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国務大臣(
大平正芳君) ただいま議題となりました
経済協力開発機構金融支援基金への
加盟に伴う
措置に関する
法律案外三
法律案の
提案の
理由及びその概要を御説明申し上げます。
まず、
経済協力開発機構金融支援基金への
加盟に伴う
措置に関する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び概要を御説明申し上げます。
経済協力開発機構金融支援基金は、経済協力開発機構すなわちOECDの
加盟国が石油価格の大幅な上昇によって国際収支困難に直面した場合に、貿易制限等の一方的な政策をとることを回避し、適切な内外経済政策をとることを確保するため、OECD
加盟国が相互に金融支援を行うことを目的とするものであります。
具体的には、深刻な国際収支困難に陥った基金
加盟国は、他の金融手段を尽した上で、なお必要な場合には、同基金から資金を借り入れることができ、他の
加盟国は、基金の貸付資金の調達に協力することとなっております。この協力の方法としては、基金に対し、自国の割当額の
範囲内において、資金を貸し付け、または、基金の市場借り入れに際し、その返済を担保するため、必要が生じた場合には基金に資金を貸し付ける旨の予約を与えることとなっております。この割当額の総額はOECD
加盟二十四カ国で二百億SDRであります。
このうち、
わが国の割当額は二十三億四千万SDRで、割当額総額の一一・七%であります。これは、全
加盟国中第三位となっており、同基金の十全の機能を確保するためには、
わが国の
加盟が不可欠であります。
わが国がこの
経済協力開発機構金融支援基金に
加盟するためには、
経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定を批准する必要があり、このため、別途、本
国会において同協定について御
審議をいただいているところでありますが、これと同時に、同基金への
加盟に伴う所要の国内
措置を講ずる必要があります。このため、
経済協力開発機構金融支援基金への
加盟に伴う
措置に関する
法律案を提出する次第であります。
以下、この
法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、
政府は、
経済協力開発機構金融支援基金等との間で、外国為替資金特別会計の負担において、二十三億四千万SDRに相当する
金額の
範囲内で基金への貸し付けもしくは貸し付予約等を行うこと、及び、基金からの借り入れ等を行うことができることといたしております。
第二に、
政府は、基金への貸し付け等のため必要がある場合には、外国為替資金特別会計の負担において、日本銀行または外国為替公認銀行等から借り入れを行うこと等ができることといたしております。
このほか、大蔵省設置法の一部を改正して同基金に関する事務を
大蔵省国際金融局において行うこととする等、所要の規定の整備を図ることといたしております。
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次に、
アフリカ開発基金への参加に伴う
措置に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及びその概要を御説明申し上げます。
アフリカ開発基金は、アフリカ開発銀行の活動を支援するため、きわめて緩和された条件による融資を行う機関として、一九七三年に設立され、アフリカ諸国の経済的・社会的開発に着実な実績を上げてきております。
わが国は、その原参加国として設立当初からこれに参加し、アフリカ諸国の開発に積極的に協力してまいりました。
同基金は、参加各国からの出資金を財源として融資活動を行っておりますが、現在その資金は、ほとんど枯渇状態にあり、同基金がアフリカ諸国の期待にこたえ今後とも円滑にその活動を継続してまいるためには、新たな増資が必要となってきました。このような背景のもとに、
関係国の間で累次にわたり
検討が行われた結果、本年以降三カ年間の融資約束に充てる資金を賄うため、総額約二億二千百万計算単位、すなわち現在の合衆国ドルで申しますと、約二億四千五百万ドルの第一次一般増資が合意されたものであります。
わが国の新たな出資予定額は、三千万計算単位、すなわち約三千三百万ドルであり、
政府といたしましては、この
法律案により、この出資について
国会の御承認を得た上、速やかに正式の引き受け通告を行いたいと
考えております。
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次に、
米州開発銀行への
加盟に伴う
措置に関する
法律案につきましてその
提案の
理由及びその概要を御説明申し上げます。
この
法律案は、別途本
国会において御承認をお願いしておりまする
米州開発銀行を設立する協定に基づきまして、
わが国が
米州開発銀行に
加盟することに伴い必要となる各般の
措置を規定することを目的とするものであります。
米州開発銀行は、中南米地域の開発途上国の経済的及び社会的開発を目的として、一九五九年に設立された地域開発金融機関であり、現在、米国、カナダ及び中南米二十二カ国の合計二十四カ国が
加盟しております。同銀行は、農林漁業、電力、運輸通信等の分野において活発な融資活動を行っており、多大な成果を上げてきておりますが、中南米諸国の同銀行に対する資金需要が増大してきたことに伴い、その資金基盤の強化が要請されてまいりました。
そのため、同銀行は、域外の先進国等に対し同銀行への
加盟を呼びかけておりましたが、昨年二月、域外
加盟予定十二カ国の
政府と同銀行との間で域外国
加盟に関する原則的な合意が得られるに至りました。
御承知のとおり、開発途上国の経済開発の促進は、今日の世界経済におけるきわめて重要な
課題の
一つとなっておりますが、
わが国も先進国の一員としてこれら諸国に対し援助の手を差し伸べ、その開発に積極的な協力を行ってまいることが要請されております。
政府といたしましては、
わが国が
米州開発銀行へ
加盟することは、このような開発途上国からの要請にこたえるものであるとともに、
わが国と中南米諸国との友好
関係をさらに増進させ、ひいては同地域との経済
関係を緊密にすることにもつながるものであると
考え、欧州先進諸国等十一カ国とともにこれに
加盟することを
決意した次第であります。
以下、この
法律案の概要について申し上げます。
まず、
政府は、同銀行に対し、協定に規定されている合衆国ドルで五千六百九十七万ドル、すなわち、現在の合衆国ドルで申しますと、約六千八百七十万ドルに相当する
金額の
範囲内において、本邦通貨により出資し、また、同銀行の特別業務基金に充てるため、
予算で定める
金額の
範囲内において、本邦通貨により拠出することができることといたしております。
次に、同銀行への出資及び拠出は、
国債の交付によって行う方法が認められておりますので、この
国債の
発行権限を
政府に付与するとともに、その
発行条件、償還等に関して必要な事項を定めております。
さらに、同銀行が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として、日本銀行を指定することといたしております。
最後に、
国際通貨基金及び
国際復興開発銀行への
加盟に伴う
措置に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及びその概要を御説明申し上げます。
国際通貨基金は、五年ごとに出資額の一般的
検討を行い、全体の規模を現在の世界経済の要請にこたえ得るものとすると同時に、各国の出資額の割合を最近それぞれの国の経済力等を考慮して調整することといたしております。
今回
提案されております増資は、この一般的
検討によるものであり、出資額の全体の規模を現行の約二百九十二億SDRから約三百九十億SDRへと三三・六%増加させるものであります。その内訳を御説明いたしますと、産油国の出資割合を現行の約五%から約一〇%へと倍増し、これに対応して先進国の出資割合を約五%削減し、開発途上国については現行の出資割合を維持することといたしております。こうした中で、
わが国の出資額は、最近の
わが国の経済力の伸びを反映して、十二億SDRから十六億五千九百万SDRへと増加しており、その増加率は三八・三%と先進国中最大のものとなっております。また、この結果、出資総額に占める我が国の出資割合も四・一一%から四・二五%へと拡大することとなっております。
この増資
提案を受け入れるため、
国際通貨基金及び
国際復興開発銀行への
加盟に伴う
措置に関する
法律の一部を改正する
法律案を提出する次第であります。
以下、この
法律案につきましてその概要を御説明申し上げます。
第一に、
政府が
国際通貨基金に対し出資することができる
限度額を現行の十二億SDRから十六億五千九百万SDRへと引き上げることといたしております。
第二に、
国際通貨基金に対する出資は、従来、金及び本邦通貨で行うことといたしておりましたが、これをSDRまたは本邦通貨等で行うことと改める等、別途本
国会において御
審議を願っております
国際通貨基金協定の第二次改正に伴う所要の規定の整備を図ることといたしております。
以上、四
法律案の
提案の
理由及びその概要を御説明いたしました。
何とぞ御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。