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1976-10-27 第78回国会 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)    午後三時十分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 塩崎  潤君 理事 瀬戸山三男君    理事 松永  光君 理事 森  美秀君    理事 山下 元利君 理事 田中 武夫君    理事 横路 孝弘君 理事 松本 善明君    理事 坂井 弘一君       近藤 鉄雄君    佐藤 文生君       稲葉 誠一君    大出  俊君       斉藤 正男君    庄司 幸助君       鈴切 康雄君    河村  勝君       永末 英一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君  出席政府委員         法務省刑事局長 安原 美穂君  委員外出席者         ロッキード問題         に関する調査特         別委員会調査室         長       中里  煥君 十月二十五日     —————————————  ロッキード事件真相究明に関する請願(川崎  寛治君紹介)(第七一九号)  同(柴田健治紹介)(第七八八号)  同(古川喜一紹介)(第七八九号)  同(松浦利尚君紹介)(第七九〇号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第八六七号)  同(横路孝弘紹介)(第八六八号)  ロッキード問題真相糾明に関する請願古川  喜一紹介)(第七八七号)  同外一件(田中昭二紹介)(第八六六号) 十月二十六日  ロッキード事件真相徹底糾明に関する請願(  紺野与次郎紹介)(第八九二号)  同(松本善明紹介)(第八九三号)  ロッキード事件即時徹底糾明に関する請願(  田中美智子紹介)(第九六五号)  ロッキード事件真相徹底究明に関する請願(  田中美智子紹介)(第九六六号)  ロッキード事件真相究明に関する請願(嶋崎  譲君紹介)(第九六七号)  同(田中武夫紹介)(第一〇九四号)  同(村山富市紹介)(第一〇九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  ロッキード問題に関する件      ————◇—————
  2. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 これより会議を開きます。  委員長出席がおくれますので、その指名により、暫時私が委員長職務を行います。  この際、御報告いたします。  本日出頭を求めておりました小佐野賢治君から、昨二十六日、前尾議長あてに、医師診断書を添えて、書面をもって、病気のため出頭できない旨の申し出があり、議長より委員長に通知がありました。  この際、診断書を朗読いたします。     診断書     住所東京都世田谷区野毛三の九の一     氏名        小佐野賢治           大正六年二月十五日生   病名 高血圧症冠不全   上記疾病にて加療中でしたが現在尚間歇的に狭心発作があり、入院精査の結果と併せ向後暫くの間就床安静加療の必要があると認めます  上記の通り診断します   昭和五十一年十月二十六日       東京都杉並区方南一丁目四一番八号            山口医院              医師 山口三郎 右のとおりでありまして、小佐野証人の不出頭の件につきましては、理事会において協議することにいたします。
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  4. 塩崎潤

    塩崎委員 稻葉法務大臣にいわゆる灰色高官の問題についてお尋ねしたいと思います。  去る十月十五日並びに十月二十日に法務大臣にここにおいでをいただきまして、私どもはいろいろとロッキード事件の経過について伺い、そのときに灰色高官の問題についても若干の質疑をいたしたわけでございます。ところが、その後の法務大臣の各方面におけるところの発言がいろいろと疑惑、疑問、あるいは混迷、こんなような事態を生んでいるような気がしてならないわけでございます。そこで、この問題に関するところの法務大臣発言を中心として、私は法務大臣真意をぜひとも伺いたいと思うのです。多分にこれは新聞紙上にあらわれました法務大臣発言でございますから、私は思慮深き法務大臣真意がそんなに伝わっていないと思うのです。本当にここで法務大臣が率直にその気持ちを打ち明けていただけますれば、私が抱いているような疑問、あるいは世間の人たちが持っているような疑惑はないと思いますので、ひとつ法務大臣、率直にお答えを願いたいと思うのでございます。  まず第一は、去る十月二十四日に熊本法務大臣発言された事項でございます。法務大臣はどうも遊説に行くと大変調子がよくなって、私どもに教えていただかないようなことまでときどき言われるので大変参考になることがある。しかし、同時に一方、大変私どもはびっくりすることがあるわけでございますが、その熊本での発言、ここに私は新聞を持っておりますが、「十三議員灰色性薄い 法相、責任追及に水さす」、こういう表題が出ておるのですね。大変大きな活字で出ておりますから、どんなに目が悪くても読めるようなことでございます。私はこんなことは当然普段出ることだと思うのですが、しかし、二十日の当ロッキード委員会法務大臣は、法務大臣立場灰色高官仕分けをすることは適当でないということで、灰色高官と見られるかどうかわかりませんが、この十三人の問題についてはもう撤回する、自分衆議院議員として言わしていただきますればとか、あるいは個人的な意見として言わしていただきますればというような御発言でございましたが、ここにおられる田中理事の御質問の結果、法務大臣は撤回されたのです。私はそれはこの耳でかっちりと聞いておりましたが、撤回されたにもかかわらず、どうして熊本でこんなような発言をされたかどうか私は知りませんよ、なぜこんなような新聞記事が出るんですか。この点について法務大臣意見をまず第一にお聞きしたい。これが一点です。
  5. 稻葉修

    稻葉国務大臣 その新聞記事うそですから、うそを書いたやつにどういう意味で書いたのかを聞いてください。私はそんなことを言っとらぬ。
  6. 塩崎潤

    塩崎委員 私も、新聞記事でございますから、法務大臣の御立腹のとおり、これは新聞記者に聞いてみないといかぬと思うのですけれども、社というのはなかなか見識の高いところで、いろいろと例のシロの証明でもむずかしいような状況でございますので、これはひとつ慎重に私ども新聞社に聞いてまいりますが、法務大臣もこのようなことが出ると、やはり火のないところに煙が立たぬというようなこともありますから、これは私は信じたいのですよ。そういったことはもう全く火もない、気もない、例の法務大臣言葉でいいんでしょうか。
  7. 稻葉修

    稻葉国務大臣 煙も見えず雲もなし。
  8. 塩崎潤

    塩崎委員 日清戦争の黄海の海戦みたいなお話がありましたので、私も大変勇気づけられました。これはそういうふうに一国の法務大臣が言われたことでございます。そして、私はもう文部大臣のときもお仕えし、文教委員長としてもお仕えして法務大臣の御性格を知っておりますから、これは絶対私は信じたい。  そこで、その次の問題に移りたいのですが、これも私は大変疑問に思っている。これの方がより新聞の数から見て、全部の新聞ではない、東京新聞、日経新聞、その他もう一つあったかと思いますが、三つばかりの新聞法務大臣が「九十ユニット灰色」は七人十三人中六人はシロ 他ルートとも無関係」、こんなような記事が出ておるのです。私もこれを聞いてびっくりした川熊本でこんなふうに「十三議員灰色性薄い」と言われなかったと言うのですけれども、その思想から、あるいは先般の委員会で撤回したその法務大臣言葉の結論から見たら、こんなような「九十ユニット灰色」は七人」とか「十三人中六人はシロ」とか言われるはずがないと思う。そして、中身も詳細に読んでみたが、私はこの間法務大臣からあなたは計算大家である、天才とも言われるべき人であるというふうに大変おほめをいただいた私が読んでみて、数字がどうして出てきたかわからぬのです。そして、中間報告のどこを見ても書いてないし、さらにまた、先般来の刑事局長の御説明を若干入れてみてもこういう計算が出てこないのです。それから、きのう参議院質問中例の三十ユニットの五人のあの金額内訳、そしてまた、その説明から計算しても出てこないのですが、これはどういうことなんでしょう。恐らくこれも正式の記者会見ではないと聞いておりますが、こういうふうに、いかにももっともらしく細かく計算したようなこと、これはどういうことなんでしょうか。私は法務大臣計算よりもむしろ人権擁護とか法律の解釈の大家だと聞いておりますので、これもやはり煙もなく、火もない、気もないということでしょうか。
  9. 稻葉修

    稻葉国務大臣 これは私の中間報告の二十八ページに、「簿外資金に順次組み入れて保管していたところ、そのうち合計五千七百五十万円を同四十七年十一月から同五十年九月までの間前後二十八回にわたり合計十三名の国会議員に贈っていたことが認められた。この点について右金員授受趣旨を捜査した結果、国会議員職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪成立は認められない。」これはどういうことかというような話に、晩飯のときか、そういうときがありまして、二、三人新聞記者もいましたよ、そのときに、いやその意味は、これは当時全日空がこんなことをしているとは知らない人もいたんじゃないですか、したがってそういうことでせんべつをもらったりしている人は、仮に新日鉄から旅行に行くときにせんべつもらって行ったのと変わりはないのじゃないですか、こういう意味のことは言いました。そうすると、まあどうなるかわからぬけれども、これだけが政治的道義的責任がある、たまたま全日空からもらっておった、その当時はこんなことをしているとは思わないから、普通の会社だと思ってもらっておった、これは政治的道義的責任がありと判定され、たまたま同じような趣旨で日立製作所とか新日鉄とか、そういう会社からもらっておったのは何でもないということになっては社会的正義に反するのじゃないかねということは言ったのです。
  10. 塩崎潤

    塩崎委員 その問題も大臣、後でいろいろと御意見を承ろうと思ったのですが、私がまず伺っておりますのは、仕分けはしないと言われて、しかも精密なる計算をされているものですから、さて私どもわからなくなったのです。どう計算しても出ないのです。そこはどうなんですか。なぜこんなふうになったのですか。
  11. 稻葉修

    稻葉国務大臣 この間、参議院ロッキード特別委員会安原刑事局長が、何人ダブっているとか、こういう答弁をしておりますね。それをうろ覚えに、それらしきことを言うておるわけであります。
  12. 塩崎潤

    塩崎委員 いま何か小さく、うろ覚えとかなんとか声が聞こえましたが、これが、一国の法務大臣でございます。そしてまた政府はたびたび、総理まで言われましたが、いわゆる灰色高官仕分けはしないと言っておられたわけですね。それが、うろ覚えか何か知らぬけれども数字を申して想像されるようなことは、どうなんでしょうか、大臣
  13. 稻葉修

    稻葉国務大臣 これとこれはだめですよ。こういうのはだめだ。(「これじゃわからぬ」と呼ぶ者あり)こういう、東京新聞の夕刊、十月二十六日、これはだめ。それから、灰色性は薄いなんということは言うておらぬという意味ですね。灰色性が薄いなんということは言うておらぬ、そういうことです。
  14. 塩崎潤

    塩崎委員 それでは法務大臣大臣が言われたことは、いまちらっと漏らされたせんべつとかあるいは政治献金全日空から来たその金がロッキードから来たかどうか知らないで、ともかくも全日空からもらった人が十三人か何人かと、こう言われたのでしょうか。そういう人たちが、いまおっしゃったように、新日鉄あるいはその他の会社と同じような気持ちでもらったのだから灰色性は薄いのだ、こういうふうに言われたのでしょうか。
  15. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いや、灰色性は薄いとか、そういうことじゃないのです。私がここで、ロッキード委員会中間報告を十五日にやったところが、明くる日、報告によれば灰色高官十四名と、こんなふうに書いてありますから、私は何もこれが灰色でございますと言うたのではなくて、そのうち合計五千七百五十万円が二十八回にわたって十三人に渡っているという報告をし、それは国会議員職務に関する対価であるということが認定できないから収賄罪成立は認められない。そうしてその金員授受趣旨は、たとえば政治献金であるとか海外出張せんべつとか等々である、こういうことを言うているのですから、ああいうふうに書かれるのは、私が灰色高宮を十三人と言って発表したかのごとく国民に思わせるから、あれはいかぬ。こういうことは私はやはり言わなければいかぬものね。そうでしょう。私の発表したことを、勝手に自分たちの希望か自分たちの主観でそういうふうに書かれるのは、法務大臣としていかにも権限外の、国会ロッキード調査特別委員会のおやりになる仕事を勝手にこっちがやっているように思われてははなはだ私の意に満たないから、弁解をしなければいかぬ、よく説明しなければいかぬ。
  16. 塩崎潤

    塩崎委員 法務大臣のお言葉を聞いて、者が巧みに想像をたくましくして書いたものが多いこともあり縛るかもしれないと思うのです。たとえばこんなことを言われたのですか。「全日空ルートの九〇ユニット関係十三議員のうち六人は、全く他のルートにも関係なく、会社からの献金と同じで純粋の“シロ”だ。」こんなことが響いてあります。この六人はシロという根拠は、他のルートと重複していないからシロなんだというふうな根拠に見えるのですが、それが算出の根拠、そういうふうに言われたから、さてさて、ばちばちと新聞記者がそろばんを置いてみると六人となったようにも読めるのですが、どうなんです。
  17. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは、この間、刑事局長参議院だったか、こっちであったか、とにかくロッキード調査特別委員会で、十三人の中には三十ユニットの人もダブっております。こうなっているでしょう。三十ユニットというのは権限なしとか、それから犯罪は認められるけれども時効になっているとか、こういう報告をしていますな。そういう人も十三人の中ヘダブっているから、そういう人についてはとにかくとして、そうでない人については、新日鉄でもらったものと変わりはないので、これを一緒くたにするのは社会正義に反するのじゃないかね、こういうことを言うたら、自分計算したのでしょう、そういうふうに。
  18. 塩崎潤

    塩崎委員 私も恐らく法務大臣がそのように発言されたことから推測して計算したに違いないと思う。ですから、この数字法務大臣責任を負える数字じゃありませんか、どうですか。
  19. 稻葉修

    稻葉国務大臣 責任を負えないですな。
  20. 塩崎潤

    塩崎委員 わかりました。私はこのような数字が出てくるには、よほどの事実を知ってなければ出てこない。しかし、多分にこれは間違いもあると思うのです。  そこで、刑事局長、どうなんですか。あなたはきのう参議院で三十ユニット関係、それから九十ユニット関係のオーバーラップした人たちの数と番号ですか、番号も言っておられるのですが、この資料を一遍、私の方は、衆議院の方は九十ユニットの方しか出ておらない、三十ユニットの方はまだいただいておりませんが、これをひとつ出していただく。そしてきのう参議院説明されたことも含めて、オーバーラップしたところの番号も打っていただいて出していただけるかどうか、これをひとつ伺いたいことが一点。それからもう一つは、法務大臣がきのう発言された数、これが思い当たるところがあるかどうか、これも第二点として答えていただきたいのです。
  21. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ちょっとつけ加えさせてください。  私、十三人という発表をして、そしてロッキード委員会で皆さんから、それでは何で名前言えないのだということを新聞記者諸君説明してみたのです。みんなそうおっしゃるけれども名前を言えないというのは社会正義に反するからだ、それはこういうわけだ、こういうふうに一度にばっと発表すればかっこういいかもしらぬけれども自分かっこう人権に響いちゃ悪いからという意味説明なんです。それは了とせられたいと思いますね。
  22. 安原美穂

    安原政府委員 まず、法務大臣が私の説明から思い違いをしたようなお話でございます六人というのは、これは要するに、御案内のとおり、三十ユニット関係公訴提起された者は二人でございますが、三十ユニット関係公訴提起をされなかった人が五人おるということはすでに中間報告で明らかでございます。それから全日空関係簿外資金関係で十三名おるということも中間報告に出ております。したがいまして、金銭授受はあったが公訴提起を受けなかった人の延べ人員は十八名であるということは明らかでございます。そのうちに私は被告人を含めて六名のダブりがあるということをたしかこの席であったか申し上げたと思います。でございますから、結局、公訴提起を受けなかった人の実人員は、十八から六を引きますと十二であるということが総体の計算の結果として間違いのないところでございます。  さらに、大臣のおっしゃったのは、十三人の中身になるわけでございます。十三人というのは、九十ユニット関係と申しますか、要するに全日空簿外資金関係金銭授受があったと認められる人が延べ十三人ある。そのうちにダブりがあるわけでございまして、結局、公訴提起されなかった人、つまり先ほどの三十ユニットの五人というのは、公訴提起されなかった五名とこの簿外資金の十三名との間には、この前横路委員の御質問であったかと思いますが、ダブりは三だということは、公訴提起されなかった者の中では三のダブりが十三のところにある。なおつけ加えますならば、あと二人被告人となられた方の中にダブりがある。したがって十三の関係から言いますと、ダブりは被告人を含めて五であるということに相なるわけであります。したがいまして、十三から五を引きますと八。八という数字が、公訴提起されなかった方で、全然ダブりがなくて全日空簿外資金関係から金銭授受があったと認められる者である、こういうことに相なるわけであります。  したがって、八人それから全日空ユニット関係では四人ということに結局なる十二人というものが金銭授受があったが公訴提起されなかった数字であるということで、それは最初被告人三名を含めまして十七人を取り調べた。十七人を取り調べたが、被告人になった人を除くと十四人がいわば公訴提起を受けなかった人である、その十四人のうち二人は全く金銭授受関係なく、いわゆる参考人として取り調べた方だということを申し上げました。そこからも、マイナスいたしますと十二人の金銭授受を認められる者があるということで、十七人の説明と先ほどのルート関係からの説明がぴったりと合う、こういうことに相なるのでございます。  長々とお手数をおかけして恐縮でございますが、私どもとしてはわかっておることでございますが、お尋ねを受けて徐々に明らかにしてきたということに相なるわけであります。  それから次に、先般衆議院ロッキード特別委員会理事会で私どもの方から、全日空簿外資金関係につきまして十三名の方を個人別にその趣旨別に分けて金額を掲げたものを差し上げてございます。これは十三名の方の一から便宜十三まで、金額、総額の順にずっと一から十三までございます。それと、先ほど来私がるる説明しておりますユニット関係につきまして昨日参議院ロッキード委員会お尋ねがございましたので、全日空簿外資金関係についてある程度金、額が言えるならユニット関係についても伺いたいという社会党の久保議員の御質問がございましてお答えいたしましたので、同じようにこれから申し上げます。  三十ユニット公訴提起を受けた方は、すでに御案内のとおり橋本、佐藤両氏につきましては三十ユニット中から五百万円と二百万円が起訴の対象になっておるわけでありまするから、残りの二千三百万円の個人別内訳ということに相なるわけでありまして、まず一番多いのが一千万円。これを便宜Cといたしましょうか。A、Bは起訴された方でございまして、A、Bは五百万、二百万、以下がいわゆる三十ユニット公訴提起を受けなかった五人分を申し上げるわけですが、そのトップの方一千万円はC。Cは一千万円、次にD五百万円、それからE三百万円、F三百万円、G二百万円。これを合わせますと二千三百万円に相なるわけでありまして、先ほど申しました十三と五のダブりということから申し上げますと、この全日空関係の三番とそれからいま申し上げましたユニット関係のDがダブるわけでございます。それから全日空関係の五番とそれからいまユニット関係のEがダブるわけであります。それから全日空関係の六番がユニット関係の最後のGとダブるわけであります。  以上でございます。
  23. 塩崎潤

    塩崎委員 いろいろの計算の仕方で、結局いわゆる灰色と見られて名前が公表されていない者が十二人あるということがわかるわけでございます。そこで、この稻葉法務大臣が言われました六人はシロとかあるいは灰色とかクロとか、こういつたことは法務省としては一つ計算はできないことなんじゃないですか。いままで言われておったのは、いわゆる名前が出てない方の数を言っておられる。それがときどき新聞記者が間違えて、せんべつとかそんなふうなことが出ると、計算して、シロはこうだというふうに憶測していると考えていいんじゃないですか、刑事局長、どうなんですか。
  24. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ちょっと待ってください。塩崎さん、恐縮ですが、稻葉法務大臣が言われたと書かれている、と言ってください。言ったと書かれている。稻葉法務大臣が言われた六人とかなんとかという、そうではなくて、稲葉法務大臣が言ったとここに書かれているのは、法務省意見じゃあるまいと……。
  25. 塩崎潤

    塩崎委員 わかりました。
  26. 安原美穂

    安原政府委員 御指摘のとおり、私ども政治的道義的責任の基準をつくるわけではございませんから、したがって、俗語である灰色などということはここから先も申したことはございません。要するに、いま申しましたように、金銭授受が認められたが公訴提起を受けなかった、それぞれの理由がございますが提起を受けなかった者が十二人であるということを申し上げるのがわれわれ法務省立場でございます。
  27. 塩崎潤

    塩崎委員 そこで、先ほど稻葉法務大臣が触れられました献金せんべつといった問題、これらの問題に触れたいわけでございます。いわゆる九十ユニットからきたところの財源全日空がプールしておって、そのうちから五千七百五十万円を国会議員に配った、この問題でございます。  そこで、刑事局長一つ伺いたいのですが、裏一資金を持っておったと言われておる、その裏資金はどれくらいこの九十ユニットが入るまでに持っておったかどうか、わからないでしょうか。つまり、これまでの慣習として全日空が、自分が九十ユニット以外の財源を調達して、そして簿外預金を持っておって、そのうちからいつも毎年恒例のように盆暮れの金を出しておる、あるいは海外出張の際のせんべつを出しておるとすれば、さて金に色目がついておりませんから、受け取った方はロッキード事件関連があるなんて全く意識がないと思うのです。しかもすでにこの五千七百五十万円を配ったと言うのですが、五千七百五十万円以上の金が九十ユニットが入る前にあったとすれば——これは私が言うのは先入れ、先出しなんです。ロッキード事件からきた金じゃなくて、全日空が過去に持っておった金を先に払い出したのじゃないか。したがって、ロッキード事件には関連のないというふうなことも言われるおそれがあると思うのです。幾らぐらい簿外預金を九十ユニットが入る前に持っておったかどうか、これはひとつ刑事局長からお答えください。
  28. 安原美穂

    安原政府委員 簿外資金があったということは言えるのでありまするが、それ以上に簿外資金が幾らあったかということを申し上げることは、いわば犯罪にならない部分につきまして会社の帳簿の内容を明らかにすることは今後の会社犯罪の捜査に重大な支障を来しますので、金額だけはひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  29. 塩崎潤

    塩崎委員 この金は犯罪にならないと言われましたが、そこはしかし刑事局長、どうなんですか。裏預金ですから恐らく税法上の問題は起こってくる。裏預金は税法上から見たら法人税法違反に間違いないので、犯罪事実がないとは言えないのですけれども、その点はどうなんですか。税法となると私の専門で刑事局と大論戦をしなければならぬと思いますが、これは別にまた時間を改めてやることにして、そういった理由でなくて別な理由でなかなか言えないことがあるんじゃないですか、何かあるんですか。私はそこを伺いたい。
  30. 安原美穂

    安原政府委員 いや、特段の事由はございません。塩崎委員は税法の専門家でいらしゃいますけれども、ただ裏金があるというだけで脱税には・ならないわけで、期首期末の計算をしなければならないわけでありますから、ただ単に裏帳簿があるというだけですぐには犯罪にはならないと思います。それはそれといたしまして、少なくとも二億五千万円という金を追っていったという捜査の対象からいいまして、はみ出す部分につきましてはできる限り秘匿させていただきたい、かように思ってお願いをしておるわけでございます。
  31. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 ちょっと塩崎君、お待ちください。  私から刑事局長にちょっとお尋ねしておきますが、ここに記録を持っておりませんから事情は違うかもしれませんが、報告書にある十三名の方々に昭和四十七年から五十年の何月までに二十八回にわたり云々という報告があります。その前にそういう一から十三の番号のついておる人に何がしかのせんべつなり政治献金なりあるいは盆暮れのつき合いがあったかどうかは、犯罪を調べるときにはそこまで調べるはずですが、その点はどうですか。
  32. 安原美穂

    安原政府委員 ロッキードからの工作資金の流れを追及していくということが捜査の対象でございましたので、この二億五千万円にわたる四十七年ごろから逐次蓄積されました裏資金関係の取り調べをしたわけでございまして、それ以外のことは捜査当局ではわかっておりません。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 もう一遍尋ねますが、どういう関係でその期間にそれだけの金が行ったかという趣旨について捜査をされたはずであります。でありますから、前後に同じような例があるかどうかということ、どういう関係か、犯罪になるのかどうかということについて調べるときに、そういうところまで調べるんじゃないかと思うのですが、ありませんか。
  34. 安原美穂

    安原政府委員 ですから、簿外資金というものの流れを突きとめたわけでありまするから、検察当局としては簿外資金がどれくらいあるかということはわかっておるわけであります。ただそれは、ロッキードの工作資金とは直接関係のない簿外資金については申し上げることを御猶予願いたいとお願いをしているわけでございます。
  35. 塩崎潤

    塩崎委員 そこで、せっかくここまで御苦労されておる刑事局長ですから具体的な金額は宥恕することにして、考え方としてどうなんでしょうか。いまおっしゃった口ぶりから察するに、簿外資金が九十ユニット来る前にあったことはあったんですね。恐らく私は五千七百五十万円より多いというような印象を受けるんですけれども、そうなったら、この贈られた五千七百五十万円というのは、とにかく物事は先入れ先出しといいますか、先へ入ったものが後から押されて水のように出ていったので、これをロッキード事件関連せしめてここへ報告するようなことはどうなのか疑問なんですよ。財源が平均的に出たと見るのか。これは私の得意の税務会計学にあるのですけれども、後入れ先出しだという見方もある。その方がインフレには強いという見方がありますが、それは新しい考え方で、普通は先入れ先出しなんです。そうなると、それをどういうふうに考えたらいいのか。こういうふうに書いていくと、いろいろと疑問を持ってくるのではないでしょうか。私は、灰色基準の問題はこの十三人の全日空ルート関係が一番問題ですから、慎重に扱うべきで、本来ここへ書くのはどうかという根本論をやりたい。恐らく稻葉法務大臣がたびたび口ずさまれたことはそれに関連しておるから、私どもが何ぼとめても稻葉法務大臣が本能的に言っておられるのではないかと思うほどここには疑問が出てくるのですけれども、どうですか刑事局長
  36. 安原美穂

    安原政府委員 私ども捜査当局といたしましては、先入れ先出しとか税法上の会計学的なとらえ方じゃなくて、まさにその中に二億五千万円の金が入って渾然一体となった、いわば物理的にとらえまして、その中からどれだけの金が使われたかを調べるということは、やはり捜査としてやるべきだということでやった結果をありのままに御報告申し上げている次第でございます。それ以上にその金の性質をどう評価するかはまさに塩崎委員の御判断でございますが、私どもといたしましては、二億五千万円と工作資金が裏金に入って渾然一体となった物理的状態を見まして、金に番号はございませんので、それが一体化したものとして出ていったということは突きとめるべきだということで調べた結果でございます。
  37. 塩崎潤

    塩崎委員 法務大臣、どうなんでしょうか。私のったように、五千七百五十万円以上すでにあれば、それは、先の金が出たと見る方が政治家として、会計学の素人から見たらその方が自然のような気がしませんか。いま刑事局長は、入ってきたからみんなごちゃまぜにして、マージャンみたいにかきまぜて出したんだ、こんなような話で、それはどうも技巧的で人為に過ぎる、こんなような印象も持つのです。法務大臣中間報告については責任を持っておられるのですが、しかし、法務大臣の日ごろの言動、新聞にときどき口ずさまれることから見たら、先入れ先出しのような気持ちを持っておられるのではないかというふうに私は疑問に思ったりするのですが、どうなんですか。
  38. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私の中間報告はそういう観念で、先に入ったものを先に配って後に入ったものは後なんだということを……(塩崎委員「まだ出ておらない」と呼ぶ)出ていないですね。(塩崎委員「残っておる」と呼ぶ)検察庁からの報告では、残っていると言うのですね。現に簿外資金の中にあるというのですからね。そういう先に入れたものから出したのかどうか、とにかくここに書いてあるとおりです。二十八ページに書いてあるとおりで、「このように若狭らは、右の」九十ユニットに見合う「九千万円を受領したほか」、なお「計約五千百万円、同年八月に受領した一億一千二百万円以上合計約二億五千三百万円を受け取り、いずれも全日空が既に保有していた簿外資金に順次組み入れて保管していたところ、そのうち」、全体のうちから五千七百五十万円を二十八回にわたって十三人に配った。これだけを報告しているんで、あなたのように、私は銭を受け取ったり出したりした経験ないのです。だから、先へ入ったものは先へ出すとか、そういう会計の経験ないから、私そういうことを全然頭になくこれは報告しております。
  39. 塩崎潤

    塩崎委員 法務大臣の御説明、なかなか哲学的でわかりにくいのですけれども、しかし、やはりこの二十八。へージから九ページにかけて書いてあることは、二十三ページから四ページにかけた三十ユニットとは性格的に相当違っておるということは感じられておるんでしょうね。大胆、どうなんです。
  40. 稻葉修

    稻葉国務大臣 余りしゃべらせられるから口が痛いですよ。三十ユニットというのはもうストレートですからね。これと九十ユニットというのは、いろいろなものが前にあった簿外資金の中へ突っ込まれた。その内からの五千七百五十万円ですから、ずいぶん性格が違うと思います。
  41. 塩崎潤

    塩崎委員 そこで刑事局長に伺いますが、いまのような大臣の答弁もありましたけれども、それは別として、刑事局長から見て、この金員の授受をした人たちで、この金はロッキードの金であることを認識しておった者が十三人のうち何人あるでしょうか。それはわかりませんか。
  42. 安原美穂

    安原政府委員 直接そういう報告は受けておりません。なお、報告を受けましても、やはり供述の内容などは申し上げぬ方がいいと思います。
  43. 塩崎潤

    塩崎委員 そこで、この中間報告の内容は、いま申したような性格を帯びておる。ただ、もう一つの角度から見ると、いやロッキード関係ないかもしれないけれども、この金額は、先般刑事局長が提出したところの資料、それから見たら、社会通念を離れて大き過ぎるのではないか。たとえばせんべつがどんな人でも最低百万円、中には五百万円というせんべつをもらっておる。そういった社会通念を超えて巨額なところから見て、これは政治的道義的な責任を追及すべきではないか、こういう論理と申しますか、主張があるのです。この点についてどういうふうに考えられるか。  まず刑事局長、量はときに質に転化するというマルクスの言葉がありますね。したがって刑事責任の問題にも行くかもしれない場合もある。そういうことになると大変ですが、刑事責任はもうないと言っておられる。この社会通念というような問題は、この際どういうふうに判断してこられたか。これはひとつ刑事局長の法律的な判断を伺いたいのです。
  44. 安原美穂

    安原政府委員 これはあくまでも、塩崎委員は法律にもお詳しいから御案内と思いまするが、賄賂の成立につきまして、社交儀礼の範囲に属するものは賄賂性が否定されるという有力な学説なり判決例もあるわけでありますが、私どもそういう意味で、ここに列挙しておるせんべつとか中元とかいうものが社交儀礼の範囲に属するから犯罪が成立しないというような認定をしたというわけではございませんで、あくまでもそういう名目で渡されたと素直に受け取って、そしてこういう金が、当該受け取った方、国会議員職務に関する対価として受け取ったものかどうかという観点からアプローチをいたしまして、対価性がないという意味で贈収賄罪成立しないという判断をしたわけでございまして、決してせんべつが百万円を超えなければ社交儀礼の範囲に属するのだとか、お中元が百万円を超えなければ社交儀礼の範囲内だから賄賂にならないといったことではなくて、金の名目はそういう名目で渡されたが、それはあくまでも国会議員職務対価関係にあったからという、最もミニマムに、法律的にと申しますか、賄賂罪の成否を論じただけでございまして、それ以上に御指摘のような政治的道義的とか、そういうような観点からこれを是とし否としたものではございません。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 塩崎君、時間が参りますから一点だけ。
  46. 塩崎潤

    塩崎委員 それでは一問だけ。  大臣、いまのようなことでございますが、私は、大臣が、せんべつとか政治献金というものは全日空からもらおうがあるいは新日鉄からもらおうが変わりがないじゃないか、片一方だけ処罰されるのはおかしいじゃないか、あるいは政治的道義的責任を追及されるのもおかしいじゃないかということを言われましたが、これは法務大臣としての意見でなくて結構なんですが、どんなに金額が多くても、社会通念を超えても、それは同じである、やはり量は量であって質に転化することはない、政治的道義的責任も追及さるべきではない、こういうふうに考えられるかどうか。しかも、とにかく政治献金という言葉が大変あいまいなものですから、海外出張の際に献金するのがせんべっと言われるけれども、まあ政治献金の一種かもしれない、そんなところを判断してそういうふうに言われておるのかどうか。政治的道義的責任を追及されるのに量的な問題が入るか入らぬか、ちょっと法務大臣の御意見だけ承りたい。
  47. 稻葉修

    稻葉国務大臣 まあ、国民一般から見て、せんべつと言えばもう最低百万円みたいに代議士というものはぼんぼんとふところに入るのだな、こういう感覚を与えたとすれば、それはそっちの方で、そういう金に関する観念がずいぶん大胆なものだなという批判は国民から受けるかもしれませんな。ただ、それが政治的道義的責任になるのかどうかは、私が判断すべきでなくて、いまこの際、こういうことをやっている際ですから、私が言うべきものではなくして、そちらで御判断さるべきものではないですか。私に言わせようといったって、私はもうこりごりしましたからな。
  48. 塩崎潤

    塩崎委員 わかりました。これで終わります。
  49. 瀬戸山三男

  50. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 官房長官、お忙しいようですが、三木さんがおいでにならないのでかわりのつもりでお答え願いたい、こう思うのです。  二つは、このロッキード関連して政治的道義的責任があるというふうにはっきりした人、あるいは考えられる人というか、それのはっきりした段階で、なお自民党としては総選挙に公認をするという考え方なんですか。これはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。ちょっとむずかしいかな。これはあなた、三木さんにかわって答えてくださいよ。
  51. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 稲葉さんの御質問ですが、これはなかなかむずかしいことでありまして、どうも私では代役が務まりそうもないのであります。特に、いまの党の公認という問題は、これは自民党のやるべき事柄でございまして、私がここでお答えをするのは、そういう立場でもございませんし、これはまあ、ひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
  52. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それはあなたとしては——だから三木さんにかわってと、こう言っているわけですけれども政治的道義的責任があるというふうに考えられた人、この前、法務大臣は一応二名と三名の人のことを言いましたね、常識的に考えても。そういう人でも、あなた、法務大臣個人としては、党の公認としてやっても、これは日本の政治史上別に問題はない、そういうことが金権政治の打破につながっていく、日本の政治を清らかにするために非常にいいことだ、そういうふうにあなたはお考えなんでしょうか。今度は法務大臣に聞きましょうか。これは答えてくださいよ。大事なことだ。あなた個人の考えでもいい。
  53. 稻葉修

    稻葉国務大臣 これは政治道徳上の責任だと思うのです。政治道徳上の責任があるというふうに国会が決められたものを、なに、そんなもの無視して公認だ、公認だとやっていいかどうかは、それは疑問でしょう。しかし、まだ決まらないから。
  54. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま法務大臣の言ったことに官房長官も同感でしょうか。
  55. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 法務大臣のおっしゃるように、その政治的道義的責任がある者はだれかという点がまだ明確ではございませんが、一般論ないし原則論は法務大臣の言われるようなものだろうと思います。
  56. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは三木さんが来たときにやるのが筋なんですけれどもね。  そこで、これは実は新聞紙上に伝えられたことですが、たとえば十月十三日付の毎日新聞に宇都宮徳馬さんの「辞職理由書の内容」というのが出ておるのです。これは間違いのないところだと思うのですが、「もしも汚職捜査を韓国、東南アジア等に広げるならば、すべての派閥に幅広く波及し〃黒・灰色高官〃の数は激増するでしょう。」こういうふうに言っていると新聞に出ているのですね。これは一体どういうことなんでしょうかね。同じ三木派でしょう、官房長官、どういうふうに理解されますか。
  57. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私もまだ、その後宇都宮さんに会ってもおりませんし、その理由というふうなものを新聞等では記事としては見たのでありますけれども、それが宇都宮さんのどういうお考えから発しているか、どうもその辺まだつまびらかにしておりませんので、どうも宇都宮さんの心の奥底へ忍び込むわけにもいきませんものですから、これも大変むずかしい御質問だと思いまして、まあ御勘弁を願いたいのであります。
  58. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それじゃ、別のことに移りましょう。  これは本当は法務大臣にいまのところを聞いてもいいのですがね。これは日韓とか東南アジア等の問題で汚職があるようなことを言っているのですよ、書いてあるから。そういう問題についても、法務大臣としては今後検察庁を督励して鋭意捜査をするという気持ちはありますか。いやそんなものはない、こういうことでしょうか。
  59. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私は積極的にも消極的にも検察庁のやることに政治介入はしないという立場でございまして、いままで検察当局からは自発的な報告を受けたことが数回あります。けれども、その中にはそういうことについて捜査をした結果云々というような報告はいまだ受けておりません、ということだけを申し上げておきます。
  60. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは別の機会にも質問しますよ。これは塩谷一夫さんも「世界」の六月号に論文を書いておるのですよ。ぼくはこの内容をいろいろ聞いていますが、「一自民党議員の憂い」という論文があるでしょう。あれにも書いていますからね。やはりこれは将来の大きな問題としてやらなければいけないことになってまいりますよ。ぼくの隣に宇都宮さんはいたんですよ。宇都宮さん、ぼくによく話しかける。「ロッキード等」とすればよかった、日韓の汚職というのは大変な問題だと、宇都宮さん、ぼくに言うのです。この問題は今後の大きな問題になってくる、こう思うのですが、時間の関係もありますから、これは三木さんのいるときにまたしましょう。  それで、中間報告の中で、法務大臣、「ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが、請託の事実が認められないため単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるもの 三名」とありますね。これは職務権限があるということですね。
  61. 安原美穂

    安原政府委員 公務員である当該の人の職務に関して受け取られたということは一応認められるけれども、請託の事実がなかったということでございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 安原さん、あなたがいろいろ苦心してしゃべっているのは、ぼくもわかるんだ。あなたは非常に苦心してしゃべっているけれども、これは単純収賄罪成立しているというんでしょう。これはあなた、職務権限がなければ単純収賄罪成立しないわけだから。ロッキード社からの納入に関連して職務権限があると言えば、これは運輸大臣か運輸政務次官ということになるんじゃないですか。この三名は、もとやっていた人ということになるんじゃないですか。こんなことをぼくが聞くのがおかしいくらいだけれども、これはあなたの方がはっきり言わないから聞かざるを得ないのです。
  63. 安原美穂

    安原政府委員 理屈を申せば、国会議員職務に関してもあるわけでありまして、必ずしも大臣、政務次官とは限りません。あくまでも人を特定するようなことは一切申し上げかねますので、よろしく御判断いただきたいと思います。
  64. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 よろしく御判断してくれというんだから、こちらも常識的に判断しますが、これはあなた、だれが考えたって、単純収賄罪成立しているというんだから、職務権限があったんだから——ちょっと待って。もう少しいいでしょう。——いまのことですか。
  65. 稻葉修

    稻葉国務大臣 稲葉さん、ちょっとこちらから陳情ですがね。お願いしたいことは、そういうことこそこの報告書に基づいて、だから私は足がかりも手がかりもあるじゃないですか、そちらで足がかりをつかんで、ひとつ御判断願いますと言うているんだから、そっちの御判断さるべきことをこっちに判断させて言え言えといって、余り言わさぬようにしていただきたいものですな。
  66. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 話はよくわかりました。大体いまのお話で、これは結論が出たと思います。  それから、これもちょっと聞きますけれども、前の二名は職務権限のない人でしょう。証拠上職務に関する対価であることが認定できない、収賄罪成立しないというのは、職務権限がない人ですね。そうでしょう。だから、これは政党の何とか対策委員長というような人もこれに入るわけだ。これはいまの段階では職務権限はないと見られるということになるわけでしょう。それもあれかな。
  67. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いまあなたにお願いしたばかりじゃないですか。そちらでお決めになることだものね。これを手がかりにしてそちらで御判断になるべきことだから、理事会とかそういうところで話を詰めていかれれば、おのずから——それをそっちで何もやっていないで、——いや、何もやっていないでというのは悪い、ちょっと失礼、そちらの方でやるべきことを、皆こっちにかぶせてこられるのは困るんですよ。
  68. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いやいや、これは大体わかるんですよ。わかるけれども、あなたの方で言わないから、やはりある程度言わした方が、というと言葉が悪いけれども、いいじゃないか、こう思うのですがね。  そこで、この報告の最後のところに、「関係各分野において立法措置を含む所要の方策につき積極的な検討がなされるべきものと考える。」こう書いてあるわけですね。三木さんがNHKのテレビで言っているのはちょっと違うんですよ。まあ同じようなことを言っていますけれどもね。再発防止については、日本の風土に合ったもので実行可能なものからやろうと考えている、こういうようにテレビで言っているんですね、それは多少ニュアンスは違うかもわかりませんが。中間報告にあるところの「関係分野において立法措置を含む所要の方策」、これは具体的にはどういうことを言っているわけですか。
  69. 稻葉修

    稻葉国務大臣 みんな申し上げるわけにはいきませんけれども、思いついたことを……(稲葉(誠)委員「思いついたことじゃなくて、ちゃんとはっきり言って」と呼ぶ)たとえば法務省関係としては犯罪人引き渡し条約の改定、それから贈収賄等犯罪捜査にむずかしい点については、時効の延長、法定刑を引き上げることもですけれども、まあ時効だけを切り離して延長できるのかどうか、その辺のところは検討を要するでしょう。しかし、時効にかかってだめになるということは、いかにも——将来こんな贈収賄事件が再発しないようにするためには、やはりそういうことも必要なんじゃないか、検討に値すると思っているのです。  それから、立法だけでなく、やはり一般公務員だったら、贈収賄で起訴されれば大体は懲戒免職ですな。ほかの犯罪でやっても、軽いので起訴されても休職ですね。しかし、県会議員にしても国会議員にしても、議員の場合は何らのあれがなくて、休職といえば登院停止とか、次の選挙に出られないとか、何かそういうことがないと、余り議員が優遇され過ぎておってこういうことが平気でまた行われることになりやせぬか、悲しいことですけれどもね。国会議員たる者はそんなことはないという前提でこういう優遇措置が講ぜられておるものでしょうから、本来ならば自発的に慎むべきことなのだ、自戒すべきことだと思います。われわれ同じ国会議員として、残念ながら、国民に対して自戒の意思を表明するいい機会ではないかと思いますな。そんなところです。
  70. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それから、きょう小佐野賢治氏が病気で出てこなかったわけですね。コーチャン証言なり回想録なり、今度はまた未発表の資料が二十五日付で朝日新聞に出ているわけですね。小佐野氏が重要な役割りを果たしたということが出ているのですが、現在の段階で小佐野氏を三回調べたとかなんとか言っているようですが、その辺はどういうふうになっているのですか。これは捜査の問題ですから、差し支えない範囲で、私もわかりますから。児玉ルートとの関係で調べたということなのですか。これはいろいろな食い違いもあるようですね。これについては今後の見通しはどうなっているのですか。
  71. 稻葉修

    稻葉国務大臣 これは刑事局長に答弁させます。
  72. 安原美穂

    安原政府委員 どういう関係ということを具体的に申し上げるわけにいかぬことはよく御理解いただいていると思います。要するに、丸紅ルート全日空ルートの捜査は一応終わったということでございますが、あと残っている関係の部分について捜査をして、その間における小佐野氏の役割りを調べているというようなことでひとつ御理解いただきたいと思います。
  73. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その役割りというか、果たした実際の行動なりが今後解明される見通しはどの程度なのですか。ということは、仮に外為法でも、贈賄でも、人のことをあれしちゃいけませんけれども、これは時効でしょう。時効が多いのじゃないですか。
  74. 安原美穂

    安原政府委員 まず処罰をすることが目的でなくて、やはり解明することが目的でございまして、見込みというようなこと——仮に解明した結果犯罪と疑わしきものが判明したが時効になった、それはもう仕方がないわけであります。要するに、小佐野氏がロッキード社の国内における売り込みに対してどういう役割りを果たしたかを解明することに目的を置いているわけでございまして、見通しなどを申すわけにはまいりませんが、何とかして解明したいという熱意には燃えております。
  75. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その熱意は効果を上げるというふうに期待していいですか。
  76. 安原美穂

    安原政府委員 期待ということは言葉を返せば見込みということに通ずることでございますので、大臣以下私ども法務省当局としては効果を上げてほしいと念願しております。
  77. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 この前も話が出ましたが、田中角榮さんが受け取った五億円の金の問題ですね。「五億円の使途についても鋭意捜査したが、その個別的な使途を明らかにすることはできなかった。」これは、たとえば越山会とか七日会、それと自民党本部ですか、この前調べたとかなんとか言っていましたね。どうしてそういうところを調べたのですか。
  78. 安原美穂

    安原政府委員 御案内のとおり、贈収賄罪ということに事を限りましても、その金銭授受が明らかになりましても、それがどう使われたかということを究明しておくことが立証上はベストの方法であろうということは御理解いただけると思います。そういう意味におきまして使途がどうであったかということを精細に判明させるために鋭意努力したわけでありますが、先般も申し上げましたように、検察も万能ではございませんで、ついに個別的な使途は究明できなかった。しかし、その過程におきましては努力を尽くしたということを御理解いただくために、行ったと思われそうなところは全部シラミつぶしに調べたが、結局わからなかったということでございます。
  79. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、いやな質問ですけれども、行ったと思われるところというのは、自民党に行ったと思われているということなのですか。それも入っているということでしょう。
  80. 安原美穂

    安原政府委員 報告によりますれば、自民党の公の政治活動資金になっていないか、あるいは御関連の私企業の方の資金になっていないか、あるいはいわゆる派閥とされる七日会とか越山会の方にも行っていないかということにつきまして、名前は申せませんが、それぞれ適当な人から事情を聴取したわけでございます。
  81. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私は自民党に入ったなんて言っているのじゃないですよ。いまあなたの方でそこも調べたと言うから、ではそこはどういうことで調べたのですかと聞いているのです。これは誤解しないでくださいね。  そこで、この中間報告を見ると、個別的な使途は明らかにできなかったのだけれども、全体としての使途は明らかになったということでしょう。それでなければ犯罪の量刑ができないですね。何に使われたのかさっぱりわからない。  それじゃ、これはどうなのだろう。五億円もらったけれども、その五億円はどうしちゃったというのですか。個別的にはわからなくとも、全体的にわかっていなければならない。そうでなくちゃ調べとしてはおかしいのじゃないですか。
  82. 安原美穂

    安原政府委員 ロッキード社から来た金の使途をできる限り究明していくということは国民から寄せられた検察の一つの課題でありましたので、御報告に当たりましては、個別的に使途を究明することができませんでしたと、検察の捜査の結果不成功であったことを率直に御報告申し上げたわけでございます。いずれにいたしましても、いまお尋ねのことは当然の御疑問でございましょうけれども、これはこれからの公判の維持について贈賄の趣旨の立証の過程でおのずから明らかになっていくことだろうと思いますので、この際はそれ以上お答えすることを控えさせていただきたいと思います。
  83. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 どうもそこら辺のところはよくわからないのですが、五億円もらったということは認めておって、その五億円を何に使ったかということは言わないわけですか。
  84. 安原美穂

    安原政府委員 言ったとか言わぬとか、供述の内容を申し上げるわけにいかないから、ひとつ御理解いただきたい。
  85. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 この際、関連して横路孝弘君の質疑を許します。横路君。
  86. 横路孝弘

    横路委員 この中間報告関連して若干お尋ねをしたいと思うのであります。  前に小佐野賢治氏を証人喚問したときに、ロッキードのコーチャンと数回会っているという事実を認めているわけですが、ロッキード社がトライスターの売り込みについて児玉や小佐野をいわば相談相手としながら本格的な売り込みの工作を始めたというのは、一体いつごろからなのですか。
  87. 安原美穂

    安原政府委員 いま前提として、児玉や小佐野のアドバイスを受けながら始めたのはいつかということに相なりますと、そういうことについては、少し捜査の内容にも関しますので、お答えいたしかねるわけでございまして、博識な横路委員においてひとつ御判断いただきたいと思います。
  88. 横路孝弘

    横路委員 トライスターの関係は終わっているわけですからね。  では、質問を変えますけれども、ここで橋本登美三郎、佐藤孝行が起訴されているわけです。これはいわばL一〇一一航空機の導入に関係のある国会議員に金員を送ることにしたということで、全日空の方で丸紅にその意向を伝えた、こういうわけですね。つまり、買う側が世話になったところにお礼するという、普通ではちょっとない形ですね。そうすると、この起訴事実から言いますと、全日空のサイドでは、かなり以前からトライスターに決めていたということになるわけです。一体、全日空が本当にトライスターに決めると社長が判断した時点というのは、捜査の結果大体いつごろになっているのですか。かなり早い時期ですね。
  89. 安原美穂

    安原政府委員 田中前総理の公訴事実に明らかなように、トライスター導入について請託をしたのは、四十七年の八月ですか、ということでございますから、少なくともそれまでは決まっていなかったということでなければ、論理的におかしいわけでありますが、どうも横路委員、言いにくいことをお尋ねで、恐縮でございますけれども、それ以上はやはりこれから公判の過程で明らかにしていくことであろうと思いますので、ひとつ暫時御猶予を願います。
  90. 横路孝弘

    横路委員 そうしますと、たとえば四十六年一月に、橋本は若狭から、全日空の大型機の幹線導入ですね、日航の方が先になりそうだから、先に延ばしてくれということで、つまり、それが請託の趣旨で、後でお金をロッキードの方から渡したということになっていますね。そうしますと、この辺のところは、トライスターとの絡みというのは一体どうなるのですか。つまり、この間の国会でのいろいろなやりとりの中では、M資金の問題から始まって大庭前全日空社長のDC10のオプションがひっくり返されていく過程というものにも、ロッキード社の働きかけが介在した疑いがある。それからさらに、四十六年のたとえばエアバス導入延期という問題についても、ロッキード社のトライスターのエンジンをつくっていたイギリスのロールスロイス社が倒産をするというような状況の中で、延期指導が出てきたというような、幾つかずっと経過として国会の中で指摘されている点があるわけです。この中間報告にはそれが全然出てきてないわけですね。  そこで、その辺のところ、捜査はもう終わっているわけでありますから、やはりこれは幾つか明らかにしてもらわなければ困るわけでありまして、その辺のところはどういう経過でしょうか。
  91. 安原美穂

    安原政府委員 起訴状からくる判断でございますが、要するに大型ジェット機の国内幹線への導入の時期を延期してほしいというようなこと、そのことは必ずしもトライスターとは直接には関係のないことでありましたが、結局、大型ジェット機の導入の時期がおくれたことによって、トライスターを売り込める機会を得たという意味においては、ロッキード社はこれを多とするということに相なろうかと推察いたしております。
  92. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、いまの御答弁ですが、これがアメリカ側のコーチャン証言による、働きかけによって導入時期をおくらすことによって有利になったという証言に対応する部分だというように考えてよろしいですね。
  93. 安原美穂

    安原政府委員 コーチャン証言と今回のわれわれ検察当局の判断とは、その資料の関係の結びつきはいま申し上げるわけにいきません。したがいまして、いま御指摘のことはひとつ御判断にお任せいたします。
  94. 横路孝弘

    横路委員 若狭得治の国会における証言によると、小佐野賢治に対してどういう相談をしておったかといいますと、三社間のいろいろな路線の調整を含めていろいろと相談をしているという証言が現にあるわけですね。そうすると、コーチャン証言と対応するのはこの橋本の起訴状に出ているところだとするならば、この背景にもう一つ介在しているのが当然ワンステップあるのじゃないですか。つまり、証言に対応する部分としては。そこで小佐野賢治が出てくるはずなんですが、これが出てこないというのはどうもよく理解ができないのです。トライスターの関係は本当に捜査が終わったと断言されているけれども、そうじゃないのじゃないですか。まだやらなければならぬところがたくさん残っているのじゃないでしょうか。法務大臣、どうですか、うなずいているけれども
  95. 安原美穂

    安原政府委員 理屈を言うようで申しわけございませんが、全日空と丸紅ルート関係の捜査は一応終わったと言っておりまして、トライスターは終わったとは言っておりません。
  96. 横路孝弘

    横路委員 それは理屈じゃなくて、実際はどうなんですか。たてまえじゃなくて実際は、ではトライスターの捜査もまだやっているということですね。それならばわかるのです。
  97. 安原美穂

    安原政府委員 たびたびで恐縮でございますが、そうなると、また捜査の内容を言うことになるわけで、本当に中間のために、まことに失礼でございますが、そう言わざるを得ない立場もひとつ御理解をいただきたいと思いますが、要するに、小佐野関係の取り調べは、先ほども申しましたように、一応終ったところは別といたしまして、全日空ロッキード社の国内売り込みに関するあらゆる諸活動の中で小佐野氏が占める地位がどうであったかの解明に努めておるということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  98. 横路孝弘

    横路委員 法務大臣、本当はおかしいですね。事件なんですから、個人がどうかということじゃなくて、丸紅、全日空ルートというか、もうちょっと見方を変えれば、トライスター導入に関連をする問題でしょう、この中間報告は。そうでしょう。そうすると、小佐野の関係だけ別にしておいて後で捜査するなんというのは、本来はちょっとおかしいですね。そう思いませんか。つまり、本来ならばまだ中間報告をすべき段階じゃないけれども国会の要望にこたえてやったんだとおっしゃられるなら、またそれは別なんですけれども、そうなんですか。
  99. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私どもといたしましては、全部終わってからの方がいいのです。それに決まっているのです、そんなことは。けれども、いかにも児玉ルートの解明がこんなにおくれて申しわけないな、一生懸命にやらなければいかぬ、これから、生懸命にやりますということと関連をして、まことに申しわけない次第であるが、一応丸紅、全日空で、ロッキード社から入った入り、それの出、これの解明した段階で中間報告するくらいの義務は負っているな、それは皆さんが全貌の解明に、政治的道義的責任の解明に足がかりになるような何か差し上げないと、議長裁定に協力するわれわれの義務も余りにも怠慢でないか、こう思って中間報告を申し上げた次第ですから、不十分な点は十分承知しておるつもりです。
  100. 横路孝弘

    横路委員 少し答弁を教えちゃったような気がします。実は、こういうことを私がお尋ねしているのは、全日空簿外資金との関連があるからなんです。  そこで、少しお尋ねしたいのですが、政治献金ですね、延べ九名ですけれども、これは調べた結果は、政治資金規正法の関係の扱いはどういうことになっておりましたのですか。
  101. 安原美穂

    安原政府委員 政治資金規正法の関係では、個人に対する献金は規制の対象になっていないわけでございます。
  102. 横路孝弘

    横路委員 所得税の税法の関係はどうですか。せんべつ、中元、歳暮の関係の所得の申告はどうなんですか。
  103. 安原美穂

    安原政府委員 国税当局に連絡をして調査中と聞いております。
  104. 横路孝弘

    横路委員 それで、税法違反ということもたしか時効があるので、その辺のところはどうですか。国税当局に全部について知らせたのですか、それともその時効の関係は外して知らぜたのか。これ、できれば日にちをちょっと教えてもらうとわれわれも判断できるのですがね。
  105. 安原美穂

    安原政府委員 捜査に支障のない限りできるだけの全貌は連絡していると聞いております。なお、日時を言うことは、この前横路委員にお願いしたと思いまするが、特定につながるものでございますから、いつもお願いいたしておりますように、基準が定まりました場合に秘密会でお答えをするということの機会もあろうかと思います。
  106. 横路孝弘

    横路委員 立場じゃなくて、日時だけはどうですか。日時は別に何も個人の特定につながらないでしょう。
  107. 安原美穂

    安原政府委員 それはきのう参議院ロッキード委員会でお願いしたのでございますが、日時を申し上げますと、ここの一覧表にありますように、海外旅行のせんべつというのがございます。海外旅行は、国会議員は院の承諾を得てお出かけになるわけでございますが、おのずから範囲が狭まってくるというようなことで恐らく特定につながるというような神経を使っておるわけでございます。
  108. 横路孝弘

    横路委員 その理屈でいけば、政治献金や中元や歳暮が特定につながるというのはどういう理屈が立つのですか。特定につながらぬものはせめて公表してくださいよ。
  109. 安原美穂

    安原政府委員 私どもの判断では、政治献金でございましても時期を明らかにすることは、海外旅行ほどではないにしても、恐らくは特定につながるであろうと思います。と同時に、そういうことをお尋ねになることが特定をしていこうという御趣旨であるとすれば、特定した人の名前を言わないと同じように、特定につながることは遠慮させていただきたい。あくまでも基準をおつくりいただいて秘密会で御協力を申し上げるという立場をぜひひとつ御理解をいただきたい、かように思います。
  110. 横路孝弘

    横路委員 委員長、基準づくりの方は委員長御承知のような状況で、われわれ判断するに材料が十分じゃないのですね。どうですか、これは。
  111. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 前から懸案になっておるところでございますが、捜査の秘密保持、人権の問題で法務当局としては現在まで出しておる以上のことはできない、だから、ロッキード委員会なり国会で基準を決めていただければ、それにふさわしいような資料を秘密会で出したいということでありますから、これも前からの懸案でありますので、御理解をいただきたいと思います。
  112. 横路孝弘

    横路委員 では、ちょっと角度を変えましてもう一度お尋ねしたいのですが、いままでの答弁ですと、全日空からの金員の流れについては、全日空の権益の確保、たとえば独占を確保するというようなこと、そういうことに使われているのではないかということも含めて捜査をしているということでした。私もこの中でたとえば日台航空路の問題などについて指摘をしたわけでありますが、これはもちろん全日空せんべつを渡しているということでありますから、ある意味ではやはり何らかの形で全日空関連のある人たちということになりますね。そうすると、これはやはり運輸関係が圧倒的に多い、こういう理屈になるのじゃないかと思うのです。大体新聞等の報道を見ても、国会議員というのは運輸関係、特に航空関係が多い、こういう非公式の御発言もあるようでありますが、一応そのように理解してよろしいのでしょうか。
  113. 安原美穂

    安原政府委員 政治献金という場合にも、その当該政治家の政治信条に同調してその政治活動を助けたりというようなものもございましょうが、往々にして、政治献金をする側の直接、間接の業務の充実を期するために、それに理解ある政治活動をしてもらいたいというような動機、目的のものもございましょうから、それ以上のことは申し上げませんが、ひとつ御判断いただきたいと思います。
  114. 横路孝弘

    横路委員 このせんべつというのはほぼ時期が集中しているのじゃありませんか。いつということは聞かないけれども。ばらばらに、ばら。ばらばらっとあるのじゃなくて、ある時期にわりあいと集中しているのじゃないの、このせんべつは。
  115. 安原美穂

    安原政府委員 時期を言うことと同じようなことになるのではないかと危惧するわけでありまするが、要するに、特定をしないと思いますから申し上げますと、ばらばらでございます。
  116. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 ちょっと私からも刑事局長に聞いておきたいと思う。  こうやって委員の皆さんがああいう点を突き詰めて聞かれようとしておることは、この前報告がありました十三名の方に対してせんべつなりが出ておる、たとえば最高五百万、一人に対して三回せんべつが行っておる。こういうことについてどういう立場の人にそういうせんべつが行っておるのかということがわかっておるわけですね。したがって、捜査当局としては、相手の立場もわかっておるわけですから、相当疑問を持って調べられておるはずだと思います。そこまで調べてこれを報告書にあるように格別の関係はなかったというふうに判断されたのかどうか。直接刑事局長が調べておるわけじゃないですからなんですけれども、ここは捜査当局として十分疑ってかかるところだと想像するわけですが、その点はどうですか。名前せんべつあるいは献金であっても、立場なり何なりでロッキード事件関係の流れの金だということになれば、相当疑問を持って調べられておるはずです。また、調べなければならない。その上でこの報告のように判断された。それをもう少しできる範囲で説明されると理解がいくのじゃないのですか。その点が疑われておるから、ああやって聞かれておると思います。
  117. 安原美穂

    安原政府委員 恐縮でございますが、委員長のおっしゃることを正解して申し上げ得るかどうかは別といたしまして、あくまでもロッキードから流れ込んだ金の使途を究明し、そこに刑事責任があるかどうかということを究明するというのが検察の使命であったわけであります。その使命の範囲内におきまして金銭授受を認定し、認定した以上は、それは刑事責任があるかどうかを判断するためには、受け取った人の職務関係との関係対価関係があるかということは当然に調べたわけでございまするから、氏名はもちろん職務もわかって調べて、結論としては、対価関係がなかったということで、公訴提起しなかったということに相なるわけでございます。
  118. 横路孝弘

    横路委員 本当に十分調べているのかどうか。つまり、われわれが委員会の中で幾つかの問題を指摘しているわけですよ。そういう点に関連して、たとえばせんべつだと言っても、たとえば日台航空路の場合に全日空として確保するというようなことであれば、それは確かに職務権限の問題があると思いますけれども趣旨は、大抵五百万なんというのはそういう感じがするわけでありますけれども、そういうようなことで行って、それがその実際の決定に、つまり、これは路線の場合にはやっぱり最終的には運輸省の認可みたいになるのでしょう。そういうところとの関連がどうなるのかということもあると思うので、この辺のところをもうちょっと詳しく分類して、中身について概要を報告するわけにはいかないのですか。
  119. 安原美穂

    安原政府委員 先ほども申しましたように、検察庁の判断をするに当たりましては、やはりその能力の限度で調べた結果の結論でございますから、その背景等も十分に調べたと信頼していただいていいのではないかと思います。  なお、あくまでもこの報告は刑事責任の存否を究明した結果を申し上げるわけでありまするから、金の授受ということになれば、それが外為法違反になるか、贈収賄になるかということの結論さえ明らかにすればいいわけであります。それ以上に分類して申し上げるということは、法務、検察当局の枠を越えることではないかというふうに考える次第でございます。
  120. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 念のために聞いておきますが、この報告書には「この点について右金員授受趣旨を捜査した結果、国会議員職務に関する対価であることが認定できないため」云々と書いてあります。国会議員職務に対する対価では調べの結果なかったかもしれぬが、これほどのせんべつその他を出しておるのに、何らかの、いわゆるロッキードの売り込みに関する職務ではないかもしれぬが、努力に対する対価というか、そういうかかわり合いで行ったんだという調べはついておりませんか。
  121. 安原美穂

    安原政府委員 その点につきましては、これはロッキードの工作資金の流れということを究明する過程で、当然ロッキードの売り込みに関係があるかということも調べた結果、これらについてはトライスターの売り込みと関係があるとは認められなかったと、たしか報告書に書いてあると思いますが。
  122. 横路孝弘

    横路委員 もう時間がありませんので、もう一度最後に確認しますが、国税の方に、こういう人間についてこうだということで氏名通告をしたのはいつで、それはこの一から十三番で言いますと、これは全員についてやったんでしょうか。何番についてやったのか、それをちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
  123. 安原美穂

    安原政府委員 連絡はいたしましたが、何番から何番と特定した報告は受けておりませんので、いまのところお答えいたしかねます。
  124. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 もう時間ですから……。
  125. 横路孝弘

    横路委員 委員長も二間ほどやられてますから……。  そうすると、それは概略的に明らかになって、所得の関係で届け出していないというような関係については国税庁に報告したという報告を受けているだけですか。それはもしあれだったら、ちょっと調べていただいて、後で結構ですから、御報告いただけませんか。いつ、つまりこの番号で言うと何番を報告したのかということですね。
  126. 安原美穂

    安原政府委員 報告は検察庁と東京国税局がこの案件について協議をしておるという報告を受けておりますから、おおむねその内容を知らせておるのではないかと推察をして申し上げたわけでございます。
  127. 横路孝弘

    横路委員 それは法務大臣、いつやったのか、国税の方にいっそういう通告をしたのか。ちょっと後で調べて報告してください。検察庁に聞けばわかるでしょう。
  128. 安原美穂

    安原政府委員 担当者の話によると、数日前そういう報告を受けたということで、いつやったかはまだわからないということでございますので、よく調べてみましょう。
  129. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  130. 瀬戸山三男

  131. 松本善明

    松本(善)委員 鬼頭判事補のにせ電話事件も、これはロッキード事件真相究明のために非常に重大な関係があると思いますが、きょうは時間も短いので、これは改めての機会にしたいと思います。  全日空中間報告に関する簿外資金の問題から聞きたいのでありますが、先ほども質疑がありまして、簿外資金の内容について言わないということでありました。しかし、これは中間報告では簿外資金に順次二億五千三百万円を繰り入れたということになっております。この中で使途が明白になったのは五千七百五十万円ということでありますと、簿外資金に組み入れる前に幾らあって、そして現在幾らになっておるかということが明らかにならないと、果たしてこの五千七百五十万円だけが使われたのかどうか、この辺がわからないわけです。あるいはそれ以外にも全日空の裏金関係簿外資金から政治家その他に渡っているという可能性が否定できない。特にロッキード社からの裏金が一緒になっているとするならば、その辺の明細がわからなければ、百万円以下について簿外資金から政治家その他に渡っているという可能性も否定できないわけであります。この辺はそこの点がわかるように明らかにしていただきたいと思うのであります。
  132. 安原美穂

    安原政府委員 既存の簿外資金の中に二億五千万円余りを逐次導入されて、その以後の逐次出ていった分を調べた結果を御報告申し上げたわけであります。
  133. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、この五千七百五十万円以外に、いわゆる簿外資金から−繰り入れる前の簿外資金も含めてですよ、簿外資金から政治家やいわゆる高級官僚に渡った金というものは、この十三名、二十八回以外にはない、こういうことですか。
  134. 安原美穂

    安原政府委員 捜査の対象を二億五千万円が逐次入っていった以降の使用状況ということにしぼって、その不正の存否を調べたわけでございまして、全日空のあらゆる帳簿を調べて、その中にどういう収入支出があるかというようなことまでは捜査しておりません。
  135. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、表帳簿などその他から、ここで言いますれば、四十七年十一月から五十年九月までの間に国会議員その他高級官僚などに渡された金があるかどうかということにつきましては、この中間報告では触れていない、こういうことでありますか。
  136. 安原美穂

    安原政府委員 この中間報告は、御指摘のとおり、二億五千万円が全日空ロッキード社の資金から流れ込んだという以後の裏勘定の収入支出の中に刑事責任の存否を求め、存否を明らかにしようとして捜査したわけでありまして、そのほか全日空の全会計帳簿、全会計を捜査した結果を報告しているものではございません。
  137. 松本善明

    松本(善)委員 その表帳簿も含めて全日空から国会議員その他高級官僚に渡された金すべてについて捜査はされているのであるかどうか。これはなぜ聞くかと言いますと、やはり表帳簿であれ、あらゆる帳簿からこの時期に渡された金というものについて、一体その趣旨はどういうものであるかということについて、これは表であろうと裏であろうと、これは当然に捜査をしなければならないものではないかと私は思うのであります。九十ユニットの入っている裏金は、これは不正な使途がそれだけで推定されるものであるから、これは当然に捜査をしなければなりませんけれども、表帳簿だからといってこの捜査をしないでいいというわけではないはずであります。これは名目のいかんにかかわらず、賄賂になる場合があるからであります。この捜査をしたのかどうか、明らかにしていただきたい。
  138. 安原美穂

    安原政府委員 いずれにいたしましても、表帳簿の関係で犯罪の容疑を認められなかったということでございます。
  139. 松本善明

    松本(善)委員 その辺は大事だから聞きたいのですが、すべてその流れは捜査をしたのか、捜査をした上で犯罪の容疑を認めなかった、こういうことであるのか。私の問いにも直っ正面から答えながら御答弁をいただきたい。
  140. 安原美穂

    安原政府委員 御指摘のとおり、裏と表というのは、画然と別の独立国ではございませんが、あくまでもロッキード資金の流れを追っていくという過程で、捜査に必要な限度でいわゆる表の会計にも調査はしたということは言えると思いますが、全般にわたってはしていないと聞いております。
  141. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、この百万円以下の金が全日空から十三名、二十八回以外に政治家、国会議員や高級官僚に渡っているということを、この中間報告は否定するものではないということは確認してよろしいですね。
  142. 安原美穂

    安原政府委員 全日空の裏帳簿の関係では、先般お示しいたしましたように、個人を単位とするならば、百万円以上のものが流れておるということは明らかでありますが、それ以外のことには何ら言及しておりませんから、積極、消極いずれにいたしましても、報告では触れていないわけでございます。
  143. 松本善明

    松本(善)委員 この裏金以外でも捜査をして、犯罪の容疑がなかったということを言う以上は、その部分についてどれだけの金が何人に渡り、そしてそれはどういうわけで犯罪の容疑を認めなかったということを国会報告するのが当然ではありませんか。なぜそれを具体的に報告をしないのですか。
  144. 安原美穂

    安原政府委員 捜査の対象は、全日空に入ったロッキードの工作資金ということの形跡の存否を追っていたというのが今回の捜査の結果でございまするから、その存否を究明する過程において、必要な限度で表にも及んだということは報告は聞いておりますが、全般については捜査をしていないわけでありますから、捜査をしていないのは、犯罪の容疑を見出せなかったものについては捜査をする必要がないわけでございまするから、そういうものは当然に捜査をしていないものを報告の対象にするわけにはまいりません。
  145. 松本善明

    松本(善)委員 私は、とんでもない、おかしいと思うのですよ。調べもしないで犯罪の容疑はないということは言えないわけで、金が一体どういうふうに流れたか、その趣旨はどうであったかということを初め明らかにして、そしてこれはどういう趣旨のものであるから犯罪にならない、そういうふうに報告をするというのがあたりまえであって、私は、そのような報告がされてないということは、これは中間報告自身がロッキード事件の全容を隠そうとしているというふうにしか理解ができないです。あるいは捜査当局の捜査とそれから報告という点で言うならば、私は怠慢というふうに言わざるを得ないと思います。  そこで、お聞きしたいのでありますが、この中間報告で触れております時期といいますのは、全日空が路線拡張のために全力を挙げており、そのために航空会社の間で熾烈な競争のあった時期である。この関連での不正な金、賄賂が渡ったかどうか。あるいは職務権限がないとか、そういうようなことで起訴するに至らなかったけれども、そういうような金の授受があったかどうか。このことは捜査をしたのでありますか、していないのでありますか。
  146. 安原美穂

    安原政府委員 この路線の拡張をめぐって請託が行われたという関係でございまするから、背景事情として必要な限りは調べております。しかし、その間に犯罪の容疑は見出せなかったものと思います。
  147. 松本善明

    松本(善)委員 この中間報告では、ロッキード社の売り込みと関連があると認められなかったということを述べております。これはどういうことでそういうふうに認めなかったのかどうか。先ほどは、本人がこれを知っていたのかどうかについては言えないということだった。この全日空の九十ユニットというのは、ユニットというのは賄賂の別名であるということは、日本人いまだれでも知っているそういう金が入っているわけですから、普通であれば、その金を受け取っていればそういう賄賂性があるというふうに考えるのが当然なんです。ロッキード社の売り込みと関係があるというふうに考えるのが当然なんです。それをそうでないというふうに考えた根拠はどういうことなのか、これも御報告をいただきたい。関連がないというふうに考えた根拠ですね、本人が否定をしているのかどうか、そういうようなことです。
  148. 安原美穂

    安原政府委員 本人の供述とかなんとかでなくて、要するに、この九十ユニット関係は名目は政治献金であり、あるいはお中元であり、せんべつであったということでございまして、その関係の名目の金が職務上の対価関係にあるかを調べたが、職務上の対価関係を認められなかったということを率直に書いたのみでございまして、ただ、その渡した趣旨を聞いて、動機を聞いてみますると、それば検察の判断としては、トライスターの売り込みとは関係のない動機、目的であったということを、今度のそれは当然に捜査の過程でわかることでもございましたから、御関心の深いところであろうと思って便宜書いたものでございます。
  149. 松本善明

    松本(善)委員 私はそれがどういうことであるかということは、それこそ国民は重大な関心があると思うのです。といいますのは、先ほど来の質疑の中でもありますが、この三年足らずの間に千五百五十万円もらうというようなことは、普通の関係じゃないですよ。これはどういう人だったらこういうことになるのだろうか、これはどういう人なら通常だということになるのだろうか。私は通常だなんて、とても思えない。これは国民だれでもそうだろうと思います。百万円のせんべつなんてそうですよ。国会議員の歳費はいま六十八万円です。平均すれば税引きで四十五万円ですよ。二カ月分以上のせんべつとか、中元とか、歳暮とか、そんなものをもらっているのを発見をしておって、これについてどうしてそういうことが起こったのかということについて解明をしなければ、いま職務権限との関係だということを刑事局長は答えましたけれども、この政治的道義的責任を明らかにする上での協力をするというための中間報告としては、これは全部明らかにするのが当然じゃないか。  ついでに言っておきますと、全日空昭和三十七年から五十年までの間に、公然と公にして献金をしているのは、国民協会に対してすら三百万円です。ほかはみな百万円以下なんです。だから、ここで発表された十三人の人のもらった金というのはまことに異常なほど多いのです。この関係が明らかにならないで、政治的道義的な責任を判断するということはできないでしょう。私は刑事局長ではなくて、法務大臣に聞きますよ。法務大臣、この関係が明らかにならないで政治的道義的責任が判断できますか、あなたの政治家としての判断を聞きたい。
  150. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはできない。できませんな。
  151. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、この国会政治的道義的責任の有無を判断するというためには、この表だけではなくて、このもらった時期、それからもらった人の立場、地位、そういうものを全部明らかにしてもらわなければそれは判断できないでしょう。それをやってもらえますか。それは法務大臣から政治家としての判断を聞きたい。
  152. 稻葉修

    稻葉国務大臣 だから、秘密会にしてもらいたいと、こう言っているのです。
  153. 松本善明

    松本(善)委員 秘密会にすれば、この事情、時期その他は全部明らかにする、こういうことでありますね。そうでしょう、いまの。ちょっと政治家としての判断を聞きたいのです。
  154. 稻葉修

    稻葉国務大臣 仮に秘密会といえども、さっき言ったように、まあそちらの判断ですけれども、いまでこそ全日空全日空って、こんなことをやっていたのかと言うけれども、あの当時、日立からもらうのも全日空からもらうのもそんな差異は、あの当時は国会議員としてなかった人もあるんじゃないでしょうか、その十三人のうちには。それを全部名前を出せって言ったって、それは無理じゃないでしょうか。公平を欠くんじゃないですか。社会的正義にそれ合うと思う、あなた。
  155. 松本善明

    松本(善)委員 法務大臣、興奮しないで私の聞いたことに答えてもらえばいいのですよ。  いま私が言いましたこの十三人について、先ほどお答えになりましたけれども、これだけでは政治的道義的責任を判断することができない。だから、これはそのもらった人の立場とかそれから時期とか、これは秘密会なら明らかにすると言われたから、それを確認しようとしたのですけれども、これは否定でもありませんから、私は確認されたものとして理解をして、次に質問します。(稻葉国務大臣「ちょっと待ってください、正確に言わせますから」と呼ぶ)ちょっと別のことを質問しますから……。
  156. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私の説明で不十分な点があると思いますから、正確に専門家に答弁させます、大事なことだから。
  157. 安原美穂

    安原政府委員 松本委員はよく御理解いただいていると思いますが、私どもは刑事責任の存否ということからアプローチいたしまして、したがって、先ほどから盛んに百万円のせんべつは高過ぎる、これは道義的にはおかしいとおっしゃいますけれども、そういうことは私どもの判断することではないので、刑事責任の存否ということから言えば百万円、五百万円が社交儀礼上正当だということを言っておるのではなくて、職務上の対価として渡されたものかどうかということを判断した結果を書いておるものでございますから、あれが道徳的に正しいとか、そんなことは全く私どもはニュートラルでございます。  と同時に、いま地位を明らかにしなければ政治的道義的責任の基準もできないとおっしゃいますが、それは松本委員のお考えでございまして、私どもといたしましては、地位を明らかにし、日時を明らかにすることは、公訴提起しなかった人の名前を明らかにすることに相なるから公開の委員会では申し上げられないと言っておりますので、しかることが仮に必要であるという委員会の御判断でございましたらば、秘密会等便宜の方法をお考えいただくとともに、その際にも、私どもといたしましては、書類の保管者として、その地位とか時期を明らかにすることが必要かどうかということについては、公益性、相当性の立場から判断をさしていただきたいと思います。
  158. 松本善明

    松本(善)委員 いまの答弁は、私は法務大臣の答弁を否定したものではないと、こういうふうに理解をしたいと思います。そして政治的道義的責任の追及の問題について刑事局長がとやかく言うべき筋のものではないのです。これは全面的に協力をすべきことなんだ。そのことを言っておきます。  それから、刑事局長にお聞きしておきますが、この中で「不明」というのがありますね。不明というのは賄賂であるということの可能性は否定しないということですか。わからないのに賄賂でないということはわかるのですか。
  159. 安原美穂

    安原政府委員 「不明」ということを全く不明ということにとれば、おっしゃるとおり、賄賂でないということも否定できないが肯定もできないということになりますが、ここで書きましたのは、趣旨は必ずしもはっきりしないが、渡された人と相手方との関係等から見て賄賂という認定をするにはむずかしかったという判断も入っておるわけでございます。
  160. 松本善明

    松本(善)委員 これは私はとても理解ができない。そういうのは私は捜査の怠慢と言うべきですよ。これは、こういう異常な金の授受が行われて、国民的関心事があるんだから徹底的に調べて、当事者が否定をしようと、これは贈収賄罪で当事者が否定するのはもう通常なんだ。それが簡単にここで「不明」ということで出されて、ただ趣旨はわからないけれども賄賂でないということだけはわかったと、こんな報告は全くわからないです。  私はこれは、この裏金関係中間報告はまことに不誠実なものだ、私たちはロッキード隠しの典型だと言っていますけれども、それを法律的に証明したようなものではないかというふうに思いますが、時間がないので、官房長官もお見えになっておるので、お聞きしたいと思うのです。  法務大臣、官房長官に聞きますが、いまこのロッキード委員会理事会でいろいろ議論をしているのですけれども、自民党はいままでのところは、自民党の基準はもう一切譲歩しないと理事会では言っておる。それで、わが党の基準は非常に広いものです。金の流れを全部明らかにするとかあるいは金の流れについての証拠が不十分であってもいろいろな働きかけをした者も明らかにするというものであります。これはずっといままでの理事会の経過を見ても、なかなか基準について一致するという見通しがつかないのではないかと思います。これは仮定の問題じゃなくて、もう国会は会期末ですし、見通しは十分つけられるのです。それで、これが一致しない場合には氏名を絶対発表しないのですか。これは両方に聞きます。
  161. 稻葉修

    稻葉国務大臣 まだわからぬですからね。どうなるかわからぬですから、しっかりやってください。
  162. 松本善明

    松本(善)委員 そうじゃないんですよ。できる場合もあり、できない場合もあるでしょう。できない場合ということが十分見通される。もう会期末なんです。そういう場合には絶対発表しないのかということを聞いているのです。  官房長官にお答えいただきたい。三木内閣としてはそういう方針なのか。
  163. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは検察が鋭意努力をされており、それを受けとめまして法務大臣から従来この委員会を通して方針が述べられておるだろうと思うのでございます。私の立場においても法務大臣の考え、これを支持してまいろうと、こう思っています。
  164. 松本善明

    松本(善)委員 私は、法務大臣も官房長官も、一致しない限りは発表しないというふうには答えなかったということは、それは発表する可能性もあるということなのかどうかということを改めて聞くと同時に、もう一度この問題についての報告をやるという話が出ております。その中には氏名の公表が含まれますかどうか。官房長官に伺いたい。三木内閣の方針として聞きたいのです。法務大臣がわかっていれば法務大臣お答えください。——両方から答えてもらいましょう。
  165. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いまの段階でそれは検討中なんです、正直なところ。それから、絶対やらぬとか絶対やるとか、そんなことは、絶対という言葉はよくない。それはいま検討中なんです。  それから、あなた、見通しを神様みたいなこと言いますけれども、基準は、この国会はもう少ないからできないなんて言いますけれども、(松本(善)委員「できないとも言ってないですよ」と呼ぶ)あなた、そう言っているのだ。(松本(善)委員「できることもある、できないこともある、できないときはどうするかと聞いているのですよ」と呼ぶ)できるんだ。できないわけはないのですよ。できないわけはないのですよ、そんなものは。あなた方のは、何だかその発表をなるべくよけいな膨大なことを言って、これでなければ譲らぬぞ、ここまで譲ってくれば基準をつくってやると言ったって、そこまではなかなかいかぬですわな。そうすると、おれたちの基準をつくろうとしても自民党は反対してつくらせなかった、隠した、そのまま選挙をやってうまくやろうと、こんなことではだめです。大事な全貌の解明に、われわれにできない政治的道義的責任の解明を熱心におやりになっておる、それに協力しようと言っておるのに、それじゃ秘密会で聞こうとか、そういう方向の運営も打ち出されなくて、ただできない、できない場合は発表するかしないか、そういう聞き方というのはまだ早いんじゃないですか。どうでしょう。私は、もう歩み寄って、そこは歩み寄って、なるべく選挙もあることだから、国民の判断できるような方向に与野党ともに歩み寄るのが、この全貌はこうであったということで国民の知る権利にこたえるというのは国会の任務じゃないかと思いますがね。こっちは協力すると言っているのですから。
  166. 松本善明

    松本(善)委員 答弁がちょっと長かったのであと一問聞いて終わりにしますが、私は、もう会期末ですから見通しをつけなければいかぬ。そこで聞きますが、法務大臣や何かは、いわゆる基準ができたらそれ以外はシロだと言うんでしょう。そんな形でできるとはとても思えませんよ。それは自民党の基準に近いような十八人、この中間報告で氏名の出ているものよりももっと広いことを私たちは考えているのですからね。その中でうんとしぼったもの以外はシロだ、こういうことを言おうとするわけでしょう。そんなことに同意がされるというふうに法務大臣は思っているのかどうか、これをまず一つ聞きたいのと、それから刑事局長に聞いておきたいのですが、刑事局長は自民党の基準というのは御存じだと思うのです。     〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕 これについて事務的にこの自民党の基準を当てはめた場合に、中間報告の中で発表される氏名は何人であるか、この二つについてお答えをいただきたい。
  167. 安原美穂

    安原政府委員 自民党の基準の趣旨を十分に理解しておりませんし、政治的道義的責任の存否の問題に関連することについては、私は申し上げることを差し控えさせていただきます。
  168. 松本善明

    松本(善)委員 法務大臣に聞いたことのお答えをいただきたいのです。
  169. 稻葉修

    稻葉国務大臣 法務、検察当局は刑事責任の追及者であって、政治的道義的責任の追及者でありませんから、そんなことを相談して発表するというようなことは分限を越えた不届き千万なやり方であるから、言動を慎みたいと思うのです。
  170. 松本善明

    松本(善)委員 法務大臣に聞いたのをあなたは聞き落としているのですよ。私の聞いたのは、基準ができたらそれ以外はシロだと言うのでしょう、そんな形で基準ができると思っているんですかと言うのですよ。
  171. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはあなた、調べもしないのから灰色をつかんで出すなんということは、とんでもない話だね。このロッキード事件について捜査の対象にも何にもしない者のうちから、別の方からまた灰色を出すなんて、とんでもない話だと私は思うね。
  172. 松本善明

    松本(善)委員 私の質問を十分理解されていませんけれども、そして答弁になっていませんけれども、時間がありませんので、これで終わります。
  173. 田中伊三次

    田中委員長 鈴切康雄君。お待たせしました。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十月二十五日の朝日新聞に、ロッキード社の売り込み全容図ということで「コーチャン氏の未公開資料」その中には「小佐野氏、重要な役割」というタイトルで出ているわけでありますけれども、これは検察側としては重大な資料ではないかというふうに私は思うのですけれども、その点についてまず、捜査当局は関心を持っておられるかどうか。
  175. 安原美穂

    安原政府委員 朝日新聞にそのような報道がなされたことは承知しておりますし、検察当局としても重要な発表であるというふうに受けとめておるものと思います。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 コーチャン副会長は例のPXLが白紙還元をされた後にしばしば訪日をしまして、そして売り込みをやったわけであります。そのとき八重洲の国際興業で小佐野氏とコーチャン氏と、それから川崎重工の四本氏の会談が持たれたということが言われておったのを私は実は耳にしておりました。この図式でいきますと、そのことから考えますと四本氏がコーチャンから小佐野氏という一つルートをつくっているわけでありまして、そういうことから言いますと、これは根拠が全くないということではないと思います。そこでPXLについて、P3オライオンのライセンス生産がロッキード社と川崎重工との間で話し合われ、小佐野氏が介在をしたということが推測されますけれども、捜査当局はこの点調査をされていますか。
  177. 安原美穂

    安原政府委員 PXLの導入の過程については、その間に検察当局としては非常に関心を持っておりまするが、いま御指摘のようなことが捜査の対象になっているかどうかは、ちょっと申し上げるわけにはまいりません。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四本氏はトライスターとは余り関係がないわけであります。御存じのとおり、次期対潜哨戒機PXLとは大変関係のある立場にあるわけでありますが、コーチャンと四本氏、そして小佐野氏とのこの関連というものを線を引いてみますと、この問題は、これを解明していく上においてかなり重要な問題ではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、私はこの点について、やはり指摘した以上捜査当局はかなり重大な関心を持ってひとつ調査をしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  179. 安原美穂

    安原政府委員 PXLの関係につきましては、川崎重工というものが関係があるということでございますので、いわゆるPXL導入の背景事情として川崎重工の関係者から事情の聴取はいたしております。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この資料から見ますと、中曾根氏、佐々木氏、それから二階堂氏、小佐野氏、笹川氏等の名前と、すでに起訴をされております田中、橋本の名前も出ているわけでありますが、児玉ルートには証人喚問がぜひ必要だと私は思うのです。先ごろ全日空並びに丸紅の捜査が進展をしていたときは、捜査に支障があるということで法務大臣も消極的な発言をしていたことがありましたけれども、児玉ルートについては喚問に何ら支障はない、このように私は思うのですが、法務大臣はどのようにお思いでしょうか。
  181. 稻葉修

    稻葉国務大臣 お説のとおりです。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 児玉ルートについてはまるっきり進んでいないというのではないというふうに法務大臣は言われたわけでありますけれども、進んでいると判断をされている根拠はどこに置かれていましょうか。
  183. 稻葉修

    稻葉国務大臣 さあ、根拠と言われるとどういうことになりますかな。捜査当局の能力を信用しているから、あれだけやっているんだから、だから相当進んでいるのではないか、いるだろう。単なる希望ではありません。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このところ、小佐野氏が退院をされてから捜査当局は再三にわたって臨床尋問をされているわけでありますけれども、また児玉の臨床尋問を通じて、そういうことから——私も前に申し上げたわけですが、そのときには法務大臣は御答弁にならなかったわけですが、児玉ルートの見通しというものは本年中には解決つくのでしょうか。
  185. 稻葉修

    稻葉国務大臣 その点についての捜査当局からの報告はまだ来ておりませんから、わかりません。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中間報告には前総理大臣田中角榮が収賄した五億円の使途については捜査したけれども明らかにできなかったということでありますけれども、入りの部分だけで出の部分が明確でないと公判の維持ができるかという私の質問に対して、安原刑事局長は確信を持っているというふうに答弁されたのですね。それは公判維持をするために明らかにできないのか、それとも調べたが全く明快にならなかったのか、その点はどうでしょう。
  187. 安原美穂

    安原政府委員 先ほども説明申し上げたと思いますが、五億円というものが請託収賄の賄賂として授受されたという認定でございますけれども、その賄賂性というものをより確実に立証するために最も望ましい方法は、その使途を明確にするということであるわけであります。そういう意味におきまして、検察当局は鋭意個別的な使途の究明に努めたわけでありますが、万能ではなくて、結局、個別的な使途の解明はできなかったということでございます。  なお、検察当局はそれにしても公訴提起するに当たってはその点の個別の使途はわからなくても公訴の維持には自信があるという報告を受けておるわけでございまして、なお、公訴の維持に自信があるかどうかの具体的な内容につきましては公判の段階において漸次明らかにしていくことでございますので、それ以上詳しく理由を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、公判維持に必要であるから申し上げることはできない、しかも鋭意解明をしたけれども使途についてはなかなか解明できなかったといういま御答弁だと思うのですけれども、鋭意捜査したけれども個別的な使途は明らかにすることはできなかったということは、大筋においてはどういうものに使われたかは明らかになったのでしょうか。
  189. 安原美穂

    安原政府委員 そのことを含めてこれから公判の段階において切らかにしていくはずでございます。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五億円は追跡してみたわけであろうと思うのですけれども田中から供述が得られなかったのかあるいは政治献金として個人としてもらったので使途を明らかにしないという主張がなされたのか、この点はどうでしょう。
  191. 安原美穂

    安原政府委員 関係者の供述の内容を申し上げるわけにはまいりませんから、結局先ほどのお答えに戻るわけでございますが、公判の段階におきまして漸次明らかにしていく方針でございます。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 使途の部分については漸次明らかにさせていく、そういう内容を持っておられる、こういうわけですか。
  193. 安原美穂

    安原政府委員 明らかにすると言いましても、先ほど申しましたように、捜査の過程で個別的な使途は明らかにできなかったわけでございますから、その限度でございます。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 九十ユニットで百万円から千五百五十万円までの間であるということについて私が質問したときに御答弁があったわけでございますけれども、百万円で線引きをされたわけでございますが、百万円以下というのは全くなかったのか、それとも百万円以下についてはもう問題にされなかったのか、その点についてはどうでしょうか。
  195. 安原美穂

    安原政府委員 九十ユニット関係については、先般、表をお示しいたしましたように、百万円以下というのはないのであります。事実上個人的にはないわけであります。ただ、「不明」というもので五十万というものがございますが、その方もトータルは百万円を超しておるわけでありまして、百万円以下で線引きしたということはございません。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま灰色高官名前の公表が自民党の反対でデッドロックに上がっておる状態でありますが、このままでいけば十一月の四日の会期切れの時間切れをねらっているとしか思われない。  そこで、法務大臣は、灰色高官名前が公表されてそれによる総選挙で国民に信を問う方がよいと思われているのか、起訴された三名以外は名前を明らかにしない方がよいのか、どちらか、率直にお聞きしたいと思います。
  197. 稻葉修

    稻葉国務大臣 さあ、法務大臣として答弁するのはどうでしょう。それはすらっとはいかないですね。すらっとと言っても、すらっと出ない。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中間報告は余りにも漠然であるために、国民的な世論にこたえて必要であればさらに再度中間報告をすることを考えておるというふうに言われたわけでありますけれども、実際に、きょうは二十七日で、二十八日、二十九日、三十日、一日、二日、四日と、これしかないですね、考えてみますと。三十一日が日曜日で三日が休日ですから。となりますと、いつ、どこで、どのような中間報告をされるつもりですか。
  199. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはあれじゃなかったんでしょうか、私がやるのでなくて、総理がやはり−国民が投票するについてロッキード事件のことも考えて投票するのでしょうから、それに間に合う時期においてだから、四日までとは限らぬでしょう。どうでしょう。四日までとは限らぬで、選挙はいつ告示になるか知らぬけれども、そのころまで児玉ルートの解明でも進んでおればなおよし、進んでいなければ、これは事務的な報告だからというのなら、総理は政治的な考慮も加えてどういうふうに中間報告をされますか。それはそういう機会を持ちたいと総理は言っておられますことを私は知っておりますから、報告いたします。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、あなたは総理の窓口になっておられるわけですが、いまの法務大臣の御答弁、しかとお聞きになったと思いますが、総理大臣はもうそういうふうな日程をお考えになっていましょうか。
  201. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 このロッキード問題につきましては、総理大臣法務大臣と息が合っているだろうと思いますし、そしてまた、当委員会を通じて久しきにわたって総理も法務大臣もお答えをされておるはずと思います。したがいまして、私はどうもそれ以上には承知をしておらぬのでございまして、さよう御了承を願います。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 了承できないね。官房長官は少なくとも総理大臣の窓口でしょう。窓口であり、そして総理大臣が再度中間報告をやるというふうにこの委員会で答弁されたわけですから、それに対して責任を持っていただかなければ困るじゃないですか、国民はそれを期待しておるわけですから。どういうものが出るかそれはわかりませんけれども。しかも、先日の本委員会で三木総理は灰色高官の定義づくりに自民党も前向きで取り組むよう努力するという趣旨発言をしておられますね。三木総理が具体的にどのように自民党に対して努力されたか、ひとつつぶさに御報告願いたいのです。官房長官、これは官房長官ですよ。
  203. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 恐らく当委員会を通じて総理が物申しておる範囲しか私には現状がわからない状態でございまして、恐らく総理としてもここで答えられた線は十分に配慮していくであろう、こういうふうに察しておる次第でございます。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は国民に約束されたわけです。なかなか定義づけが決まらないし、自民党の壁が厚いということを言ったら、総裁として、それは私がロッキード委員会のメンバーと会って努力しましょう、こういうお話があったわけですから、何か具体的に努力された跡が見えるのですか。見えないままに結局は二十七日からあと会期切れまでの間、幕切れをするということなんでしょうか。具体的なことを聞かしていただかないとわからないです。
  205. 田中伊三次

    田中委員長 鈴切君にちょっと申し上げますが、私を数回お呼びになりまして、そして何とか譲歩をすべきところは譲歩をして基準の設定に対しては協力をしてやれということを、大変熱心に御伝達になりまして、きょうも私がここに出ることができませんでした理由は、二度にわたって総理公邸の方に呼ばれたからです。時間がない、ぐずぐずしておると選挙が早くなる、そういうことであるから急いで妥結をするように、譲歩をすべきは譲歩をして最善の努力をしろということを言っておられまして、まことにこれは熱心でございます。  以上御報告を申し上げておきます。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、やはりそういう総理の動いておられることについてあなたは知らなくてはならないですね。責任ある立場にいながら知りもしないということはあなた無責任ですよ。そういうことで、一応委員長の方に定義づけについては譲歩せよ、こういうお話があったというわけですから、そういうことについて委員長お話を聞いているわけでありますから、その点はそういうことにしておきます。  日程的に見まして、選挙が、十一月十五日の告示に、十二月五日の投票日が決定的になってまいりました。その間でも児玉ルートの捜査の進展は当然あると思われますけれども、選挙法の絡みから捜査の具体的な行動との間には私は制約があるというふうに思うわけでありますが、その点について安原刑事局長、どうでしょうか。
  207. 安原美穂

    安原政府委員 ちょっとほかの事務連絡を受けておりまして私語しておりまして失礼いたしました。お尋ね趣旨は、児玉のルートの解明の見通しの問題……
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうじゃないんだ。選挙は日程的に見て十二月五日の投票日は決定的になってきた、その間にも児玉ルートの捜査の進展は当然やられるというふうに思っておりますけれども、選挙法の絡みから捜査の具体的な行動との間には制約があるのではないかというふうに思うけれども、どういうふうにお考えになっているか。
  209. 安原美穂

    安原政府委員 一般論といたしましては、選挙取り締まりというのは検察の重要な課題でございますので、検察の能力がそちらの方に持ち去られるという意味において戦力の低下を来すわけでありまするが、事柄は東京地方検察庁のやっていることでございますので、東京地検にはそれだけの余裕もあろうと私は思いますから、選挙があるから捜査能力が低下するとか遅滞するというような事態にはならないものと私は思います。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実際に捜査の行動と選挙法の絡み……。
  211. 安原美穂

    安原政府委員 選挙法というのはどういうことでしょうか。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、灰色高官が立候補しているわけですね。立候補している中にあって捜査の方が進んでくる。そして立候補をやって選挙に入っている。そういう場合に、あなた方は捜査行動というものを起こすのに制約があるんじゃないかという観点で言っているのですが、その点はどうでしょう。ないですか。
  213. 安原美穂

    安原政府委員 灰色とかなんとかいうことは私どもの関知といいますか、それを判断の基準にしてはいけませんが、仮に立候補者の中にロッキード事件の容疑者が出てきたという場合にどうかというお尋ねとして考えますならば、原則といたしましては、選挙活動の自由というものを保障するという意味においては捜査を手控えるというのが一般則ではございまするけれども、これはあくまでも具体的なケース・バイ・ケースの判断の問題でございまして、一応は支障を生ずるであろうと思いますけれども、絶対的な支障とは考えておりません。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に。  中間報告が出されたとき、委員長新聞にコメントをされている中に「児玉ルートを早急に解明しなければならない。」こう書いてあります。それから「政府はここまで発表するなら、灰色高官の具体的な人名を発表すべきだ。それが捜査の結果である以上、本来政府の自主的判断で発表すべきものであり、国会まかせの政府の姿勢はきわめて不徹底だ。」というようなコメントをここに与えているわけでありますけれども委員長はどのようにお思いになっていましょうか。
  215. 田中伊三次

    田中委員長 そこに書いてあるように、個人として思っております。  政府が捜査に当たっておるわけでございますから、その捜査に当たっておる政府が四十七条ただし書きに基づいて発表しようと思えば発表ができる。発表する、しないは政府の意思にある、こういうことに判断をいたします。  同時に、それでは国会責任を持って基準を明らかにすべきものだという政府の主張がおかしいのかというと、これまたおかしくない。その理由は、両院議長の裁定の中身を読むとわかるのであります。政治的道義的責任調査ということは国会がやらなければならぬ。国政調査としてこれをやるわけでございますから、調査をする以上は、調査をしてこっそり持っておれという意味じゃない。調査をしたものを究明してこれを公表、発表するということの意味もこの調査の中には当然含まれておる。含まれなければ意味がない、こう考えますので、私は、国会にその基準を発表する責任があるということもまた無理なことではない、当然のことである、こう考えております。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間ですから、これで質問を終わります。
  217. 田中伊三次

    田中委員長 永末英一君。
  218. 永末英一

    ○永末委員 委員長にちょっと伺いたいのですが、きょうあなた総理に会われたときに、総理から、選挙が早くなると思うので、ひとつこの委員会で与野党の間で、いまのいわゆる灰色高官についての妥協はできないかという話があったという、選挙が早くなると思うと言われたのですか。
  219. 田中伊三次

    田中委員長 それは言葉が十分でないのです。ぐずぐずしておって、選挙が先に来るようなことになったら大変ではないか。国民に申しわけがない。よって、速やかに譲るべきは譲って、するようにして話を取りまとめなさい、こういう趣旨でございます。どうぞ誤解のないように。
  220. 永末英一

    ○永末委員 先ほどの言葉ですと大分問題が違いますから。  さて、法務大臣に伺いたいのでありますが、この中間報告に関する説明で、いわゆる三十ユニットで起訴された者以外の不起訴になった者、これが五名である。そして九十ユニット関係者が十三名である。その間三名のダブりがあるという報告がございました。この三名の中には起訴者は含まれますか。
  221. 安原美穂

    安原政府委員 これは、先ほど御説明申し上げましたように、起訴者は入っておりません。公訴提起の対象にならなかった者としての三名がダブっておるということであります。
  222. 永末英一

    ○永末委員 もう一度確認しておきますが、ダブりの中には起訴者は含まれていないということですね。
  223. 安原美穂

    安原政府委員 全日空裏資金関係で十三名という公訴提起されなかった者十三名、それから公訴提起されなかった者五名というものの中に三名のダブりがある。その間においては起訴者は含まれておりません。
  224. 永末英一

    ○永末委員 資金の流れ別に起訴、不起訴あるいは調査等の結果が中間報告にされました。ところで、問題は、先ほど安原刑事局長の話に、金に番号は打ってないというわけでありますから、まさにこの金はどこの金であるというようなことを言って、これは三十ユニットの金でございます。九十ユニットの金でございますと言うて渡したわけじゃないと思います。  さて、そこで第一に伺いたいのは、起訴者が二名、十三名の中には含まれておるということに結論的になりますが、そうなりますと、その起訴者が受け取った金は三十ユニットの金であり、同時にその起訴者が九十ユニット全日空の裏金からもまた金をもらっておる。これは金の出るところで起訴、不起訴の判定をつけておられますが、そういうことは可能なんですか。
  225. 安原美穂

    安原政府委員 三十ユニットは、説明にもございますように、全日空のいわゆる勘定に入らないで、三十ユニットは丸紅の方で受領いたしまして、全日空の指図によって伊藤、それから秘書課長の副島というものが関係国会議員のところへ持っていったということでございます。それから九十ユニットの方は、そうではなくて、一たん裏勘定に入って、それから出ていったということに、基本的に違いがあるわけでございます。
  226. 永末英一

    ○永末委員 金の出方のところは確かに違いますね。ところが、受け取っておる者がその金を受け取って行動しているという点には差異がないわけである。だから疑問の第一点は、一番大きな点は、金の出方が違っておるから、似たような金をもらっておっても一つは起訴され、一つは起訴に該当しないという判定は私はよくわからないのですが、もう少し明確にお答え願いたい。
  227. 安原美穂

    安原政府委員 そうではございませんで、三十ユニットというものは、金の性質がトライスターの売り込みに関係のある国会議員に渡すということでロッキード社から受け取って、そしてその関係があるとされる人に渡されたわけでありますが、渡された人と受け取った人の職務権限というようなことを考えると、トライスターに関連する請託収賄があるということで起訴された者は起訴された者でありますし、そういう職務関係はあるけれども、請託の事実がなかったということで時効、不起訴ということになった方もおられますし、職務関係はないがトライスターの売り込みには関係があると認められた者が三十ユニットの中にあって、それば犯罪が成立いたしませんから公訴提起されなかったということであります。九十ユニットも、出で区別したのでなくて、九十ユニットというものを取り調べて究明していった結果、いろいろな名目の金が渡されておるが、ひっきょう刑事責任の追及という観点から見るならば、職務関係としての対価性がなかったから犯罪にならなかったということでありまして、金の出で区別して起訴、不起訴を決めたということでなくて、あくまでもその金の受け取った人と職務との関係から犯罪の成否が論ぜられたわけでございます。
  228. 永末英一

    ○永末委員 それは時期によって分けられるものですか。
  229. 安原美穂

    安原政府委員 結局、同じ人間がこちらにもおり、こちらにもおるという場合には、職務関係があったかどうかということが判断の基準になるわけであります。そういう意味におきまして、当時は職務関係があったがいまはなかったという方もおられましょうし、というようなことでございます。同じ時期でも、趣旨によって職務関係のある金もございますし、職務関係のない金もあり縛る、それは渡した趣旨にもよるわけでございます。
  230. 永末英一

    ○永末委員 出どころの一番の奥底は一つである、いわゆるロッキード資金である。そのロッキード資金が渡っていく橋が、いわゆる三十ユニットという橋と九十ユニットという橋がある。こちら側には、九十ユニットには全日空という色がついておる。しかし受け取る方は、そのことを知らぬはずである。しかも捜査は一番最初の出発点であるロッキード資金というものの流れを究明された。ところが、橋が違うのだということだけで、同種の人間が同じように金をもらっておりながら起訴、不起訴が分かれる。こういうことは、逆に考えますと、十三人の他の者、つまり起訴されなかった者が全く関係ないのだということを言うための一つの論証の操作ではないかと思われてなりません。お答え願いたい。
  231. 安原美穂

    安原政府委員 いささか私、理解いたしかねておるわけでございますが、これを要するに、同じ人間でも、とにかく三十ユニットであるか九十ユニット関係であるかということは、金の出どころの問題でございますし、金の結局出どころの問題、ロッキードから源を発しまして、三十ユニットといって丸紅関係者で受け取られて全日空のために支払われた金ということであり、片一方は、ロッキードに源を発して、一たん全日空の勘定の中に裏とは言え入って、それから流れていった、そのことが犯罪の成否なりには何にも影響はないので、要は結局、その渡された趣旨と、それを受け取った人の地位、職務関係ということから分かれたわけで、したがいまして、ある時期においては職務関係があったが、そのときにはなかった人もありましょうし、ある時期には、時期はほとんど変わりなく同じ職務関係にあっても、その持ってきた趣旨が単なる盆暮れのあいさつという場合もありましょうし、何らかの請託があったということもあるというようなことで犯罪が成立する場合もあり、しない場合もあり、成立するが時効であるという場合もあるということと御運解いただきたいと思います。
  232. 永末英一

    ○永末委員 問題をひとつ変えまして、法務大臣は検察庁法十四条によって検察の事務やあるいは検事総長に対していわゆる指揮権をお持ちである。総理大臣は検事総長とはそういう関係にどういう理由でなり得るわけですか。
  233. 稻葉修

    稻葉国務大臣 どういう理由で、ないのか。とにかく検察庁法は、具体的事件につきましては、法務大臣は検事総長のみを指揮することができる。そして総理大臣は、その検事総長を指揮することができる法務大臣を、行政組織上一般的に指揮監督権を持っているということです。しかし、検事総長に対する指揮権そのものは、法務大臣の固有の権利ですね、固有の権限です。
  234. 永末英一

    ○永末委員 私も現在の行政組織上そういう形になっておると思う。ところが、その総理大臣が、法務大臣を飛び越えて、そしてあなたが指揮権を持っておる検事総長と直接の話をするということについては、一体あなたはどう思われますか。
  235. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはよろしくありませんね。それは、あなた、前にもここで総理大臣が、ときどき、指揮権を発動しないのだろうなという質問に対して、総理大臣がここへ出てきて指揮権発動はしません、こういう答弁をなさいますが、それは違うのですね。指揮権を発動するような気配が法務大臣に見えたらこれは罷免するという答弁が正しいのじゃないでしょうか。したがって、いまあなたのお問いになったことについては、それはよろしくないです。
  236. 永末英一

    ○永末委員 総理大臣が電話をかけたのでなくて、検事総長と称する者が電話をかけたのでございますが、おかしいようなことが起こっておることを総理大臣は、検事総長に指揮権を持っておるあなたに事後すぐに報告しましたか。
  237. 稻葉修

    稻葉国務大臣 報告を受けました。
  238. 永末英一

    ○永末委員 それはいつでしたか。
  239. 稻葉修

    稻葉国務大臣 はっきりは覚えておりませんが、六日に原爆のあれでたしか広島へ行かれたですね。その前に承ったように覚えています。あるいは広島と長崎の間ですか、その辺のところで承った。
  240. 永末英一

    ○永末委員 伝えられるところによりますと、八月四日の深夜にそういう電話があって、一時間も話をしたということでありますが、おかしげなことを総理大臣も気づかぬのはおかしいですね。異例な電話がかかってきた。しかも伝えられるところによりますと、あすの朝まで待てないという電話、それを三日も四日もたってからあなたのところへ連絡するというような、この総理大臣のあなたに対する指揮、監督ぶりはいかがですか。どう思いますか。
  241. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは、おかしなことがあるなと思って電話しているうちに、にせだということがわかったというのですね。布施検事総長の声は知らぬけれども、おかしなことを言うから、そんなおかしなことを検事総長が言うわけがないと思ってわかった。けれども、どういう背景で、どういうさしがねで私を陥れようとするのかなということをちょっと追及してみたかった、こういうことを言っておられました。
  242. 永末英一

    ○永末委員 それは、この事件発生後最初に総理大臣があなたにこの事件のことを言ったときに、おかしいと思ったということを言われたのですか。
  243. 稻葉修

    稻葉国務大臣 おかしな電話があるものだ、検事総長と称して直接電話が来たが、これは検事総長ではあるまいと思う、こういう報告を受けたのです。それだから、そんな電話はたくさんあるというのだ。わしらのところへもたくさんあるから余り気にしない方がいいのじゃないですかと言って、それ以上根掘り葉掘り聞かなかった。こんな重大な問題だとはそのときは私は思わなかったのです。
  244. 永末英一

    ○永末委員 いまあなたはおっしゃいましたが、私のところへも幾らでもあるというのだから、あなたの方へもにせ検事総長から電話がかかってくるのですか。
  245. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いや、そうじゃなくて、いろいろな捜査の方向についてこんなことはいけないじゃないか、別件逮捕じゃないかとか、そういうふうな電話がいろいろかかってくる。この件について私は検事総長と直接電話で話したことはありません。必ず刑事局長を通じて報告があるわけです。それから、電話などかけてきても、私は声を知っていますから、わかりますよ。私であったらわかるから、総理大臣にかけたのではないでしょうか。
  246. 永末英一

    ○永末委員 総理大臣からこの件についての報告を受けられて、あなたはどうされましたか。
  247. 稻葉修

    稻葉国務大臣 検事総長がかけるわけもなし、そんなことを総理は言っていたぞというようなことを私は検事総長には言わなかった。そのままにしておいた。そんなことは気にしなさんなと言ったくらいですから、歯牙にかけなかったという気持ちでした。
  248. 永末英一

    ○永末委員 しかし、最近この問題が起きてから、あなたもやはりこれは捜査しなければならぬとお考えになったわけですね。そのときにはそういう感じはしなかったのですか。
  249. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いまにして思えば、もう少し薄氷を踏むがごとくやっておけばよかったかなと思う。しかし、そのときには本当に歯牙にかけなかった。それは思慮が足らぬとか脳が足らぬとか言われればそういう批判は受けますが、いまにして思えば、脳が足らなかった。
  250. 永末英一

    ○永末委員 時間がないのでやめます。
  251. 田中伊三次

    田中委員長 それでは、次回は公報をもってお知らせすることとして、本日は、これにて解散いたします。     午後五時五十五分散会