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国務大臣(木村睦男君) 四十七年の七月一日に「航空企業の運営体制について」という大臣通達でございますが、要旨をずうっと申し上げますと、四十五年の十一月の閣議了解に基づいて、航空企業の運営体制を次のように具体化する。この場合には安全運航の確保と利用者の利便の増進を期するとともに、定期航空運送事業三社それぞれの事業分野を明らかにする。過当競争を排して共存共栄を図る。これが前文でございまして、三項目に分かれております。
一つが「事業分野」でございます。
まず
日本航空でございますが、これは国内幹線と国際線の運営を行う。今後特に急増する国際航空、貨物輸送需要に対応し得る航空企業体制についても有効な
方策を早急に決めて具体策を提示する。
それから全
日本空輸株式会社につきましては、国内幹線及びローカル線の運営にその主力を注ぐ。同時に、逐次近距離国際チャーターの充実を図るということでございます。近距離線の国際チャーターの地点についてはいろいろ書いてございますが、それが主眼でございます。なお、この近距離国際線の運営には、チャーター方式のほか、不定期航空としての運営方法もあるけれども、現時点においてはチャーター方式によることとするということになっております。
それから東亜国内航空につきましては、これは四十六年の五月に合併して現会社になっておるわけでございますが、国内ローカル線の運営を行うのを主にいたしております。そして、先発企業の
協力のもとに、安全の確保を前提として一部路線のジェット化による運航を認めるものである。それからローカル線のジェット機による運航実績を基盤として、安全の確保を前提としながら、将来国内幹線のジェット機による自主運航を認めていく。その幹線運航の開始の時期は
昭和四十九年度を目途とするというふうに書いてあります。それからジェット機の運航につきましては、これも東亜国内航空についてでございますが、当面、先発企業の技術支援を必要とする。しかし、極力従来の依存主義を排して、可及的速やかに真の
意味の自主運航体制を確立しなさいということでございます。
第二番目が「輸送力の調整」でございますが、国内幹線及びローカル線における各社の輸送力は、一定の基準を超える需要増の見通しが明らかとなった場合には、その増便を認めましょう。この場合、路線の総合平均利用率、ロードファクターといっておりますが、幹線は約六五%、ローカル線は七〇%を基準として輸送力の増強をやりますということでございます。それから国内幹線における輸送力増強の各社の割り振りは、共存共栄の基本
原則にのっとって、後発企業の育成を勘案しながら各社協議をして決めなさい。それから国内ローカル線の二社、つまり全日空と東亜国内航空でございますが、この二社による運営は、
昭和四十八年度以降
昭和五十一年度までの間、毎年二路線の範囲内で行うものとする。この場合にも相互の共存共栄を旨とし、先発企業は後発企業の育成強化に
協力する。
それから国内幹線への大型ジェット機の投入は、
昭和四十九年度以降これを認める。ただし、沖繩線については
例外とし、空港事情の許す限り、
昭和四十七年度より大型ジェット機を投入し得るものとする。投入の時期、便数等については企業間において協議の上決定する。なお、その他の国内幹線においても共同運航等の方法により共存共栄を図ることが可能な場合には、各社協議の上投入時期の繰り上げを図ることを妨げない。
三番目に「
協力関係」でございますが、国内幹線においては、共存共栄の実を上げるために必要に応じて各社は運賃プール制を主体とする営業上の
協力を行いなさい。運賃プール制の態様は各社協議をして決めなさい。その場合にも先発企業が後発企業の育成強化を十分考えなさい。ローカル線におきましても、先発企業は後発企業に
協力して共存共栄を図る。
以上でございまして、最後に、閣議了解に定められた
日本航空と東亜国内航空会社との合併しなくなったことに伴う一これは、前にはこの両社が合併することになっておりましたので、それが変わったわけでございますが、合併しなくなったことに伴う問題の処理は、本事業分野の調整とは別に、両社が誠意をもって協議をし、
政府の承認を得て解決するものとする、こういうのが大要でございます。