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参考人(小野吉郎君) ただいま議題となっております
日本放送協会の昭和五十一
年度収支
予算、
事業計画及び資金計画につきまして、御
説明申し上げます。
協会は、昭和四十三
年度以来八
年間にわたり、受信料月額を据え置き、業務の効率化を図りつつ事業
運営に努めてまいりましたが、最近の
経済的諸条件の変動と受信料収入の伸びの鈍化とにより、協会の事業
運営はかつてない厳しい事態に直面し、昭和五十
年度予算においては、二百十六億円の収支不足を生ずるに至りました。この状況を打開するため、協会は、昨年春以来業務全般にわたる見直しを行うとともに、外部有識者によるNHK基本問題
調査会の提言、さらには広く聴視者の意向を吸収した上で、今後三カ
年間の経営を
見通しましたところ、公共放送としての協会の社会的
使命を果たすために、やむを得ず、昭和五十一
年度より受信料の改定をお願いしなければならないこととなりました。
受信料月額の改定に当たっては、さらに一層の効率的、合理的経営
努力により、聴視者負担の増加を極力抑制するとともに、受信料負担の社会的
実情をも配慮し、普通契約受信料の月額を三百十五円から四百二十円に、カラー契約受信料の月額を四百六十五円から七百十円に改定し、また、沖繩県における特例措置として設けた料額は据え置くことといたしました。
今後の事業経営に当たっては、
国民からの受信料により
運営されている協会事業の基本的性格を一層強く自覚して、引き締まった経営体質の上に効率的経営を目指し、常に聴視者の意向を吸収して、これを事業
運営に的確に反映し、放送の全国
普及に努めるとともに、すぐれた放送を実施して、公共放送としての
使命と責務を果たすべく
努力する所存でございます。
次に、昭和五十一
年度の主な計画について御
説明申し上げます。
昭和五十一
年度においては、受信料
制度について聴視者の理解を得ることに努め、極力収入の増加を図る一方、支出については、業務全般にわたりさらに効率化を進めるとともに、新規計画、拡充計画は、協会の
使命達成上、真に必要な事項以外は厳しくこれを抑制することを基本として、
事業計画を策定いたしたものであります。
建設計画につきましては、テレビの難視解消を最も重要な
施策として、これを一層効率的に推進することとし、前
年度を上回る中継放送局及び共同受信施設の建設を行うこととしております。
また、超短波放送局の建設を行うほか、ここ数年来繰り延べてきた老朽放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。
次に、事業
運営計画について申し上げます。
まず、国内放送は、テレビ、ラジオ放送ともに、聴視者の意向を積極的に把握して、番組内容を充実刷新するほか、教育テレビのカラー放送時間を増加することとし、また、ローカル放送は
地域社会に直結した番組の充実刷新を図ることといたしております。
また、国際放送については、国際間の理解と親善に寄与するため、番組の刷新を図ることといたしております。
次に、広報活動につきましては、社会
情勢の変化に対応し、協会の事業活動と受信料
制度について、聴視者との間の相互理解と信頼を深めるとともに、聴視者の意向をより的確に事業
運営に反映するため、広報活動の強化を図ることとしております。
また、聴視者の生活態様に即した営業活動を積極的に推進し、
電波障害対策など受信の改善を強化するとともに、受信料負担の公平を期して、極力、受信契約者の増加に努め、受信料の確実な収納を図ることといたしております。
調査研究につきましては、放送番組、放送技術の向上に寄与する
調査研究を行い、また、経営管理においては、経費の節減と業務の合理的
運営を一層徹底するとともに、企業能率の向上を図ることといたしております。
なお、沖繩県の宮古、八重山地区において、海底ケーブル回線の開通にあわせて、教育テレビ放送局と超短波放送局を建設し、本土と同一の放送
サービスを実施することとしております。
以上の
事業計画遂行のための要員数は、前
年度どおりに据え置くこととし、また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。
これらの
事業計画に対応する収支
予算について申し上げますと、事業収支においては、収入総額二千四十三億九千万円を計上し、このうち受信料を二千七億六千二百万円と予定しております。
これは、受信契約者数の増減について、カラー契約百二十五万件の増加、普通契約五十五万件の
減少と見込み、契約総数において七十万件の増加を図ることとしたものでございます。
また、国際放送
関係等の交付金収入四億五千二百万円、預金利息、副次的収入等の雑収入三十億六百万円を計上するほか、固定資産売却益等の特別収入一億七千万円を予定しております。
事業支出は、国内放送費を初めとする
事業運営経費、固定資産の減価償却費、支払い利息等の財務費、固定資産売却損等の特別支出及び予備費を合わせ、総額一千七百五十四億八千八百万円を予定しております。
事業収支差金二百八十九億二百万円につきましては、このうち百九億九千二百万円を債務償還のため資本収入に繰り入れ、百七十九億一千万円を翌
年度以降の収支均衡を図り財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることといたしております。
次に、資本収支は、支出において、建設費に二百二十億円、放送債券償還積立資産の繰り入れに十七億九千二百万円、放送債券の償還に十億六千万円、借入金の返還に九十二億円、総額三百四十億五千二百万円を計上し、資本収入においては、これらに対する財源として、事業収支差金受け入れ百九億九千二百万円のほか、減価償却引当金、外部資金等をもって総額三百四十億五千二百万円を計上いたしております。
以上、昭和五十一
年度の
日本放送協会の収支
予算、
事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、
国民生活の向上に放送の果たすべき
使命がますます重要となっていることに思いをいたし、今後の協会事業の
運営に当たっては、一層聴視者の理解と支持を得るように努め、協会全体の力を結集して業務全般にわたる合理的
運営と改善に不断の
努力を傾注し、協会に課せられた
使命と責務の遂行に努める所存でございますので、
委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞ速やかに御
審議、御承認を賜りますようお願い申し上げます。
なお、この昭和五十一
年度収支
予算等が当該事業
年度開始の日までに国会の御承認を受けることができませんでしたので、
放送法第三十七条の二の
規定に基づき、四月一日から四月三十日までの期間に係る暫定収支
予算等及びこれを五月二十四日までの期間に係るものとする暫定補正収支
予算等について、それぞれ郵政
大臣の認可を受け、これを実施していることを申し添えまして、私の
説明を終わらせていただきます。