○松本(操)
政府委員 非常にたくさんのことを御質問いただきまして、あるいはお答えがちぐはぐになる点をお許しいただきたいのでございますが、まず、羽田につきましては、仰せのように、非常に立て込んでおることは事実でございます。そこで、四十六年の八月以来羽田空港の発着回数に厳しい制限枠を設けました。現実にはどうなっているかと申しますと、年間約十七万回前後というところで、特段にふえもせず減りもせず、大体横ばいの状態になっておる。これは、それでわが方がむしろ抑えておるわけです。どういうことが起こるかと言えば、たとえば国内線につきましても、中央空港が
整備されて羽田から増便をしたいという場合も羽田が使えない。あるいは国際線で申しますならば、こちらから何便か向こうへ行きたい、お返しとして向こうからこっちにも認めてやらないわけにいかぬというふうな場合にも、もうどうにも物理的に入りませんので、そこもあきらめざるを得ない。こういうふうな状態になっておることは事実でございますが、しかしそういう状態を踏まえまして、その後レーダーも二重化をいたしましたし、あるいはVOR、DME、ILS、こういったようなものも更新をいたしました。通信
施設も更新をいたしました。ことにことしの三月からはコンピューターを入れましたARTSIJが動き出しました。こういうふうな手当てをいろいろとしてまいりましたので、空港自体における管制上の問題、保安上の問題については、今後とも努力をしてまいるつもりではおりますけれども、まず手抜かりはないような手配を一生懸命にやってきておる、こういうふうに御理解をいただいてよろしいかと思うわけでございます。
そこで、成田のお話が出てまいったわけでございますが、成田が開港いたしますれば、おおむね現在の羽田の便数の三分の一が国際線でございますので、この三分の一は成田に展開をしてまいります。当面羽田はもちろんすいてまいるわけでございますけれども、羽田空港自身、やはり将来の長い目で見ますと、私どもの試算では
昭和六十年ごろにはいまと同じような問題が国内線だけで起こってくるのではないか。さらにはまた、羽田空港の地理的条件を見ましても、やはり周辺の騒音問題というふうなものもより一層改善していかなければならないわけでございますので、したがいまして、そういう点を含めまして今後の羽田をどうするかという点については、目下鋭意勉強をしておる段階でございまして、第三次五カ年計画の中にも、具体的には別に書かれていないわけでございますけれども、
考え方としては、将来の羽田というものをどうにかしていくという方向で
検討するという
考え方は一応顔だけは出してあるという形になっておるわけでございます。
それから小型機。確かに小型機と定期便との問題というのは非常にむずかしい問題で、定期便は御案内のように、計器飛行方式で飛んでおります。管制に従っておりますが、多くの小型機は有視界飛行、つまりパイロットが目で見て飛んでおる。この異種の
交通状態にありますものが同一の空域内に混在するということが実はトラブルの種になってくる。そこで、これは四十六年の
事故もまさに計器航空と自衛隊の有視界飛行との問題であったわけでございますので、こういうものを排除していくという意味で、特別管制空域の拡大ということが
安全対策要綱にもうたわれたわけでございまして、当時全国的に五カ所の空港について特別管制空域というものを設けまして、有視界で飛んでおります飛行機についても積極的に管制をする、こういう形でございましたものをさらに十カ所に広げまして、東京、大阪等は空域も広げました。こういうやり方をやりますことによって、定期便と小型機とのすれ違いというものを積極的に管制の中に取り込むという工夫をこらしてきておるわけでございます。
それからさらにエンルートにつきましては、第二次の五カ年計画、多少おくれましたけれども、エンルートのレーダーの
整備あるいはVOR等の
整備、こういう形で小型機といえども十分に安全を
確保して飛べるように、あるいは航空法の改正等による裏打ちというふうな手も打ってまいった次第でございますので、アメリカほど日本の小型機というのは盛んでございませんが、いずれはしかし、アメリカほどにはなかなかならぬと思いますが、小型機の数というものもふえてまいろうかと思います。したがいまして、今後はたとえば航空路の中にもそういった特別管制空域、現在一カ所しかございませんけれども、こういうものをさらに数をふやす、空域を広げるというふうな形でこの問題に積極的に取り組むようにしてまいりたい、このように
考えております。
それから飛行場の中の運行につきましては、航空機が着陸をいたしまして
誘導路を通ってスポットに行くまでの経路でございますね、あるいはスポットを出まして
誘導路を通って滑走路にたどり着くまでの経路、これにつきましては、グラウンドコントロールという形で、地上管制という形で管制官が実はめんどうを見ます。ところが、その間に御
指摘のように、旅客を運ぶバスでありますとか、荷物を運ぶいろいろな車が動いておる。そこで、まずこれらの車両を
運転する
人たちの技能というものを
確保しなければいけないということで、東京空港の例で申しますと、約五千人程度そういう人間がおるわけでございますけれども、公安
委員会が発行いたします
運転免許証、これは当然持っている、それを前提にいたしまして、さらに空港管理規則その他に基づく、その東京空港特有の、駐車位置はどうだとか、どこでどういうふうに一たん停車しなければいかぬとかいう規則を講習をいたしまして、空港長が試験を行いまして、これに合格した者に対してのみランプ車両を
運転する免状を出す、こういう形でまず人間の方を教育をする。次には車両の運行につきまして必要なところはペンキを塗る、マーキングと申しますが、マーキングをするとか、あるいはルールを決める、車両置き場を決める、こういうふうなやり方でなるべく混雑しないで通れるようにする。それから飛行機を引っ張っていく大きな車がございます。これは非常にスピードも遅うございますし、また問題も大きいものですから、これらの車には努めて無線機をつけさせまして、絶えずタワーの管制官と連絡をとりながらこれらの牽引車を
運転させる、こういうふうな工夫もこらしてきておるわけでございます。今後ともこの地上車両のふくそうというのは−羽田空港のように非常にふところの狭い空港におきましては、先生御
指摘のように、これをすべてボーディングブリッジに取るわけにまいりませんので、どうしても沖取りの形というものが残ってまいろうかと思います。したがいまして、今後ともいま私が御説明申し上げたような方向をさらに発展させる方向で、
運転者の質の向上なりあるいはそういったようなマーキングあるいはルールの
整備というふうなことを図りながら、昨年も四件ばかり車両と航空機の
接触事故がございまして、幸い大きな人身
事故には及んでおりませんけれども、さらにその方向で今後とも
指導を重ねていくようにしてまいりたい、このように思っております。