なんでありますから、やはりマル・バツ方式に変えるべきだという意見で法案を確かに法務委員会に提案をしているわけでありますが、近く行われる総選挙においてもこの問題が出てくるわけであります。われわれとしては、もちろん法務委員会の所管ではありますけれども、実際の選挙をやるのは選挙管理委員会がこの事務にタッチをしていくわけでありますから、やはり国民の意思表示というものが明らかにされるという制度に切りかえるべきである。なぜかならば、この国民審査の方式というものは、日本では新しい憲法ができて以来なじみがなかったと思うのでありますけれども、戦後三十年もたって、国民の民主主義なりあるいは裁判制度に対する認識というものも非常に進歩をしているのですから、当初のような、制度になじみがないからということで、何らの意思表示もないというようなものもこれは政府の任命行為を認めているんだというようなフィクションですね、擬制というものは当たらないのではないかというふうにわれわれは考えておりますけれども、一応政府の見解をただしたわけであります。  若干時間がありますから、最後に、選挙部当局にお尋ねをいたしたいのですが、参議院の地方区の定数が、新しい昭和五十年の人口の調査によっても、岐阜とか宮城というものは群馬とか栃木というように、一人当たりの人口比が逆転をしているところがあるのですね。四割り当てられているところと二割り当てられているところが逆転をしているというものについては、これは政府みずからもやはり——逆転のところは違憲ではないかということを、真田法制局長官、当時の次長でありますが、に聞いたら、政府みずから違憲でございますということはよう言えません、苦しいところですからひとつ答弁を御勘弁願いたいというような答弁であったのですが、少なくとも逆転しているというようなところは、政府みずからの手で直していくというような発議をすべきではないかというふうに思うのですね。岐阜とかあるいは宮城というものは、現行の二名よりも四名ですね、表四名のところよりも人口が多い。逆転選挙区だけは少なくとも最小限、政府として直すべきではないか。国会議員のことだから国会でどうぞ話し合って、と言うけれども、そういうところだけは政府みずからも発議すべきではないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。
  63. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 確かに、仰せのとおり、人口で見てまいりますと、宮城県と岐阜県は、すでに四人区になっております府県よりも人口が多いということで、逆転ということも言えるわけでございますが、しかしながら、その宮城、岐阜河県も、これは配当基数という計算をしてみますと、すなわち議員一人当たり人口でその県の人口を割ってみますと、その配当基数は宮城の場合で二・六五五、岐阜の場合で二・五三七という数字が出るわけでございまして、依然として二という基本の数字の周辺にあるわけでございます。これを四人区にするということの提案は、とうてい政府といたしましても直ちにはいたしかねるという性質のものであろうと思います。
  64. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それなら逆に、そういうことになると、逆転しているわけでしょう、結局それよりも配当基数の少ないところで四があるわけですね、それとの関係はどうお考えになりますか。
  65. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 現在参議院の公職選挙法特別委員会の小委員会におきまして各党間でお話し合いが進んでおりますのもこの辺を中心としてでございますけれども、しかしこの場合、むしろ全体を見渡しまして、定数増だけではなく、定数減も含めまして論議が進んでおるのがこの辺のことを物語っておるのではないかと思う次第でございます。
  66. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そういう全体のことは選挙法の小委員会を設けてやっているのですが、少なくとも逆転しているようなところぐらいは政府みずからの発議があってしかるべきではないかというふうに思いますので、その意見はいずれ、これもこの臨時国会では物になりません、続いて次の委員会で論議をしていかなければならぬ問題だと思いますが、要するに逆転をしているというようなことだけは政府も積極的に直していくという姿勢があってしかるべきではないかということを質問したのであります。時間も来たようなので、いずれは次の特別国会等を通じて論議をしたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。
  67. 久野忠治

    久野委員長代理 次に、林百郎君。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 いまの定数是正の問題については、国民投票価値の平等についての重要な問題でございまして、最高裁の判決をまつまでもなく、憲法に決められている主権者である国民の参政権の平等という面からしても守られなければならない最大の課題だと思うのですね。  そこで、まず衆議院と参議院と分けてこの問題についてお聞きしたいと思うのですが、衆議院の議員定数の是正について、本年の四月の最高裁の違憲判決の後に神奈川三区の有権者の会、それから千葉四区の住民から、相次いで議員定数の不平等を理由とする総選挙公示の差しとめの訴訟が提起されている、このことは御存じでしょうな。  そこで自治省にお聞きしたいのですが、衆議院では、現定数のもとで議員定数の不均衡、つまり議員一人当たりの人口の格差が最大となっておる選挙区はどこで、どのくらいの開きがあるか、五十年の国勢調査人口と五十一年九月十日現在の有権者数で、どこの区とどこの区の比率が一番際立って不平等になっているかという数字を示してもらいたいと思います。
  69. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいま手元に五十年国調の結果の数字だけ持っておりますので、まずお答えさしていただきたいと思います。  五十年国調の結果によりますと、議員一人当たり人口の最高は千葉四区でございまして、議員一人当たり四十一万一千八百三十五人でございます。最低であります兵庫県第五区との偏差は三・七二倍と相なっております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 九月十日現在、この有権者数は、その後兵庫五区と千葉四区でどう変わったかわかりませんか。ことし調べてみませんでしたか。
  71. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 恐縮でございますが、いま具体的な数字が手元にありませんので、後刻……。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私の方から言いましょう。九月十日の有権者数から言いますと、兵庫五区と千葉四区では一対三・四八、一に対して三・四八になっているわけですね。最高裁の違憲判決もありますし、また違憲判決をまつまでもなく、基本的な国民の参政権の平等という面からいっても、これはやはり直さなければならない問題だと思いますが、自治大臣、どういうようにお考えになりますか。現実にすぐそれが事務的に運ばれるという問題と、また理念的な問題とは、おのずからそこに若干のギャップがあるのはやむを得ないと思いますが、自治大臣、理念的にはどうお考えになりますか。
  73. 天野公義

    天野(公)国務大臣 理念的には不均衡のないようにしていかなければならないわけでございますが、昨年の通常国会におきまして不均衡の特に著しかった十一選挙区につきまして定数を是正いたしまして、今度の総選挙にこれが実行されるわけでございます。しこういたしまして、今後も問題の重要性にかんがみましてさらに研究を重ねていき、またこういう問題につきまして各党の御協力も得ていきたいと思っている次第であります。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、とりあえず問題になっているのは参議院の地方区についての格差ですが、五十年の国調の人口で、鳥取と神奈川で議員の一人当たり人口の不均衡は、実に一対五・五〇というまでに拡大しておるわけでありまして、これはいろいろの口実を設けて是正を引き延ばすわけにはいかない状態になっている緊急な課題だと思いますが、これについて、衆議院は将来検討してできるだけ是正の方法を検討したいという答弁がありましたが、参議院の地方区は来年もう参議院の選挙があるので、一対五・五〇というのは、違憲判決の判示内容からいっても是正しなければならないものでありますが、大臣としてはどういうようにお考えになっていますか。
  75. 天野公義

    天野(公)国務大臣 一つだけ取り上げてこれをどうこうするということはなかなか困難な問題でございます。したがいまして各党間の御協力を得ながら、参議院の地方区の問題につきましては努力をさしていただきたいと思っております。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 各党の意見の一致を待つということですが、それでは自民党としてはどういうお考えをお持ちになっていますか。
  77. 天野公義

    天野(公)国務大臣 いろいろ議論があるようでございますが、結論は出ておりませんと聞いております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 各党の意見の一致を待つというのですが、意見がない党があったのでは意見の一致ができないわけなんです。それは大臣としては、大臣の持っている理念を貫くためにどうするお考えなんでしょうか。あなたも自民党員の一人ですからね。こういう著しい不均衡は、これは憲法の精神からいっても直さなければならない。あなたは各党の合意を得たいと言っている。各党の合意を得るというときに、与党である自民党の案がまだ決まっておらないということでは合意のしょうもないわけですね。どういうようになさるつもりですか。
  79. 天野公義

    天野(公)国務大臣 私は、確かに自民党の議員でございますが、いまこちらの方の責任者になっております。党には党の立場、考え方があるわけでございまして、各党間で御折衝を願っていかなければならない問題であろうかと思っております。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 何を言っているかよくわかりませんけれども、いずれにしても、自民党も誠意をもって各党と話し合ってこういう是正を調整するように、あなたは自民党の党員としてもそういう態度をとるし、また直接行政の最高の責任者としての立場からもそういう方向で努力する、こう聞いておいていいですか。
  81. 天野公義

    天野(公)国務大臣 この問題はただ単に人口是正の問題ばかりでなくて、もっと基本的な問題も絡んでくるのではないかと推測をいたしているわけでございます。たとえば全国区の問題をどうするか、あるいは地方区の定数をどういうふうに考えるか、りっぱな選挙制度ができるように希望いたしている次第であります。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、そういう基本的な立場があるとすれば、そういう基本的な立場についてどういうようにしようというわけなんですか。あるいは自民党はどうしようと考えているのですか。まだ全くないということなんですか。新聞ではいろいろ報じられて、われわれも知っておりますけれども。あなたが、単なる人口差だけでは解決できない問題だ、全国区の問題もあると言われました。それはそれで一応聞いておきましょう。それでは全国区をどうすると言うんですか。
  83. 天野公義

    天野(公)国務大臣 各党間でよくお話し合いを願い、よりよきものにしていただきたいと思っております。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもこれは幾ら問答してもあれですから……。あなたも当該行政の最高責任者ですから、とにかくどういう案にしろ自民党から責任ある案を出す、また野党もそれについて各党のそれぞれの責任ある案を出して検討するということでないと前進しませんので、そこをひとつ十分考慮されたい、こういうように思います。  次に、政治資金規制と今度のロッキードの問題との関係でどうもわれわれ割り切れない問題がありますので、この点について聞いてみたいと思うのですけれども、まず第一に、今度のロッキード疑獄に対しては、国家公安委員長としての立場、また政治資金の行政責任を持っている自治大臣、両方の立場からしかるべきお考えがあってもよろしいと思うのですが、どうお考えになられますか。なぜこういう問題が起きたのか、どういうところに根本的な原因があるのか、どういう方向でこういうことを二度と起こさないようにしたらいいかというようなことをお考えになっていると思うのですけれども、どうでしょう。
  85. 天野公義

    天野(公)国務大臣 一つは、政治家のモラルが基本にあると思います。それからもう一つは、なるべく金のかからない選挙をやり、またそれに基づいてきれいな選挙をやるようにみんなが努力していかなければならないと思います。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 政治家のモラルというのはどういうことですか。英語で言ってもよくわからないのでありますが、どういうモラルが必要なところが欠けていたというのですか。金のかかる選挙というのはどこへ金がかかるのですか。
  87. 天野公義

    天野(公)国務大臣 モラルは道義もしくは道義性でございます。金のかかるというような問題につきましては、政治あるいは選挙をやっていく場合にはやはりある程度金がかかるわけでありまして、法定選挙費用というものもあるわけでございます。あるいは事前の国会報告演説会をやるにいたしましても、ただではできません。いろいろなつき合いというものもございます。それやこれやひっくるめまして、全然金のかからないということはあり得ないわけであると思っております。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 もう少し具体的に言っていただきたいのです。政治家の道義心が必要だというのは、そうすると、このロッキードに関係した人たち、特に自民党からたくさん出ているのですが、自民党の政治家の中にそういう道義心を欠いていた人がいたということなんですね。そういうことですな。その道義心というのはどういうことなんですか、よくわからないのですが。  それと、金が要るという1金が要らないとはわれわれ言いません。金が要るからこそ法定選挙費用があるわけでしょう。あれで足りないならどうして法定選挙費用を実情に合うように変えていかないのですか。金が要るから賄賂をもらってもいいのですか。
  89. 天野公義

    天野(公)国務大臣 金が要るから賄賂、じゃないのです。賄賂をもらってはいけないということです。ですから……(林(百)委員「私はロッキード問題を聞いているのですよ」と呼ぶ)ロッキード問題では、起訴をされた方々に対しましては、ちゃんと起訴状にその問のことが書いてあります。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかよくわからないのですが、私は、ロッキード問題がどうして起きたのか、その根本はどうかと聞いたらば、政治家に道義心がない、それから選挙に金が要ると言うから、選挙に金が要るからこそ法定の費用がちゃんと法律で決まっておるわけですから、もしそれが要るならそれを広げればいいわけでしょう。その範囲でやればいいわけでしょう。何も賄賂をもらってまで、しかも外国の会社からもらって、それを選挙に使わなければいけないというわけじゃないのでしょう。道義心というのはどういうことなんですか。要するに、政治家がそういう法律に触れるようなことを平気でやるということ、あるいは法律に触れておるけれどもそれが時効で消滅したとか、あるいは政治的、道義的な立場から手をつけていけない金に手をつけたということなんですか。余り聞かれると困るというなら困ると言えば、私の方もとめます。
  91. 天野公義

    天野(公)国務大臣 これは大体常識で御判断願いたいと思います。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、私どもの持っておる常識とどうもあなた方の持っておる常識と違うようですから、それで聞いておるわけですが、どうもあなたは本当に国家公安委員長として、そして選挙に関する最高の行政責任者としてのお立場を自覚してないように思うわけなんですね。  そこで、あなたの言う政治に金が要る、そうすると政治に使う金ということになると、賄賂性というものは一体なくなるのかどうかということですね。この件について私は非常に問題があると思うのですね。たとえばここに、岡崎全日空相談役がこういうことを言っておるのですね。これは九月二日の東京新聞ですが、「全日空が政治家に贈った金は政治献金だ。そこにはワイロ性があるかもしれないが、その意味では世の中の政治献金はみな同じで、どこの会社もすべて摘発されねばならない」、「裏金づくりも政治家が裏金による献金を求める結果であって、それをやっていない企業はないのではないか」、もう献金する方が、企業の責任者がそれは賄賂性があると認めておるのですね。それをもらっておる。こういうことについては、どういうようにお考えになりますか。  それから刑事課長、政治献金ということになると、賄賂性というものはなくなるのですか。これは岡崎嘉平太氏自身が、全日空が政治家に贈った金は政治献金だがそこには賄賂性があるかもしれない、自分でこう言っておるのですね。これについては、どういう解釈をしたらいいのですか。まず大臣、どうお考えになりますか。
  93. 天野公義

    天野(公)国務大臣 政治資金は政治資金でございます。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 それはわかっておるよ。そんな木で鼻をくくったようなことを言わなくて、賄賂としてもらった金が政治献金として届け出られれば賄賂性がなくなるということなんですか。これは少し法律的な問題が出ますので、吉田さんにそこら辺の解釈を聞きたいと思います。
  95. 吉田淳一

    吉田説明員 お尋ねの点についてお答えしたいと思います。  一口に政治献金と申しましても、その性格はいろいろあるように思います。純粋に政治家の政治活動、その信念を支持したいということで行う政治資金というのが最も典型的なものだと思いますが、あるいは具体的な利益をある程度期待しておる、そういうような政治献金も中にはあるのではないかと思います。  問題は賄賂罪との関係でございますけれども、収賄罪が成立するためには、申すまでもなく、刑法によりまして当該公務員の職務に関する賄賂であるかどうかということが問題の決め手になるわけでございます。たとえばその当該公務員の職務というものがどういう職務であるのか、金銭を提供した趣旨がその職務との関係で対価関係を持っているのかどうか、そういうような点で賄賂罪の成立が分かれるわけでございます。もしそういう事実が認定できるならば、政治献金という名目であろうと、どういう名目であろうとも賄賂罪が成立することば疑いのないところでございまして、問題は、その賄賂罪に当たらない、すなわち職務に関する賄賂とは認定できない場合、これは刑法の領分から離れていくわけでございますが、その中に一般に政治献金と言われるものもあるかと思います。いずれにしても、賄賂罪が成立するかどうかは当該公務員の職務に関して金品が収受されているかどうかという一点にかかる、それに当たればいかなる名目であろうとも犯罪は成立する、そういうふうに考えております。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、公務員または仲裁人等でありますが、職務に関して賄賂を受け取った場合に、仮にその賄賂が政治資金として届けられていたとしても、それはその賄賂性というものはなくなるわけではない。要するに、公務員がその職務に関連して賄賂としてもらった、そういう金である限り、それを仮に政治献金として届けたからといってその賄賂性というものがなくなるものではない、こう解釈していいんでしょうか。
  97. 吉田淳一

    吉田説明員 法律論といたしましては、全く御指摘のとおりだと思います。ただ政治家個人が金品——いわゆる政治資金規正法上の公開制度にはいま対象になっておりませんので、その届け出という御指摘は、恐らく政治団体に何か入ったときのことに具体的にはなるかと思いますが、いやしくもその当該公務員の職務に関する賄賂として一たん収受した以上は、いかなる形式をとろうと、自後いかなる形をとろうと賄賂罪が成立し、賄賂罪が後で成立しなくなるなんということはないと思っております。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私もあなたの言うとおりだと思うのですよ。ただ政治団体にもいろいろの性格を持ったのがありますから、もうほとんど個人の金銭の出入りが政治団体という名義をもって行なわれる場合があるんで、政治団体への収入あるいは政治団体からの支出というものが非常に個人的な性格を持っている場合は、もしその金が賄賂性を持った金だとすれば、当然それはもう賄賂として考えられる。その政治団体自体が、もうほとんど個人での金銭の出入りを政治団体というカムフラージュされたものにすぎないような場合は、賄賂という性格は、あなたも言われているように当然もう消えないというように考えていいんでしょうね。もともとその金が賄賂性があるという以上は、あなたも言われているように、仮に政治団体という組織を通って入ろうとあるいはそういうものを通って出ようと、その金自体が賄賂性を持っていたものであるということがはっきりしている限りは、それはもう収賄罪における対象になる、こう見ていいんでしょうな。
  99. 吉田淳一

    吉田説明員 その賄賂性という意味がやはり多少問題だと思うのでございますけれども、先ほど読み上げました全日空の方のお話がどういう趣旨で賄賂性ということを言われているのかよくわかりませんが、私どもが賄賂であると申しているのは、当該公務員、政治家であればたとえば国会議員、そういう国会議員の本来の職務に関する賄賂であるかどうかという点になるわけでございまして、そういう意味で、それとの対価関係に立つならばこれは間違いなく賄賂であるし、かつその後どういうような形式をとっても賄賂性を失うものではないということを申し上げたわけでございます。御指摘の、賄賂性があると一般に通常の人が言う場合と、私どもが刑法の賄賂に当たるかどうかということと必ずしも一致しない面があるかもしれませんので、その点の留保をつけさせていただくならば、御指摘のようなことになると思います。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 国会議員の職務は非常に広範ないろいろの権限を持っておりますし、それから直接当該業務に関係する場合と一般的に国会議員の職務に関連する場合等いろいろありますから、これは具体的な事例でないと法務省としては判断が、それは賄賂です、これは賄賂ではありませんと言うわけにいかないと思いますが、少なくともさっき大臣の言った政治家としての道義的、政治的の自覚を持つというならば、みずからが——「全日空が政治家に贈った金は政治献金だ。そこにはワイロ性があるかもしれないが、その意味では世の中の政治献金はみな同じだ」、こういうことまで言われて、こういう金を全日空から自民党のある派閥、あるいはある政治家の政治団体が受け取るということは、あなたのさっき言った政治家のモラル、これに反すると思いますか、反しないですか、どうでしょう。贈る方はもうこう言っているのですよ。全日空から贈る金は賄賂性がある。賄賂性があるということは、要するに全日空の利益を図ってもらいたいから金を贈るんだ。そんなことはわかっていることだ。他の企業だってただで金をやる者はないんだ。対価は必ず求めてやるんだ。当該国会議員のいろいろの権限があるし、あるいは一般的に国会議員は国会で具体的な法案についての権限も持っていますからね。さっきあなたは、ロッキード問題が起きた原因の一つには政治家のモラルが欠けていたのだと言っておりますが、そういう金を受け取るということは、あなたの最初に言ったモラルに欠けることになりませんか。贈る方が自分でそう言っているのですよ。
  101. 天野公義

    天野(公)国務大臣 そういうお考えの方も若干はいらっしゃるかもしれませんけれども、もっと純粋に政治家に協力をしようという方々の方がずっと多いんだろうと思いますし、またそういうことをその方が思って出されたといたしましても、純粋な政治的な後援として受け取っていた方の方が大半ではなかったかというふうに思います。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 贈る方が賄賂性があるともう言っているのですよ。それなのに、受け取る方は純粋だと思って受け取った、そんなことがありますか。こんなことを新聞で書かれているようなこういう会社から、あるいはそういう人からの献金というものは、あなたの言う政治家のモラルとして断るべきじゃないですか。贈る方はそう言っているかもしれないが、もらう方は純粋な気持ちでもらっているから、それは道義的な問題になりませんなんていうことでいったら、あなたの最初に言ったロッキード問題についての反省、こういう事態を再び起こしてならないという立場に立っていないように思うのですね。また繰り返すことになりませんか。  ことにあなたは、自民党の一党員であると同時に国家公安委員長でもあるし、政治を純潔に行わなければならない、主権者が政治行為に参加するという非常に厳粛な政治行為が行われるように、その守り手とならなければならない立場にあるわけなんですから、そういうあなたがそんな、贈る方が賄賂性があると言って贈ったってもらう方が純粋でもらえばいいんだなんということを言ったら、これは政治資金規制の名をかりて賄賂の性格を持った金が出たり入ったりする危険が非常に多くなるんじゃないですか。はっきり言えませんか。少なくとも、そんなことを言うような金については手をつけるべきでないと思いますと言えませんか。自民党は、やはりこういう金をもらわないとやっていけないですか。
  103. 天野公義

    天野(公)国務大臣 ずいぶんひどい考えを持っている人がいたものだなあというふうに思って、あきれております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 では次へ進みましょう、どうも大臣の答弁はっきりしませんけれども。  実は、ことしの三、四月に丸紅に、自民党の政治資金団体である国民政治協会が四千万から五千万の献金の割り当てをしておるのですが、こういう事実を知っていますか。
  105. 天野公義

    天野(公)国務大臣 知りません。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 これは、私の方の議員が予算委員会で質問して明らかになったわけですが、ではそのうちの二千万円が支払われているということ、これは国民政治協会から届け出がありますか、どうですか。自治省わかりますか。
  107. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 いまのお話、ことしのことでございますと、まだ届け出の時期になっておらないと思いますので、承知をいたしておりません。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 三月と四月ですが、まだ届け出なくていいのですか。
  109. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 来年に入って届け出をすることになっております。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私の方から事実を指摘しておきますが、ことしの三、四月という時期に四千万から五千万の献金を丸紅に割り当てている、そのうち二千万円が支払われている、その後、このことが追及されて、丸紅の献金は受けないというようなことが決まったというようなこともわれわれ聞いておりますが、これは自民党の内部のことですし、また届け出期間がまだ来ておりませんから、どういう形で表へ出るかどうかは別ですが、こういうことは、大臣、聞いておりませんか。それで、聞いてないなら聞いてないとして、もしこういう事実があるとするならば、いまや丸紅の刑事責任が追及されている真っただ中に、そういうところへ四千万から五千万の献金の割り当てをしていくというようなことが、あなたの言う政治家としてのモラル、政治のモラル、もしこういう事実があったとすれば、それに反するとお考えになられますか、どうですか。
  111. 天野公義

    天野(公)国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、そういう事実を私は聞いておりませんし、それから、仮定のことでお答えするということは余り好ましいことではないと思います。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 仮定だと言いますけれども、私の・方の調査に基づいて、間違いない事実として質問しているわけですから、こういう事実をお調べになって、どういう形でもいいから、私にそのお調べになった結果を報告してもらいたいと思うのです。  私の方の調査によりますと、自民党選挙の公約には、「きれいな政治、金のかからない選挙」というようなことを言っておりますけれども、そう言っている時期と同じ時期に、自民党の三役が財界の四団体の首脳と会って七十億円とも言われる献金を要請した、こういうことも新聞に出ているわけですが、こういう事実は、大臣知っておりますか。
  113. 天野公義

    天野(公)国務大臣 知りません。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 財界に献金の相談をしたということは知っておりますか。
  115. 天野公義

    天野(公)国務大臣 知りません。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、知らないと言われるならば、今後恐らく届け出もあると思いますから、その際に改めてお聞きしたいと思います。  私たちとしては、ロッキード問題というようなああいう忌まわしい事態を再び日本の政界、官界を通じて起こさないためにこういうことを考えるべきだと思いますが、これについて大臣はどう考えるか。  大企業だとかあるいは団体の政治献金というのは原則としては禁止すべきではないか、やはり政治献金というのは、その人の政治信条に基づいて、自分の支持する政党に個人として、政治活動をする個人として献金するのが原則ではないかということが第一です。それから第二は、国から補助金や負担金、利子補給金などの給付金を受けている法人、また国から資本金等の出資を受けている法人、それから国や三公社と請負その他特別の利益を伴う契約を結んでいる法人、あるいは輸銀、開銀等の資金の貸し付けを受けている法人、こういうような特定な、国の財政と密接な関係を持っておる法人、ことに企業、こういうところからの献金、あるいはそういう法人またそういう特定の法人の役員からの献金というものは、もうそのこと自体、大きな範疇から言えば一種の賄賂性というものがうかがわれるわけでございますので、そういうものは、そういう法人からの献金あるいはその役員としての献金も将来禁止していく、そういう思い切った措置をとらないと、ロッキード問題というような事態の再発を防ぐことができないと思うのですが、その点はどうでしょうか。  ここに十月六日の毎日新聞の記事がございまして、「構造汚職」という題であるわけですが、「議会制民主主義の裏側」とあって、「「政」「財」がっちり 献金の見返り アウンの呼吸で」、こう書いてあるわけですね。政界と財界ががっちり組んで、献金をして見返りを受けて、あうんの呼吸でやっているのだ、こういうことまで書かれているわけですね。  だから、原則として企業あるいは団体等の献金は禁止すべきでありますけれども、少なくともいま私の言ったような、こういう国の財政と特別な結びつきのある企業からの献金は禁止すべきではないか、こういうように思いますが、大臣はどういうようにお考えになりますか。
  117. 天野公義

    天野(公)国務大臣 いろいろ問題が政治資金にはあったわけでございまして、先般政治資金規正法を改正をいたしました。その中にいろいろと規制が新しく盛り込まれているわけでございまして、いま進行中でございます。現行政治資金規正法を実行してまいりまして、またいろいろと考える点が出てまいりましたならば、その点について考えていかなければならないと思っております。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 いま言った毎日新聞にあります「献金の見返り アウンの呼吸で」、政界と財界ががっちり癒着している。一例を申しますと、私鉄の運賃、私鉄大手十四社が昨年十二月値上げを実施しましたけれども、これと時を同じゅうして十二月十一日に民鉄協会の川崎千春会長が、これは京成電鉄の社長ですが、「記者会見で「財政危機におちいっている自民党を救済するため、大手私鉄各社は近く一億五千万円の政治献金をおこなう」との意向を明らかにした。」こうなりますと、これは私鉄の運賃の値上げの許認可あるいは行政指導は政府が持っているわけですから、十二月に値上げをした、十二月十一日に民鉄協会の会長が、自民党が困っているようだから一億五千万の政治献金を行う、これでは国民のだれが見たって、自民党へのこういう献金は私鉄運賃とあうんの呼吸で結びついていると思うのは当然なんですよ。これはそう感じないとすれば大臣の感覚がどうかしているんで、国民は、これは常識だと思うんですよ。こういうことについては、あなたは自治大臣として、そういう特殊な関係を持つ法人、あるいは法人の役員をしている個人からの献金というものは、あなたの先ほど言ったロッキード問題を再発しないという政治のモラルからいっても好ましくない、将来は禁止する方向で考えるべきだ、こういうようにお考えになりませんか。  値上げの申請をする、献金がある、許認可がおりてくる、また献金をする、そういう形で料金の値上げと賄賂との関係が、常識的にだれが考えても明らかになっているわけですね。そういうものについての規制をしていかなければ、これはもう政治が企業の利害と全く結びついている。そして政治献金という名のもとで、非常に賄賂的な性格が疑われる金のやりとりがされているわけなんですね。こういうことについて、政治資金規制の行政を預かる自治大臣として、これを将来こういう方向で規制していくつもりだとか、あるいはこういう点はこういう形で将来是正していくつもりだとか、そういう考えをお持ちになりませんか。
  119. 天野公義

    天野(公)国務大臣 当面は、改正政治資金規正法の結果を見ていかなければならないと思います。  なお、いろいろな献金の内容等につきましては、私の方でタッチする立場にはないと思います。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 当面政治資金規制の状態を見て、もしこれが国民のひんしゅくを買うような形にその政治資金規制の今日の状態が利用されるというような事態になるとすれば、あなたとしてはこれを規制をするという考えをお持ちになっているんですか、どうなんですか。これはこのままでもうやむを得ないんだ、自民党という党の体質がそういう体質だから、もう私の手にはとても負えないと、こうあきらめているようにも聞こえるんですな、大臣の答弁を聞いていますと。そうではないですか。
  121. 天野公義

    天野(公)国務大臣 新しい政治資金規正法は、いろいろな規制、制限、制約を加えております。これがことしから発足をいたしているわけでございまして、その結果を見ないことには判断できないと思います。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう問題と政治資金規制、改正されても、まだ企業は献金ができるわけなんですから、その企業がこういういかにも、運賃の値上げが十二月になされた、その十二月に私鉄の協会の会長が、自民党が資金に困っているようだから一億五千万献金しますというようなことを公然と言われているわけですよ。だから、少なくとも政治モラルとしてはそういうものに手をつけるべきではない、こういうようにお考えになりませんかと言うんですよ。あなた先ほど、ロッキード問題というようなものを再び起こさないためには、政治家のモラル、政治自体のモラルが重要だと言われているんだから、改正された政治資金規制の枠の中でもこういうことがやられているわけなんだから、少なくともこういうものについては手をつけないと……。
  123. 天野公義

    天野(公)国務大臣 十二月の問題は、旧法に基づいた処置であります。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、ことしの例を申しますと、全日空の相談役の岡崎嘉平太氏が言っているわけです。これは去年とかことしという関係ではないんですよ。企業からの献金が許される限り、こういうことが行われるんですよ。それじゃ、今度政治資金規正法の改正がされましたけれども、こういうものを禁止するという、私鉄の運賃が値上がりがあった、ついては自民党の財政が困っているようだから献金をしよう、そういうものを禁止する規定が政治資金規制の中でできていますか。ちょっとそれ専門的なことですから、あなた…−…。
  125. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 国や地方公共団体と特別の関係にある会社その他の法人からする寄付につきまして、たとえば国から補助金、負担金、利子補給金等の給付金を受けているような会社その他の法人につきましては、従来選挙に関しての寄付を規制されておりましたようなものにつきましても、今度は選挙に関すると否とを問わず禁止をせられるというふうに制約が広まっております。  それからもう一つ話題になりました、国や地方団体と請負等の関係にある会社その他の法人につきましては、これは選挙に関し寄付をすることが禁止されているわけであります。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 行政的な許認可権あるいは行政的な指導を受けている企業が献金することを禁止するという規定はあるのですか。
  127. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 御指摘の点までは、まだ規制をいたしておりません。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 私はそこを聞いているんですよ、大臣。政府自身が許認可権を持っている、あるいは行政指導を待って値上げがされるとかいうような、そういうことを公然と言っているわけなんですから。値上げをします、値上げをするについては、自民党が金に困っているようだから献金しますというようなことを言っているわけですよね。だからいま選挙部長のは、それは現行法でもあるし、一部改正がされたことは私も知っていますよ。しかし重要な許認可権だとか行政指導を受けている、そういう法人から献金を受けることは、これは慎む、あるいはそういうことはすべきでないというように、あなた自治大臣として——自民党に戻っちゃうと、また派閥だとかなんとかなりますから、純粋の立場にここで立ってみてください、あなた。日本の国の政治全体、選挙全体を純潔にするためにはどうしたらいいかということから、あなた考えてください。長い間自民党にいたから、自民党の体質が身についていて、そういうことに対する感覚が少し鈍くなっているんじゃないかというような感じもするんですよ。しかし、あなたはもう自治大臣ですから、やはりちゃんと筋を通すべきことはここで筋を通して答弁すべきじゃないですか。そうでなければ、またこういう問題は起きますよ。
  129. 天野公義

    天野(公)国務大臣 今度の政治資金規正改正法では、いろいろな意味で規制が加わっているわけでございます。したがいまして、その推移を見なければならないわけでございます。  それから、先ほど刑法上の問題が論議をされましたけれども、そういうことのないようにしていかなければならない問題だと思っております。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題 一朝にして大臣からわれわれの考えているような答弁が出ることは不可能だと思いますので、漸次詰めていきたいと思いますが、そこでいままで私がここで質問して、まだ結論を聞いてない問題がありますので、聞きたいと思います。  中曽根派の政治団体である新政治調査会、責任者が小林弘三氏、それから新政同志会、会長が櫻内義雄さん、それから中曽根氏個人の政治団体である近代政治研究会、これは代表は上和田義彦秘書、それから山王経済研究会、代表が太田英子秘書、この四団体が虚偽の政治資金の収支報告書を提出した。その後、二度にわたって訂正届を出している。これは私も当委員会で質問をしたわけですけれども、先般の報道では、これら四団体の会計事務に携わっている者から、ことしの七月八日から事情聴取を行っているということが報道されています。これについて、これまで明らかになったことをひとつ説明していただきたいと思います。これは新聞にも一部報道はされておりますけれども責任ある警察庁の方から、その捜査をするということをここで約束したわけですから、その捜査の結果どうなっているか、報告してください。
  131. 土金賢三

    土金政府委員 お尋ね事件につきましては、以前にお答え申し上げましたように、警視庁において現在鋭意捜査中でございます。  本年五月に自治省から関係資料の提供を受けましてから、その内容等につきまして検討を加え、さらに関係者からの事情聴取等を進めて、新政治調査会の責任者などを本件の被疑者として九月十四日以降取り調べを現在行っている段階でございまして、取り調べ、捜査が終了次第、検察庁に送致する方針でございます。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 それはあれですか、新政治調査会の責任者だけを、捜査が終了次第、近く送検するということですか、四団体があるわけですけれども
  133. 土金賢三

    土金政府委員 ただいま申し上げましたように、新政治調査会の責任者などを取り調べておりまして、まあ、このいわゆる中曽根四団体、相互に関連いたしておるわけでございますので、被疑者は一人ではなく、そのほかにもさらにふえることになるわけでございます。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 これは七月八日の毎日新聞にあるわけなんですけれども、「これまでの調べによると、四団体は四十六年から四十九年までの四年間に、約二十八億円の収入を得、二十一億円余りを支出しているが、その支出先百二十三人のうち約百人が実在しない人物か、あるいは実在しても中曽根派と関係のない人物だった。この虚偽報告は月刊誌「現代」、日本共産党機関紙「赤旗」などで取り上げられたことで政治問題化し中曽根派では二…に渡って自治省に対し訂正届を提出している。」と、こう書いてあるんですが、この二十八億円の収入を得て二十一億円余りを支出している、その支出先の百二十三人のうち百人が実在しない人物だ、これは事実ですか。自治省で調べましたか、あるいは警察庁で調べておりますか。
  135. 土金賢三

    土金政府委員 本件は、関係者も仰せのとおり非常に多くて、関係資料も膨大でありまして、現在その事犯の解明のため努力いたしておるわけでございまして、その正確な数字につきましては、いまこの段階で、こういう席でお答え申し上げるということは、ちょっといまのところ困難でございます。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 被疑事実として適用される法律は、この新聞でも政治資金規正法二十四条、二十五条の虚偽の報告、刑法百五十九条の私文書偽造等に当たって、これで捜査しているといいますが、これは適用法条はやはりこういうものですか。
  137. 土金賢三

    土金政府委員 被疑者という以上は、違反の法令があるわけでございますが、政治資金規正法第二十五条違反容疑、その他の容疑でございます。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 捜査中ですからデリケートな点もあると思いますが、そうすると、基本的な方針としては、捜査が済めば送検をするという方針で進めていますか。
  139. 土金賢三

    土金政府委員 送検する方針でございます。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題は、一応私、この結果を警察庁に聞くことになっておりましたので、聞いたわけであります。  それから次の問題の捜査はどうなっているのか、お聞きしたいと思うのですが、自民党の幹事長の内田氏が名入りの鉛筆を千八百人の集会参加者に配ったという問題がありまして、これについては、今月二十一日の参議院の地行委でわが党議員の質問に対して天野さんは、迅速な調査をするということを答弁されているのですね。それで、これは適用条文からいいますと、公選法の百九十九条の二及び百九十九条の五、公職の候補者、その後援団体の寄付行為の禁止に違反していると思うわけなんですけれども、その後どのような調査をされましたか。
  141. 土金賢三

    土金政府委員 お尋ねの事案は、十月十一日、甲府市内の山梨県民会館で行われた「内田常雄先生を励ます会」という会の主催による内田常雄先生を励ます県民大会、こういう大会においての問題である、こういうふうに考えますが、この件につきまして、現地の山梨県警察におきまして事実関係を引き続き調査中でございまして、この調査によって事実関係が明確になり次第、それに対する措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 天野さん、この事実は政治家のモラルに反していると思いますか、どう思いますか。
  143. 天野公義

    天野(公)国務大臣 事実関係がはっきりしないことには何とも申し上げられません。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことをあなたから聞いていたんじゃ、あなた自治大臣の資格があるかどうか。それじゃ、念のため現物を取り寄せてみたり——写真お見せしますから、これをちょっと見てください。こういう鉛筆とゴム消しが配られている。こんなものは公知の事実ですよ。だから、事実だとすれば、それは私が最初に言った政治家としてのモラルに反するものと思う、好ましくないと思う、と——あなたの党の幹事長ですからね、事実がはっきりしないからというようなことで遁辞を設けてはまずいじゃないですか。——まあ、それはいいですわ。  同じようなことが、もう山梨県というところは昔から何か、金丸さんのときは——今度は電話帳を配っているのですよ、これは富士急行の社長の堀内光雄さんという人が電話帳を、これも写真をお見せしておきます。こういうことをやって金が要る、金が要るなんて、選挙違反のことをやって金が要るったって、だから企業から金をもらうのはあたり交えだなんて、あなた、それが通りますか。これ、ちょっと電話帳の写真をお見せします。見ておいてください。おわかりでしょう。  それで、念のために私の万で、一体自民党の幹事長でどのくらい収賄や買収等の嫌疑を受けておるかということを調べてみましたら、二階堂進さんがロッキードで疑惑を受けて名前が出ておるのはもう明らかですね。橋本登美三郎氏は、これはロッキード事件で逮捕されて起訴されていますね。中曽根氏が、いまわかっているところでは、政治資金の届け出は虚偽の届け出をしている。しかもそれは二十数億円だ。しかも児玉とのつながりで、いまやロッキード事件の疑惑の中心になっておる。それに今度はまた内田氏だ。二階堂氏、橋本氏、中曽根氏、内田氏、自民党というのは、幹事長がみんなこういうことをやるのですね。みんなやるというのは少しオーバーですけれども……。これはどうなんですか。一体天野さん、どう考えますか。あなたも今度は大臣になって、そして国民選挙のあり方、それから政党のあり方、政治資金のあり方を行政の最高責任者として正しく指示しなければならない立場にある。そのあなたの所属している自民党の幹事長が軒並みにこういうことをやっているということに対して、あなたはどういうふうにお考えになり、どのような反省をし、どうしていくおつもりですか。
  145. 天野公義

    天野(公)国務大臣 軒並みということではないと思います。また、事実関係がはっきりしなければ何とも申し上げられません。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 いま委員部と話をしていましたので……。吉田さん、もうちょっといていただけますか、お忙しいと思いますけれども。  それでは土金さんにお尋ねしますが、いま内田氏の捜査の点については聞きましたけれども、電話帳の件ですね、いろいろあるものだから……。堀内光雄氏のこの電話番号記入帳ですが、これが大量にばらまかれているということについては捜査を行っていますか、行っていませんか。
  147. 土金賢三

    土金政府委員 お尋ねのこの問題につきましては、調査をいたしました。  堀内光雄氏のこの電話番号記入帳の配布につきましては、これは吉田地区食品衛生協会会長に就任した後の昨年の七月ごろ、同協会員に配布されたもの、こういうふうに聞いております。地元の山梨県警察にこれが最近配布されているという情報がありまして、事実関係について調査をいたしておりますが、現在のところ、最近になってこれが配布されたという事実は、把握されておりません。現在までに把握されている限りにおきましては、公職選挙法違反の事実はないものというふうに聞いております。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、いま写真をお見せしたのですが、これをちょっと見てください。こういうものが配られているとすれば、どうお考えになりますか。そこに電話番号記入帳があって、「堀内光雄」と書いてありますね。そういうものがもし無差別に配布されているとすれば、どうお考えになりますか。これを見ますと、「総会記念会長堀内光雄」と書いてあります。
  149. 土金賢三

    土金政府委員 配布されたのは昨年七月ごろだ、こういうふうに聞いておるわけでございますが、最近配布されているという、そういう事実は、私どもの方では把握いたしておりません。  したがいまして、それが配布されたらどうかということについて、捜査当局として、そういう問題についてここでお答えするのは、ちょっと御遠慮申し上げたいと思っております。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 さっき刑事局長も言われましたけれども、昨年の六月に開かれた吉田地区食品衛生協会の総会の記念品として贈られているわけですから、これはまだ時効でも何でもないわけなんですけれども、これは捜査されていないわけですか。最近ではないから、去年の六月だから捜査はしないというのですか。
  151. 土金賢三

    土金政府委員 当時、昨年七月ごろそれが配布されたということは聞いております。しかし、それについての具体的な事案の趣旨という点については、はっきりした当選の目的とかなんとか、そういうふうなことはわかっておらないわけでございます。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 今度立候補をすることは間違いないので、予定候補者になっております。したがって、昨年六月、選挙と関連してそういうものが配られたかどうか、これは常識的に考えて、もうそのころから次には立候補するということが言われているわけですから、その堀内氏が食品衛生協会の「総会記念 会長堀内光雄」ということで、電話帳をずっと配っているわけなんですから、これは改めて捜査をしてもらいたいと思います。私、国会のここで捜査についての促しをしたいと思います。改めてやはり国会で問題になったということで捜査をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  153. 土金賢三

    土金政府委員 これにつきましては、調査をいたしたわけでございます。で、その当時、立候補するというふうな話は、私どもも把握しておりません。地元の警察でもそういうような点をはっきり把握していなかったようでございます。昨年の七月、そういったことを把握していなかったようでございますし、そういうふうな点については消極、こういうふうに私どもの方では、地元の警察から報告を受けているわけでございます。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、改めて国会でそういうことが問題になったということを、地元の警察の方に念のために知らしていただきたいと思うのです。
  155. 土金賢三

    土金政府委員 御質問があったということは、地元の方に申し伝えたいと存じます。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 それから内田幹事長の問題ですが、これは警察の判断だけで処理するのですか。一応捜査が終わった段階では検察へ送検をするのですか。
  157. 土金賢三

    土金政府委員 この問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように現在調査中でございまして、その事実が明らかになった段階でどういうふうに措置するかを考えたい、こういうふうに思っております。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私は希望を述べておきます。仮に自民党の幹事長といっても選挙違反は選挙違反になりますので、やはり中立公正の立場にある警察としては、県民が納得する措置をとるようなことを私、希望しておきます。  最後に、吉田さん、お待たせしたので……。私、この前の質問でもこう考えるのですけれども、中曽根氏が、昭和四十六年から四十九年というと、ちょうどロッキード社から金が児玉や丸紅や全日空へ流れているときなんですね。そのとき、この四年間を通じて二十八億の収入と二十一億の支出が虚偽の名前で届け出られているということは、やはり金の出所をはっきりさせることができないという一応の嫌疑も出てくると思うのですね。この金がどういう金であったかということの性格をはっきりさせたくないということから、百二十三人の届け出のうち百人もの実在しない人物に届けてあるということですね。これはやはりロッキード問題とも絡んで、単に政治資金規正法の届け出という問題だけでなくて、この問題について、ロッキード問題との関連において法務省としては一応これを洗ってみるとかあるいは捜査をしてみる、こういうお考えはございませんか。どうもおかしいと思うのですね。二十八億の収入があって二十一億も出て、百二十三人のうち百人、どうして実在しない人物で届けてあるのか。これはもう明らかにその金の性格自体がはっきりすることのできない金だからこういうことをしたということも考えられるわけですね。ここですぐあなたがああする、こうするということが言えないとするならば、さっき土金刑事局長にも言いましたように、国会でやはりその点が論議になった、改めてその点にフットライトを当ててみるというように、ひとつ相談をしてみてもらいたいと思うのですけれどもね。どうしても私たち納得できないです。幾ら政治資金規正法があっても、こんなことが許されていたとすればこれは有名無実になりますからね。しかも、多額な二十数億の金なんですからね。支出先が全く虚偽の名前になっておるということは、これはだれが考えたっておかしいと思うのですね。だれが考えてもこれは疑惑を持つ、こう考えられますので、少なくとも、いまロッキード問題を捜査しておる法務省としては、やはりこの点について、改めてロッキード問題との関連で捜査をされてしかるべきだ、少なくとも私はそう思います。ですから、少なくとも国会でこういう問題が論議されたということを部内で報告されて、国民の納得するような措置を法務当局もされたい。警察は警察で独自の捜査をしておりますけれども、しかしロッキード問題との関連ということになりますと、法務省が主管でやっておりますので、御検討願いたいと思いますが、どうでしょうか。
  159. 吉田淳一

    吉田説明員 御指摘の政治資金規正法違反の容疑の事実関係につきましては、現在警察当局がその事実を捜査中でございまして、その捜査の結果、検察庁に事件が送致されれば、もちろん適正な立場で処理する、こういうことであることは間違いございません。  ただ、御指摘の金員がいわゆるロッキード事件とどういう関係にあるかということは、はなはだ遺憾でございますけれども、先生御指摘のことだけで果たして関連があるのかどうか、そういうことについては、私は十分わかりませんので、何ともお答えしょうがないわけでございますけれども、それは別といたしまして、再三国会において、法務当局といたしましては、検察庁の代弁として申し上げていることは、いわゆるロッキード事件については、児玉ルートを中心にして鋭意さらに真相を解明すべく捜査している、児玉ルートに入ったと思われるロッキード資金の十七億二千万等の金額の使途の過程におきまして犯罪行為等があれば厳正に今後も処理すべく、さらに真相解明をすべく捜査を継続している。そのためにはもちろんいろんな角度から検察当局は捜査を行っているものと思っておりますけれども、それと御指摘の金員とがどういう関係にあるかということは、何とも私としてはまだよくわかりませんので、御意見は御意見として承りますけれども、それとは別に、ロッキード事件の捜査はなお児玉ルートを中心にして、検察庁としてはさらに何とか真相を解明すべく今後も努力を続けるということで御了解いただきたいと思います。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に、それでは吉田さん、私の方から希望を申し上げておきますが、警察がいま鋭意捜査をし、その結果は送検するといいますか、いずれ検察当局の手に移ると思いますが、これだけの莫大な二十八億の収入、二十一億の支出、これが全く虚偽の届け出がしてあるということと、あなたもおっしゃられるように、児玉と中曽根氏の関係というのは、大刀川という秘書を通じてのただならぬ関係があるというようなことも言われておりますし、またコーチャンの証言によりましても、中曽根氏に働きかけたという話もあるところでございますから、この二十数億の金が政治資金の面から言えば虚偽の届け出がしてありますけれども、あなたの言う児玉ルートの捜査の過程において、この金がどうしてそういう虚偽の名前で届け出なければならないような性格の金であったのか、あるいはそれがいわゆる児玉ルートとの関連があるのではないかという点を十分捜査をされることを私の方からこの際希望しておきまして、私の質問はこれで終わりたいと思いますが、その希望については御考慮願えますか。
  161. 吉田淳一

    吉田説明員 先ほど来申しておりますように、検察当局としては、児玉ルートの解明をすべくさらに捜査を続行するということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、それと、お尋ねの中曽根氏がどういう関係にあるかどうかということは、私どもは全く承知しておりません。そういうことがあるかどうかは、関係があるとかないとかいうことは、私たちは承知しておりません。  要するにここで申し上げるのは、児玉ルートの捜査を鋭意続ける、真相解明をすべく続けるということしか申し上げることはできません。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ私の希望をよく部内にも御報告願って万全の捜査をしていただきたい、これだけ希望して、私の質問を終わります。
  163. 久野忠治

    久野委員長代理 午後一時三十分に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  164. 久野忠治

    久野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林孝矩君。
  165. 林孝矩

    ○林(孝)委員 午前中の委員会でも議論されましたが、政治資金規制の問題について、まず最初に質問したいと思います。  今回の、戦後最大の疑獄事件と言われるロッキード献金問題、これにつきましては、その原因、そして結果起こった問題点、さらに残された教訓、こうしたものは、われわれ政治家として十分認識しなければならない点が多々あるわけでありますが、この事件の示すものは、長期にわたる保守政権、そのもとで肥大した政治家の権力を背景にした複数にわたる政治家の多額な献金の不当授受、こうしたものが国民の前に明らかにされたわけであります。全く政治家の驚くべき金権感覚の麻痺、したがって、それを規制すべき政治資金規正法というものが、今日まで非常に問題にされてきたごとく、ざる法であるということを如実に示したわけです。今回の政規法の改正、こういうものがあったわけでありますけれども、現時点で将来に向かってのこの政治資金規正法の問題を考えるときに、やはりそこに要求されるものは、午前中の審議の中でも議論されておりましたけれども、政治家がえりを正すということは当然必要であります。しかし、このような事件を再び起こさない、二度と起こさないという対策を講じなければならないということが現在の最も重大な課題ではないかと思うわけでございます。  そこで大臣にお伺いしますが、このロッキード事件発生に関連して、現行の政治資金規正法に対して大臣はどのような見解を持たれておるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  166. 天野公義

    天野(公)国務大臣 現行政治資金規正法は、いろいろな観点から旧政治資金規正法が見直されまして、そしてその結果できて、一月から発効した法律でございます。いかなる法律でも——満点というものは人間社会に私はないと思っている一員でございますが、法律においても同様であります。したがって、この政治資金規正法は非常に改善をされていると思いますけれども、これをやってみないことには、その欠陥がどこに出るかわかりません。したがって、その推移を見ていかなければならないというつもりでこれから見ていかなければならないと思います。  そしてまた、前段お話のありましたように、ロッキード事件というようなものを再び起こさないというような一番の大きな根幹には、やはり政治家のモラルというものがその根底になければ、この問題は解決できない問題ではないかというふうに思っております。
  167. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現行の政治資金規正法は昨年改正されたわけでありますけれども、旧法との違いの一つとして、寄付に対して無制限であったのを一応その制限を設けた。こういうことが一つの違いとしてあるわけです。  その内容を具体的に言いますと、個人献金は二千万、企業献金は一億五千万、これは限度として認められておる。このこと自体も改正法の審議の中で、これは政治資金規制ではなしに奨励ではないかという問題提起をいたしました。そのときの総理の答弁は、いまも非常に印象として不明確であったということを記憶しておるわけでありますけれども、こういう規制法というよりも奨励法と言ってもいいような枠、限度額、この問題に対して、大臣考え方を聞きたい。  それから、現行の政規法が出す側の制限のみ規制しておって、受け取る側の制限がほとんどない。あるとすれば、この受け取る側の制限ということにはならないと思うのですけれども、逆にこれを使おうとすれば、口数をふやせば幾らでも受けられる、こういう仕組みは現行の政規法の制限の中でも十分行える。したがって、野方図と言っていいほどの印象を献金の受け入れに関しては与えているわけです。今回の疑獄事件の、ロッキードの献金問題の教訓として、いわゆる企業献金というものが政治をゆがめる、そして政治と企業とのそうした献金でのつながりが次第にエスカレートして、今日のような問題にまで発展した。こういう事実を深刻に受けとめるならば、この企業献金というものに対して——これは三木総理が就任当時に、企業献金は悪である、このように言明されて、次第にその発言が後退して、それで法案の中では、五年後に状況を見て考えるという形になってしまったわけですけれども、そういう経緯があって、企業献金を廃止すべきであるという世論に対して、企業献金を廃止するということに対してはいまや非常に消極的になってしまった。しかし、現在のような事件を見ますと、やはりどうしてもこれは企業献金というものをもっと厳しく見詰めていかなければならない、政治資金規正法の中で企業献金の廃止というものを十分検討して、考えていかなければならないのではないか、このように考えるわけですけれども、この点についても大臣の答弁をお伺いしたいと思います。
  168. 天野公義

    天野(公)国務大臣 政治資金の寄付につきましては、新たに量的制限を設けたり、一定の限度額を越える寄付金の拠出及びその受領が禁止されることになりましたし、また質的制限といたしまして、御承知のように、外国人、外国法人等からの寄付の受領が禁止される等、規制が前法よりも格段に強化をされているわけでございます。それから受ける方におきましても、これまた規制が強化をされているわけでございます。  なお、企業献金につきましては、四十五年最高裁のいわゆる八幡判決もありますように、許されているということが認められたわけでございます。  それやこれや総合いたしまして、現行政治資金規正法を、発効された法律でございますから、これの流れを見まして、それに基づきましていろいろと将来判断を加えていくべき筋合いであろうというふうに思う次第でございます。
  169. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現行法においては、政治団体が受けた寄付について、これは自治省に報告する義務があるとされております。政治家個人が受けた寄付は、政治活動として使用したのであれば報告の義務は全くない、こういうことになっておると私は理解するのですが、それでよろしいでしょうか。
  170. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 政治家個人が受けた政治資金につきまして、報告等の義務がないことは仰せのとおりでございます。
  171. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この点について、去る七月二十八日の衆議院のロッキード問題に関する調査特別委員会において、三木総理がこのように答弁されておるわけであります。これは政治家個人が受けた寄付について、政治活動として使用したのであれば報告の義務が全くないというこの問題に関して、総理の答弁は、「いまこれは検討を加えております。やはりその点はいろいろの矛盾があると思いますね。」、「どのように措置するかということは検討を命じておる次第でございまして、その結論が出ますれば政府の考え方を申し述べたいと思っております。」、こういう総理の答弁なんです。この総理の答弁を踏まえて、政治家個人が受けた寄付についても報告するよう法改正すべきであるという作業が果たして政府の中で行われておるのかどうか。総理は、「検討を命じておる」というふうに言われておるわけですけれども、どのような検討をされておるのか、明らかにしてもらいたいと思うのです。
  172. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 去る七月二十八日の坂井議員の質問に対し、総理は確かに、政治献金が政治活動以外の経費に流れないようその方策を検討する旨お答えがあったわけでございます。その際、私どもにも検討を命ぜられておりますので、私どもとしましても、慎重に検討しているところでございます。  ただ、この検討に当たってのやはり問題点があるわけでございます。すなわち、政治資金規正法の目的とするところは、政党その他の政治団体の収支状況を国民の前に明らかにし、これに対する判断批判国民にゆだねる、こういうことを目的といたしておるわけでございます。したがいまして、政治資金規正法によりまして政治資金の使途について直接規制を加えるというようなことが適当かどうか、こういう問題がまずあるわけでございます。むしろこれは適当でないのではないかというふうに考えられるわけでございます。  それからまたもう一つ、政治家個人について収支の公開制度を設けるかどうかということにつきましては、政治資金規正法は制定以来、わが国の民主政治に大きな役割りを果たすものが政党その他の政治団体であるという認識の上に立ちまして、政党その他の政治団体の資金を公開するということをたてまえとして今日に至っております。それに加えまして、さきの改正におきましては、政治家個人の受ける政治資金につきましても、量的な面とか質的な面での受領の制限というものをいたしました。所要の政治家個人に対する政治資金の規制もここに行われたわけでございまして、その上にさらに個人についての収支の報告の義務まで課するかどうか、そういう公開制度まで設けるかどうかということにつきましては、これはさらに慎重に検討してまいらなければならない、これが現在の問題点でございます。
  173. 林孝矩

    ○林(孝)委員 政治資金規正法のもとで考えるとそれは非常に問題点がある、結論的にそういう見解を持たれておる。  そうしますと、自治省の方では、じゃ政治資金規正法ではそのような問題点があるとするならば、それ以外にどのような方法にすればこうした総理の意図されるところを踏んまえた改正ができるか、その可能性はどういうところにあるかという点については、どうですか。
  174. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 その点については全く検討段階でございまして、結論やあるいは方向づけを得るに至っておりません。
  175. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この総理の答弁、これには限度があるのか、それともそうした検討はずっと検討して検討だけで終わるというような無期限のものなのか、どのような認識を持たれておりますか。
  176. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 先ほど政治資金規正法関係問題点を申し上げたわけでございますが、さらに、ひとり自治省だけでなくもっと幅広い検討というものはなお続けられておるわけでございまして、総理とされてはできるだけ早急に結論を得たいというふうに思っておられるというふうに承知しております。
  177. 林孝矩

    ○林(孝)委員 幅広い検討ということでありますが、自治省以外に関係している省はどこでしょうか。
  178. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 私はそれに直接参加しておりませんので、どの程度の範囲かということは承知いたしておりません。
  179. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣、これはどなたが参加して検討されておるのですか。
  180. 天野公義

    天野(公)国務大臣 内閣官房中心と聞いております。
  181. 林孝矩

    ○林(孝)委員 内閣官房を中心にして、参加している関係省を明らかにしてください。
  182. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 どこまでの省が参加しているか、私は承知しておりません。
  183. 林孝矩

    ○林(孝)委員 御存じの方、だれもおられないということですか。——検討しているという言葉で言われたわけですよ。どこで検討しているか、どの関係省と検討しているか。自治省だけではなく幅広い検討をしておるということを言われたわけで、じゃ幅広いというその意味はどういう意味なのかということでいまお尋ねしているわけです。  ということば、いま答弁を聞いておりますと、自治省の中だけの話で、まだ自治省としても検討は余りされていないのではないか、各省との関係も、今度は逆に、まだしてないのではないか、そういうふうに受けとめられるわけですね。各省と内閣官房を中心に検討しておれば、もうすでにどういう省がそれに参加しているということは御拝じのはずであるし、それが全然どなたもわからないということは、これはどのように解釈すればいいのか。
  184. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 内閣官房を中心に検討されていると存じますのは、私どもも、自治省所管のことにつきまして内閣官房に参りましてお話をしているという段階であるわけでございます。
  185. 林孝矩

    ○林(孝)委員 正直に言いまして、非常にあいまいな感じを受けます。大臣、もっと明確に、こういう問題の検討は、内閣官房を中心にこのような関係省庁が集まって検討しておる、現段階はこういう状態であるというようなことを、大臣もやはり三木内閣の閣僚ですから、まして政治資金規制という所管の重大問題を抱えておるわけですから、その点を明確に答弁できるようにするのが当然じゃないかと私は思うわけです。
  186. 天野公義

    天野(公)国務大臣 内閣官房を中心としてこの問題を検討しているということは、いま答弁申し上げたように聞いている次第でございます。ともかく政治資金規正法がことし発効されて、そしてこれがいま動いている段階でございます。したがいまして、問題は総合的に考えていかなければならないものでございますから、政治資金規正法の結果というものが出てきたり、諸般の情勢をいろいろ考えて検討するという段階は、むしろ私の感じとしては報告が出てからいろいろ考えていかなければならないようなことになるのじゃないかなという気がいたしております。
  187. 林孝矩

    ○林(孝)委員 総理がこういう答弁をされたのは、前後の質疑応答を見ますと、ちょっとまた意味が違うのですね。どういうことかといいますと、新しく法案が改正された、だからその改正された結果を見なければわからぬ、あるいはその法律がどのような効果を与えるかというようなことの掌握であるとかいうようなことは当然のことだと私も思うのです。ただ、ここで総理がおっしゃっておるのは、総理の答弁は「その点はいろいろの矛盾があると思いますね。」、「その点」というのは、政治家個人が政治活動として受け入れた政治献金、これが税法上の申告の義務を生じないという問題、これとの関連性なんです。政治活動に使った場合は、これはもう全然表面にあらわれない、こういう問題を総理はとらえて、「その点はいろいろの矛盾がある」、「これはいわゆる生活費などに流れる場合もなきにしもあらずでしょうから、そういうことで何かそこに不明朗なものがあってはいけないと考えますので、これはどのように措置するかということは検討を命じております」、こういうことなんです。
  188. 天野公義

    天野(公)国務大臣 ですから、政治家個人の受ける政治資金につきましても、量的な面や質的な面で受領の制限の措置がなされたばかりでございますし、政治資金規正法の制定以来の経緯並びにこの問題の性質等にかんがみまして、今後とも慎重に検討してまいりたいということでございます。
  189. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それはよくわかるのですけれども、それから先の問題をいま私は聞いているのです。  それでは、税法上の問題で国税庁の方にお伺いしますが、税法上では、政治家が受け取った寄付については、政治活動に使われた残りのみを雑所得として申告すればよい、このように理解しておるわけですけれども、これでよろしいでしょうか。
  190. 谷口昇

    ○谷口政府委員 政治家の方が、いわば個人が受け取られます政治資金の課税上の取り扱いについてお話を申し上げますと、政治献金等の政治資金を受け取られました場合には、それば所得税法上の雑所得の収入金額として取り扱っております。  そこで、御承知のとおり、雑所得の金額と申しますのは、総収入金額から必要経費を控除いたしまして計算をするということになっておりますが、政治資金にかかわる雑所得の場合には政治活動のために支出した費用、たとえばもっぱら政治活動のために使用する事務所の減価償却費でありますとか、あるいは秘書の給料でありますとか、政見発表の会場費等いろいろございますが、そういうものが必要経費に該当いたします。したがって、そういう必要経費を差し引きました残り、これが雑所得になるわけでありますが、雑所得がゼロという場合にはもちろん申告は要りません。
  191. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、政治献金を受けて、あるいは寄付という形もあるでしょう、そういうものでいままで申告された実例というのはございますか。
  192. 谷口昇

    ○谷口政府委員 申告された例はございます。
  193. 林孝矩

    ○林(孝)委員 申告された例があり、また申告されていないケースも非常に多い、こういうことが実情じゃないかと私は思うわけです。その実態というのは、なかなかこれまたつかみにくいということも実情ではないかと思います。  そこで、政治家が受け取る献金、寄付、こういうたぐいのもので、現行法において税法上で認められている、この政治活動として使われたものについては報告する義務がない、雑所得から除外されるという、これは一つの優遇措置だと思うのです。この取り扱いが今回のロッキード献金問題を発生させた一因にもなっていると私は思うのです。また、事件が発覚していろいろ捜査が行われ、逮捕者まで出たわけでありますけれども、その過程でもこうした決め手となるものが税法上では雑所得から除外されているということで逃げ道が幾らでもある。これは非常に、取り締まる方としてはやりにくいという声も聞いているわけでありますが、やはりこういう事件を再び起こさないという考え方に立つならば、政治家が受け取ったそうした寄付、これはたとえ全額政治活動に使われたにせよ、一たんは収入として申告するべきである、こういうふうに私は思うのですけれども、国税庁の方の考え方をお伺いしたいと思います。
  194. 谷口昇

    ○谷口政府委員 ただいまのお話でございますけれども、先ほど申しましたように、雑所得は総収入金額からその必要経費を引く、こういうことで、差し引き所得があった場合について申告をする、こういうことになっておりますね。これにつきましては、先ほどは、先生の方から政治家の政治資金についての課税はどうなっているのかという御質問でさようお答えをいたしたわけでございますが、通常の雑所得の場合も、先ほど申しましたように、雑所得にかかわる総収入金額から必要経費を引きまして、所得があれば申告をいたします。したがって、所得がなければその収入が幾ら幾ら、経費が幾ら幾らということについては申告をしなくてよろしいというたてまえになっておりますので、これは政治家の方だけを特に差別したというふうには私どもは考えておりません。
  195. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回のロッキードの献金、これを通していろんな反省が生まれているわけですけれども、そういう立場からいま議論しているわけです。現行法ではそうなっているけれども、これの再発を防止するという意味から考えて、税法上の改正ということは全く考えなくてもいいものか、それともやはり考えるべきではないかという立場に立っておられるのか、その辺はいかがですか。
  196. 谷口昇

    ○谷口政府委員 まことに恐縮でございますけれども、実は私は国税庁の直税部長でございますので、ただいまお話しのことに関してはちょっと所管権限がございませんので、有権的にお答えをいたす立場にございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  197. 林孝矩

    ○林(孝)委員 了解しました。じゃ、その点についてはまた改めて議論するとしまして、公選法に関連してお伺いします。  ロッキード事件で起訴を受けた議員、それからいま灰色と呼ばれておる政府高官議員ですね、こういう人の中から次期衆議院選挙への立候補宣言がいま相次いで起こっているわけです。こういう事実に対して、自治大臣はどのように考えられておるかお伺いします。
  198. 天野公義

    天野(公)国務大臣 刑事事件に関連して逮捕されている場合でありましても、法定の欠格条項に該当し被選挙権を失うこととならない限り立候補はできることになっております。逮捕されたり起訴されたりするまでに至らないいわゆる灰色の人についても、立候補の法的制限がないことは御承知のとおりであります。したがいまして、この問題は当人のモラルの問題でありますし、もう一つはそれを批判するというか、有権者のこれもまた判断の問題であるというふうに思っております。
  199. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これまた衆議院のロッキード問題調査特別委員会での法務大臣の答弁なんですが、一般公務員がこういうことになれば休職したり、ひどい懲戒免職だ、国会議員の場合何もないというのでは均衡を失するくらい優遇され過ぎている、こういう発言が法務大臣からあったわけです。いまの自治大臣の答弁は、いわゆる純法律的には被選挙権は剥奪されないし、また有権者がそれを決定することである、純法律的には私はそのとおりだと思う。問題は、法務大臣がこのように発言しているように、これはやはり道義的、社会的な面での責任論だと思いますし、もっと拡大解釈すれば、こういうことに対して、国会議員という立場、これは非常に公的な立場でありますから、何らかの措置を講ずるべきではないかというようなことを法務大臣がこの行間に述べられているのではないかというようなことも考えたりするわけですが、自治大臣は、こういう法務大臣の発言に対して、その内容に対してどのように受けとめられますか。
  200. 天野公義

    天野(公)国務大臣 法務大臣の御見解も一つの御見解だとは思いますけれども、まだ法制化されていないわけでございます。それから、いままでのいろいろな事例を見ましても、起訴されても無罪の最終判決を得て議員を続けておられる方もあるわけでございます。それやこれや考えますと、これはなかなかむずかしい問題でありまして、やはり道義的にこれを判断していくということも一つの行き方ではないかと思っております。
  201. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、選挙制度の問題についてお伺いいたします。  十月二十三日に、自民党が次期衆議院選挙に対する公約を発表いたしました。その中で、金のかからない選挙を名目にして、選挙制度の改革を掲げております。参議院全国区比例代表制の導入、それと衆議院小選挙区、比例代表制併立案、この二つをうたっているわけですけれども大臣は現行の衆参の選挙制度に対してどのような考え方を持っておられるかお伺いしておきたいと思うのです。
  202. 天野公義

    天野(公)国務大臣 衆参両院を通じまして、現行の選挙制度につきましては、種々問題点が指摘されておるところでございます。政党本位の選挙、金のかからない選挙を実現するためには、現行制度の根本的改革を図ることが必要であると考えております。このうち衆議院議員選挙制度につきましては、金のかからないきれいな選挙を確立するためには、現行の中選挙制度の仕組みを改めて政党本位の選挙制度にすべきであり、それには小選挙区制にすることが望ましいという意見も相当にあるわけでございます。第七次選挙制度審議会でも、多数の意見として小選挙区制と比例代表制の組み合わせ案を示唆しているところでございますし、自民党もそのような小選挙制度はどうだというような意見を発表しておるところでございます。また参議院の全国区制につきましても、第七次選挙制度審議会では比例代表制を導入することが適当であるというような方向で審議が進められたものと承知をいたしております。  もとより、衆議院議員選挙区制の改正にいたしましても、参議院の全国区制の改正にいたしましても、選挙制度の根本的な改正でございまして、きわめて重要な問題でございますので、国民の十分な御理解のもとに国民的合意が得られることが必要であります。したがいまして、各党間におかれましても、選挙区制のあり方の問題等につきましては、十分に御検討、お話し合いをしてもらいたいと思いますし、政府においても検討を続けていきたいと考えておる次第でございます。
  203. 林孝矩

    ○林(孝)委員 具体的に聞きますが、全国区比例代表制については、その内容については、たとえば昭和四十九年七月の参議院選挙を例にとって考えますと、比例代表制を導入するならば、その結果は、自民党九議席増、野党各党はいずれも減という結果が出るわけであります。そして自民党は四〇%の得票率で五五%近い議席を占めることになる。これは国民の意思がゆがめられておるパーセンテージだと私は思うわけです。ということは、議会制民主主義の根底を揺るがすことになる。この点について大臣考え方を伺いたいのと、この比例代表制における拘束式と非拘束式、これはどちらの考え方に立っておられるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  204. 天野公義

    天野(公)国務大臣 自民党でやっておりますのは、それは党で研究の段階でございます。
  205. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣はどうですか。
  206. 天野公義

    天野(公)国務大臣 ちょっと個人的な見解は申し述べられません。
  207. 林孝矩

    ○林(孝)委員 自治省としては、こうした検討はいまされておりますか。
  208. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 自治省は、いかなる制度につきましても、長短というようなこと、利害待失というようなことを検討しなくちゃならない立場でございますので、常に検討しておると申し上げなければならないと思います。
  209. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その検討の中に、たとえば先ほど言いましたときの選挙全国区の全有権者数の一三%、六百八十万の代表という形になっております無所属をどう扱うかという点の検討が入っておりますか。
  210. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 先ほど数字を挙げてのお話がございましたが、私の方では制度についての検討はいたしておりますが、具体的な選挙の結果の数字をもとにして、ある当てはめ方をするということは、差し控えておる次第でございます。
  211. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは定数是正の問題で伺っておきたいわけでありますが、議員定数の不均衡という問題については、当委員会においてまず小委員会を設け、そこで第一番目の検討事項で先般の定数是正という結果を見たわけでありますが、それはわれわれの共通の重要問題としての意識があったわけです。このことは、ちょうど改正が行われたときに国勢調査が進んでおりまして、現在その国勢調査の結果が発表されて、われわれの行った改正が、今回の国勢調査の結果を見ると、すでにまた著しい不均衡を生じており、これがまた非常に重大な問題だということになっているわけです。  自治省が十月十六日に発表した九月現在の全国選挙人名簿の登録者数を見ますと、衆議院千葉四区と兵庫五区では三・四八倍、参議院地方区の神奈川と鳥取では五・二五倍、一票の重みの差というものが非常に広がっておる。  大臣にお伺いしますが、ことし四月の最高裁判決、この判決を踏まえて、現在のこの衆参の定数アンバランスを是正するということに対して、これは衆参の特別委員会でも非常に議論になっているところでありますけれども、就任されて初めてきょう委員会が行われておりますので、この問題に関して、大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  212. 天野公義

    天野(公)国務大臣 衆議院議員選挙区別定数の不均衡の問題につきましては、昨年の通常国会におきまして各党間で合意を見ました線に従いまして、不均衡の著しい十一選挙区につき、次の総選挙から定数を増加して是正を図ることにいたしましたので、今度の選挙は、この十一選挙区の調整済みの定数で選挙することになります。  四月十四日の最高裁の判決は、四十七年十二月の総選挙時における衆議院議員の定数配分についての判断でありまして、この当時の不均衡は昨年の改正によって大分是正されていると思う次第でございます。しかしながら、改正後の定数配分をこの判決によって直ちに変更しなければならないものであるとは考えていないわけでございますが、最高裁の今度の判決で指摘している点は重要な点でございますので、今後もさらに研究していかなければなりませんし、また参議院の地方区の問題におきましても、これは衆議院とは若干違う要素があるとは思いますけれども、これもまた各党間のいろいろな御協議を願って、そして是正をすべきものであるならば是正する方向で処理をしていただきたいものであるというふうに思っておる次第であります。
  213. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回の衆議院選挙が行われるまでに是正しろという意見も一部にありますね。それから、それは物理的に間に合わないということで、選挙が終わったら是正しろ、こういう意見もある。いまの大臣お話ですと、改正された定数是正選挙、今回最初の選挙だから、これをまずやってその後に、こういうことでよろしいでしょうか。
  214. 天野公義

    天野(公)国務大臣 もう目前に総選挙がありますから、この総選挙をやって、その後にまた定数是正について努力をしようということになるならば、各党間で話し合いを願いたい。資料等につきましては、こちらの方で十分用意を申し上げる次第であります。
  215. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、これは最高裁判決に対する認識の問題になりますが、昭和四十七年の選挙を事例として最高裁判決が下った。その下った最高裁の判決の主文の趣旨は、四十七年の選挙に対してだけの問題としての判決主文ではなしに、これは定数是正という問題に対しての、したがってその時点だけではなしに、これから先においても、国会に対する重大な提言としての意味を持っておる、私はそのように理解しておるのですけれども大臣の先ほどの答弁とはちょっとニュアンスが違うように思うのですが、いかがでしょう。
  216. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいまのお話につきましては、判決が四十七年総選挙当時における定数配分について違憲であるという考え方を示しましたその事実認識は、やはり四十七年時点における議員一人当たり人口の対比の上に立って判断をされたものと考えます。それに対しまして、その判決でまた言っておられます投票の価値はできるだけ平等にならなくてはならないという考え方それ自体は、常に私どもが考えていかなければならない問題であるというふうに考えておる次第でございます。
  217. 林孝矩

    ○林(孝)委員 全くそのとおりだと思うのです。したがって、大臣、これは、自治省としまして常にそういうことを考えているという答弁もありますけれども、違憲判決が出たその趣旨というものをよく考えていただいて、積極的に定数是正に取り組む姿勢を示していくのが行政当局の責任ではないか、こういうふうに思いますので、その点を大臣に答弁していただきたい。  それからもう一点、最後に。話が最初の問題に戻りますけれども、政治資金規制の点に関してでありますけれども、これについても、現行法において衆議院選挙が今回行われる、それ以後の問題として政治資金規正法の改正をこの際抜本的に行うというような考え方をお持ちであるかどうか、この二点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  218. 天野公義

    天野(公)国務大臣 政治資金規正法の方は、改正された法律に基づいていま動いている最中でございますので、いまのところ改正する意思はございません。まだ結果が一つも出ておりませんですから。ただし、どうあるべきかという検討、研究はいつでも続けていかなければならない問題だと思います。  同様に、定数是正の問題もいつでも研究していかなければならない問題でございますけれども選挙制度の問題は大体各党間の合意によって処理をされていくわけでございます。したがいまして、選挙が終わりましたならば、また各党間でお話が出てくるのではないかという予感を持っておる次第でございます。
  219. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  220. 久野忠治

    久野委員長代理 小沢貞孝君。
  221. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 いま質問がありましたから、それに続いて定数是正のことから先に質問をしたいと思います。  いまも林委員が発言をしておりましたけれども、鳥取と神奈川は五・二五の開きがある、これだけの開きは、この前最高裁が衆議院に出したと同じような意味において、これはどうしても参議院の地方区の定数是正というものをやらなければならない、これはもはや常識になっているんではないか、こう思います。  それで、いまの大臣の答弁を聞いていると、各党間の合意とか、そういうことを言っておられるが、これは政党に任しておくべきものでなくて、もう政府で案をつくって提案すべきもの、こういうように考えるわけです。これは政府提案にすでにすべきものではないか、こう思いますが、これに対する大臣の御見解を……。
  222. 天野公義

    天野(公)国務大臣 選挙制度は、国会を構成する基本の問題でございます。したがって、政府が先頭を切って旗を振るわけにはいかない問題でありまして、国会の御協議、御決定に従っていく方がよりベターではないかというふうに思っております。
  223. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 しかし、政府がやってはいかぬということはどこにもないんで、各党間の合意をということで政府の責任を逃れる、こういうことは許されないほど、もう来年の六月か七月は参議院の選挙があるわけです。これに間に合わせるようにやらなければならぬ、こういう差し迫った問題があるわけです。どうして政府が検討して提案をしてはいけないんですか。増だけにするか、増減にするか最もやりいい方法を選ぶとか、開きが三以上のところは是正するとか、何らかの案を持って政府が提案すべきものだ。そうでなければ政府の怠慢ということになると思うのです。これはどうでしょう。重ねて−…。
  224. 天野公義

    天野(公)国務大臣 事柄の性格上、各党間の合意に基づいて改善していくことが望ましいと考えて、いままでも大体そういう方向で進んできたような次第でございます。
  225. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっと資料を委員長大臣に……。  昨年衆議院だけ定数是正をやった場合に、衆議院の方の附帯決議においても、参議院の地方区の定数の是正を行え、こういうようになっているわけです。その後参議院で審議した中で一これは共産党と公明党さんには悪いけれども、共産党と公明党さんはあのときの審議の中で反対ばかりしておったから相談にはあずからなかったわけなんですが、これはいま参議院で公明、共産も賛成だ、こういうことで、ここにあるような申し合わせが、参議院議長も間に入ってできているわけなんだ。  参議院地方区の定数については、人口の動態の著しい変化にもとずきこれを是正する要あることを認め、次期参議院通常選挙を目途として実施するよう取り計らう。この場合公職選挙法改正の過去の事例を参照するものとする。なお、全国制度の改正については別途検討をすすめる。 だから、これは明らかに、参議院全国区の制度とは別途にやる。去年の定数是正の際に、ここにいらっしゃる委員長もたしか記憶があると思いますが、衆議院のときの附帯決議のときにも、これを一緒にくっつけるか別にやるかということでさんざんにもんで、別々に、地方区だけは増をやる、全国区もまた別途に検討する、こういう附帯決議になっているわけです。  それでこの署名者は、参議院自由民主党議員会長の安井謙、参議院の日本社会党議員会長阿具根登、参議院民社党議員会長向井長年、参議院議長河野謙三、これだけの署名でできて、去年の附帯決議から考えれば、私はもうこの国会とは言わぬ、次の特別国会においては、政府の提案によって参議院の地方区の是正をすべきもの、これはもう疑う余地のないほどのものだ、こういうように考えるわけです。重ねてそのことを要請をしたいと思います。それが一つであります。  そこで、私はこの委員会で、大臣は初めてだと思いますが、定数を是正する場合に、増減をやるか、衆議院のように増だけをやるかということは、大変選挙が近づいてきたから、これは非常に重大な影響があると思います。参議院、増減にするか増だけにするか。私は、衆議院は二十名増をやったから、参議院が半分の十名ぐらい、十名だけ単純に増をするのが一番やりいいことだ、こういうように考えるわけです。たとえば神奈川とか東京とか大阪とか、そういうようなところを、単純に、極端に違うところを十人ぐらい増をすれば、ちょうど衆議院との均衡上もよろしい、こういうように考えるわけです。その方がいいではないか、大臣、どうでしょう。それが第二点であります。  第三点としては、これはどうしても減をやろう、こういう場合に、もう次の特別国会で減をやるということになれば、余すところ半年ばかりしかないところの減員区になるところは大変な影響を与えると思います。そこで、これも大臣の前の大臣のときに、私が衆議院法制局と十分連絡をしてここで質問をしてありますので、それもひとつ参考にしていただきたいと思いますが、幾つも案があるわけです、減をする場合に。最も現実的な減の仕方は、五十二年の選挙において、たとえば定数四のところを二に減らすような場合には、来年の選挙においては二人をまず出して、そのうち一人だけは任期を三年にする、そうして五十五年の選挙のときには一人だけ選挙をやる、こういうようにやれば、来年は普通どおりにいまの予定者が候補に立って、そうして得票の低い者が三年議員、多い者は六年議員、その次の五十五年のときには一人だけ選挙をやる、こうやれば、来年の選挙が近くなっても実現できるのではないか、こういうように考えるわけです。だから、減をやるんだったら、これを使えば非常に現実的になる。これもたしか合憲であるということを、衆議院法制局だか内閣法制局がここで答弁を私にしておりますから、それもできるのじゃないか、こう思いますから、以上三つについて、これはひとつ大臣から明確な御答弁をいただきたい、こう思います。
  226. 天野公義

    天野(公)国務大臣 申し合わせば参議院の議長あっせんで、これに基づいて参議院の選挙区について今後いろいろ処理をしていただく、そうしてまた、われわれの方はそれに対してお手伝いをさせていただくということになると思います。私の方から先ほど申し上げましたように……
  227. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっと途中ですが、大事なところですから……。参議院が自発的にやって政府がお手伝いですか、もう少しそこを……。
  228. 天野公義

    天野(公)国務大臣 参議院の方でいろいろと御研究されたり、あるいはまた話し合いをされるというまとめに対しまして、こちらの方はお手伝いをさせていただきたい。  二番目の問題につきましては、いろいろの考え方があるわけでございますが、これはやはり総定数の範囲内でやった方がいいという意見もありますし、いまお話しのような増員の御意見もありますし、いろいろありますので、各党間でまた御討議を願っていかなければならない問題ではないかと思います。  三番目の御意見は貴重な御意見として承ってまいります。
  229. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 自治省、今度は役所へ聞きますが、自治省はこの問題を少し研究してみているわけですか。
  230. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 自治省といたしましても、いま大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、第一の点については、現在参議院の公職選挙法特別委員会委員会において各党間でお話し合い中でございますので、これを私どもとしては見守らせていただいているという段階でございます。  それから第二、第三点についても、大臣お話しのとおりでございます。
  231. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 要するに、自治省は高みの見物ですか。これは全然政府は責任はないわけですか。五・二五にもなって、これを改正しなければいけないとかなんとか言う、高みの見物で政党間でやれ、こう言う。高みの見物で済ます政府の責任というものは、どういうことになるのでしょうか。政府もまた責任を負って是正に努力をしなければいけない、こういうことになりはしないか。さっきからどうしても高みの見物みたいでいかぬ。衆議院については、最高裁のああいう判決まで出ている。参議院はこれだけ違ってしまっている。それを政府が高みの見物をしているということは、怠慢のそしりを免れないと思うのですが、どうでしょう。
  232. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 その点につきましては、国会の両院の選挙制度というものは、両院をどのように構成していくかということにつながる非常に基本的な問題であります。特に選挙区制とか定数配分という問題は、またその上におきましても基本的な問題でありますだけに、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、各党間で十分お話し合いをいただいた結果、その結果の上に立ちまして、必要な場合にはもちろん政府提案ということもあるでございましようが、論議の過程におきましては、十分お話し合いを尽くしていただくということをお願いしている次第でございます。
  233. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 押し問答みたいになるのだが、それでは衆議院の二十名の半分十名ふやすときはどこをどうふやしたらいいか、第一案を自治省でつくってください。私が提起をする、衆議院の二十名の半分十名ふやすにはどこをどういうようにふやしたらいいか、その第一案。  第七次選挙制度審議会の報告の中には東京、神奈川、大阪、岐阜、宮城、その選挙区で十四名だと思いました。十四名ふやすという案があるが、この第七次選挙制度の十四名増は、現時点に当てはめればどういう矛盾があるか。つまり岐阜、宮城よりは埼玉とか千葉の方が人口がうんとふえてしまっているから、むしろそっちをとらなければいけないのじゃないかという問題があるから、どういう問題があるか、それが第二案。  第三案は、その第七次選挙制度審議会と私が申し上げた第一案とをミックスして十四名増、四名減、つまり中名純増、これを第三案とします。そのときにどことどことを減らしたらよろしいか、半分自治省案で半分小沢貞孝提案でいいから、このことについてひとつ案を出してもらいたい。来月の四日にここの公選特別委員会が開かれるので小沢提案、自治省案プラスしたようなものでいいですから、その三案くらいのところ以外には、現実問題として来年の選挙に間に合うような定数是正は行われないと思うがどうです、出してくれますか。
  234. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいまお話がありましたような案が直ちにつくれるか。それからまた、ある考え方に立った場合の矛盾点と仰せられましたものが直ちに整理できるかどうかお約束はいたしかねますけれども、私どもは、先ほども申し上げましたとおり、いろいろな制度について常に研究、検討はしなくてはならない立場にあるわけでございますので、研究をさせていただきたいと思います。
  235. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 直ちにできます。私幾らでもお手伝いをしますから。きょう午後一時間あれば、それば直ちにできることです。これは委員長にひとつ、あれだけの参議院の申し合わせもあり、昨年の衆議院の附帯決議もあり、春日遅々として進まないから、私は一つの提案として衆議院が二十ふえたから参議院は十、そういう純増十名案。それから第七次制度審議会のは、もう委員長も御存じのように岐阜、宮城が入っているので、それがちょっと埼玉、千葉と矛盾していると思うから、それを入れかえるなら入れかえるとかいうように、人口の動きに照らしてみて、第七次選挙制度のはいま当てはめればどこをどうふやしたらいいか、これが第二案。第三案は私の第一案と同じように、純増は十名として選挙制度審議会のように十四名ふやして四名減、そうすると十名純増になるわけです。この三案をいま提起したように、次の公選理事会までに自治省から提起させるように委員長から要請をしていただきたい。
  236. 久野忠治

    久野委員長代理 小沢君の御提案は、具体的に数字を挙げての御提案でございまして、内容については政府当局でいろいろ検討はされておるようでございますが、しかしこれらの資料を提出することの可否については理事会に諮った上で検討させていただきたい、かように存じます。
  237. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃこれから後理事会を開いていただけますか、一分間か二分間でいいことですから。
  238. 久野忠治

    久野委員長代理 はい、相談させていただきます。
  239. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ理事会に諮って、大臣、その三案について出せということになれば、四日に出していただけますか。つまり理事会に諮るということは衆議院の意思である、こういうようになりますから、出していただけますか。
  240. 天野公義

    天野(公)国務大臣 先ほど申し上げましたように、参議院地方区の問題につきましては、参議院の公選特別委員会委員会でいろいろ御検討されておる最中でございますので、私の方から出しにくい状況にあると思っております。
  241. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 さっき言ったのは、こういうような骨格をつくるからそこに当てはめてみなさいということです。それじゃ事務的作業だと思っていだだいてもいいですよ。事務的作業もやってくれないということになれば、自治省は解散してしまった方がいい。十名純然としてふやすには、純増でやるならどことどこの県になるかということです。これは全く事務的なことで、いまここでそれじゃ答弁してくれませんか、みんな表を持っているのだから、その方が早い。それだから、選挙制度審議会の十四名増はいま二県かそこら、矛盾があると私はわかっているから、それは現在の人口に当てはめればどこを是正すべきかということなんだから、それじゃいま答弁してくれませんか。事務をやることもお手伝いしてくれないということになれば、それなら自治省は解散してしまった方がいい。それで今度十四名増、四名城というならどことどこがふえてどことどこが減るか、これは後ろの人でもいいし、向こうにいる人に電話をかけて計算をしてみればいいことであるのだから、こんな事務のお手伝いもできないということじゃ参議院で検討するもしないもないわけで、そういう案としたならばどうなるかということだから、どうですか。
  242. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいま大臣からもお話ありましたとおり、それらの数字を出しかねますので、御了承いただきたいと思います。
  243. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私お尋ねします。それじゃ後ろの課長さんでもいいから、十名ふえるというならばどことどことふやしたらいいですか。余り固執するなら、東京、神奈川、大阪、そしてどこに行きますか。いまの人口をこの間の人口から勘定すればいい。大胆がそんなことを言うものだから、事務当局はかたくなになってしまって、それは委員長から言われたら出します、数字を当てはめてくれさえすればいいのですから出します、こうおとなしく答弁してくれないものだから、事務当局はどえらい、おっかない問題だと思って出せやしないので、これは大臣の方がいいかもしれない。
  244. 天野公義

    天野(公)国務大臣 余りいじめないでください。
  245. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 委員長、これは何とかしてもらわなければ、お役所を解散してしまった方がいい。数字も入れられないというなら、お役所を解散だ。
  246. 久野忠治

    久野委員長代理 先ほどの私の発言に補足をさせていただきますが、参議院の構成に関する問題で、現に参議院の公職選挙法の特別委員会に小委員会が設けられて、目下各党間で話し合いが進められておる段階でございます。そういう際であるだけに、資料を出すか出さないか、これはいろいろの検討が進められておることは事実でしょうが、その検討されております内容を示すことが現段階においていいのか悪いのか、そういう可否について理事会で皆さんと相談をいたしたい、私はこう言っておるわけでございまして……
  247. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 参議院で検討しているといっても、何か検討していますか。
  248. 久野忠治

    久野委員長代理 そういうふうに私は承っております。
  249. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それば検討していない。衆議院の方で定数是正をしていったから衆議院の方からやってきてくれということで、合意事項をつくったままで何も進めてはいないので、これは衆議院の方からやっていかなければいけないから、一つの参考意見として、さっき三つぐらいの案を、私個人の見解であるわけですが、そういうものを数字を当てはめてくれないか、県を当てはめてくれないかと言ったので、それではここで答弁をさせてもらえぬか。みんな自治省の頭の中に入っていることだから、考えるほどのむずかしい問題ではない。
  250. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 たとえば第一の案につきまして、先ほど十名増というふうにおっしゃいましたが、これもどういうルールでどういう基礎の数字を使ってということからいたしまして、仰せがあって、直ちに簡単に答弁できるものでもございませんし、それからまた、それをこういう場でお示しすることは、先ほど来お話がありますとおり、現在参議院の公職選挙法特別委員会の小委員会においてお話し合いが続いておる折でありますので、やはり影響するところも考えさせていただかなくてはならないと思う次第でございます。
  251. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 余りこだわらないから、後で理事会を開いて委員長からまた取り進めてもらいたいと思います。  十一月の十一日の解散、十五日の告示で、中十二日、十三日、十四日の三昼夜だけで一体選挙の準備は間に合うだろうか、われわれ率直に疑問を持つわけで、どんなぐあいでしょうか。
  252. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 いまたまたま日を挙げてお話がありましたが、まだ私どもといたしましては、そういうことすら口にすることができない未確定の状況であるわけでございます。  結論的に申しますと、私どもは、いろいろな場合に常に対応してまいらなければならないという心構えを持っておりますけれども、それにいたしましても、選挙をりっぱにやり上げるためには、事前に一定の準備手続が要るわけでございます。そのような準備手続の時間が確保できますれば、実行は可能になるかと思うわけでございます。
  253. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それで私は、具体的に三昼夜で間に合うかと言っているわけです。十二日、十三日、十四日、まあ特定日を抜かしたとしても三昼夜で準備は間に合いますか。
  254. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 これは、そういう事態が起こりました場合に、それに向けて対処しなくてはならないと思う次第でございます。
  255. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃそういう事態が起これば、徹夜でも何でもして、準備は三昼夜でできますね。対処しなければならないと思いますというのは、対処できるわけですか。
  256. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 このことにつきましては、選挙期日そしてまた公示の日程というようなものが前提になりますので、全くすべてのことが未確定という状況では非常に困難が伴うかと思います。しかしながら、御承知のとおり、十二月九日が現衆議院議員方々の任期満了日であるということからいたしまして、各選挙管理委員会におきましては、解散による総選挙であれ、任期満了による総選挙であれ、選挙の期日こそ未確定でありますけれども、とにかく選挙準備に入らなくてはならないという情勢はすでに出てきておるわけでございますので、折あるごとに、選挙期日を入れることはできないが、選挙期日を入れない範囲内においていろいろな物資の準備とかあるいは手続的な準備とか、こういうものを極力進行するようにということを言っておるわけでございますので、次第に選挙の準備は進んでおるというふうに言うことができると思います。
  257. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣は、事務当局に準備に入れというような指示は全然やっておりませんか。
  258. 天野公義

    天野(公)国務大臣 まだ公式には言っておりません。ただし、本年は任期満了の年でございますから、当然やれるべき準備はあうんの呼吸でしていると思います。
  259. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣、われわれのところに、いまこういう招待状が来ているわけです。十一月十日及び十一月十一日は御夫妻でということで、衆議院議員小沢貞孝、こういう招待状が来ているわけであります。四日に解散になれば、政府としては前衆議院議員小沢貞孝というように通知を書き直して出すわけでしょうか。これは政府に私お尋ねをしたいわけなんです。
  260. 天野公義

    天野(公)国務大臣 それは内閣の方でございますので、まだ聞いておりません。
  261. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 内閣の方ならひとつ電話をかけて事務当局で聞いていただきたいが、われわれのところに来ている招待状は衆議院議員何のたれべえということで来ていますが、これは内閣に聞いてください。四日に解散になったら、議員ではないからその通知は無効になる、私はそう思います。もう一回改めて出し直すか全然出席しないか、これは選挙と絡んで非常に重要なことだと私は思いますから、これはひとつ内閣に聞いて、御答弁をいただきたいと思います。あとの質問を続けています。  いま議員のところには、衆議院議員何のたれべえ、十一月十日の式典及び十一日のお茶会に御夫妻で、こういった通知がみんな衆議院議員の肩書きで来ています。各党ともいま問題になっているのは、四日の解散になったときに、その者は皆資格喪失で通知も違うから行けないのか行けるのか、こういうことですから、これはひとつ内閣へ連絡をしていただいて、この席で後ほどでいいから御答弁をしていただきたいと思います。
  262. 天野公義

    天野(公)国務大臣 任期は十二月の九日まであるわけでございますから、当然御通知状は行ったわけでございます。残余の問題は仮定の問題でございますから、何とも申し上げられない次第でございます。
  263. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 国会が終わって、任期は十二月九日まであることを知っているわけです。だから十一月四日に解散になった場合には、その招待状はどうなるか、こういうことを言っているわけです。これは自治省の問題じゃないことはわかっていますから、内閣から聞いて、後で御答弁をいただきたい、こうお願いをしているわけです。
  264. 天野公義

    天野(公)国務大臣 仮定の問題でございますから、聞くまでのこともないと思います。
  265. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ聞いてはくれない。——ただ、みんな国会議員が本当に困っちゃっているわけです。四日に国会が終わって、円満に任期満了選挙で入ればこの問題は問題じゃないけれども、しかし十一月の十日の式典に国会議員出席ゼロ、招待状もなかった、こういうことになれば、これは式典の問題そのものが重大な問題となるわけです。私の質問はもう一、二問、あと二十分ばかりあるが、内閣はだれか来てもらえる。総理府の副長官か……。
  266. 久野忠治

    久野委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  267. 久野忠治

    久野委員長代理 速記を始めて。
  268. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ後で理事会でまたこの問題も相談させていただきます。  それじゃ最後に、先ほど林議員から質問がありましたが、いわゆる寄付、献金の場合に私三つあるような気がいたします。個人の献金、先ほどもずいぶん質疑応答があったようですが、個人の献金の場合に、これは政治活動に関する献金なのか、そのほかの純然たる献金かということは、どこで判定をしたらいいかということですね。政治資金規正法第二十二条の二によれば、「何人も、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えて政治活動に関する寄附をしてはならない。」、こうあるが、それじゃ政治活動以外の寄付と政治活動に関する寄付とは、札に色がついているわけじゃないし、趣旨その他から言えば大変あいまいなものが残ってくると思うが、この辺は一体どうやって区別をしたらいいだろうか。たとえば私が二十万もらったが、これは一体政治活動の寄付かな、この間どこかへ旅行に行ってきたんだけれども、そのときの何とない寄付かな、こうどうにも判断がつかぬ場合が出てくるのですが、政治資金規正法は、その辺は何ら触れていないか。その辺について、これは事務的な解釈でいいわけですが……。
  269. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 政治資金規正法の第四条第四項を見ますと、「この法律において「政治活動に関する寄附」とは、政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動(選挙運動を含む。)に関してされる寄附をいう。」ということでございます。したがいまして、まず「政治団体に対してされる寄附」、これは政治活動に関する寄付になります。それから「公職の候補者」と申しますのは、第三条の一項二号によりまして、候補者または候補者となろうとする者及び公職にある者を含む、こうなっております。そこで、そのような方に対して「政治活動に関してされる寄附をいう。」ということになっております。  そこで、政治団体に対する寄付はもう疑問がないと思いますが、個人に対する政治活動に関する寄付であるかどうかという問題は、これはやはり寄付者の意思または受領者の意思、それからまた寄付のときの時期、態様と申しますか、そういったものによって決まるものと思います。
  270. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 寄付者の意思もあろうし、寄付をもらう人のもらうときの態様等々もあろうと思うが、それをもし雑所得、先ほどの問答にあるように雑所得として届け出をした、こういうことになると、今度は税を払えばこれは政治活動に関する寄付ということにならないという解釈でいいかね。
  271. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 税を払うかどうかではなくて、やはり政治献金の趣旨をもってされた寄付は、ここに言う「政治活動に関する寄附」になると存じます。
  272. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だれがどこでそれを認定する。これが確かに政治活動に関しては、同一の者に百五十万円やっちゃいけないとあるけれども、二百万くれた、しかしこれは政治活動に関してやったのじゃないぞと、こう言った場合に、もらった人は、ああわかりましたと言って、雑所得で申告いたします。これは一体脱法行為になっちゃうわけでしょうか。
  273. 谷口昇

    ○谷口政府委員 私どもは、先ほど申しましたように、政治家の方が政治資金を受けられるとき、それに基づきまして雑所得ということで課税をしておるわけでございますが、あくまでもその受け入れられるといいますか、基準は申告納税制度でございますので、その政治家の方がやはり当然、私どもは政治資金であるという認識はあるのだろうとは期待はしておるわけでありますが、先ほど申しましたように、その収入金額から政治資金を引いたその雑所得というような所得がありました場合に、その雑所得の申告を、もし黒であるというか、たとえば私的消費に使われるだとかあるいは私的財産形成に使われるとかそういうような事実がありまして、要するに黒でありましたら申告するということになりますけれども、通常の場合それがそうでないように思っておりますので、その場合は申告は要りません、こういう状況でございます。
  274. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 国税庁の御答弁、私それで意味はわかると思います。ただ、この法律の二十二条の二には、政治活動に関して一人の者に百五十万以上やっちゃいけないと、こうあるわけです。ところが国税庁関係のそういうことを言えば、三百万もらっても四百万もらっても、これはこれと趣旨が違っておれば、そっちの方では差し支えないように解釈できるわけなんです。これは自治省と国税庁、どうでしょうかね。政治活動については一人の者が百五十万、こう決まっている。ところが国税庁的な物の見方をすれば、ちょっと選挙はずっと先の話だしというようなことで、あるときに三百万くれた、これは国税庁式に政治活動に二百万だとかなんとか使ったあと残りが雑所得だと言って申告すれば、国税の方はそれでよさそうだし、これは政治活動じゃないと言ってもらったということになれば、この政治資金規正法の違反にもならぬしと、こういう矛盾が出てくるんじゃないか、こう思うんです。
  275. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 ただいま御質問の中に、選挙がまだ遠いからというお言葉がありましたが、そこにちょっと誤解があるのではないかと思うわけでございます。つまり、これは選挙が遠いか近いかではなくて、今度の改正法による百五十万円という寄付ないしは受領の制限は、これは年間を通じまして一寄付者から一受領者に対して百五十万円を超えてはならないということでございますから、税の方で……
  276. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 政治活動でないものならどうする。それを言っている。個人が受け取るものはみんな政治活動とみなすということはどこにもない。これはたまたま衆議院議員候補者または候補者たらんとする者、それはみんなそういうふうに包含されるが、候補者たらんとせずという者にとっては、これはもう全然ここはブランクになっちゃっているように感ずる。
  277. 谷口昇

    ○谷口政府委員 先ほど政治資金に関して御答弁を申し上げたわけでありますが、ただいまの先生の御質問のように、政治資金でないといいますか、いわば個人的に寄付を受けるとか、そういう純粋に個人間の贈与であります場合は、これは別途相続税法なり所得税法による課税ということになりますけれども、政治資金というお話がありましたものですから、これはおっしゃるように、三百万円以上の場合は確かに政治資金規正法の制限がございますが、政治資金ということになりますと、私どもは先ほどのようなお答えをせざるを得ない。政治資金でない、こういう話になりますと、これはまた別の課税体系に入るということになるのではないかと思います。
  278. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だから、政治資金でなくて、個人的な寄付というものは一体どういうことになるのですか。出した方も個人的な寄付だ、政治活動の寄付じゃない、そういう金はどういうところに当てはまるのですか。
  279. 谷口昇

    ○谷口政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、個人間の贈与という形になりますと、通常これは受けた方に課税になります。
  280. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だから、個人間の贈与であるなら、これはそれで税金を納めれば、性格はそっちの金だから、政治資金ではない、こういうように税の納め方によって逆に証明される、こういうように見てもいいわけですか。政治活動の枠にはひっかからぬ、こういうように見ていいわけですか。
  281. 佐藤順一

    佐藤(順)政府委員 やや理屈っぽくなるかもしれませんが、私どもは、税の納め方によってこの金が政治献金であるかどうかとなるのではなくて、やはりその金の性質は単なる贈与であったのか、それとも政治献金であったのかということが先にありまして、それによっていろいろと規制が違ってくる、こういうふうに理解します。
  282. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、税金の方は単なる寄付で取られておいて、また政治資金規正法の制約も受ける、こういうことになるわけですか。そういうダブることはないと私は思うから、そのことを言っているわけだ。贈与の方の税金を納めてしまえば、納めたことによってそれは政治活動に関する寄付ではないという証明ができたんだ、こういうように考えるのだけれども、そっちはそっちで贈与の税金は取るぞ、こっちはこっちで政治資金規正法の枠をはめるぞということは、私は矛盾しているようだと思う。  それでは、これは質問する方の私もよくわからぬで質問をしているわけで、大分わかってはきたけれども、ひとつそこのところを自治省と国税庁で研究して、来月の四日のときに統一見解みたいなものを出してもらう、そういうようにやってください。いいですね、委員長お願いします。  それから、私の法定選挙費用は七、八百万要るが、私の雑所得の中から私の立候補の運動に金を出した場合には、それは今度は例の政治資金規正法の税優遇措置の対象になるか。
  283. 谷口昇

    ○谷口政府委員 いまの御質問の趣旨がちょっと二通りに解釈できるような気がするのですけれども、まず雑所得のものと、それからそれ以外の所得があって、先ほどの政治家の雑所得という場合、それからそれ以外の所得がございますね、これは所得税法では損益は通算はできない、こういう形になっておりますので、ツウペイというわけにはまいりません。
  284. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 要するに、雑所得の中から私の選挙運動に百万、二百万出した場合には、それは所得控除の対象にならぬわけですね。今度の政治資金規正法の二十五分の一だとか何かまでは所得から控除する、一千万円の所得のある者は二百五十万までは控除することになった、そういう優遇措置には該当しないわけですね。
  285. 谷口昇

    ○谷口政府委員 いまの御質問は、また御趣旨がちょっとあれでございますけれども、少し私の方でこういうふうな御質問かと解釈をいたしましてお答えを申し上げますが、たとえば自己が、先生なら先生が公職の候補者となられていまして、その自己資金の支出を寄付として、たとえば政治献金の寄付金控除を認めよ、こういう趣旨の御質問だと仮にこう解しまして、その場合には、自己が自己のために支出する金銭等を寄付と見るかどうかは、公職選挙法の私どもの解釈の問題であろうと一応考えておりますが、仮に寄付といたしましても、租税特別措置法の四十一条の十四の「寄附金控除の特例」の規定にあります「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるもの」に該当し、寄付金控除の対象にならない、このように考えます。
  286. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 明確にわかりました。  私の選挙で、法定選挙費用が九百万ぐらい、それに寄付が集まってきました。収入の方が一千五百万になった。実際は九百万しか要らないから、あと六百万残りました。その収支というものを選管に届け出ます。そうすると、五百万残った金あるいは六百万残った金は、その金は一体どうなるか、税金がつくのか。その金を持っていって、どこか政治団体にでも寄付すればいいのか。その金はとにかく税金がつくのかっかないのか、こういうことです。わかりますね。選挙に一千五百万の寄付があった。法定選挙費用の九百万しかかからなかった。六百万残った。それは六百万残金と自治省へ届け出ます。その六百万は、あと私個人の所得になって税金がつくだろうか、それともそれは政治資金として報告したから、後は税の対象にならないか、こういうことです。
  287. 谷口昇

    ○谷口政府委員 ただいまの御質問も、もう一度私の方で整理をいたしましてお答えいたしますが、公職の候補者の方が選挙運動に関連をいたしまして、個人、法人からの贈与により取得した金銭等で、公職選挙法第百八十九条の規定により報告されたものの支出後の残額についての課税はどうなるのか、こういうように解釈してよろしゅうございますね。そうでありますと、私どもは、先ほど申しましたように、公職の候補者選挙運動に関し、贈与により取得した金銭等で、公職選挙法第百八十九条の規定により報告されたものについては、個人からのものは、これは相続税法の二十一条の三第一項第五号の規定、それから法人からのものは、所得税法第九条第一項第二十二号の規定によりまして非課税となっておりますことは御承知と思いますが、したがって、支出後の残額もこれは非課税だということになると考えております。と申しますのは、収入ベースで物事を考えておりますので、その収入の時点ですでに非課税なものでございますので、私どもは結果、残額の問題についてまでちょっと議論が及ばないように一応考えております。
  288. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。  それでは質問を終わります。先ほどの件はよろしくお願いいたします。      ————◇—————
  289. 久野忠治

    久野委員長代理 これより請願の審査に入ります。  請願日程第一から第六までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願内容につきましては、文書表等ですでに御承知のことでありますし、また、理事会等で慎重に御検討をお願いいたしましたので、紹介議員よりの説明等は省略し、直ちにその採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 久野忠治

    久野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第三の障害者選挙権行使に関する請願及び第四の船員不在者投票制度に関する請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 久野忠治

    久野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、残余の各請願は、次回の理事会においてその取り扱いを協議することといたします。  ただいま議決いたしました両請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 久野忠治

    久野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕
  293. 久野忠治

    久野委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十分散会