○青島幸男君 まず、五十一年度の
NHKの
予算審議に先立ちまして、一言申し上げますけれども、長時間にわたりまして各
委員の方々から御熱心な
質疑がありまして、私もさまざまな問題につきまして用意いたしましたが、先に立たれました
委員の方々の
質問の中に納得のいく点も多々ございました。その
部分は重複を避けまして省略させていただきます。私、このたび、ただ一点、きわめて
基本的な問題につきまして御
質疑申し上げたいと思います。
このたびの
予算の、少なくとも
値上げを含んだ
予算の
審議に当たりまして、どの
委員からも発言があったことですけれども、ただ単に計数上あるいは金銭上の問題ではなくて、
NHKの
基本姿勢というものについてかなりの
質問が精力的になされましたし、そのことにつきまして
NHKからもかなり突っ込んだお答えもありました。で、今日の
NHKが
国民的な
立場に立って
国民に本当に支持され愛されているHNKであるかどうかという問題が、実は、
値上げに関しましても、今後の
運営方針にいたしましても、きわめて
基本的な問題であるということは私もこの席におりまして伺っておりまして肝に銘じました。この問題さえきれいに解決すれば、
値上げを含んだ
予算案であろうとどうであろうと大した疑念もなく
国民の支持を得られるものではなかろうかと私考えるわけですけれども、その
基本的な問題の一番重大な
部分はやはり
経営委員会、この
NHKの
運営の
基本を決定する最高の
機関である
経営委員会のありようが大変に閉鎖的で、しかも
国民の考え方から遊離しているんではなかろうか、この疑念一点実に重大な問題だと思います。
かつて、私、四十八年のこの当
委員会におきましても、この問題に関しまして
小野会長と議論を闘わせたことがございます。その節、私申し上げましたのは、
国民あるいは視聴者の方々と
NHKの間の相互の
理解の上に成り立っている現方式は大変合理的で納得のいくものである。これを民主的な
運営にしていくためには相互の信頼と
理解がなければならぬ、この点につきましては
小野会長も当時お説ごもっともでございますということもおっしゃられました。そのための方途をいろいろ考えておられることも確かでございます。私もその都度
提案申し上げたんですけれども、その節に、直接に視聴者の
皆さん方から選挙で選ばれるような形で
経営委員の
皆さん方が選ばれるようなことがもしあれば、これは本当に視聴者の方々が、平たく申しますと相互会社のように、一株株主と申しますか、ですからだれにも
会長になる権利もあるし、
会長を選ぶ権利もある、
経営委員会のメンバーを選ぶ権利もあるというふうなことになりますと、一人一人が
経営に参与しておる、われわれのための
NHKだという
認識を深く腹にとめることができますので、相互の
理解の上に非常に役立つんではなかろうか。ですから、
受信料の領収証をもって一票を投票する権利にかえて、直接の選挙をしたらどうだろうかというようなことを御提言申し上げました。
その節、郵政省からは、
放送法第十六条の
規定からも、このありようがこの法律の条項になじまないのではなかろうかという御返事もありました。その後、つらつら考えてみますと、そのことがいかぬとも書いてないし、少なくとも内閣が任命すると書いてあるわけですね。人選するということと任命するということと、私、
基本的に違うことだと思う。
この条文にありますのは「
公共の
福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」云々とあります。だれしも神様じゃないわけですから、
歴史的な世界観を通じても、未来永劫、常に厳正中立であるということはだれにも望めないことです。ですから、当時、私、この条文はナンセンスだと申し上げました。条文は条文として
規定してありますから、これを否定することはできません。厳正中立であるということは、当
委員会におきましても、さまざま、主張、信条の分かれるところがございます。しかし、それは、どなたもみずから信じるところが正しいと思われているわけですし、厳正中立を代表する者が果たしてだれかというのは、それはコペルニクスやガリレオの例を引くまでもなく、時の
権力が決めるものでも何でもないわけです。少なくとも
民主主義の
憲法の中では、多数の方々が考えるありようがすなわちその時点の中正あるいは厳正中立であるという考え方になじむのじゃなかろうかと思うのです。ですから、だれが言っていることが正しいのかということを判断するのは、時の
権力でもないし郵政省でもないし
NHKでもないわけです。
ですから、もし一票一票で直接に投票するということが不可能でしたら、少なくとも
NHKは調査
機関の大きなものを所持しておいでになりますし、常々、視聴者の方々の御
意向を尊重しながら
運営していきたい、そのためにはあらゆる手だてを惜しむものではないということを
会長は申されております。ですから、私かつて申し上げましたのは、
受信料の受け取りをもって一票とかえろと申しましたけれども、少なくともどういう方々が
経営委員会のメンバーとして参画することが適切であろうかというアンケートをとるぐらいの誠実さはおありになっても決して間違いではなかろうと思いますし、また、その出てまいりました結果を判断の材料にいたしまして、郵政省が任命するということになりましても、この十六条の条文に一向に触れることではないと私は思います。
そのぐらいオープンな考え方が
NHKにおありになりませんと、真に
国民の代表として
運営しているという確信をお持ちにもなれないでしょうし、私、現在の
経営委員会の方々が怠慢であるとか、あるいは
NHKの執行部が偏っているとか全く申しません。それぞれの分野で
皆さん方誠心誠意御活躍になっていらっしゃると思いますけれども、それがそのまま御努力が
国民の目に映らないという
現状の中から、少なくともそのかっこうを改善していかなきゃならない、その改善するということに対する御熱意は、私、お持ちだと思います。ですから、ただいま私が改めて
提案申し上げるようなことに関しまして御
意見を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。