○中村
太郎君 私のお伺いしたいのはそれだったんですよ。いいかげんな——いいかげんというのは言葉が悪いですけれ
ども、おざなりな
一つの
防衛白書を出して、素人があれを見ればいいかげんなことでもやっていけるんだという、そういう
考え方を持つんですよね。ところが何か起きたときはどうにもならない。そんなはずじゃないじゃないかと、なぜそれだったらば本当の真実の姿を国民に示しておかないんだと、そうしてもらえば国民は国民なりの判断を持つ、そうしてその準備をしなかったらしないだけの自分の責任があったということがわかるんでしょうけれ
ども、全然知らされないで、やっていけるんだという確信の中で何か起こったときには、これは国民が哀れですよね。みずからの判断で、これはもういまの現状ではできないけれ
ども将来こうしようとか、将来こうしようと思ってもできないんだと、できないからしようがないんだというあきらめがあると思うんです、知っておれば。やろうと思ったけれ
どもできないんだということではっきり認識しておればあきらめがあると思うけれ
ども、まあそんなことはないだろう、やっていけるだろうという中で何か起こったとき、これは無責任だと思うんですよ、いまの当世政治家としては。できないものはできないんだ、これをやろうとすれば膨大な
努力が要りますよと。その判断はやっぱり
構成員に任すべきですよね。そういう政策が必要であるということを私は言っているわけなんで、現状でこれはやらなければだめだとは私も思っておらぬのですよ。日本の安全保障というのは、先ほど触れたようにただ
防衛庁の力だけじゃないんです。食糧問題にしてもそうだし、資源の問題にしてもそうなんです。抜本的な全体的な安全保障体制が確立されていないというところに問題があると思うんです。
ですからもう私は結論的に言えば、先ほどの秦さんとは全く違う意見なんです。これは全く違う、残念ながら。今度の
防衛白書、これはいろいろ批判があります。とにかく前段はシビアな分析でなかなか
一般に説得力がある。しかし後段の各論になると、まるでない、萎靡、縮んじゃって、とにかく現実につじつまを合わせるんだというようないろんな批判があります。まあそれもそうかもしれないけれ
ども、私はこれはりっぱなものだと思います。私も一読さしていただきましたよ。先ほどの秦さんのような
考え方が多い中で、これだけのものをよく私は勇気を持って出したと思う。これはやっぱり坂田
長官の意欲のあらわれということで高く評価したいと思うんです。だけど、むしろ私は、先ほどの御意見とは逆に、こうであっても
防衛庁が出すことに問題があると思うんです。問題があるというか、願わくは
防衛庁は全体の安全保障の中の一環としての白書を出すという姿が望ましいと思うんですよ。
内閣総理大臣を頂点として、各省閣僚が全般にわたって、国全体を挙げて安全保障政策というものを確立することが必要ではなかろうか、そういう
委員会を
政府部内につくることだと思うんです。いまなんか、
防衛庁、しかも坂田
長官になってからでしょう、初めて
防衛防衛なんて言い初めたのは。みんな避けて通っている。特に秦先生だ、片岡先生あるいは
野田先生とかいらっしゃるから、なるべくならば
委員会でもそっとして通って、いわば日を過ごしたいということだと思うんですよね。これじゃいつになっても
防衛は国民のものになりませんよ。そういう意味で、やっぱり私は勇気を持ってここまでやったと、りっぱだと思うんですけれ
ども、願わくはいま言った全体的な安全保障政策、その中で
防衛庁の位置づけ、その
防衛庁の出した白書というものであってほしかった。いまのところはひとり
防衛庁だけ一生懸命やっていると思う。ほかは当たりさわりなく通ってしまうという姿ではだめだと思うんです。
まあそういう意味ではこれは
防衛庁の責任じゃありません。
内閣全体の私は責任だと思う。しかし、そのことを三木総理に求めても、三木総理は有事の際といえ
ども核は持ち込ませないというのんきなことを言っている総理大臣ですから、これは不可能だと思いますよ。これはやっぱり期待するものは、いまの坂田
長官が総理大臣になることだ、そして全体の安全保障政策を確立してもらいたい。そういう意味で、私はうんと御精進を期待をいたしたいと思うわけでございますが、いまの私の
考え方、まず非常立法は当然のことですよ、非常立法。ただ、非常立法をつくっておくけれ
ども、その発動を極力回避する全
努力を傾注する、これが必要でございますけれ
ども、非常立法がないなんという国はないと思うんです。そういうものを含めた安全保障
委員会というものが設置されることが望ましいし、それがあって初めて
国会の中の安全保障
委員会なり国防
委員会が設置されるのが順序だと思うんですよ。こういう
考え方を持つんですけれ
ども、
防衛庁長官、将来の総理大臣ですね、いかがでございますか、御所見を承って質問を終わりたいと思います。