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政府委員(戸田嘉徳君) いま
日本銀行の独自性、それから金融
政策がどうも国債
政策の方に追従したんではないかというようなお話ございました。私
どもは
日本銀行はいやしくも中央銀行としまして通貨価値の維持ということは
一つの最大な責務の
一つでございます。したがいまして、従来
日本銀行がさようなことはいささかも
考えたことはないと
確信しておりますし、またそういうことで全くの独自性といいますか、そういう通貨価値の維持という責務を十分
考えて行動をいたしておる、かように
確信いたしております。
それから、金利の活用とかいわば金融
政策の弾力化というものにつきましてはおっしゃるとおりでございます。これは私
どもとしましてもできるだけ今後金融
政策の弾力的に、これはいままでもやってきたわけでございますけれ
ども、金利というものに限定しました弾力化でございますね、これも十分
考えてまいりたい。せんだって金融制度調査会で中間取りまとめというのをいたしました。それは金融機関の役割りというテーマについてでございます。その中でも金利の弾力化ということを言っております。御
承知のように、
わが国の金利というのは貸し出し金利につきましては短期の方の金利は法定されております、その最高限が。しかし、
長期の方は法令上の制限はございません。特に公社債の金利というものは何ら法令上の制約はございません。これは市場の実勢を見ながら
関係者で決めていくと、こういうような形に相なっておるわけであります。ただ、預金の方の金利が、これは先生御
承知のように臨金法で基本的なものが決まりまして、それをもとにして
日本銀行がそれを少し細かくブレークダウンした形でガイドラインを設けていくという形でやっております。その預金金利も動かないわけではございません。これはいままででも動かしてきておりますが、やはりその貸出金利、まあ公社債金利含めましてそちらの動き、あるいは公定歩合の動きから見ますとはるかに動きが少ない。これはもう事実でございます。その辺率直に言いまして、金利の弾力化というときにそこんところがむしろ一番問題になってくるわけでございます。それにつきましてはかねてから問題になっております郵便貯金の金利との整合をどうやっていくかというような問題にまでどうしても入らざるを得ないわけなんでございまして、その辺はもう少し時間をかしていただきまして、私
どもとしてもその点はできるだけ勉強いたしまして、今後金利をなるべく弾力的に動かし得るというような体制を何とかしてつくっていきたい。そうしませんと、なかなか文字どおりの金融の弾力的運用、運営、その
効果ですね、十二分に発揮されにくいということは申し上げざるを得ないと思います。その点は十分努力したいと思います。
それから、いま先生のおっしゃいましたこの
日本銀行のいわば意思
決定機関であります日銀
政策委員会、これがどうも構成がどうであろうかというようなお話でございます。これにつきましては日銀法で規定がございまして、ただいまは御
承知のように、日銀総裁、それから任命
委員といいまして、金融
関係の学識
経験者が二名、それから商工業
関係の学識
経験者が一名、それから農業
関係の学識
経験者が一名、それに行政庁の代表が二名、
大蔵省、
経済企画庁がそれぞれ出しておりますが、こういうところで構成をされているわけでございます。これらの
委員はいずれもそれぞれのいままでの
立場ということではございませんで、この規定によりますと、いずれもそのたとえば金融業に関しすぐれた
経験と識見を有する者ということでございまして、そういう知識というものをフルに発揮していただいて、その
立場——固有の
立場というものじゃなくって、そういう
経験知識を大局的に活用していただいて、それで御審議を願う、こういうことになっておるわけでございまして、当然それは全
国民的な視野からの判断が行われているわけでございます。
〔
委員長退席、
理事中西一郎君着席〕
しかも、その審議がどうも密室ではないかというお話でございますが、その審議
過程では自由な討論が行われて、いろいろな資料も検討されて重要な
政策が
決定されるわけでございまして、そういうことがまた外部に出ますということは、これはまたそれがいろいろと投機のきっかけになりますとかいろいろかえってそういう弊害も生じるおそれが十分あるんじゃないかと思います。したがいまして、その
決定された事積というようなことは、いずれもこれは事後的でございますけれ
ども、報告されるわけでございます。したがいまして、私
どもとしましてはただいまの構成でよろしいんじゃないかと、かように
考えております。
なお、参考までに申し上げますと、
日本銀行には参与制度というものが別にございまして、これは十三人でございますが、これはいろんな各界からの
立場の方が入っていただいておりまして、総裁が常時といいますか、時折といいますか、そういうお集まり願って、いろいろと御意見を伺って判断の参考にさしていただくというふうなこともやっているわけでございます。
なお、金利調整審議会につきましても、これは臨金法に規定がございまして、その規定によりまして
大蔵省の銀行
局長、それから
経済企画庁の調整
局長、それから日銀の副総裁、それから金融界の代表者七名、それから産業界の代表者三名、それから学識
経験者二名ということでございまして、ただいまでもその学識
経験者のお二人は大学の先生と労働代表の方が一名、かような構成に相なっております。これも非常に御熱心に専門的にいつもいろいろ審議していただいておるわけで、その機能は十分発揮されている、かように私
どもは
考えております。