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丹羽説明員 環境庁というよりも、その
公害防止という
立場から
自動車の
排気ガスを見てまいりますと、
自動車から排出される主な
排出物は、
一酸化炭素、
CO、
ハイドロカーボン、
炭化水素、それから
先生の御指摘の
窒素酸化物等がございます。これは
燃焼の基本的な話になるかもしれませんが、
不完全燃焼をいたしますと
COとか
ハイドロカーボンというものが多くなってまいります。それから効率よく
エンジンを回転させる、
燃焼させるということになりますと、空気中の
窒素と結びつきまして
窒素酸化物がふえてまいります。そういうようなことで、いわゆる
燃焼がいい
状態で
燃焼されれば、
窒素酸化物がふえて
COとか
ハイドロカーボンは少なくなってまいりますが、一方において不完全な
燃焼を起こしますと、
窒素酸化物だけに着目いたしますと逆にそれは減ってくるというような形で、
一般的にそういうことが言われております。
したがって、
環境庁といたしましては、
窒素酸化物の
環境に対する
影響と、
CO、いわゆる
一酸化炭素の
環境への
影響というようなものを考えてみますと、
一酸化炭素の
環境に対する
影響というものは
環境基準をおおむね満足させるような
状態まで改善されてきております。これは四十年代の
初期において、当時の
運輸省が
一酸化炭素を
低減するという
装置を義務づけられましてからもうすでに十年近くの年月がたっておりますので、
自動車の増加にもかかわりませず
相当いい
状態に確保されてきて、今後ともそういう
状態が維持されるだろうというような見通しを持っております。
一方、
窒素酸化物につきましては、
規制の
初期の
段階というのが、先ほど
自動車局長から御
説明がありましたように、四十八年度の
排ガス規制から最初の
窒素酸化物の
規制というものが始まりまして、五十年、五十一年
規制を経まして、当初の
目標としておりました
窒素酸化物〇・二五というようなことで、五十三年度を
目途に
技術開発状況がどうかということで
環境庁でその
技術評価をしてまいりましたが、おおむねの
自動車といいますか、大半の車種におきましては、五十三年度でおおむね〇・二五という
目標値を
平均値として達成できるだろうという
報告書が出ております。
一方、
窒素酸化物に対する全体的な総量をどうして抑えていくか、現状をはっきり申し上げますと、
窒素酸化物の
環境基準というようなものはいろいろ
新聞にも報道されておりまして、いろいろな
国際機関でもいろいろ議論はあるところでございますが、現在のところ、一日の一時間
値平均が〇・〇二PPmというような
環境基準を設定してあるわけでございますが、その
環境基準を満足している
測定局というのは、
一般の
測定局では次第にその
環境基準を満足する個所が
全国的にちらほら見られるようになったということです。一方、
自動車の通ります沿道といいますか、
道路際の
測定局というのが
全国に二百カ所近く置いてございますが、その中では
環境基準を満足している
測定局は現在のところございません。
そういうことで、
窒素酸化物に対するいわゆる
低減ということが、単に
自動車のみならず、
固定発生源といいますか、工場の煙突の
規制というようなものも並行して進めてまいらなければならぬということで、
自動車、いわゆる乗用車に対する
窒素酸化物の
規制の強化ということによって、
窒素酸化物、いわゆるN02の
環境基準というものを次第に満足させるように持っていきたいというように考えております。
そういうような基本的な
立場に立って考えてみますと、
自動車の
窒素酸化物というものを生産時において〇・二五というような五十三年度
規制値に近づけていく、また、
平均値でそれをクリアさせるというようなことが技術的に可能であるとしても、先ほど
自動車局長が言われました
窒素酸化物の
低減技術に関する
検討会の四人の大学の
先生によりましても、いわゆる
装置が複雑化してまいりますと、それに対するメインテナンスという問題、その後のチェック、維持、管理というような問題はさらに今後に残された問題であろうということになっております。
そういうことで、新しい
エンジンにしましても、
構造が複雑になっていくものと、それから従来の、たとえばCVCCのような
エンジンであるとかロータリーのような
エンジンですと従来の技術の延長線上にあるということで、従来の技術の延長線であれば、それの精度の管理をしていくということで十分その機能が維持、管理できるようなものであるだろうというようなことが推測されますが、一方で触媒を使って
窒素酸化物を減らすというようなものは、先ほど
自動車局長の
説明にもございましたように、歴史がまだ浅うございます。したがって、
運輸省において、耐久試験、
信頼性の確保という点で、型式指定その他の
段階でいろいろとチェックを願っておるわけでございますが、いわゆる安定性のある触媒というものをどういうふうにして管理、維持していくかということで、要するに触媒というものがケースの中に入っておりますから中の
状態がよくわからない
状態になっておるということで、また、触媒の中身そのものがどの程度劣化したかということがなかなか判定することがむずかしいという問題もございますので、そういう点も含めまして、今後とも
耐久性のある触媒というものをさらによくなるように指導してまいりたい。現在のところそういうようなふうに考えております。