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1976-10-27 第78回国会 衆議院 外務委員会多国籍企業等国際経済に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)     午後一時十六分開議  出席小委員    小委員長 水野  清君       石井  一君    粕谷  茂君       塩崎  潤君    竹内 黎一君       毛利 松平君    河上 民雄君       米原  昶君    渡部 一郎君       永末 英一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         経済企画庁長官         官房参事官   岡島 和男君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君  小委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  浅尾新一郎君         外務省経済局国         際機関第二課長 福田  博君         外務省経済協力         局外務参事官  大鷹  正君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         水産庁漁政部長 森実 孝郎君         通商産業省産業         政策局国際企業         課長      高橋 達直君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       箕輪  哲君         外務委員会調査         室長      中川  進君     ————————————— 十月二十七日  小委員津金佑近君同日小委員辞任につき、その  補欠として米原昶君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員米原昶君同日小委員辞任につき、その補  欠として津金佑近君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  多国籍企業等国際経済に関する件      ————◇—————
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  多国籍企業等国際経済に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 多国籍企業小委員会を設けた一つのねらいには、多国籍企業実態調査し、その調査に基づいて多国籍企業規制を図ることにあろうと思うのでありますが、その前提として、一体多国籍企業とは何なのかということが問題になると思います。それを明らかにしておかなければいけないと思いますが、まずそのような観点から伺いたいことは、国連など国際機関においてどのような企業を多国籍企業定義づけておるか、そういうようなことを初めにお伺いしたいと思います。
  4. 大川美雄

    大川政府委員 国連におきましては四、五年ぐらい前からこの多国籍企業の問題についていろいろの角度からいろいろの場で検討議論いたしておりますが、多国籍企業とは何ぞやという、その定義自体については実はまだはっきりした結論は出ておらないのでございます。国連では多国籍企業についての定義は、まだ結論は出ておりません。一九七三年に国連事務局が出しました報告書によりますと、考えられる定義を数えてみて二十ぐらいもあるというふうに、実にまちまちでございます。  その代表的なものを一つ二つ挙げますと、たとえば複数の国で主たる事業活動を行っていて、経営上の基本的な指令が一元的に行われているある程度大きな企業グループというような定義一ついわれております。それから対外直接投資活動を行っている企業という定義もございます。それから、大きい企業巨大企業即多国籍企業だというような議論をする人もあるようでございます。これは単なる例示でございますけれども、多国籍企業とは何ぞやということをはっきり決めることはなかなか困難であるということだけは言えるかと思います。国連経済社会理事会のもとに多国籍企業委員会というのが昨年から設けられておりますけれども、その委員会の作業と申しますか、任務の一つとして多国籍企業定義の問題を割り出すことが現に挙げられておりますので、今後その議論が当分続くのではないかと思います。
  5. 河上民雄

    河上委員 国連局長から御説明がありましたけれども、それはそれとしまして、日本政府としてはどういう企業を多国籍企業認識しておられますか。
  6. 福田博

    福田説明員 多国籍企業定義の問題に関しましては、これまでのところ具体的に国際的な場で検討が行われましたのは、OECDの多国籍企業に関する行動指針策定の場でございましたが、そこでは、ただいま答弁がございましたように、定義に関しましてはいろいろな考え方がまちまちでございまして、結局定義づけは困難であるという結論が出ております。
  7. 河上民雄

    河上委員 いや、日本政府はどう考えるか。
  8. 福田博

    福田説明員 ただいま申し上げましたように、多国籍企業につきましては、先ほど国連局長の方から答弁がございましたように、標準的な考え方、つまり複数の国で主たる事業活動を行っており、経営上の基本的指令が一元的に行われているある程度巨大な企業グループとするのが最も標準的だとは思いますが、いわゆる多国籍企業問題というものが非常に各般にわたっておりますので、率直に申しまして、単一定義をもってすべての問題に対処することは困難であろうと思っております。
  9. 河上民雄

    河上委員 では、少なくとも政府としてはいま言われた定義基本になる。それでは十分でない点、あるいはそれでは当たらない多国籍企業問題を処理する上から言って、それでは説明のつかない部分もある。その点については他の定義も援用したい、こういうことでございましょうか。
  10. 福田博

    福田説明員 一般的に、たとえば最近非常に問題となっておりますいわゆるアメリカロッキード社は、この定義では多国籍企業に入らないわけでございます。しかし、ロッキード社の問題を多国籍企業としてとらえるという観点から検討する場合には、当然また別の定義づけということも必要になるかと思いますが、国際的な、OECD検討の結果では、要するに結果として公表されました宣言の中においては、定義づけを無理して行う必要はないということになっております。
  11. 河上民雄

    河上委員 私が伺っているのは、日本政府はどういう態度をとっているかということなんでして、OECDがどうのということだけではないのでございます。
  12. 福田博

    福田説明員 どうもお答えが不十分で申しわけなかったのですが、要約いたしますと、問題の複雑、多岐性にかんがみて、イメージといいますか、ほぼ一般的な概念としては先ほど申し上げました定義が一番適当ではなかろうかとは思っておりますが、単一定義で対処することは困難であろうと思っております。
  13. 河上民雄

    河上委員 わかりました。それでは具体的に伺いますけれどもわが国日本製鉄とか日立製作所、トヨタ自動車工業とかこういうのは多国籍企業に当たるのか、当たらないのか。また、それこそ日本海外的な事業活動を代表するものとして商社というユニークな形態があるわけですが、この商社というのは多国籍企業と考えられるのかどうか。
  14. 高橋達直

    高橋説明員 お答え申し上げます。  多国籍企業概念のもとに何の対策を講ずるか、そういう政策目的との関連で多国籍企業概念というものはつかまえていかなければいかぬのだろう、基本的にそう考えている次第でございます。私どもがたとえば海外事業活動動向調査という調査をやっておりますが、この海外事業活動動向調査におきましては、外為法により外貨証券取得の許可を受けて外国法人経営に参加しているわが国本社企業、こういうものを海外事業活動動向対象としての企業というふうにとらえているわけでございます。かような観点からまいりますと、いま御指摘のあった新日鉄とかその他の大きな大企業につきましては当然そういったものに入るということに相なります。それから、商社につきましても同様でございます。ただ、それが多国籍企業であるかどうかということは、先ほど来外務省の方からも答弁がありましたように定義は区区でございまして、その定義のもとに何を政策するかということが考えられる必要がある、かように考える次第でございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 それでは、ロッキードエアクラフト社政府の言う多国籍企業に入るのか、入らないのか。
  16. 高橋達直

    高橋説明員 お答え申し上げます。  私どもで一方、外資系企業動向調査という調査をやっておりますが、この外資系企業動向調査は、やはり外国企業でもって日本企業経営に参加している企業という観点でとらえております。かような観点からいたしますと、ロッキード社はそういったものを持っておりませんので、そういう概念には入らない、こういうことになるわけでございます。
  17. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、アメリカの上院の多国籍企業小委員会ロッキードエアクラフト社を取り上げた理由はどういうところにあるというふうに認識しておられますか。
  18. 高橋達直

    高橋説明員 私ども認識といたしましては、そのような巨大な企業が、海外において必ずしも適正でない活動をしているのではないかという観点からアメリカの議会において取り上げられたということからいたしまして、やはりそういう適正な行為でないかもしれぬという目的との関連企業概念をとらえているのだろう、かように考えるわけでございます。
  19. 河上民雄

    河上委員 一般的にはロッキード社一つは世界の多くの国と国際的な取引をしていることと、それから海外における販売のための現地法人を持っている、非常に小さな法人にしても。そういう二点から多国籍企業というものを拡大解釈して、まさにこれであるという判断に基づいてこれを取り上げたのだと思うのです、ただ問題を起こしているからだけではなくて。それで、先ほど日本政府では、日本商社というのは多国籍企業だというふうな認識をしているようなお話もありましたけれども、これも海外で別に生産活動をやっているわけじゃないし、生産的な拠点を持っているわけでもない商社を多国籍企業というふうに考える理由というのはどこにあるのか。
  20. 高橋達直

    高橋説明員 先ほど申し上げましたように行政の対象となる目的との関連定義をとらえているわけでございますが、先ほど御説明いたしました海外事業活動動向調査というのは、わが国企業海外における活動実態を広くとらえようとしているわけでございまして、そういう観点からいたしますれば商社も当然にその対象になる。それから、いま商社海外生産活動を行ってないのではないかという御指摘でございましたが、商社海外において生産を行う合弁会社投資をしているというケースはあるわけでございますので、そういう観点からすれば日本商社海外において生産活動に従事している、かように考えることもできるわけでございます。
  21. 河上民雄

    河上委員 いま政府で多国籍企業というものをどう考えるかということを伺っているわけですが、それに対する御答弁は、何か多国籍企業というか、企業海外的な活動調査するための対象を決める基準としての御答弁のような気がしてならないのです。いまわれわれがここで考えなければならない問題は、今後海外における活動あるいは海外企業日本国内における活動をどのように規制するかという角度から、政府がいま多国籍企業というものを規制対象として何を考えているかということを私の方は伺っているわけなんですが、その点ちょっとずれがあるような気がするのです。そういうことでは、いま現実に国際的に問題になっておる多国籍企業規制対象としてとらえることはきわめて困難ではないか。問題意識の点から見て、ちょっといまのは従来の統計をつくったり調査報告をするための仕分けの基準としての多国籍企業というような印象でございまして、ちょっと私はこれ以上いまのような質疑応答を繰り返しても意味がないように思うのですが、その点政府関係者の御注意を促したいと思う。むしろ、いま多国籍企業問題が起きておる、それに対して政府として規制をする場合にどういうのが規制対象になるかという角度から多国籍企業というものを定義づけてもらわないと、それは実際の仕事にならぬじゃないか、私はそう思うのですが、その点いかがでございますか。
  22. 高橋達直

    高橋説明員 その点につきましては、先ほど外務省の方からも御答弁がございましたように、まさに現在国連定義の問題も含めて議論になっておるわけでございまして、今後国連場等、国際的な場におきまして十分検討して、わが国としてもそれに積極的に参加をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 河上民雄

    河上委員 これ以上やりとりしてもいたし方ありませんからこの辺でやめますけれども、ひとつ国連で決まったらそれに従ってということではなくて、日本政府としても一つ態度というものを表明できるように、やはり実態調査を踏まえながら定義というものは考えてもらわないといけないのじゃないか、こういうふうに思いますので、その点希望を込めて、この話はこの程度に終えたいと思います。  多国籍企業の問題につきまして先般参考人の方方をお呼びをして私どもヒヤリングを行い、御意見の陳述を伺い、またわれわれも質問をしたわけですけれども、その中でも指摘されましたように、多国籍企業という問題がわが国に波及してまいりました一つは、やはり資本自由化が進められて以来のことであるわけです。そこで資本自由化というもののテンポ、今後の見通し、そういうようなものとの関連を抜きにしてわが国における多国籍企業の問題というのは論ぜられないわけですので、この資本自由化との関連について政府の見解を承っておきたいと思います。  まず第一に、わが国では第五次の資本自由化を本年の五月にすべて完了している、こういう事実がありますが、これでもう一たん終えたら今後どうするのか、さらに進めるのか、それともこれでストップするのか、あるいは逆に今後資本自由化をやや縛っていく方向に行くのか、政府態度はどうですか。
  24. 高橋達直

    高橋説明員 わが国の対内直接投資自由化につきましては、いま御指摘のとおり本年の五月一日をもちまして、大体第五次自由化が終わったところでございます。現在非自由化業種として残っておりますものは、農林水産業、鉱業、石油業皮革製造業の四業種でございまして、これらにつきましてはそれぞれわが国産業に与える影響がきわめて重大であるので、今後その自由化についてはきわめて慎重に考えていかなければいかぬ。かような観点から考えますと、一応これで資本自由化は出尽くしたというふうにお考えいただいてよろしいかと思うわけでございます。
  25. 河上民雄

    河上委員 それは、もう政府の動かない態度と理解してよろしいですか。
  26. 高橋達直

    高橋説明員 現段階においてはそのように御理解いただいて結構かと思います。
  27. 河上民雄

    河上委員 アメリカの多国籍企業日本市場への進出というのはいまどういうふうになっておりますか。やや減退しているというようなことがございますか。政府はどのように考えておられましょう。
  28. 高橋達直

    高橋説明員 わが国に対するアメリカからの投資につきましては、四十三年以降の資本自由化に伴いましてかなり大幅なテンポで入ってきたわけでございますが、オイルショック後の世界的な不況を反映しまして四十九年には若干落ち込んだわけでございますが、その後ある程度テンポを回復してきておる、こういうのが一般的状況でございます。
  29. 河上民雄

    河上委員 いま日本市場は多国籍企業を受け入れる余地がまだ十分に残されているというふうに考えておられますか、大体もうこれで手いっぱいだ……。
  30. 高橋達直

    高橋説明員 これまでの経営参加的な外資導入状況を見ますと、これは昭和五十年度までの累計でございますが、機械工業が二五%で、一番多い分野になっております。それから、あと化学が二一%、それから商業、貿易関係が一一%、石油が一五%でございます。  こういう状況から考えまして、かなり所得弾力性の高いといいますか、有望業種についてはこれまでも進出がなされておる、こういうふうに判断してよろしいかと思います。  今後の問題につきましては、かなりこれは総合的に検討いたしませんと見通しがむずかしいので、ちょっとこの場では差し控えさせていただきたい、かように考えております。
  31. 河上民雄

    河上委員 わが国におけるアメリカの多国籍企業実態というものについて、今回のロッキード事件が起こる前に、日本政府としては総合的な調査をしたことがおありですか。
  32. 高橋達直

    高橋説明員 私どもの方で最近、多国籍企業を含めた世界的な企業実態についての調査を開始しております。四十七年度から行っております。
  33. 河上民雄

    河上委員 その中で、特に日本国内における多国籍企業活動がいろいろ摩擦を起こすと思うのですけれども、そういうような摩擦の実例などについて調査し、また公表しておる、そういうようなことをいままで実際にやってこられていますか。
  34. 高橋達直

    高橋説明員 ただいま申し上げました私ども調査は、これは世界的な活動実態をとらえるということで、特に日本国内における活動対象にしたものではございません。  日本国内対象にしたものにつきましては、外資系企業動向調査という調査をこれまでに九回行ってまいりまして、その中で実態をとらえるよう努力しております。ただ、この調査はどちらかと申しますと、経営実態の把握でございまして、いわゆるビヘービアをとらえたものではないわけでございまして、今後、最近の世論等を踏まえまして、この調査拡充によって、そういった行動面での実態も把握するようにしてまいりたい、かように考えております。
  35. 河上民雄

    河上委員 それはぜひやってもらわなければいかぬですけれども、やるとしたらどこでおやりですか。やはり通産省ですか。
  36. 高橋達直

    高橋説明員 さようでございます。
  37. 河上民雄

    河上委員 これは来年から——来年というかことしというか、直ちにもうそういうビヘービア側面を、これがいま社会的に大きな問題になっているわけでして、これについて政府が、たとえば国会白書のような意味報告を将来することができるようにしてもらわなければいかぬと思いますけれども、その点いかがですか。
  38. 高橋達直

    高橋説明員 来年度の財政当局に対する予算要求におきまして、そのような要求もしてございまして、通産省といたしましては多国籍企業日本国内におけるビヘービアについての調査を来年度はいたそう、かように考えておるわけでございます。  これの結果についての発表につきましては、現在のところ、もし非常に問題のあるビヘービアが出てきた場合には、それを私どもの指導によりまして改善させていく資料にしよう、こういうふうに考えているわけでございます。
  39. 河上民雄

    河上委員 各省からそれぞれ白書が出ますが、そういうような白書的な意味でそういうものについての報告国会に提出する用意があるかどうか、いかがですか。
  40. 高橋達直

    高橋説明員 たまたま第九回まで外資系企業動向調査という形でこれはもう結果を公表してまいってきておりますので、それの拡充という形で考えてみたい、こういうふうに思っております。
  41. 河上民雄

    河上委員 わかりました。  いままで具体的に受け入れ国法秩序を乱すような多国籍企業違法行為というものが行われてきているのではないかと思うのですけれども、そのような具体的な事例を挙げていただきたいと思うのです。また、どういうような類型違法行為が一番多かったのか。現在ロッキード事件というものが起きているわけですけれども、それ以外にどのようなものがあったのか。いかがでございますか。
  42. 福田博

    福田説明員 御質問の違法という言葉を厳密に定義いたしますとなかなかお答えがしにくいと思いますが、これまで多国籍企業が国際的に問題になったのを大きく類型化するいろいろな方法があると思います。  一つは、いま御質問の中にございました資本自由化あるいは企業進出に伴って、受け入れ国産業政策労働政策あるいはそれの関係の法令との進出企業整合性等の問題でございます。それが第一の類型。  それから第二が、一九七〇年代の初めに、いわゆる通貨危機関係において多国籍企業通貨の投機を行っているのではないかということで、当時いろいろな問題を起こされましたいわゆる通貨との問題。  それから第三が、南米において起きました政治介入にかかわる事例に基づいて、いわゆる広く南北問題との関連で多国籍企業が論ぜられるようになっております。  それから最後に第四の類型といたしましては、先進国、たとえば日本であるとかオランダにおいて、定義にもよりますが、企業腐敗行為、具体的には賄賂の話、それから政治献金の話、政治的活動の関与の問題と分けることができると思いますが、いわゆる腐敗行為との関連において多国籍企業の問題が提起されている、かように理解しております。
  43. 河上民雄

    河上委員 それは大体そのとおりだと思うのですけれども、特にわが国で、ロッキード事件のような大きな事件でなく、もう少し小さなケースで、やはり受け入れ国進出企業との間にいろいろ摩擦があるはずであります。日本の場合は特にどういう問題が多かったかということを伺っているわけであります。
  44. 福田博

    福田説明員 外国企業日本に入ってきます場合に、御案内のとおり、外資法のスクリーンを受けて入ってくるわけでございまして、その認可の際にその企業についての内容等を調べるわけでございます。その後の行動につきまして、特に法律的なフォローはしてないわけでございますが、私どもの聞いている範囲ではそう問題を起こした企業はないというふうに聞いております。ただ、新聞紙上等では、その独禁法違反の問題とかあるいは労使問題とか、そういう問題を起こしているという企業があるやに聞いておりますが、これは特に多国籍企業に限った問題かどうか、その辺は必ずしもそうではないのではないかという感じがいたします。
  45. 河上民雄

    河上委員 今度は逆に日本から外に出ていく企業について、たとえばタックスヘブンの問題とかあるいは日本では許されないような公害企業が追い立てられて外国へ出ていく、そして向こうで、たれ流しをしないまでも日本とは違った規制のもとでいろいろトラブルを起こすというようなことが起こった場合に、それに対してどういう取り締まりをするのか。出ていくときにある程度規制ができるのかどうか。いまのお話では、入ってくるものに対してある程度規制ができる、その後国内でどういう活動をするかは、要するに法人格を認めている限りはやむを得ないということでしょうけれども、今度は出ていくものに対して政府として、いま独禁法違反というような話もありましたけれども、たとえば公取委とかその他いろいろな政府機関として何かやる方法があるのかないのか。出るとき一応ちょっとチェックしたら後はどうしようもないということなのか。その辺はいかがですか。
  46. 高橋達直

    高橋説明員 御指摘の点については、現在の法制度のもとではチェックのしようがないと考えております。ただ、基本的に、公害の問題だとか労使の問題だとか相手国において起こす問題については、相手国法制下の問題であるわけでございますが、進出する日本側といたしましても、相手国との協調、融和を図っていかなければなら雇いという観点からそのようなものを慎んでいかなければいかぬことは当然でございます。このような点については、法律よりもむしろ進出する企業自体のモラルの問題でございまして、わが国としては昭和四十八年に経団連その他民間五団体が「発展途上国に対する投資行動指針」というものをすでにつくっておりまして、その中にも環境の保全であるとか労使協調の問題だとかいうことが書いてあるわけでございます。そういう企業自発的努力政府としては側面から支援してまいりたい、こういうふうに考えております。
  47. 河上民雄

    河上委員 ただいまのタックスヘブンの問題がこの前もヒヤリングで話題になりましたけれども、こういうことは、一たん出てしまったらうわさが幾ら高くてもどうしようもないと考えているのか。先ほど、違法行為と言われると解釈によって非常に答弁がしにくいというお答えもありましたけれども、明らかにタックスヘブンを求めてどこかに行っている企業に対して、政府として少なくともここまではできる、しかしこの先はできぬ、できない点についてはひとつ国会も考えてくれというような点があるのか。あると思うのですが、そういうことについて規制するという真剣な態度からお答えを願いたいのです。
  48. 福田博

    福田説明員 いわゆるタックスヘブンなるもの、租税回避国の存在は、その国の租税体系の違いといいますか、その国の主税当局の考え方の差によって実体的な差が出てまいりますので、その限りにおいて、それを通常の状態といいますか、そこへ進出して企業活動を行う企業が通常一般的な考え方に沿って、期待されるというか、当然そういうことを行うであろうと言われるような利用の仕方というか、租税回避国を利用するということまで制限することは困難であろうと思います。ただし、いわゆるトランスファー・プライシングといいますか、移転価格等を乱用して、独立企業間の原則というのがございますが、それに反するような租税回避活動を行うことは望ましくないということは明らかでございます。しかし、これは一国だけでできることではございません。そこで、ただいまOECDにおきましては、これは先進国グループでございますが、トランスファー・プライシングを乱用して租税回避をすることをどうしたら実体的に回避することができるかということを鋭意検討中でございまして、非常に真剣にやっております。税金を取ることにつきましては、それぞれの国は大きな関心といいますか非常に熱心でございますので、具体的に有意義な結果が出ることになると思っております。
  49. 河上民雄

    河上委員 それはいま、政府も代表を送って検討しているわけですか。
  50. 福田博

    福田説明員 OECDの租税委員会のワーキンググループといいますか作業部会におきまして、この問題を中心に熱心に検討を行っております。
  51. 河上民雄

    河上委員 いま国際的な、連帯的な努力というのが話題になったわけですけれども、先般、日米犯罪人引渡条約について安原刑事局長が、ロッキード事件の発生にかんがみて贈収賄罪も対象とするように法務省は検討中だ、こういうふうに答弁したわけです。それに対して外務省としてはどうかということをお尋ねいたしましたところ、それも含めて、つまり新しい類型の犯罪について、犯罪人引渡条約の再検討をいまアメリカとも話し合っているということでしたが、その場合贈収賄罪が入るのか入らないのか非常にあいまいでございました。その点を少し確かめてみたいと思うのでありますが、贈収賄罪のような犯罪の種類を含める改定になるのかならぬのか。さらに、時代に適応した多国籍企業等の経済行為に基づくさまざまな犯罪も含めて対米折衝に当たるおつもりなのか。これは外務省と法務省に承りたいと思うのです。
  52. 水野清

    水野委員長 きょうは法務省はいませんよ。
  53. 河上民雄

    河上委員 それでは法務省はよろしいです。外務省だけで結構です。
  54. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ただいま参りましたので、御質問の全部を聞いておりませんから、あるいは取り違える点があるかもしれませんが、日米犯罪人引渡条約に関しましては、前からこの問題について日米間で改定の予備的な話し合いは行われておりまして、できるだけ早い機会に、双方の準備が整い次第交渉を始めるということになっております。  もともと、この日米犯罪人引渡条約は明治十九年につくられたものでございまして、その後若干の改正が行われておりますが、その扱っております犯罪の類型は非常に伝統的なものに限られております。殺人とか放火とか、そういうどこの国でも当然犯罪とされるようなものだけが引き渡し犯罪となっておるわけでございます。したがいまして、ことに麻薬犯罪とかハイジャックとか、新しい型の犯罪がふえてまいりました最近の情勢にかんがみまして、この条約については改定する必要があるだろうということについては、両国の当局の間で、予備的な話し合いにおいてはその方向が打ち出されておるわけでございます。  ただ、先ほどからお話しのあります贈収賄というふうな問題になってまいりますと、これはいろいろな経済的な要素も絡む犯罪でございまして、犯罪としても非常に複雑なものになってまいりますので、こういう犯罪を含めるかどうかということについては、まだ交渉も始まっておりませんのではっきりしたことは決まっておりません。日本側としてもその点について最終的な方針はまだ決まっておらない次第でございます。  いずれにいたしましても双方の準備が整い次第できるだけ早く話し合いを始めまして、その犯罪の類型についても話し合ってまいりたいと思っております。
  55. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、今度の日米犯罪人引渡条約の改定の議が起こった主たる理由というか、その背景は、ハイジャックとかそういうようなきわめて現代的な、二十世紀後半的な犯罪類型に対処するためであるということのような感じでございますが、その点については大体合意に近いものがあるということですね。  それで、ただ贈収賄罪とかその他の経済行動についてはまだ双方の意見が一致するところまでもいってないし、さらに政府がその問題をアメリカ側に出すか出さないかということもまだ決まってない、こういうことでございましょうか。
  56. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、まだ交渉が始まっておりません。そしてその交渉に備えての政府としての対処方針というものも決定しておらない次第でございます。したがいまして、贈収賄というような犯罪を、日本側の案といいますか、その中に含めるかどうかということもまだ決まっておらない次第でございます。  先ほどから申し上げましたように、お互いにこの話を始めようとする動機となりましたのは、麻薬犯罪とかハイジャックとかいうような新しい型の国際犯罪については、お互いに含めるようにするような方向で検討を進めようということは、かなりはっきりした形で意見交換がされておった、こういう事情でございます。
  57. 河上民雄

    河上委員 いずれにせよ、今後多国籍企業規制ということを実施に移す、そういう観点からいろいろなことを考えなければならぬと思うのです。  たとえば、公正取引委員会活動ども非常に重要だと思いますけれども、公取ではいま起こっておるこの論議について、自分のセクションとして、パートとしてどういうことができる、どういうことをやりたい、どういうことをしなければならぬと考えておるのですか。
  58. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 公取といたしましても、多国籍企業が国際取引の面におきましても、あるいは国内の経済の面におきましても非常に大きな影響を及ぼしてきたというところから、その成り行きを非常に重大な関心を持って見守っております。  それで、独禁政策上、このような多国籍企業行動につきまして、それが国内の競争を実質的に制限をしたり、あるいは不公正な取引方法を行ったりするような場合には、これは当然独禁法の違反として厳重に措置をとってまいりたいというふうに考えております。  ただ、多国籍企業につきましては、どうしても一国の法律だけでは有効な規制ができない場合もございますので、この辺につきましては、現在OECD加盟諸国間でお互いに相互協力措置をとろうといった取り決めがございますので、その辺の制度を十分活用して対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 河上民雄

    河上委員 それでは、きょうは時間が余りないようでございますので、最後に、先般予算委員会あるいは商工委員会などで論議されてまいりましたLNGの問題について、あるいはその前に外務委員会でも若干問題になっておりますけれども、このLNGの問題について二、三点伺っておきたいと思います。すでに各委員会でかなり詳しい質疑がなされておりますので、それを踏まえな軸がら次のような点を伺いたいと思います。  いまのLNGの問題について日本からインドネシアに対する借款は十四億七千二百万ドルというふうに伝えられております。額は若干違う点もありますけれども、大体そういうことでよいのではないかと思いますが、その中で、政府借款と民間融資と大別いたしまして、融資の中で輸銀の占める額はどのくらいか、それからまた市中銀行の融資というのはどのくらいの額になるのか、これをまず一点伺いたいと思うのです。
  60. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いまの御質問の中の政府借款の部分について申し上げますと、その金額は五百六十億円でございます。  輸銀の占める額については、通産省の方からお答えいただきたいと思います。
  61. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  輸銀のかんでおります融資分につきましては、第一次融資と、ことし行いました追加融資と二つございますが、これを合わせまして輸銀分が約九億でございます。それから市中分が約三億でございます。
  62. 河上民雄

    河上委員 それでは展初の契約、話し合いができた場合の部分の中では、九億のうちどのくらいになりますか。追加の分がどうなりますか。
  63. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 第一次の方は、輸銀分が八〇%でございますから七億二千万ドルぐらいでございます。
  64. 河上民雄

    河上委員 市中銀行の場合、どういうところが引き受けておるのですか。
  65. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 市中銀行は相当多くの銀行が入っておりまして、中心になっておりますのは興業銀行でございます。そのほか、大きな市銀、長期信用銀行というのが入っております。
  66. 河上民雄

    河上委員 その資料はここで公表をしていただけますか。
  67. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 こういうことを申し上げるのは恐縮なのでございますけれども、当方は内容は存じておるわけですけれども、当方の所管ではないものでございますから、私の口からちょっと申し上げかねます。
  68. 河上民雄

    河上委員 所管の方は。
  69. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 大蔵省でございます。
  70. 河上民雄

    河上委員 大蔵省のどこですか。
  71. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 特別金融課だと思います。
  72. 河上民雄

    河上委員 大蔵省は公表する用意があると思いますか。
  73. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 ちょっと私からお答えはしにくいのですが。
  74. 河上民雄

    河上委員 わかりました。  小委員長、それは大蔵省から当委員会に公表していただくようにお取り計らい願えますか。
  75. 水野清

    水野委員長 渡部委員も同様の質問で大蔵省の特別金融課長を当委員会に呼んでおりますが、そのときに関連質問でいけませんか。
  76. 河上民雄

    河上委員 それでもいいです。
  77. 水野清

    水野委員長 いいですか。そうしてください。
  78. 河上民雄

    河上委員 できたら委員長の方で取り扱ってください。
  79. 水野清

    水野委員長 ちょっとそれは後で、ここは理事会がありませんから、委員各位と相談しなければいけませんから。
  80. 河上民雄

    河上委員 ほかの委員会では何か資料公表を拒んでいるような印象の答弁をしておられるものですから、そこで私は伺っているわけです。
  81. 水野清

    水野委員長 これは小委員長の私だけでも決められませんから、後ほど委員の諸氏と御相談して決めたいと思います。
  82. 河上民雄

    河上委員 それじゃそれで結構です。  それでは、この問題で第二点として、LNGの輸入価格が、現在、アメリカ側からいうところの輸入価格に比べまして日本の場合大変高くなっているということが問題になっているのですけれども、この点について通産省で納得のいく御説明ができるかどうか。アメリカの場合の倍ぐらいになっているというように聞いておりますけれども、どうしてそういう違いが出てきているのか。
  83. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘の点は、予算委員会あるいは商工委員会でいろいろ御質疑いただいた点でございますけれども、世上伝えられております価格の比較というのは実は大きな誤解がございまして、日本がインドネシアから輸入いたします輸入価格というのはCIF建てでございます。それから、世上伝えられておりますアメリカ向けの価格と申しますのは、実はこれはまだ仮契約でございまして、インドネシア側とアメリカ側と本契約というのは結ばれてないわけでございますけれども、そこへ一応仮契約の中に載っておりますと言われております価格は実はFOB建てでございます。したがいまして、両者それぞれ比較いたしますれば半分ぐらいになるのはそのとおりでございますけれども、FOB建てに日本の輸入価格を直しますと、アメリカ向けとほとんど同じでございます。しかも、アメリカ向けもそうでございますし、それから日本向けもそうでございますが、インドネシア産のローサルファの原油の価格とほぼ同値でカロリー計算をして定めておるのが原則でございまして、大体原油の価格とも同じというのが実態でございます。
  84. 河上民雄

    河上委員 それは一応FOBとCIFの基準の取り方が違うという御説明はよくわかるわけですけれども、しかし、契約時の場合はFOBで、実際にその後CIFに変えているわけですね、日本の場合。
  85. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 日本の場合でございますか。インドネシアから輸入いたしますLNGの価格につきましては、交渉の過程でいろんな議論があったことは事実でございますけれども、結ばれました契約というのは当初からCIF建てでございます。
  86. 河上民雄

    河上委員 そのCIF建てで大体いま幾らですか、このLNGの価格は。
  87. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 輸入価格につきましては、これは従来から申し上げておることでございますけれども、われわれの立場からは申し上げられないわけでございます。これはいろいろな御議論があるわけでございますけれども、やはり両当事者間の売買契約で決められておるものでございますから、これについて私どもが勝手に申し上げる立場にはないということで御了解いただきたいと思います。
  88. 河上民雄

    河上委員 それじゃ疑惑の解明、解消というのはなかなかないのじゃないですか。いま現に疑惑を持たれているわけですからね。田中金脈問題の解明のときにも大蔵省の方から守秘義務なんというのが出てきたのですけれども通産省にはやはり守秘義務があるわけですか。
  89. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 守秘義務の議論をここでいたす気は実はないわけでございますけれども、ただ、私どもの立場から申しますと、私どもの口からは幾らでございますということは申し上げられないのですけれども、ただ、これはこの前の予算委員会でもそういうことがございましたけれども、これこれといううわさがあるけれども事実かと聞かれたことに対しましては、否定はいたしませんということを御返事しておるわけでございます。  それで疑惑ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本のLNGの輸入価格というのが非常に高いということであれば、そういうこともあり得るかもしれませんけれども、事実は、先ほど申し上げましたように、特に高いということはなくて平準化されておるわけでございます。これもるる御答弁したことでございますけれども、将来船価が上がるということでフレー卜部分が上がっていくような場合には、特定の事項でしか値上げを認めないというような合意もできておりまして、ベースからその後の推移に至るまで、実は私どもとしては国際的な非常に不思議な価格で決められているということはないということははっきり申し上げられます。
  90. 河上民雄

    河上委員 そうすると当初単位はどういうふうにとるのか。私どもちょっと、数字が挙がっていますけれども、単位の意味がよくわからないのです。大体一ドル前後で最初第一次の取り決めのとき話があって、そして追加融資のときに今度は二ドル三十四セントぐらいに上がっている。だんだんこう上がってきている。また来年も上がるのじゃないかというような話がありますけれども、大体そういうふうに理解してよろしいわけですか。
  91. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 インドネシアのLNGの輸入につきましては、御存じのとおり四十七、八年当時から話があったわけでございます。先ほど先生が言われました一ドル前後の価格というのは、四十八年の四月ごろの価格かと思います。それで決まったということではございませんで、それを交渉のベースに出発したということでございます。ファイナルに第一次の売買契約が結ばれましたのは四十八年の十二月の初めでございますけれども、そのときは実は中に、十月でございますか、オイルショックがございまして、全般的に非常な価格の騰貴があったわけでございます。ですから、最初に話がありました一ドル前後という価格に比べますと、上がっていることは確かでございます。ただ、実態的に申しますと、むしろもっと上がるのを四月当時からの話し合いのために上がり方を抑えたというのが実態でございます。  それから、その後どうなのかということでございますが、これはLNGの価格につきましても、OPEC諸国が石油の価格を上げていくのと同じテンポで上がっていくというのが大体趨勢でございますので、またその産出国もそれに合わせて上げていくという態度を決めておるようでございますので、その後の石油価格の騰貴に応じましてLNG価格というのは上がるということは事実でございます。したがいまして、ことしの段階での契約更改のときに、先ほど言われました四十八年当時の価格に比べますれば上がっていることは事実でございます。
  92. 河上民雄

    河上委員 もう時間も余りありませんが、東電はアラスカからのLNGを買っておるというように聞いておりますけれども、その価格は二ドル以下であるというように聞いていますが、大体そのように理解してよろしいですか。
  93. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘のとおりでございまして、アラスカ、ブルネイから現在東京地区でもってLNGが入っておりますけれども、これは非常に古い時点での契約でございます。確かにおっしゃるように、現在価格で申し述べますならば、二ドルすれすれ、若干下回るという数字でございまして、インドネシアからの輸入価格に比べれば、これはCIF建てでございますけれども、低いことは事実でございます。
  94. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、明らかに東電の方が、アラスカ、ブルネイから輸入しているやつの方が低い、関西電力、インドネシアから入ってくるやつ塗伺いということはいま認められたわけですが、その差はどこからくるのかということについては、われわれ少なからざる疑問を持つわけですし、そして東電の場合にははっきりといま政府委員の方は価格について、二ドルすれすれ以下であるということを言われているわけですね。しかし、インドネシアの場合は、なかなかこれは当事者同士、その人たちの了解を得ないと私の立場として言えないという、どうもインドネシアについては、これは非常な、何というのですか、神経を使って答弁しておられるようなんです。私は、まあいま時間が余りございませんので、それをさらにまたほかの委員からもお話があろうと思いますし、他の委員会での御答弁と照らし合わせて私は考えざるを得ないのですけれども、ちょっとその点多少、多少というかかなりインドネシアの問題については神経を使い過ぎておられるような気がしてならないのですが、いかがでございますか。
  95. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 アラスカ、ブルネイについてはかなり具体的なことを申し上げて、インドネシアについては何も言わないということではございませんで、先生が先ほど言われました数字というのは否定いたしませんということでございます。したがって、幾らかということは言外に言っておるつもりでございます。  それからインドネシアだけ特に気をつけて言っているわけではございませんで、具体的にそれぞれアラスカ、ブルネイは契約上幾らになっているか言えと言われれば、全く同じ答えしか当方としてはいたしかねますということでございますので、特にインドネシアだけ配慮しているということではございません。御了解いただきたいと思います。
  96. 河上民雄

    河上委員 大体感じとしてはわかるのですが、どうもインドネシアのLNGの問題については少し奥歯に物がはさまったような御答弁でございます。そうでないとおっしゃいますけれども、片っ方は明確に言われておるわけですので、疑惑を解消するに足る御答弁をいただけなかったことを大変残念に思っております。  きょうは私の質問はこれで終わりたいと思います。
  97. 水野清

  98. 米原昶

    ○米原小委員 先回のこの小委員会参考人の話の中でも明らかにされているように、今日、巨大な地球企業と化して、全世界の政治や経済に対して影響力を持ち、各国の主権の侵害まであえて行っている多国籍企業をどう規制し、その不法不当な活動を取り締まって各国の政治的、経済的主権の侵害を許さないことがどんなに重要な課題であるかは、今回のロッキード事件の例を見るまでもないと思うのです。  多国籍企業活動は複雑多岐にわたっており、したがって、その規制も単純なものではあり得ないと思うのです。米国の関税委員会の数字によりますと、七一年末現在で、多国籍企業を中心に世界の民間部門が保有している短期の流動性資金は二千六百八十億ドルに上っておりますが、この額は各国の中央銀行や国際機関が持っている外貨準備合計の二倍以上に相当して、国際通貨体制を動揺させたり、為替操作によって巨大な収入を得ることも可能となっております。     〔小委員長退席、毛利小委員長代理着席〕  このような力を持った多国籍企業の各国における反社会的な諸活動に対して規制のさまざまな課題と要求があり、国際会議などの論議を見ましてもわかるように、経済的主権を大きく侵害されている発展途上国、七十七ヵ国グループなどの要求は特に強力でありますが、まず今回のロッキード事件で問題になった多国籍企業の不法な、一国の国防政策にまで干渉するに至った政治献金、賄賂の問題についてその根絶を実現し、またそのような腐敗行為を横行させてきた責任の所在を明確にする必要があります。  ロッキード疑獄の暴露が多国籍企業の本土であると言ってもいいアメリカの議会で始まったというのは皮肉な話でありますが、アメリカの証券取引委員会や多国籍企業小委員会の追及がウォーターゲート事件調査にさかのぼると言われておりますが、これが問題になってきた経過についてひとつ簡単に外務省の方から報告してもらいたいと思います。
  99. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるウォーターゲート事件の捜査のために設けられました特別検察官がいろいろ調査しました結果、一九七三年に米国の会社の資金を国内における不法な政治献金に使ったという容疑で幾つかの企業とか重役を告発いたしました。この関連で証券取引委員会、SECは、一九七四年三月に幾つかの会社につきまして不正献金の調査を開始いたしまして、一年間にその一部について証券取引法違反があった旨の申し立てをワシントン連邦地方裁判所に行ったと承知しております。  ロッキード社につきましても、SECが、この調査との関連で一九七五年の六月に証券取引法違反の容疑について調査をすることを正式に決定したと聞いております。
  100. 米原昶

    ○米原小委員 おっしゃったように、最近まとめられたアメリカ上院の多国籍企業小委員会の議事録の第十二巻を私もちょっと見ましたが、チャーチが簡単にこの関連について触れております。  アメリカの七二年の大統領選挙の際、ニクソン再選委員会への多国籍企業国内における不法な政治献金調査が進む中で、多国籍企業海外での賄賂行為が明るみに出てきた、こういういきさつであったように聞いております。  そこで、もう一点参考に聞いておきたいんですが、アメリカで言うアメリカ国内における不正な政治献金というものは、一体どんなものを指しているのか、これは日本における政治資金規正法とは若干違うようですが、その違いの点、いろいろいま問題になっているので、アメリカにおける不正な政治献金というのはどういうものが法的に規定されているのか、ちょっと参考までに聞かしていただきたいと思います。
  101. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカの政治資金、選挙資金に関する規制は、非常に長い歴史を持っております。  最初にまとまった形で法律が制定されましたのは、一九二五年の連邦腐敗行為法という法律でございまして、それ以後何回か法律が改正されております。そして一九七一年に従来の法律が廃止されまして、新たに一つ基本法として連邦選挙運動法というのが制定されたわけであります。そしてこの法律に基づきまして、一九七二年の大統領選挙、連邦議員の選挙、それから一九七四年の中間選挙が行われたわけでありますが、その間、一九七二年の六月にウォーターゲート事件というのが発生した。そこで議会は、このような不祥事の再度の発生を防止するために政治資金、選挙制度の改革に改めて取り組むことになりまして、その結果生まれましたのが一九七四年改正連邦選挙運動法というものでございます。これは一九七五年一月一日から実施されておりまして、今回の大統領選挙及び連邦議会の選挙もこの法律に基づいて行われることになっております。その骨子を見ますと、従来、個人及び団体の寄付限度額というものはないことになっておったのですが、これをまた復活いたしまして、各選挙ごとに個人は一千ドル、団体は五千ドルが寄付限度額となっております。したがいまして、これを超えた寄付を個人及び団体が行うことは違法とされるわけでございます。  第二に、法定選挙費用制度が復活されております。これは大統領の一般選挙については二千万ドル、それから上院議員の一般選挙は選挙人数に十二セントを掛けた額、それから下院議員の一般選挙は七千ドルとなっております。上院議員の場合は選挙人の数がまちまちでございまして非常にわかりにくいのでございますが、一つの例といたしましては、カリフォルニア州の場合に選挙人数は千三百三十万人でございますので、約百六十万ドルが限度額となるわけでございます。したがいまして、この法定選挙費用というものを超えた選挙費用を使いました場合には法律に違反することになるわけでございます。  第三に、公共選挙資金制度を拡張いたしまして、大統領一般選挙のみならず、大統領指名選挙及び予備選挙にも拡大適用されることとなりました。  そのほか、独立選挙管理委員会を新設するとか、あるいは政治資金公開制度の手直し等が行われております。
  102. 米原昶

    ○米原小委員 事情を聞きまして、やはりアメリカでも企業の献金によって政治活動を行っているというところから、いわゆる金権政治の根拠があるということをしみじみ感ずるわけであります。七二年にニクソンの再選委員会が使ったと推定される四千五百万ドルのうち、アメリカ国内法にすら触れる不正の企業献金が少なくとも二千五百万ドルと言われておりますが、不正な献金で摘発されるか、容疑を受けた航空機会社、メジャーなどの多国籍企業が、去る二月十五日ニューヨーク・タイムズが発表した海外での不正支払いをしたアメリカ企業のリストとほとんど同じ顔ぶれであります。  朝日新聞に出ましたコーチャン氏の回想によりますと、五億円の賄賂というのは日本市場への入場料のようなものだ、他社も同様なことをやっていると述べておりますが、すでに二月二十日には、アメリカの連邦地裁はSECの要請を認めて、ボーイング社に資料の提出を命令しております。また、アメリカ上院での公聴会でノースロップ社が追及されたとき、ロッキード商法をまねただけだと証言しております。グラマンE2C対日売り込みで、ウォーターゲート事件特別検察官事務所がニクソンヘの不正政治献金調査を開始しております。アメリカの議会、それからSECその他の機関から摘発されたか、また容疑を受けた海外で不正献金をしたとされている多国籍企業、それはどのようなものであるか、その中でもまた日本企業活動をしているものはどのようなものがあり、それらの調査が行われているかどうか、こういう点について、ひとつ外務省だけでは無理かもしれませんので、外務省で御存じなかったら通産省の国際企業課の方とあわせてひとつお聞かせ願いたい。
  103. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 私たちの方もこの問題に関しましては詳しくは知らないわけでございますけれども、証券取引委員会の方でこういう米国の多国籍企業海外における不正献金の問題を調べてはおりまして、その関係ですでに証券取引委員会の命令に従って報告書を出したものが六社あります。さらに、証券取引委員会の申し立てが連邦地裁に行われまして、報告その他が出されることになっておるものが八社ぐらいあるというふうに聞いております。
  104. 高橋達直

    高橋説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございましたニューヨーク・タイムズに掲載されました米系の多国籍企業の数は、私ども十六というふうに承知しておりますけれども、その十六社の中で、日本で支店を置いておる会社が七社ございます。それから子会社を持ちまして事業活動を行っている企業が十六のうちに八つばかりございます。これらの企業がどのようなニューヨーク・タイムズで言われるような不正の行為をしているかにつきましては、これは司法部局の問題かと存じますが、一般的な経済活動関連する不適当な行為の問題につきましては、特にこれらの企業について、ロッキード社等については別でございますが、承知しておりません。なお、アメリカ側での調査の結果が進展いたしまして、ある程度結果が出ますれば、それに対応して日本の方でも調査を進める、このような段取りになるかと考えております。
  105. 米原昶

    ○米原小委員 おっしゃるような全体的な数字だけで、余り実態がつかまれていないような感じですが、いままでの経過から見ても、あるいはチャーチ委員会の議事録を見ただけでも、ロッキード事件などは本当の氷山の一角にすぎない、恐らくもっとたくさんの同様の事件が実際は行われておると思うのです。そういう点から言うと、これらの多国籍企業腐敗行為調査、摘発、その再発の防止、これはいままでのようなやり方ではとうてい足りないのではないか。また、OECDの決めたあの多国籍企業行動基準、あれは法的な拘束力がないので、これでは余り実効が上がらないのではないか。昨年の国連の決議では、新たな立法措置の必要性、これは一般的な言葉ですけれども、これを確認しているわけです。そういう点で、アメリカですらすでに一定の規制法案を提出しているわけです。ロッキード事件の糾明では、現在まだ進められておりますし、国会での追及もある程度のことはやってきたと思うのですが、もちろんこの程度ではこういう腐敗行為の再発防止はできないと思うのです。そういう点では、国会の国政調査権の機能の強化とか、それからすでに私たちの党としても、一九七四年に独禁法が問題になりましたときに私たちの案も発表しました。     〔毛利小委員長代理退席、小委員長着席〕 その中にすでに、日本の独占企業集団の規制だけでなくて、多国籍企業規制を独禁法の中に入れる必要があるということを、私たちは七四年にすでに発表しているのですが、こういう点を考える必要がある。新たな立法措置が必要だと思いますが、この点どう考えておられますか。
  106. 高橋達直

    高橋説明員 独禁法の改正につきましては、これは公正取引委員会の方から御答弁があると思いますけれども、また不正行為をどのように処罰していくか、これも司法部局の問題でございますので、私どもから差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的にそういった多国籍企業ビヘービアと申しますか、事業活動のあり方自体を規制すべきではないか、こういう御議論に対しましては、私ども基本的にこの問題は法律になじまない部分があるのではないか。つまり、海外に出ていったりあるいは日本に来たりでございますが、そこでその国と融和協調してやっていくとか、あるいは労使の問題をうまくやっていくとか、あるいはその国の産業に貢献していくとか、そういう問題を法律で規制するというのはなかなかむずかしいところがございまして、基本的にはこれは企業自発的努力というものにまたなければいけないのではないか。ただ、それが適正な行動をしているかどうかにつきましては、政府としても十分に監視をし、かつ問題があればそれを正していかなければいかぬという観点から、行動調査につきまして、現在でも多少やっているわけでございますが、今後拡充をしていきたい、必要があれば指導によってこれを正してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 米原昶

    ○米原小委員 多国籍企業規制国内的な立法措置ではなじまないとおっしゃいましたけれども、そこには根本的な問題があるような感じがするのです。今度のロッキード事件を見ましても、多国籍企業の不当、不法な腐敗行為の氷山の一角である。これはたまたま暴露されただけであって、根はもっと深いと思うのです。これはほとんどの多国籍企業関連する問題です。これが全然何ともできないというのでは、全く日本の経済主権は侵される結果になる。アメリカ自身でも、まだ簡単なものですが、法的規制を始めようとしておるし、それからカナダや西ドイツなどでも始めようとしているわけです。それが日本でどうしてできないかということを感ずるのですよ。私は、もちろん国際的な行動基準ができたわけですが、やはりそういう行動基準だけでは当然不十分、これと相まって一定の各国の国内法の規制というものがあって行動基準も一定の効果を発揮してくるんで、その点がなじまないという言葉で考えられないというのはどうもおかしいと思うのです。
  108. 高橋達直

    高橋説明員 先ほど私、申し上げましたのは、一般的な企業事業活動のあり方についての規制は、基本的には企業の自発的な努力によるべきではないか。先生御指摘の点は、むしろ腐敗行為と申しますか不正行為をどのように取り締まっていくか、あるいはそういう問題かと存じますが、そういう問題であればこれは私どもの所管外でございますので、ただいまの答弁はそれにまでは至らない、かように御理解いただきたいと思います。  なお、この問題につきましては、国連におきましても特別作業グループをつくりまして、今後研究をしていくということでございますので、そういった国際的なコンセンサスの形成に日本としても努力をするのが筋であろうか、こういうふうに考えます。
  109. 米原昶

    ○米原小委員 私は、特にすでにアメリカの議会やアメリカのいろんな政府機関でやられている程度のことすらまだ日本じゃやられていないという点が第一の不満なんです。新聞にも、企業監視には最も甘い日本だとこのごろよく書かれております。あるいは日本アメリカの議会の力量の差まざまざなんという記事が出ております。もちろんこの問題は、単なる立法措置だけじゃない、議会自身の国政調査権、これをもっと強めて議会でやるというようなことも非常に重要なんで、単なる単純な法的規制だけでやれるとは私も思ってはいないのです。いろいろなやり方があると思うのですが、しかしどうしてもそのためにも実態をもっと的確に調査する、多国籍企業実態ですね、それがあってこそ規制ができる。ところがその調査すらいまの状態ではなかなかできないような仕組みになっているんじゃないですか。そういう点を調査もできるように、やはりこれは国会としてもそれが必要だと思うのです。  それからことに大切なのは、今度起こったような腐敗の事実ですね、この再発をどうして防止するか。私たちとしても、先日党の政策としてこういう外国資本による贈収賄、こういうものを防止する方法というようなもので提案はしておりますが、これは法案として今後次々と出していこうと思っておりますけれども、そういうことがなじまないんだというのでは、どうもおかしいんじゃないか。やはりその方向を積極的に考えるべきじゃないかと思いますがどうですか。
  110. 福田博

    福田説明員 最近、多国籍企業について、特に問題になっておるのが腐敗行為でございます。腐敗行為も三つに分けられると思うのですが、一つは贈収賄の問題、それから第二がいわゆる政治献金の問題、それから第三が政治的活動といいますか内政干渉というか、そのたぐいの問題が三つございますが、OECDにおきましては、今年の六月に宣言をつくりました際に、この三つを取り扱ったわけでございます。率直に申しますと、贈収賄につきましてはこれを認めていいという国は実は一つもないわけでございます。どの国もちゃんとそれを規制する法律があるわけでございます。  ところが第二の政治献金の問題になりますと、実はこれはいろいろまちまちでございまして、たとえばわが国におきましては政治資金規正法の二十二条の五というのがございまして、外国法人からの献金は受けてはならないということが書いてございますし、アメリカ等にもいろいろな法律があるわけでございますが、OECDつまり先進国グループ二十四カ国の中には、国名を、討議の中身を具体的に申し上げることはできませんので、抽象的に申し上げますと、OECDの国の中には政治献金規制を一切行わない国も幾つかあるわけでございます。行わない国も二種類ございまして、一つは積極的に行いたくない国、それから行いたいとは思っているけれども国内法がない国と、その二つがございまして、OECDで採択されました多国籍企業行動指針の条文、この簡単な条文ですら非常に長期間にわたって紛糾を続け、ようやく国際的に合意を見たのがこの案文でございますので、確かに日本国内におきましては非常に大きな問題ではございますが、国際的に合意されたテキストをつくるという際には、各国の法制の差がございまして、合意されたテキストをつくるのがなかなか困難であるという例として申し上げたいと思っております。
  111. 米原昶

    ○米原小委員 いまおっしゃった多国籍企業行動基準の問題ですが、リマで行われた国連の多国籍企業委員会では、七十七カ国グループは多国籍企業行動基準に法的拘束力を持たせるように主張したんじゃありませんか。そして日本アメリカらとともにこれに反対している。法的拘束力とは、国際上複雑な内容を持っておりますか。基本国内法によって多国籍企業規制、経済主権の確立を前提とした国際協力、これは発展途上国も問わず、日本のような先進国の国民にとっても多国籍企業の横暴の規制は焦眉の課題だと思うのです。その点で、七十七カ国グループが法的拘束力を持たせるようにすべきだと主張したのに対してなぜ日本は反対したのか、この点説明していただきたいのです。
  112. 福田博

    福田説明員 御質問に対しては本来国連局の関係者お答えすべきだと思いますが、私の方から申し上げられると思われる点は、何といっても多国籍企業の問題に関する国際的な場での検討OECDが先行しておりまして、一九六八年からもう八年余りにわたってやっておるわけでございますが、そこにおきましても強制力を持った協定ないしはコードをつくるべきだという、あるいはつくってはどうかという議論ももちろんございまして、長年の討議が重ねられたわけでございますが、いわゆる多国籍企業にかかわる問題というものを具体的に種々の方面から当たってまいりますと、それに関して統一的にいわゆる強制力を持ったコードをつくるということは、一応理論的には考えられるにしても全く実際的ではないということでございまして、昨年の初めからことしの六月に採択されました宣言を具体的に作定する作業に入りました際には、ごく初めの時期において強制力を持ったコードをつくるのは当面実際的でないということに各国の意見が一致しております。
  113. 米原昶

    ○米原小委員 それでは公正取引委員会の方に聞きますが、資本自由化の進展に伴って、外国資本国内投資が急速に増大しています。その中で外資系企業わが国の独禁法に違反するケースが目立ち始めておると言われておりますが、最近の事例としてどのようなものがありますか、また今後の監視と対策としてどのような方針を持っておられるか、これを公取委員会から聞きたいと思います。
  114. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 多国籍企業につきまして昭和四十五年以来現在まで取り上げた事件を申し上げます。ただ、多国籍企業それ自体を問題にしたケースは一件もございません。ただ多国籍企業関連会社がわが国のメーカーと同時にカルテルを結んだケースについて取り上げた事件でございます。  四十五年三月にタイヤ価格協定事件がございます。それから四十七年四月に高圧法ポリエチレン価格協定事件、四十九年二月に塩化ビニール樹脂価格協定事件、同じく四十九年二月に高圧法ポリエチレン価格協定事件、同じく四十九年二月に石油製品価格協定事件、それから四十九年三月にアルミニウム地金価格協定事件、同じく四十九年三月にアルミ板価格協定事件、同じく四十九年三月に住宅用アルミサッシ価格協定事件、それから四十九年六月に空調用冷凍機価格及び受注予定者の決定事件、それから四十九年八月に補修用自動車タイヤ価格協定事件、それから四十九年十月に液体酸素及び溶解アセチレン価格協定事件、それから四十九年一二月にシリコン価格協定事件、それから五十年一月にビル用サッシ価格及び受注予定者の決定事件、それから五十年六月にマルチ商法事件といたしましてホリデイマジック社を取り上げております。それから五十一年九月、最近でございますが、エポキシ樹脂価格協定事件について立入検査をし、現在審査中でございます。以上のとおり、公取といたしましては、これら多国籍企業が絡んだ事件につきましては、今後とも独禁法を厳正に運用してまいりたいと考えております。
  115. 米原昶

    ○米原小委員 大変よくわかりました。かなり多くのこの外国資本進出に伴ってそういう事件が起こっておるようであります。  いま最後におっしゃった例のマルチ商法で、ホリデイマジック社が不公正取引の疑いで摘発された事件、これは商工委員会でも取り上げられて、このアメリカ版ネズミ講と言われるマルチ商法については、すでに訪問販売等に関する法律というのが新しくできたわけですが、まあこういうように公取委員会でも問題になり、摘発されたいままでの外国企業の反社会的な商行為、こういうものも立法行為によってある程度まで規制できることは明らかだと思うのです。国際的な行動基準とか規制の方向ももちろん重要ではありますが、国内立法や制度の改善で規制することを抜きにして、国際的規制は実際はできないと思うのです。  この点は何もアメリカ系の多国籍企業日本に来ているのに対する規制だけでなくて、日本系の多国籍企業の対外活動、この点も実は非常に重大だと思うのです。この点でも、私はこういう多国籍企業の横暴な行為規制する措置、いろいろな立法を今後相当強力に進めていく必要があるのではないかと思うのです。日本の大企業が、実のところアメリカの大企業と同様にこの問題では加害者の役割りも発展途上国では演じているのではないかと思うのです。しかし、このやり方でいけば今後非同盟諸国、七十七カ国グループの力が増大している今後の国際社会の中で、いままでのような多国籍企業の横暴なやり方は長続きするものではないと思います。すでにアメリカ自身がその点で国内法としても規制しようとしているので、この点では日本としてもそういう措置を講ずべきだということを、本日はまだ一般論ですから、これを強調して私の質問を終わります。
  116. 水野清

    水野委員長 渡部一郎君。
  117. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 外務委員会に多国籍企業小委員会が各委員の御協力により成立し、実質的な審議にこうして入ることができたことをまず大変うれしく思っているわけでありますが、小委員長におかれましては、公的な席上お伺いするのでありますが、この委員会の公聴会並びに本日の審議の途中を見ましても、問題の要諦はきわめて多岐をきわめておるわけであり、かつ内容はきわめて深刻であります。行政あるいは立法が多国籍企業問題に対して対応していないことは明らかであり、外務委員会理事会においてはすでに各委員お話し合いの中で、次期国会においてもこの委員会を存続させるという内容のお話し合いがほとんど異論なく交わされていたという事実があるわけでありますが、小委員長におかれましてもその意向を公的に表明され、かつ働きかけの先頭に立たれますようまず要望するものでございます。
  118. 水野清

    水野委員長 ただいま渡部委員からお話がありましたように、多国籍企業に関する問題というのはきわめて重大であり、問題が多岐にわたっているということは承知をしております。そのために外務委員会にこの小委員会をつくったわけでございまして、次の総選挙後における外務委員会におきましては委員の構成が変わっておりますから、そのときの委員のお考えによるものではございますけれども、でき得れば次の特別国会以降においてもこの小委員会を存続して事態の究明に当たっていきたい、かように思っております。
  119. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 小委員長に重ねて申し上げるわけでありますが、本多国籍企業小委員会質疑の終了の後、本委員会に対して報告書を提出されることになると思いますが、その場合に、従来の懸案事項に関して意見書に意見を盛り込んでいただきたいと存じます。  すなわち、外国の多国籍企業小委員会、つまりアメリカの多国籍企業小委員会と比べましてきわめて大きな相違点がわが方にはある。すなわち、資料を収集するに当たって専属の調査スタッフを任命し、予算措置を講じてそのスタッフに対して支払いを行い、調査スタッフの活動について適宜な支払いをなす等の権限を当小委員会は持ち合わせておりません。またそれは外務委員会調査室についても同様であり、調査資料の一部収集についての能力しか持ち合わせないのであります。また、国会図書館の立法調査スタッフにおきましても、アメリカの実に十分の一程度の陣容しか持ち合わせず、そのメンバーは新たに自由に外部から導入することができないため、人材の枯渇を嘆いている状況であります。これらの点を考えますと、専属調査スタッフ及びそれに要する経費等を当小委員会に確保することはきわめて重要なテーマになろうかと思います。したがって、それを当小委員会における運営の問題点として、ぜひとも外務委員会報告の中に提示し、外務委員会の意向として、本会期中、議院運営委員会その他議長サイドに対し報告されることを求めるわけでございます。  また、あわせて、資料の提出権やさまざまの証人喚問に関する技法が、わが国の小委員会制度においてはいまだに確立されておりませんので、それらも含めて、小委員会運営あるいは委員会運営のスタッフ強化の問題として問題提起されることを小委員長にお願いいたす次第でございます。
  120. 水野清

    水野委員長 ただいまの渡部委員お話はごもっともな点もございますが、衆議院全体の問題としても考えるべき問題もあろうと思います。当小委員会のみならず、ほかの委員会、ほかの小委員会においても同様の問題があろうと思いますので、なるべく御趣旨には沿いたいと思いますが、また報告書作成の過程で御相談申し上げます。
  121. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それでは、ただいまの私の前提となります意見開陳に関し、小委員長からきわめて前向きの御発言をいただきましたので、重ねてでありますが、わが国の立法、行政両当局の今国会における質疑状況を見るならば、立法府自体が調査能力を持たず、議会はあたかも立法府対行政府の応酬のごとき状況で当委員会が推移していることは悲しむべきことだと思います。したがって、立法府当局それ自体が調査能力を持ち、資料収集の能力を持つということは重要なことであり、日本の議会制民主主義を樹立するために重要なポイントである。本委員会における審議においても痛感するのでありますが、国会議事堂周辺の五万の行政官僚のさまざまな資料に依拠して当委員会審議が行われ、一方、こちらはそれにまさにおんぶする形で委員会審議が行われるという、この歴年の悪弊を除去するための一歩前進が行われなければならない。そうでないと、わが国国会、選挙がいかに晴々しく行われようとも、その審議内容の充実というのは大きな難点を抱えていることになると、私はかねてからそう思っているわけでありまして、小委員長におかれましては、それら基本的な議会制民主主義確立という基礎命題に立たれまして、本委員会が、多国籍企業等国際経済に関する小委員会としての審議をするに当たって、多年にわたるわが国の大きなガンに対しても的確な意思表示をなされますよう、重ねてお願いをいたすわけであります。
  122. 水野清

    水野委員長 なるべく渡部委員の御趣旨に沿いたいところでございますが、これも後ほど同僚委員と相談申し上げまして、処置をとりたいと思います。
  123. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 まず、LNG問題から始めたいと思うのであります。  去る八月二十五日、LNG問題に対し、駐米日本大使館が調査を開始したとの政府筋のコメントが報道されておりますが、外務当局からこの点につき御説明をいただきたいと思うのであります。  すなわち、インドネシア、日本、韓国、アメリカ、四つの国にまたがりまして、いわゆるLNG問題、すなわち液化石油ガスの開発及びその運搬につきましていろいろな問題が起こっている旨、すでに新聞、雑誌、パンフレット等で報道が行われているわけであります。ロッキード事件の開始されました当時、政府側の調査は、これら報道を非常に弱くトレースするだけでありましたが、突如として、アメリカ上院外交委員会における審査におきまして、それらの問題が提起され、大問題になったことは明らかであります。そして、それがわが国の政界に対する大きな波紋を投げかけたことも事実であり、こうした問題は看過することができないのであります。  しかも、LNG問題に関しては、ロッキード事件で予想される以上の規模と深刻な問題点を多数含むものであり、わが国の経済協力の内容の本質をきわめて憂慮させるテーマを多数含んでいるのであり、その調査につきましては、一片の報告では片づかない問題を含んでいるものであります。すなわち、経済協力の方向が現在のようなやり方で行われるならば、同種容疑は頻発するおそれがあるし、チェック機能をわが方は持ち合わせていないし、報告は出てこないし、突然外国政府の提起により、わが国はその問題を受けるしかないというような深刻な課題を含んでおるものであり、当外務委員会における審議の最中しばしば提起されたように、わが国の自主的外交の観点から言っても問題が多いのではないかと思われるわけで、したがって、この問題に対する強力かつ徹底的な調査報告要求されるのであります。  外務当局は、恐らくそれほどの観点は持ち合わせておられると私は信ずるものでありますが、どの程度調査され、どの程度の内容の報告をどちらの方面に対して求めておられるか、関係当局とどのくらいの打ち合わせをされておるか、それらをことごとく御報告いただきたいと思うわけであります。
  124. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いま渡部先生御指摘のように、新聞報道でいろいろと報ぜられますので、政府といたしましても在米大使館等を通じましてできる限りの情報の収集に努めております。
  125. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 アメリカにおきましては、インドネシアのLNGの対日輸送船の建造にかかわる米政府の保証融資の疑惑について、証券取引委員会、下院政府活動委員会及び会計検査院が調査を開始して二カ月余になると言われておりますが、その間の経緯は外務省としてどの程度把握されておられるか、ひとつ承りたい。
  126. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いま先生からSECのことの御指摘がございましたけれども、実は本件については、政府といたしましても情報の収集に努めましたけれども、SECとしましては、いずれかの政府の正式要請があっても、現段階では、部分的にせよその調査の結果を公表することはできない、そのような要請があってもそれに応ずることができないというような回答がございました。
  127. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それはどういうわけでですか。それはなぜですか。ロッキード事件のときには、日本、オランダ、西独、イタリア等の政府の要請によって、事件の内容をそれら政府に対し提供したという事実があるにもかかわらず、どうしてこの問題について特別にそういうような配慮をアメリカ政府はしているのか。
  128. 大鷹正

    ○大鷹説明員 その点につきましては、SECの調査もまだ始まったばかりということで、そのようなことをいたしますと今後の調査に非常な影響を与えるということで断っているのだというふうに了解いたしております。
  129. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、これは今後の調査を円滑ならしめるために中間段階では報告しない、中間段階ではその証拠その他調査の進行状況を秘匿している、こういう意味と見ていいわけですか。
  130. 大鷹正

    ○大鷹説明員 少なくとも現段階においてはそのような観点もあって、外部に対しては一切調査の内容については公表しないという立場をとっておるというふうに了解いたしております。
  131. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 LNG問題が国際的贈収賄事件として、ロッキードショックと同じ案件としてクローズアップされた端緒は、去る八月二十三日ころのニューヨークの仲裁裁判におけるゼネラル・ダイナミックス社の首脳陣の法廷証言から起こったものでありますが、この仲裁裁判の法廷証言の内容は公開しないというふうにすでに伝えられておりますが、日本国会がこれを知るためにはどのような方法、手続が必要か、外務当局としての説明を求めたいと思います。
  132. 大鷹正

    ○大鷹説明員 おっしゃるような仲裁裁判というようなことで新聞報道がありましたので、政府といたしましてもその内容を照会いたしたのでございますけれども、実際には仲裁裁判というよりも、いわば仲裁手続的なものであるというふうに承知いたしております。そしてまた、その仲裁手続の過程において、新聞に報道されたような証言は行われなかったというふうに聞いております。
  133. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうしますと、その仲裁裁判ではなくて、仲裁手続の応酬で終わった、こういう意味でございますか。
  134. 大鷹正

    ○大鷹説明員 そのように私たちは了解いたしております。
  135. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、仲裁裁判の当事者はだれとだれであり、担当裁判長はどなたであるかというようなことはおわかりですか。
  136. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いま申し上げたように、実は裁判ということではなくて、手続ということなものですから、関係当事者の間に弁護士が入りまして、それで仲裁の手続が進められたというふうに聞いております。
  137. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 当事者はどなたかおわかりですか。
  138. 大鷹正

    ○大鷹説明員 バーマ・オイルという会社の関係者ですが、私もちょっと名前を全部ここで承知しておりませんので、もしも御必要でしたら後ほどお知らせしたいと思っております。
  139. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうしたら、その仲裁裁判の状況について、すでに外務当局が接触されているわけでありますから、裁判の当事者、案件の内容等、できる限り御報告を後ほどお願いいたします。
  140. 大鷹正

    ○大鷹説明員 わかる範囲内で努力いたします。
  141. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 この仲裁裁判の手続上の応酬があれば、次に法廷における応酬、あるいは証言内容、その他というものが当然出てくるものと思われますし、そして外部にあらわれているところを見れば、明らかに日本がきわめて関心を持たなければならない問題があろうかと思います。そうしますと、先ほど私が述べたのは、日本国会として、この裁判のいよいよ法廷における証言その他の問題が起こりました場合、日本国会としてこれを知るためにはどういう手続が必要か、それを伺っているわけであります。
  142. 大鷹正

    ○大鷹説明員 先ほども申し上げましたように、実はこれは仲裁裁判ということではなくて、したがって法廷における裁判ということではないわけでございます。裁判ということではなくて、仲裁手続ということでございますので、その手続の内容については、わかる範囲内でできるだけ把握したいというふうに思います。
  143. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、外務省としてこの内容についてはできる限りこれについて把握をしてください。また当委員会に対する報告を行う、国会に対する報告を行う、こういう意味でございますね。
  144. 大鷹正

    ○大鷹説明員 わかる範囲内で御報告いたしたいと思います。
  145. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 この仲裁裁判についての内容が、すでに日本政府高官、すなわちハイ・シッピング・オフィシャルに対する——Sがついていたかどうかについては私も定かでありませんが、ハイ・シッピング・オフィシャルに対する九億円の贈賄が行われた旨報道が行われているわけであります。したがって純粋の手続だけで終わったものかどうかについては多大の疑問がある。ただ、そのような問題が出ている以上、私らが関心を持たざるを得ないし、これについてはロッキード事件のときのように、全部がいきなりぶちまけられてからわれわれが了知するのではなく、国会に対する適切な御報告というのが必要だろうと思うわけであり、かつその中心になる部分についての御報告が肝要かと存じます。これについては、仲裁裁判の内容というのではなく、日本のハイ・シッピング・オフィシャルに関する九億円贈賄事件として、そういうものがあるかないか、またその内容はどうであるか御報告をいただきたいと思います。これはよろしいでしょうか。
  146. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いままで私どもが知りました範囲内では、いま先生がおっしゃいましたような、わが国海運高官に対する賄賂云々というような話は、仲裁手続の間には出てこなかったというふうに聞いております。しかし先生の御指摘がございましたので、さらにわかる範囲内でもう少し様子を調べてみたいと思います。
  147. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 私の言っているのは、仲裁裁判の内容と今度は違って、ハイ・シッピング・オフィシャルに対する九億円汚職事件というものが、アメリカのどこであろうと日本のどこであろうと、そういうものについてそちらが確認をされた場合には直ちに報告をしてもらいたいし、そういう報道の行われた根拠についても十分調査をして報告されたい、こういう意味であります。いかがですか。
  148. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いまおっしゃったその九億円のことについては、われわれも仲裁手続の最中においてそういう話が出たかどうかということについて問い合わせたわけですけれども、そういう話は出なかったというふうに聞いております。
  149. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 政府としては、対米外交ルートにより、法廷証言の記録の入手の方法があるかどうかという基礎的な部分についてお伺いしたい。これはロッキード事件の経緯等も照らして、そういうことができるかどうかについてお伺いをしたい。
  150. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いまの案件につきましては……(渡部(一)小委員「一般論として」と呼ぶ)一般論としてですか。——その点につきましては、担当の者からお答えいたしたいと思いますので、いまこちらに参るそうでございますから、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  151. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 読売新聞八月二十四日夕刊のニューヨーク特派員発において報告された内容によれば、イギリスの大手石油会社バーマ石油は、子会社のバーマ・オイル・タンカーズを通じてゼネラル・ダイナミックス社にLNG輸送用のマンモスタンカー七隻を発注、そしてこのマンモスタンカーを日本側がこれを用い、チャーターするよう行政指導をしてもらうため、ハイ・シッピング・オフィシャルズに接近、バーマ石油のアラステア・ダウン会長からハイ・シッピング・オフィシャルズに対し、三百万ドルの賄賂を贈った。この賄賂は二百万ドル、六億円が現金で、百万ドル、三億円が約束小切手で手渡されたと報じられておるわけであります。これについて了知されているところをお伺いしたい。
  152. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いま渡部先生御指摘のその記事、私、ちょっといま手元にございませんので、内容をつまびらかにいたしませんけれども、その記事そのものについて、実は調査はいたしておりません。
  153. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 これについて外務省調査してないと言われておりますので、法務省の御説明を求めたい。法務省当局者の御出席を望みます。
  154. 水野清

    水野委員長 了承しました。
  155. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 並びに、今度は週刊ポスト九月十日付、「LNG開発向けの融資としては、田中・スハルト会談によって政府借款二億ドル、輸銀を中心とする協調融資九億ドル、合計十一億ドルがすでに消化され、さらに今年六月には三億七千二百万ドルの追加融資が決定したが、この追加融資の交渉に際しては、田中派幹部のK代議士が融資を渋る河本通産相(三木派)のシリをたたいて活躍したという。要するに、インドネシアにおけるLNG関係だけでもザッと十四億ドル(約四千二百億円)に近い「円」が投じられ、それがまた日本の政財界本流の利権確保につながっているということなのである。」と報道され、事態はまことに容易ならぬことが述べられているわけであります。これについて知っているところをお伺いしたい。まず、「LNG開発向けの融資としては、田中・スハルト会談によって政府借款二億ドル、輸銀を中心とする協調融資九億ドル、合計十一億ドルがすでに消化され」という部分については正確ですか。
  156. 大鷹正

    ○大鷹説明員 このLNG関係では、政府借款としては五百六十億円出されたわけですけれども、その消化状況については、関係当局の方から答弁していただきたいと思います。
  157. 岡島和男

    ○岡島政府委員 ただいま御質問ございました経済協力基金からの五百六十億円の進捗状況でございますが、十月現在で三百十二億円が実行されております。
  158. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 じゃ、あなた専門でいらっしやるんですから、ちょっと初めからやりましょう。一九七二年五月十四日の佐藤・スハルト共同新聞発表第七項に基づいて、十年間に原油五千八百万キロリットル日本に供給する見返りとして、日本は何ぼの円借款を約束されたのか、その後どういう約束をされておるのか、まず約束の方からお伺いしましょう。
  159. 岡島和男

    ○岡島政府委員 先生、経済企画庁の方は経済協力基金の方の監督官庁でございまして、交渉全体のことは外務省の方にお願いしたいと思います。
  160. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 じゃわかる方、答えてください。
  161. 大鷹正

    ○大鷹説明員 政府借款は五百六十億円日本側からインドネシア側に供与するということになり……
  162. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 違う、違う。それは一九七四年三月十六日の政府間取り決めでしょう、あなたの言われる五百六十億というのは。私の言っているのは、一九七二年からいろいろな取り決めをしたでしょう、それから全部話してくださいと申し上げておるのです。一遍ちゃんと整理して話さなければ、そんないいかげんな話をしていたら混乱しますよ。
  163. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いま渡部先生がおっしゃいましたのは一九七二年の佐藤・スハルト会談の後の共同コミュニケではこのLNGではなくて、石油借款として六百二十億円を供与するということになったわけでございます。LNGに関する限りは五百六十億円の政府借款ということでございます。
  164. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 石油とLNG両方述べていただきたい。というのは、この問題に関係するのがインドネシアのプルタミナであり、同社の扱い品目はその石油、LNG両方にまたがっており、その借款及び異常な同社に対する日本政府の肩入れの仕方が問題になっているのでありますから、LNGだけでお話をするわけにいかないので、私は両方を順番を追ってそのときから初め話していただきたいと申し上げたのです。それに石油とガスは同じようなところから出るじゃないですか。
  165. 大鷹正

    ○大鷹説明員 石油借款の方は一九七三年、すなわち昭和四十八年の三月三十日とそれから昭和四十九年の三月十六日と二回に分けて交換公文が行われておりまして、四十八年の分では二百三十億円、それから四十九年の分では三百九十億円、合計六百二十億円の政府借款が供与されました。
  166. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 じゃLNGの方は。
  167. 大鷹正

    ○大鷹説明員 LNGの方は四十九年三月に交換公文を締結しまして五百六十億円の政府借款がインドネシア側に供与されました。
  168. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 民間のものとしてはどういうものがありますか。
  169. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 民間のJIOとJILCOについてお答え申し上げます。  民間の融資といたしましては、輸銀とその他市中銀行協融いたしましてJILCO、JIOに融資しておりますが、その金額は、JILCO分について先に申し上げます。JILCO分が融資承諾額十一億二千九百万ドル、このうちすでに六億五千五百六十万ドルが引き出し済みでございます。  一方、JIO分に対しましては、輸銀と民間と協調融資の形で一億ドル、これを融資しております。
  170. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 一九七三年五月、民間供与としてプルタミナに対し石油購入代金前払いとして一億ドルのアンタイド借款を与えたというのが、いまおっしゃった一億ドルでございますか。
  171. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 さようでございます。
  172. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それから一九七四年に同じく民間供与として、日本・インドネシア・LNGを通じて八億九千八百万ドルをプルタミナに融資したというのは、先ほどおっしゃったのとはちょっと違うようでございますが。
  173. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 私が申し上げましたのは、JILCOに対する当初の融資額と、その後JILCOに対しましては追加融資が行われておりますので、追加融資の数字を合計いたしまして申し上げました。したがいまして、当初の計数だけ申し上げますと、お話にもございましたように八億九千八百万ドルでございます。
  174. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 一九七六年六月十七日の河本通産大臣とラディウス商業相との会談における追加融資、これはその中に入っておるのですか。
  175. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 この八億九千八百万ドルの中には入っておりません。追加融資の額としては二億三千百万ドル、輸銀と市中銀行が協調で出すことにしております。
  176. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 どうも私の持ち合わせている資料と向こうの資料と違うようで、言葉の上でやりとりしてはさっぱりわかりませんものですから、表にして御提出願えませんか。
  177. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 承知いたしました。後日、提出いたします。
  178. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 なるべく早く、できればこの委員会中にお願いしたい。そうしないと次の話が進まないのです。というのは、LNG関係石油関係と、両方通してインドネシア政府に対して与えられたものはどういうものであったか、借款の幅はどのぐらいであり、実施されたものはどういうものであったか、私はまず知りたいわけです。  その次に私が知りたいのは、この中でも特に異常な感じがするのは、プルタミナに対する融資というものが、大幅な赤字と破産状態にある同社に対して続々と借款が与えられていく過程が不明だからであります。その過程を知るために、プルタミナ社そのものに対しての借款状況あるいは融資状況あるいは前払い金状況その他支払い状況等をあわせてプルタミナとの関係の資料が欲しいわけです。いまその第一の部分を伺っているわけですが、第一の部分が明瞭でないので、第二の部分も明瞭でなくなってきました。
  179. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 その点につきましては、御承知のように輸銀は、LNGにつきましては日本法人であるJILCO、それから石油につきましてはJIOに融資しているのでございまして、プルタミナに直接融資しているわけではございません。したがいまして、われわれが持っております数字も、当然のことながら日本法人であるJILCO及びJIOに対する融資の金額でございます。それでよろしければ直ちに取りまとめまして御報告申し上げます。
  180. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 じゃ委員会中でも結構ですから、直ちにお取りまとめをお願いします。
  181. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 承知いたしました。
  182. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 いま応酬を聞いておいていただいてもおわかりのとおり、まことにめんどうな話をいま書き上げていかなければならぬわけでありますから、私はまず基礎的なことをちょっと申し上げていきたいと思うのでありますが、幸いアメリカ局参事官が御出席なすったというメモをいただきましたので、いまから直ちに話を——一般論として、政府としての対米外交ルートによる法廷証言記録の入手の方途はあるのかどうか明らかにしていただきたい。これはロッキード事件の経緯も踏んまえてお答えをぜひともいただきたい。
  183. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいまお尋ねの件でございますけれどもロッキード事件の場合は特別に実務者間で取り決めを結びまして、アメリカ側の持っている資料、その中にはSEC、いわゆる準司法関係の資料を入手いたしましたけれども、一般論としてアメリカの裁判あるいは仲裁裁定にかかっている資料について、それがすでに公表されたものであれば入手は可能かと思いますが、現在係争中の事件結論が出ていないものについて直ちに入手する道があるかどうか、従来そういう例もございませんので、詳しく調査さしていただかないと明白な答弁ができないのが現状でございます。
  184. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 いまのお話は、そうすると法廷証言というのは、アメリカ側で行われた法廷証言のうち公開されたものという言い方をいまなさいましたが、恐らく法律的には余り正確な言い方ではなかろうと思うのです。法廷証言というのは公開して行われるもの、あるいは非公開で行われるものとありますが、公開して行われる一般的な法廷証言はことごとく入手することが可能だろう、これは問題がないだろうと私は思うのです。ところが、あなたはその辺無視してお話しになりましたが、それはどういうことでございますか。
  185. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 もう少し詳しく申し上げれば、いま先生の御指摘のように、その証言が公開の席で行われて、その記録がすでに公になっているというのであれば問題ないと思います。ただ、非公開の場で行われた証言で外に出ていないということであれば、これが日米両国間の何らかの特別な取り決めがなくて入手できるかどうかという点については、私は若干疑問に思います。
  186. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、今回のロッキード事件における各種の証言はほとんど公開の席上で行われたわけでありますが、公開の席上であるものについては、あなたはいま二つ条件をつけられた。公開の席上で記録が公示されているものと言われましたけれども、公開されておれば、そこへ傍聴に行って聞くということは可能ではないんですか。
  187. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ですから、公聴会が公開されて何人も入れるということであれば、まさにそのとおりでございます。  それから、ロッキード問題を扱いました多国籍企業小委員会の場合は秘密会と、それから公の公表されたというか、一般にだれでも入れるものがございまして、二月四日ないし六日の分については、全部公表されて入手できたわけでございます。それ以外のものについては、多国籍企業小委員会自身が決定して、最終的には司法当局に渡したということが従来の例ではないかと思います。
  188. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、そういう秘密会その他における証言記録、それを日本政府として入手する方法はどういう方法があるのですか。
  189. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ロッキードの問題に限定して申し上げれば、秘密会の議事録を入手できるかどうか、それはまず第一に、その委員会自身が後日秘密会の議事録を公表すれば問題ないわけでございますが、その過程で入手できるかどうかということは、当該委員会アメリカ政府とが決定して、外国政府の申し出によって何らかの取り決めで決定するということになるんではないかと思います。
  190. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 お聞き及びのとおり、日本政府側の意思表示がかなりその前提として必要のようでありますが、本小委員会としては、問題となっておりますアメリカ側の法廷証青の記録入手につきまして、いままでにあった分、これから行われる分とともにこれを入手するために、外務委員会の議決を求めて、正規に政府に対し、外交折衝による入手方を求めるように要求したいと存じますので、よろしく御配慮をお願いしたい。
  191. 水野清

    水野委員長 後刻外務委員長と相談をいたしまして、決定したいと思います。
  192. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 証券取引委員会も、本件の贈賄記録は押収しているというふうにすでに報道がされているわけであります。本件というのはこのLNGタンカー問題あるいはLNG問題と申しますか、この報道がもし正しければ、この資料についてもロッキード事件と同じような方途というのが必要であろうと思うわけでありまして、ロッキード事件の際にわが国政府において、あるいはわが国国会におきまして決議あるいはそれに基づく交渉が行われ、資料の提出方をアメリカ側に要望をいたしたわけでありますが、これについて外務省説明を求めたいと思います。
  193. 大鷹正

    ○大鷹説明員 先ほども申し上げましたけれども、SECの調査対象がいま問題になっておるLNGのプロジェクトとは直接関係があるとは聞いておりませんけれども、いずれ調査が進んだ段階でわが国として資料を求めるかどうかについて検討をいたしたいと思っております。
  194. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 いまのおっしゃり方は、このSECに同関係の資料が押収されているというようなことがもう少し判明すれば、あるいは捜査がもう少しいった時点において、外務省としてはその資料の提出方に関して予備交渉をする、こういう意味でございますか。
  195. 大鷹正

    ○大鷹説明員 もう少し調査が進んだ段階において、要請するかどうかについて検討いたしたいということでございます。
  196. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 要請するかどうかについて検討するとおっしゃるのはちょっとおかしいのじゃないですか。それはあなたは隠そうとしているとしか見えないですよ。
  197. 大鷹正

    ○大鷹説明員 いまのところはSECの調査がLNGとは関係がないというふうに了解しておりますので、そういう関係が出てくるとか、あるいはそういう疑いが出てくるとか、そういう事態の進展を見て要請するかどうかを決めたい、検討したいということを申し上げているわけでございます。
  198. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それは政府側のなさることですからそれ独特のやり方があるのでしょうけれども、少なくともSECが同件資料について入手したという報道が行われている以上、それに対するもう少し明快なSEC側の返事をもらうとかなんとかしなければならぬのだろうと思うのですね。その辺がまだ明快でないし、SEC自身も調査の途中だからすべてを明かすわけにいかないと述べている以上、そこまでおっしゃることは行き過ぎだろうと私は思うのですね。だから、あなたのお答えのうちの半分、つまりこの事件のSEC側の調査の進展をもう少し見た上でこれに対して要請するという判断を下すということが日程に上ってくる、俎上に上ってくる、こういう意味だろうと思うのですけれども、どうですか。
  199. 大鷹正

    ○大鷹説明員 そういう意味でございます。
  200. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 LNGに関する日本とインドネシアの円借款及び輸銀及び民間融資の問題、インドネシアにおけるバタクとアルンの天然ガス液化施設の建設の進捗状況に関して、経済企画庁、通産省にお伺いをいたしたいと思います。
  201. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、インドネシアのLNGの基地につきましては二カ所ございます。一つは北スマトラにございますアルン、それから一つはカリマンタンにございますバタクでございます。バタク基地からの供給開始という予定が大体五十二年の春ということになっておりますが、バタク基地の進捗率を申し上げますと、これは八月現在でございますが、総合をいたしまして五二%ということになっております。このうち最も時間がかかります主要な設備類につきましては、当時で大体九二%ぐらいの進捗率になっている。それから配管工事が六八%程度いっておった。それから計装工事につきましては、これは最後になるわけでございますけれども二〇%ぐらいの進捗率であるということでございます。  それから、アルンの方につきましては、供給開始予定時期がバタクより一年おくれて五十三年春というのを当初から予定しておるものでございますから、現在機器の基礎工事とかあるいは冷却水設備というような土木工事を進めているという段階でございます。  最近時点でいかがかということでございますが、いま申し上げましたのは八月段階での進捗率でございますけれども、現在でもって申しますと、バタクにつきましては、つい先ごろ調査団が帰ってまいったものですから、それの報告によりますと約七〇%ぐらい進捗しているというふうに聞いております。  以上でございます。
  202. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、実際にバタク、アルンの天然ガス液化施設の稼働というものの見通しはどうなりますか。
  203. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 現在のところでは、バタクにつきましては来年の二月末までに完成するという予定というふうに聞いております。したがいまして、当初予定より若干おくれているという程度というふうに聞いております。
  204. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 これは実際には、私どもの聞いているところでは、両方とも工事進捗がおくれているだけでなくて、現地において実際に稼働してもLNGが出てこないのではないか、掘り当て個所が間違っているのではないかといううわさがこのどちらか一方にあるんだそうだけれども、それはどうですか。
  205. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 ガスが全く出てこないということは聞いておりません、現にアルンというところではすでに出ておるわけでございますから。それからバタクについても同じでございまして、先生いまおっしゃられるような、せっかく設備をつくってもガス自体がないということは全くないというふうに考えております。
  206. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 これに対する支払い及び債務状況——日本側が大きなお金を注ぎ込んでいるのに対して向こうのプルタミナの財務状況の悪化のために、同設備の状況というものが——一部債務その他採出物に対する担保設定等の状況はどうなっていますか。
  207. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 プルタミナが先生御指摘のように財政困難に陥っているというのは事実でございます。ただ、現在のインドネシア政府態度と申しますのは、プルタミナの財政状態のいかんにかかわらず、そこのその事業というのはインドネシア政府が全責任を持って行うというのが基本的な態度というふうに聞いております。いま先生御指摘の、プルタミナ側でもって金がないものですから全体の工事がおくれるだろうというような御指摘につきましては、あるいは完成後どうなるかということでございますが、これは代金がエスクロ勘定に入りまして、それからインドネシア側に決済されるという形になっておるものですから、先生が御心配になるようなことはないかと存じます。
  208. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 経済企画庁から、四十九年三月の日本・インドネシアの円借款の交換公文以来今日まで、経済協力基金からの融資枠五百六十億円、これはどの程度実行されているのか、また、交換公文で定められておりますが、融資の対象になった項目について具体的にお述べをいただきたいと思うのです。
  209. 岡島和男

    ○岡島政府委員 総額は先生おっしゃいましたように五百六十億円でございますが、それを内訳的に申しますと、バタクの方が二百四十二億円、それからアルンの方が三百十八億円でございます。で、五十一年十月現在におきます支出状況でございますが、バタクの方は二百四十二億円のうち二百十八億円が支出されております。それからアルンの方は三百十八億円のうち九十四億円、合計三百十二億円、こういう支出状況でございます。それで全体として貸し付けの進捗率がバタクの方は大体九割、アルンの方は三割でございますが、それがそのまま工事の大体の進捗率を示しておるというふうに考えております。
  210. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 この融資対象になった項目についてお伺いしたいのですが。
  211. 岡島和男

    ○岡島政府委員 融資対象は交換公文の付表に載っておるものでございますが、その内訳でございますか。
  212. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 はい。
  213. 岡島和男

    ○岡島政府委員 バタクの方でございますが、いまの二百十八億円の内訳を申しますと、貯蔵施設などが百三十九億円、それから係船及び積み出し架台が六十六億円、それから引き船、タグボートでございますが、これが十三億円、合計で二百十八億円でございます。それからアルンの方は、貯蔵及び積み出し施設が六十八億円、それからパイプラインが二十七億円、端数がございますのでちょっと合いませんが、合計で九十四億円、こういうことになっております。
  214. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 次に、融資対象になっているのはバタクとアルンの液化工場の要するにこれは付帯設備ですね。
  215. 岡島和男

    ○岡島政府委員 さようでございます。
  216. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、わが方の融資対象がことごとく一〇〇%いくということは、付帯設備としては完成する、こういうふうに見てよろしいわけですか。
  217. 岡島和男

    ○岡島政府委員 技術的なことは詳細にはわかりませんが、そのように理解しております。
  218. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 ということは、四十九年三月の交換公文の時点で、付帯事業に関して見通した事業計画と融資計画とは破綻を来していない、ちゃんとラインに乗って行われておる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  219. 岡島和男

    ○岡島政府委員 全体の進捗状況につきましては、実際に融資を行っています経済協力基金の方でコンサルタントその他から随時事情を聴取しているようでございまして、全体の工事の進捗状況とバランスがとれるように融資を実行しておるというふうに聞いております。
  220. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 石油ショックによる影響等あるいはインフレによる影響その他いろんな状況があると思うのですけれども、それらはこの枠内で処理できると考えておられるのですか。
  221. 岡島和男

    ○岡島政府委員 この基金が融資対象としております分につきましては、いわゆるコストオーバーランというような問題は発生しておりません。またインドネシア側からも少なくとも現在までのところ追加融資の申し出というのはございません。
  222. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 この予算はぎりぎりの枠いっぱいになっているのですか。
  223. 岡島和男

    ○岡島政府委員 当初の計画額の中に若干の予備枠が予定されておりました。
  224. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 若干とは何ですか。
  225. 岡島和男

    ○岡島政府委員 若干というのは若干でございますが、パーセンテージで申しますと一割足らずのものが予備枠としてあったように聞いております。
  226. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 バタク及びアルンの天然ガス液化工場の本体施設については、四十九年三月の時点で輸銀を含む日本の民間金融が二千六百億円の枠が与えられていますが、そのうち五十一年七月には五億ドルの追加融資の交渉が河本通産大臣のもとで決定を見ております。この追加融資決定の根拠は石油ショックを受けたことによると説明されておるようでありますが、御説明をいただきたい。
  227. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えします。  五十年の六月に日本側に対しまして先生御指摘のようなオイルショック以降のインフレ、資材費の高騰、工事費の高騰のために、当初の借款あるいは融資ではとても賄い切れなくなったので追加融資をお願いするという正式の要請がございました。その後一年間かけまして交渉をいたしまして、先生御指摘のように追加融資が本年の六月に決定されたわけでございます。ただ、その際に、今後どうするかという話が当然話題になるわけでございまして、その際のインドネシア側の言明では、仮にこれ以上資金の追加需要が出てまいりましてもインドネシア政府が責任を持って負担する、日本には再度追加融資の要請はしないということを確約しております。
  228. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 金額的に見ますと、私はこれは全然納得できない問題です。輸銀を含む日本の民間金融が二千六百億でしょう。その枠なのに石油ショックで五億ドル追加するというわけでしょう。付帯事業全体としても当初五百六十億円ベースですね。五百六十億円ベースのところに五億ドル追加融資したということは千五百億でしょう。ざっと千五百億円も融資した。当初の三倍も融資した。それが石油ショックだなんという説明はとてもじゃないけれども理解しがたいですね。最初これくらいでしょう。その三倍も融資をしたわけでしょう。
  229. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 念のためにもう一度申し上げますと、当初の経済協力の総額というのは五百六十億円でございます。それから第一次の融資分でございますね、これが八億九千八百万ドル、ドルで恐縮でございますが、追加融資は三億二千二百万ドルでございます。したがいまして、当初の八億に比べますと四割近いあるいは三割以上の追加融資をした形になっております。これは資材の高騰、事業費の高騰ということはもちろんいま申し上げたとおりでございますが、一部詳細設計になりまして仕様の手直しという事情もあったというふうに聞いております。ただ、全体的な値上がり分として見ますと、当時の日本でも、私は正確な数字は覚えておりませんけれども、プラント建設あるいは土木工事費というのは非常な高騰をしておりまして、今回の追加融資分というのが非常に異常な追加融資であるというふうには考えておりません。
  230. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 どうかな。それはあなたはえらいさばさばおっしゃいますがね、八億ドルのところへ四〇%、三億二千二百万ドルもばんと上げた。あなたはしゃあしゃあとおっしゃったけれども、いま疑惑はまさにそこに集中しているわけですね。プルタミナそれ自体が大赤字でしょう。その大赤字の会社に金を注ぎ込むこと自体がおかしいわけです。そのおかしいところへもってきて、あなたのおっしゃることによれば四〇%近く、手直し分も含めたとはおっしゃるけれども、急激に値上がりしたというのはうなずけませんね。たとえば、手直しが必要だった、付帯工事で手直しが四割に近いほど出るなんていうことは異常ですね、どう考えたって。そんなずさんな見積もりを、あるいは設計を当初やったかということになるじゃありませんか。  だから、あなたの御答弁は、ラフに過ぎてとても納得しがたいんですね。まさに汚職の、正確に言えば汚職がもしあるとするならば、汚職の対象になる金額はここにあるわけですから。あなたの御説明はラフに過ぎるから、それは次回においてもう少し詳しく御説明いただきたい。手直し分が幾らであったのか、石油ショックによる部分が何ぽであったのか、人件費値上がりの部分は何ぼであったのか、ひったくられた部分は幾らであったのか、わけのわからぬ分はどのくらいあったのか、それをちゃんと御説明いただかないといけないですね。これでは当委員会は審議不能ですよ。
  231. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘でございますけれども、実は追加融資を決定いたします場合というのは先ほども申し上げましたように一年近くかかって国内を詰めておったわけでございます。三億二千二百万ドルというのは結論でございまして、当初のインドネシア側の希望額というのはもっと多かったわけでございます。それを可能な限り準備しておぎますけれども、私どもの考えでは、わけのわからない部分というのはないというふうに考えております。
  232. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 まあそれは調べてからにしましょうよ。あなたはいま、そんな不用意なデータでそこまで言われたらまずいのと違いますか。後で何か出てきたら、あなたのお立場はなくなるのじゃないですか。だから、十分調査してお答えしますぐらいの御答弁がいいのじゃないですか。
  233. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 それじゃそれは十分調べて次回御答弁さしていただきたいと思います。
  234. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 インドネシアのプルタミナにつきましては、種々さまざまな疑惑が流布されており、輸銀融資がインドネシアでゴルフ場建設資金になったとか、プルタミナタワー建設資金になっているのではないかとか、日商岩井のビヘービアに問題があるとか、日本国内業者に発注したものの価格が問題であるとか、さまざまな問題点がテーマに上っているわけであります。関係当局におかれましては、これらにつき督励されてこれらの問題についての真相究明をされ、当委員会に対して御報告を求めたいと思います。特に資料要求に対して、この問題に対しては非常にガードがかたくて、資料集めに困難をいたす状況がありますので、特命を出されるよう希望したいと思います。  これらの問題点、いま私が取り上げた何ポイントかの問題については、次回御答弁を求めたいと思いますが、これらについて、関係当局を一括代表されてどなたか政府側の立場を御答弁いただきたいと思います。
  235. 大鷹正

    ○大鷹説明員 先生の御指摘になりましたことでわかる範囲内でわれわれ努力してお答えいたしたいと思います。
  236. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 次に、日本インドネシアLNG株式会社それ自体の問題でございますが、この会社は資本金十五億円で一九七四年二月一日にスタートした。それから三月二日に設立されましたプルミコ、プルタミナが三菱商事及び日本鋼管の共同出資によってつくりました石油パイプライン敷設工事を目的とする現地法人だそうでありますが、このプルミコ、こうした会社それ自体に対する日本側の融資、政府借款あるいは民間借款、そうしたものとの関係はどういうことになっておられるか、概括して述べていただきたいと思います。
  237. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いま先生が仰せられたいわゆるインドネシアLNG以外の会社でございますけれども、その辺については私残念ながら承知しておりません。それから、先生がいま言われました各社に対します借款、融資等々につきましても、したがって私は承知しておりません。
  238. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 では御調査の上お返事をしていただきたいと思います。
  239. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 それでは調べられる限り調べてお知らせいたします。
  240. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 プルタミナに対する日本側の融資あるいは追加融資、技術援助その他につきまして、どうも私どもは整足して承っていないようでありまして、部分的にか情報を持っていないわけであります。プルタミナに対する日本政府側の融資あるいは技術援助その他の関与の状況について、整足して当委員会に御提出をお願いしたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
  241. 大鷹正

    ○大鷹説明員 これは各省庁にまたがる問題かとも思いますので、できるだけ調べてお答えいたしたいと思います。
  242. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それから、現在すでに言われているところによれば、インドネシアから産出されるLNGの販売単価及び輸送単価につきましては、国際相場と比べてかけ離れた相場である旨の批評が行われております。これら国際相場との関連において、対比されて御報告を求めたいし、その値段が違うのであるならば、それらについての御説明を承りたい。これも今回御説明が無理でしたら、次回において御報告されることを望みます。
  243. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 LNGの価格につきましては、油と違いまして国際的な通り相場というのは、はっきりしたものはないのが現状だというふうに聞いております。ただ、インドネシア産のLNGの価格が国際的に見て非常に高いということはございません。これはいろいろな見方はあろうかと思いますけれども、大体日本が引いております油というのはほとんどCIF建てでございますから、たとえばアメリカあたりと契約ということに伝えられております価格はFOBでございますから、直に比較はできませんけれども、それをFOB部分に直して計算をいたしますと特に割り高であるということはございません。むしろ原油の価格にスライドした価格で決められているというふうに承知しております。
  244. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 タンカーの方、輸送賃の方。
  245. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 タンカーの輸送賃、フレートでございますね、これは先生御存じのとおり距離によって皆それぞれ違うものですからあれですが、日本の場合、インドネシアから運んでくるタンカーフレートというのは、特に高いというふうには承知しておりません。
  246. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それではLNGに関しましては基礎的な資料を要求する段階で、本日はここまでにしておきたいと思います。  次に、マクロの漁船の問題につきまして——先ほどの議論の応酬の中で、SECに対する資料の提出要求についてでありますが、これが当委員会から出た場合において、外務省としてそれに対する交渉その他の便宜を図る用意があるかということが問題になっておりましたから、ちょっとお伺いしたいと思います。
  247. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 SECの関係は先ほど大鷹参事官からお答えしたとおりでございますが、もう少し事態の推移を見て対応策を決定したいということでございますので、そのようにさしていただきたいと思います。
  248. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それではマグロの方をひとつお伺いします。  マグロ漁船の中古船輸出実績は、韓国向け四十三年ないし四十八年で百七十九隻、パナマに対しては同年間百五十一隻となっております。これらは便宜置籍船として売られていったものが多数あると思われるわけでありまして、わが国のマグロ漁業界に対する大きな圧迫になっているのではないか思うわけであります。介入した商社名を明らかにされた上、これらに対する政府側の対応について御説明をいただきたいと思います。
  249. 森実孝郎

    森実説明員 現在韓国には約五百五十隻のマグロ漁船がございます。台湾には約二百二、三十隻のマグロ漁船があるはずでございます。そのうち大部分のものは、日本の中古船が輸出されたものと御理解いただいていいと思います。恐らく、一部台湾で建造されたもの、それから韓国で建造されたものもありますが、現有隻数の八割以上が日本から輸出されたものと理解していただいていいと思います。  これにつきましては、先生も御案内のように、日韓双方で話し合いまして、マグロ市場の価格安定ということが日本側生産者からも強く要請されている。マグロ類自体の輸出のコントロールを話し合い、その措置を軌道に乗せることと並行いたしまして、昨年からマグロ船の輸出については年間枠を極端に抑えまして、大体更新隻数以下にとどめるということで、輸出承認をその範囲内に抑えてございます。
  250. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうしますと、この当初におきまして日本鰹鮪漁業協同組合連合会が要望されていた範囲内でおさまっているわけでございますか。
  251. 森実孝郎

    森実説明員 いわゆる日鰹連が生産者を代表して主張しておりました点は幾つかにわたると思います。一つは、先生いま御指摘の漁船の輸出のコントロールでございます。これは完全に業界の要望どおり現在更新の枠内に抑えておりますので、まず問題がないと思います。  それから二番目は、やはり本体のマグロの輸入をどうするかという問題でございます。昨年これは政治的にも大変むずかしい問題に日本国内でなりまして、暫定枠四万五千トンを決めたわけでございますが、本年度からは日韓双方のマグロ貿易を正常化するという視点で、独航船につきましては四半期別に輸出枠を決め、韓国はその輸出枠におさめるように行政指導をする、日本も事前確認制を一月一日からとりまして、数量チェックを行政指導のもとに行うその体制ができました。率直に申し上げますと、本年の前半はなお脱法的な行為と見られるものもあったわけでございますが、逐次輸出枠、輸入枠というものが船ごとに明確になってきまして、行政指導が両国とも非常にしやすい条件ができてきたということで、これに関連する一連の問題は大体片づいたのではないかと思っております。なお、運搬船の問題その他ございますが、これらも行政運用で、かなり行政指導が徹底してきたと思います。  最後に、国内の価格支持でございますが、これは今年度の予算措置から、マグロ類も調整保管事業の補助対象にいたしまして、同時に、近々発足いたします魚価安定基金をもって、調整保管事業の赤字のリスクをカバーする仕組みをつくるという価格政策がどうにか発足いたしましたので、大方のところは、最近の魚価の動向もありまして、解決してきているのではないだろうかと思います。なお幾つかの問題点もあると思いますが、今後改善に努力いたしたいと思っております。
  252. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 いま魚価の方から、魚それ自体をとる方から御説明をいただいたわけでありますが、私はいま中古船輸出というものが無制限に四十三年ないし四十八年に行われたという事実を問題にしておるわけでありまして、しかも多国籍企業小委員会で取り上げるゆえんは、日本に対する便宜置籍船の影響として非常に無視できないものを感ずるから申し上げておるわけであります。御担当局が違うかもしれませんが、御担当の方にお答えをいただきたいのですが、中古船の輸出をこういうふうに一方では恣意的に行って、あとで農林省が大騒ぎをして片づけなければならぬという状況にしてしまったのは、一体なぜこんなにたくさんの中古船の輸出を黙認したのか、しかもそれが便宜置籍船として取り扱われている可能性を感ずるわけでありますが、この実態はどうか、このところをまずお答えをいただきたい。
  253. 森実孝郎

    森実説明員 まず、経済的背景と制度的な問題と二つあると思います。  経済的な背景といたしましては、四十二、三年度以降マグロの需要が急増いたしまして、非常に魚価がいい、漁業経営も数年間非常に高収益の時期が続いたわけでございます。そういった点から、漁船の更新が非常にハイピッチで行われまして、その結果出てまいります中古船というものが、造船所のあっせんあるいは商社等が入りまして、急速に輸出が行われたという事情がございます。しかし、先ほど申し上げましたように、韓国、台湾等、日本と同種の漁業が出てきて、これが日本市場に向けて輸出が行われた場合、国内にかなり悪影響を与える。特にオイルショック以降、わが国市場の消費の停滞からこの問題が深刻になった。こういうことを受けとめまして、本格的に昨年から輸出の規制を行っているということでございます。これは現在運輸省が所管されておりますが、実質的には水産庁に協議されまして、水産庁長官が承認を与えたものだけを輸出するということで、年間の輸出枠を、先ほど申し上げましたように、それぞれの国の更新の隻数の範囲内にとどめるということで、地域別、漁船別に決めております。  それからなお、商社の介在につきまして、便宜置籍船の問題がございましたが、韓国、台湾等にわが国から漁船を輸出します場合、延べ払いの形で輸出が行われますので、その債権担保の期間、つまり船価の回収ができる期間は、パナマ籍等の別法人のオーナーに所有させまして行い、これを回収後は韓国籍に移すという形になっておりますので、便宜置籍船が韓国船、台湾船については逐次減っておりまして、逐次韓国籍、台湾籍に移っていくという形に相なっております。
  254. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 いまのお話を聞いていてちょっと妙に思いますのは、韓国側の更新の範囲内でこちらが販売すると言われましたが、日本と韓国の間はそれでいいですが、それらの船をもし日本以外のところから彼らが受け取るとすれば、幾らでもまた増強できる穴はあるのではないでしょうか。
  255. 森実孝郎

    森実説明員 率直に申し上げて、かなりむずかしい問題でございます。実態といたしましては、現在中古船のサプライヤーとしてまとまっておりますのはわが国だけと思いますが、最近台湾等の造船所がマグロ船についてはかなり供給力を持っております。問題は今日のマグロの資源状況、需給状況等を見て、やはり関係国が漁獲努力を拡大しないということが基本だろうと思っております。これは実はできればマルチの形で処理されることが好ましいと思っておりますが、遺憾ながらそこまではいっておりません。ただ、日本と韓国の間では、それぞれ双方のマグロ船の漁獲努力は今後ふやさないということを昨年の秋に基本的に取り決めておりまして、わが国もことしは多少の減船をせざるを得ないし、韓国もすでに老齢化した船については一部は更新もしませんで放棄しておりますので、若干船は全体としてはむしろ減る形になると思います。
  256. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 また、ただいまのお話の中で、明らかに日本商社が韓国側に中古船を売って、日本と韓国の両方の財産である船をパナマ船籍に置いたということに関して、これはいわゆる便宜置籍船の最悪のケースであろうと私は思うわけですね。日本の財政の処理の上からいっても実際的には問題だろうと思うのです。この辺は森実さんにお答えをいただくのはどうかと思いますけれども、大蔵当局はおいでになりますか。
  257. 森実孝郎

    森実説明員 これは若干先生にお言葉を返すようでございますが、実は率直なところを申し上げますと、韓国船、台湾船等発展途上国については、漁船を輸出して延べ払いの代金の確保ということが輸出した人々にとって非常に深刻な問題、どうやって債権担保をするかというのがかなり深刻な問題になっております。そういう意味で、日本が間接的に支配力を持てるパナマの船籍の船にして、別会社に持たせるという形が債権保全の点から出た点で、その後の状況を見ておりますと、債権の回収が済んだものにつきましては便宜韓国籍へ移管しておりますので、特に最悪というふうな事態ではないのではないかと思っておりますが、債権保全上やむを得なかったのではないかと思っております。
  258. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、この問題については明らかにパナマ船籍に関する税金の支払い方法その他というものも検討しなければわかりませんけれども日本と韓国両国の財産であるべきものをパナマ置籍船にするというやり方をもって両国の財産が侵害されていると見ることもできますよね。ですから、その意味では、私はパナマ置籍船というのは明らかな脱税行為、脱法行為と言わざるを得ない。したがって、わが国としては、そういうようなパナマ置籍船の問題については全然黙認する、パナマ置籍船はいいというふうに言うことはできなかろうと思うのですね。  ところが、きのういただいた資料の中にも、たとえばかつお・まぐろ類輸入実績表を拝見いたしましても、韓国、パナマについてはもうほぼ一括して、両国船についてはそれを一括して取り扱われておるという、統計上でさえそういうようになっている状況ですね。だから、これは余りにも無批判にパナマ置籍船というものを扱っておられるのじゃないか。パナマ置籍船については、債権担保という観点から必要だったという御説明ですけれども、税制上からそれを見て、わが国にとってそれらの行為は許されるかどうかについてもう一つお考えをいただくべきだと思いますし、また財産保全の方法、担保保全の方法についてはそれしかないものかどうかについて、もう一度御研究いただくのが至当だろうと思いますし、パナマ政府と日韓両国政府との関係について相互に紛糾の生ずることのないような方策というものがとられるのが当然だろうと思いますし、それらについて御研究をいただくことが必要ではないかと思いますが、どうですか。
  259. 森実孝郎

    森実説明員 私の説明が先ほどちょっと舌足らずの点がありましたので補足させていただきますと、パナマ置籍船でも韓国の許可はとっております。つまり、韓国人なり韓国の法人経営主体になっているものについてはすべて韓国の許可をとっておりまして、パナマ置籍船というのは純粋に船籍の問題というふうに御理解いただいていいと思います。  それから、先ほど統計の点に御指摘がありました。当然一本で出ているからと先生おっしゃったのでございますが、実はこれを一本にまとめて集計するまでに半年ぐらい手間暇がかかったというのが実態でございまして、御案内のように、日本の通関統計は原則として申告主義、特に自由化された物資については申告主義をとっておりますので、パナマという形で韓国からの輸出の脱法が行われやすい。そういう点で、実は日本に仕向けております二百二十五隻の韓国の独航船につきましては、船籍が韓国籍であるとパナマ籍であるとを問わずすべて経営単位に、船単位に輸出枠を決め、行政指導をし、日本も輸出枠を決めて行政指導するという形をとっておりまして、そういったいわば通産省、農林省の業務統計を集計いたしまして韓国、パナマを一本に出しているというふうな実態でございまして、統計上当然に出てきているというわけではございません。そういう意味で、船籍の問題は経営自体を規定しているというふうには必ずしもなっていないという点は御理解を賜りたいと思います。
  260. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 置籍船の深刻さについてまだ御理解がないんじゃないかと私は思うのですがね。韓国側の五百五十隻のうち約四〇%は日本商社の置籍船である、韓国置籍船であるという話すら日鰹連のパンフレットの中に出てまいりますが、日本商社がみずから貫籍船を韓国側に置き、韓国側がまたそれをパナマ船籍のものとして置くというこの状況について、これでよいと思われているのかどうか。
  261. 森実孝郎

    森実説明員 実態をもうちょっと正確に申しますと、現在の約五百五十隻弱の独航船、基地船を合わせての韓国の船のうち、約四割ぐらいが先生御指摘のようにパナマの置籍船であると思っております。ただ、債権の保全が進むに従って、回収が進むに従って少しずつ減ってきているという姿でございます。形としましては、漁業経営自体は韓国法人が皆やっておりまして、いわば債権保全の視点から、日本商社なり漁業会社が輸出した船を、別法人をパナマ等につくりまして、そこでパナマの置籍の船を持って、それを韓国法人が使って経営している、こういう形で、漁業経営自体ではないという点はひとつ御理解を賜りたいと思います。そういう形で代金の回収をしているということでございます。  この点は実はなかなかむずかしい問題がございまして、御存じのように、船につきましてはパナマだけではなくて、一般の商船でもリベリアの問題とかなんとかというふうに、まあ固定資産税ないし登録税を極端に安くしまして船籍をふやすという政策をとっている国がありまして、パナマの場合もその典型的な一例で、非常に自由な取引地域、貿易為替地域としておりますので、どうしてもそういった債権保全その他錯雑した問題がございますと、過渡的にそういうものを利用する形になっておりますが、行政的には先ほど申し上げましたように実態を把握しておるつもりでございまして、特にそのこと自体が支障を来しているというふうには考えておりません。  なお、税金の問題につきましては、私ども専門でございませんので適切なお答えはできないと思いますが、実はこの二年間一番大きな問題になっておりますのが韓国側から代金の回収が十分確保できないという点でございまして、実は各商社、漁業会社とも相当履行期が来た債権をさらに履行を延期しているという実態がありまして、いまの実態からしますと、マグロの輸入自体は別として、船の輸出に関連する部分はむしろ債権が保全できないで日本関係会社がきゅうきゅうとしているという、実態にございます。御参考までに……。
  262. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、問題が二つ浮かんできたわけですね。一つは、パナマ置籍船については日韓両国からの課税を免れるという実際的な効果が上がっており、そのために日韓両国の税金は減っておる。これは多国籍企業の課税回避行為一つの例である、こういうふうに見ることができますね。私はこれは御研究いただかなければまずいだろうと思うのです。
  263. 水野清

    水野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  264. 水野清

    水野委員長 速記を起こしてください。
  265. 森実孝郎

    森実説明員 税制に関連する問題と思いますので、私どもの所管としてはお答えできませんので、税制の問題、特に多国籍企業活動の税制上の適用の問題につきましては、まず実態をつまびらかにすると同時に、政府としてどう認識するかにつきましては、国税庁その他関係ある責任省庁と連絡いたしまして、次の機会に資料その他で御説明できるように計らうように努めたいと思っております。
  266. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それでは、日本商社が資金を出して船を賢い、魚を買い上げる、船についてはパナマ船籍にする、そして魚については買い上げをする、こういう形が典型的な便宜置籍船の例だろうと思うのですが、具体例がありましたら、ちょっと具体的な例で商社名を挙げてお話しをいただけませんか。
  267. 森実孝郎

    森実説明員 一言で申し上げますと、わが国国内でも一般的にございます。新しい船を購入した場合、あるいは新船建造をした場合の釣り払いの形が国際的に拡大されたものと御理解いただいていいと思います。  まず、関係している商社でございますが、実はマグロの輸入が水産物の輸入で大宗を占めておりまして、主要な商社ほとんど全部が、地域によって得手不得手はございますが、参加しております。それ以外に漁業会社も参加しております。そこで、実質的にいろいろな形で資本供与が行われ、それを釣り払いの形で決済をつけているケースがあるわけですが、大ざっぱに言うと三通りぐらいケースがあると思います。  一つは、船自体を延べ払いで輸出して、その船価を釣り払いの形で輸入時の価格で仕切って回収するという形、それから二番目は、船自体は手を放しまして、大体二、三千万円程度だと思いますが、毎回の出漁のたびの仕込み資金を供与いたしまして、釣り払いの形で水揚げ時の品物の一部と相殺で整理する場合、それから三番目は、その複合形式があると思います。現在一番普遍的に多いのは、第二の範疇だろうと思います。ちなみに、漁業の場合は、合弁の形でやっているというケースはマグロについてはほとんどございません。
  268. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 それでは、その次問題なのは、外国漁船が日本近海で操業して、それで漁獲物を日本に直接陸揚げしてくる。これはわが国漁船の権益あるいはわが国漁港それ自体の運用に関して問題ではないか。他の国ではこうした行為を実質的に制限し、禁止している国々があると聞いておりますが、なぜ日本規制をしていかないのか。漁民の間に大きな不満があります。これについて御説明をいただきたい。
  269. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  公海上で採捕しました魚の扱いにつきましては、御案内のように外国人漁業規制法による一定範囲の規制というものは行われております。公海上で採捕しました魚を直接水揚げを規制するか否かという問題は実はなかなかむずかしい問題でございまして、一般的に、公海上で採捕する魚の水揚げを禁止している国もございますが、これは非常に少ない例とお考えいただいていいと思っております。  私どもは、これらの問題は、結局、全体としてそれぞれの国の輸入をどうするかという形で処理をしているわけでございます。その意味で、マグロの問題につきましても輸入という形で問題の処理に当たっておりますが、ただ、実情を申し上げますと、問題になっております韓国の独航船は、韓国では釜山の保税地域で全部検査を受けまして、輸出指導の枠をもらってそれから日本に持ってくるという形になっております。
  270. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうしますと、アイスランドやノルウェーやカナダやメキシコやアフリカのように、外国漁船が直ちに寄港する許可を与えていない国々があると承っておったわけですが、韓国船についてもそういうふうになった、こういう意味でございますか。
  271. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のマグロにつきましては、そのような運用をしております。
  272. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 他の漁獲物についてはどうですか。
  273. 森実孝郎

    森実説明員 他の漁獲物につきましては、輸入割り当て品目と自由化品目で、実際、輸入政策自体が違いますと一律に議論されませんけれども、韓国から持ってきておりますものは直接漁船が日本に水揚げしているケースはきわめてわずかである。一部北洋のギンダラ等に例がある。これにつきましても摩擦その他を抑えるという視点から、行政指導で水揚げ時期とか水揚げ港等はある程度自粛してもらっているという実態はございます。
  274. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、マグロは韓国の独航船でとられて釜山の漁業基地に揚げられて検査されて割り当てを受けて、それから運搬船で日本の港に揚げられてくる、こういう形式に完全になったわけですか。
  275. 森実孝郎

    森実説明員 釜山から運搬船で持ってくるのではございませんで、マグロ船自体、その独航船自体がそのまま持ってきております。運搬船で持ってきておりますのはちょっと別のケースでございまして、台湾、韓国等の基地船がアメリカあるいはヨーロッパのパッカーに相当量のマグロを売っております。これは日本に輸出しているより大きいわけでございます。これは中間に日本商社や漁業会社が入っているケースもございます。その海外基地のマグロの中で、一割程度混獲されますカジキ類等は海外市場市場性がございませんので、日本では加工用として使いますので、これは海外基地から運搬船で持ってきているという形になっております。
  276. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 この運搬船について洋上転載の疑いが生ずるのではないかと思われますが、こうしたものに対する取り締まりはどういうふうにされておりますか。
  277. 森実孝郎

    森実説明員 実は昨年来私ども率直に申し上げまして非常に頭の痛い問題でございます。と申しますのは、運搬船で持ってきますものはいわば韓国の漁業者の手を離れまして、日本商社なりアメリカのパッカーが買ったものが一部日本に入ってくるという形で韓国の行政のコントロールの枠外の問題でございます。韓国政府としても責任を負いかねるということで、数次の交渉にわたってなかなか処理に困ったケースがあったわけでございますが、ことしの一月以降、事前確認制ということで、マグロ類の輸入につきましては航空機輸入以外は全部輸入商社名、取扱業者、種類、船名等を挙げて事前に行政確認を受けて処理するということになりましたので、実質的に運搬船でどんなものがどこから幾ら入ってくるという形がわかるようになってきております。運搬船の中でも先ほどの比較的温度の高いカジキ類等は別に問題がないわけですが、恐らく先生御指摘の洋上転載というのは韓国の独航船から洋上転載されて超低温の運搬船で入ってくるものだろうと思います。これにつきましてはマグロの輸入に利用できる超低温の運搬船が二、三隻ございます。これにつきましては少し私どもの方でも個別に相当行政指導を強化しますと同時に、韓国側にも洋上転載する運搬船の相手となった独航船をトレースしてチェックするように、それで両国で実質的な脱法行為を抑えようじゃないかという合意がこの七月にできまして、八月以降は内容をチェックして行政指導のできる条件が大体できてまいりましたので、逐次事態は改善されるだろうと思っております。
  278. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 韓国の遠洋マグロ漁業が昭和四十八年十万六千トンですか、わが国のほぼ半分の量になっている。特に御説明をいただいたところでは、韓国の方々は白身しか食べない、赤身の魚、特にマグロは食べないので七〇%はかん詰めとしてアメリカへ持っていく、三〇%は日本へ刺身として持ち込んでくる。しかもアメリカ側のかん詰めの方が非常に落ち込んだ。そのためにどっとばかりに昭和五十年一月ないし四月で一万九千五百トンの輸入がある。前年同期の二倍強というものになってきた。日本鰹鮪漁業協同組合連合会が韓国遠洋漁業協会に対し、対日輸入量は二年前の水準に戻す、日本へのマグロ持ち込みは漁船でなく運搬船に切りかえろという要求をしたけれどもまとまらず、そこで業界の突き上げで外国人漁業の規制に関する法律の改正案が提出されて通過したと承っておるのです。ちょっとよくわからないのですが、これはどうやら発動されてないようでありますけれども、どういう事情になっておるのですか。
  279. 森実孝郎

    森実説明員 御案内のように各党共同提案で一定の条件のもとに、具体的には韓国のマグロ等を志向されている条文でございますが、輸入禁止という法律改正があったわけでございます。しかし、私ども政府考え方といたしましては、今日韓国のマグロの供給あるいは台湾のマグロの供給というものが、わが国の需給全体の中に織り込まれて一つの需給ができ上がっておるという実態がございますし、また韓国のマグロ、しかも日本にもっぱら輸出を志向した独航船のマグロの輸入を禁止するということは、この十年間比較的友好的に行われておりました日韓双方の漁業関係に決定的なダメージを与えることになる。やはり対外的には当然漁業問題等の報復措置を覚悟しなければならぬ。そういう意味で同法の発動というのは、政府としては政令指定を行って発動することはいたしかねるということを再三国会でも答弁を申し上げてきたわけでございます。これにかわると申しますれば語弊があるかもしれませんけれども、輸出入秩序をつくるという点で先ほど申し上げましたように、韓国は輸出量のチェックをし、わが国は輸入量のチェックをして四半期別に輸入量を決めていこうという形での体制をこの一月から発足させたという経過になっておるわけでございます。
  280. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 そうすると、五十年六月にできた外国人漁業の規制に関する法律というのは伝家の宝刀として残されておって、そしてそれについては行政当局は意識的に発動というものを後ろへ繰り下げて、日韓両水産当局で事前承認という形でこの問題に対処している、こういう意味ですか。
  281. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のとおりでございます。
  282. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 台湾との間のマグロの輸入に関して、こうした措置は政府間当局の交渉がない以上きわめてやりにくいものと思われますが、水産庁当局としてはどういう手配をされているわけですか。
  283. 森実孝郎

    森実説明員 台湾のマグロにつきましては、大部分が基地船が多いものでございますから、韓国のように独航船が商い比率を持っておりませんから多少事情が違います。しかし先生御指摘のように、非常に大きな圧力材料になっていることは事実でございます。何とか民間の話し合いで事態を解決してほしいということで、再三にわたりまして民間交渉をやっていただきまして、ちょっと私、正確な日付は忘れましたが、夏に台湾、日本のマグロ業者間で話し合いが幸い締結されまして、昨年度の輸入量を上回らないという、できればできるだけ下回る努力をするということで話し合いが妥結したと聞きましてほっとしているというような状況でございます。
  284. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 昨年度の輸入量というのはどのぐらいですか。
  285. 森実孝郎

    森実説明員 台湾から入りますものにもスイッチで入ってきておるものがあるわけです。中継で入ってきておりますのでつまびらかにするのには問題があると思いますが、大体二万トン前後と御理解していただきたいと思います。
  286. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 昭和五十年十一月、内村水産庁長官が訪韓されて、マグロの輸入に関し、年間六ないし七万トンまでは韓国を含めた外国からいままでどおり自由に輸入し、それを超える分については二五ないし三〇%の高関税をかけるという案を韓国側に提示されて韓国側に反対されたという、反対するのは道理でしょうけれどもお話があったわけでありますが、これは例の事前協議のできる交渉の過程の提案として出されたものか、こういう提案を今後とも日本側としては持ち続けていくという意味なのであるか、その辺を……。
  287. 森実孝郎

    森実説明員 まさに御明察のとおり、交渉の過程における一つの案として提示した。結局現在の制度で合意を見たということでございます。
  288. 渡部一郎

    ○渡部(一)小委員 政府の御苦心、御努力も大分いま承ってわかったのでありますが、日本側の交渉も相当の強度をもって韓国側に対して当たられた動きはよくわかりましたが、これからも両国間の交渉が破局的な状況にならぬように協議を進め、共存共栄の立場で前進されることを希望いたしまして、私の質問といたします。
  289. 水野清

    水野委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会