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1976-10-13 第78回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十三日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 太田 一夫君    理事 野中 英二君 理事 林  大幹君    理事 勝澤 芳雄君 理事 野坂 浩賢君    理事 紺野与次郎君       愛野興一郎君    片岡 清一君       前田治一郎君    井上  泉君       久保 三郎君    佐野  進君       土橋 一吉君    沖本 泰幸君       小濱 新次君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中馬 辰猪君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      西村 尚治君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   天野 公義君  出席政府委員         総理府総務副長         官       橋口  隆君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸政務次官  阿部 喜元君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局次         長       松本  操君         海上保安庁次長 間   孝君         建設政務次官  梶山 静六君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団         体課長     土原 陽美君         大蔵省銀行局保         険部長     副島 有年君         運輸省海運局外         航課長     富田 長治君         気象庁総務部航         空気象管理課長 山岸孝次郎君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         建設省道路局次         長       小林 幸雄君         自治省財政局交         付税課長    今井  実君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     染谷  誠君   左藤  恵君     綿貫 民輔君   斉藤滋与史君     愛野興一郎君   中村 弘海君     野中 英二君   羽田野忠文君     佐藤 守良君 十月十三日  理事羽田野忠文君九月二十日委員辞任につき、  その補欠として野中英二君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 太田一夫

    太田委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る九月二十日、理事羽田野忠文君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 太田一夫

    太田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、野中英二君を理事に指名いたします      ————◇—————
  4. 太田一夫

    太田委員長 この際、西村総務長官中馬建設大臣天野国家公安委員長橋口総理府総務長官阿部運輸政務次官及び梶山建設政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。西村総務長官
  5. 西村尚治

    西村国務大臣 西村尚治でございます。  先般の内閣改造によりまして、はからずも総理府総務長官を拝命いたした者でございます。まことに微力でございますけれども、精いっぱい勉強いたしまして、職責を全ういたしてまいりたいと思っておりますので、何分よろしくひとつ御指導、御鞭撻を賜りまするようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、きょうは、今国会におきまする交通安全対策特別委員会の審議が開始されるに当たりまして、交通安全対策に関する考えを一通り申し述べさせていただきたいと思います。  交通事故は、昭和四十五年をピークといたしまして、以来五年間減少しておりまするけれども、本年も一万人近い死者と六十万人を超える負傷者が発生するものと予想されます。  交通事故は、依然として平穏で安全な国民生活の最大の脅威であります。交通安全の確保は大きな政治的課題であると言わなければなりません。  政府としましては、当面、年間の交通事故死者数昭和五十五年時において、ピークでありました昭和四十五年の半数以下にとどめることを目標としまして、道路環境整備交通安全思想普及を初め、安全運転確保、車両の安全性確保等各般にわたる施策を強力に推進しているところでございます。  私は、去る九月十五日総務長官に就任したのでありますが、今後、さらに交通安全施策充実強化を図りますとともに、特に幼児、老人の安全と自転車利用者の安全を確保しますため、母親組織幼児クラブを育成するなど交通安全思想普及の徹底を期す所存でございます。  以上、交通安全対策に関する所信を申し述べさしていただきましたが、委員皆様方の一層の御指導、御鞭撻を重ねてお願いを申し上げる次第でございます。(拍手
  6. 太田一夫

  7. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 今回の内閣改造によりまして、建設大臣を仰せつかりました中馬辰猪でございます。  交通事故による死傷者は、交通安全施設等の計画的かつ積極的な整備を初めとする関係者の懸命な努力により、自動車輸送の増加にもかかわらず、昭和四十六年以降、年々減少を続けております。しかしながら、昨年一年間で、なお、一万人余の死者と約六十二万人の負傷者の発生を見るといういまだに憂慮すべき状況にあります。  交通安全は全国民の願いであります。私は、人命は何よりもとうといという基本理念にのっとり、交通安全施設整備等道路交通の安全と円滑の確保に力を尽くしてまいりたいと思います。  練達堪能、経験豊富なる皆様方の御叱正、御指導を切にお願いいたしまして、私のごあいさつにかえたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  8. 太田一夫

  9. 天野公義

    天野(公)国務大臣 国家公安委員長を命ぜられました天野公義でございます。どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。  御承知のように、六十万人を超える死傷者を出しております交通事情の現在におきまして、国民の悲願というものは、交通事故を本当に一件でもなくしたいということにあるのではないかと思っております。人命尊重立場からいたしまして、交通事故減少をなお一層定着させるために、警察立場から総合的な交通安全対策を引き続き強力に推進してまいる所存でございます。  委員皆様には平素から交通警察行政につきまして多大の御尽力をいただいておりまして、心から感謝をいたしておる次第でございます。今後とも格別の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げます。(拍手
  10. 太田一夫

  11. 橋口隆

    橋口政府委員 このたび総理府総務副長官を拝命しました橋口隆でございます。  これから総務長官を助け、また関係各省庁と緊密なる連絡をとりながら、交通安全対策推進に全力を傾ける所存でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  12. 太田一夫

  13. 阿部喜元

    阿部政府委員 運輸政務次官を拝命しました阿部喜元でございます。  世の中で一番大事なのは何かと言いますと、人間の命でございます。安全輸送のために、本当に良識ある交通安全の先輩諸氏格別の御協力、御支援を心からお願いをいたします。(拍手
  14. 太田一夫

  15. 梶山静六

    梶山政府委員 このたび建設政務次官を拝命いたしました梶山静六でございます。  微力でございますが、中馬大臣のもとで建設行政並びに交通安全対策に誠心誠意取り組んでまいりたいと思います。委員各位格別の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  16. 太田一夫

    太田委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 警察庁にまずお尋ねいたしますが、最近交通事故処理をしている警察官死傷事故がときどき報ぜられるわけでありまして、交通事故が起きて、その交通事故処理している、公務に従事している、こういう警察官事故というのは大変残念なことだと思うわけでありまして、この事故原因を詳細に聞いてみますと、事故処理上における安全対策というものがもっと十分なされておるならば、こういう事故というのは起きないのではないだろうかというふうに感ずるわけでありまして、そしてまた、統一的な対策というものもなされていないように聞いております。したがいまして、この対策についてやはり万全な措置を講ずべきだと存じますけれども、具体的にどうお考えになっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  18. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通事故処理中の警察官事故でございますが、本年の状況を申し上げますと、昨日までに、一般道路で六件、高速道路で三件、合計九件が発生いたしておりまして、その結果、一名が殉職し、五名が重傷、十名が軽傷の被害を受けているわけでございます。この殉職事案の内容を見ますと、相手方の運転者前方不注意、酒酔い、居眠りといったことで事故が起きる場合が多いわけであります。  このような事故の発生することにつきましては、われわれもかねてから大変残念に思っておりまして、交通事故処理要領というものも決めておりますし、できるだけ現場において器材を活用する。運転者の中には、いま申し上げたように、幾ら見える形であっても、居眠り酔っぱらいということであれば、盲が運転してくるのと同じような状況でございますので、器材でもってまず防護する方策、それから必ず見張りをつけるというような方策、その他それのための器材整備というようなことについても考えているわけでございますが、現場におきまして事故状況を見ておりますと、中には非常に急いで事故処理しようということで器材を持っていかずに処理をした、事故現場をできるだけ早く処理をして、次の交通を円滑にやりたいというようなことで、そういった措置について必ずしも十分に配慮されていない、あるいは現場に着いて、いろいろと現場状況などを聞いている際に車が強引に突っ込んでくる、あるいは高速道路等でガードレールに当たった車が反転して、いろいろと器材を置いている中に突っ込んでくるというような事故もあるわけでございまして、従来の体制、これだけで十分かどうかという点については、常々考えておるわけでございます。そういった点で、ことしの四月にもさらに通達を出して、そういった面の体制整備していきたいというふうに考えているところでございます。  非常に無謀な運転というものを事故処理現場で完全に防ぐということについては、かなりむずかしい問題があろうかと思いますが、そういった点も、いろいろな場合を想像しながら、対策を講じていく必要があろうかと存じております。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 交通事故処理しているところに突っ込んでくるのは、言うならば盲運転あるいは酔っぱらい前方不注意、こういうものが来ることが確実視されているわけですね。ですから、そういう対策というものをやはり十分立てて、防止策というものを講じなければならぬと思うのです。  そこで次に、今度は建設省になりますか、高速道路上における作業員死傷事故というものが、またこれもときどき起きているわけでありまして、現場に参りますと、まあ一応規定というのですか、安全対策はされておるわけでありますけれども、しかし、安全対策はされておっても、それに居眠り運転で突っ込んできたときどうなるのか。とにかく、無謀運転で来たのが、それが死傷事故を起こすならいいですけれども、そのために仕事をしている人に死傷があるということになると、やはり防護措置安全措置というものが不十分だ、そのために起きている、言うならば安全管理が十分でない、ここに私は原因があると思うのです。酔っぱらってきた、あるいは無謀運転運転が悪いということだけでは問題が解決しない。やはりそうなってきたときにもちゃんと作業をしている人たちの命を守る体制というものをしっかりしておかなければいけない。だから、無謀運転して突っ込んできたのをある程度助けようということで、緩い緩衝になっているのかどうかわかりませんけれども、もっときちっとした体制で、どんなのが突っ込んできても大丈夫だ、こういう体制というものをもう一回検討していただいて、十分措置をしていただきたいと思うのですけれども、その点について、時間がありませんから、なるべく簡単で結構ですから、ずばりお尋ねします。
  20. 小林幸雄

    小林説明員 お答え申し上げます。  高速道路上における補修、清掃等作業、これは不可欠なものでございますけれども、御指摘のように、しばしば作業中の作業員に対しまして居眠り運転あるいは前方不注意等ドライバーが突っ込みまして死傷事故を起こしておるということは、わりあい件数が多うございます。五十一年度につきましても、七月末現在で六件ございまして、死者二名、重軽傷者十二名というふうな状況になっております。  そこで、これに対する対策でございますが、これはもとよりドライバーに対する警察当局の訓練、御指導が第一だと存じます。しかしながら、御指摘のとおり、こういう無謀運転というものは、これはどうしても絶滅することができないということもまた認識した上で安全対策というものを考えていかなければならぬ、かように考えております。  建設省といたしましては、道路公団等に対しまして、作業中の安全基準というふうなものを統一的につくることを指導しておりまして、日本道路公団初め各都市公団もほぼ同様の基準によりまして安全を図っておるわけでございます。これはラバーコーン等器材あるいは標識車あるいは安全標識等々の各種の器材を活用するほか、必要に応じまして誘導員あるいは見張り員等を置きまして、これに誘導さしておるというふうなことをやっておる次第でございます。  ただ、これでなおかつ、いま申し上げましたような事故が後を絶たないという状況であることも事実でございますので、居眠り運転等に対しましては、単に視覚に訴えるだけの安全器材では不十分ではないかということで、目下さまざまの手法の研究を進めておる次第でございますが、たとえば工事中の区間前方に音響を発するような器材考えて、これによって注意を喚起するというふうな聴覚に訴えるような安全器材事故防止器材、こういうふうなものの開発等々も検討をいま進めておる次第でございます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 高速道路上の工事安全基準というものがあるわけですけれども、その安全基準どおりでやっておって、居眠り運転で突っ込んで死傷事故が起きたということになれば、つくった安全基準そのものが間違いだ、その安全基準をつくった人たちが処罰されるべきだ、私はこう思うのです。居眠り運転が来るであろうということはいつも予想されているわけですから、交通事故調査中の警察官の場合でも、高速道路上における作業員の場合でも、やはり万全の措置を講じておかなければいかぬ。ですから、それを直さなくて、居眠り運転が悪いんだ、いや酔っぱらい運転が悪いんだ、こういう発想では、やはり作業をしている人たち人命が守られないと思うのです。そういう点は、事故調査の中で皆さんが詳細にやられておるわけですから、このときにここに一つ何かがあったら作業員は助かったんじゃないだろうか、この施設というのをもっとがんじょうなものにして、ぶつかった方がけがをするかもしれない、それでも作業員の方を守らなければならぬ、こういうのをもう一回きっちり考えていただきたいと私は思うのです。私は、この事故が起きてからいろいろの報告を聞いてみましても、やはり同じ事故が起きているということで、この点が大変問題だと思うのです。ですから、そういう点を特に、極端に言うと、きょう指摘されて皆さん検討された結果事故が減った、なくなった、しかしぶつかった方はいままでよりも重いけがになったかもしれない。これはもう仕方がないと思うのです。ですから、ここの基準をきっちり決めて、もう一回保安基準などについて再検討してもらいたいということを要望いたしておきます。  それから次の問題ですけれども、自動車安全運転センターができたわけでありますけれども、せっかくできたけれどもどうもまだ安全運転研修とか調査研究業務というものがなされていないので、本格的な安全センター業務になっていないように思うわけであります。ですから、こういう点でひとつ来年度予算を目がけて、やはり安全運転センターをつくった本来の目的に従って十分仕事が発揮できるような対策をしなければならない。これはわれわれがここで法律を賛成をしてつくった立場からいっても当然なことだと思うのですが、それについてのお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  22. 勝田俊男

    勝田政府委員 まず安全運転研修業務につきましては、中央研修所建設をいたしまして、その中央研修所の場で、法律に書いてありますような研修業務を進めたい、これができることによって初めて安全運転センターらしくなるであろうというふうに考えておるわけでございます。  そこで、何と申しましても、かなり広大な土地が必要であろうということで現在土地を物色中でございます。それとあわせまして、この研修所ができた場合にどのような講習課程でやるか、そのカリキュラム、これを鋭意検討を進めておるという段階でございます。  それから研究業務でございますが、これは、実は始まりましてから研究業務を進めているわけでございます。五十年度の研究業務といたしましては、交通事故防止対策有効性の評価に関する研究、それから交通安全施設設置に伴う交通現象変化に関する研究というものを行いまして——センターの職員は必ずしも数は多くございません。部外の学者先生にも集まっていただきまして、いろいろと第一線の資料を集めて分析をしていただいたわけでございまして、交通事故防止対策については、警察施策として指導取り締まりあるいは交通規制安全設備指導教育というような対策がありますが、それぞれの比重についての効果というような点をいろいろと検討していただいて、それなりに信号機効果、そういった点についてかなりの結果が出ている。今後の信号機運用等についても、それをも参考にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、交通安全施設設置に伴う交通現象変化に関する研究、これにつきましては、信号機設置によって歩行者なりの動きがどう変わるか、その設置によって大きな事故は減ってくる、しかし接触事故、こういった問題が若干あるというようなことから、今後の信号機の現示方法その他について検討すべきであろうというような結論も出ているわけであります。  また、五十一年度につきましても道路環境の問題と交通事故との関係についての検討を進めたいと思っております。  さらに、将来につきましては、できるだけ運転者教育と密着したような研究もこの辺で進めるようにいたしたいと考えているわけでございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 せっかくこういう法律をつくって安全運転センターをつくったわけでありますから、運輸省が所管している事故センターですか、これに比べてみると、どうもまだ予算的にも人員的にも不十分だと思いますから、これはやはり積極的にひとつ推進をされて、当初の目的に沿ったように発展をするように努力されたいと思います。  それでは最後に、東名高速道路で魔の七十七・八キロ地点というのが静岡県の中で言われて、特に運転者に恐れられている地点があるわけでありますが、これは雨になりますとスリップによる事故が続発して、静岡県警としては、道路構造的欠陥指摘いたしまして、道路公団に対しまして改善の方法を具体的に出しておるようであります。道路公団考え方を聞いてみますと、内部で十分検討するとか、どうも現状に沿った対策というものがちょっとおくれているんじゃないだろうかという気がいたします。これはもうすでに高速道路ができたときから言われておることでありますから、やはりこういう点はもっと積極的にひとつ建設省なりが指導して警察と一緒になって対策をやっていただくということを要望いたしたいと思うのですけれども、これについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 小林幸雄

    小林説明員 お答え申し上げます。  御指摘地点は、神奈川・静岡県界と御殿場インターのほぼ中間ぐらいの地点でございまして、御指摘のとおり、全高速道路事故率に比べまして著しく事故率が高いという地点であることは、私どもはよく認識しております。この原因として考えられますものは幾つかございますが、どうも事故の態様から見ますと、当該地点山岳地帯でございまして、八十キロの速度制限をしてございますが、ところがスピードの出し過ぎでそのまま突っ込んできているとき、非常に霧の多いところでございますし、それから雨の降っているとき、工事、こういうようなときに事故が多発している。大体そういうふうな状況でございます。  そこでこれに対応すべき措置としましては、速度可変標識というものを警察当局の方とも御相談をしまして、気象状況によりまして、八十キロの規制をしておりますけれども、なるべく前方からこれを六十キロあるいは五十キロ等にダウンするというふうなことが一つ考えられると思います。また、御指摘のとおり、静岡県警から道路公団の第一管理局長あてにさまざまの対応措置についての要望が参っておりまして、ただいま本社に上がってまいりまして、本社内部検討を進めております。  また、建設省といたしましても、この問題につきましては非常に重大な関心を持っておりまして、道路公団指導しまして、なるべく早く警察の方とも協議の上、有効な対策をできるだけ早く進めてまいりたい、かように考えております。とりあえずいま予定しておりますものは、さしあたり今年度中になるべく早い時期に当該区間におきまして滑りどめの舗装を実施したい、かように考えております。また、滑りめ舗装につきましては、警察の方からの要望もございますが、その他の区間につきましてもなお検討を進めていきたい。さしあたり、今年度なるべく早い時期にゼブラ状滑りめ舗装を実施したい、かように考えております。  なお、その他の照明灯増設あるいは警告板増設等につきましても、警察協議の上、できるものから、結論の出ましたものからなるべく早く実施してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 災害に比べて、交通事故死傷者に対する対策というのは、どうしてもマンネリ化していると言いますか、遅いような気がいたします。毎年百万人も死傷者があったわけですから、いま九十万人くらいですけれども、これは考えてみれば大変な問題だと思うのです。大きな台風が来て大騒ぎしますけれども、それと交通死傷者を比べてみますれば、いかに交通事故による死傷者が大きなファクターになっているか。しかしそれの割りに、たとえばマスコミに載るものも、災害というのは五人でも六人でも亡くなったら大きな事故になりますけれども、交通事故で死んでいるものについては余り関心が高まったような形になっていないということは、大変残念だと思うわけです。ですから、そういう点でどうしてもおくれがちな、あるいは相当問題にならなければ、また新聞にでかく出れば、これはしようがないとやるわけです。そういう点で、私は、日本人全体がお互いになれっこになっているのじゃないだろうか、こう思うわけです。そういう点で、私は、もう少し積極的なことを特に考えていただきたいということを要望いたしまして、時間もございませんので、これで質問を終わります。
  26. 太田一夫

    太田委員長 次に、野坂浩賢君。
  27. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま交通安全に関係する各大臣なり政務次官から決意の表明があったのでありますが、いまの勝澤委員の問題に関連をしても、交通安全と車の数量というものは非常に密接な関係があるということは、従来からこの委員会で議論をされてまいりました。  そこでお尋ねをいたしたいのは、今度の総務長官は、特に総合交通対策の担当大臣、こういうことになっておるわけであります。この前のこの委員会で、これからの自動車の伸び率はどういうことになっていくのか、こういう私の質問に対して、昭和五十五年には自動車は大体三千七百万台になる、昭和六十年には四千四百万台になる、そういう傾向が見られるということがございました。受けざらとしては不十分である、こういうことも言われております。したがって、この総合交通体系は、この間ありました国鉄の運賃値上げ問題等も絡んで活発に議論されたことは御案内のとおりでありますが、陸上交通、特に自動車の総量の問題については、限度は考えておるのかどうか、それから総合交通としての自動車の位置づけはどのようにしておるのか。そのことを室城室長運輸政務次官阿部さんにまずお尋ねしておきたいと思います。
  28. 室城庸之

    室城政府委員 交通安全の面から見ました交通総量の問題につきましては、現在も交通公害の対策というようなものとも兼ね合わせながらいろいろな角度から検討をすべく努力中でございます。私どもも今年度、来年度、再来年度と、三カ年を一応予定いたしまして、総理府の立場として交通全般にわたる総量規制の方向について調査費用をいただいて検討する手はずにいたしております。  先ほど、総務長官が総合交通についての担当の大臣であるというお話がございまして、実はこの点は、私の方の交通安全対策室では事務的にはお受けいたしておりませんで、総務長官から経済企画庁の方の部局に指示をされまして、そちらで作業をいたしておりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  29. 阿部喜元

    阿部政府委員 総合交通の面から鉄道、自動車、バス、いろいろ議論されるところでございますが、大都市におきましては鉄道の補完、また地域においては地方バスの役割り等々、いろいろあるわけでございます。そういういろいろの自動車のふえる今日におきまして、国鉄のあり方あるいは自動車の問題、いろいろと問題があるところです。そのエネルギーの問題から考えましても、いま輸出貿易の半分の代金がガソリン代に払われておる日本でございますので、やはり省エネルギーの立場、さらに安全輸送立場から、調和のある輸送体系をつくっていくのが総合交通の本旨でなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  30. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうしますと陸上交通、特に自動車の場合に、今日では自動車の総数は二千八百万台といわれておりますが、昭和六十年に四千四百万台という想定は、いわゆる乗用車と言いますか、伸び率は、バス、トラック、乗用車と分けて、大体どういう比率になるでしょうか。
  31. 中村四郎

    中村(四)政府委員 自動車の台数につきましては、この八月で恐らく三千万台ということに相なろうかと思います。これが五十五年なり六十年なりどのように伸びていくかということでございますが、バスなりトラックなり乗用車を見た場合に、乗用車についての伸びというものは、従来の傾向値の線をたどりまして伸びていくんじゃなかろうか、こういうような想定をいたしております。
  32. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまの中村局長のお話によると、これから非常に伸びていくのは乗用車であろう。そうすると、いままで輸送機関の中で、たとえば列車、国鉄ですね、というのは必須輸送機関だ、バスもそうだ、まあ飛行機なりタクシーというのは選択的な輸送機関である、こういうふうに位置づけをされておったというふうに私たちは考えておりますが、現在でもそういうふうに考えてよろしいですか。
  33. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもといたしましては、単純に総量の問題としてよりも、不特定多数の旅客なり貨物を輸送する上からいきまして、公共輸送機関の位置づけとしましては、やはり公共輸送機関の経営を維持し、これを伸ばしていかなければならぬというふうに考えておるわけでありまして、自家用自動車の場合に、その量的な面以外にこれがいかなる目的に使われるかということがやはり問題の中心になろうかと思います。これが通勤、通学輸送等につきましても、量的な拡大に伴ってそういう輸送をみずから行うということになりますれば、これは非常に問題の多いことになるわけでありまして、今後の問題としては、非常に便利な自家用自動車というものを国民として持ちたいといった場合に、その使い方は従来と非常に変わった、一つの局限された範囲において使われるという方向へ進むんじゃなかろうか、かように考えておるわけであります。
  34. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、列車とバスというものは、公共事業としてこれからもその点については体制を強化をしていく、こういうことになるわけですか。
  35. 中村四郎

    中村(四)政府委員 公共輸送機関といたしましては、その社会的に果たす使命、これは非常に重要な役割りを担っておるわけでありまして、やはり輸送機関の中枢として、いま先生おっしゃった鉄道なりバスなりそういったものを中枢に据えていく考え方でございます。
  36. 野坂浩賢

    ○野坂委員 昭和三十五年から高成長になって、現在低成長、そういう時代である。しかもその間にモータリゼーションが進んで、バス事業というものは、特に過疎地域においては非常に経営がむずかしくなってきた。これが今日の現状だと思うのであります。これに対応して、運輸省では過疎バス維持対策要綱というものを策定をして、その維持に努めておるということはよくわかっておるのでありますが、今日過疎地域におけるバス路線の休廃止が、相次いで全国的に起こっておる。これについてはどのような措置をして、いわゆる中枢に置くバス事業として運輸省としては守っていくか、盛り立てていくか、この点についてはどうですか。
  37. 中村四郎

    中村(四)政府委員 地方交通におきますバスの位置づけ、特に過疎地域におきますバスにつきましては、当該地域と地方の中心都市との交通、それからまた当該地域内における生活に密着する交通という面から見まして、これは何と申しましても、そのバス輸送というものを維持していかなければならない、これは論をまたないところであります。  そこで、運輸省といたしましては、この路線を何とか維持していくという場合に、経営採算的な面からだけ見まして、これを切り捨てるということでなしに、その経営に対しまして助成を行って、そうしてこの路線運行を守っていくという考え方で今日努力しておるわけでございます。
  38. 野坂浩賢

    ○野坂委員 助成を行ってその維持に努力をされておるにもかかわらず、全国的には過疎地域においては、路線の休廃止が相次いで行われておる。どこに問題があるわけですか。
  39. 中村四郎

    中村(四)政府委員 これはいろいろな原因としましては、地域における人口の配分なりあるいは産業の問題なり、いろいろあろうかと思います。それからそのバスとの直接的な関係におきましては、やはりモータリゼーションの進行ということも大きく影響しているかと思います。  そのバスにつきまして、これを何とか経営を維持していくという反面、休止したい、廃止したい、そこで助成のほかに市町村におきます廃止代替バス路線の経営というような考え方を取り入れて、そして経営の維持あるいは代行的なバス輸送というような手だてで補完を行っておるわけでございます。
  40. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわかりませんね。バスを維持して住民の足を守って、そしてバスはその中心に置くということがきちんとしておる。しかしその政府の補助政策にもかかわらず、私企業であっても公共事業であるバス会社が、路線をどんどん切っていく。住民の足は奪われる。若い人たちは、あるいはモータリゼーションで自分の自家用車で行く場合がある。年寄りは置いてきぼりになっておる。これが現状です。したがって、乗らないから切っていく、時間も間引いて運転をする、だんだんなくなってくるということになると、あなたがおっしゃったように、バスを維持するだけの政策は出ていない、こういう結果になっておるのではないか、私はそう思っておるのです。そうなんです。どうですか、それは。
  41. 中村四郎

    中村(四)政府委員 いま申し上げましたように、私どもといたしましては、経営の維持につきまして、休止、廃止申請が出てくれば、もうそれは、たとえば右から左へというような処理をいたしておりませんで、これを何とか継続させよう、そのためにはどういう助成をしたらいいか、あるいはどうしてもだめな場合に、これにかわって市町村が代替バスを運行するということについてこれまた助成を加えていくということによって、末端の路線をどんどん切り捨てていけばいいんだというような考え方はとっておらないわけでございます。
  42. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大体わかりますが、たとえば幹線がありますね、そこから支線が出ておる。それが赤字なんだ。切っていく。そこの過疎地域の町村が代替バスをやって、補助金がありますね。車両購入費とか初年度の運行費、これはありますね。ありますが、そこの自治体は一年ぐらいはもちますが、それ以降は全部赤字です。黒字があるところがあれば教えてほしいと思います。赤字です。だからその町村で、会社はいいかもしらぬけれども、国全体から見ると、これについては非常に問題がある。全体を経営してその一部分だけでなしに、悪いところだけとるわけですから、この市町村もなかなか大変であるという結果が出ております。たとえば岩手県でも、あるいは高知県でも元集約をやった。それでもたくさんの問題が出ておりますね。  いま局長がお話しになりましたように、補助制度というのは甲、乙、丙とありますね。甲、乙、丙とこの三つのやり方があるわけです。甲は一単位地域一社、乙は一単位地域二社または一系列、丙種というのは都道府県知事がバス路線を云々とこう言っておりますね。この甲と乙と丙との違いですね。これからもっと具体的に申し上げますが、甲と乙と丙とやった場合には、これは非常にわかりにくいですね、簡単に素人から見ると。だからこれを一本化したらどうか。また、丙が甲や乙よりもその会社の経営状態がいいというところは一社もない。したがって、この切っていく、路線をいわゆる休廃止をしていく一つの大きな問題は、この補助政策に問題がある、こういうふうに私どもは思っております。当面、甲というのは、そのバスの路線で赤字が出る場合はこれを補助をする、それからその他丙等は、バス事業をやっておる会社がその他の事業をやっておる場合は全社的に赤字が出た場合にのみやることになっておるわけですね。しかし、その対象を来年度運輸省としてはバス事業だけにしぼって考えてもいいとお考えになっておるというふうに伝え聞いております。それにしても、この甲と丙というものはそれによったら違いはなくなってくるのではなかろうかと私は思うのですが、その点はどうでしょう。
  43. 中村四郎

    中村(四)政府委員 甲、乙、丙の補助対象地域についての御質問でございますが、私どもの方といたしましても、補助制度につきましてはなるべく簡略な制度、言葉をかえて申し上げますれば、わかりやすい制度の方がよろしいということについては同様でございます。  そこで、甲、乙、丙の地域制が現在補助制度としてとられておりますもとは、結局その集約化思想と申しますか、統合集約の実が上がって一地域一社でやっておる、あるいは二社ないし系列会社でやっておる、そのほか三社以上複数の会社がある、こういった場合に助成する場合におきましても、他に代替輸送手段がない、いわば唯一のバス輸送であるというものにつきましては、その助成の内容をできるだけ厚くしていく、こういう考え方で現在の補助制度が出発した、かように考えておるわけであります。  しかし、現下の状況等を見ますと、バス輸送の経営の維持ということにつきまして、なかなかそうなまやさしい状況にないわけであります。そこで、われわれといたしましては、甲、乙、丙につきまして、その実体的な効果の面におきまして、ただいま先生申されましたように、乙、丙等につきましてはバス事業そのものの赤字のみならず、全事業の赤字ということが要件にされるということにつきましては、甲種地域と同じように、バス事業そのものがいまどういう状況であるかということに着目いたしまして、それが欠損を生じておるならばこれに助成を加えていくべきじゃなかろうかということで、現在予算要求をいたしておるわけでございます。  また、補助対象経費につきましても、これは現行制度におきましては、営業収支の差額が赤字であればという考え方になっておるわけでありますが、事業経営上、先生も御存じのように、利子負担というものは相当大きな負担になっておるわけでありまして、したがって、経常収支についての、いわば経常欠損につきましてこれを補助対象の経費として考えるべきじゃなかろうか、そういうことも今回の要求としては考えておるわけでございます。
  44. 野坂浩賢

    ○野坂委員 じゃ、こういうことですね、営業費用といままで言われておったものには、営業外費用である利息は算入していなかったけれども、来年度は金利部面も営業費用の中に入れて補助対象として考えるということですね。  それから、いまの丙種の場合の補助は営業費の四分の一なんです。甲、乙は三分の一と決まっておりますけれども、いま歴史的な維持対策というものの起源を考えてみると、集約化をさせるための措置だ、こうおっしゃっておる。しかし、一地域一社というふうになろうとしてもなかなかなれないところがありますね。このバス事業というものは、あなたのところが許認可権を持つ、いわゆる認可をするという公共事業です。ところが、一社が全体をやって、改めて次の会社がやる場合にはどうしても競合しますね。だから競合率というのは、後から認可を受けた会社は八〇%なり九〇%になる。いわゆる採算のいいところに入っていく。不採算のところは、前からおるところは公共事業なるがゆえ持っておる。だからこれは競合率は三〇だ。競合率が二〇%以下になかなかなりませんから、乙にならぬ。こういう場合は、甲以上に丙というものは厳しい。たとえば単独路線の運賃値上げはできるけれども、競合路線の運賃の値上げはできない。だから、同じ会社が同じキロ数を走っても、単独路線の場合は運賃は競合路線よりもある程度高い。住民側から見ると、こういう奇異な感に打たれる場合が全国的にたくさんあります。  したがって、そういう諸問題が絡んでおりますから、この際、丙というものは、一応つくったのですけれども、やめて、その実績と矛盾から考えて甲一本にやっていく、そして集約化を進めていくことの方か  いま路線を切るという立場から見れば、国の政策として大胆にやって住民の足は守っていく、このような政策を打ち出すべき時期だと考えておりますが、政務次官は政治家ですから、そういう大局に立ってどのようにお考えですか。
  45. 阿部喜元

    阿部政府委員 過疎バスの問題は、いま先生のお話のとおり、人口の少ないところで競争をやる、赤字になる。赤字だからやめてしまうと、通学する子供が乗れなくなる。これは大変な問題でございまして、これは理想を申しますと、いまお話のありましたとおり、つまらぬ競争をやめて統合していくことが私はいいと思います。ただ、これを統合するのは理想ですけれども、社長が二人のやつが一人になる、関係している金融機関が違う。言うはやすくして、なかなかむずかしいだろうと思いますね。だから、そういう理想論よりも、現実をどうするかという問題が起こっているだろうと思うのです。あした、どうするか。理想に向いては前進しなくてはなりませんけれども、今日困っておる問題をどうするかということを、あわせ考えねばならないのが現実論ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  46. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうなんです。政務次官がおっしゃるとおり、今日的課題なんです。だから私は、いま切られていく、通学通勤に影響がある、そしてお年寄りが乗れない、こういうのを守っていくために、今日的にこの甲、乙、丙というものは甲一本化にしようじゃないか、こう言ってあなたに提言をしておる。内容的にはこの甲も乙も丙も、四分の一、三分の一という問題はございますが、ほとんど中身に変わりはないということになれば、それでもいいじゃないか。  自治省の交付税課長にお尋ねしますが、言うなれば、いま過疎バスでその市町村が補助金を出し、県が出して、国が出すという対応の仕方ですから、市町村には特別交付税というかっこうであなたの方が出されておる。しかし交付税というものは中村とか阿部とか、そういうふうに名前が書いてついてきませんから、一応自分の財源ということになると、財政窮迫の折から、このバス問題が明確になってこない。なかなか出しにくい、渋っていく、こういうのが市町村の実態であろうと思うのです。だから、それらについてもっと行政指導を強めて、この特別交付税は過疎バス分だというようなことがはっきりできないかどうか。そうしなければ、たとえば企業側や組合側がその市町村に行っても、一遍回ってワンと泣け、もう一遍だ、こういうようになると、それよりも切った方がいいじゃないか、住民は欲しいと言う、そういうような入り組んだかっこうが出てきて、非常に問題がある。その点については明確にできないか、もっと行政指導を強めていくということにならないかということが一つ。  それから今日の補助政策として、自治省から見て本当にバスを守っていかなければならぬということであるならば、この現在の補助政策というものは改めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるかどうかということ。  三番目は、この補助政策ということよりも、これは中村局長にお尋ねしますが、全体のいまの補助政策から、この路線は必要だ、この路線も必要だということを運輸省の陸運局、陸運事務所が審議会等を開いて聞いて、それに対して委託的な方向、今日的課題ですが、委託制度という、補助政策から委託政策に切りかえて、これをやれというようなかっこうで事業を守っていくというふうな方が円滑ではないかというふうに考えておるわけでありますが、その点はどうでしょう。
  47. 今井実

    ○今井説明員 二点お尋ねがあったと思いますが、一点の特別交付税の関係でございます。お話のように、過疎バス対策の市町村の負担分につきましては、特別交付税で十分なる財政措置をいたしております。しかしながら、先生御承知のとおり、交付税は普通交付税も特別交付税もそうでございますが、これは一般財源として地方団体に付与するものでありまして、交付税法にもはっきり書いてございますが、条件をつけたり、あるいは使途を制限してはいけませんというふうになっておりまして、ここに自主財源を与えるという制度の基本的な性格があるものですから、特別交付税の交付に当たりまして、いわばひもをつけるというふうなことは不可能でございます。しかしながら、過疎バス対策は、地域住民にとりまして日常生活上不可欠なものでございますので、地元の市町村といたしましては、これを特別交付税で措置したところに従って支出するのが通常の姿であろうと思います。お話のような事例があるといたしましたならば、私ども具体的に当該市町村の状況を、県等を通じて十分事情を聴取いたしまして、善処してまいりたいというふうに考えます。  それから第二点の補助制度のお話でございますが、補助制度と一口に申しましても、具体的に中身が分かれるかと思いますが、基本的には、地域住民に非常に密接な関連を持つ事業でございますので、現在のように、国と県と市町村が三者相提携してこれを進めていくという仕組みは間違っていないというふうに考えます。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官がちょっと席を外されるそうですから、聞いていいですか。——あなたがいま今日的課題の問題をやらなければならぬ、理想はいろいろ追っていかなければならぬけれども、いまの問題をどうするんだ、こうおっしゃつた。私は鳥取県の出身なんですが、鳥取県には日本交通というのと日ノ丸自動車というのと二つあるわけです。それの問題をいま例として挙げますと、日ノ丸が一番初めやっておった。日本交通が入ってきた。だから競合というのは、後から入るところが必ず競合になりますね。不採算路線もとる。問題は、一つは金融ですね。社会党は、陸上交通の四法案を出しておるんですけれども、あなたの方がまだ乗ってこないためにそれが出てこない。だから、そういう金融措置をまず当面つくらなければいかぬ。  それから、いま社長が二人おってなかなかむずかしいとおっしゃっておられるとおりむずかしいわけですから、やろうと思ってもなかなかできないと言う。だから、競合路線だけはやはり調整をして、全体を見て、不採算路線にも両者が行くとか、そういう競合調整をやらなければならぬじゃないか、こういうことが二点目ですね。これについては、二点目の問題は県自体がやろうとしておりますけれども、それは国が大体許認可をするわけですから、やはり国が根源としては一番責任だ。だから、私たちの県議会では、国の運輸行政の指導が不備である、こう言って決議文に出しているわけです。だから、それについては、国が積極的に安定経営ができるような競合調整をやはりやっていく、そういうことはやれないか。だから、金融とそれについては、政務次官どのようにお考えでしょうか。今日的な問題です。
  49. 阿部喜元

    阿部政府委員 競合するところを統合せいということは、いま具体的なお話を聞きましたが、私の選挙区でも、人口の少ないのにつまらぬ競争をやっているのを目の当たりに見ております。これは本当に理想から言いますと、合併してやればいいのに、目先の競争だけやって、地元発展の観光事業も何もやれない。やはり交通関係というのは、社会的に一つの地域開発の使命を持っておると私は思う。そういう点からも、これはやはり合同していくのが理想と思いますが、これはそういうことが理想ですと言っても、現にあしたどうするかという問題が起こっておる。そういうことで六十八億の去年のバスの補助を八十六億と二割増の要求をいましておりますのも、理想を追いつつ今日のそういうものを少しでも助けていかなくてはならない。これはやはりさしあたり並行していかなければならぬと思いますが、やり方にはいろいろあろうと思いますが、これは独裁政治ならいざ知らず、政府が、あなた方合併しなさい、こう言って命令するということもいかがかと思いますので、やはり知事なり県議会が地域の発展を考えて、そういう熱心な土壌をつくって、やはり政府関係を持ちながら大所高所からひとつ理想に向かって前進していくという以外に道はないのじゃなかろうか、かように思います。
  50. 野坂浩賢

    ○野坂委員 話としてはわかるのですが、私はそういうことを言っておるわけじゃないのです。政務次官のお話は、県知事や県議会にやってくれ、連絡は受ける、こういうことでは問題は解決にならぬ。あなたのところが許認可をするのです。事業は県知事が許認可をするわけじゃないのです。だから、もとの問題はあなたのところだ、いわゆる政府だ、運輸省だ、これははっきりしておるわけです。だから、統合ということはなかなかむずかしい、今日的課題として。だから、競合しておるそういうところは調整をしていく、いわゆる単独路線化を図っていく、このことはやはり集約化なり競合をできるだけ少なくしようとする運輸省の政策と一致しているわけです、私が言っておるのは。だから単独路線化、競合調整のために運輸省が積極的に推進の役割りを果たしていく。たとえば自動車局長も出ていく、陸運局長も出ていく、そういう指導的な立場に立つべきだ、こういうことを言っているわけです。その点どうですか。
  51. 中村四郎

    中村(四)政府委員 競合路線の調整の御質問でございますが、私どもの方として実際に腰を引いておるというようなことはございませんが、競合路線の調整の問題を考えますと、かつて戦争中に陸上交通事業調整法という法律によりまして、統合合併というのをやや力によりまして実現をしたわけでありますが、その後の自動車の発展に伴いまして、公正競争を確保するということで複数化路線というものがどんどんふえてまいったわけであります。現下を見ますと、逆にこういった複数化路線、競合に伴うロス、メリットも多分にあるわけでありますけれども、ロスもある。そこで、この競合路線をできるだけバス経営を維持するという意味合いから、大乗的見地に立って調整していくということは、先生御指摘のように必要なことであると考えております。ただ、競合路線の場合に、考え方としてはそうでございますが、交通系絡上の利用者の利便の問題、これはある区間だけ切ってしまう、あるいは回数を減らすというふうになかなか端的にはまいらないわけであります。そのほか、関係事業者間の収支の問題とか労働者の雇用の問題とかいろいろあるわけであります。そういうむずかしい問題を踏まえながら、われわれとしては競合路線の調整ということに努力したいと思っております。  お話しの日ノ丸と日本交通の件につきましても、本日も鳥取県の過疎バス協議会が開かれておる。これは私どもの方としましても、正規のメンバーは陸運局の自動車部長になっておりますが、陸運局長みずからも参加をいたしまして、この問題について県当局と連携をとりながら対処していこう、こういう考えでございます。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官お出かけになりましたが、いまこの日ノ丸自動車というのは、ことしの一月のときの欠損赤字が十四億、いま十八億です。だから借入金というのは大体三十億円。そうしますと、わずかの補助金をもらってもとても不採算で合わぬから全部切っていくというかっこうで、五十路線十九区間出しておるわけですね。これだけでは、四分の一ではとても足らぬ。三分の一というようなかっこうになればある程度やれるかもしらぬ。しかしそれは競合率の関係と二社の関係、いまやろうと思ってもできぬと阿部さんが言ったように、今日的課題としてはなかなかむずかしい。それならば、そういう状況のところはやはり丙というものは甲に上げていく。しかも結果的には同じだというふうな議論がありますが、いま今井さんがおっしゃったように、交付税なり特交というものは看板がついて行かぬわけですから、自主財源、一般財源になっていくわけですから、なかなかそれも出しにくい。そうなれば切っていくというような、結果的にそういう悪循環がある。だからわれわれが頭の中でいろいろ考えて、補助政策から委託政策に変えて、だからこれをやれというかっこうでバス会社がやっていくということになれば、いわゆる代替バス運行で地方自治体がやって赤字を出すというよりも、もち屋はもち屋で、むしろその方が日本全体からながめてみればプラスだというふうな判断にしか立てないというふうに思うわけです。だから、事前に大蔵なりいろいろ聞いてみると、この補助制度をまず変えて、過疎バスを本当に維持するためには、一応丙というものは一本化をして甲にならした方がいいではないかというふうに、丙になっておるところは甲以上にたくさんの問題があるということは局長が一番よく知っていらっしゃるわけですから、そういう点を十分考慮していただいて、いまある程度全事業からバス事業だけにというところにしぼられたんですが、その点をさらに、やはり安定経営ということを図るためにそのような補助政策に切りかえたらどうかということが一つ。  それからこれの車両購入費の関係ですけれども、あなた方はたとえば補助をやる場合に、ワンマン化をやれ、合理化をやれ、こうやって厳しく言っておられるわけです。突き詰めると、余り厳しくは言っておらぬとおっしゃるけれども、内容的には相当厳しいものがありますね。それでこの日ノ丸もやむを得ぬ。あなた方の方は昭和五十五年までに八五%やれとおっしゃっておるわけです。泣きながら八一%までことしの十二月でやるわけです。あとは自動車の道路が悪いためにできない場合がありますが、あとはあなた方がおっしゃるとおりやっておる。しかしそれでも赤字を来さなければならぬということになれば、やはり補助制度があるやなしやの補助政策ではなしに、そういう姿に変えていく時期だ。阿部政務次官の言葉をかりれば、今日的な問題で処理しなければならぬ段階に来た、こういうふうに私は思います。社会党も思っております。だからそのような政策をこの際実施してもらうべきだと思うのですが、どうでしょう。
  53. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どももこの補助制度につきましてこれを前進させまして、そして過疎バス対策として助成の全きを期したいということで、今回の先ほど申し上げましたような予算要求をいたしておるわけでありまして、やりたいことはいろいろあるわけであります。乗車密度五人未満の路線につきましても、あるいは市町村廃止代替バス路線につきましても、いろいろの制度改定の要望を行っておるわけでありまして、で、先生がいま申されました、私どもの方といたしましてやはり基本に集約化的な思想がある。しかしそれにとらわれておりますと前進がありませんので、それに基づいての効果として出てくる事業単位の赤字の問題とかあるいは営業収支、経常収支の問題とかそういったところを改善を加えまして、それで実態的に先生がおっしゃったような甲、乙、丙というような地域区分というものを一歩でもこれを区分の境を薄くしていくということを考えておるわけでございます。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 区分を薄くしていくということは、これは矛盾があるからなくしていきたいということだと思うのです。だからもう一歩前進をして、たとえば丙は甲並みにする。補助率の限度額は三分の一までにはする。三分の一にしてもらって、来年度は全体が二分の一というようなかっこうになれば、過疎バスというものは守られていくだろう、私はそう思うのです。その点については、前進的に考えてもらえるかということが一つ。  それから車両購入で、あなた方が先ほど言ったように、ワンマン化をやっております。これは自動車のかっこうを直さなければいけません。それはたとえばワンマン機器とか中古車の改造というのを車両購入の中に入れてもらわなければ、このあなた方の言うこととやること  金がよけい要るわけですから、それについては当然補助対象の中に入れる。そしてこれも丙は七百五十万円掛ける〇・九ですかの二分の一ということではなしに、甲並みにやはり変えてもらう、こういうぐあいにしてもらいたい。特に甲よりも丙のところの対象のバス会社というものの方がむしろ経営は悪化しておるという、この現実を踏まえて対処してもらわなければならぬ、こういうふうに思うのです。その点はどうでしょう。
  55. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもの方としまして、バスの経営を維持していくという場合に、これができるだけ競合路線がなくて、しかしまた反面独占の弊に陥らないように監視の目を加えていくということが必要だろうと思います。そういった見地から考えますと、やはり一方において競合路線の調整ということをやりながら、いま先生がお話しになりましたような集約化思想との調和を図って、その補助制度の是正と申しますか、そういった方途をとっていくということが考えられるわけでございます。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大分前進的になったのですが、この車両購入費、ワンマン機器その他について、細かい問題ですが、それは補助対象になりますね、してもらえますね。
  57. 中村四郎

    中村(四)政府委員 車両購入費の補助のワンマン機器のことにつきましては、これを対象にすべく努力いたします。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 中古車の改造もですね。同じことでしょう。
  59. 中村四郎

    中村(四)政府委員 車両の購入費ということで、中古車にワンマン機器を備えるという場合に、そのワンマン機器については対象に加えることを考えております。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、政務次官がおいでになりましたので、時間が私は来たようですから。  いまいろいろとお話をいただきました。これから前進をして過疎バスは守っていくという方針が自動車局長から打ち出されたわけですが、あなたがおっしゃる今日的な課題の問題は、当面金融問題ですね。金融問題については十分運輸省としてはそれに対応する、ほとんどみんな経営は悪くなっておりますから借りられるだけは借りておる、だから長期低利の金に切りかえていくという必要があると思うのです。それについては、わが党は金融制度の法案を出しておるわけです。あなた方の方が応援をしないというところに問題があるわけですが、当局になられて、運輸省は積極的に金融対策をやってやる、そして過疎バスを守っていく、こういうことをやってもらえますか。
  61. 阿部喜元

    阿部政府委員 非常に貴重な御意見であることはよく承知しておりますが、それではひとつ運輸省で金融を即座にやりましょうということはいますぐ申しかねますが、先生の御意思を体しまして、いろいろ検討していきたいと思います。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 住民の足を守る、そして交通全体の姿をながめてみて、バスはその輸送機関の中枢に置く、この基本方針に基づいて既設のバス企業、私企業であっても公共事業である、その公共事業を切っていく、住民の足をみずから切っていくということに対する歯どめを運輸省としてはこれから進めていく、こういうことはお聞きをしたわけですが、その切っていかざるための——切っていく現状としては、たとえば私の県では丙種であるがゆえに、それ以上に赤字が累積をして切らざるを得ない、そのためには丙を甲に切りかえていく以外にない、こういうふうに私は考え中村局長もできるだけその格差は縮めていく、将来それに持っていくというふうなお考えであると理解をしておるわけですが、一日も早く御検討いただきまして、過疎バス対策が確実に守られて住民の足というものが完全に確保される、こういうことをお願いをすると同時に、今日的な課題としていま政務次官がお話しになりましたように、第一点は、とりあえず金融をつけなければ年末は問題であろうと思います。  第二点は、われわれのところは二社競合しておるわけですから、その不採算路線も含めて競合調整をどうやっていくか、このことを積極的に県をむしろ指導し、そしてみずから乗り出して、これらの問題の関係を調整してもらう、そして経営基盤の安定を図っていく、このことが第二点です。  第三点は、制度改正を、いま中村局長が将来の展望と決意を述べられたように、その補助率というものを全体的に高めると同時に、丙をなくして甲種一本化方向というものを大きく打ち出していただくように特に期待して、前進的な姿勢と決断を運輸省当局に求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 太田一夫

    太田委員長 次に、井上泉君。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 交通事故の件数というものは、死亡事故がただいまちょうだいした統計書を見ても、五十年度は、前年度よりは確かに減っておるわけですけれども、連日どこかでやはり死亡事故が発生しておることはまことに痛ましいことでありますし、そういう点からも、交通安全対策というものはまだまだ積極的に取り組みをせねばならないことだと思うわけであります。その中で私は、自動車の整備が不十分なために起こった事故、これ等も相当あるわけなんで、まずその点をただしていきたいと思いますが、最近指定整備工場に不正事件が相次いで発生しておるが、これらに対してどのような措置をされたのか、最近の事件の概要等を含めて警察当局から御説明をまず承っておきたいと思います。
  65. 勝田俊男

    勝田政府委員 現に捜査中の事件もございますので、ごく概要を御報告いたしたいと思います。いずれもいま御指摘の、県の陸運事務所職員が便宜供与等による不正行為を行って金品を収受した事件ということになるわけでございます。  山形の例を申し上げますと、県の陸運事務所の検査官が継続検査に際しまして認証整備事業者及び運転手等から請託を受けまして、検査を実施しないままに車検証を発行する等をして金品を収受した。  埼玉の事件でございますが、埼玉県の陸運事務所の車両課員一名が、自己の担当する自動車の車体検査に便宜な取り計らいを受けたい趣旨のもとに整備業者から金品を受けたものでございます。  三重県の関係でございますが、三重県陸運事務所の検査官等が、自動車分解整備事業場に対する立入監査に際し、好意ある取り計らいを受けたい趣旨のもとに事業者から金品を収賄したものでございます。  徳島県陸運事務所の専門官一名が、指定整備事業の申請に対し、好意ある取り計らいを受けた謝礼として申請業者から金品を収受したものでございます。  長崎の例でございますが、長崎県陸運事務所の専門官一名が、指定整備工場の検査監督に際し、自動車検査証のない車両を発見し、これに便宜ある取り計らいを受けたい趣旨のもとに業者から供応を受けたものでございます。  沖繩の例でございますが、沖繩県陸運事務所の登録官一名が、すでに廃車した他人の抹消登録済み自動車を利用して中古自動車の新規登録に使用する抹消登録証書の入手方を依頼され、その請託を受けて金品を収賄したものでございます。
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう相次ぐ不正行為が各所にあるわけですが、現行の車検制度から見て、適正に車検をやればかなりな時間的なものが経過するにもかかわらず、ほとんどフリーパスのような形で車検を通しておるというようなことで、その指定自動車整備事業に係る不正行為の防止ということで自動車局長は陸運局長に通達を出し、そうしてまた、自動車振興連合会長等にもそれぞれそういう通達を出しておるのですが、その通達の行方というもの、通達を出して、その結果そういう整備工場の不正事件に対してどれだけの効果があったのか、追跡調査をされたことはあるのですか、自動車局長、ひとつ答弁願います。
  67. 中村四郎

    中村(四)政府委員 ただいま警察庁から御報告ありましたような事件が発生いたしまして、われわれといたしまして非常に反省し、まことに遺憾に思っておるわけであります。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕 この点につきましては、自動車局長といたしまして、地方の陸運局長に対しまして、この指定整備工場の監督業務の厳正な執行につきまして厳重な注意を喚起いたしますとともに、指定整備事業にかかわる不正行為の防止につきまして、関係団体を含めて注意事項を厳重に守るように指示いたしました。  現在新しく実施に移している面につきまして、このフォローアップをどうしておるか、こういうお話でございますが、私どもの方といたしましては、そういった考え方に基づく業務執行、指定整備事業の遂行につきまして、抜き打ち的な監査によって、その是正がどういうふうに図られているか、業務執行が適正になっておるかどうかを監視してまいりたい、かように考えます。
  68. 井上泉

    ○井上(泉)委員 まいりたいと考えておるそうでありますけれども、それならまだやってないわけですね、こういう通達を出して以後、そういう抜き打ち監査等はやっていないわけですね。
  69. 中村四郎

    中村(四)政府委員 すでにそういった抜き打ち的な監査に入っております。ただ、これは全般的に、ただいま先生申された御趣旨に沿って、一定期間においてこういう状況でありましたというふうにまとめるところまでまいってないという趣旨で申し上げましたわけでございまして、私ども通達を出して、出しっ放しでということではありませんで、それに基づいて実施に入っております。
  70. 井上泉

    ○井上(泉)委員 役所はよく通達を出したり指示をしたりするが、そのことで一つの行政責任が果たされたような考え方でおるわけですけれども、自動車の整備工場で検査を受ける、ところがその場合に整備料金というものが整備工場によって非常に違うわけです。甲の整備工場では非常に多額に取られたという事件がある。あそこの車はこれだけの価格でも結構料金を払ってくれるだろうというように、いわばその整備工場の気ままな料金で整備料金というものが定められておるわけですが、やはり交通安全を確保する面からも、整備料金の適正化ということは、これは医療診療の基準を決めるというのと同じようなもので、非常に大事なことだと思うわけですが、これに対して運輸省自動車局の方ではどういうふうに指導をなさっておるのか、承りたいと思います。
  71. 中村四郎

    中村(四)政府委員 自動車整備事業にかかわる料金につきまして、まず第一に、中小企業近代化促進法に基づきまして自動車分解整備業近代化計画というものを樹立し、ずっとこれを五カ年計画で更新しながら事業の資質の向上を目指してやらしてきておるわけでありますけれども、その場合に、まず整備原価の的確な把握に基づきます料金設定ということ、それから料金原価をできるだけ抑制いたしまして、廉価な料金を収受するということで、そういう指導推進をやってまいってきておるわけであります。  他方、顧客、利用者との関係におきまして、先生御指摘のように、整備料金が不明確でありますと、いたずらに自動車使用者から不信を招くことになりますので、私どもの方としましては、受注に際しましては、まず受入検査と申しまして、概括的にどことどことが整備すべき個所であって、そういう個所を点検整備しますとどのくらいの額になりますということをお客さんに示しまして、そうしてから車両の引き渡しを受けて受注契約を結ぶ。そうして車両を引き渡す際におきまして、どういう作業内容であるか、料金内容であるかということを掲示いたしまして、そうして顧客が整備料金について十分理解し得ると申しますか、納得し得るような状態にさせる。それから、通常行われますところの標準的な整備作業につきましては、その金額を顧客の見やすいところに掲示させるというようなことにつきまして指示して、現在もそれを遵守させ、実施に移さしておるところでございます。
  72. 井上泉

    ○井上(泉)委員 標準的な整備料金というようなものを運輸省の方で定めて、一般の整備を求めたお客に対してわかりやすい場所に掲示をさせておる、こういうことですか。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 中村四郎

    中村(四)政府委員 分解整備事業ないし指定整備事業につきまして、その整備料金について運輸省の方で定めるというシステムにはなっておりません。したがいまして、従来は自動車整備振興会が中心になりまして、そういった標準的な料金についての作業を行いまして、そして会員にそれに基づいての指導を行っておったというのが状況でございます。
  74. 井上泉

    ○井上(泉)委員 整備振興会はそれを現在も行っておるのですか、行ってないのですか。
  75. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私の聞いたところによりますと、事業者団体がそういった整備料金について標準的な料金を指導するということにつきましては、独禁法の問題があるということで公正取引委員会の方から注意を受けたというふうに聞いております。
  76. 井上泉

    ○井上(泉)委員 公正取引委員会はなぜそういうふうな注意をして、一般の自動車整備を求める人たちが公正な料金で整備を受ける、そういう便利というものを奪うのですか。公正・取引委員会の見解を聞きたい。
  77. 土原陽美

    ○土原説明員 お答えいたします。  日本自動車整備振興会連合会及びその傘下の地区振興会におきまして標準作業料金というものを定めておりましたが、これは独占禁止法第八条第一項第一号、この規定は競争を実質的に制限することを禁止している規定でございますが、この規定に違反するおそれがございましたので、連合会に対し警告をしたわけでございます。
  78. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それではその公取の決定というものは、整備業界の過当競争とかあるいはまたダンピングによる手抜き整備を奨励するようなもので、安全第一をモットーにする自動車が凶器となって人身事故を起こす要因となりかねないのに、そのことを何も考慮せずに、ただ独禁法第八条に該当すると思われるからというようなことでこれをしないようにという指導をされるということは、余りにも法解釈というものを一方的に解釈しておるのではないかと思うのですが、そういう現状についてどういう見解を持っておるのですか。
  79. 土原陽美

    ○土原説明員 独占禁止法は公正かつ自由な競争によりまして、できるだけよい製品をできるだけ安い価格で供給するということを目的にしているわけでございます。したがいまして、自動車整備業界につきましても、各事業者がそれぞれ自己の判断と責任におきまして整備技術の向上を図る、あるいは良質のサービスを提供する、かつ適正な料金を設定するということを期待しているわけでございます。
  80. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは正当な競争をする、サービスをするためにも運輸省なりあるいは整備振興会が、たとえばシャフトの取りかえがこれだけ、その前のバンパーの取りかえがこれだけという一つの目安を決めることがどうして公正取引の独禁法の第八条に違反するのですか。バスやタクシー、トラック等、料金はちゃんと決めてやっておるでしょう。それからまた、それが認可料金といっても、あるいは環境衛生組合では、散髪料金だとかあるいはまたパーマ料金だとかいうようなものは地域ごとに決めて、それから以下でやるところもあれば、あるいは特別なものを使うことによってそれに加算をした料金を取るところもあるし、やはり私は、政府の行政の措置としては、整備に対してはこれだけの料金が適正、普通の場合においてはこれだけが適正であるというように指示するのが当然ではないかと思うのですが、公取は余りにも独禁法違反ということに固執をして、大事な交通安全対策というものについての結果というものを余りにも無視した、そしてまた現状認識をしてない考え方にあるんではないですか。
  81. 土原陽美

    ○土原説明員 独占禁止法は、法律によりましてその適用が除外されていない場合には原則としてすべて適用があるという考え方になっておりまして、バスやタクシーの料金は、御指摘ございましたように、認可料金になっておりまして、独禁法の適用除外になっているわけでございます。そういうような適用除外になっていない分野につきましては、価格協定を結ぶということは独占禁止法に違反するという考え方になっているわけでございます。  従来から私ども公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する価格協定、料金協定等がございましたときには厳正に対処するということをやっておりまして、整備料金の問題に限らず、また御指摘のありました美容、理容の関係に限らず、あらゆる業界におきまして独占禁止法上問題になるというような行為がありましたら、これを是正していくという考え方をとっているわけでございます。
  82. 井上泉

    ○井上(泉)委員 独占禁止法を担当しておる公取委員会というものは一体だれのために存在をするのか、こういうことを考えたならば、やはりこれは国民のために存在をしておる。そういう場合に、自動車の整備をするいわゆる自動車使用者側から見れば、整備料金がダンピングされることにより、あるいは価格が不統一なために整備の手抜きをしたりすることによって自動車の安全確保、あるいは公害防止上の重大な問題が惹起するというようなことから考えて不当料金というものを判定をするためにも、運輸省が自動車整備振興会等と話し合って、一定の目安料金を決めるということがどうして独禁法の違反になるのですか。もしそれが違反とするならば、それは改正をしなければならぬじゃないですか。
  83. 土原陽美

    ○土原説明員 自動車整備につきまして、必要な整備を確実に実施するということは、これは事業者としてのむしろ当然の責務であると思います。それは価格が安いか高いかという以前の、むしろ商道徳に属するような事項ではないかというふうに考えます。
  84. 井上泉

    ○井上(泉)委員 価格が安いか高いかといっても、一般の消費者、自動車の使用者の人たちは、どれだけの経費がかかるものかわからないから、やはりお医者にかかってこれをこうやれば何点の医療費を取られる、歯医者の治療でも同じことで、いま厚生省と歯科医師会が歯科医療の基準というようなことで一生懸命もんでおるわけですが、やはり住民の自動車使用者が安心して整備ができるような条件を与えるようなことをするのが当然であって、商業道徳だが、商業道徳が乱れておるから、だからダンピングが行われ、手抜きが行われ、そうしてまた整備工場における不正行為というものも発生をしておるのでしょう。そういうふうないわゆる不道徳な行為をする者、あるいは不正な行為をする者、それを防止するために法律があり規則があり、一つの目標、目安というものがあるわけなので、そのことを運輸省なり整備振興会なりがつくるということ自体が、公取の立場から見て誤った行き方だ、そうお考えになっておるのですか。
  85. 土原陽美

    ○土原説明員 事業者団体がメンバーの事業者の原価意識を高めるとか、あるいは経営指導を一般的にやっていくということは独禁法上問題ないと思いますが、本件で問題になりましたように、全国的な事業者団体の場におきまして統一的な料金というものを設定していくというのは、やはり弊害が出てきて独禁法上問題が生じるのではないかというふうに考えております。
  86. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これはこの問題で論議するとずいぶん時間がたつわけですから、私はもう一回公取に見解を問うておきたいと思うのですが、国民が必要とする、国民が要求をする、つまり自動車の使用者が、どうもそういう目安を決めてもらわぬと、どこそこの指定工場に行ったらこれくらい取られた、おれのところはこれくらい取られた、こういうことになるし、それはやはり整備する人の技術料というものはあるわけですから、そこで多少の増減はあっても、目安というものは、私は当然国民に対して、運輸省なりあるいは運輸省指導する整備振興会あたりが目安を決めるのは当然だと思うわけですが、その当然と思うことが当然でないとあなたは考えておるのかどうか、そのことを一つお聞きをしたい。それで運輸省の方としては、そういう目安料金を定めるということが、整備行為をする上においても整備工場を監督指導する面においてもその方がよいとお考えになっておるのか。あるいは公取の言うように、それは独禁法に違反するからだめだというように、法にあるからだめだということで、法にあるからだめなら、それが悪い法なら改正するのが当然だと思うわけなので、その点について両者の意見を承っておいて、次の機会に改めてまた問いただしたいと思います。
  87. 土原陽美

    ○土原説明員 本件の整備料金につきまして、私ども実態調査をやったわけでございますが、その結果を見てみますと、やはり標準料金というものが協定料金と同じように相当利用されておるという実態があったわけでございます。そういうようなことで、やはりいまの連合会の設定しております標準料金というのは行き過ぎであるというふうに判断したわけでございます。
  88. 中村四郎

    中村(四)政府委員 先生るるおっしゃったように、整備料金について目安があるということは、利用者との関係におきましては便利であると同時に、利用者は何分整備そのものをどこまで詳しく知っておるかという問題もありますので、必要なことだろうと思います。そのことにつきましては、先ほど申し上げましたように、受入検査なり受注契約なりあるいは店頭掲示なりによって利用者との関係を明白にしていく、それから料金についても納得を得られるようにしていく。ただ問題は、事業者団体においてそういう行為をすることについて、公正取引委員会の方から見解が示された、こういうことでございますので、私どもの方としては従来の指導の方針のもとに、独禁法に直接触れるということでなくこの問題については考えていきたいというふうに思っております。
  89. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは公取に要求をいたしますが、いまいろいろ実態調査をしたところどうも不都合な点がずいぶんある、こういうような話をされたのでありますが、ひとつ実態調査の内容を報告をしていただきたいと思うので、その点委員長、取り計らいを願います。
  90. 太田一夫

    太田委員長 これは質問者にお尋ねしますが、後で資料として提出をすればよろしいということですね。
  91. 井上泉

    ○井上(泉)委員 はい。
  92. 太田一夫

    太田委員長 取り計らわさしていただきます。
  93. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、やはり整備に関連をするわけですけれども、特定給油所の中には、自動車の定期点検整備の資格要件を具備してないにもかかわらず、ステッカーを張っているというようなところもあるということを聞くのですが、その実態を運輸省では把握をしておるのか、あるいはまたそういうことに対して指導を怠っておるのか、あるいはまた給油所において保安基準に定めた以外の自動車用品の販売、取りつけ等を行っておるというようなことはないかどうか、そういう実態調査というものをなさっておるのかどうか、その点について御意見を賜りたいと思います。
  94. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 特定給油所におけるところの点検整備でございますが、これは特定給油所におきましては六カ月点検を実施いたしておるわけでございます。定期点検の普及のために自動車の製造、販売、整備並びに使用の各団体が一体となりまして、日本自動車整備振興会を幹事組織といたしまして、定期点検の実施の促進を行いますために、この定期点検の普及運動をやっておるわけでございます。その一環といたしまして特定給油所が六カ月点検を行っておる。十二カ月点検につきましては、分解整備を伴いますので、認証工場でないと実施できないということになっております。  そこで、特定給油所におけるところの点検整備の実態でございますけれども、これにつきましては、特定給油所の組織する団体並びに日本自動車整備振興会が相協力して、その実態の監査をいたしておるということでございます。それらの状況について私どもも報告を受けておりますが、中には十分でないという声もございまして、その辺のところの内容の実態の確認、これをいたすべくただいまその体制推進をいたしておるところでございます。
  95. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう自動車の整備についても、激増する車両の状態、事務量から考えましても、運輸省の出先の陸運事務所の者としては大変だ、こういうように私は思うわけでありますが、しかし、大変ではあっても、やはりなさねばならないことはやらなければならぬ、こう思うわけなので、そういう点については十分ひとつ指導し、安全な整備がなされるように、そして確実な整備がなされた車が運行されるように、あるいは整備不良車等が運行しておってそこで事故でも起こすということになると、やはり検査をした役所の責任、こういうふうに言わざるを得なくなってくるので、十分な検査体制をしいていただきたいと思うわけであります。  その次に、最近長距離トラックにおきます運転者の過労と思われるような事故が相次いで起こっておるわけです。先般も北海道から九州に至る長距離トラックが名神高速道路上で追突をして四名の死亡事故を出した、あるいは高知県から福島県かどこかに送っておる車が兵庫県で事故を起こして二名が死亡した、こういうようなことが発生をしておるわけですが、運送会社の労務管理といいますか、こういうようなものをどういうふうに当局考えておるのか、運送事業者に対して運転者のいわゆる服務基準といいますか、そういうものをどういうふうに指導しておるのか、その点承っておきたいと思います。
  96. 中村四郎

    中村(四)政府委員 従前は区域トラックと申しますと、大体府県単位で運送行為が行われておったわけでありますが、最近非常に長距離にわたるようなトラックの運行ということが出てまいりまして、それに伴って、ただいま先生御指摘のような過労運転によるところの重大事故というものが発生したわけでございます。  私どもの方としましては、運送事業者に対しまして運行管理者制度というのを設けておりますが、これの適正な運用を図りまして、その徹底を期しておるわけであります。しかしこういった事故が今回また生じましたので、今般関係事業者に対しまして、また関係事業団体に対しましても、こういうことが相次いだ場合に、トラック事業に対するイメージが非常に落ちていくということで、重大な警告ないし指示を行ったわけでありまして、一つは、二日以上の運行に際しましての過労防止について、十分考えました運行を運行管理者から指示させる。それから、長距離運行の途中におきまして車両故障等が発生した場合の連絡、処理方法を明確に定めておく。それから、泊まりになる作業でございますので、そういった場合におきます電話等によります仕業点呼の実施を行わせるというような点につきまして、労務管理を含めた安全な輸送体制の確立を強く指示したわけでございます。
  97. 井上泉

    ○井上(泉)委員 労働省にお尋ねするわけですけれども、労働省の方ではこういう過労による事故と思われるような自動車事故等について、いわば労働安全の面からそういう調査をなされたこともあろうと思うわけですが、そういう運送業者の労務管理の状態について最近調査された中で、事故発生をした会社で特徴的なものがあれば、この際御説明を願いたいと思います。
  98. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 お答え申し上げます。  貨物運送を含めます自動車運送事業につきましては、運転手が事業主の事業所から離れまして単独または複数で乗務しているということで、なかなか労働時間、休日等の管理がむずかしいわけでございますが、労働省といたしましては、四十二年来労働基準法よりシビアな条件の労働時間等についての改善基準をつくりまして、これに基づきまして業界を強く指導してまいってきております。  その結果によりまして、徐々にでございますが、労働時間、休日につきましての違反等は減少してきております。しかし、監督機関がこれらの事業所につきまして監督した数が、昨年一年間で大体三千から四千の事業所を監督いたしております。これは主として貨物運送でございますが、何らかの基準法違反というのが二千八百事業所数ぐらいあったわけでございます。これらの違反の中の多くは、労働時間、休日、またはこれに関係する割り増し賃金の違反が高いわけでございます。  なお、最近は長距離運送が非常に目立ってまいってきておりますので、労働省では過日長距離運転手の実態を調査したわけでございますが、これらの調査によりますと、総運転時間が八時間未満であるというのが三七%、それ以上というのが六三%というようなことになっておりまして、特に十二時間を超えて運転をしておるというものが三〇%近く見受けられたわけでございます。
  99. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この際、労働省にお聞きをしておきたいのですが、よくタクシーの運転手では、変則で十六時間ハンドルを握るということが慣例になっておる。そのことは基準法でも認められておるということで、一日十六時間運転をして翌日一日休み、こういうふうなことが行われておるが、こういうふうな十六時間も眠らずにハンドルを握る、その途中で一時間、二時間の仮眠で睡魔を防ぐことができる、そういう判断のもとに、この十六時間のいわゆる変則的な労働時間を認めておるのですか、その点はどうですか。
  100. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 労働基準法では、先生御承知のように、労働時間は原則として一日八時間ということになっておりますが、またもう一つの原則に、四週を通じて平均週四十八時間以内ならどのようにしてもいいという規定があるわけでございます。四十二年の改定基準の中で、余り特定の日に長時間運転をやるということは疲労につながるというようなことで、この四週を通じてというのをむしろ制限をいたしまして、二週を通じて週四十八時間、また一日につきましても、先生おっしゃいましたように、十六時間を超えないというような、むしろ基準法よりもシビアにしたわけでございます。  われわれで考えておりますのは、それは隔日勤務の勤務形態でございまして、毎日十六時間勤務ということは、制度的にも認めていないわけでございます。
  101. 井上泉

    ○井上(泉)委員 次に、自動車保険が最近また値上げをする、保険料の大幅引き上げということが話題になっておるのですが、これは五十年にも値上げして、五十一年にも値上げしておるのですから、また値上げするということになると、これは大変な負担になるわけですが、現在の自動車賠償保険は値上げをせねばならないような、そういう保険会社の状態なのかどうか、その点。
  102. 副島有年

    ○副島説明員 お答えいたします。  自動車保険の車両及び対物の保険につきましては、ただいま井上先生の御指摘のとおり、昨五十年の二月に、車両については三〇%、それから対物につきましては一三%、さらに本年の一月に、車両についてさらに三〇%、それから対物につきまして二七%の保険料の引き上げを行ったわけでございます。その結果、現在、標準の小型乗用車で、対物の場合は百万円につきまして二万三十円、これは免責なし、自己負担なしでございます。それから車両につきましては、やはり百万円につきまして八万一千六百九十円、これは免責が一万円、自己負担一万円と、大変高くなっているわけでございます。  自動車保険とかあるいは火災保険というような大衆保険につきましては、私ども行政当局としても、なるべく短期間にこの見直しを行うということで行政指導を行っておりますけれども、先ほど申しましたように、本年の一月に引き上げたばかりでございまして、この一月の引き上げの結果の保険料の収支については、まだ数字が出ておりません。一説によりますと、業界の一部では、来年早々にも二〇%ぐらい引き上げを考えておるということをうわさでは聞いておりますけれども、私どもといたしましては、データがそろった時期に厳正な見直しを行っていきたいというふうに考えております。
  103. 井上泉

    ○井上(泉)委員 連年引き上げると、今度は十万円を超すような保険料にもなってくるわけであるし、交通事故もいろいろな運動の成果によってだんだん減少の過程にあるわけなので、これ以上保険料を引き上げられることのないように、いま保険部長の言われるように、厳正に対処し、その際にはわれわれに納得のいくような資料をもってこの値上げというものに説明がしていただけるような、私はそういうことを要望しておきたいと思います。  幾つか問いたいわけでありますけれども、時間がありませんので、私は最後に、先般函館空港にミグ25が着陸をした。ちょうどその十三時何分の時点には、札幌行きの飛行機も出るし、あるいはまた大阪から来る飛行機、あるいは東京へ行く飛行機と、その十三時五十七分を前後としてこの四機の飛行機が飛んだり着いたりするわけですが、そういう状態の中で、レーダーが見失ってから二十五分も三十分も経過して突然函館空港へおりてくる、そういうことから判断をして、もしもあのときにこの離着陸の飛行機と事故があったら大変だ、こういうふうに慄然たる思いがしたわけでありますが、こういう事態に対する航空上の安全対策というものは、十分な対応策というものが常時考えられておるのか。  このミグ25が着陸したこと自体を論議するのは、これはする場所でもありませんので、そのことについては、私はここで申し上げませんが、とにもかくにも日本の上空へ入ってきて三十分もの間行方がわからずに、突然函館へおりてきた。その函館へおりてきたときには四機もの飛行機が離着するような時間帯になっておった。そういうことから考えてみますと、そういうことが二度とあってはならないわけでありますけれども、そういう場合における対応措置というものはお手上げであるのか、何か安全対策考えられる面があるかどうか、この際航空局の方からその見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  九月六日にミグが函館におりてまいりましたのは、先生いま御指摘のように十三時五十分ごろでございます。そのしばらく前、十三時三十五分過ぎに一機全日空機が離陸をしておるわけでございます。函館空港は御案内のように、ローカルの空港でございまして、管制官というものがおりません。つまり飛行場管制というものが行われておりません。でございますから、通常の飛行機の出入りというものは札幌の管制部からめんどうを見てやる。飛行場には管制通信官というのがおりまして、これがランウエーはいまあいておるというようなことを適時パイロットと連絡をとるわけでございます。  今回のケースは、先生もいまおっしゃいましたように、非常に妙な話でございますが、ソ連の軍用機でございますので、周波数も何もわからないわけで、これは話のしようがないわけでございます。通常の不時着事故でございますならば、当然管制通信官にコンタクトをとりまして、そしてランウエーはいますいておるというのを確認してからおりてくるというのが手続でございますが、今回の場合にはどうもこのパイロットは全日空機が離陸しているのをどこかで見ておったようでございます。函館の空港の滑走路の上を含めまして、函館市の上空を二、三回にわたって低高度で飛びまして、そうして滑走路の位置、方向あるいは航空機がいないこと等を確認しておりてきたのではないか、これは後からの判断でございますけれども。  したがいまして、ああいうふうなケース、非常に特別なケースにつきましては、積極的に私どもの方から実は手の打ちようがない。外国の軍用機であるということでございますので、話のしようがないというのが非常に問題でございます。二度、三度とあることとも思えませんが、通常の不時着の場合には、前段に申し上げましたように、管制通信官と無線電話をもって十分に連絡をいたしまして、安全を確認しておりてくる、こういうのが通常のしきたりでございます。
  105. 井上泉

    ○井上(泉)委員 もう一点。領空侵犯ということがわかってから三十三分間もたって函館へ着いておって、レーダーにはとらえられなかった。その間どうしておったかということでいろいろ問題もあったろうと思うのですが、いまのレーダーの機能から言えば札幌の方でも見失うようになっておるのですか。素人ですけれども、羽田の方で、私なんか管制塔で飛行機の進入経路その他を見せてもらったときに、いま飛行機はどこへ来た、どこの、上空でどれくらいだとかいうように、大抵着陸寸前までよくレーダーに映るような仕組みになっておるのですけれども、こういう場合にはレーダーでは捕捉ができないものであろうかどうか、非常に疑問に思ったので、私はその点もう一回専門家のあなたにひとつ御意見をお聞きしたいと思います。
  106. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生、羽田の例をお引きになってお話しいただきましたのは、空港のレーダーでございます。函館空港にレーダーがついておりますれば、当然そのレーダーがこの不明機というものを発見をして、これが何であるかということの確認に努力した、こういうふうに思いますが、現在函館空港は、一日に出入りをそれぞれ一便と数えましても二十二便しか飛行機が飛んでいないようなローカル空港でございますので、レーダーを持っておりません。したがいまして、私どもの空港レーダーでこれをつかまえるということは、これは初めから施設がないのでできなかったわけでございます。  それから、航空路を飛んでおる航空機を見るための航空路監視レーダーというものを私ども目下鋭意整備中でございますが、これが函館の少し北側になりますけれども、横津岳というここに鋭意目下整備中でございまして、遺憾ながら年を越しませんと、これは実用にならない。これが動いておりますれば、突然函館の上空に超低空で入ってくるということではなくて、もう少し手前で、その横津岳の私どもの航空路監視レーダーがあるいはつかまえることができたかと思いますが、これも外国の戦闘機ということを考慮いたしますと、果たしてつかまえられたかどうかという点については、多少疑問が残ります。したがいまして、羽田のような大空港におきましては、まさに先生のおっしゃいますように、空港のレーダーが六十マイル遠方から全部飛行機をつかまえておりまして、それと通信を持ちながら、おっしゃるように、まさに着陸の寸前までレーダーで監視をしておるわけでございますので、仮にこういうことが起こったといたしますれば、当然ある程度の距離まで来たときにこれを発見することができるわけでございますけれども、函館のようなきわめて地方の空港であったというようなことから、そういったような施設を持っていなかったということと、それから特に先ほどもお答え申し上げましたように、外国の軍用機でございますので、周波数その他一切、何がどうなっているのかわからないので、話しかけようがなかったというふうなことが、今回突然ローパスをしておりてくるということになったというわけでございます。
  107. 井上泉

    ○井上(泉)委員 終わります。
  108. 太田一夫

    太田委員長 次に、土橋一吉君。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、以下質問をするに当たりまして、今次国会は、ロッキード疑獄の真相究明を中心としてロッキード国会とも言われ、御承知のように、近々灰色高官が発表されるなどと言われております。私は、このロッキード問題の徹底的な究明をすることは国民に課せられた私どもの大きな義務だと考えております。同時にまた、最近の不況、インフレの中におきまして、御承知のように、国民は挾撃を受けまして、経済生活の面でも大変苦しんでおります。不幸にしまして、三木内閣と自民党は、御承知のようにロッキード問題の公表については非常に後退を重ねまして、あと二日かそこいらで発表するなどと言っておりますけれども、事実はその氏名も発表しないというようなことが言われております。まことに残念と言わなければなりません。しかしながら国民のこいねがっていないところの国鉄運賃であるとかあるいは電電の料金などは、すでに本院を通過いたしまして参議院へ回っておる。一方参議院で審議をしておる財政特例法案については、近々衆議院に回ってくる。こういう事態で、国民の願っておる方向ではなく、むしろ逆の方向に三木内閣と自民党は国会の運営を進めておるというふうに申し上げても過言ではないと思っておるわけです。そこで私は、そういう国民生活を守るという観点、ロッキード疑獄の真相を究明をするという観点に基づいてこれから質問したいと思います。  いままでの質問でもよくわかりますように、交通問題は陸上交通であろうと海上交通であろうと、きわめて最近は多くの事故が発生いたしまして、国民のこの交通問題についての関心を一層深めております。そこで私は、そういう中で、航空関係についてこれから質問をしていきたいと思っておりますが、御承知のように、十月四日から開かれておる日米航空協定の内容が、聞くところによりますと不調和のうちに終わったというようなことが言われております。この問題は、航空行政全般の問題であるばかりか、やはり航空上における交通安全対策の諸問題と深く結びついておるのでありますが、そういう点から、不調和に終わったという内容はどういう経緯で、どういう結果、従来日本航空などの代表が主張しておりましたいわゆる三つの基本的な問題が解決できなかったか、簡単にその不調和になったという経過とその概要について説明してもらいたい。
  110. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生、いま不調和と抑せられましたが、この日米間の航空協定というものは昔から非常に長い歴史的な議論がございます。したがいまして、私ども一度や二度のことで簡単に話がつくというような性急なことではなくて、腹を据えて取りかかるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、実態はどうであったかと申しますと、今回の日米航空協議というものは、沖繩の返還に絡みます問題がそもそものきっかけであったわけでございますが、私どもといたしましては、単にそういった部分的な手直しということではございませんで、日米航空協定、一見、外見的には均衡を保ったような書き方になっておりますけれども、実質的にはかなりの不均衡がそこにあるということもまた事実でございますので、これをじっくりとひとつ話し合っていこうではないか、こういうことで、そもそも現在お手本とされておりますバーミューダ協定というものの物の考え方なり、あるいはルートをどういうふうにお互いに構成していったらいいのかとか、以遠権をどう考えるのかとか、便数というものをどうするのかとか、こういったような基本的な問題点を実はテーブルの上に出したわけでございます。これに対しましてアメリカ側は、アメリカ側としては現在の協定に特段の矛盾があるとは思っていないので、したがって前々からの約束どおりこの枠の中で沖繩の問題に絡んで起こった問題とか、あるいは現在アメリカ側で起こっておりますいわゆるサイパン・ケースと言われておりますような問題とか、こういうふうな問題をまず片づけてからじっくり議論をしようではないか、こういうふうなのが大ざっぱに言ってアメリカ側の態度であったわけでございますが、しかし冒頭申し上げましたように、私どもとしてはこの問題はじっくりと落ちついて考えるべき時期にもう来ているのではないか、こういうことで、したがって、こそくなと申しましょうか、当面のバランスをとればそれでよろしいという態度をあえてとりませんで、今回の会議は、ああいった会議用語としては日本語でうまい言葉がないのですが、リセスと言ってただ別れた、別れてしまった、決してけんか別れをしたわけじゃないのでございますけれども別れた、それでまた来年なるべく早い時期にこの続きをやりましょう、こういうことになっておる次第でございます。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの話では別れたということを言われるのですが、この内容は先ほどあなたも三つ指摘されましたように、路線上の問題、あるいは以遠の問題、さらに座席指定の問題等がございまして、内容それ自体がきわめて不平等的な、また対等でない対米従属的なそういう協定であるということはすでに多くの識者が言っておるわけです。したがって、これが近々、来年ごろワシントンでさらに会議を進めるにいたしましても、私が申し上げたい点は、交通安全対策に関する基本的な諸設備を完了して、そういうものの上に立ってそういう交渉をするのは結構だけれども、ただ日本航空の幹部がそういうことを言ったというだけでは、やはり航空の交通安全を踏まえた内容でなければ、本当の折衝にはならないじゃないかという点が中心となって聞いたわけであります。  あなたのお話でございますと、それでは来年うまくいくかといえば、その保証もない。しかしながら、依然として以遠航空についてはああいう差別的な待遇を受けておるわけですね。あるいは航路にしても、向こうは十九の個所から飛んでくる、こちらは七つの個所だとまことに不都合千万である。また、南米方面における在留邦人の多い地域について、どうしてもフリスコとニューヨークを飛ばなければ入っていけないというような規制をしていることは許しがたい問題である。グアム島からも行ければ、ハワイからも飛んでいけるというような姿勢をとって、初めて対等、平等な立場で航空協定が成立をしているということが言えると思うのですよ。したがって、私はそういう観点から、これは単に一航空局の問題ではありません、日本の、要するに国全体の航空協定に関する基本的な態度を明確にして、国民世論の支持も得ながら、また、日本の中南米あるいは北米等における在留邦人等の関係から見て、当然こういう点を強調せられるよう強く要求して、この問題は終わりたいと思います。  次は、現在ロッキード疑獄が非常にさまざまな状態で、先ほども申し上げましたように、この問題については、三木内閣が後退に後退を重ねまして、そうして本院の決議も十分実行していない。また、四月二十一日の衆参両院議長の裁定に基づくところの五党首会談の内容も実現しようとしていない。ましてや灰色の政府高官についてもその氏名発表をしないなどというような得手勝手なことをして、日にちをずっと延ばしておる、こういう状況の中で、このロッキード問題をめぐるそういうさなかに、去る七月非常に疑惑に包まれておる日本航空のDC10が就航したわけです。したがって、この航空界における国民の、金権政治といいましょうか、金によって日本の航空行政が左右されておるという国民的な疑惑といいましょうか、不信と申しましょうか、そういうものが一向に晴れていない。ロッキード社の問題についてすでにこういうことが起こり、また七月からDC10が就航したというようなことについて、一体航空局はこういうことについてどういうふうに将来対処しなければならないのか、また、こういう疑惑あるいは金権政治のにおいがあると言われておるその内容についてどういう解明措置考えておるのか、簡単に答えていただきたい。
  112. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま先生のお話の中に出てまいりましたDC10でございますが、もちろんロッキードのL一〇一一と並んで、米国製のいわゆるエアバスの片棒を担いでおる飛行機でございます。  そこで、いまの抑せによりますと、これが金権的な背景の中において云々という御指摘でございますが、そういう点につきましては、私どもも今度の事件が起きまして以来、私どものなし得る限りの調査は鋭意いたしましたし、ロッキード特別委員会等においてもお答えを逐次してまいったつもりでございますが、このDC10についてのいまの考え方を述べよ、こういうことでございますので、御返事を申し上げますと、DC10と一口に言っておりますけれども、実は内容的には四種類に分かれております。初期の段階のDC10、これはどちらかと言いますと近距離用のエアバスでございました。それがいわゆるロッキードのL一〇一一と並んで検討された航空機でもあったわけでございます。L一〇一一よりもやや早目に就航したわけでございますけれども、四十七年の夏ごろに、真ん中のエンジンが故障いたしまして一部が吹き飛んでしまう、あるいは貨物室のドアが壊れる、こういうふうな事故がございまして、私どもの理解しておる限りにおきましては、全日空がL一〇一一を選ぶに至りました一つの理由として、当時のDC10はダッシュ10というのでございますが、このDC10−10というものについての技術上の問題点が一つの議論になっておった、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  その後DC10につきましては、ダッシュ20、ダッシュ30、こういうふうに変化をしてまいりました。ダッシュ20と申しますのは、ノースウエストが発注をした長距離型でございます。ちょっとややこしくて恐縮でございますが、これは現在はダッシュ40というふうに型番が変わりました。初めはダッシュ20でございます。ダッシュ30と申しますのは、ヨーロッパの航空会社によって発注されました長距離型でございます。これに対しまして、日航がこの七月から運航を開始いたしましたのは、DC10−40、初めからダッシュ40というものでございまして、JT9D−59Aというプラット・アンド・ホイットニーという会社のエンジンをくっつけた飛行機でございます。  これはどういうふうないきさつででき上がっていったかと申しますと、先ほど申し上げましたように、ダッシュ10について非常に事故があったことは事実でございます。このために、米国のNTSB、日本で申しますと事故調査委員会のような、もっと権限の広いものでございますが、ここがいろいろと勧告をいたしました。これを受けまして四十九年の三月に、米国の連邦航空庁、わが方で申しますと航空局のようなところでございましょうか、そこが改善命令を出しております。  これに対しまして、日航が発注をいたしましたDC10−40というのは、四十九年の六月に発注をしたわけでございます。したがいまして、四十九年の三月に貨物室のドアについてアメリカのFAAが詳細な設計変更を指示しておりますが、これがそのまま採用されておるわけでございます。つまり、貨物室のドアが容易なことではあかない、ちょっとした操作ミスによってあかないというふうな手当てを十分にしてあるわけでございます。  それからさらに、昨年の七月になりまして、同じくFAAから、それでもなおかつ貨物室のドアがあいた場合には——御案内のように、あの航空機は高いところを飛びますので、室内に圧力がかけてある。貨物室のドアがあきますと、貨物室の圧力が急に下がって、外気と同じ非常に低い圧力になる。そうしますと、客室の方は圧力がかかっておる、そのために床が壊れて飛行機がもろに落ちるか、あるいは床が壊れて操縦系統が破壊されるか、こういうふうな事故が実は起こったわけです。これは四十七年の夏に起こったわけでございます。そこで、昨年FAAが指示を出しまして、昭和五十二年の末までに、仮に大きな穴が貨物室にあいた場合には、客室と貨物室とをつなぐ床に空気の出入口をあらかじめ用意しておきまして、客室の空気も貨物室の空気と同じ圧力になるところまで抜いてしまう。そうすれば床は壊れないわけでございますから、そういうふうな改造をしろ、こういう命令を出しております。  これに対しまして、日航のDC10−40というのは、発注の当初からもうこのことあるを予期いたしまして、まず床を貨物機並みの強度に強くしてございます。旅客機であるが貨物機並みに強くした。それから、FAAが言っておるよりももっと大きな穴が貨物室にあいたとしても、なおかつ旅客室と貨物室との間の空気の流通が十分にとれるような設備をあらかじめ設計の中に組み込みまして、だからDC10とは言いながら、全く新しい設計による航空機ということで設計を開始いたしております。  それから、やたらと落ちたエンジン、これはゼネラル・エレクトリックのエンジンであったわけでありますが、日航といたしましては、使いなれておるプラット・アンド・ホイットニーのエンジンJT9Dの改良型でございます59Aをこれに使用するということにいたしました。したがって、このエンジンについては何らトラブルを起こしていない。  それでございますので、技術的に見ます限り、私どもが承知をしております点を改めて申し上げますならば、FAAが手を打てと、こう言ったものについては十分に手が打ってあるし、発注の段階でまだFAAがそこまで言ってなかったこともすでに日航のダッシュ40の発注のときには手当てをして発注してある、エンジンそのものは日航が前から使いなれているプラット・アンド・ホイットニーの延長線上のエンジンをそのまま使っておる、ゼネラル・エレクトリックの新しいタイプのものではない、こういうことでございますので、事故がいろいろとあって問題を提供いたしましたDC10−10と、現在日航の使っております。この七月から運航いたしましたDC10140というものは、確かにDC10まででとめますと同じ飛行機ではございますけれども、内容的には非常に違った、安全サイドに相当の配慮を行った飛行機である、こういうふうに私どもも理解をしておるし、また私ども現実に検査をしてこれに耐空証明を出しておるわけでございますが、いま私が御説明申し上げましたような点は実機において十分に実現されている、こういうふうな点も確認をいたしておる次第でございます。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 大変懇切なあなたの御説明でございますが、問題は要するに、安全性が運輸当局によってどの程度保証されておるかという問題もきわめて重要であります。しかしながら、製造のナンバー等から見るならば、アメリカですでに事故を起こしておるのが七六年の六月の十二日に、これがやはり装備用の小型ドアがあいたということが、日本が使う七月の初め、期日わずか二十日間、三週間足らずぐらいで日本が使い始めたわけですよ。これはよろしいですか。そうすると、あなたの説明だと、ダッシュ40であってもう大丈夫という説明なんですが、アメリカの使っておる飛行機の四六五〇〇から四六五二五、で、日航のが四六六六〇というこの改修当時の番号から見ると、非常に接近をしておるわけですよ。あなたの説明はダッシュ40ということは、ダッシュー0から始まっての説明がございましたけれども、しかしこのナンバーから見るというと、日航が使っておる四六六六〇という番号と向こうが使っておる四六五二五というのは、非常に迫った内容であるわけです。こういう点から見てその安全性が非常に憂慮されるではないかということを私は指摘したいと思うのですが、その点はどうですか。
  114. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、四万六千六百何がしからの製造ナンバーが日航の航空機でございますが、それと直接的な関係は、実は私は必ずしもないと思います。ということは、各社が航空機を発注いたします場合には、各社ごとの仕様がございます。ですから基本的な部分はその飛行機に固有のものでございますけれども、いろいろな点で仕様を変えております。たとえば日航のDC10でございますと、計器盤の、コックピットの計器の配列等をたとえばジャンボになるべく似せておく、そういうふうないろんな特殊仕様を出しておりますので、したがいまして、いま先生御指摘のありました四万六千五百何がしとか、こういうものがどういう仕様書のものであるのか、何せよその国の飛行機でもございますので、ちょっと私どもつまびらかにいたしませんけれども、確かにナンバー的にはおっしゃるように近似しておりますが、しかし私どもといたしましては、現在の日航が使っておりますDC10−40についての基本的な物の考え方なり変更した仕様なり、あるいは検査の結果なりというものは、まず信用して使ってよろしいものではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 私の方の調べによると、すでに改修をしたであろうというものは、四六九一三から九二〇、九二三号のものは大体よかろう、それ以前のものは非常に安全性についてはさらに再検討する必要があるという態度を、あなたの方のダッシュ10から40までとちょっと言葉は違っておりますが、いずれにしてもこういう点のはっきりした態度を明確にしておかないと、危険性の問題、安全性の問題はやはり憂慮されるということを私は指摘したいと思うのです。  御承知のように、ロッキード社に敗れたダグラス社がDC9さらにDC10というようなことで復活しておるとある報道は伝えておるわけですね。これには御承知のように、ロッキード問題の最も大きなルートであるところの児玉ルートの陰の仕掛け人とも言われておる小佐野賢治氏がかんでおるわけですね。これはあなたの方じゃ十分御承知ないかと思いますが、小佐野氏は、御承知のように、日本航空の筆頭株主であるわけです。同時に、全日空の社友でもあるわけです。また東亜航空の取締役でもあるわけですね。それで、たとえば日航がロサンゼルスとかあるいはフリスコとかあるいはハワイなどで彼が経営をされておるホテルに、日本航空の乗務員あるいは機長あるいはスチュワーデス、特に日本航空が案内をしてくるお客さんなんかの部屋を、たとえばハワイのプリンセス・カイウラニ・ホテルとかあるいはロサンゼルスのシェラトン・ウエスト・ホテルとか、こういうところでは何十という部屋を予約しておるわけですよ。これは全部小佐野賢治氏の経営するホテルなんです。こういう関係から見ると、一方自分が会社の取締役である、筆頭の株主である、こういう地位と、また飛行機の購入に当たっての介在といいましょうか、あるいは陰の仕掛け人といいましょうか、こういうものと非常に結びついておるわけですね。  だからして、私たちは、そういう関係から見て、ロッキード疑獄は、単にあの問題のトライスターの全日空の問題だけではない、日本航空にもすでにそういうふうに小佐野氏の灰色といいましょうか、あるいは手と申しましょうか、そういうものが執拗に張りめぐらされておるという関係をやはり等閑に付するわけにはいかないわけですよ。  特にこの問題は、すでにあなたも御承知のように、全日空に対してロッキード二十一機の購入問題で彼がいろいろ世話をしたということがすでに報道されておる。ところがこの問題は、全然現在の状況では手がついていない状況。そのばらまいた金が十七億二千余万円だと言われているわけですね。また一方、日本航空ダグラスDC10の飛行機六機を購入したとか、あるいはボーイング社の747のジャンボジェット機といいましょうか、こういうものの購入についてもこの人が非常に介在をしておる。それだけではない。東亜航空のダグラスDC9の飛行機十四機の購入に当たってもそういうことが言われておる。それでダグラス社、ロッキード、あるいはボーイング社、こういうものと関係を持っておる三井物産あるいは丸紅商社、日商岩井というようなものとすべての上へ、彼が背後かあるいはその上に君臨しているかそこはわかりませんけれども、要するにみんな関係持って、バランスをとって、こういうふうな飛行機購入の問題に関係をしておるということが言われておるわけですよ。ですから、私は先ほどから執拗にお話をするように、安全性の問題についても重大な疑惑と、また点検をしなければ、これがロッキードにつながっておる大きな問題と言わなければならないというふうに考えておるわけです。  日本航空労働組合が発表しておる資料によりますと、こういうふうに労働組合の皆さんは見ておるわけですね。「“陰の力”こそ同氏に他ならないと私たちは考えています。私たち日航労組は、三月廿七日の中央委員会において同氏罷免の特別決議を行ない、会社に要求し、更に八月廿七日からの定例全国大会においても再び同氏罷免を決議し、会社に対し強く罷免を要求しました。私たちは広く世論の支持を受け、同氏を航空界から追放し、明るい国民のための航空界にしたいと考えております。」ということを労働組合の皆さんもやっておられるわけです。こういう観点から見て、陰の力と言われておる小佐野賢治氏の航空界——特にこれは日本航空の労働組合から出ておりますけれども、恐らく全日空の労働者の皆さんも東亜航空の労働者の皆さん考えは、同じようなやり方ではなかろうかというふうに言われております。ここに小佐野氏が所有しておるホテルでJAL、日本航空がお客さんを泊めておる部屋の写真も出ておる。こういうホテルを買って、そして部屋の特約をどんどん小佐野賢治氏が中心になってやっておる。こういうことから見ましても、この飛行機購入問題については、相当慎重に取り調べる必要があるというふうに私は考えておりますが、政務次官、どういうふうにお考えでしょうか。
  116. 阿部喜元

    阿部政府委員 いろいろホテルの写真等でお調べのようでございますが、この交通の安全の関係につきましてはまた政府委員が答弁すると思いますが、小佐野さんとの関係につきましては、それだけ資料でやっておられればロッキード委員会の方が適当じゃなかろうかというような気もいたすのでございますけれども、そういう点、私の方では、背後につきましては承知しておりません。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 阿部さんに私はお尋ねしたいのですが、今度の国会は、衆参両院においてロッキード調査特別委員会だけで問題を審議するだけではございません。先ほど申し上げましたように、この国会は挙げてロッキード疑獄の真相究明、少しでもそれに近づけてやることがわれわれが国民から委託をされた重大な問題であります。ですから、ロッキード問題は、あるいはダグラス社の問題については、ロッキード調査特別委員会でやってくれというようなことには私は賛成しがたいのです。どこの委員会であろうと、このかつてない世紀的な大疑獄事件について、いささかともわれわれはさようなものに協力する体制ではなくて、これを排除することについては厳格に行う必要がある。ここは交通安全特別委員会ですけれども、先ほど申し上げましたように、国民の航空行政を明朗化するため、また国民の生命を預かる大切な飛行機の購入、こういう問題についてもさような疑惑のある諸君が介在をすることについては今後厳重な態度でこれを監視をするし、またこういう者は速やかに退陣をしてもらうなりやめることが国民的な問題でありますので、この点はぜひ御了承願っておきたいと思うのであります。いま申し上げたような点について、航空局次長は御承知であったでしょうか。
  118. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生からいろいろ御指摘がありましたようなことの中には、ロッキードの特別委員会において御議論があったようなものも含めてかなり広い範囲に及んで御指摘があったわけでございます。  御案内のように、私どもが調査をいたします場合に、行政官庁としての枠の中での調査でございますので、したがって、先生御指摘のことが実際にはどういうことであるのかという点につきまして、私ども完全なお答えを申し上げるような段階になかなかなれない。この点は検察当局の調べを待つというのが筋であろうかと思います。  ただ、少なくとも航空交通の安全について、いささかたりとも支障を及ぼすような形で今後航空行政がなされるべきでないというその御指摘については、私どもも全く同感、同意見でございまして、先ほど来るるぜい言を要しましたのは、私どもそういうつもりでやっておりますという一端を具体的に申し上げたにすぎない、こういうふうに御理解いただけると非常にありがたいと思います。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、後で私が申し上げた日航か買い入れた——私どもの見るところでは改修予定以前の飛行機で、四六六六〇というのと四六六六二というようなものについての調査をなすった点を報告をしていただきたい。それ以後の問題は、あなたの仰せもあるし、またFAAのそういう改善命令等から見まして大体わかっておりますので、そういう点を要請をしておきます。資料をお寄せいただきたいと思うのであります。  次の問題。最近私の方に入った資料によりますと、日本近距離航空についていろいろ問題が出ておるようでありますが、ツインオッターという名前の飛行機ですが、いま日本で何機ぐらいあって、どこの方面で活動をやっているのか。
  120. 松本操

    ○松本(操)政府委員 日本近距離航空が三機、南西航空が、ごく最近一機入りましたので三機、合計六機稼働しております。
  121. 土橋一吉

    ○土橋委員 最近のいろいろな資料によりますと、ここではお客さんの数も少ないし、大体座席が十九とか二十とか、そういう小さい飛行機であるために、スチュワーデス、つまり客室乗務員をおろして、副操縦士にやらしておるということが言われておるわけです。客室乗務員は普通女性で、スチュワーデスという名前で呼ばれておるのですけれども、こういう方々の安全性、あるいはお客さんの安全性については、アメリカなどの例によりましても大体七、八名に一人ぐらいな客室乗務員が乗られまして、そしてお客さんのいざという場合の安全を確保するという体制をとることが必要だと思いますが、こういうことをやっておっても、あなたの方では黙ってこれを見ていらっしゃるのでしょうか。
  122. 松本操

    ○松本(操)政府委員 近距離航空が企業の体制を一新したような形で、この春から運航を再開したわけでございますが、そのときに、客室乗務員を乗せないで運航をするようにしたい、こういうことが近距離航空の方から打診というか申請と申しますか、あったわけでございます。  この問題についての航空局の基本的な考え方はどうなっておるかと申しますと、客室乗務員というものは、いわゆる旅客に対するサービスという面もございましょうが、これは航空法上は実は特別に取り上げる問題ではございません。航空法上客室乗務員というものを必要といたしますのは、緊急事態が発生いたしました場合、適切な機長の指示のもとに旅客を安全確実に、ともかく生命を守るようにしてあげる、こういうことが客室乗務員の仕事になってまいるわけでございます。したがいまして、ある程度以上の大きさの飛行機になってまいりますと、当然そういったようなお客の世話をやく人というのがいなければなりませんし、また一飛行の区間が非常に長い、あるいは海の上を飛ぶ、つまり不時着をしようと思ってもそう簡単にはまいらない、こういうふうな場合にもやはり何らかの措置を講じておきませんと、やれ、いかだをどうするのこうするのなんという、かなりむずかしい専門的な問題もございましょうから、そういう意味において客室乗務員というものは必要であろう。  近距離航空の場合には、御承知のように、北海道の中の辺地及び離島、それから新潟と佐渡の間を飛んでおるわけであります。離島と申しましても、数十マイルの距離でございますので、上がれば向こうに見えているようなところでございます。あとは北海道の上を飛んでいるわけでございますので、航空路の構成から申しまして、ぐあいが悪かったら途中にいつでも不時着ができるというふうなところがある。  それから、この航空機自身は、先生御承知と思いますが、実は一人の人間で十分操縦できるようにできております。しかし日本近距離航空をつくりましたときに、これは不定期便ではだめだ、やはり定期航空運送事業として扱う、こういうところで踏み切ったわけでございます。したがいまして、定期航空運送事業である以上、キャプテンとコーパイロットを乗せる。つまり、一人で動かせるような飛行機ではございますけれども、法定上、二人の人間を乗せて運航しなさい、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、この航空機に客室乗務員がいない場合にどういう問題が起こってくるかということをいろいろ考えてみますと、まず、この飛行機の常用の高度、飛んでいる高さというものは千五百メートル以下、非常に上がりましたときに三千メートルくらいまで上がります。これは、山越えをするようなとき、しかし、それ以上上がろうといたしましても、この飛行機は、先ほど例に出ました与圧がございませんので、そんな高いところは飛べない。つまり、非常に低いところを飛んでおる飛行機である、こういうことでございますし、座席も十九席しかございません。そこで、酸素が必要になってくるような例があったかどうか。この前身と言うとおかしゅうございますが、日本近距離航空ができて、かれこれ一年半ことしの春までにたったわけですが、その間に一度北海道でそういう問題があった、こういうだけであって、非常にまれにしか起こらないケースである。しかもその場合に、だれかが酸素びんを用意しておけば、酸素の用意というものがあれば、その場合特にお客に対して不安全ということはない。  そこで、先ほど先生は、パイロットをスチュワーデスのかわりに、こういうふうなおっしゃりようをされたわけでございますが、私どもは、そういう考え方でこれを認めたわけではございませんので、まず航空機そのものについて、空中に浮いているときは、ドアは全部自動的にロックされる。つまりお客がいたずらをしてもあかない。着陸をすればロックが外れまして、いざというときにお客がこれをあけて飛び出すことができる。それから、何か用があるときには、コーパイロットを呼ぶことができるようなコールボタンを座席につける。それからまた、コーパイロットもパイロットも、後ろを見れば客室がよくわかるように窓をきちっとドアのところにつけてやる。それから、飛行機に乗ります前に、地上勤務員が十分に救命胴衣の使い方だとか、いまの非常の際のドアのあけ方とかいうふうなことが指導できるかどうかという点もしさいに検討いたしまして、航空機の改造もでき、そういったような規程もでき、さらに従来つくらしておりませんでした旅客保安規程のようなものも新たにつくる、こういうことで、私どもとしては逐一これらの営業所を回ってチェックをしたわけでございまして、これならば十分にこの程度の路線についてこの飛行機を使って飛ぶのであれば安全が確保できる、こういうふうに判断をいたしましたので、本来こういった運航規程というものは、運輸大臣の認可にかかっておるわけでございますが、これに私どもの方からもちろんいろいろ注文もっけたわけでございますが、結論的にはこれを認可することによって現在のような形で運航しておる。  南西航空の方につきましては、現在依然としてスチュワーデスが乗っておることは御案内のとおりでございます。
  123. 土橋一吉

    ○土橋委員 これも働く労働者の皆さんから強い要求が出ておるわけです。つまりあなたの御説明ですと、自分らが点検したから大丈夫だというような結論になっているのですが、あなた方が点検したから大丈夫じゃなくて、お客さんの安全を客室乗務員がどのように保障するかという問題が重要な問題ですから、これはやはりあなたのいまの仰せのように、南西航空は島から島へ飛ぶのですから、とても危ないのです。陸の上だって、あなた、北海道だから、平原だからどこでも着けると考えておるけれどもそうじゃありません。そんな簡単なものじゃございません。仮に、たとえば調布飛行場から飛ぶにしても、御承知のように、浅間山もあれば、基地もあるし、人家もあればいろいろあって、そう簡単なものじゃない。どこでも着くことができるなどというものじゃないのです。ですから、やはり乗務員をつける体制をとるべきだというふうに私は強く要請をいたします。  時間がありませんから、後でまたその御報告を承っておきたいと思うのですが、やはり飛行機を飛ばして料金を取っている以上はお客さんです。そのお客さんの輸送の安全を保つということは当然なことであって、会社が、御承知のように採算がとれないとかいろいろなことはございましょう。ございましょうが、大事なお客さんを十人でも十八人でも乗せて飛んでいく以上は、客室乗務員がちゃんといて、お客さんの安全性をいかに保障するかという体制をとらなければならぬ。それをあなた方が見たから大丈夫などというようなことではいけません。これはやはりきちっとした体制をとるように強く要求いたします。  次の問題はスチュワーデスの問題ですが、私は、二年ほど前北極の上を飛びました。アンカレジからずっと飛んで、スチュワーデスの方が、夜の午前一時ごろであったと思いますが、振りそでの着物を着て、そしてお酒の接待をいただきました。しかし私は、日本航空が、本当に客室乗務員として、お客さんに対して危険な場合にはどうするかということを考えるならば、ああいう措置は適当ではないと思うのですが、依然としてああいう振りそで姿でビールとかウイスキーを勧めたり、おすしを食いなさいとか勧めたり、まるでキャバレーのような、バーのようなかっこうをさせておるのですが、これは一体客室安全を中心とする態度から見てどんなものでありましょうか。これが第一点。私は、スチュワーデスの方々がこういうようなことをさせられておることに対しても、労働者としてまことに遺憾の気持ちがしておるわけです。  次の問題は日本航空の例でありますが、日本航空は、御承知のように、この間アンカレジで飛行機が大変な事故を起こしまして、あわや大惨事になろうとしたのです。がけ下のところに落ちましたが、それほどの事故はなかったわけです。ここは御承知のように、気流の関係もございましょうし、非常に寒くて滑走路が滑りやすくなっておったという問題もございましょう。また気流が下になってくるといろいろ変化をするという問題もございましょうが、こういう中で、いわゆる第二組合と言われる方々が、十一名中五名も新人の客室乗務員を乗せておったということが言われておるのですが、こういうことでは日本航空は本当にお客さんの安全を守るという観点なのか、それとも第一組合との関係でそういう仕分けをして、なれないものも全部乗せるというようなことをやっておるのか、こういう点については、私は非常に遺憾に思うわけです。特にこの問題は、すでに参議院でもわが党の内藤議員が指摘をいたしておりますけれども、日本航空が日航マル生とでも申すようなことをやりまして、二百五十人の方が、年限としては十年ほど前から差別をされ、そして思想、信条などの差別によって七億円の賃金差別が出ているということが言われております。こういうことをして平然として恥じない一方においては、先ほど申し上げましたように、まるでバーとかあるいは一杯飲み屋のように、振りそで姿で、しかもお客さんにおすしとか食べ物とか、あるいはウイスキーを勧めておる、こういう全く悪事といいましょうか、不当労働行為といいましょうか、その反面にはかようなあだ花を咲かせておるということはまことに遺憾だと思うのですが、この第二点についても、一体航空局、あるいは運輸省はこの問題についてどう考えているのか、この点を御説明願いたい。  第三番目の問題は、これはついきのうの朝日新聞に出ております。これは航空関係の方はごらんになっておると思う。スチュワーデスが腰痛で非常にたくさんの人が困っている。つまりしゃがんだり、それから御承知のように、不自然なかっこうをしてお客さんにサービスをしたりいろいろやっておられるわけですね。そのために非常に腰痛が多い。この内容を見ますと、結局働く客室乗務員の半数以上がそれを訴えておるわけです。したがって、最近では、この新聞でも、柳腰じゃなくてがっちりした腰の人を雇うようにしたいというようなことを言っておるわけですが、そういう問題ではないわけです。つまり客室乗務員に対して、御承知のように、運航の過程においてどういう方法で——お客さんにお茶を勧める場合もあっていいと思いますけれども、基本的な、いわゆる客室乗務員としてやるべきことはたくさんあると思うのです。そういうことについて、こういうことが言われておることについて、労働組合側は、労働基準法の規定などによりまして、職業病として認定してもらいたい、当然職業病だということを言っているのですが、これについて運輸当局は一体どういう指導をしておるのか、この三点について、時間がありませんので、ごく簡潔に答えていただきたい。またもし答えが不十分であれば、後ほど私の部屋にも来ていただいて説明していただきたいと思います。
  124. 松本操

    ○松本(操)政府委員 非常にむずかしい御質問をいただいたわけでございますが、まず第一点のスチュワーデスが機内においていわゆる乗客サービスを行う点について航空当局はどう考えるかという御質問だと理解いたします。  スチュワーデス、つまり客室乗務員というものについての私どもの理解は、先ほども申し上げましたように、航空機の安全運航に関連して乗客の安全のために乗務させておる。つまり異常、非常の災害等が起こった場合に旅客の誘導、その他機長の指揮のもとに適切な措置がとれるように、このためについての必要な要件というものは、先ほども御説明申し上げましたように、運航規程の中に盛り込んで、これを認可にかけておる。そこまで気を払っておるつもりでございますが、しかしいわゆる旅客サービスの面につきましては、航空会社の中の問題。これがまことに常軌を逸して、そのために私どもの目から見た場合の客室乗務員の本来あるべき業務というものをはなはだしく阻害する、こういうふうなことがあるのであれば、それはそれなりの措置というものを私ども考えねばならないと存じますけれども、現時点においていろいろと御議論もあろうかと思います。だから日航はいいんだと言う旅客もないわけではないようでございますし、私自身のささやかな経験からでも、ソ連との共同運航のときあたり見ておりますと、ソ連のスチュワーデスというのは実にがんじょうではございますけれども、何か本当に食事でも何でも犬のえさをもらうみたいな感じというようなこともございましたし、そこら辺のことになりますと、いま航空局としてどう思うのかとこう大上段の御質問を承りましてもなかなか御返事しにくいのでありますが、ただ、私として申し上げられると思いますことは、本来の客室乗務員の安全に関する業務に支障があるという徴候が明らかに出てきておるというのであれば、これは当然考えなければならない問題であろう、このように思うわけです。これは第三点の御質問との関連においてもお答えになろうかと思うわけでございます。  第二点のアンカレッジの議論でございますけれども、この場合、実は客室乗務員、私どもは、チーフパーサー以下スチュワーデス全部を客室乗務員という考え方で呼んでおります。女性のスチュワーデスだけが対象ではございませんが、十七名の客室乗務員がおったわけでございます。そのうちチーフパーサー一名、パーサー二名、それからアシスタントパーサーが三名、スチュワーデスが十一名。その十一名の中に、このクルーの場合には、乗務してから六カ月程度の経験者、ですから必ずしもベテランとは申せないわけですが、乗務して六カ月程度の経験者が八名まじっておったというふうに私どもは報告を受けております。十一人のスチュワーデスのうち八名が乗務六カ月程度であった。ということは、十七名のうち半分程度が、見習いではないと私思いますけれども、一人前ではあると思いますが、十分な経験者であったかどうかという点については御議論があろうかと思います。あろうかと思いますけれども、十七名のうちの六人はともかくアシスタントパーサー以上しっかりした者が乗っかっておったわけでございます。特にいま御指摘のありました組合別の差別云々の点につきましては、私どもといたしましては、直接とやかく介入すべき問題ではございません。私どもが承知している限りにおきましては、たとえばスチュワーデスの例で申しますと、三千人のスチュワーデスというものを、同じ人が同じところにいつでもぐるぐる回ることがないようにいろいろ乗務割りを組んでやっておるのだ、こういうふうな程度の理解しか持っておりません。しかし、これもいま御指摘のようなことがあるかどうかについては、なお今後私どもそういう点に十分に気を配ってまいりたいと思いますけれども、そういうふうなことが現実にあるというふうには聞いていないわけでございます。  したがいまして、このときに問題になりましたのは、実はベテランのこういった客室乗務員であっても、訓練のやり方がオーディオビジュアルというのですか、目で見て耳で聞くというっまり実地訓練でない、スライドを使うとかフィルムを使うとかこういう訓練にいささか頼り過ぎていたのではないか、こういう点に私どもも気がつきまして、そこですでにこの八月の九日にそういう点を改めるように指示をいたしてございます。すでに部分的な改良が行われておるというふうに私ども承知をしておるわけでございます。
  125. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、もう一つ申しますと、たとえばコペンハーゲンなんかへ参りまして、それで日本のスチュワーデスが喜々として飛行機からおりまして自分の部屋なんかへ行く姿は、私もほほ笑ましいと思うのです。しかし、少なくともスチュワーデスは、日本航空を代表しておる一人だと思うのですよ。そこいらをみいちゃん・はあちゃんみたいなかっこうをして、お互いの肩をたたいたりなんかしてわあわあ言ってお客さんの前を通っていく姿を見ると、余り感心ができないのですよ。こういう点を私は痛感しておるわけです。もう少し静粛に、自分の部屋に帰ったら幾ら騒いでもいいでしょうけれども、たくさん外国人のお客さんのいる中で日本のスチュワーデスがわあわあ騒ぎながらみいちゃん・はあちゃん式にやっていただくというと、ちょっと私はいただきにくいのです。そういうのを喜ぶ方もおられるでしょう。先ほどあなたが仰せになったように、ソ連の人はえさをやるようだとおっしゃいました。これはソ連の航空会社に対する一つの侮辱的な言動だと私は思うのですよ。体が大きいから、あなたさんが小さいから、お嬢さんが持ってきても何か豚にえさをやるようなかっこうに見えたかもわからぬけれども、私はそうじゃないと思うのですよ。私は、そういう発言は公の席においては慎むべきだと思うのですよ。逆に、先ほど申し上げましたように、アンカレッジを出まして、そして北極の上でそれほど精いっぱい、長いたもとでお客さんにいろいろな物を勧める、こういうことを喜ぶ人もそれはいらっしゃるでしょう、数多いお客さんの中ですから。しかしそういうことをさせられておるスチュワーデスさんが航空客室乗務員として適切であるかどうか、これはやはり検討してみる必要があると思うのですよ。キャバレーじゃございませんよ、飛行機の中ですから、婦人もおられるし、男性もいるし、子供を抱えている人もいる中で、そういうかっこうで客室乗務員の勤務にふさわしい状態かどうかはやはり検討してみる必要があるのではないか。もしそういうのを見たかったらちゃんと映画もやっているのですから、その映画で見たらいいのですよ。そういうことについて検討してみる必要があるのではないかということを私は航空当局に切に要求したい。その反面、あなたもいまおっしゃったように素人のような者がわあわあ乗って、それで飛行場をおりても余りかっこうのよくない姿、それをまたあなたさんは好ましいと思っていらっしゃるかもしれませんけれども、私は余り好ましいと思いません。それは外国人は体が大きいですから食事を持ってきても日本の娘さんのようににこっと笑ったりなんかしないかもわからぬ。しかし気持ちは私はそう変わらないと思うのですよ。だからして動物にえさをやるような態度だと言うことは厳として慎しむ必要があると思うのですよ。その国の女性に対する一つの侮辱だと思うのですよ。そういうことがあってはならない。少なくともあなたは運輸省の重要な幹部の一人ですから、そういうことを国会で仰せになるということは、社会主義諸国の航空会社に対する大きな侮辱と言いましょうか嘲笑と言いましょうか、そういうことはやめていただきたい。  さて、時間が参りましたので……。
  126. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいまの私の発言の中に大変意を尽くさない点がございました点はおわびを申し上げます。言いようが非常にまずかったわけでございまして、私自身が実は共同運航のころからシベリア線に乗っておりまして、そのときのいわゆる日航のスチュワーデスと、アエロフロートのスチュワーデスの両方を見た場合に圧倒されるような感じがしたというのを表現するのが、非常に不適切な表現であった点をひとつお許しいただきたいと思います。  それから、特にただいまの御指摘の中にございました乗務が終わった後で何か非常に教養のないようなかっこうをして人前を歩くのは好ましくないではないかという御指摘につきましては、これは一つの先生の御意向として日航の方には申し伝えるようにしておきたいと思います。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうことですから、日本航空についていろいろ苦情を申し上げまして、あなたさんにとやかく言う筋ではないのですけれども、監督官庁としてそういう点は公平に客室乗務員にふさわしいような、そういう体制やサービスは必要であって、それを越えるようなことについては検討してみる必要があるということを私は言っているわけです。また振りそでの着物を着てこびを売るようなかっこうをしてお客さんにいろいろ勧めているのを見ますと、さぞつらかろうなというふうに私は見ておったわけですよ。だからそういうことを申し上げておるわけです。またそういうことが好きな方もありますし、そういうので一杯飲んだ方が味が出るという方もいらっしゃるでしょう。それはそういうところへ行ってお飲みになれば結構、飛行機の中でそういうことを要求することは、ちょっと筋違いじゃないかというふうに私は考えておるわけです。  次は、気象と航空の安全の問題でありますが、最近御承知のように、たとえばYS11の松山飛行場におけるあの墜落事故などを見ましても、非常に気象通報が円滑に行われて、特に気象庁の方にもお願いをしたいのですが、こういうことはどんどん緊密な連携をとる体制をとらなければならない。これは登山の場合だって、あるいは早朝いわゆる漁船で船を出す場合だって同じですね。ところが残念ながら日本の航空では、まだ東亜航空にしましても、東京七時十五分発の旭川行き、東京七時十分発の帯広行きにしても、実際気象を十分に知らないでパイロットが出ていくというようなことが行われておりますので、いささかもさようなことがあってはならない。したがって、こういうことについての気象通報を飛行場及び飛行機会社は、事前にちゃんと旭川はどういう状態かというようなことについて相当注意をしなければならないというふうに思うわけです。  もう一つは、空域のKの問題と空域のRの問題です。これは御通知申し上げましたように、一方は伊勢湾の入り口のところのいわゆる軍関係の訓練場との関係です。片方は日向灘における訓練場との関係なんですが、これが御承知のように、霧が出たとか、あるいは下降流の霧が、気象が変わったというようなことになってくると、事故を起こしやすいわけです。こういう地域はあなたの方で折衝をして、訓練空域をずっとはるか沖合いに持ってくるとか、こういう措置をやはりする必要がある。そうでないと、お客さんの航空の安全が保てないだろうというふうに私は思うわけです。  気象庁にお尋ねをいたしますが、五十二年度予算では、予算を減らしておりますね。これは一体どういうわけでこんなに減らしておるのか。やはりこの予算を請求して航空の安全のためにあらゆる努力をしなければならぬというふうに思うわけです。  最後に、落雷あるいはそういう落雷に相当するようないわゆる雲行き、そういう場合に、現にいろいろな問題を起こしておりますけれども、ここにもございますね、昭和五十一年七月十七日に発生した日本航空株式会社の所属JA八一〇七の落雷事故の問題が新聞にも出ておりますね。写真も大きく出ておりますよ。こういうことが起こりますので、気象関係を明確に一この事故を見ると、恐ろしいほどこの飛行機は損傷しております。これはすぐ引き返したからいいようなものの、こういうことに対する気象とそれからパイロットの関係、あるいは飛行場における発着についての管理者の関係、こういうのを遺憾がないように大いに努力をしてもらいたいということであります。特に恐ろしいのは、ここにも書いてありますように恐怖の下降流だと、これはシカゴ大学の藤田教授も指摘しております。こういう点をひとつ端的に答えていただきたい。気象庁の方は金額にしまして約五千百万円減らしておりますね、五十年度予算に比較して五十一年度予算。どういう理由によってこれだけ減らしておるのか。むしろ増額すべきだというふうに私は考えます。この点の回答をお願いします。
  128. 松本操

    ○松本(操)政府委員 幾つか御質問ございましたうちの、まず最初の相手空港の気象状態を確認しないで出発するという件でございますが、仰せのとおり、七時十分東京発帯広行きあるいは七時十五分東京発旭川行き、これらが出発いたします場合には、これらの測候所がいずれも八時半ごろから測候を開始いたしますので、その時点においては、当該空港の正確なデータというものは入手できません。  それでどういうふうな手を打たしておるかと申しますと、東京の航空気象台というのがございます。これは二十四時間勤務で、相当広い空域にわたりまして詳細なデータも持っておりますし、予報図も持っております。このデータをまずベースにいたします。次に、千歳に測候所がございます。この千歳の測候所も二十四時間勤務の測候所でございますので、北海道全域についてのデータというものを承知をいたしておるわけでございます。この両方のデータをもとにいたしまして、ディスパッチャーは機長と相談をいたしまして、果たしてこれで出ていいかどうかという判断をして、まず間違いがないだろうということが確認された後に初めて東京をスタートする。そういたしまして、飛んでおりますうちにこれらの測候所の観測データが入手できる時間になってまいります。そういたしました場合に、各会社はカン。ハニーラジオと申しますが、会社の無線を持っておりますので、この無線を通しまして気象を確実につかみます。そして相手空港の気象を的確につかまないままに当該空港に進入をするというふうなことは、運航規程上私どもはさせておりません。したがいまして、出るときには多少ラフな、非常に厳密なデータであるとは私申しませんけれども、多少ラフではございますけれども、しかし天気というのはずっと、突然ということもございますが、大体変わっていく経過がわかりますので、それを踏んまえて出ていく。飛んでいくうちに相手の測候所からデータをラジオでとって、これはだめだということであれば、代替空港へ行くなりあるいは引き返してくるなり、こういう措置をとる、こういうのが現在の飛ばせ方になっておるわけでございます。  次に、雷の問題でございますが、これは御案内のように、飛行機には気象レーダーというものを積んでおりまして、雷を見つけて避けて飛ぶということに努めておるわけでございますけれども、しかしそれでもなかなかレーダーでつかまらない場合もありますし、したがって雷のデータというのは非常に欲しい。現在シグメットとかアーマントとか、こういった異常気象の情報が出ておりますが、現在の時点ではシグメットと申しますのは非常に幅が広くて、エリアが広過ぎまして、鈴鹿の上だというふうにはなかなかいかない。アーマントもまだなかなかそこまでいかない。これにはどうしてもパイロットからのレポートをもっときちっととって、上空の状態を確認するということが必要になってまいります。そこで私どもといたしましては五十一年、本年度から一部手をつけかけておるわけでございますが、五十二年から五十三年にかけまして航空路につきましての情報提供システムというものをつくろう、これによってパイロットからのデータも入手いたしますし、このデータを気象庁へ送る、気象庁のコンピュータではじいたデータをこちらが受け取ってまたパイロットに流してやる、こういう形で、先生御指摘のとおり、航空と気象は切っても切れない縁がございまするので、そういう点についての特段の努力というのを今後とも続けていくようにいたしたい、このように思っております。  それから訓練空域につきましては、ただいま御指摘のありました空域について私どもがいろいろ調べましたところ、浜松沖のK空域につきましては、やはりパイロットの方から管制部の方にデビエートしたい、航空路をよけて入りたい、こういう話がございまして、調整をとってよけて入れた例がございますが……(土橋委員「日向灘はどうですか」と呼ぶ)日向灘の方については、実は私どもちょっとよくわかりません。データを実は持っていないわけです。至急調べましたけれども、わかりませんでした。  これにつきましては、航空路そのものが幅十マイルございまして、さらにその十マイルの外側に五マイルのバッファをとってから訓練空域を置いてあるわけで、通常パイロットに、私ども実は飛行機を七機持って飛ばしておりますので、私どものパイロットあたりに聞いてみますと、大体日本の場合には、十マイル程度ずれれば雷雲から逃げられるが、場合によっては二十マイル近く逃げなければならない場合もある。十マイルの範囲であればいまのバッファの中に入ってしまうわけですが、十マイルを超えて逃げる必要が起こった場合には、最寄りの当該訓練空域を管轄する自衛隊なりあるいは管制部なりに連絡をとるということによってデビエートをさせるということは現実にしておりますし、(土橋委員「時間が来ておりますので、下降流だけちょっと一言」と呼ぶ)下降流の問題については、これはいわゆるクリアタービュランスというので、レーダーにも映りません。これは非常にむずかしい問題でございまして、私自身実は気象は門外漢でございますので、よくわかりませんが、ともかくこの下降流をどうやって、いわゆるクリアタービュランスというのをどうやって見つけるかというのは非常にむずかしい問題のようでございます。したがって、先ほどのパイロットから多少なりともそういう徴候があった場合には早くその報告をとって、そしてそれをほかの飛行機に流してやるというふうなことで当面これを避けるような努力を、先ほど申し上げましたシステムの中に取り込んでいくようにしたい、このように思っております。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 これで終わります。時間があれですから、余り……。労働関係の方もあるのですけれども、これはまた後で説明を聞くとしまして、もう時間が十分も過ぎておるので、委員の先生方に申しわけないから質問はこれで打ち切ります。あとまた資料なりその他はひとつ説明をお願いしたいと思います。
  130. 太田一夫

    太田委員長 次に、沖本泰幸君。
  131. 沖本泰幸

    ○沖本委員 初め御質問の順序を考えておったのですが、順序よくいかない場合がありますので、御関係のところ、非常にばらばらになって恐縮かもわかりませんが、それぞれでお答えいただきたいと思います。  非常に範囲の大きい問題と小さい問題、ばらばらになることになるわけですが、まず警察庁の方からお伺いしたいと思います。阿部次官には恐縮なんですが、もう少しお願いします。  最近暴走族がいろいろ問題になりまして、東京周辺、関東地域は、大阪、神戸——関西と状況が大分違うような様子を呈しておるように見えるわけです。私は関西ですけれども、関西の状況は前ほど、夏場も越しましたし、目立つような問題がわりと少なくなったように見えるのですけれども、しかしながら、スプリングを抜いておったり、あるいはスポーツ用の広いタイヤをはめておったり、あるいはエグゾーストパイプを変えて極端に大きな音が出る、そういうふうなのは、まだいろいろと市内あるいは混雑地域で見られるわけです。必ずと言っていいほど、そういう車に乗っている若い人たち、いいかっこうするというか、極端な音を出したり、極端な運転をやったり、急ブレーキをかけてきしませたり、ほかのドライバーとか車に乗っている人たちとかあるいは通行している人たちを非常にびっくりさせるようなこととか、そういうことのためにむしろ関連的な危険性が起きてくるというようなことをやりがちでもあるし、そういうものも現実に見ているということですし、なれたタクシーの運転手さんなんかに聞いてみても、どうしても乗ればやる、間違いなくやるということも言っておりますから、そういう面の取り締まりというものも、まあ、現行犯という問題もありますし、あるいは整備工場という問題もあるわけですし、どっちかいうと、ガソリンスタンドでそういうことをやってしまう、タイヤを入れかえてしまうような場合とか、別のところでやってしまうとか、結局、車を見つけた場所でやはりマークするとかなんとかのことで、むしろそういうことでいいかっこうすることの方が悪いんだということが徹底できるかどうかはわかりませんけれども、そんな人たちはサーキットへ行ってやってもらうんだというようなことが徹底できるなり、あるいはその十分な罰則を設けていただいて、していただきたいのですね。一番御専門のところですからよく御存じだと思いますけれども、大抵大きな事故を起こした後で偶然としている。それまでは自分の命も余り考えないようなことで暴走をやり、危険運転をやるということで、事故を起こして、自分が罪に問われるなり大きな損害賠償をしなければならないという事態が起こってふるえ上がっているということの方が大きいわけですから、やはりそういうふうなものを考えるにつれて予防的な措置なりいうことの方が大事じゃないかということが考えられるわけです。  そういうものに関連しまして、これは東京周辺が主なんですけれども、いわゆる高速道路上で料金所を集団で突破してしまうという問題が続発しているということになるわけですけれども、結局集団で突破しようとする者に対しては、警察等の協力なしには阻止できないと考えられる面があります。常識をわきまえない者が料金を支払わずに高速道路に入ろうとする場合に、道路管理者としては法律的、制度的にこれをどういうふうに排除できるかという問題ですね、車のナンバーなんかつけて後から三倍の料金を集金に行くということがありますけれども、全体的な面からいくとなかなかそこまでいかない。それから、料金の徴収というのは比較的高年齢の方が老後の仕事のような形でやっておられる、動作は緩慢、危険はできるだけ早く避けるという面もありますし、また、その会社自体がこういうふうな料金未払いに対して、後から問題を処理していくということに対しても非常にむずかしいんじゃないか。それと同時にまた、暴走族がそういうことをやって、それがやすやすとできるということになると、今度はおもしろ半分で同じことを起こしていく、それが連鎖的に、そのまま違反運転をいろいろやりながら次の事故につながっていくということが十分考えられるわけです。そういう点を考えますときに、これはいまの体制ではどうにもならないんじゃないかと考えられますけれども、そういうことに対・して当局の方の取り締まりなり対策なり、こういうことについてのお考えを伺いたいと思うのです。
  132. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族全般の問題につきましては、ことしは昨年の状況から比べまして若干数もふえているというような状況で、取り締まりを強化いたしておりますが、神戸事件以降はやや減ってきた。ただ、関東周辺では依然としてかなりの数が出ている。それ以外の地域では比較的数が減ってきた。その周囲のいろいろな、住民の抑制力というようなものもそういう面にあずかって大変大きいかと思います。いま御質問の首都高速の料金踏み倒しの問題でございますが、料金不払いで通過するということ自体には罰則がないということでございます。したがって、直ちにそれだけで警察が出ていくという問題にはならない。ただ、その態様によりまして、威力業務妨害とか、そういった態様になり得る場合があるということかと思います。その実態を必ずしも聞いているわけではございませんが、首都高速の方にもいろいろと連絡してその実態を伺い、首都高速の方の態様と合わせて警察の方としてもこの実態を掌握しながらそれに対する対処方策というものを検討してまいりたいと考えております。
  133. 沖本泰幸

    ○沖本委員 小さい問題のようですけれども、結局、あいつらだけが勝手なことを振る舞って無謀なことをやって、それが通るんならということになり、それじゃ、あれらがただで行くんならおれらもただで行くということにもなりかねないし、先ほど申し上げましたようなことにもなっていくということになりますから、その方法というものはやはり検討していただいて、十分な対応策を協議していただいて、ただそれぞれの省庁の方で別々ということではなしに、暴走族をなくするために十分な協議をしていただくというふうにしていただきたいと考えるわけです。暴走族の広いタイヤの問題とか、これは見ていたら、それなりにやるというのがわかるのですね。わかるので、われわれの目の前で起こればそれなりということになるわけですけれども、いつも危険いっぱいでやっている。それがどれくらい大きなことに影響していくかわからないし、私たちの運転というものがともすればそれにつながっているということも考えられるわけですから、熟練のドライバーをできるだけ多く世の中に出していくという方向で考えていただきたいし、また、熟練運転で十分にマナーを心得た運転の方が安全でもあり、それが社会通念であるというふうな形の世論なり考え方というものを定着させていただくためにも、長い大変な努力が要ると思いますけれども、そういうことを続けていただくことが一番交通安全で重要なことじゃないかと考えられますので、今後もこの点は十分御配慮をいただきたいと考えます。  暴走族に関しては、それだけでございます。大変お待たせして失礼いたしました。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕  それから次は、国鉄の方にお伺いしたいのです。  先ごろ来、東海地域に大きな地震が起きるということで国会で論議があったのですが、その後、学者のいろいろな研究発表があって、いますぐにでも地震が起きる可能性があり、それを総合的に予知していき、予防していくという対策が必要だということが報道されていき、重大な関心を呼んでいるわけです。国会の中でも議論されて、それが、多量の生命を積んで高速で走る新幹線に議論も及んだという点があるわけで、国鉄でもその点に御関心を寄せてはおられると思いますけれども、果たしてその不測の事態が、広い内陸に対して強度の地震が起こったときに、新幹線の高架なり盛り土した上を走っている路線なり、それにどういう影響が起こってくるか。私の知っている範囲内では、余震程度のある程度の震度があれば自動的に新幹線はとまるということも伺っておりますから、走っている間に列車の振動で地震がわからなかったということは、新幹線の場合はないと思いますけれども、すぐ近いところで直下型の大地震が起こったときに、路盤なりあるいは高架にどういうふうに影響が起こっていき、あるいは新幹線の車体自体にどういう揺れが起こって、乗っている人にどんな反応が起こっていき、そこでどんなパニックが起こってくるかということが問題で、たとえばそういうことが起こって、高架の上で非常ドアをあけて外へ飛び出していくということが起こってくる。新幹線ですから、そばに国鉄の職員の方が大ぜいいるわけじゃないですから、それがどんな事態を招いてしまうかというようなこととかいろいろな点が、単純に考えただけで相当考えられるわけですけれども、それに対して実際に物を使って実験をなさっていらっしゃるか。そういうものが起こったときに、乗客がどういうふうな対応をしていけばいいか。  先ほどの御質問にもありましたとおり、飛行機の場合は、一応海の上に落ちたということを予測されて、いわゆる救命具のつけ方なり何なり、あるいは非常口はどこにあるというようないろいろなことを飛行機の出発前に徹底していくということが図られているわけですけれども、こういうことがいろいろと議論されていくことになり、真剣にそれは考えなければならぬということになってきますと、国鉄の方としても広く国民に、新幹線が非常事態に陥ったときにお客さんはどうしていただいた方がいいんだとか、こういうときにはこういう対策をとってくださいとか、あるいは新幹線の中にある程度の広告はあることもあるでしょうし、いろいろなところにいろいろなものを明示しているわけですから、見やすいところに、そういうことに対するお客さんの見やすい内容とか、あるいは各駅にそういうことに対するお客さんの予備知識であるとか、そういうものが徹底されなければならないと思うんですけれども、そういう点について具体的に研究なさったり、あるいはこういう発表があった後に、国鉄が真剣にその問題をお考えになっていらっしゃるのか、あるいはその対策というものを御準備なさっていらっしゃるのか、今後どういうふうにおやりになるのか、その点を伺いたいと思います。
  134. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  先生先ほど申されたように、私ども新幹線には、約二十五キロごとに四十八カ所の地震計をつけてございまして、これが四十ガルを感知いたしますと、自動的に変電所で遮断器を切りまして、そして列車の方は非常ブレーキがかかるように相なっております。したがいまして、地震が起きたら、ともかく列車はとまるという状態になるわけでございます。  それでは一体地震でどんな状態になるのかというお話でございますけれども、私ども在来線も含めましていろいろ地震に対する構造物の経験があるわけでございまして、地震の問題というのはなかなかむずかしいわけでございますが、少なくとも新幹線に関しましては、最近つくりましたものでございますから、設計いたしますときのいわゆる地震荷重でございますとか、そういうものは土木学会等々で定められたものを使っております。したがいまして、実際には、恐らく関東大震災程度のものにつきましては、もちろん十分安全にたえるように設計されております。したがいまして、橋梁とか高架橋とか、こういう重量物の構造物については、われわれはそう大きな懸念を持っていないわけでございます。  多少問題点があるといたしますと、これは盛り土区間でございまして、岡山から先、博多間につきましてはほとんどコンクリート構造物にしてございますが、東京−大阪間につきましては盛り土区間が多うございます。これにつきましては、研究部門をつくっておりまして、研究委員会は埼玉大学の学長を中心とします日本の地震の権威を全部集めまして、そして現実にわれわれの鉄道研究所の中におきまして地震時を想定させました盛り土のいろいろな実験を現在もやっておりまして、それらの結果から具体的にどのようなことを盛り土区間についてやったら地震強度が増すかという実験をやっております。地震の問題もなかなかむずかしいのでございますが、大体先生方のいわゆるサゼスチョンを得ながら、あるいは水抜き孔をつくるとかパイルを打つとかあるいは格子枠をはめるとか、その土質土質に応じましていろいろな施工法がございますので、それに従いまして東京−大阪間については、現在一応盛り土区間の補強を八〇%終わっております。したがいまして、私ども、今後の対策ということになりますと、こうしたものにつきまして非常に大きないわゆる烈震が来たときにどうなるかと言われますと、いろいろな問題がございますけれども、少なくともわれわれが通常考えられるところの地震に対しては、一応新幹線は構造物は大丈夫だ、盛り土については八〇%補強しているということを申し上げて、列車はとまるということを申し上げたいと思います。  なお、客の扱い等々につきましては、私技術屋でございますので専門の営業課長に説明させます。
  135. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 旅客が思い思いに車外に脱出されることが国鉄としては一番困ることでございまして、非常用の出口とかあるいは非常用のコックには一応注意書きのステッカーを張ってございますが、災害時には一にも二にも乗務員の指示に従っていただく、これが一番安全な方法だというふうに確信しております。  乗務員にどういうような指導をしておるかということですが、たとえば新幹線ですと、CTCとの連絡によりまして、車内にいるよりも被害状況がよく把握できるということでございまして、そういう状況を受けた上で車内で繰り返し状況説明を旅客にする、それによって動揺を抑えるということがまず第一の仕事でございます。  それから車両が移動できる場合、四十ガル以上の場合には一たんとまりましても自動的に起電されまして車両が徐行で移動することができます。したがいまして、できるだけ安全な場所に車両を移動させ、さらにCTCの指示を待つということでございます。車外に誘導の必要の場合にも、CTCにおきまして、比較的安全な場所についてはすでに地理的な条件を把握いたしておりますので、その指示を受けまして車外に誘導する、その場合の照明の確保、足場づくり、こういうことを乗務員が各自共同してやるということでございます。大体車外に誘導する場合には、沿線連絡班というのが新幹線東京−博多間に約四十二班設けてございまして、そういうものが出動して、さらに地上での案内誘導に当たる、こういうような体制をとっておりまして、そういう趣旨に沿いまして関係職員の指導をいたしております。  なお、地上の方の体制ですが、これは言うまでもないことですが、いまの沿線連絡班を初め、駅の動員体制関係の医療機関との連絡体制、それから供食体制でございます。こういうものについてはふだんから体制を整えておる、そういうことをやっております。
  136. 沖本泰幸

    ○沖本委員 一応いろいろな御研究なり対策をお考えになっていらっしゃるということは想像できるのですけれども、少なくとも飛行機の場合は、脱出シュートを使って脱出訓練を、ほとんどの関係者に実験をやらして、実際に訓練をやっているという向きもあるわけです。ですから、そういうこともおありだとは思いますけれども、実際にお客が十分乗ったときにどういう状態が起こってくるかということを、実際の車両を使ってみていただいて、およそ想像できるようなパニックを起こしてみて、実験していただいて、具体的にそこからいろいろなことを引き出して十分安全を図っていただくということをやっていただきたいと思います。そうでないと、新幹線の場合は、東の方は北海道から西は沖繩に至るまでの人たちが遠距離を移動している、そして乗っている人が非常に多数であるということですから、一度事故につながると、いつの年でも台風なり何なりで災害が起きたその地域の死者とか行方不明とかという人の数を上回るということが何かの事故があったときに想像できるわけですから、そういう点十分考えていただきたい。  同時に、最近は値上げの問題で、こういうことで国鉄はこうなんですということをずいぶんPRなさっていらっしゃるわけですから、国鉄としても、やはりNHKなり民放なりのテレビを通して、あるときには、地震が起こったときはこういうことが起こりますということを、目でよくわかるようなことで国民によく知らして徹底していくというようなことも、これは十分必要じゃないかということが考えられるわけです。新幹線ではこんなことが起きます。在来線ではこういうことが起きますということを絵や耳でよく国民に教えておくということも、これは大事な生命、財産を守る大きな仕事だと考えますので、その辺を十分お考えいただきたい、それが第一点。  それから国鉄は、もう一つあるのです。これは、今度の長雨で岐阜の長良川の堤防が決壊したわけですけれども、決壊してからしばらくは、あの辺は徐行をしておったわけですね。その後も徐行がずっと続いておるわけです。そしてどうしても十分、二十分のおくれがいろんなところで起こってくるわけですね。このごろ皆さんの声を聞いてみると、冬場は冬場で雪でだめだし、まともに新幹線が時間どおり走るということはめったにないんだというお客さんの話も私地元なんかでいろいろ聞きます。たまたま国鉄出身の議員さんのお話で、長良川の変電所が水につかってしまったので使えない、急遽今度は水のつからないところへ変電所をつくっているんだ、それが約一年ぐらいかかるだろう、それまでは恐らく徐行が続くだろうというふうな話を聞いて、初めて知ったわけなんです。ところが私たち新幹線をしょっちゅう利用している連中が車掌さんからの車内放送で聞くのは、徐行区間があったので何分おくれましたというふうなことだけなんですね。新大阪であるとか京都であるとかいうところで乗りかえる場合に、またその向こうへ行く場合には、たとえば夜行の寝台に乗る場合とかあるいは九州へつなぐ場合には、新大阪で乗る方は姫路まで行ってくださいとか、岡山で乗りかえてくださいとかいうことを、その都度しばしば放送されるわけですね。その都度車掌さんもえらい目に遭っているわけです。聞かされる方もえらい目に遭うわけですね。ですから新幹線の場合は、乗る人が新幹線の時刻に合わして自分の乗り継ぎも考えて乗っていくわけなんですから、その変更があると、その人たち目的に向かってずいぶん時間変更を起こしてくるということになるわけです。ですから、むしろ乗ったときに車掌さんから、いま新幹線はこういうことで長良川の変電所がだめなんで、つくりかえているので、どうしてもここしばらくは、新幹線はあの辺でスローダウンします、だから大体何分ぐらいのおくれが起きることになりますから、あらかじめ、済まないけれども承知してくれという車内放送であるとか、新聞広告なら新聞広告なり何なりで、新幹線はこういうことでどうしてもおくれるんだというふうなことを、やはり利用者に対してお知らせいただくということが大事じゃないかというふうに私は考えました。  ところが、車掌さんからの車内放送では、一切、長良川がどうだこうだという話はないわけです。それで名古屋で先行車がおくれたのでどれくらいおくれて、あるいは東京駅のおくれが起こった場合でも、到着する列車がおくれたので出発が何分おくれます、こういうことだけなんですね。むしろそういうことをよくわからしておいていただいた方がお客さんが安心して、わかったという納得の上で乗っていく、これは天災上から起こっているんだからやむを得ないということになりますけれども、そういうものがなかった場合に、利用する者にとってみては、やはり何かの都合で、ストライキの延長じゃないだろうか、あるいは国鉄の管理の変な面がこういうところに出ているんじゃないだろうかという疑心暗鬼で国鉄を見ているということにもなるわけですから、そういう点十分お考えになって対策を立てていただきたい、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  137. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の、お客様にいわゆる訓練とか教育とかということを申し上げたら非常に失礼なわけでございますけれども、お客様にいろいろとPRすると申しますか、異常時対策につきましては、私ども運輸省からも非常に強く教育といいますか、指導も受けておりますし、国鉄の中でこの新幹線のいわゆる対策委員会というのは、ここ二年間徹底的にいろいろな異常時の場合の勉強をしております。それで、具体的な部内的なことにつきましては、ほとんど成果、また研究の結果が得られているというわけでございますが、先生のいまの御意見を非常に尊重いたしまして、なおどうやってお客さんに余り抵抗のないかっこうでそういうことができるかということにつきましては、またよく検討いたしまして、何か実施をいたしたいと思っております。  それから、長良川の事故でございますけれども、先生御案内のとおり、変電所がやられましたので、電圧がドロップしておりまして、十ノッチ出せますところを五ノッチしか出せないというのが現状でございまして、したがいましておくれているわけでございますが、これは一年なんということではまことに申しわけないので、来年のお正月前までにいわゆる機能が回復するよう、いま全力を尽くしておりますので、長良川の変電所にあります、とりあえずの電圧の低下という問題につきましては、いわゆるお正月のお休み前までに国鉄として処理するつもりでございます。  なお、旅客に対する案内等車掌の指導については、営業課長から御説明いたさせます。
  138. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 徐行により列車が遅延しますということは確かにしょっちゅう案内放送しておるわけですが、徐行の原因までは余り放送していないというのが実情でございます。今回のような事故の場合には、比較的原因がはっきりいたしておりますので、御趣旨のようにできるだけ指導してまいりたいというように思います。  なお、一長良川、旅客案内所、駅に行ってみなければ遅延状況がわからないという問題でございますが、これは緊急に、そういう列車が遅延するような状況が発生した場合にはなかなか周知の方法がないということでございまして、こういうものに対する手段としては、たとえば東京ではテレホンサービスというのを一応やっております。それから定例的には、毎朝国鉄の番組でございますが、「みどりの窓口」というところで本日の列車の運転状況というようなことをやっておりますが、それが緊急のものは、駅の駅頭掲示以外に周知の方法がないということでございます。
  139. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまのことで質問を終わるわけですけれども、やはりコンピューターを使って新幹線は時間的に間違いないんだというのが一般国民考え方なんですね。それが年がら年じゅうおくれておったのでは、そういうことによっても国鉄の信頼がずっと低下してしまうということになりますから、その辺もやはり十分お考えになっていただいて、来年の一月までに間に合わすということなら、来年一月まで全力を挙げて直すので、それまでそれに乗っかるということないけれども、多少のおくれが起きますということを知ってもらっておった方が、むしろおくれたのかという納得がいくと思うのですね。そういう点をやはり考えていただいて、ただ第一線の車掌さんに全部任しているというふうな、乗客にとってみればそうなるわけですからね。そういうことにならないようにしていただいた方がいいんじゃないか、こういうふうに考えます。国鉄は、以上でございます。  それから今度は船舶になりますけれども、この間水島のところで便宜置籍船が衝突をいたしました。それで、私たち暑い盛りに、広島の諸島水道のところでフェリーと便宜置籍船との衝突で、不幸な事故を起こして亡くなった方が生じたということで、委員長以下実際にその現場を見に行っていろいろ事情を伺ったということなんですけれども、そういうこともありますし、あの多島海で、潮の流れが変わらないという地帯で、重油なり何なり事故を起こした船の油が流出してみたり、あるいは化学薬品等が流れたりするときに及ぼす影響というものは非常に大変なことを起こすわけで、これはもうわれわれが身をもって経験しておるわけです。じゃほかのところはいいというわけではないですけれども、やはり一番狭水道のところが問題になって、海上交通安全法についても見直しが必要だというふうに言われているわけですけれども、最近の事故というのは、便宜置籍船による事故が非常に多いということが言えるわけです。  それから同時に、日本の船会社が、世界的な海運の競争上の問題もあるとは思いますけれども、便宜置籍船にうんと変わっている、日本船籍の船がなくなるんじゃないだろうか、あるいは日本の乗組員がほとんど失業してしまうぐらいに海外の労働賃金の安い国々の方たちの乗組員に入れかわってしまう、そのために便宜置籍船にしたりマルシップにしてみたりということが新聞や雑誌あるいは国会でいろいろ議論を呼んでいるわけです。  そういう中にあって、また一番心配しておった水島で事故が起こったということになり、幸い大きな事件に至らなかったということになりますけれども、諸島水道にしても、やはり便宜置籍船の操船上の問題が一番問題にされるわけですね。通るべきところを通らなかった、あるいは緊急避難の場合の操船が誤っておるというような問題、いろいろあるわけですから、こうなってくると、海上の安全交通ということを考えてみると、むしろ金がかかっても、こういう多島海であるとか狭水道のところを通る場合には、水先案内をちゃんとつけてもらわなければならぬ、そして危険を防いでもらわなければならない、そういう制度もやってもらわなければならない。これは船会社の方でちゃんとそういうことをやってもらわなければならないような規制をしてもらわなければならない、こういうふうにも考えられるわけです。  そういう点を考えていきますときに、これはこれからまだまだ起きてくることになるわけです。ただ、ここでお互いの議論をやりとりしているだけで済まされない問題であって、大きな危険をはらんでおるということが言えるわけですから、こういうふうな外国船舶に対する安全対策、あるいは水島港内で起こした船にしても、リベリア船籍の船は三光汽船であるとか、同じリベリア船籍同士ということになるけれども、片一方の三光汽船の方の分は香港の人が乗っておる、それから山下新日本の方は台湾の乗組員が乗っておるというふうに、便宜置籍船同士がやったことになるわけですから、こういうことはこれからもどんどん起き得るということを考えなければならないわけです。そういう点を考えていきますときに、安全航行、海上の安全あるいは海水が汚染されることに対する安全、こういうものを考えると、真剣にこの問題を取り上げなければならないということになるわけですから、こういうふうな日本の船会社自体が用船するという問題に対して今後十分規制していくとか、あるいはチェックしていくとか、運輸省の方が厳重に指導していくとか、そういうふうなこともなければならないと思うわけです。  それから今度は、日本海員組合あたりでもこの問題を指摘しておりますけれども、日本の乗組員がおかに上がってしまうという問題がある。航空機の場合でも同じですけれども、航空大学校を出た人が勤め口がなくて全部ほかの方へ行っている。商船大学を出た人が就職口が全部変わってしまうということになると、日本では将来海で働く人材すら払底してしまうということもあり得るわけです。周囲全部に海を控えている日本で、そういうことがあってはなりません。そういうふうな総合的なこともあるわけですから、こういう点をあわせてお答えいただきたいと思います。
  140. 横田不二夫

    ○横田政府委員 お答えいたします。  便宜置籍船等の外国船舶がわが国の沿岸で事故が多い、特に瀬戸内海で事故が多い、先生御指摘の先般の「ふたば」の関係の事件、それから今回の水島の事件、前の場合には水先人が乗っておりませんでしたけれども、−今回は水先人が乗っておって事故が起きた、まことに遺憾であったと思っております。  ところで、世界各国の船舶に乗り組む船員の資格、定員等につきましては、先般も申し上げましたけれども、国際的な基準がただいまのところないのでございます。したがいまして、国によっては、先進海運国の標準はもちろん、一般的な平均的な標準にも達しない国が多い。ただいま御指摘の便宜置籍船乗り組みの東南アジア諸国船員の中には、そういう基準に達しない船員がいることも多いわけでございます。そういうことで非常に問題ではございますけれども、これに対して国際的に努力がなされていないわけではございません。例のトリー・キャニオン事件が起きましたとき以来、OECDあるいはIMCO、それからILOにおいてこの問題を論じているわけでございまして、特に安全問題を所管するIMCOにおきましては、海上安全委員会に特別の専門の小委員会、訓練、当直基準に関する小委員会というのを設けまして、ここで船舶職員の資格、それから当直に立つ部員の資格、それだけでなくて危険物運搬船あるいは巨大船舶、これら特殊船舶の運航上必要とされる一般的な資格要件に上乗せして必要とされるような要件、こういうものについて、一九七二年以来毎年大体二回ずつでございますが、すでに八回の会議を重ねております。ことしもすでに六月に会議が行われまして、十二月にまた会議があるわけでございます。このようにいたしまして、一九七八年、昭和五十三年には条約の成案を得るべくきわめて精力的な作業を続けております。わが国も、同条約がIMCOにおいて採択されることになりました場合には、これを直ちに国内法化するように−と申しますのは、現行の船舶職員法をその条約に合うように改正していきたいと思っております。  わが国について申せばそういうことでございますけれども、国際的に見れば、この国際的なスタンダードができることによりまして、便宜置籍国、これもIMCOの会員でございますから、したがってその効果は及ぶもの、こういうふうに考えて、みんなが努力しているところでございます。そういうわけでございまして、これからまだ若干の時間は要すかと思いますけれども、やるべきことについての必要な努力が国際的に払われているし、わが国もそれに十分の協力を行っているということを申し上げたいと思います。
  141. 沖本泰幸

    ○沖本委員 総括的にはいまお答えになったような答えになっていくと思うのですね。ですが、国際的な会議をいろいろ重ねていっていると言いますけれども、ただ会議に出席していて成り行きを見ているという行き方もあるでしょうし、積極的にそこへいろんなデータを持ち込んでいって働きかけていくということもあり得ると思うわけですね。ですから、ただ全然傍観しているということではないわけですけれども、やはり日本の現状を考えてみるときに、そういうわが国の実情に合ったものが十分その国際会議の中で議論され、その国際会議の中でこの問題がわれわれが求めるような方向で十分消化され、問題が将来発展していくような何らかのことが、運輸省の担当の方からも、われわれはこうやっているんだ、しかしこうなんだとか、そういう形でお答えがどんどん返っていくとか、現状ではこうだけれども、この国がこういう発言をしている、で、大多数の国はこういう意見になってきている、だから五十三年度にこれはできあがるかどうかわからないけれども、でき上がるときにはおよそこういう方向でこの問題が決まっていくようなことになるのではないだろうか、それは日本の国には合っているとか合っていないとかいうふうな点で、もっと突き進んだものが議論されていくようであっていただきたいと思うのですね。でないと、アメリカの建国二百年に日本の将来を背負う若い人たちが帆船に乗って参加しましたけれども、それが日本の最後の姿であって、おしまいにはもう帆船も結局は姿を消していった、それが歴史上の姿であって、将来日本じゅうの若い人たちの技術を育てるところも閑古鳥が鳴いている、働き口もない、そうなってもらっては困るわけですね。  ただ、この前も同じ問題を取り上げましたけれども、日本の国だけが厳しい規制を設けて持ち込んでいけば、あるいは将来日本がいろいろな物を運んでいくときに、インドネシアの海峡を通っていくとかそれぞれのところを通っていくときにいろいろ規制されて、わが国の方が非常な負い目を負わされてしまうという問題も起こってくるという御発言もありました。しかしながら、われわれが考えているところでは、どうも船会社の利益だけ追求するためにこの問題が使われているというふうにしか考えられないのですね。そのために便宜置籍船がうんとふえている。このままでいくと国際競争に勝てないからどんどん持ち船を便宜置籍船に切りかえていって船を動かしている。それも国際競争の中で必要かもわかりませんけれども、やはり日本の国益に合ったように、あるいは日本の人的資源が十分消化され、将来に向かって日本の海運が広がっていくような方向で物事を考えていただかなければならないと思うのですね。その辺に私は多大の疑問を持っているわけですから、ただそういう通り一遍なお答えだけで済まされないで、船会社を集めてこういう問題を提起して、十分検討するとかなんとかいうふうなお考えはないわけですか。
  142. 富田長治

    ○富田説明員 便宜置籍船の用船を規制すべきじゃないかという御質問であろうかと存じます。  実は、確かにいろいろ問題がございます。しかしながら、現実にはいま世界の船腹のうち二三%程度が便宜置籍船でございます。二三%はいかにも少ないようでございますけれども、この中には内航船もございますれば、いろいろな張りついた船もございます。したがって、経済の動きに従っていろいろ用船するというときには、こういうところから用船源といいますか、雇ってくる以外に船がないというのが実情でございます。そういうことから五十年において見ますと、日本の輸出入貨物のうち二六%が便宜置籍船で運ばれているという現実があり、もしこの便宜置籍船がなければこの貨物が運べないという事態が現実の問題でございます。  それからもう一つ、非常に困難な問題でございますが、世界の海運は非常に長い伝統を持っているわけでございますが、伝統的に海運の自由という原則がございます。海運に対してそういう特別な規制をしない、世界でみんな同意したもの以外は規制しないという伝統がございます。そこで、実は現実論といたしましては、OECDの自由化コードというのがありまして、その中にそういうことはしてはならぬということが定まっておるわけでございまして、日本がOECDに入りますときに、日本が実は当時用船規制をやったわけでございますが、そのためになかなか入れなかったというような歴史的な実情もございます。いま、それが非常にむずかしいという問題がございます。  よりむずかしい問題といいますか、非常にまた困った問題がもう一つ大きくあるわけでございます。実は、そういう海運の自由の原則というものがありますところから、たとえば日本の船会社が便宜置籍船を用船しないということにすれば、それがかわりが日本船になるかということになると、そうならないわけでございます。それは外国の船会社が便宜置籍船をもって日本へ物を運んでくるということで、結局何にもならないということになるわけでございますので、われわれも非常につらい立場ではございますけれども、世界的な規模で、まあ時間もかかりますけれども、みんなの同意を持ちながらこれをやっていかないことには、完全な規制ができないというのが現在の実情でございます。
  143. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これを一言で言うと、公害のたれ流しを黙って見ているのと同じような結果を招くということになるわけですね、日本の国へ来たら何をやってもいいというふうな、ときたまつかまえられてということになるわけですし……。ですから、ここへデータはもらってはおりますけれども、外国船が日本の周辺で海上事故を起こしたという例がいっぱいあるわけですから、十分考えていただかなければなりませんし、こういうことによって、いわゆる船に乗るという意欲をなくして、人々がほかのことへ向いてしまう。お百姓さんがたんぼや畑をやる気をなくしてしまうと農業なんかなくなるわけですね。そうすると、極端に言うと、こういうことでずっといってしまいますと、港も何もかも疲弊してしまうという事態が考えられるということになるわけです。日本には、たくさんの港湾があり、いろいろな目的の港があり、いろいろな航路もあるわけで、そこまではいかないということになるかわかりませんけれども、若い人たちが船に乗る意欲をなくしてしまっている事態はもう起こっているわけです。  そういうことを考えていきますと、これはもう大きな問題として、この問題を運輸省としては総合的に考えていただいて、将来の海運という問題なり便宜置籍船なり、あるいは狭水道の問題なり、あるいは港湾が生きていく上の問題なりというものを真剣に考えていただき、かつ、それが安全に運営されていくという内容のところまで考えを広げていただくために十分な検討をしていただき、将来に対する真剣な運輸省のそれに対する危険信号なり、警告を発するような白書が出ていて十分じゃないかというふうにも考えられます。その点御質問しませんけれども、時間がなくなりましたから。これだけでも相当時間を使って、いろいろな方の議論を読んで、十分やってみたい気がいっぱいするわけですね。これには大多数の人たちの生活なり何なりというものがかかっておるということが考えられます。  たとえば本四架橋がかね、太鼓でいろいろ起こっているわけで、それは四国のこれからの将来の発展ということを考えていけば、本四架橋しなければならぬ、四国全体の経済の発展のために、こういうことで阿部次官なんか相当力を入れていらっしゃるということは聞いてはおりますけれども、そのためには、その反面、それによってたくさんの人が失業していき、たくさんの企業が影響を受けていくということも事実であるということになりますから、やはり政治という向きなり行政という立場から考えていくと、十分そういう人たちが生きる道も考えなければならぬということになるわけですから、今後十分御検討いただきたいわけです。これはもう次官から最後にお答えをちょうだいしたいのですけれども、質問を先に終わってしまいます。  航空局の次長には大変長時間待っていただきまして、貧乏くじで申しわけございません。あと羽田の飛行場の問題になるのですけれども、成田が使えない、ますます航空の需要が増大してきている、国内線、国際線というものが集中してきている、当然過密状態が起こってくることは想像されるわけなんです。そのためにいろいろトラブルが起こってくるということになるわけで、もう羽田はパンク状態だということも、新聞なんかの方もその問題を取り上げて、いろいろな問題を報道したり、キャンペーンを張ったりしてきておられるわけです。成田が使えたとしても、全部解決したということではないわけですけれども、一応羽田空港の方を軸にして考えていきますと、もういま限界じゃないか。じゃこれからふえる分なりいま限界に来ている問題はどういうふうに対処していくかという問題と、それからだんだん大型化されていき、エアバス化されていくということも、これはこれからの趨勢である、それからスピードアップというものが加わってきますから、それと結局、たくさんふえている、限界に来ているという問題と競合していくわけですね。そういう面に対して安全対策をいかにすべきであるかという問題。  それから、今度は少し落ちますけれども、言ってみますと、アコーデオンブリッジを使ったり、それぞれのところへ飛行機をつけて、それぞれゲートから乗っているのが主力なんですけれども、バスで送り迎えの方がだんだんふえてきている。見ていると、もうちょろちょろ飛行機の発着の間を縫いながらいろいろな目的の車が走り回っているということになるので、いまのところ大事故というものは考えられませんけれども、一度バスが飛行機の翼をかすめた、折ったということもありました。そういうものの往来がますますこういうところの運航を困難にしているのではないだろうかということが考えられますので、この点に対して、どういうふうにその安全対策考えられるか。  それから、これは外国の映画の中でも出てきましたけれども、定期便なり旅客機一台が不時の天候異変等によって飛んでいる途中で、空港近くで小型機と接触しそうになったということがあるし、しばしばアメリカ映画の中では小型機が飛び出していって、それとのトラブルで大騒動をするということがあるわけですけれども、日本も御多分に漏れず、小型機がだんだん普及していって、確かにふえていることは事実であり、ただ大きな飛行場からの小型機よりも、小型機専用の飛行場から飛んでいる場合も非常に多いのですけれども、限られた日本の国土の中で小型機の交通規制あるいは安全というようなものに対して、現状であるいは将来に向かって心配はありませんか。そういうものの安全をどうなさいますか。これが飛行機に関する御質問の全部でございます。
  144. 松本操

    ○松本(操)政府委員 非常にたくさんのことを御質問いただきまして、あるいはお答えがちぐはぐになる点をお許しいただきたいのでございますが、まず、羽田につきましては、仰せのように、非常に立て込んでおることは事実でございます。そこで、四十六年の八月以来羽田空港の発着回数に厳しい制限枠を設けました。現実にはどうなっているかと申しますと、年間約十七万回前後というところで、特段にふえもせず減りもせず、大体横ばいの状態になっておる。これは、それでわが方がむしろ抑えておるわけです。どういうことが起こるかと言えば、たとえば国内線につきましても、中央空港が整備されて羽田から増便をしたいという場合も羽田が使えない。あるいは国際線で申しますならば、こちらから何便か向こうへ行きたい、お返しとして向こうからこっちにも認めてやらないわけにいかぬというふうな場合にも、もうどうにも物理的に入りませんので、そこもあきらめざるを得ない。こういうふうな状態になっておることは事実でございますが、しかしそういう状態を踏まえまして、その後レーダーも二重化をいたしましたし、あるいはVOR、DME、ILS、こういったようなものも更新をいたしました。通信施設も更新をいたしました。ことにことしの三月からはコンピューターを入れましたARTSIJが動き出しました。こういうふうな手当てをいろいろとしてまいりましたので、空港自体における管制上の問題、保安上の問題については、今後とも努力をしてまいるつもりではおりますけれども、まず手抜かりはないような手配を一生懸命にやってきておる、こういうふうに御理解をいただいてよろしいかと思うわけでございます。  そこで、成田のお話が出てまいったわけでございますが、成田が開港いたしますれば、おおむね現在の羽田の便数の三分の一が国際線でございますので、この三分の一は成田に展開をしてまいります。当面羽田はもちろんすいてまいるわけでございますけれども、羽田空港自身、やはり将来の長い目で見ますと、私どもの試算では昭和六十年ごろにはいまと同じような問題が国内線だけで起こってくるのではないか。さらにはまた、羽田空港の地理的条件を見ましても、やはり周辺の騒音問題というふうなものもより一層改善していかなければならないわけでございますので、したがいまして、そういう点を含めまして今後の羽田をどうするかという点については、目下鋭意勉強をしておる段階でございまして、第三次五カ年計画の中にも、具体的には別に書かれていないわけでございますけれども、考え方としては、将来の羽田というものをどうにかしていくという方向で検討するという考え方は一応顔だけは出してあるという形になっておるわけでございます。  それから小型機。確かに小型機と定期便との問題というのは非常にむずかしい問題で、定期便は御案内のように、計器飛行方式で飛んでおります。管制に従っておりますが、多くの小型機は有視界飛行、つまりパイロットが目で見て飛んでおる。この異種の交通状態にありますものが同一の空域内に混在するということが実はトラブルの種になってくる。そこで、これは四十六年の事故もまさに計器航空と自衛隊の有視界飛行との問題であったわけでございますので、こういうものを排除していくという意味で、特別管制空域の拡大ということが安全対策要綱にもうたわれたわけでございまして、当時全国的に五カ所の空港について特別管制空域というものを設けまして、有視界で飛んでおります飛行機についても積極的に管制をする、こういう形でございましたものをさらに十カ所に広げまして、東京、大阪等は空域も広げました。こういうやり方をやりますことによって、定期便と小型機とのすれ違いというものを積極的に管制の中に取り込むという工夫をこらしてきておるわけでございます。  それからさらにエンルートにつきましては、第二次の五カ年計画、多少おくれましたけれども、エンルートのレーダーの整備あるいはVOR等の整備、こういう形で小型機といえども十分に安全を確保して飛べるように、あるいは航空法の改正等による裏打ちというふうな手も打ってまいった次第でございますので、アメリカほど日本の小型機というのは盛んでございませんが、いずれはしかし、アメリカほどにはなかなかならぬと思いますが、小型機の数というものもふえてまいろうかと思います。したがいまして、今後はたとえば航空路の中にもそういった特別管制空域、現在一カ所しかございませんけれども、こういうものをさらに数をふやす、空域を広げるというふうな形でこの問題に積極的に取り組むようにしてまいりたい、このように考えております。  それから飛行場の中の運行につきましては、航空機が着陸をいたしまして誘導路を通ってスポットに行くまでの経路でございますね、あるいはスポットを出まして誘導路を通って滑走路にたどり着くまでの経路、これにつきましては、グラウンドコントロールという形で、地上管制という形で管制官が実はめんどうを見ます。ところが、その間に御指摘のように、旅客を運ぶバスでありますとか、荷物を運ぶいろいろな車が動いておる。そこで、まずこれらの車両を運転する人たちの技能というものを確保しなければいけないということで、東京空港の例で申しますと、約五千人程度そういう人間がおるわけでございますけれども、公安委員会が発行いたします運転免許証、これは当然持っている、それを前提にいたしまして、さらに空港管理規則その他に基づく、その東京空港特有の、駐車位置はどうだとか、どこでどういうふうに一たん停車しなければいかぬとかいう規則を講習をいたしまして、空港長が試験を行いまして、これに合格した者に対してのみランプ車両を運転する免状を出す、こういう形でまず人間の方を教育をする。次には車両の運行につきまして必要なところはペンキを塗る、マーキングと申しますが、マーキングをするとか、あるいはルールを決める、車両置き場を決める、こういうふうなやり方でなるべく混雑しないで通れるようにする。それから飛行機を引っ張っていく大きな車がございます。これは非常にスピードも遅うございますし、また問題も大きいものですから、これらの車には努めて無線機をつけさせまして、絶えずタワーの管制官と連絡をとりながらこれらの牽引車を運転させる、こういうふうな工夫もこらしてきておるわけでございます。今後ともこの地上車両のふくそうというのは−羽田空港のように非常にふところの狭い空港におきましては、先生御指摘のように、これをすべてボーディングブリッジに取るわけにまいりませんので、どうしても沖取りの形というものが残ってまいろうかと思います。したがいまして、今後ともいま私が御説明申し上げたような方向をさらに発展させる方向で、運転者の質の向上なりあるいはそういったようなマーキングあるいはルールの整備というふうなことを図りながら、昨年も四件ばかり車両と航空機の接触事故がございまして、幸い大きな人身事故には及んでおりませんけれども、さらにその方向で今後とも指導を重ねていくようにしてまいりたい、このように思っております。
  145. 阿部喜元

    阿部政府委員 長年運輸を担当しておられる沖本さんからいろいろ意見を聞きましたが、特に熱心に船員の問題について述べられましたが、この船員につきましては新卒の卒業者を含めて非常に困難な問題もありますけれども、極力ひとつ努力をいたしたい、かように思います。  なお、この飛行場の問題についてもいろいろの各点からありましたが、いまも政府委員が答弁いたしましたとおり羽田は満杯でございますし、成田空港ができますと三分の一、その余裕ができるのでございまして、どうかひとつ党派を超えて成田空港の実現が早くなるように御協力をお願いを申し上げる次第でございます。
  146. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で終わります。
  147. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会