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政府委員(天谷直弘君) 通産省の生産
調整につきまして、いろいろ世間で誤解されている面もありますので、少しくどくなるかと
思いますが、御容赦をお願いいたします。
生産
調整の種類にはまあ幾つかございます。もちろん企業が自主的に生産を増強したり、あるいは削ったりすることは、自由市場における企業の正常な活動であるというふうに
考えます。それから次に、業界全体として不況が非常に深化いたしまして、その
状況が独禁法の二十四条の三に規定するところの要件に該当するようになりました場合には、不況カルテルによって生産を削減するということが言い得ると
思います。この場合には公取が許可権を持っておられます。それから次に中小企業
関係におきまして、団体法の十八条に規定する要件に該当する場合には、
関係の中小企業が
調整規定をつくりまして生産を制限する、これもまたあり得ることでございます。それからその次には、
石油業法に基づきまして
政府が供給
計画を作成するという形で、これは生産制限ではございませんが、供給
計画を作成するという形で、間接的に、弱い形で生産の
調整を行うということもございます。それから現在、通産省が生産制限を指導していると言われているものの
中心は、ガイドラインポリシーの対象となっておる品目でございます。これはどういう内容かと申しますと、通産省が四半期ごとに
需要見通しを発表いたしております。具体的に申し上げますと、
石油関係の五つの樹脂、すなわち高圧ポリエチレン、中低圧ポリエチレン、ポリスチレン、塩ビ樹脂とそれからポリプロピレン、その五つでございます。それから塩ビ管、それからアルミニウム、地金、それから段ボール原紙と、これだけの品目が、いまいわゆるガイドラインポリシーの対象になっておるわけでございます。なぜなっておるかということでありますが、
石油化学樹脂に関しましては、原料のナフサが著しく高騰をいたしておることは御承知のとおりでございます。このナフサの
価格が高騰しておることと、それから市場の
状況が非常に不均衡になっておりますために、放置いたしますと市場の撹乱が激しくなる。場合によっては不況カルテルに移行する必要が出てくるというようなことが予想されますので、そういう撹乱を避けるために
需要の
見通しを発表いたしておるわけでございます。アルミニウム、地金、ダンボール等についても同様の事情があるわけでございます。で、これにつきましては通産省が生産を制限しておるわけではなくて、ただ、
需要がこの
程度しかないと思われますよと、四—六月期については、
日本全体としての
需要はこの
程度であろうという一つの
見通し、ガイドラインを発表することによりまして、企業の注意を喚起いたしておるわけであります。
で、次に、こういう生産制限と世に言われておりますが、われわれ生産制限と思っておりませんけれ
ども、このガイドラインポリシーの対象品目、それから不況カルテルはもう現在なくなってしまいました。それから、したがってガイドラインポリシーの対象になっておる品目が
卸売物価に占めるウエートはどれだけであるかと言いますと、約二%であります。それから次に、過去一年さかのぼってみまして、過去一年の間にこのガイドラインポリシーの対象になっておる品目の
価格上昇が
卸売物価全体の
価格上昇にどの
程度寄与したかと申しますと、三%弱であります。したがいまして、通産省のガイドラインポリシーの対象になっているものが、
卸売物価の
上昇一〇〇のうち三
程度はそれで説明することが可能であるというふうに
考えております。
以上、通産省のやっております実態については、以上のとおりであります。
なお、団体法については黄銅棒、それから洗剤、くぎ、こういうものが現在なお団体法に基づく
調整規定の対象になっております。
以上でございます。