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1976-10-19 第78回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 羽生田 進君 理事 葉梨 信行君    理事 深谷 隆司君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       萩原 幸雄君    林  義郎君       阿部未喜男君    田口 一男君       米原  昶君    岡本 富夫君       坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 丸茂 重貞君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君  委員外出席者         内閣官房内閣調         査官      志垣 民郎君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示監視課長 佐藤 一雄君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         林野庁指導部計         画課長     秋山 智英君         林野庁業務部長 須藤 徹男君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   平井 義徳君         運輸省港湾局計         画課長     小池  力君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         建設省道路局次         長       小林 幸雄君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 大臣、きょう理事会の決定によりまして、伊達発電所のパイプラインに関する統一見解が、環境庁が中心になって経済企画庁、通商産業省と合議の上で決定され、いま提案になっております。この問題に対しては二十六日に内容について具体的に詰めて、この正否をただしたい、こう思うわけであります。  それにいたしましても、きのう、きょうのいろいろな報道等によりまして、最近の環境破壊、それと同時に今度は林業労働者白ろう病の問題、これはかつては死に至るほどの問題でもあるまいと思われておったのが、もう死者まで出ておりまして、部分的疾患だと言われておる問題も全身疾患であるというふうに認識されるようになってきたわけでありまして、対策が依然として後手後手になっていることは否めないと思うのであります。こういうことは環境庁ができた以上なくさなければならないし、そうあるのが当然なのでありますけれども、大臣、このためにも四十七年の公共事業等開発についての閣議了解事項があるのでありますが、この了解事項は現在どのようにして各省庁に通達し、守られておりますか。その状況等について大臣はどのように把握しておられますか。
  4. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘白ろう病ですが、私、定かな記憶ではありませんが、四年くらい前に参議院の社会労働委員会で、厚生省、労働省質問者の間に、ずいぶん綿密なやりとりがあうたことを記憶しています。この発病原因チェーンソーに基づくものだということで、当時、林野庁労働省も、できる限り、そういう病気発生しないように努力をしてまいりますという答弁があったと思っております。  その後、林野行政労働行政の中においてチェーンソー使用方法について、どういう改善、向上がなされたかという点は、私もつまびらかにしてはおりませんが、その後、直接チェーンソーを手に持たないで遠隔操作で使えるような創意工夫ができ上がったかに聞いておりますが、それがどの程度、現地においてなされておるかどうかは私、不敏にして承知しておりません。  そこで、いまでも白ろう病が出ておることは承知しておりますし、また振動が手に与えるところの生理的、病理的な変化、特に末端神経を阻害し、末端血管を阻害するというふうに聞いていますが、その辺も医学的にいろいろ究明に努力されておると考えます。これは環境行政というふうに御指摘になりましたが、林業労働者の身になれば、手がああいうかっこうになることは人道上の問題ですから、そういうことはできるだけ避けるようにしなくちゃならない、こういうふうに思っておる次第であります。
  5. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 公共事業につきましてのアセスメントの実施についての閣議了解につきましては、それを周知させるために建設、農林、運輸事務次官の連名で各県に通達を出しておりまして、また環境庁企画調整局長名でも各都道府県知事通達をいたしまして、その徹底を図っておるわけでございます。
  6. 島本虎三

    島本委員 それは完全に守られているようですか、その点検はどうですか。
  7. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 その実施につきましては機会あるごとに私どもも、環境担当全国会議等におきましても、そういうことの徹底を図るように指導しておるわけでございます。
  8. 島本虎三

    島本委員 徹底を期しておるけれども、そういうふうに考えているのは環境庁で、実際実施官庁に至っては形式的な環境影響評価をしたまま、被害がないという前提に立って開発を強硬に進めている傾向が最近特に多い。閣議了解事項であっても、やはり閣議で了解したものである以上、あの中にはしり抜けになる部分も当然あるのです。必要と認めるならばという言葉さえあるのでありますから、必要がなかったらやらなくてもいいという反対解釈もできる、こういうようにさえ思われるのですが、一応、環境影響評価を国の実施する公共事業でもやれということになっているのですから、これはやはり、やらせるように環境庁としては厳重に監視し、指導しなければならないのでありまして、他は省であって環境庁は庁であるから、一級下なのだから、この問題は権限においてはという遠慮は全然要らぬのです。ですけれども、私としては、こういう問題自身環境庁ができてからも、なおかつ若干、後退的になっているということを残念に思うのであります。  それと、四十七年の閣議了解事項について林野庁では、山の木を切ったら、いわば一つの山の山林形態の変更になりますから、植物に対する生態系関係十分調査の上でチェーンソーを使うなり、いろいろ、その経済効率を上げ開発を図るべきじゃないかと思っているのですが、こういう点を実施する際して、林野庁としては、いま言ったような点を十分考えてやっておりますか。
  9. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  林野庁所管の主な公共事業林道整備事業治山事業等がございますが、これらの事業立案に当たりましては、ただいま御指摘環境保全問題が重要な課題となっておりますので、あらかじめ十分な調査を行うとともに、関係機関とも連絡協調をとりまして自然環境保全の面で万全を期するように指導しているところでございます。  また、いまお話がございました伐採につきましては、従来から森林計画制度等によって適正な森林資源を確保するとともに、保全上重要な森林につきましては保安林に指定し、伐採開発等森林の取り扱いに制限を加えまして、土砂の崩壊、流出等のおそれのある林地には積極的に治山事業実施して国土の保全等を図っているところでございます。
  10. 島本虎三

    島本委員 しかし、いまのような御答弁がございましたが、それを十分考えてやっている場合には、具体的な結果として白ろう病は出ないのじゃないかと思われるわけです。四十一年に認定し、それから以後、続々と出ているわけであります。そういう場合に自然環境生態系まで考えて慎重な配慮のもとにやるとするならば、続発するということは、ちょっと考えられないのであります。  いま御答弁がございましたけれども、日本全国チェーンソーは何台くらいあるのですか。そして林野と一般に分けて、これを使う人たちはどれほどいるのですか。それを林野庁では調査してありますか。
  11. 須藤徹男

    須藤説明員 ただいま正確な数字はここに持っておりませんが、民間で使われておるチェーンソーは約十八万台と聞いております。それから国有林におきましては約五千台が使われております。なお、民間従事者につきましては、十八万台フルに稼働しているというふうには見ておりませんで、このうち数万台が使われているというふうに考えております。国有林につきましてはチェーンソーにつきましては、いま申し上げました五千台でございますが、そのほかに刈り払い機がございまして、合計一万一千ぐらいが使用されております。
  12. 島本虎三

    島本委員 それらのチェーンソー民間では約十八万台ですか、それから国有林関係では五千台ですか、これは全部、振動の結果等について間違いなく的確なる表示をし、これに対する使用方法について十分周知した上で使用さしているのですか。
  13. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  国有林につきましては、例の振動加速度三G以下という労働省通達に基づきまして、これをもとに労使間協議をいたしまして機種を決めております。  それから民有林につきましては、従来からの労働省指導がございまして三G以下ということで、従来の、それよりも振動数の多いものにつきましては買いかえ措置ができますように、金融等につきましても措置をしておるところでございます。
  14. 島本虎三

    島本委員 この問題は以前から大きい問題になっておるのでありまして、やはり振動数の少ない、使用者被害を与えないレベルは大体、実験によってはっきりしているわけであります。しかし、すでにつくって市販に出されて、そうして一人親方と言われる民間労働者が、その安いものを手に入れて振動数が多いとは知りながらも、それを使用している。そういうようなものは全部、引き揚げることになっておったはずではございませんか。そういうような不適格なチェーンソーこういうようなものに対して、どういうふうな措置をしているのですか。それをそのままにしておいたら、また使うじゃありませんか。
  15. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  おっしゃるとおり、従来の振動数の高いチェーンソーにつきましては、できるだけ買いかえを図るというようなことを、先ほど申し上げましたように指導しておるのでございますが、具体的には補助事業といたしまして、民有林の現場を対象とした安全点検パトロールというものの実施あるいは二時間規制を守るための合理的作業仕組み等を普及する作業仕組改善促進事業実施等、積極的に対処しておるのでございますが、五十二年度に向けまして、チェーンソー使用者に対する指導の充実のための措置につき、政府部内におきまして検討しておるのでございます。たとえば特別教育、目立ての指導というようなことも検討しておるのでございます。
  16. 島本虎三

    島本委員 いまやっているというようなことは、それはもう信用いたしましょう。しかし部長チェーンソーはいつから使いましたか。使用したのはいつからですか。
  17. 須藤徹男

    須藤説明員 昭和二十九年ころから使用を開始いたしております。
  18. 島本虎三

    島本委員 その使用さした国有林の場合、直接林野庁責任を持たなければならない国有林の場合などにも、このチェーンソーを使った場合には、振動病、いまは振動病ですが当時は白ろう病と言ったはずでありますが、そういうようなものになるおそれがあるからということを、あらかじめ注意をし、あるいはまた、そういうようなおそれのあることを警告して使用させましたか。
  19. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  チェーンソーにつきましては世界各国であまねく普及している機種でございまして、林野庁といたしましても導入当時は、そういう危険性があるということは全く予知しておらなかったのでございます。
  20. 島本虎三

    島本委員 そして五時間も六時間もそれを使用させた。そして四十一年から職業病として認定するようになった。現在、五十一年ですから十年間たっているわけであります。その間にも、これらに対する適確措置がとられたかどうか疑問であります。それを使用する場合には講習をして使用させるわけであります。林野庁でもしているのです。ところが白ろうのおそれがあるぞということは一言も言っていないのであります。これは、そういうような危険性を知っていて、それを言わなかったとすると重大であると思います。本当にこれは当初は知らなかったのですか。この点は、この際ですから、やはりはっきりしておいた方がいいのであります。重大であります。
  21. 須藤徹男

    須藤説明員 先ほども申し上げましたとおり、当初は全くそういうことは予知していなかったのでございます。
  22. 島本虎三

    島本委員 予知しておらなかったけれども四十一年に認定患者を出した。それ以後、民間の方においては依然として五時間、六時間、多い人は八時間、つい三年前まで、四十八年まで、そういう状態が続いているのであります。四十一年に認定されていて四十八年まで、そういう点でほったらかしておくというのは怠慢もはなはだしいと思うのであります。それに対して、いま完全な治療方法開発されているというならいいのですが、白ろう病として認定された患者治療方法、これは完全に開発されておるのですか。
  23. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  完全な治療法というのは確立されていないというふうに聞いておりますが、現在やっております温泉療法リハビリ療法等効果があるということで、それをいま積極的に進めておるところでございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 大臣、これはもう昭和二十九年から導入されて、それからずっと続いていて昭和三十年代になって、あの高度経済成長の波によって山が大量に切られた。それで四十年を越えて、ようやくに職業病としての認定が始まった。現在、五十一年になってもまだ白ろう病患者治療開発がはっきりしていない。そして温泉療法がいいだろうという程度で、これを行っているにすぎない。完全な医療機関の確立さえ、まだ不明にして聞いておらない。もうすでに死者が相次いで出ているわけであります。そして、関係者は告発されているわけであります。これを見る場合には、年次的にたどってみて、医学的にこれが治癒するということ、快癒するということ、直すということ、これは白ろうの場合には、まだ道遠しの観があるようでありますが、これは大臣どうでしょうか。これは大事じゃありませんか。黙って、死を待つような行政はないと思うのでありますけれども、これは医者である立場から大臣としても関心が高いだろうと思うのでありますが、この際ですから、うんちくのある御答弁を賜りたいのであります。
  25. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまお尋ねの白ろう病うんちくということですが、全くうんちくには自信がございませんが、労働医学方面では大きな重点目標として研究しておるようです。先ほど私がちょっと触れましたが、私も門外漢で余り詳しくないのですが、振動がああいうふうなかっこうで生理的、病理的な影響を起こす、その原因が何だという、その原因探求にまだ十分なものがないらしいですね。ことに血管神経障害手指末端神経障害ですね。振動がああいう病理的な変化を起こす、その原因探求労働医学の大きなテーマであると同時に、原因が探求し切れぬものですから、治療法も、おっしゃるとおり、いいものがないと言っても差し支えないほどだと思います。私も温泉病院の院長ですから、ときたまお預かりするのですが、いろいろ新しい方法と言われるものを試みたりなどしておりますが、はっきり申し上げて的確な効果が出たと信じられるようなものが、いまだかつてないようです。したがって私は、先ほど冒頭に申し上げたように、これはやはり職業病の中でも、明らかにこういうものによって起こるということはわかっているのですから、一番のあれは治療よりも予防が第一だと思うのです。不幸にして起こった者に対する治療方法、これはやはり第二、というのは軽いという意味じゃなくて、順序からして、やはり労働医学徹底的に、こういう方面を探究してもらわなければならぬな、そういう気がしておるわけです。  総合して申し上げますと御指摘のように、いま治療法で的確な、これをやればよろしいということはないようでございます。
  26. 島本虎三

    島本委員 的確な治療方法がまだ開発されておらない。こうすると予防並びに早期発見、それと同時に早期治療、こういうのは緊急の問題であるし、人道上の問題だと思うのです。予防についてはやはり第一番だと思うのであります。この予防については大体、林野庁はどういう指導をしているのですか。
  27. 須藤徹男

    須藤説明員 おっしゃるとおり予防が第一でございまして、従来、国有林におきましては昭和四十四年から、組合と協議いたしまして使用時間の制限実施してきたのでございますが、その後におきましても認定者発生を見ておりますので、五十年四月に至りまして、さらにこれを強化いたしまして、チェーンソー使用時間は一日二時間でございますが、月の使用時間を三十二時間、それから週四日と制限いたしました。また、手工具の使えるところにつきましては、できるだけ手工具導入、つまり昔の手のこでございますが、手のこを入れるということで、現在三〇%ほど手のこの導入が行われておるのでございます。また、一年じゅう振動機械を使うということは当然避けるべきでございますから、振動機械使用しない他事業との組み合わせ等を行いまして、年間使用実績を下げるというような努力もいたしておるのでございます。  また、無振動機械開発が当然重要でございまして、現在リモコンチェーンソー開発が進められておりまして、近々これも導入されるというふうに思っておるのでございます。  また、それと同時に盤台におきます玉切り、従来はチェーンソーを使っておったわけでございますが、自動玉切り装置導入いたしまして、できるだけ振動機械から離すということをやっておるのでございます。  また、民有林につきましては四十一年に防振装置のものを使うという通達を出しておりますが、その後、四十五年には労働省使用時間を二時間に規制するというような通達を出しております。先ほど申し上げましたように四十九年からは、できるだけ振動数の少ない、つまり三G以下の機種の購入に充てるために、いろいろ金融措置その他をやっておるのでございますが、五十一年度にはチェーンソー作業従事者健康管理の適正に資するために健康管理指針作業指針内容とします労働省労働基準局長通達周知徹底を図っておるのでございます。  また直接、国有林関係のあります民有林労働者、つまり請負事業体に対しましては、請負契約の際に、こういうものが徹底的に守られるような契約内容にいたすように、すでに通達を出しておるのでございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 大体チェーンソー使用時間は一回何分ぐらいが病気にならない限度ですか。
  29. 須藤徹男

    須藤説明員 従来、組合と協議いたして決めておりますのは、一連続時間十分ということで決めております。
  30. 島本虎三

    島本委員 一回連続時間十分、後は何分休んで、また十分ですか。
  31. 須藤徹男

    須藤説明員 十分間を交互に繰り返すような形で仕組んでおりまして、そのほかに午前と午後に、それぞれ十五分の緊張緩和時間を設けておるのでございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 十分、十分、十分、交互にやって一日何時間になるのですか。
  33. 須藤徹男

    須藤説明員 いわゆるチェーンソーが動いている時間の十分を合計いたしまして、一日二時間以内ということで規制をいたしております。
  34. 島本虎三

    島本委員 それでいったならば、それは医学的にも科学的にも、いわば白ろう病にならないという歯どめだという証明があるんですか。
  35. 須藤徹男

    須藤説明員 医学的にはこの二時間で絶対大丈夫だという証明はございません。
  36. 島本虎三

    島本委員 それなら、やっていったならば、またなるということ、また進んでやらせているということになってしまうじゃありませんか。理屈として、ちょっとおかしくありませんか。
  37. 須藤徹男

    須藤説明員 発生原因につきまして、いろいろ医者先生方の御意見があるわけでございますが、いずれにしても累積時間、できるだけ年間の稼働時間を少なくするというようなことも一つ指針になっておりますので、先ほど申し上げましたように、年がら年じゅう二時間規制で毎日働くということではなくて、できるだけ振動機械にさわる期間を短くするということで、他事業との組み合わせ等を工夫しておるのでございます。もちろん医学的に証明はされておりませんけれども、この程度ならば何とか防げるんじゃないかということで四十四年から実施したわけでございますが、それでも、なおかつ認定者が出るということで五十年にさらに強化をしたのでございます。現在では、さらに組合は、この強化を非常に強く要望いたしておりまして、林野庁といたしましては、どのようにしていくかということを現在、検討しておるのでございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 ちょっと、その辺なんです。いままでは六時間、七時間あるいは八時間というのが昭和二十九年当初のころの、あの使用時間だったわけです。それが四十年を越えて初めて認定が出てから、これは二時間くらいというようなのが、林野庁の方針に対して組合が出した一つ目標なんですが、これは、それくらいにしたならばいいだろうという目安なんです。まだ、医学的には、これならば起こらないという一つの歯どめじゃないのです。それで、いままだ、いろいろ操作してやっている段階ですけれども、林野庁としてもやはり国有林を扱う責任者として、きちっとした、この辺まで使ったならば、この時間内ならばという、はっきりしためどを立てて、そのめども科学的な裏づけのあるめどを出さないといけないじゃありませんか。  二十九年からもう何年たっていますか。そういうような遅々たる態度でやっていたのでは、その間に、いままでのこういうような患者がだんだん高進してまいりまして、まして治療法開発されていない現在、死者がだんだんふえてきているじゃありませんか。そして、なおかつ現在でも、はっきりした医学的な証明もないままに、いまやっているという段階。その二時間でいいだろうというのはほんの目安でしょう。私がつい最近北海道大学の渡部真也助教授の話を聞いたら、これはいまの段階では二時間では多過ぎる、三十分間ぐらいなら歯どめになるんじゃないかと思います、しかし、はっきりしたこれに対する見通しも確認もできませんけれども、それほどならば学者として私は提言することができますと言っているんです。二時間と三十分では四分の一でしょうし、まだ、これほどの違いがある段階じゃございませんか。予防重点を置くならば、もう少しその辺まで林野庁として踏み込むべきです。  それと同時に、環境庁としても労働省関係に対しても、ひとつ指揮権発動を十分考えたらいいと思うのであります。前回言ったように、環境庁環境保全並びにそれによって引き起こされる事態に対しては勧告することもできるわけでありますから、自然環境保全するために、公爵を防除するために、裏を返せば職業病をとめるためにも強権の発動があっても、これはだれも文句が言えないと思うのであります。労働省に対して、これらの点に対しても、はっきり物を印すべきじゃないかと思うのであります。  それと同時に、これはいかがでございますか。国がやっているのは国有林ですが、各都道府県や市町村、それらでもやはり山を持っておって森林を持っているわけであります。そういうような方面が払い下げる場合には、はっきりした条件をつけさせてございましょうか。たとえば二時間以上はチェーンソーを使わせるなとか、あるいはまた一回において十分を超えてはならないとかというような、いま林野庁がやっているようなはっきりした条件を、都道府県、市町村の自治体林に対しての指導適確にしておりますか。この点をひとつ、環境庁になりますか林野庁になりますか、いずれでもいいのでありますが、御答弁を願います。
  39. 須藤徹男

    須藤説明員 お答えいたします。  都道府県有林で最も大きな所有規模は、先生御承知のとおり北海道でございます。その次が山梨県の十四万ヘクタール、それ以外の都道府県につきましては、いわゆる県有林と称します県行造林を含めまして約一万ヘクタール前後の所有でございます。したがって、伐採時期に到達している林分というのは余りないわけでございまして、北海道庁について調べてみましたところ、北海道庁につきましては指名入札の際に、作業の仕様露の中に二時間規制をきっちりうたっておるのでございます。したがいまして、他の都道府県につきましても、立木処分あるいは請負というような場合に、そういう指導をすることが必要であるというふうに考えております。
  40. 島本虎三

    島本委員 考えておるのはわかります。その指導林野庁として都道府県の方へきちっとおろしていますか。また、おろす機関として自治省を通しますか、環境庁を通しますか。そういうのは林野庁が考えておって林野庁だけがやっておるのではいけないわけでありまして、その方針を徹底させるために、どの機関を通じて下の方へおろしていますか。
  41. 須藤徹男

    須藤説明員 先ほどの答弁で、ちょっと訂正させていただきますが、立木処分と申し上げましたが、他の都道府県はほとんど立木処分でやっておるはずでございます。いわゆる直営の請負丸太生産はやってないはずでございます。したがいまして、北海道におきましても直営の丸太生産についての、そういう規制でございまして、立木処分の場合には請負契約にうたうことにはなっておりません。しかしながら、そうはいうものの、いま先生おっしゃるとおり、やはり公有林等につきましては率先して、こういう指導徹底が必要でございますが、従来、林野庁では積極的に都道府県に対して、そういう指導は実はしておりません。しかし、ただいま先生から、そういうお話がございますので、関係省庁とも協議いたしまして、どのように処置をするか検討してみたい、かように考えております。
  42. 島本虎三

    島本委員 いまの須藤業務部長の、それで十分やってほしいのですが、それでも二時間なんです。二時間というものの内容や、そういうようなものの細かい林野庁の考え方を十分浸透させないといけないわけです。交互に十分ずつで、そしてそれを合計して二時間、こういうようなことです。ところが、そういうようなことではなしに、いかに、それを言ってやっても、やはり直接請け負った者がまた下請もさせるし孫請もさせるわけでありますから、その方へいったならば、これはすべて野放しであります。こういうような監督についても適確にしておかないと、白ろうはなくなりません。ただ自分らがそれをやったからいいんだ、方針を指導したからいいんだ、これだけではだめなのであります。まして、この治療法開発されていない現在、やはり予防重点を置かなければならないとするならば、もっときめの細かい適確指導が必要だと思うのであります。林野庁も、いまのような考え方だけでは、まだまだ不十分です。いま、あなたがおっしゃったように林野庁国有林の山に働く直接雇用に係る人たちに対する指針を、都道府県、市町村にも当然おろすべきです。いかがですか。
  43. 須藤徹男

    須藤説明員 直接の監督機関は労働省になろうかと思いますので、私どもとしましては行政指導として、やはり林業を守るという意味で、労働省とも十分協議いたしまして措置をいたしたい、かように考えております。
  44. 島本虎三

    島本委員 大体そういうようなことでありますが、大臣も聞いておられるとおりなんです。ですから、いまの白ろうの場合はまことに悲惨です。対策がいつでもおくれているんですね。二十九年から五十一年までの間、前進はしていますが、いつも治療方法は後追い、そして現在に至ってもなお完全な治療方法開発はなし、辛うじて温泉療法がいいだろう、こう思われる段階、そして白ろう病という認定をようやくかち取っても、それは重症患者である。まさに、これは日本の悲劇じゃございませんですか。  私は、やはりこういうような点も十分考えて、この大もとは自然環境保全ではなくて破壊につながるものであるという以上、環境庁も十分これを考えて、林野庁とともに振動病白ろうの絶滅を期して指導すべきだと思っているのであります。どうも、この点になれば林野庁の方に全部やらせているようで、環境庁は手抜きをしております。自然保護局もあるんでしょう。自然保護局も居眠りなんかして、よその方を見てはいけないのでありまして、こういうような点に対しても、きちっとした態度で指導しないといけません。もともと環境庁ができたときに、林野庁が扱っている仕事の大半は全部、環境庁で引き受けるべきだ、こういうような議論があったじゃありませんか。大臣、それがやはり現在の林野庁のあの事業部分を残さなければならないということで、現在のような状態になっているのであります。本来ならば、環境庁ができた途端に国有林環境庁の方で引き受けてはどうだという議論さえあったのであります。そこを考えた場合には、いまやはり分かれて事業部分を残して、そのための活動が、とりもなおさず白ろう病を生んでいるという、この実態を十分認識して、これに今後、十分メスを入れなければならないと思うのであります。私はこの点を強く要請いたします。  それと、これは須藤業務部長林野庁自身も、もっともっと心して林野行政指導しないといけません。林野庁自身が北海道の大雪のあの狸台その他の補償林道、これはもうりっぱな林道という国道をつくって自然破壊をやっているじゃありませんか。それを短絡するためのあの橋をつくって、これまた自然破壊になるということで、いまストップがかかっているじゃありませんか。どうも林野庁自身は自然破壊に協力する省庁になっているようでありますが、こんなことがあってはいけないのであります。国がやる公共事業でさえも事前に閣議了解事項がありまして、きちっと環境影響評価をしているのです。国の機関である林野庁が、そういうようなことを考えないでスーパー林道や大規模林道や、あるいはこの補償林道、こういうようなものを堂々とつけるという感覚は、まさにこれはナンセンスです。十分これはもう改心しないといけない、私は強くこれを警告しておきたいと思います。林野庁自身によって自然破壊が行われるということは、これはまことに悲しいきわみでありますから、この点は十分、林野庁長官にも申し上げてください、こんなことは二度とないように。  それから、あの大雪林道、補償林道です。あの問題はどういうふうに進展しておりますか。後ほどでもいいから、その経過を知らせてもらいたい。できたならば文書等によって、その経過を私に報告願いたいと思います。  以上でありますが、初め三十分というふうに言っておったものですから、本当はやったら、もっとあるのですが、これ以上やったら他の人に迷惑をかけますから、これで終わらしてもらいます。  大臣、これはいま言ったように、治療方法もないまま黙っておくと、とんでもないことになります。幸いにして大臣は医書の経験者でありまして、白ろうというこの問題を控えて、二十九年度から始まったこれが、いまようやく続々と死者が出る段階にまで来ているわけであります。早く治療方法開発、そして自然破壊にならないような各省庁への指導、それから林野庁の場合には、木を切る場合の自然生態系に対する配慮、こういうようなものを十分やらせるべきだと思います。この問題について信澤自然保護局長と、最後に大臣の締めくくりの答弁をもらいたいのであります。
  45. 信澤清

    信澤政府委員 いろいろお話はございましたが、現在、実際問題として私どもが林業施業に関与いたしておりますのは、国立公園あるいは国定公園等において、いわゆる森林計画、施業計画とも言っておりますが、そういうものの御協議をいただいておるわけでございます。したがって、いままでは、どちらかと申せば、どれだけのスペースを切らないで残してほしいとか、ここは択伐にしてほしいとか、こういう観点から、いろいろ御相談をしたわけでありますが、その基本に、いま先生お話しのような問題があるということを、ただいまの御指摘で伺いましたので、私ども専門家じゃありませんが、やはりそういう計画をお互いに相談し合う中で、われわれはわれわれなりに、いまお話しのような御趣旨のことを考えていきたい、こういうことで対処いたしたいと思います。
  46. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 白ろう病振動病ですね、これは私が冒頭に申し上げたように人道上の大きな問題だと思います。ことに、これはチェーンソーを使うという労働行為の結果、出るのですから、原因はきわめて明白なのです。そこで、いまいろいろ各般の御指摘がありましたが、さて起こったその病気の本体がさっぱりわからぬ。したがって治療法も的確なものがないということになれば、何としても予防措置を一番峻厳に考えるべきだと私は思います。  そこで、いま先生御指摘のいろいろなことがありましたが、もう一つ、私の立場から言っていいかどうかは別ですが、いまのように電気工学が非常に発達している時代ですから、チェーンソーを十年間、ああいう原始的と言っては悪いですが、出現したときからほとんど改良されてないようです。どうも、この点が私どもとすると納得いかないのです。最近リモコン操作のものができたといったって、これは、いまのところは恐らく試験的なものじゃないかと思うのです。したがって、リモコン操作によるチェーンソーというものがずっと行き渡れば、原因が完全に除去できますから一番いい方法だと思うのです。そのほか、これだけ電気工学が発達している中で、リモコン操作も含めて、もう少し画期的な機械ができていいのじゃないか、これは私の素朴な疑問ですが、やはりその疑問は、私は白ろう病予防する上に一番の目的にかなった疑問だと思います。これは、私もそう思っておるのですから、それぞれ関係各省庁に、そういうふうな方向に努力すべきだということは私の方からも強く申し入れたいと思っています。  ことに十八万台民間に使われている。国有林で五千台以上使われている。そうしますと、この需要というものはコマーシャルベースでも相当なものなんです。そうすると、この業者も、いままでのような原始的な、振動を起こすようなチェーンソーであってはいけないのだということになれば、相当な改良、創意工夫をこらすだろうと思うのです。この点は私としては、何といったって予防が第一だという観点からすると、振動発生源のチェーンソーが人体と関係なく動くというかっこうが一番望ましい。いまから手びきに戻りますというような返答がありますが、よくは承知しませんが、山林業者というか、従業員が非常に少なくなっているという時代において、そこまで昔の手びきに戻るということは、言うはやすくして行うはかたしだということも想像できますので、むしろ私は、チェーンソーを最新の電気工学にのっとって人間と関係なく振動するようなものに改良するような努力重点的にやれば、もっと早くいいものができるのではないか、こういう気がしておる次第であります。
  47. 島本虎三

    島本委員 以上、終わります。
  48. 吉田法晴

    吉田委員長 島本君の質問は終わりました。  次は、米原和君。
  49. 米原昶

    ○米原委員 前の国会で、いわゆる新産業都市、それから工業整備特別地域、これの財政特例法の五年延長が行われました。この新産工特というのは、高度経済成長政策のもと工業開発優先の拠点開発方式として採用され、大企業本位の開発全国的に可能としたものであります。この方式は、一方で重大な環境破壊と公害をもたらしたのは歴然たる事実であります。これは新産都市の優等生といわれた水島や大分の状況一つをとってみても明白であります。巨大開発とともに、この新産工特も厳しい批判を受け、政府自身も、この開発の大もとである新全総の総点検を余儀なくされ、環境保全と公害防止を口にせざるを得なくなっております。  そこで聞きますが、この財政特例法の五年延長に当たって、この新産工特方式に一体どのような反省を加えたのか、この点を国土庁に伺いたいのであります。
  50. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御承知のように、新産都市の建設が始まって十年超えたわけでございますが、その間に所期の目的から見まして、進捗状況を見ましても、かなりうまくいった点もあろうかと思いますが、一方いまお話がございましたように、現状におきましては下水道あるいは住宅等の生活関連施設の整備には、ややおくれが見られるといったこともございますし、また産業波及効果も十分にあらわれていない。地域内の人口も当初、計画されたほどには増加していないといったような、いろいろな課題があるわけでございまして、全般的に見て、まだ整備途上の段階にあるといったふうに考えられるわけでございます。  そういった意味から、御指摘のございましたように財政特例法を五年間延長することになったわけでございますけれども、この際においては、所期の目的を達成するということは法の趣旨として、はっきりしておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような、いろいろと公害や自然環境保全といったようなこと等も含めて、特に、ただいま申し上げたような面、生活関連施設等のおくれといったことを十分頭に置いて、そういったことを含めての改定作業をすべきであろうということで、関係方面にも、そういうことをお話し申し上げまして、いまお互いに協力しながら改定作業を進めておる、そういった段階でございます。
  51. 米原昶

    ○米原委員 わが党は、この五年延長に反対して、この五年延長を含んだ地方交付税法等の一部改正案の修正案をさきの国会で提案しましたが、遺憾ながら五年延長に決まりました。これに伴って新産都市計画の改定作業が進められているわけですが、この改定は新産都市が生まれた十年前の路線上で行われるべきではなくて、もし、この十年前の発想の路線の上での計画となるなら、公害と環境破壊の再生産となることは明白である。そこで、この計画改定に当たっての基本的な考え方を、もう一度、伺いたいのです。前のままでいくという考えでは公害と環境破壊を再生産することになるじゃないか。計画を改定するには当然その点を十分考慮に入れなければならぬ、この点について聞きたいのであります。
  52. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども触れたわけでございますけれども、新しく、この基本計画を見直します場合には、いままでの建設途上における点検を行いまして、その反省の上に立って現実に即した改定作業を行うべきであるというような考え方に立って作業を進めるように、各方面に連絡をしておるわけでございますが、全体的に、この新産工特地区の整備状況を見ますと、先ほど申し上げましたように、まだ整備途上の段階にあるわけでございます。したがいまして本来のと申しますか、産業都市を形成していくという面においても、波及効果その他いろいろ問題がございますし、工業出荷その他の目標にも、まだ達してないという点もございますけれども、一方、申し上げましたように生活関連施設等のおくれがあって環境保全といったような点で、いろいろ問題がございますので、なお引き続いて、この整備を進めるに当たって、特におくれた、そういったものを十分補充しながら、全般として調整のとれた形での整備を進めていくということでございます。  確かに御指摘のように、いろいろ問題があるわけでございますので、その点、特に注意をするように、御承知かと存じますが法律には、こういったことを基本計画に書くべしということで、いろいろ項目もございますが、そこに特にございませんが一応、環境保全という項目も起こして、それについても触れて計画を改定してもらいたいというふうに指示もしておる次第でございます。問題は、そういった書き方と同時に、具体的に、そういった点に留意をして実際に仕事を進める上において、そういう点が十分図られていくように留意すべきであろうということでございまして、その点は十分、連絡をとっておるところでございます。
  53. 米原昶

    ○米原委員 最後におっしゃったことは一応、考えておられるように見えるのですけれども、ただ最初からおっしゃっておるように、また国土庁の出された通達を見ましても、通達の中には「現在の新産業都市建設基本方針に沿って今後とも建設整備を進める」こうあるだけです。ただこうあると十年前につくられた基本方針そのものについては根本的な反省がないと受け取れるのです。環境整備その他について考えるとおっしゃっていますけれども、基本方針の中にこういうことがあるので、実際にも、その点が反省が行われてないじゃないか。たとえば大分県で出しておる建設基本方針を見ますと、新産業都市の役割りとして「臨海部における相当規模の工業の開発を中心とし」こうありまして、また「鉄鋼、石油精製等の臨海性装置工業の開発を中心とし」こういうふうにあります。まさに、この十年間の経験で問題になった大企業中心の開発優先主義を体現したようなものであります。これでは、今日の時代に依然として、このような方針でいくとなりますと、これに基づく開発を継続するというので、全くあいた口がふさがらない、こういう感なきを得ないのであります。  公害国会を頂点として、それまでの環境破壊と公害をもたらした開発政策のあり方に厳しい批判が加えられてきたわけですが、一体このようなことでいいのかどうか。少なくとも新全総の見直しということで出発したものである以上、この点については根本的な反省が必要じゃないか。環境庁自身の見解をお聞きしたい。
  54. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま国土庁の方から、いろいろ御説明がありましたが、環境庁は、いま先生御自身、御指摘のようなかっこうで、新全総に基づきますいろいろな計画等を忠実に実行してまいって、環境を破壊するようなことは全力を挙げて防いでまいりたい、こういう基本的な方針でおるわけであります。
  55. 米原昶

    ○米原委員 国土庁に、もう一度聞きたいのですが、前にも述べたとおり新産工特地域では、一昨年の水島の三菱石油の石油流出事故を見ても、また大分や鹿島を見ましても、深刻な環境破壊と公害がもたらされていることは、だれも、いまでは否定できない事実であります。もし、この新産都市計画を五年延長するというなら、十年前の基本方針などによるのではなくて、環境保全、公害の防止そして国土庁自身も、いまおっしゃったように整備のおくれを認められている、また環境庁も国土庁に、そのことを言っておられるようですが、生活関連施設の充実、こうしたことを中心とした計画とすべきじゃないのか。富永参事官も、この五年延長を決めた際の地方行政委員会で、新しい観点から計画を立てる、こう言っているわけですから、いま述べたような観点から計画を進めるべきじゃないか。ただ新産都市の法律に書いてある言葉を単に繰り返すだけじゃなくて、やはり計画を見直して別の観点から計画を立てるべきじゃないか、こういう点について国土庁の見解をもう一聞きたい。
  56. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、私ども、この基本計画の改定に当たりましては文書をもって指示もしておるわけでございまして、その中には、言葉だけではいけないということはもちろんで、そういうことは前提といたしましても「すぐれた生活環境を備えた住みよい地域社会が形成されるように事業の進捗を図るべきである」ということを踏まえまして「特に計画の改定に当たっては過去十余年間の建設整備の過程の中で地区により整備の状況に相違が見られるため、各地区の実情等に十分留意するとともに、計画策定後の経済社会の変化に伴う新たな要請に適切に対処していくため生活関連施設の整備、環境保全、安全の確保等に十分配慮するものとする」ということをうたいまして、そして、それぞれの施設の計画についての大綱を示しておるわけでございまして、確かに基本的に、いまのような当初の、たとえば臨海性の工業を建設していくということになれば、それはそのまま、ずっと前のとおり進めていくだけにすぎないではないかというような御意見もあるわけでございますが、本来この新産業都市等の建設の目標というのは法の目的に書いてあるとおりでございます。したがいまして、すぐれた立地条件のあるところでは、ある程度の工業整備をやっていくということは、日本の全体から見た場合に必要な点もあろうかと思うのでございまして、そういった意味で延長もしておるわけでございますが、一方そういった大都市地域の過密を防止したり、あるいは地方の産業を興していくという観点で進めていくのは、それはそれといたしましても、ただいま申されました個人の人間の生活環境が完全に破壊されてしまうのでは、これは話にならないわけでございまして、そういった意味では、私ども、過去のいろいろな実例等も頭に置きながら、こういうことではやはり問題が起こるということは十分反省をして、そういった観点から具体的に今度の計画の改定に当たっては、どういうふうな形で進めていくか、そしてまた、環境アセスメントその他についても十分配慮して進めるようにということを言っておるわけでございまして、この計画そのものは、御承知のように大綱を示すわけでございますから、きわめて簡明に基本的な方向だけしか書いてございません。具体的な実施段階に当たっては、いろいろな関係のところもあるわけでございます。そういう関係省庁その他と十分これを協議もしながら、いまお話のございました点に十分留意をして改定作業を進めていきたいというふうに考えております。
  57. 米原昶

    ○米原委員 それでは、大分の新産都市の問題で具体的に聞いていきたいと思いますが、その前に、もう一点だけ確認しておきたい点があります。先日、この大分の新産都市の八号地埋め立てに反対する住民が上京しまして、国土庁に陳情に行き、私も同行しましたが、その際、土屋局長は、各新産都市の実情はそれぞれ差があるので、従来の計画の縮小もあり得るし、拡大もあり得る、こういうことをおっしゃいました。このことは十年前の計画でやり残したものは、今度の改定される計画にそのまま盛り込むというのではなくて、すでに十年以上も前の計画であるから、社会情勢も大きく変わってきており、それぞれの実情も違うわけだから、前の計画でやり残したものについても十分検討を加える、こういうことだとおっしゃったように思うのでありますが、この点、最初に確認しておきたいと思います。
  58. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 計画を改定いたします場合は、今後五年ぐらいで、どの程度のものをやろうかということを想定してやるわけでございますが、その際は現状を踏まえて今後五年間でどうしたらいいかということを改めて十分考えた上でやるわけでございますから、従来の経緯に必ずしもとらわれる必要はない、そういった見地からやるべきかと思いますが、いまおっしゃいましたように、地区によって実情はいろいろでございます。たとえば、かなり進捗したものを途中でやめるということにはまいらないと思いますけれども、今後の進め方においては新しい見地から十分考えた上で進めていくということは、いまおっしゃったとおりでございます。
  59. 米原昶

    ○米原委員 さて大分ですが、この大分の新産都市は、全国の十五の新産都の中でも、水島と並んで優等生と言われてきたところであります。しかし、ここも水島と同様、公害や災害がひときわ激しくなってきております。爆発などのコンビナート事故の頻発、そして大気や水質の悪化があります。そして、大分市の三佐地区では慢性気管支炎の有症率は県の行った委託調査ですら六・六%にもなっております。また家島地区では地域住民が集団移転を行うということまでになっております。この地域は、新産都計画が進むにつれて「公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域」としまして、公害防止計画地域として指定され、五十二年三月を期限とする五カ年の公害防止計画もつくられております。  そこで環境庁に聞きますが、この大分における公害防止計画の実績はどうなのか。この計画は五十二年三月に予定どおり目標が達成される見込みがあるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  60. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 大分地区の公害防止計画につきましては、その期限が切れる時期に来ておるわけでございますが、環境保全上いろいろと問題もまだありまして、今年度いろいろと調査実施いたしまして、この計画を見直す必要があるというふうに考えておりますので、大分県当局にもそういう旨の指導を行って、来年度は公害防止計画を見直したいというふうに考えております。
  61. 米原昶

    ○米原委員 私は、この計画の実績をまとめた大分地域公害防止計画実績等調査報告書をもらって読んでみました。ところが、これを見ると大気汚染の状況はほぼ横ばいということで、ほとんど改善されておりません。排出基準は一定の強化はされながら、汚染状況は改善されていない。これはこの報告書にあるように、四十六年から四十九年のわずか三年の間に、ばい煙発生施設数が二百五十一から四百二へと実に一・六倍、また粉じん発生施設数も一・八倍と、驚くべきスピードで開発が進められているからだと思うのです。せっかく五年もの公害防止計画をつくっても、これでは何にもならない。  この公害防止計画は新産都建設計画を前提としたものであったと思いますが、こうした実態からすると、今後の大分の開発については相当厳しく考える必要があるのではないか。すなわち今回の財特法の五年延長に伴う計画改定に当たっては、環境保全をこの計画の一つの重要な柱として考える必要がある。具体的には、環境庁はこの計画改定に当たっては協議を受けるわけですから、少なくとも大分については、こういう点で強く意見を出すべきだ、こう思いますが、見解を伺いたいのであります。
  62. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 先生おっしゃいますように、いままでの新産工特計画によります建設整備につきましては、いろいろと人口の大都市集中とか、あるいは地域格差の拡大ということを緩和するという意味でメリットはありますけれども、一方におきまして、いろいろ公害あるいは自然環境保全ということに対して相当問題を生じておるわけでございまして、そういう点から考えまして、今度、基本計画を改定するという際におきましては、環境庁といたしましては、まず生活環境施設の整備のための事業重点的に行うというような考え方をとりますとともに、環境保全上の必要な措置が講じられているかどうかを、いずれ国土庁から協議がございますと思いますので、そういう際には、そういう点を慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  63. 米原昶

    ○米原委員 この実績等報告書を見ますと、硫黄酸化物が横ばいであるだけでなくて、窒素酸化物についても、これは全測定点で環境基準をオーバーしております。この点でも環境庁は大分新産都計画の改定に当たっては、従来の二期計画の問題も含めて全面的に環境保全の見地から、これを検討すべきだ、こう思うわけですが、いま検討するとおっしゃいましたから結構です。  さらにもう一点、環境庁に質問したいのです。  さっきも述べましたが、大分市の三佐、徳島、家島などの健康被害の問題であります。この問題は、三年前の四十八年十一月に、この委員会で、わが党の中島議員が取り上げたことがあります。その際、橋本局長が当時保健部長でしたが、当時の県医師会の調査について問題点があるので正確な調査をしてみることが必要であると考えている、こう答弁しておられます。その後、環境庁としてどういう措置をとったのか、報告を願いたいのです。
  64. 野津聖

    ○野津政府委員 四十八年の当委員会におきまして中島委員からの御質問にお答えしました段階におきましては、当時、三十七年から四十六年まで県の医師会のレセプト調査とか、あるいは四十七年におきます大分市の有症率調査あるいは四十七年から四十八年にかけまして大分県の調査等が行われてきたわけでございますが、サンプリングの仕方あるいは調査内容等につきまして、結論を出すには非常にむずかしいような中身であったということでございまして、四十九年に県と市が合同いたしまして、八月からは環境汚染調査、また四十九年十月から呼吸器症状の有症率調査を、委員会をつくりまして、これを実施いたしたわけでございます。この際に専門家あるいは地元の医師会等の協力も得たわけでございますけれども、環境庁といたしましても、この調査に対しまして、できるだけの協力をし、また指導もしてきたというふうな形で、この健康調査あるいは環境調査が行われてきたところでございまして、これにつきましては大分県で、ことしの二月に発表いたしまして、私どもの方には、ことしの六月に正式な報告として出されてきているところでございます。
  65. 米原昶

    ○米原委員 四十八年に県医師会の調査があった、これに問題があるということで、昨年再び医師会が調査を行ったら、これがまた対照地区のとり方で公衆衛生学会で問題になっております。環境庁も知ってのとおり、この地区は多いところでは慢性気管支炎の有症率が一〇%くらいになっております。確かに硫黄酸化物の濃度は低いかもしれないが、大気汚染が原因であることは明白であります。これだけの有症率があり、環境庁の方も問題点を認めながら、実際上は手が打たれてない、放置されている。問題があると思うのです。環境庁は複合大気汚染健康影響調査もやっているのですから、もっとイニシアチブを発揮して、何らかの結論を出して対策を行うべきではないか。こうしたことをあいまいにしたままアセスメントなどと言っても説得力がないと思うのです。この点について明確な答弁を求めたいと思います。
  66. 野津聖

    ○野津政府委員 四十九年に行われました調査につきましての結果につきましては、いわゆる有症率というだけを見ますと、御指摘ございましたように、あの地域平均で六・二%の有症率、あるいは部分におきましては八・二%という有症率の高いところが出ているわけでございます。ただ、この有症率の調査とあわせまして環境調査も行われてきているわけでございます。また、特に問題となるのではないかと考えられるような物質の大気中の調査も同時に行われてきているわけですが、この有症率だけが高いというふうな問題につきまして、現在の段階では大分県の調査等によりましても、一体何が原因か、特に大気中の汚染物質の何が原因かというところにつきましては非常にむずかしいという結論が出ているわけでございます。  ただ、現実の問題としまして、御指摘ございましたように有症率が高いという問題がございます。したがいまして、私どもは県に対しましては、一体この有症率が商いのは何かということを十分詰める必要があるだろう。特に現在まで調べてまいりました大気汚染物質の中では、なかなか直接に結びつく問題はない。また、特に県として、この調査の結果で言っておりますように、いわゆる急性疾患あるいは感染性の疾患があるということも一つ原因じゃないかというふうなことは言っておりますけれども、ただ、かぜをひいたり、あるいはインフルエンザにかかったりということも、いわゆる急性疾患も必ずしも大気汚染は関係ないとは言えないというふうな問題もございます。したがいまして、大分衆に対しましては、一体このような高い有症率が出てくる問題、これはいろいろな原因があるだろう。したがって、これを十分詰めて、県民の健康という問題を中心として、県として、あるいは大分市として対策を講ずるべきではないかということで、私ども指導を行っているところでございます。
  67. 米原昶

    ○米原委員 とにかく異常に有症率が高いと私は思うし、その点について、しっかり詰めておかないと、いままでの一般的なやり方でアセスメントも終わったなどと言ったところで、住民に対する説得はできないと思うのです。この点、お願いしておきます。  さて、いわゆる八号地問題ですが、この八号地の埋め立て問題は、三年前に周知のようないきさつで計画が中断となっておりました。ところが、この計画改定をきっかけとして、大分県も、この埋め立てを再び計画に盛り込むことを態度表明して、佐賀関の町議会も先月、町の計画として、この埋め立てを決めるという事態となっております。国土庁は、この計画改定に当たって各新産都について各県からヒヤリングを行っているわけでありますが、大分の場合この八号地埋め立てを計画に盛り込むという意向の表明があったと思いますが、この点、確認しておきたいのです。
  68. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今回の新産業都市計画の政定作業は、できれば八月ごろまでに終わりたいということで作業を急いでおったわけでございますが、大分については、ただいま、おっしゃいましたような問題もございまして若干延びております。そういったことで、まだ県としては私どもの方へ正式に、こういう形でやりたいという承認を求める申請は出ていないわけでございます。  御承知のように、もともと、この計画自体は県が地方の新産業都市建設協議会の意向を聞いて、そこで県の計画として決めて、そして国の承認を受けるというかっこうになるわけでございますから、私どもとしては、県の計画ができて持ってこられた段階で十分検討したいと思いますが、いわゆる八号地については、お示しのような四十八年に中断と申しますか、そういう形になっております。今回それを含めて計画改定をしたいというようなことで検討されておるということは聞いておるわけでございますが、まだ正式に具体的に持ち込まれておりませんので、公式に私からは、ちょっとその点についての意見が申し上げにくいわけでございます。
  69. 米原昶

    ○米原委員 それはまだ正式の計画にはなってないわけですが、その前に、いまヒヤリングをやっておられる。その中じゃ大体、八号地の埋め立てをやるということは、もう考え方の中にあるわけですね。
  70. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いまの段階では、全般的な形での計画案ができて、それをもって協議をしているというわけでもなくて、いろいろ作業もおくれておりますので、いろいろな考え方について事務的に、それぞれ関係のところと折衝しておるということでございまして、その調整を国土庁がやっておるわけでございますが、そういった中では具体的に八号地をこうした場合は、こうなるといったような、そういった数値を含めてのフレームとか、そういったものは、まだはっきりしたものは出てないようでございます。ただ、話は地元市等でも、私わかっておりますが、港湾計画等もあるわけでございますから、そういったものを踏まえて八号地というものは頭に置いて検討はされておるということはわかるわけでございますが、最終的にどうされるかということは、私どもの方としても、それを前提としての詰めをやっておるわけではございません。
  71. 米原昶

    ○米原委員 私は、この八号地埋め立ては再開すべきじゃないと考えるわけです。まず環境公害問題で、これは先ほど述べたとおりですが、背後がすぐ山というようなところで、最も公害を発生する大規模な石油基地は絶対につくるべきではない、こう思いますが、反対する理由は、それだけじゃありません。  まず工場用地の問題で言えば、基本計画では五十年目標で千二百五十ヘクタールの工場用地造成を目標としていましたが、五十年現在で、造成済みがすでに千八十七ヘクタール、造成中のもの五百三十ヘクタール、計千六百十七ヘクタールで一二九%の目標達成率であり、さらに、これ以上こうした大規模埋め立てをどうしてもやる、必ずやるというようなことは出てこないのじゃないか、こう思うのですが、この点、国土庁に見解を聞きたい。
  72. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 公式に申請が出ておりませんので、そういった立場からは、承認をするという目で申し上げるわけではございませんけれども、埋め立て全体については、ただいまお示しのように千八十七ヘクタールというものが完成をしておりまして、あと工事中のものが五百ヘクタールぐらいあるわけでございます。そして、基本計画には千二百五十ヘクタールぐらいということが示されております。したがいまして若干それよりは、もう多いのではないかということでございます。ただ、この基本計画自体は大体あのあたりに工業用の土地として約千二百五十ヘクタールぐらいを埋め立てるといったようなことが書いてございまして、そういった、きわめて大ざっぱな大綱が示してあるわけでございますから、具体的に実施をされるに当たりまして、実態を踏まえて、いろいろな計画を立てて実施をしていかれる、そういう形になりますと、たとえばコスト引き下げとか、あるいは合理化を目標としました設備の大型化、近代化といったようなこと等で、当初ここはこれくらいにしておこうかというようなことも、若干ふえるとかいったようなこともございますから、全般として目標値ぴったりとしなければならぬというわけのものでもございません。そこらは、いろいろ動きもあろうかと思うのでございます。  全体として、もうかなり済んでおるではないか、これ以上どうかというようなお話でございますけれども、新産業都市を建設して、ある程度の工業出荷額等を求めながら、なおかつ生活環境施設その他もやっていくということになれば、それに応じた考え方というものも、おのずからあろうかと思います。そういったものを踏まえて、先ほども申し上げましたように県自体としての計画をおつくりになって、そして持ってこられるわけでございますから、そこの計画を、新しく仮に八号地が入ってくるかどうか別といたしまして、その出された計画が合理的であるのかどうか、そういったこと等は十分その段階で検討したいと思っておるわけでございます。
  73. 米原昶

    ○米原委員 それでは、さらに聞きますが、これは大分に限らず全国的な傾向ですが、施設整備の点で見ても、大分では生産関連が一四二%の達成率、生活関連は八六%の達成率というふうになっております。これは民間の行う施設整備の考え方とか、生活道路も一括して道路として生産関連に入っているとかということがあったとしましても、こういう状況からしても、やはりこのような大規模埋め立てを行う必要はない、もっともっと生活関連施設の整備、環境保全の充実ということを主眼とした計画にすべきだと思います。いまの局長の話でも、そういう点、強調されておりますが、こういう点で計画はかなり生活関連に重点を置いたものとして見直される考えかどうか、こういう点も一点、聞いておきたいと思います。
  74. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 最近までの施設の整備状況を見ました場合に、生産関連施設が実質的な面で一二二%、生活関連施設が七八%ということでございまして、御指摘のように生活関連施設がおくれておる。これは最初から、たびたび申し上げたわけでございます。そういったこともございまして、五年間延長した際には、そういったおくれたところを取り戻して、背後地と一体となって、いい環境をつくる方向へ持っていきたい、こういったねらいを持っておったわけでございますが、現実には大分についても、ただいま申し上げたような数でございます。そういった点で、特にその点については、そこを強調いたしまして十分おくれを取り戻すような計画にしてもらいたいということを、私どもとしてもお願いをしておるところでございます。
  75. 米原昶

    ○米原委員 先日この大分の地元住民と一緒に私が国土庁に伺った際に、土屋局長は、この八号地問題は三年前のいきさつもあるから十分地元で調整をしてもらいたい、こういう趣旨のことを言われました。この計画改定に当たって八号地埋め立ては十分地元で調整を行った上で、どうするかを決めるべきだということだと思いますが、この点、この前おっしゃったとおりですね、土屋局長にもう一度、確認しておきたいのです。
  76. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 県の計画として出していただくものでございますから、やはり地元のコンセンサスなり、その他のいろいろな条件が整って、されて出てくることを心から期待しております。
  77. 米原昶

    ○米原委員 その点で、国土庁の方で言われることはわかるのですが、言われる趣旨と大分県の実情は全く違っておるのです。大分県は何と言っているかというとこれがとんでもないことを言っているのです、わが党の県会議員の質問に対して先月、寄せられた回答によると、要するに八号地埋め立て計画は現在においても計画が継続しているんだ。したがって今回の基本計画の改定に当たっては、この計画は計画として取り扱う、すなわち改定計画に盛り込む。しかし、これは中断の解除ではないなどというものであります。こういう考え方は二重、三重に間違っております。  第一に計画が継続しているという点ですが、もともと、この八号地の計画は大分新産業都市建設基本計画に書かれているわけじゃありません。この基本計画の具体化として大分県がつくった一期、二期の計画のうちの二期に含まれているものです。だから、この八号地埋め立ては法律的に承認を受けたものではありません。したがって、この八号地埋め立ては法律的な手続をとらない限り、継続しているとか、あるいは法稲上承認を受けた計画として継続しているなどということは言えないのじゃないか、こう思いますが、この点、確認していただきたいのです。
  78. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 お示しのように基本計画は大綱という形で、先ほど申しました造成地についても約千二百五十ヘクタールといったようなことで、ある程度、地域的なことは書いてございますが、明確に何号地がどれくらいというような形で具体的に示しておるわけではございません。そういった意味で、八号地がどう位置づけられるかということになりますと、その基本大綱に沿って、県でこういった形で進めようという計画を立てられ、それが一期計画、二期計画であって、その二期計画というものの中に入っておる、それは私ども承知をしておるわけでございます。  そういった意味から中断ということがあったことは当然、県としても承知しておられるわけでございます。その際に、いまおっしゃいましたように、もともと二期計画にあったんだ、そういった意味で継続しておるんだということを言われたのではあるまいかと思います。大分県で答えられたことの真意を十分聞いておりませんので、よくわかりませんが、そういう二期計画としてあるのだ。それが中断されておるので、その計画の中身であったのだから、それは条件が満たされれば動いていくのだという考えがあって、そして計画を今回改定する際に、その分を、現状を踏まえた場合に、もはや、やっていいかどうかということを判断するということでございましょうが、同時に計画は計画であるが、現実に事業実施していく際には、いろいろと問題があった点を十分解明されなければ着手はしにくいということでございますから、まあ絵は絵として描いても、具体的に実施するに当たっては、問題が起こったときの状況を踏まえ、それが解決をしながら進んでいくのだ、こういった姿勢であるというふうに私は聞いておるわけでございます。
  79. 米原昶

    ○米原委員 つまり、その点が重大なんですが、大分の新産業都市建設基本計画というものは法的にも承認を受けているのです。ところが、それの細目としてつくってある一期計画とか二期計画、これはいわゆる法的な承認を受けた計画とはちょっと性格が違うわけです。それに従ってつくったものには違いない、それが中断されたということで、基本計画にはもともと、そんなこと書いてあるわけじゃない。基本計画が継続しているということは何も八号地の計画が継続しているということにはならないわけですよ。このあたりをごまかされているから私は聞いておる。計画は現在においても承認されて継続中などと、こういう言い方をしているのでおかしいのです。全くの詭弁というほかないのです。  三年前に、まさに、この計画は中断したわけですよ。この点、当時、三木さんが環境庁長官でいらっしゃった。この中断に当たっては環境庁が重大な役割りをしておるわけでして、中断したのは一体、何が中断したのか、この点が明確でないのです。だから、その点で中断じゃなくて継続しているのだと言っているのですから、まさに、その点が中断されたわけでしょう。政府で承認した基本計画は何も中断したわけじゃない。基本計画はあるわけですよ。しかし、八号地の埋め立てという、その細かい点はまさに中断された。これは環境庁がよく知っておるのです。その点をあいまいにしておられるのです。大分地域公害防止計画実績等調査報告書によると、明確に八号地は計画中断、こう書かれておって、常識からしても、あの計画は中断されているのであって、今回の計画改定に当たって、全然、中断された意味も考えないで継続しているのだといって、そして無条件で復活していくわけですね。こんなことおかしいじゃないか。これは環境庁がそのときの当事者ですから、よく知っておられるのですよ。この点は中断したいきさつにふさわしい手続をとるべきだ、こう思いますが、この点、環境庁の見解を聞きたい。
  80. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 四十八年に、いまの八号地埋め立ての計画について中断をするということを大分の知事が言われまして、中断のままになっておるわけでございますが、環境庁といたしましては、もし、そういうあちこち埋め立てを実施するかどうかという問題が起こってきた場合には、その中断の原因になっていた重要な一つ原因が、十分なアセスメントによって、いわゆる環境問題というものの評価がされた後でなければ、中断を解除するということは不適当であるというふうに考えておりますので、そういう場合には、やはり十分なるアセスメントを前提とするというふうに考えておるわけでございます。
  81. 米原昶

    ○米原委員 それで、きわめていいかげんに、そこがごまかされているので私は聞きたいのです。いいかげんな、わけのわからぬものを基本計画に書くことは許されないと思うのです。いやしくも基本計画として、なす場合は、地方産業開発審議会の審議を経て内閣総理大臣の承認を受けるものです。しかも、この八号地埋め立ては大きなもので、今回の計画改定では重要な意味を持つものであります。こういう、どうなるかもわからないようなものを内閣総理大臣が承認するなどということはあり得ないと思うのです。この際、この八号地埋め立ての是非は徹底的に議論すべきであり、それが行われないようなら、そんな不安定なものは計画から削る。土屋局長の言葉で言えば、それこそ地元で十分な調整を徹底して行うべきだ。そうしなければ、こんなあやふやなものを、すなわち中断が解除されないままのものを重要な要素として含んだ基本計画を内閣総理大臣が承認するなどということはあり得ない、こう思いますが、この点、国土庁にもう一度、聞きたいと思うのです。
  82. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 この埋め立て問題については、先ほどからお話がございましたように、いろいろ問題もあるわけでございますから、私どもとしても地元で十分コンセンサスが得られて出されてくることを期待しておるわけでございます。  そういった意味で、たびたび申し上げておりますように、県で計画をおつくりになるときは、新産業都市建設協議会にお諮りになって、その議を経てこられるわけでございます。そういった問題がスムーズにそういった議を経てくるということになりますと、それは地元の一つの強い意向ということになるわけでございますから、そういった意向は十分尊重するということになるわけでございます。それにいたしましても、われわれといたしましては地方産業開発審議会もございますから、その議を経なければなりません。そういったところを通じて総理が承認をするということになりますから、その段階において、当然のことながら関係各省庁とも協議をするわけでございます。全体について出された場合は十分慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  83. 米原昶

    ○米原委員 この八号地の埋め立ての計画の中断に当たっては三つの理由が挙げられました。第一に漁民の中での混乱があったこと、第二に住民のコンセンサスが得られなかったこと、第三にアセスメントが不十分であったことであります。この三点について少し聞いておきたいのです。  初めに、漁民についてでありますが、三年前の混乱の後に佐賀関漁協から埋め立て賛成の少数の人々が神崎漁協というのをつくり、県は、これで漁協は正常化した、こう言っておるようでありますが、これはおかしい。この点も四十八年の十一月にわが党の中島議員が詳しく質問しておりますが、結論的に言えば、分裂という漁協としては非常に不正常な事態に対して、当時のいきさつからして漁業権を持つ非常に少数の神崎漁協だけでなく、佐賀関漁協の了解をとるべきだと思いますが、水産庁及び国土庁の、この点についての考えを第一に聞いておきたい。
  84. 平井義徳

    ○平井説明員 経緯につきましてはつまびらかにいたしておりませんけれども、われわれが聞いておりますところによりますと、漁協は合併されたわけでございますけれども、神崎漁協と佐賀関漁協の間では、神崎漁協の関係者は漁法が違います。といいますのは、ノリであるとか地元のごく地先を利用する漁法をとっておりまして、佐賀関漁協の方は漁船漁業と言いまして、船に乗って漁をする漁業をやっておりまして、そういうような差から、どうしてもうまくいかないということで神崎漁協の方が分かれたというふうに聞いております。
  85. 米原昶

    ○米原委員 それだけの報告だとすると、非常にこれは実態と違う。その点、十分実情を調査してもらいたいのです。  次に、住民のコンセンサスという問題ですが、この点が非常に問題であります。大分県当局は、先月の佐賀関の町議会の議決で住民の了解を得たというようなつもりでいるらしいですが、これはとんでもない話であります。この町議会自体が、反対討論を絶対に許さない、そうして機動隊を導入するという、きわめて異常な議決をやっているわけであります。  さらに問題なのは、大分県が全くの秘密主義をとっておる点であります。住民が要求しても、そればかりか県会議員が要求しても、この計画の案を明らかにしないで、新産業都市建設協議会にかけてから、こんなことを言っております。しかし、この新産都協議会にかけるということは、もうレールの上に乗ったということで、変更などはあり得ないということになるのではないか。そんなことではなくて案の段階で、協議会にかける前に県は堂々と案を発表して住民の意見を求めるのが筋だと思いますが、この点どうでしょうか。環境庁そして国土庁、この点でどう考えられますか。新産都協議会にかけるまでは一切、何も発表をしない。住民が聞きに行ったって一切、言わない。こういうようなことで一体、住民のコンセンサスを得られたということになるでしょうか。協議会で結論が出たら、今度は協議会で決まったのだと、これを押しつけている、こんなやり方で住民のコンセンサスというものになるかどうか。この点、環境庁と国土庁の考え方を聞いておきたいのです。
  86. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 国土庁の方からの先ほどのお答えにもありましたように、地元の調整をつけて県の計画として国土庁の方へ上がってくるということでございますから、しかるべき時期に公開は当然されるものだというふうに理解しております。
  87. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地元の方々と県の方で、どういった応対をしておられるか、つまびらかには知らないわけでございますが、県としては、いろいろ地元の町の意向、議会等の意向等も聞いて、また今度、協議会等の意向も聞いてということで、そういった段階で自然と案ははっきりするという意味で言っておられるのじゃなかろうかと思いますが、いろいろコンセンサスを得る段階で、どういった形でされるか、それぞれの団体の自主的な立場で御判断なさるわけでございますから、私がこうせい、ああせいと特に申し上げるわけにもまいりませんけれども、そこらは十分地元の意向がくみとれるような形で持ってこられるものだというように期待をしております。
  88. 米原昶

    ○米原委員 この大分の八号地問題は全国的に見ても、きわめて異例の事態、それだけに今回の計画改定に当たっては特別な配慮がされて当然だと思うのです。この点は国土庁も環境庁も異論がないと思うのです。国土庁自身も、非常に抽象的なものですが三全総については概案を発表し、その考え方を一応、国民に知らせる措置をとっておられます。さらに、住民参加のあり方についても、国土庁は相当の予算を取って研究しておられるわけですから、これは県の問題であるということで逃げるのじゃなくて、とにかく、ここの問題は全国的にも異例の事情があるのですから、県に計画改定の考え方を発表させるとか、少なくとも協議会にかける前に広く住民の意見を求めるなど、そういう措置をとるように指導すべきじゃないかと思うのです。この点どうでしょうか。総理大臣にとっても、中断したままのようなあいまいな計画を承認するというようなことでは、その権威にもかかわることなんでありますから、この点、県の方にそういうふうに指導されるのが当然じゃないかと思うのです。少なくとも住民に概要だけでも、まず知らせて自由に意見を述べさせる、そういうことを指導されるのが正しいのじゃないか、こう思うわけですが見解を伺っておきたい。
  89. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどから、たびたび申し上げておりますように、今後の新産都市の建設に当たっては、いまの環境保全ということは非常に重大な問題でございます。そういったことで改定案には一つの柱を立てて、その点もはっきりしてもらいたいということも指示しております。十分実施に当たっても検討されるように、特に私の方からも話もしておるわけでございます。  いまの、その前に計画をという点については、県の問題だと申し上げましたが、それは公式の話で言えば、そういうことでございまして、具体的な問題としては、なるべく反対の方には十分折衝をしてもらって調整をとってきていただきたい、こう申しておるわけでございます。そういった意味で、先般も十四日に副知事が反対をしておられる方々とも会われたということでございますが、その際、一回では終わらない、どういった計画でやるのかといったことを含めて二十日に会う、また必要があれば、あるいはまた、その後、引き続いて会われるのかもしれませんが、そういった中で、反対されておられる方も、そういった中身等についての要望も出しておられますから、話し合いの中で、いろいろ論議がされるのではなかろうかと私ども思っておりますが、まだ、その話し合われた詳細は承っておりませんけれども、いろいろな機会を通じまして、そういうことで納得が得られるように、私どもとしては期待をしておるわけでございます。
  90. 米原昶

    ○米原委員 とにかく一介の住民じゃなくて県会議員が聞いても言わないという秘密主義なんですからね。これで住民のコンセンサスが得られるなんということはあり得ないです。そういう点、十分考慮した指導をしていただきたいと思います。  それから、環境アセスメントについて聞きますが、財特法の延長の際に、環境庁は国土庁に申し入れを行って、その第三項で「基本計画の内容を定めるに当たっては、その計画の実施に係る地域における環境保全上必要な措置を講ずることとすること」とありますが、これは当然アセスメントを行わなければ環境保全上必要な措置というのがわからないわけですから、計画の内容を決める際には当然アセスメントを行わなければ論理的に合わないことになりますが、この点、環境庁の見解を聞いておきたいのです。
  91. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 先生御指摘のように、基本計画を改定する場合には環境保全上必要な措置をとるようにということを私どもも国土庁の方に申し入れをしておるわけでございまして、そういう趣旨に従いまして、計画が実際に出てきた場合には十分に慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  92. 米原昶

    ○米原委員 慎重にしたいという意味は、特に、この八号地埋め立ての場合は、上物も決まっておるし、相当熟度の高い計画で、アセスメントは十分可能だと思うのです。さらに、この計画が決まると、新産都建設促進法の十八条で、公有水面埋立法などの処分は建設促進のため配慮するというような法律上の枠が埋立法などにもかかってくるわけですから、計画段階できちんとしたアセスメントをやる、いまの答弁は、そういう意味だと思いますが、そう理解していいですか。
  93. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 環境保全上必要な措置ということでございまして、やはり、そういう計画を改定する場合には、環境上の重大な支障を及ぼすおそれのないような措置をすることが内容に盛り込まれていなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  94. 米原昶

    ○米原委員 じゃ時間がありませんので、最後にもう一点だけ。  大分県は、この八号地埋め立ては昭和四十五年に港湾計画の一部として承認されたものだと、しきりに主張して、港湾計画で決まっているから新産都計画に入れるのが当然なんだということを言っておりますが、これは全く逆な話だと思うのです。法律的に港湾計画が新産都計画の上位計画だなどということはないし、この点は、いま言った新産都建設法十八条によっても逆の関係にあるわけで、三年前に、この埋め立て計画が中断されたことによって、この港湾計画の八号地部分の計画も中断されたと見るべきで、むしろ、この港湾計画については一部変更の手続で八号地の計画は削るべきものだったと思うのです。したがって今回、港湾計画にあるからなどというのは全く話が逆で、この新産都計画で十分検討をして、それに従った措置を港湾計画についても行うのが、この新産都建設法十八条からしても筋だと思いますが、この点、運輸省の見解を聞いておきたいのです。
  95. 小池力

    ○小池説明員 港湾計画と新産都市計画との関係はどうかというお尋ねでございます。  大分港の港湾計画で申しますと、港湾計画の策定と新産都市の計画の策定とが時期が前後してございまして、まず港湾計画ができましたのが昭和三十七年でございます。その後三十九年に新産都市建設基本計画ができまして、四十五年に港湾計画がまた改定されている次第でございます。先ほど国土庁からのお答えにもございましたように、新産都市の基本計画と申しますのは、工業開発目標でございますとか、あるいは土地利用でございますとか、当該地域の開発発展の中核となる新産都市建設の大綱を定めるということになってございますし、港湾計画は港湾管理者が立てますものでございますが、港湾の開発、利用及び保全に関します空間のあるべき姿というものを描きました長期計画でございます。もちろん港湾計画をつくるに当たりましては、国土及び地域に関する諸計画との整合性というものを考えてつくっておるわけでございます。先生御指摘のとおり、計画の策定時期に前後はございます。策定の経過等ございまして前後はございますけれども、その意味におきまして、地域の総合開発計画の大綱と港湾計画は整合しているというふうに考えてございます。
  96. 米原昶

    ○米原委員 じゃ時間がありませんから、終わります。
  97. 吉田法晴

    吉田委員長 米原君の時間は経過いたしました。坂口さんにひとつ交代を願います。  坂口君。
  98. 坂口力

    ○坂口委員 私の持ち時間は短時間でございますので、二、三しぼってお伺いをしたいと思います。  先般の十七号台風のときにも、岐阜県のように長良川等の決壊によりまして床上浸水等が非常に広がった地域もございますけれども、ああいう形ではなしに、河川の決壊はないにもかかわらず、かなり多量の雨が降りましたために床上浸水あるいはまた床下浸水を来した地域がたくさんあるわけであります。これは言わずもがな地盤沈下とかなり関係していることも事実でございまして、ぜひ地盤沈下に対する取り組みというものを前進させなければならないということを痛感をしたわけでございます。  私は、前国会におきましても、この地盤沈下防止法案のことにつきまして前環境庁長官にも、その決意をお伺いしたところでございますが、前々回でございますか、間もなく地盤沈下防止法案というのを提出するということが言われておりましたけれども、前々回も前回も、それが提出されずに終わってしまった。前回ここで通産省や建設省の代表の方にもお越しをいただいてお伺いをしましたところ、各省とも、かなりばらばらの御意見をお持ちになっていて、どうも肝心かなめの環境庁の方が地盤沈下をしていくという感じを、われわれは受けるわけであります。この地盤沈下防止法案、環境庁が地盤沈下をしてもらっては、どうにもならないわけでありまして、今国会は余すところ少ないわけでありますけれども、今国会が無理ならば次の国会において、どうしてもこれは成立をさしてもらわなければならないというふうに思うわけです。そういう意味で現在、大体どうなっているのか、また、どういう計画でおみえになるか、その辺ひとつお伺いしたいと思います。
  99. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 前国会で前長官が、ぜひとも地盤沈下防止の総合立法をやりたいということを申し上げた趣旨を私ども体しまして、この国会というのは、なかなか無理がございますと思いますが、次の通常国会に向けて、その準備をしておるわけでございます。  これにつきましては、前長官も申し上げておりますとおり、関係各省の間で、いろいろの意見がございましたけれども、昨年の通常国会には何とかやりたいというところまで来まして、そのための一つの案が政府の与党筋にできたところまでは来たわけでございますが、その後いろいろな事情がございまして提案に至らず今日に至っておるということでございますので、私ども、ぜひとも、そういう経緯も踏まえながら、できるだけいい案をつくって国会に提案できるように努力をしたいと思っておるわけでございます。
  100. 坂口力

    ○坂口委員 長官、何かございますか。
  101. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 地盤沈下というのは御指摘以外にもいろいろ被害をもたらしていますが、いまのところ地盤沈下の一番大きな原因としては地下水の採取で、現行の地下水採取に対する規制の法律は工業用水法と建築用地下水採取規制法、この二つだと思いますね。  そこで環境庁といたしましては、地盤沈下を防ぐために総合的な法制度を何とか考えなければいかぬということで、中公審にこれらの対策について諮問して、御承知のとおり四十九年に答申を得ております。したがって、その答申に基づいて総合的な立法措置を講じたいということで、それに基づいて前長官が何とか法案を提出したいと、ずいぶん努力したのです。したのですが、御指摘の一部にありましたように、各省庁間の調整が十分にいかなかった、これが現実の姿だったのです。したがって、あの際にはどうにもならなかったわけです。  ただ、いま地下水採取は二つの法律ですが、これで十分かというと、まだ、なかなかそうもいかないのですね。農業用水の地下水採取をどうするんだ、あるいは上水道用の地下水採取をどうするんだ、これらも総合的に含めませんと地盤沈下に有効な対策はとてもできぬ、これは中公審の答申にも御指摘があるとおりでありますので、さらに、そういう点も含めまして総合的に地盤沈下を防ぐには、どういう法制度をつくらなければならぬか、いま環境庁で鋭意その対策を進めております。したがって、それができ次第、私といたしましては、今国会はやれと言っても無理ですから、来国会には、ぜひともその法案を提出したいという意気込みで、環境庁いま一生懸命やっておるところでございます。
  102. 坂口力

    ○坂口委員 通産省の工業用水法の改正案との絡みが、いつも言われるわけでございます。前回ここで御答弁いただきましたときにも、通産省の方はそのことをここで言われました。各省庁間の意見統一というものをしてもらう、これも結構なんです。結構なんですが、通産省のおっしゃることばかりに余り引きずられてしまいますと、余りにも通産省ペースの形でこの問題が進みますと、肝心の地盤沈下防止法案が骨抜きみたいな形になってしまう可能性が私は多分にあると思っている一人であります。そこで現在、通産省との間で一番問題になっているところ、どこが通産省と一番話がまとまりにくいのか、その一番核になっておるところは何ですか。
  103. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 この問題につきましては、通産省の窓口でございます立地公害局長と何度か私、折衝をしたわけでございますが、これは通産省の役所だけということでなしに、関係をいたします産業界のいろいろ御要望等を取り次いでいるという面もあろうかと思いますが、一つには法律の形といたしまして、私どもは中公審の答申に沿って、いま長官が申されましたとおり、総合的な地盤沈下防止のための立法ということを考えたい。通産省は、これに対しまして、昨年出ました産構審の答申を受けまして、ことしの初めごろですが通産省が私どもの方に言ってまいりました試案によりますと、これはやはり工業用水法の改正でいきたい。その際に、やはり規制と両輪をなしますところの代替用水の供給というものとを不可決な考え方で考えていきたい。もちろん通産省の考えの中にも、現在の工業用水法の規定に見られるように、あらゆる場合について工業用水道の布設が終わっておるか、今後一年以内に布設が終わる見込みがあって転換の可能性がある、こういう厳しい要件は、たとえば地域指定の要件としては設けない。設けないけれども、しかし工業用水の転換の供給事業の整備ということを、ある程度、既設の既採取の権利者といいますか、地下水を採取しておる者の転換については、そういうような考え方をリンクしてやる必要がありはしないか、その辺のところが法制の形式面では一番の大きな争点ということになろうかと思います。
  104. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つだけお聞きいたしますが、環境庁としては、それはいま言っておみえになるところは譲れない線ということで対応しておられるのか、ある程度やむを得ない、そこはのまなければならぬという形で対応しておみえになるのか、どちらですか。
  105. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは、上水道にいたしましても、日々多くの人が飲んでおる水の供給源を地下水に依存せざるを得ないというような実態があって地下水をくんでおるというようなこともある。また、産業界におきましても、これは大企業ばかりではありませんで、繊維産業その他、非常に零細な規模の中小企業者が地下水に依存しながら業を営んでおるというような実態もある。そういうようなことを考えますと、地盤沈下防止のために、あすから一斉に、いままで飲んでおる水も飲めぬようになるとか、あるいは事業がストップしてしまうとかいう極端なことは、いずれにしてもなかなかむずかしい。  しかし、それは法文の中で、どういう形で、その辺のことをあらわすのかというのは、かなりむずかしい点がございます。事実、本年の一、二月ごろ、この問題について与党筋に関係の知事あるいは市長さん等を集めてのヒヤリングがございましたし、また、あるいは産業界の代表の方々等がお見えになって意見を申されたということもあるのですが、その辺の意見をいろいろ聞いておりますと、地方公共団体の方は、その折の御意見としては、とにかく総合規制法を一刻も早くつくってほしい、こういうことでございましたが、産業界方面では、いきなりストップというような印象を持たれておるようでして、その辺は多少、理解の不足ということもあるかも存じませんが、代替水の供給とリンクしながらやってほしいというようなことが非常に強い要請として出ておったということがございますので、それらの点も考慮いたしますと、私どもとしては今後、法律の条文なり、あるいは運用の方針の問題として、その辺どういうふうに持っていくかということが一つの大きなポイントになると思います。その辺についての合意を、できるだけ政府部内においては、とにかくとれるようにしたいというのが現在の気持ちでございます。
  106. 坂口力

    ○坂口委員 時間がありませんので最後に、もう一つでございますが、そうすると丸茂環境庁長官も、ぜひこの法案を、今国会は時間的に見てむずかしかろうけれども、次の国会には、どんなことがあっても成立させたいという大きな意欲でもって取り組んでおみえになるわけでありますが、事務当局としては長官の手元に、大体いつごろまでを目安として、このことを出せますか。
  107. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 この法律は、法律の立て方にもよりますが予算関係法案でないという扱いになれば、やはり三月中くらいまでには各省のコンセンサス、それから、いろいろその他の関係方面のコンセンサスが得られるようにすれば、次期通常国会において準備が整うということになるのではないかと思っております。
  108. 坂口力

    ○坂口委員 長官、先ほども御決意をお伺いいたしましたが、どういたしましても、これはこのままでおきますと、単に豪雨がありましたとき、そういったときだけではなしに、いろいろの形で弊害が出てきておりまして、たとえば海岸沿いの田畑そういったところには、いままでなかったことでありますけれども潮水が逆流をしてくるというようなことで、非常に潮をかぶりまして、さび色のたんぼの色になっております。これらも、いわゆる地盤沈下がありましたために、いままでなかったのですけれども、そういう潮水が入り込んでくるというようなことでもございますし、また、ちょっとした雨でも床下はもちろんのこと床上へ来るというような場所も確かにふえてきておりますし、この十年くらいで、もう二メートルも沈下したところもあるわけでございますから、これは早急に手を打ちませんと、ことしも十七号台風は少々雨が多うございましたが、もろに、ああいう台風が参りましたら、これは大変なことになっただろうと思いますし、また一つ大きな地震でも起きて津波でも来ようものなら、これもまた、その結果はどうなるかということを思いますと非常に寒々するものがございます。どんなことがありましても、これは次の国会のうちには、ひとつ成立をしてもらいたいと思いますし、また余りほかの省庁の意見に振り回されて環境庁の主体性を失うようなものをつくってもらったのでは、これはどうにもならないわけでありまして、ひとつ公害の原点に立ち返って強力にこの問題をやっていただきたい、こういうふうにお願いいたしまして、終わりにいたします。
  109. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまの御指摘は重々ごもっともでございますので、ひとつ長官といたしましても、先ほど申し上げた決意で、何とか次期国会には成案を得て提案をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  110. 吉田法晴

    吉田委員長 坂口君の質問は終わりました。  それでは、岡本富夫君。
  111. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁長官が何か一時に出ていかなければいかぬというわけですから、ちょっと急いでやりますから、明瞭に答えていただきたいと思います。  私は、きょうは国道四十三号線あるいはまた各道路の騒音問題について、ちょっと詰めていきたいと思うのですが、昭和四十六年の五月二十五日に騒音に係る環境基準、これが閣議決定をされております。「環境基準の達成期間等 道路に面する地域については、設定後、五年以内を目途としてその達成を図るよう努めるものとする。」四十六年の五月二十五日でありますから、ちょうど五年になる。この五年間におきまして、これは達成を図るようという努力目標ですから、ちょっとあれなんですが、どういうようになっているのか。ひとつ環境庁からお聞かせをお願いいたしたいと思います。
  112. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の中にございましたように、騒音に係る環境基準を決めますときには、道路に面する地域について五十一年の四月末ということで、これはそういう形になっております。この点につきましては、もう目標期限が参りましたが、私ども、現在の達成状況というのは年に一%ぐらいずつよくなってくるというところで、全体としますと約一四%をちょっと超えたところが達成してきているというところでございまして、非常に改善が遅々たるさまであるということで、きわめて心を痛めておるわけでございます。  この問題につきましては、まず自動車の方の発生源の音を抑えるということで、五十年九月に加速騒音につきましての三ホンのカットということをいたしまして、それから自動車の騒音カットの長期目標というものにつきまして、先ごろ中央公害対策審議会の御答申を得まして、五十四年にさらに三ホンカット、それからさらに、その次は何年間か、ちょっといまの段階では技術の見当がつきませんのですが、もう三ホンカットするという、発生源のカットとしては、これができる最大限の目標であるということを、もうすでに明らかにしたわけでございまして、五十年九月のものはもう実行されておりますが、何分、新車から入れかわるということでございますので、全体が普及して、その音の車に変わってくるということには、やはり少なくとも五年から、さらに、それをしばらく上回る期間がかかるというところがあるわけでございます。  発生源に加えまして交通規制の方では、これは警察行政の方におかれましては、非常に交通規制の問題を熱心におやりいただきまして、交通量としては大体一〇%をカットするとか、あるいは時間帯別にいろいろスピードの規制をかけるとか、車種別の規制をかけるというようなことをしてやっていただいておりますし、また建設省の方でも道路周辺の生活環境整備ということで、今年度から道路周辺の騒音対策ということで御予算を取ってやっていただいておるということで、鋭意各省努力はいたしておりますが、その進捗がまだなかなかであるというところが実態でございます。
  113. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは努力目標ですから、一つずつ努力しているがなかなか解決しないということでは、付近住民の皆さんの毎日の迷惑を考えますと、これは非常に遅々として進まない。ただ法律ができ、また閣議決定がされましたけれども、後の対策というものが非常に遅い。また音源対策にしましても、わずか三ホン落としたくらいでは、これは細かい数値は申しませんが、本当に焼け石に水ということであります。  そこでまず、そのうちで一つ、建設省が五十一年度の予算で高速自動車の防音工事あるいは移転補償というものを認めたわけであります。非常に遅いが一歩前進だとは思いますけれども、これを見ますと高速道路、要するに有料道路ですね、これだけしか対象にしていない。これはどういうわけなんですか。有料道路だけがこんな被害がある、有料道路でないところはないのか、こういうことになるわけですが、この点について、ひとつお聞きしたい。
  114. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり道路の騒音公害につきましては、先ほど環境庁の方からも御答弁がございましたが、まず第一に、音源である自動車に対する対策、それから道路の構造面からする対策、また、いま一つ交通規制による対策、大体このようなものを総合的に組み合わせてやっていかなければならぬというようなものであろうと思います。  そこで、道路といたしましては四十九年に、まず道路の新設、改築に当たりまして、一定基準以上の車線の多い、また非常に多量の交通量が発生すると予想される道路につきましては、環境施設帯というふうなものをつくりまして、つまり道路の両側に一定の幅で一つのバッファーゾーンをつくるということで、これによりまして、先ほど御質問の環境基準を道路構造面から確保するというふうなことを、まず基本的に打ち出したわけでございます。  次に、いま御質問の今年度から始めました問題でございますが、一般的に申しまして自動車専用道路、特に有料の自動車専用道路と一般の道路とは、沿道の住民の受けるメリット、デメリットにおきまして、ある程度の差異が認められるということが基本であると思います。一般道路の沿道に直接、住居を構えておりますと、これは公害の問題も一つございますが、しかし反面に、直接その道路に日常生活上、出入りできるというふうなメリットもあるわけでございまして、そこで、これを同一に論ずるわけにはなかなかいかない基本的な問題があると思います。しかしながら冒頭に申し上げましたように、騒音公害に対しましては道路もまた構造面から、できるだけの努力をしなければいかぬということで、まず、とりあえず今年度は有料の自動車専用道路、この沿線から始める。しかも、これは道路区域内で行うものではございませんので、四十九年から始めました環境施設帯というものは道路の区域そのものでございますが、しかし今年度から始めましたものは道路の区域の外におきまして、道路サイドから何らかの助成を行って、騒音防止に対する対策を推進しようというものでございまして、実は各国にまだ例を見ない、わが国で初めて、こういうことを思い切ってやり始めた、いささか自画自賛になりますけれども、相当画期的なものであるというふうに私ども考えておるわけでございます。  ただ、この道路の区域外において、道路サイドから騒音防止のためのさまざまの金を出して対策を講じていくということは、そのようにきわめて前例のない、あえて申し上げますならば、道路としましては清水の舞台から飛び下りるようなくらいの気持ちで始めたことでございますので、まず一番直接の道路利用という面ではメリットが少ない、しかも公害だけ受けるというふうなものから始めようということで始めたわけでございます。  そこで、一般道路につきましては、実は先般新聞等でも発表しておりますが、来年度から一般道路につきましても、全く同じ形というわけにはまいらないと思いますが、道路区域外における騒音対策につきまして何らかの対策を講じていきたいということで、いま部内あるいは関係省等々と種々検討を進めておる段階でございます。
  115. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも、あなたの答弁を聞いていると、諸外国ではそんなことはない、日本で初めてやったんだなどと言っているが、日本の道路は、もと人間が通っていたところを、ほとんど車が取っちゃったでしょう。少し前までは歩道もない、そういうような状態であるわけです。だから外国の道路とは、もう道路をつくるときの趣が全然違うわけですよ。そこらを同じようにしてもらっては話にならない。生い立ちが違う。  一般道路とはちょっとわけが違う、こういうようにあなたはおっしゃいましたが、たとえば国道四十三号線、大阪から神戸まで行っている。あの間だけを見ましても高速道路が西宮まで来ているわけです。あそこから後、大阪へ行くやつが訴訟か何かでとまっているわけですが、同じ一本の国道で西宮と尼崎はひっついておるわけですね。そこまでは何とかなる、こう言いますけれども、それから先は対策をしない。要するに上に高速が通ってないからだ、これはどうも私は解せないのです。上に高速が通ったらやるのだ、上にバイパスが通ってなければしないのだというのであれば、同じ一本の道路、同じように続いているわけですから、この点の考え方がひとつおかしいと思いますが、この点いかがですか。簡単に言ってください。
  116. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  この一般道路につきましては、ことしから実施しましたようなものについては検討中と申し上げましたが、そのほかに、いま御質問の四十三号につきましては、これは先生御承知かと存じますが、すでにグリーンベルトの設置を始めております。あの道路は非常に車線数が多いわけでございますが、車道の一部を削りまして、そこに植樹帯を両サイドに設けるということで、これによりまして何がしかの環境施設帯に準ずるような効果を期待しておるわけでございます。
  117. 岡本富夫

    ○岡本委員 グリーンベルトは、三木さんが環境庁長官のときに私が提案したのですよ。そして、やっとほんのわずか、まだ六百メートルほどですよ、あなた御存じないかもしれませんけれども。これは、この効果を見て神戸市内までずっとつけよう、こういう答弁をいただいておるわけです。ところが、いま私が言うておるのは、まず一つを取り上げているのは防音工事やらあるいは移転補償、この補償対策ですね。グリーンベルトができて環境がよくなったとあなたの方では言うが、これも後で全部しますけれども、夜間六十五ホンか、これ以上になったわけですね。グリーンベルトができても、なおかつ六十五ホン以上あるということになれば、これは同じことじゃないですか。この点いかがですか。
  118. 小林幸雄

    ○小林説明員 御指摘のとおりでございまして、グリーンベルトだけで一〇〇%の防音効果が発揮できるとは必ずしも言い切れない。しかし、もちろん相当の効果が出てきていることは確認されておりますので、今後、全線にわたりまして、これを延ばしていきたい、かように考えておる次第でございます。しかし、なおかつ、それでも騒音公害の被害を受ける地域につきましては、先ほど申し上げましたように自動車専用道路でなくて一般の道路でありましても、一定以上の基準のものにつきましては何らかの防音工事に対する助成措置をとりたいということで検討を進めておる段階でございます。
  119. 岡本富夫

    ○岡本委員 わかりました。しかし、まだ検討だけじゃ、ちょっとぐあいが悪いです。  そこで国道四十三母線、グリーンベルトをつけた、グリーンベルトをつけたと言いますけれども、あそこの少しだけですからね。あそこは一つのモデルケースだとは私は思いますけれども、それも片側だけしかついてないのですね。要するに山側ですか、南側は何もついてないのですね。それで、いま効果を見ているのだろうと思いますけれども、その効果がどうなったかということの結果も、まだ測定はしてないだろうと思うのです。それで非常に効果があるということになれば、神戸まで全部やるということでありますが、いま西宮から神戸までの間は防音工事と移転補償をしよう、こうなっておるわけですね。そうであれば西宮から尼崎、大阪に向かってのあの間も、あなたの方のこの基準に合えば、要するに夜間六十五ホン、これはまた後でお話ししますけれども、六十五ホン以上であれば、これはまだグリーンベルトがついてないところも、いま高速道路が通っているところも同じ条件なんです。自動車専用道路になっておるわけです。たまに自転車も通りますけれどもね。そうすると、これは同じ条件にしなければならないのではないですか。あなたは、ちょっと何か後退したような、防音工事だけしよう、移転補償とか、そういうものはしないというように、ぼくは受け取れたのですがね。何らか、何らかと言うが、そこらは結局、差別をつけずに同じようにするのかどうか、これをちょっとお聞きしておきたい。
  120. 小林幸雄

    ○小林説明員 ちょっと申し落としましたが、目下検討中の中身につきましては、御指摘のように単に防音助成のみならず、一定の計画のもとに、場所によりましては移転に対する、これはまあ助成といいましても利子補給程度の問題で考えておりますが、これはまだ検討中でございます。それから、あるいはバッファービルディングと申しますか、遮音上、非常に効果のあるような建物をそこに建てるとか、あるいは建物を撤去した跡あるいは現在ある空地につきまして、これをそのまま今後、公園等の公共用地あるいは児童遊園等の公共用地に使うというふうな場合、さまざまの場合につきまして何らかの助成措置を講じたらどうかということで検討を進めておりまして、必ずしも防音工事だけではございません。
  121. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも、もう一つ、はっきりしませんね。まだ検討中だから煮え切らないのかもわかりませんが、グリーンベルトをいまつくってないところも同じ条件なんですから、この点はひとつ、あなた、もう一遍検討するようにしてください。  それから次に、夜間の六十五ホン、これに私は少し問題があると思うのです。四十六年の騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令、こういう省令がありますが、この中で夜間六十五ホンというのは第三種、第四種地域になるわけですね。第三種、第四種というのは住居用でないのですね。商業、工業、一番やわらかいといいますか、一番音がしてもいいという地域を当てはめているわけです。ところが芦屋市とか西宮市のあの道路のところは、もと全部、住宅地域だったのです。それを河野一郎さんが建設大臣のときに猛烈な勢いで、あそこへつくっちゃったんですよ。立ち退きさせた。その横は全部、住宅地域なんですよ。道路ができたから若干お店はできておりますけれども、ほとんど全部、住宅地域。住宅地域でありながら、すなわち一種地域あるいは二種地域でありながら、何で三、四を割り当てておるのか、この見解というのが私はわかりにくいのですね。  もう一つ、先ほど、あなたの方で何か清水の舞台から飛びおりたつもりでと、こう言いましたけれども、公害を起こしたら、加害者がこれを賠償するというのがあたりまえなんです。そのために加害者一人一人捜しにくいから、たとえば、いろいろの問題がありましたらガソリン税から取ることになっておるわけです。いま道路をつくるについてガソリン税を回して、その中から道路をつくっているわけですから、そこから公害対策の費用を負担していくべきだと私は思うのですよ。いままでの経済成長一本やりのように、とにかく道路さえつくったらいいんだというんじゃなくして、やはり後の始末、公害対策環境対策をやっていくために、その費用も出していかなければならない。あなたの建設省の考え方は、高速道路で金を取ったやつを、そっちへ回すんだというように思えてならないのですね、高速道路のあるところだけしか、できないのですから。今度、一般道路も入れるということですから、あれですけれども、そうすると財源的にも、もっと出てくると私は思うのです。わずか六億円ぐらいだったら本当にちょっと、やったというところだけです。いま、あなたの答弁を聞きましても緩衝緑地帯をつくりましてと言うけれども、六百メートルちょっと、つくっただけで日本でたった一つだけですよ。これで全国のやつができたような答弁をなさっておりますけれども、それは一つのケースとしておやりになったんだろうと思います。そういうことで、この六十五ホンというのは、どうも清水の舞台から飛んだのではなくして、ちょいと、つばつけたというところではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  122. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、道路の交通に起因する騒音公害、これに対しまして、やはり第一に発生源である車の構造、それから、それが通っておる道路の構造、それから、もう一つは交通規制、どうも、この三つの柱で総合的に対処をしていくというのが基本的な姿勢であろうと考えるわけでございます。  そこで、いまの六十五ホンの問題でございますが、御指摘のとおり、これは工場地帯の夜間の要請基準でございます。住居地域はもうちょっと低くなっております。そこで、すべて道路のみが騒音の原因者であるということでありますならば、これは御指摘のような考え方もあろうかと存じますが、やはりこれは三者で寄り合って、これに対処していかなければならぬということでございますので、道路としては、どの辺までこれを考えるかという点でございます。これは私ども初めてのことでございますので、どうも大したことないというおしかりでございますけれども、道路の区域外に道路が金を出すという相当思い切ったことをやったわけでございますので、この辺で、とにかく、あとは車に対する対策、それからまた総合的には交通規制というふうなところに努力をお願いしなくちゃいかぬのじゃないか。私どもとしましては、そういうふうな考え方から、御不満がおありかと存じますけれども、六十五ホンというところを一つ目安にしたわけでございます。  それからいま一つ、ガソリンを使って車が通るから音が出てくる。したがって諸悪の根源はガソリンにありだから、そのガソリンを使う道路が全部やったらどうか、こういうふうな御意見でございますが、風が吹けばおけ屋が式の若干そういう感じもしないではございません。  それから高速道路の料金だけでやるのはおかしいのじゃないかという点でございますけれども、これは申し上げましたように、一般道路に対しましても全く同じというわけにはまいらぬと思いますが、まさにガソリン税を使って、高速道路に準じたような対策を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  123. 岡本富夫

    ○岡本委員 私の言っているのは風が吹けばおけ屋がもうかる式ではなくして、いままでのようにガソリン税を使って道路を拡張していく、道路をつくっていくばかりではなくして、やはり公害対策の方にもそれを充当していかなければならぬ、こう言うているのです。きょうは大蔵省の西畑さんも横で聞いてもらっておって首を振っておるから、よろしいということにしまして、ひとつ、そういう方向で検討をしてもらいたいと思います。  そこで、振動防止法ができましたが、車が通るための振動、道路の振動、これによって困っておる地域がある。この前も環境庁の大気保全局長に来てもらって、その場所を見せたわけですが、今後この対策について振動防止の立場から夜間、昼間について基準をどうしていくか、ここの検討はまだできておりませんか。
  124. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の振動の問題でございますが、これは振動規制法案を本委員会で御審議いただきますときに、中央公害対策審議会の答申といたしまして、道路交通振動を伴う場合に、その道路管理者あるいは公安委員会に対して要請を出すという条項がございまして、その条件といたしまして、住宅地域では昼間は六十五デシベル、夜間は六十デシベル、商工業地域では昼間は七十デシベル、夜間が六十五デシベルという要請を発動する条件を中央公害対策審議会の御答申からいただいたわけでございます。その基準を超えた場合に要請をいたしまして、交通の規制をやるとか、あるいは道路管理者の側の方からは道路補修をしたり打ち直しをしたりするということが、その法律の条文の中にも入っておるわけでございまして、そういう条件を原則といたしてやるということでございます。  なお一点、申し添えておきますが、道路の中で地盤のきわめて悪いところがありまして、そして、それがまた幹線道路になっておるところがございまして、そこでは、この基準の夜間の六十というものを持ち出して、住宅地の条件をそのままに、ぴしゃり適用しても、どうにもならないものがあるという問題が、その審議の途中でも出てまいりましたが、その問題につきましては、よく協議をして、どのようなぐあいにこれを適用するかをやらざるを得ないというのが実態であるということを、その当時、申し上げましたが、そういう一部の例外問題はどうしても避けられないのでございますが、いま申し上げた基本原則の要請要件というものは守って、これをいずれ、ごく近く告示として出していきまして、十二月一日から実施に移し、実際の法律上の施行は来年度に地方自治体がいろいろ準備が整ってからになると思いますが、そのような段階にあるわけでございます。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 十二月一日にその告示が出るはずですから、それもやはり、一つの例をとりましたが国道四十三母線に当てはめて、今後の建設省の施策の中に入れていただきたい、これを要請いたしておきます。  そこで、余り時間がありませんが、この前も建設省にも直接陳情をいたしましたが、国道四十三号線沿いにあります芦屋市の精通小学校の校庭が使えなくなっておる。というのは騒音が非常に厳しいということで、あれは文部省からでしたか金を出してもらって、校庭の南の方に壁をつくったわけですね。そうしますと、どういうことが起こったかと申しますと、排気ガスがその校庭に充満をして、NOxの非常に高いときには、いろいろ骨折だとか、あるいは打ち身だとか捻挫だとか、こういうけがをする児童が目立っておるというのを、過去二年間にわたって、ここの学校で検査をいたしておるわけでありますが、同時に放課後そこで運動ができない。ここは運動会というものは全然できないのです。朝一時間余りやると、もうどんどん鼻血が出たり、いろいろな事故が起こりますから、ほかの学校へ行って運動会をやっておるというようなことで、この校庭がほとんど使えないということです。といって学校を移転するわけにもいかない。場所もありませんからね。  そこで、これに対する対案として少し大きな体育館をつくって、そして空気清浄施設でも入れて、その中で児童に放課後の運動をさせるようにして体育に力を入れていきたい。そうでなければ、ほかの学校より、うんと体育が劣ってしまうということで、校長先生以下PTAの皆さんが、この前、来たわけです。私も現実にここを調査いたしました。そこで文部省は、市から申請が出てくれば何とかしよう、こういうことなんですが、それでは三分の二の補助金ということになるわけです。ところが、いま地方自治体は金がなくて非常に困っている。もう少しすれば再建団体に落ち込むんじゃないかというようなことで、財政面で非常に困っておるわけです。これは文部省の補助金が三分の二出るから三分の一でいいというわけにいかないんですね。大体、学校というものはいろんな費用が要って、半分ぐらい市が出さなければならぬということで、金の捻出に困っておるわけです。  そこで、この原因はどこにあるかというと、国道四十三号線、高速道路、結局ここに原因があるわけです。したがって建設省として、こういった施設に対して、文部省から出てきた補助金以外に何らかの助成方法はないのかどうか。ひとつ、これは大蔵省の西垣主計官に一遍、頭に入れてもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
  126. 西垣昭

    ○西垣説明員 精通小学校の問題につきましては、私も先般、小学校の校長先生それからPTAの会長さんにもお会いいたしまして事情をよく伺ったところで、文部省と御相談になったらいかがかということを申し上げまして、そちらの方で進んでいるのではないかなと想像していたところでございますけれども、補助裏をどうするかという点につきましては、いまの御質問で初めて問題意識として承ったようなところでございまして、補助裏をどうするかというような問題につきましては、これは従来の制度の中で、それぞれルールもあることでございますので、ここで直ちにどうなるだろうというようなことをお答えすることは困難でございます。  もしも、ここで私の感じを言えというふうにおっしゃられますならば、やはり、これは市の小学校でございますので、裏負担は起債なり何なりの道もあることでございますので、やはり市が、それなりの努力をなされるのが本来の筋ではないか。ただ、もし特例としてどうだというようなことが出てくるとすれば、それをまた考える余地があるのかどうかわかりませんけれども、それは一つの考えかとも思います。  簡単でございますが、お答えいたします。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは一遍、道路局次長さんにも、ぜひひとつお考えいただきたいのです。ということは、この体育館ですが、ちょうどこの間、おととしですか、南校舎というところに毛利環境庁長官にも来ていただき、文部省からも来ていただいて、空気清浄施設を入れるようにしまして非常によくなっておるのです。今度、体育館を建てるところは、それの南になるわけです。いま講堂があるわけです。この講堂をつぶして、それに変えよう、こういうことなんです。したがって、大気汚染、NOxによるところの被害によって助成するということは、まだちょっと環境庁の方も首を振っておりましたから、むずかしいかもわかりませんが、騒音ということになりますと、いままでと同じことになる。同時にあなたの方では、国道四十三号線沿い、あるいはまた高速道路のところに対して防音工事あるいは移転補償をする。これは民家でしょうけれども、民家に対してやるのも、また、こういう小学校にやるのも、結局は同じ理屈じゃないかと私は思うのですよ。ですから、この防音工事に対して建設省の方から費用を出す、こういうことになりますと、これは非常に市としても持ち出しが少なくなるから、これは前向きにできてくる、こういうことですので、ひとつ、この点の検討をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  128. 小林幸雄

    ○小林説明員 この小学校につきましては、私どもも、いろいろ先生あるいは地元の方を通じまして実情をよく承知いたしております。御承知のように建設省としましては、道路サイドから防音壁を設置したわけでございます。  そこで、ただいま御質問の、ガスの方では無理でも音の方で、一般の民家と同じように何か助成ができないか、まあこういうことだろうと思いますが、先ほど冒頭に申し上げましたように新設、改築を行う一定基準以上の幹線道路の場合につきましては、病院とか学校等のものに対しまして、そういうふうなことを考えておりますが、既設のものにつきましては、文部省の方にお願いをしておるという状況でございまして、なお検討、勉強さしていただきますが、ただいままでのところ、そういうことでやってきておる次第でございます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ既設のものはいけない、新設のものに対しては考えることができる、こういうことですね。(小林説明員「道路が新設の場合ですね」と呼ぶ)道路が新設かいな。それじゃ話にならないな。  私、もう一度あなたの方で検討いただきたいのは、要するに四十三号線沿いの高速の、いま建設省がお決めになった制度、清水かどうか知りません、私は清水とは思わぬけれども、防音工事を民家にもするということで、せっかく、こういう制度ができたわけですから、それを少し延長して小学校にも回していただくということになれば、これは市としても非常に助かるわけですね。しかも、この国道四十三号線というのはもとはなかったのです。隣の精通幼稚園なんかは、それで困って移転しちゃったわけです、幼稚園ですから小さいところでいいから。ここは移転できないのです。そういうことで、いまあなたに再検討するということを約束していただきましたから、そのことをひとつ信じまして……(小林説明員「勉強さしていただきます」と呼ぶ)
  130. 吉田法晴

    吉田委員長 発言を求めて答弁してください。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 勉強かいな、勉強じゃ、ちょっと話にならぬな。
  132. 小林幸雄

    ○小林説明員 小学校、幼稚園等が四十三号のためにさまざまな被害を受けておるということは、もう御指摘のとおりだろうと思います。ただ、文部省からの補助金に対する補助裏の負担の問題ということから御質問が出ておるわけでございますが、先ほど大蔵省の方からも答弁がありましたが、これは当該部分だけ見ますと、まさに当該施設が被害を受けていることは間違いないと思いますが、市全体として見ましたらば、この道路が存在することによるメリット、デメリット、これはなかなかむずかしい点があろうかと思います。そこで、この辺になりますと、いわゆる地方財政面から、こういうものに対する文部省からの補助金に対する補助裏の措置等は、そういう点からやはり考えていただく筋のものではないだろうか。どうも私どもの方では、繰り返し繰り返し申し上げましてはなはだ恐縮でございますけれども、道路の区域の外にまで出張りまして、道路側としましても何らかの積極的な対策を講じていくということ、大変、遅まきとおしかりをこうむるかも存じませんが、とにかく踏み切ったばかりの段階でございまして、まだ、そこまでの問題は当面ひとつ文部省の方にお願いしたい、かように考えておる次第でございます。今後とも勉強はさせていただきます。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 では最後に、もう一度、確かめておきますが、グリーンベルトが尼崎のところ六百メートルほどしかできてないのです。神戸まで西宮、芦屋、いつごろやりますか。そうすると、また少し緩和されるんじゃないかと私は思いますが、これはいつごろできますか。
  134. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  全延長十四キロで、ただいまの概算では総事業費約二十三億程度というふうに考えておりますが、全線にわたりまして今年度からおおむね四年間で完成したい、かように考えております。ただ、住宅地の沿道につきましては、できれば何とか三年間ぐらいで、これを完成したいというふうなつもりで進めておる次第でございます。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから、この間あの地域の人たちの意識調査をいたしますと、振動が非常に多い。それは舗装が非常に壊れておるということで、ひとつ再舗装をしてもらいたいという声が非常に多いわけです。これは私、菊池さんでしたか道路局長のときに一遍、全部整備してもらったんです。約五センチほど全部、引っ張ってもらったんですが、それでぐあいが悪ければ、もう一遍やりましょうという答弁を、あの当時いただいておるのです。もう三年、四年になりますか、また相当荒れておりますので、この点もひとつ再舗装をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  136. 小林幸雄

    ○小林説明員 ああいう交通量の多い道路でございますから、舖装も当初、予定しておったほどの耐用期間が、なかなかもたないわけでございます。したがいまして、非常に傷みがひどいというふうなところにつきましては、その都度、維持補修には十分、現場の事務所では気をつけておりまして、手おくれにならぬように、ひどくなれば補修をやらしておるわけでございますけれども、今後ともなお壊れのひどいところ、騒音、振動が非常に激しいというようなところは、できるだけ維持補修を積極的にやらせるようにしてまいりたい、かように考えております。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 では終わります。
  138. 吉田法晴

    吉田委員長 岡本君の質問は終わりました。  この際、午後二時まで休憩をいたします。     午後一時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  139. 吉田法晴

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。     〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
  140. 土井たか子

    ○土井委員 きょうは私は、大きく分けまして二つのことについて質問を、ただいまからさせていただきます。  まず、あたりで開発事業が進んでまいります。そうしますと必ず環境保全の立場から住民運動が全国津々浦々で起こるのは、ただいま通常であります。かつて私は、このことについて七月十六日の当委員会においても質問をいたしましたが、ひっきょう住民運動というのは、ある一党一派に属しての運動ではなくて、純粋に自分たちの命や、いまの生活を守っていくという立場から、また環境保全という立場から展開される大衆運動だというふうに考えなければならない、そういうふうに思うわけですね。  ところが、きょう私ここに一つの文書を持ってまいりましたが、それは五十年の三月に日本経済調査協議会から出されました「住民運動と消費者運動」副題といたしまして「その現代における意義と問題点」という一冊の小冊子であります。この中身は、取り上げ方によって、いろいろ違いは出てまいりましょうけれども、この一冊の小冊子を物された編集者の方々や、また協力者の方々、この面々を見てまいりますと、その方々の中には鹿島建設の方であるとか日本テレビ放送の社長であるとか、また王子製紙の社長であるとか日本開発銀行の総務部の方であるとか新日鉄の重役の方であるとかいうふうな方々がずっと並んでおられまして、そして特に通産省の役人の方も中に入って、特に主査というのは通産省の顧問をなさっている方であります。したがいまして、これはどっち向けに編集されている中身であるかということは、このリストを見ただけでも非常にはっきりしてくるわけであります。  ところが、この中身を見てまいりますと、これには種々の問題がございます。詳しく一々申し上げますと、これはかなり大部のものでございますから時間的余裕がございませんが、たとえば、いろいろな住民運動が起こりますけれども、特に、いろいろなプロジェクト、開発計画の具体的な事例に即応しながら「住民運動の主体と関係者」というリストアップがあるのです。それは具体的に書いてある。それからまた「政党との関係」ということについては、朝日新聞社のアンケート調査などを持ってまいりまして、共産党が八・二%だ、社会党が八・一%だ、公明党が四・〇だ、自民党が一・八%だ、民社が〇・三だというふうなぐあいに、ここの中では提示をされているわけですね。片や、また日照権なんかの問題に対しては「支援政党と件数」というのについて、これまた自民党から社会党、公明党、共歴覧、民社党それぞれ、いろいろ高住協の調べに従って四十八年度のデータをここの中で駆使して述べておられるわけです。  ところが、福島県の浪江町の棚塩原子力発電所の反対運動について記述されている部面が、かなり具体的にあるわけですが、この部分を見ますと、ほかの政党については一言半句触れないで、特に、この部分については社会党と共産党についてのみの記述の部分があるわけです。たとえば社会党に対しては「公式見解では、原発は原子力の軍事利用へとエスカレートする危険があり、平和主義の立場から、原発そのものに反対するという態度をとっているが、実際は、反国家独占資本主義に向けての闘争につなげるという志向が強い。」とか、共産党については「原発それ自体には決して反対しないが、現在の技術では安全性の保証に疑問であるという態度をとっており、表面だっては動かず、日本科学者会議福島支部が地元の教員らに組織の拡大を図っており、住民運動の間でも理論的貢献に対する評価は高く、影響力も高い。」こういうふうな記述があるのです。こういうふうな記述からいたしますと、やはり政党が運動に協力ないしは、ここには介入という言葉が響いてあるわけですが、その政党の介入ないしは協力体制に対して、ある予断を抱いて事に処するというふうなおそれなきにしもあらずです。また、別の部分では、これは、そこに参考資料として差し上げましたけれども、まさに、この棚塩原子力発電反対運動の経緯について、何と具体的に非常に詳細に日付入りで運動の動きが一々ここに記述してあるのです。私は、これは少し問題だと思うのです。  こういう記述の部分について見てまいりますと、それぞれは、どこから引用してきたかというのが実は書いてあるので、そこの部分に目をやりますと、社会工学研究所「地域開発政策と住民運動」括孤書きで(内閣調査室委託)と書いてあるのです。したがって、この出典は、内閣調査室の方が委託された社会工学研究所のおつくりになった資料に従って、これこれがここに掲載されておるというかっこうになっているわけですね。もちろん、この原典に当たってみましたら、これは「地域開発政策と住民運動」という表題ではなくて、「住民運動の現状とその対応に関する研究」とこうなっております。  しかし問題は、この日本経済調査協議会では、ほかに「提言」という部分などを見ますと、いろいろ紛争が起こってしまっては遅いので、紛争以前に、やはりそれを予防する措置というのを講ずる必要があろうというふうなことを、るる述べられながら「技術基準の設定、環境アセスメントの具体的手法の確立などの制度上の改善が必要である。」こういうことを述べていらっしゃるのは至極当然のことだと思うのですが、最後の締めくくりの部分を見ますと「住民運動といい消費者運動といい政策参加という側面をもっている。それらは、社会の意識形成に関与し、経済社会運営にかなりの影響をもつようになっているが、これらの団体は本来その基礎は脆弱である。これらを健全な方向に育て、社会におけるバランスを保ち得るよう多角的な参加システムの一環として位置づけ、理性と英知と協調により、健全な経済社会運営を実現していく必要がある。」というのが最後の締めくくりになっているわけです。したがって、健全な方向にこれらの運動を育てていかなければならないというふうに、この先ほど申し上げたような方々が中心メンバーになりながら、提言を企業にしていらっしゃるわけですね。  私は、これ自身、大変問題だと思いますけれども、この裏づけになっている資料が、またさらに私は問題視されていいと思うのです。これは考え方によったら憲法の二十一条が保障している結社の自由、表現の自由、プライバシーに対しての侵害ということになりはしないか。自由に対しての侵害になりはしないか。もちろん長官は御存じのとおりで、憲法十三条では、国政の上で個人として国民はすべて最大限に尊重されるという中身がちゃんと明記してございますし、二十一条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」とちゃんとあるのですが、こういうふうに具体的にいろんな運動の内容に、いわば介在したようなかっこうでデータが駆使されるということになってくると、私はこれは問題点が出てこようと思うのです。この点は、どういうようにお考えになりますか。
  141. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 どうも、ただいま御指摘のいろいろな問題点、環境行政とはそう直接密着しておらないような感じを受けまするので、どうも十分なお答えができないかもしれないと思います。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 環境行政と密着していないという御認識であるならば、さらに私は申し上げなければなりません。これはすべて、いろんな開発計画に伴って環境が破壊されるおそれがあるということで住民運動は当然起こってくるわけですよ。したがいまして、住民運動というものに対して環境庁としては、どういうふうに対応されるか、住民運動に対して、どういうふうな立場で臨んでいかれるか、これはやっぱり大きな問題だろうと思うのです。環境行政の一環じゃないでしょうか。この事柄が、いま、こういうふうな文書で五十年の三月に出ております。その裏づけになっているのは内閣調査室が委託をして出されている四十九年三月の文書であるということは、この五十年三月に出ている日本経済調査協議会の文書の中身の、それぞれのデータのところに、はっきり出典が明記されておりますから、したがって、これはよくわかるわけでありますが、こういうふうな調べをし住民運動というものに対して具体的なデータを出すということに対しては、どのようにお考えになっていらっしゃるかということを再度お尋ねします。
  143. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 環境庁といたしましては、公害ないし自然環境を破壊するというふうな御懸念から、住民の御意見がまとまったというような場合には、その御意見は尊重していく立場は従来とも変わらない、これからも変わらないつもりでございます。ただいまのように一般的な住民運動にどうされるかということになりますると、私の方で、どうも責任を持って全般のお答えはできかねるという意味で、お答えしたわけであります。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 私は一般的な住民運動ということを抽象的に言っているわけじゃございません。ここの中でも抽象論が終始一貫、展開されていれば問題は別ですよ。具体的な事例をそのケースに従って、中には、仲介の労をとったのは、どういうふうな人が、どういう経路で、どういうふうにやったかということが、もう一つ言うと日付まで出て、運動の経緯というものが出てきているということについては、これは私は大変問題があるだろうと思うのです。先ほど申し上げたとおり、これに対して、やはり結社の自由を侵害しないという保障はどこにもないし、また、これを調べるときにプライバシーに対しての侵害が全くないとは断じて言えないのですよ。こういうふうに住民運動に対して、いろいろな動きを、抽象的じゃないですよ、具体的にそのケースに従って、いまお手元に差し上げたのは、その氷山の一角の一部分であります。それぞれの開発計画に対して、どの計画がこうだった、この問題についてはこうだったと克明に出されているのですよ。抽象的な問題じゃありません。こういうふうな住民運動に対しての認識、住民運動に対しての対応、住民運動に対しての調査というものは、あくまで、これは環境行政というのは人権を尊重し、いま、そこに生きている人たちの生活保全というものが、やはり中心になって動かなければならない。にもかかわらずこういうふうな行き方からすると、調査段階で、あるいは具体的にその経緯を調べる段階で、人権侵害、プライバシーの侵害というものがないとは限らないのです。断じてございませんという保障はどこにもないですよ。私は、ここまで克明に出されるには、それなりのいきさつがあったに違いないと思います。こういうことに対して長官は好ましいとお考えになりますか、いかがでございますか。
  145. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまお答えしたとおり、環境庁といたしましては、環境行政関係をして住民の方々がいろいろな御意見をお持ちなさる、そのことについては十分尊重する態度で、いままでまいりましたし、今後も、この態度は変わりません。ただ、その住民運動の内容がどうであるか、プライバシーが侵害されておるかおらないかというふうなことまで、環境庁内容まで立ち至りまして、その意見をどうこうというわけには、それはとてもできないだろう、こういう意味でお答えしているわけであります。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 それでは「住民運動の現状とその対応に関する研究」この表題は日本経済論賛協議会の方の文献の中に引用されている表題とは異なりますが、恐らく私は、異なった表示をしておられるけれども内容は同一であろうというふうに認識をするわけです。なぜかというと、この日本経済調査協議会の方で引用されている、まさに、この出典はこれでございますと書かれている部分を照合しますと、みごとに合致するわけでありますから、したがって、この中身は内閣調査室が社会工学研究所に委託をされた「住民運動の現状とその対応に関する研究」から実は日本経済調査協議会がとってきて、この「住民運動と消費者運動」という表題で掲げられている中身に使われているというふうに、まず、はっきり理解ができるわけなんです。  そこでお伺いしますが、この内閣調査室がお出しになった「住民運動の現状とその対応に関する研究」は、二部ずつ各省庁所管の関係部局に送付をされているわけであります。「住民運動の現状とその対応に関する研究の冊子送付について」という表題で「二部送付しますので貴省庁所管の関係部局で御活用くださるよう、よろしく御配付方お願いいたします。」という、こういう文書が中に入っているのです。四十九年の五月付であります。これは環境行政に直接関係のある「住民運動の現状とその対応に関する研究」でございますから当然、環境庁にも二部届いているはずでありますが、これは環境庁に二部届けられたでしょうね。
  147. 金子太郎

    ○金子政府委員 先ほどから短時間でございますが、何人かに確認いたしました限りにおきましては、受け取ったという事実は確認できておりません。なおこれから時間をかしていただきまして調べたいと思います。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 内閣調査室の方、いらしていますか。お尋ねいたしますが、これは各省庁所管の関係部局に二部ずつ必ず送付をされたと私は聞き知っておりますが、そのとおりでございますか。
  149. 志垣民郎

    ○志垣説明員 関係省庁に二部ずつ送付いたしたのでございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると環境庁に対しても当然、二部送付をされたということでございますね。
  151. 志垣民郎

    ○志垣説明員 そのように聞いております。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 ということですよ、内閣調査室の方では。環境庁としては、そういうことに対しては知らないとおっしゃる。
  153. 金子太郎

    ○金子政府委員 知らないと申しているわけではございません。先ほど来ここにおります幹部の者に、こういうものを受け取り、かつ読んだかと聞いた限りにおいては、そういうものは知らないということでございますので、これから時間をいただきまして受け取ったかどうかの事実を確認させていただきたいと思うところでございます。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁とされては、日本全国に起こる、いろいろな環境保全関係のある問題を抱えて、いろいろもう被害が出てしまっている。また、これから、このままでいくならば被害が出るかもしれない、そういう問題を抱えながら、住民の方々がいろいろ地方自治体や国に対して申し入れをしたり、要望したり、また関係の企業との折衝をやったり、いろいろされる住民運動に対しては、少なからぬ、これはいろいろな関心どころじゃないですよ、直接関係省庁としての責任をお持ちになっていらっしゃるだろうと思うのです。したがって住民運動について政府の部内で一応の調査をして、そして、その研究の結果というものが、こういうものでございましたというのが届いていることについて、関係人たちに聞いたけれども知らないでは、これは済まないと思います。内閣調査室の方は送ったとおっしゃる。その程度に住民運動に対しては軽く見ていらっしゃると理解してようございますか。
  155. 金子太郎

    ○金子政府委員 お言葉でございますが、私どもは住民運動と密接な関係は持っておりますが、住民運動について責任を持っているとは考えておりません。本件は、環境庁に毎日、大量の書類が届いておりますが、あるいは、その中に紛れて入っていたかもしれません。その点は、これから調べますが、そういうものを受け取ったからといって、私どもに、どうのこうのと言われることではないのではないかと考えております。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 受け取ったからといって、どうのこうのなんということを私はいささかも申し上げておりませんよ。ただしかし、住民運動に対して直接、責任を持っていらっしゃるとは私は言ってないので、住民運動対策に対して責任があると言えば、これはあるのじゃないですか。住民運動に対応するという責任があると言えば、これは言えるのじゃないですか。住民運動そのものに対して責任を持つなんということは私はいささかも言ってないです。  ところで、いま調べてからというふうな、さらに御発言でありますけれども、去る七月の十六日の日に私が質問をいたしましたとき、金子官房長は、環境庁としては、住民運動に対して調査を政府の中でしているというふうな話は一切、聞いておりませんという御答弁なんです。そうすると、環境庁の御存じないうちに、こういうふうなものがほかにもあるということも考えておかなければならない。一切、聞いておりませんというふうな御答弁の後、質問をしてから後、そういうことが果たして、この答弁どおりであるかどうかということは一応検討されましたか、調査を部内でなされましたか、いかがでございますか。
  157. 金子太郎

    ○金子政府委員 そういうことはしていないと思いましたので、今日まで調査いたしておりません。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 これで、内閣調査室の方では、こういう調査をやっておられるということが事実具体的になっているわけです。現に、そういうことがれっきとして、ここに具体的な資料としてあるわけです。これは大部のものですけれども具体的資料としてあるわけです。このことは、はっきりお認めになりますね。
  159. 金子太郎

    ○金子政府委員 事実関係をよく調べさせていただきました上で御答弁申し上げたいと思いますが、おっしゃるとおりだとすれば、事実を認めざるを得ないことだと思います。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど来、あなたがいらっしゃるこの席で、内閣調査室の方からは「住民運動の現状とその対応に関する研究」というのを二部送付をしたということをはっきり確認されているわけですよ。したがって事情に対して聴取をした上で、それが事実とすれば、そういうことを確認せざるを得ないというふうな御答弁というのはおかしいと思うのです。現に、ここに内欄調査室の方がいらしているのですよ。したがって、そのことに対しての事実確認は、そういう事実があったということは、この場所でできることではないですか。ただ、それについて関係部局の方が、よくそれを熟読玩味なすっていらっしゃらないということがあるかもしれない。受け取って、たくさんの書類の中に紛れ込んでしまって、どうにもならない状態で、いまだに放置されているということはあるかもしれない。しかしながら、そういう小冊子というよりも大部の中身を持っているわけですが、こういうものを内閣調査室の方が御用意されていたという事実に対しては確認できるのじゃないですか、いかがです。
  161. 金子太郎

    ○金子政府委員 事実関係調査いたしまして、受け取っているということがはっきりいたしますれば、おっしゃるとおりのことになると思います。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 ところで、内閣調査室の方にお尋ねをいたしますが、これは四十九年の三月に社会工学研究所というところに委託をされて出された中身ですね。
  163. 志垣民郎

    ○志垣説明員 さようでございます。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、これが出たのは四十九年三月でございますが、こういうたぐいの調査というものは、その後、引き続いてやっていらっしゃるかどうか、いかがでございますか。
  165. 志垣民郎

    ○志垣説明員 このような調査は、そのとき限りでございまして、その後やっておりません。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 住民運動に対して関係のあるような調査というのを、具体的にこういうふうな形態でなくても、どういうふうな問題を、どれくらいの経費で、どこに委託をして四十九年前後、特に四十九年以前にされた例があるかどうか、そのことをひとつお伺いしたいと思います。
  167. 志垣民郎

    ○志垣説明員 住民運動に関しましては、四十八年の十月に社会工学研究所に委託いたしましたこのレポート以外は、その前にも後にもございません。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 ほかに、こういう開発計画等々に関係のある地域での、いろんな動きに対しての調査ということを、四十九年三月この「住民運動の現状とその対応に関する研究」をお出しになって以後おやりになった例があるかどうかということを再度お伺いします。
  169. 志垣民郎

    ○志垣説明員 そのような事例はございませんです。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 後にも先にも、これが一例だというふうに理解をしていいわけですか。
  171. 志垣民郎

    ○志垣説明員 さようでございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、内閣調査室で外部に委託をされて、いろんな調査をほかにもやっていらっしゃると私は考えるわけでありますが、事、住民運動にかかわらず、どういうふうな調査を、だれに委託をして、どれくらいの経費でやっていらっしゃるかということに対して、これは公表していただけますか。
  173. 志垣民郎

    ○志垣説明員 内閣調査室の委託に関する概要については、かつて国会等にも調査資料を出してあると思いますが、ただいま、ここで直ちに詳細にお答えすることは、ちょっとできないわけでございます。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 詳細に、ここでお答えになることは御無理であろうと私も思います。それでは後日それについての資料を当委員会に提出をしていただきたいと思いますが、委員長、お願いします。
  175. 志垣民郎

    ○志垣説明員 ただいまの件につきましては、上司と相談いたしまして後日お答えいたしたいと思います。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 これは、ぜひ出していただきたいと思いますから、可及的速やかに、ひとつお願いをいたしたいと思います。  それと、社会工学研究所の方に委託をされて「住民運動の現状とその対応に関する研究」を進められる途次、具体的な事例に当たっていろいろ調査された中身は、いわばこれは学識経験者の集団でありますから、したがって純学術的な立場から、研究という純粋な行動でおやりになったと、これは好意的に考えざるを符ないわけでありますが、しかし、ここに駆使されている、それぞれの中身について見てまいりますと、どういう議員が、どういうふうな場所で、どういうふうな経緯の中で、どういうかみ方をやったかというふうな資料まで具体的に出ているわけですよ。そして、これは一般論じゃないのです。長官に先ほど一般論として考えるならばというふうな御答弁もいただきましたけれども、これはもはや一般論と言えるような記述の仕方じゃないのですね。それぞれ具体的なケースに即応して、どういうふうな対応が、そのときにあったかというようなことも、この中では述べられているわけですから、こういうことになってまいりますと、いろいろな開発計画、開発事業が進む中で、生活保全ということを終始一貫考えながら住民運動を展開している住民の方々からすれば、自分たちの結社の自由やプライバシーの侵害というものが、ここに起こってくるのじゃないか。また現に、そうでなくては、こんな資料というものは具体的につくれるはずがないというふうにも考えられる向きが、この内容としてあるわけですよ。したがいまして、いろいろな住民運動に対しての介入ということが政府から、あるいは自治体から、いろいろな姿、形で行われているのではないかということを、この資料を見ると憶測したくなるような中身であります。  私、先日この資料に対しての要求をいたしましたところが、この資料はもうない。したがって、これに対してはお見せするわけにいかないというふうな御答弁でございました。しかし各省庁には二部ずつ送付をされているわけであります。各省庁が、このことをどのように駆使して、後、行政を動かしていらっしゃるかということは、まさか内閣調査室の方では一々管理ができないところに、もういくわけですね。どういうふうな方法で、これが駆使されるかという一つの例を、きょう私が出したのが、日本経済調査協議会のこの資料であります。中には、ちゃんと省から言いますと通産省も入り、自治省も入り、総理府も入り、経企庁も入り、そして一部の企業者向けに駆使されているのです。こういう形で外部に出ているわけですよ。各省庁に出る場合には二部ずつお送りになっているわけだけれども、私どもが要求をいたしますと出てこないのです。一般には公開なさらない。そういう点からすると、このあり方というのは、まさに公開性の原則からして、おかしな行き方をやっていらっしゃるのじゃないかということも考えられる。こういう点に対しては内閣調査室としては、どういうふうにお答えになりますか。
  177. 志垣民郎

    ○志垣説明員 調査室の資料についての公開の件でございますが、少部数、原本を印刷いたしまして、上司に報告すると同時に関係の各省にお配りいたしましたので、残部がなかったのだと思います。  もう一つ、公開でございますが、これは決して秘密ではございませんので、その後、内閣調査室で編集いたしております調査月報というのがございます。それの四十九年の十二月号に「住民運動の現状をめぐって」という表題で、その内容を紹介してございますので、これをごらんいただければ、およその内容がわかるというふうに考えております。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 月報については私も拝読をさせていただきました。これはまさに長官の言われた一般論であります。抽象的一般論がそこには記述をされているわけです。具体的にその裏づけとして使われた、どのケースに対してはどういう動きがあったか、どういう住民運動の中に、だれが介在していたか、どういう議員が、どういうふうにその仲介の労をとったか、そういうものは一切そこには記述されておりません。非常に簡単な一般論がそこには展開をされていた、このように私は拝読をいたしまして存じております。したがいまして、その一般に公開される調査月報に従って考えていくならば、あくまでこういう問題はないんです。しかし、いま私が指摘をしているのは、その調査月報じゃなくて、現に内閣調査室が委託をされた、その委託に応じて出されている「住民運動の現状とその対応に関する研究」そのものなんですね。このいわばダイジェスト版でしょう。ダイジェスト版を外部に出されるときは、いま私が指摘をしている具体的な事例は一例も出ていないのですよ。  こういうことからいたしますと、やはり内々で政府部内で、いろんな住民運動に対して調査が、先ほど来、私が繰り返し申し上げますように、いろんな姿、形においてなされているんじゃないか。場合によったら、これはプライバシーの侵害ということにもなり得る、結社の自由ということを損なうということにもなり得る。本来、住民運動を大衆運動として考えていった場合には、それぞれの人たちが、これは自分たちの生活や健康を守るということで、生一本に虚心坦懐にやっていらっしゃる運動に対して色をつけて、これに対処をするということなきにしもあらずになってまいります。私は非常にこの点を危惧するわけですよ。したがいまして、きょう私がここで取り上げた問題は、前回、住民運動に対して、いろんな調査政府部内でやっていらっしゃるという事実はございませんかとお尋ねしたら、環境庁の方では一切そういうことはございませんというお答えでした。そのうち、具体的には内閣調査室の方で、こういうふうな調査をやっていらっしゃったということが事実として、あったわけでありますから、したがって私は、環境庁の方にも、こういう事実を指摘をしながら注意を喚起したいと思います。長官のこれに対しての御感想なり御所信というのを一言お聞かせくださいませんか。
  179. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 環境庁は、先ほど申し上げましたように、住民運動はあくまで任意、自発的に起こるものだ、こういう基本原則に立っておりまするし、いままで、その原則を犯したことはないと私は確信しています。たとえば、ある住民運動が起こって、あれは特定の政党が指導しているとか、そういうことで偏見を持ったこともないと思います。あくまでも地域住民がおのれの健康を守る立場あるいは生活環境自然環境を守るために住民運動が起こった、そういう観点で対処しておりまするから、いま先生御指摘のようなことは環境庁に限っては毛頭ございませんので、御懸念のないようにお願いいたします。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 そういう基本的姿勢というものを、ひとつ具体的な行動で、はっきり示していただくように、これはお願いをいたしますが、特に、この文書の中では、御承知のとおり、いろんな紛争が起こってしまっては解決が非常に困難になるので、紛争に対しての防止に重点を置いてやるべきだというふうなくだりがあって、技術基準の設定や環境アセスメントの具体的な手法の確定というふうなことが必要であるという点も述べられております。これは至って私は常識だと思うのですね。こういうことは常識だと思うのです。住民運動に対して住民の方々はいまもう精いっぱいで、いろんな自分たちの周囲が変わっていく、環境が変わっていく。特に大型のプロジェクトで開発事業というものが進められていくということになりますと、このことに対しての不安というものは、あってあたりまえでございまして、何でも、どしどしやってくださいなんというふうなことには絶対ならないんですね。それは御承知のとおり、高度成長のときに出るだけ出た、あの公害に対しての被害ということに対して、いたく私たちは苦い経験を持っておりますから、したがって住民運動というのは活発になることはあっても、これが下向きになるということは絶対ない、このことだけは、はっきり考えておいていい問題じゃないかと思うのです。  そこで、そういうことからいたしますと、いま、この出してまいりました日本経済調査協議会というのは、これは企業者向けでありまして、いわば経済団体であるとか、あるいは企業者向けに、これを資料として提示をなすっているという趣が内容としてはございますけれども、しかし、この事柄について、やはりかんでいらっしゃる省があるわけです。現に、この文書を物する中に、先ほど申し上げたとおりに通産省なんというのは主査として顧問をここの中に送って、そして住民運動に対しての問題点を提起されているわけであります。また、そのほかに経企庁にしたって自治省にしたって、それぞれ委員としてこの中に入って、そしてこの住民運動に対しての「現代における意義と問題点」というものの具体的内容にも、いろいろ関与されているわけであります。したがいまして、これは環境行政というのは環境庁一省だけでできるはずはないのでありまして、やはり他省との協力体制、他省に対してのいろんな折衝あるいは申し入れ、あるいは他省に対しての環境庁の主張というふうなものがより強力にならないと、いま長官がおっしゃったような、住民運動のその趣旨というものを壊さないように、尊重して環境行政を行うということに、なかなかこれはならないだろうと思います。  従来、私たちはこの特別委員会でも、たとえば排ガス規制の問題などを取り上げ、あるいは大型の開発計画などを取り上げ、いろいろ質問をしてまいりますと、土壇場になったら通産省に折れてみたり、あるいは建設省に折れてみたり、あるいは運輸省に妥協するという姿勢がなきにしもあらずでありました。これは毎回いつも質問の中で出てくることでありますけれども、ここに常識論として展開をされている環境アセスメントの問題については、できる限り早期に具体的手法を確定するということは、これは言うまでもなく住民が切実に求めている一つの問題点であろうと思います。一々こういう文書によって、住民運動に対して、これが紛争になってしまったら遅いので、紛争の防止には、こういうことが必要だということを主張していただかなくとも、それは常識なんです。このことに対しては長官いかがですか。建設省や運輸省や、そうして、この中にもかんでいらっしゃる通産省等々に対して物は申しても、向こうからのいろいろな主張や立場というものに妥協するということは絶対なさらない。環境アセスメントということを、ひとつ環境行政として、はっきりしたものを打ち出すというお気持ちなり御用意なりをお持ちでいらっしゃいますか。
  181. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いまの御指摘の点につきましては従来、環境庁ずっと歴代の長官初め事務当局も、御指摘のような自信と態度でいっておるものと私は確信しております。と申しまするのは、いま先生の御指摘にもありましたように、環境庁実施庁じゃないのですね。実施する庁じゃございません。実施するのは各省庁です。したがって、このような勧告あるいは、このような要請というものをやりますが、実施庁は各関係省庁なんです。そこで私どもは、いま御指摘のように関係省庁と連絡していかなければ、うまくいかないだろうと先生御自身も仰せられております。私どももそういう立場はとっておりますが、環境行政を守るのは環境庁ですから、したがって、そのプリンチップは、もういかなる事情があろうとも動かさない、その信念は動かさない、その基本的な態度は動かさない。ただ、実施する段階に立って、いろいろな環境庁と各省庁との連絡調整の中で先後軽重をはかってやるということはあり得るというふうに考えますが、基本はあくまでも自然保護憲章にありますように、いかなる開発自然環境に優先するものじゃない、保護に優先するものじゃない、こういうふうな気持ちでやっておることを御了解いただきたいと思います。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 それを聞かされて、ずいぶん時間がたつのです。前国会で必ず出すという約束が、約束どおりに動かなかったのです。遅々として進まぬ原因は一体どの辺にあるのでしょう。環境庁としては試案を持っていらっしゃるはずですよ。アセスメントの原案は、れっきとした原案としてあるはずであります。なぜ、それが遅々として進まないのか。その辺の理由を、ひとつお聞かせいただければ。
  183. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 環境影響評価の制度化の問題については、先生御承知のように前国会に提案すべく、いろいろと努力をしてまいったわけでございますが、残念ながら前国会に提出することができなくなったわけでございます。  いろいろな理由がございますが、一つ関係省庁との調整に手間取って前国会に間に合わなかったということでございまして、どういう点についてと申しますと、やはり、いろいろな環境影響評価をするための技術手法的なもののガイドライン的なものを、各省庁が寄って、もう少し固めていく。環境影響評価というものを手続として確立するためには、そういう問題も、もう少し詰めていかなければならぬという問題もあったわけでございまして、そういう点から考えまして、前国会終了後、直ちに特に関係の深い省庁、建設省、運輸省、農林省、通産省、国土庁、自治省と環境庁の七省庁で環境影響評価制度に関する連絡協議会をつくりまして、局長レベル、課長レベルで、それぞれいろいろな問題について現在、詰めていっているというふうな段階になっているわけでございます。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 あたかも、いまのは技術的な側面についてだけの問題であるようでありますが、それならば、そんなに技術的な側面について時間が必要だったら、前国会で必ず出すなどというふうな約束はなさらない方がいいのです。技術的な側面については、およそのめどが立ってから、環境庁としては国会に出しますということをおっしゃるのが大体、筋だろうと私たちは考えている。一たん、もう国会に出しますということをおっしゃった段階で、まだ、それができていなかったということ、これは行政能力の上から考えて実におかしなものだということを言わざるを得ませんよ、もし、そういう御答弁ならば。むしろ私は、それ以外のところに問題があるのではないかというふうに思いたくなってまいります。それぞれの足並みがそろわないんじゃないですか。技術的な問題ではなくて、通産省や運輸省や建設省やその他関係省庁の間で、いまの環境庁の手持ちの原案に対して、これでは困るという声が出て、なかなか、その間の調整がうまくいかないということなんじゃないでしょうか。私は、手法の問題では恐らくない、技術的な問題ではなかろうと思います。  私は特に、きょう住民運動の問題を取り上げているわけですが、この環境アセスメントの中の大事な問題は、やはり住民参加ということだろうと思うのです。住民参加、どういうふうに住民の参加を認めていくか。どういうふうに住民の意思というものを反映させていくか。住民の意見というものを反映させながら、事前影響評価というふうなものを具体策の上にどう生かしていくか。私は、この住民という問題が環境アセスメントにおいて、やはり中心の一つのあり方だろうと思うのですね。  ところで、先ごろ通産省からは陳情対策という指針が出たようであります。住民運動ではいろいろなやり方がありますけれども、陳情、請願というのは一般に行われるあり方でありまして、関係の省や庁に対して陳情する。はるばる遠くから交通費も自分持ちで、一日、自分の仕事もおいて東京まで出かけてくる住民の方々の陳情や請願というのは、このところ、やはり深刻であればあるほど、より切実な思いで来られるわけであります。こういう方々に対して、通産省の方は陳情対策というものをちゃんと立てて、一定の人数以上は会わない、会うのにも、はっきり許可をもらった上でなければ会ってはならない、どこの部屋でしか会ってはならないとか、いろいろ具体的にきめ細かな、住民の意見というものを最大限に尊重しながら、いかにこれをくみ上げようかという努力ではなくして、むしろ、いかにこれを押さえ込もうか、ボイコットしようかという面の方が強いような陳情対策指針として出されているようであります。こういう姿勢で臨んでいらっしゃる省を相手にして、幾ら、いろいろ環境アセスメントにおいて住民の参加というものを尊重していかなければならないということを問題にしたって、足並みがそろわないのは当然だと思うのです。こういうことになってくると、環境庁というのがよっぽど毅然とした態度で、このことに臨んでいただかないと、恐らくは、前回、長官は次の通常国会には必ず出したいというふうな御所信も表明されておりますけれども、それ自身も大変あやふやになってくる。また、たとえ出されたとしても、通産省や運輸省や建設省などの、この問題に対しての意見や対策や考え方に妥協した形でしか出ないだろうと私は思います。長官、その点は環境庁としては大丈夫ですか。
  185. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま私といたしましては、次の通常国会に何とかして間に合わせたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 時期は結構ですが、いま、その時期は承りましたけれども、いままでどおりの行き方だったら、それは次の通常国会に出るか出ないかということも一つはおぼつかない。同時に、出る場合に、いま申し上げたような姿勢が関係他省の中にあるわけですから、こういう省と一緒になって、いまの詰めをずっとやっていらっしゃるわけでしょう。そうすると、そういう中でも、住民参加ということに対して環境庁がお考えになっていらっしゃる、これを最大限ひとつ環境アセスメントの中では重要な部分として考えていかなければならないという姿勢は、どこまでも貫き通していかれますねということを、私は確認しているわけです。
  187. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 当然アセスメントの中には住民の御意思を尊重していくかっこうを取り上げたい、こう思いますが、ただ、さっき先生の御指摘の中で抜けておることがあるのですね。というのは、一つの問題で正反対の陳情が地域住民の方から出てくるのですよ。二つの住民運動、これはもう先生御承知のように、しばしばありまして珍しいことじゃない。そういうふうな問題を含めますと、先生御指摘のようなかっこうでアセスメントを盛り上げたいと思いますが、そういう点が先ほど局長が言ったように技術的な問題もあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますが、具体的な例を引くと、そういう形も一つはあるわけでございますので、この辺は御理解いただきたいと思います。
  188. 土井たか子

    ○土井委員 これはしかし、住民運動といっても二つの形態があるとおっしゃるがいろいろな住民運動の中で、環境行政は一体どういう立場に立って住民運動を尊重していくかということは、おのずとはっきりしておりましょう。やはりどこまでいっても環境保全ですよ。そういう意味で、住民の方々が自分たちの生活保全のために、いまの環境に対して、こう変わることに、こういう不安があるという具体的な運動が展開されるわけですから、それはいろいろな住民運動が、賛成もあれば反対を言うてくる住民運動もある。だから、いずれをとるかということに対しては、一方をとって一方をとらないというわけにはいかないというふうな、その問題じゃなかろうと私は思うのです。どこまでも環境保全という立場で環境行政が行われるということになると、住民運動に対しての対応の仕方も、おのずと明らかではないでしょうか。このことを私は基本に置いて、いま申し上げているわけですから、ひとつ、その点は確認していただけますね。
  189. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま具体的な例で申し上げたのは御指摘のとおりなんです。もちろん住民の御意見を伺う場合に、基本的に申し上げたように環境庁というのは人の健康を守り、自然環境を保護する、これが第一の任務ですから、当然その任務の上に立ってやりますが、技術的にやりますと、住民運動というかっこうが両方から来るという場合には、やはり困難というか困る場合があり得るということを申し上げたいわけです。
  190. 土井たか子

    ○土井委員 まあ、それは心情的に困るとか、そのときの環境庁長官とされて、いろいろ感情をお持ちになるということは別問題でありまして、環境行政としての筋を私は申し上げているわけですから、その点はひとつ恣意によって曲げないということだけは、はっきりしておいていただかなければならないと思います。  まあ、そういうことをるる申し上げていても同じことの繰り返しになると思いますから、私は再度、内閣調査室に今後こういう種類の調査をおやりになるかならないかを一言お伺いをいたしまして、次に移りたいと思うのです。
  191. 志垣民郎

    ○志垣説明員 現在のところ、このような調査を再びやるという計画はございませんです。
  192. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどの、早急に検討するとおっしゃった資料は、ひとつ内閣調査室の方でお願いしますね。  それでは、次の問題は、大阪国際空港の周辺対策の問題です。  周辺対策の問題は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これは言うまでもなく四十九年に一部改正がされまして周辺整備機構がここでできて、それの事業担当は運輸省の委託を受けて各府県でされるというかっこうに現になっていっているわけですが、最近、この大阪空港周辺でこの聖業が進むにつれて一つの問題が出てまいっております。これは、きょう御出席の梶原飛行場部長もよく御承知でいらっしゃるはずだと私は思いますが、移転補償事業が、だんだん、あっちこっちで進むにつれまして、町が一部ゴーストタウンのようになっていっているという現象です。それは移転後の跡地がフェンスで覆われただけで、その囲まれた中に何の手当ても講じられないために、いろいろ雑草が生える。セイタカアワダチソウがたくさん生えて、このフェンスの割れ目から入ってきた野犬があたりで出没するというかっこうになっておりますし、また廃屋になってしまっている中にも、いろいろなネコや野犬やイタチのたぐいまでがすんで、あたりの、いま住んでいらっしゃる方々が、これ自身、悩みの種だというふうなことに現状としてはなっていっているわけです。特に、ここでいろいろな御商売をなすっていらっしゃる方々は、客足がさっぱり、これでとだえてしまっている。生業補償ということが何らかの形でできないものだろうかという悩みも、これは訴えられているわけですね。要は、こういうのは強制移転じゃありませんで任意移転ですから、どこまでいっても。したがいまして任意に移転したいとおっしゃる方々から順番に移転に対しての補償や代替地に対してのあっせんをするというかっこうが、いままで進んできたことの結果、一つは、こういうことになっているということと同時に、移転をされてしまった後処理が、全く何も手がつけられていないということのままで、こういうことになっているというかっこうだろうと思うのですね。このままでいいことじゃないと思うのです。  これに対しては、いろいろな意見がいま現に出てまいっておりますけれども、申し出さえあれば無差別に移転補償をするというやり方、これは一つ問題じゃないか。  二つ目には、やはり空港に接近した地域への重点的な補償ということを、補償の上では考えていって当然ではないかという問題。  それから、さらには三つ目には、国の方としては移転先に対して集団移転が実現され得るような、いろいろな準備や具体的な計画というものを進めていって当然ではないかという問題。  四つ目には、移転をしてしまった跡地利用に対して具体的な計画をつくって、やっていって当然ではないかという問題。  ほかにもあるかと思いますけれども以上、大体集約四点くらいの問題が、いま直ちに指摘できょうかと思うのです。こういうことに対して、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  193. 梶原清

    ○梶原説明員 大阪国際空港の周辺につきまして、ことしの九月末までの実績で申しますと、百九十六億五千万円を投じまして移転補償を進めてまいったわけでございます。御指摘のとおり航空機騒音防止法に基づきます移転補償と申しますのは、強制収用ではなく、いわゆる任意買い取り制度でございますために、経過的に集落がゴーストタウン化する、住環境が悪くなるという事態を生じておることは、やむを得ないところでございます。  私どもといたしましては、先生御指摘のように、申請の順序に処理をせよという御要望もございまして、これを尊重してまいらなければならないと思いますが、一方におきまして、移転補償を推進しますために、くし抜け状態になって、ゴーストタウン化に伴う、いろいろの問題が生じておりますことにかんがみまして、私どもとしましては関係地方公共団体とよく協議をし、地域社会の方々の御意向も尊重しながら、空港に近接した地区に力を集中し、かつ、面的に移転補償の事業を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、移転される方々の代替地につきましても、適切な代替地を確保し、これを譲渡できますように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  移転跡地につきましては、よく整地をし、美観を損なわないようなフェンスを張っておるわけでございますが、あの辺はセイタカアワダチソウがすぐ伸びるような状態でございますので、防犯上、衛生上の見地から極力雑草駆除等を進めておるわけでございますが、今後とも努力をいたしたい、かように考えております。また、暫定的な移転跡地の利用につきましても、関係地方公共団体とよく協議をいたしまして、その適切な使用ということに努力をいたしたいと思っております。また、移転跡地が面的に確保できました場合、これを全体的な整備事業の中へ取り込みまして、十分な適切な措置がとれますように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  194. 土井たか子

    ○土井委員 これは、この空港に最も近接をした地域への重点的補償というものを考えてもらいたいとは一応、原則的に言えますけれども、だからといって、いまお住まいの方々に対して強制立ち退きを命じたり強制的に移転を促すというふうなことは、これはできないわけですよ。あくまで任意で、この問題に臨んでいただけるような措置を講じていくというのが、どうしても基本になるわけですよ。したがって、やはり面的にやりたいとおっしゃることに対して、もう一つそこのところは私は確認しておかないと、面的にやっていきたい、あなたのところ数軒が残っているだけだ、数軒が残っていらっしゃるために、われわれとしては措置を講じていくことに対して、そごを生じておるというふうなことだけは、これは面としてお取り組みになるときに態度としてお持ちにならないように、はっきり、この点は確認をしておきたいと思います。
  195. 梶原清

    ○梶原説明員 制度といたしましても任意買い取り制度でございますが、実際お住まいの方々のお気持ちからしますと追い出し策をとるというようなことは、ゆめゆめ私ども考えておりません。移転補償事業の進展に伴いまして関係地方公共団体とよく協議をし、また、そこにお住まいの方々の御意向を十分に尊重をして適切な措置をとりたい、かように考えておるわけでございます。追い出し策といいますような、そういう考え方は全くございません。
  196. 土井たか子

    ○土井委員 これは厳密に考えていくと、いまの行政のあり方からしたら法律違反になるかもしれないと思われるのは、いまの公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の九条の二を見ますと、そこには「特定飛行場の設置者は、前項の土地以外の第三種区域に所在する土地についても、できる限り、緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう適当な措置をとるものとする。」とちゃんと書いてあるのです。現に「適当な措置」というふうには地域住民の方々は考えていらっしゃらない。どこかに移転をする方々も、借金を抱えて移転なさるという苦しい生活であるならば、そこに現にとどまっていらっしゃる方々は、あたりがもう荒廃していく、ゴーストタウン化していく中で、生業にも十分な保障がないまま大変、不安な気持ちで生活をし続けなければならないという、どっちにいっても救われないような状態が、いま現に展開されつつあるわけですね。だから、そういう点からすると、いまの問題は非常に深刻であり、かつ切実でございますから、それなりに関係自治体とも相談の上で、いろいろやっていきたいとおっしゃいますけれども、いままでどおりじゃ絶対だめだということだけは、はっきり申し上げたいと思うのです。ひとつ、こういう問題に対しては、いままでの行き方というものが十分でなかったということを猛省の上、やはり周辺整備に対して、これは公害対策として十分に取り組んでいただかないと、運輸行政の今後のあり方についても、地域住民の方々からすると、ある先入観を持って考えざるを得ないというかっこうになりますよ。このことだけは、はっきり申し上げておきます。  ところで、強制的に立ち退きということを進めるという考えは毛頭ないというお話でございましたけれども、ここに私、一つ持ってまいりましたのは、九月の十二日に、積水という会社とハイムという両方これには関係をしていらっしゃるわけでありますが、特にこの積水化学工業株式会社の中のハイムというところが無料でバス見学を予定しているという文書、こういうふうな文書を作成されまして三千枚を、各個別に戸別訪問をされて持ち込まれたようであります、周辺の方々のところに。戸別に持ち込まれた中身を見ますと「あなたのお住まいは、空港周辺整備事業による移転補償対象地域に入っています」と、こうなりまして、この移転補償の解説が、その後にずっと載っかっていて、手続その他詳細についてのお問い合わせは大阪国際空港周辺整備機構に問い合わせをする。それは大阪府下、兵庫県下、両方ちゃんと並列して書いてありますし、豊中市や伊丹市や川西市の担当課に問い合わせをしてくださいということが、ちゃんと電話番号まで入っているわけですね。そして、その他の問い合わせや相談については自分のところの業務部の相談室にというかっこうで、住まいその他あらゆる相談については、このハイムにしてくださいというかっこうになっているわけであります。  これは、まるで周辺整備事業に対しては、この会社と協力を結びながら、どうか、その移転のときには積水やハイムの用立てる家屋をどうぞというかっこうに読まれても仕方がないような文面になっているのです。このことについては、後に住民の方々から申し入れがございまして、さらに抗議がなされた結果、自治体や国際空港周辺激甚地域の人たちの意見を受けて、この周辺整備機構の方々に対して無断で名称と電話番号を記載したことに対してのおわびの文章が、このように出ているわけでありますけれども、こういうふうな問題がやはり出てくるというのは、いま国の方の運輸行政の中で、周辺整備の問題に対してのやり方が、具体的に住民の方々の意思にこたえたものでないというところから出てきている問題の一例だろうと思うのですよ。このことに対しては、飛行場部長はもうすでに御存じでいらしたでしょうね。
  197. 梶原清

    ○梶原説明員 大阪国際空港周辺につきまして先生御指摘のような事跡がございましたことは、十分承知をいたしておるところでございます。私ども、移転補償は先ほど述べましたような考え方で進めておるわけでございますし、代替地の造成事業につきましても、私どもの周辺整備機構がみずから実施をしておるところでございます。  先般、御指摘のような民間の建設業者が機構に無断で、しかも機構の名称なり電話番号入りのチラシを配りまして、あたかも機構と業務上の何らかの関係があるような誤解を与える、また、先生御指摘のような住民の方々の追い出しをしているような感じを受けるチラシ等をいたしましたことは、まことに遺憾であると考えておるわけでございます。  私どもといたしましては、関係地方公共団体等とよく連絡をとりまして、今後このような誤解を生ずることのないように配意をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  198. 土井たか子

    ○土井委員 この文面の中には、いまの御答弁にも関係するわけでありますが、このバス見学会の催しというのは「備えつけ現場から入居のお宅まで御家族おそろいでごゆっくりお確かめください」となっていて、その場合には「昼食、お飲み物、お菓子、おみやげ、御用意いたしております」という、御丁寧にそういうアルファつきの宣伝文なんであります。これ自身私は大変問題だろうと思うのでありますが、それとは別に、またこういうことが書いてあります。「このバス見学会とは別に、空港整備事業の代替分譲地をハイム社で御案内いたします。お気軽にお申し込みください」こういう文面が、この宣伝文の中にあるのですね。これを見ますと、あたかも運輸省の方で用意をされている空港整備事業の代替分譲地を、ハイムという特定の企業が自分のところのバスに乗っけて、どうぞ見てください、運輸省の方の事業の方で用意をされている代替地ですよと見せて歩いているようなかっこうに読み取れるのです。そうすると、まるでこれは周辺整備機構の事業の下請を、この特定の会社がやっていると読めなくはない。こういうふうな連絡なり委託なりはされておりますか。
  199. 梶原清

    ○梶原説明員 御指摘民間建設業者につきましては、全く委託とか依頼とかはいたしていないところでございまして、その証拠には、その会社が新聞紙上あるいはチラシをもちまして謝罪なり、おわびなりをいたしておるところでございます。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、そのおわびをして、この問題は一件落着というようなかっこうになっておりますから、いままでのところは運輸省なり機構の事業の方には関係がない、勝手に、この企業がやったことだというふうに客観的には見えます。ところが、問題はこれからですよ。  先ほど飛行場部長がお答えになったところからいたしますと、今後はあくまで強制収用ではなくて任意買い取りの制度に基づいて、いままでのような町が虫食い状態になったということに対しては、このままじゃいけないので、やはり空港の隣接地域から力をそこに集中して、面の形で移転補償というのを進めていきたい、こういう御答弁だったわけですね。面の形ということになってまいりますと、そこで先ほどの私が気にかかることがまた出てくるわけです。あくまで任意なんですよ。そうすると、まだここにとどまる方も出てくるのです。ところが、とどまる方の数がだんだん少なくなればなるほど、あたかも強制立ち退きを促進されるような風潮というのは出てこないとは限らない。必ず出てくるだろうと思いますよ。そうすると、こういうふうな露骨な間違った、認識不足の宣伝ではなくとも、いわゆる業者が、いろいろな方法をとって早く移転をした方が得ですよとか、早く移転をするのに対して私の方は、こういうふうな優遇措置を講じたいと思いますというふうな競争が、これに対して、はびこってきて、あたかも強制立ち退きを促進するような風潮を呈しないとは限らないです。こういう問題に対しての防止策はどういうふうにお考えになりますか。
  201. 梶原清

    ○梶原説明員 大阪国際空港周辺につきまして移転補償の対象となっております区域は、ごく限られた第二種地域、第三種地域でございます。関係の地方公共団体と密接に接触をいたしますとともに、その地域にお住まいの方々とも私ども日夜、接触をいたしておりますので、こういうような業者の介入がございませんように、各地域にお住まいの方々の御意向を十分お聞きをし、また関係地方公共団体の意向にも沿った移転補償なり等を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 最後に、公正取引委員会の方からも御出席をいただいておりますから、ひとつお聞かせをいただいて、私は終わりにしたいと思うのですが、いま飛行場部長の御答弁からいたしますと、大変意欲的に、こういう問題にも住民の方々の意見を最大限に尊重するという態度での御答弁でございましたが、住民の方々の御意見に増して企業者側の企業意欲というのは物すごいものです。本当に周辺整備機構のあり方なり、あの周辺で騒音に悩んで、とうとう訴訟を起こして、そしていま訴訟は進行中で、しかも国の方が上告をして、それに対して住民の方々も裁判を係争していかなければならないというかっこうにまで追い込まれつつ日夜、騒音に悩んでおられるという事情は、聞いてみると、さっぱり御存じないのです。そういう事情を御存じないままで、何とか自分たちのつくっている家屋が売れさえすればよいというふうな、こういう気分というのが、このチラシの内容を見ますと非常にうかがえるわけですね。何だか、そういう点からしますと配慮が乏しいということだけでなくて、何か売らんかな主義の企業ペースで、どんどん事を進めるというふうな気配がありありと見えてなりません。こういう問題に対して公正取引委員会の特に、きょう御出席いただきましたのは景品表示監視の役割りを担っていらっしゃる課長さんでございますから、いざ事が起こってしまってから、こういうのは適正ですか、適切ですか、いかがですかと聞いてきてから、これについてはどうですねとおっしゃるのは、もう事が済んでしまって、それに対して撤回するということしかないと思うので、こういうふうなことを今後、起こさせないことのためにも、やはり監視をやっていただくということが重要になってくるだろうと思うのですが、ひとつ、そういうふうな意味も込めて御所信を承っておきたいと思いますが、いかがですか。
  203. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 御質問の件でございますけれども、私ども公正取引委員会の方に、現在までのところ申告があったとか、相談があったとか、そういうことがなかったものでございますから承知しておりませんでしたが、きょうの御質問の趣旨はよくわかりましたので、今後は、問題あると思われます場合には、よく実体を調べまして薄処したいと考えます。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 これで終わります。ありがとうございました。
  205. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 次に、阿部未喜男君。     〔葉梨委員長代理退席、土井委員長代理着席〕
  206. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まず長官に、これは初めてですから、ちょっとお伺いしたいのですが、環境庁設置法には、いろいろな目的が述べられておりますが、特に長官は、この環境庁設置法の中で環境庁の果たす役割りの重要なものについて、どういう所信を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  207. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 私、最初、就任のあいさつの中に述べておりますが、環境庁本来の使命は、公害の排除と自然環境保全、さらに積極的には望ましい自然環境をつくり上げるというところまで、ひとつ積極的にやってまいりたい、こういうところでございます。
  208. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もちろん、この委員会の構成というのは何も長官に責任があるわけではございません。しかし、そういう重要な役割りを果す環境保全のための委員会がこれです。見てください。あなたも自民党の国会議員として、これで国会が本当に国民の公害の対策なり環境保全に真剣に取り組んでおるとお思いになりますか。長官、このざまを見て、どうお考えですか。
  209. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 どうも私から直接お答えするのはどうかと思いますが、私も自由民主党の一員ですから大変、残念に存じます。
  210. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは関係省庁の方もひとつ努力をしてもらって、国民の期待に沿うような委員会にしてもらわなければなりませんし、また、われわれ自身も議員として、そういう努力を重ねなければならないと思います。  そこで、まずお伺いしたいのですけれども、新産都計画、これができまして、この新産都計画に基づく開発行為が行われて、これが四十年代の日本経済の異常な高度成長の引き金といいますか、推進的な役割りを果たしてきた。その結果、今日、非常に多くのひずみが生まれて、たとえば公害のために、とうとい人の命が落とされるとか、あるいは大気が汚染をされ、海水が汚濁をされ、環境が破壊をされる、こういう大変なひずみを生んで、必ずしも新産都計画というものが日本国民の生活にとって好ましいものでなかったのではないか、そういう反省が非常に重要な時期ではないかと思うのですが、長官、この点はどうお考えですか。
  211. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、全面的にさようなことはありませんというほどのことはありませんので、そういう意味では御説はよくわかります。
  212. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと、よくわからないのですが、全面的にそうではないということではない、どういうことですか。私の言ったとおりだということですか。そこはどうですか。
  213. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 おっしゃったとおりとは言いかねるのですが、おっしゃったことを全面的に否定するということは私としては言えない、こういうことでございます。
  214. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、この新産都計画に基づくいろいろな法律による開発行為が公害を起こしたとか、自然環境を破壊したとか、国民生活に必ずしも好ましくない結果を与えたのではないかという点について、すべてがそうであると思わぬというふうに私は聞いたのですが、そうでない点を、ちょっと言ってみてください。
  215. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま、おっしゃることを全部、私が肯定するというところではございません、こういうことでございます。
  216. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは水かけ論になるかもわかりませんが、しかし少なくとも私が申し上げたようなひずみが生まれてきておるということについては否定しない、こう私は受け取ります。  そこで具体的に少し内容に入っていきたいのですが、したがって今後、この新産部計画の特に工特法等の運用については、まず、これからは環境保全あるいは公害に対する対策、そういうものが優先的に考えられなければならない時期に来ておると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  217. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 いままでの新産工特計画が進行してまいりまして、それはそれなりにいろいろなメリットとして、人口とか産業の大都市への集中とか、あるいは地域格差の拡大の緩和というようなメリットもあったわけでございますが、一方におきまして、やはり先生おっしゃいますように公害とか、あるいは自然環境保全というものに対して相当の問題も生じている地区もあるわけでございまして、そういうことでございますので、この基本計画の改定ということに際しましては、環境庁といたしましても生活環境施設の整備ということのための事業重点を置いて行う必要があるというふうに考えておりますし、また、その計画が出されてまいりました際には、これは国土庁を通じて私どもの方にも御相談があると思いますので、そういう際に環境保全上の十分な措置をできるようなことについて検討を慎重にやっていきたいと考えております。
  218. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで私が環境庁の長官に一番大きい仕事は何でしょうかと聞いたら、長官は公害の対策というのを、まずおっしゃいました。あなたの方のサイドから物を見るときに、工業再配置でメリットがあったとか、そういうことではなくて、あなたの方の仕事から言うならば、この新産都計画というものが特に公害なり環境関係についてどうであったかということを、やはり見てもらわなければ、あなたの方が工業再配置のメリットがあったというところまで考えてもらうと、何も環境庁をつくる意味がないわけで、それは通産省なり国土庁にやってもらえばいいことになるわけです。だから私は冒頭、長官にお伺いしたのは、どのサイドから、あなた方が物をながめておるかということを知りたかったから、お伺いをしたわけです。  その前の部分をのけて後の部分でいきますが、ところで、この基本計画の改定が今日、具体的な日程に上って、昭和五十五年まで特別措置の延長が認められることになったようですが、これは国土庁お見えになっておれば、この基本計画の改定の地域の数、それから目的、意義、内容行政手続、大体のスケジュール、これだけ簡単でいいですから述べていただけませんか。
  219. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今回、新産都市それから工業整備特別地域につきまして計画改定をいたすわけでございますが、それは新産都市が十五地域それから工特地域六地域の二十一地域でございます。それらについて、財特法も延びたことでもございます。五十一年度以降の計画もございませんので、もう一回、見直しをして新しい改定計画をつくろうということで作業をしておるところでございます。  それで、ただいま申し上げましたように、五十一年度からの問題になってまいりますので、八月末までには実は整理をしたいということで、いろいろ検討しておりましたが、地域によっていろいろな事情もございまして、まだ改定案というようなものができていないところもあるわけでございまして、できるだけ、そういうものが早くできてまいりましたら、われわれといたしましては地方産業開発審議会の意見も聞くことになりますが、意見を聞いた上で総理承認というような手続に入っていくという段取りになろうかと思います。
  220. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは何といいますか、総合開発いわゆる上位計画との関連は、どういうことにとったらいいですかね。
  221. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今回の改定に当たりまして、私どもとしても、いろいろな観点から関係地域の地方公共団体等に通知をしておるわけでございますが、計画は全般的に国のいろいろな上位計画と整合性を図って、とられなければならないわけでございます。ただいま申し上げました指示をしました中にも、こういった新産都市、工特地域の長期的なあり方については、全国総合開発計画とか、あるいはそのほかの上位計画等がございますが、その計画等の展望を見きわめながら検討していくようにということは指示をしてあるわけでございます。
  222. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうなりますと、たとえば、これは三全総といいますか、そういう三全総なら三全総という計画ができ上がってから、後の計画は続いて行われる筋のもので、三全総なりいわゆる上位計画が明確に打ち出されていない時期にやるというのは、本末転倒といいますか、ちょっと錯誤があるのではないかという気がしますが、どうなんですか。
  223. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 全国総合開発計画というのは、まさに全国計画でございますから、そこらと十分整合性のとれたものでなければならないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように一応、五十年度で切れる特例法が五十一年度から延びた。そうなってまいりますと、具体的に、その財政上の特例等の適用という問題が出てまいります。そうなりますと五十一年度から何らか計画があって、それに沿った事業だということがはっきりしませんと、そういった財政措置の後づけということもできないわけでございます。そういったことで、まあ三全総等との絡みがあるわけでございますけれども、早く計画を改定しなければならないという時期的なずれもあったわけでございますが、私どもとしては、たまたま、いまその三全総の計画が検討されておるさなかでございまして、そういったものについては過去のいろいろな検討というものも行っておるわけでございます。要するに総点検を行って、いろいろな問題点を踏まえて、その反省に立って新しい計画をつくるということでございまして、そういったことは、それぞれの地域においても十分検討されておることでございます。私ども、そういうことを踏まえながら、今度の計画は決して将来できるものと余り乖離したものでないように努力はしていきたいと思っておるわけでございます。
  224. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで環境庁、先ほど、ちょっとお伺いしましたが、環境庁設置法の第四条の二ですか「関係行政機関の環境保全に関する事務の総合調整を行うこと」は、これは環境庁の所掌事務になっておるようでございます。そして環境庁のお考えは先ほど承ったように、今後、新産なり工特法の運用については環境保全が最優先すべきであるという点については、私どもの考えと同じなようでございます。したがって、いま国土庁の方で計画をされておるこの基本計画の改定については、どういう御相談を受け、どういう調整が行われておるのか、そこのところをお聞かせ願いたいのです。
  225. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 基本計画の改定に際しましては、先ほど申しましたように、私どもの方から国土庁の方に申し入れをいたしまして、生活環境施設の整備ということに重点を置いていただきたいということとか、それから実際の計画の改定に当たりましては環境保全上必要な措置をとるようにしてもらいたいということを申し入れておる次第でございます。
  226. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁というのは申し入れ庁でございますか。別に申し入れ庁というわけではないのでしょう。申し入れをすれば責任が果たせるというようなところなら、環境庁はあっても全く意味がないので、こっちには調整を図ると書いてありますね、申し入れをするとは設置法には書いてないようですよ。あなたは申し入れをすれば、それで事が足りた、それで環境庁の任務は終わったとお考えですか、どうですか。
  227. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 これは申し入れしっ放しという意味ではございませんので、国土庁と十分協議をいたしまして、環境保全上の問題にも十分留意して進めていただくように国土庁の方とお話をいたして、そういう方向で進んでいくように理解をしていただいているわけでございます。
  228. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、今度の基本計画の改定に当たって、国土庁の方と具体的に、申し入れではなくて御相談をなさったそうですか、その相談の内容については、たとえば、この改定計画をつくるに当たっては、まず環境の問題について十分な調査が行われることが先であるとか、そういう具体的なお話し合いはどうなっているのですか。
  229. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 基本的には先ほどのような考え方でいくわけでございますが、個々の具体的な改定計画につきましては、それぞれ、また協議のあった段階内容をよく検討いたしまして、私どもの必要と考えるような資料の求めに対して、さらに提出をするというふうなことをやっていただくことになっております。
  230. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、その環境庁の基本的な姿勢をお伺いしておるわけですが、先ほど原則的に環境保全を最優先に考えなければならないというお考えが環境庁の方から述べられたわけですね。したがって、基本計画の改定に当たっては、何よりも環境保全が最優先するという立場から、少なくとも基本計画の改定の一番先に上がってこなければならないのは環境保金の問題であると私は考えるわけですけれども、その点については、先ほど土井委員からもお話があったように、いまやアセスメントの法案も出そうかというふうな、環境については非常に重要な時期になっておるわけですから、したがって、いま基本計画の改定が行われるとするならば、その改定が環境保全影響があるかないかということが、一番先に国がやらなければならない仕事であるはずです。したがって、個々のケースでどうこうというのではなく、基本的な姿勢として、基本計画の改定に当たっては、まず環境保全からだという姿勢が打ち出されなければならないと思うのです。きわめて消極的な答弁しか聞けませんが、もう少し具体的にお話し願えませんか。
  231. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正が前国会で成立したわけでございますが、その際に、環境庁といたしましても国土庁にお話を申し上げまして、新産業都市建設促進法の十一条の規定にございます建設基本計画の内容を決める場合には、その計画の実施に係る地域における環境保全上必要な措置を講ずることとしていただきたいということで、環境庁といたしましては、基本的な考え方として環境保全を最重要視して取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  232. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その基本的な考えに立って具体的には、たとえば基本計画の改定が行われるに当たっては、まず市町村なり関係する地域住民の意見、そういうものが先に徴せられなければならない。そういう具体的な施策と申しましょうか措置と申しましょうか、そういうものは何にも話し合ってないのですか。
  233. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 大分の八号地問題につきましては、先生は十分御承知のことで、よけいなことかもしれませんけれども、これの中断に至りました経緯もあるわけでございまして、そういう経緯の中に、やはり大分県知事も地元の十分なコンセンサスを得ることということを一つの重要な課題としておるわけでございます。また、そのほかにも、いろいろございますようですが、これは当然そういう順序が踏まれた上で、県の方でも計画を立てて中央の政府の方へ持ってきていただくことになると理解をしております。
  234. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 八号地の問題を先に言っちゃいかぬよ、八号地は後から私が聞くんだから。いま基本的な問題を聞いておるわけだから。それで、さっきから繰り返して申しておりますが、国土庁の方はどうなんですか、環境庁の方の考えはわかったんですが。たとえば、おたくがいま求めておる基本計画の改定を出しなさいということになっておりますね。これはできれば八月ごろ、だんだん、ずれておくれてきておるようですけれども、そういう計画を出せという段階で、いま環境庁からお話があったような、地域住民の意向はどうだろうか、環境に与える影響はどうだろうか、そういうものをまず調査をして、その改定計画の冒頭に、それは入らなければならない問題である、そういう指導はなさっていないのですか。環境庁との話し合いのいきさつ、おたくの具体的な指導、その内容をちょっと聞かしてください。
  235. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今度の計画改定に当たりましては、先ほども申し上げましたように、過去の点検もいたしまして、その反省の上に立ってやっていこう、そういうことで私ども評価をいたしましても、先ほどからお話がございましたように、工業出荷等の目標自体がまだ不足しておる地域のあることも当然ながら、一方、生活関連施設等の立ちおくれといったようなものもございまして、環境問題も起こっております。そういったことから、先ほど申しました計画の改定について、地方に指示といいますか通知を出しました際は、過去十年余りの過程の経過を見た上で、生活関連施設の整備、環境保全、安全の確保等に十分配慮をすべきであるということを特に指示いたしておりまして、そして御承知のように計画の中に織り込む項目につきましては、特に環境保全という項目もないわけでございますが、今回の指示の中には環境保全等ということで、各地区において、これまで講じてきた環境保全対策及び今後、講ずる必要のある環境保全対策について、地区の実情に即して記述をしてくれ、また必要に応じて防災対策、産業廃棄物処理対策等についても盛り込んでもらいたいというようなことも入れまして、できるだけ、そういった問題について、そこらにも重点を置いて、ひとつ改定計画をつくってもらいたいという指示をしておるわけでございます。  改定計画自体は御承知のように県がつくって持ってまいるわけでございまして、県は新産都市建設協議会の意見を聞いて持ってくるわけでございまして、そういった地元の意見を踏まえて持ってくるわけでございますから、いろいろな問題は、それぞれの実態に応じて整理して持ってこられるわけでございまして、その持ってこられたものを逐次、私ども検討しておるわけでございますけれども、その点については環境庁と、もちろん環境庁以外にも関連のところがあるわけでございます。環境庁その他関係の省庁と十分協議をいたしまして最終的には承認をするという形になるわけでございますから、いま出てきておるものは、それぞれの問題について事務的には環境庁とも折衝をいたしておりますし、今後出てくる問題についても同様な方法で十分協議を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  236. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 少し具体的になってきますが、先ほど、せっかく言っていただきましたので大分の新産都の基本計画の改定はすでに出されておりますか。
  237. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 大分県の計画は、いま、まだ提出をされておりません。
  238. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 計画についてのヒヤリングとか、そういうものはおやりになりましたか。
  239. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 大分については御承知のように、いわゆる八号地問題等がございまして若干、作業もおくれておるようでございます。そういったこともございまして、ただいま申し上げましたように、まだ県の協議会等の議を経て正式に出されたわけではございませんけれども、おくれておるということもあって、具体的ないろいろな問題については事務的に相談に見えておるようでございます。私はまだ公式には聞いておりませんが、そういった連絡といいますか、実際上の相談をしながら改定作業を向こうでは進めておられるという段階でございます。
  240. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実質的でもいいのですが、そういう相談に見える以上は、いろいろな計画についての資料を持ってお見えになっておると思うのです。大分の方から御相談にお見えになったときに国土庁の方に持っておいでになった資料をいただきたいのですが、差し支えありませんか。
  241. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、県としては実際に協議会にかける案がまだ確定してない段階において、県の協議会等にかけるものをつくるために事前に、いろいろと相談にも見えておるわけでございます。したがって、公式に決まっておるような案として持ち込まれておるわけでもございませんので、そういった向こうで固まってないようなものについて、相談に来られたものを私どもが見たからといって、そのものが大分の計画でございますといって外に出すわけには、どうもまいらないということを御了承願いたいと思うのでございます。
  242. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから私は、それが固まったものであるとか、これが絶対のものであるとか、そういうことを申し上げておるんではありません。しかし国政を審議する場ですから、その内容が固まったものであろうとなかろうと、一つのたたき台として討議の爼上に上らせるような材料があるならば、それを見せてもらわなけれぱ、われわれは議論することができないじゃありませんか。だから私は、その内容がこうだったからこうだと責任の追及をしようというのではないのですよ。そういう材料になるようなものがあるならば、われわれの審議の素材として見せていただけませんか、こう申し上げておるのですが、何か隠さなければならないような事情があるわけですか。
  243. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 隠さなければならない秘密といったようなものではございませんで、大分県自身としても、まだ固まった案ではないという段階で、いろいろ相談をし意見を調整しながら最終的に案をつくって、それも案としての形で協議会等にかけられる、そういった形で進んでおられますし、それ自体まだ県議会を初めとする関係方面に地元においても出された形跡もないわけでございます。したがって、そういった議も経ないままに、相談の段階のものを私どもの立場で出すということは、やはりちょっと、どうであろうかと思うのでございまして、大分として地元でいろいろ検討され、その過程において案が出てくるだろうと思いますが、そういうものを踏まえて、大体ここらがわれわれの案だというものを出されてくれば、私どもとしても、こういうものだというふうに言えるわけでございますけれども、どう変わるかわからない段階において、たまたま下相談に見えたようなものを、麗々しくも私の方で大分の案だという形で、途中であっても出すということは、やはり問題があるだろうと私の方は考えております。
  244. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、どうもこの国会と行政との関係について疑問を持つのですけれども、でき上がったものでなければ見せられない、固まったものでなければ見せられない。それじゃわれわれが一体ここで何を審議をすればいいのか。いろいろな考え方について材料を提供していただいて、そのいろいろな考え方について議論をするからこそ、ここで議論をする意味があるのであって、でき上がってしまったものを、こういうものでございますと見せられたって、しょうがないのであって、その前の段階こそ一番重要な、この国会の場で必要なものだと思いますけれども、最近、行政当局は、そういうものについて極力秘密にして知らせない。知らせば、いろいろ何か問題が起こるとか、文句をつけられるとか、そういうことを恐れて国会の場に資料を提供することを非常にきらっておるようです。先ほど、土井委員も質問されていましたが、そういう傾向が非常に強いようですけれども、私どもの感覚からすれば、決して、そういう案があったから、こういう考え方で進めておるから、それがいいとか悪いとか直ちに言う気持ちはありません。そういうものを見て、これはいい、これは悪いということを検討するのが、この議会の場でなければならない、そういうふうな考え方で、行政サイドからすれば、まとまっていないものをどうこうという言い分もあるかもわかりませんが、現に、おたくには大分の県の方から、こういうふうなこと、こういうふうなことというふうに、まとまっていないものにもせよ素材になるものは提供されて話が進められておるはずなんでしょう。それを一切、県が発表せぬうちは見せられませんとか、県議会にかからぬうちは見せられませんということになってきますと、私どもはいつも県議会が決めてから後しか資料を見せてもらえないという、そういうことになるので、憲法にもいささか違反をするおそれがあると思うのですが、どうでしょうかね。国会に出せない理由が私はわからないのです。
  245. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 率直に申し上げまして、段階のものであっても、たとえば私ども自身がいろいろつくったりするものであれば、これは自分のものとして責任を持って、こういう段階でございますということで申し上げやすいだろうと思うのでございます。その意味では、いま、いうなら、こちらに相談に来ておられるということで、地元に対しても、いろいろな機会に今後、出していかれるだろうと思いますが、そこの態度をまだお決めになっていない間に、私どもだけが、たまたま相談に来た過程のものがこういうものだということで出すのは、やはり問題があるのではないか、そういう意味で申し上げておるわけで、むしろかえって、これが自分たちのものならお話がしやすいものであろうと思うのでございます。地元の協議会等も何もまだ経ない中で検討されておる最中のものでございますから、向こうの態度が決まらぬうちに、こっちが勝手に言うのはどうであろうか、そういう気持ちでございます。御了承願いたいと思います。
  246. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は了承したわけではありません。私は率直に言って、やはり、そういう考え方を持っています。どういうものであろうとも、国会でぜひ議員が見せてもらいたいという資料の要求については見せてもらいたい。だから責任をとれというようなことは私は申し上げるつもりはありません。討議の素材として可能な限りのものを、われわれは見たいという希望がありますから、したがって、いま、あなたのおっしゃった県段階で、まだどうこうだからということで、あるものを見せないということについては納得ができませんが、時間の関係もありますから先に進めます。  そこで、環境庁の方にお伺いしますが、いみじくも、あなたがおっしゃったように大分は八号地が基本計画の改定の中に含まれておるのかどうか、これがまず第一点。これは国土庁の方でもどっちでもいいです。  そこで、もし含まれておるとするならば、あの大分の新産都計画で八号地が中断された経緯について、環境庁なり国土庁はどういうふうに理解をされておるのか。この経緯を振り返って、もう一遍、皆さんの考えておられる理解の内容を示してもらいたいのです。
  247. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまのいわゆる八号地の問題でございますが、御承知のように、この新産都市の計画はきわめて大綱的なものが書いてあるわけでございまして、いまの工業用地としての造成地についての記述も、約千二百五十ヘクタールの埋め立てをするといったような表現になっておるわけでございます。そういった基礎には、いろいろな具体的なものを踏まえての考えが当初からあったわけでございましょうけれども、何号地を何ヘクタールというかっこうで具体的に詰めた案として計画に載っておるわけではないわけでございます。  そこで、具体的に進めるに当たっては大分県としては一期計画、二期計画というような形で事業を進めてきておられるようでございますが、その二期計画の中に八号地というものが入っておるというかっこうで進んできておるわけでございます。  そこで今回、改定作業に入る際に、どうするかという問題になるわけでございますが、八号地についてはいろいろと事情があって、御承知のように中断するといったような形にもなっておるわけでございます。そこで県としては、そういうものをどういうふうに扱うかということで、いま議論をし整理をされておるようでございますが、私どものところには、先ほど申し上げましたように公式にまだ参っておりませんから、その計画に八号埋立地が入っておるかどうかということについては、まだ言える段階にはないわけでございますけれども、地元においていろいろ議論されておるのは、八号埋立地を含めて検討されておるというふうに聞いておるわけでございます。
  248. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 八号地の埋め立て問題につきましては、これは経過といたしましては、昭和四十五年の八月十八日に大分港の改定計画を港湾審議会の第四十三回の計画部会で了承されたわけでございますが、その中に八号地二百九十九ヘクタールというものが入っておったわけでございますが、四十八年にこの第二期計画ということについて地元でいろいろと論議がなされまして、その結果、大分県知事の方から、いろいろと状況が、地元の漁協の紛争の深刻化とか、いろいろな問題がありますので、この八号地問題は一応、中断をするというコメントを知事の方で出されまして、現在まで至っておるわけでございます。
  249. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あの中断のときのいきさつは、いまの総理の三木さんが一番詳しいわけです。そのときは私もやはり同じように公害の委員会におりまして、地元からたくさんの方々がお見えになって、環境庁長官のお部屋で陳情に及んだときに、たまたま地元から、そういう連絡があったのですけれども、そのとき環境庁としては、特に環境庁の長官としては、自分が指導したということを明確におっしゃっておったわけです。  したがって、あれは四十八年の五月だったと私は記憶しておりますけれども、四十八年の五月に、これを中断をしたときに、大きい理由が三つあったと思います。一つは、地元の皆さんとのコンセンサスが得られてない。漁協が混乱をしている。それから環境調査がまだ十分でない、いわばアセスメントが十分でない、そういうような大きい理由を挙げて、環境庁からも十分な指導が行われ、大分県知事が中断ということに決定をしたというふうに私は記憶をしておるのでございますが、それは間違いありませんか。
  250. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 そのとおりでございます。
  251. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのときに、環境庁の船後さんが国会における答弁の中で、こういうふうにお答えになっております。「そしてあわせて今後の第二期計画につきましては、環境保全の観点というものを十分反映させまして、環境保全し得る範囲内でこれを練り直していくということが肝要であろうと考え」云々と、こういうふうにお答えになって、二期計画については、まず環境保全がきわめて重要であるということをお述べになっております。しかも、その二期計画の中で、特に中断をした八号地の埋め立ては、とりわけ私はこの環境保全というものが十分に検討されなければならないと思うのですが、先ほど国土庁の方は県から下話を承っておる程度だというお話でございましたけれども、公式、非公式を問わず、地元の皆さん方から環境庁なり国土庁に対して、この問題になった八号地中断の一番中心になった課題についての問題の解決が行われていないうちに基本計画の改定を行うことは過ちではないかという趣旨の陳情をお受けになっていませんか。両方から答えてください。
  252. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 改定作業の途中で、そのような陳情は受けております。
  253. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 私どもも、そういう陳情を承っております。
  254. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 特に公害対策なり環境保全の観点から、環境庁は中断に至った経緯を踏まえ、そういう陳情をお受けになって、どういう措置をおとりになっておるのですか。
  255. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 中断の理由の一つの大きな柱といいますか、十分な環境アセスメントが済まないうちは、この計画を中断するということでございますので、私どもも、この八号地の埋め立てにつきましては、実施をする以前に十分なアセスメントをしない限りは、この問題を進めていくわけにはいきませんよということを、県の環境部長なり知事がおいでになったときに、よく申し上げてございます。
  256. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっき私が申し上げました中断に至った三つの大きな理由、その一つ目は、特に背後地関係の地域の皆さん方とのコンセンサスがないということ、二つ目は、漁協が非常な混乱に陥っておったということ、三つ目は、いま申し上げた環境アセスメントの問題だったと思うのですが、先ほど来、環境庁のお考えを承ったのですけれども、環境庁の仕事は何よりも公害の対策であり、環境保全であるとお考えになって、こういう経過を踏まえて、いま基本計画の改定が行われようとしておるときに、一番先におやりにならなければならない、中央官庁としての、いわゆる調整といいますか、行政指導という観点からも、大分県に対して、まずこの三つの問題を解決して、それから計画に入るべきではないかという指導が行われてしかるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  257. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 新産都市の建設促進法は、一義的には国土庁の所管でございますので、国土庁の方に計画が提出されるわけでございますが、国土庁に提出された場合には環境庁の方にも当然、協議をしていただくことになりますので、その段階におきましては環境保全上必要な措置が十分とられているかどうか、また、とられていなければ、とっていただくように要請をしてまいりたいと考えております。
  258. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官、私は非常に疑問に思うのですけれども、いま申し上げましたように環境庁には、十分対策が講ぜられなければならないという姿勢がおありになるのに、そういうものが解決しないまま計画は進められていく。すでに国土庁には大分県の何人かの県庁のお役人の皆さんが上京をされて打ち合わせをされておる。進むか進まないかわからない計画を先につくって、どんどん県費を使っていくのは、きわめてむだなことではないでしょうか。なぜ重要な三つの問題を先に解決して、それから計画に入らないのか。計画を進めた後で、だめでしたといったって、これはすべてむだになってしまうわけです。そういう矛盾した行政を、環境行政を預かる長官としては、どうお考えになりますか。
  259. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いまの八号地の問題ですね。局長も一部申し上げましたが、私どもとしては実際に具体的にどういう計画だかわからない。現実に協議がありました、そのときに環境保全するために必要な措置が十分とられているかどうか、並びに従来の経緯を十分踏まえての措置であるかどうかということを慎重に検討して決定したい、こういうつもりでおります。
  260. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私がお伺いしたのは、そういうことじゃないのです。それは先ほど答弁があったのです。それは計画ができ上がって自分のところに回ってきたら、合議がきたら調整をしてやりましょう、それまでは向こうで勝手にやりなさいという姿勢でしょう。ところが計画は、ただではできないのです。たくさんの人間を使って計画を進めて、でき上がったら、これはだめでしたとあなたは言うのですか。それは矛盾じゃありませんか、つまらぬことじゃありませんか。なぜ計画をする前に、重要な三つの問題を解決して、それから計画をしませんか。そうすればむだがない。計画はどんどん進めてしまった、そしておたくに書類が回ってきました、そこで、かねてのいきさつを検討して、条件が十分満たされるかどうか検討してみた上で、悪ければキャンセルをします、こう、あなたはおっしゃるわけでしょう。それは全くむだな話じゃありませんか。大変矛盾した話じゃありませんか。すでに問題があるからこそ中断しておるのです。問題があるからこそ中断されたものを、中断された理由が消滅しないまま計画を進めて、出てきたらいいか悪いか私が判断しましょうというのでは環境庁、余りにもよそ任せ過ぎるし、無責任過ぎるのじゃないですか。すでに陳情を受けておるわけですから、それならば大分県に対して、行政指導として、この三つの問題の解決がまず先ですよ、その前に幾ら計画をつくってみたって、むだになるかもわからぬことですから、お金もかかりましょうし、人間も要るでしょう、そんなむだなことをされる前に、どうせ通らなければならない道なのだから、まず、この三つの問題の解決を先におやりなさいというのが、中央官庁として、あるいは調整に当たる環境庁として一番優先しなければならない仕事じゃありませんかと私は言うのです。どうですか。
  261. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 県は当然、前に三つの条件でストップをかけられた経緯は承知しておるはずでありますから、再度この計画を持ち上げるについては、県自体もこれらの点について十分配慮して再計画を立てるものというふうに考えておるわけであります。
  262. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、それはお役人の答弁で、いやしくも政治家の大臣としての答弁とは思えませんよ。それは言い逃れというのです。恐らく県のことだから、前のいきさつを知っておるのだから、そんなことは片づけてから持ってくるだろう。それなら、あなたのところに回ってくる必要はないのです。書類が合議になる必要はないのです。あなた、チェックするとおっしゃったでしょう。チェックするとおっしゃるのは、そうならぬおそれがあるから、あなたはチェックされるわけでしょう。あなたが思っておったとおりに県がしてくるのならば、何も環境庁でチェックする必要はないのですよ。およそ環境庁などは、不要な存在になります。あなたがチェックするということをお考えになっておるのは、必ずしも、そういかぬだろうという前提があるから、そうお考えになっておるわけでしょう。  そこで私が申し上げたいのは、そういっていないからこそ地元の皆さんが大変な経費を使いながら、わざわざ中央官庁に、しかも元締めである環境庁や国土庁に、こういうふうになっておるのです、前の三つの条件は全然解決をされていないのに計画だけが進んでおります。計画ができ上がって押しつけられたのでは、私どもも困るが、環境庁もお困りになるのじゃありませんかということで陳情にお見えになっておるのです。そのことを全然あなた方は頭に入れずに県のやることだから間違いがなかろうと言う。県のやることに間違いがないなら、何も環境庁が公害の対策を中央で立てる必要はないのです。ほとんどの事業は、あなたがおっしゃっているように環境庁実施庁じゃないのですからね。それなら、あなた、そんなものは要らぬのじゃないですか。そういうおそれがあるからこそ、あなた方がおるわけでしょう。あなたも大臣になれたわけでしょう。だから、そういう問題があって中断したものが再燃してくるならば、まず問題のあった点は解決ができたのかということを指導するのが環境庁の役割りではありませんか、こう申し上げておるのです。
  263. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 八号地の埋め立て問題につきましては、先ほど申し上げましたように中断されておりまして、その中断には三つの理由があるということでございますので、知事や生活環境部長がおいでになったときにも、その中断の理由となっている事由が解消しない限りは、この八号地の埋め立て問題は中断を解除することは適当でありません。環境庁も、それについては十分チェックをいたしますということを申し上げてあるわけでございます。  ただ、新産都市の基本計画の改定というものは建設促進法の問題でございますから、これはもう国土庁の所管の問題でございますので、国土庁の方で、どういうふうにお取り扱いになるかということがまず重要な問題でございますが、その際におきましても、やはりそういう経緯もございますから、環境庁の方に協議があった場合には、環境保全上必要な措置を十分とってあるかどうかについて、私どもも十分慎重に検討した上で意見を述べさせていただきますということを申し上げてあるわけでございます。
  264. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは大変りっぱです。その大分県の知事なり関係人たち環境庁にお見えになって、いま局長おっしゃったような御忠告なり注意を喚起したと申しましょうか、いつごろの話でございますか。
  265. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 環境部長がお見えになったのが八月三十日、それから知事がお見えになったのが十月の十四日というふうに記憶しております。
  266. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 十月の十四日といえば二、三日前じゃないですか。そのとき知事に言った。あれは環境衛生部長というのですか、八月の三十日、そのときに注意を喚起した内容を、もう一遍詳しく言ってみてくれませんか。
  267. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 ことしの八月三十日に大分県の環境保健部長と、そのほかの部の方々がお見えになったときに、八号地の埋め立ての問題につきましては、いままでの経過があることはよく承知しておると思うので、そういう中断の原因があるわけですから、その原因がちゃんと取り除かれない限りは、その中断を解除するということは無理な話なんで、その中には環境影響評価をするとか、そのほか、いろいろな問題があるわけでございますので、そういうことを十分考えて、この計画を進めてください、こういうことを申し上げてあるわけでございます。
  268. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは、あなた謙遜することはない。それはりっぱなものですよ。それを私は聞きたかったのです。ところが県の方では、環境庁の方から、そういう一切のサゼスチョンなり、そういうものがなかった、こう言うものですから、あなたが、そうおっしゃっていただいたのなら、それはりっぱなもので、それは先ほどから私が申し上げている環境庁の姿勢は立証されたことになりますよ。長官、あなた安心していいです、りっぱな人がたくさんおいでになりますわ。それは結構です。  そこで国土庁の方はどうですか。同じ陳情を国土庁の方にも申し上げたのですが、環境庁のような御指示なり注意の喚起と申しましょうか、大分県当局に対して、やっていただけましたでしょうか。
  269. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いわゆる八号地埋め立て問題については、先ほどおっしゃいましたような理由から中断をされておりまして、私どもも計画策定に当たっては、やはり環境問題というのは特に重要な問題である、そういったことを踏まえて地元とのコンセンサスを得た上で、十分調整をとって持ってきてもらいたいということは当初から申し上げておるわけでございます。  そういうことで若干ほかよりは作業がおくれてはおるわけでございますが、私どもは、それはこだわらないで待っておるからということで待っておったわけでございますが、最近、御承知のように、これが全部というわけじゃございますまいが、県のお話によりますと、地元の佐賀関町の議会では大多数で議決も得られました。もちろん議会だけが地元全体ではございますまいけれども、そういった実績もございます。漁協からも特に反対の陳情も最近は受けてないといったようなことを聞いております。  そこで、第三の環境アセスメントの問題でございますが、そういった問題については十分今後そういった環境保全ということに留意した計画というものをつくってくださいということを申しております。ただ具体的な問題になりますと、これは計画が実施されていかないと、細かい点の詰めはできないわけでございますから、一応、絵は絵としてかいておっても、現実問題としては港湾計画あるいは埋め立てをやっていくに当たっては、そういった環境問題が安心だということでなければ、なかなか実施もしにくいであろう、そういうことは十分配慮しながら進むんだということは大分の方から話は承っておるわけでございます。そこで、私どもとしては、大体そういった意見も聞きながら、なお反対の陳情もあったので、こういうお話も伺っております。だから、そういう点を十分踏まえて地元でもよくお話を詰めていただいて、そして調整をとった上で協議会等を経て、正式の手続を踏んで持ってきていただきたいということで、お願いをしておるところでございます。
  270. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国土庁の方も、それを承れば私は非常にりっぱだと思います。したがって、その三つの条件を解決するために県が努力をしておるんだから、基本計画の改定の提出が若干おくれておるけれども、これはやむを得ないというふうにお考えになっておる、そういうぐあいに、いま私、承ったのですが、そういう理解でいいんですか。
  271. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 基本的には、ただいまおっしゃったようなことでございますが、いまの三つの条件については、前の二つについては私どもも十分伺っておりますから、そうであろうかと思っております。しかし、なおかつ県の方にも陳情があって、最近、十月十四日あたりから話し合いもしておられると聞いておりますので、そこらの結論がどうなるかということを見た上で、それが大多数の地元のコンセンサスは得られたんだという心証を得て県からの御説明があれば、それはそれで納得できる問題でございますが、あとの問題は、先ほど申しましたように、絵は絵として、どういうかき方で持っておいでになるか知りませんが、そういうことは別といたしましても、少なくとも環境保全ということを抜きにした形で実施をするわけにはいくまいということは県でも十分認識しておられるようでございますので、そこらを計画の中でどういった表現で持ってこられるのか、そこらはまだ公式に見ておりませんので何とも申し上げかねますが、十分注意をして見たいと思っております。
  272. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 少し認識に違いがあるようですから、これは参考までに申し上げておきますが、佐賀関町が町議会において何か長期構想というものを議決したということは聞いております。それは八号地の埋め立てと直接関連をする問題ではないわけでして、昭和六十年に至る長期構想というふうに私、聞いておりますが、それをもって直ちに地域の皆さんとのコンセンサスができたというふうにお考えになるのは少し無理があるように思われます。  それから特に二点目、漁協の中の反対ですね。特に混乱をしたわけですけれども、これは最近の情勢をどう分析されておるか別にしまして、特に、おたくなんかが判断をされるときには、いわゆる官庁として判断をされるときには、漁協の決議はまだ生きておるわけでしょう。漁協が反対した決議は、あれは生きておるんですよ。それが全然変わっていないわけです。それを、ただ県庁の人が来て言ったから、これは漁協の方もいいんだなどと、それは手続をちゃんととってみなければわかりませんよ。  それから特に、これは長官にお願いしておきたいのですが、こういう経験が私あります。屎尿処理場をある地域につくるというわけです。当然、厚生省から補助が出るわけなんですが、そのときに地域住民の皆さんの反対があればということで、では地域住民とは何かということで論争があったわけです。そのときの厚生省の方のお考えは、地域住民というのは、それによって影響を受くる方々のことを私どもは重点的に考えます。したがって、そこの議会が仮に決議をされておやりになるとしても、そのことは地方自治権でございますからやむを得ませんけれども、しかし影響される皆さんの反対がある限り国の補助はいたしません、これが厚生省のそのときの答弁で、私は非常に妙を得た答弁だというように、いまでも思っておるわけで、いまの地元の皆さんとのコンセンサスという中でも、特に八号埋め立ての背後地、二期計画の背後地ですね。二期計画の背後地の皆さんとのコンセンサスなど、ほとんど話し合いが行われていないという状態だと地元の方では私は聞いておるわけなんですよ。したがって私は、もうこれ以上責めませんが、少なくともそういう経緯があるわけです。ですから、改定計画が出てきた段階、持ってきた段階で、その話は条件が整理されたのかどうか、このことをまず確かめていただいて、その条件、障害になっておった条件が整理されない限り、ひとつ計画を、もっと時間をかけても練り直してもらう、話し合いを進めるなりやってもらう、このことを私はぜひお願いしておきたいのですが、これはよろしゅうございましょうかね。
  273. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 あるいは先ほど言葉が足りなかったかもしれませんが、ただいま申し上げましたように漁協の問題あるいは地元コンセンサスの問題、そういったものは、それのみではないと申し上げながらも、かなり好転したんではないかという趣旨で申し上げました。ただ、そういうことでないかと私どもが受け取れるような説明を県から受けておりました。その後の状況を見ておっても、私どもも大体そういう形で済んでおるのではないかと思っておりましたところが、最近になって、さらにまた反対の陳情も受けたわけでございます。そこで私の方としては、どうも、こういう話を受けたが現実にはどうなっておるのだということを、さらにもう一回、県の方にいま言っておる最中でございますので、いま、いろいろと相談もしておられるようでございます。いずれまた、そこらの報告があるだろうと思っておる、そういった状況でございます。
  274. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 状況はいいのです、大体わかりましたから。したがって、八号地の埋め立てを中断した、その理由が消滅するように地元で努力をしていただく、それを前提条件にしてもらいたい、こう申し上げておる。これは大事なことだと思うのです。さっき絵は絵というお言葉もありましたけれども、やはり経緯があるわけですから、したがって、その経緯を踏まえて、八号地の埋め立てを中断しなければならなかった理由が解消できるように、まず地元が努力をして、それができたら持ってきなさい、こういうくらいのところを、おたくの方で指導してもらっておかないと、県が計画を焦って、とにかく早く出さなければ国土庁の方からしかられる、間に合わぬのじゃなかろうかということで一生懸命になっておるようですから、これでは本末転倒になりますので、ぜひ国土庁の方でも、いろいろな経過はありましょうけれども、その辺は十分、地元の中断に至った経緯を踏まえて後の措置をお願いしたいと思うわけです。  それから、これは環境庁と大分県がお出しになった本でございます。「環境庁 大分県」と入っているから間違いないでしょう。そうなると、これはたしか内閣総理大臣のあれがあるはずでございますが、まず、その第一ページに、これは「概況」ですけれども「6、7号地及び公共埠頭等の海面理立てを行うことによつて、一期計画の業種を補完し、」こういうふうになっております。これは大体、八号地というものについては全然触れていないわけですね。主として六、七号地と公共埠頭ということです。それからもう一つ、この本のしまいの方になりますが、百二ページに「緩衝緑地整備状況」というものが出されております。この「緩衝緑地整備状況」の中で八号地のところにつきましては「備考」の欄に「計画中断」という言葉がはっきりうたわれておるわけでございます。これは私は、環境庁はこのとおりの理解だ、いわゆる六、七号と埠頭が中心になるし、それから緩衝緑地の関係にしましても八号地の計画は中断されたのだ、そう理解されておると思うのです。それでいいですね。
  275. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 八号地の計画は中断されているものと理解しております。
  276. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国土庁の方もお聞き願いたい。  いま八号地の計画は中断をされておるのです。ところが最近になって県の方が言うのを聞きますと、実施計画の中断であって計画の中断ではない、こういう実施計画というのを前に持ってきまして無理をしておるわけですよ。これは私は計画の中断と素直に理解すべきだ、こう考えておるのですが、どうですか、間違いないですか。
  277. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 中断されたのは八号地の埋め立て計画の中断だというふうに承知しております。
  278. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 八号地の埋め立て計画が中断されたのであって、実施計画が中断されたのではない、これは、あのとき環境庁長官もそういうふうな理解で、私の肩をたたいて、もう阿部さん、いいじゃないか、これでもう八号地は消えたんだよと、これは会議録に残っておりませんから率直に私はこれを主張するわけにいきませんけれども、そう長官が言ったほど、八号地の埋め立て計画は中断された、こう理解しておったのです。ところが最近、県の方は、いや、そうじゃないのだ、実施計画が中断されたのであって埋め立て計画が中断されたのじゃないのだというようなことを盛んに強弁しておるのですけれども、どういうことになりますか、これは。
  279. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 八号地の埋め立てに当たって、いろいろ問題があって計画中断というようなことを言っておりますが、私も実は、そこのおっしゃいました意味での計画という場合に、計画そのものがあったのが中断というのは、そこで凍結されておるというかっこうになるわけでございましょうが、実施計画とうたってあって、それが実施計画なのかどうか、そこのところは、もうちょっと詰めてみませんと私も明確に、いまここで申し上げるわけにまいりませんが、その計画と使われたときの具体的な中身というものについて、早急にそれは私も、もう一回詰めてみたいと思っております。
  280. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国土庁の方からお話しになると、あのとき直接、国土庁が関係されてなかったわけですが、あれは環境庁が直接、関係をされておったわけですよね。それはさっき申し上げたように、三木総理は物覚えがいいから多分、覚えておると思うのですが、私の肩をたたいて、これで八号地は消えたんだよというぐらいに、環境庁の理解はそういうことで、いわゆる計画が中断されたんだと理解しておった。ところが、そこに、このごろ頭をくっつけて実施計画が中断されたんだ、こう県の方が言い出したわけなんで、これは私はちょっと牽強付会といいますか、そういう気がするのですが、それでせっかく、いま環境庁の方も国土庁の方も御指導いただいておるようでございますし、申し上げておきますが、私は決して一切、開発してはいけないなどということは考えておりません。やはり開発開発なりに必要であると思っております。ただ、それをやるには徹底的な公害防止の対策環境の破壊をやらないことと、そして地元の皆さんの理解を得て、その上でやるべきだという主張を私は持っておるわけでございます。いままでの御答弁によりまして大体、理解ができましたので、大分県の八号地を含む二期計画のいわゆる基本計画の改定については、この大分の事情を十分承知をいただいて、懸案であった中断をした理由を解決をすることが、まず前提である、そのことを十分ひとつ踏まえていただければ、この点の問題について質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。国土庁と環境庁と両方ちょっと。
  281. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 八号地埋め立て計画は、そういう経緯がありまして、したがいまして、そういう計画を推進していくということについては、やはり中断されたには中断された理由があるわけでございますから、そういうものが解決されなければ、その中断が解除されるということはないと思うわけでございます。  それから、新産都市の建設促進法に基づく基本計画の改定に、この問題をどういうふうに対処していくかという問題につきましては、これは今度が基本計画の最初の改定の問題が出てきておるわけでございまして、これは所管庁であります国土庁が、どういうふうに対処されるかということを基本的には御判断になっていただく問題になるわけでございますが、私どもはそういう協議が参りましたときに環境保全上の十分な措置がされているかどうかについて十分検討をして、また、その点について御意見を述べさせてもらいたい、そういうふうに考えております。
  282. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いわゆる八号地の計画中断等の問題がございましたが、その経緯等を十分踏まえまして、私どもとしても県とさらに十分相談をして対処していきたいと考えます。
  283. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、その問題は終わりまして、もう一つ質問させてもらいますが、文化庁それから林野庁、お見えになっていただいておりますか。  大分県の国定公園、祖母傾というのがあるのですけれども、ここに林野庁関係からいいますと竹田営林署というのがございますが、この管内に生息をしておるニホンカモシカ、いま調査したところでは百八頭、ひょっとするともう一頭ぐらい多いかもわかりませんし、もう一頭ぐらい少ないかもわかりませんが、これが生息をしておるのですけれども、この保護について文化庁の方、何か御計画がありましょうか、何か聞いておりましょうか。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕
  284. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 お答え申し上げます。  祖母傾山系のカモシカは、九州地区の中で比較的多くの個体がまとまって生息しております地域としては非常に少ない残された地域でございます。そのために私どもとしては、いま学術的にもきわめて重要なものというふうに考えまして、保存すべき重要な地区だというふうに考えております。そのために、文化庁といたしましては昭和四十八年に特別調査をやりまして、次いで四十八年と五十年度に大分県に国庫補助金を支出いたしまして、緊急調査実施していただきまして、この地域におきます分布あるいは生息頭数、さっき先住がおっしゃったのも、その調査からあらわれたものだと思いますが、それを明らかにしてきたわけでございます。したがいまして、この地域における調査に基づきまして、具体的に天然記念物の指定地域の範囲等につきまして、現在、大分県の教育委員会でございますが、そこと熊本の営林局と協議を進めているところでございまして、指定をぜひ考えたいというふうに考えております。
  285. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 林野庁の方も財政的な問題があって、いまのやり方で、なかなか財政的に苦しいのが私はわからないわけではありませんけれども、何といっても祖母傾の原生林は特にカモシカの生息のためには、どうしても必要なわけなんですが、大分、伐採計画があるようですが、どうなっておりますか。
  286. 秋山智英

    ○秋山説明員 お答えします。  祖母傾山系の国有林の西横は一万三百ヘクタールでございます。それで国有林の経営につきましては、その基本になっておりますのが地域施業計画というのがございまして、これを立てるに当たりましては、県あるいは地元の市町村長の意見も十分配慮いたしまして、国土の保全とか、あるいは水資源の涵養とか、さらには貴重な動植物の保護とか自然環境保全、形成というようなものを配慮しまして、しかも木材生産と適切な調整を図りながら施業している現状でございます。  そこで、特にこの地域におきましては、いま先生からお話がございましたカモシカの生息地でございまして、保護の要請もございますが、一方、地元の経済の振興とか生業の場を確保するという面から、計画的に木材生産をしてほしいということもございまして、私どもといたしましては、いわゆる公益的な機能と木材生産の調整を図りながら、きめ細かい調整をとって施業しているわけでありますが、将来とも、この一万三百ヘクタールの中で天然林のままで保残していこうと考えておりますのは四五%ございます。これは禁伐もございますし、保護林もございますし、択伐でやっていくところもございます。  そこで竹田の営林署管内について申し上げますと、現在、年間約二十ヘクタールの伐採計画でございますので比較的、面積については少のうございます。それで私どもとしましては、このカモシカの保護につきましては環境庁あるいは文化庁と十分調整しながら進めてまいっておりますが、特に保護に当たりまして生態とか、あるいは生息環境の基本的な問題に、まだ十分に把握できない面がございますので、ことしは三省庁それぞれ調査をしております。したがいまして、その結果を持ちまして、この保護と、それから一部におきまして被害等もございますので、被害を防止するための措置を検討してまいりたい、かように考えております。
  287. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 竹田営林署の管内で、さっき申し上げた百八頭ぐらいのニホンカモシカがおる。このうちで小河内地区というところに二〇%以上おるらしいのです。生息率が高いわけでございますけれども、現在の伐採計画でいくと十七、十八林班というのですか、この林班が受け持っておるところで、この地域が原生林が一番多いところだ。地図ございますね。その十七、十八というところの原生林は、どうしてもカモシカのねぐらとして残してもらいたい。地元もこれは一切、切らぬでくれなんて、そんなむちゃは言ってないのです。ある程度やむを得ぬだろう。ただ切り方が、択伐とか間伐とか、いろいろあるようですけれども、たとえばこの写真のような切り方になると、だめになるというわけですね。残った木が枯れてしまう。切り方についても、いろいろ問題があるということで、その辺になりますと私も専門的ではないので、どうやるのがいいのかわかりませんが、要は原生林を相当量残してもらうということと、あわせてニホンカモシカの保護をしてもらいたい。それで、環境庁の方もこれは関係があるわけですが、何とか文化庁、環境庁そして林野庁の方で御相談をいただいて、地元の意見もひとつ聞いていただいて、この地域は残すとか、この地域はこういう伐採のやり方をやるとかいうことについてお話し合いを願いたい。そのためには、とりあえず、いま申し上げた竹田営林署の管内の十七、十八の原生林をまず残しておいて、そして話し合いがついてから一番いい方法をとってもらいたいと思うのですが、これは一日を争って切らなければならぬというわけでないわけでしょう、どうですか。
  288. 秋山智英

    ○秋山説明員 お答えします。  これは一日をというわけでございませんで、年度計画で定めておりますが、御案内のとおり四十八年から以降におきましては、いわゆる皆伐方式というのを縮減いたしまして、択伐もしくは、いわゆるとら刈りと一時申し上げましたが、そういうふうな切り方をいたしまして、その保護の面からも十分配慮した取り扱いをしてまいりたい、かように考えております。
  289. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 文化庁も見えていただいたのですが、文化庁、それから特に調整役の環境庁が中に入って、長官、いいですね。それでは環境庁が中心になって、文化庁の方でも、県の方から、さっきお話がありましたように地域指定というのですかね、出ておるでしょう、かなり詳細に、ここのところはこんなふうにというのが出ておるはずですから、その辺の話し合いをしていただきたい。いま、お伺いしたら年度計画で一日を争って切らなければならぬことはないという内容のようですが、林道の大きいのができまして、トンネルもできて、すぐ切られることになっているので気になってしょうがないのですが、特に十七、十八、この地域はちょっと待ってもらって、環境庁を中心に、環境庁責任を持ってやってくれるな。
  290. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまのお話、文化庁あるいは林野庁から、それぞれ御答弁がございましたが、私ども三庁協力して、いまのお話の方向で検討することにやぶさかではございません。特に最前、御指摘になりましたように国定公園の中の問題でもありますから二重に私ども関係があるわけでございまして、いままではややローカルな問題と申しまするか、きわめて地域的な問題でもございますので県並びに地元の営林局を中心に考えていただきましたけれども、なお問題がございますれば先生のお話のような方向で、できるだけ調整をいたしたい、このように考えております。
  291. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは長官に最後にお願いしておきますが、いま申し上げましたように原生林の保護とカモシカの保護が中心ですが、特にこの際、せっかく法律もできておるわけですから、ひとつ環境庁を中心にしながら、文化庁にも御苦労をかけますが、何とか保護ができるように、林野庁の立場もあると思うのですけれども、林野庁もひとつ積極的に協力をしていただきまして、早い時期に結論を出していただいて、要するにカモシカの保護ができるようにお願いしたいと思います。大体の方向が決まれば、ちょっと知らせていただけますか。それをお約束をいただいて終わりたいと思いますが、どうでしょうか。
  292. 信澤清

    信澤政府委員 決まりました段階で資料を添えてお手元に御報告に参りたいと思います。
  293. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 終わります。
  294. 吉田法晴

    吉田委員長 それでは質問を終わりました。  次回は、来る二十六日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会