○
佐藤説明員 お
答えいたします。
廃油ボールの発生源あるいは生成原因につきましては、主として、
わが国の各港に出入いたします外航タンカーが
わが国の周辺海域から南シナ海に至ります間に投棄いたしますバラスト水あるいはタンククリーニング水、こういったものの中に含まれております油が黒潮に乗って北上してまいります間に次第に凝固しまして漂流、漂着するということがほぼ解明されておるわけでございます。このような
汚染状況に対しまして、海上保安庁といたしましては、タンカーを中心といたします航行船舶につきまして、厳重な監視、取り締まりを実施しておるわけでございます。
具体的な中身を申し上げますと、航空機とか巡視船艇によります連携監視と言っておりますが、航空機で監視をし、違反船を発見した場合には、巡視船艇に連絡をしまして巡視船艇が現場に赴くという、航空機それから巡視船艇によります連携監視をとっております。またタンカーにつきましては、タンカーの立入
調査あるいは立入検査ということも実施しております。なお、夜間の不法排出ということの摘発のために、夜間監視装置を装備いたしまして、
汚染多発海域の監視を夜間においては行っておるということでございます。
このほか機会あるごとに、船舶乗組員あるいは
関係者に対しまして、海洋
汚染防止に関します指導を実施するよう、遵法精神につきまして指導を行っておるわけでございます。今後ともこの監視、取り締まりを強化していくことにしたいというふうに思っておるわけでございまして、特に依然として高い
汚染状況にあります本州の南岸あるいは南西諸島、これらの海域につきましては、タンカールートの監視、取り締まりを一層強化することにいたしまして、
関係者に対しまして
汚染防止の指導をさらに進めることにいたしたいと思っておるわけでございます。
なお、この廃油ボールの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、本邦の周辺海域から南シナ海に至る間に投棄されるというものが相当多いというふうに
考えられますので、これらの
対策につきましては、国際的な協力体制というものが必要であろうというふうに思っておるわけでございますけれども、最近IGOSS方式というものが制定されまして、これはユネスコの一
機関でございますIOC、これは
政府間海洋学
委員会というふうに訳しておりますけれども、これが全世界海洋観測システムというものをやることになったわけでございます。その一環といたしまして、油によります海洋
汚染を全世界的な規模で把握するためにあるいは監視するために、パイロットプロジェクトというものを策定いたしまして、それで
調査を行うということになったわけでございまして、海上保安庁といたしましても、五十年の六月からこの方式によります
調査方法を採用いたしまして
調査をいたしているという
段階でございます。
このように、国際的にも廃油ボールの問題につきましては大きな環境問題として扱われるようになってきておりまして、これらの実態
調査の結果を踏まえた国際的な
対策の推進が望まれると思っておるわけでございます。
それから、違反の件数、摘発件数と申しましょうか、その数字を申し上げますと、油の排出事犯の検挙
状況でございますけれども、
昭和五十年の数字を申し上げますと、合計で七百二十隻の検挙を行っております。この内訳といたしましては、日本船舶が五百十一隻、全体の七一%でございます。それから外国船舶につきましては二百九隻、これは全体の二九%でございます。なお、この外国船舶の内訳を申し上げますと、パナマ、これが一番高うございまして四十九隻、それからリベリアが四十一隻、韓国が二十二隻、イギリスが二十一隻、ギリシアが十三隻、ノルウェーが十五隻、台湾が四隻、そのような
状況になっておるわけでございます。その他もございますけれども……。