○松永忠二君 そこで、これの解決の方法としていま
文部省が言い、またしているのは、
一つは
教育課程の改編をしていこうじゃないか、あるいは教師の実力の向上を図りたいというようなことを言っておられるわけでありますが、これについて毎日新聞あたりも今度は塾長にアンケートを出している。なぜそうなっているかということについて回答を求めると、「新幹線過密授業」が二七%、「学歴
社会だから」が二六%、「学校教師の指導力低下」が一八%、「父母のあせり」が一二%と、そういうものが出ているわけです。そうしてまた、こういう子供をなくすために
努力している事例も実はあちこちにいろいろなものに出ている。たとえば、五十年十二月四日に例の「子供の森」というのに具体的に、教師集団全体でこれをやる。一人がやったってだめだということでやって
努力をして、一週間ごとに勉強の目標を与えるとか、金、土の二日間放課後指導をやって個別指導をするとか、これでもだめだという話になって、最後に日曜にもそれをやった。そうして、塾へ通う子供よりも、逆にそういう指導をすることによって逆転をしているという事実の中から塾の無用性を父兄にわかってもらったという人が、これは事例も出ている。なかなかいろいろなものが出ている。私は、こういう、学力の不十分な子供に対して適当な補習授業というものがやはり必要なことも否めないと思うのですよね。私は、いま皆さんいわゆる人材
確保の関連で主任手当を出したりなんかするようなことに金を使っているのですが、もし私たちにいまそれだけの金があればどういうふうに使うだろうかということですよ。私は、むしろいまの超過勤務手当をもう少しふやそうじゃないか、そのかわりわからない子供をなくしてもらうというそういうことに真剣に取り組んでくれと、そういうようなところに金を使うのは私は結構だと思うわけですよね、あるいは灘尾
文部大臣は当時なかなか熱心に言われたけれ
ども、いわゆる教師の
研究費というものの支給の方法はあるとしても、そういうものを
考えてみる。そうして、とにかく塾がこれだけはんらんし、これだけ
教育をゆがめている中で、それを必要としない
教育をみずからが実行していくということなくして、ただそれを取り締まってみたところが、私はできないと思う。それには、
文部省自身がいまの子供の学力の実態をまず明確に把握して、これじゃ困るというそういう緊迫感とともに、問題の対策が具体的に出てきて真剣に取り組んでくる。また、さっきの話じゃないけれ
ども、こうした家庭派遣教師の問題だってずいぶん新聞にもいろいろ出る。あるいはこうしたものが次々にあなた方のお宅の新聞にも入っているでしょう。これを見たときに、これじゃしょうがないじゃないか、どうなっているんだろうかくらいのことは、本当に受験体制を打破することがいまの
文部大臣の
中心的な
努力であるというなら、
文部大臣自身だって具体的なことを
考えにゃいかぬし、
関係した初中局でもこれについての真剣な
努力がなさるべきだと思うのですよ。そういうことが結局本当に
努力が不十分なところにやはり問題が出てきているのじゃないのか。私たちは、そういう点で、いまのは
一つの意見ですけれ
ども、そういうふうな
感じを強くいたします。
そこで、
大学の問題もありますが、これはまた次の機会に譲って、いま御承知のとおりこういう受験体制を打破するという
意味でも、いまの
教育、特に高等学校の
教育の正常化を図るという
意味で、やはり
大学の入試の問題について手をつけていることも事実だし、実行しているわけですが、
公立の高等学校の入学者の選抜方法についてやはり
検討すべきときに来ているのじゃないか。特に東京都の都立高校入学者選抜
研究協議会というのは相当長い間いろいろ
努力をしたけれ
ども、最終の報告としては、高校増設計画が軌道にまだ乗っていない、
文部省の
教育課程
審議会の動向がまだはっきりしないというようなことを理由にして、結局いまの学校群制度の問題についての
一つの
考え方はまとまらなかった。大阪府の
教育委員会も四十六年に全府の規模で実施する地域学校群の統合選抜
方式に
努力しようとしたけれ
ども、結論としては、
教育環境を均等化する、あるいは
公立と
私立の間のいわゆる授業料とかそういうものの費用の均衡をどうするのか、
公立高校の増設がどうなるかという問題と関連するといって、結局むずかしい問題だということにはなってしまったが、ある程度行き詰まってきている点もあるわけです。京都府、名古屋、そして三重、宮崎あるいは長野など、いろいろ具体的な工夫もしている。この問題についていまある程度
一つの障害というかなかなか解決ができないというところにぶつかってきて弱っているというのがいま実態だと私は思うのですね。実は、
教育白書の中にもこれについていろいろ書かれているし、数字も出ていることも事実なので、この八十五ページに学区制選抜方法とかいろいろなものが出ているわけでありますが、そこでこの問題について実態
調査というものがはっきりしている、これだけ数字が出ているわけだから実態は
調査されていると私は思うのでありますが、これに対する
文部省の指導というのは、
昭和三十八年に普通科の通学区の定め方というのが一度通達に出ている。
昭和四十一年にまた通達が出ただけであります。いろいろ受験体制の過熱化の現状打破、高等学校の
教育のいわゆる改善という上でどうしてもやはりこの高等学校の入学試験の問題は解決しなければいけない。そのために委員会をつくったりいろいろ
努力しているけれ
ども、ついになかなか結論が出にくいし、自分たちの力だけではなかなかそこまでいきかねているという状況で難航していると私は思うのですね。やはりここに
文部省の協力指導というようなものがなされなきゃできないのじゃないか。本当にいわゆる受験体制を打破して
教育の正常化を図ろうというならば、高等学校の入試問題についてここでひとつしかるべき対策をしていかにゃできぬ。そこで、一応実態の
調査をしていることはここでわかっているわけで、高等学校の特に選抜方法の問題が結局いま問題になっているわけであります。これは学区制と絡む問題であるけれ
ども、とにかく選抜方法をどうするかという問題が出てきている。そこで、まずそのための改善に委員会を持って相当な金を使っているわけですよね。何かやっぱり
予算的に協力をし得るものがないのかということが
一つです。もう
一つは、こういうときこそ情報を提供し、あるいは専門の知識を供給してやる、そういう
意味の協力というものをやらにゃいかぬ。
文部省自身がそういうための
懇談会であるとかそういうような
審議会などを持って、そうしてその
検討を各
地方教育委員会にこれを提供して、そういう対策委員会のよい成果が得られるようにしてやる。これは各地域によって実情が違うので、そう簡単に押しつけるということはできない。けれ
ども、体制はだんだん出てきている中で、やはり
文部省の
予算的措置がなされればそれぞれ委員会等を持って、それで具体的にいわゆる提供があれば、事実自分で各県を調べなきゃできない状況の中ですから、各県の状況が提供されてくる。しかも、高度ないわゆる専門的な知識も出されてくるということになれば、この難航している特に選抜方法を
中心とした高校の入試問題の選抜については明るい
方向が出てくるのではないか、また出てきてもらいたいと思うのでありますが、これについて一体
文部大臣はどうお
考えになりますか。