運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-08 第78回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月八日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 中川 一郎君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 三枝 三郎君 理事 浜田 幸一君    理事 増岡 博之君 理事 斉藤 正男君    理事 坂本 恭一君 理事 梅田  勝君       木部 佳昭君    佐藤 文生君       關谷 勝利君    竹中 修一君       徳安 實藏君    野田  毅君       葉梨 信行君    細田 吉藏君       三塚  博君    宮崎 茂一君       森  美秀君    渡辺 紘三君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    楯 兼次郎君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       米田 東吾君    紺野与次郎君       三浦  久君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         運輸大臣    石田 博英君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         運輸政務次官  阿部 喜元君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         労働省労働基準         局長      藤繩 正勝君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     篠原  治君         日本国有鉄道常         務理事     尾関 雅則君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道経         理局長     吉井  浩君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   丹羽喬四郎君     森  美秀君   野田  毅君     三塚  博君   楯 兼次郎君     広瀬 秀吉君   米田 東吾君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   三塚  博君     野田  毅君   森  美秀君     丹羽喬四郎君   広瀬 秀吉君     楯 兼次郎君   堀  昌雄君     米田 東吾君     ————————————— 十月七日  総合交通政策の樹立に関する請願下平正一君  紹介)(第四一二号)  同(中澤茂一紹介)(第四一三号)  同(中村茂紹介)(第四一四号)  同(原茂紹介)(第四一五号)  地方陸上交通事業維持整備法案等成立促進に  関する請願下平正一紹介)(第四一六号)  同(中澤茂一紹介)(第四一七号)  同(中村茂紹介)(第四一八号)  同(原茂紹介)(第四一九号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願外二件(  枝村要作紹介)(第四二〇号)  同(太田一夫紹介)(第四二一号)  同(大柴滋夫紹介)(第四七三号)  同外一件(岡田哲児紹介)(第四九〇号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案の撤同に関する請願岩垂寿喜男  君紹介)(第四九一号)  国鉄運賃値上げ反対に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第四九二号)  同(石母田達紹介)(第四九三号)  同(金子満広紹介)(第四九四号)  同(栗田翠紹介)(第四九五号)  同(小林政子紹介)(第四九六号)  同(紺野与次郎紹介)(第四九七号)  同(柴田睦夫紹介)(第四九八号)  同(庄司幸助紹介)(第四九九号)  同(多田光雄紹介)(第五〇〇号)  同(津金佑近君紹介)(第五〇一号)  同(津川武一紹介)(第五〇二号)  同(寺前巖紹介)(第五〇三号)  同(土橋一吉紹介)(第五〇四号)  同(中川利三郎紹介)(第五〇五号)  同(中路雅弘紹介)(第五〇六号)  同(中島武敏紹介)(第五〇七号)  同(平田藤吉紹介)(第五〇八号)  同(不破哲三紹介)(第五〇九号)  同(増本一彦紹介)(第五一〇号)  同(松本善明紹介)(第五一一号)  同(三浦久紹介)(第五一二号)  同(米原昶紹介)(第五一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出、第七十七回国会閣法  第一六号)      ————◇—————
  2. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  3. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 私は、自民党政府国鉄再建対策要綱や、また、これに基づいて再建対策と銘打たれて提出をされた国鉄運賃法日鉄法の一部を改正する法律案を見てみまして、正直言って腹立たしい思いを禁ずることができませんでした。何といっても赤字最大原因は、高度成長と、特に日本列島改造計画に基づいて膨大な設備投資国鉄がやり、それを全部借金で賄ってきたということであります。そのために五十年度だけでも四千五十五億円の利息を支払うまでになっています。そして、このことが財政の破綻を強めているわけでありますけれども再建対策はこの借金政策をやめるのじゃなくて、今後も一層独立採算制ということを理由にしてこの借金政策を強めていこうとしています。そして、また、高度成長期に強められた大企業本位運賃体系も依然としてそのまま継続をしようとしています。そして、貨物赤字解消の展望というようなものは全くないわけであります。  国鉄当局重荷重荷だと言って騒いでいる地方ローカル線の問題についても、百七十二億円の国の補助金を出すというだけであって、その赤字解消策というものは何ら示されていません。まあ一年か二年でゆっくり考えましょう、要するに値上げが先だという態度なんですね。結局旅客の犠牲でもって貨物赤字をカバーするという、そういう基調は依然として変わっていないというふうに言えると思います。これでどうして再建ができるんでしょうか、私は大きな疑惑を持たざるを得ないわけであります。  私は、何といっても国鉄赤字の一番大きな要因になっている貨物問題の対策を抜きにした国鉄再建対策というものはあり得ないと思います。それで、よく言われていることですが、貨物国鉄公共企業体に移行してからもずっと一貫して赤字を続けてきております。現在でもこの膨大な赤字の大部分をなしている。そういう意味では貨物対策というものは国鉄再建にとって非常に緊急な仕事だというふうに私は思います。  そこでお伺いしたいのですが、公共企業体に移行した後の貨物累積赤字は現在までにどのくらいになっているのか、御報告を願いたいと思います。
  4. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 貨物旅客と分けまして計算いたしましたのが、私の記憶ではたしか三十年代の後半だと思いますが、四十年からの数字を申し上げますと一兆八千億、そして五十年度は恐らく四千億を下らないであろうということでございます。
  5. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、四十年度からではなくて三十年度の後半とおっしゃいましたが、三十年度の後半からの貨物累積赤字はどのくらいになっておりますか。
  6. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 それは、現在私の方では三十年度始まって以来の数字を持っておりません。     〔委員長退席浜田委員長代理着席
  7. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 どうして持っていないんですか。いま、あなたは、三十年度後半から客貨別に分けて収支を計算するようになったとおっしゃったでしょう。
  8. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 申し上げます。  三十六年度からやっております。それで、三十六年度貨物収入が二千六十二億で原価が千九百四十一億で、百二十一億の利益を出しております。三十七年度収入が二千四億でございまして、原価が千九百七十七億、利益が二十七億でございます。三十八年度収入が二千百億、原価が二千九十二億で利益が八億、営業係数はちょうどとんとんぐらいでございます。そして三十九年度から赤字になりまして、収入が二千七十七億の原価が二千四百八十二億、四百五億の赤ということでございますから、先ほど申し上げました一兆八千億に約二百五十億ほど足していただきますと三十六年度からの累計になります。
  9. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、三兆一千億円の赤字の三分の二以上の赤字貨物から出ているという計算になります。公企体に移行した後われわれがずっと調べてみますと、約三兆円ぐらいの赤字になっているのですね。お答えが違いますけれども、まあ、あなたの方と数字を合わせておかなかったから、ここでその論議をしてもしようがないので前に進めますけれども、しかし、圧倒的な部分貨物から発生しているということははっきりしています。  では、四十九年度累積赤字は二兆二千四百億円ですが、このうちの貨物赤字はどのくらいになっておりますか。
  10. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 四十九年度貨物赤字は約三千五百億程度であろうと思います。
  11. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、年々貨物赤字は増大する傾向にあるわけであります。国鉄皆さん運輸省皆さんは、この値上げは単なる値上げじゃないんだ、再建対策なんだとおっしゃっていますが、再建対策であれば、この赤字原因をどうやって克服するのかという対策がなければならないと思うのですけれども、あなたたちとしてはどういうことを考えておられるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。これは運輸省の方にお尋ねします。
  12. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 国鉄赤字の大きな原因貨物部門にあるという点については御指摘のとおりであろうかと思います。したがいまして、国鉄財政再建を図る上において貨物赤字分をどういうふうにして解消したらいいかということで、われわれといたしましても非常に苦慮いたしているわけでございます。  それで、貨物につきましては、御承知のように昭和四十年以来運賃値上げは一遍行っただけでございますけれども、それにもかかわらず国鉄貨物取扱量は減少いたしているわけでございます。これは何かというと、昨日まで大臣が御答弁申し上げましたように、やはり国鉄貨物競争力が非常に弱くなってしまっている結果でございます。先ほど、貨物赤字旅客の方におんぶして解消していくという行き方はおかしいのではないかという御指摘がございましたけれども、昔のように貨物赤字が少ない場合には、旅客部門貨物部門とをプールして収支均衡を図っていくという考え方も承認されたと思うわけでございますが、今後はそういう考え方はやはりとるべきではないということで、再建要綱の中にありますように、これから努力をして昭和五十五年度までに固有経費だけで収支均衡を図っていく。固有経費収支均衡を図れるということは、貨物輸送だけの経費は賄えるということでございますので、旅客の方に迷惑はかけないということになるわけでございます。  しかし、昨日来参考人の意見にもございましたように、固有経費収支均衡を図るということも相当努力を必要とすることでございまして、そのためにはやはり徹底的な合理化をやる必要がございますし、また、国鉄貨物部門競争力の強い分野に限定して輸送方式を変えていくというような努力も必要であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、徹底的な合理化努力によりまして貨物競争力をつけていく、それによって国鉄貨物部門赤字を減らしていく、これが今後の再建をやります上におきまして非常に大きなポイントになってまいるわけでございます。
  13. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 一応今年度平均で五三・九%の値上げをする予定のようですけれども、来年度貨物運賃はどの程度上げる予定なんですか。
  14. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 昨日も申し上げましたように、来年度運賃値上げの幅につきましてはまだ最終的に決めていないわけでございます。運賃法もまだ成立いたしておりませんし、その他地方交通線の問題であるとか、いま問題になっております貨物対策問題等、これから詰めなければならない問題がいろいろあるわけでございまして、そういう問題についての方向が決まった上で来年度運賃値上げ幅を決めたいと思っております。ただ、いずれにいたしましても、貨物につきましては競争力が非常に弱いわけでございます。それで、本年度五三%という大幅な値上げをやりまして、来年度さらに大幅な値上げができるかどうか、その点も十分検討をいたしたいと思っております。
  15. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 ことしの値上げ率しかわからない、来年のことはわからないということはどういうことなんでしょうかね。再建対策要綱は二年間で収支とんとんにするんだということを決めているわけでしょう。それを目標にしてやるんだということで、それに基づいて今年度値上げ幅が算定されて、そして皆さん方が御提案になっていらっしゃるわけです。それはいろいろな不確定要素がありますけれども、では、当初皆さん方がお考えになっていたのはどの程度のことなんですか。いわゆる再建対策要綱に基づいて今年度は五三%上げるんだということを決めたときに、来年は幾ら上げようというふうにお考えになっておったのですか。それは正式に決めたものでなくても、あなたたちの腹づもりというものがあったはずだと思います。
  16. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 再建対策要綱にありますように、二回の値上げによりまして収支均衡を図るということを目標にいたしているわけでございます。本年度約五〇%の値上げをいたしまして、この五〇%によりまして国鉄が本年度必要といたします人件費物件費程度のものはカバーできることになっております。  来年度値上げの幅につきましては、先ほど来申し上げておりますようないろいろな問題がありますので、そういう問題を詰めた上で決める。いずれにいたしましても、五十年度末において収支均衡を図るという目標は変えない。いろいろ不確定要素についての検討が進みまして、その対策方向が明らかになれば、その段階で値上げ率が決まってまいるわけでございます。  いずれにいたしましても、来年度値上げによって収支均衡を図るということは変えていないわけでございます。
  17. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 旅客の場合には、ことしの予算委員会の中で、ことし五〇%、来年五〇%上げたいんだという答弁があったわけですよ。貨物の場合にはどうしてそれが言えないのですか。おっしゃったらいいんじゃないですか。
  18. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 旅客につきましても、昨日あるいは一昨日この委員会答弁を申し上げましたように、まだ率を決めているわけではございません。いまお話に出ました五〇%というのは、ある前提を置いて計算すれば五〇%になる場合があるということでありまして、先ほど来申し上げておりますように、旅客につきましてもいろいろな不確定要素があるわけでございますので、そういう不確定要素を詰めた上で来年度予算において値上げ幅を最終的に決めたい、さように考えているわけでございます。
  19. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 二年間で収支とんとんに持っていくという方針は変わっていないんだということになれば、あなたたちが当初考えたよりも運賃値上げ法案成立がずっとおくれておりますが、そうすると、来年度旅客については五〇%以上上げる、当初五〇%と考えておったけれども、もっと大幅な値上げになる場合もあるんだということをあなたはおっしゃったわけなんですか。
  20. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 昨年でございましたか、昨日もあるいは一昨日も申し上げたかと思うのですけれども、いろいろな仮定を置いて計算すれば五〇%以上になる場合もあり得るということですが、とにかく予定よりも五カ月間運賃法成立がおくれておりますので、そのための赤字が二千億ほど当初よりふえております。したがって、そういう赤字を仮に来年度運賃に転嫁するとすれば五〇%以上の値上げになる場合もあるわけでございます。  しかし、これもいままで何べんも申し上げているわけでありますけれども、私どもといたしましては、できるだけ低く、少なくとも五〇%よりも低いような率に来年の値上げ幅を抑えるように最大努力をいたしたいと考えているわけでございます。
  21. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 いま、あなたは、貨物の問題については五年間で固定経費収支バランスをとるのだと言われましたね。固定経費収支バランスをとっても共通経費は賄えませんね。そうすると、あなたたち再建対策要綱によれば、二年間で全体の収支バランスをとって、それ以後もずっとバランスをとり続けていくのだというわけですから、昭和五十五年度では全体として収支バランスはとれているということになると思うのですが、そうすると、貨物共通経費の方はどこが負担することになるのですか。
  22. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 今回の再建対策要綱で、貨物部門につきましては昭和五十五年度までで固有経費収支均衡を図るということをうたったわけでございますが、その意味は、もはや国鉄の中で貨物部門が独立した企業として採算をとることが非常にむずかしいという判断をいたしたわけでございます。したがって、国鉄貨物部門はいわば旅客付属生産物というふうに観念をいたしているわけでございます。したがって共通部門という考え方がなくなりまして、それは当然旅客の方で負担するということに相なるわけでございます。
  23. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、結局、貨物赤字を埋めるために旅客運賃を引き上げるのだということじゃありませんか。そうすると、旅客運賃固定経費共通経費を賄ってなおかつもっと高い値段を設定されるということになるわけですね。それが果たして適正運賃と言えるかどうかという問題がありますね。  あなたたちは、われわれが公共割引の問題についても国が負担しろとか、設備投資の問題についても国がもっともっと補助を出すべきじゃないかとか、出資をすべきじゃないかということを言うと、いや、何でもまず値上げが先決なんだ、適正運賃の水準を回復することが先なんだということを言っておりますけれども、いまの鉄監局長答弁によると、私が冒頭に申し述べましたように、依然として貨物赤字旅客運賃値上げで補うという対策が続いておる。そしてそれはもう仕方のないものだとあきらめていらっしゃるわけですね。こんなばかげたことを国民は許さないと思いますね。  確かに、貨物赤字の問題というものはなかなかむずかしい問題がありますけれども鉄監局長は、貨物国鉄離れをしているのだ、どんどんトラックの方に逃げていってしまうのだ、それで横ばいないしは貨物運送量が減っているのだというようなことを言われましたけれども、それに対してそれでは運輸省国鉄は黙って手をこまねいてきたのかということなんですね。何でもっとシェアを上げるような工夫をしてこなかったのかということなんですね。まあ、いろいろな対策を講ぜられただろうと思うのですけれども、いわゆる貨物国鉄離れですね。これについてどういう対策をとってきたのか、運輸省国鉄にお尋ねしたいと思います。
  24. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 貨物国鉄離れをしました原因というものを考えますと、一つはやはり燃料革命であったと思います。御存じのとおり、戦前戦後を通じまして国鉄大宗をなしました石炭輸送が激減をいたしまして、とにかく燃料革命に対応するように石油輸送を一生懸命やろうということで努力をいたしまして、三十年代の後半におきましてはわずか百万トン程度輸送が、現在では千六百万トン程度にふえております。石炭は三千万トンから現在は八百万トンほどに減っております。そういう関係で大宗貨物がまず離れたということと、それから御存じのとおり三十年代後半から港湾整備が非常に進みました。したがいまして、臨海の工業地帯というものも当然発達いたしましたために、内航海運の戦後からの立ち直りとあわせまして大量物資鉄道から海運へ逃げたわけであります。  それからもう一つ内陸工業団地でございますけれども、これは御存じのとおり、従来の国鉄の駅といいますとすでに用地が非常に高くなっておりまして、むしろその国鉄の駅から離れたところに内陸工業団地がつくられるということに現実はなっております。したがいまして、これが道路志向型になりましたために、軽量品等あるいは第二次工業品等が少量物品としてトラック等に持っていかれたということでございます。これに対しまして私ども努力いたしましたのは、物資別輸送という形で常に大量の貨物を一個列車集約いたしまして、そして発地着地をできるだけ集約いたしまして、極力早く一本の列車発地から着地まで行くという対策をとりましたのが一つでございます。これを物資別輸送と申しております。  それから、比較的二次、三次製品でございますところの物資で、大都市から大都市輸送されるものにつきましてはコンテナを開発いたしまして、これがトラック鉄道との荷役を非常に近代化したことになりますが、フレートライナー列車を都市間に走らすという努力をしてまいったわけでございます。  すでに資料も差し上げてございますが、第一次再建計画のときにターミナル整備ということをやっておりますが、このターミナル整備についても極力進めまして、トラック鉄道との一貫共同輸送というものを推進いたしたわけでございます。  以上によりまして、なるほど昭和四十八年以降急激に落ちておりますけれども、これは、すでに御存じのとおり景気の不調という基調もございまして、トラック海運鉄道も同じようにダウンをいたしておる次第でございます。しかし、今後はいままでの対策のほかにさらにコストダウンを——要するに、トラック戸口から戸口という完成品でございますが、鉄道通運プラス鉄道プラス通運という形の大きな部品という形になっておりますので、完成品に対して鉄道としてどういうふうにして競争していくかということにつきましては種々近代化を進めていきまして、できるだけ正確な輸送をしていきたいというふうに考えております。
  25. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 貨物近代化をいろいろやられたということですけれども、その中に拠点集約ということをやりましたね。いろいろ貨物駅の廃止をどんどんやっていきましたが、これは逃げる貨物国鉄に引き寄せるのに役に立ったのですか。どうですか。
  26. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 貨物集約につきましてはいろいろのパターンがございます。たとえば石炭が減っていくためにその駅を集約するとか、あるいは市場が廃止されたために出荷がなくてその駅を廃止するという場合、これは集約よりもむしろ廃止でございますけれども、そういうパターンと、それから、たとえば鉄道高架化に伴いまして貨物の駅を高架に上げるわけにまいりませんので、膨大な金がかかりますので、従来の貨物駅を廃止いたしまして旅客駅化して、そのかわりそれをどこかに持っていくというようなことをやっております。それから、いま一つは、それぞれ小さな駅でそれぞれ貨車を配給し、空車を配給し発送するということになりますと大変なコストがかかりますので、荷主の了解を得まして三駅を一駅に集約する、そのかわり一駅は新たに近代設備をつくって差し上げる。こういうようないろいろなパターンがございます。  その中で私どもの一貫してとってまいりました姿勢は、第一番の廃止の場合は別にいたしまして、すべて貨物は逃げないという姿勢で参っております。その場合に、必要があれば従来の運賃が高くなる部分については補償するというような割引制度を活用してやってまいりまして、原則としては逃げないというたてまえで設備その他をやってまいりました。
  27. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 逃がさない、原則として逃がしたくないという気特ちはわかるけれども、実際に拠点集約をやって、貨物はどんどん逃げていると私は思うのですよ。これがまたそういう中小荷主の貨物トラックへどんどん追いやっている一つの大きな原因だと思いますよ。  それで、ちょっとお尋ねしますが、いままでの拠点集約によってどのくらいの貨物取り扱い駅の廃止が行われたのか。昭和四十四年から五十一年度までの廃止の駅の数ですね。それから、その廃止された駅が前年度までにどのくらいの貨物の取り扱い量を持っていたのか。これをちょっと報告してください。
  28. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 昭和四十四年の廃止駅が五十二駅でございます。四十五年度廃止駅が三百八駅でございます。四十六年の廃止駅が三百九十三駅でございます。  それで、前年度の取り扱い量を申し上げますと、四十四年の五十二駅の取り扱い量は百六十三万八千トンでございます。それから、四十五年度三百八駅の前年度の取り扱い量は三百七十四万六千トンでございます。それから、三百九十三駅の前年度の取り扱い量は四百一万三千トンでございます。
  29. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 四十六年度以降は廃止はしていないんですか。
  30. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 四十六年度以降も廃止をいたしておりますが、前年度の扱い量は……
  31. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、いまおっしゃったように、これだけの貨物の取り扱いがかつての駅では行われなくなったわけでしょう。それが全部拠点駅に集約されているんですか。逃げたものと拠点駅に来た割合というものはどういう割合になっていますか。
  32. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 これは実際にいろいろと数字を出しますのは、相当の仮定を置きませんと非常にむずかしゅうございます。と申しますのは、集約された駅の取り扱い量そのものが、前年度の総輸送量が低下いたしてまいります場合には経済的な効果によってどれくらいダウンしたかというようないろいろの計算をしなくちゃなりませんが、一定の仮定を置きまして、私どもパターンとして計算をいたしますと、これは全数量というわけにはまいりませんで、いろいろのパターンのうち、たとえば盛岡地区の廃止に伴ってどれくらい他運輸機関へ逃げたかということを想定いたしました数字を申し上げますと、他運輸機関へ行きましたと仮定されますのが約一二・四%でございます。
  33. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 大分控え目な数字だと思うのですけれども、そんなものじゃないと思いますね。たとえばあなたたち貨物取り扱いの全体の数量の中に占める、いわゆる地場産業の貨物である農産物であるとか、いろいろなものの推移を私は見てみたのですけれども、かなり大幅に減っているのです。たとえば農産物なんか、トラックへ積んで拠点駅まで持っていくというようなめんどうくさいことをするなら、そのまま目的地までトラックで持っていってしまえというような、そういう貨物がかなり多くなっている。それが結局貨物国鉄離れというものに拍車をかけている、そういう原因にもなっていると私は思うのですね。  そこで、そういう拠点集約によって廃止された駅で取り扱っていた貨物ですね。それはどういう品目がありましたか。
  34. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 四十七年度の例で申し上げますと、たとえば東海道の線増のために大船駅を湘南貨物駅に集約いたしましたが、その場合の大船で扱っておりました品目は化学薬品でございます。それから機器類でございます。そういうものを扱っております。それから例といたしましては、たとえば東灘のようなところは化学薬品と農産品というふうになっておりますし、種々いろいろの種類がどれこれというふうに限定されませんで多岐にわたっておると思います。  それから、もう一つちょっと言っておきたいと思いますけれども、野菜類が集約のためにどんどん減ったんじゃないかということのお説でございますが、私どもはこういうふうに考えております。野菜というのは市場において値段の変動が非常にはなはだしいものです。したがいまして、その変動に応じた出荷を当然されてまいりますので、したがいまして到着時間も非常に急ぎますし、かつ正確でなければならないということで、小回りのきくトラックの方に逃げていったというふうに私ども考えております。
  35. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 たとえば昭和三十五年と五十年と比べてみますと、米の場合には九五%に減少していますよ。これは監査報告書で明らかです。それから果物類ですが、これは三九%にまで落ち込んでいます。それから鮮魚、冷凍魚は一九%にまで落ち込んでいるんですよ。ところが、自動車なんていうのは九八五%ですね。そういう増加を示しているわけですね。  貨物近代化、いわゆる物資別の基地をつくって物資別専用貨物列車を走らせるとか、それからまたこういう貨物拠点集約をやるとか、こういうことによって地場産業であるとか中小企業のそういう製品がますます国鉄離れを起こして、大企業製品で特に大量に運ばれるものがどんどん量がふえてきているというふうに私は感ずるのですが、その点はいかがですか。
  36. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 私どもがいままでとってまいりました施策は、まず、営業法に基づきまして荷主その他に運賃差別その他はしない、出てきた貨物は出てきた順序に送るということで、運賃制度等につきましてはすべて営業法に基づいてやっておりまして、特に中小企業貨物だから送らないとか、あるいはそういうものは集約するんだとかいうことではなしに——御存じのとおり、貨物といいますのは、一定の列車をそれぞれ年間ダイヤをつくっておきまして、同一発送地から同一到着地へ行く貨物が大量に出てくれば、それだけ国鉄としても鉄道の機能を最も発揮できるわけでございますので、大企業であるから特にそれをねらって大きくしたとか、あるいは中小企業貨物だから特にそれを忌みきらって貨物駅を廃止したとか、一度もそういうことを考えてやったわけではございません。
  37. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そんなことはあたりまえのことですよ。そんなことをしたらあなたたちは首になってしまう。結果的にどうかということですね。あなたたちは中長距離の大量貨物輸送国鉄貨物の重点を置くのだということでやってきたわけでしょう。中長距離の大量貨物輸送国鉄の特性があるんだというふうにおっしゃって、ずっとその対策を進められてきたわけでしょう。個人が大量な物を送りますか。個人であろうと中小企業であろうと、たとえば石油であるとか、セメントであるとか、自動車であるとか、大量な物を送れば、もちろんあなたたちは大企業のつくった製品と同じ賃率でそれは送るでしょう。それはあたりまえのことですよ。それをしなかったら法律違反ですからね。  ただ、問題は、そういう形式的な差別があるとかないとかということじゃなくて、実際あなたたちがとってきた中長距離の大量貨物輸送に重点を置くということは、大量貨物を出す荷主というのは大企業じゃないか、大企業製品がほとんどじゃないかということなんです。たとえば物資別基地を利用している企業だってほとんどが大企業でしょう。ですから、そういうことで結果的にそういうふうになっているし、そこが目的であなたたちはずっと貨物近代化を進められてきているんだ。結局、中小企業とか地場産業の貨物というものは、いまの国鉄貨物政策の中では自然に切り捨てられていってしまう運命にあるんだということを私ども指摘しているわけなんですよ。結果的にそうなってしまうじゃないかということですが、その点はいかがですか。
  38. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 すでに御存じだと思いますけれども国鉄輸送形態は、先ほど御説明いたしました物資別大量輸送、そしてコンテナ輸送、これはフレートライナー及びコンテナ急行輸送、それから一般車扱いということになっておりまして、物資別大量輸送というのは全体に占めますウエートから言いますと非常に低く、大部分はやはり一般車扱いということでございます。この一般車扱いはほとんどが一件一車発送ということでございます。  それから、コンテナをごらんいただきますと、輸送トンキロで約一割以上、一割五分ぐらい送っておりますが、これの荷主さんの契約件数は、大部分の九〇%以上が二個以下の荷主さんでございますので、結果的に見ました場合、なるほど大量物資別輸送につきましてはあるいは大企業の方が多いかもしれませんけれども、コンテナ輸送あるいは車扱い輸送をごらんいただきますと、必ずしもそういうことは言えないというふうに私ども考えております。
  39. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 さっき私が例を挙げましたけれども、それじゃ鉱油、石油も含みますね。この鉱油の輸送量というのは、昭和三十五年に比べて五十年度は三四九%もふえているのですよ。それからセメントは一二四%ふえています。紙も一五五%ふえています。あなたたち貨物国鉄離れをした、した、した、と言っているけれども、こういう大企業がつくっている製品の輸送量というものはどんどん絶対量でふえているわけですよ。だから、そういう方向国鉄を持っていこうとしているとわれわれは考えざるを得ないわけですね。それで、実際に中小企業や地場産業からの苦情というものがどんどんわれわれのところに寄せられているわけなんです。  それじゃ、専用線で運んでいる貨物の全体の貨物取扱量に占める割合はどのくらいになっていますか。
  40. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 四十九年度の実績で言いますと、発着で六一%でございます。
  41. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 専用線というのは大体大企業が使用しているのじゃありませんか。どうですか。
  42. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 どれをもって大企業といいますか、私どもちょっとわかりませんけれども、一応工場を持ち、専用線を引けるということになりますと相当設備投資も要りますので、そういうものが大企業であると言うならば大企業でございます。
  43. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、大企業製品というのは、専用線以外にも結局臨海鉄道で運ぶものもありますね。これはダブる場合もありますけれどもね。そうすると、臨海鉄道でもって専用線を使わないで運ぶというような貨物まで入れれば、貨物全体の取扱量に占める大企業製品の割合というのはこの六一%よりももっともっと大きいものだというふうに思われますけれども、どういうふうにお考えですか。
  44. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 恐らく専用線というものとその発着を考えますと、臨海とは相当ダブっていると思います。
  45. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 だって、ふえることはあっても減ることはないでしょう。
  46. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 相当ダブっていると思います。それで、残りのダブっている以外のものが大企業であるかということでございますれば、工場を持ち敷設線を持つのが大企業であるといたしますと、その分はふえるということになります。
  47. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、六割以上の貨物が大企業製品だということが言えると思うのです。それで、貨物赤字というものが四十九年度では赤字の八〇%くらい占めておるという状況なんです。そうすると、これの収支を改善するためにはこの貨物運賃、料金をやはり何とかしなければいかぬと私は思うのです。特に、大量にやる貨物運賃の営業割引ですが、あの貨物運賃の営業の割引であるとか私有貨車の割引なんてものはやめるべきだ。それから、また、物資別の専用列車ですか、こういうものについては特別に料金を取るべきだ。わが党の梅田議員もそういうことを言われましたけれども、特別に料金を取るべきだと思う。それはさっきあなたが言われたように、物資別専用列車というのは、あるところからあるところまで、目的地までぱっと非常に速く、そして確実に、そしてまた大量に物を運べるのだということでしょう。そうすればそれだけの利益が荷主にあるわけですから、普通の貨物と違って特別な料金を取るべきだと思うのです。旅客でもそうされているわけですからね。そうすれば貨物収支というのはもっともっと改善されていくのじゃないかと私は思うのですけれども、この点はいかがですか。運輸省国鉄の方にお尋ねしたいと思います。
  48. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 先ほども申し上げましたように、貨物部門赤字を解消するということは大変なことだと考えております。貨物部門赤字を解消するためにはやはり収入をふやしていくということが必要となるわけでございますけれども、一方、国鉄貨物部門海運とかあるいはトラックと厳しい競争関係にあるわけでございまして、自由にどんどん運賃が上げられるということではないわけでございます。しかし、とにかく赤字部門を解消するためには貨物収入をふやさなければならぬのですが、その際、運賃を上げても逃げないという見通しがあれば運賃値上げが可能であるわけでございまして、いま御指摘のありましたような点については、今後そういう制度を導入して運賃の増加が図れるかどうかよく検討させていただきたいと思います。  ただ、従来営業割引というのは大企業に対する奉仕であるというような御意見も出ておりますけれども、営業割引を廃止したといいますか、縮小したためにかえって荷物が逃げてしまったということもございまして、したがいまして、制度を改正したりあるいは新しくつくる場合には、本当に競争力が確保できるかどうか、そういう点を十分検討する必要があろうかと思います。
  49. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 先ほど来貨物についていろいろお尋ねをいただきまして、私どもといたしましても貨物赤字をどのようにして縮小していくかということについては最大限の努力をいたさねばならぬと思います。ただ、その場合に非常に問題でございますのは、鉄道というのは非常に大量に物を運ぶという点においては利点がございますが、A地点からB地点までにまとまって大量に荷物を運ぶのには好都合な面がいろいろあるわけでございますけれども、少量の荷物を各地域にきめ細かく配って歩くというような点についてはどうも必ずしもうまくいかない、いわば小回りがきかないような性格になっております。そこで、採算のことを考えますと、コストのかかる部分について無理に荷物をいただくということになりますと、私どもとしても、コストがかかるというだけではなくて、国民経済的に見ましても必ずしもいいことではないと思われるわけでございまして、鉄道鉄道トラックトラック、あるいはまた海運海運で、それぞれ適した荷物を運ぶということにしなければならないと思います。  もう一つ申し上げておきたいのは運賃の点でございますが、これはまた現在の統一主義では非常にうまくいかないわけでございまして、競争相手である船会社あるいはトラック会社の場合にはきわめて弾力的に荷主さんと契約をしてやっていくという実態にありますので、私どもの方も相当程度競争相手の商売のやり方を意識して弾力的にやっていかなければならないと思います。  ただいま御指摘の、物資別のものについてもう少し特別料金を取れということでございますが、これは私どもももう少し商売人根性に徹しまして、少し上げましても十分荷物を私どもの方に託送していただけるという条件のある場合には相当思い切って特別料金なりあるいは一般水準なりでいただいていく、しかし、競争が激しく、値を上げましたならばほかの輸送手段の方に移るよということが明らかな場合にはむしろ思い切って割り引きをしていくということで、基本は法令に定められております統一運賃でございますけれども、現実の運用といたしましてはいろいろと弾力性を持たせるということでないと、うまく収入を上げ、能率のいい経営をすることができないということではないかと思っております。
  50. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 貨物が逃げないような保証があれば料金を取ってもいいのだというお話なんですが、私は、逃げることはないと思うのですよ。物資別専用列車に特別な料金を取っても貨物は逃げませんよ。貨物が逃げるというのは、たとえば国鉄運賃が安い場合でも逃げちゃう。それは定時に着かないとか、いろいろなサービスの低下が原因なんでしょう。物資別専用列車の場合には、さっき田口常務の方からもお話がありましたけれども、ちゃんと定時にぴちっと着くし、速いし、そういう意味ではサービスは非常に向上しているわけでしょう。そして、その荷物というのはどういうものかというと、セメントであるとか、石油であるとか、化学薬品であるとか、自動車であるとか、石灰石であるとかというような、まさにトラックで運ぶのにふさわしくないものが多いのですよ。ですから、私は、特別料金を取ってもこういう品物がトラックに逃げていくなんていうことには絶対にならないと思いますね。それはいま検討するということですから、ひとつしかと検討してほしいのです。  私は、これは、貨物が逃げるというようなことを口実にして安い運賃や料金でどんどん運んでいると思わざるを得ないのです。たとえば特別料金を取ったって逃げない、それはトラックに逃げるような性格のものじゃないということと、トラックで運んだら国鉄運賃に比較してものすごく運賃が高いということですよ。いまおたくの方でもらった資料がありますけれども、最初鋼材からいきましょうか。これは十トン当たりですが、国鉄で運ぶと二百キロまでは一万一千七百七十円ですが、自動車は幾らかというと三倍以上ですよ。三万六千円です。三百キロまでは国鉄で運ぶと一万五千六百十円でしょう。それがトラックで運べば四万五千五百円です。やはり三倍ですよ。五百キロまで国鉄で運ぶと二万三千二百九十円ですが、自動車で運べば六万三千円ですから、三倍弱ですね。これだけの運賃の開きがあるのです。機械類であるとか石灰石の値段等も調べてきましたけれども、十トンを二百キロ、三百キロ、五百キロ運ぶ場合、もうほとんど三倍から四倍の値段をトラックは取っています。ですから、かなりの特別料金を取ってもこれは逃げるというようなことはないと思うんですけれども、それはいかがですか。
  51. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 鋼材の場合を例にとりますと、私どもの競争相手として非常に強敵なのはトラックではなくて内航海運でございます。かつては鋼材をかなり国鉄で運んでおりましたけれども、最近は製鉄所は御存じのように臨海工業地帯に集中をいたしておりますし、それから、大量鋼材の運搬先で新しい設備投資をする場合の所要鋼材とか、あるいは道路その他の公共事業に使われる鋼材とか、そういうものの集積地がこれまた臨海地帯に育成されておりますので、あるところまでのものは内航海運で運ばれまして、それから先はトラックということになるわけでございます。  私どもの場合にも、鉄道の弱点といたしまして、戸口から戸口ということにはなかなかまいりませんで、製鉄所の鋼材の場合には、発地は大体専用線が入っておりますからよろしゅうございますけれども着地についてうまくいかないというようなことで、鋼材なども昔に比べますとかなり逃げられておるわけでございます。私も、実は、国鉄ではたくさんレールを製鉄会社から買っておりますから、せめてうちのレールを列車で運べないかということを研究させたのでございますが、どうも、やはり、内航海運で運んで末端だけを鉄道で運ぶか自動車で運ぶかということで研究した方が結局安くなるということで、なるほどこれはやっかいな問題だがということを一つ一つの品物についていろいろいま議論をしておるところでございます。  おっしゃるように何とかして荷物を集めたいということで、少し個別物資ごとにいろいろ議論してみたいと思いますが、運賃水準の問題につきましても、いわばいただける場合にはたくさんいただくようにいたしますけれども、なかなかうまくいかないということで苦慮いたしておるわけでございます。  また、ただいまセメントの御指摘がございましたが、セメントの場合にも非常に多くの部分鉄道で運ばせていただいておりますけれども、やはりトラックも入っておるわけでございまして、なかなか厳しい競争関係にございます。
  52. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 内航海運との競争ということを言われましたけれども、内航海運は内航海運だけで終わってしまうものじゃないでしょう。陸揚げをしてからトラックで運ぶか鉄道で運ぶかという問題があるわけですから、そういう意味で陸上輸送の問題について鉄道トラックとの関係を私はいま論じているわけなんですよ。ですから、そういう意味でさっき私が数字を挙げておりますけれども、大体、運賃というものは、あなたたちは厳しい競争だ厳しい競争だと言うけれども、それは少少上げたって十分にあなたたちがその荷物を運搬できるという状況にあるわけです。それはその物資の性格の問題と、もう一つ運賃水準が国鉄がうんと低いということで、ですね。ですから、いま取れるところから取るというようなお話ですから、これは一歩前進だと私は思いますね。  いままではそういうことを言うと、いやそれは国民生活に影響を及ぼすとか、そんなことを言って逃げたりしておりましたけれども、やはり取れるところからは取るという態度をはっきり貫いてもらいたいと私は思うんです。  それで、いま物資別専用基地の問題が出ましたので、その問題についてお尋ねしますけれども物資別専用列車に料金を取らないでいまサービスしているということを問題にしたわけですけれども、それだけじゃないのですね。もっともっとサービスしているのですよ。国鉄赤字赤字だと言いながら何でこんなサービスをするのだろうかと不思議に思うくらいのサービスをしています。ですから、取るべきところから取りたいといういまの総裁のお言葉ですから、これから私が指摘することについてもひとつ前向きに検討を願いたいと思うわけでありますが、物資別専用基地というものが各会社によって経営されているわけですけれども、ここに国鉄が出資をしておりますね。それはどういう会社に幾ら出資しているのか、その会社の資本金の額等々について御報告いただきたいと思います。
  53. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 申し上げます。  現在国鉄物資ターミナルに出資をいたしております総トータルは二十六億円でございます。これは建設費の約一七%に該当いたします。  それで、出資いたしております会社は、すでに資料を差し上げてございますが、日本オイルターミナル、東京液体化成品センター、全国通運、日本飼料ターミナル、日本フレートライナー、東京食品ターミナル、北海道農産品ターミナル、飯田町紙流通センター、京葉パイプライン、セメントターミナル、それから倉庫としては大阪鉄道倉庫がございます。  以上でございます。
  54. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 いまあなたがお話しになった会社に、幾つか挙げましたけれども国鉄用地を無償で提供しているんじゃありませんか。ちょっと資料を見ておってください。たとえば日本オイルターミナル株式会社には二十三万九千平米、それから株式会社東京液体化成品センターには一万七千平米、日本飼料ターミナル株式会社には三万六千平米、セメントターミナル株式会社には二万四千平米、これを無償で提供していますね。いかがでしょうか。
  55. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 オイルターミナルに二十三万八千平方メートル、飼料ターミナルに三万六千平方メートル、セメントターミナルに二万四千平方メートル、液体化成品センターに一万六千平方メートルをそれぞれ無償で貸しております。
  56. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 これは国有地を無償で貸している。そういう営利会社に無償で貸しているというだけじゃなくて、いい土地が国鉄にないからというので、わざわざ民有地を買い上げて、そして会社に貸している場合がありますね。たとえば日本オイルターミナルの場合には、八王子、高崎、上田の三カ所の基地では、国鉄用地を提供するに当たって、わざわざ民有地を国鉄が買い上げて、それを無償で貸すということまでしていますね。そうですが。
  57. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 これは誤解があるといけませんので少し説明をさせていただきます。  高崎、八王子等、その他新しく土地を確保いたしましたのは、オイルターミナルだけということではございませんで、貨物の基本基地として整備をいたしまして、その一環としてそこで石油を扱うということでございますので、オイルターミナルのために新しく用地を買ってそれにつくらせたということではなしに、私ども貨物の一大基地の一部として扱っております。そして、その一大基地は貨物の駅というふうにお考えをいただきたいと思います。
  58. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そして、同じように無償で提供しているのでしょう。それはどうですか。
  59. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 一般の駅と同じように考えておりまして、要するに一般の駅はホームがございます。あるいは着発線がございます。ところが、こういう物資別基地になりますと、石油の場合はタンクがございます。セメントの場合はサイロがございます。したがって、それぞれの貨物物資に応じた荷役のホームといいますか、荷さばきといいますか、そういう形態になっておりますので、これは当然無償で提供するということにいたしております。
  60. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 何で当然なんですか。物資別基地、それは営利会社でしょう。それに対して国鉄が無償で土地を提供するのが何であたりまえだと言うんですか。何で金を取れないんですか。おかしいじゃないですか。総裁、どうですか。
  61. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 これは設立の当時どういう考え方をしたか、私もつまびらかに存じませんし、また、それができました当時と現在とでは事情が変わっておりますから、固定的な概念で処理しなければならぬということではないと思います。しかし、私が聞いておりますところでは、本来の発想としては、国鉄貨物駅をつくってお客さんに来てもらうという場合に、石油のタンクでございますとか、あるいはセメントサイロでございますとか、飼料のサイロがございますとか、そういうものを国鉄自身がつくって、そこまでサービスをしてお客さんに来てもらうということがどうかというと、それはちょっと過剰サービスではないかということで、石油の業界の方あるいはセメントの業界の方、あるいはえさというようなところに直接直結している施設であるところの、ほかには使えないもの、そういうものだけは皆さんの方からもひとつ出資してください、私どもも出資をいたしましょうということで共同でサイロをつくり、共同でオイルタンクをつくったわけでございます。  その場合に二つの方式がございまして、考えようによりますと、国鉄の方でサイロをつくったりタンクをつくったりいたしまして、そのかわりサイロ、タンクについて逆に利用者から使用料を取るというやり方が一つあったと思いますが、そうしないで出資をして、また、うちが出すよりもよけい多くの金を関係業界から出資をしてもらってつくって、そのかわり土地はうちの駅なんですからただでございますよ、と、こういう発想法をとったのだと思います。  これはいろいろ考え方がございまして、確かにでき上がってみますと御指摘のように、土地をその施設のために無償で提供しているのはおかしいではないかという考え方は十分あるわけでございます。お尋ねのような考え方がおかしいとかなんとかというふうには私ども考えませんが、そういう考え方もあるわけでございますけれども、しかし、いわば会社をつくりますときの初めからの契約といいますか、一つの約束事として、こちらは土地を提供しましょう、また、同時にいささかながら出資もいたしましょう、そのかわり皆さんお金を出してくださいということでつくったものでございますから、それがおっしゃるように事情の変化がございますから、全く変えられないということではないかもしれませんけれども、とにかくそういう約束事でスタートして今日運営し、それで私どもの方に荷物を載せていただいておるわけでございますので、そうにわかに変更もできにくいということではないかと思います。  それを今度借料なら借料をいただくことになりますればまた契約条件を変更するというようなことになってまいりますので、国鉄が現在のような状況になりました時点において余り既定概念にとらわれないでいろいろ検討してみる必要はあると思いますけれども、その検討の結果御趣旨のようになりますか、いや従来どおりでやらせていただきますということになりますか、それは今後研究し、判断をいたした上でまた申し上げるということにさせていただきたいと思います。
  62. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 本来国鉄がやるべきことなんだ、それを民間からお金を集めるためにこういう契約をしたんだ、こういうお話なんですけれども、そうするとこれは国鉄のメリットだけなんですか。そうじゃないと思いますよ。やはり荷主にも大きなメリットがあるわけですね。ですから出資しているのですよ。そして、この会社自身はもうかっているんです。オイルターミナル株式会社も、セメントターミナル株式会社も、飼料ターミナルの会社もみんなもうかっているんです。営利会社なんです。国鉄財政がこんなに赤字だっていうのに気前のいい話ですよね。何十万平米という土地をただで提供している。いろいろないきさつがあるからということを言われましたが、そのいきさつ自身が大企業本位だと私は言いたいわけです。何でちゃんと賃貸契約を結んで取らないのですか。かなりの収入が上がるはずなんですよ。こういうむだ遣いがあらゆるところにあるんですよ。私は後でまた別の問題でもいろいろお話ししますけれどもね。  ですから、どうなるかわからぬというようなことじゃなくて、毅然として、国鉄財政がこんな状態になっているのだから、特に貨物での赤字が一番ひどいのだから、その土地についてぜひ賃貸借契約を結んでくれ、地賃はこのくらいにしてくれと言うのが当然じゃありませんか。そのくらいの決意はあってしかるべきだと私は思うし、そういうやるべきことをやらないで運賃値上げしてくれとか、旅客運賃を上げてくれとか、そういうことを言っても国民が納得しないと思うのですよ。まあ、この額自体は何百億という金にはならないかもしれませんけれども、しかし、こういうものを個別にたくさん集めていくとかなり膨大な額になっていくのですよ。そういう基本的な姿勢というものが大事だと私は思うのですけれども、総裁、いかがですか。
  63. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 ただいま御指摘貨物物資別輸送のための施設の提供に限りませず、昨日、一昨日来いろいろ御指摘がございますように、高架下の貸し付けの問題とか、あるいは駅前の土地の貸し付けの問題とか、いろいろございます。国鉄は資産をたくさん持っているということは事実でございますし、また、非常に値打ちのある土地をたくさん持っていることも事実でございますが、たとえば東京駅の前にいたしましても、大阪駅の前にいたしましても、明治以来無償で東京都なり大阪市に貸しておるわけでございまして、これもなかなか歴史的な事情があります。それから高架下にしましても、現在の時点で見ますともっと高い値段で借りてもらってもいいじゃないかというものがありますけれども、これは入居のとき以来のいきさつがいろいろありましたりしてなかなかうまくいかないわけでございまして、相当な努力を払って少しずつじわじわと上げていくというようなことはやっておるわけでございます。  そういう資産活用といいますか、資産管理といいますか、そういう面については余りにも資産のボリュームが多く、また、いろいろなところに散在しておりますだけに、管理が十分行き届いているとは言い切れないわけでございまして、ただいまの御指摘の問題も含めて、資産の管理、活用全般について鋭意心してまいりたいと思っております。
  64. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 これら無償で提供している土地はただ無償ということだけじゃなくて、国鉄自身が納付金であるとか固定資産税であるとか、どっちかは払っているはずでしょう。どうなんですか。
  65. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 現在の固定資産税につきましては、たとえばタンク等に供する用地の固定資産につきましては、これは通り抜けになりまして荷主が負担をいたしております。荷主といいますか、それぞれタンクの所有者が負担をいたしております。
  66. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、国鉄はその土地について所有権者でありながら、固定資産税も納付金も全然払っていないのですか。
  67. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 通路部分その他につきましては国鉄が払っておりますが、タンク部分につきましては、これは国鉄の寄付を受けておりますけれども、これは専用線と同様に、荷主といいますか、専用者が払っております。
  68. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 国鉄のいわゆる無償で提供している土地について、国鉄が負担している部分はあるのでしょう。ないのですか。
  69. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 国鉄が負担している部分はございます。
  70. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうでしょう。だから、無償で貸しているだけではないのです。固定資産税まで払ってやっているわけです。そんなばかなやり方というものはないと私は思うのです。  運輸省にお尋ねしますけれども、いま国鉄の総裁の方から意見が言われましたけれども、ちゃんと取るように行政指導しませんか。
  71. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 この問題につきましては、先ほど国鉄から御答弁がありましたように、会社を設立した際にいろいろな経緯があったのではないかと思います。しかし、その後もちろん年月もたっておりますし、情勢も変わっているわけでございます。また、先ほど総裁が御答弁申し上げましたように、国鉄貨物部門についてはなりふり構わず取れるものは取っていくというようなこともしないとなかなか収入も上がらぬというような情勢でございますので、いまお話のありました点は今後十分検討させていただきたいと思います。
  72. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 われわれに言わせれば、土地の問題でもこういう大企業利益のためには至れり尽くせりのサービスをしておりますけれども、同じ土地を提供する場合でも、たとえば地方自治体ですが、いまいろいろと自転車置き場の問題が問題になっておりますけれども、こういうものからはちゃんと金を取っているわけです。御承知のとおり自治体の財政は非常に苦しい状態です。それにもかかわらずちゃんとお金を取っているのです。これは貨物のお客であろうと旅客であろうと国鉄にとっては同じお客です。むしろ旅客の方が収益が上がっているわけです。もっともっと旅客を大事にしなければならないと私は思うのです。  自治体が住民のための自転車置き場にするということで貸してくれと言ったような場合には、それこそ無償でやるべきだと私は思うのですが、この点、国鉄総裁、いかがですか。
  73. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 これはいろいろお考え方があろうかと思います。現状は確かに原則は賃貸料をいただくことにしておりますが、しかし、各地域とも繁華街といいますか、非常ににぎやかなところに駅がある場合が多いものでございますから、そうしますと土地の価格も大変高いということになりますので、その高い価格で貸すということでは自治体としてもなかなかむずかしかろうということで、地価との関係から言いますとかなり割引していると言ったらいけないかもしれませんが、地価から計算されてくる価格といいますか、水準から比べますと、半分以上引くというようなことでやっておるわけでございまして、これはいろいろお考え方がございます。  そして、地元からは無償でもいいじゃないかという御議論もしばしばあるわけでございますが、全く無償というわけにもいかないということで、ほどほどの水準で決めておるわけでございます。それと先ほどのこととがアンバランスじゃないかという点はいろいろあると思いますが、今後そういう点もよく横並びで見てみたいと思います。
  74. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 中央線の国立駅の南口と、それから東北線の水沢駅の西口に自転車置き場があるのですけれども、これをちょっと調べてみたのですが、これは市役所にも電話してみましたけれども、何とかしてくれぬかと言うのです。国立の場合は年間に十万五千円払っているのです。それから水沢市の場合には年間に三十六万二千百八十八円払っている。水沢市の方が高いのですね。国立の方が安いのです。ですから、基準のとり方に問題があるのです。私は、自治体の皆さんから、何とかしてくれぬか、こういう負担にはもう耐えられぬ、われわれは住民のためにやっているんだから国鉄さんはサービスでもって土地を提供してくれたらいいじゃないかという、そういうような要望を受けているのです。いま一般の額よりもサービスをして貸しているんだというお話ですけれども、私は、ぜひこれは無償で提供するようにお願いをしたいと思います。  お金を取る場合でも、現在基準が非常にまちまちになっています。一応の基準はあったとしても、その基準どおり実施されていないというような状況だと思うのです。たとえばいまお話ししましたように、水沢の場合には百六十平米貸しているわけですが、三十六万二千百八十八円です。国立の場合には二百二平米で十万五千五十七円ですよ。倍の土地を借りておって三分の一以下の使用料しか払っていないのですね。  では、公示価格は東北線の水沢駅の方がうんと高いのかというと、これはおたくの資料によってもそうはなっていないと思うのです。公示価格は水沢と国立でどっちが高いのですか。
  75. 高橋説明員(高橋浩二)

    ○高橋説明員 水沢の公示価格の方が、国立の駅付近の公示価格より安うございます。  ただいま御指摘の点につきましては、水沢の駅前に自転車置き場をつくる契約を水沢市といたしましたのは四十九年度でございます。国立の方はその後五十年度になってからのことでございまして、実は、私の方も自転車置き場の値段について明確な基準がなかったものですから、一応公示価格を基準にして水沢市とお話し合いをいたしました。その後各所からいろいろ強い要望がございましたので基準をつくりまして、いま総裁が申し上げましたように一応割引率等を決めて、全国一律の方式でやりたいというふうに考えております。
  76. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、水沢市の場合には、現在まだ三十六万何がしかの金を取っているわけでしょう。これは是正されるのですか。
  77. 高橋説明員(高橋浩二)

    ○高橋説明員 次期の契約のときにはこれを改めて、全国一律の基準で契約をいたしたいと考えております。
  78. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 それは不公平じゃありませんか。いつ契約期限が切れるのかわかりませんけれども、いま直ちに契約し直したらいいんじゃないですか。どうですか。
  79. 高橋説明員(高橋浩二)

    ○高橋説明員 元来、自転車置き場につきましては都市施設というふうに私の方は考えておりまして、都市側でつくっていただくということを従来は原則に考えておりました。ところが、実際には駅前付近に来ていただく方、自転車に乗って来ていただく方の相当部分国鉄を利用していただくという実態もございますので、私の方もその後割引制度を考えたわけです。この契約は一応三年になっておりますので、これは近く再契約に持ち込めるんじゃないかというふうに考えております。
  80. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そういう態度ですよね。結局再契約するまではいままでと同じ基準で取っていくんだ、不合理だということがわかっても取っていくんだということですね。それは非常におかしいと私は思います。もともとこんなものを取るべきじゃないのですよ。貨物のためには無償で提供して、旅客、住民のためには高い金を取って自治体を困らせる。そんなことは天下の国鉄がすることじゃないと思いますね。しかし、まあいいです。それはもう国鉄の態度というものがはっきりわかりましたからそれ以上は言いませんけれども、私は、こういうことがやはり大企業本位国鉄だというふうに非難される大きな理由だと思いますよ。  それで、次に移りますけれども、現在臨海鉄道が十一社ありますね。その出資総額はどのくらいになっておりますか。それと運収は……。
  81. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 実は、現在十三社ございます。その出資総額は五十一億でございます。
  82. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 三浦君、質問を続行してください。
  83. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 それで、運収はどのくらいだと聞いていたのですよ。
  84. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 臨海鉄道にかかります国鉄に入ります運輸収入は百八十五億でございます。
  85. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 こういう会社に赤字である国鉄が何で出資しなければいけないのですか。それこそむだな投資だと私は思うのですが、いかがですか。
  86. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 国鉄はどうやってお客さんを集めるかということをまず考えなければいけないわけでございまして、そこで、臨海に何か施設をつくる必要がある場合、外国から輸入してきた品物が港に揚がったときに、そこで荷物をピックアップしまして、短い線路をつくって在来線につなげていくということによってお客さんをたくさん集めたいわけでございます。  その場合に二つの方法がありまして、一つは、国鉄自身が港湾が整備される機会にレールをそこに敷くという方法があるわけでございますが、臨海というのは、どうしても、幾つかの企業が港湾に工場をつくるとか、あるいは荷揚げ設備をつくるとかいう関係になってまいりますから、何も全部国鉄が出す必要はないじゃないかということで、むしろ独立の会社をつくって運営していく方が少ない投資で同じだけのお客さんを集めることができるのではないかという発想から出ているわけでございます。したがいまして、自分でつくるかわりにその地域におられる関係会社の共同出資を求めてやっているわけでございますので、出資そのものによって配当が幾らあるかとか、そういうことを必ずしも頭に置いているわけではないわけでございます。  ところで、先ほどの数字で私ども感じますことは、出資の額と運賃収入の額が必ずしもうまくバランスがとれていない、出資したものにふさわしいだけのお客さんにまだ集まってきてもらえないという現状でございます。それはなぜかといいますと、臨海鉄道のうちで出資をしておりますのは比較的最近できた臨海鉄道であるわけでございまして、そういう関係で、そういう地域の港湾のいろいろな活動がまだ必ずしもすべて活発になっておりませんので、出資にふさわしいだけの荷物がまだ集まってきていないわけでございます。しかし、これは一種の懐妊期間でございますから、時間の経過とともにそれにふさわしい成果を上げるものと思っております。もちろん、個別具体的にはなかなか当初考えたほどうまくいかないというような時点もございましょうけれども、全般的には、そのものをつくりましたことによりまして漸次お客さんを集めてくる力として働いてまいるものと思っております。
  87. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 物資別専用基地の場合もそうでしたけれども、この臨海鉄道の場合も本来国鉄がやらなければならないことなのだ、しかし、国鉄だけでやったのでは余りに大企業サービスというふうになるから大企業からも出資を得てやるのだ、本来は国鉄がやらなければいけないものなのだという、その考え方が非常に問題だと私は思うのですよ。  あなた自身も前の委員会のときにはそういうことを言っていないでしょう。五十一年五月二十一日の本委員会であなたは臨海鉄道の問題を聞かれていますよ。「どなたかがお金を出して敷設をしておいてくださればよろしいわけでございますが、」と言って、これは懐妊期間が長いので、「民間だけでやっていただきたいと思いましても、それではなかなか進まない。そこで、利害関係者である国鉄もやはり一口乗ってくれとか、あるいは相当多く乗ってくれとか、それならばやってほしいというようなことになるようでございますが、おっしゃるとおりの事情から申しますと、当社の経営状態がこういう状態だというところから申しますと、そこらはこちらもなかなか出しにくいところでございます。」と言っています。そして、しかし、そう言っていてもなかなか臨海鉄道ができないので、そこら辺がなかなかむずかしいことだということを言っているのです。ですから、本来国鉄がつくるべきだという考え方であなたは答弁されていないですよね。  実際に見てみましても、たとえばここに臨海鉄道のパンフレットが幾つかありますよ。これは「鹿島臨海鉄道七〇年開業御披露」というパンフレットですが、社長さんのごあいさつに、「当地の生産品、原料品、諸資材等の輸送の円滑化と流通経費の節減をはかり、もって当地区は勿論、わが国経済の発展に寄与し」云々と言っています。流通経費の削減を図る、安く運べるということなんですね。これは臨海工業地帯に進出してきてこの臨海鉄道を使う荷主である大企業のメリットなんです。そのためにこの臨海鉄道というものがつくられているということははっきりしているじゃありませんか。どうなんですか。
  88. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 それは必ずしもそうは言えないと思うのでございまして、国民経済全体にとりまして、どうやって輸送コストを下げるかということはみんなで考えるべき問題だと思います。そしてそういう臨海鉄道ができますことが物を安く運ぶことになるということになれば、もちろん御指摘のように荷主さんの利益でもございますし、私どもとしては少しでも荷物を集めたいという趣旨から言えば私ども利益でもございますし、それによって輸送コスト全体が下がれば、それは国民経済の利益でもあるわけでございまして、その意味において、だれの利益と言いましてもみんなの利益でなければならない。そういう場合に限ってつくられてしかるべきものではないかと思うわけでございまして、必ずしも荷主さんだけの利益ということではないのではないかと私は思うわけでございます。
  89. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 だれがこの建設費を負担しなければならないのかという問題なんです。何で国鉄が負担しなければいけないのですか。
  90. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 それは具体的に個々の場合によって決まってくるのであろうと思います。そして、最終的には判断でございまして、出資をしなくても会社が相寄ってつくって、それを私どもの方に荷物を載せてくださる、これは非常にありがたいわけでございます。しかし、いつになったら荷物がそれだけ大量に運ばれることになるか、港がいつ整備できるかなかなかわからぬということで、先ほど御引用いただきましたように、私の前のときのお答えにもございますように、懐妊期間が長いものですから、国鉄も出しますからおやりになりませんかということでないとできない場合もあるわけでございまして、それは個々の事情によると思います。  ただいま田口常務から説明しましたように、臨海鉄道会社はかなりの会社の数がございますが、いまから考えますと、もう少し国鉄が多額のものを出資して臨海鉄道をつくっておけばよかった、それをヘジテートしたために臨海鉄道ができなかった、よってもって荷物がうちの方に入ってこなくなってしまったという場合もたくさんあるわけでございまして、失敗例、成功例いろいろさまざまでございます。一概に出資するのは不要であるということにはならないと確信をいたします。    〔浜田委員長代理退席、佐藤(守)委員長    代理着席〕
  91. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 物資別基地をつくる場合には、大体国鉄は半額を出資していますよ。ところが、臨海鉄道の場合にはそんなに多くは出資していないんです。一割ぐらいのところもある。会社によっていろいろ違いますけれども、たとえば神奈川の臨海鉄道ですけれども、これは株主が三十五名おります。その内訳を見てみるといっぱいおりますね。いまはやりの丸紅もおります。それから日本石油化学であるとか、三井物産であるとか、味の素だとか、日立セメントだとか、やれ大協石油だとかいろいろありますけれども、三十五名おります。臨海鉄道をつくるのに、三十五名の株主の中に何で国鉄が入り込む必要があるのですか。その分だけほかの大企業の出資が減るというだけの話であって、国鉄が出資をしなくても臨海鉄道はできるものなんです。  この神奈川の臨海鉄道の資本金と国鉄の出資額をちょっと言ってください。
  92. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 神奈川臨海鉄道の資本金は十三億七千六百五十万円でございまして、国鉄の出資金は十三億七千六百五十万円のうち五億円でございます。
  93. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうでしょう。ですから、この五億円の出資金を何でほかの三十四の大企業が負担できないのですか。国鉄が五億円の出資金を負担しないからといって、臨海鉄道がじゃやめたというようなことにはならない性格のものです。ここにもいわゆる貨物投資に対するむだ遣いというものがあらわれていると私は思うのです。  それから、総裁は臨海鉄道をつくらなかったので荷が逃げたというようなことを言っておられるけれども、これもあなたたち答弁ではっきりしているけれども、逃げていくような性格のものじゃないんですよ。石油であるとか、そういうもので、鉄道による大量輸送に一番適しているものなんです。コストも、これで運んだ方が安いのです。船で運ぶということもあるけれども、臨海鉄道は内陸に向かってどんと出ているでしょう。ですから、そんな一般論で片づけられない問題があるのです。私は、どう見たって、この臨海鉄道に対する出資というのは、企業の負担を軽くしてやるために国鉄が出資しているというふうに断言してもはばからないものだと思います。
  94. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 一般論で議論してはいけないことはおっしゃるとおりでございますが、国鉄の出資が大企業を援助するために出しているのだというふうに一般論で御説明になるのもいかがかと存じます。私ども、それが結果としてよかったか悪かったかということについてはいろいろ御批判を受ける場合もありましょうし、そして、また、これはこれから改善していかなければならぬ場合もございましょうけれども、要はいかにしてお客さんを集めるかということで、せっかく明治以来つくりました鉄道が全国に網になっておるわけでございますから、そこへちょっとつなぐことによってお客さんを誘引することができれば、それはそれなりの効果があると思います。  その場合に、おっしゃるとおり、私どもが出資をいたしませんでも皆さんの間でつくっていただけるという事情であれば出資は必要はないということでございましょうが、私どもが口火を切りませんと出していただけない場合はやはり出してよろしいのではないかと思いますし、これは今後とも個別個別の事情に応じて、出資していく場合とそうでない場合と考えてまいりたいと思います。
  95. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 この臨海鉄道ですね。これについても国鉄の用地を無償で貸しておる場合がたくさんあるのですね。見てみると有償の場合もありますね。本線が通っておる敷地は有償で通っております。ところが、連絡運輸設備というふうにあなたの方で言っていらっしゃいますけれども、その敷地については無償で提供しておりますね。これは何でそういう区別をされるのですか。全部有償でお取りになったらいいんじゃないですか。こういう御時世なんですからね。
  96. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 国鉄では、現在の姿勢として、連絡設備としての線路敷は無償にしております。これは当然臨海鉄道あるいは専用鉄道その他とつながるものでございますので無償にいたしております。それから有償の分につきましては、たとえば神奈川の有償分は事務所、あるいは水島の有償部分は本線敷でございます。それから釧路も本線敷でございまして、連絡設備につきましては、連絡設備がありませんと貨車がつながりませんので、当然国鉄で無償にいたしております。
  97. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 何が当然なんですか。その連絡運輸設備というのは臨海鉄道の設備でしょう。その設備のために国鉄の用地を貸しておって、臨海鉄道というのは営利会社ですよ。それに無償で貸すのが当然であるというあなたたちの感覚は、感覚が麻痺しておるのじゃないかと私は思うのです。大企業のために奉仕するのが国鉄の使命であるとあなたたち考えておるから、そういう当然でありますなんという言葉が出てくるのじゃありませんか。何で本線敷と連絡運輸設備と分けなければいけないのですか。臨海鉄道は本線敷も必要だし、連絡設備も必要なんでしょう。連絡設備がなければ国鉄につながっていかないじゃないですか。臨海鉄道が必要だからこういう設備を設けておるのです。それを、連絡運輸設備は無償である、本線敷は有償である、それはあたりまえなんだという、そういう感覚は私は全然わかりませんね。わかるようにちょっと説明してくれませんか。
  98. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 連絡施設は国鉄も必要でございますし、臨海鉄道も必要でございます。したがって、用地は提供はいたしておるのでありますが、上部分につきましては、構造部分につきましては臨海鉄道が負担しておりますので、それぞれ必要に応じて負担し合うのが妥当だというふうに考えております。
  99. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そんな理屈でいったら本線敷だって必要でしょう。臨海鉄道全体が国鉄は必要だと言っておるのだからね。そうでしょう。本線敷と連絡運輸設備と区別する必要はないじゃありませんか。いろいろの会社から持ってきて、本線で持ってきて、仕分けして、そこから国鉄につないでいくわけでしょう。その連絡設備を何で無償で貸さなければいけないのですか。わかりませんね。そういう感覚でおやりになっているから貸物は赤字になるのですよ。取るべきところから取らなければいかぬじゃないですか。  それから、臨海鉄道から国鉄を通って物を運ぶ場合、通し運賃でやっておりますね。いわゆる併算制ではありませんね。併算制でやるのと通し運賃でやるのとどっちが荷主にとって有利なんですか。
  100. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 荷主にとってどちらが有利かということになりますと、併算運賃の方が不利になりまして、通算運賃の方が有利でございます。
  101. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 安いわけですね。旅客の場合にはどういう運賃の取り方をしていますか。併算制じゃありませんか。
  102. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 旅客の場合は併算でございます。
  103. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、何でそういうことをやるのですか。旅客の場合には旅客に不利な運賃の取り方をやり、貨物の場合には荷主に有利な通し運賃制度でやる。これは何で併算制でやらないのですか。併算でやった方がおたくの方はうんと収入が上がるのでしょう。どうなんですか。
  104. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 これの御説明をいたします。  現在、臨海鉄道及びこれに準ずるといいますか、列車でもって臨海から出てまいりますところの、あるいは私鉄から出てまいりますところの貨物列車につきましては、機関車の入れかえだけで直ちに国鉄の営業線を走ることができます。したがいまして、ばらばらと一社ずつ出てくる場合にはそれぞれ入れかえを伴ったりいろいろいたしますのでコストがかかります。  考え方を申し上げますと、鉄道運賃ターミナルコストとランニングコストがございます。ターミナルコストは発のコストと着のコストでございます。そのあとはランニングコストで、走る経費でございますが、臨海鉄道及び大量の貨物を出す私鉄につきまして通算いたしておりますのは、荷主にとって併算をいたしますとターミナルコストを二回払わなければなりませんので、私鉄の場合の着コスト、国鉄の場合の発コスト、両方払わなければなりませんので、通算制の方が荷主にとって妥当だというふうに考えております。  旅客の場合ですと、一たん必ず駅におりまして、そして改札の要員の手をかりて国鉄のホームから電車に乗るということでございますので、ターミナルのコストはそれぞれ二度かかりますので、原則として併算という形にしてございます。
  105. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 併算制にするとターミナルコストを二回取ることになるからとおっしゃいましたが、しかし、あなたたちは臨海鉄道をつくる場合でも、いま言ったように、土地の無償提供をやるとか出資金をするとかいっていろいろなサービスをしているわけでしょう。それであれば当然旅客についても併算運賃をやっているわけだから、それで取った方がいいのです。取れるものはなるべく取ったらいいじゃないですか。赤字なんでしょう。私はそれをやるべきだと思うのです。それをやればどのくらい多くの利益が上がるかということですね。  それから、運賃の計算の方法でも併算制にした方が簡単でしょう。通し運賃にしたら後で計算するのが大変でしょう。ですから、あなたはいろいろな理屈を言われましたけれども、やはり併算制にした方が国鉄収入が上がるということははっきりしているわけなんですから、そういう方向検討すべきだというふうに私は思うのです。  それでお尋ねしますけれども、全部併算運賃でやった場合、四十九年度ですけれども、どのくらいの増収になりますか。
  106. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 これは国鉄の場合を二百キロで計算させていただきました。それから臨海の場合を二十キロで、二百二十キロということで、扱いトン数は全く現実の扱いトン数で計算いたしますと、併算に切りかえたといたしますと二十一億運賃収入国鉄の取り分がふえるということになります。
  107. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 大体われわれの計算と合っていますけれども、二十一億という金は大変な金ですよ。国鉄は三兆一千億も赤字だから二十一億ぐらい大したことはないと言うかもしらぬけれども、これだけの金を集めるというのは大変なことですよ。そうであれば、こういう通し運賃なんというものはやめて併算運賃にしたらいいじゃないですか。大臣、どうですか。
  108. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 いままでいろいろ事務当局との質疑を承っておりまして、事務当局の説明のとおり、いろいろな歴史的経過あるいは個々の実情等にいろいろな差がありまして、現在までの処置が必ずしも不当だとは言えないと思いますけれども、何しろ国鉄の現状は御承知のとおりでございますし、これを再建いたしますためには、何しろ競争相手があることでありますから、もう運賃だけに頼るという時代ではなくなっております。俗な言葉で言えば、取れる理屈のあるものは発想を転換してできるだけたくさん取るという方向で処理をすべきものだと考えております。
  109. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 わかりました。  国鉄総裁、どうですか。
  110. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 いまの大臣のお答えのとおりでございまして、私どもも、合理的な理由があり、大いに収入を上げることができるものについては、過去の考え方にとらわれないで改善していくべきものと思います。  ただ、その場合にお断りしておかなければいけませんのは、さっきから申しますように、やはり、過去のできましたときのいろいろな経緯もありますし、それを個別にいろいろ考えなければならないという問題が一つと、もう一つは、収入はどうしても上げたいわけでございますけれども、その上げ過ぎによってお客さんがまたさよならされるというのは困るわけでございまして、そこらを、貨物の場合には旅客と違いまして個別の事情をよく見当をつけてやりませんと、後で失敗したということでまたおしかりを受けることがあっては困るわけでございまして、その辺個別に少しきめ細かくいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、いままでそうだったからその考え方は変えないということではなく、いろいろやってまいりたいと思います。
  111. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 それじゃ、これはどうですか。いま国鉄が私有貨車の改良工事をやっているわけですけれども、この私有貨車の改良工事費を全額国鉄が負担しているのですね。私有貨車は企業のものですよ。これはどのくらいの費用を国鉄が負担しているのですか。   〔佐藤(守)委員長代理退席、浜田委員長代   理着席〕
  112. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 二段リンク化をいたしますために、私有貨車の改造をすでに四十二年四月から行っております。  金額を申し上げますと、四十二年四月から四十四年三月まで二軸貨車の二段リンク化を行いました。これが三億四千八百万でございます。続きまして、四十五年一月から四十五年十二月まで、二軸ボギータンク車の台車の改造をいたしました。全部下回りでございますが、五億三千六百万円でございます。四十五年四月から四十八年三月まで、ホッパ車脱線防止対策台車改造といたしまして六千七百万円の改造経費を投じております。
  113. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 これは何のために企業の持っている私有貨車の改良費を国鉄が負担しなければならないのですか。こんなことはやめるべきじゃないですか。
  114. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 理由を御説明申し上げます。  四十二年、四十三年十月のダイヤ改正以前は、その後もそうですが、特に北海道を除きまして幹線の各線区が、旅客列車の増強によりまして、大変な貨物のスピードのおそい列車のために旅客列車がなかなか入らない、したがって国鉄として増発をしてかせぐにも貨物のためになかなかかせげないという事態が起こってまいりましたので、国鉄の貨車全部につきましては、北海道を除きまして二段リンク化を行ったわけでございます。そういたしまして線路容量を上げまして、たとえば規格ダイヤ、旅客列車は百十、貨物は七十五ということでパターンを決めまして、できるだけ旅客列車を入れて、なおかつ貨物列車を削減せずに入れていくというために二段リンク化を行ったわけでございます。  したがいまして、私有貨車約二万両につきまして二段リンク化を行いませんと、この私有貨車のために内地の貨物列車が六十五キロに抑えられますと、当然各駅に待避線を設けたりいろいろ金がかかるわけでございます。したがいまして、私有貨車の上部分は全部荷主が負担はいたしますが、国鉄利益をもたらすところの下部の構造につきまして国鉄として負担をいたしたわけでございます。
  115. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 貨物列車が速くなるというのは、それは国鉄利益かもしれないけれども、荷主の利益でもあるのですよ。  それで、ここに「貨物」という雑誌がありますけれども、ここでは、「従って私有貨車の所有者としての問題点は……貨物列車が早くなるということは、種々の点から好ましいことであるが、そのために私有貨車の改造や新造に大きな経費を負担することは……という点である。」となっています。つまり、これはちょっといやだという声が出てきて、それで、これは社団法人鉄道貨物協会が出しているものですが、「当協会が中心となり、各所有者の意見を集約、昨年十一月国鉄へ申達するとともに、その後数度にわたりその実現方をお願いしてきたが、今回標記のような決定を見たものである。」というふうに記載されているのです。  国鉄自身ももともとこれは国鉄自身が負担すべきものではないと考えておったのじゃないですか。やはり、荷主の方の強い要求によって何回も交渉して、そしてとうとう荷主の要求を受け入れたという結果になっていると思うのですが、そういう事実関係ですか。
  116. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 どちらが負担をするべきであるかという過程はございました。しかし、国鉄利益は、先ほど申し上げましたように従来の線増をせずに相当の旅客列車が増発できる、しかも貨物の待避線を余分につくらなくていいとかいろいろと検討いたしまして、結論が出ますれば当然国鉄が持つべきだということでわれわれが持ったわけでございます。  いまの「貨物」に書いてございますのは、これはPR雑誌でもございますのでそのように書いておるものだと、私はそのように考えております。
  117. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 国鉄利益にもなる。何でその利益を自分のところへしまわないのですか。線増をしないで旅客をうんと運べるから国鉄利益になる、だから私有貨車の改良工事費は国鉄が負担してやるのだ、と、そんなことを何でする必要があるのですか。私有貨車の所有者が負担すれば、当然それだけあなたたち利益が上がるわけでしょう。それだけ赤字が減っていくじゃありませんか。さっきから何だかんだと理屈をつけて、いや、私どもの方にも利益があるのです、荷主の方にも利益があります、だが、私の方の利益は全部吐き出しちゃうのですというようなことは、それこそまさに大企業のために奉仕しているという結果にしかならないのですよ。その結果どんどん赤字がふえ続けているというのが現状でしょう。何でそういう利益を吐き出さないようにしないのですか。これはまだ現在も行われているでしょう。  もっとひどいのは、今度の改良工事で私有貨車で廃車しなければいけないというような廃車対象車に対しては、新造費、つまり新しくつくる私有貨車の建造費の一部も負担するというようなこともやっているでしょう。これこそ全く大企業には至れり尽くせりのサービスなんですよ。まだこれは続けているわけですね。今後もずっとこういうことを続けていくのですか。何で私有貨車の所有者に負担をさせないのですか。させる意思がないのですか。総裁、いかがですか。
  118. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 一つだけ説明が抜けておりましたが、詳しく御説明いたしますと、先ほどのように旅客列車が相当増発される、待避線は余分につくらなくてもいいということは、なるほど列車は六十五キロから七十五キロになりましたけれども、荷主は速いメリットはないわけでございまして、やはり、同じような列車がふえれば同じところに待避をいたす、もし六十五キロだと各駅に待避線をつくらなければならぬ——結局、発時間から着時間まで荷主にとってはメリットはないわけです。あるのは、国鉄だけがメリットがあるわけです。  以上です。
  119. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そんなことないですよ。ちゃんと荷物が早く着けばいいと書いてあるよ。それならそんなことを交渉する必要はないじゃないですか。国鉄だけがメリットがあって荷主にメリットがないなら、どっちが負担するかなんということを何回も何回も交渉する必要はなかったでしょう。あなただって、一番最初どっちが負担するかということについて交渉したという経過はあると言ったでしょう。それはあなたはいまこの席で言い逃がれに言っている言葉じゃないですか。こういう設備投資のやり方が結局国鉄貨物赤字をますます大きくしているのだということを私は指摘したいのです。  運輸省、さっきから何回も細かい問題を出しておりますけれども、われわれから言わせると、こういうむだ遣いは企業が負担すればいいことなんです。ですから、そういうものは企業に負担させるという方向で指導なさいませんか。
  120. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げたわけでございますが、国鉄貨物につきましてはいろいろな習慣があるようでございます。国鉄貨物というのは、商売でございますからやはり荷主との間でいろいろ交渉して、臨海鉄道の問題にいたしましてもターミナルの問題にいたしましてもいろいろ話し合いをして決めているわけでございますが、その間いろいろな事情があって、いま御批判を受けているような結果も出ているのではないかと思います。  しかし、基本的には、先ほど来申し上げておりますように、とにかく国鉄貨物収入をふやさなければどうにもやっていけないという情勢でございますので、収入がふえるということを前提に現在の制度もいろいろ検討いたしてみたいと考えております。
  121. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 収入をふやすということと、経費を節減していくということはやはり大事なことですよ。  それで、私は次に移りたいのですが、投資のアンバランスの問題についてお尋ねします。  高木総裁は五月十四日の本委員会で、新幹線は全部政府出資ではないので、結果的には在来線の方の改良その他が大変おくれているという答弁をされておられます。在来線の改良と新幹線のバランス考えていかなければならないということも言われております。この指摘は大変重要な指摘だと私は思うのですね。高度成長期に急速にふやされた国鉄設備投資が、新幹線建設や、またいま私がるる申し述べました大企業本位貨物輸送近代化に異常に集中されてきた。そういうことが投資のバランスを崩して、そして安全問題でもその危機が非常に言われていますね。安全問題が非常に深刻化している。それから、また、地域内の交通、いわゆるローカル線であるとかいろいろな問題が大変不便になっている。いわゆる公共交通輸送機関としての役割りが地方では果たせなくなっているというような荒廃現象も起きているわけです。  それでお尋ねしたいのですが、総裁は、在来線の改良がおくれていると言われたのは具体的にどういうことを指して言われたのでしょうか。
  122. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 その前に三浦先生に申し上げます。  各党申し合わせの時間が参っておりますので、その点を御了承の上お願いをいたします。(発言する者あり)  ただいま三浦先生に申し上げているところでございますので、三浦先生におかれましても、理事会における各党申し合わせの時間が参っておりますが、ただ、質疑が佳境に入っておりますので、適切な時間については委員長がこれを配慮いたしますが、その点について御了解をいただきたいと思います。(「配慮したらだめだ」と呼ぶ者あり)  静粛に願います。
  123. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 委員長、切りのいいところでやめます。
  124. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 あと一問か二問でお願いいたします。
  125. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 在来線の複線化でございますとか、あるいは電化でございますとかいうことは、サービスの向上という面から言いましても安全の面から言いましても非常に重要であると思いますが、過去の投資の実績を見ましても、岡山から博多への新幹線の整備であるとか、あるいは東北新幹線の整備であるとかいうことがハイピッチになってまいりますときには、そちらの在来線の方を多少抑えぎみにしなければならないことが、数字の上でも、過去の実績の上でもどうしてもあらわれているわけでございます。  ほかにもまだいろいろございますが、そういう意味で在来線についての、たとえば一例を挙げますと複線化とか電化についてもう少しお金を提供していただければ進めたいと思うところがいろいろあるわけでございます。そういうことはほかにもございますけれども、一例として申し上げます。
  126. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 質問を省略するためにちょっとまとめて聞きますから、お答えいただきたいのですが、昭和三十二年から五十年までの設備投資の総額、同じ期間の新幹線投資の総額、それから在来線の線路増設投資の総額、線路強化改良投資額の総額を御報告いただきたいと思います。
  127. 馬渡説明員(馬渡一眞)

    ○馬渡説明員 ただいま昭和三十二年からとおっしゃいましたが、手元に三十三年から集計してございますので、お許しを願います。  線路増設の費用は、五十一年は予算を一応入れさせていただきまして九千四百十九億、それから線路改良にうきましては二千五十七億、新幹線は二兆二千三百八十七億になっております。
  128. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすると、新幹線の占める割合は圧倒的に多いわけですね。その結果国鉄の安全面にもいろいろな影響が出ている。このことが監査報告にも指摘されています。たとえば五十年度の監査報告ですけれども、ここでは、「最近、一部の線区において、軌道整備状態の低下がみられ、このまま推移すれば正常な輸送の確保に影響を及ぼすことが懸念される。」と言われておりますね。そしてこれは昭和四十九年度の監査報告書でも全く同じことが指摘されているのです。これは安全に関係する問題でしょう。「軌道整備状態の低下がみられ、このまま推移すれば正常な輸送の確保に影響を及ぼすことが懸念される。」ということが四十九年度に監査委員会指摘をされ、そしてことしもまた指摘されているのです。  同じことが二度も三度も繰り返されるということは安全面では許されないと私は思うのですが、どうしてこういう同じ指摘を何回も受けるような結果になっているのですか。
  129. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 軌道整備が十分進んでおらないということは非常に重大問題でございますが、ただ、その原因がどこにあるかといいますと、投資の額が少ないということよりは、いずれかと申しますと、列車の本数が多過ぎましてなかなか保守間合いがとれないという問題が起こってきております。それから、過去から今日まで列車のスピードを上げてまいりました結果、スピードの増に伴うところの線路あるいは架線に対する影響というものがいろいろ出てきております。これはきわめて重大問題でございますので、投資の大きさということもさることながら、もう少し保守能率を上げる、そのためには、場合によれば、極端に申しますと列車をとめてでも保守をやるということをしなければならないということになりまして、お客様には大変御迷惑でございますけれども、新幹線の場合も年七回半日ほど休みにいたしまして、その休みの期間を利用して思い切って整備するということをやっておりますし、他の線区におきましても、臨時運休でお客様に御迷惑をかげながらまとまった時間内に整備をするというふうにいたしております。  それでございますので、監査委員会指摘も受けまして、また、私ども自身の認識に基づきまして急速に軌道を整備して、安全の確保に万遺漏なきを期するように心がけております。
  130. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 この軌道整備の問題だけじゃなく、いっぱいありますよ。たとえば昭和五十年度の監査報告の八十五ページですけれども、「電車線路の故障が六五件の発生で全体の七一%を占めている。これらの故障原因は、振動疲労、経年劣化等によるものが多いので、日常の保守管理を充実させるとともに、重架線化等設備の強化を更に推進することが重要である。また、架線・パンタグラフ系の事故については、その原因の解明が進められているが、更にその促進を図る必要がある。」となっています。これは五十年度だけじゃないのです。四十九年度も同じような指摘を受けているのです。  そうすると、事故の原因の問題について連続して指摘を受けながら、なおかつその問題についての対策をとっていない。対策をとっていないからまた同じ指摘を受けるわけですね。これはどうしてそうなるのか、私は不思議でたまらない。安全第一ということをあなたたちはしょっちゅう言われているわけですから、なぜもっと予算を取って、その安全第一というものを中心にしてこういうところに設備投資をどんどんやっていかないのですか。改良費をどんどんつぎ込んでやっていかないのですか。もし事故が起こったら、挙げてこれは国鉄の責任だということになります。その点について総裁はどういうふうにお考えでしょうか。
  131. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 私どもとしましては、新設もさることながら、既存設備の取りかえということに当然に重点を置いてまいりたいと考えております。安全が何より大事なことでございますから、新しく拡張するとかなんとかいうことよりもそっちの方に重点を置くことが優先であると思っております。  ただ、非常に悩んでおりますのは、ことしの投資をぐっと二千億余り抑えなければならないことになりまして、当初の予算予定されておりましたものよりも三割近い削減でございますので、どうしてもやりたいということは山ほどございますけれども、いまの点についても思うほど進められないという事態にいま陥ってしまったわけでございまして、その点については非常に深刻に受けとめております。  しかし、安全ということは何よりも大事なことでございますので、不足がちな予算をやりくりいたしまして、安全については削減率が大きく響きませんように努力をして、いま個別の対策を工夫いたしております。
  132. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 この際、三浦君に申し上げます。  先ほども申し上げましたように申し合わせの時間が参っておりますので、あと一問で終了していただきたいと存じます。
  133. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 切りのいいところまでやらせていただかないと……。
  134. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 それでは何時間やるんですか。
  135. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 いやいや、いま質問の途中ですから……。
  136. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 この際、委員長から特に申し上げますが、各党間とも質問の途中でありましょうとも——社会党の代表者におきましてもすべて時間を守りながらやってきておりますので、日本共産党も規律を守る政党でありますから、その点については的確にお守りをいただきたいと存じます。
  137. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 いやいや、その二時間というのは理事会で決めていないのです。
  138. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 もう一回だけ警告いたしておきます。
  139. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 安全という非常に重大な問題を質問しているわけですからね。
  140. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 ですから、委員長の裁断で、各党のおしかりを受けても時間の延長をしておるのですから、その点については御理解をいただきたいと存じます。  三浦君、これ一問で終わらせていただきます。
  141. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 総裁、言葉で言うのはやさしいと思うのです。しかし、それを実際の行動で示していかなければならないと思うのですよ。たとえば重大な事故が発生しています。これは羽越線で起きているわけですが、ここの本楯と酒田間において貨物列車の脱線事故が続けて起きているのです。昭和四十九年の六月十日、四十九年の七月十一日、それから五十一年の七月一日と、こういうように連続して脱線事故が起きておるのです。事故の原因についてはまだ調査中ということなんですが、それはそうなんですか。まだわかっていないのですか。
  142. 尾関説明員(尾関雅則)

    ○尾関説明員 御指摘貨物列車の脱線は、いわゆる競合脱線と言われているものに属しておりまして、平たく申しますと多数の原因が重なり合って起こるということでございまして、これは現在技術研究所を中心にいろいろな研究実験を行って、真の原因対策を解明しつつあるところでございます。  そこで、これは世界各国の鉄道が悩んでいる問題でございまして、だんだん研究の結果、貨車の動的な振動というものと線路の動的な変形というものが重なり合って起きるのではないかということがだんだんはっきりしてまいってきております。そして、その対策も少しずつ成果を上げておるところでございまして、今後なお一層研究を深め、対策を進めてまいりたいと存じております。
  143. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 答弁が明確でありませんので、もう一問だけ許します。
  144. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 あなたたち原因がわからないと競合だ競合だと言って逃げてしまうのですね。競合脱線とかいうような言葉は何も原因がわからないことの理由にはならないのです。わからないものをみんな競合脱線だなんて言って逃げてしまうのですね。実際これは国労の酒田支部でもって昭和四十九年の十一月二十三日に、いろいろな地域の人々と一緒に現地調査をしているのですね。そうしたら、犬くぎが二十一本手で抜ける状態だったというのです。不良枕木が百十九本もあったというのです。ですから、この脱線事故というのは線路の保守が悪いから起きたんだと思うのですね。この点はどういうふうにお考えですか。
  145. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 答弁は的確にお願いいたします。
  146. 尾関説明員(尾関雅則)

    ○尾関説明員 御指摘のような原因も重なりまして脱線したものと考えております。
  147. 三浦委員(三浦久)

    三浦委員 そうすれば、それについての対策も当然講じなければならないでしょう。原因一つはわかっているわけです。それについてどういう対策を講じましたか。
  148. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 一つだけお断りしておきますが、先ほど御指摘がありましたけれども、言葉の上できれいごとを言うということではございませんので、日々そういう問題に真剣に取り組んでおります。  特に貨物の競合脱線について事例を挙げて御指摘でございますが、担当理事から申し上げましたように、貨物についてはなお事故が絶えませんので弱っておるわけでございますが、たとえばつい先般も北海道の試験線で人為的に貨物の脱線という現象をつくり上げまして、それをいろいろ研究材料にするという大規模実験をいたしております。これは一例にすぎませんが、外部の方の御意見もいろいろ徴しながら、貨物の競合脱線についてはいろいろと努力を重ねております。  成果がばっと、あらわれるということになかなかなりませんで、あしたからそういうことがなくなるというお約束はできませんけれども、長い目で見ればそれが解消されると思いますし、さっきも申しましたように、保守についても、今後いままでよりも早いスピードで回復する努力をいたすことをお約束いたしたいと存じます。
  149. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  150. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君の質疑は終了しております。     —————————————
  151. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  153. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 質疑を続行いたします。松本忠助君。(「議事進行」と呼び、その他発言する者、離席する者あり)  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  154. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 速記を始めてください。  三浦久君に申し上げます。発言は松本忠助君になっておりますので、発言席を立って委員席にお戻りください。(三浦委員「しかし、非常に不当ですよ」と呼び、その他発言する者あり)  三浦久君の発言は許しておりません。不規則発言は慎んでください。(三浦委員「衆議院規則を守ってやってもらわないと困るよ。国会法、衆議院規則を守っていないじゃないですか。委員長は勝手に委員の発言時間を制限できますか」と呼び、その他発言する者あり)  御静粛に願います。松本忠助君。
  155. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 私は、まず、国鉄財政再建に関する基本的な問題につきまして、大臣国鉄総裁並びに鉄建公団の総裁に対しまして二十分程度、二番目に鉄道敷設法につきまして、主として大臣と鉄建公団総裁に対しまして約五十分程度、三番目に国鉄の部外投資につきまして、大臣国鉄総裁、各常務理事に対しまして約三十分程度、最後に国鉄の安全輸送につきまして、主として路盤整備の問題について約二十分程度国鉄総裁、労働省労働基準監督局長等に対して質疑を行います。したがいまして、答弁は簡潔に、そしてまた国鉄総裁のように大きな声でひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、始めます。  破局に瀕しました国鉄財政をどう立て直すかということが重要な政治課題でございます。それは、国鉄が過去のような独占的な地位が失われ、そうかといって相変わらずわが国の公共交通機関の中の中心でございますことは変わりはございません。国鉄再建できるかどうかによってわが国の輸送構造に重大な影響を及ぼすからでございます。しかし、今回の大幅な運賃値上げを基本とするところの赤字解消策がこういう重大な認識に立って作成されたものとは思えないわけでございます。要するに、二年連続の運賃大幅値上げは単に利用者に多大な負担を課すのみでなく、一時的な収支均衡策にすぎません。国鉄再建のための抜本策とは言えないと私は認識をいたしております。  その第一の理由は、大幅な値上げによりまして収支均衡が図られた後の国鉄経営の健全化を図るための具体的な施策が何一つ国民に示されておらないからであります。政府の国鉄再建対策要綱からは具体的な施策を読み取ることは全くできません。国鉄が昨年暮れに政府に提出いたしましたところの「今後の国鉄経営について」という文書にもその具体性が欠けているわけでございます。     〔委員長退席浜田委員長代理着席〕  たとえて申しますと赤字線の問題でございますが、今回、地方赤字線につきましては、赤字分の一部といたしまして百七十二億円の国庫補助がなされることになっておりますが、その一方で、赤字線の建設計画は、五十一年度鉄道建設公団が三十一線、千三百五十三キロの建設を進めようとしているわけでございます。しかし、これは運行と同時に膨大な赤字を生む、いわゆる赤字線というものでございます。  国鉄赤字の主たる原因は、貨物問題とこの赤字線の問題と二つございます。現在の国鉄財政赤字でございます。したがいまして、こういう現状からこの赤字線の建設を無原則に認めることはできないとわれわれは認識をいたしております。しかも、五十年度国鉄の監査報告書におきましても、新線建設は中止すべきであるということが指摘をされているわけでございます。  そこで、第一点の質問でございますが、いわゆる地方開発線などの赤字線の建設を無原則に認める理由が不明確であります。国鉄財政の現状からして、赤字線建設を進めることが可能と考えるかどうか、これが第一点。  第二点といたしまして、地方開発線などの赤字線は今後どうすべきか、国鉄財政再建策の中で明確にすべきではないかと私は思うのでございます。鉄道建設につきましては十分な配慮が必要だと思います。鉄道敷設法という旧態依然とした法律によりまして鉄道建設が進められ、建設の可否は鉄道建設審議会という特異な審議会によって審議されているのが現状であります。審議会の構成は、会長は自民党の総務会長が任命を受けるようになっております。このことは他の審議会には例を見ないことでございます。また、その構成員の内容からも、完全な第三者的機関という性格に欠けていると思うのでございます。  鉄道の建設、運営は国鉄が経営の一環として考えるべきでございますが、鉄道建設は国鉄の意向とかけ離れて推進されているのが現状であります。国鉄財政の現状からして、建設、運営が不可能な赤字線を三十一線区も建設することが必要なのかどうか、これが第三点目。  第四点目といたしまして、赤字線に対する政府の見解があいまいでございます。国鉄財政の危機を理由に値上げを国民に強要し、その一方で赤字線の建設を進める。これも国鉄の意思というものを全く無視してやっているわけでございます。赤字を生み出す要因を放置して国鉄再建が可能なのかどうか、これが第四点目。  第五点目でございますが、現在の経済情勢、国土開発の現状等を考えてみたときに、赤字線建設の法的根拠となっておる鉄道敷設法の抜本改正は絶対に必要であろうと私は思うのでございます。また、鉄道建設審議会を健全な第三者機関に改めるべきであって、政府・自民党の御用機関的な色彩は払拭をする必要があると思うのでございます。  この五点につきまして、大臣国鉄総裁から先にお伺いをいたしたいと思います。
  156. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 お答えいたします。  国鉄赤字の大きな原因一つが、貨物輸送の問題といわゆる地方ローカル線の問題にあることはそのとおりであると思います。それだけではないと思いますが、大きな原因であることは認めます。そういう状態、並びにわが国を取り巻いております経済的な諸情勢、国家財政の現状等を勘案いたしますときに、これ以上新しい線を敷設することは非常に困難であり、むずかしい問題だと考えておる次第であります。  また、鉄道敷設法は大正十一年の制定でありまして、確かに半世紀以上もたっていることでございますので、検討をすべきものと考えます。  それから、鉄道建設審議会の構成は、野党の方々も入っておりますので、必ずしも第三者機関的性格を具備していないとも言い切れないと思いますが、これについては構成の内容その他現状でいいか、そして、現在新線建設その他が置かれておる立場を考えた場合に、なおさらそのままでいいかどうか、考慮しなければならぬ問題だと思います。その会長に自由民主党の総務会長がなっている経緯は、これは審議会の互選でありまして、私ども承知しないところでございます。  また、そのほか抜本的な赤字原因を除去することなくして国鉄再建があり得ないという点についても同感でございます。したがって、運賃値上げだけで再建をしようというのではないのでありまして、二兆五千億円の債務に対して二千四百億円以上の利子補給等の措置も講じますと同時に、国鉄自体も従来の考え方を改めて、発想の原点を変えて、みずから利用すべきは利用し、収益を上げるべきは上げる、こういう画期的な措置に出るように計らうと同時に、本来国鉄が健全な経営をしておりますときに負担しておりました公共負担は、その政策の責任官庁において負担していただくということでありまして、国鉄赤字の状態のときに輸送原価を割ってまで負担しなければならぬ性質のものであるかどうか、私は非常に疑問に思っておる次第でございます。
  157. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 従来の考え方は、国鉄の経営、経理を総合的に考えるということであったのではないかと思います。地方のローカル線につきまして区分経理をしてみますと、確かに赤字になっておりますが、しかし、それは日本のように南から北に非常に長い鉄道を持っております場合には、そしてまたいろいろ奥地を持っております場合には、末端の路線だけを切り離してみますとこれが採算的に引き合わないということがありましても、それはやはり総合的に全体として見ていけばよろしいという考え方であったと思いますが、今回初めて百七十二億円の補助金をいただくことになりました。また、それを私どもがお願いすることになりましたのは、収支のアンバランス程度がローカル線について極度に大きなものになってまいりまして、必ずしも総合的に自力で運営できるという状態でなくなってまいりましたので、そういう状態にかんがみまして、改めて補助をお願いするという考え方に変わってきたわけでございまして、今後とも私どもといたしましては何とか少しでも経費を節するなりいたしまして、地方ローカル線についての赤字が余り巨大になりませんように努力をしてまいりたいとは思いますが、今回とられました措置のように、あるいは場合によりましたならば、先般来ここで御議論がございますように、これを多少とも広げていただきまして、赤字路線についてはそれなりの御援助をいただくということでないとうまくいかないのではないかというふうに考えております。  新線建設の問題、鉄道敷設法の問題、あるいは審議会のメンバーの構成の問題等につきましては、これは余り国鉄の方からいろいろと意見を申し上げるべき立場ではないと思います。国の総合的な政策の面からいろいろ御要請があってやっておられることと思いますので、国鉄から余りとやかく申し上げるべきではないと思いますが、しかし、現在進められております建設線の多くの中には、どうも採算的に引き合わないというものが相当程度あるわけでございますので、今日運営しておるものでさえかくも巨額の不採算の状態になっておることでもございますから、希望といたしましては、不採算線をどんどんと私どもの方に経営を預けられるということについてはやはり大変迷惑に思うわけでございまして、ここらにつきましては今後いろいろな角度から御配慮をいただいて、私どもの経理経営のためにお助けをいただきたいというふうに考えます。
  158. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 五点に分けまして御質問を申し上げましたが、どうも答弁が散漫でございますから、あとは細かく短く切ってやりたいと思います。  鉄建公団の総裁に伺いますけれども、具体的な建設状況につきましては後でまた私はお尋ねをいたしたいと思っておりますが、総裁として新線建設三十一線、千三百五十三キロというものを建設することを使命と思っていらっしゃると思います。しかし、やることによって赤字が出ることはわかっているわけでございます。全部が全部とは言わぬと思いますけれども、大部分において赤字が出るわけでございますが、そういうものを建設することはむだだとは思わないかどうか、これが一点。それから、篠原さんも鉄建の委員でございますが、鉄建審についてはどう思うかについて伺いたい。この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  159. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 私どもは政府の御命令を受けまして新線建設を担当しておるわけでございますが、しかし、これは多くの方々のために、ローカル線についてもシビルミニマムということを確保するという点でも非常に大事なことじゃないかというふうに思いまして、私どもは使命感を持っております。  いわゆるローカル線と言っていつも話題になっておりますものをわれわれのところはAB線と申しておりますが、御承知のとおり、AB線は、その建設はすべて国の出資金で賄っておりまして、いわゆる国民の税金で賄うわけでございます。しかし、そのAB線を敷設しましたための減価償却費は補助金として国がめんどうを見てくれております。そのために国鉄には無償で貸すことができる。公団の財産でございますが、国鉄に無償で貸し付けることができるということになっておりまして、それから事業資産に対しまして市町村納付金が普通は課せられておるのでございますが、公団が貸し付けたAB線にはこれが免除されております。これは御承知のとおりだと思います。  それから、もう一つの問題は、公団の財産でございますので、開業後災害が起こりますと公団の費用負担でこれを直すということになっておりまして、国鉄に対しては赤字の影響が非常に少なくなるように国が措置していただいておりますので、たとえば私どもで開業した線はいままで開業したのは三十四線ございますが、そのうち国鉄に渡してしまった譲渡線が一線、それから有償貸付の線、無償貸付の線とありますが、有償で貸し付けているもの、いわゆるCD線が主でございますが、これが十二線、それから無償貸付線が二十一線ございますが、この無償貸付線の赤字額というものは五十年度で二十四億でございます。公団の貸し付けたための損失は全体で三百二十一億でございますが、七%にしか当たっておりません。そういうようなことで、私どもとしましては、AB線に対してもCD線に対しても非常な使命感を持って考えております。  それから、鉄道建設審議会についても、運輸省からお話のありましたように正当な形で運営されているというふうに思いますし、私どもでいま取り上げている線区はほとんど国鉄から公団開設のときに引き継いだ線ばかりでございまして、四十八年に建議いただいたのが三線ございますが、これはまだ具体的に何も措置されておりません。
  160. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 予定した時間になかなかいかないものでありますが、次に貨物の問題であります。  客貨別に見た場合に、貨物輸送から生ずる赤字額が非常に大きいことは周知のとおりでありますが、四十六年におきますところの客貨別の経営成績は、旅客十億円の収入に対して貨物輸送が二千百五十三億円の赤字だということになっております。貨物赤字は毎年増加しまして、これが国鉄財政を悪化させている原因でございます。これは先ほど大臣もお認めになったとおりです。  そこで、第一点の質問は、今回の再建要綱にはこの貨物問題の対策が明らかにされていないと思いますが、確かに貨物対策は、対トラックの関係もありまして慎重に扱うべきであろうと思います。また、行政、輸送関係者、利用者のコンセンサスが必要であろうと思うわけでございまして、これをやらずして国鉄再建は不可能ではないかと私は思います。また、旅客貨物赤字を負担しているという不満が国民の中にはございます。その対策が明確にされないで運賃値上げを先行させようという国鉄再建要綱というものは国民の理解が得られないというふうに私は認識をいたしております。したがいまして、貨物対策を進めることが先決ではないか、値上げよりもまず貨物対策を進めるべきではないかということ、これが一点です。  第二点目は、貨物輸送力の低下は、わが国の総合交通体系が確立されていないことがその原因であろうと思います。総合交通体系は四十六年につくられましたが、これは御承知のように各交通機関の特性のみを羅列したところの官僚の作文であります。輸送分野をどのように調整するかという具体的な政策手段も不明確であります。また、それは経済の高度成長期につくられたものでありまして、あの石油危機を契機といたしまして当然見直しが行われるべきではなかろうかと思うものでございます。  そこで、国鉄財政再建というものは、国鉄のみでなく他の交通機関との関係で考える必要がありますので、総合交通体系が確立されていない現在、政府が国鉄収支均衡策を進めることはかえって国鉄再建を不可能にするものではなかろうか、まず総合交通体系をつくるべきであり、その後に国鉄再建が可能ではなかろうかと思うわけでありますが、この二点について簡略にお答えを願いたいと思います。
  161. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 国鉄赤字の大きな原因貨物にあるということは御指摘のとおりでございますし、貨物部門赤字を解消しない限り国鉄再建はできないと思います。  貨物対策を講ずる前に値上げをしてみてもしようがないではないかという御質問でございますけれども貨物対策としては昭和五十五年度ごろまでに固有経費収支均衡を図るという目標を立てておるわけでございますが、そのためには相当な努力をして、現在の貨物輸送体制を根本的に変えていくといいますか、体質を変えていく必要があるわけでございます。そのためには相当の時間を要することになりますので五年という目標をとっているわけでございます。その間全然値上げをしないということになりますとますます赤字がふえることになりますし、固有経費での収支均衡もむずかしくなるわけでございます。この際値上げはお認めいただいて、並行して国鉄輸送体質を変えていくための努力を続けたいと考えておるわけでございます。  それから、二番目に、総合交通体系が確立されていない現状では貨物赤字の解消はなかなかむずかしいのではないかという御指摘でございますが、総合交通体系というのはあくまで誘導行政だといいますか、行政の指針でございまして、総合交通体系によって貨物の流れ、動きを規制するということではないわけでございます。長距離輸送は一切トラックで運んではいかぬ、国鉄で運べというように輸送を統制することは現在の日本の経済体制のもとでは不可能でございまして、総合交通体系というものはあくまでも行政の指針と言うべきものではないかと思います。  総合交通体系の考え方については、陸、海、空の交通機関がそれぞれ特性に応じたところで自分の輸送分野として自分の特徴を発揮していくということを一応目標にいたしているわけでございますが、国鉄の場合には、中長距離の大量貨物輸送について輸送力を強化していくという目標が示されておるわけでございまして、その面で先ほど申し上げましたような輸送の体質を変えていくという努力が行われれば、他の交通機関との関係においてバランスがとれていくのではないかと考えているわけでございます。
  162. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 鉄監局長に聞きますが、この貨物問題と、それからつくればつくるほど赤字になるという新線建設の問題、こういう問題を解決しないで再建が可能と思いますか。端的に答えてください。
  163. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。
  164. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 解決しないとだめだと言うのでしょう。
  165. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 貨物問題と地方交通線の問題を解決しなければ国鉄再建はできない、さように考えております。
  166. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そこで、当然国からの補助ということが問題になってくるわけでございます。この問題につきましてもいろいろといままで言及されておりますので多く時間をとりたくないと思いますが、国鉄に対する国の補助というもののあり方は諸外国に比べて日本が非常に少ないのではなかろうかという気がしておりました。私はいろいろ資料をとって調べてみましたが、イギリスの国鉄では、国家歳出十七兆一千五百六億に対して国家財政援助がいろいろなものをひっくるめまして二千百四十一億やっておりますので、一・二%です。ドイツ連邦鉄道は十三兆四千五百八十四億国家歳出がございますが、このうちで国家財政援助が九千二百六十八億でございますので六・九%で、これが最高に援助をしていることになります。それからフランス国鉄が、十三兆一千百十七億の歳出に対しまして国家財政援助が四千八百七十四億で三・七%、これが二番目です。それから、日本は十九兆九百九十八億二千六百十一万円の財政援助でございますので、一・四です。これらはいずれも一九七四年度の実績でございますけれども、先ほど申し上げましたように最高がドイツ連邦の六・九で、最低がイギリスの一・二で、日本はイギリスとわずかに〇・二違うという状態でございます。確かに、西ドイツから見ますと補助が日本の場合は非常に落ちております。  そこで、さらにまたこれに輪をかけましたように、昨年に比べまして三〇%の補助が強化されると政府側では言っているけれども、実態は工事費の補助が百六十六億円の減額があり、出資金が今回はない。それから、総額で九百十五億円にすぎないわけでございます。将来の国鉄投資のあり方を考えてみたときに、工事費の補助金の減額、出資金の廃止というようなものは国鉄財政の負担をかえって増加させることになるのではなかろうかと思うわけでございます。  したがいまして、質問の第一ですが、国鉄再建については、国鉄に対する国の認識または使命、その国鉄の使命に対するところの認識の転換、こういうものが必要ではなかろうかと思います。国鉄は国民の共有財産だと言われております。確かにそのとおりと思います。そこで将来の輸送機関として考えてみたときに、国鉄というものは省資源、労働環境、空間等のいろいろ制約はありますけれども、非常にりっぱな働きをしている輸送機関でございます。したがいまして、そういうものを考えてみたときに、国の補助というものをもっともっと強固にすべきじゃなかろうかと私は思うわけでございますが、この補助の限界点は現在の状態でいいのか、それとももっとこれから先補助する考えがあるのかないのか、答えをひとつ簡略にお教えを願いたいと思います。
  167. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 諸外国の国鉄に対する補助の状況、それからわが国の国家財政補助の現状は御指摘のとおりでございます。  国鉄再建の基本的な路線というのは、やはり、利用者負担を原則としての独立採算制の確保にあると思います。それだけに、その原則の上に立つ限りは、本来国鉄輸送コストを割った公共負担あるいは政策的な負担というものはそれぞれ政策を実施するところにおいて負担をするというたてまえをこれから呼びかけ、貫いていく必要があろう、そしてそういう形において独立採算を維持しながら国鉄再建を図ってまいりたい、このように考えております。
  168. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 今度の質疑が始まってから大臣がたびたびおっしゃっております政策割引の問題についても、確かにそれぞれの関係機関において負担するということは結構だと思うわけであります。しかし、そういうことをやってもなおかつ割引だけでは問題は解決しないと思います。やはりこれは財政援助を大幅にすべきではなかろうかと思いますが、その辺については今後どうなのでしょうか。そんな政策割引だけではとても問題は解決しないと思います。  したがいまして、問題は、その補助をこれからどうするのか、もっとふやしていくのか、それとも補助は余りふやさないのかということですが、そうかといって出資金は今回は全然ゼロです。こういうことを考えてみたときに、補助をもっともっとふやすべきではなかろうかと私は思うわけでございます。確かに利用者負担という原則を打ち出されました。これについても後でまた論及したいと思うわけでございますけれども、とにかく補助を増額するのかしないのか、この一点についてはいかがでしょうか。
  169. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 その前に、国鉄自身のいままでの発想を変えた努力がやはり前提にならなければならない。そして、先ほど申しましたような公共負担あるいは政策負担がそう大きな額に上らないことは私も承知しております。承知はしておりますが、独立採算制を貫かせる以上はその原則もやはり貫いていかなきゃならぬ、その上で国鉄再建のために所要の補助の必要が生じた場合、それがいま申しましたような原則に合致する場合、この増額に努めていかなきゃならない、このように考えておる次第でございます。その補助の方が先にいくという物の考え方にはさせたくないと私は思っております。
  170. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 もちろん補助といっても結局は国民の血税でございます。したがいまして、本来ならばその前に国鉄自身の企業努力がなければならないということは前もって私は言っておるわけでありますけれども企業努力にも限界があるというふうにも考えますので、まず利用者負担という面も考えなければならないけれども、この日本の国鉄の位置づけというものを考えてみたときに、補助というものについてやはり十分の配慮があってしかるべきではなかろうかと思います。  私はいま諸外国の例を申し上げて日本の運輸当局のお考えを聞いたわけでございますけれども、なお国鉄総裁に伺いますが、いまの大臣の御答弁を聞いておられましてどのように考えられますか。利用者負担が先行するべきか、あるいはまた補助が先行するべきか、あるいはまた国鉄企業努力が先行するべきかという点について総裁はどうお考えになるか。それが第一点。それから、出資金が今回は打ち切りになりました。四十九年度が千百三十億ですか、五十年度が七百億ということになっておりまして、ここのところ四十六年の三十五億以来ずっとやってきたわけでございますが、五十一年度予算にはそれがないわけでございます。この出資金が廃止されたといいますか、取りやめになったといいますか、そのことについて総裁としてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
  171. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 第一の点につきましては、これはいずれが先というわけではないのではないかと思います。率直に申しまして、国鉄の内部におきます経営について、収入の面、経費の面においてもう少し改善すべき点は残っておりますので、それは今後もそうでございますが、直す努力を私どもはしていかなければなりませんし、相当努力をいたしますが、それでもなかなか独立採算だけでやっていけない面もございますので、筋道の通るものにつきましてはしかるべき御援助をいただくといいますか、利用者負担でなしに納税者負担ということで処理願わなければならないことになるのではないかと思います。自分だけの力ではなかなか立ち直り切れない面があると思います。今度初めてローカル線について、金額の多寡は別といたしまして補助金を支出していただきましたのは、その意味において私どもにとって大変ありがたいことだと考えておるわけでございます。  それから、利用者の方々にもほどほどに利用料を払っていただくということを通じて、基本となるべき地域、基本となるべき輸送につきましては独立採算でやっていけるようにするのがよろしいのではないかということで、三つお挙げになりまして、どれが優先かというお尋ねでございますが、どれが優先ということではなしに、いずれも三つのものを束にして両々相まってやっていくという以外に道はないのではないかと私は思います。  第二のお尋ねの出資の点でございますが、これはできますれば出資をいただいた方がよろしいわけでございますけれども、今回御要求を遠慮した形になりましたのは、出資のメリットというのは後年度になって出てくるわけでございますが、ひどい破産といいますか、つじつまの合わない経営状態になりましたので、いわば先々のことを考えている暇がないといいますか、当面の経営赤字を助けていただきたいということで、その一つの形式として過去債務のたな上げという形に切りかえていただいたわけでございます。  その場合に、でき得れば今度新しく認めていただいた過去債務のたな上げ方式と従来の出資方式を併用していただけばありがたいわけでございますけれども、一般会計の方も特例国債を発行しなければならないというような、手元不如意のような状態にあるようでございますので、あれもこれもということを申し上げられないとなれば、緊急の事態を回避する方にお金をいただくということが必要になってきたわけでございまして、出資が姿を消しましたのは大変残念でございますけれども、反面、経営改善のための過支債務たな上げという形式での援助をいただくことはこれまた非常にありがたいわけでございまして、こういう緊急のせっぱ詰まった事態としては、過去債務たな上げの方の援助をいただいたということでどうにか努力をしていきたいわけであります。しかし、出資がなくなったということは将来なお問題が残るわけでございまして、今後の問題としては、いろいろと広い高い立場から御判断をいただきたいと思います。
  172. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そこで、いまの第一問の方の問題でございますけれども、どれが先かという問題も議論されるわけですが、国民の側から見ると、とにかく国鉄当局企業努力というものを一番要求しているわけです。     〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕  特に、昨年末のスト権ストを経過しましても、言うならばお給料は一銭もカットされない。しかもまたボーナスをもらう。そういう中で国民に迷惑をかけているのにのうのうとしている。だから、もっともっと国鉄当局企業努力をして、国民の皆様から本当に国鉄はよくやっていると言われるようにならなければ国民の皆様は値上げを納得してくれぬと私は思う。そういう意味から、まず国鉄自身が企業努力をして、金額のいかんは別としてとにかく一生懸命やっているのだ、労使そろって企業努力を精魂込めてやっているのだという態度と姿が見られなければ国民の皆さんは納得できないと私は思いますので、そういう点についてせっかくの御努力をお願いしたいと思います。  それから、また、出資がなくなった点については、過去債務をたな上げされた関係からやむを得ないと私も思います。当面の問題としましては、過去債務をたな上げしてもらったことは大変結構だと思います。出資をやったところで、昨年どおりやってもせいぜい七百億でございますから、そういう面から考えれば確かに大きなプラスでないかと思います。しかし、出資がなかったということは将来この問題は禍根を残すような気がしてなりませんので、この点についてはまた来年度の問題として考えなければならないと思います。  それから、次の問題でございますが、要するにことしは鉄道建設等のために、国鉄自身としては九千四百三十六億円の借金鉄道債券が四千四十八億円、合計一兆三千四百八十四億円の借金が生ずることになりますが、このように借入金依存の投資を行う限りにおいては国鉄財政の立て直しは永久に不可能であります。これは多くの説明を要しないと思いますが、港湾の問題、飛行場の問題、道路の問題等々を考えましても、少なくとも鉄道建設の基盤整備費というものは国庫の負担とすべきではなかろうかと思いますが、この点大臣はどうお考えになりますか。
  173. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 他の交通機関における利用者負担の率と思いあわせますときには、港湾については利用者負担率というものは非常に低い。逆に言うと公共負担率が非常に高いわけでございますが、道路等は目的税がございますので、その目的税を利用者負担と考えるとほとんど一〇〇%に近い。それに比べまするならば国鉄は利用者負担率が七〇%弱でございますので、なお公共負担率を引き上げてもらえる筋合いはあると考えておる次第でございます。
  174. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 いずれにしましても、いま私が挙げてまいりましたような問題をきちっと整理しないことには国鉄再建はあり得ないということでございます。これが運賃値上げだけで何とかつじつま合わせをするための昨年の末の急速につくられたあの再建要綱というものであっては、これはやはり国鉄将来のために禍根を残すのではなかろうかと思います。もちろん、この問題について運賃値上げだけで賄っていこうなどというところに大きな問題がありますけれども、ある程度の——ある程度と言ってもいままでにはかつてないような補助も行われたわけでございますけれども、とにかく国鉄財政再建を、これは国民の課題としてやらなければならないという観点からわれわれといたしましても対案を用意いたしました。ことしの値上げ案につきましては反対ではございますけれども、私どもは今後あらゆる形においてこの対案の実現を追って、国鉄が健全な経営に移行するように努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  それでは、次の問題に移りたいと思いますが、鉄道敷設法の問題でございます。鉄建公団総裁、前の方へ出てください。大臣がいらっしゃいませんから鉄監局長に最初の問題は答えていただいても結構でありますが……。  赤字線の問題につきましてはいまもいろいろと話が出ました。その中でも、金額はわずかではあるけれども百七十二億円という赤字補助というものを今回は初めて出してきたわけでございます。そこで、この百七十二億については、その具体的な配分がこの法案が通過した後において当然行われることになるわけでございますが、これを計上したときの考え方ですが、百七十二億というような、こんなわずかな金額で一体いいのだろうかというふうに考えます。しかも、また、これが通ったときには百七十二億をいかなる線区を対象として補助しようとしているのか、百七十二億という起算の中心点になった発想の原点は一体何なのか、どこから百七十二億という数字が出てきたのか、この点を鉄監局長からお答えをいただきたい。
  175. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 百七十二億という金額は、昨年度、五十年度地方交通線赤字の二千二百五十億に比較いたしますと一割にも満たない金額でございます。地方交通線につきましては、先ほども指摘がありましたように、今回の国鉄財政再建対策要綱では具体策がまだ示されていないわけでございまして、この委員会で御説明申し上げておりますように、現在、運輸政策審議会の委員の先生方の御意見を伺って対策検討中でございます。そのいろいろの御意見を伺った上でわれわれといたしましても来年度以降の地方交通線対策を講ずるわけでございますが、その一環といたしまして国の負担も明確化いたしたいと思っておるわけでございます。  本年度予算に計上いたしました百七十二億円は、五十二年度以降そういうような対策をやりますということを証明するといいますか、そういうあかしの意味で計上いたしたということでございまして、もちろん、積算基礎といたしましては、地方交通線の運営費の一部、物件費、人件費等の費用の一部を補助するということでございます。また、どの路線を取り上げて助成するということではなくて、つかみで地方交通線の運営費の一部を補助するという考え方で計上いたしているわけでございます。
  176. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 鉄道敷設法の問題につきましては先ほどもちょっと触れましたし、時間がなくなりますので割愛いたしまして、具体的な問題について入ってまいりたいと思います。  敷設法の別表予定線は、二百号によりますものが二百三十二線、一万二千二百六十八キロ、鉄道敷設法附則第二項に該当するもの、いわゆるみなし規定によるもの、これが七十一線、四千六百六十二キロ、合計三百三線となっております。これは先般資料をちょうだいいたしました数字でございますが、いまここで問題に取り上げたいのは、別表の予定線の二百号による方の二百三十二線、一万二千二百六十八キロです。この方をまず先に内容を伺っておきたいと思うわけでありますが、この中で開業したものがどれくらいあるかということと、それから一部開業のものと一部未開業のもの、すなわち手をつけているものはどれくらいかということと、さらに全く手をつけてないものはどれくらいかということ、この三つに分けまして、これを何線何キロというふうにお答えをいただきたいと思います。
  177. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 鉄道敷設法別表の予定線は二百三十二線でございまして、総延長は一万二千二百六十八キロでございます。このうちすでに開業したもの、あるいは一部開業したものを合わせまして四千四百九十二キロでございます。全体の三七%でございます。また、一部開業したけれどもまだ未開業のところが残っているもの、あるいは全然開業していないものを合わせまして七千七百七十六キロございます。
  178. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 鉄監局長、開業したものがどうか、それから一部開業、一部未開業、要するに手をつけているものがどうか、それから全然手をつけていないものがどうかと、こういうふうに私はお伺いしたわけでございますけれども……。
  179. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 失礼いたしました。  それでは、落としましたのは全然手をつけていないものでございますが、未着手の七千七百七十六キロのうち千九百三十九キロメートルが一応工事線となっておりますので、全体の四八%が未着手ということになります。
  180. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 この数字は後で大臣にも申し上げたいと思うのですが、要するに、開業したものあるいはまた手をつけたものの合計が五二%、全然手をつけていないものが四八%、こういう結果ですね。  そこで、御承知のように、この新線建設に関しましては鉄道建設審議会への諮問によるわけであります。これは第四条に明示せられております。さらに、第五条には、「審議会ハ本邦経済ノ発達及文化ノ向上ニ資スルコトヲ目標トシ公正且合理的ニ審議決定スヘシ」ということが明示されておりますが、この第五条の条文のように、本邦経済の発達及び文化の向上に資するために、別表に掲げられました二百三十二線のうち、手つかずの路線というものがただいまの報告によりますと百二十八線、五千八百三十七キロあるというわけでございます。こういう手つかずのものはこのまま将来にわたって置いておくんだろうかどうだろうかということでございます。  大臣にちょっと申し上げたい点は、要するに、敷設法別表の中にあるところの、手をつけたものと開業したものの合計が五二%で、全く手をつけていないのが四八%ある。その四八%というのは百二十八線五千八百三十七キロなんだ。これは一体そのままでいつまで手をつけずにさらしものとして敷設法の別表に掲示しておくのかということなんです。こういうことについて私はお伺いしたいわけです。
  181. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 昨日も新幹線の問題についてお答えをしたのでありますが、これは鉄道建設審議会の議を得て決まったものではございますけれども、その決めた時期と今日の間に諸情勢の変化がございます。といって、いま審議会を開き直して計画を改めるというのにもこれは余り適当な時期でないように思います。したがって、その実施面において諸情勢を勘案した適応の処置をとってまいりたいと考えておる次第であります。
  182. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 要するに、挙がっているものだから、経済情勢が変わって、これが本邦経済の発達及び文化の向上に資することにはならないというような認識があっても、一応いますぐ鉄建審を開くわけにもいかないのでそのままにしておくということですね。しかし、いつまでもいつまでもそれじゃしようがないと思うのですね。私はまた具体的に後から申し上げたいと思うのですけれども、ずいぶんむだな話じゃないかと思うのです。  そこで、百二十八線、五千八百三十七キロという手つかずのものは近い将来に本当にはっきりすべきだと私は思うのです。そうしないと、これは大正何年にできた古い歴史がある鉄道敷設法だからどうこうだといたずらに言っていても、モータリゼーションが発達した今日では全くむだなものだと思います。そこで、この点について大臣はしばらくこのままでおきたいというようなお考えのようでありますけれども、大蔵省の主計官といたしましてはどのようにお考えでございましょうか。
  183. 宍倉説明員(宍倉宗夫)

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  鉄道敷設法の問題につきましては、かつて昭和四十三年に、大蔵省の諮問機関でございます財政制度審議会の答申で、きわめてドラスチックな話でございますが、鉄道敷設法の廃止検討したらどうかというように答申に書いてあったこともございまして、中身につきましては、毎年毎年その後検討いたしてきたところでございます。  先ほどからお話が出ておりましたAB線につきましても、その建設の内容について効率的かつ重点的にやってほしいということを運輸省及び鉄道建設公団の方にお願いして、それはそれなりな成果が上がってきていることと思っております。  ただ、いまの時点で鉄道敷設法をすぐどうするこうするということは、大蔵省だけがやる話ではございませんで、運輸省の方ともよく御相談申し上げて、しかるべき結論を得た方向に沿ってやってまいりたいと思っております。
  184. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 主計官、あなたは日本の金庫のかぎを預っているわけですよね。そういう意味から言って、こういうむだなものをたなざらしにしておいて、これからまたちびりちびりとつぎ込んでいっても何にもならないと私は言っているのです。だから、いっそのこともうこれは鉄道敷設法そのものの抜本的な改革を図るべきではないかという意見はそこから出なければならぬと私は思うのですよ。運輸省の方や鉄建公団の方はともかく、こういうものはすべからくやめるべきだ、時代おくれだ、少なくとも手のついていないものはもうやめるべきではないかという御意見があなたの方から出なければならないのが、いまのお答えではそういうものが見られないですね。非常に残念に思うのですけれども、どうでしょうか、もう一遍ひとつ……。
  185. 宍倉説明員(宍倉宗夫)

    ○宍倉説明員 御質問の御趣旨は私はよくわかるわけでございます。ただ、大蔵省も政府の中の一つの機関でございまして、大蔵省だけがどうするこうするというわけにはいかないものでございますので、担当の官庁でございます運輸省とよくその辺のところを相談いたしまして、今後適当な結論を得るような方向努力してまいりたいと思っております。
  186. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 主計官としてはまあそこまででしょう。  それでは、次に、鉄建公団総裁にお尋ねいたしますが、五十年度の事業計画は、AB線三十八線、千五百五十七キロ、総額三百五十億が計上されております。その中で三江線が完成いたしましたので、今日では三十七線、千五百二十七キロが五十一年度の事業計画に組み込まれるわけだと私は思っております。また、CD線につきましては九千三百五十キロが組み込まれることになるわけだと思うわけでございます。そこで、五十一年度の建設費は総額三千六百九十七億で、これはことしの予算を組まれました当時にすでに鉄建公団からちょうだいした資料でございます。そこで、これによりますとAB線は三百五十億、先年も三百五十億、ことしも三百五十億で、CD線は前年が三百七十億がことしは三百三十億で四十億の減というふうに書いてございます。そこで、あとのE線、G線、P線についてはまた改めてお伺いするといたしまして、このAB線の問題について触れたいと思うのですが、前年同様三百五十億でございますが、一体それではどのようにこれは支社別に振り分けられていくのか、この点についてお伺いをいたします。
  187. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 ただいま御質問の中にございましたように、昭和五十年の八月に三江線が全線開業をいたしました関係でこれを除いております。そして、全体としてはAB線は前年度、五十年度と同じでございまして、三江線だけが除かれた形になっておりますので十二億ばかり保留があるわけでございます。  それで、札幌支社にはAB線の関係で二十一億、それから盛岡では八十九億、東京支社では七十四億、名古屋支社では十三億、大阪支社で百億、下関支社で四十一億でございます。三江線の十二億相当額につきましては、国鉄地方交通線のあり方というようなものの関係もありまして運輸省で御検討中でございまして、当面保留されております。
  188. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 総裁、いまお答えいただきましたのは札幌が二十一億、盛岡八十九億、東京七十四億、名古屋十三億、大阪が百億、下関だけが大きく変わって四十一億ということで、これの合計は三百三十八億ですね。
  189. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 そのとおりでございます。
  190. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そうしますと、私が年の初めにいただきましたのは前年同様に三百五十億になっていますが、その三百五十億が三百三十八億ですね。十二億はどこへくっつくのですか。最初の予算のお話とちょっとまた違ってきたように思うわけですよ。これはどうしてそんなことになったのか。このざら紙の面といまの御答弁とで違いがあるわけですね。これは一体どういうわけですか。
  191. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 AB線の予算は、昨年度、本年度ともに三百五十億でございます。五十一年度予算の配分は五十年度と同額にいたしております。五十年度予算のうち三江線が完成いたしておりまして、したがいまして、本年度十二億余ってきているわけでございますが、その十二億分はまだ配分いたしていないわけでございます。したがって、三百五十億のうち十二億引いた三百三十八億を昨年度同様の額で配分いたしているわけでございます。
  192. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そのように御説明があればわかるわけでありますけれども、いま十二億落ちているから問題だと私は思うのです。やはり予算予算として、三百五十億立てたものなら、その三百五十億は配分して十二億だけは保留するとか、決算面でいずれあらわれてくるわけですから、当然するべきだと私は思うのです。いま支社別の割り当てを聞いてみると三百三十八億でありますから、ちょっと疑問に思ってお尋ねをしたわけでございます。  そこで、AB線の予算配分を考えてみたときに総花的ではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。これはもっともっと重点的に配分をして、完成間近いものは積極的に開業にこぎつけたらどうかと私は思います。たとえて申しますと、路盤工事は完成しても使用しないでおりますと十年もすると役に立たなくなるという例を聞いております。盛線は大正十一年の四月の十一日に別表に掲載されまして、昭和四十一年の二月の一日まで四十五年間も着工できずにおっぽりっ放しだったわけです。昭和四十九年までに百二十七億八千九百万円、五十年十二月までに八億三千百万円、合計百三十六億二千万円の予算を費やしまして、四十五年三月に盛−綾里間の九キロ、四十八年七月に綾里−吉浜間の十二・五キロが部分開通いたしました。釜石と吉浜間の十五キロの開業につきましては一体いつになるのか。この区間は路盤工事が一〇〇%完了しているという報告を私は鉄建公団から聞いたわけでありますが、それでは一体何が災いして開業ができないのか。  また、もう一つは気仙沼線でありますけれども、こちらも大正十一年の四月十一日に鉄道敷設法の別表に掲載されました。国鉄が直轄工事として施工いたしまして、鉄建公団法の附則六条に基づきまして公団に引き継がれました。昭和三十八年から昭和四十九年までに百二十一億一千二百万円、五十年十二月までに四億六千三百万円、合計百二十五億七千五百万円を投入いたしまして、前谷地−柳津間の十七・五キロメートルができました。四十三年十月にこの部分が開業いたしまして、現在は柳津−本吉間三十三キロが、路盤工事は完了しておりますけれども開業にはまだ時間がかかると言われております。    〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕  盛線といい、あるいはこの気仙沼線といい、開業は一体いつになるのか。このように路盤工事が一〇〇%完了しているというのに、こういったものがそのままでいるということになるわけであります。一体、二つの線に対してことしはどれくらいつけて工事を完成させようとしているのか、その状態について担当の理事からでも御報告ください。
  193. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 ただいま御質問がありましたAB線の線別予算の配分でございますが、総花的ではないかという御意見でございますが、五十年度でも五十一年度でも同じように重点的にやっているつもりでございます。特に、三百五十億のうちの六〇%以上のお金につきましては、久慈、盛、気仙沼を含めまして重点線区八線に配分しております。  それから、御説明のようにほとんど完成しているものに重点を置きまして、なるべく早く開業したいということで仕事を進めているわけでございます。ただいま御質問にありました盛線につきましては本年度二十四億、気仙沼線につきましては二十四億、同じように本年度配分して、ほとんど仕事は済んでおりますが、一番問題なのは、開業に関する仕事につきましては国鉄とよく協議しなければなりません。特に国鉄関係では、人員を削減して経費を節減するという方向で、CTCの計画とかあるいは駅の改良とかいろいろの問題を含んでおりまして、こういう関係の協議がいろいろ難航しておりましたが、だんだん見通しもついてまいりまして、後二、三年はかかるんじゃないかと思いますが、そういうような形で一日も早く工事を進めたい、開業に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  194. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そうすると総裁、盛線の方も去年と同じように二十四億、それからまた気仙沼線も同じように二十四億、そして開業は二、三年先だというわけですね。ことし二十四億ずつつけるのは開業関係工事になるのですか。
  195. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 開業関係を含めまして現在ほとんど片づいてきておりますが、路盤工事その他も入っております。
  196. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そうなると、二、三年これからかかるということになりますと、これはまた路盤そのものがだめになってしまうということはないのでしょうか。その点を私どもは非常に危惧するわけです。金はつぎ込んでみたものの全く使いものにならないものを国鉄は引き受けなければならないわけです。全体を見てきちっとしてからお渡しになるべきだし、当然きちっとしたものでなければ国鉄当局も受け取るわけはないと思いますけれども、つくってから十年もおっぽりっぱなしで置いて、そしてまたこれから二、三年かかるという問題について、AB線の問題についても総花的なことをやめて、開業できるものはこの辺で抜本的に重点的に徹底的にやるべきだと私は思うのです。国鉄の方にもこういう面は要員はこうだ駅はこうだということを積極的にやって、一日も早く開業させてやる方がいいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  197. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 御説、全くそのとおりでございます。  ちょっとさっき言い足りなかったのでございますが、盛線は二、三年かかるということでございますが、気仙沼線は来年開業する予定でございます。  それから、なぜこんなにかかるかということでございますが、たとえばCTCというのは、ポイントの転換でも何でも全部一カ所でコントロールできるので人間が要らないということなんでございますが、気仙沼線のコントロールをするのに盛岡でやるわけです。盛岡でコントロールしまして、それを無線で東北本線へ下げてきまして、一関まで持ってきまして、一関から先に有線を引きまして、それで気仙沼線の線路のコントロールをするわけです。こういうことは公団発足当時は全然考えていなかったのでございますが、現在はそういうようなことに非常にお金がかかりまして、いろいろ国鉄と折衝して、どうやって節約してやれるかということでやっておりますので時間がかかっているわけでございます。
  198. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 大臣、いまの話をお聞きいただいたと思いますけれども、こういう不経済なことを日本のいまの財政の現状の中で進めていっていいかどうか、これはもう本当に考えなければいかぬことだと私は思うのであります。AB線ばかりでなくて、CD線にもそういう例がたくさんあるのですよ。  CD線につきましても、ただいま申し上げましたような盛線や気仙沼線と同じような例が幾つもあるということを私は具体的に申し上げてみたいのですが、たとえば丸森線です。これまた大正十一年の四月の十一日に敷設法別表に掲げられまして、着工までに実に三十二年と四カ月かかっている。そして、国鉄当時に一億、公団に引き継がれるまでに十年間に一億のむだ遣いです。公団に引き継がれまして、三十八年に五百万円調査費がつきまして、五十年十二月までに九十九億六千七百万円使いました。それから槻木−丸森間の十七・四キロが昭和四十三年四月に部分開通をいたしました。福島−丸森間は路盤工事が完了しているのに、これまた開業に至っておりません。北海道の紅葉山線、狩勝線、追分線のいわゆる石勝三線につきましても、紅葉山線が二百九億九千万円、狩勝線が百四十六億四千三百万円というように使われておりますし、追分線は三十二億六千三百万円使われている。それで、要するに紅葉山線と狩勝線は路盤工事一〇〇%完了、追分線は九四%完了という状態になっておりますのに、これまた開業の見込みが立っていないということを聞くわけですね。こういうことになりますと、地元の人はもう本当にあきれてしまって話にならないと言っていますよ。  この四線は五十一年度には一体幾ら投入するのでしょうか、篠原総裁。
  199. 篠原参考人(篠原武司)

    篠原参考人 ただいま御質問のありました紅葉山線につきましては、今年度の事業計画額が十六億九千万円、追分線が七億、それから狩勝線が十九億、丸森線が五億三千万円というような内訳になっております。そして、路盤工事がほとんどできておりまして、この開業につきましては国鉄と鋭意折衝中でございますが、石勝三線についてはいまのところ五十三年度ぐらいが目標ということになっております。丸森線はもっと早期に開業したいということで一生懸命努力しておりますが、国鉄でもこの線につきましてはだんだん話が煮詰まってきておりますので、なるべく早急に開業に持っていきたいというふうに思っております。
  200. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 大臣、いまの総裁のお話をお伺いしていただいたと思いますが、このようなことをこのままやっておいたら本当に金のむだ遣いだと思いますよ。本当にこれはもう情けないですね。  それから、もっとひどいのがあるのですよ。CD線のうちで特におくれている瀬戸線、京葉線につきましては一体用地買収がどれくらい進んでいるのか、何%進んでいるのか、ここだけ聞きたいのですけれども、これなんかも全くひどいと思いますね。それは事情はわかります。京葉線の現状から見てなかなか用地買収に応じてくれないのだろうと思うのでありますけれども、これは非常にむずかしい。それから瀬戸線も三十三キロのうち路盤工事が完了したのが一二%ということでありまして、これまた用地がなかなか買えない。こういうものは一体このままにやっておくのかどうか。こういう具体的な例を幾つも幾つも私は出しましたけれども、この辺で鉄道敷設法を抜本的に考えて、さっきのような手のつかないものはもう全部やめてしまって、そしていま手をつけているものも少なくとも総花でなくて重点的にやって、できるものからどんどん開業するように持っていくべきです。この点については国鉄当局のいろいろな事情はわかります。引き受ければ引き受けるだけ赤字になるわけですから、それはわかりますけれども、やはり、宝の持ちぐされにしてしまっては何にもならないと思うのですが、その辺、大臣のお考えを伺いたい。
  201. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 何しろ鉄道敷設法というものはできたのが半世紀以上前でありまして、その時代から見れば鉄道に対する地方の人々の要求、希望というものは非常に大きかったと思います。特に積雪地等においては、鉄道なら通るけれどもバス、自動車は通らないというようなことがあると、やはり鉄道の要求が多かったと思うのです。ところが、現在は御承知のように道路が非常によく改良されてまいりまして、よほどの積雪地でも冬期間のバスの通行が可能になってきておるわけでありまして、事情が非常に変わりました。その変わった事情の上に立って敷設法の見直しが必要なことは私も御意見のとおりでございます。そして、その上で、路線ができて他の交通機関のバスなりトラックなり自動車なりで十分かえられるところは建設省に買ってもらって道路の方に直すとか、そういうような処置の転換も考えるべきじゃないかと思います。これは鉄道にするためにつくったんだから、何十年たっても同じようにあくまでも鉄道にしなければならぬというような考え方でなく処理をして、御説のように早く開通し得られるものから開業していくという方向でやっていきたいと思っております。  ただ、実際問題として申し上げますと、たとえ一億円でもいいから、調査費でもいいからとにかくつけてくれというような地方の要望もいろいろございまして、それは理論どおりに実際厳しくやりますと後で妙なおしかりを受ける危険もございますので、その間の配分の苦労もお察しをいただきまして、できるだけ御趣旨に沿うようにしたいと思っております。
  202. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 鉄道敷設法に載っかっている線路の建設という問題が多分に政治的なにおいがぶんぶんすることは私どもももうよく承知をいたしております。特に先年も——これはやめておきましょう。申し上げても結構でありますけれども、一番えらい人でありますから、問題になるといけませんから……。(「衆議院の名誉にかかわるぞ」と呼ぶ者あり)衆議院の名誉にかかわっても困りますのでやめておきましょう。  しかし、いま大臣がはしなくもお口にされましたような種々の事情が実際にあることはわれわれもわかっております。わかっておりますけれども、しかし、そういうことでやっちゃいかぬと思うわけです。やはり、できかかっているもの、もう少しで開業できるものは何とかこれは走らせる方向へ持っていってもらわなければいかぬし、もうできないものをいつまでもいつまでもたなざらしにしておくことよりもやめてしまう方がよいというふうに私は思うわけでございます。特に、石勝三線のようなものは極寒の時期にはなかなか工事ができないという点もわかります。しかし、丸森線のごときは、北海道に比べたら工事が雪のためにできないなんということはないと思うわけでありますからもっともっとがんばってもらいたいわけですが、いろいろ聞きますと、ネックが一つある、そのネックの解決ができないのだということを担当の方から伺うわけですね。要するに、矢野目の信号所の問題なども私も伺ったわけでありますが、ここを平面交差でなくて立体交差にしなければいかぬ。これは将来のことを考えれば当然そのことだと思うのでありますけれども、なかなかその辺のことができない。しかし、そういうところでできないといってあきらめちゃうのじゃなくて、一つ一つ地元の方々の御協力を得て、何とかそこまでいっているものは完成させる方向にいかなければ金のむだ遣いになるというふうに私は思います。  なお、これはもうどうにもならぬ問題でありますけれども、AB線の中で全然手をつけていないものがあります。AB線の中で基本計画の指示を受けたものについて挙げてみましても、氷見線につきましては調査費だけが三千三百万円ですが、これは国鉄時代からのものも入れてでございます。それから岡多線が七百万、下呂線が六千五百万、小鶴線が三千八百万、南勝線が六千六百万、岩内線が一億二千万、北十勝線が一億一千五百万、それから紅葉山線——これは名前は同じですけれど、要するに縦の方、南北の線ですが、これが一千百万、狩勝線の方が七百万、と、こういうふうに金はつけたけれども何にもしていないでそのままになっているというものがあるわけですね。こういう点を考えられまして、こういう問題についてぜひとも積極的に取り組んでもらって、きちっとすべきものはしてもらいたいと私は思います。  今度は、たとえば盛岡支社の久慈線ですが、これなどは九二%できている。五十年度には三十四億つけたわけでありますけれども、五十一年度は一体幾らつけるのか。それから大阪支社の関係で内山線、これも九四%路盤が完成しているが、ことしは一体幾らつけるのか。去年が二十八億五千万です。それから、下関の支社の油須原線が九一%完了しております。八億去年はつけましたが、ことしは幾らつけるのか。それから、札幌支社の美幸線も去年十億つけましたが、ことしは幾らつけるのか。このように四線につきましても、五十一年度予算を若干多目につけて重点的にやるならば、この四線などは少なくとも九一%、九二%、九四%という路盤工事が完成しているわけですから、こういうものを重点的にやれ、くだらぬところへ総花的にやっていたって始まらないじゃないかというわけでありますけれども、なぜ総花的にやるのか、その辺のところがどうも私は理解に苦しむわけでありますが、篠原総裁、この辺はいかがですか。そして、五十一年度にこの四線について幾らつけるのか、この点もお答えを願いたい。
  203. 篠原説明員(篠原治)

    篠原説明員 ただいま御質問のございました五十一年度予算の配分額で、久慈線は三十四億、内山線は二十八億五千万円、油須原線は八億、美幸線は十億というふうに予算を配分して、御説のようにこういう線区はもう開業が間近でございますので、なるべく早く開業できるように一生懸命われわれのところでは進めるように考えているわけでございます。
  204. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 開業目標はいつなんですか。
  205. 篠原説明員(篠原治)

    篠原説明員 久慈線はやはり二、三年先でございます。内山線は——四線とも二、三年先でございます。(松本(忠)委員「油須原線は」と呼ぶ)全部二、三年先でございます。
  206. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 本当にあきれて物が言えないわけでありまして、大臣、いまのは九〇%以上完成なんですよ。ところが、計算してみますと、要するに未着工のものが七線ありまして、二九%以下というのが八線、三〇%台が五線、四〇%台が五線、五〇%台が一線で、ここまでの二十六線はもうやってもしようがないです。そして、六〇%以上が二線、七〇%が二線、八〇%台が一線で、それから九〇%から一〇〇%が六線ということで合計三十七線になるのですが、最後の六〇から九〇以上のところの十一線の方はやって、未着工のものを含んで二九から五〇までの二十六線についてはもうやめにするくらいの決断を示さなければ、いたずらに人間だけ配置して金だけつけて、そしていまのお話じゃないけれども、完成間近と言われるものであっても去年と同じしかつけていないわけですよ。これではどうにも総花的というお話をせざるを得ないわけです。この辺を十分に御勘考を願いたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、鉄道建設審議会というものがございまして……(「来年またなるのだろう、松ちゃん」と呼ぶ者あり)そこで、私も過去に委員だった云々といま言っておりますが、その委員の時代も私は非常に不思議に思いました。結局、質問をするのはその当時私と社会党の楯委員の、野党の二人しか質問をせぬのですよ。あとはもう何もしないで、そのままコーヒーと洋菓子を食べてお開きです。これではいかぬと思いますね。そういうことで、鉄建審の改組というものは、私自身も入ったことがありますのでわかりますが、しかも、自民党の総務会長が必ず会長になる。こんな審議会はどこにもありませんよ。日本で一つしかない。あとは全部、多少なりとも形式的にもみんなで互選をするということになっているが、この鉄建審に限って自民党の総務会長がそのままストレートに来てしまう。いまはだれだか御存じですか。余りかわり過ぎてわからない。
  207. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 実は、私も審議会の委員を二回ばかりやったことがございまして、私は何かしゃべった記憶がございますので、黙ってコーヒーを飲んで帰ってきたわけではないと思っております。洋菓子は私は甘党じゃございませんので……。  ただ、自民党の総務会長が会長になる慣例になったのはいつごろかということは、ちょっと私はいま記憶しておりません。いま、恐らく会長は松野君だろうと思います。
  208. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 問題を変えまして、国鉄の部外投資の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  国鉄総裁にお尋ねいたしますが、国鉄の法第六条関係の部外投資のことでございます。この総額は五十年度末で何社、そして投資額は幾ら、これをひとつお答えをいただきたいと思います。
  209. 篠原説明員(篠原治)

    篠原説明員 五十年度末におきまして四十四社、百十二億円でございます。
  210. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 そのほかに法の六条によらない出資がございますでしょう。そっちの方は幾らありますか。
  211. 吉井説明員(吉井浩)

    ○吉井説明員 ただいまお尋ねのその他の投資につきましては、帝都高速度営団に対しまして、五十一年度八億の投資を予定しております。
  212. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 毎年十億帝都高速度交通営団に対してやっていることはわかりますよ。そうじゃなくて、現在国鉄として幾ら営団に出資しているかと聞いているのです。
  213. 吉井説明員(吉井浩)

    ○吉井説明員 戦前の鉄道省時代から引き継ぎましたものも全部含めまして、総額といたしまして、払い込みの金額といたしまして、丸くいたしまして百四十八億九千二百万でございます。そのほかに無償交付、これは資産の再評価の分でございますが、その分といたしまして五十一億四千二百万出資をいたしております。合計いたしますと約二百億でございます。
  214. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 もう一つ忘れていないですか。
  215. 吉井説明員(吉井浩)

    ○吉井説明員 鉄道建設公団は現在は単年度投資をいたしておりませんのでちょっと失念をいたしました。  出資の累計といたしましては七百二十六億五千三百万、この中には約百七十二億の現物出資を含んでおります。
  216. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 わかりました。そうすると、いま鉄建公団と帝都高速度交通営団に対しまして、現物出資を含めまして約九百二十六億出ているわけであります。そこで、国鉄財政の現状から見て、この両者に対しまして再検討をすべき時期が来ているのではなかろうかと私は思うわけでございます。鉄建公団につきましては、昭和三十八年に現金で八億、現物で約百七十二億、合計百八十億、最高に多く出しましたのが昭和四十四年の九十億、それから四十六年の五十億で、そこでもう出資をやめたわけでございます。現在は国鉄は公団に対しまして、いまお答えがあったように七百二十六億五千三百五十六万円というふうになっております。  そこで、鉄監局長に伺いますが、昭和四十七年以降出資をやめたのはどういう理由でしたか。
  217. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 国鉄財政の悪化に伴いまして、鉄建公団に対する出資の負担が過重になるということで政府が肩がわりいたしたことがあります。
  218. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 お答えのように、国鉄財政の事情が悪化してきたので政府の方に肩がわりしてもらって、国鉄は金は出さないようにしたということですね。そうすると、一方の営団の方は金額は非常にわずかだったとあなたは言うかもしれないけれども、毎年十億、国鉄財政が非常に緊迫の中から出しているわけですね。つじつまが合わないじゃないですか。
  219. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 営団に対する出資につきましても、鉄建公団に対する出資につきましても、いずれも歴史的経過を踏まえたものであると思っておりますが、鉄建公団の方は、最近の国鉄の現状からいたしますと、そこへ出資をいたしましても実は国鉄としてはほとんどメリットがないのみならず、鉄建公団で建設していただきました路線をお引き受けいたしまして当方で運営をいたしましても、運営だけでもまた負担がふえるという現状にございますので、過去においてお願いをいたしまして、私どもの方から出資をするのをやめまして、政府の方に肩がわりをお願いしたという経緯であると思います。  営団の方でございますが、これはまた鉄建公団の場合と違いまして非常に長い歴史を持っているわけでございますが、東京におきます大都市の交通整備という面におきましては、御存じのように東京の私鉄は主として山手線のといいますか、還状線のところで接続ポイントを持っておりまして、その輪の中には各私鉄が入ってこないという形で、そこで東京都と国鉄とが一緒になりまして、地下鉄という形式でそこの都内の整備を行うというところから帝都高速度交通営団が生まれたわけでございます。つまり、国鉄としては通勤その他東京都の所要の輸送路を自分だけの力ではなかなかやれない、利益は東京都民に及ぶからということで東京都と国鉄がそういう組織をつくり上げたわけでございまして、それによる輸送は東京都におきますところの国鉄の通勤線の補完的な役割りとして非常に大きな役割りを果たしておるわけでございます。  たとえば国鉄が既存の山手線なり中央線なりあるいは東北線なりを整備するよりは、むしろ都内にまたがりまして新しく地下鉄をつくった方が当方としても経済的であるという判断からつくられたわけでございまして、鉄建公団の場合と同じように財政的事情からのみ考えますと、この営団に対する出資を今後継続すべきかどうかということについては疑問があるわけでございますけれども、しかし、通勤輸送というものが国鉄の使命の中で非常に大きなウエートを占めておりますだけに、ただこちらが赤字になりましたからというだけの理由で、帝都高速度交通営団に対しまして私どもはもう手を引きますということはなかなか言いにくい環境にございます。  現に、みずから国鉄の手で通勤線の強化をやっております。たとえば総武線でありますとか、横須賀線であるますとか、あるいは根岸線でありますとかいうものを漸次整備して東京都地域の交通整備をいたしておりますのは、必ずしも採算ということに関係なく、大都市交通圏の整備ということも国鉄の使命の中できわめて重要なものだという認識に立っているわけでございまして、これらの国鉄独自でやっております通勤線の整備と帝都高速度交通営団によります地下鉄の整備とは、大都市圏交通整備のために相互に補完し合って、車の両輪のような形で進んでおります。したがいまして、鉄建公団に対する趣旨とは大分趣が違いますので今日まで続けてきたわけであり、これからもにわかにこれをやめるというわけにもどうもまいらないものではないか、そして、また、政府から直接出資をしていただくにもある意味ではふさわしくないものではないか、こういうふうに私は考えております。  しかし、二つ並べて、片方は途中でやめた、片方は継続しているということからだけ見ますと、不思議といいますか、納得のいかない部分も確かにあるわけでございますので、そういうお気持ちからの御指摘と思いますが、私どもはなお御指摘の点をよく考えてみますけれども、どうもこの方はそうにわかにやめるというわけにもいかない性質のものではないかというふうに現段階では思っております。
  220. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 歴史的な経過をたどって総裁からお話がありましたので大分時間がたちまして、あと残り三十分でございますから、少し急いでやらないと施設関係の質問ができなくなると思いますので先へ進めます。  総裁、いまいろいろと御説明がありましたけれども、こっちから言っては悪いですけれども、これは本当の腹は別にあるのですよ。国鉄が非常に大変な中で毎年営団に対して十億ずつやっているのには理由があるのです。余り下賤な話ではいかぬと思いますけれども、これは理由があるのです。だから、それをそのものずばりで言った方が早く理解できると私は思うのです。  いま歴史的な経過からの話をお聞きしたのですが、地下鉄と相互乗り入れ等々をやるようになった経過はずっと後のことでして、そもそも営団に対する出資というものはもう昭和二十四年当時からずっと始まって、一貫してやっているわけですよ。これはそのものずばりで言えば大変失礼なことでお怒りになるかもしれませんけれども、早い話が、国鉄さんからお二人、運輸省からお二人高給の方がここに行っていらっしゃるのです。ですから結局金を出さざるを得ないということですよ。言うならば一時は商売がたきだったわけです。相互乗り入れという段階になってくれば初めて連携ということが言えますけれども、それはごく最近の四十年代になってからの話です。その前からずっと出資している。その当時は国鉄さんにとってみれば営団さんの存在というものはいわゆる商売がたきでした。そうであったけれどもお金を五億なり十億なり出してきたということは、要するに私に言わせれば国鉄さんからお二人、運輸省からお二人えらい人が天下りしているためにここに出さなければならなかったといういきさつがあるのですよ。  この辺のところを余りつつきますとお怒りになるといけませんからこの辺でやめておきたいと思いますけれども、とにかくざっと考えましても営団の方は現在赤字の会社ですよ。黒字の会社じゃないのです。その赤字の理由もよくわかります。建設費が高いのですからわかりますけれども、その赤字の会社——要するに次期の繰り越し損金が二百十二億に達しているわけです。ことしだけでも二十億一千百五十五万円で、次期の繰り越し損金がいま申し上げたように二百十二億というふうに内容の悪い会社です。そこにお役人さんがお二人、国鉄からお二人入っていらっしゃる。年間報酬が概算で四千七百二十四万円です。平均してみますと一人当たり千百八十万円です。要するに、これはこの四人の方の報酬をもらうために出資しているとしか私には考えられないのですよ。  そこで、国鉄財政が窮乏しているときなんだから、鉄建公団に対する国鉄の出資をやめて国にかわってもらったように、国鉄から現在営団に出しているというお金を引き揚げさせてもらって国に肩がわりしてもらうという方法をとっていってはどうかと私は思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  221. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 国鉄が営団に出資をいたしております理由につきましては、先ほど総裁から御説明があったとおりだと思うわけでございますが、運輸省といたしましても毎年度百億円以上の工事補助金を営団に出しているわけでございます。運輸省が出しましたのと同額を東京都からも出しているわけでございますが、それ以外に国鉄の十億に合わせまして東京都も十億円出しておるということで、財源の種類としてはできるだけ多い方が営団の金繰りも楽になるのではないかと思います。
  222. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 あなたの御答弁をそのまま受けておきます。時間がありませんから次に移ります。  いわゆるバスターミナルの運営事業をやっております三社がございます。これは自動車局長と自動車関係の田口務理事の関係だと思いますが、国鉄が出資をしております。金額は非常に少ないと思います。広島バスセンターが昭和三十年三月の設立で一億七百万円、福岡交通センターが三十八年三月の設立で二億、それから草津温泉バスターミナルが——ここだけはもうかっております。しかし配当はしておりませんが、昭和四十年四月の設立で二千万円で、この三社への国鉄の出資の合計が三億二千七百万円でありますけれども、この三社の資本総額が十四億六千八百万円で、出資の比率は三社平均で二二・二%になるわけです。この三社のうち草津だけはただいま申し上げましたように黒字でございますが、配当はございません。  そこで、草津以外の広島と福岡の、この二社のいわゆる累積赤字は幾らになっているか、御存じでしょうか。
  223. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 申し上げます。  累積赤字が、広島バスセンターは六億四千四百万、それから福岡交通センターが三億八千万でございます。
  224. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 したがいまして、合計すると十億二千四百万円ですよね。それでいきますと、広島と福岡の両社の資本金は十三億九千八百万円ですから、資本の七三・二%は食いつぶしてしまったというふうになるわけです。そこで、これらの三社については一銭も配当がないわけです。もちろん二社については赤字でありますから配当がないのはあたりまえでありますけれども。配当がないばかりならいいのですけれども赤字に対する責任というものがあると思うのです。そこで、再検討を要する時期じゃなかろうかと思うのですが、こういう問題についてはいかようにお考えでしょうか。  昭和三十年の出資、一つは三十八年、一つは四十年で、四十年のところが幸いにしまして黒字になっておる。三十年といいますと、広島の方はもう二十年もたっております。そして、いまもって赤字という状態です。こういうものに対して常務理事はどのようにお考えになりますか。このままでずっとやっていくつもりですか。
  225. 田口説明員(田口通夫)

    田口説明員 御説明申し上げます。  広島バスセンターは、これは御存じのとおりだと思いますが、四十七年度まで黒字でございまして、六分の配当をいたしております。しかし、四十九年十月に「広島そごう」と合築をいたしまして、地上十階の建物を建てまして、付帯設備を拡大する意味で増築をいたしたわけでございます。これの償却費等によりまして赤字に転落をいたしたですけれども、ハス事業そのものは——現在広島のバスターミナルの出資者は全部バス業者プラス広島市という形で出資をされておりまして、国鉄バスもこれに対して一日平均二百九十六回のバスを出入りさせておるわけです。そういたしまして、各バス会社から発着手数料をバスセンターが取りまして、それで運営をしておるわけでございますけれども、付帯事業そのもので補いませんと企業の健全化はできない、こういう意味で十階建てを完了いたしたわけでございます。  したがいまして、資金計画を見ますと、昭和五十三年度に単年度の黒字を出し、そして五十七年度には復配をする見込みだという資金計画になっておりますので、業務上もぜひこのターミナルは出資を続け、このまま保持させていただきたいと考えております。
  226. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 時間がありませんので急いでお願いしたいと思います。  次に、貨物関係でありますが、貨物局の関係で、先ほどもお話がありました臨海鉄道について別の意味から申し上げてみたいと思うのですが、臨海鉄道の十三社と物資ターミナル施設の運営事業に九社、その他全国通運、京浜パイプライン等の実施、これの合計が私の調査によりますと七十七億五千八百万円で、これだけ国鉄から出資しております。これらの会社の資本の総額が百九十六億九千万円でございますから、約四〇%を国鉄が出資していることになります。これらの二十四社のうち、未配当、未開業もありますので、赤字会社が十三社ございますが、その累積赤字が一体幾らか、この点だけはお答えか出ますか。——出なければ私の方で調べましたから申し上げましょうか。十五億八千万円です。これはもう配当もありません。これまた再検討を要する時期じゃないかと私は思うのです。  物資ターミナルとか全国通運、京浜パイプラインというような問題はまあまあいいと私は思うのですが、臨海鉄道の方です。臨海鉄道の方に問題点が少しあると思うのです。この臨海鉄道累積赤字の合計十三億九千八百万円というものをまず取り上げてみますと、鹿島は昭和四十四年ですから無理と思いますが、四億三百万円あります。二番目が新潟の一億七千七百万円、三番目が水島の一億六千九百万円、四番目が名古屋の一億三千七百万円、これは四十年一月の設立ですから約十一年、五位が秋田の一億六百万円、六位が京葉の一億五百万円、これは三十七年十一月の設立でありますから、もう十四年かたっているわけでございます。こういうものの赤字が十三億九千八百万円に達しておるわけでございますが、臨海鉄道の問題は、先ほどもいろいろと論じられました取り扱い貨物の量が少なくなった、あるいはまた鹿島のように創業日が浅い等いろいろありますけれども、京葉の場合は十四年、名古屋の場合は十一年、これは創立以来それぞれの歴史があるわけです。そこで、神奈川臨海の方だけが黒字になっておるわけですね。  そこで、私はいろいろ人的関係も調べてみましたが、京葉、名古屋は国鉄出身のお方が社長さんですよ。すでに十一年もその職にあるわけです。神奈川臨海の方は国鉄出身者ではないというふうに伺っておりますが、これはどういうわけですか、本職の方か赤字で素人の方か——素人と言っては失礼でありますけれども、神奈川の方が黒字であります。国鉄出身の社長さんは、国鉄を退職されましたのが片方が昭和二十四年で、片方は昭和二十八年です。お年も相当召されておりまして七十三歳というわけですが、これは本当に真剣になって赤字会社の経営に取り組んでおるのかしらと私は思うのですね。あるいは有能な専務さんがいらっしゃって、そのお方にお任せして、ときどき行って判こだけ押していればいいのじゃなかろうかとも思えるし、あるいはまた兼職の方の会社に精を出していらっしゃるのかどうかわかりませんけれども、一応調べてみると報酬はいただいておるようであります。この点は間違いないと思うのでありますが、念のため確認をさせていただきたい。  そこで、田口常務はこういう国鉄全体の人事の面についての総元締めでもございますのでいろいろお考えだろうと思うのでありますけれども、このように考えていきますと、国鉄のOBが国鉄そのものを食いつぶしているのじゃなかろうかと、言い方はずいぶん悪いかもしれませんが、そんな気もするわけです。それから、これは二度目のお勤めですが、いずれも支配人なり常務理事なりという形になって、そして国鉄を退職なさってお勤めになる。そして、二度目のお勤めでございますが、二度目のお勤めに対しても七十年定年説というのがあるわけです。そういうことが下の方にいる者にとっては不満だらけなんですよ。その不満を当局が知らないわけはないと私は思うのです。  いま具体的な例を申し上げましたけれども、そういうお方は本当に長いことお勤めになり、しかも国鉄から派遣されてそういうところの会社の最高責任者になっているわけですから、こういうように国鉄赤字の場合は一生懸命になって徹底的に協力するというのが当然の姿じゃないかと思うのですね。それが、話を聞きますとどうもいろいろニュースが入ってまいります。下の方が非常に不満だという話です。そういう点がございますので、これらの点も考えまして、国鉄財政状況が悪化している折からこれもやはり考えなければならないのじゃなかろうかというわけでございます。  そこで、事業局長さんに伺いますが、部外投資が行われましたのは、いずれも国鉄が黒字だったころから赤字へ転化した初期の当時のものと私は思うのです。要するに、昭和四十六年から五十一年にかけて国鉄が出資した駅ビル関係について見ますと、昭和三十九年まではとにかく黒字だったわけであります。ですから、四十六年から五十一年にかけて国鉄が出資した駅ビル関係で見ますと、五十一年度出資の二社というのがありますが、これを加えると十七社になりまして、二十四億六千二百八十万円出資しております。この十七社の出資の総額が五十五億一千五百万円ですから、平均四四・六という出資をしているわけですね。そこで、多いところは博多ターミナルビルで、六〇%国鉄が持っています。それから四十九年四月の出資の中国ステーション開発が六〇%です。業績はどうかというと、ほとんどが赤字決算です。私の調査によりますと、黒字で配当しておるところもありますので、赤字の会社の累積赤字が九社で十四億六千百万円です。この会社の資本総額を計算してみますと二六%も食ってしまったということになるわけです。そういうことですから当然配当金は一銭も入っておりません。ここでも、黒字時代の出資でなくて赤字になってからこういうものを出資したというところにもう少し慎重な配慮がやはり必要じゃなかったのかと私は思います。現在の事業局長さんがその当時事業局長さんであったわけじゃありませんので、おれは知らぬと言えばそれまででありますけれども、とにかく、こういうところに投資をすることが事業局の仕事だと思っておられたんじゃ困ると私は思うのです。  言うならば、一般の業界を考えてみますと、部外投資とかあるいは関係会社を新設するというようなことは、相当の利益を継続して計上できているところ、資金がだぶついている企業というようなところで初めて考えられることだと私は思うわけです。こういうことをもし国鉄ができるとするならば、国民に迷惑をかける運賃値上げなんというものは中止をすべきじゃないかと思うわけでございます。事業局が旅客局の事業課から事業局に昇格をいたしましたのが四十五年八月だと先ほど伺いましたが、これは黒字時代でなくて、もう真っ赤な赤字になった時代です。こういうことを考えますと、関係会社の新設や部外投資を推進している事業局のあり方というものは、破産国鉄をして再建への逆行の姿勢をさらにとらせつつあるのではなかろうかというふうにも考えられるわけでございます。  先般もいろいろとお話をお伺いしましたが、構内営業料金の値上げをこの四月から三三%実施した。十月から広告取扱料も二〇%値上げした。お互いに国鉄運賃値上げに先行するような形で一生懸命値上げをしている。本来ならば来年の四月に値上げすべきところを繰り上げてやった。売り上げ歩合金も、それから車内食堂、駅弁、駅そばなども百分の二十から百分の四十にした。こういうものについては直接消費者に対して影響を与えるおそれがあるので最小限にとめたというわけでございます。そして事業局としても、こういうところからの利益を計算してみると、四十九年度には二百六億だ、五十年度には二百五十億だ、五十一年度には二百九十億の見込みである、来年はさらに三百五十億の見込みになると言って大変喜んでおられますけれども鉄道弘済会関係については今回なお改定しておりません。これはいかなる理由によるのか、この辺の理由をお伺いいたしたいと思うわけであります。  それから、もう一点伺いたい点は、構内用地使用料というものが非常にアンバランスだと思うのです。このアンバランスのまま一定率を値上げするならばコンピューターがあればできるわけです。私は、アンバランスを是正して、それから値上げをしてこそ人間としての値打ちがあると思うのです。それを不公平の是正をしない。こういうことで、単に、いままでこれだったからこのパーセンテージを上げればこうなるんだというやり方では、安いところはいつまでたったって安いままでいる。その不公平を是正しなければいかぬ。それをやっていないのですよ。そこに問題があるわけですね。そこで、その問題を大至急どうするかということだけ答えてください。  後でもう一問だけやらせていただかなければならぬし、施設関係の問題は割愛せざるを得ませんが、労働省から来ていらっしゃるので、労働省の方だけちょっと残ってください。そして質問をして私は終わりにしたいと思います。
  227. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 簡単にということでございますから申し上げますけれども、駅ビルその他につきましては出資による配当はなかなか期待はできないわけでございますが、いわば土地借料の意味におきまして貸付料をいただいているわけでございます。したがって、駅ビル会社としては赤字の場合でも国鉄としてはある種の収益を上げているわけでございますが、その収益の上げ方がいま御指摘のようにアンバランスだという点は御指摘のとおりでございます。しかし、過去におきましては単に面積比率で貸したというようなことがありますので必ずしもうまくいっていないが、最近貸しておりますのは、面積比率のほかに売上比率を採用しておりますので、ある程度の合理的改善がなされていると思います。  いずれにしましても、国鉄旅客収入の伸び率がいま非常に悪くなっておりますが、これは私どもだけではなく、私どもとともに一緒に仕事をしている駅ビルとか弘済会とかいうところも一斉に収支がいま悪くなっているわけでございまして、いますぐにそこからいわば親元が召し上げるというわけにもなかなかいかないわけでございますが、しかし、結論といたしましては、いま松本委員が御指摘のように、いわゆる事業局系統のところでの事業態度というものをもう少し改める必要がありまして、本家が火の車でございますので、収益を上げるということについてもう一遍総見直しを必要と認めていまその作業に入っております。  御趣旨の方向で臨みたいと思いますが、個別の問題につきましては、必要があれば時間のおありになりますときに詳しく御回答申し上げたいと思います。
  228. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 弘済会を上げなかった理由はどういうことですか。
  229. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 弘済会は実は、ここのところにきまして大赤字でございます。大赤字というのはなぜかと言えば、旅客が減りましたので駅構内の売り上げが減ったということが一つと、昨年、一昨年と二カ年続けて日本の賃金水準が上がりましたので、弘済会の人たちのベースも上げざるを得なかった。弘済会の仕事というのは販売業でございますから、非常に人件比率が高いものでございますからそうなったわけでございまして、現在、ある種の合理化といいますか、いろいろと人手を、人件比率を低くする努力をいたしております。  その赤字のところに追っかけて赤字になります要素を要求することもできませんので、長い目で見ました場合に——長い目と言ってもそう長くではございませんが、ちょっと時期をずらして調整をしたいということで担当の方から案が出てまいりましたので、ごく短期間様子を見るということで私も承認をいたしたわけでございます。  弘済会の方も大分経営改善の面が出てまいりましたので、これもそう時間をかけずに改定をいたしたいと思っております。
  230. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 それでは、部外投資の問題でもう一問だけやらせていただきます。  この問題は事業局長の関係でないと思うのです。監督の立場でもないと思うのです。ですけれども、やはりあなたがこの問題には一番近いところに位置しているような気がしますのであなたにお答えいただくといいんじゃなかろうかと思うわけであります。本来ならばこれは鉄道弘済会の人を参考人として呼んでいろいろお伺いしたいと思っておったわけでございますが、現在弘済会が国鉄にかわって投資をしている駅ビルというのは十六社ございます。このほかにいわゆるガード下の管理会社があり、これは間接管理方式というものに移行いたしまして非常に成果を上げております。この点については、かつての磯崎副総裁は国鉄の恥部というふうに言われて高架下等用地使用問題が非常に紛糾をした覚えがありますし、私も何回か運輸委員会で質問をしたことがございます。  そこで、こちらの間接管理方式を活用した方の、いわゆる会社の方の問題はまずまずと思うわけでございますが、この会社がいずれも非常に堅実にやっておるということで、いわゆる国鉄に対する用地使用料を、五十年度だけでも八億七千三百十九万二千円の収入を上げて、そしてこれを国鉄に納付している。これは実に資本の二百四十二・六倍です。もっとも、資本といってもここは設備だけでありまして、事務員さんがいるだけでできることでございますのでこれだけの二百四十二・六倍も上がるわけでありますけれども、当期利益金も六社で一億三千六百七十八万円と、非常に手がたく、配当も六分または八分ということで抑えているわけでございます。    〔佐藤(守)委員長代理退席、浜田委員長代理着席〕  ところが、私がこれから指摘する会社においては非常に奇妙なことが行われているので、私はこの点について御注意を喚起しておきたいと思うわけでございますが、駅ビル十六社について見ましたときに、国鉄に対して納入する構内営業料を基準にして、どこの会社が一番よけいに国鉄に対して用地使用料を納めているかというと、もちろんこれは広さにもよりますし、単価にもよりますけれども、まず、一応金額的に言いまして、鉄道会館が五億五千七百三十三万円納めております。これは対資本一六三・九です。それから新宿ステーションビルは三億二千五百五十万円で、資本に対して一〇八・五です。平塚が一億五千八百二十三万円で、七九・一です。それから第六位に参りまして、吉祥寺のステーションビルが一億八百八十一万円で、一〇八・八%で、それからずっと下がりまして、十三位に大宮ステーションビルというのがありまして、ここは五千百三十一万円しか国鉄に納めておりません。言うならば資本の五一・三しか納めていない。  こういうふうなことでございまして、最後の六位と十三位に私は焦点をしぼって申し上げてみたいと思うわけでございますが、第六位の吉祥寺は四十三年の七月の設立で、第十三位でございますところの大宮ステーションビルは四十一年の五月の設立でございまして、いずれも東京の都市圏内の非常に有利な場所に国鉄の場所をお借りして仕事をさせてもらっているわけでございます。資本金はいずれも一億円でございます。国鉄に納入するところの構内営業料は、吉祥寺の方は一〇八・八%で、それから大宮の方は五一・三ということを申し上げましたが、これで見ますと約半分しか大宮は納めておりません。ところが、両社の当期利益考えてみて、ここで申し上げてみますと、吉祥寺の方は三千七百四十四万六千円で、一割配当です。大宮の方は八千七百五十五万四千円もうけておりまして、一割五分の配当です。一割五分の配当は記念配当というものが五分入っているそうであります。いまどき八七・五%も対資本で利益を上げる会社というのは珍しいと私は思うのであります。  ところが、法人税はどれくらい納めているかということを見ますと、吉祥寺の方は四千九十万円で、大宮の方は九千五百七十万円で、大宮は吉祥寺の二・三四倍納めているわけです。もちろん法人税をよけい納めてはいけないということではありませんで、よけい納めることは結構なことでありますけれども、これを国鉄の側から考えてみたときに一体どういうことになるかということです。吉祥寺を一〇〇として見まして大宮を見た場合に、資本は一〇〇対一〇〇です。同じです。どっちも一億です。配当は吉祥寺が一〇〇、それから大宮の方は一割五分の配当ですから一五〇になりますね。法人税は吉祥寺を一〇〇とすれば、ただいま申し上げたように大宮は二・三四倍です。これに反しまして、国鉄に納めるところの構内営業料は、吉祥寺を一〇〇とすれば大宮の方は四七で、実に半分以下ということになるわけですね。これらの会社の経営の衝に当たっているのはいずれも国鉄のOBです。これは一にも二にも自分がなって勤めたところの国鉄のためにということを考えるのが当然のことじゃなかろうかと私は思うのですが、ところがそうではないという事実がここに出てきているわけです。大宮ステーションビルの利益金処分案を見てみますと、利益準備金千八百四十万円、別途積立金四千五百万円、株主配当金千五百万円、普通配当一割、創立記念配当五分、役員賞与八百万円、次期繰越金四百九十三万一千七百十一円というふうな決算、利益配分なんです。  そこで、考えてみますと、大宮ステーションビルの方の構内営業料が不当に安過ぎるのじゃなかろうかと思うわけですね。法人税を吉祥寺と同じように納めることにすれば、当期利益金は五千十万円少なくなるわけです。そういたしますと、国鉄に対して構内営業料の一億四百九十万円を余分に大宮は納めることができるようになるわけです。親の国鉄がいま大変な赤字で四苦八苦しているというときに、国鉄の用地内を借りて店舗を構えて国鉄のOBが経営に当たっているとして、この時期に十年記念の記念配当をするなんて考えること自体がおかしいと私は思うのです。そんなことはどこの会社もやっておりません。この大宮だけです。一にも二にも国鉄さんに対して構内営業料を一銭でもよけいに納めましょうというのがこういう会社の姿勢じゃなかろうかと私は思うのですね。ところが一割五分も配当をして、これを受ける方の人はごく限られた人しか受けられないのです。一般公募の株式会社とは異なるのです。鉄道弘済会を初めとするところの国鉄関連のものの数社にすぎないわけです。こういう経営陣について国鉄当局は何にも言えないのだろうか。  総裁も御就任後日が浅いわけでございますので、こういうことにまで頭を費やしていただくのは申しわけないわけでございますし、国鉄総裁御自身が、非常な赤字財政国鉄、引き受け手のない国鉄再建に取り組まれている姿に私は敬意を表するわけでございますが、こういう不公平、不公正というものが至るところにあるような気がしてならない。要するに、大宮の例というのは氷山の一角じゃなかろうか、いまでさえ根が腐っているという国鉄国鉄のOBが食いつぶしてしまうのではなかろうかという話を至るところで聞くわけでございます。総裁も、事業局長も、あるいはまた自動車局や貨物局の方々も、この部外投資の問題に対しまして、過去の投資先の整理あるいは合理化を図って収入の増加を図り、さらには構内営業料の不公正を是正して雑収入の増加を図ることも企業努力の一環としてやるべきではなかろうかと私は思うわけでございます。  御答弁皆さんからいただくのも恐縮でございますので、総裁に代表していただいて、こういう企業努力について真剣に取り組んでいただくという御決意を示していただきたいと思うのですが、同時に、このような不公正の是正はやはり早いうちにやらないとますます病が膏肓に達するのではなかろうかと思いますし、現在の国鉄財政状態を考えてみたときに、われわれとしても無関心でおられませんのであえて私はこういう問題を御提案申し上げるわけでございますが、総裁の御答弁をいただきたい。
  231. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 国鉄が、たとえばターミナル会社であるとか、臨海鉄道であるとか、いろいろな会社に実に多くの関係を持っておりますのを知りまして驚いておるわけでございますが、その関連が非常に大きいわりあいには、そういうところに対する管理監督の機構あるいは仕組みというものがどうも十分できていないように思います。したがって、いまの御指摘の点は私は個別には承知しておりませんが、そういうこともあり得ることだと思いますし、あってはいけないことだと思いますので、そういう面についての指導監督を強化してまいりたいと思いまして、すでにそのような心組みで数カ月前から準備を始めております。もうしばらくお待ちいただきますと幾らかずつ直っていくということであろうかと思います。御指摘に感謝をいたします。
  232. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 石田運輸大臣から発言を求められております。石田運輸大臣
  233. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 ちょっと訂正をしたいことがございます。  先ほど、鉄道建設審議会の会長は松野君だろうと申しましたが、実は、まだ国会の同意を得ておりませんので、したがって松野君はまだ会長には——委員にはなっておると思いますが、審議会が開かれておりませんから互選が行われておりませんので、訂正をいたします。
  234. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 御丁寧なごあいさつで恐れ入りました。  大臣、申しわけございませんが、いまの国鉄部内のそういう不公正是正と、国鉄のために一生懸命国鉄の退職者が働いてもらいたいという問題に対していまるる申し上げたわけでございますが、国鉄全体を監督するお立場にある運輸大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。大臣のお答えをひとつちょうだいしたい。
  235. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 たびたび御答弁を申し上げておりますが、この異常な事態に対処する基本的な問題は、やはり国鉄運営に当たる人の心構え、それも従来の慣例、行きがかりにとらわれることのない発想の転換——歴史を誇る気持ちはよくわかりますが、同時に、その歴史の中に大変な変化が起こっておるということ、これの認識がやはり基調になければならぬと私は思いますので、私も初めてお聞かせをいただいたことが多いのでありますが、そういうことのないように総裁ともども努力をする決意でございます。
  236. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 最後に一問だけ、斉藤理事のお許しを得ましたのでお願いいたしたいと思います。  労働基準局長をお呼び申し上げておりますので、いろいろの問題がありますが、申しわけありませんがそれは割愛いたしまして基準局長にお伺いいたしますが、屋外労働者に対しまして、いわゆる屋外労働者福祉法というようなものの制定をわれわれは呼びかけております。きょうは屋外労働者の実態あるいは定義というようなものから始まりましていろいろお伺いする予定でございましたけれども、その時間がございませんので、この屋外労働者の福祉法に対して当局としてどのようなお考えをお持ちであるか、この一点だけをお答えいただいて質問を終わりたいと思います。
  237. 藤繩政府委員(藤繩正勝)

    藤繩政府委員 労働者の中でも屋外労働者の労働条件が大変厳しいものであって、特に諸般の対策を要するという点につきましては私どもも同感でございます。  ただ、いま先生がおっしゃいましたお考えの福祉法案の内容なるものを必ずしも私どもは十分承知をいたしておりませんが、重点的にそういう点に特に対策を強化しようという趣旨であれば、私どもは趣旨に賛成でございます。しかしながら、いろいろな対策につきましては、それぞれ労働基準法、労働安全衛生法等でやってまいっておりますので、そういうものとあわせてどういうものが有効か、今後とも勉強させていただきたいというふうに思うわけでございます。
  238. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  239. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 御苦労さまでした。  質疑を続行いたします。斉藤正男君。
  240. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 最初に、通告も何もしてありませんけれども大臣並びに総裁ならば当然お答えをいただける総論的な問題について伺いたいと思います。  委員各位から積極的な前向きの提案を含めて、各党がそれぞれ質疑を行いまして、大臣並びに総裁からの御答弁も、長い経験ではありませんけれども、私も運輸委員会に所属をしてたびたびこの種の審議に参画をいたしましたけれども、いままでの運輸大臣国鉄総裁の答弁とはかなり違った答弁を受けたような感じがいたします。そこで、後刻三木総理が出席をするそうでありますけれども、三木総理が国鉄の現状あるいはその将来について果たしてどれだけの認識を持ち、どれだけの決意を持っておられるのか、聞いてみなければわかりませんけれども、きのうの逓信委員会における答弁などを仄聞いたしますと、どうも当てにならないと言ってはなんですけれども、緊急事態に対処する総理の決意の披瀝としてはきわめて不十分であったというように私は聞いているわけであります。  私はここで人物評論をやるつもりはありません。しかし、ここに一冊の書物がございまして、いろいろなことが運輸行政について述べられておりまして、歴代運輸大臣運輸省内における評価が当たっているか当たっていないかは知りませんけれども、ごく率直に書かれているわけであります。これは別に発売禁止の本でもありません。店頭には幾らも出ている本であります。私は、本委員会の権威に関しましても、また私の好みといいますか、性格から言いましても、このすべてをここで読み上げて論評するつもりはありませんけれども、肝心なところを二、三行読んでみます。ある座談会でAという方が、「まあ、最近の運輸大臣で官僚が本当にこわがったのは橋本登美三郎、二十三代、昭和四十五年一月から四十六年七月までと、中曽根康弘、二十一代、四十二年一月から四十三年十一月までぐらいでしょう。」ということを言われているのであります。  しかし、残念ながら橋本前運輸大臣はロッキードに連座されたのでありましょうか、御承知のとおりであります。中曾根さんもまたロッキードに関連をしていろいろに言われていることは御承知のとおりであります。しかし、この間大臣はずいぶんたくさんかわりましたが、これら数名の大臣は官僚になめられて運輸省ではちっともこわがられなかった。こわがられたとかかわいがられたとかいうこと自体が大変おかしな表現であって、必ずしもそういう表現を信じるわけではありませんし、また、そのようなことがあったかどうか知りませんけれども、しかし、そういうことが書いてある。  石田さんは、久しぶりに大物が運輸大臣に座ったということで就任直後マスコミに書き立てられました。なるほど石田博英、六十歳、当選十一回、党幹事長代行、党組織委員長、労働大臣を経験すること三回、内閣官房長官、議運委員長等も歴任をされ、マスコミの出身であるだけにつき合いも広いし、顔もきくという表現が使われておるわけであります。あなたはまた別名ですか何ですか、「バクさん」と言われますね。バクという動物がおりますが、これは夢を食って生きている動物だと言われているわけであります。あなたが夢を食って生活しているとは思いませんけれども……。片や国鉄総裁は、あなたははきだめにおりたツルだと言われたことがある。国鉄がはきだめであるかどうか、余りにもひどい表現だと私は思いますけれども、しかし、国鉄財政そのものははきだめと言われても形容詞としては当てはまる部面があると思うわけであります。また、ある人はタデ食う虫も好き好きとか言っていますが、あなたはエリート官僚として位人臣をきわめ、しかも後半生を弁護士と大学教授で暮らそうと決意されたにもかかわらず、三木さんだかだれだか知らぬけれども口説き落とされて、あえてこの苦難な国鉄に総裁として勤めるという決意をされたということであります。あなたは、たとえ三木内閣がかわろうとも、あるいは私ども社会党を中心とした野党政権ができようとも、そう簡単に国鉄総裁をやめるわけにはいかぬと思います。  しかし、さすがの高木もまいったようだと石田大臣がたびたびこの席でも言いましたし、先ほどはまた松本委員の最後の質問に対して、長い伝統や習慣の中に安住していることは許されぬ、時代は変わっているのだということを言われましたけれども、しかし、十年一日のごとく変わらないのが国鉄だ、ああもしてみたい、こうもやりたいと思うけれども、常にその前に立ちはだかるのは国鉄百年のあしき伝統にあるところの越すことのできない壁だというようなことも言われております。朱に交われば赤くなるという言葉もありますが、就任して七カ月、非壮な決意で赴いたけれども、どうもみずからを省みて朱に染まったんじゃなかろうかというような反省もしておられるのではなかろうかというようなことも言う人が今日世間ではあるのです。  これはだれが何と言おうと人の口にはふたはできないわけですからいいとして、私は、保守党内閣の今日、石田・高木というコンビは大変なコンビだと思うわけでございます。もっとも、第二次三木内閣の寿命はあと十数日かもしらぬし、あるいは数十日かもしらぬし、そうなれば石田運輸大臣もまたどうなるかわからない立場にありますけれども、しかし、何としてもこの石田・高木コンビのうちに国鉄再建のめどを確固不動のものにしておかなければ後がやりにくくてしようがない。ずいぶんいろいろなことを言いましたよ。私も運輸委員会に所属して七年、たびたび国鉄運賃法その他の審議に参画してまいりましたけれども、議員の質問に対していろいろなことを答弁いたしました。しかし、結果的にはごらんのような実態であります。  そこで、運輸大臣に就任されて世間では大物大臣と言われる石田さんと、異例の総裁と言われている高木さんに一言決意のほどを冒頭に伺いたい。
  241. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 何と申しましょうか、大変御丁重なごあいさつを承りましたが、特に私は身長が一メートル八十センチ、体重が八十キログラムございますから、そういう意味では大物かもしれませんが、そういう不遜な気持ちを持って運輸省に臨んだわけではございません。あるいはまた御推察のように、いつまで運輸大臣でいるかも不明であります。  しかし、国鉄再建を目指した二法案の御審議を願い、その成立を期する以上は、私はやはり国鉄に対しても厳格かつ厳粛な反省を要求する決意でもおります。時間がなくて国鉄の幹部の諸君との会同はまだいたしておりませんけれども、百年の歴史の累積がある意味においては今日の窮境に立ち至らしめたとも言えるわけで、したがって、いままでがこうであったからとか、いままでの慣習が許さないからというような行政態度というものは私は許さない決意でおります。したがって、発想の原点を変え、今日の窮状を厳格に受けとめる必要があります。これは民間会社であったら五十回ぐらい破産しておるわけで、幹部の経営責任者の——初めから責任者ではなかったかもしれませんが、しかし、いずれにしろ、その責任の自覚は厳格に要求し、発想の転換も求める決意でございます。  そういう意味において、掃きだめという言葉はちょっとひどいと思いますけれども、しかし、そういう種類のいろいろなものの累積で今日に至ったという意味に解釈するならば、そこへおりたのは、私はツルではなくて豚であって、ツルはむしろ高木さんだと思っております。高木さんにはお気の毒だとは思いますが、その高木さんがいま自由に働けるように私が全力を挙げることが私の任務であり、その土台が幾らでもできれば、私が運輸行政をお預かりしただけの、ある意味の実績として残るものだと私は考えておる次第でございます。
  242. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 就任をいたしましてから六カ月強でございますが、率直に申しまして非常にむずかしい問題が山のようにあり、それをどういう順番でどういうふうにして処理をしていったらよろしいのか——特に、私自身が直接いたします範囲というものには限界があるわけでございますので、現在の国鉄の幹部諸君あるいは現場におります職員諸君にどのようにして一層気をふるい立たせて、再建に当たるという気持ちを起こすようにしたらいいかというようなことを苦慮いたしておるわけでございます。  幸いにして就任前に心配しておりましたようなことがなく、前々から国鉄の衝に当たってこられました現役の諸君も、また現場の諸君も非常に温かい気持ちで私を応援してくれておりますので、これをもうしばらく続けますならばいささかの打開の道を見つけ得るのではないかということで、十分希望を持っております。  ただ、百年の伝統は即百年の因襲でございますので、従来の考え方から脱出するのがなかなかむずかしいという場合も多々あるようでございまして、それには多少の時間を要するかと思いますので、私に与えられました任務は、任期四年ということでございますから、その法制上与えられました任期四年という期間にどのように有効に私自身の力を配分してやっていこうかということをいろいろ考えておるわけでございます。  それにつきましても、今度の運賃改定問題に関連いたしましても、いままでとは違いまして、なお一層国鉄の実態を一人でも多くの国民の皆さんに広く知っていただくことがまず先決であろうかと考えております。とかく内部で何とかしよう何とかしょうということが非常に多かったのではないか、もっともっと多くの方々の御理解を得て、その御理解の上に立って国鉄再建についてやっていくということが必要ではなかろうか、と、このように思っております。  まことに微力でございまして、うまくいくかどうかわかりませんけれども、ただ一生懸命やるということだけが取り柄でございますので、よろしく御支援をいただきたいと思います。
  243. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 大臣並びに総裁の決意の一端を伺ったわけでございますが、今国会では、残念ながら短時間でありますけれども、野党といえども対案を提示して、そして連日の質問で明らかなように、きわめて積極的な前向きな、しかもやろうと思えば実施可能な具体的な提案をしているわけですが、先ほどの三浦委員の質問等を承っておりましても、所属党派が何党であろうとも真理は一つなんだ、正しいものは正しいのだ、やらなければならぬものはやらなければならぬのだという気持ちがなく、大変でもこの委員会さえ何とか座っていれば後は野となれ山となれだというような気持ちがあなた方には全くないわけではないじゃないですか。松本委員の質問にしてもきょう初めて伺った質問じゃない。折あるごとに、運賃値上げのたびごとに具体的に要求してきた質問がまだ解決されていない。なるほどいろいろな関係から無理だというような問題もあると思うが、しかし、野党の提案といえどもやるべきものはやるのだ、正しいものは正しいのだ、率直に受けとめて明日からの国鉄再建のためにこれを生かしていくのだという情熱と努力が本当にあるのかないのか。大臣や総裁に聞けば、貴重な御意見を拝聴して、できるものからやっていくと言うかもしらぬけれども、なかなかいままでやってこなかったというのが本当でしょう。  わが党の提案を含めて、野党の言い分に耳をかし、できるものから速やかにやっていくという決意がなければならぬと思うが、大臣と総裁から伺いたい。
  244. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 当委員会の各委員の方々の御質問なり、御指摘なり、御意見なり、就任後日が浅いだけに私としては初耳であることと同時に、初耳だけに驚きを感ずることも幾つかございましたが、これはやはりどうしても総点検をしなければならぬ問題だと思っております。そして、ただ点検することだけではなくて、不公正の是正も同時に行わなければならぬと思っております。  私もたびたび役所をお預かりしますが、それをやってみても金額は知れているというような考え方がよく出てくることでありますが、わずかでも国民の税金だし、国民からお預かりしている事業であります。そういう決意をもって皆様方の御意見をずっと拝聴しておった次第でありますから、その拝聴した事柄、御指摘の事柄について総点検を行い、そして不公正の是正に相努め、再建の基礎といたしたい覚悟でございます。
  245. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 先般来のお尋ねの中で、あるいは御指摘の中で、私も就任以来そこが問題だと感じておることがたくさんございます。たとえば資産の活用の問題でございますとか、関連企業への管理監督の問題でございますとかいうことは大変問題が細かい問題でございますけれども、こういう事態になりましたときに気をつけ、努力をしなければならない面がたくさんあるわけでございまして、これはもう数カ月前から私なりに内部に対してそういう点の洗いがえの指導をいたしておるところでございます。  御指摘を受けました点はそれぞれ非常に重要なポイントでございますし、そして私どももその心がけでおりますので、ここで行われました御論議を伺っただけで済ますということは決してないつもりでございます。今後ともいろいろな機会がございましょうが、そういう機会に少しでも改善の跡を御報告できますように努力をいたしたいと思います。
  246. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 ちりも積もれば山となるということわざもあるのです。そんなささいなものをということでなくて、大臣からもお話がありましたように、普通の一般会社ならばすでに数十回破産宣告を受けている企業だということから考えますれば、三度の御飯を二度にしても相努めなければ国民の前に申しわけないと考えるわけでございまして、ぜひそういう態度で臨んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、大臣の、百年の歴史の中には、内部ではわからぬけれども、外から見ているとよくもまあこんなことがというようなことがあるということですが、これはどんな障害であろうとも乗り越えなければならぬし、時代は変わっているのだという言葉と受けて——実は、私は、反国民的な非常識な独善的的な国鉄の実態を、ワーストテンを挙げてきょうはやろうと思ったのですが、しかし、時間もありませんし、ワーストテンというわけにもいきませんから、十一番目ぐらいのものを一つ二つ出して国鉄の基本的な姿勢について考えていただきたいと思うわけであります。  その一つは、質問にもいろいろありましたけれども国鉄は、国鉄用地を無償で貸しているものあるいは有償で貸しているもの等いろいろありますと同時に、逆に、民間から土地その他を借りている場合もあるわけであります。当然のことでありますけれども、契約書を結びます。民間から借りる場合は、法三条といいますけれども、まさに四条だけの形式であります。ところが、国鉄の財産を貸す場合には二十六条まであるわけです。国鉄の財産を貸すにはがんじがらめにして、にっちもさっちもいかない形で貸し付ける。民間から借りる場合には法三条的な条件で借り上げる。それもいいですよ。契約条項が多ければ多いほど賃借料や賃貸料が高くなるわけでもございませんからいいですけれども、問題は、民間から物を借りる場合には、もし民間の貸し方が返してほしいと言った場合には双方が協議してこれを決めるということになっているのです。ところが、国鉄が物を貸した場合には、国鉄の御都合でいつでも取り上げるぞということになっているのです。  国鉄の財産は重要だから、国鉄がその目的達成のために必要ならばいつでも取り上げるということはわかるが、民間の財産だって、そのときには貸してあげたけれども返してもらいたいという都合だってあるのですよ。民間の財産だろうと国鉄の財産だろうと変わりはない。ところが、民間から物を借りた場合には国鉄の都合でどうにでもなる。貸した場合は国鉄の都合でいやおうなしに巻き上げる。私は、同じ賃貸をするならば同じ契約条件で契約したらどうかと思うのだけれども、こういうことはわりあい国鉄に世話になっている、借りて国鉄からもうけさせてもらっているというような人たち国鉄の財産を借りている対象でありますから余り文句は言わないだろうと思いますけれども、貸した民間の方にしてみれば、同じ財産を国鉄の都合でいつ返してもらえるかわからぬ、国鉄がオーケーしなければ返してもらえないんだというようなことを盛り込まれた契約書で心不平等もはなはだしいと思うのです。  もう一つは、私は後ほど詳細にお尋ねをいたしますけれども、新幹線公害の補償ですね。加害者が国鉄であり、被害者は沿線住民であるという場合に、重い腰を上げられてようやく補償に入りましたけれども、「新幹線鉄道騒音に係る障害防止処理要綱」というのが副総裁通達で出ているんだが、中を見てみますとみんな「助成」ですね。  大臣国鉄が騒音をまき散らし、振動をまき散らし、地域住民を大変苦しめ、移転を余儀なくされた、あるいは防音工事を余儀なくされているという場合、もちろん国鉄が金を出して移転をしたり防音工事をやるわけですよ。ところが、その内容が全部助成ですよね。助けてやるということなんです。私はこの質問をするのがこれで三回目ですが、総裁はいつも、おい何とかならぬか、おかしいよ、この言葉は、と言うのですよ。言うけれども国鉄には——国鉄にはというよりも、役所には何かこういう決めがあるようですね。加害者である国鉄が頭を下げて謝って、申しわけありませんでした、金を出しますから移転してください、移転が不可能なら防音室をつくりますからぜひ工事をやってくださいというのを助成だって言うんですよ。助けてあげますよということなんです。この根性も私にはどうしてもわからぬ。  先ほど言ったような国鉄との賃貸契約あるいは公害に対する補償を助成と表現し、また、現地で被害者に対応する諸君も、最近はそうでもありませんけれども、当初は全く高飛車だったんですよ。こんなところに住んでいる方が悪いような言い分をしたんです。最近は変わってきましたがね。まだいろいろありますけれども、こういう二つの例から言いましても、国民のための国鉄だという観念よりも、国民に君臨する国鉄だ、おまえたちを運んでやるんだという国鉄だという感じがする。先ほどからいろいろと論議がありましたけれども、大資本には大変便宜を図っているという説もあります。  庶民に対しましてのこういう形式、表現といったようなものは、国鉄百年の歴史の中でも世間に通用しない反国民的な、反道徳的な態度だというように私は思わざるを得ないのですけれども、まずこのことの実務担当者からお答えください。その答弁を聞いて大臣と総裁の見解を述べてください。
  247. 高橋説明員(高橋浩二)

    ○高橋説明員 まず、最初の、土地を国鉄がお借りする場合あるいは貸す場合について大変違うという御指摘でございますが、この点については、まず私の方が民間から土地をお借りする場合には、私の方の予算が単年度予算主義でございますので、一応一年ごとに契約を結んで、あと双方異議がないときにはなお契約を更新するということを基本にいたしまして、そしてあと私の方が必要のなくなった場合にはいつでもお返しするという非常に簡単な契約になって、それでお借りをしているのが実情でございます。  それから、私の方がお貸しする場合には、実は、私の方の国鉄が持っております土地は、基本的には要らない土地は早目に処分してしまうということで、したがって、ただいま持っておりますのは、基本的にはいま使っているもののほかに、近い将来に国鉄本来の事業の目的に使うというようなことで留保しておる土地がございまして、そういうものを暫定的にお貸しする場合が多々あるわけでございますけれども、この国鉄の土地は公物たる性格を持っている財産ということで、実は、私の方の必要の場合にはいつでもお返しを願いたいという契約でお貸しをしているというのが実態でございます。その点が若干双方の考え方が違うじゃないかというようないま御指摘の点かと思われます。  それから、公害の場合の、いま私の方でたとえば東海道新幹線の騒音等に係っていろいろ御迷惑をかける点については、基本的には国鉄の音源をなるべく小さくしょうということで努力しておりますけれども、音を小さくするだけでは問題が解決しないので、ある一定基準以上の非常に音の大きなものについては、民家の窓を二重窓にするような防音工事をするとかあるいは移転をするというようなことの処置を伴って解決しておるわけでございますが、いま先生が言われましたように、私の方から通達しております文章は、この民家の窓を二重にするということについては費用の一部を相互に持ち合うという基本的な観点から助成という言葉を使っております。しかし、実態においては、この二重窓にいたしますお金は実際にかかる費用のほとんど全部が私の方で補償に近い形で行われておるのですが、使っております言葉は双方で持ち合うという意味で助成という言葉を使わしていただいていることを申し上げておきます。
  248. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 常務理事は大変うまい答弁をされておりまして、あの答弁の限りでは、大臣も総裁も何だ斉藤おかしなことを言っておるじゃないかと、ぼくの言い分の方がおかしいというように思うと思う。かっこうはそうなっておるけれども、実際はそうじゃないのですよ。たとえば民間から国鉄へ土地なら土地を貸した場合に、契約条項に従って来年は返してくださいよと言うわけですね。ところが、言を左右にして絶対に返さない。絶対という言葉はどうか知りませんけれども、なかなか返さない。その事例を私は幾つか知っています。ところが、国鉄の都合で取り上げなければならぬというときは即座と言ってもいいほどあけなければならぬ。どこにそういう例があるかと言われたら私は申し上げてもいいのですが、これはやはりこの場で言うような問題ではないと思いますので言いませんけれども、年々歳々返してほしい返してほしいと言っても言を左右にして返さない。しかし、国鉄から土地を借りていたある人あるいは施設を借りていたある人はもう即座に明け渡したという例もあるわけでございます。  いまの常務理事答弁を聞きますと、大臣も総裁もどうこうないじゃないかと言うことだろうと思いますけれども、たとえばその公害の問題に対する大部分国鉄が持ち、一部を負担していただくので助成と言っているが、では全額持てば助成という言葉はなくなるのかというと、そうではないのですね。やはり、全額持ったって助成で、それは本件に関して訴訟もございますので、いま係争中です。したがって、補償なんという言葉を使った日には、あるいは裁判の中で国鉄は補償するという前例を開いたことになるということを恐れて使わないのかもしらないなと私は思ったこともありますが、事の本質上、新幹線公害に対する被害者の救済について助成なんという表現は全く私はわからぬ。  土地の賃貸についてはこれ以上生々しい事例を挙げて質疑を続けようと思いませんけれども、新幹線公害に対する補償を助成と言うことが、言葉だけでなくて態度あるいは内容においても助けてやるんだよという気持がある。これが許せないのだが、見解をお示し下さい。
  249. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 事の内容については、これはどうも私はお答えする立場ではございませんが、御議論を承っており、同時に私も自分で役所をお預りしているときに、この助成という言葉が気になって仕方がないことも何度かございました。これはやはり長年続いた官尊民卑の残滓のような気もいたします。しかし、さてそれにかわる言葉がどういう言葉があるかということになりますと、補償ということを前提とした措置であるとは思いますが、補償という言葉それ自身がぴたり当てはまるかどうかということになると、これもまた困るわけでございますが、ただ、乗せてやる、お上のものだというつもりでいるならそれこそ百年続いた官尊民卑の伝統というものをなくさなければならないと思いますが、しかし、現在はそれが非常になくなってきつつあると思います。  実は、私は約四十年近く横須賀線で東京へ通っておりますが、その中で車掌さんでもいろいろと違うのですね。その車掌さんによってその日一日が愉快である日と、それから不愉快である日とがあり、これはえらく違う。そういうことを見まして、それはどこが違うかというと、それは官僚的な残滓が残っている人と残っていない人との違いです。国鉄というのは商売なんですから、お客さんをお乗せしてもうかっておるか赤字かは別として、それで代金をちょうだいしておるという商売である以上やはり競争相手があるわけだから、そういう対人的態度で運営に当たってもらいたいと思います。
  250. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 先ほどの土地の賃貸に関する部分につきましては、これは必ずしも国鉄だけではなくて、私も大蔵省で、一般会計の財産の管理のことが大蔵省の所管の仕事の中にありましたので多少経験いたしたことがございます。それから、税の関係で、滞納処分でお預りして、歳入として入ってきた品物や土地をまたほかの方に貸したという場合の問題でいろいろもめごとがございまして、これも経験がございます。  そこで、少しずつは国全体として直してきていると思いますけれども、土地の賃貸についていざさかお役所仕事的な部分が残っておることは確かに認めるわけでございまして、これは国鉄だけではなくて、いまの日本の場合に、お役所仕事でそういう色彩が残っておることは否定できません。しかし、それは改善していくべきものであり、特に私どもの場合には公共企業体、一般会計とまた違うわけでございますから、非常に民間的色彩が強いので、そういうことについての物の考え方も直していかなければならないというふうに思います。  いまの新幹線騒音に対する障害防止の方についてでございますが、これは実はいささか事情が違いまして、例の空港の周辺の騒音処理の問題あたりからいろいろ論議がございまして、私どもの方だけじゃなくて、騒音対策について加害者が被害者にお金を出す、被害者がいろいろ移転したりなんかする費用がかかるとそれの分担をするという場合に、どういうわけでありますか、かなり統一的に助成という用語が使われておるようでございまして、先ほど御指摘の副総裁から出ている通達を書きます場合に他の法令の用語と言葉を統一したという事情があるようでございます。  助成という言葉は御指摘のようにどうも余り適当でないと思いますけれども、何か、これは国鉄だけでなしに他の官庁も用語統一の意味で使われているようでございますので、研究はしてみますが、私の方が元凶ではなさそうでございますので、すぐ直せるかどうかちょっとわかりません。
  251. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 鉄監局長、何か物を言いたそうな顔をしていますから、法的根拠あるいは慣例等で言い分があったら言ってください。
  252. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 私といたしましても、助成という言葉は必ずしも適当ではないと考えておりますけれども、先ほど総裁から申し上げましたように飛行場関係の法律の中に助成という言葉が使われておりまして、私の記憶ではたぶん全会一致で御承認いただいたのではないかと思っております。
  253. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 いずれにしても、名は体をあらわすという言葉もありますけれども、そういう表現が精神的に日常行動にあらわれてくるということになりますればこれはやっぱり大変反国民的だと思うわけでございまして、運営に当たっては十分な注意をいただきたいというように思うわけでございます。  そこで、大臣国鉄財政再建のためにいろいろ論議をいたしておりましたけれども、先ほども総合交通体系がなければ国鉄の位置づけ等もむずかしいじゃないか、総合交通体系は文章ではあるが、活字は並べてあるけれども全く死文化していてなっていないというようなきつい批判もありましたが、私も、総合交通体系というものを経済企画庁が主管していること自体がまことにおかしいと思うのです。なるほど関係官庁は多いですよ。しかし、楯委員からも御指摘がありましたけれども、高速自動車道路を線路のない鉄道考え運輸省所管にすべきものであったものを建設省にとられてしまったというような話もありましたけれども、私はそういうなわ張り争いで言うのでなくて、総合交通体系を事務局を置いて本当に取り決める役所というのは運輸省をおいてほかにないと思うのです。交通ですからね。空も陸も海も、交通の主管省というのはやっぱり運輸省ですから、その交通体系を総合的に確立するのはやっぱり運輸省が名実ともに中心であるべきだというように私は思うわけであります。  ところが、その運輸省がやっている交通行政の中で、これは総合交通体系とはほど遠い行政だと言うかもしれませんけれども、二、三の例を申し上げますので御検討をいただいて御答弁をいただきたいと思うのでありますけれども、車検制度というのがありますね。自動車の車検です。この車検という制度は、陸運局長の認定工場が期限の来た自動車を整備して国の車検場へ持っていって検査を受ける方法と、指定工場にされていて、いわゆる民間車検場として国の業務を代行する制度とがあるわけですが、どうしてそういう民間車検制度が生まれたかということは御承知のとおりで、余りにも車がふえて国の機関だけではやりおおせない、道路交通の安全を確保するためにはやはりそういう部門の拡張も必要だということで、厳正な規格を決めてやっているわけなんです。  ところが、驚くなかれ、ガソリンスタンドで民間車検をオーケーしているのですよ。ガソリンスタンドというのはガソリンを売るところなんです。特殊のガソリンスタンドは部品を売ったり、若干の整備はできるようになっているのですよ。しかし、車検をやれるようなガソリンスタンドはわが国にはない。私はここにガソリンスタンドが発行した車検の領収証を持っていますからお見せしてもいいんですが、ガソリンスタンドが車検をやっている。しかし、本当はガソリンスタンドはできませんから、民間車検工場から依頼を受けるか、連絡をとって、実際はそこでやったという判こになっているわけなんだけれども、これを本当の車検をやってみると合格するのは塗装だけです。黒いところはコールタールを塗る、赤いところは赤いペンキを塗る、黄色いところはわずかでありますけれども黄色いペンキを塗るということで、そこだけは合格だが、オイルの交換も機器の交換もほとんどやられていない。驚くべきことなんです。そのことと総合交通体系と何の関係があるかと言われると、これは大風とおけ屋みたいになりますからそんなことは言いませんけれども、そういうことなんです。  それから、運輸省には免許許可の権限が非常に強くあるわけなんです。たとえば、トラック輸送業をやりたいという場合に申請を出しますね。そうすると陸運局はどういうことを言うかというと、実績があるかと言うんです。また、荷物は間違いなくあるかと言う。その場合、荷物がある場合は契約する会社の証明書を持っていけばいいわけです。ところが、実績があるかと言われるとあると言わなきゃ合格させてくれないのですよ。それで、あると言うと、それじゃおまえやみをやっていたな、シロトラじゃないかと言うのです。ところが、シロトラであってもやみであっても実績を認めて認可するんです。そして認可と同時に法律違反の営業停止をくれるわけです。したがって、十月一日に認可いたしますと、十五日間なら十五日間の営業停止をくれて、実際は十月十五日から営業をする、こういうことですよ。これもおかしな話で、実績があるかと言ってあると言えば認可をする。ないと言えばだめだと言う。そして、あると言えば無免許じゃないか、シロトラじゃないか、処分するぞ、と、こういうことなんだ。この辺もどうもわからぬ。  それから、陸運事務所の人たちと警察の交通関係の人たちと歩道橋の上で、あの車なら車検を通るか、あの車はどうだといって一々やっている——これは厳密にはわかりませんよ。しかし、その筋の人たちに立ち会ってもらって見ていますと、目で見ただけでトラックで五台に一台、乗用車で七台に一台はいまの段階で車検を受ければ完全にアウトです。場合によっては自動車は走る殺人凶器だ。にもかかわらずこれほど違法なことが野放図になっているんですよね。  運輸省内部でもそういう問題があるときに、通産省も労働省も経済企画庁も、あるいは警察庁も建設省も、もろもろの機関が寄って総合交通体系をつくるというようなことですから、なるほど口ではいろいろ言うけれども、省内の一、二の例をとってもあるんですから、これは実際は容易なことではないけれども、しかし、国鉄財政再建のためには、あるいは国鉄を国民のものにするためにはやはり言葉でなくて、文章でなくて、実効のある総合交通体系というものが確立されなければならぬと思うのですけれども、私が申し上げたところの、主管省である運輸省がこの問題に積極的に真剣に取り組めという要求、あるいは内容を精査してみると容易ならざる問題があるというようなことについて、大臣、見解を述べてください。
  254. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 実際上、海、空、陸の交通行政を主として預かっておるのは御説のとおり運輸省でございます。無論他の官庁ともいろいろな関係はございましょうけれども運輸省が中心となってこれを推進しなければならぬことは言うまでもない。ただ、経済企画庁はそういう各省にまたがる仕事を調整するのもその役目の一つでございますので、恐らくそういうことになったのだろうと思うわけでありますが、実際的には運輸省が中心になるべきであり、その責任があるということはよくわかっておりますので、そういう方向へ向かって行政を展開いたしてみたいと思っております。  それから、後の個々の例は私は文字どおり初めて聞くことばかりですけれども、ありそうなことだなあという印象も同時に持っております。これは主管の事務当局からお答えをさせます。
  255. 中村(四)政府委員(中村四郎)

    中村(四)政府委員 ただいまの先生の御指摘の二つの点についてお答え申し上げます。  第一点の指定整備事業の問題でございますが、先生がおっしゃいましたように昭和三十七年に指定整備事業の制度が生まれたわけでありまして、それ以来指定整備の適正な執行ということについては私どもといたしまして努力してまいったわけでありますが、遺憾ながら、ただいまの先生の御指摘のような例をお伺いいたしまして実は慄然としたわけであります。私どもといたしましては、指定整備事業について、自動車検査員の研修あるいは経営者、その管理者の講習、それから監査を、従来レギュラー的な監査でありましたが、それでは御指摘のような事例をなかなか補完できないということで、業務量と保安基準適合証の発行とのアンバランス等を抜き打ち的に検査いたしましてそういう違反を是正していくように目下努力いたしておるところでございます。  それから、トラック事業、区域トラック事業等の免許に当たりましての審査のやり方について御質問があったわけでありますが、これは法令によりまして、申請に当たっては、推定による取扱貨物の種類なり数量なり、その算出基礎という申請関係書類を出すことになっておりまして、聴聞等に当たりまして、その裏づけと申しますか、荷主との結びつき等につきまして、まあ言葉のやりとりの関係もあると思うのですが、非常に強く出てまいりますと、御指摘のような、従前自家用で営業行為をやっておってこれは非常に確かな実績であるというような事態が出てくるわけであると思います。  私どもの方といたしましては、そういう法に反する行為に対してはやはり処分を行うと同時に、その非を改めまして、事業者として遂行していくだけの能力があるということになりますれば、これを正規のルールと申しますか、軌道に乗せて指導、監督し、そして物流に寄与していただくということが必要になってくると思います。  御指摘の点につきましては、われわれは実績を前提にしなければ免許しないというような態度では決しておりませんし、もしもそういうことがあるとするならばその是正を図りたい、かように思っております。
  256. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 別に、この国鉄二法をやっているのに自動車局長答弁なんか求めたわけじゃないのだけれども大臣があんなことを言うものだから時間をとっちゃった。これは質問の仕方も悪いと思いますけれども……。  そこで、総合交通体系を立てる上において、運輸省にかかわらずあらゆる省庁に審議会というものがあるのですよ。しかし、今日、運輸審議会を筆頭にして審議会というのは隠れみのになっている、民主的な国民の総意を反映する機関になっていないという批判が強いわけです。ここに外国の例がありますけれども、別にこのとおりやれとかこれがいいとかというわけではありませんが、フランスの場合は一つは運輸の一般政策に関する計画作成委員会というのがある。これは「計画の作成は総合企画庁で行なうが、企画庁は国民経済計画担当部局の協力のもとに、計画草案を作成し、各専門委員会への諮問を組織的に行なう。計画作成の基礎となる具体的データーを提供する専門委員会は、官吏、実業家、運輸事業者幹部、労働者代表、学生等三〇〜八〇名の委員で構成される。」ということになっているのです。つまり、労働者の代表や学生の代表まで入れて国の最高の運輸の一般政策に関する計画作成委員会というものが構成されている。その他運輸に関する第五次計画作成のための委員会とか高等運輸審議会とか国鉄管理委員会など、いずれもこういう審議会は国民の代表を入れ、労働者の代表を入れて、きわめて民主的な論議をやっているということなのであります。  先ほど申し上げましたように、なるほど名目的には多くの審議会や委員会があるけれども、まさに国民から離反をし、隠れみのにこれが利用されているという今日の行政の実態から顧みて、運輸省におかれましても、総合交通体系を確立するためには広範な国民各層の意見をどういう形で聴取するかという点について十分御検討をいただきたいと思いますが、大臣の見解を伺いたい。
  257. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 運輸省に限らず、各省庁に設けられている審議会、調査会、委員会というものの実態は御指摘のような実情にないとは言えないと思います。特に、国鉄のような事業の改善と再建に当たる機関は、ふだんしょっちゅう自家用車に乗っている人ばかり集まったのでは的確な意見が出てこないという点は私も同感でございます。どうもえらい人ばかり集めて大要をつくり過ぎる傾向にあることも認めます。そういう御批判が出ないように努めたいと考えておる次第でございます。
  258. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 マイカーがわが国総合交通体系の中で一番対象に考えなければならない存在になっていることも御承知だと思うわけであります。しかし、これは憲法に基礎を置く今日の時代の趨勢から言って容易ならざる問題だと思うわけであります。そして、これを何とかしなければわが国の総合交通体系というものはあらゆる角度で蹉跌をするということも事実だと思うわけでございます。  私が国鉄から取った資料によりますと、国鉄四十三万人の職員のうち、理由はいろいろありましょうが、たとえば国鉄の沿線に住んでいない、私鉄もない、バスもない、いまさら自転車でもあるまいというようないろいろな事情はわかりますけれども、国民に広範に利用をいただきたいという国鉄の十三万六千人も職員がマイカーで通っているわけなんです。いま言ったような事情からどうしても他の交通機関を使えないという理由での十三万六千人ならば私はあれこれ言いませんけれども、この十三万六千人の皆さん方が果たして汽車にも乗れない、私鉄にも乗れない、バスにも乗れないというような諸君だけであろうかということを考えますと、いささか私は疑問を持たざるを得ないのです。ある私鉄会社は、私鉄再建のために全職員のマイカー通勤を禁止いたしました。乗るならばただのうちのバスへ乗れということさえすでに民間ではやっているわけです。  こういう点に関しましても微に入り細にわたって——国鉄は国民か利用する、国鉄のことは国鉄職員が一番よく知っているのだから、そんなものには乗っちゃおれぬよということでマイカーに乗っているとしたら、これは重大な問題だと思うわけでありますけれども大臣と総裁の見解を伺って、総理もお見えでございますから私の質問を終わります。
  259. 高木説明員(高木文雄)

    ○高木説明員 確かに、自分のところの仕事が鉄道でありますから、うちの職員はまず鉄道を万全に利用するという基本姿勢でなければならないと思います。ただ、現在は非常に多くの場合に夜間勤務等がございまして、四十三万人のうちで真夜中に勤務しております者の数は毎晩大体七万人を超えるわけでございます。夜間勤務を初めといたしまして不規則勤務が大変多いということで、始業時刻、終業時刻に列車がないというようなことから、車に乗るのもまたやむを得まいというようなことで、いわば大目に見るといいますか、最初はそういう姿勢でありましたのが、むしろだんだん利用者がふえてきたというような状態であるようでございます。  おっしゃるように、現在は国鉄を使えということについての指導が十分行き届いてはいないと思いますが、制度の上におきましては、国鉄を利用できますのに国鉄を利用しないという通勤をしております者については、当然のことと言えましょうが少なくとも通勤手当を支給しないというようなことではやっておりますけれども、もっと国鉄を使いなさいという意味での指導はまだ十分ではないと思います。要するに、そこらはすべて心構えの問題でございますから、今後ともそういう空気が出てまいりますように誘導していかなければならぬと思います。
  260. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 いま、わが国の人口の中で自家用車の占める割合はどれくらいか、何家庭に一台くらいの割合になるか、それの国鉄職員との関係はどうなるかということは私はわかりませんが、ただ、自家用車がやたらにふえることは都市交通をいよいよ困難ならしめますし、国鉄の問題は別といたしましても重要なことであろうと思います。ニューヨークとかサンフランシスコあたりでは、市内へ自家用車が入りにくいようないろいろな措置を講じているそうでありますが、そういう点も検討いたしてみたいと思います。  ましてや国鉄再建に当たり、国民に国鉄を利用してもらおうという立場の者が一番先に国鉄を捨てるのでは話になりません。お米が余ったときにお米をみんなに食べさせろという陳情に来る人が朝飯会にパンを出しまして驚いたことがあるのでありますが、ちょうどそれにやや似たようなもので、そんなことのないように、いま国鉄の総裁がおっしゃったような方向で指導したいと思っております。
  261. 斉藤(正)委員(斉藤正男)

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  262. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 御苦労さまでした。  この際、質疑をなさる委員各位に申し上げます。  質疑時間は理事会において申し合わせたとおりでありまするので、その時間の範囲内においてお願いを申し上げます。したがって、答弁も簡潔にお願い申し上げます。  それでは、堀昌雄君。
  263. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 本日、この法律のわが党としての最後の質問を私が行わせていただくわけでありますが、実は、私の感じでは、国鉄再建問題というものを政府はきわめて局限された狭い範囲の問題として受けとめられておるような感じがしてなりません。政治というものは、確かに、経済あるいは国民生活の当面の問題に対処しなければならないのは当然でありますけれども、さらに重要なのは、われわれがこれから二十年三十年先のわが民族の将来について現在やらなければならないことを行い得るかどうかということが政治上の重要な課題であるというふうに私は考えているわけであります。ですから、その観点に立って、今後二十年三十年の日本経済における長期展望の中における日本国有鉄道のあり方はいかにあるべきであるかという問題について私はこれから少しお尋ねをしたいと思うのであります。  最初に伺いたいのは、いま政府は現在の国鉄というものをどういうふうに位置づけようとしているのか、まず最初にこの問題について運輸大臣から御答弁をいただこうと思います。
  264. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 昨年の終わりの閣議決定に書かれておりますように、国鉄の果たすべき役割りの第一は都市と都市との間の旅客輸送、次には都市圏内における旅客輸送それから中距離・長距離の大量の貨物輸送と、こういうものが国鉄の果たすべき中心的役割りであると考えております。  それから、いまの堀先生のお話の中に長期的展望に立たなければならないということがありましたが、熱エネルギーのないわが国におきまして、エネルギー経済の上から輸送問題を見るときに、一番有利なものは船でありますが、その次に有利なものが鉄道である。軌道である。熱エネルギーの入手難がいよいよ深まってくる情勢を見ますときに、エネルギー経済の上から見て船に次いで有利なものは、船は海しか走りませんから、陸の上を担当するものとしては軌道が一番有利であります。そういう有利な点を伸ばしていって、将来におけるわが国の経済あるいは国民生活の主動脈の役割りを果たさせたいと私ども考えておる次第であります。
  265. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 いまの前段の方は部分的な現状対応でありましょうからあれですが、いまの主導的な国民の交通機関の役割りを果たさせたいという話でありますが、それにしては、政府がこれまで国鉄にとってきた助成というものはいまの運輸大臣のお考えとははるかに遠いように私は思うのです。  ちょっと私は国鉄の問題についての客観的な背景を申し上げておきますが、御承知のように、昭和二十四年に国有鉄道でありましたものが公社にかわりました。同時に、郵政省の電気通信部門でありましたものが電電公社にかわりました。専売公社も設けられました。要するに、ここで実は三つの公社ができたわけであります。当時の公社は今日も依然として同じように公社としてあるわけでありますけれども、電電公社は今日においても当時においても電気通信産業の中では完全に独占的な立場にあります。この状態は二十四年のときも今日も変わりません。専売公社も当時も今日も同じ独占企業であります。ところが、国鉄は実は公社になりましたときと今日とでは大変な違いがあるわけであります。陸上の交通だけで問題を見てみますと、旅客の面では昭和二十四年の団鉄のシェアは六〇%、民鉄が三〇%、乗用車は当時わずか〇・三%のシェアしかなかった。貨物で見ますと、船はいまのお話しのようにちょっと次元が違いますから陸上交通だけでありますが、昭和二十四年に国鉄が九〇%、民鉄が一・五%、自動車が七・五%で、言うなれば、この昭和二十四年という時期では国鉄もまた陸上輸送における独占企業であったわけでありますから、ここでスタートをするときは、まさに独占企業として政府は考えたと思うのです。  ところが今日になりますと、昭和五十年になって、貨物の場合には九〇%のものが三分の一に減って二六%、民鉄は一・五%あったのが、これも約四分の一ぐらいになって〇・四%、自動車は七・五%が約十倍で七三%のシェアを貨物で占めるようになった。それから旅客で言うと、国鉄が六〇%あったのが、昭和五十年には三〇%と二分の一に下がっている。民鉄は三〇%が一五%に、やはり二分の一に下がった。ところが、乗用車は当時〇・三%であったものが三五%と、百倍にその輸送力が大きくなっておるのであります。  このような国鉄のシェアダウンを今日まで拱手傍観してきた政府の責任というものは大変大きい問題があると私は思うのです。いま運輸大臣が言われたような国鉄を主要な輸送の機関としたいという考えと、これまで政府がとってきた、何もしないでシェアが下がるに任せてきたやり方との中には、基本的に、こうやってほったらかしてきた、これからは上へするのだと言うのなら、どこかに屈折点がなければならぬと思うのです。総理大臣、よろしゅうございますね。私は、いまこそまさにこの屈折点にあると思っておるわけです。ここで方向が変わらない限り、要するにほったらかしなところから強力な助成をするという方向に変わらない限り、いまの石田さんの答弁というのは成り立たないわけです。  ちょっと先に石田さんの答弁をいただいてから総理に基本的なお考えを承ります。
  266. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 私は、国鉄のシェアダウンということはよく承知しております。その背景をなしているものの一つは、石油価格の変動、石油生産量の変動というものがやはり大きな影響を及ぼしているのじゃないかと思います。それから、将来国鉄は主要な輸送幹線にならなければならぬという点も、やはり、これからは石油事情が現在まで来た石油事情と違ってくるというふうに考えている次第でございます。それから、それを含めまして、国鉄が現在のような状態になりました第一の原因は、近年におけるわが国の経済構造あるいは産業の立地条件というようなものの変化に十分応じ切れなかったこと、あるいは国鉄運賃その他の改定が予期より一年半ないし二年おくれてその間に負債が生じたこと、いろいろそういうことが挙げられるだろうと思います。  助成措置のお話がございましたが、本年は国鉄の六兆八千億に及ぶ負債の中から二兆数千億円たな上げをいたしまして、無利子ないし利子の補給をいたすことにしておりますことは御承知のとおりでございます。国鉄自身は昭和三十八年までは黒字でございました。それから昭和の初めまでは代表的優良企業であったわけであります。その代表的優良企業であった時代の各種の公共負担あるいは政策割引というものが国鉄の上へ覆いかぶさっておったわけであります。一般的な助成というよりは、独立採算制を要求される企業という立場から、黒字の経営を続けて優良企業であった時代に負担をしておった公共負担あるいは政策割引というようなものを、赤字で苦しんでおる国鉄運賃コストを割ってまで負担をするのは筋違いで、やはり、それぞれの政策発現の官庁がそれぞれの責任をとってもらうように持っていかなければならないと私は考えます。そういうものを通じて国の負担ということに結果的にはなるのでしょうけれども、そうなる筋道はそうでなければならぬと私は考えます。ただし、それでも金額は余り多くありませんが、不足な分はさらに別途の措置を講じなければならぬ、それからもう一つ国鉄自体がみずからの努力をしなければならぬ、このように思っております。
  267. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 総理、いま運輸大臣がいろいろお答えになりましたが、一番重要なことは、エネルギーの問題が御承知のようにだんだんと急迫をしてくるわけであります。特に日本の対応が、たとえば西ドイツやフランスに比べて大変おくれていると思うのです。現状でも西ドイツやフランスとの関係を見ますと、これは実はエネルギー調査会の答申の中にある資料でありますけれども、日本は一九七三年に全エネルギーの中で石油が七七・六%なんです。これを日本は一九八五年を目途に六三・九%まで下げたいと言っておるわけですね。西ドイツは一九七三年でも五五・二%しか石油のシェアはないのです。ほかのもので賄っているのです。それを四四・一に減らそうというのです。フランスは一九七三年が六六・三で、これを八五年にはやはり同じように四四%まで減らそうと、大変思い切った石油の消費削減をやろうとしておるわけですね。  そこで、実は、エネルギー調査会はこの問題について答申を出しておるわけでありますけれども、そのエネルギー調査会の答申は、昭和五十年代エネルギー安定化政策の重点として、第一に石油依存度の低減と非石油エネルギーの多様化、要するに、何しろ石油から脱却しなければならぬという問題が一つあります。その次に石油の安定的確保、当然これは必要でしょう。三番目に省エネルギーの推進、要するにエネルギーを効率的に使う以外にないということです。この三つの答申をしておるわけですね。  そこで、この輸送機関のエネルギーの使用効率について、いま運輸大臣は船の方が低いとおっしゃったのですが、私が持っているのは国鉄の資料なんで、ちょっと手前勝手になっているのかもしれませんが、しかし、これによりますと、貨物輸送の場合には、鉄道一つとして、エネルギーの消費効率は内航海運は二・一で、二倍かかることになっているのですよ。トラックは五・七倍です。五・七倍ですが、自家用トラックというのは八・八倍もエネルギーを消費するのです。御承知のように、いま七百万台ほどあるトラックの中で、営業用トラックはたしか四十四万台ぐらいだと思いますが、あとほとんど全部自家用トラックです。この自家用トラック貨物輸送で八倍、九倍からのガソリンを消費をするということになっているわけですね。旅客の場合に、国鉄を一としますと乗用車は八・九倍ということですね。だから、エネルギーを真剣に減らそうとして、ここでは輸送部門の一九八五年までの低減率を一八%減らしたいと言っていますが、これだけ減らそうと思えば、それにかわる輸送力を増強しない限りはこれは転換できませんね。  だから、私はここで総理にお答えをいただきたいのですが、今後の日本民族は将来的にわたってエネルギー供給の問題から成長が制限をされてくる。こういう条件をできるだけ回避をしなければならぬでしょう。その回避をするためには、産業部門においてもエネルギーの消費の問題については当然強い指導をやらなければいけません。民生部分についても考えてもらわなければいけません。しかし、同時に、輸送部門においてこのことを考えることはいまのきわめて重大な政治的課題だと思うのです。そのためには、国鉄再建するといっても、いまから手をつけても、ここまで来ているから二十年ぐらいはかかるのですよ。だから、ここで思い切って原則を確立することなくしては、二十年、三十年先にわれわれ国民が大変困難な状況になることを今日から見通しておかなければならないと私は思うのです。  そういう意味での、国鉄のいまの日本の政治経済上の中における位置づけを総理はどうお考えになるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  268. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 最近の統計を見ましても、七〇年から七三年ぐらいの統計が私の手元にあるのですが、ふえているのは日本だけなんですね。キロ数が六百キロふえておる。イギリスのごときは鉄道を一万一千キロ減らしておるのですね。フランスでも五千キロぐらい減らしている。しかし、これは日本とは国としての環境が非常に違うと私は思うのです。これはやはり相当に自動車にかわるわけですけれども、道路も国土も非常に広いわけですからね。日本の場合は自動車といっても、いま実際に交通状態が停滞したような場合はどうにもならぬですからね。公害の問題もあるだろうし……。そういうことで、鉄道の持つ、一つの総合交通の中における位置づけというものは、国としての立地条件が何か非常に違うという感じが一つするのですね。  もう一つは、やはりいま言ったようなエネルギーです。諸外国の堀君の例に挙げられた国は皆石炭というものがあるのですね。日本の場合は石炭というものは非常に資源に乏しいわけですから、そういう点で石油への依存度が八〇%にも近くなっている。しかし、資源ナショナリズムの点から言って、将来石油の価格というものはいままでのような状態にいかないし、また、いろいろな公害問題を起こしたりしますから、エネルギーの消費、石油消費という面から見ても鉄道というものがやはり見直されるべきであって、そういう点で、堀君の、この機会にこそ将来の日本の総合交通のあり方を考え鉄道再建しなければいかぬという説には全く同感でございます。
  269. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 いま総理のおっしゃられたことの中にちょっと理解しにくい点があるのですが、イギリスとかフランスとか西ドイツという国は大体において丸いというか、四角いというか、そういう国ですね。日本は南北に二千八百キロあるのですね。この二千八百キロの細長いところは、輸送形態としては高速大量輸送というものが非常に国土に合っているのじゃないかと思うのです。四角いところなら鉄道の路線というものをそんなに網の目にはできませんから、どうしても道路で行く方が効率がいい。しかし、日本の場合は何としても南北に行かなければならないわけですから、そういう意味では、いま九州の端から東京ヘトラックで物を運んでいるなんということは、エネルギー効率から見ても公害の問題から見ても改善されるべき問題じゃないかと私は思っておるわけですね。  総理に申し上げたいのは、総理、言葉だけではだめなんですね。やはり言葉の裏づけになるものをあなたがここでお答えをいただかないとだめなんです。再建方向については自分もそうだということはそれは私も評価しますよ。しかし、それだけでは中身にならないのですね。  そこで、ちょっと中身の問題に入るのですが、総理は企業の独立採算という制度はどういうふうにお考えになりますか。  これを民間の企業考えてみましょう。民間の企業がバスをやっているとしましょう。だんだんと乗り手が少なくなってきて、バス事業としてはペイしたくなってきたとすると、民間企業というのは利益を主体にしていますから、利益の出ないところはやめますね。だんだんとやめてくる。ところが、もし都市バスが同じようなことをやっていると、都市バスというのは住民サービスのためにあるのであって利益のためにあるのではありませんから、人が減ってきたからといってやめられませんね。要するに、民営バスと都市バスとの違いはどこにあるかといえば、民営バスはもうからないところはどんどん圧縮して、もうかるところだけで論議ができる。ところが、公営バスはもうからなくてもサービスしなければいかぬ。都市交通の責任者はやめたいと言うでしょうが、しかし、市は市民サービスのために残せと言う。そうなれば、やめたいと言うところが企業採算として合わないのなら、本来市が補助してやるということでなければ成り立たないのは当然でしょうね。  これは国鉄も同じじゃないかと思うのです。民間ならやめたいというところをたくさん抱えておるのに、国は地方自治体の関係もあるし、住民の関係もあり、やりなさいと言う。言うなれば、企業として採算をはずれたものを強制しておるわけです。企業採算を離れたものを強制するならば、それに対する何らかの対価がないと独立採算という原則は成り立たないと思います。これが第一点です。  第二点は、いま運輸大臣がお話しになりましたけれども公共割引という制度がずっと前から続いてきて、昭和三十九年からいよいよ国鉄の損益勘定は赤字になった。しかし、そのまま負担をさせておるわけですね。そうすると、黒字の間は国の国鉄ですからサービスしてもいいでしょうが、損益勘定が赤字になったら、国がそれによって強制しておる政策に対する対価を払ってやらなければ独立採算企業は成り立ちませんね。国鉄としては企業でありますから、割引部分についてはやめたいとなるのはあたりまえですね。損益勘定をプラスにする。もうける必要はありませんけれども、マイナスにしないということは企業経営としての当然の責任だと思いますから、独立採算としてそれをやろうというのならば、国が政策上求めておるものに対しては対価を払うというのでなければ独立採算という仕組みは成り立ちませんね。  だから、私がここで申し上げたいのは、国鉄再建するためには国鉄を独立採算企業として国は考えるということ、これをお答えいただきたいのです。
  270. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 やはり、独立採算という原則は守らないと経営の責任というものは成り立たないですから、幾ら赤字になっても国がそれを財政的に援助するということでは責任体制は確立しないのですが、その独立採算という原則のもとにおいて堀君の言われることはよくわかります。国が独立採算をどういう方法でどの程度助成を……(堀委員「そんなことは聞いていない。それはまた後で聞きます。あなたに聞いたのは独立採算としてやりますかどうですかということです。イエスかノーかです」と呼ぶ)独立採算としてやることが企業の責任を明らかにするゆえんであると考えます。
  271. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 私はそこだけ先に聞きたかったのです。あとのことはまた後でぼつぼつ伺います。  私は独立採算企業としてきちんとやってもらいたいと言っているのですが、わが党は今度の国鉄再建政策の中でともかく幾つかの問題を提起しました。過去の債務の問題と、それからたとえば飛行機の場合には、下の基盤になる飛行場は全部国が出資をしてつくっている。トラックが走っている下の道路は全部国や地方自治体の費用でつくっているわけです。さらに、内海港運の場合の港湾の設備は皆国でつくっている。競争相手の基盤になるところは全部国がつくっていて、国鉄はその基盤になるところはどうなっているかというと、自前でやれと言われているわけです。だから、橋梁、トンネル、道床というような式の、いま国鉄の下にある通路の部分というものは競争条件にあるのだけれども、いわゆる同じ水準に考えるというのならば国が出資をするのは当然じゃないですか。これが三つ目ですね。そして、地方交通線赤字は独立採算という原則を確立するならば、国鉄がやめたいと言っておるローカル線の赤字については、継続してやれと言う以上、国が何らかの対応をするのが当然である。公共割引についても当然である。  この四つの問題がもし全部片づくならば、国鉄勘定における損益の不足分については利用者の負担にしようということを私どもは勇気を持って提案をしておるわけです。この提案をするもとになっているのは、国鉄を完全な独立採算としてやるという前提がなければ、われわれとしては本来国がやるべきことまで料金として国民に負担をかけるわけにはいきません。  そこで私はちょっと試算をしてみましたが、要するに昭和三十九年から赤字になって、それから後もし仮に国鉄が求めておる地方交通線赤字公共割引赤字分を国が全額持っていたとしたならば今日の国鉄の損益勘定の債務の状態がどうなったか、五十年度末で計算をしてみますと、その累計はいま三兆三千二百五億あるのですが、もしこれを国鉄が望むように、国が三十九年以後地方交通線赤字とそれから公共割引の負担部分を——これは法律を越えた部分ですよ。それを入れてもらったならば、五十年度末で六千四百八十一億円しか実は国鉄の損益勘定の赤字はないのです。だから、私どもがいま政府の案に反対しておるのは、政府の計算上のあれがちょっとあるでしょうが、三兆一千六百六十億と言われておる過去債務全額すらも見ない。要するに、資本引き当ての部分だけは除こうなどというべーパーワークをやって、二兆五千億余りしかたな上げしようとしていない。しかし、私どもがこれから見るならば、現実に赤字になるのは昭和四十七年からしか損益は赤字にならないのです。それまでの赤字というのは、言うなれば地方交通線赤字、国の強制した独立採算として認められない部分赤字公共割引赤字が四十六年までの赤字なんです。三十九年からの七年間です。四十七年からは御承知のような非常に異常なインフレの中で人件費、物件費が高騰してきておるから、ここで六千四百八十一億円の赤字が出たということになるわけです。  だから、私どもは、少なくとも、いま最初に申し上げた過去の債務の問題に対しては政府が基本的態度を確立して、同時に、いま申し上げた通路部分に対する国の出資あるいはその他の分についても、国鉄財政はいま非常に困難でございますから、三・五%以上に対しては国が利子補給をしてやり、地方交通線赤字公共割引というものは当然国が負担をすべきだ、と、こういう考え方に実は立っておるわけです。  この考え方とあわせてもう一項、実は、貨物輸送の大企業奉仕の運賃の不公正を正すということを含めて、わが党は本日日本共産党との間に、政府に対してこの五つの問題については共同して今後も国鉄再建について要求をしていこうということを決定しておるわけですけれども、この考え方はわれわれだけが言っているわけじゃないのですよ。櫻田武さんという日経連の会長と、あとこの諮問委員会のメンバーをちょっと読み上げますが、芦原義重関西電力取締役会長、それから金子佐一郎十條製紙取締役会長、それから河野文彦三菱重工株式会社相談役、それから鈴木善照同和鉱業株式会社社長、それから中山素平日本興業銀行相談役、西山磐大阪瓦斯株式会社取締役会長、長谷川周重住友化学工業株式会社社長、堀越禎三社団法人経済団体連合会副会長等、言うなれば自民党を支えておる皆さんがメンバーになっているところの国鉄諮問委員会が昨年の十月十七日に「国鉄再建のための提案」というものをしております。  総理、これをお読みになりましたか。私はきょう実はここへ櫻田さんに来てもらおうと思ったのです。この間櫻田さんが成田委員長のところにおいでになって、私も一緒にお話をして、私とあなた方とおおむね意見が一致したと言いましたら、櫻田さんもそうだと言われるわけですね。あなた方のスポンサーもこう言っている。われわれもこう言っている。いま私が申し上げているのはまさに国民的コンセンサスの上に立っておるところの国民的要求だと思うのです。総理、これに対してはどうお考えになりますか。
  272. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 まず、第一点の過去債務の問題でございますが、御議論はございましょうけれども、今回初めて二兆何千億かの債務を肩がわりいたしました。  それから、第二点の地方のローカル線の問題でございますが、これは離島振興その他と同じように奥地開発の問題を含んだ政策的なものでございますから、私どもの立場から言えば、私どもの負担する筋合いではないと思っております。  それから、第三番目の公共割引も政策割引も同様でございます。  したがって、ただつかみでの国庫補助とかいうのじゃなくて、そういう見地からの国庫の援助というものがなければ、運賃コストを無理に割らされた状態で独立採算を要求されるのは無理だと思っております。  それから、さっきちょっと私の申し上げたこととあなたと違っておりましたのは、海と船と汽車の話です。あの二・二というのはカーフェリーや何かの上に何か載せていくものの数字でありまして、木材や石炭を運んだりする場合は船の方がかなり安いと確信をいたしております。
  273. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 総理、あなたは運輸大臣と違うのですから、私はここで細かいことを答えていただく気はないのですよ。要するに、独立採算という制度の原則に立つならば、その独立採算を求める企業がやめたいというようなこと、当然これはやってもらいたいという他の競争条件、これはさっき私が最初に申し上げましたね。これは独占のときはいいですよ。独占ならほっておいていいけれども、これだけ過酷な競争条件になっておるものに、競争条件が土台になっておるものはやはり同じ条件を考えてやるというのは、それがなければ競争ができませんからね。そういう基本的な概念についてお答えをいただけばいいのです。具体的には運輸大臣がお答えになっているようでいいのですが、基本的な立場でお答えをいただきたいのです。独立採算という原則と、それに対するいまの問題について、原則を答えていただけばいい。金の話はまた後でしますから、原則だけ答えてください。
  274. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 堀君の言われることはよくわかりますが、それはたとえば過去の債務の全額たな上げの問題にしても、公共割引の国庫負担にしても、地方交通線赤字の全額助成にしても、一つ一つは国の出資で賄えといういろいろな御提案——独立採算制を貫こうとすればこういう問題が起こることはよくわかりますよ。しかし、それはこっちの方にもまた言い分があるわけですね。そういう制度にはいろいろな沿革もございますからね。しかし、いろいろな点でこの点は研究すべき問題を含んでおることは事実でございますが、全部が全部国というわけにはまいらぬわけでございます。  だから、その中で検討すべき問題点は今後検討するにやぶさかではございませんが、堀君のお話のように全部独立採算制の見地からそういう問題を国の負担というわけにはまいらぬわけでございますが、中には研究すべき問題点も含んでおるということでございます。
  275. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 総理とやっていますと、総理はどうも先の先のことを考え答弁されるが、私の聞いていることだけを答弁していただきたい。先は先でまた伺うのですよ。どうも先走って答弁されるので食い違うのです。  ちょっともう一点お聞きしますが、私が言いたいのは、要するに経済問題というものは基本的な原則が確立しなければだめなんですよ。まあまあとやっていて処理ができるものじゃない。基本原則を確立したら、あと財政的にどうするかということはその次の問題です。それはいまの国の財政状況から見て、私どもはこんなことを一遍にやれと言っているわけでもないし、徐々にやってもらえばいいのです。ただ、会計上の原則がきちっとなって、国が本来負担すべきものはこれだけありますよ、国鉄の本来の負担はこれですよというものが明らかにならないと、今後国鉄運賃値上げの問題が起こるたびにわれわれは同じことを繰り返さなければいかぬわけです。いまのようなどんぶり勘定の五千三百億を二回も値上げしようなんてばかな提案をされても、国民はどうにも抵抗のしようがないのです。  だから、私がいま言っているのは、これは計数の処理ですから、ひとつ国鉄の勘定の中で、政府が本来負担すべき政府勘定と国鉄が本来負担すべき国鉄勘定というものを勘定上明示をしようではないかと言うのです。金をすぐ入れろと言うのじゃないのですよ。そしてその勘定は、来年の五十二年度については地方交通線赤字はこれだけです、公共割引はこれだけです、国鉄の新投資における路線部分はこれだけです、細部についてはこうなっていますという関係のものが別建てになって、こっち側に国鉄の本来の損益が立って、その赤字についてはわれわれは利用者の負担にしようと言っているのだから、そこのところはガラス張りで明確にならなければこの次の運賃値上げもまた同じことを繰り返さなければいかぬのです。  今後の問題として、われわれがここで踏み切った以上はそこがはっきりしさえすれば、独立採算として当然国鉄が負担をすべきものだけが明らかになって、その損益の計算上赤字が出た部分については、これは経済情勢その他でどういうように国民に負担してもらうかはまた別途の経済政策上の問題でありますけれども、少なくともこの分の赤字については国民の負担にお願いせざるを得ないだろうと、ここまでわれわれが踏み切っているのに、あなたの話を聞いておると、国有鉄道というのは何かよそのもので、あなたの言っている国とか政府というのは大蔵省を代表しているような感じがしてしようがない。総理大臣はそういうものであってはならないと思うのですよ。あなたは全体を包括して国の運営についての責任を負わされているわけですから、それならばそんな大蔵省の手先のような答弁はやめてくださいよ。  私も長年大蔵委員会におりますから、大蔵省の諸君が何を考えているかよくわかっているわけですよ。いろいろ抵抗しているのもわかりますよ。しかし、総裁も大蔵省ですから、私はこの間櫻田さんにこう言ったのです。あなたも財政制度審議会の会長だ、大蔵省に関係がある、そして総裁は大蔵省から来ておる、私も大蔵省に関係がある、ひとつみんなで力を合わせて日本国民の将来のために国鉄再建をやりましょうと言ったら、櫻田さんは大変結構だ、一緒にやりましょうと言っているのですよ。野党のわれわれがそう言っているのに総理が逃げ腰で一体どうなるのですか。いまのあの答弁は完全な逃げ腰ですよ。スポンサーたる櫻田さんにも申しわけないと思いませんか。そんな頼りないことだから金が出ないのですよ。しっかりした答弁を原則で答えてください。あとの細かいことはまた伺います。
  276. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 三木総理大臣答弁は的確にお願いします。
  277. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 逃げ腰ではありません。誠心誠意答えておるわけです。  堀君、私はこういうことならわかりますよ。本来の国鉄の営業の経費というよりか政策的な目標を持っておる経費、こういうものはこういう勘定がある、この勘定に対して政府はこういう見地から国の財政的負担はできないのだ、と、こういう点を明らかにすることは、国民に対して問題を理解する上において非常にいいと私は思う。そういう区分けはする必要がある。私が言うのは、堀君の言うことが全部国の助成ということにはまいらぬ理由があるということです。しかし、これを区分けして、その政府の考え方も明らかにすることは国鉄というものを考えるときに、国民の理解を深める上に役立つと思いますから、そういうことならばわれわれもそうした方が理解を深める上にいいのではないかという感じがいたしますので、それは今後国鉄当局が総合的に検討する場合の課題といたします。
  278. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 それじゃ具体的な問題で個々別々に伺います。  要するに、公共割引については総理はどうお考えになるのか、それから地方交通線についてはどうお考えになるのか、この二項目だけひとつ具体的にお答えください。
  279. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 公共割引の点は、学割とか通勤の割引です。五百億程度あるわけです。それから、その他農産物なども入れて六百五十億くらいあると記憶しております。  これはこういう点があるのですね。たとえば学割にしましても、一つの問題点は、それだけの予算が文部省としてつくならば学割という政策的な選択を文部省がするかどうかという問題がある。しかし、それにはやはり長い沿革がありますし、根本にさかのぼっていくと私鉄との関係もありまし工うし、具体的にはいろいろな問題点があります。しかし、堀君の言われることを全面的に否定しようとは思わない。やはり研究すべき課題だとは思いますが、これを具体化しようというときにはいろいろな困難な問題が伴うのだということはあらかじめ御了解を願いたい。しかし、この問題は各省において検討すべき課題であることは私も認めます。  それから地方の赤字は、政府が地方線の赤字に対して百七十二億円の助成をする。これは初めてのことでございまして、政府もこういう方向一つの芽が出ておるわけです。  ローカル線というものに対しては、これは全体の大きな問題で、それは一体必要なのかとか、その地域の輸送というものはやはり鉄道が一番いいのかとか、いろいろな問題を含んでおるわけでございまして、そういう点で、この問題はそういう総合的な問題とも絡み合いを持っておるわけでございますけれども、政府が今年度地方の路線に対しての助成金を出したということは、政府もこのままでこれを全部国鉄に負担さすということが非常に無理があるということでそういう助成の方法を講じたわけでございますから、この問題は将来の課題として考えるべきだと思います。
  280. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 私は非常に残念だと思いますのは、運輸大臣があなたの前であれだけ言っているのに、運輸大臣の足を引っ張るような答弁をする総理大臣なんというのは、総理大臣の資格を疑われるのはやはりやむを得ぬという気はしますね。運輸大臣は同じ三木派じゃないですか。  運輸大臣、もう一遍答弁してください。それでもう一遍総理に答えさせますから。そんなばかなことはない。
  281. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 私は国鉄をお預かりし、そして国鉄の独立採算を一日も早く確立して、国民の税金に御迷惑をかけないように努めるのが私の役割りでございます。そのためには、独立採算の前提は、運賃コストに見合うような料金をちょうだいするところから出発しなければならない。それを他の政策的理由でずっと公共割引その他をやってまいりました。それは国鉄が黒字で経営を続けているときはよろしゅうございますが、これだけ赤字で一般会計に御迷惑をかけなければならなくなった時代には、もうそういうことまで国鉄は負担できません。  例は悪いかもしれませんけれども、昔の大地主が大地主であるためにお祭りの寄付をうんと割り当てられたが、いまは没落して食うや食わずになっているのに昔これだけ払ったからいまも払いなさいと言われたって、それは無理でございますというのが私の立場でございます。  しかし、これを一遍にやれと言っても後ろに並んでいる者がなかなか承知しないことも私はよくわかっているので、したがって、全力を尽くしてその目的貫徹のために努力をする立場にあることを申し上げておるのであります。
  282. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 総理大臣、時間がありませんから細かいことは聞きませんけれども、あなたの閣僚が言っているんだから、あなたが運輸大臣考え方をバックアップすると一言言ってください。それでよろしい。(「それは無理だ」と呼ぶ者あり)  どうして無理だ。あたりまえだ。閣僚と総理は一体となって責任を負わなければいかぬのだ。
  283. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 石田君の言っておることと私の言っておることとはそう大きな食い違いはない。やはりこれは全部というわけにはまいらぬことは堀君よく御承知です。  御指摘になった問題点は今後検討すべき点が多いことは事実でございますから、今後の独立採算制という精神も体して検討をいたします。
  284. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 終わります。
  285. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 御苦労さまでした。  梅田勝君。
  286. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 私は、国鉄二法改正案につきまして、日本共産党・革新共同を代表いたしまして質問をいたします。  私はまず最初に三木総理に自民党総裁としての立場でお考えをいただきたいのでありますが、今臨時国会におきまして、財政特例法案や電報電話料金の重要法案とあわせまして国鉄法案というものを、国民生活に重大な影響を与える法案といたしまして、私どもはあくまでも慎重審議を要求してきたのでありますが、しかしながら、自由民主党の諸君はもっぱら促進促進と強行いたしました。本日の総理質問におきましても、私どもはまだその段階ではない、当委員会においては審議をもっと尽くすべきであると主張いたしました。また、国鉄運賃値上げにおきましては、毎回中央並びに地方公聴会をやってまいりました。中央公聴会はやりましたが、私どもが主張した大阪や仙台における地方公聴会を開催せよという要求は自民党の反対でつぶされておるわけであります。これはきわめて遺憾なことでございます。最近の理事会運営におきましても私どもの見解はほとんど取り上げられない。こういうことは議会制民主主義を守る上におきましてもきわめて重大な問題だと思うわけであります。そういう国民の声や、また国民を代表する政党の意見を慎重に聞くという態度がなかったために今日の国鉄財政の危機があらわれておるということもよく考えていただきたいのであります。  今回の国鉄財政の危機というものは、いわば政府みずからがつくり出した危機だと私ども考えますが、一つは、国鉄に公共交通機関にふさわしくない財政制度を押しつけているという問題があります。先ほど独立採算制という問題がありましたが、基礎建設部分など当然国が出すべきものを出していないというところと、そしてもっぱら独立採算で押しつけているということもきわめて重大な問題であったわけであります。  また、二つには、国鉄が大企業本位高度成長政策に奉仕をさせられてきたということも重要な問題であろうと思います。経済が非常に急速に成長する、もちろんそれは大企業が大きくなるということでありまして、大企業が生産した商品を流通過程においてなるべく安く奉仕させるということ、そういう国鉄の役割りが大企業にもっぱら奉仕してきたというところに今日の危機を招いた原因があるわけであります。  さらに、公共交通機関の整備をなおざりにして、もっぱら自動車優先のモータリゼーション政策を推し進めてきたということも問題であります。  さらに、第四に指摘しなければなりませんことは、歴代の政府がとってきたインフレーション政策であります。加えて狂乱物価は起こるということで今日の国鉄経営がきわめて重大な危機に陥っておるという点を、今回の国鉄法の問題におきましては基本的に重要な問題として認識をしていただきたいわけであります。  今日の国鉄が深刻な財政破綻になったということについての総理の政治責任はいかん、こういう問題について御所見を承りたいと思うのであります。
  287. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 梅田君の言われる国会の運営の問題でございますが、国会の運営は共産党の言うとおりにもいかないわけです。どうか委員会で合意された線に沿うて審議を促進されることを望みます。  もう一つは、いつも梅田君の立論は、ほかの場面でもそうですが、大企業中心大企業中心と言って、日本の産業構造を大企業と中小企業とはっきり分けてお考えになっておるわけですが、そんな単純なものではないですね。大企業と中小企業との関係というものは密接不可分であって、中小企業と大企業とがともに協力してやっていかなければ中小企業も生きていかれない。そういう産業構造になっていますから、日本の産業構造を大企業企業と言って大企業だけで——大企業だって中小企業とのいろいろな連携のもとに生きておるのだし、中小企業でもそうですから分けて二つを単純に割り切るということは実情には沿わないと思いますね。  また、国鉄がなぜこういう赤字を招いたかということはいろいろな原因もあるだろうけれども一つはやはり国鉄収入と支出が伴わなかった。それはお考えになってもそうでしょう。運賃にいたしましても、実際は、昭和九年から十一年ごろまでの物価とそれから今日までの物価と比較しても、やはり千倍くらい上がっておる中で、運賃というものはまあ三分の一ぐらいですね。それに対して物件費あるいは人件費というものはもう民間並みでございますから、これはやはり非常な上昇をしていくことは当然のことでございますから、そこにアンバランスが起こったんだということも赤字の大きな原因であったと思います。  そのほかいろいろな原因もありましょうけれども、一番大きな原因は、いわゆる運賃収入人件費、物件費の値上がりというものの間に非常なアンバランスが起こってきたということが国鉄赤字をつくった大きな原因だと私は考えております。
  288. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 問題をすりかえてはいけません。私どもは、当委員会における審議の中におきましても主張してきたわけでありますけれども国鉄はいろいろ合理化も推進してきたし、この間に旅客は三十五年以来六回の運賃値上げがやられて、三・六倍になっているのですよ。しかし、貨物の方は四回しかやっていない。一・六倍の値上げ率でありまして、旅客関係と比較をいたしますと半分以下なんですね。赤字原因はもっとほかに大きなものがあるのです。そこのところをどう正すかということが国鉄再建の一番重要な問題点であります。  一つは、大企業輸送力を増強させるために過大な設備投資をやってきたという問題があります。わかりやすく申し上げますが、昭和五十年までの十カ年間に四兆八千五百八十三億円の設備投資をしております。これは全部借金でやっていくのですよ。払った利息が一兆二千九百十八億円、累積赤字の四一%ですよ。国鉄の能力を超えて設備投資をしますから、当然借金がふえ、利息がふえる。さらに減価償却がどっとふえて、昭和三十五年当時の方法で減価償却を計算いたしますと、約八千五百億円も過大償却をしているわけです。さらに、大企業奉仕の貨物運賃体系にも大きな問題がありまして、この十カ年の貨物がつくり出した累積赤字は約二兆二千億円でございます。累積赤字の約七割です。ですから、過大投資、借金のし過ぎ、利払い、そして安い貨物運賃と、こういったところが国鉄財政破綻の重大な原因であることは明らかであります。  わが党は過去の法案審査におきましてそのことを繰り返し指摘をしてきました。こういうことはやめなさいよ、必ず先行きは大変なことになりますよ、借金政策ではなくて、国民が本当に必要としているような国鉄路線については国で出資をすれば利息はかからないわけだから、国鉄の経営は大いに改善されていく、大企業奉仕の貨物体系というものは改めるべきだと、こういうように指摘をしてきたわけです。このような私ども指摘を政府は全然聞かずにやってきたのですけれども、わが党の指摘を聞かなかっただけでなく、国鉄監査委員会国鉄諮問委員会の警告さえ聞いてこなかったということは重大だと私は思います。  昭和三十八年五月に国鉄諮問委員会国鉄総裁に答申を出しておるわけでありますが、いかにして経営難を打開するかという国鉄総裁の諮問に対して、「国鉄経営の在り方について」という答申書を総裁に提出をいたしております。この中で、「第二次五か年計画の初年度である昭和三十六年度から十年後にあたる昭和四十五年度の経営状態の試算を行なった。そして昭和四十五年度には借入金の償還・利払いなどのため、国鉄の経営は完全に破綻すると指摘していた。」と言っています。つまり、早うから国鉄経営が重大なことになるよという指摘をしているのですよ。そして、「昭和四十五年ころには借入金残高は二兆四千億円という巨額に達する。これは経営の完全破綻以外の何ものでもない」と、ここまで断言をしている。実際、昭和四十五年度末には御承知のように借金は二兆六千三十七億円の多額に達しております。  これだけではありませんよ。昭和四十年度国鉄監査委員会による監査報告書によりますと、同じように警告を出しております。「第三次長期計画の推進に伴い、長期負債は累増し、昭和四十六年度末には三兆円に達する見込みであり、その償還ならびに利子の支払が、人件費、減価償却費等の増加とあいまって、将来財政上の過重負担となると考えられるので、今後この事態に対処する方策について検討することを要望する。」というように国鉄の監査委員会指摘をいたしております。事実、四十六年度にはそのとおりになっていっているのですね。翌年の四十一年度におきましても同様の警告をいたしまして、「国鉄財政は、いまや重大な段階に直面し、いわゆる独立採算制のもとにおける経営も限界に立ち至った」と述べて、国の積極的な財政措置の必要性を強調しています。これは翌年からことしに至るまで、国の国鉄に対する援助というものをもっともっと強化する必要があるんだということをずっと警告をしてきたにもかかわらず、政府は私ども共産党の警告を無視しただけでなく、あなた方自身が任命された監査委員会の警告すら無視してきたのだが、総理、これはきわめて重大だとは思いませんか。いかがですか。
  289. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 したがって、今回国鉄再建ということに国も本腰を入れまして、いろいろな助成策を講じて国鉄の経営の基盤を安定さそうということで今回御審議を願うような順序になったわけでございます。  過去においてはいろいろな物価と運賃という問題もありますが、確かに、国鉄のこの対応策といいますか、そういう時代の変化に対して貨物などは対応策にもやはり反省の余地はあると思うし、また、国としてもいろいろ国鉄に対してのいろいろないままでのやり方が一から十までよかったとは私は申し上げられない。そういう反省の上に立って今度の再建案ということになったわけでございますから、この機会に過去を振り返って国鉄自身も政府自身もいろいろ考えてみることは必要なことは申すまでもございません。
  290. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 反省する点もあろうかという御意見でありますけれども、とにかく国鉄自身も困り果てているのですね。どんどん国の方から増強を要求されて、過去の長期計画なんかを見ておりますと、たとえば三河島事故なんかの起こった場合、安全対策が重要だ、あれも重要だこれも重要だということでどんどん国が国鉄に仕事を押しつけるわけですね。国民の足を保障するために、あるいは輸送の安全を保障するためにどうしても必要であれば、それを急速にやらなければならぬという場合に資金力がないというときには、国がしかるべき援助をして当然だと思うのですね。「国鉄百年史」というのがありますが、その「国鉄財政悪化の諸要因」という中で第一番目に挙げておりますのもやはり「資本関係費用の増大」ということで、これが一番大きな問題であります。国鉄は戦中、戦後を通して相当酷使したという点で、施設の取りかえとかいうもので輸送力増強ということが非常に問題になったわけでございます。そのために国鉄の投資規模はどんどんふえた。たとえば昭和四十二年度には三十年度の七倍に達するというような急速な投資額の増大という問題があったわけであります。しかも、このような投資規模の拡大に対して外部資金の運用が非常にふえた。国鉄は日本国有鉄道でしょう。国はもっと援助しなければいかぬわけでしょう。ところが、財政資金と民間資金の昭和四十二年の関係を見ますと、資金関係におきましては、財政資金関係は二五%、民間資金関係は七五%というように政府の援助、国の援助というものがきわめて弱いということは明らかなんですね。そういう点で国鉄当局は非常に不満を述べている。「外部資金に占める財政投融資の比重の低下は、企業主体としての国鉄を一般企業と同一視する見解が、政府の財政当局において強まってきたことを意味する」というように国鉄自身も不満を述べているんですよ。こういう関係は今後大幅に改善する必要があると思いますが、いかがですか。
  291. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 今回の場合でごらんになっても、いろいろな点で国が助成をしておるわけでございますから、今後とも国鉄再建というものはまだまだ日本においては鉄道のウェートというものが高いわけですから、国民生活に重大な関係を持ちますから、政府もできる限り助成すべき必要のあるものには今後さらに助成を考えていくことは当然のことでございます。
  292. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 援助を強めていくということを今後心がけていきたいと思うのです。そうしなければ全然国鉄再建はできませんよ。  そこで、昨年の暮れに閣議了解がありまして、国鉄再建対策要綱というものができて今日の事態になっておるわけでありますが、ここで目指している国鉄財政再建は果たしてできるのか。総理、確信がありますか。自信がありますか。きのう公聴会をやりましたら、ことし値上げ賛成の人でも来年は反対だ。大体、来年はそんなめちゃくちゃな二年連続で二倍以上にするというようなことはできませんよ。賛成を言われた人でもそういう条件つきな意見なんです。だれが見てもこれは無謀としか考えられないような短期決戦の計画ですよ。これはあなた、ほんまに自信があるんですか。
  293. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 再建案は二年間で国鉄の経営を軌道に乗せようということでございますが、一体来年の値上げ幅をどうするかということは、今年度値上げ幅の影響、財政経済状態などをにらみ合わせて検討すべき課題であり、いまここでこれだけの率で値上げしようということをこの段階で決めておるわけではないわけでございます。
  294. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 来年はどうするかわからない。来年のことを言えば鬼が笑うということじゃないですけれども、しかし、これにははっきりと書いてあるのだから、そんなことでは済まされぬのです。国民はみんな心配しているのです。国鉄を上げれば私鉄と、競争しているところはそうなりますよ。幾ら私鉄には条件をつけていると言いながら、また、二年間やらないと石田大臣はおっしゃいましたけれども、しかし、条件が変わったら何ぼでも上げるということは狂乱物価のときには例があったじゃないですか。しかも、私が心配をいたしますのは、ここに「以後健全経営を維持することを目標とする」と書いてあるが、国鉄が経営的に安定するためには経済が安定しなければならぬのですよ。今日、どうですか、インフレ政策をおやめになるのですか。来年は赤字公債をもう発行しないのですか、どうなんですか。来年の予算編成作業はずっと概算要求でやっておるわけだけれども、どんどん政府予算というものは大きくしていっているじゃないですか。そういう中で政府が意識的にインフレーション政策というものをやっているから経済が安定しない。したがって国鉄経営も破産状態になってくる。この悪循環を断たないで国鉄財政再建はできませんよ。どうですか、総理、来年は赤字財政はやめにいたしますか。
  295. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 赤字国債を出したことがインフレ政策だというふうにはわれわれは考えていない。景気が非常に後退した場合において、景気の維持のために財政の果たすべき役割りというのは世界共通のものであって、それがインフレ政策ということではないわけです。政府はむしろインフレをいかにして抑えながら日本の安定的経済成長を図ろうかというところに苦心しておるわけで、日本のようなこういう一億の人口を持っておる国がそんなに低い成長の中で雇用というものは確保できるわけではない。政府が考えておるような六%程度の経済成長というものは雇用の安定のためにも必要であります。その程度の安定経済成長を達成しようということがインフレ政策であるという考え方は根本的に異なっております。むしろ、インフレを抑制しながら適正な経済成長を維持していきたいというのが政府の経済政策のねらいでありますから、梅田君のお考え方とは根本的に食い違っております。
  296. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 そういう立場では国鉄はますます赤字に苦しむことになりますよ。今度の再建対策要綱におきまして過去債務の一部を手当てしていくということになりましたが、しかし、御承知のようにこれも貸付金であって、貸すだけなんで、くれないのですよ。出資という形ではないのです。だから、返さなければならぬ。三年据え置きで二十二年の償還ということになっておりますけれども、今日苦しいのにあと三年たってまた返さなければならぬ。借金の返済を始めなければならぬ。貸してもらうのがだんだんふえますからね。またそれに負わされるということになるのですよね。  先ほども言いましたように、基礎建設部分借金をしてきたのですから、国鉄法の第五条によりますと、精神から言えば、本来資産の価額に相当する分は出資をしていくのがたてまえなんですよ。国鉄の固定資産は現在五兆二千七百十五億円もあるのでしょう。それに見合った国の出資がしてない。これはせっかく貸し付ける金があるのですから、それを三年たったら返しなさいと、そんなこと言わぬとずっと出資を続けたらどうですか。総理、決断をお願いいたします。(石田国務大臣「そんなことは鉄監局長に答えさせてください」と呼ぶ)  いや、総理はどう考えるかと聞いているのです。
  297. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 再建案は非常に合理的な案だと思いますよ。長期にわたってたな上げして、しかも利子は全部国が負担するというのですから、やはり国鉄のような経営体としては政府はできるだけの助成をした姿のあらわれだと思っております。
  298. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 総理は国鉄の問題について十分に御存じないようなんですけれども、日本国有鉄道は重大なんですから、やはり、決意を持って国の出資を思い切ってふやしていくという立場に立っていただきたいと思うのであります。  私どもは昨日「国鉄を民主的に再建する道」という再建政策を明らかにいたしまして、こういう基礎建設あるいは改良費というものは何よりもまず国の出資で賄うということを中心として、公共交通機関にふさわしい国と大企業の負担を適正にするということなど、国鉄財政の民主的な転換を打ち出し、あるいは大企業本位でない、国民が必要としているところに輸送力を増強していくということを考えているわけですが、日本は諸外国と比べて複線化というのは非常におくれているのですね。イギリスは七四%です。国の形態も違いますけれども、日本は二四%でしょう。国民が必要としているものにもっときちっと手当てをすべきだと思うのですよ。電化はある程度、三割ほど進めましたけれども、それでどんどん線路を酷使する。これは安全問題にも重大な影響を与えるのです。ですから、さらに国鉄の管理運営を民主化するという三本の柱を立てたわけでありますけれども……(発言する者あり)
  299. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 静粛に願います。
  300. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 私は、これを政府が実行する以外にないというように思うわけでございます。  そういう点で、最後に政治姿勢をきちっとただしまして私の質問を終わりたいわけでありますけれども昭和四十九年十一月二十六日、この日は田中前総理が金派問題でついに退陣を決意した日でございます。その日に私は上越新幹線に絡む請負企業の政治献金問題を取り上げたのですが、四十六年から四十九年の入札は三十六社で、そのうち三十一社、八六%の企業が政治献金をしておった。二億四千三百九十二万円。赤字国鉄が仕事を出している、そこでもうけた企業が政治献金を出している、自由民主党の諸君はこれをもらう、これでは、いまロッキード問題が問題になっていますが、賄賂政治じゃないですか。  また、三木総理、あなたの関係されている政策懇談会というのがございますね。「政治資金全集」によりますと、四十一年上期より四十九年下期まで、東北新幹線の工事を現在請け負っておる企業から二千六百八十万円の政治献金をもらっている。これが事実としたら重大なことですが、恥ずかしいと思いませんか。国鉄赤字でふうふう言うておる。私が前に大臣に質問したときには、政治資金規正法で認められているんだからいいじゃないかと言うのですけれども、これは本来企業は禁止すべきだと私は思うのです。しかし、仮にそれはそのままとして、企業がそういう金を持ってきても、赤字国鉄から工事をもらってもうけたところから自民党としてはそんな金はもらいたくない、お返ししますと、少なくとも三木総理、やるべきだと思うのです。大林組二百万、川崎重工業五十万、佐藤工業三百万、清水建設四十万、東急建設三十万、戸田建設五十万、飛島建設千八十万、日本国土開発五十万、日立造船二百万、不動建設六百三十万、森本組五十万というようにもらっているのです。こういうものは恥ずかしくないですか。政治姿勢を改めるという点において、きちっと総理の御所見を承りたいと思います。
  301. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 梅田君に申し上げておきたいのは、企業の献金というものを自民党もあるいはいろいろな政治団体も受け入れておりますが、それによって政策が曲げられるということは絶対にない。これはいまお読み上げになられたような企業の政治献金を幾ら受けたから、それによって自民党の政策が何か方向を変えられるというような、そういうことは絶対にございませんから、その点は何か少し疑い深過ぎると思います。そういうことは絶対にない。
  302. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 時間でございますので、もうやめてください。
  303. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 もう終わりますから……。  ロッキード疑獄事件の教訓というものをはっきりさせるならば、少なくともそういう企業からはもらわないというように約束をしていただきたい。従来曲げられてきたのです。  以上で終わります。
  304. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 これにて梅田君の質問を終わります。  松本忠助君。
  305. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 公明党は、国鉄二法につきましてはあくまでも慎重審議すべきことを前々から主張いたしておりました。本法につきましても、前国会の会期末におきまして継続審議すること自体に反対をいたしたのでございますけれども、賛成多数で採決をされました。本臨時国会におきまして継続審議が行われているわけでありますが、本委員会の法案審議は火曜、金曜の二日間を審議日といたしておりまして、水曜日は国政一般の審議の日といたしておったわけでございます。これを原則といたしております。去る六日にもこの点を特にわが党は強く主張したわけでございます。また、連合審査会も物価委員会ただ一委員会となり、形式的な連合審査会で終わりました。なお、地方公聴会、現地調査、参考人の意見聴取等とわが党が強く要求したにもかかわらず開催されませんでした。  きょうは総理が出席をされるということでございますので、この際国の最高責任者から国鉄財政再建問題について抱負を聞く機会を得ましたので、若干の時間をいただきまして総理に質問をするわけであります。  まず、第一点でございますが、わが党が去る六日に発表いたしました国鉄財政再建案の基本的な考え方を申し上げたいと思います。御承知のように、国鉄財政というものは破局寸前でございます。これをどのように建て直すかということは重要な政治課題であろうと思います。そこで、今日国鉄がすでに過去の独占的な地位を失っているとはいいながら、依然としてわが国の運輸、交通機関の根幹を占めているわけであります。したがいまして、国鉄は重要な社会的使命を持っていることからしても、その再建計画の内容、再建の成否というものは国民生活とわが国経済に重大な影響を及ぼすものと思うのでございます。したがいまして、国鉄再建計画は単なる一時的な財政対策や技術的な視点から来るところの問題では解決ができないと思うのでございます。われわれといたしましては、国鉄再建に当たって、国鉄本来の社会的、経済的な立場の上から、今後の国民生活とわが国経済の展望に立って、総合交通政策の確立など多面的な問題を含めて国鉄のあり方を確認し、策定される必要があると考えるものであります。  今回政府が提案しました大幅な運賃値上げを柱とする国鉄再建要綱は、前述の認識に欠けた一時的な収支均衡策であり、国鉄再建を図ろうとする意図がきわめてあいまいなものと言わなければなりません。それは国鉄赤字要因と言える貨物問題、赤字線問題、借入金依存の投資計画等々、どれ一つをとってもなおざりにできない問題であるにもかかわらず、その具体的解決策が何一つ示されておらないのであります。このような政府の国鉄再建案は国民に生活不安を与えるばかりでなく、わが国の運輸構造の崩壊をももたらす恐るべきことであると考えるものでありまして、絶対にわが党は容認できないものであります。  そこで、まず、総理に伺いたい一点は値上げの問題であります。政府案は五十一年度におきまして五〇%で、来年は値上げ幅を明示しておりません。しかし、二年間で収支均衡を図ると言ってまいりました。最近、この二、三日の答弁で変化を来しておりますけれども、そのことを総理も御承知と思います。去る六日の午後、同僚議員の質問に答えまして、鉄監局長は、来年度値上げを五〇%にすると決めているわけではない、財政措置などでできるだけ値上げ幅を低くしたい、特に貨物運賃を現在の二倍に上げることは恐らく不可能だろう、と、このような要旨の答弁があったわけでございます。そこで、総理は、来年度値上げをするとすれば、幾ら値上げをしたならば国鉄収支均衡がとれると思うのか、この点についてのお答えを総理からいただきたいと思います。
  306. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 先ほども私がお答えいたしたとおりに、来年度値上げ幅については、今回の値上げが実現いたしますならばその影響というものを考えてみなければならぬし、経済の動向などもございますから、いま来年度値上げ幅は決めてはおりません。しかし、二カ年間に国鉄の経営を健全な経営体にいたしたいという方針のもとに、来年度の問題はいま申したような条件を勘案しつつ決めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  307. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 討論をやっておりますと時間を食うばかりでございますので、私の方は簡略な簡潔な御答弁をお願いいたしたいと思います。  次にお伺いいたしたいことは、経営形態の問題につきまして総理の所見を伺うわけでありますが、最近、赤字ローカル線の問題に端を発しまして、民営移管論であるとか、あるいは主要幹線のみ国鉄の経営にし、その他は地方自治体に移譲するというような、いわゆる国鉄二分論が出ておるわけでございますけれども、これらは企業性を優先した意見でありまして、国鉄の公共性を根本から失うものと言わざるを得ないのでございます。公共企業体である国鉄は公共性と企業性の二面性を持っておりますが、その調整につきましては論議が分かれております。国鉄は国民生活の維持をするという観点から運営せざるを得ないものがあり、総合交通体系の将来などから考慮いたしますと、公共性を優先させた公共企業体として存続されるべきであろうとわが党は考えるものでありますが、この点についてどのように総理はお考えであるか。  第二点。そこで問題にしたい点は、労使双方が再建に対して熱意と協力を持って企業努力を行わなければならない、そうしなければ真に国民から信頼される国鉄に生まれ変わることはできないと思うのでございます。国鉄の部内ばかりではないと思いますけれども、よく官公庁の中に親方日の丸思想というものがあります。正直者がばかをみるという状況が随所に見られることはまことに残念だと思うわけでございます。企業努力の中身についてわが党はしばしば具体的に各種の提案を行ってまいりましたが、きょうはこの席では申し上げませんけれども、なかなか実現をしないのが事実でございます。そこで総理は企業努力の必要性をお認めになるかどうか。  以上二点についてお答えをいただきたいと思います。
  308. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 公共企業体としての国鉄のあり方という問題については、松本君も御承知のように、いま政府の内部において公共企業体等基本問題会議というのがあり、中山伊知郎さんが議長としてこのあり方というものに検討を加えておる次第でございます。どうあるべきかということは根本的に検討してみたいと思います。  第二の、労使協力がなければ国鉄再建はできないではないかというお話は、私はそのとおりだと思う。この再建案が国会でいろいろ御審議の結果成立しましても、これを実現するこは労使の協力によるよりほかないのですから、国鉄が今後力を入れなければならぬものはどのようにして——まあ、いま必ずしも労使の協力体制というのは確立しておりませんから、これをどう確立するかということが大きな課題である。松本君のお話はそのように存じます。  また、企業努力というものは、もう当然に国鉄企業努力をしなければならぬわけでございまして、公明党は企業努力についていろいろな問題を提起されておりますが、その中で提起されておるスト権付与の問題も、いわゆる基本問題を検討しておる中山伊知郎氏の会議体でこの問題も一つの大きなテーマとして検討いたすことになっております。こういう学識経験者の意向等も徴して政府は結論を出したいと考えておるわけでございまして、企業努力の中に挙げられておる問題は、確かに問題点としていろいろ示唆に富む問題を含んでおることは事実でございます。
  309. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 いま総理からもお話がございましたように、国鉄財政再建には労使双方の努力というもの、協調性というものがなければならないというのはもっともでございます。そこで、労使双方の再建に対する熱意と協力は絶対に必要なことだと私は思います。また、国鉄再建計画というものが仮にあるとするならば、これに対しても労使双方の理解と認識がなければこれは成就しないと思います。したがいまして、健全な労使関係を築くためには、長年の懸案であるところのスト権付与の問題について、いま総理が若干触れられたようでございますけれども、労働基本権と公共企業体の社会的使命というものを十分に考慮した上でスト権行使に対する条件をつけてスト権を付与する、これが私ども公明党の考えであります。条件つきスト権付与の問題についてはぜひとも総理の理解ある答弁をいただきたいと思うわけでございます。  また、条件つきスト権というものは付与するけれども、少なくとも国鉄再建期間中は労使の紛争については労使双方とも極力ストを回避するという努力をすることが当然だと私は思うのであります。少なくとも、この再建期間中にそのようなスト権が仮に条件つきで与えられたとしても、それがあるからといってむやみに振り回されたのでは困るわけであります。したがいまして、再建期間中は極力ストを回避する努力を労使双方がやるということをわれわれは大いに期待しているわけでございますが、この考え方について総理はどのように受けとめられましょうか。  この二点についてお伺いいたします。
  310. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 松本君の考え方に私も賛成するものです。国鉄再建の期間中、労使がストのごときことは自粛して、そうして国鉄再建に当たることは当然でございます。  スト権の問題については、先ほどお答えしたごとく、いわゆる公共企業体のあり方、当事者能力あるいは法規関係というものがその基本問題の会議において取り上げられておりますので、そういう学識経験者の意見なども徴しながら政府は結論を出したいという考えでございます。
  311. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 以下の問題につきましては、若干細かい問題でございますからたびたび立たせて恐縮とは思いますけれども一つ一つ問題を切ってお答えをいただきたいと思います。  国鉄の資産というものは国民共有の財産であるという認識はいずれの方もお持ちでございます。そこで、昭和五十年度までの長期債務をたな上げにして、国はその償還計画を策定するということですが、過去債務のたな上げを行っても、再び投資財源を借入金で賄うようなことになれば国鉄財政は少しも改善されたことにはならないと思います。また、国鉄の資産というものは、ただいまも申し上げましたように公共財であるという立場に立ってくるならば、鉄道施設等の基盤施設の整備は国の責任において行われるべきであるとわれわれは考えますが、この点はいかがでしょうか。
  312. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 まあ、一つの御意見だと思いますので、今後の検討をいたしたいと考えております。
  313. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 それから、関連施設の整備費いうのも、やはり公共財という立場に立ったならば、少なくともこの面においては利子補給をすべきであると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。
  314. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 関連というものになってくるとどういうことを松本君はお指しになるか知りませんが、関連というものについては、その関連する性質によりましておのずから取り扱いが違ってくると思いますが、中には検討すべき問題点もあると存じます。
  315. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 それから、新幹線公害対策あるいは災害復旧費といったものでございますけれども、この問題は鉄道建設等の基盤整備と同じように付帯するものでございますので、この災害復旧対策費あるいは鉄道建設の基盤整備というものについてもわれわれは全額国が負担べきものであるというふうな認識を持っておりますが、このわれわれの認識について総理はどのようにお考えでございましょうか。
  316. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 松本君の御質問はいろいろな問題点をその中に含んでおりますが、政府の国鉄に対する助成は総合的に行うことというものでございまして、いろいろな問題点については全体としての総合的な助成の中で解決すべきものが多いと思います。  たとえば新幹線の公害対策のようなものは、やはり国鉄の運営の上に必要なものでございますので、これはやはり利用者に御負担を願うことが適当だと考えておる次第でございます。
  317. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 それでは、次にお伺いいたしたいことは、地方閑散線の問題につきまして四点ほどございます。  地方閑散線の赤字というのはナショナル、ミニマム確保の立場から言って国が負担すべきであると私どもは思うのでございます。これが一点。それから、地方閑散線の代替交通への移行や廃止等あるいはまた合理化という点につきましては、地元住民を中心としたところの審議機関を設けまして、そして地域の意見を十分に反映するように努力して、もし代替交通機関を建設するとするならば国が補助すべきであると、私たち赤字線の問題についてこういうふうに考えておりますが、この点について総理のお答えをいただきたい。
  318. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 松本君の御指摘のように、地方閑散線の取り扱いについては地方住民の意見をよく徴することが必要であることはお説のとおりでございます。  この問題については、政府も今後行財政の面においてできるだけ協力をしていくべきだと考えております。
  319. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 いまの問題、答弁が漏れておりますけれども……。
  320. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 松本君、質疑を続行してください。
  321. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 それでは、いまの問題はまた総理に改めてお伺いすることにいたしまして、時間の関係もございますので新幹線建設計画についてお考えを伺いたいと思います。  私たち公明党は、全国縦断的な一ルート、要するに、いま北海道からはまだできておりませんけれども、北海道から鹿児島までという一本の背骨に当たるようなものと、それからまた上越新幹線のように工事計画を進めているもの、こういったものにつきましては環境影響事前評価を行いながら十分な公害環境対策を実施することを前提として進めたいと思います。また、在来線の新幹線計画につきましてはきょうもいろいろと討議をいたしましたが、この問題は当分の間中止をする。ただし、都市部におけるところの通勤輸送、そのための改善の工事、過密ダイヤ解消など、こういう建設効果の著しく高い路線につきましては状況に応じて行わなければならないと思っておりますが、在来線の新線計画というものは、大まかに言うならば、ただいま申し上げました特殊の場合を除きまして中止をするということをわれわれは提言をするわけでございます。  この点について、二点お答えをいただきたい。
  322. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 新幹線のこれからの取り扱いに対しては、慎重に重点的にやる必要があると考えます。  その重点的な中に、松本君の、通勤などの隘路の打開というようなことに対しては輸送力の増強の重点として取り上げるべきだということは同感でございます。
  323. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 あと、鉄道建設審議会の問題あるいは運輸審議会の問題についても改善を要望いたしておりますが、そういういままで述べてまいりましたような問題が完全に満たされました暁におきましては運賃、料金の制度について改善をしてもよろしいというふうにわれわれは考えております。  まず、旅客運賃の点でございますが、運賃、料金の決定というものにつきまして、運賃は国会の審議、料金は大臣の認可というふうになっていることは御承知のとおりでございますが、この法定制度と認可制度の併用ということを検討したいと思っております。要するに運賃、料金の決定につきましては、ただし、いま申し上げているのは旅客の面でございますが、法定制度を原則といたしますが、国鉄の経営の自主性、当事者能力の拡大という関係を無視できません。これらを考慮いたしまして、一定の条件、たとえば法定基準年というものを定めまして、その中間においては、物価上昇に伴うところの一定基準の範囲以内の運賃、料金の改定には運輸大臣がこれを認可するという、こういうふうな認可制と法定制度の併用を私ども検討をいたしております。  なお、貸物運賃につきましては法定制から認可制に改めるべきではないか、これは貨物収支均衡を図るためにも認可制にすべきではないかというふうに思います。  それから、運賃を抑制する場合がございますので、この補助制度というものを設けてはどうかという提案をいたしております。御承知のように運賃、料金の改定に当たりましては、物価、経済政策上国民の生活に与える影響は非常に大きいものがございますので、運賃改定を抑制した場合には収入減収分に対して国庫補助制度というものを設け、この補助を国がするというふうにして国鉄赤字を救済する、このようにいたしたいと思います。  それから、最後に、福祉型料金制度というものを導入して、いわゆる恵まれない人、身障者、老人その介護者、母子家庭等の経済的負担を軽減するための割引制度などを設けい福祉型料金制度というものを実施したい。この減収分については国が負担をする。  料金の問題、運賃の問題についてこのように四点をわれわれは提案申し上げるわけでございますが、総理の御見解を承りまして質問を終了いたします。
  324. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 松本君の御意見は示唆に富むものがあると思いますよ。運賃の法定主義と認可主義を併用すべしということですが、世界の中で法定主義をとっておる国はほとんどないのですね。やはりこれは弾力性を失いますから、どうしても運賃値上げというものが先へ延ばされる傾向は避けがたいものがございまして、そういう点にも弊害の面もございます。また一面から言えば長所もございましょうが、弊害の面もあるので、この問題は今後の研究課題だと思いますね。やはり、自主的な経営を促進しながら法定主義というものは検討していく問題だと思います。貨物などにおいてはことにそういう感じもいたすわけでございます。  それから、福祉型の料金というものは一つ考え方としてはわかりますが、政府の基本的な考え方は社会保障ということでやっぱりカバーしていきたいというわけでございますが、しかし、言われる意味もよくわかることでございますから、これも一つ検討の課題といたしたいと思います。
  325. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 総理と一問一答をいたしたいわけでございますが、時間も参りましたので、以上をもちまして私の質問を終了いたします。
  326. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 御苦労さまでございました。  河村勝君。
  327. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 総理大臣、あなたはさっき、国鉄財政を二年で収支均衡するという自信があるかという質問者の問いに対して、来年の運賃値上げ運賃値上げの影響と財政事情等を考慮して決めるという返事をされましたが、これは完全にすれ違いの答弁でありまして、答えになっていないのですね。政府であなたが総理大臣として昭和五十年十二月の閣議了解でお決めになったのは、「国鉄財政再建は、昭和五十一年度及び昭和五十二年度の二年間で収支均衡の回復を図り、以後健全経営を維持することを目標とする」と天下に公約をされている。ですから、そのことに対する答弁をあなたはなさらなければいけない。その方針は変わっておりませんね。
  328. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 この御審議を願っておる法案も、二年間で健全経営に持っていくという一つの大きな目標のもとに出ておるわけでございます。中身についてはこれから検討しなければならぬけれども、政府の考え方は、二年間で健全経営に持っていくという大前提のもとに今回の再建案を提出し、来年度の内容を具体的にどうするかということは今後検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  329. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 あなたはいま健全経営の方だけをおっしゃったのでありますが、健全経営というのはなかなか幅が広い言葉ですが、その前にちゃんと「二年間で収支均衡の回復を図り、」という言葉があるのですね。こっちの方を抜かしておられるのはわざわざお抜かしになったのですか。こっちの方もちゃんとおやりになるつもりでございますか。
  330. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 収支均衡がとれなければ健全な経営になりませんから、当然のことでございます。
  331. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 大変よくわかりました。  そこで、これは総理には無理でしょうから運輸大臣かあるいは事務当局でもよろしいが、もし来年五十二年度収支均衡を図ろうとすれば——ことしは三千五百億の政府援助があります。これもかなりのものでございますが、この程度の規模の財政支出を前提としますと、もし収支均衡を図ろうとすれば、単純計算をしましても——これは計算どおりにいかないでもっと本当はむずかしいのですけれども、その問題は総理にはむずかしいでしょうからちょっと抜きにしまして、普通に計算をしましても、来年六〇%くらい旅客貨物ともに値上げをしないと追っつかない計算になる。そのことは間違いありませんね。
  332. 住田政府委員(住田正二)

    住田政府委員 来年度値上げの幅はまだ決めていないわけでございますが、いろいろな仮定を置いて計算をすればいろいろな値上げ率が出ますけれども、いま河村委員がおっしゃったような前提でも六〇%という幅にならないと思います。
  333. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 六〇%にならなくても五七・八%で大した違いはありません。  総理大臣、来年五七・八%なんという運賃値上げをすることが現実に常識的に可能だと思いますか。
  334. 浜田委員長代理(浜田幸一)

    浜田委員長代理 答弁大臣でよろしいでしょうか。
  335. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 やむを得ません。
  336. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 五七、八%というのは河村さんがおっしゃった数字で、私どもの方はどういう数字にするか、現在、ことしすでに赤字があり、成立がおくれている赤字もございますが、一面において企業努力と申しましょうか、資産の運用その他の努力をする余地もあると思いますし、それから、さっきから何度も私が申し上げておりますように、健全経営と申しますか、独立採算制を要求される以上は当然負担をしてもらわなければならぬ部分があるわけなんですから、そういう点の諸般の情勢を勘案いたしまして、そして二年間で収支均衡を図ろう、したがって値上げについてはできるだけこれを圧縮したい、こう考えておる次第であります。
  337. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 私はこれからの努力目標を聞いているのではなくて、ことしの程度財政援助を前提として収支均衡を図るとすれば、いまあなたのおっしゃった企業努力というのもあるでしょうけれども、これは一年ぐらいで大した影響があるものができるわけがないのです。ですから、当然少なくとも五〇%以上の運賃値上げをしないと収支均衡しない、そういう計算になることをお認めになりますかということを聞いているのですよ。
  338. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 本年度の援助の三千五百億円、それと同じものを固定して考えての御質問でございますが、私どもはそれは固定させるつもりではなくて、先ほどから申しました趣旨にのっとった要求をするつもりでございます。     〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕
  339. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 ですから、私が聞きたいのは、来年五〇%以上にも上る運賃値上げをすることは事実上不可能であるが、しかし、いま総理ははっきりと二年間で収支均衡させるとおっしゃったが、そうすれば当然相当な額の財政援助の拡大をしなければならないという結論になりますね。総理、それはいかがですか。
  340. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 その財政援助という包括的な言葉は、これはどうも言葉は悪いかもしれませんが親方日の丸につながる。結局われわれの方としては当然のこと、つまり運賃コストを割った措置を要求されるならその分だけは見てもらわなければならないという原則の上に立って、そして結果的にそういう原則の上に立った数字を要求していきたい。こういう立場で、包括的に先に決めてかかるとは考えていない。  それから、もう一つは、これはほかの電電公社や何かの仕事と違いまして、独占ではございません。したがって、値上げをすればそれだけ増収になると簡単に考えるわけにはとうていいきません。場合によっては減収になるかもしれない。そういう点も勘案しながらやらなければいかぬことでございますので、それこそいまの段階で何%とかなんとかと言うことは鬼が笑うかどうかは別といたしまして、いま、そういう努力をこれから展開しようとする過程であることを御理解をいただきたいと思います。
  341. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 いまあなたがおっしゃったとおりに、国鉄の場合はすでに独占時代は終わっています。ですから、運賃を上げたらそれだけもうかるというわけにはまいりません。  三木さん、卑近な例ですが、小田原−新宿間で仮に来年五〇%上げますと、小田急が四百円で、国鉄は千円を超してしまうのです。そのくらいの差になる。こういう差というのは自動車との間にもできるわけですから、そうなりますと行楽旅客はみんな観光バスに行ってしまって国鉄には乗らなくなる。貨物などはことし五割上げて来年また五割上げたら、恐らくあらかた逃げてしまうであろうという状態なんです。ですから、それを考えて来年の収支均衡を図ろうとすれば——これは総理大臣への質問でありますから私はさっき財政援助というひっくるめたような表現を用いましたけれども、しかし、理論的に必要な財政支出というものが加わらなければとても収支均衡できないであろう、決してできない、それを御認識であるかということを伺ったわけですが、それはよろしゅうございますね。総理大臣、いかがですか。
  342. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 いろいろな方法を講じつつ収支均衡を図りたいというのが政府の方針でございます。
  343. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 いまちょっとわかりませんでしたが、もう一遍言っていただけませんか。(「いろいろな方法を講じて収支均衡を図るとおっしゃったのだ」と呼ぶ者あり)  総理大臣、いま国鉄は一番ひどい状態にあります。その一番大きな中身というのは、一つは七兆円に上る膨大な長期債務ができて、その利払いができなくて困っているということですね。それからもう一つは三兆円の累積赤字ができていること、この二つですね。  それで、こういう状態になった原因というものは、その相当なる部分が、これはこれまでの長い間の国鉄企業努力の不足に責めを帰せらるべきものもございますが、より大きく政府の責めに帰せらるべきものが多いわけですね。それはさっきいろいろ話が出ましたように、国鉄は現在独占時代は過ぎて、陸、海、空、自動車、飛行機、船等すべての競争を受けて、簡単に申せば衰退の時期に来ている。それにもかかわらず長い間政府はいままでの独占時代と同じように、もうからぬ線区でももうからぬ仕事でもどんどんやれという、簡単に申せば公共輸送の使命を課してきた。それを何もめんどう見なかったわけですね。それではとても競争ができなくなる。  いまお話ししたように、運賃を幾らでも上げられる時代は、上げても需要が減らぬうちはよろしいですけれども運賃を上げられない時期に来ているのですから、そうなれば、公共輸送を課している代償として政府はどうしてもめんどうを見なければならぬ時期に来ているわけですね。それをやらなかった。それがこの原因をつくったわけですから、ここで政府が単にことしの欠損の穴埋めを運賃値上げで何とかカバーしてやろうというのではなくて、将来に向かってとにかく企業努力国鉄収支がとれるようにやらせよう、他の交通機関とのバランスのとれた運賃で、言いかえれば適正運賃企業が精いっぱいがんばれば何とかやれる体制をつくろう、つくってやろうということ、それが政府の役割りであろうと私は思いますが、その点は御異存はないでしょうね。
  344. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 私は、諸外国に比べて鉄道のウエートは日本が一番高いような気がするわけです。そういうことで、国鉄自身も時代の変化に適応していくだけの努力が過去においては足らなかったと思います。また、政府の方としても、交通政策において国鉄の持っておる重要な役割りというものに対してもう少し努力すべき点もあったでしょう。そういう反省の上に立って、今後は、国鉄というものの国民生活に与えておる重要な社会的使命から考えて、国鉄収支が償えるような健全な経営に持っていく責任が政府にもある、国鉄にもある、こう考えておる次第でございます。
  345. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 どうも答弁のピントが合わないので困るのでありますが、ことしの政府の対策ですね。これもいいところはあるのです。二つのポイントをつかんでいる。一つは過去の長期債務の肩がわりと、もう一つ地方交通線九千二百キロですが、これはどんな経営努力をやっても採算のとれる見込みのない線で、だからこれは公共輸送の見本みたいなものですが、これを取り上げて、わずかに百七十二億ではあるけれども、これのめんどうを見ようとした。この着想そのものはよろしいのです。ところが、現実に出てきたものは七兆円のうちの二兆五千億、これが長期債務の肩がわりで、それから地方交通線の方になりますと、二千二百億の赤字のうちで政府がめんどうを見ようというのは百七十二億なんですね。これはもう本当にスズメの涙みたいなものであります。しかし、考え方そのものとしては悪くないのです。  これが政府がめんどうを見るべき二つのポイントであって、これを政府が本気になってめんどうを見さえすれば、あとは国鉄に任せて、それでも収支採算がとれないようなことをやるなら、それはすべて国鉄の労使の経営者並びに従業員の責任であると言って突っ放してもいいような状態になるわけですね。ですから、考えとしてはよろしいのです。ところが、額が少な過ぎるのです。  だから、来年度収支均衡しようという目標は、あなたはこれは約束をされましたが、それでは運賃値上げ五〇%なんというのはとてもできるものではないということもお認めになった。そうしますと、当然この二つの要素、つまり、地方交通線赤字の補償とそれから累積債務の肩がわり、これを財政の事情もありましょうが許される限り増額して、少なくとも何とか収支均衡に近い状態までは持っていくくらいの約束をきょうされませんと、今度の再建対策は、単なる一時しのぎの、もうどうにもならないから目いっぱいの運賃値上げだけやってごまかそうというものにしかならないので、その点についての総理大臣の決意を伺いたい。
  346. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 私があらゆる努力と言っておるのはそういうことも含んでおるわけでございます。河村君は今度の再建案を相当に評価されておることは多とします。ことに、新幹線ないし地方のローカル線の問題については、これは金額は少ないですよ。しかし、今度そういう方面に対して助成の手を伸ばしたという政府の決意は評価されてしかるべきですね。金額はこれからの問題です。  また、累積の赤字に対しても、これはたな上げして利子は国がこれを補給するというのですから、しかも長期ですから、こういう累積赤字を抱えておって、損金ですから、損金を抱えておって国鉄が健全な経営ができるわけでないですから、その評価は多とします。やはり、金額の問題は将来の問題だ。そういういろいろなものを含めて、あらゆる方法で国鉄収支が合うように持っていきたいというのが私のお答えしておる点でございます。
  347. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 将来の問題とおっしゃいますけれども、そう将来じゃないのです。もう来年度予算編成の時期に入っているのですよ。ですから、本来ならばここで来年どうするということを言われなければならないのですけれども、いまこういう苦しい状態でこの法案の審議をやっている状態ですからあえてそこまで言わないだけのことであって、そこのところはもうちょっとはっきりおっしゃらなければいけないのです。  私の試算によれば、ことしは三千五百億の財政支出ですけれども、この地方交通線に対する二千二百億に該当するものの赤字の補償と過去債務を全部たな上げするという決意をもし政府がされれば、その金額は大体七千億ちょっとであります。ですから、ことしの倍ですね。ですけれども、そんなに天文学的数字ではなくて、やろうと思えばやれる数字なんです。もしそれを決意されますと、これまた私の試算で、多少概数でございますけれども、ことし二五%の運賃値上げで済む。それで来年二五%もう一遍上がれば、大体二年ないし三年で収支均衡ができるというこういう非常に合理的な再建対策ができるのです。  政府がもう何にも聞く耳持たぬで、この私の質問が終わると、強行ではないがどうやら採決ということになってしまって、われわれのこういう意見が入れられないことになることを非常に遺憾としますが、しかし、本当はいまからでも遅くはないから私の意見を入れて、それならば物価問題についてもいまの五〇%に比べればはるかによろしいし、国民的にもよろしい、しかも二年で収支均衡するというふうに直される御意思はありませんか。それを最後に伺います。
  348. 三木内閣総理大臣(三木武夫)

    ○三木内閣総理大臣 来年度のことにつきましては、ことしの値上げの影響や経済の情勢などと見合って検討はいたしますが、今年度提出をいたしましたこの再建の法案を修正する考え方は政府は持っておりません。
  349. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 残念であります。
  350. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  351. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 ただいま本案に対し、委員長の手元に加藤六月君外四名から自由民主党提出に係る修正案が提出されております。修正案はお手元に配付してあるとおりであります。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。加藤六月君。     ————————————— 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  352. 加藤(六)委員(加藤六月)

    ○加藤(六)委員 私は、自由民主党を代表しまして、本法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元の印刷物のとおりでございます。  修正案の趣旨は、国有鉄道運賃法の改正につきまして、原案附則第一項の施行期日「六月一日」はすでに経過しておりますので、これを「公布の日の翌日」に改め、また、大畠−小松港間の航路が本年七月四日限り営業廃止となりましたので、これを別表第一の改正規定から削ることとするとともに、日本国有鉄道法の改正及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の廃止につきまして、原案附則第一項の施行期日「四月一日」を「公布の日」に改め、また、改正後の日本国有鉄道法に基づく長期資金の無利子貸し付け等の助成措置の適用等について所要の経過措置を設けることといたしております。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  353. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  354. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 これより国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。増岡博之君。
  355. 増岡委員(増岡博之)

    ○増岡委員 私は、自由民主党を代表しまして、わが党提出の修正案及び同修正部分を除く政府原案に対し賛成の討論を行うものであります。  国鉄は、過去百年有余にわたり、国内輸送の大動脈として国民生活の向上と経済の発展に寄与してきたのでありますが、近年におきましては、国内の道路事情、モータリゼーションその他に起因し、シェアは著しく低下し、独占的地位を喪失しております。現在、旅客三〇%、貨物一三%であります。しかし、そのこと自体は国民に輸送手段選択の自由がある限りある程度不可避のものであったと思います。また、さらに、長年運賃改定のおくれにより収入不足を来し、したがってそれらによって生じた繰越欠損金の相当額をたな上げする等、今回とられようとする措置は妥当と申せます。しかしながら、鉄道が依然として持っております長所、すなわち安全、高速、大量輸送等の特性に加え、エネルギー効率等の観点から、国鉄は将来にわたって国民の足として、その果たすべき使命は重大であります。  政府におきましては、現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省を加え、新たに再建対策を策定し、強力に実施していく必要を認め、昨年末再建対策要綱を閣議了解し、これに基づき本案及び本年度国鉄関係予算がさきの第七十七回国会に提出されたのでありますが、予算成立いたしましたが、本案は不幸にして今国会に継続審査と相なったのであります。  今回の国鉄再建対策におきましては、まず第一に、その基本理念として、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう、厳しい姿勢のもとに国民に対して責任ある経営体制を確立することとし、このためには、違法ストの根絶を含め、労使関係を速やかに正常化することを初めとして、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立するとともに、組織、人事制度の抜本的改革を行うことが必要であるとしており、本法律案において国鉄法に新たに経営改善計画に関する規定を設けることとしております。  財政再建目標については、二年間での収支均衡の回復に置いており、これは不確定要素の多い長期計画を避けるとともに、窮迫した財政を短期に立て直す必要と、また、一方において一挙に倍とするような大幅な運賃改定による社会的、経済的な影響を避けるための配慮によるものでありまして、妥当な措置と認められるのであります。  過去債務のたな上げ措置につきましては、過去の財政圧迫要因を除去し、健全な経営基盤を整備するため今回初めてとられた画期的かつ前進的な措置でありまして、本年度一般会計予算におきまして、利子補給金約一千八百億円余、貸付金約五百九十億円余、合計二千四百四十億七千六百万円が計上されておるのであります。  運賃の改定につきましては、今年度において旅客貨物合わせての平均で名目改定率五〇・三%、実収率三六・五%の改定を行うことといたしておりますが、もし現行運賃のままとすれば本年度だけで約一兆二千億円にも及ぶ新たな赤字が見込まれるのでありまして、利用者負担の原則からしてもこの程度の改定はやむを得ないものと認められるとともに、本年度予算における運賃改定を見込んだ運輸収入、すなわち利用者の負担額はようやく人件費、物件費及び諸税公課の合計額を償うに足りるという範囲のものにしかすぎないのであります。また、消費者物価に与える影響は〇・五%程度にとどまるものと予測され、鎮静傾向にある物価を押し上げる要因となるほどのものではないものと認められるのであります。  利用者の国鉄離れにつきましては、利用低減率についての弾性値に基づく推算を検討いたしますと所期の増収を得ることが確認され、その懸念は必要としないのであります。さらに、他の交通機関との不均衡につきましては、本来、利用者の選択はただ単に運賃料金の高低によるのみではなくして、それ以外の運送条件としての所要時間、運行回数、アクセスの状況等によって決定されるという要素が大半を占めておるのであります。  なお、来年度における運賃改定率については、本法案成立のおくれによる収入不足及び来年度へ持ち越す赤字を含めて、関係当局におきまして極力低位にとどめるべく検討中であります。  ここで、運輸収入に占める人件費率に触れておきますと、その妥当とする比率については確定困難ではありますが、昭和四十九年度九〇%、昭和五十年度九六%という状況は異状としか言いようがないのでありまして、深刻な問題を内包してまいったのであります。  赤字ローカル線の取り扱いにつきましては、五十年度二千二百億円に上る赤字国鉄経営に大きな負担となっておりますが、一方、地域住民の要求も強く、いま直ちにその結論を急ぐべきではなく、慎重に取り扱いを検討する期間が必要であり、その間の運営費の一部としての特別交付金百七十二億円が本年度予算に計上されておりますが、これは今回初めてとられた前向きの措置であり、十分に評価できるものであります。  貨物輸送につきましては、昭和五十五年度までに固有経費収支均衡することを目標として、経費の二〇%を削減するよう近代化合理化等の施策を講ずることとされております。なお、貨物輸送につきましては、私は、荷主の選択にこたえ、市場原理に即した運用の弾力化を図る必要があると考えております。  運賃法定制度につきましては、各方面において法定制廃止の要望が強いようであり、これについては、運輸大臣の認可制とか、第三者機関の設置とか、種々の意見もありますので、われわれの課題として早急に検討すべきものと考えるのであります。  設備投資の効率化については、現行の工事費補助制度に基づき、本年度予算において補助金九百七十五億七千七百万円を計上して利子負担を軽減する措置がとられており、過去債務対策と相まって、国鉄経費における金利負担は七・六%程度となり、私鉄の一五%と比較してきわめて低く、工事経費が経営を圧迫して運賃改定の原因となるというような議論は当を得たものではないことを申し添えておきます。  最後に、わが党提出の修正案につきましては、審査中における施行期日等の経過に伴う所要の整理であり、当然のものであります。  以上、今回の新しい国鉄再建対策について賛成の趣旨を申し述べましたが、これによって国鉄収支均衡回復が達成され、真に経営の健全性が確立され、国民の期待にこたえる新生国鉄として再出発するよう、関係各位の一層の奮励と努力を強く要望いたしまして、賛成の討論を終わります。(拍手)
  356. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 坂本恭一君。
  357. 坂本(恭)委員(坂本恭一)

    ○坂本(恭)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、政府及び自民党は短期決着で国鉄再建を行うことを言明しておりますが、国民大衆の立場から考えた場合、国民の国鉄としての再建は本改正案によってはとうてい不可能であるということであります。  政府・自民党は、これまで何回となく、これが現時点で考えられる最善の案であると強調し、われわれの強い疑念や反対、そして積極的な提言を一切無視し、しかも、議会制民主主義に対する重大な挑戦さえも行いながら、強引にその意図を貫いてまいりました。その結果国鉄の経営は改善されたでしょうか。再建はどうなったでしょうか。国鉄の経営はますます深刻に、その危機は一層拡大されたのが現実なのであります。政府・自民党はこういう事態を招いた責任を明確にしないまま、再びその場しのぎの再建計画をつくり、何らの基本的な改革をも示さないままその承認を求めているのであります。この姿勢はわれわれとしては絶対に容認できるものではありません。  反対の第二の理由は、本案の内容とする国民生活無視、大衆からの収奪強化の方向についてであります。本年五〇%の運賃値上げに引き続いて来年度もさらに大幅に値上げを行うなど、公共料金の値上げが他の物価上昇の引き金としての役割りを果たすことを考えるならば、政府の物価安定策そのものにも全く逆行するこれらの方策はまさに常識を逸脱したものであるとしか言い得ないものであります。その上、地域住民に大きな苦痛を与える近代化に名をかりた合理化の促進、五万人にも及ぶ首切りの計画が意図されているわけですから、いわば国民と国鉄労働者に犠牲を強いる反動の見本とも言うべき内容となっているのであります。  第三の理由は、国の国鉄に対する位置づけと国鉄に対する国の責任の明確化の欠如についてであります。国鉄が全国的な規模で国民生活のすみずみにまで入り込んでいる現実について、政府・自民党は余りにも無視しているのであります。膨大な設備投資を要する新幹線や新線の建設に対しては、その利権の導入に血眼になって奔走をしますが、それ以外のことにはきわめて冷淡な態度をとり続け、独立採算制を強要するなど、国の交通政策に対するその無責任ぶりはきわめて重大であると言わなければなりません。  以上が本政府案に対する基本的な反対の理由でありますが、わが社会党は今日の国鉄の危機を招いた原因を鋭く追求するとともに、国鉄が国民の期待にこたえるべく、その機能を十分に発揮させるために長年研究を続けるとともに、多くの提言を行い、その実現のために努力をしてまいりました。そして、今国会においてわが党として独自の再建対策要綱をまとめ、具体的な対案として発表した次第であります。政府・自民党はこの内容を真剣に受けとめるべきであります。つまり、国鉄の経営の民主化の問題、国民の生活に根ざした経営方針の確立、財政の改革、労使の安定など、これらのいずれの問題も国鉄再建には必要不可欠なものばかりであります。しかるに、政府は、審議の過程でわが党の提案や主張に対し若干の前進的な姿勢を示さざるを得なくなったことも事実でありますが、根本的な改革要求に対しては従来どおりの放漫な答弁に終始し、その無責任ぶりを縦横に発揮するという態度を示しております。  いまや国鉄の危機は国政全体の中でもきわめて重大と言わなければなりませんし、政府は率直に国民の前に許しを請うことこそまず第一にしなければならないことであると考えます。しかしながら、政府はその責任を省みず、他にその責めを転嫁し、産業本位、大企業に奉仕する姿勢を改めず、結局は国民大衆の犠牲によって当座をしのぐために懸命になっているのであり、とりわけ、労働者の基本的権利の剥奪と引きかえに、制度化した公共企業体労働者の賃金についての仲裁裁定制度さえも勝手な理由でその実施をサボリ、それに加えて、その実施については運賃改定を条件とするようなきわめて卑劣なやり方をとっているのであります。  わが党は、このような国民不在の交通政策、反動的な政治に対し心の底から怒りを覚えているとともに、こうした悪巧みの政治を真に国民の血の通う政治に変えるため断固たる決意で闘うことを表明するとともに、政府案の撤回を要求し、私の討論を終わります。(拍手)
  358. 中川委員長(中川一郎)

  359. 紺野委員(紺野与次郎)

    ○紺野委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案並びに修正案に反対する立場から討論を行います。  第一に、インフレ、物価上昇の中で旅客運賃を平均五〇・四%、貨物運賃を平均五三・九%の大幅値上げ、来年も同率の値上げを行い、二年連続で二倍に引き上げることは、諸物価上昇を促進し、国民生活にさらに打撃を加えるもので、断固反対します。  第二に、累積赤字三兆一千億円、長期債務六兆八千億円に及ぶ国鉄財政の危機は、わが党が事実と道理に基づいて明らかにしたように、国鉄財政の重大な破綻の原因は特に次の四点にあります。  一に、大企業本位国鉄づくりのために莫大な設備投資借金に次ぐ借金で賄い、六兆八千億円の借金の重圧で財政破綻をし、利子負担は五十年は四千五十五億、五十一年は五千百十四億、一日平均十四億になる。二に、過大な減価償却制をとり、五十一年度は二千九百九十四億円の金を落としている。三に、高度成長政策による大企業本位運賃体系をとり、十五年間に旅客は三・六倍、貨物は一・六倍の値上げで、国鉄赤字の約八〇%は貨物赤字の一兆八千億円である。これはセメント、石油、化学薬品、自動車等の大企業貨物をコストを割って輸送する結果であります。四に、自民党政府のインフレ政策は、動力費、物件費、設備投資費を四十七年に比しても二倍にし、国鉄に被害を与えたが、独占価格による莫大な超過利潤を大企業に与えてきた。  以上四点、国鉄の構造的出血の仕組みを改めずに依然として大幅の運賃値上げを繰り返すやり方では国鉄財政の危機を救うことはできないし、厳しく反対するものであります。  第三の反対の理由は、現在国鉄経営の最大のがんの一つになっている貨物問題、いわゆる貨物対策には何らの積極的な解決策を見出せず、ひたすら大企業本位貨物近代化を一層推進して、国民的貨物を切り捨てています。このために、貨物輸送による膨大な赤字旅客に押しかぶせるやり方は今後も長期間にわたって存続することになります。  さらに、新幹線、幹線、地方交通線などすべての路線、車両、架線にわたって安全問題が深刻になっていることが明らかであるにもかかわらず、抜本的に投資の内容を転換し、安全対策を最優先で解決することさえ放置したままであります。  以上のごとく、国鉄をますます国民から遠ざけ、国鉄の荒廃をもたらすことが明白になっている自民党政府国鉄対策運賃値上げ法案に断固反対するものです。  第四に、自民党政府国鉄再建対策は、再建対策の名に値しないばかりか、かえって国鉄危機を一層悪化させるものでしかありません。  国鉄財政を荒廃させた真の原因は放置したままであることはすでに述べたとおりでありますが、国鉄財政破綻の重大な要因となっている過去債務約六兆八千億円の処理についても、政府はそのうち二兆五千四百億円についてのみ利子補給と無利子貸し付けを出すだけであり、不十分なものであります。  以上のような国鉄の危機は、もし日本共産党が四年前に提起した五項目の再建方針が取り入れられていたならば今日の国鉄の危機は避けられたのであります。  わが党は、現在の破産状態の国鉄の構造的危機の打開のために、今国会においても国鉄を民主的に再建する道を提案して主張してきました。  それは、まず、国鉄財政の民主的な転換を進めることであり、第一に、路盤、線路、駅など基本施設の建設、改良費は西独やフランスのように、国道と同じように国の出資で賄うこと。第二に、過去債務を計画的に縮減するため、長期債務六兆八千億の全体を長期債務整理特別勘定にし、当面少なくとも半額の三兆四千億を繰り入れ、その元利償還に一般会計から支出する。大銀行、大企業からの借入金約一兆円の債務は償還延期、利率引き下げまたは利払いの一時停止などで数百億から一千億円の支出節減をする。身体障害者割引や米麦の政策割引などの公費負担は国の財政で保障する。過疎やモータリゼーションのために生じたローカル線の赤字には国からの一定の補助をする。第三に、減価償却は三年間一時停止をすること。これで五十一年度で二千九百九十四億が軽減される。第四に、設備投資の規模を適正にし、五十一年度七千九百億は三分の二に圧縮する。第五に、企業負担の制度を確立する。専用線、物資別基地、臨海鉄道などの建設には企業に負担をさせる。第六に、大企業本位運賃体系を改善し、特に貨物運賃体系を改善すること。小口扱い貨物運賃値上げはやめ、営業割引など大企業貨物運賃割引をやめ、セメント、石油、化学薬品、自動車などの大企業商品輸送物資別専用列車には新たな料金制度を設ける。また、米軍貨物への特権的な便宜供与はやめることであります。  第二の大きな柱としては、国鉄の営業方針を大企業本位でなく、国民本位の輸送力増強政策に転換することであります。特に、陸上貨物輸送での国鉄の役割りを高め、農業、漁業、地場産業などをもっと重視し、貨物駅の整理や無人化駅を再検討し、国民の貨物輸送力増強に努力することであります。そのためにも、鉄道トラック貨物輸送分野を総合的に民主的に調整すべきであります。大量貨物の長距離輸送国鉄、ドア・ツー・ドアの短距離貨物輸送トラックが受け持つ方向を確立すべきです。  最後に、国鉄理事会、国鉄監査委員会、各種審議会を民主的に選ばれるようにして、国鉄管理局ごとに地域住民の要望を反映し、貨物廃止などは知事の同意を得るようにする。国鉄労働者と労働組合にはスト権と労働基本権を確立し、必要な要員を確保し、国鉄の安全と国民のための国鉄とすべきであります。  以上のような根本的改善措置に着手し、計画的に転換を進めるならば、国鉄再建を三年ないし五年で再建の軌道に乗せることは十分に可能であります。  私は、このことを強調し、政府が本法案を直ちに撤回することを要求して、日本共産党・革新共同を代表して本案並びに修正案に対しても反対討論をするもので、これをもって終わりとします。(拍手)
  360. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 松本忠助君。
  361. 松本(忠)委員(松本忠助)

    松本(忠)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対して、加藤六月君外四名提出の修正案並びに修正部分を除く原案について反対の討論を行います。  反対討論を申し述べる前に一言申し上げます。  公明党は、国鉄二法についてはあくまで慎重審議すべきことを前々から主張し続けてまいりました。本法についても前国会会期末に継続審議すること自体に反対したのですが、賛成多数で採決され、本臨時国会において継続審議が行われているわけであります。  本委員会の法案審議は火曜日、金曜日の二日間をこれに当て、水曜日は国政一般の審議に当てることを原則といたしております。去る六日もこの点を特にわが党が強く主張したわけであります。また、連合審査会も、わが党要求の物特委員会以下八委員会中物特委員会のみの申し入れがあり、形式的な連合審査会で終わりました。なお、地方公聴会、現地調査、参考人の意見聴取等々、わが党が強く要求したにもかかわらずついに開催されず、われわれの要求する慎重審議がついに踏みにじられたのであります。この点まことに遺憾に思うものであります。  それでは、反対討論を申し述べます。  破局寸前の経営状態に陥った国鉄をどのように立て直すか、この問題は国民が重大な関心を持って見守っているのであります。それは、国鉄再建計画の内容と再建の成否いかんが国民生活とわが国経済に重大な影響を及ぼすからであります。したがって、国鉄再建計画は単なる収支均衡策であったり一時的な赤字穴埋め政策であってはならないのは当然のことであります。そうした観点から見ますと、今回の政府提案の国鉄再建案は、その認識を欠いたきわめてあいまいなものと言わざるを得ません。  以下、何点かについて反対の理由を申し述べます。  反対する第一の理由は、今回の大幅な運賃値上げを柱とした政府の再建案は、最も重要な物価への影響を全く配慮せず行われていることであります。  政府の再建要綱によれば、五十一年並びに五十二年度において国鉄収支均衡を図るとしていますが、これは明らかに五十二年においても今回同様の大幅な運賃値上げを前提としているということであり、これは再建のめどのない一方的な穴埋め策であり、まさに暴挙であると断ぜざるを得ません。さらに、また、これまでの審議を通じて明らかにされたことは、五十三年においてもまた数%の値上げを政府は画策しているのであります。そうなると、政府は四十九年から五十三年まで連続して五年間の運賃並びに料金の値上げを行うことになり、五年間の引き上げ幅は、たとえば東京−大阪間の新幹線に例をとると、四十八年は四千百三十円であったものが、今回の値上げにより八千三百円と二倍になり、さらに五十二年の値上げを五〇%とすれば一万二千四百五十円、実に四十八年の運賃、料金の三倍になるのであります。さらに五十三年に数%の値上げを実施すると、その値上げ幅は大変なものになります。  こうした連続大幅な値上げが直接国民生活に大きな負担を押しつけ、物価上昇に拍車をかけることはきわめて明白であることは国民が周知のとおりであります。もはや三木内閣が掲げた物価公約は破棄されたと言うべきであります。いまやインフレ再燃に政府みずからが拍車をかけていると言っても過言ではありますまい。ロッキード汚職に取り組む三木内閣の姿勢が国民の政治不信を招いている現在、ますます国民をして政治不信を強めることになるでありましょう。物価安定に期待を寄せる国民を裏切るこの三木内閣の責任はきわめて重大であります。わが党は、政府の国鉄再建案に基づくこの値上げ法案に強く反対するものであります。  第二の反対の理由は、国民のための国鉄という認識を欠いた政府の再建案では、とうてい国鉄の本質とそのあり方を踏まえた国鉄再建とはならないということであります。  国鉄が今日のような膨大な赤字を抱えるに至った主な原因は、借入金依存の投資計画を強要し、膨大な借金国鉄に背負わせてきた歴代政府の国鉄補助対策の欠如にほかなりません。国民のための国鉄という考えに立って十分な援助を行ってきたならば、国鉄にこれほどの借金を抱えさせることはなかったはずであります。国鉄がこの十年間政府から補助を受けたのはわずか九千億円程度にすぎません。その一方では、道路には十九兆円の投資が行われているのであります。このことを考え合わせれば、政府が国鉄をいかに冷遇してきたか、また、その反面独立採算制を盾にして国民に運賃値上げを強要してきたかがわかるのであります。今回の政府の再建案は、過去の借金の一部たな上げを行う一方で、依然として投資財源を借入金依存で賄うよう強いております。国鉄財政を窮地に追いやろうとしているのであります。  わが党は先ごろ国鉄赤字の根本にメスを入れた再建策を発表いたしましたが、過去債務のたな上げや鉄道などの基盤施設に係る工事費を国庫負担とすべきだと提言しましたのは、国民のための国鉄という認識に立つからであります。政府がこうした認識を持たない限り、われわれは政府の再建案を評価することは絶対にできないのであります。  反対の第三の理由は、政府の再建案は国鉄の構造的な赤字に対する具体的施策が皆無に等しいからであります。  国鉄の構造赤字の主たるものは、モータリゼーションの波をまともにこうむった貨物問題であります。いま一つは、政治路線とも言うべき地方赤字線問題であります。国鉄再建は、すでに国鉄という公共企業体として、その一事業の範囲内では解決できる問題でないことは周知のことであります。たとえばエネルギー問題、環境・公害対策、労働力不足など、交通経済が現実に抱える諸問題の解決が個々の交通事業が単独では解決できないのと同様に、国鉄財政再建はそうした社会的、経済的諸問題と整合性を図らなければなし得ないのは当然であります。特に貨物輸送の問題は、総合的な交通政策の確立がなされなければその解決は不可能であります。  わが党は早くから総合交通政策の策定を図るよう政府に要求し、また、政府もその必要性を認めていたはずであります。しかし、今日に至るまで政策立案を行おうとしていないのは全く怠慢としか言いようがありません。総合交通政策との関連を持たない国鉄再建案が国鉄再建の名に値しないのは当然であります。  また、政府は、国鉄経営が危機に瀕した現在でも、五十一年度において三十二線区、千三百五十二キロに及ぶ赤字線の建設を進めようとしています。この総延長路線は東京−熊本間に相当し、そのほとんどが運行と同時に膨大な赤字を出す完全な赤字線であります。これが国鉄財政をさらに悪化させるものであることは明白であります。この点についてもわが党は、赤字線の建設は当分の間中止すべきであり、建設の根拠となる鉄道敷設法は、現在の経済、国土整備・開発等に適応したものではないので早急に改正するよう要求してきたのであります。  四十五年当時、わが党議員の質問に答えて、当時の佐藤総理が鉄道敷設法の改正を検討することを示唆しながら、田中列島改造内閣以後何らこの問題の改善がなされず今日に至っているのであります。  いずれにせよ、このような国鉄再建にとって最も重要な構造赤字に対する解決策を欠いた国鉄再建案をわれわれは絶対に認めることはできないのであります。  反対する第四の理由は、国鉄再建は労使の協力と協調が必要であるにもかかわらず、その労使間にひびを入れる強引な人員削減を進めようとしているからであります。  政府は、国鉄再建要綱の中で、昭和五十五年までに五万人の人員削減を行うとしておりますが、これは国鉄再建と矛盾するものであります。五万人といえば、現在の国鉄職員の一二%にもなり、これだけの人員を減らすためには、地方閑散線の廃止貨物輸送の縮小、安全・保安業務の縮小などが当然必要となるはずであります。しかし、そうした国鉄の事業規模や安全対策上重要な問題の検討は、合理化案決定に際し全く行われていないばかりでなく、このような大量の人員削減という、国鉄の労使間にとって重要な課題が一方的に提起されているのであります。それは、労使の協力が国鉄再建に不可欠であることを考えれば、政府のこうした一方的な合理化案は、まさにそうした労使間の協調体制を政府みずから破壊しようとするものと言わざるを得ません。  かつて、第一次国鉄再建十カ年計画が十一万人削減という実現不可能な合理化案を作成し、その結果、マル生運動による労使間の不毛の対立と職場の荒廃を引き起こしたことは周知のとおりであります。国鉄再建を真剣に考えるならば、再び労使の対立を生み、ひいては国鉄再建の道を内部から崩壊させるおそれのある合理化案は撤回すべきであります。  第五に、国鉄再建に当たって、国鉄企業努力の姿勢がまことに不明確であるということであります。  国鉄に対する親方日の丸という国民の批判は依然としてあり、今日、その批判にこたえ、国鉄企業努力によって赤字解消を図ってきた事実をわれわれは知りません。国民の貴重な公共財を預る国鉄当局が国民の期待にこたえて実施した対策は皆無と言っても言い過ぎではありません。政府が国鉄再建案を提出する前に、国民に対し国鉄として再建への姿勢を示すことこそ大切であり、その努力を怠っている国鉄当局の姿勢は怠慢の一語に尽きると言うべきであります。  また、同時に、国鉄の経営の自主性を抑制している法的制約があることも事実であることを十分認識すべきであります。国鉄企業努力をより一層強めるために、政府は、国鉄の関連事業への投資範囲を制約している国鉄法第六条を改正し、事業範囲の拡大を図るべきであります。国鉄再建に対する国鉄当局企業努力の欠如、また、国鉄の自主経営を束縛している法的規制を緩和しようとしない政府には、もはや国鉄再建を語る資格がないとさえ言わざるを得ないのであります。  最後に、わが党は、国鉄の経営の現状は重大なる事態に直面をしているとの認識に立ち、去る十月六日、国鉄再建対策案を発表いたしました。その内容は、国鉄の役割りと位置づけを明確にした総合交通政策を改めて確立すること、国鉄労使関係の改善を図るための条件つきスト権の付与、国鉄企業努力の強化、国鉄は国民共有の財産という立場から国庫補助の強化を行うこと、また、貨物対策の充実などを主な柱としております。いたずらに運賃値上げに依存する政府案とは本質的に異なったものとなっています。  しかし、国鉄再建は国民的課題であり、そのための再建策は国民の十分なコンセンサスが得られるよう積極的な努力をすべきであります。国民のための国鉄をつくろうとするならば、与野党一致で賛同できる国鉄再建計画をつくる必要があると思います。わが党もそのための協力は決して惜しむものではありません。  政府は、国民に過大な負担を強いる今回の運賃値上げ案を撤回し、改めて全党一致で国鉄の立て直しに協力できる国鉄再建案を策定すべきであります。  このことを強く申し上げまして、公明党を代表し、反対の討論を終わります。(拍手)
  362. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 河村勝君。
  363. 河村委員(河村勝)

    ○河村委員 私は、民社党を代表して、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案並びに同修正案に対して反対の討論をいたします。  私がこの法案に反対する理由は、今回の国鉄再建対策昭和五十一年度及び昭和五十二年度の二年間で収支均衡を図ることを目標としながら、中途半端であって、国の財政援助に若干の改善が見られるものの、それは国鉄財政基盤そのものの体質改善というにはほど遠いものであって、このような姿勢が変わらなければ、しょせんは当面目いっぱいの運賃値上げによって急場をしのごうとするだけのもので、二年間で収支均衡を達成する見込みはほとんどないということであります。  二年で収支均衡を実現しようというならば、五十二年度における財政援助の輪郭ぐらいは決まっていなければならない。それが全くない。もし今年度政府提案の対策を前提とすれば、来年度旅客貨物ともに六〇%近くの運賃値上げをしなければならない。そんな乱暴なことができると思いますか。物価に与える影響が甚大であることはもちろんでありますが、それを別としても、そもそも経営的に成り立つ可能性がありません。わかりやすい例を引けば、新宿−小田原間の旅客運賃が小田急四百円に対し、国鉄は千百円を超えます。同様なことがほかにもあるのであって、行楽旅行者は残らず観光バスに移り、新幹線旅客は飛行機に逃げる。貨物輸送に至ってはほとんど大半の荷主を失うでありましょう。もし、バランスをとるために他の交通機関の運賃を一斉に引き上げるとすれば、それこそ狂乱物価の再燃を招くでありましょう。  過去の幾たびか挫折した再建計画の過ちを繰り返さないために必要なことは、ここで将来にわたる基礎的な条件をつくることであります。それは、今後国鉄が他の交通機関とバランスのとれた適正運賃水準のもとで、精いっぱいの企業努力さえすれば何とか収支均衡を図れるという条件を整備することであります。  破産に瀕している国鉄のがんは、一つは長期累積債務が七兆円に達し、その利子負担にたえられないこと、他の一つ累積赤字が三兆を超えるに至ったことであります。このような事態を招いた責任の一半が国鉄自身のこれまでの企業努力の不足に帰せられることは言うまでもありませんが、より大きく国の施策の欠陥に起因しております。  陸海空にわたる他の交通機関の発達のために、国鉄はかつての独占性を失って衰退をしつつあります。それにもかかわらず、政府は、過去の独占時代と同様に国鉄採算を無視した公共輸送の義務を課しながら、それに伴う過剰な負担を国がカバーすることを怠ってきました。その結果が現在の状態をもたらしたのであります。  いま国のなすべきことは二つあります。  第一に、過去の長期債務を全額たな上げして、再出発を可能にすること。第二には、いわゆる地方交通線七千キロ前後から発生する赤字は、この線区がいかなる経営努力をもってしても採算ベースに乗せることが不可能であるという実態にかんがみ、今後この部分は国が全額を補償することであります。この二つの条件が整えば、二五%程度運賃値上げを二回行うことによって、二年ないし三年の間に収支均衡のベースをつくることができるはずであります。  この場合、国の財政支出は年七千億円程度に上りますが、これからの国鉄が、もはや運賃を上げれば収益が上がるという条件がなく、そこに限界があることを考えれば、恒久的な国鉄再建対策として、国の財政支出が不可欠なものであることを明確に認識した上で今後の対策に取り組まなければなりません。  終わりに、現在の国鉄の労使関係は荒廃し、国鉄の職場秩序は乱れて、とうてい能率的な業務の運営を可能にする状態にはありません。この際、政府の再建対策要綱にもうたっているように、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立することが国鉄再建のためにまず実行されなければならないということを付言して、私の討論を終わります。(拍手)
  364. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  365. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 これより採決いたします。  まず、加藤六月君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  366. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  367. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 起立多数。よって、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、加藤六月君外四名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  368. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 この際、自由民主党、日本社会党、民社党の三派共同提出にかかる佐藤守良君、斉藤正男君、河村勝君から、及び日本共産党・革新共同の梅田勝君外二名から、それぞれ本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  両動議を議題とし、順次それぞれ趣旨の説明を聴取いたします。  まず、佐藤守良君外二名提出の動議について趣旨の説明を求めます。佐藤守良君。
  369. 佐藤(守)委員(佐藤守良)

    佐藤(守)委員 ただいま議題となりました本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本附帯決議案は、前国会からの継続案件である本案についての慎重審議の結果に基づくものでありまして、国鉄経営を改善し、その使命を達成させるため、本法の実施に当たり、政府並びに国鉄当局において積極的に措置すべきところを明らかにし、もってその実施に遺憾なきを期そうとするものであります。  以下、附帯決議の案文を朗読いたします。     国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   国鉄経営を改善し、その使命を達成させるため、政府並びに国鉄当局は、次の措置を推進すべきである。  一 財政再建を促進するため   (一)過去債務を積極的に処置することにより、国鉄の負担を軽減し、健全経営の基盤を整備する。   (二)地域住民の利便と自立経営上の負担の程度を勘案しつつ、地方交通線の運営費の欠損について一段と助成措置を強化するよう努める。   (三)運賃上の公共割引は、それぞれの政策実行部門の負担とするよう努力する。  二 省エネルギー、資源効率、省労働力、安全輸送、環境保全を配慮して総合交通体系の再検討を行い、その政策の推進をはかる。  三 新線及び新幹線の建設は、前記総合交通体糸に基づき、その見直しを行う。  四 国鉄貨物輸送については、鉄道輸送の特性を発揮できるよう所要の近代化合理化等の施策を推進する。  五 運賃改定制度について、速やかに再検討を行う。  六 国鉄自身が、安易な経営に陥ることのないよう厳しい姿勢のもとに、労使関係を正常化するとともに、責任ある業務遂行体制を確立し、国民に対して責任ある経営体制を樹立する。   右決議する。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  370. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 次に、梅田勝君外二名提出の動議について趣旨の説明を求めます。梅田勝君。
  371. 梅田委員(梅田勝)

    ○梅田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について提案説明を行います。  わが党が附帯決議を提案いたしましたのは、あくまで値上げ法案に反対するとともに、その法案が可決された後予想される国鉄の危機の進行に対して政府、国鉄当局の必要な対策を要求するものであります。  附帯決議案はすでにお手元に配付したものでありますが、先ほど自民党、社会党、民社党の三党共同提案になる附帯決議案とは、運賃決定制度の再検討問題など、重要な点で相違いたしております。  わが党は、国鉄の真の再建には絶対必要なものと確信し、この提案をするものであります。  以下、文案を朗読して提案説明といたします。     国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一     部を改正する法律案に対する附帯決議     (案)   今日の国鉄財政、経営の危機を打開し、その  経営を改善、本来の使命を達成させるため、政  府並びに国鉄当局は、それぞれ次の措置を積極  的に推進すべきである。  一、過去債務は、国の責任で計画的に縮減し、   国鉄の利子負担を大幅に減らすよう措置をし   ていく。   一、基礎施設の建設、改良費は国の出資でまか   なう。   一、国民生活に不可欠な地方交通線赤字にた   いして一定の補償を行う。   一、国鉄の「公共負担」は国の財政で補償する。   一、設備投資計画は再検討して適正なところさ   で圧縮し、減価償却制度についても改善する。   一、大企業本位貨物運賃体系の改善を図る。  右決議する。以上であります。  どうか委員諸君の賛成されんことを期待いたしまして、提案を終わります。(拍手)
  372. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 以上で両動議についての趣旨の説明は終わりました。  これより採決いたします。  まず、佐藤守良君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  373. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 起立多数。よって、佐藤守良君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付するに決しました。  ただいまの議決の結果、梅田勝君外二名提出の動議は議決を要しないものとなりました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田運輸大臣
  374. 石田国務大臣(石田博英)

    石田国務大臣 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、慎重御審議の結果、御採決をいただき、まことにありがとうございました。  また、決議されました附帯決議の各項目の中には、その実施が困難なものも含まれておりますが、政府といたしましては、御趣旨を尊重し、今後その推進に努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  375. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  376. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  377. 中川委員長(中川一郎)

    中川委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十八分散会      ————◇—————