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1976-10-21 第78回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十一日(木曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 中村 重光君    理事 小沢 一郎君 理事 佐々木義武君    理事 佐藤 文生君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 八木  昇君    理事 瀬崎 博義君       木野 晴夫君    竹中 修一君       村山 喜一君    山原健二郎君       近江巳記夫君    小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田 正男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         文部省学術国際         局学術課長   七田 基弘君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         国土地理院地殻         調査部長    原田 健久君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   堂森 芳夫君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     堂森 芳夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保及び地震予知に関する問題)      ————◇—————
  2. 中村重光

    中村委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣もお見えでございますので、初めにちょっと基本的な問題についてお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。  いま、日本の国の原子力発電軽水炉型の発電中心にいたしまして推進がされているわけでございますが、原子力委員会専門部会報告書によりますと、この次はもう一挙に高速増殖炉全力を挙げるべきである、こういうような方針が示されているようでございますが、それに対しましていろいろな新型転換炉などの問題等も含めて、あるいは動燃事業団がそれに対する意見も出しているようでございますが、そういうような原子力行政の今後のあり方の問題についてはどのような方向づけをしておられるのかということについて、まず大臣所見をお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。  それからもう一つは、原子力行政懇原子力行政の全般につきまして最終報告書をまとめて総理大臣に出しましたが、その中でわれわれもきわめて注目をいたしておる内容的なものとしては、安全審査審査会原子炉設置許可申請が出た段階で出たものをダブルチェックしていくんだ、こういうような問題等が出ておりまして、私も自分のところに九州電力川内原子力発電所設置するということで、従来この委員会におきましても、電調審にかける段階においても、原子炉安全性そのものの本来の本体的な安全性の問題は別としても、その周辺のいわゆる地質であるとか地盤であるとか、こういうふうな問題については事前にチェックする必要があるのではないだろうかという意見も申し上げたことがございますが、この行政懇結論を受けまして、いま科学技術庁としてはどのような取り組みをしておいでになるのか。  以上、二点についてまず所管大臣の御意見をお伺いをいたしました後、具体的な問題に入ってまいりたいと思います。
  4. 前田正男

    前田国務大臣 お答え申し上げます。  第一の問題とも絡むことでございますけれども、私たち新型転換炉の問題につきましてどういうふうにやっていくかということでございますけれども、これにつきましては全体の原子力開発に合わせまして推進を図らなければならぬと思いまして、それについては実は原子力委員会専門委員会をつくりまして、稲葉さんが中心になられた方針が出ておりまして、それを私たちは尊重してやっていきたいと思っておるわけでございます。その内容はひとつ局長から答弁さしたいと思いますけれども、そういうものを尊重して、新型転換炉の問題についても検討していきたい、こう思っておるわけでございます。  それから、行政懇のことにつきましては、これはぜひ尊重しなければならぬと思いまして、前にもお答えしたと思いますが、五十二年度の概算要求原子力安全委員会設置するということで出してございまして、それには先ほどお話しのありました安全行政一貫化という問題から、ダブルチェックをぜひやれるようにしたい、こう思っておるようなことでございます。それに伴ってまたいまお話し安全委員会ダブルチェックをするについて、環境問題その他についてもいろいろと考え方が述べられておるわけでございますけれども、これも専門局長がおりますから、環境の問題についてあるいはその他についての考え方はひとつ局長から述べさせていただきますが、私たちといたしましては、行政懇の御意見を尊重してこれを実現するように努力しておりまして、いろいろな問題がそれに派生して出てまいりますので、それらの問題について、実はこの前もちょっとこちらで御説明させていただきましたが、原子力基本構想をひとつまとめていきたい、こう思っています。これは政府エネルギー政策懇談会等でまとめるべきでありますけれども、五十二年度に安全委員会予算を要求しておる科学技術庁が一応その原案をつくるべきじゃないかということで、各界のトップクラスの方にお集まり願いまして、原子力安全強化のための安全委員会設置に伴う基本構想に対しまして御意見を承る場をつくりまして、予算決定の時期、通例は年末ですが、あるいは来年に持ち越すこともありますけれども、なるべくその決定の時期までには安全委員会設置に伴う構想の部分はまとめていきたい、こういうふうに思っておるような次第でございます。  あとの内容につきましては、ひとつ両局長から答弁させていただきます。
  5. 山野正登

    山野政府委員 原子力行政の今後の進め方につきまして大臣がただいま御答弁申し上げましたが、若干補足させていただきます。  原子力委員会並び科学技術庁がどういう方向考えておるかということでございますが、二点あると思います。  まず一つは、当面の課題としまして、今世紀いっぱいは原子力発電の主流をなすと思われます軽水炉定着化を図るという問題でございます。この軽水炉定着化につきましては、従来、産業界等の努力もございまして、米国から導入しました軽水炉につきまして九十数%までの国産化はできておりますけれども、しかし、まだまだ安全性信頼性向上のための課題というのは残っておるわけでございますので、この辺の研究強化しますとともに、安全性面におきましても、行政懇結論を受けまして規制体制の一層の強化というものがあるわけでございますので、このあたりを今後推進していくというのが第一の課題であろうかと思っております。  第二の課題といたしましては、先般、原子力委員会の中の新型動力炉開発専門部会の御答申をいただきましたが、これを受けまして、この当面の軽水炉に続きます問題としまして、ウラン資源をより有効に活用するということで新しい型の動力炉開発というものに取り組む必要があるわけでございます。  この新型動力炉開発専門部会の御答申をごく簡単に申し上げますと、今後軽水炉から来世紀に期待されております核融合炉に至りますまでの間どのような炉型でいったらよろしいかということにつきましては、端的に申し上げまして、軽水炉の次には高速増殖炉に進むということを基本ライン考えるべきではないかというのが、この答申結論でございます。ただ、この軽水炉高速増殖炉核融合炉という流れに加えまして、高速増殖炉と申しますのは、何分にもまだまだ未踏の技術分野を抱えたむずかしい開発でございますので、いつごろになればこの実用炉が実現できるかということは、現時点では明確な予測はむずかしいわけでございますので、この高速増殖炉実用化のタイミングに合わせ、かつまた、現在福井県に建設中の新型動力炉運転状況といったふうなものをにらみ合わせまして、要すれば、先ほど申し上げました基本的なラインに沿いまして、ATR新型転換炉というものも従来の既定方針どおり開発し、その運転状況を見て五十年代半ばにこれを実証段階まで持っていくべきかどうかということを決心しましょうというのが、電力分野における原子力の新しい炉型の戦略でございます。  さらに、これに加えましてエネルギー分野では電力部門以外に約七割のエネルギー需要があるわけでございますので、そういう非電力分野に対する核熱エネルギーの利用ということで、現在日本原子力研究所開発を進めております多目的高温ガス炉というものの開発にも積極的に取り組むべきであるというのが、この新型動力炉開発専門部会答申内容でございますので、私どもそれをそのまま率直に受けとめまして、その答申の線に沿うべく来年度予算等においても措置をしようと考えておるわけでございます。  それから、先生御質問の第二点の行政懇結論の受けとめ方でございますが、これにつきましては、御高承のとおり、答申の骨子というのは、大きい点は二点ありまして、現在の原子力委員会開発面規制面と両方の機能をあわせ持っておりますので、これから規制面を担当いたします原子力安全委員会を分離独立させようという点が第一点、それから行政レベルでの安全規制につきまして、できるだけこの規制一貫化を図れというのが第二点でございます。  この第一点の原子力安全委員会につきましては、すでに私ども来年度の概算要求におきまして一つ構想を打ち出して、概算要求をいたしておるわけでございます。それから規制一貫化につきましては、現在内閣官房原子力行政体制改革強化推進連絡会議というものを設けまして、その場で関係省庁間で打ち合わせを進めておるところでございますが、科学技術庁といたしましても科学技術庁なりの案というものを現在練っておる段階でございまして、できるだけ早くその具体化を図っていきたいと思っております。  それから、安全委員会規制一貫化以外に公開ヒヤリングとかあるいはシンポジウムといったふうな問題についても御提言がございますが、これもできるだけ実行面でこの御答申に沿うべく措置してまいりたいというふうに考えております。
  6. 村山喜一

    村山(喜)委員 従来はFBR、それからATRの二本立てを柱といたしまして、動燃事業団が特に新型転換炉の問題を進めて、現在は実験炉段階だと思いますが、いわゆる動力炉開発の手順から考えますと、これが原型炉から実証炉方向発展をして、それが実用炉として商業化されるのではなかろうか、その後に高速増殖炉開発時代が来るのではないだろうか、こういうふうに言われていたものが、なぜそういうふうに熱中性子炉から一挙に高速増殖炉の方に主力を転換しなければならないのかということです。余りにも急ぎ過ぎる原子力開発がこういうところにもあらわれているのではなかろうか。そして、ウランの効率的な使用というものは、なるほど高速増殖炉に比べたら新型炉の場合には、これはその効率は低いかもしれないけれども新型転換炉という時代を経て、そして高速増殖炉に技術的にも発展をしていくのではないだろうかという見方をしておっただけに、この背景には一体どういうようなものがあるのだろうかということで、多くの人たちも疑問を感じておるように見受けるし、動燃事業団自身もこれに対しては強い不満の意思表示をしているようでございますが、原子力委員会専門部会報告書を、前田長官はもうそのとおり金科玉条のものとして受けとめて、そういうふうな方針に進めるというお考えでございますか。
  7. 前田正男

    前田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、その委員会答申は尊重したいと思っておるのですけれども、その答申内容については、いま局長から申しましたとおり、新型転換炉をやめるということじゃなしに、ある時期においてもう一遍そこで、さらに進めるかどうかということを見直そうということでございますから、別に答申内容新型転換炉をやめてしまえ、こういう答申ではないと思いますから、そういう答申の線に沿いまして、その時期にもう一遍見直そう、こういうことじゃないかというふうに感じておるわけでございます。
  8. 村山喜一

    村山(喜)委員 中止を示唆したものではないと思いますが、テンポを落としていこうという考え方で、中心はもう高速増殖炉の方に全力を挙げるのだ、こういうような答申のように報告書を私は見るわけでございまして、これは間違いないと思います。その点は、結局いまのところは実験炉段階から実証炉に進んでいくという段階に来ているだけに、その実証炉建設の方は待ったをかけられているという状態になると思うのです。そして、進行ペースを落としていくということで、原子力委員会としてはその方向で確認をされているわけでございますか。
  9. 山野正登

    山野政府委員 新型転換炉につきましては、従来の軽水炉技術を十分に活用しやすい炉型でございますし、軽水炉に比べて、御指摘のとおり核燃料も経済的に活用できる炉型でもございますので、これを安易にいまの時点で捨て去るということを言っておるわけでは決してございませんで、将来の炉型のあり方考えました場合、このFBR実用化の時期の早い遅いということによりまして、将来各種炉型の開発を進めていきます場合に、私どもは当然費用効果というものを頭に置く必要があるわけでございますが、もしFBRの導入時期が予想外に早い場合には、この費用効果の観点からATR重要性というものは格段に下がるであろうというケースを予想して、先ほどその面を強調してお話し申し上げたのでございますが、これはいま先生指摘のように、ATR開発テンポを落とすというわけでは決してございませんで、新型動力炉専門部会答申におきましても、従来のとおり原型炉建設を進め、運転に入る。しかも実証炉概念設計までの検討を進めるということで、いつでも実証炉に移れるまでの手だては尽くしておこうということを示唆されております。  ただ、この実証炉に移るかどうかという決心を現時点でするのではございませんで、二、三年このATR原型炉運転実績を見ました上で、五十年代の半ばに改めて実証炉に進むべきかどうかということを決心しましょうというのがこの答申内容でございます。
  10. 村山喜一

    村山(喜)委員 ほかの問題に移りますが、具体的な問題に適用してみたいと思うのです。  軽水炉原子力発電でもまだ多くの欠陥が残っているわけですが、そういうようなのが今日依然として未解決のままで、たとえば細管のひび割れの問題等もそうでございますが、そういうようなものの技術的な解決も見ない中から、次から次に新しい炉の開発に向けて研究をされることはこれは結構でありましょうが、それを実用化していくというような形の中で問題が処理をされるということになりますと、余りにも駆け足で原子力開発というものが進められているところに、国民の不安、特に原子力発電所等設置をいたします地域住民の不安というものが残っているわけでございます。  そこで、私は、原子力行政進め方の問題で具体的な一つの例を申し上げて、長官の御意見をお聞かせいただきたいと思うのでございます。  それは、いま鹿児島県の川内九州電力原子力発電所設置をするということで、四月十五日に許可申請書を出しております。これに対しまして、付属書類等も十一の添付書類をつけまして、そして安全審査段階にいまあるわけでございますが、安全審査の百二十三部会でいろいろ検討された結果、この点についてはなお資料不足をしているということで、追加資料九州電力会社口頭要請をされた。それを受けまして、九州電力株式会社の方では追加申請書類提出をいたしますということで、書類提出をする用意をいま進めているわけでございます。  私は、原子力規制課長に私の部屋に来てもらいまして、一体それはどういうことなんだということを問いただしたのでございますが、従来科学技術庁は、安全審査委員会でこういうような点が不足をしている、したがってこれについてはこういうような安全審査に係る資料提出をしなさいということは口頭で当該の施業者指示をされる。そうすると施業者の方から、こういうようなものをやりたいという形で申請をしてくる。それを安全審査段階で受け付けて、そうして安全審査を行う、こういうシステムをとっているということを聞いたのでございます。  そこで、今月の十六日の日に、私も現地に参加をいたしましたが、炉心部の近くに千六百名余り人たちが、地元の地域住民を初め県内のそういうような原子力発電に対する不安を感じ反対立場を持っております労働者やいろいろな革新団体が集まりまして、大会が行われました。  その大会で行われた決議の内容は、これはもう御承知かもしれませんが、結局、九州電力がそこに前もってボーリングなどをいたしまして、その地質やあるいは地盤状態調査をいたしているわけでございますが、その場合に、ボーリングコアの差しかえをやった疑いがあるということから、その作業に従事した者もその近くの住民の中におります。そういうようなことから九州電力そのものに対して不信感を持っている。不信感を持っている者に対して、形の上では九州電力の方がそういうような追加申請書類をつくるためにさらにボーリング調査をやるのだ、こういうことで作業を開始をした、こういうようなでたらめな九電にそういうような安全審査に係る重要な事項をやらせるということはおかしいではないかというのが大衆運動理論でございます。  そこで、私は従来のいきさつについてお話をしたのでございますが、そういうような形で安全審査をやる側の安全審査委員会の方から、これとこれとこれについては資料不足をしているからそれを提出しなさいという命令を出す、その命令にこたえて施業者の方が資料を出すというのであるならば、科学技術庁安全審査あり方として、安全審査部会責任を負うという形の中で処理ができると思うのでございますが、そういうシステムはとっていない。そして、あくまでも営利企業体である、株式会社である九州電力が自発的に申請をしてそれを受理したという形をとっている。こういうような、科学技術庁責任をみずから負わないで、それぞれの会社責任を負わせている、そういうところから会社あるいは行政に対する住民不信、こういうものが如実にあらわれているのではなかろうかと私は思うのでございますが、この安全審査あり方について、前田科学技術庁長官は、従来のそういうシステム、事なかれ主義のだれが責任を負うのかということについても不明確なような形をとっている行政指導あり方、これについて、この点はおかしいなというふうにお考えになりませんか、また、お考えになるならば、そういうものについてどのような責任を明確にあらわそうとしていらっしゃるのか、その点についてお答えをいただきたい。
  11. 前田正男

    前田国務大臣 安全審査は、申請者申請内容及び説明資料に基づいて審査をするというのが規制法上のたてまえになっておるわけでございますが、いまお話しのような申請者説明資料が不十分であるというような場合は、従来は口頭でもって安全審査委員会にそういう不十分なものを調査して出せということが言われておるわけでございます。ただ自発的に調査したものと、こうやって不十分だから追加して出せと言ったものとの間の問題について、この際、十分に検討して運用することが必要じゃないかということを私たち考えております。したがいまして、そういう点は御趣旨の線に沿うて、なるべく運用において十分検討して適切な処置を講じなければならぬのじゃないかと思っておりますが、詳細は安全局長からもう少し……。
  12. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま大臣からの御答弁もございましたように、規制法の現在のたてまえは、一般的にこういう許認可業務について、ほかの原子力以外についても同様かと思われますが、申請者がまずいろいろな調査をいたしましてそれを申請してくる、それに対して国の側が客観的な立場からそれについての判断をする、こういうたてまえになっておるわけでございますので、資料不足であるという場合にも、直接国みずからが調査するというふうなことではございませんで、設置者原子力の場合は原子力事業者にその調査をさせる、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、その場合でも、たとえば安全専門審査会立場と申しますのは、設置者立場とは別に客観的な立場でもって厳正な判断をするわけでございますので、設置者が、設置者の都合のいいような勝手なデータをつくって持ってくる、それをうのみにするということは絶対やっておらない、またそういうことをやるはずもないわけでございます。その辺は厳正な運営をいたしておるわけでございますので、いささかもそういう御疑念がないようにいたさなければいけない。いままでのところは、口頭による指示ということで特に問題はなかったと思うわけでございますけれども大臣の御答弁にございましたように、今後の運用でさらに必要な場合には十分適切な運営考えたいと考えております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はいま、前向きの姿勢でこの問題についてはそのあり方について再検討するという大臣の御所見を承りましたので、ぜひそういうような角度から——施業者がやるとかやらないとかいうのは、実際そういうような資料を整えてくるのはそうでありましょうが、住民大衆運動理論というのは、従来から会社との間にトラブルを起こしているわけです。そして、この提出をされました資料の中で、安全審査部会にかけてみたら、私がこの委員会においてもあるいはまた予算委員会においても追及をいたしました内容のものを取り入れてもらって、あるいは地質学生越教授の見解も取り入れてもらって、炉心部の近くに六本の七百メートルにわたるボーリングをやりなさい、で、特に地盤調査をしなさい、川内川に沿うて断層が走っている疑いがあるのでそれについての調査をやりなさい、また川内川の海に面したところについては音波調査等をやりなさい、こういうことで、従来ならこういうような住民の方が問題にいたしたものを、国会で私が問題として取り上げ、それに対して善処をされるような方向で出てきたものでございますから、大衆の側から受けとめるならばこれは歓迎すべきことなんでありまして、それがなぜ反対に回ったかと言うと、いわゆる九電は信用ができない、それがやる資料だからだめだ。しかも科学技術庁は、そういうように口頭で九電側申請をさしてやらせるようなことをやっているじゃないか、もし国が責任を持つというのであるならば、当然第三者の機関かあるいは国自身がそういう事業——信頼のできるこれにかわるような何らかの機関が、安全審査についての追加資料要請をして、その手によって詳細なデータをそろえて、これに基づいて安全審査を行うべきではないかというのがその大衆の気持ちでございます。  そこで、私が大臣に、そういうような具体的な例の中から原子力行政進め方というものについて質問をしたような次第でございまして、これらは、いま所管の局長を初め大臣にもお答えをいただいたように、従来はそれで済まされたかもしれません。しかし、済まされたということは、住民運動との間にトラブルが発生をして、科学的に問題を処理するということが、そして住民の側に納得と安心感を与える行政が欠けていたのじゃないかということを私は大臣にこの際率直に指摘をしておきますので、今後の問題としてそういう行政進め方については早急に態度を改めていただきますように要請をしておきたいと思います。  そこで、次の問題に入りますが、第二点は、鹿児島の地方紙に出ました新聞の記事でございます。  九月二十九日に、鹿児島県の徳之島に核燃料処理工場をつくるということで計画書を極秘に配布して、それは通産省所管の財団法人がいろいろ調査をした結果、その名前は日本工業立地センターでございますが、条件にぴったりだという太鼓判を押しまして、それからこれが大きく活字で取り上げられました。そこで問題になりまして、これが三十日には県議会の問題で取り上げられて、県当局は、徳之島の核燃料処理工場の立地は認めないというような答弁をいたしているようでございます。その明くる日の十月一日の新聞によりますると、その奄美大島の大島郡の天城町の町長は、その真相を究明をする、そこで、町議会では全員協議会を開きまして善後策を協議をするという内容が出ております。明くる日の十月二日の新聞によりますると、前町長らが調査に協力をして、一そうして十数社のコンサルタントも入り込んで調べておった。MA−丁計画というものを作成をして、そうして「極秘に配布していた日本工業立地センターもその一つ」だ、こういうふうに掲げてあるわけでございます。  そこで、これは八月十日の日本経済新聞に「核燃料サイクル」として「「規制と助成」へ立法」という、「通産省は「特定核燃料事業法案」の作成を検討し始めた。」というのが記事として大きく出ているようでございます。その見出しによりますると、価格、料金を許可制にして、用地確保には財政措置をやる、そのためには科学技術庁の方と相談をいたしまして、現在、動力炉核燃料開発事業団にだけ認めている再処理事業を民間に開放するために原子炉等の規制法の改正をいま話し合いをしているというのが出ておるわけでございます。  そこで、私は、この事実関係はどういうふうに連動性があるのか、この鹿児島県の天城町におきますこの再処理工場の問題については、こういうふうに報道をされているが、真実はどういう状態にあるのか、そのことについてまず承りたいと思います。
  14. 山野正登

    山野政府委員 鹿児島県徳之島の核燃料処理工場の問題と申しますのは、実は私どもも新聞紙面で初めて知ったようなわけでございまして、当庁としまして、日本工業立地センターの調査がどのようなものであったかという内容については承知いたしておりません。従来、動燃の再処理工場に続きます第二再処理工場につきましては、これは現在、委員会の中の核燃料サイクル問題懇談会で、今後のとるべき施策につきましていろいろ御検討願っておるところでございますけれども、従来の考え方と申しますのは、電力業界を中心とした民間においてこの第二再処理工場の建設を行おうという方針で濃縮再処理準備会という団体をつくられまして、これは任意団体でございますが、各種の調査等をしておられるわけでございますが、立地につきましては地図等の図上の調査というのはやっておられると聞いておりますけれども、こういう現地に出向いての各種調査というものを計画しておられるということは聞いておりませんので、この間の関係は不明でございます。  なお、今後、先ほど申し上げました核燃料サイクル問題懇談会の結論を得まして、これは実は先般中間報告が出たのでございますが、今後、産業界においてもしかるべき準備組織をおつくりになると思いますが、従来の濃縮再処理準備会が引き続きおやりになるか、あるいは別途に新しい準備組織をおつくりになるか、いずれにしましても、これから具体的な策というものを策定していく段階でございまして、具体的な立地地点について調査をするといったふうな段階にはまだなっていないと私どもは承知いたしております。
  15. 有岡恭助

    ○有岡説明員 事実関係に関しまして若干補足説明さしていただきます。  先生、御指摘ございました日本工業立地センターと申しますのは、通産省が認可いたしております団体でございまして、財団法人でございまして、工業立地に関します調査それからコンサルティング、広報、指導、そういったもろもろの事業をいたしております。その仕事の一環といたしまして、国や地方公共団体、民間企業等から委託を受けまして、年間約五十件の立地に関します調査をいたしておりますが、早速私ども調査いたしましたところ、四十九年度におきましてこのセンターが徳之島の工業開発について民間企業から委託を受けまして調査をいたしていたようでございます。これは民間企業から委託を受けまして、徳之島におきます立地の可能業種あるいは港湾、道路計画、住宅計画、その他上下水道等の福祉施設等につきまして調査をいたしておりますが、その一環といたしまして、同地区に再処理工場を想定いたしましてその適性、立地等について、その工業立地という技術的観点から調査をいたしましたということは事実のようでございます。  ただ、これは先ほど申し上げましたように、通常の受託調査といたしまして実施いたしておりますので、特に国と何ら関係はないという点は申し上げられると思います。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 この再処理問題については、現在東海村の再処理工場の建設が進められつつある。これは動燃事業団のもので、これについてもいろいろ問題があるわけですが、一九八〇年代の再処理工場というものを民間でやる計画も進められつつあるというふうにも承っているわけでございまして、それを見通しをつけながら、いまから立地の条件を探りながら、どこに持っていったらいいのだろうかということをそれぞれ電力会社なりあるいは企業者なりというものは事前から準備を進めて、そしてその段階になって初めて顔を出すという状況に、いままで原子力発電所建設の問題でもそうでございましただけに、そういうようなことがもう大衆の触覚の中でぴりぴりと反応をしている。こういう中から問題が提起されて大きく取り上げられたのではなかろうかと考えているわけでございます。だから、もういよいよ決まるというときにはそういう根回しが終わりまして、そして最も適地だということにつくり上げて、そこで再処理工場を設置をしていくんだというやり方をとることは間違いない、そういうような体系にいまの体系はなっていると思っている。  そこで、お尋ねをいたしますが、これは国の方とは関係はないということはいま課長からお話を承りました。しからば、県なり天城町などとは一体どういうふうな関係になっているのか。特に前町長が調査に対して協力をしているという状態が記事として出ているだけに、県の方は余り知らないような状況のようにも出ておりますが、一体だれがそれを委託をしたのかということは当然明らかにされなければならないかと思うのでございまして、そういうような調査をする以上は、その日本工業立地センターだって独立採算制で事業をやっているわけでございますから、とするならば、有償で調査というものはなされているはずである。とするならば、その対価を支払った者がなければこういうようなめんどうな調査はできないわけでございまして、国ではない、じゃ町か、その天城町という町がやっているのか、そうでもなさそうだ、県でもなさそうだ。ということになると、そこに業界が、ある一つの企業者がそういうようなことを進めておるのだというふうに推察ができるわけでございます。それで、それはセンターとその企業者との間において内容を明らかにしてはならないという契約等もあるだろうと思いますので、内容の詳細な部分についてはお尋ねをいたしませんけれども、しかし、この新聞によりますると、相当詳細な報告書が出て、実際にタッチいたしました主任研究員の話によりましても、でき上がった計画書というのは七十五ぺ−ジにわたる綿密なものだということが新聞にも出ておるわけでございます。とするならば、一体だれがそういうようなのをこの日本工業立地センターに委託をしたのか、依頼をしたのかということが問題になると思いますので、明らかにしていただきたい。
  17. 有岡恭助

    ○有岡説明員 お答え申し上げます。  日本工業立地センターが受託いたしました委託先は徳之島興業という地元の企業である、こういうふうに報告を受けております。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 その徳之島興業というのがどういう会社であるのか、また二部や一部に上場されている大きな会社でもございませんから、それだけでその資金が調達ができたのか、その背景にある電力会社等はどういうふうになっているのかということについてはまだ調査もされていないでありましょうし、今後私の方でも事実関係を調べまして、この次に問題を明らかにしてまいりたいと思っております。  そこで、いま東海村に建設が進められつつあります再処理工場の建設の状況と、それから原子力委員会がこのほど放射性の廃棄物を試験的に海中に投棄する計画を決められたようでございますが、その内容について説明を願いたい。
  19. 山野正登

    山野政府委員 東海村に動燃事業団建設をいたしております再処理工場につきましては、昨年の九月からウラン試験に入っておりまして、現在まだウラン試験を続行中でございますが、今後、本年度いっぱいぐらいにこのウラン試験を終了いたしまして、来年の五月から五十二年度いっぱい使用済み燃料を使用しましたホット試験というものをいたしました後、五十三年の四月から本格操業に入りたいというふうに考えております。     〔委員長退席、八木委員長代理着席〕
  20. 伊原義徳

    伊原政府委員 放射性廃棄物の海洋処分の問題でございますが、現在、放射性廃棄物、特に原子力発電所から発生いたします低いレベルの固体の廃棄物につきましては、これは十分に安全管理をいたしまして発電所に貯蔵しております。当分の間、その貯蔵でしのげるわけではございますけれども、いずれこの処分の見通しを立てなければいけないということでございまして、この廃棄物をどうするかということについての基本的な考え方につきまして、十月八日に原子力委員会で基本的な考え方を御決定いただいたわけでございます。  その中で、低いレベルの固体廃棄物につきましては、海洋処分と陸地処分とこの二つの可能性を追及する。特に海洋処分につきましては、慎重な配慮のもとにまず試験的な海洋処分を行うということが適当である、こういうことになっております。いきなり本番をやるのではなくて、まず試験的な海洋処分をいたしまして、十分その安全性が確立されるまでは本格処分をやらない、こういうのが基本的な考え方でございます。  それで、このためには国と民間とが一体となって協力をしてこれを実施しなければいけないわけでございますが、この仕事を実施いたしますためにはやはり責任を持った一つの事業体が必要であろうということもございまして、この仕事を受託いたします財団法人の設立ということが民間側で行われることになっておりまして、近く発足する予定になっております。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 承りますと、試験的にやるのだということでございますが、これはそういうような共同で原子力環境整備センターみたいなのを電力会社がつくりまして、それは財団法人にしてそしてやるのだということですが、この試験的な実施をやられるのは国ですか、それともこれからつくられるであろう財団法人の原子力環境整備センター、ここが責任を持ってやられるのですか。  ということは、これは海洋投棄については国際的な協定もありますし、それからその基準等についても、すでにどういうふうな比重でなければならないというようなことなどもあるようでございますが、一体その責任をどういうふうに分担をするかという問題との関係がありますので、特殊法人ではなくて財団法人だという形をとろうとしていらっしゃるその立場から、この試験投棄というのは一体どの団体が責任を持ってやるのかということからまず詰めておかなければならないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  22. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほど御説明いたしました原子力委員会の基本的な考え方といたしましては、低いレベルの放射性廃棄物の処理については、これは民間の責任、また処分についても原則として民間、こういうふうになっておるわけでございますが、ただこの試験的海洋処分につきましては、これはやはりその実証をまずするということは国の責任でやるべきである、こういう考え方になっております。     〔八木委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、国が十分監督をいたしまして、その責任のもとに実施をさせる。ただし、法律のたてまえその他もございますので、国が委託をして、新しく設立を予定されております財団がその仕事を受託をする、こういうことに整理をする予定でございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはどういうような日程の計画になりますか。
  24. 伊原義徳

    伊原政府委員 この試験的海洋処分にいたしましても、やはり事前に十分の環境評価、安全性の検討をいたす必要がございます。目下、科学技術庁におきましてこの安全性の評価を十分やりまして、一応の案ができた段階でございますので、これから原子力委員会専門部会にこれをお諮りいたしまして、原子力委員会としてさらに安全評価、環境評価をしていただくわけでございます。その結果をいただきました上で、試験的な海洋処分を数カ年にわたって実施するわけでございますが、先ほど先生指摘ございましたように、国際的な問題も含んでおりますので、そちらの方も十分関係各国との連絡もいたしました上で、ただいまのところは、昭和五十三年ごろから実施をいたしたい、こう考えております。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 余り時間がございませんので、ちょっと原子力局長にお尋ねいたします。  東海村の再処理工場、これはクリプトン85の除去装置というものはつけるようになっておりますか。
  26. 山野正登

    山野政府委員 放出低減化につきましては鋭意努力いたして、御指摘のクリプトンの除去装置につきましても、現在技術開発中でございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 つけるようになるわけでございますね。技術開発中はわかりますが、つける予定でございますか。
  28. 山野正登

    山野政府委員 この技術開発の成果を見まして、実用化の見通しがつけば当然つける予定でございます。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後に、時間が参りましたので大臣にちょっとお尋ねをいたしておきます。  核燃料サイクルの問題からウランの濃縮の使用済み核燃料の再処理など、あるいはいまの終末処理問題等に関連をいたしまして、ハイレベルのものについては、特定核燃料事業法というようなものを作成をして、そして民間でそういうような再処理ができるような道を開いていこうというような考え方も新聞で伝えられているわけでございます。また、低レベルのものについては、いまお話がありましたような環境整備センターを設立をしてやっていこうというようなことでございますが、これの立法過程の中で、当然原子炉等の規制法の改正を科学技術庁と相談をするということになってまいります。  したがいまして、大臣は、こういう一連の核燃料サイクルの問題を、どの時点で法律を改正をし、どういうふうにしていかなければならないという一つのプログラムをお持ちになるべきだと思うし、また、原子力行政については権威ある前田長官でございますから、一つの見識をお持ちになっていらっしゃるであろうと私は推定をするわけでございます。したがいまして、この問題に対する長官のお考えを最後に承りまして、私の質問を終わる次第です。
  30. 前田正男

    前田国務大臣 いまのお話の点は、原子力委員会方針としては、第二再処理は民間でやらすという方針は決めてありますけれども、御承知のとおり、規制法では事業団がやることになっておりますので、これは当然通常国会等の機会で改定しなければならぬわけでございますが、そのほかに御承知のとおり核防条約の批准が成立いたしまして、それに伴う保障措置等についても、規制法に関係がありまして改正をしなければならぬというような問題もございまして、通常国会で検討しなければならぬと思っております。  しかしながら、全体の核燃料サイクルにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、安全委員会というものをつくるに伴いまして、これはもちろん国会の御審議を仰がなければなりませんけれども原子力の全体の基本的な構想というものをよく考えて、そしてそれに伴って、何しろ使用済み燃料以後の廃棄物の処分に至るまでの間がおくれぎみでございますから、これは何とかひとつはっきりした体制を整えなければ、原子力について国民の皆さん方の御理解を受けるのに当たって、安全性だけと言っても、安全性の中身の一つとして、使用済み燃料以後、処分に至るまでの体制の促進ということをやらなければ、安全について本当に御理解を得るのはむずかしいのじゃないかとわれわれ思っておりまして、基本的構想の中で、使用済み燃料以後の問題、ダウンストリームと言っておりますけれども、この問題についてもっと体制の整備について十分に検討したいと思っておりますし、どうしても先ほど申しました法的な改正も必要でございますので、いずれ国会に御審議をお願いしなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 いずれ国会に御審議を願いたい、それはそのとおりでありましょう。いま大臣のお話を聞いておりますると、安全委員会設置の方が先になって、この原子炉等の規制法の改正というのはその後になる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  32. 前田正男

    前田国務大臣 核防条約の関係もございますので、通常国会に両方とも提出させていただきたい、こう思っておるのでございますけれども、ただ促進の問題をもう少し詰めたいと思っておるわけでございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。
  34. 中村重光

  35. 山原健二郎

    ○山原委員 愛媛県の伊方原発の問題について二、三質問をいたします。  一つは、九月二十八日のことでございますが、伊方原発に対する三回目の核燃料の海上輸送が行われております。これは三菱原子燃料株式会社が行っているわけですが、この際に、大型トラック十台が午前二時に山口県徳山港の晴海埠頭に到着をいたしておりますが、この到着した時点におきまして、積み込み作業における放射線の測定がなされています。その際に、一つは山口県の衛生研究所の所員を中心とした山口県側の測定、もう一つは、三菱原子燃料株式会社の測定がなされているわけです。これは核燃料の入ったコンテナの測定でございますが、その結果、コンテナの表面におきまして、山口県側の測定では二・五ミリレムという結果が出ています。三菱側は一・五、ミリレムという数字を出しております。一メートル離れましたところで山口県側の測定では一・〇五ミリレムであります。三菱側の測定は〇・七ミリレムの測定が出ておるわけであります。この測定の問題につきましては、最初三菱側の測定のみが一回、二回行われておったのですが、徳山市民の間からいろいろ問題が出、不安も出まして、県が独自で二回目から測定に入っているわけです。そして、その結果このような誤差が生じてまいりました。結果としては山口県側の測定は正常であるけれども、三菱側の測定は二台とも狂っておりまして、三割ないし四割の低い値が出ておるということが判明をしておるわけであります。山口県におきましてはこの測定についての原因の究明をすると言っているわけですが、まず第一番にこの事実を御承知でしょうか。
  36. 伊原義徳

    伊原政府委員 いままでのところ、そういうことは聞いておりません。
  37. 山原健二郎

    ○山原委員 全く聞いておりませんか。
  38. 伊原義徳

    伊原政府委員 少なくとも私は聞いておりません。また、この種の問題は特に科学技術庁に報告がなければいけないという性質のものでもないかと承知いたします。
  39. 山原健二郎

    ○山原委員 この核燃料の輸送の問題については、実は私はずいぶんこの委員会で質問をしてきておるわけです。そして、その問題については、皆さんの方のお答えも慎重にやるとかいうようなお答えであったわけですが、これだけの誤差のある測定がなされて、全く三菱側も報告をしていない、また、そんな義務もないのだというようなことでいい問題であるかどうか伺っておきたいのです。
  40. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般的に申しまして、新しい燃料というのは一般公衆に危険を与える可能性はないものでございますのと、この輸送の基準といたしまして、輸送容器の表面線量あるいは一メートル離れたところの線量は、それぞれ二百、ミリレム及び十ミリレムというようなことになっておりまして、それに比べますと非常に低い値でございまして、基準は十分満たしているわけでございます。  なお、そういう低いレベル、基準の一けた二けた下のレベルでの測定でございますので、ある程度の誤差はあり得ると思います。誤差がある、あるいは測定器の較正が十分でなかったということにつきましては、決して好ましいことではないと思いますけれども、そのために一般公衆の方々に何らかの影響を与えるというものではないと考えております。
  41. 山原健二郎

    ○山原委員 前から新燃料はそういう危険なものではないというふうなことは言われているわけです。しかしながら、いままでの原子力行政を見ました場合に、住民の間に不安があることは事実なんで、そのことが絶えずここで問題になっているのに、そんな小さな問題は問題じゃないんだ、報告しなくてもいいんだと言って、調査もしない方針ですか。
  42. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまお伺いいたしました範囲でございますれば、特に調査の必要ないと思っております。
  43. 山原健二郎

    ○山原委員 これだけの、三割、四割の誤差がある、しかも狂いがあるという問題なんですよ。調査もしなくていいというのならば、この問題は全く何でこんな数字の違いが出てくるかという問題です。三菱側が、企業側がやったら少なく出てくる。しかも三割、四割も低い値が出てくるというんですね。山口県側の方は自信を持ってやったらそれと違った数字が出てくる、こういうところに問題があるんじゃないですか。そんなことはいいんだというのがあなた方の考え方ですか。そういうところが常に原子力発電所の問題で住民に大きな不安を与えている原因になっているわけです。それが科学技術庁の態度か。長官に聞きたい。
  44. 前田正男

    前田国務大臣 先ほど政府委員答弁しておりますように、一般公衆に害のあるものでもありませんし、許容範囲に近いというものなら別ですけれども、許容範囲からけたが違った範囲のものでございますから、そう重大な問題ではないんではないか、こう思っておるわけでございます。
  45. 山原健二郎

    ○山原委員 重大な問題であるとかないとかいうことを私は言っているんではなくて、こんな違いが出てくることに対して、私がこれまで言っているのに、調査もしなくてもいい、調査もする必要はないんだ、こういう態度ですか。それならそれなりに、これは徳山市には相当問題が起こりますよ。そういう態度で科学技術庁は臨むんだ、調査もしないんだということを私はここで確認してよろしいですか。
  46. 前田正男

    前田国務大臣 いま申しましたとおり、危険性があるという問題については私は調査をする必要はないと思っておりますけれども、食い違ったということは、国会でお話しでございますから、その事情については調べる必要はあろうかと思います。事情については調べますけれども、これは危険性のある数字とけたが違うわけでございますから、その危険性という問題については調査をする必要はない、こう思っておるわけです。
  47. 山原健二郎

    ○山原委員 ここまで数字の問題を言っているわけですから、いま長官が言われたように調査をしてみてください。  なぜ私がこういうふうに言っているかといいますと、この輸送問題につきまして私がこの問題をこの委員会で取り上げた直後、徳山市の市議会の総務委員会、これはこの問題を取り扱っておる委員会でありますけれども、そこで徳山港の使用問題について審議の真っ最中に、県知事が一方的にオーケーを出しております。もちろん、重要港湾でありますから、港湾法によれば知事に権限があるわけでありますが、しかし、一方では当の該当市が、しかもそれを取り扱う市議会がまさに審議をしておる真っ最中に、一方的に知事だけの判断によってこれが行われるというようなところにトラブルといいますか、市民に大きな不安が出てくる、こういうことです。そういう中で市民の要求によって山口県がこの測定体制をとった。その測定と三菱側、企業側の測定が違う。だからそこからまた市民の間に疑惑が生じてくる、こういうことになるわけです。  しかも、こういうやり方でいま新燃料の輸送がすでに三回行われているわけですが、徳山にとりましては、使用済みの核燃料の輸送についても、陸上輸送、海上輸送の拠点としてここが固定化するんではないか、こういう心配が市民の間にもあるわけです。しかも、使用済み燃料の場合だって、いまの段階で危険度はないと言いながら、その測定に誤差があるということになれば、将来においてもまた誤差が生じてくる可能性だってある。そういう心配があるからこそこういうことが問題になっているわけですね。  だから、いま私が言いましたことは調査をしていただくと同時に、この徳山港を今後陸上輸送あるいは海上輸送の一つの拠点として固定化する意思を持っておるのかどうか、この点を伺っておきたいのであります。
  48. 伊原義徳

    伊原政府委員 燃料輸送につきましては、その都度関係港湾管理者の御許可をいただくということになっておりますので、必要に応じてその都度お願いをする、こういうことかと思います。     〔委員長退席、八木委員長代理着席〕  なお、一般的に申しまして、使用済み燃料の輸送につきましては、原子力発電所に埠頭が設けられておりますので、そこで船積みをいたしまして再処理工場に海上輸送をする、これが今後わが国においては一般的な方法になるかと思われます。
  49. 山原健二郎

    ○山原委員 長官にもう一回お伺いしたいのですけれども、たとえばこういう問題につきまして、もちろん知事の同意、港湾を使う場合の知事の権限の問題に絡みますが、知事の同意だけでそれが強行されるということでなくして、やはり当該の市の意向というものも当然反映をさすべきであると私は思うのです。そういう意味での慎重な態度というものが必要だと思いますが、この点について長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  50. 前田正男

    前田国務大臣 これは先ほどお話しのように県の許可事項のようでございますからそれでいいと思うのですけれども先ほどからお話がありますように、一般公衆に全然心配がないことであるし、それからまた、その放射能許容量のけた違いの数字なんですから、そう一般の方の御心配を受けてやらなければならぬことではなくて、やはり県の許可でいいのじゃないでしょうか。それがおっしゃるように許可基準とある程度のところで近い、それは測定器に測定の誤差があったら大変だ、こういうことならいろいろ関係の方の御了解の問題もあるでしょうけれども、許可の二百に対して一・何ぼというのはけた違いのことですから、全然一般の方に対して御迷惑をかけるような問題じゃありませんから、それは県の法律的な許可だけでいいのじゃないでしょうか。
  51. 山原健二郎

    ○山原委員 二つ一緒にされておりますので、前の分は私は一応質問としては調査をされるということですから置いておきまして、港湾を使用する場合、確かに知事の権限だからそれだけでいいかもしれぬが、いま私が申しましたように、一方では当該の市である徳山市でまだ担当する市議会の委員会が審議をしておるということならば、そういう意見も反映をしていくという慎重な態度が必要ではないのですか、港湾の使用の問題ですね、それをお尋ねしているのです。
  52. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまの大臣の御答弁のとおりに考えておりますが、ただ市の方でいろいろ御検討という場合には、当然県の方と市の方ともいろいろ御連絡もあることと思いますので、私どもは原則として県の方にいろいろこの問題についての御説明はいたしております。なお、もし市の方でそういう説明が必要だということでございますれば、私どもといたしましては市の方に対しましても必要に応じて御説明をするということはあり得ると思います。
  53. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つついでにお聞きしておきますが、山口県と島根県の境にあります田万川に中国電力が原子力発電所をつくるという予定があると聞いておりますが、そのことについては御承知でしょうか。
  54. 山野正登

    山野政府委員 私どもの方にはまだそのような計画の説明はございません。
  55. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、十月十四日午前二時に発生しました伊方原発の事故の問題について質問をいたしたいのです。  この問題は事故と呼ばれたり、新聞を見ますと三菱側はトラブルと呼んでおります。また、ミスと書いておるところもありますが、これは科学技術庁としまして、事故あるいはトラブルあるいはミスというものについてはそれぞれ一定の定義をもって呼び方を変えておるのでしょうか、最初に伺いたいのです。
  56. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子炉規制法といたしましては事故届けという制度がございますが、この種の事案は事故届けの対象にはならないものと考えております。
  57. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問は、トラブルと呼んだりミスと呼んだりしておりますが、それぞれ呼び方によって性格がかなり違うような定義づけというものがあるのですかという意味です。
  58. 伊原義徳

    伊原政府委員 新聞の報道において、理解をしやすいようなためにいろいろの適切な用語をお用いになっておられると思いますが、法律上の用語といたしましてはトラブルとかミスとか、そういう用語はございません。
  59. 山原健二郎

    ○山原委員 では今度のは事故と呼びましょうか。  一つは、この設計、製作は三菱重工神戸造船所が行っているわけですが、事故のありましたのは特殊な制御棒、パートレングスでございます。この制御棒集合体を一号機の補助建屋から炉内へ移送コンベヤーに載せまして移送中に制御棒の先端がコンベヤーのとめ金に当たって曲がったというものだと言われています。この事故が起こりまして、十四日のこの事故の直後、通産省の長谷検査官の指示によりまして作業を中止し、現在三菱の専門家が調査中と聞いておるわけでございます。そして、十四日の午後四時から、事故が起こりましてから約十二時間経過した後に伊方原発の長島所長が記者会見をしまして、さきに移送した十五体の制御棒については何のトラブルもなかったが、ストッパー、すなわちとめ金の位置決めが不適当だったのではないかと言っておるのでございます。そこで、こういう事実があったのでしょうか。
  60. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。四国電力の伊方発電所の一号機でございますけれども、十月の十三日から新しい燃料を装荷する作業を行っておりました。十四日の早朝、未明と言った方がいいかもしれませんが、燃料の移送作業の途中で燃料体に挿入してありました制御棒の先端が移送するためのコンベヤーに設置してございますストッパーに引っかかったということが判明いたしまして、そこで燃料装荷作業を中止したということでございます。その原因につきましては、ストッパーの位置を決める位置決めが不適当だったのではないかということが考えられておりますが、そういうトラブルが起こりましたので、現在コンベヤーの移送装置、それから燃料体制御棒等につきまして詳細な調査をいたしているところでございます。
  61. 山原健二郎

    ○山原委員 新聞等の解説を見ますと、普通の制御棒は二十センチ角の長さ四メートルである。これに対しとめ金は十一ミリの余裕を持っているが、パートレングスという特殊な制御棒は他のものよりも十八ミリ長いためにとめ金に引っかかった、そして曲がったというふうに書かれておりますが、普通の制御棒と特殊な制御棒、しかも普通の制御棒の場合に十一ミリの余裕があるのですが、それがこの特殊な制御棒は十八ミリ長いということになりますと、これは素人の目から見ましても全く寸法が合わないことが当初からわかるのですが、こういうミスというのは全く粗雑なミスと言えるものでしょうか、初歩的なミスと言えるものでしょうか。一体どうしてそういうミスが起こるのか。常に初歩的ミスが次々と発生するという事態の中でどういうふうにお考えになっておるか、伺っておきたいのです。     〔八木委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 武田康

    ○武田政府委員 燃料体がストッパーに引っかかりました理由につきましては、引っかかりました燃料体の長さがほかに比べて長かったようでございます。そこで、ストッパーの場所が引っかかるようなかっこうになっておりましたので、その位置決めがおかしかったというふうに目下のところ考えられているわけでございます。  そこで、こういうミスがどうして起こったのかということでございますけれども、これは私ども常日ごろ電気事業者等の原子力発電所建設し、設置運転する者に対しまして、建設段階から運転段階までにわたりまして品質管理面を十分気をつけてやるようにという指導をいたしておりますが、今回のにつきましては、そういう品質管理面の注意がやや不足していたのじゃなかろうかと思われるのでございますけれども、現在何分詳細を調査しているところでございますので、決定的にこういう理由でこうであったというのをまだちょっと申し上げられない段階でございます。
  63. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、ストッパーの位置の問題、ストッパー設計のミスというふうに読んでよろしいのですか。
  64. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたようなことで、ストッパーの場所がおかしかったのじゃないかということでございまして、ストッパーをつくります場合には、そのデザインをし施工をしということになりますので、目下調査中でございますが、設計のミスあるいは施工のミス、そのほかにもあり得るかもしれませんけれども、そこのところを明確にこうだと断定できるところまで調査が進んでおりません。
  65. 山原健二郎

    ○山原委員 三菱は他の炉の場合も使用しているはずですが、三菱が設計したほかの場所においてそういうふうなミスはあっておりますか。
  66. 武田康

    ○武田政府委員 私ども、いままでのところ今回のミス——ミスと言わせていただきますが、今回のミス以外にそういう事実があったということを聞いておりません。
  67. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、設計段階のどの段階でのミスというふうにはまだ断定できないのでしょうか。
  68. 武田康

    ○武田政府委員 今回起こりましたストッパーの位置決めが悪かった、これがストッパーの場所を指定するデザインの段階なのか、それともそのデザインはよかったけれどもそれを施工するときに間違えたということなのか、その辺につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、まだ断定するところまで調査が進んでないということでございます。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 その調査の結果はいつごろ出るのでしょうか。
  70. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  私どもとしてはその原因をはっきりさせたいと思っておりますが、実はできるだけ早急にということで、その原因につきましても究明を督促しているところでございます。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 それほど複雑なミスのようにも思えないわけですけれども、ずいぶんそういう点では——現在どこが調査しているのですか。
  72. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、原子力発電所設置者である四国電力、それからその工事を担当しております三菱両者に今回のトラブル全部につきまして調べさせております。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 その調査で出た結果をそれからどうするのですか。その結果が発表されるというわけですか。電力側とメーカー側との調査が行われている段階のようですが、それからはどうなるのですか。
  74. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  ストッパーの位置決めが不適当であったかといま思われているわけでございますけれども、それがはっきりいたしますと、それに伴います変更措置その他をとらせることになろうかと思います。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 当事者である電力側とメーカーの調査、それに基づいて措置がとられる、私はこういうふうに思うのですけれども、この調査の問題については、電力側とメーカーの三菱側の調査が行われました場合、その結果が出てきて、その報告を受けてさらに通産省なら通産省が調査をして結論が出て、それに対する対策がとられる、こういうふうに理解をするのですが、いまの御答弁では、調査は両者に任せきりで、後の措置だけを通産省の方でやるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  76. 武田康

    ○武田政府委員 物事の重要か軽いかということで、一般論としては少し話が分かれてまいりますけれども、私ども調査の実務、それから第一次的な判断原子力発電所設置者にやらせるわけでございますが、ただし、その判断の結果が私どもが監督いたしております安全上重要な問題とか、それからこういうことは運営上直させなければいけないというような観点の判断に密着するような場合には、当然私どもとしてもその調査データをチェックし、それからその調査データに基づきます発電所の設置者なり工事をやっておる人たち判断を役所のサイドからもちろんチェックいたしまして、その上で処置の案が適切であればそれでいいというようなことになろうかと思いますし、処置の案が不適切であれば直させるというような判断は当然私どもいたさなければいけないと思っております。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、調査の主体はあくまでも業者二団体であって、たとえばその結果を当委員会に発表するとか報告するとかいうような場合は、それがそのまま出てきて、それに対する処置のチェックは通産省が行うということでしょうか。通産省として責任書持ってこの委員会資料提出し、調査の結果を報告することはできるのですか。
  78. 武田康

    ○武田政府委員 ストッパーの位置決めの問題そのものにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、仮にそうだったとすれば、工事施行上の品質管理面にやや甘かった点があるというようなことになるのではなかろうかと思っておりますけれども、それ自身が後々にとりまして非常に重大な問題では必ずしもないのじゃないかなと考えておる次第でございます。  ただ、今回ひっかかりました燃料体も含めてそれをどうするのだというようなことにつきましては、私どもとしては、結果がまとまり、今後の処置はこうだというようなことがまとまりましたならば、当然その発電所の設置者から、こうするという発表をさせることになろうと思いますし、また、設置者自身も地元の方その他一般に発表することになると思いますし、その時点で私どももどちらにするかという判断を最終的にいたしますけれども、役所といたしましても、これはこういうことであってこうだというようなことを何らかのかっこうではっきり外部に知らせるという措置をとることになるのじゃなかろうかと思っております。ただ、何分まだ調査中でございますので、断定的に必ずこういうことになりますということを申し上げる段階では必ずしもございませんので、やや一般論的なことで御説明いたしたわけでございます。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっとお聞きしておりますと、ずいぶん小さな問題のように受け取られているように思うわけです。たとえば原子力発電所の場合、出力を決めて、あるいは燃料の問題、制御棒の問題、そういう基本的な設計がなされていくだろうと私は思っているわけですが、それがもともと寸法の違うもの、それに合わないような設計がなされるということ自体基本的な誤りがあるんじゃないかと思うのです。  そこで、一つ聞きますけれども、この特殊な制御棒、パートレングスを使用するということは初めから決まっておったのですか。十五本は普通の制御棒を入れて、あと十八ミリ長い特殊制御棒を四本入れているわけですね。それは初めからもう決まっておったわけですか。突然これが入ってきたのですか。
  80. 武田康

    ○武田政府委員 炉の中に入れます燃料体のデザインというのはもちろん当初から決まっておりまして、こういう長いものがあるということも当初から当然わかっていたことでございます。私どもも、ほかに比べましてこういう長いものがある、それは当然前々から承知していたことでございます。
  81. 山原健二郎

    ○山原委員 そうであれば、パートレングスを使用するということが初めから決まっておれば、その数値は出ているわけですから間違うはずはないわけですね。輸送コンベアが先にできてそれが後から出てくるんじゃなくて、初めから十八ミリ余分に長いものが使われるということがわかっていながら、その数字がわかっておってなぜその数字上のミスが出てくるかということですね。どう考えても不思議なんですよ。それほどずさんなものでしょうかね。
  82. 武田康

    ○武田政府委員 先生指摘のとおり、ストッパーの位置決めが長い燃料体に対しまして短過ぎた、つまり不適当であったということはわかっております。設計の段階、そのストッパーをここに置くということを決める段階なのか、あるいはそれを決めましてから実際にストッパーを置いたという段階なのか、その段階はどちらかはっきりいたしておりませんけれども、いずれにしても、何らかのミスがそこにあった、こういうことでございまして、私どもとしても、発電建設の設計段階からでございますが、いろいろ重点事項につきましてはずっとチェックをし、あるいは抜き取り的に実物も調べるということをいたしておりますけれども、このストッパーの位置のような、その物を動かす、それからそれが余り動かないでそこの幅におさまってくれるというようなものは、単に置くようなものでございますので、先ほど申し上げましたように、そういう部分につきましては発電所の設置者、つまりこの場合には電力会社でございますが、そういうところ、それから工事を施行する者たちに、品質管理面を十分に注意してそういう間違いが起こらないようにしろというような指導を従前からやってきたわけでございますが、そこの品質管理面の実施におきましてやや瑕疵があった、こういうようなことであろうかと思っております。
  83. 山原健二郎

    ○山原委員 ずいぶん頼りないお答えなんですね。  ちょっとお伺いしますが、制御棒を三十三本使用される中で、この四本だけが特殊なもので、これが外国製なんですね。他は三十三本中二十九本が日本製だと言われているわけです。これはどうしてこの四本だけこういうことになるんでしょうか。また、初めから四本だけ長さの違うものを使用するということならば、そこのところが一番注目されるところですね。しかも、数値として数字が出ているものが何でこうなるのかという問題がまた出てくるわけです。それはおきまして、この四本だけどうして特殊制御棒が入れられるのか、その点の理由はどういうことでしょうか。
  84. 武田康

    ○武田政府委員 お答え申し上げます。  伊方の場合には、燃料体、その中に制御棒が組み込まれていたりするものがあるわけでございますが、全部で百二十一体ございます。その燃料体の濃縮の度合いとか、あるいはどれにどんな制御棒を取りつけるということにつきましては、原子炉の中で起こります核熱反応、その制御等々を考えましてその配置と、こういうものを何本というものを決めているわけでございます。  いま御指摘のパートレングスの制御棒を取りつけた、長さで言えば長いものは全部で四体でございまして、実は燃料を装荷する作業を始めまして、これはいろいろな計算をしながら順番に一つずつ入れていくわけでございますが、十六番目に初めて長いものが出てきた、その順番になった、こういうことでございまして、そこの段階先ほど申し上げたようなストッパーにひっかかるということが起こったわけでございます。
  85. 山原健二郎

    ○山原委員 その四本の特殊制御棒を使うということの理由、いまのお話では明確でないわけですが、これはどういう理由ですか。何かそういうことをしなければならぬのか、あるいは試験的にちょっとやってみるとかいうようなことでもなかろうと思うのですが、これはどういうことですか。
  86. 武田康

    ○武田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げました四本は、運転中の出力の微調整用のものでございます。
  87. 山原健二郎

    ○山原委員 そこのところ、こだわりますが、もうちょっと説明してください。微調整、どういう意味ですか。
  88. 武田康

    ○武田政府委員 出力の微調整と申し上げましたけれども原子炉の中で反応が起こっていましていろいろ複雑なかっこうで出力分布をし、それを調整しながら一定の出力で発電をしていくということになるわけでございますが、そういう微調整をするために何本か制御棒を動かす必要がございます。そのための制御棒が四本あって、それがいまの制御棒をくっつけて全体としての燃料体の長さが長いもの、こういうことになるわけでございます。
  89. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、微調整という問題で、私は素人ですからよくわかりませんけれども、かなり重要な中身を持っていますね、この四本の役割りというのは。だから、当初から、そういう任務を持った四本の特殊制御棒を入れるということになりますと、最もチェックしなければならぬところですね。しかも長さが違うというわけですから、ストッパーの位置について一番点検をしなければならぬところがどうして抜かるのか。通産省としては、そういう監視とか監督体制というのは実際あるのでしょうか。だから、そこら辺の一番大事なポイントをチェックしないで、そうして出てくる粗雑な初歩的なミスというようなことで簡単に片づけてはいかぬと私は思うのでこだわっているわけですが、それだけの役割りを持っている特殊制御棒ならば、それに対する特別な監督あるいは指導というものがなされなければならぬと思うのですね。聞いておりますとますます、通産省における検査体制といいますかそういうものが一番のポイントに対して全く抜けておるという感じがするのですが、一体どんなことをして検査をしたり、どれだけ時間をかけてやっておるのか。実際書類調査でやっておるのじゃないかという疑問すら抱くわけですが、そこのところどうですか。
  90. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  いま申し上げました四本の制御棒つきの燃料体ももちろんのこと、燃料体すべて非常に重要なものでございます。御指摘のとおりでございます。  そこで、燃料体につきましては、実は安全審査ももちろん受けての話でございますけれども、私どもといたしましては、燃料体そのものをつくる段階から燃料体を炉の中に入れる段階までにつきまして、燃料体全部について検査なり審査なりずっと実施いたしておりますが、ただ、燃料体以外でもそうでございますけれども、私ども、実際に国が直接調べ、審査し、検査するという対象につきましてはやはり重点にしぼっておりまして、燃料体そのものには大いに着目して、そのペレットをつくる段階から組み立て、それからそれを運んで原子炉の中にチャージするというところにわたりまして、何段階にもわたってチェックをいたしております。しかし、いまミスがあったと思われますストッパーの位置決めというような問題につきましては、これはその製造のメーカーなりあるいは電力会社なりが自主的に品質管理を強化して間違いのないようにするようなカテゴリーだと思います。  なお、念のため、説明不足だったかと思いますので補足いたしますと、ここでひっかかりました燃料体そのものにつきましては、それが健全であるかどうかという確認をした上でなければこれをそのまま使うということを一切いたさないわけでございまして、ですからそういう意味で、最も重要な燃料体につきましての安全性、信頼性、それから私どもがやるべき審査、検査というようなことは一つも落ちがないように考えておるのは当然のことでございます。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 これは幾ら言ってもあれですけれども、ちょっと私おかしいと思いますのは、いま申しましたように大変な初歩的なミスが、世界でも恐らく例のないようなミスが起こっているわけで、しかもいまおっしゃったようにたくさんの制御棒の中で、しかも微調整という役割りを果たすための四本の長さの違うものを入れるというそういうことは、しかも最初からそれが計画としてあるわけですね。だから、最初からある中でも、わかっている十五本入れて、次に入ってくる十六本目ということになりますと当然そこで——第一長さが違うのですから、とめ金についても、私もよくわかりませんが、当然やらなければならないチェックがここでぬかって、それはメーカー側に任されているというようなことからこの事故が発生をしておるというふうに断定せざるを得ないわけです。それは調査の結果御報告があるそうですから、それに基づいて見せていただきたいと思うわけですが、現在、燃料棒全部引き抜いておるわけですが、この十五本の制御棒については異常がないということは報告されていますか。
  92. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  先ほど長さの長い燃料体、ひっかかりましたのは十六番目でございまして、すでにそれ以前に十五体がその中に入っております。いずれにいたしましても燃料挿入作業、一時ストップということになりますので、入っておりました十五体みんなまたもとに戻してきたというふうに聞いております。それで十五体につきましても、先ほどのひっかかったのを入れると十六体でございますが、全部につきまして異常の有無をチェックさせております。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 その結果はまだ出てないのでしょうか。
  94. 武田康

    ○武田政府委員 現在のところ、最終結果は出ておりません。ただ顕著な異常があればすぐわかっておるはずでございますので、顕著なものはないのではないかと思っておりますが、何分最終結果が出ておりませんので、ちょっと異常の有無につきまして明確にお答えできるのはしばらくかかるかと思います。
  95. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、かわりの燃料棒を調達しまして、たとえば総入れかえをするというようなことになるのですか、一部入れかえをするというふうになるのでしょうか、その結果によって。
  96. 武田康

    ○武田政府委員 お答えいたします。  現在の段階で一番長い制御棒づきの燃料体につきましては何らかの措置を考えなければいけないことが明確でございますが、その他十五体も含めまして今回のミスといいますか、トラブルによりまして影響を受けたものがあれば、これにつきましては必要な処置、その中には取りかえというものも入り得るかと思いますけれども、それをしなければいけないことになろうかと思っております。何分現在その調査が完了いたしておりませんので、これからとるべき措置をこうするというふうな判断をするのにちょっとしばらく時間がかかるかと思いますが、その判断結果では、場合によれば取りかえる場合も出てくるかと思いますし、場合によれば修理というか、改造というのも出てくるかと思いますし、場合によれば新しいものを、実は予備の燃料体も置いてございますが、予備なり新しいものなりに取りかえるということも起ころうかと思っております。これはその時点での判断になろうと思っております。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう入れかえをするというような場合が生じましたときには、安全審査のやり直しといいますか、そういうことが必要ではないかと思いますが、これは科学技術庁の方からお答えいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  98. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま通産省から御答弁ございましたように、実態がどういうふうになるかということがまだはっきりしておらない段階でございます。したがいまして、一般論としてお答えいたしますと、燃料を予備の燃料と取りかえるという程度のことでございますれば、特に安全審査をやり直す必要はないと考えております。
  99. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に長官伺いたいのですが、私と通産省の武田審議官との間のやりとりをお聞きくださったと思うのですが、いまお聞きいただきましてもおわかりになると思いますが、非常に粗雑な感じがいたしますし、全く初歩的なミスというものが起こり、それがまた住民に対していろいろな不安を与える、こういう事態が繰り返されておるような現状であります。そういう点で、本当に安全性の問題についての、また厳しい業者、メーカーに対する監督、指導といいますか、そういった点はかなり綿密にやっておかないといけないと思うのでありますが、長官は私のやりとりを聞いておりましてどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  100. 前田正男

    前田国務大臣 所管外の点もありますけれども大臣という立場から感じまして、日本のエネルギー事情から見まして、原子力というものはぜひ国民の御理解を得なければならないものであります。その中において特に安全性が一番大事でございますから、もっと慎重にやっていただかなければなりませんし、その慎重にやっているかどうかということについては、御指摘のとおり十分にわれわれも指導、監督していく必要があるのじゃないか、そして国民の信頼を得て原子力は進めていかなければならないのではないか、こう思っておるわけでございます。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 調査の結果が出てまいりました場合にまた御質問を申し上げたいと思います。  質問を終わります。
  102. 中村重光

  103. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、まず初めに、地震の問題についてお伺いしたいと思います。  十月の十五日に岩手県水沢市で開かれました日本測地学会におきます坪川文部省緯度観測所長の見解につきまして、文部省の方から簡潔にひとつお述べいただきたいと思います。
  104. 七田基弘

    ○七田説明員 坪川所長のお考えは、坪川先生理論に基づきまして、今後しばらく地震は起こらないのではないだろうかというような御結論だったと思います。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に簡単な報告なんですね。この坪川氏の見解によりますと、駿河湾地帯のいわゆる地震の可能性がない、また新たな地点を指摘されているわけですが、これにつきましては、科学技術庁はどういう判断をしておりますか。
  106. 園山重道

    ○園山政府委員 私どもも新聞紙上におきまして坪川先生の御発表の内容を伺ったわけでございますけれども、私どもといたしましては、地震に関しましては御承知のように相手が自然現象でございますので、学会におかれましていろいろな角度からの御検討が行われておるものと了解しているわけでございます。したがいまして、これらに対しまして行政上どのような手当てが必要かということの判断の根拠につきましては、国土地理院に置かれております地震予知連絡会においてどのような結論が出されるかということを私どもはまず見たい、このように考えておるわけでございます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在観測強化地域というのは東海、関東南部、それから特定観測地域というものがあるわけですね。一つは北海道東部、一つは秋田・山形西部、もう一つは長野県北部・新潟県南西部、琴琶湖周辺、島根県東部、伊予灘及び安芸灘、阪神、これだけがいわゆる特定観測地域になっておりますね。この坪川氏の説からいきますと、北海道南西、山形・宮城、四国北部そして中国にかかるこの三地域は地震の空白地帯である、あす起こっても不思議ではない、このようにおっしゃっているわけですね。このいわゆる坪川氏のそうした説、また、こういう指摘された三地域につきまして観測体制は十分できているのですか。これは関係各省ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  108. 園山重道

    ○園山政府委員 先生指摘のように特定地域というものが指定されております。これらの地域におきますところの観測の、実施、強化充実等に関しましては、地震予知研究推進連絡会議というのができておりまして、そこで毎年度の予算の要求あるいは実行の仕方等につきまして関係各省、大学も含めまして御相談をいたして進めておるわけでございまして、特に観測強化地域等に予知連の方で指定されました場合には、緊急な対応ということで特別研究促進調整費等で措置しておるところでございます。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんなことはわかっていますよ。要するに、坪川氏が指摘したのはあなた方が特定観測地域に入れてない地域でしょう。だから、それについてはどういうようにやっているかということを聞いているのです。よく質問を聞きなさい。
  110. 園山重道

    ○園山政府委員 全国各地に対しまして気象庁の地震観測網あるいは国土地理院においてやっておられますところの基準点の測量といったことが行われております。科学技術庁といたしまして防災科学技術センターを持っておりますけれども、ここではいま御指摘地域に対して特段の措置はいたしておりません。
  111. 原田健久

    ○原田説明員 特定地域と申しますのは、昭和四十五年ごろ特定地域を確定する指定基準委員会地震予知連絡会の内部につくりまして、過去の地震活動、地殻変動その他いろいろな現象を検討いたしまして先ほど先生が述べられた九つの地域を、日本全国わが国は地震がどこにでも発生する可能性はあるのでありますが、特にその九カ所は他の地域よりは観測を強めようというぐあいにいたしました。その後、昭和四十九年に地震予知連絡会の内部に下部組織といたしまして特定地域部会というものを設けました。そして、この特定地域部会におきまして、新たにつけ加えるべき特定地域が生じた場合には追加指定をする、また、特定地域を解除してよいと思われるところがあったならば解除するというような基準に基づきまして、約一年有半にわたり数回の会合を開き検討し決めたのでありますが、現在までのところでは特定地域追加も解除も行わないということにいたしました。  坪川先生の学説は、測地学会で発表される以前は地震予知連絡会の下部部会にもまた地震学会にも発表されず、測地学会のみで発表された説でありまして、その適否につきましては今後多くの方の御意見を聞かなければいけないとわれわれは思います。坪川所長はもちろん地震予知連絡会の委員の一員でございますので、当然今後数多くの機会を通じまして先生の御意見もわれわれより詳細に聞くことができるでありましょうし、また各委員の方々の御判断も聞きまして、もしも坪川先生のおっしゃるようなところが本当の意味において要注意地域であるならば、当然のことながら地震予知連絡会下部組織でありますところの特定地域部会というところの検討を得てしかるべき措置がとられるものと思っております。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 坪川氏は駿河湾については否定されておられるわけですが、政府としてはいま観測強化地域にされているわけですね。したがって、非常に力を入れて観測なさっているわけです。これについては坪川氏はそういうような否定説を出しておられるわけですが、政府の姿勢としては変わりはないわけですね、確認しておきます。
  113. 園山重道

    ○園山政府委員 現在直ちに何か変えるということは考えておりません。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 気象庁の御前崎に設置しておりますひずみ計によりますと、かなりの警戒しなければならない段階に来ておることを示しておるわけですが、気象庁から見解をお聞きしたいと思います。
  115. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私ども気象庁は、昭和四十九年に東海地域が観測強化地域に指定されたことを受けまして、ここへ五本の地殻ひずみを連続に観測いたしますひずみ計を埋設いたしましてことしの四月から連続観測を始めたわけでございます。その結果を見ますと、御前崎が他の場所に比べまして非常に大きな地殻の縮みをこの六カ月間観測し続けておるわけでございます。私ども、たとえば器械が狂っていたとかあるいは記録の読み方を間違えたとかいったようなことがあっては大変恥ずかしい次第でございますので、各種の検討をいたしましたけれども、器械そのものの動きはどうも正常である、また、私どもが記録を間違って読み取っているというようなこともどうもなさそうでございます。しかし、この結果を現在地球物理的にどう判断してよいかという段になりますと、何分六カ月というのは大変短い期間でございますし、また、大きな変化を示しております場所が御前崎一点でございますので、その辺も考え合わせますとやはり何か他の種類の観測を行ってこれをチェックするということをいたしませんと、すぐにこのデータから危険であるということを即断することはできないと考えております。伺うところによりますれば、国土地理院もこの付近で測量を最近行ってくださるそうでありますし、そういうものの結果と比べまして、この異常に大きな縮みの値が何を意味するかということは判断していきたいと思います。ただ、こういった地殻ひずみの連続観測をいたしまして、二十四時間見張っているということは、もし直前の前兆というようなことがあれば、大変これをとらえるには可能性のある観測方法でございますので、今後とももちろん続けて、また、もし皆様が強化する必要があると御判断があった場合には、それを尊重して積極的に対処していきたいと存じております。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、データ不足でそうした判断に迷うというお話だと思います。  この地震観測のいわゆる中期、長期の地震予知は関係各省いろいろ手を打っておられるわけですが、いま一番国民が真に必要としておるものは何か。知りたいと望んでおりますのは、いわゆる短期の予知体制じゃないかと思うのです。短期の予知体制というものは全くおくれておると思うのです。科学技術庁の率直な御見解をひとつお伺いしたいと思うのです。
  117. 園山重道

    ○園山政府委員 御指摘のように、特に地震予知連絡会におきまして観測強化地域に指定されましたところには、できるだけの観測施設を集中するということが必要かと思っております。科学技術庁といたしましては、このためいまの東海地方が強化地域に指定されましたときにも、直ちに特調費を支出いたしましてしかるべき施設を設置したわけでございます。その後、私どもとしては予知連絡会の方でどのような御判断が出るかということを注視しておったところでございますけれども、先般来の国会の御議論の中でも、予知連の会長をしておられます萩原尊礼先生等も観測の充実が必要であるということの御指摘もございます。したがいまして、私ども地震予知研究推進連絡会議におきまして幹事会並びにあしたは技術専門委員会というものも開催いたしまして、どのような観測施設を充実すべきかということについての御相談を寄り寄りいたしておるところでございます。また、先般来大臣からも後答弁ございましたのをより充実したものにするようなことにつきましても、御相談を進めておるところでございます。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 短期の予知体制の問題でございますが、現在、気象庁なり文部省あるいは国土地理院、それぞれ体制があるわけでございますが、いわゆる現況並びにその反省ですね。今後、短期の予知体制を充実していく、完璧にしていくためにはどのぐらいのそうした整備をしなければならないのか、また大体どのぐらいの予算が要るのかについて、各省から、気象庁、文部省、国土地理院、順番にお答えいただきたいと思います。
  119. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいまお取り上げいただきましたひずみ計も、もう少し増設する必要があるのではないかという御意見があるようでございまして、これが測地学審議会の方で御検討になって、その必要ありというようなことがあれば、私ども増設すべく計画を立てたいと思っております。  また、一番御心配の東海の沖についてでありますが、短期予知ということになりますと、やはりその地震の起こるかもしれない海底において地震観測をするということが大変大切でございまして、気象庁は昭和四十九年から御前崎沖から二百キロの沖合いにまで海底ケーブル方式のリアルタイムで地震の観測ができる海底地震計常時観測システムというのをただいま開発しておりますが、これも五十三年度に本設置をすべく計画しておりまして、これをぜひ計画どおりに達成したいと思っております。  こういったひずみの観測であるとかあるいは海底地震計等、すべて東京へテレメーターいたしまして、やはり二十四時間見張っているということが中期予知あるいは短期予知、あるいは非常に運がよければ直前予報ということにもつながり得る可能性がございますわけで、こういったことに対する計画を進めるべく予算等は計画を立てておるわけでございます。  ただ、幾らぐらいの予算かということのお尋ねに対しましては、私いま確とした数字を持ち合わせないのでございますが、海底地震計等を設置するためにはやはり十億といったけたのお金が必要になろうかと存じます。また、ひずみ計の増設等につきましてはそんな多額の予算を要しませんで、せいぜい一億と二億の間ぐらいの予算があればもう五点くらいの増設ということは可能と思います。  ただ、これを常時監視となりますと、こういったシステムを自動化いたしましても、やはり若干の人間がふえませんと責任ある監視はできませんので、こういったことに計画が進めば、そういった人間の手当てということも考えなければならないと思っております。  以上でございます。
  120. 七田基弘

    ○七田説明員 お答え申し上げます。  いま先生から御指摘がございましたように、短期予報といいますのが地震予知研究の最終目標でございます。そしてそれにどういうように近づいていくかということがいま現在非常に大きな問題になっておるわけでございます。残念ながらいまだその地震予知研究といいますのは地震予知理論の構築段階にあるということでございまして、それだけにいろいろな意見が出ます。たとえば石橋助手の意見あるいは坪川所長の御意見、そういういろいろな御意見はまさしくこの地震予知理論が確立されていない、それに伴って生じている幾つかの仮説の一つでございます。  それで、大学におきましては、こういうような仮説の中から、真に必要な理論が一体どういうようにして出てくるのかということを検討する役割りを担っていると私たちは思っております。現在五つの国立大学が共同いたしまして、あるいはそれぞれ単独に観測をいたし、そしてそのデータを集積しておるわけでございますが、実はここ五年ぐらいの間にかなりいろいろなことがおかげさまでわかってまいりました。それで、実は駿河湾が危険であるというようなことがわかりましたのも、これは、五年前にはほとんどわからなかったろうということで、一応の理論の進歩ではないだろうかというふうに考えております。  それで、この段階におきまして、やはり非常に重要だと言われております東海地区を中心にいたしますそういう地震観測網あるいは観測点というようなものをどう持っていくか、これはやはり現在まで研究段階のことでもございますので、十分に研究者の意見を聞かなければなりません。本日、実は昼からでございますが、測地学審議会の地震予知特別委員会を開くことにいたしておりまして、そこでこの問題につきましても御検討いただきたいというように考えております。  大学サイドにおきましては、いまのような理論構築の現状でございますし、特に金目の面で非常に多額のものを要するということにはならないと思います。むしろ、やはり気象庁あるいは国土地理院において行っておられます大、中、小地震の観測あるいはひずみの観測、それから国土地理院でやっておられます精密測量、それがやはり着実に地震予知研究の達成に近づく近道であろうということで、そういう問題も含めまして本日の測地学審議会の地震予知特別委員会で御検討いただきたいというように考えております。
  121. 原田健久

    ○原田説明員 国土地理院は戦前、その前身でありました陸軍参謀本部陸地測量部と言われた時代から、時期的には明治以来、全国に水平の位置を決めます基準点になる三角点、それから高さの位置の基準になります水準点を多数設置しておりまして、これらを明治時代には全国をカバーする測量を行い、その後高さの方の水準測量に関しましては、これまでに全国測量が五回繰り返し行われ、水平の方の位置を決めます三角測量は、幾多の大地震を経験し、地殻に激烈な変動が起こりました地域には、地震直後にローカルな復旧測量を行っております。  そういうわけで、その水平の位置をあらわす三角点、高さをあらわします水準点、そういったもののいわばわれわれに引き継がれた財産を戦後国土地理院は継承し、戦前に比べてきめの細かい測量を繰り返し行う方針をとりまして、新しい測量と過去の測量結果を比較すれば、わが国の水平変動、上下の変動がかなり詳しくわかるという体制になっております。そして、地震予知計画が発足しましてから、このことが地震予知の非常に基礎的な資料になるというぐあいに了解されてきているわけでございます。  そして、地震予知計画が発足しましてからは、先ほど述べました高さを決めます水準測量、そのうちの高精度の一等水準測量は、全国国道沿いに二万キロメートル、水準点の数にしまして一万点を五年周期で改測するということが昭和四十五年よりともかく軌道に乗ることになりました。それによって多くの大地の上下変動を追跡することができました。また、地盤沈下地帯では、さらに激しく毎年あるいは半年おきにその上下の変動を決めます水準測量が繰り返し行われ、たとえば新潟地方では、新潟の地盤沈下でその種の測量が行われたことにより、これは新潟地震の後の研究でございますが、前兆と思われる水準測量による地殻の異常隆起という現象もつかまえております。  水平の方の変動を追います仕事といたしましては、一等三角測量が明治に一回、それから戦後一回終わりまして、その後〇・五回、前後二・五回の一等三角測量が行われたわけでございます。一等三角点は三百点ございまして、点と点との間の距離は約四十五キロメートルございます。そしてこの解析の結果、非常に大規模なスケールで日本列島が地殻変動を起こしている、それと大地震との間には非常に密接な関連があるということがわかりました。しかし、それと同時に、点間の距離が四十五キロメートルである一等三角測量ではいかにも網の目が粗過ぎる、地震予知をさらに詳しくするにはもっと網の目の細かい三角網によらなければいけないということがわかりました。  そこで、昭和四十九年以来一等三角測量にかえまして、全国六千点から成る一、二等三角点を特に一次測地基準点網といたしまして、これを五カ年間で繰り返しはかるという基本方針を立てました。そして毎年、五年周期と申しますと、一年間に千二百点の観測をしなければなりませんが、いますぐにその千二百点というラインに到達しますためには、われわれのマンパワー並びに仕事を一部請け負います民間測量会社の技術、 マンパワー、そういったものの関係がありまして、目下年を経るごとにこの予算の量は急カーブを描いて向上しておる段階でございます。  そして、それらのことをすべて総括いたしまして、国土地理院が行っておりますこの種の測量によります地震予知は何と申しましても年単位、一年というのはおこがましゅうございまして、五年とか十年とかさらに二十年とか三十年とか非常に粗いタィムスケールではございますが、地震の予知にかなり貢献していると思われます。しかしながら、それはあくまでも長期、中期という言葉で表現されるような地震予知への貢献でございまして、きょうとかあすとか二日とかというような短い時間スケールの短期予知になりますと、われわれの手段はどうしても繰り返しの観測であり、かつそれがあるタイム・インターバルを置いての仕事でございますので、なかなか短期予知には不向きであると考えられる面がございます。  しかしながら、国土地理院の持っている技術で短期予知に貢献できるところはないかとわれわれの中で考えてみましたが、たとえば駿河湾でございますと、駿河湾の両岸に検潮所をつくり、その検潮所の潮位差をとりますが、こういったものを自動的にとれるような仕組みを考える、そういうような手段が短期予知に有効ではなかろうか。また、近年非常な勢いで発達しつつあります光の波を使って距離をはかる光波測量によりますところの測定をたとえば駿河湾をまたぐような二地点間で行い、理想を言えばそれを毎日観測することによりましてその長さの刻々の変化を知れば、短期の予知に有効ではなかろうかとか、いろいろなことがわれわれの役所の中で検討されております。そして、そのような考えは測地学審議会地震予知特別委員会に諮りましたり、また、地震予知連絡会の中の下部組織であります先ほど申しました特定地域部会あるいは東海地域部会考えを述べることにより、他省庁のお考えとも融和を図りまして、より一層わが国土地理院でも短期予知に貢献できるような仕組みをこれから精力的に考えていきたいと思っております。場所を駿河湾だけに限りますと、その種の測量を、その種の計器を購入し、また技術開発を行いやることになるとしますと、維持費とかそういったことはさておきまして、ごく粗っぽい見積もりで三億円ぐらいの額ではないか、そのように考えております。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 各省からお答えいただいたわけですが、国土地理院等の測量等の問題、これは中、長期については大きな基盤になろうと思いますし、また短期についてもこうした努力をしていこう。いま機器でいけば三億円ですよ、大臣。なぜこういうことが政府でできないのですかね。なぜこういうわずかな予算でできることを早くやらないのですか。  それから特に、やはり何といいましても短期予報ということからいきますと、気象庁あるいは大学等の観測網ということになろうかと思うのですが、気象庁はいま、大地震につきましては全国で百十四カ所に強震計を置いておりますね。大中地震については全国七十五ヵ所に電磁地震計、小地震につきましては全国六十七カ所に磁気テープ記録式電磁地震計、四カ所に高感度磁気テープ記録式電磁地震計を置いておりますね、こんな少ないあれでいいのですか。
  123. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私どもは、強化地域はもちろんのこと、やはり日本全国をある一定の精度で常に監視している責務がございまして、このためにも近年強化を図っております。いま先生最後に御指摘になりました四カ所の高感度地震計ということでございますが、これは実は最終的には全国で二十地点を考えておりまして、今年度その第一年度として四地点に設置したわけでございまして、五十三年度までに全国にこれを二十カ所にふやしまして、さらに最終的にはこれをすべて中枢にテレメーターして、そして、強化地域あるいは特定地域も含めまして、全国的な規模で大中小地震を決して漏らすことのないように監視するという体制を目標といたしましていま強化策を続行している次第でございます。
  124. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは文部省も非常に少ないですな、観測点が。微小地震観測点、名古屋大学が八点、東京大学地震研が四点、東京大学の理学部が六点、それから東京大学と北海道大学が共同が四点。ラドン観測点が、東京大学が九点。地下水の湧水量、温度等の測定、京大が中伊豆で一カ所やっている。それから名古屋大学が地質調査所の伊豆大島における人工爆破による地震波速度の変化の観測。少なくとも学術研究、また、理論をきわめていくためには、こんな少ない観測点でいいのですか。なぜもっとあなた方は——特に地震予知については大学に頭脳が集まっているように私は思うのですよ。予知連絡会の人でも、ほとんど大学の教授でしょう。それであるならば、もっとそういう理論というものにつきまして基礎研究ということをやっていかなければいけない。そのためには、こんな少ないことでいいのですか、もっと大胆に予算要求したらどうですか。われわれ野党も全力を挙げて応援しますよ。どうですか。
  125. 七田基弘

    ○七田説明員 大学サイドの観測といいますのは、あくまでも理論的に必要な観測でございます。それで、微小地震の観測所あるいは極微小の地震の観測網といいますものも、これが地震予知のために役に立つという段階では、しかるべき現業官庁がお持ちになるべきものではなかろうかというように考えているわけでございます。しかし、それまでの間に大学サイドといたしましては、こういう微小地震あるいは極微小地震の有効性というものを確かめるということでいままでこのような数の観測点を置いてきたわけでございます。  先生からいま御指摘がございましたのは東海地区における観測網でございまして、それ以外にも若干観測点を持っておりますが、一つ大学の場合にお考えいただきたいと思いますのは、あくまでもこれはブレーンになるわけでございますが、同時に、いろいろの作業員を投入いたしましてこういう観測をしなければなりません。そして、大学のブレーンの数というものはある程度限られております。したがいまして、余り情報過多になるということはこれはまた困る問題がございますので、大学の現在のキャパシティーを考えながら実はこれだけの地点をいまのところ取り上げておるわけでございます。しかし、先生いま御指摘のように、やはり今後とも大学におきましても観測点を強化していくという必要性は十分に私たちも認識しております。したがいまして、そういう大学の現在ございます研究機構に支障を与えないという観点に立ちましてこういうような観測点の強化というものも考えてまいりたいというように考えております。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまのは確かに私ちょっと言葉足らずで、これは東海地域ですけれども、全大学合わせて五十カ所でしょう、観測施設は。全大学合わせて五十カ所ですよ。それでは少な過ぎるわけですよ。もっと研究を充実するために、もっと拡充しなさいよ、これは。どう考えているんですか、文部省は。
  127. 七田基弘

    ○七田説明員 いま先生に申し上げましたように、観測によりますデータをとるということの必要性というものは十分にあるわけでございます。しかし、この観測データをとりまして、それを分析しなければならないわけでございます。そして、その分析に実は従来非常な労力を要したわけでございますが、この数年、テレメータリング方式を導入いたしまして、この分析もかなり楽にはなってまいりました。しかし、大学サイドの方の役目といたしましては、その現実に起こりました変化というものをどういうような理論に当てはめて考えるのかというところに実は本質がございます。そういうこともございまして、実は、この観測所の五十ヵ所は非常に少ないというおしかりを受けたわけでございますが、この五十カ所につきましては現在の大学の全スタッフが現状のもとにおきましてやり得る限りのところで考えているわけでございます。しかし、先生から御指摘のございましたようなこともございますし、さらに測地学審議会等でもこれを御検討いただきたいというように考えております。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に危険視されておりますのが伊豆半島、駿河湾等でありますが、何といいましてもやはり短期予知ですね、何回も申し上げておりますが、この観測体制の整備を急がなければならぬわけです、いま気象庁からも国土地理院からもお話があったわけでございますが。この今後の整備につきまして、いまお話があったわけですが、これをさらに完璧にしていくためにはどういうようにしていけばいいんですか。先ほどもお話があったわけですが、それは皆さん方が、これは現実にこれくらいだったらやってくれるだろうなということを頭に置きながらやっておると思うのですが、本当に短期に予知をするためにはこれだけのものが要るんだと、予算というものを考えずに、これだけのものはぜひこれは国民のために必要であると、それはきちっと全部の計画はできてないにしても、少なくとも専門家の皆さん方ですから、これだけのことはぜひ、もしも予算をとってもらえるんならこれだけのことはしたいということはあろうと思うのです。率直にひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  129. 七田基弘

    ○七田説明員 再度申し上げましたように、本日測地学審議会の地震予知特別委員会を開くことにいたしております。そこでいま先生からも御指摘のありましたようなことも当然出てまいるわけでございます。各省の間のいろいろの研究計画、その内容の合理性とかあるいはその必要性等を御審議いただきまして、そして文部省としては対処していきたいというふうに考えております。
  130. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私ども気象庁といたしましては、先ほど来御説明申し上げましたように、東海地域には相当な観測強化をいままでも図ってまいりましたし、今後も図っていくわけでありますが、短期予知ということを目指しますためには、そういった強化された観測網の網ですくわれる資料あるいはデータをやはり即刻解析して、現状がどう変化しつつあるかということを常に把握することでございます。これがつまり常時監視体制だと存じますが、まず私どもといたしましては、気象庁の観測ネットにかかるものを、新しく最近やりましたものは大部分東京へテレメーターいたしまして常時監視ができるようになっておりますが、昔からありますのは必ずしもそうなってない部分もございますので、この辺をまず改革しまして、すべて中枢で時々刻々の状態が監視できる体制をとりたいと存じております。さらに、これよりまた一歩飛躍いたしまして、大学その他でおとりになるデータもどこかが常時監視せよというような機運になってまいりましたならば、また測地学審議会等の御建議を受けまして、私どもも幸い常時監視体制に向く機構がございますので、そういう面でお役に立ちたいと存じております。
  131. 原田健久

    ○原田説明員 国土地理院におきます従来技術は、長中期の予知に貢献するところが大である、短期の方は比較的経験のない分野でありますが、何とか努力をいたしまして、われわれの技術の延長上で先ほど申しました貢献のできるようなことを実現を図りたいと思います。それにはわれわれの内部で練り上げました案を科学技術庁地震予知研究推進連絡会議の技術部会などに提出し、また測地学審議会や地震予知連絡会の下部機構、特定地域部会、東海地域部会、そういうところで、われわれが可能と考えております技術も他省庁のすでに開発しつつある技術と同じような目的を持つ違った観測手段という面も多々あると思いますので、長所短所をよく検討し、有効なものから総合的な見地に立って実施していくことが望ましい、そのように考えます。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまもお話ありましたように、あらゆるデータを全部総合して判断をしたい、一刻も早くそういうデータが欲しいのだというお話ですが、地震予知連絡会には、国土地理院が持っております地殻活動検知センター、これから一つ入ってくる、それから気象庁の地震活動検測センター、これから一つです。それから地震研究所の地震予知観測センター、これから入ってくる。そうしますと、三つの地点から地震予知連絡会に連絡が入るようになるわけです。いま申し上げたこの三カ所は、下部にいろんな観測所がある、これからも入ってくる。そうすると、そういうふうにきちっと分析していけば、実際上一カ所にデータを集めてやっていくことは何もそんな困難でもないわけです。しかも、東海地域におきましても、気象庁さんがおっしゃっておるように、たとえば海底のそうした装置をするのは約十億あればいいのだ、さらにひずみ計についても五点ほど、あと一、二億あればできるんだ、国土地理院さんについても三億円あればいけるのだ、金額的にもそんな大したことはないでしょう。なぜこういうことをすぐやらないか。大臣、こういうことをお聞きになってどう思いますか。
  133. 前田正男

    前田国務大臣 実はその問題につきましては、御承知のとおり政府委員答弁しておりますようないままでの連絡会議だけではなかなか推進が十分にいっておりませんし、またおのおのの各官庁の方も、逐次計画的に予知連の計画に従って観測網を充実するような計画を立てて、五十二年度も予算要求を増額してやるようでございますけれども、しかし、この機会に、お話のとおり大した金額でもありませんので、やはりそういうものを促進する必要があるのではないか、こう思っておるわけでございます。  そこで、政府としては、国会で総理初め答弁しておられますように、この推進体制というものをこの機会に強化しなければいかぬのじゃないか、こういうことで大体各省の合議をおのおの得つつある段階でございます。こういうものをつくろうというところのことは大体合議を得ておるのですが、あとは、その中におきます任務ですね。その任務にいろいろと問題がある。いまお話がありましたデータの集中の問題とか、あるいはまた情報の伝達システムの問題とか、こういうふうな問題の研究だとか、いろいろとございますが、そういうふうなものも、別々にやるわけにもいきませんから、なるべくひとつ推進体制の中でまとめていきたい。そういうことができますならば、それを受けまして、現在の各官庁とかあるいは学会とか予知連とか、おのおのの方から、いま大体抽象的なお話が主にありましたけれども、もう少しそれを具体化しまして、実際に三億要るんだとか、実際にこれだけ要るんだという、はっきりした計画を出していただきまして、それをまとめて、お話のようにこれは何とかひとつ、推進体制を伴うなら、体制だけつくったって仕方がありませんから、やはりそれに必要な予算とか人員というものを確保しなければならぬのじゃないか、こういうように考えておりまして、これはもちろん国会の御協力、御審議を得なければならぬとは思っております。しかし、とりあえずは法律によらない推進体制をつくりまして、また予算等も、予算審議を得なくても、とりあえずは現在すでに予算の御許可を願っておる範囲内でやれるものからやっていく、あとは新しく予算の御審議を願う、こういうふうな形にして、一日を争うことですから早く進めていきたいと思っておるのでございます。  ただ、これに関連いたしまして、この前も御説明いたしたのですが、実際にそういう予知がある程度わかりつつありましても、今度はそれに伴う、情報の伝達システム研究はできますけれども、実際に情報をどういうふうに伝達するのか、あるいは予知に伴います防災対策というものをどうするのか、こういうことになりますと、これは実は国会で法律で決めていただきました防災基本法に基づいた中央防災会議というものがすでに国に設置されておるわけでございますから、やはりそういう問題はすでに国会で議決していただきました、政府に与えられた権限の中央防災会議でやるべきじゃないだろうか、こういうことで、その方面についてもいろいろとそういう方面を促進するようにお願いしております。しかし、この方にはすでに大都市震災対策専門委員会というようなものがあるようでございますから、それをもっと活動を活発にしてもらう。同時に、この予知のための推進対策の問題などと関連を密にいたしまして、万全を期していかなければならぬのじゃないかと思っているわけでございます。  私たちも、政府初め皆責任を持って国会で答弁しておることでありますから、余りいつまでも議論ばかりもしておれませんので、早急に関係の方でも意見をまとめてもらいたい。また、推進体制についてもひとつ意見をまとめてもらいたい。また、中央防災会議の対応策についても意見をまとめてもらいたいということをいまお願いしております。この前も国会で申し上げましたけれども余りお願いしておりましてもなかなか意見がまとまらないときは時間切れで政治的な判断をしなければならぬのじゃないか、私はこういう決意をしておりまして、なるべくならば関係官庁その他の合意のもとにこれは進めていきたい、こう思っておりますけれども、政治ですから、いつまでも合意が得られなければやはり政治判断でやらざるを得ない、こういう決意をしておるわけでございます。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 石橋さんは東海地区地震予知防災センターというものを現地につくったらどうか、また、これにつきましては県知事の山本敬三郎氏は、いわゆるそのために県においても来年度千六百万、それに予備費五千万円を計上している。もしも国が県内にそういうものをつくってくれるなら土地もちゃんと提供するし、便宜も図る。できるだけの協力もします、こう言っているのですよ。これについては関係各省の皆さんどう思うのですか。時間がありませんから簡潔にひとつ。
  135. 前田正男

    前田国務大臣 これはさっき申しましたとおり、御要望のものはわれわれも知りましたけれども、それは実は予知の推進体制と防災のための体制というものと一緒にしたようなものというふうな御希望でございますけれども、中央の方はいま申し上げましたとおりすでに法律が防災のためのものができておりますので、やはり一緒にはできませんと思っております。しかしながら、すでに東海部会等もできておりまして、そういうものが必要であります場合には、地方の御協力も得ていかなければならぬ、こう思っておりまして、推進体制がまとまりました場合においては、推進体制としての東海部会等と相談の上で体制を整えていく。現地ともまた御協力を得ていかなければならない。また、防災会議の方は防災会議として体制を整えてもらいまして、必要があれば現地の御協力を得る。また、現地は現地で自主的にそういうものをおつくりになるということならできるだけわれわれとしては現地のそういう体制に対しまして御協力するというのは当然のことでありまして、これは今度の推進体制の方にも自治省も入ってもらうつもりでございますし、また防災体制の方には当然自治省も入っておる、防災会議の方に入っておるわけでございまして、できるだけひとつ地方のそういう考えに対しましては政府も協力しなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後にお聞きしますが、いわゆる予知の一元化の問題でございますが、参議院でも問題になりましたときに、荒舩大臣は、いま科学技術庁で案をつくって、来週中にはできるという話なので、そうしたら私と前田君で相談し、決断し、最終的には閣議にかけ、総理とも相談することになるだろう。いや、この問題は私は前々から心配していたのだ。これは非常に早く、簡単にできるようにおっしゃっているのですね。ところが、まだいまこれはできていないのですよ。大臣も最終的には政治的決断で急ぐということをおっしゃっておりますが、国民は皆いらいらしてきているわけですよ。だから、政治的な最終判断というのはいつごろをめどに置いているのですか。
  137. 前田正男

    前田国務大臣 実はその答弁のとおりにわれわれの素案をつくりまして、荒舩大臣とお約束しましたときに相談をいたしまして、それをもとにして実は各省の意見を求めておるのですけれども、いろいろな意見が出てさましたり、また、その後内容についてもいろいろと問題が出てきたり、また後、防災会議との関係も出てきますし、また御承知のとおりこれだけつくりましても、さっき近江委員のおっしゃるとおり実行が伴わなければ役に立ちませんから、そういう実行の問題についてももう少し詰めなければならぬ、こういうことで多少時間がおくれております。しかし、余り長くこれをおくらすわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、なるべくひとつこの国会の終わるまでには何とかしなければならないのではないか、私はそういう考え方で努力しておるわけであります。  いずれにいたしましても、ある程度の時間が来ましたならば、もう意見がまとまらなければ政治的判断をする。荒舩長官が御答弁されましたとおり、当面国会で法律をお願い、審議するには間に合いませんことでございますから、閣議決定のものをつくるということになるのじゃないか。大体答弁のとおりに運んでおるのですけれども、多少内容の詰めとか、それからできましたら実施問題等をもう少し詰めたいと思って時間をかけておるわけです。
  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで終わりますが、大臣はできれば今会期中ということもおっしゃっておるわけです。今国会十一月四日でございますし、大臣も就任されて、原子力の問題もございますが、これが初仕事だと思うのです。いずれにしても、こうした大臣の姿勢は国民が見守っておりますし、いままた特に東海地域を初めとして心配な地点については、特にこれは国民の注目が集まっておるわけです。そういうことで、ひとつ全精力を傾けて、今会期中ということをおっしゃっておるわけですから、ひとつきちっとした国民が納得いくそうした一元化の体制をつくっていただきたい、これを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 中村重光

    中村委員長 次回は、来る二十七日水曜日、午後一時理事会、一時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五分散会