○土井
委員 必ずしも、いまの私の質問に対しての御答弁とは私は受けとめられないわけでありますけれ
ども、そういうことのやりとりをやっていたって、これはらちが明かないような御答弁でありますから、ひとつ端的に申し上げたいと思いますが、御承知のとおりに
公害健康被害補償法というのが四十九年の九月に施行されております。これでまる二年なのですが、その間、施行されてから、いろいろな問題点が出てまいっております。たとえば年齢別にこれが等級が決められる、あるいは男女別にこれが
考えられる。そこで、いろいろな点での不公正というものを、どうして是正していかなければならないか、これには関係の部局の皆様方、非常に苦労をいままで重ねてきておられる問題でありますけれ
ども、いま、ここで
一つお尋ねしたいのは、こういう問題なのです。
この補償法が実施されましてから、
公害被害者の御家庭の中で、そのために働き手を失って
生活保護の適用を受けなければならないという家庭が出てまいります。この
生活保護の適用を受けるということになると、いまの
公害健康被害補償法の御承知のとおり十四条のたてまえからすると、
保護費がカットされるというかっこうになるんですね。
保護費がカットされる。したがって、その実態はなかなか切実な問題でございまして、
生活自身が非常に悲惨な状況に陥る。本来、
生活保護費でまいりますと、これは
長官は、説明を申し上げるまでもなく、よく御承知だと思いますけれ
ども、家族の医療費、子供の義務教育費、住居扶助、そういうものが適用の範囲力であるわけですね。ところが、それがカットされるために、この健康被害補償を
生活費に割り当てていかなければならない。ところが、健康被害補償で受ける額の方が
生活保護で受ける額よりも下回るために、ずいぶん
生活に難渋する。本来は
生活費に充当すべきでない、こういう健康被害補償費を
生活費に充当して、しかも生きていくということがなかなかむずかしくなる。こういう状況があたりで引き起こっているわけです。そうして、とうとう大阪の場合なんかは、この健康被害補償を受けたくない、これの申請を見送る。こういう実態を見た場合に、このことに対して、むしろ受けた方が
生活が苦しくなるから、
公害認定患者さんでありながら、この補償を見送るというケースが出てきているんですよ。こういうケースは大阪ばかりじゃございません。
大気汚染で悩んでいる川崎であるとか兵庫県の尼崎等々においても、こういう例が出てまいっております。
そこで、こういうものについては、いつまでも、いまの
生活保護法と、それから、いまの
公害によるところの健康被害補償法というものが現行どおりであっていいということでは、どうもないようでありまして、いずれかの手で、これを手直ししていくという必要に迫られているのじゃないかと私は思うのですが、この点について
長官は聴取なさったことがございますか。実情に対して、どういうふうにお
考えでいらっしゃるか、もし御存じならば、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。