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1976-08-10 第77回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月十日(火曜日)    午後二時八分開会     —————————————    委員の異動  七月七日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     小笠原貞子君  八月五日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩動 道行君     理 事                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 野々山一三君                 矢追 秀彦君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 嶋崎  均君                 鳩山威一郎君                 藤川 一秋君                 藤田 正明君                 宮田  輝君                 寺田 熊雄君                 福間 知之君                 藤田  進君                 村田 秀三君                 渡辺  武君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        総理府総務副長        官        森  喜朗君        公正取引委員会        経済部長     吉野 秀雄君        公正取引委員会        審査部長     野上 正人君        法務省刑事局刑        事課長      吉田 淳一君        大蔵大臣官房審        議官       佐上 武弘君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  岩瀬 義郎君        国税庁長官    田辺 博通君        国税庁税部長  谷口  昇君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        前田 正恒君    参考人        税制調査会会長        代理       友末 洋治君        日本銀行副総裁  前川 春雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (税制に関する件)     —————————————
  2. 岩動道行

    委員長岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査のため、本日参考人として税制調査会会長代理友末洋治君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  委員質疑に入る前に、委員長から天皇陛下在位五十年記念行事について質疑を行います。  天皇陛下在位五十年記念行事としてどのような計画が進められているか。特に、大蔵省では、記念貨幣発行などを予定していると言われているが、どのようになっているかお伺いいたしたい。  まず、森総務長官にお願いします。
  5. 森喜朗

    説明員森喜朗君) 天皇陛下には、本年十二月二十五日で御在位満五十年をお迎えになられますので、この際、国民こぞってこれをお祝い申し上げることが望ましいと考えまして、政府といたしまして、本年秋の適切な日に内閣が主催する記念祝典を挙行することといたしまして、総理府関係各省庁の御協力を得まして、必要な諸準備を進めてまいりました。  基本的には、七月十六日の閣議におきまして口頭了解を得たのでございますが、本日、祝典挙行日を、天皇陛下の御即位の大礼が行われました日に当たります十一月十日とすることにつきまして閣議了解を得た次第でございます。  祝典実施の要綱につきましては、関係省庁による連絡打合会を開いて取りまとめまして、できるだけ速やかに閣議の決定を仰ぎたいと存じております。  なお、祝典会場といたしましては、日本武道館を考えておるわけでございます。  以上でございます。
  6. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 次に、大平大蔵大臣
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま総理府の方からお話がございました記念行事の一環といたしまして、大蔵省といたしましては、記念貨幣発行いたすべく準備を進めておるわけでございまして、記念貨幣は百円の白銅貨にいたしたいと思います。大きさ及び重さはそれぞれ三十ミリメートル、十二グラム、それから図柄は、表を二重橋と皇居、裏を菊の御紋章に鳳凰とし、発行枚数は七千万枚を予定いたしております。  なお、専売公社からは記念たばこを発売する予定でございまして、これは銘柄としてはチェリーにする予定になっております。
  8. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大平大蔵大臣に御質問をいたしたいと思います。  大臣は、最近のわが国の政局につきまして、福田総理との間に提携を強めていると報ぜられております。ことに、この七日に選挙区の琴平町で記者会見をして語られた御所信は、憶測によるものではなくして、大臣の口から出た言葉そのものでありますので、その意義は重大であります。私もテレビで大臣が一語一語かみしめるように語られたのをお聞きしたわけであります。  これは粛党のため同憂の士、とりわけ福田総理と話し合うことが大切であると、そしてまた、虚心に話し合うことが大切であるとお述べになりましたことは、これはマスコミの報ずるように、三木退陣に向けて臨時国会前に布石を打ったものだというように理解してよろしいのでしょうか。その点をまずお伺いしたいと思います。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 自由民主党は、ロッキード事件が起こる前から、党紀の弛緩が云々されておりましたような状況でございまするし、その上に不幸にいたしまして、ロッキード事件で痛手をこうむっておるわけでございますので、早く党の改革をなし遂げまして、総選挙に立ち向かうことにしなければならないと党員の一人として考えておるわけでございまして、そのためには、党内同憂の士と虚心に党再建のために話し合うということは大切なことである、当然の道行きであると私は考えておるわけでございまして、福田さんとも話し合うというようなことはとりわけ大切なことであるという素直な私の感じ方を申し上げたものでございます。
  11. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、これはマスコミの方で三木退陣布石臨時国会前に打ったものであるという、そういう解釈の仕方は間違っているというふうに思われるんでしょうか、そう思われても仕方がないと思われるんでしょうか、どちらですか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま申しましたように、自由民主党党内改革をなし遂げて総選挙を迎えなけりゃならぬということを申しておるわけでございまして、そのためにわが党におきましては、心ある方々それぞれ真剣に考えもし、論議もいたしておる最中でございます。あらかじめ結論予定して議論しているわけではないのでありまして、真剣に愛党の精神でおやりになっておる最中であるわけでございます。私もそういう苦悶の論議の中に参加をいたしておるわけでございます。
  13. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 端的にお尋ねするんですが、ガードをかたくして、大臣お答えにならないんだけれども、そう用心深くおっしゃらぬで、そういういまの三木退陣に向けた布石だと理解することは当たっていると思われますか、どうですか、それだけ簡単にお答えいただきたいんです。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま私がお答えしておるとおりでございますので、素直にお聞き取りをいただきます。
  15. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、それについてのお答えは私としては得られないわけですが、大臣どうなんでしょうか。あなたのお答えでははっきりしないのですよ。それでお尋ねしているんです。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) はっきりしないはずです。まだ党で結論が出ていないんですから、党の中でいま盛んに論議が行われておるわけでございまするから、その論議の中に私も真剣に参加しておるということを申し上げておるわけです。
  17. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはもういつまでたっても同じことになりますから、論議という点に私ども理解した限りでこれはおいておきましょう。  それから次に、あなたは福田さんが真剣にかつ大胆に出直し改革を提唱しておられるのは十分理解ができるということを言っておられますね。これはおっしゃったでしょう。事実をお尋ねしておるのです。
  18. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおりです。
  19. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、あなたは福田さんの言われる出直し改革というのはどういう内容のものと理解しておられるでしょう。これは三木さんが何か出直し改革って何だいと言って福田さんに聞かれたというふうに報ぜられているのですが、私もわからないんですがね。大臣はどういう理解をしておられますか。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいまの自由民主党改革が必要であるということ、そうして技術的なこそくな改革では足らないのであるということ、いわば出直し的な改革でなきゃならないというような改革でなければならぬという御主張であると私は理解いたしておるので、それはそれなりに私は理解できるところであると申し上げたわけでございます。
  21. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、大臣出直し改革という表現に酔われたわけですか。内容は、出直しという文字だけを繰り返されたんじゃ意味がないわけで、内容をお尋ねしておるのですが、内容はそうすると空々漠々としてわからないんですか、それともわからないなりに文字に酔われて賛成とおっしゃったんですか。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) その内容をどのようにつくり上げてまいりますかはまさにこれからの課題なんでございます。
  23. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、これからの課題だという内容はまだわかってないということですね。文字に酔われただけですね。だから、まあ国民はそういう何かレトリックに酔わされては困るんで、やっぱり内容をしっかと踏んまえて発言してもらわないと、ただ何か非常に修飾的な表現に酔ってしまって、出直し改革出直し改革と言われたんじゃさっぱりわからないです、国民は。それじゃ、まあ内容はわからぬままにこれから内容を決めるんだということで伺っておきましょう。  それから、大臣はその同じ七日の御発言財特法案タイムリミットはとうに過ぎているということをおっしゃっておられますが、これも事実でしょうか。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 事実でございます。
  25. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それは、国債消化が今後きわめて困難だということを意味するのでしょうか。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 財特法案タイムリミットは、たびたび申し上げますように、予算成立するときにいわゆる財特法案というような重要な歳入法案は同時に成立しなけりゃならぬという意味でございまして、予算成立の日がタイムリミットなんでございます。それからすでにとうの昔にリミットは越えておるということでございまして、いまの財政運営大蔵省としては非常な無理をした財政運営をいたしておるわけでございまして、こういうことは早く正さなけりゃならぬことだと思っております。
  27. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 財政運営に非常に無理をしているというのはよくわかります。ただ、これからの予定された国債発行、まあいまはあれでしょう、八月末までに臨時国会が開かれるかどうかということさえもまだわかりませんね。で、大臣は前のこの大蔵委員会で、八月中に財特法案値上げ法案を通す、そういう目的のもとに党と話し合っているというふうにお答えになっておられるんです。その見込みがいま立ちにくい状態にあるんでしょうかね。この国債消化支障はないと考えておられますか、支障がありと考えておられますか。
  28. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 国債はただいまいわゆる建設公債の部分を発行さしていただいておりまして、八月発行いたしますと、後もう五、六百億ぐらいしか残らないことでございますので、九月は例年でございますと相当大量に公債消化していただかなけりゃならぬ月であろうと思うのでございますが、それまでに公債特例法案成立しないということになりますと、それがかないませんので、これはゆゆしい事態に逢着することになることをいま憂えておるわけでございます。
  29. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 理財局長、どうですか。いま大臣がこの八月末までに財特法案が通らないということになるとゆゆしい事態になるということをおっしゃったんですが、どうでしょうか。今年度国債消化理財局長として自信が持てますか。
  30. 岩瀬義郎

    説明員岩瀬義郎君) 五十一年度のような大量な国債発行計画いたします場合には、もう大臣もたびたびおっしゃっていらっしゃるように、年度間の発行計画というものをやはり綿密に立てまして、その土台になりますものはやはり金融環境あるいは財政資金等の月別のいろんな繁閑のぐあい、そういうもので消化状況というものを勘案して決めていかにゃいけない問題でございますから、どうしても予算と同じような、予算とうらはらのものでございますから、そういうものが年度の初めから立っておらなければならない。これはもう原則でございます。ところが、今度のようにおくれてまいりますと、実はさっき大臣がおっしゃいましたような九月というのはこれは年度間で見ますと資金余剰期でございまして、きわめて毎年国債は小さく発行しておるときでも九月の発行高というのは非常に多いわけでございます。そういうものを逃してしまうということは、大変国債発行状況から見ると問題が多いんじゃないか。  それからもう一つは、金融繁閑ということを申し上げましたが、これは国債発行消化と非常に密接な関係がございますから、いま私どもが景気を診断いたしてみました場合に、やや設備投資資金等がどんどんと出始めてきているということであれば、むしろ年度の後半というのはどちらかというと資金がタイトになってくる。いまはむしろ資金余剰期にあるときにむしろ前倒しに国債発行していくということこそ、本来の財政金融との間の裏打ちができる話でございます。ところが、そういうときに九月に、極端に言えばほとんど発行できないというようなことになりますと、そのしわ寄せは年度の後半に押せてまいります。それは金融環境に対しましてやはりきわめて異例なショックを与えるという結果になるわけでございまして、これが年度の初めから計画どおり発行計画をやっていくという見込みからいたしますと、それは経済の動き、金融繁閑等をにらみ合わしたものであるだけに、それとは違った発行の仕方をしていかなきゃいかぬということでございますから、これは大変重要な、特に私どもとしては九月というのは大変重要な月だと考えております。  たとえば去年おととしあたりの発行状況を見ましても四十九年度は七月、八月は六百億ずつ、九月は三千億出しております。五十年度は七月、八月は千億、千二百億に対しまして、九月は四千三百億出しているわけです。そういう金融繁閑ということをにらみ合わせたところの発行月というのはきわめて重要でございます。特にことしはそういう将来の金融の政策のやり方から見ましても、九月の発行を流すのは理財局長としてはきわめて重要な将来の心配が残るということでございます。  そこで九月の発行ということになりますと、どうしても例年でございますと八月の中旬の終わりごろには大体翌月の発行計画を決めてまいりますので、決めるということはシ団との間で交渉していくわけでございます。そのぎりぎりのところを九月の初めごろまで待つとしましても、どうしても九月の発行はぜひやらしていただきたいというのが私どもの強い希望でございます。
  31. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 主計局次長は、この間の大蔵委員会では、たしか七月の各省予算要求、それからその節減額というか、執行を延期なら延期できるというような、そういう問題を考えたいということを言われましたね。で、いまの状態予算執行年度内円滑にいくというふうな自信がおありですか。その点どうでしょう。
  32. 高橋元

    説明員高橋元君) お願いいたしております公債発行特例に関する法律案、これの成立がおくれました場合の発行上の支障につきましては、ただいまるる理財局から申し上げたとおりでございます。私どもといたしましては、そのような発行上の支障心配というものが後に残るということを考えてみますと、それはとりもなおさず歳入欠陥のおそれが本年度に起こってまいる、全くないとは言い切れないということだと思います。まあ繰り返し申し上げましたように、全体の予算の一五%は特例公債によって財源を調達するわけでございます。したがいまして、そのような大きな割合の歳入確保保証がいまのところ法案成立がないとない。私どもとしてはそれについて確実な確信を持ち得ない、こういうことでございますから、したがいまして、予算執行について歳入確保についての保証がないままに当たらざるを得ないと、こういう事態はかってなかったわけであります。したがいまして、まあ情勢が推移してまいった場合に、万一歳入欠陥を生じていくということが残る、そういう危険性が残る、それに備えまして将来の問題と申しますか、あるいは比較的間近な問題かもしれませんけれども歳出予算執行留保について検討をしてまいる必要が出てくるかもしれないということを前回委員会の際に申し上げたわけであります。  それで、七月以降、これも前回お答えを申し上げておるところでございますが、各省から出していただきますところの支払い計画、これは通常四半期一本で出すわけでございますがそれにつきましても法案の審議状況なり、成立見込みなりというものもございますし、いま申し上げておりますような、国庫ないし予算執行上の問題点もございますので、一カ月ごとに区切ってやらしていただいておるというような状況でございますので、先生いまお話のございましたような、確信を持って、心配なく歳出予算執行ができるかという御質問でございますれば、この点については非常な危惧を持っておるというふうに申し上げざるを得ないと考えております。
  33. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 次に、田中金脈の問題についてお尋ねをしたいんですが、先般田中角榮氏が逮捕せられまして、共犯者たる秘書榎本敏夫がきのう起訴せられました。田中自身はその受領した五億円の趣旨について自白しているかいないかは私どもわかりません。しかし、その金がロッキード社からのものと知りながら受領したことについては、まあ自白しているというふうに伝えられております。これは同人につきまして裁判官が逮捕状勾留状を発しておること。支払い側共犯者である檜山についても起訴がされていること、受領者側共犯者榎本についても起訴がなされていることなどにかんがみて、大体公判維持に必要な証拠の収集がなされているというふうに考えられるわけであります。そうといたしますと、田中金脈調査、それから税務上の処理はまだ終わっていないと理解すべきであると思いますが国税庁長官なり大臣の御所見を伺いたいと思います。
  34. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 今回新聞に報道されておりますような、いわゆる五億円の金銭授受につきまして、これは目下検察当局でもって捜査中の問題でございますので、その事実についての経緯なり金銭の性格、そういうものについての資料を得られましたならば、国税の問題としても調査をしなければならない、このように思っております。
  35. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官、端的にあなたは田中金脈調査はもう終わったと考えておられるか。まだこの状態では終わっていないといまあなた思っておられるか、どうです。
  36. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 田中金脈というのは何を指すかという問題ではないかと思いますが、ことしの春でごさいましたか、先年、田中金脈——いわゆる田中金脈に関する田中個人、それから親族、秘書など、また関係の深い、いわゆる関連会社につきましては、先般綿密な調査を行いまして、その結果につきまして、国会に御報告を申し上げたとおりでございます。
  37. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、あなたはそうすると、今回の五億円については、田中所得関係について調査する必要はないと言われるのか。もし必要がありとすれば、当然田中金脈調査は終わらないということになるんじゃないですか。  田中金脈とは、田中のもちろん個人所得も包含しているし、それから田中資産形成の筋道も入っているし、田中関係者幽霊会社資産形成やその所得関係も入っている。それを総合して田中金脈と皆言っているわけでしょう。だから、その田中自身所得の問題も終わらないのに、田中金脈が終わっているなんていう国税庁長官の認識でははなはだ困る。どうです。
  38. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 先ほどお答え申し上げましたように、今回の五億円の金銭授受の問題につきましては、関係資料が得られましたならば税法の問題としても調査をしなければならない、こう申しておるわけでございます。だからそれは、田中金脈調査は終わっていないんだと、こうおっしゃるのであれば、その田中金脈という問題の定義の問題でございますので、そのとおりである、こうお答えする以外にないと思います。
  39. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 まあ、こういう事態になったというのも、田中自身についての調査というものがなされていないという点にあるんだと思うんですよ。前、児玉譽士夫所得の問題で、前の国税庁長官の中橋氏は、一体そういうようなことが全く把握できないというのはどういうことかという私の質問に対して、そういう御指摘に対しましては、私どもは何ともお答えができないくらい非常に反省しておるわけでございます。という答弁をしておられる。だから、あなた方は、大臣国税当局を信用してくださいというふうに私に言われたし、前の長官は、何十人もの査察官を動員して何カ月もやったというようなことを力説されるんだけれども、しかも、なおかつこういう調査漏れがあるということは、やっぱり田中個人をもう少し、あなた方当たってみないと、児玉も当たってみないと、ということなんだけれども、やはり直接その人が、調査をして、それがそういうことを言わないということになると、それはうそをついたことになる。で、これほど国会の問題となり国政調査権の対象となり、国民的な批判を浴びた事件で、国税当局田中個人について当たらないというような道理はないわけなんです。そういう点もう少し国税当局として反省する余地はありませんか。
  40. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 寺田さんのおっしゃることよくわかるんです。私ども国税当局といたしましては、田中さんばかりじゃございませんで、納税者全体につきましてその所得のあり方、財産形成の経過、非常に詳細に掌握いたしまして正確に調査決定していくということが当然の任務でございます。ただまあ申告所得税納税者が四百六十万人ぐらいおられるわけでございます。で、この関係の税務署の担当官が一万人余りということでございます。したがって、一人一人につきまして綿密に調べるという定員予算には恵まれておりませんので、この予算定員の範囲内におきまして、できるだけ有効な的確な調査をやりまして、責任にこたえなけりゃならぬと努力をいたしておるわけでございます。したがって、いままで私ども調査決定いたしました課税の事績は正確であるなどという私は自信はないのでございます。もう一人の人の所得なんというものをどこまで掌握できておるものかということについて全く自信がないのが実際でございます。したがって、あらゆる税務署に参っておりまする直接、間接のいろんな資料ばかりでなく、いろんな資料が新しく出て参りましたならば、それを頼りにいたしまして、またもう一度、自分たちのやりました課税事績をもう一度見直すということをして課税の適正を期するというようにしていかなければいかぬわけでございます。田中金脈問題の処理も、従来やっておりました田中さん並びに田中さんの御親族、それから関係会社、一たん決めたものをもう一度見直して、そうしてこの間更正決定をいたしたところでございます。ところが、それでもまだ今度は新しい材料が出て来ようといたしておるわけでございます。したがって、これはいま長官お答え申し上げておりますように、検察当局がいま捜査中でございまして、私どもに材料をちょうだいいたしますならば、国税当局といたしましてそれが課税すべきものでございましたならば課税していかなきゃいかぬのは当然だと思うんでございます。したがって、私どもといたしましてはどなたであろうとできるだけ正確な調査所得の把握に努めておりますけれども、なお足らないことが多い。しかし、あらゆる直接、間接の資料を掌握いたしまして、できるだけ正確を期するようにいたしておるわけでございまして、既応の決定につきましても、そういう資料が得られますならば、もう一遍また見直していくということはやらなけりゃならぬことは当然の任務だと心得ておると承知していただきたいと思います。
  41. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣、それは当然なんですよ。ただ、あなたも予算委員会でこれは私に対してお答えになっておられるんだけれども、「国税庁といたしましてはあくまでも一納税者として取り扱わさしていただいておるわけです。」ということなんですね。「一納税者として淡々と処理すべきものと心得ておる」ということをお答えになっていらっしゃる。普通これほどまでに世間の問題になり、国政調査権の対象になっている事件ですから、当然私は田中個人国税当局としては当たらなきゃいけないと言っているんですよ。そこを聞いておるんです。それは単に周辺調査周辺調査と言うて、そういうなまぬるいことでは困ると言うんです。長官、いかがです。
  42. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 当時は、相当綿密な調査を相当な人数をかけましてやったと聞いておりますが、その当該個人から事情を聞くかどうか、あるいはその秘書、よく事情を知っている方、そういう方々から事情を聞くということの方が効果的である場合もあり得ると思いますので、それは調査の仕方の問題でございまして、もちろん私どもといたしましては、あくまで納税者は常に一納税者でございますので、納税者として適正な調査の方法を用いていく、こういう形だと思います。
  43. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 その適正な方法としては、私どもとしてはまず第一に本人に当たるべきだと。私が最初一昨年の十月二十二日にこの委員会でこの問題を取り上げたときも、国税庁次長は、田中個人に当たる必要があれば当たりますという答弁をしておられるわけで、私ども田中に当たるべきだと考えておるんですが、長官はいまだにその点はまだ迷っておられるのか、それとも否定的に考えておられるのか、それともやはり田中個人に当たるべきだと考えておられるのか、どっちなんです。はっきりその点をしていただきたいと思う。
  44. 田辺博通

    説明員田辺博通君) この前行いました国税関係の職員の調査は、私はそれでそれなりに正しい方法であったんではないかと思います。その個人に直接事情を聞くかどうかというのは、先ほども申しましたように、やっぱりそのときの一番適切な方法が何であるかという具体的なケースに即して考えていかなければならない問題でございますので、ただ今回の別の問題と言いますか、新しく起こってまいりました問題につきましては、その内容につきまして詳細がわかりましたならば、その段階で判断をすべきだろうと思います。
  45. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 どうも何かやはり前総理というようなことがまだ頭にこびりついておられるから、あなた方そう言われるんだけれども、これが一般の庶民だったら当然これは本人に当たりますよ、税務署は。私どもだっていつも必要があったら国税局の職員が来て、直接私に聞くのでね。田中だから周辺をうろうろして、本人恐れて当たらないとか、必要があるとかないとか、そんななまぬるいことを言ってる。だから、国税当局を信用しろといっても国民は信用し切れない面を残すんですよ。当たりなさいよ。何で当たることにちゅうちょすることがありますか。当たったらいいじゃありませんか。一般庶民と同じように扱いなさいよ。  それから、刑事課長来ておられますか、法務省。
  46. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) はい。
  47. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 検察官の方はもう堂々と本人を逮捕して当たっているので、やっぱり検察官を見習わなきゃいかぬですな、国税当局は。  これは収賄罪の起訴が近くなされるという報道があるようですが、そういう見込みが濃いと考えてよろしいか。どうですか。
  48. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 田中総理につきましては、現在外為法違反で勾留取り調べ中でございます。十六日が勾留満期でございますが、検察当局といたしましては、現在この外為法違反の事件につきまして鋭意捜査中でございまして、現在の段階でどういう処理をするかということについて申し上げるのはまだ時期尚早でございますので、御勘弁をいただきたいと思います。
  49. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃ課長、もし収賄ということになると、これは所得税法違反が成立すると考えるがどうですか、その点。
  50. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 先ほど申しましたように、本件は五億円の外為法違反の日本円の受領でございます。この五億円の受領行為がいかなる性質であるか、いかなる性格であるか、さらに使途がどうなっているか、その趣旨がどうであったか等々が明らかにならないと直ちに税法違反の問題が生ずるかどうかを早急にここで申し上げるわけにはいかないと思います。すべてこれらは現在外為法違反で捜査中の過程において、おのずからその捜査の結果が判明するものと考えております。
  51. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ただ、これは使途がどうだといっても、あるいは趣旨がどうかといっても、ロッキードからの金であるという点は、もうあなた方は御起訴になっておられるんだからこれは肯定しなきゃいかぬ。それを承知で受け取っておる。その金が何らかの他の団体、いま政治資金規正法に言う政治団体に入らずに、田中個人の財布の中に入ったといたしますと、その金がどういう政治的な目的に使われようと、それは他のお金と一体となって、それから支出されていることになりましょう。そうすれば、その経費控除というものは、五億円を含めた田中の全体の金について考慮すべき問題で、その五億円というものを特別な預金か何かにして他の金銭と別扱いにしていろというような特段の事情がない限りは、一たん、他のお金と渾然一体となした財布の中に入っちゃったんだから、その使途の問題というのは全部の所得について言うべきであって、五億円についてのみ分けて言うべきじゃないと思うがどうでしょうか。
  52. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 御指摘の点は、本件の金員がほかの金と一体になっているかどうか、あるいは別建てになっているかどうか、それがどういう形で留保されているのか、使われているのかということに関係してくると思います。これらにつきましては、当然先ほど言いましたように、本件の捜査の過程で捜査の対象になるわけでございますので、現在それがどういう状況にあるか、検察当局がどういう形で事実を認定しているかということと関連するわけでございます。少なくとも検察当局としては本件を捜査し、前総理を逮捕勾留している以上は、その全貌を明らかにすべく現在努力しているわけでございますので、その結果おのずからその御指摘の点なども明らかになると思いますので、もうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  53. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 しかし、外為法違反だけで二十二日も勾留するということは常識で考えられないし、だから収賄の、ある程度あなた方お見通しを持っておられるんじゃないかと思うんですよ。そうすると、それが他の金と一体となった財布に入った場合について言えば、これはもう当然所得税法違反が成立するということは疑いないと思いますが、あなたのおっしゃるように、事実問題として別扱いに貯金して区別して全然セパレートして保管しておったというならこれはわかるけれども、もしも同じ財布の中にぼっと入って、他の金と渾然一体となったら区別しようがないでしょう。その法律論についてだけ答えてください。
  54. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) まさしくこの具体的な事件関係いたしますので、私、別に答弁を避けるつもりはないわけでございますけれども、どうしても具体的な事実との関係で関連してくるわけでございますので、仮定の問題についてはなるべく御勘弁をいただきたいということなのでございます。  所得税法の問題につきましては、所得税法上の法理として課税の所得として認められる場合が一般論としてあることは私どもよく承知しております。しかし、この点については、さらに先ほども国税庁の方からもお話がございましたように、実態が十分わかった上で、その時点で的確に判断すべきものだと考えておりますので、ひとつこの点はもうしばらく捜査を見守っていただきたいと思います。
  55. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 余り無理を言うてもいけませんので、それじゃその程度にお聞きしておきましょう。  それから、今度は国税当局、これは長官でもあるいは局長でも御所管によって御答弁を願いたいと思いますが、政治家の経費というのは、大体あなた方の方では、これがこの政治家の所得から控除できる経費だという基準は持っていらっしゃるようですね。この基準というのは大体一定しているわけでしょう。これは私も知っているけれども。だから、特別にこの年はやたらにばらまいたと、それを経費だとこう言っても通らないでしょう。どうです、その点は。
  56. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 特に金額的な基準というものはないと思います。政治活動に要した経費、これは要するにいわゆる必要経費ということになるわけでございます。
  57. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、そんなことないでしょう。政治活動に要したら全部経費だということはないでしょう。その政治活動なるものは、たとえば私が政治活動だと言うて、ほかの議員に金を配ったってそれは絶対に経費に認められないですよ。だから田中さんには田中さんで毎年経費として恐らくあったものがあるでしょう。たとえば国から支給されない秘書の月給。それから事務所の経費もあるでしょう。宣伝費もあるでしょう。調査費もあるでしょう。だけれども四十八年や四十九年にロッキードから合計五億円もの金を受領して、それを全部ほかの国会議員にばらまいたから、これはおれの政治活動として、経費として見てもらいたいよと言ったってそれはそうはいかぬと思う。どうです。
  58. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先生の御質問お答えをいたします前に、先ほど必要経費についての基準の問題がございましたが、先生方にも十分御申告をいただきます場合にお配りをいたしておりますパンフレットにも記載をしてございますが、この席上でもう一度申さしていただきますと、政治活動のための費用といたしましては、たとえば次のようなものがあります。  まず、公職選挙法第百八十九条の規定に基づきます選挙管理委員会への報告のなされている収入から支出された費用は、ここで言う政治活動のために支出した費用からまず除外されます。  それはまずひとつおきまして、じゃどういうのがあるのだと、こういうことになるわけですが、もっぱら政治活動のために使用した秘書、事務所職員への給料、手当など、この場合に第一議員秘書及び第二議員秘書の給与で、国から支給されるのは除きます。御承知のとおりでございます。  それから、もっぱら政治活動のために使用いたしました事務所の賃借料、その他事務所の費用、備品費などでございますが。  それからその次には、もっぱら政治活動のために使用いたしました通信費あるいは旅費、それから国会報、あるいは政見発表などのための費用、またもっぱら政治活動のために支出をいたされました委託調査費、あるいは図書費、会議費、こういったものがございます。  以上でございますが、先ほど申しましたように、パンフレットで十分先生方御承知のとおりだと記憶いたしております。
  59. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 だから私どもも、そういうあなた方の基準というものをよく頭の中に入れて御質問申し上げているわけです。つまり、大体そういうことで例年田中角榮氏は田中角榮氏なりに経費というものを認められているわけだ。ところが突如として何億円のまたプラスの金が入ってきて、それをばらまいたから、これもおれの経費だ、だから所得は何にもないよと言ったってそれは通るはずがないわけで、そんなに金を同僚議員にばらまいたり何かしたのを政治活動だ、経費だと言うたんじゃ国民は承知しないですよ、それは。それは国民から遊離した何かの考え方であって、そこを伺っている。だからあなた方は、そういう点について厳密に考えていかれる覚悟があるのかどうか、その覚悟をお伺いしているわけです。
  60. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先ほどの読み上げましたもののずっと最後の方になりますと、政治活動に関する調査費、接待費、その他の記載がございますけれども、恐らくそういうこと御承知の上で先生御質問だと思っておりますが、御案内のとおりに、ただいまの五億円の問題につきましては、私どもは実はまだ十分に更正決定をする、あるいは調査をするという段階にまでまだ資料を十分承知をいたしておりません。したがいまして、そういうものが判明をいたします段階で、いろんなものは調査もしていきたい。あるいは処理を適正に行いたい、こんなふうに考えておる次第であります。
  61. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはわかる、その資料が来てから考えるということはわかるけれども、その場合に、せっかく国税当局が一定の基準を決めているのだから、その基準を大きくはみ出したような交際費だとか、調査委託費だとかいうような名目をくっつけて他の政治家にばらまいたような場合に、そういう場合にはそれをうのみにしないで、厳密に国民的な納得が得られるような心構えを持って対処してもらいたいと、こう言っているんです。そういう御決意があるかどうか、それを伺っておる。
  62. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 先生のおっしゃいますとおり、いずれにいたしましても、政治家の所得につきましては、やはり国民全体が納得のいくような、私どもとしては冷静に判断をいたしまして、政治活動に要する経費であるかどうかということは厳正に判断をしていきたい、こう考えております。
  63. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃまあ、もう三たびこれから信頼申し上げるわけだから、われわれの信頼にこたえていただきたいと思うんです。  それから、今度の若狭得治、藤原亨一らの全日空の外為法違反の起訴事実が、もう起訴がなされたんですが、その起訴事実にかんがみると、全日空の法人税違反というものは当然考えられると思うんですが、これは刑事課長、あなた方が御起訴になっておられるんだから、もうすでに。これははっきりお答えできるでしょう、いかがでしょう。
  64. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 全日空関係につきましては、社長の若狭につきまして外為法違反の共犯ということで、昭和四十九年の六、七月合計約五千万でございますが、非居住者のためにする居住者に対する支払いの受領ということで公訴を提起しております。で、これの共犯といたしましては、その取締役沢雄次外二名でございます。さらに全日空の関係者といたしましては、藤原亨一に対しまして日本円一億一千二百万円のやはり同じく支払いの受領ということで、これは昭和四十九年八月初旬ごろの事実でございますが、公訴を提起しております。これらの金の受領の関係等についてお尋ねだと思いますが、この点につきましては全日空の会社に一たん金が入っているということになりますと、全日空という法人の納税の税額を算定する基礎となる所得の問題に法律上はなる可能性が十分にあると思います。この点につきましては、この金員が、どうもいつも捜査のことを言って申しわけないのでございますけれども、これらの金員が法人に入り、そうして法人の、いわば法人税法で言うところの課税所得になっているという認定になりますと、税法の問題が起こり得ると思いますが、その内容については、どうも同じようなことを言って恐縮なんでございますが、公判でこれから立証していく問題でございますし、さらになおこの関係につきましては検察当局としてはその金の使途について不法行為があれば、それを厳正に処理すべく捜査中でございます。その内容を、具体的な内容をどうなっているかということを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論としては御指摘のような問題も起こり得ると思います。
  65. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 若狭や藤原の個人のポケットに入ったとは考えられないから、これは全日空のふところに一たん入ったのでしょうから、課長のおっしゃるように法人税法違反が起こり得ると、それで大体肯定的なあれだと思うからよろしいですが。  それから、児玉についてもこの間四十八年度の外為法違反が二回起訴せられておりますが、これも児玉個人のポケットに入っておりますから、これは所得税法違反の起訴が近くあり得ると考えていいわけでしょう。
  66. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 児玉につきましては、東京国税局の告発を受けまして、三月十三日、すでに昭和四十七年分について所得税法違反で告発をしているのはもう御承知のとおりでございます。四十八年、四十九年のさらに両年度につきまして、東京地検としては現在その所得税法違反の関係について鋭意捜査中でございます。この点については東京国税局が十分いろいろお調べいただいて、犯則調査として御協力いただいているところでございまして、鋭意国税局と力を合わせて、東京地検においてその所得の実態を明らかにすべく努力中でございます。
  67. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あと二問だけ簡単にお尋ねしますが、富裕税について私どもは前から大臣にもこの採用をお願いしておったわけですね。大臣はどちらかというとむしろ否定的なお答えだったのですが、最近読売新聞の八月五日付の記事として、富裕税の実現に取り組む意向を明らかにしたというような記事が載っておりますが、これはそういうふうに事実として承っていいのでしょうか。
  68. 大倉眞隆

    説明員(大倉眞隆君) 現段階では税制調査会にお願いしておりますことは、まず御承知の昭和五五十年代前半の経済計画を御説明いたしまして、中期財政収支試算を御説明いたしまして、政府の公式の見方として、ある時期に税負担の増加をお願いせざるを得ない、そこへ追い込まれたように思いますが、今後しからばいかなるタイミングで、どのような税目で負担の増加をお願いするのが最もよろしいか、ひとつあらためて根元から御議論を願いたいということをお願いして、九月から二つの部会に分かれまして、具体的な審議を開始していただきたいと思っております。  第二部会の方の非常に大ざっぱなテーマといたしましては、資産に対する課税と、消費に対する課税とを中心的にお取り上げ願いたい。したがいまして、ただいまおっしゃいました富裕税というようなものの創設の是非につきましても、恐らくある時期に第二部会の方で御検討の一つの項目としてお取り上げいただくことになるのではないかと思いますけれども、私どもとして、大蔵省事務当局がこの税の創設を決めたとか、あるいはやらないことに決めたとかというような判断をいまいたしておるわけではございません。
  69. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 最後のお尋ねとして中期国債について、これもまた最近の毎日新聞の八月四日付の記事として、この中期国債の年内発行の方針を最終的に固めたという報道がなされておりますが、これは事実と承っていいんでしょうか。担当の局長。
  70. 岩瀬義郎

    説明員岩瀬義郎君) 大蔵省としましては、現在個人消化促進策の一環として中期国債構想を検討しておることは間違いございませんけれども、先般、これは大変金融シ団の面におきましてもかなり関係の深い問題でありますし、かねてからシ団の側でも研究の委員会を開いておりましてそういう検討をいたしておりますので、そういうシ団との間の意見交換等をいまから進めてみたいという段階でございます。こういうものが整いました場合には実現の運びとなるかと存じますけれども、まだそういう段階ではございません。
  71. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 終わります。
  72. 福間知之

    ○福間知之君 いま同僚の寺田委員から税制の話が出ました。ちょっとついでに最初に引き続いてお聞きしたいんですけれども、いまおっしゃられた税調の第二部会ですかでの資産税とか消費税の問題ですけれども、そういう具体的な内容のさらに前提として、大蔵省がいわゆるかねてからの話題に上ってきましたところの付加価値税創設の問題、付加価値税の創設とあわせて海外諸国でやっているような所得減税を抱き合わせる一つのパターンですね、あるいはそうじゃなくても、将来的に所得減税というようなものは行わないで、現行の税制、あるいはプラス手直し程度のパターンで微増税をやっていくという、何かこの二つのお考えが検討されているように聞くんですが、その点はどうですか。
  73. 大倉眞隆

    説明員(大倉眞隆君) ただいま福間委員の御質問になりました件は、どこかの日刊紙でそのような報道がされておりましたのを私も記憶いたしておりますけれども、私どもとしてとうていそこまでまだ詰め切っておりません。したがいまして、所得税の問題につきましては先ほど寺田委員お答えいたしました中の第一部会の方で負担の現状をもう一度見直していただいて、そこに負担増加の余地があるのかないのかを御議論を願っておりまして、それからまた消費税につきましては第二部会の方で現在ございます各税目の負担の増加が可能であるか適当であるかということをまずやっていただいて、さらに検討課題としましては、現在ないような一般消費税のようなものも導入する方がいいのか悪いのか、それをこれから改めて議論していただき、各部会の検討の結果をいわば持ち寄っていただいて、さて全体をどう仕組むかというふうなプロセスを考えておりますものですからまだ各部会そのものも始まっていない現在の段階で、大体結論はこっちであるというようなことはとうてい申せませんので、現状におきまして各紙いろいろ華やかに報道しておられますのは、言葉は悪いのでございますが、本当の観測記事であるというふうにお受け取りいただくしかないと思います。
  74. 福間知之

    ○福間知之君 観測記事は観測記事として私も受け取っておりますけれども、前国会の会期中からこの問題何度か議論の対象にしてまいりました。景気の回復が順調といえば順調なんでしょうが、かつてのような高成長への逆戻りは考えられない。したがって、税収の大幅な伸びも期待できない、こういう前提で考えてみますと、大蔵省の方でも五十二年度の国家予算編成に当たっての幾つかの考え方がこれもまた報道されているわけですけれども、その中に税収の大幅な伸びが期待できないということがやはり前提になっておると思います。そうしますと、まさに高成長から減速成長へ入る日本経済の中における財政というようなものを考えた場合に、いわゆる収入のあり方を抜本的に見直さなくちゃならないということだけは確かだと思うのです。これは与野党を通じて必ずしも従前のままでいいとは、たとえば租税特別措置一つをとりましてもそうですしね、あるいはまた所得税もいずれにしても一遍見直してみると、こういう必要があると、これは私も否定はいたしません。したがって、いわばいまおっしゃったような審議を通じてやや中期的といいますかね、ややロングランな一つの税制の展望というものをいつごろにまとめられる御予定なのかお聞きしたいと思うのです。
  75. 大倉眞隆

    説明員(大倉眞隆君) ただいま私どもの方から税制調査会にお願いいたしておりますのは、まさしく福間委員のおっしゃいましたようなある程度中期的な、いわば昭和五十年代前半の経済計画とうらはらになるような期間を踏まえての今後の税体系、税負担のあり方についての御審議をお願いいたしたいと、その結論は、できることならばことしの年末までにいただきますれば、それは五十二年度改正をそれに即して実施可能なものから御提案していくということができますから、できれば年内におまとめいただきたいと申し上げてはおりますけれども、しかし、諸般の情勢もございますし、事務当局の方の準備もかなり時間のかかる問題もいろいろございますので、場合によりましては、ことしの年末にということはそれは非常に無理であるということもあろうかと思います。ただ、その場合でも現在の調査会にお願いいたしております委員の先生方の任期が来年の秋に切れますので、来年の秋の任期切れまでにはぜひいまの調査会としての答案を出していただけませんでしょうか、また同時に来年の秋までずれるといたしますれば、少なくとも五十二年度改正が中期的な方向にマッチしたものになる、つまり中期的な物の見方から見て五十二年度改正を位置づけることができるということの方が望ましいので、そのために年内にいわば中間的な議論のお取りまとめでもやっていただけるとありがたいですが、というようにお願いいたしております。
  76. 福間知之

    ○福間知之君 時間がありませんが、そういうことで臨時国会はいつ開かれるか今後の課題ですが、当然その中でも税制の審議が進んでおれば並行して実のある議論ができようかと思いますので、鋭意ひとつ御努力願いたいと思います。  次に、日銀当局がおいでいただいていると思うのですが……。
  77. 岩動道行

    委員長岩動道行君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 速記起こして。  福間君の質疑は後刻に回し、次の質疑を行います。
  79. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最初に、先ほど寺田委員から質問のございました大平大蔵大臣の香川発言について二、三点だけお伺いをいたしますが、まず第一番目は、自民党が政権を野党に譲り、みずからドッグ入りして活力の回復を待つことが民主主義のルール、党再生の道のように思うと、しかし、国民の間に野党に政権を譲れとの声はなく、野党側にも受けざらの用意があるようには見えないと、このようにおっしゃっておりますが、私たちの認識といたしましては、受けざらについてもまあ私たちも私たちなりに、もうすでに公明党の場合であれば二年前に発表してありますし、また他の野党もそれぞれ受けざらは出されております。したがって、この受けざらがないというのは何を意味されておるのか。やはり私は大臣がここまではっきりおっしゃったのですから、一応野党に政権を譲るというのが私はまあ常道ではないかと思いますが、この点についてまずお伺いしたい。
  80. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は民主主義のルールをまず申し上げたわけでございまして、政権党が行き詰まった場合におきまして、本来ならば統治能力を持った在野党が政権を担当するということが民主主義のルールではなかろうかと、そういうことが第一点でございます。  それから第二点は、しかし、わが国の現在はしからばどうかというと、国民の間にそのルールに沿いまして在野党に政権を担当していただくべきであるという議論はどうも非常に乏しいということと、それから在野党の間に歩調がそろって政権を一緒になって担当していこうというような体制ができておるように少なくとも私には見えないということを申し上げたまででございます。
  81. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣は、今後の政治日程をどのようにお考えになっておるのか。まず、大蔵大臣の立場から言えば、臨時国会早期召集ということは非常に強い要望だと思います。しかし、現実に自民党内を見ておりますと、なかなかそういうことはできないんではないかというふうな私たちは気持ちもいたしますし、またわれわれとしては値上げ法案等のための臨時国会であれば早期開会には反対をしておりますけれども、まずロッキードの究明は大体どの辺で終わると考えていらっしゃいますか。やはりロッキードの真相解明が終わった後の臨時国会召集なのか、さらにその後の大臣がこれだけいろいろおっしゃっておるわけですから、たとえ大臣が、いま野党には政権の担当の能力はないといっても、やはり選挙やってみないとわからないわけでして、国民がどう判断するかは、いままでは、少なくも現在の議席からいえば国民はそう判断していないかもしれません。やはり解散総選挙の結果はどうなるかわからないわけです。そういった意味では解散、総選挙は急ぐべきだと思うわけですけれども、その辺についてどうお考えになるか、この点お伺いしておきます。
  82. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大変いまの日本の政治日程を考えるということはむずかしい問題だと思うんでございます。衆議院の任期は目睫に迫っておるわけでございまして、いやおうなしに選挙はやらなけりゃならぬということになっておると思うんでございます。同時に、特例公債法案、それから鉄道運賃の改定、電気通信料金の改定等、いわゆる重要な歳入立法は国会に継続審議になっておるということでございます。私は、この限られた時間の中で乙の重要な歳入立法はお願いしておかないとはかり知れない財政危機が訪れることになるということをいたく心配をいたしておるわけでございます。したがって、政治日程というようなものを考える場合に、そのことを前提に与党の方にも野党の方にも政府の方にもまずお考えを願いたいものということをこれまたたびたび機会あるごとに申し上げてきたわけでございます。  ロッキード問題の解明はゆるがせにできないことは私もよく承知いたしておるわけでございます。しかし、ロッキード事件というものは私よくわかりません、私、担当いたしておりませんから。また、今後どういう発展を見るか私よく存じません。山を越えたものか越えないものか、それもよくわかりません。わかりませんけれども、総選挙が迫っておるということ、そしてそれまでにどうしてもこなさなけりゃならぬ懸案があるということ、これはもう動かしがたい現実だと思うんでございます。そして、それをはずしてやっていけるかというと、私はもうとても考えられないことなんでございます、私にとりましては。皆さんもお考えいただければ御理解いただけると思うんでございますので、そのことを前提に政治日程をお考えいただきたいということを訴え続けておるわけでございまして、先般の発言もそういうことを繰り返し申し上げたのでございます。
  83. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この議論を余りしておりますと本論に入れませんので、最後に一つだけお聞きしたいのは、自民党の改革は急がなきゃならぬと、非常に時間がないというような意味のことをおっしゃっておりますけれども、それの問題と、いまの法案成立の問題、それから解散と、非常に大きな要素が三つあると思いますけれども、要するに順番はどのように大蔵大臣はつけていらっしゃるわけですか。
  84. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私がいま申し上げましたように、一刻も猶予できない重要な歳入立法という懸案があるということ、これは何としても早急にこなしていただかなけりゃならぬということを申し上げておるわけでございます。どういう順序になっても結構なんです。これが解決すればいいわけなんでございまして、これがタイムリーに消化していただければ私はいいわけなんでございます。これがしかし消化できないとこれえらい危機を招来するおそれがございますので、そのことをもう祈るような気持ちでお願いをしているわけでございます。
  85. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 税調会長代理お見えになっておりますのでお伺いをいたしますが、税調で今回、これから審議をずっとされておるわけでありますが、やはり一番の大きな国民からの不満といいますか、要求といいますかは、何といっても税負担の公平ということだと思います。これについて、一つは、法人税について税調ではどういう点に焦点を当ててこの不公平の是正ということをおやりになろうとしておるのか、これがまず一つ。  それから、言われておりますいわゆる増税ですね。こういった低成長時代、特に五十年代前期経済計画における国民所得に対する税負担、これを二二・七から三%引き上げるという、これに伴う税負担の増、いわゆる増税というものをどれに焦点を当てようとされておるのか。  それからもう一つは、直接税と間接税、これの比率は現在のままでいいのか、あるいはどのように、要するに直間の比率を改める、間接税をもっとふやすという方向なのか。  それからもう一つお伺いしたいのは、ずっと議論されております医師の優遇税制、要するに七二%の問題ですが、これについては前年度も検討はされましたけれども、また答申にもきちんと出ておるんですが、改正はされずに延びたわけですけれども、この点についてどう考えるか。  まずこの四点お伺いしたいと思います。
  86. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 矢追さんから四点の御質問でございます。  まず第一は、負担の公平につきまして、法人税でどの点に焦点を合わして検討するのかというお話でございます。御承知のように税制調査会といたしましては、本年の六月二十二日に第一回の総会を開きまして、その席で大蔵、自治の両大臣からごあいさつがございました。なお、そのときに、五十一年度税制改正につきましての報告を詳細事務当局からいただいたわけでございます。国会で、特に参議院で決議になっている事項がかなりございます。これにつきましてはかなり詳しく御説明をちょうだいいたしました。これが第一回の総会でございます。  第二回は七月の二十日でございます。この二回の総会におきましては、五十年代の前期経済計画及び財政収支の試算、これにつきまして関係当局からこれまた詳細の説明を受けたのであります。これを重要な参考にいたしまして、これから審議に入ってまいるのであります。まだ具体的な検討項目は未定でございます。さらに、今後の審議日程も決まっておりません。なるべく早く総会を開きまして、この二つの大きな事項、前期経済計画及び財政収支試算、こういうものを参考にいたしまして、そうして大筋といたしましては現行税制の全面的な見直しをやる、それと同時に、あわせて新税の検討もするということだけは大方の意見がまとまっておるのであります。そこで、これから具体的にどの問題をどう取り上げて審議するかはこれからの問題でございます。ただ、審議の能率化を図ってまいりまするがために、先ほど主税局長からお話がございました第一部会、第二部会をそれぞれ設けて、そして各部会を中心といたしまして広くまた掘り下げた検討をやっていく、こういうことに相なっていることを御了承いただきたいと思います。  そこで、いまの第一点でございまするが、今後の法人税、これをどこに焦点を合わせて公平化をさらに推進していくかということも一つの大きな検討項目には違いありません。特に、御承知のように、五十年、五十一年と両年度にわたりまして、租税特別措置の整理、合理化を全面的に本格的に取り組んでまいり、検討いたしたのであります。これにつきましては、五十一年度におきまして主として企業関係の特別措置を思い切って洗ったのでございまして、大体の方向といたしましては、五十一年度の答申にありますのでございまするが、この整理、合理化の方針にのっとりまして、事務当局といたしましては非常に懸命に努力されまして、かなり評価すべき結論を得られたと思っております。  しかしながら、まだ積み残しのものもないことはない。特に政策税制と見られない、御承知のように法人の基本的な仕組みに関するもの、たとえば法人の受取配当の益金不算入制度、それから配当控除制度というものがございまするが、これらも一応この特別措置というふうに一般から見られ、あるいは批判を受けておるというものでございまするが、これらは実は政策的な特別措置でございませんので、一応別にしてこれから検討するということになっております。すなわち、法人の基本的な仕組みに関連するものとして検討を続けていくということでございます。  なお、引当金のごとき、所得計算方式にかかわる問題として認められるものも、やはり一応形式的には特別措置といったような批判を受けておるものでございますので、これらも別にこれから取り上げて検討するという方向になっておりますることを篤と御了承をいただきたいと、かように考えます。  次に、中期税制案、これからの大きな問題でございまするが、それによりますと、税収の伸びを平均二〇・九%という大幅なものを財政収支試算には見込まれておるようでございます。これは実に大幅なこれからの増税ということになるかと思うんでありまするが、この増税案の焦点をどこに置いてこれから審議するか、これもこれからの問題でございまするが、一応予想的なことを申し上げますというと、御承知のように、こんな大きな増税というのを満たしていくためには、さかのぼって現行税制体系というものも一遍見直さなければならないのじゃなかろうか。この現行の税体系のまま今後の財政健全化に対応できるかどうかということが非常に大きな問題ではなかろうかと、かように思うのであります。すなわち、ある程度税全体の体系の構造改革といいまするか、仕組みを掘り下げて検討してみるということが現実に必要になっておるのではなかろうか。  これにつきましては、御承知のように、直間比率の問題——第三にお話がございましたが、直間比率の問題がやはり関連を持ってまいります。御承知のように、直間比率は七対三の状況になっております。一時は三をかなり割った時期がございました。外国の事例もいろいろ検討されておるのでありまするが、いろいろ歴史的な事情もございましてまちまちでございます。七対三の日本に似通ったものもございまするし、また逆に三対七というようなところも、フランス、イタリア等はさよう状況になっております。間接税が伝統的に非常に普及発達しているというところはさような状況になっております。  どの直間比率の程度がいいのか、これは非常にむずかしいので、われわれ素人にはとてもその計算ができません。ただ言い得ますることは、余り偏っておる、特に直接税というものに偏り過ぎまするというと、どうも結果におきましては税収が不安定になり、そして財政運営が場合によっては困難になってくる。現状は恐らくそうじゃないかと思うのです。かつては自然増収が大変多くありまして、これは高度成長の結果でございますが、そのひずみが今日の税収にやっぱり出てまいっておるような感じがいたします。その自然増収は、本来から申しまするというと税負担者に返すべきもので、これが本来の姿ではなかったかと思うのでありまするが、この自然増収を、一部は財政規模の増大に振り向けられ、あるいは減税に振り向けられ、直間比率の問題は余り真剣に考慮してなかったといううらみはなきにしもあらず、これが今日非常な災いを生じて、大きな赤字に苦しみ、財政の不健全を招来しているというふうに税調の方では皆さんさような感じを持っておられるようであります。しからば、五対五がいいのか、六対四がいいのか、これはそう簡単には言えないんじゃないかと、いま少し間接税の方にウエートをかけると、すなわち所得税とそれから消費税と、これを適当に組み合わせて、そうしてこの組み合わせによりまして税の垂直的なまた水平的な公平を得られると、かようなことを言われておるのでありまするが、まず、何とかしてもう少し薄く広く徴収できまするところの消費税的なものにウエートがもっとかかっていかないかということが皆さんの心配の種のようでございます。  最後に、医師の診療報酬課税の問題。この間、国会の決議の報告を承りまして、調査会の委員の皆さん非常に敬意を表されたものは、この医師の診療報酬課税、これを税調の答申の線に沿って速やかに実現すべきだという心強い決議がなされておりました。みんな快かなという気持ちを持たれたようであります。実は、御承知のように、五十年にこの答申を具体的に出しました。この答申はまあ出すか出さぬかということにつきましても非常な議論が税調の中でございました。出してもこの実現可能性は薄いじゃないかと、そんなものを税調が余り深入りすべきでないという意見も実はございました。しかし、租税の特別措置、これを徹底的に総ざらいするという方向である以上、この不公平税制の典型的なもの、制度そのものが不公平だという議論もあるのでありますから、そういうものを素通りして他の租税特別措置を整理するということは、とうてい税調としてはできないという議論が大勢を占めまして、これにつきましても答申をいたしたのでございます。かなり具体的な答申でございました。ところが、総理大臣は、これをどうも本気でお取り上げにならなかったようであります。いつの間にか厚生大臣に下げ渡しになりまして、おまえのところでひとつよく検討して適正な措置をとれと——厚生大臣で決着がつくような簡単な問題じゃないんです、それを中途半端なさような姿でたな上げされておりますることにつきましては、税調の各位とも憤激のきわみでございます。これでは取りつく島がない。もうこうなったらば国民パワーでもって解決をしてもらうほかないんじゃないか。すなわち委員の皆さんは良識のある方々でございまするから、ひとつ不公平きわまる恩典はみずから自主的にお受けにならないと、他の制度と同じように申告でひとつ公平に税を負担していただくと、この国民運動がどこからか起きないかというふうな声が一部にあるようでございます。実は税調が国民運動の本拠になるわけにもまいりません。ひとつ皆さん何か名案がございましたらば、きょうはここでひとつ名案をお教えをいただきたいというつもりで参上してきたわけでございます。
  87. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大分時間が長くなりましたのであと質問時間がもう迫ってまいりまして……。  いまの四点について大蔵省はまずどのようにお考えか、これは簡単で結構ですからお答えいただきたい。  それから、特に不公平税制の中で、まあいろいろお話ございましたが、一つは富裕税の創設をするかどうか、その問題が一つ。それから、法人税の累進化ということの考えはどうか。それから、国から地方への税源の移譲をもっと行わなければ現状のままでは地方自治体は非常に財源難で困っております。この三点について、これは大蔵省と税調と、両者からお答えいただきたい。
  88. 大倉眞隆

    説明員(大倉眞隆君) できるだけ簡単にお答えいたしたいと思いますが、まず法人税の問題につきましては、ただいま友末会長代理からお話のございましたとおりでございます。国会でのいろいろな御提案を含めまして、もう一度根元から御議論願うつもりでおります。  直間比率の問題は、これまた、会長代理がおっしゃいましたように、先見的にどれくらいの比率がいいかという答えはなかなか出ない問題であろうと思います。やはり具体的な各税目につきまして適正な負担を求めてまいる、その結果がどういう直間比率になるかというように、後から出てくる問題としてとらえる方が妥当ではないのかという気持ちを事務当局としては持っております。これまた、税調での御議論の一つの非常に大きなテーマになろうかと思います。  医師税制につきましては、主税局長といたしましては、御答申をいただきながらいまだに具体的な法案として御提出できないことをまことに残念に考えておりますが、しかし、政府の方針は、改めて厚生省のもとで専門家の検討を待ち、その上で国民の納得を得られるような結論を得たいということでございまするので、しばらく時間をかしていただいて、その結論を見守りたいと考えております。  なお、追加的にお尋ねのございました富裕税の問題につきましては、資産課税が、いまあります資産課税だけでいいのかどうか、広く経常的な毎年の財産課税というものを考えた方がいいかどうか、これは今後の検討の一つのテーマであろうと思っておりまして、ある時期に具体的に御検討をお願いしたいと考えております。  地方財源の移譲の問題につきましては、地方団体から非常に強い要請がございますが、国の方も火の車でございまするので、具体的にどういうことが考えられますか、これから議論を重ねてまいらなくてはなりません。ただ一つだけ、地方財源の議論のときに常につきまといます非常な難点あるいは限界は、何としましても地方独自の地方税として考えられるものについては、偏在が非常に強いことが多いのでございます。その限界の中で何が考えられるか、なお勉強をいたしてみたい、このように考えております。
  89. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 友末参考人、簡潔にお願いいたします。
  90. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 富裕税につきましては、今後税調でもこれを取り上げて検討することになると思います。ただ、この問題につきましては、御承知のように、把握の問題、評価の問題、非常にむずかしい問題がございます。また、かつて創設して三年間で廃止したというふうなこともございますので、税法体系全体とも関連いたしまして検討するということになろうかと思います。  法人の累進税率につきましては、どうも仕組みとして基本的になじまないんじゃないかというようなこともございまするが、今後の検討課題でございます。  さらに地方財源の充実強化、これも大きな問題でございまするが、偏在の問題、あるいは地方独立税源をどれだけ拡充できるか、あるいは国と地方の財源の移管問題、これらをあわせて総合的に検討されることになろうと、かように考えております。
  91. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間が参りましたが、お許しをいただいて、最後に大臣にまとめて少し二、三問題をお伺いしたいと思います。  一つは、きょう来日されました米国の財務次官、あす大蔵大臣お会いになると思います。これに対する、大体どういうふうなことを議題にされて、どういう姿勢で臨まれるのかどうか。特に中でもかなり輸出が伸びてきておりますので、それに対する米国側のいろんな問題が出る可能性もあるかと思いますが、その点についてどのようにお考えなのか、あるいは輸入等の問題も輸出の伸展に伴って言われてくると思いますが、その点が一つ。  それから次に、OECDの対日審査が出ましたが、これにも増税のことも出ております。また来年の上期は七%の成長というようなことが出ておりますが、この対日審査に対する政府としての対応といいますか、評価及び対応、これはどうお考えなのか。  それからもう一つは、卸売物価がずっと上昇を続けておりまして、先ほども寺田委員質問の中にも景気回復等の問題出ておりましたが、確かに景気回復のいい分野もございますが、まだまだ全体としては不景気、不況の域を脱していないところが非常に多いわけです。まあ私なんかが接触しておるような人たちのところはまだまだ大変なのが非常に多うございます。特に中小零細企業、また失業もきょうのニュース等によりますと、やっぱり依然として百万人を突破しておる。決して景気回復しておると手放しで言えるような状況では決してない。その中において物価の上昇、またいろんな要因等が加わってくるということで、何かまた金融の引き締めも九月に入ればあるんじゃないか、あるいは選別融資が強化されて実質的な金融引き締めがあるんじゃないかというように、特に借金を抱えたような企業の方は非常に心配をされておりますが、この点についてどのようにお考えか。  最後に、五十二年度予算編成についてこの間閣議で了承されましたが、この一五%増以内に抑えるという点が、どういう点において可能という見通しをお持ちなのか、なかなかむずかしいと思います。  それから公共料金の値上げを織り込むという点について、具体的に何を考えられておるのか。  以上の点について大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  92. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 米国の財務次官の来日でございますけれども、アメリカのトレジャリーと日本の大蔵省との間には絶えず連絡を密にいたしておるわけでございまして、今回の来日もその一環でございます。日米間にいま特に問題があるわけじゃございませんが、問題があって折衝をするというよりは、絶えざる対話を通じまして、事が、問題がないように日米経済関係金融関係をやってまいることが上策でございますので、そういうラインで応酬していきたいと考えておりまするし、先方もそのように心得ておると思います。  それから、第二のOECDの対日審査でございますが、この点につきましては、ここに佐上審議官出席いたしてまいっておりますので、佐上君から後ほど報告いたさせます。  それから、いま、御案内のように、卸売物価がこの六月、七月と騰勢が強うございまして、八月は若干鈍化の傾向を示しておりまするけれども、これは確かに要警戒でございます。警戒すべきことであることは御指摘のとおりでございますけれども、いま政府で金融政策、財政政策等を再検討いたしまして、いまの政策基調を変えていくというようなことは考えておりません  それから来年度予算の問題でございますけれども、これは八月末の概算要求のシーリングをどうするかということを決めまして、そのラインでいま各省、各庁が私どもの方に要求案を作案中であると承知いたしておるわけでございます。これからどういう——このシーリングはすでに各省庁が承知の上でいま要求案を作案いたしておるところでございますので、われわれの期待どおりの枠内で要求が出てくるものと思います。しかし、その中身の査定はそれから始まるわけでございまして、内容をどのように盛り込んでまいりますかは今後の検討でございますので、ただいま公共料金政策等につきましてまだ国会で申し上げる段階ではございません。
  93. 佐上武弘

    説明員(佐上武弘君) 時間の関係で簡単にお答え申し上げます。  OECDで問題になりまして、実は今朝発表されました四章からなる非常に浩瀚のものでございますが、そこの中に増税問題を触れているわけでございますけれども、その基本となりますのは、戦後GNPに対して六%という公共債の赤字の借り入れというものはこれは注目に値するんだということが一つございまして、これは恐らく景気循環的なものと構造的なものと二つに分けられるんじゃないかと思うが、大部分はやはり世界的な不況によるところの景気循環的な要素が多いであろう。したがって、景気の回復に従って赤字はだんだん縮小すると思うけれども、新しく政府が決めました五カ年計画によると、社会福祉を中心とし、公共部門に対するウエートがかなり大きくなっているというたてまえから見ると、こういう形から見ると、かなり赤字の部分は構造的なもの、つまり長期的なものとして残るんじゃなかろうか。そういうところから見ると、やはり租税部門において増徴を図っていく必要があるんではないだろうか。勧告としては、特にOECD諸国に比べて税負担が日本が低い点も考慮に入れるべきであるということで、将来増税の問題を取り上げて示唆しているわけでございます。  それからもう一つの、この新聞等で、来年上期七%というふうに書いてございますが、これは非常に大胆な仮説を引いておりまして、本年の七月から十二月まで、これは下期でございます、それから来年の一月から六月まで、非常に長い、いわば私どもから申し上げますと長期的な見通しをしているわけでございますが、それはかなり大胆な仮説を置いておることも彼らは認めているわけでございます。その結果がことしの下半期と来年の上半期では七%、七・二五という数字をはじき出しておるわけでございますが、しかしながら、そうは申しましても、結論の段階としてはこういうような予測については非常に不確実性を伴っておって、確実には言えないけれども、大体この今後十二カ月と申しますのは、下半期から十二カ月では大体六%から七%の実質GNPの伸びで上昇を続けるんではないだろうか、こういう示唆をいたしている次第でございます。
  94. 渡辺武

    渡辺武君 最初に、法務省に伺いたいと思うんですが、いらっしゃいますか、法務省の……。  いま逮捕されている田中総理大臣ですが、新聞記事などによりますと、丸紅を通じてロッキード社から五億円の金を受け取ったということについては認めているんだということが書かれております。実際この金を田中が五億円受け取ったことが事実かどうか。  それから、もう一つ伺いたいことは、これは政治献金として受け取ったんだということを田中は主張しているというふうに新聞などには出ておりますけれども検察当局としてはこれ賄賂として見ていま捜査しているという記事が書かれております。先ほどまだ捜査中だということをおっしゃいましたが、賄賂の容疑で捜査しているということかどうかですね、その二点をまず伺っておきます。
  95. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 先ほどもお答えいたしましたように、現在は外為法違反で捜査中でございます。で、この点について本人は認めているかどうかという点でございますけれども、それは捜査の内容に関することでございます、取り調べの内容に関することでございますので、遺憾ながら申し上げられないのでございます。ただ、検察官といたしましては、昨日も大久保、伊藤、榎本につきましてそれぞれ本件五億円の支払いと受領の関係で公訴提起しております。これは捜査の結果、十分検察官としては檜山らの関係者が五億円を支払い、田中総理らにおいてこれを受領したという、捜査の結果、その刑事責任を追及できるという確信を持っておる捜査の結果の従来の結果につきましては、そういうような事実に基づいて御推察いただく以外にはないわけでございます。  それから、第二の問題といたしまして、収賄容疑について調べているのかということでございますが、この点については先ほどもお答えいたしましたように、現在捜査中でございまして、本件金員の性格、趣旨、使途を含めて現在その真相を解明すべく鋭意努力しております。これにつきまして、おのずからその捜査の過程でその内容が明確になればこれについて結論が出るものと考えております。
  96. 渡辺武

    渡辺武君 この金の使途だとか、性格だとかいうものを解明しているというわけですから、その解明の、つまりこの目標の中には賄賂かどうかということも含まれているわけですね。その点はどうですか。
  97. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 含まれているかどうかということについてはお答えできません。現在、その五億円の受領したという事実について、従来の捜査の結果から見て十分その容疑があるという確信を持っておりますが、さらにその趣旨等についてはその内容がどうであったかということをさらに現在捜査中であると。以上のことはお答えできません。
  98. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃもう一つ伺いたいのですが、この受け取ったと考えられている五億円ですが、これはロッキード社もしくは丸紅というような法人から渡されたというふうに見ておられるか、それともコーチャンもしくは檜山個人から渡されたというふうに見ておられるのか、どちらでしょうか。
  99. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) その点も捜査の内容に関することでございますが、すでに田中総理についての逮捕をいたしました被疑事実、勾留事実は、檜山らから五億円の支払いを受けたという容疑でございます。そして昨日公訴提起いたしました大久保、伊藤、榎本らの公訴事実によりますれば、大久保、伊藤の両名は檜山及びクラッターと共謀の上、榎本と前総理田中角榮に現金五億円を支払ったと、こういう事実で公訴を提起しておるのでございます。それの実質がどういうことであるかということについては、現在お答えできる段階でございませんし、さらに今後この点については公判で立証すべき事柄でございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
  100. 渡辺武

    渡辺武君 檜山らと言われましたが、檜山もこれは個人じゃなくて、丸紅の前あれは会長でしたな、当時は社長でしたか——とにかく社を代表した者としての檜山と、あるいはクラッターもロッキードの東京支社長でしたかな、という、やっぱり社を代表しての者というふうに考えて差し支えありませんか。
  101. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 本件捜査がロッキード社から不法に、ロッキード社から国内に流入した資金の解明の過程で本件の容疑事実が出てきたということであります。で、それは会社の代表者としてやった行為かどうかという点でございますけれども、その点は具体的な事実に微妙に響く問題でございまして、この点で私がここでこういうものであるということを明らかにし、性格づけるのはいかがかと思いますが。
  102. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃ国税庁の方に伺いますが、田中の四十八年、四十九年の確定申告、もしくはその後の修正申告がされたと思いますが、その修正申告の中に、この五億円ですね、この所得は申告されておりましたか。
  103. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 四十八年あるいは四十九年分の所得につきましてはまだ結論を得ていない段階でございますので、特にお答え申し上げる能力がございません。
  104. 渡辺武

    渡辺武君 だって田中金脈事件のときに、これらの所得についてはかなり綿密に調べたと思いますね。そのときにこの五億円わからなかったんですか、入ってなかったんですか。
  105. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 失礼しました。四十四年から四十八年までにつきましては綿密な調査を行ったわけでございますけれども、このいまの問題になっております五億円というものが具体的にどういうぐあいにまあ収受されたかということをまだつまびらかにいたしませんので、はっきりしたことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、そういうものは特に目立った金額でございますので、国税庁としましてはどうも把握していなかったんではないかと思っております。
  106. 渡辺武

    渡辺武君 その国税庁が把握していなかったということは、つまりこれはなんですね、申告されていなかったというふうに判断しても差し支えないんじゃないですか。その点どうですか。
  107. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは所得の問題でございますので、単に金の授受があったということだけでは所得の問題にはならないので、ちょっとそこまでは御答弁申し上げることはできかねるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、特に問題になっておるような五億円というような金額のまとまった金の収入というものは把握されてなかったんではないかと思っております。
  108. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、先ほど同僚議員からも質問がありましたけれども、法務省の方に伺いたいんですけれどもロッキード社から日本に入ってきた金、これが田中に五億円渡って、田中と同時に逮捕された榎本がすでに外為法違反で起訴されておるという状態ですね。しかもこれが確定申告に申告されていなかった模様ですね、いまの答弁によりますと。そうなってまいりますと、これは法人から個人に渡された金ですから、当然所得税の対象になるはずの金です。したがって、所得税法二百三十八条ですね、これによって当然脱税犯として起訴されるべき性格のものじゃないか、そういう容疑が当然出てくるものじゃないかというふうに思いますが、その点いかがですか。
  109. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) この点も先ほどお尋ねがございましたけれども、あくまでもこの受領されたという検察当局が容疑を持っているわけでございますが、その五億円の性質、使途等の関係、実態との関係所得税法等の問題が起きるものと思います。直ちに、受領したというだけで所得税法違反になるかどうか、これはやはりその性質、実態と関連して判断すべき事柄でございますので、現在はその点についてさらに捜査中ということでございます。
  110. 渡辺武

    渡辺武君 性質や使途等とはこれは一応関係がないんじゃないですか。五億円の金が、これは田中の支配できる金として一応田中の手に入ったわけですね。しかも、これが法人から田中に渡ったということですから、当然所得税の対象になるべきはずですね。これが申告されていない。したがって、これは不正の手段によってその所得を得たということになろうかと思うんですね。あるいは納税しなかったということになろうかと思うんですね。そうなってくれば、当然二百三十八条に該当してくるじゃないですか、その点いかがですか。
  111. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 所得税法の課税の問題につきましては、法務当局からお答えするのが果たして適当かどうかよくわからないのでございますが、この所得税法上の課税所得として、年間の課税所得としてその中に入るべきものである、そういう性質のものであると認定できるかどうかにかかるわけであります。もちろん、御指摘のように、受領しておるのでございますから、一応そういうことが、果たして実態がどうであったかということをさらに調査する必要はあると思いますけれども、直ちに所得税法違反の容疑があるかどうかについてはその実態いかんによると私は考えます。
  112. 渡辺武

    渡辺武君 検察当局では調査する必要があるというふうにいま言われておりますが、それじゃ国税庁の方に伺いますが、国税庁が直接にやられるのか、国税局もしくは税務署がやられるのか、その辺はちょっと私よくわかりませんけれども、しかし、こういう税法関係の問題については、一応これは税務当局が告発して、その告発に応じて検察庁の方で起訴するというのが普通の行き方じゃないかというふうに考えますけれども国税庁としてはどう考えておりますか、この問題については。
  113. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 一般論として申し上げますと、脱税の容疑があるという場合には、やはり起訴する前段階には国税庁関係の税務職員からの告発というものが前提になることは通常でございます。いまおっしゃいました具体的案件につきましては、まさにその内容、実態を検察当局の方で強制捜査をされておる最中でございますので、私どもの方といたしましては、その実態を見た上で判断をしないと何とも申し上げられないと思います。
  114. 渡辺武

    渡辺武君 もうすでにロッキード社からの金を田中が受け取ったということについては、検察当局も大体それは確信を持てるんだということを言っておられる。そうして、あなた方のいまの答弁によれば、当時申告されていないんだという趣旨の御答弁でしょう。だとすれば、これは二百三十八条の「偽りその他不正の行為により、」所得の額について所得税を免れたということに私は該当すると思う。その点はどう思いますか。
  115. 田辺博通

    説明員田辺博通君) それは、まさにその実態を把握しませんと、その納むべかりし所得税が納まっていなかったのかどうか、つまりその前段階としての所得がどうであったかということの判断ができないわけでございますので、現在のところはそういう捜査の過程を見守っておると、こういうことでございます。
  116. 渡辺武

    渡辺武君 それじゃ検察庁待ちということですか。検察庁としては、これは、何ですか、国税庁の方に捜査した資料については開示することを考えていらっしゃいますか、一定の段階で。
  117. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 検察当局が現在そのように考えているかどうかは、私、承知しておりません。しかし、一般論で申しますと、犯罪捜査は刑事訴訟法という法律に基づいて、強制の手段も令状によって、法律に基づいて行っているわけでございます。それは刑事責任の存否ということを明らかにするために法律が許容している手段でございます。それを他の目的に、一概に、それを使用するといいますか、利用するということが果たしてデュー・プロセス、全体の国の法執行のあり方として正しいかどうか、そこに若干の問題があるかと思います。いずれにいたしましても、この点については、捜査がさらに進んで一応の結論が出た段階でさらに、これは私の方から申し上げるべきことじゃないと思いますが、国税当局においていろいろ御検討、御判断の上、さらに独自の調査をなされるなり何なりをしてというプロセスになるのではないかと思いますが、一概に、犯罪捜査で収集した証拠や資料を直ちに課税その他に使用する、それはもちろんいろいろなケースがありますので一律には言いがたいのでございますけれども、一般論としては十分その辺の国の法全体の体系というものを考えながら慎重に判断すべき事柄であると思います。
  118. 渡辺武

    渡辺武君 先ほどの寺田委員に対する国税庁の方の答弁ですと、検察側から関係資料が来たら税法問題としても調査するんだという趣旨のことを答えておられますね。ところが、いま法務省の方では、必ずしも、国税当局資料を開示するというふうにははっきり言っておらないわけですね。そういうこともあり得るということは言っておられるにしても。そうしますと、税務当局としてはどうします。重大な疑惑があるわけでしょう、これについては。独自に捜査しますか、調査しますか。どうです、これは。
  119. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 現在は被疑者が逮捕されて勾留中でございますし、検察当局の方でもって強制的な手段でもって捜査をされている段階でございますから、   〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕 私どもといたしましては、現段階ではどうという処し方をする必要はないと思っておりますし、またそれはできかねると思っております。それから、もし、仮定の問題で大変恐縮でございますけれども所得税法違反というような疑いといいますか、容疑が検察当局の方で持たれる場合には、当然のことながら私ども関係いたしますので、必要な資料、情報は提供いただけるものと期待しております。
  120. 渡辺武

    渡辺武君 どうも時間が余りないのでそれはちょっとまたおいて、ほかの質問をしたいと思います。  仮に脱税容疑がまだ固まっていないと仮にして、しかしその確定を待たずとも私はこの田中の五億円の受領ですね、これに対して、つまりまだ申告していないという疑いがあるわけですから、国税通則法の二十四条に基づいて更正処分はできるのじゃないか。脱税かどうかはまだわからない、しかしながら受け取った金について申告してない、あなた方もそれについてはわかっていないということですから、したがって更正処分はできるのじゃないか。そうして、重加算税を含めて税の追徴をやるということは私はいまの段階でも可能だと思う。受領したということが明らかですから、それをおやりになるおつもりはありますか。
  121. 田辺博通

    説明員田辺博通君) あるお金の受領があったという場合に、それがそっくりその人の所得であるかどうかということはまた別の問題でございまして、いやしくも更正をするというような場合には、それ相当の根拠と確信がなければ国税当局といたしましては一般的にそういう更正はやらないわけでございますので、それはまさしくそのお金の実態、これをわかった上でないとそういうことはできかねるのではないかと思っております。
  122. 渡辺武

    渡辺武君 わかった上ということになりますと、たとえば裁判で刑が確定したという段階のことですか。もしそんな時期まで税務当局が便々として待っていたら、これは時効にかかるおそれだってあるですよ。あるいはその間で田中が死ぬという場合だって全然これは生身の人間ですからなきにしもあらずです。あるいはその間に財産処分しちゃったということもあり得るわけですね。児玉のときはどうしたですか。あのときは脱税の容疑で刑事処分にしたわけですね。それから同時に、課税処分もやったと思うんですよ。そして、その課税処分をやった二日後で差し押さえまでやっているでしょう。何で田中の場合は金を受け取ったのが明らかなのにもかかわらずやらないのですか。両者のケースを比較してみて、国税当局の立場が余りにも弱腰だという印象を避けることはできない。脱税したかどうかということの確定を待つまでもなく、すでに五億円を受け取って、これが確定申告に載っていないということが明らかであれば当然これは更正処分すべきじゃないですか。できるはずですよ、法的にも。どうですか。
  123. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 先ほどからお答え申し上げましているようにその所得の問題でございますが、これはやはりそのお金の実態がこれから私は明らかになってくるんだろうと思っております。その結果を見まして判断をすべき問題でございまして、ただ判決が下るまでかどうかというようなことは、これは十分なるそういった心証と申しますか、確実なものがわかるという段階になって処理をすべき問題ではないかと、考えるべき問題だろうと、こう思っております。
  124. 渡辺武

    渡辺武君 もし仮にその所得の性質を明らかにするという場合に考えられるケースはどういうケースですか。こんな事件でですよ、外国の会社から五億円もの金を受け取ったと。本人は、新聞の報道によりますと、これは政治献金だと言っている。税務当局として考えられるケースとしてはどういうケースが考えられますか。
  125. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先ほどお答えをいたしましたように、政治家の方の場合には当然のことでございますけれども、政治活動として必要な経費がございます。ただし、この問題がそういうことになるかどうかは一応別といたしまして、先ほども長官が申しておりますように、所得の場合には収入から必要経費を引いたものがすなわち所得でございますので、私どもは収入があったからといって直ちに所得になる、こんなふうにまではまだ考えておりません。したがいまして、その必要経費あるいはその金の出どこ、そういったものにつきましてもっと的確な情報ないし資料が得られれば、しかもそういうことによって更正決定すべきであるというふうに判断をすれば更正決定をする、こういうことに相なろうかと思います。
  126. 渡辺武

    渡辺武君 最近の新聞に、国税当局としてはこれは賄賂だろうと、賄賂として受け取った場合、これは一時所得として考えるのが至当だと。もちろんこういう違法に受け取った金ですから、もし賄賂だということになれば、刑が確定した段階ではこれは没収されるということもあり得るけれども、その場合は減額修正すればいいんだという立場に立って課税処分をするという考えを持っているんだというような報道がありますけれども、もしそういうお考えがあれば、率直におっしゃっていただきたいと思う。どうですか、その点は。
  127. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 国税庁ではいろんなケースにつきましていろいろ勉強をしているのは事実でございますが、先日、何新聞でございましたか、御指摘のような記事が出ましたことにつきましては、全く私ども責任は負いかねるわけでございまして、要するに、所得が発生しておるのかどうかがまず第一に問題でありましょうし、所得が発生しておるといたしまして、その所得の種類は何であるか、一時所得であるのか、その他の所得たとえば雑所得であるのか、そういうようなことも、その実際にお金が払われて受け取られたそのお金の性質、経緯、そういう実態によって判断をすべきだろうと思っております。
  128. 渡辺武

    渡辺武君 いまここで抽象論を御答弁されているのか、それともこの問題に、この田中が五億受け取ったという問題について、国税当局としてそれなりの関心を持って検討されているのか、その辺はどうですか、よくわからないんだけれども。その辺はどうですか。
  129. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 関心を持ってないはずはないわけでございまして、ただいろいろ勉強いたしておりますのは一般的なケースとしての勉強をやっておる、こういうことでございます。
  130. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、この田中の脱税容疑もしくは不正に外国の会社から金を受け取ったという問題についての税務当局の調査体制、いまどうなっておりますか。前の金脈問題のときは、これはその後に報告が決算委員会などで行われまして、私もそれ見ましたけれども、当時の磯辺次長が統括責任者ということで、東京国税局と関信国税局が中心となって一日平均約二十人を動員しているというふうに決算委員会で報告しているわけですね。児玉のときは、これはもう国税当局ずいぶん活躍したと、そうしてぱっぱっと起訴したという印象だったわけですよ。田中の場合はまるで音なしの構えみたいなものですね。どういう体制でいまやっていますか、田中の場合ですよ、税務当局は。
  131. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは先ほど来御答弁申し上げておりますように、目下検察当局でもって強制捜査をされている最中でございますので、私どもといたしましては、その捜査の結果を待っているわけでございます。
  132. 渡辺武

    渡辺武君 児玉の場合だってあなた捜査当局が強制捜査やっている。並行してあなた方やっているじゃないか。丸紅の場合だってそうでしょう。捜査当局と一緒になって丸紅の家宅捜査やっているじゃないですか。何で田中の場合やらないんですか。  もう一つ聞きますよ。査察課員は、これはこの捜査に動員するというおつもりありますか。  この二点を伺いたい。
  133. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 他の案件の場合、たとえば児玉の場合には容疑がまさしく所得税法違反の容疑もあったわけでございまして、検察当局とタイアップをして調査をやったわけでございます。今回の場合はちょっと現在のところはその様相が違っております。そこが一つの問題でございます。  それから査察を動員するかということでございますけれども、これは今後の推移いかんでございまして、いまから特にどうということを申し上げる段階ではございません。
  134. 渡辺武

    渡辺武君 時間がきましたので、お許しいただいて最後に一問だけ大臣に聞きたいと思います。  大臣、お聞きのとおり、この田中の場合の国税当局の取り組み方というのは、私は非常に消極的だと思うんですね。児玉の場合とは打って変わった消極的な態度だと思うんです。前の総理大臣で政界の有力者だといっても、やはりさっきも大臣言われましたが、やっぱり公平の立場で徹底的に、厳正にやるべきじゃないですか。前の金脈問題のときも、査察課員さえも動員しない。私どもは、国税犯則取締法を適用して徹底的な強制捜査をすべきじゃないかということをこの委員会でも主張しました。それさえもなさらない。田中個人に対して面接して調査もしなければ、あの目白の田中邸に立ち入っての検査もやらなかった。そんな状態だから、せっかく調べても今回の五億円の受領などというのが、これがつかめていないんじゃないですか。この教訓に学んで国税犯則取締法、これを適用して、査察課員もちゃんと動員して、全面的な捜査を田中についてやるべきじゃないですか。その辺いかがですか。あなた自身がいままでの捜査の結果については自信が持てないとさっき答弁されている。だとすれば、国民に対する責任上からの全面的な調査をもう一回やるべきじゃないですか。
  135. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 国税当局といたしましては、納税者がどういう方であろうと、どういう地位の方でありましょうと、差別することはいたしません。調査すべきものは厳正に調査して、徴収すべき税金は微収しなければならぬわけでございますので、その点は遺憾なくやってまいる決意でございます。     —————————————
  136. 中西一郎

    ○理事(中西一郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査のため、本日参考人として日本銀行副総裁前川春雄君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 中西一郎

    ○理事(中西一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  138. 福間知之

    ○福間知之君 まず、冒頭、国債発行あるいはまた景気の非常に微妙な情勢の中で、日銀当局は金融財政、特に金融政策で、いろいろと御苦労いただいている中で急に御出席をしていただいたのですけれども、実は私、先回の国会の本会議あるいは当委員会でも日銀のあり方、特に政策決定のプロセスについて、長いしきたりなり伝統の中で、日銀当局が政策運営をやってきた。   〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕 それについて若干の批判なりあるいは要望を投げかけてきたものであります。最近、特に、昨年の秋以降の第四次の公定歩合の引き下げ等の経過を見ても、ややタイミングを失したのじゃないかとか、あるいは大蔵省当局との関係あるいは郵政省との関係、なかなか複雑な背景のもとに、日銀当局としては金融政策に当たらざるを得ないということがしばしば問題視されてきたわけであります。いわゆる日銀当局の自主性なり独立性なり、あるいはまた的確な金融政策、なかんずく国債発行等に伴う過剰流動性からくるインフレーションの危険などなど、当委員会でもかなりの議論をしてきた経過があるわけです。最近、日銀当局の中でも、従来の政策運営のあり方なり、あるいはまた閉鎖的な政策決定というようなものを改めてはどうかというふうな意向が、政策委員の中から起き上がっているやに聞くんですが、その現状、実態についてお聞かせいただきたいと思うんです。
  139. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 日本銀行は、日本銀行法に定められておりまする職責を果たすために、政策決定につきましては政策委員会の決定を経、さらに日常の業務につきましては執行部総力を挙げまして、そのときどきの情勢に応じた施策を講じてきておるつもりでございます。昨年の金融政策の転換につきまして、いろいろ批判のございますことは、私ども十分承知しております。ただ、そのときどきの情勢に応じまして、私どもといたしましては景気の回復と、さらにはもう一方、物価の安定を図るという二つの職責を調和をさせながら、その均衡を図りつつ、その目的を達するということを最大の念願と考えておりました。そういう意味におきまして、いろいろ批判のあったことは承知しておりまするけれども、私どもといたしましては、そのときどきの情勢に応じた最善のタイミングで施策を講じてきたつもりでおります。ただ、ただいまも御指摘がございましたように、たとえば金利の決定につきましても、日本銀行が担当いたしておりまする金利だけではやれない面がございます。そういう面につきまして若干、第四回目の公定歩合の引き下げの際には時間がかかりましたことはそのとおりでございまするけれども、それでもなおかつその目的を、多少時間がかかりましたけれども、達成したつもりでおります。  現在の日本銀行の政策決定並びに運営についてどういうふうになっておるかという御質問でございますが、政策委員会の日本銀行の決定事項につきましては全部政策委員会の議を経るということになっております。それぞれ政策委員会論議を経て決定をしておるわけでございます。日常の業務につきましては執行部に任されておるわけでございまするが、その間におきまして日本銀行が閉ざされた日本銀行である、もう少し開放してはどうかという批判がございます。私ども金融政策を遂行してまいります際に、もちろん世論と申しまするか、一般の支持がないことをやろうと思いましてもとうてい実行することは困難でございまするので、そういう意味では閉ざされたと言いまするよりも、むしろ一般の協力を得る、理解を得るという意味で日本銀行の考え方も必要に応じまして外部に発表しておるつもりでございます。その程度がまだ十分でないのではないかという批判につきましては、十分私どもも謙虚に反省をいたしまして、必要であるその一般の理解、協力を得るような方策を考えていかなければいけないと思いまするけれども、現在の段階におきまして、私どもはそういう意味資料の公開なり何なりできるだけのことをしておるつもりでございます。  一言申し加えますると、森永総裁が御就任になりましてから、開かれたる日銀というふうに外部の理解を得るように努力するということを一つのお考えの基礎に持っておられまして、そういうふうに総裁自身もお考えのように私ども確信しております。そういう方向で努力しているつもりでございます。
  140. 福間知之

    ○福間知之君 森永総裁が就任されてから研究会という名称ですか、何か日銀内部で研究委員会ですか、設置されるということになったと聞いております。これは大変結構だと思うんです。私はきょうわざわざ来ていただいてお聞きしたいのは、その資料を公開をしよう、してはどうかとか、あるいはまた日銀の政策を広く各界に公表して理解を促進してもらうという、そういう手だても考えてはどうかとかというふうな政策委員の中からの提言があったと、こういうふうに聞いているんですが、たまたま私、五月の二十日の当委員会でこの問題を実は国債発行とマネーサプライの関連でかなり大平大蔵大臣にも迫ったわけです。結局、中央銀行としてのこれからの金融政策、あるいはまた都市銀行との関係、その他非常に複雑な経済財政状況下であるだけに、いままでの対応ではいけないんじゃないのかと、あのときに申し上げた例としては、やはりオイルショックの当時にもかなりの過剰流動性を招来して、売り惜しみ、買い占め等、諸悪の根源ここにありと言わんばかりの事態が発生したわけです。その背景における日銀の政策決定の立ちおくれとか困難性というふうなものが背景にしてある。やはり密室の閉鎖的な政策決定じゃなくって、せめて事後においても大方の批判を仰ぐというふうな中から、過ちを二度と繰り返さないというふうに日銀当局としての政策運営を今後心がけるべきじゃないかと。七人の委員会で政府代表——政府代表といいますか、当局、各省代表二名、要するに議決権がなくって、議長は総裁がやっていられるというふうな姿で、かいもく議論の中身がわからない。世間にはたくさんやはり専門家もおいでなんでありまするから、そういう方々の適時適切な批判なりアドバイスというようなものを受けられるような仕組み、そういうものを私はつくっていくべきではないのかということを実は申し上げたわけです。  そういう関連で、今回政策委員会の中でも、資料の公開とか、あるいはまた広報課のようなものを設置して国民理解を得るとか、そういう前向きの議論、意見が出てきているということは私はかつてないことだと思うんです、日銀という中で。極論をすれば、大蔵省銀行局日銀課なんていうようなことを言っている新聞もありましたけれども、そうは私は思いませんが、やはりもっと国民に密着し理解をされる中で当局の運営をしていかなきゃならない、それがこれからの新しい日銀のあり方だろう、こんなことを考えましてお聞きをしているんですが、森永総裁になられてからのそういう内部的な研究会の設置等もこれは評価していいんですが、さらに一歩進んで、やはり政策決定の内容あるいはプロセスというようなものの公表化というふうなものについて、突き進んで当局の方も体質の改革というようなことに当たっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  141. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 日本銀行の、開かれたる日本銀行にするために提案があったというお話がございました。一部の委員から、おやめになる際の感想として、そういう幾つかの話を私ども聞いております。その中には、いまお話のございましたような一般の理解、協力を得るということが日本銀行も必要であるという話でございました。これにつきまして私ども、いろいろ資料がございまするが、それの必要なものについての公開ということは従来もやってきておるつもりでございます。たとえば「調査月報」には、毎月かなりの詳しいデータ並びに状況の判断ということを書いて公開しておるつもりでございます。また政策委員会につきましても、国会に対する報告を年に一回しておりますが、その年間にとられました政策決定事項並びにそのとられた決定が行われた背景につきましての報告をしております。また、これは法律では要求されておりませんけれども、政策委員会の月報を毎月発行いたしまして、その月の経済状況についての説明というものをしておるつもりでございます。そういうものだけではまだ不十分ではないか、政策決定についての批判をもっと聞く方法はないかというお話、御質問だろうと思います。  議事の公開ということにつきましては、私ども現在そういうことをしておりません。その考え方は、議事を公開しないことによって委員会の内部の議論が自由に行われるということを期待しておるつもりでございます。それが第一義でございます。  もう一つは、委員会の討議いたしまする内容は、どうしても個々の金融機関あるいは個々の企業に直接関連することがかなり多いものでございまするから、これを公開することが必ずしも適当でないというものも多分にございます。そういうこともございまして、議事の内容については公開いたしておりません。  ただ、決定事項につきましては、たとえば公定歩合を変更した、あるいは準備率を変更したというようなときには、そのつど決定いたしました内容を新聞記者に発表いたしております。と同時に、その背景となりました事情につきましては説明をしておるつもりでございます。問題は、そういうことに対する一般の批判、世間の批判というものに日本銀行はもっと謙虚に耳を傾けるべきではないかということであろうと思います。その点につきましては私どもも今後も心がけまして、そういう批判につきましては、従来もそうでございましたけれども、今後も謙虚にそういう批判は批判として承るという態度は続けたいと思っております。
  142. 福間知之

    ○福間知之君 ぜひそういうことで対応していただきたいし、まあ私どもも私どもの立場で今後ともこの問題については、やはり新しい時代に対応する日銀、中央銀行のあり方ということで検討していかなければならぬと思うんですけれども、まあ前にも申し上げたんですが、構成面でも西ドイツのように、やはりより多くの国民理解を得るということでは、消費者グループの代表だとか、あるいはまた組織された労働者の代表とか、そういう層も一名、二名が入るということが望ましいのではないか。今日わが国は、御案内のとおりの政局と同時に、これからの経済の厳しい条件が予想される中で、圧倒的多数のそういう一般庶民の代表というようなものも加えていってはどうかと、そのことが国全体の金融のあり方についても、またそれに関連する経済の諸問題についても大方のコンセンサスを結集していくということにも通ずるし、たくましい一つの国の政策を実行していく、推進していくやはり背景を形成していくことにつながるのだ、そんな感じを私は持っているんですけれども、すでに海外でも例がないわけじゃないんでして、わが国においてもぜひ新しい時代に対応する日銀、中央銀行のあり方というふうなものをお互いに研究していこうじゃないですか。これは御答弁要りません、時間がありませんので。そういう私の要望を持っているということを申しておきたいと思います。どうもきょうは御苦労さんでございました。  じゃ次に、公取の方をお願いしたいんですが……。  実は、最近卸売物価もじり高を続けている状況でございます。これはもちろん経済のきわめて微妙な推移段階ですからいろんな複雑な関連があると思います。さらにまた、昨年来国会でも独禁法の改正をめぐるいろんな経過がございました。御案内のとおりであります。その過程で高橋公取委員長から澤田委員長に公取のキャップもかわりまして、最近のこの状況下で公取が特に寡占体制、カルテル問題等を中心にして、どのような具体的なひとつ対処の姿勢を持っておられるのか、まず概括的に御説明いただければありがたいんですが。
  143. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 公取といたしましては、産業界の最近における寡占化傾向に対しましては、絶えずその動きを監視しているところでございます。  たとえば、昨年からことしにかけましての鉄鋼業界における鋼材の値上げにつきまして独禁法上問題がないかどうか調査をしたところでございます。また、過去におきましても同様の観点からビールの値上げについて調査したこともございます。  それから、これは特に独禁法上問題があるということではなくて、一般に需給の変動にもかかわらないで価格が硬直的であるというふうな観点から、現在までかなりの数の業種について調査をいたしました。で、具体的に申し上げますと、たとえば板ガラスの業界あるいはピアノの業界、食品で申しますとバター、チーズ等、それからアルミ地金等の業界につきまして、できるだけその実態を調査してきたところでございます。現在そういった形の調査につきまして、二輪自動車の業界あるいは歯みがき製造業界等について調査を進めておるところでございます。
  144. 福間知之

    ○福間知之君 時間がきてしまったんですが、まだ、一問だけじゃどうにもなりませんので。  ただいまのお話で、たくさん手がけていられるんで、それぞれこう内容が違うわけですから、一括してというわけにまいりません。板ガラスとかピアノ、バター、チーズ、二輪自動車等、特にここ数日前に審判が始まったように聞くんですが、日本楽器製造株式会社のいわゆるその販売店に対する、何と言うんですか、押しつけですね。この問題をめぐる審査の概況をお聞きしたいんですが。
  145. 野上正人

    説明員(野上正人君) 日本楽器につきましては、御承知のとおりと思いますが、非常に鍵盤楽器のピアノ、電子オルガン、オルガン等についてはそれぞれシェアが六〇%以上というような、非常にまあ寡占的な業界でございまして、これにつきましては昨年から審査を続けておりまして、本年の六月四日に違反事実ありといたしまして、所要の措置をとるように勧告書を送達いたしました。これは四十八条の規定によりまして。  これに対しまして日本楽器は、そういう事実及び法律の適用について問題ありとしまして、不応諾の回答がまいりましたので、五十一年、本年の六月三十日に審判開始決定書、これは独占禁止法の五十条でございますけれども、で決定いたしまして、第一回の審判が八月の六日に行われております。それで今後、まあおおよそ月一回程度の審判で事実関係を明らかにしていきたいと、こういうふうに思っております。
  146. 福間知之

    ○福間知之君 あのちょっと、いまの中身がさっぱりないんですね、どういう違反事実なのかということを私……。
  147. 野上正人

    説明員(野上正人君) 違反事実でございますか。  一つは、日本楽器は商品別に楽器の販売会社と販売契約を結んでおります。それで、このピアノならピアノにつきまして他の卸売業者に、日本楽器と契約をしていない販売業者に販売したとか、あるいは直接ほかの地区で販売した場合には、これを制限しております。これは一〇%または一五%のまあ金を取りまして、その地区の販売業者に日本楽器が支払う。——販売業者が、販売した者が。  それからヤマハ月販株式会社というものがございまして、これはヤマハ・ミュージックプラン、これは前払い式分割支払い方式と申しますか、これをヤマハ月販を通じて行っておりますが、これをまあ販売店が一応取り次ぎました場合、他の販売店がこれにかわる商品とか、他の販売店がこの顧客に売った場合、その者から一五%を、やはり小売価格の一五%を徴収しています。  それから、御承知と思いますけど、ヤマハ音楽教室というのがございまして、これについて積極的に協力をしないとか、これに協力をしない販売店でございますとか、これに対しまして出荷数量を制限したり、出荷を停止したり、あるいは取引契約を解除する、こういう行為を行っておりますので、これはヤマハの地位から見まして、販売店に対しまして不当な不利益な条件でもって取引しているものであるということで、「不公正な取引方法」の十号に該当する、それから独占禁止法の十九条に違反すると、こういうふうに考えております。
  148. 福間知之

    ○福間知之君 きょうはあんまりやりとりできないんですが、当日本楽器側は、もちろんそういうことは指示した覚えもないし、そういう被疑事実はないと、こう言っているんでしょうか。あるいはまた、事実問題としてそういう指示とか、その政策を強制をしてないかもしらんけれども、公取委としての事実調査としてはやっぱり被疑事実ありと、こういう判断をされているんですか。
  149. 野上正人

    説明員(野上正人君) 日本楽器としましては、いま言いました行為はないということで審判開始決定で争っているわけです。
  150. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 友末参考人にお尋ねいたしますけれども、現在、税制の中期的なあり方について、これから基本的な検討に取り組んでいきたいという先ほどのお話がございました。そこで、税負担の公正化ということが言われている時期でもあるわけですから、現在税の負担が国民各層別に見てこんな状況になっているという現状認識と中期的な税制改革を通して、これがどのような負担に変わっていくか、こういう方向の問題について御関心と問題意識がおありだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  151. 岩動道行

    委員長岩動道行君) この際、申し上げておきますが、持ち時間が短時間でございますので、簡潔にお願いいたします。
  152. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 中期的な税制のあり方につきましては、五十年代前期経済計画及び財政収支の問題、これらを重要な参考といたしまして、これから具体的に本格的な審議に入ってまいる段階でございまするので、いまから具体的にどうなるだろうというようなことは、ちょっと現段階では申し上げかねるんでございます。いずれにいたしましても現行制度の全面的な見直しをいたしますと同時に、新税の創設につきましてもあわせて検討すると。その上で、いまお話しになりました国民各階層にわたりまして垂直的に、水平的に、なるべく公平な姿を求めていきたいということになるだろうと、これだけは申し上げられるかと存じます。
  153. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今後のことは検討過程によるとして、現在こうなっている、よしあし抜きです。現在こうなっているという実体をとにかくまずつかんでおく必要がある、そうはお考えになりますか。イエスかノーかで結構です。
  154. 友末洋治

    参考人友末洋治君) お説のとおりだと思います。
  155. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、直接税と間接税と分けて考えますと、直接税の場合にはおおむね所得比例でございますから、ある程度類推ができる。そこで国民各層の負担の割合がどこでゆがんでいるかというのは、実は特別措置のあり方で見ていけば、これは従来とも議論ができたし、今後も議論ができる。問題は間接税が国民各層別にどういう負担になっているんだろうか、これは逆進性ということが言われるわけですけれども、しからばその逆進性が実体としてどうなんだろうかということは、これはこれから中期的な御検討に入る出発点の資料として当然必要なんじゃないかという気もいたしますし、あえてもう少しつけ加えて申し上げますと、税ではなくて価格という形で公的な費用を負担している部分もあるわけです。これは受益者負担ということが強く叫ばれてまいりますと、そういうものもふえてくる。それもこれも含めて間接税プラス間接税的な面で、どれぐらいの国民各層別負担になっておるか。まず現状認識を政府税制調査会としては当然求められるはずだと思いますが、これもいかがでございましょうか。
  156. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 直間比率の関係が実体の面から逆算して果たしてどうなっておるのだろうかと、これは一つの関心のあるところでございまするが、そこまでは実は検討がまいっておりません。ただ間接税につきましては、逆累進税性が強いと、これはひとつ重要な案件でございます。しかしこれも所得税との関係、その他におきまして、ある程度調整できるということもできましょうし、また税の関係ではなくして財政支出の面、特に社会保障の関係の支出の面におきまして、所得再配分の機能というものを活用いたしまして、そうして相当程度調整されるというようなこともございましょうから、この逆進性というものを配慮する道は、できるだけ今後考慮していかなければならぬというふうに考えています。
  157. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 御指摘のとおり、だと思うのです。そこで、大変くどく繰り返して恐縮ですけれども、その現状がどうなっているかということをまずつかんだ上で、いま参考人がおっしゃったいろいろな検討の議論に入ると思うのです。したがって、中期的な税制のあり方をこれから検討するに当たって、厳密には直接税も入るわけですけれども、主としては間接税のあり方になろうかと思いますが、これらの国民各層別の負担の状況について、実体がどうであるかということを当然これはおつかみにならないと議論が前にいかないと思いますので、そういう資料の提出を大蔵省にお求めになりますか。
  158. 友末洋治

    参考人友末洋治君) これからの間接税、特に消費関係の税の検討におきましては、お説のように実体の把握というものが前提にならなければなりませんので、それらに対しまするところの資料というものは十分事務当局でそろえていただきまして、その上に立って縦横無尽に検討していくということになろうかと存じます。
  159. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大蔵当局に伺いますけれども税制調査会の会長代理の御希望としては、十分そういう現状認識の資料はそろえていただくということなんですが、間接税の所得階層別を含めて久しく調査はしてこなかったと思いますけれども、昨今の状況を踏まえ、これから中期的な税制改革に取り組むということを踏まえて、いまの会長代理の御意見を前向きに受けておいでになりますか、あわせていつまでにおやりになりますか、そのときには当委員会にもお出しいただけますか、伺います。
  160. 大倉眞隆

    説明員(大倉眞隆君) ただいまの御指摘の点は、栗林委員からかねて御示唆をいただいておりますし、また矢追委員や鈴木委員からも、なぜああいうことができないのかという御指摘をしばしば受けておりまして、私どもとしても問題意識を持ち続けているわけでありますが、部内でいま勉強はいたしております。勉強はいたしておりますが、本当に決め手になるようなものができるかどうか、まだ自信はございません。しかし、その問題はどうしても一度数字的に御検討を経なくてはならないということは意識いたしておりますから、何らかの方法で税制調査会に資料としてお出しいたしたいということで、八月中税調の方はお休みいただいておりますが、私ども部内は非常にいま忙しく作業はいたしておるわけでございます。税制調査会に資料としてお出しいたします場合は、委員会からの御要求ございますれば同じ物を御提出いたします。
  161. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それでは十分な多角的な検討にたえ得るような資料を、これはなかなか膨大な作業量であるということはよくわかっておりますけれども、要望しておきたいと思います。  では次の点、続けて伺いますけれども、物価調整減税という言葉がございます。これは大変不正確な言葉だろうと思いますけれども、物価調整減税というのは、一つは減税規模を計算するときの計算手続のような意味合いで使われる場合もございます。別には、今度そういう形式論じゃなくて、実質の話として物価調整減税という考え方もあろうかと思うんです。後段の部分で私は政府税調の考え方を伺いたいんですけれども、実質としての物価調整減税というものがもしあるとしたら、またがって過去やってきたわけですが、それは財政事情のいかんにかかわらず、物価がある基準以上に上昇したら自動的に減税処置を講ずるのが本来のたてまえではないのか。何も一%、二%物価が上がったからという議論をしているわけではありません。どこかで線は引かれるとは思いますけれども、実質としての物価調整減税という考え方が仮にあるとしたら、財政事情とかという歳入歳出の配慮ではなくて、税制それ自体の問題として、それは毎年当然のこととして実施されなければいけない、こういうことではないんでしょうか。
  162. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 物価上昇に伴う、特に低所得者に対しまする減税、お説のように、税制の仕組みで理想的に物価がこれだけ上がればこれだけ減税というようなことになれば実は厄介でなくきわめて簡単なことでございまするが、なかなか技術的に相当むずかしいのではなかろうかと、かようなことで、いままで毎年毎年いわゆる物価調整減税として行ってきた。ただ、五十一年度はこれを見送ったと。五十二年度はどうなるのかという問題はこれからの問題でございます。
  163. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私がお伺いしておりますのは、政府税調としての、税という角度で物をお考えになるわけですから、いろいろ技術的にむずかしいことがあったとお話しですけれども、別に技術的にむずかしい問題は何にもないわけです。あるとしたら歳入歳出の面でどうつじつまを合わせるかというところがむずかしいだけでありまして、税の立場からすると、従来からも経験があるわけですから、それをして十分とは言いませんけれども、これはそうむずかしいことではない。私がお伺いしているのは、歳入歳出のつじつま合わせば政府税調の御担当の部分ではないはずだと、本来は。政府税調としての御担当の部分は、物価調整減税というものが、実質の話として、物価が相当上がってきたらば、やはり名目的な所得が上がることによる増税の排除をして可処分所得の水準を適正に置いておきたいということがねらいならば、あくまでも物価が何%上がったのか、名目所得が何%上がったのかということだけをごらんになって決めるべき筋合いではないんでしょうかとお伺いしているんです。
  164. 友末洋治

    参考人友末洋治君) これにつきましてはいろいろ税調内でも議論がございまして、物価がこれだけ上がったから調整減税はこれだけという単純に割り切るべきものではないと。いままで毎年やったけれども、それは高度経済成長の惰性だと。この惰性を今日低成長時代に続けていく必要はないじゃないかと。その問題もひとつ切りかえなければならぬという議論も一部にあるのであります。すなわち、税の状況、物価の状況、あるいは財政状況等総合的に判断をいたしまして、減税が適当であるかどうか、これで判断したらよいのでありまして、毎年毎年の物価情勢に応じて必ず減税しなければならぬというものではないというのが税調の大筋の意見でございます。
  165. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それは物価調整減税という言葉も、それから過去の経験もなければいまの御議論はよくわかるんですけれども、物価調整減税というものを過去繰り返してやってきて、しかも、それはそれなりに可処分所得との見合いで意味があった。しかも、政府税調が入ってこれまで積み上げてこられた所得の累進の切り方の問題も含めて実は出てきた問題だということと、財政事情全般をひっくるめての議論と実は一緒にならないと思うんです。  で、私の持ち時間もなくなってまいりましたのでこの議論はおきますけれども、ただ関連して最後に一つだけお尋ねしたいことがあるんです。財政事情全般をひっくるめて政府税調は御判断になるということになりますと、結局これだけかかるから、財政の全体としてこれだけどうしても要るから、要るための調達として税を考えるという、そういう取り組みにしかならないんじゃないか。ごく素朴に考える、入るをはかって出るを制するというんじゃなくて、出る方がまずありまして、それでじゃあどこから取ってくるかというスタンスにしかならないんじゃないか。これがどこになるかというと、たとえば昭和五十年代前期経済計画の中で、税負担率が大変高まってまいります、したがって、大変なんですというお話がございました。問題は、その税負担率が高まるということはそれだけ歳出がふえるという意味ですけれども、どこがふえるのか。仮にこれが移転的な支出だとしても、どの層に対してふえるのかということがない限り、税制の議論というのは私はできないんじゃないか、本来は。と申し上げますと、先ほどは間接税のところで、そうは言ってもいろんな福祉的な支出がありますから、それもこれも見ないと云々とおっしゃいました。同じ意味で、税負担率を高めると言うんだけれども、じゃあどの層に重課をするか、どの層を対象にして新税を賦課するかというときには、政府の方が五十年代前期計画の中で、かくかくによって財政支出がふえるんですというその中身が具体的にわからないと、本当は政府税調としては自信のある結論が出ないということになってしまいますので、私の主張を含めた意見に対して御意見を承りたいのは、財政を含めて総合的な展望というのはいささか問題がありはすまいか、税の基本的なあり方というところにきちんと座って中立的に御判断されるべきではないか、それがあって初めて政府税調の役割りというものではないかと思いますので、いまの私の意見に対する御意見も含めてお答えいただきたいと思います。
  166. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 非常にむずかしい問題でございまするが、税はせんじ詰めて申しますると財政需要を賄うという使命も実はあるのであります。税だけひとり立って、これだけしか税は取れないから歳出の方をそれに合わしてもらいたいという、税だけの立場からはそう考えられないこともないのでありまするが、しかしながら、やはり税も一つの財政政策の一環でございまするから、相互に均衡をとりながら進めていくというのが本当じゃないかと。なお、いままでの物価調整減税、いわゆる調整減税は、実は極端に考えますれば、物価上昇率を非常に上回った大幅な減税を毎年やってまいりました。そういうことから考えまするというと、その面におきまする減税は、先の先をもう食っていると、だから当分休んでもいいんじゃないかというふうな意見も税調内にはあることをひとつ御了承願いたいと思います。
  167. 野末陳平

    ○野末陳平君 まず、大蔵大臣にお伺いしますが、企業の政治献金というのは一般的には善意の政治参加の一形態だというようなことで受けとられていると思いますがね、政界の常識では。これ利益を追求する民間企業が何の見返りも期待しないで金品を出すということ、これまた考えられない。これは世間の常識ですね。そこで、最近全日空に関するいろいろな問題が出ておりますが、この全日空の全線の無料パス、これ出ているんですが、大臣ももちろんお使いになっていると思いますがね。これ、どういう理由で、あるいはどういう名目でおもらいになったか、個人的なことですけれども、初めにそれをお願いします。
  168. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 企業がその社会的存在といたしまして一つの社会に対するサービスとして政治献金をする、あるいはある種のサービスを提供するということは今日までございましたし、またそれは程度が度外れた程度でない限りにおきましては、常識的なものでございますならば、認められてしかるべきものではないかというような感じがいたします。私も全日空からそういうサービスを受けておりました期間がございます。
  169. 野末陳平

    ○野末陳平君 この全日空の説明を求めますと、大臣がいまおっしゃったのとちょっとニュアンス違いまして、世間一般とか、広いサービスじゃないんですね。全日空はこう言っていましたね。ふだん御理解、御協力をいただいていることへの感謝の意を込めて特定の人に差し上げているんだと、こういう説明ですからね。特定の人がサービスをもらっているというんで、どうも政治参加あるいは政治献金、これはお金じゃありませんがね。何かちょっと、かなりニュアンスが違うと。パス一枚でもやはりこの企業が政治に参加してこようとする場合には、そこに何らかの損得、思惑、そういうものが絡んでいるのは、これは当然だと思うんですよね。いい悪いは別ですよ。  そこで、そういう趣旨から言えば、この全日空の全線無料パス、ないしは区間のパス、これは当然課税上の問題が出てくるんじゃないかと思いますがね。これは国税庁、あるいは大蔵当局にちょっと説明を伺いたい。いままでこれずっと長い間にわたって配付されているんですがね。どんなものですか。
  170. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは理屈から申しますと、政治献金といいますか、政治家にそういったサービスが提供されるというのは、やはり一種の政治献金という性格のものではないかと思いますが、これは政治家がそれを利用をされた場合には、利用されるということは、これは一般論でございますから、具体的には多少の問題もあると思いますけれども、一般的に申しますと、通常は政治家が自分の政治活動、郷里に帰って遊説をされるとか、そういうようなことのために使われるのであろうと思います。したがいまして、このような場合には、それを所得として把握するということはしない、こういう方針であると思います。
  171. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうするとこの贈与の対象というのはどうですか。
  172. 田辺博通

    説明員田辺博通君) ちょっと御質問の趣旨がわかりかねますが、法人からのそういった献金的な、まあこれは贈与と言えば贈与かもしれませんが、の場合には、贈与税の対象という意味にはなりませんで、所得税法に関連が起こってくるわけでございます。
  173. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、このパスのようなものはやめまして現金にした方がわかりやすいと思いますからね。  刑事課長にお伺いしますが、いままでこのロッキード問題に関係しまして現職の議員さんから事情聴取のようなことをやられたかどうか。直接取り調べされた議員さんがどのくらいいるかというようなことでお願いします。
  174. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 現職の議員に限らず、一般的にどなたを調べたか、いつ調べたか、何をどのような調べをしたかということについてはお答えできないというのが私どもの立場でございます。それは刑事訴訟法にも百九十六条で関係人の「名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないよう注意しなければならない。」という規定もございますばかりでなく、捜査というものは、やはりどういうことを焦点として調べているかということを、事態を取得して初めてその捜査が真相の発見のために遂行できるという面を持っておりますので、ひとつその点は御容赦をいただきたいと思います。
  175. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、全日空から政治献金あるいはその他の名目で現職の議員さんに流れたお金について、これから私が自分の調べをお聞きしますので、捜査当局並びに自治省などがそれについてわかる範囲をお答えいただきたいと思います。  まず、福永一臣氏が四十七年の秋、多分十一月ごろだと思いますが、百万円以上の現金を受け取られております。これは福永氏の一心会という後援団体の届けに出ているかどうか自治省にお尋ねいたします。
  176. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) 自治省に提出されております一心会からの収支報告書によりますと、百万円の、寄付といたしまして百万円とは届けられておりません。そのように収支報告されております。
  177. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは寄付として届けられていませんが、実際。しかし、御本人が先ほど記者会見などで現に認められておりますので、これは問題ないと思います。正規の政治献金であるということで認められております。多分私が推測するのに、自治省に届けられた会費の中に含まれているのではないかと、こういうふうに思いますので、これはこれでどう解釈するかは別として、法的にはいいのかもしれません。  同じ時期、四十七年十一月、同じ時期に山村新治郎氏の東信会という政治団体にも献金がありました。これはまず東亜国内航空から数十万、そして全日空から五十万円以上、この二つはどういう届け出になっておりますか、これも自治省に。
  178. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) 東信会からの報告によりますと、東亜国内航空から三十万円の寄付を受け入れております。全日空からの寄付は報告されておりません。
  179. 野末陳平

    ○野末陳平君 政治献金の届け出というのは、寄付とか、会費とか、その辺非常にややこしいので、私の方もどういう処理がいいのかわかりません。人様のことですから、ですから東亜国内航空からのは寄付であった、全日空からのは多分寄付でなくて、東信会という政治団体は会費という処理をしたのかもしれません。あくまでも私はわかりません。ただし、現金が流れているということは、私の調べでは間違いありません。  同じく金丸信氏の政治団体があります。これは信政クラブといいますか、ここにも同じ時期に全日空からお金が政治献金として流れておりますけれども、これは自治省どうですか。
  180. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) 信政クラブからの収支報告によりますと、三十万円、四十七年の下期におきまして三十万円の寄付を受け入れておる旨報告されております。
  181. 野末陳平

    ○野末陳平君 四十七年下期といいますと、私は、十一月ごろと言っておりますので、多分それに符合するのかと思います。  加藤六月氏の城山会、この政治団体、この城山会にも同じ時期全日空から五十万円以上の現金が渡っておると思いますが、届けではどうなっておりますか。
  182. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) 城山会からの報告によりますと、全日空からの寄付は報告されておりません。
  183. 野末陳平

    ○野末陳平君 私の調べでは、この金の性格は年間の継続——年間のと言うのでしょうかね、年に何回かに分けて入る継続的な会費並びに選挙前の多分陣中見舞いのような性格かもしれませんが、そういう形で渡されているようですね。でも、これも処理は会費という中にもぐり込んで届けられてあるのかもしれません、その辺も私にはわかりません。そのほかにもまだあるのですけれども、ここまで刑事課長にお尋ねしますけれども、私はいま四人の先生方の名前を挙げまして、この方がみんな大平大蔵大臣がさっきおっしゃった全日空のパスですな、このパスももちろんおもらいになっておりますが、問題なのは金の流れですね、全日空からの金の流れ、この金の性格、そして処理はともかくとして、少なくも金が流れたのだと、これを当局のいままでの調べで確認ができているかどうか、全日空から押収した資料にこれがあったか、あるいは取り調べでこういう事実を当局はもうとっくに御存じだと思うんですが、それについて、もし私のいま言ったことが違っていると、間違いだというならば、もう間違いとはっきり言っていただかないと、非常に事が事だけに困るのです。ですから、間違いなら間違いである、それから確認なら確認しておるからそのとおりだと、そういう返事をひとついただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  184. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 全日空関係者につきましては、先ほども他の委員お答えいたしましたように、現在外為法違反において公訴を提起し、さらに全日空社長につきまして同じく外為法違法で再度逮捕勾留して取り調べ中でございます。で、検察当局といたしましては、これらの外為法違反で受領した金員の使途等を含めまして、その過程に犯罪行為、不法行為があればこれを厳正に処理すべく鋭意捜査を行って最善を尽くしていることはお約束できるわけでございますが、それがどのような内容になっているかは遺憾ながらお答えできません。したがいまして、いま御指摘の幾つか挙げられましたけれども、それが捜査の結果と合致しているかどうか等については私は、私自身承知しておりませんし、また仮に承知していたとしてもそのようなことをお答えするわけにはいかないのでございます。
  185. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは大蔵大臣にお伺いしますが、なかなか課税のところまで時間の関係で行くかどうかちょっとわかりませんけれども、とりあえずここまでのところで大臣、届けを出してあればこれは正規の政治献金であるから、その金を出す方の意図はもうともかくとして、届けてあればこれは一向に構わぬというのがこれは政界の常識なんでしょうか、その辺をちょっとお伺いしたいのですが。
  186. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政治家は、野末さんも重々御承知のように、多くの方の支持を得て公職を汚しておる立場でございますから、多くの方の信任といいますか、信頼を確保しなければならぬわけでございます。だから、政治資金の取り扱いにいたしましても、まず人間として間違いないようにやること、政治家として多くの方から信頼を失うようなことがないようにやることが第一だと思うのでございまして、政治資金規正法で間違いなくやっておるかやってないかということは第二次的な問題でございまして、第一次的にはやっぱり顧みて正しいことをやっておるということが政界の常識であるし、またそうあらねばならぬと思います。
  187. 野末陳平

    ○野末陳平君 まさにそのとおりだと思いますが、それであるならばなお献金を出す企業の側のいわゆる思惑といいますか、あるいは気持ちですか、それが非常に微妙だと思うんですね。要するに何かしてもらっているというか、あるいはふだんからおつき合いしているからとか、あるいは御協力いただいているからとか、あるいはいずれは世話になるかもしれぬからとか、いろんな思惑で出てくる金は、これはやはり何らかの意図を持っているんだと、まあ別に贈収賄とかそういうことを言うわけじゃありませんが、それに近い性格の金だと思うですね、これは一般常識として。ところが、それが政治家の団体なりふところに入ると、今度はそういう性格全部なくなっちゃいまして、会費だ、届けたんだと。届けてあればこれもう事が済んじゃうような、そういう受け取り方を政治家の方がしている。出す側と受け取る側が非常に食い違っているんじゃないかと、そういうふうにぼくは思うんですね。ですから、政治家が幾ら大臣のいまおっしゃったような気持ちで、届ける届けないは二次的な問題でとおっしゃっても、ちょっとその辺に一般常識で納得できないところがある。届けの有無にかかわらず、企業から特定の人に渡る金は純粋な献金とはとうてい言いがたいわけです。そこで、刑事的な責任とか、あるいは法的な問題とかいうものが仮にないとしても、ここらに企業献金を受け取った場合の政治家には道義的な責任といいますか、あるいは国民に対してやはり若干やましいような性格の金をもらっている、ぼくは、絶対そういうことを考えるべきだ、そういう時期にいま来ているんだと、そういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。昔と同じように政治献金を考えていいものでしょうか。
  188. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は、野末さんと少し見解を異にします。まあ企業献金でございますけれども、企業献金全部がある種の意図的と思って行われた不純なものであるというように決めてかかられるわけでございますけれども、それは若干酷じゃないかと思うんです。公人といたしまして、法人が一つの社会的な存在として、これは政治献金ばかりじゃございませんで、社会のいろんなことに対して会費を出したり寄付をしたりするようなことが一概にとがめられるべきものと私は思いません。ただ問題は、それが程度を越すとかいうことがあってはならないし、あなたが指摘されるように、ある種の不純な目的をこめて行われるというようなことがあることはいけないことでございまして、それがない限りにおきましては、政治献金であろうとその他の社会的な寄付でございましょうと、それは健全な判断に基づいて行われるものでございますならば、私はあえてとがめるべきものとは思えないわけでございます。  それから、先ほどの私の答弁やや正確でございませんでしたのでちょっと補足いたしますけれども、政治資金規正法上届け出があるかないかはどうでもいいという意味でなくて、政治資金規正法に対する届け出もやっぱり正確でなければならぬと思うのでございますが、私が申し上げた意味は、政治資金規正法上届けたから、もう何もかもそれが正当化されて、もうどんなお金でも政治献金でも、届け出ておきさえすればそれで能事終われりという見方は許されないのではないかということを申し上げておるわけでございまして、政治家は最も多くの方の批判にさらされた地位、立場におりますし、多くの方の信任を得て政治をやっておるわけでございまするから、あなたがおっしゃるまでもなく、各自それぞれ自覚された行動をいたしておるものと私は信じております。
  189. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかっておりますよ、大臣。そんなに弁解なさらなくても、意のあるところはわかりますが、しかし、大事なのは全部が不純だと、全部の企業の献金が不純だと思っているわけじゃありませんよ。しかし、一部あるいはかなりの部分は相当不純なのも事実なんで、それがある以上は、やはりそこらで出す方ももらう方も考えなきゃいけない、当然ですよ。ですから私の言いたかったのは——もう質問じゃありません。政治家は企業からの金品をもらうことに少し慢性になり過ぎた、鈍感であり過ぎると、ですからここらで、その政治献金についても、出す側、そして受け取る側ともに、届ければ済むんだとか、あるいはこれはそれなりの政治参加だからとかというようなことをもう抜きにして、もう一度、出す側、もらう側のモラルというものを政治献金をめぐって考えてみるべきだと、反省すべきだということを訴えたかったんですよ。これはもう大臣おわかりだと思いますから、お答えは要りませんけれども、そういうところで私の意のあるところもくんでほしいと思います。  終わります。
  190. 岩動道行

    委員長岩動道行君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  友末参考人に申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会      —————・—————