○
参考人(
友末洋治君) 矢追さんから四点の御
質問でございます。
まず第一は、負担の公平につきまして、法人税でどの点に焦点を合わして検討するのかという
お話でございます。御承知のように
税制調査会といたしましては、本年の六月二十二日に第一回の総会を開きまして、その席で大蔵、自治の両
大臣からごあいさつがございました。なお、そのときに、五十一
年度の
税制改正につきましての報告を詳細事務当局からいただいたわけでございます。
国会で、特に参議院で決議になっている事項がかなりございます。これにつきましてはかなり詳しく御説明をちょうだいいたしました。これが第一回の総会でございます。
第二回は七月の二十日でございます。この二回の総会におきましては、五十年代の前期
経済計画及び
財政収支の試算、これにつきまして
関係当局からこれまた詳細の説明を受けたのであります。これを重要な参考にいたしまして、これから審議に入ってまいるのであります。まだ具体的な検討項目は未定でございます。さらに、今後の審議日程も決まっておりません。なるべく早く総会を開きまして、この二つの大きな事項、前期
経済計画及び
財政収支試算、こういうものを参考にいたしまして、そうして大筋といたしましては現行
税制の全面的な見直しをやる、それと同時に、あわせて新税の検討もするということだけは大方の意見がまとまっておるのであります。そこで、これから具体的にどの問題をどう取り上げて審議するかはこれからの問題でございます。ただ、審議の能率化を図ってまいりまするがために、先ほど主税局長から
お話がございました第一部会、第二部会をそれぞれ設けて、そして各部会を中心といたしまして広くまた掘り下げた検討をやっていく、こういうことに相なっていることを御了承いただきたいと思います。
そこで、いまの第一点でございまするが、今後の法人税、これをどこに焦点を合わせて公平化をさらに推進していくかということも一つの大きな検討項目には違いありません。特に、御承知のように、五十年、五十一年と両
年度にわたりまして、
租税特別措置の整理、合理化を全面的に本格的に取り組んでまいり、検討いたしたのであります。これにつきましては、五十一
年度におきまして主として企業
関係の特別措置を思い切って洗ったのでございまして、大体の方向といたしましては、五十一
年度の答申にありますのでございまするが、この整理、合理化の方針にのっとりまして、事務当局といたしましては非常に懸命に努力されまして、かなり評価すべき
結論を得られたと思っております。
しかしながら、まだ積み残しのものもないことはない。特に政策
税制と見られない、御承知のように法人の基本的な仕組みに関するもの、たとえば法人の受取配当の益金不算入制度、それから配当控除制度というものがございまするが、これらも一応この特別措置というふうに一般から見られ、あるいは批判を受けておるというものでございまするが、これらは実は政策的な特別措置でございませんので、一応別にしてこれから検討するということになっております。すなわち、法人の基本的な仕組みに関連するものとして検討を続けていくということでございます。
なお、引当金のごとき、
所得計算方式にかかわる問題として認められるものも、やはり一応形式的には特別措置といったような批判を受けておるものでございますので、これらも別にこれから取り上げて検討するという方向になっておりますることを篤と御了承をいただきたいと、かように考えます。
次に、中期
税制案、これからの大きな問題でございまするが、それによりますと、税収の伸びを平均二〇・九%という大幅なものを
財政収支試算には見込まれておるようでございます。これは実に大幅なこれからの増税ということになるかと思うんでありまするが、この増税案の焦点をどこに置いてこれから審議するか、これもこれからの問題でございまするが、一応予想的なことを申し上げますというと、御承知のように、こんな大きな増税というのを満たしていくためには、さかのぼって現行
税制体系というものも一遍見直さなければならないのじゃなかろうか。この現行の税体系のまま今後の
財政健全化に対応できるかどうかということが非常に大きな問題ではなかろうかと、かように思うのであります。すなわち、ある程度税全体の体系の構造
改革といいまするか、仕組みを掘り下げて検討してみるということが現実に必要になっておるのではなかろうか。
これにつきましては、御承知のように、直間比率の問題——第三に
お話がございましたが、直間比率の問題がやはり関連を持ってまいります。御承知のように、直間比率は七対三の
状況になっております。一時は三をかなり割った時期がございました。外国の事例もいろいろ検討されておるのでありまするが、いろいろ歴史的な事情もございましてまちまちでございます。七対三の日本に似通ったものもございまするし、また逆に三対七というようなところも、フランス、イタリア等はさよう
状況になっております。間接税が伝統的に非常に普及発達しているというところはさような
状況になっております。
どの直間比率の程度がいいのか、これは非常にむずかしいので、われわれ素人にはとてもその計算ができません。ただ言い得ますることは、余り偏っておる、特に直接税というものに偏り過ぎまするというと、どうも結果におきましては税収が不安定になり、そして
財政運営が場合によっては困難になってくる。現状は恐らくそうじゃないかと思うのです。かつては自然増収が大変多くありまして、これは高度成長の結果でございますが、そのひずみが今日の税収にやっぱり出てまいっておるような感じがいたします。その自然増収は、本来から申しまするというと税負担者に返すべきもので、これが本来の姿ではなかったかと思うのでありまするが、この自然増収を、一部は
財政規模の増大に振り向けられ、あるいは減税に振り向けられ、直間比率の問題は余り真剣に考慮してなかったといううらみはなきにしもあらず、これが今日非常な災いを生じて、大きな赤字に苦しみ、
財政の不健全を招来しているというふうに税調の方では皆さんさような感じを持っておられるようであります。しからば、五対五がいいのか、六対四がいいのか、これはそう簡単には言えないんじゃないかと、いま少し間接税の方にウエートをかけると、すなわち
所得税とそれから消費税と、これを適当に組み合わせて、そうしてこの組み合わせによりまして税の垂直的なまた水平的な公平を得られると、かようなことを言われておるのでありまするが、まず、何とかしてもう少し薄く広く徴収できまするところの消費税的なものにウエートがもっとかかっていかないかということが皆さんの
心配の種のようでございます。
最後に、医師の診療報酬課税の問題。この間、
国会の決議の報告を承りまして、
調査会の
委員の皆さん非常に敬意を表されたものは、この医師の診療報酬課税、これを税調の答申の線に沿って速やかに実現すべきだという心強い決議がなされておりました。みんな快かなという気持ちを持たれたようであります。実は、御承知のように、五十年にこの答申を具体的に出しました。この答申はまあ出すか出さぬかということにつきましても非常な議論が税調の中でございました。出してもこの実現可能性は薄いじゃないかと、そんなものを税調が余り深入りすべきでないという意見も実はございました。しかし、
租税の特別措置、これを徹底的に総ざらいするという方向である以上、この不公平
税制の典型的なもの、制度そのものが不公平だという議論もあるのでありますから、そういうものを素通りして他の
租税特別措置を整理するということは、とうてい税調としてはできないという議論が大勢を占めまして、これにつきましても答申をいたしたのでございます。かなり具体的な答申でございました。ところが、
総理大臣は、これをどうも本気でお取り上げにならなかったようであります。いつの間にか厚生
大臣に下げ渡しになりまして、おまえのところでひとつよく検討して適正な措置をとれと——厚生
大臣で決着がつくような簡単な問題じゃないんです、それを中途半端なさような姿でたな上げされておりますることにつきましては、税調の各位とも憤激のきわみでございます。これでは取りつく島がない。もうこうなったらば
国民パワーでもって解決をしてもらうほかないんじゃないか。すなわち
委員の皆さんは良識のある方々でございまするから、ひとつ不公平きわまる恩典はみずから自主的にお受けにならないと、他の制度と同じように申告でひとつ公平に税を負担していただくと、この
国民運動がどこからか起きないかというふうな声が一部にあるようでございます。実は税調が
国民運動の本拠になるわけにもまいりません。ひとつ皆さん何か名案がございましたらば、きょうはここでひとつ名案をお教えをいただきたいというつもりで参上してきたわけでございます。