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1976-03-04 第77回国会 参議院 大蔵委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十一年三月四日(木曜日) 午後零時七分開会
—————————————
委員
の
異動
二月十八日 辞任
補欠選任
安孫子藤吉
君
桧垣徳太郎
君
井上
吉夫
君
藤田
正明
君 初
村滝一郎
君
青木
一男
君
佐多
宗二
君
山崎
五郎
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
岩動
道行
君 理 事 戸塚 進也君 中西
一郎
君
野々山一三
君 矢追 秀彦君 栗林 卓司君 委 員
青木
一男
君
河本嘉久蔵
君 嶋崎 均君 土屋 義彦君
鳩山威一郎
君 宮田 輝君 大塚 喬君 福間 知之君 鈴木 一弘君 渡辺 武君 野末 陳平君
国務大臣
大 蔵 大 臣
大平
正芳
君
政府委員
大蔵政務次官
細川 護煕君
大蔵大臣官房審
議官
佐上
武弘
君
大蔵省主計局次
長 田中 敬君
大蔵省主税局長
大倉
眞隆
君
事務局側
常任委員会専門
員 杉本
金馬
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
租税
及び
金融等
に関する
調査
(
財政
及び
金融等
の
基本施策
に関する件)
—————————————
岩動道行
1
○
委員長
(
岩動道行
君) ただいまから
大蔵委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 去る二月十八日、
安孫子藤吉
君、
井上吉夫
君、初
村滝一郎
君、
佐多宗二
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として、
桧垣徳太郎
君、
藤田正明
君、
青木一男
君、
山崎五郎
君が選任されました。
—————————————
岩動道行
2
○
委員長
(
岩動道行
君)
租税
及び
金融等
に関する
調査
を議題といたします。 この際、
大平大蔵大臣
から、
財政
及び
金融等
の
基本施策
について
所信
を聴取いたします。
大平大蔵大臣
。
大平正芳
3
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 当面の
財政金融政策
につきましては、先般の
財政演説
におきまして申し述べたところでございますが、
関係法律案
の御
審議
をお願いするに当たり、本
委員会
において重ねて
所信
の
一端
を申し述べたいと存じます。 私は、当面の
経済運営
に当たり、最も緊要な
課題
は、定着化しつつある
物価
の安定を維持しながら、
景気
の着実な
回復
と
雇用
の安定を実現してまいることであると存じます。御承知のとおり、
石油危機
を
契機
といたしまして
内外
の
経済
が異常な混乱に陥って以来、
政府
はインフレの克服に重点を置いた
政策運営
に徹してまいりました。その成果は、
国民各位
の理解と
協力
を得まして着実に上がってまいりました。他方、
政府
は、
経済活動
の著しい減退に対しましても昨年二月以来四次にわたる
景気対策
を実施してこれに対処し、日本銀行もこれに相呼応して公定歩合の
引き下げ等金融緩和
の
措置
を講じてまいりました。これらの
施策
の
効果
もありまして、昨年春以降
経済活動
は立ち直りの兆しを見せ、
景気
は徐々に
回復
の過程をたどっておりますが、
経済活動
の
水準
はなお低く、
回復
の足取りは必ずしも力強いとは申せない
状況
でございます。 申すまでもなく、
国民生活
の安定と
向上
を図りまするためには、
企業
の健全な
活動
を維持し、
雇用
の
機会
を確保することが強く
要請
されるのでありますが、私は、そのため、本年こそこの
経済
の
回復
を一層確実なものとしてまいらなければならないと考えております。 私は、また、
資源
、
環境
、
立地問題等内外
の厳しい
制約条件
のもとで、今後における
経済
の
均衡
のとれた
発展
を確保し、
国民生活
の着実な
向上
を図ってまいりますためには、
国民経済
の各分野にわたって、新たな
状況
に即応し得るよう
体質
の
改善
を図らなければならないと考えます。特に、
財政
におきましては、今後は、従来の
高度成長期
のように
多額
の税の
自然増収
を期待することができないと考えられますので、限りある
財源
の
配分
について従来になく厳しい選択が求められるのであります。そのため、私は、既存の
制度
、慣行の
見直し
を含めて極力歳出の
合理化
、
効率化
を進めてまいりたいと存じます。同時に、
租税
及び
社会保険料
の
負担
、
公共料金等
のあり方につきましても、
国民
の
合意
を得つつその
見直し
を進めていくことが、避けて通ることができない
課題
であると考えております。 私は、以上申し述べました基本的な方向に沿って
財政金融政策
を
運営
してまいる所存でありますが、その際、
物価
の安定、
国際収支
の
均衡
、
財政
の
健全化
という三つの問題について特に慎重な
配慮
を払っていかなければならないと考えております。 第一に、
物価
についてでありますが、
物価
の安定は、正常な
経済活動
を維持し社会的公正を確保していくための不可欠の前提であります。
政府
は本年三月末において、
消費者物価
の
上昇率
を一けたにとどめるよう努めておるところでありますが、今後とも
物価
の
動向
には周到な注意を払ってまいらなければならないと考えます。 第二に、
石油危機
を
契機
として大幅な
赤字
を記録した
我が国
の
国際収支
は、その後、順調な
改善傾向
をたどってまいりましたが、いまだ
赤字
の域一を脱するには至っておりません。今後
国内景気
の
回復
に伴う輸入の増加なども見込まれますので、
赤字幅
はさらに増大する
傾向
さえ予想されます。このような
状況
を考えますと、
国際収支
の問題は、
我が国経済
にとりまして依然として大きな
制約要因
であり、このような
見地
からも節度ある
財政金融政策
の
運営
が
要請
されるのであります。 第三は、
財政
の
健全化
でありますが、
昭和
五十一年度
予算
の編成に当たりましては、きわめて厳しい
財源事情
のもとで
景気回復
のために
財政
が果たすべき役割を考慮し、五十年度
補正予算
に引き続き、
特例公債
を含む
多額
の
公債
の
発行
により対処することといたしました。このため
昭和
五十一年度の
公債
の
発行
の
特例
に関する
法律案
を
国会
に御提案いたしているところであります。しかし、これはあくまでも当面の事態に対処するための
特例措置
でありまして、
政府
としては、長期の展望のもとに、今後できるだけ速やかに
特例公債
に依存しない
財政
に復帰するようあらゆる
努力
を傾注してまいらなければならないと考えております。 次に、当面の
財政金融政策
の
運営
について申し述べます。 まず、
昭和
五十一年度
予算
についてでありますが、以上申し述べました考え方に立ちまして、
国民生活
と
経済
の安定及び
国民福祉
の
充実
に配意しつつ、
景気
の着実な
回復
と
雇用
の安定を図るとともに、
財政体質
の
改善合理化
を進めることを主眼として編成いたしました。そのため、
予算
及び
財政投融資計画
を通じ、その規模を
経済
の
動向
に即し、かつ、
財政
の
課題
にこたえるに足るものにいたしております。特に
公共事業関係費等
につきましては、
景気回復
の
促進
に資するため、その
拡充
を図るとともに、
一般行政経費
につきましては、
財政体質
の
改善合理化
を図るため、極力抑制に努めました。 また、
財源
の重点的、効率的な
配分
を図ることとし、社会的
経済
的に弱い
立場
にある人々の
生活
の安定に資するため、
社会保障
の
充実
には特に意を用いたほか、文教及び
科学技術
の振興、
中小企業対策
の強化、
経済協力
の
充実
や
輸出金融
の
拡充
、食糧の
安定供給
の確保、公害の防止及び
環境
の
保全等各般
にわたる
施策
の推進に努めております。 また、
国鉄運賃
、
電話料金等
の
公共料金
につきましては、
受益者負担
の原則に立ってその
適正化
を図り、
事業経営
の
健全化
を進めることといたしております。 さらに、
地方財政対策
としては、
地方交付税交付金
について、国税三税の三二%
相当額分
のほか
臨時地方特例交付金
及び
資金運用部資金
からの借入金の
特例措置
を講じますとともに、
地方財政対策
の一環として
地方債
を特別に
発行
すること等に より、
地方財政
の
運営
に支障なからしめるよう
措置
しております。 次に、
税制面
におきましては、
現下
の
経済情勢
及び
財政事情
を総合的に勘案し、一般的な減税を行わない反面、一般的な増税もこれを避けつつ、
現行税制
の仕組みの中で若干の選択的な
増収措置
を講ずることにとどめました。すなわち、中央、
地方
を通ずる
財政状況
と
自動車
にかかる
税負担
の現状に顧み、
資源
の節約、
環境
の
保全
、
道路財源
の
充実等
の
要請
を考慮して、
揮発油税
、
地方道路税
及び
自動車重量税
について、税率の引き上げを行うことといたしました。一方、この
機会
に
租税特別措置
について一層の
負担
の公平を期する
見地
から全面的な
見直し
を行い、いわゆる
企業関係
の
特例措置
を中心として相当大幅な
整理合理化
を行うとともに、
交際費課税
をさらに強化することといたしております。 なお、
関税率
及び
関税制度
につきましても、
内外経済情勢
の変化に対応し、所要の
改正
を行うことといたしております。
金融政策
につきましては、昨年来、
預貯金金利
を含む
金利水準全般
の
引き下げ
と
金融
の
量的緩和
を進めてまいりましたが、その
効果
は着実に浸透し、
貸出金利
は順調に低下し、
企業
の資金繰りにも余裕が見えてまいりました。殊に本年に入りましてから、
コールレート
、
手形レート
、債券の
流通利回り等市場金利
も
全般
にわたって急速に低下してまいりました。また、このような
金融情勢
により、大量に増発されている
国債等
の
消化
も円滑に進んでおります。今後におきましても
情勢
の推移に応じ、弾力的、機動的な
金融政策
の
運営
に努めてまいりたいと考えております。 また、五十一年度におきましても、前年度に引続き、
国債
、
地方債等公共債
の
大量発行
が予定されておりますが、その
発行
に当たってはその時々の
金融情勢
を勘案し、
民間金融
を圧迫することのないよう配意してまいる考えであります。また、
公社債市場
の整備につきましても積極的な
努力
を続けてまいりたいと考えております。
民間金融機関
に対しましても、
公共債
の円滑な
消化
に
協力
するとともに、当面の
景気回復
の
促進
を図る
見地
から
輸出金融
や
中小企業金融
の
円滑化
あるいは
住宅金融
の
拡充等
についても、格段の
配慮
を払うなど、
現下
の
国民経済
の
要請
を踏まえて、適切な
資金供給
に留意するよう指導してまいりたいと考えております。最後に、
国際通貨秩序
の
再建
と
我が国
の
立場
について申し述べます。 私は、新年早々ジャマイカで開かれました
IMF
の
暫定委員会
に出席してまいりましたが、この
会議
におきまして、新しい
国際通貨秩序
の
再建
に関する最終的な
合意
が
IMF協定改正案
として結実いたしました。この
合意
の成立は、同じ
会議
であわせて
合意
を見ました
IMF
の第六次増資によるその
信用供与力
の拡大とともに、
世界経済秩序
に対する信認の
回復
と
世界貿易
の
安定的発展
に貢献するものであり、いわば画期的な意義を有するものであると考えます。
我が国
は
世界経済
に重い責任を持つ国家といたしまして、引き続き、
世界経済
の
秩序
の安定と
発展
に積極的な
役割り
を果たしてまいらなければならないと考えております。 以上、
財政金融政策
に関する私の
所信
の
一端
を申し述べました。 本
国会
において御
審議
を願うべく予定しております
大蔵省関係
の
法律案
は九件であり、このうち六件は
昭和
五十一年度
予算
に関連するものであります。本
委員会
におきまして御
審議
をお願いすることとなりますのは八件であり、それぞれの内容につきましては、逐次、御説明申し上げることとなりますが、何とぞよろしく御
審議
のほどをお願い申し上げる次第であります。
岩動道行
4
○
委員長
(
岩動道行
君) 本件に対する質疑は、これを後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十分散会
—————
・
—————