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佐々木(義)
委員 原子力船開発事業団法の一部を改正する
法律案に関しまして御
質問申し上げるわけでございますが、持ち時間も余りございませんし、また、他派の
方々の
質問の希望が大変多いようでございますので、私は詳細にわたる
質問は後日に譲りまして、きょうは特に
法案に関連する
事項を中心に御
質問申し上げたいと存じます。
ただ、それに先立ちまして
一般的な
事項を若干伺いますが、主として私自体の見解を交えて申しますから、そのとおりであるということであれば、どうぞ、そのとおりでございますとお答えくだされば、大変時間の節約ができてよろしいのじゃないかと思います。
まず、
原子力船研究開発の意義あるいは
必要性といったようなものに関しましては、いまさらこの席で私から申し上げる必要もないと存じます。
世界の
造船海運界は物流が多くなるに従いまして、順次、船は高速大型化しつつあります。したがいまして、高
出力の
推進機関を次第に要求しておることは
世界の趨勢でございまして、この点は私からくどく申し上げる必要もなかろうと存じます。そういたしますと、高
出力の
推進機関といたしまして当然
原子力船というものが
大変重要度を増してくると存じます。
世界のこの問題に対する今後の
情勢等を
考えますと、各国とも非常な計画で将来のためにただいま取り組んでいるように
承知してございます。
わが国は
世界一の
造船国でありますし、また有数な
海運国でございますから、将来
世界の進運におくれないように、過去、現在を通じまして、この
原子力船実用化時代におくれをとらないように、
国策としてこれを進めるのは当然のことじゃなかろうかと思うのでございます。したがいまして、この
原子力船開発事業団法ができます際も、各党が全部賛成の上で出発したように記憶してございます。
日がたつに従いまして、第一船の
原子力船もできました。これは御
承知のように、いま申しましたような将来に備えての
研究、
実験という
意味のみならず、
わが国の
原子力船を
原子力基本法の
原則に従いまして
自主技術で
開発しようという大変たくましいビジョンを持ってこれに取り組んだことは、いまさら申し上げるまでもございません。幸いにして、少し
予定よりはおくれましたが、
原子力船「
むつ」も誕生し、その
出力上昇試験の
実験に入ったわけでございますが、非常に残念でございますけれ
ども、不幸にして
トラブルが生じ、御
承知のような事態になったわけでございます。
ただ、長い目で見ますと、
実験でございますから、初めから一〇〇%故障、
トラブルのないものであれば
実験の要はないのでありまして、
実験でございますから、そういうものも当然予想されるところでございましょうし、起きました際でも、それが海を汚染したりあるいは第三者に被害を加えたりということがございますとこれは問題でございますけれ
ども、そうじゃない
トラブルが起きた場合には、これを
修理いたしまして、そしてまた
実験を続けていって、それがだんだん重なっていって、その
蓄積の上に第二船、第三船と
実用化に向かっていくのが
わが国の
原子力船開発に対する
国策じゃなかろうかと存じます。
そこで、それではその「
むつ」の起こしました
トラブルに対して
修理可能かということに関しましては、私の記憶しているところでは、ずいぶんいろいろな
機関で、これ以上英知を傾けることはできないというほど、
日本のこの道の大家の
人たちにそれぞれ何回となくお集まりいただいて、いわゆる
原子力基本法で言う民主的な
一つの行き方として、総知を挙げてこの
安全性の
検討にかかったように私記憶してございます。その結果、
大山委員会の
報告によりますと、
修理をすればこの船は
十分所期の
目的どおり使える、その際はあわせて念のために総
点検をしなさい、こういう
結論が出ているようでございまして、まことにありがたい
報告だと思っております。
そこで、しからば
修理点検を一体どこでやるかということになりますと、ここが大変いま問題の焦点でありまして、
青森県
むつ市では
修理点検が無理なように見られますから、
長崎県
佐世保港はどうだろうということで、その
検討方を
内閣といたしまして知事あるいは
佐世保の市長にお願いしている。そうして、その後、
安全性等に対する地元の理解を深めるためにできる限りの努力を傾注しているのが現状ではないか、こういうふうに
承知してございます。
そこで、現地で
修理点検に対しては大変安全だということはわかっておりますが、行く途中はどうか。仮に
長崎県あるいは
佐世保市の方で引き受けてもよろしいということになりました場合に、
青森県から
長崎県に「
むつ」を回送していくわけでございますけれ
ども、その際は御
承知のように
補助エンジンで重油だけで回送するわけでございますから、別に
原子力エナージーでこれを回送するわけでも何でもない、いわば普通の
商船あるいは
漁船と同じ
状況で回送するわけでございまして、そうして、
長崎県の
佐世保に仮に入ることができたといたしました場合でも、普通の
商船、
漁船と実体的には何ら変わらない。そして、係留した上で
修理総
点検あるいはドックに入れまして
検査等をするわけでございますが、その
安全性に関しましては、
先ほどくどく申しましたように、
日本の総知を結集して何遍となく繰り返し繰り返し慎重に
検討した上それは大丈夫である、こういうことになっておるのでございますから、
日本の
原子力船の将来のあり方を
考えますと、この際はどうしても
政府としてはこの
修理点検を、せっかく自主的に
開発した船でございますから、済ませまして、そして本来の
実験船として将来のためにデータの
蓄積等を積んでいくのが当然、不退転の
決意と
考えてよろしいかと思っておりますが、その点に関しまして御
決意のほどを承りたいと思います。