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1976-10-13 第78回国会 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十三日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 塩崎  潤君 理事 瀬戸山三男君    理事 松永  光君 理事 森  美秀君    理事 山下 元利君 理事 田中 武夫君    理事 横路 孝弘君 理事 松本 善明君    理事 坂井 弘一君       上村千一郎君    奧田 敬和君       小山 長規君    古屋  亨君       箕輪  登君    大出  俊君       斉藤 正男君    楢崎弥之助君       松浦 利尚君    庄司 幸助君       三浦  久君    鈴切 康雄君       河村  勝君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         法務省民事局長 香川 保一君         法務省刑事局長 安原 美穂君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  浅尾新一郎君         ロッキード問題         に関する調査特         別委員会調査室         長       中里  煥君     ————————————— 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   宇都宮徳馬君     木野 晴夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  ロッキード問題に関する件      ————◇—————
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより会議を開きます。  ロッキード問題について調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。まず、楢崎弥之助君。
  3. 楢崎弥之助

    楢崎委員 懸案のいわゆる灰色高官名公表問題について、どのような手順公表されるべきであるとお考えか、もう一度確認をしておきたいと思うのです。
  4. 稻葉修

    稻葉国務大臣 法務検察当局刑事責任を追及する役所でありますから、刑事責任追及の結果について公表いたしますが、政治的道義的責任追及者国会でありますから、それはこちらの方から、どういう手順でおやりになるのか、お聞きしたいくらいでございます。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 三木総理は、たびたび、いわゆる灰色高官基準各党で一致を見たら、理事会秘密会ですかで氏名公表していいという発言がなされておるようですが、それはそのとおりでございますね。
  6. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはそのとおりでございますが、その意味はちょっと申し上げておきたいと思います。  それは、国会国政調査権に基づき、検察当局が追及した結果刑事責任なし、こうした者のうち、いやそれでも政治的道義的責任は残ると国会が御判断になる、その場合に政府はこれに最善協力をするという形でございますから、それは公表ではないのですね。公表判断権者公表なさるかどうかをお決めになるわけですね。その判断をし、国会公表なさるか、公表しないのか、そういうことに参考になるためにお手伝いをわき役としていたします、その努力は惜しみません、こういう意味に理解さるべきものというふうに私ども考えております。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、その基準について各党意見がまとまれば、最大限の協力をする。しかし、三木総理秘密会云々ということをおっしゃっているのですが、それはどういうことなんですか。
  8. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私ども立場はあくまでも刑事責任追及立場、それ以外に道義的責任だとか政治的責任だとかを追及する役所ではありません。そんなことをやることは、はなはだおこがましい越権である、身のほどを考えろ、こう言われる恐れもある問題でございます。しかし、国会には憲法六十二条に基づく国政調査権、それに国会法百四条等もあって、そういう権限がおありですから、そういう立場から、かねがね政治的道義的責任を追及したい、こういう強い御意思があるようでございますね。それに対して、議長裁定にもあるとおり、刑事訴訟法立法趣旨をも踏まえ、捜査終了を待たないでも、事態推移を見てとありますから、事態推移を見て、刑事訴訟法立法趣旨をも踏まえて最善協力をするという義務を負うておりますから、その義務は果たしたい。その義務を果たすには、公開委員会でいきなりこちらが氏名等発表することは政治的道義的責任者発表するようなものであって、こっちの権限をはなはだしく逸脱することになるからそれは慎みたい、秘密会ならばできます。こういう意味でございます。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、それ以上のことは法務大臣にお聞きするのは無理かと思いますから、官房長官がお見えになったら聞きたいと思いますけれども、たとえば政治的道義的責任範囲等について各党意見がまとまって、そして秘密理事会等氏名が出される。その際に、理事会といえども委員会理事会でございますから、この秘密理事会氏名発表を受けて、この程度なら委員会責任において発表してもいいではないかというような判断をこの当委員会が下したときには、それについて法務当局はどういう対応をなさいますか。
  10. 稻葉修

    稻葉国務大臣 政治的道義的責任追及者国会でありますね。国会が御判断になってどういうことをなさるかは、こちらの知ったことではございません。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、秘密会氏名公表された後の取り扱いについては当委員会判断で左右できる、このように委員長、確認しておってよろしゅうございますね。委員長見解を聞きたい。
  12. 田中伊三次

    田中委員長 秘密会政府発表をいたしましたものにつきましては、政府秘密会で出したものを国会公表するということは一体どんな論拠でやるんだという議論もあろうかと思いますから、一口でお答えをいたしますと、いま法務大臣が仰せのとおりに、捜査当局個人刑事責任を追及しておる。したがって、刑事訴訟法精神にのっとって、この発表問題は個人人権公共福祉との兼ね合いを非常に細かく心配をしていらっしゃるようであります。できるだけ個人人権を傷つけないようにという細かい御配慮から、秘密会なら名前を言うてよいというお言葉が出ておるものと思います。  ところが、その秘密会報告を受けた国会は、そうはいかぬ。国会は全国民の代表であります。国権の最高機関である。この国会は、個人道義的責任政治的責任を糾弾するためにこの委員会ができておる。こういう立場から申せば、個人人権よりは公共福祉の方にこたえて発表するという意味を言うのでありますが、その公共福祉の方にウエートを置かねばならぬ。したがって、個人人権は御遠慮を願うことが必要である、国会立場は。捜査立場は、いま言うように、個人人権に同情を持つであろうけれども国会立場公共福祉に重点を置く、個人の迷惑はやむを得ない、こういう見解に立つべきものと委員長は存じますので、発表理事会で御相談をいたしまして、御相談の方向を決めて発表をいたします。
  13. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ちょっと訂正、申しわけありません。  委員長の御発言、それはそれで結構だと思います。ただ、その秘密会にわれわれが御協力を申し上げる、あるいは公開委員会でもいいですよ、とにかくこの委員会に、政治的道義的責任追及立場におられるこの委員会に御協力を申し上げるについての資料提供範囲とか仕方とかいうものについて、刑事局長が来ておりまして、検察当局考えも聞いてきているかもしれませんし、いろいろなことがありますから、私の大ざっぱな、それから少し言葉も、ボキャブラリーもきわめてプアですから、そういう点で、もっと法的に正確を期するために刑事局長発言を許していただきたいと思います。
  14. 安原美穂

    安原政府委員 大臣から仰せられましたが、特に大げさなことではございませんで、ただいま委員長公表すると言い、楢崎委員からも公表できるのではないかという御議論がございましたが、秘密会におきまして私どもはできる限りその国政調査協力するという立場から資料提供には応じたいと思いまするけれども、その場合に、あくまでも秘密会でございますので、法務検察当局が提出した資料をそのまま公にするというようなことではなくて、御判断責任において御発表なさることはそれは国会当局の御判断でございまして、私ども何とも申し上げかねますが、やはりわが国には刑事訴訟法というものがございまして、刑事訴訟法の四十七条は、人権保護捜査裁判への不当な影響の防止ということがその精神でございますので、国会当局におかれましても、四十七条の精神はひとつ御尊重いただくのが法治国家のたてまえであろうと思いますので、御公表に当たられましては、その公表の仕方につきまして、捜査裁判人権保護ということに不当な影響の及ばないような御配慮のもとに公表なさることをお願いしたいと思う次第でございます。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 捜査当局としてのお考えは承りました。しかし、わが立法府といたしましては、委員長判断のもとに理事会の論議が行われる、このように私は理解をいたします。  そこで、この十五日に中間報告が行われるというわけでございますが、この中間報告性格は一体どういうものなんですか。つまり、捜査当局としての捜査中間報告なんですか。どうなんですか、この中間報告性格は。
  16. 稻葉修

    稻葉国務大臣 性格と申しますか、とにかく法務大臣としてロッキード問題に関する中間報告をせんならぬかなと、こういう気持ちになったのは、そういう気分になったというか、させられたというのか、なったのはどういうことかと言いますと、これだけの大事件で、丸紅全日空ルート政治的責任解明は九月三十日をもって終了した、こういう報告でございますから、臨時国会も開かれていることであり、ロッキード問題の徹底的な解明とそれから経済立法の通過ということはこの臨時国会重大課題だというのに、ロッキード問題担当大臣がうんともすんとも言わず黙っているというのもどうかと思うのです。本来ならば、捜査が終了してから報告するのがあたりまえです。こんなことは初めてだ。異例なことではあるけれども、遺憾ながら、八月いっぱいくらいで全部終わりそうだなと聞いておったのが、九月にずれ込み、さらに十月に入り込んで、まだ児玉ルート解明が行われていない。まことに遺憾にたえません。残念であります。まあ、いまここで言いわけめいたことをするわけにはいかない。残念である。しかし、二つの山が終わったから、せめてその二つの山でもいいから、こういうことでございましたという捜査経過児玉ルート解明見通しの一部、そういうことにつきましても御報告するのが法務大臣としての義務じゃないかという気になって、中間報告をいたしましょうということを申し上げましたところ、総理施政方針の演説にそういうことを盛り込んでおられます。したがって、ここで後にするわけにもまいりませんから、十五日には申し上げたい、こういう気持ちでいるわけです。それがあなたの御質問にある性格に対するお答えになるかどうかは別として、そういうふうに申し上げます。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、私がお伺いしたのは、いまのお話経過でもわかりましたが、これは捜査当局としての捜査中間報告というものですね。確認しておきます。
  18. 稻葉修

    稻葉国務大臣 お説のとおりであります。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その原案はできましたか。
  20. 稻葉修

    稻葉国務大臣 あしたあたり、できるのじゃないかと思います。本日、この委員会が終了して、私も原案を見せていただくようになっております。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、もうすでに原案事務当局ではできておるのか。刑事局長の御答弁をお伺いします。
  22. 安原美穂

    安原政府委員 この連休に、私や刑事課長で案文をつくりまして、昨日、事務次官に渡しまして、事務次官がいま査閲中でございますが、また、その中身がやはり国税庁とかあるいは警視庁、それから外務省にも関連いたしますので、関係省庁関係部分について了解を得るというようなこと、あるいは検察当局の、先ほど申しました捜査結果の報告でございますので、内容につきまして重ねて検察当局了承を得るというようなことが必要でございますので、いま大臣が申されましたように、まだそういう意味においてはできたというわけにはいかぬと思いますが、少なくともドラプディングが私の手元を離れつつあるという状況でございます。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、まだ三木総理の手にも届いていないということですね。大臣の手にも届いていないということですね。
  24. 稻葉修

    稻葉国務大臣 口頭で概要報告は受けておりますけれども、まだ次官のところへ行っておって、私のところに来て決裁をするという段取りにまではなっていない。したがって、草案はできていない、こう申し上げたわけです。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、明日、三木総理の手に渡されるわけですか。
  26. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはどうなるかわかりませんね。中間報告は、法務大臣のする中間報告ですからね。(「政府と違うのか」と呼ぶ者あり)中間報告法務大臣責任においてすべきものだと思います。それが政府中間報告、こうなるわけでしょう。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私がこの中間報告性格を聞いたのは、実はその辺とかかわりがあるのでありまして、つまり、これは法務当局あるいは司法当局を預かっておられる法務大臣責任においてなさるわけであって、内閣の責仕においてなさるわけじゃないんでしょう。
  28. 稻葉修

    稻葉国務大臣 法務大臣がその所管の事項、重大事件について中間報告をする、それが法務大臣きりで内閣責任がない、そんなことはありません。それは内閣責任にもなります。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの点について、私は官房長官がお見えになってからもう少し詰めたい点があるわけであります。
  30. 田中伊三次

    田中委員長 官房長官は十一時に参ります。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、概要、どういう、項目にわたって報告がまとめられつつあるわけですか。
  32. 安原美穂

    安原政府委員 この報告書をつくるに当たりましては、法務大臣にあらかじめ基本ラインにつきまして御了承を得ておりますし、監督権を有せられる総理からも一応の考え方を聞いておりますが、まだ、先ほど申し上げておりますように、確定はいたしておらない段階でございますので、恐らくはこうなるであろうということで申し上げますと、第一に、従来の国内捜査経過、それから結果の一般的な概要、それから日米両国間の協力の問題、資料の入手、嘱託尋問の問題、それから児玉ルートを中心とした今後の捜査見通しというようなこと、あるいはその他のルート捜査の結果の概要というようなことに触れるつもりでおりますし、なお、捜査当局報告ではございますが、議長裁定趣旨を尊重して御協力を申し上げるという目的にも沿い得るように、全日空丸紅ルート関係捜査結果につきましては、ロッキード関係の資金を受領したが刑事責任を追及できない者について、大分前に民社党の河村委員質問に対し答えましたように、それをできるだけ類型別に分けるというようなことも報告内容にしたいというふうに、私どもドラプディングでは考えた次第でございます。
  33. 田中伊三次

    田中委員長 局長、十五日の発表には書いたものをくれるんでしょうね。どうですか。印刷物で出すわけですね。
  34. 安原美穂

    安原政府委員 そのつもりでおります。
  35. 田中伊三次

    田中委員長 ありがとう。  それで、官房長官見えました。どうぞ。
  36. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま官房長官がお見えになる前に、十五日に予定されておる中間報告というものの性格議論したわけです。  それで、性格としては、捜査当局としての捜査中間報告だ、こういうことであります。この捜査当局中間報告に対して、政府は正式のコメントをなさいますか。
  37. 井出一太郎

    井出国務大臣 すでに法務大臣ともやりとりをなさったことかと思いますが、政府は、それにつけ加えて特に申し上げるというふうにはいま考えておりません。しかし、法務当局がなされます中間報告は、政府責任においてなされることはもとよりでございます。
  38. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このロッキード疑獄は、たとえばオランダあるいは西ドイツあるいはイタリア、そしてカナダ、全部出ておるわけですね。それぞれの国の取り扱いも、ここに私は表にして持っておるわけです。たとえばオランダの場合は一応終了した。その際に、オランダは三人委員会というものをことしの二月九日につくって、その三人委員会の手によって、三月二十九日にアメリカとのいわゆる司法取り決めをやって、そして解明をやって、その三人委員会がきちんと政府報告をした、つまり調査機関がですね。そしてそれを受けて政府は、この八月の三十日に下院に対して、この報告に対する政府意見書を出しているわけです。これが私は本当のあり方だと思う。捜査当局捜査概要発表した、政府がそれについて黙っておるというのは、一体何をやっているんだ。つまり、政府としての見解はあるはずです、その報告を受けて。われわれも見解がある。政府としても見解があろうと思います。だから、やはりオランダがやっておるように、この中間報告が文章できちんとなされたら、その中間報告に対する政府意見書政府見解というものを明確にされる必要がある、このように思いますが、どうでしょうか。
  39. 稻葉修

    稻葉国務大臣 法務大臣のいたします中間報告は、それは検察庁警察国税、それらの捜査当局報告を受けて、そうしてそれを法務大臣として見て、そうして国会法務大臣として報告するのですから、その場合の法務大臣捜査当局の代弁というだけではないんですね。国務大臣としてもあるわけですから、それは政府見解と受け取っていいんでないでしょうか。  しかし、いまオランダの例を挙げられましたから、オランダ例等について詳しく知っておると思われる刑事局長からも補足させてから、また質問してください。済みません。
  40. 安原美穂

    安原政府委員 楢崎委員の御指摘のとおり、オランダは三人委員会というものが、オランダ関係のいわゆるロッキード事件調査をやる使命を持って、そしてわが国法務当局のようにアメリカ司法省資料の交換につきまして秘密取り扱いのもとに協定を結んで調査をいたしました結果、その使命でありますように、いま御指摘のように、調査の結果が終了いたしましたので、それを政府報告をしたということでございます。そして政府はそれをどうしたかということにつきましては、聞くところによりますと、それを国会に提出したということでございまして、その政府が提出するに当たっては、取り決めは三人委員会政府に提出するという関係資料を使っているということになっておったのを、政府がさらにその判断国会に出すということは取り決めの外の問題であるので、その資料取り扱いについては、協定とは別個アメリカ政府当局オランダ政府当局とが交渉して、それを国会に提出してよろしいという同意を得たというように聞いております。
  41. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その経過は私も知っておるのです。実は私がお伺いしておるのは、先ほどから性格を問題にしたのはそこなんでありまして、捜査当局中間捜査報告ならば事実関係が主になっていると思いますね。それを受けて政府は、一体その報告に対してどのような見解を持つかという、やはり責任ある意見書等オランダのように国会に対して添付される必要がある。そうでしょう。そうすると、いまの稻葉大臣お話だと、捜査当局の事実関係報告稻葉法務大臣としての見解が加えられるんですか。どうなんですか。
  42. 稻葉修

    稻葉国務大臣 法務省事務当局刑事局長、それから検察庁、これから次官のところで、いろいろ警察、それから国税外務省、そういうものと連絡をとって報告書内容をセットすると言っていますね。それを持って私のところに来ますね。そしてその結果、ただそういう事実の羅列みたいなことでやれば、それはあれだけれども、それに政府見解も加わると私は思うんだ。そうすれば、それは内閣責任においていたす国会に対する報告、こういうふうになるんじゃないでしょうか。
  43. 田中伊三次

    田中委員長 法務大臣、事実の報告に加えて、その報告の中に政府意見も入っておる、こういう御意向ですね。
  44. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そういうことです。
  45. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それはちょっと違うんじゃないですか。その報告を受けて政府としてはどのような見解を持つかとか……
  46. 安原美穂

    安原政府委員 楢崎委員に念のために申し上げたい事実の問題でございますが、オランダの三人委員会というのは、これは政府機関とは一応独立した、政府とは別の機関でございまして、それが調査権を与えられて調査した結果を政府報告したものでございまするから、政府別個機関でございますから、コメントをしたのではないかというふうに事務的には考えられるわけです。  この場合、わが検察当局法務当局は、まさに政府の一部でございまするから、オランダの三人委員会について政府コメントしたからといって、法務当局報告コメントをしなければならないという対比関係にはないということを一応申し上げさしていただきたいと思います。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの刑事局長の御答弁は、ちょっと逸脱しているのじゃないでしょうか。そんなことを刑事局長がおっしゃる、非常に守備範囲を厳守される局長にしては、ちょっと越えた答弁じゃないでしょうか。
  48. 安原美穂

    安原政府委員 ややそういうきらいがないではありませんが、事実といたしまして、オランダの三人委員会政府機関とは別である。別であるから一ここからは推測でございますが、別であるから、政府報告を受けたものをコメントしたのではないか、という限度のことでとどめさしていただきます。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もう一度官房長官にお尋ねしますが、そうすると、十五日に報告される報告内容は、つまり政府としての意見も加わっておる、見解も加わっておる、そういうことを確認してよろしゅうございますか。
  50. 井出一太郎

    井出国務大臣 しばしば総理が申し上げておりますように、全容が明らかになりました上は、総理みずからロッキード事件を振り返って総理の御報告ということがなされるように承知をしておりますが、今回は、事件もまだ捜査進行中でございますし、とりあえず、いままでの判明いたしました部分についての中間報告ということでございまして、これは特に別個コメントをいま用意しておるというのではございませんが、法務大臣の御報告の中には、これはもう政府を代表してでございますから、その報告は単なる事実の羅列ということのみでなく、まあ、それに対する考え方もその中に包含しての報告がなされるのではないか。私、まだそれを拝見しておらぬものですから、いまの考えはどうかと言われれば、その程度に申し上げておく次第であります。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 長官、もし、そういう政府としてのその捜査当局報告に対する意見なり見解が含まれてなかったら、別にコメントしますか。あなたはまだわからないとおっしゃっていますが、恐らく含まれているものと思うという前提のもとになされておりますけれども
  52. 稻葉修

    稻葉国務大臣 官房長官にお聞きになっているのに私が答えるのもまことに無礼ですが、お許しいただきます。  わかりやすく言えば、私は、それはただ捜査結果の羅列だけではないと思いますよ。たとえば、児玉ルート解明がこういうようにおくれているのははなはだ遺憾であるなどということが報告の中に入っているとすれば、それは政府見解で、検察当局はこんなに一生懸命になってやっているのに法務大臣はよけいなことを言わぬでもいいというようなことかもしれませんね。けれども、そういうような点、やはり法務大臣として国会に対して言うべきことは、言わなければならぬと思うことは、入れて報告するつもりですから、そういうのは法務大臣見解、すなわち政府見解が入る、こういうように思っていただけるのじゃないでしょうか。
  53. 田中伊三次

    田中委員長 関連して、横路君。
  54. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょっとそこがどうも法務大臣、理解してないようなんで、オランダのこの三人委員会報告と、それを受けた政府の措置という形で公表されている内容があるわけですね。     〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 そうすると、このオランダのベルンハルト殿下に百十万ドルの金がロッキード社から支払われたのではないかという疑惑が最初持たれて、調べていったらそれが事実だった。したがって、これに対してどういう措置をとるか。たとえば刑事訴追はしないとか、そのかわり彼がいままで持ってきた一連のいろいろな疑惑を行使し得るような権限を、全部これはやめてもらう、そういう地位を。そういうような措置がこの事件公表として行われているわけです。先ほどの刑事局長の話ですと、中間報告は、事実を中心として、それぞれのルートごとに話があるようでありますけれども、問題は、一応終わったと言われているエアバス関係捜査について、たとえば行政上どういうような問題点があったのかというようなことも、この報告の中に含まれるのかどうかという点が一つなわけです。行政上こういうような点があって、この辺のところが問題だというような、刑事捜査の過程の中で出てきた点もその報告の中に入るのか。それはまた別で、一応事実だけ、こういうことで、この辺のところにお金が使われたという形で行政がねじ曲げられていったというような程度なのか、その辺のところはどうなのかということだろうと思うのですよ。これはどうなんですか。
  55. 稻葉修

    稻葉国務大臣 楢崎さんと横路孝弘さんのお聞きになることは意思統一されていますな。     〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 横路孝弘

    ○横路委員 冗談じゃないよ。されていますよ。失礼なことを言わないで質問に答えてください。それはどうなんですか。
  57. 稻葉修

    稻葉国務大臣 あなた、また別なことだと困るから、答えようがあるから。(横路委員「答えようがあるなんて、質問に答えればいいんだ」と呼ぶ)かしこまりました。失礼しました。  私はまだあれを見ていませんから、いまおっしゃったように、行政機構のこういう点に問題がある、許認可事項がたくさんあって、それだからこんな問題を起こすとか、今回はそんなような政府見解を入れるのではないと思いますね。あなた、オランダのこと詳しいようですけれども、私は余り詳しくないです。したがって、答弁、満足いくかどうかわからぬけれども、向こうは調査が全部終わっているのです。こっちは、全日空ルート丸紅ルートは終わったと言いながら、山脈でございますから、これはやはり第三の児玉ルートにも関連をいたしますので、こっちがまだ終わってない段階で、いま横路さんのおっしゃったような見解までもこの段階で加えるということが適当であるかどうかについては、疑問を持ちます。
  58. 横路孝弘

    ○横路委員 それだったら、つまり総理大臣官房長官相談する意味がどういうところにあるのかという疑問を私は持つわけですよ。確かに、公表する範囲というものは、今日きわめて政治的な微妙な問題も絡まっていますから、それは捜査当局の自主的な判断ではできないという点はわかりというところで内閣責任を持ってやるということで、あなたは法務大臣として、官房長官総理大臣相談しているのじゃないですか。違いますか。事実をいろいろ総理大臣と取捨選択しているわけですか。
  59. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私もそう思いますけれども総理大臣官房長官も、それから皆さんも国会としても、全部捜査が終わっていないとは言いながら、丸紅全日空ルートが終わって中間報告をするということは、これだけ国民の関心を集めた問題の中間報告ですから、政治的に非常に重大な意味があるというふうに私は思うのです。政治的に相当重大な問題だ。ですから、捜査当局捜査の結果、これからの見込みはそれとして、あなた方がこれから政治的道義的責任の追及に便ならしむるためにも役立ち得るものでなければ、議長裁定にも違反することだから、そういう点で、私も総理とも官房長官とも相談しなければいかぬ問題でないか。五党首会談で議長裁定を受け取って、これは各党を拘束するわけですから、そういう問題の政治的道義的責任の追及の主役たるロッキード調査特委員会報告するのは、そういう意味で政治的にも重大だと考えて、相談はしております。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、私どもの真相解明というのは、単なる贈収賄事件として狭くとらえるのではなしに、一体地下ルートで金がどのように流れ、そしてすでに終わったというエアバスに関して言ってもそうですけれどもわが国の航空政策がその金の流れによってどのような影響を受けて、どのように変えられていったかというプロセス、その結果どういう決定が最終的になされたか、そういうことが解明されなくては解明にならぬのです。私がさっきから中間報告性格を聞いているのは、そこだったんですよ。単なる事実の羅列であるかというのを聞いたのは、そこなんですよ。それでは何もならぬと言っては失礼ですけれども、真相解明にはならないわけです、ただ単にだれからだれに金が渡った、それだけじゃ。その金が渡ったことによって、どういうふうに政策が変えられていったか、あるいは曲げられていったか、どういう影響を受けたか、結果としてどういうものが生まれたか、そこまで解明するのが真の解明になる。そういう点については、政府見解というものが当然入ってこなければいけない。だから、私は、その中間報告内容について、その辺をくどくやっているのです。  そうすると、いまのようなそういうプロセス——その地下の金の流れによって政策がどのように変えられ、あるいは影響を受け、曲げられていったか、そして結局こうなったのだというプロセスの解明は、あさっての中間報告には含まれないのですか。
  61. 稻葉修

    稻葉国務大臣 あさっての中間報告をすれば皆わかることですから、中間報告をする前に、中間報告内容の細かい点をとらえて、それもやります、これもやります、それはやりませんなんて言うのは、それはどうなんでしょう。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大臣、私はそういうプロセスの一々でなくて、そこまで私は言ってないのです。後で聞こうと思いますけれども。そういう政策変更のプロセス、その金の流れによってどう変わっていったか、それが含まれますかと、非常に単純なことを聞いている。
  63. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは、私の中間報告をした後、また意味不明な点について、ここはどういうんだ、ここはどういうんだというプロセスで明らかにさるべき問題ではないでしょうか。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 わかりました。それならば、十五日の中間報告は、最高責任者である三木総理も一緒におって、そしてその中間報告について直ちに問題点を明らかにする必要があると思いますが、委員長、どうですか、それは。
  65. 田中伊三次

    田中委員長 よろしいでしょうね。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当然のことでしょう。
  67. 田中伊三次

    田中委員長 総理出席を願うように交渉をいたしましょう。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、ちょっと細かく入りますけれども、金の流れは報告の中に含まれますね。
  69. 稻葉修

    稻葉国務大臣 出入りともに、流れ、入り——流れでいたしますな。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その関係者の人数を公表されると言いますけれども、どういう類型でその数を分類して報告されるのですか。
  71. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはまだ確定をしておりません段階ですから、いま申し上げられません。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ、類型別報告されることは、そうなっているのですね。
  73. 稻葉修

    稻葉国務大臣 パターンというか類型というか、類型でしょう。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 幾つぐらいの類型に分けられるのですか。
  75. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは幾つに分ける、そういう——どうでしょうか、政治的道義的責任の追及はどういうものか、灰色とは何か、その類型、基準、それらを決められるのはそちらですから、そちらがお決めになるに役立つように最大限の類型別をして申し上げます。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのまた報告の中に、この部分はまだ未解明であるという、未解明部分の総括も含まれますか。
  77. 稻葉修

    稻葉国務大臣 刑事局長答弁させます。
  78. 安原美穂

    安原政府委員 ちょっと、未解明というのはどういうことでしょうか。
  79. 楢崎弥之助

    楢崎委員 捜査当局でまだこういう点が解明されずに残っているという……
  80. 安原美穂

    安原政府委員 まだ報告書の中身が確定したわけでもございませんし、検察当局とも最終的に打ち合わせをしなければならない段階でございますので、詳しいことは申し上げかねますけれども、要するに、今日までの捜査経過と結果ということになりますると、未解明部分がこのルートについてはあるとかいうようなことも当然触れることになろうと思います。
  81. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほど概要の中で、たとえば児玉ルートはまだ未解明であるというようなことも含まれるということはおっしゃいましたね。それで、私どもから言わせますと、何々ルート、何々ルート解明ということは捜査当局のぺースであって、われわれ立法府としては、たとえばPXL関係が完全に欠落しているわけですね。これは一体どうなのか。どこまで解明が進んでおるか。それで、これから先はまだ進んでないんだというような、PXL関係のものもたとえば含まれますか。
  82. 安原美穂

    安原政府委員 中間報告でございますから、まだ捜査半ばでございますので、あくまでも将来の捜査影響あるいは裁判に対する影響ということを考慮しながら、最大限に実態の報告をするという基本的な態度でおります。
  83. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ、その解明が終わったというエアバス関係にまずしぼってお伺いしてみましょう。  まず、まだ解明がわれわれの手で十分なされていない、捜査当局答弁を聞いてもわからないというのは、たとえば田中総理に渡された五億円のその後の金の流れは一体どうなっておるのか。しかも、この五億円が果たしてトライスター関係だけの分であったのかどうか、こういう点も未解明です。  それから、このエアバスの売り込み合戦でこういう汚職の問題は単にロッキード社だけであったのかどうか。たとえば、あのときボーイングそれからダグラス、三社とも程度の差はあれ同じようなことをやっておったとわれわれは見ておるわけです。だから日航が747SRを入れた、あるいはその後またDC10を入れた、東亜航空はDC9を入れた。一体その辺の状態はどうなっておるのか。  なお詳しく言えば、DC10のオプションは全日空だけがしておったということに一応はいまなっておるけれども、当委員会で問題にしたように、同じころ日航もやっておったのではないか、オプションを。  それから、四十七年の十月二十四日、田中・若杉会談が行われておりますね、亡くなられた三井物産社長。この会談の意味はどうであったのか、中身は。この会談のあらわれた結果を見てみると、つまりDC10売り込みが中止されたわけでしょう、その時点で。そして今度は日航はボーイング747SRを入れて——だから果たしてボーイングからの献金はなかったのかどうか、これも問題のあるところでしょう。  それから、さっき申し上げたとおり、日本航空はジャンボを入れた後に四十八年の十二月二十八日にダグラス社に対してDC10−40の型を六機発注していますね。そして四十九年の六月に正式の契約をしておる。で、そのうち四機がこの七月から就航していますね。その経緯は一体どうなっておったのか。  それから、東亜国内航空にしてもそうでしょう。DC9を採用するについてやっぱり疑惑がある。当委員会で明らかにしたとおりです。これは大体727を購入するようになっておった。これが四十八年の一月に突如としてDC9十四機をダグラス社から購入するように変わってきた。一体この経緯に問題はなかったかどうか。だから、ダグラス社も政治献金に関係がなかったかどうかというのも非常に疑問として残りますよ。  こういうエアバスに関する限り見ても、われわれがこの委員会でいろいろ問題を出して疑問を呈した、疑惑のあるところを出した、そういう点についての解明が今度の中間報告で行われておるのかどうかも問題ですが、どうですか、その辺は。エアバスに限ってだけでもいいのですよ、捜査が一応終わったという。
  84. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いま楢崎さんがおっしゃったような、そういう詳しいことについて捜査当局からすべてをあれしてやるということになると、私、声が続かないな。とても長くなって、それは。そういう細かいことは、私の中間報告をお聞きになって、御満足がいかなければ御質問になって、そうしてあれでしょう、これはこうなっていますということで、第三の児玉ルート解明に、捜査の支障のない限り最善の御報告をするということでないと、余り中間報告というものがだらだら長くなるのも考え物だと思っております。
  85. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ、ちょっと一言だけお聞きしますが、アメリカのいわゆるチャーチ委員会の中で、アーサー・ヤングの会計事務所のフィンドレー氏の証書がありますね。その中に、献金が「日本政府の高官(複数)とロッキードの航空機を買った、あるいは買うはずの日本の航空会社(複数)の代表者の双方に支払われたのですね。」とチャーチ委員長が聞いて、それに対してフィンドレー氏は「はい、そうです。」、こう答えている。この一言をまず取り上げてみましょうか。「航空会社(複数)」になっている。全日空だけじゃないのです。この点の解明はできていますか。これはアメリカのチャーチ委員会の証言なんです。この点の解明はできていますか。
  86. 安原美穂

    安原政府委員 これは中間報告のことをおっしゃっているのでしょうか、捜査の中身をお聞きでしょうか。どちらでございますか。
  87. 楢崎弥之助

    楢崎委員 まず捜査の中身について。
  88. 安原美穂

    安原政府委員 捜査の中身につきましては、そういう報告は受けておりません。ただ、ロッキード社から入りました金の流れを究明した捜査当局経過、結果を、将来の公判あるいは捜査影響ない限りにおいて最大限御報告を申し上げますという基本方針でございます。  なお、先ほどからお聞きしておりますと、私どものいわゆる検察の枠を越えたような事柄もございますので、その点についてはもとより触れるわけにはまいりません。
  89. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が冒頭からいわゆる中間報告性格を問題にしたのはそこなんですよ。だから、政府なり立法府としては、こういう点の解明がなくてはこれは解明にならぬのですね。そうでしょう。いま聞かれたとおりです。たとえば私が言ったような疑問点は含まれていないと言うのだから、それに対して政府はどう思うかと私は聞きたいところなんです。それならば、三木内閣としてはどういう見解を持つのか聞きたいと思うのです。  そこで、時間の関係もありますけれども中間報告を政的がやる。そうすると——これはあさっての中間報告を聞いてみないとわかりませんよ、残された児玉ルートあるいはPXLの解明がいつの時点に終わるかわからない。そうすると、中間報告を受けて、このわが特別委員会として今度は委員会としてのこれまでの総括をやる必要があるのじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。その点、委員長の御見解を聞いておきたいと思います。
  90. 田中伊三次

    田中委員長 そのときの事情によってそういうことが起こるかもしれませんね。そのときは善処をしたいと思います。
  91. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このロッキード事件解明のためにわが国会は衆参にロッキード特別委員会というものを設けているのですから、このロッキード特別委員会委員会としての総括を、中間報告が出るのですから、それを受けて国会報告する義務があると私は思うのです。特別委員会は委託を受けているのですから。そのときの情勢というのはどういうことなんですか。
  92. 田中伊三次

    田中委員長 これは、委員会に対して政府から報告があれば、その報告内容国会に——国会の本会議ですね、本会議報告をする必要があろうかと思いますが、その点の取り扱いについては、すべて理事会で御相談を申し上げたいと思います。
  93. 楢崎弥之助

    楢崎委員 重要な懸案事項だと私は思うわけです。  それで、いま申し上げたとおり、トライスターあるいはエアバスに関してだけでもわれわれはずいぶん疑問の点が残っておることをひとつ頭に入れておいていただきたいと思うのです。それがいまの御答弁では、十五日の中間報告には含まれないという印象を受けるわけですけれども、その点も問題であろうと思うのであります。  では、残されておる今度は児玉ルートについて御報告があるそうですけれども、たとえば一つ聞いてみますが、コーチャン氏は四十七年の八月二十二日に児玉譽士夫から小佐野賢治氏抱き込みのために五億円必要だと言われておるわけですね。それを了承しているわけです。そして、これは四十四年六月一日付の児玉譽士夫とロッキード社との契約、つまり市場開発コンサルタント契約修正一号の中にこの五億円は巧みに組み込まれていますという証言をしているわけですね。一体、ではこの五億というのは、児玉譽士夫の未解明部分の金の流れ十七億のうちに成功報酬が十二億二千万ほどありますけれども、たとえばその中に含まれておるのかどうか、そして果たしてこれは小佐野氏に渡されたのかどうか、その辺の解明はまずできておるかどうかだけお聞きします。
  94. 稻葉修

    稻葉国務大臣 御質問になっておられる内容は、児玉ルート捜査の大事な段階で、できていますとかできていませんとか、そんなこと私から言えるわけないじゃないですか。刑事局長もですよ。それは無理じゃないでしょうか。
  95. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が言っている意味は、大臣、たとえばこういう点はチャーチ委員会の中ではっきりしているわけですね。公表されている事実です。たとえば児玉ルート解明はまだ終わっていない、どういう点が終わっていないか、たとえばこういう点がまだ終わっておりませんというような形で中間報告の中に含まれるのですか。それとも、ただ一言、児玉ルートはまだ終わっておりません、残念です、それだけなんですか、児玉ルートについては。その辺をお伺いしたいわけなんですね。児玉ルートがまだ解明されない、残念であると言うが、その解明されないという、どの程度まで報告に含まれるわけなんですか。
  96. 安原美穂

    安原政府委員 いま御指摘のような事柄が検察当局の関心事であることは当然ではございますが、要するに、そういうことが解明できたかどうかなどということは、今日また将来における捜査に支障のあることでございますので、先ほど来たびたび申し上げておりますように、今日それから将来にわたる捜査と公訴の維持に影響のない限りにおいてその御説明、御報告を申し上げたいということで、今回、いまのところは御了承いただきたいと思います。
  97. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大体輪郭がわかりました。ということは、まだ解明されずに残されておる幾つかの疑惑がありますよ。中曾根氏との関係の問題もある。あるいは大韓航空へのトライスター売り込みについての児玉譽士夫とロッキード社の契約があるのですが、それは一体どうなっておるかとか、あるいは証人で呼んだシグ・片山氏あるいは鬼氏、こういった人たち、亡くなられた福田太郎氏等の役割りはどういうことであったのかとか、あるいはCIAとの絡みとか、あるいはニクソン金脈とこのロッキード事件のかかわり合いは一体どうであったのか、そういった点が当委員会で疑惑としてすでに出されておるわけですね。そういう点の解明が完全に残っておる。これを私は指摘をしておきたいと思うのですよ。  そこで、時間がほとんどなくなりましたが、官房長官にお尋ねしておきますけれども、きのう宇都宮徳馬代議士が議員の辞職をされましたね。どのように三木内閣は受けとめておられますか。
  98. 井出一太郎

    井出国務大臣 当委員会で私からお答えする性質のものかどうか、その点、私もまだ宇都宮氏に会ってもおりませんし、真意を確かめたいとは思っておりますけれども、いまここでお答えをするのはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
  99. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまも不規則発言がありますとおり、三木総理も会っておられるという話ですね。この宇都宮代議士の辞職の弁でございますけれども、重要な点に触れられておるのです。たとえば「もしも汚職捜査を韓国、東南アジア等に広げるならば、すべての派閥に幅広く波及し“黒・灰色高官”の数は激増するでしょう。」あるいはまた「ロッキード事件解明は派閥次元の政争と取引の手段に堕落してしまい」さらにまた「政治の腐敗は、口先で国民をごまかすことをもって巧妙な政治技術とする風潮を生んでいます」このくだりはまさに三木総理大臣に対する批判であろうと私は思う。三木総理も、こう言っては何ですけれども、いわゆる派閥の長老である、その側近の中からこういう意見が出ておる。ということは、かねてから社会党を初め野党全部が、三木総理はこのロッキード事件を政権延命に使っておるのではないかというような批判・あるいはその真相解明について後退しておるのではないかというような批判を、まさにその三木総理の側近の宇都宮氏が指摘しておるということは重要な意味がある、私はこのように思うわけです。この点はその指摘だけにとどめておきます。  あと一点だけお伺いしておきますが、米側の例の資料公開問題ですけれども、これはきのう参議院でも論議が行われたようです。十月八日に言明をしたという司法省のケンプという人は、司法省の刑事局長の確認を得た上でなさっているわけですね。その刑事局長というのは、例の日米捜査取り決めの片一方の署名者でしょう。だから、これはケンプ・スポークスマンの言明について確認をとられておりますか。長官、それだけちょっと聞いておきます。
  100. 井出一太郎

    井出国務大臣 照会中ではございますけれども、まだ最終確認はとりつけておりません。
  101. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これも怠慢なんですね。重要な問題ですよ。われわれはあの日米捜査取り決めが行われたときに、これはだめだ、日米両政府によるロッキード隠しという批判をほとんど各党がしていますよ。そして再協議というものを要求しました。それができるというんでしょう。大げさな交渉をしなくても、捜査当局だけのちょっとした話し合いでできるというんですから、これほどのチャンスはないでしょう。だから、三木総理大臣のあのフォード大統領あての親書をもう一遍ここでかみしめる必要があるんですよ。こう言っていますよ、三木親書では。「その関係者の名前が明らかにされずこの事件がうやむやに葬られることは、かえって日本の民主政治の致命傷になりかねないとの憂いがいまの日本に広まりつつあります。私もその憂いをともにする。すべての関係資料を明らかにすることの方が日本の政治のためにも、ひいては長い将来にわたる日米関係のためにもよいと考える」まさにチャンスではありませんか、三木総理の願いの。いいと言うんだから。これで動かないとしたらこれは詐欺ですよ、フォード大統領に対して、あるいは米国司法省に対する。国民に対してもそうでしょう。だから、宇都宮さんがおっしゃったとおり、まさにそこを言っているんでしょう。そうなるじゃありませんか。「口先で国民をごまかすことをもって巧妙な政治技術とする風潮を生んでおる」まさに当てはまるじゃありませんか。だから、これは私はきちんとしてもらいたいと思います。長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  102. 井出一太郎

    井出国務大臣 宇都宮さんのお言葉をお引きになりましたが、これはこれとして、総理が親書に表現をいたしました考え方は、これはそのとおり変わっておらないわけであります。したがいまして、いま御指摘アメリカ側へは目下照会中でございまして、どういう返事が返ってまいりますか。これは日本の新聞に伝えられた論調も必ずしも統一したものでない、まちまちなものが感ぜられまするし、それから、向こうの当事者が必ずしも統一的に答えておらないようでございまして、そのあたりを目下きちんと解明をいたしたい、それを待ち受けておるわけであります。
  103. 楢崎弥之助

    楢崎委員 委員長、これは国会決議もこれあり、当委員会としてもこの点について議長にやはり要求をして、立法府の責任者としての議長が行政府にこの再話し合いについて、資料提供についての努力をやるように、私は国会決議のたてまえから言っても議長が三木内閣に言うべきだと思います。こういう意見を付しまして、以下、この種の事件の再発防止に関しての関連質問を松浦君にお許しをいただきたいと思います。
  104. 田中伊三次

    田中委員長 松浦君の御質問前に、関連して田中武夫君。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 一言だけはっきりとさせておきたいと思うのです。  先ほど来、十五日のいわゆる中間報告内容が論議せられております。端的に申し上げますが、その内容検察当局の取り調べというか捜査、それを検察側からやるということだけなのか、それに対して法務大臣意見が加わるのかどうか、あるいは内閣としての意見が加わるのかどうか、その報告法務大臣責任においてなされるのかどうか、あるいは三木内閣政府責任においてなされるべきであろうと思うのですが、その点どうか。もしそうであるとするならば、閣議に諮るべきだと思いますが、その点どうか。さらにまた、先ほど楢崎委員も申し述べましたが、当委員会は、政府からそういう報告を受けたら、それに対する必要な質問は十分やらしてもらうために総理の出席を確保する、と同時に、当委員会は、その報告及び質問の上に立って国民に報告する、すなわち本会議報告する必要があると思う。その点については、委員長、これだけの関係者からの御答弁をお願いします。
  106. 田中伊三次

    田中委員長 まず委員長から答弁を先にいたします。  お説のとおりであろうと存じます。重要なる法務大臣報告に対しては、この報告が本会議で行われるのでなしに、わが委員会で行われるということになれば、この委員会がその概要を本会議報告しなければならぬ、こう考えます。  それから、内閣総理大臣の御出席に関しては、慣例によりまして、委員長みずから国会対策委員長を通じて直接に交渉をいたします。実現するように苦心をいたします。  以上です。
  107. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私に対する質問は、検察当局捜査の結果、それから、これからの見通し等について、ただそれだけを述べるのか、法務大臣としての見解が加わるのかということ。  全然加わらぬわけでもないし、一々検察当局経過報告に対し価値判断をして報告をするということもいたしませんし、そういうことでございます。     〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
  108. 井出一太郎

    井出国務大臣 法務大臣からお答えしたとおりでございますが、先ほども申し上げましたように、これは政府責任を持った上での中間報告、かように御了承願います。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、政府報告と受け取っていいんですね、政府責任において。ならば、内閣として閣議における発表とか、閣議にかけて相談するということはあるんですか、ないんですか。
  110. 井出一太郎

    井出国務大臣 その報告書を実はまだ私も見ておらず、これからの問題でございますが、どういうふうに扱いますかはともかく、政府がこれは責任をとって中間報告を申し上げる、こういうことにいたしたい。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 やめますが、結局は中間報告を聞いた上でやります。
  112. 松永光

    ○松永委員長代理 次に、松浦利尚君。
  113. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、いま楢崎委員中間報告をめぐる問題に関連をいたしまして、再発防止関係政府の姿勢についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  まず、法務大臣にお尋ねをしておきますが、このロッキード事件がチャーチ委員会で二月五日暴露されなかった場合のことを考えてみますと、日本の法律体系の中では、網にかからなかった。極端に言うと、アメリカのチャーチ委員会がなければ、今度のロッキード事件は国内においては不問に付せられておったかもしれないですね。法務大臣として、国務大臣でありますから、当然捜査を厳しくして、その背景、犯罪捜査等を行うのはこれは当然でありますけれども、一体どこに法の不備があるのか、なぜアメリカのチャーチ委員会では暴露されたものが、わが国で事前にチェックできなかったのか。そういう点について、法体系のどこに問題があるというふうに法務大臣はお考えになりますか。その点をひとつ。捜査でお忙しかったでしょうけれども、実際にはそういうことの方が結果としてはより国民にとっては重要な問題でありますから、どういう点に問題があるのか、その点をひとつ法務大臣としてのお考えを聞かしてください。
  114. 稻葉修

    稻葉国務大臣 御質問の点はまことに重大なことであります。お尋ねでありますから、私の所見を申し上げておきたいと思います。  時の権力者によって行われるこの種の犯罪事件は、その端緒を得ることが非常にむずかしいんです。また、その捜査関係人の協力を得ることもむずかしいことはお認め願えると思うのですが、検察当局はその真相を究明する上で克服しなければならない多くの障害が存するようでございます。それは御指摘のとおりです。しかしながら、法治国家において、法秩序の維持を責務とする法務検察当局にとって、この種の事件を外国の端緒によって初めてなし得るのであって、そうでなければ拱手傍観せざるを得ないなどということでは、断じてあっちゃいかぬと思うのでございまして、今後、検察当局のこの種事件に対する捜査処理体制の確立と機構の充実強化のために万全の処置をとってまいりたいと思っております。
  115. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 言葉では非常に簡単なんです。言われることはそのとおりだと思うのですが、実際にアメリカで仮にこのことが出なければ日本では出てこないわけですね。結果的にこれは事件になっておらなかったはずなんです、わからなかったんですから。そうすれば、どこかに法律的な不備があるんだろう。そういうものを事前にキャッチするためにはどういう処置があってしかるべきかというふうに法務大臣はお考えになっておりますか。そのことをひとつ具体的に聞かしてください。
  116. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いまの段階で具体的にこうした方がいい、ああした方がいいという私見を申し上げるだけの力はありません。それだけの力はありませんが、よく連絡をとってこういうことにならないように——まあ、あなたのおっしゃるとおり、アメリカのチャーチ委員会のああいう材料が出てこなければ、表に出なかったんではないかという、そういう心配はどうも公平に言って私も持ちますな。ですから、そこをどう直すべきかは重大な問題で、すぐ質問されたから、あっと言って、こういうわけのものではない。
  117. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私がなぜこれを言うかというと、これは非常に大切なことなんです。ところが、ややもすると解明——解明することも重要ですが、再発を防ぐためにはどこに問題があるのかということをはっきりしておかないと、たまたま、これは極端な言い方をすると、ロッキード事件は暴露をされたかもしれぬけれども、いま不規則発言があったように、日韓の問題も底辺にくすぶっておるかもしれない。インドネシアの問題もぶつぶつしておるかもしれない。現に、宇都宮さんは議員を辞職されたわけですけれども、そういう点を私たちは法務大臣としても当然閣議に対して提言があってしかるべきだ、こういうふうに思うがゆえにお尋ねをしておるのです。そういうことは法務大臣としてお答えできないということですから、これ以上はお聞きをしても無理ですから、具体的にこれからお尋ねをします。  運輸省にお尋ねをしておきますが、きょうは運輸大臣が非常に体を悪くされて御出席がありませんので、航空局長にお尋ねをしておきますが、今度のロッキード事件が起こったために総点検本部なるものを運輸省は置かれて、あらゆる運輸行政の中の許認可その他の問題点をチェックなさった。ところが、このロッキード事件というのは、法務当局の方は、検察当局の方はすでにある程度山を越して中間報告をするという段階に来たという御報告。ということになれば、運輸省自体も今度のロッキード事件に絡む運輸行政の中でどこに問題があったのか。それは海運行政、陸運行政、たくさんあるでしょうけれども、焦点をしぼって、今回の航空行政のロッキード事件を生み出す問題点は行政の中のどこにあったのか、その点のチェックはもうすでに終わっておると思うのですが、その点についてどういう結果が出たのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  118. 山上孝史

    ○山上政府委員 今回の事件に関連いたしまして、航空行政を含む運輸行政に対する疑惑を招くような事態が生じましたことはまことに遺憾でございます。  運輸省におきましては、今後再びこのような事態が発生しないような責任ある行政体制を運輸行政の全般につきまして確立するために、去る八月の二十五日に省内に運輸行政総点検本部を設置いたしまして、運輸行政全般の総点検を実施しております。  この総点検事項というのは四つあります。まず第一は、許認可行政の合理化であります。第二は、行政の意思決定の公正さを保障するための行政手続、第三は、事務処理体制の改善、第四に、職員個々人の行動が部外からいささかも疑惑を招くことのないような措置、この四点について総点検を行っております。  このうち事務処理体制の改善、これは二番目ですが、事務処理体制の改善につきましては、すでに検討を終えまして、事務次官名で九月八日付で通達を出しております。その他の点につきましても現在すでに二十数回会議を開きまして検討中であり、結論が出次第その都度具体化をしてまいりたいと存じております。
  119. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 航空行政の中で具体的にどこに問題があったかということの点検、チェックは終わっておらぬのですか。今度のロッキード事件というものが運輸行政を通じて問題になってこの委員会のお世話になったわけだけれども、具体的にどこに問題があったかということは、もう結論は出ておるのでしょう。一般論としてじゃなくて、航空局としてはここに問題があったということを航空局長答弁いただくといいと思うのです、航空局内部の問題ですから。
  120. 山上孝史

    ○山上政府委員 いまもお答えいたしましたが、行政事務処理体制の改善につきましては、すでに九月の八日で示達をいたしました。  と申しますのは、今回の事件で航空行政の中でいわゆる行政指導につきまして疑惑を招くような事態になったことは事実でございますので、この点につきまして改善するためにはどうしたらよろしいかということを総点検本部で検討いたしまして、その結果を具体的な通達で指示したわけでございます。  内容といたしましては、行政指導でその事案が重要であると認められるときにおきましては、その処理の都度、または一連の事務処理の終結の際、決裁文書を作成する。と申しますのは、従来、行政指導につきましては、これは各省を通じてのことでもございますが、許認可のように決裁文書で権限庁まで決裁をとり、これを保存するという処理をしておりませんでした。それを、許認可と同様に決裁文書でもって処理をする。こうなりますと、後々で、たとえば何か問題があったという場合に、どのような人がこれを見ましても、決裁文書を見ればその意味するところが明確になり、また責任がはっきりするわけでございます。このような決裁文書をもって重要な行政指導は処理するということを指示いたしました。  それから、なお、発簡形式によらないこのような行政指導につきまして、これを外部に表明する場合に、その伝達を行った者、それからそれを受けた者、これも決裁文書に明確にするということをはっきり事務次官通達でもって処理をした次第でございます。
  121. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、決裁文書によって行政指導するというのは一つの前進ではあるけれども、それだけでは問題の本質は解決していかないと思うのですね。そのことはまた改めて議論をしてまいります。  時間がありませんから、さらに今度は通産省、大臣に来ていただきたかったのですが、きょうは産業政策局長においでいただいたのですが、商社がこれほど巨大化しておるにかかわらず、日本の商社も多国籍企業化しておるにかかわらず、通産省で扱うのが産業政策課という一つの課にすぎない。産業政策課という課で、極端な言い方をすると、この辺のスーパーとか百貨店を扱う同じ課でこの巨大化、マンモス化した多国籍企業というものを扱っておるわけですね。私はこれではこれからの商社活動のチェックというのは通産省はおぼつかないと思うのですね。もう時間がありませんから質問だけ全部しますが、こういう問題について通産省の方は具体的にチェックをしたことがあるのかないのかが第一点です。  それから、第二点の問題は、今度の政府との癒着あるいは政府高官との癒着というのは、結局、商社が相手国と取引をする場合に開発銀行なり輸銀の融資を受ける、その融資を受ける者に便宜を与えてもらうためのそういった工作というようなものが、やはり背景で商社と政府高官あるいは高級官僚との間にあるということになれば、これはここをきちっとしなければならぬという問題があると思うのですね。こういう問題についてどういうふうにチェックをしておったのか。  それから、三番目の問題は、御承知のように、このロッキード事件アメリカから起こったのですけれども、いま安宅産業と伊藤忠との合併問題で動いておりますけれども、この安宅産業の経理状況というのも、御承知のように、安宅アメリカ、この安宅アメリカをチェックしておるアメリカの会計事務所から、カナダヘの石油関係の過剰投資、これを指摘されて日本の本国が揺れ動いたんですね。この前、商法の改正をいたしましたけれども、少なくともわが国の企業における監査制度のあり方、これをやはりアメリカのシステムのように、直接企業側に結びつけるのではなくて、経営から独立した監査というものが行われるべきだ。そういう点について、あなたの方は通産省としてチェックをなさっておるかどうか。  もう一つの経過は、御承知のように、昨年の三十回国連総会で多国籍企業にかかわる決議が採択されましたね。それに伴って、ことしの六月二十一日に、国際投資及び多国籍企業に関する宣言が国連で採択されました。これを受けて、通産省の方は具体的にどのように対処しようとしておられるのか。  その四点について、もう時間がありませんから、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  122. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいまの四点につきましてお答え申します。  まず第一点の、通産省の事務処理体制あるいは私どもの任務でございます仕事の配分の問題でございますが、先生御指摘のように、私ども一応、商一般ということで、私の局は多国籍企業問題を中心とした、あるいは商社全体のいわば取りまとめの局になっておりますが、ただ、いわゆる多国籍企業あるいは大商社と当省の行政との接点というのはいろいろのところにございまして、第一には、主として通商、輸出入の関係で当省の行政とのつながりがございます。これは通商政策局、貿易局にそれぞれ担当がございますし、それから、個々の物資につきまして問題が起こりますときには、たとえば鉄の問題でございますれば基礎産業局がそれぞれ所管するようになっておりまして、私どものところは、いわばそれの総括あるいは調整ということで仕事の取りまとめをやっておる、こういうかっこうになっております。  ただ、先生御指摘のように、最近こういう多国籍企業問題というものが非常に大きな問題となってまいりましたので、私といたしましては、いまの私の局の事務処理体制を、調整、総合という問題ではございますけれども、これをさらに強化していきたいということ、強化をすることによって、全体の省内の調整、総合ももっと円滑に進めていこう、こういうふうに考えております。  それから二番目の、輸銀ないしは開銀という、いわば政策金融の窓口と商社との問題でございますが、この点につきましては、私ども、個々の案件の処理につきましては輸銀なり開銀のいわば自主性のもとにやっておりまして、われわれはどういう案件、どういう政策目的に合うプロジェクトと申しますか、政策の重点をどこに置くかというようなことにつきまして、私ども、大蔵省を初め関係各省と相談の上それを決めますが、個々の案件につきましては、それぞれの政策金融担当の金融機関のいわば自主的な判断に任せておるわけでありまして、その面で私どもとの特別な、いわば御指摘のような癒着関係は万々ないものと私どもは信じておりますし、また、そういうふうに行政を運用していかなければならない、かように考えております。  それから三番目の監査制度の問題でございますが、私も申しわけございませんが詳細は存じませんが、先生御指摘のように、安宅の問題、NRCへの融資問題がアメリカの公認会計士の指摘によって起こったと私も聞いております。それで、確かに、日本のいまの会社制度の中で、いわゆる監査と監査役の制度というものが、アメリカ等に比べまして大変、何と申しますか、独立性が非常に薄かったということは私は事実だと思いますが、昭和四十九年でございますか、改正によりまして、いわば監査制度につきましてその独立性の保障とか、あるいは権限の強化ということが行われまして、今後日本の会社等が国際的な流れの中で、ますますそういう経営と監査の面との独立関係というのが進む方向がとられるのではないかと私は思いますが、これは会社制度全般にわたりました基本的な問題になりますので、私どもといたしましては、恐らく法務省が法制審議会の場等でこれから御検討になる問題ではないかと思いますし、その段階で、私ども通産事務当局といたしましても、私ども考え等もまとめながら御連絡をしていきたい、こういうふうに考えております。  それから、最後の四番目の、QECDの六月二十一日の決議でございますが、通産省といたしましては、この決議を受けまして、七月の上旬から、国内の関係団体約五十でございますが、このOECD決議の内容を全部通達をいたしまして、遵守方協力要請をいたしました。同時に、前々から、国内に来ておりますいわゆる多国籍企業と申しますか、これについてのいろいろ調査、活動の実態の把握に私ども努めておりますが、今後はさらにこの実態調査等の強化を図りまして、このOECD決議の遵守の状況等も、来年度の予算等においてさらに強化することを実現したい、こういうふうに考えております。
  123. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 駆け足で大変恐縮ですが、公正取引委員会が「国際機関における制限的商慣行をめぐる議論について」これを受けて独禁懇六二の二の内容で、OECDあるいはUNCTADあるいは経済社会理事会、こういったところの討論を受けて、「OECD多国籍企業ガイドラインとわが国独禁法の関係規定」というので、対比した資料を出しておられるのですが、率直に申し上げて、この国連決議を受け、あるいはこういった国際関係機関のいろいろな討論を経て、わが国の独禁法の運用によってこういった指摘されたもろもろの問題は解決するというふうに思っておられるのか、それとも、こういった事件を防止するためには、さらに厳しい現在の独禁法の運用の強化ももちろんだが、法律そのものの、法体系の整備というものもある程度必要になってくるのか、そういう点についての見解をひとつ事務局長の方からお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
  124. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいま御質問ございました、OECDその他国際機関におきますいろいろな多国籍企業の規制の仕方についての検討の方向、内容、こういうものと対比をいたしまして、わが国の独禁法が果たして現在の内容で十分にその規制の効果を発揮できるかどうかということでございますが、私ども、たとえばこの六月のOECDの多国籍企業についてのガイドライン、あの中の競争制限の項目に該当します事項をずっと当たってみますと、現在のわが国の独禁法で十分にこれに対応していくことができる、こういうふうに考えております。ただ、先般の独禁法改正問題の際に、公正取引委員会でたとえば商社の株式保有のあり方というようなものにつきまして御指摘を申し上げましたけれども、現在の独禁法が十全のものであるというところまで申し上げるわけにはまいりませんが、多国籍企業の規制ということについて現在のわが国の独禁法が対応していけるだけの内容を持っておるということは申し上げることができると思います。
  125. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま各省庁の一応の見解をちょっと承ったわけですが、官房長官、この問題は非常に大切なことだと私は思うのです。国民が期待をしておるのは、今度のロッキード事件を明確に解明してもらいたい、徹底的に究明してもらいたい、灰色高官も徹底的に国会のこの場で政治的道義的責任を追及してもらいたいという要望の裏側には、もう二度と再びこういう事件を起こしては困りますぞという国民の要望があると思うのですね。ところが、いまの御答弁をずっと聞いておりますと、それに伴う対応策というのはほとんど形式的にとられておるだけで、基本的にどういう方向でこれの再発を防止するかということについてのお考えというのは、それぞれのセクションで一部分の発想はありますけれども、基本的な内閣としての姿勢というのはないと思うのです。先ほど中間報告の問題をめぐって楢崎委員がしつこく質問をしたのは、司法当局経過報告はただ犯罪捜査に伴う手続その他の経過についての報告だけだ、それじゃ、その再発防止にかかわる問題についてどうするのかという具体的な三木内閣国会に対する報告はどうなるのかということは含まれておらぬじゃないか、内閣報告とするならば、その点も明確にしてもらいたい、こういう意見の開陳だったと思うのです。  そこで、官房長L官にお尋ねをしますが、三木内閣としては、少なくとも重要なもろもろについては、経済閣僚懇談会とか労働問題閣僚懇談会とか、そういうふうにいろいろなものをすぐつくるのです。ところが、今度のロッキード問題にかかわるものについては、再発防止、言葉は悪いですが、再発防止関係閣僚懇談会とかなんとかいうのをつくったという話は一遍も聞かないですね。そういう問題について三木内閣は重大な手落ちをしておる。片一方だけ進めて、再発防止にかかわるものについては積極的でない。いままで捜査そのもので忙しかったと言えばそれまでですけれども、この際、三木内閣としてこういうものについての再発防止にかかわる姿勢、そしてそれにどう対応するのか、いつまでに結論を出して国民の前に明らかにしてもらえるのか、そういう点について官房長官から明確にお答えをいただいて、もう時間だそうですから、終わります。
  126. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま松浦さんからるる仰せられましたこと、私も全く同感でございます。  当面、ロッキード問題の真相解明、これを徹底的に究明しなければならぬ、こういうことに事実追われてまいったことはおっしゃるとおりでありますが、ロッキード問題閣僚協というものは存置しておること、御承知のとおりであります。そこで、この大きな教訓を踏まえまして、いかにしてこういうことを未然に防ぐか、これでなければ画竜点睛を欠くことになると思うのでございます。  そこで、さて具体的にどうするかという問題でございますが、いま各行政庁からそれぞれの立場をお聞きただしに相なりましたが、これはやはり内閣で統一をしなければならぬ問題でございましょう。そういう点でいま問題点の整理はしております。そして、これからどういう手順でこれをやるかというあたりを研究しておるのでございますが、諸外国にもたとえば北欧のオンブズマンの制度とかいろいろ参考にしなければならぬもの、これがまたわが国の国情にすぐマッチするかどうかという問題の研究もしなければなりませんが、目下のところは、内閣の官房の中でそういう諸問題を取り上げて、まずアウトラインをつくり上げる、その上で具体的な方策に臨みたい、こういうつもりで鋭意やっておるところでございまして、これがなくては片手落ちになることは当然でございますから、そういう点をわきまえて、今後なるべく早く具体化を急ぎたい、こう思っております。
  127. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あと一つ。  官房長官、われわれこの委員会はそういう問題についても具体的な提起をすべき委員会でもあると思うのですね。そういう提起をした場合には受け入れてくれますか、政府の方は。
  128. 井出一太郎

    井出国務大臣 すでに各党の中でそういうふうな案をお示しになったものもちょうだいしております。ましてや権威ある当委員会からそういうお示しがありまする場合は、重要な参考題材にいたしたい、こう思っております。
  129. 松永光

    ○松永委員長代理 午後一時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  130. 松永光

    ○松永委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  三浦久君。
  131. 三浦久

    ○三浦委員 私は、まず最初に資料公開の問題についてお尋ねをいたします。  十月九日に、アメリカ司法当局のスポークスマンが、日本側司法当局の要請があれば資料公開についても考慮する、そういう言明があったということなんです。このことから、にわかに資料公表問題が論議をされるようになったわけですけれども外務省はこの問題についていま確認の作業をしているということですが、いつ、どういう方法で確認の作業をして、その結論はどうなったのか、お尋ねいたしたいと思います。
  132. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 九日の報道等で、アメリカ司法省のスポークスマンが資料公表問題について再協議する用意があるということが報道されまして、直ちに外務省としましては関係省とも協議の上、在米大使館に対して、そのスポークスマンの言明の正確な内容について照会することを訓令いたしました。  現在まで判明しているところを申し上げますと、アメリカ司法当局としては次のように申しております。  アメリカ側としては、捜査完了以前に日本側より米側関係資料国会を含む第三者へ開示するための協議を要請されても、米側捜査の妨げとなるおそれがあること及び関係者の人権への配慮等の理由から、関係資料の第三者への開示に同意することは著しく困難であるということが、照会の結果、現在まで判明したところでございます。
  133. 三浦久

    ○三浦委員 法務大臣にお尋ねしますが、法務大臣は昨日の参議院のロッキード問題調査特委員会で、わが党の橋本議員の質問に答えて、そういう可能性があれば直ちに協議をする、こういうことをおっしゃっておられましたね。それは間違いありませんか。
  134. 稻葉修

    稻葉国務大臣 捜査が終了した暁に——フォード大統領の返事がありますから、それにはいろいろな理由を挙げて秘密にしてくれとなっている、その理由が意味がなくなったときには可能性がある、こういうことで申し上げました。
  135. 三浦久

    ○三浦委員 アメリカ司法当局のスポークスマンからそういう話がありまして、それで日本があわてていろいろと確認の手続をしたということなんですけれども、私はこの資料公表問題というのは非常に重大な問題だと思うのです。これで国会が非常にもめたときもありましたからね。この問題について相手待ち、アメリカがいいと言えば協議をしましょう、いやだと言ったら協議はいたしません、そういうような態度ではなくて、日本の国の政府自身がどういう態度をとるのかということが非常に重要な問題だと思うのです。  私はなぜこのことを強調しなければならないかと言うと、事件の真相の解明ということは、法務大臣もたびたび言われた。そのことは、アメリカ当局と日本の政府当局だけが真相がわかったということではまだ足りないと思うのです。やはり国民には知る権利があるわけですから、国民全般が事件の真相がわかるような状態になって初めて事件の真相の解明ができたのだということが言えるんだと思うのですが、この点は法務大臣、どういうふうにお考えですか。
  136. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはこちらの立場から言えば、児玉ルートについては刑事責任があるものはこれ、こういうことが解明できれば、法務検察当局としては事態解明ができた、こう申していいと思います。
  137. 三浦久

    ○三浦委員 警察とか検察庁当局としてということではなくて、政府としてはどうかということなんです。  たとえば田中総理と橋本登美三郎氏とそれから佐藤孝行氏がいま逮捕されていますね、いわゆる国会議員としては。そうすると、それだけで、事件の真相の解明はこれだけなんですというわけにはいかないと思うのですね、政府としては。やはりそのために政府としては政治的道義的責任の追及というようなことで、たくさんの人々を公表していくということも考えていらっしゃるわけでしょう。そうであれば、国民の知る権利との関係で、事件の真相の解明政府としてなされたということのためには、国民がその事件の真相について知り得る状態になって初めて事件の真相の解明がなされたというふうに言えるのではないか、こういうふうに聞いているのです。
  138. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ロッキード事件の全貌ということですね。全貌という中には、単に、刑事責任を追及された者はこれでございます。あとは知りませんというのでは、またこういう事件を繰り返すおそれもこれあり、昼前のあれにも関係しますが、やはり法務検察当局政治的道義的責任を追及される国会権限を尊重し、それに協力をすべき立場にある。政府はどうかというと、そういう国会の信頼の上になければならぬ政府ですから、議院内閣制の政府ですから、その国会政治的道義的責任の追及に協力をしていくことは当然で、そして刑事責任はこれこれここまで、政治的道義的責任国会がお決めになってこれこれと、こうやって政府国会と両々相まって事件の全貌について国民の知る権利にこたえる、こういう姿勢でございましょうな。
  139. 三浦久

    ○三浦委員 国会内閣との任務分担の問題はまた後で議論さしていただきますけれども、私がいま確認したいのは、国民の側から見れば、結局、政府当局とかアメリカ当局とか、また国会秘密会になって、国会議員だけが事件の真相を知っておる、しかし国民は全然わからないというような状態では、真相が解明されたということは言えないんじゃないかということを申し上げたかったわけですが、それと同じような答弁が出ましたので、私はその問題はそれでいいと思います。  とすれば、このアメリカ資料ですね。これをやはり政府としても可能な限り国民の前に知らせていく、そういう努力をしなければならないと私は思うのです。いま問題になっておるアメリカ司法当局のスポークスマンの言明が本当だったのか間違っていたのかとか、そういうことも当然やらなければならないし、そしてまた、スポークスマンの言明が真実であれば、もちろん公表のための協議に入らなければならないことは当然ですけれども、いま外務省お話のように、どうも渋っておるというようなことが確認されたというわけですね。そういう時点でもやはり私は、これだけ事態推移して丸紅全日空捜査が完了したというふうに言われているわけですから、少なくとも丸紅全日空に関連をするアメリカ側の資料というのは公表するという方向でアメリカと協議をしていくという必要があるんじゃないかと思うのです。そういうことをおやりになるお考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  140. 稻葉修

    稻葉国務大臣 わかりやすく申しますと、いまはやる意思はありません。いまはですよ。全日空丸紅ルート刑事責任の追及は終わったという段階でも、政治責任、道義責任はどうなるのか、これから国会がおやりになるわけですから、それに対して内部的に御協力は申し上げますけれども、それらの資料を全部この段階で政府公表するというわけにはいかないのです、司法取り決めもこれあり。ですから、両方ともこの捜査が終わって、オランダみたいに捜査が終わって、そして協議に入るということは、国民の知る権利にこたえていく上において協議に入って、なるべく知らしてあげるということは民主政治のいい点でしょうな。民をして知らしむべし、よらしむべからずという根本精神でございますからな。
  141. 三浦久

    ○三浦委員 いま法務大臣は、捜査が完了した時点ではアメリカと協議に入って、そして資料公表の問題についても検討する、こういうお話ですね。そうすると、もう全日空丸紅関係捜査というのは終了しているわけでしょう。これはもう何回も言明されているとおりですね。だから中間報告をしようということなんですから。そうすれば、全日空丸紅関係についてそのアメリカ側の資料公表する。まあ児玉、小佐野ルートに関連をするとかいろいろそれはありましょう。では、それは除いてでも、少なくとも丸紅全日空オンリーの資料、そういうものについては公表するためにアメリカと再交渉する、こういうことは当然あってしかるべきだと思うのですが、いかがでございましょう。
  142. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そういうわけにいかないのですよ。それは総理の親書に対するフォード大統領の返事には、理由を挙げて、こうこうこういう理由があるから秘密にしてくれ、人権とか捜査の−日米双方で捜査しているわけですから、こっちだけが捜査しているんじゃないんですよ。向こうでもロッキード社とかいろいろなことを捜査しているのです、こういうことが起こらないように。それが終了するまでは、やはり個人人権にも関することであると同時に、捜査がうまくいかない、うまくいかなければ、国民の本当の知る権利には、うやむやになってこたえられない。こういうことになって、知らせるのが親切であるがごときだけれども、あだになって本当の究明はできなくて知らされなかった、こういう結果になってはいかぬから、この捜査終了の段階までは、そういうことは秘密に、内密なることを条件として資料を上げますとこうなっているのですから、そのフォード大統領の挙げている理由が意味がなくなったという段階、捜査が終了して両方ともこれでよしというときになって初めて、この点は意味はないから、こっちの一方的な判断で、これは意味なくなったんだからもう解除。条件解除されたから公表するということだけでは、ちょっとアメリカに対してもぐあい悪いから、こういうことを公表しますがどうですかと、こういう通告をして、ああ、ようござんすよ、ということになった方がいいように思いますな。
  143. 三浦久

    ○三浦委員 ですから、確かにフォード大統領の返書に拘束されますね。それからまた、日米司法取り決めにもいま政府は拘束をされているわけであります。われわれはそのこと自体が不当だと思っておりますけれども、しかし、政府自身はそれに拘束される。だから、その拘束を解くために、どうなんだ、おまえさんの方の捜査はどうなっているんだとか、こっちは公表したいがよろしゅうございますかとかいうようなことで、どんどん協議の申し入れをするべきだと思うのですよ。それで政府自身が協議をして向こうが断ってくるというのであれば、それはわれわれとしても仕方がないという感じを持ちますが、政府自身がそういう協議すらしないというような態度を持っているのでは、私どもちょっと納得がいかないわけなんですね。
  144. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは納得しないのが悪いんで、それはそうですよ。それは、こっちがいまこの段階で公表しますよなんという協議に入ることは間違っていると私、思っているのです。いまは鋭意捜査をして、そうしてあの高い険しい児玉山も皆明らかにしてやろうとしておる途中で、これに関連のある山脈ですからな、丸紅といえども全日空といえども。そういうものの刑事責任を追及しない不起訴の者までも、向こうの資料に載ってますからこうでございます。そんなことの交渉に入ったら、捜査に熱心でない者のすることだ、それは。
  145. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、法務大臣、いまの御答弁は、日本の捜査の支障上それはできないのだ、日本政府としては公表したいがということでアメリカ側に申し入れることはできないのだ、こういうお話ですね。さっきの答弁では、アメリカの方の捜査が終わっていないので、アメリカの方の捜査が終わるまでは公表してくれるなとアメリカが言うから公表できないのだ、こういうお話だったのでしょう。そうじゃないのですか。
  146. 稻葉修

    稻葉国務大臣 一時に両方の捜査が終わった段階では、フォード大統領の返書に書いてある秘密、その理由はこうだ、その理由がなくなったときにはこれは解除されるのじゃなかろうかと判断をして、一方的に公表してもいいようなものだけれども、その解釈が間違っているといかぬから、こういう理由で秘密にせいというこれこれの理由は、もう捜査が両方とも終わりましたからどうでございましょうというくらいの断りは言うてから、日米合意の上、公表されるのが国際的な礼儀でもあるし、そういうこともあるいは将来は可能かとも思いますけれども、現在は、捜査をやっているのにそれに支障になるような公表の交渉をする意思は全然ありません。そしてその方が正しいと私らは思っている。
  147. 三浦久

    ○三浦委員 捜査の途中だからということを言われましたけれども丸紅全日空関係捜査は終了したわけでしょう。ですから、一番最初に私が申し上げましたように、児玉とか小佐野ルート関係でそれとひっかかるいわゆる共通な資料といいますか、こういうものを除いてでも、丸紅全日空オンリーの資料、こういうものは公表できるのじゃありませんか。どうなんでしょう。
  148. 稻葉修

    稻葉国務大臣 その資料の中には刑事責任を追及しない者もあるわけですね。つまり、検察感覚からいえば、法務感覚からいえば、シロという者をみずから公表するのはしない。しかし、国会政治的道義的責任を追及する場として一生懸命にそれをやれとおっしゃるから、そうしてそういう議長裁定には政府も拘束されますから、その辺は御協力を申し上げるという拘束ですよ。だから、内部的にいろいろお手伝いは申し上げますけれども、みずからの力で不起訴になった者を公表する、そういう資料にあるからといってそんなものを公表したら、それは検察の越権だな。
  149. 三浦久

    ○三浦委員 検察庁自身は、法務当局自身は自分の手元にある資料をどんなことがあっても公表しないということですが、それでは、その資料国会提供をして、そしてあと公表するかどうかは国会判断に任せる、そういうことはこの丸紅全日空に関連する資料についてはできませんか。
  150. 安原美穂

    安原政府委員 協定の解釈でございますから私から申し上げます。  いまの取り決めではそういうことはできません。
  151. 三浦久

    ○三浦委員 私が言っているのは、協定の解釈を聞いているのじゃないのです。そういうように国会提供をするためにアメリカと再交渉すべきではないか、いかがなんですかということを聞いている。政治的な判断を聞いているわけなんです。それはいまの司法取り決め捜査当局の中でしかお互いにやりとりできないことになっているわけですから、われわれはそれは不当だということでいま質問しているわけなんです。どうでしょう。
  152. 安原美穂

    安原政府委員 取り決めによって入手いたしましても、一たん検察当局の手中に入りますと、それは訴訟に関する書類でございまするから、四十七条の適用も受けるわけでございます。
  153. 三浦久

    ○三浦委員 法務大臣、私がお聞きしている内容はおわかりだと思うのですけれども丸紅全日空ルート捜査が終わった、だからこの関係資料国会提供してほしいとわれわれ思っているわけなんです。アメリカから提供された資料ですね。国会提供するためには、日米司法取り決めがありますから、これについての再交渉をしなければならないと思うのですが、そういうすでに捜査の終わった関係資料について国会にそれを提供する、そのための交渉をアメリカとする意思はあるのかないのかということであります。
  154. 稻葉修

    稻葉国務大臣 時期尚早である。
  155. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、私は国会決議の趣旨に反すると思うのです。ことしの二月の二十三日でしょうか、国会で、この衆参両院で決議が行われたわけですけれども、それには三つの柱があって、一つは、真相の解明は徹底的かつ迅速に行われなければならない。二番目は、政府高官名を含む一切の未公開資料提供を求めるということですね。そうして、これは当然国会に対して提供されるものだというふうになっております。このことは御確認いただけますか。国会決議の内容は、国会アメリカ資料提供してほしいという内容である、このことは確認できますね。
  156. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはいいです。そのとおりだから、事実だから、そうですね。
  157. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、国会の決議というのは、やはり時の政府が尊重しなければならない問題ですね。それで何十日間か国会の審議がとまったというそういう経緯もあるわけですから。そうすると、いま丸紅全日空ルート捜査が一応終了したという段階でその関係資料国会提供する、国会決議に基づいて提供する、そういうことは当然なさらなければならないし、それをなすことが最高機関である国会に対する責務であるというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  158. 稻葉修

    稻葉国務大臣 二月二十三日のそういう国会決議、それを尊重しないなどという政府があってたまるものじゃない。だから、大いに尊重して総理大臣は親書をやったのです。そうしたら、アメリカの大統領から返事が来て、捜査に妨げになったりしちゃ真相の究明にお互いに困るから、それから、将来刑事責任を追及されるかどうかもわからぬ不確定な、捜査の結果シロになるような人の名前もあらかじめ発表するというようなことは大変に人権の侵害にもなるから、そういうことのないようにするためには秘密取り扱いにしてもらいたい、こういうことを言うてきた。それを見て合理性があると政府判断をして、そして閣議で決定して、こういう条件でもいいから捜査の便宜のためには資料をもらおうじゃないかということでその資料をもらって、捜査が進んで、丸紅全日空ルート捜査が終了した、こういうことになったのですね。そこで、アメリカ資料そのものをこの際もういいじゃないか、こういうわけには直ちにはいかないのです。国会の決議を尊重することは尊重して一生懸命にやったのです。やった結果、アメリカからそういう条件がついてきて、その条件でもいいからもらおうじゃないかといってもらって捜査をしておいて、ああ目的達したからアメリカ資料を出す、こういう不信義なことはやっぱりいけないのじゃないでしょうか。どうでしょう。
  159. 三浦久

    ○三浦委員 私はだから、司法取り決めをそのままにしておいて資料国会提供しなさいというような乱暴なことを言っているのじゃありませんよ。私が言うのは、いまもう丸紅全日空ルート捜査が終わっているのだから、その関係オンリー、それにだけ関係する資料については国会提供したいという態度を政府が持ち、そのためにアメリカといろいろ折衝をなさるべきではないかというふうにお尋ねしているわけですよ。
  160. 稻葉修

    稻葉国務大臣 一応聞こえはいいですけれども、そういうわけにはまいりません。そして、あなたがそう言われるのは、要するに、国会政治的道義的責任の追及の権限を円滑に行使する便宜のために役立つから求められるのですから、それだけの役立つ資料提供は日本の捜査当局の持っている資料で、アメリカ資料の余りでなくても、こっちの捜査の結果の資料で十分に御協力申し上げ得るのではないか、あなたの目的は達せられるのではないかと思うものですから、いまこの段階でアメリカ資料公表するぞという再交渉はする意思はございませんのです。
  161. 三浦久

    ○三浦委員 ですから、それが私は国会決議の趣旨に反しているんじゃないかと思うのですよ。いま法務大臣も言われたように、この国会の決議というのは、アメリカ資料を日本の国会提供してほしいということでしょう。そうすると、そのために政府は努力をするというのは当然なことですね。いろんないきさつがあって秘密扱いになりましたけれども、しかし、いまの時点では、捜査の支障というのは丸紅全日空関係についてはなくなっているから、そういう事態を踏まえて再交渉すべきだと私は言っているわけですね。そうすると、たとえばこの国会の決議を受けて出された三木親書、これは午前中もちょっと指摘がありましたけれども、この中では「私は、関係者の氏名があれば、それを含めてすべての関係資料を明らかにすることの方が日本の政治のためにも、ひいては長い将来にわたる日米関係のためにもよいと考える」、こういうように言われているわけですね。これは捜査が終わってからだとか、それから、いや裁判が終わってからだとかいうようなことじゃなくて、これは文章全体を見れば、いま直ちに提供してもらい公表することがやはりいいことなんだという趣旨なんですね。それはどういうふうに御判断されますか。
  162. 稻葉修

    稻葉国務大臣 その親書をお出しになるとき、わしもそういうことを聞いたんです。これは政治的な意味でそうお書きになるのはいいかもしれませんけれども総理、幾ら何でも捜査資料を、捜査の真っ初めから全部国会に出して、公開捜査みたいなことをやるわけにはまいりませんぞ、こう申しましたら、そんなことは捜査のイロハじゃありませんか、だからそんなことは当然ですよ。こういう考えでお出しになっている親書ですよ。そういうことなんです。だから、そんなことは、捜査資料公開なんというつもりで全部やっているんじゃないんです。それはだから、そういう点については総理大臣の説明の言葉が足りなかったということはあるけれども、真意はそういうことです。
  163. 三浦久

    ○三浦委員 三木さんの親書を法務大臣が勝手に恣意的に解釈されているんじゃないかという疑いを持つんですが、そうじゃないですか。(稻葉国務大臣「話し合ったんだから」と呼ぶ)そうですか。そうしますと、「私は、関係者の氏名があれば、それを含めてすべての関係資料を明らかにすることの方が日本の政治のためにもよろしい」、こういうように言われているのは、どういう条件がついているんですか。
  164. 稻葉修

    稻葉国務大臣 真相究明、すなわち捜査に支障のない限り、捜査に妨げない限り、そんなことは捜査のイロハ、常識ですよ、こう言われたのを私は覚えている。
  165. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、なぜそういうふうに書かなかったんでしょうか。それは稻葉法務大臣自身も相談にあずかった、こういうふうに言われるわけですからね。それならば、私の方としてはこういう文章では納得できぬのだ、捜査に支障のない限りという前提をつけてくれ、条件をつけてくれ、なぜそういうふうにお言いになり、そしてそういうことをぴしっと書かなかったんですか。それじゃまるっきり国民をだましていることになりやしませんか。
  166. 稻葉修

    稻葉国務大臣 国民をだますようなことになっちゃいかぬから慎重にいこうじゃないですかと、こういう話はしました。けれども、これは結局アメリカから返事が来るでしょうから、そのときに明らかになるでしょうからということで、案の定アメリカからはああいう条件がついてきて、これを内閣で受け入れたということは、そういうことです。
  167. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、私はいままでの政府のいろいろな御説明と違うと思うんですね。たとえばアメリカからいろんな条件がついてきた、捜査が終了しないうちに発表したら困るとか、それから人権上困るとか、いろいろな条件がフォード親書でついてきたので、まあやむを得ない、そしてそういう秘密にするという条件がついてももらった方がいいからもらっておこう、こういうことだったと言われたんですね。ところが、もう最初からフォード返書の内容と同じ意味を持たしてこの三木親書をつくったということであれば、これは日米合作でもう最初から秘密扱いにするということになっておったということじゃありませんか。いままでの政府の説明と全然違うんじゃありませんか。そうじゃないですか。
  168. 稻葉修

    稻葉国務大臣 全然違わないです、全然違わない。私の言っているのは、捜査というものは、終了するまでは手のうちは見せないものだ、それはそうじゃいですか。そうでしょうが。それをあなた、アメリカからの資料を、捜査に妨げがあろうが何であろうが全部公開するとは書いてないんだ。できるだけ差しつかえない範囲においては公開する、こういうことだけであって、捜査に妨げがあろうが何であろうがみんな出すんですよという親書ではないことは確かです。
  169. 三浦久

    ○三浦委員 私は大変乱暴な解釈だと思うのですよ。ここには捜査に支障がない限りなんてのはどこにも書いてありません。書いてありますでしょうか。法務大臣、この親書に書いてあるのでしょうか。捜査に支障がない限り一切の関係資料公表することが好ましいと書いてありますか。
  170. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そんなことはお聞きにならなくてもわかっているじゃないですか。
  171. 三浦久

    ○三浦委員 ですから、結局国民をだましたことになるのじゃないでしょうかね。ですから、宇都宮さん自身もそういうことを言われているわけじゃないですか。口先だけで国民をだますような風潮が政治を支配するようになったとか、そういうことを言って嘆かれる。私は、もしか、いま稻葉法務大臣の三木親書についての御説明がそのとおりであるとするならば、そういう意味では三木さんは国民をだましたというふうに言ってもちっとも言い過ぎじゃないという気がしますよ。
  172. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはあなた、大間違いでね。結局、事態解明して、そうして最後に、われわれは刑事責任を追及し、こうでございます。国会政治的道義的責任を追及して、こうでございます。そういう作業が全部済んだ後に、フォード大統領の、何といいますか、秘密にするという理由がいろいろ書いてあるその理由が意味がなくなったならば、それは総理が最終段階においては全貌を国民の前に総理として明らかにしますと言うているのですから、その決着を見ないで、うそをついたとかうそをつかぬとか、そんなことをいまこの段階であげつらうのはまだ時期尚早じゃないでしょうか。結局、最後の……(発言する者あり)いや、細工は流々仕上げをごろうじろなんということを言うのじゃないけれども、まあ最後の発表を見てから、うそをついたかうそをつかないか決めてもらいたいと思いますが、これはいかがでしょうか。お互いに捜査の常識として、捜査資料を全部捜査前に開示してなんということができるわけがないということは、お互い、あなたも法律家だ、それはみな常識としてわかっていることだ。だから、そういうことで、常識でいきましょう、国民一般水準の常識で。
  173. 三浦久

    ○三浦委員 だから、私は法務大臣に、いまの時点では、繰り返しますけれども全日空丸紅関係はもう捜査が終わっているのだから、その点についてはどうなんだということをいま質問しているのですよ。そういう意味で、もう全然条件が変わってきているからいまの時点でどうなんだということを私はお聞きしているわけなんですけれども、まあ、いいでしょう、大体問題点はわかりましたから。  次にお尋ねしますが、いま法務大臣が何回も言われた灰色高官公表の問題ですね。政治的道義的責任の追及の問題でありますけれども、内田幹事長が十月の十一日に甲府市内で記者会見をいたしております。そこで灰色高官名は灰色基準国会で決まらなければ公表しない、こう言明されているんです。政府としては、この国会が灰色の基準を決めなければ公表しないということを正式に決めているんでしょうか。
  174. 稻葉修

    稻葉国務大臣 国会で決まっても法務省公表しませんね、検察当局も。それは、そういう立場にないもの。灰色なんてものを追及する役所でないもの。だから、追及する権限を持つ国会、特にロッキード調査特委員会が、これが灰色だということを決めて、決定権者が公表権者になるべきものではないかという考えです。  そこで、その基準を決めるとか、定義を決めるとかいうことを言うても、捜査がどんなふうになっているんだか材料が全然なくちゃだめじゃないかとおっしゃるから、ある程度の材料は御協力をする意味において提出いたします、それが最善協力でございますと、こう言っているんですね。こっちが公表権者でないもの。決定権者でない者が公表権者であるわけがないんだから。
  175. 三浦久

    ○三浦委員 法務大臣警察とか検察庁当局はそうでしょう。しかし、政府は違うんじゃないですか。政府という立場から言えば、独自に公表することはできるわけですね。これは刑事訴訟法四十七条のただし書きですね。もうずっと問題になっておりますけれども、公益上必要とあれば資料公表できるわけでしょう。資料公表できますね。それは公益上必要だという判断政府自身がなさるわけでしょう。国会がするわけじゃありませんね、あれは。そうすれば、政府自身がやはり公益上の判断をして公表できる、これは法制局長官も答弁しているようですけれども。ですから、政府自身は政治的道義的責任の問題については、ただ協力者であって、全然主体にはなり得ないのだというのは、私は間違っているんじゃないかと思うのです。ですから、検察庁とか警察はそうでしょう。政府としてはどうなんですか。
  176. 稻葉修

    稻葉国務大臣 四月二十一日の衆参両院議長の裁定を見ますと、政府協力者であって決定者は国会であるように思いますな、あの協定の解釈は。それが正しい解釈のように私どもは思っているんです。それが間違いだということになればまた物は相談ですが、しかし、私どもはいまの段階ではそう思っているんです、解釈を。ですから、国会が定義や範囲基準をお決めになってくだされば、刑事訴訟法四十七条に基づいて政府は、それは公表する場面はありますよ。しかし、まだそういう意味で——さっきの幹事長の談話がそういう意味で出たんじゃなかろうかと、聞いてみなければわかりませんけれども、拝察されますな。基準が決まったら、国会で決まったら、政府は四十七条の趣旨に基づいて公表できるものは公表します、こういうことで、——ありがとうございました、あなたの質問がやっとわかりましたよ。あなたの質問意味がよくわかりました。
  177. 三浦久

    ○三浦委員 ですから、国会基準を決めればそれに協力するというのは、私は当然だと思います。これは当然の義務だと思います。しかし、御承知のとおりに、国会でなかなか決まらないという状況でしょう。与党と野党との間に非常に開きがありまして、なかなか決まらない。ここ数日のうちに決まるという見通しもない。そうすると、決まるとすれば採決で決めちゃうというような、まあこれは本来採決で決めるべきようなことではないわけですけれども、強引に決着をつけるとすれば、もう採決しなければならないという、そういう事態すら予想されるわけですよ。もちろんわれわれは話し合いで決めていかなければいかぬと思っていますよ。しかし、話し合いがなかなかつかないという現状なんです。つかないという場合もあり得るわけですよ。そういう場合に、じゃ、つかない限りは政府としては拱手傍観、何もしない、四十七条のただし書きを使って、この公益上の判断をして一定の資料公表することもしないということをもう決めてしまったのかどうかということをお聞きしているんです。
  178. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それは決めてしまっておりません。いませっかく国会がこうやって一生懸命に努力しておられるのに、基準を決める話し合いがつかないことを予想してそんなことを決めるべきでもないと思いますね。ですから、その国会の話し合いのつくことを望むわけです。したがって、国会の話し合いのつくように、基準が決まるように、それに資するため、それに便宜なための資料等の提供その他最善の御協力を申し上げるということは政府は決めております。ですから、今度の中間報告で、そういうそちらのお取り上げ方が、なるほどこれは基準を決めるのに役立つなとお思いになるかもしれないし、お思いにならないかもしれないですが、私どもはそういうふうにお思いになれるような最大限の協力をいま一生懸命にしようと思ってやっているわけです。ですから、十五日の私の中間報告にそういう部分もありますから、それを見た上で、なるべく与野党話し合って基準をきちんと決めて、さあ、刑事訴訟法四十七条ただし書きに基づいて政府公表せよ、こういうことになればそのときに決めるべきもので、いま話し合いがつかない努力中のことを無視して、こっちがやるんだとか、やらないんだということは決めておりません。
  179. 三浦久

    ○三浦委員 そうしますと、もう一回確認しますけれども国会で話し合いがつかなければ一切公表はしないという態度を決めているわけじゃないわけですね。そうしますと、国会の話し合いがいつまでもいつまでもつかなかったときには、政府独自の判断公表することもあり得るということになると思うのですが、いかがでしょうか。そういうことはあり得るのですか。
  180. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そこまで皆さん方の努力を軽視してないんです。ですから、そういうことをやるともやらぬとも決めてないわけですね。あなた方の御努力を非常に高く期待を持って評価して、と言っちゃ語弊があるが、期待を持って見守っておる段階で、やらない場合はこっちがやるんだとか、その場合でもやらないんだとか、そんなことを決めるわけにはいかない。
  181. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、それは私はちょっと違うんじゃないか。政府としての責任をやはり自覚していないんじゃないかと思うんですね。もちろん国会基準を決められるということは一番いいことであります。しかし、国会基準が決められないということも当然考えられるわけですよ。特にもう稻葉さんはかなり長い政治歴を持っていらっしゃるわけで、与野党の対立がどういう対立なのかということはおわかりですね。そうすれば、これが簡単に話し合いのつく問題じゃないということもおわかりなんです。そうすると、最悪の場合を予想してどうするかということも、当然政府としては手を打っていかなければならないはずなんですね。政府自身が公益上の判断というものができるようになっているわけですから。ですから、するともしないとも全然決めてないんだというのは、私はちょっと無責任なやり方じゃなかろうか。先をある程度見越すことのできる法務大臣としては、ちょっと無責任発言じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  182. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私は、いま自分の口から申して恐縮ですけれども、無責任な男ではないんですよ。非常に重い責任を持っているなと思っているのです。けれども、いま政治的道義的責任の追及の場は国会だと議長が裁定されたのに、その場の結論も待たずに、その場合は仕方ないから四十七条に基づいて政府独自でやるんだとか、そんなことをあなたに質問されたからといってうかうか軽率にやることは、それこそ無責任だとさえ思っているのです。  この辺の刑訴法四十七条とかそういうことについては、私は、あなたのように刑事訴訟法学というものを余りよく知りませんから、この点はどういうふうになっているのか補足説明を……(三浦委員「いいです」と呼ぶ)いや、やらした方がいいんじゃないですか、大事な問題だから。(三浦委員「いや、まだ質問があるから」と呼ぶ)そうですか。
  183. 三浦久

    ○三浦委員 法務大臣灰色高官というのは国会議員だけじゃないのです。行政当局の中にもおるわけですよ。政務次官であるとか、それからどこかの省の事務次官であるとか、局長であるとか、灰色高官というのは行政府の中にもたくさんおるだろうというふうに一応予測されるのです。  そうしますと、国会基準をお決めにならなければ私の方はずっと様子を見ておるのですというのも、これは行政府としての責任上どういうものだろうかと私は思うのですが、いかがですか。
  184. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはおっしゃるとおりだから、したがって中間報告でいろいろなことを、けさも刑事局長が答えたようなことを報告して、あなた方のお決めになる判断の便宜のためにもお役に立ち得るという報告をしなければ責任が持てないだろうね、べろっとして拱手傍観していては悪いんだろうね、こういう気持があるわけです。
  185. 三浦久

    ○三浦委員 法務大臣、それは、中間報告は名前は出てこないわけですね。私たちは名前を公表すべきだと言っておりますけれども、名前は出てこない。  それから、中間報告でもってわれわれが基準を決めるに当たって協力しているのです、こうおっしゃるけれども、それはあくまでも協力なのですね、協力なのです。ですから、あなたたち自身がやはり、自分の中に、行政当局の中に灰色高官がおる可能性はいっぱいあるのですから、それはやはりあなたたち自身の責任であぶり出す、公表するということは、当然私はやらなければいけない問題だと思うのですよ。それでなければ、国会でもって話し合いがつくまでの間は、いつまでも行政当局の中に灰色高宮がうろちょろしておる、そういう状態が続いていくわけですよ。それでも構わないということでは、私はやはり、お言葉を返すようですけれども、無責任というそしりを免れないんじゃなかろうか、そういう感じがするのです。  それで次に、(稻葉国務大臣「感じを持たれては困るのです。」と呼ぶ)答弁ありますか。
  186. 稻葉修

    稻葉国務大臣 それはそういう感じを持たれて、そして、私が黙っていれば、感じを持たれてもしようがないと承服したようになっちゃ困りますからな。  それは、いわゆる灰色高官というものは、刑事責任は追及できなかったけれども、世間の常識上、政治的道義的責任は重大じゃないか、そういうものが行政府にもおるかもしらぬし、おらぬかもしらぬし、それはわからぬ。それを追及するのはあなた方の任務で、それをこっちがあぶり出すなんということは、それは検察当局はそんなものはあぶり出せるものじゃない。こっちは刑事責任のあるやつをあぶり出すので、道義責任、政治責任をあぶり出す役所じゃないのだからね。
  187. 三浦久

    ○三浦委員 そう言われると、私も、もう質問をやめようと思ったのだけれども、もう一つ言わなければいけなくなるのですよ。  灰色高官というのは、政治的道義的責任の追及される人々でしょう。それが自分たちの指揮監督下にある役所に巣くっておる、まだいっぱいおるかもしらぬ。それはほったらかしておくのだ、政府の方は刑事責任だ、黒い高官だけの追及でいいのだというのじゃ、これはちょっと政府の役割りを矮小化していやしませんか。警察とか検察庁という立場で言うならいいですよ。しかし、私は稻葉法務大臣には政府という立場でいまものをお尋ねしているのですから、そうであれば、行政官の中に黒いのがおれば、これはもちろんとっつかまえていかなければいけませんよ。灰色がおれば、それに対してもしかるべき処置をするのが当然でしょう。それを追及するのは国会の役目なんだからなんというのは、それは国会に過重な負担を課するものですよ。皆さんの行政府としての責任を放棄するものですよ。
  188. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そうではないのです。議長裁定に、いわゆる灰色高官というのは、いまおっしゃったように、あなたは、政治的道義的責任者、これが灰色という意味だろう、それはそのように私も、ぼさっとですけれども、常識的にそんなふうに思いますな。それの責任の追及は国会がその場だ、こう書いてある。そして政府は、事態推移を見て刑事訴訟法立法趣旨を踏まえて協力する、こういう立場なんですからね。だから、それには政府は拱手傍観していないで、ある程度資料提供とあらゆる努力をすると総理大臣の所信表明の演説にも言うているのですから、拱手傍観していますという演説はしていないのですから、協力しますと言っているのですから、そんな無責任な態度をとってはいないと思っていますな。その辺のところでもし御満足がいかなければ、専門家に答弁させますから、一度聞いてください。私のは学力不十分で、それから言葉も意を尽くせないでもどかしいから、もどかしくない人に答弁させる。
  189. 安原美穂

    安原政府委員 行政府の中のいわゆる国家公務員としての品位に欠ける、あるいは名誉を害するような行為につきましては、国家公務員法上の問題で、それを監督する各省大臣がおのずからその監督権に基づいて処理するわけでありますから、そういう意味において、政府は行政府内における高官のいわゆる国家公務員としての恥ずべき行為についての監督権は行使するわけであります。そういう意味においては何も放棄はしていないということを念のため申し上げるわけであります。
  190. 三浦久

    ○三浦委員 時間が来ておりますので、質問を終わります。
  191. 松永光

    ○松永委員長代理 次に、坂井弘一君。
  192. 坂井弘一

    ○坂井委員 あさってに中間報告が予定されているわけでありますが、政府中間報告ということで端的に伺いますけれども、この中間報告の法律上の根拠というのはどこに置いているのでしょうか。
  193. 安原美穂

    安原政府委員 私どもの解釈では、憲法六十二条から来る国政調査権の行使の仕方としての国会法百四条に基づきまして、御要請に応じて報告をするというたてまえで報告をいたすつもりでおります。
  194. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、法務大臣に伺いますが、従来、法務大臣は、この事件についてはあえて検察当局から報告を求めるようなことはしない、したがって、従来のやりとりの中での法務大臣答弁は、少なくともそれは検察当局からある種の報告を受けた、それでその内容等を勘案しながら答弁でき得る範囲内において答えてきた、こう実は理解しているわけです。今度の中間報告は、これは政府ないし法務大臣検察当局に対して報告を求めたのですね。ということは、庁法十四条にかかわる、こういうことですか。
  195. 安原美穂

    安原政府委員 まさに御指摘のとおり、検察庁法十四条本文に基づいて報告を求めたという指揮権の行使をしたわけでございます。
  196. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、安原刑事局長が先ほど答弁されましたが、今回の中間報告は、刑訴法ないし刑訴法の四十七条には何ら関係ありませんか。それには関係なくということですか。
  197. 安原美穂

    安原政府委員 法務大臣が指揮権に基づいて検察当局から報告を受ける以上は、それは検察当局の処分の捜査経過、結果についてのすべてが報告されるはずでございます。それを国会に申し上げる、報告をするという段階におきまして、法務大臣は検察を指揮監督するものとして刑訴法四十七条の趣旨に束縛されるはずでございますので、四十七条の趣旨に反しない範囲において報告が行われるものというふうに理解いたしております。
  198. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、刑訴法四十七条全文の趣旨、つまりその精神を受けて報告をする。刑訴法四十七条をこれは法律的に解釈するのではなくて、その精神あるいは趣旨、それを受けての報告である、こう解してよろしゅうございますか。
  199. 安原美穂

    安原政府委員 法制局長官も申しておりますように、四十七条の直接の名あて人と申しますか、適用を受ける者は書類の保管者でございまするから、今回の場合は検察官ということに相なるわけであります。したがいまして、法務大臣は検察官そのものではございませんので、四十七条の直接の名あて人ではない。しかしながら、およそ法治国家において法律というものは尊重しなければならないのみならず、法務大臣は検察官を指揮監督する立場におられるわけでありまするから、当然に四十七条の趣旨には束縛されなければならないという意味において、四十七条全体の趣旨に束縛されるというか、制限の範囲内において、趣旨範囲内において法務大臣報告が行われるべきは当然であるというふうに考えております。
  200. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。それはわかりましたが、そうしますと、議長裁定にあるところのいわゆる刑訴法の立法趣旨を踏まえてというのは、刑訴法四十七条ただし書きの適用を含むものであるという確認事項がありますね。今回の中間報告はただし書きの適用というようなことではなくて、いま刑事局長答弁によるならば、刑訴法四十七条全文、本文及びただし書き、その精神範囲内、非常に微妙ないい方なので、どうもすんなり入ってこないんですけれども、つまりその精神をぎりぎりまで受けてということは、ただし書きの精神も同時に含めた、そういう形での今回は中間報告である、こう理解していいんですか。
  201. 安原美穂

    安原政府委員 まだ報告書の中身が確定はいたしておらない段階でございますが、一応われわれの構想といたしましては、公訴を提起した者以外の、公訴を提起しなかった者に関する部分報告の中に入れるといたしますと、刑事訴訟法四十七条の本文は、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」という規定がございまして、その「訴訟に関する書類」とは、書類そのもののみならず、書類の中に盛られている思想といいますか、表現というものも公にすることも、「訴訟に関する書類」を公にすることだと解釈いたしますと、今度の報告は、まさに四十七条本文からいきますれば、訴訟に関する書類の中外を公判開廷前に公にすることになるということになりまするから、本文では、いけないということになります。それを今回報告するといたしますれば、まさにただし書きの「公益上の必要」があって「相当と認められる場合」ということの適用を受け、その趣旨を体して法務大臣から報告がなされるものだ、こう理解すべきものと思います。
  202. 稻葉修

    稻葉国務大臣 報告するのは私ですから、私の気持ちも申し上げますと、この中間報告で世間の人は灰色がなまで出てくるような期待があるかもしれませんけれども、いま捜査の途中で何でもかんでもばらすというわけにはまいりません。それは刑事訴訟法という法律があって、それの枠をはみ出して、人権に妨げがあろうが何であろうが知ったことじゃないというような中間報告はできません。私の中間報告は、第一に、従来の国内捜査経過及び結果の一般的概要、第二に、真相究明のため日米政府間の協力活動、とりわけ米国資料の入手及び嘱託尋問経過、第三に、いわゆる児玉ルートを中心とした今後の捜査見通し等について行うことに相なります。そうして国会におけるいわゆる灰色高官の定義、基準等の審議決定の参考にも資するため、全日空丸紅ルート関係捜査結果についても報告をどのように行うかについて現在検討中である、あさってまでには間に合わせて御報告いたします、こういうわけであります。
  203. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣、この場合に、いずれにもせよ中間報告は刑訴法四十七条の精神を受けての報告である。確かに四十七条の適用、だれが適用するかというのは、これは書類の保管者、その書類の保管者である検察からすでにその内容については法務大臣の手に渡っているわけですね。その時点、その渡った段階でも、私はやはり刑訴法四十七条の精神は受けておると思う。それを国会報告するのは、まさにこれは精神を受けての報告だろう。そういたしますと、すでに手にした法務大臣は、その時点で刑訴法全文の精神を受けまして名前も公表でき得る立場にありますね、理論的には。
  204. 安原美穂

    安原政府委員 名前を公開委員会で公にすることが、公益上の必要があって相当と認めるかどうかの判断の問題でございます。
  205. 坂井弘一

    ○坂井委員 相当と認めるかどうかの判断は、まさに法務大臣判断だろう。法務大臣判断でき得る立場にある。ありますね。その場合、名前を公表することが公益にかなうと法務大臣判断されますか、それとも、そうではないという別の判断に立たれますか。
  206. 稻葉修

    稻葉国務大臣 えらいこと、あなたはお聞きになりますな。それは判断権者は、まず第一に書類の保管者ですよ。それが持ってきた報告に差し支えないということになって載っていれば別だけれども、載ってないのにこっちが独自の判断で名前を発表するというわけにはいかぬね、それは簡単に言えば。えらいことを聞くね。
  207. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣判断できるんですよ。もちろん議論は何回も蒸し返しておりますけれども政治的道義的責任を究明するのはまさに国会です。わかります。そのつもりでやってきたんです。そこで、国会でいよいよ公表しましょう、それに先立って政府中間報告をする。重要な参考になるでしょう、結構ですよ。そこで、そうであれば国会自体が政治的道義的責任を究明するんだ、そのために公表するんだ、こういう意思なんですね。その意思には変わりはない。基準とかなんとかは別としましてもね。少なくとも中間報告する段階で、国会のそういう意思なんだからもう公表してください、結構なんですよという意思なんですから、法務大臣捜査当局検察当局から報告を受けた段階で公表してもよろしいという判断できる立場にある。あなた自身がそう判断されませんか。国会は決して、そう判断されて公表することについて、それはけしからぬとは言わぬと私は思うのです。むしろ、やってください、やって結構です、これは国会の意思でもありますから、こういうことなんです。どうでしょうか。
  208. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私、法務大臣として、稻葉修の公益上必要ありや否やの、そして相当であるや否やの判断検察当局判断と食い違うということは適当ではない。したがって、検察当局がこういう判断をいたします、その判断はおまえら間違っておる、法務大臣はこういう判断をする、だから公表する、というわけにはまいらぬのです。
  209. 坂井弘一

    ○坂井委員 というわけにまいらなければおかしいのではないかと言いたいのです。なぜかと言いますと、やはり法務大臣たびたびおっしゃるとおりだと思うのです。両院議長裁定、これは尊重したい、したいじゃなくて、しなければならぬ。両院議長裁定あるいはこの裁定に至る五党首の合意、これの重み、これを法務大臣としては十分尊重いたします、こういう立場に私は当然立たなければならぬと思うのですよ。そうですね。そうであれば、中間報告の際にも名前は公表できるのじゃないですか。それは越権でも何でもない。
  210. 稻葉修

    稻葉国務大臣 議長裁定を尊重して協力しなければならぬことは当然であります。あなたのおっしゃるとおりです。そして議長裁定には刑事訴訟法立法趣旨を踏まえなければいかぬぞ、刑事訴訟法立法趣旨を踏みはずしちゃいかぬぞということもわれわれに課せられたる義務であります。したがって、先ほど刑事局長が言うたように、刑事訴訟法、直接には四十七条の立法趣旨に拘束されるわけでございます。そういう意味において、その第一の判断者、書類保管者、それの見解法務大臣見解がそう違うというわけにはまいらない。ちょっと法律的な説明の表現でありませんけれどもね。そこで、私は公開の席上で名前をこの段階で公表するということは、刑事訴訟法四十七条の立法趣旨をも踏まえて、まだ段階としては尚早ではないかという判断をいましかかっているわけであります。(「総選挙前に公表しなければ意味がない」と呼ぶ者あり)不規則発言には答えません。
  211. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣、要するに、法律論とそれから一方、政治論といいますか、ということだろうと思うのですよ。法律論でいきますと、決まり切ったような答えにならざるを得ないですね。この際はやはり政治論、政治的な立場、これを踏まえて、そしてしかもそのことが効果論の上からいっても実効あらしめるという形、これはやはり必要じゃないか、大事じゃないか。でありませんと、議論も出ておりますように、総選挙日程がもう目の前である。このまま原則論あるいは法律輪ということにこだわっていきますと、灰色高官名公表されずじまいというような危険といいますか、心配もあるわけですね。ですから、それをどう実際効果のある形に持っていくかというところに−だから、そういう意味で私は法務大臣立場は非常に大事であろう。また、そのことは三木総理の従来しばしば言ってきたところの言葉を本当かどうか占うというか、裏づける何よりもの証拠にもなるであろう。また、そのことは賢明に国民も判断をするであろう、実はこう思っておるわけなんです。そういう意味で稻葉さんに聞いておるわけなんですね。  ちょっと議論を進めますが、そうしますと、その次の段階で、国会で定義を決めろとこうおっしゃるわけだ。たとえば定義を決めた場合、できる限り国会には協力をいたします、こういう答弁の域を出ていない。それはつまり刑訴法四十七条の範囲内においてということが常に念頭にあるから、そういう答弁だろうと思うのですが、国会で定義を決めたら、その定義に基づく資料は何もかも一切合財持ってくる、提供しますということではなさそうですね。     〔松永委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 稻葉修

    稻葉国務大臣 あなたの理論はきわめて明快です。これに文句をつける何ものも私ありません。政治論としてまさにそのとおりでございますね。ですからこそ、私ども法務当局としては、国会においていわゆる灰色高官の定義、基準の決定がなされれば、過般の議長裁定にのっとり刑事訴訟法立法趣旨を踏まえた上で、当該の定義、基準に沿う参考資料の提出、説明及び意見の陳述等、できる限りの協力を行う所存でございます。  ただし、公開の席上において名前などを具体的にひっ提げて公表を行うことは、訴訟関係人の人権保護、関連事件裁判、将来の捜査機能全体、それに対する重大な支障を及ぼすなど、刑事訴訟法立法趣旨に照らし重大な問題を含んでおるのでありまして、また検察当局が公訴を提起しない者についてなした判断と処分は、これは確定力を持っておるものではありません。そういうこともこれあり、これをそのまま名前まで公開の席で公表することは適当でなく、秘密会でお願いしたいと考えております。
  213. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、その秘密会ならば出しますというこの秘密会と刑訴法四十七条の関係はどうなりますか。
  214. 安原美穂

    安原政府委員 私どもは一応秘密会ということを考えております場合に、当然四十七条ただし書きの適用外になるとは考えておりませんで、四十七条ただし書きの場合の公益上必要があって相当と認める場合ということに——秘密会における秘密が保証されるということが前提でございますが、とすれば、秘密会氏名を、灰色高官定義が決まりました場合に、それに見合う資料として提出することは、やはり訴訟関係人以外に書類の内容を明らかにすることでございまするから、四十七条本文の適用を受けるが、ただし書きの解釈として、公益上の必要があって相当と認める場合、秘密会という手続をとってそれを開示するならば、それは公益上必要があって、かつ相当と認める場合に該当するんだという判断をいたして、秘密会ならばそういう氏名を含めて御協力ができるんじゃないかというのが大臣以下の考え方でございます。
  215. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう少し教えていただきたい。  そうしますと、秘密会ならば出しますというのは、四十七条ただし書きの法律的な適用になるのですか。それとも、ただし書きの精神を受けてということですか。
  216. 安原美穂

    安原政府委員 まさにただし書きの適用でございます。「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合」、中身を出すことと出し方との問題を総合判断して、公益性がありかつ相当であるということになるというただし書きの適用があると考えております。
  217. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうすると、単純に言いますと、秘密会というのは中間的なということですか。一方においては刑訴法全体の精神趣旨がありますね。この場に政府がもろに出すわけにいかぬ、秘密会ならば出します。この秘密会性格なり秘密会の法的な位置づけがどうもはっきりしない、わからないのですね。政府国会関係においてそういう一つの中間的な方法として秘密会を位置づけたということですか。
  218. 安原美穂

    安原政府委員 中間的というのはどういうことかちょっとよくわかりませんが、氏名を訴訟関係人以外に開示することの方法としてとり得る最大限の方法は秘密会ではないかという解釈でございまして、中間とかいうことじゃなくて、まさに公益上の必要と訴訟関係人その他の名誉、裁判に対する影響の調和点として、氏名公表の物差しに当てはめるなら、それが調和し得るぎりぎりのところが秘密会という手続ではないかという解釈でございます。
  219. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の言い方が悪かったかもわかりませんが、ただ感じとしまして、四十七条の秘密にする公益とただし書きの公にする公益ですね。この二つの公益の判断について、政府国会も五分五分の責任を負いましょうというような、中間的な考え方もそこにあるのではないかな、こういう感じが実はしたものですから、そんな聞き方をしたわけであります。あるいはそれが間違いであれば間違いと指摘していただいても結構でありますし、特に問題でなければ御答弁は結構であります。  そこで、法務大臣中間報告内容が大体固まり、そして案文もいよいよでき上がる、その段階で外務省にも問い合わせですか、相談ですか、了解ですか、というような趣旨のことをすると先ほど刑事局長が言われたわけですけれども、それは米側提供資料に少なくとも関係するからということでしょうか。
  220. 安原美穂

    安原政府委員 今回の報告考えておりますのは、いわゆるこれは検察だけでできたことではなくて、関係省庁協力のもとにできたわけでございますので、関係省庁協力の問題あるいは捜査を直接担当した警視庁なり国税庁の活動の部分も含めて報告を申し上げるということになっておりますのでそれら関係省庁と協議をする必要がある。特にいま御指摘のとおり、アメリカ側の資料提供について外務省にも関係があるということでございますし、嘱託尋問でも外交チャンネルを通じてお願いしたというようなこともございますので、黙って報告をするというのは失礼に当たるということでございます。
  221. 坂井弘一

    ○坂井委員 それは儀礼上ということですね。特に日米司法取り決めにそれなりの外務省の了解を取りつけておかなければぐあいが悪いというものじゃなくて、単に形式的に、儀礼的にという意味ですか。
  222. 安原美穂

    安原政府委員 単に儀礼ということでもなくて、やはりその内容について関係当局としての発言もあろうかと思いまして、意見を聞くということでありまして、儀礼ということでもございません。
  223. 坂井弘一

    ○坂井委員 これ以上聞いてもあれですから、あさっての報告を受けました段階でまたお聞きしたいと思います。  問題をちょっと変えますが、運輸省に来ていただいておりますので、運輸省の姿勢といいますか行政に関するあり方の問題として一点聞いておきます。  羽田空港内に全日空がトライスター用の格納庫をつくりましたね。これはもうでき上がっておりますが、この経緯を簡単に御説明ください。
  224. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  羽田空港にもと新聞社の社用機の格納庫が並んでおりました場所がございます。ここら辺のところは、羽田空港の整備地区をどうするかという長期的、将来的な計画の構想の一環といたしまして、すでに取り払われておって空き地になっておったわけでございますが、この部分全日空の方から大型格納庫をつくりたいという申請が四十七年の十一月に出てまいりました。これは本省稟伺事項になっておりますので、東京航空局において十分検討の上本省に上がってまいりまして、越えて四十八年の六月に設置の許可をおろした、こういういきさつになっております。
  225. 坂井弘一

    ○坂井委員 航空三社とも申請があったのですよ。それで、全日空のは二つ、これはトライスター用ですね。これはちゃんとできましたね。ところが、日本航空、これは一つだけできておりますけれども、あとまだできてない。東亜国内もだめですね。これはどうもできそうにありませんね。しかも全日空のトライスター用の格納庫をつくるについては、朝日、読売、毎日あるいは産経各新聞社の格納庫を全部移転させている。この話はもともと全日空のだれから運輸省のだれに来ましたか。
  226. 松本操

    松本(操)政府委員 ただいまの御質問のうちの、現在全日空の格納庫だけできているのではないかという点につきましてまずお答えを申し上げますと、日本航空の第一格納庫と申しますものが四十五年にでき上がっております。続いて全日空の第二格納庫と申しますものが四十九年の七月にでき上がっておりまして、日本航空の第二格納庫と申しますものが五十一年の三月にでき上がったわけでございます。  次に、第二点の、朝日、毎日、読売、この三つの新聞社の格納庫、これはたしか昭和八年であったかと思いますが、この空港がどうやら形をなしましたころからそこにあったものでございますけれども、Aランウエー、A滑走路及びこれに隣接いたします誘導路、これと非常にまずい形で並んでおるということもございまして、つとにこれをどこかに移そうという議論があったわけでございますが、四十六年の十二月にこれを改築したいという話がございまして、越えて四十七年の二月に現在の位置に移転、改築をするということに相なったわけでございます。したがいまして、四十七年の十一月に全日空の第二格納庫と称されておりますものの設置の申請が出てまいりましたのはだれからだれにということでございますが、これは空港事務所を通して東京航空局に上がっていく書類でございまして、処分に当たっては本省稟伺、こういう形になっておりますので、私、だれからだれにという点はよく存じておりませんが、全日空の名において東京航空局長あて上がってきた書類であると思います。  それから、東亜国内につきましては、東亜国内がエアバス用の格納庫をつくりたいという意向については話としては承っておりますし、現に場所といたしましては、現在の日航の第二格納庫とそれから全日空の第二格納庫との間、現在消防車庫がございますが、その消防車庫もいずれ構想の一環として他に移設するということを考慮しておりますので、また現実に東亜国内におきましてはエアバスという構想がまだ全く具体化しておりませんので、しかし場所としてはこういう場所もございますし、それから日航の第一格納庫と第二格納庫の間も空間としてはまだあいておる、こういうふうな状態に相なっておるわけでございます。
  227. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま説明されましたね。ここにありますよ、ずっと。つぶさに見ました。これ、かなり無理じゃありませんか、全日空の分は。そんな感じが非常に強いですよ。いまお話しのとおり、確かに日本航空の分もできていますよ、一つは。ただ、消防署がありますね、それから米軍の郵便局もありますね。これなんかの移転についても最初から要請したことだけれども、すぐにはこれは移転できないという状態ですよ。ただ、全日空の分につきましては、新聞各社の格納庫を移転させて、そしてうまく進んでいるわけですよ、これは。例のとおり、トライスターの導入決定が四十七年十月の三十日ですね、それからとんとん拍子にうまくいきまして、各社の格納庫を移転させて建設されるわけですけれども、新聞各社に対しては、この移転してくださいというときの理由説明、これはどういう説明をしていますか。トライスターの格納庫をつくるんだというようなことを言ってないでしょう。どういう説明で移転していただいたのですか。
  228. 松本操

    松本(操)政府委員 四十六年の十二月に新聞三社から格納庫の移設の議論が、申請が出てまいりました時点において、実は昭和四十四年ごろから私どもといたしましては、先生まさに御指摘のとおり、この整備地区のA滑走路寄りのところは非常にごちゃごちゃとしておりますので、ここを整理したい。ただし、これを非常にあからさまに整理をするということになりますと、どこかの特定の会社なり——これは何も定期航空会社だけではございません、いろんな企業がこの構内で仕事をいたしておりますので、余りあからさまにここは何、ここは何と、こういうふうに表に明らかにいたしますと、あたかも既得権を与えたかのような誤解を招くおそれもございますので、構想としては私ども持っておったわけでございます。その構想から申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、この位置というのは将来計画としては非常に向きがおかしいわけでございまして、全日空の第一格納庫、あるいは官庁格納庫、これらと非常に変な角度をなして新聞三社が並んでおる。使い勝手も一必ずしもよくないし、将来的にも使い勝手が非常に悪いということで、これを現在の位置に移すということを御相談申し上げ、了承を得られましたので、四十七年の二月にすでに許可をしてしまってあるわけでございます。全日空からここに格納庫をつくりたいという申請が出てまいりましたのは、先ほども申し上げましたように四十七年の十一月でございますので、全日空の申請があってから急遽新聞三社の格納庫を処分した、こういうことではございませんので、その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。
  229. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がありませんから一問で終わっておきますけれども、いずれにしろ全日空ばかなり強引でしたね、この経緯を見ますと。それで、ただ新聞各社に対して移転を要請するときの説明といいますか理由というものは、羽田空港の区画整備をしなければならぬのだ、これだけの理由ですね。その後でトライスターの格納庫がちゃんとできた。いま別のA滑走路のところへ追いやられておる。A滑走路というのは、もともとあれはいわゆる計器飛行用の滑走路であった。それが、あれは三百メーターですよね、いわゆる計器用の滑走路でありますから三百メーター建物との幅を持たなければいけないというのを非計器用の滑走路でよろしい、これは百五十メーター。そういう無理までして全日空の格納庫がつくられた。こういう経緯もこれは事実としてあるようでありますし、そうした点から見てみますと、大変行政上無理なといいますか、強引なといいますか、そういう形がとられておるようです。したがって、そういう点につきましては、今後の問題としまして、なぜそういう行政指導等がとられたかということについて私は改めて明らかにしていきたいと思います。  時間が参ったようですから、これで終わります。
  230. 田中伊三次

    田中委員長 河村勝君。
  231. 河村勝

    河村委員 法務大臣、十五日に行われる予定の中間報告について一点だけ、もうところどころで発言がございましたけれども、重要な部分でありますから、改めて確認をさしていただきたいと思います。  それは、今回の中間報告の中でロッキード事件に関連をして金を収受した者、しかしいろいろな条件があって刑事訴追は受けない者、この者についての類型別資料というものを私が出すようにお願いをしたのは、言うまでもなく、国会としては政治的道義的責任を明らかにする義務がありますけれども一、しかし、現実の問題として捜査資料というものはわれわれは持っておらない。だから、今後のいわゆる灰色高官名なるものの基準をつくるにしましても、どうしてもそれがないとできない。だから要請したわけであります。  それによってお出しくださるのは結構なんですが、そこで、これは今後国会として政治的道義的責任を明らかにするための基準あるいは範囲、そういうものをつくるについて必要にして十分な資料をつくられておるか。言いかえれば、金を収受した者について全部を対象としてそれを幾つかの分類に分けて、そうして類型別に人数を含めたものであるかどうか、それを最初に伺っておきます。
  232. 稻葉修

    稻葉国務大臣 その内容を私まだ受け取って読んでいません。刑事局長の手は離れつつあるといいますから、刑事局長が一番よく知っていますから、一番よく知っている者から答えます。
  233. 安原美穂

    安原政府委員 必要にして十分ということになるかどうかは存じませんけれども、少なくともそういうも一のに役立ち得るものとして、現在における、将来における捜査なり公訴の維持に支障のない限度において、できる限りの類型化を試みようとしておるつもりでございます。
  234. 河村勝

    河村委員 当然その類型別の人数も入っているわけですね。
  235. 安原美穂

    安原政府委員 大臣の御指示によりますと、人数も入れるべきであろうとおっしゃっておりますから、そうなると思います。
  236. 河村勝

    河村委員 その問題はそれで終わりです。  それから今度は、政府がいわゆる灰色高官名公表はやらない、それは一切国会責任であるという先ほどからの答弁でありますが、これは今度の国会になってから急に変わったのですね。いままでの一貫した法務大臣初め政府当局のこの委員会での答弁は、灰色高官なるものの範囲基準、そうしたものは国会がつくる、しかし、それを受けて刑事訴訟法四十七条ただし書きをもちろん含めてこれを適用して、それで公表するのは政府である。これが一貫した政府答弁だったのです。そうですね。
  237. 稻葉修

    稻葉国務大臣 今国会になって変わったのではなくて、私の記憶では、もっと前から私、言っていたつもりです。みんな政府発表するのだということではなかったと思います。
  238. 河村勝

    河村委員 それでは変わっておらないですよ。それの一番基本的な答弁になっているのが六月の二十三日の答弁でありまして、このときにあなたがお述べになっているのは、「以上のようにして、いわゆる灰色高官の定義が明確にされた後に、」これは、国会で明確にされるということを条件にしているわけです。「明確にされた後に、法務検察当局としては公表の可否を検討することとなりますが、この場合、捜査が続行されている」場合には無理であるというのに引き続いて、「捜査が終了した段階において、刑事訴訟法その他の関係法令の立法趣旨にのっとり、国政調査権の行使によって得らるべき公益と非公開とすることによって保護されるべき公益とを比較考量し、具体的事情に応じて決すべき事柄でございます。」「公表の具体的な方法としては、検察当局みずからの判断において公表する場合、検察当局からの報告に基づいて法務大臣公表する場合、さらに、法務大臣報告に基づいて内閣総理大臣公表する場合等考えられますが、この点も、捜査が終了した段階において、」「最も適切な方法を考慮さるべきであると考えます。」、これが一番基本になっている考え方であって、これは実際はその後も変わっていないのですよ。なぜ今度の国会で変わったのですか。
  239. 安原美穂

    安原政府委員 いま河村委員指摘のように、氏名公表ということには一切触れておらないわけでございます。捜査の結果を公表するということは、氏名公表するということとは必ずしも同義ではないわけでございまして、どういう結果を公表するかということとは別問題でございまして、特に私はその点は意識をして答えてきたつもりでございまして、河村委員が、不起訴処分の類型別報告くらいしてくれなければ困るじゃないかということをおっしゃったときに、確かに、協力の方法としては不起訴処分の類型別くらいは御説明を申し上げて御参考に供さなければならないでしょうが、その場合に名前を言うかは別にしてということを明確に申しておるわけでございまして、法務当局といたしましては、終始一貫、公訴を提起しなかった者の氏名公開委員会で申し上げるということは一切申した覚えはございません。したがって、先ほども秘密会の問題ということで申し上げたわけでございます。
  240. 河村勝

    河村委員 この文章そのものは、確かにそうです。そうですけれども、実際ここでもって論議を交わされている場合には、常に灰色高官名公表という問題を中心に議論されていた。だから、直接灰色高官名公表とは書いていないけれども、お互いにそれはもう了解済みのこととして議論をされていたと私は理解をしておりました。法規的に言えば、確かにそうなるので、私は政府としての言い逃れの道は確かにあると思う。こっちがちょっとひっかかったようなことかもしれぬが、それは、それならそれで一応それを前提として伺いましょう。
  241. 稻葉修

    稻葉国務大臣 私は、ひっかける意思は全然ございませんでした。
  242. 河村勝

    河村委員 これはだまされた者が悪いということになりますかね。  そうしますと、逆に言えば、今度政府は一切この公表についての責任は負わないということになりますと、灰色高官名公表ということについては、刑事訴訟法四十七条ただし書き適用の責任は、検察当局は一切負わないで国会に一切責任を任せる、そういうことになりますね。
  243. 稻葉修

    稻葉国務大臣 正確に、法律的にはどういうことになるか、これは刑事局長なんですが、私の気持ちは、とにかく議長裁定が下ってこれに拘束されるものですから、いわゆる灰色高官という、つまり政治的道義的責任の追及権者は国会、追及権者が決めて公表なさるのが筋合いでないかな、こういう気持ちなんです。しかし、法律的にはどういうことになるか、刑事局長から答弁します。
  244. 安原美穂

    安原政府委員 先ほど委員長は、国会責任においてと言われませんでしたが、委員会責任において公表するであろう、その場合は人権保護公共福祉かということについてのバランスにおいて、公共福祉を重視する立場から公表に踏み切るということをおっしゃいましたが、そういうお考え方もありましょうし、私どもは、やはり国会といえども、法治国においては四十七条の趣旨というものはできる限り尊重していただく立場にあろうと思います。  しからば、なぜ国会は言うてもいいが、検察はあるいは法務当局はいかぬのかという議論は当然あるわけであります。それにつきましては、私どもは先ほどから大臣がおっしゃっていましたように、検察の判断というのはやはり一応の判断であって、確定力を持つものではない。それは不起訴処分あるいは公訴提起しない処分と、刑事責任を追及して公訴を提起した処分とは、捜査内容自体、検察官の判断自体も、捜査の厚みからいっても違いますとともに、公訴提起の場合は裁判所という最終の判断がある。そういう意味で、一応の判断であるが有罪の確信を得て公訴提起をする。しかし、公訴提起しない者につきましては、無罪の確信を得て公訴提起をしないということでなくて、現段階においては公訴を提起するに足らぬという場合には公訴を提起しないということでございますので、そういう意味で、検察官の判断というのは、判断そのものが確定力を持つものではないということにかんがみますときに、その不確定なものを確定ととられるような公表の仕方というのは避けるべきだということを私ども考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、国会において名前を出すのも、それは確定力を持つものとして出すのではなくて、資料として提供いたしますから、国会国政調査の機能において、これが本当に道義的責任があるものかどうかということを国会当局において確信を持たれた上で御判断なさるということであろうと思いますので、それは国会だから知っちゃいないということではなくて、検察当局としては、その判断を確定力を持つものとして公表することは避けるべきだということになるものである。したがって、委員会におかれましては、その判断というものについてのプロセスにつきましても、やはり適正手続というようなことがなされるべきではないか。それは秘密会のことでございますし、国会のことでございますから、差し出がましいことではございますが、いずれにいたしましても、検察当局判断は一応の判断であるから、それを確定力を持つもののごとく公にして、人の名誉にかかわることを公にすることは避けるべきであるという考え方もあるわけでございまして、それやこれやで委員長のようなお考え方もございまするけれども、一つは公訴を提起しないという処分の性質からも、それを直ちに公開委員会で公にすることは避けるべきではないかということも考えておる次第でございます。
  245. 河村勝

    河村委員 長の発言は別にして、そうすると、この場合に関して、灰色高官名公表に関する限り、四十七条ただし書きの適用の責任というものは検察庁は一切負わないで、その責任国会が持つということにはなるわけですね。
  246. 安原美穂

    安原政府委員 国会の御判断公表なさるということになれば、それは国会責任においてなさるべきものであろうと思います。
  247. 河村勝

    河村委員 これは何度か質疑応答の中で、刑事局長は、この四十七条ただし書き適用についての第一次的な判断は当該検事であり、法務大臣はその一般的な指揮監督権があることによって、また同時にそれの適用の責任者ともなり得るという答弁でありましたね。そうすると、今後、一般論としても、検察庁は一切この四十七条ただし書きについての判断責任は負わないで、これを他に任せてしまうということがあり得るという原則を認めるわけですね。
  248. 安原美穂

    安原政府委員 検察、法務当局としては、不起訴、公訴を提起されなかった者の名前を公表することが、公開委員会でも言うことが、四十七条ただし書きに該当しないことであるという判断責任はとるべきものと思います。
  249. 河村勝

    河村委員 それから、この秘密会公表してもよろしい、こういう判断を下したのは多分、検察当局ではなくて、法務当局ないしは内閣全体ではないかと思われますが、一体国会における秘密会というものの、これは法律論じゃありません、実際問題として秘密の守れる秘密会というものがあり得ると判断しておられますか。
  250. 稻葉修

    稻葉国務大臣 あり得ると判断しております。そして、その例もございます。
  251. 河村勝

    河村委員 その例を聞かしてください。
  252. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ここに委員長がおられますが、委員長委員をしておられた憲法調査会、芦田小委員会であります。
  253. 河村勝

    河村委員 GHQが存在した一極の異常な状態、超法律的な権威のもとにあった時代は別ですね。もしうっかり漏らせば、一網打尽でみんな軍刑法か何かでやられてしまう時代ですね。現在、平時です。平時を例にとって、国会で本当に秘密が守れると、そうお考えですか。
  254. 稻葉修

    稻葉国務大臣 非常時における委員会ではございましたが、その記録は、サンフンシスコ条約ができて、日本が独立国になり、いまは非常な平時ですな、平時の現段階においてもまだ秘密になっておるわけであります。
  255. 河村勝

    河村委員 私は先ほどの刑事局長の説明で、政府は一切タッチをしないという原則がいままでの答弁とは食い違わないのだというのは、本当は心情的には少しも納得していないのですけれども、それを別にしましても、こういう秘密会責任を任せてしまって、それで政府責任を一切逃れようというのは、私はこれは非常にひきょうだと思うのですね。だから、二重の隠れみのになるわけです。もし国会でもって話がまとまらないで、それでさっぱり灰色高官名なるものの公表ができない。これも全部国会責任。逆に話がまとまって、非常に積極的な公表がなされて、それで自民党内に問題が起きたということになれば、それもまた国会責任。それで、総理大臣は、法務大臣も含めて、すべてこれは国会でおやりになったことで、それでわれわれとしてはいかんともいたせませんというような返事ができるわけですね。一体そういうことでロッキード事件についての政治責任が果たされるものであろうか、その点、どうお考えになりますか。
  256. 稻葉修

    稻葉国務大臣 河村さんほどの人が私どもをひきょう呼ばわりされますけれども、私はひきょうということが一番きらいなんです。人間はばかでも、森の石松でもいいから、正直に、そういうことを心情とするのです。保下田の久六や、あなた、あそこの都鳥三兄弟みたいな呼ばわりをされるのは、心外千万です。
  257. 河村勝

    河村委員 それならば、先ほどから議論されておりますように、今回の中間報告類型別の人数だけであって、具体的な名前はない。しかし、これまたやはり先ほどからの話のように、四十七条ただし書きの趣旨にのっとってそれで報告をされるものです。だから、少なくとも理論的には、もし検察当局が積極的にやる意思がないとしても、あなたが検察庁法十四条に基づいて必要と認める類型別のその氏名を求めれば、それは政府公表可能ですね。  ですから、あなたも三木内閣の閣僚でありますから、三木さんがこのロッキード事件の究明に自分は政治的生命をかけるというところまで言っているのですね。だから、私ども国会でもって順調に灰色高官名公表についての基準範囲等が合意されることを期待をし、これからも努力をいたします。だけれども、現実に非常にむずかしい条件にあることは、先ほどから各質問者が言っているとおりです。三木さんは二つの資格を持っておるわけです。自民党総裁の資格と総理大臣の資格と二つあるわけですね。三木さんが両方の資格を十分に備えておれば、これは国会における灰色高官名基準範囲というものは順調に決まるはずであります。しかし、どうやら、その二つの資格のうちで、自民党総裁としての力は、ゼロではないが、ややそれに近い状態で、とても自民党総裁として自民党内を説得あるいはリードして、それで積極的なその公表基準をつくるだけの力がない、これだけははっきりしていますね。そうしますと、あと残されるのは、総理大臣として国民に公約したこのロッキード事件の究明に政治生命をかけるという、この公約を遂行する道が残されているわけですね。だから、三木さんにはそれをやる義務がある、国民的義務があるわけなんです。であれば、法務大臣は先ほどのような消極的な言葉ではなくて、もし不幸にして、国会灰色高官基準ができずに、どうもほとんど竜頭蛇尾に終ってしまうような懸念がある場合には、それは検察庁法十四条を発動してでも、この灰色高官名報告検察当局から求めて、それを一般に公表するというだけの覚悟がなければ、三木内閣責任は果たせない。私は別段そうなることを期待しているわけではなくて、国会でもってあくまでもこれはやりたいと思っております。思っておりますが、そういう場合がないとは言えないのですね。だから、そういう場合にも、あなた方は初めから逃げて、全然政府は知りませんよというのじゃ、これは、私は国民に対する責任は果たせないと思う。それについての決意なりあなたの判断、それを伺いたいと思う。
  258. 稻葉修

    稻葉国務大臣 どうしてそういう御質問が出るのか私には理解できない。いませっかくこうやって、選挙も近いというのに、皆さんこうやって熱心にお集まりになって、政治的道義的責任の究明を国会責任においてやろうとして一生懸命になっておられるのに、それが基準も決まらぬことを前提として私がその場合に何とかかんとかと言うことは、それこそ皆さん方を軽視した不届き至極なやり方でないですか。そればいけませんよ。そんなことはやるべきことでない。相手をやはり信頼して、そうして、むずかしいことでありますから、こうやって中間報告をして、それの基準の定めに役立つようなことも最高限協力しようと言って誠心誠意尽くしているんじゃないですか。それを一つ申し上げますね。したがって、決裂を前提としてそのときのやり方をいまから考えるなんていうことは、越権だと私は思っています。  それから、政治生命をかけるということは、総理大臣は本気でしょう。それは本気でしょう。しかし、政治生命をかけるがために刑事訴訟法立法趣旨をも踏み外して政治生命なんてあるものじゃない。法律違反をやった総理大臣の政治生命なんてものは明くる日からでも消えちゃう。そんなことはできませんから、そういうことも踏まえて、大いに熱心に事態の真相を究明すべく政治生命をかけると、こう言っているんだろうと思います。
  259. 河村勝

    河村委員 私が言っているのは、刑事訴訟法を無視して公表しろなんて言っているのではありません。四十七条ただし書きというものを正しく判定した上で、それで総理大臣公表する場合も考えておかなければならぬ、そういう趣旨でございます。だから、確かにいまあなたのおっしゃるように、理屈を言えば、決裂後のことを議論するのは早いかもしれない。だけれども、それを頭に置いて、それであなたに今後の推移を見ながら決意をしてほしい、それを私は期待をしているわけです。いずれにしましても、十五日に中間報告があってからの問題になりますから、きょうはこれで終わりますけれども、その点だけ。
  260. 稻葉修

    稻葉国務大臣 よくわかりました。したがいまして、卑怯なまねは断じていたしません。
  261. 河村勝

    河村委員 終わります。
  262. 田中伊三次

    田中委員長 次回は、問題の十五日午前十時より委員会を開くこととします。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会